平井 修一
中共の民主化運動家や論客は迫害を恐れて自発的に出国、あるいは強制的に国外追放されているが、避難先は米国が多いようだ。中でも在米の何清漣(かせいれん)女史は有名人の一人で、活発に情報発信しているが、中共ではネットが遮断されているからその声が届いているかどうかは分からない。蛇の道は蛇で、抜け穴があるのかもしれないが。
何清漣氏(54)は中国湖南省生まれ、ニューヨーク在住、経済学者・ジャーナリスト。大紀元によれば「混迷を深める現代中国の動向を語るうえで欠かすことのできないキーパーソンのひとり」。中国では大学教師や、深セン市共産党委員会の幹部、メディア記者などを務めていた。
<中国当局の問題点を鋭く指摘する言論を貫き、知識人層から圧倒的な支持を得たが、常に諜報機関による常時の監視、尾行、家宅侵入などを受けていた。
1998年に出版した著書『現代化的陥穽』は、政治経済学の視点から中国社会の構造的病弊と腐敗の根源を探る一冊(邦題は『中国現代化の落とし穴』)。学術書であるが中国でベストセラーとなり「読者賞」を受賞している。しかし2000年には発禁となり、女史は2001年に中国を脱出して米国に渡った>(大紀元)
この本を読んだ方の感想文。
<序章と一章を読んでみた。頭がくらくらしてくる。これでもかこれでもかとばかりに、中国の無茶ぶりが出てくる。カタルシスの対岸だ。これが中国の現状だ。果てしがないばかりの混沌ぶりだ。どのように軟着陸するか。あるいは事変が起きるか。長い帝国の歴史を背負っているので離陸が難しい。毛沢東は帝国に揺さぶりをかけたのだが、結局は帝王の如き者になってしまった。
今や中国は、世界の関心の的だ。独裁者は毛沢東で終ったので、なんとかトウ小平の歩みに従っているが。トウ小平も影の独裁者ではあったが、見え見えの毛沢東の道は拒否した。
我々素人が読むにはむずかしい。中国そのものがよく判らないので、さらにむずかしい。基本を講義でもしてくれたらありがたいのだが。コピーする。
≪(中国のことわざに「瓜を植えれば瓜がなる、豆を植えれば豆がなる」とあるが)歴史には「瓜を植えて豆がなる」ような例が少なくない。半世紀前、毛沢東が指導した革命はブルジョアジーと地主階級の消滅を手段とし、みながともに豊かになることを目標としたが、最終的には思惑に反し、豊かになることも社会の安定も得られなかった。
まさにそれと同じように、国有企業の経営メカニズムの変革を目標とした株式制改造運動も「事、志に反する」結果に終わった。権力が好き勝手に市場に割り込んで分配に関与し、客観的には権力層の人物が短期間に巨万の富を蓄える絶好の機会を提供したにすぎず、その上国有資産の流出を加速させてしまったのである≫>
今、習近平・中共は「反腐敗」運動と並行して猛烈な勢いで右派、即ち「自由主義知識分子」狩りを進めている。朱建栄のように「中国は軍事大国ではない」「天安門事件は解放軍の出動途中に起こった発砲事件に過ぎず虐殺はなかった」「中国は変化しており報道規制もなくなりつつある」と言う中共の代弁者まで拘束するほどだ。
右派はいまだに中共に対して「時勢を知って、大局的観点から政治制度改革をし民主憲政を実行してほしい」と岩波的なお花畑幻想で期待を寄せているが、「幻想を抱くな」と何清漣は言う。
<民主憲政など実行したら現在の利益構造、権力のバランス機構を揺るがし、中共の一党専政を終焉させてしまいます。もし本当にそんな日が来たら、いまの権力集団が開放改革以来おおいに楽しんで来た素敵な日々は終わってしまうわけで、これこそ中共執政集団がなにより目の敵にしていることです。
改革以来、左派(毛沢東盲従者)たちが一番反対したのは自国資本、外国資本、米国勢力で、腐敗も貧富の差も全部一切合切これらの資本勢力のせいにして、自国の執政集団の責任を問うたことは一度もなかったのです。江沢民後期から胡錦涛執政の10年の間、左派を放置し、右派を掃討したのはまさに中共当局の核心利益を守る賢明な一手だったわけです>
国際調査報道ジャーナリスト同盟(ICIJ)が1月21日に公表した秘密文書によると、中国の高層リーダーの近親者がカリブ海タックスヘブンにこっそりと持っているオフショア会社が、中国共産党エリートたちによる海外での巨額の秘密蓄財を手助けしていることが明らかになった。
これらの文書には習近平主席の義兄が海外でパートナーと設立した不動産会社の登記資料、及び温家宝前総理の息子や娘婿が登記した英領バージン諸島の会社が含まれている。2万2千人近い中国・香港の投資家がオフショア金融センターに会社登記を行なっており、そのうち少くとも15人の富豪、全国人民代表大会代表、汚職疑惑にある国有企業トップとして有名な人たちが含まれているという。
何清漣は「このレポートは中国大陸では封殺されましたが、その意義は重大です。世界に中共政治集団が盗賊型集団であるという正体を明らかにし、中共政治集団の合法性はおおきく傷ついたのです。世界中が習近平の『反腐敗』にかける“誠意”のありようがわかるというものです」と皮肉っている。(つづく)(2014/2/5)