2014年08月02日

◆「核」が日中開戦を抑止する(59)

平井 修一



AFP=時事7/15が「中国との領土争い、武力衝突の不安がアジアで増加」と報じている。

             ・・・

東シナ海や南シナ海の領有権をめぐる中国と周辺国の緊張が武力衝突に発展することを懸念する人が、アジア各国で増えていることが、米調査機関ピュー・リサーチ・センターが14日に発表した調査結果から明らかになった。

調査は世界44か国を対象に実施したもので、中国と近隣諸国との領土争いが武力衝突に発展することを懸念すると答えた人は全体の62%、アジア11か国では約半数に上った。

武力衝突を恐れる割合が最も高かったのはフィリピン人の93%。次が日本人の85%で、ベトナム人の84%、韓国人83%と続いた。

また日本、フィリピン、ベトナムでは中国を最大の脅威とみなす回答が最も多かった。一方、中国とマレーシア、パキスタンでは米国が最大の脅威とされた。

米国が現在の世界の超大国だと考える人は全体の40%で、2008年の49%から減少。一方、中国が超大国と答えた人は31%と、6年前の19%から増加した。

さらに、いずれ中国は米国を抜いて世界の超大国となる、もしくは既に超大国になっていると考える人の割合は、全回答者の50%に上った。これに対し、中国が超大国になることはないとの回答は32%にとどまった。(以上)

              ・・・

世界の半分以上が、超大国になりそうな中共は武力衝突を引き起こしかねない、脅威だと見ている。なぜ中国はそんな危なっかしい国になってしまったのだろう。

柯隆氏の論考「トウ小平の罠から逃れられない中国 改革開放を進めるもいまだに封建社会」(英FT7/5)から。

              ・・・

社会主義をどのように定義するかにもるが、1949〜76年までの毛沢東時代の社会主義体制を考察すれば、その経済運営は明らかに失敗であった。当時、農業、工業とサービス産業のすべては崩壊してしまった。

冷戦の終結で社会主義の実験はすべて失敗に終わった。中国はその前から、「改革開放」政策の導入で毛沢東路線と決別している。今となっては中国が社会主義でないことは明白であるが、資本主義でもない。では、中国社会をどのように定義すればいいのだろうか。

今の中国社会には様々な要素があるが、その権力構造と国民の意識から捉えてみると、中国は依然として「封建社会」であると言わざるを得ない。

極論すれば毛沢東時代の中国では、農民は農地を国に奪われ、都市部へ自由に行くことすらできない「奴隷」のような存在だった。毛沢東時代の中国が奴隷社会の末期に相当していたとすれば、今の中国社会はまさに封建社会の段階である。

西洋の資本主義と民主主義の教育を受けた一部の知識人は、中国で民主化運動を推進しようとする。だが、それはしょせん無理な注文である。中国で民主化が実現しないのは、為政者がそれを拒むからという理由もあるが、草の根の民の多くが民主主義の価値観を十分に理解していないからだ。

中国の農村では、村民同士が対立した場合、裁判所に行くことはほとんどなく、村の権力者である村長に仲裁を依頼することが多い。村長の仲裁は法律に依拠するものではなく、公明正大でもない。だが村長の権威は法律以上に絶対的である。村は、中国社会を構成する最小の行政単位であり、いわば凝縮された小さな社会と言える。

実は、都市部でも同じことが言える。例えば、国有企業の従業員は夫婦喧嘩の仲裁を勤務先の上司にお願いする。無職の者ならば、町内会の会長のところに仲裁してもらいに行く。

すなわち、中国人は自らが所属するコミュニティの権威ある人物に、身の回りの問題の解決を依頼するのだ。法律は後回しである。

したがって、中国共産党は一党独裁の政治を維持するならば、常に権威を誇示し続けなければならない。

さらに、中国がいまだに封建社会であると定義する論拠として、中国社会が権力を中心とする同心円の構造になっていることが挙げられる。王朝時代の封建社会は、皇帝を中心とする同心円の構造だった。皇帝の権力を誰も制限・コントロールすることはできない。まさに絶対的な存在である。今の中国社会もまったく同じと言って過言ではない。

最高実力者だったトウ小平が「改革開放」政策を推し進めた目的は、経済発展を実現することにあった。それは正しい選択だったが、制度の構築が不十分だったため、ここに来てその矛盾が急速に露呈している。

トウ小平の改革は、短期的に経済発展を実現することはできても、持続不可能なものである。中国はいわば「トウ小平の罠」にはまっている。

トウ小平には、難しい問題をあえて無理して解決することはせず、あとの人に任せるという無責任な一面があった。民主化の政治改革をいずれ行わなければならないと分かっていたはずだが、それを性急に行うと共産党が分裂してしまうと恐れていた。

しかし、問題の解決を先送りすればするほど問題は解決できなくなっていく。今の中国では、政治改革の遅れは明らかに経済成長の妨げになっている。

中国人民解放軍に所属する作家の劉亜洲氏は、日清戦争で中国が負けたのは、技術や設備が遅れていたからではなく、制度の遅れで負けたと述べている。

中国人や中国政府は目に見えない制度よりも、目に見える技術や設備を重視する傾向が強い。だがソフトウエアが遅れれば、ハードウエアが優れていても役に立たない。中国経済が今後持続的に発展してけるかどうかは政治改革を含む制度の構築にかかっている。(以上)

              ・・・

「政治改革を含む制度の構築」というのは、自由、民主、人権、法治といった制度を中共は採り入れて近代的国民国家にならなければ未来はないということだ。現実は、その未来を日々暗くしている。

奥山真司氏が戦略家ルトワックの言葉をこう伝えている。

<中国にとってベストの選択は平和的台頭。トウ小平の韜光養晦(とうこうようかい)、つまり「才能を隠して外に表さない」という路線。

セカンドベストは、日本だけを敵視する。しかし、今の現実は、世界中を敵にまわすというワーストになってしまった。

で、世界はどうすべきか。中国のために「包囲してやる」必要がある。そうすれば平和的台頭でいくしかないわけだが、実はこれは日本にとっては一番嫌なことで、中国という敵ができたので日本人は危機意識が高まり、防衛強化に乗り出せた。(平和な中国では防衛強化の大義名分がなくなってしまう)>(以上)

