2013年01月11日

◆体罰という暴行傷害致死事件

寺本 孝一


大阪府立桜宮高2年のバスケットボール部主将の男子生徒が、顧問の男性教諭(47才)から体罰をうけた後に自殺したという痛ましい事件がありました。自殺した生徒が顧問宛てに残した手紙には、「指導が厳しくてつらい」と書いてあったとのこと。

また、校長、教育長の記者会見の様子はまるで他人事のようであり、自分達の大切な預かった教え子という意識や責任感がまるで見られません。

過去、全国で体罰問題が繰り返される度に学校側は、「厳しい指導」「熱心さの現われ」「愛のムチ」などと言い訳します。小生も愛知県教育委員会に直接言ったことがあります。「殴る・蹴る体罰や暴言などで教育効果が上がるなら、暴力団ヤクザ組員を教員にした方がよほど能率的ということになりませんか」と。

「厳しい熱心な指導」とは、一人一人に言葉で根気よく納得させるのがプロ教師の力量なのです。児童生徒は言葉が分かる人間なのであり、牛や馬への調教ではありません。児童生徒とまともに会話もできない、衝動的に暴力に走ってしまうような危険な人物を教壇に立たせることはできません。

「教師は生徒の身体に触れてはならない」というフランスの法律から見れば、生徒を殴ることを熱血教師とし、殴ってくれた教師を慕うなどというような事は、サドマゾの世界に浸っている日本の変態と言わなければならない。

「子どもが他人に暴力をふるったり、物を破壊することに快感をつのらせるというようなことは、倒錯的なしつけをされたり、人格を尊重されずに育った子どもたちである。大人の強制的な態度こそが子どもをサディズムに導くのだ。」(作家フランソワーズ・ドルト氏)という言葉もあります。

昨今、社会問題化している「児童虐待」する若い親たちをそうなるべく教育した大部分の責任は、とりもなおさず学校にあるのである。児童虐待防止シンポジウムで小生がそのように発言したら、パネリストの弁護士は「児童虐待と学校での体罰の関連に心当たりがある」と言いました。

桜宮高のバスケットボール部はインターハイの常連だとのことですが、殴って殴られて勝ち進んだスポーツにどんな価値があるのでしょうか。
スポーツの語源はたかが「気分転換」です。

顧問の名声の為、学校の名誉の為、人間の尊厳を踏み潰してまで、命を奪ってまでやるほどのことですか。

(資料)「生徒に対する体罰禁止に関する教師の心得」1949年・法務府(現在の法務省)

1、用便に行かせなかったり食事時間が過ぎても教室に留め置くことは肉体的苦痛を伴うから体罰となり、学校教育法に違反する。

2、遅刻した生徒を教室に入れず、授業を受けさせないことは例え短時間でも義務教育では許されない。

3、授業時間中怠けた、騒いだからといって生徒を教室外に出すことは許されない。教室内に立たせることは体罰にならない限り懲戒権内として認めてよい。

4、人の物を盗んだり、こわしたりした場合など、こらしめる意味で、体罰にならない程度に、放課後残しても差支えない。

5、盗みの場合などその生徒や証人を放課後訊問することはよいが自白や供述を強制してはならない。

6、遅刻や怠けたことによって掃除当番などの回数を多くするのは差支えないが、不当な差別待遇や酷使はいけない。

7、遅刻防止のための合同登校は構わないが軍事教練的色彩を帯びないように注意すること。 明治の富国強兵時代も、昭和の戦時中も、現在まで学校での体罰は法律で厳として禁止されています。何故なら、体罰による弊害が極めて大きいことが明確に判っているからです。       (子どもの感性を育む会 代表)

<「頂門の一針」から転載>

2013年01月09日

◆日中国交回復40周年の真実

加瀬 英明


平成24(2012)年が、終わった。

日本を1つの企業に譬えてみれば、先の大戦に敗れてから、胡散(うさん)臭い平和主義を旗印にして、それまで日本を支えた精神を捨てて、経済的な快楽を脇目も振らずに追求する、ビジネスモデルを採用してきた。

平成24年にこのビジネスモデルが、破綻した。

この戦後のモデルを支えてきた日中関係に、亀裂が走った。昭和47(1972)年に日中国交正常化が行われて以来、日本が描いてきた「日中友好」の幻想が破られた。

・日中友好の幻想
私はその以前から、中国が日本と相容れない専制国家であるうえに、3000年のおぞましい政治文化を受け継いだ中華帝国であるから、警戒すべきだと説いてきた。

昨年は、日中国交40周年に当たった。中国が日本へ向かって醜い牙を剥いて、本性を現わしたために、中国について無知だった日本の善男善女も、目を醒ました。

私は田中内閣によって日中国交正常化が強行された時に、雑誌『諸君』などの誌面をかりて、朝日新聞をはじめとするマスコミが、まるで安酒に酔ったように日中国交正常化を煽りまくったことを、批判した。

・中国の本質とは何か
その翌年に、宮崎正弘氏が編集者として働いていた浪漫社から発表した著書のなかで、「田中首相が訪中した時の秋晴れ 北京友好の旗高くとか、拍手の中しっかりといま握手 とけ合う心 熱烈歓迎といった見出しをみていると、日本、ナチス・ドイツ、イタリアの三国同盟が結ばれた後に、松岡ミッションがベルリンの目抜き通りをパレードした時の新
聞の見出しのように思えてしかたがない」(『新聞批判入門』と、揶揄した。

私は日中国交を結ぶのに当たって、日台関係について中国の言い成りになったことを、批判した。当時、中国は中ソ戦争が起ることに脅えていたから、中国のほうが日本を強く必要としていた。

・日中国交回復の中の選択
「私は太平外相を囲む席に出た。新聞は日中国交正常化を急ぐことを、筆を揃えて要求していた。私は『いったい、それほど急ぐ必要があるのでしょうか?』と、たずねた。

すると外相は、『日中問題は国内問題だ』といいきった。外相は正しかったのだ」「日本にとって3つの中国があった。中華人民共和国と、中華民国と、日本の国内問題としての中国である。この3番目の中国は、新聞がつくりあげたものだった。田中内閣が相手に選んだのは、3番目の中国であった」(同)

・アメリカは日本より7年も遅れの国交回復
アメリカは日本より7年も遅れて、米中国交を樹立した。中華民国と断交したものの、同時にアメリカ議会が台湾関係法を制定して、台湾を防衛することを義務づけてきた。

私は台湾が中国に呑み込まれて亡びれば、日本も亡びるから、日台は一体であると説いてきた。それなのに、日本は愚かにも進んで台湾との関係を絶って、台湾を放棄した。

日本は米中国交樹立を待って、日中国交を結ぶべきだった。

・尖閣諸島の帰属とは
尖閣諸島は疑いもなく、日本の領土である。日本政府が明治18(1885)年から尖閣諸島の現地調査を行って、中国清朝の支配下にない無人島であることを慎重に確認したうえで、10年後に領土として編入した。

いまになって、中国は日本が清から略取したと主張して、「日本が盗んだ」といって騒ぎたてているが、中国がはじめて尖閣諸島の領有権を主張したのは、昭和46(1971)年に国連の経済委員会が東シナ海の海底に巨大なガス田、油田が埋蔵されていると発表した年内のことである。

・中国の状況
その翌年に、田中首相が北京入りして、日中国交正常化が行われた。田中首相が尖閣諸島に触れたところ、周恩来首相が慌てて「ここではやりたくない」といって逃げたのを、田中首相が国交正常化を焦ったために頷いた。

昭和53(1978)年10月に、中国の最高実力者だったトウ小平副首相が来日した6ヶ月前に、中国の百数十隻の漁船が尖閣諸島を取り囲んで、日本政府を狼狽(ろうばい)させた。

トウ副首相は来日すると、尖閣諸島の領土問題を「1972年の合意に基いて棚上げしよう」と、提案した。日本側はそのような了解が存在しなかったと否定するべきだったのに、国家にとって領土が生命であるのを忘れて、中国に媚びて受け容れたために、大きな禍根をつくった。

・中国は「領海法」を制定
中国は平成4(1992)年2月に、尖閣諸島を自国領土として規定した「領海法」を制定することによって、中国から言い出した「棚上げ」論を反古(ほご)にしてしまった。それにもかかわらず、宮沢喜一内閣は天皇がその秋にご訪中されることを決定した。

