2015年02月28日

◆台湾も怒る中国の歴史修正

阿比留 瑠比



これほどあからさまな歴史修正主義国はあるまい。中国の王毅外相が23日、国連創設70年を記念する安全保障理事会の討論会で行った演説をみて、その余りに堂々とした事実の歪曲(わいきょく)ぶりにかえって感心した。

王氏は名指しこそしないものの「過去の侵略の犯罪を糊塗(こと)しようとしている国がある」と日本を批判し、中国の歴史について次のように語ったのである。

「戦後70年間、国連の創設メンバーで、安保理の常任理事国の中国は、常に国連憲章の精神に従い、国連の役割を支え、平和と安定を守ることに尽くしてきた。今日の開かれた討論会が、反ファシスト戦争勝利と国連創設70年の記念の序幕になることを望む」(25日付読売新聞朝刊)

中国の言う反ファシスト戦争とは抗日戦争のことを指すが、これには台湾が異議申し立てをしている。

「抗日戦争の主役は国民党が主導した『中華民国』の国軍だったという歴史に向き合うべきだ」

台湾の国防部報道官はこうクギを刺している。また、立法院(国会)外交・国防委員会の有力者、林郁方氏は今月16日、産経新聞の取材に「共産党軍が戦ったのは後方と辺境のゲリラ戦だけだ」と指摘した。

そもそも、中国は王氏が主張するような国連の創設メンバーではない。国連が発足したのは1945年10月であり、中華人民共和国の建国はその4年後の49年10月だ。

中国が台湾に代わって国連に加盟するのはさらに20年以上あとの71年10月なのだから、もはや何をか言わんやである。

ちなみに、国連憲章23条に安保理常任理事国として記されているのはいまだに中華民国だ。中国は手続き上、その権利を継承したとはいえ、何でも自分の手柄にするのは無理がある。

「人種、性、言語または宗教による差別なくすべての者のために人権および基本的自由を尊重するように助長奨励する」

国連憲章1条にはこう明記されているが、中国が常にこうした精神に従ってきたと誰が言えるだろうか。チベット、ウイグル、内モンゴル…反証を挙げれば枚挙にいとまがない。

東シナ海や南シナ海で、「法の支配」の実現ではなく「力による現状変更」を目指しているのはどの国か。

そんな国が戦後70年の今年、臆面なく正義の味方面(づら)し、国際社会で日本悪玉論を流布する宣伝戦を仕掛けてきているのである。

「戦後70ん年間、日本は平和で自由で民主的な国を構築し、近隣諸国、アジア諸国の発展のため支援し、貢献してきた。こうした日本の歩み、正しい日本の姿を発信していきたい。オールジャパン態勢で行っていくことが大事だ」

菅(すが)義偉(よしひで)官房長官は24日の記者会見でこう述 べた。まさにその通りだと納得していたところ、同日に親中派で知られる 河野洋平元官房長官が講演で次のようなことを語っていたと知り、頭を抱 えた。

「今は保守政治というより、右翼政治のような気がする」

安倍晋三首相や日本政府に歴史修正主義者というレッテルを貼りたい中国や、欧米の偏向メディアが「元政府高官で元自民党総裁の河野氏ですらこう言っている」とお墨付きにして利用しそうなセリフである。

何を口にしようと言論の自由だが、ホンの少しでも国民の迷惑も考えてもらいたい。
(政治部編集委員) 
産経ニュース【阿比留瑠比の極言御免】2015.2.26

◆ラオス、新空港建設を中国に丸投げか

宮崎 正弘


<平成27年(2015)2月19日(木曜日)通巻第4472号> 
 
〜ラオス、新空港建設を中国に丸投げか
      現在のビエンチャン空港は手狭、2023年の完成を目指す〜

中国とラオスは国境を接している。ラオスの南北縦貫道路は中国が建設した。

ラオス北方地域は、夥しい華僑が入り込みすでに人民元経済圏に組み込まれている。つい1000年までカジノを中心に20万人のチャイナタウンもあった。いまは廃墟らしいが。。。

ラオス外交はカンボジアと同様に中国の代理人的は発言を時々するため、アセアンの会議で中国非難決議がときに見送られ、あるいは表現が変えられ、中国を名指しで非難することは殆どない。

ラオスにも観光ブームがやってきた。

ビエンチャンのタイとの国境は河が流れているが、その河畔には無数の安宿とフランス料理のレストランが軒を連ね、バックパッカーが多い。西洋人のバックパッカーらは古都のルアンパパンへも足を伸ばす。

中国はビエンチャン空港の改装増幅修理より、市内から35キロ離れた場所に新空港建設を持ちかけ、先ごろ中国企業がフィージビリテイ・スタディ(市場化可能性調査)に着手することで合意した。

2年間で調査をおえ、実際の工事は5年を予定。2023年完成が目標とされる。ビエンチャンへの観光客は現在の100万人から、2023年には200万になると予想されている。

200年にはいちど韓国が18キロ離れた場所での新空港建設でフィージビリテイスタディを行ったが、結論は「居住区に近すぎる」と理由で見送られた。融資条件も折り合わなかったらしい。


 ▼タイの南北縦貫新幹線も中国が建設

中国は、このラオスからさらに南のタイへ高速鉄道(新幹線)を2本作るという世紀のプロジェクトを持ちかけ、タイ政府と合意した。

タイの南北を縦貫する新幹線は2つのルートがあり、総工費は4000億バール(邦貨換算で1兆3000億円強)

 Aルートはチアンホンからアユタヤまでの655キロ
 Bルートはノンカイからマプタフト港まで737キロ

ところがタイ政府は「100%中国からの融資には頼らない。地元資本と日本からの借款で補完する」として、中国への全面依存の危険性を指摘し、アジア開銀などを通じて日本からのローンを予定しているとした(バンコクポスト、2月18日)。

中国は借款のうち一部を2%、5年の据え置き後、15年で返済が条件で、残りを4%の利息を提示し、中国輸出入銀行が貸し出すという条件だった。タイは4%の利息を高すぎるとし、一部を日本に頼り、100%中国依存から脱しようというわけだ。

ただしタイ国内の議論では「バンコクに繋がらない新幹線に意味はない」と反対論も根強い。

◆福島復興は地方の”自立”から

櫻井よしこ


福島では、いまも12万人が古里をはなれ、借り上げ住宅などに住んでいる。そんな人々も必ずいつか古里に戻ってくるように、浜通りを走る国道6号線を中心に野も山も桜の花で埋めてみせようと、地元のNPO法人、ハッピーロードネット(HRN)の人たちが桜の植樹を始めたのは3年前だった。

2月15日に行われた植樹祭は、年々参加者が増え、今年は北海道や鹿児島からも人々が集った。頬が裂けるようなピリピリと冷たい強風の中で、桜や雪柳、れんぎょうなど1200本余の苗木を植えた。

閉会の挨拶を、双葉翔陽高校1年生の山田拓実君がした。彼の高校は2年後に事実上の閉校となる。双葉、富岡、浪江などの各高校も同じ運命を辿る予定だ。山田君が彼にとっての植樹式の意味を語った。

