2015年08月20日

◆歴代首相談話を断ち切った安倍

池田 元彦


結論を先に言えば、安倍談話は大成功だった。発表前からマスコミ報道が右顧左眄し、保守派と反日派は、都度一喜一憂の一週間が過ぎた。そもそも何故安倍首相が談話をするのか。過去の日本貶め、出鱈目談話を打ち消す為だ。私は当初よりこのような内容になる事を確信していた。

バンドン60周年会議で試し打ちが成功し、米国議会では謝罪抜きに拘らず大好評を博し、有識者会議にアリバイを作らせ、遂に真正保守の首相として過去の反日虚偽談話の全否定に至ったのだ。但し、反日日本人が安保法制も含め発狂しているので、表現をかなり慎重に選んだだけだ。

勿論、オバマ民主党による過去の首相談話継承や、中韓を刺激するなとの足枷があり、思いの丈を正々堂々とは書けない。が、安倍首相は「侵略、植民地支配、反省、謝罪」を唱える反日マスコミと媚中反日日本人が陰湿に掲げる用語は全部取り入れ、強硬な感情的非難の種を消した。

事実、欧米、アジアは概ね高い評価をし、中韓は不満気味だが、強硬に非難出来ていない。文章が長く趣旨が判らないとTV解説者等が判った振りして批判するが、自らの日本語読解力の低さを白状しているに過ぎない。保守派にも不満な御仁が居られるが、談話全文を十分吟味頂きたい。

数回読み返せば、安倍首相の苦心惨憺が良く判る。欧米の植民地支配、世界恐慌、経済ブロック化等が日本を孤立させ、結果として力の行使、侵略をしたのだと、歴史認識を明確に示している。そもそも植民地支配、侵略は欧米が先鞭を切ったことを明記している。こんな談話は歴代初めてだ。

「先の大戦の行いについて、繰り返し痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明して来た」のは歴代首相だ。「何ら関わりのない私達の子孫、その先の世代、未来の子供達が謝り続けなければいけないような状況、そうした宿命を背負わせてはならない。」と安倍首相は反論・断定している。

即ち、過去の首相談話の継続的お詫びを、今後一切止めることを宣言したのだ。ヴァイゼッカーの謝罪と補償はユダヤ人虐殺に対してであり、戦争謝罪・補償は一切していない。安倍首相発言はヴァイゼッカーと同じ発言かと質し世間の誤解を糾した、阿比留産経記者の質問は秀逸だった。

日露戦争はアジア・アフリカ植民地の人々を勇気付けたとし、諸外国にも配慮しつつも日本軍人の散華への哀悼、特に極寒(シベリア)、灼熱(南アジア等)での飢え、病、苦しみは、ソ連抑留や尾崎秀実等のソ連スパイに誑かされた南方作戦を指している。原爆に加え空襲も白日に晒した。

要は、欧米や反日日本人の左巻きの付け入る隙を与えず、過去誰も言えなかったことを談話に取り入れたのだ。欧米は全体として4つのキーワードが含まれている為、評価せざるを得ない。更に、今回の談話で、過去の自虐的首相談話を一掃し、もう謝罪はしないことを公に宣言確定したのだ。 確かに、大東亜戦争が侵略に位置づけられたことで、多くの保守派からは不満が噴出している。しかし「侵略の定義」は未だ国際的に定まっていない。今後幾らでも修正発言は可能だ。

一気に正しいと思うことを言っても、反発され、騒がれたら元も子もない。ここは我慢の為所ではないか。

談話など元々不要だったとの声もあるが、安倍首相は何の為に談話をしたか。歴代首相の日本貶めを是正する為で、安陪談話は必須だった、そして所期の目的を果たした。

証拠に反日マスゴミの批判に勢いがない。「如何なる紛争も、法の支配を尊重し、力の行使ではなく、平和的・外交的に解決すべきである」とは日本の決意だが、中共への牽制も当然籠めている。素晴らしい談話だ。

◆10倍楽しくしてくれたトランプ

宮崎 正弘 


<平成27年(2016)8月19日(水曜日)弐 通算第4632号 > 

 
〜米大統領選を10倍楽しくしてくれたドナルド・トランプ
  「漁夫の利」を得たのはヒラリーではなく、ウォーカー知事だろう〜


放言、罵倒、暴言を繰り出しながら庶民の圧倒的な支持を掴んだのは、実業家のドナルド・トランプである。

不動産王として知られるが、最初、NYの目抜き通り五番街に聳えるトランプ・タワーで大当たり、マッハッタンに豪華マンションを次々と建て、全米ばかりか、世界中にトランプと名を冠する複合ビルを建てた。

不動産ブームにのって馬鹿あたりしたが、カジノで大やけどし、4回も倒産した経験もある。

しかし彼は不屈の精神で、その都度不倒翁のように立ち直り、いまや自家用飛行機を駆って全米を所狭しと駆け回り、共和党をかき乱し、マスコミの寵児となり、そして共和党支持者の多くから顰蹙もかった。

予備選は来年1月からである。

現時点は予備選の前哨戦であり、ドナルド・トランプが予備選本番まで息切れせずに残るかどうかは不明である。

なにしろ長距離ランナーは、トップを走る選手の背中にぴったりつけ、ゴール寸前に飛び出すのが最も有力な優勝への道だ。彼の執っている戦術は、本気で本番に臨もうと考えているやり方ではない。

ドナルド・トランプが庶民の支持を集めるのは、歯に衣を着せぬ直言ぶりで、とりわけ移民問題、そして対中国への強硬姿勢である。

コメディアンのごとくに暴言を繰り出すと、本音でモノを言えない、政治的配慮をしがちなほかの候補とはことなってマスには大受けする。

前哨戦レースを10倍楽しいものとした功績は大きいのではないか。

 
 ▲トランプの熱演と攪乱で漁夫の利を得たのは誰?

さて筆者はドナルド・トランプ氏と2回インタビューしたことがある。いずれも1990年後半で、彼が来日した折の記者会見と宴会の席だった。筆者は氏に「大統領選挙に打って出る気はあるか?」と率直な質問をした。回答は「ビジネスの方が面白いから、当面、そんなことは考えていない」云々。

氏主催の宴会に招かれたところ、先頭切っての入場は有名タレントで、それから屈強な黒人のボディガードに囲まれて、本人がパンパカパーンとホテルの会場に入ってきた。

演出を凝らしているのである。また当時は離婚したばかりで、その重圧から逃れるために日本に新しいビジネスをみつけにきたとも言われた。

彼は本来、パフォーマンスに恵まれているらしく、その自叙伝的著作を読むと自慢話ばかり、さも一代で不動産王国を築いたような書き方をしている。しかしドナルドの父親は地道な不動産業を営んで、ささやかに成功し、息子への道を開いたのだ。

筆者の知り合いの住むジャマイカ・エステート(NYのJFK空港に近い高級住宅地)に父親トランプ氏の目立たない邸宅があった。

さてドナルド・トランプのことはどうでもいい。いずれ本格レースからは消えるだろうから。

トランプ現象によってヒラリーが漁夫の利を得たかと思いきや、彼女はメールスキャンダルに揺れ、共和党の本命ブッシュは、トランプが攪乱したことによって失速気味となった。

ならば「漁夫の利」を得たのはスコット・ウォーカー(ウィスコン州知事)というのがアメリカ通に共通する見方のようだ。

ウォーカーは世論調査でつねに第2位にあり、対中国強硬論者、防衛力推進派の保守主義の政治家である。知日派でもあり、日本としては誰よりもウォーカーが当選すると良いと考えている人も多い。

◆謝罪にけじめをつけた安倍談話

田久保 忠衛



 ≪侵略戦争と断罪する不自然さ≫

考案者は孫子を愛したトウ小平だったか。長年にわたって、最も安上がりで効果的な魔術にかけられた日本にもようやく覚醒の機会が訪れた。「歴史認識」、と一言、北京が示唆しただけで日本の世論はばらばらになり、政府は審議会をつくって日本の侵略はいつから行われたかなど、今頃になって短時間で怪しげな検討を始める。

ニュースの報道者は居丈高になって「お詫(わ)び」などのキーワードが入っているかと政府に迫る。迫られた方は知恵者が寄って各方面をなるべく刺激しないような語法をひねり出す。お笑いではないか。どこの国も要求しないのに10年ごとに首相談話を出し、旧連合国に詫び状を提出する義務が日本にあるわけがない。自縄自縛に陥ってしまっているのだ。

謝罪御免!と安倍晋三首相は啖呵(たんか)を切ってくれた。戦後70年談話の核心は「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」で、けじめはついたと思う。国が明確な非を詫びるのは当然だが、一時期騒がれた「土下座外交」は勘弁してほしい。

日本が卑屈になっていた根本には、東京裁判による満州事変以降の侵略戦争史観がある。首相の「戦後70年談話」の内容を検討した有識者懇談会「21世紀構想懇談会」の報告書で気になるのは、「日本は、満州事変以後、大陸への侵略を拡大し」云々(うんぬん)の「向こう側」に立った表現である。

歴史観は統一できないので「こちら側」の解釈があって然(しか)るべきだ。歴史には複雑な要素が絡み合って因果関係が形成されていくのであって、満州事変の少し前に定規を当て剃刀(かみそり)で切り取って1945年までの15年間を日本の侵略戦争と決めて断罪する不自然さに、学問的な疑問を感じないのか。

この間の事情を実態的に調べ上げたリットン報告書以上の詳細な調査結果はない。日本陸軍の暴走を正当化する理由は全く存在しないが、満州問題の複雑性は一言で片付けるにはあまりにも重い。

 ≪「こちら側」の立場を貫く≫

東京裁判の弁護副団長だった清瀬一郎氏は冒頭陳述第2部の最初に「本紛争に包含せられる諸問題は、往往称されるごとき簡単なものにあらざること明白なるべし。問題は極度に複雑なり。いっさいの事実およびその史的背景に関する徹底せる知識ある者のみ、事態に関する確定的意見を表示し得る者ありというべきなり」とのリットン報告書の表現を引用した。

