2016年10月04日

◆私の「身辺雑記」(385)

平井 修一



■10月1日(土)、朝6:30は室温21.5度、微雨/曇。ちょっと肌寒い。

昨日の午後に北西から皇軍ヘリが3・3・5機で編隊飛行し、わが家の真上
で南西に進路を変えた。これは初めての現認だが、末期的な小生への挨拶
なのかもしれない、「見事な特攻を期す」との(ハハハ、あり得ないが)。

福生か横田の基地から出発して厚木/大和基地へ向かい、横須賀発の米軍
空母打撃軍と相模湾で合同訓練するのかもしれない。

尻尾の5機はアパッチのようだったが、初めて見た。蚊トンボみたいにと
ても細い、サレンダー、小生の好みだ(父譲り)。調べたら観測ヘリOH-
1、通称ニンジャのようである。

ニンジャ・・・今、藤沢周平の「孤剣 用心棒日月譚」を読んでいるが、
3回目かもしれない。どうでもいい話はメモリーから即排除するから、何
回読んでも楽しめる。作品の中で海坂藩のニンジャ、諜報組織は「嗅ぎ足
組」だった。

で、発見したのは、「面白ければすべて良しの時代小説でもとても勉強に
なる」ということだ。こんなことがさらりと書いてあった。

<絶対の信をおける人間は少ないと又八郎は思っている。ほんの一つかみ
ほどの信用できる人間をのぞけば、世の中は信用できかねる人間で満ち満
ちている>

これは周平の思いだろう。詐欺師は多いし、このところは相模原の障碍者
殺人をまねた寝たきり老人殺人がニュースになっている。まるでチャップ
リンの「殺人狂時代」みたいだ。この世は危険に満ちている、いいかどう
かは分からないが・・・

<生前、チャップリン自身がこの映画を最高傑作と評価していた。主人公
が処刑に向かう前のセリフ(はすごい)

"One murder makes a villain; millions a hero. Numbers sanctify"

(一人の殺害は犯罪者を生み、百万の殺害は英雄を生む。数が殺人を神聖
化する)>(ウィキ)

3000万人を殺したスターリン、8000万人を殺した毛沢東、無差別に20万人
を一瞬にして殺したFDRとトルーマン。彼らはまったく非難されていない
どころか、今でも崇敬する人は実に多い。

常に警戒することだ。アカは殺人狂であり、嘘つきであり、ネコなで声で
接近し、殺し、奪い、焼き尽くす。毛沢東は「紅軍はルンペンの寄せ集
め」、紅軍大将の朱徳は「紅軍の半分は裸足で、武器代わりに棍棒を持っ
ていた」と書いている。まことに匪賊だ。

マキャベリは軍隊の運用についていろいろ書いているが、その中にすさま
じいことがさらりとある。

<将兵は、陣営にある時は軍規を守らせ、守らない者は厳罰に処すべきだ
が、一旦戦場に出たら、希望と褒章で鼓舞するだけで十分だ。武装してい
ない金持ちは、貧しい兵士への褒章である>

戦に勝ったら時期を見て「今日と明日は無礼講だ、好きなようにしろ、地
区は○○に限る、火付けは厳罰だ」とか訓示したのだろう。その前に当該地
区に「地区を一斉捜索するから金目のものだけをもって避難しろ、残留者
は敵として処罰する」とか触れを出したに違いない。占領行政のために余
計な恨みを買いたくなかったから。

これが500年前のやり方なら2万年前も同じで、500年後の今も同じだろ
う。兵士は喜々として食器からカーテン、絨毯、家具まで根こそぎ奪った
はずだ、ボーナスとして。

(ナポレオン軍はロシア戦線でリヤカーなどで戦利品を運んでいたから行
動が鈍って失敗した。機動力がなくなる。ただ、彼らの1割は乞食になっ
ても祖国に戻れたが、戦利品を売ることで食糧を得たのである。ロシアで
は今でも「フランス兵=乞食」だそうだ。ロシア人は「われわれは欧州人
より優れている、再び来たら今度も撃退する」と思っているだろう。

20年ほど前、真冬の日本の小田急線代々木上原でTシャツのロシア人を見
て「冬将軍は絶大だ、冬にはロシアを落とせない」と痛感したものであ
る。最近、流氷が溶けて洪水だという映像を見たら、住民はTシャツだっ
た。彼らに勝てるのは東北人と北海道人だけだろう。

父は厳冬の北海道演習で「あそこは人の住むところじゃない」と言ってい
た。父は寒い、暑いなんて絶対言わない人なのに、極寒の北海道には参っ
たというわけだ。

まあ、ロシア人の熱源はウオツカで、男は60歳でくたばるのだが・・・)

イラクでフセインとバース党を圧倒的軍事力で駆逐した米軍と関係者は、
ほとんど避暑地の王侯貴族のようなリゾートライフを楽しんでいたとい
う。ボーナスだ。毎晩パーティを開いていたのではないか。イラク再建な
んて誰も真剣に取り組まなかったということを読んだ記憶がある。

このために未だにイラクの混乱は収まらないままだ。占領行政にバース党
を上手く活用すべきだったのだ。小ブッシュはネオコン(元来は民主党の
一派、自分の価値観は絶対に正しいと他者に押し付けるタイプ、デタラメ
ルケル過激派と思えば間違いはない)の言いなりでへたを打った、という
か、まったくの無策だった。

午前中は屋上のプランターの片づけ。腰はフラフラ、疲労困憊。ボーナス
のガソリンをあおりながら鍋焼きうどんの昼食、その後は「孤剣 用心棒
日月譚」を読みつつ午睡。

■10月3日(月)、朝5:00は室温25度、微雨/曇。涼しい。

昨日はすごかった。ベランダ手摺の補修にNも参戦、カミサンもせっせと
さび落とし。ともに完全武装。日本の女子は日焼けを嫌う。愛すべし。

小生はアーダコーダ指示し、自分では屋上の片づけ。大いにへばったが、
カミサンとNへの褒章として昼食はニギリの上を発注しておいた。楽しん
でもらえたようだ(小生は午睡していたから知らないが、感謝された)

5歳男児は保育園で「ヂイヂが死にそう」と言っているそうだ。愛すべ
し。大体、小生自身がそうだろうなあと日々思っているのだから。

この坊主が昨夕は風呂前にスッポンポンでNに追いかけまくられていた
が、アヌスもチンチンも実にきれいなものである。

そう言えば昨日の早朝、ゴミ出しの際にビーグルが散歩していた。赤シャ
ツと黒の半ズボンのナチスめいたご主人に「触ってもいいですか」とお願
いすると「どうぞ」。嫁さんはこうはいかないな。

犬と顔を付け合わせていたら唇を奪われた。ペロペロ。その際にお腹に手
を当てたらしっかりしたチンポコがあった。「元気だね、1歳くら
い?」、ナチス「6歳ですよ」。

ビーグルではなくて、それより薄色の「ブリタニースパニエル」のようだ。

で、小生は5歳男児らを喜ばせるためにパンツにホウズキを入れ、「ヂイ
ヂのチンチ」とちらっと見せるのである。皆大喜び、カミサンも「子供は
チンチとかウンチという言葉に反応するからね」と、小生のホウズキチン
チを愛でていた。ずいぶんペロペロしていただいたものだが・・・

ん? 犬に舐められたままで唇を洗うのを忘れていた。犬もそうだろう。
どっちもどっちで多分ノープレブレム。小生は80兆個の雑菌があるから犬
の方がリスクは大きいな。ごめんね、ワンコ。

今夜は分厚いオージービーフのシャリアピンステーキだ。稀少な雪印のバ
ターもあるぜ。N母子も参戦し、仕入れてきてくれた。小生は基本的に
「お早う」「行ってらっしゃい」「お帰りなさい」「ご飯だよ」の4語し
か言わないから、Nはカミサンの「さえずりフレンド」なのだ。

小生は自分で自分を支えられるのは2時間で、「立って2時間、寝て2時
間」の暮らしが続いている。カミサンとNは最近、食器洗いをしてくれる
ようになった。

散歩や買い物の際は、小生がハワイ出張の際にカミサンに買ったトラサル
ディのポシェットをたすき掛けにしている。30年も前だからかなり傷んで
いたのを修復し、立派によみがえった。中身は財布と、名刺と、緊急連絡
先なのだが、倒れた際に病院へ送られたくないから「病院も治療もやめて
ください、自宅の布団に寝かせてください」というメモも入れる必要があ
るだろう。

医療費は「これからの人」向けに使われるべきだ。「これまでの人」には
「医療」ではなく線香で「慰労」したらいい。チューブ状態(病院ではス
パゲティと呼ぶ)でも長生きしたい人、あるいは長生きさせたい人(親
族)の気持ちがまったく分からない(病院は儲かるから延命させたいが。
生活保護の人はとりっぱぐれがないから大歓迎。ほとんど異常な世界)。

老人の延命に意味があるのなら教えてくれ。わしゃバカだから全然わから
ない。せめて夏彦翁の「人の一生 四年 山本夏彦」の小文(小学校の先
生はパニックになった)、ポール・ニザンの「アデンアラビア」の一行目
(それ以外読む価値なし)、福本純の「青春の愛と死:自殺論もしくは反
抗論」の最初の十行くらいは読んでからかかってこい。80兆個の雑菌で可
愛がってやるぜ。(2016/10/3)

◆武装ゲリラ作戦だったのに

宮崎 正弘 



<平成28年(2016)10月3日(月曜日)通算第5049号>  

〜「農村から都市へ」(毛沢東)は、武装ゲリラ作戦だったのに
  都市集中がもたらす国土の荒廃、農地の砂漠化と地方の過疎化〜

EU統合の眼目はヒト、カネ、モノが自由に動き回るという国境なき世
界、EU加盟国の大半が加盟した「シェンゲン協定」は移動の自由を掲げた。
 
実際に何が起きたか?

