2014年06月29日

◆ブラジルW杯「雑感」

馬場 伯明


日本代表のブラジルW杯は終わった。1次リーグは、0勝2敗1分のCグループ4位(最下位)となり惨敗であった。

日本代表の敗因の論評はサッカーの専門家や物好きにお任せしたい。しかし、W杯の決勝トーナメントは6/29(日)01:00(日本時間)から16チーム8試合が始まる。TV鑑賞の楽しみは、まだまだ、続く。

私は長崎県立国見高校OBの大久保嘉人(川崎)の日本代表入りを喜び、活躍を期待した。だが、能力を十分に発揮することはできなかった。他の選手と適合する練習時間が明らかに不足した。残念である。

さて、本稿は、これまでのブラジルW杯を少し斜めから見た感想を記したもの。まあ、野次馬の「雑感」である。

(1)W杯にはアフリカの黒人系や中南米の選手が多く活躍している。全選手の半分くらいか。欧州選手では、イングランド(5人)をはじめ、スペイン、イタリア、ポルトガル(この4国は予選敗退)。さらに、フランス、ドイツなどにも有力選手が多い。

アフリカ系選手は上背が高く優れた走力や跳躍力を有する。中南米系選手は体幹が強く俊敏である。サッカーが国の最大のスポーツというか、「スポーツは『サッカー』しかない」からでもある。

(2)サッカーのユニフォームが昔の「ダブダブ型」からすっかり「ぴったり型」に代わった。伸縮性のある生地で体にぴったりくっ付いている。

2002年の日本韓国W杯の後、私はある月刊誌に「(サッカーの)ユニフォームを引っ張るな!」と投稿し掲載された。次はその要約である。

《相手のユニフォームを引っ張り、引き倒す「反則」を封じる提案をする。(1)水泳選手のように身体にぴったりのものにし、掴めないようにする。(2)滑りやすい生地を採用。(3)吸湿・通気・伸縮性の機能性を重視。(4)親指と他の4本の二股手袋の着用を義務付ける(GK以外)》

私の投稿の一部が実現しているのでうれしい(「二股手袋」は未採用)。ところが、掴みにくくなったので、腕を相手の身体や腕に絡ませ抱きかかえるような反則が増え今回は厳しく判定されている。

(3)大半の監督が立派なスーツ(背広)を身につけて颯爽としている。気温30度、湿度50〜90%の高温多湿のピッチで、大声を張り上げ選手を叱咤激励する。試合後の祝勝会の服装と兼用か。ご苦労様だ。(笑)。

思い出すのは前回の南アフリカ大会の岡ちゃん(岡田武史日本代表監督)だ。紺色のジャージ姿はジュニアチームのコーチのようだった。また、私が大好きな仲間由紀恵による「ごくせん」の山口久美子先生と同じ(笑)。正直、監督の服装はジャージで機能は十分である。

(4)ブラジルやコロンビアの応援席の「サッカー女子」の迫力には日本女子は全然勝てない。胸とヒップの張りが段違いだ。日本ではBMI=18.0・・・などと、誤ったダイエット(痩せ)信仰を捨て去るべきではないか(私の「持論」です)。

(5)W杯というのは、世界の国の選手が所属する欧州各国プロサッカーリーグの選手たちを、(簡単に言えば)世界の国別に組み替え戦う大会とも言える。第3戦の日本の先発レギュラー11人の内でも7人が欧州組だ。ほとんどの選手たちが旧知・顔見知りなのだ。

(6)ブラジルのFWネイマール(22歳)が予想どおりの大活躍である。予選リーグですでに4得点。ところが、ブラジル代表には日系人の選手がいない。移民100年余、国内に日系人が約160万人も住んでいるというのに、不思議だ。やはり、日本人はサッカーに不向きなのか。

1914(大正3)年、長崎の実家の分家・馬場直・コハル夫妻(医師・助産婦)がブラジルへ移住した。サンパウロの奥地モツーカ駅・グァタパラにブラジル3大日本植民地の一つ「東京植民地」を創設した(1915)。100年後、その末裔らは今ブラジルの各分野で活躍している。

ある日系人関係者によれば「日系人はサッカーにはあまり熱中しない傾向です。他の職業に就く人が多い・・・」と。公務員、大学等教育関係、製造業技師、実業家など、花形の選手ではなく地味な普通の職業である。

(7)今回の公式球はどこで製造?フリーキックの曲がりが悪いような気がした。本田や遠藤ら日本選手は1本も決められず、アシストにもならなかった。(注:公式球「ブラズーカ」はアディダス社と日本のモルテン社との共同開発。パキスタンのシアールコートの工場で製造された。大会では約3000個使用予定)

(8)試合開始にあたり両国の国歌が流れ、役員・監督・選手・観客も歌う。日本人はおとなしい。大半が「口ずさむ」歌い方である。一方、他国の選手らは口を大きく開き大きな声で真剣に歌っている。やる気が違う。他国の国家と「君が代」とは歌の成り立ちが異なるが、戦いの冒頭でぐいと押し込まれている感じがするのだ。(「君が代」は戦いの歌ではない)

(9)ブラジル対クロアチアのゲームの主審を務めた西村雄一氏が、クロアチアの選手にペナルティキック(PK)を言い渡した。クロアチアの選手らは猛烈に抗議したが、西村主審は受け付けない。当然のこと。

ところが、じつは、西村氏は南アフリカ大会の準々決勝、ブラジル:オランダ戦の主審だったが、ブラジルの選手をレッドカードで退場処分としていた。ブラジルは敗退した。

まさか、その埋め合わせではないと思うが・・・。「ブラジルのマン・オブ・ザ・マッチ(MOM)はネイマールなのか?それとも(Nishimura)審判なのか・・・」とリネカー(英)談。何とも微妙な論評である。

(10)ブラジルの有力紙「フォーリャ・デ・サンパウロ」(電子版6/15)は「日本のサポーター(観客)は6/14北東部レシフェの試合終了後にゴミ拾いを始めた」と絶賛。もちろん、いいことだ。しかし、W杯はゴミ拾い競技ではない。スタンドではなくピッチで勝ちを拾ってほしかった。

さあ、6/29(日)01:00(日本時間)から決勝トーナメントが始まる。まず、ブラジル:チリ戦だ。国の名誉をかけた戦いと選手の最高のプレーを観たい。もうしばらくの間、昼間が眠くなる。(2014/6/27)千葉市在住)

(追記)

