2015年08月23日

◆木津川だより 高麗寺跡@

白井 繁夫



古代の仏教寺院「高麗寺(こまでら)」の創建は不明ですが、「高麗寺跡」の発掘調査から飛鳥時代に創建された日本最古の寺院「飛鳥寺(法興寺)」と同笵の軒丸瓦(十葉素弁蓮華文:じゅうようそべんれんげもん)が発掘されました。

飛鳥寺と同笵の瓦の出土は、この寺院跡「高麗寺跡」は蘇我氏創建の飛鳥寺(日本最古の本格的仏教寺院)と同時期頃の創建か?と歴史的な注目を集めました。

「高麗寺跡」は木津川市山城町上狛高麗、JR奈良線上狛駅より東へ約600m、木津川の右岸の棚田の中に位置しています。

「高麗寺跡」は昭和13年(1938)から本格的な発掘調査(第T期調査)が行われ、回廊に囲まれた主要な堂塔(塔跡、金堂跡、講堂跡)など含む伽藍の一部が75年前の昭和15年(1940)8月30日、国の史跡に認定されました。

(高麗寺は飛鳥時代に創建され白鳳時代に最盛期をむかえ平安時代の末期(12世紀)頃まで存続していた国内最古の寺院の一つ(京都府内では最古の寺院)と推察されています。)

「史跡高麗寺跡」の発掘調査はその後、第V期調査(平成22年度の第10次調査)まで実施され、平成22年史跡地の追加指定を受け、現在は20100m2の指定地です。調査内容については後述しますが、まず寺名(高麗寺)の「由来」からスタートします。

朝鮮半島と日本列島の九州は距離的にみると近畿と九州の数分の一であり、古代、5世紀の初めごろまではあまり強い国家意識を持たずに朝鮮半島南部の百済.新羅.加羅から渡来人が来ました。渡来氏族では漢氏(あやし)や秦氏(はたし)の氏族が優勢でした。

5世紀半ば過ぎてからは、北部の高句麗が強大化し南部の百済.新羅が戦場化し、戦火を逃れて日本列島に渡る人々が増加しました。

5世紀の後半は日本の古代国家形成にとって重要な時期であり、大王権力を拡大し、畿内政権を支える官司制の構成員として渡来人を採用し、彼等の文筆を持って官吏に執りたて、国家組織の整備や先進的技術の導入に役立てようとしました。

山城国への渡来人:秦氏は北部に多くの史跡を持ち、氏寺は京都の広隆寺(秦河勝が聖徳太子から下賜された仏像:弥勒菩薩半跏思惟像が有名です。)その他、商売の神様、稲荷神社(稲荷大社)、酒の神様、松尾神社(松尾大社)や嵐山の桂川周辺(大堰川)など。

山城国の南部では高句麗系の渡来氏族高麗(狛)氏が相楽.綴喜の南部2郡に集中しています。高麗寺は地名にもなっている高麗(狛)氏の氏寺です。しかし、南部以外でも有名な八坂神社の「祇園さん」(京都市東山区)は、高句麗系渡来人の八坂氏の氏神です。

朝鮮半島からの渡来ルートは一般的には九州へ渡り、瀬戸内海を経て難波に来るルートを採りますが、高句麗から北西の季節風を利用して日本列島に渡るルートもありました。
古代の交通は主として水路を利用した結果、大和は「木津川」と深く関わりました。

木津川市は大阪市内から直径30kmの圏内です。

古代の水路の場合は、難波から淀川を遡上して八幡市(宇治川、木津川、桂川が合流)を経由する約60kmの道程です。別途、日本海の敦賀から近江の琵琶湖北岸に達し、水路で大津から宇治川経由木津に到着し、大和へ向うルートもありました。

『古事記』の仁徳天皇条、皇后石之日売命が天皇の浮気に嫉妬して難波高津宮から木津川の舟旅で出身地(大和の葛城)への途次の詩に「山代河:木津川」が詠まれています。

6世紀継体天皇が樟葉宮から弟国宮(おとくに)へ遷宮(518年)の頃、朝鮮諸国と畿内政権とは関係が緊張状態でした。

欽明天皇31年(570)条、高句麗の使節のため、南山城に高楲館(こまひのむろつみ)や相楽館(さがらかのむろつみ)を設けた。(木津川沿いに渡来人が多く居住していた。)

6世紀末、廃仏派の物部守屋が敗れ、用明天皇2年(587)、蘇我馬子が飛鳥寺(法興寺)の建立発願。飛鳥寺は日本最古の本格的仏教寺院であり、創建は6世紀末〜7世紀初、蘇我氏の氏寺、本尊は重文の飛鳥大仏(釈迦如来)です。

「高麗寺跡」の発掘調査から、南側土檀で仏舎利を祀る塔跡は東側、本尊仏を祀る金堂跡は西側、伽藍は南面しており、北側の土檀が講堂跡の伽藍配置です。

出土した瓦は、年代の古い順から第1期は飛鳥寺と同笵の瓦、第2期は天武天皇が崇敬した寺、川原寺式瓦「種類.数量が最多」白鳳時代、第3期は平城宮式瓦、8世紀の修理、「多種.少量」、第4期は高麗寺独特の修理用瓦「少量」、平安時代前期と4時代の瓦でした。

出土品から高麗寺は新興勢力狛氏の氏寺として飛鳥時代(7世紀前半)に創建され、白鳳時代(7世紀後半)に本格的な造営が成されたが、都が平安京に遷都後は平安時代前期の修理が最後で12世紀末から13世紀初期まで高麗寺は存続していたと思われます。

国の史跡「高麗寺跡」の10次に亘る発掘調査の内容等に付いては「次回」につづきます。

参考資料:山城町史 本文篇 山城町、
史跡 高麗寺跡 第V期(第8−10次発掘調査)発掘調査報告 木津川市教育委員会

2015年08月22日

◆中国権力闘争の非情 

〜親族、側近も皆連座〜

矢板 明夫



昨夏に失脚した中国共産党の元最高指導部メンバー、周永康氏(72)の秘書を務めたことがある河北省党委書記の周本順氏(62)が7月末に汚職の容疑で党の規律部門に拘束された。

北京で開かれた幹部会議の会場からいきなり連行されたという。これで周永康氏に仕えた歴代秘書7人全員が失脚したことになった。「覆巣之下、安得完卵」(巣が落ちれば壊れない卵なんてありえない)という中国の古典に由来する熟語を思い出させる。

日本人もよく知る三国時代の故事から来ている言葉だ。孔融(163〜208年)という名士が、魏の時の権力者、曹操を怒らせてしまい、家族全員が殺されることになった。兵士が孔融の家に行くと、9歳と8歳の2人の息子が遊んでいて怖がっている様子がない。

周りに仕えている者たちは、まだ状況を理解できないだろうと涙を流したが、それを見て2人が口にした言葉といわれる。家の主である父親が捕まった今、家族全員がその災難から逃れられないことを完全に悟っていたのである。

習氏に忠誠誓い続けるも…

周本順氏はある意味で、「巣が落ちて壊れた卵」の一つといえる。周永康氏が失脚した昨年、その親族、元部下ら300人以上が捕まり、要職にあった歴代の秘書が次々と逮捕された。

しかし、河北省党委書記という河北省トップの重要ポストにいた周本順氏だけがなぜか無事だった。「周永康氏を裏切って、悪事をすべて現指導部に報告したから許された」という噂も一時出回った。

周本順氏はその後、さまざまな場面で習近平政権へ忠誠を誓い続けた。習近平国家主席(62)が最もよく口にするスローガン「中国の夢」をテーマに、河北省秦皇島市内で高さ21メートルの純銅製の碑と記念公園「円夢園」(夢の叶(かな)う公園)を設立したほか、習氏の談話精神を研究する学術機関を河北省で全国で初めて発足させた。部下への講話も習路線への服従ぶりを強調するものばかりだった。

しかし、そうした努力も空しく、周永康氏失脚のちょうど1年後、周本順氏も連行された。世の中の厳しさへの理解について、周本順氏は、孔融の2人の幼い子供に及ばなかったようだ。

令兄弟の悲劇

「敵の息がかかった人物を温存させるわけにいかない」とは、中国における権力闘争の鉄則だ。周氏の例だけではなく、昨年末に失脚した胡錦濤(こきんとう)前国家主席(72)の最側近で、大物政治家だった令計画氏(58)のケースもほとんど同じだ。

山西省出身の計画氏の父親、令狐野氏(1909〜2015年)は、共産党の古参幹部で、日中戦争や国共内戦時代に医師として共産党の本拠地で病院の院長などを務めた。

5人の子供をもうけ、共産党の文献によく出てくる言葉を使い、それぞれ「路線」「政策」「方針」「計画」「完成」という名前をつけた。うち3番目の「方針」は女子で、あとは男子だった。

1970年代末に長男の路線氏が事故で死去したが、他の4人は計画氏を筆頭にそれぞれ各方面で出世を重ねた。次男の政策氏(63)は山西省政治協商会議副主席に就き、方針氏の夫は山西省運城市の副市長となった。米は引き渡しに応じるか

しかし、計画氏の拘束に伴い、国内にいた妻や兄弟など親族はほとんど捕まった。新華社記者出身の一番下の弟、完成氏だけが米国に逃れ、現在は米カリフォルニア州で妻と暮らしている。保身のために中国から現指導部の機密情報を多く持ち出したとされる。米紙ニューヨーク・タイムズによれば、中国政府は完成氏の身柄の引き渡しを求めているが、米政府は今のところ応じていないという。

