2015年05月12日

◆変身する中国共産党と人民解放軍

宮崎 正弘 


<平成27年(2015)5月11日(月曜日)通算第4536号>  

〜内規が次々と破られ、変身する中国共産党と人民解放軍
  軍高官の外国訪問は外国での軍事展開の頻度に比例して増えた〜


米国は中国の最近の軍事戦略の変化を「ゲーム・チャンジ」と位置づけ、その中枢にある考え方は「A2/AD」(接近阻止・領域拒否)にあると見ている。

軍事評論家は、南シナ海の九等線を「サラミ作戦」とも命名している。

オバマ政権の対応が「アジア・リバランス」と「ピボット」だったことは従来も述べてきた。

中国軍にはいくつかの内部規定があり、これまでは次のポイントが厳格に守られてきた。

第1に軍事委員会メンバーの外国訪問は年に1回

第2に国際会議への出席を除き、軍高官は同じ国を2度訪問しない

第3に外国からの同じ高官との面会も2度はない

第4に国防大臣は相手国の同格の賓客をもてなす必要はない。

第5に軍高官の外国訪問、あるいは外国からの軍高官の受け入れは時期が限定される。

ところが近年、ソマリア沖の海賊退治への中国海軍の派遣から、国連軍への派兵協力に応じるようになり、同時に中国艦船の外国訪問は50回を越えた。

また外国海軍の中国の港湾へ親善訪問も100回を超え、外国軍との共同軍事演習(とくに露西亜と)も頻度が激しくなった。

あまつさえ中国軍が主催する国際会議や学術シンポジウムが頻度激しく行われるようになり、外国の中国大使館への駐在武官派遣もいまでは108ヶ国に及んでいる(日本の駐在武官は9ケ国のみ)。

こうなると中国の軍人も或る程度の国際常識を理解し始めたことを意味する。かくして中国軍の「国際化」とでもいえる微妙な変化に注目しておく必要がある。


 ▼「太子党」の軍高官らが再浮上した背景

ならば軍事委員会主任の習近平に近く、もっとも影響力がある軍人とは誰だろう。

表面的ランクから言えばナンバーツーは許基亮と氾長龍である。ともに団派に近く、胡錦涛が任命した人事である。

したがって習近平にとっては煙たい存在である。

最近の中国の特色は外交方針に軍人の意見が強く反映されるようになったことだ。

習のいう「中国の夢」のイデオローグは、外交安全保障面では王炉寧、栗戦書らと推定されるが、軍人アドバイザーは軍事委員会のメンバーではなく、「太子党」の先輩らである。

現に中央委員会には軍人が2人の指定席があるのに、外交部からの中央委委員は不在である。外交部は、江沢民系の人々が多いため、軍とはしっくりいっておらず、同時に相互不信、相互軽蔑。

外交部の外交官等は知識力において軍を馬鹿にしており、軍は軍で頭でっかちの理論家を軽蔑している。

しかし基本的に「政権は銃口から生まれる」(毛沢東)ように、暴力装置というパワーを掌握する者が権力を握るのは古今東西、世の倣(なら)いである。

日本のメディアが発言に注目する王毅外相は中央委員にも入っておらず党内序列はきわめて低い。そのうえの外交上の先輩格は国務委員(副首相クラス)に昇格した楊潔チ(前外相)と唐家旋だが、ふたりとも習近平からは距離を置かれている模様だ。

となると、誰が軍事方面での助言を習にしているのか。

一時は影響力を削がれていたと観測された(とくに胡錦涛時代に)劉源と、劉亜洲が習近平のブレーンとして復活しているようである(ジェイムズタウン財団「チャイナブリーフ」15年4月3日号)。

同誌に寄稿したウィリー・ラムに拠れば、この劉源と劉亜洲が「習のプライベート・シンクタンク」だという。ウィリー・ラムは香港を拠点とする著名なチャイナウォッチャーである。

劉源は、劉少奇の息子。劉亜洲は李先念の女婿。太子党出身の軍人ゆえ、つねに軍のなかで枢要なポストを占め、重視されてきた。

劉源は「進軍ラッパ」的な軍国主義的発言を抑制させ、いま戦争をおこすような誤解を与える強硬発言をたしなめてきたが、「軍事力のないリッチな国とは、すぐに処分される太った羊だ」と比喩し、中国軍の軍拡を支持する一方で、暗に日本を批判した。

劉亜洲は「反日」軍人のトップであり、恒に強硬発言で知られるが、軍のなかで、浮き上がった存在とされた。


 ▼現実の世界をようやく認識できた

軍の人脈構造が変化した最大の理由は江沢民派の軍人らの総退場である。

胡錦涛時代の10年間、江沢民は軍を抑えることによって「院政」を行えたのだ。

しかし江沢民が入退院を繰り返し、パワーが弱体化するようになると、江沢民に連なる軍高官の「悪運」もつきた。

前副主任の徐才厚と郭伯雄が失脚したが、とくに徐才厚は三月に死去し、郭伯雄は息子の郭正鋼が(浙江省軍区副政治委員)の取り調べを受けて以来、周囲を埋められてから、失脚が発表された。軍のなかで反抗する勢力を、気がつけば失っていた。

軍高官の失脚は34人(15年4月末現在)におよび、江沢民派の軍人高官がほぼ居なくなった。

こうした状況を踏まえた習近平は次に軍高層部の側近を支える副官クラ、オフィスの書記クラスを自派に配置換えし、団派である許基亮、氾長龍そして総参謀不調の房峰輝の動きを睨むことにした。

その上で、モスクワの軍事パレード参加には氾長龍を随行させる次第となった。
 
そして軍の中に顕著な変化が現れた。

依然として「国軍化」議論はタブーだが、軍事メディアや『環球時報』に寄稿した王ゼンハン(前南京軍区副司令。音訳不明)などは、(党中央がいうような)「日本に軍国主義が復活することは不可能である。

中国の軍理論は現実を対応していない。理論上の虚偽である」と言ってのけ、もっと現実的な外交的努力をするべきと訴えた(環境時報、14年10月9日、ならびに解放軍報、15年1月29日)

こうしてハト派のような現実的な理論が軍にも登場した背景には国際貢献がある。

PLAは、近年も海賊退治、エボラ熱発生時の外国人退去支援、マレーシア航空機行方不明捜査協力、そしてシャングリア対話への積極的参加を、その国際的な機関や、作戦への協力体制ができあがった。

4月のネパール大地震でも、真っ先に救援隊を派遣し、印度と援助を競った。

とはいえ、南シナ海の中国軍の行動は、上記国際貢献とは矛盾しており、スプラトリー諸島(南沙諸島)の埋立はすでに2万平方キロ、昨年末から4倍に膨張しており、ペンタゴンは「郡民の作戦拠点に使える規模」である、ミサイルや駆逐艦の増強ぶりからも中国の戦略である「A2/AD」は達成可能なレベルにまで建築、軍拡が進捗している。

◆統合大阪は「代都」を名乗れ

佐藤 鴻全


−大阪都構想成立時のメリットと危険性−

●大阪府市統合は、犬猿の仲で同様な箱モノを作りまくった失敗を考えれば、恐らく二重行政解消によるメリットがデメリットを上回ると思われる。

●また、リニア新幹線で東京−名古屋間に後れを取れば致命傷となり、名古屋−大阪間同時開通には統合による経済力・政治力・交渉力UPが必要だろう。

●しかし、一国に「都」が二つあるのは、究極的には「国家分裂」を招きかねない。 将来大阪が首都になってもよいが、それまでは東京のバックアップ機能の充実に注力し、それに相応しい「代都」を名乗るのが適当だ。

◆大阪府市統合◆

今月17日に、橋下徹大阪市長が主導する、大阪市を解体して5つの特別区に再編する「大阪都構想」の賛否を決める、大阪市内の有権者約211万人を対象とした住民投票が投開票される。

政令指定都市の廃止を問う全国初の住民投票で、賛成票が反対票を上回れば、2017年4月に大阪市を廃止し、公選区長と区議会をそれぞれ持つ 特別区に分割することが確定する。

事前の世論調査では反対の方が上回るが、仮に賛成派が巻き返して成立した場合のメリットと危険性について以下論考する。

(なお、余談だが筆者は関西には多少の縁はあるが、大阪市民ではなく大阪都構想の当事者ではない)。

先ず、デメリットとして、特別区設置に掛かる初期費用として新庁舎の整備費やシステム改修費など約600億円掛かり、職員数の約200人増員 が必要である事などが挙げられている。

また、東京23区の住民が東京都全体の約7割を占めるのに対して、大阪市の住民は大阪府全体の約3割を占めるに過ぎず、予算の財布が同じとなり、旧大阪市の税収が大阪府全体にも使われる事に納得が行かないという意見もある。

