2013年04月13日

◆対決から対話に180度転換した韓国

古澤 襄


一夜明けたら韓国のメデイアは、北朝鮮との対話路線一色となった。北朝鮮が中距離弾道ミサイル「ムスダン」を10日にも発射と韓国の国防省報道官が発表したのが外れ、それでも15日までには「ムスダン」発射と対決路線を呼びかけていた・・・それが対話路線に180度変わったのは何故か。

ジョン・ケリー米国務長官が訪韓するのに合わせた政策転換なのだろうか、離韓した後の15日にもし北朝鮮が「ムスダン」を発射したら、また180度方向転換して、対決路線に後戻りにするのだろうか。

北朝鮮の自作・自演の”一人芝居”に韓国のみならず世界が振り回されている。

ロシア出身の北朝鮮学者アンドレイ・ランコフ氏は「落ち着いて北朝鮮の虚勢に立ち向かえ」と題する記事(10日付けニューヨーク・タイムズ)の中で、「北朝鮮の指導者はグローバルな世論の操作に極めて熟達している」

「外国の記者がソウルに集まり、北朝鮮が言う通り戦争が起こるかのように報じたら、北朝鮮側の偽りの戦争に巻き込まれ、北朝鮮が望む国際的注目を集めるだけ」と主張した。

韓国の中央日報は、ケリー米国務長官の訪韓を前にして、

!)ケリー長官が予定していた韓米連合司令部訪問計画を取り消した

!)ケリー長官は朴大統領との会談の前、ハース在韓米軍副司令官(中将)から北朝鮮軍の動向について報告を受ける計画だったが中止・・・と指摘している。

<ジョン・ケリー米国務長官の最初の訪韓は、朴槿恵(パク・クネ)大統領が北朝鮮に対話を提案した翌日となった。ケリー長官は核のない韓半島のために北朝鮮と対話をするという考えを明確にした。朴大統領としてはケリー長官を通じてオバマ米政権の支持の意思を確認する形となった。したがって今後の南北関係で主導権を持って対話の雰囲気をつくる土台を用意したと評価される。

こうした雰囲気はオバマ大統領の発言からも感知されていた。オバマ大統領は11日(現地時間)、ホワイトハウスで潘基文(バン・ギムン)国連事務総長と会談し、「誰も韓半島の紛争を望んでいない」とし「北朝鮮が今まで見せてきた好戦的な接近を終えて温度を低める時」と述べた。

連日強まる北朝鮮の挑発に威力的な最先端武器を前面に出し、武力示威をしながら北朝鮮に圧力を加えてきた姿とは距離がある発言だ。韓米両国が北朝鮮との対話方向に雰囲気を導く局面だ。

ケリー長官が朴大統領の対北朝鮮構想である韓半島信頼プロセスを評価し、支持の意思を明らかにしたのも、こうした流れと無関係ではない。ケリー長官は「朴槿恵大統領はやや違うビジョンを持って大統領に当選した」とし「核兵器がない平和な韓半島というそのビジョンを尊重する」と述べた。また「南北関係は改善される。選択は金正恩にかかっている」と強調した。

外交部当局者は「青瓦台(チョンワデ、大統領府)表敬訪問で、ケリー長官が朴大統領に多くの質問をし、朴大統領も真摯に対話の趣旨などを説明し、理解を求めたと聞いている」と伝えた。このため会談時間は当初の予定の30分から1時間に増えたという。

これと関連し、朴大統領は訪韓中のラスムセンNATO(北大西洋条約機構)事務総長に会った席で、「北朝鮮が正しい変化の道に出てくれば、私たちも韓半島信頼プロセスを本格的に稼働し、韓半島と北東アジアの平和を構築していく」と繰り返し強調した。

ケリー長官が予定していた韓米連合司令部訪問計画を取り消したのも、北朝鮮を刺激せず、対話の場に引き出そうという意図があるという分析だ。ケリー長官は朴大統領との会談の前、ハース在韓米軍副司令官(中将)から北朝鮮軍の動向について報告を受ける計画だったが、直前の訪問国である英国を出発する直前に取り消しになったと伝えられた。

朝米対話の可能性を尋ねる質問に答えながら、ケリー長官は金正恩に向けて意味深長なメッセージも投じた。ケリー長官は「非核化という方向に向かえば対話を始められる」とし「対話には誠意がなければならず、対話のための対話はしない」と一線を画した。

ケリー長官は強力な韓米同盟による北朝鮮の挑発抑止力確保を繰り返し明らかにした。尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長官との共同記者会見で、ケリー長官は「この60年間、韓米は最も強力なパートナーシップを構築した」とし「停戦協定後、安保同盟を通して60年間を一緒にした」と強調した。

続いて「北朝鮮は核保有国と認められず、北朝鮮の挑発的な発言は容認されない」とし「米国は必要なら同盟国の韓国を防御するという点を明確にする」と述べた。これに関し、尹炳世外交部長官は「韓米外相が10日間で2回も会ったというのは、それだけ同盟関係が強いという意味」と説明した。

ケリー長官は1泊2日の韓国訪問を終え、13日に中国へ向かう。ケリー長官は「(北朝鮮との対話提案に関し)朴大統領が話した内容を持って明日(13日)中国を訪問し、中国指導部と対話する」と述べた。朴大統領−米国−中国をつなぐメッセンジャー役割をすることを異例にも公開したのだ。

米国政府がケリー長官を通じて南北対話の雰囲気を支援していることも紹介した。この日、ケリー長官は「オバマ大統領はいくつかの訓練の保留を指示し、それが(北朝鮮との関係で)緊張緩和に大きく寄与した」と説明した。

米国がかなり以前に予定されていた大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験を保留したことを述べたのだ。米国務長官が公開席上で軍事訓練延期の意味を公開するのは異例だ。(中央日報)>

<「頂門の一針」から転載>

2013年04月12日

◆不都合な歴史を消す、中国式記憶喪失

櫻井 よしこ


4月2日付の「インターナショナル・ヘラルド・トリビューン」紙に、北京の作家、閻連科氏が「中国政府が仕掛ける記憶喪失」と題して長大な論文を寄稿した。

内容は、中国政府が歴史や事実の書き替えに総力で取り組み、中国人に記憶喪失を引き起こしているという批判である。中国共産党による事実の捏造や歴史の書き替えで、はかりしれない害を被り苦しんでいる日本の側からではなく、中国の物書きが力を込めてそう警告を発したのだ。

閻氏の記事は香港の大学で教えていたスウェーデン人の教授の体験談から始まる。教授は40人の中国の学生に、1989年6月4日の出来事を知っているか、方励之や劉賓雁という名前を知っているかと、尋ねた。

「89年6月4日」が天安門事件を指すのは言うまでもない。方励之は民主化を求める学生たちの精神的支柱と位置づけられた天文物理学の研究者で、天安門事件の後、米国に亡命し、昨年4月、死去した。

劉賓雁は天安門事件には関係していないが、中国共産党の腐敗や人権侵害を暴き続けた作家で、これまた学生たちの精神的支柱だった。彼も亡命先の米国で05年に死去した。

問われた学生たちは困惑した表情で互いに見詰め合うばかりだったという。彼らは天安門事件を全く知らなかったのだ。全世界が知っていて、中国人だけが知らされていないことは他にも多い。

