2013年02月05日

◆中国に蚕食される日本列島

伊勢 雅臣


■1.中国企業が買い漁る日本の山林

中国企業による日本国土の買い漁りが進んでいる。たとえば平成22(2010)年7月、北海道伊達市と壮瞥町の境界に広がる700ヘクタール(東京ドーム150個分)以上の森林を所有・運営していた日本のゴルフ場企業が経営に行き詰まり、中国人実業家の企業に買収された。

これでこの土地は実質的に中国企業のものとなったが、国土法によって所有者を届け出る必要があるのは、「新たな所有者が土地を取得したとき」のみである。この森林の場合は、買収されても所有企業の名前が変わらなかったので届け出の必要がなかった。

林野庁からの指示で北海道が調査した結果、平成20(2008)年までの3年間に取引された30ヘクタール以上の森林などの不動産は7万ヘクタール。取引を行った企業139社のうち、上記のように中国企業が偽装して山林を買い取っている例がどれだけあるのか、その資本関係まではつかみきれないが、正真正銘の中国企業が一社見つかった。

北海道倶治安町の57ヘクタールの山林の所有者は父親から遺産相続した山林の売買を不動産屋に依頼していたら、いつのまにか香港の企業に売られてしまったという。そのうちの32ヘクタールが水源機能を持つ保安林だった。同じく北海道ニセコ町では町内にある5つの水源のうち2つが外国資本の敷地内にあった。[2]

北海道ばかりではない。鹿児島県奄美大島一帯の山林の買収を進めている海運会社グループは、もともと日本人の同族経営だったのが、中国人役員が経営に参画し、その後、事業拡大が図られている。

三重県の大台町は、1000メートル級の山並みが続き、伊勢神宮を流れる宮川の源流として名高いが、この「水の聖地」も平成20(2008)年1月に中国企業に買い取られた。一人の中国人が町役場に来て、250ヘクタールの山林を登記していった。しかし、実際に買い取ったのは1000ヘクタールを超えるとも言われている。

■2.中国の危機的な水資源

中国企業と言っても、日本や欧米のような私企業を想像してはいけない。国や地方政府、軍が直接、経営している企業もあれば、個人経営でも、背後に政府や軍がバックアップしている企業もある。中国企業が海外で活動している場合、その背後には中国共産党がいると考えた方がよい。

中国共産党はなぜ日本の山林を買収するのか。日本の国会にあたる全国人民代表大会のメンバーがこう語ったと伝えられている。

<北京の水資源は危機であるが、この事実を国家指導者だけが知っていて北京市民には知らされていない。長江は世界一長い下水道と呼ばれ、地下水は90パーセントが汚染されている。北京に住む外国人も市民も逃げ出せば、全国の13億人は大混乱に陥る。>[1,p139]


10年以上連続で旱魃に(かんばつ)に見舞われている北京市では、1960年代から建設された80カ所以上のダムにもほとんど水がない。また全国の主要都市660カ所の中で、400カ所以上の都市で水不足となっている。

工場用地や住宅用地を作るための無計画な自然破壊で北京からわずか70キロまで砂漠が近づいている。我が国を襲う黄砂もこれが原因だ。[a]

■3.日本の水資源を狙う中国共産党

この問題に対処する手っ取り早い方法は、日本の山林を買収して、その水資源を確保することだ。

もっとも中国共産党は十数億の人民全体を救おうなどとは考えない。なにしろ1パーセントの特権階級が全中国の41・4パーセントの富を手中に収め(世界銀行の報告)、国民の賃金収入の総額は、GDP(国民総所得)の8パーセントと世界最低の国なのである。中国人民は、中国共産党の搾取の対象であっても、守るべき存在ではない。

おそらく、党や政府、軍の幹部たち特権階級が、自分たちの飲み水を確保し、さらには安全でおいしい日本の水を高く売って儲けようとしているのだろう。

我が国としては、美しい森林が乱開発されるだけではない。一朝事ある時に、上流で毒物でも流されたら、下流の都市部では大変なことになる、という安全保障上のリスクも伴う。

オーストラリア、カナダ、ロシアなどでは、外国人が森林・水源などの不動産を買うことを規制する法律を制定している。これは中国人による資源買い漁りを防ぐためだ。我が国でも森林法の改正など一部の動きはあるが、早急に法律の整備を進めるべきだ。

■4.東京ドーム3個分の「領事館」用土地取得

山林だけでなく、都市部の土地買い漁りも進んでいる。たとえば中国政府は領事館建設という名目で、新潟駅から徒歩8分の中心部に1万5千平米もの土地取得を進めてきた。

ちょうど平成22(2010)年の尖閣諸島沖での中国船衝突事件の後、地元住民の強い反対運動があって、同年11月には売却が凍結された。

しかし平成24(2012)年3月には民主党政権の方針もあって、新潟県庁から徒歩数分の中心部でやはり約1万5千平米の売買契約が中国政府と交わされたことが判明している。

そのやり口がいかにも悪辣(あくらつ)だ。中国政府は前年7月に北京の日本大使館を違法建築として使用を認めない措置をとった。そして、この大使館の使用を許可する代わりに、日本国内の土地を取得できるよう圧力をかけたのである。こういう卑劣なやり口に易々と屈してしまう外務省や民主党に国土が守れるはずもない。

しかし1万5千平米もの広さを何のために使うのか。東京ドーム3個分と言えば、野球場のようにグランドを広くとっても15万人は収容できる。地方の領事館の通常の用途で、こんな広さを必要とするはずがない。しかし中国が領事館として取得した土地は治外法権となるため、そこで何が行われても我が国は手出しができない。

これに関連して注目すべきは、日本海の対岸である北朝鮮の羅津港の50年間の使用権を中国が得たことだ。ここに7万トン級(戦艦大和並み)船舶の出入り可能な埠頭を建設し、中国側からの鉄道も敷設するという計画がある。

たとえば難民に扮した数万人規模の人民解放軍兵士が大型漁船などで新潟市に流れ着いて、それを中国領事館が「保護・収容」したとしたら、日本政府として何か手が打てるだろうか。

■5.「棄民」政策

実は自然環境を破壊尽くした中で、十数億の大量の人口を抱える中国の特権階級が生き延びる手段として、外国の資源買い漁りのほかに「棄民」という手がある。余分な人間を海外に移住させることだ。

その典型的な例が、移民に寛容であったカナダである。バンクーバーを中心とする都市圏人口は210万人とされるが、そのうち約18パーセントが中国系で、さらに市内では30パーセント近くが中国系住民となっている。いまや香港にひっかけて「ホンクーバー」とも呼ばれるほどである。

周辺のリッチモンド市に至っては半数以上が中国系で、街の看板も中国語の方が英語より多い。中国人は運転も荒く、交通事故は増加中。カードや紙幣の偽造事件も多発している。

これは他人事ではなく、我が国にも同様の事態が生じている。埼玉県南部には、住民の40パーセントが中国人という団地があるが、階段には汚物がまき散らされ、窓からは生ゴミが降ってくる。これは中国人にとっては普通の生活スタイルなのである。

我が国で、正式に外国人登録をしている中国人だけでも80万人を超えるが、これは鳥取県や島根県の人口よりも多い。さらに不法滞在者や密入国者を加えると、100万人を超すと言われている。

■6.「人民が外に出て行くように指導する」

中国大陸から海外への人口流出は、中国共産党の政策でもあるようだ。中国共産党の中央軍事委員会副主席・国防部長だった遅浩田は、2005年4月に「アメリカ打倒、日本殲滅」という講演の中で、次のような発言をしたと流布されている。

<第2次天安門事件という騒乱を平定した後、我々は、同事件のような武力によらない政権転覆をどのように防止して共産党の指導権を維持するかについてずっと考え続けています。

我が党が深い省察を加えた結果、我々はついに結論を得ましたが、それは、発展し始めた国力を、外に打って出る力に変え、人民が外に出て行くように指導することの他には、・・・人民が共産党なしにはいられず永遠に共産党と共に歩むことを心から願うようにすることはできないという結論でした。>[1,p235]

確かに、自然を破壊尽くした中国大陸に、十数億の人間が押し合いへし合いして暮らしていれば、その不満は共産党に向かうが、「人民が外に出て行くように指導」して、海外植民地を作れば異国の中で暮らす中国人社会にとっては中国共産党を頼りにするようになる。棄民政策は、中国共産党が生き延びるための一石二鳥のアイデアなのである。

その棄民政策の一環が、人員整理された軍人を送り込むことだ。中国では膨大な退役軍人が1ヶ月200元(約2500円)の年金だけで生活しなければならず、その不満から2010年8月1日の共産党軍設立記念の日には、数十万人規模のデモが発生している。

