2014年01月10日

◆時間切れ…自・民、舛添氏支援に動く

岡田 浩明


東京都知事選への出馬を表明した舛添要一元厚生労働相に対し、与野党の支援に向けた動きが一気に広がった。他に有力候補が見当たらない上、自民党では菅義偉(すが・よしひで)官房長官ら現政権幹部への太い人脈もあって党内にくすぶる異論はかき消されつつある。菅直人政権時代に入閣が取り沙汰された民主党ともパイプがあり、政界での独特の立ち位置が支援の流れを後押しする格好となっている。

自民党で舛添氏支援の流れを作ろうとしているのは、首相官邸や、石破茂幹事長ら現執行部が中心だ。

「厚労相として福祉を中心に活躍された。厚生労働行政に大きな貢献をされた方だ」。菅氏は8日の記者会見で舛添氏の行政手腕を評価してみせた。

菅氏は舛添氏が自民党を飛び出す以前から関係が深く、昨年7月の参院選では菅氏の地元の神奈川選挙区(改選数4)で、舛添氏擁立を水面下で模索した経緯がある。2020年東京五輪を見据えれば、都知事と官邸との強固な関係が不可欠。舛添氏が、連立を組む公明党と良好なことも支援に傾く理由だ。

一方、舛添氏は自民党の野党時代に離党届を提出し、除名処分となっただけに、8日の都選出国会議員団会議でも「舛添氏を支援するなら、けじめをつけさせるべきだ」と注文がついた。

当時、党総裁だった谷垣禎一法相や舛添氏が属した参院自民党には舛添氏に対する反発が根強い。舛添氏の離党時に幹事長だった大島理森氏は都連幹部に「まさか舛添氏を支援することはないよな」と不快感を示した。

ただ、党の独自調査で舛添氏は常に上位につけており、選対幹部は「時間切れだ。舛添氏しかいない」と漏らす。

時間切れで、追い詰められているのは民主党も同じだ。民主党都連会長の松原仁国対委員長は8日、「舛添氏は支援にふさわしい。選考基準をクリアしている。これから接触したい」と舛添氏支援を公言した。

党執行部は当初、細川護煕元首相やジャーナリストの鳥越俊太郎氏らに打診したが不調。このため、24年の前回都知事選で中山義活前都連会長らが舛添氏に出馬を要請した経緯から、再び舛添氏支援を持ち出した格好だ。

「与党の先手を打って舛添氏を『勝手連』で応援すると表明すれば、相乗り批判をかわせる」
ある都連幹部はこう強がってみせる。
(産経ニュース2014.1.9 (村上智博と共同執筆)

2014年01月09日

◆慰安婦問題、政府報告にも韓国介入

阿比留 瑠比

 
慰安婦募集の強制性を認めた平成5年の「河野洋平官房長官談話」が韓国側の修正要求に沿った「日韓合作」だった問題で、河野談話と同時発表された政府の慰安婦に関する調査結果報告(公式事実認定)も、韓国側の修正要求を大幅に取り入れていたことが7日、分かった。

政治性を排除すべき事実認定にまで韓国側の介入を許していたことで、政府の慰安婦問題に対する認識・見解の正当性・信憑(しんぴょう)性は事実上、失われた。

当時の政府関係者らが詳細に証言した。韓国側からの調査結果報告への修正要求は、河野談話発表4日前の7月31日に届いた。

調査結果報告は(1)慰安所設置の経緯(2)慰安所が設置された時期(3)慰安所が存在していた地域(4)慰安所の総数(5)慰安婦の出身地(6)慰安所の経営および管理(7)慰安婦の募集(8)慰安婦の輸送等−の8点について、政府の事実認定を記述している。

証言によると、韓国側は(1)と(7)に対して、河野談話への修正要求と同じく「軍当局の意向」を強制性が明らかな「指示」と改めるよう求め、協議の末に「要請」で決着した。

韓国側は、(4)に関しては日本側の原案に「慰安所が存在しなかった地域も存在し、また兵隊に対する慰安婦の割合も地域ごとにさまざまで、書物などの試算が当時の実態と合致していたか否かは全く不明」とある部分の全面削除を要求。

その上で韓国側は「長期に、また、広範な地域にわたって慰安所が設置されていたことから、相当の数の慰安婦が存在したと推定される」との代替案を示し、これがほぼ日本の事実認定として採用された。

韓国側は(6)の部分では、原案の「(慰安婦は)自由な境地とはほど遠いところにあった」という記述について、「自由もない、痛ましい生活を強いられた」と書き換えるよう求め、日本側はそのまま受け入れた。

一方で、(7)の原案の「業者らが或(ある)いは甘言を弄し、或いは畏怖させる等の形で本人たちの意向に反して集めるケースも数多く」の部分では、韓国側は「業者ら」を「官憲または業者ら」にすることなどを求めたが、日本側は拒否した。

                ◇

慰安婦に関する調査結果報告 政府による慰安婦関係資料の調査は平成3年12月に始まり、4年7月に政府の関与を認める第1次調査結果が公表された。ところがその後も韓国側からも「強制性の認定」が強く求められたため、5年8月4日、河野談話と合わせて強制性を認める第2次調査結果が発表された。産経ニュース2014.1.8

韓国介入の「慰安婦」政府報告、逆効果だった大幅譲歩 日本たたきの根拠に「河野談話や村山談話は日本の公式な立場と信じてきたが、最近、日本側から否定する言動が出ている」

韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は6日の年頭記者会見で、河野談話に言及してこう述べた。河野談話本体も、その認識の背景となった日本政府の慰安婦に関する調査結果報告も半ば「韓国製」だったのだから、韓国が厳守を求めるのも当然だろう。

振り返れば平成5年8月4日、証拠資料も日本側の証言者もないまま河野談話と調査結果報告を発表した河野洋平官房長官(当時)は、記者会見でこう語っていた。

 「調査した結果を淡々とまとめた」

実態は、淡々とまとめたどころか逐一、韓国側におうかがいを立てて合作した「政治文書」にすぎなかったことが今回、産経新聞の取材で改めて明確化した。

この記者会見で河野氏は、談話と調査結果報告に対する韓国など関係各国の反応についてこんな自信も示していた。

 「誠心誠意の努力が理解いただけると思う」

一番激しく対日非難を繰り広げていた韓国の意向・要求を大幅に取り入れてまとめたのだから、「これで問題は一件落着だ」と河野氏ら当時の政府高官は安心していたのかもしれない。

だが、その後の展開は彼らの甘い予想を裏切った。韓国側は河野談話や調査結果報告作成に大きく介入しておきながら、その後は談話の趣旨を拡大解釈して利用し、世界で日本たたきの材料としている。

それも韓国のメディアや反日市民団体だけではない。談話作成時の韓国側の関与について事実関係を知りうる立場の朴大統領自身が率先し、各国で、この問題を提起して日本批判を続けているのである。

国民に実態を知らさず、国民不在のまま政治的につくられた河野談話から読み取れる教訓は何か。政治家や官僚の独り善がりの韓国への譲歩や配慮は逆効果を生むばかりだということではないか。    
      産經ニュース2014.1.8

◆中国領事館放火犯は中国人

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
 

平成26(2014)年1月8日(水曜日) 通巻第4110号 

「放火せよと天の声がした」。中国領事館放火犯は中国人だった在米華人に衝撃、「なぜ日本領事館に放火しなかったのだ?」

事件は1月1日に起きた。

サンフランシスコの中国領事館に緑のミニバンで乗り付けた男は領事館の入り口に放火し、逃走した。

獅子を飾った領事館の装飾が焼けこげ入り口のロビィは黒こげとなった。外国施設の警備は米国にあるため、中国が行ったことはまず修繕工事の費用は米国が負担せよ、という要求だった(反日暴動の北京大使館、上海領事館の被害を中国は補填したのか?)

