2014年12月03日

◆中共経済は天国から地獄へ

平井 修一



「大紀元日本」は11月28日、「下落止まらず 中国経済は深刻な鈍化へ」と報じた。

<中国政府が相次いで景気対策を打ち出したにもかかわらず、10月の住宅価格は依然として前年比2.6%下落、2011年以来最大の下落幅を記録した。深刻な不動産不況は中国の経済成長を脅かしている。

18日付ロイター通信は、住宅価格が下落し、金融不安が広がり、投資家は投資先を見つけられずにいると報じた。多くの経済学者は、不動産開発会社が在庫削減に追われており、市場の調整が今後も続く見込みだとの認識を示した。

米PNCフィナンシャル・サービシズ・グループのエコノミスト、ビル・アダムス氏は、「中国の不動産市場はまだ調整期の下落段階に置かれている」とし、「不動産市場の調整期は、今後5〜7年間続くだろう」と述べた。

住宅価格の下落が続くなか、中国政府は9月、住宅ローンの頭金要件を緩め、ローン金利も引き下げた。当局は景気刺激に向けて大きな一歩を踏み出したが、中国経済は依然として不動産市場の脅威にさらされている。

中国への海外直接投資は、不動産とともに中国経済を支える「2本の柱」とされている。対中直接投資の推移は外国投資のパターンが変わったと物語っている。

今年1〜10月期の対中直接投資は、前年同期比マイナス1.2%となった。投資国トップ10のうち、韓国からの投資は26.4%増、英国は32.4%増となった。一方、日本からの投資は42.9%減、米国は16.2%減、欧州連合は23.8%下落した>(以上)

数年すれば回復するのだろうか。かなりヤバイ状況のようだ。産経11/27の「石平のChina Watch 金融不安、貸し渋り、ヤミ金融…失聯=夜逃げドミノに見る中国経済の末日」から。

<中国の新聞に今、頻繁に登場する新造語に「失聯」というのがある。「連絡を絶つ」という意味だが、多用されるのは企業経営者の場合である。

倒産寸前の企業の経営者が突然連絡を絶って夜逃げする、それが失聯事件となって世間を騒がすのだ。もちろんその際、企業の借金や未払い賃金などが踏み倒されるのは普通である>(以上)

経営者の失踪のみならず自殺も増えているようだ。

胡錦涛の提唱した「小康社会」「和諧社会」は掛け声倒れだったものの、人民の生活を安定させ、内需主導を目指そうという政策だった。

習近平はそんなことにまったく興味がなく、ひたすら帝国の再興を目指すばかりだ。中共経済は天国から地獄へ落ちる寸前だ。(2014/12/2)

◆軍高官8名の将軍らも失脚

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
 

<平成26年(2014)12月2日(火曜日)
      通巻第4410号> 

 
〜軍高官8名の将軍らも失脚、取り調べ中に2人が自殺
   徐才厚、郭伯雄の失脚に連座。軍高層部は習近平人脈で固める?〜

 
北京にある海軍総部副政治委員の馬発祥(中将)が同建物15階から飛び降り自殺したことが判明したのは11月13日だったらしい。中央軍事委員会規律委員会から取り調べの通知を受けた直後だった。この中将は干永波の配下だった。

干永波は89年天安門事件のとき、学生の弾圧を命じたトウ小平にした がい、軍の采配をふるい、このため新主席となった江沢民の覚えめでたく、その後はトントン拍子に出世した。

この干永波と徐才厚が繋がるのはふたりとも遼寧省瓦房店出身であることだ。中国社会は血縁・地縁重視で成立しており、よそ者には猜疑心、同郷人には連帯感の絆で結ばれる。だから徐の失脚直後に中国語メディアは「これで瓦房店人脈は瓦解した」と伝えた。

ほかにも軍高官の腐敗が目に余り、またポストを金で買う習慣があるため、やり玉に挙がったのは北京軍区戦文工作団長の劉武(少将)、総政治部保衛部長の干善軍(少将)らも取り調べを受けていると『看中国』(14年11月26日)が伝えた。

また瀋陽軍区では吉林省軍区副政治委員の宋玉文(退役少将)が「自殺」していた。捜査されていた期間に縊死したと11月19日に「博訊 網」がつたえた。

 現在、軍のなかで200名の高官軍人が取り調べを受けているとされるが、合計8名の将官クラスが含まれ、自殺者2名だ。

いずれも前軍事委員会副主任だった徐才厚と郭伯雄の配下になってから、その後ろ盾の江沢民のお眼鏡に叶い出世した軍人たちである。

 こうなると、習近平の究極的な狙いは軍内の不配分し一斉を表看板として、じつは江沢民派を根こそぎ軍高層部から追い出し、軍部内での自派を強固な基盤とするためだろうと推測されている。

   

◆対中戦略なきオバマの敗北

櫻井よしこ



11月の第2週、アジア太平洋地域の首脳陣が中国の北京からミャンマーのネピドー、豪州のブリスベンへと一斉に移動した。北京でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)、ネピドーでの東アジア首脳会議(EAS)、ブリスベンでの20カ国・地域(G20)首脳会議開催に合わせての動きだが、並み居る首脳の中で最も精彩を欠いていたのが、世界の大国アメリカのオバマ大統領だった。

同大統領は国賓として中国を訪れ、習近平国家主席と、散策を含めて、都合10時間語り合ったと発表された。昨年6月の習氏のカリフォルニア訪問を彷彿させる。

後世、この首脳会談はアメリカの権威の陰りを象徴する場面として、人々の記憶に残るだろう。それほど両首脳の明暗は際立っていた。一連の会談を貫いたのは、何が何でもアメリカと肩を並べ、大国の地位を確立するという中国の決意と戦略の巧みさだった。対してアメリカは終始、戦略を欠いた感を否めない。

首脳会談後の12日、両首脳が共同記者会見に臨み、習氏が口火を切った。氏は「米中両国は新型大国関係の発展を進めることに合意した」との言葉で発言を開始し、「ゆるぎない精神とあくなき努力で、米中は新型大国関係の構築をさらに進める」と締め括った。

「新型大国関係」は、中国が切望する、中国と米国を軸とする世界秩序である。太平洋を二分して米中が各自の領域を守る、互いに協力はするが各自の核心的利益は尊重する、というような内容だ。こんな合意を進めれば、アメリカは、台湾、チベット、南シナ海、尖閣を中国の核心的利益として認めることになる。

冒頭と結語で新型大国関係について触れつつ、習氏は、米中が協力し合うことになった案件を両国の緊密さを示す事例として大いに喧伝した。

金融、経済、軍事、対テロ、環境、ビザなど10余りのプロジェクトをひとつひとつ紹介し、太平洋は中米二つの大国の発展(development)を受け入れる十分な広さがあると、「太平洋分割論」をAPECの場で堂々と強調したのだ。

ASEAN諸国は様子見

APECに先駆けて10月に創設したアジアインフラ投資銀行(AIIB)は全面的に開放されていると語り、AIIBを警戒するアメリカに参加を呼びかける挑戦的な発言もあった。

