2014年03月25日

◆東亜領土問題の解決策

Andy Chang


前号(AC通信No.490)「未解決領土と中国の覇権阻止」について、ハノイ在住のR氏から「竹島、尖閣、北方領土は100%日本領土です」とのコメントがあった。もちろんその通りです。私の記事の中で、日本領土の部分と帰属未定の領土と一緒にしたことお詫びします。
周知のことだから領土問題を論じる際に一緒にしてしまったのです。

東亜の領土問題を詳しく書けば、

(1)SFPTで帰属未解決となった領土は台湾澎湖、南沙、西沙群島。
(2)ロシアが終戦直後に勝手に武力で占領した北方四島
(3)日本領だが韓国が占領して実効支配している竹島
(4)日本領だが中国が無法な領有権を主張している尖閣諸島。

以上をまとめて「東亜領土問題」と呼ぶことにしたい。この問題を解決するには、ロシアと韓国に占領した領土の返還を求めること、台湾の独立、中国の尖閣領有主張を阻止する、そして南沙と西沙の所属を決めることである。

北方四島については日本とロシアが二国間で何度も協議したが解決に至っていない。竹島問題は韓国が協議に応じないし、国際法廷で解決することにも同意しない。つまり、領土問題は二国間協議でも、国際法廷でも解決できないから、アメリカを主体としたSFPTの署名国と関連諸国全体が共同で解決するべきだと私は主張する。

私がPASEAを提案して三年たったが、どのようにすべきかを考えると困難がたくさんある。台湾人は国がないから政府単位で行動する事はできない。民間で出来る事は署名運動だけである。東亜聯盟は多国間政府の交渉ですべきだが、アメリカは現状維持とか曖昧政策
などで実行しない。

もしもアジア平和聯盟が出来ればアメリカは主催国として参加または聯盟を作ってからアメリカの参与を要求してもよい。聯盟を作るには日本の首相が音頭を取るのが望ましい。国がない台湾人は署名運動でアメリカの参与を促すことしか出来ない。

●アメリカの責任

第二次世界大戦を終結させるため、アメリカを含む47カ国は日本とサンフランシスコ平和条約に署名した。この条約は当時のアメリカが決定権を握っていた。だがアメリカは条約に未解決な部分を残し、それが現在の係争の原因となっているのである。

アメリカはSFPTの第2条で日本が主権放棄をした台湾澎湖、南沙、西沙諸島の帰属を決められなかった。また、第2条cで日本が放棄した千島と南樺太は、ロシア(ソ連)が南千島に含まれていない北方四島を勝手に占領したがSFPTではこれを追及しなかった。

竹島はSFPT締結後、李承晩が韓国領を主張したが、日本とアメリカはこれを認めていない。今でも韓国が実効支配を続けている。

尖閣諸島は沖縄領で、アメリカが沖縄を信託統治し1972年に日本に返還した。にも拘らずアメリカは尖閣諸島が日本の領土であると確認しない。だから中国が勝手に領土主張をしているのである。但しアメリカは尖閣諸島が日米安保の範囲内にあると曖昧な確認をして
いる。

台湾は蒋介石が勝手に占拠した領土である。中華民国政府が亡命してきた時もアメリカは共産主義に反対だから中華民国の台湾占拠を黙認してきたのである。その後アメリカは共産シナを承認して中華民国を認めなくなったが、亡命政府を追放せず現状維持を主張して
台湾人民の独立運動を援助しない。

●住民投票は必ずしも民主主義ではない

クリミアの住民投票で97%がロシア併合に賛成票を投じたと言う。大多数の民衆が賛成したのだからロシア併合は民主主義にかなっていると言えるだろうか。クリミア住民の大半がロシア人だから併合に賛成は当然の成り行きかもしれない。

「民主主義とは多数決による独裁である」とトクヴィルが喝破したが、その通りである。多数決で決めたから民主と簡単に決めるわけに行かない。

台湾の住民の80%は台湾人で、調査によると台湾人の9割は独立に賛成、中国併呑に反対である。それだから現在の独裁中華民国は住民投票を実施しない。中国とサービス貿易協定を結び、将来的に中国人の移民が増えれば投票で台湾併呑が可能となる。これは独裁で
あって民主的ではない。

北方領土ではロシア人が移住しているから住民投票でロシア併合が可能となる。こんな投票は許されるべきではない。台湾は中国の領土ではないし、北方領土は日本領土だから、台湾領土や日本領土で中国人やロシア人が投票するのは間違いである。

●聯盟を成立させる最短距離

諸国が東亜領土問題を解決する聯盟を作る最短距離は、現在進行中の汎太平洋パートナーシップ(Trans-Pacific Partnership、TPP)協議に太平洋地域の領土問題を解決する条項を入れることである。

安倍総理のセキュリティ・ダイアモンド構想、またはPASEA構想と同じく、汎太平洋諸国が中国とロシア、韓国の無法占拠のために太平洋地域が平和でないのである。

TPPの協議に東亜領土問題の一括解決を組み込めば東亜は平和になる。TPPはアメリカが提案したのだから、商業問題や農産物などの協議と同様、領土問題の解決を盛り込めばよい。アメリカも東南アジア諸国の協力を得て中国の暴挙をストップさせるチャンスである事はすぐ理解できるであろう。

   

2014年03月24日

◆長年の愚を繰り返す自民党

酒井 充


また自民党の悪い癖が出てきた。集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の見直しについて、安倍晋三首相(自民党総裁)は6月22日に閉会する通常国会前後を含め今夏に見直しの閣議決定を行う方針だ。だが、野党でも連立与党の公明党でもなく、肝腎の自民党が揺らいでいるのだ。

自民党は17日、党総務懇談会を開いた。総務懇談会は郵政民営化で揺れた平成17年以来で、党大会に次ぐ最高意思決定機関の総務会メンバーが、結論を出さずに自由に議論する場だ。17日のテーマは、まさに集団的自衛権だった。

約20人のメンバーが発言する中、村上誠一郎元行政改革担当相は「なぜ首相は急ぐのか」と見直しに猛烈に反対した。ほかにも「なぜ今なのか」との意見が相次ぎ、賛否は半々だったいう。出席者の一人は「今さら何のためにこんなことをやっているのだろうか。単に自民党はまとまりがないと思われるだけだ…」とぼやいていた。

実は複数の政府高官も「あわてて今国会で結論を出す必要はない」と先送りに言及している。気は確かか。自民党は24年12月の衆院選の公約で、こう明記し、行使容認を宣言した。

「日本の平和と地域の安定を守るため、集団的自衛権の行使を可能とし、『国家安全保障基本法』を制定します」

昨年7月の参院選でも、公約に付随する総合政策集で同様のことを明記している。

集団的自衛権に反対する人たちは、有事の時どう責任をとるのか

少し説明が必要だ。集団的自衛権の行使を実現するには、自衛隊の行動を規定した法体系を変える必要がある。国家安全保障基本法は、行使を可能にするための総合的な新法だが、新法の成立は一般的に法改正よりも膨大な時間がかかる。

日米間では、今年末までに日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の再改定を行うことで合意している。日米の役割分担を見直す再改定にあわせ、日本が集団的自衛権を行使できるようになっていることが理想だ。

だから、首相は国会答弁で、新法の国家安全保障基本法よりも審議時間が短くなることが予想される「自衛隊法改正」などの個別法の改正を進める考えを示している。

憲法改正による集団的自衛権の行使容認には、さらに膨大な時間がかかる。その間も日本を取り巻く安全保障環境が悪化していくことは容易に想像できる。憲法解釈の見直しによる行使容認は次善の策には違いないが、急ぐ必要があるのだから仕方ない。

今月発表された中国の軍事費は前年度比12・2%の伸びで、ひたすら軍拡路線を突き進む。尖閣諸島(沖縄県石垣市)付近への挑発は日常茶飯事だ。北朝鮮もミサイルやロケットの発射を続ける。

悠長に先送りなどと言っている場合ではない。いま有事となったら、集団的自衛権の行使容認に反対する人たちは、どう責任をとるのか。東日本大震災の津波や原発事故のように「想定外」と言い逃れをするだろう。有事が具体的に想定できる中、やるべき対応策もやらずに。

「なぜ急ぐのか」「なぜ今なのか」ではない。「なぜ急がないのか」「なぜ今までやってこなかったのか」が真実だ。

愚を繰り返せば、自民党は何の反省もしていないことに。

だが、先述の通り周辺の安全保障環境を鑑みれば、集団的自衛権行使の必要性は高まりこそすれ、不要と言えるはずがない。

「安倍のわがままで戦争をできる国にしようとしている」という批判がある。本当にそうだろうか。軍事バランスが崩れたときに戦争が起きやすいというのは歴史の鉄則だ。

日本を守るための法制度や装備を整えることこそが、平和を構築する最善策だ。自民党の国会議員ともあろう方々が、こんな国際政治の常識を知らないはずはない。そうでないというならば、速やかに議員を引退するか、共産党や社民党に移籍すればいい。