1月3日、「犯人」が自首する。

サンフランシスコ(日本語は「桑港」、中国語は「金山」と書く)のFBI支部の捜査担当官が7日に記者会見した。

FBIは、「この男は米国永住権をもつ中国人で憑岩(音訳、ヤンフェン)。39歳。『天の声』が聞こえて放火した」と自供した。

米国の法律では、この種の犯罪は最大量刑13年という。

米国務省スポークスマンは「領事館の内部のことは米国に弁済責任はない」としてきたが『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』(8日付け)は、「米国は支払いを約し、工事が始まった」と伝えた。

『ウォールストリート・ジャーナル』は1月7日付けで、「放火犯が中国人だったことに在米華人には衝撃が走り、『なぜ日本領事館に放火しなかったのか?』とネット上の投書もある」と報じた。

         

2014年01月08日

◆朴大統領会見の「日本外し」

加藤 達也


韓国の朴槿恵大統領が6日、国内では初の記者会見に臨んだ。朴氏はまもなく就任から1年。最近では、会見しない大統領を保守系メディアも一斉に疑問視しており、「国民との意思疎通を拒む姿勢」を韓国語で「不通(プルトン)大統領」と批判されてもいた。

そんな中で開かれた会見は、外国メディアにとっても懸案について直接尋ね、肉声で答えを聞く絶好のチャンスだったが、残念な結果に終わった。青瓦台(大統領府)が、会見前に外国メディアの質問を中国と英国の2社に限定。日本メディアには質問の有無の確認すらなく、完全に蚊帳の外に置かれた。

いまの日韓関係からすれば、会見での日本批判は不可避。日本メディアの質問に答えて批判すれば角が立ち、ますます印象が悪くなる。大統領はこれを避けたかったという“善意”の解釈も可能だ。

だが、会見後、外国人記者席に歩み寄った大統領に邦人記者が、それを問いかけてみると、キョトンとした表情をしていた。一方で、周囲の青瓦台関係者には困惑が広がっていた。

“日本外し”は、大統領の指示ではなく周囲の深謀遠慮…。直感的にそう感じた。だとすれば、韓国の大統領は周辺の高官に外部との接触を謝絶された、なんとも孤独な存在である。

産経ニュース[外信コラム]2014.1.7

◆対立する日中首脳に多い類似点

古澤 襄


<【北京 1月6日 AFP】中国の習近平(Xi Jinping)国家主席(60)と日本の安倍晋三(Shinzo Abe)首相(59)は、深まりつつある外交面の対立で身動きが取れない状態だ。ただ、アナリストらは拡大する対立関係とは対照的に、両首脳には驚くべき類似点があると指摘している。

片や民主主義国家、片や一党独裁国家と、全く異なる政治体制を通じて現れた両首脳だが、いずれもエリート政治家の2世である上、個人的または政治的に厳しい逆風にさらされた経験を持ち、夢想的で愛国的な未来のビジョンを掲げている。

視野の類似点は、国家主義色を帯びた経済政策の根底にある。中国は世界2位、日本は3位の経済大国だが、両首脳は各自の国の経済活性化を図っている。

香港中文大学(Chinese University of Hong Kong)の政治学の専門家、ウィリー・ラム(Willy Lam)氏は、「こうした人物像や似たような経歴は重要だ思う。なぜなら習主席と安倍首相の双方にとって、国家主義は自身の地歩固めに利用できる有効な力であり続けているためだ」と語った。

安倍首相が昨年12月26日、これまでも物議をかもしてきた靖国神社(Yasukuni Shrine)に参拝したことは、日中関係の最新の火種になっている。

これに先立ち中国政府は、両国が領有権を主張し、日本が国有化した尖閣諸島(Senkaku Islands、中国名:釣魚島、Diaoyu Islands)を含む東シナ海(East China Sea)の空域に防空識別圏(ADIZ)を設定した。

第2次安倍内閣の発足と、習氏が中国共産党中央委員会総書記に選出され新体制が発足したのはいずれも2012年。

習主席は「中国の夢」と「中国国家の偉大な復興」を推し進め、軍事力の強化、時代遅れの経済成長モデルの見直し、共産党内部の汚職取り締まりを遂行する意向を明言している。

一方の安倍首相は「日本を、取り戻す。」のスローガンの下、いわゆる「失われた20年」後も長期低迷が続く景気のてこ入れや、戦争放棄などを定めた憲法の改正、日本の過去についてより肯定的見方を取る方針を掲げ、選挙で支持を集めた。

習主席は革命の英雄として活躍した共産党幹部の子息だが、文化大革命当時の政治や経済、社会の混乱の中で育ち、父親の拘束や自身も「下放」を経験した。

こうした複雑な過去を持つものの、中華人民共和国の建国者であり、国を苦難に陥れた毛沢東(Mao Zedong)初代国家主席の生誕から120年にあたる昨年12月26日には、毛沢東の記念堂を訪れて敬意を表した。安倍首相の靖国参拝と同日だ。

安倍首相も政界の名門の出身で、父親は外相などを歴任した。

■「過去の幻影」追っている?

世界有数の軍事力を有する中国。習主席は、同国初の空母を視察、国防費の2桁増を監督してきた。一方、安倍首相は約10年ぶりの防衛費増額に積極的な姿勢を示し、ヘルメットを着用して自衛隊の戦車や訓練機に乗り込むなどのパフォーマンスを行った。

日本経済新聞の飯野克彦論説委員は、習主席の毛沢東の記念堂訪問と安倍首相の靖国神社参拝は、いずれも自国の過去に正しく向き合っていないとの批判を浴びた点でよく似ていたと指摘。両首脳が過去を問いただす意見を無視し、自らの歴史認識を声高に主張した、と述べた。

また、飯野氏は安倍首相と習主席が掲げたスローガンに言及し、「自分の手で未来を構想するのでなく、過去の幻影を追いかけているのでは、といぶかりたくなる」と付け加えた。

これまでのところ両首脳が接触したのは、昨年9月にロシアで開催された主要20か国・地域(G20)首脳会議と、10月にインドネシアで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議のみ。中国は、安倍首相の靖国参拝で対話の扉は閉ざされたと主張している。

ただアナリストらは、両首脳がいずれも経済活性化を模索しており、これが対立の行き過ぎを未然に防ぐ可能性があると見ている。香港中文大学のラム氏は、12年に日本が尖閣諸島を国有化した後とは異なり、これまでのことろ安倍首相の靖国参拝が、中国国内で日本の権益を攻撃する動きにつながっていない点を指摘。「経済面のつながりは(関係)悪化の中で非常に強力な抑制要因になっている」と付け加えた。

香港科技大学(Hong Kong University of Science and Technology)のデビッド・ツバイク(David Zweig)教授によると、安倍首相と習主席は同じように難題に直面している。「中国は力の点で日の出の勢いだが、倫理の点では衰えつつある。だからこそ習主席は、新たな倫理、つまり毛沢東や汚職対策、偉大さに対する夢想、統合に関する倫理を押し付けようとしている」

「安倍首相が22年間続く経済低迷の収束を図っているのは明らかだ。おそらく安倍首相は、国家主義の推進や過去の再解釈、日本人としての自己肯定の強化、防衛力増強、国際問題をめぐる受動的姿勢の転換が、その方法だと考えているのだろう」

ツバイク教授は「日本で断固とした指導者が影響力を持ち得るのは疑いない。中国ではそうだと思う」と語った。「従って両首脳の各自の経歴は、重要な影響を及ぼすはずだ」
(AFP)>
2014.01.07 Tuesday name : kajikablog

◆初夢を正夢にしたい!