「僕の母校はなくなってしまう。けれどいつか、子供たちに言い聞かせたい。双葉郡に美しく咲きこぼれる桜の木は、多くの人々と一緒にお父さんも植えたんだよ、双葉郡が好きで、一所懸命に植えたんだよ、と。今日参加できたことを感謝します」

彼の挨拶に拍手が生まれた。双葉郡をしっかり引き受けていこうとする若者たちが育っているのである。

植樹の後、約1年振りに私は福島第一原発(1F)に向かった。案内役は増田尚宏氏。3・11のとき、所長として、第二原発(2F)を守り抜いた人物だ。

氏はいま、東電の福島復興本社(13年1月設立)の下にある福島第一廃炉推進カンパニー(14年4月設立)のプレジデントを務める。

かつて子供の歓声が満ちていたサッカー施設、Jヴィレッジは福島復興の拠点のひとつだ。ここで2重の靴下、布とゴムの3重の手袋、防護服、帽子にフルマスク、ヘルメットなどをかぶり1F構内に入った。

汚染水から放射性物質を取り除く多核種除去装置は外側からの見学だ。汚染水は現在、約56万トン。日々ふえており、3月までにタンクの貯蔵容量を80万トンにふやすという。

いまなお風評被害

汚染水については原子力規制委員長の田中俊一氏も、多核種除去装置で62種類の危険な放射性物質を取り除いてトリチウムだけにし、十分に希釈して海に放出することを是としている。増田氏が語った。

「1F構内に流入する前の段階で地下水を汲み上げるなどの方法で、汚染水の量を以前より減らすことができ始めました。多核種除去装置が順調にフル稼働すれば、日量2000立方メートルの汚染水の処理ができます。

56万トンの約半分はすでに基本的な処理を施していますが、トリチウムだけにして本当に安全だと胸を張って言えるようになるには、慎重に計算してあと1年です」

しかし、その間にもうひとつ乗り越えなければならない課題がある。放出による健康被害は発生しないという科学的根拠があっても、風評被害が生じる可能性がある。それを如何にして防ぐか、という課題である。理解は徐々に進んでいるとはいえ、この点も慎重にやりたいと、氏は強調する。

昨年12月20日には、4号機にプールされていた燃料棒1535本が無事に取り出された。世界の原発関係者の注視する中、東電の作業は高い評価を受けた。汚染水問題に目処がつけば、1Fの廃炉作業はまた一歩進むことになる。

約1年前と較べても構内が働き易くなっていることを感ずる。現在、日々6800人から7000人が廃炉に向けて働いている。無事に廃炉まで持っていくには高度な技術が必要だ。技術者確保のために、東電は競争発注方式をとらず、3年ほど先を見て仕事を提供する。加えて労働環境も整えてきた。

福島復興本社代表の石崎芳行氏が語る。

「毎日7000人近くが働いているにも拘らず、1Fでは食事が用意できない。調理ができないのです。そこで、今年3月末には大熊町に給食センターを作り、地元の人を雇い地元の食材を優先的に調達して、皆にあたたかい食事を提供できるようにします」

だが、大熊町はまだ大部分が帰還困難区域とされていて、立ち入り禁止である。そこになぜ、給食センターを作れるのか。HRN理事長の西本由美子氏が指摘した。

「補償問題が関わっていると思います。大熊町は線量の高い所と、人が暮らせる十分低い所が混在しています。帰還困難区域と帰宅可能な地区では、東電からの補償金に大きな差が生じることになります。それが原因で住民の人間関係がこじれかねない。そのために広範囲を帰還困難区域にして、補償金に大差が出ないようにしている可能性があります」

そのような中、東電は大熊町の安全な地域を選んで給食センターを建設するわけだ。

「私はここに骨を埋めるつもりですので、率先して食べ、そこで暮らし、働きます」と、石崎氏は強調する。

氏は1年前の取材で、福島が完全に復興するまで自分は逃げないと、繰り返し語った人物だ。

税金のムダ使い 

3時間にわたる1Fの取材を終えてJヴィレッジに戻ったとき、大型バスに次々と乗り込む人々がいた。全国の東電営業所から2泊3日で福島に来た職員が帰宅するところだった。

彼らは、海岸、神社、住宅、学校、役場、国道、県道、町道、墓地、仮設住宅、畑、田、牛舎、ビニールハウスなど、ありとあらゆる場所で清掃や片付けを率先して行っている。その数は1年間で10万人を超える。

朝日新聞は東電を批判するが、現場に行ってみると、皆、誠実に働いていることを実感する。無論、東電の働き振りに対する厳しい監視はこれからも欠かせない。深刻な事故を起こした責任は、完全に復興を実現するときまで、きちんと担うのが企業としての在り方である。

しかし、いま、厳しいチェックを受けるべきは双葉郡の政治家たちも同じだと私は思う。たとえば、低レベル放射性廃棄物の焼却炉の件である。西本氏も憤る。

「当初、双葉郡を南北にわけて2か所に建てれば十分と言われていたのですが、8つの自治体全てに焼却炉を作ることになりました。浪江町は430億円、富岡町は530億円、その他も似たようなものです。財源は全て税金です。なぜ小さな自治体全部に必要なのか。

しかも、土地は3年契約です。3 年先の再契約ではまた巨額の地代が必要になるでしょう。それも税金で す。それだけの税金を使うのであれば、病院、住宅、交通網
などの整備に回してほしい。それが住民のための政治です」

税金をこんなにムダに使ってよいのかと思う事例は、実は少くない。こうした事実に冷静に目を向けなければ、福島の復興は本当にないと思った1日だった。

『週刊新潮』 2015年2月26日号 日本ルネッサンス 第644回
                  (採録:久保田 康文)

◆中国人富豪の平均寿命「48歳」

矢板 明夫


昨年失脚した中国共産党の周永康・前政治局常務委員(72)の腹心で、殺人罪などに問われ死刑判決を受けた四川省の大手企業、漢竜グループの劉漢会長(49)に9日、刑が執行された。

証券、不動産、鉱業など多分野に進出し、一大財閥を築いた劉氏の総資産は400億元(約7700億円)に達したこともあり、逮捕されるまでは中国を代表する大富豪の1人だった。

周氏の腹心に死刑執行

死刑執行される前、劉氏は中国メディアの取材に応じ「私の野心が大きすぎた」などと反省の言葉を口にしたという。

判決などによれば、劉氏は1993〜2013年まで、商売上の競争相手の殺害など5件の殺人事件を含め、武器密輸、不法経営など多くの犯罪に関わったという。長年警察に逮捕されずにいられたのは、ビジネスパートナーの周浜氏(43)の父親、周永康氏に守られたためである。

中国ではビジネスを展開するのに、政治家と密接な関係をつくらなければ何もできないといわれる。大物政治家を後ろ盾にすれば、許認可や融資などが容易に得られ、違法行為に及んでも警察に逮捕される心配すらない。

