2014年11月12日

◆「ヴェルサイユ便り」A

寺田 輝介
(安保政策研究会常務理事・元メキシコ駐在大使  元韓国駐在大使)

―フランス外交注目点― 
 
当地でフランス外交を見守っていて気が付いたことは、フランスがドイツに並々ならぬ注意と関心を払っている姿である。

ヴェルサイユ滞在中筆者が読み続けた「ル・モンド」紙を例にとっても、ドイツについてはよく記事がでるものの、英国或いはイタリア、スペイン等に関する記事は少ない。

同紙を通しても、フランスはドイツに「経済大国」の地位を不承不承認めつつも、EU内では「外交大国」、「軍事大国」の座を死守するとのメセージが伝わってくる。

7月22日付「ル・モンド」が報じたEU委の主要ポストをめぐる仏独の利害対立を報じた記事は興味深いものであった。

簡単に紹介すると、フランス政府がEU委員長の交代に伴い、モスコヴィチ元蔵相をEU委経済金融委員に推薦し、EU内の地歩を固めようとしたところ、ドイツ政府がオランド政権の蔵相として「GDP比3%」への財政赤字圧縮目標を達成で出来なかった政治家にEUの経済・金融を任せられるかと、強硬に反対していると報じた記事であった。

さて、フランスが「外交巧者」であることは、既に見てきたところであるが、「軍事大国」ぶりは何処で見られるのであろうか。

7月17日から19日までオランド大統領は駆け足で象牙海岸、ニジェール、チャドの三ヵ国を訪問した。

日本では話題にのぼらなかった訪問であったと思われるが、この訪問は、実はフランスのアフリカにおける戦略的展開、具体的には、アフリカ・サハラ以南の五カ国を中核とし、イスラム過激派の南下を阻止することを目的とする集団安保体制の構築を目指すものであった

アフリカの地図を広げてみると、北アフリカのアルジェリア、リビアの南部からサハラ砂漠が拡がり、旧仏領モーリタニア、マリ、ニジェール、チャドに繋がっていることが分かる。

リビアのカダフィ独裁政権の崩壊後、南部リビアからサハラ砂漠を抜け、大西洋に向かう「砂漠ハイウエー」が出現、武器、麻薬、不法移民、イスラム過激派の通り道になったと言われている。

オランド政権は、イスラム過激派がこの「砂漠ハイウエー」を使い、旧フランス領アフリカに浸透することを防ぐため、サハラ以南の旧仏領五ヵ国(モーリタニア、マリ、ニジェール、チャド、ブルキナ・ファソ)を取り込み、フランスも総兵員3,000名のテロ対策部隊を現地に分散常駐せしめ、以てアフリカ版「マジノ・ライン」とも称すべきサハラ以南防衛線の構築を決定したのである。

この決定の背景には、旧植民地に埋蔵されている地下鉱物資源、特にウラニウムをフランスのために確保するとの思惑が秘められていることは言うまでもない。

フランスの対アフリカ戦略的展開は、EUの「経済大国」を自任するドイツが到底執りえない戦略であるが、フランスの軍事力には国力から見て物理的限界がある。

7月14日付「フィガロ」紙が、陸軍参謀長は「国軍は120%の能力を出し切っている」旨発言したと報じていることは、フランスの「軍事大国」の限界を示す一例である。<続く>
(2014/9月8日 記)

2014年11月11日

◆在タイ日本企業45%が撤退する懼れ

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 



<平成26年(2014)11月10日(月曜日)通巻第4388号> 

〜在タイ日本企業の45%が撤退する懼れが急浮上
  外国企業とのジョイントは必ずタイ人が意思決定権と法律改正へ〜

タイは「外国人投資規制」の強化法案を上程し、日本企業に最大の脅威を与えている。

要するに「ジョイント・ベンチャーの場合、タイ人がトップの意思決定権を持つ」という法改正だ。一度、2007年にも上程されたが否決された。

タイに進出している日本企業はおよそ5000社もある。このうち45%がサービス産業。金融、ファイナンス、小売りセクターである。日本企業による投資は570億ドルにおよび、あちこちにジャパニーズ・タウンが存在するほど、同国での日本の存在は目立つ。

もし、法律改正が行われると、製造業をのぞき、サービス産業の99%はタイから撤退せざるを得なくなり、このゆゆしき事態の急な到来に大使館筋も当惑している。

在タイ日本商工団はタイ当局と強く接触をつづけ「過去数十年にわたり、お互いの信頼関係を構築してきた。日本企業は短期利益を目標とせず、長期の視野に立って商業活動をしてきたのであり、もし法改正となれば、およそ半数がタイから撤退することになる」と深刻な懸念を表明している
(バンコクポスト、2014年11月9日付)。

         

◆中国が直面する高成長モデルの終わり

杉本 りうこ



北京、上海を取材で回った今回の中国出張は、これまでにない苦痛に満ちていた。

20メートル先さえ霞む深刻な大気汚染のせいか、ずっと咳が止まらない。だが「苦痛」の理由はそれだけではない。記者をもっとも苦しめたのは、「何もかもがやたらに高い」ことだった。

たとえば取材の合間に立ち寄ったスターバックス。注文したラテのトールサイズは27元だった。1元=18円換算なら486円で、日本の価格(370円)に比べて3割増しだ。しかも実際に現地で使ったレートは為替手数料を含むため、1元=19.6円。つまり、この1杯のラテは529円に相当したのだ。ちびりちびりと、いつもよりも大切に飲んだ。

■ ユニクロのシャツが日本の1.8倍

中国で急速に増えているユニクロでも、日中の価格差に驚かされた。 女性向けのフランネルシャツは199元で、18円換算なら3582円だ。同じ商 品の日本国内での価格は1990円だから、1.8倍の価格ということになる。

日本よりもやや高価格帯を狙って戦略的に価格を設定しているということもあるだろうが、日本での価格に慣れた身には衝撃だ。もとより買う予定のない「冷やかし入店」だったが、呆然としながら店を後にした。

上海出張時に常宿にしていた、地下鉄駅や繁華街に近いホテルもかつてない宿泊料の高さで予算オーバー。町外れのチェーンのビジネスホテルを選んだが、駅から遠いわ、壁が薄くて隣の話し声がうるさいわで、部屋に帰っても疲労感が増した。

とにかく一事が万事こんな調子で、予算の限られた出張者としては移 動するにも食べるにもいちいち財布の中身を確認せざるを得なかった。中国には一時在住していたし、これまでにも何度となく公私で訪れてきたが、こんなことは初めてだ。

日本から見て中国の価格が高くなったひとつの理由は、足元で急激に進む元高・円安にある。昨年の今ごろ1元は16円程度だったから、この1年 だけで13%程度、元が強くなっていることになる。

それだけではない。現地の所得や消費の水準も急速に上昇している。この上昇を背景に、中国人のさまざまな意識も急速に変化しており、それが日系企業の中国ビジネスを苦しめる状況になっているようだ。

在上海の経営コンサルタントが、ある日系メーカーの話を教えてくれた。そのメーカーは中国の工場で生産した製品をもっぱら日本に輸出してきたのだが、社長が高齢になったことから、中国人幹部に会社をまるごと譲渡しようと考えた。

現地採用の従業員としては、昇進どころではない大抜擢だ。ところが中国人幹部の答えは「ノー」。その理由は、日本向けのビジネスは工賃も単価も安く、うまみがないからだという。同じ製造業をやるにしても、中国企業向けの仕事の方がもうかる、というのだ。

また上海近郊に工場を構えるある日系メーカー駐在員からは、地方都市に住む両親から仕送りを受けている若い工場従業員の話を聞いた。中国の出稼ぎ労働者といえば、一所懸命に働いて地方の家族に仕送りをするのが定石だったがこの従業員は工場の給与では生活できず、仕送りを親にねだっている。

