2014年02月17日

◆ネット世論扇動の「五毛党」の暗躍

西見 由章


中国で憲法が認める権利の実現を目指す市民運動「新公民運動」の中心メンバー、許志永氏(40)が1月に公共秩序騒乱罪で懲役4年の判決を受けたニュースは国内でも広く報じられたが、大手ウェブサイトのコメント欄は「良い判決だ」「厳重に罰せよ」など司法当局を支持する声で埋め尽くされた。背景には、報道機関だけでなくネット上でも言論統制が行われている中国ならではカラクリがある。

テンプレが存在?

「法律を軽視して世論を惑わせた。厳重な処罰を」

許氏に対する有罪判決を伝えるニュースのコメント欄は、判決を絶賛するネットユーザーの声であふれている。

これらのコメントには共通の特徴がある。まず極めて簡潔であること。そして似たり寄ったりの文言が並び、まるで見本の「テンプレ(定型文)」が存在するかのようだ。

ユーザーのアカウントは最近取得されたものが多く、過去の発言も数回に留まる。いずれも「理性的に国を愛そう」、「習(近平)総書記は人民のよきリーダーだ」など体制礼賛の内容ばかりだ。

いずれも、「五毛党」の書き込みとみられる。

五毛党とは、当局寄りのコメントを書き込むネット工作員を指す。1件ごとにわずかな報酬を得ているとされ、この名がついた。 

情報統制が行われているとはいえ、中国のネット空間も普段は、官僚や政治家などの既得権益層を鋭く毒づくコメントが、削除されないまま残っていることが結構ある。しかし、今回の新公民運動をめぐる動きに関しては、運動を支持したり、当局を批判する書き込みは厳しく制限されているようだ。

当局側が、新公民運動に対していかに神経をとがらせているかがうかがえる。それにしても、「五毛党」のコメントで埋まっていることは一目瞭然。サイト運営者も「察してください」といったところなのだろうか。

尋問の様子を暴露

中国では、書き込みの削除など当局の統制がおよばない米国のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のフェイスブックやツイッター、インターネットの動画サイト「ユーチューブ」といったサービスは利用できない。

しかし暗号化や認証技術を使った「仮想プライベートネットワーク(VPN)」を使って、こうした規制をくぐり抜けている人たちも多い。

許氏の判決公判が開かれた1月26日から27日にかけて、中国の著名人権活動家、胡佳氏(40)が北京市の公安当局に一時拘束され、取り調べを受けた。この際、胡氏はツイッターで一部始終を“実況”してみせた。

「多くの制服警官が私の家の門の前に現れた。公共秩序騒乱の容疑で連行するようだ」

「まもなく連行される。もし24時間音信が途絶えたら、私の弁護士に連絡してほしい」

「私はすでに家に戻ったが、軟禁状態が続いている。今回は北京市公安局のネット安全保安総隊に連行された」

さらには取り調べの様子まで暴露している。「主な聴取内容は、私が新公民運動関連の裁判で支持者に集会を呼び掛けたというものだ。保安総隊は私のツイッターの発言をすべて監視しており、自分自身で書いたものなのかを尋問された」

フランスのネット統制を揶揄

言論統制をしく当局とネットユーザーの網民(ワンミン)との攻防が続くなかで、人々の反感をかったのが、中国共産党機関紙「人民日報」傘下の国際情報紙、環球時報(電子版)が今月10日に掲載した記事だ。

記事は、フランスの主要経済紙トリビューヌの報道を引用したもので、タイトルは「世界でツイッターの管理が最も厳しいのはフランス」。ツイッター社のまとめによると、2013年下半期に各国政府からあったツイートの削除要請のうち、フランスからの要請が全体の87%を占め、結果として133のツイートが削除されたという。

フランス当局が削除を求めているのは人種差別的な発言などだ。記事は自国のネット規制を棚に上げて他国の言論統制を揶揄(やゆ)したようにも読めることから、ネット上では、「なんて恥知らずだ。新浪微博(中国版ツイッター)はどうなるんだ」などと批判が相次いだ。

「おもしろい。私は1週間でブログの発言が数十回削除された。みんなで合わせて計算してみよう」。この書き込みは今のところ削除されていない。
産経ニュース 中国ネットウオッチ 2014.2.15

◆オバマ訪問と東亜諸国

Andy Chang


オバマが4月に日本を始め東亜4カ国を訪問することが決まった。オバマはリップサービスで現状維持を強調すると思うが、東亜問題は中国の覇権進出と領土拡張が原因である。

尖閣や南シナ海の問題は口先では改善できない。オバマはTPPの締結で実績を作ること、各国に現状維持を要求すると思う。しかし今はオバマの言いなりではなく、オバマにアジア諸国の主張を言い聞かせる時である。

諸国はオバマに米国の曖昧主義が中国の増長を招いている事を指摘し、中国はトラブルメーカーであり、諸国の防衛力増強が米国を助けると主張すべきだ。オバマのリップサービスで中国を抑えることは出来ない。

●東亜の不穏はオバマの責任である

東亜問題は領土問題であり、中国の勝手な領土拡張にある。台湾は中国の一部と言う勝手な主張、尖閣諸島も中国の領土、南沙諸島、西沙諸島にも中国の領土主権を主張し、南シナ海の軍事拡張、尖閣諸島を含む防空識別権の主張などで日本を始め東南ア諸国が大いに
迷惑している。米国は口先だけで第7艦隊は中国艦船の横暴な行動を抑止していない。

米国は武力と金銭の援助でパックスアメリカーナを維持してきたが、イラク戦争からアフガン戦争を通し、中東地域で敗退し金もなくなった。

加えてオバマは国内問題、特に黒人優先と共産思想の富の再配分を唱え、国内の金銭の無駄遣いと外交放置でアメリカの衰退を招いた。

オバマは就任してから政府の赤字を8兆ドルから17兆ドル以上に増やし、国防費の削減でアメリカの衰退を招いた。中国はアメリカ国債を1.3兆ドルも保有しているので、アメリカは中国の機嫌を伺い中国の覇権進出を抑止できない。

日本も1.2兆ドルの米国債を保有しているのに中国ほどアメリカにモノを言えない。今回こそ日本はオバマに対し日本が経済的、戦略的に最重要なパートナーである立場を強調し、靖国、尖閣などの問題は中国のトラブルメーキングであり、歴史問題は中国の嘘であるとハッキリ言うべきだ。今後の日本は防衛力を増して中国の覇権進出を防ぐと確言すべきである。日本は米国の主要債権国であるからもっと発言力を強めるべきである。

●口先だけのアジアピボット

2009年にカート・キャンベル(前国務次官補)がアジア回帰(ピボット)を提唱したが、大した実績はあげていない。オバマ政権は国内で多くのスキャンダルを抱え、中東とアフリカにおいて影響力を失い、アジアでは中国の進出を抑えきれない。

アジアピボットで大切なことは「アジア諸国がアメリカと一緒に中国の覇権進出を抑止すること」である。オバマが口先だけで中国に対して抑止力をつけることが出来ない。

4月の訪問ではオバマの言い分を聞くよりも諸国が中国に迷惑を蒙っている事実を明らかにし、現状維持を唱えるだけでは中国を阻止できないと主張すべきである。

●台湾がアジア平和の要点

アジアの地図を見ればわかるが、台湾がアジアの中央にあり、米国の主張した「第一防衛線」の中央にある。台湾を失えば中国は太平洋進出を果たし、アメリカは東亜撤退を余儀なくされ、日本と韓国も中国覇権に制圧される。つまり台湾問題の解決こそアジア平和の要点である。

台湾の国際的地位は未定である事は誰でもわかっている。台湾人民は中華民国の独裁統治で人権は無視され、アメリカはこの問題を放置してきた。米国は中台両側で平和的解決を要求するが、アメリカンの主張は中国と中華民国の平和交渉であり、台湾人民は無視され続けてきた。台湾の国際地位は人民の総意を尊重すべきである。