アルメニアは人口が300万、実は250万に減った。出稼ぎに外国へ出たから
だ。ジョージアも同様で450万国民のうち、40万人が去った。この両国の
出稼ぎ先は旧宗主国ロシア、お隣のトルコ、ギリシアなどである。

バルカン半島の付け根にあるギリシアは度重なるユーロ危機によって、
ATMからユーロを引き出そうにも1日60ユーロに制限された。ジョージ
アやアルメニアへの仕送りが途絶えた。

マケドニアからの出稼ぎも周辺諸国に散った。

アルバニアは600万人のうち、45万人ほどが英国やドイツへ、コソボは
せっかく独立したのに、農家は空屋だらけ、どっと英国やフランス、ドイ
ツへ出稼ぎに出た。

ポーランドからは、じつに100万人が英国へ渡った。移住である。ルーマ
ニアからも、ブルガリアからも。つまり、農村から都市へ、田舎から都市
へ、農業から産業地区へ、EUのなかで、大移動が起きたのだ。

冷戦終結直後、ニューヨークのタクシーに乗ると、「先週ユーゴからき
た。道が分からないので教えてくれ」というドライバーが多かった。その
前までは韓国人のタクシー運転手が目立ったものだった。

このパターンは工業化を急いだ折の日本でもあった。農村の過疎化は、都
市部への集中、産業のある企業城下町はたちまち人口が増えた。

農村は荒廃し、村々は過疎化に襲われる。

中国でおきたことはその巨大版だったのである。

農村から近隣の村々へ、出稼ぎへ出た。近郊のマンションが建ちはじめ、
そのうち地方都市にも建築部ブームが興り、建設現場に人出が不足した。
賃金、現金収集に引かれて、農家の若者がどっと都市部へ出稼ぎにでた。

地方都市は交通のアクセスが悪く、輸出産業は沿岸部に集中する。若い女
工、3k現場の人手不足を補うために、人集め業者が田舎の奥深くへ入っ
てリクルート。
 
こうして地方農村から近郊へ、近郊の農村からは地方都市へ。地方都市か
らは給与の高い沿岸部へと、カネを求めて人々は移動し続けた。

日本や、EU諸国の人々の移動とは、決定的に異なるポイントが中国に
あった。

それは「都市戸籍」と「農村戸籍」という、確乎たる戸籍制度。日本のよ
うな住民票という制度は、中国にはない。戸籍の変更は特例以外認められ
ない。移動した先で、その都市の戸籍がないと医療も受けられず、子供は
学校にも行けない。

この結果、中国で何が起きたか

農村には子供と老人しかいない。農村の荒廃が激甚である。

戸籍を取得できない地方出身者は、北京で、上海で、広州で、天津で、大
連で、ありとあらゆる大都市にかたまって暮らし、こどもたちは学校へや
れないから(地方戸籍だから)、田舎へ返して学校へ通わせる。

農民人口8億5400万人の中国で、「都市化率が51%」、つまり、13億人口
の6億5000万。農村から2億人が消えたことになる。日本の2倍の人口が
農業を捨てると、自給自足の覚束なくなり、中国は食料輸入国に転落した。

いま、同じことがEU諸国と旧ソ連圏で繰り返され、農村の過疎化は農地
の砂漠化を招来し、国土の荒廃をもたらすことになるだろう。
     
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〜香港財界の大物、鄭裕丹。91歳の大往生
 資産166億ドル、「周大福」は5000店舗〜
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香港の「新世界グループ」を率いた総帥、鄭裕丹が9月29日、香港の病院
で91歳の大往生を遂げた。息子のヘンリーによれば、「過去4年間は意識
が無く、寝たきりだった」と言う。

香港最大財閥の李嘉誠と同様に、鄭は広東省から香港へ逃げ込んで、不動
産ビジネスを展開し、マンション建設などで事業を拡大、ホテル業にも進
出し、九龍の海側に「新世界ホテル」を作った。現在はグランドハイヤッ
トホテル。

大当たりは高級宝飾品、金の装飾品の販売をする「周大福「チェーンで、
香港、マカオばかりか、中国大陸に進出し、全土で5000店舗を展開、その
総資産は166億ドル。

1996年だったと記憶するが、香港取材のおり、鄭の総帥室へ押しかけ、1
時間ほどインタビューしたことがある。鄭は英語が出来ず、女性秘書が通
訳をしてくれた。

「共産主義の暴力政権である北京と妥協して大陸に進出するそうだが、無
謀ではないか」と挑発的な質問をすると、怒り出して「わわれわれは同じ
中国人、もう文革のようなことは興らない」と語気険しく、答えたのが印
象的だった。

香港財界の大物がまた一人消えた。合掌。
  

◆国民の権利としての国防

伊勢 雅臣

 

南北戦争で、北軍の黒人部隊創設の決定に、なぜ黒人の奴隷解放運動家は
大喜びしたのか。

蓮舫議員の二重国籍問題がかまびすしいが、何の証拠も見せずに説明を二
転三転している姿を見ると、誠を大切にする本来の日本人の姿にはとても
見えない。嘘をつくことへの罪悪感に関しては、日本人と近隣諸国の間で
は、大きな違いがあるのだろう。

国籍に関して、最近読んでいる本から考えさせられた事を書かせて戴く。

その本はアメリカでベストセラーとなったリンカーンの伝記『Team of
Rivals』である。映画『リンカーン』の原作であり、アメリカのアマゾン
では2900件以上のカスタマー・レビューが寄せられ、5つ星評価で4.7
というから凄まじい。

原書は単行本サイズで本文757ページ、加えて注釈が150ページもあるとい
う浩瀚な本である。邦訳も出ているが、英語の勉強も兼ねて、毎日2,3
ページ読んでおり、3月初めから7ヶ月かかって、ようやく585ページ
まで辿り着いた処である。

場面は南北戦争の後半に入ったが、リンカーンが奴隷解放宣言を出した後
で、北軍に黒人部隊を作ることを決定した逸話があった。

これに大喜びしたのが、黒人で、奴隷解放の運動の旗手であったフレデ
リック・ダグラスであった。

彼は各地を回って、「なぜ黒人が戦いに参加しなくてはならないのか」を
説き、黒人兵の募集に協力した。その理由はこうである。

白人と平等の公民権を要求するのに、共に戦う以上に、明白な正当性はな
い。あなた方は今までよりも、誇らしく立ち、安心して歩き、侮辱される
恐れも減る。アメリカのために戦う者は、アメリカが祖国だと主張でき
る。その主張は尊重されるのだ。

国のために戦う事で、国民としての正当な権利を主張できる。それまで
は、北軍でも南軍でも、黒人は公民権は認められておらず、当然、戦いに
も参加できなかった。

国防に参加すること−それは兵として参戦するだけでなく、銃後の守り
や、献金や労働奉仕なども含むが−それが、国民としての参政権などの権
利の源泉である。国家とは国民の運命共同体である以上、国家危急存亡の
おりには共に国家を支えるために立ち上がる事が、国民たる証しである。

蓮舫議員が二重国籍問題に関して問われているのは、万一、台湾と日本で
戦争になったら、どちらの側について戦うのか、という覚悟だろう。国籍
選択や離脱の手続き論の根底には、こういう国家観の問題がある。


2016年10月03日

◆マネーロンダリングで制裁を準備

宮崎正弘 



<平成28年(2016)10月1日(土曜日)通算第5046号  <前日発行>

<速報>
  〜FED、中国農業銀行をマネーロンダリングで制裁を準備
    中国最大バンクのニューヨーク支店を舞台に不正工作〜

米国FEDは中国農業銀行のニューヨーク支店従業員からの告発に基づ
き、同行で2012年に行われていた不正取引、マネーロンダリングにつき、
60日以内に改善計画を提出するように要求した。

