2014年08月25日

◆「核」が日中開戦を抑止する(69)

平井 修一


マット安川氏の「ずばり勝負」8/15から。ゲストは織田邦男(KunioOrita)元・空将。1974年、防衛大学校卒業、航空自衛隊入隊、F4戦闘機パイロットなどを経て83年、米国の空軍大学へ留学。90年、第301飛行隊長、92年米スタンフォード大学客員研究員、99年第6航空団司令などを経て、2005年空将、2006年航空支援集団司令官(イラク派遣航空部指揮官)、2009年に航空自衛隊退職。

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安川 ゲストに元空将の織田邦男さんを迎え、近隣諸国を見据えた安全保障問題についてお聞きしました。また、自衛隊の変遷や、そこで行われる教育哲学などについても幅広くお聞きしました。

*安倍首相の「地球を俯瞰する外交」は素晴らしい

織田 安倍(晋三、首相)さんのいわゆる「地球を俯瞰する外交」は、私は素晴らしいと思います。この9月に訪問国が49カ国に達し、短期間にこれだけトップ外交をやった人は見当たらないと思います。

安倍さんの、良好な安全保障環境を醸成していくという方針は安全保障の1つの大きな柱で、その政策は成功していると思います。これは敵を少なくして、味方を多くするということです。憲法9条さえ守っていれば平和でいられるというのは、本当に幻想だということを分かってもらわなければいけない。

日本が戦争を放棄しても、戦争は日本を放棄してくれない。現実としてどう対応するか。だから味方をつくる、敵を少なくする、あるいは日米同盟を緊密化する、また我われの自助努力も行う、そういう複合的で包括的な対応が望まれます。

ちなみに、安倍さんが乗る政府専用機は航空自衛隊が持って運用しているんですが、あまり知られていません。先日、政府専用機の元部下に会ったら、日本に帰ってきて非常に違和感を覚えたと言っていました。

安倍さんの外交について、現地の報道では絶賛されているのに、日本ではほとんど報道されていない、日本のメディアというのはいいことは伝えない、と。

今は「安倍降ろし」で、安倍さんがいいことをしたというのを伝えないのかもしれませんが、メディアの姿勢はおかしいと思います。是々非々でやらなければ。

最近のメディアを見ていると、非常にヒステリックでおかしいなと思います。例えば集団的自衛権の時も、徴兵制が始まるとか、際限のない軍拡競争につながるとか。

徴兵制なんてあり得ない。それは100年前の話です。近代的な軍隊は少数精鋭でなければダメで、徴兵制で質がバラバラになると逆に迷惑です。そういうことを知らない人がこうした報道を見ると、ああそうかと思ってしまいます。

*「上の句」だけで「下の句」を言わなくなった日本人

戦後のトラウマかもしれませんが、日本人は「下の句」を大切にしなくなりました。つまり、「上の句」ばかり。例えば「自由」という上の句には、「責任」という下の句がある。「権利」には「義務」という下の句がある。上の句と下の句があってこそひとつです。

平和は叫ぶけれども、平和をつくるための努力はしない。公務員削減をしろと言うけれども、サービスは低下しても構わないとは言わない。国民年金は払わないけれども、老後は自己責任とは言わない。給食費を払わない親は、自分の子どもには昼食を食べさせなくてもいいとは言わない。


万事そうです。非武装と言うのであれば、もし敵が襲ってきたらその時はしょうがないから死にましょうと言わなければいけない。集団的自衛権に反対する人は、集団的自衛権なしでなぜ安全が確保できるのかということを言わなければいけない。下の句がないために、冷静な議論が阻害されていると思います。


下の句というのは厳しいものです。私は米国のニューハンプシャー州に行った時にビックリしました。友人がニューハンプシャー州には州税がないと言うんです。そこで州議会で何か減らさないといけないと議論した結果、消防署をなくした。州税を取らないという上の句に対して、下の句は火事が起こったら自分で消せと。これはひとつの民主主義の姿だと思います。日本人はそこまで熟していない。

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GHQ製自虐脳、9条平和ボケ痴呆症の除染は本当に難しい。織田氏の経歴を調べていたら、「激しくなる中国機の領空侵犯、撃墜できる法整備を」との記事もあったので、ごく一部を紹介する。

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5月24日と6月11日、日中の防空識別圏が重なる公海上空を飛行する自衛隊の情報収集機、「OP-3」および「YS-11E」に対し、中国軍戦闘機「Su-27」が異常接近を繰り返すという事例が発生した。東シナ海での中国機の活動はますます活発化している。

仮に中国戦闘機が尖閣諸島の領空を侵犯した場合、国際慣例に従い、中国戦闘機に着陸を命じ、聞かざれば警告射撃を、さらに命令を無視すれば直接射撃により、着陸を強制する実力措置をとらねばならない。それができてこそ、領空主権であり、実効支配していると言える。

*撃墜という怖さが侵犯を抑止する

他方、領空侵犯機に着陸を強制することは非常に難しい。飛行機の場合、首に縄をかけて引っ張ってくるというわけにはいかない。「亡命」する意思があれば別だが、相手操縦者に強制着陸命令に従おうという「意思」がなければ強制着陸の誘導には従わないだろう。

3月にトルコ空軍が指示に従わないシリア空軍のMIG-23を撃墜したように、「撃墜」という最後の手段が担保されて初めて相手操縦者に着陸を強制させることが可能になる。「撃墜」されるかもしれないという恐怖感によって、こちらの誘導に従うわけだ。

最後の手段である「撃墜」が担保されていないことが相手に分かると、相手は思うがまま領空を侵犯し、そして悠然と帰っていくに違いない。それでは実効支配しているとは言えない。

空自の場合はどうか。自衛隊法84条「領空侵犯に対する措置」は次のような規定になっている。

「防衛大臣は、外国の航空機が国際法規または航空法その他の法令の規定に違反してわが国の領域の上空に侵入したときは、自衛隊の部隊に対し、これを着陸させ、またはわが国の領域の上空から退去させるため必要な措置を講じさせることができる」

この「必要な措置」の解釈について、これまで国会答弁で迷走が繰り返されてきた。通常、自衛隊法が示す各種行動は、それぞれ権限が規定されている。だが、不思議なことに「領空侵犯措置」だけ権限規定がないからだ。

自衛隊創設当初の昭和29年4月20日、衆院内閣委員会で増原惠吉防衛庁次長が次のように答弁している。

「着陸させるということも一つの方法、あるいは信号その他の方法によっては要域の上空から退去させるのも一つの方法である。これに応じないで領空侵犯を継続するような場合には現在の国際法における通常の慣例その他に従い、場合によっては射撃することもありうる」

昭和44年4月17日の通常国会本会議では、佐藤栄作総理大臣が次のように述べている。

「侵入機に対してはまず警告を与えるのがほぼ慣習法化している。その結果、領空侵犯を悪天候や器材の故障など不可抗力者であることが判明した場合は別にして、侵入機が敵性を持っていると信ずべき十分な理由がある場合は、領空外への退去、指定する地点への着陸等を命ずることができ、侵入機がこれに従わない場合、領空内ではこれを撃墜することもできる」

*自衛隊の手足を縛ってしまった1人の官僚

ところが昭和48年6月15日、衆議院内閣委員会で久保卓也防衛局長が一転して次のように答弁した。

「武器を使用することは外国と異なり、(自衛隊は)緊急避難及び正当防衛の場合にしか使用できないことになっている」

総理大臣の答弁を、一官僚の政府委員がひっくり返すのも日本ならではだが、不幸にも現在はこの解釈が定着している。つまり、着陸を強要するための危害射撃はできないというわけだ。

自衛隊法策定に係わった法律の専門家は、次のように述べている。

「国家、国民は国際法規(国際慣習法)や条約の遵守義務があり、条約を締結すれば国際法上の権利、義務が発生し、国内法上の効力が生じる。領空主権については国際慣習法が確立されているために、権限規定として定める必要はないという共通認識が自衛隊法策定当時においてはあった」

だがその後は、自衛隊法策定当時の共通認識とは裏腹に、自衛隊の活動についてはすべて法律の根拠を要するものとされ、「法律に明示されていないことは何もできない」というポジティブリストの解釈が定着した。(以上)

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この情けない現実を改めるために自衛隊員が何人殺されればいいのだろう。小生が生きているうちに「まともな国」「普通の国」になるのかどうか。本当に除染は難しい。ため息が出る。(2014/1/12)

◆「遠海防衛」を「藍水海軍」と命名

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
 

<平成26年(2014)8月24日(日曜日)通巻第4321号 >

 〜中国の新海軍戦略は「遠海防衛」で、これを「藍水海軍」と命名
沿岸警備隊から沿海防御、そして大躍進のブルーウォーター(公海)へ〜


中華人民解放軍の海軍は、その発足当時「近岸防衛」が関の山だった。日清戦争敗戦の場所は青島の北、威海衛、その沖合にあるのが劉公島である。江沢民時代、反日キャンペーンを開始し、ここに「甲午戦争記念館」を建てた。巨大な建物の中に入るとアヘン戦争からの中国近代の戦争をジロラマで再現しつつ、しかし日清戦争に負けたとは明示していない。劣等意識の現れだろう。

同記念館は英国、ドイツの侵略者をあまり批判せずに、ひたすら日本が悪いと総括し、これを愛国教育基地だと言い張った。

この劉公島へ第2次大戦を経て国共内戦直後の1950年に、中国海軍が上陸したところ、軍事転用できる船は1隻とてなく、すべては蒋介石が持ち去ったか、あるいは棄却していった。

このため中国海軍の発足時は「沿岸警備」程度の海軍力、これを自虐的に「近岸防衛」と呼び、カバーできる水域はせいぜいが黄海くらいだったから「黄海水軍」と名付け、海軍力の充実に乗り出した。

蒋介石が台湾へ逃げ去ったあと新中国が直面したのは経済的困窮であり、海軍の建設は経済成長を伴わない限り無理な話だった。

それでも陸海空三軍の整合性ある軍事作戦行使を可能とするために「沿岸警備隊」程度の力が発揮できる艦船、潜水艦、快速船を必要とした。「空、潜、快」を合い言葉にして海軍力の充実に力を注いだ。口では台湾解放などと叫びながら、台湾上陸が可能な海軍艦船は無きに等しかった。そもそも上陸用舟艇さえ殆ど保有しなかったのだ。