そうすると、すぐに「議論を封印」という批判が出てくる。与党として結論を出さない議論に何の意味があるのか。「議論することはいいことだ」との哲学のもと、「決められない政治」を続けた民主党政権で国民は学習したのではないか。

それなのに、自民党では集団的自衛権の「勉強会」が盛んなのだ。総裁直属の機関をつくること自体、「何を今さら」という気がするが、派閥レベルでも町村、額賀、岸田各派が独自の勉強会を開催するという。

党公約を実現させるために議員一人一人が有権者に説明するための研鑽を積む勉強会ならば、おおいに意味がある。さすがに首相の出身派閥である町村派の場合は、「安全保障環境が変化しており、取り組みを一生懸命進めるのは当たり前だ」(町村信孝会長)との立場をとる。

だが、岸田派(宏池会)は「宏池会として見識の問われるテーマだ。政治家としての見識を勉強していきたい」(金子一義最高顧問)という。すでに議員を引退しながら、首相を「お坊ちゃん」と品のない言葉で中傷する古賀誠名誉会長の影響力があることは間違いない。

同派の溝手顕正参院自民党会長も「党の公約だからという論理でやってしまおうという動きがないことはなかった。自民党参院議員114人のうち、35人は1年生で、ほとんど公約を読んでない」と恥をさらした。ちなみに溝手氏は17日の総務懇談会でも、党幹部でありながら「結論が最初から見えている状況は困る」と発言した。

そうだとすると、公約とはいったい何なのか。「マニフェスト破り」を繰り返した民主党と何が違うのか。

首相を支え、ふだんは慎重な発言で通す岸田文雄外相でさえ、自ら会長を務める20日の岸田派総会で「賛成か反対かという単純な議論というわけにはいかない」と述べた。賛成を大前提としない言い回しで、古賀氏の大きな影が相当浸食しているようだ。

額賀派も「この問題に真正面から取り組む」(額賀福志郎会長)という。「自分たちの公約は実にいい加減なものでした」、あるいは「選挙はなんとか勢いで当選したが、何も勉強していませんでした」と告白しているに等しい。驚くべきことは、こうした動きを恥だと思わず、どうも「いいことだ」と考えている節があることだ。

慰安婦募集の強制性を認めた平成5年の「河野洋平官房長官談話」をめぐる問題も同じ構図だ。

言うまでもなく河野氏は自民党政権の官房長官だった。しかも当時は自民党単独政権だった。元慰安婦16人の聞き取り調査がいい加減な内容だったことは、談話作成時の事務方のトップだった石原信雄元官房副長官が2月の衆院予算委員会で証言した。

石原氏を参考人として国会に呼ぶことを働き掛けたのは日本維新の会の山田宏衆院議員らだった。自民党は石原氏の招致には渋々同意したものの、河野氏の招致は拒否した。衆院議長経験者の国会招致は前例がないことが理由だという。石原氏は河野氏らの指示で動いたにすぎない。談話の欺瞞性を語ることができる証人は河野氏以外にいない。それに自民党は抵抗した。

証拠に基づかないいい加減な談話の発表から20年以上が経過した今も、日本は「性奴隷を行った国」として韓国はじめ各国から不当な貶めを受けている。この屈辱的な現状に対し、自民党が自らの責任でけじめをつけないとは、いったいどういう了簡か。

産経ニュース[酒井充の政界××話] 2014.3.23

◆『超限戦』は3つの戦略行使

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
 

<平成26(2014)年3月1日(土曜日):通巻第4165号> 
  
 〜『超限戦』は心理戦、宣伝戦、法廷戦の3つの戦略行使
    日本企業を相手取った賠償訴訟も反日だけが目的ではない〜

中国のパラノイア軍国主義者らが書いた『超限戦』は、日頃からも心理戦、宣伝戦、法廷戦の3つの戦略行使を重視している。

第一が宣伝戦である。

これは中国がもっとも得意とする嘘放送、謀略情報である。

戦前、蒋介石夫人の宋美齢はアメリカでキリスト教会あいてに「日本軍が中国でもキリスト教会を破壊している」と意図的な嘘放送を流して同情を招来させ米国世論をまんまと誤導できたように、あるいは南京で虐殺があったなどと大嘘をでっち上げた。英米では、いまも大虐殺があったと信じている人が多い。

人民日報系の『環球時報』(2014年1月14日)は、安倍首相の靖国神社参拝を政治的に逆利用するため在外公館の大使を含む幹部43人をして赴任地のメディアに寄稿させ、靖国参拝批判の政治宣伝キャンぺーンを展開させて成功したと報じた。

『環球時報』は今回の宣伝戦を「まれに見る全世界範囲での世論への働き掛け」と自画自賛、日本批判はユーラシア大陸、米大陸、太平洋の諸島とアフリカに広がったとした。

駐在大使らは米英やオーストラリアなど主要国メディアへ寄稿した。程永華駐日大使も直後の13年12月30日付の毎日新聞に批判文を寄稿した。

日本では安倍首相の靖国参拝を評価する国民が多く、かの朝日新聞でも世論調査で62%が賛成だった。同紙は驚愕するほどおどろいて、その結果を、30面あたりにゴミ記事のように小さく配信しただけだった。

第二は法廷戦である。

最近も「強制連行」に関する日本企業への損害賠償訴訟が典型例で、中国でいまもビジネスを展開している日本企業を被告として、時効済み、国際法敵にも解決した問題を蒸し返す。

あまりに法律理論を無視した遣り方に在中国の日本企業には困惑が広がり、今後、中国からの撤退が加速されるだろう。

日中平和宣言で「解決済み」とされてきた戦争賠償問題だけに、これをまた蒸し返したからには、中国の狙いが戦略論から派生した戦術行使であることは明白、提訴された三菱マテリアル(旧三菱鉱業)のほか、中国側から「強制労働」に加担したと指摘された日本企業も巻き込まれた。

それでなくとも「朝令暮改」のように商業、税制、企業法などが豹変し、チャイナリスクは高くなるばかり。欧米の金融機関もすでに撤退を始めた。しかし中国は、この法廷戦を政治的効果が高いと判断して継続するのである。
 
第三が心理戦である。

つねに敵を心理的に劣位に追い込む作戦行使である。日本の自虐史観に日本の若者が洗脳されれば、かれらは中国と戦争することもない。だから究極的に中国の安全保障に繋がるからだ。
 
▼ 情緒的な日本人の心理的弱みにつけ込め

日本人が永久に武士道精神を回復しないように、つまりそれこそが中国にとって脅威を取り除く、静かなる戦争なのだが、典型例は歴史改竄の押しつけである。

2014年2月27日、全国人民代表大会常務委員会は「9月3日を抗日戦争勝利記念日」に、「12月13日を南京事件の「国家哀悼日」にする議案を採択した。

9月3日が「抗日戦争記念日」となるのは、日本政府がミズーリ号での降伏文書に調印した日(1945年9月2日)の翌日にあたり、蒋介石国民党政権が中国各地で祝賀行事を挙行したことに因む。

共産党政権は1951年から追認して「対日戦勝記念日」と定めている。日本と戦闘しなかった共産党が国民党のさだめた行事を追認するのもおかしな話だが。

「国家哀悼日」に定められた12月13日は、1937年に旧日本軍が南京入城をなした日で、中国は「約40日にわたる大虐殺が始まった日で、30万人以上の中国人が殺された」と嘯いてきた。

真実はすでに知られているように南京市民は日本軍の入城を歓迎した。虐殺どころか、侵略行為はなにもなかった。

国共内戦、反右派闘争、文革で自国民を8000万人も殺した共産党にとって、30万だろうが、40万人だろうが、それは小さな数字でしかなく、客観的事実はどうでもいい。そもそも南京大虐殺がなかったことはすでに120%証明されているが、中国では一切報じられていない。

習近平政権が主導する対日強硬路線の一環であり、日本に対し再び「歴史カード」を使いながら脆弱な習政権の基盤強化を狙う思惑が根幹にある。

とはいうものの、これらの行為は日本をしてさらに反中国感情を滾らせるマイナス効果となり、日本企業が撤退すれば、中国経済は破綻の危機を迎えるだろう。

自滅行為、いやこれ中国の自らがかした「自爆テロ」となる可能性が高いのかも知れない。
     

2014年03月23日

◆「反日」支える日本人学者

古森 義久


日本の防衛政策や歴史認識に対して米国の大手新聞ニューヨーク・タイムズがこのところ一貫した激しい攻撃の社説を載せている。安倍晋三首相個人への誹謗(ひぼう)に近い非難も目立つ。

3月2日付の「安倍氏の危険な修正主義」と題する社説は安倍首相が南京虐殺はまったくなかったと言明したとか、安倍政権が慰安婦問題で河野談話を撤回するとの虚構を書き、日本政府から抗議を受けた。

さすがに同紙側も慰安婦問題についての記述を取り消すとの訂正を出した。だがオバマ政権が歓迎する日本の集団的自衛権の解禁さえ、軍国主義復活として扱う「反日」姿勢は変わらない。