浅野 勝人


見渡せば 鷹ばかり住む 寒い朝
これは、1年前の元旦、安保研掲示板に掲載した私の句です。

真意は、長期安定政権を期待する立場から、世論が右一色と錯覚して右傾化を一層鮮明にする政治姿勢に偏ると、次の国政選挙で思いもかけないしっぺ返しにあう懸念を予測した句でした。

そして、「右派ぶりを示しても目立たないほどの政治環境の中で、右傾化促進リーダーを演じるのは愚かな選択です。国益を害する情緒的なナショナリズムへの傾斜を戒める政治家が、アジアの真のリーダーだからです」と指摘しました。

1年間の安倍政権の経緯を皆さんはどんな思いで眺めながら新年を迎えたのでしょうか。

安倍復活を殊のほか喜んだ60代後半の知識人が、ごく最近、増税路線、民主的プロセスの軽視、中韓はおろか米・ロ・EUの眉を顰めさせる外交姿勢を案じて「大丈夫だろうか」と問いかけてまいりました。

不安の真意は、内政のハンドルは自由に切り替えられるが、中韓両国の反日政策をテコに支持率を上昇させようという思惑が、勢い近隣外交を硬直化させる。それに伴い、戦後一貫して築いてきた平和国としての実績に対する世界の認識が損なわれることになりはしないかという点にありました。

外務省が、去年(2013年)7月、8月にアメリカの18才以上の一般人1000人と政官界、学術、マスコミなどの有識者201人を対象に行った世論調査によりますと、

「アジア地域における最も重要なパートナーはどの国と思うか」の問いに、
▼ 一般人 日本35%、中国39%  ▼ 有識者 日本39%、中国43% でした。

これを2000年、その中間の2007年と比較してみます。
逆にさかのぼると、まず2007年。▼ 一般人 日本48%、中国34%  ▼ 有識者 日本53%、中国38%。  

次に2000年は、▼ 一般人 日本53%、中国22%  ▼ 有識者 日本72%、中国20%でした。

この13年間に、有識者に限ってみると、日本は72から39に半減。中国は20から43に倍増しています。これは、日本が没落したのではなくて、かつては、アメリカにとってアジアの重要なパートナーは日本だけでしたが、今では、日中2か国になっていると理解すべきでしょう。

ここから明らかに導かれるのは、日本が中国を敵視したら、アメリカが困惑するだけだという答えです。

同時に「逆もまた真なり」と中国に理解と求めたい。

安保研の星野元男理事からのniftyニュース速報によると、1月3日、中国外交部の報道局長や註フランス大使を務めた呉健民は、南方都市報のインタビューに応じて、

「中国はすでに世界舞台の中心に位置している。外界からの批判には正常心で接し、大国としての態度を示すべきだ」と述べて、「他人から見下されたくないという卑屈な精神から自己表現にこだわり、国内の問題には目をつぶり、外部の批判を正確に受け取ることができないのだ」と指摘したと伝えました。

この発言は、尖閣問題に関連して自らの見解を述べたものということですから、「他人」を「日本」と置き換えて読んで差支えないでしょう。

中国の党・政府首脳がこの種の指摘を謙虚に受け止め、一方、安倍晋三首相が君子豹変すれば、7年前の「破冰」(ポービン:氷を破った)の再現は困難ではないと私は確信します。
(元内閣官房副長官・安保政策研究会理事長)

2014年01月07日

◆公明切り自維み連立?

阿比留 瑠比


集団的自衛権で政界再編の予感 

年明け早々の2日、公明党の山口那津男代表が東京都内での街頭演説で、中国の故事を引用してこんなことを語っていた。

「快馬は鞭影(べんえい)を見るや正路につく」

山口氏は「高い能力の馬は鞭(むち)を打たなくても、鞭の影を見ただけで進むべき道を疾走する」との意味だと説明した。午年生まれで年男の安倍晋三首相の靖国神社参拝と、近隣国がそれを批判している現状を当てこすったのは明らかだ。

おとそ気分にひたる中で、一国の宰相を鞭打たれる馬に例えるとは、友党の代表としては礼を失した話だとあきれた。そしてそのまま酔いつぶれ、平成26年の政界の行方についてこんな他愛のない夢を見た。

突然の連立解消

灼熱(しゃくねつ)の夏到来を感じさせる7月、首相公邸で緊急の自公党首会談が開かれた。テーマは、安倍首相がついに政府解釈を見直し、行使容認に踏み切る決断をした集団的自衛権の取り扱いについてだった。

山口氏「まだ議論が足りず、時期尚早で受け入れられない。もっと近隣諸国に配慮した方がいい。どうしても見直しを強行するというなら、われわれは連立離脱を考えざるを得ません」

安倍首相「そうですか。それじゃあ、仕方ありませんね。私もいろいろ我慢してきましたから」

売り言葉に買い言葉だった。小渕恵三内閣の平成11年から、野党時代も含めて続いてきた自公関係のあっけない終焉(しゅうえん)の瞬間だった。

山口氏としては、政権の「ブレーキ役」として解釈見直しの先送りなどの譲歩引き出しを狙ったのが本音だった。だが、安倍首相の堪忍袋の緒はすでに切れかかっていたのだ。

綸言汗のごとし

安倍首相にしてみれば、自民党はこれまで十分に公明党へ配慮を重ねてきた。昨年中に一定の結論を得るはずだった集団的自衛権の問題にしても、公明党の意をくんでここまで引っ張った。消費税への軽減税率導入に関しても、公明党の意向に沿って「10%時」との表現を盛り込んだ。

そもそも集団的自衛権の政府解釈見直しは、第1次政権時代からの安倍首相の悲願であり、24年9月の自民党総裁選でも、同年12月の衆院選、25」年7月の参院選でも掲げ続けた公約だ。

膨張する中国や、混迷を深める北朝鮮などの国際情勢や、それに対応する戦略上の要請もある。公明党の支持母体である創価学会票は大切であっても、今さら旗を降ろせる話ではない。

そんなところに山口氏にいつもの「上から目線」で禁じ手の「連立離脱カード」を振りかざされ、安倍首相は「少数政党にもう振り回されたくない」と思わず舵を切ったのだ。

公明党票に依存していた自民党内も、実は「政府解釈見直しはいずれ認めざるを得ない」という声も少なくなかった公明党内も蜂の巣をつついたような騒ぎとなった。両党内からは、安倍首相と山口氏への恨み言があふれたが、綸言汗の如しであり後の祭りだった。

