2015年06月15日

◆平和を構築するハトであれ

石井 聡



自民党で、保守政治を学ぶ2つの若手議員グループが活動を始めた。保守を掲げる責任政党が、よりよい政治を目指し、研鑽(けんさん)を積むのは大いに歓迎したい。

尤も、純粋な勉強会とは様相が異なるあたり、さすがに自民党だ。秋の総裁選をにらみ、両者が牽制(けんせい)しあう存在であることの方に関心が集まっている。

先行した「過去を学び、分厚い保守政治を目指す若手議員の会」は、党内ハト派の宏池会(現岸田派)や“OB”の古賀誠元幹事長の関与、色彩が強いという。

安全保障政策の大転換や、未来志向の戦後70年談話づくりに傾注する安倍晋三政権の姿勢に、距離を置きたい気分が伝わってくる。

これに対抗するように作られた新勉強会は、安倍首相に近い議員が中心だ。「首相の邪魔はさせない」との声が漏れるように、その立ち位置は明確だ。

ここは、今の自民党では“少数派”にみえる「分厚い」勉強会の行方に注目したいが、まず、設立趣意書にある「修正主義的な過剰なナショナリズムを排し、広範な保守政治を構築する」という文言はいただけない。

首相がさきの米議会演説で、歴史問題をめぐる謝罪に直接言及しなかったことに絡み、外国メディアなどから「歴史修正主義者の傾向」といった批判が出た。同じことを指しているのだろうか。

ならば、演説や談話に「謝罪」を入れるべきだと具体的に指摘すればよい。首相に直接、申し入れてもよかろう。野党のレッテル貼りのようなことは品格がない。

とくに、宏池会の出身者に考えてもらいたいのは、同派の宮沢喜一元首相の内閣末期に出された慰安婦募集の強制性を認める河野洋平官房長官談話のことだ。

この談話が国益を大きく損なってきたことは拭いがたい。当時の政権派閥として、知らん顔を続けるのか、見直しの必要性を率先して説くのか。態度を決めたうえでものを言うべきだろう。

勉強会で取り上げる格好の材料がある。2001年9月、米サンフランシスコで開かれた対日講和条約締結50周年のシンポジウムにおける宮沢氏の提言だ。

日米同盟をより効果的なものにする目的で、「自衛権の論理的延長として集団的自衛権を位置付ける」ことを宮沢氏は「未来への遺言」として語った。米軍の活動が、日本の安全に明確かつ直接に関わる場合に限り、米軍を助けるという条件も付した。

宮沢氏は憲法改正には否定的だったが、この提案は現在、審議中の安全保障法制の根幹に当たるものではないか。講和会議に参加したメンバーで、ハト派の重鎮だった人物が、これを語った意味合いを今一度考えてはどうか。

宮沢内閣は国際平和協力法を成立させ、自衛隊をカンボジアに派遣した。文民警察官が殺害された際、自民党内の有力議員からも撤退論が出たが、宮沢氏はこれを一蹴した。なぜだったのか。

為政者として厳しい選択を迫られ、結果は後々まで批判にさらされる。その覚悟で首相批判や総裁選に臨むのでなければ、「保守本流」を振りかざしても、竹みつだとすぐばれる。(論説副委員長)
産経ニュース【一筆多論】22015.6.13

◆国益観を欠く安保法制の国会論戦

櫻井よしこ


ニクソン外交に学ぶ戦略的視点」

安保法制に関連する国会論戦はわが国の政治家、殊に野党政治家に国益観が欠けていることを示している。
 
5月末にシンガポールで開かれた「アジア安全保障会議」で、中国人民解放軍副総参謀長の孫建国氏は南シナ海問題でふてぶてしく開き直った。

氏は演説で中国の埋め立てもインフラ整備も「軍事目的」であると認めながらも、それは「平和」「繁栄」「ウィンウィンの関係」に資するもの「中国の主権の範囲内」「正当な行為」であり「話し合い重視」で行っているなどと、あきれるほどの虚偽を37分間にわたって語った。多くの質問は「演説で回答済み」として退けた。
 
米国をはじめとする国際社会の批判には全く動じずに中国はわが道を行く、それだけの強さを中国は手に入れたという傲慢さである。パックスアメリカーナの時代がパックスシニカの時代へと大転換するのか、その大局面に、私たちは直面している。
 
中国の野望を抑制するには日米協力を緊密にし、日本の力を強化することが最優先だ。日本が自力で日本を守れる国になるべく1人立ちすること、同時にアジアの平和と秩序に貢献できる国になることだ。それが最重要課題であるいま、政局の観点ばかりから国会論戦するのはおかしなことだ。
 
私はここでニクソン外交を思い起こす。1972年2月、毛沢東との初会談で、ニクソン米大統領はこう問うた。

「われわれは日本の将来図について考えなければなりません。(中略)日本を完全に無防備のまま中立国とするのがよいか、当面米国と多少の関を維持させるのがよいか」
 
日本の唯一の同盟国・米国が、日本の頭越しに日本を無防備にしておくことが米中の国益に資すると思うかと、中国に尋ねているのである。
 
ここでニクソン外交に感情的に反発するのは無意味である。政治家ニクソンの凄さを学ばなければならない。周知のように彼はウォーターゲート事件で失脚し、2期目の任期中に辞任した。地に墜ちた氏の権威はしかし、その後に発表し続けた洞察力溢れる戦略論によって回復される。 

89年、中国で天安門事件が発生し、国際社会は一斉に中国に制裁を科した。その最中、10月から11月にかけて訪中したニクソンは「訪中秘密メモ」をブッシュ大統領らに送った。
 
氏は米国にとっての中国の戦略的重要性を指摘し、中国を制裁するより、「カード」として活用せよと言っている。しかも、「チャイナ・カード」を適用する対象は日本だと、次のように報告していたのだ。

「経済的超大国になった日本は軍事的、政治的超大国になる能力を備えるに至った。その場合、東アジアで日本、ソ連との間でバランスを保つには、強力で安定した中国と米国の緊密な結び付きが必要だ」
 
米国の国益のために中国カードをソ連に切って、中ソ関係に楔を打ち込んだニクソンが、今度は、強大化する日本に中国カードを用いよと言う。あくまでも国益に徹する政治家としてのニクソンの姿勢は見事である。
 
ここまで読めば、ニクソンが毛沢東に語った言葉への感情的反発など吹き飛ぶだろう。逆に、政治家はどれだけ国益に撤し、国益のための戦略を考え続けなければならないかというお手本を、ニクソンの中に見るだろう。
 
ニクソンは50年代に、副大統領として来日したとき、日本に憲法改正を促し、日本が持つべき戦力まで具体的に語った。しかし、当時もいまも日本は憲法改正どころか、自立さえできずにいる。

であれば、日本の意思が考慮されずに将棋の駒として扱われるのも仕方ない。悔しければ、政治家は、国益を考え、1日も早く安保法制を整えよ。国会論戦は問題を糾しながらも、前向きに進めよ。

『週刊ダイヤモンド』 2015年6月13日号  
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1087
                  (採録:松本市 久保田 康文)

◆えげつない欧州の裏事情

平井 修一


世界は疲れ果てている。覇権者の欧米中露も元気がない。一国だけが突出して元気というのは、もはやあり得ないのかもしれない。サウジなどの産油国も「宴の果て」のような印象だ。日本も何となくアベノミクスは息切れしてきたような感じ。クネはMERSで寝込んでしまった。

閉塞状況をどう突破していいのか・・・アイディアがない、カネがない、自信もない。米国が元気でいささかジャイアン風の暴れん坊将軍でないと、世界はどうも活気がない。今はノビタ・オバマ風。

川口マーン惠美氏の論考「八方塞がりのEUと武力行使も辞さないロシア、そしてしたたかな周辺国の、シビアなパワーバランス ますます混迷を極めるヨーロッパ情勢」(現代ビジネス6/12)から。

<*民主化と自由貿易の確立を目指す「東方パートナーシップ」

5月21日、バルト3国の一つであるラトビアの首都リガで、「東方パートナーシップ」のサミットが開かれた。「東方パートナーシップ」というのは、EUとその東にある国々との関係深化を目的としたパートナーシップだ。

メンバーは、ウクライナ、モルドバ、ベラルーシ、グルジア、アゼルバイジャン、アルメニアの6ヵ国で、すべて、かつてはソ連邦に属していた。うち、ウクライナ、モルドバ、ベラルーシは、今、ロシアとEUの間にスッポリ挟まっている。

苦労しているだけあって、どの国もなかなかしたたかだ。

(東方)各国のEU加盟に対する意識が変わってきた背景には、もちろん、受け入れるEUのほうの意思の変化が大きく関係している。

はっきり言って、今、EUは拡大に倦んでいる。それどころか、あちこちで噴出している問題に追われていて、拡大など考えたくもない。

EUのこの変貌は隠しようがなく、いつか加盟できると信じて政治改革を行ってきた(東方の)国々を大いに失望させた。「EUは元々、我々を加盟させる気などなかったに違いない」と、白けてしまったのだ。