1970年代まで中国海軍の実力はあくまで「近岸防御」とされ、不意の敵海軍の奇襲攻撃に耐えられる持久戦に入った。

孫子のいう不利なときは戦争に打って出るな、まさに「静かなること山の如し」である。

海軍の作戦には航空機の支援が必要である。

当時、中国空軍の基地は内陸深くにあって空からの攻撃を防ぐことに置かれていたため海軍の作戦範囲はまさに沿岸のみ、行動半径は狭く、西側軍事筋は「沿岸警備隊に毛の生えた程度」と評価していた。


 ▼「近岸防御」の時代から、ゆっくりと「近海防御」の海軍へ

第二期は中距離ミサイルを搭載した海軍が空軍支援を代替し、近海にでて作戦行動がとれる戦略に転換された。これをもって「黄海海軍」から「緑水海軍」と名付けて、もっぱら防衛力としての海軍の拡充を図ったのである。986年に海軍司令員だった劉華清が正式に党に提出した報告書に盛られ、同時に「第二砲兵」(つまり戦略ミサイル軍)が秘密裏に誕生していた。長距離ミサイルは中国海軍の空母不在を補い、海軍艦艇の遠距離への進出
を可能にしようというわけだった。

こうした海軍の地道な拡充努力によって、中国海軍は北はウラジオストクから、南はマラッカ海峡まで行動半径が拡大されるようになった。

露西亜のカムチアツカ半島、千島列島、フィリピン群島、台湾への近接があと一歩という段階にきた。

「近岸防御」時代は300海里、そして第二段階になった「近海防衛」戦略では、1000海里が守備範囲と急拡大していた。

 「中国海軍の父」と言われる劉華清はトウ小兵の信任が厚く、まだ「養光韜晦」(能ある鷹は爪を隠せ)という中国の長期持久戦戦略の下、しずかに遠洋進行型と区域進行が同時に進められた。

当時の米国とソ連しか保有しなかった遠洋進行型海軍を目指していることが判明した。それまでの中国人民解放軍は陸軍優位、海軍は副次的存在として扱われていたが、これを陸海空が均質平等としての力量整備に整合性を与え、3000トンから4000トン級の中型ミサイル搭載艦の充実を第二砲兵ならびに空軍にも協力を求めて、作戦可能の半径をさらに飛躍させた。

スプラトリー群島への進入、ベトナム領海の永興島に2600メートル滑走路の建設などが同時並行的に進められていた。

孫子的に言えば「侵略すること火の如く」あるいは「動くこと雷の震えるが如く」にして、フィリピン群島の一部にも進出を繰り返すのだった。
 
 
 ▼上策は「攻敵岸」、中策は『沿海攻』、下策は「近岸攻」。

第三段階は「遠海防衛」と呼ばれる戦略である。

空母建設が謳われ、原子力潜水艦が就航し、これを「藍水海軍」と呼称するまでに実力を蓄えるに至った。

ここまでの海軍力整備には時間と費用を要したが、中国の経済成長がこれを可能とした。ともかく中国の言い分では地球上の海の占める面積は70%、沿岸から200キロ以内に地球上の80%の人々が暮らし、防衛の通称ルートは、海洋に90%を依存しているからである。

中国の経済は青島、天津、上海、厦門、広州は沿海部がさきに発展したが、港湾に近いという地理的用件だった。

そして経済力が世界第2位と喧伝し始め、にわかに金持ち大国として近隣諸国を睥睨し始めるや、「沿海防御」は文明発展の必須条件にして、中国モデルが世界に示されたと自慢を喧しく開始するのだった。
 
いま中国海軍は奇妙な自信をもって作戦シナリオを語り出した。

第一に敵沿岸攻撃により進出意図を挫折させ、作戦を壊滅される。あたかも日本軍の真珠湾攻撃のように、奇襲は可能であるとする。

第二に敵海軍を海洋の途中で殲滅できると呼んでいる。ミサイルの発達が、これを可能にしたと豪語している。

第三は近海接岸間際に敵艦隊を殲滅する作戦も可能だと言う。

中国紙『聞声報』(2014年8月16日号)は、『上策は敵沿岸攻撃(攻敵岸)、中策は海洋途次の『沿海攻』、そして下策は接岸寸前殲滅の「近岸攻」と、あくまでも孫子的戦術の選択を謳っている。

こうみてくると中国軍はいまも孫子を尊重していることがわかる。
      

◆私には帰る故郷がない

前田 正晶


旧盆の大移動に思う:

第一部:
自慢でも嘆きでもないことで、私は東京市小石川区駕籠町で生まれ、現在は新宿区に住んでいるために帰りたい故郷がないのである。言い方を換えれば、旧盆だろうと正月だろうと何だろうと行くところがないのである。

尤も、日本の会社で働かされて頂いていた時の大阪支店勤務をしていた時期には、家族とともに年末に東京ならぬ疎開からそのまま住み着いた藤沢に帰る事業があったが。

その際でも大阪から東京に帰る者の数がその反対の方たちよりも圧倒的に少ないとは申せ、、出来たばかりの新幹線の切符を確保して兵庫県から新大阪駅まで行くのはかなり疲れさせられる作業だった。

1960年代では経費もかなりの負担だった。それに懲りてかも知れないが、その後には如何なる時期でも民族の一斉大移動の時期に何処かに出ていくことをしないようになった。

第二部;
アメリカの会社に変わってからは、一度だけ止むを得ぬ事情があって8月の旧盆に帰国の時期に食い込むアメリカ出張をしたことがあった。8月のワシントン州シアトル付近は冷房を付けていない車が沢山あることが示すように、誠に涼しく湿度も低く快適だった。

但し、8時を過ぎても日が暮れないのには馴れておらず、やや混乱させられた。何れにせよ、このまま日本に帰りたくないと思わせてくれたのは間違いなかった。

成田に帰ってきて驚いた。当時はトローリーケース(キャリーバッグかキャリーケースは造語である、念のため)が導入されていない時期だったので、カート(手押し車?)が必要だったのだが、その列に並ばせられたのが延々と1時間。入管と税関を終わって出てきたらさらに2時間近くが過ぎていた。そこから先は当時住んでいた藤沢まで帰ろうにもバスも、成田エックスプレスも京成スカイライナーも2時間以上待ちだった。

当時はバスで横浜のYCAT経由で帰っていたが、そのバスも2時間待ちで、結果的には最も待ち時間が短かった東京か新宿駅だったかまで行くバスに乗って、また乗り換えてJRで藤沢まで行った。

余談だが、藤沢からまた小田急乗り換えが待っているのだ。成田から先で自宅までに費やした時間でアメリカまでの片道に相当した。もう8月は懲り懲りだと思った。

こういう経験があったので、旧盆だろうと何だろうと、出ていかないようになってしまったのだ。我が国の文化では「皆一斉に」というか「皆でやろう」ないしは「全員一致で取り組もう」となっているので、それに従うべきだろうが、それが先頃の旧盆での高速道路渋滞の報道となって現れている。

一方、何事でも個人が単位であり、その主体性というか趣味趣向次第とでも言えるかと思うように、アメリカでは休暇を取るのは各人の勝手であり、一斉にということはない。

しかも一旦休暇に入れば1週間どころか何週間でも帰ってこないのは当たり前だ。我が国の一部にはこれを羨むというか、如何にもアメリカが先進的であるかのように言う向きがある。

これは大いなる誤解であり、文化の違いを弁えていない見方だ。簡単に言えば「全てが個人単位」である以上、自分の仕事を放棄して自分の楽しみのために家族を伴って休暇を取っている間は、誰もその人の仕事を代行してくれないのが当たり前なのだ。放置されているのだ。

「秘書がいるのでは」などと考えるのも誤りで、秘書はボスの仕事を代行するだけの給与を取っていないし、そうするとは規定されていないのだ。

故に、休暇明けで復帰した時に整理されずに残っていた仕事を片付けるのは大変なことだ。考えずとも解ることだが、復帰した以上残務整理以外の日常の業務は待ってくれないのだ。それが如何に大変かは経験してみなければわかり得ないこと。

ここまでで、アメリカの休暇制度が決して羨ましいものではないとお解り願えれば、ここまで述べてきた目的が達成できたことになる。「お前はどうしていたのか」は何れ語るようにする。

2014年08月24日

◆私の「身辺雑記」(136)

平井 修一


■8月21日(木)。朝は室温30度、快晴、強烈な日射し、8時には32度、連日の猛暑だ。ハーフ散歩が限界で、犬の消耗が激しいのでクーラー部屋へ避難。狂ったような陽気だが、広島は豪雨による土砂崩れで大変だ。

「木曽路はすべて山の中である」、奄美大島もすべて山の中で、住民は山裾と海に挟まれた狭い土地にへばりついている。本土でもそういうところはいっぱいあり、土砂崩壊危険区域のようなところに住まざるを得ない人も多いだろう。土砂崩れの危険と隣り合わせだ。

わが街も多摩丘陵と多摩川に挟まれた南北500メートルほどの狭いところに、身を寄せ合うように暮らしている。丘陵の急斜面はコンクリートに覆われているが、一帯は時々崩れてブルーシートがかぶされている。多摩川は恐いくらいに増水することがある。危険でも逃げ出せない。

日本中、世界中に100%安全な地なんてない。できることは、被害に遭っても損害を減らす減災対策くらいだろう。「危険をできるだけ除去する」ことぐらいしかできないのではないか。

岡崎研究所の論考「中国を国際秩序に取り込む政策は成果出ず 米国は対中アプローチを再検討せよ」(ウェッジ8/18)から。

             ・・・
 
ミシェル・フロノイ元米国防次官(新アメリカ安全保障センター;CNAS共同設立者)とエリー・ラトナー(CNAS研究員)が、7月4日付ワシントン・ポスト紙に「中国の領土拡大は米国により止められねばならない」との論説を寄せ、中国を国際秩序に取り込む政策は成果が出ておらず、見直すべきである、と(以下のように)論じています。


<中国は今年、初めてRIMPACに参加する。オバマ政権は、中国が建設的な役割を果たすように奨励しているが、これは米中国交正常化以来の米政策を特徴付ける。しかし、中国は今や自ら台頭に役立った国際体制の維持に疑念を呈している。対中アプローチを再検討する必要がある。


今のアプローチは、現在の経済・安保秩序への中国の統合が、中国や米国その他にとり利益だとの前提に立っている。そこで米国は、中国のWTOを含む国際機関への加盟を支持し、中国との二国間関係を、戦略・経済対話などを通じて強化してきた。

その結果、中国が、安定や航行の自由や紛争の平和的解決など既存の規範の尊重に利益を見出すようになると想定された。ゼーリック元国務副長官の「責任ある利害関係者」という言い方もあった。

