2015年01月18日

◆中国、GDP統計の方法を変更

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 


<平成27年(2015)1月16日(金曜日)通巻第4443号>  

 
〜「いまさら遅い」って気もするけど、GDP統計の方法を変更
   中国国家統計局、「今後は地方政府の報告データを使わない」〜


中国国家統計局が発表するGDPデータは、地方政府の出鱈目な報告をもとに作成された、恣意的な「作文」であり、誰も信用していない。

李克強首相自身が「あれは信用できない」と発言し、またアメリカ人学者は「すくなくとも100兆円水増しされている」と研究成果を発表した。

2014年第3四半期までのGDP速報は537兆元で、地方からの報告集計は、これより12%多かったという。

12月25日、国家統計局は記者会見し、「今後、地方政府からあがってくる報告データは一切使わない。新しい方法で統計を発表する」とした。国務院の決議をまって、この集計方法の変更は本決まりとなる。

しかしそうなっても、本物とは大きな齟齬のある作文が、いくぶん修正するだけであろうが。。。

◆怒る欧米、困惑するイスラム世界

平井 修一


パリのテロを受けて「表現の自由」についての議論が盛んだ。

宮家邦彦氏は「驚くのは風刺画家たちの無知と傲慢さだ。特にムハンマドに関する一部の風刺画は第三者の筆者が見ても悪趣味としか思えない。

漫画家の自由はあくまで『表現』の自由であり、風刺に関するフランスの一般キリスト教徒と同程度の許容度をイスラム教徒に求める権利までは含まない。欧米マスコミの金科玉条的報道にはやはり違和感を覚える」と書いている(産経1/15)。

NW1/20「『表現の自由』の美名に隠れた憎悪も糾弾せよ」から。

<犠牲になった週刊紙シャルリ・エブドの編集者や風刺画家は、今や「表現の自由」という大義の殉職者と化した。

だが、そう単純な話でもない。預言者ムハンマドを題材にした彼らの風刺画は、無分別で人種差別的だったとも言えるだろう。ムハンマドの絵を描くこと自体を冒涜と考えるイスラム教徒の怒りをあおることだけが目的のようにも見えた。

テロ事件後に巻き起こった議論は大抵、欧米人がイスラム教徒の感情を害することは許されるか許されないか、という二者択一だった。ムハンマドを描くことは言論の自由の下に擁護されるべきなのか、一切慎むべきなのか。

ニューヨーク誌のジョナサン・チェートに言わせると、答えは明白だ。「宗教を冒涜する権利は自由社会の最も基本的な権利の1つだ」と、彼は書いた。

だが、この問題を二者択一で論じるのは誤りだ。私たちは同時に明白な人種差別を声高に非難するべきだ。「先鋭的」風刺画が単にくだらないイスラム攻撃である場合は、そう指摘しなければならない。

フランス全土が悲しみに沈む今、こうした問題を論じることは難しいが、必要なことでもある。現時点でフランス政府はシャルリ・エブドに100万ユーロ超の支援を約束している。

表現の自由を支持する力強い動きだ。だが同紙の「表現」は、政府が支援すべきたぐいのものとは思えない>

NW1/8「イスラムへの憎悪を煽るパリ週刊誌銃撃事件」から。

<シャルリ・エブドのターゲットはイスラム教だけではない。最新号にはキリストの存在に疑問を突きつける議論のパロディーが掲載されているが、キリスト教徒が編集部を銃撃することはない。

今回の事件で死亡した編集長のステファン・シャルボニエは11年に本社が放火されたときにこう語っている。「(われわれは)多くのテーマに対して挑発的だが、イスラム過激派を扱ったときにかぎって暴力的な反応が起きる」>

イスラム過激派はどうしようもない狂信者として、通信傍受や渡航制限などを含めあらゆる手段で封じ込めるしかないのだろうが、イスラム教徒も狂信者には大いに困惑しているようだ。

酒井啓子氏の論考「嫌イスラームの再燃を恐れるイスラーム世界」NW1/9から。

<シャルリー・エブド誌襲撃事件は、世界を震撼させている。欧米諸国を、というより、世界中のイスラーム教徒を、だ。

フランス版9-11事件ともいえるほどの衝撃を与えたこの事件に対して、イスラーム諸国は即刻、テロを糾弾し、フランスへの哀悼を示した。フランスと関係の深い北アフリカ諸国や、経済的なつながりの強い湾岸諸国はむろんのこと、ほとんどの中東の政府、要人が深々と弔意を示している。

エジプトにあるスンナ派イスラームの最高学府たるアズハル学院も事件への非難声明を出したし、欧米諸国から「テロリスト」視されているレバノンの武装組織ヒズブッラーですら、惨殺されたフランスの漫画家との連帯を表明している。

意地悪な見方をすれば、この事件がイスラーム教徒の「踏絵」と化しているともいえる。ちょっとでも犯人側をかばうような発言をして、今後吹き荒れるのではと懸念される欧米での嫌イスラーム風潮に巻き込まれて「テロリストの一味」視されたらたまらないと、不安感が蔓延しているのだろう。

ブッシュの戦争の後、オバマ大統領が就任後最初に行ったのは、「イスラームを敵に回しているのではない」ということを中東諸国に宣言してまわることだった。それが、「イスラーム国」の登場で逆戻りしつつある。イスラーム=アルカーイ=テロ、との単純化を払拭しようとしてきたのに、今、再び欧米社会でイスラーム=イスラーム国=テロ、という単純化が主流となりつつある。

シャルリー紙の侮辱は許せない、だが表現の自由をテロで奪うのはケシカラン、というごく真っ当な感覚を、イスラーム教徒も当然持っているのだ、と認識すること。そのことを、テロの痛みのなかで欧米社会が失わずにいられるかどうか>

産経1/14の曽野綾子氏の論考「言論の自由と覚悟 『流行としての抵抗』は本物のでない」は、この事件および事件後の人々の反応についてのひとつの良識を示しているように思う。

<「シャルリ・エブド」紙は普段6万部くらいしか発行されていなかったマイナー紙なのに、この事件をきっかけに一挙に300万部も発行されると聞くと、これも釈然としない。

大多数の人が、多分安全な立場にいて、興味本位で新聞を買ったりデモに参加するくらいのことで、自分は自由を支持する人道主義者だという証を得たいのだろうが、それなら普段からこの新聞を買ってあげていればよかったのである。

私はカトリックの修道院付属の学校で育ったが、まだ幼い時から、欧米人の修道女の先生に、「決して他人の信仰の対象に、無礼な言動をしてはならない。また時には社会に害毒を流すような人が、その宗教の信者にいたとしても、その人の行為一つで、その宗教全体を批判してはならない」と教わった。

まだ小学校の生徒だったのに、ここまで冷静な姿勢を教えられたのだから、私はほんとうにいい教育を受けたのだと思う。

流行としての抵抗運動は、命をかけていない以上、本物ではないのである>

八百万の神の国で育った小生は「宗教は生きるうえでの智慧」としか思っていない。距離を置いているから、信じるとか洗脳とは無縁だ。信じれば自分で考える必要がなくなるからラクチンなのである。お偉いさんが導いてくれるから、それに従えばいいというわけだ。これでは脳みそは劣化を免れない。

自分で考え、しっかり判断し、二度と騙されない――この覚悟が大事なのだと思っている。(2015/1/17)

2015年01月17日

◆外交は毅然たる態度と“自尊”で

加瀬 英明



安倍内閣が登場してから、2年たたないうちに、日本は久しぶりに全世界が認めるリーダーを、持つようになった。

私はワシントンに通っているが、オバマ政権を含めて、アメリカの対日観が大きく変わった。この1年で、安倍首相の存在感が大きなものとなったことを、アメリカも認めざるを得ないようになっている。