彼らの不満や失業率を打開する作戦として、若くして退役させられた軍人などを日本に留学生、結婚、研修生、残留日本人孤児家族などの形で毎週500人のペースで送り込んでいる。[1,p196]

平成20(2008)年4月26日の長野オリンピック聖火リレーでは、4000人もの中国人学生が集まり、一部は暴徒化して数十人の日本人が負傷している。

日本国内に居住する中国人の相当部分は、中国共産党にコントロールされているとみるべきだ[b]。これらの学生に、さらに退役軍人までが加わったらどうなるのか。

■7.沖縄の「独立闘争に手を差し伸べるべき」

香港の雑誌『前哨』など中国系の新聞や雑誌に「2011年9月15日付けで『中華民族琉球特別自治区委員会』が成立した」という広告が掲載された。

これは沖縄は日本の一部ではなく「琉球」という別の国であり、しかもチベットやモンゴルと同様、「特別自治区」として中国に属す、という宣伝工作なのである。

中国共産党の機関紙である人民日報系の情報誌『環球時報』でも、「中国は琉球独立運動を支持すべき」という記事を掲載している。

それによれば、1879年に琉球王朝が廃止されてから、1945年の敗戦まで日本は沖縄に対して残酷な統治を行い、終戦間際には「米軍占領の直前に日本軍は26万人を殺し、虐殺の規模は南京大虐殺に次ぐものとなった」などと言いたい放題。

さらに沖縄住民の祖先は福建からの移民が多く、大半のルーツは中国にあるとして、沖縄を「同胞」と呼び、「同胞が苦難に直面している時、我々はその独立闘争に手を差し伸べるべきだ」と主張している。

日本人から見れば、バカバカしい限りだが、これはかつて中国が東トルキスタンを侵略して、新疆ウイグル自治区として取り込んだやり方と同じである。

まず「ここは中国の領土だ」と世界中に宣伝して、次に委員会を作り、漢民族を大量に移住させて、弾圧、粛正、民族浄化を行うという方法である。[c,d]

中国の狙いは尖閣諸島のみならず、すでにその先の沖縄に向けられているのである。

■8.中国共産党と連動した国内の動き

以上の中国共産党の戦術から見れば、国内での動きがそれとよく連動していることが見てとれる。

たとえば「移民1000万人移住計画」。公明党、民主党から自民党の一部にまで支持者がいるようだが、中国共産党側の「人民が外に出て行くように指導する」方針と、それを積極的に迎え入れようとする動きがぴたりと合致している。

ドイツはトルコからの移民政策がうまく行かず、大きな社会問題を抱えているが[d]、中国からの「棄民」を大量に受け入れたら、それどころではない。

文科省の「留学生30万人計画」も、「卒業後の雇用の促進」まで謳っており、同様の狙いだろう。平成23年時点の13万8千人の留学生のうち、中国人がすでに63・4パーセントを占め、その比率も上昇を続けている[3]。そもそも就職に苦労している多くの日本人学生をさらに苦しめるような政策をなぜとるのか。

こうして移民や留学生の形で多数の中国人を国内に引き込み、彼らに地方参政権を与えてしまえば、国内政治の実権を渡してしまうことになる。

鳩山元首相は「日本列島は日本人だけのものではない」と言ったが、それは中国共産党の本音をつい漏らしてしまったのだろう。「ルーピー(クルクルパー)ハトヤマ」には、中国共産党も舌打ちしていたのではないか。

鳩山氏は沖縄の米軍基地を「最低でも県外」と公約して、日米同盟を迷走させた。「琉球特別自治区」を作ろうとする中国共産党の最大の障害が沖縄の米軍であることを考えれば、沖縄の基地反対運動も、中国側の狙いと連動しているものと考えるべきだ。

こういう内外からの侵略に屈して、我々の子供たちにチベット人やウイグル人のような悲惨な運命を辿らせて良いものか。そういう事態を防ぐ責任は今の我々にある。

■リンク■

a. JOG(469) 人類を襲う水飢饉
 水飢饉から人類を守るために、日本の「緑と水」の技術が求められて
いる。
http://bit.ly/VxV1HA

b. JOG(563) 哀しい中国工作員

 中国の秘密工作活動は、有為の青年たちの夢を断ち、自らの健全な発
展の芽を摘んでいる。
http://bit.ly/11zc60W

c. JOG(523) シルクロードに降り注ぐ「死の灰」
 中国に植民地支配されたウイグル人の土地に、核実験の死の灰が降り注ぐ。
http://bit.ly/XVMJnS

d. W1367 中国のウイグル民族浄化政策
http://bit.ly/VwMZvp

e. JOG(143) 労働移民の悲劇
 ぼくたちには何のチャンスもありません。ドイツに夢を抱いていたことが間違いでした
http://bit.ly/XOzOn6

■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け)  →アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。

1. 鳴霞『日本掠奪―知ったら怖くなる中国政府と人民解放軍の実態』★
★★、桜の花出版、H24
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4434169033/japanontheg01-22/

2. 「『内なる脅威』にさらされる日本の国土」、『明日への選択』H24.3

3. 独立行政法人日本学生支援機構「平成23年度外国人留学生在籍状況調
査結果」
http://www.jasso.go.jp/statistics/intl_student/data11.html

■■ Japan On the Globe(784) ■■ 国際派日本人養成講座 ■■
The Globe Now: 
「日本列島は日本人だけのものではない」が現実になる日。 ■転送歓迎■ H25.02.03 ■ 40,062 Copies ■ 3,570,647 Views■
無料購読申込・取消: http://blog.jog-net.jp/  転載

       <「頂門の一針」から転載>

2013年02月04日

◆内閣支持上昇63%、毎日調査

古澤 襄


安倍内閣の支持率が63%に達した。昨年の内閣発足時より11ポイントの上昇。安倍首相の経済対策に期待する声が69%にのぼっている。毎日新聞は憲法改正など「安倍カラー」の政策を自重した手堅い政権運営がひとまず功を奏していると分析している。

主な政党の支持率では自民32%に対して民主5%で低迷が続いている。日本維新の会の11%、みんなの党の6%の後塵を拝する始末。「支持政党はない」と答えた無党派層は、前回から8ポイント増加して33%。

<毎日新聞は2、3両日、全国世論調査を実施した。安倍内閣を「支持する」との回答は63%で、内閣発足に伴う昨年12月の前回調査から11ポイント上昇。

「支持しない」は19%で同7ポイント低下した。安倍晋三首相の経済政策に「期待する」は69%で、「期待しない」の28%を大きく上回った。大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を柱に経済再生に取り組む首相の姿勢が、内閣支持率を押し上げたとみられる。

◇民主支持5%に下落

内閣発足時から支持率が上がったのは、01年の小泉内閣(85%→87%)以来。06年の第1次安倍内閣は67%から53%に低下した。支持率をみる限り、憲法改正など「安倍カラー」の政策を自重した手堅い政権運営がひとまず功を奏している。

政府と日銀は先月、デフレ脱却に向けて2%の物価上昇目標を盛り込んだ共同声明を出した。これを「評価する」は38%、「評価しない」は19%だったが、「分からない」も41%を占めた。物価上昇が国民生活の改善につながらない場合、内閣への批判が強まる可能性もある。

一方、日本人10人が犠牲になったアルジェリアの人質事件を巡る政府の対応は、「評価する」(47%)と「評価しない」(46%)が拮抗(きっこう)した。ただ、「評価しない」層でも内閣支持率は57%あり、内閣の大きな失点にはなっていない。

内閣支持率をみると、自民支持層の91%、公明支持層の69%が支持しているのに加え、野党でも支持率が高いのが特徴だ。日本維新の会支持層で63%、みんな支持層で73%に達し、民主支持層でも支持(47%)が不支持(40%)を上回る。

半面、野党各党の支持率は伸び悩んでいる。自民の支持率は前回比1ポイント増の32%だったのに対し、先の衆院選で大敗した民主は5%(同2ポイント減)で低迷が続く。維新11%(同3ポイント減)▽公明4%(同1ポイント減)▽みんな6%(増減なし)▽共産3%(同1ポイント増)など。「支持政党はない」と答えた無党派層は33%で、前回から8ポイント増加した。