ここで「おまけ」。友人のM君からのメールを了解の上抜粋・転載する。《・・・結論:日本がW-cupで優勝するためには、日本からプロ野球をなくすことです。20年前にやっていたら、ダルビッシュ、田中マー君、イチロー、坂本、長野、菅野、マエケン、大瀬良、則本、大谷、藤浪たちは今頃W-cupで大活躍していたはずだ。以上、ボクのW-cup日本必勝ヤケクソ分析でした》。(転載、終わり)

そう、たとえば、DFダルビッシュや大谷の身体能力(速さ・強さ・高さ)は吉田(DF)を超えている。FWイチローの速さと動体視力は岡崎(FW)を凌ぐ。田中マー君・マエケン・坂本らは本田(MF・FW)より当たりの強いMFになる素質がある。

「夢のイレブン」誕生だったか(ため息!)。う〜〜ん、でも、M君、残念ながら、これは絵空事・妄想にすぎないのだ。今回のW杯1次リーグ完敗により、現実には、サッカー人気が低落し、プロ野球へ大きく流れていくであろう。

最後に、M君へお願いする。私が贔屓するカープのマエケンをサッカー界へ引き抜くことだけはやめてくれないか(笑)(了)


◆「適応問題兵」2割…朴政権に衝撃

櫻井 紀雄


韓国対北戦線異常あり 

北朝鮮と対峙(たいじ)する韓国北東部の前線部隊で兵長(22)が銃を乱射し、計14人が死傷した事件は、朴槿恵(パク・クネ)政権の新たな火種となっている。

1人の制圧に43時間かかり、後手後手に回った対応が非難を浴びた。いじめが原因の可能性があり、兵長同様、軍務への適応問題で注意が必要な兵士が約2割に上ることも判明。少子化の中、徴兵制で対北戦線を維持しなければならない韓国に重い課題を突き付けている。

「いたずらでカエルは死ぬ」22歳が募らせた恨み

「いたずらで投げた石に当たってカエルは死んでしまう。虫を踏めばどれだけ痛いか」「誰もが自分のようならつらいだろう」

複数の韓国紙によると、事件を起こした兵長は23日午後、逃げ込んだ山中を兵士が取り囲み、父親(64)らが「お願いだ。自首しろ」と投降を呼び掛ける中、ペンと紙を要求。こう“遺書”を記すと、小銃で自らの左胸上部を撃って自殺を図った。

カエルや虫に自分をなぞらえ、部隊内での苦境や同僚らへの恨みを吐露した可能性がある。

投降の勧めに「俺は大変なことをしでかした。投降したら死刑になるんじゃないか」とも口走っていたという。

兵長は病院に運ばれ、緊急手術で一命は取り留めたが、「思い出せない」と話すだけで動機などの供述を拒んでいるという。

北方向は北朝鮮の山岳地帯、東は日本海に面する江原道(カンウォンド)高城(コソン)郡にある陸軍22師団の部隊で、21日夜の勤務交代時に事件は起きた。

 「忘れ物を取りにいってくる」

兵長はこういって同僚らから少し離れると、突然、手榴弾(しゅりゅうだん)を投げ付け、小銃を発砲。5人が死亡し、7人が負傷した。やみくもに撃ったのではなく、逃げる兵士に照準を合わせて狙撃したとみられ、計画性も指摘されている。

“影武者”で報道陣撹乱、住民ら置き去り

軍の不手際も次々明るみに出た。

負傷者らに気を取られ、兵長を取り逃がしただけでなく、最高レベルの非常態勢「珍島(チンド)犬1」を発令したのは、逃走から約2時間後。連携すべき警察にも伝えず、警察はテレビニュースで事態を知ったという。

翌22日午後に約10キロ離れた林の中で兵長を発見。銃撃戦となり、将校1人が負傷したが、他の兵士らが見捨てて退避したとの目撃証言もあった。捜索部隊の一部には小銃だけを持たせ、実弾を支給しなかったともいわれる。

付近の住民らを小学校に避難させたのは、事件発生から1日たった22日夕になってから。23日朝には、兵長を包囲していたところから遠く離れた場所で、部隊員同士の誤射でさらに1人が負傷した。

兵長を確保後にも“不祥事”は起きた。

兵長を病院に搬送する際、全身を毛布にくるんだ代役を仕立て、この代役を報道陣が待ち構える病院正面から搬送しているすきにひそかに兵長を運び入れた。

国防省は「病院側から要請された」と主張。病院が否定すると、搬送業者から頼まれたと説明を変えたが、業者からも要請がなかったことが分かり、メディアの怒りの火に油を注いだ。

昨秋まで特別管理対象、高校時代からいじめ

事件後、最も問題視されたのは、兵長が昨年11月まで軍生活に適応できず、事件や自殺を起こす恐れがある「関心兵士」のうち、特別管理対象となるA級の判定を受けていたことだ。A級は前線には配置されない。

11月の検査でやや改善したとして、重点管理対象のB級とみなされ、前線に投入されていた。

家族ら関係者がメディアに語ったところによると、兵長は小さいころからインターネットに没頭し、内向的な性格もあって高校時代にも対人関係をうまく築けず、いじめに苦しんで中退。高校卒業程度認定試験を受け、大学に進学したが、ほとんど出席しなかったという。

兵役から休暇で帰省したときも「やせこけ、部隊員との関係がうまくいかなかったようだ」と家族は語った。部隊員からも「仲間外れにされていた」「後輩から認めてもらえなかった」といった証言が出た。

3カ月後には除隊を控えていたにもかかわらず、乱射事件に走った背景には、相当の鬱屈(うっくつ)した感情があったとみられる。

国防相を兼務する金寛鎮(キム・グァンジン)国家安保室長は25日、国会国防委員会で、事件について「軍隊内に集団いじめが存在することを示すものだ」と述べた。

人事空転、セウォル号の二の舞

2005年にも京畿(キョンギ)道の前線部隊で兵士が銃を乱射し、8人が死亡。11年には、北西部の江華島(カンファド)の海兵隊施設で兵士が乱射事件を起こし、上官4人が死亡した。

ただ、この2件は軍施設外まで影響が及ぶことはなく、今回の深刻さが浮き上がる。

ただ、今回、事件を起こした兵長だけが特別な境遇に置かれているわけでもない。

国防省によると、兵長が所属した22師団では、約800人が「関心兵士」としてA、B級判定を受けていた。主に新兵が対象のC級(基本管理対象)を合わせると、部隊の約2割が関心兵士に分類されていた。陸軍全体でもおおむねこの割合だという。

