2015年06月05日

◆私の「身辺雑記」(227)

平井 修一



■6月2日(火)、朝は室温25.5度、快晴、フル散歩。

夕べは有事発生、間もなく4歳になる男児発熱で集団的子育て発動。5時ごろに連絡を受けたが、作り始めた2人前の1合ご飯と料理(エビコロッケ)を5人前にはできないので、予備兵の弁当用冷凍コロッケも動員してどうにか間に合わせた。完売したので、小生は卵かけごはん。ヂイヂは粗食で十分。

男児は食欲はあまりないが、2歳女児と大騒ぎし、小生は手作りの耳栓で専守防衛していたが、長女が「サイレンシア」という耳栓をくれ、指導に従って装着したら、もうびっくり。「そうりゅう」型潜水艦もかくやという無音の世界、水中にいる気分だ。能書きにはこうあった。

<古来人類は大きな「音」にさらされない生活をしていました。大きな「音」は大災害や猛獣の出現など、大きな「危険」を伴うものだったため、人間の脳は大きな「音」=騒音を危機と感知するための信号として認識します。その結果、騒音にさらされた脳は、危機から身を守る防御態勢をとるため大きなストレスを感じます。

騒音が知らず知らず現代人にストレスをもたらしています。サイレンシアでシンプルリラックス。普段からお使いになるだけでなく、ゆっくり休みたい休日の前など、夜寝る時にお使いになれば体が芯から休まって、疲れもすっきりリフレッシュ>

なるほど。中韓を黙らせないとストレスがたまるということだ。

騒音の激しい現場、つまり南シナ海の戦場などで働く人のためのプロ向け製品もあるそうだ。厚労省によると騒音による難聴は労災保険の対象だが、治療法がない、従って休業補償がない。離職してから難聴の認定(=仕事により難聴になった)を受けて障害補償金を受け取るのだという。

ところでわが軍将兵が背嚢に携行する緊急医療品(ガーゼや止血剤など)は実戦を想定していないのでオソマツだという。戦死、戦傷の備えは大丈夫なのか。

今日は皆が帰ってくるまで男児を預かる。松岡洋右のように実によくしゃべり、小生は難聴になりそうだが、やがて元気なルンバと遊んでくれ、疲れたのだろう、そのままコテッと寝た。あまり手間がかからないので助かった。

ネットでは今日も興味津々のネタが多かった。日本製の背嚢の話、東洋経済6/2「海外セレブも愛用!ランドセルの意外な魅力 外国人記者が見た不思議の国ニッポン」から。

<円安などの影響で日本への観光客が増えているほか、世界的にも日本の食やカルチャーへの関心が高まっている。日本人にとって「当たり前」の文化や生活習慣、流行はときに、外国人によって別のトレンドに生まれ変わる。今の日本は外国人からどのように映るのか。英ロンドン発のシティガイド「Time Out Tokyo」の外国人記者レポートする。

             ・・・

セレブたちの背中を彩る最新のトレンドの発祥となったのは、ファッションショーのステージではなく日本の小学校だ。そう、どこにでもあるランドセルが、今や小学校を卒業した人々にとっての憧れのアイテムなのである。

ランドセルは本来、重い教科書を持ち運ぶために子どもたちが背負う実用品だが、今ではどうやらファッション通にとってのマストアイテムとなっているらしい。

ハリウッド女優・歌手であるズーイー・デシャネルが赤いランドセルを愛用しているだけでなく、ファッションに敏感な外国人男性が背負っている姿もファッションブログなどで見かけられる。

ズーイーがニューヨークで真っ赤なランドセルを背負っている姿を目撃されるよりずっと前、日本の少女たちはフリルのついたスカートとランドセルを絶妙に組み合わせて、原宿の通りを歩いていた。

自然な流れとして、日本の流行はすぐに海を渡ることになり、ランドセルは今や(映像投稿サイトの)「Pinterest」や「Instagram」の世界で定番となった>(以上)

ネットの普及で世界は非常に狭く/近くなり、ほとんどタイムラグなしに情報は世界中に拡散される。それ以前はマスコミが教会のように君臨し、マスコミ産業にとって都合のいい情報だけを“下賜”していた。この上意下達(じょういかたつ)の構図はネットの突破によりとっくに壊れた。

今は百家争鳴だ。この「世界文化大革命」は既成秩序、既得権益、価値観、常識的なるもの、不正、不合理を破壊するパワーを持っている。新しい平和な秩序を創造できるのか、それとも破壊→創造→破壊→創造を繰り返すのだろうか。

ネットは玉石混交ながら多様な情報をもたらした。アラブの冬、IS、サイバー攻撃、炎上という動きもネットから生まれた。

世界はこれからどんなことを経験するのか、既往の延長ではなさそうだ。先が読みにくい不確実な時代、不安定な時代、一寸先は闇という時代なのかもしれない。

南シナ海の波高し。我々は最悪の事態に備えていかなければならない。最悪のエボラ中共菌は天然痘のように地球から絶滅すべきだ。

夕刻、2歳女児合流。兄ちゃんから風邪をもらって微熱、胃腸が機能不全。飲食するとゲボる。長女やカミサンにしがみつきながらゲボるから、皆ゲロだらけ。シャワーできれいにしてようやく寝床へ連れていったら、ここでもゲボ。布団カバー、タオルケット、シーツなど甚大な被害。夜中に洗濯機3回まわし、干し終えたのは零時過ぎだった。

育児の現場を知らないと「ママさんも外で大いに働け」との妄言になる。育児と外職は両立しない。外職女性、キャリアウーマンで有名な先達は平塚雷鳥だろうが岡本かの子だろうが宮本百合子だろうが女中の「おしん」がいた。セレブは指示監督するだけで、現場の家事はしない。育児は乳母が担当した。

もしママさんを外職させたいのなら、1日最長(園児送迎、家事全般)10時間3000円/日、月20日間で6万円で老人を雇えるようにしたらいい。今の家政婦は1万5000円/日、月30万円だ。30万円の費用でママさんの月給が30万円。差し引きゼロ。バカバカしくて外職しない。家政婦は雇えない。

老人は「リタイアしたけれど社会貢献したい」と思っている人は多いだろう。社会貢献してお小遣いが得られるのなら女中/男中、シッターを志願する人も多いはずだ。「女性の社会進出」を促したいのなら家事育児にシニアを活用する――制度設計してさっさと始めるべし。保険会社をかませろ。

■6月3日(水)、朝は室温26度、小雨、散歩不可。

2歳女児は朝からゲボ連発。長女は休みを取って小児科へ連れて行った。今日一日は固形物は不可とのことで、土鍋で重湯を用意した。

トウ小平の指示「韜光養晦」(とうこうようかい)。才能や野心を隠して周囲を油断さて、力を蓄えていくという意味だが、習近平はパンダ=平和的台頭の着ぐるみを脱ぎ捨ててしまった。

なぜこういうバカなことをやったのかと永年考えていたが、「中国の国際秩序観と東アジア国際秩序をめぐる競争」(防衛研究所地域研究部アジア・アフリカ研究室研究員・山口信治氏の論考5/15)を読んでようやく分かった。

要はこういうことなのだ。

「わが国は後進国の弱者だった。しかし今では世界2位の経済力をつけ、軍事力も強大になった。今や米国に次ぐ大国だ。それなら世界はわが国にふさわしい態度、処遇で接すべきであり(華夷秩序、朝貢・冊封体制)、わが国も大国にふさわしく周辺一帯の土地と海を領土・領海とし支配下に置く。これこそが中華民族の栄光の復活、中国の夢だ」

気持ちは分からないでもないが、国際社会や国連では大国だろうが小国だろうが1票は1票。対等だ。ハイエナの着ぐるみを着て勝手に領土領海宣言し、岩礁に軍事基地を造る掟破りを容認するわけにはいかない。習近平は見事にドジって国際社会から孤立した。

「韜光養晦」は危険な国が世界を欺く手法のようである。「『祖国と距離を置き右傾化せよ』金正日氏が総連に下していた幻の極秘司令」(デイリーNK6/2)から。

<金正恩氏が5月25日、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の結成60周年に際し、「偉大な金正日同志の意を体して在日朝鮮人運動の新たな全盛期を開いていこう」と題した長文の書簡を送った。

こうした書簡は朝鮮総連内部で「労作」と呼ばれ、今後の運動の指針となる。

前回は1995年5月、朝鮮総連が結成40周年を迎えた際に、金正日氏から「在日朝鮮人運動を新たな高い段階へと発展させるために」と題した書簡が送られている。

もっとも、北朝鮮の最高指導者から朝鮮総連に下される指示は、このように公然と伝達されるものばかりではない。むしろ秘密裏に下される指示の方にこそ、指導者の「ホンネ」は込められている。