私はこの年8月に、宮沢内閣が天皇ご訪中について14人の有識者から首相官邸において個別に意見を聴取したが、その1人として招かれた。

私は陛下が中国のように人権を蹂躙している国に御幸されるのはふさわしくないうえ、ご訪中によって中国が2月にわが尖閣諸島を領土として含めた領海法を施行したのを、容認することになると、反対意見を述べた。

その後、中国人活動家グループが、尖閣諸島領海に不法侵入する事件が、あいついで発生した。日本政府は、中国、香港の活動家がわが国の主権を侵す目的をもって魚釣島に上陸したのを逮捕、検束したのにもかかわらず、中国を刺激するのを恐れて、釈放した。

政府は日本国民のみならず、尖閣諸島が沖縄県石垣市に属しているのにもかかわらず、市職員まで現状を変更することになるといって、尖閣諸島に上陸することを禁じてきた。

野田内閣も尖閣諸島の「平穏かつ安定的な管理」を唱えて、無為無策に終始した。このような怯懦な姿勢が、中国をいっそう慢心させた。

野田内閣が昨年9月に尖閣諸島の国有化を決定したところ、中国全土にわたって大規模な官製の反日暴動が荒れ狂った。

日本の大手のマスコミによって、政府が国有化を決めたことによって、「棚上げ」されていた現状を壊したために、中国の反日暴動に火をつけたという見方がひろめられた。

とんでもない言い掛かりだ。その半年前の3月16日に、中国の国家海洋局所属の海洋監視船「海監50」と、もう1隻の中国の公船が尖閣諸島沖で、日本領海を侵犯したのに対して、わが海上保安庁の巡視船が警告したところ、「釣魚島(中国側の魚釣島の呼称)を含むその他の島は中国の領土だ」と応答し、逆に巡視船に退去するように要求した。

これまで、中国公船によるこのような傍若無人な行動はなかった。中国は1978年以降、「棚上げ」の合意を、つぎつぎと破ってきた。

・習近平体制の動向
中国で2012年11月に、習近平新体制が発足した。

習総書記兼中央軍事委員会主席は就任に当たって、「近代以降、中華民族は最も危険な時を迎えたが、中国共産党の創立後は団結して民族の偉大な復興を成し遂げた。引き続き中華民族の偉大な復興のため奮闘努力しよう」「軍事闘争の準備を最重視する方針を堅持、国家主権と安全、発展の利益を断固守る」と訴えた。

中華帝国は歴史を通じて、周りの地域を略取して膨張してきた。

清も、目に余るものがあった。17世紀から18世紀にかけて、康熙帝がシベリアのアムール河流域から、外モンゴル、チベットまで支配し、乾隆帝が東トルキスタン(現新疆ウィグル自治区)から、ヒマラヤ山脈を越えてネパールまで攻略した。乾隆帝は今日でも中国史において、「十全の武功」を修めたとして称えられている。

日本はアメリカ軍の援けなしに、尖閣諸島すら守れない。多くの日本国民が日本が「平和主義国家」であることを誇ってきたが、他人に縋(すが)って贅沢な暮しをしているのを、自慢しているのとかわらない。何と卑しいことか。
<「頂門の一針」から転載>  2013.01.09

2013年01月08日

◆米国からアジアへの武器輸出、急増必至

古澤 襄


2013年のアジアは、軍事力を強化する中国や北朝鮮の対抗措置として、米国が日本、韓国、インドなどの関係国に戦闘機やミサイル迎撃システムなどを中心に武器輸出を大幅に増加すると英ロイターは伝えた。

日韓両国が、ともに保守親米の指導者が政権を獲得したことも、米国からの武器輸出をさらに押し上げる可能性があるとしている。

<[ワシントン 1日 ロイター]中国や北朝鮮の周辺国に対する米国からの武器輸出は今年、地域の緊張の高まりを背景に、戦闘機やミサイル迎撃システムなどを中心に大きく増えるとみられる。

中国が海洋領有権の主張を強め、北朝鮮がミサイルや核の開発を進める中、オバマ政権が進めるアジア重視の中核となるのは、同盟国や安全保障上の協力国との関係強化だ。

米大手防衛企業が加盟する航空宇宙工業協会(AIA)の国家安保担当副会長、フレッド・ダウニー氏は「(米政権のアジア重視政策は)友好国の武装を支援するわれわれの機会増加をもたらすだろう」と語る。

AIAは昨年12月にリリースした報告書で、米国製高額武器の輸出について、少なくとも今後数年は堅調を維持すると予想。中国の軍備増強に対する懸念が米国からアジア地域への武器輸出の増加につながり、欧州への輸出減速分を十二分に相殺するとしている。

ただ、ロッキード・マーチン(LMT.N: 株価, 企業情報, レポート)やボーイング(BA.N: 株価, 企業情報, レポート)、ノースロップ・グラマン(NOC.N: 株価, 企業情報, レポート)が加盟するAIAは、2013年の武器輸出見通しに関する具体的な数字は示していない。

ロイターの取材要求に応じた米国防総省の国防安全保障協力局(DSCA)によると、米太平洋艦隊司令官の指揮下地域における2012年の武器販売契約額は、前年比5.4%増の137億ドル。こうした契約分の実際の引き渡しは先になるが、DSCAも2013年の見通しに関する具体的な数字は明らかにしていない。

<日韓の選挙結果>

日本と韓国で12月に行われた選挙で、両国ともに保守親米の指導者が政権を獲得したことも、米国からの武器輸出をさらに押し上げる可能性がある。

オバマ政権は、世界中で米国の利益を守るための手段として、武器売却の重要性がますます高まっていると指摘している。武器売却は相手国との外交関係を強化し、長期的な協力関係を推進するだけでなく、同盟国の自主防衛能力を強化することにもつながる。

アンドリュー・シャピロ米国務次官補(政治・軍事担当)は12月5日に行った演説で、「(武器輸出は)米国の肩にのしかかる負担を軽くしてくれる可能性がある」と述べた。

国防総省は、アジア太平洋地域では、無人偵察システムの導入を増やし、情報収集や監視の能力強化を目指している。サミュエル・ロックリア米太平洋軍司令官はワシントンで開催のフォーラムで、こうした能力は関係国との協力を発展させるとともに、敵対国との偶発的な事故や誤解を防ぐことにもなると語った。

<グローバルホーク>

オバマ政権は昨年12月、韓国政府に対し、無人偵察機「グローバルホーク」4機を総額12億ドルで売却することを正式に提案した。

ノースロップ・グラマンが製造する「RQ─4」グローバルホークは高性能センサーを搭載し、昼夜を問わず広い範囲の偵察が可能。もし売却が決まれば、韓国の対北朝鮮監視能力は一段と高まることになる。

韓国側は4年以上前からグローバルホークに関心を示していたが、米政府は地域の軍拡競争に影響を与えることを懸念して正式提案をここまで先送りにしてきた。

韓国がグローバルホークの導入を決めれば、アジア太平洋地域では初となる。ノースロップ・グラマンによると、日本やオーストラリア、シンガポールからも関心が寄せられているという。

オバマ政権が韓国にグローバルホーク売却を正式に提案したのは、北朝鮮が先月12日、国際社会の制止を無視してロケット発射に踏み切ってから約2週間後のことだった。

一方、日本は米国にとって、弾道ミサイルを探知・追尾・破壊する多層防衛システムを構築する上で最も重要なパートナーとなっている。
米国防総省は北朝鮮によるロケット発射の2日前、日本政府が求めていたイージス艦ミサイル防衛システムと関連機器のアップグレードに向け、4億2100万ドル相当の兵器販売を承認したことを議会に伝えた。

<F─35戦闘機>

米国からの武器輸出で現在最も注目を集めているのは、ロッキード・マーチン製の最新鋭ステルス戦闘機「F─35」だろう。

日本はすでに老朽化した「F─4」の後継となる次期主力戦闘機として導入を決定しており、シンガポールと韓国も採用を検討している。韓国は、英BAEシステムズの「ユーロファイター・タイフーン」と米ボーイングの「F─15サイレントイーグル」も次期戦闘機として検討中だが、その調達規模は計60機で総額70億ドル以上となる。

米国からインドへの武器輸出は、2008年時点ではゼロだったが、今では累計80億ドルに達しており、今後も大幅な増加が見込まれている。インドは向こう10年で武器購入に約1000億ドルを費やす計画だ。