中国は武力で台湾を併呑することが出来ないから、中華民国を頤使して経済侵略と人口侵略で台湾統一を目指す。米国が放任しているため台湾人民の意志は無視され、中国の台湾併呑が進んでいる。台湾を失うことは東亜の平和を失うこと、米国の完敗である。

●諸国はどうすればよいか

台湾人は中華民国に統治され抑圧されているので台湾人に発言力はない。従って日本を始めアジア諸国は、台湾の国際地位解決を提起して中国の野望を阻止をオバマに要求すべきである。

オバマはすでにレイムダックでしかも黒人優先、共産思想の持ち主だからアジア問題を解決する考えも能力もない。アジア問題は次期大統領に期待すべきだが、オバマが中国を放任すれば困難は更に増すとだけと伝えるべきである。

諸国は米国の衰退を補うためにも防衛力を増強すべきである。防衛力とは軍事力と外交力である。アメリカの言いなりになるのでなく、諸国はアメリカに強く主張する外交力を増すべきである。

台湾人民は最近の中国化が進むことを極力警戒し、馬政権打倒を目指して努力すべきである。多くの台湾人は長期の洗脳教育で政権打倒とは革命、革命とは流血と思っているが、事実はそうではない。革命とは人民が政権の武力鎮圧に対抗することである。選挙は台湾の独立建国の役に立たない。中華民国を打倒するには人民総決起が必要である。

●アジアのNATOと私のPASEA提案

アジア問題は中国の覇権拡張である。中国は韓国を取り入れて日本の対抗し、アメリカはこれを放任している。アメリカが遣らないなら、日本は中国の覇権を押さえるためアジア版NATO、つまり私が過去に何度も提案した東南亜平和連盟(PASEA)をアジア諸国に働きかける時である。

PASEAはアジア版NATOだが、過去にも大東亜共栄圏、ASEANなど類似したものがあった。アメリカはASEAN構想に慌ててAPECを創立しアメリカが親玉となった。だが今では中国がAPECに介入してAPECを無力化した。

オバマはTPPの締結と現状維持で名誉欲を満足させるだけだが、率先して東亜問題を解決する気はない。日本がPASEAを推進すれば米国は慌ててアメリカ優位を保つ努力をするだろう。結果はどうであろうとPASEAはアジア諸国が主体でアメリカも主要参加国となるはずだ。これが中国の覇権進出を抑える唯一の方法である。
(北米在住 台湾人 地球物理学者)

2014年02月16日

◆正しい歴史認識とは

池田 元彦


2月11日は「建国記念の日」だ。本来は紀元節、少なくとも建国記念日とすべきところ、当時の社会党が彼是難癖をつけ、9回もの議案提出・廃案を繰り返し、有識者による審議会により10名中7名の賛成を得て、1966年12月に政令として即日施行された経緯がある。

現在15の祝日が祝日法で制定されているが、月日がこの法律でではなく政令で定められているのは、2月11日の建国記念の日のみであり、成立に至る不快な経緯を物語っている。

世界の国々は当然、各国国民の愛国精神を基本として建国記念日を制定している。

日本では神武天皇橿原宮即位が、紀元前660年正月元日と日本書紀が記す。それを根拠に1872年に「紀元節」が制定された。以降皇統は2千年に亘り連綿と続く、即ち革命や征服なく万世一系の国柄が現在も続くという世界史上類稀なる国柄が、日本なのだ。

中共は、1949年共産革命により蒋介石国民党を大陸から追い出し10月1日を国慶節とした。北朝鮮は、1948年9月9日を建国記念日、国慶節としている。前政権と違う政権が新たに権力を握り、新たな国を創設したのだから当然、その区切りで建国記念日は変わる。

韓国の建国記念日は少し変だ。壇君神話に基づき紀元前2333年10月3日だと言うが、中国の史記や三国史記等にも全く檀君の記述はない。壇君が初めて書物に現れるのは13世紀後半の「三国遺事」以降だ。10月3日の月日には歴史上、文書上一切根拠はない。

朝鮮半島は、中国三国志に記述がある箕子朝鮮、衛氏朝鮮、400年間の漢直轄、高句麗、馬辰弁韓、百済新羅加羅、統一新羅、高麗、李氏朝鮮、大韓帝国、日本併合、大韓民国と王朝・統治者は中国大陸同様入替り激しく、本来なら日本敗戦の8月15日が妥当な処だ。

日本は自然環境が温和な島国で、外敵もなく民族間の戦闘も少なく、移動を強いられることも少なく、農耕民族として一定の土地で近隣との親和的な安心出来る生活を享受していた。皇居は粗末で大した塀もなく、街全体も城壁で囲むこともせず他人を信頼出来た。

皇室の権威の下、時の権力者が日本を支配した。歴史上何度か皇室乗っ取りの策動もあったが、必ず天佑を得て無事に終わった。天皇は「君臨すれども統治せず」を旨とし、国家存続の危機には請われて判断を示し、国民は賛否を超えて天皇の一言に従った。

大東亜戦争で日本は敗けたが、アジア諸国に独立の気運を醸成し、戦後経済では欧米を凌ぎ、結果は大東亜戦争勝利だと判断できる。だからこそGHQは日本が二度と立上れなくなるよう、日本精神破壊工作をNHK放送や新聞報道を通して陰湿にも強制したのだ。

欧米に便乗しロシア、中共、韓国が日本貶めをしている。統率のとれた軍隊、どのような技術・技芸でも天下一を競う品質指向、一所懸命の日本人、それら全てが彼らの脅威だ。加えて正直、誠実、謙譲の民族の精神は羨ましく、逆に更なる彼らの脅威となるのだ。

日本民族の素晴らしさを諸外国は称賛しつつも、不安が覗く、暴かれることへの不安だ。植民地統治、奴隷貿易、人種不平等を隠す為にも、東京裁判の嘘を守るしかない。世界に対する日本の歴史認識是正運動の道は険しい。欧米中韓北に加え、国内に反日メディア及び反日日本人が跋扈するからだ。しかし茨の道でも日本人は誇りを取り戻す以外術はない。

◆世界報道の自由度ランキング

古澤 襄


■中国は後退しワースト5

<【大紀元日本2月14日】国際ジャーナリスト団体「国境なき記者団(本部パリ)」は1月12日、世界180カ国・地域を対象に、報道の自由度ランキングを発表した。

中国は175位とワースト5位にランクイン。前年の173位(179カ国・地域中)よりも1つ下げ、依然として報道の自由度が乏しい国の一つに名を連ねた。

世界報道の自由度ランキングは不正のレベル、ニュースの多元性、メディアの独立性、メディア環境、検閲の状況、法的枠組み、透明性、インフラという7項目で図られる。

国境なき記者団の報告書によると、2013年、中国のインターネットのブログは驚くべき活躍を見せて市民の抗議活動も高まったが、中国当局はインターネットの封鎖と反体制派への投獄で取り締まりを強め続けたため、評価を下げた。さらに経済の影響力を駆使し、香港、マカオと台湾の言論の自由まで抑制していると指摘した。

同団によると、調査結果からアメリカ、中央アフリカ共和国、グアテマラ等は報道の自由度が後退したことに対し、エクアドル、ボリビア、南アフリカ等の国々には著しい進展があると示した。

日本は2013年12月の特定秘密保護法成立で「調査報道、公共の利益、情報源の秘匿が全て犠牲になる」とされ、前年の53位から59位に順位を下げた。

2013年度報道の自由度トップ10とワースト10は次の通り。

報道の自由度トップ10

1位 フィンランド、2位 オランダ、3位 ノルウェー、4位 ルクセンブルク、5位 アンドラ、6位 リヒテンシュタイン、7位 デンマーク、8位 アイスランド、9位 ニュージーランド、10位 スウェーデン

