2015年05月24日

◆私の「身辺雑記」(223)

平井 修一



■5月21日(木)、朝は室温23.5度、快晴、フル散歩。

夕べは雨が降ったようで、蒸すかなあと思っていたら風があり、爽快。強い風で桜の葉からパラパラとしずくが落ち、これが朝陽にキラキラ輝いて美しいこと。まことにこの世は天国だなあと感動する。長生きしたくなるわな。

盆栽老人のサツキが咲き始めた。サツキだけで20鉢ほどある。これを遺されると家族は捨てるに捨てられないから大いに困る。「おぢいちゃんが大事にしていたから・・・」わが家も水遣りや土代え、施肥、病害虫駆除で苦しんだっけ。形見だから世話せざるを得ない。実に厄介。

世界は厄介だらけだ。“隠居”オバマが引き篭りになって軍事空白が生じたから“赤匪ファシスト”習近平はこれ幸いと暴れまくっており、周辺諸国は危機意識を募らせている。「『中国脅威論』高まるフィリピン、基地増強に世論後押し」ニューズウィーク5/15から。

<[ウルガン湾(フィリピン)15日ロイター]フィリピンのパラワン島にある風光明媚なウルガン湾。同地の住民はかつて、湾の奥に位置する海軍基地の増強に反対していたが、今では米国や外国の軍艦が到着するのを心待ちにしている。背景にあるのは、中国による南シナ海への進出だ。

フィリピンは東南アジアで最も海軍力が弱い国の1つであり、国民の間では中国に対する警戒感が強まっている。

フィリピン側の懸念が最も明確に見て取れる場所がウルガン湾だ。湾があるパラワン島は南シナ海に面する長い海岸線を持ち、(中国が埋め立てを進めている)スプラトリー諸島からは160キロの場所にある。

湾を囲むように点在する町の1つ、マカラスカスの有力者ジェーン・ビラリン氏は「以前は南シナ海についてはそれほど懸念していなかったが、今は緊張を感じる」とコメント。「この問題のせいで、いつか中国がわれわれのコミュニティーにやって来るのではと恐れている」と語った。

フィリピン軍制服組トップのカターパン参謀総長は11日、海外メディアを同行させ、スプラトリー諸島のパグアサ島を訪問。その時にロイターの取材に対し、資金面での障害で遅れが生じているが、海軍基地の建設は軍の最優先事項だと明言した。

現在の計画は、ウルガン湾の内部に位置するオイスター湾の既存海軍施設を、5年以内にフリゲート艦が停泊できる本格的な基地に増強するというもの。カターパン参謀総長はまた、米国や日本、オーストラリア、ベトナムの軍艦の寄港も歓迎すると語った。

湾は比較的浅いため、駆逐艦や空母を停泊させるのは難しそうだが、米海軍は基地で燃料や物資の補給をできるようになるかもしれない。

カターパン参謀総長によると、米政府はすでに、フィリピンの基地8カ所で米軍の兵士や航空機、艦船を巡回駐留できるよう要請しているという。

*新たな道路

マングローブが密生する湾を本格的な海軍基地にすることは、南シナ海の大半を自国領と主張する中国との緊張を一段とエスカレートさせる可能性がある。同海域ではフィリピンのほか、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、台湾も領有権を主張している。

ロイターの記者がウルガン湾を今週訪れた時、現地では林を切り開き、オイスター湾に続く道路の建設が進められていた。道路が完成しなければ、湾には船舶でしか行くことができない。

道路建設が始まったのは2013年10月。当時、住民たちはロイターに対し、海軍基地ができれば周囲に飲み屋や風俗店が乱立し、漁業も制限されるとの懸念をあらわにしていた。環境活動家はオイスター湾に続く道路の建設に反対している。しかし、そこで暮らす住民は中国の活動に懸念を募らせている。

前出のビラリン氏によると、住民の大半は、海軍増強計画を支持しているという。住民の1人は、米海軍の存在はフィリピンを守るために必要だと語った。

また、別の現地有力者カルロス・キランテ氏は、以前は基地の拡大には反対していたが、今は中国の人工島建設をめぐって緊張が高まっているのと感じると指摘。「もし国の安全につながるなら、誰が海軍基地の建設に反対するというのか。愛国心は個人の利益に勝るべきだ」と力を込めた>(以上)

中共の投資を呼び込もうとしているインドも警戒心を強めている。岡崎研究所の論考「インド洋へも展開する中国の原潜」ウェッジ5/15から。

<5月12日付のDiplomat誌で、インドのObserver Research財団の上席研究員であるゴーシュ(元海軍将校)が、先頃、アデン沖の海賊対処の中国部隊に原潜が配備されたことを紹介し、「これは海賊対処というよりも、むしろ将来のインド洋海域への展開に向けた動きである」と(以下のように)警告しています。

《中国がアデン湾沖の海賊対処部隊の一部として原潜を配備したことは、インド海軍に強い警戒感を与えた。これは極めて大きな戦略的な意味合いを持つ動きである。

潜水艦は海賊対策には適さない。速度の遅い潜水艦では海賊の高速で動く小舟を追跡できないし、魚雷で攻撃できるものでもなく、潜水艦は海賊対策には不必要なものだ。更に、海賊行為は減少し、関係国はプレゼンスを縮小しているのに対し、中国は、逆に増強している。

2014年12月13日から2015年2月14日までの中国原潜の配備の意図については、種々の疑問がある。インド海軍は、中国がインドの西部海域で水路調査を行っていた可能性があると言う。

中国の意図については次のようなことが考えうる。

(1)中国が、海賊対処を隠れ蓑に使い、艦船をインドの裏庭などの遠い水域で長期にわたって作戦行動させていることはよく知られている。更に、日本の海上自衛隊とインド海軍との協力を通じて日、印の能力を評価することができる。

(2)今回の原潜配備は特にインドに対し戦略的メッセージを送った。中国海軍は7カ月という長期にわたって遠方海域で行動できる投射能力を持ってきている。

(3)従来型原潜の行動は沿岸部に限られたが、技術進化したシャン級やジン級原潜は、技術水準の高いもので、今回の配備は、外洋海軍としての展開能力などを持っていることを再確認させるものとなった。

(4)中国は、インド洋での頻繁な行動を通じて当該水域の状況を把握することによって、今後の潜水艦のインド洋配備を容易にすることができる。

(5)他国が海賊対処派遣部隊を縮小しようとする中で、中国が部隊を維持、増強する背景には、将来の展開に備えて、艦船、潜水艦、要員の習熟を図っていることがある。将来、中国の潜水艦がベンガル湾やアラビア海、あるいはインド沖のチョークポイント(海峡)でインド海軍を待ち伏せし敵対行動をとるといったことは考えられないことではない。

インド洋で行動する海軍力を持ってきた中国は、今やインドの海洋隣国となった。インドはこの潜在的な脅威を無視してはならない》

中国は、潜水艦や対潜水艦能力の向上を図っていると言われます。潜水艦は、残存性の高い、重要な戦力です。米海軍のムロイ中将は、2月25日の米下院軍事委員会で証言し、中国海軍の潜水艦の数が米軍を上回ったとの見方を示したと言います。

中国原潜のアデン沖への配備はインドに強い危機感を引き起こしているようです。中国潜水艦の増強と活動の拡大は、日本を含むアジア太平洋にも直接関係する重要事項で、日米印豪等の協力が求められる所以です。

中国が大いなる自信を持ち、「大国外交」を強く進めようとしていることは明白です。その際、増強を続ける中国の軍事力について、中国側は、それは中国の防衛だけではなく、PKOや海賊対処への参加などを通じて世界の平和に貢献し、世界の期待に応えるものでもある旨述べています。

しかし、専門家が兵力の内容、武器の種類を見てみますと、上記ゴーシュが指摘するように、やはり勢力拡大、海洋進出の要素が強いようです>(以上)

中共の最大の仮想敵は言うまでもなく日本だ。「白人に敗けたのは仕方がないが、野蛮人の東夷、小日本に敗けたのは最大の屈辱だ、恨み晴らさでおくものか」と敵意、憎悪をたぎらせている。

戦前、支那の上層部は自分の子供に欧米式の名前を付けた。その習慣は今でも香港に残っている。アグネス・チャンとかジャッキー・チェンとか。欧米、白人に支那人はコンプレクスをもっているから憎悪しない、むしろ敬意をもって畏怖している。卑屈な感じ。

小日本には優越感を持ったままで、それだからこそ戦闘でほとんど敗けつづけさせられた小日本は許せないのだ。恐怖心+侮蔑感。日本も日毎に中共への警戒心を強めている。

世界日報5/17「宮古島陸自配備、中国への抑止力を高めよ」から。

<中国軍の艦艇や航空機が沖縄本島と宮古島の間を通過し、太平洋への進出を活発化させる中、沖縄本島より西側は自衛隊の実働部隊が配置されていない「空白地帯」となっている。

*解消される「空白地帯」

このような状態を解消するため、左藤章防衛副大臣は沖縄県宮古島市の下地敏彦市長を訪問し、陸上自衛隊の警備部隊を配備する方針を伝えて受け入れを要請。艦艇と航空機に対処するための地対艦ミサイル、地対空ミサイルの部隊も含め、約800人規模となることを明らかにした。

左藤副大臣は沖縄県石垣市も訪れ、中山義隆市長に石垣島への部隊配置に向けた調査に着手する方針を伝えた。

これに対し、下地市長は「十分に理解できる」とし、「市議会に報告し、しっかり議論してもらう」などと述べた。中山市長も「安全保障は政府の専権事項」だとして、協力する意向を示した。

すでに沖縄県の与那国島に沿岸監視隊が、鹿児島県の奄美大島に警備部隊の配備が決まっている。宮古島と石垣島への陸自配備が実現すれば、中国軍に対する抑止効果が一段と高まることになる。

実際、沖縄本島と宮古島の間の海峡は、中国にとって重要な太平洋への出口であり、戦略的要衝となっている。この地域に地対艦ミサイル、地対空ミサイルを装備した警備部隊を配備することの意義は非常に大きい。

今回の方針は国内外に離島防衛への確固たる意志を示すことにも繋がる。

配備される警備部隊は有事の際、初動対応を担当して沿岸・離島防衛の任務に就くことになる。地対艦ミサイルは88式地対艦ミサイルが配備される予定で、沿岸から約15キロ離れた水上艦艇を撃破することができる。地対空ミサイルは03式中距離地対空ミサイル、11式短距離地対空ミサイルなどの配備が検討されている。

宮古島に隣接する下地島には3000メートル級の滑走路を持つ下地島空港がある。この空港に、過密な那覇空港に配備されている航空自衛隊の戦闘機部隊および海上自衛隊の哨戒機部隊を分散配備することも、次の段階では検討すべきであろう。自衛隊が導入を決定したオスプレイについても同様である。

*丁寧な説明が必要だ

佐藤副大臣は「陸自部隊の配備により、宮古島への攻撃に対する抑止力を高め、災害時の救援で自衛隊が迅速に対応できるようになる」とメリットを強調した。

今後、政府は住民の理解を得るための丁寧な説明が大事になってくる。「自衛隊が配備されれば、中国軍の攻撃対象となる」といった誤った認識を払拭(ふっしょく)する必要もあるだろう。その際に経済効果や人口減の対策に繋がることにも触れるべきである。

宮古島が難航すれば、石垣島への配備も難しくなる。そのことを政府は肝に銘じなければならない>(以上)

二十数か国で連合艦隊をつくり、南シナ海で合同演習する必要がある。その動きは始まっている。「米海兵隊、中国外し ハワイで20カ国超と研修 島防衛で連携」ZAKZAK5/19から。

<米海兵隊は19日までに、日本などアジア太平洋諸国の島しょ防衛能力の向上を目指し、20カ国以上の同盟国や友好国の部隊幹部らを招いて研修会合をハワイで開始した。海洋進出を活発化させる中国をけん制し、米国と地域各国の連携強化を図る狙い。