閻氏は別の事例にも触れている。やはり香港の教師が中国大陸の学生に、60年代初めに「3年続いた自然災害」で3000万人から4000万人が餓死したこと、つまり、毛沢東が指導した「大躍進」について尋ねた事例だ。

夥しい数の農民が餓死したとき、毛沢東は「死が田畑を肥沃にする」という非情な論を展開したうえで、死体を農地に埋めさせた。

■記憶の仕分け

学生たちは香港の教師が彼らの祖国中国を貶めるために歴史を捏造しているのではないかと疑うような唖然とした表情を見せたという。学生たちは彼らの両親の世代が見聞しているはずの大量餓死について、全く知らされていないことがわかる。

中国共産党の暗黒の歴史は教えられず、党は常に清く正しいと吹き込まれるのだ。習近平主席はいま、中国共産党によるイデオロギーの指導の下に最も幅広い愛国統一戦線を作り上げよと叱咤激励中だ。

その方針の下では、万が一にも毛沢東が数千万の農民を死に追いやったことなど明らかにされることはないだろう。国を挙げて「記憶喪失」作業が徹底されるゆえんである。

閻氏は喪われた中国の記憶を次のようにさらに辿る。

「非衛生的な売血によるHIVの蔓延、不法開発による数知れない炭鉱事故、いまも続くレンガ工場の奴隷労働。有毒粉ミルク、有毒卵、有害魚介類、廃棄油の食品への使い回し、発ガン性野菜と果物の横行、堕胎の強要、土地建物の乱雑な解体、住民の訴えの却下……」。

こうした事例は時間の経過に伴って忘れられるのではなく、政府によって積極的に、記憶すべきものと消し去るべきものに仕分けされて忘れさせられるということだ。問題は、共産党政府がひとりでそれをするのでなく、知的階層が政府に追従して同じことをする点だと氏は批判する。

中国の知的階層はなぜ、歴史や事実に向き合わずに「記憶喪失」に陥るのか。なぜ捏造に加担するのか。閻氏は2 つの要因を挙げる。


 ?振り返れば少し前は全く物を言えない真っ暗な時代だった。現在は小さな窓がひとつ開いて多少息も出来、光も少し射し始めている。であれば、窓はもっと大きく、人々を拘束する牢獄の扉は全開にと要求するより、小窓に満足していればやがて窓は拡大し数も増えていくと、多くの知識人は考える。

 ?共産党は欲を満たすに十分な金銭を与えるにとどまらず、権力と名誉につながる道を約束し知識人を搦めとる。権力欲、名誉欲、金銭欲が付きものの人間にはこの懐柔法は極めて有効に働く。

このような過程を経て、中国人は「記憶喪失」に慣らされ、過去の実態を忘れ、現在何が起きているかも考えなくなると、閻氏は警告する。
中国共産党は年来、朝鮮半島も尖閣諸島も沖縄も中国領だと、もっともらしい理屈を述べてきた。この種の捏造版の歴史を対外的に主張するのみならず、国民にも教え続ける。

日本や朝鮮半島が主張する歴史の事実は記憶喪失のメカニズムで掻き消してしまうのだ。こうして中国人全員が偽りの歴史を信じ込む。中国を愛すれば愛するほど、彼らは日本などを憎むだろう。中国の主張を現実政治の中で全力で実現することが愛国の使命だと考えるだろう。

これは隣接する国々、中国と関係を持たざるを得ない全ての国々にとって空恐ろしいことだ。真実を知らない中国人は自分の頭で考えることの出来ない共産党のロボットとなりかねないと、閻氏は書いている。

■壮大な情報操作

昨年9月、野田佳彦前首相が尖閣諸島を国有化したとき、中国で吹き荒れた反日運動について民主化運動のリーダー、崔衛平氏は、それまでのどのデモとも異なる凄まじい憎しみに染まっていたと語った。その凄まじさはさしずめ閻氏の言う共産党に操られたロボットのエネルギーの凄まじさだったのではないか。

怒りに燃えた中国人は日本企業に1億ドル規模の損害を与えた。崔氏はそのような血走った中国人のデモを見て、いまこそ冷静に行動すべきだとネットで呼びかけた。あの反日の嵐の中での呼びかけは大変に勇気のいることだったと思う。

命さえ狙われかねない発言であり、私は同じ言論人として、彼女に深い敬意を払うものだ。しかし、その崔氏でさえ、皮肉なことに中国共産党の教えが浸透していて、尖閣諸島は中国領だと信じているのだ。

南京事件などの歴史問題でも中国共産党の路線と基本的に同じ考えである。このように、最も良心的と思われる知識人でさえ中国共産党の歴史の捏造に影響されている。容易ならざる事態である。

だからこそ、中国共産党の壮大な情報操作に、こちらも情報発信で立ち向かわなければならない。その闘いにおいて、日本は中国より断然優位に立つ。なんといっても私たちは嘘をつく必要も、壮大な仕掛けで捏造する必要もない。

日本国と日本人に必要なのは、捏造によって汚名を着せられてたまるものかという強い信念である。その気持に基づいて政府は一刻も早く情報発信の予算を拡大することだ。

諸国のシンクタンクや大学、研究所などに資金を給付して、歴史や現在進行中の事柄を研究してもらうのだ。世界の良心的な研究者の活動こそ、中国政府が目論む「壮大な記憶喪失」を阻む第一歩となるはずだ。(週刊新潮)


<「頂門の一針」から転載>

2013年04月11日

◆鳩山が「自民党は暖かくて強い」

岩見 隆夫


いや、いや、恐れ入りました。とにかく、次の自民党礼賛論をご一読いただきたい。

「好き嫌いに関係なく、自民党はどこか日本人の心のよりどころになっていると思います。情があるんですよ、自民党には。情はしばしば腐敗に結びつくのでやっかいですが、支持者を含めてあたたかい。

金遣いは荒いし酒も飲む、困ったもんだけど、でも、我が家がもっているのはお父さんのおかげだねと。自民党は父性的な強さと、母性的なあたたかさを両方持っているから強いんです」

恐れ入るのは、発言者が自民党支持者でなく、民主党政権の初代首相、鳩山由紀夫さんだからだ。先月、某紙のインタビューに答えていた。

ユニークな自民党論と言っていい。鳩山さんがいつごろからこんな見方をしていたのかわからないが、自民党に完全に位負けしている。せっかく政権を取っても、長く持つはずがない。鳩山さんは続けて言っている。

「翻って民主党は理論的だけど冷たい。労働組合と松下政経塾出身者が多く、理屈には強いんだけど、より優秀な官僚の理屈に負けたと思うとポキッと折れ、屈してしまう。あたたかくて柔らかければ曲がるんですけどね。自民党の柳のような強靱さはやはり政治には必要です」

これも面白い。しかし、民主党批判がすぐに自民党礼賛につながっていくのだから、いま細腕で民主党を死守しようとしている海江田万里代表以下の現職議員が聞けば、やりきれない。いい気なもんだ、と腹も立つだろう。

あたたかいか冷たいかは、政党論として情緒的にすぎるきらいはある。とはいえ鳩山さんの発言は、第一次安倍政権から第二次に至る、この5、6年の政界ドタバタ劇の一面をついている、と私は思う。