 「この従業員を厳しくしかると、親が『そんな会社で働かなくていい。帰ってこい』となるんですよ」と駐在員はため息をついた。この工場はかつて600人の従業員を抱えていたが、採用難で現在は半分程度の規模で操業しているという。工場勤務であっても日系企業で働ければ豊かになれるというイメージは、もう中国人からは消えつつある。

■ 「チープ・チャイナ」はもはや過去

 ホワイトカラーからブルーカラーまで、安い給与で豊富に人が雇える「チープ・チャイナ」はもはや過去のものだ。コスト増に耐えかねた日系企業の中には、中国から撤退する例もじわじわと増え、中国ビジネスは明らかに転換点を迎えている。そしてこの局面は、中国経済そのものにとっても大きな転換点だ。安価な労働力と引き替えに世界中から投資を呼びこむ高成長モデルは終わり、内需主導の安定的・持続的な経済成長を目指そうとしている。

 一方で、記者が体験したような「エクスペンシブ・チャイナ」に耐えうる豊かさを、すべての中国人が得ているわけではない。北京大学中国社会科学調査センターによると、中国の上位1%の富裕家庭が全個人資産の3分の1を握る一方で、下位25%の家庭は資産のたった1%しか所有していないという。過去30年の高成長が残した格差やひずみを、中国はこれから解消していかなくてはならない。
東洋経済オンライン 11月9日(日)18時0分配信

◆自衛隊 (3) 自衛隊の戦力

伊勢 雅臣



■対中防衛力

「中国の挑発に乗ってはいけない」という見方は「中国の軍事力は強い」という共産党の宣伝に乗って、情報戦、心理戦ですでに負けている。「中国と戦争になったら自衛隊に勝ち目はない。死者が出る前に、尖閣問題では譲歩して引くべきだ」という考え方も中国の思う壺。Voice26.8田母神利雄 2014年08月31日(日)

中国側も海自が中国の潜水艦を撃沈できるという事実に気がついており、情勢を有利に展開するためには「中国の軍事力は強い」というPRが有効だと判断。尖閣諸島沖や領空に繰り返し公船や戦闘機を送り込んでくるのは、中国の軍事力を強大に見せかける情報戦。

Voice26.8田母神利雄2014年08月31日(日)

中国側が最も恐れる事態は、日本政府が自衛隊を使って人民解放軍を撃退する決断を下す事である。海上自衛隊は中国の潜水艦のスクリュー音を識別して追跡、補足することができる。日本の領海に侵入すれば、海自が撃沈できる。Voice26.8田母神利雄2014年08月31日(日)

佐藤正久:中国が南シナ海の領有権を争うバックに海軍を使うのは、フィリピン海軍を脅威と思ってないから。日本に面した東シナ海で海軍ではなく、中国海警局の船を用いる理由は、海上自衛隊の存在がある。自衛隊は中国にとって脅威。
Voice13.10 2013年10月04日(金)

中国空軍と航空自衛隊の空中戦になれば、技量に勝る自衛隊が圧勝する。しかし、空自のパイロットは約1500人。中国空軍機の大量飛来が常態 化すれば、パイロットと機体はフル稼働を強いられ、1ヶ月が限度。
SAPIO1307佐藤守 2013年07月02日(火)

#中国 の空母から飛ばす戦闘機は開発途上、発進できるのはヘリコプターのみ。ヘリ空母として実戦に投入しても、海上自衛隊や米軍は潜水艦から発射する魚雷や巡航ミサイルなどで「当てやすい大きな標的」である空母を撃沈ないし航行不能にすることは難しくはない。日経H24.10.22 2012年12月10日(月)

自衛隊機は地上のレーダーサイト、艦船などとデータリンクされているから、指示は全て画面に出る。中国は地上から音声でパイロットに指示。自衛隊機が電波妨害すれば、中国機の無線は聞き取れなくなる。これでは戦闘にならない。
(田母神利雄,Sapio,H25.2,p17)2013年02月12日(火)


■自衛隊の練度

海上自衛隊が米海軍との模擬戦 海自、無音潜航中。米海軍「おい、マジでいないぞ。事故でも起こしたのか?やばいぞ」海自、あんまり発見してくれないので空母の真横に浮上。米海軍「無事だったか。・・・って言うか演習中に勝手に浮上するな!」http://amba.to/13pC4sJ
2014年07月05日(土)

実弾射撃演習のためにアメリカ派遣された陸上自衛隊砲兵部隊の抜群の命中率に米軍が呆れ果て、「超エリートを集めた特殊部隊をつくっても意味がない」と本気で忠告してきた。陸上自衛隊は「通常編成ですけど・・・」
http://amba.to/13pC4sJ

2014年07月05日(土)

北朝鮮の軍事能力は我が国の自衛隊と比較すれば、大人の自衛隊に対して幼稚園児みたいなものです。テレビなどの報道で脅かされることはありません。北朝鮮によって我が国が大規模侵略を受けることはありません。我が国が戦える態勢さえ造っておけば北朝鮮は何も出来ません。
2014年04月13日(日) 田母神俊雄@toshio_tamogami


■自衛隊の装備

ホンダが遂に小型ジェットの量産開始という、ポジティブ情報を扱いたい。既に100機を受注。三菱も開発が遅れているが中型旅客機を製造中。さらに空自の新対潜哨戒機P1(川重)は先進の機体に日本製ジェットエンジンで旅客機にも派生する事が可能。
http://photo.sankei.jp.msn.com/highlight/data2014/05/21/05hondajet/
2014年05月22日(木) 西村幸祐@kohyu1952

中国の最新鋭ヘリは福建省から尖閣まで1時間10分。自衛隊の現行ヘリでは1時間30分。中国兵が10人でも先に到着すれば、奪回には膨大な 艦艇、航空機必要。オスプレイなら50分。先に着いて地対空兵器で威嚇 できるので中国軍のヘリは着陸できなくなる。(鍛治俊樹、明日への選択、H24.9)
2013年04月20日(土)

中国の天敵!P-1哨戒機正式配備。海自戦闘力が米軍を超え世界一!高度1万以上航続距離8,000km中国大陸奥深くまで行って楽勝帰ってこれる。B29か?wシナ大発狂! - まとめ安倍速報
http://blog.livedoor.jp/abechan_matomearchives/37557150.html
https://pic.twitter.com/ooubBDleSc
2014年05月25日(日) さくら@mFOLFOX6

おはようございます。今、岐阜の工場に向かっています。海自哨戒機P−1量産初号機納入式典に参加します。哨戒機の国産化は、日本にとっても長年の夢、開発には約12年の年月を費やしたが良い哨戒機ができた。関係者の労苦に感謝!これから2年の運用試験を経て実戦配備される、いよいよです。
2013年03月30日(土) 佐藤正久@SatoMasahisa


■離島防衛

動的防衛力といいながら輸送力の整備はお粗末な状態。例えば東日本大震災時に北海道の陸自部隊は民間フェリーの調達がなかなかつかず、発災後約5日後に本州に移動、最初の移動は米海軍艦艇だった。また先島諸島に展開したPAC3部隊の撤収もフェリー契約上、ミサイル通過後、約5日後のケースも。
2013年01月26日(土) 佐藤正久@SatoMasahisa

自衛隊には離島を奪回する水陸両用戦能力はない。東日本大震災で気仙沼市の沖に浮かぶ大島は港が破壊されたため、自衛隊は支援部隊を送ることができず、本格的な救援活動はアメリカ海兵隊が上陸して行った。SAPIO1307北村淳
2013年07月01日(月)

田母神俊雄:日本には島が7千近くあるが、大半が無人島。排他的経済水域の起点となる重要な領土。万が一、島を奪われた場合には、奪還できる戦力や態勢が必要。そのためには定員15万人の陸上自衛隊の半分に「海兵隊的機能」を持たせても良い。Voice13.10
2013年10月06日(日)

演習で石垣島に地対艦ミサイル -射程は百数十キロメートルとされ、石垣島に展開すれば尖閣諸島周辺海域も射程に収める。尖閣周辺で挑発活動を強める中国を牽制する狙いhttp://on-msn.com/19ZOKF8>これは良い抑止力になりそう。陸海空3自衛隊でチーム・ジャパンを。
2013年10月23日(水)