一方、台湾は現在145機保有する「F─16 A/B」戦闘機でレーダー能力向上などの改修を行っており、ロッキード・マーチンは18億5000万ドルの契約を受注した。米政府は、中国軍に比べた台湾の空軍力不足を補うため、台湾側が長年求めてきた「F─16 C/D」の売却も含めた複数の選択肢を検討している。

ロックリア米太平洋軍司令官は、アジア太平洋への「リバランス」の中心は、日本、韓国、オーストラリア、フィリピン、タイとの同盟関係の近代化および強化であり、それはすでに本格的に動き始めたと語っている。(ロイター)>

2013.01.06 Sunday name : kajikablog
<「頂門の一針」から転載>

2013年01月06日

◆米国製憲法の「決定的証拠」

西村 眞悟


3日に、89歳のアメリカ人、ベアテ・シロタ・ゴードンという女性がニューヨークの自宅で亡くなったという報道があった。

この女性は、ユダヤ系ロシア人ピアニストであったレオ・シロタ氏の娘で大正12年(1923年)生まれ。昭和4年に東京音楽学校に招かれた父とともに日本に来て、少女時代の10年間を日本で暮らした。

昭和14年、アメリカの大学に進んでアメリカ国籍を取得し、昭和20年12月、22歳の時にGHQのスタッフとして再び来日し、昭和21年2月、GHQ民政局長ホイットニー准将の部下としてチャールズ・ケーディス大佐をリーダーとする10名弱の日本国憲法起草チームの一員となり、両性の平等と個人の尊厳を基本理念とする憲法24条を書き、さらに憲法草案の日本文への翻訳や日米両政府の折衝時の通訳を務めた。

また各紙の伝えるところでは、彼女は、自らが書いた日本国憲法を「アメリカ憲法以上の憲法」と讃え続け、日本国内に於ける改憲への動きを目の敵にしており、自分へ献花をするより、その費用を大江健三郎氏の主催する「憲法九条の会」に寄付するよう最後に希望したという。
 
私は、1月3日の彼女の死亡を伝える産経新聞の記事を切り抜き、資料控えに貼り付けて保存することにした。

何故なら、この記事は、同紙が数年前に報じた古森義久特派員のチャールズ・ケーディスに対するインタビュー記事とともに、日本国憲法は日本人ではなくアメリカ人が書いたという事実を明示する証拠だからである。

この事実こそ、GHQが検閲によって日本国民が知ることのできないようにしていた戦後史最大の「虚妄」なのだ。

また同じく3日、韓国のソウル高裁は、日本政府が日韓犯罪人引渡条約に基づいて身柄の引渡を求めていた平成22年12月に靖国神社の門に放火した犯人の中国人劉容疑者を、「政治犯」として日本に引き渡さないと決定し釈放した。そして、劉は4日、中国上海に帰国した。

中国政府は韓国政府に劉容疑者を「政治犯」であるとして、その身柄を日本に引き渡さないよう強く要求していたが、ソウル高裁の判断は、この中国の圧力に応えたものである。

私は、この放火のあった日、九段のグランド・パレスに泊まっていて、早朝、靖国神社に参拝したが、神社の二の鳥居前に立っていた警察官から、「どこの組織の者か」という職務質問を受けた。警官は所属する右翼団体を訊いてきた訳だ。私の着ていた南極越冬隊用のジャンパーの右腕のところには「日の丸」が縫い込んであるからだ。

私は、「俺は『日本』に属している」と答えて拝殿に歩いていった。すると、門のところが黒く焦げており水で濡れていた。それで、直前に劉による放火があったと分かったが、「日の丸」を見れば職務質問をしてくる警察官の意識も困ったものだ。

とはいえ、「放火」は大変危険な犯罪であり、犯人が「反日スローガン」さえ叫べば、「政治犯」扱いする中国と韓国の政治的「反日連携」に対し、安倍内閣は「厳重抗議」するべきである。従って、本日の額賀氏の韓国派遣を中止すべきであった(もう行かせてしまっている)。

何故なら、この度の措置は、韓国人や中国人は、日本国内で放火、殺人、強盗等の重罪を犯しても、その場で一言「従軍慰安婦糾弾」と叫んでおれば、立派な「政治犯」だとするものだからである。これらは決して司法判断ではなく政治的判断である。

即ち、この度の措置は、法治国家である我が国への挑戦である。日本人は、もっと怒っていい。

中国や韓国は、何かあれば「歴史認識」を持ち出して日本を糾弾すれば、日本の譲歩を引き出せると思い込んでいる。

これは、中曽根総理大臣の靖国神社参拝中止、教科書記載に関する宮沢官房長官談話、従軍慰安婦強制連行に関する河野官房長官談話、我が国の歴史そのものを弾劾する村山総理大臣談話などが、自ら招き入れた事態である。

安倍総理は、これらの談話がもたらした事態、つまり戦後の惰性に従うのではなく、これを克服するという志をもっていてそれを表明しているのであるから、打てば響くように、反日スローガン、「従軍慰安婦糾弾」を叫べば「政治犯」になるという韓国高裁の「政治的判断」に強い抗議表明と対抗措置を執るべきである。

ところで、こういう事態を切っ掛けに、あらためて「反日」なのは、世界のどこの国か、と思いを巡らせてみよう。

世界の中で、北朝鮮韓国と中国共産党の国、つまり朝鮮と支那だけではないか。それも既に書いたように、反日であれば日本が譲歩して得をすると、自民党歴代政府が教えたのである。

その他の国は、反日ではない。親日だ。従って、現在、麻生副総理兼財務大臣が、ミャンマーを訪問していることは正月の嬉しいニュースだ。ミャンマーほどの親日国はない。国民のマインドも、西の端の仏教国ミャンマーと東の端の仏教国日本は似ている。

実は、西側諸国がアウン・サン・スーチー女史の主張に従って、長い間ミャンマーへの援助を凍結していた時に、我が国こそミャンマーへの援助を開始し、この親日国の国民を助けるべきであったのだ。

何故なら、ミャンマーは、日本の援助が止まっても歴史を忘れず「日本は独立の恩人である」と思ってくれていたからだ。

麻生現副総裁は、外務大臣の時からアセアンからインドそしてカザフスタンへの視点をもっていた。これは我が国の国家戦略を策定するに際して非常に重要な視点である。

海洋国家である我が国にとって、正面の太平洋の重要性はもちろんであるが、背後のインド洋こそ我が国の死命を制する重要な海洋であることをもっと自覚すべきである。

従って、安倍総理が最初に訪問する国は、アメリカであると決まってしまっているようだが、現在アメリカは、大統領就任式で忙しく、閣僚もこれから決まるのであるから、安倍氏は、まずインドネシア(アセアン)からインドを訪問し、それから政権の陣容が決まったアメリカにじっくり話をしに行く予定にしてもよかったのだ。

とはいえ、現在麻生さんがミャンマーを訪問中ということは、日本外交の明るい指向を示すものとして歓迎すべきである。

以上、日本国憲法は昭和21年2月にアメリカ人が書いたという決定的証拠に触れてから、正月3日と4日のニュースを書いてきたが、やはり、我が国周辺国の動きは、油断、予断を許さない。

安倍さんが望むように、本年の参議院選挙まで経済に専念することはできないだろう。新年に入って、中共は、昨年末に、初めて我が国の領空を侵犯してみた政治的効果をじっくりと見ている。

4日、与党の公明党の代表が、まず日中友好と唱えたニュースに満足げに頷いているだろう。日本に高圧的に出れば出るほど、日本国内に「日中友好」の声が高まると判断すれば、さらに攻勢を強めるだろう。攻勢の下の「日中友好」は「日本屈服」であるからだ。

「日中友好信奉者」よ、思考が逆なのだ。

「日中友好」は決して日中間に安定をもたらさない。

真に日中を安定させようとするならば、まず日米安保体制を強化すべきなのだ。

日米安保体制を盤石なものとすれば、日中は安定する。

つまり、「強い日本」が日中を安定させアジアに安定をもたらす。
 
本日4日、安倍総理は、伊勢神宮に参拝している。願わくば、伊勢の天照大神に、総理大臣として、義に基づくアジアの平和を切り開かんと祈念されんことを。

2013.01.05 Saturday name : kajikablog
<「頂門の一針」から転載>

2013年01月05日

◆選挙協力は維新の意思統一が焦点

古澤 襄


何をいまさら!と言いたくなるが、第三極の日本維新の会とみんなの党が、夏の参院選を前にして民主党の一部も含めて選挙協力ができないか、本格的な協議を始めようとしている。