安倍首相は有識者会議の報告書を尊重すると述べながら、満州事変に関しては「こちら側」の立場を貫いた。「事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない」は国際連盟規約、不戦条約(ケロッグ・ブリアン条約)、国連憲章、日本国憲法第9条第1項に貫かれている一貫した原則だ。

「向こう側」の論理と日本の歴史学界を覆っていたマルクス主義史観の合作は歴史教科書だった。この是正を求めて発足した「新しい歴史教科書をつくる会」が直面したのは、中学校の歴史教科書全てに「侵略」の二文字が躍っている異常な事態だった。しかし、いま「侵略」を変えていないのは、中学歴史教科書8社中3社にすぎない。安倍談話はこのキーワードなるものを取り入れたが、違う文脈で使用した。賢明だと思う。

 ≪戦後日本の不戦条約の精神≫

安倍談話は「植民地支配から永遠に訣別(けつべつ)し、すべての民族の自決の権利が尊重される世界にしなければならない」と当然の常識を述べたが、チベット、ウイグルなど事実上の植民地を持っている国はどう反応するか。「痛切な反省」が入っているかどうかは「我が国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明してきました」を読めば一目瞭然だ。時制は現在完了だ。

今回の談話に限らず、政府関係の文書に「先の大戦」との曖昧な言葉が無神経に使われているのに辟易(へきえき)している。戦争は日中、日米、日ソのそれぞれ性格の異なる戦いから成っている。日中、日米については触れている紙幅がないが、当時の日ソ関係の凄惨(せいさん)さに目を背けるわけにはいかない。

戦いの仲介を愚かにもソ連に依頼し、日本の意図を確認したあと日ソ中立条約が1年残っていたのにも拘(かか)わらず、旧満州、樺太、千島列島にソ連の大軍が侵入した。その結果生じた悲劇は、北方四島の強制編入、60万人の関連軍の強制抑留、在満邦人150万人のうちの老幼婦女 子が被った凄(すさ)まじい被害など涙なしでは語れない。談話は被害者 日本に触れていない。

戦後の日本が貫いてきたのは不戦条約の精神尊重の一点だと思う。これを犯している国々から歴史戦を挑まれてきたのに対し、穏やかに応じたのが安倍談話だと私は理解している。

(たくぼ ただえ ・ 杏林大学名誉教授)
産経ニュース【正論】2015.8.19

◆見えてきた日本共産党のネットワーク

MoMotarou



成功には2種類ある。出だしの成功と、最終的な成功である。一番すんなりいきそうな道を選んで問題を解決することが、楽そうに見えるものだ。だが、この安易な道が、結果的にはもっとも厳しくもっとも苛酷な道になるのだ。(チャーチル 英首相)

        ★

今年も無事に8月15日が過ぎた。安倍談話が発表された。本日は倫理団体で多くの女性の前で解説をしてきました。

■2つの「平和」

「新聞の1面には首相が『謝罪・お詫び』をしたと大きな字で書いてありますが、興味のある方は3、4面の本文を読んで下さい。『謝罪とお詫び』の"感じ"は無く、中韓は"ぐうの音"も出ませんよ」と。

帰り道熱心な婦人が寄ってきて、「私は安倍さんを応援しています」と言われました。この種の団体は往々にして「平和」の文字に弱いので、反日サヨクの牙城となり易い。「平和」にも民主主義のと共産主義との"二種類"がある事をお知らせしました。


■日本共産党の台頭

わが放送局は今回の騒ぎに、早くから日本共産党の「関与・指揮」を指摘しておりました。この構造は今に始まったことではありません。戦後、米国が占領しにきた時、牢獄の共産党員や朝鮮人を釈放しました。

その一部は東京府中の刑務所に行き朝鮮人らを出獄させました。その時共産党員がトラックの上で叫んだことは「皇后を強姦せよ」でした。朝鮮系には常に性的暴力が付きまとう。今も同じ。

■共産党と朝鮮人を使った米国

被占領期、米国は日本共産党の味方。日本共産党と朝鮮人を日本人支配の手先として使いました。しかし、これが間違いであったことは直ぐに明らかになりました。所謂「第三国人」問題です。我が国が、被占領期に於ける第三国人に対する損害賠償訴訟を起こせば、天文学的額になり在日社会は吹っ飛ぶでしょう。これも一つの手段であります。

■「ヘイトスピーチ」が取り持つ日本共産党と在日

ともかく日本共産党と在日朝鮮韓国社会は、被占領期に共闘した歴史があります。今回の騒ぎで再びその「親和性」が明らかになりました。デモ参加者の素性も注意が必要です。日本共産党の勢力範囲がわかります。NHKは高給ではありますが、その支配下にあったと見るべきでしょう。恐ろしいですね。

臨時ニュース;英国が日本有利になるリークを度々流しているようです。AIIBに飛び込んだ失敗を誤魔化すためだろう。対中国政策の変化を示している。アベちゃんが世界を動かしている。


2015年08月19日

◆私の「身辺雑記」(251)

平井 修一



■8月16日(日)、朝は室温29.5度、快晴、風が秋めいてきたが日射しは強いまま。ハーフ散歩。

8月は 原爆お盆 終戦日 靖国参拝 暴支膺懲(修一)

カミサンが不快そうに言う。

「産経って朝日が配っているの?」
「ああ、この地域では昔から」

「なぜそんなことになっているの?」
「商売だから。産経は部数が少ないところでは専売店が成り立たないから、他社の販売店に配達を委託する。朝日は系列の販売店が食っていけるように競合紙だろうが受託する」

「それって変じゃない!ライバルなのに。もう何を信じていいのか・・・産経は正しい、朝日は嘘つきだと思っていたのに。もう死にたくなる」「まあまあ。新聞も商売なんだよ。それぞれが読者を持っているから、読者の喜ぶ記事を書く。いいか悪いかではなく、国家は国益最優先、商売も会社の利益最優先。利益になるのなら敵から塩を買う、敵に塩を売る。そういうものさ」

カミサンはまるで純真無垢の18歳の乙女のようだ。山本夏彦翁曰く「女は死ぬまで18歳」。まことに然り。

ところでドイツはEUの雄だが、「あまりにも杓子定規だ」「弱者に厳しすぎる」と嫌う国が多いようだ。日本ではこのところ「日本はドイツの技術に敬意を表しているが、片思いに過ぎない」とか「反日ドイツの野望に気をつけろ」といった言論が増えている。

小生はドイツについては、緑の党が主導する脱原発の動きを見ながら「思い込みが激しく、付和雷同で一方向に猪突“妄信”しやすい国柄ではないか」と思うようになったが、実際はどうなのだろう。

熊谷徹著「びっくり先進国ドイツ」(新潮社)の広告から。

<*せっかちで文句屋

日本人、特に年配の人の中には、「日本人とドイツ人の性格には似ているところがある」と信じている人が少なくない。またドイツ人の中にも、「日本人はアジアのプロイセン人だ」と思い込んでいる人がいる。ほんとうにそうだろうか。

私は一九九〇年にドイツに住み始めたのだが、ドイツ人と働いたり、ドイツ人を欧州の他の国民と比べたりすることによって、日本では知らなかった国民性に気づき始めた。住まなければわからない、ドイツ人の性格のいくつかをご紹介しよう。

ヨーロッパで色々な国を訪れたが、ドイツ人ほどせっかちで、待たされることが嫌いな国民はいない。

ある時私は、イタリアのナポリの博物館で入場券を買おうとした。そこでは、北ヨーロッパでは見られない、イタリア的な無秩序さがあたりを支配していた。

人々は列を作って並ばずに、三方向から窓口に押し寄せてくる。まるで早朝の満員電車のようだ。この不愉快な押し合いへし合いの中で、英国人や、イタリア人、フランス人らは、我慢強く自分の番が来るのを待っている。

ところがドイツ人だけは、ひじでゴリゴリ周りの人を押しのけて、切符売り場に少しでも早く近づこうとするのだ。色々な国の観光客がいる場所だけに、自分だけが良ければ他人はどうなっても良いという、ドイツ人の強引さを象徴するような光景だった。

駅、パン屋、映画館で順番を待っている時でも、ドイツ人はすぐに割り込んでくる。郵便局で長蛇の列ができている時にも、「私は手紙を出すのではなく、ちょっと質問をするだけですから」と言い訳して、列の一番後ろに並ばずに、すばやく横から窓口に顔を突っ込んで質問をする人がいる。

理屈はその通りなのだが、図々しいことには変わりない。日本に比べれば、他人の気持ちを思いやったり、譲り合ったりする精神はゼロである。スーパーのレジなどでお金を出すのが少しでも遅れると、背後で待っている客たちの間から、舌打ちやためいきの音が聞こえてくる。

また、せっかちな性格は、文句の多さとなって表面に出てくる。日本では不平や不満を口に出すのは、弱さのしるしと見られるが、ドイツでは悪いこととは見られない。

むしろ、職場などでは不満を上司にきちんと伝えないと、待遇などが改善されない。日本では不平を言わずに、つらさに耐えて黙々と仕事をするのが美徳とされるが、この国では文句を言わないのは、状況に満足している証拠とみなされる。

たとえば市電などが少しでも遅れると、「本当にイライラするなあ。待たされるのはたまらない」と口に出して文句を言う。店先や電車の中でも、聞いている方が恥ずかしくなるような、悪態や呪いの言葉、不平・不満を耳にすることが多い。

あなたがドイツに住み始めて、自分が何かにつけて文句を言っているのに気づいたら、ドイツ人に近づいた証拠である。

さて彼らのせっかちな性格は、几帳面で、効率を追い求める精神の裏返しである。ドイツ人は、仕事に優先順位をつけて、効率的に仕事を片付けるのを好むが、速く目標を達成して、自由時間を楽しむことを誰もが強く望んでいるために、時間をむだにすることが耐えられないのだ。