ニューヨーク・タイムズのこの種の日本批判の社説を書く側に、実は特定の日本人学者が存在する事実は日本側ではほとんど知られていない。同紙は昨年10月に論説部門の社説執筆委員として日本人学者の玉本偉(まさる)氏を任命したことを発表した。玉本氏は数年前から同紙の定期寄稿者となっていたが、それが正規の論説委員に昇格した形となった。

玉本氏といえば、日米関係の一定の領域では知る人ぞ知る、評判の左翼学者である。実はこのコラムでも2006年8月に「日本発『公的な反日論文』」という見出しの記事で報じたことがある。

当時、日本の外務省管轄下の日本国際問題研究所で英文発信を任じられ、日本の歴代政府や国民多数派の見解を「愚かで挑発的」「軍国主義的なタカ派」と断じる自分の主張を流していたのだ。

玉本氏は一連の英語での意見発表で日本での靖国神社参拝を邪教を連想させる「靖国カルト」という表現で非難したり、北朝鮮の日本人拉致は「もう解決済みなのに日本側は対外強硬策の口実に使っている」とも述べてきた。

ニューヨーク・タイムズの社説は無署名だから誰がどの社説を書いたかは外部からは断じられない。だが現在の論説委員は委員長も含めて18人で、そのうち国際問題担当とされるのが玉本氏はじめ3人、うち2人は欧州やロシアの専門と明記されているから日本関連の社説は玉本氏の専門としか考えられない。

同紙の論説副委員長のテリー・タン記者(中国系米人)らの発表では、玉本氏は今は日本の横浜駐在で、ニューヨークのリベラル系研究機関「世界政策研究所」上級研究員やイギリスのケンブリッジ大学研究員を歴任してきた。日本側では前述の日本国際問題研究所在勤のほか立命館大学助教授だった記録もある。

当然ながら、米国の新聞や日本人の学者が日本の政府や国民多数の態度を批判することも言論の自由である。

だが玉本氏のように日本全体を指して「(対中姿勢や歴史認識について)精神分裂」とか「外国の真似(まね)でしか進歩できない」と断じ、日中の意見の衝突でも一貫して日本側に非があるとする主張を「反日」と総括することも言論の自由なのだ。

前述の当コラムで玉本氏の主張を批判すると、同氏を支持する日米の左派系勢力から言論の弾圧だとする攻撃が起きた。左派は自分と異なる意見は口汚いまでの表現で攻撃するが、自分の意見を批判されると、とたんに言論弾圧だと開き直る。

ニューヨーク・タイムズの社説の一連の「安倍たたき」の背景を指摘することは、言論弾圧などではまったくないことを事前に強調しておこう。

(ワシントン駐在客員特派員)産経ニュース【緯度経度】2014.3.22

◆朝日・毎日への反論

高橋 昌之


国会では20日に平成26年度予算が成立し、今後の論戦は安倍晋三政権が実現を目指す集団的自衛権を行使するための憲法解釈の変更が焦点となります。このため、新聞各紙は社説で集団的自衛権行使の是非に対する主張を掲げていますが、従来通り、産経、読売両紙が「賛成」、朝日、毎日両紙が「反対」です。

私は昨年8月と10月の2回にわたり、このコラムで朝日、毎日両紙の集団的自衛権行使への反対論について問題点を指摘してきましたが、両紙の主張は相変わらず、安全保障政策を論ずるものではなく、「平和主義、立憲主義の否定だ」などという観念論に終始しています。

これでは、今後の議論がまたしても「神学論争」に陥ってしまって、「あるべき政策論議」は行われないのではないかと懸念していますので、この問題を取り上げます。集団的自衛権の行使がなぜ必要かについては、昨年10月のコラムで詳しく書いていますので、今回は朝日、毎日両紙の主張の問題点を指摘することに力点を置きたいと思います。

朝日、毎日両紙の主張は集約すると、政府が「集団的自衛権は保有するが、憲法上、行使することは許されていない」としてきた憲法9条の解釈を変更し、「行使できる」とすることは(1)戦後日本の平和主義を否定することになる(2)一内閣が恣意(しい)的に憲法解釈を変更することは立憲主義の破壊につながる(3)近隣諸国の不信と反感をあおるだけだ−というものです。

朝日は3日付の社説で「解釈で9条を変えるな」と題し、「(集団的自衛権を)持っているけど使えない。そんなおかしな議論をしているのは日本だけだという批判がある。でもそれは、戦後日本が憲法9条による平和主義を守ってきたからこそで、おかしいことではない」と主張しました。

毎日も「問題だらけの解釈変更」と題した14日付の社説で、「政権内では、集団的自衛権を『持っているのに使えないのはおかしい』という議論もよく出る。国際法上認められている権利でも、国家の理念や政策上の判断から行使を留保するのはおかしいことではない」としました。

私には「今問題のコピペではないか」と思えてしまったほどそっくりの文脈なのですが、そもそも集団的自衛権行使の議論を「おかしい」とか「おかしくない」という短絡的な次元で扱っていることにまず問題があります。議論はあくまで日本の外交・安全保障政策に基づいて行われるべきで、とても大新聞の社説の議論とは思えません。

また、安倍政権が憲法解釈の変更を閣議決定で行う方針であることについて、朝日の社説は「憲法の精神から照らして許されることではない。必要だというなら、国会での論戦に臨み、憲法96条が定めた改正手続きに沿って進めるのが筋だ」としました。

これは憲法学者の一部や内閣法制局長官経験者らがよく展開する議論です。一見、筋論を展開しているように見えますが、集団的自衛権の行使を認めさせないための「方便」にしかすぎません。

憲法96条は改正の発議について「衆参各院の3分の2以上の賛成」という政治が現実的にはクリアできない要件を課しており、いわば「できるはずがない」ことを見越したうえで「やれるならやってみな」という主張なのです。

私は憲法という最高法規であっても、その解釈は時々の国際、社会情勢によって見直しが行われるのは当然だと考えます。米ソ対立のもと、日本が何もせずに平和と安全が保たれていた冷戦時代はとっくに終わり、日本にも国力に応じた軍事的貢献が求められるようになってきた国際情勢の変化を顧みず、解釈を変更してこなかった歴代内閣の方こそ問題なのです。

憲法は改正すべきですが、その前にまず憲法解釈が現在の情勢に適合しているかを検証し、適合していなければ見直すことは、法学的な観点から言っても当然のことです。

もうひとつ、朝日、毎日両紙のそっくりな主張を挙げると、憲法解釈の変更を「安倍首相の一存」と決めつけていることです。朝日は「(憲法解釈の変更が)時の首相の一存で改められれば、民主国家がよってたつ立憲主義は壊れてしまう」とし、毎日も「一内閣の判断だけで、安全保障政策の重大な転換を行い、戦後日本の平和主義を支えてきた憲法9条を骨抜きにしてはならない」と主張しました。

しかし、これは完全に誤った認識で、平成24年12月の衆院選と25年7月の参院選の結果を無視した主張です。自民党はこの直近2つの選挙で、公約に「憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を可能にする」と明記して圧勝し、その結果を受けて安倍首相は進めようとしているのであって、「首相の一存」ではありません。

それをそろいもそろって「首相の一存」などと書くのは、自らの反対論をあおるために国民をミスリードしているとしか言いようがありません。したがって、憲法解釈の変更は「民主主義の否定」でも「立憲主義の否定」でもなく、朝日、毎日両紙の主張は根本から崩壊していると言えます。

また、「近隣諸国の不信と反感をあおるだけ」という主張も同じです。朝日は「(安倍首相は)A級戦犯がまつられている靖国神社に参拝する。そんな政権が安保政策の大転換に突き進めば、中国は一層の軍拡の口実にするし、欧米諸国も不安を抱くに違いない」、毎日も「私たちは先に安倍政権の外交姿勢や歴史認識への懸念から、集団的自衛権の行使容認に今踏み出すべきではないと主張した」と指摘しました。

要は「安倍政権は過去の反省を忘れて軍国主義に突き進もうとしている」と言いたいのでしょう。しかし、靖国神社参拝について言えば、安倍首相の真意は自ら述べたように「日本は二度と戦争を起こしてはならないという過去への痛切な反省の上に立って、戦争犠牲者の方々の御霊を前に、不戦の誓いを堅持していく決意を新たにした」ということです。

また、歴史認識についても、慰安婦に関する河野談話の検証などを警戒しているのでしょうが、石原信雄元官房副長官が「事実に基づいたものではなく単なる心証によって作られた」と証言した以上、事実を検証するのは当然のことです。

これらのどこに問題があるのでしょうか。問題がないのに問題だと中国や韓国の反発をあおっているのは、まさに両紙ではありませんか。それと集団的自衛権の行使を無理やり結びつけて、「中韓両国が反発するからやめるべきだ」というのは両紙の「マッチポンプ」にほかなりません。

一方、集団的自衛権をめぐる最近の朝日の社説や報道ぶりで「本質から外れた姑息(こそく)な手法」と感じる点があります。それは小松一郎内閣法制局長官に対する「個人攻撃」です。