島しょ防衛強化を目的に、米海兵隊がこれほど多くの国の部隊関係者と会合を開くのは異例。中国は一部参加国の「対抗国」だとして招待されなかったという。

17日から5日間の日程。関係者によると、米海兵隊や米海軍が水陸両用作戦に関する講義や研修を実施するほか、上陸作戦の演習視察や図上演習も予定している。

ロイター通信によると、会合に招かれたのは自衛隊のほか、フィリピンやベトナムなど中国と領有権問題を抱える国の軍高官が多い。(共同)>
(以上)

習は藪をつついてハブを出し、巣をつついてスズメバチを興奮させた。プーチンは足元に火がついているから西側との関係改善を優先しているようで、習近平を助けることはできまい。孤立無援の習・中共。

「ダメ!絶対! 引き篭りますか、それとも殺されますか? 覇権はマトモになってから」

■5月22日(金)、朝は室温22.5度、晴、フル散歩。

対中圧力が続いている。「米、中国の教授ら6人を起訴…経済スパイ法違反」読売5/20kら。

<【ワシントン=今井隆】米司法省は19日、米企業2社の技術を盗んだとして、中国の天津大学教授3人を含む中国人6人を経済スパイ法違反などで起訴したと発表した。

発表によると、6人は2006年以降、アバゴ・テクノロジーズとスカイワークス・ソリューションズの2社から、通信機器の特殊素材などの製造技術を違法に持ち出した。特殊素材は軍用の通信機器にも使われるという。6人のうち二人は2社にそれぞれ勤務した後、09年に天津大教授に就任。その後、天津大学による特殊素材を大量生産する会社の設立にも関与した。

捜査は連邦捜査局(FBI)が担当。教授の1人については今月16日に中国から米国に再入国しようとしたところを逮捕したという>(以上)

オバマも多少はやる気になったのか。

ニューズウィークに新しい論客が登場した。“パックン”ことパトリック・ハーラン氏のコラム「パックンのちょっとマジメな話」5/20が面白かった。経歴はこうだ。

1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。

2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)を4月に出版。

<日本を変えるのはKYのチカラだ!

はじめまして。アメリカ人でありながら日本でお笑い芸人やタレントを生意気にやっている、パックンことパトリック・ハーランです。これからこのコラムで連載を担当することになりました。どうぞ宜しくお願いいたします。

さ、敬語はここまでにしよう。

僕が由緒ある報道雑誌のサイトに登場するのに若干違和感を覚える方もいるかもしれないが、大丈夫。編集長がOKを出しているから問題ない!

でも、ここで僕が何を伝えるのかは、やはり気になると思う。だから、記念すべき1回目のこのコラムでは僕なりにその目的を伝えることにしよう。そのために、まず最近のエピソードを。

先日、娘の卒園式があった。子どもの笑顔と親の涙と一緒に印象に残ったのは、近所にある小学校から来園した校長先生のステキな挨拶だ。(中略)

空気を読まない子どもに、会場では大爆笑が。落ち着いたところで先生は「私がランドセルに毎日入れて持ってきてほしいのは"元気"なんだ」と、やはりいい話に持ち込んだ。その場のみんなが頷いていたし、僕も素晴らしいメッセージだと思った。

しかしよく考えたら、幼稚園生は元気がある! 新入学生はすぐ手を挙げる。すぐ応える。率先して授業に参加する。でも徐々にその姿勢が見えなくなっていく。

小・中・高の教育課程でその元気がだんだんなくなっていくのが典型的なパターン。社会人になってからだと、自然に自己主張できる人は極わずかだ。アイディアがあっても表現できない。意見が伝えられない。奮って参加するどころか、とにかく目立たないようにするのが普通みたい。

ちなみに、2012年から僕は東京工業大学で非常勤講師を務めている。講義のテーマは、去年までは国際関係とコミュニケーション。今年からはコミュニケーションにだけ絞ることにした。それも学生の希望に応えるため。コミュニケーション能力の低さに自覚があるようなのだ。

一流大学生でも、意見があっても言えない人が多い。そもそも意見がない人も多い。 学生だけではない。先生も社会人も同じ悩みを持っている人が少なくない。もっとも、恐ろしいのは悩んでいない人だ。なぜなら、彼らはそもそも自覚していないのだから。

われわれが生きている時代には、意見とそれを伝えるコミュニケーションスキルが必要不可欠だ。テレビなどで毎日のように「この問題に関して国民の議論がまだまだ足りない」と叫んでいるけど、実際に国民が議論している姿って、めったに目にしないよね? 

あなたはTPPをどう思う? アベノミクスは? 憲法改正は? 日中関係は? 米軍基地移設問題は? イスラム過激派対策は? 厚切りジェイソンは?

これらの質問を政治家やコメンテーターだけではなく、国民全員がし合って、応え合っていないとだめだと思う。はっきりした意見を持って議論しないと。

しかし「出る杭打たれる」精神にあふれた教育を受けてきた日本人が、そんなことがすぐにできるはずもない。はっきりした意見を言って目立つ人、ましてや目上の人に反論するような人は学校でも社会でも受け入れられづらい。

でも今、そんな人材が必要になっている。21世紀のキーワードはKYだ!まあ、空気を読むのも大事なスキルだが、読みすぎるのは良くない。

そこで、僕は立ち上がりたい...ちょっとだけ。このコラムでアメリカや世界のニュースを中心に取り上げていくが、日本の社会や政治について気になる点についても論点として挙げていこうと思っている。

僕の考えが100%正しいとは保証できない。専門家ではない。また、必ずしも笑えるものでもない。お笑い芸人でもない......いや、お笑い芸人ではある。ちょっとは面白くしよう。

でもとにかく、ここで僕の意見をはっきりと伝えていく。それをきっかけに、読者にも意見を持って近くの人と議論をするようになってくれれば最高にうれしい>(以上)

「欧米」と一口にくくるが、国民性は千差万別だろう。米国人はユーモアを交えながらの意見表明、情報発信が上手い、と思う。しかし日本は公開での議論はあまり(ほとんど)しない。KY(空気を読まない奴)と反発されるからだ。

あーだこーだ言うと「平井君、それは議論だろう。議論は局中法度だ」なんてなる。大体、公開の席で相手を論破したところで恨みを買うだけではないか。「平井君の言うことは正論だけれど、あそこまで言うのはルール違反だよ」と仲間から批判されかねない。これでは出世できない。

それなら宴席で本音を探り合いながら、こっそり妥協案、落としどころを練って、「ま、明日の会議ではこれで行きましょう」。農耕民族の村社会だから和をもって貴しとなす、がいいのだ。

夜の席での妥協案を翌朝の会議で採択して「万機公論に決すべし」。1000年、2000年、こんな感じではなかったか。議論がまとまらないと帝なり長老に判断をゆだね、それに従う。これの方が余程文明的ではないか。

口角泡を飛ばしての激論は日本人の美意識、伝統、倫理に合わない。日本仏教は基本的に18派、弱小を含めれば100を超すのではないか。寡聞ながら宗派間で殺し合いをしたという話は聞かない。

キリスト教はちょっと前まで殺し合っていた。迫害された人々がアメリカに脱出した。イスラム教は今も殺し合っている。

♪ねえ、パックン、こっちむいて、世界はいろいろ、生き方いろいろ、米流だけがいいんじゃないわ・・・

米共和党と民主党は議論して、折伏された議員は一人もいない。理解が深まるどころか、憎悪が深まり、今ではお互いに呪っているそうだ。結局は裏で妥協案をまとめて、多数決で決める。数の論理。茶番。議論の意味はあるのか。目立ちたがり屋の選挙区向けパフォーマンスばかり。

それなら夜の席で「で、どうなのよ」とやったほうが遥かにいい。日本人の智慧だ。パックン、いろいろ勉強してくださいね。

■5月23日(土)、朝は室温24度、晴、フル散歩。畑では枝豆が育ってきた。ビールに枝豆、実に相性がいい。

鉄男か鉄女か、小型犬とご主人(45歳ほどの独身)が鉄橋下で腰を下ろしていた。犬(コーイケルホンディエかキャバリアキングチャールズスパニエル)が電車が大好きなのだ。

鉄橋の下は腰をかがめないと通れないくらいで、もう真上を電車が通るとすごい迫力。犬は大喜びでくるくる回りながら吠えたてる。今朝は鉄橋で上下線がすれ違ったから迫力倍増だ。

この“カップル”は土日だけ散歩するが、御主人は平日は忙しいのだろう。実に仲良しで、とても幸せそうだ。遊歩道では石けりをする。ご主人が石を蹴ると犬がそれを追いかける。飽きずに繰り返す。もうずいぶん前から挨拶を交わしているが、穏やかな顔つきをしている。奥さんが見つかるといいのだが・・・

「いい人はいいね」。ずるがしこいが毎月正味50万円を持ってくるスネオ。優しく穏やかだが30万円が精いっぱいのノビタ。シズカちゃんはどちらを選ぶのだろう。スネオは叱り飛ばしてもへこたれない、タフ、打たれ強い、「セコさも芸のうちだ」とうそぶく。ノビタは失踪しかねない。

昔も今も「いい人」「いい国」だけでは生きていくのが難しい。

周囲から一目を置かれる、レスペクトされるためには、健さんみたいに、イザとなったら長ドスをもって単身、敵の本丸に突っ込むような気迫、危険な匂いというものが必要だ。

なにもジャイアンになる必要はないが、八丁堀の旦那ジャイアンを後ろ盾として、スネオ的なタフさで平次親分になり、敵の眉間に銭を撃つ、♪今日も決めての 今日も決めての 銭がとぶ、ことが大事だろう。

「『退去せよ』中国軍から警告 南シナ海飛ぶ米偵察機に同乗」から。

<南シナ海上空(CNN5/21) 中国海軍は南シナ海上空を飛行する米軍の偵察機に対し、20日だけで8回にわたって警告を発した。CNN取材班はこの偵察機「P8Aポセイドン」に初めて搭乗を許可され、独占取材を行った。

国防総省がメディアによる取材を初めて認めた背景には、人工島が投げかける問題や米国の対応強化について世論を喚起する狙いがある。

偵察機は最も低い時で1万5000フィート(約4572メートル)の高度を飛行した。米軍はこの地域でプレゼンスを高めるため、偵察機や軍艦で人工島にさらに接近することも検討中だ。

人工島の守りも増強されている。操縦席のニューマン少佐によると、島の周りを中国の軍艦や沿岸警備隊の船舶が航行し、上空は対空捜索レーダーで監視されているという。

「我々を監視しているのは間違いない」というニューマン少佐の言葉通り、中国海軍はこの日の偵察飛行の間だけでも8回にわたり、P8に対して領空から出るよう通告した。

これに対して米軍側は一貫して、P8は国際空域を飛行していると繰り返す。

この応答にいら立って、1度は「こちら中国海軍。出て行け!」という反応が返って来た。

この空域は軍だけでなく民間の航空機も飛行する。米デルタ航空のパイロットが同じ周波数を使って民間機であることを伝えると、無線通信の相手は「中国海軍」と名乗り、デルタ機はそのまま飛行を続けた。

建設作業が進むほど、中国海軍の米軍機に対する警告の頻度や攻撃性は高まると米軍司令官は予想する>(以上)

http://www.cnn.co.jp/usa/35064802.html

ジャイアンも踏ん張っている。動画を見たが、とても緊張感があり、一触即発という感じ。オバマは「南シナ海に安定を取り戻した大統領」というレガシーも創りたいようだ。結構なこと。ポチも健さん目指します。

「とめてくれるな岡田さん 背中の日の丸武者震い スネオ平次どこへ行く」

日米は周辺国に日本製の対艦/対空ミサイルを配備すべく行動すべきだ。20か国以上の連合艦隊の南シナ海大演習も9月3日を挟んで実施するといい。習近平への痛烈なカウンターパンチになるはずだ。(2015/5/23)

◆地上の楽園 大阪市の闇

MoMotarou



1860年前後の李氏朝鮮、いわゆる李朝はもはや経済的に破産し、軍事力もほとんどなく、政権は分裂と内紛に明け暮れ、崩壊寸前であった。李朝の政治がすでに何百年もの間、中国の制度をまねながら、中国以上に儒教的な専制君主政治を強化しつづけてきた事情による。(「国民の歴史」西尾幹二著)