いまだにEUに熱いまなざしを送っているのはウクライナとグルジアぐらいで、特にウクライナは、自国と EUのあいだの出入国ビザの廃止を強く望んでいる。 EUはこの措置をすでにトルコや旧ユーゴスラビアの国々と結んでいる。

つまり、これらの国々の人々は、3ヵ月までならIDカードの提示のみでEUに入れるわけで、ウクライナも、そのステータスを得ることを心待ちにしている。しかし、そんなことをすれば、ウクライナからEUへの民族移動が始まる可能性があり、 EUはなかなか首を縦に振らない。

*ますます混迷を極めるヨーロッパ情勢

そもそも、現在、EUが一番避けたいのは、いたずらにロシアを刺激することだ。ロシアは、どんどん膨張するEUに対して不信感を露わにしている。しかも、いざとなったら武力行使も辞さないのは、クリミア半島で起こったことを見ればわかる。

この微妙な時期に、緩衝地帯となっている国々をEUがどんどん引き込んでいくことなど、危なくてできない。よって、力の入れ加減が難しく、EUに加盟したがっている国を、力づけながらも牽制するという玉虫色の技を演じている。

EUは今、八方塞がりの状態だ。金融問題ではギリシャに振り回され、イギリスは遅くとも再来年には、 EUに留まるか、それとも脱退するかの国民投票を行うという。EUにおけるイギリスのポジションは常に例外的で、拠出金は値切るわ、難民は引き取りたくないわと、なぜか常に好き放題のことを言っている。

そもそもEUのユーロ圏では、金融緩和を望む南欧の財政破綻国と、金融引き締めを望むドイツや北欧の国との対立が激しい。イギリスはユーロ圏には入っていないが、もちろん、自国の負担に直結する金融緩和には大反対で、それを大声で主張する。

ついでに言うなら、イギリスは、主権をEUに移譲することにも極めて慎重。また、自由貿易は良いが、政治は別でやりたいとも思っている。

実は、ドイツもイギリスと思いを共にするところが多い。ところが、そうでなくても独り勝ちと非難されており、なかなか口にすることはできないため、イギリスが言ってくれるのは、願ったり叶ったり。

「イギリスが抜けてしまったら、どうする!?」と危機を煽りつつ、なるべくなら金融緩和は控えめに、EU議会の力もほどほどに、という方向に進めたい。そうでなくては、さらに援助額が増えて、国民の不満が高まる。

6月7日には、トルコで総選挙が行われ、エルドアン大統領のAKPが打撃を受けた。大統領の権限をさらに強化しようと、憲法改正を目指していたエルドアン氏だが、議席が過半数を切ってしまったため、今後、どうなるか微妙なところだ。

エルドアン氏は、イスラム教を基にした政治を行い、いわゆる西側のいう民主化を規制してきたがため、非難され続けている。ただ、アラブの春で指導者を倒し、民主化を実行したはずの国々が、現在どうなっているかを見れば、真の民主化がそれほど簡単でないことは明らかだ。トルコの政情が不安定になることは、EUの誰も望んでいない。トルコはいろいろな意味で、あまりにも近すぎる。

EU、東方パートナーの国々、ロシア、そしてトルコと、ヨーロッパ情勢はますますこんがらがってきた。予測は難しいが、日本は何が起こってもあとでビックリしないよう、観察だけはよくしておいたほうがいい>(以上)

世界に圧倒的パワーで君臨する世界覇権者が今はない。米、欧、露、中あたりが地域覇権勢力だ。ただ、覇権者を「政治力、経済力、軍事力、文化力」を備えたものと定義すると、主役は米国、助演は英仏独トリオが主導する欧州で、中国は経済力・軍事力、ロシアは政治力・軍事力で、脇役というか危険変数、欧米世界の秩序を揺さぶる挑戦者を演じている。

欧米対ロシア、米亜対中共のパワーバランスが動揺しており、その周辺に中東の混乱、印パのせめぎ合い、読めない北朝鮮がある。

まったくもって世界は何が起きるか分からない御嶽山。安全のはずが急に噴火する。一寸先は闇。警戒し、しっかり緊急事態への備えを向上させておくしかない。(2015/6/13)

◆大衆迎合で動けなくなる朴氏対日外交

黒田 勝弘



街の声でこのところ、「朴槿恵大統領は運が悪い」というのをよく耳にする。昨年のセウォル号沈没事故に続き、今回の「MERS(マーズ)感染騒ぎ」のことを言っているのだ。いずれも民心が一種のパニック状態になり、対応の遅れなどで政府が激しい批判にさらされているからだ。

メディアは人々の不信や不安をあおり、野党や反政府系は決まって「大統領が悪い」と大統領非難に走る。大事故、大事件など人災はもちろん、伝統的には天変地異の天災まで「指導者に徳がないから」という“災異観”がある社会だけに、大統領はつらい。

朴大統領は突発する大事故、大事件への対応にばかり忙殺されて何もできない状態が続いている。すでに5年任期の3年目なのにまだこれといった政権の成果が見当たらない。そして「運も実力のうち」となってその指導力への不満、批判が強まっているのだ。

「マーズ騒ぎ」の中で朴大統領は来週に予定されていた訪米を延期した。「外交より国民の安全、安心が優先」と判断した結果というが、この判断に世論は必ずしも拍手喝采ではない。

訪米は14日から18日に設定されていた。外交当局をはじめ政府および与党を含め大勢は、「日程を短縮してでも出掛けるべき」だった。これに対し訪米延期論は主に野党陣営から出ていた。「民の声」と称しあらゆることで政権の足を引っ張ろうとする

野党・反政府派としては当然の主張だ。

ところが朴大統領は、政府・与党内の大勢に反し自らの決断で訪米延期を決めた。「国民の安心、安全が第一」という名分は十分にある。そして「国民に寄り添う大統領」としての訪米延期はカッコいい。

しかし冷静に考えれば「マーズ退治」は大統領がいなければできないというものではない。にもかかわらず外交的重要日程さえ中止したことは、対外的には韓国の国家能力に対する疑問や不信を招くものだ。

それに訪米延期は国内的には「大統領出てこい!」という、大衆感情に押されたいわゆるポピュリズム(大衆迎合)政治である。これに身を任せると今後、野党や反政府派の世論圧力に押され何もできなくなる事態が予想される。

このため、保守派の間では大統領の指導力に対する疑問が膨らんでいる。大衆感情に左右され国家の軸としての判断ができていないのではないかというわけだ。与党・保守派の代弁紙である朝鮮日報は社説で「朴大統領は果たして国家指導者らしい判断力を見せているのかどうか、自ら振り返る必要がある」(11日付)と手厳しく批判している。

朴大統領の訪米は、安倍晋三首相の訪米直後だけにことのほか関心が高かった。韓国は安倍首相訪米の際、米議会演説や歴史認識問題などで“対米反日工作”に熱を上げたが、結局は日米緊密化を阻止できなかった。逆に米国では「韓国疲れ」が語られ、今回の朴大統領訪米は挽回のチャンスになっていた。

訪米では韓米同盟強化策や日米韓協力体制の行方とともに、これまでの“二股外交”とも受け取られる中国接近策の“真意”についてどういう説明が行われるのか、関心を呼んでいた。朴槿恵外交の行方は東アジア情勢にも影響が大きい。

しかし「外交より大衆感情」を優先した今回の判断は、慰安婦問題という大衆感情にこだわり動けなくなっている対日外交の展望にも、あまりいい影響はなさそうだ。(在ソウル)

産経ニュース【緯度経度】2015.6.13
             (採録:松本市 久保田 康文)

◆日出る国の新たな暁光

伊勢 雅臣



原油安と円安は日出ずる国の新たな夜明けを示す暁光である

■1.原油安と円安

2つの「安」が我々の身辺に押し寄せている。原油安と円安である。

原油安は我々の日常生活においてはガソリン価格の低下として顕著だ。1年前、平成26(2014)年7月のレギュラー実売価格が158.3円だったのが、年明けの2月には125.4円と20%ほども下落し、その後、やや持ち直したとは言え、6月時点で134.5円となっている。

円相場も同様に急落している。民主党政権下の平成23(2012)年12月には1ドル83.64円だったのが、安倍政権発足後、急激に円安が進み、翌年5月には100円を突破した。昨年7月頃までは100円前後で推移していたが、その後、もう一段の円安が進み、本年6月現在では120円超の水準となっている。

原油安と円安は、国際的な政治と経済の絡み合いの原因でもあり、結果でもある。この2つが何故生じたのか、我が国や世界にどういう影響を与えるのか、政治・経済の両面にまたがる分析では第一人者である国際エコノミスト・長谷川慶太郎氏の説に耳を傾けて見よう。