資金洗浄を防止する改善計画が順当でない場合は、制裁に踏み切るとして
いる。サウスチャイナモーニングポスト(9月30日)が伝えた。

中国農業銀行は四大銀行のひとつで、支点規模ではおそらく世界最大。中
国全土に2万3000余の支店網を誇り、従業員がなんと49万3000人。
つ まり国有銀行の放漫経営の典型である。

経営の近代化など望みようもなく、日本で言う農協バンクだが、マネジメ
ントは共産党らしく非能率的。そもそも、この銀行を西側に共通の「銀
行」と呼んで良いのか、どうかの基本的疑念が拡がる。

ニューヨーク、パリ、東京などに支店もある。

中国での預金者は3億2千万人。資本金は3247億元(48兆円強)。ただし、
98年の危機で、不良債権が3458億元(52兆円弱)も生じ、なんとこれを帳
簿から別会計に外すという荒技をやってのけた。

市場経済の国々では考えられない、いかにも国有銀行らしい措置として話
題となった。経営の内部は伏魔殿である。
         

◆「もんじゅ」の廃炉は誤り

櫻井よしこ



政府は9月23日、高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉を閣議決定した。他方、
核燃料サイクルは堅持するとの方針だ。だが、もんじゅ廃炉は日本の核燃
料サイクルの技術継承を断ち切ることであり、政府の主張は矛盾している。
 
政府はフランスの次世代高速増殖炉アストリッドの開発に協力することで
技術継承を可能にすると説明する。ところが、東京大学大学院教授の岡本
孝司氏は、そもそももんじゅとアストリッドでは目的やシステムが全く異
なると指摘する。
 
もんじゅは発電しながらプルトニウム燃料を生産するが、アストリッドは
発電ではなく高レベルの放射性廃棄物処分のための設備だというのだ。加
えて、日仏間には決定的な自然条件の差があるため、フランスの技術の導
入は日本の高速増殖炉の技術開発や核燃料サイクルの完結にはつながらない。
 
地震国日本は全ての原子力関連の施設に特別の対策を必要とする。フラン
スも他の諸国もタンク型と呼ばれる高速増殖炉を開発してきたのに対し
て、日本がループ型と呼ばれる独自の型を開発してきた理由もそこにある。
 
簡単に言えば前者は液体金属ナトリウムを入れた大きなおけの中に炉心や
熱交換器などを浸した形であり、後者は原子炉を収納した原子炉容器や熱
交換器、蒸気発生器などを固定して、配管でつなぐ形である。
 
ループ型はもう1つの高速増殖炉の問題にもよく耐えることで知られてい
る。高速増殖炉は、使用するナトリウムが入り口で400度、出口で550度と
なり、150度の激しい温度差にも耐えなければならない。

そのため、タンクの壁は可能な限り薄くする。厚ければ急激な温度差で破
壊されかねないからだ。一方、日本では耐震のため原子炉容器は小型で堅
固に、タンクの壁は相対的に厚くする。温度差に対して壁は薄く、地震
には厚く。相反する2つの要素を同時に満たすのがもんじゅのループ型だ。
 
アストリッド計画への日本の参画は研究資金の提供が柱となるが、将来フ
ランスの技術が完成しても、前述のように、異なる性格の技術を導入でき
るはずがない。
 
そのとき日本は再び、地震国の自然条件を満たすループ型高速増殖炉の開
発を始めなければならない。しかし、それまで一体日本の誰が技術を継承
するのか。

いま、もんじゅを廃炉にすれば、技術は確実に途絶える。それは今回の決
定を主導した経済産業省も自民党も十分に理解しているはずだ。
 
廃炉支持派の人々はもんじゅが1995年のナトリウム漏れ事故以来ほとんど
稼働していないと非難する。確かにもんじゅは問題続きだ。だが、メディ
アの感情的かつ非科学的非難報道の前で、問題の性質とあるべき対処を説
明してこなかったのは政府である。
 
もんじゅのナトリウム漏れの原因は温度計の形状にあった。それは原子炉
の安全には全く影響がないと証明された。にもかかわらず、もんじゅは15
年間も運転を止められた。
 
いま政府・経産省が学ぼうとしているアストリッドはこれまでに30回もナ
トリウム漏れ事故を起こしている。だが、その都度、原因を究明し対策を
講じ、完成 度を高めてきた。

フランスにできて、なぜ、日本にできないのか。フランスは高速増 殖炉
という新しい技術に対するのに専ら科学的アプローチを大事にした。日本
は感情 論に埋没したまま今日に至るからであろう。
 
政治に期待されることは、国益の為の中・長期的戦略を地道に実行するこ
とだ。時に正論は孤立を招く。それでも政治家は言葉を尽くして国民を説
得しなけれ ばならない。もんじゅ廃炉は核燃料サイクルの挫折であり、
資源小国の日本は将 来、この分野で中国の属国になりかねない。今回の
決定に、私は強く抗議するものである。

【櫻井よし子】「核燃料サイクルの技術継承を断ち切る「もんじゅ」の廃
炉決定は大きな誤り」

『週刊ダイヤモンド』 2016年10月1日号 新世紀の風をおこす オピニ
オン縦横無尽 1151

               (採録:松本市 久保田 康文)

◆木津川だより 「太古の木津川地域」

白井 繁夫

「古墳時代の木津川」を取り上げたいと思って、木津川市山城町の椿井大塚山古墳、木津町の大畠遺跡、土師の七つ塚古墳などを散策していた時、ふと次のことが頭に浮かびました。

前方後円墳の椿井大塚山古墳は、日本最古の箸墓古墳を三分の二に縮めた同型の古墳です。そこでは邪馬台国(九州説もあります)女王卑弥呼の三角縁神獣鏡が三十数枚も出土しました。

他方、記紀に記載された崇神天皇の条:「和訶羅河:わからがわ:(泉河:木津川)」を挟むこの地で、天皇の命を受けた四道将軍の大毘古命(おほびこのみこと)の軍と、反乱軍の建波邇安王(たけはにやすのみこ)との大戦もありました。

第10代崇神天皇は、大和の国の王から倭国を統一した大和朝廷の大王であり、(3〜4世紀に実在した大王とも云われている)、古墳時代の人物ではないか、と云う説があります。

ですからこの度は、太古の時代(旧石器時代)から、弥生時代、古墳時代へと、「木津川地域を散策」しながら、大和朝廷と山背(南山城)と、木津川市とのかかわりも見ようと思います。

地球上に人類が誕生したのは洪積世(氷河時代)で、今から200万年前から1万年前です。
氷河期は水が氷結して海水面が下降し、日本列島は大陸と陸続きの状態になりました。人類は大型動物(マンモスやオオツノジカなど)を追って南北から列島に渡ってきました。

氷河がとける温暖な間氷期を経て日本列島は大陸と離れて、大型動物も絶滅しました。
日本列島の旧石器時代の「人類の遺跡」は昭和24年(1949)に発見された群馬県岩宿(いわじゅく)が最初の遺跡です。そこから打製石器が出土しました。

・前期旧石器時代:3万年以前

列島各地でその後、旧石器時代の遺跡が発見されました。宮城県座散乱木(ざざらき)遺跡、同中峯遺跡、同馬場檀遺跡、栃木県星野遺跡、大分県早水台(そうずだい)遺跡など、出土遺品は初歩的な打製石器です。

・後期旧石器時代:3万年前から1万3千年前:

近畿から瀬戸内にはサヌカイト(安山岩)を用いた瀬戸内技法(ナイフ形石器)が広まる。
「南山城の木津川地域」:八幡市の金右衛門垣内(きんえもんかいと)遺跡:ナイフ形石器、
城陽市の芝ヶ原遺跡:ナイフ形石器と舟底形石器、京田辺市:高ヶ峯遺跡:石核など。

木津川市における同時代の遺跡にしては昭和52年(1977)に木津町の東部の丘陵端:岡田国神社の裏山(岡田国遺跡)で、一点の石器が発掘されました。石材はサヌカイトで4.7cm長の不定形のもので、未完成の製作途中の石器でした。

・更新世(洪積世)終期:1万3千〜1万2千年前:

細石器.有茎尖頭器(有舌尖頭器)の時代:細石器の石刃(長さ数センチ、幅数ミリの特小石刃)、有茎尖頭器(槍の穂先をとがらし、柄に付けるために基部には茎「ナカゴ」をもつ)。

近畿地方は有茎尖頭器が主流です。(細石器のナイフや槍は全国に分布していました)。
「木津川地域では井出町上井出遺跡、木津川市山城町千両岩遺跡、同加茂町例幣遺跡、など」。

