2016年11月02日

◆山がひっそり高齢社会を考える

加瀬 英明



すべってころんで 山がひっそり高齢社会を考える

75歳の誕生日を迎えてから、ほどなく4年目が過ぎようとしているが、実
感がない。

だが、草原のライオンも、イエネズミも、自分の年齢を知らないし、知ろ
うとしない。

私には動物の逞しさが、身についているのだろう。

それでも、休む間がない。先日、月刊『HANADA』の花田紀凱氏と
会ったところ、「引退したら、どう毎日を過したらよいのか、分からな
い」と、同意してくれた。花田氏も70代になった。

『労働経済白書』が求めていること

9月に、厚生労働省が『労働経済白書』を発表したが、少子高齢化による
労働力不足を解消するために、「今後増え続ける高齢者の就労が重要」だ
として、高齢者の労働市場参加を促す環境づくりをすることが必要だと、
述べている。

60歳以上の人口が、この10年間で937万人から、1264万人に増えたという。

これまで振り返ると、凡倉(ぼんくら)が山道をのぼったり、降りたりして
きたが、「すべってころんで 山がひっそり」という山頭火の句がぴった
りする。

生きることは生かされること

私は無為を勧める老子に憧れてきたが、無為徒食という訳にゆかないの
で、物書きとして糊口の道を選ばざるをえなかった。

鳥は向い風があるから飛べるが、荊妻(けいさい)を養い、食扶持(くいぶ
ち)を稼ぐために、締め切りの強風に立ち向う、繰り返しだ。

荊妻は、西晋の皇甫謐(216年〜284年)の『烈女伝』にでてくる美談だ
が、後漢の文人だった梁鴻(りょうこう)の妻が、夫に負担をかけてはなら
ないと思って、飾ることなく、庭先で摘んだ荊(いばら)を簪(かんざし)と
して、いつも髪にさしていたことに因(ちな)んでいる。

凡倉はぼんやりしていて、世事に昏(くら)いことをいう。世事に昏いか
ら、毎日、学ばなければならない。一日向上しなければ、一日退歩する。

凡倉に生まれついているのは、天の恵みだ。

幼な兒がはじめて目を大きく開いて、目の前にひろがる世界を見るたび
に、新鮮な発見をして喜ぶように、退屈することがない。

だから、休む暇がない。

レールからの解放

この春に、自民党の委員会の「2020年以降の経済財政構想小委員会」が、
今後のあるべき社会を討議して、『レールからの解放――22世紀へ。人口減
少を強みに変える、新たな社会モデルを目指して』という、報告書を発表
した。

この報告書によれば、これまで国民の大多数が終身雇用制度のもとで、
「20年学び、40年働き、20年休む」のが、常態であったらしい。

20年休むだって? いったい、この小委員会は、どのようなメンバーを集
めたのだろうか、知りたいものだ。

だが、そんな銀の匙(シルバー・スプーン)ならない、銀のレールのうえ
を、快(こころよ)く揺られながら走ってきた者は、国民のほんの一部でし
かないはずだ。

自民党のレポートは、22世紀を論じているから、慌てふためかなくてもよ
いだろう。

働くかぎり青春が続く

ちょうど、月刊『文藝春秋』10月号が送られてきたので、ページをめくっ
ていたら、「将来、日本から『正社員』が消える」という見出しが、目に
入った。

将来というと、もっと間近だ。そうなると、正社員として禄を食んでいる
人々や、正社員を目指す人々にとっては、深刻な問題だろう。

銀のレールの上を走りたいというのも、山道を歩もうというのも、人それ
ぞれ好みによるものだ。

だが、人生は転ばなければ、掴めないものも、たくさんある。

法華経は、凡夫を「凡夫浅識」といって、慾望に駆られるために迷い、悟
りをえることができない愚かな人として見下しているが、私はもっともっ
と働いて、いつか妻に感謝して、荊にかえて、銀の簪を買ってやりたいと
思っているから、あと10年か、20年は、凡夫でいたい。

65歳から老人だというが

9月に「敬老の日」が巡ってきた。65歳から、老人になるという。

このごろ、日本では「父の日」とか、「母の日」とか、「豆腐の日」「眼
鏡の日」「食パンの日」とか、毎日が何かの日となっている。

かつては、老人や、父母は、毎日敬われたから、そのような日は必要な
かった。

清少納言の『枕草子』に、「ただ過ぐるもの」として、「帆をあげた船、
人の齢(よわい)、春夏秋冬」とあるのを、思い出した。

どうして「敬老の日」を、秋に据えたのだろうか。春にしてほしい。

先の報告書に戻ると、「20年休む」というが、いったい、どうやって休む
のだろうか?
 
忙しいなかで休むのは楽しいが、来る日も来る日も、四六時中休んでばか
りいたら、休むことができるものだろうか。

このごろの夫婦は、名勝を巡ったり、クルーズ、海外へ観光旅行へ出かけ
たりして、散財を楽しむようだ。

いつの間にか、労働者がいなくなって、全員が消費者になった。経済を優
先して、人までが消費されている。

自分まで消費してしまってよいか

先進経済諸国では、あらゆるものに値札がついている。あらゆるものの価
値が、金(かね)の多寡(たか)によってはかられる。

だが、シャンデリアが下っている高級クラブで、1瓶十数万円もするブラ
ンデーを呑んだり、客単価が3、4万円もするようなレストランで食事を
して、いま、自分が贅沢をしていると思うほど、貧しいことはないだろ
う。これほど、寒(さ)む寒(ざ)むしいことはない。

贅沢をしても、そう感じないことが、ほんとうの贅沢だ。妻に「お休み」
をいう時、2人で茶を喫する時、これ以上の贅沢はない。

たまに茶屋に遊びにいっても、目もとの涼しい芸妓がいなくなった。だ
が、芸事に励(いそし)んでいるのが、嬉しい。

家庭安楽は安心が与える

銀座の高級クラブには、誘われないかぎり、足が遠のいている。30年前よ
りも、ホステスの化粧がうまくなったが、シロウトの女性と同じように、
表情が険しくなった。

家にいるほうが、楽しい。

やはり、タダのものがよい。

テレビや、CMや、雑誌が、大企業の金儲けのために都合のよい客観ばか
りによって、人々の頭をみたしてゆく。客観ばかりに身を委ねると、自分
を失ってしまう。無目的な動によって、支配されてはなるまい。

人の心の働き――主観のほうが、尊いはずだと思う。

 秋だ。昨日は、庭で鈴虫が鳴いていた。
「鈴虫が声かりたつる秋の夜は あわれにもののなりまさるかな」と、和
泉式部が嘆いている。

『万葉集』『古今和歌集』をはじめとする歌集を、古典だと思ってはなら
ない。そう思った瞬間に、歌が生命(いのち)を失う。私にとって、額田王
(ぬかたのおおきみ)や和泉式部は、同世代の人だ。

原稿に向かう筆を休めると、白楽天(772年〜846年)が、「秋来 タダ一
人ノタメニ長シ」と、耳もとで囁く。

しばし、まどろむ。『ドンキ・ホーテ』のセルバンテスが、「眠れば、帝
王も牧童も平等」と、述べている。16世紀の人だ。

主観を大切にしよう

同じ眠りでも、『百人一首』のなかで小野小町が、「夢と知りせば覚めざ
らしを」と歌っている。

やはり、日本文化のほうが洗練されている。

古人が「秋寒(あきさむ) ややさむき 夜寒(よざむ)など」と詠じている。

今夜は、秋雨が降っている。風や、雨にも、想いを寄せる。

庭先の梢から、玉の滴(しずく)が落ちている。和泉式部が限りない恋慕
を、「身を知る雨と思いけるかな」と、訴えている。


◆勲章がない不名誉をご存知か

野口 裕之




http://www.sankei.com/images/news/161031/prm1610310003-n1.jpg

自衛隊殉職隊員追悼式で弔辞を述べる安倍晋三首相=10月22日午前、防衛
省(代表撮影)

東日本大震災(2011年)以降も、熊本地震や台風被害、鳥取地震…と、天
災が続く。大きな天災の度に人命救助や復旧・給水活動を展開する自衛官
の目覚ましい活躍に、多くの国民が「瞠目(どうもく)」する。

でも、小欄は「瞠目」などしない。自衛官の日常、使命感、覚悟、練度…
に日頃から接しており、驚いては礼を欠く。

現に東日本大震災では、大型ヘリコプターを原子炉上空にホバリングさ
せ、ホウ酸を詰めた容器をゆっくりと降ろし→散布→中性子を吸収し→再臨
界を食い止める《鶴市作戦》も準備された。《鶴市》は治水に当たり、鶴・市
太郎母子が人柱となり、人々を水害より救ったとする大分県内の神社に伝
わる故事にちなむ。

幼き日、遠足で神社を訪れた大震災当時の陸上幕僚長、火箱芳文・退役陸
将が作戦会議で話し、命名に至る。

 しかし、最悪の場合は自衛官が被曝覚悟で降下する決死の任務から生還
できても、勲章はない。武人に対するかくも不名誉・無礼な振る舞いが、
自衛隊の前身・警察予備隊創隊(昭和25=1950年)以来続いてきた。国
家・国民が恥じ、断固正さなくてはならない「国家的怠慢」である。

もっとも、鍛えているとはいえ自衛官も生身の人間だ。東日本大震災で
は、洗浄を伴う数千体の遺体の収容や搬送を担った。担架が不足し、子供
の亡きがらは抱きかかえて運んだ。同じ年頃の子を持つ自衛官には、これ
がこたえた。「引きずる」のだ。

だから、自衛隊では専門家を前線部隊に巡回派遣し、いかにすれば「引き
ずらぬ」か指導を繰り返した。指導は末端に間接的ながら伝えられ夜間、
5〜10人が車座になり、一日の辛い経験を吐き出す。ある者は泣いた。

無残に傷んだ骸(むくろ)が目に、頭に焼き付き、遺族だけでなく自衛官
もまた泣きたいのに、日中は黙々と任務を果たす。自ら被災し、家族の死
傷や行方不明も多く、遺体収容所に搬送・安置し、合掌し、再び現場に
とって返す時、遺体収容所に留まり親・兄弟や愛する人を探したい衝動を
「その都度抑えた」。

小欄は自衛官の活躍に「瞠目」などしないと先述したが、自衛官の「まぶ
しさ」は、こちらの眼を潤ませる。自衛隊最高指揮官の安倍晋三首相も10
月に陸上自衛隊朝霞駐屯地(東京都練馬区など)で行われた自衛隊観閲式
における訓示の中で、被災者にとって「まさに希望と光であった」と称えた。

■防大生は「現代青年の恥辱」と侮辱した大江某

半面、被災者が地元で、被災していない国民がテレビを通して見る自衛官
に比べ、国民の視野や想像のはるか外側にいる自衛官は圧倒的に多い。日
本より1万1千キロも離れた灼熱の南スーダンで、国連施設整備などを担う
PKO(国連平和維持活動)に大汗を流す自衛官。北朝鮮ミサイルの脅威に
備え数カ月も家族と別れ、イージス艦上で日本海の荒波に耐える自衛官。
被弾→墜落の恐怖を克服し、中国空軍戦闘機の領空侵犯を警戒しスクラン
ブル(緊急発進)する自衛官…

国土防衛や平和秩序構築こそ“本業”なのに、国民に「まぶしさ」は届かな
い。この際、国家・国民に問いたい。過去、無数に放たれたであろう、自
衛官が発してきた「まぶしさ」を受け止める努力をしてきたのか、と。む
しろ「まぶしさ」はサヨクや左に傾いたメディアによって、さえぎられる
か、故意に屈折させられ伝えられたのではなかったか。