■2.原油安の裏にあるもの

まず原油安から見ていこう。国際的な原油価格は2014年6月に1バレル(159リットル)107ドルを突破した後に下がり始め、12月16日には54ドルとほぼ半値、5年7ヶ月ぶりの安値となった。さらに2015年初にはいきなり40ドル台となった。

昨年11月末にはOPEC(石油輸出国機構)の総会が開かれ、世界の代表的な産油国12カ国が集まった。一部の参加国が日量3千万バレルの生産枠を減らして価格維持を図るべきだと主張したが、中心国サウジアラビアが減産を受け付けなかったので原油価格下落に拍車がかかった。

原油安の背景にあるのが、アメリカのシェール革命である。これは地下100〜3千メートルの深さにあるシェール(頁岩、けつがん)と呼ばれる硬い岩盤層に埋まっているシェールオイル(原油)とシェールガス(天然ガス)を取り出す技術が確立されたことから起こった。

従来の油田やガス田は特定の地域に集中しているが、シェールオイル(以下シェールガスも含む)は広く分散しており、アメリカでは2014年にはこれを加えて、原油生産量は912万バレルと、前年比約170万バレルも増加した。国内生産量の増加に伴って、石油製品の輸入量も減っており、2014年は日量525万バレルと昨年よりも約90万バレル減っている。

同時に、中国を含む新興国の景気が減速し、ヨーロッパ経済も停滞しているので、石油燃料の世界需要も低下している。

需要量の減少と、供給面でのシェール革命による供給増、サウジによる生産量維持という両面から、国際市場で原油がだぶつき、急激な原油安が起こっているのである。


■3.サウジの思惑

こうした状況の中で、サウジはなぜOPECの生産枠を削減せず、価格下落を放置したのか? すぐに思いうかぶのは、シェール潰しである。確かに、原油価格の下落により、シェールオイルの採掘を行っている約120もの上場企業の株価が大きく下落した。

しかし、長谷川氏はこの説を間違いとする。シェールオイルの生産コストは地域によって大きなバラツキがある。バレルあたり1ドルなどと、バレル3ドルのサウジの油田より安い所もある。

またシェールオイルの場合、半径3〜5キロの地域で、数年間採掘したら、また別の地域に移るというやり方になっていて、原油価格が戻れば、また雨後の筍のようにあちこちで採掘が始まる。したがって、一度の原油安でシェールオイル企業を根絶するというわけにはいかない。

サウジの思惑として、長谷川氏が指摘するのは、OPECに加盟していない産油国、とくにロシアを狙い撃ちすることである。

現在の世界の原油生産量は日量約8600万バレルであり、そのうちロシアが1060万バレルを占める。ロシアはヨーロッパに売る天然ガスの価格を自ら交渉して決めてきた。天然ガスの価格は原油価格に連動するが、OPECに加盟していないロシアは自由に交渉できる。

ロシアがOPECに加盟すれば、OPECは約4000万バレルの原油をカバーすることとなり、その価格支配力は飛躍的に高まる。石油市場の盟主としてサウジは、ロシアを屈服させ、OPECに入れたいのである。


■4.原油安に直撃されたロシア経済

原油安によりロシア経済は壊滅的な影響を受けている。ロシアはエネルギー大国だが、輸出の7割を原油・天然ガスに依存している。原油価格が半減したら、同じ量を輸出しても外貨収入が3割5分も減ってしまう。

その現れがロシアの通貨ルーブルの急落だ。それまで1ドル27〜35ルーブルの間でそれなりに安定していたのが、ウクライナのクリミア半島併合により、欧米諸国から経済制裁を受けて、ルーブルの急落が始まっていた。

原油安がさらにこれを直撃して、2014年末には1ドル67〜78ルーブルと半分以下に暴落してしまった。

<すでにロシア経済は大変な危機に見舞われている。いずれルーブルは紙切れになるだろう。ルーブルを持とうなどと考えるロシア国民はどんどん減っており、ルーブルをドルやユーロに替えようとロシア国民が銀行に殺到している。

そのためドルやユーロの現物が不足するようになり、現物が尽きたウラジオストックの銀行ではルーブルと外貨との交換を停止してしまった。

 食料品についてもロシアでは輸入が多いのでルーブル安とともに食料品の値段も毎日のように上がっていく。12月15日にロシア中央銀行が「2014年の物価上昇率は10%程度」という見通しを公表したのだが、現実には10%を大きく上回っている可能性が高い。だからロシア国民はルーブルでもらった給料を直ちに食料品の買いだめのために使うようになった。>[1,p31]


ロシアがこの苦境を脱するためには、クリミア半島の併合を断念して欧米諸国に屈服し、さらにOPECに加盟してサウジに屈服するしかない、それまでは原油安が続くだろう、というのが、長谷川氏の見立てである。


■5.原油安に直撃された中国の石油利権

中国も原油安の打撃を受けている。中国の国有石油企業はこれまでリビア、シリア、イラクなどの世界各地の油田権益を買い漁ってきた。それが原油安によって、投資回収ができず、大きな損失を計上することとなった。

たとえば、2013年9月、中国は重質油が大量に埋蔵されているベネズエラのオリノコ油田に1兆6千億円を超える巨費を投じたのだが、今回の原油安で油田の評価額は半減してしまった。

中国の石油閥の中心にいたのが、胡錦濤政権で党内序列9位だった習永康だが、習はこの6月、収賄、職権乱用、機密漏洩などの罪で無期懲役と個人財産の没収が決定された。関係の深いエネルギー企業の元側近も続々と摘発されている。

そもそも習永康が石油閥の大立て者として石油利権を握ったのは、元国家主席の江沢民によるバックアップがあったからだが、原油安による石油閥の没落により、今後は江沢民の立場も危うくなると長谷川氏は見ている。

中国は2020年にはアメリカを抜いて世界最大の石油消費国になると予想されており、それに備えるという建前で、中国の石油閥は世界各地の油田権益を買い漁っては実は自らの利権を拡大してきたのだが、今回の原油安によって、そんな利権も吹き飛ばされてしまった。

なお、中国国内は消費エネルギーの70%以上を石炭に依存しているため、原油価格の下落の恩恵はそれほど受けないという。


■6.原油安と原発再稼働で鬼に金棒の日本経済

原油安は世界第3位の石油消費国である日本にとって、大きな恩恵をもたらす。東日本大震災での原発事故をきっかけに、平成25(2013)年9月には48基の原子力発電所すべてが停止した。

不足する電力を火力発電で補うために、原油などの輸入が激増し、平成25年には27兆円と、震災前に比べて10兆円も増加した。これが電力料金の上昇につながって、一般家庭向けが19.4%、企業向けが28.4%も上昇してしまった。

しかし、急激な原油安によって、原油の輸入にかかる費用は1年間で少なくとも5兆円は削減できる、という試算がある。これが電力料金の引き下げにつながり、日本経済の上昇に寄与する。さらに原発の全面再稼働が加われば、鬼に金棒である。

原油安によって電力を使う製造業、サービス業だけでなく、ガソリンを使う輸送業、石油燃料を用いる野菜・果物のハウス栽培や漁船のコストも大幅に削減される。高度に石油に依存する日本経済は、原油安の恩恵を様々な面で受ける。

とすれば、アメリカがシェール革命で原油安を引き起こしたように、日本も独自のエネルギー源を開発して、さらなる原油安を追求すべきだろう。それがメタンハイドレートである。

日本周辺の海底には低温高圧の下で水とメタンが固体になったメタンハイドレートが存在している。火をつけると燃えるために「燃える水」と呼ばれ、メタンを抽出すれば天然ガスとして利用できる。日本近海ではすでに合計971ヵ所でメタンハイドレートが確認され、国内の天然ガス使用量の100年分が存在する、と推定されている。

メタンハイドレート利用のための技術開発は着々と進められており、その実用化は目前に迫っている。完成の暁には日本のエネルギーの自立が実現され、遠く中東から原油を輸入する、というリスクはなくなる[a]。また一層の原油安をもたらして、日本はアメリカと並んで世界経済を引っ張っていく事になろう。


■7.円安で潤う日本経済

原油安と並んで、日本経済に大きな恩恵を与えているのが円安である。冒頭に述べたように、安倍政権発足前には80円台だったのが、現在では120円超の水準となっている。これにより、日本企業は空前の利益を出せるようになった。

平成26(2014)年4〜9月期の決算では上場企業約1500社の経常利益は1兆5千億円増えて過去最高となった。平成27年3月期の通年でもリーマンショック前の過去最高にほぼ並ぶ見通しだ。

その理由は簡単で、たとえば輸出で1億ドル儲けていた日本企業は、円に換えれば80億円の利益だったのが、120億円と1.5倍となる。原材料を輸入している場合は円安によるコストアップはあるが、それを補って余りある利益が得られる。