朝鮮半島問題専門の月刊誌『現代コリア』(2001年1・2月号)は、そんな「極秘司令」をすっぱ抜いている。「独占公開・1999年4月20日 金正日が徐萬述総連第1副議長に与えた教示」というのがそれだ。

タイトルの通り、徐第1副議長(後の議長・故人)に対して与えた指導なのだが、その内容は朝鮮総連の運動に大転換を迫るものだった。

《総連では同胞群衆との事業方法を決定的に改めねばなりません。在日同胞の中で祖国愛を発揚するには、総連が統一戦線組織という外皮を被る方が、朝鮮労働党の地区党であるとの印象を与えるよりいいでしょう。とくに世代交代が進んだため、新しい世代との事業方法を彼らに合わせるように転換すべきです。

今はあまりに原則一辺倒で脱線を恐れるので、同胞群衆が次々脱落してい
ます。

私たちは許宗萬責任副議長と若手たちが「改良主義」の外皮をまとって事業をしながら、内実を充たそうということです。

総連がこのように事業方法を転換すれば、祖国の諸々の機関が非難を浴びせるでしょう。それには聞こえないふりをして耐えなければなりません。私だけがトンム(同務=同志)たちを理解していればいいのです。

思想事業方法を敵区(日本)の実情に合わせ根本的に改めねばなりません。『朝鮮新報』の内容は日本の環境と同胞たちの要求に合わせちゃんと編集されていないばかりか、総連の新聞としての特色が生かされていません。

ゴーリキーの『母』という小説には革命という言葉はひと言もありませんが、読めば革命の必要性を感じるようになります。人々の感情と嗜好に合う話をして人々が自ら真理を見つけるようにしなければなりません。

総連は対外事業を自らの立地条件に合わせていかねばなりません。そうしてこそ朝日関係で総連の位置が明白になります。総連は祖国を代弁するだけでなく、祖国と日本をつなぐ掛け橋の役割を務めなければなりません。

祖国が日本に対して高圧的に出ると、総連まで同じようにするので日本人は気を許しません。われわれに近寄ろうにも近寄る術がありません。総連が日本当局にもっと接近し、彼らの心の内を探り出すこともひとつの闘争方法なのに、ただ頑強さを打ち出しているだけなので、そのような仕事がきちんとなされていません。

反動勢力とは正面から対決するばかりでなく、回り道することも知るべきです。今は対立すればするほど弾圧が激しくなり、その方法も狡猾になっています。

我々の目標は総連の群衆地盤の拡大です。「総連が事業方法を改め右傾化している」という話が敵の間で広がってもいいのです。それで私が総連をひどく叱りつけたという話が出ても問題ないし、私が「(総連は)敵の中で改良主義に走ったようだ」との話が出回ってもいいのです。

今の情勢の下で赤旗は心の中に秘めて前に掲げてはなりません。必要な時に掲げれば良いのです》云々>(以上)

総連は金正日の大事な財布だった。タニマチだ。総連が組織を拡大し、商売も上手くやることが彼への送金の拡大になる。日本人を敵にまわすな、上手く付き合え、本心は隠しておけ、ということだ。

徐萬述は確かにこの「指導」に従った節がある。

<2001年5月、同年2月に病死した韓徳銖の後任として中央常任委員会議長に選出される。就任後には日朝首脳会談の実現に関与し、2006年5月17日には長年対立していた在日本大韓民国民団と和解し共同声明を発表する(後に破棄)>(ウィキ)

徐の後任である許宗萬に北はどのような指導をしているのか。許は総連本部ビルの維持に現在のところは成功している。金正恩との関係も良いようだが、正恩はいつ消されるか分かったものではないから、許は距離を置いているのかもしれない。

北のことはよく分からない。市場が増えており経済が活性化し、プチブルが育ってきたという話の脇で、今年は飢饉になるとか、来年は大暴動が起きるとか、玄永哲人民武力部部長が処刑された、いや自宅待機だとか。

庶民曰く「将軍様(金正日)は『白頭山の天気』のように場当たり的だった。その人が『(後継者)は自分より10倍も優秀』と言っていたということは、元帥様(金正恩)は、若気の至りで後先考えずに10倍ひどいことをするのだろう」(デイリーNK6/1)。闇のような国だ。

■6月4日(木)、朝は室温23度、快晴、フル散歩。避暑地のような風だが、今週あたりに梅雨入りか。

1989年の六四天安門大虐殺から26年。中共による国内の言論弾圧はますます激しくなっている。対外的には明確に武力による覇権を主張し始めた。世界のために一日も早い中共殲滅が必要だ。一日遅れれば被害と危険性はさらに高まってしまう。

わが家は今日も集団的子育て。2歳女児を預かるが、カミサンが休みを取ったので助かった。

(株)資産デザイン研究所代表取締役社長・内藤忍氏の論考「起業して、後悔している7つのこと」6/2から。

<「起業して、サラリーマン時代より良かったと思う7つのこと」(平井:これは疑問だらけ)の続編として、今日は「起業して、後悔している7つのこと」を書いてみようと思います。

1)「お金を借りる力」が無くなった

自分の会社を作って感じたことは、今まであった勤務している会社からの信用が無くなったことでした。銀行から不動産投資のお金を借りようと思っても、3年間の決算書が必要と言われ、ようやく今年になってから、少しずつ借入ができるようになりました。起業する人には、その前に必要なお金を借りておくことをおススメします。

(平井:借金して起業するのはリスキー)

2)何でも自分でやらなければいけなくなった

大きな会社では誰かがやってくれることも、自分でやらなければなりません。会議室の予約から、プリンターの紙の注文、交通費の精算まで、自分でやる仕事の範囲が大きくなりました。忙しい時には、このような細かい事務作業は大きな精神的ストレスになります。

(平井:当たり前だ)

3)仕事が無くなる恐怖感が強くなった

毎月決まった日に給料がもらえる生活から、通帳に振り込まれた収入から生計を立てる生活へ。定期的に入ってくる収入(連載している原稿料、不動産の家賃)などもありますが、それ以外は仕事をやった分だけお金がもらえる生活になりました。

仕事の依頼が無くなったら? セミナーに人が来なくなったら? そんな恐怖感を、起業当初は強く味わいました。

(平井:みんな悩んで大きくなった)

4)会社の名前を覚えてもらえなくなった

知名度の高い会社から、「資産デザイン研究所」という会社に名前が変わって、なかなか社名が覚えてもらえません。社名ではなく、個人のキャラクターで認知してもらわないと、誰にも知られることはないと思い知り、露出を広げることの大切さを痛感しました。

(平井:いい仕事をすれば知名度は自ずと上がる、評判が評判を呼ぶ)

5)仕事がいつも心の片隅に存在するようになった

大手の金融機関にいた時は、金曜日の夕方になると仕事の懸案事項も、一旦スッキリと忘れて週末を迎えることができました。今は、旅行に行っても常に心の片隅に仕事が存在します。仕事が「自分事」になったということでしょうか。

(平井:年中無休の24時間操業、全身全霊仕事に打ち込まないと、生まれたての会社はすぐにへたる)

6)遊びと仕事の区別がつかなくなった

独立してからは、趣味でやっていたことが仕事になったり、仕事も趣味のようにやることが重要だと感じるようになり、遊びと仕事の区別がつきにくくなりました。自分で新しい仕事を次々に考えていくことが大切ですから、遊びの仕事化を常に意識するようになりました。遊びを遊びとして100%楽しめないのは、何だかつまらないと思ってしまうこともあります。

(平井:遊びたいとか、楽をしたいとか、そんなことを思ったら、死ね、鉄矢!)

7つ目は、どうしても思いつきませんでしたが、今一番後悔していることは、「もっと早く起業すれば良かった」です。私が起業したのは48歳ですが、もし20代、30代ではじめていたら・・・。後悔の無い人生を送るためには、「やらないで後から後悔すること」をできるだけ減らすことだと、強く思います。

(平井:小生の起業は1984年、33歳だった。35歳くらいまでが起業適齢期のような気がする。若者を周囲は応援してくれるし、現場で仕事を発注してくれる人は25〜35歳くらいだから、同世代だと使いやすいのだ。これはとても大きなメリットになる。若者は遠慮があるから中年には発注しない。編集の世界はそうだった。

失敗しても30代なら十分やり直せる。腕に技があれば世間は放っておかない。若者よ、絶叫マシン「スタートアップ」にチャレンジを!)>(以上)

夜は4歳男児の誕生パーティ。2歳女児も快復しつつある。鶏の唐揚げ、ケチャップご飯、刺身などを楽しむ。(2015/6/4)

2015年06月04日

◆ロシアが北朝鮮に異常接近

宮崎 正弘
 

<平成27年(2015)6月3日(水曜日)通算第4562号 >

 〜中国の北朝鮮冷遇の隙間につけいったロシアの巧緻
     最高人民会議議長、国防相、外相らが相次いでモスクワ詣で〜

中国の北朝鮮への冷たい態度はまるで氷のように凍てついて、駐平壌大使は軽量級。虫の居所が極端に悪い習近平が言ったことは「中国はこの地域の安定を望んでいるが、政権の安定を望んでいる訳ではない」だ。