背景に、少子化による兵力不足が指摘されている。一人っ子が多くなり、集団生活になじみにくい世代が増えていることもあるようだ。

左派の盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代に兵役期間が24カ月から18カ月に短縮された影響も指摘される。その後、21カ月までやや戻されたが、兵力は減少の一途だ。

特に22師団は対北前線に加え、長大な日本海沿岸も受け持たなければならず、他の部隊に比べ、負担が大きかったともいわれる。12年には、鉄柵を切断して越境した北朝鮮兵士が自ら師団の兵舎の扉をノックして亡命を求めるまで気づかないという不祥事も起きた。

しかも今回の事件は、旅客船セウォル号沈没事故以降の政権人事の空転により、新国防相が未承認で、前国防相が安保室長と兼務するトップの「空白」時に発生した。

朴槿恵大統領自身、中央アジア歴訪を終え、機上にあり、事件報告が遅れた。それだけに対応のまずさが相次ぎ露呈した「セウォル号事故の二の舞だ」との非難が噴出した。

かといって「関心兵士」の処遇問題を即座に解決する妙案があるわけでもなく、関心兵士という「いつ爆発するかわからない時限爆弾を抱えている」と悲嘆する声も上がっている。  産経【海外事件簿】2014.6.28

2014年06月28日

◆偽装移民法案が国会で成立した!

池田 元彦


先に多文化共生というお花畑感覚で安易に取り入れた大量移民が、如何に各国社会・文化を破壊しつつあるか、現在の欧州事例を挙げて説明した。が、それを知りながら国会議員は6月11日国会で「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律」を成立させた。

独逸メルケル首相が「移民政策は完全に失敗だった」、英国キャメロン首相が「移民受け入れという慈善は止めた」、サルコジ・フランス大統領が「移民の流入をこのままにして置く訳には行かない」と告白した、やり直しの効かない愚策を、日本も採用したという事だ。

4月20日関西の有名TV番組で、安倍首相は明確に反対を表明していた。が、3月11日に既に閣議決定、内閣提出法案として5月29日たった1日の審議で、衆議院法務委員会全会一致で採決、31日衆議院、6月11日参議院で可決し、国民のへの周知もなく成立した。

事実上移民法案だが、民主党の子ども手当政策以上の反日法案であり、偽装移民法と断定すべき、とんでもない法律だ。形式上は昭和26年成立の同名の法改正だが、実質的には、日本を移民で溢れ返させる毎年20万人、50年で1千万人移民案の具体化に過ぎない。

不思議なことに、NHK、朝日新聞を始めマスコミは一切口を噤んで、法案審議状況も、成立についても、殆ど国民に報道していない。反日派は都合が悪い話は、デマや大袈裟な表現で大反対報道を常とするのに、一切触れないのは、将に反日政策の実現だからだ。

主な改訂部分は、政府指定の「高度人材外国人」が、3年間の日本滞在で、無期限の永住が可能となり、欧州の失策を敢えて踏襲している。「永住許可取得後に両親や家事使用人の帯同が認められ」、「子供の養育名目で帯同出来る両親と子供が、本当の両親や子供では無くとも良い」という民主党以下左翼政党が随喜の涙を流す程の、本末転倒の悪法だ。

1人の高度人材外国人が日本移住認可を得ると、本人が招聘する家族以外の、例えば家政婦、両親名目で誰でも移民出来るのだ。一応高度人材の確保としながら、国会答弁では福島復興、東京五輪で、単純労働者も必要だと好い加減なことを谷垣法相は答弁している。

移民=国籍付与でないと、小池百合子自民党国際人材議員連盟会長は嘯くが、永住権を得た移民が、権利として地方参政権を要求し、彼らに賛同する政党を支援、立上げ、権利獲得に邁進するのは欧州の例で判りきったことだ。在日と民主党の繋がりを見れば判る。

「中東産油国の多くの出稼ぎは、仕事が終われば自国に帰る。」と小池は誤解させるが、アラブ首長国連邦(=UAE)では、単身のみ、家族連居住は不可、長期在住しても国籍取得は非常に困難、失業者は強制送還等、外国人在留者は厳格に管理されて、永住等出来ない。

日本帰化の資格要件は、在留資格をもって基本5年以上居住、生活能力がある素行善良な20歳以上で犯罪歴なく、日本国憲法・法令を遵守することだ。今後は欧米同様に、日本語、文化、社会への理解度審査、更には、天皇、日本国旗、国歌への誓約も必須だ。

中国から帰化した石平拓殖大客員教授は、自身の帰化審査において、日本国への忠誠宣誓がなくて拍子抜けしたと言う程、日本は移民問題の本質に無防備だ。重ねて言うが、人種差別ではない。日本が好きな善良外国人は歓迎、反日日本人は早く国外移籍してくれ。

◆朝日新聞の「断定」に根拠が見えない

阿比留 瑠比


河野談話検証は「産経報道を否定」とは 

平成5年の河野洋平官房長官談話の作成経緯に関し、政府の有識者チームによる検証結果が今月20日に公表されると、朝日新聞は翌21日付朝刊(東京本社14版)で産経新聞の慰安婦問題に関する報道が「否定された」と断じた。だが、有識者チームのメンバーの現代史家、秦郁彦氏は「それは直接関係ない話だ」と明言する。検証は産経記事を否定したといえるのか−。

記者の個人名ではなく、「河野談話取材班」と記されたくだんの朝日3面の記事「文書巡る調整・慰安婦証言調査せず 正当性損なわぬと結論」は、2カ所で産経記事を取り上げており、まずこう書いている。

「『すり合わせ』について産経は今年1月1日、今回公表されたものと同様の内容を報じた上で『韓国の指摘に沿って談話を修正していた。談話の欺瞞(ぎまん)性を露呈した』と報道。2月20日の衆院予算委員会に石原信雄氏が出席することにつながった」

これは特に問題はない。ポイントは政府が韓国で5年7月26日から30日まで実施した元慰安婦16人への聞き取り調査に関する部分だ。朝日は、「(検証は)加えて『聞き取り調査終了前に談話の原案が作成されていた』として、談話づくりに決定的な影響は与えなかった」と書いた上で、次のように指摘した。

「産経は昨年10月16日、16人の証言を報じ『氏名や生年すら不正確な例もあり、歴史資料として通用しない。河野談話の正当性は根底から崩れたといえる』としたが否定された」

朝日は何をもって「否定された」と断じたのだろうか。有識者チームの検証は、産経が報じた「氏名や年齢すら不正確」という事実を一切否定していないし、報告書も「事後の裏付け調査や他の証言との比較は行われなかった」と書いている。朝日の書きぶりは誤解を招かないか。