あるいは外国企業とドルベースで張り合っている場合では、円ベースのコストが勝手に下がってしまうので、価格競争力が増して、売上が増える。

また、円安は観光業界も潤す。円安によって、たとえば外国からの観光客が、日本国内の旅行で20万円使おうとすると、かつては2,500ドル必要だったのが、1,667ドルで済む。

これに伴い外国からの訪日客は平成24(2012)年の836万人が、26年には1,341万人と60%も増加している(日本政府観光局統計)。これによりホテル・交通・飲食など国内業界が潤っている。


■8.日出ずる国の新たな夜明け

なぜ、こんなに急激な円安が実現したのか。その原因として長谷川氏が指摘するのが安倍政権誕生直後に実施した「資金の移動に対する金融機関への規制撤廃」である。これにより、日本の銀行が国内にだぶつく長期資金を自由に外国に投資できるようになった。[1,p93]

日本は家庭の貯蓄などで国内に膨大な資金があり、そのため金利が非常に安い。たとえば、平成26(2014)年末の10年物国債の利回りは日本で0.3%と、アメリカの2.1%とは桁違いの水準である。その日本の資金を求めて海外の一流企業が日本のメガバンクに殺到した。

<・・・今や日本の三大メガバンク(みずほ銀行、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行)の役員は多忙を極めている。連日連夜、世界各国の一流企業のトップと会わなければならないからだ。世界の一流企業が借り手となるので、三大メガバンクにとっても貸し倒れを心配する必要がない。

 こうして三大メガバンクから何十億円あるいは何百億円にのぼる巨額の資金が融資という形でどんどん海外の一流企業へと移動しているのだが、当然ながらそのさいに三大メガバンクは円を売ってドルを買わなければならない。これは外国為替市場では円売りドル買いだから円安の原動力となる。>[1,p69]

日本のメガバンクから見れば、たとえば今まで国内向けの住宅ローンでは利回りが0.8%程度だったのが、外国の一流企業相手にアメリカの国債利回り2.0%に1.3%を上乗せして貸し出せる。

 世界一資金の余裕のある日本が、世界的なドルの実需に応えている。我国は優れた技術商品の輸出大国、知的財産で稼ぐ技術大国のみならず、豊かな資金を世界に提供する資本大国にもなりつつある。

 原油安と円安は日出ずる国の新たな夜明けを示す暁光である。


■リンク■

a. JOG(513) 石油で負けた大東亜戦争
 日本は石油供給をストップされて敗北したが、 現在でもそのリスクはさらに深刻化している。
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogdb_h19/jog513.html

b. JOG(554) 米中石油冷戦と日本の国策
 石油をがぶ飲みする中国が、アメリカの石油覇権に挑戦している
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogdb_h20/jog554.html

■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け)
  →アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。

1. 長谷川慶太郎『大波乱: 長谷川慶太郎の大局を読む緊急版』★★★、李白
社、H27
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4198639108/japanontheg01-22/

2015年06月14日

◆村山、河野両氏の善意と真実の勘違い

阿比留 瑠比



日本人の名誉を傷つけているのは、どっち?

村山富市元首相と河野洋平元官房長官が9日、日本記者クラブで行った対談と質疑応答にはあっけにとられた。日本記者クラブから色紙への揮毫(きごう)を求められた河野氏は、あろうことかこう書いたのである。

「真実」

平成5年8月、証拠資料も信頼に足る証言もないまま、慰安婦募集の強制性を認める「河野談話」を発表した当人が河野氏だ。

河野氏はメディアのインタビューなどで、河野談話の根拠は韓国人元慰安婦16 人への聞き取り調査だと強調していたが、実は聞き取り調査の前に談話の原案が作成されていたことが判明している。

しかも、聞き取り調査の実態はアリバイづくりのための「儀式」(外務省内部文書)だった。

河野氏はまた、河野談話の趣旨・文言をめぐって韓国政府との間で事前にすり合わせが行われたことを否定し続けていた。だが、実際のところ談話は、大幅に韓国側の要求を取り入れた合作であったことも明らかになっている。

にもかかわらず、河野氏は色紙に「真実」と記し、その理由について「ジャーナリストの仕事は真実を追求すること」と前置きした上でこう説明した。

「とにかくまず最初は事実を認めることが大事。真実、事実を認めることからやらなきゃダメだ。一つ細かいことを持ってきて、だからなかったんじゃないかと言って否定する。

よそでもやっているからいいじゃないか、と言わんばかりの言い方をする。こんなことが、どのくらい日本人の名誉を傷つけているか。私は非常に怒っている」

ほとんど悪い冗談のようなセリフだ。事実関係を軽視し、旧日本軍や官憲がやってもいないことを浅薄な政治判断で認め、現在まで日本人の名誉をおとしめ続けてきた河野談話の当事者が河野氏なのである。天につばするとはこのことだ。

自国民より特定近隣国の要望を優先させてきたかのようにみえる河野氏は、自らの独善的で軽薄な言動にどれだけ多くの日本人が非常に怒っているか、まだ分からないのだろうか。

小泉純一郎政権当時、外務省チャイナスクール(中国語研修組)のある幹部から聞いた次のような河野氏の評価を思い出す。

「河野さんと加藤紘一さん(河野氏の前任の官房長官)はライバルであり、どちらがより親中派かでも競い合っている。だから、加藤さんが訪中すると、すぐに河野さんも訪中して、ともに靖国神社参拝などで小泉政権を批判する。

中国は便利だから彼らを厚遇するけど、本心ではわざわざ外国に来て自国をけなす彼らのことを軽蔑している」

一方、村山氏は対談後、色紙に「思いに邪(よこしま)なし」としたため、こう語った。

「私の気持ちに邪なものはありません。まっすぐです。(河野氏の)『真実』と同じですよ、表現が違うだけで」

両氏とも、自身を「善意の人」と認識しているのだろう。とはいえ、ドイツの政治家で社会学者のマックス・ウェーバーは有名な講演録『職業としての政治』の中でこう語っている。

「善からは善のみが、悪からは悪のみが生まれるというのは、人間の行為にとって決して真実ではなく、しばしばその逆が真実であること。(中略)これが見抜けないような人間は、政治のイロハもわきまえない未熟児である」

両氏には、もう少し年齢相応に振る舞ってほしいと願う。
(政治部編集委員)
産経ニュース【阿比留瑠比の極言御免】2015.6.11

◆ノーベル平和賞に値する快挙では?

宮崎 正弘
 

<平成27年(2015)6月12日(金曜日)通算第4573号 > 

 〜インド、バングラデシュの飛び地交換、領土係争が解決
  これはノーベル平和賞に値する快挙ではないのか?〜

インドのモディ首相は6月6日、ダッカへ飛んで、バングラデシュのハシナ首相との話し合いにより、両国国境付近で複雑に入り組んだ飛び地の交換で合意に達した。
 
これはバングラデシュ国内にある111ケ所ものインドの飛び地(1万7160エーカー)と、インド国内にある51ヶ所のバングラの飛び地(7110エーカー)を交換し合い、長年の領土係争に画期的ともいえる平和解決となった。

「飛び地」だけならまだしも、飛び地の中に飛び地、そのなかにまた飛び地があり、警察も行き亘らず、行政の末端が機能しないため電線も敷設されず、狭い田畑にほそぼそと農業、あるいは山賊、ケシ栽培などで生計を立ててきたと言われる。

飛び地はクチビハール王国とムガール帝国軍との武力衝突の結果、置き去りにされてきた問題で、飛び地に合計50,000余が無国籍状態で暮らしてきた。当該国の行政サービルを得られず、棄民同様の扱いをうけてきたが、今後は相手国の国籍を取得するか、移住して自国の国籍を選べる。

この交渉はバングラ独立直後から延々と続けられてきた。

2011年に基本的合意がなされたものの、当時野党だったBJP(人民党)の反対で批准されずに、今日に到った。

モディ人気の圧勝によって与党となったBJPの党首がモディ首相であり、批准に必要な憲法改正を議会に提案、五月に承認された。これを土産にモディはダッカを訪問し、正式な合意となった。
     

◆米国のアジア政策見直し(2)

Andy Chang



米国のアジア政策見直しとはアメリカが中国に強い態度を取るようになったこと、同時に日本重視、台湾重視と南シナ海への介入である。特に台湾問題でこれまでの態度を変えたのは良いことだ。

過去2か月の間に起きた台湾関連のニュースを拾ってみると米国の台湾に対する変化がわかる。(1)朱立倫の訪中と台湾民間の強烈な反対、(2)中台関係が中国拒否になった、(3)米国在台協会(AIT)主席・薄瑞光(Raymond Burghardt)の台湾訪問、(4)蔡英文・民進党党首の訪米で米国側の破格な歓待、(5)オバマの「アメリカは南シナ海の領有権を持っていない」発言。