安全保障関連法案をめぐる国会審議は、国家主権や国民の守護など国益に
必要か否かではなく、「戦争法のレッテル貼り作業」や「自衛官のリスク
度問題」が先行した。

南スーダンでPKOに従事する自衛官に「自己防護」ではなく「任務遂行」
に向けた武器使用を許可し、国連やNGO(非政府組織)の職員に危害を加
える暴徒・武装勢力を排除する新任務《駆け付け警護》付与に関する国会審
議でも「自衛官のリスク」が論じられている。

「自衛官のリスク」を懸念する?のは、国防の重要性を認識し、防衛予算
向上に尽力する保守系政治家ではない。激烈な敵火力と対峙する自衛官
に、警察官と同じ武器使用基準を強要するサヨクほど「自衛官のリスク」
を叫ぶ。大きなお世話だ。

安全保障上の諸施策を世界常識に近づける動きを阻止すべく、自衛官の命
を「盾」にする破廉恥はミエミエ。いっそノーベル賞作家・大江某のごと
く、防衛大学校生は「現代青年の恥辱」と表現してくれれば「前時代の
輩」で片付くが、今のサヨクは「中庸」「リベラル」を装うので始末が悪い。

自衛官の命を気遣うフリをする勢力は、集団的自衛権の限定的行使を可能
にした政府に「憲法改正が筋」と説教を垂れる勢力とも重なる。本心では
自衛官の命などどうでもよく、改憲を嫌がる反動分子なのだ。

■イラク派遣前「遺言」を書いた自衛官

自衛隊員は入隊時に「事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂
に務め、もつて国民の負託にこたえる」との《服務の宣誓》を、法で義務付
けられてもいる。

サヨクのおためごかしなど無くとも、自衛官は命令とあらば、国防や危険
地帯で任務を完遂する覚悟をとっくに決めている。

旧知のI一等陸佐(当時)は2005年のイラク派遣を前に《遺言》を書く。《遺
書》ではない。I氏の妻に言わせると、遺書とは確実な死が前提だという。
《君たちが読む頃、私はこの世にはいない》の書き出しは、こんなふうに続く。

《自閉症の長男は一人だけでは生きられないと思うので、周りの人たちと
仲良く生きていくように。長女には国の役に立てる仕事を選ぶように…》 
I氏は今も元気だが、一般的に軍隊・軍人は厳しい訓練や過酷な出動を重
ねることで、戦争がなくとも平時での殉職者が多い。自衛隊観閲式前日、
今年も防衛省内の慰霊碑地区(メモリアルゾーン)で、安倍首相も参列し
て自衛隊殉職隊員追悼式が挙行された。

追悼式では、新たに31柱の名簿を慰霊碑に奉納。これで、前身の警察予備
隊創設の昭和25(1950)年以降、1909人が公務中に命を落とされた。

ところが、「自衛官のリスク」を心配したはずの国会議員の内、追悼式の
出席者はたった1人だ。衆参両院事務局によると、今国会の予算委員会で
「自衛官のリスク」について民進、共産、社民各党所属の8議員がただし
たが、出席したのは民進党参院議員だけ。式に参列した現職国会議員13人
の内、野党議員はこの民進党参院議員を除き皆無だった。

殉職されて尚、サヨクの心ない言動に、自衛隊員は名誉を傷付けられている。

名誉を傷つけて平然としておるのだから(傷つけている意識すらい?)、
「武人の名誉」の何たるかも知らない。従って、現役自衛官を叙勲しない
「国家的怠慢」を放置して恥じぬのだ。

通常、自衛官は退官し数年〜十数年が過ぎて初めて勲章が贈られる。しか
も、制服組最高位・統合幕僚長や陸海空自衛隊トップ・各幕僚長は中央省
庁の事務次官程度。

東日本大震災で自衛隊を直接指揮した東北方面総監は局長級、陸将補(少
将)は課長級という格の低さである。下士官・士(兵)に至っては退官後
ですら叙勲されない。

勲章は礼装(メスジャケット)に飾り、日常着用する軍服には勲章の略章
を着ける。しかし、防衛省が定める《防衛功労章》は国家が下賜する勲章で
はなく、防衛省が独自に制定した“メダル”でしかない。もう一つの《防衛
記念章》の方は防衛功労章なる“メダル”に対する事実上の略章との位置付
け。42種類も定めている割に、自衛隊内で「グリコのおまけ」と揶揄され
るのは、こうした“重み”故だ。

防衛駐在官=武官ら多くの自衛官が、外国や在日大使館における公式パー
ティーへの出席をいとう理由は、礼装に着ける勲章がないためでもある。
時折、勲章を着けている自衛官を見かける。

実は海外勤務・任務などの際、現地政府が授与した勲章だ。祖国が授与せ
ぬ勲章を、外国が授与するとは奇っ怪至極ではないか。

まともな国で、武人は武勲・功績に応じ、祖国が勲章を贈る。英国では軍
人に《ナイト爵》の一つに数えられる《功績勲章》を1902年のエドワード7世
の、《大英勲章》を17年のジョージ5世の、それぞれの時代に設けている。
時の君主が受章者の肩に剣で触れる儀式は今も続く。

フランスには《レジオン・ドヌール〈名誉ある軍団〉勲章》《国家功労勲章》
▽スペインには国王と政府が授ける陸海空軍別《功労勲章》▽イタリアにも
《イタリア共和国功績勲章》などが制定されている。米国に至って
は、民間人用の《大統領自由記章》以外は、ほぼ軍人向け勲章という徹底ぶ
りだ。 

自衛官にまつわる叙勲問題を執筆していると、米中枢同時テロ(2001年)
後、海外派兵した英軍将兵の「帰国」を報じたBBC放送の映像を必ずと
言ってよいほど思い出す。単調でいながら、崇高で厳かであった。

《空軍機を出た国旗にくるまれた棺が、担いだ6人の兵士を媒介として祖国
の土を踏む。棺を迎え入れた柩車は数百メートル離れた遺族・友人らの前
を超低速で進み、やがて基地の彼方へと消えていく。その間、画面隅には
軍服姿の遺影と軍歴が映し出され、アナウンサーも低く、ゆっくりとした
声で故人の生涯をたどる》

数十人分が数時間にわたり放映された。『名誉の戦死』であり、叙勲は疑
いもないが、彼らは生前も武勲に応じて叙勲の栄に浴している。 

■「必罰」あって「信賞」なし

小欄が2007年に参列した自衛官4人の葬送式も厳かであった。が、叙勲の
時機はまったく異なる。

4人を乗せた大型ヘリは、視界200メートルで海上濃霧警報が発令される
中、緊急患者空輸任務で離島に向かう途中に墜落した。機長は定年間近、
整備員は妻と入籍してわずか1年だった。式次第に載った遺影は所属部隊
が徹夜で「作った」。

4人の2階級特進で、肩(階級)章を変える必要性が生じただけではない。
せめて「顕著な功績」に贈られた“メダル”の《第1級防衛功労賞》と《防衛記
念章》で胸を飾りたいとの強烈な思いがあった。ただ、CG(コンピュー
ター・グラフィックス)の力をもってしても、勲章までは着けられなかった。

4人に正五位・旭日小綬章や従五位・旭日双光章/旭日単光章が贈られたの
は葬送式後だった。 

日本では国家・国益のために貢献したとも思えない政治家や首長、官僚が
恥ずることなく受章している。組織には「信賞」がある一方で「必罰」が
ある。国家の統治も同じで、法による「罰則」の一方で、栄典制度による
「顕彰」があり成り立つ。現職自衛官には「必罰」だけで「信賞」が存在
しない。武人が威張る国家は滅びる。だが、武人の名誉を称えぬ国家もま
た、滅亡を免れない。

安倍首相は自衛隊観閲式で「危険の伴う自衛隊にしかできない責務を立派
に果たしてくれている諸君に心から敬意を表す」と訓示したが、「敬意」
を形にしてほしいと、切に願う。

後にフランス皇帝となるナポレオン・ボナパルト(1769〜1821年)も、
クーデターで実権を握った共和国第一統領(執政)時代に断言している。

「古来、勲章なくしてやっていけた国家など存在せぬ!」

産経ニュース【野口裕之の軍事情勢】海外での新任務付与で「自衛官の
命」を心配?する左系政治家よ、自衛官の胸に勲章がない不名誉をご存じ
か! 2016.10.31
               (採録:松本市 久保田 康文)

2016年11月01日

◆技能実習制度の問題点

前田 正晶



報道によれば、この外国人を来日させて働きながら技能を学んで貰う制度
では失踪する者が多く、過去5年間に合計17,756人が消えており、その中
でも中国人実習生が10,580人と全体の59.6%も占めていた由だ。

この報道に接して、私が日頃指摘してきた「百人町・大久保界隈には新宿
区が公表している人口統計にある中国人が13,000人程度よりも遙かに多い
のではないか」との推測が裏付けられたかのような感がある。

産経新聞には昨年の失踪者が過去最大の5,803人で中国人が3,116人で
53.9%と過去5年間の平均よりも低くなっていた。

以下ベトナム人が1,705人、ミャンマーが336人と出ていた。新宿区以外の
住民にはこう言っても実感を伴わないだろうが、大久保通りに5分間でも
立って通行人が話す言葉を聞いていれば、日本語を話している者は本当に
少数で、中国語ばかりが聞こえてくるし、韓国語を聞くことは今や希に
なったと言えるだろう。

私は外国ではどのような政策が採られているかは知らないが、我が国はこ
のような不法滞在の外国人に対して法規制や取り締まりが甘いのではない
かと痛感している。

勿論、入国管理局に細かく不法滞在者を取り締まるだけの人員がないこと
は承知している。だが、何をしているのかも不明な若者が我が物顔で動き
回り、恰も自国の街中を歩き回るように平然と喚いている姿を見る度に、
中国の静かな日本侵略?政策を見せつけてられているかの疑いすら抱くのだ。

彼ら若者にはそこまでの意図はなく、単に自国では職もなく学ぶ機会もな
いので、政治も経済も安定してインフラも遙かに整備されている我が国に
自由を求めてやってくるのだと、やや楽観論的にも考えても良いかとも
思っている。

だが、そういう不法滞在の連中を庇い且つ養う中国人の組織が出来上がっ
ているとの報道もあるので、そこには「国家総動員法」の陰さえ見えてく
るのが恐ろしい。

故に、私は(若年)労働力不足を補う為の外国人労働者の導入は如何なも
のかと言わざるを得ないのだ。まさか総理に大久保通り視察をお願いした
いとは思わないが、関係官庁や国会議員の方々にはバッジを外して大久保
通りを小滝橋通りから明治通りまで歩いて見ることを勧めたい。何ヶ国語
が聞こえるかを試してみると良いだろう。


◆書評:『ヒラリーを逮捕…』

佐藤 鴻全



評者は、トランプの8月のイラク戦没者遺族を非難し、支持率が大きく低
下して以来、四分六でヒラリー当選の可能性大と予想してきたが、今回の
件でトランプ当選の確立が高まったのは確かだ。

副島氏は、この本が出版された後で、自身の主催する
HP(http://www.snsi.jp/bbs/page/1/)で選挙操作によるヒラリー当選の
可能性を示唆するなど揺らぎを見せているものの、評論家生命にかかわる
著書に於いてトランプ当選を断言するのは凡百の胆力ではない。

評者は今まで、メール問題に関して、機密情報取り扱い違反、便宜供与の
隠蔽可能性等、報道によりヒラリーに対して漠然としたダーティーイメー
ジを持ったのみで、「ヒラリーは巨悪」とまでの印象は持っていなかった。