韜光養晦について朝日が「中華復興の大目標達成までの道のりは長い。当面は目立たないようにしてじっくり力を蓄えよ。つまり低姿勢外交を貫け」ということだと説明している。習近平には蛙の面に○○だろうが。
(2014/8/2)

◆重要証人処刑前に長老封じへ習指導部

矢板 明夫


【周永康事件の衝撃(中)】今なぜ失脚公表? 、抗争の火種に

「賈慶林(中国・前全国政協主席)が内モンゴルで軍に拘束された!」「曽慶紅(元国家副主席)がクーデター計画に関与して天津で逮捕された!」

7月初旬から中旬にかけ中国版ツイッター「微博」で、中国共産党の元最高指導部メンバー2人の失脚情報が飛び交った。

だが、間もなくして「ガセネタ」であることが確認された。これら長老が公衆の前に姿を見せ、健在ぶりをアピールしたからだ。

インターネット規制が厳しい中国では、政治家失脚に関するニセ情報は最大のタブーとされる。見つかればすぐに削除され、転載しただけで罪に問われる。ネット警察の厳しいチェックをすり抜け、短時間で拡散していった今回の怪情報は「当局に黙認されていた」ともみられている。

背景について、権力闘争に詳しい党関係者は「習近平指導部による両長老への牽制(けんせい)球だ」と解説する。

賈氏と曽氏はいずれも巨額の不正蓄財疑惑を抱えており、自身に飛び火することを避けるため、周永康・前政治局常務委員への調査に反対していた。

習国家主席周辺は、彼らの動きを封じ込めるため、ニセ情報をあえて流し、「反対すれば、あなたたちもやるぞ」と脅したというのだ。しかし、こうした情報操作は両長老の大きな怒りを買ったとされ、党内抗争の火種は残されたままである。

                □ □

8月初め、党にとって最も重要な会議の一つの北戴河会議が開かれる予定だ。長老を含む党要人が重要方針や人事を非公式協議し、習指導部の1年間の成果と問題点も総括される。

習氏は2012年11月の体制発足当初、長老らと良好な関係を保っていた。が、一連の反腐敗キャンペーンを強引に進めて多くの高官を摘発し、長老らの不興を買ったといわれる。

習指導部が周氏への調査を公表したのは7月29日。つまり、長老らに阻止されないように、北戴河会議の開幕前に先手を打とうという戦術だった。

中国の司法関係者によると、習指導部が周氏への調査をこの時期に明らかにしたのには、もう一つ重要な理由がある。殺人罪などで死刑判決を受けた四川省の富豪、劉漢氏の死刑執行を延期させる必要があったのだという。

劉氏は周氏の長男のビジネスパートナーで、周氏に便宜を図ってもらい、十数年で400億元(約6800億円)もの資産を築いたとされる。昨年、逮捕され、今年5月の1審で死刑判決を受けた。

ところが、この裁判は周氏を守ろうとする長老の息がかかった勢力が主導したといわれているのだ。法廷では周氏との癒着など経済面の不正には一切触れられず、暴力団組織を率いて犯した殺人などの罪だけが問われた。2審はすでに7月中旬に結審している。

二審制を採用する中国では、この判決が確定すれば劉氏は処刑される。それは習指導部にとって、周氏の経済犯罪を証言する重要証人を失うことを意味する。

北戴河会議の開幕、そして重要証人が口封じされる前に、習指導部は周氏への調査を公表せざるをえなかった。党内で十分な根回しがなされたとはいえない。

今年の北戴河会議は、習指導部と長老らの確執がさらに深まり「紛糾する可能性もある」と予測する党関係者もいる。極めて異例の事態なのだ。(北京 矢板明夫)

               ◇

【用語解説】北戴河会議

中国共産党の実力者たちが毎年夏、渤海湾に臨む避暑地の北戴河に集まって開く非公式重要会合。建国の父、毛沢東が夏に同地の海で泳ぐ習慣に合わせ、党、政府、軍の指導者が集まるようになったのが由来といわれる。

引退した指導者にも発言権が与えられる。二重権力構造への批判から2003年に廃止されたが、長老らの猛反対で復活した。 産経ニュース2014.8.1

◆全国有力25紙の「マスゴミ」ランク

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
 

<平成26年(2014)7月31日(木曜日) 通巻第4304号>  

〜全国有力25紙の「マスゴミ」ランキング
  入念に社説、報道姿勢、思想などを検証、最悪は東京新聞と朝日新聞〜


日本のマスコミは偏向しているが、そのマスゴミ度を検証し、ランキングを作成するという珍しい調査が行われ、結果は「最悪ごみ」が東京新聞、ならんで朝日新聞だったことが分かった。

以下、主要メディア25紙の「ごみ」ランキング

第1位 東京新聞第2位 朝日新聞 3北海道新聞 4琉球新報5沖縄タイム 6毎日新聞 7新潟日報 8信濃毎日 9中日新聞10神戸新聞 11 河北新報 12京都新聞 13 中国新聞

14 高知新聞

15 西日本新聞 16 秋田魁新報 17 山陽新聞 18 徳島新聞

19 下野新聞 20静岡新聞 21日本経済新聞 22四国新聞 23産経新聞

24 読売新聞 25北国新聞

この調査は専門家がチームを組んで「偏向」の度合い、特定の団体の代弁ぶり、売国奴、上から目線など10件のチェックポイントを精査したランク付けで、詳細は「READJAPAN」(モノクロ9月号、晋遊舎)に発表された。