この中朝冷却の政治状況に巧みに乗じて北朝鮮に影響力を増大させているのがロシアである。ソ連時代、北の最大の保護者でもあった。
 
I
答礼にモスクワからはガルシェカ極東開発大臣が3回、ユーリ・ツルゼフ(副大臣)らが平壌を訪問している。

2015年になって4月にヒョン・ヨンチョル国防相が改めてモスクワを訪問し、同年5月に金永南が赤の広場の軍事パレードに参列した。頻度激しい相互訪問に比べると、北京の反応は冷たい。

ロシアは2015年を「北朝鮮友好年」として政治イベント計画中といわれる。

5月9日の軍事パレードに参加しなかった金正恩は、国際デビューの機会を見逃したことになるが、ロシアは北朝鮮に対して温い姿勢を続ける。

金正恩が大事な外遊と認識しながらも、平壌を留守に出来ないのは、不在中の軍事クーデターを警戒するからであろう。

ロシア極東部に出稼ぎにでている北朝鮮労働者は、すでに50万人といわれ、この労賃収入によって、北朝鮮は食料危機を回避しているとも観測されている。

実際にウラジオストクやナホトカをあるくと建設現場には北朝鮮からと見られる労働者が3K現場で働いており、カザフスタンやウズベキスタンの出稼ぎ労働者と一緒に建設作業をしていた。

「2013年2月の3回目の北の核実験以後、中国は対北政策を極端に冷却化させてきた。6者協議も、おそらく16年秋の米国大統領選挙以後に持ち越されるだろう」(ジェイムズタウン財団『チャイナ・ブリーフ』、5月29日号)。


 ▼中国の苛立ちは本物だが、時間的余裕が狭まった

北朝鮮に対する中国の不快感は宗主国として、家来が言うことを聞かないという単純な理由からの反発、冷遇だが、中国軍の配置を一覧すると、遼寧省の北朝鮮国境に瀋陽軍区の主力部隊およそ10万から20万人ていどを貼り付けており、いざという場合に軍事介入できる態勢にある。

たとえば親中派の軍人等がクーデターを起こし、非常事態宣言布告後、治安維持のために中国軍を「平和維持部隊」として派遣要請するシナリオが考えられるだろう。

瀋陽軍区は装備に優れ、機動力もある。鴨緑江を挟んだ国境の町=丹東(日本時代の安東)までの鉄道を利用して多くの装甲車、戦車が運び込まれている。それもこれも北朝鮮の核爆弾は、日本向けというより、いつでも中国に向けられる懼れがあるからだ。

中国はロシアの北への急接近を過剰には評価しておらず、その経済的破綻情況を根本から立て直すほどの意気込みも資金もロシアにはないと踏んでいる。

むしろ、この平壌のモスクワ異常接近は、金正恩の危険な綱渡りだと認識している。「ロシアはルーブル下落やインフラ建設能力の問題があり、北朝鮮へおおきなプロジェクトを運べない」というアキレス腱があるからだ。

そして北京は北朝鮮の外相の訪問を受け入れても、数時間も待たせたうえ、いままで経験したこともない冷遇で対応した。このことに象徴されるように習近平の絶対的要求は北朝鮮の核開発凍結である。

とはいうものの北京も9月3日に予定している「抗日戦争勝利軍事パレード」には、プーチン大統領の出席に加えて、金正恩の出席を望んでおり、最近、中国外交部は駐平壌大使を外交官僚の重鎮と交替させた。そのうえで食料援助をカードに再接近を試みているフシがある。

◆覚悟は出来ている 安倍首相

MoMotarou



運命の流れを感じていたドゴールは、単に大統領になりたいから大統領職を欲したのではない。フランスの必要とする指導力に応じるのが自己を措いてないと信じてはじめて、大統領職を望んだ。ーーーリチャード・ニクソン米大統領 「指導者とは」より

               ★

米国大使館に電話を掛けました。「Hellow!」朝10時だったので、関連部署に12;00以降に電話を、と応じられた。それならとHPからアクセス。未だ返事は来ません。問題が問題だけに、そんなもんだろうと納得。

■3月17日、口永良部島大爆発

映像を見た人々の感想。「原爆みたいじゃなぁ」「良う起こるなぁ」「民主党じゃなくてよかったのぉ」。5月30日には小笠原諸島近辺で地震。ネパールではエベレスト山を作った、太平洋プレートによる大地震も起こっていた。

私も民主党政権下で無くてよかったと、思わず相槌を打ちました。国会での民主党議員らの安保関連の質疑をみて幻滅。未だこんなことをやっているのかと失望。辻元清美議員が質問する度に、民主党票が減る傾向があるとは民主党議員談です。彼女は反日極左勢力だ。

■災害報道を使った政府批判

東日本大震災より3年。被災地の災害復旧が進まないとの報道には、現地から「早く家に戻りたい」との声が登場する。今回の口永良部爆発報道にも「いつ島に帰れるでしょうか」と島民の話。身辺の安全が第一であり、無事避難できたことを喜ぶ報道の方が好感を持ちます。

それなのに安倍政権になってから、"政府"の対応を非難するような報道姿勢が増えてきたように思います。東日本大震災の時は、実りなき官房長官発表は非難されず、やたら東電批判が繰り返されました。「責任逃れ」が救助より先に行われた印象でした。

反日サヨク筋の政治は、朝鮮族やシナの悪い政治パターンに似ている。自分の勢力の維持のためには「国という公」を捨てる。

彼らには「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」という諺(ことわざ)はありません。シナ朝鮮在日の影響がある反日サヨクおよびNHKは、我が身可愛さに一番最初に裏切り逃げ出すでしょう。

■米国大使館への電話の件

安倍首相米国議会演説の際、ケネディー米国大使は安倍首相夫人と並んで議会におりました。写真で見ると和服の図柄によく似たデザインのものでした。もしそうだとしたら安倍首相は「良い友人」を得たことになりますね。その事(服装)を聞いてみたかったのでした。些細なことですが。

<政治の世界のおとなと子供を区別するのは、まさにその点 − 子供は偉くなりたいから高いポストを狙うが、おとなは何事かを為すためにそれを望むものである。ドゴールが権力を欲したのは、わが身のためでなく、それを行使せんがためだった。>(同上)

●横須賀生まれの日系人・ハリス大将が米太平洋軍司令官に就任
(Commander Pacific Command)海上自衛隊の就任儀式かと勘違いするような情景です。
  https://youtu.be/7mUaFYccmJw


◆西海岸から 芝生を塗りましょう

中村 将



記録的な干魃(かんばつ)が続き、州全域に史上初の給水制限が発令された米カリフォルニア州ではスプリンクラーも自由に使えない。緑の芝生にまき散らされるスプリンクラーの水が燦々(さんさん)と照りつける太陽の日差しに反射する、あのまぶしい光景はめっきり減った。逆に黄色く枯れた芝生があちこちで目立ち始めている。

そうした中、枯れた芝生を緑色のスプレーで塗る業者が脚光を浴びている。

米メディアによると、スプレーは天然色素が使用された無害なもので、一度塗れば3〜4カ月はもつ。庭の広さによって数万円から数十万円ぐらいで、「化粧直し」ができる。45分もすれば乾いて色落ちもしない。昨年までは一般からの需要はほとんどなかったというが、「水不足特需」で、今では毎日最低1件は注文が入る業者もある。

「本当の芝生のように見える」。業者を利用した住民は驚きを隠さない。

そこまでするか、という感じだが、給水制限が出されるまでは、芝生を枯れさせたら罰金を科すコミュニティーがあったほか、芝生がきれいに手入れされていれば住宅の販売価格が上がるなど、芝生は住環境の上で重視される要素なのだ。

ある業者のホームページには、施工例としてゴルフ場も載っていた。「そうだったのか」と別の驚きもあった。

2015年06月03日

◆米越は安全保障条約を結ぶか?

