平井 修一
■5月12日(火)、朝は室温22度、薄曇、フル散歩。風があるので半袖、半ズボンではちと寒かった。通勤の群を観察したが、半袖は一人だけだった。
昨日から駅前通りの街灯改修工事が始まった。商店会の案内によると白熱灯からLEDに代えるのだとある。革新的技術が発明されると新しい市場が生まれ、拡大するのだ。
工事を受注したサンコーライテックのサイトから。
<LEDとは、Light Emitting Diode(発光ダイオード)の略語であり、電気エネルギーを発光エネルギーに変換することで固体発光させる半導体です。
かつては表示用やディスプレイ用としての活用が主でしたが、赤色・緑色のLEDに続いて1996年に青色のLEDが開発され、その後白色LEDが実用化されたことから、照明灯としての利用が可能になりました。
これまで照明灯の主流だった白熱電球や蛍光灯に比べて優れた特徴を数多く持っているLED照明は、次世代の照明として期待されています。
1907年にイギリスのH.J.Roundが「個体に電気を流すと発光する」という現象を発見してから100年あまり。その後、さまざまな研究成果によってLED照明は実用化に至り、いままさに市場が活性化しつつあります。
多彩な長所を持つLED照明の普及を加速させ、そのメリットを社会全体に浸透させるために。サンコーライテックは、より優れたLED照明の開発や、より効率的な導入サポートを実践しています>
「ノーベル物理学賞に赤崎・天野・中村氏 青色LED発明」日経2014/10/7から。
<【パリ=竹内康雄】スウェーデン王立科学アカデミーは7日、2014年のノーベル物理学賞を赤崎勇・名城大学教授(85)、天野浩・名古屋大学教授(54)、中村修二・米カリフォルニア大学教授(60)に授与すると発表した。
少ない電力で明るく青色に光る発光ダイオード(LED)の発明と実用化に貢献した業績が認められた。照明やディスプレーなどに広く使われている。世界の人々の生活を変え、新しい産業創出につながったことが高く評価された。
授賞理由は「明るくエネルギー消費の少ない白色光源を可能にした高効率な青色LEDの発明」で、「20世紀は白熱灯が照らし、21世紀はLEDが照らす」と説明した。
LEDは1960年代に赤色が開発された。緑色も実現したが、青色は開発が遅れた。あらゆる色の光を作り出せる「光の3原色」がそろわず、「20世紀中の実現は不可能」とまでいわれていた。
その壁を破ったのが赤崎氏と天野氏だ。品質のよい青色LEDの材料を作るのが難しく、国内外の企業が取り組んでもうまくいかなかった。両氏は「窒化ガリウム」という材料を使い、明るい青色を放つのに成功した。
中村氏はこれらの成果を発展させ、安定して長期間光を出す青色LEDの材料開発に乗り出し、素子を作製した。量産化に道を開き、当時在籍していた日亜化学工業(徳島県阿南市)が93年に青色LEDを製品化した>
中村氏の銭ゲバ的イチビリ振りは物議をかもしたっけ。「中村氏は青色LEDの後に青色レーザーの基盤技術を開発した。ブルーレイ・ディスクのデータの書き込みに青色レーザーが使われているように、大容量の光ディスク実現につながった」(日経)
スゴイ人。ま、去年はSTAP細胞で大騒動があったが、LEDで面目躍如。今年はどんな革新があるのだろう。
■5月13日(水)、朝は室温23度、昨夜は7時ころから大風、大雨、今朝は台風一過の快晴で、緑が生き生きとしている。フル散歩。
ご新規の3人から挨拶される。こちらが穏和になると周囲も穏和になるということか。突っ張って生きてきたが、そろそろ転換すべき頃合いになったようだ。
中共もそうした方がいいが、「敵をつくらないと人民を結束できない、中共の支配が揺らぐ」と思っているのだろう。柯隆氏の論考「永久に終わらない腐敗撲滅キャンペーン 貧困は毛沢東の遺産、腐敗はトウ小平の遺産」(JBプレス5/12)に示唆的な記述があった。