仕事の面では、この几帳面さがプラスになることもある。ドイツ人の中には、手紙や電子メールによる問い合わせには、必ず、しかも敏速に答える人が多い。

日本や米国に比べると、返事が戻ってくる確率ははるかに高く、「仕事上の手紙にはきちんと答える」ということが、ドイツ人にとって強迫観念になっているようにすら思われる。

たとえば、私のようなフリー・ジャーナリストが、ドイツ政府の財務省や国防省に、取材のための問い合わせを手紙で送っても、ほとんど例外なく返事が来るのはありがたい。

ある時、(手抜き演奏をした)劇場の支配人に対し、そのことを指摘する手紙を送った。すると支配人から「建設的なご意見をありがとうございました。事実関係を調査しています」という手紙が送られてきた。

日本では官庁などに手紙を出してもなしのつぶてということが多いが、こういう手紙をもらえば、怒りも少しは鎮まるというものだ。

そのかわり、ドイツ人から問い合わせの手紙をもらったら、こちらもすばやく返事を出さなくてはならない。せっかちで文句屋の彼らは、返事が来ないと、侮辱されたと感じるので、人間関係にひびが入りかねないからだ>(以上)

強引、図々しい、謙虚さゼロ、せっかち、文句屋、几帳面、効率重視・・・これでは南欧系のユルイ国とは仲良しにはなれない気がする。「几帳面、効率重視」は日本人と重なるが、基本的に「仕事はできるがいやな奴」みたいだ。

アメリカは「仕事はできるが恐ろしい奴」、中共は「仕事はできないくせに傲慢無礼な奴」、韓国は「仕事はまあまあだが統失的な奴」、日本は「仕事はできるが無口で陰険な奴」か。

国益、社益のためには「いやな奴」とも付き合わなくてはならない。習やクネとも握手をしなければいけないから安倍氏も苦労が多い。しわが増えた。

半田手延素麺(旨い!)とかき揚げの夕食後、4人で送り火。

■8月17日(月)、朝は室温29度、大雨、散歩不可。

天津大爆発の空撮映像を見ると、まるで大空襲の跡のようだ。北京〜天津間は120キロ。東京〜沼津、東京〜宇都宮の感じだ。まあ、首都のお膝元と言えなくもないし、日帰り出張圏だ。それだけに北京の衝撃は大きかったろう。

<国営の中国中央テレビは16日午後、李克強首相が現地入りしたと伝えた。事故処理の陣頭指揮を取るためで、現場を視察したほか、避難住民らを慰問したという。原因の究明が進まず、有毒物質の拡散への懸念も強まる中、市民の不満を和らげる狙いもあるものとみられる。

ただ事故発生から4日目の現地入りにインターネット上では、「北京から天津はそんなに遠いのか」などと批判の声があがっていて、不満を収めることができるかは不透明>(NNN8/17)

この間チャイナセブンはおろおろしていたのだろう。「報道規制をどうするか」「この災難をいかにして中共支持に転じるか、客船転覆路線でいこう」とかも検討したろう。

天災の国から見ると中共は人災の国だ。オカラ工事から毒ミルク、時代物の冷凍肉・・・一事が万事、杜撰(ずさん)としか言いようがない。

ブログ「勝又壽良の経済時評」2011/9/8から。勝又氏は経済記者を30年、大学教授を16年勤めた方。

<*中国、次の大事故は建築技術が未熟な「超高層ビル」で起こるのか

中国をつねに観察して気づくのは、地道に技術開発を積み重ねることを後回しにして、「外聞」「見栄」がすべてで先行することである。その意味では「GDP世界2位」は中国にとって、またとない「宣伝」手段である。彼らの「外聞」「見栄」をこれほど満たしてくれるものはないのだ。

7月に発生した高速鉄道列車事故は、営業運転開始前に十分行なうべき試験運転を怠ったほかに、高速鉄度の技術自体が未熟であったことに起因している。それを全く自覚していない独善ぶりが、早くも次の大災害を招くという暗い予測を招いている。

『半月談』誌は、こう警告している(サーチナ8/28転電)。

「中国の超高層ビルが土地利用面積を節約できるとともに、人々が高いビルに優越感を感じるなどの理由で年々増加している。超高層ビルは重大な危険性をも含んでいる。

専門家は超高層ビルの安全維持は相当な難度であり、政府や市民はこれを認識し各種の対策を直ちに行うべきだと訴えている」(以下略)

こうした地味な技術的な指摘は、今の中国人にどこまで聞き入れられるか疑問である。すべての行動では、「外聞」「見栄」という「面子」=「自己顕示欲」が先行しているからだ。

要するに、中国では「人命軽視」(人権意識の未確立)ゆえに、安全性への配慮が足りないのである。「人命は地球より重い」という普遍的価値からは、かけ離れた社会である。

仮に、中国で「人命重視」=「安全性優先」という共通認識が働いていれば、高速鉄道事故も起こらなかったし、今回危惧されるような「超高層ビル」や「高層ビル」での予想される事故も、事前に改善の手が打たれてしかるべきである。

中国で科学技術への関心が薄い理由を、私はこれまで何回も取り上げてきた。それは、儒家(孔子、孟子など)や法家(韓非子など)の思想家が、墨子(春秋戦国時代の思想家)の論理学を徹底的に排除してきた精神文化の影響が根底にあるのだ。

これはイギリスの科学史家のJ・ニーダムが大著『中国の科学と文明』で明らかにしている。中国の精神文化から「論理学」(帰納法や演繹法)を抹殺した影響は極めて大きい。

中国人の技術観を「実用的」に向かわせ、論理学の素養を完全に奪ってしまった結果、16世紀以降に「科学技術」の発達を阻害したのである。この点をいまだ多くの人が理解できず、「中国の世界一論」を潜在的に信じるという「錯覚」をもたらしている。

「GDP2位」になって、中国が得意絶頂にあることは紛れもない事実だ。そういえば8月末、中国から400人規模の訪日団が来た。その折こう言っているのだ。「かつてGDP2位の日本の実情を調べたい」。

「かつてGDP2位」という言葉の裏に、中国人の驕り高ぶった「得意満面」さを知るのである。中国人は「謙虚」さが微塵もない国民であることを、問わず語りしているのだ。

こんな民族にODAを継続したり、「虎の子」の環境技術を「技術漏洩」防止の保証もなく、提供することが正しい選択であろうか。私は頭をひねらざるをえないのである。こうした言い方は、感情的すぎるとの批判を覚悟して、一度は言っておく必要があると思う>(以上)

実にいい論考だ。支那人は現実/事実を観察して対応するのではなく、初めに「こうあるべきだ」というイデオロギー先行である。すなわち、

「共産党は全知全能であり、すべて正しい。それを否定したり、疑問を呈する言論・事象は抹殺される。人民は共産党の指導に従うべし」

人民は思考停止の愚民、見ざる言わざる聞かざるの猿ばかり。これでは学問、技術の革新はあり得ない。役に立ちそうな技術は「開発するなんて時間の無駄。パクレばいいじゃん」。危険を認識していても「余計なことをいえば“不安を煽った”などと収監され、ろくなことになりかねない」。
(毒ミルクの内部告発者は殺されたという)

鉄道事故を起こして高架から落ちた列車を「不都合だから」と埋めてしまおうという国柄だ。隠せば事件・事故はなかったことになるのだ。現実/事実なんてどうでもいいのである。

天津大爆発は隠しようもない規模だが、報道統制で「中共指導者と軍、消防隊は一所懸命にやっている」と演出している。原因や経緯はあかされないが、そのうち漏れ伝わってくるのだろう。事故調なんてないから大事故でも教訓にはされない。だから繰り返される。近いうちにさらなる大事故が起きるだろう。

改革開放から35年、あらゆるインフラの劣化が進んでいる。道路、橋梁、ガス管・・・ま、訪中する旅行者は命懸けで行くんだな。

横浜中華街の料理の具材の多くは中共産だろう。小生は青森産のニンニクを使っているが、価格は中共産の5〜10倍もするから中華街では中共産を使っているはずだ。

今どき「中華害」で食事をするなんて信じられないが、アカの“不安商法”にコロッとイカレテ「徴兵怖い」と震える小4坊主、中2坊主と同様に、中華毒菜なんて気にしないパープリンもいっぱいいるのだろう。ま、命懸けで食うんだな。

■8月18日(火)、朝は室温28度、晴、秋めいた風で涼しい、ハーフ散歩。コオロギの声。

最近見聞、思考、体験したこと。

・父は1983年に亡くなったが、新盆の際に奄美から回転灯籠を4基取り寄せた。つまり32年間、なんとか直しながら使っているのだが、それを収納する段ボールの箱はいよいよボロボロになった。軽さ(安さ)を重視したために寿命が短くなったのだろう。

利便性を優先して安全性が後回しになったり。かくして人災は起きる。

・散歩道で甥っ子の嫁さんと挨拶した。嫁さんは4男1女を産んだ。うち男児3人が用水路で網を持って遊んでいる。「ザリガニ?」と聞けば「ううん、今日は泥鰌」。泥鰌がいるとは初耳だ。

大雨に備えて多摩川の取水口を絞っているから水深は10センチほど。鯉の稚魚は7センチほどになってチョロチョロしている。カラスが4羽、水の中に立ってこれを捕まえている。カラスの知能は鳥類の中で上位だろう。なぜ愛されないのか、興味を覚える。

・今どき5人産む女性は希少価値だ。大金持ちだからできることだが、嫁さんは大分オーラが減ってきた印象だ。父は12人きょうだいだが、2年に一度出産しても24年かかる。20歳で第一子なら末っ子は44歳の時の子だ。母体への負担は大きかったのだろう、60歳ほどで亡くなった。

・雨が降ると大慌てで窓を閉めるが、2階が9か所、3階が4か所、計13か所。雨が止んで青空が見えると「もう大丈夫だろう」と窓を開ける。ところがしばらくすると一転、にわかに雲におおわれ驟雨沛然。大慌てで窓を閉める。