福田、麻生の両自民党政権にしても、あたたかいなんてものではなかった。あのころ、後期高齢者医療制度などという無神経な発想に批判が渦巻き、年金5千万件が宙に浮いていると知って、国民は開いた口が塞がらなかった。だから、この政党はもはや国民の味方ではないと見切りをつけ、お引き取りを願ったのだ。

ところが、あとを継いだ民主党政権は、鳩山さんが言うように理屈だけの砂上楼閣でしかなかった。〈コンクリートから人へ〉のスローガンが端的に示している。できもしないバラマキ政策を並べて国民の歓心を買おうとした。ポピュリズム政治の最たるものだった。民主党政権は消えるべくして消えたのである。

復帰した自民党政権は、安倍晋三首相、麻生太郎副総理らかつて挫折した時と同じ役者が采配を振っている。失敗から学ぶことはあるとしても、急に信条、体質、手法が変わるはずもない。ただ、アベノミクス効果で社会が明るさを取り戻したのは確かで、世間は不安を覚えながらも浮かれ気分が広がっているのが現状だ。

 ◇鳩山さんの民主解党論 そう気楽に言われても…

それでも鳩山さんが自民党礼賛をするのはなぜなのか。多分、こういうことだろう。老舗政党の自民党は、過去の遺産をまだ残している。なにしろ結党58年、このうち4年余を除いてずっと政権を占めてきたのだから当然だ。それは政権を転がしていく知恵、駆け引き、用兵術、包容力、さらに加えれば情報収集力などである。

たとえば、安倍さんは総裁選を争った石破茂、石原伸晃、林芳正の3人を党・内閣のポストに据えた。党内基盤が強くない安倍さんにしてみればそうせざるをえない面があったが、民主党を追われた身の鳩山さんには〈あたたかい〉と映る。

安倍自民党があたたかいかどうかは、にわかに答えが出せない。政治があたたかさだけですむとも思えない。だが、あたたかさに欠ける政治が落第であることも確かである。

そのあたりのことを見極めていくのが野党の仕事だ。夏の参院選でも、安倍政権とアベノミクスの性格づけが争点の中心になる。人気の『毎日新聞』連載〈仲畑流万能川柳〉(4月1日付)には、

 誤植かなクの字が欠けてアベノミス

という句が登場した。世間の不安感を代弁したものだろう。

しかし、野党勢力のパワーはいまのところまことに心もとない。このままでは、参院選も自民党の独走態勢が日々強まる。肝腎の野党共闘が不発になりかけているからだ。第1党の民主党と第2党の日本維新の会の連携はもはや絶望的だ。維新の憲法観が破綻の直接のきっかけになった。民主の細野豪志幹事長は、

「維新は新綱領で、憲法について『日本を孤立と軽蔑の対象に貶め』と、戦後の日本のあり方を徹底的に批判する考え方は私どもとは異なる。安倍政権と酷似している」(4月1日、役員会)

として選挙協力を断念する方針を明らかにした。維新が荒っぽい発言で共闘を攪乱している。みんなの党とは選挙区調整を進めながら、民主との対決姿勢を強めているのは、場合によっては自民と組んででも民主をつぶす作戦、ということなのか。

このバラバラ状態では、民主、維新、みんな、生活の党、みどりの風など野党勢力の大同団結は望むべくもなく、自民の突出にまかせることになる。五五年体制下でも、社共、社公民などの野党共闘が再三組まれたが、自民の牙城に肉薄するところまではいかなかった。いままたそれを繰り返している。

鳩山さんは、

「民主党はいったん解党して、『強い日本』よりも『あたたかい日本』を目指す新しいグループとして再結集した方がいい」

と気楽に語ったそうだ。旗揚げした人から解党をすすめられたのでは、民主党も気合が入らない。

だが、野党は再編して新グループの結集を考えるべき時かもしれない。共産党を除くと野党はどの党も内部がゆるんでいるので、チャンスともいえる。すでに何人かが水面下で動いているようだが、とにかくメリハリある与野党の対決がないことには、政治が精彩を失うのだ。

<今週のひと言>
 長嶋は遅過ぎ、松井は早過ぎ。
(いわみ・たかお=毎日新聞客員編集委員)
   サンデー時評:2013年04月10日
   (サンデー毎日2013年4月21日号)

<「頂門の一針」から転載>

◆TPPと南北戦争

山堂コラム 465


米国がこれまで関わってきた戦争で最も死者の数が多かったのは南北戦争である。ベトナム戦争が6万人余。第1次世界大戦が12万。日独伊(枢軸国)相手に欧州から太平洋にまで戦線の拡がった第2次世界大戦でも41万人とされている。

これに対し、国内戦争に過ぎなかった南北戦争で死者数は63万人に上った。

南北別の内訳も南が26万人に対し、北の戦死者は36万人である。じゃが芋の疫病による飢饉でアイルランドから移民して新大陸に渡った若者たち。上陸した途端に北軍の兵士に徴発される場面。ウェストポイントにある陸軍士官学校の戦争博物館でみた。

黒人の戦死者も40%と割合が高い。奴隷解放が謳い文句の戦さだったからして意外ではない。

しかしその後の米国の対外戦争でも黒人の戦死者比率は大きい。もっとも其の度に黒人の地位は上がっていくがの。

米国でもきちんとした国籍や市民権、社会的地位を獲得するには星条旗への忠誠を血で購(あがな)わねばならぬこと――在日外国人の安易な帰化や杜撰な受け入れを何とも思わない現在の日本政府は知る必要がある。合衆国でオバマという黒人の大統領、突然出現したのではないのである。

その南北戦争――日本の社会科教科書では奴隷解放と「人民による、なんたらかんたら政治云々」所謂リンカーン・ゲティスバーグ演説を教えている。

しかしそれはこの戦争の美化された上っ面のこと。63万人もの戦死者を出した血みどろの国内戦争はそんな綺麗ごとではなかった。北の工業地帯と南の農業地帯の国家覇権をかけた戦い――。

産業革命を達成した欧州の安い製品流入を高関税で阻止して工業発展しようとする北。農産物、特に綿花を無関税で輸出するため北からの離脱も辞さない構えの南。

奴隷解放が絡んだことは確かだが、本質は独立直後だった合衆国。北にとっては新興財閥の権益伸張と国土の分裂・南の離反を阻止するのが目的の戦争だった。

北の勝利後150年を経た。日本国内でTPP(環太平洋パートナー協定)。加わるか否かをめぐり経団連・財界とJA・農業団体の対立。南北戦争のミニ版みたいなのが起きたが、選挙で自民党が圧勝し日本のゲティスバーグはうやむやに。たいした議論さえしないまま安倍内閣はTPP加入へ突入した。

大手メディアも手放しでこれに賛同。唯々諾々の提灯一色。協定の中身にまで踏み込んで問題点を指摘する記事は少ない。只管(ひたすら)「対中国包囲網に不可欠」と喚(わめ)くだけ。政府が「交渉内容は公表しない」と言うと「ヘイ、何も書かん」だ。

TPPの「対中国包囲網」という主張。もっともらしいが本当は少し違う。米国の南北戦争が奴隷解放だった、いや大東亜戦争がアジア諸国の植民地解放戦争だったと言うに似て、日本が勝手に思い込む正当化願望のお題目――協定発足時にそんなこと言う国はどこもなかった。