9月に米国を訪問する予定の習近平国家主席が、米国との交渉で、完成氏を中国に連れて帰れるかどうかは今回の米中外交の大きな見どころだといわれている。

共産党関係者によれば、計画氏の父親、狐野氏は今年3月に死去した。子供たちが次々と拘束されたショックが原因だといわれた。それを聞いた拘束中の計画氏は精神的に不安定な状態に陥り、「自分のせいでみんなに迷惑をかけた」などと泣いて家族の名前を次々と叫び、取り調べがなかなか進まない状況だという。(中国総局 矢板明夫)
産経ニュース【矢板明夫の目】2015.8.18

◆犯行グループは中国から来た

宮崎 正弘


<平成27年(2015)8月21日(金曜日)通算第4634号 > 
 
〜バンコク爆破事件の犯行グループは中国からやってきた
  ウィグル人109人を北京へ強制送還した報復か? ――中国は否定〜

バンコクの観光名所「エラワン廟」で起きた爆破テロは世界を震撼させた。

犯人の1人は写真を公開され、また前方にいた2人の不審な男達の存在があって「容疑者」とされた。

犠牲となったのは20人で、このうち11人が外国人。しかも7人が中国人だった。5人が中国大陸から、2人は香港からの観光客だった。ほかに日本人を含む120人余が重軽傷を負った。

このため、先にタイから北京へ強制送還されたウィグル人109人に対する「報復」説が急浮上し、犯行グループは中国からやってきたイスラム原理主義過激派のテロリストであり、1ヶ月前から準備していた等と分析された。

タイ当局は「犯行グループは10人と考えられるが、写真を公開した3人のうち、1人はすでに国外へ出国した」とし、主犯格はまだタイに潜伏しているとした。 

駐タイ中国大使館はこれらの説を否定し、「何の証拠もない、かような憶測はとんでもない無責任な言動」とした(『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』、8月21日)。
 
しかしタイ軍情報部スポークスマンは「国際テロ組織の犯行とは断定できず、タイ南部にいるイスラム過激派のテロという線で捜査している」と国内のテロリストの可能性を強く主張している。
     

◆泥沼の深みに嵌ったヒラリー

Andy Chang



8月18日のラスベガスの記者会見で、FoxnewsのEd Henry 記者からサーバーのメールを消去したことについて追及を受けたヒラリーは、「どうやって消去するの?布きれで拭くっていうの?」と質問をはぐらかしたが、追及を止められず記者会見を中止した。

記者たちはヒラリーが記者会見をするからには少しでも理に適った弁解をするかと期待していたが、彼女は今でも「機密メールを送ったことはないし、“機密マークのあるメール”を受け取ったこともない」と強調している。

だがこの弁解は通用しない。ヒラリーは今年三月にメールを提出した時、「私有スマホで機密メールを受信したことも送信したことも、一切ない」と断言したが、最近になると“機密マークのあるメール”と言い替えている。つまり機密マークの付いたメールは受け取って
いないと言い換えて、もしも受け取ったメールが機密メールだったら「誰かが機密記号を消去したかもしれないが、私ではない」と言い逃れをするつもりである。

でもこの弁解は通らない。なぜならオバマが就任した2009年の始め、オバマ大統領は資料の機密度を決定する権利を持つ政府の要員を20人指名したが、ヒラリーはその重要人物の一人である。

しかもヒラリーは米国政府最高の地位にある国務長官だから、送受信したメールに機密マークが付いている、いないに係わらず、機密に属するかどうかは受け取った時点で知っているはずだ。

先週14日に書いたAC通信No.554から1週間の間にヒラリーのメールとサーバーのことでいろいろな事実が報道されたが、彼女はまだ違法ではないと強弁している。

●ヒラリーの弁護士からメモリーを没収

10日の午後、司法部がヒラリーのサーバーを没収したことについて彼女は自主的に提出したと言ったが、司法部はヒラリーのサーバーの外にもヒラリーの個人弁護士ケンドール(David Kendall)からサーバーのメールをコピーを内蔵したフラッシュメモリー三個も没収したことが判明した。

フラッシュメモリーに機密資料が入っていなかったら問題はないが、メモリーに機密メールが入っていたら機密資料を扱う許可(SecretClearance)がないケンドール弁護士に機密資料を渡したヒラリーは機密漏洩罪に該当する。

また、フラッシュメモリーの内容とヒラリーが提出したメール全般の内容が一致しなければならない。すでにヒラリーの提出したメールに機密メールがあったと発表されているから機密漏洩罪はかなり確実で、罪がまた一つ増えたのだ。これで内容が一致しなかったら
もっと大きな問題になる。

●サーバー会社はデンバー市にあった

このサーバーの話はもっと複雑怪奇である。ヒラリーのサーバーが没収された後に、サーバーの本社はアメリカ東部ではなくコロラド州デンバー市にあることが判明した。DailyMail.comの記事によると、デンバーにあるPrette River Networkと呼ぶ電子情報サービス会社は、オーナー3人で従業員8人のパパママ会社と言われる小会社で、本社のサーバーは風呂場の衣類棚に設置してあったというのだから
呆れる。

こんな小会社が政府の機密を扱う許可を得ていたとは思えないが、ヒラリーがなぜアメリカ東部の大きな会社を使わずコロラドの家庭オペレーション会社とサービス契約をしたのかは不明である。

DailyMailの記事によると、オバマ政権が発足した2009年1月13日にヒラリーはclintonmail.comを設置し、同21日国務長官に就任した。2013年3月20日、ルーマニアのハッカーがヒラリーの元部下のシドニー・ブルーメンソールとヒラリーの交信をハッキングし、ヒラリーの個人メールアドレス、hdr22@clintonmail.comを発見してそれを公開したと言う。つまりヒラリーのメールがハッキングされていた事実がわかった。他国のハッカーもいるはずである。

報道によると、Prette Rive Networkのサーバーのデータはおそらくバックアップされていたからヒラリーが消去したメールも取り出す事が出来るかもしれない。話があまりにも複雑怪奇なので報道した記者もハッキリしたことはまだわからないと述べている。

●ベンガジ事件に曙光

ベンガジ事件でアメリカの大使と護衛3人がテロの攻撃に逢って死亡した事件はオバマとヒラリーが最も隠したい事件である。アメリ
カ大使が攻撃に晒されていた12時間あまり、オバマとヒラリーの二人はホワイトハウスに詰めっきりで経過を見ていながらついに救援隊も攻撃機も出さなかった。国会のベンガジ調査委員会は今年3月からヒラリーの事件当時のメールの提出を要求していたがヒラリー
は傲慢にも要求を無視していた。国務省は300通のメールを渡しただけであとは何も見つかっていないと言っていた。

ところが18日、国務省は突然ヒラリーのPhillipe Raines補佐官が国務省に提出したメール、81000通が見つかった、おまけにこの厖大な数のメールの中にベンガジ事件関係のメールが17855通あったと発表した。どのような情報が含まれているかは調査を待たなけれ
ばならないが、ベンガジ事件の調査に曙光がさしたともいえる。

●国務省の発見した機密メール

国務省が発見した二通の機密メールは、実は国務省の検査から漏れて公開されてしまったので、仕方なく機密を解除したメールだったと言う。2通のメールはヒラリーのアドバイサーだったHume Abelinと、ヒラリーの補佐官だったJake Sullivanがヒラリーに送信したと言う。これでヒラリーのサーバーには機密メールがあったと言う証明となり、ヒラリーが個人のスマホを使って機密メールを受け取っていたことが明白になったのである。

前にも書いたが、ヒラリーはサーバーに機密メールはないと強調していたが、最近は「機密記号の付いたメール」は受け取っていないと言い換えた。この言い訳が通用しないこともわかっている。なお、国務省が公開した3000通のメールに4通の機密メールがあったことは今では305通まで増加されている。

どこまで続く泥濘ぞ。どんどん泥濘の深みに嵌っていくヒラリーがどこまで言い逃れを続けられるかはわからない。オバマ政権の司法部は独立検察官の任命を渋っているが、いずれ時間の問題と言われている。国会のベンガジ事件調査会のトレイ・ガウディ委員長は10
月22日にヒラリーを喚問する。このあとヒラリーが選挙に出られるかが決まるだろうと言われている。

           

◆私の「身辺雑記」(252)

平井 修一



■8月19日(水)、朝は室温28.5度、快晴、日射しは強いが涼しい。駐輪場では「おはよう、今朝は涼しいね」と皆が挨拶を交わしている。国内だけを見ていれば世は事もなし、いい国だ。ハーフ散歩。

8/12天津大爆発に続いて8/16には青島の天然ガス施設が爆破炎上した。日本のアカメディアはスルー。中共には住宅地に近いところにある化学物質倉庫は3000箇所近いという。危険と隣り合わせだ。

人民は環境汚染を非常に恐れており、各地で化学工場のみならずゴミ焼却場の建設まで反対する動きが高まっている(ゴミ処理能力が追い付かず、天文学的なゴミが野積みされ、環境が汚染されている)。

「天津爆発、各地で工場反対デモ 旗印は「PX(Para-Xylene、パラキシレン)」ネットで呼びかけ」(withnews 8/19)から。

<中国・天津市で8月12日深夜に起きた爆発事故。死者は100人を超える大惨事になりました。現場は危険化学物質を貯蔵する倉庫だったことから、同じような施設に対する反対運動が起きています。工場建設の計画に対し、ネット上でデモを呼びかける事態に。浙江省嘉興市では、中止になった計画も出ています。

*嘉興市、反対運動で許可取り消し

8月11日の『嘉興日報』に「嘉興市に10万トン規模のハイレベルな石油製品加工プロジェクト建設」の公告が掲載されました。翌日、天津の事故が起きたことで、嘉興市のプロジェクトへの注目が高まり、反対の声も大きくなりました。

嘉興市政府や近隣の県政府の前では、住民による反対デモが繰り広げられました。その結果、15日に、最終的に市政府がプロジェクトの許可を取りやめる事態になりました>(以上)

そういえばわが街の隣町に日本エーテルという化学工場があった。現在の昭和エーテルの前身で、同社のサイトにはこうある。

<昭和8年4月に川崎市登戸で初代熊田義夫が、ヴァルベ式蒸留装置によりエチルエーテル製造を目的に設立以来、幅広いケミカルフィールドの中で独創的な製品開発を目指す為、たえず新発想と技術開発に向け研究を重ねてまいりました、云々>

工場は母校の稲田中学校から300メートルほどのところ(現在は川崎市立多摩市民病院)で、これが小生が知っているだけで2回爆発した。近隣の住宅のガラスは吹き飛んだ。

(今は生徒を校内に待機させるが、当時、昭和30年代は危険の認識が薄く「工場近くの家の生徒は心配だろうから帰宅しなさい」と案内していた。2次災害という概念がまったくなかった。

また、一部に補償金・お詫び金・お見舞金を歓迎する向きもあった。原発成金の元祖?)