これらは、一つ一つは尤もな事ではある。

しかし、大阪府と大阪市の関係が他の政令指定都市と道府県の関係に比べて格段の犬猿の仲であり、同様な箱モノを作りまくった失敗や、その他協調性・調整無き行政を続けてきた弊害を考えれば、恐らく二重行政解消によるメリットがデメリットを上回ると思われる。

また、2027年とされる東京−名古屋間のリニア新幹線開業に名古屋− 大阪間開業が後れを取れば、大阪および関西全体の盛衰にとって致命傷となる。

これを避け同時開通を実現するためには、統合による経済力・政治力・交渉力UPが必要だろう。

普通に考えれば、府と市が割れたままではこれらの力は生まれて来ず、JR東海や国・東京・名古屋等に対して、十分なバーゲニンングパワーを持ちえないと思われる。

◆「大阪都実現」の危険性◆

「大阪都構想」は、現下の住民投票には含まれないが、上述した府市統合と、大阪府から「大阪都」への自治体名称変更の2つの部分に分けられる。(府市統合実現を受けて、名称変更には別途国の法改正が必要。)

「大阪都」の誕生で、一国に「都」が2つ生まれる事は、究極的には将来に国家分裂を招きかねない。

上述の府市統合が奏功し大阪のパワーがUPした場合、また逆に府市統合が実現すれども例え上手く機能せず大阪が衰退した場合も、「大阪都」の名称は大阪人および関西人の心理の中に健全な自立性を超えて、東京に対する過剰な対抗意識と日本国に対する帰属意識の希薄化を招くだろう。

「国家分裂」とは我ながら如何にも極端な表現だが、こうした大阪人・関西人の自画像・アイデンティティの隙を突いて他国が経済力・その他の力を駆使し策略を巡らして来た場合に、国家としての足並みの乱れは十分に起こり得るだろう。

現に沖縄に於ける中国の関与を見れば、筆者は究極の形も可能性無きとはしない。

「大阪都構想」は、橋下徹氏の情念の中から湧き出たものである事は衆目の認める所だ。

その情念には、関西人である事を含め氏の来歴に由来する様々なものが混在していると思われる。

よくも悪くも凡そ人は、情念が無ければ大きな事は成し遂げられない事は確かではある。

橋下氏が「大阪都」の名称にどの程度の拘りを持っているのかは、正直よく分からない。

住民投票のため、分かり易くするためと大阪人の心を擽る単なる看板として使っているだけかも知れない。

また、住民投票の結果、大阪府市統合が実現したとしても、「大阪都」への名称変更の法改正が国会で通る事は現時点では考え難い。

しかし、橋下氏の属する維新の党が国政に於いて、例えば有事法制賛成とバーター取引で自民党に「大阪都」を飲ませた場合に、実現してしまう可能性はある。

橋下氏は、最近の討論会や演説で、大阪を日本の2つ目のエンジンとしようと呼び掛けている。

大阪を東京が大災害に襲われた場合のバックアップ機能にしようとも主張している。

これは、特に富士山噴火や大震災の可能性が指摘される昨今、国家の存続に資する不可欠な考えだ。

将来、大阪が東京に代わって首都になってもよいし、上述の大災害の蓋然性 を考えれば、その可能性は決して絵空事ではない。

しかし、それまでは東京のバックアップ機能充実に注力し、大阪はそれに即した自画像・アイデンティティを持つべきで、筆者はそれに相応しい「代都」を名乗るのが適当だと考える。

橋下氏が主張する「日本をツインエンジン体制とする」事が、もし国家分裂をもたらすものなら、我々国民は全力でこれを潰さなければならない。

橋下氏の真意を問う。

◆◆ <補足> ◆◆

なお、別途橋下氏は都道府県を廃止して道州制を導入する事を主張しており、氏の経済ブレーンである元財務官僚で経済学者の高橋洋一氏は、消費税の道州税化と道州毎の税率選択を提唱している。

これについて、筆者は地域の主体性と広域行政の必要性には同意しつつも、それは市町村の基礎自治体の財源・権限強化と広域調整機能の強化によって行うべきだと考える。

都道府県を廃止して道州制を導入した場合、地域への帰属意識は分裂混乱すれども道州に収束するのは難しいし、仮に都道府県を残して道州制を導入した場合、地方自治が3階建てとなってしまい屋上屋を重ねる結果に終わる。

また、道州制によって生まれる国に対する強力な遠心力は、特に大震災や他国からの侵略を含む有事の際に弊害をもたらすだろう。

筆者は、地方自治と国政の関係のデザインには、遠心力と求心力のバランス・適正な相互牽制機能構築の視点が不可欠と考える。

なお、消費税の道州税化と道州毎の税率選択は、EU各国間での輸出入手続きに準じた事務が不可欠であり、膨大な行政コストと民間負担をもたらす。

高橋洋一氏には、これらを踏まえた自説精査を求めたい。


◆私の「身辺雑記」(219)

平井 修一



■5月9日(土)、朝は室温22度、曇、フル散歩。いつも躾のなっていない大型犬を連れて散歩している陰気な若者が一人でスマホを見ながら歩いていた。犬はどうしたのだろう。

サイト「子犬のへや」によると、平成25/2013年度、2万4197匹の成犬と、4373匹の子犬が殺処分されたという。合計2万8570。

<全国における動物の殺処分施設に関する統計では、8割以上の92自治体(委託を含む)は炭酸ガス施設を採用しており、熊本市、京都市など15自治体は原則として獣医師が麻酔注射で1匹ずつ安楽死。

そして主要都市では唯一山口県下関市にある動物ふれ愛ランド下関だけが、手術で使う麻酔ガスを密閉空間で吸引させる安楽死設備を取り入れている。

同市では平成21年度に、約8億2000万円かけて安楽死設備を導入。年間の処分費用は苦痛を伴うとされる「炭酸ガスによる窒息死」に比べ3倍の約700万円かかるという。

内閣府の「動物の殺処分方法に関する指針」では、「出来る限り動物に苦痛を与えない方法」を求めているが、強制力はなく、財政難に苦しむ自治体では安楽死施設の導入に二の足を踏み、従来の炭酸ガスに頼っているというのが現状だ(2012年6月20日・読売新聞より)>

残酷だなあ、可哀想だ。

8日、カミサンが婦長を務める精神病棟に5人も緊急入院し、てんてこ舞いだったという。いずれも統合失調症(統失、昔は精神分裂病)で、しかも暴力を振るうからタチが悪い。季節の変わり目、特に春の木の芽時は発狂しやすいのだ。

看護師もなかなか集まらないから人手に余裕がない。統失は症状が安定するだけで完治しないから、退院しても3か月後、6か月後にはまた戻ってくる。虚しくなるから精神科の看護師にはなかなか成り手がない。

患者から殴られたり、蹴飛ばされたり、罵倒されたりする。そんな病棟は他にはない。

それでも敢えて精神科の看護師になる人はいるのだが、他の科ではじかれたような人も珍しくないのだ。「精神科は看護師のハキダメ」なんて言われることもある。

患者は暴れる。拘束するとオムツになるが、食事を含めてなおさら手間がかかる。その上に看護師は質の悪いのが交じっている。婦長は休む間もない。

江戸時代の頃は、手におえない統失患者などは座敷牢などに隔離された。

<松陰が入れられた武士牢の野山獄(のやまごく)は、厄介者の収容所だった。11人いた在獄者のうち罪人は2人だけで、あとは身内から疎んじられた者ばかり。家族の借り牢なので規則は緩やかだが、実質は終身刑の絶望の牢屋である>(サイト「歴史人」)

密航事件を起こした問題児・松陰も、幕府&藩に恭順の意を表す「家族の費用負担」で厄介者として収容されたようだ。「借り牢」とはそういうことだろう。

「家族の費用負担」・・・今は「国の費用負担」で統失やら重度の鬱病患者(小生ような自殺志願者)の面倒を見る。統失患者の場合、家族とは住居を別にして生活保護を受ける場合が多いから、なにからなにまで全部タダ=本人負担ゼロになる。

社会防衛論で言えば、統失患者は犯罪者ではないが厄介者、お荷物、パラサイト。病人だから気の毒ではあるが、社会の足を引っ張っている。殺処分なんてナチスや中共臓器狩り大国みたいな恐ろしいことは言えないが、せめて「家族の費用負担」にすべきではないか。

出産・育児という大事なところに金が回らず、ほとんど壊れた廃人やら老人に金が注ぎ込まれる。異常だろう、違うか?