アメリカは安倍内閣が平成24(2012)年に成立してから、1年あまりは安倍首相を「ナショナリスト」「反動(リアクショナリー)」「撥ねあがり」として嫌って、抑えつけようとしてきた。

安倍首相が平成25年末、靖国神社に参拝すると、国務省の指示により、駐日アメリカ大使館報道官が「アメリカ政府が失望した」という、非常識なコメントを発表した。


オバマ大統領の国内外のリーダーシップが揺らぐなかで、安倍首相が積極的に「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」を進めて、2年間に50ヶ国を訪問して、行く先ごとに高く評価されると、アメリカも安倍首相がドイツのメルケル首相、イギリスのキャメロン首相、フランスのオランド大統領と並ぶ、“世界のリーダー”の1人として、認めるようになった。

アジアにおいて、中国が力を大きく増して、習近平国家主席が「5千年の中華文明の偉大な復興」「中国の夢 強軍の夢」を繰り返し唱え、露骨に往年の中華帝国を再現して、中華秩序を復活しようとするなかで、どのアジア諸国も脅えていた。

安倍首相は「積極的平和主義」と「法の支配」を掲げて、日本がアジア諸国の先頭に立つ決意を示すことによって、アジア諸国をまとめてきた。

アジア諸国との安保協力は、防衛情報の交換から、巡視船、防衛技術の提供、共同訓練までわたっている。画期的なことだ。

なかでも、アジアの2つの主要国であるインドとオーストラリアとの絆を強め、アジア諸国と安保協力を進めることによって、日本に対する期待感を高めたことは、高く評価される。日本は第2次大戦が終わってから、はじめてアジアを束ねる、リーダーとなった。

いまや安倍首相は“日本の顔”だけでなく、“アジアの顔”となっている。

安保外交によって、日米関係とアジアの様相が、何と大きく変わるようになったことか。

安倍首相はアジアをはじめ50ヶ国を訪問し、行く先々で歓迎され、高い評価をえた。ところが、この事実は日本国民にとって、きわめて重要な意味をもっているのにも拘わらず、日本のマスコミが報道することが、まったくなかった。

アジアが直面する最大の課題は、中国が中華帝国の野望を露わにして、長い爪をアジア各地に伸ばしていることだ。

中国は中華意識を振りかざして、平成25年末には尖閣諸島の上空に、傍若無人に防空識別圏(AZIZ)をかぶせるかたわら、ベトナム、フィリピンなどの諸国に属する島嶼や、海洋権益を奪ったために、南シナ海の緊張がたかまった。

中国は平成25年まで攻勢に立っていたのにもかかわらず、アジア諸国が中国に対して結束し、アメリカが中国に対して警戒心を強めるようになったために、守勢に転じるようになった。

昨年11月に、北京でAPEC(アジア太平洋経済協力会議)が、中国によって国家イベントとして盛大に催された機会に、日中サミットが実現した。


それまで中国は、日本が靖国神社への首相参拝を行わないことを約束し、尖閣諸島をめぐって領土権紛争が存在することを認めないかぎり、首脳会談に応じないという、頑な態度をとってきたのにも拘わらず、中国が孤立化することを恐れて、安倍首相と25分間という短い時間であったが、会談に応じざるをえなかった。

これは、安倍首相が中国に対して媚びることなく、毅然たる態度をとってきたことによる、勝利だった。外交に当たって、自尊がいかに大切であるか、示している。これを境にして、韓国の朴槿恵大統領は安倍首相に対して、微笑むようになった。

習主席はこの時、オバマ大統領と10時間にわたって会談し、中米関係を「新型大国関係」とすることを提案したが、オバマ大統領は一顧もしなかった。

もっとも、アメリカも、日本も、かつて冷戦時代はソ連を明白な敵として位置づけることができたが、中国と経済的に深い相互依存関係を結んでいるために、中国を敵とすることができない。ソ連とのあいだに、このような関係は存在しなかった。

そこで、中国と良好な関係を結ぶように努めつつ、アジア諸国と海洋同盟関係を強化することによって、中国の膨張政策を阻止することを、はからなければならない。

安倍首相は第1次内閣の時から、中国に対して「戦略的互恵関係」を結ぶように呼び掛け、11月の日中首脳会談においても強調した。日中関係については、この1語に集約されよう。

アメリカはアフガニスタンとイラク戦争による深い傷を癒すために、内に籠る周期に入っており、2017年に新政権が発足しても、当分は内向きとなろう。

安倍政権としては、集団的自衛権の行使を柔軟に解釈して、日米同盟の深化をはかりつつ、アジア諸国との海洋同盟関係をいっそう強めることに努めるべきである。

中国の太平洋への進出を阻む海洋同盟の鎖に、致命的に脆い点がある。

台湾だ。アメリカは良好な米中関係を維持するために、このところワシントンで台湾へ関心が向けられることが、ほとんどない。

日台は地理により、戦略的に一体である。万一、台湾が中国に呑み込まれることがあったら、日本の安全を保てない。日台は一蓮托生であるから、日本として台湾を陰に、日向に支援するべきである。


               

◆インドで米国の投資熱気が燃えている

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
 

<平成27年(2015)1月16日(金曜日)弐 通巻第4444号>  

 
〜インドの工業の中心がグジャラート州に移った?
        3万件をこえるプロジェクト、米国の投資熱気が燃えている〜


さきにインドと米国のサミット(もちろん日本も参加した)には2000人を超える企業人と政治家の参加があった。グジャラート州の州都アーメダバードで開催された。

ジョン・ケリー国務長官はオバマ訪印(26日)の露払いよろしくアーメダバード入りしたが、警備の関係から宿泊ホテルはあかされず、しかも朝飯、昼飯、晩飯をそれぞれ違うホテルでとった。

パリのテロ事件直後でもあり、1いま、インドはオバマ訪問を前にテロを警戒して最大級の警備体制を敷いている。

アーメダバードでの工業団地建設など、中国も習近平が14年9月の訪問時にわざわざアーメダバード入りして、ここでもモディ首相と会談し、中国企業専用工業団地建設を謳った。

ともかく、打ち上げられているプロジェクトは30,000件をこえ、このうちの65%が既に建設済みか、もしくは建設中であり、約束されてプロジェクトの15%がキャンセルとなったことも明かされた。

しかしサミットで各国代表が注目したのは印度の人口構成のとんでもない若さである。

人口12億のうち、25歳以下が50%、35歳以下が65%をしめており、高齢化少子化の人口バランスに苦しむ日本とは対極、少子化、老齢化に急傾斜中の中国も対極にあると言える。

◆私の「身辺雑記」(181)

平井 修一



■1月14日(水)。朝は室温12度、快晴、フル散歩。大事をとって病み上がりの6歳女児を預かる。

産経新聞は知的刺激に満ちている。酒で緩んだ脳みそが活性化される気がする。最近、赤のサインペンで面白い箇所を囲んでいるのだが、拓殖大学総長・渡辺利夫氏の「正論:年頭にあたり『歴史の衝突』の時代に覚醒せよ」1/5はちょっと気になるところがあった。

<昨年12月4日付のニューヨーク・タイムズ(NYT)はその社説を「日本における歴史のごまかし」と題し、安倍首相は「国粋主義的な熱情を煽って歴史修正を要求する政治勢力に迎合する“火遊び”の危険を冒している」とまで主張するにいたった。