14日付では「天声人語」と社説で、小松長官が「安倍首相は国家安全保障基本法案を国会に提出する考えではないと思います」と答弁したことを取り上げ、「官僚の出過ぎた発言」と大々的に批判し、「法制局は実質的に『法の番人』の役割を果たしてきた。その役割からして忠実であるべきなのは、首相ではなく憲法に対してだ」と主張しました。

しかし、小松長官は別に「憲法より首相の意向の方が大事だ」という趣旨の発言をしたわけではなく、それほど大騒ぎするほどの答弁だとは到底、思えません。朝日のこの取り上げ方には「小松長官を辞任に追い込んで憲法解釈の変更をやめさせよう」という姑息な思惑があるのは明らかです。

そもそも内閣法制局はこれまで、自己を正当化するために従来の答弁との整合性ばかりを考え、国際情勢の変化などに対応した憲法解釈の検討を行ってきませんでした。その体質を私は取材を通じて知っています。それこそ朝日も批判している「官僚主導」の権化が内閣法制局だったのです。

内閣の一部局である以上、首相の方針を受けて憲法解釈を検討するのは当然のことです。最終的な「法の番人」は最高裁判所であって、朝日の言うように内閣法制局が「法の番人」であるかのように振る舞ってきたことこそ、政府の憲法解釈を実態とかけ離れたものにしてきた最大の要因なのです。

さらに、朝日は17日付の社説で、安倍首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」についても、「『空疎なのはどっちだ」という見出しで、「首相と志を同じくする仲間が並ぶ。『結論ありき』の疑念はぬぐいようがない」と批判しました。

しかし、私が見る限り、懇談会は現下の国際情勢を踏まえて日本のあるべき外交・安全保障政策について真摯に議論していると思います。メンバーも朝日が望む人物は入っていないかもしれませんが、優れた専門家で構成されています。それを議論の中身を政策的に指摘することなく、「空疎」だと決めつける朝日の社説こそ「空疎」です。

朝日、毎日両紙に対しては何度も同じことを言いますが、こうした本質から離れた批判や観念論で反対論を展開するのはもういい加減にやめませんか。集団的自衛権の行使に反対なら反対でも構いませんが、それなら「集団的自衛権を行使しなくても日本の平和と安全は守っていける」という政策的な根拠を堂々と示して、議論を展開してもらいたいと思います。

これは反対している野党も一部自民党議員にも同じことが言えます。国民は観念論による「神学論争」ではなく、本格的な政策論議を通じて、集団的自衛権を行使すべきか、行使すべきではないかを判断したいと望んでいるはずですから。産経ニュース【高橋昌之のとっておき】 2014.3.22


2014年03月22日

◆あの石炭成金たちの末路

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
 

<平成26(2014)年2月28日(金曜日):通巻第4164号> 
   
〜あの石炭成金たちの壮大で剛毅な「夢は儚く消えて」
 中国石炭企業の負債を「投資信託」で乗り切ってきたが、ついに限界〜

10年ほど前のことだった。

筆者は山西省を南から北へと10日ほどほっつき歩いた。仏教の「聖地」とされる五台山にも登り、麓の旅館でサソリを食べた。ちょうと中国国内に観光ブームが押し寄せ、五台山にはでこぼこの山道が開け、四輪駆動のジープ(もちろん日本製)で頂上まで登ることができた。江沢民も2回参詣した仏教の聖地で、麓の街にはにょきにょきと高層のホテルが建っていた。

旅館には300人が収容できる巨大な食堂、そこでは朝から掛け軸のオークションをやっている。街で買えばせいぜい一本1000円ほどの水墨画など、五千円、一万円と跳ね上がって、買い手はとみるとボロボロのジャンバーを着たおじさん風情。異様なバブルの始まりだった。

山西省の北に大同という街がある。

中ソ対立のおり、この大同には人民解放軍が50万人も駐屯し、まさしく軍事都市だった。中ソ対立が終わり、軍の他地域への移動が始まると、大同は石炭の街に戻り、おりからの石炭ブームであちこちに成金が出現した。

この石炭成金のことを「煤老板」と呼称した。内蒙古自治区から若い女性を呼び寄せ、煤老板らは愛人を何人持っているかを自慢しあった(内蒙古は背が高く色白の美人が多い)。

大同を走るクルマはベンツ、BMWなど、しかもぴかぴかの新車だった。人口比率からいえば上海より大同のほうが高級外車が売れるとガイドが鼻高々に言った。

たまたま食事を摂ったホテルの宴会場は派手派手しい結婚式。新郎新婦は洋装、参加者の女性の多くがけばけばしい化粧をしていた。

アルコール度の強い白酒、コウリャン酒、五糧液など、歌手を呼び込んで嵐のような大騒ぎに興じていた。あの豪快な山西省石炭成金の夢は、いまや儚く消えて、繁栄は幻のなかに潰える。

中国で石炭は2006年から価格上昇が開始され、08年の石炭生産は4000万トン、それへ投機ブームが折り重さなって2012年には2億9000万トンとなり、石炭業界に26兆円が投下された。ヤクザも絡んだ怪しげな炭坑には各地から誘拐してきた少年らを奴隷のように働かせていた。

その絶頂時、2012年9月に筆者は北朝鮮との国境の町、丹東(日本時代の安東)から鉄道で瀋陽へ出た。

このルートは中国人民解放軍瀋陽軍区の兵隊が移動する鉄道輸送ルートで、貨物列車には装甲車、戦車が搭載されていた。同時にこの鉄道沿線はすべてが石炭生産と鉄工所が建ち並ぶ場所である。瀋陽の隣は世界最大の露天掘り、撫順炭坑がある。煤煙でまっ黒な街である。

車窓から沿線の風景を観察しながら驚かされた。

遼寧省各地でも石炭集積所に山のように石炭が積まれ、鉄工所は火が消えている。荒みきった不況に陥没していたのだ。

筆者は帰国後、そういうルポを書いたが、日本のマスコミは中国の高度成長まだまだ続くなどと現場を異なる報道をしていた。


 ▼不動産部門に2600兆円が投じられて各地にゴーストタウンができた

じつは2011年から石炭業界は過剰在庫になやみ、「山西連盛集団」などは1万人の従業員への給与遅配が生じていたのだ。そして銀行は貸し渋りに転じた。民間炭坑は国有銀行からの融資が受けられないので閉山閉鉱が相次いでいた。

「山西連盛集団」は悪化する一方の資金繰りに妙手を思いついた。

年利10%前後の高利をうたう投資信託を「発明」した。その名を「吉林松江77号」と呼称し、銀行を通じて、この「投資信託は元利保証です」と騙って、預金者に売った。これがシャドーバンキングの嚆矢である。

後智恵になるが、リーマンショック直後の中国の財政出動は4兆円(当時のレートで57兆円)だった。降って湧いたような金に群がり、各地に高速道路、団地、そして新幹線が東西南北に1万キロ!

爾来、つまり2009年から13年までに固定資産(住宅、マンションなど)に投じられたカネは2600兆円。だからGDPの47%は不動産という中国のいびつな変形経済構造が出来上がった。

また同期間、成長率より高い通貨供給の増大がみられているが、これは借り換えのためである。

石炭はピークを打った。2000年代に4倍に跳ね上がっていた石炭価格は2割から3割下落した。国際価格は暴落し、鉄鉱石もインドや豪で余りだした。

鉄鋼も粗鋼生産6億トンという異常な生産過剰、在庫過多におちいって鉄鋼業界そのものが再編過程、あちこちの鉄鋼場の日が消えた。


 ▼無謀な借金経営も償還時期がやってきて。。。

中国の石炭業界は大手100社、ほかに数千の民間企業が鉱山を経営してきた。なかでも本場が山西省、遼寧省、黒竜江省だ。

大手の一つ「山西振富能源集団」は資金繰りが悪化したため「中誠信託」なる高利の投資信託を売り出し、その商品名は「中誠誠至金開一号」。中国工商銀行が預金者に販売して70億元(1200億円)をかき集めた。誠意のかけらもなかった。償還がきてもカネはどこかに消えていた。

元利保証は詐欺だった。しかし販売した中国工商銀行は責任を取らなかった。

2014年1月、債務不履行が生じ、各地で取り付け騒ぎに発展した。これは石炭業界全体を震撼させる由々しき事態だが、突如「身元不明」の投資家が現れ、元利を保証した。

これから石炭と不動産バブル期に販売した高利の理財商品の償還が本格化する。地方政府の債券も償還時期を迎える。

英誌『エコノミスト』(2014年2月15日号)によれば、そのうち2割前後しか地方政府は債務保証していないけれど、貴州省などはあきらかに地方政府の補償限界を超えていると指摘している。

つぎの危機に遭遇しても、「身元不明」の投資家が土壇場で現れることも想定されるが、おそらくそれは中国の国庫からの緊急融資であろう。

人民元が下落気配にあるのは、投資家がいよいよバブル崩壊が始まることを本能的に知覚し、極度の警戒を始めたからだろう。

げんに豪シドニーを拠点として日本の優良企業の株を、おおよそ5兆円も保有していた謎の「オムニバス05」は、静かに日本株を市場で売却した。このファンドの実態は中国国家ファンド(CIC)であり、手元資金不如意が原因と推定できる。
 