AIIBのみならず、BRICSによる新開発銀行設立に合意し、シルクロード基金(400億ドル)の創設も決めた中国は、約4兆ドルといわれる外貨準備を活用し、カネをアジア太平洋地域にばら撒いて、アメリカや日本の資金力を基軸とする現行の金融・経済の主役に取って代わる野心を見せているのだ。

習氏の自信に満ちた発言の後、オバマ大統領が語ったが、これほど戦略的思考を欠いた発言も珍しい。アメリカは中国の成功を期待する、中国を疎外しない、中国経済のおかげでアメリカ経済も成長したと、くどいほど繰り返し、こうも語った。

「両国関係を新たな地平に引き上げる」

その前日(11日)の夕食会でも大統領は、「米中関係を新たな段階へ引き上げたい」と語っていた。

中国の言う新型大国関係に事実上、同意しているのではないかと解釈される脇の甘さを露呈した発言である。この種の発言は、米中関係における米国の後退を印象づけ、APECに続いて行われたEASでの議論に顕著な影響を与えたといえる。EASの声明の対中姿勢が、たとえば今年5月のASEAN首脳会議の声明と較べて、大きく後退したのである。

5月の首脳会議では、ベトナムが領有権を主張する海域に、中国が大型石油掘削船を派遣し、掘削を開始したこともあり、ASEAN諸国の危機感は強かった。議長声明で中国の行動に「深刻な懸念」を表明し、28項目の合意事項を決めた。

そこには、「民主主義の推進」「よき統治」「法の支配」「人権と自由の擁護」「紛争の平和的解決」「国際法の原則」「南シナ海の行動規範」「国連海洋法条約」など、明らかに中国を念頭に置いた項目が繰り返し登場する。これに較べると、11月の声明は殆ど沈黙したに等しい。

ASEAN諸国の首脳発言も低調だった。アメリカの支持を背景に対中強気発言を繰り返してきたフィリピンのアキノ大統領は、2月4日に中国をナチスドイツにたとえて、激しく非難したが、今回は様変わりだ。

「我々は(領有権問題を)これまで声高に叫んでなどいなかった」「建設的な解決法を見つけたい。南シナ海問題を最重要の問題とすることはしない」などという具合である。

アキノ大統領のみならず、ASEAN諸国はアメリカの弱気を察知して、対中対立姿勢から転じて、様子見をしているのだ。大国アメリカが揺らげば、ASEAN諸国はひとたまりもなく中国に屈服せざるを得ないことが今回のEASで鮮明になった。

弥生時代に遡って…

アメリカの後退と中国への恐れから明確な中国批判は影をひそめたが、南シナ海、東シナ海における中国の蛮行はおさまるどころか悪質さを増している。中国は約40年前にベトナムから奪った西沙諸島の永興(ウッディー)島に10月、軍事用滑走路を完成させた。同島は中国が2012年に一方的に設立した海南省三沙市の核をなす島で、南シナ海を統括する人民政府も置かれている。

ベトナムが領有権を主張する永暑島(ファイアリークロス礁)の埋め立ては今年6月頃に始まっていたが、いまや南沙諸島の中で最大規模の0.9平方・に達している。そこには中国人民解放軍海軍陸戦隊(海兵隊)200人が駐屯し、ヘリポートや大型艦船用の埠頭も完成済みだ。今後、滑走路の建設と対空ミサイルの配備が進むと見られている。

また中国は、10月17日、「中国が支配する、南沙諸島の7つの岩礁のうち、6つで人工島建設が進行中」と発表した。6つの岩礁を島にして、レーダーを設置すれば、中国軍は容易に南シナ海全空域を監視できる。制空権の確立は制海権の確立に通ずる。

中国の膨張はとどまるところを知らないかのようだ。極めつきは南シナ海領有権の根拠である。今年6月、中国人民解放軍副総参謀長は「中国は2000年前から南シナ海の島々を領有している」と語っている。

日本の弥生時代に遡って、中国に領有権があるという馬鹿馬鹿しい主張である。

このような中国に、オバマ大統領はきちんと対処できないのである。大国の首脳としての気概を欠くオバマ外交が、中国を一気に野蛮なる大国の座に押し上げる最大の要因だ。国際秩序も、法も超えようとする異形の中国に、安倍首相は断じて、オバマ大統領のように精神的に屈してはならない。

2014年12月02日

◆「民主王国」で戦う安倍首相の愛弟子

阿比留 瑠比



愛知3区= 「民主王国」で戦う安倍首相の愛弟子 両陣営とも「どうにも実感がわかない」

愛知県は「民主王国」といわれ、平成21年の前々回衆院選では民主党が全15選挙区を独占した。前回24年の衆院選では、民主党への逆風に乗じて、自民党が逆に13選挙区で勝利したが、今回はどうなるのか−。

安倍晋三首相が「愛知県で一番厳しい選挙区になる」とみるのが、名古屋市東南部の愛知3区だ。ベッドタウンが広がる同区は、当選6回の民主党ベテラン、近藤昭一元環境副大臣の「金城湯池」だった。

前回は、ここに名古屋青年会議所理事長、日本青年会議所(JC)会頭を歴任した池田佳隆氏が自民党新人として挑み、約3700票差で辛勝した。3区で自民党が勝ったのは初めてだった。

JCといえば麻生太郎副総理兼財務相の牙城だが、池田氏は「安倍のまな弟子」を自任する。18年7月、北朝鮮が弾道ミサイルを発射した際、たまたま面会した首相(当時官房長官)に「日本は大丈夫ですよね」と聞くと首相はこう言った。「安心してください。日本は私たちが必ず守ります」

この言葉に感動し、政治家を志した池田だが、今回その表情は厳しい。

「『民主はノー』という風が吹いた前回に比べて今回は厳しい。経験したことのない重圧を感じている」

池田氏の選挙戦は極めてオーソドックスだ。当選以来、毎週末地元に帰り、さまざまな行事に顔を出すとともに企業・団体回りを続けてきた。今回は「アベノミクスを止めたらおしまいです。民主党には対案さえない」と訴え続ける。

それでも「近藤ブランド」は強く、その支持者層を崩すのは容易ではない。

それだけに自民党執行部は「勝てばアベノミクスの浸透を示す象徴区になる」と2日の出陣式には稲田朋美政調会長を、4日には下村博文文部科学相を送り込む。選挙戦後半には首相も3区入りする方向だ。

一方、捲土(けんど)重来を期す近藤氏の陣営は情勢をどう見ているか。陣営幹部は率直にこう打ち明けた。

「解散前の民主党の調査では10ポイント負けていた。前回でさえ解散 時にはこっちが優勢だったのに…。『近藤はいいけど民主はダメ』という 人はまだ多い。初めての追いかける選挙戦だ」

産経ニュース【阿比留記者が行く】2014.12.1

◆対中国、論外な民主党の公約

櫻井よしこ



いま国際社会が直面しているのは世界史上初めて出現した異質の大国、中国の脅威である。大陸国家でありながら海洋大国を目指し、共産党一党支配の社会主義国でありながら都合のよい形で資本主義をとり入れた。