左翼リベラリズムは少なくとも先進国においては日本に固有なものだと私はみていたのだが、どうやら愚かだったようである。冷戦崩壊後のこの秩序なき世界において、左翼リベラリズムは欧米の知識人の中で再生しつつあるかにみえる>

米国も日本も(たぶん欧州も)マスコミの8割はリベラル≒アカであることは有名な話だ。特に朝日の僚紙であるNYTは在日だったオオニシノリミツという朝鮮人系記者がおり、反日記事を書きまくっていることは広く知られている。

高2レベルの小生も知っていることを教授レベルどころか大学総長の渡辺氏が知らないはずはないのである。それなのに「左翼リベラリズムは欧米の知識人の中で再生しつつあるかにみえる」とカマトトのように乙女なことを書くのはどういうわけか。

しばらく考えていたら「ハハーン」と納得した。欧米のレベルの低い報道、論考に「まるで時代錯誤の左翼リベラリズムじゃないか、おまえらバカか」と皮肉っているのである。

昨年に続いて今年もイスラム原理主義勢力、ロシア独裁帝国、中共独裁帝国と西側の価値観が衝突するだろう。不信・憎悪・敵意を高めて警戒し、迎撃に努めなければならない。文明・秩序VS野蛮・混乱の衝突だ。エボラは封じ込めなければならない。

東日本国際大教授・先崎彰容氏の論考「『左右』発生の根源探究」1/8も勉強になった。

<終戦から70年を迎える今年、本屋を歩いて気付いたことがある。それは周辺諸国を批判する本が売れているという事実であり、反原発や東電批判といった分かりやすい権力批判が溢れていることだ。前者のアジア批判は「右」に、後者の権力批判はかつての「左」に分けることができる。

だがしかし葦津珍彦や頭山満を参照すれば、そう単純に人間の思想がひとつの色に染まるわけがないことに気が付く。彼らに比べ、今の私たちは、異常なまでに単純化していないか。

世間が混沌の度合いを深め、世の中が見えにくくなるほど、出来合いの価値観・世界観に飛びつきたくなる傾向を、私たちは持っている。本屋に渦巻く激しい言葉のほとんどは、「不安」が原因としか思えない>

「アジア批判」の本なんてない。中韓批判の本ならいっぱいある。「中韓」と正確に書くべきだが、何か事情があるのだろうか。

それはともかく「本屋に渦巻く激しい言葉」の原因は、不安に加えて不快感、嫌悪感、危険・危機感も原因ではないか。これらを除染、除去するのは行動で、韓国を冷遇する、中共を周辺国で包囲する、工場を撤退するなどが必要だ。

日本にとって重要事項はいっぱいあるが、最優先事項は「中共殲滅、支那解放」だ。単純化しないと戦争(思想戦、言論戦、情報宣伝戦)はできない。70年前は「鬼畜米英」、70年後は「駆逐中共」だ。習近平の夢は「尖閣奪還」だ。憎悪VS憎悪で火花が散るだろう。寛容の時代は終わった。

■1月15日(木)。朝は室温12度、曇、フル散歩。Nも発熱でダウンした。長女一家4人は順次ダウンし、長女と旦那と3歳男児はようやく復活、1歳女児は今日あたり完治証明書が出るだろう。証明書がないと登園できないのだ。

産経新聞評の続き。東京工業大学名誉教授・芳賀綏氏の論考「正論:年頭にあたり 高朗なる明治の精神に立ち返れ」1/8も良かった。

<昭和天皇は明治の原点こそ戦後の原点であると教えられた。(石橋)湛山も同じ精神を敗戦と同時に筆にした。戦後を歩むには明治の初心に立ち返れ。「復初の精神」である。復初はただの復古ではない。原点の確認と建設的な改良である。若返りなのだ。

21世紀の日本人が志すべきは、近代国家発足のさわやかな初心を追体験することである。

明治は「世界史の中で刮目すべき天皇の治下にあった」(英文学者・福原麟太郎)。わが近代がそこに発足したのは素直に誇るべきことだ。思いをはせれば明治を大きく貫いた時代精神は「高朗」なるものであった。卑小・いじけ・反抗に流れた現代人は、歴史への感受性を磨いて明治の「光」の面に学び、高朗の志と覚悟を軸に、毅然たる民主国家を実現したい>

大清帝国、ロシア帝国という世界有数の大国を死闘の末に征した明治日本。平成日本人は「高朗の志と覚悟を軸に、毅然として支那の民主国家化を実現すべき」である。

その支那だが国家直属シンクタンクが「不動産バブル、破裂するかも」と公言し始めたようだ。中国「【石平のChina Watch】実体経済は沈没してゆく」1/8も興味深かった。

<昨年末に発表された中国社会科学院の「住宅白書」は、14年の住宅市場に関して「投資ブームの退潮、市場の萎縮、在庫の増加」などの問題点を指摘した上で、「15年の住宅市場は全体的に衰退するだろう」との予測を行った。

そして昨年12月29日、国務院発展研究センターの李偉主任は人民日報に寄稿し、15年の経済情勢について「長年蓄積してきた不動産バブルが需要の萎縮によって破裂するかもしれない」と語った。国家直属のシンクタンクの責任者が「不動産バブル破裂」の可能性を公然と認めたのは初めてのことだ。

前述の社会科学院白書と照らし合わせてみると、どうやら中国最高の頭脳たちの間では、不動産バブルがそろそろ崩壊してしまう、という共通認識が既に定着しているようである>

デベロッパーがバタバタ倒産すれば経済どころか中共は崩壊しかねないのだが、かの国は普通の国ではないので、どうなるのか。事実上倒産しても「倒産を公式に認めない」ことで不良債権の発生を隠し続けるのだそうだ。もう滅茶苦茶。問題の先送りである。

この倒産隠しの砂防ダムはやがては決壊するのだが、とりあえず今の危機は隠せる。「数字で出世する」国柄だから地方政府の官僚はそうしないと失点になってしまうという事情もある。中共中央も暗にそうするように指導しているのではないか。

いずれにせよ中共は崩壊する。我々は毎日しつこく中共の脛を蹴飛ばせばいい。

■1月16日(金)。朝は室温14度、ちとぬるい、昨日の雨はすっかり上がって快晴、フル散歩。

産経新聞評の続き。「【野口健の直球&曲球】日本の技術でヒマラヤの森を再生へ」1/8も良かった。
<マナスルとはヒマラヤにそびえる8000メートル峰の一つで、1956年に日本の登山隊によって世界で初めて登頂を成し遂げた山。麓のサマ村の村人たちは、今でもマナスルを「ジャパニーズマウンテン」と呼び、日本の登山隊を温かく迎えてくれる。

清掃活動を共に行うなど村人と交流を深めていく中で、日本人として恩返しができないものか、との思いが募り、06年に「ヒマラヤに学校をつくろうプロジェクト」を開始。このプロジェクトは何とか一段落ついた感じだ。

だから、今年はもう一つの大きな挑戦に取り組みたい。それは「ヒマラヤ森林再生プロジェクト」だ。仕事柄、様々な国を訪れるが、「木を切る文化」はあってもなかなか「植える文化」を持つ国はない。結果、土砂崩れが起き、人が亡くなることも。サマ村でも村人が生活のために木を切り、森林が破壊されたままの状態だ。

人は自然を破壊することもできるけど、自然をつくることもできる、ということ。

実際に可能性はあるのか、森づくりの専門家の方々に相談を重ねた結果、住友林業の専門家の方々がサマ村に現地調査に赴いてくれた。調査によれば、サマ村での森林再生は技術的に可能とのこと。日本の技術で、ヒマラヤの森、しかもジャパニーズマウンテンの麓の森林を再生する。このことにロマンと希望を感じるのは僕だけじゃないはず。