かくして拙著『中国バブル崩壊が始まった』と『中国共産党3年以内に崩壊する』の予測は日々、その通りに推移しているのが中国の現状である。

◆「民間防衛隊」の創設を

平井 修一


日本とスイスが「日本・スイス修好通商条約」を調印し外交関係を樹立したのは幕末の1864年2月6日。今年は150年目にあたる。

連邦共和制のスイスの面積は九州と同じくらいで、人口は804万人。小国だが、1815年に欧州列強がナポレオン戦争後のウィーン会議でスイスの永世中立を承認したから、200年も独立を維持してきたことになる。

ヨーロッパは戦争の連続だったから、スイス周辺のイタリア、フランス、ドイツ、オーストリアなどが緩衝地帯として、また戦争に影響されない「金庫」としてスイスの中立を支持したのだろう。中立だから国連加盟を国民投票で可決したのはなんと2002年9月、190番目の加盟国である。

中立を守るのは軍事力をバックにした外交努力だろう。

第二次世界大戦の開戦前、スイスはフランスおよびドイツから戦闘機を大量に購入、またはライセンス生産して航空戦力を整えた。第二次大戦の開戦と同時に、スイスは国際社会に対して「武装中立」を宣言し、侵略者に対しては「焦土作戦」で臨むことを表明した。

焦土作戦とは、仮に外国の軍隊がスイスを侵略した場合は、外国の軍隊がスイスのインフラを強奪する前に放火や爆破等で国土を焦土と化し、侵略者に一切の戦利品を与えない作戦。また、国民に対しては、侵略者への降伏を禁ずる動員令を布告し、一時期は85万人を軍に動員した。

スイス軍は、1907年のハーグ条約で定められた国際法上の「中立義務」を果たすため、領空を侵犯する航空機があれば、連合国側、枢軸国側を問わず迎撃した。第二次世界大戦中、スイス空軍は約7000回のスクランブル発進を行い、高射砲部隊も火力を有効に発揮して航空隊を支援した。

結果として、スイス軍は領空侵犯した250機を撃墜したが、その代償として航空隊は200機を喪失し、終戦時には壊滅状態だった。

その一方で、当時のスイス政府は柔軟な姿勢で外交と通商を展開した。第二次世界大戦においてはこう主張した。

「資源を持たないスイスが、資源を持つ国と通商することは生存権の行使であって、国際法で定められている中立義務に違反するものではない」

「通商は生存権の行使だ!」、いい言葉である(米国は日本の生存権を認めなかったから戦争になった)。

こうしてスイスは国民の生活を守るために必要な資源を枢軸国や連合国から輸入したり、枢軸国から輸入した資源を加工して連合国に高値で転売することに成功し、したたかに国益を確保した。

現在のスイス軍の常備軍は4000名の職業軍人であるが、徴兵制度により兵力18.5万人(戦時動員数)の予備役を確保している。イスラエルのようなハリネズミ国家と言えそうだ。

ところで日本の消防団。いずこの市町村にも設置されている。基本的には非常備の消防機関であるが、山岳地帯、離島の一部など、常備の消防機関の消防本部及び消防署がない地域では常備消防を担っている。

消防団員は他の職業等に就いている一般市民で、いわばボランティア。自治体から装備および僅な報酬が支給される(無償のことも)。2007年4月現在、消防団員数は89万人余で、消防団数は2474団である。

「民間防衛」とは、武力紛争等の緊急事態において市民によって国民の生命及びインフラや公共施設、産業などの財産を守り、速やかな救助、復旧によって被害を最小化することを主目的とする諸活動をいうそうである。消防団も民間防衛の一種だろう。

以下、防衛省のサイトから。

<多くの国では、普段から、いざという時に必要となる防衛力を急速かつ計画的に確保するため予備役制度を整備しています。

我が国においては、これに相当するものとして即応予備自衛官制度、予備自衛官制度、予備自衛官補制度という3つの制度(以下、「予備自衛官等制度」)を設けています。

いずれも、普段は社会人や学生としてそれぞれの職業に従事しながら、一方では自衛官として必要とされる練度を維持するために訓練に応じるものです。そして、予備自衛官と即応予備自衛官は、防衛招集や災害招集などに応じて出頭し、自衛官として活動します。

一番最初にできたのは予備自衛官制度です。予備自衛官制度は、昭和29年の自衛隊発足と同時に導入されました。

そして、平成9年度、従来の予備自衛官制度に加え、陸上自衛隊をコンパクト化する一方、予備自衛官よりも即応性の高い即応予備自衛官制度を導入しました。

また、平成13年度、国民に広く自衛隊に接する機会を設け、将来にわたり予備自衛官の勢力を安定的に確保するとともに民間の専門技能を活用し得るよう予備自衛官補制度を導入し、平成14年度から採用を開始しました。

平成23年3月11日に発災した東日本大震災において、予備自衛官等制度発足以来初の災害招集等が実施されました。

本災害招集において、即応予備自衛官は、あらかじめ指定された陸自部隊の隊員として、主に岩手県や宮城県及び福島県の沿岸地域に派遣され、給水支援や入浴支援、物資輸送などの被災者の生活支援活動や捜索活動等にあたりました。また、予備自衛官は、救援活動をを実施している米軍の通訳、医療、部隊の活動を支援している駐屯地業務隊の業務などに従事しました。

なお、今回の災害招集等では、予備自衛官等が所属する企業などの勤務を休んで参加することを考慮して、1週間から2週間を単位として、即応予備自衛官は延べ2179人が、予備自衛官は延べ441人がそれぞれ招集されました>

消防団があるのだから、各地域における予備自衛官等を隊長、指導者とした、軍事にも対応できる「民間防衛隊」を新設してはどうか。1か月の基礎訓練の後は年1、2回の短期訓練をする。最寄りの基地あるいは警察署に武器を保管しておき、いざという時には200万人の軍隊ができあがるぐらいにしたほうがいい。

それくらい準備をしなければ「支那解放、中共殲滅」どころか「日本自治区」になりかねない。クリミヤを見よ、領土は一瞬で奪われる。(2014/3/21)

       

◆敵は朝日と弁護士ら反日日本人

池田 元彦


南京事件もそうだが、中韓の大騒ぎの背景には、必ずマッチポンプをする反日日本人とそれに協力する反日新聞、反日放送協会がある。結論を先に言えば、慰安婦問題は、特定の反日日本人の綿密な計画により長年仕掛けられ、国際的に既成事実化された結果なのだ。

主役は、皆弁護士だ。最初に登場するのは高木健一弁護士。1975年サハリン残留韓国・朝鮮人機関請求裁判を唆していた。サハリン高麗人協会のパク・ケーレン会長に高木弁護士が、「もっと日本から賠償を取れるから要求しなさい」と教えた、とのことだ。

1980年代前後に日韓の作家による荒唐無稽な内容の出版があるが、世間一般に慰安婦問題は話題にならなかった。1991年、NHKが終戦記念番組の為に、徴用と慰安婦の調査をした。50名前後への事情聴取に対して、軍に強制されたという証言は1件もなかった。 

「口入れ屋にだまされて炭鉱に行ったら、タコ部屋でひどい目に合った」とか「女衒にだまされて戦地に連れて行かれた」ばかりだった。むしろ金額順を売込み、楽屋でセリフを熱心に教えていたのが、福島瑞穂弁護士だったと池田信夫NHK担当者が証言している。

金学順の証言はあやふやでその後何度も反転するが、当初は「親に40円でキーセンに売られた」「無効となった軍票支払の給与賠償が目的」で提訴し、裁判で主張した。従軍も、性奴隷被害の損害賠償でもない。が、福島弁護士は番組で日本の戦争犯罪だと断罪した。

そこに朝日新聞が1992年1月朝刊で、軍が関与する従軍慰安婦を女子挺身隊として「強制連行」したと大々的に報道した。記者は植村隆、妻が韓国人、義母が原告「太平洋戦争犠牲者遺族会」の梁順任常任理事だった。世間は後に誤報というが、意図的捏造だ。

 1991年12月1人2千万円計3億円の金学順を含む35名原告裁判の裏の仕掛け人が、高木健一弁護士だ。お粗末な提訴内容に、秦郁彦氏が直接高木弁護士にクレームした程だ。

直後の宮沢首相の訪韓首脳会談で8回も宮沢は謝罪を繰返し、真相究明を約束した。

国際的に嘘の上塗りを周知させたのが戸塚悦朗弁護士だ。国連人権委員会にNGO代表として提議し、クラマスワミの軍性奴隷報告書で「性奴隷」が国連公式文書に採用された。

彼は1995年迄の4年間に訪欧14回、訪米2回、訪朝1回、訪中1回と、嘘宣伝を広めた。1993年秦郁彦氏や韓国記者の調査で、吉田清二の済州島950人強制連行の大嘘は覆ったが、総辞職直前のどさくさに紛れ8月4日閣議決定もなく、河野洋平談話が発表された。その時慰安婦聞取り調査に立ち会ったのが、福島弁護士だ。そろそろ全体図が見えてきた。