昨日はこれを3、4回繰り返させられた。夏子に翻弄された感じ。さすがに飽きてクーラーを入れた。

猛暑と豪雨の真夏の東京五輪、パクリのデザイン会社、枡添・・・かなり興ざめだ。

・お盆が終わると海が荒れてくるから海水浴もお仕舞だろう。まあ夏のピークは越えたか。犬は今夏は1回も熱中症にならなかった。このまま上手くいけば来年春までは命を長らえるだろうが、足腰が弱っているから心配だ。

・土鍋から水が染み出たので、お粥を焚いてひびを埋めた。こういう老人というか先祖伝来の生活の知恵は忘れられていくのだろう。そもそも今の独身者は料理をほとんどしないのではないか。家で土鍋なんて使ったことがないだろう。

天ぷらを揚げることはないし、精々ご飯を炊いて野菜炒めを作るくらいか。庖丁を研いだこともないだろうし、そもそも砥石がないだろう。

小生は家業が乾物屋だったので、夕食は小3の頃から担当した。最初はご飯炊きを「させられた」が、次第に味噌汁やおかずを作るようになった。店は繁盛して姉二人も手伝っていたから、小生が夕食を作るしかない。やっているうちに工夫もし、要領も良くなっていった。

大学の時は古びた一軒家を友人とシェアしていたが、その時も料理をしていた。友人は大学教授の家の生まれで料理はからっきしダメ、最初は賄い付きの下宿だったが、一軒家に移ってからは専ら外食か買い食い。これで体を悪くして結核になった。

料理がそこそこできることは自存自衛の基本だ。

・大紀元8/18「天津爆発の黒幕? 習主席が江沢民を軟禁か」から。

<天津市浜海新区で起きた一連の爆発事故で、地元当局は16日、死者数112人、行方不明者は95人に上ったと発表した。

事故原因は不明のままで様々な推測が広がるなか、大紀元中国語版は15日、北京指導部に近い情報筋の話として、天津の爆発が原因で、習近平・国家主席は早手回しに江沢民・元国家主席及び息子の江綿恒氏を軟禁したと報じた。

報道によると、今回の爆発は、江沢民派が習政権との権力闘争の敗北に追われて仕出かした致命的な猛攻撃だったという。

爆発の報告を受けた習主席は、二日連続で徹夜して対抗措置を講じた。その結果、一時的に江沢民と息子の身柄を押さえ、同時に、江沢民グループの中心人物、曾慶紅・元国家副主席を自宅に軟禁した。

香港政論誌『動向』7月号によると、今年は、例年の北戴河会議を開く可能性は低いが、秘匿性の高いハイレベルな会合を天津市の浜海新区で開く可能性があるという。浜海新区はまさに今回の爆発の事故現場だ。

*江派メンバー、張高麗副首相が関与か

博訊網によると、爆発が起きた倉庫を有する「瑞海公司」の実質的な総責任者は中国共産党・序列7位の張高麗副首相の親戚で、中国の政界に影響力を振るうだけでなく、軍部にも密接な関係を持っているという。

張高麗は江沢民から厚い信頼を受け、江の力強い推薦によって党中央政治局常務委員に選出され、最高指導部入りを果たした。それまでに、6年間にわたって天津市のトップを務めていた。

中国国内のみならず世界にも衝撃を与えた天津の大規模な爆発事故は、いったいただの偶発的な事故か、それとも権力争い絡みの陰謀なのか、真相の解明には今後の動静が注目される>(以上)

真相は藪の中か。現在の混乱の中で9/3の軍事パレードはとてもできる状況ではないが、強行すれば大顰蹙を買うし、会場に爆弾が落ちてくるかもしれない。強行しなければ習近平のメンツは丸つぶれだ。

進むも地獄、引くも地獄。習の進退は窮まった。自業自得、さっさと辞任するがいい。(2015/8/18)

◆来日の台湾・李登輝元総統を厚遇

櫻井よし子


日本の国益に合致する人権・人道外交」

7月22日に台湾の李登輝元総統にお会いした。お訪ねすると扉のところで迎え、手を取って室内に導いて下さった。92歳になられたが、声も力強く、主張は極めて明快だった。
 
李総統は同日午後、永田町の衆議院第1議員会館で約300人の国会議員を前に1時間、講演した。総統退任後、今回が7度目の来日だが、国会施設内での講演は初めてである。「産経新聞」は7月24日、1面トップで、安倍晋三首相が李総統と23日に会談したと報じた。

日台関係は着実に緊密化の度合いを強めている。来年1月の総統選挙で台湾人の政党、民進党の蔡英文氏が勝利する可能性も高く、李総統への厚遇は日本の国益に合致する。
 
李総統は、講演「台湾パラダイムの変遷」で、台湾・中国関係の問題点を以下のように語った。

「台湾の国民党政権内部には保守と革新の対立、閉鎖と開放の対立、国家的には台湾と中華人民共和国における政治の実態についての矛盾があった」
 
台湾を統治した国民党保守派の心の中には、いつの日か中国共産党に打ち勝って中華人民共和国を併合するという執念があるが、これは台湾と中国の政治の実態にはそぐわない。李総統はそうした、現状に即さない問題が生じる根本的理由は中国を中華民国の一部と定義する中華民国憲法にあり、台湾は憲法改正を含む第2次民主改革を行うべきだと述べた。
 
一方、外国特派員協会で李総統は、国民党の馬英九総統の対中接近路線「中国一辺倒」であり、中国に過度に依存する台湾経済は「深刻な状況」に陥っていると警告した。尖閣諸島は日本に帰属するという以前からの主張も再び強調した。

馬総統は李総統発言に強く反発したが、長期的に見れば李総統の考えこそ、台湾の国益になる。
 
日本と台湾は、尖閣諸島周辺海域の漁業協定に2011年4月10日に合意済みだ。台湾側に入会権を与えたこの協定は、見方によれば日本側の譲り過ぎでもあり、馬総統は同協定に関して「日本の友人の誠意と善意」に感謝した。しかし、協定も含めて緊密な日台関係の構築は他ならぬ日本の国益である。
 
中国は台湾漁民の不満を利用して彼らに抗議活動の資金を与え、政治的に領土主権の要求を掲げさせてきた。日本が台湾に大きく譲ったのは、中国が尖閣諸島の領有権を主張するのに対し、台湾は領有権を主張せず、日本と共に漁をするための入会権を優先していたからだ。中国の脅威の前で日台両国は分断されないことを示したのが日台漁業協定の政治的意味だった。

「尖閣諸島は日本領」という李総統発言は、そうした日台の政治判断を踏まえたものだ。昔の経緯をよく知る世代として、また中国の脅威に対処しなければならない政治指導者としての、常識に基づく妥当な発言でもあった。
 
日台の国益は重なるという基本理念に人権・人道重視の価値観を重ねて集ったのが、今回李総統を招いた300人の議員だった。
 
安倍氏は自民党総裁時代の12年4月にチベットのロブサン・センゲ首相も国会施設内に招いた。ダライ・ラマ法王を囲んでも同様の会を催した。いずれも3桁の議員が集った。
 
中国政府はいずれの場合も強く反発し、個々の議員に出席を取りやめるよう働きかけ、圧力を加えた。しかし、21世紀のいま、日本が中国の反対に屈することなく、自由と人権を守り、少数民族の文化文明、宗教や暮らしを尊ぶ国際社会の構築に範を示すのは、人類発展の歴史における尊い使命だ。
 
この努力は日本が日本らしく生き続けることを可能にする世界の構築にもつながる。中国は21世紀の中華大帝国の構築に余念がない。だからこそ、安倍政権の台湾やチベットに対する人権・人道外交には特別の意味がある。

『週刊ダイヤモンド』 2015年8月8・15日合併号 新世紀の風をおこす 
オピニオン縦横無尽 1095
               (採録: 松本市 久保田 康文)

◆イラン封じに便利なIS

平井 修一



作家・黒木亮氏の論考 「イスラム国は当面の間は存続し続ける 米国や中東諸国にとって好都合な存在に」(東洋経済8/16)は快刀乱麻を断つ論で、小生のような中東音痴には非常に分かりやすかったが、実際にどうなのかはちょっと分からない。氏の略歴は――

くろき りょう:1957年、北海道生まれ。早稲田大学法学部卒、カイロ・アメリカン大学(中東研究科)修士。銀行、証券会社、総合商社に23年あまり勤務して作家に。大学時代は箱根駅伝に2度出場し、20キロメートルで道路北海道記録を塗り替えた。ランナーとしての半生は自伝的長編『冬の喝采』に、ほぼノンフィクションの形で綴られている。英国在住。

<「イスラム国(IS)は、あと5年はもつでしょうね。下手すりゃ10年いきますよ。だってあれは誰にとっても都合のいい存在ですから。この辺の事情は現地では常識ですけど、日本人は意外と知らないみたいですね」

中近東の専門家で、今もペルシャ湾岸に駐在している日本の商社マンの言葉である。

資金源も乏しく、空軍力や近代兵器も持たない盗賊集団のようなイスラム国を、なぜアメリカは殲滅しないのか。疑問に思っている人は多いだろう。アメリカの軍事力をもってすれば、そんなことはいともたやすいはずである。

その理由についての有力説は、中近東にイスラム国という不安定要因を残したままにして、イランなど周辺国が彼らとの恒常的な戦いで消耗する状態を継続させるのがアメリカの真の狙いだというものだ。

*イスラエルの狙いとは?