朝日は、聞き取り調査の前にすでに河野談話の原案ができていたことから、聞き取り調査内容がずさんであっても河野談話の正当性は損なわれないと言いたいようだが、そうだとしてもこの書き方は問題がある。

報告書は、聞き取り調査終了後の7月31日に韓国側から河野談話の文言に関する最初のコメントがあったことを指摘し、「文言の調整は、談話発表の前日となる8月3日までの間、集中的に実施」「『強制性』にかかる表現について、最後まで調整」とも記す。

つまり、原案は聞き取り調査前にできていても、実際に表現や語句すり合わせが本格化したのは聞き取り調査のあとなのである。

第一、朝日自体が9年3月31日付朝刊1面の河野氏へのインタビューをもとにした記事「強制性の認定は正当 証言も重視し総合判断」で、こうはっきり書いているではないか。

「朝日の記事も否定された」または「河野氏の証言は間違いだった」と併記すべき

「(河野氏は)募集の『強制性』については、日本政府が聞き取り調査した韓国人の元従軍慰安婦16人の証言が主な根拠になっていることを明らかにした」

産経の記事が否定されたと言いたいのなら、同時に「朝日の記事も否定された」または「河野氏の証言は間違いだった」と併記すべきだろう。

ちなみに河野氏は読売新聞の24年10月18日付朝刊記事でも、聞き取り調査について「『強制性』を認めるべき内容だと判断しました」と述べている。朝日は何が言いた

◆ロシアが再びベトナムに本格登場

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
 

<平成26(2014)年6月27日(金曜日)通巻第4282号 
<前日発行>

 〜「南シナ海の危機は商機」。ロシアが再びベトナムに本格登場
    カムラン湾にロシア艦船寄港、最新鋭の潜水艦供与を話し合う〜

ロシア艦船がベトナムのカムラン湾に寄港した。

複数の西側メディアと華僑系メディアが報じている。「失地回復を狙うロシアは武器供与拡大をテコに再び東南アジアでの重要な役割を担おうとしている」。

「領海争端不息 中美我巻入南海旋渦」と『半月文摘』(6月25日号)も書いた。

在米華僑の有力紙『多維新聞』は「ロシアの狙いはベトナムをテコに南シナ海における中国の軍略『速戦速決』(速攻で早期の勝利)を覆すことである」(同誌6月23日号)と分析した。

またベトナム国営石油(ペトロペトナム)は、ロシアの石油開発企業(ロスネフチ)との間に何本かの契約をかわし、とくに富慶盆地125号と126号の共同開発プロジェクトに署名したとし、ロシア艦船3隻のカムラン湾寄港は6月20日だったという。

ことほど左様にロシアの巻き返しが顕著であるうえ、ベトナムが米国の武器支援を促し、日本のてこ入れも促そうという計算づくの魂胆も同時に見て取れる。米国はベトナムへの武器援助再開になお慎重である。

これらの推測の根拠は2013年2月に公表されたロシアの「外交政策構想」で、「2020年までにロシアは新型空母の寄港地を必要とする」と謳っているからだ。

「その最適地はベトナムのカムラン湾であり、この引き替えにロシアはキロ級の最新鋭潜水艦をベトナムに供与するだろう」と西側の軍事筋もみているようである。

プーチン大統領はすでに3回、ベトナムを訪問しており、最新は2013年11月12日のことだった。チアン・タン・ソン大頭領と抱き合って「友好」を演出した。
 
中国のベトナム領海における海洋リグ建設やパラセル諸島侵略、フィリピンのスカボロー礁占有などを横目に米中の外交的な確執をロシアはひややかにみてきた。

しかし将来の軍事バランスを見越して、このあたりからベトナムへの梃子入れが有利でありながらも、いまロシアがかかえるウクライナ、クリミア問題で中国の支援の必要があって、目前の領海問題への介入を見送ってきた。


▲狐と狸、いや狼と虎の殺伐とした関係が露呈

だが状況は激変した。

フィリピンが国際法違反と中国を提訴し、ベトナムは激しく中国を攻撃し、海洋ルールと航海の自由の鉄則を前にして米国はベトナムとフィリピンへ肩入れし、日本と豪もアセアン支援を鮮明にする。

むしろ中国が四面楚歌の状態となった。

ここでベトナムをロシアが支援しても国際的な批判はおこらないだろうとプーチンはしたたかに計算したわけである。まさに狐と狸ではなく、狼と虎だ。

「中ロ同盟」なるものは強固に結ばれた時期と、脆弱に崩れる時期とが交錯しており、1949年から1970年までは中ソ同盟が堅実、とりわけ中ソ対立が表面化する60年代央まで中ソ関係は蜜月と見られていた。

1972年に米国が中国と関係を回復し、79年に米中が国交を回復するや、ソ連は立場を失い、アフガニスタンに深入りしてしまった後は、むしろ中国が米国寄りとなってソ連が孤立し、89年のソ連崩壊へと到る。

以後、4半世紀近くの歳月が流れ、中ロ関係はふたたび蜜月を迎えているかに見えるが、ガス、原油をめぐる資源供給が両国の利害に一致するだけの関係であり、しかもウクライナ問題を抱えて孤立をふかめたロシアを中国は協力関係強化と謳って同盟再構築をはかったにすぎない。この中ロ同盟はまもなく蜜月を終えるだろう。

中国の西砂、南砂海域における強圧的な資源開発は当該海域に300億トンから700億トンの石油とガスが埋蔵されていると推量されているからである。

第一列島線、九段線という中国の一方的な地図への線引きは軍事戦略をからめての資源確保戦略に結びついている。

ベトナムは当該海域にすでに1380ヶ所に油田井戸を掘って、その石油生産はベトナムGDPの30%をしめるに到っている。

     

2014年06月27日

◆「核」が日中開戦を抑止する(44)

平井 修一


伊藤岳氏(慶應義塾大学)の論考『核の脅威への我が国の対応―「核のある世界」と「核のない世界」の狭間の抑止力』から。この論考は防衛省のアーカイブにあった。
・・・

日本が中国から受ける脅威について考えてみよう。

急速な経済発展を背景に進む中国軍の核戦力を含む軍拡と近代化は、日本の安全保障とって大きな潜在的脅威となる。大規模な侵攻の蓋然性は低下しているとはいえ、中国の核戦力の伸張が米中や東アジアの勢力均衡を崩し、東アジアの安全保障環境を不安定化させる可能性や、米国の「核の傘」の信頼性低下を招く可能性は否定できない。