保守系のトップは産経だが、この詳細チェックでは偏向紙面ではない総合力で北陸の有力紙「北国新聞」が、産経新聞、読売新聞よりも上位と判定されている。

◆なぜ、カエルの解剖はしていいのか

馬場 伯明


長崎県佐世保北高少女Aによる殺人事件があったので表題を代えた。正確には「生きているカエルの解剖(生体解剖)はなぜしていいのか」だ。

少女Aはカエルの解剖をしながら、人間の解剖もしたくなり、その結果、あの殺人事件を引き起こした(と思われる)。

人間ではダメだが、なぜカエルではいいのか。答は単純明快「カエルは人間ではないから」だ。少女Aはその区別がわからなくなってしまった。

ところで、長崎県島原半島、南串山町の100年経った実家を全面的にリフォームしている。延床面積70坪を46坪に縮小する。着工前に亡父の手紙等を整理した。

ある年の年賀状の束に坂本(旧姓:龍尾)暁美先生(以下「アケミ先生」という)からの年賀状があった。正確な楷書が板書のように万年筆で書かれている。(かつて、父は南串第一小学校長でアケミ先生は同校の教師)。

忽然と、大昔のことを思いだした。南串山町南串第一小学校5年生の休日に、アケミ先生の指導で「トノサマガエルの解剖」をした。「生物クラブ」の研究課題の一つであった。

新任の22歳。男(たつお)と女(あけみ)が合体したような変な名前の先生である。タツオさんが婿養子に来たら「タツオ・タツオ」になると想像しみんなで笑った。(アケミ先生には言えなかった)。

アケミ先生は背が高く短髪の美人で、性格も明るくスカッとした性格だった。そもそも悪童らの冷やかしに臆することなどなかった。

生徒数人での「解剖」を記述する。アケミ先生の指示による。暴れるトノサマガエルを掴みエーテルを浸した脱脂綿が入っている瓶に入れ蓋をした、数分間。「あっ、カエルが死んだ!」「死んではいません。気絶したのです」

カエルを瓶から取り出し仰向けにし、肢をM字開脚、腕を万歳の態にした。トレイの中の板に四肢を昆虫採集の太めのピンでがっちりと留めた。

アケミ先生が解剖図(解剖結果図)で説明した。「腹を切りこの絵図のようにしなさい」。「えっ!でくっとやろか(できるだろうか)」と私たち。

アケミ先生は作業を黙って見ている。H君が血管と胃を切ってしまったので、腹内の胃や腸などが血液や体液でぐちゃぐちゃになってしまった。失敗だ。それでも、カエルの心臓は動いている・・・

もう一匹の解剖に着手。一匹目の作業の反省から、アケミ先生に手順を細かく指示してもらい解剖を進めた。ほぼ「解剖図」のとおりにできた。

「まだ、生きとる、心臓の動いとる」「ばってん、心臓や胃腸ば(を)切ってしもたけん(しまったから)、もう、生き返らんとやろもん」

「そうね、死にます。後で葬ってやりましょうね。でも、その前に、(死んでいく)カエル(さん)のためにも、解剖の状態をよく観察し、正確で美しい『解剖図』を書きましょう」。アケミ先生はあくまで冷静だ。

解剖の結果を画用紙に描いた。カエルはM字開脚・両手万歳状態で板にピン留めされている。心臓、肺、小腸・大腸などを描きやすいように整えた。心臓はどくどくと動き、腹の横もまだぷくぷくと波打っていた。

解剖の後奇妙な気分になった。ある達成感というか、大人になったような高揚感である。女の同級生に「おい(俺)は、解剖ば(を)したっど!(したのだぞ!)」と自慢した。ところが、彼女は眉を顰めまるで汚物を見たかのように私の両手から目を背けた。

2014/4/13国立科学博物館で開催の特別展「医は仁術」を見学。江戸後期に活躍した漢方医や西洋医学を修得した医師らの「動物解剖図」や「人体解剖図」が正確な線と鮮明な色で描かれていた。緻密な絵図に驚嘆した。

実家の母屋の縁側の下には大きなヒキガエルが住んでいた。いわゆる「蝦蟇(ガマ)」。体長約20cm。このガマの解剖も考えたが、母から「家の主、守り神」と聞いたのでやめた。

カエルの解剖をしてカエルも人間と同じ生き物だと実感した。心臓も胃も腸もある。命の成り立ちと不思議さを垣間見た。そして、あらためて、動植物やカエルではない「人間の命」の重要さ・大切さを思い知った。「生きたまま解剖されては、たまらん!」。

「♪カエルのうた」ならぬ「カエルの遺言」が聞こえたような気がした。「俺たちを殺すのならば、あんたら、人間として立派に生きてくれ」と。私たちは、校庭の花壇の隅に小さな穴を掘り、腹を開いた2匹のカエルを埋め、手を合わせた。

食事の前に、だれも「いただきます」と言う。「(その命を、あんたの命を)いただきます」ということなのである。人間はそのようにして生きてきた、そして、また、生きてゆく。

魚・牛・豚・鶏・野菜・芋など、多くの生物(動植物)を殺して食ってきた。また、食えないハエ・蚊・ゲジゲジ・ムカデ・ネズミ・青大将などはその多くを理不尽に駆除・殺害した。

ここで、淡い桃色の話をちょっと・・・。アケミ先生と4年生のときの担任だったA先生の(恋の)噂が立った。小学校2校と中学校1校の3校で教師のバレーボール大会があった。アケミ先生は中衛ライトのアタッカーで活躍し、小柄なA先生は守備陣の一員だった。

この恋は実らなかった。しかし、その後、A先生はご結婚、アケミ先生は長崎市内方面に転勤、その後結婚された。お2人とも幸せな家庭を築かれていた。(父へのお2人の毎年の年賀状からよくわかった)。

カエルを解剖し同級生を殺害した少女Aの心の混乱は静まり葛藤はほどけるだろうか。それにしても世間は騒ぎすぎだ。「・・10年間の教育を反省する」などの懺悔はいらない。(興味本位の)世間の批判に阿る必要もない。「(人間の)命は大切です」と児童や生徒に淡々と伝えるだけでいい。