恐らく、米国有権者の大半もその程度だと思う。

◆メール問題の核心と大統領選の帰趨◆

副島氏は、メール問題の核心を、裁判を経ないリビアのカダフィー殺害、
それに続く200億ドルのリビア国家財産の略奪、その資金によるイスラム
国(IS)創設、これらの当初からの計画的隠蔽とオバマの黙認であると
具体的に描き出す。

評者も国際情勢について市井からながら、それなりにウォッチしてきたつ
もりだが、この本によって、初めてメール問題の全体像が像を結んだ。

目から鱗である。

だが、大統領選当日までにヒラリーが逮捕されるとまで見るのはどうか?
FBI長官が、そもそも一旦捜査打ち切りをしたのも保身であり、筆者はこ
のまま選挙当日までに結論を出さず、どちらに転んでも保身が図られるよ
うにするのではないかとみる。

また、トランプ自身が、前述のメール問題の核心部分、イスラム国
(IS)へのヒラリーの関与について、一時期選挙戦で冗談めかして「ヒ
ラリーとオバマはISの共同創設者」と語ったのみで、トランプすら踏み
込めないタブーがあるのか、その後具体的に触れていない。

このままトランプが核心に触れなければ、米国有権者には「ヒラリーは巨
悪」とまで映らず、トランプの大勝となるかはまだ断定できない。

副島氏の国際戦略についてのスタンスは、簡略化して言えば「反米親中」
である。

アジア諸国で固まり、欧米に対抗して行こうという考えである。

これに対して評者は、「日米露三国同盟」を基軸として、中国の牙を抜
き、イスラムを穏健化して行かねばならぬと考えており、その点で副島氏
と袂を分かつ。

しかしながら、基本的立場の違いはあれ、今回の著書をはじめ、氏の国際
情勢分析、米国政治研究への情熱と成果には敬意を表したい。

                             以上

◆「転がる石のように」

別府 育郎



転石こけむさず

元来大変、困った人なのだ。

「ライク・ア・ローリング・ストーン」と歌うように、転石こけむさず、
一つところに安住することがない。その度、ファンを含む周囲はあたふた
とざわつき、居心地の悪い思いをする。デビュー以来、そんな連続だった
ではないか。

ボブ・ディランにノーベル文学賞を授与すると発表したスウェーデン・ア
カデミーは、本人との接触ができずにいた。アカデミーのメンバーでス
ウェーデン作家のペール・ウェストベリは彼を、「無礼で傲慢だ」と批判
したが、一転、受諾の意向が示された。

こうした混乱は、ディランを受賞者に決めた時点で覚悟しておくべきだっ
たろう。

知られるように、米ミネソタ州出身のディランはフォークシンガー、ウ
ディ・ガスリーに憧れてニューヨークで歌い始めた。

ウディにささげる歌

ガスリーは自らのギターに「ディスマシン キルズ ファシスト」とス
ローガンを書いて放浪した労働活動家でもあり、その生涯は、デビッド・
キャラダインの主演で映画「わが心のふるさと」にも描かれている。

初期の作品「ソング トゥー ウディ」の歌詞にもあるように、ディラン
はハディ・レッドベリーのようにギターを弾き、サニー・テリーのように
ハーモニカを吹き、ウディ・ガスリーのように歌った。

出生名は、ロバート・アレン・ツィンマーマン。「ディラン」はウェール
ズの詩人、ディラン・トマスから取ったとされ、後に法律上も「ボブ・
ディラン」を本名とした。

 ニューヨークで彼の売り出しに重要な役割を果たしたのは、歌手の
ジョーン・バエズと詩人のアレン・ギンズバーグだった。ディランにはも
ともと、歌手と詩人の二面性があったといってもいいのだろう。

 フォークシンガーとして人気が定着すればロックバンドを従えてステー
ジに立ち、ブーイングを浴びる。反戦、反体制の旗手と評価されれば「勝
手な解釈で決めつけるな」と反発する。

しゃがれた声が魅力だといえば澄 み切った高音で歌う。カントリーに
走ったかと思えばゴスペルに傾倒し、 またブルースに回帰する。「転が
る石のように生きるって、どんな気分だ い」と聞いてみたくもなる。

時代は変わる

日本ではガロが「学生街の喫茶店」で「片隅で聴いていたボブ・ディラ
ン」、岡林信康が「夜明けの風に」で「おおミスター・ディラン、いつか
きっとどこかで」と歌ったが、吉田拓郎は「親切」で、こうも歌ってい
る。「今日もまたボブ・ディランの話かい、やだね」

出生名は、ロバート・アレン・ツィンマーマン。「ディラン」はウェー
ルズの詩人、ディラン・トマスから取ったとされ、後に法律上も「ボブ・
ディラン」を本名とした。

ニューヨークで彼の売り出しに重要な役割を果たしたのは、歌手の
ジョーン・バエズと詩人のアレン・ギンズバーグだった。ディランにはも
ともと、歌手と詩人の二面性があったといってもいいのだろう。

フォークシンガーとして人気が定着すればロックバンドを従えてステー
ジに立ち、ブーイングを浴びる。反戦、反体制の旗手と評価されれば「勝
手な解釈で決めつけるな」と反発する。しゃがれた声が魅力だといえば澄
み切った高音で歌う。カントリーに走ったかと思えばゴスペルに傾倒し、
またブルースに回帰する。「転がる石のように生きるって、どんな気分だ
い」と聞いてみたくもなる。

時代は変わる

日本ではガロが「学生街の喫茶店」で「片隅で聴いていたボブ・ディラ
ン」、岡林信康が「夜明けの風に」で「おおミスター・ディラン、いつか
きっとどこかで」と歌ったが、吉田拓郎は「親切」で、こうも歌ってい
る。「今日もまたボブ・ディランの話かい、やだね」


転石こけむさず

元来大変、困った人なのだ。

「ライク・ア・ローリング・ストーン」と歌うように、転石こけむさ
ず、一つところに安住することがない。その度、ファンを含む周囲はあた
ふたとざわつき、居心地の悪い思いをする。デビュー以来、そんな連続
だったではないか。

ボブ・ディランにノーベル文学賞を授与すると発表したスウェーデン・
アカデミーは、本人との接触ができずにいた。アカデミーのメンバーでス
ウェーデン作家のペール・ウェストベリは彼を、「無礼で傲慢だ」と批判
したが、一転、受諾の意向が示された。

こうした混乱は、ディランを受賞者に決めた時点で覚悟しておくべき
だったろう。

知られるように、米ミネソタ州出身のディランはフォークシンガー、ウ
ディ・ガスリーに憧れてニューヨークで歌い始めた。

ウディにささげる歌

ガスリーは自らのギターに「ディスマシン キルズ ファシスト」とス
ローガンを書いて放浪した労働活動家でもあり、その生涯は、デビッド・
キャラダインの主演で映画「わが心のふるさと」にも描かれている。

初期の作品「ソング トゥー ウディ」の歌詞にもあるように、ディラ
ンはハディ・レッドベリーのようにギターを弾き、サニー・テリーのよう
にハーモニカを吹き、ウディ・ガスリーのように歌った。

大塚まさじと永井洋は「ディランII」を名乗り、「ホフディラン」なん
て名のデュオもいる。最も影響が色濃かったのは友部正人かもしれない。
初期のトーキングブルースなんて笑い声の入れ方までそっくりで、歌を離
れても詩人としての評価が高いところまで似ている。

 ディランの受賞には賛否が渦巻いた。ニューヨーク・タイムズ紙は
「ディランはノーベル文学賞を必要としないが、文学はノーベル賞を必要
としている」とコラムに書いた。フランスの作家ピエール・アスリーヌは
「どこに文学作品があるのか」と。スコットランドの作家アービン・ウェ
ルシュはトランプ氏ばりの汚い言葉をちりばめ「ひどい懐古趣味」と非難
した。

名著「オン・ボクシング」の著者、ジョイス・キャロル・オーツは「彼
の名がディラン・トマスに由来することを忘れてはいけない。彼の音楽と
歌詞は常に深い意味で文学的に感じられる」と称賛した。

どれも正しく、どれも誤っているように聞こえる。大体、文学性も音楽
性も、そうした評価評論は、歌を聴く者の耳には何ら影響しない。

大したファンであったわけではないが、1990年の北京アジア大会と 92
年バルセロナ五輪の取材には、バッグに「フリーホイーリン」のカ セッ
トテープを入れて日本を発(た)った。

大塚まさじと永井洋は「ディランII」を名乗り、「ホフディラン」なん
て名のデュオもいる。最も影響が色濃かったのは友部正人かもしれない。
初期のトーキングブルースなんて笑い声の入れ方までそっくりで、歌を離
れても詩人としての評価が高いところまで似ている。

ディランの受賞には賛否が渦巻いた。ニューヨーク・タイムズ紙は
「ディランはノーベル文学賞を必要としないが、文学はノーベル賞を必要
としている」とコラムに書いた。フランスの作家ピエール・アスリーヌは
「どこに文学作品があるのか」と。スコットランドの作家アービン・ウェ
ルシュはトランプ氏ばりの汚い言葉をちりばめ「ひどい懐古趣味」と非難
した。

名著「オン・ボクシング」の著者、ジョイス・キャロル・オーツは「彼
の名がディラン・トマスに由来することを忘れてはいけない。彼の音楽と
歌詞は常に深い意味で文学的に感じられる」と称賛した。

どれも正しく、どれも誤っているように聞こえる。大体、文学性も音楽
性も、そうした評価評論は、歌を聴く者の耳には何ら影響しない。

大したファンであったわけではないが、1990年の北京アジア大会と 92
年バルセロナ五輪の取材には、バッグに「フリーホイーリン」のカ セッ
トテープを入れて日本を発(た)った。

大塚まさじと永井洋は「ディランII」を名乗り、「ホフディラン」なん
て名のデュオもいる。最も影響が色濃かったのは友部正人かもしれない。
初期のトーキングブルースなんて笑い声の入れ方までそっくりで、歌を離
れても詩人としての評価が高いところまで似ている。

ディランの受賞には賛否が渦巻いた。ニューヨーク・タイムズ紙は
「ディランはノーベル文学賞を必要としないが、文学はノーベル賞を必要
としている」とコラムに書いた。フランスの作家ピエール・アスリーヌは
「どこに文学作品があるのか」と。スコットランドの作家アービン・ウェ
ルシュはトランプ氏ばりの汚い言葉をちりばめ「ひどい懐古趣味」と非難
した。

 名著「オン・ボクシング」の著者、ジョイス・キャロル・オーツは「彼
の名がディラン・トマスに由来することを忘れてはいけない。彼の音楽と
歌詞は常に深い意味で文学的に感じられる」と称賛した。

 どれも正しく、どれも誤っているように聞こえる。大体、文学性も音楽
性も、そうした評価評論は、歌を聴く者の耳には何ら影響しない。

 大したファンであったわけではないが、1990年の北京アジア大会と
92年バルセロナ五輪の取材には、バッグに「フリーホイーリン」のカ
セットテープを入れて日本を発(た)った。
代表曲「風に吹かれて」を歌ったのが63年。時代は変わり、歌や生き方
のスタイルも変えながら、それでもディランはディランであると思われて
きた。

 どうせなら、12月10日の授賞式には正装で出席し、スピーチでま
た、大方を裏切ってほしいという無責任な願望もある。それが感謝の弁で
あれ、拒絶の意思であれ、誰かを裏切ることにはなるのだろうが。(論説
委員・別府育郎 べっぷ いくろう)
産経ニュース「転がる石のように」「風に吹かれて」生きてきた…それこ
そディラン 論説委員・