通常戦力のバランスも中国に傾きつつある中、日本が中国から受ける脅威に対処するため、また東アジアの安全保障環境を不安定化させないためには、米国の「核の傘」を含む拡大抑止力の役割は不可欠といえる。

以上を踏まえると、日本の安全保障において核兵器の「代替不可能な役割」(平井:核に対抗するには核しかない)は、中国の台頭に対する安定化措置という役割に限定できる。オバマ大統領もプラハ演説で、核が存在する限り「安全で効果的な核抑止力を維持する」と明言しており、この役割は確保される可能性が高い。

注意すべきは、「核兵器の代替不可能な役割」が上記の点(平井:中朝への抑止力)に限定できるといっても、それは日本の安全保障に必要な抑止力の縮小を意味しない点にある。核兵器の役割を「代替不可能な役割」に限定するにしても、現在「核の傘」が担う(/に期待されている)それ以外の抑止力は別の手段で補完・代替しなければならない。

・抑止力の再編:【多元化】【可視化】【安定化】

では、日本はどのような具体的な取組を通じて抑止力を再編すればよいのか。必要な取組は以下の3つに集約できる。

1つ目は【抑止力の多元化】である。抑止力の多元化とは、核兵器のみに頼らない、通常兵器などの役割を有機的に取り込んだ抑止力を指す。具体的には、「核の傘」「通常戦力」「拒否的抑止力」の3つを有機的に組み合わせ、総合的な抑止力を構築することを意味する。

この中で核兵器の役割は上記の役割(平井:対中朝抑止力)に限定し、特に対北朝鮮抑止については、米軍の駐留継続を前提に自衛隊の装備更新による通常戦力の維持・強化や、ミサイル防衛の整備を通した拒否的抑止力の強化などを通し、「核の傘」のみに頼らない形で再構築する。

次に必要なのは【抑止力の可視化】である。仮に米国の核兵器が大幅に削減された場合、核戦力が低下した米国が、引き続き日本の安全保障にコミットするのかといった疑念が生じる可能性が高い。このような疑念が顕在化すると、日本国内で「米国に見捨てられる」不安が高まり、外交・安全保障政策の運営に悪影響を及ぼす可能性が高い。

また、諸外国が日米同盟の信頼性が疑わしいと考えれば、東アジア情勢の不安定化につながる可能性もある。

このような不安や悪影響を生じさせないためには、米軍の東アジア地域への駐留継続と通常戦力の強化、米国による最小限の第二撃能力(平井:核による報復攻撃能力)の堅持、核の使用条件を含む抑止戦略の日米間での共有と明確化を進め、日米同盟単位の抑止力の【可視化】、信頼性向上を進めることが不可欠になる。

【多元化】と【可視化】に加えて、【安定化】に向けた措置も抑止力の再編には不可欠となる。

抑止力の再編、特に【抑止力の可視化】は諸外国の過剰反応や軍拡といった意図せざる結果を招く可能性と表裏一体である(安全保障のジレンマ)。この可能性を低減するために、【安定化】に向けた措置が不可欠になる。

具体的には、安全保障のジレンマ防止のための東アジア域内での信頼醸成措置や対話推進の取組を、抑止力の再編と同時に推進することが求められる。【多元化】が抑止力の再編そのものに向けた取組とするならば、【可視化】と【安定化】は再編から生じる不安に対処する取組といえる。

・おわりに:「核のある世界」と「核のない世界」の狭間で

核兵器の「代替不可能な役割」は確保するという前提の下、以上の取組を通じて安全保障に不可欠な抑止力を堅持しつつ核兵器の役割を低減し、核兵器削減の素地を醸成することが、核兵器削減・廃絶の機運が高まる中で日本に求められる。

このような抑止力の再編は抑止力の堅持という【現実主義】の要請に応えつつ、「核のない世界」という【理想主義】の目標に接近するためには不可欠である。このような取組は「核のある世界」という現実から「核のない世界」という理想への道筋を国際社会に示すという意味でも重要となる。

世界唯一の被爆国としての責務と、「核の傘」への依存という現実の狭間で難しい舵取りを迫られてきた日本にこそ、「核のある世界」という現実から「核のない世界」という理想に向かう道筋を示すことが求められている。(この項おわり)
・・・

この論考の最後は甘すぎる。山本夏彦翁曰く、「一旦できたら、できない昔には帰れない」。現実に核は世界中に1万発以上あり、これがない時代には戻れない。ケータイがない時代に戻れないのと同じだ。

「核のない世界」はあり得ないということ。「核のない世界」は言葉としては美しいが、それは少しも理想ではなく、恐ろしいほどの危険を招くことになる。中共のような共産主義者やアルカイダなどの原理主義者が核を密造し、核を独占したら、彼らが世界を征服することになる。欧米列強が不核なら、この危険を誰も抑止できない。

リアリズムで世界を見れば、軍事力のバランスがとれていることが相互の抑止力になる。バランスを失ったり、軍事力の空白が生じたりすると、南シナ海での中共のように力づくで押し出してくる。米軍が撤退したイラクは今、草刈り場になっている。

中共の核には、ほとんど当てにはできない米国の核で対抗するのではなく、日本の核でバランスをとらなければならない。理想や平和をいくら唱えても抑止力にはならない。日中激突に備えて軍事力を高め、核武装することが唯一の平和への道である。善意を信じてはいけない、悪意を見抜くのだ。そう、「世界は腹黒い」のだから。(2014/6/26)

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傘U

◆焦る習氏、強硬姿勢を転換

矢板 明夫


「日米分断」失敗 焦る習氏、強硬姿勢を転換 太田氏ら要人の訪中活発化

【北京=矢板明夫】一昨年秋の尖閣諸島(沖縄県石垣市)国有化を受けて、1年半以上中断していた日中間の要人往来が、再び活発化し始めた。

高村正彦自民党副総裁や、吉田忠智社民党党首らが相次いで北京を訪れたほか、26日からは太田昭宏国土交通相が訪中し、複数の閣僚と会談する予定だ。

この時期に一連の日中対話が実現した背景には、日米分断を狙った習近平国家主席主導の外交が失敗に終わり、軌道修正を余儀なくされた中国側の事情があるようだ。

日中関係筋によると、太田氏は楊伝堂交通運輸相らとの間で、海難共同救助のほか、尖閣周辺海域に頻繁に侵入する中国公船に関し交渉する可能性もあるという。「今回の対話は結果が伴わなくても大きな意味がある」(同筋)とされる。