報道の自由度ワースト10

180位 エリトリア、179位 北朝鮮、178位 トルクメニスタン、177位 シリア、176位 ソマリア、175位 中国、174位 ベトナム、173位 イラン、172位 スーダン、171位 ラオス (大紀元)>

2014.02.15 Saturday name : kajikablog

2014年02月15日

◆監視機関設置は不要

宝珠山  昇


2月12日のNHKニュースで、“自民党は、公明党の要求を容れて、特定秘密保護法に基づく特定秘密の指定の妥当性を監視する機関を国会に常設する、会議は非公開とし事務局の職員に対して特定秘密を扱うために必要な「適性評価」を実施する、ことなどを検討している”趣旨の報道をしていた。

このような監視機関が設置されれば「適性評価」を受けていない者が特定秘密情報に接する機会が増加することになる。情報大国は、これらを考慮して交流させる機密情報の量と質を選別する、多大な人的・物的資源を投入して製造する機密情報を日本へ提供するに際し、その質量を抑制するだろう。設置は望ましくないと考える。

このような論議は、予見される国際戦略環境、日本の情報戦力の弱さ、などについての認識が甘過ぎる、国内的、大衆迎合的に過ぎるものである。激化し続けている国際情報戦を闘い、国の独立、生存、安全、繁栄を確保して行くに相応しい、国際水準に適う論議を期待したい。(2014年2月14日)

◆変わる米外交、日本も機敏に対応せよ

櫻井 よしこ


2月4日、「産経新聞」の「正論」で、杏林大学名誉教授の田久保忠衛氏がオバマ大統領に「親米保守」の立場から一筆“啓上”した。バランスのとれた穏やかな表現ながら、鋭いメッセージを送る氏の主張に大いに頷いた。

日中韓の軋轢が激しくなるにつれ、米国の対日理解が如何に浅いかを、多くの日本国民が痛感させられていると、私は感ずる。たとえば尖閣諸島問題で、現状を変えてはならないという声が米国から日本に届く。しかし、現状維持を破り、積極的に変えているのは中国である。

安倍晋三首相の靖国神社参拝に関して、東京の米国大使館及び国務省が出した「失望」声明には、言うべき言葉もない。

祖国に殉じた人々の御霊に、感謝と敬意を表し、日本の不戦を誓った安倍首相の行動は、如何なる国においても非難や失望の対象となるべきものではない。にも拘わらず、米国が、どの国も行っている国家の指導者の慰霊に失望を突きつけるのであれば、私たちにも思い出さざるを得ないことがある。

広島、長崎への原爆投下、東京大空襲をはじめとする、日本の主要都市への凄まじい爆撃である。少なくとも50万の国民の命を奪った無差別爆撃の非人道性は、日本人なら誰でも知っている。

ただ、私たちは敢えてそれを口にしない。敗れたがゆえに、日本は勝者の論で裁かれた。その不当性を十分に識っていながら、口にしてこなかった。理由は、日本人ほぼ全員が深く反省したこと、加えて、敗者は基本的に言い訳はしないという日本人の性格及び美学ゆえだ。

田久保氏は、首相としての当然の参拝に米国が「失望」声明を出すのであれば、中韓両政府が「初代韓国統監を務めた伊藤博文元首相を暗殺した犯人、安重根の記念館を、事件現場であるハルビン駅に開設した非常識に『失望している』との声明くらいは」、同盟国として出してもよかったのではないかと書いた。その通りである。

■「不介入政策」

戦後、米国は占領統治下において日本を弱体化させ、自国の影響下に封じ込める政策を採用した。いわゆる「弱い日本」(Weak Japan)政策であり、その基本的考えが、現在も米国の対日政策の芯に残っているという田久保氏の見方は正しいと思う。

日本を弱いままにしておこうとする米国、現在のオバマ政権は、往々にして中国の脅威に目をつぶる。国際政治において軍事力の果たす役割にも目をつぶり、ひたすら外交によって解決を図ろうと考える。外交が軍事力によって決定的な影響を受けることを、見ようとしない。

こうしたオバマ政権の実態は、シリアへの軍事不介入に典型的に示されている。

オバマ大統領はシリアへの不介入の理由を、昨年9月10日、全米向け放送で米国民に説明したが、その際、「米国は世界の警察官ではない」と2度繰り返した。今や、米国内にもオバマ大統領のこの種の「不介入政策」を批判する声は少なくない。ヴァンダービルト大学日米研究協力センター所長のジム・アワー教授は、オバマ大統領は外交にも国防にも興味がないのだと指摘する。

だが、オバマ大統領の基本姿勢は変わらない。その結果、冷戦終結以来の国際関係が大きく変わりつつあるのだ。シリアへの米国の不介入を受けて、サウジアラビア、エジプト、イスラエルが米国と少し距離を置き始めたのに続き、欧州連合(EU)にも注目すべき変化が生じ始めている。

2月1日、ドイツのミュンヘンで開催された「ミュンヘン安全保障会議」は米欧関係を見る上で極めて大きな意味を有するが、揃って出席したジョン・ケリー国務長官とチャック・ヘーゲル国防長官はこの会議で、懸命に米国の立場を擁護しなければならない羽目に陥った。

「インターナショナル・ニューヨーク・タイムズ」紙は、ケリー長官が「米国が外交、安保路線を変えようとしているという言説は、誰かが自分の利益のために故意に流しているものだ」と怒りの内に語ったと報じた。

ケリー長官の熱弁も、しかし、EUの、米国に対する疑念を払拭したわけではない。注目したいのがドイツの反応である。

メルケル首相の携帯電話が米国の国家安全保障局(NSA)によって盗聴されていたことは、たとえその種のスパイ行為が広く国際社会で行われていると仮定しても、ドイツの米国に対する不信感を深めたのは事実であろう。加えて、ケリー、ヘーゲル両長官の言葉にも拘わらず、米国政府の対外政策は専ら外交に傾斜するばかりで、軍事行動を避けようとするものだ。

EU諸国にとって、シリア情勢と同様に大きな関心事はウクライナ問題である。ウクライナの野党勢力がEUに加わる動きを見せる一方、ロシアはウクライナを自国の影響下にとどめようと、凄まじい圧力を加えている。だがEUのロシア非難にも拘わらず、米国は積極的に関与する姿勢を見せようとはしない。

■中国との冷戦の真っ只中

そうした中で、ドイツのヨアヒム・ガウク連邦大統領が、これまでにない強い調子の演説をミュンヘン安全保障会議で行ったのである。

「ドイツは、ナチス及び共産主義の時代があったからといって、(砂の中に頭を突っ込んで現実から目をそらす)駝鳥のように、国際社会に対して負っている義務に背を向けてよいということではない」

ガウク氏はこう語り、現在のドイツは、「民主主義国家、信頼すべきパートナー或いは同盟国として知られているのであり、国際社会の舞台により早く、決定的に参加すべきである」と説明している。

中東の春と呼ばれる一連の民主化革命の中で、ドイツはリビアに対する軍事行動に参加しなかった。ガウク大統領は、その種の行動は繰り返されてはならないとも語っている。

超大国アメリカを軸に形成されていた冷戦後の国際社会の秩序が、本当に大きな変化を遂げているのだ。思いがけない変化はいつでも起こり得ると、認識しておかなければならない局面である。

時代が大変革に入るとき、危機を察知しなければ国家は間違いなく沈む。危機を察知しても、対処する実力を備えていなければ国家は滅びるだろう。

わが国の隣りには、激しい日本非難を国家戦略とする中国がいる。中国に盲目的に従う韓国がいる。彼らは明確な意図をもって歴史を捏造する。

かつて中国の国民党が日本を宣伝戦で追い詰めたように、同じ漢民族の中国共産党は、またもや同じ手法を用いているのだ。日本は中国との激しい冷戦の真っ只中に在る。その自覚こそいま、必要である。(週刊新潮)
2014.02.14 Friday name : kajikablog