<毛時代の中国では、最低2000万人、一説によれば4000万人以上の人が迫害や飢えで犠牲になったと言われている。
その犠牲者の数から、毛沢東は、ヒトラー、スターリンと並んで20世紀の3大暴君の1人と言えるだろう。そのうえ文化大革命において、中学生以上の学生は農村に「下放」された。このような暴挙によって、中国社会は知識をないがしろにする「無知の社会」になっていった。
共産党幹部が腐敗する根本的な原因は、一人ひとりの腐敗幹部のモラルの低さによるものではない。国民の監督監視を許さない現行の政治制度にある。
トウ小平は経済改革を推し進めたが、政治改革を最後まで認めなかった。政治改革を進めると共産党統治の根幹を揺るがしかねないと心配していたのである。しかし、監督監視されない権力は自ずと腐敗する。要するに、今日の政治の腐敗は、まさにトウ小平が残した負の遺産なのである。
北京大学の張維迎教授(経済学)は、中国社会の悲劇のほとんどは「大多数の民が無知であることと、少数の者が無恥であること」によって生じていると指摘している。「少数の者」とは、共産党幹部とそれに迎合する一部の知識人である。
習近平政権は腐敗撲滅に取り組んでいるが、いちばん重要な国民の監督と監視は認めない。習近平政権の改革は前途多難と言わざるを得ない>(以上)
少数の支配層は「無恥」、圧倒的多数の被支配層は「無知」・・・しかし無知の大衆は今や「中共を信じるとひどい目に遭う、デモ、暴動で政策をつぶす」という方向へ着実に動いている。中共はゴミ焼却場も作れなくなった。人民は「国民の監督と監視」をデモ、暴動という手段で手にし始めたのだ。
中共は高度経済成長でとにもかくにも「飢餓」を追放した。4億の貧困層は「貧しいけれど飢えてはいない」というレベルなのだが、これは中共独裁の正当性をそこそこ人民に認めさせる快挙と言っていい。数千万人が餓死した時代と比べれば遥かに「善政」だ。
腹が満ちれば人民の関心は周囲に向く。するとどうだろう、想像を絶する格差社会に驚き、嫉妬し、憎悪する。本来なら「先富」者に大衆も多少なりとも近づけるようにするのが筋なのだが、これは経済成長を続けないとできない。ところが中共は行き詰まった。
「4月の輸出入、共に減少―中国」(FOCUS-ASIA.COM 5/12)から。
<税関総署の統計によると、4月の中国の輸出入総額は前年同期比10.9%減の1兆9600億元だった。輸出は同6.2%減の1兆800億元、輸入は同16.1%減の8739億元で、貿易黒字は85.2%拡大し2102億1000万元だった。
輸出入が共に減少したことについて、商務部の孫継文報道官は「貿易の下押し圧力は増しているが、今年後半は好転すると見ている」と述べた。5月11日、経済参考報が伝えた。
1〜4月の輸出入総額は同7.3%減の7兆5000億元。そのうち輸出は同1.8%増の4兆2300億元、輸入は同17%減の3兆2700億元。貿易黒字は3.4倍拡大し9653億7000万元だった。
業界内では外需の低迷と人民元高が輸出減少の主要因との見方が広がっている。また、原油を中心とする輸入商品価格の下落が輸入額の大幅減につながっている。
交通銀行金融研究中心シニア研究員の劉学智氏は「4月の数値は3月から若干改善したが、相変わらず厳しい。主要貿易相手国の経済が弱く、輸出に影響を及ぼしている。ただ、国際市場の環境が回復しても、元高の状況が続けば輸出は思うように伸びないだろう」と述べた>(以上)
内需(輸入)が極端に減っているための異常なデフレ型貿易黒字。完全にマイナス成長だ。人民は「去年よりも生活はよくなった」から中共独裁をまあ受け入れてきた。これが「去年より暮らしがきつくなった」とか「今年も苦しいままだ」となり、おそらく0%前後の経済成長がだらだらと続くのではないか。