安倍晋三政権による対話呼びかけを拒否し続けてきた中国側が態度を軟化させたのは5月に入ってから。

中国外交関係者はその理由について、オバマ米大統領が4月末に訪日し、「尖閣諸島が日米安全保障条約の適用対象である」と米大統領として初めて明言したことが大きいと解説する。

同関係者によると、習主席ら対日強硬派はオバマ発言に大きな衝撃を受けたという。習政権がそれまで、歴史問題などでの“対日共闘”を米国に呼びかけるなど、大きな外交課題として取り組んできた「日米分断」が奏功しなかったことが明らかになったためだ。

これ以上、日本に高圧的な態度を取り続けると、東シナ海で米軍と直接対決する場面が増える恐れがあり、中国共産党内の改革派から「早急な対日関係改善」を求める声が高まったという。日本からの投資や技術を熱望する経済界もこれに同調し、大きな圧力となったようだ。

習主席に対し、11月に北京で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際に、安倍首相と会談するよう求める声も党内で大きくなっており、「APECまでに、安倍政権から少しでも譲歩を引き出したい習主席とその周辺は、かなり焦っている」(共産党筋)という。
産経ニュース2014.6.26

◆借金のトータルはGDPの220%

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
 

<平成26(2014)年6月26日(木曜日)通巻第4281号>

 〜中国のシャドーバンキングは500兆円規模の潜在的不良債権
   借金のトータルはGDPの220%、世界最悪とフィナンシャルタイムズ〜

2006年、米国最大の会計監査法人「アーンスト&ヤング」は中国当局に依頼されて、決算報告書などを精査し、「正直」に数字を報告したところ、報告者は隠され、同社は中国から追い出された。これは「事件」である。

アーンストヤングは中国銀行システム全体の不良債権は西側の計算方式で見積もれば、2006年時点で、9110億ドル(93兆円弱)になるだろうと推計したのだ。8年前のことである。

筆者はそのことを何回か拙著などでも報告したが、日本のマスコミは殆ど無視した。

中国にとって「不都合な数字」の公開は「まずい事態」で、なぜなら多くの中国国有企業は決算報告をごまかして、株式を上場する直前だったからだ。

目論見書を提出しバラ色の事業計画を投資家に配布し、巧妙に増資を続けたのが中国の国有企業だった。しかも、その目論見書の計画は殆ど実行されず、集めたカネは「蒸発」した。

西側の多くのエコノミストが警告するように中国の金融システムは崩壊前夜である。

2007年以来、中国のシャドーバンキングが供給した資金はおよそ4兆8000億ドル(500兆円弱)と推計される(フィナンシャルタイムズ、アジアタイムズなどの報道)。この数字は中国のGDPの87%に相当する。

2002年から2007年の5年間でも中国の資金供与は、米国のそれの2倍。 地方政府の「融資平台」が1万社あり、この機関が銀行から借りまくった資金はGDPの31%に達した。

 かくて中国の金融システムが抱える借金はGDPの220%に及んだ。

2014年06月26日

◆「核」が日中開戦を抑止する(43)

平井 修一


(承前)松島悠佐氏の論考「戦争の教科書」から。

             ・・・
今年(2005)は日露戦争終結から100年、大東亜戦争終結から60年の節目の年で、過去の戦争に対する分析や反省などたくさんの企画があり、メディアや有識者が様々な意見を述べていた。

その一般的な傾向は、日露戦争を戦った明治の時代は近代国家建国の間もない時期であったにもかかわらず、政治家、財界人、軍人の戦略的な思考は優れたものがあったとされ、反面、大東亜戦争を戦った昭和の時代には戦略的な思考が欠落していたとの批判が多かった。

勝利した戦争と敗れた戦争を、結果から判断すればそうなるのだろう。

特に、大東亜戦争の責任は軍部の独走にあり、軍が悪かったとの評価も多い。確かにそのような点もあったであろうし、東京から遠く離れた満洲の地で、中央の統制が効かない状態もあっただろう。

だが、それで戦争が起きたという単純な分析で片づけてしまったら、戦争の本質が見えなくなることを危惧する。

日露戦争はイギリスとの同盟を結び、アメリカからの支援を受けながら大国ロシアと戦ったのに対し、太平洋戦争はアメリカ、イギリス両国を相手に戦った戦争だった。軍部が独走する以前に、すでに勝敗を分ける大きな岐路があったのではなかったか。

世界には文明や宗教や民族の違いなど、論理の世界ではどうにもならない対立の根があり、それが数百年のわだかまりとなり因果となって、今日まで尾を引いている。

今、朝鮮半島では北朝鮮による赤化統一の動きが活発であり、金正日は「先軍政治」と称して、軍隊があらゆる改革の魁となるとの思想の下、どんなに国民が飢えようともミサイルや核兵器の開発を止めない。それが半島統一に際してアメリカの介入を思いとどまらせる唯一の方法と考えているからである。

中国は今、13億の民をかかえて国の経済発展に余念がない。近隣の東シナ海、南シナ海をもとより、遠くアフリカ諸国、中南米諸国の資源にまで手を伸ばし、さらに拡大した権益を守るために軍隊の強化も進めている。

アメリカは中国の軍事力の強化は周辺地域の脅威になると批判しているが、中国は、海洋資源を開発し権益を拡大すれば、それを防護する軍事力を強化するのは当然の措置であり、防衛の一環だと主張している。

台湾は10年前から、いわゆる本省人が総統について、中国からの独立気運が強くなってきた。しかし中国は、それは国家分裂を企てる危険な行為と主張し、そのような動きに対しては軍事行動も辞さず阻止する姿勢を強めている。

もしそのような事態になったら、台湾防衛の協定を結んでいるアメリカは事態を見過ごすわけにはいかない。アメリカが台湾独立に介入してくれば、中国はアメリカとの戦争も辞さないとの考えで、ロシアの支援を受けながら軍事力を強化している。この傾向は今後も続き、アメリカの警戒感は増大し、相互の対立は深まると考えられる。

わが国周辺には、ちょっと概観しただけでも戦争になる危険がいっぱいである。仏教国の中国、キリスト教国のアメリカ、儒教国の韓国、そしてそのはざまにある日本が誰とどのように組み、どのように争うのか。単に平和を希求し、軍事力を控え、周囲を刺激しないように配慮するだけでは、この荒波に飲まれてしまうだろう。気がついた時には日本はアメリカか中国の属領になっているかもしれない。

そうならないためには、戦争と軍事の本質をしっかり見つめて、少なくとも周囲の動きに翻弄されないような国家の体制を確立しなければならない。その前提となるのが国家と主権を守るしっかりした軍隊の保持であり、独立主権国家としての外交戦略の確立である。