2016年10月31日

◆地球・月系の支配を狙う中国の野望

櫻井よしこ



いま、世界のどの国よりも必死に21世紀の地球の覇者たらんと努力してい
るのが中国だ。彼らは習近平国家主席の唱える中国の夢の実現に向かって
走り続ける。そのひとつが、宇宙制圧である。

21世紀の人類に残された未踏の領域が宇宙であり、宇宙経済
を支配できれば、地球経済も支配可能となる。宇宙で軍事的優位を打ち立
てれば、地球も支配できる。
 
10月17日、中国が2人の宇宙飛行士を乗せた宇宙船「神舟11号」を打ち上
げた背景には、こうした野望が読みとれる。内モンゴル自治区の酒泉衛星
発射センターから飛び立った中国の6度目の有人宇宙船打ち上げは、無人
宇宙実験室「天宮2号」に48時間後にもドッキングし、2人の飛行士は30日
間宇宙に滞在する。
 
打ち上げは完全な成功で、計画から実行まで全て中国人が行ったと、総責
任者の張又侠氏は胸を張った。中国は独自の宇宙ステーションを2022年ま
でに完成させ、30年までに月に基地を作り、中国人の月移住も始めたいと
する。
 
いま宇宙には、日本をはじめアメリカやロシアなど15か国が共同で運営維
持する国際宇宙ステーション(ISS)が存在する。ここに参加しない唯
一の大国が中国である。

中国はアメリカとロシアの技術をさまざまな方法で入手し、独自の開発を
続けてきた。また彼らは世界で初めて「宇宙軍」も創設した。その狙いは
何か。少なからぬ専門家が中国の軍事的意図を懸念する。
 
アメリカのシンクタンク「国際評価戦略センター」主任研究員のリチャー
ド・フィッシャー氏もその一人だ。氏が中国の宇宙開発に関して最初の警
告を発したのは、85年だった。

「詳細な分析と報告を国防総省をはじめ、主要シンクタンクに提出しまし
たが、誰も私の危惧を理解しませんでした。中国が宇宙に軍事的野心を抱
いているということ自体、誰も信じなかった。私は変人扱いされ、中国の
脅威を大袈裟に言い立てているだけだと思われたのです」

宇宙戦闘部隊
 
だが、中国の宇宙進出は、氏の指摘どおりの道を辿ってきた。いまや多く
の人の目に宇宙における中国の軍事的野心は明らかだ。そうした中、氏
は、中国政府の姿勢に興味深い変化が見られると、シンクタンク「国家基
本問題研究所」で語った。

「彼らは自分たちの宇宙活動について、以前よりずっと積極的に語り始め
ています。無論、国家機密は口外しませんが、イーロン・マスクが目論む
ような宇宙開発が実現されるとき、中国はそれを支配(dominate)しよう
と考えていると思います」
 
マスク氏は南アフリカ生まれの起業家で、アメリカのシリコン・バレーの
寵児にして宇宙企業「スペースX」の創業者だ。今年9月末、氏は新たな
ロケットと宇宙船の開発計画を発表、地球滅亡に備えて火星への人類移住
を進めるという。
 
フィッシャー氏が続ける。

「中国はマスクの考えるようなビジネスから、宇宙資源の活用までひっく
るめて宇宙経済を支配したいのです。その前に地球・月系の宇宙圏を自ら
の支配圏として確定させようとしています。それこそが中国の軍事・政治
戦略の基本です」
 
その第一歩がアジア地域での覇権確立だと、氏は語る。

「アジアにおいて軍事力、経済力、政治力で圧倒し、それを地球全体に広
げていく。そのための能力を、現在、磨いています」 
海や陸を制するには空を制しなければならない。空を制するには宇宙を制
しなければならない。

その意味で中国は着々とアジア制圧の構えを築き、支配圏を広げていると
して、あと10年もすれば、中国の覇権は現在よりはるかに目に見える明ら
かな形で出現すると、警告する。地球の覇者となるのと同時進行で、宇宙
での支配力を強めているというのだ。

「想像して下さい。高高度の宇宙を制すれば、地球上のどの国もどの地域
も制圧できます。中国の宇宙開発が濃い軍事的色彩を帯びているのは、宇
宙開発の全てを人民解放軍(PLA)が担っていることからも明らかで
す。習主席は今年、軍の大改革を断行しました。そのときに新設された戦
略支援部隊が、中国の宇宙戦略を支えています」
 
近い将来、PLA空軍に創設されると見られているのが宇宙戦闘部隊であ
る。その長に、リ・シャンフー将軍の名が挙がっているという。

「リ将軍は2007年に中国が地上発射のミサイルで800キロ上空の軌道上に
あった中国の衛星を撃ち落としたときの指揮官です」とフィッシャー氏。
 
中国の衛星破壊は当時世界を震撼させた。なぜなら、中国はアメリカの衛
星も破壊できる能力を見せつけたからだ。アメリカ軍は高度のハイテクに
依拠しており軍事衛星はアメリカ軍の生命線だと言ってよいだろう。

その意味で衛星破壊行為は宇宙戦争に踏み込んだ行為だと解釈されたの
だ。それを指揮した人物が宇宙戦闘部隊の長になるということは宇宙戦争
の体験者が長になるのと同じ意味だというのだ。

地球規模で衛星監視
 
アメリカの専門家たちを真に憂慮させる次元に至るまでの中国の努力は凄
まじい。今年6月、彼らは南シナ海の海南島東部の文昌市から新世代ロ
ケット「長征7号」を打ち上げた。

2030年までに米露と並ぶ宇宙強国になると決意している中国の宙開発の鍵
を握るロケットである。

「今年から運用を開始した文昌衛星発射センターは今後、非常に重要な地
球・月系支配の拠点となると思います。中国が南シナ海の支配に拘る大き
な理由のひとつが、この衛星発射センターにあると、私は見ています」
と、フィッシャー氏。
 
中国は地球・月系支配のために、地球規模で衛星を追跡、コントロールす
る監視基地網を築いてきた。
 
中国を中心に、パキスタンのカラチ、アフリカ大陸のケニアのマリン
ディ、ナミビアのスワコプムンド、南米チリのサンティアゴ、豪州西部の
ドンガラに、各々衛星追跡及びコントロールのための基地を築き上げた。
アルゼンチンにも、新しい衛星監視基地が間もなく完成する。

フィッシャー氏が、そうした衛星監視基地の意味を解説した。

「アルゼンチンは中国に基地を提供する見返りに、中国の衛星情報を貰う
取り決めを結んでいます。もう一度、フォークランド紛争が起きたら、ア
ルゼンチンは中国提供の情報を活用して、大西洋の真ん中で英国の艦船を
待ち伏せできるのです」
 
このような中国の宇宙進出を前に、オバマ政権はブッシュ前大統領が月開
発計画を再開しようとしたのを、全て止めた。日本も参加するISSは
2024年にも運用を終えるかもしれない。

日本はここで宇宙開発における国際協力体制を推進する強い力とならなけ
ればならない。
『週刊新潮』 2016年10月27日号 日本ルネッサンス 第726回
                 (採録:松本市  久保田 康文)


◆「宝大御」への道

伊勢 雅臣



移民問題、2つの進路 (下)

 国民が安心して結婚し、子供を産み、仕事ができる社会を作れば、労働
移民は不要となる。

■1.少子化の原因は未婚者の増加

前号[a]では「洗国」というシナの恐るべき戦略を紹介して、安易な移民
受け入れが、国民生活にどのようなコストとリスクをもたらすかを考察した。

しかし、それだけでは移民受入れ論者の説得には不十分だ。彼らが「移民
は必要」と主張する人口減少や労働力不足などの問題をどう解決するのか
を、提案しなければならない。この問題を三橋貴明氏の『移民亡国論』
[1]や政府の統計を参考に本号で考えてみよう。

まずは人口減少の問題を先に取り上げよう。人口減少が食い止められれ
ば、そもそも労働力不足の問題も相当に緩和されるからだ。

人口減少の理由は、少子化、すなわち生まれる子供の数の減少である。昭
和46(1971)年から3年間の第2次ベビーブームでは、出生数は年間200万
人を超えていたが、昭和59(1984)年には150万人を割り込み、平成
25(2013)年は約103万人まで落ち込んだ。[2]

出生数の減少には、以下の2つの仮説が考えられる。

(1) 晩婚化、女性の職場進出などで既婚女性が産む子供数が減っている。
(2) 未婚の男女が増えている。

統計的に見れば、(1)ではなく、(2)が真の原因となっていることは明らか
である。既婚女性が生む子供の数(有配偶出生率)は90年代に千人あたり
66人と最低を記録したが、その後は緩やかに回復し、2010年代は794人
と80年代をも上回っている。

 (2)を未婚率で見ると、「30〜34歳」男性の未婚率は1970年にはわずか
11.7%だったのが、2010年には47.3%にもなっている。すなわち、1970
年代には30代前半で独身だった男性は10人に1人強だったのが、今や半
分近くにも達している。女性の未婚率も同様に上昇している。

すなわち未婚者が増えているから、子供の数も減っている、という、ごく
当然の現象が起きているのだ。

■2.結婚したくともできない多くの成年男女がいる

未婚が増えた理由は種々考えられるが、有力な原因は実質賃金の低下や雇
用の不安定である。厚生省の調査によると、現在の日本で約600万人の男
性が年収200万円以下で暮らしているという。その多くはパート、アルバ
イト、派遣などで雇用自体が不安定だ。

女性では年収200万円以下は1180万人もいるが、パートタイムの主婦も相
当含まれているので、以下、男性を対象に考える。

男性で月収十数万円、それもいつ失業するか分からない状況で、結婚して
家庭を持とうとするのは難しい。未婚男性の約85%は「いずれ結婚するつ
もり」と答えながら、結婚への障害として挙げられているトップが「結婚
資金」、2位が「結婚のための住居」である[3]。その結果が「30 〜34
歳」男性で半数近くが未婚という結果なのである。

わが国は皇室が国民を「大御宝」と呼んで、その安寧を代々祈られてき
た。そういう国で、結婚したくともできない多くの成年男女がいる、とい
う事自体が大問題ではないか。


■3.「移民400万人」より「日本国民400万人出生増」

仮に、何らかの政策によって、これらの人々の所得を上げ、雇用が安定し
たとしよう。そして独身男性600万人のうちの3分の1の200万が結婚して、
平均2人の子供を持ったとすると、400万人の子供が生まれることになる。

400万人の子供が増えたら、政府が受け入れようと提言した移民20 万人の
20年分に相当する。日本語もよく話せない、文化も習慣も異なる移民
400 万人と、日本で生まれ日本人として育った400万人のどちらが良いか
は言うまでもない。

さらに大きな違いが、その裏にある。移民を受け入れれば、国内の賃金
ベースがさらに下がり、雇用も不安定になるので、未婚率が今以上に悪化
し、少子化が加速する。移民を増やした結果、日本人の少子化が進んだの
では、さらに移民を増やさなければない、という悪循環にはまることになる。

逆に、未婚率を下げることで出生数が増えれば、その出産、教育、結婚、
家庭作りと、新たな消費需要が生まれ、経済発展の原動力となる。さらに
彼らが成人して仕事につけば、税金を払って国家財政にも寄与する。まさ
に「子は国の宝」である。

多くの未婚者の生活水準をあげて、結婚できるようにすることで、善循環
を生み出すことができる。どのように彼らの収入を上げるかは、後で考察
しよう。

■4.子供を産みたくても産めない

経済的理由が少子化を招いている事を示唆するデータがまだある。

子供1人を持つ夫婦が、「もう1人子供が欲しい」という出産願望は、「25
〜29 歳 89.8%」「30 〜34 歳 79 .0%」と非常に高い。すでに子
供二人を持つ夫婦でも「もう1人欲しい」という夫婦は「25〜29歳 47
.5%」「30 〜34 歳 28.3%」もいる。[1, p222]