事実、この協定は決して軍事的・戦略的なものに非ず。米国が目論むのはずばり加盟相手国の規制緩和。

食糧、資源エネルギー、保険、医療、法律、金融、そうした米国既存の大資本。いわゆるハゲタカが外国でもその国の法律に縛られず自由に商売ができる。体よく言えば収奪できる。さらなるハゲタカの儲けが増える。そうしたシステム構築が最大の目的。TPPの本質。

小泉行革で米国のエイジェントではないかと見紛う活躍をした竹中某。またまた安倍内閣で復活し、蠢き始めているのを見れば言わずもがなのCIA。竹ちゃんマンならPTA(了)

<「頂門の一針」から転載>

2013年04月10日

◆「認知症」には「散歩」が効果

向市 眞知


以前、住友病院神経内科の宇高不可思先生の「認知症」の講演を聴いた時、「こんな症状があったら要注意!」という話がありました。この講演に対して、下記の11の質問がありました。

1、同じことを何度も言ったり聞いたりする
2、ものの名前が出てこない
3、置き忘れやしまい忘れが目立つ
4、時間、日付、場所の感覚が不確かになった
5、病院からもらった薬の管理ができなくなった
6、以前はあった関心や興味が失われた
7、水道の蛇口やガス栓の閉め忘れが目立つ
8、財布を盗まれたといって騒ぐ
9、複雑なテレビドラマの内容が理解できない
10、計算のまちがいが多くなった
11、ささいなことで怒りっぽくなった

これらの質問に対して、宇高不可思先生は
「これらがいくつかあったり、半年以上続いている時は専門病院へ行きましょう」と答えられました。

私自身、同じことを言ったり、物の名前が出てこなかったり、置き忘れやささいな事で怒りっぽくなったなあと思い当たるフシがいくつもありました。専門診療の対象といわれてしまうと本当にショックです。

認知症というと周りの人に迷惑をかけてしまう問題行動がクローズアップしてその印象が強いのですが、新しいことが覚えられない記憶障害もそうです。

また、やる気がおこらない意欲の低下もそうですし、ものごとを考える思考力や判断する力、そして手順よくし処理する実行力の低下も認知症の症状です。

認知症高齢者のかた自身の不安は、時間や場所がわからなくなったり、体験そのものを忘れていく中で暮らしているのですから、自分以外の外界のすべてが不安要因になってしまうのです。

ご本人は真剣に外界を理解しようとしているのですが、家族は「ボケ」「痴呆」ということばの印象から「認知症だからわからないだろう、理解できないだろう」と思い込んでいる例が多くみられます。
 
診察室でなんとご本人を目の前にして認知症高齢者の失態を平気でドクターに訴えたり、「母さんがボケてしまって」とはばかりもなく言ってしまったりします。

その瞬間にご本人はその家族に対してまた不安をつのらせてしまいます。また話を向けられたドクターも、ご本人を前にしてウンウンとうなづくべきか、ほんとうは困っているのです。うなづけば家族は安心しますが、ご本人はドクターへの信頼感をなくしてしまいます。

よく「まだらボケ」とか言いますが、「正気の時もあるからやっかいだ」と表現されるご家族もあります。しかしそれは逆で、やっかいと考えるのではなく正気の部分があるのならその正気の部分を生かして日常生活を維持するようにしむけてみませんか。
 
認知症があっても、くりかえし続けている一定の日常生活はできるはずです。老年期以前の過去の生活を思い出させてあげると、高齢者は自分の価値を再発見し、意欲も湧いてくるとききました。

高齢者にとって脳機能の低下だけではなく、視覚や聴覚、味覚や嗅覚などの感覚もおとろえてきていることを理解してあげてください。すべてを「認知症」の一言でかたづけてしまわないで下さい。見えやすくする、聞こえやすくするというような場面の工夫で問題行動が小さくなることもあります。
 
「認知症だからわからないだろう」と思い込むのは大まちがいです。「言ってもしかたない」と決めつけるのは悪循環です。認知症の方の感じる外界への不安を考えると、情報が遮断されると余計に不安が大きくなります。

どしどし情報を与えることが不安の軽減につながります。そのために外出しましょう。認知症には散歩の効果があります。外界の空気は聴覚、視覚、嗅覚への刺激になり、脳の活性化につながります。

          (医療ソーシャルワーカー)

2013年04月09日

◆特殊学級に追いやる親たち

室 佳之


随分前のこととなりますが、2900号の石岡さんの『サラダボウル理論』を興味深く読みました。小生は仕事柄、高齢者の介護だけでなく若い世代の障害を持った方々のサービスにも従事しています。

石岡さんの書かれる通り、サラダボウルのような社会を目指すことに異論は全くありません。しかしながら、下記の件は、実際と異なっていると感じます。

<さすがに最近では、障害を持つ子どもが、障害 を持たない同じ年代の仲 間と一緒に学び成長していくことが、双方の人 格形成に大きな意味を持つとして、障害児が一般の小・中学校で教育を 受けるケースが増えてい るそうだ。しかし、まだまだ十分とはいえな い。>

小生は、小中学生の障害者とも接することが度々あります。時には、学校へのお迎えにいくようなこともあります。一般の子供たちのクラスとは別に、障害を持った子供は、『特別学級』とか『特殊学級』などと呼ばれるクラスに所属していますが、その人数の多さに驚かされます。

小生(昭和52年生まれ)が子供の頃は、学年に1人か、2人くらいしか特殊学級の生徒はいませんでした。いまの仕事に従事してから気づいたことですが、あの当時、今で云う軽度の知的障害を持つ子供も我々の頃は同じクラスで一緒に勉強をしていました。

多少偏見もあったのかもしれませんが、休み時間は一緒に遊ぶなど、まさしくサラダボウルのような状態でした。

それが、最近は出来るだけ全くの健常者だけを普通学級に入れて、少しでも変わったところや劣ったところがあると、すぐに特殊学級へ入れてしまっているように見えます。

数年前、サービスに入った知的障害と云われた子供は、誰が見ても普通の子でしかありませんでした。若干の思い込みの強さや集中力散漫なところが見られたものの、小生の子供時代では、明らかに同じクラスで過ごすような子でした。

一緒に仕事をしていたヘルパーも『どうしてこの子が特殊学級なのか信じられない』と全く同じ意見を持っていました。

親御さんに訊いたら『普通学級の親がうちの子と一緒にされることに反対をする』からとのことでした。つまり、サラダボウルどころか、今や親の世代が差別している社会ということなのではないでしょうか。

」こういった似たようなケースの子供を10年近くの間、何人か見てきました。きっと今や世の中がそういう区別化、もしくは差別化に進んでいるのではないかと思います。これは非常に残念な状況になってきていると思います。

普通学級で学んだ子供たちは、均一化された者同士の人間関係しか与えられないために、将来的には、人付き合いがかえって不得手となり、例えば職場などですぐに挫折するのではないでしょうか。

また、ほんの軽度の障害と云われるような子供が特殊学級等で過ごしてしまうと、伸ばせる能力すらも伸ばせなくなり、もっと様々な世界を見る機会を失わせてしまうような気がします。

ひと頃、『五体不満足』で有名になった乙武洋匡さんが、子供たちに向かって、『背が低かったり、視力が弱かったりという人がいるのと同様に、自分は手足がないだけなんだ』というような主旨(正確でないかもしれませんが)のことを云ってましたが、まさしくサラダボウル理論を実践している話だと思いました。

