2015年04月25日

◆今の中国こそが論語の教えに

宮家 邦彦



先週末、久しぶりに故郷へ帰った。といっても、そこは鎌倉、東京から電車で約1時間の距離だ。その懐かしい町で「論語の教えと日中友好の道」と題する講演を頼まれた。

およそ筆者にはふさわしくない高尚なテーマ。主催は地元の「論語の教えを広める会」、なぜか鎌倉市の教育委員会や日中友好協会などから後援名義まである。

そのせいか親類やご近所さまから高校の先輩までが聞きに来てくれた。慣れない演題と勝手知ったる聴衆、これほどやりにくく緊張した講演会は久しぶりだった。

しかも、主催者からは事前に論語の現代語訳など膨大な資料が届いた。ちゃ んと勉強せい、ということだ。必死で目を通していたら意外なことに気付 いた。

それは儒学を生み、孔子学院を輸出する今の中国こそが、論語の基本的教えに最も反しているという皮肉な事実だ。講演の中で指摘したその典型例を幾つかご紹介しよう。

 ●政を為(な)すに徳を以(もっ)てす(為政編、政治を行うには常に道徳を基本とすべし)

この有名な一節を読んで中国が西洋文化を受け入れない理由が改めて分かった。「徳」による政治を理想とする中国が為政者「性善説」であるとすれば、 全知全能の神が不完全な人間と契約を結ぶ一神教の世界では基本的に為政者「性悪 説」なのだ。

欧米型民主主義では為政者に対するチェックを怠らないが、善政を為政者の「徳」に依存する儒教では為政者自身の自律が厳しく求められている。

 ●君子は義に喩(さと)り、小人は利に喩る(里仁編、君子は道義により理解するが、小人は利害関係から理解する)

不正・腐敗が蔓延(まんえん)する今の中国指導層に「徳」が欠けていることは明らかだ。君子自らが利に喩り、小人がこれに続く、が中国の実態である。

 ●過ちは則(すなわ)ち改むるに憚(はばか)ること勿(なか)れ(学而編、過失があれば体面など考えず直ちに改めるべきだ)

典型例は尖閣問題だ。1969年発行の中国の公式地図には「尖閣群島、(日本の呼び方である)魚釣島」が明示されている。南シナ海領有権の根拠たる「九段 線」にも国際法上正当性はない。今も中国は伝統的な「華夷」秩序の世界観を克服で きていない。過ちは改めるべきだ。

 ●仁者は必ず勇有り。勇有る者は必ずしも仁有らず(憲問編、仁者には必ず勇気があるが、勇者に仁があるとはかぎらない)

最近の人民解放軍幹部の好戦的、挑発的言動には「仁徳」が感じられない。南シナ海、東シナ海の日米艦船の航行を物理的に妨害したり、火器管制レーダー を照射したりする行為は「勇有れど仁有らず」の典型である。

中国政府の国務院総理 が指揮権を持たない人民解放軍が、戦前の帝国陸軍の過ちを繰り返さないという保証 などないのだ。

 ●民は之(これ)に由(よ)らしむ可(べ)し、之を知らしむ可からず(泰伯編、民衆に範を示し、従わせることは可能だが、道理を示し理解させることは 難しい)

この一節を一部の日本人は「民は依存させよ、知らせてはならない」と誤訳してきた。「可し」は可能・推測の意であり、この解釈は明らかに誤りだ。興味 深いことに、この誤訳をそのまま実践しているのが今の中国である。

以上要するに、2500年前に孔子が唱えた教えを日本人が今も学び広めているのに対し、本家の中国で儒教は廃れ実践されていないらしいのだ。一時は世界 120カ国で440校あるといわれた孔子学院も昨年秋頃から米国で廃校が相次いだという。

中国政府の宣伝機関にすぎず、教育機関としての中立性を欠いているからだそうだ。筆者が大学生だった1970年代前半、文化大革命中の「批林批孔(林彪 と孔子を批判する)」運動で中国儒教は大打撃を受けた。今論語を真剣に読み直すべ きは中国人、特に現代の「君子」である中国共産党の指導者たちではないだろうか。

                    ◇

【プロフィル】宮家邦彦

みやけ・くにひこ 昭和28(1953)年、神奈川県出身。栄光学園高、東京大学法学部卒。53年外務省入省。中東1課長、在中国大使館公使、中東アフリカ局参事官などを歴任し、平成17年退官。第1次安倍内閣では首相公邸連絡調整官を務めた。現在、立命館大学客員教授、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。
         産経ニュース【宮家邦彦のWorld Watch】 2015.4.23
                     (採録:久保田 康文)

◆アメリカ側だって結論を

前田 正晶


甘利担当大臣は「TPPでは詰めに至るに未だ距離感を感じる」と語っていた。USTRにしたところで来日する大統領にむざむざと「纏めきれませんでした。悪いのは日本です」と報告できる立場にはないのではないだろうか。

報道からでは交渉の内容も進捗状況も知り得ないが、アメリカ側が私が常々指摘する"contingency plan"無しに交渉の場に臨んではいないかと推測する。そして、そのプランが譲歩なのか、妥協なのか、新たなる提案なのかも解る訳がない。だが、何らかの「腹案」くらいはあるだろう。

そこで、今まで"contingency plan"とは如何なるものかを細かく解説したことがないので、出来る限りのことを申し上げてみる。これを無理矢理に意訳すれば「玉砕を回避するための第二乃至は第三の矢」とでもなるだろうが、素直に言えば「安全弁」か「新提案の腹案」とでもなるだろうか。

これだけではハッキリとはしないだろうから、(アメリカン)フットボールの例を挙げて解説してみよう。フットボールは屡々「陣取りゲーム」に例えられるが、4回の攻撃権を与えられた側がその間に10ヤードボールの場所を前進させれば次の攻撃権を得られ続行できるのだ。この競技ではラグビーフットボールとは異なって「前方にパスを投げて良い」となっている。勿論、ボールを持って走るプレーもある。

このパスプレー(パス戦法)では司令塔と言われるクオーターバック(QB)がNo.1のレシーバー("intended receiver"等と言うようだ)に決めたターゲットを敵陣深くに走り込ませ、そこに向かって前にパスを投げるのである。

勿論、守備側もそれに備えて1人ないしは2人にマークさせておく。そのマークが厳しい場合には、QBは予め決めてあったそれほど相手陣に深く入っていないNo.2のレシーバーに向かって投げようとする。

これが"contingency plan"である。フットボールではNo.2を"safetyvalve"=安全弁などと呼んでいるようだ。しかし、守備側も然る者で、ここもしっかりとマークしていることがある。

そこで、QBが陣地をロスしない、言うなればそのための最後の手段が、QB自身がボールを持って少しでもヤードを獲得しようとして走る挙に出る。これは言うなれば第三の矢で"scramble"等と呼ばれている。

私はビジネスの世界での作戦というか"contingency"の文化をフットボールが採り入れているのだと思って見ている。即ち、アメリカのビジネスの世界では最初に打って出た作戦が失敗に終わって、そこでむざむざと玉砕することを避けるべく、代案乃至は安全弁的な作戦を準備して交渉の席に臨んで行くことが極めて多いと認識して置いて良いと思う。

私はそれ故にUSTRが"contingency plan"を持たず大統領の到着前に最終的会談の席につくものかなと思って眺めているのだが。

2015年04月24日

◆西暦共通化の愚かさ

加地 伸行



近ごろ気になるのは、事件や事柄の時間を指すとき、西暦で示されていることである。

例えば、サンフランシスコ講和条約は1952年発効したと記してはいるが、それは昭和27年だという年号を記していない辞書が多い。

これには抵抗を覚える。まずは年号を記すべきではないのか。わが国にとってという立場がまずあるべきだからである。

しかし、近ごろは頭から西暦で言う人が増えてきており、メディアでは西暦で書くことが多くなってきている。

その点、産経新聞は、紙面の上欄の外に示される日時についてまず年号、その次に括弧づきで西暦。これならよろしい。

一方、他紙はその逆で、まず西暦を記し、その次に括弧づきの年号を記している。

おそらく今後は西暦が中心となり、年号は付けたしになる可能性が大きい。テレビにおける発言では、西暦で示すのが、もうふつうとなってきている。

これでいいのか。

老生は、よほどのとき以外、必ず年号で示す。西暦感覚はまったくない。

その大きな理由は、老生はキリスト教徒でないからだ。

キリスト教と西暦と-これはぴったりと重なる。すなわち西暦とはキリスト教暦のことなのである。キリスト教を開いたイエスの生年を元年としての暦である。

けれども、世の中、西暦だけで動いているわけではない。イスラム教徒はイスラム暦を、ユダヤ教徒はユダヤ暦をそれぞれ使っているではないか。

いや、宗教的理由の暦ばかりではない。台湾では民国暦(中華民国成立の年である西暦1912年が元年)を使っている。

と主張すると、必ずこう言う者がいる。グローバルな時代ですから西暦を使って世界共通でゆきましょうと。

愚かな話である。西暦とは、西欧キリスト教諸国がアジアなど各地を侵略して広めてきたものであり、それを勝手にグローバルと言っているだけなのだ。

ところがこう言う人もいる。世界共通のコンピューターを使う今日、西暦で統一するのがよいと。

大嘘である。例えば日本の銀行の預貯金通帳を見るがいい。その日付はすべて年号であり、コンピューター上、なんの問題もなくちゃんと活(い)きているではないか。

日本では年号を使うべきである。法的にもそれが正しい。早い話が役所関係での諸届・諸申請の日付はすべて年号である。

にもかかわらず、国会の委員会審議を聞いていると、野党の質問者の多くが「2015年度」と称している。法的にそのような会計年度は存在しない。あくまでも「平成27年度」である。