・縄文時代(新石器時代):1万2千年前〜前3世紀:

加工技術も進歩して狩猟の弓矢、生活用具などへの応用と、目的と用途が拡大しました。特筆しますと、この時代発明された「土器」は、「煮る」という調理の方法への大変革があったことです。食物の種類と範囲が拡大でき、定住性の強い集落が各地に形成されたことが証明されます。

前期縄文時代の「木津川市山城町の涌出宮(わきでのみや)遺跡」、城陽市の丸塚古墳下層遺跡で、北白川下層式土器が出土しました。(前期の標識土器:京都市北白川小倉町遺跡で出土した爪形文の土器)また、涌出宮遺跡からは連続する三型式の土器が出土し、ここの集落はずっと継続してきたと見なされます。

後期縄文時代:西日本の縄文土器は、東日本と異なる発展をし、土器から縄文が消えて、華麗な装飾を施した多様な器形が盛んになりました。

後期縄文人は丘陵地の動物の減少を補うため、低地へ進出して植物栽培を始めたのです。

「木津川地域」も同様だったと思われますが、「木津川」は大変氾濫が多いため、地下深く眠っている遺跡を発掘する本格的な調査は、未だ実施されていません。

・弥生時代: 紀元前3世紀〜後3世紀中頃 水稲農業と金属器使用の新文化時代

九州北部に大陸.半島から渡来した新文化は、端正な姿形の弥生土器と青銅器.鉄器の時代へ2ルート(瀬戸内地方と日本海沿岸)を通じ、東方へと日本列島を大きく変えました。

・遠賀川式(おんかがわしき)土器:福岡県板付遺跡、佐賀県菜畑遺跡

弥生前期の南山城の稲作文化導入期の土器は河内(東大阪市)より伝わっていました。
(木津川市燈籠寺遺跡、京田辺市宮ノ下遺跡の土器は河内の胎土使用)
北山城(乙訓地区の遺跡など)は、淀川経由ルートで伝播されています。

・弥生中期(紀元前1世紀〜後1世紀)の銅鐸と遺跡の発見

昭和57年(1982)6月木津町相楽山の丘陵(現木津川市相楽台)で相楽ニュータウン造成工事中に銅鐸1個が出土しました。(高さ:40.5cm、型式:扁平紐式6区袈裟襷文)

南山城では八幡市(式部谷遺跡の銅鐸)に次いで2番目、20年ぶりの発見です。(京都市の梅ヶ畑遺跡の4個を含め)山城国では合計6個目です。

銅鐸発見場所から東方約200mの場所で、同時代の集落や墓(方形周溝墓:まわりを方形の溝で囲んだ墓)の遺跡(大畠遺跡)も発見されたのです。

当時の銅鐸は祭祀に使用し、複数の集落を束ねる母体の集落が管理していました。近畿地区の山城、大和、河内では各郡に銅鐸1個の割合ですが、摂津、和泉は1郡に複数(2〜3)個の割合でした。

「木津川市大畠遺跡の集落」の勢力は八幡市、京田辺市北部、同南部、山城町〜井出町南部、城陽市、宇治市西部の6集団に並び立つほどのものと云われています。

稲作農業の人々は低湿地や丘陵の谷間を木製の鍬や鋤で耕し、水田に籾を直播しました。弥生式土器を用いる生活様式になり、煮炊きする甕、食物を蒸す甑(こしき)、貯蔵用の壺、食物を盛付ける高杯や鉢などの土器も発達しました。

狩猟や戦闘用の鉄鏃や銅鐸用や銅鏃などの他に、鉄の工具で木材を加工したり、農具にも鉄の刃先を取り付けたり、鉄器の活用で生産活動や生活文化も変化、発展を遂げました。

当時の南山城への物流や文化の伝播は河内から神奈備丘陵(現学研都市丘陵)を越えるルートと大和から佐保丘陵を越えるルートが主流でした。北山城へは淀川経由でした。

大畠遺跡は、近くの音乗ヶ谷遺跡、北隣の町(精華町)を含む複数の集落の母村であり、以後も北へ600mの曽根山遺跡、相楽(さがらか)遺跡へと古墳時代から奈良時代へと続きました。

太古の時代から急ぎ弥生まで、端おって綴ってみました。如何だったでしょうか。


<参考資料:木津町史  本文編 木津町
   相楽山銅鐸出土地発掘調査、相楽山銅鐸出土地。大畠遺跡、 木津町教育委員会
   大畠遺跡発掘調査、第1次(1982)、第2次(1983) 木津町教育委員会>

2016年10月02日

◆北京市に編入した通州区を副都心開発

宮崎 正弘
 


<平成28年(2016)10月1日(土曜日)弐 通算第5947号 > 

  
〜中国、北京市に編入した通州区を副都心開発
   「通州事件」の痕跡をきれいさっぱり消し去れ〜


ユネスコの世界記憶遺産に「南京大虐殺記念館」が登録された。嘘の塊を
認めたユネスコはかねてより左翼のたまり場。

通州事件を世界記憶遺産に登録しようと運動が静かに始まったのは2年前
だった。靖国会館で行われた或る会合で藤岡信勝氏が提案され、その年は
慰霊祭が開催された。

日本でも盛り上がりを見せたのは昨夏あたりからで、通州事件に関する書
籍や講演会、勉強会が連続的に開催され、国民の関心が深まった。

とくに今年は自由社から刊行された通州事件目撃者の新証言が広く読ま
れ、先月、2回開催された勉強会には予想の2倍から3倍の人たちが集
まって、本当に何があったかの講話に聞き入った。

小生は、通洲事件現場を2回取材している。

最初は15年ほど前で、まだ虐殺現場の旅籠が残り、西海子公園の離れには
慰霊塔もあった。軍の跡地らしき建物や、駅車、南門が残っていた。イス
ラムの貧民街があった。

数年前には旅籠がビジネスホテルに改築されていた。南門と、駅舎が残っ
ていたが、あとは「ここが現場だったのではないか」と推測できる、陰気
な場所が残っていたくらいである。

直近に現場を取材した加藤康男氏に拠れば、ほぼ全て通州事件の痕跡は消
され、旅籠あとは、高層ホテルが新築され、あたりはマンションが建ち並
び、一切の痕跡がなくなっているという。

加藤氏は『慟哭の通州』(飛鳥新社)を上梓され犠牲となった二百余名の
悲運を追跡した。

通州を北京の「通州区」として合併させ、副都心とするために土地を地な
らしする工事が進んでいる由。

事件の痕跡を綺麗さっぱり消し去れというわけだ。

2016年10月01日

◆FED、中国農業銀行を

宮崎 正弘 


<平成28年(2016)10月1日(土曜日)通算第5046号  <前日発行>

<速報>
  〜FED、中国農業銀行をマネーロンダリングで制裁を準備
    中国最大バンクのニューヨーク支店を舞台に不正工作〜

米国FEDは中国農業銀行のニューヨーク支店従業員からの告発に基づ
き、同行で2012年に行われていた不正取引、マネーロンダリングにつき、
60日以内に改善計画を提出するように要求した。

資金洗浄を防止する改善計画が順当でない場合は、制裁に踏み切るとして
いる。サウスチャイナモーニングポスト(9月30日)が伝えた。

中国農業銀行は四大銀行のひとつで、支点規模ではおそらく世界最大。中
国全土に2万3千余の支店網を誇り、従業員がなんと49万3000人。つまり
国有銀行の放漫経営の典型である。

経営の近代化など望みようもなく、日本で言う農協バンクだが、マネジメ
ントは共産党らしく非能率的。そもそも、この銀行を西側に共通の「銀
行」と呼んで良いのか、どうかの基本的疑念が拡がる。
ニューヨーク、パリ、東京などに支店もある。

中国での預金者は三億二千万人。資本金は3247億元(48兆円強)。た
だし、98年の危機で、不良債権が3458億元(52兆円弱)も生じ、
なんとこれを帳簿から別会計に外すという荒技をやってのけた。

 市場経済の国々では考えられない、いかにも国有銀行らしい措置として
話題となった。経営の内部は伏魔殿である。
         

2016年09月30日

◆日本企業が支那を見限った!?