「学校は『命の大切さ』の原則を教育します。自分の子供へは家庭で教育してください」でいい。ただし、(カエルではなく)あくまで人間の命のことだ。

犬猫・牛馬・魚介・穀物・野菜などの命と人間の命は根本的に違う。いっしょくたにしてはならない。子供らにはこの点を明確に教えるべきである。そうすれば、人間の命の尊さが自然に浮かび上がり子供らの心に深く突き刺さる。

風の便りではやさしいおばあちゃんとのことである。アケミ先生は、佐世保市の高校生少女Aに対し、今、カエルの解剖についてどのような指導をなさるのだろうか。
(千葉市在住 2014/7/31)


2014年08月01日

◆中南米歴訪で“輝く女性”をアピール

〜安倍首相〜

是永 桂一



内閣改造への刺激にも

安倍晋三首相は中南米5カ国歴訪で、政権が目指す「女性が輝く社会」の実現への理解や支持を各国に求めている。女性リーダーの活躍が目立つ中南米諸国の協力を仰ぎ、女性の活用を日本の経済成長のエンジンとする政策を訴える狙いがある。9月上旬に行う内閣改造・自民党役員人事の刺激にもなりそうだ。(ボゴタ 是永桂一)


「こういう状況を改善しないといけないですね…」

29日昼(日本時間30日未明)、コロンビアの首都ボゴタの大統領府で行われたサントス大統領との首脳会談の席で、安倍首相はこうぼやいた。安倍首相の前に並ぶのは16人のコロンビアの閣僚らで、うち9人が女性。かたや日本側の出席者は10人全員が男性だった。

政権が打ち出す女性活用について「まず隗(かい)より始めよ」と号令する首相にとって厳しい現実を突きつけられた形ではあったが、首相は「日本は女性の活躍を成長戦略の中核に位置付けている。

国際社会でも女性が輝く社会の実現に向けコロンビアと協力したい」と強調した。次の訪問国のチリでも、男女平等や女性の社会進出を推進する国連の「Women」事務局長を務めたバチェレ大統領を相手に、日本の女性活用策への協力を得たい考えだ。

安倍政権は平成32年までに企業などで指導的地位に占める女性の割合を30%程度とする目標を設定している。安倍首相自らも、第2次政権発足時に閣僚と党三役に女性を2人ずつ起用したほか、中央省庁の幹部人事でも新設された内閣人事局を活用して女性を積極登用する姿勢を打ち出した。

今回の中南米歴訪では、トリニダード・トバゴのパサードビセッサー首相、ブラジルのルセフ大統領ら4人の女性指導者と安倍首相の会談が実現。9月中旬に東京に世界各地の女性指導者を招き、「女性版ダボス会議」と位置付ける国際シンポジウム「WAW」を初開催する予定で、中南米歴訪はシンポに向けた絶好のアピールの機会といえる。

首相は、9月上旬に内閣改造・党役員人事を行う。閣僚や党三役の女性起用は注目度が高く、読売新聞は30日付朝刊で稲田朋美行政改革担当相の党政調会長への起用が有力視されると報じた。

ただ、女性の国会議員の数は全国会議員の1割程度にすぎない。首相は、中南米でみられる「女性パワー」を政権運営に生かすことができるのか−。産経ニュース2014.7.30

◆「親子で学ぶ慰安婦」の嘘

阿比留 瑠比



このところ日教組がややおとなしいかなと思っていたら、大分県教職員組合が旅行業法に違反し、新聞広告で韓国での慰安婦関連施設訪問ツアーを募集していた問題が発覚した。

 ツアーは中学生とその保護者が対象で、「親子で学ぶ韓国平和の旅」と銘打たれている。だが、実際は、元慰安婦が共同生活を送るナヌムの家に併設された「日本軍『慰安婦』歴史館」を見学するなど、韓国側の一方的な主張を子供の脳裏に植え付けかねない。

「そういう反日旅行をすることで、子供たちにどういう教育効果を狙っているのか。理解できない」

下村博文文部科学相は25日の記者会見でこう指摘した。筆者はたまたま6月にこの「歴史館」を訪ねているので、改めてその展示内容を振り返り、読者の理解に資したい。

ここでは、日本の過去と現在が厳しく糾弾されており、展示物にはそれぞれ日本語の解説が添えられていた。例えばこんな調子だ。

《(慰安婦の)数は5万から30万人程度と推定されている。日帝は特に朝鮮人の女性たちを軍“慰安婦”として広範囲に動員した》

30万人という荒唐無稽な数字も記されているが、現代史家の秦郁彦氏の推計では慰安婦の総数は2万〜2万数千人であり、朝鮮人はそのうち2割程度だった。

《軍人たちは料金を支払ったが、業者の私腹を肥やしただけで、軍“慰安婦”自身には入らなかった場合が多かった》

こんな根拠不明の説明文もあったが、皮肉にも「歴史館」の別の展示がこれへの反論となっていた。入り口近くのビデオ映像では、昭和19年7月26日付の京城日報に載った慰安婦募集広告の写真も放映されているが、そこにはこうある。

 《月収 300円以上(前借3000円迄可)》

当時は大金である3千円も前借りができたのに「軍“慰安婦”自身には入らなかった」とする記述は明らかに矛盾している。

また、米軍の同年10月の資料でも、ビルマ(現ミャンマー)で米軍が捕らえた朝鮮人慰安婦20人の平均月収は約1500円に上り、これは日本の下士官の月収の数十倍に及んだ。

このほか「歴史館」の展示では、日本の教科書検定のあり方を批判する記述や、元慰安婦に「償い金」を支給したアジア女性基金について《国家賠償ではない、国民基金》だとして《問題解決に役に立たなかった》と位置づけるなどの政治的記述も数多い。

昭和天皇を一方的に「人道に対する罪」で有罪だとした、平成12年12月の女性国際戦犯法廷に関する解説では、この法廷にかかわるNHK番組が改変されたのは《背後に安倍晋三、当時官房副長官が介入したということが明らかになった》とも決め付けている。