ところがなんと、答弁する閣僚や諸委員の中にも西暦年度を使う者がいる。法的にも保守政権としても正しくない。しっかりと不動の信念を持つべきだ。

『詩経』●風(はいふう)・柏舟に曰(いわ)く「我(わ)が心は石にあらず。転がすべからず。我が心は席(むしろ)(敷物)にあらず。巻くべからず」と。 
(かぢ のぶゆき)立命館大フェロー

●=北の右におおざと
産経ニュース【古典個展】 2015.4.19     (採録:久保田 康文)


◆台湾丸の将来は他人事?

Andy Chang


「どうですか、台湾丸は沈没しますか?」と聞いたのは品川さんだった。台湾ではいろいろ違ったグループの人と会ったが、台湾丸の将来を聞いたのは品川さんだけだった。台湾事情はアメリカに住む私の方が聞きたいことだし、台湾の住人みんなが関心を持つべき事
なのに聞いてくれたのは品川さんだけ。ほかの台湾人の友人たちは私の方からこれを聞いてそれぞれ違った返事をした。

●台湾丸の沈没

品川さんは50年も台湾に住み、心から台湾を愛し、台湾に骨を埋めるつもりの人である。私が「台湾丸の沈没?」を発表したのは2000年9月だった。この本の最後に李白の詩を引用して「両岸ノ猿声啼キテヤマズ(不住)、軽船已ニ過グ萬重ノ山」と書いたことを覚えて
いたのである。

2009年に馬英九が政権を取ると中国接近を始め、中国を恐れるようになり、それまで使っていた「中共」と使わなくなって、中共の代わりに「両岸」と呼ぶようになったのは両岸のお猿さんたちだから面白い。

私が品川さんの質問に「台湾丸はだいぶ浸水しているようですね」と答えた。つまり中国の合法、違法の入国者が増えたと言ったのだ。彼は、「いや、最近はヒマワリ学生たちのおかげで持ち直していますよ」と答えた。ヒマワリ学生運動のことは、品川さんと同じように元産経記者の迫田さんも去年の選挙の後は台湾人の主張がはっきりしてきたと言っていた。

●群盲象を撫でる台湾事情

アメリカで見聞する台湾事情と台湾で見聞するのとは違うのは当然だが、今回の台湾旅行で感じたのはアメリカで見聞するニュースは台湾の友人たちの知っていることよりも多く早いと言うことだった。

国外に住む台湾人たちはインターネットを通じて台湾のニュースを読むから大体において政治、経済や汚職スキャンダルなどに詳しい。インターネットで読むニュースは要点を伝え、台湾で発売される新聞より早く種類も多い。台湾で友人と話していると彼らの知らないことが多いのに驚かされる。現地に住み、見聞している人たちには毎日のニュースを詳しく読まない人がたくさん居る。

台湾には新聞を読まず、テレビも見ない、読んでも何も感想がないといった感じの人が多い。台北は生活環境がよくなって暮らし向きもよく、交通が発達しているので暮らしやすいが、南部は北部と違って収入も少ない。台北と南部で見聞する事情や友人の反応は相違が大きいが、一概に言って生活水準が上がったと実感できる。

このため汚職問題や軍隊のスキャンダルなどに無頓着になった人も多いのではないかと思う。生活が楽になると大きな問題に関心を持たなくなる。

私が会った人々の反応は群盲が象を撫でるようにいろいろ違った意見があるので実情を知るのが難しいと感じる。現地に住む人々は生活が向上すると政治に関心が無くなる。国外の台湾人は故郷を思う心が強く汚職問題や政治問題などに敏感になる。

●政治事情の遅さと無関心

前の「唖然たる台湾軍」の記事に書いた、アパッチ観光団(阿怕契観光団)のスキャンダルが新聞の第一面トップで毎日大きく報道されているときに、ある友人が「オイ。阿怕契って何だ?」と私に聞いたときは唖然となった。別の友人が「あれはアメリカン・インデ
ィアンのことだ」と答えたときも疑問が残った。

彼はアパッチ観光団のスキャンダルを知らないのか、それとも「阿怕契」とはアパッチ・インディアンの中国語訳と知らなかったのか、またはなぜ新型ヘリにアパッチという名を付けたのかが分からないのか、私には判定できない。わかるのは台湾にはこんなレベルの人が居ると言う事実である。

台湾事情でさえ知らないのだから国外事情になると尚更である。台湾の新聞には国外ニュースが一つか二つしかない。しかも政治、国際関係などより面白いニュースを先に報道する。政府が世界のニュースを報道しない愚民政策を取っているのだろう。

アメリカの新聞にも責任の大半がある。アメリカの三大テレビ、大新聞はたいてい民主党系で、オバマやヒラリーのスキャンダルは報道しない。オバマやヒラリーの醜聞を台湾の新聞が報道しないのも当然である。

友人の間でヒラリーのスキャンダルを知る人は殆どいなかった。アメリカ事情を知る人もヒラリーには好意的であった。ベンガジ事件、個人のスマホを公務に使用した機密漏洩疑惑や国務大臣の任期中に国外の献金を受け取っていた汚職疑惑など知らないし、説明しても理解できない。ヒラリーがいくつもある疑惑で起訴される可能性が強くなっても世界でヒラリーの人気が高いのはマスコミが報道しないからである。

ある民進党幹部が、ヒラリーの来年の大統領選挙に立候補したことでヒラリーがアメリカの時期大統領に当選すると予測した記事を書いた。ヒラリーは中国に強い態度を示しているからヒラリーが当選すれば台湾に有利だと書いていた。

スキャンダルで人気が落ちていることも知らない台湾の政治家はアメリカの内情を理解していない。オバマ、ヒラリーがこの7年の間、中東問題にかかりっきりで横暴な中国の行為にリップサービスしかしていないとは知らない。こんな政治家が台湾の将来に影響を与えているのだから心が寒くなる。

●自国の将来も他人事

気になるのは暮らしが向上したことで人々が太平楽をきめて、馬英九政権の眼にあまる汚職や軍隊の国防意識の欠如などを他人事と思っていることである。

私はいろいろ違った友人と話をしているときは、いつも台湾の将来について皆の意見を聞いた。彼らの返事は大体において、去年の選挙で国民党が大敗したのは国民の愛国意識の表れで、中国の台湾併呑は遠のいた、今の台湾はヒマワリ学生たちが政治に関与するよう
になり、国民党は再起できないと言う見方が強かった。

しかしいま大問題になっている5つの台北市内の建設の汚職についても、アパッチ観光団事件についても、あるいは来年の総統選挙についても、若者がやるから大丈夫だと言う。自分も若者に加わって政治をよくする、国や軍隊の改善に力を貸すとは言わない。国防も
政治、経済もみな他人事なのだ。

最近兵器を持っていても兵隊に闘志がなければ戦争に負ける。独立に関心を持っていても国民全体が参加しなければ独立はできない。

なんでも他人事として自ら関与しない態度は、兵士が国防意識を持たず最新兵器も玩具扱いにする態度と違いはない。国民全体が国の存亡に危機意識を持って独立運動に参加すべきである。

◆ジャカルタにおける習近平の非礼

宮崎 正弘
 

<<平成27年(2015)4月24日(金曜日)通算第4524号  <前日発行>> 

〜ジャカルタにおける習近平の非礼、安倍演説前に席を立った
               反省を求められているのは日本ではなく、中国だ〜

ジャカルタで開催されたバンドン会議を記念する「アジア・アフリカ首脳会議」。

4月22日に習近平と安倍首相との会談は25分間だけ実現したが、日中関係は「改善されつつある」、「多少の進歩がある」などと無内容な修辞に終始して実質の上の成果はなかった。

日中首脳会談で中国は「AIIBは世界多数から賛同を得られた」などと自画自賛、安倍首相は「ガバナンスに問題がある」としたが、習近平は聞く耳を持たなかった。

そして本会議で安倍首相の演説が始まる前に、習近平は傲然と席を立って、会場を跡にした。安倍首相の積極的平和主義に、この軍国主義のくにの指導者は背を向けたことを意味する。