平井 修一



9月に経団連などが訪中した。「井戸を掘ったパナソニックのショールー
ムを破壊した支那に今さら何を求めるのか」と小生はバカにしていたのだ
が、支那側ではちょっとした騒動になっているようだ。大紀元9/29「日本
企業が撤退簡易化を要請 中国メディアは不安払拭に躍起」から。

<日本経済界の訪中団は22日に中国商務部関係者と会談し、日本企業が中
国から撤退する際の手続き簡易化を要請した。中国国内専門家は、日本企
業が大規模な撤退をすれば欧米企業も撤退を加速化すると指摘し、すでに
鈍化している中国経済が一段と低迷するとの見解を示した。

一方で、中国国営メディアは、日本や他の外資企業による大規模な撤退へ
の不安を払拭しようと、「大規模な撤退は誤解だ」などの評論記事を報道
した。

日本経済新聞(23日付)によると、日本大企業トップや関係者らが参加し
た230人規模の訪中団は商務部官員との会談で、日本企業の事業環境を改
善することと、日本企業が撤退する際の手続きを一括する窓口を設置する
ことを求めた。

中国国内世論は、訪中団の中国政府への要請は、今後の日本企業の大規模
な撤退を意味するとしている。

*専門家が警告「富士通の生産ライン移転とは本質が違う」「中国経済に
打撃だ」

経済・歴史学者の王思想氏は25日「鳳凰博客」に掲載した自身の評論記事
において、訪中団の要請についてのニュースを見て「非常に不安にさせら
れた」とした。

「中国改革開放の最初、欧米企業よりもいち早く中国に投資し始めたのは
日本企業だ」「日本企業は大規模な撤退を考えているだろう。これは富士
通が生産ラインを中国からベトナムやインドに移転することと本質的に違う」

「日本は『中国通』なので、日本企業の行動を欧米企業は真似るだろう。
これは重大なことだ。すでに下向きとなっている中国経済に大きな打撃を
与える」との懸念を示した。

ネット上では、大規模撤退を不安視する声が広がっている。在日中国人交
流サイト「花生網」(27日付)のコメントの一例をあげる。

「外資の大規模な撤退がもう決まったみたい」「なぜ、日本企業に簡単に
撤退させないのか? 江蘇省南部や長江デルタ地域を例にすると、その地
域の6〜7割の工業生産額と輸出額は外資企業によるものだ。外資企業が撤
退すると、この地域経済がもう崩壊するしかないのだ。長江デルタ地域の
経済が崩壊すると、中国経済がどうなるか分かるだろう」

「日本企業に厳しくしたら、欧米企業は、もう死んでも絶対に中国に行か
ないと思うようになるし、中国にいる欧米企業がさらに早く中国から撤退
したいと思うようになるに違いない」

中国商務部が9月22日発表した統計によると、2016年1〜8月まで日本の対
中直接投資が前年同期比で8.4%減少の20.6億米ドル。3年連続の減少と
なった。ピーク時の13年1〜8月の55.62億ドルからは約63%減少した。

一方、中国の各国営メディアは、日本訪中団が20日から24日まで中国を訪
問したことや張高麗副首相が21日、日本経済界代表団と会談を行ったと報
じただけで、張副首相や商務部との具体的な会談内容について触れなかった。

*中国メディア、不安払拭に躍起

ネット上などで世論が「日本企業が大規模に撤退する、中国経済が危な
い」との論調が広がると、一部の国内メディアが相次いで反論する記事を
掲載した。

「鳳凰衛視」電子版は26日に『日本企業の大規模な中国撤退は誤解だ』。

「新浪新聞」は27日、『日本資本が中国から集団的大規模に撤退する? 
考えすぎだ!』。

「証券時報」電子版28日は「日本資本が中国から撤退? 驚きの真相!』。

報道の多くは、日本貿易振興機構(ジェトロ)の統計を分析し、「リスク
分散」「中国プラスワン」などの方針で一部の日本企業が中国から撤退し
たが、大規模な撤退は全くありえないと示した。

また、証券時報の評論記事では、王思想氏の見方を批判し、さらに「日本
経済新聞の記者は中国のことを全く知らない」と非難した。

国内メディアが1日も早く「外資企業の大規模な撤退」との世論をもみ消
そうとしている印象を受けた。昨年9月、香港人富豪の李嘉誠氏が率いる
企業が中国から撤退した際、国営新華社通信傘下シンクタンクの「瞭望智
庫」が発表した『李嘉誠を行かせるな』との李氏を批判する記事が思い出
される。

外資企業の大規模な撤退が現実となれば、中国共産党政権にとっては政権
運営の上で、他でもない大きな恐怖となる>(以上)

この話題はサーチナ9/29「日本企業の中国撤退は喜ぶべきことか?」も取
り上げている。

<日本の大企業トップらからなる経済界訪中団が22日、日本企業の中国撤
退手続きを一括で処理する相談窓口の設置を中国側に要請したことで、中
国国内では「日本企業が中国撤退の動きを強めている」との見方が出てい
る。中国メディア・今日頭条は25日、「日本企業の中国撤退に、われわれ
は喜ぶべきなのか」とする記事を掲載した。

記事は、外資企業による大規模な中国撤退は「当然悪いことである」と指
摘。中国撤退は「外資企業が人民元を他の通貨に両替することを意味し、
人民元の値崩れを引き起こし、中国人の資産は勝手に縮小する」と説明し
ている。

また、2014年における人民元の対米ドルレートが6.1:1だったのに対し
て、現在では6.68:1と約10%値下がりしているとのデータを紹介し、外
資の撤退は外国が人民元の大幅下落を予期していることを意味するのだと
し、日本の動きはその一例に過ぎないとの見方を示した。

人民元下落で元手が水の泡になるのを恐れた外資企業がこぞって中国を離
れ、それにより下落に拍車がかかる上、不動産価格も堪えきれずに大崩落
を引き起こし、中国経済が壊れる、というのは随分とネガティブなシナリ
オのように思えるが、「中国経済、ヤバいかも」と不安感を募らせている
市民が確かにいるということを、この記事は示しているのではないだろう
か。(編集担当:今関忠馬)>(以上)

まあ「離婚手続きを簡略化してくれ」と言われたらビビるわな。目敏い保
険会社は「支那撤退保険『安心』」なんて発売するのではないか。習近平
の一帯一路のAIIBの詐欺案件も視界不良だし、THAAD配備で中共は盛んに
韓国をいじめているし、こうした透明性のないアコギな Chinese Way of
Business は投資家がもっとも嫌うところだろう。

日本の経済界が「支那経済は先行きが暗い、人件費も高いし、個人消費も
伸び悩んでいる、不動産バブルもはじけそうだ、そろそろ賞味期限切れだ
な」とチャイナフリーの覚悟を決めたのかもしれない。マルクス狂毛沢東
エピゴーネンの習近平を排除しなければ支那経済は「失われた数十年」に
なることは間違いない。(2016/9/29)


2016年09月29日

◆理解不能の「憲法改正草案」撤回要求

阿比留 瑠比



理解不能の「憲法改正草案」撤回要求 憲法の精神に反する民進党・野田
佳彦幹事長

安倍晋三首相の所信表明演説に対する27日の代表質問の質疑応答を見 て
いて、実に奇異な光景だなあという感想を抱いた。自民党が野党時代の
平成24年にまとめた憲法改正草案をめぐって、民進党の野田佳彦幹事長
と首相との間で、次のようなやりとりが交わされていたからである。

野田氏「国民の権利を軽んじ、国中心に組み立てを変える自民党草案の
実現をめざして議論に臨むのか。本気で議論する気があるなら、まずは自
民党総裁として草案を撤回してほしい」

安倍首相「大切なことは、各党がそれぞれの考え方を示すことだ。自民
党は草案という形でこれを示しており、それを撤回しないと議論ができな
いという主張は理解に苦しむ」

民進党が、保守色が濃いといわれる自民党の草案を批判したり、問題点
を指摘したりするのは別にいい。だが、他党の案に「撤回」を迫るのとい
うのは何の権利があってのことか。

自民党内で議論を経てつくられた草案を、一方的になかったことにしろ
というのはどういうことか。自民党議員の思想・信条、表現の自由を認め
ないと言わんばかりであり、憲法の精神に反するのではないか。安倍首相
ならずとも、理解に苦しむところである。

まして、自民党憲法改正草案に関しては、安倍首相自身がこれまでテレ
ビ出演や記者会見などで「草案通りに改正するのは困難だ」「わが党の案
がそのまま通るとは考えていない」と答えている。

そもそも安倍首相は、党総裁として草案を尊重する姿勢をとらざるを得な
いものの、特に気に入っているわけでもなさそうだ。

「財政の健全性は、法律の定めるところにより、確保されなければなら
ない」

草案にはこんな財政規律条項があるが、安倍首相は景気対策や財政出動
を縛り、安易な消費税率引き上げに結びつきかねないこの条文に否定的
だ。周囲には「意味がないし、それはさせない」と漏らしている。

下村博文幹事長代行も27日の記者会見で、「(憲法審査会で)自民党 草
案ありきで議論してもらいたいとは考えていない」「これを国会に出す
ということではない」と明言した。誰も草案にこだわってはいない。

