馬場 伯明
日本代表のブラジルW杯は終わった。1次リーグは、0勝2敗1分のCグループ4位(最下位)となり惨敗であった。
日本代表の敗因の論評はサッカーの専門家や物好きにお任せしたい。しかし、W杯の決勝トーナメントは6/29(日)01:00(日本時間)から16チーム8試合が始まる。TV鑑賞の楽しみは、まだまだ、続く。
私は長崎県立国見高校OBの大久保嘉人(川崎)の日本代表入りを喜び、活躍を期待した。だが、能力を十分に発揮することはできなかった。他の選手と適合する練習時間が明らかに不足した。残念である。
さて、本稿は、これまでのブラジルW杯を少し斜めから見た感想を記したもの。まあ、野次馬の「雑感」である。
(1)W杯にはアフリカの黒人系や中南米の選手が多く活躍している。全選手の半分くらいか。欧州選手では、イングランド(5人)をはじめ、スペイン、イタリア、ポルトガル(この4国は予選敗退)。さらに、フランス、ドイツなどにも有力選手が多い。
アフリカ系選手は上背が高く優れた走力や跳躍力を有する。中南米系選手は体幹が強く俊敏である。サッカーが国の最大のスポーツというか、「スポーツは『サッカー』しかない」からでもある。
(2)サッカーのユニフォームが昔の「ダブダブ型」からすっかり「ぴったり型」に代わった。伸縮性のある生地で体にぴったりくっ付いている。
2002年の日本韓国W杯の後、私はある月刊誌に「(サッカーの)ユニフォームを引っ張るな!」と投稿し掲載された。次はその要約である。
《相手のユニフォームを引っ張り、引き倒す「反則」を封じる提案をする。(1)水泳選手のように身体にぴったりのものにし、掴めないようにする。(2)滑りやすい生地を採用。(3)吸湿・通気・伸縮性の機能性を重視。(4)親指と他の4本の二股手袋の着用を義務付ける(GK以外)》
私の投稿の一部が実現しているのでうれしい(「二股手袋」は未採用)。ところが、掴みにくくなったので、腕を相手の身体や腕に絡ませ抱きかかえるような反則が増え今回は厳しく判定されている。
(3)大半の監督が立派なスーツ(背広)を身につけて颯爽としている。気温30度、湿度50〜90%の高温多湿のピッチで、大声を張り上げ選手を叱咤激励する。試合後の祝勝会の服装と兼用か。ご苦労様だ。(笑)。
思い出すのは前回の南アフリカ大会の岡ちゃん(岡田武史日本代表監督)だ。紺色のジャージ姿はジュニアチームのコーチのようだった。また、私が大好きな仲間由紀恵による「ごくせん」の山口久美子先生と同じ(笑)。正直、監督の服装はジャージで機能は十分である。
(4)ブラジルやコロンビアの応援席の「サッカー女子」の迫力には日本女子は全然勝てない。胸とヒップの張りが段違いだ。日本ではBMI=18.0・・・などと、誤ったダイエット(痩せ)信仰を捨て去るべきではないか(私の「持論」です)。
(5)W杯というのは、世界の国の選手が所属する欧州各国プロサッカーリーグの選手たちを、(簡単に言えば)世界の国別に組み替え戦う大会とも言える。第3戦の日本の先発レギュラー11人の内でも7人が欧州組だ。ほとんどの選手たちが旧知・顔見知りなのだ。
(6)ブラジルのFWネイマール(22歳)が予想どおりの大活躍である。予選リーグですでに4得点。ところが、ブラジル代表には日系人の選手がいない。移民100年余、国内に日系人が約160万人も住んでいるというのに、不思議だ。やはり、日本人はサッカーに不向きなのか。
1914(大正3)年、長崎の実家の分家・馬場直・コハル夫妻(医師・助産婦)がブラジルへ移住した。サンパウロの奥地モツーカ駅・グァタパラにブラジル3大日本植民地の一つ「東京植民地」を創設した(1915)。100年後、その末裔らは今ブラジルの各分野で活躍している。
ある日系人関係者によれば「日系人はサッカーにはあまり熱中しない傾向です。他の職業に就く人が多い・・・」と。公務員、大学等教育関係、製造業技師、実業家など、花形の選手ではなく地味な普通の職業である。
(7)今回の公式球はどこで製造?フリーキックの曲がりが悪いような気がした。本田や遠藤ら日本選手は1本も決められず、アシストにもならなかった。(注:公式球「ブラズーカ」はアディダス社と日本のモルテン社との共同開発。パキスタンのシアールコートの工場で製造された。大会では約3000個使用予定)
(8)試合開始にあたり両国の国歌が流れ、役員・監督・選手・観客も歌う。日本人はおとなしい。大半が「口ずさむ」歌い方である。一方、他国の選手らは口を大きく開き大きな声で真剣に歌っている。やる気が違う。他国の国家と「君が代」とは歌の成り立ちが異なるが、戦いの冒頭でぐいと押し込まれている感じがするのだ。(「君が代」は戦いの歌ではない)
(9)ブラジル対クロアチアのゲームの主審を務めた西村雄一氏が、クロアチアの選手にペナルティキック(PK)を言い渡した。クロアチアの選手らは猛烈に抗議したが、西村主審は受け付けない。当然のこと。
ところが、じつは、西村氏は南アフリカ大会の準々決勝、ブラジル:オランダ戦の主審だったが、ブラジルの選手をレッドカードで退場処分としていた。ブラジルは敗退した。
まさか、その埋め合わせではないと思うが・・・。「ブラジルのマン・オブ・ザ・マッチ(MOM)はネイマールなのか?それとも(Nishimura)審判なのか・・・」とリネカー(英)談。何とも微妙な論評である。
(10)ブラジルの有力紙「フォーリャ・デ・サンパウロ」(電子版6/15)は「日本のサポーター(観客)は6/14北東部レシフェの試合終了後にゴミ拾いを始めた」と絶賛。もちろん、いいことだ。しかし、W杯はゴミ拾い競技ではない。スタンドではなくピッチで勝ちを拾ってほしかった。
さあ、6/29(日)01:00(日本時間)から決勝トーナメントが始まる。まず、ブラジル:チリ戦だ。国の名誉をかけた戦いと選手の最高のプレーを観たい。もうしばらくの間、昼間が眠くなる。(2014/6/27)千葉市在住)
(追記)
ここで「おまけ」。友人のM君からのメールを了解の上抜粋・転載する。《・・・結論:日本がW-cupで優勝するためには、日本からプロ野球をなくすことです。20年前にやっていたら、ダルビッシュ、田中マー君、イチロー、坂本、長野、菅野、マエケン、大瀬良、則本、大谷、藤浪たちは今頃W-cupで大活躍していたはずだ。以上、ボクのW-cup日本必勝ヤケクソ分析でした》。(転載、終わり)
そう、たとえば、DFダルビッシュや大谷の身体能力(速さ・強さ・高さ)は吉田(DF)を超えている。FWイチローの速さと動体視力は岡崎(FW)を凌ぐ。田中マー君・マエケン・坂本らは本田(MF・FW)より当たりの強いMFになる素質がある。
「夢のイレブン」誕生だったか(ため息!)。う〜〜ん、でも、M君、残念ながら、これは絵空事・妄想にすぎないのだ。今回のW杯1次リーグ完敗により、現実には、サッカー人気が低落し、プロ野球へ大きく流れていくであろう。
最後に、M君へお願いする。私が贔屓するカープのマエケンをサッカー界へ引き抜くことだけはやめてくれないか(笑)(了)