夕刻は急遽「母の日」パーティに。準備時間も材料もないので7人で塩ラーメンと和牛霜降りステーキ、サラダなど。結構好評。

カミサンは花とケーキとルンバを贈呈された。ケーキは脳内お花畑、警戒心ゼロ、自治労の長女がへんなところに置いたから犬が全部食べてしまった。犬のお腹はパンパン。「ラッキー、良かったね」と笑うしかない。

それにしてもわが家の「ルンバ/ロボット時代」が始まるわけだ。

カミサンは3月からノンアルビールもどきにして2キロやせたと喜んでいたが、ルンバで掃除(掃除機はカミサンの仕事)が楽になるだろうから運動不足になること必至、また太るだろう。

■5月10日(日)、朝は室温22度、曇、フル散歩。薫風香る5月、いい気分だ。3人から挨拶された。毒気が抜けてきたみたい。そのうちスカスカ、お麩みたいになるのかなあ。

母の日。一昨日あたりから花屋の店先はカーネーションがいっぱいだったが、今朝は6時ころに開店。今日で売り切らないとどうしようもない。書き入れ時だ。花屋の夫婦と犬の小太郎から挨拶される。

ルンバじゃなくてアイブの話。安東泰志/ニューホライズンキャピタル取締役会長兼社長の論考「AIIBは利益相反の塊!参加見送りは当然の判断だ」(ダイヤモンドオンライン5/8)から。

<マスコミでは「AIIB(アジアインフラ投資銀行)に出資するかどうか」ばかりが騒がれているが、そもそも、こうした国際機関の融資は、出資金で賄われるわけではない。その融資のほとんどは、一定以上の高い格付けを持った当該国際機関自身が債券を発行して調達されている。

たとえば、ADB(アジア開発銀行)は最上級のAAA格を保有しており、低利調達が可能であるからこそ、融資先にも低利の資金を提供できるのだ。なぜADBが高格付けを得ているかと言えば、その運営に透明性があり、長年の実績(トラックレコード)もあることで、健全な銀行経営ができる機関だと世界の投資家から広く認知されているからだ。

そもそも(アジア域内には2010年から2020年の間に)8兆ドルのインフラ整備需要が本当にあるとして、そのうちどれだけが国際機関からの融資を受けるだろうか。

本来、インフラの整備というものは、それが必要な国が予算措置をして実施し、税金や通行料などで資金回収すべき性格のものだ。そのベースがしっかりしたプロジェクトの場合は、民間金融機関が融資をすれば足りるのだ。

また、審査がしっかりした国際機関であれば、当該国とのリスク分担を明確に求め、それができない場合は融資をしない。

したがって、アジアの膨大なインフラ整備需要に対し、現在見込まれているADBなどの国際金融機関からの融資はわずか2000億ドル程度しかないと言われている。

となると、新たに設立されるAIIBがそれにどれだけ上乗せできるかと言えば、仮に巷間言われているように、審査を甘くしたとしても、極めて心許ないとしか言いようがない。

また、ADBの調達においてさえ、日本企業の落札率は1%程度しかないことからしても、AIIBに参加することで日本企業が目に見える実利を得ることは難しい。ましてや、AIIBは、もともと、中国経済が減速して行き場がなくなった中国の建設関連企業に仕事を与えるために構想されたとも言われており、日本企業が優遇されることなどあり得ない。

「AIIBに参加しなければ8兆ドルのインフラ整備需要を取り逃がす」というような幻想は捨てたほうがよい。

一方で、日本には、中国企業等にはない「オンリーワン」の技術を保有する企業が多数存在するのだから、ADBやAIIBが関与しない膨大なインフラ整備需要を取り込んでいけばよいのだ>(以上)

記事の最後に「AIIBへの参加は、日本企業にとって実利になると思う?」のネット世論調査があり、「そうは思わない」88.62%、「そう思う」5.82%だった。日経やリベラルという名の中共の走狗の「バスに乗り遅れるな」論に騙されることはなさそうだ。

子・孫たちは森林公園へ。2時ごろに帰って来てみな昼寝。夕食はワラジのような分厚くて大きなトンカツ5枚を揚げた。2枚残ったのでお土産に。今日でGWはお仕舞。皆、機嫌よく帰っていった。

ルンバも機嫌よく働いている。まるで犬っころ、萌え系メイド、大きなフナムシみたいで可愛い。愛犬は不思議な表情でルンバを見ている。カミサンはルンバを追っかけまわして興奮している。結構なことだ。

夕刻、キッチンでだらだら飲んでいたらルンバに右足を踏まれた。結構痛いが、「いつまで飲んでいるのよ、さっさと寝たら」と叱られた感じ。OA、FA、やがてはWA(War Automation)でロボット戦争の時代になるのだろう。痛みのない戦争・・・終わりのない戦争か。なんか嫌な感じ。

■5月11日(月)、朝は室温21.5度、ちょっと肌寒い、快晴、フル散歩。紫陽花が一輪だけ咲いていた。梅雨子がちらっと顔を出した感じだ。

夏野剛/慶應大学大学院政策・メディア研究科特別招聘教授に取材した論考「日本企業よ、みんなでルンバをイジめるな!」(東洋経済オンライン
5/10)から。

<家電量販店の掃除機コーナー。ここ10年ほどで、売り場が様変わりしている。円盤型の「ロボット掃除機」が幅を利かせるようになった。

言わずと知れたロボット掃除機の先駆けは、アメリカのアイロボット社が製造している「ルンバ」だ。日本では2004年に販売が開始され、2013年には国内出荷台数100万台を突破した。

*「掃除機の世界はルンバに任せればいい」

これに続いてロボット掃除機市場に参入したのが、東芝やシャープといった日本メーカーだ。シャープの「ココロボ」は「ツンデレ妹キャラ」のおしゃべり機能を付加、パナソニックの「ルーロ」は形状を三角形にするなど、各社とも特徴を出そうとしている。

これに対し夏野氏は、「情けないことだ。もう掃除機の世界はルンバに任せておけばいいじゃないか。むしろ洗濯機とか、浴室乾燥機とか、ほかのところでAI(人工知能)をどんどんやったらどうなのか」と嘆く。

加えて夏野氏は、アイロボット社が新興企業である点を指摘する。「東芝やシャープのような大きな企業がつぶすようなことをしなくても。ルンバのほうが可愛いんだから、ここで戦っても仕方ない」。現にルンバの人気は、日本メーカーが続々参入してきた今年に入っても衰えていない。

AIを使えば生活はもっと便利になるはずだが、それがなされていない分野がまだまだあると夏野氏は語る。「成功者が出てきたときに、それに追随することは必要かもしれないが、みんなで寄ってたかってやる必要もないだろう。そもそも、証明された市場を後追いするだけじゃ面白くない。日本メーカーにも、まだ世の中にないものを作ってほしい」>(以上)

気持ちは分かるけれど、既存分野でも革新、新規分野でも革新していくのが資本主義だから「ルンバのほうが可愛いから」と手を抜くわけにはいかないわな。ITでは勝つ、白物では敗けない、というのが大手メーカーの本能だ。敗けるとシャープのようになる。

<5月9日付の日本経済新聞朝刊等において、当社の資本政策関する報道がありましたが、これは当社発表ものでありせん。

資本政策については、優先株式の発行や減資検討を進めておりますが、決定した事実はありません。

なお、現在、資本政策を含む新中期経営計画を策定中であり、5月14日午後3時に公表する予定です>(シャープ5/11)

今朝のシャープ株は一時、ストップ安になったという。まったく一寸先は闇だ。

企業は日経を利用してPRする。日経に8日夜にネタを漏らすと9日(土)朝刊でスクープとして大きく報道される。他紙は焦るが、土日では後追いができない。14日まで待つしかないから他紙は悔しがっているだろう。で、14日の夕刊と15日の朝刊で大きく報道されるのだ。

シャープのメリットになるから幹部がリークする。新中期経営計画へ世の中の関心を集めて「再生」をアピールしたいということか。海千山千、狐と狸の情報戦争だ。

「悪の枢軸」中露ファシスト連合VS「自由の砦」日米欧。こんな図式ができてきた。日本は中共経済という足元を叩き続けることが優先事項だ。(2015/5/11)


       

◆「殺さない」戦争は可能か

平井 修一



20年ほど前だが、グアムで観光ネタを取材していた際に「ジャングル戦争」というのがあった。敵・味方に分かれ、制服であるジャンパー、ヘルメット、ゴーグルを装い、エアガンで撃ち合うのだが、弾に塗料が塗られており、当たれば一目瞭然になって、審判から死傷者として退場させられるのだ。

実にバカバカしいが、人気だという。皆、結構真剣に汗だらけになりながら戦うそうだ。「遊びと人間」とか「ホモルーデンス」を読むと、戦争も一種の遊び、ゲームだとある。

部谷直亮氏の論考「日中戦争を回避する秘密兵器は『電子レンジ』離島防衛を考える(第6回)」(JBプレス5/6)を読んで、「ジャングル戦争」を思い出した次第。以下、氏の論考の一部。

<高名な戦略家であるエドワード・ルトワックによれば、少子化と高齢者以外の死亡がまれになったことで、今や戦闘で生じる兵士の戦死が先進国の社会では受け入れがたいものになっていると指摘します。

要するに“病死が相次ぎ、そして子供が多いような社会”と、“高度な医療により老人しか死なず、子供が少ない社会”では、「戦死」に対する衝撃が大きく異なるということなのです。