郊外に工場を作る→雇用と消費が生まれて人が集まる→駅前から街が発展する→工場近くまで住宅街になる→事故や環境汚染で「工場反対」の声が高まる→いたたまれなくなった工場は田舎に移転する。

この繰り返しだ。今、昭和エーテルの工場は神奈川県愛甲郡愛川町中津大塚下にまで「所払い」された。この地は中津川渓谷で有名だが、人より鹿の方が多そうなところだ。

中共経済は環境汚染無視で強引なまでに拡大してきた。きれいな空気、水、土壌を取り戻すには何十年の歳月と莫大な費用がかかるだろう。環境コスト負担もあって経済は大きく減速せざるを得ない。

ツケが回ってきたのだ。最早これ以上のツケ回しは人民が許さない。放置、無視すれば暴動になる。軍事パレードどころではない。

なお、天津大爆発は「中共の狗」系ネットメディアの扱いは低調だ。よほどショックで思考停止になっているか、中共情宣部の指示によるのかもしれない(自主規制?)。

8/19の朝日ネット版トップは「噴火警戒、桜島観光に試練の夏 フェリー客減、花火中止」、天津関連は安倍氏が習にお見舞いを伝えたという短い記事だけだった。不都合な真実=臭いものには蓋か。

■8月20日(木)、朝は室温28度、小雨、涼しい。散歩不可。

国家基本問題研究所8/14「日本は対中抑止力を、ウォルドロン米ペンシルベニア大教授が警告」から。

<7月下旬、訪日したアーサー・ウォルドロン米ペンシルベニア大学教授は31日、国家基本問題研究所企画委員会で中国と日米関係について語り、同委員会メンバーと意見交換を行った。

ウォルドロン氏は、同大歴史学部国際関係の教授で、中国史や戦略研究が専門。昨年12月、国基研が開催した国際シンポジウム「戦後70年 国際政治の地殻変動にどう対処するか」にパネリストの一人として参加した。

ウォルドロン教授の主な発言内容は次の通り。

 1)日本は、1274年の元寇以来の危険な時を迎えている。今回は、遠方から巨大なロープで囲い込まれ、徐々に輪を狭めれているようだ。気づいた時には身動きできないだろう。

 2)米政権はこれまで友邦国に圧力をかけ、敵対国に報いる政策をとってきたが、漸く中国の脅威に気づき、対中発言も徐々に強くなっている。

私自身は、過去40年間、中国専門家の間で異端児扱いを受けてきた。というのは、私が中国の軍事力を疑い、強い懸念を表明してきたからだ。

 3)日本は全面的に普通の国にならなければいけない。日本には何かがある、と中国に思わせなければいけない。つまり、抑止力である。

 4)アメリカの核の傘で守られていると考えてはいけない。それは、実際には存在しないものである。英仏と同様、日本も自ら守る方策を考えなければならない。つまり核装備の原潜一隻である。

 5)日本も、アメリカも、新聞がほぼ全面的にリベラルで、期待できない>(以上)

まるで小生のクローンのような方だ。多分、小生が氏のクローンだろう。大いに同意する。(氏はジャズピアニストのマル・ウォルドロンの親戚か?)

小生が危惧するのは、習近平は外交で四面楚歌的な状況にあること(周辺国は商売を拡大したいが脅威を覚えている)、経済は思うように安定していないこと(むしろ激しい乱高下)、人民の不満、不安が高じていること(環境、食品の安全性への不安、政治に口出しする権利がないことなど)を一気に解決するために、日中激突を仕掛けかねないことだ。

武力紛争になれば人民と軍は習近平支持で固まるし、不満も「欲しがりません、勝つまでは」で押さえ込むことができる。あわよくば尖閣一帯を支配下に置き、太平洋までを我が物顔で航行できるようになるかもしれない。

「ハイリスクだが、リターンも大きい。ここは死中に活を求めて一点突破、全面展開だ」と決断する――習の選択肢にこれはあるはずだ。

国家が軍事力を持つのは、国家を武力で毀損する内外の敵に備えるためだ。支那を攻撃したいと狙う潜在敵は、以前(1960〜80年代)はソ連だったが、今はない。汚染された国土、拝金主義の人民、9億の貧困層・・・周辺国で厄介者の中共を狙う国なんてあるわけはない。

それなのに中共はシーレーンを閉ざされたらアウトだ、なんとしても安全を確保するのだ、と暴れまくっているが、中共経済に打撃を与えようと考える国はゼロだ。13.7億人の中共経済がへたったら周辺国のみならず欧米だって打撃を受けるのだから。

軍隊は装備を常に強化したがるのは本能みたいなもので、そのために危機を煽ることも常套手段だが、中共軍は軍事費増でうまい汁を吸ってきたから予算減に耐えられないのだろう。被害妄想丸出しで日米や周辺国を潜在敵にでっち上げている。ほとんど狼少年の火遊びだ。

習がやるべきは冷静に安保環境を見て、必要最低限の武力に抑制することだ。削減した予算を福利厚生や環境対策、経済改革などに回した方がいい。

アジアの新興国の経済は、時間でいえば午前10〜11時。日本や欧米は午後2時、まだ明るい。中共は午後4〜5時、このままでは夕方、夜になる。中共が傲慢不遜、乱暴狼藉、被害妄想を改めてお行儀を良くすれば午後2〜3時には戻れるだろう。

どうしたら明るい未来へ向けてソフトランディングできるのか、社会科学院の学者に「絶対殴らないから正直な提言をくれ」と頼めばいい。学者がその言葉を信じるか、「どうせ百花斉放の罠だろう」と信じないか、それは分からないが、中共中央が過去のイジメを謝罪し、三顧の礼をもって依頼するしかない。

学者の提言をまとめて少しずつでも実施すれば、習は毛沢東と並ぶ「名君」として歴史に名を刻むだろう。なにもしなければ「ハエ叩き、虎退治の暴君」で終わりだ。どうする、習近平!

■8月21日(金)、朝は室温27度、曇、とても涼しい、ホッとする、グッバイ夏子、ウエルカム秋子。ハーフ散歩。

中共でもこんな記事が許されるのか、とちょっと驚いた。『抗日ドラマ「でたらめだ!」 憤激する元中国兵ら・・・「日本軍は強かった」「敬服せざるをえない面あった」』(サーチナ8/19)から。

<四川省メディアの華西都市網はこのほど、抗日戦を戦った元兵士らへの取材記事を掲載した。中国では「抗日ドラマ」が盛んに放送されているが、元兵士らは「あんなに容易なわけがあるか」などと反発。日本軍は極めて強く、突撃などの際に見せる犠牲的精神については「敬服せざるをえなかった」と述べた。

99歳の馬定新さんは「抗日ドラマ」について「数人で鬼子(日本兵)の連隊を全滅させるだって? 真実ならば、多くの仲間を犠牲にして8年も戦う必要があったわけがない」と批判。「ひとつ間違えば命を失う」厳しい戦いだったと回顧した。

日本軍は多くの場合、航空機や戦車、重火器で攻撃を加え、敵をただちに撃破する電撃作戦を好んだ。しかし、戦線が膠着すると迂回攻撃するなど柔軟性もあった。訓練が行き届き、部隊間の連携も巧妙な日本軍に、中国軍は大被害を受けつづけた。

記事によると元兵士の多くが、日本の将兵は「命を惜しまず、射撃も正確だった」と証言する。「突撃」の命令が下れば、とにかく殺到してきたという。小隊長として1941年5月の中原会戦に参加した鄭維邦さんは、日本軍の突撃精神には「敬服せざるをえない」と述べた。

戦史研究家の何允中さんは、日本兵には「崇高な武士道精神があった」「まず、おのれに厳しかった。相手に対してはさらに厳しく戦った」と説明した。

中国では「武士道精神」が、「日本人の残虐さを示すもの」として否定的に扱われることがほとんどだ。専門家の発言部分とはいえ、メディアが「崇高」と表現するのは珍しい。

記事は続けて「抗日ドラマの見せ場」でもある、中国人が刀で日本兵を『華麗に殺す』場面を取り上げた。馬さんは「大うそ。鬼子と遭遇して、あんなことをしたら、何度殺されていたか分からない!」と述べた。

実際には、中国軍の軍刀や銃剣類の使い方は日本軍から学んだもので、日本人将兵の刀剣類の使い方の方が「最高に実際的だった」という。また、中国には当初、歩兵の運用規則を定めた「歩兵操典」が存在せず、後になり日本軍の「歩兵操典」を翻訳・編集して使ったという。