習近平は何を訊きたくなかったのか。

それは安倍首相の演説に「強い者が弱い者を力で振り回すことはあってはならない。法の支配が大小に関係なく国家の尊厳を守る」

そして「侵略または侵略の脅威、武力行使によって、他国の領土保全や政治的独立を冒さない。国際紛争は平和的手段によって解決される等としたバンドン会議の原則を、日本は先の大戦の深い反省とともに、如何なる時でも守りぬく国であろうと誓った」

この日本の積極的平和路線を習近平は受け入れることができないのである。

なおインドネシアで開催された、この「アジア・アフリカ首脳会議にインドのモディ首相と韓国の朴大統領は欠席した。

(余談。この100ヶ国もの代表が集まる大会議はバンドンでは無理で、ジャカルタで開催された。会場となったコンベンションセンターはジャカルタ市内のど真ん中に位置し、大統領主催のパーティ会場、安倍首相の宿泊した豪華ホテル「ムリア」も近い。

バンドンへは2年前に筆者もバスで行ったことがある。早朝にジャカルタをたって、昼過ぎにバンドンへ到着。静かな大学街、芸術の街、そしてグルメの街でもあり、バンドン会議を記念するホールは入場無料、スカルノの蝋人形がおいてあった。

帰路は繁華街から雑然とした駅前通をぬけ駅で列車の時刻表を確認して鉄道を利用した。途中の田園風景はノスタルジアを感じる。にわか雨になった午后7時頃、ジャカルタに着いた記憶が蘇った。筆者が宿泊したのは市内のやや南側のビジネスホテル、周囲は日本企業が多く、鉄板焼き、居酒屋、焼き鳥などが揃っていて目を丸くした)。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ♪
日本と米国がAIIBへ同時参加するシナリオもある


 (承前)
さてAIIBへの日米参加だが、日本は4月初旬になって米国との綿密な連絡をもとに、もし参加した場合の条件を同時に模索しはじめている。

米国が厳しい条件付きで参加する可能性を示唆したからで、「透明性」と「審査方法の孝平」など、出資金は億ド15ルと想定された。

要点をまとめると、日本の要求は

(1)融資審査能力への疑問がある

(2)公正なガバナンスへの不安が残る

(3)既存の国債機関との関係をどうするかが不透明である

米国が態度を軟化させたのは、想定外の西側諸国の参加というドミノ現象をまのあたりにして外交的失点と認識したからだ。ルー財務長官が急遽北京を訪問したのも、その変化の表れであり、つづけて来日した李婦近国務次官補も「AII場が高いレベルで運営されるにはAD美並びに世界銀行との共同プロジェクトに取り組むのも一案だ」とし、AII場の設立に米国は反対していない」ことを強調した。潜在的加盟申請国に圧力をかけていた米国が態度を豹変させているのである。

もっとも、これはシナリオの一つであり、4月28日の日米首脳会談、五月の日中韓三ヶ国の財務相・中央銀行総裁会議などを経て、5月下旬のドレスデンでのG7財務省・中郷銀行総裁会議、さらに6月の日中財務対話(北京)、引き続くG7首脳会議を経て、6月下旬の正式態度を表明する。

議論の中心は組織運営の透明性、審査基準などで、煎じ詰めて言えば「西側のルール」に従った、シティ発祥のグローバリズムに準拠するか、あるいは中国の言う「アジア独特のルール」(つまり華夷秩序的な金融ルール)の傾くのか、なのである。

AIIBに先に参加表明した欧州勢は設立協定の討議にすでに加わっているので、もし中国側が西側の要求とあまりにかけ離れたルールになる場合、米国も日本も議会が予算を承認しないことになる。
     

◆私の「身辺雑記」(213)

平井 修一


■4月21日(火)。朝は室温21度、今季最高? 薄曇り、雨上がりの道をフル散歩。

昨日は夕方から大雨、大風で台風のようだった。おかげで桜のガクはきれいに歩道に落ちて、緑が美しい。歩道はふかふかの絨緞みたいだ。ガクを箒で掃除している駐輪場のオッサンに「大変だね、力仕事だね」と声をかけたら、「自転車を並べるよりも大変だよ」。

八重桜は一気に五分落ちに。今週でわが街の桜の季節は終わりそうだ。季節は巡る。来週は28日が主権回復記念日、29日が昭和帝の生誕日、GWになる。駒光なんぞ馳するが如し。

支那は秋から冬へ。満つれば欠くる、か。「佳兆業がドル建て社債でデフォルト 中国不動産開発会社で初」から。

<(ブルームバーグ4/21):中国の佳兆業集団 は、同国の不動産開発会社として初めてドル建て社債がデフォルト(債務不履行)に陥った。

20日の香港証券取引所への届け出によると、佳兆業は3月が期限となっていた2017、18年償還債の利息合わせて5200万ドル(約62億円)の支払いができず、その後30日間の支払い猶予期間も過ぎた。

佳兆業は債務650億元(約7800億円)の返済に苦慮している。また習近平国家主席による汚職取り締まりで調査対象にもなっている。

アジアの債券市場にはリターン増を求めて世界各国から投資家が集まったが、そこに不動産開発会社の問題が広がっている。中国政府の反汚職キャンペーン強化を受け、デフォルトが拡大するとの懸念が強まりつつある>(以上)

佳兆業集団は債権者と交渉して利払いの再延期などを求めていくようだが、結局は経営破綻して投資家は虎の子を失うのだろう。佳兆業を皮切りに続々デベロッパーが倒産するに違いない。不動産バブル崩壊。禿鷹ファンドとってはビジネスチャンスだ。

エコノミスト・豊島逸夫氏の論考「中国株波乱の影響と日本への警鐘」
(日経4/21)から。

<上海株式市場で、先週金曜日(4/17)に過熱する株価抑制のため空売り規制が緩和されたが、週末(4/18)には、中国人民銀行が抜き打ち的に銀行準備率を大幅(1%)に引き下げた。

株バブル予防的措置を導入しつつ、(一方で景気刺激のために)過剰流動性(市中に金を注入すること)による株バブルを醸成しかねない金融緩和政策を取らざるをえない。ここに、今、中国経済がかかえるジレンマが透ける。

マクロ的に見れば経済成長鈍化による雇用への影響を最小限にとどめつつ、輸出・公共工事依存型経済から内需主導型へ戦略的転換を図る綱渡りを強いられている。

不動産バブル破綻も底打ちの気配は見えるが、基本的に低迷状態である。不動産から流出したマネーは株式市場に向かい、上海株は爆上げの様相を呈した。なにせ、中国人個人投資家は大規模な初心者集団でネズミの大群のごとく動く。

かくして、マクロの視点で上海株乱高下を見れば、もはや中国国内問題の域を超え、世界株式・経済のリスク要因となりつつあることは明らかだ。暴騰した中国株市場で、お行儀良く利益確定売りあるいは空売りが進行するシナリオが見えない。暴落ともなれば中国経済の軟着陸が困難になる>(以上)

世界を道連れにしかねないチャイナリスク。あらゆる分野でのデタラメのツケが回ってきた。中共もこう認めざるを得なくなった。

<経済失速の懸念が生じている背景には、人々の「速度を求めるがゆえの焦り」がある。しかし、新常態(ニューノーマル)に入った中国経済にとって、そのような高度成長は「達成できない」「耐えられない」ものであり、「必要がない」ものなのだ。

「耐えられない」というのは、資源・環境への圧力が強まるためだ。かつてクリーンだった都市が煙霧に襲われ、ゴミの山に埋もれてしまった。美しかった村も、山ははげ、水は汚染されてしまった・・・>(人民網4/21)

こんなデタラメの中共がインフラ銀行で金を集めて世界中に公害をばらま
こうとしている。滅茶苦茶、末期症状だ。

■4月22日(水)。朝は室温20度、快晴、フル散歩。

韓国は贈収賄事件で首相が辞任するそうだ。収賄したクネの側近は皆同じ運命だろう。末期的。クネが最高司令官なら首相は現場の大将だろう。首相のなり手がいるのかどうか。事件を受けて「清廉潔白」が必要条件になるが、そんな人が政界にいるはずない。まことに人災の国だ。

韓国経済新聞4/21「社説:ワシントンで韓国排除論が広がっているという状況」から。

<米国シンクタンクのスティムソンセンターが、韓日米共助よりも日米豪の「三角協力」をさらに強化すべきだという報告書を出したという。

この報告からは「日米豪は米豪、日豪間の強力な2国間関係を基に領域内で最も発展した安保協力関係を結んでいる」として「いっそ韓国を排除して日米豪間の三角協力体制を構築しなければならない」と主張したというのだ。

こうした主張をワシントン政界の主流的見解と解釈するにはもちろん無理がある。だが米政界で韓国に対する評価が変わりつつあるのは1つの流れであるようだ。

日米豪の三角協力体制は日本で初めて提起された。日本の安倍晋三首相が2006年首相に就任した時、日本と豪州、ニュージーランドとインドまでつなげた「自由と繁栄の弧」を主張したことがある。