2006年3月に、シカゴ大学とハーバード大学の研究者が発表した「イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策(The Israel lobby and U.S.foreign policy)」という論文(2007年に書籍化され、同名の邦訳版もあり)を読むと、その辺の事情がよく分かる。

アメリカの中東政策は、正義のためでも、人道のためでもなく、イスラエル・ロビーによって決められているという内容だ。そして彼らイスラエルの狙いは、周辺アラブ諸国(特に、イスラエルが最も警戒するイラン)を弱体化し、国の安全保障を確保することだ。

「泣く子も黙る」最大・最強のイスラエル・ロビーは「アメリカ・イスラエル広報委員会」(略称AIPAC)だ。ワシントンの国会議事堂近くに100人以上の職員と全米に10万人以上の会員を有し、年間2,000回以上国会議員と会い、100以上の親イスラエル法案を支援している。

日本では創価学会や日本医師会、日本遺族会などが収票力によって、政治に影響力を行使する。AIPACも、親イスラエル議員には資金援助や投票を呼びかけ、反イスラエル議員を徹底的に攻撃する。

かつてキッシンジャー国務長官が中東和平を画策したとき、イスラエルが非妥協的で協力しなかった。これを民主党のチャールズ・パーシー上院議員(イリノイ州)が厳しく批判したところ、たちまち彼の事務所に親イスラエル選挙民から4000通の抗議文と2000通の抗議電報が届き、各地で追い落とし集会が相次いで開かれ、1982年の選挙でついに落選させられた。

アメリカがイスラム国を好ましいと思う理由はもう一つある。軍需産業である。大規模な紛争があることは、アメリカの軍需産業にとってつねに望ましく、中近東では1948年に勃発した第一次中東戦争以来、第二次〜第四次中東戦争、イラン・イラク戦争、湾岸紛争、イラク戦争と、10年に一度は大きな紛争が起き、軍需産業が売り上げを伸ばす機会を提供してきた。

戦闘機から発射されるミサイルは一基数千万円〜1億5000万円、軍艦・潜水艦から発射されるトマホークミサイルは一基1億5000万円くらいする。イスラム国が存在するかぎり、彼らは商売繁盛なのだ。

そしてイスラエル・ロビー同様、軍需産業はアメリカの議員に多額の献金をしている。イスラム国との戦闘において、アメリカは2003年のイラク戦争のときのように陸上部隊を派遣せず、主に空軍による支援をしている。

これは軍需産業から見ると、陸上部隊の駐留経費に莫大な税金をかけてもちっとも儲からないのと違い、空軍がミサイルや爆弾をどんどん投下してくれるので、理想的なパターンである。

*イランを弱体化させたいという思惑

イランを弱体化しておきたいのは、イスラエルだけでなく、サウジアラビア、クウェート、UAEなどGCC(湾岸協力会議)6カ国も同じである。

1979年にイスラム革命で成立した現在のイランは、シーア派革命の輸出をもくろむ地域の大国で、人口や軍事力もはるかに小さく、宗派も異なるスンニ派の湾岸諸国は常にその影に怯えてきた。

そもそも、1981年にGCCが設立された際の主要目的の一つが対イラン防衛だった。GCC6カ国は表向き対イスラム国有志連合に参加しているが、(政府か個人かは定かではないが)それらの国々からスンニ派のイスラム国に相当な資金援助が流れている、と現地ではいわれている。

さらにトルコにとってもイスラム国は都合のいい存在である。こちらはクルド人問題の関係からだ。

トルコは国内に千数百万人のクルド人を抱え、1923年の共和国建国以来、シリアやイラクのクルド人と連携した彼らの分離独立運動やテロに頭を悩ませてきた。

男子皆徴兵制を持ち、65万人の兵員を擁する中近東屈指の軍事大国であるトルコが本格的に参戦すれば、イスラム国など簡単に壊滅できるが、アメリカ主導の有志連合に名前を連ねてはいるものの、先月まで空爆に参加せず、国内の基地使用も許可していなかった。

それはクルド人問題があるからだ。シリア北部でイスラム国と戦っているのは、アメリカなどが支援するクルド人組織・民主連合党(PYD)だが、彼らが勝利してイラク北部のように自治権を獲得したりすると、クルド人が多く住むトルコ南東部の分離独立運動に発展しかねないとトルコ政府は警戒しており、むしろ彼らがイスラム国との戦いで疲弊するのを望んでいる。

イスラム国とアメリカ・中近東諸国も、実は(暴力団と警察が持ちつ持たれつというのと)似たような関係なのだ。ただし去る7月に、トルコ南東部でイスラム国によると見られるテロが起き、連立政権に対するクルド人有権者からの批判が強まった。これを契機に、トルコ政府は空爆参加と有志連合の基地使用許可に踏み切っている。

このように、この種の“均衡”は、様々な要因の変化で崩れる可能性があることは留意を要する>(以上)

つまりISはイラン封じに便利であり、米国の軍需産業も裏では歓迎しているということだ。

ISが暴れて原油生産に支障が出て価格が上昇するというのなら西側諸国にとって不都合だが、サウジ中心の産油国の思惑で逆に価格は下がっている。それならISを排除する必要はないし、むしろイランと咬み合わせ、イランを消耗させたほうがいい、ということか。

中共が暴れたことで日本はアジアの保安官助手にならざるを得なくなった。それは日本の抑止力を高めるし、米国の国益にもなる。日本の防衛費は増えていくはずだが、それは日米の軍需産業にとっても好ましい。

「世界は腹黒い」から、黒木氏の論考は真実をついているかもしれない。
(2015/8/17)

◆人民元さらに下落の展開へ

宮崎 正弘
 

<平成27年(2015)8月18日(火曜日)通算第4630号>  

 
〜「今売れ、質問はあとだ」。人民元さらに下落の展開へ
   上海株は「官」だけが買って、投資家には「株を売るな」〜

 
天津大爆発によって、市場が壊れ始めた。
 
いま機関投資家の行動は、人民元のさらなる下落に備え「いま売れ、考えるのはあとでいい」(フィナンシャルタイムズ、8月18日電子版)とばかり、人民元資産(株、債権、投信、通貨)の投げ売り状況になったようである。

株式は「凍結」状態で、売ってはいけないという出鱈目な指令が出ており、上海、深センでは外国人の売買は事実上、取引がないが、連動する香港株式市場と、米国に上場しているアリババなどのNY株式市場では、売り買いが自由。ジョージ・ソロスが保有する中国株の殆どを売却していたように、誰もが「見切り」を付けた。

だめ押しが天津大爆発で、トヨタは生産再開の見通しが立たないと嘆くが、逆に、この機会を利用して「撤退」準備に入った方が賢いと言うものだろう。トヨタ社内には、そういう意見がないのだろうか?

ほぼすべての経済政策は暗唱に乗り上げ、しかも経済失策の責任問題となると、経済政策の大半を担当官庁の国務院から中央の「子組」に習近平が取り上げてしまった以上、経済の停滞、失速の責任は李克強首相ではなく、習近平その人にかかってくる。

せっかく反腐敗キャンペーンで庶民の人気を得てきたが、インフレ、失業、輸出減という現状から、次の不満の爆発は反習近平路線へと繋がりかねない。

習の路線は「毛沢東路線」への復帰である。つまり改革開放に歯止めをかけて、計画経済に戻ろうという姿勢だから、今後の諸問題は、このポイントへ舞い戻って考えることになる。
        

2015年08月18日

◆中共は異常な別世界

平井 修一



西側世界は「自由、民主、人権、法治」というのが国家統治のルールになっている。小生は幸いにも共産主義独裁国家で暮らしたことがないので、上記のルールのない国での暮らしが実際どのようなものであるかはあまり見当がつかない。

田中信彦氏の論考「株価暴落の背後にある論理 〜『管理される』ことが当然の社会の限界」(WISDOM7/24)は、そんな疑問に答えてくれた。

田中氏は中国・上海在住。1983年早稲田大学政治経済学部卒。毎日新聞記者を経て、90年代初頭から中国での人事マネジメント領域で執筆、コンサルティング活動に従事している。

<*「判断停止社会」のもろさ

「中国経済は“何でもできる”権力者と、それに乗って儲けようとする人民という構造の上に成長している。改めて言うまでもないが、これは甚だ危なっかしい構造である。

権力者が“何でもできる”ことが経済成長の重要な要素だとすれば、権力者が“何でもできるわけではない”ことが明らかになれば、成長の土台は崩れる。平たく言ってしまえば、中国が常識ある“まともな”体制の国になればなるほど、経済成長の条件が崩れていくと言っているのに等しいからである」

これは1年半前、2014年1月に書いた連載第56回「『全知全能』の権力の終わり〜『政府頼み』の限界でバブル崩壊の懸念も」の一節である。今回の中国株式市場の暴落が即「成長の土台が崩れた」ことになるとは思わないが、上述した「甚だ危なっかしい」構造が露顕したことは間違いない。

中国の代表的な株価指数である上海総合指数は、年明け以降6割急騰し、6月12日の5166.35ポイント(終値)を直近のピークに3週間ほどで30%以上急落した。日本円で数百兆円という金額が吹き飛んだといわれる。

この急騰と暴落、そして、それへの権力者の対応を通じて改めて認識したのは、この国の「政府=権力」の存在感の大きさであり、権力に対する人々の、良く言えば期待、悪く言えば依存心(甘え)の強さである。

この国では権力が強力なあまり、世の中すべてのことが権力の意向によって動くと大多数の人々が思っている。そのため、自らの判断軸を持たず、権力の思惑に沿って、それを利用して自らの利益を謀ることが当たり前の生き方とされている。

このような一種の「判断停止社会」のもろさが露呈したのが、今回の出来事だったと思う。

中国人の視点からこの間の問題を見ると、見え方は違ってくる。もちろんここで言う「中国人」とは、いわゆる大陸、社会主義中国で育ち、暮らしている人々のことである。

中国国内の論調では、政府の「救市」策に驚きは全くなく、むしろ「今まで何をしていたんだ。さっさとやれ」という反応が普通である。投資家たちの掲示板では、まれに「政府の介入は市場原理を歪め、将来に禍根を残す。控えるべき」という正論も見られるが、少数派だ。

それどころか「今回の暴落は政府のミスであり、いわば人災である。損害を補填しろ」といった意見も少なくない。

市場の原則からすれば暴論だが、それが個人投資家の間で半ば「正論」として受け入れられている雰囲気がある。中国政府がまるで狼狽したかのように破格の「救市」策を打ってきた背景には、こうした人々の受け止め方がある。