しかし、不幸なことに、こうしたことは現実には起こっていない。2桁の成長を続けた後、金融危機で米の衰退を予想し、中国は政策転換し、外交上の主張を強めた。特に習近平就任後、トウ小平の紛争棚上げ論とは逆に、東シナ海、南シナ海で領土要求を進めた。

中国指導部は共産党の正統性の源泉である経済成長には安定した地域環境が必要であると知っている。そこで中国は、米や隣国からの深刻な反応を挑発しない、沿岸警備隊での小島占拠、紛争海域での石油掘削など、手加減をした措置で領土の現状を変えようとしている。

この中国の修正主義を放置すれば、アジアにおける国際秩序を変えてしまう危険がある。徐々に温度の上がルツボの中の蛙のように、気がついたときにはどうしようもなくなる。

米国はどう対応すべきか。米国は、中国とのパートナーシップ形成に努め、関与をし続けるべきである。しかし、中国の不安定化政策は止めるべきである。米国は、アジアで「規範に基づく国際秩序」をもっと目に見えるように執行する措置をとるべきである。

米国は手始めに、中国の冒険主義的行動を抑制し、沿岸警備を向上させるため海洋状況把握のための地域的構造の建設を支援し得る。米国はまた、中国のパワー・プロジェクション能力に対し、諸国が抵抗し防衛する能力を発展させるのを助けるべきである。

こういう軍事的な措置に加え、海洋紛争の管理の道筋を作る外交努力をするべきである。特に中国が「南シナ海での行動規範」作成に消極的なら、代わりの危機管理メカニズムを追求しなければならない。

国際仲裁の効果をどう改善するか、また中国海洋石油公社のような海洋秩序変更に加担している国営企業に、経済的な圧力を加える方策を探求すべきである。

こういうことが不必要であればいいが、アジアでの緊張は高まっており、米国と国際社会は、その平和と安定のために措置をとらざるを得ない>

この論説は、中国を国際秩序に取り込む政策が中国の穏健化や現在の規範・秩序尊重に至るという、期待された成果を挙げていないとして、その転換、見直しを主張しています。気づくのがいささか遅い気もしますが、適切な主張であることに変わりはありません。

特に、中国の領土的現状を変える主張には、断固として厳しく対応していくべきでしょう。南シナ海での「9点線」のような主張は全く認められないこと、それに基づく領土主張は拡張主義であること、これには必要に応じて対抗することを鮮明にすべきです。

中国の拡張主義への生ぬるい対応は将来に禍根を残します。「食欲は食事の途中で増進する」と言われる通り、中国の拡張主義は早い段階で阻止する必要があります。国際規範は、中国がそれを守るようにこちらが誘導すべきものではなく、中国がそれを守るべきものです。

台頭する中国にどう向き合うかは難しい問題ですが、国際法に基づかない一方的な領土主張、紛争を平和的にではなく力で解決しようとする姿勢にどう対応するかは、それほど難しい問題ではありません。明確に反対すべきです。

米中戦略経済対話が良い機会でしたが、「米国は領有権については特定の立場を取らないが、一方的な行動は認めない」との、従来の建前論を繰り返しただけで、十分だったとは言えません。

中国のRIMPAC参加について、米国は取り込み政策の如く言いますが、中国はその実力が認められた成果だと報じています。認識のギャップが米中間にあります。中国はRIMPACに情報収集船を派遣し、情報収集活動を行うという背信行為を行い、問題となりました。取り込み政策として役に立たなかったことは明らかです。


なお尖閣について、米国が領有権については中立の立場を取るというのは、理解しがたいことです。カイロ宣言で、日本が中国から窃取した地域とされた、例えば台湾などは中国に返すことになっていますが、米国は、尖閣がカイロ宣言の対象ではないから沖縄とともに施政していたのです。これは、幅広く知られるべき、歴史的事実です。(以上)

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平井思うに、日中の対立で「減災」したければ対中抑止力を強めるしかない。この単純なことがズブズブのGHQ史観に汚染された朝日・岩波系9条原理主義教徒には分からない。蛙の面にナニで、余程のショックを与えてもダメだろうなあ、もう力で駆逐するしかないのかなあと思うが、いい策があればご教授を。

■8月22日(金)。朝は室温30度、快晴、強烈な日射し、散歩へ出たが、犬はヘロヘロ、3分の1で帰ってきた。7時には31度、連日の猛暑だ。クーラーを入れた。

中共は夜郎自大で偉そうにしているが誰も敬意を表していない。13億の市場はおいしそうだと見ているが、内実では怪しい国だと信用していない。Record China8/17「ビザ免除で入国できる国が12カ国に、『これが中国の真の実力だ』と自虐コメント相次ぐ」から。

              ・・・

2014年8月14日、中国外交部の発表によると、中国人がビザ(査証)免除で渡航可能な国/地域が12に増えた。

韓国の済州島、ハイチ、サウスジョージア・サウスサンドウィッチ諸島、タークス・カイコス諸島、ジャマイカ、ドミニカ共和国、米国領北マリアナ諸島自治連邦区、サモア独立国、サンマリノ共和国、セーシェル共和国、モーリシャス共和国、バハマ。

中国のネットユーザーはこの報道に皮肉たっぷりのコメントを相次いで寄せている。

「へえ〜、それはよかったですね」
「どんどん増えてる!中国はなんて偉大な国なんだ!」

「こんな国に行く人間は探検家だけ」
「すみません、どれも初めて聞く国名なんですけど」
「わ〜い!行ったことのない国ばかりだ。うれしいな」

「地球上にこんな国があったとは!勉強になった」
「国名をばらさないで。ただの『12カ国』でいいから」
「どれもみな世界の大国ばかりじゃん」

「これもみな習近平さまのおかげですな」
「これこそ中国の真の実力でしょ!」(以上)

           ・・・

嗤うしかない。ちなみに日本は170カ国にノービザで渡航ができる。世界で第4位だとか。

■8月23日(土)。朝5時は室温28度、晴、強烈な日射し、散歩へ出たが、犬は今日もヘロヘロ、3分の1で帰ってきたが、犬は階段を昇る体力がなくなったので抱いて昇った。6時には29度、8時には30度。やりきれん、もういいよ、と言いたくなる。

雨はまだか、期待していたら1時間ほど降り、28度に下がった。秋が恋しい。今夜は二子玉川の花火大会だ。(2014/8/23)

      

平井 修一

■8月21日(木)。朝は室温30度、快晴、強烈な日射し、8時には32度、連日の猛暑だ。ハーフ散歩が限界で、犬の消耗が激しいのでクーラー部屋へ避難。狂ったような陽気だが、広島は豪雨による土砂崩れで大変だ。

「木曽路はすべて山の中である」、奄美大島もすべて山の中で、住民は山裾と海に挟まれた狭い土地にへばりついている。本土でもそういうところはいっぱいあり、土砂崩壊危険区域のようなところに住まざるを得ない人も多いだろう。土砂崩れの危険と隣り合わせだ。

わが街も多摩丘陵と多摩川に挟まれた南北500メートルほどの狭いところに、身を寄せ合うように暮らしている。丘陵の急斜面はコンクリートに覆われているが、一帯は時々崩れてブルーシートがかぶされている。多摩川は恐いくらいに増水することがある。危険でも逃げ出せない。

日本中、世界中に100%安全な地なんてない。できることは、被害に遭っても損害を減らす減災対策くらいだろう。「危険をできるだけ除去する」ことぐらいしかできないのではないか。

岡崎研究所の論考「中国を国際秩序に取り込む政策は成果出ず 米国は対中アプローチを再検討せよ」(ウェッジ8/18)から。

             ・・・
 
ミシェル・フロノイ元米国防次官(新アメリカ安全保障センター;CNAS共同設立者)とエリー・ラトナー(CNAS研究員)が、7月4日付ワシントン・ポスト紙に「中国の領土拡大は米国により止められねばならない」との論説を寄せ、中国を国際秩序に取り込む政策は成果が出ておらず、見直すべきである、と(以下のように)論じています。


<中国は今年、初めてRIMPACに参加する。オバマ政権は、中国が建設的な役割を果たすように奨励しているが、これは米中国交正常化以来の米政策を特徴付ける。しかし、中国は今や自ら台頭に役立った国際体制の維持に疑念を呈している。対中アプローチを再検討する必要がある。


今のアプローチは、現在の経済・安保秩序への中国の統合が、中国や米国その他にとり利益だとの前提に立っている。そこで米国は、中国のWTOを含む国際機関への加盟を支持し、中国との二国間関係を、戦略・経済対話などを通じて強化してきた。

その結果、中国が、安定や航行の自由や紛争の平和的解決など既存の規範の尊重に利益を見出すようになると想定された。ゼーリック元国務副長官の「責任ある利害関係者」という言い方もあった。

しかし、不幸なことに、こうしたことは現実には起こっていない。2桁の成長を続けた後、金融危機で米の衰退を予想し、中国は政策転換し、外交上の主張を強めた。特に習近平就任後、トウ小平の紛争棚上げ論とは逆に、東シナ海、南シナ海で領土要求を進めた。

中国指導部は共産党の正統性の源泉である経済成長には安定した地域環境が必要であると知っている。そこで中国は、米や隣国からの深刻な反応を挑発しない、沿岸警備隊での小島占拠、紛争海域での石油掘削など、手加減をした措置で領土の現状を変えようとしている。

この中国の修正主義を放置すれば、アジアにおける国際秩序を変えてしまう危険がある。徐々に温度の上がルツボの中の蛙のように、気がついたときにはどうしようもなくなる。

米国はどう対応すべきか。米国は、中国とのパートナーシップ形成に努め、関与をし続けるべきである。しかし、中国の不安定化政策は止めるべきである。米国は、アジアで「規範に基づく国際秩序」をもっと目に見えるように執行する措置をとるべきである。

米国は手始めに、中国の冒険主義的行動を抑制し、沿岸警備を向上させるため海洋状況把握のための地域的構造の建設を支援し得る。米国はまた、中国のパワー・プロジェクション能力に対し、諸国が抵抗し防衛する能力を発展させるのを助けるべきである。

こういう軍事的な措置に加え、海洋紛争の管理の道筋を作る外交努力をするべきである。特に中国が「南シナ海での行動規範」作成に消極的なら、代わりの危機管理メカニズムを追求しなければならない。