7月の参院選比例代表の投票先は、自民が33%で最も多く、維新が15%、みんなが9%で続いた。民主は7%にとどまり、参院選で党勢回復の兆しが見えない。(毎日)>

2013.02.04 Monday name : kajikablog
        <「頂門の一針」から転載>

2013年02月03日

◆「奄美大島だより」

仙田 隆宣


今、「奄美に関する2冊の本の復刻版の出版」に関わっている。

1冊は、「奄美大島に於ける家人(ヤンチュ)の研究」という本である。
この本は「名瀬史誌」編集委員会の資料編として無料頒布された本である。
印刷・製本した会社は「鹿児島県教員互助会 印刷部」である。

この団体は、かつては印刷・出版の事業もやっていたのだ。当時の鹿児島県の出版物のほとんどはここの印刷・製本によるものである。そういう面では鹿児島県の出版文化に深くかかわっていたと言える。

著者は金久好という人物で、東京大学経済学部の大学院生の時の論文で、奄美大島に於ける「家人」の調査をした唯一の資料である。

「家人」というのはいわゆる債務奴隷で、封建社会の奄美では奴隷制度が歴然としてあったのである。

このことを学生だった金久好が、自分の出身地である瀬戸内町を中心に丹念に聞き取り調査し研究した資料で、「家人」の実態を伝える極めて貴重な文献である。

この本は古書店でもほとんど見かけることはないのだが、たまに見かけるとすれば何万という高価な値がつく貴重本となっている。

この金久好は長命で、99歳で2010年に亡くなった。ぼくは、その時、東京に来ていたのだが会っておけばよかったと後悔した。もっともも亡くなったことを知ったのは新聞紙上だったのだが・・・。彼の死亡記事は全国紙・地方紙問わず、全ての新聞に掲載されていた。彼が日興証券の副社長まで務めた人物だったからである。

この本を出来るだけ多くの人に読んで欲しいと思い、復刻版の出版を南方新社の社長にお願いしたのである。当時の本は活字を組み合わせた活版印刷であったため誤植もかなりある。

元の本を写真で撮って、誤植部分だけ活字を入れ替える方法もあるようだが、ぼくは息子の力を借りて全文を打ち直し、データ化した。その作業に相当な時間がかかってしまった。やっと校正も終わり、遺族の了解を取る段階まできた。

もう1冊は、「復帰運動の父」と言われた泉芳郎の詩集の復刻版である。

奄美復帰60周年の今年この本を出版しないと機会を失うということで、この話は南方新社の社長から相談を受けた。遺族を探し出すのに手間取ったが、泉芳郎の末弟が茨城県取手市に在住していることが分かり連絡を取った。

89歳の高齢なのだが、はっきりした応対で感服した。復刻版の出版は心から喜んでくれた。泉芳郎のノートも残っているらしい。それも詩集の中に新たに入れられないか検討しているとのことである。

仕事の合間のこういう仕事は楽しい。気分的にゆとりはないのだが、一つひとつ実現に近づいていくことが嬉しく、何より「奄美に関わっている」という実感が、気分を高揚させる。ありがたい。
                 <奄美大島郷土愛好家>


2013年02月02日

◆かつて体当たり的だった

岩見 隆夫


日中両国の現状について、「まったく心配していない。なにしろ、両国は1500年のお付き合いだから」と政府首脳の一人は言うが、額面どおりに受け取ることはできない。昨年来の不穏な空気を感じていない国民は、それこそ一人もいないからだ。

1月28日、安倍晋三首相の初の所信表明演説では、<危機>が連発されたが、肝腎の<中国>、<尖閣>はどこにもない。さらに<憲法>、<原発>もない。なぜなのか。

ところで、日中関係は戦後もっとも危機的状況といわれる。軍事専門家の多くが、<火を噴く>可能性に言及するのだ。両国首脳がそれを望むはずはなく、政治家の往来もひんぱんになっている。

年初以来、中国側の招きで、鳩山由紀夫元首相、山口那津男公明党代表、村山富市元首相、加藤紘一元自民党幹事長らが相次いで北京入りした。いずれも親中派で、日中間の緊張をほぐす役割を果たすことになれば結構なことだ。しかし、それだけでは足りない。

40年余前の日中国交正常化の前夜も、やはり危機だった。正常化の大役を果たした大平正芳外相(当時)が、「(正常化は)やらざるをえなかったのだよ。やらなければ、(田中角栄の)政権はもたなかった」

と苦衷を語るのを聞いたことがある。内外の情勢がそれを迫っていたからだが、身内の自民党台湾派の壁がもっとも厚かった。

当時、何人もの親中派政治家が、パイプ役を果たしている。松村謙三、高碕達之助、石橋湛山、浅沼稲次郎、古井喜実、田川誠一……。松村の初訪中は、正常化をさかのぼること13年の59年で、すでに76歳の老齢だった。

正常化のあとも、日中関係は平坦(へいたん)ではない。社会党の長老、八百板正(当時72歳)は78年1月、日中農業農民交流協会訪中団の団長として訪中するが、その前に岸信介元首相を訪ね、次のやりとりをしている。

「中国側に『岸訪中を受け入れる気はないか』と聞いてみたいが、どうだろうか」

「受け入れるかなあ」
「わかりませんよ」

「おもしろい。やってみるか」

岸の派閥を継いだ福田赳夫首相が日中平和友好条約の締結に腐心していたころだ。岸すでに81歳。八百板は対日関係の実力者、廖承志(りょうしょうし)に持ちかけ、廖は、

「大変結構な話です。われわれも考えないでもなかった」と答えている。前後して、親中派の宇都宮徳馬(71歳)も、岸の意向を確かめたうえ訪中、廖承志に、

「岸も来たいと言っている」と伝えると、廖は、

「えっ、岸さんが……。ほんとですか」と驚いてみせたという。この訪中話は結局実現しない。だが、台湾派の老巨頭である岸の出番を、親中派が作ろうとする。あのころ、政治家はダイナミックに動いた。

次の話もあまり知られていない。民社党の塚本三郎委員長が訪中したのは87年9月。与野党を問わず、政党の党首が交代すれば、北京詣でをするのが慣例のようになっていた。

塚本は最初断ったが、3度目の招待状に応じる。当時、日中間で<光華寮>問題が燃えさかっていた。戦前、京都大学が管理していた中国人留学生寮だが、戦後、中華人民共和国成立後に台湾が購入、中国支持の寮生を退去させたことから訴訟になる。

1審は寮生側が勝ち、2審は逆転、最高裁で係争中だった。北京は<中国は一つ>の立場から返還を強く要求、中曽根康弘首相、二階堂進自民党副総裁らが訪中のたびにてこずっていたのだ。

人民大会堂での会談で、最高指導者のトウ小平は、「アメリカは大統領と議会と裁判所の三つの政府がある。どの政府を信用していいかわからない。日本もアメリカの悪いところをまねないようにしてください」

と繰り返し、かみ合わない。業を煮やした塚本は、ついに、

「閣下、見苦しいから、もうそんな主張はおやめなさい。日中平和条約の第1条は<内政不干渉>を約束している。閣下は約束違反の第1号になりますよ」

と声を荒らげた。トウはやっとホコを収める。

塚本はいま85歳、先日会い改めて真相を聞いた。

「帰りぎわ、トウさん、出口まで送ってきてねえ、『今日はじめて日中間の政治のやり方の違いがわかった。時々北京に来て教えてください』と。逆に感心したなあ」

岸訪中計画、光華寮問題は長い日中関係史のほんの2コマにすぎない。だが、伝わってくるのは、かつて政治家は体当たり的だった。いまはそれが薄いのではないか。(敬称略)

2013.02.02 Saturday name : kajikablog

<「頂門の一針」から転載>

2013年02月01日

◆習政権「関係改善」の下心

古澤 襄


石平(せき・へい)氏は”China Watch”で「不変を以て万変に応じる」というのが、安倍政権の進むべき対中外交の王道ではないか・・・と説いた。

中国の習政権は日本に対してむしろ未曽有の強硬姿勢で臨んでいた。中国軍機が日本の防空識別圏に侵入し露骨な軍事的挑発を行ったのは同10日のことであったし、それを前後にして、中国一部の学者や現役軍人は「対日開戦」まで公言していた。

それが訪中した公明党の山口那津男代表と会談し、安倍晋三首相の親書を受け取った。会談では日本との関係改善に意欲を示したことが大きな波紋を呼んでいる。

石平氏は一転して中国は突如の「君子豹変(ひょうへん)」を演じてみせた背景を鋭く指摘している。

<今月25日、中国の習近平総書記は北京訪問の公明党・山口那津男代表との会談に応じ、日本との関係改善に意欲を示したことが大きな波紋を呼んでいる。

それより1週間前に、習政権は日本に対してむしろ未曽有の強硬姿勢で臨んでいた。中国軍機が日本の防空識別圏に侵入し露骨な軍事的挑発を行ったのは同10日のことであったし、それを前後にして、中国一部の学者や現役軍人は「対日開戦」まで公言していた。