その後高木弁護士は、インドネシアで柳の下の泥鰌を狙い、2百万貰えると吹聴してマッチポンプをやった。中京TVは現地慰安婦証言の日本語吹替で捏造放映した。藤岡信勝教授、阿比留瑠比記者、中島慎一郎氏が現地調査で彼らの嘘を確認している。
 
2010年仙谷由人国務大臣は、解決済日韓基本条約に疑義を呈した。因みに、仙谷大臣は弁護士であり、福島は弁護士事務所時代の元部下、高木とは学生時代からの友人である。要するに法律に強い知能犯弁護士達が、日本貶めの真の犯人、反日の張本人なのだ。

日本国民の憤りを他所に、世界における日本貶め包囲網は、成功しつつあるようだ。


2014年03月21日

◆慰安婦問題、常識的判断を

阿比留 瑠比


読売新聞が17日付朝刊で報じた世論調査の記事を読んでいて、慰安婦募集の強制性を認めた平成5年の河野談話の作成過程を検証する政府方針について「評価する」が50%に上る一方、「評価しない」は30%だったことが目を引いた。

密室で韓国と「談合」してつくられた河野談話の怪しさと弊害は、確実に有権者に浸透してきた。この問題に長年関心を持って取材してきた一人として、感慨深いものがある。

もう18年前となる平成8年、翌9年春から使われる中学校社会科(歴史)の全教科書(7社)に慰安婦の記述が登場することが明らかになり、大きな話題となっていた際のことだ。

 
実像知る体験談

このときは河野談話を評価・擁護する意見が主流だったが、産経新聞には実際に中国や朝鮮半島で暮らし、慰安婦の実像を知る読者から体験談が多く寄せられ、当時、筆者はそのうち幾人かから話を聞いた。

朝鮮・忠清北道で生まれて小学校までそこで過ごした千葉県我孫子市の大塚さん=当時(76)=の記憶では、朝鮮では警察の巡査はほとんどが朝鮮人で、同胞を強制連行などするはずがなく、できる雰囲気でもなかったという。

「内地に帰ったとき、最初に手紙をくれたのは朝鮮人の友達。今も韓国の友人と行き来があるが、同年配の女性が強制連行されたなんて聞いたこともない」

中国・河南省で昭和15年から終戦まで衛生兵を務めた横浜市の木村さん=当時(75)=は性病予防のため、週に1度、慰安婦の衛生検査を行っていた。

「外出兵にはサックを持たせ、検黴(けんばい)と称して慰安婦の性器検査、菌検査などを実施したが、それは軍が女性を管理していたのではなく、軍の自衛策だった」

多くは「出稼ぎ」

朝鮮人慰安婦の多くが「嫁入り資金を稼ぐため働いている」と話し、木村さんは「彼女たちの行動は自由だった」と振り返った。

宮城県岩出山町(現大崎市)の佐藤さん=当時(80)=は「公(こう)娼(しょう)制度があった当時を現在の見方で判断するのはおかしい。岩出山でも戦後の昭和35年ぐらいまで、身売りは実際にあった」と証言した。

満洲で満鉄に勤務していた佐藤さんはあるとき、20代前半の朝鮮人娼婦の身の上話を聞いた。彼女は「故郷には親も夫もおり、子供もいるが、生活苦のために出稼ぎにきている。2〜3年働いて、家に帰る」と話し、家族の写真を見せた。

平成22年に亡くなった元朝鮮総督府江原道地方課長、大師堂(だいしどう)経慰(つねやす)さんは90歳を超えてからも月刊誌「正論」に「慰安婦強制連行はなかった」という論文を寄せている。

昭和17年から総督府に勤め、うち1年7カ月間は地方勤務だった大師堂さんはこう強調している。

「婦女子の強制連行があったとすれば、その目撃者は強制連行された者の何倍もいたはずだし、いかに戦時中であっても大きな抗議運動が展開されて当然であるはずだが、目撃証言も抗議運動も一切なかった」

「内鮮一体を唱え、戦争遂行に大きな協力を求めていた総督府の首脳が、施政に当たって最も気を遣っていたのは民心の動向」

どれも「それはそうだ」と得心がいく話である。歴史問題を考えるときは、当たり前のことを当たり前に、常識的に判断した方がいい。(産経政治部編集委員)
産経ニュース 「阿比留瑠比の極言御免」2014・3・20

◆いよいよ中国バブル崩壊が始まります

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
 

平成26(2014)年 3月20日(木曜日)弐:通巻第4191号    
 
〜いよいよ中国バブル崩壊がはじまります
   不動産大手、経営破綻。社債デフォルト。終わりの始まり〜

中国の大手デベロッパーが倒産した。

いよいよ不動産バブルの崩壊が本格化する。中国経済の狂乱はおしまいである。

浙江省奉化市に本拠を置く「浙江興潤置業投資」の経営破綻。負債総額は発表された分でも35億元(580億円)。

7割が銀行からの借り入れ、残りが「理財商品」として投資家に売られた。全部が焦げ付くから連鎖倒産は必定である。

理財商品の総計は326兆円(社会科学院)と少なく見積もられていたが、どうやら500兆円はありそうである。日本のGDPに匹敵する不良債権が顕現するのだ。

浙江省奉化市公安当局は、「浙江興潤置業投資」の役員2人を「インチキ投資を呼びかけた」として逮捕し、起訴する方針という。

ということは全土の不動産デベロッパー経営者の大半を捕まえなければいけなくなるだろう。投資家の心理をなだめるための見せしめ逮捕だろうが、浙江商人は「えげつない」と評判の悪い地域であり、日本企業が密集している。

なかでも温州商人は「ものすごくえげつない」と言われるのだが、温州経済は2年も前にバブルがはじけ、経営者の自殺、逃亡が相次いでいる(拙著『出身地を知らないと中国人はわからない』ワック、参照)。

すでに社債デフォルトも始まっており上海の「超日太陽能科技」の社債利払いが不能となった(元金10億元。利払い8980万元(15億円))。

 以前にも連鎖デフォルトがおきている。

1998年、「広東国際信託投資公司(GITIC)」が1億2000万米ドルのデフォルトに陥り、ドミノのように数百のCITIC(地方名を冠した投資信託機構)が破綻。地方政府が債務保証すると信じて投資した邦銀も合計数百億円の損失を被った。

羮に懲りて膾を吹くように、以後、邦銀は怪しげな投資信託への出資をしていない筈である。
 
 ▲バベルの塔、バブルの塔

おりしもドバイショックの再来が間近である。

つい1週間前、アブダビはまたまたドバイへの緊急融資を発表した。3年前のドバイショックでは最悪の被害者が中国の温州投棄集団だった。手痛い焦げ付きで、爾来ドバイのチャイナタウン建設は中断された。

産経新聞(2014年3月20日)に拠れば「『超高層ビルの呪い』と呼ばれる歴史的なジンクスがある。ニューヨークで31年に完成した『エンパイアステートビル』(443メートル)は29年に始まった世界恐慌に重ね合わせて語られた。ドバイでもショックの翌年1月、世界一の高さを誇る『ブルジュ・ハリファ』(828メートル)が建った。

ジンクスが正しいのか、歴史は繰り返すのか。中国ではいま上海の国際金融センターで、15年完成をめざして竜が空に昇る姿をイメージした外観の超高層ビル『上海センター』(632メートル)の建設が進んでいる」(ちなみにこの上海金融センターは101階建て森ビルの隣、102階建ての予定)。

これから中国で始まるのは320兆円規模の地方政府債と500兆円規模の「理財商品」のデフォルト本格化である。

 さらに注目は石炭と鉄鋼業界の苦境である。

2011年から石炭業界は過剰在庫に悩み、「山西連盛集団」などは1万人の従業員への給与遅配が生じたが銀行は貸し渋りに転じた。

民間炭坑は国有銀行からの融資が受けられないため閉鉱が相次いでいた。

石炭はピークを打った。2000年代に4倍に跳ね上がった石炭価格が2割から3割下落し、国際価格も暴落したため海外炭のほうが安い。

鉄鉱石もインドや豪で余りだした。

粗鋼生産6億トンという異常な生産過剰、在庫過多に陥った鉄鋼業界は再編を余儀なくされ、あちこちの鉄鋼所で火が消えた。

かくして「中国の時代」は終わる。
       

2014年03月20日

◆欧米が「制裁」だって 本気かね?