それゆえに、先進国の社会においては、(戦争での)死傷者に対する許容度が低下しており、その戦術レベルに過ぎない、若干の死傷者の存在が、世論に重大な出来事として衝撃を与え、ひいては戦略レベルである政治に大きな影響を与えてしまうのです。

*中国でも見られる同様の傾向

このように、現代戦においては、ちょっとしたイベント、特に死傷者が世論に大きな衝撃を与え、政策決定者に変更を迫る(のです)。

実は中国もこうした傾向と無縁ではないのです。そもそも、構造的に日本以上の急激な速度で少子化が進み、ある種の言論統制下ではありながらもテレビメディアが発達し、インターネット人口は、なんと6億人を超えています。

そのために非致死性兵器が重要です。つまり、大音響や皮膚に痛みを発生させる電磁波等を使った兵器で、これによる不法に侵入してきた勢力の無力化が必須でしょう。

既に実用されているのもあれば、かなり開発が進んでいるものもありますので、以下でご紹介しましょう。

最初は、海自や海保の一部でも導入されている「LRAD」(Long RangeAcoustic Device)です。

これは要するに、耐え難い指向性の大音響で相手を撃退するというもので、イラクにおける米国の使用を皮切りに、我が国ではソマリア沖の海賊対策、捕鯨船に対するシーシェパード等で有効な成果を上げているとされます。

このLRADは、中国の海警の複数の艦艇にも装備が進んでいるとされ、対抗する意味でも、より多くの海保や海自への調達が望まれるところです。ただし、LRADは聴力障害をもたらす可能性があるので、使用が難しいでしょうし、威力として決定的ではない面があります。

こうした問題を解決できると思われるのが、マイクロウェーブ波を利用した「ADS(Active Denial System)」です。俗な言い方をすれば、「電子レンジ砲」と言うべきでしょうか。

ADSは車載型、もしくは航空機搭載型を想定しており、95ギガヘルツのマイクロウェーブ波を照射することで、紙3枚程度の皮膚下に焼けるような痛みを発生させる装置です。つまり500メートル程度の射程の電子レンジを照射することで、火傷のような錯覚を抱かせ、暴徒やテロリストを無力化するというものです。

注目すべきは、辛口の防衛問題記者を含む1万300人以上のボランティア被験者を、耐え難い痛みを発生させて無力化したにもかかわらず、健康被害を引き起こさなかったことです。

1999年、2007年に第二度の火傷を起こした以外は相手を傷つけていないことです。その意味で、より強力に(敵を)無力化でき、しかも健康被害を起こさないという観点で音響兵器よりも有効でしょう。

ただ、ADSは2010年にアフガンに短期的に配備されましたが、結局、政策担当者がタリバンのプロパガンダに利用されることを恐れ、使用されずに本国送りとなりました。その意味では、まだまだ実戦での使用は難しい面があるかもしれません。

が、ADSは、大使館警備に責任を持つ海兵隊、特に前総司令官のエイモス大将が特に熱心な推進者だったこともあり、現在もテストが継続しています。例えば、2013年9月にも、上陸用舟艇から小型ボートへの照射実験が行われ成功しており、技術的に確立しているのは事実のようです。

であるならば、我が国としては導入を検討しても良いかもしれません。少なくとも上陸した相手勢力に小銃弾を叩きこむよりは、エスカレーション防止の観点からは、はるかによい手段でしょう。

しかも、カタログスペックとしては劣るものの、中国は「Poly WB-1」という名称の同様のシステムを開発中です。対抗手段として用意しておく必要があります。少なくとも、先方と同様の非致死性装備での殴り合いの方が、非致死性装備の相手を致死性装備で叩きのめし、それをプロパガンダに利用され我が国が孤立化するよりも望ましいでしょう。

*米国は専用の部局を設けて取り組んでいる

本稿では、現在の戦略環境が、ちょっとした死傷者でさえ世論の激しい反応を生み、それが戦略レベルに大きな影響を与えてしまう構図があり、中国もそうした法則が当てはまることを指摘しました。そして、そうである以上は、非致死性兵器を導入すべきであると論じました。

ただし、あくまでも一例としてLRADや、それより望ましいものとしてADSを取り上げましたが、「これをとにかく採用すべき」というような、兵器に限った話をしたいわけではありません。

本稿の趣旨は、多様な非致死性兵器を備えておくことが、離島防衛を穏やかに解決できる一助であり、そのために様々な非致死性兵器の研究開発、海保・海自・陸自への装備、そして在来兵器との組み合わせを含めたドクトリン研究が必要だと主張するものです。

そして、それが離島防衛に際して「日中の全面的な武力衝突」を回避する大きな要素にもなりうると指摘するものです。

米国防総省では、非致死性兵器について専用の部局を設け、多種多様な「敵を傷つけずに無力化する装備」に取り組んでいます。我が国も優先的に取り組むべきではないでしょうか。

離島防衛に必要なものとは、もう少し高い烈度を前提とする装備と運用、もしくは今回指摘したような非常に低い烈度での装備や運用だと考える次第です>(以上)

まったく軍事技術はすさまじい速度で革新されている。ドローンは今や当たり前になったし、これからは鉄砲玉が敵を追いかけるのだという。「動く標的を自動追尾、『かわせない銃弾』の実験に成功 米軍」にはびっくりした。

<(CNN4/30) 米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)は、自動追尾機能を搭載した50口径の銃弾を、動く標的に連続して命中させる実験に成功したと発表した。

この自動追尾弾はDARPAが開発を進めているもので、50口径の銃弾に組み込んだ光センサーによって標的を追いかける仕組み。標準的なライフル銃を使用した2月の実射実験では、動いたり身をかわしたりする標的に対し、極めて高い精度で連続して銃弾を命中させることに成功したという。

DARPAが公開した映像からは、銃弾が標的を追って空中で大きく方向転換する様子が確認できる。

DARPAは声明を発表し、自動追尾弾を使えばたとえ初心者でも動く標的を狙撃できると述べた。つまりこれからは、射撃の腕前に関係なく銃弾を命中させることが可能になるわけだ。

DARPAのプロジェクト責任者は「かつて不可能と思われていたことを実証した。これを突破口に、将来はあらゆる口径の自動追尾弾を実用化できるだろう」との見解を示した>(以上)

確実に殺す致死性兵器、絶対に殺さない非致死性兵器、硬軟を使い分けての戦争。実にややこしい。

この際、ゲームで決着をつけたらどうか。勝てば係争地で3年間、施政権をGET、その後に住民投票で評価する。NONなら敗者復活で同じく3年間、施政権をGET・・・国連監視のもとにこれを繰り返していけば、そのうちに着地点が見つけられるのではないか。血が流れ、廃墟になるよりもよほどいいと思うのだが。(2015/5/7)

2015年05月11日

◆見事だったバンドン会議の安倍演説

櫻井よしこ



「中国ではなく日本に吹く歴史の追い風」

歴史の追い風を受ける安倍晋三首相は強運の人だ。4月22日、アジア・アフリカ会議(バンドン会議)で首相が演説した。

「侵略または侵略の脅威、武力行使によって他国の領土保全や政治的独立を許さない」「国際紛争は平和的手段によって解決する」
 
このくだりはバンドン会議創設時の宣言だが、誰しも中国を思い出したことだろう。続けて首相はこう語った。

「バンドン会議で確認されたこの原則を、日本は、先の大戦の深い反省とともに、いかなるときでも守り抜く国であろう、と誓いました」
 
バンドン会議はそもそも、武力や脅威による侵略に立ち向かう精神から生まれた。それがいまや中国に向けられていることを、世界の人々の心に想起させ、日本が「深い反省」とともにバンドン精神を守ってきたことも明らかにした。見事なメッセージだ。

「アジア・アフリカはもはや、日本にとって『援助』の対象ではありません。成長のパートナーであります」のくだりも過去の反省とともに、参加国の胸に染みたはずだ。
 
それに対して中国は相変わらず歴史を突き付け、韓国も「植民地支配と侵略に対する謝罪と反省」が抜け落ちたことに「深い遺憾の意」を表した。
 
日本のテレビ局のコメンテーターたちも「植民地支配」「侵略」「反省」「謝罪」の4つのキーワードのうち、今回は「反省」しか言及していない、これでは米国上下両院合同会議での演説や70年談話は心配だなどと論じていた。
 
このような議論をする国家やメディアには、世界の大きな潮流が見えていないのではないか。安倍首相は昭和の日の4月29日、米国議会で過去よりも未来に向けて語り、日本が果たそうとしている役割について力強いメッセージを送るだろう。世界で進行中の地殻変動を考えれば、首相演説を米国も国際社会も大いに歓迎するはずだ。
 
南シナ海では次々に中国が島々を埋め立て、米国議会は米国自身の対中抑止力の低下を認めた。有力上院議員らは早急に南シナ海における軍事的対応の強化を訴えた。金融面ではアジアインフラ投資銀行(AIIB)に予想を超える国々が参加し、あたかも、日米が孤立したかのように見える。多くの人々が世界情勢の変化を生々しく実感しているはずだ。
 