だが、安倍首相自身は介入を否定しており、これを報じた朝日新聞も後に記事には「不確実な情報が含まれてしまった」(当時の秋山耿太郎社長)と反省を表明している話である。

「大分県教組のみなさん、あなたたちの違法なイデオロギー活動が、どれだけ公教育の信頼をおとしめているのか、まだわからないようですね。到底、看過できません」

義家弘介前文科政務官は22日付の自身のフェイスブックに、こう書き込んだ。今後、教組の実態がさらに明らかになることを期待したい。
(政治部編集委員)産経【阿比留瑠比の極言御免】2014.7.31

◆周氏、元妻を殺害か 江沢民氏が激怒

矢板 明夫



【周永康事件の衝撃(上)】600日かけた「本丸」攻め 

格好の大物、江氏と悪化「引き金」

習近平体制が発足してから1カ月もたっていない2012年12月6日。中国共産党の党紀違反を取り締まる中央規律検査委員会のホームページに「李春城・四川省党委員会副書記が重大規律違反容疑で取り調べを受けている」という知らせが掲載された。党関係者の間で衝撃が走った。

唐の詩人、杜甫は「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ」という意味の詩を残した。中国共産党内の権力抗争でいつも使われる手法でもある。大物政治家を失脚させるのに、まずその周りから粛清し、丸裸にしてから本丸を攻めるやり方だ。

「李氏を突破口に、新政権は周永康を狙っている」。そう感じ取った党関係者は少なくなかった。李氏が、胡錦濤政権で序列9位の大物政治家である周・前党政治局常務委員(71)の側近ということはよく知られていた。

李氏失脚から間もなくして、蒋潔敏・国有資産監督管理委員会主任、李東生・公安省次官ら周氏の腹心といわれる人物が次々と拘束されていく。中国メディアの統計によれば、今年7月までに周氏の元部下や親族など300人以上が拘束されたという。

薄煕来氏と周永康氏が展開した習氏批判が…

かくて李春城氏からスタートした周氏失脚劇は、今月29日に終了した。約600日もかかった計算になる。

習国家主席はなぜ、ここまでして周氏を追い詰めなければならなかったのか。

共産党筋はその理由を以下のように説明する。

周氏は2010年11月に重慶市を訪問した際、同市党委書記だった薄煕来氏と会談した。薄氏は当時、幼なじみだった習氏が党最高指導者の候補に選ばれたことに大きな不満を抱いており、習氏の能力を否定する発言を繰り返したという。

すると周氏も薄氏に合わせて習氏批判を展開した。その会話を、薄氏の側近で同市副市長だった王立軍氏がひそかに録音していた。王氏は12年2月、四川省成都市にある米国総領事館に亡命しようとした際、その録音を米国側に渡した。

このことを米国を通じて知った習氏は激怒し、薄氏だけでなく周氏にも恨みを抱き、打倒することを決心したのだという。

治安・司法部門に大きな影響力を持ち、薄氏の盟友でもある周氏を野放しにすることは、習氏にとってやはり危険だった。また、12年11月に発足した習体制は、政治運動として反腐敗キャンペーンを展開し、「ハエもトラも同時にたたく」と国民に宣言していた。周氏クラスの大物政治家を失脚させることで、国民に対し反腐敗の決意をアピールする狙いがあったともみられている。

江沢民氏との関係悪化も一因に

そして重要なことは、江沢民派の重鎮として知られた周氏と、元国家主席である江氏本人の関係が最近良くなかったことだ。

香港紙などによると、周氏の最初の妻は江氏の親族だが、周氏は2000年ごろ、交通事故と見せかけて殺害した。元テレビキャスターの現在の妻と結婚するためだったとされる。最近、この事実を知った江氏は激怒し、周氏の摘発に同意したという。

北朝鮮の金正恩第1書記は、権力掌握をアピールするため、叔父である張成沢(チャンソンテク)氏を粛清した。習氏にとって、周氏の失脚は同じような意味をもっていると指摘する声もある。

                   ◇

中国共産党の大物政治家、周永康氏の失脚が発表された。最高指導部の責任を問わないという長年の不文律が破られ、国内外に衝撃が走った。中国の権力中枢で何が起きたのか。習近平政権の狙いは何か。今後の中国政局にどんな影響を与えるのか。党を揺るがした一大事件を検証する。(北京 矢板明夫)産経ニュース2014.7.31

◆外国企業排斥が基本動機ではないのか

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
 

<平成26年(2014)7月31日(木曜日)弐:通巻第4305号。>  

 
〜期限切れ鶏肉をつかってマック、KFCの経営被害は甚大だが
   このキャンペーンは中国の外国企業排斥が基本の動機ではないのか〜


最初から意図的である。

期限切れ食肉加工は米国企業が100%出資の現地法人である。中国のテレビが当該工場に潜り込んで、実際にカメラを回し、「期限が切れている?死にはしないさ」という工員の会話が録画された。

画像が放映され、中国ばかりか世界に流れたので、日本でもファストフーズなど、甚大な悪影響が出た。

しかし、この事件はそれほど驚くことだろうか?