連立・連携志願

「山口氏の言葉は政治家としての『タメ』がなく、思ったことを何でもすぐに口に出しすぎる」

「連立与党にとどまってこそ、われわれは政策実現ができる」

党首会談後の公明党両院議員総会では、こんな山口氏への批判が相次いだ。

これに対し、山口氏は「平和の党であるわが党は湾岸戦争時もイラクへの自衛隊派遣時も、集団的自衛権に当たらないよう主張してきた。このまま受け入れては創価学会婦人部も納得しない」と訴え、連立離脱は渋々承認された。

公明党内では、なお自民党との閣外協力を模索し、いずれ連立に復帰すべきだとの意見が多数を占めていた。だが、他の野党も公明党の不在という千載一遇の好機を見逃さなかった。

まずはみんなの党の渡辺喜美代表が動きだした。渡辺氏は1月4日の段階で、集団的自衛権の見直しについて党内議論を進める考えをこう示していた。

「連立の組み替えが起きるかどうか分からないが、その時にみんなの党がこう考えるという答えを用意しておく必要がある」

渡辺氏はもともと、第1次安倍政権で行政改革担当相に抜擢(ばってき)されたことで、安倍首相に恩義を感じている。自民党を飛び出した後も連絡は欠かしておらず、早速協力を申し出た。

自維み連立へ

安倍首相自身も自公連立当時から、みんな、維新、民主各党の保守系議員とは折に触れて話をする機会を設けており、自身で連絡も取り合うことができたことも大きい。

夏場から初秋に向け、自民党と各党との連立・連携協議が進み、公明党は次第に話題に上らなくなった。

民主党からは一部議員が離党して新たな会派をつくり、安倍内閣に閣外協力を申し出た。そして秋の臨時国会を前に、安倍首相は内閣改造を断行した。

発表された閣僚名簿にはみんなの渡辺氏と維新の平沼氏の名前が記されていたが、公明党議員の名前はそこになかった。

            ◇

集団的自衛権をめぐる各党、各議員の姿勢は、今年の政局の行方、いや日本の将来のあり方を左右しかねない。そんな問題意識が、愚にもつかないこんな夢を見させたのだろうか…。
産経ニュース【阿比留瑠比の正夢?逆夢?】 2014.1.6

◆赤い記者が多い理由(下)

平井 修一


前回、元愛媛新聞記者の林定亨氏が同紙の左翼偏向の理由の1つに「労働組合が強すぎて紙面作りで振りまわされているんじゃないのか」という指摘があった。労働組合の左傾は珍しくないし、共同通信社の労組のそれがずいぶん大きいことは同社の管理職の友人から聞いている。

共同通信社労組は外部に情報を公開していないが、時事通信の「労働者委員会」のサイトによると、この組合も相当強そうだ。これは少数派で、多数派は時事通信労働組合である。少数精鋭なのか、かなり左傾している。こんな風だ。

<2013年12月2日 社の人事・賃金制度改悪案に反対する

時事通信労働者委員会は、時事通信社が提案してきた、2014年度から現行の賃金制度を廃止の上、(新制度)を導入するなどとする人事・賃金制度の大幅な改定案に反対することを決めた。不当労働行為としての賃金差別の事実を認め、謝罪した上で、即座に年齢別一律給に移行するよう求める。

経営陣が巨額赤字を垂れ流してきた自らの責任を棚に上げ、その責任を一部社員に押し付けようとする態度は厚顔無恥というほかない。社は14期連続で営業・経常赤字を続ける長期の経営不振を早期に回復させ、すべての従業員の賃金水準底上げを急ぐべきである。

大室真生常務・労務担当は団交で「約30年前の(時期に導入・実施した職能資格)制度は、社会も時事通信も変わり、変化に合わせた制度に変えていく必要がある。今は制度が硬直化した。発揮した力に応じてやった仕事の中身、役割の重さに応じた賃金体系に変えるべきだ」と説明した。

現行制度は、長沼節夫代表幹事をはじめ労働者委の組合員に対する差別の道具として悪用されてきたのが実態であり、長沼氏は、社内の賃金制度では定年退職まで最低ランクに据え置かれ、徹底的な差別を受けてきた

社は2012年度(2013年3月期)まで14期連続で巨額の営業、経常赤字を続ける中、自ら計画に掲げてきた2014年度(2015年3月期)の営業・経常損益の黒字化を断念すると表明した。巨額の赤字を垂れ流し、計画も達成できない経営陣が自らの責任を棚に上げ、社員の賃金格差を拡大させ、赤字経営により重い責任を負うべき幹部に一方的に甘い制度へと変更を図ることにはまったく正当性がない。もしこれが強行されれば、従業員の士気低
下につながることは必至である>

「長沼節夫代表幹事」とは何者か。時事通信労働者委員会機関紙「IMAGE」708号にこうあった。 

<時事通信労働者委員会の長沼節夫代表幹事が大忙しだ。

彼は勤務のほか自らに課している取材と執筆に加えて労働者委での活動、と普段でさえ多忙なのだが、この4月からは大妻女子大のほか神奈川大でもジャーナリズム論の講座を教えることになった。加えて、来る5月3日の憲法記念日には、兵庫県尼崎市で開かれる集会「憲法が生まれて55年/小尻記者(朝日新聞記者)が殺されて15年 /憲法と朝日新聞襲撃事件を考える尼崎市民の集い」にも招かれ、「記者生活30年の現場から」と題して
講演する。講演はまた5月31日に長野県飯田市で、さらに6月は国際協力事業団(JICA)で、と続く。

長年にわたる社の「隔離・封じ込め政策」によって虐待されてきた長沼代表幹事だが、逆境の中にあってもそれを跳ね返さんと闘いつつ、自分の頭で考える努力をやめず、自らの目と感覚を磨くとともに、質の高い記事を世に送り出してきた>

浅野健一という共同通信の元記者が容共左派的反日媒体「週刊金曜日」2001年5月11日号に「人権派記者受難の時代」と題して長沼について書いている。人権派がどういう意味かは知らないが、少なくとも長沼らの組合は労使協調ではなく対決路線だろう。

浅野は「産経新聞の社説やコラムに現れる極端な前近代的『思想』」とも書いているし、2010年8月21日に北朝鮮で開催された「日本の反人倫犯罪の被害者たちによる証言集会」に参加し、「過去の清算は日本がただちに実行すべき法的、倫理的義務」と述べたから、この人は反日親北左翼だろう。

マスコミを見わたせばアカばかりだ。マスコミ・出版の求人広告は朝日の月曜朝刊に集中している。このために記者や編集者になりたい若者は朝日を読むことが多くなり、ほとんどがアカに洗脳されるのではないか。その影響も大きいだろう。(おわり)(2014/1/3)

2014年01月06日

◆PM2・5より怖い「PM0・5」

河崎 真澄


【上海=河崎真澄】深刻化する中国の大気汚染問題で、復旦大学(上海)の研究グループは産経新聞の取材に対し、心臓など循環器系で疾患を引き起こす危険性のある微小粒子状物質として、「PM0・5」の存在を指摘し、中国当局に大気汚染の監視範囲を広げるよう求めていく意向を明らかにした。

注目されている「PM2・5」よりも粒子の直径が小さいため、肺の奥まで侵入して血液中に流れ込み、心臓や弁などに障害を与えることが懸念されるという。

大気汚染をめぐり、中国では急性気管支炎など呼吸器系の健康被害を訴える患者が急増。また、世界保健機関(WHO)の専門組織は昨年10月、「がんの原因になる」との初の研究結果を公表していた。