今年は様々な方々と連携して、このプロジェクトを実現させたい>

野口氏は41歳。戦没者遺骨収集にも熱心だ。氏のような若い人がいる限り日本は大丈夫だ。小生も「日本再生」プロジェクトの末席で奮闘しよう。
(2015/1/16)

2015年01月16日

◆韓国妄執“自業自得”

阿比留 瑠比



韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は12日の年頭記者会見で、日韓首脳会談について「日本側の姿勢の変化が重要だ」と曖昧な注文をつけ、慰安婦問題を早期に解決しなければ「韓日関係だけでなく、日本の歴史にも重荷になる」と言い募った。一方的でかたくなな態度には、ため息が出るばかりだ。

冷めた日本政府

「ムービング(動く)・ゴールポストだ」

韓国について政府関係者らと話すとき、何度この言葉を聞いたことか。慰安婦問題などで着地点を求めてそこを目指すと、いつの間にか韓国側がゴールをさらに先の方に動かしているという意味だ。

それでいて韓国側は日本に対し、具体案を示さずに「誠意を見せろ」と要求し続けているのである。

日本政府は現在、こうした韓国側の十年一日のようなあり方に冷めた視線を向けている。小紙の加藤達也前ソウル支局長の出国禁止のような現在進行形の人権侵害を除き、韓 何ともやるせない現状だが、予期せぬ効果もあった。韓国が日本だけを標的に歴史問題にこだわればこだわるほど、欧米で「なぜなのか」という疑問が高まり、客観的な事実関係を知ろうという新しい動きが出てきているのだ。

今年に入り、韓国メディアは相次いで次のような米国の元政府高官の「妄言」を伝えている。

「日本は過去、恐ろしいことをしたが、韓国もベトナム戦争の際は非常に冷酷だった。ベトナムではそれが非難を浴びている」(デニス・ブレア元国家情報長官・太平洋軍司令官)

「日本は韓国人戦争犠牲者に8億ドルを支払ったが、当時の朴正煕政権が慰安婦と呼ばれる被害者たちに伝えていなかった。古傷が治癒しない理由がここにある。韓国は、ベトナムで韓国軍が民間人に犯した行為を脇へ置いて、韓国と国交を結んだことを考えるべきだ」(ロバート・シャピロ元商務省次官)

国に対しては「放置でいい」(政府高官)との基本姿勢だ。

何ともやるせない現状だが、予期せぬ効果もあった。韓国が日本だけを標的に歴史問題にこだわればこだわるほど、欧米で「なぜなのか」という疑問が高まり、客観的な事実関係を知ろうという新しい動きが出てきているのだ。

今年に入り、韓国メディアは相次いで次のような米国の元政府高官の「妄言」を伝えている。

「日本は過去、恐ろしいことをしたが、韓国もベトナム戦争の際は非常に冷酷だった。ベトナムではそれが非難を浴びている」(デニス・ブレア元国家情報長官・太平洋軍司令官)

「日本は韓国人戦争犠牲者に8億ドルを支払ったが、当時の朴正煕政権が慰安婦と呼ばれる被害者たちに伝えていなかった。古傷が治癒しない理由がここにある。

韓国は、ベ日本は過去の経験から、韓国にいくら譲って も結局、ゴールポストを動かされるだけだと見切った。韓国側も、そろそ ろ歴史カードの乱用は控えないと「重荷」になるばかりではないか。(政 治部編集委員)トナムで韓国軍が民間人に犯した行為を脇へ置いて、韓国 と国交を結んだことを考えるべきだ」(ロバート・シャピロ元商務省次官)

欧米も疑問視

欧米メディアも昨年来、韓国側の負の歴史に注目するようになり、日本を執(しつ)拗(よう)に非難する韓国の外交姿勢に疑問の目を向け始めた。次のような報道がだんだん目立つようになってきた。

「慰安婦問題は、政争の具として利用されるべきではない。結局、日本から支払われた何億ドルもの賠償金を、犠牲者のためにではなく、莫大(ばくだい)な公共事業のために使ったのは朴大統領の父親だ」(米フォックス・ニュース)

「ライダイハンはベトナム戦争中、ベトナム人の母親と韓国人の父親の間にもうけられた子供を指す。多くは韓国人兵士によるベトナム人慰安婦への虐待から生まれた」(米CNN)

「韓国には、米軍基地周辺に基地村と呼ばれる売春街が存在した。ここで働いていた元米軍慰安婦120人以上が、『韓国政府が米軍のために組織した』として、1人1千万ウォンの賠償を求めて韓国政府を提訴した」(英BBCニュース)

元米軍慰安婦の訴訟に関しては昨年末、米軍準機関紙「星条旗新聞」も取り上げている。朴大統領が慰安婦問題を提起し続けた結果、韓国が触れてほしくない問題もまた、白日の下にさらされることになった。

元米軍慰安婦の訴訟に関しては昨年末、米軍準機関紙「星条旗新聞」も取り上げている。朴大統領が慰安婦問題を提起し続けた結果、韓国が触れてほしくない問題もまた、白日の下にさらされることになった。

日本は過去の経験から、韓国にいくら譲っても結局、ゴールポストを動かされるだけだと見切った。韓国側も、そろそろ歴史カードの乱用は控えないと「重荷」になるばかりではないか。(政治部編集委員)

産経ニュース【阿比留瑠比の極言御免】2015.1.15

◆シリア、イラクのIS空爆に派遣

〜仏が空母を〜

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
 

平成27年(2015)1月15日(木曜日)
   通巻第4442号  

 
〜イスラム過激派はなにを誤算したか
   ついに日和見フランスが空母をシリア、イラクのIS空爆に派遣。〜


パリの風刺漫画週刊誌「シャルリーエブド」編集部を襲ったイスラム過激派。「アラビア半島のアルカィーダ」が犯行声明を出した。

同調するイスラム過激グループは個別的にナイジェリアで、イエーメンで、ソマリアで残忍性を伴う自爆テロ、誘拐、破壊活動を拡大競争中だ。誘拐した女性等は性奴隷か、自爆テロ実行者に仕立てている。

フランスの反応は激越だった。

ナチス占領のパリ解放以来、フランスで100万人をこえるデモ行進や政治集会はなかった。テロ直後、フランス全土で合計370万人が抗議集会と行進に参加した。

フランス議会は97年ぶりに国歌を歌った。民族、宗教をこえてフランスが団結をみせようとしたのだ。ワインをのんで革命を語るサロン・マルキストを含めて。

オランド大統領は主力空母「シャルル・ドゴール」の艦上へおもむき、中東海域への空母の派遣を決める。IS(イスラム国)拠点への空爆強化である。

そしていま、フランスで大統領選挙が行われるとすれば、保守復調の波に乗ったサルコジ前大統領の復活・復権は難しくなり、マリーネ・ルペン率いる「国民戦線」が勝利するだろうと言われる。

ルペンは外国人労働者排斥、フランス愛国主義を訴える。

ドイツでも保守の新勢力が台頭した。予測外の事態である。

ドイツではナチスを連想する一切の図書も、宣伝も禁止されているため民族排外主義的な政治風土は育たないとされた。

ドレスデンに誕生したのは「西洋のイスラム化に反対する欧州愛国者」(PEGIDA)。日本のマスコミも、これを「ペギーダ」と伝えた。

毎週、ドレスデンで集会とデモを繰り返している。ペキーダは直截にイスラム教徒を攻撃せず「憎悪を拡大する宗教家」に反対していると訴えている。

ペギーダは、「私たちこそ国民だ」を唱える。

メルケル政権への揶揄である。(メルケルは東ドイツ出身で、当時の東独民主化運動は「私たちこそ国民だ」だった)。

9・11テロは米国をして「アフガニスタン」「イラク戦争」への引き金を引いた。アメリカ国民は熱狂的に復讐に燃えた。各地で星条旗が高々と掲げられた。

パリ編集部へのテロはフランスの空母派遣、国会での国歌斉唱という愛国への急傾斜をもたらした。欧州全土に保守政治運動の嵐が吹き始めた。オランダで、イタリアで、ハンガリーで。
 