だが、よく考えれば歴史の追い風は明らかに、中国ではなく、こちら側、とりわけ日本に吹いている。米国ではホワイトハウスが機能不全に陥っているが、立法府の議会も司法も健全だ。その立法府では上下両院共に共和党が多数を占める。
 
共和党主導の議会が日本にもっと自立してほしいと要望しているのは確かだ。視線を専ら過去に向けて謝るよりも、反省を生かして前に進め、どこまで日本が世界のために働けるか示してほしいという考えだ。
 
首相は不満足な形ながら安全保障法制で公明党と合意した。岡田・細野体制の民主党はこれに反対の姿勢を明らかにしたが、中国の野望と北朝鮮情勢を考えるとき、自公路線しかあるまい。それを米国も世界も歓迎している。
 
米国世論の六割が日本はもはや歴史で謝る必要はないと考え、中国と朝鮮半島を除けばアジアの国は日本の謝罪より、眼前の中国の脅威を排除することを求めている。彼らもまた、日本が中国とバランスを取り得るほど強くなってほしいと願っているのは、日米を交えた合同軍事訓練を東南アジア諸国が望んでいることからも明らかだ。
 
平和で安定した国際秩序に貢献するためにこそ、強い日本になろうと努力する安倍政権はいま圧倒的に歓迎されているのである。安保法制における合意と、その先の憲法改正にも歴史の追い風が吹いている。首相の運の強さを日本の立て直しにつなげていきたいものだ。

『週刊ダイヤモンド』 2015年5月2・9日合併号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1082  2015.05.09 (土)


         

◆傲慢中国黙らせた「強い日米同盟」

湯浅 博


東南アジア諸国が歓迎 「歴史和解モデル」突きつけられた韓国

昨秋、チェイニー副大統領の首席補佐官だったスクーター・リビー氏に会って、「米国の次期大統領は誰がふさわしいか」と聞いてみた。即答で戻ってきた答えには仰天した。彼は平然と「シンゾウ・アベ」と言ってのけたのだ。

もちろん、冗談には違いないが、オバマ大統領に対する不満と合わせ、頭の片隅にある思いの一端をのぞかせたのだろう。その理由をリビー氏は安倍晋三首相のもつ指導力、対外的な戦略観、組織の掌握力などを次々に挙げた。

首相による米議会演説後のウォールストリート・ジャーナル紙には、共和党大統領候補のルビオ上院議員が「強い日米同盟を必要とするアジア」とのテーマで寄稿し、安倍訪米の意義を描いた。

首相の領有権に対する「法の支配」重視、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への取り組みを含め、「米国と目標を共有しており、全面的に支援すべきだ」と後押しする。

韓国系の代理人である下院議員らが、慰安婦に言及しないことを「恥ずべきもの」と述べたが、限られた少数派にすぎない。

日米関係が「不動の同盟」である限り、中国は対日姿勢を抑制せざるを得ず、韓国は孤立感から軌道修正を迫られる。そして東南アジアの国々は、傲慢な中国との均衡のために、強い日米同盟を歓迎した。

今回の日米首脳会談が明示したのは、同盟が不断の変化を遂げており、日米分断を策しても無駄であるとの強力なメッセージであった。中国が日米同盟を「冷戦期の遺物」(洪磊外務省報道官)といったところで、部外者の希望的観測にすぎない。

当のオバマ大統領は、歓迎式典で「同盟は時代に合った形で広げ、未来に照準を合わせる」と変化を強調し、安倍首相が「日米関係は不断に発展」と応じているからだ。その具体化が、合意した「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」の再改定であり、日米安保条約の改定に匹敵するものなのだ。

中国は習近平国家主席が米国に持ち掛けた「新型の大国関係」が、排除されたと感じているだろう。米国ではすでに、マケイン上院軍事委員長ら超党派有力議員が国務、国防長官あてに共同書簡を送り、中国の行動を阻止する戦略をとるよう持ち掛けた。

権威ある外交問題評議会も最近、米軍の増強と同盟国との軍事協力を含む「対中大戦略」を構築するよう要請している。

最近のオバマ政権は、中国との競争を隠さなくなってきた。中国主導のアジアインフラ投資銀行への不参加を同盟国によびかけ、TPPに関連して「国際経済のルールは中国に作らせてはならない」との意思を明確に表明している。

では、韓国にあっては、日米共同声明が敵対国から不動の同盟へ転換表明したことをどう感じたか。感情的な対日批判を繰り返す韓国に、日米は「和解モデル」を突きつけたといえる。

朴槿恵大統領は4日の会議で「歴史問題に埋没せず」に、安全保障を切り離す現実路線で対応するとの立場を表明せざるを得なかった。

日米同盟の分断が困難である以上、中国は今後、日米韓から韓国の切り離しをもくろむだろう。日米は逆に、韓国に対し米中双方によい顔をするバランス外交の放棄を迫る。力不足のバランス外交は、同盟を阻害するだけだからである。
(東京特派員)産経ニュース【湯浅博の世界読解】

◆中国3大メジャーのトップ全員が交代

宮崎 正弘 


<平成27年(2015)5月10日(日曜日)弐 通算第4535号>  
 
〜中国3大メジャーのトップ全員が交代
  「石油派」の利権は、最後に誰が掌握するか〜
 
中国の3大石油メジャーとは「シノペック」「ペトロチャイナ」、そして「中国海洋石油」である。

中国語では「三桶柚」が三大メジャーを意味する。

これまでは江沢民一派が「三桶柚」のトップを独占し、利権を独占して、いわゆる「石油派」のボスとして君臨したのが周永康だった。実際の裏のボスは曽慶紅(江沢民の右腕、元国家副主席)だった。

江沢民の家来だった周永康(中国共産党政治局元常務委員)が曽慶紅の禅譲により、トップについてからは露骨に一族で利権を握りしめ、金庫番の蒋潔敏らを駆使して、好き放題をやってきた。

とろこが、習近平の反腐敗キャンペーンで真っ先に血祭りに上げられ、周永康の子分たち400名(3大メジャーの役員クラス、幹部)がその座から転がりおちた。

習近平は兄貴分だが、煙たい存在で、目の上のたんこぶだった薄煕来(重慶市書記)を、夫人の外国人殺害事件を口実に逮捕し、党籍剥奪して裁判にかけた。まず自分の権力の邪魔になる厄介者を消した。

次に標的としたのは悪評さくさくだった周永康だった。彼は公安系、司法系を司る政治法政系を牛耳っていたため、つまりは取締まり側の総元締めだから、誰も手を出せないアンタッチャブルの存在だった上、背後に江沢民がいる。反面、周が君臨したお陰で温家宝首相(当時)の金銭スキャンダルなどは握りつぶされた。

そこで習近平は辣腕政治家の王岐山とコンビを組んで「反腐敗キャンペーン」を本格化させ、周りから攻め込んだ。石油メジャーの不正経理と乱脈の捜査によって外堀を埋め、さらには周の子分達を経済犯罪を立証しつつ裁判にかけて、5名を処刑した。周の息子もこれらのマフィアと共謀していた。

周は慌てて王岐山らに懇請したが聞き入れられず、泣きつかれた江沢民が習近平に電話すると途中で切ったという噂も流れた。

江沢民一派は追い詰められたことを認識し、反撃に出る。

盛んに地方巡察などと嘯いてマスコミに動静を写真入りで報道させる一方、ヒットマンを送り込み、暗殺を狙った。王岐山への暗殺未遂は数件、尤も師匠格の朱容基元首相は、暗殺未遂事件が十数回もあった。

習近平は自分のボディガード軍団を入れ替え、さらに中南海の警備陣を、江蘇省、福建省時代に培った子飼いの公安系に入れ替え、万全なものとした。暗殺を懼れるからである。王岐山に至ってはスケジュールを明かさず、神出鬼没の行動をとる。

ついで習近平が狙ったのは軍である。

中央軍事委員会で習近平の子分は一人しか居ない。ほかは胡錦涛派、とくに副主任の氾長龍と許基亮。参謀総長の房峰輝の三人が習近平になびかない。そこで、これら軍トップの副官クラスと弁辞処(中央軍事委員会事務局)の高官を入れ替え、軍幹部の独自の動きに注意をはらう人事構造とした。

つまり軍事クーデターを警戒する態勢である。あまつさえ習近平は外遊時に、これらの幹部の何人かを引き連れていくようになった。

留守中の動きを封じ込めるためで、たとえば5月8日からのモスクワ、ベラルーシ訪問では氾長龍(軍事委員会副主任)を随行した。


▼迂回捜査だったから、本丸を囲まれたことに江沢民は気がつかなかった

このたびの人事で3大メジャーのトップがすべて交代したことが分かった。

中国石油のトップは王宣林で、前トップだった周吉平は辞職し、前社長だった寥永遠は失脚した。

中石化のトップは未発表。前幹部の傳成玉は辞職し、前社長の王天普は失脚、同系工程院副院長だった王玉普は左遷された。

中国海洋石油は新トップに楊華が繰り上がり、王宣林は「中国石油」のトップに横滑り、副経理(副社長)だった呉振芳は失脚した。

この動きから推測できること。習近平は石油派を締め上げることによって、鉄道利権に続いて、江沢民派の利権を取り上げ、つぎに李鵬ら守旧派が握る発電利権、そして江沢民の息子が握る通信の利権を奪回するため、その腐敗構造へのメス入りをしている最中である。