しかし、実際の夫婦の出生児数は2人を割っている[4]。上記の強い出産
願望と現実の出生数のギャップを見ると、子供を産みたいのに産めない、
という夫婦が相当数いることが窺われる。理由はやはり経済的理由や住居
の制約だろう。

弊誌633号「『明るい農村』はこう作る 〜 長野県川上村の挑戦」では、
「信州のチベット」と呼ばれていた寒村が、高級レタスの栽培で農家の平
均年収が25百万円にもなり、東京から多くの女性も嫁いできて、平均出
生率(一人の女性が一生に生む子どもの人数)は1.83と全国平均より
0.5人も多い、という事例を紹介した。[a]

産みたいのに産めない、という状況を示すもう一つのデータが、人工妊娠
中絶である。近年は毎年20万件程度で推移しており、その理由の多くが
「経済的理由」である。もちろん母体保護など別の理由もあるが、出産と
育児・教育の負担を減らせば、せっかく授かった赤ちゃんを産めないとい
う悲劇は大きく減らせるだろう。[1, p222]

わが国は経済大国といいながら、低収入から結婚できない、結婚しても子
供を作れない、子供を授かっても産めない、という点で、経済力が国民の
幸せに結びついていない面があり、その結果が少子化となっているよう
だ。こういう国民の不幸を差しおいて、移民による穴埋めを図ろうとする
のは、政治として本末転倒ではないか。


■5.30万人の生活保護受給者を再教育する

次に、労働力不足の問題を考えてみよう。国内には、労働力として活躍で
きていない層がある。たとえば、30万人近くもいる「働けるにも関わら
ず、生活保護を受けている日本国民」。

三橋氏は、こういう層をなぜ教育して、資格を取得させ、労働市場に送り
出さないのか、と問う。

労働市場から退出したままの「日本国民」を「人材」(即席であっても)
に育成するためならば、それこそ政府はいくらお金を使っても構わない。

たとえば、働けるにもかかわらず生活保護を受けている30万人の「人材予
備軍」に対し、1人100万円のコストをかけたとしても、「わずか」300
億円の支出ですむ。・・・

300億円のコストで、即席ではあっても「人材」に成長した、あるいは人
材に成長する可能性がある「日本語が堪能」でコミュニケーション上の問
題も起きない「専門職30万人」を、需要が拡大している分野に送り出すこ
とができるのだ。[1, p116]

仮に生活保護費用が、1人あたり平均月10万円だとすると、年間で120万
円。人材育成に100万円を投じたとしても、それで彼らが職を得て、生活
保護を脱することができれば、10ヶ月で回収できる。さらにこれらの人々
の多くは税金を払うようにもなるだろう。

金銭的な問題だけでなく、人は誰でも世間のお荷物になるより、自分の力
を十分に発揮して、世のため人のために貢献したいという気持をもってい
る。そういう充実感を30万人の人が味わえるようになるだけでも、大きな
価値がある。


■6.高齢者の活躍

もう1つ、未開拓の人材のプールが高齢者層である。平成26(2014)年の日
本人女性の平均寿命は86 .83歳で3年連続世界一。男性は80 .50 歳で3
位。長寿国として世界に誇れる記録である。我々の周囲には70 代、80代
で元気なご老人をよく見かける。

平成25 (2013)年の統計では、65 歳以上70 歳未満の高齢者人口は869
万人[5]。この大半は定年後で無職と思われるが、たとえば70歳まで働
けるようにすれば、その半分のみが就業したとしても、やはり400万人
以上が生産労働人口に加わる。

移民を毎年20 万人、20年間受け入れるのと同数の労働力人口がすぐに生
まれるのである。それも日本語に不自由しないだけでなく、人生経験も職
業経験も豊かな人々なのだ。しかも高齢者が働ける環境を作れば、それだ
け元気になって医療費も減るだろうし、年金の原資不足も緩和されるだろう。

現代医学の急速な進歩により、2045年には平均寿命は100歳に到達してい
るだろうと予測されている。そういう時代に60代半ばで定年退職して、あ
とは暇を持てあましつつ、年金暮らしをする、という事自体が、時代にあ
わなくなってきている。

弊誌926号「『寿命100歳』時代の生き方」でも紹介したように、高齢者の
雇用を生み出す会社も健闘している[b]。我が国は高天原の神々でさえ、
田畑を耕したり機織りをしたりして働いている。体が動く限りは働いて世
の中のお役に立つことが幸せなのだ、というのが、我が国の労働観である。

高齢者が働ける環境作りを進めることは、国家にとっても、企業にとって
も、そしてお年寄りの生き甲斐のためにも良い施策である。


■7.労働人口不足が呼んだ高度成長

以上は、人口減少を食い止め、生産年齢人口を増やすための余地がまだま
だある事を示したが、それでもまだ人手不足の状態であったら、どうする
のか、という反論が寄せられるかもしれない。

人手不足が日本経済の縮小をもたらすのだろうか。三橋氏はその可能性を
明確に否定する。かつての高度経済成長時代は、人手不足の中で、いや、
人手不足だったからこそ実現した、と氏は主張する。

昭和31(1956)年から48(1973)年までの20年近くもの間、日本のGDP(国
内総生産)の平均実質成長率は9.22%にも達している。しかし、この間の
生産年齢人口は平均で1.7%程度しか伸びていない。慢性的な人手不足
で、地方の中学卒業生が都会に集団就職をして、「金の卵」と大切にされ
た時代だった。

人口が1.7%増えれば、それに伴い経済規模も1.7%は膨らむ。逆にい
えば、9.22%の経済成長のうち、人口増による部分は1.7%に過ぎな
い。残りの7.5%はコンピュータ化、自動化などを含む一人あたりの生
産性向上によるものである。高度成長期の民間企業設備投資は、実質年平
均17.33 %もの率で伸びていた。

人手不足だから、賃金が上昇する。企業は賃金上昇をカバーしようと、自
動化設備やコンピュータ投資によって生産性を上げようとする。すると設
備メーカーやコンピュータメーカーの売上げが増える。そしてそれらの企
業に部品材料を売ったり、サービスを提供したりする企業も売上げが増大
する。

一方、就業者の方は高い賃金を貰って、結婚して家や車、家電製品を買
う。こうした生活水準の上昇によって、消費需要が増大する。それがまた
人手不足を呼び、賃金を上げる。

人手不足が、生産性向上のための投資需要を呼び、賃金上昇によって消費
需要も増やす。かつての高度成長は供給と需要が両輪となって、人も企業
も、そして社会全体も豊かになっていったのである。これこそ国民を大御
宝として、その安寧を実現する道だろう。

高度成長時代に「人手不足だから外国人労働力の導入を」という安易な逃
げ道に行かなかったのは幸いだった。この時、外国人労働力を入れていれ
ば、設備投資は冷え込んで投資需要は増えず、賃金は下降して消費需要も
冷え込み、高度成長は腰砕けになっていただろう。


■8.「洗国」への道か、「大御宝」への道か

85%近くもの結婚願望を持つ青年が経済的制約に縛られずに結婚できる社
会、2人、3人と子供を産みたい夫婦が自由に産める社会、そして70代、
80代でも働きたい老人が働ける社会。それが国民を大御宝として大切に
する国のあり方だろう。

労働移民により人件費を安くして企業の利益を上げたいという近視眼的な
政策だけでは、どういう国家を作りたいのか、という国家観が全く見えな
い。多くの国々の移民導入失敗から見れば、その道は移民による無法地帯
を作り、国民の安定した生活を破壊する道だ。わが国では、さらにシナの
「洗国」工作に乗ぜられる危険も大きい。

外国人労働者を入れるかどうか、というのは、短期的な政策的選択の問題
ではなく、長期的にどういう国家をめざすのか、という次元で考えなけれ
ばならない。企業の目先の利益だけでなく、国民が労働者として、消費者
として、そして生活者として、物言いをすべき問題なのである。

■リンク■

a. JOG(974) 移民問題、二つの進路 (上)「洗国」への道
「洗国」とは他国に数十万人規模の流民を移住させて、やがてその国を
乗っ取るという、シナ大陸で多用される手法である。
http://blog.jog-net.jp/201610/article_6.html

b. JOG(633) 「明るい農村」はこう作る 〜 長野県川上村の挑戦
「信州のチベット」が高収入、高出生率を誇る「明るい農村」に変貌する
まで。
http://blog.jog-net.jp/201006/article_19.html

c. JOG(924) 「寿命100歳」時代の生き方
「2045年の平均寿命は100歳」と多くの研究者が予測しているが、そこで
の生き方は?
http://blog.jog-net.jp/201510/article_8.html


■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け)
  →アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。

1. 三橋貴明『移民亡国論: 日本人のための日本国が消える!』★★★、徳間
書店、H26
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4198638152/japanontheg01-22/

2. 内閣府『平成27年版 少子化社会対策白書』
http://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2015/27webgaiyoh/html/gb1_s1-1.html

3. 厚生労働省「結婚と出産に関する全国調査」
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/13/dl/1-02-2.pdf

4. 国立社会保障・人口問題研究所「結婚と出産に関する全国調査 2.夫
婦の出生力」
http://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou14/chapter2.html

5. 総務省統計局「高齢者の人口」
http://www.stat.go.jp/data/topics/topi721.htm



◆米国の選挙はオセロゲーム

Andy Chang



10月28日、大統領選挙の投票日まであと11日に迫った日に新しい
ニュースが出てアメリカは騒然となった。朝のうちはヒラリー当確
と言われていたヒラリーの選挙事情に突然翳りが出てきた。オセロ
ゲームのように黒白がひっくり返る可能性も出てきた。

28日朝はヒラリー当確と報道されていたのに、ワシントン時間の午
後1時にFBIのJames Comey(コミー)長官が、米国会の司法委員会
Goodlatte委員長宛に手紙を送り、ある「別件の調査」の際にヒラリ
ー国務長官の私用メールに関する新事実が見つかったのでヒラリー
私用メール問題の調査再開始を通知したと発表した。調査にどれだ
け時間がかかるかは不明、投票まであと11日だがFBIは政治と無関
係であると述べた。

●ヒラリーの私用メール問題

嘗てコミーFBI長官は7月5日、ヒラリーの私用メール調査の結果
を発表した。ヒラリーはメールの取り扱いに「極めて不注意」だっ
たが「意図的に違法行為を行った証拠は見つからなかった」ので調
査を打ち切ると発表した。国民はこの発表に大不満で、FBIは政治
判断でヒラリー訴追を取りやめた、FBIの司法中立を裏切ったとさ
え酷評された。

コミー長官の捜査打ち切り発表の前日、ヒラリーの夫ビル・クリン
トンとロレッタ・リンチ(Loretta Lynch)司法長官がアルバカーキ
ー空港で「偶然に出会った」として護衛を機外に残し、2人だけで
飛行機内に入って半時間の秘密会談を行ったのである。だから世間
ではリンチ司法長官が、彼女の部下のコミーFBI長官にヒラリーの
追訴取りやめを命じたと噂されたのである。

その後コミーFBI長官は7月5日の追訴放棄決定で国会喚問された。
長官はヒラリーが私用サーバーを使い、私用スマホで公務メールを
送受信していたのは違法、ヒラリーに私用メールには機密メールが
110通あったのも違法、私用サーバーにあったメールの提出を命じ
られて一部のメールを消去したのも違法などと認めた。