国際仲裁の効果をどう改善するか、また中国海洋石油公社のような海洋秩序変更に加担している国営企業に、経済的な圧力を加える方策を探求すべきである。

こういうことが不必要であればいいが、アジアでの緊張は高まっており、米国と国際社会は、その平和と安定のために措置をとらざるを得ない>

この論説は、中国を国際秩序に取り込む政策が中国の穏健化や現在の規範・秩序尊重に至るという、期待された成果を挙げていないとして、その転換、見直しを主張しています。気づくのがいささか遅い気もしますが、適切な主張であることに変わりはありません。

特に、中国の領土的現状を変える主張には、断固として厳しく対応していくべきでしょう。南シナ海での「9点線」のような主張は全く認められないこと、それに基づく領土主張は拡張主義であること、これには必要に応じて対抗することを鮮明にすべきです。

中国の拡張主義への生ぬるい対応は将来に禍根を残します。「食欲は食事の途中で増進する」と言われる通り、中国の拡張主義は早い段階で阻止する必要があります。国際規範は、中国がそれを守るようにこちらが誘導すべきものではなく、中国がそれを守るべきものです。

台頭する中国にどう向き合うかは難しい問題ですが、国際法に基づかない一方的な領土主張、紛争を平和的にではなく力で解決しようとする姿勢にどう対応するかは、それほど難しい問題ではありません。明確に反対すべきです。

米中戦略経済対話が良い機会でしたが、「米国は領有権については特定の立場を取らないが、一方的な行動は認めない」との、従来の建前論を繰り返しただけで、十分だったとは言えません。

中国のRIMPAC参加について、米国は取り込み政策の如く言いますが、中国はその実力が認められた成果だと報じています。認識のギャップが米中間にあります。中国はRIMPACに情報収集船を派遣し、情報収集活動を行うという背信行為を行い、問題となりました。取り込み政策として役に立たなかったことは明らかです。


なお尖閣について、米国が領有権については中立の立場を取るというのは、理解しがたいことです。カイロ宣言で、日本が中国から窃取した地域とされた、例えば台湾などは中国に返すことになっていますが、米国は、尖閣がカイロ宣言の対象ではないから沖縄とともに施政していたのです。これは、幅広く知られるべき、歴史的事実です。(以上)

               ・・・

平井思うに、日中の対立で「減災」したければ対中抑止力を強めるしかない。この単純なことがズブズブのGHQ史観に汚染された朝日・岩波系9条原理主義教徒には分からない。蛙の面にナニで、余程のショックを与えてもダメだろうなあ、もう力で駆逐するしかないのかなあと思うが、いい策があればご教授を。

■8月22日(金)。朝は室温30度、快晴、強烈な日射し、散歩へ出たが、犬はヘロヘロ、3分の1で帰ってきた。7時には31度、連日の猛暑だ。クーラーを入れた。

中共は夜郎自大で偉そうにしているが誰も敬意を表していない。13億の市場はおいしそうだと見ているが、内実では怪しい国だと信用していない。Record China8/17「ビザ免除で入国できる国が12カ国に、『これが中国の真の実力だ』と自虐コメント相次ぐ」から。

              ・・・

2014年8月14日、中国外交部の発表によると、中国人がビザ(査証)免除で渡航可能な国/地域が12に増えた。

韓国の済州島、ハイチ、サウスジョージア・サウスサンドウィッチ諸島、タークス・カイコス諸島、ジャマイカ、ドミニカ共和国、米国領北マリアナ諸島自治連邦区、サモア独立国、サンマリノ共和国、セーシェル共和国、モーリシャス共和国、バハマ。

中国のネットユーザーはこの報道に皮肉たっぷりのコメントを相次いで寄せている。

「へえ〜、それはよかったですね」
「どんどん増えてる!中国はなんて偉大な国なんだ!」

「こんな国に行く人間は探検家だけ」
「すみません、どれも初めて聞く国名なんですけど」
「わ〜い!行ったことのない国ばかりだ。うれしいな」

「地球上にこんな国があったとは!勉強になった」
「国名をばらさないで。ただの『12カ国』でいいから」
「どれもみな世界の大国ばかりじゃん」

「これもみな習近平さまのおかげですな」
「これこそ中国の真の実力でしょ!」(以上)

           ・・・

嗤うしかない。ちなみに日本は170カ国にノービザで渡航ができる。世界で第4位だとか。

■8月23日(土)。朝5時は室温28度、晴、強烈な日射し、散歩へ出たが、犬は今日もヘロヘロ、3分の1で帰ってきたが、犬は階段を昇る体力がなくなったので抱いて昇った。6時には29度、8時には30度。やりきれん、もういいよ、と言いたくなる。

雨はまだか、期待していたら1時間ほど降り、28度に下がった。秋が恋しい。今夜は二子玉川の花火大会だ。(2014/8/23)

      

◆迫る年末の消費税10%判断

岡田 浩明


安倍晋三首相(59)にとって今年後半の最重要課題は年末に判断する消費税率の再引き上げ問題だ。今年4月に5%から8%に引き上げられたのに続き、来年10月には10%に再び引き上げるかどうか。政府与党内からは予定通り再引き上げすべきとの声がある一方、8%から10%への移行期間が短く、景気への影響も懸念して再引き上げ時期の先送り論もくすぶっている。


4月の消費税増税に伴う駆け込み需要の反動減が影響し、13日発表の4〜6月期の実質国内総生産(GDP)は年率6・8%減。前回(1997年)の増税直後の4〜6月期を上回る落ち込みとなった。

首相は「政府として冷静な経済分析を行いながら、しっかりと対応し、成長軌道に戻れるよう万全を期したい」と強調したが、反動減は「織り込み済み」(政府関係者)との声が少なくない。

むしろ、肝腎なのは今後の景気の足取り。首相は消費税率の再引き上げの判断材料として7〜9月期のGDPなどの経済指標を見極める構えだ。どこまで景気が持ち直しているか、仮に回復しつつあっても、再引き上げに耐えられる足腰の強い回復基調なのか−。

甘利明経済再生担当相(64)は20日、消費税率10%への再引き上げについて「ベストシナリオは予定通りに引き上げることだ」と指摘した。判断条件については「引き上げの影響を乗り越えていくだけの経済の力強さがあることが大事だ」と語った。

2012年に成立した消費税増税法は4月に8%、来年10月には10%と段階的に引き上げる方針を定めているが、付則で経済状況の好転が増税の条件としている。

同法成立時に野党の自民党総裁だった谷垣禎一法相(69)も「8%から10%に持っていけない状況が生まれると、(首相の経済政策)『アベノミクス』は成功しなかったとみられる可能性がある」と述べ、予定通りの引き上げを求めた。

麻生太郎副総理兼財務相(73)は「今は苦い薬でも将来は良くなるという確信の下で約束したことを実行し、国民の信頼を得てきている」と力説する。

「予定通り10%」論が目立つのは消費税率引き上げは国際公約で、先送りすれば財政再建面から日本の国際的な信用が失墜しかねないというリスクを抱えているからだ。

その一方で、首相は再引き上げ時期を先送りするのではないかとの見方もくすぶる。8%から10%への再引き上げ期間が1年半と短く、足取りのおぼつかない景気を失速させる致命傷になりかねないとの懸念が消えないためだ。

ある与党幹部は年末の再引き上げ決定が来年春の統一地方選に影響することを懸念し、「15年10月となっている再引き上げ時期を半年程度遅らせる判断があってもいいのではないか」とこぼす。

与党税制協議会による各種関係団体を対象とした軽減税率のヒアリングでも税率の切り替え手続きの煩雑さを念頭に、「再引き上げまでの時期が短い」との声が出された。

首相は景気を成長軌道に乗せるため、アベノミクス効果が浸透しきれていない地方経済の活性化が今後の狙いどころと見定めている。好調な企業収益が賃金や雇用を改善し、個人消費や設備投資の向上につながる。この好循環を「全国津々浦々に行き渡らせる」(首相)には、地方活性化は不可欠というわけだ。


統一地方選に向けた「仕込み」でもあるが、地方の活性化は一筋縄ではいかない。手をこまねいているうちに、16年夏の参院選、その前と想定される衆院選が刻々と迫る。10%再引き上げの判断は衆院解散のタイミングとも絡むだけに、景況感の見極めに加え、政局をにらんだ高度な政治判断が首相に求められる。

産経ニュース【EX安倍政権考】2014.8.23



◆不都合な真実に頬かぶりする朝日

櫻井よしこ


「朝日新聞」の綱領には「不偏不党の地に立って言論の自由を貫き」、「正義人道に基いて国民の幸福に献身し」、「真実を公正敏速に報道」するなどの美しい言葉が並んでいる。

だが同紙の慰安婦報道を検証すれば、綱領は誇大広告の域を超えた虚偽声明に思える。朝日が「国民の幸福に献身し」、「真実を公正敏速に報道」した事例はどこにあるのかと問わざるを得ない。

朝日の慰安婦に関する誤報と、それを指摘されても訂正しない頑なな姿勢こそが、過去、現在、未来の日本国民を不名誉と不幸の淵に追いやるのである。韓国人を激怒させた挺身隊=慰安婦という報道の誤りを幾度指摘されても、朝日は訂正せず、頬かぶりを長いこと続けた。

このような朝日によって、シンクタンク「国家基本問題研究所」(国基研)の意見広告が事実上の掲載拒否に遭っている。

6月20日、政府は河野談話作成経過に関する検証報告を発表したが、同報告は、詳しく読めば読むほど不十分な内容だった。そこで国基研は、さらなる検証が必要で、河野洋平氏と談話作成に深く関わった内閣外政審議室長らを国会に招致し、説明を求めるべきだと考え、「『河野談話』の検証はまだ終わっていません」と題する意見広告を作成した。

同広告の主旨は以下のとおりだ。

◎慰安婦問題を巡って「セックススレーブ(性奴隷)20万人」という事実無根の中傷が世界中に広まっており、検証はなされて当然だった。

◎しかし、その内容は、河野氏と外務省の謝罪外交の失敗を覆い隠すものであり、これでは、汚された日本人の名誉は回復されない。

◎平成4年1月の訪韓で、宮澤喜一首相は8回も謝罪したが、その時点で慰安
婦強制連行の有無を政府は調べていなかった。

◎「私は女の狩り出しを命じた」(吉田清治氏)というありもしない証言と朝日新聞の誤報で激高した韓国世論におもねって、政府はその場しのぎで謝った。

◎国益と名誉を回復するために、談話作成に責任を負う河野氏と外務省関係者の国会での説明が不可欠だ。

「スペースがない」

読売、朝日、毎日、産経、日経の全国紙5紙に右の意見広告掲載を国基研が申し入れたのが7月4日だった。朝日を除く4紙は7月17、18、19日のいずれかに広告を掲載した。ところが朝日だけ、7月29日現在、掲載に至って
いない。