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 


平成26(2014)年 3月19日(水曜日):通巻第4189号 <前日発行>

〜欧米がロシアを「制裁」だって? 本気かね?
  欧米のロシア・マネー、大挙してトルコへ向かった。約50億ドル〜

おそらくオバマとメルケルの本音はと言えば「クリミアなんて、どうでも良いんですよ。でもそうは言ってもなにがしかのジェスチャーが必要で、だから制裁発動。でも中身を見てみりゃ、欧米は経済的利害に傷のつかない範囲内で、というお粗末なもの」(ホセイン・アスカリ・ジョージワシントン大学教授。『アジア・タイムズ』、2014年3月18日号への寄稿より意訳)。

制裁の中身とは、3月17日発動のそれはヤヌチェンコ前大統領とプーチン側近2人の財閥など11人のヴィザ停止と資産凍結だけ。「制裁措置をおこなう」と大見得切ったオバマの具体例は想像以下の小規模である。

結果、欧米から夥しいロシア資金がトルコへ流れ込んだ。

少なく見つもって50億ドルに達した模様(トルコ英字紙『ハリヤット・ディリーニュース』、3月19日)。

ところで、話題はそのトルコ。

往時の大ブーム「韓流」は去った。韓国ドラマにかわって中東から中央アジア、南欧と北アフリカ諸国に猖獗するのはトルコ映画、トルコ音楽そしてトルコファッションである。

これを「トルコ流」とでも名付けてみよう。
 
日本人は知らない。現実的にトルコ映画「征服1453」は250万人が鑑賞し、興行収入は1200万トルコリラによび、これはトルコ映画史上前代未聞、これから中東から中央アジアにかけて封切りが始まる。

トルコのテレビドラマ「輝煌世紀」は1億5000万人が見た。

南欧から北アフリカの地理的に近い国へもテレビ番組を輸出しているため、一時中国で看られた「おしんブーム」のような影響力があるという。

イスタンブールのファッション誌「ALA」はパリジェンヌの流行を追うファッション誌のトルコ版というところだが、ミラノ、パリ、ニューヨーク、ロンドンという世界四大ファッション拠点につぐ人気があり、イスタンブールファッションが中央アジアの若い女性をとられて話さないという。

イスラム教徒として頭巾(スカーフ)をまく以外に欧米風ファッションとアジアの雰囲気を醸し出す流行を作り出している。

こうした文化力はかつてのアジアの盟主の座を回復するか?
 

◆フォークランドに学ぶ中国(3)

情報収録:平井修一


元産経新聞ロンドン支局長で在英国際ジャーナリストの木村正人氏も「尖閣を中国から防衛せよ 安倍首相は30年前のフォークランド紛争に学べ」とこう指摘している。

<フォークランド紛争の英公文書が30年ぶりに公開された。それによると、「鉄の女」と呼ばれたサッチャー英首相でさえ、約1週間前にアルゼンチンの侵略を抑止する計画を英国防省から提示された際、「アルゼンチンがそんなバカげていて、愚かな挙に出るだろうか」と取り合わなかった。

アルゼンチンの侵攻を確信したのはXデー(1982年4月2日)のわずか2日前で、「そのとき、フォークランド諸島が侵略されたら取り戻すことができるかどうか誰も答えることができなかった」とサッチャーは紛争後に開かれた非公開のフォークランド紛争検証委員会で証言していた。

あのサッチャーも、アルゼンチンのガルティエリ軍事政権がフォークランド侵攻というギャンブルに打って出るとは想像もしていなかったのだ。

米国は英国とアルゼンチンの調停役として和平交渉を進めようとした。追い詰められたアルゼンチンがキューバやソ連に助けを求め、紛争が拡大することを恐れたのだ。しかし、サッチャーは「アラスカが同じような脅威にさらされたら、大統領も(私と)同じ行動を取ることを確信している」とレーガン大統領の申し出を突っぱねた。

尖閣諸島をめぐって、米国は「日本政府の施政権下にあり、米国の日本防衛義務を定めた日米安保条約の適用範囲だ」との立場を明確にしているが、日中両国間の領土問題には立ち入らない方針だ。

このため、中国漁船などが大量に押し寄せて、尖閣諸島に対する日本の有効支配が崩れたとき、日米安保の適用外となる恐れが指摘されている。安倍晋三首相は先の衆院選(2012年12月16日)で、尖閣諸島に公務員を常駐させることを公約に掲げていたが、日中関係を改善させるため、公務員常駐計画を棚上げした。

安倍首相は、民主党政権で揺らいだ日米関係を再強化するとともに、速やかに海上保安庁、自衛隊による尖閣緊急事態計画を策定し、海上保安庁の陣容拡充、自衛隊の島嶼防衛力強化に努めるべきだ。

2008年の金融危機で国防削減を強いられた英国では、戦闘機を搭載できる空母が退役、2019年に新たな空母が配備されるまで、前方展開力を欠いている。この穴を埋めるため、英軍は戦闘機ユーロファイター4機をフォークランド諸島に常駐させている。

軍事専門家は「アルゼンチンには今やフォークランド侵攻の意思も能力もない」と分析するが、アルゼンチンが強気に出る背景には、中国がフォークランド諸島に対するアルゼンチンの領有権を支持していることなどがある。

新興国の台頭で海底資源が豊かな各海域で領有権争いが顕在化している。米海軍大のジェームズ・ホームズ准教授は「(南・東シナ海で領有問題を抱える)中国はフォークランド紛争を研究している」と打ち明ける。

島嶼をめぐる攻防は展開するスピードが勝敗を大きく左右する。中国はフォークランド諸島への近さを生かし切れなかったアルゼンチン軍の失敗を徹底的に研究しているとみられている。

日本が30年前のフォークランド紛争から学ぶ教訓は、英軍が最新鋭機をフォークランド諸島に常駐させ、最新鋭のミサイル駆逐艦を展開していることからもわかるように、制空権を絶対に揺るがせにしないことだ。

第二に、日米同盟を強化することは最も重要だが、決して過信しないことだ。尖閣諸島をめぐる日米両国の利害が完全に一致しているとは夢にも考えないことだ。レーガンはサッチャーに「平和維持部隊によるフォークランド諸島の管理」を提案していた。サッチャー首相がこの提案を拒否できたのは、領土防衛の覚悟があったからだ。

領土防衛を他国に依存するわけにはいかない。海上保安庁や自衛隊の態勢強化を急ぎ、まさかに備える入念な海上警備、軍事、外交のシミュレーションを行うべきだ。

第三に、アルゼンチンも中国も「旧宗主国対旧植民地」という構図をあおって、英国や日本の領有権に揺さぶりをかけている。オンラインでは、中国の領土を帝国主義者の日本が不法占拠しているというデマが飛び交っている。

時事通信が入手した外交文書で、中国政府が1950年「尖閣諸島」という名称を明記した上で、沖縄に含まれるとの認識を示していたことが明らかになった。尖閣が日本固有の領土であることを世界に向けてアピールすべきだ。

中国共産党支配に正統性を与える「愛国教育」こそが反日感情をエスカレートさせ、尖閣諸島をめぐるナショナリズムをあおっていることを国際社会に浸透させるべきだ。日本の外交力と情報発信力が問われている>
(2012年12月28日)

果たして「日本の外交力と情報発信力」は高まっているのだろうか。(おわり)(2014/3/18)

2014年03月19日

◆「島嶼問題を考える」シンポ全記録

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
 

<平成26(2014)年 3月18日(火曜日)弐:通巻第4187号

<完全資料版>

〜「島嶼問題を考える」(尖閣、南沙・西沙諸島)シンポ、盛況裡に開催スプラトリー諸島を中国はいかよう に強奪したか、これは明日の「尖閣」だ〜

http://www.jpmuseum.com/tosho/
(全記録です ↑)

<▽ 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 

・(読者の声1)「ウクライナ捕虜記」です。

ウクライナは多民族の関わる戦争、革命、飢餓などの歴史的大事件の舞台ですが日本人にとっては遠い国です。しかし戦後多くの日本人が抑留され奴隷として酷使され、犠牲者が眠っています。

以下、「シベリヤ・ウクライナ捕虜記」後藤敏雄著、国書刊行会からの抜粋です。著者は京都帝大仏文卒、満洲で兵役中敗戦。ソ連抑留。後京都大学名誉教授。

(引用開始)
「昭和21年8月3日、シベリヤのバイカル湖の近くのジダで乗車してから25日目に目的地に着いた。大きな河が見えた。この町がウクライナのザボロージエ市であることがわかった。

河はドニエプル河だった。夕方ドイツ人捕虜が食事を運んできた。彼らは私たちと話すことを恐れているようだった。それでも話をしたいらしく、辺りを見回し、急いで話してあとは素知らぬ顔をしていた。

少し後に作業で外に出たが収容所のすぐ横の原っぱには人間の頭蓋骨がゴロゴロ転がっていた。銃弾の跡があるので相当の激戦地だったのだろう。捕虜の数はドイツ人、日本人、ハンガリー人など合計一万人と言われていた。

スターリンの悪口を言うソ連人には数え切れないほど会ったが、ヒトラーの悪口を言うドイツ人には一人も会わなかった。ドイツ人は利害がないところでは親切だった。幹部でないものは日本人宿舎に来て話したがった。

彼らはよく戦争の話をした。ドイツ軍捕虜は異口同音にスターリングラード戦の時、日本軍がちょこっと助けてくれたら勝てたのにと言った。スターリングラードのことはよほど悔しかったと見えて、ドイツは米国に負けたのであって、ソ連に負けたのではないと思っていた。