記事は最後の部分で、「いかなる目的にせよ、(中国が)歴史をねじ曲げ、誤った歴史を広める行為は、全民族を挙げた抗日戦に対する侮辱」と批判。「歴史を直視し、(当時の中国と日本の)差を直視することが、抗日戦を戦った英雄に対する最大の尊敬だ」と主張した。(編集担当:如月隼人)>(以上)

如月氏、GJ! 同志的連帯感を覚えるなあ。

紅軍のボス朱徳曰く「日本軍はなぜ強いのか。投降したりすると殺されると信じているからだろう。それなら我々は、捕虜を虐待しない、殺さないと宣伝し、日本軍の投降を促そう」。

毛沢東曰く「日本軍が国民党軍を叩いてくれたおかげで国共内戦に勝利した。日本が中国に謝罪することはない」。

紅軍やら国民党軍の末裔である現在の中共軍はお達者か。近藤大介氏の論考『風化が進む中国の「反日感情」〜五輪招致成功と抗日戦争勝利70周年みる、習近平政権と民衆の乖離」(現代ビジネス8/10)から。

<*人民解放軍の大改革に挑む習近平主席の危機感

8月1日は、88周年の「建軍節」だった。1927年8月1日に共産党員たちが南昌で蜂起したことから、中国はこの日を「人民解放軍創設記念日」に定めている。

同日夜7時のメインニュース『新聞聯播』は、軍事関連ニュース一色だった。まずは、南昌蜂起から現在に至る人民解放軍の「偉大なる足跡」を振り返った。

そして最近、習近平主席がいくつかの重要な言葉を発したと、アナウンサーが興奮気味に伝えた。それは――

「戦之必勝」(戦争には必ず勝利せよ)、「在基層落地生根」(軍は庶民層に根を張れ)といった文句だ。また『人民日報』が同日、「従厳治軍鍛造鋼鉄長城」(軍紀厳しく統率して鋼鉄の万里の長城を建造する)と題した社説を掲載したことも報じた。

実際、習近平主席は、230万人民解放軍を掌握しようと躍起になっている。その手法の一つが、「打老虎」(大虎の捕獲)である。習近平政権は、「建軍節」直前の、そして北戴河会議直前の7月30日夜10時、国営新華社通信を通じて、「西北の狼」と呼ばれた郭伯雄・前中央軍事委員会副主席を、重大な収賄の容疑で軍事検察院に移送する決定をしたと発表した。3年前まで軍服組トップだった男を、ひっ捕らえたのである。

いまから16年前の1999年9月、江沢民主席(当時)は、郭伯雄と徐才厚を人民解放軍最高位(30数人)の上将にし、翌月に二人を、人民解放軍の最高意思決定機関である中央軍事委員会の委員に抜擢した。この二人は胡錦濤時代に入って、やはり江沢民の推薦で中央軍事委員会副主席となり(主席は胡錦濤)、「軍の両巨頭」として10年にわたって君臨した。

この両巨頭は、習近平時代に入ると同時に退役した。その後、江沢民人脈を壊滅させようと目論む習近平主席は、まずは昨年3月の全国人民代表大会閉幕直後に徐才厚の調査を開始し、同年6月に共産党の党籍を剥奪。連日の厳しい捜査の中、徐は今年3月に、失意の中でがんで死去した。

中国メディアによれば、昨年3月15日晩、人民解放軍軍事検察院の捜査員が、北京市阜成路にある徐才厚宅を強制捜査した。2000平米もある地下室には、人民元、アメリカドル、ユーロなどが積み上げてあり、計1t以上もあったという。他にも、100s、200s以上の和田玉や、唐宋元明代の書画や骨董品などがザクザクと見つかった。

もう一人の郭伯雄に関しては、今年の全国人民代表大会前の3月2日に、まずは長男の郭正鋼・浙江省軍区副政委を拘束。4月9日には郭伯雄本人も拘束して、本格的に捜査を開始した。

郭伯雄に関しても、内部通報者と思しき人物が4月21日に、ネット上で捜査状況を暴露した。それによれば、押収されたのは人民元が10t以上、アメリカドルが1億ドル近く、金塊が105t、骨董品が総額10億人民元近く、預金通帳が約300個で預金額は計1800億人民元近く、別荘が9軒で6000万人民元近くだったという。金塊と預金通帳分だけで、4兆1000億円に上る。これは周永康の1兆9000億円を軽く上回る額だ。

今回の北京出張で、ある退役軍人から聞いたのだが、人民解放軍は上から下まで賄賂漬けになっていて、とても日本と戦争などできないという。上は軍管区司令員の2000万元から、下は伍長クラスの数千元まで、軍のすべての階級に「値段」がついている。軍人たちはその相当額を上部に「上納」して初めて、ポストを得られるのだそうだ。まさに日本のヤクザ社会のようだ。

また、いわゆる「吃渇嫖賭」(喰う飲む抱く賭ける)の接待費はすべて、国庫から賄っていて、全軍が日々「上司接待」に明け暮れているという。徐才厚と郭伯雄は、こうした上納システムの「大元締め」だったわけだ。

現在、習近平主席は、こうした腐りきった人民解放軍を大改革しようとしている。北戴河会議でも、大胆な軍改革が俎上に上ったという。

中国軍は対外的には、南シナ海を埋め立てて軍港を造ったり、東シナ海の日中中間線付近でガス田を開発したりしている。これに対し、例えば8月4日にクアラルンプールで開かれたASEAN外相会談では、中国に南シナ海の埋め立てを抑制するよう求める方針で一致した。また日本は、ガス田開発の16枚の写真を公開し、中国を非難した。

だが上記の退役軍人によれば、こうした行為は、習近平主席の危機感の表れなので、「対外的にではなく対内的に」ストップができないという。ストップしたとたんに、軍における求心力が失墜するというわけだ。

習近平主席は、2012年11月に党中央軍事委員会主席に就任して以来、「軍は戦争するのが仕事なのだからしっかり戦え!」と発破をかけ続けている。だが人民解放軍は、1979年の中越紛争以降、戦争をしていないし、いますぐ戦争すべき「敵」も存在しない。それでも、激しい「ファイティング・ポーズ」だけは、取っておく必要があるというわけだ。

それでも、その退役軍人によれば、習近平主席が230万人民解放軍を掌握するのは難しいだろうという。

「軍内には長年にわたる『腐敗の秩序』が確立しており、それを一時的に断ち切ったとしても、またすぐに復活する。なぜならその方が、軍の誰にとっても都合がよいからだ。

もし習近平主席が本気で軍を掌握する気なら、対外戦争を仕掛けるしかないだろう。かつて英国のサッチャー首相が、フォークランド紛争によって、国内政界及び軍の支持を勝ち取ったようなものだ」>(以上)

どうする、習近平! 230万の不敗、じゃない、腐敗しきった軍が大事か、13.7億の人民を養う経済が大事か。よく考えるんだな。

(それにしても現金を数える時間がないためか面倒臭いのか、重量、しかもトンで表すなんて、西側とは想像を絶する別世界だ。わが家の現金(お札)は5グラム、想像を絶する清貧さだ)(2015/8/21)

     

◆日本を売り込む発想

蔭山 實


日本を訪れる外国人が今年は昨年の過去最高を5割近くも上回り、1900万人超となる勢いです。この「日本ブーム」の流れをつかもうと、旅行保険の販売をめぐる損害保険業界の取り組みを20日付で報じました。

その話題で思い起こしたのが、10年ほど前にリトアニア出張で、入国の際に何度も「インシュアランスは?」と聞かれたことでした。理解できぬまま、“突破”してしまいましたが、後で旅行保険のことだったと知ると、保険への意識がいかに希薄だったかが分かるようです。

旅行保険の加入を呼びかける試みは保険への意識を高める上でもありがたいことです。「おもてなし」につながる日本らしいビジネスともいえ、東京五輪に向けて日本を世界に売り込んでいくのに役立つでしょう。そうした発想が各方面にも広がるよう、期待して見ていきます。(編集長)
産経ニュース【編集日誌】2015.8.21

◆TPP、オバマは決断できるか

平井 修一



PP(環太平洋戦略的経済連携協定)は足踏みしているように見えるが、実際はどうなのだろう。キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・山下一仁氏の論考「TPP交渉は漂流しない、8月に合意する 2つに絞られた課題と米国のアジア・太平洋戦略」8/18から。

<今回の閣僚会合でTPP交渉は実質的な妥結に至らなかった。8月に会合が予定されているが、ここまで会合を重ねて合意できなかったことが、短期間のうちに合意できるとは考えられないという予想が大半のようだ。

確かに、TPP閣僚会合に参加した人たちを取材していると、そのような結論になりそうである。

しかし、今回の閣僚会合で、残された課題は2つに絞られた。

一つは、バイオ医薬品の開発データの保護期間を12年と主張するアメリカと、5年程度を主張する他の国との対立である。

もう一つは、ニュージーランドが要求している、乳製品の関税撤廃、または大量の無税の輸入枠の設定である。

問題は、これらは超えられないハードルなのだろうかという点である。

結局、アメリカがバイオ医薬品の開発データの保護期間について譲歩できるかにかかっていると言ってよい。

確かに、アメリカの製薬業界の政治力は強力である。強力なロビー活動を行っており、データの保護期間が十分確保できなければTPPに反対すると主張する議員もいる。議会の承認を得たいフロマン通商代表は、この点について譲歩できなかった。

TPP閣僚会合を見ていると、アメリカに譲歩の余地はなさそうである。そうなれば、8月会合は意味のないものとなる。

しかし、TPP閣僚会合に集まった閣僚は、通商担当の閣僚だったということである。かれらの政治的な判断は通商交渉の範囲内のものに過ぎない。
アメリカには、より高いレベルの政治判断をする組織が存在する。ホワイトハウスである。