しかし、後ろ盾の政治家が失脚すれば、間違いなく連座して粛清される。欧米や日本では財界人の犯罪といえば、贈賄や脱税などが多く、刑事責任を問われても刑務所暮らし数年程度で済む場合がほとんどだ。しかし、中国では命まで取られる。9日は劉氏とともに、一緒に企業経営をしていた弟の劉維氏(45)と、漢竜グループ幹部3人の計5人の死刑が執行された。テレビカメラの前に泣き崩れる劉氏の母親の姿が痛々しかった。

「後ろ盾」と一蓮托生

劉漢氏の名前が最初に中国メディアに登場したのは1995年2月だった。当時、上海証券取引所の相場師だった劉氏は、他の3人の若手相場師、袁宝●(=王へんに景)氏、魏東氏、周正毅氏と連携して、「327国債」という金融商品の先物の値段をつり上げてから売り抜け、巨大な利益を手にした。のちに「327国債事件」と呼ばれ、中国の証券史に残る事件となった。

その後、4人はそれぞれ四川、上海、北京、遼寧を拠点に起業し、全員がビジネスで成功を治めた。

しかし、袁宝●(=王へんに景)氏は元部下を殺害したとして殺人罪に問われ、本人は無罪を主張し続けたが、2006年3月に死刑が執行された。「袁氏は商売のライバルにはめられた」と、事件を取材した中国人記者は主張する。

周正毅氏は07年11月、権力闘争に敗れた上海市の陳良宇書記の失脚にあわせて不法経営の罪を問われで懲役16年の判決を受け、今は獄中にいる。魏東氏は08年4月に北京の高層マンションから飛び降りて自殺した。原因は不明だが、“政商癒着”の秘密を知りすぎて口封じのために殺されたとの噂がある。

平均死亡年齢は48歳

このように、中国の富豪たちの人生はハイリスクだ。英国系調査会社「フージワーフ」が定期的に中国の富豪ランキングを発表しているが、米国の長者番付けではビル・ゲイツ氏(59)が20年以上も首位をキープしているのに対し、中国の場合は毎年のようにトップが入れ替わっている。

14年のトップだった馬雲(ジャック・マー)氏(50)はIT関連企業グループ「アリババ」の経営者だが、トップになる富豪が経営する企業の業種はそれまで、不動産、飲料水、自動車、家電量販店などと、毎年のように目まぐるしく変化している。

それぞれの企業の後ろ盾になっている政治家の引退などとも関係しており、中国政府が重要視している産業がよく変化し、政策調整が頻繁に行われていることも大きな理由といわれる。

ちなみに08年の長者番付でトップになった国美電器の創業者、黄光裕氏(45)はその直後に株のインサイダー取引容疑で逮捕され、懲役14年の判決を受けた。

少し古いデータになるが、中国メディアの調べによれば、03年から11年の間に、中国で72人の大富豪が死亡した。15人が他殺、17人が自殺、7人が事故、14人が死刑、19人が病気となっている。平均死亡年齢は48歳で、中国人の平均寿命より20歳以上も若い。

中国の富豪の半数以上が海外移住を希望しているとの調査結果もある。希望する国は米国がトップで40%、続いてカナダが37%と北米が多い。自分自身が生まれ育ち、しかもビジネスで成功した土地を離れたい最大の理由は、政治の不安定さであろう。(産経新聞中国総局)

産経ニュース【国際情勢分析】2015.2.27
                     (採録:久保田 康文)

◆「中国」と同じことをしているのだ

宮家 邦彦



日本中がシリアでの日本人人質事件に注目していた頃、もう一つの大事件が欧州で静かに進行していた。ロシアの巧妙な外交軍事戦術により東欧の現状が再び変更されたのだ。

昨年9月の停戦合意にもかかわらず、ウクライナ東南部での戦闘は激化し、親露勢力が支配地域をさらに拡大し始めた。犠牲者が5千人を超えただけではない。ロシアによるクリミア侵攻から1年弱、欧州ではソ連崩壊後最も深刻な力による現状変更の試みが今着実に進んでいる。

今月12日、ロシアとウクライナの大統領が独仏首脳の仲介で13項目の合意に達した。包括的停戦と重火器の撤去、欧州安保協力機構(OSCE)による停戦監視、選挙・恩赦の実施、捕虜の交換、人道支援物資、外国人兵士の撤退、親露勢力への特権付与など。一見どれももっともらしいが、全てはロシアのプーチン大統領の思惑通りだ。

事実関係を振り返ってみよう。

そもそも「完全な停戦」なる文言がむなしく響く。具体的地名や条件のない曖昧な停戦は機能しない。案の定、停戦発効後も撤退するウクライナ軍が激しい攻撃にさらされた。19日には4カ国首脳が緊急電話会談を行い、「停戦実施の重要性」などで合意した。当然ながら、この合意には何の強制力もない。

重火器の撤去もむなしい。親露勢力が新たな攻勢を仕掛けるとなれば、いつでも再投入可能だろう。係争地での選挙実施とて、親露派は完全な自治しか受け入れない。

その間に恩赦・捕虜交換があれば、反政府勢力の戦闘力は回復する。人道支援物資を届けても、行政サービスや国境管理を再開しても、紛争は終わらない。ロシアは介入を否定するから外国人兵士は一人も撤退しない。言語使用や司法面で親露勢力に特権を付与するような政治改革など機能するはずがないだろう。

内外のメディアは停戦の行方ばかり注目するが、問題の本質は戦闘行為が終わるか否かではなく、ロシアの真の意図が何かであるはずだ。筆者はロシア東欧の専門家ではないが、プーチン氏が今回の13項目合意履行に真剣でないことぐらいは分かる。以上の事実関係から推測できるロシアの戦略的意図は次の通りだ。

 ●ウクライナの中立化

ウクライナはベラルーシとともに元々は母なるロシの一部だ。にもかかわらず、ソ連崩壊後西欧は欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)を拡大し続け、今やウクライナをのみ込もうとしている。危機感を強めたプーチン氏はウクライナがEUやNATOのメンバーと決してならないよう、秘術を尽くしているはずだ。

 ●紛争の慢性化

ウクライナの親露派を「セパラティスト(分離独立派)」と呼ぶのは間違いではないか。ロシアはウクライナ分割ではなく、同国全体が政治的にロシアに従属することを望んでいる。

東南部を分離独立させれば、残りのウクライナはEU、NATOに加盟するだけだ。だからこそ、プーチン氏は1968年チェコスロバキアに侵攻したような正規軍ではなく、ロシア国籍を隠したスペツナツ(特殊部隊)の隠密作戦による不安定化策によりウクライナの中立化を執拗(しつよう)に画策しているのだ。

同国を中立化できれば、次は同様の非正規戦による巧妙な間接介入をグルジアやモルドバなど非NATO諸国、さらにはラトビアなどNATO諸国に対しても使ってくるだろう。欧米は既に分断されている。

狡猾(こうかつ)なロシアの戦術の前に独仏は新たな現状変更を追認するだけだ。今頃プーチン氏は高笑いしているに違いない。それだけではない。ロシアが欧州の大陸で行っていることと中国が東アジア水域でやっていることは、いずれも正規戦に至らない程度の「力による現状変更」に他ならない。欧州でロシアに成功させてはならない理由はここにある。