その間の7日に、朝日から国基研宛に質問状が届いた。意見広告の中に?「平成4年1月の訪韓で、宮澤喜一首相は8回も謝罪」、?「朝日新聞の誤報で激高した韓国世論」とあるが、裏付け資料はあるかとの問いだった。

国基研は、?については「平成4(1992)年1月18日の朝日が報じている」と回答した。同日朝刊のコラム「時時刻刻」で朝日自身が、宮澤喜一首相が「『謝罪』『反省』に8回も言及した」と明記している。

!)についてはこれ以上ないほど、確かな証拠がある。植村隆記者が、平成3年8月11日、ソウル発の記事で慰安婦とは無関係の女子挺身隊を慰安婦と結びつけて以下のように報道した。

「日中戦争や第二次大戦の際、『女子挺身隊』の名で戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた『朝鮮人従軍慰安婦』のうち、1人がソウル市内に生存していることがわかり、『韓国挺身隊問題対策協議会』が聞き取り作業を始めた」

植村記者が取り上げた右の女性がその3日後、ソウルで記者会見した。彼女は金学順という実名を公表し、生活苦のために14歳で親に売られたと語った。

金学順氏は、勤労奉仕の若い女性たちで構成する挺身隊とは無縁の人だ。従って、彼女が女子挺身隊として戦場に連行された事実はあり得ない。そもそも、女子挺身隊の若い女性たちが連行され慰安婦にさせられた事実は、一例もない。全くない。

にも拘わらず、貧しさ故に親に売られた金学順氏を材料にして、植村記者は日本と日本軍を貶める偽りを報じたのだ。この誤報を朝日は社説及び天声人語で取り上げ、拡散した。

国基研はこのようなことを指摘して朝日の問いに答えた。すると、パタリと音沙汰がなくなったのである。意見広告掲載について他紙との事務手続きが進む中で、朝日だけがなしのつぶてとなった。

そこで国基研が問い合わせると、「(国基研の希望する)7月17、18の両日は広告スペースがない」との回答だった。国基研は、いつでもよいからスペースがある時点での掲載を希望する旨伝えたが、7月29日現在、朝日からの連絡はない。恐らく、これからもないのであろう。朝日は事実上、掲載を拒否したのである。これを世間では頬かぶりという。

まるで朝日と双子

それにしても、世界には同類がいるものだ。アメリカのリベラル紙「ニューヨーク・タイムズ」(NYT)も都合の悪い事実を指摘されると、朝日同様、頬かぶりする。

米ジョージタウン大学教授のケビン・ドーク氏は、今年3月2日のNYTの社説に反論を送った。社説は「安倍氏の危険な修正主義」との題で、安倍首相が「南京大虐殺」を否定し、慰安婦への謝罪をご破算にするつもりだと非難する内容だった。

これらは事実でない。そこでドーク氏は、?安倍首相は南京大虐殺を否定していない?一国の首相に対してこのような事実誤認の非難は許されない?安倍首相の発言や、首相が象徴するものは、近隣諸国とりわけ中国を戸惑わせるかもしれないが、軍事行動を取っているのは日本でなく中国である!)日本は60年以上、民主主義を貫く信頼に値する国だ─などと書いて投稿した。

3月10日、NYTから質問が届いた。氏の文章の後に、「それでも彼(安倍首相)は(放送作家でNHK経営委員の)百田尚樹氏と共著を出版し、共著本で百田氏は南京大虐殺は捏造だと語っている」とつけ加えてもよいかというのだ。何が何でも安倍首相を「歴史修正主義者」として貶めたいとの意図が読みとれる、姑息な手法である。

「百田氏の見解は首相と無関係」としてドーク氏が拒否したのは当然だった。しかし、これっきりNYTからはなしのつぶてとなったのだ。

NYTは日本政府から抗議を受けて、小さな、そしてどう見ても不十分な訂正記事は出したが、ドーク氏の投稿に関しては無視が続いた。そこでひと月余り後、氏が問い合わせると、「投稿を掲載するスペースがない」と回答してきた。まるで朝日と双子のようだ。

自らの嘘や事実誤認に頬かぶりする恥知らずのメディアが、洋の東西を問わず跋扈していることを心に刻みたい。『週刊新潮』 2014年8月7日号


            

◆「近代」を使いこなすためには

近藤 誠一
 

物心ついたころ、母は私にこう言った。「あなたはいいときに生まれたのよ。もう戦争はないの。いまは貧しいけど、一生懸命働けば日本は必ず豊かになれるのよ」

子供心に嬉(うれ)しかった。国連ができて、建前として戦争は禁止された。禁を破れば国連軍に代表される国際社会から罰せられるという集団安全保障体制ができた。だから誰も他国を侵略しようとは思わないはずだ。

法治国家だから必ず正義は保証される。自由市場経済の下で社会の繁栄が約束される。金融市場の発達は実体経済を支える血流となっている。科学技術は進歩を続け、真理の究明とあらゆる問題の解決を約束してくれる。

 ≪「制度」に欠陥あったのか≫

現に民主主義は世界に広まり、世界経済や貿易は大きく発展して膨大な富を生んだ。途上国の開発も進んだ。一生懸命働いた日本は第2の経済大国になった。

それにも拘わらず、われわれはいま深刻な問題に直面している。国内は景気が回復基調にある中、かえって社会の病理が浮かび上がっている。

相次ぐ危険ドラッグ事件、女子高校生殺害、県議の政治活動資金の不正使用など。サリン事件のような大規模な組織的犯罪ではないが、それぞれがあまりの心の狭さとモラルの欠如を表しているという点で、かえって深刻である。加えて少子高齢化、年金問題、財政再建などの諸問題を抱えながら一向に出口が見えない。

世界に目を転じると、繰り返される金融危機、後を絶たないテロや地域紛争、進むばかりの温暖化、世界の格差拡大と貧困の継続、戦後の秩序に挑戦するかのごとき新興国の行動など戦後の理想に水を差す事象が続く。隣国でのフェリー沈没に際しての船長の利己的行動や食品衛生問題などのモラルの低さも目を覆うばかりだ。


素晴らしい普遍的制度を導入したのに、そして目の前の問題の解決策は誰もが分かっているのに、なぜ解決できないのだろうか。国際政治学でいう、Democratic peace 論(民主主義国は戦争をしない)は間違いなのか。「近代」の制度には欠陥があるのか。戦後の理想主義はあだ花だったのか。

 ≪「いけない」と思っても≫

そうではない。民主主義や市場経済は所詮中立的なメカニズムに過ぎず、それらが本来の機能を果たすか否かは、それらを使うひとにかかっている。いまそれが正しく使われていないのだ。いまや誰も単視眼的利己主義に引きずられるポピュリズムが蔓延(まんえん)し、経済的利益が成功の尺度とされる。


機関投資家が動かす国際投機マネーが実体経済を左右している。政党は政策より選挙に勝つことを優先するから、選挙でアピールしない中長期的に必要な政策に専心できない。役所では権限の維持・拡大が最優先され、メディアは視聴率や発行部数に振り回される。これではいけないと思っても、そんな「きれいごと」を言うと組織の主流から外される。


人の心の中には善性と悪性が混在する。一方でゼノフォビア(外国人嫌い)や利己主義、ひとの成功を妬(ねた)む狭量さがある。他方ひとと調和し、自分を抑えて他と協力することを嬉しく思う気持ちもある。いまは「自由」の下、前者ばかりが追求され、後者を主張するひとはお人よしとバカにされる。

近代文明は人生を快適にしたが、楽になった分だけひとは努力を怠り、自由を得た分だけ利己主義を強めるなどの悪性を出すようになった。「近代」が進歩した分だけひとは退化してしまったのだ。車の性能が向上した分だけ安全運転を怠って事故を起こしているようなものだ。

 近代の制度を拙速に導入した(させられた)一部途上国もまた、折角(せっかく)のメカニズムを使いこなせていない。選挙が暴動の引き金になるなど誰が想定しただろうか。免許をとらずに高級車を運転しているようなものだ。誰もが市民としての自覚とモラルをもつこと、即(すなわ)ち成熟した市民社会を構築することが「近代」を使いこなすための大前提なのだ。

まだ遅くはない。人間に善性が残っていることは、一瞬のうちに「近代」を失った東北の被災者の方々が世界に教えてくれた。


≪ケネディが好んだ逸話≫

ではどうやってモラルを取り戻せばよいのか。「近代」の否定は答えにならない。ネットにも答えはない。近代に染まる前の、人間本来の精神を現実に取り込むことだ。家庭、学校、職場、地域のすべてにおいて、歴史や古典を通じてこうした先人の知恵を学ぶことしか、「近代」を使いこなせる高いモラルを得る道はない。

それはすぐに、今日からでも始めよう。効果が出るのに時間がかかるといって先延ばしにしていては永久に手をつけられない。

フランスにリヨテという将軍がいた。彼は樫の大木が大好きで、ある日庭師に樫の苗木を植えろと言う。苗が大木になるには百年かかりますよと答えると、将軍は「そんなに長くかかるのか。それなら今日の午後にも植えろ」と命じたという。ケネディ大統領が好んだ逸話だ。(こんどう せいいち)前文化庁長官・産経【正論】2014.8.22

2014年08月23日

◆中共は日米豪に勝てるのか

平井 修一


アジア覇権を狙う中共の軍事戦略上の概念に「第一列島線」および「第二列島線」がある。中共の戦力展開の目標ラインであり、対日米豪の防衛線、生命線である。

ところが東シナ海と南シナ海にまたがる第一列島線は中共の同盟国ではない日本・台湾・フィリピン・インドネシア・ベトナム・マレーシアなどの領土/領海だ。中共は商売相手だけれども誰も中共を信用していない、怪しい奴だと皆警戒している。潜在的敵国ばかりだ。

準戦時、戦時において日米豪とASEA諸国により第一列島線を抑えられると、中共はシーレーンを確保できず身動きできなくなる。船舶輸送が遮断されてしまう。3〜6か月あるいは1年も遮断されたら燃料不足になり、戦わずして撤退するしかない。中共独裁政権は崩壊する。