ではなぜ人々はそのような受け止め方をするのか。そのことを考えるには、中国の人々が暮らしている社会の背景を理解する必要がある。

*「管理される」ことは生活の前提

現実の中国社会は、実に権力者による管理の多い社会である。

「一人っ子政策」という名で知られる「子供を持つ」ことに対する厳格な管理はまだ生きているし、中国には戸籍(戸口)制度というものがあって、だいぶ緩くなってきたとは言うものの、今でも中国の国民はどこに住んで、どこで働くか自由ではない。

多くの場合、現地の政府にお伺いを立てて許可をもらわないと、合法的に住むことも働くこともできない。今や大都市では車を持つにも事実上の総量規制(ナンバー発給制限)やナンバー末尾の数字による運転不可日の制限などがあり、ネット上では、事実上世界のスタンダードと言っていいGoogleやフェイスブック、ユーチューブなどに接続させないという管理が存在している。

個人のプライバシーに対する感覚も大きく違う。中国社会ではすべての国民が身分証明書番号で統一管理されており、これらは居住地の行政および公安機関、勤務先、銀行や証券会社などの金融機関、税務局、交通チケットの購入、旅先での宿泊、携帯電話やインターネット接続の実名制などを通じて電子的に一元管理されている。

国民の行動や生活状況は、ほぼすべて把握が可能だ。

さらには中国全土の道路という道路、ほぼすべての公共空間には、くまなく監視カメラが設置されており、中国では自宅やオフィスの中にいるのでない限り、どこを歩いても車で通っても、その行動は録画されている。そしてそのことを中国政府は積極的に公言している。

プライバシーも何もあったものではないが、中国の人々はこうした現状に慣れていて、不快感を唱える人は少ない。むしろ「別に何も悪いことはしていないから構わない。生活が安全になったほうがいい」と肯定的に見る人が少なくとも私の周囲ではほとんどだ。

言い方を変えれば、「権力」というものが良くも悪くも非常に身近で、日常生活のすぐそこにいる。そして権力のやろうとすること(=政策)とは国民が異を唱えるような性質のものではなく、天災のように天から降ってくるもので、避けようがないものである。やや極端な表現ではあるが、こんな感じが現実に近い。

権力による日常生活の管理と株式市場と何の関係があるのかと思われるかもしれないが、中国の人々は「権力が自分たちの日常を管理しているのだ」という感覚に慣れ切っていて、それが当たり前、いわば社会生活の前提になっているということが言いたいのである。

一党独裁の統治システムはすでに60年以上も続き、70代後半以上の世代を除き、こういう生活しか体験したことがない人が圧倒的多数を占めている。人々は「社会とは権力者が管理するもの」と天真爛漫に考え、そういう仕組みに沿って動く。

国民の自由度が極端に低かった1960〜70年代の「文化大革命」の時代は言わずもがな、1978年に始まった改革開放政策からすでに40年近く経とうとしている現在ですら、この社会は「原則不自由、権力が許したことだけ可」という枠組みは変わっていない。

それはあまりに当たり前すぎて、国民自身は「管理されている」ことすら意識していないことが多い。

それが「良いことか、悪いことか」という話ではない。私がその状態を「支持しているか、いないか」という話でもない。この社会ではそれが普通のことであって、多くの国民はそういう状態の下で生活しているということを忘れるべきではない。

*「政府の思惑に乗ったほうがトク」

このように権力者が社会生活を管理することが当たり前の社会になると、何が起こるか。それは冒頭で触れたこの連載の第56回でも紹介したように、権力者に「管理される人々」はそれに反発するよりも、このいわば「全知全能」の人たちを利用しようとするようになる。

相手は基本的に「何でもできる」のだから、やることは成功する可能性が極めて高い。だったら妙に反発するよりも、相手の思惑に乗ってしまったほうがトクで、効率が良い。これは国民にとってはリスクが低く、ある意味ありがたい話である。

かくして中国では、人々が不動産のような大きな買い物をしたり、投資をしたり、自分の職業を選択したりする際に、まず考えることは「権力者が何を考えているか」である。

権力者が土地制度を改革し、不動産を市場化して政府所有の土地売却で利益を上げたいと思っていることがわかれば、不動産の値段が下がるはずはないから、誰もが不動産を買う。そしてその行動は多くの場合、成功した。

株式投資も同じで、半年前、昨年12月にこの連載の第64回で私が「株価上昇は中国を変えるか 〜進み始めた金融『市場化』の道」という文章を書いた頃、上海の友人たちは「政府が株価を上げたがっている。絶対に儲かる」と口々に話し、中には不動産を売却して日本円で億に近い資金を株に投入した友人もいた。

結果的に株価はそこからわずか半年で6〜7割上昇した。彼(女)らの多くは、4月に明らかになった信用取引規制強化の動きを見て、政府が株式市場の過熱を警戒していることを察知し、保有株の少なくとも一部は売却するなどの手を打った。そして6月12日、当局が信用取引の規制と空売り規制の緩和を公表した直後から今回の暴落が始まった。要するに株を買う人の多くが、政府の動きしか見ていないのである。

中国には2億人近い個人投資家がいる。そして、そのほとんどはスマートフォンの株式売買ソフトやその附属する掲示板、中国版LINEの「微信(WeChat)」などでつながっている。これらの人々がある日、一斉に市政府前の広場に「散歩」に出たら、もうどうしようもない。

権力者は民の無言の恫喝に日々さらされている。「結果を出さねばならない」という強迫観念があるのである。

政府が今回の株価暴落に対して、世界の常識からは異常とも思えるほど巨
大な「救市」対策を取ったのは、こういう背景がある。

中国の普通の人々からしてみれば、中国の株式市場は世界の常識で考える「市場(マーケット)」ではなく、中国の権力者が統治を有利に運ぶための装置でしかない。

そこに国民を呼び込んでカネを集めておいて、それが消失したのだから、その穴埋めを権力者の力で行うのは極めて当然の理屈である。それができなかったら、民は怒る。

怒った民を黙らせるには、カネを渡すか、力で押さえるしかない。今、中国の権力者はその両方をにらみつつ、戦々恐々とした日々を送っていると思う>(以上)

小生から見れば異常な世界だ。上意下達で、愚民はそれに従い、踊ったり、踊らされたり、あるいは裏をかいたり。損をしたら「政府の責任だ、金を返せ」と主張する。

人民には「自由、民主、人権、法治」という権利がないのだから、義務も責任も本来はない。

近代国家は国民主権で、国民が選挙を通じて政府をつくる。自立した国民はさまざまな権利を有すると同時に、納税、兵役、教育の義務を担う。

その意味で中共は絶対王政とか封建国家に近い。中共主権であり、人民は義務も責任も本来はないはずなのに納税と労働を義務化され、兵役もある。改革開放までは奴隷に近い状態ではなかったか。

1日2ドル未満で暮らす貧困層は約2億4300万人もいるというから、それはおそらくほとんどが農民であり、今でも農奴的な状態ではないのか。全体で9億の農民は未だに貧しいまま、経済大国を実感できないでいるだろう。

この異常な国は「自由、民主、人権、法治」を受け入れない。受け入れるということは共党独裁利権がなくなることであり、中共の崩壊を意味する。

一方で経済を維持・発展させるためには「自由、民主、人権、法治」を含めた資本主義へと改革開放=体制変換をさらに進めていかなければならない。

つまり西側の統治システムを拒否し続ければ中共経済は沈滞し、受け入れれば中共独裁は崩壊するということ。独裁をとるか、それとも経済をとるか、いずれにしても今のままでの統治では未来はない。
                        (2015/8/16)

◆ジョージ・ソロスが見切りを付けた

宮崎 正弘 

<平成27年(2015)8月17日(月曜日)通算第4629号>  

 
〜「天津8:22大爆発」。悲劇敵事故は大悲劇となり、未曾有の惨禍が重なる
ジョージ・ソロス、保有した中国株のほぼ全株を売却、将来に見切りを付けた〜


悲劇は重なる。

天津の大爆発は未曾有の惨事となり、8月16日に当局が発表した死者は112,行方不明95(そのうち85人名消防士)、負傷して入院中が722人であるとした。

開催予定だった政治局常務委員会は中止となり、急遽、李克強首相が現場を視察した。

天津市書記の黄興国から説明を聞いた。爆発現場は遠くから見ただけで主に犠牲となった消防士らの葬送会場を訪れ、「英雄だ」と遺族を励ました。
 
しかし「犠牲者は1400人、不明は700人」という現場の噂を在米華字紙「博訊新聞網」(8月15日付け)などが伝えている。2013年11月22日におきた青島の石油管爆発事故ですら、人口密集地ということもあったが、死者62人、重軽傷136人だった。だから、天津の事故はもっと犠牲が多いはずだという。

爆発した倉庫は中国に40社ある危険物取り扱い許可を受けた特殊倉庫だが、天津ではなぜか、事故現場の「瑞海国債物流」という資本金1000万元(邦貨換算2億円)の小さな企業。株主は僅か2人しかおらず「政府高官との特殊な関係」で運営される企業と判明した(『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』、8月17日)。

また「有毒な化学材料は700トン、これは通常の基準の70倍」(台北タイムズ、8月16日)、消防士1000人の増援にくわえて、3000名の軍隊が派遣された。

爆発のあった天津市糖古開発区にはトヨタなど日本企業が夥しく進出しており、被害甚大で操業停止に追い込まれている。

部品供給が中断している上、天津港の港湾機能が麻痺しており、輸出入港として「世界四位」の港湾が今後数ヶ月、使えない状態となると、生産開始はそれなりに遅延するだろう。

日本のメディアはトヨタなどの被害ばかりを伝えているが、世界経済の視点にたてば、世界第4位の港湾が麻痺したというニュースのほうが、深刻な意味をもつ。

それこそ天津は工業区ばかりか北京へ物資を運送する生命線である。代替できる港湾は渤海湾に大連、旅順、営口、秦皇島、煙台、威海衛、青島などあるが、規模が小さく、また郵送コストが跳ね上がることは目に見えている。