              ★

何かがあるのだろう。ネットで見かけた情報。大阪市役所外国人職員約200名内180名が在日。生活保護受給者市民の18人に1人の割合。朴一(パク イル)さんは在日韓国人3世で大阪市立大学大学院教授。橋下市長と在特会櫻井誠との異常な対立。大阪府と大阪市の合併。直観的に述べるなら、大阪市役所は在日勢力の牙城であるに違いない。

■民主主義の悪用

要するに、大阪市は政治的に乗っ取られている。大阪市役所は在日朝鮮韓国の支配下にあるとすれば、大阪府との合併は「利権」の消滅に繋がるわけです。橋下市長らが問題にしている「二重行政」も、「在日専用」政策があるとすれば日本人用と在日用で重複はしないようになる。

問題は半島系が支配したとすると、その組織、地域が反映するかということである。既に知られて居るように「あの国のあの法則」というモノがあって、あまり良い結果にはならないらしい。その視線で大阪市を見ると成る程と思える。

■日本を喰い物にする。

民主党政権奪取で“日本国を”乗っ取った”心算でいましたが、「あの国のあの法則」が働き、敢え無く沈没しました。全く恐ろしい法則です。何が原因かと考えてみますと、「賄賂と縁故」。そして激しい「差別意識」でしょうか。あの在日の★姜尚中氏は今は東京大学名誉教授。東大も影響があるでしょう。

■地上の天国日本

地方分権も日本土人の為になるとは限らないでしょう。近年は中国人の大量流入が続いております。「移民のタダ乗り」にも十分気をつけたいですね。


             

◆「痴呆」から「認知症」へ

 
向市 眞知



有吉佐和子さんの小説「恍惚の人」でボケ老人が話題になって、何年が経つでしょうか。「ボケ」も「痴呆」もやはり不適切な呼び方だと思います。やはり「認知症」「認知障害」が、用語としては適切と思います。
 
<脳生理学によれば、脳の神経細胞は140億個というとんでもないたくさんの数だそうです。しかし、実際に働いているのは40億個だけ。脳は20歳頃に発達を終え、脳のピーク時の重量は1400gだそうです。20歳のピークを過ぎると、1日に10万個ずつ脳の神経細胞がダメになっていき、脳細胞の数は日に日に減少。
 
1日に10万個、1年365日で3650万個が失われていき、10年で3億6500万個が失われ、30年で約10億個が失われる計算になります。すなわち20歳で40億個働いていた脳の神経細胞が50歳で30億個になり、80歳で20億個になる。つまりピーク時の重量より100gも重量が減るのです。>

この話を知った時、物忘れがひどくなって当たり前と納得してしまいました。一生懸命考えても考える脳の量が減っているのだから、思い出せないし覚えられなくて当然と思ってしまいました。人の名前が出てこない、ふと用事を思いついて立ってみたものの「さて何をするつもりだったのか?」わからなくなってしまう。まさしく老化の入口なのでしょう。

しかし、「認知症」となるともっともっと記憶の障害が強くなるわけです。よく言われるように自分が朝ごはんを食べたことさえも忘れてしまう。とすれば、一瞬のうちに自分のしたことを忘れてしまうという、とてもつらい体験のなかで暮していることになります。
 
1週間前の記憶、昨日の記憶、今朝の記憶も忘れてしまう。自分のしたことを忘れて記憶していないということは、記憶喪失に近い感覚で、体験の積み重ねができないことになります。

すなわち毎日毎日新しい体験ばかりが自分に降りかかってくるという、緊張とストレスの連続の中で生きてゆかねばならないことになります。そんな認識の中で生きている高齢者の辛さをまずわかってあげてほしいと思います。

「認知症」の人が、それぞれの脳に残された能力の範囲で一生懸命に世界を認識しようとしている。私達からみればその世界が非現実的でまちがっている世界であっても、高齢者からすれば他に考えようのない現実なのです。それを頭から否定されたらどうしてよいかわからなくなって、混乱におちいってしまうことになります。
 
「認知症」の人への対応の奥義は「(相手を)説得するより(自分が)納得する」ことです。しかし、だんだんと世の中の決まりごとを超えた行動をとりはじめるのが、「認知症」や「精神科疾患」の特長です。客観的に見ればありえない話が患者さんを支配します。

もの取られ妄想とか、しっと妄想といわれる行動です。たとえば妻が「ここに置いてあった財布を知らないか?」と夫にたずねたとします。夫が「知らないよ。見なかったよ。」と答えます。

夫の答えに対して通常妻は「おかしいなあ、どこへ置いたのかなあ。」と自分の態度を修正するのです。しかし、「認知症」となると自分の態度が修正できません。夫の「知らない。見なかった」という答えに対して「おかしい?!私の財布をとったな?!かくしたな?!」と思い始めるのです。
 
今のところ「認知症」に対する効果的な治療は見つかっていません。まず周りの者が「認知症」を理解し、対処のしかたを身につけることが現実的な道です。そして、その対処の仕方を授けてくれるのが、医療や介護の専門家です。

「老人性認知症疾患センター」という相談機関があります。精神科のある総合病院などに設置されており、大阪全域の場合、9ヶ所の病院にあります。ここでは、「認知症」についての診断と、医療・福祉サービスの情報提供を行っています。まずしっかりと診断を受けないことには対処方法も立てられません。

介護保険をはじめ福祉サービスをうける場合も、入院や施設入所をする場合も、すべて医師の診断書がなければ利用できないことをご存知でしょうか。診療をうける必要を感じない「認知症」の本人を診察につれて行くことが最大の難関となります。もし高齢者に認知症状を疑われたら、本人の身体に関する訴えに注意しておきましょう。

「もの忘れがひどくなった」とか「夜ぐっすり眠れない」という症状は、案外本人も自覚しているものです。それを理由に「受診」をすすめてみましょう。最近は「精神科」という看板ではなく、「もの忘れ外来」という看板をあげている病院もふえてきています。

「おしっこの出が悪い」でも何でも構いません。ご本人の訴えをもとに医師に診てもらうチャンスを作り出してください。精神科でなくても内科系の開業医でも「認知症」の理解はあります。受診にこぎつければ、医師は検査や服薬をすすめてくれます。

「おかしい」と気付いた家族が、本人の診察の前か後かに医師へ本人の在宅の様子を伝えておけば医師は上手に診察をしてくれます。

家族の方々も皆それぞれに生活があるのですから、その生活までもが脅かされる問題行動が続く場合には、施設の利用も考えていかざるを得ないと思います。         (了)
              (ソーシャルワーカー)

2015年05月23日

◆ポツダム宣言を聖典化する愚

阿比留 瑠比


「世界征服のための戦争だった」 荒唐無稽な「共同謀議」史観

20日の党首討論を聞いて耳を疑った。共産党の志位和夫委員長が、日 本に降伏を求めた1945年7月のポツダム宣言を引用し、安倍晋三首相 にこう迫った場面でのことだ。

「(宣言は)日本の戦争について、世界征服のための戦争だったと明瞭に判定している。宣言の認識を認めるのか認めないのか」

確かにポツダム宣言第6項には、志位氏の指摘のように「日本国民を欺瞞(ぎまん)しこれをして世界征服の挙にいづるの過誤を犯さしめたる者の権力および勢力は永久に除去せられざるべからず」とある。とはいえ、志位氏はこの認識が絶対だと本当に思っているのか。

志位氏は討論後、記者団にまるでポツダム宣言が民主主義の聖典であるかのようにこう称揚もした。

「日本の戦後民主主義の原点中の原点がポツダム宣言だ」「ポツダム宣言は戦争認識の原点で、誰も否定できない」

だが、戦前の日本は果たして「世界征服」など目指していたのだろうか。対英米戦は両国などの対日禁輸政策に追い詰められた日本が、窮余の策として選んだ道ではないか。

政府高官は討論終了後、周囲にこう苦笑していた。

「どこの国の政治家ですか、という質問だった。日本が世界征服をたくらんだなんて、どれだけリアリティー(現実味)のない話なんだ。テレビを見ていた国民もそう思っただろう」

ポツダム宣言は、戦いを有利に進めていた日本の戦争相手国が出したものであり、日本を「悪者」として位置付けるのは当然だといえる。また、昭和2年に田中義一首相(当時)が天皇に上奏したものとされ、日本の世界征服計画を記した「田中上奏文」が米英などの対日認識に大きく影響していた可能性もある。

田中上奏文については、東京裁判でも取り上げられたが、日本側弁護団によって中国側が作った偽書であることが立証されている。

東京裁判は、先の大戦は日本の軍国主義者たちの「共同謀議」に基づく侵略計画に沿って実行されたという見方を前提にして始まった。検察側は、それを裏付ける証拠として田中上奏文を持ち出したが、裁判途中で偽書と気づいて追及をやめたのである。

志位氏が引用したポツダム宣言第6項は、この東京裁判でもインド代表のパール判事らから数々の反論がなされた荒唐無稽な「共同謀議」史観に貫かれている。どうして今さら、そんな珍妙な認識を日本が認めないといけないのか。

ここで思い出すのは、これまで国会で繰り返されてきた「日本は東京裁判を受諾したのだから、その歴史判断も受け入れなければならない」という議論だ。

国を個人に置き換えて考えてみたい。裁判を経てある判決を言い渡された場合、法治国家の一員である以上、当然、その刑に服さなければならない。

だが同時に、外形的に刑を受け入れても、内心で裁判官の判断を不服に思うのも、自身は実は無罪だと考えるのもその人の自由であるはずだ。憲法19条「思想および良心の自由」を持ち出すまでもない。

東京裁判を受け入れたからといって、その思想や歴史観、政治的背景、各国の都合や思惑を全部ひっくるめて引き受けることなどできようはずもない。

それが可能だと考える人は、他者の内心に容易に手を突っ込み改変できると信じる危険な傾向を持つ人物だということにはならないか。
                      (政治部編集委員)

          産経ニュース【阿比留瑠比の極言御免】2015.5.22


<ポツダム宣言「本当に読んでないようだ」 志位氏が皮肉

朝日新聞デジタル 5月22日(金)8時36分配信>

「事実誤認がある。本当に読んでいなかったことがうかがえる」。共産党の志位和夫委員長は21日の記者会見で、安倍晋三首相が20日の党首 討論の際、第2次世界大戦で米・英・中の三国が日本に降伏を勧告したポツダム宣言を「つまびらかに読んでいない」と答弁したことについて、こんな皮肉を飛ばした。

志位氏は、自民党幹事長代理だった首相が月刊誌「Voice」 2005年7月号の対談で、「ポツダム宣言というのは、米国が原子爆弾 を二発も落として日本に大変な惨状を与えた後、『どうだ』とばかり (に)たたきつけたものだ」と語っていたと指摘。

だが、宣言は1945年7月26日に米英中の名で発表され、同8月6日と9日の原爆投下後、 日本が同14日に受諾を決定した。志位氏は「(宣言は)二つ原爆が落ち た後に『たたきつけられた』ものではない。事実誤認がある」と述べた。

20日の党首討論では、志位氏がポツダム宣言について「日本の戦争 について世界征服のための戦争であったと明瞭に判定している。総理はこ のポツダム宣言の認識を認めないのか」と質問。首相は直接答えず、「その部分をつまびらかに読んでいないので、直ちに論評することは差し控えたい。先の大戦の痛切な反省によって今日の歩みがある」と述べていた。


            

◆李克強首相がブラジルで大風呂敷

宮崎 正弘
 

<平成27年(2015)5月22日(金曜日)通算第4547号 >

 
〜今度は李克強首相がブラジルで大風呂敷
  産業団地後と輸出し、相手国の経済発展に協力する、って〜


すっかり経済プログラム策定の主導権を習近平に奪われた観があった李克強首相率いる国務院。中国でそもそも経済方面を所管するのは国務院である。

反撃するかのように李克強首相は別のファンドによる外国投資プログラムを訪問先のブラジルで派手にぶち挙げた。

ソブレンファンドと呼ばれる「中国国富ファンド」(CIC)子会社を通じて300億ドル、合計700億ドルで「工業団地まるごと輸出」を行うという壮大な風呂敷だ。

シルクロード財団は400億ドルだから、それよりも金額も多く、また国務院所所管の「CICファンド」の子会社を設立するという手段も、新手である。

習近平の対抗姿勢が見え見えである。

中味を見ると鉄鋼、造船、化学、機械、通信、繊維産業ならびに宇宙・航空産業の「工業団地」を相手国に設営し、経済発展の向上に協力するというもの、名付けて「MADE IN CHINA 2025」。