中共が勝って覇権を立てるためには第一列島線を何が何でも潜水艦でこっそりと突破して、1500キロぐらい東側の第二列島線あたりで日米豪の海軍の増援を阻止・妨害するしかない。第二列島線は、伊豆諸島を起点に、小笠原諸島、グアム・サイパン、パプアニューギニアに至るラインだ。西太平洋とも呼ばれている。

果たして第一列島線を中共の潜水艦は突破できるのか。支那大陸から第一列島線までは海が最深で200メートルほどと浅いから潜水艦でも深く潜れずにすぐに発見されてしまう。発見されたら撃沈される。

運よく突破できれば、その先は海が急に深くなる(1000〜4000メートル)から潜水艦は深く潜り、発見される確率が下がって制海権を得、日米豪の海軍を阻止できるかもしれない。

中共は南シナ海ではいくつかの島嶼を強奪し、基地を造ろうとしている。東シナ海で尖閣諸島を強奪して基地を造れば、浅海から深海への潜水艦の進出が非常にスムーズになる。尖閣を拠点に西太平洋の制海権を得て、中共の艦船(軍艦や漁船を装った海上民兵)を集中させれば中共のシーレーンは確保でき、日本のシーレーンは奪われる。

中共にとって沖縄とグアムの基地は目の上のたんこぶ、邪魔である。弾道ミサイルによる先制攻撃で潰すのだろうか。それとも基地機能をそっくりいただくために沖縄とグアムを独立させ、中共に吸収するのだろうか。沖縄は親中派の独立勢力が蠢いているし、米国準州のグアムでも一部には独立の機運はある。中共は硬軟で攻めてくるか。

小生のオツムではそれ以上は分からない。

ところで根本的な疑問、中共が敗ければ確実に独裁政権は終わる。これは確実だ。高級幹部、上流階級は金も美食も美酒も美人も豪邸も失う。そのリスクを賭けてまで戦端を開くのか。そもそも「中共は勝てるのか?」。

宮家邦彦氏が「中国は今の人民解放軍で本当に戦えるのか」と書いている(8/22)。以下、一部を転載する。

             ・・・

日清戦争から120年の今年に入り、中国では解放軍内の不正・腐敗が有事の戦闘能力に及ぼす悪影響を懸念する声が高まっているという。8月19日付北京発ロイター通信記事は、解放軍幹部・国営メディアなどで、「戦争になっても勝てないのではとの疑念も出ている」とまで報じている。

一方、日本の自衛隊についても新しい発見があった。この原稿は御殿場からの帰りの車内で書いている。陸自の富士総合火力演習のリハーサルと国際活動教育隊を見学させてもらったのだが、なるほど自衛隊もやるものだと感じた。という訳で、今回のテーマは「日中もし戦わば」である。

「人民日報」や「解放軍報」などでは日清戦争の敗因分析が活発に行われているらしい。背景には、今も軍にはびこる不正・腐敗や海洋主権確保能力に対する習近平の危機感があるとの見方が根強い。

だがこれとは別に、党内・軍内・学会には1894年当時圧倒的に優勢とされた清帝国が日本に敗れた理由、その教訓に学ぶべきだとの論調が少なくないという。少し具体例を挙げよう。

 ・甲午(日清)戦争に敗れた真の原因は、清朝の政治体制・官僚制度・軍隊が腐敗・堕落していたからである。(光明日報)

 ・明治維新後に「殖産興業」を進め、西側資本主義の社会制度を導入した日本に対し、清が1860年代に展開した「洋務運動」は社会制度に触れず、改革の効果も日本に及ばなかった。(社会科学院研究者)

こうした中国内の状況を8月18日付北京発ロイター通信記事は次のように伝えている。

<東・南シナ海をめぐり周辺国との緊張が高まる中国で、最近人民解放軍の不正・腐敗に対する懸念が高まっている。

現職・退職幹部や国営メディアからは、あまりの堕落ぶりに戦争になっても勝てないのではないかとの疑念も出ている。

中国政府系メディアはここ数カ月、人民解放軍ではびこる汚職と軍の腐敗が120年前の日清戦争における中国の敗北につながったことを関連付けた記事を相次いで掲載している。

軍の腐敗体質は、谷俊山・元総後勤部副部長と徐才厚・元共産党中央軍事委員会副主席の収賄容疑という2件のスキャンダルにより改めて浮き彫りにされた。

軍高官らが懸念するのは、中国で長年にわたり公然の秘密となっている幹部ポストの売買だ。こうした悪弊が優秀な人材の排除につながっているからである>

このロイター記事を読んで、思わず唸ってしまった。「これじゃ、イラク正規軍と同じじゃないか」。

筆者の念頭にあるのは、6月10日に過激派組織「イスラム国(ISIS)」がイラク北部の同国第2の都市モスルを占領した事件だ。

2011年末に米軍がイラクから撤退した際、イラクには米軍が巨額の軍事費を投入し、8年間手塩をかけて育て上げた正規軍が存在した。イラク中から優秀な人材を集め、人種や宗派に関係なく養成したベストの人材を管理職に登用した。恐らく当時新イラク軍はアラブ諸国で最も強力な軍隊だったろう。

その精鋭部隊を当時のマリキ首相が滅茶苦茶にしてしまった。人事権を濫用してスンニー系・クルド系の優秀な司令官をことごとく更迭し、同首相に近い無能のシーア派軍人を任命したからだ。

米軍撤退後3年にして、イラク国軍は不正・腐敗に塗れた「汚れた軍隊」に成り下がってしまった。当然、各部隊の兵士たちはやっていられない。こ
んな汚れた連中のために命を賭ける気などさらさらないからだ。

そこにISISがシリアからイラク北部に帰ってきた。イラクは数日間の戦闘でモスルを守る正規軍6個師団の兵員と装備を失った。6個師団と言えば正規軍全兵力の約4分の1だが、理由は戦死ではない。下級兵士の大半は軍服を脱いで実家に帰ってしまった。イラク正規軍は戦わずして「蒸発」したのである。

この話、限りなく人民解放軍の現状に近いのではないか。中国の識者の中には、「19世紀末当時の清朝の軍隊に存在する問題はその多くが今と似ており、それはコネを利用する点や、派閥、腐敗等が含まれる」といった辛辣な意見もあるようだ。

彼らは、「拡張と現代化(明治維新)の時期の日本軍隊は規律と責任感を強めたため、清朝の北洋艦隊を粉砕できた」と考えている。

清朝軍隊とイラク正規軍と人民解放軍。これら3つの軍隊組織には、気味が悪いほどの共通点がある。だが、三者の共通点はこれだけではない。

もう1つの重要な共通点は「軍隊の急激な拡大と近代化」だ。イラク正規軍もたった8年間で米軍と同じ最新装備を持つ近代的軍隊に変貌を遂げた。見てくれは確かに変わったが、中身は同じイラク兵士だ。そんな複雑
な装備を一朝一夕で使いこなせるようになるはずはないのである。

最新兵器を持つ新しい部隊の数が急激に増えても、全体の戦闘能力は直ちに向上しない。それどころか、新装備、新編成、新戦術に慣熟するにはざっと5年10年の時間がかかる。そもそも、既に不正・腐敗で大幅に士気
が低下していたイラク軍は、保持する装備品ほど強力な軍隊ではなかったのだ。

このことは現在の人民解放軍にも言えることだろう。

最近、南シナ海や東シナ海で米海軍や海自・空自に対する(中共の)様々な嫌がらせが起きている。このように短期間で急激に(装備や威嚇を)拡大しながら兵員の練度が追いつかない未熟な軍隊ほど危険なものはない。

日清戦争直前、日本の部隊は国軍として編成・装備が統一され、訓練・士気ともに高く、質的に清国軍を大きく凌駕していた。

さらに、当時の日本海軍は清国艦隊に総隻数、総トン数、巨大戦艦などの面で劣っていたものの、部隊の士気、技能、指揮統率面で清国海軍よりもはるかに優れていた。これに対し、数で勝る清国海軍には旧型艦艇が多く、訓練・士気ともに劣り、指揮権も訓練も統一されていなかったそうだ。


夕方まで御殿場にある陸自国際活動教育隊で訓練を見学していた。PKO活動に投入される隊員の訓練のレベルは筆者の想像を超えていた。

例えば、自動小銃への実弾の装填・抜弾訓練だが、2人の隊員が代わる代わる、一つひとつの確認動作をお経のように唱えながら装填・抜弾を繰り返していた。各国軍隊の実弾装填・抜弾作業を何度も見てきたが、これほど美しい動きは見たことがない。

これはもう単なる装填・抜弾動作ではなく、「茶道」「華道」のような「様式美」のレベルに到達している。これこそ実弾の「装填道」と「抜弾道」、中国人には絶対無理だと思った。

たまたま居合わせた豪州軍人にも聞いてみたが、豪州でこれほど深く(indepth)装填・抜弾動作を訓練することはないという。

陸自の人に聞いたら、「それはそうでしょう、でも日本人がやると、どうしても様式ができてしまうのです」と笑っていた。これが日本の自衛隊の士気と規律の根源だと実感した。

現在の人民解放軍がイラク正規軍レベルだとも言わない。しかし、120年前の清朝軍レベルのままである可能性は十分ある。現在の中国国内の議論が(戦争ではなく)建設的な結論に至ることを期待したい。(以上)

               ・・・

軍は一人っ子と両親にとって安全で安定し、出世すれば儲かる職場だった。今はへたをすると危険な職場になりかねない。蓄財した高官は中共丸から逃げ出している。危険が迫れば兵士も軍から逃げ出すだろう。なるほど督戦隊が必要なわけだ。中共殲滅、支那解放へ!(2014/8/22)



◆バンクーバーの中華街の様変わり

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
 

<平成26年(2014)8月22日(金曜日)通巻第4320号 >

〜バンクーバーのチャイナタウンの様変わり
  旧街区と新チャイナタウンとの鮮明な差は何を意味するか?〜

カナダの西の玄関口、バンクーバーに異変が起きたのは1980年代からだ。

香港からどっと移民がやってきてバンクーバーは「ホンクーバー」と渾名されるようになった。

1997年の香港返還前に、ともかく逃げ出そうとした人々はまず英国を目指したが、旧宗主国は23万人だけで移民受付を閉め切った。

となれば次の仕向地はおなじ大英連邦のカナダか、豪州だった。

したがってバンクーバーのチャイナタウンでは香港人が「先住民族」になる。

ここへ過去10年間で夥しい中国大陸からの移民が増え、両者の間に摩擦が起こり、混沌とした状況となった。富裕層だけならまだしもインチキ書類による、就労目的の貧困層が流れ込む。