衆院選で自民・公明両党の躍進を許した反省がある。

いまになって反省されても困る。このことは、かねてから小沢一郎氏が指摘してきた。数字面では民主党を含めて第三極の獲得票数が自民・公明の獲得票数を上回ったのは事実だが、それが獲得議席数に結びつく保証はどこにもない。

原因は雨後のタケノコのように乱立した新党にある。小選挙区制度のもとでは大政党が有利で、乱立している新党の獲得票数の総和がいかに多くても、死票を積み重ねるだけである。

参院選は31ある一人区で勝つことが、勝敗の決め手になる。言うなら1人区は衆院選の小選挙区に当たるから、野党が勝つつもりなら、A区は維新、B区は民主、C区はみんな、といったややっこしい選挙協力では、野党の有権者が戸惑うだけであろう。

31の1人区では小沢氏の生活の党を含めて「野党統一候補」を立てて、自民・公明に決戦を挑まなくては勝ち目が薄い。それが、いまごろ「第三極と民主党の一部も含めて選挙協力」を協議するというのだから、あきれてものが言えない。

野党の足下をみている自民党の石破幹事長は「31の1人区は全部いただく」と威嚇している。

<日本維新の会とみんなの党は、ことし夏の参議院選挙で自民党と公明党が過半数の議席を確保するのを阻止するため、民主党の一部も含めて選挙協力ができないか、今月にも本格的に協議を始めたいとしていますが、維新の会には旧太陽の党の出身者を中心に選挙協力に消極的な議員もおり、維新の会が意思統一できるのかが焦点です。

日本維新の会とみんなの党は、先の衆議院選挙で、両党がともに候補者を擁立した28の小選挙区すべてで共倒れし、自民党が圧勝した一因になったと分析しています。

このため両党は、ことし夏の参議院選挙で、自民党と公明党が非改選も含めて過半数の議席を確保するのを阻止するためには、民主党の一部も含めて選挙協力を行うことが必要だとしています。

両党は今月にも選挙区の候補者の一本化などについて本格的に協議を始めたいとしていて、維新の会は主に西日本に候補者を擁立し、みんなの党は東日本に候補者を擁立する、すみ分けなどを模索する声が出ています。

ただ、維新の会では、旧太陽の党の出身者を中心に、「みんなの党とは政策に違いがある」などとして、選挙協力に消極的な議員もおり、維新の会が意思統一ができるのかが焦点です。(NHK)>

2013.01.04 Friday name : kajikablog
<「頂門の一針」から転載>

2013年01月04日

◆額賀首相特使 4日に朴槿恵氏と会談

古澤 襄


元日から安倍外交がスタートした。首相特使として韓国を訪問する自民党の額賀元財務相と私邸で会談し、「日韓両国は新しい政権をスタートすることになるので、いい船出にしたい」と自分の思いを伝えた。

額賀氏は4日、韓国を訪問し朴槿恵(パク・クネ)次期大統領と会談、安倍親書を手渡す。韓国メデイアも聯合ニュースが額賀氏の訪韓を伝えた。

”反日”一色だった韓国が額賀特使の派遣で、未来志向の日韓関係に転じるほど簡単なものではない。聯合ニュースは安倍首相が竹島問題で強硬派とされる人材を抜てき、従軍慰安婦問題についても河野談話の見直しに言及していると警戒感をつのらせている。

だが朴槿恵氏の周辺によると、額賀特使との面会で朴槿恵氏も韓日関係の重要性を強調するとともに、友好的かつ未来志向的な関係を持続させるべきだとの意志を強調すると観測している。まだ正式に大統領に就任していないため、日本の右傾化については婉曲な表現にとどまるとみている。

むしろ韓国メデイアは、朴槿恵氏にとって、額賀特使との面会はその外交力を試される最初の舞台となり、朴氏にとっては、安倍内閣をけん制するとともに硬直した韓日外交の打開という二重の課題を背負うことになる・・・としている。

<安倍首相は1日、首相特使として韓国を訪問する自民党の額賀元財務相と会談し、日韓両国の新政権の「いい船出にしたい」として、両国の関係改善に意欲を強調した。

額賀元財務相は「(安倍首相から)両国とも新しい政権をスタートすることになるので、いい船出にしたいと。しっかりと自分の思いを伝えてきてほしいということでした」と述べた。

会談は、1日午後、都内の安倍首相の自宅でおよそ30分間行われた。

額賀氏は、4日に安倍首相の特使として親書を持って韓国を訪問し、朴槿恵(パク・クネ)次期大統領と会談するほか、金星煥(キム・ソンファン)外交通商相とも会談する予定。(フジニュース・ネットワーク)>

<【ソウル聯合ニュース】年明けの4日、韓国の朴槿恵(パク・クンヘ)次期大統領が、安倍晋三首相が特使として派遣する自民党の額賀福志郎元財務相と会談する。

安倍首相は自らの内閣に独島問題で強硬派とされる人材を抜てきした。

また従軍慰安婦問題について、旧日本軍による募集の強制性と関与を認めた1993年の河野洋平官房長官談話の見直しに言及するなど、「右傾化」をみせている。

このため朴氏にとって、額賀特使との面会はその外交力を試される最初の舞台となる。朴氏にとっては、安倍内閣をけん制するとともに硬直した韓日外交の打開という二重の課題を背負うことになる。(聯合)>

<朴槿恵氏=(聯合ニュース)

関係者によると、朴氏は特使との面会で韓日関係の重要性を強調するとともに、友好的かつ未来志向的な関係を持続させるべきだとの意志を強調するとされる。

日本政治の右傾化について懸念を表明する可能性も取りざたされているが、まだ正式に大統領に就任していないため婉曲な水準にとどまりそうだ。

朴氏の外交・安保上のブレーンとされる人物は30日、聯合ニュースの取材に対し、「国民は朴氏の韓日関係に対するスタンスに多大な関心を持っている。

このため直接的ではないかもしれないが、日本に対し韓日関係の発展を強調し、『こうなってはいけない』というようなことを伝えるのではないか」と話した。

別のブレーンは「大統領就任の祝賀がメーンだが、両国の関心事については自然に話が出るだろう。朴氏は韓国国民の関心事を考慮するだろう」と予想する。

朴氏は大統領候補だった11月の記者会見で「独島は歴史的・地理的・国際法的に韓国固有の領土であり、協議対象ではない」と表明した上で、「韓日両国の良好な関係発展のため、友好国家の日本はこの点を直視してほしい」と述べた。(聯合)>

<【ソウル聯合ニュース】朴槿恵(パク・クンヘ)次期大統領は31日、メディアに配布した新年のあいさつで、「今後、国民の暮らしの苦しさを解決し、国民の生活をサポートすることに国政運営の最優先の価値を置く」と述べた。

約2カ月後には新政府が発足すると言及し、新政府にかかる期待が何かを承知しているとした。今は世界経済が厳しく韓国経済も芳しくない状況だが、国民の心を一つにして努力すれば、国民幸福時代という新しい歴史をつくれると強調した。

また、全世代が韓国国民として自負心を持てるように社会のセーフティーネットを構築し、共存と共生の価値を高め、階層間の葛藤(かっとう)と二極化問題を緩和させるとした。

最後に今後5年間、国民の苦労と苦痛を聴き、解決するためあらゆる努力を行い、国民が望む新しい時代をつくっていくと語った。(聯合)>

<【東京聯合ニュース】日本の安倍晋三首相は1日、韓国は重要な隣国で関係が改善されるべきだとの立場を明らかにした。

安倍首相は、朴槿恵(パク・クンヘ)次期大統領への特使として派遣する自民党の額賀福志郎元財務相と東京都内の私邸で会い、「韓国は隣国で最も重要な国だ」とのメッセージを伝達するよう指示した。

安倍首相は額賀氏に対し、「両国とも新しい政権がスタートするので、いい船出にしたい。韓国は民主主義、市場主義などの価値観を共有する国だ」と述べ、首相の考えを伝えるよう要請した。