これらの台湾で起きた一連の事件に前の記事(No.544)で書いた、シャングリラ・ダイアローグとG7首脳合同発表を合わせれば米国のアジア政策見直しが見えてくる。

●過去2か月に台湾で起きたこと

5月4日、国民党の党首で新北市長でもある朱立倫は中国を訪問して習近平と会見したが、この会見で習近平が「92年共識(中国は一つというコンセンサス)」が中国と台湾双方の平和の基礎であると強調したのに対し、朱立倫はコンセンサスを認めると言わず、代わり
に「両岸同属一中(台湾と中国は同じく中国に属する)」と述べた。台湾は中国の領土であると発言したにも等しい。

これが報道されると台湾人民は激しく反撥し、朱立倫は台湾を売ったと批判された。朱立倫は「一つの中国とは中華民国のことだ」と弁解して嘲笑を買った。朱立倫の人望はガタ落ちとなり、国民党の三大政治人物から脱落した。中国の恫喝は人民の反感を強め、台湾
では反中国と反外省人の声が高くなり、国民党は次の選挙で大敗するかもしれない。

5月10日にRaymond Burghardt(薄瑞光)米国在台協会主席が慌てて台湾に飛んできて馬英九と会談した。国民党党首が中国を訪問して習近平と会談をしたらアメリカは中国と中華民国にどんな(公開、非公開の)約束があったのか知りたがるのは当然である。だが彼はこの訪問で国民党側の公式説明を聞くだけでなく、台湾人民の総意が[NO CHINA]になったことを確認したと言える。

国民党は総統選挙に候補者を出せないでもたもたしている。中国政策も反対が強烈だから、Raymond Burghardtはこの時点で「国民党に見切りをつけた」のではないか。2012年の総統選挙にDouglas Paalを派遣して馬英九を支持した時とは大違いである。

Raymond Burghardtのもう一つの任務は、月末に米国を訪問する予定の民進党の党首・蔡英文とスケジュールの打合せだった。蔡英文のほかにも民間の有名人物に会ったと言われている。

●蔡英文の米国訪問

5月末から12日間の米国訪問に出発した蔡英文は、6月2日ワシントンで公式訪問を始め、参議院の軍事委員会主席John McCain、民主党議員のJack ReedとDan Sullivan などと会見した。蔡英文はこの後すぐAIT主任Raymond Burghardtの案内で米国貿易代表と会談した。

続いて3日にはホワイトハウスで米国国家安全会議を訪問し、4日には国務省でアントニー・ブリンケン国務副長官らと面会した。近年における台湾の総統候補者として、最も高いレベルの礼遇を受けた。このほか蔡英文は3日にアメリカのシンクタンクCSISにおいて
Kurt Campbellの主催で台湾問題について講演をした。

アメリカが1978年に中華民国と断交して以来、台湾の政治家がワシントンを訪問しても国会やホワイトハウスに招待されたことはなかった。蔡英文は野党の党首で総統選挙の候補者が、今回のワシントン訪問で破格な待遇を受けたのである。つまり米国は国民党に見切
りをつけた、少なくとも来年は民進党が政権を取るだろうと予測したのだ。これは重要な政策変更である。

●オバマの「南シナ海の領土主権否定」

6月1日、オバマ大統領はホワイトハウスでASEAN諸国の青年代表らと会見した際に、南シナ海における中国の勝手な岩礁埋め立てについて「もしも中国の主張が合法なら諸国はこれを認める。しかし肘で他人を押し退けるような行為で合法性を主張することはできな
い」と発言して中国の強引な領土主張を退けた。

その次にオバマは「アメリカは領土争議の片方ではなく、南シナ海の領土主権も持たない。しかしアジア太平洋の一国として、国際間の意見の相違は国際標準に従い、外交手段で平和に解決すべきで、これはアメリカにも利害関係のあることである」と述べた。

オバマは「アメリカは南シナ海(そして台湾澎湖)の領土主権を持たない」という非常に重要な発言をしたのである。日本はサンフランシスコ平和条約(SFPT)の第2条bで台湾澎湖の主権を放棄したが、同時に第2条fで新南群島(パラセルとスプラトリー群島)の
主権も放棄した。しかし日本が放棄した領土の主権は明らかにされなかった。

放棄された領土の主権が明確でないため、台湾の台湾民政府(TCG)と米国台湾政府(USTG)のグループは、SFPT第23条に主要占領国アメリカと書いてあるからアメリカは台湾の占領権を持つ」と勝手に解釈して宣伝(主張)していた。

アメリカが領土主権を明確にしなかったから根拠のない主張ができたのである。だがオバマは「米国は南シナ海(そして台湾澎湖)の占領権を持っていない」と発言した。つまり「台湾民政府(TCG)と米国台湾政府(USTG)の主張には根拠がない」ことが明らかになったのである。

●「現状維持」とは緩やかな変遷

これまで米国のアジア政策は「現状維持」だけだった。つまり中国とイザコザを起こしたくないから、横暴な中国の領土拡張や武力恫喝に対し日本、台湾、東南亜諸国に我慢を要求してきたのである。米国のアジア政策見直しとは「我慢にも限度がある」ということだ。

米国が台湾の國民黨を支持してきた理由は、国民党は台湾独立をしない、民進党が独立主張をすれば中国が武力で恫喝する、だから米国は民進党を支持せず「現状維持」を押し付けてきたのだ。それが今回の蔡英文の訪米で米国の態度がガラリと変わった、国民党を見
切り、民進党支持に回ったのだ。

米国は民進党が政権を取っても独立宣言はしないとわかった。それより國民黨の統一路線と中国の南シナ海の領土拡張のほうが危険で中国の台湾併呑はアジアで戦争が起きる。中国の急激な侵略を防ぎ、東南アジア諸国と連携して現状の緩やかな変遷で中国を抑え込む、
これが米国のアジア政策見直しの要点である。
                (在米台湾人地球物理学者)

             

◆まるで「内ゲバ」残虐事件

宮嶋 茂樹



法令守り「日本 国」に敬意払うんならええけどな…

兵庫県西宮市で起きた韓国人留学生殺人事件の犯人が捕まった。被害者と同居しとった同じ韓国人の男女や。何のことはない。韓国人同士の“内ゲバ”やな いか。被害者は内臓まで破裂しとったというから壮絶なリンチでも受けとったん か。

その残虐性からみても、日本人の理解を超えた事件である。被害者が若い女性の留学生ということもあって、韓国政府は「厳正な捜査を」とわざわざネジ込んできた が、被害者が韓国人やろうが、中国人やろうが、わが国の警察はちゃんと捜査する。法 令より政治、「反日」が優先する国とはちゃうで。

東京じゃ、中国人留学生が韓国人一家を襲い、父親を殺した上、包丁を振り回して娘を追いかけ回すという凶悪事件もあった。日本はいつの間に上海並みの 治安の悪さに陥ったんや。

日本は世界でも例をみない、若い女性が夜道を1人で歩け るほど安全な国やなかったんか。最近はビザの要件緩和したせいか、どこの街、百貨店でも“爆買いツアー”の中国人観光客であふれとる。日本の資本家は「これで景気 回復や」と喜んどるけど、モラルやマナーの問題は、ホンマに大丈夫か?

いやエエんやで、韓国人や中国人が日本に来ても、住んでも。日本の伝統文化を愛し、皇室や日の丸にも敬意を払い、わが国で税金を払いちゃーんと法 令、ルールを守るんならな。帰化しても日本国籍はただの便宜上のことで、国際社会で 信頼度バツグンの菊の御紋がついたパスポート持ちながら、皇室を愚弄したり、日の 丸踏みつけたりするヤツらはアカン。

ドイツは移民にドイツ語などの受講を義務づけ、修了試験を課すという。それに合格せんと移住を認めんのである。それが、わが国じゃ、帰化するのも、ク レジットカードの審査並みに簡単や。

そういやぁ、日本語もろくに話せん中国人を 帰化させて難しい大型バスの免許まで与え、揚げ句の果てに大事故を起こしたことも あったな。

ところで、逆に韓国に帰化した日本人ってどれぐらいおるんやろ? 韓 流スター大好きの日本人おばさんらが帰化したという話も聞かんな。

                  ◇              
     

【プロフィル】宮嶋茂樹 みやじま・しげき

カメラマン。1961年、兵庫県出身。日大芸術学部 卒。写真週刊誌を経てフリーに。東京拘置所収監中の麻原彰晃死刑囚や、北朝鮮の金正 日総書記をとらえたスクープ写真を連発。写真集に男女の若き海上自衛官を撮った 「国防男子」「国防女子」。

【宮嶋茂樹の直球&曲球】2015.6.11
               (採録:松本市 久保田 康文さん)

     

◆中共をいかに抑さえ込むか

平井 修一


渡部悦和・前陸上自衛隊東部方面総監の論考「南沙諸島埋め立て・軍事基地化断行に迷いなし 2015年版『中国の軍事戦略』」から見えてくる中国の狙い」(JBプレス6/8)から。