軍事、経済両分野で世界第2の大国となり、力で現状変更を迫り、膨張を続ける中国の前で、「繁栄し平和で安定した中国の台頭を歓迎する」というオバマ米大統領の言葉ほどむなしいものはない。

侵略を続ける中国と 後退姿勢を強めるアメリカの2大国が引き起こす世界史的な変化の中で、 日本はどのような国になるのかを決するのが、今月14日の衆院選挙の真 の意味であろう。

国際情勢の地殻変動の中で日本は確実に生き残り、繁栄を維持していかなければならない。そのためには戦後約70年間、当然の条件だと見なしてきた国際社会の価値観や体制がどう変化しているか、その現実を認識することが欠かせない。

2020年までの第2列島線の確立を掲げ、アメリカに新型大国関係を 迫り、太平洋分割論や核心的利益の相互尊重を主張する中国がわが国の領土領海をうかがう中、アメリカの民主、共和両党が構成する「米中経済安全保障調査委員会」は11月20日、「明らかに習近平主席には高いレベ ルの緊張を引き起こす意思がある」と年次報告書で断じた。


アメリカの後退が生み出した政治的、軍事的空白に、間髪を入れず侵出してくる異質の価値観の中国やロシアとどう向き合うのか。日米関係を重要な外交の基軸としながらも、あらゆる面で日本自身の力を強化しなければならない。その第一歩が14日の衆院選挙における選択である。

 そう思って読めば、民主党の公約は論外だ。外交・防衛に関して民主党は「他国に脅威を与えるような軍事大国とならない」と公約し、安倍晋三政権による集団的自衛権の限定的行使容認の閣議決定を撤回すると明記した。

他国に脅威を与えているのは中国であろう。アジアのおよそ全ての国々はそう実感している。だからこそ対中抑止力の構築で日本への期待が高まるのだ。

フィリピン、ベトナムへの海上警察能力向上のための支援やオーストラリアとの新型潜水艦の共同開発がどれほど歓迎されているかを、民主党は正視すべきだ。民主主義、自由、国際法を基本としてアジアの平和維持に貢献する力を各国は日本に求めている。そのような目的に資する行動を、憲法・法律上可能にしていくことが日本の責務である。

民主党はしかし、日本国民や日本国の危機に対処するための集団的自衛権の行使さえ「歯止めなき武力行使拡大」であり、「それに不安が募っている」と書いている。

産経ニュース【櫻井よしこ 美しき勁き国へ】2014.12.1

◆私の「身辺雑記」(166)

平井 修一



■11月29日(土)。朝は室温14度、微雨、フル散歩。「いい肉」の日は犬の誕生日、16歳。人なら90歳。10年以上、散歩前に煮干しを5本与えているためか、骨も歯も問題ないようだ。

今度は6歳女児発熱で集団的子育て。風邪の季節でもある。

散歩道の半分は未舗装路で誰も掃除しないから、すっかり落ち葉のじゅうたん。晩秋というか初冬というか。

北陸出身の人が「冬は晴れないから憂鬱になる。太平洋岸に住むと、もう実家に戻る気にはならない」と言っていたが、新潟に実家のあるご婦人の父上は一人暮らしをしていたが最近亡くなり、今さら実家に戻れやしないので家を処分することにしたという。

処分といっても、遺品の整理、解体して更地にするなどの手続きが必要だし、第一、駅近くならともかく、バスしかないという郊外なら売れるかどうかも分からない。悩ましい問題だ。

戦前は家は借りるものだったが、1964年の東京五輪以降の高度成長期からは買うものになった。死ねば相続税が発生するから厄介だ。借りた方がいい場合が多いのではないか。

犬の誕生祝で、真鯛のカツと銀鮭の照り焼きを通常の餌にプラスしてやった。長生きしてね。

■11月30日(日)。朝は室温15度、快晴、フル散歩。

昨夏「革命教祖列伝:黒田寛一」を書いた。ごく一部を引用する。

<タイトルの「革命教祖」とは、新左翼に影響を与えた「教祖的人物」というほどの意味だが、黒田寛一はカルト的な革マル派の文字通りの教祖であり、唯一神であり、最高指導者であり、オーナーだった。

黒田寛一(かんいち、ひろかずとも)は1927年10月20日生まれ。彼が革命史に登場するのは1957年、太田竜らとともに「革命的共産主義者同盟」(革共同)を設立したことによる。黒田は議長に就任した。新左翼の誕生である。

議長というのは名誉職のようなものだから大人しくしていればいいと思うが、黒田は1959年8月の革共同第一回大会で「スパイ行為をした」として除名された。日本共産党の情報を警視庁に売ろうとしたのだという。

革共同の実務を担っていた本多延嘉(のぶよし)は後に黒田に殺されるが、このときは一貫して黒田を弁護し、黒田とともに離党して1か月後には「革命的共産主義者同盟全国委員会」を結成した。

革共同全国委は黒田議長、本多書記長をトップに政治局員に清水丈夫、陶山健一、北小路敏などがおり、「反帝国主義、反スターリン主義の革命的マルクス主義」を標榜していた。

名誉職の黒田は持病を抱え、視力もほとんど失っていたから党の理論面を支えていた。本多をボスとした政治局は「黒田さんは理論構築を進めてください、大衆運動の現場は僕らがやりますから」という分業だったろう。

黒田は講演もしたが、これはどうも性に合っていなかった。今井(公雄、「左翼過激派の20年」の著者)は1980年以降は作家だが、革共同全国委時代から幹部を務めていたようで、とても詳しい。こう書いている。

「全都の学生を集めておこなっていた黒田の講演学習会のことである。62年の9月から11月にかけてのことで、黒田はおおむね次のような主旨のことを話した。

『われわれはサナダムシであ〜る。サナダムシは〜、あごんところについてる鈎で胃壁に食らい付いてどんなことがあっても離さない。そんでもって、最後には本体を倒しちゃう』

いまではあまり知られていないことだが、当時を知るものなら知らぬものない『全国委員会寄生虫論』である」

今思うに、これは黒田の組織論の原点ではなかったか。「労働組合などの組織にこっそりと寄生虫のごとくに入り込み、やがては組織を乗っ取る」という戦略である。

革共同全国委は基本的に大衆運動主義で、「大衆運動の中で前衛党を作っていく」という考えだ。黒田は「まず組織を作り、それを核に前衛党を作る」という方向だろう。黒田にとっては「集会やデモをやり大衆を煽っても無駄。まずは組織づくりが肝心」ということだ>(以上)

後に革共同全国委は中核派(本多派)と革マル派(黒田派)に分裂するが、その当時は中核派が優勢だったが、今は劣勢になり、一方で革マル派は多分あらゆる組織に寄生し、サラミ戦術のような乗っ取り作戦を進めている。沖縄も乗っ取られた。