難しいことではあるのでしょうが、まずは学校内での極端な区分けをなくすことが必要だと思います。
(むろ よしゆき)

            <「頂門の一針」から転載>

2013年04月08日

◆「第2極」の台頭が見えてきた

屋山 太郎


日本維新の会は、新しい「第2極」の台頭を予感させる。3月30日に大阪で開いた初の党大会では共同代表の前東京都知事、石原慎太郎衆院議員と橋下徹大阪市長がインターネット中継対談で、党綱領の第1にうたった憲法改正を熱く語り合った。次期参院選では、「憲法を変えていく勢力が3分の2を形成することも重要なテーマだ」と、橋下氏は述べた。

 ≪脱ぎ捨てられた護憲の衣装≫

長年、野党がまとってきた非武装、護憲という衣装が、ものの見事に脱ぎ捨てられたのである。これが10年も前だったら、橋下氏らは常軌を逸した集団といわれたに違いない。現に、石原氏などは異質の人物と思われてきた。

時代の急激な変化を象徴するのが、民主党の盛衰である。

民主党政権の致命的な失敗は、選挙で公約した官僚制度改革(天下りの根絶)に一切手をつけず、「しない」と公約した消費税の引き上げを決定したことだ。増税を覚悟していた国民も多くが、「その前にやることがあるだろう」と反発したのは当然だ。

労組の連合と組んでいたのでは公務員改革などはできない、と政治の素人も民主党を見限ったのである。

それ以上の打撃は中国寄り路線が引き起こした恐怖感だ。

鳩山由紀夫首相は「中国と仲良くするため米国とは距離を取らせていただく」と述べ、普天間の代替飛行場は「国外、少なくとも県外」と断言した。小沢一郎氏(時の党幹事長)は600人の訪中団を引き連れて“朝貢外交”を展開し、「日本周辺には第7艦隊だけで十分」と言ってのけた。

冷戦中には自民党内でも語られていた日米中の正三角形外交論は木っ端みじんに砕かれた。軍事大国化した中国を前にして叩頭(こうとう)(土下座)外交は全く意味がないことを国民は知ったのである。

 ≪政権党の資格なかった民主≫

1994年に導入された小選挙区制度は政権交代のある政治を目指したもので、15年目にしてそれが実現した。だが、政権をとった民主党は2012年の衆院選で見るも無残な敗北を喫した。負けっぷりは民主党が実は政権政党の資格がなかったことを物語る。

第1に、この党には党綱領といえるものがなかった。政党は誰にも分かる理想を大目標に据え、同志が集うものである。政権を失った後に民主党は綱領作成を行ったが、何を目標に、どこをどう直すのか、なお理解できない。

小沢一郎氏は「公約を実現していない」と当時の野田佳彦政権を攻撃して離党し、「国民の生活が第一」を結成した。しかし、最初に天下り根絶の公約を破ったのは小沢氏の方だ。野田攻撃は権力奪取の手段にすぎなかった。

その小沢氏は、先の衆院選に際し全野党を糾合するため、「脱原発」「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)反対」を掲げた。理想があってそこに進もうというのではなく相手の弱点を探して皆で叩くというのは、政争の手段にしても下策(げさく)というほかない。

かつて日本の鰹節(かつおぶし)工場もあった尖閣諸島を「明の時代からオレのものだ」と言い募り、武力で威嚇する中国が出現したのでは、日本の憲法は役立たずだろう。

窃盗団に盗まれて韓国の寺に納まっていた対馬の寺の仏像を「返せ」と言う日本の住職に、韓国の裁判所は返さなくていいと言う。これは国連教育科学文化機関(ユネスコ)の文化財不法輸出入等禁止条約に明白に違反する。

 ≪維新・みんなで改革主導を≫

北朝鮮の最近の暴走を見るにつけても、われわれ日本人が学ばなければならないのは、聖徳太子が実践した中華圏への対等外交の教えか、福沢諭吉の脱亜論だ。民主党に政権政党として欠けていたのは歴史観と国家観である。

日本維新の会は衆院の議席でいえば、「第3極」である。だが、参院での維新とみんなの党との候補者調整をみれば、明らかに両党が「第2極」を形成し、さらに伸張しつつある形勢である。

民主党は参院選で反自民の統一候補擁立を模索していたが、勝つためには手段を選ばない発想では政党の基盤は固まらない。

時代の変化に対応できない政党も滅びる。冷戦期、護憲を旗印に衆院議席を140まで伸ばした社会党は社民党となり今や、2議席だ。それでも、党首の福島瑞穂参院議員は「護憲を叫ぶことに意味がある」と言う。これは宗教だ。民主党にも、維新は安倍晋三首相の補完勢力だという非難がある。政策目標が同じなら協力して実現するのが真っ当な政党だ。


安倍氏が大阪維新の会に注目しだしたのは、橋下氏と松井一郎幹事長の教育改革ゆえだ。橋下氏は大阪府知事、市長として府、市に教育基本条例、職員基本条例を制定した。これらの条例は、日教組と自治労の政治活動を封じ込める狙いで、安倍氏は同様の趣旨を国会で立法化したい意向だ。

そんな改革は連合依存の民主党には受け入れ難かろう。維新・みんなが改革を引っ張る姿がみえてきた。与野党激突、何でも反対だった国会の様相も変わる。
(ややま たろう評論家)

<「頂門の一針」から転載>

◆TPPと南北戦争

山堂コラム 465


米国がこれまで関わってきた戦争で最も死者の数が多かったのは南北戦争である。ベトナム戦争が6万人余。第1次世界大戦が12万。日独伊(枢軸国)相手に欧州から太平洋にまで戦線の拡がった第2次世界大戦でも41万人とされている。

これに対し、国内戦争に過ぎなかった南北戦争で死者数は63万人に上った。

南北別の内訳も南が26万人に対し、北の戦死者は36万人である。じゃが芋の疫病による飢饉でアイルランドから移民して新大陸に渡った若者たち。上陸した途端に北軍の兵士に徴発される場面。ウェストポイントにある陸軍士官学校の戦争博物館でみた。

黒人の戦死者も40%と割合が高い。奴隷解放が謳い文句の戦さだったからして意外ではない。

しかしその後の米国の対外戦争でも黒人の戦死者比率は大きい。もっとも其の度に黒人の地位は上がっていくがの。

米国でもきちんとした国籍や市民権、社会的地位を獲得するには星条旗への忠誠を血で購(あがな)わねばならぬこと――在日外国人の安易な帰化や杜撰な受け入れを何とも思わない現在の日本政府は知る必要がある。合衆国でオバマという黒人の大統領、突然出現したのではないのである。

その南北戦争――日本の社会科教科書では奴隷解放と「人民による、なんたらかんたら政治云々」所謂リンカーン・ゲティスバーグ演説を教えている。

しかしそれはこの戦争の美化された上っ面のこと。63万人もの戦死者を出した血みどろの国内戦争はそんな綺麗ごとではなかった。北の工業地帯と南の農業地帯の国家覇権をかけた戦い――。