               ◇                   
【プロフィル】宮家邦彦

 みやけ・くにひこ 昭和28(1953)年、神奈川県出身。栄光学園高、東京大学法学部卒。53年外務省入省。中東1課長、在中国大使館公使、中東アフリカ局参事官などを歴任し、平成17年退官。第1次安倍内閣では首相公邸連絡調整官を務めた。現在、立命館大学客員教授、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。
産経ニュース【宮家邦彦のWorld Watch】
                    (採録:久保田 康文)

2015年02月27日

◆習近平の新思想は「4つの全面」とか

宮崎 正弘
 

<平成27年(2015)2月26日(木曜日 通巻第4479号>  

 〜習近平の新思想は「四つの全面」とか
         胡錦涛の小康と和諧社会は実現せず、「中国夢」は儚く消えて〜

習近平は「4つの全面」とかいう「新思想」を並び立てて、中国の新しい 目標を語った。人民日報が2月25日に伝えた。

毛沢東は「農村から都市へ」「中国共産党と民族解放への道」を提唱し、 あげくに大躍進を標榜して数千万の国民を餓死させた。

「4つの現代化」を主唱したトウ小平は中でも「軍事力の近代化」に重点 を置いた。

江沢民は「3つの代表論」を言い出した。要するにこれは「資本家も党員 として迎える」ことを難しい表現で言い換えたにすぎなかった。

胡錦涛は「小康社会」と「和諧社会」を主唱し、結局国民の所得格差はす すみ、社会は不満と怨嗟の洪水となった。

発足当時の習近塀は「中国の夢」を叫んだ。

「愛国主義による中華民族の復興が中国の夢」だと、抽象的な語彙をなら べて飛躍したことを言った。

けれども誰もついてこなかった。その後の習の言葉は「新常態」と「集中 統一」である。

しかし、これでは話にならない。

習近塀は「4つの全面」と言い出した。これぞ中国を蘇生させる武器であ る、と言うのだが、その中味たるや、

(1)全面建設小康社会

(2)全面深化改革

(3)全面促進法治

(4)全面従産治党 である。

「小康」は孟子にある言葉だが、モラルを失った国で意味が分かる国民は すくないのではないか。

深化改革の裏の意味は利権集団を排除せよということであり、促進法治は 文字通りボス交渉やコネ社会の悪習をやめ、法律が優先する、西側のミン シュシュギ社会の実現を目的とするのか、党が決めるルールに従わない奴 は容赦しないという脅しなのか、曖昧である。

そして4番目の「全面従産治党」という意味は「党の復興が重要であ り」、ちゃんとしたパルタイを再建しないとソ連共産党解体の二の舞にな るぞという党内への警告である。

この4つの全面が習思想だそうな。

◆弱虫オバマとアジア問題

Andy Chang


この数週間ほどアメリカではオバマの中東出兵拒否と弱虫発言で大いにもめている。ISIS(イスラム国)が21人のコプト派クリスチャンを一列に並べて斬首したビデオを見て誰もが「キリスト教徒を虐殺した」と認めているのに、オバマはクリスチャンと言わず、「21人のエジプト人が斬首された」と述べた。ISISはイスラム国を名乗っているのにオバマはイスラム教徒と呼ばずテロ組織としか言わない。

捕虜になったヨルダンの飛行兵を檻の中にガソリンをかけて焼き殺した事件では、ヨルダン国王とホワイトハウスでオバマと会談していたが、報道によるとオバマはヨルダン国王との会談を終えた30分後にはゴルフをやっていたと言う。誠意のかけらもない。

オバマは中東に兵力を投入することを拒否し、テロ分子はイスラム教徒でないと強弁し、ISISの恫喝を受けてもアメリカは安全だと言い張る。ヨルダン国王が武器弾薬の提供と米軍の援護要求に答えていない。イスラエルとアメリカの関係は最悪で、イェメンではテロ
グループに追い出されて大使館を閉鎖した。

オバマが中東問題に弱腰な理由はイランの核開発交渉にあると言われている。イランは3000基の遠心分離機を使ってウラン精錬を行い、現在では50トン以上の精錬ウランを保有している。原爆を作るのに後一歩まで来ている。イランは核爆弾開発はしないと言うが、50トン以上の原料と設備があるのに核開発をしないとは誰も信じない。

アメリカは数年来イランの核開発禁止を交渉してきたが合意はなかった。オバマは三月末までにイランと核開発禁止条約を結びたい。だからケリー国務長官がスイスでイラン側と交渉中である。

オバマがISISに弱腰な理由はISISの本拠地がシリア国内にあり、イランがシリアを後押ししているからだ。シリア国内のISISを攻撃すればイランとの関係がこじれる。だからオバマは出兵を渋り、たとえ出兵してもイラク国内に止めると言う。シリア国内のISISを攻
撃しなければISISは消滅しない。

●実績のないノーベル賞

なぜオバマはこんなにもイランに対し弱腰で、ISISのキリスト教徒の虐殺や日本人記者の首切りに無関心なのか。アメリカ国民だけでなく世界中が不思議がっていたが、あるときハタと気がついた。オバマは実績のないノーベル賞を貰ったため懸命に実績を作ろうとし
ているのである。

2009年10月9日、ノルウェーのノーベル賞委員会はオバマの「核なき世界」に向けた国際社会への働きかけを評価して2009年度のノーベル平和賞を与えた。口先だけの「核なき世界」の大法螺で賞を貰っても今日に至るまで実績がない。

オバマは任期の残る2年内になんとしてでも実績を作りたいのである。それだからケリー国務長官は3月末までにイランと核禁止条約交渉を続けている。だからオバマは3月の合意達成まではイラク出兵、ISISのキリスト教徒虐殺などをすべて無視し、イラン側の要求
を鵜呑みにしてでも条約を結びたいのであろう。でもイランの言いなりになって条約を結んでも議会が認可しなければ条約は発効しない。

世界平和のためではなく、オバマ個人のエゴを満足させるためイランやISISに弱腰になったと言ってもよい。個人のエゴを達成するためISISの非人道な斬首虐殺や焼殺も無視するのだ。

先週ニューヨークの元市長ジュリアーニ氏が、最近のオバマの弱腰と無責任な発言について「オバマはアメリカを愛していないのだ」と発言して話題にになったが、国民の大半は彼に同意している。

●アジア問題はどうなる

オバマの弱虫でアジア問題はどうなるだろうか。少なくともオバマの在任中は中国の覇権拡張に手が出ないだろう。アジア諸国が心配すべきことは、オバマ政権が中東問題だけでなくアジア問題でも弱腰だから、中国の覇権行動を抑えることが出来ず、そのうちに中国
がもっと強大になればアメリカのアジア撤退が始まるかもしれない。

中国はこの一年間に南シナ海のいくつかの島を埋め立てて滑走路を作っている。アメリカは中国に抗議したことはない。もともとパラセルとスプラトリー群島は中国の領土ではないが、中国が勝手に領土主権を主張して島々の要塞化を作り近隣諸国が迷惑してもアメリ
カは沈黙している。言うまでもなく要塞が出来上がってから中国に抗議しても無駄である。