3個師団(3万人)の陸上自衛隊を宮古島・石垣島に置き、護衛艦5,6隻、戦闘機60機を配備。その上で総理大臣が「中国の尖閣武力侵攻は自衛隊で阻止する」と宣言。そこまで日本が覚悟を決めれば中国は絶対に攻めてこない。利益より損失の方が大きいからだ(田母神利雄,Sapio,H2411)
2012年11月17日(土)


◆カタカナ語と英語の関係の考察

前田 正晶



カタカナ語は英語の勉強に悪い影響を与えていないか:

いきなり本筋を外すが、ここでは「英語」ではなく「科学としての英語」または”English”とする方が適確かも知れない。

私は英語の勉強だけではなく自国語であろうとなんだろうと「耳から入ってくる言葉の影響が最も大きく且つ効果があることが多い」と固く信じている。

ところが、何事につけても「全ての硬貨には両面がある」ので、耳から入ってくるだけで学習効果があるが、効果はそれだけに止まらず日常的に読まされているカタカナ語には悪影響もあり、我が国における正しい”English”の学習と実力、就中自分が思うことを英語だけではない自国語=日本語で言う力の成長を妨げているのだと考えている。

テレビで多用されるカタカナ語:

ここから思い付くものを挙げることから入っていこう。下記をご参照願いたい。

コンパクト、シンプル、オープンするかさせる(応用編にリニューアル・オープンやグランド・オープンがある)、プライベート、スタッフ、キャプテンシー、スリッピー、ゲットする、チョイスする、ジューシー、フルーテイー、クリーミー、スパイシー、プラ−べーと・ブランド(PB)、バトンタッチ等々枚挙に暇がない。

私は「こういう言葉を使うことを止めよと言わないし、使うことは勝手だが、本当の英語ではこのようには言わないと認識した上で使って欲しい」と繰り返し指摘してきた。さらに本当の英語ではどういう言葉が使われるかも述べてきた。

そして、こういう言葉を使うと、我々の国語での思考力と表現力が弱まる危険性も指摘してきた。故に、ここで上記のカタカナ語を英語にすればどうなるかの解説はしない。

カタカナ語の表記の難しさ:

この点は、先日”security”と”fury”を挙げてジーニアス英和とOxfordの間に存在していた発音記号に混乱とでも言いたい違いがあったことも指摘した。私はこの違いを見て、我が国で最初にカタカナ表記をした人(会社というか法人も入るか)がどのような基準で大胆にもカタカナを使ったのかが解らなくなってきた。即ち、私はこれまでにこういう表記をする人は英和辞典も英英辞典も見ていないのかと皮肉っていたのだった。

私は彼等はただ単に素直に英語の言葉を見て「ローマ字読み」をしていただけで、それ以上でも以下でもなかったのだろうと思い込んでいた。だが、「フューリー」と「セキュリティ−」のUKとUSA間の違いを知って、些か混乱させられてきた。

そこに何気なく聞いたテレビのCMで、恐らく何とか言うデイズニーのアニメ(これだってカタカナ語だ)の主題歌(なのだろう)を松田聖子と松たか子が歌っていて、”I will follow you .”を「フォロー」と言っていたのを聞いた。

これは「ローマ字読み」だと思って聞いた。彼女らは学校で”O”は「オ」と読むとしか教えられていなかったのか、早い時点で親しんだローマ字読みをしているので、罪はないと解釈した。

同様な例に”holiday”がある。これは我が国では躊躇うことなく「ホリデイ」とカタカナ表記され、且つ発音されている。だが、ジーニアスでもOxfordでも「ハラディ」であり、USA式では「ハーラディ」に近い記号が出ている。話しを”follow”に戻せば「ファロー」と「ファーロー」である。細かい揚げ足をとるなと言いたい向きもあるだろうが、私にはそんな
考えなどなく「何でこうなるのかな」という疑問があるだけ。

ここで、自説を曲げるかの如きことを言えば「実際にはフォローでもファーローでどちらでも良いのであり、自分が思うことと言いたいことを正確に文法を間違えることなく表現出来る力を養うのが肝心なこと」なのだ。だが、発音が正確であるのにこしたことはいのは言うまでもない。実は、自分でも難航する交渉中の通訳では重要な発言の内容を的確に伝える為には、発音の正確さを犠牲にする覚悟で臨んでいたものだった。


私自身でこの疑問に答えれば「彼女らと一般に我が国の学校で英語を教えておられる先生方、特に中学で”O”は「オ」と読めて教えているだけのことで、一般の生徒と同様に素直に従っているだけではないのだろうか」である。念のために付け加えておけば、「フォロー」だろうと「ファロー」だろうと「ホリデー」だろうと、恐らく我が国で最も関心が高いという気がする「外国人に通じるのか」という点では問題ないだろう。

私が言いたいことは「だからと言って、おかしなカタカナ語を作って普及させて良いものなのか」という点と「学校教育では正しい正しくない点もさることながら、UK式とUSA式の違いを教える気はないのか」なのだ。同時に未だに「アメリカ語下品」で「クイーンズ・イングリッシュが最高」と思い込んでいるんではないかと疑っている。私は少なくとも何処かの時点で「両社の間には明らかな違いがあること」を明確に教えるべきだと
思っている。

何れ近いうちに最初に挙げたカタカナ語表記と、英単語の後に「する」を付けた弊害を論じてみようと計画している。


◆「ヴェルサイユ便り」@

寺田 輝介
(安保政策研究会常務理事・元メキシコ駐在大使 元韓国駐在大使)    


筆者は今夏二ヵ月余りをパリ近郊ヴェルサイユ市で過ごした。

ヴェルサイユ市と言うと誰もがヴェルサイユ宮殿を連想するが、ヴェルサイユ市自体は、宮殿を中核に残存する王朝時代の建造物を巧みに取り入れた街並みを持つ、パリのベットタウンの性格が強い地方都市である。

ここにお届けする「ヴェルサイユ便り」は、筆者が夏の間毎日読み続けた「ル・モンド」紙、そしてテレビ・ラジオのニュースを通して把握したフランス外交と国内政治に関するレポートである。

―フランス外交の注目点―
  
夏に入り当国メデイアが競って報じていたのが、パレスチナ自治区ガザにおけるイスラエル軍とパレスチナ・ハマスとの軍事衝突であった。

イスラエル軍の砲撃等により血を流している多数の婦女子のシ―ンがテレビ等に頻繁に報じられた結果、フランスではガザ地域住民に対する同情心が高まっていることが直に感じられた。

暫く様子を見ていると、当国アラブ系住民がパレスチナ・シンパのフランス人を巻き込みパレスチナ連帯デモを始めたが、同時併行的にイスラエル支持デモも行われ、両者の激突の場面が見られた。

欧州各地でもパレスチナ連帯デモが行われていたが、イスラエル支持デモが催されたのは当国のみであった。パレスチナ問題は、フランスのユダヤ系社会とアラブ系社会を直接刺激し国内問題化する為、フランス外交にとり舵取りが難しい問題であることを具体的に示す事例であった。

夏を通して欧州国民に深刻なインパクトを与え続けてきたのは、悪化の一路を辿るウクライナ情勢であった。

プーチン政権がクリミア半島を奪取した時欧州国民は一様に反撥したが、いざ欧州連合(EU)が制裁を課する段階になると、EU内で制裁実施をめぐり温度差がかなり大きいことが明らかになった。

あくまでロシアと「対話」を求める独、仏、伊等に対し、ロシアと国境を接している上、嘗て旧ソ連邦の支配下にあったポーランド、バルト三ヵ国は強く反撥し、対ロシア「強硬路線」を求めた。EUの足並みが乱れていた時に起きたのが、7月17日のマレイシア航空機撃墜事件であった。