<中国の人工島建設にいかに対処すべきか

*今後の中国の活動

中国のスプラトリー諸島における人工島の建設の背景には、「中国の軍事戦略」で記述されている「中華民族の偉大なる復興」がある。人工島の建設は、(東シナ海及び南シナ海での局地的な戦闘での勝利を含む)「局地戦争の勝利」を確実なものにするための「軍事闘争の準備(PMS)」の一環であると筆者(渡部)は分析する。

今後、米国や日本の反対にもかかわらず中国は人工島の建設を中止しないであろう。なぜならば、人工島の建設は、「局地戦争の勝利」にとって不可欠だと中国が認識しているからである。

人工島には滑走路、港、軍のISR(情報・監視・偵察)施設、人員の宿泊施設などが建設され、近い将来に軍用機、軍艦、対空兵器、対艦兵器などが配置され、軍による監視・偵察活動が実施されるであろう。

そして、人工島を中心として防空識別圏(ADIZ)を設定する可能性があり、領土・領海・領空の主張を繰り返すことになるであろう。

そして、中国の最終的な目標は、南シナ海や東シナ海から米国を締め出し、同地域の覇権を握ることであろう。

*米国などの対処のあるべき姿

このような中国の活動に対して、米国などはいかなる対処をすべきであろうか。まず、中国の無法な活動に対して警告を発し続けることが必要である。幸いにも米国の要人は、今回の埋め立てに対しては危機感をもって中国に警告を発している。

米国のバイデン副大統領は、5月22日、海軍士官学校の卒業式で演説し、「アジア太平洋地域において緊張が高まっている。米国のアジア重視戦略は、米国の存在を示し続けることで可能となる。米国は、公平で平和的な紛争解決や航行の自由のためには、臆することなく立ち上がる」と海洋進出を強める中国を批判した。

カーター国防長官は、5月30日、「岩礁を飛行場に変えたからと言って、その国が領有権を持つわけではない。米国は国際法が認める範囲で飛行・航行を続ける。アジア太平洋地域の安定に米国の絶え間ない関与が求められていると痛感した」、「安倍政権は東南アジアへの関与を強めている。日米両国は東南アジア内外でさらに協力できる」と発言した。

また、米国防省のデビッド・シアー国防次官補は議会の公聴会で、「埋め立てによって2017年か2018年に飛行場が完成する。中国が南シナ海で実施している埋め立ては、周辺国が前線基地の軍事力を強化することになり、誤算による衝突などの危険性が増す」と批判し、「米軍による定期的なISRやフィリピンなどの同盟国や友好国との関係強化で対処する」と発言した。

また、中谷元防衛大臣も5月30日、アジア安全保障会議で演説し、「無法が放置されれば、秩序は破壊され平和と安定は壊れる。中国を含む各国がこのような責任ある立場で振る舞うことを期待する」と厳しく中国を批判した。

以上のような警告を今後とも粘り強く発し続けることが重要である。

警告に次いで人工島周辺における軍事的なプレゼンスを示し続けることが大切である。人工島周辺12海里の領海の主張を認めないことを艦艇の航行や哨戒機(P8Aなど)の飛行によりしつこく示すことが重要である。そして、人工島周辺で米軍を中心とする多国間演習を実施するなども有効であろう。

さらに、米国にとっては、カーター国防長官が表明したように、東南アジアの海洋安全保障にかかわる設備の増強を支援することや、フィリピンなどの同盟国や友好国に対する装備品の売却、海軍等の能力構築支援も有効であろう。

しかし、今回のような中国の無法な活動に対しては、何よりも米国の決意と覚悟が問われる。バイデン副大統領が言うように「臆することなく立ち上がる」を実践してもらいたいものである。

中国の台頭は平和的にではなく、強圧的になされるのである。このことを認識し、覚悟をもって中国に対峙することが不可欠である。

当然ながら関与戦略により中国が望ましい方向に変化すればベストであるが、関与戦略が失敗すれば、次に採用すべきはヘッジ戦略である。軍事力を含めた米国のパワーと日本をはじめとする米国の同盟国/友好国のパワーを結集して中国を封じ込める戦略が必要になってくる。

今までは中国のサラミ・スライス戦術になす術がなかったが、今回は中国に明確なイエローカードを突きつけなければいけない。決して宥和的な姿勢を示してはいけない。日本の海上交通路(SLOC)にとって南シナ海は不可欠な海である。我が国も国家の存立をかけ、米国に協力すべきである。

*結言

今回の「中国の軍事戦略」は、孫子の兵法などの有名な戦略を生み出してきた中国の軍事戦略としては、矛盾に満ち、本音と建て前が混在し、洗練されていない軍事戦略である。

しかしながら、局地戦争を勝利するという決意とその裏づけとしての最新兵器の開発・導入、宇宙やサイバー空間などあらゆる分野における優越の追及、軍事闘争準備(PMS)の強調などは侮れない。

アジアにおいて覇権国を目指す中国の悪しき影響力をいかにして封じ込めていくかが我が国をはじめとする関係国の喫緊の課題である。

リアリズムの立場に立てば、既存の覇権国である米国にバランス・オブ・パワーの主役として活躍してもらわざるを得ない。我が国も他の友好国などと連携しながら米国の対中政策に協力することが重要である。

そして何よりも我が国自身がアジア地域の大国として中国と覚悟を持った対応ができるように国力を養成することである。当然ながら日本経済の着実な成長を達成しなければいけないし、防衛態勢の強化も必要である。

その意味で現在国会で議論されている集団的自衛権を含む安全保障法制の整備は重要である。本質を離れた空虚な安保議論ではなく、我が国がこの厳しい環境下で如何にして生き残るかを真剣に議論してもらいたいものである。

建て前や単なる揚げ足取りだけのためにする議論は聞きたくもない。本質的な議論を期待したい。

中国、ロシア、北朝鮮の脅威を至当に判断すれば、我が国一国のみでこれらの諸国の脅威に対処することは難しい。特に核兵器を保有していない我が国にとって米国の拡大抑止(核の傘)に頼らざるを得ない。

米国を活用すること、日本防衛のため、アジアの平和と安定のために米国をこの地域に巻き込むことこそが求められているのである>(以上)

中共包囲へ米が逆襲し始めたのは大いに結構なことだが、冷戦にとどめるに越したことはない。孫子の説く最良の策「戦わずして勝つ」、中共との熱戦なくして日本とアジアの安全保障を獲得する道はあるのか。

国際関係アナリスト・北野幸伯氏の論考「AIIB後〜米国の逆襲で激変する日米中ロのパワーバランス」(ダイヤモンドオンライン6/8)から。

<「AIIB事件」で世界的に孤立した米国が、中国に逆襲をはじめている。一方、これまで「主敵」だったロシアとの和解に乗り出した。「尖閣国有化」以降、戦後最悪だった日中関係にも、変化がみられる。

*コロコロ変わり複雑! 大国間の関係は今、どうなっているのか?

「AIIB事件」以降、米国の対中戦略が大きく変わってきた。南シナ海における「埋め立て問題」で中国を激しく非難するようになったのだ。一方で、これまで最大の敵だったロシアとの和解に乗り出した。

対する中国政府は、日本からの訪中団を大歓迎し、「日中和解」を演出した。“昨日の敵は今日の友”を地で行くほどにコロコロ変わり、複雑にみえる大国間の関係。いったい今、世界で何が起こっているのだろうか?

2015年3月に起こった「AIIB事件」は、後に「歴史的」と呼ばれることになるだろう(あるいは、既にそう呼ばれている)。

3月12日、もっとも緊密な同盟国であるはずの英国は、米国の制止をふりきり、中国が主導する「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)への参加を決めた。その後、ドイツ、フランス、イタリア、オーストラリア、韓国、イスラエルなども続々と参加を表明し、米国に大きな衝撃を与えた。

この問題の本質は、「親米国家群が米国の命令を無視し、中国の誘いに乗ったこと」である。「誰もいうことを聞かない国」を、はたして「覇権国家」と呼ぶことができるだろうか?「AIIB事件」は、「米国の支配力衰退と、中国の影響力増大」を示す歴史的な出来事だったのだ。

しかし、米国は、あっさり覇権を手放すほど落ちぶれていない。

「米国は必ず『リベンジ』に動くだろう」。筆者はそう確信し、米国の過去の行動から予想される「リベンジ戦略」について書いた。そして米国は、はやくも予測通りの行動をとりはじめている。

*米国を信頼していいのか? 日本はどう動くべきなのか

中国の「日米分断作戦」は成功しつつあったが、「AIIB事件」と安倍総理の「希望の同盟」演説で、日米関係は逆に「とても良好」になってしまった。

では、今中国が日本に接近する理由はなんだろう? 実をいうと「日米分断戦略」は、今も変わっていない。中国はこれまで「反日プロパガンダ」で、日米分断をはかってきたが、挫折した。