日韓議員連盟幹事長でもある額賀氏は4日に特使として韓国を訪問し、安倍首相の親書を朴次期大統領に渡す予定だ。外交通商部の金星煥(キム・ソンファン)長官との会談も予定されている。(聯合)>

2013.01.02 Wednesday name : kajikablog
<「頂門の一針」から転載>

◆随想:友とのメール

浅野 勝人 <(社)安保政策研究会 理事長>


〜闘い終えて日は暮れて、新春は「少しは良く鳴る法華の太鼓」〜

◆「小野のお通の件」・(吉川 英明)
ご無沙汰しています。先日は「安保研リポート」をお送りくださり、ありがとうございました。安保研のホームページも時々覗いています。これを続ける精力、大変だろうと思います。貴兄と仲間の皆さんの熱意には敬服しています。

今度の選挙、雨後の筍のように政党が乱立して戦後最低の様相を呈しています。雨降って地固まるとも言いますが、一度だけの雨ではどうにもならないのではないかと案じています。

長らくご無沙汰してしまいましたが、僕の方にも貴兄にお送りしようと思ったものがあったんです。うちの記念館の資料の中から、柳田国男が昭和14年の文芸誌に書いた「小野のお通」という一文が見つかりました。亡父の「宮本武蔵」の中のお通(これは勿論創作上の人物ですが・・・)からの連想に始まって、伝えられている何人かのお通について所見を述べています。

かなり読みづらい晦渋(かいじゅう)、難解な文章です。結局、真のお通ははっきりとは分からないというものですから、婿殿(註:浅野次女の亭主。重松清著・小説「とんび」を企画・演出したTVドラマでゴールデンニンフ賞を受賞したNHKディレクタ−)の参考にはならないだろうと思いますが、コピーを送ります。

それともうひとつ、これは私が失念していたことで、まことにお恥ずかしいのですが、亡父の「新書太閤記」の最後の部分に、小野のお通(太閤記では於通)が出てきていました。「新書太閤記」は読売新聞連載中に終戦を迎え、その日を境に亡父は連載を中断しました。読者や新聞社からのたっての要請で筆を執り、再び書き始めて1年弱書いたのですが、やはり気が乗らず、結局、未完のままに終わってしまったのはご承知の通りです。

その戦後書き足した部分に於通が出てくるのです。私も改めて読んでみたのですが、晩年、「小野の於通という才女を調べて書きたい」と熱っぽく語っていたのとは裏腹に中途半端に終わっています。そのため、私の記憶から抜け落ちたのだと思います。ですから、こうしたお通もあるということで「新書太閤記」最終2巻も送りますので、婿殿に差しあげて下さい。
この冬は、ことのほか寒さが厳しいですね。わたしも軽い風邪をひいて、それが長引いています。くれぐれも気をつけてお過ごしください。(12月14日)

◆「痛み入ります」 (浅野 勝人)
「お通」について質したのは、貴君の著書・新装版「父 吉川英治」を読んで感動したことと無縁ではありません。「何をとて人は眠るに炭つぎて ものや書くらんこの狂い人」と詠んで、執筆に苦しんでいる文豪の様子を赤裸々に写した秀作がきっかけです。いち生涯で遺したものとは、到底、思えないほどの膨大な超長編大作を書いた歴史作家が、どこかでお通と出会っていたに違いないと思ったからでした。

私には深い知識と意味があったわけではなく、いつか以前から「戦国の才女・小野のお通」の存在が気がかりだっただけです。信長、秀吉、家康と3代にわたって傍近くで生き抜いたらしい才媛が、3人の調略にどんな影響を与えたのだろうかと勝手に想像したからです。そんな無責任な問いかけを忘れずに貴重な資料を送っていただいた由、感謝すると共に訊ねたことさえ失念していた己を恥じ入っています。

雨降って地固まるのことですが、実は、今回、3度目の豪雨です。前々回の「郵政選挙」での小泉チルドレン。前回「政権交代選挙」の小沢チルドレン。今回は「大政翼賛会選挙」になって、どこを向いても右派ばかりになるのでしょうか。

これを改めるには、小選挙区に比例復活というインチキを抱き合わせた今のシステムを変えるしか手がありません。今の制度だと4割の得票率が8割の議席の確保を可能にします。例えば、中選挙区なら有権者の3割を占めるハト派の票が議席に繋がりますが、小選挙区では死票になってしまいます。

ですから、選挙制度を中選挙区に戻さない限り、日本の政治はぶれ続けます。(12月15日)

◆「明日はどこに投票したらいいのやら・・・」・(吉川 英明)
いやいや、父親が小野のお通を「太閤記」の中に登場させていたのをすっかり忘れていた私こそ汗顔ものです。前のメールで連絡しましたが、文庫の十巻、111ページから於通が登場します。

実は、橋下徹はまれにみる糞度胸と実行力のある人材だとずっと注目していたのですが、大詰めにきて石原慎太郎を代表に迎えたのでがっくりしました。橋下の素質には他の政治家には見当たらないものがあるので期待していましたが、右翼の老害と組む神経に愛想が尽きました。
維新には入れませんが、それならどこに投票したらいいのか、まだ迷っています。
(12月15日)

◆「あの世で聞きましょう」・(浅野 勝人)
お送りいただいた資料、さっそく拝読しました。「新書太閤記」が於通の父親を美濃の小野政秀としたのはさすがです。於通が、同じ美濃・齋藤家の家中、竹中半兵衛重治の妹の尼と縁あって自然です。入念な調べの結果、行きついた結論だったのではないでしょうか。

完結させていたら、於通にどんな生き方、とりわけ、秀吉と家康の間に立ってどんな役割を果たさせたか。懸命の和平工作が実らず、於通は失意のうちに髪を下ろして隠遁したか。家康の陰で長期安定政権による戦さのない時代作りに成功して生涯を閉じさせるつもりだったか。あの世に逝ったら父君・吉川英治先生に直接聞いてみます。

司馬遼太郎も「新史 太閤記」でお通までは間口を広げませんでしたから、誰か小野のお通(於通でもいい)をノンフィクション的フィクションに仕上げる作家はいないものですかねえ。元政治家としては興味がつきません。

柳田国男は視点が違いました。小野姓を小野小町、小野妹子に結び付けたいという強い思いで歴史を推測していました。戦国の小野のお通への矮小化を避けて、平安にさかのぼる歴史分析ですから、その意味では参考になりません。

私も橋下徹には、当初、日本の改革をやり遂げるかもしれない人材と期待していました。時が経過するに連れて、改革の内容よりも選挙に得か、損かを天秤にかけて判断する政治行動の原点が見えてきました。

龍馬のごとく理想主義をかかげた船中八策もいつの間にかちりじりになって、挙句の果てに帝国主義時代の亡霊と野合して、乗っ取られてしまいました。「橋下劇場」も遂には正体見たり枯れ尾花に終わりました。

真の中道政治勢力は、日本では公明党を残すだけとなりました。時代錯誤の右翼、石原維新は論外としても、自民党の右傾化を阻止できる力があるのは公明党だけです。だから、今日は、選挙区は自民党、比例区は、公明党に投票します。女房と一致しました。彼女らも右傾化アレルギーみたいです。(12月16日)

◆「消去法で決めました」・(吉川 英明)
選挙に行ってそのまま渋谷に出かけ、いま帰ってきました。私は迷った末「みんなの党」へ入れてきました。積極的な支持というより、消去法で残ったからです。

貴兄が、著書「諌める 亡国の政治に警鐘」の中で、民主党のことを「ヤルヤル詐欺」と表現したのをひどい言い方だとは思わなった記憶が蘇(よみがえ)り、真っ先に民主党を除外しました。ちょっと見栄えのいいおばさんを担いで自らの国民の生活、何とやらの政治集団の延命を図ろうとする小沢一郎の謀略には加担できない。

石原慎太郎と野合した段階で維新は圏外。今回は自民党が勝つ番です。安倍政権がどれほど真剣に内外の課題と取り組むかを見定めてから評価することとしました。公明党とみんなの党をどちらにするか迷いに迷いましたが、組織の支援のない「素手のみんな」にしました。

それにしても、小選挙区は2大政党による安定した政治を誘導するはずではなかったですか。日本の政治風土になじみませんね。選挙制度の是正は喫緊の政治課題であるという貴兄の見解に同意します。