7年ほどの間、思ったほどの業績をあげられなかったオバマ政権は、後世に残る政権のレガシー(遺産)作りに必死である。その大きなものがTPPだった。

そのためにオバマ政権は、TPA(貿易促進権限)法案が議会で通過できるよう、大統領自らが反対の民主党議員に説得工作をするなど、必死で活動してきた。

しかし、TPP交渉が8月に合意できなければ、オバマ政権でのTPP成立は不可能となる。なんとしても、8月に合意しなければならないとすれば、バイオ医薬品の開発データの保護期間で譲歩しなければならない。

もちろん、これには一部の共和党議員が反対して、議会の承認が得られなくなるおそれがある。しかし、TPP交渉が合意できなければ、議会に提出すらできない。議会に提出さえできれば、後は根回しによって、賛成票を多数獲得できるかもしれない。

共和党議員の中でも、農業州出身の議員はバイオ医薬品で譲歩してもTPPには賛成する。「ダメ元」作戦である。そもそも、医療支出を抑えたいオバマ政権は、長いデータの保護期間に反対していた。

もう一つホワイトハウスが考慮するイッシューがある。オバマ政権はアジア・太平洋地域の重視政策(大西洋からの政策重点の移動、リバランシング)を打ち出した。また、オバマ大統領自身、TPA法案の議会審議の際、「TPPができなければ、中国がアジア・太平洋地域でルールを作ってしまう。それでよいのか」と主張してきた。

これは、単なるレトリックではないだろう。アメリカには中国が主導するAIIB(アジアインフラ投資銀行)にイギリスなど多数の同盟国が参加してしまったという、屈辱的な経験があり、TPPが成立しなければ、アジア・太平洋地域でアメリカの影響が格段に低下してしまうというおそれがある。

議会承認が来年に少しくらいずれ込んだとしても、11月の大統領選挙までかなり時間はある。今年の12月ならよくて、来年の1月ならだめだというものではない。

7月のTPP閣僚会合を受けて、アメリカ政府内部では、フロマン通商代表を超える政治的な判断がなされる可能性がある。その場合、TPP交渉は一気に妥結に向かうだろう。

日本にとっても、アメリカの自動車関税は、韓国車は来年撤廃されるのに、日本車は20年後にしか撤廃されないという、レベルの低いTPPとなってしまったが、一部の国での政府調達の開放などのメリットもあるので、ないよりはましだろう>(以上)

「レベルの低いTPPだが、ないよりはまし」・・・農業政策担当の山下氏の期待は裏切られたようで、いささか投げやりな感じだ。TPP交渉は大山鳴動、鼠一匹なのかどうか、詳細な中身が分からないので何とも言えないが、一種の経済ブロックであり、非加盟国にとってはかなり不利になるだろうとは思う。

楽天ネット証券のサイトに米国在住で海外投資に詳しい広瀬隆雄氏がこう書いている。

<ある意味では、TPPは中国をけん制するための道具であるとも言えます。つまりそれぞれ勝手な思惑や利害を抱いているTPP参加国をひとつにまとめているのは、中国に対する抑止力という、いささか政治的な動機なのです。

WTO加盟後も中国がこれら(知財保護、元安、国有企業保護など)の点を是正しないため、アメリカは新しい交渉の切り札を模索してきたのです。アメリカは、ほぼこの目的のためだけにTPPに参加したと言っても過言ではないでしょう。

具体的にはTPPの規定に沿って(輸出の際に相手国から)無関税扱いを受けようとすれば、TPPの原産地規則を満たす必要があります。それは原料や素材に中国のものが混じっていてはいけないことを意味するのです>
(以上)

中共経済はダッチロールを始めた。クラッシュされると市場が破壊されて困るが、そこそこ低成長でいってくれればと関係諸国は願っているだろう。日本の保守派は中共包囲網としてTPPに期待している。

交渉妥結の決断はオバマ次第だ。決断できなければ「史上最低の米国大統領」の烙印を押されることは確実だ。(2015/8/20)

2015年08月21日

◆欧米での評価、予想以上に高かった

宮家 邦彦



戦後70年安倍談話 欧米での評価、予想以上に高かった

安倍晋三首相の戦後70年談話を出張先のワシントンで米国人の親友と 熟読した。以下は彼との一問一答である。

 ●(西洋中心の)植民地支配への危機感が日本近代化の原動力となった。日露戦争は多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけた。

 ●戦争違法化の潮流に日本も足並みをそろえたが、経済のブロック化で孤立感を深めた。日本は力の行使による解決を試み、国内の政治システムはその歯止めたりえなかった。

 筆者「近代史に関するより冷静・客観的な記述だ。日本の保守派は評価するだろう」

 友人「…(無言)」

 ●日本は次第に国際社会が築こうとした「新しい国際秩序」への「挑戦者」となっていった。進むべき針路を誤り戦争への道を進んで行った。

 ●日本はいかなる紛争も、法の支配を尊重し、力の行使ではなく、平和的・外交的に解決すべきだ。また、唯一の戦争被爆国として国際社会でその責任を果たしていく。

●70年間に及ぶ平和国家としての歩みに静かな誇りを抱きながら、この不動の方針をこれからも貫いていく。

 友人「これは外国、特に中国に対するメッセージだな」

 筆者「良く分かったな。日本の一般国民の最大公約数だが、一部保守派はこの部分を無視するかもしれない」

 ●国内外に斃(たお)れたすべての人々の命の前に深く頭を垂れ、痛惜の念を表すとともに永劫(えいごう)の哀悼の誠を捧(ささ)げる。

 ●わが国は先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫(わ)びの気持ちを表明してきた。その思いを実際の行動で示すためアジアの平和と繁栄のために力を尽くしてきた。

 友人「要するに過去の談話は全て引き継ぐのだな」

 筆者「然(しか)り。ちなみに1970年、西ドイツ(当時)首相はワルシャワのホロコースト追悼碑で跪(ひざまず)き、頭を垂れ謝罪を表現した」

●あの戦争には何ら関わりのない子供たちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはならないが、それでもなお、日本人は、世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければならない。

 友人「日本が『もう謝らない』ということか」

 筆者「武士に二言はない。これは村山談話批判ではない。他方、過去20年間の日本のお詫びをいまだ受け入れない国があることも現実だ」

 ●20世紀の戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた 過去をこの胸に刻み続ける。

 友人「慰安婦だな」

 筆者「間違いないだろう」

 ●事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、もう二度と用いてはならない。植民地支配から永遠に訣別(けつべつ)しなければならない。
 
友人「ここでいう『侵略』とは一般論ではないのか」

 筆者「それは違う。『もう二度と』とあるから日本の過去について言及したものだ」

●あの戦争には何ら関わりのない子供たちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはならないが、それでもなお、日本人は、世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければならない。

 友人「日本が『もう謝らない』ということか」
 
筆者「武士に二言はない。これは村山談話批判ではない。他方、過去20年間の日本のお詫びをいまだ受け入れない国があることも現実だ」

 ●20世紀の戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去をこの胸に刻み続ける。

 友人「慰安婦だな」

 筆者「間違いないだろう」

 ●事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、もう二度と用いてはならない。植民地支配から永遠に訣別(けつべつ)しなければならない。

 友人「ここでいう『侵略』とは一般論ではないのか」

 筆者「それは違う。『もう二度と』とあるから日本の過去について言及したものだ」

●あの戦争には何ら関わりのない子供たちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはならないが、それでもなお、日本人は、世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければならない。

 友人「日本が『もう謝らない』ということか」

 筆者「武士に二言はない。これは村山談話批判ではない。他方、過去20年間の日本のお詫びをいまだ受け入れない国があることも現実だ」

 ●20世紀の戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去をこの胸に刻み続ける。

 友人「慰安婦だな」

 筆者「間違いないだろう」

 ●事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、もう二度と用いてはならない。植民地支配から永遠に訣別(けつべつ)しなければならない。

 友人「ここでいう『侵略』とは一般論ではないのか」

 筆者「それは違う。『もう二度と』とあるから日本の過去について言及したものだ」

●(米英蘭豪などの)元捕虜の皆さんが長年にわたり日本を訪れ互いの戦死者のために慰霊を続けてくれている。

 筆者「和解努力はこれからも続いていく。これまで歴史問題で日本の国論は割れていた。保守派の安倍首相だからこそ国内のコンセンサス作りは可能だと私が言い続けてきた理由が分かっただろう」

 友人「今回ようやく分かったよ。米中正常化だって、最右派ニクソンが訪中したから米国内保守派も受け入れた」

 帰国便の中で邦字紙に目を通している。リベラル系は「村山談話継承には程遠い」と批判、逆に保守系は「安易な謝罪なく建設的」と評価した。これこそ今回の談話が国内政治的・外交的にバランスがとれていることの証明だと確信した。中韓の消極的反応は織り込み済みだが、欧米での評価は予想以上に高かった。安倍談話が日本国内のコンセンサス作りと中韓との真の和解プロセスの第一歩となってほしいものだ。

【プロフィル】宮家邦彦

みやけ・くにひこ 昭和28(1953)年、神奈川県出身。栄光学園高、東京大学法学部卒。昭和53年外務省入省。中東1課長、在中国大使館公使、中東アフリカ局参事官などを歴任し、平成17年退官。第1次安倍内閣では首相公邸連絡調整官を務めた。現在、立命館大学客員教授、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。
産経ニュース【宮家邦彦のWorld Watch】2015.8.20