撃墜事件の衝撃の大きさから、EUのロシアに対する制裁は当然一本に纏まると思われたが、具体的制裁措置を検討するEU外相会議がいざ開かれてみると(7月22日)、当初コンセンサスを妨げたのが「フランス問題」であった。

フランスのサルコジ政権時代に成約したロシア向け大型強襲揚陸艦二隻の取り扱いが障害となったのである。

あくまで引き渡しの凍結を求めるEU各国に対し、フランスは国内の雇用悪化を口実に、今回の制裁措置実施前に契約し完工した一隻分は例外とし、建造中の二隻目を制裁の対象とすることを主張した。

国民もこれを支持した。最終的にはフランスの言い分が通ったが、筆者の目にはフランス外交の粘り勝ちと映ると同時に、改めてフランスのしたたかな外交力を感じさせられた。

しかしながら、8月に入るとウクライナ東部の親ロシア派武装集団にプーチン政権が密かに兵員、武器、弾薬等の援助を継続していることが偵察衛星の写真等で明らかになり、フランスの外交的勝利とも言える艦艇売却問題が大きく影響を受けることになる。

フランス外交の動きをよく見ていると、フランス政府は9月上旬に開かれる北大西洋条約機構(NATO)首脳会議でウクライナ問題が最重要議題になり、艦艇売却問題が俎上に載せられると予想していたようで、首脳会議の直前(9月3日)、大統領府は「(ロシアのウクライナ介入は)欧州の安定を脅かしている。

(大型強襲揚陸艦の)引き渡し条件は整っていない」と発表した。絶妙なタイミングでなされた政府声明は、フランスは経済的利益を犠牲にしてまでもEUの「共同益」を守る意思を示したとして、先の外相会議の場における不評を払拭し、EU各国の高い評価を勝ち取った。ここにも機を見るに敏なフランス外交の柔軟性が感じられた。
 
一方制裁を受けたプーチン政権は、8月に入るとEU等に対し農産物の輸入制限で対抗してきた。ロシアの対抗措置は、EUの中でもポーランド、ドイツ及びフランスにかなりの打撃を与えており、フランスの場合損失は約10億ドルに及ぶとされ、直撃を受け苦悩する農民の姿を報ずる記事が多く見られるようになった。

ウクライナ問題は、制裁措置をめぐって当初EU内の足並み乱れを曝け出したが、プーチン政権の飽くなきウクライナ干渉がEUの結束を促進する一助となった。

しかし夏が終わり、冬を迎える時期になれば、EUに対する天然ガス供給問題が浮上してくる。

そうなるとロシアのガスに依存している国と非依存国との間に対ロシア政策をめぐり不協和音が生じるであろう。非依存国のフランスは如何なる態度をとるであろうか。

この様な状況をプーチン政権が見逃す筈がない。硬軟取り混ぜた外交攻勢を仕掛け、EUの分断を図るのではないか。遠く離れた日本も目を離せない状況が続く。そしてウクライナ問題は混迷の度合いを一段と深めて行く。<続く>    (2014/9月8日 記)

2014年11月10日

◆足りない外務省の『断固たる姿勢』

櫻井よし子



北朝鮮による拉致被害者の調査は事実上進展がなく、遺骨や日本人妻の調査は進んでいるというのが、彼らが日本政府に伝えた内容のようだ。予想通りの結果だった。

当初9月上旬には日本政府に報告されるはずだったが、調査が進展していない、調査状況を説明するから平壌に来るようにと言われ、10月27〜29日の日程で政府調査団が赴いた。

「家族会」や「救う会」は調査団が平壌に行くこと自体に強く反対した。今回の再調査の目的が大東亜戦争のときの日本人の遺骨収集、残留日本人、日本人妻、拉致被害者および特定失踪者の確認とされ、本来最優先されるべき拉致被害者が一番終わりに位置付けられていたこと、明確な調査結果もないと思われるのに訪朝するのは相手のわなにはまることだと考えたからだ。

横田早紀江さんが語った。「外務省の方々と事前にお会いしたとき、家族会の私たちは皆反対しました。拉致被害者の調査が進んでいないと向こうは言いまが、4年前に軽井沢でお会いした金賢姫さんは拉致された日本人は皆、招待所と呼ばれる特別な家に住み、衣食住を北朝鮮当局から支給されている。全員が当局に監視されているため調査などしなくても、1日で全ての情報がまとまると言っていました」。

金氏自身、招待所で暮らし、工作員教育や訓練を受けた。そのころ、めぐみさんにも会っている。早紀江さんは、こうした情報があるにもかかわらず、なぜ外務省は、拉致被害者の実態調査に何カ月も必要という北朝鮮の主張にその場で反論しないのかと憤り、伊原純一アジア大洋州局長にきつく言った。

「北朝鮮に行ったら駄目です。拉致問題をだしにして、実は遺骨問題などで日本の資金を引き出すのが北朝鮮の目的でしょう。誰しも拉致問題が後回しにされると考えます」

伊原氏らと北朝鮮側との交渉の詳細がまだ発表されていないために、断定はできないが、確かなことは日本外交が北朝鮮の土俵に乗せられてしまったことだ。こちらが誠意を見せて譲歩すれば、相手も折れてくる。対話は途切らせてはならないという、これまでの間違いを繰り返しているのである。

外務省主導の外交は、中国や朝鮮半島など難しい国々相手ではほぼ全敗してきた。なぜ、日本外交はかくもふがいないのか。

第1次安倍政権で内閣参与として拉致問題を担当した中山恭子氏は、ウズベキスタン大使だった1999年の体験に基づき、外務省の考え方そのものが失敗の原因だと語る。

「4人の鉱山技師が誘拐され、日本政府が第一線に立って救出しなければならない局面でも、外務省は現地の政府に全て任せきりでした。われ関せずの対応に、外務省には国民を自ら守るという気が全くない、国民の救出を外交官の仕事だと考えていないと、実感しました」

外交の本質は軍事力を衣の下に隠して、巧みに交渉することだ。外務省は常に心理的に軍事力を遠ざけ、おまけに交渉では足して二で割る落としどころを探る傾向がある。拉致はそもそも交渉案件ではない。犯罪である。断固とした対応が必要なのだ。

しかし外務省には物理的、精神的に断固たるものが欠けている。

早紀江さんが金賢姫氏から聞いた話を教えてくれた。金氏が招待所を訪ねたとき、めぐみさんが「君が代」を歌ったというのだ。「めぐみは澄んだ声で歌ったと金さんは言ってくれました。私にはめぐみの気持ちが本当によく分かりました。日本に帰りたい、けれどそんなことは口に出せない。しかし決して日本を忘れることはない。そんな思いで歌ったのでしょう」

胸を打たれる話である。拉致被害者救出のためにこそ、あらゆる力を用いる決意が今こそ必要である。

『週刊ダイヤモンド』 2014年11月8日号
        
           (情報採録)松本市 久保田 康文)



◆朝日が煽った大東亜戦争

伊勢 雅臣



朝日は敗戦の前日まで「一億火の玉」と国民を扇動し続けた。

■1.「一億の信念の凝り固まった火の玉を消すことはできない」

昭和20(1945)年8月14日、降伏の前日、朝日新聞は「敵の非道を撃つ」として、次のような社説を掲載している。

<すでに幾多の同胞は戦災者となっても、その闘魂は微動だにせず、いかに敵が焦慮の新戦術を実施しようとも、一億の信念の凝り固まった火の玉を消すことはできない。敵の謀略が激しければ激しいほど、その報復の大きいことを知るべきのみである。>[1,p120]

「焦慮の新戦術」とは広島、長崎に落とされた原子爆弾のことである。どう「報復」するかというと、原子爆弾に対しては「わが当局が早急にこの対策を樹(た)て、その被害を最小限に止めるであろうことを熱望する」と当局に下駄を預け、「われらはわれらに与えられた至上命令である航空機増産、食糧増産その他の刻下の急務に邁進(まいしん)すれば足る」と言う。