中国が主敵であるインドもやはりこの構想に積極的に賛成したが、当時は具体的な現実性がないばかりか韓国を含めず事実上うやむやになった。

しかし米国が今この構想に耳を傾けている。過去(歴史)の問題に触発された韓日関係の悪化が火をつけた。

この報告でも「韓日間の政治的緊張が歴史的に緊密な安保協力をつくり出すことを妨げてきた」としながら「地政学的論理に基づいて韓日米の三角共助を強化しなければならないという主張は、実質的な政策として進展させることに失敗した」と主張した。

韓国は中国に傾きつつあり、安保協力の対象から除外すべきだという指摘も米国で説得力を持っている。

だが韓国外交はこうした流れを全く気にしないように動いている。数日前、米国が韓日米の外交・安保同盟を修復するために開いた3カ国外交次官会議でも、米国は韓日間の協力を強調したが、韓国が過去の問題を持ち出して会議が結局凍りついた状態になってしまった。

韓国の対中政策についての米国と日本側の憂慮も大きくなっている。こういうことでは北東アジアで危険な「いじめ」の境遇になるのではないのか>(以上)

「いじめないで」「シカトしないで」「寄り添って」「見捨てないで」と今さら言われても・・・日本はもうこりごり。習近平も自分の尻に火がついてるからクネ韓国を救うことはできまいよ。

<国政が沼に陥った。9日の成完鍾・元京南企業会長の死とメモで揺れ始め、今では一寸先も見えない闇の中だ。経済再生など国政課題は風前の灯火のように危険だ。

首相候補が相次いで辞退した後、李首相までが就任2カ月ほどで辞任する状況は「政治の沈没」に近い>(中央日報4/22)

内憂外患。自業自得、くたばるんだな。大いに楽しみだ。沈没しても引き上げないぜ。

夜は集団的子育て。7人でオムライス、寄せ鍋など。

■4月23日(木)。朝は室温20度、快晴、フル散歩。

手登根安則氏のサイト「沖縄情報」から。

<偏向報道だけでなく捏造報道を平気で繰り返す沖縄2大紙に対し、「琉球新報・沖縄タイムスを正す県民・国民の会」が立ち上がり、その会に出席しました。

会場は沖縄の癌である2大新聞をどうにかしなくてはという熱い熱気に溢れていました。不買運動や、集団提訴の話も出ていました。

「オール沖縄」という大政翼賛会的な全体主義を壊すには、いかに沖縄県民を目覚めさせるかが大切です。私は自らがメディアとして「真実」を県民、国民に伝えていく手法を採りたい、云々>

大いに結構なことである。

翁長の女婿は習率いる太子党幹部の倅だというネタが出回っている。ブログ「なでしこりん」4/17から。

<ネット上にはさまざまな情報が流れています。もちろん貴重な情報もありますが、一方、根拠のないデタラメな情報もあります。さてこの情報はいかがでしょうか? 私はこの情報は貴重だ見ています。もしかするとこの情報が現在の沖縄の混乱を解くカギになるかもしれませんね。

沖縄県知事・翁長氏の娘は中国・北京大学に留学後、上海の政府機関で働く男性と結婚。その男性は中国共産党・太子党幹部の子息だという。

人の結婚のことをとやかく言うほど私は野暮ではありませんが、でもこれって「公人として許される範囲なのか?」という疑念を感じる人も多いのではないでしょうか?

いいように考えれば、翁長知事の親中路線は「娘婿の(太子党の)親の顔を立てるために中国に配慮した」ように見えますが、悪く見れば「中国に人質をとられて、中国の言いなりになっている」ようにも見えます。

こういう人物が「日本国沖縄県の知事」であってもよいのでしょうか? これって沖縄県の皆様はご存知なんですか?>(以上)

どうすれば真偽を確かめられるのだろうか。週刊ポスト4/13は「ガセ」だと書いているそうだが・・・“さもありなん”という話の出どころはどこなのだろう。

琉球新報4/19、4/22によると翁長は18〜21日に台湾を訪問した。

<【高雄=新垣和也】那覇港管理組合(管理者・翁長雄志知事)は21日、台湾・高雄市内のホテルで、台湾の主要港を管理運営する台湾港務(張志清会長)とパートナーシップ港の覚書を締結した>

翁長は18、19、20日は何をしていたのか。台湾で中共幹部と秘密会談を持ったのではないかというウワサもある。

まったく情報戦の時代になってしまった。何が真実で、何がガセか。見極めないと踊らされる、騙される、判断を誤る。

今朝の産経によると首相官邸屋上にカメラや発炎筒を搭載した「ドローン」が落下していたとう。安倍氏や愛国保守派を病的なまでに激しく憎むアカは多いから、ドローン攻撃はあらゆる場所で起きるに違いない。軍基地、原発、皇居、靖国神社、議事堂、空港、鉄道・・・標的は無数にあり、空からの攻撃にはまったく無防備だ。

米国はドローン規制を検討している。日本でも少なくとも免許制とし、有視界飛行に限定すべきではないのか。革マル派はドローンに関心があるのだろう、機関誌4/20に「見上げればドローン」という記事を載せている(内容不明)。サイバー戦争にも関心を寄せている。

革マル派は盗聴技術にもたけている。オーム真理教並の技術力があるだろう。小生が革マル派幹部なら「ドローンで敵を空爆する方法を研究しろ」と指示するに違いない。規制しなければ大事件になりかねない。

米軍の大型ドローンは2001/9/11以来、400機以上が墜落している。うち194機は被害額200万ドル(2億4000万円)以上の大事故になった(ワシントンポスト2014/6/20)。

ホビー玩具のドローンも世界中で事故を起こしている。

<(2014年11月)3日午前9時10分頃、神奈川県大磯町西小磯の西湘バイパスで、湘南国際マラソンの様子を撮影していた無線操縦の小型ヘリコプターが墜落し、大会運営の女性スタッフ(39)が顔に軽いけがをした。

神奈川県警大磯署の発表によると、ヘリコプターは重さ4キロ、直径1.3メートル、高さ45センチ。プロペラ8枚が付いていて、ビデオカメラを搭載していた。大会の様子を撮影しようと離陸した約1分後、ホバリングしていた高さ約3メートルから墜落したという(YOMIURI ONLINE)>

少ない投資で大きな成果――アカは次の攻撃を準備しているだろう。昔爆弾、今ドローン。隣は何をする人ぞ。同志、警戒を!(2015/4/23

2015年04月23日

◆崩壊しつつある世界の戦後レジーム

加瀬 英明



私はニューヨークに留学したが、客が来ると、エンパイア・ステートビルに案内した。

エンパイア・ステートビルは、1931年に竣工したが、大恐慌の真只中だったから、テナントがいなかったために、「エムプティ・ステートビル」と、揶揄された。

今年、上海に世界で最も高い、超高層の「上海タワー」が完成する。

しかし、「上海タワー」はじきに、現在、サウジアラビアで建設が進んでいる「キングドム・タワー」が完成すると、世界第2位に転落する。「キングドム・タワー」は、いま、世界でもっとも高いビルである、ニューヨークの「ワン・ワールド・トレード・センター」の2倍の高さになるといわれる。

私はマレーシアに招かれた時に「ペトロナス・タワー」で講演した。

1996年に完成、世界で最も高いビルとなったが、アジア経済危機によって見舞われた。

私は世界一高いビルが出現すると、その経済が破綻するというルールを、エンパイアで学んでいたから、やはりそうなんだと思った。

2010年に、ドバイに世界一高いビルが誕生したが、世界経済が失速した。

このような超高層ビルは、その国の経済が最高潮に達した時に、着工されるものだから、右肩下がりの前兆となるのだろう。

「上海タワー」は、中国経済が大きく蹌踉(よろ)めく前触れなのだろうか。

サウジアラビアの「キングドム・タワー」は、石油ブームによって、砂漠に砂上の楼閣のように出現した王国が、危機にさらされている兆のように
思えてならない。

それにしても、中国、サウジアラビア、ドバイ、マレーシアにまるで競うように、つぎつぎと地上最高のビルが出現してゆくというのは、この四半世紀のうちに世界構造が大きく変わったことを、痛感させられる。ついこのあいだまでは、中国は苦力(クーリー)の国として知られていたし、中東といえば、棗椰子(なつめやし)の蔭で、駱駝が居眠りをしているところを、連想したものだった。

第1次安倍内閣が登場してから、安倍首相が「戦後レジームからの脱却」を訴えてきた。だが、「戦後レジーム」は、日本の中だけに限られた国内問題である。

ところが、いま、日本にとってそれよりもはるかに大きな問題が、世界を大きく揺さぶっている。

アメリカがオバマ政権のもとで、内に籠るようになって、アメリカの力が後退して行くなかで、世界を律してきた「戦後レジーム」が崩壊しつつある。オバマ大統領はもはや「アメリカは世界の警察官ではない」と、公けの場で述べている。