お通について丁寧なメールをありがとうございました。於通は「太閤記」の続きを書け書けと新聞社にせっ突かれて書き始めたストーリーの中に登場させただけに、於通に関しては準備不足だったような気がします。折角書き始めた「太閤記」の続編を途中で止めてしまったのも、於通だけを取り上げて、改めて書き直したい気持ちが湧いてきたからかもしれないという気さえします。

その後、小学校高学年か、中学に入り立ての私に「小野のお通(於通)」という女性を書きたいと漏らしていたくらいです。もう、4〜5年生きていたら書いていたかもしれませんね。貴兄が「お通」にこだわるのが、なぜか亡父を想い出させてくれます。
(12月16日)

◆「闘い終えて日は暮れて」・(浅野 勝人)
見渡せば  鷹ばかり棲む  寒い朝
安倍が君子豹変することを期待するのみの政治の風景になりました。

経済の底上げと雇用の充実(景気の回復)。子育ての安心(出生率といじめ)。老後の不安解消(年金、介護)。日米関係の再構築 を怠る懸念はもちません。短期間で民主党政権よりも実績を上げるのは確実だと思います。

問題はアジア外交。何より大切なことは、中国のためは日本のため、日本のためは中国のため、日中のためはアジアの平和と繁栄のためという至極簡単な立ち位置を間違えないでほしいという思いです。そもそも行き詰っている日中関係を打開して、余計なことをすると思う人はいないでしょう。

それから、大政翼賛会チルドレンが占める480人のなかに、せめて5人か、10人、長老の存在が必要だと思いませんか。折を見て、ゆるりと語る冬の夜を楽しみにしています。
(12月17日)

◆「それでも鷹内閣に期待したい」・(吉川 英明)
幸か不幸か、貴兄命名の大政翼賛会選挙になりました。内閣も谷垣法務大臣を除いておおむね鷹ばかり。確信的な右派をことさら何羽か入閣させた意図が世論に迎合して、参議院選挙を意識したつもりだとしたらいかがなものか首をかしげます。

もっとも鷹ばかり棲む原野から選ばざるを得ませんから、不思議な顔触れではないのかもしれません。もし、新内閣に不満があるとしたら、責めは有権者が負うべきでしょう。

明くれば新春! 経済の実態を伴わない「見せかけの株高」で世論に阿る(おもねる)のではなくて、失った時間を取り戻す果敢な政策の推進を期待したいと願っています。             (12月28日)

◆「右よりの政権は左寄りに振れる ?」・(浅野 勝人)
「小野のお通 論」のつもりが、いつの間にか楽しげな政治批評になりました。もっとも、お通の影響と時節柄のせいでしょう。

フランスの政治学者で、はじめて政党論を世に表したパリ大学のモーリス・デュベルジェ教授は「右寄りの政権の政策は左に振れ、左寄りの政権の政策は右寄りにぶれる」と記述しています。至言です。

世論が右一色と錯覚して右傾化を鮮明にしたら、貴君のおっしゃる通り、参議院選挙で痛い目に会うにちがいありません。

この政権は、自公連立であると同時に実態は「A―A連立」でしょう。安倍、麻生とも根っからの中道右派ですが、ふたりとも、なぜ、自らの政権が短命に終わったか、今は思うところが少なくないはずです。

我がままの通る「お友だちクラブ」の 轍を踏む愚は犯さないでしょう。

右派振りを示しても目立たないほどの政治環境の中で、右傾化促進リーダーを演じるのは愚かな選択です。A―Aラインのどちらが右傾化を諌めるか見ものの年となりました。

国益を害する情緒的なナショナリズムへの傾斜を戒める政治家がアジアの真のリーダーだからです。               (12月31日)

・<註> 吉川英明は、文豪・吉川英治の長男。吉川英治記念館館長。浅野と吉川は、半世紀前、NHKで同期の記者。(浅野 勝人)

・序でながら毛馬一三もは、ご両人とNHKで同期記者です。


2012年12月30日

◆国民が自国を守るのは当然だ

前田 正晶


安倍総理が総裁に選ばれた際に、自衛隊を「国防軍とする」との説を打ち出していた。それを聞いて思い出したことがあった。それは在職時にスエーデンを代表する多国籍企業Tetra Pakの資材担当副社長のスイス人 と、来日中の我がW社事業部の首脳が懇談した時のことだった。

こういう会合は通訳せずに聞いているだけなので、楽しく拝聴していた。

彼は「私は未だに予備役将校として年に一度はフル装備で軍事訓練に参加する。自分たちが国家を守る以上当然である。我が家には軍服も兵器もある」と昂然として、胸を張って静かに語ったものだった。

私はスイスがそういう永世中立国だとは承知していたが、実際に聞いてこれがその実態かと感銘を覚えた。同時に「ナルホド、欧州の多国籍企業にはこういう面もあるのか」とも知り得た次第。

そこに我がメル友にして畏友の論客・尾形美明氏が、以下のような同氏所属の会合での報告にさらに補足した上で補強して頂けた。尾形氏のご好意に感謝して引用すれば、

・核シェルターは全国民をほぼ収容できるほど完備している。

・食料はじめ、生活必需品の備蓄。各家庭は勿論、会社にも備蓄倉庫
がある。兵器まである。

・アルプス山中には、戦闘機が発着できる秘密軍基地や倉庫がある。
また、牧場から急に戦闘機が飛び出してくる。

・国民皆兵、42歳まで?は毎年定期的に一定期間の軍事訓練がある。

・兵役義務がある男性の家には歩兵としての装備が常備されている。

・大きな広場には戦車の格納庫があり、高速道路は有事には滑走路と
して使用できるようにしてある。

・スイスは人口700万人だが、非常時には予備役投入で100万人近くに
なる。

・機関銃を担いだ兵士とよく列車で一緒になる。

・観光バスで町や村を通過しても、訓練中の兵士とよく出合います。

・スイス在留の外国人は、4人家族で年約50万円の国防費負担がある。

私はこういうことをもっと広く我が国でも知らせて置いても良いかと考えている。「安保条約があるからアメリカが守ってくれるの安全だ」などという考え方では甘いと認識しておくべきではないだろうか。

そう考えれば、安倍総裁の主張を右傾化だの軍国主義的だ等批判するのは不適切だ。
<「頂門の一針」から転載>

◆日本憲法の致命的欠陥とは

古森 義久


なぜいま憲法改正論議なのか。いまの日本の憲法は自国を正常な主権国家とみなしていないからです。

日本は普通の国になり、国軍を持つと、必ず他の諸国を侵略する。いまの憲法を絶対に変えるなという勢力の主張するのは、そんな虚妄の「理由」なのです。

自衛隊が海外に出るとまた他国を侵略する。防衛庁が防衛省になると、日本は軍国主義になる。こんなデマを何度,聞かされてきたことでしょう。

その背後にあるのは、「日本という国や国民は他の諸国の人々と異なり、自縄自縛にしておかないと、他の国を必ず攻撃する」という日本の悪魔化です。自分の国や国民が悪魔のDNAを持っているというに等しい主張を叫ぶ「護憲派」とは、どういう日本人たちなのでしょうか。

日本憲法をその生い立ちにさかのぼって、なにが欠陥なのかという説明を続けます。

<なぜ「憲法が日本を亡ぼす」のか ようやく国際的な現実に追いついてきた憲法改正議論>

憲法第9条の以上の文章を普通に読めば、日本は一切の軍事力を持つことも、使うことも、すべて自らに禁じているように受け取れる。実際の解釈はやや異なるのだが、この読み方も実は正しいと言えるのだ。

■日本を永久に非武装のままにしておくことを目論んだGHQ

周知のように、日本国憲法の草案はすべて日本を占領中の米軍総司令部(GHQ)のスタッフによって書かれた。敗戦からわずか半年後の1946年2月のことだった。しかも10日間で書かれ、そっくりそのまま日本側に押しつけられた。日本側には拒否や修正の権利は実質上なかった。

私はその憲法作成の実務責任者であるチャールズ・ケーディス氏に長時間インタビューして、当時の実情や占領軍側の考えを詳しく聞いた.(『憲法が日本を亡ぼす』ではその記録を全文収録した)。占領軍がいかに大ざっぱに、一方的に、日本の戦後の憲法を書き上げたかを、ケーディス氏は米国人らしい率直さで認めるのだった。