そこから一転して、中国は突如の「君子豹変(ひょうへん)」を演じてみせたのだが、それは一体なぜなのだろうか。

日本側が今まで、かなり戦略的な外交を進めてきたことが、習政権の「態度軟化」を引き出した要因の一つであろう。昨年112月末に安倍政権が発足して以来、「日中関係の改善」には拙速に動くことなく、むしろ中国周辺の国々との関係強化に乗り出した。対中関係の「本丸」を攻める前にまず「外堀」を埋めていく手法である。

その一方、安倍晋三首相は「領土問題の交渉に応じない」との姿勢を貫いており、中国側に突け込む隙を与えなかった。

こうした日本側の動きに焦りを感じたからこそ、習政権は今年に入ってから、安倍政権を屈服させるためのお粗末な軍事恫喝(どうかつ)に打って出た。だがそれはまた日米連携の反撃に遭って不発に終わった。

1月18日、米国のクリントン国務長官は日本の岸田文雄外相との会談において、尖閣に対する日本の施政権を損なういかなる行為にも「反対する」と明言した時点から習政権の軍事恫喝は完全に効力を失った。

それから1週間後の同25日、恫喝が無効だと悟った習総書記は結局、上述の「柔軟姿勢」に転じたわけだが、それはあくまでも、尖閣を狙う中国側の戦術的な転換にすぎない。

山口代表との会談の中で、習氏は日中首脳会談の開催に関して「環境を整える必要がある」と語る一方、安倍政権に対しては関係改善へ向けて「実際の行動」をとるよう求めた。

つまり中国側は、関係改善を誘い水にして安倍政権から「尖閣問題」に関する「実際」の譲歩を引き出そうとする魂胆だ。

いわゆる「棚上げ論」をぶち上げてきたのも、「領土問題は存在しない」という日本側の立場を切り崩して、「尖閣奪取」の突破口をつくっていく手口である。

それこそは、本欄がかねて指摘している「習近平の罠(わな)」の最新版なのである。この新しい罠の巧妙なところは、習氏自身が関係改善への「強い意欲」を示すことによって、ボールを安倍首相の方に投げてしまう点である。

それを受けて、もし安倍政権が関係改善のために何らかの譲歩でもすれば中国側の勝ちとなるが、安倍政権が譲歩を拒んだ場合、中国側はまた、関係改善ができないことの責任を安倍首相に押し付けることができる。

また、中国側が「柔軟姿勢」に転じたことで、日本国内の世論分断を図ることも狙いの一つであろう。

こうしたなかで、安倍政権は今後、今までよりも複雑な局面に直面していくこととなろうが、日本側が取るべき賢明な対処策は、関係改善と「領土問題」とを完全に切り離しておくことだ。

つまり、関係改善のための対話ならいくらでも応じるが、「尖閣」を対話のテーマにするようなことはしないことだ。「領土問題は存在しない」という日本の立場をどこまでも堅持していくべきである。

焦っているのは中国の方であって、日本側ではない。領土を守り抜くことを大前提にして、「不変を以て万変に応じる」というのが、安倍政権の進むべき対中外交の王道ではないか。

                  ◇

【プロフィル】石平(せき・へい)=1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。(産経)>
2013.01.31 Thursday name : kajikablog

<「頂門の一針」から転載>


2013年01月31日

◆統治能力そのものが問われる

加瀬 英明


これから世界の2つの地域が、激動に見舞われる可能性が高い。

まず、中東だ。一昨年から独裁政権が、次々と倒れた。

私はその時から、本誌で欧米のマスコミが「アラブの春」とか、「アラブ民主革命」と呼んで喝采し、日本の新聞やテレビも追従したが、このように囃し立てたのは誤っており、中東の民衆にとっても、先進諸国にとっても、状況が革命前よりも大きく悪化しようと、指摘した。

いま、シリアのアサド政権も危ない。欧米のマスコミは、アサド政権が悪であって、反乱側が善だという報道を行ってきたが、まったく不勉強だ。

もし、アサド政権が崩壊すれば、民族や、宗派が入り乱れて殺戮しあう、地獄のような状態がさらに続いてゆくこととなろう。そうなれば、シリアを囲む国々を捲き込んでゆこう。シリア内戦における死者は、すでに5万人を数えている。

歴史を振り返れば、専制を倒すことより、そのあとがどうなるのか、ということが重要であることを、教えている。イランでホメイニ革命によって、パーレビ皇帝による独裁体制が倒されてから、どうなったか。欧米のマスコミは、記憶力を欠いている。

ソ連が倒壊した後に、バルカン半島ではユーゴスラビアが分裂して、凄惨な内戦が戦われた。

 民主主義も統治能力が第一である

民主的な選挙も、民主主義をもたらすとはかぎらない。イスラエルが2005年にガザ地区から撤収した後に、自由な選挙が催されて、イスラム原理主義のハマスが実権を握った。ヒトラーも民主的な選挙によって、ナチス政権を樹立した。

中東の独裁政権はどれも世俗主義をとって、イスラム原理主義を敵視して弾圧してきた。

「アラブ民主革命」が独裁政権を崩壊させたために、中東においてイスラム原理主義の時代の幕があがった。

旧独裁諸国で自由な選挙が行われた結果、イスラム原理主義政党が権力を握った。

中東の政治地図が、一変しつつある。

エジプトは全アラブ人口の4分の1を占める最大のアラブ国家だが1952年にナセル中佐が自由将校団を率いて、クーデターによって王制を倒してから、サダト、ムバラクの3代にわたって、軍部独裁体制が続いた。

軍部独裁政権は、1928年代に結党された、イスラム原理主義政党である「ムスリム同胞団」の幹部を、投獄してきた。ところが、自由な選挙が行われた結果、モルシ政権が誕生した。

チュニジア、リビアも、似たような道を辿っている。魔法の瓶から専制という蓋をとったところ、イスラム原理主義という恐ろしい妖怪が放たれた。

 イスラエルを囲む状況の変化

イスラエルを囲む状況が、一変した。

昨年11月に、パレスチナ・ガザ地区を支配するハマスが、イスラエルの住宅地にロケット攻撃を加えたのに対して、イスラエルが報復攻撃を行い、多くの死傷者がでた。

これまで、イスラエルに隣接するエジプト、シリアをはじめアラブ諸国は、表立ってハマスを支援することを控えてきた。

エジプトとシリアは1973年に、ユダヤ人国家であるイスラエルを滅ぼそうとして、懲りずに第4次中東戦争を仕掛けた。

ところが、また完敗して、エジプトは1967年の第3次中東戦争で失ったシナイ半島を、シリアもゴラン高原を回復できなかった。シナイ半島はイスラエルとエジプトが平和条約を結ぶことによって返還されたが、ゴラン高原はいまだにイスラエルの占領下にある。

アラブの独裁政権は、1973年にイスラエルに惨敗してから、損得を計算をして、イスラエルを口先で糾弾しても、イスラエルと戦うことを避けてきた。多くの独裁政権がアメリカと良好な関係を結んでいたことからも、パレスチナ人を厄介視していた。

しかし、「アラブ民主革命」によって生まれたイスラム原理主義政権は、宗教的情熱によって動かされている。

チュニジアのアンナハダ党政権は、ハマスの最高指導者イスマイル・ハニエを同国に招いて、共闘することを発表した。

エジプトのカンディル首相はガザに入って、ハニエとイスラエルの攻撃によって死んだ、赤児の遺体を写真班の前で、2人で抱いて接吻し、イスラエルと対決することを誓った。このようなことは、ムバラク政権のもとでは想像することもできなかった。

トルコはイスラム圏における民主国家として知られてきたが、イスラム原理主義の高波によって動かされて、イスラエルに対する敵意を強めている。トルコのダブトグル外相もガザ入りをして、アラブ連盟の外相たちとともに、ガザを支援することを表明した。

ペルシア湾岸の王制諸国も、これまではガザに対して冷淡であったが、はじめてカタールのハマド首長がガザを訪れて、ハマスに4億ドル(約320億円)を献金した。

イスラエルの隣国のヨルダンのハシミテ王朝が、揺らいでいる。

ヨルダンはイスラエルとよい関係を結んできたが、人口の過半数がパレスチナ人であり、大規模な反体制デモにさらされている。

シリアのアサド政権も、崩壊した他の独裁政権と同じ世俗的政権であってきたが、存続が危ぶまれている。アサド政権はシリアを1つにまとめてきたが、倒れる可能性が高い。イスラム原理主義によって、乗っ取られることになるのではないか。