今、公明党にすり寄っている佐藤優は現在の革マル派の隠れリーダーだろうし、翁長や枝野幸男はその手先だろう。黒田の「サナダムシ寄生虫戦略」は大成功し、日本を侵食しつつある。同志諸君、油断大敵だ。エッシェ!(撃て)

■12月1日(月)。朝は室温17度、微雨の中、散歩に出たが小雨になったのでハーフでお仕舞。6歳児の風邪はほぼ直ったがN母子はまだいる。月の半分はわが家で過ごしているだろう。サナダムシ寄生虫戦略だな。

夕べ、キッチンで急に倒れ込んだ。あっという間に天井が見えて、訳がわからないままドテッ! 加齢のせいか、と一瞬、渡部亮次郎氏を思い浮かべたが、小さな椅子(正確には踏み台、植木鉢の台か)が壊れたのだ。よく見ると支柱と梁がボンドで接着され、その上に3枚の板を載せて12本の釘で固定しているだけなのだ。中国製じゃないか? 補強して復活。

師走は「お坊さんが街を走りまくるからだ」という説があるが、12月はお坊さんが檀家をめぐってお経をあげる習慣があったのだという。たとえば檀家が300軒あれば、1か月で全部を回るとすれば1日当たり10軒。読経30分、移動10分か。明るいうちに回らなければならないから大忙しだ。

今はバイクがあるからいいけれど、昔は本当に小走りをしたのだろう。今は小生の菩提寺には施餓鬼法要の1〜2か月前あたりに連絡があり供養料などを納めているが、昔は12月にお坊さんが檀家をめぐって読経し、お布施を集めたのではないか。今の相場だと1軒あたり最低3万円、総額1000万円ほど。これなら走る。

もっとも昔は普通の寺でも和尚さん以外にお坊さんは複数いただろうから、手分けして回ったのだろうが。(2014/12/1)

◆すでに次の運動は総統選挙へ

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
 

<平成26年(2014)12月1日(月曜日)通巻第4409号> 

 
〜台湾統一地方選挙で国民党が惨敗したが
  すでに次の運動は2016、総統選挙へ移行〜


11月29日に投開票が行われた台湾の統一地方選挙で、中国国民党は歴史的な大敗を喫し、江宜樺・行政院長(首相に相当)が引責辞任した。

 6つの直轄市で中国国民党候補が勝ったのは新北市のみ。それも民進党候補に約2万4千票差に迫られる接戦だった。この直轄市6市を含む22の県・市で、中国国民党は15席から6席となり、民進党が6席から13席に倍増、無所属も1席から3席に増えた。

 中央選挙委員会によると、投票率は67.59%、有権者数は1851万1356人。29日夜11時25分にすべての開票作業が終わった。

今回選挙の最大の特徴は台北市に現れている。組織に頼らない無所属の柯文哲候補が24万票もの大差をつけ、中国国民党の連勝文候補を下した。連候補は、中国国民党の正統を象徴する連戦・中国国民党名誉主席の御曹司。一方の柯候補は台湾大学医学部の外科医で無所属。いわゆる藍(ブルー)と緑(グリーン)という2大政党によるイデオロギーのぶつかり合いとはならなかった。

柯候補は民進党に頼ることなく、自らの力で民意に訴えた。民進党は遠巻きに支持するだけだった。台北市民は柯候補を選んだ。

これは、ひまわり学生運動の学生たちが示した構図だ。民進党などの政党に頼ることなく、自らの力で立法院を占拠し、中国とのサービス貿易協定に異を唱えたのとまったく同じ構図だ。民進党は学生たちを遠巻きにして応援するしか術がなかった。

選挙中、連候補の父の連戦氏は、ひまわり学生運動世代について「社会の不安定を招いている」と批判した。しかし、民意はひまわり学生運動を支持した。

今回の選挙で、台湾の民意は、政党によるイデオロギー対立を望んでいないことが明らかになった。社会の不安定を招いていたのは政党対立だったのだ。台湾の民主主義は新たな段階に入った。

今回の選挙結果で、2016年の初頭に行われる立法委員と総統の国政選挙では、俄然、民進党が優勢になったのかもしれない。しかし、この見方は浅いのではないだろうか。

当選した柯文哲氏が記者会見で「政治を信頼することはすなわち良心を取り戻すことだ」と述べたように、台湾の民意は政党のイデオロギー対立ではなく、台湾人としての良心を取り戻すことにある。民進党は大幅な路線修正を求められている。大勝して浮かれているときではない。
       ◇  ◇  ◇
2014九合一選舉 各縣市長選舉結果【自由時報:2014年11月30日】
 http://www.ltn.com.tw/
(カーソルを選挙区に合わせると、全候補者の政党や得票数、得票率が示されます)
次点との差が3万票を切った接戦地区は以下の通りです。

新北市:24,528票
朱立倫(国民党)959,302票(50.06%) 
游錫●(民進党)934,774票(48.78%) ●=方方の下に土

桃園市:29,281票
鄭文燦(民進党)492,414 票(51.00%)
呉志揚(国民党)463,133票(47.97%)

新竹県:5,611票
邱鏡淳(国民党)124,309票(46.94%)
鄭永金(無所属)118,698票(44.82%)

南投県:5,642票
林明?(国民党)149,361票(50.96%)
李文忠(民進党)143,719票(49.04%)

台東県:10,412票
黄健庭(国民党)64,272票(54.41%)
劉櫂豪(民進党)53,860票(45.59%)

澎湖県:5,631票
陳光復(民進党)29,164票(55.34%)
蘇崑雄(国民党)23,533票(44.66%)

金門県:8,819票
陳福海(民進党)23,965票(52.77%)
李沃士(国民党)15,146票(33.35%)
        (「李登輝友の会メルマガより転載」)
         

2014年12月01日

◆社会保障より道徳教育

加地 伸行


バスに乗っていたときの出来ごと。十数人ぐらいか、保育所の子供たちが乗ってきた。引率の保育士から教えられたのであろう、座席には座らず、ずっと立っていた。

もちろん、手はいろいろな物にすがっていたのであるが、バスが揺れると大きく体が動く。保育士たちが注意の声をかけていた。

そのとき、ある老女性が大声で「あ痛! ヒールで踏まれた」と叫んだ。どうやら保育士に足を踏まれたようである。

その保育士は何度もすみませんと言って謝っていた。しかし、保育士はゴム底の運動靴を履いており、仮に踏まれたとしても、革靴のヒールほどの痛さはあるまい。

それに揺れたときの話であり、わざと踏んだわけではない。幼児たちはよく訓練されており、立ってよろよろしながらも行儀よく友だち同士で助け合っていた。

痛いとわめいた老女性は着席していた。その顔つきは、その心と同じく、大人げない、エゴむき出しであった。

世間ではよく言う、老人を大切にし、労(いたわ)れ、と。その言や良し-しかし、それはあくまでも一般論であって、世にはどうしようもないつまらない老人がいることも事実である。