そうなると、日本が大変だ。日本が誇る「平和憲法体制」は、アメリカが日本をしっかりと守ってくれることを前提としてきた。わが「平和憲法体制」と、アメリカが超大国として、アメリカに腰巾着(こしぎんちゃく)のように従ってきた国々を守るという、第2次大戦後の「戦後体制」は、一体のものであってきた。

それなのに、国会では集団的自衛権の解釈を見直して、日本の役割をひろげようという安保法制をめぐって、“平和憲法”に抵触するといって反対する声が、囂(かしま)しい。

“平和憲法体制”は、アメリカが日本に強要した「戦後レジーム」であるのに、それを必死に守ろうとするのは、アメリカという母親への甘えなのだろう。

◆下関条約120周年 国民の集い

宮崎 正弘
 

<平成27年(2015)4月22日(水曜日)通算第4522号 > 

 
〜「下関条約120周年 国民の集い」 に愛国者集う
    雨にもかかわらず超満員の会場は「歴夷戦」の熱気につつまれた〜

「下関条約1120周年 国民の集い」に愛国者集う

4月17日の「下関条約120周年 日清戦争勝利 国民の集い」はあいにくの雨模様で出足が心配されたが、会場はほぼ満員となり、盛況でした。

会は国歌斉唱、加瀬英明さんの開会の辞に始まり、中村彰彦、渡邊惣樹両氏の記念講演、そのあと女性軍からは宮脇淳子、河添恵子さんらが駆けつけ、さらには遠方から梅原克彦(前仙台市長)と石平さん、つづいて高山正之、藤岡信勝、西村幸祐、黄文雄、室谷克実、水島総の各氏らが登壇しました。このほか所用のため、西村真吾さん、頭山興助さんが中座され、また小堀桂一郎先生は急用のため欠席でした。

時間切れとなって壇上に昇る時間が割愛となった先生方も大勢いらっしゃいました。

(会の模様は下記サイトでスライドがあります)
http://www.jpmuseum.com/shimonoseki_120/

 第2弾は9月5日、ポーツマス条約110周年です
 
9月5日は歴史戦の第2弾「ポースマス条約 110周年、日露戦争を考える国民の集い」を開催します。
 
概要は下記の通りです。

                記

 とき      9月5日(土曜日)午後2時(1時半開場)
 ところ     星陵会館 大ホール
 記念講演(敬称略、順不同)
 「日露戦争の歴史的意義を問う」     前防衛大学教授  平間洋一
 「歴史は英雄達がつくる」        拓殖大学客員教授 藤岡信勝
 「満州蒙古とは何だったのか」      近現代史研究家  宮脇淳子

 発言(登壇予定)「司馬遼太郎の虚説を衝く」(福井雄三)「現代ロシアはどうなっているのか」(馬渕睦夫)加瀬英明、水島総、高山正之ほか
(スケジュールは予告なく変更されることがあります)

 (下関条約120周年国民のつどい事務局より)なお、支援金をおおくりいただいた皆様には冊子とともに決算報告を5月中旬までにお手元にお届けします。まだ精算がおわらないので、発送が遅れておりますが、5月15日ごろをメドにしております。

    

◆3Dプリンターで離島防衛!

平井 修一



文系の小生は製造技術にすこぶる疎いが、その進歩の速さには実に驚かされる。3Dプリンターを使って離島防衛拠点で必要な武器弾薬を作る時代が来るというのだ。米軍はすでに研究を進めている。日本軍も3Dプリンターを活用すれば防衛能力が格段に高まるという。

部谷直亮氏の論考「3Dプリンターこそが離島防衛の死命を決する 米軍は本気で軍事転用を進めている」(JBプレス4/22)から。

<米軍では、ミサイルから食事や医薬品までを作れる3Dプリンターを研究し、実戦配備を目指して膨大な予算と人員を投入しています。が、どうも日本での取り組みはまだまだのようで議論もあまりありません。

しかし、3Dプリンターの軍事転用による「兵站革命」こそ、離島防衛の死命を決する要素と言っても過言ではないのです。

*離島防衛の難しさ(1)──兵站の貧弱性

まず、軍事用3Dプリンターがなぜ死命を決する重要な要素となり得るのか。それは離島防衛独特の難しさに起因します。中国と本格的な衝突になった場合に我が国が相当苦戦する恐れがある点、それは兵站です。

九州南部から与那国島まで距離にして1200キロメートル。これは東京から福岡までと同じ距離であり、かなりの距離です。

しかし、自衛隊の兵站拠点は九州南部から与那国島までほとんど存在しません。基地や駐屯地ですら、南西諸島方面は、沖縄本島や若干の離島を除けば、今度建設される与那国島にしかありません。

また、自衛隊の弾薬拠点が日本全体で少ないことも貧弱な点です。特に航空自衛隊は、その航空機用のミサイルおよび機銃弾の備蓄が愛知県高蔵寺支処と青森県東北町分屯基地に集中しています。

もちろん、各基地の所有する弾薬もありますが、ここがゲリコマ(ゲリラコマンド)や弾道ミサイル等で破壊されれば、航空自衛隊は各基地の備蓄だけで戦うことになってしまいます。

対艦・対空ミサイルや機銃弾のない戦闘機に何の意味もありません。那覇基地にF-15をいくら増やしても無意味になってしまいます。

*離島防衛の難しさ(2)──少ない海上輸送力

自衛隊の泣き所は輸送力です。自衛隊の保有する輸送艦艇は輸送艦3隻、補給艦5隻と微々たる数です。

もちろん、この少なさを補うべく民間船舶活用の努力など、着実な施策が少しずつ実施されており、陸自当局者の努力や柔軟な発想には頭が下がる思いです。ですが、そもそも構造的に有事の輸送は絶望的な面があると指摘せねばなりません。

*離島防衛の難しさ(3)──海上護衛戦力の不足

その理由は、海上護衛戦力の不足です。

有事には、(1)与那国島・石垣島などの住民避難、(2)南西諸島へ増援として展開する陸自の重装備や兵員を中心とする戦力輸送、(3)離島奪還に向かう陸自戦力の護衛、(4)日本近海の商業船舶の護衛、(5)来援する「はず」の米軍戦力護衛・・・等々と、てんやわんやの大騒ぎです。

これを海上自衛隊の主力護衛艦艇47隻(整備中の艦船も含めれば、より減少し、有事には損耗により減ることはあっても増えることはない)で賄わねばならないのは、正直しんどい話でしょう。しかも、どれも重要な任務で、おいそれと放棄できません。

国民保護は非常に重要です。なぜならば、過去の悪夢のような歴史を繰り返せば、沖縄は今度こそ日本から離れてしまうからです。また、南西諸島へ重装備や弾薬・人員を送れなければ物資も弾薬もない自衛隊は、沖縄戦の日本軍と同様の悲惨な目に合うでしょう。そして離島奪還を諦めるのは政治的に許されないでしょうし、日本近海の商業船舶護衛も言わずもがなです。

また来援予定の米軍を迎え入れるための護衛任務は、第2列島線(東京〜マリアナ諸島のライン)付近で活動することになると思われますが、これは南西諸島からは遠く離れた海域で、南西諸島方面の輸送船護衛には全く役立ちません。その意味で、数少ない戦力は二分されます。

このように、有事における海上護衛戦力は極めて不足することが予想されるのです。

*離島防衛の難しさ(4)──中国のA2/AD(接近阻止・領域拒否)戦力が日本の輸送船を襲う(略)

*離島防衛の難しさ(5)──エスカレーション管理の問題

もし日中間で緊張が高まった場合、これまでに述べた理由により、いざ開戦となれば輸送は絶望的になります。そもそも火砲などの重装備を輸送しても、そのための陣地構築にはかなりの時間がかかります。となれば、速やかな輸送が急がれます。

しかし、第1次大戦において、ロシア軍の動員を見たドイツ軍が、先手を打つべく開戦を決意したことで戦争となったことに鑑みれば、実はかなり危ういのです。

つまり、日本側が急速な南西諸島への輸送を開始したことが、中国側の奇襲攻撃を招きかねないということです。そうなれば、意図せざる日中戦争が開始され、しかも準備が整っていない我が国はかなりの苦戦を強いられてしまうでしょう。

つまり、緊張が高まってからの展開は、不利な状況での開戦につながりかねず、なかなかおいそれとできないのです。

*3Dプリンターの軍事転用で問題を解決

さて、こうした難題だらけの離島における戦力展開と輸送ですが、こうした問題を解決するのに大きな役割を果たすのが3Dプリンターの軍事転用による「兵站革命」です。

3Dプリンターにより、従来あるのが当然とされた、工場や弾薬庫や長距離の輸送が不要となり、まさしく兵站に「革命」がもたらされます。

将来的には、3Dプリンターで製造されたミサイルの発射数や各部隊の保有数がネットワークで管理され、それに基づき、各地に散らばり移動する3Dプリンターが製造し、部隊に最も近い3Dプリンターからミサイルが運ばれるという、分散し、移動する兵站の未来が見えます。