軍部の報道統制があったとは言え、ここまで積極的に国民を徹底抗戦に向けて扇動する社説を書く必要があったのか。空疎な内容を美辞麗句で訴えている所は、戦後のソ連、中共賛美や、反日キャンペーンと同じである。朝日の、報道機関というよりプロパガンダ機関としての本質が見てとれる社説である。

朝日は大東亜戦争の期間を通じて、徹底したプロパガンダで国民を扇動してきた。その実態を見てみよう。


■2.「太平洋艦隊は全滅させられた!」

大東亜戦争は昭和16(1941)年12月8日のハワイ真珠湾攻撃で幕を開 けた。朝日は9日夕刊から「帝国・米英に宣戦を布告す 西太平洋に戦闘開始 布哇(ハワイ)艦隊航空兵力を通爆」と報じ始めた。

その後、真珠湾攻撃の詳細が伝わるにつれて、次々と興奮気味の記事を掲載していく。「米海軍に致命的大鉄槌 戦艦6隻を轟沈大破す」「我奇襲作戦の大戦果確認」「白亜館(ホワイトハウス)当局も甚しく驚愕」等々。

19日には「米太平洋艦隊は全滅せり」の一面大見出しのもとに、「全主力艦の半分壊滅 米の野望今や全く絶望」の小見出しを掲げ、次のよう に報じた。

<太平洋艦隊は全滅させられた! ・・・ 現保有18隻の主力艦のうち9隻を一挙に屠(ほふ)られるにおよんで・・・一朝にして第二流、第三流の海軍国に堕してしまった。

彼の(米国の)頼みとするはもはや大西洋艦隊に属する戦艦を中心とする9隻の主力艦に過ぎない・・・われらの太平洋制覇はまさに成らんとす。我が海軍の栄誉にはただ感激と感謝をおくるのみである。>[1,p24]

開戦劈頭(へきとう)の大戦果はその通りだが、我が国の戦艦10隻に 対して、なお9隻を擁する米国を「第二流、第三流の海軍国」と呼ぶのは冷静ではない。また我が国はいつから「太平洋制覇」などとの野望を持ったのか。

朝日が国民に対して事実を正確に伝えようとするなら、米太平洋艦隊の空母群は健在であること、ルーズベルト政権が真珠湾攻撃を「騙し討ち」と非難して米国民が激高していたこと、米国は強大な工業力で軍備増強を続けること、などを指摘すべきだった。

また戦争に勝つためには「勝って兜の緒を締めよ」と説くのが言論機関の見識だろう。朝日はそのような事実報道も、冷静な論調もなく、開戦の時から戦果を大げさに持ち上げるプロパガンダを続けたのである。


■3.「敵の狼狽ぶりは世界の笑い草である」

真珠湾攻撃の成果とともに、米軍がどんなに狼狽(うろた)えたか、という記事を、南米経由でもたらされたニュースとして掲載している。


<同日桑港(サンフランシスコ)付近にあった米潜水艦は一輸送船を発見、わが艦艇の急襲と早合点し、忽(たちま)ち魚雷を放って撃沈、沈められた米船の乗組員5、6十名は狐につままれた気持ちながら、かろうじてボートに乗り移り、陸地に向かって漕ぎ帰った。

海岸の防御陣ではこのボートを発見、“日本軍敵上陸部隊来襲”と青ざめ、有無を言わせず一斉射撃を浴びせ哀れにもボートは忽ち海の藻屑(もくず)と消えてしまった。二度までも敵、味方の見わけもなくなった自国軍の手にかかって最後を遂げた米船員達の不運もさることながら、敵の狼狽ぶりは世界の笑い草である。>[1,p27]

米国の国土が史上初めて敵の攻撃を受けたのであるから、このような狼狽もあったのかも知れない。それにしても「敵の狼狽ぶりは世界の笑い草」とまで書く悪乗りぶりはどうだろう。初戦の勝利に沸く国民に米国軽視の風潮を植えつけるだけで、世界最強国との先端を開いたという緊張感のかけらも感じられない。


■4.「焼夷弾って、ほんとに怖くはないものですのね」

翌春、昭和17(1942)年4月18日、太平洋上の米軍空母ホーネットか ら発進したドリットル爆撃隊16機が東京を空襲した。初の本土空襲であ り、川崎、名古屋、神戸なども爆撃され、全国で50人が死亡、約200戸 の建物が火災などで損壊した。

翌日の朝日夕刊は「けふ帝都に敵機来襲 9機を撃墜、わが損害軽微」との見出しで、軍司令部の発表をそのまま報じた。「9機撃墜」も「損害軽微」も事実かどうか、その検証もされていない。国内の被害なので、死者数や火災件数くらい、新聞社なら掴めるだろうが、「軍部の報道統制に従ったまで」と言い逃れるのだろうか。

翌日には「初空襲に一億沸(たぎ)る闘魂」の大見出しのもと、「我家まもる女手 街々に健気な隣組群」との見出しのもとに、「焼夷弾を消しとめた婦人」の証言を紹介している。

「奥の6畳の間に赤ちゃんを寝かせておいてお勝手の用をしていましたら、四畳半にバーンという音がしたので驚いて駆けつけると、大きな火の玉が部屋中転がっていました。

とっさにこれが焼夷弾だなと思うとすぐに、屋外に駆け出して菰(こも)を水桶で浸し、「焼夷弾だ」と叫びながら燃える火の玉にとびかかるようにしてかぶせたら、すぐに消えちゃいました。焼夷弾って、ほんとに怖くはないものですのね。

無心に眠る背中の赤ちゃんを揺り上げて、また一散に町内の火災現場へ駆けだしていった」。[1,p57]


この他にも、屋根に墜ちた焼夷弾を手づかみで投げ捨てた話も掲載されている。まるでアクション映画の一シーンである。

朝日は戦後、南京戦で2人の日本軍少尉がどちらが先に100人の中国 人を斬れるか、という「殺人ゲーム」をしたという記事を掲載して「南京 大虐殺」報道を始めたが[a]、それと同様に、まったくリアリティの感じられない記事である。

仮令、事実だったとしても、焼夷弾に水で濡らした菰で覆い被さるというような危険な真似を国民にさせるつもりなのか。本当に国民の安全を望む良識のある新聞記者なら、こんな報道は控えるだろう。


■5.「敵の生肝(いきぎも)を、この口で、この爪で抉(えぐ)ってやるのだ!」

朝日は戦争スローガンの大キャンペーンも行った。「撃ちてし止まむ」は、昭和18(1943)年2月に陸軍が決戦標語として選定した「古事記」の一節で、「敵を撃ち滅ぼそう」と言う意味である。朝日は紙面で計13回にわたり、「撃ちてし止まむ」のタイトル付きの記事を連載した。

<幾たりかの戦友が倒れていった。“大元帥陛下万歳”を奉唱して笑いながら死んでいった、、、。今こそ受けよ、この恨み、この肉弾! この一塊、この一塊の手榴弾に、戦友のそして一億の恨みがこもっているのだ。敵の生肝(いきぎも)を、この口で、この爪で抉(えぐ)ってやるのだ!