にもかかわらず、〈老人の特権〉は当然と思っているので、困る。同じ老人としての私からは言いにくいことなのだが。

世には老人エゴが横行している。大した病気でもないのに病院通いして、社会保障における医療費を増やしている。受け取る年金額に対してこれでは生活ができないと不満。しかし年金はあくまで補助なのであって、自分の老後は自力でいろいろな形で準備しておくのが筋。

老人には働く場所がないと言うが、それはおかしい。たとい月に1万円でも2万円でもいい、働ける場所を求めるならば、必ずある。じっと座って年金だけで暮らすというのは、安易であり、健康的でない。

遊んでいる不平不満老人に必要なのは、社会保障よりも道徳教育ではあるまいか。義務教育において、やがて教科としての「道徳」が登場する。とすればそれを受講させてはどうか。

すなわち、閑居老人が小学校に再入学するという案である。これは楽しいではないか。教科は、道徳のみならず、なんでもほぼ分かる。学校が楽しくなる。昔はいやだった人でも。

そして空き時間には同級生の少年少女に勉強を教えることもできる。運動会、文化祭、遠足-楽しいではないか。

経験がある人は、クラブ活動における指導ができるし、また担任の手助けもできる。

老人を若干の日当でそういうふうに生かせる再入学制を文科省は考えてはどうか。政治家も政策の一つとして選挙公約の中に入れてもいいのではないか。

老人を再教育しつつ、同時に教員の助手、学校の要員として遇することである。老人をほったらかしにしているから、いろいろと問題を複雑にしているのである。『礼記(らいき)』大学篇(へん)に曰(いわ)く、「小人 閑居して(ひまにしていると)不善をなす」と。     (かじ のぶゆき) 立命館大フェロー

産経ニュース【古典個展】2014.11.30

                   (情報採録:久保田 康文)

◆専守防衛という無策・愚策

平井 修一


読売11/30から。

<【北京=五十嵐文】中国中央テレビによると、中国共産党・政府は28、29の両日、北京で外交政策に関する重要会議「中央外事工作会議」を開いた。

習近平国家主席は「領土主権と海洋権益を断固として守り、領土や島嶼とうしょを巡る紛争問題を適切に処理する」と述べた。

習氏は今月10日に北京で安倍首相と初の会談に臨んだが、沖縄県・尖閣諸島を巡り対日圧力を維持する方針を強調したとみられる>

習は南シナ海で不法占拠した島嶼に基地を造っている。口先では平和を唱え、やっていることは戦争準備だ。太田文雄・国基研企画委員の論考「米が予測する2020年の中国海軍増強」(11/25)から。

<11月20日に出された米議会諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」の年次報告書で、2020年までにアジア太平洋地域に展開する中国海軍の潜水艦とミサイル搭載水上艦の数は351隻に上り得るとの予測がなされた。

2020年といえば、人民解放軍の海軍建設のタイムスケジュールでは小笠原からグアムに至るいわゆる第二列島線内の制海を確保する年である。

これを予言するかのように、最近、小笠原諸島沿いの海域に一時200隻を超える中国の珊瑚密漁船が出現した。ちょうど尖閣問題が1978年の100隻を超える武装漁船の領海侵犯から始まったように、である。

*珊瑚密漁、習主席が黙認か

今回の中国珊瑚密漁船は3割が福建省、7割が浙江省の船であり、習近平国家主席がかつて17年間と5年間それぞれ勤務した土地であることから、彼のコントロールが十分働く。

しかも2014年から彼は国内外の安全保障政策を統括する国家安全委員会のトップにもなり、公安省の指導を受ける海警部隊とつながっている漁船の出漁に積極的ではないにせよ暗黙のゴーサインを出したことは十分考えられる

これは『孫子の兵法』の「倍すれば則ちこれを分かち」(味方が倍であれば敵を分裂させ)にのっとり、限られた海上保安庁巡視船勢力を尖閣から小笠原列島に「分かつ」とともに、「実を避けて虚を撃つ」(敵が備える所を避け、隙のある所を攻撃する)に沿って、日本側の警備の手薄な小笠原を狙ったものと推察される。中国海軍艦艇が第二列島線まで進出するケースも近年急増している。

*「専守防衛」の呪縛を解け

こうした中国の動向に対応するためには、報告書にあるように集団的自衛権の行使により日米同盟を強化するとともに、日本も防衛費及び自衛隊の人員を増加させる必要があるが、防衛予算のより効果的な使い方として攻撃的能力を保有する必要があろう。

海上自衛隊のイージス艦は、米海軍のそれ同様、対地・対艦攻撃能力を保有した巡航ミサイル・トマホークを装備できるにも拘らず、「専守防衛」という呪縛により装備していない。

海上自衛隊はSH60ヘリコプターを保有しているものの、米海軍の同型ヘリコプターに装備されている対艦ミサイル・ペンギンを装備していない。

また、無人航空機に関しても、安価で攻撃能力のあるプレディターを購入する方がその数倍も高価で攻撃能力のないグローバルホークを購入するより効率的に防衛予算を使用できることは米軍人も指摘しているのに、自衛隊はグローバルホークを導入しようとしている。

報告書はとりわけ日本との関連で米軍の抑止力低下を懸念している。そうであれば、我が国が自発的に抑止力をつけなければならない。戦略理論上からも誤りである「専守防衛」から脱却すれば、軍拡著しい中国を限られた防衛予算のために「攻撃できない」という我が国の「虚」を減らすことができる>(以上)

何という情けない状態なのか。中共が攻めてきているというのに無為、無策、愚策を続けていくのか。日本人よ、目覚めよ! 平和でいたいのなら戦争にしっかり備えよ!(2014/11/30)

◆「米軍と人民解放軍」の衝撃

泉 ユキヲ



著者は布施 哲。テレビ朝日の政治部記者である。テレ朝入社10年目に社費で防衛大学校へ行き、国際安全保障学の修士号を取ったという変わった経歴。

こちらに、布施哲さんが防衛大学校のウェブサイトに寄せた一文がある:

「テレビ記者、防衛大に行く ─ 総合安全保障研究科での2年間を終えて」
http://www.nda.ac.jp/cc/gsss/msg_graduate/msg_graduate13.html

なぜか読了まで著者経歴に目が行かなかった。テレ朝記者と知ったら、即、読むのを止めていたかもしれないから、神さまのご配慮があったのかもしれない。

衝撃的内容の本だった。傾聴すべき提言もある。

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布施哲(ふせ・さとる)
『米軍と人民解放軍 米国防総省の対中戦略』
(講談社現代新書、平成26年刊)

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中国共産党軍などどうせ質が劣り、通常兵器の戦いであれば自衛隊も持ちこたえ、自衛隊+米軍の前にはイチコロと思っていた。(もちろん米日による中国大陸への侵攻は問題外。あくまで域外に出てき た中国軍を叩くという前提。)

そうではないという。

■ 物量にものをいわせた中国軍のミサイル攻撃 ■

中国軍にはるかにまさるデータ収集能力と性能優位の武器を日米がもっていたとしても、現在のペースで軍拡をすすめる中国軍が2030年に先制攻撃を仕掛けてくれば、物量にものをいわせた中国軍のミサイル攻撃によって緒戦では日米の戦闘能力は大いに削がれるという見立てだ。