宮崎 正弘 

<平成27年(2015)6月2日(火曜日)弐 通算第4561号< 

 〜米越は安全保障条約を結ぶのだろうか?
           米、ベトナムの巡視船購入に1800万ドルを供与〜


シンガポールでの「シャングリラ対話」を終えたカーター米国防長官はベトナムのハノイへ入った。

フン・クアン・タイン国防相と会談したあと、カーターは「共同ビジョン声明」に署名したと語った。

そのまえに沿岸警備隊を視察するため、カーター国防長官はハイフォンを訪れた。

ベトナムが開設する国連軍の訓練所に米国から専門チームが派遣されるなどの内容が共同ビジョンには謳われているが、加えて米国はベトナム海軍の巡視船購入に1800万ドルを供与するとした。

南シナ海で中国が行っている侵略行為に強い懸念を抱くベトナムは沿岸警備の装備に劣るため、巡視船は喉から手が出るほどの欲しい装備である。

こうした趨勢が続けば、米国がフィリピンとの安保条約を改定したように、次はベトナムと安全保証条約の一歩手前の段階、準々軍事同盟を形成するのだろうか。

尤もベトナム軍の装備は90%以上がロシア製である。

◆理屈抜きの反日論説に惑わされるな

櫻井よしこ


安倍晋三首相が4月末に行った米国上下両院合同会議での演説がどのような反応を引き起こしているか、米国の対日政策を調べている中で、ブルームバーグのジェームス・ギブニー氏の記事に行き当たった。「悪しき安倍外交の責任はジョージ・ケナンにあり」という見出しである。
 
ケナンは米国を代表する戦略家である。第2次世界大戦後、米国国務省に「政策企画室」を設置し、大戦後の米国外交の理論的基礎を築いたのがケナンだ。1947年に提唱した氏のあまりにも有名な「ソ連封じ込め」戦略をはじめ、ケナンの示した外交政策は国際政治のいわば中心軸となった。
 
日本は大東亜戦争に敗れ、米国に占領された。ニューディール派と呼ばれる極めてリベラルな左翼的勢力が戦前の日本の体制を次々と打破する中で、ケナンはその種の政策を突き進めていけば、日本を社会主義陣営の一員にしてしまうとして、懸念を抱いた。
 
マッカーサーの下で連合国軍総司令部(GHQ)の民政局次長のケーディスらが、まるで日本は日本であってはならないとでもいうかのように日本社会を根本から変えようとする政策を取り続けるのに対して、ケナンをはじめとする人々、例えばGHQの参謀第二部長を務めたウィロビー将軍らは反対の立場に立ったわけだ。
 
将軍はその回顧録の冒頭で「米日は戦うべきではなかった。日本は米軍にとっての本当の敵ではなかった。米国は日本にとっての本当の敵ではなかったはずだ」と書き残している。
 
日本を完全に無力化するという憎しみの政策とでもいいたくなるようなGHQの過酷な対日政策は、初めの2年半を過ぎるころから変化し始め、日本に自立を促す路線へと移っていった。
 
私から見れば、その時期は遅過ぎたのである。それまでにすでに現行憲法が与えられてしまった。ケナンらがもっと早く警告をしていれば、戦後の憲法も日本国もよりまともな形を備えていたのではないかと惜しむものだ。
 
しかし、ギブニー氏は全く逆の見方をする。氏の主張を見ることで、私たちは戦後すぐ、GHQが日本に関して抱いていた日本のあるべき形を知ることができる。ギブニー氏は書いている。

「マッカーサーは、大得意の大言壮語、『太平洋のスイス』という触れ込みで、日本を憲法9条の下で正式に平和主義(パシフィズム)にコミットさせた」「ケナンは、しかし、マッカーサーの政策を戦略的大失策と捉えた。中国(国共)内戦、欧州の疲弊と分断、冷戦の始まりの中で、ケナンは日本を太平洋の安全保障戦略の要石とすることが必要だと判断した」
 
ただ一点を除いてここまでは大筋で正しいといえる。ギブニー氏が間違っているのは、中立を守り続けていたスイスと現行憲法を与えられた日本の相違である。

スイスは男女を問わず、国民は徴兵の義務を負う。60歳を超えると、毎年、年代層に応じて数日間の軍事訓練を受ける義務も負う。有事の際には国民全員が武器を持って戦うとされている。

それでも敗れた場合、スイス国民は国の主要な施設を焼き払い、敵に渡さないようにすることを求められている。日本は単なる非武装にされた。戦うことを禁じられた。この大きな差に、ギブニー氏は目を向けず、マッカーサーの与えた「武力保持を許されない日本」が最善だと言っているのである。
 
ケナンによって救われたのが安倍首相の祖父、岸信介だとして、ギブニー氏は「岸は頭脳明晰だが破廉恥」な人物という、反日の作家ジョン・ダワー氏の言葉を引用する。
 
いまだに、日本を憲法9条の下で無力な国にとどめたいとする民政局の価値観を受け継ぐ人々が存在することに、あらためて気付かされた。このような人々の理屈抜きの反日論説に惑わされてはならないと思う。

『週刊ダイヤモンド』 2015年5月30日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1085 
               (採録:松本市 久保田 康文さん)

2015年06月02日

◆俄然、見直された比クラーク空軍基地

宮崎 正弘
 

<平成27年(2015)6月1日(月曜日)通算第4559号> 

 〜俄然、見直された比クラーク空軍基地
         南シナ海への哨戒にもっとも近距離の大規模空港〜

先月、フィリピンを取材した折にマニラから2時間。ピナツボ火山の噴火で灰に埋もれ、使用できなくなったクラーク基地を訪れて、驚いたのである。

基地の町はアンヘイレス、なんとコリアンタウンに早変わりしていた。

クラーク基地は、火山灰を除去し、宏大な敷地の一部はクラーク空港となり、仁川、香港、シンガポールから国際線が飛んできている。

往時の繁栄ほどではないが、西側のスビック湾が国際工業団地となって、近代化は進んでいた。

おりしも5月下旬にシンガポールで開催された「シャングリラ対話」では、全加盟国が中国を批判し、とくに米国、日本は中国を名指しで、軍事的懸念を表明した。

中国は当該海域の安全に寄与すると豪語したが、誰からも信用されず、国際的孤立を深めた。あたかもヒトラーの侵略が開始されたときの暗雲に酷似した。

つい1ヶ月前、中国はAIIBを打ち上げて、英独仏の参加表明をもって、日米との関係に亀裂をいれ、アセアン諸国の反中国の動きをも分断させたと過信した矢先だった。

ふたたび中国は四面楚歌に陥没した。

せっかくのAIIBによる外交的な成果も、孫建国(中国海軍代表)の強硬発言に振り出しに戻った。

そして、日豪アセアンと米国の間に、かのクラーク基地を哨戒拠点として活用する動きが顕在化した。

◆新たな日本へ脱皮必要

櫻井よしこ


次世代の日本人に誇りある国を残すには、少なくとも、基本的に自力で自国の防衛を行える普通の民主主義国に国の在様(ありよう)を戻すことだ。その好機がいま眼前にある。

占領政策の初期に作られた現行憲法は日本に自立国家として振る舞うことを許さない多くの制限を課している。安全保障面で日本を縛り続けることを是とする考えは、日米双方に依然、根強い。だが、そうした思考が無益であることを国際政治の大変化が証明しつつある。

先の安倍晋三首相の訪米でオバマ大統領が見せた手厚いもてなしや首脳会談における緊密な関係の強調は、平成25年2月、あるいは26」年4月の日米首脳会談におけるものとは全く異なる。25年の訪米では首相のために大統領は昼食会を主催したが、その顔に微笑が溢(あふ)れていたわけではなかった。

26年に国賓として来日したオバマ大統領は来日直後の寿司屋で、うちとけるというより単刀直入に環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)での譲歩を迫った。

ビジネスライクで実務はこなしても、日米両国が連携して大きな戦略を担うという同盟国としての絆を感じさせたわけではなかった。ところが今回、安倍首相へのオバマ大統領の個人的好意も十分に表現され、日米の強い絆が度々強調された。

この大きな変化は、憲法改正は実現していないものの、「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」を見直し、安保法制の整備を明言し、力を発揮しようとする強い日本がアメリカにとっての国益だと判断したからであろう。

アメリカの影響力はかつてない程、低下した。世界の警察ではないと宣言したアメリカの眼前で、中東ではISIL(イスラム国)らテロリスト勢力が跋扈(ばっこ)する。

オバマ大統領のイランとの交渉は、イランの核保有につながるとして、サウジをはじめ、アラブ諸国との間に深刻な溝をつくった。欧州諸国は中国のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に加入した。ロシアも中国も力の外交に踏み切り、強硬路線を変える兆しは見られない。

このような中で、いま、アメリカにとっての唯一の選択が日本との緊密な協調関係なのである。アメリカが強い日本を必要とするように、日本もアメリカを必要とする。両国の国益がぴったり合致する中で新しい関係が生じているのだ。

中国も事態を的確に把握している。5月26日発表の国防白書で、中国の安全にとっての「外部からの阻害と挑戦」は、日本の安保政策の転換と、地域外の国、つまりアメリカの南シナ海への介入だと明記した。中国政府が公式文書で仮想敵として日米を具体的に示しているのである。

             ◇

国際政治の大きな潮流としてこのような構図が生まれているとき、日本はいかにして自国を守り、国際社会の平和構築に貢献できるのか。

5月30日、シンガポールの「アジア安全保障会議」で、アシュトン・カーター米国防長官は中国名指しで、「直ちにかつ永続的に(南シナ海での)土地の埋め立てをやめるべきだ」と批判した。中国人民解放軍の孫建国・副総参謀長は翌日、岩礁埋め立ては「軍事、防衛上の必要性を満たすため」だと反論した。