李克強が重視している経済指標の「発電量」は2月が前年比−4.7%、3月が−0.4%、「鉄道貨物輸送量」は1〜2月が前年比で−9.1%だった。実体は7%成長どころかマイナス成長、デフレ不況が始まっているとしか思えない。
中共はこれを突破できない。人民の不満は募るばかりだ。習近平はネズミしかいない荒野にハイウェイなどインフラを造って景気浮揚を狙っているが、所詮は無駄、悪あがき。そうなると戦争でガス抜きするしかない。
戦争して勝てるのかどうか。ベトナムに勝った国はない。フィリピンだってホセ・リサールの国だぜ、命懸けで突っ込むだろう。日本は「靖国で会おう」、特攻隊、異次元の尚武の国だ。「三十六計逃げるに如かず」、謀略智謀の孫子の末裔、一人っ子の小皇帝が華々しく戦闘で勝てるとは・・・ちょっとあり得ない。
中共は深謀遠慮でゲリラ、暗殺、弱い者いじめ、だまし討ち、第五列を操って自滅を誘うなどが得意な国柄だから、それなら大いに力を発揮するだろうが、各国観戦武官や報道機関を招いての会戦で華々しく勝利するというのは中共軍、国民党軍、清の時代に遡ってもない。敗けるか逃げる戦史しかもっていない。
つまりは戦争でのガス抜きもできず、せいぜいプーチンを主賓とした軍事パレードと抗日博物館での嘘八百でごまかすしかない。これでは人民は騙されやしない。中共から離反し、やがて窮鼠猫を噛む、反旗を翻すだろう。
■5月14日(木)、朝は室温23度、快晴、フル散歩。紫陽花の蕾が目立ってきた。歓迎と困惑が輻輳する。ご新規4人と挨拶を交わす。これも悩ましい。
穏やかに 挨拶交わす 散歩道 わが突っ張り道の 落日を見る(修一)
ま、こんなことか。慎太郎じゃないが、憎まれて死ぬより愛されて死にたいわな。ところで――
人民網が奇妙な記事を流している。
<歴史の秘密を暴く映画『旋風九日』が昨日(5/12)北京で封切られた。(5月)15日から中国全土で上映される。トウ小平氏が訪米時に遭遇した暗殺の危険を再現した映画だ。さらに映画としては初めて国家指導者をアニメで表現している。
1979年1月28日から2月5日にかけて、トウ氏はカーター米大統領の招待で米国を9日間公式訪問した。トウ小平夫妻はワシントン、アトランタ、ヒューストン、シアトルを訪問した。
傅紅星監督によると、映画の全てのエピソードの出典、資料、対話は真実で、多くの資料が米国が機密解除した国務省の外交書類に基づいている>
(以上)
暗殺の1回目は「米国務省の発行した合法的な記者証を持つ記者2人が暗殺を試み、警備員に連行された」。胡錦涛の訪米時の演説の際に Pleasestop him kill people と叫んだ女性記者がいたが、記者は元首に近寄れるからテロの機会に恵まれている。(女性記者はお咎めなし。胡錦涛は腹を立てたが、米国は「民主主義とはこういうものだ」と突っぱねた)
2回目は「招待を受けて夕食とカウボーイショーのためにエレベーターを降りてホテルのロビーにはいると、突然男が飛びだしてポケットの中の物をトウ氏に投げつけた。警備陣がトウ氏を外へ護衛し、米側警備要員が襲撃者を制圧した。
ロビーへ出ると、別の中年の男がコートのポケットに右手を入れて勢いよく歩いてきた。米側SPが拳銃の所持を疑い男を押し倒し、他の要員がトウ氏を護衛した」。
2回目の2人の襲撃者は白人至上主義団体クークラックスクラン(KKK)メンバーだったという。
国家元首が短期の訪米中に計4人の刺客に暗殺されそうになったことをなぜ今報道するのか。
習近平に「いい加減にしないと殺すぞ」と警告しているのか、それとも習が「殺されることも厭わずとの覚悟で虎退治を進めるぞ」と政敵に挑んでいるのか。