これだけの違法行為が明確にされたにも拘らず、コミー長官は「ヒ
ラリーが意図的に違法行為をした事実は見つからなかった」と述べ
た。但し、新事実が見つかれば調査を再開するとも述べた。

つまりヒラリーは「限りなく黒に近い灰色」である。あれも違法、
これも違法、数々の証拠が揃っていたのに追訴を取りやめたのは、
オバマ大統領がリンチ司法長官に命じてヒラリーの私用メール問題
の追訴に圧力を加え、司法長官がFBIの調査打ち切りを命じたと噂
されたのである。

だから今回の新事実はヒラリーが黒である証拠が出てきたと国民が
喝采したのである。調査再開始はFBIが法に忠実で政治に関係なく中
立である証拠だとも言われた。

トランプ陣営はこのニュースに大喝采し、これまで酷評してきたコ
ミー長官にも最大の賛辞を贈り、遂に正義が通ったと述べた。

●FBIの別件調査とは猥褻問題

発表後アメリカのメディアは騒然となり、相次いでニュース速報が
発表された。この発表の10日ほど前からウィキペディアはヒラリー
陣営が2009年以来ヒラリー陣営の間のメール交信をどんどん発表
していた。

ウィキペディアの発表ではクリントンの慈善団体「クリントン基金
会」が各国から多額の献金を受けていた事実、献金者はヒラリー国
務長官から特別待遇を受けていろいろなプロジェクトを受けた、ビ
ル・クリントンはこの基金会から違法な手段で3300万ドルを個人口
座に流し、未来9年の間に更に6600万ドルを受け取れると言う取り
決めを暴露されていた。ヒラリー陣営は「米国政府調査」によると
ロシアのプーティンがウィキペディアのメールハッキングを助けた
証拠があると述べ、ヒラリーに不利なニュースをロシア政府のせい
にしてきた。プーティンはヒラリー陣営の言いがかりを否
定した。ところがFBIの「別件調査」はウィキのメールとは全然関
係がなかったのである。

別件調査とはクリントン陣営幹部ウマ・アベディン(Huma Abedin)
と別居中の夫、アンソニー・ウィーナー(Anthony Weiner)が起こし
た、15歳の未成年者に対する猥褻事件の調査中に、ウィーナー氏の
パソコンにアベディンが送受信した数千通のメールが保存されてい
たのが発見されたのである。

ウィーナー氏は過去にもセックススキャンダルを起こしたことがあ
り、アベディンは子供の為に離婚しないと発表したが、更に未成年
者とのスキャンダルが起きたので遂に夫と別居したのである。別居
した夫の所持していたパソコンに公用メールが発見されたのである。

●発見されたメールの問題

アベディンはヒラリーのホワイトハウス時代から彼女に付き添って
いたヒラリーに最も親しい側近で、ヒラリーの国務長官時代は国務
省の上級幹部として雇用され、常にヒラリーに付き添っていた。だ
からヒラリーの私用メール事件でFBIにメールの提出を命じられ、
個人スマホやパソコンにあるメールは全て提出したはずだが、今回
別居中の夫のパソコンから数千通のメールが発見されたのだ。

公用メールが夫と共通で使用していたパソコンにメールが残ってい
た。アベディンがFBIに提出しなかったメールが数千通もあった、
しかもその内容がアベディンの提出したメールに無かったのも発見
されたなら、(1)未提出メールが前に提出したメールとどれほど違
うか、(2)未提出メールに機密メールがあるったか、(3)未提出
メールは証拠隠匿と偽証罪、(4)公務員でない夫がすべての公用メ
ールを読む機会があった機密漏洩罪などである。もしも未提出メー
ルに機密メールがあったら問題である。

●ヒラリーの問題

コミー長官は既に7月の国会喚問でヒラリーの私用メールに110通
の機密メールがあったと証言しているから、新しい機密メールが見
つかっても大した問題にならないかもしれない。問題は機密の内容
が国家安全にかかわるかどうかである。

更なる疑問は、新発見のメールにヒラリーが意図的に法を犯した事
実が見つかったかどうかである。発見されたメールとアベディンが
前に提出したメールを詳しく比較し、調べる必要がある。コミー長
官が調査再開を決定した理由がこれである。

●選挙に対する影響

但し新発見の事実が十日後の投票にどれだけ影響を与えるかは不明
である。FBIは新発見があったから調査を再開始したが、調査は短
期間で終了するはずがない。ヒラリーが当選する可能性は大いにあ
る。報道によるとすでに1400万人が事前投票を済ませた、しかも事
前投票はヒラリーに有利だというニュースもある。

投票日まであと十日、この十日の間にもっとたくさんのヒラリーに
不利なニュースがあるかもしれない。但しヒラリーに不利なニュー
スががあっても今年の選挙は「誰を支持するから」ではなく「誰に
反対だからもう一人に」投票する者が多いと言われ、ヒラリー不利
でもトランプ有利になるかはわからない。或はトランプ有利でオセ
ロゲームのような黒白どんでん返しが起きるかもしれない。

●新ウォーターゲート事件

ニクソンのウォーター事件では、当選した共和党のニクソンがニク
ソン陣営の部員がウォーターゲートにあった民主党のオフイスに侵
入した事件で嘘を吐いたことが発覚してニクソンは辞職した。今回
の事件ではFBIがヒラリーのメール問題の調査を再開始しても、ヒ
ラリー有罪と決まったわけではないのでヒラリーが当選する可能性
は大いにある。調査の結果が出るまで何か月かかる。

しかしヒラリーが当選してもFBIと国会の追及は停まらないからヒ
ラリー政権の4年は混乱と麻痺は避けられないだろう。

調査の結果ヒラリーが黒と判定されたら国会は司法部に対し特別検
察官の任命を要求する。たとえヒラリーが大統領でも新任の司法長
官が特別検察官の任命を拒否するのは難かしい。トランプが当選し
たらクリントン夫妻の調査はもっと早く進展するだろう。

たとえヒラリーが当選しても有罪と決まったら辞職か、国会が大統
領罷免を開始するかのどちらかである。大統領罷免となれば国会は
共和党優勢だから問題はないが、選挙で民主党が上院多数となった
ら罷免は紛糾する。上院議員が4名入れ替わったら民主党と共和党
が同数となり、新任の副大統領が決定票を持つ。

ヒラリーと夫のビルはこの数十年間にいろいろな犯罪が取り沙汰さ
れ、いずれも罪とならなかった。多くの国民はクリントン夫妻に対
する「正義の判断」に期待していると言ってもよい。

2016年10月30日

◆フィリピンが中国に擦り寄る理由

櫻井よしこ



フィリピンが中国に擦り寄る理由は大統領の思想と米政府の失策にあり 

当欄の原稿執筆中のいま、フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領が中
国を訪問中である。大統領は10月19日までに中国国営中央テレビの取材に
応じ、「中国がフィリピン経済にとって唯一の希望だ」と語った。20日の
習近平国家主席との会談では、南シナ海問題が事実上棚上げにされる。
 
オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所が、中国の主張を全面的に退けた裁定
を、なぜ中国に突き付けないのか。フィリピンの国土と領海を奪い、軍事
要塞化を続ける中国に「礼を重んじる東洋的なやり方」で応じるのはなぜ
か。反対に少なくとも南シナ海問題でフィリピン側に立つ米国に、なぜ、
罵詈雑言を投げ付けるのか。
 
一連の疑問への答えは、ドゥテルテ氏の背景から見えてくる。中国の軍事
力の分析で知られる米国のシンクタンク「国際評価戦略センター」主任研
究員、リチャード・フィッシャー氏が驚くべきことを語った。

「ドゥテルテ氏の無二の親友がフィリピン共産党創設者、ジョマ・シソン
氏でした。シソン氏はもう死亡していますが、ドゥテルテ氏自身が半ば共
産主義者なのです」
 
ドゥテルテ氏が駐北京大使に新たに任命したホセ・サンタロマーナ氏も興
味深い経歴を持つと、フィッシャー氏は指摘する。サンタロマーナ氏はシ
ソン氏らと共にフィリピン共産党創設間もないころからマルコス政権打倒
の運動に従事してきたという。

その彼は中国の軍事援助を受けるために北京に送り込まれ、トロール船に
武器を山積みにして帰国しようとした。ところが毛沢東がこれを爆撃させ
たというのだ。
 
再びフィッシャー氏の説明だ。

「同事件をきっかけに1974年、フェルディナンド・マルコス大統領は北京
を承認しました。一方、毛主席は中国におけるフィリピン人共産主義者の
活動を厳しく取り締まったのです。サンタロマーナ氏は中国に残りまし
た。中国語を学び、中国を研究し、中国について報じ続けました。マルコ
ス政権が倒れたときに帰国し、中国問題専門家としてフィリピンの大学で
も教えました。ドゥテルテ氏が政権を取ると、ご存じのように彼は駐北京
大使に任命されたのです」
 
アキノ政権下で要職から追放されていた親中派人士の多くが、いま息を吹
き返している。中国には、サンタロマーナ氏をはじめ、将来利用できるか
もしれない人物を長く手元に置いて世話をする長期戦略がある。米国には
それがないと、フィッシャー氏は語る。

「80年代の終わりに、コラソン・アキノ政権の外相だったラウル・マング
ラパス氏は、南シナ海でフィリピンが領有権を主張する島々や海を守って
ほしいと、米国に訴えました。ところが米国政府はこれを拒否したので
す。マングラパス氏は心底立腹し、その後フィリピンで反米軍運動が起き
たとき、その動きに乗りました」
 
米国がフィリピンの訴えに耳を貸さなかったのには、冷戦が終わったこ
とによる油断があったとしか思えない。フィリピンで高まった反米軍運動
にブッシュ(父)大統領は、基地閉鎖を決断した。米軍基地は91年末まで
に閉鎖され、米軍が去った直後の92年1月に、中国は南シナ海のフィリピ
ンの海に調査船を派遣した。フィリピンは対抗したが、打つ手はない。ス
プラトリー諸島のミスチーフ礁に中国軍が上陸したのは95年1月だった。
 
こうして見ると米中のフィリピンへの対応は大きく異なる。米国が長期戦
略を欠く一方で、中国は長期戦略を保持し続け、その果実を手にしつつある。
 
ドゥテルテ氏が一見多額の、しかし国の運命を決めるにはあまりにもわず
かな援助によって中国側に付けば、米国のみならず日本の国益も大いに損
なわれる。国の戦略的思考について考えさせられる。
『週刊ダイヤモンド』 2016年10月29日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1155

◆中国、日本国債爆買いの狙い

田村 秀男



中国、日本国債爆買いの狙い 円に対する人民元安政策か

今年2月、証券業界筋から「中国が日本国債を爆買いしている」との情
報を耳にした。財務省の国際収支統計で国別の対日証券投資の動向が明ら
かになるのは2カ月後で、4月に2月のデータを見ると購入額がかなり
減っていた。つい先日、最近のデータをみると、中国による対日債券投資
は4月に再び活発化し、6月まで大きな規模で行われたことがわかった 。

中国の対日投資の大半は国債であり、そのうち主に短期債である。短期
債は価格の変動リスクが小さく、外国為替市場での通貨投機の手段とな
る。現在の円高基調は昨年12月に始まり今年1月から6月にかけて加速
した。円高トレンドと中国の短期債投資動向は一致している。円高の背後
に中国あり、である。

 円投機は中国勢に限らない。米欧のヘッジファンドはもっと強力だし、
やみくもに円を買うわけではない。円高に賭けるだけの合理的な根拠があ
る。それは日米間の実質金利差の縮小・逆転だと、本欄では以前から指摘
してきた。