にもかかわらず、事実上意味のない撤回を求めるのは、民進党が憲法論
議を避けるための言い訳にしているとしか思えない。下手に憲法を論じる
と、保守系と左派・リベラル勢力が混在する党が割れかねないからだろう。

 自民党草案「撤回論」は、7月10日投開票の参院選でいわゆる改憲勢
力が3分の2に達したころから急に目立ってきた。

まず翌11日付の毎日新聞が小松浩主筆の論文で「自主憲法か絶対護憲か、
という55年体制下の対立を、再び繰り返してはならない。(中略)それ
には、自民党が復古調の改憲草案を撤回することである」と書き、社説で
もこう主張した。

「(憲法)審査会の再開にあたっては条件がある。自民党が野党時代の12
年(平成24年)にまとめた憲法改正草案を、まず破棄することだ」

すると、13日付の朝日新聞も「憲法の基本原理は受け継ぎ、統治機構のあ
り方など時代に合わなくなった部分には手を入れる。こうした議論は必要
だが、それにはまず草案を撤回すべきである」と同調した。

 あるいは民進党は、この護憲派両紙の論法に飛びついたのだろうか。
(論説委員兼政治部編集委員)

産経ニュース【阿比留瑠比の極言御免】2016.9.29 01:00更新


            

◆狸と狐のテレビ討論会

Andy Chang


民主党のヒラリーと共和党のトランプのテレビ討論会は昨夜27日
夜、ニューヨークのある大学の講堂で行われた。メディアはこれを
世紀の弁論会で、結果が決定的な影響を及ぼすと宣伝していた。2
人とも人気が最低で何方に投票しようかと迷っている国民が多いか
らこのテレビ討論会が役立つと言うのだ。

私は数か月も前からこの2人には絶対投票しないと決めているので
テレビ討論会はどうでもよいのだが、3大メディアとFoxnewsが同
時に放送するほどの大ニュースであった。

世紀のテレビ討論会と言うのはトランプが世紀の自大狂で、ヒラリ
ーが世紀の大嘘つきだからである。トランプの参謀たちはこれまで
の放言暴言を止めて大統領らしく振舞えと言い、ヒラリーは数多の
ウソを言い繕う準備をしている、つまり2人とも真骨頂を出さず、
腹の出っ張った古狸と美女に化けた千年狐の化かし合い、ホンモノ
のトランプとヒラリーではない。

●政策と攻撃

テレビ討論会とは政策の比べあいと相手の弱点攻撃の2つである。
但しこれまでの討論会では発言時間が限られているので政策発表は
印象が薄く、もっぱら候補者の態度が印象に残るようだ。

ヒラリーは40年も政治に拘ってきたので、クリントン夫婦と本人の
スキャンダルなど弱点がたくさんある。だからこの弁論会では政策
の方に焦点を絞り個人の弱点を躱すことに腐心している。このほか
ヒラリーの戦術は相手のあら探し、個人攻撃であった。

トランプは暴言が多かったし態度が悪く、過去は悪辣な商売人だっ
たから同じく弱点も多い。今回はプライマリー選挙のような暴言を
慎み声を荒げず、大統領にふさわしい貫禄を示せと参謀たちからこ
れぐれも勧告されていた。つまり双方とも己の弱点を隠して相手の
弱点を突く、狸を狐の化かし合いだった。

●弁論態度の比較

これまでヒラリーは肺炎、痴呆症、パーキンソン病などいろいろ健
康問題が噂されていた。ところが弁論会では90分も立ちっぱなしで、
言語も明瞭だし、トランプ攻撃の資料も十分に準備していた。ヒラ
リーは90分の弁論で一度も水を飲まず、トランプの人身攻撃にも落
ち着いて反撃して、健康に問題はないように見えた。

一方トランプは言われたように落ち着きがなく、イライラして相手
の発言に横槍を入れるとか、ヒラリーの発言を横取りするなど態度
が悪く、発言が冗漫で要点を逸れることが多かった。90分の弁論会
で8回も水を飲んで緊張していることが見え見えだった。

●メディアの結果発表

今朝のニュースを見るとNew York Timesを始めLos Angeles Timesな
ど各新聞の評論家の批評はヒラリー勝利と書いていた。またCNNの
世論調査ではヒラリー62%、トランプ27%でヒラリー圧勝としていた。
討論題目は多岐にわたっているが主だった結果は以下の通りである。

*TPPについてトランプとヒラリーが反対していたが、トランプは
ヒラリーがオバマの政策に賛成していたと攻撃。トランプが優勢。

*経済、税制についてはトランプが一般減税、ヒラリーは高所得層
の増税を唱えた。ヒラリーは詳しい経済政策を発表しているがトラ
ンプは表題だけ。

*人種問題ではヒラリーが黒人と白人の話し合いと融和を唱え、ト
ランプは警察を支持し法と秩序を主張。トランプがやや優勢。

*トランプはヒラリーのメール問題を取り上げたがヒラリーはトラ
ンプが税金申告を公表しないことを取り上げ、トランプが劣勢とな
った。この弁論の時にトランプがヒラリーのメール事件やベンガジ
事件などを取り上げて攻撃できなかったのは大失敗だった。

*トランプはイラク戦争に賛成だったが事実を否定し、司会者が証
拠があると言ってもイラク戦争に反対だったと強弁したので、メデ
ィアはトランプは二重にウソを吐いたと書いた。トランプの失点。

*トランプがヒラリーには大統領のスタミナがないと批判したが、
ヒラリーの反論でトランプの敗け。これは将来の記録に残る失敗。

*ヒラリーはトランプがプーチンにアメリカのメールをハッキング
しろと言ったのは反米行為だと攻撃した。これもトランプの負け。

*司会者に「帰化人のテロをどう処理するか」と聞かれ、ヒラリー
は民族間と宗教間の融和を主張。トランプは話題を国外テロに逸ら
し、司会者が二度も「帰化人のテロだ」と注意されたが答えられな
かった。

総合するとトランプの失点が多いことがわかる。ヒラリーが十分に
下準備をしていたのにトランプの準備不足が目立った。

●狸の最後っ屁

討論が終わったあとの記者会見でトランプは大変良かったと言って
いたが、次の日のメディアはヒラリーの圧勝と書いたのが多かった。
トランプはこのあとすぐに、司会者Lester Holtが不公平で敵意の
ある質問をしたとか、彼のマイクロフォンに問題があったなどと言
い出した。つまりトランプ自身が敗北を認めた証拠である。

トランプがいつも自分に不利な結果を他人のせいにすることは衆知
のことである。だが今回の弁論会の司会者の態度は公平以上にトラ
ンプを優遇していた。トランプの横槍やヒラリーの発言妨害、2分
間の発言と言われて5分喋っても中止しなかったぐらいで、全体の
弁論でトランプの発言は3分の2を占めていたのである。狸の最後
っ屁は卑怯で醜悪である。

今回の弁論は「関ケ原の戦い」ではなかった。今朝の世論調査では
ヒラリーが相変わらず2ポイントリードしている。弁論会が選挙の
結果を左右するというメディアの宣伝ほどではなく、聴衆が今回の
結果で投票を決めたとは思えない。続く第二回、第三回でトランプ
が劣勢を挽回できるかはわからない。投票までに新しいニュースが
出てきて選挙民の評価が変わるかもしれない。

私は二人には投票しない、これは政党政治の問題ではなくアメリカ
の国益と良心の問題である。ヒラリーは希代の嘘つき、トランプは
自大狂、二人とも大統領の資格はない。


      

◆難民モドキという難問

平井 修一


山本夏彦翁曰く「人はついぞ自分は見えない」。

他者のことは冷徹に観察できるが、ことが自分に及ぶと冷静に現状を把握
して行動することができない。パニックになったり、無謀な行動をして自
滅したりする。

「PCの作業では30分に1回は上書き保存する」・・・これは多くの失敗か
ら学んだ上の鉄則だが、1時間、2時間でも問題ない状態が続くと、この鉄
則を忘れるのである。

人は賢いか、愚かか。現状としては「賢くもあり、愚かでもある」「冷静
に判断することもあるが、失敗が多く、一時的な感情でバカなことをする
こともある」あたりだろう。

難しいことではあるが、人間は概ね経験で動くから、未知の明日、来週、
来月、来年のことはなかなか予測できない。ちょっと前までは無茶をして
も「ガンガン飲んで、ひと眠りすればOKだ」なんてやってきたから、老人
になっても無茶をして、そして老人であることを自覚し、「もう以前の体
ではないんだ、無茶は禁物だな、教訓とすべし」と反省するのである。人
間は賢い。