どぶ川の水で食器を洗い、箸をばしゃばしゃと洗い、つぎの客に出すのは常識。いや、それは日常の風景。屋台だけの話ではない、ちゃんとしたレストランで小生がチト呆れたのはどぶ川の水でスープを作っていたこと。すぐにそのスープを飲むのをやめたが、下痢は3日続いた。

北京の一流ホテルの料理場では、コック長が「客が日本人?」と聞くやフライパンに唾を吐いて、それから料理したと、実際に目撃した元駐在員が語った。中国での駐在が長いと原因不明の食あたり、食中毒は常におこる。原因不明で死んだ人も何人かいるが、中国の医院では死因は特定されない。

過去4年間だけでも、伊勢丹、ヤマダ電機など数十社が撤退したが、日本企業ばかりではなく台湾企業は1万社近くがすでに撤退した。韓国企業は夜逃げを敢行した。

米国も、IT関連、通信機器、コンピュータの多くが人員削減に踏み切っている。IBM,HPなどの動向がそれであり、またスタバも近く撤退を開始するとの情報がある。

IT関連で言えば、華為技術やZTE(中国通訊)など大手がすでに欧米日の技術に迫り、外国企業が邪魔になったため、様々な妨害、入札阻止などをおこなっている。

豪企業リオ・テント、英国企業グラクソ・スミス・クラインなどは、なぜか独禁法抵触といわれて社員が逮捕されるなど露骨に中国企業を保護するためだ。


 ▲米中戦略対話の破綻、海洋リグ撤去への報復の可能性

この流れが食品産業にきた。

米系企業をとっちめるのは、その背後にもっとどろどろした政治的動機がある。つまり、シャングリラ対話、米中戦略対話で、米中はアジアの安全保障をめぐって激論、中国は四面楚歌となり、完全に米中関係が破綻している事実経過となんらかの関係がある。

ベトナム沖で掘削を続けたCNOOC(中国海洋石油)は、海洋リグを撤去した。これを中国軍は屈辱と感じており、米国への報復をとんでもない方向からやらかした、とみると整合性が出てくるだろう。

さらに穿った見方は、この米国企業は進出の際の諸手続きや認可に関して江沢民派の世話になった。江沢民派をコーナーに追い込む習近平政権にとって、これは戦闘開始の信号でもある、という。

しかしまだ勢力を誇示する上、家来を政治局常務委員に4人も送り込んだ江沢民を最後まで追い詰める意図を習近平が抱いているとは到底考えられず、上海派が牛耳る通信利権に習近平が手を出す前に、胡錦涛――温家宝――朱容基らがもつ「金融利権(銀行、保険、証券)に手を付けるか、あるいは守旧派の李鵬一味が持つ「発電利権」に手を出すだろうからだ。

ともかく米国企業を絡め手で敵に回した中国は、この結末をいかにつけるのか?

 

2014年07月31日

◆周永康氏失脚「本丸」石油閥攻略へ

河崎 真澄


権益構造塗り替え狙う

【上海=河崎真澄】強大な政治力と資金を誇る「石油閥」を代表した中国共産党の最高指導部メンバーだった周永康・前政治局常務委員に対する取り調べが発表されたことは、独占体質のエネルギー既得権益構造の塗り替えを狙い、習近平指導部が“本丸”の攻略に入ったことを意味する。

1988年に石油工業省の解体によって設立された中国石油天然ガス集団(CNPC)など国有石油3社の経験者が人脈を築き、最高指導部にまで影響力をもつに至ったのが石油閥だ。

中国最大の大慶油田(黒竜江省)の開発責任者で、毛沢東とも近かった余秋里元副首相(1914〜99年)から始まったとされている。現最高指導部では、石油業界で70〜80年代に手腕を評価された張高麗副首相が名を連ねる。

2011年に適用予定だった自動車排ガス規制が先送りされたのも、業界利害に反すると指導部に迫った石油閥の力とされる。これが大気汚染を深刻化させたとの見方がある。

石油閥は規制への反発に加え、ガソリンなど石油製品の統制価格維持にも固執してきた。だが習指導部では13年11月の党中央委員会第3回総会(3中総会)で「市場メカニズム重視」を打ち出し、石油取引価格を段階的に統制価格から外す方針を決めた。

「価格面で国有石油大手3社に再編を迫り、経営陣刷新を通じて新たな“エネルギー閥”を習指導部の傘下に置く狙い」(石油業界関係者)もありそうだ。

抜本改革先送り 江氏側と妥協か

一方で、石油閥の抜本解体は先送りし、周氏聴取優先のため、長老として石油閥や周氏の後ろ盾となってきた江沢民元国家主席の側と経済利権で妥協したとの見方もある。

江氏は5月、訪中したプーチン露大統領と非公式に会談、ロシア産天然ガス輸入で意見交換したとされるなど、なお存在感を示す。8月に河北省北戴河で長老も参加して開かれる中国共産党の非公式の会議を前に、習指導部は今後の経済政策で、石油閥に一定の歩み寄りをみせた。

習指導部は、29日に開いた党中央政治局の中央委員会報告で討議した下半期の経済政策で、成長鈍化への懸念を示す江氏や石油閥を念頭に政府目標の経済成長率7・5%実現に努力するとの項目や公共投資の積極拡大を盛り込み配慮を示した。

石油関連の国有企業の改革先送りを水面下で示した可能性もある。経済政策のからめ手で江氏らと妥協し周氏追い落としを急いだ。

                 産経ニュース 2014.7.29

◆支那は絶望的な13億総痴呆症

平井 修一


中共独裁の支那では「近現代史の解釈権は中共中央のみがもつ」のだという。中共が独裁を正当化するために都合の良いようにでっちあげた“歴史”を国民に押し付け、洗脳するのだ。六四天安門事件など中共にとって不都合な真実は完璧に封印されるから、大多数の国民は完璧に無知蒙昧である。

「由らしむべし、知らしむべからず」(「論語」泰伯)という言葉がある。短かすぎる言葉だからいろいろな解釈があり、その意味するところは「人民を為政者の施政に従わせることはできるが、その道理を理解させることはむずかしい」とか、「人々を頼らせることは容易だろう。しかし、理解してもらうのはむずかしい」とからしい。

「為政者は、民に一々政治を説明しなくともよいように、日頃から信頼を寄せてくれるような人格者になりなさい」という解釈もある。

これらが転じて、「為政者は人民を施政に従わせればよいのであり、その道理を人民にわからせる必要はない」、さらに転じて「愚かな民は為政者に頼らせるべきで、わざわざ知らせるべきではない、混乱を招くだけだ」などという解釈も普及している。