さらにPM0・5により循環器系の疾患リスクも高まることが確かめられれば、大気汚染の健康被害問題は一段と深刻さを増すことになる。

PM0・5の研究を進めているのは復旦大学の●(=もんがまえに敢)海東(かん・かいとう)教授(公共衛生学)らのグループ。中国の北部で昨年、大気汚染状況と住民の疾病発生状況との関連性を調べたところ、大気中に含まれる汚染物質の粒子が小さく、かつその濃度が高い地域ほど、循環器系疾患を抱える住民が多いとの結果を得たという。

人体には呼吸時に大気中に含まれる異物を除去する機能があるが、同グループによると、直径が7マイクロメートル(1マイクロメートルは1千分の1ミリ)のPM7・0より小さい微小粒子状物質は鼻腔をそのまま通過。同2・5マイクロメートルのPM2・5は気管に入り、急性気管支炎や喘息(ぜんそく)など呼吸器系の疾患を引き起こす。

これが同0・5マイクロメートルと超微粒のPM0・5は肺の内部の気管支も通り抜け、血液中の二酸化炭素を酸素に交換する肺胞にまで侵入。その後、血液に流入し心臓や弁などで疾病を引き起こす恐れがあるという。研究グループではPM0・5と健康被害の関連性を今後さらに詳しく調べる方針だ。

すでに観測が進んでいるPM2・5の場合、日本の環境基準では1日の平均濃度が1立方メートル当たり35マイクログラム以下。だが中国では、これをはるかに上回る同数百マイクログラムの深刻な大気汚染が各地で連日観測されている。

               ◇

【PM0・5とは】大気中に浮遊する直径0・5マイクロメートル(1マイクロメートルは1千分の1ミリ)前後の微小粒子状物質。自動車の排ガスや工場の煤煙(ばいえん)などが発生源とされる大気汚染の原因のひとつ。大きさは、注目されている同2・5マイクロメートルのPM2・5の5分の1で、花粉の60分の1。

復旦大学の研究グループによると、PM0・5は鼻腔や気管、肺の気管支を簡単にくぐり抜け、血液に含まれる二酸化炭素を酸素に交換する肺胞まで到達するという。既存のマスクや空気清浄機などでは十分に除去しきれない可能性がある。
産経ニュース2014.1.5     

 

◆赤い記者が多い理由(上)

平井 修一


愛媛大学主催の「市民のためのメディア・リテラシー公開講座」が開かれたのは8年前の2005年7月である。そこで元愛媛新聞記者の林定亨氏(週刊愛媛経済レポート論説主幹)がこう語っている。

<私は愛媛新聞に経済担当記者として勤務し、10年前に定年になった。ひょんなことで愛媛経済レポートで仕事をすることになり、今年の1月から「中学歴史教科書 愛媛では」という記事を連載している。

ここ数年、愛媛新聞あるいはそれ以外の新聞の記事を読んでいて、自分が歴史教科書問題について報道するのなら、どこに焦点を当て、どういう書き方をするか、などといつも考えていた。というのは、愛媛新聞を含めていくつかの新聞の記事に本当に納得がいかなかったからだ。これが私の実感だ。

私が見るところ、愛媛新聞がずっと左翼新聞であったというわけではない。が、ここ何年間か左傾化している。歴史観とか、あるいは教育のあり方、あるいは外交・防衛問題などで、全く意見が食い違う。顔を雑巾で逆なでされるような感じを持つことが私自身は多かった。

平成13年12月23日、北朝鮮の船が沈没した事件があった。その時は「北朝鮮の船」とは新聞は一切書かない。国籍不明の不審船だったわけだ。東シナ海奄美大島沖の「東シナ海不審船事件」が起きたというわけだ。「不審船船体射撃沈没」。これは一面のトップである。「北朝鮮だろう」とも書いているし、特に問題はなかった。

私が大変な問題だと思ったのは、「追跡劇最悪の結末」と書いていることだった。この新聞はどこの国の新聞かと思った。ひょっとしたら我が国にテロ行為をするかもしれない不審船のことである。逃げられたら最悪であっても、沈んだことは最悪ではない。北朝鮮にとっては逃げ帰れば最高であろうが、沈んだことは最悪ではない。捕獲されれば最悪で、このケースは最悪の次ぐらいだろう。

ということは、「この日の愛媛新聞社会面は国籍不明の新聞じゃないか。しいて言えば北朝鮮の新聞である。政府がやることは何がなんでも批判すればいいという見本みたいな紙面だと私は思った」と(編集局長に手紙を)書いた。

次に私は、信頼できる何人かにこの手紙を見せて状況を話した。すると愛媛新聞が「左翼偏向している」という批判的な意見を持っている人が、いるわ、いるわ、という感じだった。

偏向の理由は、1つ目は「組合が強すぎて紙面作りで振りまわされているんじゃないのか」「編集に経営者の方針が反映されていない」「編集権を含む経営権の放棄だ」。

2つ目は「会社全体が左傾化しているんじゃないか」。

3つ目は強烈である。「全共闘のメンバーがいるんじゃないのか」と言う。

どの意見も半分は当たっているが、半分は当たっていないような気がした。全共闘のメンバーがいるという証拠は私が在籍している頃はなかった。「そんな」と思った。大変強烈な見方だが、そういう疑いを持たれるということ自体大変な問題だと私は思ったわけだ。「いる」「いない」というよりも。

昭和47、8年で消えたはずの全共闘がなぜいるかという疑惑。これはマスコミでも霞が関のシンクタンクでも東大でも愛媛大学でも、どこでも似たようなことだ。

人文科学、社会科学の分野では親分子分の関係とまでは言わないが、たとえば愛媛新聞社でいえば徒弟教育である。マンツーマンの教育でやるわけだが、それ以外の知的集団でも似たようなことがあるかもしれない。

反国家ネットワークとかいうのが生まれてきているのじゃないか。いろんな問題を地球規模で解決するイデオロギーが現在は存在していない。学者が怠慢なのか、答案を書いていないのか、どうなのか。その中で反国家ネットワークというのは、霞が関、大学、マスコミに深く根を張っていると解釈してほぼ間違いがない。

たとえば2、3年前に、朝日新聞のOBとNHKの現職が手を組んだ「戦時性暴力の模擬裁判」で、昭和天皇に有罪だと判決を下したテレビ番組があった。

そんな馬鹿な、ということがあった。朝日とNHKが手を組んだ。北朝鮮のメンバーも入っていた。では、なぜだ。今、NHKと保守政治家との距離が問題にされているが、それも問題だろう、確かに。予算の決定権は自民党が握っているわけだから。

ただし、もっと問題なのは、そういうもう一皮めくったところの勢力が、NHKや朝日からも出てくる。どうしてもそういう状況になってしまう。そういう状況のほうが私は大変な問題だと思っている。

愛媛新聞の話に戻るが、愛媛新聞は左翼の地方紙のひとつだということで、大変に名を売っている。ある雑誌に北海道新聞と愛媛新聞が左翼新聞だと愛媛県のある先生が書いていたが、愛媛新聞について書かれた部分については全くそのとおりだと思う。

ただ、朝日新聞のようにずっと左翼新聞を作ってきたわけではない。平成のかなり経ってからの左翼路線というのが大変に珍しいわけで、私は正常な新聞に立ち返る可能性というのは大変に難しいけれども、ないことはないと思っている。