同氏の明かした日本憲法の真実を簡単にまとめると、以下のようになる。

(1)新憲法は日本を永久に非武装のままにしておくことを最大の目的
とした。

(2)日本の自国防衛の権利までを否定する方針で、その旨の明記が最
初の草案にあったが、ケーディス氏自身の考えでその否定の部分を削除
した。

(3)「交戦権」という言葉はケーディス氏にも意味不明であり、「国
の交戦権を認めない」という部分はもし日本側から要請があれば、すぐ
に削除した。

(4)第9条の発案者が誰だったのかはケーディス氏には分からない。

v(5)米国側は日本が新憲法を拒むという選択はないと見ていた。

以上が米軍の意図だった。だから第9条の条文を読んで「日本はたとえ自国の防衛のためでも軍事力は使えない」という意味にとっても、おかしくはないのである。

■自国の領土や国民の生命を守る権利を規定していない

周知のように、日本側にとっては第9条第2項の冒頭に「前項の目的を達するため」という注釈の挿入が認められた。前項の目的、つまり「国際紛争を解決」という目的以外の自国の防衛だけには軍事力の行使が認められる、ということになったわけだ。

だが、こんな経緯もしょせん詭弁とか禅問答のように響く。屁理屈と呼んでもよいだろう。その屁理屈的な規定を受け入れてもなお、全世界で日本だけは自国の領土や領海を越えれば、たとえ自国の防衛のため、自国民の保護のため、あるいは国際平和のためであっても、軍事力は一切、使ってはならないのである。(つづく)

http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/2963474/
<「頂門の一針」から転載>

2012年12月29日

◆安倍内閣支持65%、景気回復に期待

古澤 襄


読売新聞の世論調査で、安倍内閣の支持率は65%、不支持は27%。内閣が最重要課題の一つに掲げる景気回復について国民の三分の二が期待と賛意を示した。

党執行部人事では石破幹事長の留任を「評価する」との回答は71%に上り、石破人気の高さを裏付けた。また党三役の政調会長と総務会長に女性が起用されたことも64%が評価。

新内閣がスタートして100日間はメデイアも批判を控えるのが通例だから、100日後になっても景気回復の兆しがみえなければ”期待”が”不支持化”となって襲いかかる。安倍内閣に求められるのは”スピード感”のある政策実行であろう。

各社も内閣支持率の世論調査を行ったが、次のようなことになった。

日経 62%
共同 62%
朝日 59%
毎日 52%

<読売新聞社は第2次安倍内閣の発足を受けて、26日夜から27日にかけて緊急全国世論調査(電話方式)を実施した。内閣支持率は65%で、2006年9月の第1次内閣発足時の70%はやや下回ったが、内閣発足直後の調査(1978年発足の大平内閣以降)としては野田内閣と並ぶ歴代5位の高さだった。不支持率は27%。

内閣を支持する理由は、「これまでの内閣よりよい」がトップで、「政策に期待できる」が続いた。自民、公明連立政権に代わったことや、景気回復への期待が強いことが高い支持率の要因とみられる。

閣僚の顔ぶれについては、谷垣法相の起用を「評価する」は54%だったが、経済運営の司令塔となる麻生副総理・財務相の起用を「評価しない」は45%で、「評価する」の43%と拮抗(きっこう)した。

自民党執行部人事では石破幹事長の留任を「評価する」との回答は71%に上り、党三役の政調会長と総務会長に女性が起用されたことも64%が評価している。

政策面では、安倍内閣が最重要課題の一つに掲げる景気回復を実現できると思う人は48%で、「そうは思わない」は39%だった。(読売)
2012.12.28 Friday name : kajikablog

2012年12月28日

◆2012年政治決戦を2年前に予告

古澤 襄


二年前の十二月三十日に「本格的な政治決戦は2012年になるだろう。菅政権とはいわないが、民主党政権にとって2011年中に基本的な政策変更を図らないと沈没船のまま海底を漂うことになりかねない」と予告したが、その通りとなった。

当時の杜父魚ブログの読者は、毎日一万人余り。いまでは三万一〇〇〇人に増えている。

政治記事の要諦は「事実を正確に書き」さらに「先見性ある予測」をすることにある。それに従えば、二〇一三年参院選は民主党が敗北し、二大政党の一角が衆参で崩れると予告したい。

その原因は、来夏の参院選で民主党は二〇〇七年参院選で大勝した議員たちが改選期を迎えるからである。参院議員は衆院と違って六年間の任期中には選挙がない。常在戦場の衆院議員と違って、緊張感に欠けるから基本的には選挙に弱い。

一人区で追い風に乗って当選した民主党は苦戦を免れない。

選挙区選挙が二〇一三年参院選の帰趨を決めるとみているが、同時に比例区選挙にも注目している。安倍自民党は比例区で、桜井よしこ氏のような知名度のある候補者を擁立するであろう。

過去、二回の参院選で自民党は比例区の得票が漸減している。それに歯止めをかけるために、知名度のある比例区の候補者擁立に力を入れている。

対する民主党は自治労や日教組などの労組頼りの選挙から脱しきれていない。労働組合の組織率が20%を切る中で、この選挙手法では限界がある。加えて維新の党、みんなの党など第三極からの挟撃を受ける。参院選はすでに半年後に迫った。二〇〇七年参院選で六〇議席を獲得して大勝した民主党は、大きく議席を減らすことを予告しておきたい。

<杜父魚ブログには毎日、一万人を越える読者がアクセスしてくれるが、私の方はその読者傾向を毎日、グーグル検索で調べるのが楽しみ。一年間を通じて一番よく読まれたのは屋山太郎氏の「ど素人・寺島実郎氏の外交感覚」。また十二月二十九日の一日にかぎれば、私の「仙谷官房長官が頼る二人の民間人ブレーン」がトップでよく読まれている。

鳩山外交にもっとも影響を与えたと巷間伝えられた寺島実郎氏と、陰の総理大臣といわれる仙谷由人氏のブレーン中前忠と篠原令の両氏が期せずして読者の関心を集めた点が面白い。旧聞になるが安倍晋三氏のブレーンについて「注目される安倍ブレーンの三氏」(2006・9・8)を書いたことがある。

中西輝政京大教授、伊藤哲夫日本政策センター所長、八木秀次高崎経済大学教授の三氏を取り上げ、安倍氏は国家理念を重視する保守イデオロギー派と位置付けた。

世間では菅・仙谷VS小沢の対立に関心が集まっている。新聞・テレビもそれ一色。しかし菅、小沢氏には、それを支える学者グループが見当たらない。学者なんて象牙の塔の存在で、下手な口出しをされても実学の政治の世界では厄介ものだと思っているのかもしれない。

だがワシントンから古森義久氏が伝えてきているように、米国ではシンクタンクで様々な政策論が戦わせられていて、それが米政権の政策に影響を与えている。ハーバード大学やプリストン大学の教授が共和、民主両党の大統領の政権交代でホワイトハウスに入ってくるから、外交路線の変化が外からも見える。

また政策に厚みがある。

その点では日本政治は世界政治のローカル、貧弱さが覆い隠せない。とくに菅政権には思いつきの政策が目立っている。政治主導が空回りして、官僚の政策提言が出てこない。どの道、短命政権だと霞ヶ関官僚たちは、お手並み拝見を決め込んでいる。

岸内閣の当時だが、反主流派の池田勇人氏は不遇の時代に下村治氏らエコノミストや大蔵官僚系議員たちとともに「所得倍増」のもととなる政策構想を練り上げている。日本で本格的な政策集団を作ったのは池田氏といっていい。60年安保の三年前の1957年、自らの政策集団・派閥である宏池会を結成している。

ひと握りの若い政治家の能力などはタカが知れている。人生経験も政治経験も未熟だから、三宅久之氏から一喝されると縮み上がる。やはり野党時代に国の基本政策である外交・安全保障政策や国家財政の政策をなおざりにしてきたまま、政権を手中にしたツケが回ってきたと言わざるを得ない。

このままだと民主党は政権の座から滑り墜ちたら、再登場する可能性は極めて低いと思う。それは二大政党制を志向する日本政治にとって不幸なことである。

本格的な政治決戦は2012年になるだろう。菅政権とはいわないが、民主党政権にとって2011年中に基本的な政策変更を図らないと沈没船のまま海底を漂うことになりかねない。
<杜父魚ブログ)-- 2012.12.27>