では、「日中友好」を進めるとどうなるのだろう? 実は、これも「日米分断」になる。たとえば、日中関係は、民主党・鳩山−小沢時代にもっともよかった。その時、日米関係は「最悪」だったのである。

日本政府は、「反日統一共同戦線」戦略を常に忘れず、「中国が接近してくるのは『日米を分断するため』」ということを、はっきり認識しておく必要がある。

今、よほど鈍感な人でないかぎり、「米中関係が急に悪化してきた」ことに気がついている。そして、多くの「反米論者」は、日本が米国につくことに反対で、「米国はハシゴを外す!」と警告している。

彼らの主張は「日本が米国を信じて中国と争っていると、米国は、突然中国と和解し、日本は単独で中国と戦うハメになり、ひどい目に遭う」ということ。要するに米国は「日本と中国を戦わせ、自分だけ漁夫の利を得ようとする」というのだ。

これは「まっとうな指摘」と言わざるを得ない。われわれは、大国が「敵」と戦う戦略には、大きく2つあることを知っておく必要がある。

1.バランシング(直接均衡)…これは、たとえば米国自身が「主人公」になって、中国の脅威と戦うのである。

2.バックパッシング(責任転嫁)…これは、「他国と中国を戦わせる」のだ。もっとわかりやすくいえば、「米国は、日本と中国を戦わせる」のだ。

そして、事実をいえば、どんな大国でも「敵国と直接対決するより、他の国に戦わせたほうがいい(つまり、2のバックパッシングの方がいい)」と考える。リアリストの世界的権威ミアシャイマー・シカゴ大学教授は言う。

<事実、大国はバランシングよりも、バックパッシングの方を好む。なぜなら責任転嫁の方が、一般的に国防を「安上がり」にできるからだ>(大国政治の悲劇)

「米国が直接、中国と戦うより、日本に戦わせたほうが安上がり」。ひどい話だが、これが世界の現実である。

われわれは、「バックパッシング」の例を知っている。たとえば、03年の「バラ革命」で、親米反ロ政権ができたジョージア(旧名グルジア)。この小国は08年8月、ロシアと戦争し、大敗した。「アプハジア」「南オセチア」、2つの自治体を事実上失った(ロシアは、この2自治体を「独立国家」と承認した)。

もう1つの例は、ウクライナである。14年2月の革命で、親ロシア・ヤヌコビッチ政権が打倒され誕生した、親欧米・反ロ新政権。オバマ大統領は最近、CNNのインタビューで、ウクライナ革命が「米国の仲介で実現した」ことを認めた。

つまり、ウクライナは、米国に利用され、ロシアと戦うハメになったのだ。結果、ポロシェンコ政権はクリミアだけでなく、ドネツク州、ルガンスク州も事実上失ってしまった。これらの例から、日本は「米国に利用されること」には、常に敏感であるべきだ。

では、日本はどうふるまうべきなのか?「大原則」は2つである。

1.日本は、安倍総理の「米議会演説」路線で、ますます米国との関係を強化していくべきである。結局、日米同盟が強固であれば、中国は尖閣・沖縄を奪えないのだから。

2.しかし、中国を挑発したり、過度の批判はしない。これは「バックパッシング」、つまり米国にハシゴを外され、(米国抜きの)「日中戦争」になるのを防ぐためである。

中国を批判する際は、「米国の言葉を繰り返す」程度にとどめよう。日本は、米国に利用されたグルジアやウクライナ、中国に利用されている韓国のような立場に陥ってはならない。

日本が目指すのは、あくまで「米国を中心とする中国包囲網」の形成である。だから、米国が先頭に立って中国の「南シナ海埋め立て」を非難している現状は、日本にとって、とても良いのだ(もちろん、油断は禁物だが)>(以上)

なるほど、戦争は冷静になった方が勝ちだ。ウィキによれば北野氏はモスクワ国際関係大学国際関係学部卒。メールマガジン『RPE(ロシア政治経済ジャーナル)』創刊者、モスクワ在住。

氏は「外交」とは金儲けであり、安全を保障する手段である、すなわち外交における「国益」とは「金儲けと自国の安全確保」であると主張している。まことに真理だ。

中共は建国100年の2049年までに世界最大の大国を目指す「100年マラソン」戦略を進めているが、これが実現すれば現代版「悪の帝国」により世界中から自由・民主・人権・法治が一掃、抹殺されるだろう。地球は暗黒の星になってしまう。

日本は中共叩きの追い風を受けて一気に占領憲法を置いてけ堀にし、米および周辺諸国と協力して中共を封じ込め、軍事的秩序破壊を許さない「自由のための長城作戦」を進めるべきだ。

これが日本の国益であり、ロシアを除く世界の諸国の国益でもある。地球を希望の星、八紘一宇の星にする、それを「希望の同盟」の友邦諸国と力を合わせて牽引していく。

明治帝御製――

四方の海 みな同朋(はらから)と思う世に など波風の立ちさわぐらん

悪の帝国を政治的・軍事的に封じ込めることになれば、彼らは徐々に自壊していくだろう。やがてはいくつかの国に分裂するはずだ。八百万の神と英霊が我らの聖戦を見守ってくださるだろう。大東亜解放戦争の第二幕へ、イザ!(2015/6/13)

2015年06月13日

◆韓国は日米と歩むほか道はない

古田 博司



朝鮮半島の地政学的な位置と、民族の行動パターンを前提にすれば、次のようにコリアが辿(たど)った歴史をつなぐことができるだろう。

 ≪コリアとシナの隣国関係≫

現代朝鮮の南北分断が史上初と思っている人がいるが、そうではない。

1231年から約30年にわたるモンゴルの侵入で、多数の高麗人が満州の遼陽と瀋陽へと拉致されてコロニーを作り、北緯39度線以北に遼陽行省が置かれた。これが初の南北分断である。

高麗人たちは、王侯貴族から民衆に至るまで双方に親戚をもち、自由交易をしたために、一次産品しか売るもののない高麗は12世紀からは国内銀に手を出し、14世紀後半には銀を掘りつくしてしまう。そして飢餓輸出の国になってしまった。

コリアがシナに挑戦するより服従を選んだと思っている人がいるが、これもそうではない。古代先進技術国に極貧国が隣り合わせたというのが真実だ。シナとしては相手にならないから放っておく。攻める必要もない。

コリアを攻めてくるのは決まって、満州から南下する北方民族か、海から上がってくる日本民族かのどちらかである。そしてまず土地が平坦(へいたん)で外敵を防ぐことのできない廊下のような地形の西側を攻略する。

こうしないとシナとコリアで挟み撃ちにあうので先にコリアを占領した。コリアは極貧国なので、技術品や工芸品をつくることもできなかった。

コリアの針では衣に穴が開いてしまうからシナの針を使った方がよい。朝鮮古典文学の特徴は「朝鮮の不在」だった。

シナが舞台でシナ人が主人公、それで漢文ならばシナの古典文学を読んだ方が楽しい。だから文芸も発達しなかった。無理もない。隣が完成されすぎていた。満州の北方民族などは鋤(すき)や鎌すら作れない。シナに朝貢に行ったり、略奪すれば手に入るので作る気がなかった。

シナの文明を恋い慕って朝貢に行くと思っている人がいるが、これもそうではない。高価なものをもらいに行くのである。ついでに都の宿泊所でシナ商人を呼んで買い物をする。あるいは町に出て市場で買い物する。朝貢とは物もらいとショッピングであり、そのために商人が200人とか300人で従いていく。

 ≪防衛経済選んだ李朝と北朝鮮≫

さてここからが李朝である。李朝ではモンゴル時代の支配からコリアンはほとんどモンゴル人になってしまっていた。なにしろ第30代高麗国王のミスキャブドルジを毒殺したのが、第31代の高麗国王バヤンテムルなのだ。何が何やら分からぬモンゴル名の王は漢文では忠定王と恭愍王のことである。

そして民衆も強制されることなく弁髪になってしまっていた。自由交易をすると格差のありすぎるコリアは飢餓輸出国になってしまうし、シナ地域の末端に経済的につながれて宗主国人に容易に同化されてしまう。

李朝の開祖、李成桂の父がモンゴルの千戸長だったのと、朴槿恵大統領の父の朴正煕氏が満州国軍の将校、高木正雄だったのは相似なのである。

モンゴルの政治的・経済的支配にこりた李朝では、まず国境を閉じて自由交易を禁じた。民間商業を抑圧し、特権商人だけに支配階級御用の商売を許した。自由経済をやめて防衛経済に転じたのだ。この特権商人たちが、対馬交易や朝貢ショッピングをするのである。これが現代の北朝鮮の39号室配下の貿易商社と相似なのだ。