2014年4月の消費税増税後のデフレ圧力のために、名目金 利からインフ
レ率を差し引いた実質金利は昨年12月、米国よりも高く なってしまっ
た。この2月には日銀がマイナス金利政策に踏み切ったが、 実質金利は
逆に上昇を続ける始末だ。中国の対日短期債投資はその線にも 沿っている。

中国のどこが日本国債の爆買いを行ってきたのか。大手の国有電力会社だ
とする見方が有力だ。電力会社は現金収入が豊富で、手元資金を日本の証
券会社に委託して臨機応変に売買し、円高投機で大いに利益を稼ぐ。日本
の財務省は米オバマ政権の反発を恐れて円売り市場介入に動かないので、
投機家にとってはやり放題だ。

円債投機は国有電力会社の独断であって、習近平政権は無関係なのだろ
うか。

中国の日本国債買いは米国債売りと対になっている。昨年12月から今 年
8月までの9カ月間累計で、中国は米国債を日本円換算で約14兆円売 却
した。この間の日本国債買いは10・7兆円に上る。米国債売りと日本 国
債買いはいわばセットであり、北京の政策的意図が底流にあるはずだ。

この意図とは、円に対する人民元安政策だとみる。中国は対円、対ドル
とも人民元を安く誘導している。昨年11月に比べ、この8月時点で、元
は対ドルで4・5%安、対円で21%安である。中国人民銀行はドルに対
する基準レートを人為的に設定し、基準レートに対して上下2%の変動幅
に収まるように管理する。対ドルでなだらかな元安とする一方、東京市場
では円債を買って円高を助長する。

中国製品は今や鉄鋼、自動車、家電、情報技術(IT)関連を含め、広範
囲の分野で日本製と競合する。円高・元安で日本企業の対中投資継続を促
す効果もあるだろう。対日債券投資は今、縮小気味だが、北京はもう一段
の円高・元安の機会を待っているに違いない。 
産経ニュース【田村秀男のお金は知っている】10.29


2016年10月29日

◆私の「身辺雑記」(390)

平井 修一



■10月21日(金)、朝6:00は室温20.5度、茜色の空で快晴になりそうだ
が、とても寒い。甚平の季節は終わったようで、長袖のパジャマが必要に
なってきた。

昨夜は9日ぶりの集団的子育て。久し振りに孫のにぎやかな声を聞くのは
いいものだ。しょっちゅう来られると困惑するのだが・・・世の中のこと
は思うようにはいかない。

10/19から屋上手摺のさび落としとさび止め塗りを始めた。体力がないの
で1時間ほどしかできないが、意外に面白く、結構はかが行く。

「はかが行く」は死語になりそうな言葉で、若い人はあまり使わないので
はないか。「笑える国語辞典」から。

<はかが行く(捗が行く)とは、仕事などの進み方が早くなる、効率がよ
くなるという意味。「はかどる(捗る)」も同じ意味。

「はかが行く」の「はか(捗、計、量)」は、古くは米などの収穫予想量
を言い、そこから、物の量や大きさを数値化する「計る、測る」や、計画
を立てるという意味の「図る」なども生まれた。

また、「米の収穫(はか)」が「無い」と、この世の中は生きている価値
もない「はかない」世の中だと感じ、いっそ死んでしまいたいと世を「は
かなむ(消えてしまいたいと思う)」という、毎日「死にたい、死にた
い」といっている源氏物語の登場人物のような精神状態に陥るのである>

確かに「笑える国語辞典」だ。

ところで「土人」は差別用語なのか。先住民とか土着した人、ネイティブ
くらいの意味だと思っていたが・・・「ニコニコ大百科」から。

<土人とは、「土着の元からそこに住んでいる人、原住民」といった意味
の言葉。しかし、 現在では未開で野蛮であるというニュアンスから、メ
ディアなどでは差別語として使われなくなっている>

未開で野蛮なマスコミやリベラル≒バカどもの言葉狩りだ。米国ではイン
ディアンをNative Americanと呼んでいるが、米国へ乗り込んで苦情を
言ったらどうか。間違いなくキ○ガイと認定されるだろう。Fuck you!

今、沖縄サヨクの3分の2は本土で食いはぐれた連中ではないか。1970年前
後から本土の共産革命を目指すサヨクは減少し、連合赤軍リンチ事件で激
減した。左翼の資金源はカンパと機関紙販売が主だが、カンパは大衆の同
情を買うような事件が華々しくマスコミに報道されないと集まらない。

機関紙販売は党員とシンパが減るばかりなのだから売上は落ちるばかり
で、編集員のリストラをしないととても発行できない。栄えある編集員が
肩たたきされ、タクシーの運転手になったりしている。

沖縄は斜陽サヨクが辛うじて生活できる、日本で唯一の“聖地”だ。全国の
アカ労組の専従は中核派や革マル派など札付きのサヨクが珍しくない(千
葉動労=中核派、JR総連=革マル派)。この手の労組が資金を提供してい
るのだろう。沖縄サヨクは常に事件を起こさないと食えないことになる。

「デジタル版 日本人名大辞典+Plus」の解説から。

<石田郁夫 いしだ-いくを 1933−1993 昭和後期-平成時代のルポル
タージュ作家。

昭和8年7月8日生まれ。共産党で活動し,昭和36年除名される。70年安保闘
争時は沖縄にわたる。この間狭山裁判糾弾闘争にもくわわり,つねに実践
活動の中から作品をうみだした。平成5年2月25日死去。59歳。東京出身。
大島高卒。本名は川口富男。著作に「新島」「沖縄・土着と解放」「狭山
差別裁判」(共著)など>

石田は中核派に近かったようだが、「沖縄・土着と解放」(1969年刊)で
はサヨクの愚かさをこき下ろしていた。以下引用。

<「沖縄を返せ カエセ>という歌がある(カエセは合いの手)。私はこ
れを歌わなければならないときは、恥の感覚で煮えくり返る。

「民族の怒りに燃える島、沖縄よ、我らと我らの祖先が血と汗をもて守り
育てた沖縄よ、我らは叫ぶ、沖縄よ、我らのものだ」と繰り返す。

この歌はまさにハレンチ極まりない、と私は歌いながら冷や汗が出てく
る。この歌の中の「我ら」とは誰だという問い詰めを自分にして、吟味な
しで平然と「我ら」とうたっている、その「我ら」の複合体から脱出した
くなる。

この歌を平然として歌い、それどころか恍惚としてすら歌っている感覚
は、沖縄を本質的に解放しない、解放する側には組することはできないの
ではないかと私は考える。

無知であり、無恥であり、傲慢なものが、その感覚の底にはわだかまって
いると私は思う。

もちろんそれは、本土の人間が歌う場合のことだが、沖縄の人が歌う場合
も、一種の胡乱な感じがもやもやと立ち上るのではないかと思う。

「(今日の反体制陣営における)ニセ歌の放歌乱舞の状況は、闘争の内的
主体の絶望的な未創出の直截な表れだ」(と谷川雁が指摘するが)それは
また、日本の運動の「文化」程度の平均水準を示す指標としてそこにあ
る>(以上)

石田はサヨクの軽佻浮薄を知っていたから、染まることなく冷静な観察者
でい続けられたのだろう。

日共民青とその傍系のシールズ(志位るず)の組織論は「歌って踊って恋
をして」だ。恍惚の歌と踊り、色気でバカを誘い込み、“党の奴隷”にしよ
うとする。

♪ヨヨギを知ったその日から 党の奴隷になりました アカと言われりゃ
アカになり とても幸せ サヨクだけに言われたいの 可愛い奴と 好き
なように私を変えて ヨヨギ好みの サヨク好みの 闘士になりたい

かくして今日も明日も明後日も未開で野蛮な沖縄サヨクはメシのために暴
れまくるのだ。

■10月22日(土)、朝6:30は室温19.5度、薄曇、寒い。

朝食前に屋上補修開始、朝食後にしばらく休んで、再び補修。いい運動に
もなる。4時にはさび止め完了、へたった。早めに夕食をとり、横になった。

■10月23日(日)、朝7:00は室温18度、薄曇だったが晴れたので8時から
補修個所の下塗り、10時には完了した。あとは全体の仕上げ塗りだけだ。

■10月24日(月)、朝6:00は室温18度、快晴だがずいぶん冷え込んでお
り、夕べから掛け布団を使い始めた。自転車で段ボールの資源ごみ回収所へ。

今日から屋上手摺全体の仕上げ塗り開始だ。

■10月25日(火)、朝6:00は室温15度、今季最低、晴。晩秋か、初冬か。

今日もペンキ屋。4分の3が終わった。夕方から雨。

■10月26日(水)、朝5:00は室温16.5度、快晴。朝日に輝くハイビスカス
の花に雨滴。美しい。

米からおかゆを作り、梅干し、明太子、卵、そして鶏出汁の美味しい味噌
汁といただく。実に旨かった。食欲が向上したのはいいことだ。

体調はかなり改善し、ふらつきは軽度になったが、ペンキ塗りの効用もあ
りそうだ。無理してでも体を動かした方がいいのかもしれない。

ところで小生は小4から週刊新潮の「黒い報告書」の熱心な読者だったか
ら、濡れ場になるとゲラゲラ笑うようになった。人間の哀しさ、愚かさが
ナニにはたっぷり感じられる。

というわけでナニを下劣とも下品とも羞恥とも秘め事ともほとんど思わな
いようになったが、品格を重んじる人からすればそれは認めがたいのだろ
う。自分は自分、人は人だから、「ああ、そういう人もいるんだ」と思っ
てオシマイにするのがいい。現実は、恬淡となるのはなかなか難しいが・・・

さて今日もペンキ屋だが、作業はほぼ完了した。ちょこちょこと追加仕事
はあるが、まあ95点、素人としては金メダルだ。コストはペンキとワイヤ
ブラシで5000円未満。業者に頼めば50万円だろう。

業者がいい仕事をするかどうか・・・素晴らしいプロがいるし、一方で愚
かな手抜きクズ野郎もいる。今年2月に外のバルコニーの給湯器取り換え
で、ついでに手摺も補修してもらったが、8か月でもうサビが浮きだし
た。サビ止めをしていないのだ。やっつけ仕事。

クズが一人でもいるとその業者の評価はガタ落ちになる(くい打ち事故、
病院を見よ)。さっさとクビにすることだ。5人、10人に1人は「足をひっ
ぱる」、クズは子供の頃からクズで、それが運命なのだろう。

はんちく【半ちく】( 名 ・形動 )中途はんぱな・こと(さま)。はん
ぱ。 「何をやらせても−な奴だ」

せいぜい人を巻き添えにすることなく静かに死んでほしいものだが、クズ
は死ぬまで迷惑をかけっぱなしなのだろう。この世は実に厄介だ。

■10月26日(水)、朝5:00は室温16.5度、快晴。朝日に輝くハイビスカス
の花に雨滴。美しい。

■10月27日(木)、必死で仕事。やりすぎだ。屋上でペンキ屋さん、ベラ
ンダでスノコづくり、キッチンであれこれ補修・・・ほとんどムリポ・・・

■10月28日(木)、朝10:00は室温18度、小雨。

夕べ、6時ごろにトイレに出た時に気絶した。ああ、気絶するなあ、こう
して倒れるのだなあ、と1秒間、思って崩れたが、気絶は1971年9月16日に
機動隊員と一緒にクレーン車から落下して以来だから45年ぶりか。

昨日の夕方に母校の多摩校生が街にチラチラと現れ、ゴミ掃除をしている
が、まったく掃除になっていないので、頭にきて「なにやっているんだ、
ちゃんとやれ、ちゃんと、俺は11期の応援団副団長の平井だ」と言って、
「フレーフレー多摩校!」と大音響と叫んだら皆逃げた。