ところが体調が戻ると教訓は忘れて、ヨッシャーッとなり、そして後悔す
るのだ。全然進歩しない。人間は愚かである。

どんなに経験を積んで、賢くなっても、その知恵を後進にバトンタッチで
きないというのが人間の哀しさだ。物質は残せるから、その蓄積の上に今
があるのだが、精神は2万年前と一緒で、いつでもゼロからのスタート
だ。まったく発達、発展しない。2万年前の苦労を今も繰り返すのである。

ウィキによれば「ニッコロ・マキャヴェッリ(1469年5月3日 - 1527年6月
21日)は、イタリア、ルネサンス期の政治思想家、フィレンツェ共和国の
外交官」。新大陸が発見され、大航海時代、移民、移住が移住して続々と
植民地が作られていった時代である。われわれは500年経っても彼を超え
られない。

塩野七海氏の「マキアヴェッリ語録」にはこうある。

<いくつかの民族は、なぜ自分たちの土地を捨てて他国に侵入し、そこで
国を創るか――の理由だが、これは戦争の一種と見るべきであろう。

この人々は、戦乱によるか、飢餓のため貸して、やむを得ず家族ともども
侵入してくるわけだが、この種の侵入は、領土欲に駆られてではない。と
はいえ、先住民族を追い出したり殺したりすることにおいては、変わりは
ないのである。だからこそ、通常の戦争よりも残酷な様相を呈する場合が
多いのだ。

この、やむを得ずにしても新天地を求めて侵入してきた民族が、もしも非
常に多数の人間からなっている場合は、必ずといってよいほど先住民族を
追い出し、殺し、財産を奪った果てに新国家を建設するようになる。

そして建設の後は、モーゼがしたように、またローマ帝国のあちこちに侵
入した各民族が行ったように、地名を変える現象が起こる。

ガリア・チザルピーナと呼ばれていた地方がロンバルディアと呼ばれるよ
うになり、ガリア・トランスアルピーナがフランスになるという具合で、
侵入してきた民族の名にとって代わるというわけだ。

イリリアはスキャヴォーニに、パンノニアはハンガリーに、ブリタニアは
イギリスに代わったように、例を挙げていくときりがない。モーゼも、彼
が征服したシリアの一部地方を、ユダヤと呼ばせたのであった(政略
論)>(以上)

以下は、昨日PCがフリーズして壊滅した原稿(引用以外)を記憶を頼りに
修復したものである。上書き保存を忘れたのだから自業自得で、仕方がな
い、明日再チャレンジだと思ったのは賢明だが、この際、気分転換で一杯
やるか、ちょっと早いがいいだろうとなったのは愚かである。人間は複雑だ。

在ウィーンの長谷川良氏の論考「新たな『民族の大移動』が始まった!」
(アゴラ9/22)から。

<私たちは大きな勘違いをしているのかもしれない。彼らは一時的な難民
殺到ではなく、欧州全土を再び塗り替えるかもしれない人類の大移動の始
めではないだろうか。以下、その説明だ。

メルケル独首相は19日、ベルリン市議会選の敗北を受け、記者会見で自身
が進めてきた難民歓迎政策に問題があったことを初めて認め、「今後は
『我々はできる』(Wir schaffen das)といった言葉を使用しない」と述
べた。

この発言は「難民ウエルカム政策」を推進してきたメルケル首相の政治的
敗北宣言と受け取ることができるが、来年実施される連邦議会選への戦略
的変更と考えることもできる。賢明なメルケル首相のことだから、当方は
後者と受け取っている。

オーストリアはファイマン政権時代の1月20日、収容する難民の最上限数
を3万7500人(年)と設定した。参考までに、17年は3万5000人、18年3万
人、そして19年は2万5000人と最上限を下降設定している。すなわち、今
後4年間、合計12万7500人の難民を受け入れることにしたわけだ。

同国は昨年、約9万人の難民を受け入れている。そして今年9月現在、最上
限をオーバーする気配だ。そのため「最上限を超える難民が殺到した場
合、どのように対応するか」が大きな政治課題となっている。

すなわち、難民受け入れ数の最上限設定の背後には、「殺到する難民を制
御し、必要に応じてその上限をコントロールできる」といった自惚れた考
えがその根底にある。

現代の代表的思想家、ポーランド出身の社会学者で英リーズ大学、ワル
シャワ大学の名誉教授、ジグムント・バウマン氏は、「移民
(Immigration)と人々の移動(Migration)とは違う。前者は計画をたて、
制御できるが、後者は津波のような自然現象で誰も制御できない。政治家
は頻繁に両者を混同している」と指摘している。

ここで問題が浮かび上がる。欧州が現在直面している難民、移民の殺到は
Migrationではないか、という懸念だ。そうとすれば、欧州はトルコやギ
リシャに難民監視所を設置し、殺到する難民を制御しようとしても、制御
しきれない状況が生じるだろう、という懸念だ。

欧州では3世紀から7世紀にかけて多数の民族が移動してきた。これによっ
て古代は終わり、中世が始まったと言われる。ゲルマン人の大移動やノル
マン人の大移動が起きた。

その原因として、人口爆発、食糧不足、気候問題などが考えられている
が、不明な点もまだ多い。民族の移動はその後も起きている。スペインで
はユダヤ人が強制的に移動させられている。

ジュネーブ難民条約によれば、政治的、宗教的な迫害から逃れてきた人々
が難民として認知される一方、経済的恩恵を求める移民は経済難民として
扱われる。

ところで、視点を変えてみれば、21世紀の今日、“貧しい国々”から“豊か
な世界”へ人類の移動が始まっているのかもしれない。換言すれば、北ア
フリカ・中東地域、中央アジアから欧州への民族移動はその一部に過ぎな
い。この場合、政府が最上限を設定したとしても彼らの移動を阻止できない。

ドイツで昨年、シリア、イラクから100万人を超える難民が殺到したが、
大多数の彼らはジュネーブ難民条約に該当する難民ではなく、豊かさを求
めてきた人々の移動と受け取るべきだろう。繰り返すが、制御できない民
族の大移動は既に始まっているのかもしれない>(以上)

仕事、安全、未来、豊かさ、温暖な気候を求めて2万年前から人は移動し
てきた。北から南から東京、大阪に人が集まるのはごく自然なことだ。た
だ、国境を越えたり、異民族だと衝突は避けがたい。

ジャーナリスト・井本省吾氏の論考「塩野七生氏の卓見『難民、移民は入
れるな』」(アゴラ9/21)から。

<前回、イタリア人による移民礼賛論の危うさをを取り上げた。長くイタ
リアで暮らし、イタリアの生活と文化、歴史について日本人の中でもっと
も詳しい一人である塩野七生氏の「移民への対処」論を紹介したい。

2008年12月号の月刊「文藝春秋」に載ったエッセイと同時期のナンバー
715号に掲載された記事だが、今でも十分に通用する。筆者は塩野さんの
考えにほぼ全面的に賛成である。

塩野さんは「純粋培養だけでは、いずれは衰弱する。異分子による刺激は
常に活気を取り戻すには最適な手段」として、有能な外国人の日本への移
住を歓迎する。

だが、当時、日本では移民を一千万人受け入れると言い出した。塩野さん
は「これくらい、バカな政策はない」と一蹴する。理由は以下の如し。

《移民政策では先行していたのがイギリスやドイツやフランスやイタリア
だが、これらの国の現状を見てほしい。今では移民受け入れに積極的で
あったゆえに苦労が絶えない。ヨーロッパ人がアメリカへの移民であった
百年前とは、事情が変わったのである。

以前は移住先の国の言葉を習得し法律を守るのは当たり前と思われていた
が、今はまったくそうではない。移り住んだ国に同化するよりも、その国
の中に自分たちのための治外法権区域を作ることのほうに熱心な感じだ》

移民がその国に問題なく定住する大きな条件はその国の言葉を自由に話
し、生活習慣を身につけることである。さらに、その生活習慣をこよなく
愛することが大きい。

そうした外人はしばしばテレビなどに出演し、流暢な日本語とユーモアで
日本人に親しみをもたらす。彼らが日本に愛着を感じている事は話しぶり
や身振りで良くわかる。日本人そのもののような所作をする人々も珍しく
ない。

私はこうした外国人の存在を大いに歓迎する。中には日本人に帰化した者
も少なくない。

だが、自分たちの言葉を話し続け、生活の文化も持ち込み、さらに自分た
ちの治外法権区域を作れば、その国の国民との摩擦、争いが多発しないは
ずがない。塩野さんは言う。

《これが現状である以上、今の日本の選択すべき道は、一つしかないよう
に思われる。深く静かに潜行してきたこれまでの厳しい移民政策を、これ
以後も黙ってつづけることなのだ。来られては困る人々を、なるべく人目
に立たずに排除するために》