 サウジアラビアの体制

サウジアラビアは、7世紀にマホメットが定めた『コーラン』の教えどうりに、イスラム法によって治められている神政国家であるが、政治的な自由がいっさいない。

7000人といわれる王族(プリンス)が権力と富を独占しており、イスラム僧が体制の言うままになっている。そのために、アル・カイーダを生んだ、イスラム過激派の標的となっている。1979年には、イスラム過激派が聖地メッカのカーバ神殿を占拠する事件が起った。

サウジアラビアでは、税金も、教育費も、医療費もない。王家が厖大な石油収入を使って、民衆をバラマキによって懐柔して、安定を保ってきた。だが、原油価格が下落すれば、中東を洗っているイスラム原理主義の高波によって、王制が倒れる可能性がある。

 アメリカの石油状況の変化

アメリカは国際エネルギー機関(IEA)の発表によれば、現在進行しているシェール・オイル・ガス革命によって、2020年までにサウジアラビアを追い抜いて世界最大の産油国となり、2035年までにエネルギー(エネジー・)の自給自足を達成する(インディペンデンス)ことになる。

アメリカのペルシア湾の石油に対する依存度が大きく減ってゆけば、アメリカは財政赤字のもとで、国防費を削るのに苦慮していることから、ペルシア湾から第5艦隊を撤収することになろう。アメリカは第5艦隊をペルシア湾に常駐させているが、そのために年間800億ドル(約6400億円)を支出している。

イスラエルはイランが「イスラエル抹殺」を公然と唱えて、核兵器開発を進めているので、黙視し続けるわけにはゆかない。イスラエルがイランの核施設に攻撃を加える可能性が、高い。

アメリカはイランの核開発を交渉と、経済制裁によって押しとどめようとしているが、イランにおいて政変が起らないかぎりは、成功しまい。

日本は中東という薄氷のうえを、歩んでいる。

もし、日本が原発を停めて、中東が激動することがあれば、エネルギーの大部分を中東に依存しているために、国民生活が壊滅的な打撃を蒙ることとなろう。原発こそ、日本の国民生活を守っている。

中国が、もう1つの世界の台風の目である。

<「頂門に一針」から転載>


2013年01月30日

◆参院選くら替え“大物11人”当落分析

古澤 襄


夕刊フジが、「参院選くら替え“大物11人”当落分析!」の観測記事がでている。いずれも大量に落選してしまった民主党の大物、中物(?)前衆院議員が、7月の参院選にくら替え出馬が取りざたされるので、その当落分析をしたものだ。

中でも田中真紀子前文科相と仙谷由人元官房長官の2人が注目の的だが、この“バツイチ候補”は「大苦戦」と出た。

民主党にとって頼みの綱は労組票。比例区で6−10人は当選でき、当選ラインは10−20万票ほどといえる。そこから城島光力前財務相、川端達夫元総務相、平野博文元官房長官ら“落選バツイチ組”の名があがっている。

田中真紀子前文科相や仙谷由人元官房長官まで比例区に回れば、労組出身新人の擁立が阻害される新しい悩みが党内や組織内で生まれてしまう。

<安倍晋三首相率いる「危機突破内閣」は26日で発足1カ月となった。順調な滑り出しを見せているが、今年夏の参院選こそ「本当の勝負」といわれている。

一方、野党各党は生き残りに必死で、民主党では、田中真紀子前文科相など、昨年12月の衆院選で落選した大物らが参院選にくら替え出馬するとの憶測も広がっている。国民の厳しい審判を受けて退場した面々が、半年で政界復活しようというのか。政治ジャーナリストの角谷浩一氏が、そんな“バツイチ候補”11人の当落を分析した。

現時点で、誰もくら替え表明はしておらず、あくまで永田町情報を基にリストアップしたものだが、何といっても筆頭格は真紀子氏だろう。

12・16衆院選で新潟5区から出馬して落選した際、真紀子氏は参院議員や知事へのくら替えを問われ、「私は不器用ですから、そんなことはありません」と答えた。ただ、「タイミングは逃さない」ともいい、国政復帰への意欲も隠していない。

当初、取り沙汰されたのは、新潟選挙区(定数2)からの出馬。現職の森裕子氏が民主党を離党して「生活の党」に移ったため、民主党は空白だったからだ。

しかし、民主党新潟県連は11日、現職の風間直樹氏=比例=を公認候補として擁立することを決めた。

真紀子氏が無所属で出馬して、2010年に同選挙区で当選した夫の田中直紀元防衛相(非改選)が支援する道もあるが、苦戦は免れない。可能性があるとすれば民主党の比例区か…。

角谷氏は「地元の後援会や企業は、口うるさい真紀子氏には『東京にいてほしい』と考えているため、押し出すこともあり得る。ただ、団体もなく、知名度があっても好感度は高くない」といい、「大苦戦」とした。

他の選挙区はどうか。

山形選挙区(定数1)は、現職が民主党を離党して「みどりの風」入りしたため、鹿野道彦前農水相の名前が浮上。京都選挙区(定数2)では、民主党現職が今期限りでの引退を表明しており、北神圭朗(けいろう)元首相補佐官を推す声があるが、「自民党や維新に押され気味」(永田町関係者)だ。

一方、比例区には民主党大物らの名前がズラリ。「影の宰相」と呼ばれて権勢をふるった仙谷由人元官房長官や、城島光力前財務相、川端達夫元総務相、平野博文元官房長官らのくら替えがささやかれている。

民主党選対関係者は「仙谷氏は1票の格差を解消するための選挙制度改革で、衆院の小選挙区を失う可能性があり、くら替えもあり得る。このほか、党の支持団体である労組が労組出身の前衆院議員を押し込んでくるのでは。加藤敏幸選対委員長が組合系なのが象徴的だ」と解説した。

参院選の比例区では、有権者は候補者の個人名か政党名のいずれかを投票用紙に記入。双方を足した得票総数に応じて各党に議席が配分され、党内で候補者名票の多い順に当選者が決まる。

角谷氏は「民主党は比例区で6−10人は当選でき、当選ラインは10−20万票ほどだろう。民主党政権崩壊の“戦犯”である仙谷氏は極めて厳しい。労組票がある川端、城島両氏は可能性があるが、他は衆院選の得票が少なすぎる」と話した。

小沢一郎氏が代表になった生活の党では「太田和美と三宅雪子の両前衆院議員が比例区から出るのでは、という話がある」(党関係者)という。

それにしても、衆院選から約半年後の参院選に、これだけの人数のくら替えが取り沙汰されるのはなぜか。

第1は、衆院選で自民党が294議席を得て圧勝したため、「次期衆院選は4年後では」との見方が強いこと。つまり、「そんなに待てない」という落選組の焦りだ。

第2は、10年参院選の自民党の前例もありそう。09年衆院選で落選した片山さつき、佐藤ゆかり両氏らが10年参院選に比例区で出馬し、それぞれ自民党の1、2位で当選した。この再現を夢見ているのだ。

ただ、角谷氏は「半年で、民主党への厳しい視線が改善するかは疑問。それに、『議員バッジがつけられればどこでもいいのか?』と有権者が反発する」と話す。進むも地獄、か。(夕刊フジ)>

2013.01.29 Tuesday name : kajikablog
             <「頂門の一針」から転載>

2013年01月29日

◆オバマは亡国の元祖となるか

Andy Chang


前の記事で再選を果たしたオバマは強気になってサヨク発言と社会主義の主張を続けていると書いたが、アメリカではオバマをアメリカの史上最も有能な大統領と崇め、アメリカの憲法14条を改正してオバマ3選、4選を進言する議員まで出てきた。一方ではオバマ独裁に強力な反対も見かけるがオバマの強運はまだ終っていない。

オバマの過去4年の業績は最悪に近く、経済破綻、財政赤字の崖、失業者増加など問題が続出しているのに、国民の半数以上がオバマを支持している理由はなぜだろう。しかもなおオバマ3選を推進する者さえ出てくる理由はどこにあるのか。

簡単に結論を言えば、オバマ人気の原因はバラマキ政策にあり、バラマキを可能にする運命的な原因はアメリカ大陸での石油と天然ガスの大発見である。

短期的にはオバマ人気の原因だが、オバマがバラマキを止めず、パンとサーカスで赤字の増大を続ければ民主政治は愚衆政治となり、長期的にアメリカの衰退と滅亡となるだろう。古代アテネやローマの衰亡と同じ結果である。歴史はオバマをアメリカ亡国の元祖とするに違いない。