そうなれば、中国側のA2/AD戦術をかなり程度で無効化できます。いざとなれば、沖縄や石垣などの各地で弾薬やミサイルを製造して戦えるからです。

また、輸送の問題も解決できます。多種多様な弾薬を製造できます。その意味で、あらかじめ材料を南西諸島に用意しておけば、より少ない備蓄で様々なものを作れます。

輸送や防衛するにしても、地対艦ミサイルと対戦車ミサイルと諸々の弾薬よりも、チタンの塊と爆発物の元、3Dプリンターの方が安易なのは言うまでもありません。

しかも、これはミサイルや弾薬に限ったことではありません。最近の3Dプリンターはチタンや複合材も扱えますので、航空部品も製造できます。そうなれば、わざわざ本土の工場で生産して輸送しなくても、沖縄でF-15の修理部品を作れるということになり、あらかじめ材料や3Dプリンターを分散して配置しておけば、極端な話、輸送が不要になります。

エスカレーションの問題も解決できます。そもそも弾薬や部品に限れば大々的な輸送が不要になるからです。有事にあわてて輸送する必要はありませんし、チタンや複合材の原料輸送ならば目立ちません。逆に、「生産」するという比較的穏やかな行動による対中メッセージも可能でしょう。

また、平時でも、弾薬庫の建設ではなく原材料保管施設の建設であれば、住民の反対感情は和らぐでしょう。加えて抗たん性の面でも、ミサイルや弾薬として保管するよりも、原材料として保管する方が強いでしょう。

このように、軍事用3Dプリンターは、我が国の構造上の問題である兵站の貧弱性と困難性を解決し、中国のA2/AD戦術を無効化するポテンシャルを秘めています。つまり、我が国は非常に強靭な国土となるのです。

*軍事用3Dプリンターに注力する米軍

さて、こうした発想を着実に実行しているのが、米国です。

ほとんど完全な外征軍たる米軍のネックはその補給です。アフガニスタンに米兵1人を駐留させるための経費は年間1億円とされています。つまり1万人を配備するたびに年間1兆円の経費が増加していくということです。

これらのほとんどは、車両・海上・航空燃料、現地政府への通行料、現地業者への謝金、警備費用等の輸送関係コストが大半を占めています。当然、その解決が必須となり、これまでも米軍の「省エネ」は進められてきました。

その延長線上として、オバマ大統領の3Dプリンター産業重視政策を利用する形で出てきたのが、米軍の3Dプリンター軍事転用への熱意なのです。

実際、国防総省作成の戦略文書「4年ごとの国防計画の見直し(QDR)」の2014年版では、「低コストの3Dプリンター技術は、戦争関連の製造業と兵站に革命をもたらすことができる」と高い評価を与えており、かねてより課題の補給問題を解決できる大きな要素と見做していることが分かります。

具体的な取り組みとして国防総省の取り組みを少しご紹介すると、

・3Dプリンターを中心とする高価な工作機械を個人が自由に使えるTechShopの店舗にて、退役軍人は1年間の限定で、350ドル(4.2万円)相当の訓練を受けられ、しかも年会費無料で店舗を使用できる。これは国防総省高等研究計画局(DARPA)と退役軍人省の共同プロジェクトとのこと。

・国防総省が3Dプリンターを中心テーマとする2つの研究所の創設に関与。大学や企業とのコンソーシアムで、1億4000万ドル(168億円)の資金を国家予算から提供。なお、同額以上の資金が民間等から別途提供される。

・陸軍、NASA、アラバマ大学は共同プロジェクトとして、ミサイル等を3Dプリンターで製造する研究チームを創設。既に2013年7月の時点で、ロケットエンジン噴射器の製造に成功。しかも、従来工法よりもはるかに短期間・低予算かつ同性能で作成できた。

・2014年5月、強襲揚陸艦エセックスが初の3Dプリンター搭載艦に。医療関係(歯の矯正器具、使い捨て注射器等)や作戦業務で使う模型などに使用しているとのこと。

・2015年2月、DARPAと海軍は「Fab Lab(3Dプリンターを中心とする工作所)」を軍艦整備センターに設置し、海軍軍人への研究と訓練を開始。

以上から、彼らの熱の入れようと、批判されがちな3Dプリンターの実用性の高さがうかがわれます。

*日本も3Dプリンター軍事転用の議論を急げ

3Dプリンターは、日本の典型的な議論として、どうしても可能性よりも限界性に注目が集まりがちになります。ですが、最近ではチタン合金だけでなく、複合材でさえ扱えるようになっており、戦車や戦闘機ですら理論的には作成可能となっています。

また、3Dプリンターの欠点として、その生産速度の遅さや精度の低さがたびたび指摘されますが、先述の米陸軍とNASAが3Dプリンターで作成したロケットエンジンの例では、従来の工法と品質においてまったく遜色がありませんでした。

しかも、従来の製品が、6カ月をかけて、4つの部品を作り、5つの溶接と精密な機械加工を行い、それぞれ1万ドル(1200万円)かかったのに対し、3Dプリンターではわずか3週間、それも5000ドル(600万円)の製造費用だけで済んだとされます。

そもそも、3Dプリンターは、異なる部品を接合するのでなく一体として製品の製造が可能となります。それにより、部品同士の摺り合わせが不要となり、生産コストが下がるだけでなく、精度や耐久性もあがることがGEアビエーションなどの航空宇宙産業において指摘されています。

また、特別な専門技術や知識が不要であることも、生産コスト低下に貢献します。

無論、まだまだ発展途上の技術ですが、それを理由に投資や取り組みを積極的に実施せずに、果たして良いのでしょうか。既に述べたように、離島防衛における補給の困難性は構造的なもので、ちょっとやそっとでは解決できません。3Dプリンターの軍事転用とそれに伴う兵站革命こそが、その構造を緩和できる新しい要素、離島防衛の死命を決する要素なのです。

3Dプリンターの原型は、日本人が作ったとの説があります。その真偽は不明ですが、我が国には苦い経験があります。太平洋戦争前、日本は世界に先駆けて「八木アンテナ」を開発したものの、英米がこれをレーダーとして使用し、日本軍をボロボロに打ち負かし、最終的には原爆にすら使用されました。

日本側は鹵獲(ろかく)したことでようやく、その存在を知りましたが、時すでに遅し。ほとんど間に合いませんでした。そうした愚を繰り返してはなりませんし、そもそも二度と南西諸島の戦いで、現場の兵士に補給面で苦労させるべきではないでしょう。

そのためにも、3Dプリンターの軍事転用についての投資や法整備も含めた施策、そして、それらについての議論が急がれます。

             ・・・

【部谷直亮】一般社団法人ガバナンスアーキテクト機構研究員。成蹊大学法学部政治学科卒業、拓殖大学大学院安全保障専攻修士課程(卒業)、拓殖大学大学院安全保障専攻博士課程(単位取得退学)。財団法人世界政経調査会・国際情勢研究所研究員等を経て現職。

専門は米国政軍関係、同国防政策、日米関係、安全保障全般>(以上)

いやはやすごい時代になってきた。武器弾薬の製造拠点が分散され、地下壕などで製造できることはリスクの分散にもなる。工兵が担当するのだろうが、CAD、CAMの熟練工など引退した老人だって参戦できるわけだ。第二の人生をお国のために活かせるのだから、こんな幸福はない。

中共の軍事的威嚇が平和ボケの日本人を叩き起こすことになった。その点では中共は恩人だが、いつの世でも弟子は師の屍を乗り越えていくものである。合掌。(2015/4/22)

◆「慰安婦」のいた国:江戸日本

MoMotarou



グレゴリウス暦(西暦)1865年6月3日。夜10時横浜港に投錨。

                ★

ハインリッヒ・シュリーマン(独)は「高板に登ると、自分が最早中国にいるのではないと実感した」。あの伝説の「トロイア(トロイ)の遺跡」を発掘する6年前のことであります。 当時日本は江戸末期で「大政奉還」の2年前でした。 
                                
■「シュリーマン旅行記 清国・日本(邦題)」より

<国家安泰のためには、女性の身持ちがかたいことが肝要である。こうした男性の勝手な言い分には、女性の側からは異論もあろうが、世界史を見渡してみても、女性が男性と共謀して暴力沙汰や政治的混乱を引き起こしたという事例はない。(中略)

貧しい親が年端(としは)も行かぬ娘を何年か売春宿に売り渡すことは、法律で認められている。契約期間が切れたら取り戻すことができるし、さらに数年契約を更新することも可能である。この売買契約にあたって、親たちは、ちょうどわれわれヨーロッパ人が娘を何年か良家に行儀見習いに出すときに感じる程度の傷(いた)みしか感じない。

なぜなら売春婦は、日本では、社会的身分としてかならずしも恥辱(ちじよく)とか不名誉とかを伴うものではなく、他の職業とくらべてなんら見劣りすることのない、まっとうな生活手段とみなされているからである。