中国人の移民ラッシュに恐怖感を抱いたのはバンクーバーに元から住んでいた人たちで、政府に移民の規制を訴えた。すでに18万8000もの中国人が永住権を得たが、産業的発展はなく、カナダ移民当局が悲鳴をあげる。

彼らはカナダ全体の経済発展よりも自分の生活さえ良くなればそれが人生目標だから投資より投機、とりわけ不動産投機にしのぎを削った。

このためバンクーバーの不動産価格は世界一のレベルとなった。市内のマンション価格は東京の2倍以上、郊外でも庶民は手が出なくなった。

ついに当局は中国移民にストップをかけた。このままだと2030年頃にバンクーバーは80万人の中国人で埋まり、トロントは110万人になるという衝撃的予測がでるにおよんでカナダ政府は政策を修正する。

2014年3月、中国からの移民申請があった4万6000人分の手続きが中断された。

しかし当局の措置は「もう遅い」って。バンクーバーの中華街は不法滞在を含めて既に40万人である。


 ▼ニュー・チャイナタウンは富裕層の街に

空港近くの新街区リッチモンドがニュー・チャイナタウンだ。ヤオハンの周囲を囲む。高層マンションが少なく、一軒家が多い。ヤオハンは中国系に乗っ取られ、テナントの殆どが中国人で食堂もネイルもサウナも完備。

ここで中国語新聞を手に入れた。フルカラー100ページ近い、しかも日刊。

香港の『明報』と『星島日報』だ。したがって旧漢字(繁体字)で書かれ、トップニュースはすべてが香港情報、ついで広東省情報、つぎが中国全体の動き、それも香港企業や株式市場の動向が多く、いかにバンクーバーの中国人が香港のビジネスと直結しているかを物語る。

その次のページがようやく世界情勢という紙面構成だ。

こうした華字紙の特色から見ても香港と広東からの移民が圧倒的、華北出身者は極小で台湾人も殆ど目立たない。ちなみに広告欄はレストラン情報より「移民合法化」「帰化申請の早期達成」「国際結婚の法務相談」など弁護士事務所の広告が圧倒的である。

スーパーに買い物に来ている中国人は何となく明るく、服装も垢抜けている。乗り付ける車もベンツ、BMW、トヨタ。。。。

旧市内にあるオールド・チャイナタウンのほうは3ブロック四方ほどの広さ、入り口に大きな中華門があり一目で華人街と判別できた。

漢方、中国食材の店がならび、安宿、クリーニング、そして中国語学校があり、裏道へ入ると麻薬取引の現場のように暗い。聞けば治安が悪く、いまではクーリーの末裔、広東省出身の老人しか住んでいない。

そして中華街の周囲はホームレス、貧困層、麻薬密売人らがごろ寝する物騒な町に変わっていた。
 
(この文章は『共同ウィークリー』(8月11日号)の再録です)

◆「反原発」元国会事故調委員の非常識

櫻井よしこ


3・11から4度目の暑い夏のいま、福島第1原子力発電所(1F)の事故原因に関して、専門家の結論は明らかだ。5月14日、政府、日本原子力学会の事故調査委員会(事故調)、日本機械学会などの代表者が参加した日本学術会議主催のシンポジウムで、元国会事故調委員の田中三彦氏を除く全員が、事故は地震による配管破断ではなく、津波によって引き起こされたと明言した。各報告書も、原子炉と主要配管はマグニチュード9の大地震
に耐え、配管破断事故は起きていないと結論づけた。


田中三彦氏だけは、1Fが大地震の衝撃に耐え抜いたという事実をいまだに認めたくないせいか、「権威ある国会事故調の報告書の結論を否定するのか」との主旨の発言をした。

7月18日、原子力規制委員会の「第6回1F事故の分析に係る検討会」で中間報告書(案)が公表された。規制庁の職員による詳細な現地調査と電子記録の検証によって、地震で配管が破断したとの国会事故調の結論を否定する内容だった。

いざこざはこの検討会から起きた。ここに出席した北海道大学教授、奈良林直氏に、激しい表現で任を辞するよう求める穏やかならざる文書が、7月23日付で田中氏らから突きつけられたのだ。

右の文書は元国会事故調ワーキンググループ?の共同議長の田中三彦、石橋克彦両氏、協力調査員の小倉志郎、伊東良徳両氏の連名で、原子力規制委員会の田中俊一委員長とこの事故分析検討会の外部専門家である奈良林氏に送りつけられた。写しが、衆議院原子力問題調査特別委員長の森英介氏と参議院原子力問題特別委員長の藤井基之氏、及び報道各社に送信された。


奈良林氏といえば、1Fの事故の経緯を最も冷静かつ科学的に分析した一人である。当初、菅民主党政権はメルトダウンを否定し続けた。それをいち早く指摘したのが奈良林氏だった。その後も氏は、反原発か原発推進かという類の不毛なイデオロギーには左右されず、一貫して科学に基づく知見、分析を発表してきた。

畳とバケツ

田中氏はその奈良林氏を解任せよという。理由は、前述した検討会での氏の発言が問題だというのだ。田中氏は、奈良林発言は「国会の信託を受けて」「(福島原発)事故の直接的原因の調査に当たった『国会事故調・ワーキンググループ?』の調査活動を著しく侮蔑」し、「調査結果を貶めるもの」で、「到底看過できるものではない」と書いている。


問題とされた奈良林氏の発言は、「一部国会事故調の聞き取り調査で発言を強要するようなことが行われていたと聞いている。不正にも関係するので、こういった発言の正しさ、根拠、そういったものも明らかにしてもらいたい」というものだ。

これでは部外者にはよくわからない。そこで田中氏が解説を加えている。奈良林氏が「福島第一原発1号機原子炉建屋4階の出水事象に関」して、「『畳のような形でジャっときた』という目撃者証言が、『不正に強要されたものである』と主張した」というのだ。だが、前述の奈良林発言をよく見れば、氏は事態の調査を求めているにすぎない。


なぜこの発言が問題なのか。ここで論じられている事象は、大地震発生後ではあるが、津波はまだ押し寄せていない段階のものだ。畳のような幅広さで大量の水が溢れ出てきたという発言が真実なら、この時点で配管が破断されていたことを意味し、国会事故調の報告書の主張と合致する。「畳」発言が国会事故調の結論の根拠となっているのである。しかし、右の証言をした人物は、実はこう語っていた。


「『バケツの水をひっくり返したようなもの』というのが私の感覚として一番近い。国会事故調の際に、先方から『例えば、畳のような大きさのものか』と言われたので、そのようなものかもしれないというような表現をした。国会事故調にはそう記載された」(1F事故の分析に係る検討会」第2回会合議事録20頁)


畳の幅で水が流出したのか、それともバケツの水程度の少量だったのか。両者の違いは非常に大きい。配管が破断したのか、上の階のプールの水が揺れてダクトの中を流れ落ちてきたかの違いと言ってよい。証言者は「バケツの水」が正しいと言っている。つまり、国会事故調の報告書とは反対に、地震段階では原子炉は全く損傷を受けていなかったのだ。


もし、配管が損傷を受け原子炉内の高温高圧の熱水が漏れていれば、辺り一面はもうもうたる湯気でおおわれ轟音が発生するが、そのような証言はない。

実際は逆で、1号機では津波に襲われるまで非常用復水器が作動し 続けて、原子炉の圧力を約15分で75気圧から46気圧まで下げ、その後70気 圧まで戻している。配管破断があれば、このように運転員の操作によって圧力を下げたり上げたりできない。配管破断は起きていなかったのだ。

専門家に発言撤回を求める

奈良林発言に激しく反応し、氏の解任を要求した田中三彦氏は原発反対の立場に立つ。奈良林氏の疑問が徹底的に解明されれば、田中氏らが描いた国会事故調の、1号機はまず地震によって配管が破断された、日本の原発は危ない、というシナリオが突き崩されかねない。これは反原発派にとって到底受け入れ難いことだろう。それが、奈良林氏への激しい攻撃の理由ではないか。


それにしてもおかしいのは、国会事故調の権威を前面に押し出す解任要求文書に、委員長の黒川清氏の名前も押印もないことだ。黒川氏は、田中氏らが奈良林氏を「外部専門家としての資質を完全に欠いている」と断罪し、解任を求めたことを、果たして承知しているのだろうか。


さらに深刻なのは、事務局である原子力規制庁の行動だ。彼らは田中氏らの抗議に慌てふためき、奈良林氏に、「謝罪文を書いて発言を撤回し、それを公表するように」と要求した。

「選りに選って原子力規制庁が私にこのような要請をすること自体、原子力規制委員会の独立性を脅かすもので受け入れられません。規制委員会の独立性は尊重、保証されなければなりません」と奈良林氏は憤る。

国際社会において原子力規制機関を構成するのは文字どおり専門家である。最重要視されるのは科学的視点だ。反原発勢力に批判されて、専門家に発言撤回を求めるなどといった、日本の原子力規制庁の現状は改めるべきである。「規制庁は事業者のみならず、反対派の虜にもなってはいけない」との奈良林氏の指摘こそ正しい。

最後に、国会事故調の調査資料は国会図書館にあるが、非公開だ。1Fの事故関連資料の全公開が再発防止の力となる。国会事故調の資料公開を急ぐべきだ。
『週刊新潮』 2014年8月14・21日号
日本ルネッサンス 第618回

◆首長多選の是非を問う

溝上 健良


地方自治体で首長の多選自粛を掲げた条例を改正する動きが相次いでいる。徳島県阿南市では現職市長の任期を3期までとする多選自粛条例の廃止案を6月議会で可決した。

東京都中野区では3月に、自治基本条例にある区長4選自粛を定めた条文が削除され、現職区長が6月に4選を果たした。首長の多選は制限すべきか。神奈川県知事時代に多選禁止条例を制定した松沢成文氏と、中野区議会で条文削除の際に賛成討論をした石坂わたる氏に見解を聞いた。

 ■松沢成文氏

 −−20年以上前から多選禁止条例の必要性を訴えている

「神奈川県議をしていたころ、多選の問題点に気づかされた。当時は長洲一二(かずじ)知事の時代だったが、県議会が共産党以外はオール与党状態で、行政をチェックすべき議会が応援団になってしまっていた。それで長洲氏が5期目の立候補をするときに反対の論陣を張って以来の持論だ。長期政権で実績を残す首長もいるとは思うが、総じて権力は腐敗し、住民が不幸をこうむる。ルールとして多選は制限すべきだ」