プロジェクト名が象徴するように10年後の2025年を目標に、ブラジル、メキシコなどに中国企業団地を移設する腹づもりらしい。

AIIB、BRICS、そしてシルクロード基金のいずれもが中国の在庫一掃と中国企業の雇用確保を狙ったものであり、それに輪をかけて今度は中国企業をプロジェクトごと外国へ輸出しようという、とてつもない計画である。

大生風呂敷をひろげるのは得意中の得意の中国だが、たたみ方を知らないという特性もある。
       

◆何清漣氏の講演「中共6つの難問」

or 習近平革命の行方

平井 修一



中共から米国へ亡命した経済学者、何清漣女史のバンクーバー講演(5/3)の内容が女史のサイトにアップされた(5/9)。中共の現状について生々しい情報が多いので要約する。

<「新常態:中国が直面する6つのボトルネック」

本日、バンクーバーという美しい町にお招きいただき、主催者に感謝するとともに、バンクーバーの中国領事館が私のような“反革命分子”がこうして公開講演をすることを我慢してくださったことに感謝したいとおもいます。

と申しますのも、米国のニューヨークでは私の公開講演は事実上不可能なのです。ニューヨークの中国領事館は私がどこかの大学で講演すると聞くや、すぐさま邪魔しようとします。たとえばペンシルバニア大学では二度、講演を阻止され、中国留学生の学生会のトップまで辞めさせられる始末でした。

今日の講演テーマは「中国経済発展が直面する6つのボトルネック」です。みなさんのために中国経済の実態を総括検討し、この6つのボトルネックを突破できるかどうか、中国の未来とどう関係するかについてお話しいたしましょう。

★第1のボトルネック;中国は世界の工場の地位から転落し、復帰は絶望。産業構造再調整は極めて困難

中国という「世界の工場」は2001〜2010年まで光り輝いていましたが、いまやついに取り返しのつかないほどの衰亡ぶりです。最新の報道では、主要工場の東莞脱出、工場閉鎖が第二の波となっているといわれ、去年1年あまりに4000の企業が閉鎖となりました。

この衰亡への曲がり角は(リーマンショックの)2008年です。2008年から12年までの公開データでは、東莞では7万2000の企業が閉鎖されました。いま、労働集約型を特徴とする東莞の企業の大量閉鎖は、生態環境と労働者の生命を元手とする中国経済の成長モデルがついに行き詰まったという指標です。

これ以前には中国経済の成長は三頭立ての馬、つまり投資、外国貿易、内需で牽引されていたのですが、いまではこの三頭とも息も絶え絶えで、今年の最初の3か月間の外国貿易は前年比15%減であり、もはや外国貿易という馬が中国経済成長を引っ張れず、別の馬を探さなければならないということです。

過去二十数年来、不動産業界が中国経済成長のトップ産業でしたが、高度にバブル化した不動産業界も停滞に陥っており、政府も企業もなんとか滑りおちるのを支えようとしてはいますが、しかし不動産業の上流・下流の数十にのぼる産業は却って全面的な生産力過剰です。

たとえば、鉄鋼業、セメント産業の生産過剰は約3割、比較的距離のある床板、家具、紡績なども深刻な生産能力過剰です。こうした産業の生産能力過剰危機は「中国経済の核爆弾」ともいわれ、核爆弾と同様にいつ経済危機に引火爆発するかわかりません。

ですから、中国は現在「二つのシルクロード計画」を必要として、アジアインフラ投資銀行をつくって、外国にこの生産過剰を輸出したいのです。

でも、これは別のテーマですから、今日は「この計画が成功する可能性は比較的低い。なぜならこの計画に入っている数十の国家は大部分が主権の信用がよろしからぬ国々であり、中国とパキスタンなど国際協力に別の(政治的、地政学的な)目的がある場合をのぞいて、中国の他の国々への投資はお金が無駄になるだけだと思う」とだけ言っておきます。

以上の問題は中国経済の構造調整は望みがない、ということです。いわゆる経済構造の調整というのは政府が調整したいからといって、そのとおりにできるというものではありません。

かつて2005年に広東省が「籠の中の鳥」を取り替えようと、労働集約型産業を淘汰して、ハイテク集中型産業を導入しようとしましたが、結果は鳥かごは空っぽになって、古い鳥は飛び去り、新しい鳥は飛んできませんでした。現在、珠江デルタ地帯の産業は空洞化しています。

★第2のボトルネック;膨大な失業者の大群

中国は世界一の人口大国で、失業問題は中国の頭上に一本の糸でぶら下がっているかのダモクレスの剣です。

文革当時、私は十数歳でしたが、中国にはもう深刻な失業問題があり、就職は困難でした。当時、都市住民は無理やり「山に登り、田舎に行く」ことを強制されて、企業や軍隊に入れたらましなほうでした。

改革開放後、中国が世界の工場になって輝いていた時代にも、やはり大量の失業人口は存在しました。たとえば農村の過剰労働力は1億をこえていました。現在、世界の工場の地位から滑り落ちて、失業問題はさらに深刻さをましています。

長い間中国政府の発表する都市の失業率はすべて4.5%以下になっていますが、このデータは中国の失業の真実を説明できていません。

第一に、データは都市の政府部門に登記された人口だけで、登記外の人口は入っていません。第二には、都市登記失業率は農村の失業者を除外していますが、その農村の過剰労働力は相当に膨大なもので、このふたつを除いた統計データというのはもともと穴だらけなのです

現在、中国の失業者の大群は4つの層からなっています。

ひとつは農村の過剰労働力。「世界の工場」が倒産したために大量の農民が帰郷し失業状況は深刻です。

ふたつには外資系のホワイトカラーですが、外資大量撤退で、結構な給料をもらっていたホワイトカラーが失業しています。

三番目は大学生で、大学生には就職証明書があってはじめて卒業証書を出すために、学生は両親や親戚に頼んで偽の就業証明を発行してもらいますから、学校が提供する就業率というのは完全に意味を失っております。

四番目は都市の中学・高校を卒業して長期に家にいる「待業青年」たちです。中国のメディアでは「スネカジリ族」とよばれています。

では中国の失業者はどのぐらいなのか? ふたつのデータが参考になります。温家宝前総理は2010年3月、中国発展ハイレベル論壇に出席したとき公開した「中国失業人口は2億」という数字。

もうひとつは元世界銀行副頭取の林毅夫の提供したもので、今年の1月にダボス会議で述べた「中国は1.24億人の製造業の職場が他の発展途上国に移ってしまった」というものです。(合わせて3億人)

現在、中国の労働年齢人口は9.4億人で、失業人口が3億ともなれば真実の失業率は32%になります。こんなに多くの人々が仕事がないのでは、「パンの契約」は効果がない、といえます。

中国は専制独裁国家であり、「パンの契約」の意味は、選挙権や言論、集会、結社の自由などがないかわりに、「庶民にちゃんと飯を食わせる」ということで交換(了解)されている、ということです。

いまやこれほど多くの人々が失業しているということは、一般の人々は(自由という)権利を得ることもなく、パンも得られないということです。いかなる国家もこのような高い比率の失業人口に直面したことはなく、大変頭の痛い問題です。

★第3のボトルネック;資源危機の深刻さと高度の対外依存

中国の環境汚染は立体化しています。つまり水も、土地も、空気も全面的に深刻な汚染です。この方面の資料は多いので時間の関係で省きます。ただ中国経済の発展は厳しい資源的な拘束によって、生産原料で様々に破綻しており、さらに生活の糧である食料でも中国の対外依存ぶりは深刻です。

石油は「経済の血液」といわれますが、中国はその6割以上を輸入に頼っており、鉄、銅、亜鉛などの各種金属鉱石の対外依存度も比較的高く、いちいち数字はあげませんが、ひとことでいえば中国経済の安全は対外的要素に依存しています。

「民は食をもって天と為す」といいますが、食料も中国の農業人口は6割もいるにもかかわらず、自給率は2014年に87%に下がっています。三大食料の大豆、トウモロコシ、コムギはみな輸入に頼っています。

土地汚染による食料汚染のことは別にしても、量的な問題だけでも中国の2億人の食料は輸入に頼っているのです。これは中国の食料価格と国際市場価格が連動することであり、もし天災人災がおこれば、たとえば戦争などで食料生産国が原産したら中国の食料価格は急騰するでしょう。

食料対外依存の不安定さは、20年以上前に米国の生態環境学者ブラウンが「誰が中国を食わせるのか?」という本で中国に警鐘を鳴らしましたが、中国はこの研究を「反中華勢力が中国に泥を塗る陰謀」として「中国脅威論」だと大々的に何年も批判を繰り広げました。

ここ数年、やっと食料の安全が問題となりブラウンに対する態度をかえて、中国で講演させましたが、結局やはりその観点を受け入れることはできず、また熱が冷めました。ブラウンという学者に対する温度変化は中国で真実を語ることの難しさを示しています。

★第4のボトルネック;地方政府の泥沼債務

地方債務は地方財政危機を引き起こしかねず、これは中央政府のひどい頭痛のタネです。中国の債務総額の規模は一昨年の外国投資銀行の推計では中国GDP総量の168%に達しております(マッケンジーの5月8日の最新報告ではすでに282%)。その大部分は政府と企業債務です。

その中で地方政府の債務はトップで、約20兆元(400兆円)。これはわざと地方政府官僚が実績を上げるために少なくしていたものです。実際の債務額の3割から5割でしょう。これに対して中央政府も2014年に地方政府に「2015年1月5日前に債務の実態を報告せよ、中央政府が金をだして地方政府の債務償還をしてやる」とほのめかしました。

地方政府はこれに希望を見出して“誠実”に報告したため地方債務はビッグバンのように膨れ上がりました。財政部はこれらの数字に「父親の愛(の助け)」はとても実際には無理だとわかって、元の20兆程度にしました。

現在の方法は地方政府が報告した20兆の債務の一部を中央政府が払って、一部はマーケットにもたせて、残りを地方政府に負担させることです。

地方政府が借金を踏み倒して集団騒動がおきても、地方政府ではちょっとばかりの補償金をはらって事態を“平穏化”させるぐらいしか手がありません。というのは地方政府というのは土地以外に、別に財を生む手段を持っていないのです。この巨大な債務の泥沼に中央政府が頭を痛めるわけです。

★第5のボトルネックは金融危機(略)

★第6のボトルネック;富の分配の深刻な不公平と貧富の差の拡大

この二十数年にわたって中共権力貴族層は公共財と民の財を誰憚らず略奪してきたために、貧富の差、富の偏在は際立ったものになりました。これについてはみなさんもよく感じておられるとおもいますので、ここではひとつだけデータをあげておきます。北京大学の中国社会調査センターがだした「中国民生発展報告2014」のいくつかの数字です。

2012年、中国家庭の財産のジニ係数は0.73(0.4以上は危険水域)で、頂点の1%の家庭が全国の3分の1以上の財産を占有し、底辺の25%の家庭の財産は総量のわずか1%前後でした。このような富の過度の偏在、高いジニ係数は世界中を見渡しても中国しかありません。

ですから中国の低収入階層というのは貧民であり、人口の6割をしめており、貧乏人の多すぎる社会であり、社会的に上昇していこうにもパイプがないという社会ですから、不安定要因に満ち満ちた社会なのです。

民主国家であればこれまでにあげた6つのボトルネックの3つもあれば、政権は崩壊し内閣は辞職ものです。しかし中国の専制政治とコントロールは依然として盤石の統治ぶりです。

とはいえ、こうした問題はいつかは解決されなければならず、長い間ずっとこのままでいくわけにはまいりません。こうした社会危機を解決する方法は大きくいって3つです。

ひとつはマルクス主義、すなわち暴力革命で政権をひっくり返すわけです。1949年以前、中国はこの手の革命をおこないました。農民一揆と共産革命です。

二番目は帝国主義的な、資本主義経済の危機にあたって、戦争による対外的な拡張でもって国内の危機を乗り切るやりかたです。

第三はケインズ方式で、国家の関与を強め、税収をたかめて赤字財政によって投資を刺激し、就職口を生み出し、国民の購買力をたかめて資本主義の生産過剰の危機を解決するやりかたです。