たとえ烏合(うごう)の衆のように戦意に劣る兵隊の集団であっても、たとえ1対1のドッグファイト(戦闘機どうしの一騎打ち)で中国軍が100%敗れても、繰り出されるミサイルを片っ端から日米の迎撃ミサイルが撃墜できても、勝負は甘くない。

中国各地の森のなかに隠された移動式の発射台から、中国側がミサイルで集中豪雨のような攻撃を仕掛けたとしよう。(隠された移動式発射台をピンポイントで破壊するのは、極めて困難なのだという。)

1基のミサイルの邀撃(ようげき)には2基のミサイルが使われる。中国軍が物量で撃ちまくってくれば、日米の戦艦や戦闘機も一時的にミサイル切れとなり、後退せざるを得ない。

第4章「米中衝突2030」が、そういう事態をシミュレーションして見せる。

日米が手を携えたからといって盤石の備えというわけではない。
 
衝撃をうけた。

≪弾切れになれば、いくら高性能な護衛艦や戦闘機を揃えても、戦闘力は失われてしまう。

ましてやフルスケールに近い通常戦争であれば、自衛隊の基地だけでなく弾薬庫や燃料備蓄施設も攻撃対象となり、補給や整備を受ける施設も失わる可能性が高い。

ミサイルを撃ち尽くし、補給を受けられないイージス艦や戦闘機は、戦闘力ゼロの単なる高価な兵器に成り下がってしまう。≫ (303頁)


■「弱い中国」が最大のリスク?! ■

中国経済が破綻してくれれば中国も弱体化し危機は去ると思ったら、これまた大間違い。今や、むしろその逆だというのである。

≪日本にとって中国の脅威は軍事力だけではなく、中国経済の破綻による政治的社会的混乱によって引き起こされるのではないか。

別の言い方をすれば、日本にとって最大の脅威は「強い中国」ではなく、「弱い中国」なのではないだろうか。

経済がクラッシュして予算の大盤振る舞いができなくなり、軍のみならず法執行機関(=武装警察など)も不満をくすぶらせ、おのおのが政治主張を始め、事態が徐々に統制がきかなくなる……。

こうしたとき中国は内なる不満や混乱を外に向けさせるため、強硬行動や武力行使を選ぶ──。そして、そのとき標的にされるのは台湾であり、台湾侵攻を企てる中国と、それに反発する日米の間で軍事的緊張が一気に高まっていく。

米中戦争があるとすれば、まさにこのような形で始まるのではないだろうか。米国防総省の懸念もここにある。≫ (87〜88頁)

■ 弾切れなしのレーザー兵器による邀撃 ■

中国のミサイルを邀撃(ようげき)するために、将来的にはレーザー兵器が有効らしい。だんだんSF映画の世界になってきた。


≪DEW(directed-energy weapon 指向性エネルギー兵器)と呼ばれるレーザー兵器は地上配備型だけでなく、小型化とコストダウンが実現すれば艦艇にも搭載できるようになるだろう。

イージス艦などに搭載できるようになれば、ミサイル迎撃に大きな効果が期待できる。≫

≪レーザー兵器は、電力が供給される限りミサイルのように弾切れの心配もない上に、レスポンスタイムも短く1発あたりのコストが1ドルと極めて廉価という利点がある。

迎撃ミサイルを搭載せずに済めばその分、巡航ミサイルを多く積むこともできる上、目標に対してレーザーを指向させるのもミサイル誘導より容易、などメリットは多い。

なにより米軍にとっては、ミサイルの弾切れの不安から解放されるメリットが大きいだろう。≫ (171頁)

■ 人員・予算を陸から海空へシフトすべき ■

本書末尾の著者提言は真摯な傾聴に値する。

≪国力が衰退し財政面の制約を今後も受け続けることを考えれば、日本はコストパフォーマンスを強く意識しながら、新しい脅威に対抗できる抑止力となる自衛隊を整備していかなければならない。

防衛予算全体のパイ拡大は望めない。そもそも「日中紛争」や「台湾海峡危機」といった、発生の可能性が低い、しかし発生したときの影響が大きい事態を想定した防衛力整備をどこまでやるべきか、という根本的な精査も必要だろう。

あやふやな中国脅威論に便乗した、無軌道な防衛予算の増加は最も忌避されるべきものだ。

今後の防衛予算は、防衛という限定された世界の中での積算ではなく、財政や社会保障、教育、経済成長への投資という優先事項とのバランスの中で決定されなければならない。

放漫財政により日本国債がクラッシュし、経済的に荒廃すれば、防衛力整備も ままならなくなる。≫ (306〜307頁)


≪人員も予算も多い陸上自衛隊から、海空自衛隊への予算のシフトを真剣に実行する時だろう。

陸上戦力の役割は引き続き大きいものがあるが、日本の脅威は海や空を通ってやってくることを考えれば、どうしても海と空の守りを重点的に整備していかざるを得ない。≫ (307頁)


著者は、安全保障外交が経済力や技術力も含めた総合力に基づくことを強調して本書を終えている。

≪米軍のアジアでの展開を支える日本の整備能力、技術力もまた日米同盟の基盤であり、米国を日本防衛とアジア太平洋に引き留めている要因だ。

米国国防総省の作戦構想ASB(= Air-Sea Battle 本書の第3章に詳細記述あり)を見ても、日本の支援がなければ米国の作戦は成立しない。

こうした日本の強みは対米関係においても日本の交渉力であり、日本はこうした強みも自覚して対米関係や対中関係などで活していくべきだ。

そして、なにより米国と中国の狭間にいる日本の交渉力を強める特効薬は、日本経済の成長だ。

米国は、経済力(=国力)が衰退した「弱い日本」を望んでいない。日本が米国にとって頼りになる強いパートナーでいることもまた、米国の日本への関与につながる。≫(309〜310頁)

■ 中国への過度の経済依存は禁物 ■

中国への過度の経済依存も戒めている。まったく同感である。

中国が日本へ経済依存してくれるのは結構と思うが。そして現実に、そうである。

≪中国に対して経済面で過度に依存することは、中国の要求に対する日本の脆弱性を高め、日本の戦略的判断の幅を狭めることになりかねない。

経済力という国家のパワーを維持し、中国に対する敏感度を下げ、経済的にも政治的にも米国にとって頼りがいのあるパートナーとなることで、日本の安全保障上の選択肢は広がっていくのである。≫ (310頁)


信頼が置けそうな論客・布施 哲(さとる)氏だが、あのテレ朝で仕事を続けて、周囲の圧力でつぶされないことを祈るばかりだ。

なお、角川叢書『希望の政治学 ─ テロルか偽善か』の著者、布施 哲(さとし)氏は別人ですので、ご注意を。

2014年11月30日

◆日本戦争犯罪調査、3つの教訓

古森 義久


米国政府が8年もかけて実施したドイツと日本の戦争犯罪再調査の結果(11月27日付朝刊既報)は、日本にとって慰安婦問題での貴重な教訓を与えた。まずはこの問題での国際的な日本糾弾が虚構であること、その日本糾弾の真の主役が中国系勢力であること、そして日本が次世代の国民のためにも冤罪(えんざい)を晴らす対外発信を欠かせないこと、などだといえる。