愛媛新聞はほとんどの部分で普通だと思うが、外交とか防衛とかあるいは人権とか差別とか教育とか、保守的とか進歩的とかいう立場の差によって表現の差、あるいは記事の方向の差がはっきり分かる問題になると、やはり左の方に向かう。

少し見方を変えよう。新聞記者にとって最も大事なのは、権力の監視であるとか批判であるとか、そういうことだ。やはりここでの権力批判とか、人権や平和や平等、あるいは庶民の味方とか弱者の味方とか、あるいは民主主義自体を守ろうとか、そういうことは新聞記者にとって錦の御旗である。誰も批判ができない。

しかしこれはどれひとつを取ってもイデオロギーなのだ。ほとんど異論のないイデオロギーだとみんな思っている。いや、むしろイデオロギーだと意識していない人のほうが多いのではないだろうか。

しかし、そういう人権や民主主義万能の考え方に基づく紙面作りが100%正しいかというと、そうではないケースがありうる。そこまで突っ込んだものを、やはり編集局の幹部以上は持っていないといけない。だけどそういう考え方を持つこ
とは大変難しい。

では、なぜ難しいか。

たとえば今年の歴史教科書採択の問題を取り上げてみよう。現象面としては一部の左翼が反対する。訴訟まで起こす。県庁や市役所にも押しかけるし、外国の勢力も引きずり込む。それは県庁(県教委)や市役所(市教委)が、採択権という公権力を持っているからだ。

そういう公権力を批判することが、新聞にとって一番正しい道と言えるかどうか。というのは、公権力というのは一般人と対立するものではなく、一般人を代表して行使されるものだからだ。

ただ、マスコミ内部で言えば、身近な公権力批判は安易な道であるのは間違いない。その道を進んでいれば社内論議を制することもでき、反対論を抑え込めるからだ。

だが今度の教科書問題というのは、県教委が採択権を行使して教科書選びをしたこと(すなわち県教委の権力)がポイントというより、中学生に歴史を教えるのはどんな歴史観の教科書がいいかという、これまでの戦後教育の是非を巡っての歴史観や教育観を評価することの戦いであると、私はそういうふうに位置付けるほうが正しいと思う。

県教委を支持する立場に立つとなると、権力に与することになり、大組織の中ではよほどの歴史観と世界観を持っていなければ、目の前の部分の表面的な社内論争には負ける。言い替えると、安易に権力機構と妥協するのではなく、毅然として新聞記者の大枠を守りながら、左翼的ではない立場の新聞を作るということは、今の日本では至難の業なのだ。

朝日のように、ボロが出てもボロが出ても左翼に固執する、私はその方がはるかに安易な道だと思う。

もうひとつ言い替えると、若い記者にも説得力のある歴史観とか世界観を提示すること、それとともに「単なる目の前の権力批判」ではない新聞の位置付けがどんなに難しいか。

経営層や中間管理職にとっては、社内世論に抵抗することになり、自らの足元を掬われかねない大冒険になる可能性があるわけだ。愛媛新聞が左傾化している現状には、そんな底流があると私は解釈している。

国内外のあらゆる紛争が増加していく情勢にある今、わずかの支持層を相手に自由、人権、平等、平和などを錦の御旗に、視野の狭い新聞作りをすることは、経営的に見るとますます許されない情勢となる。国内では行き過ぎた自由、教育の荒廃、少年の漂流、家族の分解など、左翼的な手法では解決できない――それどころか余計ひどくなる――問題がいくらでも押し寄せてくる。

周辺外国からは、最高の国土日本を目指して、領土的あるいは人口的な圧力が激しくなって来る一方である。そのような時代に愛媛新聞が左翼新聞を作るだけの浮世離れした商売ができるかどうか。変わらざるを得ないだろう。

愛媛新聞の紙面はすぐには良くはならないと思うが、是非早め早めに手を打って、うまく良い新聞を作ってほしいものだと思っている。(つづく)(2014/1/2)

2014年01月05日

◆露外相、北方領土交渉に黄信号

佐藤 優


ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相。中国の王毅外相との電話会談で、歴史問題での共闘で一致した=2013年11月27日、ロシア・首都モスクワ(ロイター)

北方領土交渉が黄信号に変わった。中国の対日包囲網にロシアのラブロフ外相が積極的に加わる姿勢を示したからだ。昨年12月30日、中国の王毅外相がロシアのラブロフ外相に電話をした。両外相は、12月26日の安倍晋三首相の靖国神社参拝を批判した上で、歴史問題で共闘する方針を表明した。(SANKEI EXPRESS)

<王氏はラブロフ氏との会談で「安倍(首相)の行為は、世界の全ての平和を愛する国家と人民の警戒心を高めた」と述べ、参拝を批判。その上で「(中ロ両国は)反ファシスト戦争の勝利国として共に国際正義と戦後の国際秩序を守るべきだ」と述べ、歴史問題で共闘するよう呼び掛けた。

ラブロフ氏は「靖国神社の問題ではロシアの立場は中国と完全に一致する」と応じ、日本に対し「誤った歴史観を正すよう促す」と主張した>
(12月31日のMSN産経ニュース)

ロシアは、安倍首相が靖国神社を参拝した当日、ロシア外務省のルカシェビッチ情報局長名で「遺憾の意」を表明するコメントを出した。

<参拝は第2次世界大戦下で日本の「侵略」の犠牲になった人々を苦しめる行為だと指摘した。日本と北方領土問題を抱えるロシアは「第2次大戦の結果の見直しは認められない」との立場を取り、戦時の日本の「軍国主義」を批判している>(12月27日のMSN産経ニュース)

ロシアの対応は理不尽だ。第2次世界大戦末期の1945年8月9日、ソ連は当時有効だった日ソ中立条約を侵犯して、日本に戦争をしかけた。それだけでなく、ソ連は60万人以上の日本軍人、軍属、民間人をソ連領に連行し、極寒のシベリア、灼熱(しゃくねつ)の中央アジアなどで強制労働につかせた。

その結果、6万人以上のわが同胞が、ソ連の地で生涯を終えた。また、ソ連は、日本が国際条約に基づいて正当に取得した南樺太、千島列島(ウルップ島からシュムシュ島までの18島)、さらに帝政時代を含め一度もロシア・ソ連領になったことがない歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島を力によって奪取した。現在のロシア連邦は、ソ連の継承国なので、ソ連の権利義務をすべて引き継ぐ。あの戦争で、ソ連との関係においては、日本は「侵略された側」なのである。

ソ連崩壊後のロシアが、戦勝国と敗戦国の区別にとらわれず、法と正義の原則で北方領土問題を解決する姿勢を示し、1993年10月に訪日したエリツィン大統領がシベリア抑留問題で頭を下げて謝罪したのも、スターリン主義的な過去から決別することで、国際社会におけるロシアの信頼が確保されると考えたからだ。

メドベージェフ前大統領の時期から、日本との関係でロシア外交にスターリン主義的な色彩が強まってきたが、今回の王毅外相との会談で、ラブロフ外相が、「靖国神社の問題ではロシアの立場は中国と完全に一致する」「(日本に対し)誤った歴史観を正すよう促す」と述べたことにより、ロシアはルビコン川を渡った。

北方領土交渉を担当するロシア外務省の責任者であるモルグロフ次官は、中国専門家だ。靖国問題で、対日強硬策に転換することを発案したのもモルグロフ次官だと筆者は見ている。