◆イラン封じに便利なIS

平井 修一


作家・黒木亮氏の論考 「イスラム国は当面の間は存続し続ける 米国や中東諸国にとって好都合な存在に」(東洋経済8/16)は快刀乱麻を断つ論で、小生のような中東音痴には非常に分かりやすかったが、実際にどうなのかはちょっと分からない。氏の略歴は――

くろき りょう:1957年、北海道生まれ。早稲田大学法学部卒、カイロ・アメリカン大学(中東研究科)修士。銀行、証券会社、総合商社に23年あまり勤務して作家に。大学時代は箱根駅伝に2度出場し、20キロメートルで道路北海道記録を塗り替えた。ランナーとしての半生は自伝的長編『冬の喝采』に、ほぼノンフィクションの形で綴られている。英国在住。

<「イスラム国(IS)は、あと5年はもつでしょうね。下手すりゃ10年いきますよ。だってあれは誰にとっても都合のいい存在ですから。この辺の事情は現地では常識ですけど、日本人は意外と知らないみたいですね」

中近東の専門家で、今もペルシャ湾岸に駐在している日本の商社マンの言葉である。

資金源も乏しく、空軍力や近代兵器も持たない盗賊集団のようなイスラム国を、なぜアメリカは殲滅しないのか。疑問に思っている人は多いだろう。アメリカの軍事力をもってすれば、そんなことはいともたやすいはずである。

その理由についての有力説は、中近東にイスラム国という不安定要因を残したままにして、イランなど周辺国が彼らとの恒常的な戦いで消耗する状態を継続させるのがアメリカの真の狙いだというものだ。

*イスラエルの狙いとは?

2006年3月に、シカゴ大学とハーバード大学の研究者が発表した「イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策(The Israel lobby and U.S.foreign policy)」という論文(2007年に書籍化され、同名の邦訳版もあり)を読むと、その辺の事情がよく分かる。

アメリカの中東政策は、正義のためでも、人道のためでもなく、イスラエル・ロビーによって決められているという内容だ。そして彼らイスラエルの狙いは、周辺アラブ諸国(特に、イスラエルが最も警戒するイラン)を弱体化し、国の安全保障を確保することだ。

「泣く子も黙る」最大・最強のイスラエル・ロビーは「アメリカ・イスラエル広報委員会」(略称AIPAC)だ。ワシントンの国会議事堂近くに100人以上の職員と全米に10万人以上の会員を有し、年間2,000回以上国会議員と会い、100以上の親イスラエル法案を支援している。

日本では創価学会や日本医師会、日本遺族会などが収票力によって、政治に影響力を行使する。AIPACも、親イスラエル議員には資金援助や投票を呼びかけ、反イスラエル議員を徹底的に攻撃する。

かつてキッシンジャー国務長官が中東和平を画策したとき、イスラエルが非妥協的で協力しなかった。これを民主党のチャールズ・パーシー上院議員(イリノイ州)が厳しく批判したところ、たちまち彼の事務所に親イスラエル選挙民から4000通の抗議文と2000通の抗議電報が届き、各地で追い落とし集会が相次いで開かれ、1982年の選挙でついに落選させられた。

アメリカがイスラム国を好ましいと思う理由はもう一つある。軍需産業である。大規模な紛争があることは、アメリカの軍需産業にとってつねに望ましく、中近東では1948年に勃発した第一次中東戦争以来、第二次〜第四次中東戦争、イラン・イラク戦争、湾岸紛争、イラク戦争と、10年に一度は大きな紛争が起き、軍需産業が売り上げを伸ばす機会を提供してきた。

戦闘機から発射されるミサイルは一基数千万円〜1億5000万円、軍艦・潜水艦から発射されるトマホークミサイルは一基1億5000万円くらいする。イスラム国が存在するかぎり、彼らは商売繁盛なのだ。

そしてイスラエル・ロビー同様、軍需産業はアメリカの議員に多額の献金をしている。イスラム国との戦闘において、アメリカは2003年のイラク戦争のときのように陸上部隊を派遣せず、主に空軍による支援をしている。

これは軍需産業から見ると、陸上部隊の駐留経費に莫大な税金をかけてもちっとも儲からないのと違い、空軍がミサイルや爆弾をどんどん投下してくれるので、理想的なパターンである。

*イランを弱体化させたいという思惑

イランを弱体化しておきたいのは、イスラエルだけでなく、サウジアラビア、クウェート、UAEなどGCC(湾岸協力会議)6カ国も同じである。

1979年にイスラム革命で成立した現在のイランは、シーア派革命の輸出をもくろむ地域の大国で、人口や軍事力もはるかに小さく、宗派も異なるスンニ派の湾岸諸国は常にその影に怯えてきた。

そもそも、1981年にGCCが設立された際の主要目的の一つが対イラン防衛だった。GCC6カ国は表向き対イスラム国有志連合に参加しているが、(政府か個人かは定かではないが)それらの国々からスンニ派のイスラム国に相当な資金援助が流れている、と現地ではいわれている。

さらにトルコにとってもイスラム国は都合のいい存在である。こちらはクルド人問題の関係からだ。

トルコは国内に千数百万人のクルド人を抱え、1923年の共和国建国以来、シリアやイラクのクルド人と連携した彼らの分離独立運動やテロに頭を悩ませてきた。

男子皆徴兵制を持ち、65万人の兵員を擁する中近東屈指の軍事大国であるトルコが本格的に参戦すれば、イスラム国など簡単に壊滅できるが、アメリカ主導の有志連合に名前を連ねてはいるものの、先月まで空爆に参加せず、国内の基地使用も許可していなかった。

それはクルド人問題があるからだ。シリア北部でイスラム国と戦っているのは、アメリカなどが支援するクルド人組織・民主連合党(PYD)だが、彼らが勝利してイラク北部のように自治権を獲得したりすると、クルド人が多く住むトルコ南東部の分離独立運動に発展しかねないとトルコ政府は警戒しており、むしろ彼らがイスラム国との戦いで疲弊するのを望んでいる。

イスラム国とアメリカ・中近東諸国も、実は(暴力団と警察が持ちつ持たれつというのと)似たような関係なのだ。ただし去る7月に、トルコ南東部でイスラム国によると見られるテロが起き、連立政権に対するクルド人有権者からの批判が強まった。これを契機に、トルコ政府は空爆参加と有志連合の基地使用許可に踏み切っている。

このように、この種の“均衡”は、様々な要因の変化で崩れる可能性があることは留意を要する>(以上)

つまりISはイラン封じに便利であり、米国の軍需産業も裏では歓迎しているということだ。

ISが暴れて原油生産に支障が出て価格が上昇するというのなら西側諸国にとって不都合だが、サウジ中心の産油国の思惑で逆に価格は下がっている。それならISを排除する必要はないし、むしろイランと咬み合わせ、イランを消耗させたほうがいい、ということか。

中共が暴れたことで日本はアジアの保安官助手にならざるを得なくなった。それは日本の抑止力を高めるし、米国の国益にもなる。日本の防衛費は増えていくはずだが、それは日米の軍需産業にとっても好ましい。

「世界は腹黒い」から、黒木氏の論考は真実をついているかもしれない。
(2015/8/17)

◆猛暑の妄想?民主 党の矛盾

酒井 充



連日の猛暑のせいか、民主党はとうとう妄想に取り憑かれてしまったようだ。安全保障関連法案をめぐって、へ理屈と矛盾だらけの質問で政府を攻撃する国 会での姿を見ていると、そう思わざるを得ない。

象徴的なのは「法文上、安保関連法案で米国の核兵器を運搬できるようになる」との主張だ。8月5日の参院平和安全法制特別委員会で、白真勲氏が取り上げ た。安保関連法案は後方支援で弾薬の運搬を認めている。弾薬には核弾頭も含まれる が、核兵器の排除が明示されていないのは問題だというのだ。

5月26日に衆院で審議入りして以来、論点にならなかったテーマが、なぜ突然浮上したのか。白氏がすぐに質問の中で答えを明かしてくれた。

「明日(6日)、まさに広島に原爆が落とされた70年目の日に当たるわ けですね」

白氏は続けて「核兵器を日本の自衛隊が輸送できる法案だ」と訴えた。なるほど、原爆投下70年と重ね合わせて「安倍晋三政権は核の惨禍への反省がないば かりか、米国の核兵器使用の手助けをするつもりだ」というイメージを国民に植え付 けたいわけだ。

民主党による「法案が成立したら徴兵制が復活する」との支離滅裂なレッテル貼りは、首相らが何度も否定したことで収束しつつある。そこで新たなレッテ ル貼りを考え出したのだろう。しかし、いくらなんでも無理がある。

確かに安保関連法案で核運搬は明示的に禁じられていない。だから中谷元防衛相は「法文上、排除はしていない」と答弁した。だが、その前提として中谷氏 は「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」の非核三原則が国是であることを明言 し、「運ぶことは全く想定していない」「あり得ない」「要請されても拒否する」と 当たり前の答弁を何度も繰り返した。

普通はこれで議論が終わるはずだが、民主党はそうもいかないらしい。

白氏「核兵器を提供することは法文上できないのか?」中谷氏「日本は核兵器を持っていないので、提供できない」白氏「持っていないから提供できないのではなく、法文上、提供できるかどうかだ」

中谷氏「日本は保有していないので、提供することはあり得ない」こんな不毛な議論が続いた。日本が核を保有することは現実的に考えにくい。仮に保有する判断をしたら、集団的自衛権の行使容認をはるかにしのぐ安全保 障政策の大転換となる。核保有の道を選択したとしても現行法の枠組みのままでは運 用できるはずもない。白氏の理屈に従えば「現行法のまま日本が核を保有して他国に 提供する」ということになる。