軍隊が強くなると再び独走して戦争を起こすのではないかと危惧する人たちがいる。それを防ぐのは、軍事に対する政治統制、いわゆる文民統制の確立だが、わが国にはすでにこの考えは根付いている。

ただ惜しむらくは、軍事を統制すべき文民たちに戦争と軍事の常識が欠けていることである。戦争の一面だけしか見ない「担板漢」(たんぱんかん、板をかつぐと片側しか見えないように、物事の一面だけを見て全体を見ることができない人のたとえ)となって、「戦争は悲惨だから起こしてはならない、軍隊がなければ戦争は起きない」との単純な思考を改め、戦争と軍事の本質をしっかり理解したうえで軍を統制できるような文民が必要だと痛感する。

過去の戦争に対する様々な人の意見や主張を見聞しながら、このままでは誤った戦争観を持つことになるのではないかとの思いに駆られて、思いつくままに戦争と軍事の見方を書き連ねてみた。

国の行く末を誤らないために、本書が戦争の本質を理解する一助になれば幸いである。平成17年11月

              ・・・

松島氏の論考紹介はこれで終わりとする。淡々と冷静沈着に書いているが、国防の最前線に立つ兵士の憂国の想いがひしひしと伝わってくる論考だった。氏は現在、シンクタンク「日本戦略研究フォーラム」の監事も務めている。(2014/6/25)



          

◆イラク大混乱の果ては「3分割」?

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
 

<平成26(2014)年6月25日(水曜日)通巻第4280号>

 〜マリキ(イラク政権)を米国が見限るとは言っても、ね。
    イラク大混乱の果ては「3分割」の選択しかないのでは?〜

ケリー国務長官はバグダット入りし、首藤防衛のためにオバマは特殊部隊を送った。だがイラク政府軍の士気は低く、敗色が濃くなって、中国はイラク南部の「安全地帯」からも石油エンジニアの引き上げを開始した。

イランは革命防衛隊をイラクへ派遣すると言いだし、バグダット政権は志願兵をカネで集めた。しかししょせん志願兵は訓練不足。そのうえ武器不足である。

ISISはシリアに投入していた外人部隊をイラクへ転戦させ、まもなく首藤へ大攻勢をかける構えだ。

この時局多難のおりに、オバマ大統領補佐官のライスは「ゲイの権利拡大を世界に広めよう」などと安全保障、国防とは無関係の演説をしている。ライスが国務長官になれなかったのは、この資質である。議会公聴会で指名承認が難しいため、オバマは議会承認の必要がない補佐官ポストを与えたのだから。

さてイラクの構造を複雑に図式化してみせたのは今秋のTIME(2014年6月30日号)。

第一に米国とイランは対立するのにイラク政府防衛では利害が一致している。

第二にシリアのアサドを支持しているのはイランとイラクとシーア派の武装組織であり、そのイランを封じ込めているのが米国と湾岸諸国。

第三にアサド政権を守ろうとしているが湾岸諸国とスンニ派武装組織。シリアに協調的なのがトルコとクルド族で、これら複雑にして輻輳した利害関係が絡み合いながらもISISを駆逐するために共同戦線を張ろうとしているのが米国、イラン、イラク政府とクルドという「野合」の構造である。

やっぱり国際情勢は複雑怪奇。

◆卑:国を売る政治家魂

MoMotarou


私の人生は、この地球上の殆どの人の人生と同じように、第2次世界大戦によって変えられた。 (サッチャー英国首相)

              ★

テレビも新聞もサッカーワールドカップで一杯だ。竹島は何処に、尖閣は。。。
 
政府は河野談話の検証報告をしました。結果、河野氏の独断も入った、とんでもないお話と言う事が判明。しかし政府は見直しをしないとの事。勉強が足らぬ、足らぬ、のお小遣い。「過ちては則ち改むるに憚ること勿れ」は論語の一節。

■司法判断も曲る。

朝鮮総連ビル売却も可笑しなことになってきました。余計な事には余分な意見まで付くスピード判決も、事(こと)政府寄りの判断には遅延妨害が起きる。民主党3年間の反日国の浸透工作には驚くべきものがあります。

■天安門事件1989年6月4日

事件と言うより「大虐殺」が正しい。最近は戦車が人間をひき殺した写真もネットでは見られます。若者が戦車の前に立ち阻止しようとした写真しか見ていなかったので大変ショックでした。

■尖閣諸島近辺

中国の船がサッカーを見ずに、我国の尖閣諸島見学に連日参加。漁に出た我国の漁船団は水産庁の「行政指導」で阻止。裏には公明党創価学会の国土交通大臣の影が。。。 山谷えりこ議員が国交省に問い合わせると、「そんな(漁労を止める)権限は我が省には無い」と知らん顔。

【ch桜 直言極言】戦後レジームが尖閣に襲いかかった瞬間
 http://youtu.be/IYwdGiBnG3k

■小沢失脚の意味するもの。 

1989年天安門大虐殺。 1990年海部内閣、海部首相、対中借款を再開。1991年海部首相訪中。 1992宮沢内閣 天皇皇后両陛下訪中。1993年宮沢内閣「河野談話―慰安婦問題」発表。

海部内閣、宮沢内閣の陰の実力者は自民党小沢一郎氏。民主党政権下では民主党小沢幹事長国会議員百余名を連れて訪中訪韓し実力を誇示しました。それを安倍総理が選挙を通して、小沢を追い込みその太いパイプを遮断しました。小沢一郎こそシナ・コリア・在日のスパイだったのでしょう。

  Jog地球史探訪: 中国の「天皇工作」
  http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogdb_h21/jog628.html
 

2014年06月25日

◆「中国のGDP実態は日本の下位」

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
 

<平成26(2014)年6月24日(火曜日)通巻第4279号> 

〜「中国経済の危機的状況は誤認する筈がない」(クルーグマン)
   「中国のGDP実態はおそらく日本の下位」(バロン誌)〜

「この中国経済の凶兆はもはや誤認される筈がなく、中国は深刻なトラブルのなかにあって、今後予測されるのは『ちょっとした景気後退』ではない。もっと基本的な経済全体、中国のシステムそのものが限界に達していることである。問題はいつおきるか、というよりどの程度ど悪性のものになるかである」とポール・クルーグマン教授(ノーベル経済学賞)は『ニューヨーク・タイムズ』に書いた。