今後、モルグロフ氏を長とするロシア代表団は、ソ連が対日参戦する前の45年6月26日に署名した国際連合憲章の対敵国条項に基づいて、ソ連による北方領土の領有を正当化するであろう。

もっとも国連憲章が発効したのは45年10月24日なので、それ以前のソ連の活動を国連憲章によって正当化することには無理がある。いずれにせよ、日本外務省は、ロシア外務省が今後挑んで来るであろう論戦に対して、十分な備えをして国益を擁護してほしい。
(作家、元外務省主任分析官)
産経ニュース (佐藤優の地球を斬る)2014.1.4

◆日本の霊性の根幹には天皇がある

古澤 襄


フランスのアンドレ・マルローは「21世紀は霊性の時代となるであろう」と言っている。

マルローは日本贔屓といわれたが、日本文化の根底にある「無常(precaire)」がわかるフランス人だった。戦後日本人よりも、もっと日本人らしいフランス知識人だったともいえる。

またスイスの心理学者・カール・グスタフ・ユングは「キリスト教中心の西洋文明の終末は20世紀末から21世紀初めにかけて到来する。そして次の文明は、ゴッドではなく、霊性の支配する時代となるであろう」と予見していた。

”霊性の時代”というと、おどろおどろしいが、カネ・モノに執着する物質依存世界から、人間の精神世界を重視する意味にとらえるべきであろう。ある意味では第1次世界大戦以降、超大国になったアメリカ批判でもある。

いまではカネがあれば何でも出来ると信奉しているのは中国なのかもしれない。

カネ・モノに執着すれば、さらにカネ・モノが欲しくなる。悲しき人間の性(さが)なのだが餓鬼道に墜ちる。とどまることを知らない執着心を押さえるのは、理性であり精神の力であろう。中国には策略があるが、理性のかけらもない。霊性を説いても鼻でせせら笑うだけであろう。

日本は伝統的に霊性を尊んできた。山や川に霊性を感じ、自然を怖れる”おののきの心”を抱いてきた。

東日本大災害で東北の人たちは、忍従の精神でたしかな復興の歩みをしている。その東北に日本全国が敬意と同情を隠さない。こんな民族は日本だけであろう。

中国だったら暴動や略奪が横行したに違いない。

その東北に天皇皇后は祈りの旅を重ねて寄り添ってきた。私は「霊性の時代と天皇皇后の祈り」を2011年5月に書いている。アンドレ・マルローと親交があった竹本忠雄さんの『天皇 霊性の時代』(海竜社)を再読して、日本という伝統国家に深い愛着を持った。

■霊性の時代と天皇皇后の祈り  古澤 襄

宮崎正弘さんのブログに読者の投書欄があるが、時折、深い感動に襲われることがある。まずは、その投書を掲載してみる。

<<9日の「MSN産経ニュース」のトップの「トピック皇室」と云ふ欄に,竹本忠雄氏の記事が掲載されて居りまして,非常に感銘を受ける記事でありましたから,皆様にも御伝へさせて戴き度く存じあげます。

「4月28日付の本紙1面に私は大きな衝撃を喫した。天皇皇后両陛下が、畳(たた)なわる瓦礫(がれき)に向かって黙祷(もくとう)されるお姿に−。

衝撃は、この写真の左側に載った「迷惑をかけない日本人」という記事とのコントラストで倍加した。ソウル支局長、黒田勝弘氏のリポートで、そこで投げられたある問いに対して両陛下のご姿勢以上に絶妙の答えはありえないと思われたからである。

黒田氏は、いま外地でも評判の、なぜ被災地の日本人はかくまでも「冷静で秩序正しい」のかとの疑問を取りあげ、韓国人の間では「諦念」「遠慮」といった評語まで飛びかっていると伝えている。

これまでにもメディアは諸外国でのこの「なぜか」を報じてきた。そのつど私は、このようなメンタリティについて下される種々の憶測を興味深く思ったが、同時に、本当の理由がどこにも指摘されていないことにもどかしさを禁じえなかった。その「なぜか」への至上の答えを写真は黙示していると思われたのである。

このことは私に忘れられないある対話を思いださせる。昭和49年5月、アンドレ・マルロー(仏の作家、政治家)が出光佐三(さぞう)氏(出光興産の創業者)をその美術館に訪ねたときのことである。

「日本人は精神の高貴さを持っています。なぜですか。仏教も、その理由の一つではないでしょうか」との単刀直入のマルローの問いに、間髪を容(い)れず出光翁はこう答えたのだ。「そうじゃありませんね。二千六百年続いてきた皇室が原因ですよ」と。

たしかに、国難のいま、私たちを斉(ひと)しく打つものは、皇室、何よりも両陛下の、あの同床同高とも申しあぐべきご姿勢に表れた何かである。祈りである。

今回だけではない。これまでの日本中の被災地めぐりだけでもない。先の戦災地、さらには南冥(なんめい)の島々まで、慰霊の旅をも、お二人は重ねてこられた。

しかも史上、「恤民」すなわち民を哀れむは、皇道の第一義として歴代天皇の最も実践してこられたところであった。

であればこそ、国民も常にそれに感じ、「民を思い、倹を守る」お姿以上に頭を高くすることを慎んできたのだ。被災地で命を救われたおばあさんが「すみません」とお礼を言って美談となったそうだが、このような国なればこそ、自(おの)ずと培われてきた節度なのである。

大震災は、しかし、大地の亀裂だけでなく、これほどの国柄にもかかわらず日本人の心に生じていた分裂をも露(あら)わにした。国安(やす)かれとの天皇の日夜の祈りを踏みにじるような、現政権担当者たちの無知、厚顔、専横の数々は、「3・11」を待たずして既に別のツナミをもって国を水没させつつあったのではないか。

御在位20年記念の折、皇居の宮殿でのことを私は忘れもしない。事もあろうに、両陛下お招きの祝宴で最後に鳩山首相の発声もあらばこそ、片隅で、蚊のなくような幸夫人の声で辛うじて「…ばんざい」と一言、拍手もまばらだった。

戦後66年、憲法の一行をも変ええず、民主主義を盾に政治家の皇室軽視の言動が昂(こう)ずる一方で来ただけに、大天災の中で却(かえ)って強められた君民の絆は、なお尊く、真に日本の未来を照らす光ではなかろうか。

政治家は「一寸先は闇だ」というが、祈りを通じて天皇皇后は国の全体を見透しておられる。でなくして、皇后美智子さまが、『岬みな海照らさむと点(とも)るとき弓なして明かるこの国ならむ』とお詠みになることはなかったであろう。

天皇皇后の祈りとは何か−−これを考えるべき時が来た。

昭和天皇が、崩御に先立って翌年の歌会始のために遺(のこ)されたお題は、『晴』だった。来年のお題は、『岸』だ。まだ東日本沿岸がそよとも揺れなかった今年1月、どこから、陛下のみ胸に、このヴィジョンが生まれたのであろうか」>>・・・。

竹本忠雄さんには海竜社から発刊した『天皇 霊性の時代』がある。フランスのアンドレ・マルローとの親交があって、筑波大学名誉教授の竹本さん。アンドレ・マルローは「21世紀は霊性の時代となるであろう。さもなくば、21世紀は存在しないであろう」と言ったことを紹介していた。