中国政府は事実上計画経済のもとで政府のコントロールとケインズ方式を一緒にしているのですが、効果は芳しくありません。

未来の中国がどの方式を用いて危機を解決するのか? 帝国主義方式とケインズ方式にくらべて、中国では政府のイデオロギーでも民間の価値観からいっても、第一のマルクス主義にもっとも近いのです。

中国と似たような状況にたいするマルクス主義の説明は大変簡単でありまして、一切の危機の根源は「絶対多数の人民が搾取を受け、収入が低すぎるのは、少数の特権階級が搾取収奪によって社会の富の大部分を占有しているから」です。

ですから私たちは中国の制度のやりかた、文化的土壌、政府のイデオロギーと人民の考え方や習慣に基づいて、中国がこの苦境をぬけだす有効な方法はなにか、ということをともに考えることができるでしょう。ご静ありがとうございました>(以上)

中共は建国66年。66年間、人民は共産主義思想のみで洗脳されてきた。日本はGHQの占領期間中の7年間、自虐史観を植え付けられただけだが、主権回復から60年以上たっても多くの国民は洗脳されたままだ。洗脳はまことに恐ろしい。

中共人民は66年間も洗脳されっぱなしだから、共産主義思想以外の考え方や行動はまったくあり得ないということになる。

毛沢東に心酔する習近平は共産主義思想以外を認めず、思想統制を強めているが、彼の反腐敗運動は、どうやら「上からの新共産革命」なのかもしれない。人民の80%前後は習を支持している。

結局、習や人民の思考回路によれば、中共がボトルネック=難題を突破するには、一揆や暴動と、それを契機とした新共産革命で特権階級=紅色貴族をつぶし、ガラガラポン、偉大かつ正当性のある「純粋共産主義帝国」へと再生させるしかない。「中国夢」とはそういうことだろう。

西側社会からすれば、自由民主人権法治の小康社会へゆっくりとソフトランディングすればいいと思うが、「搾取階級=金持ちは殺せ、西側思想に染まった知識人は殺せ」というソフトしかない支那では、新共産革命のハードランディングしか選択肢がないかもしれない。

毛沢東の中共建国を第1次共産革命、改革開放派の劉少奇・トウ小平等テクノクラートを追放した文化大革命を第2次共産革命、西側に門戸を開いた米中国交回復を第3次共産革命、復活したトウ小平が発動した改革開放を第4次共産革命とすれば、文革以外は中共の延命・発展につながった。

習の反腐敗・中国夢キャンペーンは第5次共産革命になるのか。それは果たして発展をもたらすのか。それとも世界中から反発を買って自滅するのか。

支那人は「見栄と面子」を大事にするという。正義を振りかざした習近平革命は人民の見栄と面子、国威発揚に沿うものだろう。しかし、一方で当然のことながら血と破壊をもたらす。

人民は以前のような井の中の蛙ではない。小康社会、和諧社会の理想を日本に見る人が多いようだ。習個人ではなく中共への不信感を持つ人民は増えているように見える。

人民の脳みそ/上部構造は共産主義思考でも、体/下部構造は拝金主義、物質主義にどっぷり浸かっている。マルクスは「下部構造が上部構造を規定する」と書いた。習の革命に人民はついていくのかどうか。

何清漣女史は、実は愛国者だ。追放されたとはいえ、中共は祖国なのだ。習の反腐敗運動に一縷の望みをかけていると書いていた。「それでなければ中国はあまりにも惨めだ」と。

第5次共産革命は現在進行形だ。失脚した者、自殺者や収監者はかなりの数だろう。小生は中共が西側価値観に近づくことを願うが、革命の結末は読めないでいる。(2015/5/19)

◆浪花節・落語・ジャズ・歌謡曲、、、

室 佳之


主宰者が『ラヂオ歌謡の頃』を再掲され、常連執筆者前田様が続けて『小唄・浪花節・藤本二三吉』を書かれたので、それに乗っかろうとした次第。

前田様から廣澤虎造の名前が出ました。小生が演芸に関心を持ち始めたのはフリーターで独り暮らしを始めた頃、丁度日韓W杯の年。アルバイト先で、浪花節好きな測量士が、仕事終わりに『森の石松』の『飲みねぇ、寿司食いねぇ』の有名な件を演じたものの、小生にはまるでチンプンカンプンでした。

しかし、小生以外その場にいた人たちはみんな面白がって聴き入っていたのが悔しくて悔しくて、当時住んでいた荒川区の尾久図書館で虎造のCDを片っ端から借りて聴き始めたらすっかりのめり込んでしまいました。

そのうち小生まで人前で演じたりする始末。そのうち演芸関連のCDが豊富にそろっている尾久図書館に入り浸り、いつの間にか落語のほうへどっぷりと浸かり始め、今に至っています。

昭和の名人と云われた噺家は、みんな大好きですが、なかでも小生は珍しく(?)十代目金原亭馬生が一番のお気に入り。現役ではこの10年以上、柳家小三治師を追っかけています。

廣澤虎造に話を戻すと、丁度浪花節にハマった頃、演芸評論家の吉川潮氏が書いた『江戸っ子だってねぇ―浪曲師広沢虎造一代』(新潮文庫)が出版され、夢中で読んだのを覚えています。

もうご存知だったら申し訳ありませんが、前田様に是非お勧めします。ちなみに、吉川潮氏はその後『浮かれ三亀松』など芸人一代記をいくつも手掛けています。

廣澤虎造のことはもちろん直接に知らない世代ですが、仕事やプライベートで年輩の方と時折浪花節の話で盛り上がることがあります。なかでも思い出に残っているのは、ソウルでお世話になったお粥屋のハラボジ(おじいさん)。

終戦まで東京に住んでいたハラボジに、虎造のテープを日本から持っていきプレゼントしたら大層喜んでくれました。このことは7年前の1,063号で書いたことがあります。

ジャズにのめり込んだのは、まだ10年も経ちませんが、不思議と古い時代にしか関心が持てず、昨晩も名ピアニスト秋満義孝さんの演奏を秋満さんの真後ろで聴くという幸運に恵まれました。

85歳とは思えないその軽快な弾き方にほれぼれします。他にクラリネットの北村英治さん、ドラムの猪俣猛さん、サックスの尾田悟さんなど、聴きに行く演奏家はほとんど80歳超えた方々ばかり。

仕事は同じ高齢世代のケアプランを立てる身なので、世の中不思議なものです。主宰者は願い下げと云われるかも知れませんが、前田様のジャズ雑感なども是非読んでみたいものです。

歌謡曲については、まだまだ全然知りませんが、昨年読んだ『談志絶唱昭和の歌謡曲』(大和書房)は、とても面白く2回も読んでしまいました。

春日八郎、三橋美智也、ディックミネ、淡路のり子、バタやんなどなどきりがないほどの交流秘話が載っています。

主宰者渡部様が『ラヂオ歌謡の頃』をはじめ、あの頃の歌手や歌など詳しく紹介されていて、これからもその時々で再掲していただきたいと思います。いつも楽しみに読んでおります。(むろ よしゆき)

2015年05月22日

◆中央警備局長と副局長を拘束?

宮崎 正弘 


<平成27年(2015)5月21日(木曜日)通算第4546号 >

 〜国家安全機関の表彰式で習近平は党への絶対的忠誠が重要と講話
   直前、中央警備局長と副局長が「暗殺未遂容疑」で拘束された?〜


雑誌『博訊』5月号によれば、中央警衛局副局長だった王慶陽が「暗殺謀議を凝らした」容疑があるとして拘束され、局長の曹清も解職に追いやられたという(博訊新聞網、5月19日)

北京で5月19日、国家安全機関中央表彰式が行われ、習近平が講話をな して、「国の発展は正しい党の指導の下、安全の深化が重要であり、この路線を堅持し、さらに安全を高めることによって理想が達成される。中華民族の復興と中国の夢の実現へむけて、さらなる努力をして欲しい」と述べた。

また「国家の発展は主権と安全の確保によって獲得できるのであり、安定した法治社会の実現には十八回党大会の精神を深く学習し、徹底的に深化させ、社会の安定につくせ」とした。

同会議では、続いて孟建柱が演説し「党の団結、党中央への絶対的忠誠、そして習近平講話の徹底学習」を強調した。

じつは4月15日に「中央国家安全委員会」の第一回会議が開催され、こ こでも習近平が講話を発表し、同様なことを述べているが、この席には李克強首相、全人代委員長の張徳江も同席していたという(多維新聞、5月19日)

党学校の書店には習近平の講話などをまとめた冊子が無料でうずたかく積まれているが、誰も見向きもしないのが現実なのに?

◆プーチンの「黒い履歴書」

平井 修一



杉浦敏広氏は伊藤忠商事でロシア方面を担当し、2015年3月退職。現在(財)環日本海経済研究所共同研究員を務めている。

氏の論考「ロシアの理解に必読、プーチン大統領誕生秘話 オリガルヒの操り人形のはずが、糸が切れるや否や・・・」JBプレス5/21は示唆に富んでいた。

<無名のウラジーミル・ウラジーミロビッチ・プーチンがロシア首相・大統領に駆け上る背景は、本人が優秀・有能だからではなく、あくまでソ連邦国家保安委員会(KGB)内部では平凡な人物であり、御しやすいと当時の新興財閥(オリガルヒ)が判断したからにほかなりません。

すなわち、プーチンは“軽い神輿”として担がれたというのが真相です。

もちろん、オリガルヒ側の判断ミスであったことは、その後の事態の推移が証明しています。無名のプーチンを軽い神輿として担いだはずのオリガルヒは飼い犬に手を噛まれ、権力を掌握した有能なプーチン大統領に追放されてしまいました。

KGB第1総局(対外諜報担当)第4課(欧州担当)に配属されたプーチン氏は1985年、KGB少佐として東独ドレスデンに赴任しました。赴任中に中佐に昇進し、私生活では2人の娘が誕生。彼はのちに「ドレスデン駐在中が一番幸せであった」と述懐しています。

1990年に故郷のサンクトペテルブルクに戻り、KGBを辞職したプーチン中佐は、慣例により階級が1つ上がり予備役大佐になりました。一方、プーチン氏と同僚のイワノフ現ロシア大統領府長官は現役時代KGB中将まで昇進し、現在は予備役大将です。

(1917年のロシア革命後に)ロシアでは赤色テロが始まり、秘密警察(反革命・サボタージュ取締り全露非常事態委員会/別名“チェーカー”)が設立されました。

この秘密警察組織はその後何回か名称を変更しましたが、“国家保安委員会”(KGB)、現在の“ロシア連邦保安庁”(FSB)へと名前を変えながらも連綿と続くことになります。

KGBのライバル組織GRU(赤軍参謀本部情報総局)は、トロツキーにより1918年に創設された赤軍の諜報機関です。「日本軍、北進せず」で有名なリヒャルト・ゾルゲはGRUの諜報員であり、KGB所属ではありません。

*プーチン首相・大統領登場の時代背景

プーチン大統領はKGB出身です。これは本人が公表しており、秘密ではありません。

ソ連邦は1991年末に解体されました。ソ連邦解体後の約8年間、エリツィン(1931〜2007年)初代ロシア連邦大統領の政権下、魑魅魍魎とした新興財閥(オリガルヒ)がエリツィン周辺に“ファミリー”として君臨。“民営化”という錦の旗のもと、旧ソ連邦の国家資産を搾取していきました。

その結果、第2期目のエリツィン大統領政権末期の1999年になると同大統領の支持率は1桁台に落ち、翌年6月の大統領選挙ではロシア共産党候補者が当選する可能性が大となりました。

ロシア共産党候補者が大統領ともなれば、旧ソ連邦の資産を搾取した新興財閥の財産は再度国有化されかねません。担ぐ神輿は軽ければ軽いほどよい。焦った新興財閥が白羽の矢を立てたのが、プーチン予備役大佐でした。