また利権構造とは言えないが、江沢民残党の影響力がつよく残る行政、地方政府、国有企業にもメスを入れており、外交関係部署では江沢民色の強い楊潔チ国務委員(前外相)と外交部助理の張昆生(令計画と親密だった)らが取り調べを受けた気配がある。げんに王毅外相のまわりからも、多くの幹部が拘束、逮捕されている。

 ▼上海派の牙城、上海市政府の人事にも介入

上海政府の行政幹部に関しては「調査の対象」(取り調べ)となった幹部が目立つ、戴海波(上海市政府副秘書長)、崔健(実鋼集団副社長)と同社の33名の幹部が取り調べを受けた。

上海政府は、江沢民一派の牙城であり、これまではアンタッチャブルの存在。数年前に陳良宇が失脚した折は、胡錦涛政権だったが、上海で最も汚い手口のデベロッパー逮捕に連座させて、経済スキャンダルを立証したのだった。

同市の上海光明集団元理事長の王宗南も、江沢民一族と濃密な関連があったが、失脚した、江沢民の長男、江綿恒は中国科学院上海分院長のポストを免職となったうえ、彼のもとに出入りしていた、怪しげな政商らも多数が拘束された。

周永康の牛耳った法政法(公安関係)でも李東生(弁王室全主審)、馬建(公安部腹部省)らが取り調べを受け、事実上失脚した。

馬建失脚直後に郭文貴が外国へ逃亡、令計画の弟の令完成も機密書類を持ち出して、米国へ逃亡した。

まさに闇の世界に手を付けた結果、計り知れない闇の奥底が広がる。悪魔の生息する伏魔殿へ、本気で習近平の特捜部隊は突入するのだろうか。もしそうなれば地獄の決戦が開始されることを意味し、中国共産党の瓦解が始まる。
     

◆ファシズム国家は日本か中露か

伊原 吉之助



5月9日にモスクワで開く対独戦勝70年の記念式典に、プーチン露大統領が習近平中国国家主席らを招いて、「対ファシスト戦争勝利」を祝ふ由です。

ファシズムの定義は厄介です。「ファシズムとは何か」を問ふより、「何がファシズムでないか」を明示する方が遙(はる)かに容易だと言はれたりします (ワルター・ラカー『ファシズム 昨日・今日・明日』刀水書房)。

プーチン大統領の招きに応ずる習主席は、日本も「ファシスト国家」に入れて9月の抗日戦争の勝利に結び付けたいやうですが、日本はファシズムではな い。さうだといふのなら、根拠を示して戴(いただ)きたいものです。

 《定義が適合しない日本》

ファシズムといふ語はイタリア語に由来します。束ねる、結束といふ意味のファッショを使ひ、ロシア革命後の暴力的な共産勢力の秩序破壊工作に対抗する ため、暴力を辞さぬ反共愛国運動を展開します。また、「万国の労働者を団結」させ る共産主義の国際主義に対抗して、国家中心の愛国主義を唱へます。

ファシズムは、一指導者、一党独裁、大衆運動、民族主義、反共が特徴です。この規定なら、ナチス・ドイツとファシスト・イタリアは共通にくくれます が、わが国は前の3つが合ひません。前3つでは、寧(むし)ろ共産国がファシスト国家 と共通します。

歴史家エルンスト・ノルテは、ファシズムの特徴を6つ挙げます (『ファシズムの時代(上下)』福村出版)。

 (1)ロシア革命後に危機に晒(さら)された資本主義体制を守るため出現した。

(2)戦争から生まれ軍隊組織をまねた。

(3)工業家・地主・労働者の一 部が提携した。

(4)急進社会主義者やサンディカリスト(労組直接行動派)が中核 を成す。

(5)領土拡張を狙ふ帝国主義的民族主義である。
(6)イデオロギーは反共・反ユダヤ・反カトリシズムである。

これはイタリアを念頭に置いた定義ですから当然、日本には合ひません。

 《一緒に論じられない独と伊》

日本がはみ出ても、独伊両国は似てゐます。でも政治学者オーガンスキーによると、独伊は近代化の発展段階が違ふのです(『政治発展の諸段階』福村出 版)。

彼曰(いは)く、ナチス・ドイツはファシスト国家に非ず、独伊は「経済の発展段階が異なる」から一緒に論じられないのだ、ドイツは工業先進国だが、イ タリアは農業比率の高い中進国だと。

工業化する農業国は、農業から工業化資金を引き出します。農業勢力が強いと工業化にもたつき、経済が停滞します。そこへ第一次大戦後の動揺があり、反 共愛国でまとまる独裁が生まれたといふのです。

ファシスト独裁(ムソリーニのイタリアのほかに、フランコのスペインやサラザールのポルトガルなど)は、両派の膠着(こうちゃく)状態の下で登場しま すから、やれることは限られます。この独裁は農工両派の均衡の上に成り立つ共同統 治であり、両党政治なのです。

ナチスは違ふ。戦争で疲弊した経済(特に超インフレ)と莫大(ばくだい)な賠償を抱へる「もたつく工業先進国」なのだと。

この議論では、ナチス・ドイツはファシスト国家に非ず、従つて対独戦勝を「ファシスト打倒」といふのは間違ひだといふことになります。

 《政敵に浴びせる「悪罵の語」》

反共政権をやたら「ファシスト国家」と呼ぶのは、共産国の論法です。逆にナチス・ドイツとスターリンのソ連を重工業国に成立する「全体主義独裁」と 捉へて、同一視したのが哲学者ハンナ・アーレントでした。イタリアなど中進国(半農国)には全体主義は成立しないと(『全体主義の起原3』みすず書房)。

つまり、独裁者・一党独裁・全体主義支配ではナチス・ドイツと共産ロシアは共通するのです。

では中国は? 毛沢東時代の中国は思想統制が行き届いた全体主義独裁 国でした。思想統制は毛沢東没後、崩れるものの、今の習主席は統制強化中です。

こ の点では、ソ連、毛沢東時代の中国、ナチス・ドイツは全体主義で一括できます。わ が国の思想統制はこれら3国より緩やかで、マルクス主義者が戦争中も生き延びました。

わが国は、軍国主義国家ではあったもののファシスト国家でも独裁国でもありませんから、対日戦勝記念日に「ファシスト」や「ファシズム」を使ふのは間 違ひです。

それを敢(あ)へて使ふのは、「政敵に浴びせかける悪罵(あくば)の語」(ラカー、上掲書)に過ぎません。つまり、ファシズムとは、極めて政治的な 罵(ののし)りの言葉なのです。

あの戦争を連合国が“悪漢国”を倒した「正義の戦争」と言ひたいがため、日独を悪者にして罵倒語「ファシスト」を使ふのです。

でも露中は当時も今も、自由民主国家でも法治国家でもない。明治以来、議会政治も法治も実現したわが国が、彼らからファシスト呼ばはりされる謂(い は)れは全然ありません。

(いはら きちのすけ・帝塚山大学名誉教授)

産経ニュース【正論】2015.5.8  (採録:久保田 康文)


   

2015年05月10日

◆英国総選挙の末端では華人が暗躍

宮崎 正弘
 

<平成27年(2015)5月10日(日曜日)通算第4534号  <前日発行>>

 〜英国総選挙の意外な結末、末端では華人が暗躍していた
   二大政党政治は薄まり、日本の多数政党混合型に似てきたのか〜

英国の総選挙は大方の予測に反して、保守党が単独過半をしめ、キャメロン政権が継続されることとなった。連立相手の自由民主党が少数派に転落し、いきなりスコットランド民族等が大躍進を遂げた。

牽強付会を承知で比較すれば、日本の政治状況に酷似してきたのではないか。

自公連立を「保守」とすれば、大躍進「維新の会」が関西の地域性強く、スコットランド民族党の躍進と対比できる。激減した民主党が「労働党」、そして「次世代の会」はごく少数の組織になった。まるで[UKIP]のごとく(Ukipは僅か一議席)。

底流にあったのは移民問題である。

経済、失業のイッシューは政策論議のトップではなく、移民が享受する福祉保健サービスをどうするか、という問題だった。

英国の福祉を狙ってEUの諸地域から、多くの移民が英国へなだれ込んだ。

その不満がEU加盟継続を唱えた自由民主党の転落であり、労働党はまともな対応策が取れない能力不足を衝かれた。

さらに底辺では、いかなる変化が起きていたか。

英国における「3大少数民族」とはインド系、パキスタン系、そして3番目が華人である。旧植民地からの移民として、もともと英国にはインド系、パキスタン系がせめぎ合い、其の次は旧植民地ナイジェリアからの移民と言われた。