2014年02月14日

◆外交は米国の「弱さ」に配慮して

櫻田 淳

 
安倍晋三首相が昨年末に決行した靖国神社参拝への評価は、賛否が拮抗している。例えば、朝日新聞の世論調査(1月25、26両日実施)は、「参拝したことはよかった」が41%、「参拝すべきではなかった」が46%という結果を出した。他のメディアによる世論調査の結果も似たようなものである。安倍政権の支持率が変動しなかった事実を踏まえれば、この案件は少なくとも国内政治の争点としては落着しているのであろう。

 《どの国との関係を気遣うか》

もっとも、この世論調査の結果を伝えた朝日新聞記事(電子版、1月27日配信)には、次のような文言がある。「首相の靖国参拝に対する中国、韓国、米国、ロシアなどからの批判を『重く受け止めるべきだ』は51%で、『それほどのことではない』の40%を上回った」

また、参拝直後の共同通信の世論調査では、対外関係に「配慮する必要がある」と答えた層が7割近くに達していた。これは、靖国参拝それ自体への評価はともかくとして、「世界の中の日本」という感覚が国民各層に根付いていることを示す数字であろう。

しかし、この種の世論調査の結果を前に考えるべきは、「その配慮すべき対外関係とは具体的に、どこの国々との関係を指しているのか」ということである。

その配慮すべき国々が中韓両国である蓋然性は、両国との関係の現状を踏まえる限りは、相当に低いのであろう。それは、多分に、米国や欧州諸国のような「昔日の敵であった現下の友」のことでしかない。

こうした国々から要らぬ疑念を招きたくないのは、「友」に対する配慮の心理としては何ら不思議ではあるまい。それ故にこそ、参拝直後に在日米大使館、米国国務省が表明した「失望」の意は、日米関係に波紋を広げたのである。

だとすれば、次に注視されるのは、「安倍首相は年内に再度の参拝を行うのか」ということであろう。筆者は、純然たる外交戦略上の観点からすれば、再度の参拝は要らないのであろうと考えている。

再度の参拝に際して、特に中韓両国からの反応は、予測するまでもなく分かりきっている。しかし、米国からの反応は、それを実質上、容認したものになるのか、あるいは先般の「失望」以上の強い批判の趣を帯びたものになるのかは、定かではない。

オバマ米大統領の先刻の一般教書演説に触れるまでもなく、「極東情勢に無用な波風が立つのを望まない」という趣旨の「失望」表明の裏には、現下の米国が抱える「弱さ」が垣間見られる。

それは、中国の拡張的にして挑発的な対外姿勢が日比両国のような「盟邦」に明白な脅威を与えていても、財政その他の制約から峻厳な対中姿勢を採るのを躊躇する「弱さ」である。

 《アジア太平洋版NATOを》

この米国の「弱さ」は、日本としては十分に気を遣ううべきものなのではなかろうか。加えて、こうした米国の「弱さ」が明白に認識されればされるほど、それを主体的に補う努力が、日本に要請されることになる。集団的自衛権行使の許容を含めて、日本が推し進める安全保障政策上の努力は、こうした考慮に密接に結び付いているのである。

筆者は、秀吉の石垣山城築城の故事に倣って、特に中韓両国に仰々しい印象を与えずに「静かに、かつ確実に」日米同盟が堅固になる様を見たいと思っている。

そもそも、日米同盟はそれ自体で完結するのではなく、先々、オーストラリア、インド両国と東南アジア諸国を含んだ「アジア・太平洋版NATO(北大西洋条約機構)」の支柱に発展すべきものである。

そして、例えば英国との安全保障協力、さらにはフランスとの「2+2」(外務・防衛閣僚協議)での議論を端緒として、これを本家のNATOに合体させることができれば、それは、安倍首相が標榜(ひょうぼう)する「地球儀を俯瞰する外交」、あるいは麻生太郎副総理が提唱した「自由と繁栄の弧」構想の到達点になるであろう。

 《優先付けの見極めが重要だ》

前に述べたように、たとえオバマ政権下の米国政府の対中姿勢が「腰の引けた」趣の濃いものであっても、そのことは、こうした同盟網構築の方向性を否認するものではあるまい。

発足後1年を経た安倍内閣下の対外政策展開は、基調としては何ら誤っていないのであるから、こうした後々の同盟諸国に「安心」や「信頼」を提供していくことにこそ、日本が行うべき「対外関係への配慮」の本質がある。

中韓両国との関係に関していえば、両国がどのような「対日配慮」の施策を具体的に示すかによって、その後の対応を決めればよいであろう。

政治は結局のところは、誰との関係を重視し、その上で何を手掛けるかという「優先付け」の技芸に他ならない。特に国際政治の世界では、そうした傾向は一段と鮮明になる。安倍首相には、こうした「優先付け」の見極めに細心の注意を払うことを期待する。
(さくらだ じゅん)
(東洋学園大学教授)産経新聞 [正論] 2014.2.13

2014年02月13日

◆東莞の淫売窟を一斉に手入れ

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
 

<平成26(2014)年2月12日(水曜日)貳:通巻第4143号 >

性事魔都(セックスシティ)といわれた東莞の淫売窟を一斉に手入れ。広東の団派領袖 胡春華への嫌がらせを兼ねた反腐敗キャンペーンの一環か?

広東は団派の領袖、習近平の後釜に有力候補と言われる胡春華が統治する。前任は王洋、現在政治局序列9位。胡春華は政治局員。

これら団派への嫌がらせを兼ねた反腐敗キャンペーンの一環としてか、当局は東莞の淫売業、とくにサウナ、マッサージ、カラオケバアなど卑猥なビジネスを展開する拠点を一斉に手入れした。

北京は東莞を「恥の都市」と呼んでいるが、中国全土では「色情都市」と呼ばれ、また売春婦らの人権を守れと叫ぶ団体は「下半身性福権」「娼妓血涙生存権」などと呼称し、彼女らの生活権を擁護する論調も展開してきた。

67人の売春婦を逮捕し、12の売春拠点を閉鎖、このために警官隊6000名を動員した。東莞の売春は殆どがヤクザがらみで、売春婦を誘拐してきたりして酷使するため、人権団体などがかねてから告発してきた。

こうした手入れなど氷山の一角でしかなく、いまなぜ、このタイミングでと推測するとすれば、スペイン高等裁判所による江沢民、李鵬などの「チベット虐殺容疑」の国際計時機構への手配要請という大事件を一方にかかえるため「すりかえ」が必要だからだ。

他方、カナダ政府が、中国からの移民申請46、000名の申請を拒否するという「大事件」に遭遇したばかりである。

カナダは、これまでの巨額投資を引き替えの中国人の移民許可という緩い法律の改正を検討しているという(明報、サウスチャイナモーニングポストなど)。
      

◆中国への留学生数が急減

藤村 幸義

 
日中関係が極度に悪化する中で、日本の若者たちの中国離れも急速に進んでいる。中国への短期、長期の留学や、日本で中国語を学ぼうとする若者たちの数がここにきて大幅に減ってきているのだ。過去にも政治的な関係が留学生数などに影響を与える状況は多少みられたが、今回はかつてない深刻な事態といえよう。

北京のある大学は昨年、世界百二十数カ国・地域から3100人を上回る留学生を受け入れたが、日本からの留学生はたったの60人だったという。トップは韓国が断トツで730人余り。続いてインドネシア、タイ、ベトナムとなっており、日本は5位に甘んじている。

中国当局の統計によると、中国は2012年に世界の200カ国・地域から合計32万8330人の留学生を受け入れている。ベスト5は、韓国、米国、日本、タイ、ロシアである。日本は3位で、この年は前年の1万7961人から2万1126人へと数を増やしていた。13年の数字は未発表だが、日中関係の悪化に伴って、かなりの減少となっているのは間違いない。