プーチンは東独ドレスデン勤務後(1985年〜1990年)、KGBを退職(実態は解職に近い)。傷心のプーチンを迎え入れたのが、当時のサプチャーク/レニングラード市長です。

その後、チュバイス統一電力公社社長やボロージン大統領府総務局長らの庇護を受けて出世の階段を上り始め、ロシア大統領府副長官に抜擢され、KGBの後身たる連邦保安庁(FSB)長官(1998年7月〜99年8月)にまで昇進したのです。

1999年8月9日にステパーシン首相が突如解任されるや、エリツィン大統領から首相代行に任命され、ロシア下院の賛成多数をもって首相に就任しました(同年8月16日)。

ステパーシン首相は大物で、“ファミリー”の言うことを聞かない。ゆえに、大物は解任して、無名の操り人形を首相に任命し、エリツィン大統領の後継者に指名することが伏魔殿の深奥で決定された。

そこで無名の小物が“ファミリー”の操り人形として必要になり、一朝選ばれてエリツィンの後継者に指名された1人の男。それが、その昔“スパイ失格”の烙印を押された無名のプーチン氏だったというわけです。

そのエリツィン大統領は1999年の大晦日、テレビ実況中継で目に涙を浮かべながら大統領職辞任を発表し、プーチン首相を大統領代行に指名。大統領辞任により、大統領選挙は2000年3月に繰上げ実施されることになりました。

急な繰上げ選挙で慌てる有力候補を横目に、大統領選挙ではプーチン大統領代行が当選。同年5月、ロシア連邦2人目の大統領に就任しました。

当時は油価が低迷しており、一時期バレル10ドルを割り込みました。ロシア国庫はほぼ空の状態になり、国民の不満は高まっていきました。

しかし、エリツィン前大統領残滓が政権中枢に居残り、抵抗勢力が跳梁跋扈する伏魔殿の中にあっては、行政改革は遅々として進みません。

そこでプーチン新大統領が“ファミリー”残滓に仕かけた抵抗勢力排除策こそ、レニングラード人脈重用による治安・情報機関の再編成でした。まず、治安・情報機関を身内で固め、次に大幅な内閣改造に着手。エリツィン前大統領“ファミリー”残滓を次々と政権中枢から追放していきました。

*プーチン大統領の権力掌握過程

プーチン首相代行誕生後(1999年8月9日)、無名のプーチン氏が“エリツィン大統領ファミリー”の傀儡として権力の階段を登り始めました。これが上述のごとく、ソ連邦資産を搾取した新興財閥の権益を維持すべく、無名のプーチン氏に白羽の矢がたった背景です。西側の反応は予想通り“Putin, who?”でした。

一方、政治の舞台では困ったことが生じました。エリツィン大統領の政敵は2000年6月の大統領選挙に向け、着々と選挙態勢を整えつつありました。しかし、プーチン氏は無名ですから、大統領選挙に当選する保証はありません。

ルシコフ・モスクワ市長やプリマコフ元首相などの大物が当選すれば、“ファミリー”は息の根を止められてしまいます。

そこで編み出された奇策が、プーチン氏を大統領にするための“ヤラセ戦争”でした。当時報じられた1つの仮説をご紹介します。

当時のヴォローシン大統領府長官は1999年7月4日、仏ニース近郊でチェチェン独立派バサエフ野戦司令官と会談。この会談で両者は翌8月にバサエフ部隊がロシア南部のダゲスタン共和国に侵攻して、ロシア正規軍が反撃・勝利する悪魔のシナリオに合意したと言われています。

この台本通り、チェチェン武装勢力約1500人が1999年8月、ダゲスタンに侵攻。ロシアは直ちに同地に国防省正規軍と内務省国内軍を派遣して、武装勢力の一掃に成功。第1次チェチェン戦争(1994年12月〜1997年)で負け戦の続いたロシア国民にとり、久々の勝利となりました。

国民は勝利の美酒に酔い、無名のプーチン新首相の毅然たる態度は国民の間に瞬時に支持を獲得、名声は鰻登りに急上昇した次第です。

次は、チェチェンが戦場に選ばれました。大統領選挙まで、プーチン人気を維持しなければなりません。そのための手段は、国民に勝利の美酒を飲ませ続けることです。プーチン新首相の号令一下、ロシアの精鋭部隊がチェチェンに侵攻したのです。

1994年12月の第1次チェチェン戦争では新兵を投入したため、ロシア軍はチェチェン武装勢力に負けてしまいました。同じ轍を繰り返せば、逆効果。そこで今回は、最初から下士官・将校を中心とする筋金入りの精鋭部隊を投入。これが第2次チェチェン戦争(1999年9月〜2009年)です。

ロシア軍は着々と戦果を挙げ、プーチン氏はさらに男を上げました。

しかし、プーチン人気は長く続きそうにもありません。そこで編み出されたのが、ウルトラCの大統領年末辞任・繰上げ選挙実施です。

すなわち、エリツィン大統領の1999年大晦日の辞任や繰上げ選挙など、すべてシナリオライターはオリガルヒであり、プーチン氏はオリガルヒの掌中で踊らされていたにすぎません。

モスクワに権力基盤の全くなかったプーチンは、水面下で巧妙に権力基盤の確立・拡大に努めました。1999年12月にはモスクワに「戦略策定センター」を設立して、グレフを中心とするテクノクラートに経済政策を立案させました。また、昔のKGB仲間を順次モスクワに召集し、情報機関の人事を刷新しました。

プーチン氏の大きな転機は大統領選挙です。舞台の筋書きは“ファミリー”にとり予想外の方向に展開しました。決選投票を待たず1回目の投票で当選したプーチン氏にはオリガルヒの選挙資金が不要となり、操り人形のはずのプーチン氏が自立し始めたのです。

“ファミリー”の利益を代弁するヴォローシン大統領府長官のシナリオは完全に狂い、ヤラセのはずの第2次チェチェン戦争は“ファミリー”の制御外の展開となっていきました。

追放されたオリガルヒの代わりに台頭したのが、プーチンのサンクトペテルブルク/レニングラード人脈、柔道仲間(ローテンベルク兄弟など)や友人たち(チムチェンコなど)です。

そして、プーチン大統領最大の支援材料になったのが油価動向です。プーチンが大統領就任後、油価は上昇開始。国庫歳入に占める石油・ガス税収は、プーチン氏が大統領就任時の約2割から現在では5割超になりました。

逆も真なり。現在の油価低迷局面は、プーチン大統領にとり最大の試練と言えましょう。

プーチン大統領の周囲には現在、大別して4つの派閥が存在します。しかし、プーチン派閥とは言え烏合の衆ですから、派閥同士の拮抗・対立もあります。この意味で、プーチン大統領が突然いなくなれば、派閥同士の抗争は表面化することでしょう。

第2次大戦後、英チャーチル首相はソ連の政治家を評して曰く、「ソ連の多くの政治家は、絨毯の下で足を蹴りあっている。誰が誰の足を蹴っているのか、我々外国人には永久に分からないだろう」。

誰が誰の足を蹴っているのか分かるようになればプーチン政権の透明性が増し、世界の民主主義勢力からも認知されることでしょう。しかし、クレムリンの奥の院が透明になれば、世の中のクレムノロジストは失職してしまうかもしれませんね>(以上)

「クレムノロジスト」とはクレムリンの情報を追いかけ分析する専門家ということだが、プーチンを英雄にしたのは「ヤラセ戦争」だったというのもその手の消息筋の情報だろう。

「戦争に勝てば指導者の人気は急上昇する」から習近平もそれを狙っているのだろう。

オリガルヒにとって「軽くてパー」のはずのプーチンが反旗を翻し、やがてオリガルヒは黒帯の体固めで制圧されていく。

<プーチン大統領就任にともない、政権と新興財閥の蜜月状態は、変化が生じることとなった。プーチンは、テレビを始めとするマスメディアを保有し政治的影響力を行使して、政権と対立関係にある新興財閥に対しては抑制策を取った。

2000年6月13日、ロシア検察当局は、ウラジーミル・グシンスキーを詐欺などの容疑で逮捕した。これを手始めとして、7月11日には、ガスプロムに対しては、財務関係資料提出を要求。ルクオイルに対しては、脱税容疑で捜査を開始。インターロスに対しては、ノリリスク・ニッケル株取得の際の違法性を指摘するなど、矢継ぎ早に捜査を展開していった>(ウィキ)

今や大企業はプーチンに逆らえない。政敵は殺される。プーチンは独裁者になった。

経済制裁、油価の低落、ルーブル安という“国難”を乗り切れば、プーチンはまたまた男を上げ、生涯大統領すら可能になるかもしれない。プーチンの支持率は高いし、国民は忍耐強い。経済も底を打って反転上昇中だという観測もある。

“食えない男”プーチンはまだまだしぶとく世界を困惑させるのだろう。ため息が出る。(2015/5/21)

◆習近平氏が招いた「米中冷戦」

石 平



先月末から今月中旬までの、日米中露の4カ国による一連の外交上の動きは、アジア太平洋地域における「新しい冷戦時代」の幕開けを予感させるものとなった。

まず注目すべきなのは、先月26日からの安倍晋三首相の米国訪問である。この訪問において、自衛隊と米軍との軍事連携の全面強化を意味する「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)の歴史的再改定が実現し、日米主導のアジア太平洋経済圏構築を目指す、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の早期締結でも合意した。

政治、経済、軍事の多方面における日米の一体化は、これで一段と進むこととなろう。オバマ大統領の安倍首相に対する手厚い歓待も日米の親密ぶりを強く印象づけた。両国関係はこれで、文字通りの「希望の同盟関係」が佳境に入った。

日米関係強化の「裏の立役者」はやはり中国の習近平国家主席である。22012年11月の発足以来、習政権はアジアにおける中国の覇権樹立を目指して本格的に動き出した。

13年11月の東シナ海上空での一方的な防空識別圏設定はその第一歩だったが、それ以来、南シナ海の島々での埋め立てや軍事基地の建設を着々と進めるなど、中国はアジアの平和と秩序を根底から脅かすような冒険的行動を次から次へと起こしている。

習主席はまた、「アジアの安全はアジア人自身が守る」という「アジア新安全観」を唱え、アメリカの軍事的影響力をアジアから締め出す考えを明確にした。

今春、経済面での「アメリカ追い出し作戦」に取りかかった。アメリカの同盟国、イギリスなどを含む57カ国が創設に参加したAIIB(アジアインフラ投資銀行)設立構想を一気に展開し始めた。

日米主導のアジア経済秩序を打ち壊し、中国によるアジアの経済支配を確立する戦略であるが、アメリカの経済的ヘゲモニーにまで触手を伸ばすことによって習政権は米国との対立をいっそう深めたことになる。

ここまで追い詰められると、さすがのオバマ政権も反転攻勢に出た。そうしなければ、アジア太平洋地域におけるアメリカのヘゲモニーが完全に崩壊してしまうからだ。

日米同盟の強化はまさにその反転戦略の一環であろう。日米両国による軍事協力体制の強化とTPP経済圏の推進はすべて、「習近平戦略」に対する対抗手段の意味合いを持っている。

これを受け、習主席は5月初旬に主賓格としてロシアの対独戦勝70周年記念の軍事パレードに参加し、プーチン大統領との親密ぶりを演じてみせる一方、地中海におけるロシア軍との合同軍事演習にも踏み切った。

習主席からすれば、日米同盟に対抗するためにはロシアとの「共闘体制」をつくるしかないのだろうが、これによって、かつての冷戦構造を「複製」させてしまった観がある。

その数日後、米軍は南シナ海での中国の軍事的拡張に対し、戦艦や偵察機を使っての具体的な対抗措置を検討し始めた。ようやくアメリカは本気になってきたようである。ケリー米国務長官は先の訪中で、南シナ海での「妄動」を中止するよう中国指導部に強く求めた。