1997年の香港返還の直前に英国は香港市民24万名の移民枠を設け、それに溢れた香港籍の人々も、あの手この手でなだれ込んだ。かれは英国に住み着いた。

中国の改革開放以来、「留学」として入り込んできた中国人は、現在EUにおける労働の自由、移動の自由をフルに利用して英国への夥しく入り込んだ。

倫敦ばかりか、マンチェスター、リバプール、そしてバーミンガムにチャイナタウンが形成された。

5年前の総選挙では「積極的に政治に参加しよう。でなければ発言権が得られない」とばかりに8人の華人が立候補した。いずれも落選だったが、今回は11人の華人が立候補し、一部は善戦した。

おりしも日本では、4月の地方統一選挙で、新宿区議に中華料理店を経営する李小牧が、「華人の発言権を」と主張して、帰化してすぐに立候補した(みごとな落選だったが)ように、移民先で方便として帰化し、すぐに政治的影響力の確保を目ざすというのも、華人らしいといえば、たしかにそうだろう。

英国総選挙の末端で、まだ目立たないが、起き始めた異変である。

 

◆あのビルは経済盛衰のシンボル

加瀬 英明



経済盛衰のシンボルとはエンパイア・ステートビル。

私はニューヨークに留学したが、日本から客が来ると、エンパイア・ステートビルによく案内した。

1階がアールデコ様式で、昭和初期に日本でも流行していたから、訪れるたびに、私の両親の青春時代を思ったものだった。

エンパイア・ステートビルは1931年に竣工したが、大恐慌の真只中だったから、テナントが入らなかったために、「エムプティ・ステートビル」と、揶揄された。

今年、上海に世界で2番目に高い、超高層の「上海タワー」が完成する。

いま、世界でもっとも高い超高層は、ドバイの「ブルジュ・ハリファ」だ。

しかし、「ブルジュ・ハリファ」はじきに、サウジアラビアで建設が進んでいる「キングドム・タワー」が完成すると、世界第2位に転落する。

「キングドム・タワー」は、いまニューヨークの「世界貿易センタービル」の跡地に建設されて、アメリカでもっとも高いビルである「ワン・ワールド・トレード・センター」の2倍の高さになるといわれる。

「ペトロナス・タワー」の時代は何を意味するか

私は2008年に、マレーシアに招かれた時に、「ペトロナス・タワー」で講演した。1996年に完成して世界一となったが、翌年からアジア経済危機によって見舞われた。

マレーシアといえば、1977年にクアラルンプールで催された経済開発会議を1日早く抜けて、東京に帰るところ、日本赤軍のハイジャック事件が起って空港が閉鎖されたので、シンガポールから東京へ戻ろうとして、タクシーでマレー半島を、山下兵団が南下した同じ道をひた走ったことがあった。

椰子が茂る道を走りながら、シンガポールに入城した戦車隊の『遺骨を抱いて』の偉業を思った。今日、“アジアの時代”が到来したのは、日本が傲る白人による世界支配を、粉砕したからだった。

「ペトロナス・タワー」を見上げた時に、タクシーでマレー半島を南下した記憶が甦って、このビルもアジア解放の理想に殉じた、御英霊の働きによるものなのだと、感動した。

私はエレベーターに乗ってから、世界一高いビルが出現すると、経済が破綻するというルールを、エンパイア・ステートで学んでいたから、やはりそうなんだと思った。

2010年に、「ブルジュ・ハリファ」が誕生したが、世界経済が失速した。

このような超高層ビルは、その国の経済が最高潮に達した時に、着工される。エンパイア・ステートビルは、1929年に着工された。だから、右肩下がりの前兆となるのだ。

 「上海タワー」は中国が揺れる前兆か

「上海タワー」は、中国経済が大きく蹌踉(よろ)めく前触れなのだろうか。

サウジアラビアの「キングドム・タワー」は、石油ブームによって、砂上の楼閣のように出現した王国が、危機にさらされている兆のように、思われてならない。

それにしても、アジアと中東に競うように、つぎつぎと地上最高のビル群が出現してゆくというのは、この4半世紀のうちに世界構造が大きく変わったことを、痛感させられる。

エンパイア・ステートビルは、パナマ運河、大恐慌中の“ニューディール”によって建設されたフーバー・ダム、サンフランシスコのゴールデンゲート・ブリッジと並んで、「20世紀のモニュメント」といわれるが、すべてアメリカのものだった。

ついこのあいだまでは、中国は苦力(クーリー)の国として知られていたし、中東といえば、棗椰子(なつめやし)の蔭で、駱駝が居眠りをしているところを、連想したものだった。

アメリカがオバマ政権のもとで、アメリカの力が後退して行く中なで、世界を律してきた「戦後レジーム」が崩壊しつつある。

オバマ大統領は「アメリカは世界の警察官ではない」と、述べている。

第1次安倍内閣が登場してから、安倍首相が「戦後レジームからの脱却」を、訴えてきた。だが、「戦後レジーム」は、日本のなかだけに限られた、国内問題である。

だが、いま日本にとってそれよりもはるかに大きな事態が、世界を大きく揺さぶっている。

日本が誇る「平和憲法体制」は、世界的な「戦後レジーム」のもとで、アメリカが日本をしっかりと守ってくれることを、前提としてきた。わが「平和憲法体制」と、超大国であるアメリカが、アメリカに腰巾着(こしぎんちゃく)のように従ってきた国々を守るという「戦後体制」は、一体のものであってきた。

 独立の意義とは何をさすのか

それなのに、国会では集団的自衛権の解釈を見直して、日本の役割をひろげようという安保法制をめぐって、“平和憲法”に抵触するといって反対する声が、囂(かしま)しい。

“平和憲法体制”は、アメリカが日本に強要した「戦後レジーム」であるのに、その国内版を必死になって守ろうとするのは、アメリカという母親への甘えである。

まだ、アメリカから乳離れできないのだろう。「護憲」を叫ぶ人たちは、ズボンか、スカートを脱ぐと、星条旗柄のお襁褓(むつ)をあてているにちがいない。

私は首相や外相の顧問として、外交の第一線に立ったことがあるが、そんな時に、左や右の人々から、「アメリカの言う通りにならずに、自主外交をするように」と、叱咤されたものだった。

その都度、「アメリカが強要した『日本国』――「属国憲法」を、恭々しく押し戴きながら、『アメリカの言う通りになるな』と、いってくれるな」と思って、腹が立った。

敗戦後、敗戦を「終戦」、占領軍を「進駐軍」に摩り替えたが、「属国」を「平和」といい替えたのも、同じことであるに、ちがいない。

 言葉は生命なり、言葉は力なり、言葉は未来なり

尤も、日本では昔から言い替えることによって、本質を誤魔化すことが、得意術となってきた。

猪を「山鯨」と呼び、兎を鳥とみなして、1羽、2羽と数えてきた。いまでも、宴会が終わる前に、験(げん)を担いで「お開き」という。

日本は戦後70年にわたって、言葉を弄んできた。そのために、戦時中に「退却」を「転進」と呼んだのと同じように、現実から目隠ししてきた。

国会で、安倍首相が自衛隊を「わが軍」と呼んだために、叩かれている。匙を匙、あるいはスプーンということが禁じられて、匙を使っている時に、うっかり「匙」といったら、非人扱いにされるようなものだ。

日本国憲法は、日本に軍備を持つことを禁じることによって、日本を永久に属国としようとはかった、憲法を装った不平等条約である。日本を思い遣ったものではない。

 日本に真の軍備をもたせない意義は何か

私は有斐閣の昭和47(1972)年初版の『六法全書』を、所有している。曲学の徒である我妻栄東京大学教授が、編集代表として編纂している。
 
日本が独立を回復してから20年もたって刊行されたのに、なぜか「憲法篇」の扉にアメリカ独立宣言文が全文、英語と日本語で掲載されている。

「We hold these truths to be self-evident, that all men arecreated equal, that they are endowed by their Creator with certainunalienable Rights….」

「われわれは、次の真理を自明なものと考える。すなわち、すべての人間は、平等に造られている。彼らは、その造物主によって一定のゆずり渡すことのできない権利を与えられている‥‥」から、始まるものだ。

アメリカ独立宣言は、アメリカ3代大統領となったトマス・ジェファーソンが、起草した。ジェファーソンは南部の荘園主であり、奴隷主だった。「すべての人間」とは、白人だけのことだ。

アメリカ独立宣言文は、ジェファーソンが鞭打たれる黒人たちの悲鳴を聞きながら、書いたものだった。笑うべきではないか。


◆「今は戦後ではなく、戦争前夜」

平井 修一



在独の川口マーン惠美氏の論考「ロシアの戦勝70周年記念式典が象徴する『戦後』の終焉と現在のヨーロッパ情勢」(現代ビジネス5/8)はとても良かった。最後のサワリだけを転載する。