強気の中国は、アメリカ軍に対する抑止力も着実に向上させつつある。シンクタンク『国家基本問題研究所』企画委員、冨山泰氏の指摘だ。

5月21日、中国空軍の最新鋭爆撃機H6Kが沖縄本島と宮古島間の宮古海峡上空を通過し、西太平洋上で日帰り訓練を行った。同機の巡航ミサイルは核弾頭搭載も可能で米軍のアジア戦略の重要拠点グアムを攻撃する能力を持つ。アメリカが南シナ海に介入するとき、中国はグアムを叩(たた)く能力を手にした。

アメリカにとって深刻な危機であり、アメリカ軍の行動が制約を受ける可能性は否定できない。それでもカーター国防長官は、現在、中国の人工島の12海里外で行っているP8対潜哨戒機による偵察行動を、12海里内で展開する可能性を強調する。海洋の自由と法治を掲げるアメリカには一歩も引く気配はない。

中国とアメリカの主張がまっ向からぶつかり、相互に軍事力を誇示するこの緊張は戦後最大の危機といってよいだろう。

初めて正式に、南シナ海の埋め立てが軍事目的であることを認め、中止する気はないと言明したわけである。

これが日本にどう関わってくるのか。カーター長官は「同盟国およびパートナー」との協力で対中抑止力を構築するとして、中心軸に3カ国による協調、日米豪、日米韓、日米印の協調を挙げた。いずれの場合も日米が基軸となっており、アメリカのみならずアジア全体の日本に対する信頼が窺(うかが)える。

カーター長官はまた、ベトナム、マレーシア、フィリピン、インドネシアとの多層的な軍事協力に触れて、アジア全体で、国際規範を逸脱した中国に抑止力を効かせる意図を強調した。

日本がすべきことは何か。激しく変化する国際情勢と中国の脅威をまず、明確に見据えることだ。そのうえで、アメリカもアジア諸国も自立した強い国としての日本に期待していることに気づきたい。

国会論戦でガイドラインの見直しと安保法制の整備を国民への説明もなくアメリカで約束したのはおかしいと民主党は論難する。だが、ガイドライン見直しは民主党政権のときに始まったのではなかったか。

中国の脅威に国際法と外交で対応できる状況を創り出すためには逆に十分な軍事力が必要である。いま、そのことを学び、現実に根ざした安全保障政策を駆使する日本へと、脱皮するときである。

産経ニュース【櫻井よしこ 美しき勁き国へ】2015.6.1

◆開戦前夜の南シナ海

平井 修一



ジャーナリスト/東京新聞・中日新聞論説副主幹の長谷川幸洋氏の論考「南シナ海で何が起きようとしているのか?日米欧vs中ロは一触即発」(現代ビジネス5/29)から。

<中国は26日に発表した国防白書で米国の名指しを避けながらも「地域外の国の南シナ海への介入」を指摘して「海上軍事闘争への準備」を呼びかけた。この調子だと、南シナ海を舞台にした米中の対立は一段と激化していくだろう。

緊張の現場は「南シナ海」だけに限らない。習近平国家主席はロシアの対ドイツ戦勝70周年記念式典に出席し、プーチン大統領と肩を並べて軍事パレードを観閲した。その直後、中国とロシアの艦隊が地中海で合同軍事演習を実施した。

地中海は欧州の裏庭である。ロシアによるクリミア侵攻以来、欧州はロシアを脅威とみなして、北大西洋条約機構(NATO)の軍用機を東欧やバルト諸国に派遣し厳戒態勢を敷いてきた。「これ以上のロシアの無法は許さない」という決意の表れである。

*中ロ海軍がまもなく日本海で軍事演習

一方で、英国をはじめ独仏など欧州各国は相次いで中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加を表明した。なぜかといえば、「欧州にとって中国は脅威ではない」という認識だったからだ。欧州は中国を相互に利益を得るウインウイン関係のビジネス・パートナーとみなしてきたのだ。

ところが今回、わずか3隻とはいえ中国の艦隊が地中海に登場した。こともあろうに、欧州の敵であるロシアの艦隊(6隻)と初めて合同軍事演習を繰り広げたのだ。欧州が受けた衝撃は少なくない。

もはや中国が欧州を脅かす可能性がゼロとはいえなくなったからだ。ロシアの立場で考えれば、欧州をけん制するうえで「中国の援軍」はだれより頼もしく映っただろう。

地中海だけにもとどまらない。中ロ両国海軍は8月、日本海で合同軍事演習をする予定だ。こちらは中国にとって願ってもない展開である。尖閣諸島をめぐって日本に圧力を加えるうえで「ロシアの援軍」を期待できるからだ。中ロの異常接近は双方が欧州と日本をにらんで、だれにも明らかなけん制のデモンストレーション(示威活動)になった。

ゴールデンウィークの首脳会談で安倍晋三首相とオバマ大統領が日米同盟の緊密さを高らかにうたい上げたと思ったら、中国とロシアは直ちに反応し、米国を出し抜くように地中海で欧州を飛び上がらせ「次は日本海だぞ!」と日本を脅かしているのだ。

こうした展開は中ロvs日米欧の冷戦復活を思わせる。

かつての冷戦は共産主義勢力が活発に動いたトルコ、ギリシャに対する米国の援助(トルーマン・ドクトリン、1947年)から始まり、旧ソ連が道路と鉄道を封鎖したベルリン危機(48年)で後戻りできなくなった。

同じように、いまの南シナ海の岩礁埋め立て・軍事基地建設問題は1つ間違えれば、中ロと日米欧のグローバルな対立に発展しかねない危険性を秘めている。というより、むしろ「南シナ海はクリミア半島を含めてグローバルに広がりつつある緊張状態を象徴するホット・ポイント」と理解するほうが正確ではないか。

だからこそ、いまは局地的に見えても、南シナ海の扱いがグローバルな緊張の行方を左右する鍵になる。そんな南シナ海危機に日本はどう対応するのか。

*自衛隊は南シナ海でどこまでやるのか

日米が合意した防衛協力の指針(ガイドライン)は南シナ海を念頭に置いて「平時からの協力措置」の1番目に「情報収集、警戒監視及び偵察」を挙げて次のように記した。

〈自衛隊及び米軍は、各々のアセットの能力及び利用可能性に応じ、情報収集、警戒監視及び偵察(ISR)活動を行う。これには、日本の平和及び安全に影響を与え得る状況の推移を常続的に監視することを確保するため、相互に支援する形で共同のISR活動を行うことを含む〉

注意深く「アセットの能力及び利用可能性に応じ」、つまり「できる範囲でやりますよ」と書いているが、まさに今後は「自衛隊は南シナ海でどこまでやるのか」が焦点になる。中谷元防衛相は最近の日本経済新聞のインタビューで「日本を取り巻く情勢、日米間の議論などを踏まえて不断に検討していく課題だ」と答えている。

政府内には「尖閣諸島を抱えて南シナ海まで手を広げられるのか」という慎重論もあるが、実は自衛隊はすでに「下見」を始めている。海上自衛隊の対潜哨戒機P3Cが南シナ海周辺を飛んでいるのだ。

P3Cが初めて海外に出たのは2009年だ。ソマリア沖の海賊対策に自衛隊法で認められている海上警備行動として出動し、隣のジブチに設営した基地を拠点に警戒監視活動にかかわった。ジブチは事実上、自衛隊初の海外基地になっている。

ソマリア沖で活動を続けてきたP3Cは5月13日、日本に帰国途中、ベトナムのダナンに立ち寄った。この件は産経新聞が報じている。ほぼ同じ時期に外洋航海の演習中だった海上自衛隊の護衛艦2隻、直前には米海軍のミサイル駆逐艦もダナンに寄港している。

この飛来は中国の埋め立てに対する警戒監視活動と銘打ってはいないが、実質的に自衛隊による警戒監視の下見とみて間違いない。

P3Cは高性能を誇るが、いかんせん航続距離は6600キロにとどまる。日本最南端の沖縄・那覇基地から南シナ海までは2000キロだ。那覇から飛んで任務を遂行するには遠すぎる。どうしても現地近くに基地を設けて補給する必要が出てくる。

*P3Cはなぜベトナム・ダナンに立ち寄ったのか

そこで注目されるのが、ベトナムやフィリピンなど中国の脅威にさらされて、日米の支援を求めている国々なのだ。ベトナムやフィリピンの基地を自衛隊が活用できれば問題はなくなる。そういう展開をにらんで今回、P3Cがダナンに立ち寄ったとみていい。

日本はフィリピンとの間で1月29日、防衛協力強化を目指して覚書を交わしている。フィリピンのガズミン防衛相はその際、中谷元防衛相との会談で「強く日本の対応、姿勢を支持するとともに全力で協力する」と発言している