クリントン政権下での1999年からのこの大規模な調査は、対象に なった書類がなんと850万ページ。あくまでドイツが主体だったが、日本についても合計14万ページ余の戦争犯罪関連の書類の存在が報告され た。その総括はIWG(各省庁作業班)報告と呼ばれた。

事前の指示は日本の慰安婦制度の犯罪性、強制性や奴隷化に関する書類をも探すことを具体的に求めていたが、なんとその種の書類は、一点も発見されなかったというのだ。

調査の当事者たちもこの結果に仰天し、当惑したことを最終報告で率直に認めていた。結果の分析に参加したジョージ・ワシントン大学の楊大慶教授らは最終報告の付属論文で慰安婦問題について「その種の書類は今回の調査では発見できなかったが、存在しないわけでない」と、種々の仮説を弁解として記していた。

だが最終報告は同時に、慰安婦制は当時、日本国内で合法だった売春制度の国外への延長であり、日本軍は将兵の一般女性への暴行や性病の拡散を防ぐためにその制度を始めたという経緯をも記し、米軍側はそこに犯罪性を認めていなかった実態をも伝えていた。

さて、ここでの日本側への第1の教訓は、米国政府がここまで努力して証拠や資料がなにもないということは、実体がなかったということだろう。「日本軍が20万人の女性を組織的に強制連行して性的奴隷にした」という非難の虚構は米側の調査でも証明されたのだ。

第2には、この米国政府をあげての大調査の推進には、在米中国系の反日組織「世界抗日戦争史実維護連合会」(抗日連合会)が、異様なほど大きな役割を果たしていた。

IWG報告の序文では、調査の責任者が冒頭に近い部分で抗日連合会の名を具体的にあげて、この組織が代表するとする戦争の犠牲者たちへの同情を繰り返し、今回の調査が慰安婦問題などで日本の残虐性を証明する新たな書類を発見できなかったことを謝罪に近い形でくどいほど弁解していた。

抗日連合会は在米中国系の活動家中心の組織だが、中国政府との絆も緊密で、日本の「戦時の残虐行為の糾弾」を使命として掲げ、1990年代から戦争捕虜、南京事件、731部隊などを提起して、日本をたたいてきた。

IWG調査でもクリントン政権に強力なロビー活動を仕掛けていたという。慰安婦問題でも、主役は表面では韓国系にもみえるが実際は抗日連合会を主軸とする中国系だという実態がここでも証されたといえる。

そして第3の教訓は、慰安婦問題での日本非難の虚構が米側でもここまで実証された以上、日本側にとってのぬれぎぬ晴らしの必要性がさらに鮮明になったことである。このままでは日本の国家も国民も20万人の女性をセックスの奴隷へと強制したという無実の罪を次世代へと残していくことになるのだ。(ワシントン駐在客員特派員)
産経ニュース【緯度経度】2014.11.29

◆「海の危機」は待ったなし

峯 匡孝



http://www.sankei.com/images/news/141129/plt1411290018-n1.jpg

自衛権めぐる政府解釈

「宝石サンゴ密漁か 小笠原に押し寄せる中国船」-。産経新聞は10月12日付1面で、小笠原諸島(東京都)沖で大量の中国漁船がサンゴを密漁している実態をスクープした。

密漁船はその後も増え続け、10月末には海上保安庁が伊豆諸島(同)周辺と合わせて計212隻を確認、大きな社会問題となった。

これを受け、外国人の違法操業への罰則を強化する改正外国人漁業規制法と改正漁業主権法が衆院解散を目前に控えた11月19日、駆け込みで成立した。12月7日に施行する。だが、罰則強化だけで日本の海洋資源を貪(むさぼ)る中国船の不法行為を抑止することはできない。

 「中長期的観点から領海警備体制を整備しなければならない」

11月19日の自民党部会で、国防部会長の佐藤正久参院議員はこう訴えた。まず急務なのは、海上保安庁の態勢強化だ。海保の巡視船は尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で領海侵犯を繰り返す中国漁船の対応にも追われ、ギリギリの運用を強いられている。違法操業を取り締まろうにも手が回らないのが実情なのだ。

問題はさらに根深い。中国海軍は、中国漁船の動きに同調するように、対米防衛ラインとして自ら設定する「第1列島線」(九州〜沖縄〜台湾〜フィリピン)を越え、「第2列島線」(伊豆諸島〜小笠原諸島〜米領グアム)まで勢力を拡大しつつあるからだ。佐藤氏はこう打ち明けた。

「太平洋は対岸が同盟国の米国だったこともあり『海の守り』はスカスカだった。だが、小笠原諸島の父島、母島には住民がいる。グレーゾーン事態が起きたらかなり厳しい…」

              × × ×

グレーゾーンとは、有事には至らない緊急事態を指す。例えば、漁民に偽装した武装集団が離島に上陸・占拠した場合、武力攻撃を受けた事態とはいえず、自衛権の発動対象とはならない。そうなると警察権による対処を強いられ、武器使用も大幅に制限される。

安倍晋三首相が7月1日、集団的自衛権行使を限定的に容認する閣議決定に踏み切ったのは、こうした事態が絵空事ではなくなったと判断したからだった。

行使容認といっても閣議決定だけでは絵に描いた餅にすぎない。解釈変更に伴い、グレーゾーン事態を含む幅広い安全保障法制を整備してこそ実効力を伴う。

首相はもともと、安保法制関連法案を先の臨時国会に提出する考えだった。その上で自衛隊と米軍の役割分担を定める「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)を年末に再改定し、日米同盟を実態に合わせて運用できる態勢を整えようと考えていたのだ。

 ただ、一抹の不安があった。

              × × ×

昨年秋の臨時国会で成立させた特定秘密保護法。欧米各国と機密情報を共有するには、情報漏(ろう)洩(えい)を防止する国内法制の整備は不可欠となるが、朝日新聞など一部メディアと民主党などの激しい批判にさらされた。事実を歪曲(わいきょく)した批判も少なくなかったが、内閣支持率は一時的に急落した。

安保法制の審議での野党の抵抗は特定秘密保護法の比ではないはずだ。自衛隊法や周辺事態法など過去に国会を紛糾させた法律を最低10数本は改正しなければならないからだ。一部メディアはさらに激しい批判キャンペーンを繰り広げるに違いない。

そんな法案の束を今年秋の臨時国会に提出すれば、昨年以上に紛糾するのは火を見るより明らかだった。そうなると米軍普天間飛行場移設問題を抱える沖縄県知事選だけでなく来春の統一地方選にも影響しかねない。自民、公明両党の連立は揺らぎ、自民党内がガタつく恐れもある。そうなれば消費税再増税に関する判断も鈍る-。