戦友の屍(しかばね)を踏み越えて、皇軍兵士は突撃する。ユニオン・ジャックと星条旗を足下に蹂躙して、進む突撃路はロンドンへ、そしてワシントンへ続いているのだ、、、>[1,p137]

朝日は、この記事に呼応して、「撃ちてし止まむ」のスローガンとともに、星条旗とユニオンジャックを踏みつけて突進する兵士の姿を描いた100畳敷きの巨大ポスターを東京と大阪に掲げた。

ここまで来ると、もう完全なプロパガンダ機関である。しかも、大東亜戦争の目的は開戦の詔勅で述べた「自存自衛」であり、ロンドンやワシントンを征服することではない。

朝日は、これをも軍部の強制と言うのか。時世に迎合して、国民を煽り、部数を伸ばそうという卑しい商売根性ではないのか。いかに言論統制下とは言え、真の新聞記者なら、こんな扇動的な文章を書くよりも、黙って筆を折るだろう。


■6.「本土決戦に成算あり」

その後、戦況は日に日に悪化し、硫黄島の守備隊が玉砕して、そこから飛び立った爆撃機が、日本本土を空襲するようになった。その後に及ぶと、朝日は本土決戦を訴える。

昭和20(1945)年3月8日朝刊では、東京への大規模空襲が始まっている中で「本土決戦に成算あり 我に数倍の兵力、鉄量 敵上陸せば一挙に戦勢を転換せん」との見出しで、本土決戦なら特攻や沿岸の巨砲、数百万の精鋭で敵を壊滅できるとし、「銃後国民も第一線将士とともに文字通り銃をとって戦わねばならぬ」と主張している。[1,p111]

3ヶ月後の6月16日朝刊では、沖縄も奪われた段階で、「本土決戦、 一億の肩に懸(かか)る 我に大陸作戦の利」との見出しのもと、鈴木貫太郎首相が記者会見で述べた、本土決戦で「たとい武器においては劣るとしても、必勝の道はあると確信する」という発言を引用している。

この調子で、冒頭に紹介した降伏前日の「一億火の玉」記事まで、朝日は抗戦一本やりの紙面を続けるのである。


■7.報道機関とプロパガンダ機関の違い

しかし、鈴木貫太郎は8年間も侍従長として昭和天皇に仕えた人物であり、終戦を実現するという大御心のもとに首相に任命されたのあった。無条件降伏という非常識な要求を掲げるルーズベルト政権と、中国大陸では120万人の勢力を温存する軍部強硬派の間で、いかに折り合いをつけて 降伏に持ち込むか、鈴木首相の苦心はそこにあった。

前節の必勝発言は軍部向けのカモフラージュであったが、同時に4月12日にルーズベルト大統領の逝去に弔意を示して世界を驚かせたり、6月8日の施政方針演説でも「わが天皇陛下ほど世界の平和と人類の福祉と を冀求(ききゅう)遊ばさるる御方はない」と発言している。

鈴木が首相として登場した時に、ニューヨーク・タイムズは「和平の打診を試みるのではないか」という日本問題専門家たちの意見を紹介している。アメリカのニューヨーク・タイムズに見て取れることで、国内の朝日が分からなかったはずはない。しかし朝日は徹底抗戦のプロパガンダを続けた。[b,c]

冒頭の「一億火の玉」記事が掲載された8月14日時点で、当時の東京 朝日編集局長、細川隆元の著書『実録朝日新聞』によると、朝日社内ではポツダム宣言受諾をめぐる政府内の動きを掴んでいたという。朝日は紙面上では、そんな事はおくびにも出さずに、「一億火の玉」などと扇動を続けていたのである。

朝日が真の報道機関ならば、空襲下で倒れ行く国民の事を思われる昭和天皇の大御心を体し、鈴木首相の真意を察して、戦意高揚ではなく、和平への機運作りをする道もあったろう。

それもないままに、突然、8月15日の玉音放送を拝した軍も国民も 粛々と降伏を受け入れたのは、皇室への信頼が厚かったからに他ならな い。国民はそれまでの朝日の扇動にも踊らされなかった。


■8.戦前も戦後も一貫したプロパガンダ機関

弊誌865号、866号では「中ソの代弁70年〜朝日新聞プロパガン ダ小史」と題して、戦後の朝日がいかに共産主義国家に肩入れした報道を続けてきたかをまとめた。[d,e]

そこに見られるのは、事実を国民に知らしめ、その上で自社の論説を国民に訴える、という報道機関の姿ではない。事実を歪め、あるいは隠し、自社の思う方向に国民を誘導しようというプロパガンダ機関の姿である。今回は、戦時中の朝日の報道を見たが、ここでも同じ姿勢が明らかに見てとれる。

どういう方向に誘導しようとしているのか、その方向は別にしても、そのプロパガンダ体質は戦前、戦後を通じて変わらない。国民を無知なる大衆と見下し、自分こそが日本の目指すべき道を知っている、という歪んだ エリート意識がそうさせるのか?

いや、と弊誌は疑っている。戦時中のソ連や中国共産党は日本を中国や米英と戦わせて、戦火の中で共産革命を起こし、ソ中日の「赤い東亜共同体」を作ることを戦略としていた。その戦略に乗って動く少壮軍人や革新官僚もいた。朝日の尾崎秀實記者も、ソ連スパイ・ゾルゲと結んで機密情報をソ連に流し、死刑になっている。[f]

朝日の中には、尾崎以外にも、戦火のもとでの共産革命を狙っていた輩がいたのではないか。と考えると、本土決戦や終戦前日まで徹底抗戦を訴えた理由が分かるような気がする。この仮説が正しいとすれば、戦前も戦後も朝日は方向も姿勢も一貫した売国プロパガンダ機関である、ということになる。


■リンク■

a. JOG(028) 平気でうそをつく人々
戦前の「百人斬り競争」の虚報が戦後の「殺人ゲーム」として復活した。
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogbd_h10_1/jog028.html

b. JOG(100) 鈴木貫太郎(上)
 いかに国内統一を維持したまま、終戦を実現するか。
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogbd_h11_2/jog100.html

c. JOG(101) 鈴木貫太郎(下)
 終戦の聖断を引き出した老宰相。
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogbd_h11_2/jog101.html

d. JOG(865) 中ソの代弁70年 〜 朝日新聞プロパガンダ小史(上)
敗戦直後からソ連崩壊まで、朝日新聞はソ連の忠実な代弁者として発言
してきた。
http://blog.jog-net.jp/201409/article_2.html

e. JOG(866) 中ソの代弁70年 〜 朝日新聞プロパガンダ小史(下) 
朝日は、中国の国内代弁者としてモンスター国家の成長に一役買った。
http://blog.jog-net.jp/201409/article_4.html

f. JOG(263) 尾崎秀實 〜 日中和平を妨げたソ連の魔手日本と蒋介石政権が日中戦争で共倒れになれば、ソ・中・日の「赤い東亜共同体」が実現する!
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogbd_h14/jog263.html

■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け)
  →アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。

1. 安田将三、石橋孝太郎『朝日新聞の戦争責任―東スポもびっくり!の戦争記事を徹底検証』★★、太田出版、H7
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4872332369/japanontheg01-22/

◆先送りする方が良くはないか

前田 正晶



感覚だけで結論から先に言ってしまったが、8%に引き上げた時点の景気低迷というか4〜6月期のGDPのマイナス成長という結果から見ても、未だ1年先のことであっても結果は現在と同じ事かと思っている。また、先のことであっても、発表しただけで結果の先取りのような状態が起きはしないかと、悲観論者は危惧するのだ。

アベノミクスで株高と円安を生じさせ、跛行的ではあっても景気は上向き始めたのは確かだろう。だが、デフレ傾向が払拭されたとは言い切れない状況が残っているし、物価の上昇率が昇給率を上回っているのが実情ではないのか。

ある女性対象の調査では、再引き上げを支持するのは2%で、92%が「節約します」と答えたとか。経産省中途退学の古賀茂明だったかは三党合意を尊重する必要性に疑問を呈して「社会保障の財源にすると言うが、100年先はいざ知らず十分にある」と言ったし、「引き延ばせば諸外国で不評を招くというのは詭弁で、我が国では未だ増税できる余力があるのかと賞賛されている」と指摘した。確か、財務省出身の高橋洋一も同調していた。

私には財政的なことや社会保障の財源等の細部などは何も知らないが、街を歩いて景気の状態を肌で感じ取り、商社の友人たちに市況や一般経済の動向等を聞く限りでは、更なる消費税率引き上げが好結果をもたらすとは感じれらないのだ。

そういう感覚的な捉え方で先送りにした方が良くはないのかと思うのだ。何れ再引き上げは必要だろうが、結果が予測できる事態では好ましくないと思うのだ。

◆閑話休話:友とのメール

浅野 勝人(安保政策研究会理事長)