フィリピンは1992年に米軍を追い出した後、中国の岩礁占拠を目の当たりにして2014年4月、米国と軍事協定を結び直した。クラーク空軍基地やスービック海軍基地を再び米軍に提供する。

そうなれば、自衛隊のP3Cがクラーク空軍基地を使えるようになるかもしれない。そもそもフィリピン自身が1月の防衛相会談で日本に中古のP3Cを供与してくれないか、と打診しているのだ。このときはフィリピン側の運用能力の問題で日本が断っているが、自衛隊が来てくれるのなら、自分たちの技術習得に役立つのだから大歓迎だろう。

国会では安保法制見直しをめぐって「武力行使の例外拡大がどう」とか「自衛隊員のリスクがどう」とか議論されている。それが大事でないとは言わないが、現実に進行している南シナ海危機と水面下の自衛隊の対応こそ国民が知りたい話ではないか>(以上)

ヒトラーは軍事力で威嚇し、「ドイツ人保護」を名目に周辺国の領土を奪って行った。1939年8月23日にポーランド分割という秘密条項をもった独ソ不可侵条約が締結されると、同年9月1日早朝、ドイツ軍とその同盟軍であるスロバキア軍が、続いて9月17日にはソ連軍がポーランド領内に侵攻した。

ポーランドの同盟国であった英仏が相互援護条約をもとに9月3日にドイツに宣戦布告し、ポーランド侵攻は第二次世界大戦に拡大していった。

個人独裁→領土的野心→軍拡→同盟拡大→開戦。習近平もヒトラーやプーチンに倣ってこうしたステップで開戦に至るのだろう。準備万端整えて「勝てる」と判断した時に攻撃を開始する。

それはいつか。南シナ海の軍事基地が整備された時だろう。つまり熱戦を防ぐには軍事基地化を阻止しなければならない。日米豪印+ASEANの連合艦隊による日常的な集団パトロールで制海権・制空権を確保し、必要ならば基地機能を破壊するしかない。

(あるいは係争地域を国連の信託領地にする策もあるが、安保理が絡むと中露の拒否権で否定されるから、国連総会決議とすればよいようだ)

「歴史は必ず繰り返す。最初は悲劇として、二度目は茶番劇として」。南シナ海は体型まで毛沢東を真似ているファシスト習近平の墓場になるだろう。(2015/5/31)

2015年06月01日

◆反射的に安倍政権けなす「朝日」

阿比留 瑠比



偏見打破どころか、歪んだステレオタイプを拡散 

「今朝の朝日新聞の1面記事を見たかい。わざわざ菅義偉官房長官の名前を出してあおっていた。安全保障法制は危険だと印象付けるのが狙いだろう」

政府高官は26日夜、周囲にこう指摘した。その記事は「集団的自衛権どこまで」「菅氏『新3要件下で敵基地攻撃も』」との見出しで、リード部分には 「他国のミサイル発射を防ぐための敵基地攻撃も可能とする見解が示された」と書いている。

見出しとリードだけ読むと、読者は安全保障関連法案によって、新たに敵基地攻撃が可能となったように誤解しかねない。だが実際は、すでに昭和31年に当時の鳩山一郎首相が衆院内閣委員会で次の有名な政府統一見解で
示している。

「座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とするところだとは、どうしても考えられない。他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたく ことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能である」

つまり、これはもともと個別的自衛権で認められていた範囲であり、新たな安保法制下でも可能なのは理の当然だろう。にもかかわらず朝日の記事は、「敵 基地攻撃も他国領域での武力行使の『例外』として加えることで、新3要件に当ては まれば行使の範囲が際限なく広がる可能性が出てきた」と書くのである。

24日付朝日朝刊の杉田敦法政大教授と長谷部恭男早稲田大教授の対談記事「安保法制安倍政権の『話法』から考える」も、その手法に同様の危うさを感じ た。安倍晋三首相に関する以下のやりとりがそれだ。

杉田氏「首相は党首討論で、ポツダム宣言を『読んでいない』とし、先の大戦の評価についての質問に答えなかった」

長谷部氏「読んでもいないものから脱却しようとは、マジシャンそこのけです」

安倍首相は「その部分をつまびらか(事こまか)に読んでいない」と答弁しただけで、全部「読んでいない」などと言っているのではない。安倍政権の「話 法」をうんぬんする前に、自分たちの言葉遣いにもっと注意した方がいい。

また、ポツダム宣言については、民主党の岡田克也代表も22日の記者会見でこう述べている。

「今まで何度か読んだことあるが、中身をあまり鮮明に覚えているわけではない。党首討論の後、また読んだが、非常にわかりにくい文章だという印象だ」

安倍首相を繰り返し批判するのであれば、岡田氏のこの発言も批判的に取り上げないと筋が通らないはずだ。とにかく、安倍首相とその政権の言うことなす ことステレオタイプに「問題がある」「危険だ」ととらえ、反射的にけなすという姿 勢はいかがなものか。

ステレオタイプという言葉を定着させた米国のジャーナリスト、リップマンは著書『世論』(1922年刊行)でこう戒めている。

「われわれはたいていの場合、見てから定義しないで、定義してから見る」

「ステレオタイプが無批判に受け入れられると、配慮されなければならない多くのことがふるい落とされてしまう」

「われわれは自分の反対者を悪者や陰謀家に仕立てる」

本来、メディアには社会の固定観念や偏見を打破する役割が求められている。ところが現実は、メディアが率先してゆがんだステレオタイプを広めているよ うだ。
(産経新聞政治部編集委員)

産経ニュース【阿比留瑠比の極言御免】…2015.5.28
                (採録:松本市 久保田 康文)
 

◆安保法制、日本の敵は日本か

古森 義久



日本の最大の敵は日本なのか−日本の安全保障関連法案の国会質疑やその報道は、そんな疑問を感じさせる。

「暴走」「思うがままに武力を」「ナチスの手口」など、同法案の核心の集団的自衛権行使容認に反対する朝日新聞の記事の見出しは、日本が自ら他国に戦争を仕掛けるためにこの措置を取る、と思わせようとしているのは明らかだ。

同法案の目的を「日本を戦争をする国にする」と断じる日本共産党の主張も日本がいかにも侵略戦争を始めるかのような暗示がにじむ。なにしろ議論の最大焦点が日本を守るはずの自衛隊の手足を縛る「歯止め」だから、日本はそれほどに危険で自制のない国なのか、といぶかってしまう。

日本を軍事的に威嚇し、侵略しようとする勢力への「歯止め」がまず語られないのだ。

集団的自衛権自体を危険視する側は日米同盟がそもそも集団自衛であることは無視のようだ。日本領土が攻撃され、日本がいくら個別的自衛だと称しても、現実は米国に日本との集団的自衛権を発動してもらうのが日米同盟の抑止力そのものなのである。

自国防衛は集団自衛に全面的に依存しながら、その集団自衛の概念に反対するという日本の従来の姿勢は米側ではあまりに自己中心で他者依存とみなされてきた。

米国側は超党派でもう20年も日本の集団的自衛権解禁を切望してきた。米国が想定するアジア有事、つまり朝鮮半島有事や台湾海峡有事に対しては国防総省にはいつも「ジャパン・イン(内)」と「ジャパン・アウト(外)」という2つのシナリオが存在してきた。

「イン」は日本が米国の軍事行動に対し同じ陣営内部に入り、味方として行動する見通し、「アウト」は日本が集団的自衛権禁止を理由に米軍の後方支援も含めて完全に非協力、外部に立つという意味だという。

歴代の米国政権はもちろん「イン」を望んだが、常に「アウト」をも想定しなければならず、アジア戦略では大きな悩みだった。そして現実の有事で、もし「ジャパン・アウト」となった場合、「日米同盟はその時点で終結する」と断言する米側関係者が多かった。日米安保条約の米側からの破棄という意味だった。

 だから軍事にはあまり熱心ではないオバマ政権も今回の日本の動きは大歓迎するわけだ。米国側全体のいまの反応について大手研究機関AEIの日本研究部長のマイケル・オースリン氏は米紙への5月中旬の寄稿で「日本のいまの動きは自衛隊を他国の軍隊と同様な機能を果たせるように正常化し、米国との安保協力を深め、他のアジア諸国との安保連携をも可能にし、日本がアジアでの責任ある役割を果たせることを目指す」と歓迎の総括を述べた。

米国政府は日本政府に正面から集団的自衛権行使を求めることはしない。主権国家同士の礼儀だろう。だが本音としてのその要望は政府周辺から長年、一貫して発せられてきた。

しかも日本の集団的自衛権は禁止のままだ と日米同盟の崩壊につながりかねないとする警告が多かった。

超党派の研究機関「外交問題評議会」が1997年に日本の集団的自衛 権禁止を「日米同盟全体にひそむ危険な崩壊要因」と位置づけたのもその 一例だった。
 
こうした米国側の意向や状況は日本でのいまの論議ではまったく欠落したままなのである。(ワシントン駐在客員特派員)
             産経ニュース【緯度経度】2015.5.30
 