 ▼すぐに行動に出たのはソロスだった

悲劇は続く。

8月13日、広東省東莞では地下鉄の工事現場で、300平方米にわたって地盤が崩落、それも白昼の出来事で多くのヴィデオフィルムがネットに流れた。

8月16日、陝西省の炭鉱で落盤事故、64人が生き埋めとなり絶望視される(上海日報、8月16日)。

ネット銀行は「幽霊銀行」、預金が蒸発しても、どこに取り付けに行けば良いのか、分からない、多くの預金者は「ネット銀行が幽霊化した」と嘆いている、と英『ファイナンシャル・タイムズ』が伝えた(8月17日)。

かくて世界一の投機家ジョージ・ソロスは、中国の将来に見切りを付けた。

保有したアリババ439万株、「百度」の30万株、ほかに3社ほどの中国企業株式合計300万株を売却していたことが分かった(ウォールストリートジャーナル、8月17日電子版)。
        

◆朝鮮学校無償化不適用

〜ヘイトピーチ!?〜
比護 義則



仰天論法  強まる無償化“圧力”

在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の支配下にある朝鮮学校に高校授業料無償化を求めるきが活発化し、政府が動向監視を強めている。安倍晋三政権は北朝鮮による拉致問題に進化がないことや朝鮮総連と密接な関係であることを理由に無償化を見送ってきた。

だが、朝鮮学校支援者らが、参院で審議中の人種差別撤廃施策推進法案を利用し、無償化拒絶する政府方針を特定の人種や民族への憎悪をあおるヘイトスピーチと同一視しようとしているのだ。

拉致問題進展が条件

下村博文文部科学相は平成24年12月の記者会見で、朝鮮学校に無償化を適用しない方針を表明した。理由については「拉致問題に進展がないこと、朝鮮総連と密接な関係にあり、教育内容、人事、財政にその影響が及んでいることなどから、国民の理解が得られない」と説明。適用基準をこのとき初めて明らかにした。

一方、安倍首相は7月31日、「政府・与野党拉致問題対策機関連絡協議会」を官邸で開き、北朝鮮が同月2日に拉致被害者らの再調査報告延期を伝えてきたことについて「誠に遺憾だ」と強調した。結局、遅々として進展しない日朝交渉が朝鮮学校に対する無償化への道を遠ざけてもいるのだ。

こうした政府側の一貫した態度に、無償化を目指す勢力が目をつけたのが、5月に民主党と社民党などが参院に提出した人種差別撤廃施策推進法案だ。ヘイトスピーチを取り締まる根拠となる。

菅義偉官房長官も7月2日の記者会見で、ヘイトスピーチをめぐり「具体的に何が問題になったか、しっかり調査していくべきだ」と述べ、実態調査に乗り出す考えを表明するなど積極的だ。さらに、公明党議員らも同日、菅氏と面談し、ヘイトスピーチに絡み差別撤廃政策の徹底を求めた。

無償化不適用は“差別”

7月22」日には、ヘイトスピーチ対策法成立を目指す集会が国会内で開かれ、法案の審議に直ちに入るよう求める決議を採択した。

集会は「外国人人権法連絡会」などが主催し、民主、社民両党の議員ら約10人も参加した。関係者によると、龍谷大法学部の金尚均教授は基調講演で「在日特権を許さない市民の会(在特会)による朝鮮学校への襲撃が下からのヘイトスピーチだとすれば、朝鮮学校の高校無償化適用外という政府の措置は上からのヘイトスピーチだ」と指摘。

その上で「政府は朝鮮学校が朝鮮民主主義人民共和国と関係があるからとして高校無償化の対象外にしている。これにより、日本社会の中で『この人たちは別に扱っていい』という雰囲気を作り上げ、適用しないことを当たり前のこととしている」と分析した。

社民党の福島瑞穂副党首も「お話があった通り、朝鮮学校を無償化の対象としないことが、差別をしていくという政府のメッセージだと思う」と主張した。結局、公明党も前向きに転じつつある法案は8月4日、参院で審議入りを果たした。

そもそも高校無償化は、民主党の主要政策として鳩山由紀夫政権が平成22年4月に導入。朝鮮学校に対しては、同年8月に文科省の専門家会議が「教育内容は判断基準にしない」とする無償化の適用基準案を示し、適用を認める方向で審査を開始した。

ところが、同年11月、北朝鮮による韓国砲撃を受け、当時の菅直人首相が審査手続きを凍結。退任直前に再開を指示したが、手続きは事実上ストップするなど迷走してきた。安倍政権には、ぶれない姿勢の継続が求められている。(政治部)
             産経ニュース【安倍政権考】

2015年08月17日

◆中国、人民元3日連続切り下げ

松浦 肇



人民元の相次ぐ切り下げで中国の「金融覇権戦略」のほころびが鮮明になった。アジアインフラ投資銀行(AIIB)設立を目指すなど、基軸通貨を抱える米国に挑む中国だが、相次ぐ市場への人為的介入で、「金融覇権」に不可欠な「自由な資本移動」をないがしろにした印象が国際金融市場で強まっている。

毎年8月になると、ニューヨークでは証券アナリストが集まって、経済見通しを議論する。直近の会合では「中国が世界経済のリスク」と名指しされた。

やり玉に挙がったのは、6月以降の株価急落に対応した大口売り禁止などの売買規制。米政治経済調査会社ストラテガスのジェイソン・トレナート氏は、「(市場を閉ざすことで価格調整機能が弱まり)中国は自ら成長の機会を閉ざしている」と批判した。

米国の「金融覇権」を支えるウォール街の住人は、政府の市場介入を嫌悪する。「(不透明な分だけ)介入は実体経済の悪化を連想させる」(米銀ウェルズ・ファーゴ)からだ。

3つの事柄が同時に成立しえない状況をトリレンマと呼ぶが、経済界には、「国際金融のトリレンマ」なる命題がある。「(為替の)固定相場制」「独立した金融政策」「自由な資本移動」の3つを同時に達成できない政策の限界を指し、国家は3つのうち1つを諦めざるをえない。

一方で、基軸通貨国となるには、「自由な資本移動」が必要条件となる。透明性が高まる分だけ、金融競争力が高まり、海外勢が自国通貨を使う。海外勢に国内企業が買収され、不採算事業があぶり出される面もあるが、この痛みは「金融覇権」のコストである。

米ドルの金兌換(だかん)を停止した1970年代以降、米国は、この 「連立方程式」をうまく解いてきた。景気対策に必要な「独立した金融政策」を保持する一方で、米ドル本位制を守るために、「自由な資本移動」を徹底。代わりに、「固定相場制」を捨てて変動相場制を選んだ。

米国を見習った中国は2005年に固定相場制を廃止。人民元の国際 化、将来的な基軸通貨化を目指した。以来、人民元は対ドルで3割以上も 上昇する場面があり、IMFは今年4月に「人民元は経済実勢に近い」と 太鼓判を押した。

にもかかわらず、中国は株式や為替市場に介入した。国内経済へのカンフル剤となる人民元安に誘導する局面でだけ「実勢から乖離している」と介入するのはご都合主義である。

人民元安に誘導したいのなら、同時に市場や金融分野を開放すればよいだけのこと。コストを支払わない「好(い)いとこ取り」の戦略では、米国にかなわない。
産経ニュース(ニューヨーク駐在編集委員)2015・8・14

◆渡部昇一『歴史の授業』から

伊勢 雅臣



「我々の子孫にそんな思いをさせては、いかんのですよ」との思いで、85歳の老碩学が「歴史戦争」を戦っている。


■1.「我々の子孫にそんな思いをさせては、いかんのですよ」

現代日本の最高の碩学の一人、渡辺昇一・上智大学名誉教授は85歳の高齢にもかかわらず、「従軍慰安婦」捏造報道[a]に対して『朝日新聞を糾す国民会議』の議長に就任し、日本裁判史上最大の2万5700人もの原告団を代表して集団訴訟を率いている。

氏の講演集『歴史の授業』(CD全3巻)[1]では、冷静な話しぶりの陰に、我々の子孫のために言われなき日本の恥辱を晴らそうとする氏の真心が響いてくる。氏はこう語る。

(弊誌で講演内容を文章化しましたが、文意を損なわない範囲で繰り返しを省くなど簡略化しています。)

「朝日はついに謝罪みたいな事をしたけど、それは主として自分の読者に謝っているんですな。そんなものは痛くも痒(かゆ)くもない話でね。それで、どうしても日本の恥を雪いでもらわないと、いかんのですね。・・・

ある人の話によれば、アメリカの「従軍慰安婦」の像の建った学校では、先生も説明したので、日本人のお子さんは授業の間、顔を上げることができなかった、という報道がありました。我々の子孫にそんな思いをさせては、いかんのですよ」。[Disk3-2, 4:25]

「我々の子孫のために」、その無私の一念が85歳の老碩学を動かしている。

■2.朝日新聞の社長に世界で謝らせる

 集団訴訟の狙いを氏はこう語っている。

「その趣旨は、日本人が蒙った恥をどうして雪ぐか、ということです。僕等が考えているのは、まず朝日新聞の社長が、アメリカで慰安婦の像を立てている市の市長を訪ねて回る。

これはこの街に住んでいる韓国系の人たちがいろいろ言ってきたんでしょう。それはすべて私の新聞のインチキ記事によるものでありました」と謝って貰う。これは効くと思うんですよ。・・・インチキ記事に基づいた慰安婦像なんか建てておくわけにはいかんじゃないですか。・・・

それから国連の人権委員会に行って貰わねばならない。クマラスワミという女性が、日本軍は朝鮮の若い女性を20万人、拉致して、天皇の兵隊のセックス・スレーブ(性奴隷)にしたと批判している。そして日本の政府が言っても、まだ取り消さない。

取り消させるには、やはり朝日新聞の社長に行って貰うより、しようがない。「あなたが日本を批判されました。その根拠になったのは、すべて私の新聞のインチキ報道によるものです」と言って、深々と頭を下げて貰えば、クマラスワミだって「いや、それでも」などとは言えない。