中国の反日暴動は日本に安倍政権を奇跡的に誕生させた。政局を逆転させ、日本の街頭に日の丸が林立するようになった。朝日新聞は過去の出鱈目報道を謝罪した。

防衛力増強に反対の声はあがらず、戦後70年忘れられてきた国民精神の復活への兆しが見られる。

南シナ海での中国の侵略的横暴は、アジア諸国を「反中」で団結させた。 こうした動への反動が、つぎの政治を想定外の方向へ走らせる。

◆憲法改正に向けた議論の本格化を

櫻井よし子

 
安倍政権と日本にとって、2015年は極めて重要な年だ。14年末に発足した第3次政権の抱負として、安倍晋三首相は「強く誇りある日本」をつくり、「戦後以来の大改革」に「全身全霊を傾ける」決意を表明した。多くの国民が願ってきたことを明言化した決意表明は心強かった。

なぜ、強い日本が必要か。14年12月25日、シンクタンク「国家基本問題研究所」主催の国際シンポジウム、「国際情報戦をどう戦うか」に参加したペンシルベニア大学教授のアーサー・ウォルドロン氏が以下のように分析する。

中国は尖閣諸島を諦めない。米国は手を出さないと中国が確信したとき、中国の軍事行動が起きる可能性は大だ。米国は小さな岩島のために軍事介入はしない。なぜなら、米国の対中軍事介入は米中核戦争に行き着く危険をはらむ。米国のみならず、どの国も他国のためにそのような危険は冒さない。

他方、東シナ海における日米の軍事力と中国の軍事力では現在は日米が中国を圧倒するが、米国の大幅軍事費削減と中国の大幅な軍拡、日本のほとんどゼロに近い軍事費微増を考えると、日米の優位は、最大あと10年である。

その間にできるだけ早く、日本は英国やフランスのような国になる必要がある。その核心は原子力潜水艦を造り、核兵器を搭載して保持することだ。大きなけん制力を持たない限り、いかなる外交も交渉も力によって押し切られる。中国を含むどの国も弱い国の主張になど耳を貸さない。強い国になったとき初めて、日本の主張は聞いてもらえるということだ。


もう一点、なぜ誇りある国にならなければならないかである。習近平国家主席が偉大なる中華民族の復興だとして国威発揚に努める中で、日本を最悪の敵と位置付け、捏造した歴史を広め続けている。

米国を主舞台とする中国の対日歴史戦争が大胆に加速されたのが14年だった。韓国による慰安婦像設置の動きを中国が代行し、反日運動の主軸を握り、対日歴史戦争の前線に中国が立った。15年彼らは、韓国に次いで台湾を引き込み歴史戦の最大のヤマ場をつくる。それを基に今後末長く日本封じ込めをもくろむだろう。

北京郊外の盧溝橋にある「中国人民抗日戦争記念館」の東側で「台湾館」の建設が始まっている。台湾における日本の「悪政」と台湾人の命を懸けた抵抗運動の証しを展示するそうだ。

台湾の人々は今でも、日本統治時代を懐かしむ。国交がない現在も彼らの日本の記憶は、日本の後にやって来た国民党政府、さらには中国人への強い嫌悪感と は対照的に、非常に好意的である。現在の台湾をして、世界一の親日国にせしめて いる理由は日本統治時代の積極的な評価なのである。それを中国はねじ曲げ捏造する というのだ。

歴史捏造国家の中国の主張に対して、一つひとつ、その都度、きちんと反論 し続けるには、信念と知識に加えて、日本に対する誇りと信頼が、絶対に必要であ る。歴史戦に敗れないためにも、安倍首相の強調した日本に対する誇りが必要なゆえん である。

歴史のこの局面で全身全霊を傾け戦後以来の大改革を進めていくという首相の言葉を、少しでも多くの国民に共有してほしいと、私は願う。

戦後以来の大改革とは、日本国の全ての価値観の土台でありながら日本人の価値観や伝統と大きく離れている現行憲法の改正である。14年末の総選挙も、憲法 改正に向けて安定した勢力を得て、数年間、腰を据えて仕事をする時間をつくるため だったはずだ。

準備は整った。周囲の状況も風雲急を告げている。15年こそ、憲法改 正の議論を本格的に始めたいそのために私たちは何よりもまず、島国の視線を脱し たい。

広く国際社会を観察すれば、日本の直面する危機が分かるはずだ。

新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1066 

             (情報採録:久保田 康文)

◆イスラム狂信者は宿阿

平井 修一



英フィナンシャル・タイムズ「テロの陰にいる狂信者と世界を分かち合う方法」1/14から。

<先週のパリでの(イスラム過激派によるテロ)事件はどのように解釈すべきなのだろうか。なぜ自らの信仰のために他人をあやめたり自分の命を投げ出したりすることを覚悟してしまうのだろうか。

自由民主主義国はどのように対処すべきなのか。こういった疑問を抱いている人はたくさんいるに違いない。

実はこれらの問題には、エリック・ホッファーという傑出した人物が1951年に発表した著作『The True Believer: Thoughts On The Nature OfMass Movements(邦訳:大衆運動)』で取り組んでいる。ナチズムと共産主義を受けて練られた本書の考え方は、今日でも力強さを失っていない。

ホッファーによれば、トゥルー・ビリーバーの特徴は彼らの信仰の内容ではなく、信仰の主張の性質にあるという。彼らの信仰では、自分たちの教義が絶対的に正しいと主張されており、信者は絶対的な忠誠を求められる。

トゥルー・ビリーバーとはこうした主張を受け入れ、こうした要求を喜んで受け入れる人たちだ。彼らにとってはこの世界で大義が成就することの方が自分の命よりも、あるいはほかの誰の命よりも重要であるために、彼らは大義のために他人をあやめたり自分の命を投げ出したりすることを覚悟している。従ってトゥルー・ビリーバーは狂信者だということだ。

ホッファーが残した重要な指摘の1つに、人をトゥルー・ビリーバーにするのは貧しさではなく苛立ちだ、というものがある。ここで言う苛立ちとは、自分はもっと恵まれて然るべきなのに、おかしいじゃないかという感覚のことだ。

彼らにはいろいろな特徴がある。自分は社会になじんでいないという感覚があるかもしれないことも、その1つだ。社会のマイノリティーである移民の子供たちの中には、そう思っている子が恐らくいる。家族の母国の文化への愛着と、家族が移り住んだ土地の文化への帰属感は、どちらも脆弱なものになる可能性が高いからだ。

では、運動への信仰は何を提供してくれるのか。本質を言うなら、それは答えである。何を考えればよいか、どう感じればよいか、何をすればよいかを支持者に教えてくれるのだ。

信仰は、誰でも受け入れる共同体を提供してくれる。生きる理由を、人をあやめる理由を、そして自分が死んでいく理由を教えてくれる。空虚さを満たし、漫然とした人生に目的を与えてくれる。大義を与えてくれる。高貴な大義もあれば卑しい大義もあるが、大義であることに変わりはない。そして、重要なのは大義だ。