◆海洋国家の衰亡への道

伊勢 雅臣



〜 月尾嘉雄『日本が世界地図から消滅しないための戦略』 を読む

 カルタゴ、ベネチア、オランダに見る海洋国家の衰亡への道。


■1.「日本という国家が消滅することはないという幼児のような楽観」

『日本が世界地図から消滅しないための戦略』というショッキングなタイトルの新刊が出た。著者の月尾嘉雄(つきお・よしを)東大名誉教授はもともとは建築学が専攻だが、最近は地球環境問題やメディア政策など幅広い分野で発信をされている。

 この本の前書きは次のような印象的な一節で始まる。

{国旗掲揚と国歌斉唱に異論のある人々が日本に増加しているようであるが、それをしたくてもできない民族の苦痛を想像してみれば、そのような異論が愚論であることが容易に理解できるはずである。それは日本という国家が消滅することはないという幼児のような楽観を根底とする幻想でしかない。}[1,p1]

チベットやウイグルなど、自らの国家を失い、少数民族として圧政に苦しんでいる民族は少なくない。第2次大戦後に消滅した国家は約180にもなるという。


■2.消滅した古代海洋国家カルタゴ

我が国と同様の海洋国家で、長く栄えながら滅んだ国が歴史上、いくつもある。

その一つ、カルタゴは、北アフリカの地中海沿岸、現在のチュニジアの近辺で栄えた古代海洋国家である。紀元前814年に建国されたという伝説を持ち、紀元前6世紀から西地中海の海運交易を握り、エジプトからモロッコ、さらには現在のスペインのあたりまで領土を広げていった。

 しかし、イタリア半島から発展したローマと紀元前264年から146年までの120余年間に3度も大きな戦いを繰り広げ、一時はハンニバル将軍が 象の一群を率いてアルプスを越えてイタリア半島にまで攻め込んだが、最終的には敗北した。

ローマは通常は「敗者さえも同化する」寛大な政策をとって発展したのだが、ことカルタゴに対しては特別で、1世紀以上の度重なる戦いの報復として、カルタゴ市民を虐殺し、都市はすべて破壊した。カルタゴは地上から消滅し、その遺跡は19世紀まで発見されなかった。


■3.滅亡の第1の要因:傭兵

カルタゴが消滅したのはローマとの戦いに敗れたからであるが、実際にハンニバルのイタリア半島侵攻ではローマ征服の一歩手前までいきながら、最終的にはなぜローマに滅ぼされたのか。

その理由として月尾氏が最初に挙げているのが、傭兵に依存したことである。海洋国家であるから海軍は自国民中心で構成されていたが、陸軍は大半が傭兵であった。傭兵の目的は金銭であり、カルタゴのために命をかけるという志はない。

それに比してローマは当時は共和国であり、市民は祖国のために、子孫のために、命をかけて戦うことを名誉と考えていた。いかに名将ハンニバルが何年か活躍しても、1世紀以上も戦い続ければ当然この違いが出てくる。

傭兵が頼りにならない事は、その後の歴史で何度も実証されている。たとえば、ロシアは日露戦争で当時属領として支配していたポーランド人をロシア軍に含めて送り込んだ。日本軍はポーランドの独立運動と連携して、ポーランド兵の脱走工作を行い、投降したポーランド兵数千人を松山の収容所で厚遇した。[a]

対する日本兵はすべて国民兵であり、家族のため、国家の独立維持のために命を捧げることを厭わなかった。[b]

大東亜戦争でも、日本陸軍は開戦後わずか2ヶ月でマレー半島のイギリス軍を駆逐してシンガポールを占領したが、その成功要因の一つに英軍10万の半分を占めるインド兵に呼びかけて、「インド独立のために一緒に戦おう」と呼びかけたことがある。ここで結集したインド将兵たちが、現在の「インド国民軍」の中核となった。[c]

いくら経済的に繁栄しても、国家の独立を守るのは自前の防衛力である。金で雇った傭兵では、いくら優れた将軍や武器を備えていても、長期的に国家を守る真の防衛力にはならない。


■4.滅亡の第2の要因:経済史上主義

敗戦の第二の原因が経済至上主義である。月尾氏は次の史家の言葉を引用している。

「カルタゴの歴史は文明の浅薄さと脆弱さを示している。彼らは富の獲得だけに血道をあげ、政治的、文化的、倫理的な進歩を目指す努力をしなかった」(J・トゥーテイン)

目先の利益にだけに目を奪われていては、日ごろから防衛のための備えをすることもおろそかにされる。青少年には国家公共のために働くことを名誉とみなす倫理教育もできなかったろう。

そもそも豊かな文化伝統なしに経済至上主義の中で育てられた青少年には、祖国のために尽くし、祖国の危機には立ち上がる祖国愛も育たなかっただろう。


■5.滅亡の第3の要因:ローマの敵意に対する鈍感さ

滅亡の第三の原因として挙げられているのが、ローマの敵意に対する鈍感さである。

第一次ポエニ戦争(紀元前264〜241年)の敗戦では広大な領土放棄以外に、年間の農業生産に匹敵する賠償金を24年に亘って支払うこと、さらに第二次ポエニ戦争(紀元前149〜201年)では、同程度の賠償金を50年間支払い続けることとされたが、カルタゴは、その通商での経済力でいずれも早めに完済してしまう。

それほどの経済力を持ったカルタゴを危険視して、ローマの政治家たちはカルタゴを滅亡させるべきと決心する。

「第二次ポエニ戦争での敗戦にもかかわらず、その後も発展しているカルタゴを脅威とする人々がローマに増加していくが、その中心にあったのがローマの政治家マルクス・ポルキウス・カト・ケンソリウス(大カト)である。第二次ポエニ戦争に従軍して敗走した経験もあり、カルタゴへの敵愾心に満ちていた政治家であった。

カトはカルタゴから輸送されてきた見事なイチジクを聴衆に見せ、このような立派な農産物を生産する国がローマから三日の航海の距離にあると演説し、その最後を「デレンダ・エスト・カルタゴ(カルタゴを殲せんめつ滅すべし)」と締めくくっていた。この繰返しが次第にローマ市民に浸透し、戦争の気運が高まっていった。これが第三の教訓である」。[1,p31]

ローマはカルタゴに、地中海に面した首都を捨て、内陸部に遷都せよ、という無理難題を要求して、ついに3度目の戦争に追い込む。そしてカルタゴを破った後は、その都市を跡形もなく破壊し、住民を虐殺するという、敗者に対して寛容なローマにしては珍しく残虐な措置をとったのも、こういう反カルタゴ感情がゆえであろう。

不思議なのは、カルタゴがこういうローマの敵意に対して、鈍感だったことである。経済至上主義で国の安全に無頓着であれば、他国の脅威に対しても、敏感にはなれなかったのだろう。


■6.ベネチアの繁栄と衰亡

カルタゴと同様に、地中海での通商を握って、長期間、栄えながら滅んだのがベネチアである。海上に浮かぶ小さな人口島を本拠地として、697年の初代元首就任から1797年にナポレオンに征服されるまで、実に1,100年間も独立を維持した[a]。優れた造船技術を武器に、最盛期には地中海最大の海洋国家として栄華を誇った。

ベネチアについては本誌104号[e]で紹介したので、ここでは繰り返さないが、そこで強調したのは、発展の原動力となったのが貴族も平民も国家に尽くそうという強い同胞感だった事だ。この力によって、人口10倍もの大国トルコと250年間も戦い抜いたのは、カルタゴとは大きく異なる 点である。

しかし、最後には衰退し、ナポレオンに屈服するのだが、そこでの要因として、月尾氏は以下の3つを挙げている。

第1は技術革新への乗り遅れ。15世紀にポルトガルで3本の帆柱を備えたキャラベル船が開発され、コロンブスのアメリカ大陸到達などの大航海時代が始まった。この船は造船単価が3.5倍にも跳ね上がるが、ベネチアは造船予算を1.5倍にしか増やさなかった。当然、保有する隻数は半分以下となり、海軍力も、交易力も大きく低下した。

第2はアジアとの交易で、アフリカの希望峰周りの航路が開拓され、ポルトガルやスペインなどの大西洋に面した港湾都市が交易の中心となったこと。従来の東地中海から中近東を通る陸上ルートは危険で、コストも高いので廃れてしまった。

第3に、国民の通商意欲の減退と、それを反映した人口の減少。海に向かう進取の気風が失われ、ベネチアの対岸の大陸部分に引き込むようになった。守りの生活に入ると、子どもの増加が財産の細分化につながるため、貴族の家庭で独身比率が高まっていった。16世紀の51%から、 17世紀に60%、18世紀には66%と上昇していった。