それを朝日新聞社に言っても、聞かないですよ。だから成功するかどうか、分かりませんけれども、裁判所に訴えます。裁判所命令で謝ってもらうような指示を出して貰いたいと思っているんですね」。[Disk3-2,5:50]

慰安婦像を建てたアメリカの市長や、クマラスワミに、彼らの依拠している朝日新聞の記事は捏造であることを、朝日新聞の社長自身に謝らせる。こういう相手の論拠を一言で打ち砕く論法を、渡部氏は「斬り返し」と呼んでいる。


■3.「毒ガスで良かったんじゃないですか」

歴史戦争に勝つためには、百の論より一つの「斬り返し」が有効だ。その分かりやすい例として、渡部氏は以下のようなエピソードを紹介している。

ベルリンで国際学会があった時、お茶の席で、あるユダヤ人が「原爆は戦争を早く終わらせて、被害を少なくするために使われたそうですね」と言った。渡部氏はすぐに、こう斬り返した。

「戦争を終わらせるために、どんな手段を使ってもいいというなら、毒ガスで良かったんじゃないですか」と。そうしたら、そのユダヤ人はハーッとして、「それは考えなかった」。

言うまでもなく、毒ガスはナチスがユダヤ人大量虐殺に使った違法手段である。原爆はその毒ガスと同じだと言われれば、ユダヤ人には返す言葉がない。これこそ一言で相手の論をぶった切る痛烈な「斬り返し」である。


■4.「あなたは蒋介石さんよりも、よく当時の情勢を知っているんですか」

東京裁判では、ナチスのユダヤ人虐殺と同様に、日本軍が南京で大規模な無差別虐殺をしたとされたが、これも歴史学的研究で勝負がついている。弊誌でも紹介したように[b]、南京学会で緻密な研究が進められ、もはや南京で20万人も殺害されたと公の場で主張する学者は一人もいなくなった。

台湾で蒋介石の資料が出てきて、日本軍の「虐殺」を最初に報道した『マンチェスター・ガーディアン』のオーストラリア人記者は南京にはおらず、上海で記事を書いたこと、しかも蒋介石政府からお金を貰って書いていた事が判っている。

蒋介石は実際の武力戦では日本軍に全く歯が立たなかったので、せめて報道戦では勝とうとしたが、支那人が言ったのでは世界の誰も信用しないので、白人に金を渡して虐殺の記事を書かせたのである。

しかし、蒋介石自身は、嘘をつきたくなかったらしい。南京から落ち延びて、2、3百回も外人記者と会話をして、その資料も台湾にあったが、蒋介石は一度も大虐殺を口にしていない。

「もし、大虐殺なんかを言う人がいたら、「あなたは、よく知ってますね。一番よく知っているはずの蒋介石さんも、一度もそんな事を言わなかった。あなたは蒋介石さんよりも、よく当時の情勢を知っているんですか」と聞いてやりたいですね。それは斬り返さないといかんのです」。
[Disk3-2,19:36]

■5.「支那事変を日本が始めたとは東京裁判でも認めなかった」

日本が中国を侵略した、というのも、中国の仕掛ける主要な歴史戦争の一手だが、これについても単純明快な斬り返しが可能だ。

あの日本を裁くための東京裁判ですらも、開戦責任が日本にあるとは言わなかったのです。

これは判りきった話で、昭和12年7月7日の盧溝橋事件でも向こうから撃ってきて、話がついて、話がついたら、また向こうから撃ってきて、というような事を何度か繰り返しまして、結局、日本軍に向こうの地方の軍の一番上の人が正式に謝っていますよ。

それから、8月13日にいきなり上海で戦争が起こりました。これは中国には珍しく、当時の蒋介石の虎の子の飛行機が出てきて、爆弾を落としているのですよ。

日本の船に爆弾を落としたんですが、当たらなかった。上海の百貨店やホテルに当たって、後に日本への大使となったライシャワーさんのお兄さんも、その時に死んでいるんですよ。どこから見ても、100%、向こうの攻撃であることは皆、認めている。

ですから、「支那事変を日本が始めたなんてことは、東京裁判でも認めなかった」と断言すれば、よろしい」。[Disk3-2,14:05]

開戦責任が中国にあるならば、その後、中国大陸に広がった支那事変も日本の侵略とは言えない。

「戦争を起こしたら、戦争の論理で動くんです。アメリカだって、日本を爆撃したのを非難されたら、「ハワイを攻撃したから戦争が始まった。戦争の責任はお前だ」と言うに決まってますよ。

支那人にも同じ事を言ったらどうですか。「支那事変は支那を戦場にしたけど、始めたのは手前たちだぞ。侵略なんかと言うな」と」。[Disk2-1,16:24]

■6.マッカーサー証言「日本がこの前の戦争に入ったのは、主として自衛のためであった」

こうして東京裁判では、支那事変の開戦責任を日本に押しつけることはできず、逆に原爆投下の犯罪性を問われるなど、支離滅裂の結果となった。

「マッカーサーは東京裁判をずっと見ていて、これは無理だな、という事を悟ったんですよ。特に朝鮮戦争が起こりますとね。それで朝鮮戦争の途中に、ウェーキ島でトルーマン(大統領)と会いましてね、「東京裁判はやるべきではなかった」と。これはちゃんと(記録に)残っていますし、産経の『正論』に出た事があります」。

この時、マッカーサーは朝鮮戦争に勝てないことに腹が立っていた、という。日本軍を押しまくったアメリカ軍の力はすごかったが、それを考えると、なぜ朝鮮半島で、こんなにモタモタしているのか、当時、大学2年生だった渡部氏も不思議に思ったという。

これは後で判ったことだが、マッカーサーに勝たせないという策謀がワシントンで決められていた、という。港の船を沈めたり、橋を爆撃すれば、北からの攻撃を止めるのは簡単だったが、それをマッカーサーは禁じられた。マッカーサーは、それなら原爆を使わせてくれ、と言って、トルーマンに罷免された。

当時、米国の上層部ではソ連のシンパが暗躍していたのである。

「だから、私は、マッカーサーが呼び戻されて、上院の軍事外交委員会でアジアの情勢を語る時は、国に腹を立てていたと思うのです。だから、こんな事を言ったのですね。

「我々は日本を犯罪国家として決めつけた。戦争中、日本を悪魔のように思って戦った。本当はそうではない。自分は日本を統治して、よく知っている。」だから、東條さんが(東京裁判で)言ったようなことを引用して、"Their purpose in going to war was", 「彼らの戦争に入った目的は」、"largely dictated by security", 「主として自衛のためであった」と言っているのですよ」。[Disk3-2, 29:10]

このマッカーサー証言は「日本が侵略戦争をした」という史観に対して、最大の斬り返しになる事実である。


■7.「ああ、日本のマスコミもひどいなあ」

「これを日本は使ったことがないのですよ。日本の外務省もマスコミも」と渡部氏は批判する。秘密文書でもなんでもない、「ニューヨーク・タイムズ」に出た記事なのに。

「外務省もマスコミも、これを手に入れなかったはずはない。朝日新聞の縮刷版を見ますと、マッカーサーの証言はみな載っています。ただ、私が今、引用した所は抜けているのですよ」。[Disk3-2, 31:00]

この証言の翌年4月には占領が終わっているので、マッカーサー証言を自由に報道することはできたのに、それをしなかった。

「昭和27(1952)年に、朝日新聞がそれを出してくれていたら、、、「この国のかくも卑しくなりたれば捧げし人のただに惜しまる」という、愛する夫を「お国のために」と捧げた未亡人がいた。それが「日本の方が悪かった」と言われて、「ただに惜しまる」と。

それはある未亡人ですけれども、自分の息子を失った母親も、自分の兄弟を失った弟、妹、そういう人たちも、みな「ただに惜しまる」と。昭和27年なら、だいたいの人は生きていましたよ。それを考えると、「ああ、日本のマスコミもひどいなあ」と思うんです」。[Disk3-2, 31:50]

この先人の無念を思いやる心は、「我々の子孫にそんな思いをさせては、いかんのですよ」という氏の一念に通じている。


■8.「我々は論ずれば必ず勝てるんです」

このマッカーサー証言を斬り返しに使って、アメリカ人に歴史の真実を説き続けていくべき、と氏は説く。

「アメリカから変えないと歴史戦争は勝てない。幸いに、この頃はアメリカの方でルーズベルトが戦争を仕組んだということが元大統領の言葉とか、一流の歴史家からポツポツ出始めました。もう少し時間が経てば、アメリカの知識階級から「この前の戦争は、日本だけが悪い、と言ってはいかんな」という話になると思うのです。

 それが、日本の歴史戦争に勝つ一番の確実な道ですからね。習近平がなんと言おうと、朴槿恵がなんと言おうと、我々は論ずれば必ず勝てるんです。・・・

 マッカーサー証言は、その転換の一番の基本になるものです。日本を侵略国と決めた東京裁判を行ったマッカーサー自身が公の場でそれを否定したということ。「日本の戦争は自衛戦だった」ということは、日本人すべての人が暗記して、もしも日本の悪口を言う奴がいたら、それを引用できるような状況にしておくべきじゃないか、と考えている次第です」。
[Disk3-2, 33:50]

「我々の子孫にそんな思いをさせては、いかんのですよ」という老碩学の真心を一人でも多くの日本国民が共有して、歴史戦争を一緒に戦っていくべきだろう。

■リンク■

a. JOG(890) 朝日新聞の「従軍慰安婦」報道小史
「私たちはこれからも変わらない姿勢でこの問題を報じ続けていきます」という朝日新聞の「姿勢」とは?
http://blog.jog-net.jp/201503/article_3.html

b. JOG(455) 「南京大虐殺」の創作者たち
 中国の中央宣伝部に協力した欧米人記者たち
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogdb_h18/jog455.html

c. JOG(441) 中国をスターリンに献上した男
 なぜ米国は、やすやすと中国を共産党の手に渡 してしまったのか?
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogdb_h18/jog441.html

■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け)
  →アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。

1. 渡部昇一『歴史の授業』CD全3巻
http://online.chichi.co.jp/category/CDDVD/8116.html