「すべての大衆運動は、その支持者たちの間に一致団結して行動する傾向を醸成する」とホッファーは指摘する。「どんな教義を奉じているかに関係なく、すべての大衆運動は狂信的な行為、熱狂、熱烈な希望、憎悪、そして不寛容を生み出す」。そして「盲目的な信仰と一途な忠誠」を要求するのだという。

西側諸国の世俗的な民主主義も、イスラム武装勢力のトゥルー・ビリーバーたちによる攻撃には弱い。戦争をすれば彼らを制御できるかもしれないが、西側がイラクとアフガニスタンの両方で学んだように、暴力では彼らは排除されない。敵は「テロ」ではなく、テロを生み出す彼らの思想だ。


自ら命をなげうつ行為を抑止するのは難しい。思想を圧倒するのも難しい。宗教的な思想を圧倒することなど、ほとんど不可能だ。もしそうした思想が衰えるとするなら、それはもっと魅力的な思想が登場して広まる時に限られよう。ことによると、より過激なものは消耗してなくなってしまうかもしれないが、それには長い時間がかかる恐れがある。

マルティン・ルターの思想が引き金となった欧州の宗教戦争の時代は130年にも及んだ。そんな前例を考えると、不安を覚えずにはいられない。

では、何をどうしたらよいのだろうか。筆者はこの分野の専門家ではないが、少なくとも利害関係はある。筆者は自由民主主義国の市民であり、今後もそうでありたいと強く願っているからだ。そこで、次のような6点をこの問いの答えとして示すことにしたい>(以上)

本来は「6点」こそ知りたいのだが、「封じ込め」以外は無内容なのでカットした。敵は「テロ」ではなく、テロを生み出す彼らの思想――思想を排除することも穏やかにすることもできるわけがないのだ、相手は狂信者なのだから。

封じ込めるためには警察力、軍事力が要る。容疑者を片っ端から摘発したら巨大な刑務所と金が必要になる。実行犯は死刑にできても未遂犯はせいぜい数年間の収監で、出獄すれば元の黙阿弥、またテロを計画するだろう。狂信者なのだから。宿阿として永遠にイタチゴッコを繰り返すしかない。

産経「【宮家邦彦のWorld Watch】欧州に学ぶな」1/15も大いに勉強になった。

<結局は(英仏)両国とも新移民の同化に失敗し、イスラム過激主義という爆弾を抱えてしまったのだ。

それでは日本はどうか。労働力不足を埋めるため日本は大規模な移民受け入れに踏み切るのか。踏み切った場合、欧州諸国が直面した問題を克服できるのか。欧州とは違いイスラム教徒の移民は少ないだろうが、新移民の同化が困難な点は日本も同じだ。

欧州に学ぶのか、学ばないのか。日本は今決断を迫られている>

支那人とコリアンの移民だけでもうんざりさせられているのに、わけが分からんイスラム原理主義者まで受け入れたりしたら、日本が日本でなくなってしまう。単純労働の移民受け入れを断固拒否していこう。(2015/1/15)

       
   

◆阪神淡路大震災人間模様

馬場 伯明



今年も1.17が巡って来た。あの大震災から20年になる。私は大震災を挟み大阪で単身赴任の6年半を過ごした。住まいは神戸市東灘区住吉であった。1995.1.17大地震の当日は3連休のため千葉の自宅へ帰っていた。

1.17早朝、東京駅で6:00の「のぞみ」に乗る予定だったが、神戸で大地震との緊急放送で、新幹線は停止。翌1.18、京都駅着、普通電車で梅田の大阪支社へ着いた。事務所はキャビネなどが転倒し、もう、めちゃくちゃだった。私たちの震災とのたたかいがここから始まった。

極限状況に直面した人々の悲しみやどうしようもない怒りが渦巻いていた(死者はその後累計6,434人、負傷者43,792人も・・・)。そして、幸運にも助かった喜びと安堵感、その生身の「人間模様」が今も鮮明に浮かんでくる。本文で紹介する人は負傷者もいるが皆生きていた。

私たちは、苦しい中でも踏ん張り、ユーモア精神を失わず、開き直り明るく生きていた。あらためて亡くなられた方々へ哀悼の誠を捧げるとともに、堅固な防災都市をしっかり維持するために備えを怠ってはならない。

震災の中の人々の行動の断片(人間模様)を以下に記す。文中のAさんやA君は誰でしょうか(事実だけど、やはり匿名とする)。その中に私もいる。たまに思い出し独笑いをする。2度とご免だと思いつつも、遠ざかっていく記憶は少し悲しい。

 1.「夜明けのストリーキング」Aさんの楽しみは寮の朝風呂である。1月17日、5時30分頃から湯船につかり鼻歌三昧。突然ドーンと大地震。体が宙に浮いて叩き付けられ、割れた大量の窓ガラス片が湯船に降った。歪んだドアをこじ開け暗い廊下を事務所へ走った。と、その時、はっと気づけば、フリチンチンだった。

 2.「みのむし、幸せ」震災で水、ガス、スチーム暖房がストップし、寮はメチャ寒い。割れた窓をダンボールで覆っているが、隙間から寒気が漏れてくる。全部の布団を掛けてもダメ。そこで登山用の寝袋をとり出す。寝袋に入り布団に入るとこれがけっこうホカホカだ。目だけを出した「みのむし」のA君は寒い夜長に「小さなしあわせ」を見つけた。

 3.「愛の証明」Aさんは亭主関白。俺が一番、俺が大将の人生一路。いつもは酒とTVを見ながらコタツで朝までうたた寝も多い。その日は久しぶりに妻と枕を並べて寝た。ところが、大地震!

Aさん、とっさに布団をかぶりおおいかぶさり妻を守った。「どういう気だったの、あんな時に」と後に笑顔で冗談をいう妻。「これでAさんは奥さんからの定年三行半はないね」と近所の人に羨ましがられた。

 4.「震災復興需要へ、走れ、走れ」東京から神戸は遠い。神戸の痛みはわからない。1週間後本社筋から「復興需要だ。ビジネスチャンス。それ行け」の大合唱。ソリバッテン(それだけど)、(偉いさんの)Aさんは自宅の屋根の修理はヨソの商品ば早々に手配済ゲナ(らしい)。会議では自社関連商品を販売せよとのハッパですタイ。(ヨソの商品の方がチョ
イ安かですもんネ)

 5.「セントラルヒーティング」:暖房のない夜は寒く長い。こんな夜は部屋に多くの人間が集まり「吐息暖房」。それから何と言っても酒、酒、酒だ。芯から温まるセントラル暖房だ。でも巨人じゃないぞ。レロレロ〜〜。

「あらまぁ、いいもんがある。無修正本番ビデオだ」とA君。電灯を消し、息を潜めて再生した。なるほどフムフム、皆の血流はセントラルへ。熱くなってきたぞ。さあ、部屋へ戻って、自家・・・発電だ!