全米の投資家が読む『バロン』に寄稿したベン・リーバイマンは 「中国から煙が匂ってきた。まるで『タワーリング・インフェルノ』だ。倉庫室からおきた出火を軽視して高層ビルでパーティにふけっていたら、ビル全体が燃えていた」。

いまの中国経済はまさしく、この比喩がふさわしい。

バロン誌はつづけてこう書いた。

「おそらく中国のGDPは日本より下位であろう。なぜなら労働者が物品を購買できないではないか。一部の富裕階級は存在しても、9億の民の「ひとりあたりのGDP」はモンゴル、グアテマラ、グルジアのそれと同レベルであり、5億の民のひとりあたりのそれはニカラグラ、ナイジェリア、インドと同レベルではないか」

当面、中国政府は内外に危機の存在を知らしめず、民の不満をそらすため南シナ海や東シナ海で軍事冒険と反日行為をつづけながら暴動を押さえ込み、情報操作を続けていくだろう。

しかし経済成長しているとでっち上げのデータを示し、偽情報を流し続けるだろうが、もはや限界である。

残された方策は人民元の切り下げによる輸出競争力の回復だろうが、もしそれを行うと猛烈なインフレが起きるだろう。だからごまかしを継続する。これまでにもごまかしを続けてきたように。だから次の事態は単なる「悪性」というより歴史上かってないほどの凶兆がみえているわけだ。

中国経済の崩壊は、時間の問題ではなく、クルーグマンの指摘するように、それは「どのていど悪性のものになるかが」だけが残された疑問である。
  
   ♪
 (さらに詳しくは拙著『中国の時代は終わった』(海竜社)を参照)

◆海保法改正で「偽装漁民」撃退を

山田 吉彦


中国海警局の警備船による尖閣諸島周辺のわが国領海内への侵入が半ば常態化している。海上保安庁は巡視船の数を増やし対処しているが、領土が脅かされる状況は一段と深刻化している。

政府は集団的自衛権の行使容認と併せ、武力攻撃に至らない「グレーゾーン事態」への対応についても議論を進めている。

 ≪尖閣への大量上陸警戒せよ≫

政府が公表した安保法制の閣議決定案では、離島防衛で警察力が直ちに対応できない場合、手続きを経ているうちに被害が拡大しないように、早期に命令を下し手続きを迅速化する方策を具体的に検討することとしている。

これは、漁民に偽装した中国の特殊部隊や「海上民兵」が、離島に不法上陸した場合を想定したものである。それらが重武装していて、海上保安庁の装備と能力を超えている場合に備え、自衛隊の迅速な出動を可能にする態勢を整備しておこうというのだ。

だが、離島に他国の重武装集団が上陸するという想定は現実的ではない。重装備だと、乗り込む船舶は速度も遅くなり、事前にレーダーなどで捕捉でき、海上警備行動を発令してから自衛隊が対応することも可能だからだ。むしろ警戒すべきは大量の漁民の上陸である。尖閣を脅かしている中国は、南シナ海では漁民を尖兵(せんぺい)として送り込み、支配海域を拡大する戦略をとってきた。

フィリピンが管轄権を唱えているミスチーフ礁やスカボロー礁に対し、中国の漁民を保護するとの名目で進出し、支配海域に組み入れてきたのが、
その好例である。

この5月には、ベトナムが自国の排他的経済水域(EEZ)と主張しているパラセル(中国名・西沙)諸島の海域に、巨大な施設を持ち込んで、一方的に海底油田の掘削を始めた。

中国による実効支配がこれ以上進むことを案じたベトナムは艦船を派遣し、中国側に掘削作業の停止と退去を求めた。中国はしかし、掘削施設と作業員の保護を名分に、中国海警局の警備船と軍艦を派遣し、ベトナムに圧力をかけ、以来、中越双方の衝突と対峙(たいじ)が続いている。

 ≪中国は海警で警察権を拡充≫

自国民の保護を口実に進出し、武力を背景に実効支配態勢を確立する。そして、あたかも歴史的に中国が支配してきたかのように喧伝(けんでん)して、既成事実を作り上げる。中国の常套(じょうとう)手段である。

数百隻の漁船が日本の領海内に押し寄せて、離島への上陸を試みた場合、洋上でそれを完全に阻止することは不可能だ。漁民たちは中国当局の指示の下に上陸した後は、得意の「人海戦術」で島を占拠するだろう。

小火器や刀剣を用いてのゲリラ戦で抵抗することも想定される。こうした場合に、現行の海上保安庁法で対処できるかどうか甚だ疑問である。

海洋進出に際して、海洋警備機関である中国海警局を前面に押し出しているのも巧妙だ。

1992年に制定した領海法によって、東シナ海、南シナ海のほぼ全域の島々を自国の領土と勝手に決定した中国は、この国内法を盾に警察権を打ち立てて支配海域の拡大を目論(もくろ)んでいる。

軍事的に行動しているという国際的な非難をかわすため、法制度の整備を行い、警察権の執行機関を軍並みに充実させてきた。中国海軍が出てこない以上、自衛隊が対処することは難しい。

国連海洋法条約では、軍艦や非商業目的で運航する他の政府船舶である「公船」は、沿岸国の法執行権が及ばないとされている。前述の中越紛争では、中国の警備船がベトナムの警備船に体当たりするという、実力行使による法の執行に出た。これは、海上警察機関同士が直接ぶつかり合う「戦争」の新たな形態といえる。

≪25条変え行動できる態勢に≫

海上保安庁法には、「海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない」(第25条)との規定がある。

だが、中国の海洋進出攻勢をはじめとする今の東アジアの安全保障環境は、海保の能力も相応の水準に引き上げざるを得ないようなありさまだ。「グレーゾーン事態」に効果的に対処するには、海保が行動しやすい法整備が必須なのである。

防衛出動などが発令された場合、海上保安庁は防衛大臣の指揮下に入ることになる。ただし、海保は後方支援をすることしかできない。海上保安庁法第25条が現行のままでは、日本の海域を守るためには欠くべからざる、海保と海上自衛隊の本質的な連携ができないのだ。

今後、海保が海賊対処行動や国連平和維持活動(PKO)を行うに当たり、業務を遂行し海上保安官が自らの安全を守るためにも、25条の改正は避けて通れないと考える。日本が自国防衛、国際貢献の両面で責務を果たしていくためには、海保も必要な能力を持たなければならない。米沿岸警備隊などがその参考になろう。

海上の安全を守る態勢は大きな変革の時を迎えている。(やまだ よしひこ)
東海大学教授・産経[正論]2014.6.24