日本のある大学では、毎年春に中国の上海や天津に約3週間の短期研修を実施している。午前中は中国語を学び、午後は工場見学や中国の学生たちとの交流といったプログラムで、毎年20人から30人の学生が参加してきた。ところがこの春は希望者がわずか4人しかおらず、研修団を結成できなかった。

本人は参加を希望しても、保護者から止められるケースが増えている。政治的な関係悪化だけでなく、環境汚染がひどくなっていることも影響しているとみられる。

ある地方の孔子学院に勤めている先生からは「昨年から生徒が減ってきた」とぼやきのメールが届いた。

孔子学院は中国が世界各国の大学などと提携し、中国語や中国文化を教えることを目的に設立され、日本でも各大学に広がっていた。

それでなくとも日本人学生は内向き志向を強めている。文部科学省の統計によると、2010年の日本人の海外留学生数は5万8060人で、前年より3.1%も減っている。ピークだった04年の約8万3000人と比べると、ほぼ3割の大幅な減り方である。

中国への留学生も落ち込むとなれば、内向き志向により拍車がかかろう。中国を知らない学生が増えれば、日中関係の改善もより遠のいてしまう。
                    (拓殖大学国際学部教授)
(フジサンケイビジネスアイ)2014.2.12


2014年02月12日

◆日本「軍国主義」の創作者たち

伊勢 雅臣


70年前に米占領軍が創作したプロパガンダを、今も中朝韓や偏向マスコミが使っている。


■1.中国と国内偏向マスコミによる日本「軍国主義」批判

中国の世界各国に駐在する大使が、現地メディアに安倍首相の靖国参拝を批判し、「日本は軍国主義に戻りつつある」とする記事を投稿している。インタビューも含めると、74カ国・地域に上るという[1]。

安倍政権に対して、具体的な対抗手段を持たない習近平政権の焦りが窺えるが、「軍国主義」と批判する具体的根拠が靖国参拝だけでは、説得力はまるでない。

我が外務省も負けていない。中国が急速に軍備拡張を行っていることや、南シナ海で力による領土・領海の現状変更を迫っていることなど、具体例を挙げて「国際社会にとって危険なのはどちらか」と訴える方針を出し、すでに46カ国・地域で反論している。

しかし、中国の「軍国主義」批判に同調して、安倍政権の足を引っ張ろうとしているのが、国内の偏向マスコミである。特定秘密保護法案に関しては,、次のようなヒステリックな報道が行われた。:

「戦中に戻すな」(朝日新聞)、

「暗黒国家 開いた扉 歴史忘れたのか」(毎日新聞)

今回は、このような「軍国主義」批判が、どのような意図と経緯で創り出されたのかを見てみよう。

■2.「戦争贖罪意識」「戦争有罪性」を植えつけよ

昭和20(1945)年10月・11月のGHQ(占領軍総司令部)月報には、次のよう
な一節がある。


「占領軍が東京入りしたとき、日本人のあいだには戦争贖罪(しょくざい)意識はまったくといっていいほど存在しなかった。彼らは日本を戦争に導いた歩み、敗北の原因、兵士の侵した残虐行為を知らず、道徳的過失の感情はほとんどなかった。日本の敗北は単に産業と科学の劣勢と原爆のゆえであるという信念が行き渡っていた」。

当時の日本国民にとって、大東亜戦争は石油の禁輸などで米国に追い詰められてやむなく立ち上がった自存自衛の戦争だし、各地の大空襲や原爆による一般市民無差別殺傷という明白な戦争犯罪を目の当たりにしていた。「戦争贖罪意識」など持つわけがない。

同年10月2日、民間情報教育局(CIE)の設立を命じた一般司令第4号が出された。この中には、以下の目的が記されていた。


{日本の敗戦の真実、日本の戦争有罪性、現在および将来の日本の災害と苦難に対する軍国主義者の責任、連合国による軍事占領の理由と目的を、すべてのレベルの日本公衆に周知させる}[2,p95]

■3.積極的な洗脳プロパガンダ

この方針に基づいて、民間情報教育局によって日本人に戦争有罪性を植えつけるための「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」が推進された。

たとえば、満州事変以降の15年戦争を裁き、「南京虐殺」の犯罪性を強調した「太平洋戦争史」を、民間情報教育局のブラッドフォード・スミス企画作戦課長が執筆し、日本全国の新聞に昭和20年12月8日から連載するように強制した。この「太平洋戦争史」を、占領軍による言論統制を暴いた江藤淳[a]は、こう評している。


「実際には日本と連合国、とくに米国とのあいだの戦いであった大戦を、現実には存在しなかった「軍国主義者」と「国民」とのあいだの戦いにすり替えようとする底意が秘められている」。[2,p98]

さらに「太平洋戦争史」は文部省から、学校の教材として使うように指示が出された。もちろん、その陰には占領軍から文部省への命令があった。

当時の日本人は「大東亜戦争」という呼称を使っていたが、それが禁じられ、現在のように「太平洋戦争」と呼ばれるようになったのは、ここからである。「大東亜戦争」にはアジアの独立指導者を集めた「大東亜会議」[b]のように、欧米の植民地主義からのアジア解放という意味が込められているが、太平洋戦争ではアメリカからの視点に過ぎない。

12月9日からは『真相はこうだ』というラジオ番組がNHKから放送された。これも軍国主義者の犯罪をドキュメンタリータッチで暴くという内容だった。脚本はやはり民間情報教育局が書いたが、それは伏せられた。

当初は20週以上放送する予定だったが、抗議の投書が殺到して、10週で打ち切りとなった。当時の国民は、戦争には敗れたとは言え、米国製の史観をそのまま受け入れるほど、うぶではなかった。

映画も日本国民を洗脳する手段として活用された。民間情報教育局が助言や奨励をして、日本の映画会社に作らせた長編映画が、9本ある。

それらの中には、『犯罪者は誰か』(大映)、『民衆の敵』(東宝)など、軍国主義者が侵略戦争を導いたことを匂わせていた。娯楽の少なかった時代でもあり、合計3千万人以上の国民がこれらの映画を見ている。

こうして、新聞、ラジオ、映画などのマスメディアをフル活用して、「日本は軍国主義者によって誤った侵略戦争を戦った」という史観が植えつけられていった。そして、空襲も原爆も、その罪の当然の報いである、という理屈で、米国側の戦争犯罪は棚上げにされたのである。

■4.ルース・ベネディクト「日本は最も異質な敵であった」

そもそも一国の国民全体に、戦争に立ち上がった事に対する罪の意識を植えつけようという計画そのものが、およそ日本人には思いもつかない発想である。米国はどこから、そんな発想を得たのか。

その過程は、米国ワシントンのワシントン・ナショナル・レコード・センターに保管されている占領期の文書を研究した高橋史朗・明星大学教授によって明らかにされた。氏は段ボール917箱分、240万から250万頁を調べた。年間にコピーできる枚数が限られていたので、段ボール10箱分を筆写したという。

その研究成果が、氏の著書『日本が二度と立ち上がれないようにアメリカが占領期に行ったこと』[2]で発表されている。

氏の研究によれば、戦時中に対日プロパガンダを検討した戦時情報局(OWI)の活動があり、それが戦後の民間情報教育局に受け継がれて、「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」となった、という。

この戦時情報局で主任アナリストとして日本人の国民性の研究を担当したのが、文化人類学者ルース・ベネディクトであり、その研究結果をまとめたのが1946年に発表された『菊と刀』であった。