娼家を出て正妻の地位につくこともあれば、花魁(オイラン)あるいは芸者の年季を勤めあげたあと、生家に戻って結婚することも、ごく普通におこなわれる。

娼家に売られた女の児たちは、結婚適齢期まで −すなわち12歳まで− この国の伝統に従って最善の教育を受ける。つまり漢文と日本語の読み書きを学ぶのである。さらに日本の歴史や地理、針仕事、歌や踊りの手ほどきを受ける。もし踊りに才能を発揮すれば、年季があけるまで踊り手として勤めることになる。
 
遊廓(ゆうかく)は、町から離れた一角に集められている。江戸の遊廓はきわめて数が多く、城壁や壕によって他の地域から隔てられた、もうひとつの町をつくっている。

吉原(ヨシワラ)である。吉原に入るには、夜昼を問わず警備の役人に守られているたった1つの門をくぐるしかない。吉原は周囲2マイルほどの平行四辺形をしており、7本の道が直角に交差していて、町を9つの地区に分けている。それぞれの区域はたがいに木の格子戸〔大戸〕 で仕切られ、警備の人が随時門を開け閉めするから、監視は厳重である。

吉原には10万人以上の遊女がいる。しかしどんな遊女でも外に出るには通行証が必要で、通行証を手に入れるためには、相当なお金を用意しなければならない。
                              
遊里の営業権は、各町ごとにセリでいちばん高い値をつけたものが、数年間にわたる独占権とともに政府から払い下げられる。遊里の収入は莫大であり、国家のもっとも大きな財政源の一つになっている。>

■アジアには別のアジアがある。

「従軍慰安婦」を騒ぎ立てる国等とは違った“文化”があったようだ。英国の女旅行探検家イザベラ・バードも李氏朝鮮から日本に到着した時、ホッとした。「江戸日本」の凄さ。

2015年04月22日

◆慰安婦強制連行は虚構

河村 直哉



慰安婦問題を調査し、20万人強制連行説は虚構と主張するアメリカジャーナリスト、マイケル・ヨン氏が、日本の媒体に相次いで登場している。

■850万ページ…米文書に「奴隷化」見つからず

ヨン氏は2007年にまとめられた「ナチス戦争犯罪と日本帝国政府の記録の各省庁作業班(IWG)米国議会あて最終報告」など、さまざまな資料を調査。IWGは2000年に始まり、アメリカ各省庁の文書850万ページが対象になった。

調査するよう働きかけたのは、在米の反日的な中国系組織「世界抗日戦争史実維護連合会」。ところが慰安婦の「奴隷化」を裏付けるような文書は一つも見つからなかった。

昨年11月、日本で最初にこのことを報じた

古森義久・産経新聞ワシントン駐在客員特派員とヨン氏が、「Voice」2月号で対談している
http://www.php.co.jp/magazine/voice/)。「『日本軍が20万人のアジア女性を強制連行して性的奴隷にした』という主張はまったく根も葉もない幻だった」と、ヨン氏は明快だ。

 女性を強制連行するなら拘束して輸送し食事も与えなければならないが、戦闘中の軍隊がそんなことをするか。故吉田清治が書いたような強制連行を済州島でしていたら目撃証言が残るはずだし、なぜ大規模な反乱が起きなかったのか。

アメリカ戦時情報局の報告書には日本の将軍の平均年収が6600円の時代に慰安婦のそれは9000円だったと書いてある--等々、ヨン氏は「強制連行」の虚構を斬っていく。アメリカ人がこのように公平に資料を見て、発信しようとしていることの意味は大きい。慰安婦問題の主戦場の一つはアメリカになっているからである。

■韓国を利用する中国

ヨン氏の指摘で興味深いのは、慰安婦問題の背景に中国の存在を見ていることだ。「本当の主役は韓国ではありません。慰安婦問題を地政学的、政治的問題の道具として利用しているのは中国です。いわば韓国は、中国の操り人形として利用されているだけなのです」。対談でこれまた明快にヨン氏はそう述べている。

ほか、ヨン氏は「ザ・リバティ」2月号のインタビューでも、「中国は歴史問題を使って、アメリカ、日本、韓国の仲を割り、協力しないようにしています。これは巨大な情報戦・諜報戦なのです」としている。

 こうした見解には筆者も同意見である。過去、何度か書いたことだが、中国には古典兵法以来の謀略の伝統がある。思考様式といってもよい。はかりごとにより敵を追い込む世論を作り、心理的に士気をくじき、戦わないで勝つことが、最上なのである。

「兵とは詭道(きどう)なり」「戦わずして人の兵を屈するは善の善なる者なり」とはすでに「孫子」にある。

中国は歴史問題で韓国を走狗(そうく)として使ってきたといってよい。2年前、朴槿恵政権が発足する直前に中国はソウルに特使を送り、「中韓が(歴史問題で)はっきりとした態度を取り、立場を示さなければならない」などと、歴史問題での共闘を呼びかけた。

韓国はけたたましく反日に走ったが、中国はしばらく静かに構えていた。大国に事(つか)える事大主義の伝統を持ち、反日をいわば国是とする韓国を、うまく使ってきたのである。

自由主義国である韓国と日本が離反して都合がよいのはどの国か。共産主義国にほかならない。だが韓国にはそれが見えていない。さらにアメリカでも、歴史問題で反日世論を広めている中心は、先述の「世界抗日戦争史実維護連合会」という中国系組織である。

日米韓を離反させようとする中国の思惑を、日米韓の敏感な人間は読み取るべきなのだ。「親にしてこれを離す」、つまり敵が親しみあっているときはこれを分裂させる、ということも、「孫子」に書かれている。

■「朝日は深刻な問題をもたらした」

日本では、慰安婦についての報道で誤った事実を広め国民の名誉を傷つけたとして、約8700人が朝日新聞に謝罪広告などを求める訴訟を起こした。訴訟とは関係ないが、ヨン氏は「Voice」でこうも言っている。「『朝日新聞』は全世界を騙(だま)して、日本に深刻な問題をもたらしたままです」。朝日はこうした声に、言論機関としてもっと答えていくべきだろう。

ヨン氏のように慰安婦問題を公平に見るアメリカ人がいるということは、心強い。「Voice」では、日本人に次のようなメッセージを発している。

「大切なのは、慰安婦問題を大声でわめく韓国に対して日本が引き下がらないこと、そして中国の脅威に屈しないことです」。その通りだろう。さらにいえば、日本人が日本の中の左傾勢力の言い分などにごまかされず背筋を伸ばしていくことも、大切である。
(大阪正論室長)
(1月30日掲載)産経ニュース【メガプレミアム】 2015.4.20
                     (採録:久保田 康文)


◆「キューバ」苦いか塩っぱいか

平井 修一



米国・キューバの国交正常化は多くの国と企業にとって「買い」の案件になっているようだ。「キューバの港に各国が押し寄せる理由とは?」(現代ビジネス4/19)から。

<キューバ北西部にあるマリエル港は35年前、12万人以上がボートで米国へ亡命したことで、国際的に有名になった場所だ。現在は観光名所として知られるが、最近は別の理由で世界からの注目を集めているという。

湾岸一帯では、2014年から「開発特区」と呼ばれる、国家規模の建設プロジェクトが始まっている。約100億ドル(1兆2000億円)の国家予算が投入され、将来的にエネルギーをはじめとする、あらゆる産業の中南米の"ハブ港湾"を目指しているのだ。

そしてここに、各国から投資や工場建設の提案が押し寄せている。

その背景には、キューバと米国の国交正常化への期待がある。もし米国との貿易船の行き来が自由になれば、企業はこの港を米国への物資輸送の中継地点にし、販路を広げることができる。また、工場を設ければ(人件費の安さから?)生産コストの削減が図れることも、大きな魅力になっている。

一方で、キューバが貿易緩和することを、新たなリスクと捉える専門家も多い。ベネズエラや旧ソ連をはじめとする社会主義国が、貿易緩和して経済が低迷した例はいくつもあるからだ。

だが、港への投資案件の数は、すでに100を超えている。なかでもブラジルは港の建設に最も意欲的で、建設費の支援総額は7億ドルとも言われる。その見返りとして、将来的に多額のブラジル製品を購入することや、開発特区への誘致において優遇することを、キューバに合意させている。

一方、すでにアルゼンチンは、冷凍肉のヨーロッパへの貿易中継地点としてこの港を利用している。各国の"陣取り合戦"は、今後ますます加速しそうだ>(以上)

2014年12月17日、ラウル・カストロ国家評議会議長及びオバマ米大統領はそれぞれ現地で両国が外交関係再構築に向けて議論を開始することで合意した旨発表している。

これによりキューバもビジネス拡大へ向け主要国へセールス攻勢をかけており、3月12日には高官が来日した。外務省のサイトから。

<12日午前11時13分から約15分間,安倍晋三内閣総理大臣は,訪日中のリカルド・カブリサス・ルイス・キューバ共和国閣僚評議会副議長の表敬を受けました。概要は以下のとおりです。