習近平は毛沢東しか評価していないから、「テロにも冷静だった」トウ小平を持ち上げるはずはない。つまりは江沢民派から習への「殺すぞ」という脅迫だろう。
習は先日の“中露ファシスト祭り”参加の前後にプーチンの縄張りであるカザフスタンとベラルーシを訪問して「協力・ウィンウィンの新型国際関係の共同構築」をアピールしたそうだが、外交についてトウ小平はこう語っている。
「国と国との関係を処理するには、平和共存五原則が最良の方式である」「中国の対外政策は一貫しており、三点に集約できる。第一に覇権主義への反対、第二に世界平和の維持、第三に第三世界との団結と協力の強化である」
「平和共存五原則」とは(1)主権と領土保全の相互尊重(2)相互不可侵(3)相互内政不干渉(4)平等互恵(5)平和共存だ。1954年、周恩来とネルーの間で合意された。
昨年6月28日の「平和共存五原則60周年記念大会」で習はこう演説した。
「中国は平和共存五原則の積極的な提唱者であり着実な実践者だ。平和共存五原則は中国の外交政策の礎だ。中国は現在の国際システムに参加する者であり、建設する者であり、貢献する者だ。
中国はぶれることなく平和発展の道を歩み、ぶれることなく平和五原則を土台として世界各国との友好協力を発展させ、ぶれることなく相互利益の開放戦略を履行する。
現在、中国国民は中華民族の偉大な復興という中国の夢の実現に向けて奮闘している。中国国民は各国の国民とそれぞれの夢を実現する過程で互いに支援し合い、互いに助け合いたいと考えており、各国と、特に周辺の隣国とともに発展し、ともに繁栄したいと考えている」
一方でトウはこうも言っている。「主権問題に関しては、中国はいかなる妥協の余地もない。率直に言って、主権問題は議論できる問題ではない」。習が南シナ海で実際にやっていることは武力による領土拡張、覇権主義で、平和共存とまったく反対だ。
<バンドン会議はその後も定期的に開催の予定だったが、62年に中国人民解放軍がヒマラヤ山脈を越えてインドに侵攻したことで、早くも「諸国の結束」は水泡に帰してしまった。
そもそも周の「平和共存5原則」にしても、当時は弱小な国家だった中国が米ソ2大国の間で存続し続けるための策略にすぎなかった。弱い中国が同じく貧窮のインドに攻め込んだことで、バンドン会議に参加した各国の首脳陣は冷や水を浴びせられた。
皮肉なことに、今や北京当局こそが、「バンドン10原則」に反する覇権主義を世界で繰り広げている。習は周以来の「平和共存」の仮面を破り捨てて、南シナ海の岩礁に軍事施設を建造してフィリピンを威嚇。日本の尖閣諸島を中国領と主張して軍拡路線を突き進んでいる>(ニューズウィーク5/12)
中共は昔から平気で嘘をつく。ロシアも同じだ。
「宮家邦彦の外交・安保カレンダー(2015年5月11-17日)」(Japan In-depth5/12)から。
<今週はモスクワで第二次大戦戦勝記念式典があった。10年前は欧米主要国を含め50カ国が参加したそうだが、今回はかなり見劣りする。そりゃそうだろう。参加はわずか20カ国、しかも主客は中国の習国家主席だ。ロシアも落ちぶれたものである。
日本のメディアは中露蜜月を盛んに報じていたが、中露の連携は結局のところ「弱者同盟」に過ぎない。要は両国が失敗を続けているからこそ成り立つ関係であって、逆にどちらか一方が成功すれば、早晩弱体化していく運命にあると思う。
そもそも、ロシアには軍事力と資源以外に誇るものがない。他方、中国の軍事力には限界があり、以前の高度成長はもう望めない。両国とも一定の国力はあるから当面独裁政治は続くだろうが、この脆弱な両帝国の連携にwin-winは見込めない>(以上)
まことに然り。lose-lose、共倒れになるだろう。世界はそれを待っている。習よ、プーチンよ、韓国と北も道連れに消えてくれ。(2015/5/14)