〜「遠路はるばる来たもんだ!」〜

<吉川英明です。朝刊で日中首脳会談に伴う「合意文書」をみました。アレっと思ったのは、過日、浅野兄が送ってくれた北京大学講義録の内容と似通っているように思ったからです。

確か9月の中旬だったと記憶していましたのでmailを探して見付けました。読み返してみて、基本理念が同じでした。表現まで似ています。

「日中首脳は、相互の見解の相違を認め合って率直に話し合うべきだ」と講義で述べた思考が、まるで合意文書に踏襲されているような錯覚を覚えました。

これは、貴君の予測が的中したということですか。それとも、長期のにらみ合いに区切りをつけるためには、「コレしかない」ということですか。

私は、APECに各国首脳を北京に呼んでおいて、あの人とは会うが、この人とは会わないというような非礼な振る舞いは避けるはずだと思っていました。

ですから、日中首脳会談はやるにはやるが、どんな形式で、どの程度まで双方の問題意識に触れるか、水面下の事前折衝が気がかりでした。
合意文書は満点ではないかもしれませんが、今の時点としては極めて常識的な線に落ち着いた的確な内容と評価します。如何でしょう。

それにしても、ここまで来るのにすいぶんと手間暇のかかるものですねえ。時間の浪費をもっと改善出来ないものかとイライラします。相互不信感のなせる業(わざ)でしょうから、それを思うとこの先どうなることやら案じられます。   (2014/11月8日、吉川英明)>

(★吉川英明氏は、文豪・吉川英治の長男。吉川英治記念館館長。浅野と吉川は、半世紀前、NHKで同期の記者。)

◆私(浅野勝人)の返事メール
〜吉川君 相変わらず冴えていますねえ!〜
 
<私が言ったら自慢話に聞こえてしまいそうでまずい事柄をズバリと指摘していただきました。吉川君、相変わらず冴えていますねえ。

確かに大好きな競馬の3連単馬券を一点買いで当てたみたいないい気分ですが、それは違います。あなたの見解通り、今の時点で日中首脳会談をやるとしたらコレしかなかったからだと思います。

かねて、私は「尖閣列島に領有権問題は存在しない」という政府の方針に逆らって、「見解の相違を認めよ」と右翼から中国の代弁者と糾弾される主張を繰り返し指摘してまいりました。

その理由は、中国側の動機が何であれ、現に言い分が食い違っている以上、それを認めたうえで問題を解決する方策を探るしかないと考えたからです。

そのためには「日中検討委員会」を設置して相違点の話し合いから始めないと、最後は武力に訴えて解決する以外に途がなくなってしまいます。

力による喧嘩は嫌だから“世の中の常識”を説いただけのことです。幸い、APECというタイムリミットがありましたから、日中の国家指導者は国内世論を説得する好機ととらえるのに好都合でした。政治家ならこれも常識です。

だから、9月の私の北京大学での講義で、このように述べました。

「日中間には重要な四つの政治文書がありますが、なかでも日中平和友好条約の原点に立ち返る必要を感じます。今こそ、不幸な歴史に終止符を打ち、未来に向かって友好善隣を誓約した36年前の昭和天皇とケ小平の会見に思いを深くする時です。

日中両首脳は、相互の見解の相違を認め合って率直に語り合うべきです。APECは、二人がアジア・太平洋地域の真のリーダーであることを示すうってつけの機会です」と述べたのです。

その際、学生たちから熱烈な拍手を受けました。北京大学の学生のレベルは高い。

「合意文書」に対して、大騒ぎしてこんな程度かと言われるかもしれませんが、この時期の合意としては極めて重要です。これによって、さまざまな問題を抱える各分野の日中協力の話し合いが再出発できるからです。

事前交渉の黒子は、谷内正太郎国家安全保障局長です。私が外務副大臣の折の事務次官でした。彼は、奇を衒(てら)わない、基本に忠実な外交官で、信頼出来る人物です。

APECがはじまると、北京はオバマ一色になりますが、気にすることはありません。吉川君、今後ともよろしく。>             ( 2014/11月8日:返事、浅野勝人 )





2014年11月09日

◆オバマは反省しない謝罪もせず

Andy Chang



独裁者は反省しない。4日の中間選挙で民主党が大敗した翌日の5日にオバマは記者会見を開いたが、1時間12分の会見でオバマが強調したのは、敗因は他人のせい、彼の政策は間違っていない、譲歩する気配が少しもない(ある記者は1インチの譲歩もないと言った)
だった。上院と下院が共和党多数となっても責任を認めず、謝罪も謙虚さも見られないのである。

記者会見で強調したことは3つ、(1)国会と協調するが、基本政策と違う場合は拒否権を使う。(2)私は「法の許す限り大統領命令で政策を実行する」、つまり国会を無視して独裁命令を出す。(3)選挙の敗因は3分の2の有権者が投票しなかったからだ。

更に強調したのは、彼の移民法案を大統領命令で通す。オバマケアは大成功(?)だ、廃棄するなら拒否権を使う。ISIS対処はしない。カナダから石油運輸のKeystone Pipelineは許可しない。国政麻痺は彼の責任でなくて国会の責任だ、など。

●3分の2の有権者が投票拒否?

記者会見の直後にFoxnews のテレビ討論で2人のコメンテーターがオバマの選挙敗因で、3分の2の有権者が投票しなかったから大敗したと2度も述べたことについて、投票しなかった有権者の3分の2はみんなオバマ支持者だと言う理論は通らないと言った。

投票を拒否した有権者全体がオバマの支持者であった、国民の3分の2は今もオバマの支持者であるという理屈はナンセンスである。これはナンセンスだけでなく自己毀損である。

突き詰めて考えてみると、オバマ支持者がみんな投票拒否でオバマと民主党を支持しなかった理由は何か。彼らはオバマ支持をやめたと言うことである。オバマが2度も強調した自己弁護は二つの結果、(1)投票した有権者はオバマ反対で、(2)投票しなかった有権者はオバマ支持を放棄したと言うことになる。

●選挙の結果いろいろ

今回の中間選挙で顕著な結果をいくつか挙げる事が出来る。

 1.上院の選挙で激戦区といわれたノースカロライナ、アイオワ、コロラド、ジョージア、ウエスト・バージニアなどで共和党が勝利した。アラスカ、ルイジアナは未決だが共和党優勢。バージニアは投票結果を再計算中。

 2.共和党多数となるとケンタッキーの上院議員のマッコーネルが議長となる。オバマはケンタッキー州でマッコーネル降ろしに巨額資金をつぎ込んだがマッコーネルが悠々当選した。

 3.共和党は白人男性の政党だとデマ宣伝していたが、ユタ州では共和党の黒人女性が当選した。また18歳女性が当選した。

4.民主党優勢の州、フロリダ、マッサーチュセッツ、マリーランド、コロラドなどで共和党が州長となった。
5.
オバマが特に敵視し巨額の金をばら撒いた州長選で、テキサス、
ウィスコンシン、アーカンソーで共和党が勝利した。
6.
全体的ムードは民主党に失望したのでなく、反オバマであった。

●国民の関心は何所にあるか

アンケートで投票者の関心とした問題を調べた。順序は

(1)経済(雇用問題、国民所得の減少、18兆の赤字、国際収支)
(2)健保(オバマケア、エボラ出血熱)
(3)移民問題(違法移民、国境監視と違法入境者、未成年者の違法入境)
(4)外交の衰退(ISIS、中国、ロシア、ウクライナ)

これらは全てオバマ政策の失敗に繋がっている。

●2016年の大統領選挙

中間選挙が終わって次の話題は2年後の大統領選挙となるが、既にヒラリーが話題に上がっている。ヒラリーは今回の選挙で26人を応援したが13人が落選した。またビル・クリントンも各地で応援講演をしたが、民主党の大敗でヒラリーの出馬にマイナスとなった。