そもそも極めて秘匿性が高く、扱いにも特別の技術が必要な核兵器の運搬を、どこの核保有国が“素人”の他国に委託するというのだろうか。政策としても、 技術的にも、そして常識に照らし合わせても、奇想天外すぎる。もはや妄想としか いいようがない発想だ。

白氏は「原発を再稼働する安倍政権は、わが国独自の核抑止力を持ちたいのか」とも質問していた。失笑を超えてあきれるしかないが、こんな“トンデモ質 問”でも、まともに相手にしなければならない政府の苦労は並大抵ではない。

白氏の後に質問に立った藤末健三氏は、さらに論理が飛躍し、「核兵器もこの法文上、提供できるわけですね。日本が持つとしたら。万が一」とただした。 日本が核を保有し、さらに他国に提供するというのだ。中谷氏は「わが国は保有して いないので提供できない。あり得ない」と答えた。そう答える以外に何か適切な答弁 があるのだろうか…。

白、藤末両氏の独特な問題意識による質問かと思いきや、民主党は意識的に組織ぐるみで核運搬問題をターゲットにしている。それを証明するように民主党 議員は、8月7日の衆院予算委員会、10日の参院予算委員会、11日の参院特別委員会 で漏れなく核運搬問題を取り上げていた。

山井和則氏は7日の衆院予算委で、首相が6日の広島市での平和記念式典のあいさつで「非核三原則の堅持」に触れなかったことから、「世界は非核三原則の 堅持を日本はやめるのかと思うのが当たり前だ」と断じた。何が当たり前なのか全く 不明だが、驚くのはまだ早い。

山井氏は続いて核運搬問題を取り上げ、「安保関連法案で核運搬が可能になる」との言質を首相から引き出そうとした。首相が「国民に誤解を与えようとし ている意図を感じざるをえない」「120%あり得ない」「机上の空論だ」などと否定し ても、山井氏は全く聞く耳を持たず、「法律的に可能だったら、次の政権が『違法 じゃないから核兵器を運びます』と
言えば違法じゃないんですよ」とわめき続けた。

岡田克也代表も7日の記者会見で、山井氏らに同調し「核弾頭を自衛隊 が輸送することは論理的にはあり得る。机上の空論といって片付けてしまうのは間違 いだ」と首相の答弁を批判した。その上で「非核三原則があるからやらないというの は論理になっていない。法文上、明確にすることは必要だ」と述べ、将来の首相が 判断を変えないよう法制化による歯止めを求めた。

しかし、岡田氏の発言は矛盾している。岡田氏は外相時代の平成22年3 月17日、衆院外務委員会で、日本有事の際の米軍による核搭載艦船の一時寄港に関 し、将来の有事では核の持ち込みがありうるとの認識を示した。その上で「その時の政 権が判断すべきことであり、将来にわたって縛るわけにはいかない」と語っていた。

にもかかわらず、「将来の首相が徴兵制を復活させるかもしれない」「法律で禁止しないと将来、自衛隊が核を運ぶことになる」などとさんざん将来を縛る ようなを安倍政権にしつこく求めているのは、どこの党の議員か。見事なブーメ ランである。

非核三原則の嚆矢(こうし)は、安倍首相の祖父、岸信介氏の首相時代の国会答弁とされ、安倍首相を含め歴代首相が国是として踏襲してきた。国会決議も ある。だが、法律で明文化されているわけではない。

民主党議員の多くが有難がる日本国憲法も核保有や運搬の禁止は明記 していない。時の政権が信用できず、それほど大事ならば、非核三原則を憲法に明 記するために積極的に改正に取り組めばいいのに、恐らくやる気もない。レッテル貼 りばかりに固執し、不毛な議論に時間を費やすのは、もういい加減やめた方がいい。

産経ニュース【酒井充の野党ウオッチ】2015.8.19
                 (採録:松本市 久保田 康文)

◆東芝の不適切会計、わたしの目線

泉 ユキヲ



東芝の不適切会計は、歴代の社長3人がそろって職を辞するドラマが、巧みな目くらましとなった。民衆向けに意図した演出だったと思う。

城主の切腹は劇的だが、中堅社員の目線で見たい。メディアであまり語られていないポイントを指摘したい。


■「悪材料は出し切る」のが経営の常識だが ■

第三者委員会の報告書が出たとき、変だなと思ったことがある。不適切会計による利益上増しの最初の年とされる平成20年度は、東芝の史上最悪の赤字の年だった。

平成20年度に東芝の税引前損益は ▲2,793億円。第三者委員会の報告によれば、ホントの税引前損益は▲3,075億円であるべきだった。
 
282億円の水増しがあったと結論づけている。「業績があまりに悪くみっともなかったから、少しでも良く見せようとして水増ししたのだろうやったことは悪いが、いちおう、動機は理解できる」ですって? とんでもない!企業経営のイロハは?

 膿を出すときは一気に出し、翌年度からの好業績を確保するのが、正であだらだらと低空飛行するのではなく、どぼ〜んと沈むときには思い切り沈む。

業績が決定的・構造的に悪い年度には妙なやりくりで粉飾せず、むしろ損切りすべきものをどんと集めて、巨額赤字の年にする。市場に向けて「悪材料は全部出し切った」と宣言して、翌年から好業績路線に復帰する。
 
これが現代の企業経営の常識である。

■ 異常値を如実に示すPC事業の営業利益推移 ■

東芝のトップマネジメントは、そんな基本も知らなかったのだろうか天下の東芝だ。トップがそこまで愚鈍ではあるまい。

成20年度より以前から、事実上の粉飾決算に手を染めていたにちがいない。もともと大赤字の平成20年度が、まさか不適切会計の第1年ではあるまい。

……と考えたのだが、第三者委員会の調査報告書の末尾の「別紙3 PC事業月別売上高・営業利益推移(平成17年4月〜平成27年 3月)」を見ると、異常値が見受けられるのは平成20年第1四半期からである。

どうやら東芝のトップマネジメントは、ほんとに企業経営のイロハを知らなかったようだ。 どうなんでしょうね。

 調査報告書の要約版が、東芝のサイトで読める:
http://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20150720_1.pdf

 途中をすっ飛ばして、まずは最後のページを見てほしい。別紙3」がある。パソコン事業の月ごとの「売上高」と「営業利益」の折れ線グラフがある。


■ 新日本監査法人の監査のありかたも問うべきだ ■

「売上高」の青線に、特段の異常は見受けられない。平成18年(2006年)3月と平成22年(2010年)3月が、その年度で突出して売上高の大きい月になっていて、駆け込みで売りまくった営業努力の汗と涙が伝わってくるが、まぁこれは「商売はつらいよ」の世界だろう。(この数字まで粉飾だったら、救いがない。)

問題は「営業利益」の赤線。平成20年(2008年)から振幅が激しくなる。 平成24年(2012年)9月には、なんと、月の売上高より営利益が多いというトンデモナイことになり、その後も振幅はエスカレートする。

売上高と営業利益は、経理上の基本中の基本の数字だ。ここまで異常値が出ていて気がつかない新日本監査法人は、いったいどんな監査をしていた
のだろう。

「東芝トップとグルだった」と言われても仕方ないのではないか。なぜこれが分らなかったのか、きちんと申し開きをしてほしい。調査報告書要約版も、69〜70頁で新日本監査法人を擁護している。一読して、あまりに手ぬるいように思える。


■ 他人ごととは思えない ■

東芝のPC事業は平成20年度から「四半期の最後の月に利益を前倒し計上して(=コスト計を先送りして)四半期の利益を上積みする」不適切会計を始めた。

前倒し計上した分だけ、翌月の営業利益は沈む。沈んだままだと四半期の数字が悪くなるから、またまた次の四半期の最後の月に、もっと大きな額の利益を前倒しで計上する。

これを繰り返すので、営業利益の月次の額の振幅がどんどん大きくなった。

本社の経理も営業も、じつに多くの社員がこの不適切会計のことを知っていたはずだ。

「おかしい!」「こんなやり方は間違っている!」と異議を唱える社員は組織にとって危険人物だから、ていよく出世の道を断たれたに違いない。

見せしめになった社員もいたと思う。わたしが東芝にいたら、真っ先に異議を唱えて、会社人生の将来をつぶしただろう。

前途有為の少なからぬ社員が、つぶされたのではないか。気骨のある社員を会社の本流に戻す作業に、東芝は真剣に取り組んでもらいたい。


■ 再生を心から望む ■

結びとして、第三者委員会調査報告書の最後の部分を引用したい。≪東芝の多くの役職員にヒアリングを実施したが、おしなべて、真面目にかつ真摯(しんし)に業務に取り組んでいることが窺(うかが)われた。

そして、ヒアリングの中で、多くの役職員から反省の弁と併せて、不適切な会計処理が行われてきたことを憂うとともに、その再生を心から望む声も聞かれた。また、本委員会の設置した内部通報窓口にも、同様の声が寄せられた。

このような東芝の人財と様々な関係者の絶えざる東芝への期待と想いが、東芝のこれからの再生を後押しするものと本委員会は考える。≫


わたしも短い時間だったが東芝の人たちと仕事でお付き合いがあった。 東南アジア向けに輸出する火力発電プラントに、東芝の発電機が含まれていて、何度か東芝で会議をしたことがある。

頭の切れる、ユーモアをたやさないプロジェクトマネージャー。補佐する女性もきわめて有能だった。東芝には、いい印象をもっている。

 頑張れ、東芝!