<これは肉体的な精力が減退したというよりは、精神的な意欲の衰退と理解すべき現象である。一八世紀末のナポレオンの恫喝(どうかつ)に戦時問題首脳会議も大評議会も弱腰で右往左往し、簡単に屈服した下地は、200年近い社会と国民の性質変化によって出来上がっていたということになる。>[1,p40]

■7.オランダの海洋覇権がいかにイギリスに奪われたのか

月尾氏の著書にはないが、弊誌で紹介したオランダの盛衰も関連するので、簡単に触れておこう。

大英帝国が築かれる前に、オランダはアフリカの希望峰から、セイロン、ジャカルタ、広東、そして長崎の出島に至るまで植民地や通商拠点を置き、17世紀の世界貿易を握っていた。

オーストラリア大陸はオランダ人が発見し、オランダのホラント州から「ニューホラント」と名付けられていた。ニュージーランドは、同様にゼーラント州から付けられた名前がそのまま残っている。アメリカのニューヨークは、もとはニューアムステルダムだった。

このオランダの海洋帝国は、その後、ほとんどイギリスに奪われ、大英帝国として「上書き」されてしまう。

かつてオランダはスペイン帝国の一領地だったが、自由と独立を求めて同盟国イギリスと共に80年戦争を戦い抜く。戦争の途中、オランダの商人たちが実権を握ると、彼らは金はかかるが利益の少ない地上戦闘はイギリスに任せ、自らは海洋権益の拡大を目指した。こうしてオランダは一大海洋帝国を築き上げた。

しかし、このオランダの姿勢は、イギリスの反感を買った。イギリスの当時の重商主義者トーマス・マンはこう語っている。

「オランダ人が東西両インドを征服し、その交易の果実をわれわれからむしり取っている間、われわれはオランダの防衛のために血を流しているのである」。[2,p219]

1648年にスペインとの講和が成立するや、わずか4年後には英蘭戦争が始まっている。その最中でもオランダ商人の中には、イギリスに軍艦用資材を売って大儲けする輩(やから)までいて、そんな状態ではオランダは勝てるはずもなかった。こうしてオランダの海洋覇権は次々とイギリスに奪われ、世界貿易の中心はアムステルダムからロンドンに移ったのである。


■8.日本が世界地図から消滅しないために

カルタゴ、ベネチア、オランダと、一時は海洋大国として隆盛を誇りながら、その後、滅亡ないし衰退した国家を見てきた。

これらの国々が発展する過程に共通して見てとれるのは、国民が経済発展を目指して自由に励む姿である。国民が自由に自らの利益を追求する時、個人の創意工夫によって新しい技術が生まれ、新たな航路が切り開かれ、交易が始まる。その活動が海洋大国を築く。

しかし、いざ戦争となると、経済力とは別次元の力が必要となる。カルタゴの例で見たように金で雇った傭兵では、命を懸けてまで国を守ってはくれない。自分の家族、郷土、国家を自らの生命を犠牲にしても守ろうとする祖国愛を持った国民が必要なのである。経済至上主義では、国民一人ひとりが自分の利益を追求するだけで、そのような祖国愛は生まれない。

各自が自分の利益だけしか眼中になければ、他国が敵意を燃やしていても気がつかない。カルタゴがローマの敵意に気がつかず、オランダがイギリスの怒りを買ったのも、経済至上主義の故だろう。祖国を守りたいという姿勢があってこそ、敵国や同盟国の動向・心理にも注意を払うようになる。

また、経済至上主義では、ある程度の豊かさを達成してしまうと、それに満足してしまう。ベネチアのように結婚して子孫を作るよりも、独身のまま今の生活を楽しんだ方が良いと考える。子孫のために、何とか新たな繁栄の道を探ろうという志を持たなくなる。

カルタゴ、ベネチア、オランダの歴史は、現代日本に2つの道を示している。一つは、経済至上主義で高度成長を遂げた現状で満足してしまって、十分な防衛努力もせず、近隣諸国の敵意や同盟国との連帯に注意を払わずに、少子化と経済停滞の道を歩むか。この道では、いざ敵国に攻め込まれたら、滅亡は必至だ。

第2の道は、祖国愛を蘇らせ、自らの国は自ら守るという気概を奮い起こし、防衛の備えを怠らず、子孫のために新たな精神的、経済的発展を志す。

日本が世界地図から消滅しないための岐路に我々は立っている。


■リンク■

a. JOG(323) 日本・ポーランド友好小史
 遠く離れた両国だが、温かい善意と友好の関係が百年も続いてきた。
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogbd_h15/jog323.html

b. JOG(048) 「公」と「私」と 私情を吐露しつつ公の為に立上がった日露戦争当時の国民
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogbd_h10_2/jog048.html

c. JOG(508) インド独立に賭けた男たち(上)〜 シンガポールへ 誠心誠意、インド投降兵に尽くす国塚少尉の姿に、彼らは共に戦う事を決意した。
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogdb_h19/jog508.html

d. JOG(509) インド独立に賭けた男たち(下)〜 デリーへ チャンドラ・ボースとインド国民軍の戦いが、インド国民の自由独立への思いに火を灯した。
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogdb_h19/jog509.html

e. JOG(104)ヴェネツィア
 人工島の上に作られた自由と平等の共同体。
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogbd_h11_2/jog104.html

f. JOG(115)オランダ盛衰小史
 なぜオランダは「大英帝国」になり損ねたのか?
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogbd_h11_2/jog115.html

■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け)
  →アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。

1. 月尾嘉男『日本が世界地図から消滅しないための戦略』★★★、致知出版社、H27
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4800910684/japanontheg01-22/

2. 岡崎久彦『繁栄と衰退と オランダ史に日本が見える』★★★、文春文庫、H11
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4167362031/japanontheg01-22/

◆ニューヨークタイムズは何様

宮崎 正弘
 

<平成27年(2015)5月28日(木曜日)通算第4554号 <前日発行>>

〜ニューヨークタイムズは何様(なにさま)のつもりなのだ
  トルコのエルドアン大統領が激しく米国の左翼メディアを批判した〜

ニューヨークタイムズや、ボストングローブ、ロスアンジェルスタイムズなど米国の左翼新聞は保守主義者、民族主義者を徹底的に攻撃し、グローバリズムの敵=ミンシュシュギの敵という図式を描いている。

彼らによって「世界の4悪人」とされたのはプーチン、モディ、エルドアン、そして安倍首相だったが、最近はモディ(インド首相)と安部首相が米国外交のご都合主義によって脱落し、プーチンとエルドアンに攻撃の的を絞り込んできた。ついで悪玉として浮上はアサド(シリア大統領)とネタニヤフ(イスラエル首相)である。

民主主義の大敵である中国の指導者に対してファシスト呼ばわりしないのも、不思議である。

トルコのエルドアン大統領は、新空港開港記念セレモニーでクルド族居住区を訪問し、ニューヨークタイムズの激しいエルドアン攻撃(専横が目立つ等)に業を煮やしたのか、「いったいあの新聞は何様のつもりか」と不満をぶち挙げた。

米国の論理に同調する欧州のメディアもついでに攻撃した。

「ニューヨークタイムズがトルコの政治を支配することはあり得ず、他国への内政干渉はいい加減にしろ」というわけである。

総選挙を控えたトルコでは、これまでクルド系の政党は10%ルールによって議席を得られなかったが、意外に支持を広げて次の選挙では得票率が10%を超えると予想されている。するとクルド族政党も議席を得ることになり、エルドアンは密かに連立構想を模索していると観測筋は言う。

ところでシリア内戦とISIS(イスラム国)のテロにより、観光立国トルコに外国人観光客が激減、大変な不況に見舞われている。日本の大成建設がつくった地下鉄の一部代金も未払いとなり、トルコリラは激安となった。

原油はイランから購入しているが、米国のイラン制裁のため、第三国経由で金塊をとどけて支払いに回し、また従来強く結ばれていたイスラエルとの蜜月を解消、近年のトルコはロシアべったりである。


 ▼トルコに食い込むのはロシアと中国である

そして、中国のトルコ進出が顕著となってきた。

中国はイスタンブール → アンカラ間の高速鉄道を請け負い、昨年に開通させた(開通式ではエルドアン大統領が試乗した一番電車が30分発車出来ないというハプニングに見舞われ、中国製はやっぱり駄目だという合唱も起きたが)。。。

中国工商銀行はトルコの大手銀行「テクステル銀行」の株式75・5%を購入し、傘下に置いた。同行は南アでも有力銀行「スタンダード銀行」の株式の20%を取得して筆頭株主となり、アフリカに於ける金融ハブとして機能させているが、トルコの銀行を事実上買収したことにより、中東の拠点を築いたことになる。

中国工商銀行は国有、時価総額は世界最大を記録したことがあり、世界四12ヶ国に400店舗(東京も池袋に支店がある)。 

トルコは中東でも稀な親日国家であり、その動向には目を離せないのではないか。