小生は「国民は政府にひたすら依存させ、従わせればいいのであり、いちいち説明する必要はない、問答無用」と解釈しているが、中共のやり方はその通りだろう。

国民が歴史解釈など余計なことをすると中共独裁体制にとって百害あって一利なしだ、愚民のままにしておけ、と代々の中共トップ、今の習近平もそう思っているに違いない。

先だって習は中共最大のシンクタンク、中国社会科学院の学者、研究者に「学問の自由だと? 西側思想にかぶれやがって。お前らは俺の考えを代弁すればいいんだ! 言うことを聞かなければしょっ引くぞ!」と恫喝した。

学問というのは疑問が出発点になる。支那の学者やインテリの中には、「なぜ我が国には欧米流の自由・民主・人権・法治がないのだろう」と思う人も多いだろうが、そういう疑問から研究やら考察していくと「諸悪の根源は中共独裁だ、中共独裁には正当性がない」ということに行き着かざるを得ない。

これは中共にとって絶対に許せないから、公言したら最後、反逆罪で刑務所に繋がれることになる。だから怖くて誰も何も言えない。真実は覆い隠され、国民は何年、何十年たっても無知蒙昧のままだ。

情報鎖国のためにネット人口が4億になったところで真実の情報が遮断されているから、中共にとって都合の良い情報にしかアクセスできない。中共のクチパクばかりで、蠅叩きと虎退治というサーカスに一喜一憂しているだけの絶望的な13億総痴呆症だ。

残念ながらこれが小生の観察による中共の現実だ。

柯隆氏の論考「中国に期待してはいけない人権意識 民主主義の実現まであと100年?」(JBプレス7/29)から。

              ・・・

中国人は基本的に人権意識が低い。今後、急激に人権意識が高まることもないだろう。

25年前に中国では、幹部腐敗の撲滅と民主化を呼びかける「天安門事件」が起きた。そのときに、大学生らは三権分立や基本的人権の尊重を政府に求めた。しかし、学生運動は政府によって武力で鎮圧された。そのあと、李鵬首相(当時)は談話を発表し、基本的人権とは生存権の保障のことであると強調した。


中国政府が取りまとめた「人権宣言」では、「生存権こそ主要な人権である」と唱えられている。生存権とは、衣食住について不自由のない生活をする権利を指す。

中国政府にとって、人権の中では生存権が最も重要であり、それ以外の人権、例えば言論の自由や思想の自由、報道の自由などは眼中にない様子だ。それらを尊重すると生存権が侵害されてしまう恐れがあるということのようだ。

共産党が建国してからの最初の30年間で数千万人が餓死したことを考えれば、生存権を重要視する姿勢は十分に理解できる。だが毛沢東の時代において、国民の大半を占める農民の生存権はほとんど守られていなかった。この事実について中国政府はどのように弁解するのだろうか。


毛沢東の時代だけではない。現在も国民の生存権は十分に保障されているとは言えない。


「改革開放」政策以降、中国経済は大きく発展した。それによって一般の家庭は野菜やおかずを不自由なく買えるようになった。しかし、それらの食品は安全なものばかりではない。その背景として、悪質な業者がメラミンを粉ミルクに混入させるような犯罪行為も挙げられる。今の中国では食糧の供給は需要を上回っているが、食品の安全性は深刻な状況にある。


それに対して、共産党高級幹部は、スーパーなどの流通とは別ルートで供給される特別な食品を手に入れている。これは「特供」と呼ばれるものである。

中国では一般的な食品の加工と流通において、品質管理に関するガバナンスがきちんと行われていない。国民にはその権限が付与されていないのである。

また国民は経済発展の過程で、民家が強制的に撤去されたりするなど、財産権がいつも侵されてきた。

ただしここで問題なのは、そもそも中国の人民にとって人権とは贅沢品であり、高嶺の花ような存在であるということだ。

生存権以外の人権を享受したことのない人民は、それがなくてもさほど不自由を感じない。だから冒頭で述べたように、「中国人は人権意識が低い」のだ。中国人民大学の周孝正教授(社会学)は「中国で民主主義を実現するにはあと100年はかかるだろう」と予言する。

実は中国では、共産党幹部でさえもが人権を十分に保障されているとは言えない。

中国では、共産党幹部が罪を犯した場合、司法の手続きに入る前に、共産党規律委員会の調査を受けることが一般的である。だが、そのプロセスは必ずしも透明なものではない。党籍が剥奪されたあと、初めて検察に移行される。このように中国では、共産党幹部の人権すら十分に尊重されないという現実がある。


出張や旅行などで日本に来る中国人は、駅前広場で選挙に出馬する候補者が総理大臣を批判する演説を聞くと、誰もがびっくりする。中国では誰かが公の場で政治指導者を名指して批判すれば、間違いなく「治安撹乱罪」に問われ、投獄されるだろう。

かつて、日本の東北大学に留学していた魯迅は、蒋介石の国民党を批判する文章を数多く発表していた。しかし、魯迅が幸運だったのは、社会主義中国が建国する前に亡くなった(1936年)ことであろう。もしも毛沢東時代に生きていれば、間違いなく迫害を受けて悲惨な最期を迎えていたに違いない。魯迅はあらゆる社会問題を痛烈に批判するからである。


中国はしばらくの間、沈黙の時代になるかもしれない。(以上)

               ・・・

獅子はまた眠るのか。それは許さない。針で突いても安眠妨害し、世界中で暴れまくってもらわなければならない。外圧で内圧を高めて大爆発させる――小生の夢、中共の悪夢。(2014/7/31)

◆永康失脚で次の標的は江沢民

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
 

<平成26年(2014)7月30日(水曜日)通巻第4303号>  

 〜周永康一味の完全失脚で次の標的は江沢民
  習近平の権力闘争のすさまじさは到達点がみえてきた〜

習近平の最終的目標は江沢民一味であることがはっきりしてきた。

周永康の失脚が正式に発表されたが、これにより江沢民系の石油派は壊滅である。石油派の3大拠点のひとつ「中国海洋石油」がベトナム沖から海洋リグを撤退させたのも、背後に軍と石油派の利権争奪戦があるようで、言い換えれば、旧江沢民系から石油利権を取り上げたものの、実際の3大メジャーの実権をそれなら習近平が掌握したかといえば、そうは断言できない。