それに対し、中国の王毅外相は「中国の決意は揺るぎないものだ」と拒否した一方、習主席は「広い太平洋は米中両国を収容できる空間がある」と応じた。

要するに習政権は自らの拡張政策の継続を高らかに宣言しながら、アメリカに対しては太平洋の西側の覇権を中国に明け渡すよう迫ったのである。 これでアジア太平洋地域における米中の覇権争いはもはや決定的なものとなった。対立構造の鮮明化によって、新たな「米中冷戦」の時代が幕を開けようとしている。

               ◇ 
                  
【プロフィル】石平

せき・へい 1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。
産経ニュース【石平のChina Watch 】2015.5.21

2015年05月21日

◆日本理想実現の大東亜会議とAA会議

加瀬 英明


4月に、インドネシアのジャカルタにおいて、アジア・アフリカ会議60周年記念首脳会議が催された。バンドン会議、あるいはAA会議とも呼ばれた。

安倍首相が日本が引き続きアジアにおける平和の構築と、アジア・アフリカの成長に貢献してゆくと、演説したが、堂々としていた。

会議には、アジア・アフリカから約100の国と、地域の首脳が参集した。

第1回バンドン会議は昭和30(1955)年に、29ヶ国の代表が参加して開催された。日本がサンフランシスコ講和条約が発効して、独立を回復してから、はじめて出席した国際会議となった。

この時、私の父・俊一(としかず)は政府次席代表として、会議に出席した。

私は高校3年生だった。父がインドネシアへ出発する前に、私に「今度の会議は重光 葵(まもる)と、わたしが苦労した大東亜会議につぐ、有色民族の2回目の歴史的な会議となるものだ」と、感慨深げに語った。

50年前のAA会議に当たっても、10年前の50周年記念会議、今回の60周年会議の時にも、日本のマスコミが大東亜会議を引き合いにだすことが、まったく無かった。残念なことである。

大東亜会議は昭和18(1943)年に、東京にビルマ、フィリピン、インド、タイ、満州国、中国(南京政府)の首脳が、一堂に会して催された、人類はじめての有色民族のサミットだった。

当時、東條内閣の外相だった重光葵と、政務秘書官として側近だった父が、東京・麹町の重光私邸で大東亜会議の構想を幾晩も徹夜して練って、首相に提案したものだった。

日本は開戦の御詔勅にあるように、「自存自衛」のために戦っていた。しかし、戦争目的が自衛のためというと消極的であるから、大東亜会議は日本の役割を歴史に残すために、アジアの諸民族を解放することを、宣明することを諮ったものだった。

重光は敗戦後、A級戦犯として実刑判決を受け、日本が独立を回復した後に釈放されたが、鳩山内閣がAA会議の前年に成立して、外相に復帰した。

父は出発する前に、「重光に晴れ舞台を踏ませたかったのに、来れないのは何とも残念だ」といった。重光外相が首席代表となるところだったが、国会会期中だったために、首相と親しい実業家の高碕達之助経済審議庁長官が、起用された。

日本はインドネシアを敗戦の年の9月に独立させることを、決定していた。インドネシアは日本が連合国に降伏した直後の8月17日に、独立を宣言した。

第1回AA会議は、大戦が終結してからまだ10年しかたっていなかったために、反植民地感情が奔騰するなかで開催された。父もその熱気に、あらためて驚かされた。

会議が始まると、新興アジア・アフリカ諸国の代表たちが日本代表団の席にくると、日本が帝国主義勢力をアジアから駆逐して、民族解放をもたらしたことに対して、つぎつぎと感謝の言葉を述べた。

昭和31(1956)年3月8日に、重光葵外相が参院予算委員会で、「太平洋戦争によって、日本は東南アジア諸国の独立に貢献した」と述べた。

いま、岸田外相が同じ発言を行うことが、できるだろうか。

だが、日本が先の大戦を戦ったことによって、人種平等の世界が招き寄せられたのだった。

昭和天皇は敗戦の翌年に、側近者に対して先の戦争をもたらした原因について、つぎのように述べられている。

「この原因を尋ねれば、遠く第1次世界大戦後の平和条約の内容に伏在してゐる。(大正8年のパリ講和会議において)日本の主張した人種平等案は列国の容認する処(ところ)とならず、黄白の差別感は依然残存し加(カリフォルニア)州移民拒否の如きは、日本国民を憤慨させるに充分なものであった。

かゝる国民的憤慨を背景として、一度、軍が立ち上つた時に、之を抑へることは容易な業(もの)ではない。(『昭和天皇独白録』)

平成12(2000)年に、拓殖大学が創立100周年を祝った。拓殖大学は明治33(1900)年に、海外で開拓に当たる人材を育成するために、創立された。

今上天皇が記念式典に、行幸された。その時のお言葉のなかで、「校歌には青年の海外雄飛の志とともに、『人種の色と地の境 我が立つ前に差別なし』と、うたわれています。当時、多くの学生が、この思いを胸に未知の世界へと、大学を後にしたことと、思われます」と、述べられた。

父・天皇の想いを、語られたにちがいない。

大東亜会議とAA会議は、日本の理想を実現したものだった。

◆私の「身辺雑記」(222)

平井 修一



■5月18日(月)、朝は室温24.5度、快晴、フル散歩。散歩道は草木が多いから、3秒でも立ち止まっていると藪蚊に刺される。そういう季節になってきた。

午前1時半頃にトイレに起きたが、大阪都構想の件はNHKラヂオは何も報じていなかった。テレビやラヂオの時代は終わりつつある。ネットで見たら維新・橋下の大阪都構想は住民投票で否決された。どうにか土俵際ではたき込んで辛勝した感じ。

早朝調べたら賛否は0.8ポイントの僅差で、70代以上の人の反対票が多かったので否決になったという。

小生は騒々しいテレビ屋ポピュリストの橋下は支持しないが、江田憲司は大嫌いだ。生理的嫌悪感をもっている。東大法学部卒の高級官僚だったから左巻に違いない。自主憲法にも集団的自衛権にも反対している。もちろん夫婦別姓に賛成だ。つまりリアリズム無視のお花畑族、本来なら民主党にいるべき人だ。

江田は人気者の橋下をかつげば天下を取れると夢を見ていたのだろう。まずは大阪を取るのだ、と。「大阪を変えたいなら今回がラストチャンス」などと煽っていたが、市民はノーと判断した。ラストチャンスを逃したのだから大阪は永遠に変えることはできないことになる。嘘だ。

つまりヒトラー、プーチン、習近平並みの嘘つき野郎だ。嘘で愚民を騙して大阪を好き放題にしたかったのだろうが、「都構想ってなんやねん、チンプンカンプンやで、アホとちゃうか」としっかり者のシルバーパワーに逆転負けした。

♪ひとりで生きていくなんて
できないと
泣いてすがればネオンが ネオンがしみる
北の新地は おもいでばかり
雨もよう
夢もぬれます ああ大阪しぐれ・・・(「大阪しぐれ」)

都構想 夢はやぶれて なだそうそう しぐれて維新は 夢のまた夢(修一)

ようやく大阪のB級グルメ的橋下興業ドタバタ劇は終わった。ホッとしている。

それにしても重厚な政治家が少なくなった。軽佻浮薄な輩が目立つ。岡田民主も最低だ。朝雲5/14の風間二郎氏/政治評論家の論考「政権批判に終わらずに 民主党の安保見解」から。

<政治に携わる者には、時にリスクを取る覚悟が必要だろう。今の民主党の岡田克也代表には、それがどうも感じられない。

民主党が新たな安全保障法制に関する党見解をまとめた。集団的自衛権行使について「安倍政権が進める集団的自衛権の行使は容認しない」と盛り込んだ。

議論の過程で、行使容認に反対する議員と、賛成する議員のせめぎ合いが続いた。結論は、当面は反対とする一方、将来の容認に含みを持たせた折衷案なのだろう。曖昧な結論と言える。

民主党見解は、自衛隊の後方支援の地理的制約を外す周辺事態法改正について、「周辺」の概念を堅持するよう求めた。自衛隊の海外派遣に関する恒久法の制定にも反対する。

安倍政権との対決姿勢に力点が置かれ、「民主党ならどうする」という明確な理念や具体策があまり伝わらない。

岡田氏は記者会見で、この党見解について「長い時間を費やし、多くの人の意見を聞いて、合意に至ったことは画期的だ」と語ったのだという。「画期的」が、内容でなく、見解をまとめ上げたこと自体を指すなら、残念である。

岡田氏は1月の民主党代表選で、「私自身、このままでは何のために野党に身を置いてきたのか、死んでも死にきれない。党を何とか立て直したい」と訴えた。その言葉の重みを今一度、思い起こし、「攻め」の姿勢を示してもらいたい。

後半国会の論戦が本格化する。5月20日には党首討論も行われる。日本を取り巻く安全保障環境の悪化にどう対処するのか。国際社会の平和と安定にいかに貢献していくのか。

岡田氏は、安倍首相に対し、具体的な事例に則して、建設的な論戦を挑むべきである>(以上)

岡田に限らず民主党はそもそも安保の概念がないのである。中共を安保上の脅威だとは全く思っていない。2009年12月の小沢訪中団には民主党議員143名と一般参加者など483名で構成され、まるで朝貢使節団のようだった。議員は胡錦涛とツーショットで写真を撮り大喜び。暗愚の極み、中共の狗だ。

今、政治家に問われているのは「党を建て直す」こと以前に命懸けで国防脆弱な「日本を建て直す」ことだろう。岡田民主にはその気概が全くうかがえない。

こんなクズのような政党に投票する朝日岩波的愚民が結構いるのだから情けない。ま、愚民から見れば「安倍自民を支持する産経脳のバカはどうしようもない」となるのだが。まったく民主主義とは厄介だが、これ以上のものがないのだから仕方がない。

■5月19日(火)、朝は室温23.5度、小雨。微雨になったので慌てて着替えて飛び出したら小雨→中雨→本降り。慌てて引き返したら小雨になったので、どうにか2/3散歩。

1階入り口の前で「ブルブル!」と指示すると、犬はちゃんとブルブルッと体を震わせてしずくを払う。小さい頃からの躾は大事だ。まったく愛い奴。

浅田真央氏は大ベテランのしっかり者だから30歳近いと思っていたらなんと24歳! 復帰する決意を表明した。あと2回くらいは五輪入賞できるのではないか。国威発揚のためにも奮闘してほしい。

PHP「Voice 2015年6月号 今月号の読みどころ」は、まあ大体、日本を取り巻く「今」をざっくり伝えており興味深い。

<日中首脳会談、日米首脳会談と、安倍外交は順風満帆だ。米上下両院合同会議での安倍総理の演説は、米議員から高い評価を受けた。しかし、当然のように韓国だけが「侵略戦争の謝罪、慰安婦への言及がなかった」とご立腹。

日米関係について話し合う場なので、慰安婦問題で謝罪したら米議員もびっくりするだろう。

韓国は隣国のリーダーにばかり注目しないで、自らの足下を心配したほうがよい。経済指標や企業業績が悪化の一途を辿っているからだ。今月号の総力特集は「どん底の韓国経済」。

三橋貴明氏は韓国を「グローバリズムの優等生」と呼び、「自国の国民ではなく、グローバル企業を優先した」ため、国民経済を喪失してしまったと説く。

呉善花氏は、長期的な視点から苦言を呈す。急激に進む少子高齢化、社会保障制度の未整備、消えゆく敬老精神など、経済の低迷が老人の生活を直撃するという。

また、日韓の通貨スワップ協力が打ち切られたことで、韓国は人民元経済圏に呑み込まれたと読むのは田村秀男氏。いずれにせよ、日本は隣国を静観するしかないのだが。

第二特集は「AIIBと中国の野望」。メディアを騒がせた中国主導のAIIB(アジアインフラ投資銀行)の創設は、日米が参加判断を見送るなか、57カ国が参加を表明して世界を驚かせた。津上俊哉氏と真山仁氏は、慣らし運転中の2年間は様子を見て、それから判断してもよいと冷静に対処するよう提言する。

一方で、中国は南シナ海で人工島を造り、滑走路の建設に着手している。山田吉彦氏は中国の海洋侵出の脅威に対応する必要性を強調した。

巻頭では、新刊『まだGHQの洗脳に縛られている日本人』の著者ケント・ギルバート氏にインタビューした。戦後占領期にGHQが検閲などを通じて日本人に施した「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム(WGIP)」と韓国の歴史認識について正した。