『菊と刀』の第一章「研究課題−日本」の冒頭には、次のような一節がある。

<日本は最も異質な敵であった。日本軍と日本本土に向けた宣伝(プロパガンダ)において、私たちはどのようなことを言えば、アメリカ人の生命を救い、最後の一人まで徹底抗戦するという日本人の決意をくじくことができるだろうか。>[2,p61]

日本という「最も異質な敵」の「決意をくじくこと」が、ベネディクトの研究目的であった。この対日心理戦の研究を、戦後の日本占領で日本人の「再教育」に応用すべきという方針が出され、それを踏まえて、民間情報教育局が設置されたのである。

■5.「恥の文化」が生んだ軍国主義

『菊と刀』とは、いかにも意味深長なタイトルである。このタイトルについて、高橋史郎氏はこう述べる。

「ベネディクトが「菊」という言葉で表現しているのは、日本人の審美的傾向です。つまり、日本人は菊を愛でるほどの美しい心を持っているというのです。一方の「刀」については諸説ありますが、よくいわれるのは好戦的な軍国主義を象徴するという見方です。

要するにベネディクトは、菊を愛でるような美しい心を持った日本人が侵略戦争に走ったというところに国民性の矛盾あるいは二面性を見ているのです」。[2,p20]

ベネディクトは、欧米の文化は神を意識し、その神の教えに背くことを罪と考える「罪の文化」であるのに対し、日本の文化は世間の目を意識する「恥の文化」であると説いた。

集団の中での「恥」が唯一の行動規範だとすれば、集団全体が軍国主義となって他国の侵略に向かえば、その一員として戦わなければならない。これが軍国主義に通ずる。


<日本の「再教育・再方向づけ」のための最重要課題は、「罪の文化」が欠如した日本人の心に侵略戦争を起こした罪の意識すなわち「戦争有罪性」を植え込むことであると考え、「精神的武装解除」政策の最重要課題としてウォー・ギルト・インフォメーション・プログラムが実施されたのです。>[2,p96]

■6.「獣と接するときは、それを獣として扱わねばなりません」

ベネディクトの研究は、当時のアメリカ人の日本人蔑視の感情と相まって、米国政府要人の間で広まっていたようだ。
 
広島・長崎への原爆投下に対して、アメリカのキリスト教団体がトルーマン大統領に抗議した際、その回答書にはこう書かれていた。


「日本人が理解する唯一の言葉というのは、私たちが日本人に対して原爆投下することのように思います。獣と接するときは、それを獣として扱わねばなりません」。[2,p136]

これは大統領の公式回答である。大航海時代に、キリスト教徒が原住民を人間とは認めずに、自由に殺してよい獣だと考えたのと同じ、数世紀前の発想である。

また対日外交を主導したハル国務長官は「日本の軍国主義は国民の伝統に基づいているという点においてドイツ・イタリアとは異なる」と述べている。ドイツもイタリアもアメリカと同じ、白人のキリスト教国で、日本は違うという事である。

マッカーサーも「日本人の精神年齢は12歳」として、「精神の再復興と性格改善が行われなければならない」とはっきり声明を出している。

アメリカで黒人の平等な参政権が確立されたのは、1960年代の公民権運動の結果である。これらの発言は、その20年ほども前であり、当時の人種差別感情があからさまに窺える。

■7.「軍国主義」は日本という「鏡」に映った欧米列強の姿

米国人の中でも偏見に囚われずに、こうした占領政策を批判した人もいた。1948年に『アメリカの鏡・日本』を出版したヘレン・ミアーズである[c]。ミアーズはこう書く。

<日本軍のフィリピンでの残虐行為は、戦闘の狂気と恐怖で錯乱状態に陥った殺戮であって、政策として命令されたものではない。絶体絶命の状態の下で戦っているわけでもない強大国が、既に事実上戦争に勝っているというのに、一秒で12万人の非戦闘員を殺傷できる新型兵器を行使するほうがはるかに恐ろしいことではないのか。

山下将軍(JOG注: 残虐行為の責任者として処刑された[d])の罪は、なぜ広島・長崎に原子爆弾の投下を命じたものの罪よりも重いのか。私たちは他国民の罪だけを告発し、自分たちが民主主義の名の下に犯した犯罪は自動的に免責されると思っているのだろうか。>[2,p128]

米国が原爆投下による12万人もの非戦闘員殺傷という「罪」に頬被りしている事を見れば、ベネディクトの言う「罪の文化」という概念がいかに嘘偽りに満ちたものか、見てとれよう。

日本人が伝統的に軍国主義者であったという事実認識は誤っているとし、それは欧米列強の姿が日本という「鏡」に映っただけだ、というのが、ミアーズの主張であった。

占領軍は、ミアーズの本の日本での出版を許さなかった。その指摘がベネディクト以下の日本「軍国主義」というプロパガンダの嘘を暴いていたからだ。

■8.70年前のプロパガンダからの脱却

日本「軍国主義」という、今も中国・北朝鮮・韓国が一つ覚えで使う批判は、こうして70年も前の、アメリカのプロパガンダから生じている。現代の国際社会においては、戦後の70年近い日本の平和な歩みを訴えれば、この批判は説得力を持ち得ないだろう。

問題は、事ある毎に「戦中に戻すな」などと主張する国内の偏向マスコミである。いまだに70年前の占領軍による洗脳から脱することのできない偏向マスコミに対しては、マッカーサーから再び「日本人は12歳」と言われても、反論できまい。

大方の一般国民がきちんとした見識を持って、こういう偏向マスコミを相手にしない、大人の社会を作っていく必要がある。

■リンク■

a. JOG(098) 忘れさせられた事
 戦後、占領軍によって日本史上最大の言論検閲が行われた。
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogbd_h11_2/jog098.html

b. JOG(338) 大東亜会議 〜 独立志士たちの宴
 昭和18年末の東京、独立を目指すアジア諸国のリーダー達が史上初めて一堂に会した。
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogbd_h16/jog338.html

c. JOG(219) アメリカの反省
 日本の本当の罪は、西洋文明の教えを守らなかったことではなく、よく守ったことなのだ。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h13/jog219.html

d. JOG(551) 山下奉文、使命に殉じた将軍
 シンガポール攻略の英雄は、使命に忠実にその後の悲運の人生を生き抜いた。
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogdb_h20/jog551.html

■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け)
  →アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。

1. MSN産経ニュース、H26.1.31「中国の世論戦激化 『事なかれでは済まない』受けて立った外務省」
http://on-msn.com/1isMdux

2. 高橋史朗『日本が二度と立ち上がれないようにアメリカが占領期に行ったこと』★★★、致知出版社、H26
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4800910293/japanontheg01-22/

◆知事選で都民は現実を直視した

屋山 太郎


東京都知事は、厚生労働相の経験もあり、政策に最も強いと思われていた舛添要一氏に決まった。

今回の都知事選では、「原発ゼロ」を訴える細川護煕氏とそれを全面的に支持する小泉純一郎氏という元首相コンビの登場が世間を驚かせた。当初の世論調査によれば、「脱原発が都知事選の争点となることをどう思うか」との問いに「期待できる」が62%を占めていて、シングルイシューの選挙になりかねないと思わせた。

人心掴めなかった脱原発論

だが、舛添氏(無所属)、宇都宮健児氏(共産、社民推薦)、田母神俊雄氏(無所属)らの出馬が選挙の焦点を変えた。選挙戦半ばの産経新聞の世論調査でも、脱原発などが都知事選の争点になるかとの質問に「納得できる」の22・8%、「どちらかといえば納得できる」の39・6%を合わせて62・4%が原発重視だったのである。

脱原発ムードが冷めたのは、元首相コンビが振りかざした論理が人心を掴めなかったからだろう。小泉氏は「とにかくやめろ」の一点張りで、「あとのことは私に聞いてもしようがない」。細川氏は「これは壮大な実験」「日本が先駆けて世界を動かそう」と言う。2人の呼びかけは、国民を博打(ばくち)にかけるようなものだった。

その発想は国の運命はどうなってもいい、非武装中立をという冷戦期のイデオロギーに似ている。世界にはなお、何百の原子力発電所があり、その運営に確信を持つ政治家も学者もいる。原子力開発に自信があるからこそだ。

第一に、現在、停止中の原発全基を火力発電所で代替するために年間3兆6000億円の化石燃料を輸入している。再生可能エネルギーに替える間にも工場の海外移転が進み、日本は工業国として成り立たなくなるだろう。現に、家庭用、産業用とも米国の電力料金は日本の半分以下である。

元首相のタッグマッチで強烈な印象を与えた細川氏は、結果において宇都宮氏にも負けた。2人は1点にしか関心を持たない無責任政治家であることをさらした。晩節を汚すとはこのことだろう。小泉神話は完全に地に落ちて、父親に同調したような進次郎氏のブームも終わる可能性がある。

「進次郎ブーム」にも陰り?