●アメリカ国民は政府依存

ブルッキングス研究所の調査によると、米国民の46.4%は所得税を納めていない。これを元にロムニー候補者は?国民の47%は政府に依存し、自分を犠牲者と信じ、政府が面倒を見るのは義務だと思っている?と発言し、リベラルメディアが総攻撃して黙らせた。

だが国民が政府に依存しているのは事実である。ロムニーが選挙で負けた原因の一つは国民の大半が政府に依存し、オバマのバラマキ政策を支持しているからである。

このためオバマは就任演説でも強気のサヨク寄り演説をしたのだった。国が財政の崖と呼ばれる16.4兆ドルの赤字を突破してもオバマ政権は大統領が赤字財政を止めようとせず、ガイトナー財務長官は赤字制限を廃止することを議会に示唆した。

財政の権利を握っているのは国会だが、ガイトナーは赤字制限の権利を国会から剥奪しようとしたのである。赤字に対する制限がなければオバマは無制限に借款を続ける事が出来る。

民主党優勢のアメリカ上院は下院の作成した国家予算を4年も審議拒否し、アメリカ政府は4年間の長きにわたって臨時予算で継続してきたのである。しかもオバマ政権は国防費を半減しただけで、あとは高所得者の増税、99%の国民は増税しないことで大多数国民の支持を得ている。国が破産寸前でも国民は政府依存をしている。国が滅ぶのは当然である。

●オイルシェールの開発とオバマの幸運

オバマのバラマキ政策に対する批判はかなり強いが、オバマは無視してバラマキ政策を続ける。オバマにとって幸運なのはアメリカ大陸でオイルシェールから天然ガスと石油を採取するフラッキングと呼ぶ方法が開発され、これから数年を経ずしてアメリカは石油と天然ガスの輸入国から輸出国に変る事が予測されると報道している。しかもオイルシェール
の埋蔵量は世界最大で将来50年以上も供給を続けることが出来ると報道されている。

オバマの幸運はこの大発展にかかわる、天然ガスと石油の開発、生産と貯蔵、運輸と販売、輸出関係の港湾発展などで大統領の許可が必要となるため、絶大な利権を手にすることができることになった。

しかも国内だけでなく、アメリカから石油を輸入する国国もアメリカ大統領に頭を下げる必要が出てきて、米国大統領はこれまでに無かった世界的な権力も手に入る。世界の覇者である。

オバマがこのような世界史になかった絶大な権力をみすみす4年後の任期が終ったときに放棄するわけがない。

だから彼は財政赤字はほったらかして大規模なバラマキを実施して国民の支持で憲法改正に持ち込み、3選4選を果たそうとするに違いない。オバマ独裁の将来が見て取れる理由がここにある。

●アメリカの発展と世界情勢の劇的転換

また、アメリカが膨大な石油と天然ガスの資源を持つことで世界情勢にも大きな変転が起きるに違いない。まず、アメリカが中東の石油に頼る必要がなくなれば中東より撤退し、中東諸国ではアルカイーダ、タリバンなど過激派の勢力が増強し、サウジアラビアなど石油輸出国は石油が売れなくなって貧乏国となって没落するし、アメリカが中東の政治から
離れればイスラエルが孤立し、自己生存のため大規模な戦争になる可能性も増すだろう。

アメリカが中東の石油を買わなくなれば、中東の石油は輸入国である中国に向けられ、中国がアメリカに取り代って中東問題を背負う事になり、テロ攻撃はアメリカから中国に向けられることとなる。南シナ海や尖閣諸島などの石油問題は霞んでしまうかもしれない。世界情勢の劇的転換は計り知れない。

●オバマのバラマキは亡国のもと

オバマが権力を維持するため、国民の支持を得るためには石油資源から来る金で赤字削減をせず、福祉の名目でバラマキを続けるだろう。オバマがバラマキを続ければ国民はどんどん怠惰になり反戦的になる。

パンとサーカスで国民が外国に興味を持たなくなり、しかもオバマの移民政策と平等主義で人口が増える結果、人種差別問題がおきる。白人と黒人、黒人とラテンアメリカ人との摩擦が増える。

移民の増加により白人は国内で過半数を割り、人種問題が複雑化すれば民主、平等を唱えるオバマ社会主義はどんどん衆愚政治となって、長期的にはアメリカ亡国の本となる。嘗てのアテネ、ローマの没落と同じ道を辿るのは確実である。

ここまで没落するのはアメリカの石油資源が枯渇し始める50年後かもしれないが、世界史はオバマをアメリカの没落の元祖と書くことになるだろう。

          <頂門の一針」から転載>


2013年01月28日

◆朝鮮半島も中国領だ!

古森 義久


中国が北朝鮮の崩壊に対してどうするか、という研究の報告です。中国は伝統的に朝鮮半島を自国領のようにみなしているというのです。

<北朝鮮奪取を目論む中国の野望 軍事介入で朝鮮半島の統一を阻止?>

現実には、北朝鮮は金日成氏が死んでも、その息子の金正日氏が倒れても、崩壊はしなかった。だが、その可能性は常に米側の政府内外の関係者の間で はひそかに語られてきた。

だから北朝鮮の崩壊にどう対応するかは米国歴代政権の政策課題ともなってきた。

まず起きないだろう事態であっても、もしも万が 一、起きたらどうするか、という危機管理のシナリオづくりである。米国議会でも同様だった。

今回の上院外交委員会の報告もそんな背景から作成されたわけだ。

■ 中国は領土を主張し軍事介入する

その報告書を入手して、内容を点検してみた。報告書は中国の極端な領土的野心をいやというほど描き出していた。その点は、この報告を受けた米国議会の議員たちにとっても十分にショッキングだと言えよう。

なぜなら、同報告によれば、従来の米国議会の認識として「朝鮮半島の統一と言えば米国議会ではドイツ統一を連想し、東ドイツが崩壊して西ドイツが その版図を拡大し、統一を果たすという展開が朝鮮半島にも適用されるだろう、という考え方が最も一般的だった」というからだ。

だが、この報告は、上院外交委員会として の独自の調査に米国や韓国の多数の専門家からのインプットを大量に加え、朝鮮半島の統一は決してそうはならないという見通しを提示するのだった。

同報告の主要点を箇条書きにすると、以下のようになる。

・中国は年来、北朝鮮の領内の一定地域は歴史的に中国領土だったという認識から、北朝鮮の政府あるいは国家の崩壊という事態に際して、朝鮮半島内部に自国の主権を適用するという態度を取る可能性が十分にある。

・中国政府当局者は、いまの北朝鮮領内や韓国領内の一定地域までが中国版図だったことを示す歴史的資料を今後の領有権主張の根拠としていく慣行を明らかにしている。この点は中国の南シナ海や尖閣諸島を含む東シナ海での主権主張と共通している。

・中国は北朝鮮が崩壊し、韓国がその領土を継承する場合、韓国と同盟関係を保つ米国が軍隊を旧北朝鮮領内に駐留させる見通しが強くなり、その事態は中国周辺だけでなく東アジア全体の不安定につながると考えている。(つづく)
http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/2987827/
            <「頂門の一針」から転載>

◆木津川だより 鹿背山の寺『西念寺』

白井繁夫


木津の東部にある鹿背山(かせやま)は、万葉集にも詠われている山であり、聖武天皇時代の恭仁宮(くにきゅう)跡とは至近距離です。木津川左岸、南面東の泉津(いずみのつ)上の渡から上津道(かみつみち)を利用して大和平城京へ向かう街道の中間地点『馬場南遺跡』(橘諸兄に因む謎の寺『神雄寺:かんのおじ』跡)にも近く、北麓には山城国分尼寺跡もあって、1300年余の歴史の古さを物語る所です。

今回訪ねる『西念寺』(地図Z:4番)は、中世の『山城:やまじろ』としては、山城国で一番と云われている鹿背山城跡(地図Z:5番)の大手道にあります。
地図Z; http://chizuz.com/map/map141418.html

ところで、この寺のルーツは奈良時代に遡ると鹿背山の大池近くの『古寺跡』と云われている所に、僧行基が堂塔を建立した鹿山寺(かせやまでら)で、本尊として薬師如来をお祀りしていました。

<伝説>:『鹿山寺略縁起』(享保五年の版木):三頭の鹿を背負った猟師に出会った行基が彼らに殺生ななりわいをせぬよう諌めたが、逆に僧が食すればこの獲物を与えると回答、行基はその鹿三頭を食した。それから彼らの面前の川で、口をすすぐと、口から出て来た鹿は生き返り、山へ逃げていった。云々と)。

「鹿山寺の起源」―この古寺跡は地誌類の調査から二つの説が考えられる。
@ 『山城名跡巡行志』(宝暦4年刊):橘清友の加勢山の墓...『続日本後記』より 
A ―1 行基創建説 地誌『雍州府志』真享元年刊  
A −2西念寺所蔵の『鹿山寺(かせやまでら)略縁起』(享保五年:1920年)や宝永2年の本堂棟札、同3年の薬師堂棟札等の資料。

当寺院は元応三(1321)年に兵火で焼亡したため、一旦、城山の峰に移され、天正十七(1589)年現在地に移転しました。

現在の寺院は鹿背山村人の先祖をお祀りする浄土宗の寺として、江戸時代(元禄6年)に『西念寺』と改名し、本尊阿弥陀如来座像をお祀りしています。

◆当寺院の寺宝には @ 平安時代後期の二躯の仏像として―
・阿弥陀如来座像(像高:56.3cm)平安の都の本流に繋がる
 仏師の作と推定される)
・薬師如来座像(像高:50.7cm 行基建立の鹿山寺の本尊か?)
           