産業革命を達成した欧州の安い製品流入を高関税で阻止して工業発展しようとする北。農産物、特に綿花を無関税で輸出するため北からの離脱も辞さない構えの南。

奴隷解放が絡んだことは確かだが、本質は独立直後だった合衆国。北にとっては新興財閥の権益伸張と国土の分裂・南の離反を阻止するのが目的の戦争だった。

北の勝利後150年を経た。日本国内でTPP(環太平洋パートナー協定)。加わるか否かをめぐり経団連・財界とJA・農業団体の対立。南北戦争のミニ版みたいなのが起きたが、選挙で自民党が圧勝し日本のゲティスバーグはうやむやに。たいした議論さえしないまま安倍内閣はTPP加入へ突入した。

大手メディアも手放しでこれに賛同。唯々諾々の提灯一色。協定の中身にまで踏み込んで問題点を指摘する記事は少ない。只管(ひたすら)「対中国包囲網に不可欠」と喚(わめ)くだけ。政府が「交渉内容は公表しない」と言うと「ヘイ、何も書かん」だ。

TPPの「対中国包囲網」という主張。もっともらしいが本当は少し違う。米国の南北戦争が奴隷解放だった、いや大東亜戦争がアジア諸国の植民地解放戦争だったと言うに似て、日本が勝手に思い込む正当化願望のお題目――協定発足時にそんなこと言う国はどこもなかった。

事実、この協定は決して軍事的・戦略的なものに非ず。米国が目論むのはずばり加盟相手国の規制緩和。

食糧、資源エネルギー、保険、医療、法律、金融、そうした米国既存の大資本。いわゆるハゲタカが外国でもその国の法律に縛られず自由に商売ができる。体よく言えば収奪できる。さらなるハゲタカの儲けが増える。そうしたシステム構築が最大の目的。TPPの本質。

小泉行革で米国のエイジェントではないかと見紛う活躍をした竹中某。またまた安倍内閣で復活し、蠢き始めているのを見れば言わずもがなのCIA。竹ちゃんマンならPTA(了)

<「頂門の一針」から転載>

2013年04月06日

◆「限界はどこ?」北朝鮮危機に戸惑う米国

古澤 襄


緊迫状態が続くアジアの北朝鮮情勢について、フランスのAFP通信社は「米政府のブレーンたちは断固たる姿勢をみせつつも、危機が武力衝突に発展する事態は阻止したいと考えている」と論評した。

そのことを「”限界はどこ?”北朝鮮危機に戸惑う米国」と複雑な心境にある米国と評した。

<【4月5日 AFP】米国が警告を強め、北朝鮮が威嚇するという応酬が数週間にわたって続いている。米政府の政策ブレーンたちは北朝鮮に断固とした態度で臨みつつも、今回の危機が武力衝突に発展する事態は阻止したいと考えている。

北朝鮮の仰々しい政府発表は悪名高いが、今回は核攻撃をちらつかせたり、日本海側にミサイルを移動させたとみられるなど、日韓米の3か国を戦慄(せんりつ)させている。

■戦争を避けたい米国

3月11日から韓国と合同年次軍事演習を行っている米国は先週、核爆弾搭載能力のあるステルス戦略爆撃機「B2」の模擬弾投下演習を行ったことを発表するという異例の対応に出た。

米国が相次いで軍事力を誇示する背景には、誕生したばかりの韓国の朴政権に米韓同盟を改めて保証する意図がある。

ただ、ある米高官は、北朝鮮に圧力をかけるためにこうした軍事力の誇示が必要だったが、同時に米国は現在の危機的状況からは後退し、「武力衝突」という誤算が生じる可能性を最小限にしたいのだと説明する。

「少なくとも現時点では、戦争の瀬戸際にあると考えるべきではない。戦争を避けるため、あらゆる努力をしなければならない」

米国防総省は3日、米領グアム(Guam)島にミサイル迎撃のための終末高高度防衛(Terminal High Altitude Area Defense、THAAD)システムの配備を急ぐと発表したが、これは防衛措置だと説明している。

米国務省のビクトリア・ヌーランド(Victoria Nuland)報道官も、米政府の考えに変更はないと強調する一方、状況が「今以上に激化する必要はなく」、北朝鮮の態度が変われば米国にも「違う道」を取る余地があると語った。

■打てる手は全て打った米国、後は北朝鮮の対応次第?

懸念を煽っているのは、北朝鮮3代目の最高指導者、金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)第1書記について、米国がほぼ何も知らないという点だ。

米シンクタンク「外交問題評議会(Council on Foreign Relations)」のスコット・スナイダー(Scott Snyder)上級研究員は、2月に3度目の核実験を挑発的に行った北朝鮮に対し、米国は既に十分に手を尽くし、明確なメッセージを伝えたはずだと述べる。

しかし、北朝鮮側が自らの「脚本」の完遂にこだわっているとみられる状況下では、事態の沈静化を図る動機が米国にはなかったと説明する。

「北朝鮮は米国のメッセージを理解していると思う。現時点における問題は、北朝鮮が既に定めた行動方針の上にあることだ」(スナイダー氏)

米シンクタンク「戦略国際問題研究所(Center for Strategic andInternational Studies、CSIS)」のボニー・グレイザー(BonnieGlaser)氏も、米国には米韓合同軍事演習を公開する余裕はあったものの、北朝鮮に対しては「対話の窓は開かれている」と言い続けること以外できなかったと指摘する。

「米国としては、威嚇をしてきた北朝鮮に利益になることはしたくない。北朝鮮が緊張緩和に向けて動かない限り、何か新しいものを提示するべきではないと思う」(グレイザー氏)

一方、2月に米国務次官補(東アジア・太平洋担当)を辞任したカート・キャンベル(Kurt Campbell)氏は、オバマ政権は北朝鮮に対し意図的に「二重のメッセージ」を送ったのだと言う。

オバマ政権は北朝鮮に警告を発すると同時に、北朝鮮による具体的な軍備増強は見受けられないと発表した。

これについてキャンベル氏は、次のように述べている。「効果的に対処できる限界を超えて事態がエスカレートしないようにする意味があるのだろう。ここ(朝鮮半島)は世界で最も危険な地域の1つで、一触即発の重武装(地域)だ。したがって非常に慎重な対応が必要だ」(AFP)>
      
<「頂門の一針」から転載>

2013年04月05日

◆敏腕社員を想わせる黒田総裁の表情

前田 正晶


黒田総裁の表情は前任者白川総裁と余りにも違いすぎて、私にはこれまでの日銀総裁のイメージを変えてしまった。所謂銀行家と言うよりも現場の経験十分で且つ理論武装も整った敏腕で、必要にして十分な闘志もやる気も見せているエリートビジネスマンという印象が強い。

それが、兎角の評判があったいわば能面のように無表情で、何処に組織の長としてと指導者としての権威や意欲があるのか読めなかった白川前総裁と非常に対照的なのである。

白川前総裁は優れた学者風であったと聞いたが、私が知る学者にも、あれほどやる気を見せることのなかった先生はいなかった。

私にはあれほど静かに見える白川氏が内部でどのように総裁として権威を見せていたか想像できないほど組織の長という感じがしなかった。

黒田総裁には極論で言えば威張る感じが未だ見えていないのだ。「大蔵省当時の官僚としての勉強にADBでの実務経験を加えて、偉さを顔つきで表さないでも良いだけの実務経験を積まれたのかな」と思って眺めてい
る。