しかし別の面では民主党の敗北でヒラリーにプラスとなった点もあると言うコメントもある。つまりオバマ敗北のあとヒラリーはオバマと上院議長ハリー・リードの悪評から免除されるというのだ。

一般の評論では民主党候補としてヒラリーの呼び声が高く、ほかの候補者は話題にならない。バイデン副大統領はボンクラで失言癖で有名になり人気がない。しかし共和党多数となった国会ではオバマ罷免が通るかもしれない。そうすると副大統領バイデンが大統領と
なり、次期大統領に出馬してヒラリーと候補者争いをすることになる。興味ある話題だが、まだ深読みする必要はないとも言う。

●あと二年のオバマ政権

記者会見でオバマは強気な発言ばかりして、国会と対立を続けて譲歩する気配は見られなかった。拒否権の行使と大統領命令で国会無視、民主制度の無視、独裁を貫き、民主国家を社会主義国家に捻じ曲げる政策を継続する意志が見られる。

だが実際に拒否権発動や大統領命令を多発する事が出来るかは来年にならないとわからない。明らかなのは民主党の敗因は反オバマであるにも拘らずオバマの反省は見られないということである。

数日後に開催されるAPEC会議で中国の習近平はどうオバマに対処するかが見ものである。APECに続いて、オバマの権威失墜がどれほどか、ロシアのプーチン、イランの核協議、ISISの攻撃などで明らかになるだろう。

◆中国の新幹線、メキシコ進出が白紙に

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
 

<平成26年(2014)11月8日(土曜日 通巻第4387号> 

〜中国の新幹線、メキシコ進出が白紙に
   ペニャニエト大統領、中国鉄建の入札を蹴飛ばす〜

中国の新幹線海外輸出プロジェクト第1号として注目されたメキシコとの商談は、日本勢、カナダ、欧州勢、合計16社が入り乱れての競争が予測されたが、結局応札したのは中国国有企業の中国鉄建だけだった。
 
このメキシコ新幹線プロジェクトはメキシコ・シティとケレタロ間210キロを最高時速300キロ、1時間で走る。

中国がいったん受注した額面は44億ドルとされた。

メキシコ側は「応札したのが中国1社だけというのは不透明性への疑惑が生じるので白紙に戻す」としたが、収賄容疑も囁かれる中、しかもAPECで北京にいく直前のペニャニエト大統領が「撤回」を表明したことになる。

他方、中国人民銀行は9月と10月に7000億元の資金供給をしたとされていたが、7日にこれを「上方修正」し、じつは「7695元(邦貨換算14兆5000億円)だった」と発表した。

これは裏付けのない資金供給、つまり銀行救済のための緊急的な「つなぎ融資」である。

中国人民銀行はこの資金供給の論拠を「中期貸出制度」としている。「中期貸出制度」?。とってつけたような理由は、供給直前につくられた新規約が法的根拠。しかも9月に一方的に制定し、利息を3・5%としたのだが、俄か作りの理由付けで、不透明このうえない。

銀行は不良債権の顕在化を目前に最後のあがきというところだろう。
         

◆勘違いをしている人々

平井 修一



以前、自分なりの資本主義論をこう書いた。

<不要なのに買ってもらわないと資本主義は成り立たない。国民すべてが質素倹約すると、企業は売上減で人員カット、給料は低下、人々の購買力は落ちる、税収も減る、福祉を削る、乞食が溢れる、道路の補修もできない、結婚できないから人口も減る・・・亡国になってしまう。

たとえ無駄遣いであれ、去年より多少なりとも消費を増やし、企業の売上が伸び、給料と雇用が増え、消費が増えないと国の体力が減退するのが資本主義なのだ。自転車操業みたいに停まったら倒れてしまう。

だから企業は新型の商品を開発し続け、国民は旧型を捨て新型に買い換えるということを永遠に続けることになる。新型とか最新技術を開発しないと国際競争に敗けてしまうから、最低でもトップグループ(G7)にいないとまずいこともある。

とにもかくにも毎年GDPをそこそこのプラス成長にさせないとうまくいかない。“失われた15〜20年”のように活気がなくなる。とにもかくにも国民はできる限り消費し続けるしかない、たとえ借金してでも。

小生は成長率ゼロとかマイナスでも、そこそこ国民が幸せに暮らせる経済システムはないものかと考えているが、発見あるいは発明すればノーベル賞ものだろう>

山本隆三・常葉大学経営学部教授が「『資本主義の終焉』? 脱成長路線では世界を救えない」を書いている(ウェッジ9/16)。小生の拙論は大体当たっているようである。以下転載。

             ・・・
 
水野和夫の『資本主義の終焉と歴史の危機』を読み終え、最初に思い浮かべたのは、マルサスとジェボンズの2人の経済学者だった。

マルサスは18世紀末に「人口論」を著し、人口の増加のペースは食料生産のそれを上回り、食料確保のため実質所得は上昇しないと予測した。

ジェボンズは、19世紀に著書「石炭問題」により、やがて石炭を使い果たすために工業は減速すると予想した。

水野もマルサスやジェボンズと同じような勘違いをしているのではないか。水野は、『100年デフレ』『人々はなぜグローバル経済の本質を見誤
るのか』などの著書以来、同じような主張をしている。

簡単に言えば、中国の生産過剰などにより利潤が低下し資本主義を続けられないほどの問題が生じるが、次の制度がどんなものか分からないので、経済成長をする必要はないとの立場だ。

何人かのエコノミストと呼ばれる人たちが水野の本を推薦していることから同様の意見の人は多いようだが、その主張の前提は正しいのだろうか。

欧州がリーマンショック後の不況から立ち直り始めたところで、ロシアの地政学の問題により景気が再度低迷し始めた。しかし、景気低迷の状態を資本主義の終焉と呼ぶのは無茶だ。

世界には自給自足経済を中心とし一日1ドル以下で生活している人が10億人以上いる。2ドル以下となると25億人、3人に1人だ。この人達の生活を向上させる必要がある。世界には辺境がもうなく、経済成長は不要というのは、持てる人の理論ではないか。

水野は朝日新聞記者・近藤康太郎との対談『成長のない社会でわたしたちはいかに生きていくべきか』のなかで、「デジカメが3台あり、もう要らない」と発言しているが、世界にはデジカメどころか十分な食料を買えない人が多くいることを考えるべきだ。

5、6年前のことだが、インドに滞在している時に読んだローカル紙に、「生まれてから一度も満腹感を味わったことがない人の比率がインドでは約8割」とのアンケート結果があり、愕然としたことがある。

私たちは、まだ経済成長を必要とする社会に住んでいる。気候変動、エネルギー・環境問題を考えながら、持続可能な発展を求めるべきだ。市場が格差を拡大しているのであれば、再配分政策を通し是正を図るのが資本主義の政策ではないのか。

中国の過剰設備、歴史を理由に資本主義の終焉を主張し、脱経済成長を主張するのが正しいとは思えない。(以上)

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枝野幸男は著書『叩かれても言わねばならないこと』で、「日本は近代化の限界に直面している。中国、インドなどの新興国が追い上げるので、工業製品の輸出は望めなくなる。代わりに大きな隙間産業を狙うべき」として、盆栽をあげているという。

山本氏曰く「枝野の選挙区が盆栽の産地らしい。日本の輸出額は、リーマンショックの影響を受け減少していたが、それでも60兆円程度あった。主体は輸出額10兆円の自動車などだ。この輸出規模の一部を盆栽で補えると経済産業大臣(当時)が考えていたというのは、悪い冗談だ」。

枝野は資本主義を否定する革マル派の影響下にあるJR総連、JR東日本労組から献金を受け、「綱領を理解し、連帯して活動します」などが記された覚書を交わしていた。

勘違いをしている奇妙な学者や政治家、平気で嘘を書く記者、報道しない自由を謳歌する記者などが多いから、前後左右上下をよく見て真実を探るようにしたいものだ。(2014/10/3)