 6.「ボランティア考」Aさんたち十数名は東灘区の団地へボランティア出動した。ガレキの片づけ、可燃/不燃物仕分け、可燃物の焼却などを手伝う。それでも、目の前のやるべきことに比べできたものはわずかだ。

日は暮れて道はなお遠い。しかし、この惨禍の中での小さな体験をとおし、1人ひとりが本当のボランティア精神を培うのだ。お涙頂戴の「TV物語」ばかりを見ていても事態は解決しない。

 7.「『暴言』に怒れ」(私たちは20年後であってもこんな暴言を決して忘れてはならない)「自分で炊き出しをすればいい(中川大阪府知事)」「死体を焼却しました(日本TV記者:ガセネタ)」、「(長田の煙を見て)温泉町のようです(筑紫哲也)」、「1度見ておかんと世間話もできん」(渡部恒三代議士)」、「両親をなくした子供を撮りたい(TBS
記者)」

 8.「自分のウンは自分で」:水道が止まった。水がない。大小の出物を流そうにも水がない。給水所まで600mを往復、ポリタンクの水の重さを実感する。オイルショックの頃「神(紙)に見放されたら、自分の運(ウン)は自分でつかめ」というトイレの落書を思い出した。

紙がないのも困るが水がなくてはもっと困る。こんなに大切な水を「ウン流し」にジャブジャブ使ってよいのかと、ウンウン自問自答しつつウンを流していた。

 9.「東京から、大丈夫か」震災直後の1/17、5:50、Aさんは三宮のスナックのママに「大丈夫か・・・」と電話した(直後から「不通」となる)。2ヶ月後、Aさんはスナックを訪ねママと感激の対面、「男」を上げた。私たちもついでにお相伴。「一瞬びっくり。でも、心にズキン!最高に嬉しかった」とママ。(「嬉」しいは「女」が「喜」ぶと書く!)。

 10.「サンテレビさん、ありがとう」大手のTV局が湾岸戦争さながらに、空から陸から興味本位の「災害報道」をくりかえす一方で、神戸のサンTVは被害者に役立つ「救援情報」の報道をずっと続けた。避難場所、水道、ガス、電気などのライフライン情報だ。

災害や他人の不幸を商売にせず地元で育ったテレビ局が期待どおりの働きである。サンTVさんありがとう。ずっとがんばってくれや。サンTVの視聴率はみんなでドーンと上げたるで・・。

「忘却とは忘れ去ることなり 忘れ得ずして、忘却を誓う心の悲しさよ」(昔の・・・連続ラジオドラマ『君の名は』より)。

大震災の事実も恐怖もすべて忘れてしまいたい。しかし、震災時の人の心の動きは、その醜(みにく)さも暖かさも、両方ともなかなか忘れられない。でも、忘れてはならないものだ。(千葉市在住 2015/1/15)

(注記)
本文は、阪神淡路大震災の11年後の本誌第297号(2006/1/15)への拙稿の掲載分を小修正したものです。

2015年01月15日

◆根深い米国の人種差別

加瀬 英明



アメリカのミズーリ州ファーガソン市で、昨年8月に白人警官による黒人青年射殺事件について、11月に郡の大陪審が警官を不起訴とする決定を下したのに対して、全米170ヶ所にわたって、黒人を中心とする抗議デモが拡がり、暴徒化して商品の略奪、放火などの騒ぎとなった。

アメリカの黒人に対する人種差別の根は、深い。

アメリカでは1863年に、奴隷解放宣言が発せられた後も、劣った人種として扱われて、選挙権も行使できず、差別が続いた。 

南部だけでなく、白人のレストランに、黒人は入れなかった。とくに南部では、駅の待合室、列車や、バスの中が区分けされ、トイレ、水飲み場まで、分けられていた。

1950年代に入ると、黒人による人種平等を求める公民権闘争が盛り上がって、ようやく1964年になって、ジョンソン政権のもとで人種差別撤廃を定めた公民権法が、成立した。

白人と黒人の間の性交渉や、結婚が犯罪とされていたが、1963年に最後の3つの州において合法化された。

黒人に平等な権利が与えられたというものの、就職をはじめ、社会的な差別が続いて、経済格差が大きい。

今日、ヒスパニック(中南米のスペイン系)を除く白人1世帯当りの平均年収が、5万8270ドルであるのに対して、黒人は3万4598ドルでしかなく、白人の73%が持ち家を所有しているのに対して、黒人は僅か6%でしかない。

アメリカにおける日本人に対する差別も、ひどいものだった。1924年にアメリカ上下院が排日移民法を立法したが、日本にとって屈辱的なものだったために、日本国民を悲憤慷慨(ひふんこうがい)させた。有名な『武士道』の著者である新渡戸稲造は、強い衝撃を受けて、「2度とアメリカの地を踏まない」と宣言した。

トルーマン大統領はミズーリ州の自宅に、「ユダヤ人と黒人」を立ち入らせなかったことを、生涯自慢していたが、広島、長崎に原爆を投下することを決定するのにあたって、側近に「動物は動物として、扱わなければならない」と述べたことが、記録されている。

私は有斐閣の昭和47年版の『六法全書』を、持っている。

なぜか、冒頭の「憲法論」の扉に、アメリカ独立宣言が英語と日本語で載っている。

「われわれは、次の真理を自明なものと考える。すなわち、すべての人間は、平等に造られている。彼らは、その造物主によって一定のゆずり渡すことのできない権利を与えられている。それらの中には、生命、自由および幸福の追求がある。(以下略)」

1776年のアメリカ独立宣言は、第3代大統領となったトマス・ジェファーソンによって起草されたが、人権という概念が黒人奴隷や、原住民に適用されることはなかった。その後も、インデアンの大量虐殺が続いた。

ジェファーソンも、初代大統領となったジョージ・ワシントンも、多数の奴隷を所有して、売り買いしていた。

記録によれば、ジェファーソンは200人を超す奴隷を、所有していた。奴隷の子は、7、8歳になったころに、母親から引き離されて売りに出されて、農場で日の出から日没後遅くまで、酷使された。

アメリカ独立宣言の高邁(こうまい)な文言は、農場の黒人奴隷が鞭(むち)打たれる音を聞きながら、書かれたものだった。

多くの日本国民が「平和憲法」と呼んでいる、占領下で強要された日本国憲法は、アメリカの独立宣言を手本にしたものだと信じているが、日本がアメリカの脅威に未来永劫にわたってならないように、軍備を持つことを厳禁し、日本を属国としようとするものだった。「平和憲法」は「日本の平和」ではなく、「アメリカの平和」をはかったものだった。
                     (国際問題評論家)

◆「インドは維新が始まっている」

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
 

<平成27年(2015)1月14日(水曜日)弐 通巻第4441号 > 


〜「インドは維新が始まっている」(スズキ会長)
  17社の自動車メーカーが生産を本格化させ、いずれ中国を凌ぐ〜


さきごろソフトバンクの孫正義氏がインドを訪問したところ、モディ首相が会見した。一民間人実業家と会うというのは異例である。

インドはコンピュータ産業の本場、ソフト開発のメッカ。孫の狙いは「第2のアリババ」探しである。孫は中国の馬雲と組んで、アリババの筆頭株主。同社がNY上場の折、時価総額で何千億が懐に入ったことはインド人でも知っている。

中国の自動車販売は2400万台強(14年度)、アメリカと欧州全体の販売台数を超えた。この趨勢はいつまで続くか?