一方、軍の方も江沢民の家来だった徐才厚と郭伯雄の失脚が意味するところは房嶺輝(総参謀部長)と許基亮(軍事委員会副主席)らの天下となるが、彼らは反江沢民派で、むしろ胡錦涛に近い。

最終的に前皇帝(江沢民)を狙うにしても軍が動かなければ、習も実際の行動には移れないだろう。

習近平は王岐山を使って旧江沢民派を追いこむ一方で、胡錦涛派からの「犠牲」は少数にとどまっている。

陰に描かれるのは太子党の習近平派と旧胡錦涛派の呉越同舟、こうなると軍を握っている方に力点が偏重する可能性がある。

つまり、これまでは江沢民派+太子党の「連立政権」だったが、これからしばし「習近平主導の太子党」+前胡錦涛派の「連立」になるだろう。

最終的な権力闘争は、つぎに江沢民一派が牛耳る「通信利権」に矛先が向かうと考えられる。 
 

2014年07月30日

◆第三極は公明より「左」?

石井 聡


安倍晋三政権による集団的自衛権の行使容認の決定は、今後の政界の枠組み、とりわけ新たな再編を目指す野党の路線選択にも影響を与える可能性を秘めている。

憲法改正、自衛隊の活動の拡大などに慎重な姿勢をとってきた公明党が、連立与党にとどまったまま、憲法解釈の変更に同意したためだ。

与党協議の経過や支持組織内での説明ぶりなどを考えれば、これで公明党が一気に保守化、右傾化したといった見方は適切ではなかろう。

だが、新たな保守勢力になり得ると目されてきた「第三極勢力」は、党首の交代、党分裂など混乱を続けている間に、安全保障面での自民党との協力という分野で、すっかり公明党にお株を奪われてしまった。

与党合意に先立ち、日本維新の会から次世代の党に移行する石原慎太郎氏は「集団的自衛権をめぐって、必ず公明党は足手まといになる」と安倍首相に繰り返し助言するなど、連立見直しを呼びかけていた。

橋下徹氏も「集団的自衛権問題が前に進むのは政治家冥利に尽きる」と公明党を牽制していた。ところが、行使容認に慎重な結いの党との合流で今後の対応は不透明になった。

首相から見れば、維新やみんなの党などの第三極勢力は、憲法改正や安全保障政策で協調できる頼もしい存在だったはずだ。実際、与党協議が難航する中で開かれた党首討論で、首相は公明党の山口那津男代表の目の前で両党の名前を挙げ、その協力的姿勢を評価した。

駆け引きの末、首相は公明党の歩み寄りを得られ、与党分裂の事態も回避した。かたや第三極勢力はといえば、共闘どころか先を読みにくい相手という印象を強くしている。

民主党との連携も探る橋下氏は、リベラル色を強めるのだろうか。それは、憲法改正勢力の構築という重要な路線選択の放棄につながりかねない。公明党を従来の「中道」という言葉でくくりにくくなった状況に、どう対応するかが問われる。(論説副委員長)
 
              産経ニュース【風を読む】2014.7.29

◆アメリカは力を衰えさせない

加瀬 英明


オバマ大統領はシリアへの軍事制裁を撤回した時に、2回にわたって公けの場で「アメリカはもはや世界の警察官ではない」と、言明した。

アメリカが超大国であるのをやめて、孤立主義の殻にこもろうとしているのだろうか。

私はずっと“アメリカ屋”で、アメリカの脈を測ってきた。

だが、アメリカが頂点を過ぎた国で、これから力を衰えさせてゆくと見るのは、早計だ。

これまでアメリカは周期的に、アメリカが衰退するという危機感にとらわれてきた。

私は1957年10月に20歳だったが、アメリカに留学していた。この月に、ソ連がアメリカに先駆けて、人類最初の有人衛星『スプトニク』を打ち上げて、地球軌道にのせた。

アメリカは、強い衝撃を受けた。アイゼンハワー政権だった。「ミサイル・ギャップ」として知られるが、このままゆけば20年あまりのうちに、ソ連が科学技術だけではなく、あらゆる面でアメリカを追い越すことになろうと、まことしやかに論じられた。

1960年の大統領選挙が戦われ、ニクソン副大統領と、民主党のジョン・ケネディ上院議員が争った。ケネディ候補はじきにソ連がアメリカを凌駕することになる、という恐怖感を煽り立てて、アイゼンハワー政権の失政を非難した。

選挙結果は、デマゴーグのケネディが勝った。だが、それから30年ほど後に、ソ連が倒壊した。今日、このままゆけば、20年以内に中国が経済、軍事の両面でアメリカを上回ると、真顔で説く者が多いのと、よく似ている。

ケネディが暗殺されると、ジョンソン政権が後を継いだ。

1968年に、ニクソンがハンフリー副大統領と大統領選挙を戦った。ニクソン候補はアメリカが衰退しつつあり、「このままゆけば、15年以内に西ヨーロッパ、日本、ソ連、中国の4ヶ国が、目覚しい経済発展を続けて、アメリカと並び、アメリカはナンバー・ワンの座を失うことになる」「いま、アメリカは絶頂期にあるが、古代ギリシアとローマの轍を踏もう」
と、危機感をさかんに煽った。


ニクソン政権はケネディが始めたために、「ケネディの戦争(ケネディズ・ウォア)」と呼ばれ、ジョンソン政権のもとで泥沼化したベトナム戦争の始末に、苦しんだ。ニクソン大統領は「もはやアメリカは世界の警察官ではない」といって、ソ連との「平和共存(デタント)」戦略を打ち出した。

その後も、アメリカの振り子は、果敢に外へ向かう時期と、羹(あつもの)に懲りて、内へ籠ろうとする時期が交互してきた。アコーディオン奏者に似ている。今後、アメリカが畏縮してゆくときめつけるのは、まだ早い。