私はここで黒田総裁の金融緩和政策の是非を論じるものではない。我が国の組織で頂点を極めたか、ないしはそこに近付いた方々の表情を論じていたのである。アメリカの会社にいて何時も思っていたことは、アメリカの「偉いさん」たちには滅多に偉そうな表情をしている人が少ないのである。

私が考えるその理由の一つが「彼らは我が国ように新卒で入社してから、課長→部長→事業部長→取締役・部長ないしは本部長→常務→専務→副社長→社長といったような段階を踏んで昇進するのでないのだ。その辺りに我が国との大きな違いである。

それはIvy LeagueのビジネススクールでMBAを取ってある日突然、我が国では部長職のようなところに抜擢されるであるとか、一部員であった者があっと言う間に”general manager”という部全体の人事権までも含めた全権を持つポジションに上がってくるような昇進の仕方をするのである。

そこには先ず踏むべき段階も、偉くなってから偉そうに振る舞う練習期間などはないのである、当人がその気で密かに準備でもしていない限り。

現実に、私が常に言ってきた我が生涯の最高の上司だったやり手で頭脳
明晰で上に取り入る巧みな方法を心得た”Vice president and generalmanager”は、州立大学の四卒(MBAではないと言うこと)で地方の工場の現地採用という、先ずそこから這い上がってくることないない場から始めたのだった。そこでその類い希な才能を本社機構の管理職に見いだされて、晴れて本社機構に中途採用され先ず地方の営業所に配属された。

そこで手腕を発揮して評価され、30歳代半ばでいきなり本社の営業部長の一人に抜擢された。そこでさらに手腕を発揮して39歳で事業部本部長、42歳で全米で40位にランクされる会社の副社長任じられたのだった。彼はその間に偉そうに振る舞うことなく、副社長として権威を身につけ製造から営業、経理、人事までの全権を担って事業部のリストラを果敢に実行し、尚且つ売上高を倍増させたのだった。

ここで忘れてはならないことは、アメリカの組織では副社長兼事業部本部長となっても実務の担当から離れずにいることだ。1972年にM社の事業部本部長が来日し、いわば見込み客である提携先の会社で熱心に新商品を売り込み、交渉中でもノートをとり続け帰国後出張報告が回ってきたので、また驚かされた。

我が生涯の最高の上司は日本だけは彼の直轄の得意先として管理し、年に数回は出張してきて接待もすれば、地方の工場も熱心に巡回して自社製品の評価を訊いて回っていた。この辺りが「全権を持ってgeneralにmanageする」本部長の役目なのである。

ここで忘れずに強調しておくべきことは、彼の昇進は内部で段階を踏んでいたのではなく、本社機構とは別の工場(他社と同様な存在である、念のため)でのローカル採用者が引き抜かれて、全く別の会社に就職したことになる点だ。

彼には抵抗できない実力と頭脳があったが、偉そうに振る舞うことなく、日本の市場では「日本を良く理解した親しみやすい気さくなアメリカ人」として高く評価された。

同様にオウナー・ファミリー4代目の当主にして第八代CEOのジョージも、我々の誰にでもファーストネームで呼ばせ、親しく語りかけてくる優しい大社長だった。

私はこれはただ単に「日米の企業社会での文化の違い」の端的な表れであって、優劣などの視点から論ずべき性質ではないと思っている。彼らは「新卒を定期採用して教育する考えなど全く脳裏になく、本社機構では必要に応じて即戦力を会社の内外から集めて会社を運営していくこと」が経営だと思っているだけだと思えば解りやすいだろう。

このような私の経験からすれば、高級大蔵官僚だった黒田東彦氏が日銀総裁に就任されたのは、ごく普通の我が国の企業社会の文化の中での人事だったと思って見ている。

<「頂門の一針」から転載>

◆早生まれと遅生まれ

平井 修一


ここ1週間ほどわが家では“事件”が起きていない。安泰である。それは結構だが、ブログのネタがなくなってしまったのはちと困る。

わが家で養生中の長女の胎児は35週目に入った。普通赤ちゃんは40週あたりで産まれるそうだが、長女は切迫早産の気味があるからいつ産まれるか分からない。4月1日に生まれると困ったことになるそうで、とにかくもめでたく4月2日を迎えた。それはこういう訳である。

<民法によると、満年齢は起算日に応当する前日をもって満了する、とあります。誕生日の前日で満年齢になるわけですから、4月1日生まれの方は民法上、その前日の3月31日で満6歳とみなされます。

学校教育法によれば「満6歳に達した日の翌日以降における最初の学年の新学期(4月1日)をもって小学校の就学が始まる」とありますので、4月1日生まれの児童は早生まれ扱いとなって、小学1年生になります。4月2日生まれの児童は、4月1日で満6歳になるので、翌年の4月1日に入学となります>

そう、4月1日生まれは早生まれとして1年間も就学が早まってしまうのだ。前年の4月2日生まれの子が歩き始めようかという頃にオギャーと生まれた子が同学年になってしまう。

小生は2月生まれだが、同じ小学1年生でも1年の差があれば体力、運動力、知力などにとても大きな差ができる。子供の頃の1年の差はとてつもなく大きく、早生まれの子は大きなハンデを背負うのだ。

厚生労働省の人口動態統計(1997〜2006年)によると、月別の出生数にそれほどの変化はない。多いのが7月の8.8%、少ないのが2月の7.6%。2月は通常は28日までと日数が少ないためだろう。

人間に発情期はない、というか、年中発情期みたいなものである。だが、子供がいつ産まれるかを考えて子作りをする親は、まあいない。いたら相当な変人だろう。

早生まれと遅生まれについてメリット、デメリットはあるのか。ある母親の話はこうだ。

<3月生まれと4月生まれの息子がおります。4月生まれの息子は幼稚園、小学校とクラスの中でもしっかりした感じがしました。

色々な手当てが生まれてから小学校卒業までつくのですが、3月生まれの長男よりも12ヵ月余分に戴くことになりました。

3月生まれの息子はどこでも幼い感じがしました。身体もとても小さく、女の子にも小突かれたり追いかけられて、よく虐められていました。かわいそうでしたね。

3月生まれでも、一つメリットがあります。定年退職が同期の一番最後になります。4月生まれよりも12ヵ月余分にお給料とボーナスをもらって退職します。その分、退職金も年金も上乗せされるのではないでしょうか? かなり先の話にはなりますが、メリットがないと言い切られるとつらいです>

実際、60年、65年後のかなり先の話で、そんなメリットがその頃にあるのかどうかも分からない。まあ、小生の経験では早生まれは学業も運動も何かと不利である。

遅生まれのメリットには「身体も大きく、同学年の他の子よりも当然色んなことが早くできるので、それだけで『自分てできるんだ』という経験を多く積みます」といったことがあるようだ。

わが子3人は4月、7月、8月生まれで、早生まれのハンデがなかったのはよかったと思う。本人はどう思っているのだろう。

       <「頂門の一針」から転載>

2013年04月03日

◆韓国軍、ミサイルで先制攻撃も

古澤 襄


<朴槿恵大統領は1日午前、国防部で開かれた2013年国防部・国家報勲処業務報告に出席した。この席で朴大統領は「北朝鮮が挑発したら、政治的な考慮はせずに、初戦で強力に対応せよ」と指示した。