脱原発に関する地道な説得に加えて都政のあらゆる部門に解決策を説き回った宇都宮氏が、2位に入ったのは不思議ではない。しかし、これは、敗れ去った民主党政権のバラマキ政策そのものの観を拭えない。都民はバラマキを簡単には信じなくなっている。

田母神氏はネット上の人気では8割を占めていたという。元航空幕僚長ながら、慰安婦やら「南京虐殺」やらの虚構を暴いて更迭された。戦後派には抵抗を持つ人が多いが、若い世代は何の偏見も持たない。戦後約70年で2世代が更新されて、3代目の純粋日本人が誕生してきたという思いだ。

今回の選挙でお笑いタレントの類は全く立たなかった。かつては東京都で青島幸男氏、大阪では横山ノック氏が知事となった。都・府庁の「官僚政治」を見て、知事はお飾りでもいいと都・府民は考えていたのだろう。その役割に期待もしていなかったから、おふざけ知事を選んだのである。

政権交代で一皮むけた政治

この風潮が一変したのは、中央で本格的な政権交代が起きたからだろう。金権政治の自民党に嫌気して民主党を選んでみたら、反米親中路線で日米安保体制は危うくなった。かといって日中間が好転したわけではない。

日本と中韓の間柄は、聖徳太子がわずらわしい関係を断ち、1885年に福沢諭吉が「東亜の悪友を絶つべし」と脱亜論に書いたところだ。脱亜入欧路線はまさに正しい選択で、この構図は7世紀以来、変わっていないと認識すべきだろう。

政権を取るため、民主党は減反奨励金で農民を引き付け、子ども手当の倍増をうたった。小沢一郎氏の意思だったとされるが、氏は同党を割って旗揚げした新党の方針として、脱原発、消費税増税反対を掲げた。2項目を国民が求めているという理由だ。これこそ大衆迎合政治で、選挙の結果は「小沢党」のボロ負けである。

政権交代を機に国民は政治の実質を直視し、ウソやバラマキを見抜く力を身に付けたのである。政治が一皮むけた気がする。

舛添氏は理想を持ち、前述の通り行政経験もある。原発については、再生可能エネルギーが増えてくるのに見合った減らし方をするという。穏当な発想だが、そもそも都はエネルギー政策に強い権限を持っているわけではない。家庭や産業の電力料金を米国並みにすることを目標にしてもらいたい。

都民が新しい都政に望むのは、(1)景気と雇用(2)少子高齢化や福祉(3)原発・エネルギー−の順だ。少子高齢化対策としては、待機児童の減少、結婚できるような給与、職場復帰を可能にする経営体質など、体系的な政策が必要だ。舛添氏が選挙戦中、しきりに訴えていたものだ。すぐに実行に移せるとは思わないが、1期目で実現することを誓ってもらいたい。(ややま たろう)産経[正論]2014.2.11

◆反中共の何清漣女史(下)

平井 修一


今年は日清戦争勃発120周年だ。振り返れば1884年(明治17)の甲申政変で日清の朝鮮駐留軍が武力衝突し緊張が高まる中、1886年(明治19)、清の北洋艦隊の最新鋭艦「定遠」と「鎮遠」が長崎に来航した。

「定遠」と同型艦「鎮遠」はともに当時、世界最大級の30.5cm砲を4門そなえ、装甲の分厚い東洋一の堅艦であり、日本海軍にとって化け物のような巨大戦艦であった。当時、日清間の戦争は海軍力で優位にある清が日本に侵攻すると想定されていた。

なぜ長崎に来たか。支那にはこの巨艦をメンテナンスするドックがなかったからで、仮想敵の日本のドック(長崎は治外法権だったから半分は外国のようなものだったが)を使うというのは、まあ間抜けと言えば間抜けではある。

この来航時に許可なく上陸した清軍兵士による集団暴行事件(長崎事件)は双方で100人以上が死傷し、一触即発で戦闘になる可能性もあった。この騒動で日本の反清感情は一気に高まり、1894年(明治27)7月から1895年(明治28)3月にかけての日清戦争(甲午戦争)につながっていく。

遠交近攻で日本も支那も大昔から嫌いあって、それは今でも変わらない。何清漣は「戦争は政治の継続 日清戦争120周年」と題してこう語っている。

・・・

東海防空識別区と南シナ海漁業の新ルール発表で中国と周辺隣国の元々穏やかでない関係はさらに緊張を増し、日清戦争の年である「甲午」の年には中日間で戦争が起きる、という説が唱えられ流行し始めました。中国では各種の日清戦争の総括はとっくに歴史の教訓という域を通り過ぎて、すでに「中日もし戦わば」という実力評価や戦術、戦略論が「世論戦」の重要な部分に なっています。

中日両国の運命はあの戦争で変わりました。日本は勝利し軍国主義の道への歩みを加速し世界の列強の地位に上り、一方、清朝朝廷の失敗は洋務運動(近代化)の上に悪名を着せ破産させ、革命的な気分が広がり、中国近現代化の道はさらに困難に満ちたものになりました。

1980年代以前まで、何冊かの有名な中国近代史はすべて日清戦争の敗戦の結論をこう総括しています。

「北洋水師(海軍)軍艦の装備、軍隊の訓練が日本より遅れ、戦力に大差があった」
「清朝朝廷は遅れて腐敗し、財政も弱っており、洋務派は腐敗の極みで汚職がはびこっていた」
「西太后は海軍軍事費を頤和園の修理費に使った」
「これらの原因が軍備の弱体化を招き戦争時に砲弾に砂が入っていた」
「英米ロシア等の帝国主義は傍観を決め込み、調停にたとうとせず、戦争
の勃発を座視した」等です。

1990年代後半からこの戦争の新しい解釈がネットを通じて日々広がりました。当時の北洋水師の規模は世界第8位であり、アジアのナンバーワンだった。日清戦争時の中国海軍は完全に徹底的に日本の海軍をやっつける力があった。また、海軍は朝鮮で日本軍を殲滅できたチャンスがあったのに安易に放棄した。さらに、清朝は世界のGDP総額の3分の1を占めていたのに遥かに遅れた日本に敗れた、などなど・・・

こうした考え方は当然、ここ数年のGDPが総合国力を代表するというデタラメな見方が広がったことによるものです。

中日関係の緊張が高まるにつれて2013年には中国の日清戦争についての論議はさらに現実的色彩を帯びてきました。戦術方面からの総括では、威海軍分区指令が数日前にこう言いました。

「日清戦争の北洋艦隊の陣形は間違っていた。丁汝昌(北洋海軍指揮官、自殺)は横陣形で迎撃し、艦隊の動きと火力運用の連結を深刻に阻害し、艦船は混乱し、指揮を誤った」

中新ネットは「米国雑誌が中国海軍の実力は既に世界第2位」、環球ネットは「日清戦争は、中国海軍の積極進攻意識が必要との啓示」と伝えました。

120年の時を隔てた甲午の年、中日両国が直面する形勢は大逆転しています。

1)中国は海外の資源を求める圧力が高まる

120年前、中国は国土広大で資源は豊富だったと思われていました。一方日本は国土が狭く、資源が乏しく、外部に資源を求める必要がありました。これが日本軍国主義の勃興した主要な原因です。