東アジアでは数ヶ月以来尖閣諸島付近で中国の漁船や監視船が勝手に横行しているがアメリカは無関心である。第7艦隊のイージス艦を尖閣諸島海域を監視していれば中国も勝手な行動は出来ないはずだがアメリカの軍艦は黙視しているだけだ。

中国の目的は尖閣諸島を占領するのではなく、海域での勝手な行動を常態化し、中国海軍の軍艦が太平洋に進出するための航行自由を獲得することだ。中国海軍が自由に太平洋に進出するようになり、尖閣周辺で勝手な行動を取れるようになったら日本と台湾にとって
は一大脅威だが、アメリカも防衛区域をハワイまで後退させなければならない。

アメリカは頼りにならない。オバマの任期があと二年近くある状態では、この期間にアメリカが中国に口先で抗議したところで中国は返事さえしないだろう。

●いまこそPASEAを推進すべき

中国は勝手な行動を取りながら勝手に領土主権を主張し、「領土問題は二国間で解決すべき」という。二国間解決とは横暴な国が弱小国を無視して勝手に行動することである。

アジア諸国で中国と武力で戦うことが出来る国は日本しかない。ところが日本は憲法に縛られて自衛力を発揮できない。アメリカは口先ばかりで中国の横暴な進出を傍観している。アジアの危機である。

二年前に私が提唱した東南ア平和聯盟(PASEA)を改めて推進すべき時である。安倍首相もダイアモンド構想を発表している。日本国会が自衛権法案を通すかもしれないが、通す前にフィリッピン、ベトナム、オーストラリアなどとアジア同盟を作るべきだ。

日本とアジア数カ国が先にアジア平和同盟を創れば近隣諸国の加盟は簡単になる。アメリカをアジア平和連盟に入れれば、日本の出動がなくてもアメリカに対しアジア諸国を中国の覇権拡張から守る義務を要求できる。アメリカの発動を待つべきではない。アジア平和同盟を推進するには日本がリーダーシップを発揮すべきである。

        

             

◆yakubyo-gamistate

〜お祓い〜

MoMotarou



つまり、経済力のパワーがあって、テクノロジーがあって、豊かで軍事に は自制心があって国内にも国外にもモラルがある国ということになると、 答えは日本になる。 すでに、新興国に日本精神は広がりつつある。  (日下公人 評論家)

                ★

国内には「第五列」とも言われる国家転覆勢力が浸透している様な気がす る。「国家内反国家システム」があり、「過激反日派YS(yakubyo-gami state)」が存在する。

■忍び寄る疫病神

田母神俊雄さんの所で選挙資金横領でもめて居る。田母神さんが都知事選 で60万票とってから色々な人が近寄ってきた。新しい田母神塾をつくると 言って近寄ってきた人もいた。

今回の横領事件も、担当者がクラブで豪遊などして使ったらしい。選挙買 収資金ではなく"クラブで豪遊"というのが面白い。余り質(たち)がよろ しくない。東京では韓国高級クラブが有名だ。

そう言えば同じく選挙に立った西村眞悟氏も昔怪しい秘書に取り憑かれ、 お金がらみで一度失脚した。その点、反日サヨクは、よその国や在日、民 団朝鮮総連日教組等に取り憑かれても大事にはならない。「正義の女神」 も依怙贔屓(えこひいき)がある。

■小さな事を大きく

曽野綾子さんが産経新聞コラムで「住み分け」について書いた。すると直 ちに「アパルトヘイトだ」と騒ぐ連中が出てきた。南アフリカ大使も産経 新聞に一通り抗議をした。

曽野綾子さんの日頃の言説を知っていれば悪意のないものだと判る。只曽 野さんが、日本国愛国者だから、「この際、」と焚き付けている。これは 安倍総理の「日教組の、」という国会でのヤジに噛み付いてきたのと同じだ。

■マイナスイオン政党

国会が始まったのだが、民主党議員の顔を見るのも嫌になっていた自分に 気がつく。爽やかではない。

民主党政権が、日本国内や各国からの東日本大震災復興資金の約三割を “ネコババ”していたらしい。しかもそのお金が迂回して中国韓国北朝鮮に 流れるように仕組んでいた。

民主党政権の3年間をもっと本格的に検証するべきだ。官僚の中にも協力 者はいる。安倍総理が「公邸」で生活しないのは、「盗聴器・盗撮器」が 仕掛けられてる可能性があるからである。辻元さんが居住を勧める理由の 裏には北朝鮮等の意向もある。

■「だめよ〜〜、だめだめ、全く駄目」

安倍首相は進化した。岡田・前原・辻元、着るものは良くなったが全く進 歩が見られない。ウンザリだ。

●付録
・オフイス・マツナガ @officematsunaga ・ 2014 3月8日
よってである

「マルキストや社会主義者が、護憲だというインチキが日本にまかりと おっている」(真性・左翼記者:旧社会主義協会系)
「民族の独立なくして、左翼、右翼、リベラルもない。繁栄も福祉も雇用 も、民主主義もない」との話に北岡感動。

・オフイス・マツナガ @officematsunaga ・ 2014 3月8日
「真性・左翼」の記者によると、「左翼=護憲がおかしい」。かっての共 産党でないが「憲法9条は民族の自立を危うくする」というのが筋。民族 の自立あっての左翼。

「いま、左翼といわれているのは買弁左翼。中国・韓国・GHQ。つまりは 売国奴かアナキスト」今の左翼に、確かに当てはまる



◆石炭ガス化複合発電に注目

平井 修一



川口マーン惠美氏の論考は実に冴えている。目からうろこ的な内容が多 く、勉強になる。「世界一の発電効率を目指せ!苦節30年、不可能を可能 にした技術者たち 高効率化とクリーン化を実現する日本独自の石炭ガス 化複合発電技術」(JBプレス2/18)も良かった。以下要旨。

<*高効率かつ環境負荷が少ない石炭ガス化複合発電

今日、私が書きたいのは、勿来(なこそ)発電所の10号機、 IGCC(Integrated coal Gasfication Combined Cycle)というシステムの 発電機の話だ。IGCCというのは、石炭ガス化複合発電のことで、私はこれ にいたく感銘を受けた。

従来の石炭火力は、石炭を燃やして水を沸騰させ、そこから出てきた蒸気 でタービンを回して発電する。石炭火力での熱効率は36%程度で、最新鋭 の施設でも41%と、それほど高くない。しかも、CO2の排出量が多いので 空気を汚す。

それに比してIGCCは、まず石炭を高温でガスにして、ガスタービンを回し て発電する。そして、そこで発生した熱で蒸気を作り、その蒸気で蒸気 タービンを回して、もう一度発電できる。つまり、二度発電するわけで、 当然、熱効率は良く、50%近い水準となる。古い石油火力よりも効率は良い。

そのうえ、効率が良くなる分、消費する石炭が少なくて済むので、CO2だ けでなく、硫黄酸化物や窒素酸化物や煤塵の排出も抑えられるし、また、 温排水量も従来の石炭火力より少ない。つまり環境に対する負荷が小さい。