◆故人を訪ね、思いを問う

清湖口 敏



テレビドラマを見ていて、時にハッとさせられるような台詞(せりふ)に出合うことがある。「法医学教室の事件ファイル」というシリーズもののドラマで名取裕子さん扮(ふん)する主人公の法医学者が口癖のように言う台詞は、なかでも忘れられない一つである。

 「(事件被害者の)遺体の声を聴く」−。

もの言わぬ遺体が何を訴えようとしているのか、心の耳を澄ませというのである。解剖に着手する前、主人公やその門下生らが遺体に向かって黙祷(もくとう)するシーンでは、こちらまで厳粛な気分に誘われる。広島、長崎の原爆忌も過ぎてきょうは、520人が犠牲となった日航機墜落事故から30年となる日である。15日には戦後70年の節目の「終戦の日」を迎える。月遅れの盆とも重なるこの時期を、多くの日本国民は「追悼」のうちに過ごすことになるのだろう。

ところで私はかつて、「終戦の日」をテーマとする新聞数紙の社説を読み比べて驚いたことがあった。政治的な主張には百万言を費やすものの(もちろんそれが必要な場合もあるが)、慰霊や追悼に触れないものがあまりにも多かったのである。戦没者追悼の日であるなら何より、「悼む」言葉が語られてしかるべきではなかろうか。

「いたむ(痛・悼)」は「甚(いた)・甚(いと)」と同根の語で、「痛は病苦、悼は死別の哀苦をいい、ともに甚だしく堪えがたい苦痛の感情をいう語である」と、白川静の「字訓」にある。

たしかに悼みには苦痛が伴おう。故人にまつわるさまざまのことが思い出され、それが悲しくつらいという人もいる。だが一方で、たとえ苦痛があっても、肉親として、また生者の一人として、悼み続けたいと願う人も少なくない。

愛(まな)娘を亡くした哲学者の西田幾多郎は「『国文学史講話』の序」(岩波文庫「思索と体験」所収)に、こうつづった。

「せめて我一生だけは思い出してやりたいというのが親の誠である」「折にふれ物に感じて思い出すのが、せめてもの慰藉(いしゃ)である、死者に対しての心づくしである。この悲は苦痛といえば誠に苦痛であろう、しかし親はこの苦痛の去ることを欲せぬのである」。まさに慟哭(どうこく)というほかない。

「悼む」とよく似た意味をもつ語に「弔う」がある。「とむらう」は、現代では専ら「弔う」として使われるだけだが、古語の「とぶらふ」(とむらふ)は「弔ふ」とも「訪ふ」とも書かれた。「弔ふ」は「訪ふ」から転じたと記す古語辞典もある。

「とぶらふ」の近縁語とされる「とふ」には、「問う(尋ねる)」や「訪う(訪れる)」のほか、「弔う」の意味もある。

「訪う→問う→弔う」の一連の筋立てが、まるで「弔う」の根源的な意義をそっくりなぞっているように思えてならない。

夢幻能は、ワキが夢や幻想を見たと考えられたことから付いた名称だが、夢でも幻想でもなく現実に死者を訪ねる方法があるとするなら、それは恐らく西田の言うように「思い出す」ことなのかもしれない。

戦争であれ航空機事故であれ、私たち生きている者はまず目を閉じ、繰り返し繰り返し亡くなった人たちのことを思い出し、故人が言い残したこと、いま訴えようとしていることに耳を澄まさなければならない。

追悼の思いが遠のけば、戦争や事故の記憶そのものが風化してしまうことをあらためて銘記したい今夏ではある。

これらのことに照らして考えれば、「弔う」とはもともと死者のもとを訪れ、そこで死者の思いを問い尋ねることによって霊を慰める行為だったのではないかという気が、全くの当て推量ながら、してくる。

世阿弥が完成させたという「夢幻能」が思い起こされる。能の代表的な様式で「現在能」と対比される夢幻能は、ごく大ざっぱに言えば次のような構成になっている。

旅の僧ら(ワキ)が名所旧跡を訪ね、そこで出会った人物に土地のいわれや縁(ゆかり)の者の消息を問う。実はこの人物こそ、この世のものではない霊や物の精(シテ)で、本体を現したシテはワキに身の上などを語り、舞い、そして成仏する−。

産経ニュース【国語逍遥(62】2015.8.12 11:40更新
            (採録:松本市 久保田 康文)

◆中共経済は「ツンダ」

平井 修一


先日、ロイターは「中共政府は経済をコントロールできないでいるのか」という記事を載せていたが、中共経済を欧米も「なんか変だ、どうしようというのか、どこへ向かっているのか」と疑問視し始めた。どうも信用できない国だと思う人が増えていると言っていいだろう。

中共のメッキがはがれ始め、デタラメさが表に出始めた。欧州のある調査会社は中共のGDP成長率は±1%あたりだと分析しているそうだが、小生もそんなものだと思う。

天津大爆発は「世界第2位の経済大国」のオソマツさを欧米に思い知らせたに違いない。

加藤出・東短リサーチ代表取締役社長の論考「株式投資への過度な扇動はなぜ 中国経済に漂う“気持ち悪さ”」(ダイヤモンドオンライン8/18)から。

<スイス腕時計協会によると、6月のスイスからの国別輸出額は、中国(本土+香港)向けが世界一だった。しかし、前年比はマイナス18%の大幅減少を示した。一方で、英国は34%、イタリアは25%、フランスは24%の大きな伸びを記録した。スイス製時計への中国人の需要が急落して、欧州人の需要が高まったかのように見える。

しかし、業界関係者によると一概にそうとも言い切れず、中国人観光客が海外で購入するケースが増えているのだという。それに対応して、スイスの時計メーカーは欧州の店舗で中国語が話せる店員を増員中だ。このため、スイス時計業界は上海株価指数の6月以降の急落が、中国人の消費マインドを悪化させないか気をもんでいる。

中国人の今後の消費動向を心配しているのは日本も同様といえる。しかしながら、今のところ東京や大阪では、相変わらず中国人観光客は「爆買い」を続けている。

7月最終週に大阪の道頓堀近辺を歩いたが、中国人を中心とする観光客でごった返していた。団体客がドラッグストアに入っていくのが見えたので、付いていってみた。彼らは胃腸薬、頭痛薬、目薬、ビタミン剤、化粧品などあらゆる商品を大量に購入していく。

スマートフォンの画面を見ながら、ブログで推奨されている商品をチェックしつつ選んでいる人が多かった。スカイプなどのテレビ電話で商品をカメラに写し、自国にいる家族に「これでいい?」と聞きながらカゴに入れる人もいた。買い物を終えた人は、大量の購入品を入れた大きなビニール袋を持って店から出てくる。

心斎橋近くのビジネスホテルに宿泊したのだが、翌朝食堂に行くと日本人のビジネスパーソンは1割程度しかおらず、大半の宿泊客が中国語を話していた。寝ぼけていたせいもあり、「あれ、今日は中国出張だっけ?」と一瞬混乱するほどの中国人の多さだった。

では、中国本土の消費者の様子はどうなっているのだろうか。北京や上海にいる知人のエコノミストに尋ねてみたが、意外に悲愴感が漂う話はあまり聞こえてこない。株で損失を発生させた人は多いが、あっけらかんとしている人が今は多いという。なぜなのだろうか。

話を総合してみると、第一に、中国の家計資産に占める株式の比率は先進国に比べるともともとかなり小さい。保有資産の大部分が吹き飛んでしまったという人は全体で見ればそう多くはない。

第二に、中国政府が株価支持策をやっているので、いずれは株価が上がるはずと楽観的に考えている人がまだ結構いる。

第三に、賃金は伸びているため、今は日常の消費まで節約する人は限られている。

ただし、今年春に「人民日報」など国営メディアが株価押し上げのための記事を盛んに掲載していたのは何だったのかと考えると、不可解な気持ち悪さは残る。

日本のアベノミクスの株価押し上げ効果がうらやましく見えた可能性はある。しかし、中国当局は「新常態」(経済成長率7%前後を目標とする中国経済の新局面)への移行を慎重に進めてきた。シャドーバンキング(金融当局の規制を受ける銀行以外による金融取引)の問題も緻密に管理し、地方債務問題の軟着陸も進めていた。

それにもかかわらず、当局はなぜ株式投資を過度に煽ってしまったのか。水面下で深刻な景気悪化が進行していたのか。あるいは、経済とは別の政治的動機があったのか。その見極めがつくまでは注意して見ていく必要があるだろう>(以上)

「中国情勢は不可解なり」か。素人ながら管見を述べれば「軟着陸を進めてきた」というのは多分事実とは違う。地方政府や企業の破綻を「糊塗、隠蔽して、破綻していないことにした」のではないか。

事実上倒産した企業をまだ事業を継続していることにする、債務は返済を猶予されたことにする、などなど、書類上は生きているようにすることは簡単だ。

実際はゴーストタウンの化け物屋敷なのに資産価値があることにするとか、損失を表に出さない。実情はそんなものだろう。実情を表に出したら幹部は皆、懲戒免職、刑務所行きになってしまう。

つまり、すべてデタラメだということ。デタラメの上にデタラメを重ねて、もうこれ以上重ねることができなくなって積木崩し寸前。実体が不明なのだから手の打ちようがない。実際、中共中央や地方政府は手元に現預金がいくらあるのかさえ分からないだろう。支那全土が大爆発寸前だ。

とにかくキャッシュというガソリンがない。しかし、人民元をどんどん刷ればインフレになり、通貨安になる。それで輸出は増えるかもしれないが、もはや安ければ売れるという時代ではない。一方で輸入品は高騰するから肝心要の個人消費はむしろ減るだろう。

出口なし。焼が回った。将棋でいう「ツンダ」状態だ。万歳して連邦制にしてIMF管理でやり直すんだな。さよなら中共、習近平。(2015/8/19)