しかし、現段階では中国はすでに資源を外国に高度に頼る国になっており、アフリカ等の資源投資は“新植民地主義”の非難を浴びています。人口の拡大と資源の国外依存の二重の圧力で中国が周辺隣国と争いのある島々に向くのは必然なのです。

南シナ海の漁業で新たに宣言した「支配下にある面積」にはベトナムやフィリピンなどの国家が主権を主張し、なかには軍隊が駐在している島まであります。これらの島の海域は国際的な交通も盛んな航路で漁業資源や石油、天然ガスも豊富な地域です。

2)日本という歴史的宿敵と開戦すれば容易に国内動員が完成

専制政治の成立つ上での基本は常に敵を作り出すことです。情況によって敵は内部だったり外敵だったりします。毛時代には国際社会から孤立し、資本主義とソ連修正主義が敵でした。しかし中国は開戦する力がなかったので、重点を国内の“階級敵”と党内の“反党集団”におきました。

現段階で中共は大規模な「内側の敵」を作り出せませんから、日本を疑似戦争の相手と見なします。両国の歴史的な怨讐が重宝で、容易に国内を動員することができますし、国内人民の視線をそちらに向けて政治的なプレッシャーをかわすのに有効です。

しかし日本は第二次世界大戦後に壊滅状態になった痛みから日本の民間世論は極端に厭戦的で、現在の情況下では日本政府が「平和憲法」を破棄する可能性はほとんどありません。軍事力増強の税金を投入しようとすれば強烈な反対にであいます。中日両国の戦争動員上の差では、世論動員戦からみると中国があきらかに有利な立場にあります。

3)中国は完全に主導権を握っている

120年前の日清戦争と完全に違うのは、現在中国は完全に主導権を握っており、日本は受け身の立場だということです。第二次世界大戦のあと、平和主義による「日本国憲法」の第二章の主要な内容は戦争の放棄、武力の不所持、宣戦布告の権利を持たないことです。

これに対して、中国は軍隊の建設、軍事費の投入、宣戦布告もふくめすべて完全な主導権をもっています。中国の軍隊の戦力がどうかは実際に戦争になってみないとわかりませんが、しかし長年の軍事費増強は相当なものですし、装備の現代化は既に完成しています。日本は自衛隊を有するだけで、その戦力がどの程度かは米国と日本だけがわかっているでしょう。

中国が中日戦争の戦争シミュレーションで唯一不確定なのは米国の態度です。もし尖閣諸島奪回が最終目的の戦争なら、米国は参戦しないでしょう。一つの島のために米国の青年達を戦場に送るのには米国人は反対するでしょうし、既に山のような財政赤字の上にさらに重い軍事費支出にも反対するでしょう。

問題は尖閣諸島が中国に帰属するようになった後、中日間で平和が維持できるかということです。もし戦争がエスカレートするなら米国も部外者でいられるかどうか予測は難しいものがあります。

4)戦争の規模と枠組みを誰がコントロールできるか

現段階の中日衝突で中国が優位だとしても、北京はもう一度、有名なクラウゼビッツの名言である「戦争は政治の延長である」を思い出した方がいいでしょう。クラウゼビッツは戦争の複雑な本性の中に、政治と社会動向と国家政策が重要な要素として含まれることに気がつき、国内政治がどうにも解決できない壁にあたったとき、対外的な軍事行動を自国政治問題の解決道具とすることを指しています。

北京が「日本の侵略の恥をそそぐ」として開戦におよんだとき、北京は国内問題解決の有効な道具にできるでしょうか? 対外戦争は強国が外に向かって国力を示威する過程であるとともに、一国の病根がいかに深いかという弱点を暴露する過程であることをみなければなりません。

中国政治の腐敗は重篤です。官民の矛盾は先鋭化し、社会分配は深刻な不公平で、 失業人口は厖大であり、深刻な環境汚染など複雑な問題をかかえています。一度の小規模な戦争ならあるいは大変なことにはならないかもしれませんが、しかし戦争がエスカレートしたらなんともいえません。

ましてや「歴史的な怨みを晴らす」と言ってみたところで、中国が資源への権利を拡張したいという口実だというのは誰の目にも明らかです。

アジアの人口は42億を超え、世界人口の6割がこの土地の上にひしめきあっています。アジアの国家はどの国もみな人口と資源の緊張関係の圧力下にあります。一国が余分に資源を得るならその分、別の国は失うわけです。この種の資源戦争がいったん始まればアジアの平和の枠組みは維持できません。

古い枠組みを壊すのは簡単ですが新しい枠組みを作るのは難しいことです。中国は欧州が衰え、米国の国力が疲弊した隙に、これまで米国が努力して維持してきた世界の構造を書き改めることはあるいは不可能ではないでしょう。しかしそのあとにやってくる新たな枠組みはおそらく現在のものより相当ひどいものになることでしょう。(以上)

・・・

中共は戦争をしたくてたまらないから今年も盛んに挑発するだろう。米国オバマ政権は参戦するはずもない。日本人は命を懸ける覚悟が必要だ。ヂイヂの出番があるかどうかは分からないが「靖国で会おう!」(おわり)
(2014/2/6)


2014年02月11日

◆防衛体勢と地球儀外交は日中対話の核

宝珠山  昇


「頂門の一針」3211号 2014年2月8日(土)反響(3)で(品川 阿生居士)氏は「ついでに日中首脳会談をソチでやったらどうだ。勿体ない。」とし、他にも、安倍政権に中国などへ譲歩して対話することを求めるものが、安倍首相の靖国参拝以降、特に目に付きます。いずれも理解に苦しむものです。

遡れば、中国の内政に配慮した中曽根首相の靖国参拝取りやめも韓国向けの河野談話も、時の首脳が安易に会談などし、相手の甘言に乗せられて日本国としては誤った「政治的決断」を行ない、今日に至る攻撃材料を相手に与え、禍を招いているのではありませんか。

前政権の初期に、大挙して北京に使節を送って、日本が得たものはなんでしたか。天皇謁見、自虐史観などの強要、反日教育の推進、領土・領海・領空侵略、靖国参拝批判、日本企業略奪、日米離間、など反日・敵対行動、無法無体な言動ばかりではありませんか。

これらに日本が譲歩する余地は全くないでしょう。これらの言動には、日米同盟を強固にすることを基本として防衛体勢を充実するとともに、国際法を無視した中国の言動を諸国に周知させる外交・言論活動を徹底することだと考えます。

古来、聖徳太子も中大兄王子も鎌倉時代、明治時代などの指導者も、隣の大国とは、その「冊封国」とか「属国」とならないように、最高の慎重さを以って対応してきたでしょう。その例外は前政権だけであったと思います。

いま安倍政権は、日本の古来からの王道にしたがって、巨大化・無法化した中国に対応しようとしていると理解しています。国家安全保障会議の創設、特定秘密保護法の制定、集団的自衛権を含む自衛権行使態勢の充実、歴史教育の見直し、日米同盟態勢の強化、地球儀外交の展開、などなどがそれです。

これらは、会談すれば、中・韓の非行に触れる覚悟を明確に示しているものの一つでしょう。だから、非行の数々を繰り返している中・韓の首脳は、安倍首相と会談することを嫌がっているのではないでしょうか。会談してこれらの非行が国際社会や国内に広がることには耐えられない、それらを最も恐れているからでしょう。

即ち、安倍政権は、会って話す対話ではなく、実のある日中、日韓との対話を行ない続けていると理解しています。 (2014年2月10日)