メリットはまだある。何といっても、石炭を使えることだ。石炭は安価な ばかりでなく、埋蔵量が豊富だ。石炭を使う限り、調達先が広がり、石油 や天然ガスのように、供給国の治安に一喜一憂する必要もないし、何らか の理由で供給が途絶える不安もない。

調達先をこちらで選べれば、足元を見られて値段の交渉さえできないとい うような事態に陥ることも避けられる。

*日本の技術開発の底力ここにあり。世界から注目される10号機

私がとりわけ感銘を受けたのは、勿来のIGCCの開発の歴史が、日本の技術 開発の底力を象徴するような物語を秘めていることだ。ここには、日本政 府と電力会社、そして、大手有力メーカーが長い年月をかけて開発した、 日本にしかないハイテク技術が潜んでいる。

それは何か? その答えは、「空気吹き」という耳慣れない言葉だ。日本 でIGCCの開発が始まった1983年当時、その技術は、オランダ、スペイン、 アメリカなどで先行していた。ただ、それらの国々では、石炭をガス化す る際には、酸素を使っていた。酸素でないと、燃焼の温度が十分に上がら ないからだ。これを「酸素吹き」という。

ところが、当時の日本人の研究者たちは、酸素ではなく、どうにかして空 気吹きを実用化したいと考えた。なぜか? 酸素を取り出すのに掛かる余 分なコストやエネルギーが省けるからだ。それを空気でできれば、当然、 全体の発電効率が上がる。

しかし、世界中の研究者の間では、「空気吹きは不可能」というのが定説 で、空気吹きに取り組んでいた日本人の研究者はずっと悔しい思いをし た。その悔しさが原動力となったのか、長い試行錯誤の末、ついに空気吹 きが完成する。

これは、長年にわたり石炭燃焼の技術開発に関わってきた日本のメーカー であったからこその快挙ともいえた。この成功を機に、1998年、IGCCのパ イロットプラントが三菱重工長崎研究所内に建設された。

そこからまた、長い試行錯誤が始まるのだが、2007年、プラントは勿来に 場所を移し、実証機としてその威力を発揮し始める。そして、そのプラン トを常磐共同火力が引き継いだ形で、2013年からは出力25万kWの商業運転 が始まった。

同年12月には、3917時間の連続運転を記録し、世界中の研究者をあっと驚 かせた。以来、この10号機には、世界の国々から3000人以上の見学者が訪 れているという。そして今、2020年の稼働を目標に、50万kWのIGCC発電所 の建設計画が進められている。今あるプラントの2倍の容量。もちろん世 界一だ。

日本はハイテクの国だと、私たちは当たり前のように信じている。実際、 私たちが知らない日本の技術が、今日も世界中のあちこちで使われてい る。空気吹きのIGCCも日本の技術だ。私が作ったわけではないが、誇りに 思う。これを世界に広めない手はない。

現在、世界の発電の4割が石炭火力で行われている状況を見れば、IGCCの 普及には大きな意義がある。特に、安い石炭を使わざるを得ない新興国で IGCCを広めれば、環境改善に役立つだろう。日本が行う開発援助の一環に するという選択肢もある。技術提供は、日本ならではの開発援助になる。

一方、日本も原発が停まって以来、石炭火力を増加しなければならない状 況だ。もしも、IGCCの実用化が進めば、コスト的に助かるだけでなく、 CO2の問題も少し緩和されることになる。

IGCCは、建設費は2割ほど高いというが、発電が緒につけばコストに競争 力がある。太陽光発電のために20年にわたって1kWあたり42円も払うこと を思えば、国はこちらの技術への投資も並行して考えた方が良いのではな いか。

これからの話として、さらに熱効率の良いIGFCの開発計画もあるそうだ。

IGFCというのは、「石炭ガス化燃料電池複合発電(Integrated coal Gasification Fuel Cell combined cycle)」で、石炭をガス化するとき に発生する水素を利用して、燃料電池でも発電するので、2段階でなく、3 段階の発電となる。これによって、熱効率は55%以上に向上する。技術向 上に終わりはない。

ただ、開発にはお金がかかる。当然のことながら、最後にその技術が有意 に商品化できることが確実でない限り、民間の企業が研究開発に専念する ことはできない。

しかし、もし、電力自由化になるとシステムが変わり、電力会社は長期的 な将来設計がしにくくなり、余分な研究に投資できなくなるかもしれず、 また、金融機関も、そんな行き先の不明な投資には、当然、融資を渋るは ずだ。

自由競争は、価格を下げる事には役立つが、大金の掛かる研究開発にはマ イナスに働く可能性が大きい。

日本は安い労働力と大量生産で生きていける国ではない。これまで多くの 努力によって積み上げてきた技術を、これからもどんどん伸ばしていかな ければ、あっという間に後続の国に追いつかれ、追い抜かされてしまう。

日本が技術を売れなくなったら、もうおしまいだ。そのためには、潤沢な 研究費だけはどのようにしてでも確保し、開発に専念できるよう、国が支 援していくべきだと強く感じた>(以上)

常にイノベーションに挑戦していかないと先進国トップグループから脱落 してしまう。まことに「技術向上に終わりはない。日本が技術を売れなく なったら、もうおしまいだ」。

誰か習近平にこれを説いてはどうか。「バカなことをやっていないで日本 を見習え」と。(2015/2/26)



◆中性脂肪が気になる人の食事療法

庄司 哲雄



<中性脂肪とは・・・>
血液中の中性脂肪(トリグリセリドともいう)には二つの由来があり、食事で摂取した脂肪が小腸から吸収され血液中に現われたものと、肝臓で炭水化物から脂肪に作り変えられて血液中に放出されたものがあります。

いずれも、体の組織でエネルギーとして利用されるのですが、血液中の濃度が極端に(1000mg/dL以上)増えすぎますと、急性膵炎を引き起こすことがありますし、それほどでない場合でも(150mg/dL以上)動脈硬化の原因のひとつになります。

<中性脂肪を下げる食事の第一歩>
食事療法の基本は、摂取エネルギーの適正化です。脂肪の摂りすぎのみならず、炭水化物の過剰も中性脂肪を増やしてしまいますので、全てのトータルを適正にする必要があります。

身体活動度にもよりますが、標準体重1Kgあたり25〜30kcal/日程度が適切です。肥満気味の方は少なめにし、減量を目指します。アルコール多飲や運動不足は中性脂肪の大敵です。

<炭水化物と脂肪のどちらをひかえるか>
各人の食習慣により異なる場合がありえますが、炭水化物1グラムで4kcal、脂肪1グラムで9kcalですから、脂肪摂取を控えることが大変効果的です。

<ジアシルグリセロールとは>
少し難しくなりますが、中性脂肪とはグリセロールという物質に脂肪酸が3つ結合した構造(TAG)をしており、いわゆる「油」です。

これに対して、脂肪酸が2つだけ結合した油もあり、これをジアシルグリセロール(DAG)といいます。同じような油であっても、小腸で吸収されてからの代謝が異なるため、中性脂肪の値や体脂肪への影響の程度に差があります。