韓国国防部(省に相当)は1日、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領に対する業務報告の中で、北朝鮮による核の危機を3段階に分類し、今年7月までに米国と協議して段階別の抑止戦略を樹立することを明らかにした。

■北朝鮮の核使用が迫っていれば先制攻撃

韓国軍は、北朝鮮による核の危機を「脅威」「使用臨迫」「使用」の3段階に分け、韓米共同の段階別抑止戦略を整備することにした。7月始めに完成させ、8月の韓米合同演習「乙支フリーダムガーディアン(UFG)」で試験的に適用する。

その後、10月の韓米年次安全保障協議会(SCM)で最終承認されるという。韓米は昨年から北朝鮮の核攻撃に備え、米国の核研究施設(ロスアラモス研究所)で「韓米拡大抑止机上演習(TTX)」を行ってきた。

まず「脅威」の段階では、トマホーク巡航ミサイルを搭載した米国の原子力潜水艦、B2ステルス爆撃機などで武力を誇示し、北朝鮮の核攻撃の意欲を抑止する。それでも北朝鮮が核兵器を使用する明白な兆候が見られる「使用臨迫」の段階では、ミサイルでの先制攻撃を検討・実施するという。

国防部は、現在米国に依存している韓国軍の監視・偵察能力を画期的に向上させる「能動的(自主的)抑止戦略」を持つという方針を打ち出した。このため、2021年に導入予定の軍事用偵察衛星1基のほかに、偵察衛星を追加で確保することを検討している。

高高度無人偵察機や西北島しょ(西海〈黄海〉沖の北方限界線〈NLL〉近くにある島々)地域で偵察に用いる飛行船の導入も急ぐ予定だ。

■2017年までに兵士の給与を2倍に引き上げ

また国防部は、北朝鮮のサイバー攻撃に備えてサイバー戦遂行要員を大幅に増員するなど、サイバー戦能力も大幅に拡充することにした。韓国空軍の次期戦闘機(FX)事業の機種は、予定通り今年の上半期中に選定する。

また、兵士の給与を17年までに現在の2倍に引き上げる一方「軍服務期間を18カ月に短縮する」という公約は、中長期の課題として推進する。李明博(イ・ミョンバク)政権時代に国防改革上の最大の課題となっていた韓国軍の上部指揮構造改編問題は、朴大統領や金章洙(キム・ジャンス)大統領府(青瓦台)国家安保室長が否定的立場を取っていることもあり、1日の業務報告には含まれなかった。

■「兵役不正、絶対的関心を持って見守る」

朴大統領は業務報告中、韓国海軍第2艦隊司令官とテレビ電話で話し「4月からカニ漁が最盛期を迎えると聞いている。西海NLL付近で操業する漁民の安全と生業の保護に、万全を期してもらいたい」と語った。また朴大統領は「将兵の強い精神力が極めて重要」として精神力の強化を強調した。国防部は、来年1月のオープンを目標に「国防精神教育院」の設立作業を進めている。

さらに朴大統領は「兵役で不正が発生すれば、国民に対し言葉にできないほどの違和感や不信を与えることになる。私はこれから、韓国軍の統帥権者として、この部分を絶対的な関心を持って見守っていく」と語った。(朝鮮日報)>

<「頂門の一針」から転載>

2013年04月02日

◆試練にも直面している習近平

古澤 襄


(CNN)3月中旬に行われた中国全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で新国家主席に選出された習近平(シーチンピン)氏(59)は、共産党・国家・軍のトップとして名実ともに中国の最高指導者となった。

習氏の国家主席就任で、10年にわたり中国を統治した70歳の胡錦濤(フーチンタオ)前主席から、昨年11月の共産党総書記への就任により最高指導者となることが事実上決まっていた習氏への権力移譲は完了した。

専門家からは、習主席について、江沢民(チアンツォーミン)元主席や胡氏とは異なり、実力者だった故トウ小平氏に抜擢されたわけではないために力の弱いリーダーであり、江・胡両氏の影響力が残る中では権力基盤固めには2、3年はかかるだろうとの声が出ている。

しかし、この見方は、胡氏から党トップの総書記と軍トップの党中央軍事委員会主席の座を譲り受けた昨年11月の党大会以降、変化の予感とともに覆されつつあるようだ。

習氏は全人代の閉幕式の演説で、一般大衆の声に耳を傾けつつ中華民族の偉大な復興に全力を尽くすことを誓った。

習氏が総書記就任直後の初の地方視察の地として、毛沢東思想や革命の聖地ではなく、広東省深センを訪問したのは象徴的だった。

ここは、経済改革が最初に試され、寂れた村から活気溢れる経済センターへと30年で発展した場所だ。深センを経済特区に指定したのは、習主席の父で、広東省長も務め経済改革を先導した故習仲勲・元副首相である。

習主席が、従来のやり方をどの程度維持するのかは就任間もない時点ではまだ不明だが、既にいくつかの試練にも直面している。

今年1月には、リベラル色の強い「南方週末」紙の記者たちが、法治主義の強化を訴える記事が、地元の広東省共産党委員会宣伝部長により改ざんされたとして抗議活動を展開。この動きは国内で幅広い支持を集めるなど、中国の新指導部に対する圧力となった。

暫定的な妥協策でその後収拾された南方週末の一件を、香港浸会大学のジャンピエール・カベスタン教授は「勝者はおらず、引き分けのようなものだ」と指摘。一部で政治改革の動きが見えるものの、決定的なものではないと付け加えた。

カベスタン教授はまた、習主席になってからは新しいスタイルは垣間見えるが、政策・組織面や、外交を含む政治手法には明確な変更点はないため、本質的な変化については疑問符が付くとしている。

しかし、人民大会堂の中でインタビューした全人代代表(議員)からは、より楽観的な声も聞かれた

製薬会社の経営にも携わるサイシージー氏は、地方幹部からスタートした習氏について、社会や人々の気持ち、そしてやるべきことをよく理解していると指摘。独占企業でもある国有企業に対して不利な立場にある民間企業への後押しを期待しているという。

国営出版社の編集者フアンヨウイ氏は、教育も受けていながら青年期に長年農村で生活した経験も持つ習氏が率いる新政権について、実務家の集まりだが直面する問題も非常に大きいとの見方を示す。

中国は、経済成長の鈍化をはじめ、失業者の増加や貧富の格差拡大、腐敗の蔓延(まんえん)、環境・公害問題、大衆の不満や社会の不安定化など数々の難問に直面している。

これらに加え、国力伸張とナショナリズムの高揚により、日本など近隣諸国とのあつれきも高まっており、習氏はこれらの問題の解決先送りが許されないと専門家は声をそろえる。

中国問題の専門家であるロバートローレンス・クーン氏によれば、ソーシャルメディアや携帯端末の普及で増幅された大衆の大きな怒りと、2012年に発生した政治スキャンダルが、本人の持つ素質やビジョンと合わさって、習主席の政治力にとって大きな追い風となっている。

中国が抱える根深い問題を解決するためには、信任が厚く、政治資本も豊富な習氏が、その強力な政治基盤や実行力を生かすことが必要だとクーン氏は指摘する。

習主席が、これらの難題をどのように処理するのかが、13億人の中国人、そして、全世界の人々運命をも大きく左右することになりそうだ。(CNN)>

<「頂門の一針」から転載>

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