また、今月号では竹田恒泰氏が同じ観点で「アメリカの戦争責任」の新連載をスタート。原子爆弾投下の犯罪性について論じた。終戦70年は「政治」ではなく、「歴史」として冷静に客観的に分析するべき、との意見に読者も納得するのではないだろうか>(以上)

ネットにはいろいろな情報が素早く掲載されるのでとても便利だ。日本人の情報源1位はテレビ:70%、2位はネットで、20代〜50代では50%を超えているそうだ(複数回答)。テレビ優位は続くのか。

島田範正氏の記事「既存TV局の命脈はあと20年?今秋上陸ネットフリックスCEOの予言」(ブロゴス5/13)はテレビ大嫌いの小生には朗報だった。
以下一部紹介。

<世界6230万以上のユーザーを抱える動画ストリーム配信の最大手Netflixが今秋の日本上陸を発表したのが今年2月。以来、ネット上には、Netflixの脅威を巡る論議が尽きませんが、そのボスであるリード・ヘイスティングスCEOが、つい先日、ドイツのベルリンで開かれたヨーロッパ最大というインターネット関連のカンファレンスで吠えたそうです。

切れ味のよい記事で評判のQuartzで、副社長、編集長にしてこの分野の専門記者でもあるザカリー・スワードさんがまとめてくれていますので、こちらをもとに紹介します。

スワード編集長によると、Netflixは自社の戦略をオープンにしているのが特徴だそうで、同社のIRのページには「Netflix Long Term View」と題する文書が掲載されていました。その冒頭にはこうあります。

《ネットテレビはリニアテレビに取って変わりつつある。アプリはチャンネルにとって代わりつつあり、画面は増殖中。ネットテレビが何百万から何十億になる時、Netflixはその道を世界で先導する》

(ちなみにLinear TVというのは、通常の番組を流すテレビのことです)

こうした、かつては予言的に見えたテーゼも、例えば最初にある「ネットテレビがリニアテレビにとって代わりつつある」などが徐々に現実化してきた中で、最も興味深い問題は、Netflixが次に何をするかだとスワードさんは指摘します。

ベルリンの会合でヘイスティングスCEOは、「リニアテレビは、向こう20年間、毎年、下降して行き、ネットテレビは向こう20年間、上昇していくのを、我々は見ていくことになる」と述べました。これは、既存テレビ局の生存に20年間の猶予を与えたということ、とスワードさん>(以上)

島田氏によるとNetflixは最近、京都で会議をもったが、世界中から50人の幹部が結集したそうだ。日本上陸作戦計画などを練ったのだろう。まったく世界は光速で動いている。目が回るようだ。

■5月20日(水)、朝は室温23.5度、晴、フル散歩。クジャクサボテンが開花。

日日是好日(にちにちこれこうじつ)。福岡県宗像市の禅寺、安延山承福寺のサイトから。

<多くの人は「今日も一日よい日でありますように」と願い、無事を願う。

しかし現実はその願いの通りにはいかないで、雨の日、風の日があるように様々な問題が起き、悩ませられることばかりかもしれない。しかし、どんな雨風があろうとも、日々に起きる好悪の出来事があっても、この一日は二度とない一日であり、かかけがえの無い一時であり、一日である。この一日を全身全霊で生きることができれば、まさに日々是れ好日となるのである。

好日は願ってえられるものではなく、待ってかなえられるものではない。自らの生き方に日々に好日を見出しえなければならないのだ。

時の時とするときは来ない、只座して待つのでなく主体的に時を作り充実したよき一日一日として生きていくところにこの語の真意がある>

支那で5万人の暴動が発生したという。支那人民も全身全霊、主体的に生き始めたのか。

<四川省で暴動、200人負傷 警察と衝突、300人拘束

【香港共同5/18】香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターは18日、中国四川省隣水県で16日に市民ら約5万人が抗議行動をして警官隊と衝突し、200人以上が負傷、18日までに300人以上が拘束されたと伝えた。死者はいないという。

香港メディアによると、同県を通って建設される予定だった高速鉄道が、近隣にある中国の最高実力者だった故トウ小平氏の生まれ故郷を通るルートに変更されたとの情報が流れたため、変更に反発して抗議行動が起きた。

同省当局は、鉄道計画はまだ検討段階で住民の意見を今後聴取するとして、市民に冷静な対応を求めた>(以上)

新幹線の“政治駅”みたい。政治家はどこの国でも似たようなものか。「レガシー」を創りたいのだ。利権も絡んでいるのだろう。

トウは四川省広安市生まれ。16歳で故郷を出た後、死ぬまで一度も帰郷することはなかったというが、生家が保存され、記念館もある。鉄道のある広安市はお隣の鉄道のない隣水県にとってはライバルだから上記の騒動になったわけだ。閑話休題。

支那では選挙や住民投票を含めた法治がないから人民は暴動で意思を表明するしかない。先進国は訴訟で争うが、実はこれも問題は多い。米国は訴訟社会と言われるが、日本とは大きな違いがある。

1980年頃だったが、日系旅行会社が米国旅行会社に訴えられた。小生はこの事件を追いかけた。損害賠償をしろというものだが、その根拠は1800年代の馬車の規定だった。3年ほど是々非々を争っていたが、費用がかさんで被告側が示談/和解を持ちかけ、巨額の金を支払って終わったようだ。

双方に守秘義務があったから示談/和解の内容はまったく不明だ。以下、その間に知ったことを素人ながら書いてみた。

漏れ聞くところによると、弁護士は金儲けのために「これは行ける」という案件を知ると、“被害者”に訴訟を使嗾するのだという。「弁護士費用は成功報酬で、示談金の30%でどうですか」などと持ちかけるそうだ。示談金100億円なら30億円が弁護士のふところに入る。ほとんど法匪の世界。大型案件なら示談金は1000億円を超す。

大企業はこの手の訴訟に永らく悩まされてきたが、金に余裕ができてきたのか、「訴訟保険」のようなものができたのかは知らないが(注)、近年では「10年でも20年でも争う」という姿勢に転換したそうだ。いわば持久戦法。そうそうたる有名弁護士団を擁している。

このためにliar lawyer的な弁護士も原告も安直に提訴できなくなった。長期裁判で一銭も金が入らない。結局、原告は訴訟を諦めたり取り下げるとか、低額の示談やらお見舞金で手打ちをする流れになっているようだ。

訴訟ビジネスは旨味がなくなってきたのだろう。近年、大型の公害訴訟の話は聞かないが、以上のことが背景にあると思う。

「司法取引」という制度もある。強盗、殺人、放火の容疑者の裁判で、すべてを調べていたら膨大な手間と時間になるので、殺人だけで起訴するとかを容疑者/弁護士と検察が取引するわけだ。すべて有罪になったら禁固100年、ところが殺人だけなら40年(模範囚なら20年で仮釈放もある)とかなら、小生だって司法取引に応じる。

陪審員制度は、開拓時代に裁判官の数がまったく足りないから市民を徴用したのが始まりだろう。市民は皆仕事があるから裁判をすぐに終わらせたい。示談やら司法取引で、とにかくさっさと決着をつけたいのだ。原告、被告のいずれが正しいのかとか、真実はどうなのかよりも「とにかく合意して決着すればいい」。

日本人は「理不尽な示談はしない、真実を明らかにしたい」という性向があると思う。「性奴隷? バカなこと言うな、証拠見せろよ、証拠を」となる。米国にとっては「そんなことはいいから、とにかく示談、和解して終わりにすればいい。守秘義務で二度とその件については触れないとすればいいじゃないか」という考えなのだろう。

まあ日米欧中韓などで歴史や裁判についての考え方に大きな開きがあるはずだ。国民性、民族性、歴史、文化の違いがあるから溝が縮まることはないだろう。それなら「違い」やら「溝」で立ち止まっているのは時間の無駄、不毛であり、そんなものは物置にしまって凍結し、前を向いて新しい生産的な関係を創っていった方がいいと思うのだが。

まあ聞く耳を持たない人には理解されないだろうが・・・

注)米国弁護士・光永眞久氏の論考にはこうあった。
「裁判等が起きた場合に、その訴訟費用等を一定程度カバーする保険が頻繁に使わています。これは訴訟費用が高騰する米国では非常に重要なポイントになってきます。これらの保険により万一訴訟を起こされた場合に、保険会社の負担で裁判を遂行できるので、予防的な意味で加入しておくのが良いと考えます」(2015/5/20)

◆中国新経済政策は習近平の人事に注目

宮崎 正弘
 

<平成27年(2015)5月20日(水曜日)通算第4545号> 

 
〜中国の新経済政策「海と陸のシルクロード」は、中味より習近平の人事
  どうやら李克強首相から経済政策の主導権を取り上げるつもりらしい〜


中国の矢継ぎ早やな新経済政策は、あきらかに党主導に移り、従来、経済政策立案、実践の責任を負った国務院から主導権をもぎとったかたちに変化している。

つまり改革開放路線の根幹にあった自由競争、市場経済、規制緩和とは逆の方向へ習近平は舵取りをかえ、中央集権的な「計画経済」への復帰が濃厚なのである。

「マクロ経済の調整と経済コントロール」が党主導へ復帰する。

この路線修正の中軸は習近平の考え方が強く反映されており、つぎつぎとつくられた経済政策専門委員会には改革志向の強い団派が少数派となっている。

顕著な変化は「一帯一路」にまつわる多くのプロジェクトの中味である。

私企業の軽視、市場経済度外視。そして国有企業の参画、そのプロジェクトと予算配分の全容を見れば、国務院のすすめる産業再編という大きな方向性が軽視され、もうひとつ重大なことは国務院が進めてきた「規制緩和」は無言の裡に無視され、むしろ党主導で「規制強化」の方向にむかっていることである。

「自由競争」ではなく、「国有企業の強化」が、習近平の「一帯一路」プロジェクトの内容に濃厚に現れた。

たとえば国有企業大手のCSCEC(「建設技術協力公司」)は、過去、116ヶ国で6000件のプロジェクトを担当してきた。おなじく国有大手のCCCCL(「通信建設公司」)は各地のハイウェイ、橋梁、商業港などを建設した。

CAMSE(中国エンジニア集団)は露西亜、アフリカ、東欧諸国でのプロジェクトを担当してきた。この三つの国有企業建設集団は、「一帯一路」の発表に平行して株価が高騰している(ジェイムズタウン財団発行「チャイナブリーフ」、15年5月15日)。


 ▼地方政府にも露骨な格差

付随して通信大手のフアウエイ(華為技術)とZTE(中興通訊)も、プロジェクトに付随する通信施設、機器類の入札を有利に進め、殆どを生産することになる。

もっと驚くことに「一帯一路」の責任者は李克強首相ではなく、政治局常務委員の張高麗がトップとなって、この人事ではじめて習近平の露骨な狙いが判明した。

張高麗は江沢民の腰巾着、露骨なごますりで出世した政治家である。

また中国各地の地方政府にとっても、この一帯一路で潤うのは新彊ウィグル自治区と福建省であることが浮き彫りとなった。地方政府のコントロールにも、一帯一路プロジェクトが政治的利用され、習近平政権への収斂がなされている。

新彊ウイグル自治区や福建省が、一帯一路の輸送拠点となるからだ。

他方、置いてきぼりの地方政府の筆頭は江蘇省で、ついで煙台、青島、威海衛などの良好をかかえる山東省、山岳のチベット自治区なども、恩恵にあずかれそうにない。また置いてきぼりになる懼れが強いのは東北三省(遼寧省、吉林省、黒竜江省)である。

遼寧省は大連が国際貿易港としても機能しており、黒竜江省はロシアとの鉄道、パイプライン並びに木材のトラック輸送のアクセスとして繁栄しているが、とりわけ吉林省が取り残される。

吉林省の東端にある王軍春(ホウチュン)にはロシア国境に工業団地がはやばやと建設され、ロシアのポシェット港とをつなぎ、日本と米国を結ぶ最短ルートとして開発が決定され工事もほぼ終了した。

にもかかわらず実際には本格稼働に至らず、また中国の一帯一路は、日本とアメリカを向いてはいない。