◆江戸時代時代の一躯の仏像としてー(延宝五年:1677年の銘記)
・本尊阿弥陀如来座像(定印 像高89.77cm 台座天板裏面に山城国井手里の安称の寄進)。
以上、併せて三躯の仏像があります。
<参考資料>:木津町史 『本文篇』及び木津町の歴史 『コラム 鹿山寺をたづねて』

当寺院を語るには奈良時代からの興福寺のご祈願所としての関係や大和西大寺との繋がりもと思いますが、その話題は鹿背山城跡の散策の時として、今回はまず万葉歌に出る鹿背山を皆さんに知っていただき、URが現在宅地開発している木津中央区の開発が鹿背山不動のすぐ近くまで押し寄せました。
我々(木津の文化財と緑を守る会)にとっては幸いなことに、大手道にある西念寺、鹿背山城跡など、古代から受け継がれた自然は残りました。

当寺院を秋に訪ねると大変綺麗な紅葉が出迎えてくれ、鹿背山城跡へ散策すると万葉集に登場する木や草花も観察できます。(但し、夏場は蛇などが出るため、お薦めできません。)

P231西念寺の秋.jpg

上記写真:秋の西念寺は鹿背山城入口(大手道)沿いです。

今回は、古代の鹿背山を詠った万葉歌を思い起こし、万葉の草花も観察できる散策が出来れば幸せと思い下記の歌を転載しました。

◎ 万葉集(1057)
 鹿背(かせ)の山 樹立(こだち)を繁み朝去らず 来鳴きとよもす 鶯のこえ
  (鹿背山の木立が茂っているので、朝ごとに来ては鳴いて響かせている鶯の声よ、

 春の日に三香原(みかのはら)の荒れた宮址を悲しみ傷んで作った歌)
◎ 万葉集(1059)
 三香原 久迩(くに)の都は 山高く 川の瀬清み 住み良しと 人は言へども
 あり良しと 我は思へど 古り(ふり)にし 里にしあれば 国見れど 人も通はず
 里見れば 家も荒れたり はしけやし かくありけるか 三諸(みもろ)つく
 鹿背山のまに 咲く花の 色めずらしく 百鳥(ももとり)の 声なつかしき ありが
 欲し 住みよき里の 荒るらく惜しも

 (三香原の久邇の都は、山高く川瀬清くて、住みよいと人は言うけれど、ずっといたい
  とわたしは思うけれど、古びた里であるので、国を見れば人も行き来せず、里を見ると家も荒れている。ああまったく、このようになるものだったのか。「三諸つく」鹿背山のほとりに、咲く花は色美しいものだし、百鳥の声も心引かれるもの。いつまでもここにいたい、住みよい里が荒れて行くのは惜しいことだ。)
 
★「三諸つく」:鹿背山の枕詞であり、大和の三輪山(大神神社)と同じ枕詞です。
みもろの(み)は神霊、(もろ)は森.杜の意で神聖な場所を指します。

◎ 古今和歌集(408)
 宮こ出(い)でて今日(けふ)みかのはらいづみ河かわかぜさむし衣かせ山
(都を出て今日は三日目、「瓶(みか)の原」にいる。いつ見るかと思ったこの「泉川」
  は川風が寒いことだ。衣を貸してくれ、「桛(かせ)」という名の「鹿背山」よ。)

久しぶりに西念寺の近辺を古人の歌の詞を思い出しながら散策しました。万葉の植物としては つばき、もみじ、さくらなどの木々はともかくとして、冬の季節ですが、すみれの緑の葉やまんりょうの赤い実を見つけて今も昔と同じでしょうかとふと思いました。

ここ鹿背山は観光地として整備されていませんので、レストラン、コンビニ、公衆トイレなどがありません。今後この地を散策される場合は、弁当持参のうえ、トイレはJR木津駅(地図Z:1番)、市役所、東部交流会館(地図Z:2番)等公的機関の利用をお願います。

次回はJR木津駅から徒歩30分以内で来られ、古代の自然と歴史が残る鹿背山で、中世の水準では最高の防御設備を備えた山城(やまじろ)に登り、鹿背山城の主郭から木津川と共に歩んだ木津市街を望もうと思っています。(完)

2013年01月27日

◆安倍内閣1カ月

阿比留 瑠比


〜「安定感 一つひとつ着実に」〜

安倍晋三首相が2度目の首相に就任して26日で1カ月となった。この間、円安は進み株価は上昇した。東南アジア3カ国歴訪では、海洋進出に向かう中国にくさびも打ち込んだ。日本維新の会の橋下徹代表代行、みんなの党の渡辺喜美代表と相次いで会談するなど、国会運営についても布石を打っている。まずは安定感のある順調なスタートだといえる。

経済再生

「今回は何と言っても日本経済再生が最優先ということで、まずは順番をしっかりつけて、一つ一つ着実に行っていく」

菅義偉官房長官は25日の記者会見で、安倍内閣発足1カ月の感想を求められるとこう述べた。

首相も12月26日の就任記者会見で「強い経済は国力の源」と強調して以降、日銀との間で2%の物価目標を柱とする共同声明発表にこぎつけるなど、デフレ脱却による経済再生に向けた施策を打ち出してきた。「アベノミクス」は今のところ着実に進展している。

危機管理

首相が「危機突破内閣」と名付けた内閣の危機管理能力が試されたのが、日本人10人が死亡したアルジェリア人質事件だ。

「政権を担った瞬間から油断することなく全力で危機管理に当たる。そのことを閣僚全員に徹底した」

首相は就任記者会見でこう表明していた。民主党政権下で起きた中国漁船衝突事件や、福島第1原発事故への対応を厳しく批判してきただけに、「内閣の命運が懸かっている」(政府筋)との認識で臨んだ。

事件については今後もさらなる検証が必要だが、インドネシア訪問日程を短縮して帰国し、陣頭指揮に当たるなどの対応には、今のところ野党からも強い批判は上がっていない。

今後の課題

「前回の安倍内閣と一番違うのは、首相自身を筆頭に政治家も秘書官も多くが官邸運営の経験者ということ。失敗は繰り返さない」

政府筋はこう自負する。前回の失敗とは「一度に全部やろうとしすぎたこと」であり、今回は「首相も一つ一つのことを着実に進めるつもりだ」と語る。

ただ、取り組むべき課題は山積している。東日本大震災の被災地復興は大前提であり、首相が「経済再生と並ぶ最重要課題」と位置づける教育再生も待ったなしだ。

前回の首相時代にやり残した「宿題」である集団的自衛権の政府解釈変更も、時代の強い要請がある。2月後半の訪米時には、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加問題もテーマとなる。

「安全運転」に徹するばかりでは済まない場面もありそうだ。

     産経ニュース 2013.1.26 08:54

          <「頂門の一針」から転載>

2013年01月26日

◆『南方週末』事件、習近平体制の揺らぎ

櫻井 よしこ


中国広東省で起きた週刊紙『南方週末』の1月3日号社説が同省共産党宣伝部によって差し替えられた事件は、発覚以来約2週間が過ぎてもくすぶり続けている。

当局の圧力に対して編集部がストライキを打とうとする中、10日号の発行に漕ぎつけたことで一応の収束が図られたといえるが、問題がおさまったわけではない。まず事の顛末を振り返ってみる。

1月3日号に南方週末は「憲法に基づく政治を実現し、自由・民権擁護の国家を建設する夢」を提唱する社説を掲げようとした。これは言論の自由も思想の自由も許容せず、中国共産党こそ「イデオロギー工作の主導権を握らなければならない」と謳い上げる習近平体制の考え方に真っ向から挑戦するものだ。