支配階級のためにクルーザーからお茶漬けまで買いつける。李朝の特権商人の方は北京の瑠璃廠(るりしょう)で硯(すずり)を買い、隆福寺の定期市で絹織物を買いつけたのであった。

だが一方で民間は貧窮に閉ざされてしまう。李朝と北朝鮮は防衛経済を選んだがゆえに、巨大なシナ経済圏からは自立できたが、国は貧しく、このため朱子学と主体思想が、自律性を守る武器となった。(4/4ページ)
PR
 ≪自由経済と自律性の並立≫

逆に自由経済を選ぶと、巨大な宗主国経済の末端につながれて自律性を失う。高麗と日本統治時代がこれである。後者は幸い資本主義時代だったので、朝鮮に産業が生まれ、飢餓輸出は過去のものとなった。

年平均3・7%の経済成長を遂げた。だがコリアンは日本人になってしまった。統治最後の5年間の皇民化政策であれほど同化されるわけがないのである。

ここまでで、今の韓国がいかに特異か分かるだろう。自由経済と自律性を並立しているコリアは韓国以外にないのである。それを可能にしたのが38度線で島化し、地政学上の「行き止まりの廊下」から解放されたこと。

第二点は、米韓相互防衛条約で軍事的に守られたこと。第三点は、日韓基本条約とその付随協定により、日本資産の返還請求から解放され有償無償の経済援助を得たことであった。

その韓国で現在、反日が激化しているのはもっと自律性がほしいせいか。ならば、南北統一して防衛経済に入る以外に道はないのである。逆に自由経済が低調ならば、中国経済の末端に連なり同化されるという道があるが、中国人が嫌がるかもしれない。

結局、偽史を正し、日米と歩む以外に韓国自律の道はないのだ。

(ふるた ひろし 筑波大学大学院教授)

産経ニュース【正論】2015.6.9 05:01更新
 

◆「権力闘争」ここでいったん休戦へ

宮崎 正弘 

 
<平成27年(2015)6月12日(金曜日)弐通算第4574号 > 

 〜周永康に「無期懲役」判決。そして名門監獄「秦城」に収監
  どうやら反腐敗という名の「権力闘争」、ここでいったん休戦へ〜

6月11 日、新華社が突如、周永康の判決を報じた。非公開の裁判だっ たから、いきなりの無機懲役報道に驚いた人が多い。

司法、公安、検察をおさえ、暗黒街に君臨した「政法王」=周永康は「石油」利権を牛耳り、その一族は天文学的金額の私腹を肥やした。まさに中国に於ける長谷川平蔵は石川五右衛門と同一人物だったのだ。

権勢を奢った面影はなく、白髪となり、落剥の様子で裁判所(天津第一中級人民法院=地裁に該当)にあらわれた周永康は「無期懲役、財産没収」という判決に不服を申し立てず、上訴はしない、とした。

収監される秦城監獄は「名門」の監獄である。これで1949年以来初めて、共産党トップ(常務委員)に実刑が下されることとなった。

それにしても、裁判を北京で開かず、天津へわざわざ裁きの場を移したのも、マスコミの目を避け、反対派の巻き返しを雲散霧消させる目的がある。

薄煕来の裁判も、北京から遠く、山東省で行ったように。

さて残る「大虎」は江沢民、曽慶紅、李鵬らだが、習近平、王岐山コンビの反腐敗キャンペーンは、おそらくここでいったん休戦となるだろう。

王岐山その人にスキャンダルが浮上し、米国の新聞が騒ぎ始めたことも影響しているが、相次ぐ幹部の失脚に党内がささくれ立った雰囲気となり、自分たちが党内で浮き上がった存在になったことに気がついたからだ。

第一に江沢民一派の巻き返しが凄まじく、第二に軍には不満が蔓延していること、第三に団派が習近平との連立政権に、距離をおきはじめ、つぎに行動を起こす可能性が高まっているからである。


 ▲団派も巻き返しへ次の行動をとるだろう

団派は第18回党大会での惨敗からしばし立ち上がれなかった。という のもトップセブン入りを予想されていた王洋と李源潮が政治局員にとどまり、常務委員には上海派の張徳江、劉雲山、張高麗、愈正声の四人が滑り込んで、団派からは李克強ただひとりだった。

そのうえAIIB、BRICS、シルクロードという3つの大プロジェクトの所管を李克強首相の所管から外した。

団派のライジングスターだった令計画の失脚に対する恨みも消えていない。

とりわけ王洋は首相候補にあがるほどの実力を示したが、しばらくなりを潜めたのち、米国との戦略対話で中国側を代表することとなり、なんと昨年米国での対話では「われわれはアメリカの決めたルールに従う」と表明し、露骨に習近平路線と反対の立場を露わにした(22日から次の米中戦略対話が開催される)。

他方、暗殺、クーデターを懼れる習近平は首都の北京を守る軍と武装警察のトップを交代させ、中南海を護衛するボディガードをがっしりと固めた(詳しくは拙論『ボイス』今月号を参照)。

すでに江沢民、曽慶紅ならびに李鵬系列の旧側近らを拘束し、さらには彼らの影響力が強い国有企業幹部も取り調べを行っている。この過程で江沢民の息子が国有機関の役職(上海科学院副理事長)から降ろされていたことも判明した。

11日に、もうひとつ分かったことがある。

李鵬が握ったのは電力利権で、娘の李少琳が国有「中国電力投資集団」「中国電力国際発展公司」「中国電力新能源発展公司」のボスの座にどっかと胡座をかき、2011年には「アジアで影響力をもつビジネスウーマ ン」にも撰ばれたのだった。

新幹線車両などをつくる中国北車と南車が統合・合併するように、産業の再編過程において前述「中国電力投資集団」と「新能源発展」が合併する。ところが、この新会社の役員名簿に李少琳の名前がないことが分かった。

つまり習近平・王岐山コンビは、こうした搦め手という老獪狡猾な方法で、守旧派、上海派の政治的影響力を低減させて、事実上、コーナーへ追い込む作戦に傾いており、よって、当面のところ、どろどろとして血みどろの権力闘争は休戦にはいると見られるのである。
   

◆ウエアーハウザー・カンパニー

前田 正晶



私が19年間在籍し、1994年1月末で引退したアメリカの会社はWeyerhaeuser Company 「ウエアーハウザー・カンパニー」です。

アメリカでは紙パルプ・林産物メーカーとしては売上高で第2位で、全世界でも往年は5位と下がったことはなかったでしょう。元はと言えば木材会社で、そこから木材チップ、パルプ、紙、段ボール箱等への縦の多角化を図った会社です。

93年までは売上高で約1兆2千億円(と言っても為替次第で変動します)、従業員は4万5人。その後は一族以外のCEOがM&Aを繰り返して2兆2千億円の売上高で5万8千名の会社にしました。東京にも私の在籍時でも最大で60人はいましたし、売上高も紙パと木材製品で1,500億円はあったでしょうか。

しかし、ITC化の普及で紙というか印刷媒体の衰退で洋紙、パルプ、段ボール原紙と箱等の事業から徐々に撤退し、今や9千億円で1万5千名程度の規模に縮小。これは全米の紙パルプメーカー大手に共通の悲しい衰退現象です。

世界最大を誇るInternational Paperの如きはアメリカ市場を2000年代に入るや完全に見切って、Bricsに集中しています。しかし、それでも最盛期と同じ2兆5〜6千億円の売上高を維持しているのは立派でしょうか。勿論、IPは中国には合弁事業を幾つか持っているようで。

Weyerhaeuserの本社はワシントン州フェデラル・ウエー市にあります。本社ビルはアメリカ建築学会賞に輝く絢爛豪華な5階の建物ですが、悲しいかな縮小した経営規模では維持出来ないとかで、来年にはシアトル市内の貸しビルに移転するとか。その絢爛たる本社の写真は佐藤隆一さんが持っておられます。

こうして上から見るともう少しわかりやすいかと。
[cid:image004.jpg@01D0A519.37E98280]
http://si.wsj.net/public/resources/images/BN-IE733_0501WE_J_20150501010910.jpg

佐藤隆一拝

同社の写真です。
[cid:image001.jpg@01D0A387.B6F29CD0]
http://www.som.com/FILE/16773/weyerhaeusercorporateheadquarters_1575x900_ezarastoller_esto_01jpg.jpg?h=800&s=17

[cid:image002.jpg@01D0A387.B6F29CD0]
http://www.som.com/FILE/16771/weyerhaeusercorporateheadquarters_1575x900_ezarastoller_esto_04jpg.jpg?h=800&s=17
[cid:image003.jpg@01D0A387.B6F29CD0]
http://www.pwpla.com/sites/pwp/images/2208/pWeyerhaeuser_00206.jpg

佐藤隆一拝

<創立は1900年で、ドイツからの移民が興した会社です。Weyerhaeuserとい う名字は屡々ユダヤ系と間違われますが、一族はプロテスタントの信者で す、念のため>。