 −−多選の何が問題か

「議員は自分の選挙区に予算を付けてもらうため首長と仲良くなろうとするし、首長は人事権を握っているので長期政権になると周囲がイエスマンばかりになり、行政はマンネリ化して若い職員がやる気をなくしていく。

許認可や補助金の関係で首長と外部利益団体との癒着が始まると、利益をたらい回しにする総談合体制ができ上がり、知事は楽々当選できる。そして県政が県民から離れていってしまう」

 −−多選は何期までに限るべきか

「『権不(けんぷ)十年』という言葉があるように、10年くらいを境に権力はおかしくなっていく傾向がある。2期8年では大きな政策が実現しきれないという面はあり、3期12年が許容範囲かと思う。多選の弊害は4〜5期目で出てくる、との声をよく聞く。私も知事を2期やってみて、このまま5期6期もやれば完全に“天狗(てんぐ)”になってしまう、という感覚があった」


 −−憲法上、多選禁止条例の制定には問題があるともいわれる

「米国や韓国にも多選禁止の規定があるが『民主政治を守るために必要な規制だ』として自由権には抵触しないとされている。日本でも総務省の検討会で、憲法上は問題ないとされた。公職選挙法や地方自治法といった法律上の根拠はないが、神奈川県では法的に問題はないとして条例を制定した」

 −−多選禁止は法律でなく、条例で定めるべきなのか

「地方政治のルールを国が画一的に決めるのは中央集権の発想で問題だ。条例は地方自治体ごとに作るべきで、特に都道府県ではなるべく策定すべきだろう。国には多選禁止条例を作っていい、という法的整備をしてほしい」

 −−東京都中野区などの多選自粛の条例を撤回する動きをどうみる

「公約をほごにする行為で、住民との約束は何だったのかと思う。地方の首長は米国の大統領制に近く、1人に権力が集中するだけに、任期に制限をつけることで腐敗を防げるし、そうでないと独裁者が出てくる恐れもある。全国の10を超える自治体で制定された多選自粛条例は重要な一歩だが、やはり多選禁止条例が必要で、今後の地方政治の大きなポイントだといえる」


 ■石坂わたる氏

 −−多選禁止・自粛条例について

「首長の多選の是非については有権者の判断に任せるべきで、あらかじめ多選を禁じるような制度をお膳立てしておく必要はないと感じている。条例で定めるようなものではない。

憲法上、立候補の自由は最高裁の判例で認められており、極端な例だが前科がある人でも公民権が回復すれば立候補は可能だ。憲法が保障している被選挙権を条例で制約していいのだろうか」

 −−米国、韓国などでは憲法で大統領の多選が禁止されている

「国民全体の同意を得て多選に一定の制約をかけることは可能かと思う。もし多選禁止条例の制定を自治体に任せるのなら、憲法でそれが可能だと規定しておくことが望ましいし、あるいは地方自治法などの法律できちんと定めておくべきだ」

 −−中野区は平成17年に区長の4選自粛条項を含む条例を作った

「多選を制限した条例を制定したことには問題があった。立候補する際に『私は多選は望ましくないと思う』と意思表示することはあってもいいが、制度として制限すべきではない。立候補の自由という現にある権利を放棄するとの公約は、望ましいことではないと考える」

 
−−4選出馬に先立ち、多選自粛条項の廃止を求めた現区長の判断は

「私自身は条例改正に賛成だったが、区長部局からの条例改正の提案は唐突な印象があった。条例はあくまでも努力規定であり、改正などせずにそのまま立候補すればよかった。選挙後に改めて条例のあり方を議論する方法があったのではないか」

−−一般的に首長の多選は問題か

「それは善し悪しがあるだろう。新しい首長が選ばれれば新しいアイデアが出てくるし、多選の首長であればずっと同じ方向性の政策が続くということはある。

一方で『首長は3期目でやっと自分のやりたいことができる』との声があるように、職員との関係を築いてリーダーシップを発揮するのは期数を重ねた首長のほうがやりやすい部分はあるはずだ。多選を制限するよりも、首長による自治体運営の実情を有権者に詳しく示すことが重要だろう」


 −−自治体の広報誌では首長の動向も載るが、基本的にいい情報ばかり
で選挙の際、現職有利になりがちだ

「国レベルでは、マスメディアが政権与党の問題点を検証したり糾弾したりしている。市区町村の情報についても、市民レベルのミニコミなどがもっと情報を発信していく必要があると思う。有権者が判断するのに必要な情報が、現時点では少なすぎると感じる。住民側の知る努力も必要で、単に多選だからというのでなく、首長の実績を判断して有権者が自らの意思で投票することが重要だ」

                   ◇

【プロフィル】松沢成文
まつざわ・しげふみ 昭和33年、神奈川県生まれ。56歳。慶応大法学部卒。神奈川県議を経て衆院議員を3期、神奈川県知事を2期8年務め、昨年から参院議員。著書に「甦れ! 江戸城天守閣」など。
【プロフィル】石坂わたる
いしざか・わたる 昭和51」年、東京都生まれ。37歳。立教大大学院博士前期課程修了。養護学校教諭、中野区任期付職員などを経て、平成23年から中野区議。共著に「議会はあなたを待っている」など。産経ニュース【金曜討論】2014.8.22


      

2014年08月22日

◆要る技術は「すべて盗み終えた」

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 

<平成26年(2014)8月21日(木曜日)通巻第4319号> 

〜欲しい技術は「すべて盗んだ」。日本車メーカーはもう要らない
   中国、日本企業10社を独禁法適用し巨額の罰金〜

思わず吹き出した。

中国当局者(中国国家発展改革委員会)が「中国は法治国家である」と記者会見で言い放ったときである。

すでに3年前の反日暴動でパナソニック、イトーヨーカ堂襲撃にまざってトヨタの販売店も襲われ放火された。家電は海爾(ハイエール)などが躍進し、いかに恩人とはいえ松下電気産業は用済み、これは「出て行けという信号だろう」と筆者は書いた(拙著『中国の反日で日本は良くなる』(徳間文庫)。

パナソニックは自慢だった北京の大ショールームをついに畳んだ。

伊勢丹は瀋陽店を閉店し、ヤマダ電機は中国から完全に撤退した(中国メディアは山田撤退を「敗退」と書いて喝采を挙げたものだった)。国内の家電量販店「蘇寧電器」や「国美電器」が育ったからである。

トヨタも日産もホンダも中国に大工場をつくって、中国の産業近代化に貢献したが、その恩は仇で返してきた。もう一つの理由はドイツVWが大々的に進出するからだ。

「日本車メーカーよ、もう用済みだから出て行け」と言外に言っているのが、今回の自動車部品メーカー10社への独禁法適用である。

しかし、法の精神にもとづいて独禁法をいうのなら利権を独占し、国内産業の育成のために裏から国有銀行を通じて「華為技術」などに融資し、WTO違反にもかかわらず、国際競争力を高めるためには輸出補助金を付ける(太陽パネル、風力発電など)、中国の商行為そのものがすべて独禁法違反である。いやいや利権と権力を渾然一体化している共産党幹部それ自身が独禁法違反である。

笑止千万とは、この事件を言う。

◆慰安婦の虚像と実例

阿比留 瑠比


平均月収は兵士の数十倍、

大事な問題なのでしつこく書く。朝日新聞が5、6両日付朝刊で展開した慰安婦問題に関する自社報道の特集記事についてである。朝日は5日付1面の杉浦信之編集担当の記事「慰安婦問題の本質 直視を」で、こう主張している。

「被害者を『売春婦』などとおとしめることで自国の名誉を守ろうとする一部の論調が、(中略)問題をこじらせる原因をつくっている」

「慰安婦として自由を奪われ、女性としての尊厳を踏みにじられたことが問題の本質なのです」確かに、親に売られたり悪徳業者にだまされたりして意に反して慰安婦となった女性もたくさんいた。その境遇には同情するが、朝日の一方的な言い分には強い違和感を覚える。

米軍が先の大戦中、ビルマ(現ミャンマー)で捕らえた朝鮮人慰安婦20人らに尋問した内容をまとめた米国戦争情報局資料「心理戦チーム報告書」(1944年10月1日)は、こう指摘している。

 「慰安婦は売春婦(prostitute)であるに過ぎない」

ならば朝日はまず、米国に抗議すべきだろう。また、朝日のいう「自由を奪われ」「尊厳を踏みにじられ」といった画一的な慰安婦像も大いに疑問である。

この米軍の報告書によると、慰安婦たちは将兵とスポーツやピクニックを楽しみ、当時としては高価な蓄音機を持ち、町に買い物に出ることができた。

日本人兵士が結婚を申し込む例も多く、実際に結婚に至ったケースもあった。平均月収は兵士の数十倍に上り、「彼女らは金を多く持っていた」という。

朝日の書きぶりはこうした実例には目をつぶり、慰安婦が「性奴隷」状態にあったように印象付けようとしているのではないか。果たして事実はどうなのか。

明星大戦後教育史研究センターの勝岡寛次氏の新著「『慰安婦』政府資料が証明する〈河野談話〉の虚構」(明成社)は、政府が平成4、5年に発表した調査資料(前記の米軍報告書を含む)をもとに、慰安婦の実像に迫っている。

政府資料には、戦局や地域・慰安所経営者によって差異はあろうが、こんな事例が記されている。

慰安婦たちは毎朝2時間の散歩が許可されていた▽廃業の自由があった▽酔った兵士に暴行された慰安婦に所属部隊から30円の慰謝料が支給された▽兵士が慰安婦に貢ぐため白米や砂糖を盗んだ−など。

直木賞作家で在日韓国人でもあった故つかこうへい氏は17年前の平成9年、自身で慰安婦問題を取材して分かった慰安婦像について筆者にこう
語っていた。

「鎖につながれて殴られたり蹴られたりして犯される奴隷的な存在と思っていたけど、実態は違った。将校に恋をして貢いだり、休日に一緒に映画や喫茶店に行ったりという人間的な付き合いもあった。不勉強だったが、僕はマスコミで独り歩きしているイメージに洗脳されていた」

つか氏の著書「娘に語る祖国 満州駅伝−従軍慰安婦編」(光文社)にも、娘に向けたこんな率直なセリフが出てくる。

「パパはいろんな人に取材したんだけど、従軍慰安婦の人たちは必ずしも悲惨じゃなかったんだ」

朝日は自らに施した洗脳を解き、もう少し慰安婦問題の本質を直視してはどうか。
(政治部編集委員)
産経ニュース【阿比留瑠比の極言御免】2014.8.21