(平井思うに、大八車は「大人八人分の仕事をする車」が由来だというが、女の頭のいいのは男のそれの8人分だな、女恐るべし。曽野綾子、櫻井よし子女史並の論客が溢れ出してきた。男は“ボクは草食男子”などとへらへらしている場合じゃないぜ)

<5月9日に予定されているモスクワでの戦勝記念式典は、10年前とは打って変わって寂しいものになりそうだ。招待された約70ヵ国の首脳の半分以上が欠席。もちろん、メルケル首相も欠席となる。

これについてロシアは、「第2次世界大戦中のファシズムとの戦い、そして勝利という我が国の功績を握りつぶそうとする米国の陰謀である」と憤慨している。

西側諸国の相次ぐ欠席が米国の陰謀によるものがどうかはわからないが、出席を見合わせる国々の表向きの原因は、クリミアやらウクライナでのロシアの軍事行動への非難だ。西側の報道においては、今やプーチン大統領は、世界平和実現の希望の星から、ロシア帝国の独裁者を目指す危険人物に成り下がっている。

ただ、ドイツ政府としては、祝賀会への参加は見送るものの、ロシアとの関係をこれ以上こじらせるつもりはないらしく、翌10日にメルケル首相はモスクワに飛び、プーチン大統領とともに、無名戦没者の墓地に花輪を捧げる予定だ。

旧ソ連が第二次世界大戦で果たした功績に対する敬意と、現在行われているロシアの軍事行為への非難を切り離すための苦肉の策である。

今起こっていることはさておいて、メルケル氏はドイツ国民を代表して、ロシアの戦死者を追悼する気持ちになんら変わりのないことをロシア国民に告げるのである。ドイツは、こういうバランス外交にはとても長けている。

そもそもロシアとドイツは、歴史的に見ても関係が密接で、それなりに思い入れも深い(平井:フランスは共通の敵?)。隣国でもあったし、多くの婚姻関係もある。今、ロシア領であるカリーニングラードは、13世紀から70年前までの600年間、ドイツの都市だった。しかも、プロイセンの邦領として、ドイツでは最重要都市の一つだった。

ドイツは地理的に見ても、西ヨーロッパでありながら、東ヨーロッパにも引っ張られるという宿命にある(平井:東西ドイツを見よ)。現在は、ロシアのガスに依存しているし、独ロ間貿易はそれ以外でも盛んだ。冷戦でにらみ合っていた40年間こそが、この2国間の国交の例外だったと言ってもよいかもしれない。

だから、いくらアメリカにロシア制裁を強いられても、あるいは、メルケル首相がロシアの戦勝記念祝賀会への招待を断ったとしても、おそらくこの2国は、今後、関係をこれ以上悪化させようとはしないだろう。

いずれにしても、本日、ヨーロッパのあちこちで、戦勝70周年や、敗戦70周年のイベントが目白押しとなる。しかし、実際問題として、現在またヨーロッパの周辺で多くの軍事紛争が起こっている今、「戦後」とは、なんだか空しい。

戦後は、いささか長すぎた。本当は戦後ではなく、戦争前夜なのではないかと思えるほどだ。モスクワでの戦勝祝賀会が崩落しつつあるのは、まさに「戦後」の終焉と、現在のヨーロッパ情勢を象徴している。

そして、こんな不穏な状況だからこそ、ドイツとロシアは、お互いを非難しながらも、水面下ではしっかりと、協力できる道を探し求めているのではないだろうか>(以上)

「本当は戦後ではなく、戦争前夜なのではないか」

強烈! リベラルとかお花畑から離れて今の世界をリアリズムで見れば、「ああ、いよいよガラガラポンだな」と分かる。警戒し、備える。オーエ教なんぞは「九条命」のお札を拝んでいればガラガラポンは防げると信仰している。愚の骨頂。大好きな中共や北へ移住したらいい。(2015/5/8)


      
         

◆韓国より日本を信頼

黒田 勝弘



先の安倍晋三首相訪米に際し「アベが歴史で謝罪しない!」といって連日、非難報道を繰り返していた韓国マスコミがこのところ多少、正気を取り戻しつつある。興奮の後に反省といういつもの反日報道のパターンではあるが。

反省点の一つとして出ているのが、日米同盟強化の中で「韓国外交は孤立しているのでは」という不安だ。政府の外交姿勢が過去に執着し過ぎた結果だと批判しているが、慰安婦問題を押し立て日本批判をあおってきたのは韓国マスコミだから、政府批判の前にまず自己批判すべきだろう。

その意味で4日付の東亜日報の「米国が見る韓国と日本」という1ページ特集は自己批判かもしれない。米国の世論調査を引用し「“日本を信頼”が68%で“韓国を信頼”は49%…米国民は当然視」と伝え、さらにアジアで日本を好感していない国は韓国と中国だけで、東南アジアなど他の国々は軒並み80%前後が日本に好感と紹介している。

つまり韓国マスコミは安倍氏の訪米で米国の日本批判の話ばかりを伝え、“日本憎し”の報道をしたが「実は実際の米国民は韓国より日本の方を信じている」と軌道修正しているのだ。日本との過去の問題に目をくらまされ、世界や国際情勢がちゃんと見えなくなっている韓国国民は気の毒である。(在ソウル)
     
(産経ニュース【外信コラム】ソウルからヨボセヨ2015.5.9 )


2015年05月09日

◆慰安婦は韓国が解決する問題

阿比留 瑠比


韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は2月13日、韓国を訪問した自民党の二階俊博総務会長と会談し、慰安婦問題に関して日本政府が速やかに「納得できる措置」を取るよう求めた。だが、その措置の具体的中身、何をしてほしいのかについてはやはり言及しなかったようだ。

1965(昭和40)年の日韓請求権協定で法的に「完全かつ最終的に解決」されている問題について、政府はこれまでアジア女性基金を通じ元慰安婦に償い金を支払ったり、首相のおわびの手紙を届けたりできる限りのことをしてきた。

役に立たなかったが、根拠なく慰安婦募集の強制性を認めた平成5年8月の河野洋平官房長官談話も、日韓関係のために良かれと思う「善意」が大本にあったのは事実だろう。安倍晋三首相も含め、歴代首相は慰安婦の境遇については深い同情を表明してきた。

「韓国も分からない」

韓国は日本に、これ以上いったい何をしろというのか−。筆者が昨年6月に訪韓した際、慰安婦問題を担当した韓国の元外交官に「これでは日本政府もどうしたらいいのか分からない」と問うたところ、こんな返事が返ってきた。

「韓国も、実はどうしたらいいのか分からないということだと思う」

結局、答えはそもそも存在しないのではないか。韓国にも日本国内にも国家賠償を求める声もあるが、それは村山富市元首相ですら首相当時に国会で「もう済んでいる」「わが国の立場を堅持する」と否定している話である。

第一、河野談話が強制性認定で踏み込んだ大きな理由の一つは、談話発表の5カ月前の5年3月、韓国の金泳三(キム・ヨンサム)大統領(当時) が慰安婦問題でこう表明したことであるはずだ。

「物質的な補償を日本側に要求しない」

金氏は同時に、元慰安婦に対する生活支援なども韓国政府の責任で行うことを宣言した。これを受けて宮沢喜一内閣は「強制」の定義を物理的なものだけでなく、「本人の意思に反する行為」にまで広げるなど、談話作成に突き進んだ。

同月、韓国外務省幹部は日本側に、金氏の言葉の真意を次のように説明したとされる。

「1965年の請求権協定についての法律論とは離れても、いわゆる過去史に関する問題が提起されるたびに日本側に何らかの補償を求めるという姿勢は慎むべきだとの趣旨が中心で、勇気ある発言だ」

「(韓国政府は)日本側に補償を要求して国民の非難をかわそうとするのが通例となってきたが、時代も変わり、日本に補償を求めるのが韓国政府の役割なのではなく、自分で解決していくことが責務だとの趣旨で、大統領の本心だ」

深くうなずける指摘であり、朴氏は当時のやりとりを学び、慰安婦問題は日本に何かを求めるのではなく自分で解決してほしい。

「反日」を使う大統領

もっとも、韓国大統領として初めて竹島(島根県隠岐の島町)に上陸し、慰安婦問題で日本を非難した李明博(イ・ミョンバク)前大統領も、2011(平成23)年10月の野田佳彦首相(当時)との初会談時には、こう言っていた。

「歴代の韓国の大統領は任期後半になると、『反日』を使いながら支持率を上げようとする繰り返しだった。私はそういうことはしたくない」(25年10月29日付読売新聞朝刊の野田氏インタビュー記事)

同じ人物がころっと変わるのだから、韓国外交に継続性や一貫性を望んでも無駄か。(政治部編集委員)(2月19日掲載)

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            産経ニュース【メガプレミアム】2015.5.