日本企業が中国現地生産をつづけているのも、将来の巨大市場に希望を託しているからだが、トヨタ、日産、ホンダそれぞれ中国での販売減に見舞われている。

インドの自動車工場はデリー近郊のハリヤナ州、南東部のチェンナイ、一部はハイダラバード。しかし今後、最大の生産拠点となるのはグジャラート州である。

このグジャラート州の州都はアーメダバード。昨年九月、習近平中国国家主席はわざわざ、このアーメダバードを訪問し、同地の伝統的なブランコに、モディ首相となかよく乗って「友好」を演出した。

アーメダバードはデリートムンバイの中間地点、将来の新幹線という動脈ができれば、ますます便利になる。

言うまでもない。グジャラート州はモディ首相の出身地だ。

彼は「経済改革」をここから手を付け、「停電のない工業地区」を実現し、世界企業が注目した。日本からの工場誘致にも熱心で、州知事(グジャラート州首相)時代にも何回か、日本に来ている。

真っ先にインドで生産を本格化させたのはスズキである。1982年、地元のマルチと合弁で小型車の生産をおそるおそる開始した。

紆余曲折を経て、2002年にスズキはインド合弁企業を子会社化した。そしてインドでの生産は100万台を突破した。

いまやスズキはインド自動車市場の45%という圧倒的なシェアを誇る。日本車で次に目立つのはトヨタ、その次はホンダ、そして韓国ヒュンダイである。

筆者が最初にインドへ行ったのは1972年だった。

デリーの外国人が宿泊できるホテルはアショカホテルくらいしかなく、タクシーは「三日ほど待っている」(運転手)というほどホテルと空港と駅でひたすら客を待つ状態。主力はリキシャ。


 ▼グジャラート詣にケリー国務長官、バン国連事務総長も

インドを走る車といっても、時代遅れのロールスロイスやオースチン、それも中古のおんぼろ、まさしく英国植民地時代の名残であり、インドは独立後、ながらく経済鎖国のままだった。外向性自動車の輸入関税は200%だった。よほどの財閥しか購入できなかった時代が長く続いた。

筆者が雇ったタクシーは市内を3時間ほどチャーターしても、運賃は1ドル(当時レートは330円)。チップに1ドル渡すとじつに嬉しそうだった。ホテルのフロントは筆者がしていた安物のセイコー時計を「中古でもいいから売ってくれ」「是非、売ってくれ」と執拗だった。それで最終日に売ってあげた。18ドル(5940円)だった。日本で5000円もしなかった時代。時計には200%の関税がかかっていたのだ。

空港の売店に英語の書籍はあまりなく、『TIME』がおいてあったが、なんと3ヶ月前のものだった。免税店もオールドバーが8ドル、タバコは「555」「ロスマンズ」など、ことごとくが英国のブランドだった。カートンではなく一箱でも売っていた。

2015年1月11日からアーメダバードで世界から1000社の名だたる企業人が参加しての「バイプラント・グジャラート」がモディ首相の肝いりで行われた。米国からはケリー国務長官が飛んだ。

開会式のキーノートスピーカー(基調演説)に立ったのはスズキの鈴木会長だった。

そして鈴木氏はこう言った。「インドに維新が始まった」   

◆太平洋主要国の対中軍拡

平井 修一



岡崎研究所の「太平洋主要国の軍拡がもたらすもの」(ウェッジ1/8)から。

<米シンクタンクAEI(American Enterprise Institute)のオースリン上席研究員が、11月27日付の米ウォールストリートジャーナル紙に「太平洋諸国の軍拡」と題する論評で、太平洋地域で軍拡競争が行われているが、それは国際紛争への危険を増やすが、安定に資することもあり得る、と(以下のように)論じています。

豪海軍は11月、最大の軍艦を就役させた。アジアでは能力の高い海・空軍が活動する。これは国際紛争のリスクを高めるが、同時に地域の安定にも資する。

中国の空母遼寧(5万トン)が注目されている。完全な運用までは時間がかかるが、中国のパワーの象徴であり、マラッカ海峡や尖閣諸島のような紛争で役割を果たすだろう。地域の諸国はこれに対抗する能力を持たず、米国のみがより大きな力を持つ。

日本はこの状況を変えようとし、2013年、「出雲」を導入した。遼寧の半分のトン数で、ヘリ搭載型ではあるが、計画中の2隻の「出雲」は、改装すれば、短期間で垂直離着型F-35(B)を搭載できる。日本も尖閣諸島周辺にパワー・プロジェクション(戦力投射)し得ることになる。

豪州の空母、「キャンベラ」も公式にはヘリ搭載空母であるが、F-35を搭載するように改装されうる。日米豪の防衛協力は深まってきて、最新の航空機と艦船を使う空・海作戦は見えてきている。

中国軍の急激な近代化がこの引き金になっている。中国は3隻またはそれ以上の空母建設を計画し、Su-33に基づく戦闘機、ステルス性のJ-31(開発中)の搭載を考えている。米軍事専門家は中国の次世代戦闘機はF-15、F-18と同等であり得ると言う。

米中が軍事面で均衡になるには何年もかかるが、地域の米国の同盟国は、中国の優位に早く取り組むことになる。日本は、オスプレイ、グローバルホーク無人機、早期警戒機を買う決定をしている。

日豪は潜水艦で協力し、ベトナムはロシアから潜水艦を買い、インドネシアは韓国と協力して潜水艦を建造している。日本はベトナムとフィリピンに巡視船を供与している。

これらすべてが中国に東・南シナ海で領土主張をどうしていくか、考えさせるかもしれない。今は地域の国からの脅威はないが、先進的武器が拡散すれば、事情は変わってくる。南沙諸島、尖閣諸島での緊張に鑑みれば、対決になることがあり得る。

楽観的に考えれば、アジア諸国は防衛力の高まりで中国の野心に対抗する自信を持ち、中国はコストを考え、路線を変更することになる。そうなれば外交や政治の出番が来る。危険な対決より交渉が良いということになる。

アジアで外交は今日、力を持っていない。しかし、海空での条件変化により、合理性が主流になり、平和的解決が花開くかもしれない。(以上)

            * * *

オースリンは、この論説で、アジアでの軍拡の結果、衝突のコストを考え、中国も領土主張を平和的手段で行うように路線転換を行うことがあり得るとしています。オースリン自身も、楽観的に考えればと言っていますが、そういうことになる可能性はそれほど高くないと思われます。

孫子の兵法では、戦わずして勝つのが最善とされています。中国はサラミ戦術でゆっくりと地歩を築く傾向があります。領土獲得については、目的を変えず、かつコストの高い衝突はできるだけ避け、相手の反発を見極めながら徐々に圧力を強めてくるように思われます。

戦術的調整はしますが、路線転換はしない可能性が高く、戦術的調整を路線転換と勘違いしてはいけません。

中国の領土拡張主義には、こちらも力で対応する準備をしていく必要があります。日米豪が協力していけば、まだそれは可能です。それがバランス・オブ・パワーによる平和につながります。不安定な平和にしかならないかもしれませんが、それしか方法はありません。

中国が紛争のコストを考え、路線を変えるのであれば、よく見極めてこちらも対応を変えればよいわけです。国際法秩序を守ること、拡張主義はやめることを要求し、さらには軍拡競争に歯止めをかける軍備管理提案をすることなど、知恵はいくらでも出せるでしょう。

世界の歴史で比較的長期に平和が保たれたのは、勢力均衡による平和(ウィーン会議後の欧州)、核による相互抑止による平和、覇権国の圧倒的武力による平和(パクス・ロマーナや戦後直後のパクス・アメリカーナ)くらいしかなく、これからのアジアの平和は、勢力均衡による平和しかないのではないかと考えます>(以上)

オースリンの論考で「出雲」とあるのは「いずも」のこと。いずも型護衛艦(Izumo-class helicopter destroyer)は、海自が取得を進めているヘリコプター搭載護衛艦である。

先行して建造・配備されたひゅうが型をもとに大型化し、航空運用機能や多用途性を強化した。1番艦「いずも」が平成22年度(2010年度)予算で、2番艦が平成24年度(2012年度)予算で建造中という。

F-35については、2011年12月に空自のF-4EJ改の後継としてA型を選定した。基本型の通常離着陸機であるF-35A、短距離離陸・垂直着陸機のF-35B、艦載機型のF-35Cという3つの派生型を製造するが、いずもにF-35Bを搭載ることは容易で、事実上、空母に変身する。

中共はこの「いずも型護衛艦+F-35B」を警戒しているそうだが、敵が警戒する武器を持つことは抑止力になる。検討すべきだ。(2015/1/11)