こう考えた安倍晋三首相は秋の臨時国会への安保法制提出を見送った。

そこで首相が描いたのは、来年の通常国会で予算成立後に解散し、統一地方選と合
わせて4月の衆院選に踏み切るという筋書きだった。ここで盤石な態勢を敷いた上で
臨時国会を召集し、夏までに安保法制を整備する考えだったのだ。

   × × ×

ところが、首相が描いたスケジュールは大幅に狂った。

11月18日夜、消費税再増税の1年半先送りを決めた首相は衆院解散を表 明した。唐突にも見えたが、理由ははっきりしている。

1つは、首相の「再増税先送り」判断を恐れた財務省が自民党議員に説 得攻勢をかけ、政局めいた不穏な空気が覆ったことが大きい。首相は当時、周囲にこ う漏らしている。

「俺はすでに消費税を3%上げている。税でこれ以上つまずいたらもっと大事な目標を見失いかねない」

首相の言う「もっと大事な目標」とは安全保障を指す。そして当面の目標は安保法制の整備となる。

もう1つは民主党がスキャンダル国会を仕掛け、女性閣僚2人が辞任に追い込まれたからだ。首相は「こんなことで国会が空転するようでは安保法制の審議は できない」と考えた。

「安全保障政策についても党の公約にきっちりと書き込んで選挙戦を堂々と戦っていきたい。有意義な論戦を行っていきたい」

解散表明の記者会見でも首相はこう述べた。もっと前面に打ち出した方がよかったように思えるが…。

             × × ×

首相の解散表明に、朝日新聞など一部メディアと野党は「大義なき解散」と批判を浴びせる。

果たしてそうだろうか。

集団的自衛権行使容認に関する閣議決定に際し、民主党の松原仁国対委員長(当時)は記者会見で「衆院を解散して国民に信を問うくらい大きなテーマ だ」と断じた。生活の党の村上史好幹事長代理も衆院予算委員会で「国民に信を問う べきだ」と首相に迫った。

この衆院選でも自民党は政権公約に「閣議決定に基づき、いかなる事態に対しても

国民の命と平和な暮らしを守り抜くため、平時から切れ目のない対応を可能とする安

全保障体制を速やかに整備します」と明記している。民主党はマニフェストに「集団
的自衛権閣議決定の撤回」を掲げた。

 これほど主張が対立し、しかも先に安保法制整備を控えているならば、信を問うべ
き大義となるのは自明だ。消費税再増税やアベノミクスの是非以上に重い政治課題と
もいえる。

 「いま集団的自衛権をやっておけば日本は今後50年安全だ…」

かつて首相は周囲にこう語った。ならば衆院選で堂々と国民に説くべきだろう。そして野党も正面から論戦を挑み、対案を示さねばならない。
                           (政治部)

【政権の是非を問う】=集団的自衛権= なぜ解散スケジュールが狂ったのか? 首相が執念燃やす安保法制:産経ニュース  2014.11.29

                 (情報採録:久保田 康文)


◆沖縄県知事選現職敗北の“失望”

櫻井よしこ



沖縄県知事選挙は自民党支持の現職、仲井眞弘多氏が対立候補の翁長雄志氏に10万票の大差で敗北した。私は今回の知事選にとりわけ注目していた。なぜなら、沖縄で今回の仲井眞氏ほど鮮明に基地問題を真正面に掲げて前向きに闘った候補者はかつていなかったと思うからだ。仲井眞氏が勝利すれば、それは沖縄の民意の成長の証しであり、そこから新しい可能性が生まれると感じていた。

だが結果は仲井眞氏の大敗北だった。争点は言うまでもなく、普天間飛行場を沖縄本島北部の辺野古に移設するか否かだった。当選した翁長氏は「辺野古に新たな基地は造らせない」と、次の点を強調した。

 ・住民の意思を無視して辺野古に新たな基地は造らせない。沖縄県民の自己決定権と尊厳を尊重せよ。

 ・安倍政権の威勢のいい前のめりな言葉で尖閣問題を解決しようとすれば将来に禍根を残す。安倍晋三首相は平和外交と国際法にのっとって解決せよ。

 ・基地の負担軽減が大事だ。

私は選挙の熱い風が吹く沖縄に2度、足を運び取材をしたのだが、翁長氏の主張が矛盾だらけであることは明白だった。その矛盾を明確に指摘していたのは仲井眞陣営だった。

翁長氏の主張に対して仲井眞氏は、具体的に反論していた。まず、基地負担軽減のために、普天間から辺野古に移すのだとの主張だ。普天間飛行場の広さは480ヘクタールだが、辺野古の飛行場はその約3分の1の面積になる。

普天間からの移設をきっかけに米軍再編成が進み、嘉手納以南の基地全て、総面積約1000ヘクタールが返還される。北部訓練場の一部も返還され、沖縄県民の手に戻される基地面積は5000ヘクタールに上る。これこそ、沖縄県民の基地負担を軽減する道だと、仲井眞氏は主張した。

だが、翁長氏はひたすら、「辺野古に新たな基地は造らせない」「本土は沖縄を犠牲にし続けている」と言うばかりだった。

辺野古への移転を許さないのであれば、普天間はどうするのか。普天間に飛行場ができた後、付近には次々に住宅や学校が建てられた。いま同飛行場の周囲には住宅が密集し、向かい側には小学校もある。普天間は世界一危険な飛行場だ。だからこそ、一日も早く移設しなければならない。

翁長氏はその具体策は何も示さない。基地負担の軽減策も示さない。

翁長氏は尖閣諸島の問題について安倍首相が「威勢のいい前のめりな言葉で解決しようとする」とも非難するが、前のめりで尖閣諸島周辺海域に侵入し続けているのは中国である。日本政府でも安倍首相でもない。

翁長氏は、平和外交と国際法にのっとって尖閣問題を解決しろとも安倍首相に要求するが、お門違いだ。その言葉は中国に向けるべきである。中国こそ、日本のみならず東南アジア諸国など全ての国と平和裏に問題を解決しなければならない。国際法を無視して他国の領土・領海、権益を侵す行動を慎まなければならないのは中国である。

本当に基地を減らし、中国に対処できるのはどちらの候補者か。答えは明らかに仲井眞氏だった。尖閣の海を守れるのも仲井眞氏だった。そのことに沖縄県民は気付くだろうか。中国の脅威が顕著な沖縄で、県民がその事実を直視すれば、仲井眞氏は勝てるはずだと私は考えた。

だが仲井眞氏を支持した有権者は約26万人、他方、36万人が翁長氏に票を投じた。非合理的主張を展開するばかりの翁長氏はかつて自民党県連の幹事長でありながら、今回は共産党や社民党と組んだ。そんな人物の主張が支持されたのだ。

沖縄で取材中に聞いた言葉が胸に残っている。「基地問題に主体的に取り組もうとする仲井眞陣営が勝てば、それはわれわれ県民の成就の証しです」。結果は逆、返す返すも残念だ。

『週刊ダイヤモンド』 2014年11月29日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1061