1 安倍総理大臣から,昨年の日本・キューバ交流400周年(注)によって 友好関係が強化される中,駐日大使,キューバ・日本友好議員連盟会長を 務めたカブリサス副議長の訪日を歓迎する等述べたところ,

カブリサス副議長から,駐日大使を務めた以降も両国関係に関与してきた,今回の訪問は充実した日程となった,キューバへの日本の投資を誘致したい等の発言がありました。

2 カブリサス副議長は更に,二国間の経済関係,経済社会開発協力,政 治関係の強化にも取り組んでいきたい,外務大臣にキューバを訪問いただ きたい,米キューバ関係に多くの関心が寄せられているが対話の進展に楽 観的である等述べました。

安倍総理大臣は,米キューバ間の対話の開始を歓迎する,キューバを巡る国際情勢の変化や二国間関係の発展等を踏まえ一般の無償資金協力についても検討する,日本とキューバ二国間の人的交流を含む幅広い関係を強化したい,そうした中で,外務大臣やその他の閣僚含め今後検討していきたい等述べました>(以上)

平井注:慶長遣欧使節は慶長18年(1613年)に仙台藩主伊達政宗がフランシスコ会宣教師ルイス・ソテロを正使、支倉常長を副使として、スペイン国王フェリペ3世、およびローマ教皇パウルス5世のもとに派遣した使節。1614年7月23日、スペイン領キューバのハバナに到着。8月7日、ハバナを出港した。

で「交流400周年」って・・・ちょっと無理っぽいが・・・ま、いいや。

日本人はキューバとあまり縁がない。キューバは米国フロリダ半島の南にある島国で、本州の半分ほどの面積。首都はハバナ。外務省によれば人口は1126万人で、ヨーロッパ系25%、混血50%、アフリカ系25%。スペイン語圏だ。共産主義独裁政権だが、宗教は原則として自由という。

軍事力は、(1)予算不明(2)徴兵制(3)兵力4万9000人(陸軍3万8000人、海軍3000人、空軍8000人)。

主要産業は、観光業、農林水産業(砂糖、タバコ、魚介類)、鉱業(石油、ニッケル等)、医療・バイオ産業。一次産業が盛んで、工業は遅れているようだ。

名目GDPは771億5000万ドル(9兆2580億円)で国連67位。一人当たりGDPは
6833ドル(82万円)で103位。

GDPは京都府並の規模だ。京都府の人口は261万人、キューバは京都府の財布で4倍超の人口を養っていることになる。

一時期経済は好調だったが、リーマンショック後は低調で、2013年の経済成長率は2.7%。消費者物価上昇率は2.1%、実働時間は不明だが一応失業率は3.3%だから、まあ、それなりの“小康社会”のようだが、生活は楽ではないだろう。

貿易は輸出52億8300万ドル(6339億円)、輸入147億600万ドル(1兆7712億円)。極端な入超で、米国による経済制裁でモノが不足しているようだ。

主要貿易品目は、

輸出:鉱物(ニッケル)、医療品、砂糖、水産養殖産品、魚介類、タバコ

輸入:燃料類、機械・輸送機械、工業・化学製品、食料品

医薬品を除くと、これという売り物がない。典型的な後進国経済だ。

主要貿易相手国は、

輸出:ベネズエラ、カナダ、オランダ、中国、スペイン

輸入:ベネズエラ、中国、オランダ領アンティル、スペイン、ブラジル

“反米チャンピオン”のベネズエラはこのところ原油安でデフォルトが喧伝されているから、キューバ経済もだいぶ苦しくなっているかもしれない。中共とは付き合いが深まっているのは、共産主義独裁国家という誼(よしみ)もあるからだ。

対日貿易では輸出14.72億円、輸入30.59億円。主要品目は輸出が魚介類(えびなど)、たばこ、医薬品、コーヒー等。輸入は一般機械(ポンプなど)、電気機器(発電機など)、精密機器類(科学光学機器など)など。

対日貿易額はたったの45億円。日本のGDPに占める割合は0.001%、ほとんどビジネス以前のレベルだ。400年前に慶長遣欧使節が立ち寄った程度の付き合いでしかない。

日本の援助実績は、(1)有償資金協力なし(2)無償資金協力17.08億円(累計!)(3)技術協力実績51.87億円(累計!)。一応付き合っているという感じ。

キューバへの主要援助国は、

(1)スペイン(1965万ドル/23億5800万円)
(2)米国(1281万ドル/15億3720万円)
(3)カナダ(526万ドル/6億3120万円)
(4)日本(473万ドル/5億6760万円)
(5)スイス(415万ドル/4億9800万円)

旧宗主国でもたったの24億円/年。「まあ離婚したけれど、盆暮れの挨拶だけはしとくか」、そんな感じ。

以上の検証によれば、「キューバ経済の活性化にはかなりの時間と困難が伴う、成否は未知数である」という評価にならざるを得ない。

位置的、地政学的にキューバの経済価値、利用価値が高いというが、キューバのすぐ南にはジャマイカ(人口200万人)とドミニカ(同1100万人)がある。この2国に投資が集まったという話は聞かない。

人口規模がキューバ並のドミニカは政治も経済も安定しているが、港湾を整備して経済特区を造れば投資が集まり経済成長が加速されるというのなら、どこの国でもそうするだろう。

現実は過酷だ。昨秋WSJは「上海自由貿易試験区、開設から1年も成果は期待外れ」と報じた。ゴーストと化した特区は中共のみならず世界中にゴロゴロしている。沖縄もゴースト特区と無縁ではない。雑草だらけの工業団地は日本や世界のあちこちにあるだろう。

大体、ジャマイカとドミニからちょっと南下すれば準先進国のメキシコがある。インフラが整っているし、米加墨のNAFTA(北米自由貿易協定)メンバーだ。日本企業も数多く進出している。

ミニサイズながらも国家独占資本主義と独裁体制を手放さないという不透明なキューバに、あえて投資するのは一種の博奕に見える。キューバへの投資はまるでAIIBインフラ/インチキ銀行と同様の「バスに乗り遅れるな」の“空気”による案件が多いのではないか。

キューバは自由、民主、人権、法治のない独裁国家だ。汚職も増えて格差も拡大しているという。独裁権力は腐敗を免れ得ない。

キューバ苦いか塩っぱいか
そが上に熱き欲望したたらせ
キューバを食ふはいずこの国にならんかな

あわれ げにそは問はまほしく
キューバが食ふはいずこの国にならんかな・・・

「悪魔のように細心に、天使のように大胆に」

ミニ習近平のラウルを警戒しながらしっかり分析し、大胆に進退を決するのがよい。拙速は危険だ。カリブ海ならメキシコ、ドミニカの方が投資先としては遥かに有望だし、リスクが遥かに低いと思うのだが・・・それとも丁半博奕がしたいのか? 当たったところで盆が小さすぎてローリターンでしかないのに。(2015/4/21)

◆マニラでも反中抗議行動

宮崎 正弘
 

<平成27年(2015)4月21日(火曜日)通算第4521号>  

〜「中国はフィリピンから出て行け」、マニラでも反中抗議行動
   アキノ大統領、ベトナムと中国に共同で対抗する条約締結を考慮〜 

『サウスチャイナ・モーニングポスト』が報じた(4月20日)。

ベトナムとフィリピンが「新しい戦略的パートナーシップ」を締結する準備にあると。

これはアキノ大統領がサウスチャイナ・モーニングポスト紙との独占インタビューの中で明確に語ったことで、同紙にアキノ大統領は嘗て『防衛力強化のために日本が憲法改正に踏み切ることに賛成である』とした。
 
「中国が南シナ海で展開している海賊行為はヒトラーと同じでありながら、世界が等閑視しているのは危機がさらに深化していることを意味する」とアキノ比大統領はサウスチャイナ・モーニングポストのインタビューで真情を吐露した。

マニラが「戦略的パートナー」としているのは米国と日本。ベトナムとは頻繁に南シナ海での中国の行為に関しての話し合いをもっているが、条約締結には至っていない。

だが「フィリピンの国益を守るのが大統領の職務であり、民衆の声に耳を傾けるのが大統領のつとめである。米国とは昨年4月に新しい防衛条約に署名したが、どの条項にも明らかに敵対する対象を名指ししてはいない。

ベトナムとの新協定も、いかにしてお互いが国益を守るかという点で、いかに協力できるかを検討するのが重要だろう」

この大統領会見は2時間にもおよび、ロザリオ外相が同席した。

アキノ大統領は最後に付け加えた。

「中国の行為について国際機関に提訴しているが、調停を依頼しているわけでもなければ、この機関にはそうした能力が備わっていないことくらいは認識している。しかし中国が国際機関への提訴を無視している事実は、ほかの諸国への悪い反応としてはねかえっている」。