通常の油TAGは、小腸で膵リパーゼという酸素のはたらきで、脂肪酸が2つはずれ、脂肪酸ひとつだけが結合したモノアシルグリセロール(MAG)に分解されます。それぞれは吸収された後、小腸でまた中性脂肪に再合成され、血液中に放出されます。

一方、DAGは中性脂肪へ再合成されにくいため、食後の中性脂肪の上昇が小さく、また体脂肪の蓄積も少ないといわれています。最近、DAGを利用した機能性食品が開発されています。しかし、DAGの取りすぎもカロリー 過剰につながりますので、通常の油TAGとの置き換え程度にすべきでしょう。

<脂質低下作用のある機能性食品>
動物に含まれるステロールという脂質の代表はコレステロールですが、
植物には植物ステロールという脂質が含まれます。これは小腸でのコレステロール吸収を抑制する働きがあります。

<専門医に相談すべき病気>
中性脂肪の増加する病態には、糖尿病やある種のホルモン異常、稀には先天的な代謝障害もありますので、一度は専門の先生にご相談いただくのも大切だと思います。(再掲)
<大阪市立大学大学院代謝内分泌病態内科学>

2015年02月26日

◆習近平の軍師的側近は7人

宮崎 正弘
 

<平成27年(2015)2月25日(水曜日)通巻第4478号>  

 
〜習近平の軍師的側近は7名。こちらが本当のトップセブン
   つねに外遊をともにする王炉寧、行動を管理する栗戦書に加えて〜 

王炉寧は「中国のキッシンジャー」。外遊を共にして外交演説草稿を まとめる。いってみれば、大統領安全保障担当補佐官だ。彼は江沢民、 胡錦涛にも外交顧問として遣えた。したがって完璧な習近平派とは言えないが、超派閥的存在といったところ。

栗戦書は中央弁公室主任で、米国の大統領首席補佐官。栗は太子党でもあるが、習が下方された陝西省以来の親しい朋でもある。

この2人は現在中央委員であり、次期執行部(常任委員会)入りが確実と言われる。

次に習近平の周りを囲む軍師的な側近グループがある。

総書記弁公室主任の丁僻祥、福建省宣伝部長の李書磊(北京の神童といわれた李は国内演説草稿を担当する)、中央党学校常務副校長の何毅亨(反腐敗の理論構築)、国家発展改革委副書記の劉?(北京101中学で習と同 級生)、中央軍事委員会主席弁皇室主任の?紹軍(彼は軍歴がなく、習の秘書だった)。

これら7名が習近平軍団の中核であると多維新聞網(2月24日)が伝 えている。

政権発足当時、「軍師」といわれた劉源(劉少奇の息子)は視界から消えた。日本が期待する胡徳平(胡耀邦の息子)は民主化理論派なので、民主化を嫌う習の視界には、最初から入っていない。

(註 王炉寧の「炉」はさんずい、丁僻祥の「僻」はくさかんむり、沖紹軍の「沖:は金扁」)

◆冷戦の勝利者は誰かを問いたい

西岡 力



戦後70年を迎えて安倍晋三首相が談話を出す準備をしている。自民党内や公明党首脳、野党からは談話の内容について多くの注文や意見が出ている。

安倍首相はまず有識者の意見を聞くとして懇談会を組織した。これらの動きは極めて異例だ。

提起しておきたい別の視点

これまで歴史問題について歴代の首相がいくつかの談話を出してきた。その嚆矢(こうし)は村山談話だ。これは戦後50年を迎えた歴史決議を国会で行おうとして、多くの批判を浴び、苦肉の策として出されたものだった。

このとき与党で ある自民党との事前協議、野党の意見聴取、有識者懇談会などは一切なかった。それ どころか、当時大臣として閣内にいた有力政治家によると、閣議決定の直前に談話文 を見せられたという。戦後60年の小泉談話、日韓併合100年の菅談話でも、今回のよ うな事前の注文付けはなかった。

安倍首相が自身の歴史観と哲学に基づいて出す談話である。時の首相が何を言うのか、静かに待つのが礼儀ではないか。批判するなら、談話が出てからその 内容に対してすべきだ。

ただし、ここで私は別の視点を提起したい。そもそも敗戦70年だけを強調すべきではない。第二次大戦後の世界は実は第三次大戦とも言うべき冷戦があっ た。

日本は自由民主主義陣営の一員として冷戦を戦った。その戦いは国内でも存在した。単独講和か全面講和かの争い、自衛隊違憲論者との戦い、安保条約や日韓 国交回復反対運動との戦いなどである。産経新聞も正論路線を採って国内の思想戦を 戦った。文化大革命を称賛し続けた朝日新聞は冷戦を戦ったとは言えないだろう。

自由民主主義陣営は25年前に勝利した。ソ連・東欧は崩壊し、そ の後、世界は民族対立、テロとの戦いの時代に入った。

しかし、アジアでは冷戦は終わっていない。中国は計画経済を捨て市場経済の軍門に下ったが、「人民民主主義」の美名の下で一党独裁を続けている。北朝 鮮はいまだに冷戦時代そのもので、人民の苦しみは極限に達している。

敗者となった中国と左派勢力

日本は25年前、冷戦に勝った。米国や欧州連合(EU)とともに“戦勝国”となり、中国は半分負けた。70年前、日本と戦って勝ったのは中華民国であって中 国共産党ではない。

その上、冷戦では中国は負けた側だ。彼らが今になって70年前に 米国と一緒に日本と戦って勝った、などと宣伝していることはおかしい。一番近い戦 争における勝者は米国と日本で、中国は敗者の側にいた。

冷戦に勝利した数年後、米国共和党大会でレーガン元大統領が大変、示唆に富む演説をした。「われわれは冷戦に勝った。しかし、私はときに疑いを持つ。 このわれわれとは誰か」。大会参加者らはこのレーガン氏の問いに対して「あなたが 勝利者だ」「共和党が勝ったのだ」「民主党は違う」などという答えを叫んだという。

われわれも同じ問いを発すべきだ。誰が勝ったのか。中国共産党は大躍進政策で数千万人を殺し、チベットを武力で占領し、新疆ウイグルや内蒙古で帝国主 義時代そのままの異民族支配を行い、天安門で自由を求める学生らを銃殺した。

それ と同じ時期に、日本は選挙のたびに自由民主主義陣営に属して共産主義勢力と戦うこ とを選択し、平和と繁栄を得た。安倍首相の祖父、岸信介首相はデモ隊に囲まれる 中で日米安保条約を守った。今、中国の反日攻勢に歩調を合わせる国内の左派勢力、 マスコミの多くは実は負けたのだ。

共産主義と戦う選択をした日本

《民主主義と共産主義という、とうてい相容(い)れない二つの勢力が 全世界にわたって拮抗(きっこう)している情勢のもとでは、いかにわれわれが「不 介入」や「中立」を唱えてもそれはとうていできない相談である。

共産主義は全世 界にわたる民主主義の絶滅を終極の目標としているから、共産主義に全面的に屈伏 (くっぷく)しないかぎり、その国はすべて共産主義の「敵」であり、共産主義国の辞 典には「中立」や「不介入」などという言葉はありえないのである。