■竹本忠雄(たけもと ただお、1932年7月24日 - )=日本の文芸評論家。専門はフランス文学。筑波大学名誉教授。アンドレ・マルローとの親交で知られる。東京教育大学卒業。1963年フランス留学。フランス政府より「文芸騎士勲章」、コレージュ・ド・フランスより「王室教授章」を受章。著書に『マルローとの対話』などがある。

■アンドレ・マルロー(Andre Malraux, 1901年11月3日 - 1976年11月23日)=フランスの作家、冒険家、政治家。ド・ゴール政権で長く文化相を務めた。代表作に『王道』や『人間の条件』がある。フランス語に「ドリュー・ラ・ロシェル」という言い方がある。"新しい人"といった意味だが、アンドレ・マルローはフランスの文壇にその言葉で迎えられた。

以下はウイキペデイアによるが、

マルローは日本贔屓といわれたが、日本文化の根底にある「無常(precaire)」がわかるフランス人だった。戦後日本人よりも、もっと日本人らしいフランス知識人だったともいえる。

マルローは最初に日本にドゴール特使として来たときに、はやくも藤原隆信の平重盛像と源頼朝像に関心を寄せ、ついで玉堂と鉄斎の文人画を高く評価した。昭和天皇と武士道議論をしたことも話題をよんだ。

そして、「日本とは、日本それ自体の国」(un pays en soi)であって、そっくりそれを受け入れるか拒否する以外はないものであると喝破した。またそれとともに、「日本とは、連綿たる一個の超越性である」(enprmanence une transcendance)とも断言してみせた。

マルローはむろんのこと苦言も呈した。たとえば、日本には海外からの覇権的な押し付けに対していくらでも選択ができる立場があるはずのに、それを全然していないじゃないかというものだ。

これはもちろんアメリカに対する日本政府の態度を詰(なじ)っている。日米が同盟国であればあるほどに、日本は独自の選択を発見するべきだというのだ。

多くの日本人の研究者が、やたらに中国文化にルーツを求めようとする態度も気にくわない。中国から日本に来たものがあるのは当然で、そんなことはフランス文化にだっていくらもおこっている外からの影響だが、問題はそんなことにあるのではなく、「愛と死と音階」によって、日本は中国とはまったく異なる文化をつくったということを強調するべきだという見方である。

マルローの日本論で、ヨーロッパ的日本論からの脱出はどうするかを説いている。たとえば、日本の美意識が水平性にあることばかりに捉らわれないで、むしろ垂直性にこそ注目を移したらどうかといったものだ。ヨーロッパの美意識や美学をもって日本文化を見ないこと、これがヨーロッパ人マルローの日本論なのである。

マルロー研究の第一人者である竹本忠雄さんの『天皇 霊性の時代』を私は共感をもって読んだ。杜父魚ブログにも掲載してある。「日本の霊性の根幹には天皇がある」という日本論は、マルローの「垂直性にこそ注目を移したらどうか」に通じるものがある。戦後日本人が久しく忘れていた日本文化の伝統論である。

その内容を要約すると

嘗てユングはこういった。「キリスト教中心の西洋文明の終末は二十世紀末から二十一世紀始めにかけて到来する。そして次の文明は、ゴッドではなく、霊性の支配する時代となるであろう」。

アンドレ・マルローは言った。「二十一世紀は霊性の時代となるであろう。さもなくば、二十一世紀は存在しないであろう」。

日本の霊性の根幹には天皇がある。

「つまり、万世一系は、歴代天皇の連続性であるのみならず、日本文化の連続性の保証である。そのことを戦後日本は忘却してしまった。しかし、霊性の時代が、いまや、忘却の淵から日本の真摯を多々直すことを要請しているのだ」・・・。(2011.05.10 Tuesday name : kajikablog)
2014.01.04 Saturday name : kajikablog


                

2014年01月04日

◆「戦後70年」が動き始める

羽成 哲郎


父祖たちは戦争をどんな思いでとらえていたのか? 

安倍晋三首相が靖国神社に参拝した平成25年が終わり、26年が明けた。「戦後70年」となる27年を前に、今年は国際情勢、国内政治ともに歴史認識をめぐる動きがカギとなりそうだ。そんな中で地方からこの問題を考えてみた。

25年8月から9月にかけて千葉県山武市の歴史民俗資料館で開かれた「忘れられた戦跡展」を企画した学芸員の稲見英輔氏はこう言っていた。

「戦後70年の企画展も開こうと考えています。地域の方に戦争に関する物や情報などを提供してほしいんです。今、集めないと間に合わない」

準備が間に合わないという意味ではない。戦後70年たてば、そのころ10代だった人でも80代となっている。実体験としての戦争を語り継ぐのが年々困難になっている状況を指している。

それでも歴史を記録することに使命感をもって臨んでいる人がいる。山武市に住む真行寺重昭さん(46)は自宅近くの山林に海軍戦闘機「雷電」が20年6月23日に墜落した場所を特定しようと証言を集め、現場を歩いた。

会社勤めをしながらの地道な作業は20年近くに及んだが、その結果が先の戦跡展で展示されていた。最近は、同じ20年の2月16日にやはり近くの東金市に零戦が墜落した現場を探しているという。

この前後数日は、米軍の空母艦載機が関東地方の航空基地や航空機を集中的に攻撃した。3月10日の東京大空襲はこうして日本の防空能力をたたいた後に行われている。

歴史は本来、こうした小さな事実の積み重ねとともに語られるべきものではないのか。真行寺さんは戦跡展の後、長野県に住む男性から父親が戦争中に千葉・九十九里の陸軍部隊にいたので、その詳細を調べてほしいと頼まれた。

特攻隊員だった祖父の足跡をたどる小説「永遠の0」を地でいくような依頼だが、自らの戦争体験を語らないまま亡くなってしまった肉親とその思いを知りたい家族の姿が見えるようだ。

戦争中に千葉県館山市にあった「館山海軍砲術学校」は「知る人ぞ知る」という教育訓練機関だが、資料がほとんど残されていない。それでも在籍した軍人の遺族とみられる人から海上自衛隊館山航空基地に時折、問い合わせがあるという。

中国、韓国が「正しい歴史認識」を求めて声高に叫ぶ姿に、難しいとして遠ざけたい気持ちがわくかもしれない。しかし、自分の父祖たちは戦争をどんな思いでとらえていたのか、問い直したいという願望も押さえきれない。そのギャップをどう収めたらいいのか。真行寺さんはこういう。

「いきなり国家のことを言われても大きすぎて困ってしまうかもしれませんが、個人の足跡をたどるように調べるのは理解しやすいかもしれません」

自らも含めて地方での取り組みがネットワークのように広がれば、歴史認識をめぐる動きに一石を投じることができるのではないかと考えている。

安倍首相の靖国神社参拝に対して産経新聞以外のメディアは外交面でのマイナスばかりを批判しているが、戦没者の慰霊という点をことさら無視している。どうしてこうなってしまうのか。

政治が混乱していた平成の初め、歴史認識をめぐり「河野談話」と「村山談話」という禍根を残す2つの動きがあった。

戦後50年の失敗を繰り返さないようにするには、先の戦争をよく調べ直し、その意味を今一度考え直すことも1つだろう。

時間はある。いや、足りないかもしれない。(千葉総局長)
産経ニュース 【羽成哲郎のぴーなっつ通信】 2014.1.4