私がシベリヤで会ったドイツ女のことを話すと、「ああボルガドイツ人か」とすぐ分かったようだ。ロシアのエカテリーナ女帝がドイツの農業移民をボルガ地域に入植させた。それをスターリンが敵性民族としてシベリヤに送ったのだ。ハンガリー人もよく訪ねてきた。

東洋人の血を引くので親しみを感じているようだった。ユダヤ系のハンガリー人で日本人を細君にしているという人が将校室に来ているというので会いに行った。奥さんはハンガリー人と日本人の混血だという。

奥さんの父親はロシア革命時代にシベリヤから満洲に逃げ、横浜で日本婦人と結婚し娘が生まれた。2人は娘が2歳の時ハンガリーに戻り、ブダペストに住んだ。この娘ミチコが彼の奥さんだった。彼はミチコの美点を全て日本人にかぶせているようで日本に愛着を感じているようだった。

ドイツ人は戦争に負けてもなお世界に冠たる民族という優越感をもっており、ロシア人も一目置いていた。ロシア人は人がいいと言うことはよく言われていた。しかし信頼できるかというと話は全く別である。その場だけのつきあいでソ連人同士でも人間相互の信頼など感じられなかった。逆に相互監視していた。

製鋼所建設の大工事が始まった。重要なポストが13あったが10はユダヤ人が占めていた。

私と川口(捕虜)は護衛兵が付かなくなったので、外でロシア女と話す機会があった。彼女らはシャツとパンツ一枚で地上20米の高所でガス溶接作業をしていた。日本では想像もつかない重労働だ。

彼女らは日本の女の生活を知りたがった。日本の女も働くのか、と聞くので、結婚すると家に入るというと、ひどく羨ましがった。あるとき川口がソ連国籍を取ってロシア娘と結婚するか、と冗談に言うと、それはいけないと言った。

「貴方は純粋の日本人だから、日本に帰って純粋の日本の女性と結婚しなければいけない」と言い、何とかして川口の不心得を諭そうと一生懸命になっていた。川口はあまりの真剣さに弱っていた。

私は多民族国家の中でなぜそういうことが問題になるのかと思った。彼女は、自分にはない純血、欲しくても得られない純血というものをどうしてそんなに粗末にするのか、と腹が立ったのだろうか。私と川口はそんなことを話しながら帰った。

ドイツやハンガリー人は偽装がうまく老獪であった。私は木訥で馬鹿正直で、いつも損ばかりしている日本人が自分を含めていとおしいような気になった。

9月下旬帰国(ダモイ)の噂が立った。今までも偽情報があったがついに所長がやってきた。帰国が自分の手柄のように言った。昭和23年10月11日、収容所の前の駅で日本人が右往左往していた。夕方万歳の声が聞こえた。所持品は一部本を除き全て没収された。

斉藤大尉が死亡者名簿だけはといったが取り上げられた。2年前についた時と比べると見違えるように復興したザバロージェ市を離れるのは複雑な気持ちだった。貢献した日本、独他数百万の捕虜の強制労働は歴史から抹殺されるのだろうか。

列車が町外れに出た。笹本大尉が丘の斜面の小松原を指さして稲葉少尉らがあそこに眠っていると言った。私たちは車窓から黙祷した。2年2ヶ月の間に犠牲者は44名に達していた。シベリヤに入ると日本人を見かけた。また来る時同様ソ連の囚人列車を見た。

昭和23年11月12日、ナホトカに到着した。町は熱狂的であった。

日本人捕虜の梯団が革命歌を歌い行進し互いに同志と呼び合っていた。私たちウクライナ組は呆然としていた。偽装民主化の中隊長が赤旗の歌を合唱するのが精一杯であった。我々はほかに革命歌も踊りも何一つ知らなかった。

毎日共産主義者が帰国者を脅し持ち物を奪った。私のソ連共産党小史を見た男は罵倒したが、最後まで書き込みがあるのを見ると、「どうせ税関で取り上げられますから」と言って取り上げていった。私が一人でいると、朝鮮人の若者が私にくってかかってきた。

真っ赤になって興奮し、涙を流さんばかりであった。私のせいで自分がこんな目に遭っているのだと固く信じているようだった。しかしソ連にとっては何民族でも労働力に過ぎないのである。ドイツ人やハンガリー人の間ではこんな事は起こっていなかった。

11月29日、復員式が行われた。ソ連に感謝の決議文が朗読され赤旗の歌の合唱で終わった。井上軍医は自発的に病弱者のために残ってくれた。11月30日港まで行進した。そして日本船遠州丸が入ってきた。

船が岸壁を離れた。3日目に君が代を歌おうと言いだした者がいると言うので大騒ぎになった。しかし気勢は上がらなかった。船員に聞くと別の船ではウクライナ梯団のものが赤をつるし上げたという。

ナホトカの敵討ちだ。(後記:戦後の日本の言論界はこうしたソ連寄りの雰囲気の中にどっぷり浸かってきたのではないか。ソ連が何をしようと沈黙する。ソ連をとがめるのは反動的であるとされてきた)

ドイツ人は日本人のようなことはしなかった。祖国へ帰ることを敵前上陸とは言わなかっただろう。恥ずかしい。(注:ドイツ人捕虜も帰還列車からソ連に迎合した裏切り者を突き落としたという)日本が分割されなかったことはなんと有り難いことだったか。船が日本に近づいてきた。

もうすぐ両親や友人、旧師に会えると思うと感傷的にならざるを得なかった。昭和23年12月3日、舞鶴に上陸した。私には5年半ぶりの日本の風景だった。生きて帰れたのがウソのような気がした。同じ船で帰った人たちもナホトカとは違い猫のように温和しくなっていた。

ソ連の悪口を言う者も出てきた。シベリヤの洗脳も実際には効果を上げていなかったのではないか。しかし強者に迎合するという習性は悲しいことであった。復員局の平寮には先着組が残っており、私たちのことを心配してくれていた」(引用止め)。(東海子)

・(読者の声2)「ウクライナ情勢、日本は「調停者」と成り中国の機先を制せ」

クリミアの住民投票でロシア編入賛成派が圧勝した事を受け、クリミア&ロシア対ウクライナ新政権との軍事衝突の可能性がある。

これを避けるためには、調停者が必要となるが、安保理常任理事国が当事者のため国連は機能せず、これまで沈黙を守ってきた中国が調停者として浮上する可能性がある。

これは中露の紐帯を強めるため、日本としては断固阻止しなければならない。

日本は一応西側のスタンスを取ってはいるが、実質上の調停者となる資格は十分にあり、北方領土問題を優位に進めるためにも、プーチンとクリミアの地位の落とし所を今から腹合わせしておくべきだ。

同時に、中国が今回のクリミア問題を材料に尖閣、沖縄収奪計画の正当化を図って来るため、日本はこれらとクリミアの違いを歴史的、法的、状況的に峻別し説明する準備をしなければならない。

◆クリミアの大義◆

16日、クリミア自治共和国と、これに隣接するロシア海軍基地のあるセヴァストポリ特別市でロシアへの編入を問う住民投票が行われ、編入賛成派が圧勝した。ウクライナ新政権は、クリミアの離脱は憲法違反としており、独自の国軍の編成を図っているクリミア及びロシアと軍事衝突する可能性がある。

プーチンの腹は何処にあるのか明確ではないが、セヴァストポリの海軍基地恒久使用を担保する事により戦略上の目的の大半は達成出来る上、クリミアの併合は国際政治上のリスクだけでなく経済的にも大きな負担となる(3000億円とも言われる)ため、クリミアの「高度な自治」で妥協する余地がある。

クリミアは元々ロシアの領土だったものを、ソ連時代に主に行政上の理由でウクライナに帰属させた経緯があり、ロシア系住民が大半を占める事、ウクライナ新政権からロシア語を公用語から除外する等の差別的決定、迫害の危険も加えて、住民投票によるウクライナからの分離独立は歴史的、国際法的、状況的に応分の正当性がある。

これらの点が、中国の尖閣、沖縄収奪計画と一線を引く要素であり、日本はクリミア調停に乗り出すと共に、この違いを更に明確に国際社会に説明すべく、事実確定、理論構築、広報・外交戦略を組み立てねばならない。

◆北方領土へ◆

昨秋クレムリンで行われた安倍・プーチンの第2次安倍内閣発足後初会談において、プーチンは日露通行条約が締結された1855年産のワインを供した。

この条約は、日露国交発足であると共に、南千島のみならず樺太の言わば日露共有を謳ったものだった。

ここに、柔道家プーチンが得意とするダブルミーニングの謎掛けがある。「この謎を破って、もっと踏み込んで来い。」

「でなければ、ロシア国民の手前、落とし所の糊白が作れないではないか。」

北方領土問題の解決は、端的にいえば日本が出すシベリア開発資金の金額と、幾つの島を何時交換するのかに尽きる。「国際的大義を伴う長期的国益の追求」外交の要諦は、万古不変だ。

 この原則の下にある限り、今回のクリミアを巡るロシア、米国、EU、中国のパワーゲームに、安倍総理はもっと踏み込んでよい。
  (佐藤鴻全、千葉)