コンビニから甥っ子がニコニコしながら「お元気でなにより」と挨拶して
きたのは大いに結構だが、まあ、高校生をビビらせてはいかんな。バカは
爆弾で迷惑をかけるが・・・

夕べ、気絶してからの記憶はないが、今朝、カミサンが寝室をのぞいたの
で10時起床だ。小生がくたばりそうなのでカミサンはすこぶるご機嫌、N
は小生の枕元にトト(愛犬)のぬいぐるみを置いてこれまたご機嫌だ。み
んなうれしそう。

今日は仕事はお休み。

隣のテッチャン(多摩校→東工大→建設省→天下り)が庭仕事しているので
屋上に招いて、自宅の北側の屋根がカビていることを見せ、&長いハシゴ
をわが家の軒先に置いていいから「俺にも使わせてくれ」ということで合
意した。ウィンウィンのような・・・

小生は5歳の時にテッチャンから落とし紙をもらったことをトラウマに
思っているが、なんとテッチャンは高2の時に「修ちゃんに塙さん(素敵
に色っぽい女の子、小生の友達、がさつだから小生は興味なし)を紹介し
てもらった」。

テッチャンはこれがトラウマになっているわけだ。みな、トラウマを抱え
ている。

カミサンは大いにはしゃいでいる。午後に電動のこぎりを教えてスノコの
仕上げをさせた。なついてしまって「ポテトサラダをつくって♡!」だ
と。しょうがない、女は可愛がるしかない。男は辛いよ。(2016/10/28)


         

◆危機に民共で対処できるか

櫻井よしこ


「東シナ海の危機に民共で対処できるか」

参議院議員選挙が迫っている。民進党や共産党は公約として安保法制廃止
を掲げているが、どう考えても理解できない。日本周辺の安全保障状況が
厳しさを増す中で、民進党も共産党もどのようにして日本国民と国土を守
るつもりなのか。
 
7月3日、中国は南シナ海のパラセル諸島海域で新たな強硬策を取ることを
世界に宣言した。5日から11日までの1週間、軍事訓練を実施するとして各
国に同海域への進入禁止を通告したのだ。
 
11日までとは、フィリピンが中国を訴えた常設仲裁裁判所の判決が出され
る前日まで。国連海洋法条約に基づく判決を受け入れるつもりがないこと
を示すもので、国際社会への開き直りと挑戦である。
 
中国共産党の対外向け機関紙「環球時報」は今回の軍事演習の目標を、中
国には自国領の主権を守り通す能力があることを示すためであるとし、そ
の一方で演習を、これは中国の常套句ではあるが、平和維持のためとも説
明した。
 
日本政府は、南シナ海領有権を巡る仲裁裁判所の判決を中国を含む全ての
関係国が尊重することを求める共同声明を、先進7か国(G7)が歩調を
揃えて発表するよう働きかけてきた。国際法を守る側と守らない側の闘い
であることを明確にするのは正しい戦略である。
 
伊勢志摩でのG7首脳会議でも安倍晋三首相は南シナ海の写真を示し、中
国による埋め立て、軍事拠点化の実情を詳しく説明した。南シナ海はヨー
ロッパから遠いため、欧州指導者の多くが急速に進行する中国の侵略につ
いて詳しいわけでも関心があるわけでもない。

だが、安倍首相の説明は欧州諸国の対中認識を改めさせたはずだ。欧州
の指導者も、南シナ海における中国の行動がクリミア半島におけるロシア
のプーチン大統領の行動と同質の侵略であることをよりよく理解したに違
いない。

中国にとって、12日に示される常設裁判所の判断も、またG7の共同声明
も、厳しい内容となるのは避けられないだろう。

「攻撃動作」
 
死に物狂いと言ってよい習近平主席の強硬策の下では、このような国際社
会の動きに対して現在の中国が取り得る唯一の手段は、物々しい軍事演習
の断行である。
 
演習の現場となるパラセル諸島は、40年以上前の70年代に中国が当時の南
ベトナムを攻撃して軍事力で奪い取ったものだ。ベトナムは現在も領有権
を主張しているが、同諸島は南シナ海支配に欠かせない中国の巨大な海軍
基地となった。

「環球時報」はパラセル諸島の西北、トンキン湾近くの海南島にすでに中
国3艦隊の軍艦が集結したと報じた。その中には北海艦隊のミサイル搭載
駆逐艦、東海艦隊のミサイル搭載駆逐艦、ミサイル搭載フリゲート艦など
が含まれているそうだ。
 
南シナ海を管轄するのは南海艦隊だ。それ以外の艦隊も参加する大がかり
な演習は、核心的利益を守るために

は国際法による決定も断固拒否するという中国の国家意識の表現である。
国際社会における問題解決に、中国は軍事力の行使を厭わず、帝国主義
的行動を選ぶということだ。
 
中国の強硬策は南シナ海に限らない。わが国の東シナ海上空で6月17日に
航空自衛隊の戦闘機が中国人民解放軍(PLA)の戦闘機に対して行った
緊急発進(スクランブル)について、中国国防部は7月4日、「日本側の発
言は全く白黒逆で、世論を惑わす」と反論した。

彼らは、中国の防空識別圏を中国軍のSu(スホーイ)30戦闘機2機が巡
視していたところに、日本の航空自衛隊のF15戦闘機2機が高速接近た、
つまり緊張をつくり出しているのは日本だと非難した。実際には何が起き
たのか。
 
同件については6月28日に元空将の織田邦男氏が警告を発した。中国軍機
が日本の空に急接近してきたのに対し、空自機がスクランブルを試みた。
その空自機に中国軍機が「攻撃動作」を仕掛けた。空自機はドッグファイ
ト(格闘戦)に巻きこまれる危険性があったため、自己防御装置を使用し
ながら中国軍機によるミサイル攻撃を回避しつつ、戦域から離脱した、と
いうものだ。
 
日本政府は空自機がスクランブルをかけたことは認めたが、中国側の攻撃
動作は否定した。一方中国政府は、「日本の戦闘機が急接近、挑発し、射
撃管制レーダーを中国側に照射した。中国側が果敢に対処し、戦術機動な
どの措置を講じた。

日本機は赤外線フレア弾を発射して退避した」と発表した。
 
彼らはこうも語った。「中国側は日本側に対して、一切の挑発的行為を止
めるよう求める」。
 
中国は日本側を嘘つきとなじっている。しかし、私はよく知っている。嘘
をつくのは中国側だと。

「白黒逆」の嘘
 
10年9月7日午前、尖閣諸島の領海で中国漁船が海上保安庁の「よなくに」
などに激しく船体をぶつけてきた。当時の菅直人首相と仙谷由人官房長官
は現場を収録したビデオを公開せず、その間に中国政府は一貫して「全く
白黒逆」の嘘をつき続けた。中国側はどのように海保の船が中国漁船に体
当たりしたか、中国漁船がどれ程懸命に日本の攻撃を逃れようと回避行動
をとったかを、ご丁寧にも図まで描いて公表した。
 
ところが一色正春氏が独断で公表したビデオは全く正反対の事実を私たち
に示してくれた。
 
ベトナムも同じ被害に遭った。14年5月、中国はベトナムが領有権を主張
するパラセル諸島海域に巨大深海用掘削装置を繰り出し、石油掘削を開始
した。ベトナムは29隻の船で抗議行動に出た。中国は80隻を投入し、ベト
ナム船に激しい体当たりを加えた。
 
5月9日、中国外務省は「8日夜までにベトナム側が中国側に180回余りも体
当たり攻撃を加えた」と公表した。だが、ベトナム政府は直ちに映像を公
開し、体当たりを仕掛けていたのは中国船だという事実を世界に示した。
 
そもそも日本の自衛隊は厳格すぎる程、法を守る組織だ。空でも海でも陸
でも見事に自らを律している。無謀に相手を挑発することは断じてしない
と言ってよい。

今回も同じである。東シナ海上空の攻撃動作は中国軍機によるものだと考
えて間違いないだろう。
 
明らかなのは、中国が軍事攻撃をも辞さない決意で膨張しようとしてお
り、中国の脅威に日本が晒されているということだ。日本を守るために安
保法制でほんの少し集団
的自衛権を行使できるように改めたが、専門家の多くは、これではとても
不十分だと
見ている。にも拘わらず、民進、共産両党はこれを廃止するという。この
ような党に
日本は任せられないと思うのは私だけではあるまい。
『週刊新潮』 2016年7月14日号  日本ルネッサンス 第712回


(採録:松本市 久保田 康文)



◆テロリズムの危険に直面し、挫折の季節

宮崎 正弘 



<平成28年(2016)7月15日(金曜日) 通算第4964号  弐>


 〜中国のアフリカ戦略もテロリズムの危険に直面し、挫折の季節
  国連軍に8000名を派遣すると習近平は国際社会に豪語したが〜


323億5000万ドル(邦貨換算3兆4000億円)。

これは中国が2014年末までにアフリカ諸国に投じた金額であり、大半はイ
ンフラ建設に使われた。中国企業が中国人労働者をひきつれてやってき
た。現地には僅かな雇用しかなく、現地企業や店舗にはカネが落ちず、潤
わなかった。

アフリカ各地にいる中国人は100万人とも200万人ともいわれ、正式統計は
ない。毎年平均で25億ドルを中国はアフリカに投資している。正確に言う
とアフリカ各地で中国が展開しているプロジェクトに投資しているのである。

さてアフリカに於けるテロ、政変により、中国人の犠牲が相次いでいる。
マリではラディソン・ブルーホテルに宿泊していた外国人20名がボゴ・
ハラムの襲撃で殺害されたが、うちひとりが中国人で、鉄道企業の社長
だった。

今年もマリの北部で中国人ひとりが殺害され、四名が負傷した。

2011年にはカダフィ殺害による政権転覆で、3万6000人の中国人がリビア
から脱出した。

ちょっと溯って、2007年、エチオピアの採掘現場で中国人石油技師など9
人が殺害された。同様な事件はアンゴラ、ナイジェリアなどで繰り返された。

ニジェール・デルタでは中国人を狙った誘拐、身代金要求事件も頻発して
おり、中国は企業の自警がままならぬため外国のボディガード企業と契約
したり、あるいは当該地区に展開している国連軍に保護を要請したりして
きた。

同時に中国で訓練し、外国の警備に就く専門企業も誕生した。

それでも埒のあかない危険地区、たとえば南スーダンには、重武装の800
名の戦闘部隊の派遣をきめた。

400人の中国人エンジニアが南スーダンの石油採掘現場で働いており、突
然の武装闘争に付帯して南スーダン政府の軍隊を当てに出来ないからだ。

李克強首相のナイジェリア訪問では、テロリスト「ボゴハラム」対策のた
め、中国が安全保障情報を提供するとした。中国のスパイ、偵察衛星が当
該地区の状況を撮影した情報などで、さらに人民解放軍がナイジェリア政
府軍の訓練も引き受け、武装ドローン機を売却した。

他方、2013年以後、中国は2600名の解放軍兵士を国連平和維持軍に派遣
し、さらに習近平主席は「8000名に増員する」としている。中国軍のアフ
リカ派遣費用は年間2000万ドルに達した。
 
1949年から2003年まで中国海軍のアフリカ寄港はわずか3回だった。

2010年から2015年までに中国艦船のアフリカ寄港は38回に及び、このうち
20回がジブチである。エデン湾の海賊退治国際協力の一環である。

2017年を目処に中国はジブチに軍事基地の建設を決め、ジブチ政府の承認
を得て、現在突貫工事に入っている。

ジブチには米軍の空軍基地と海軍基地がおかれ、また自衛隊もジプチに駐
屯している。アフリカの要衝である。