外国人の移民を歓迎する向きは、外国人の流入を閉ざすと労働力が不足し
日本は孤立する、と心配する。だが、塩野氏は「その心配はない」と退ける。

女性や非正規労働者、高齢者を今まで以上に活用することで解決できる
し、長期的には必要な外国人は日本にやってくるから、日本が孤立する心
配もないと見る。

世界の知的労働者、有能な技術者は何を欲しているか。「治安の良さ」
「親切な人々」「便利な日常生活」の3点セットだ。この点については日
本は世界のトップクラスにあると塩野さんは太鼓判を押す。

今や米国のような先進国でさえ、城塞都市かと思うくらいに高い塀をめぐ
らせガードマンが見張る中で、有力な知的・技術的労働者が富裕階層とと
もに日々を暮らすようになりつつある。日本なら、城塞なしでそれが実現
できる。

日本は説明不足で、そうした情報を海外に提供していないから、知的労働
者も不十分にしかやってこない。しかし日本に少し長く旅した人々はそれ
を認識し、徐々に定住の道を選び出す。

例えば、テレビや洗濯機などが壊れたら電話で数時間で修理に来て、ほぼ
満足行くように直して行ってくれるし、修理にコストがかかるようだと、
安い新品を手配してくれる。欧米だと修理に1〜2週間かかるのはザラ。
新興国や途上国ではまともな修理を期待できない場合も少なくない。

重ねて言えば、塩野さんは「『来られては困る人々』は、断固として排除
すべきだ」と書いている。

《日本にとって一番困る人々は、もちろん反日教育で洗脳された中国人と
北朝鮮・韓国人だ。彼らは日本を嫌いだが、母国で生活に困窮したため、
豊かな日本にやってくる。ある者は犯罪行為、ある者は性産業や水商売で
金を稼ぐ。

彼らが日本に来たことによる(日本の)メリットは何もない。あるのはデ
メリットだけだ。彼らが多く集まればチャイナタウンやコリアタウンを形
成し、そこは治外法権区域と化す。彼らは多くの犯罪を犯し、日本の治安
は悪化するだろう。

今回の国籍法改正案(改悪案)は、ザル法である。偽装認知がおそらく中
国・韓国人により多発するはずだ。……(その結果、治安、親切さなど)日
本の良さも消えるだろう。日本語を全く話さず反日教育を受けた新・日本
人の手によって。まあ、多くの人が気がついた時には、もう手遅れかもし
れないが》

塩野さんがこう書いたのは、欧州への難民流入問題が本格化する直前のこ
とだが、今日の混乱を正確に見通している。

1000万人の移民に賛成しているきれい事の好きなリベラリストは、今も欧
州での社会的混乱に見て見ぬふりをしている。

だが、問題の深刻さを少しでも理解している日本人、特に政治家は塩野氏
のように、毅然と言わねばならぬ。

「日本は移民、難民を安易に受け入れるわけには行かない。自分のことは
自分の国で、自分でせよ」と。

中国や韓国に対しては、特にこの姿勢で対応すべきである。塩野氏の冷徹
な視点は、かつて福澤諭吉が喝破した次の「脱亜論」の観点と共通する。

《シナ朝鮮(に対しては)隣国なるが故とて特別の会釈に及ばず。悪友を
親しむ者は共に悪友を免かる可らず。我は心に於て亜細亜東方の悪友を謝
絶するものなり》

諭吉も手を携えて共に欧米列強の攻勢に対処しようと、最初は大いに期待
した。だが、傲然と誇り高いだけでまったくヤル気なく、日本の援助に頼
り、ぶら下がり、しかも恩を仇で返す。その魂胆、性格にあきれ返った末
の脱亜論である。

100年たっても変わらない隣国人の業、性。そこを見据えないと「気がつ
いた時には、もう手遅れかもしれないが」となるやも知れぬ>(以上)

遠くさかのぼれば我々もアフリカから大陸経由で、あるいは海を越えて日
本にやってきた開拓者、難民、移民だったろう。国は縄張り、シマであ
り、先住民族の早い者勝ちである。遅れてきたものはいじめられ、差別さ
れ、辺境に追いやられるのが常だ。

あるいは先住民族を圧倒してシマ乗っ取ることも多いだろう。マヤ文明、
インカ帝国は駆逐された。豪州タスマニアのアボリジニは白人に瞬く間に
絶滅された。北米の住民は1500年には100%がインディアンだったが、今
はたったの3%に過ぎない。

非妥協的な宗教妄想で自由、民主、人権、法治の近代国家造りに失敗し国
土破壊を招いた難民モドキの侵入を許せば、やがて国家は乗っ取られる、
ハイジャックならぬカントリージャックだ。もし日本が100年後も素晴ら
しい国であるためには異民族の浸透をしっかりコントロールしなければな
らない。これは子孫に対する我々の義務である。(2016/9/28)


      

2016年09月28日

◆国籍法は血統主義ではない

池田 元彦
 


橋下徹前大阪市長のTwitter発言で、ネットが大荒れしている。最近の国
籍関連ツイートの内容だ。「日本の国籍法の血統主義採用は思想的根本問
題だ。血統主義は個人の人生を切り拓く希望・可能性を奪う」。だから
「血統が全てと言いだしたら、俺はアウトだよ」の発言個所だ。

即ち、早とちりのネット族は、橋本前市長が「日本人でない」とカミング
アウトしたと即断し、矢張り在日だったのかとの大騒ぎなのだ。厳密に橋
本前市長が在日告白したわけではないが、国籍問題のツイートで「俺はア
ウト」というから、そう判断するネット族もいると言うことに過ぎない。

橋下前市長の場合、仮令その発言の真意が「俺は日本人ではない。実は朝
鮮人だ」としても、何が問題なのか、問題などない。彼は日本国籍ある日
本人だということは明白だ。

仮に元の出自が朝鮮であろうと、アゼルバイジャンであろうと、何を問題
にしたいのか、ネット族の真意が不明だ。

橋本前市長の政策方針全てを賛美する訳ではない。地方分権化指向は判る
が、大阪都構想等は100%賛同できない。しかし、氏の根本的政策は、法
令に則って市の役職員の無為無策、無作為の作為を糾弾し、甘い汁を吸う
一部大阪市民の不公正な私利受益を断罪することだった。

今の日本には私益・権利が蔓延し、国益を指向し公益への責任に無自覚な
政治家や官僚が多過ぎる。日本国籍があり公益優先、身勝手な個人権利の
制限、法令順守の施策を掲げる人なら誰でもいい。戦前・戦後外務大臣経
歴の東郷茂徳は、朝鮮人陶工の末裔で本名は朴茂徳だった。

重ねて言うが、最低限日本国籍があれば、数世代前以前に日本に帰化した
当時外国籍人でも構わない。しかもその政策が日本の防衛を含む国益の
為、国民の福利厚生向上の為であり、その言動が嘘でなければ、大歓迎
だ。権利・権利の日本国憲法が根本問題であることは承知で言う。

もし出自を問題とするなら、民進党蓮舫代表だ。台湾国籍未放棄の発覚以
来、言うことが都度変る。遂に二重国籍を認め、台湾国籍を漸く離脱し
た。問題は、国籍ではない、日替わりランチのように発言の訂正を繰返
す、そのいい加減さは、政治家以前の人間として失格、信用の問題だ。
ご本人は「帰化ではない、日本国籍取得だ」と拘った。

後漢書童恢󠄀伝には「化外の国から、その国の王の徳治を慕い、自ら王法
の圏内に投じ、王化に帰附(=帰属)すること」が帰化だとある。蓮舫代
表は、「喜んで日本に『帰化』していない。日本国籍取得しただけ」との
真意を漏らしたのだ。

よく考えれば、蓮舫代表は台湾国籍だが台湾への愛着ある発言は過去にな
いと元台湾国籍の金美齢女史が批判している。台湾国籍ながら、心は大陸
中国にあるようだ。日本については、2004年の朝日新聞に「赤いパスポー
トが嫌だったが、仕方なく日本国籍を取得」と発言している。

国会議員名称は「蓮舫」に拘り、日本姓の「村田」を名乗らない。このよ
うな人は仮令千年前から日本人であっても、国会から即退場し、日本国籍
放棄の上、中共国籍を取得して頂きたい。

でもまさか、元々日本国籍を厳密な意味で取得していなかったなんてこと
はないでしょうね、蓮舫代表。

因みに血統が日本国民の国籍保有条件等とは、国籍法の何処にも書いてい
ない。「(日本国籍がある)日本国民の両親何れかから生まれた子供は自
動的に日本国籍を取得できる」と書いてあるだけだ。

現代日本人のDNAは当然10万年前からの混血の繰返しであり、生物学的に
は雑種だ。

政治家に問われることは、日本国の文化伝統歴史風俗を支持し、皇室を敬
愛出来るかどうかだ。