広東省の共産党宣伝部がこの社説を問題視し、「中華民族の偉大な復興を実現する夢」を謳い上げる内容へと書き替えさせた。「中華民族の復興」は習近平氏得意の表現で、21世紀の中華思想鼓舞の価値観だ。

社説差し替えが公になった4日、中国外務省の華春瑩(ホアチュンイン)副報道局長は「中国にいわゆる検閲制度は存在せず、報道の自由は保障されている」と臆面もなく断言した。

6日夜、南方週末の上層部は社説差し替えで介入したとされた?震(トゥオジェン)広東省党委員会宣伝部長には責任はないという声明を発表した。記者らは強く反発し抗議のストライキに入ることを決定、100人近くが署名した。

こうした状況に、国内の弁護士グループが編集部関係者が不利な扱いを受けた場合、無償で弁護を引き受けると発表した。北京大学や清華大学などの教授や副教授ら27名が、社説差し替えを行った?震共産党宣伝部長の罷免を求めた。

■Xデーへの第一歩

7日、中国共産党機関紙「人民日報」傘下の「環球時報」が「公然と対抗すれば必ず敗者になる」という社説を掲載し、恫喝した。

9日、南方週末の姉妹紙、北京の「新京報」の社長が環球時報の威圧的な社説の転載を命じられて抗議の辞任を表明した。ところが、同日、南方週末幹部はストライキを収拾し、新年第2号を発表すると告げ、10日、第2号は発刊されたのだ。

表面的な問題解決は実現したが、明らかに火種は残っている。元々南方週末は中国で置き去りにされてきた政治改革を唱える論調で強い支持を受けている。彼らの闘いぶりの烈しさは、09年11月18日のオバマ米国大統領への単独インタビュー記事の例にも見てとれるだろう。

中国問題専門家の富坂聰氏が語る。

「南方週末はオバマ大統領を単独取材し、大統領は報道の自由を讃える直筆のメッセージを南方週末に贈りました。しかし、大統領とメッセージの写真を、取材翌日の11月19日、記事と一緒に1面に掲載しようとした南方週末に対して当局が徹底介入したのです。

結果として小さな記事だけが2面に載りましたが、1面全てと2面の大部分を南方週末は白紙で発行しました。絶対に屈しないという強い意志の表れです。宣伝部は編集長を『通常の人事異動』の名目で追放しました」

南方週末に対して広東省共産党宣伝部がどれほど神経を尖らせているかは、彼らが南方週末の編集内容を不満とし、昨年1年間で今回の件を除いて実に1,034件もの介入を行っていたことからも見てとれる。単純計算すれば52週分の発行で毎回20ヵ所の書き替えや削除を強制したことになる。

香港中文大学及び日本の国際大学(秋田)で中国政治を教えるウィリー・ラム教授は南方週末社説書き替え事件についてこう語った。

「これまで共産党宣伝部が書き替えを強要した事件は殆んどが当のメディア単体による抗議で終わっていましたが、今回は抗議の主体が驚くほど広がっています。編集部に加えて、有名大学教授や弁護士グループ、はては農民にまで支持が広がったのは初めての現象です」

ラム教授の指摘するように、弁護士や大学教授だけでなく農民も南方週末を支持する行動に出た。12日、広東省広州市の隣にある仏山市の農民約20人が南方週末応援に駆けつけ警察に連行された。

14日の「朝日新聞」は朝刊で、南方週末系列の「南方都市報」が農民たちの土地を村政府が不条理にも強制的に収用した問題を詳しく報じたことから、農民も言論と報道の自由の大事さを身を以て知るに至ったと報じた。

このように、今回南方週末が幅広い分野の人々の支持を集めたのは、民主化を求める声がより成熟した形で中国社会の各層に浸透しつつあることを示している。共産党がどのような手を使ってもこうした国民の不満を抑え続けることは出来ないだろう。

民衆が立ち上がり、共産党への批判がコントロール不可能な状況に盛り上がり、共産党一党支配に終止符が打たれる日、Xデーへの第一歩がいま踏み出されているのではないか。

■文言だけの民主主義

民主化を求める人々はより賢い手法を駆使してより幅広く、より深く、中国社会を動かしつつある。ノーベル平和賞を受賞した劉暁波氏らが大胆な政治改革を求める「08憲章」を発表したのが2008年だった。劉氏はいまだに国家政権転覆扇動罪で収監され、妻は自宅に軟禁されたままである。

中国の内外で劉氏らへの支持が揺らがないなか、昨年末、約70人の知識人グループが立ち上がった。第18回共産党大会で胡錦濤氏から習近平氏へと政権受け渡しが正式に演出されたその矢先に、新たな知識人グループの抗議が突きつけられたのである。富坂氏が指摘した。

「大学教授や弁護士らがネットを介して『民主主義を求める連盟書』を発表したのです。70人の顔触れは過激な運動家たちとは一味違う人々でした。彼らが主張すればその意見が自ずと主潮流になりそうな人々が名を連ねていました。

彼らは決してラディカルな要求はしていません。中国の憲法に謳われている価値観を実現して下さいという論法で、『連盟書』が掲げた具体策は、たとえば汚職の撲滅や職権濫用の取り締まりの強化など、わかり易い内容でした。

万人に支持される事柄であり、中国共産党は彼らの主張を否定する理由が見当たらないところに追い込まれました。共産党の権威は失墜し、その力も陰りを見せ始めたといってよいと思います」

ちなみに中国の憲法には民主主義の尊重は無論、言論、信教の自由をはじめあらゆる自由の尊重や弱者擁護、環境への配慮なども書かれている。文言だけの民主主義の下で進行する共産党一党独裁の専横を広範な国民が知ったいま、中国共産党支配体制は確実に揺らぎ始めている。(週刊新潮)
2013.01.26 Saturday name : kajikablog
<「頂門の一針」から転載>

2013年01月23日

◆小沢一郎氏、深まる孤立

坂井 広志


維新はそっぽ、民主は擦り寄り警戒

「生活の党」の小沢一郎衆院議員が孤立を深めている。野党各党には共闘を抜きにして夏の参院選は戦えないとの危機感が強い。だが、日本維新の会の共同代表になる橋下徹大阪市長の視界に小沢氏はいない。民主党には小沢氏が擦り寄ってくることへの警戒感がくすぶる。「剛腕」の異名はすっかり色あせている。

「できるだけ協力関係を築ければいいが、大義がなければいけないので、それがどう構築されるか…」

生活の森裕子代表は21日の記者会見で野党共闘についてそう語り、いつもの強気の姿勢は影を潜めた。無理もない。生活は衆院7人、参院8人のみ。橋下氏が連携先に挙げるのはみんなの党や民主党の一部だ。

小沢氏は政治資金規正法違反(虚偽記載)事件で無罪を勝ち取ったものの、負のイメージはついて回る。しかも、昨年末の旧・日本未来の党の分裂劇では「小沢軍団」の異様な結束を改めて見せつけた。

小沢氏は先の衆院選について、橋下氏を念頭に「候補者を一人に絞らないといけないことがなぜ分からなかったのか。小学生でも分かる」と周囲に漏らした。これでは維新が生活と組む気になれるはずもない。

そこで、小沢氏がターゲットにしているのは民主党だ。野党共闘について「民主党はもちろんだ」と漏らすなど、かつての同志に秋波を送るのに余念がない。

これに警戒感を隠せないのが、岡田克也前副総理ら民主党の旧主流派だ。平成23年8月の民主党代表選で小沢氏がかついだのは海江田万里代表。その海江田氏が小沢氏と手を組もうとした瞬間、党が分裂含みになる可能性は高い。

重要政策を決めようとすると執行部を突き上げ、決めたことには従おうとしない−。小沢一派の体質が原因で「決められない政治」を招き、国民の信頼を失ったとの見方は民主党内に根強い。

「小沢さんのことをちゃんと書いてもらいたい」

民主党政権を総括する報告書作成をめぐり、旧主流派の閣僚経験者は執行部を牽(けん)制(せい)する。憎悪に近い念が渦巻く民主党に、小沢氏が接近を図るのは困難に違いない。小沢氏が民主党代表時代に役員室長を務めた細野豪志幹事長でさえ21日の会見で「(連携は)簡単ではない」と言い切った。

影響力低下を象徴するかのように、これまで長く警護対象だった小沢氏にSP(警護官)はもうついていない。

(産経ニュース 2013.1.22 08:15)
<「頂門の一針」から転載>