思想戦の見地か らみて、す でに戦場にあるともいうべきわれわれがあいまいな態度をとることは、実 戦における敵前逃亡と同じ結果をもたらし、われわれの希望にもかかわら ずかえって 自由と平和を破壊せんとする勢力に利益を提供することとな り、真の意味における自 主独立の回復にはなんら役立たないのである》

以上は金日成による韓国への武力侵略で、アジアにおける冷戦が高度の緊張状態を迎えた1950年8月、外務省が出したパンフレット「朝鮮の動乱とわれらの 立場」の一節だ。

われわれは朝鮮半島で金日成軍、その背後にあった中国共産党軍と 戦っていた米国と軍事同盟を結び、自由民主主義陣営の一員として共産主義と戦うと いう選択をしたのだ。そしてわれわれは勝った。その認識を広めることが今年の歴史 戦で勝つ道だ。(にしおか つとむ)・東京基督教大学教授

産経ニュース【正論】2015.2.24

※西岡力氏は今年度の第30回正論大賞を受賞しました。
                 (採録:久保田 康文)


◆朝日が新聞労連から表彰の不可思議

佐々木 美恵



新聞記者を分類すると、3つに大別できると思います。

たとえていうなら「猟犬」「シェフ」「(料理)評論家」です。

「猟犬」型は、常にあちこちかぎ回り、スクープという獲物を仕留めることにやりがいを感じるタイプ。「シェフ」型は、手に入れた材料の意義を掘り下げ、わかりやすく読者に提供することを得意とするタイプです。「評論家」は説明するまでもないでしょう。

自分の反省からも、「猟犬」型は調理に対してずぼらな傾向があるのかもしれません。狩りが成功した段階で、次の獲物を探そうとする癖があるからだと思います。しかし、癖や得手不得手というのは言い訳に過ぎません。

食事に来るお客は料理がすべて。鮮度で勝負という料理もありますが、基本的に珍しい鳥が捕れようが、脂の乗った獣を仕留めようが、焦げていたり冷め切っていては台無しなことはわかりきったことです。

ところがこのほど、他の猟犬に先駆けて珍鳥を仕留めたので、料理の不出来は度外視して表彰するという“椿事”が起きました。

日本新聞労働組合連合(新聞労連)による、朝日新聞の「吉田調書をめぐる特報」にジャーナリズム大賞特別賞授与です。

昨年夏以降のビッグニュースですから、いまさら説明は不必要でしょう。

朝日新聞の特報部チームが、東京電力福島第1原発の所長だった吉田昌郎氏が政府の事故調査・検証委員会の調べに答えた「吉田調書」を入手、「所員の9割が吉田氏の命令に違反して、福島第2原発に撤退した」と報じ、のちに同社社長が撤退報道記事を取り消し、謝罪することになった「特報」のことです。

選考評は、新聞労連のホームページにもアップされていますが…。「非公開とされていた調書を公に出すきっかけになったという点で、昨年(注・平成26年)一番のスクープといっても過言ではない」「特定秘密保護法が施行され、情報にアクセスしにくくなる時代に、隠蔽された情報を入手して報じた功績は素直に評価すべきだ」とあります。

また、選考委員の一致した見解として「虚報や捏造(ねつぞう)と同列に論じるのはおかしい」との判断が紹介されています。これらの選考基準についてはすでに疑いの声があがっています。改めて新聞労連に見解を聞いてみました。

新聞労連の説明は、まとめると次の3つです。

(1)(調書を)報じたということ、現場の(記者の)頑張りは評価に値する

(2)記事そのもの、中身については判断できない

(3)「報道」ではなく、「特報」だということ

つまりは選考評と同じく「珍鳥の捕獲」=「特報」をたたえるということ。

そこにまずい料理を食べることになったお客(読者)や、クレームを受けた料理店(新聞社)の視点は感じられません。撤退報道を受けて、海外メディアが一時「第2のセウォル号事件」と報じるなどの問題に発展したことも、まるでなかったかのよう
です。

新聞労連というのは、猟犬型の取材記者だけで構成された団体なのかと首をかしげるばかりです。

実は表彰が公表されたあと、朝日関係者に非公式に感想を聞いたことがあります。

関係者は「ありがた迷惑というか。そもそも(賞に)応募していなかったのでは」と非常に困惑した様子でした。

そこでこの点についても新聞労連にたずねてみると、非常に感じよく「選考してから時間をおいて受賞してもらえるかどうか対象の労組に返事を求めた。OK(受賞の意思あり)なので表彰した」と即座に説明してくれました。

審査員が特別賞の選考をしたのは1月7日。朝日サイドに知らせて、受賞する旨の回答があったので、9日に発表したという経緯があったといい、審査員や新聞労連が一方的な判断で表彰したわけではなかったようなのです。

しかし、社長による記事取り消しの発表と謝罪は極めて異例な措置をとりながら、一方で「特報」という位置づけなら表彰を受けてもいいという判断は、なかなか理解できるものではありません。

経営陣がうわべだけの対応をしたか、あるいは、記事取り消しを決断した経営陣と労連にOKサインを出した窓口との間で認識の不一致が生じているのか…。いずれにしても不可思議な現象ではないでしょうか。

もうひとつ、吉田調書をめぐる問題で、首をかしげたのは「朝日新聞記者同志」が出版した「朝日新聞 日本型組織の崩壊」(文春新書)の「謎」ときです。

かねがね、朝日でも指折りのエースばかりが集まった特報部チームがなぜあのような撤退報道を書き、さらに解説記事で政府に対し、調書をすべて公開せよと迫ったのかは、大きな謎でした。「朝日同志」の著書も「吉田調書が世間に公表されたら、都合良く意図的に調書の一部だけを切り取ったことがバレてしまう」と指摘しています。実際にその通りになりました。

産経新聞で吉田調書を入手した直後からの疑問点でもあり「こちらに読み落としや誤読があるのだろうか」と思ったこともあります。

のちに多くの人と意見交換もしましたが、調書をリークした当時の政府関係者の偏った説明をうのみにした説、政府はこの後も調書の公開を拒み、他社は永久に調書を入手できないと考えていた説などさまざまな説が飛び交っていました。

さて、同書は「この謎の回答は、極めてシンプルなもの」として次のように解いています。

「許される範囲でエッジを利かせた、記事にいくばくかの大袈裟(おおげさ)なメリハリをつけた…その程度の認識だったのだ」

さらに同書は、撤退報道は反原発ありきのストーリーづくりや東電批判のための歪曲(わいきょく)ではなかったとし、「問題の本質は記者個人の思想や悪意ではなく(中略)朝日の企業体質にこそ潜んでいる」とも解説しています。

部外者に、この謎解きや解説を頭ごなしに否定することはできません。ですが、その一方で何か大事なことを希釈しているのではないかという違和感を覚えるのは気のせいでしょうか。(産経新聞政治部次長)
        産経ニュース【政治デスクノート】2015.2.25
                     (採録:久保田 康文)