◆当てにならぬプロの選挙予測

平井 修一


2012総選挙の結果はこうだった(カッコ内は選挙前議席)。
民主57(230)、自民294(118)、未来9(61)、公明31(21)、維新54(11)、みんな18(8)。

自民・公明で325議席、民主・国民で58議席で、自公の圧勝だ。政治評論家は上記の選挙結果を事前にはどう予測していたのだろう。

■「毎日新聞」2012年9月5日
「民主党の獲得議席は2桁か、せいぜい100余り」。政治取材のベテラン3人は、まず、民主党が壊滅的な敗北を喫するという点で一致した。最も厳しい「80議席」を予想するのは政治ジャーナリストの角谷浩一さんだ。

「民主党も駄目なら自民党も駄目、既成政党はもう嫌だという有権者は多い」と野上忠興さんは、維新の会は119議席を予想する。

■「週刊朝日」2012年10月19日号
森田実「今の右傾化ムードが続く中で衆院選に突入すれば、民主党は86議席と3ケタに届かず、自民党は234議席に倍増すると見ています。31議席の公明党と合わせると265議席となり、安定多数を確保するでしょう。

維新の会は勢いが若干しぼみつつあって61議席にとどまり、みんなの党は28議席、小沢一郎代表率いる国民の生活が第一(未来)は20議席程度になるでしょう」。

田崎史郎「自民党の第1党は揺るがず、今の雰囲気のままいけば、200議席を超えてくると思います。民主党は90議席程度、維新の会は70議席弱、公明党とみんなの党はそれぞれ30議席前後、生活は20議席ほどではないかと見ています」。

■「週刊現代」2012年11月17日号
維新の会や石原新党など、いわゆる「第三極」の連携が、総選挙前にできるかどうかがポイントです。もし連携できれば自民党は180議席程度に止まり、民主党は80議席以下、そして第三極の勢力が180議席くらい獲得できる。公明党が30議席を獲ったとしても、自公連立で衆院の過半数、という構図にはならない。

■「ZAKZAK」2012年7月25日
政治評論家の小林吉弥氏による政党別獲得議席予測では、大阪市の橋下徹市長率いる「大阪維新の会(維新)」が110議席を獲得して大躍進し、民主党は2ケタまで落ち込むという。

自民党は「小選挙区144、比例区48の192議席」と予測した。73議席増だが、単独過半数には49議席足りない。
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結果は自公で絶対安定多数の325議席へ大躍進、維新は伸び悩みの54議席、一方で民主57議席、小沢一郎系の未来は9議席という大敗北。政治評論家とは言いながら、ほとんど予測は外れている。

選挙は水物ということか、それとも評論家の能力が至らないのか。要は「当てにならない」とうことだ。
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“”石井修一ISHII Shuichi

2012年12月27日

◆義勇心なき国民

加瀬 英明


尖閣諸島が日本の領土であることは、疑いもない。

日本政府が明治18(1885)年から尖閣諸島の現地調査を行って、中国清朝の支配下にない無人島であることを確認したうえで、10年後に日本の領土に編入した。

いまになって、中国は日本が清から略取したと主張して、「日本が盗んだ」「奪われた領土」といって騒ぎたてているが、中国がはじめて尖閣諸島の領有権を主張したのは、昭和46(1971)年に国連アジア極東経済委員会が東シナ海の海底に、巨大なガス田、油田が埋蔵されていると発表した直後のことである。

中国で11月15日に、習近平新体制が発足した。

習近平総書記兼中央軍事委員会主席は就任に当たって、「近代以降、中華民族は最も危険な時を迎えたが、中国共産党の創立後は団結して民族の偉大な復興を成し遂げた。

引き続き中華民族の偉大な復興のため奮闘努力しよう」と訴え、その翌日、党政治局常務委員の会見で、「中華民族の偉大な復興」を繰り返して強調した。

さらに、16日の党中央軍事委員会会議で「軍事闘争の準備を最重視する方針を堅持、国家主権と安全、発展の利益を断固守る」と呼びかけた。前の胡錦濤政権が「中国の平和的台頭」を標榜したのに対して、中国の野望を露わにしたものだった。

中国が尖閣諸島の領有権をはじめて主張した翌年に、田中角栄首相が北京入りして、日中国交正常化が行われた。

田中首相が尖閣諸島に触れたところ、周恩来首相が慌てて「ここではやりたくない」といって逃げたのを、田中首相が国交正常化を焦ったために、頷いた。

私は田中内閣によって日中国交正常化が強行された時に、中国が全体主義体制のもとにあるうえに、歴史を通じて邪悪な政治文化を特徴としてきたことから、国交正常化に当たって、日台関係の処理をはじめとして、大きく譲歩したことに反対した。

当時、中国は中ソ戦争が生起することに脅えていたから、中国のほうが日本を強く必要としていた。

昭和53(1978)年10月に、中国の最高実力者だったウ小平副首相が来日した6ヶ月前に、中国の百数十隻の漁船が尖閣諸島を取り囲んで、日本政府を狼狽(ろうばい)させた。

トウ副首相は来日すると、尖閣諸島の領土問題を「1972年の合意に基いて棚上げしよう」と提案した。日本側はそのような了解が存在しなかったと否定するべきだったのに、国家にとって領土が生命であるのを忘れて、中国に媚びて受け容れたために、大きな禍根をつくった。

中国は平成4(1992)年2月に、尖閣諸島を自国領土として規定した「領海法」を制定することによって、中国から言い出した「棚上げ」論を反古(ほご)にしてしまった。それにもかかわらず、宮沢喜一内閣は天皇がその秋にご訪中されることを決定した。

私はこの年8月に、宮沢内閣が天皇ご訪中について14人の有識者を首相官邸において個別に意見を聴取したが、その1人として招かれた。

私は陛下が外国に行幸されるのは、日本を代表してその国を祝福されるためにお出かけになられるものだが、中国のように国内で人権を蹂躙している国はふさわしくないうえ、ご訪中によって中国が2月にわが尖閣諸島を領土として含めた領海法を施行したのを、容認することになると反対意見を述べた。

その後、中国人活動家グループが、香港、台湾と協動して、尖閣諸島領海に不法侵入する事件が、あいついで発生した。そして日本政府は、中国、香港の活動家がわが国の主権を侵す目的をもって魚釣島に上陸したのを逮捕、あるいは検束したのにもかかわらず、中国を刺激するのを恐れて、起訴することなく釈放した。

日本政府は日本国民のみならず、尖閣諸島が沖縄県石垣市に属しているのにもかかわらず石垣市の市職員まで、現状を変更することになるといって、尖閣諸島に上陸することを禁じてきた。

野田内閣は中国が尖閣諸島を奪おうと企てるのが明らかになるなかで、尖閣諸島の「平穏かつ安定的な管理」を唱えて、無為無策に終始した。このような日本政府の怯懦な姿勢が、中国をいっそう慢心増長させた。

野田内閣が平成24(2012)年9月9日に尖閣諸島の国有化を決定したところ、中国政府が激しく反発して、中国全土に大規模な官製の反日暴動が荒れ狂った。

すると、日本の大手のマスコミによって、日本政府が国有化を決めたことによって、これまで「棚上げ」されて、凍結状態にあった現状を壊したために、中国の反日暴動に火をつけたという見方がひろめられた。

これは、とんでもない言い掛かりだ。その半年前の3月16日に、尖閣諸島の久場島沖で中国の国家海洋局所属の海洋監視船「海監50」と、もう1隻の中国の公船が、日本領海を侵犯したのに対して、わが海上保安庁の巡視船が警告したところ、「海監50」が「釣魚島(中国側の魚釣島の呼称)を含むその他(尖閣諸島)の島は中国の領土だ」と応答し、逆に巡視船に退去するように要求した。

これまで、中国公船によるこのような傍若無人な行動はなかった。1978年以降、中国は「棚上げ」の合意を、つぎつぎと恣意的に破ってきた。

尖閣諸島が、危い。日本は先の大戦において敗戦を喫してから、勇気をまったく欠いた国となってしまった。誇るべき国史と伝統文化――心を捨てるかたわら、軍事にまつわるいっさいを危険視して、物質的な快楽のみをひたすら追求してきた。そのために、中国、韓国、ロシアだけではなく、諸外国から侮られる国となっている。

戦後の日本を企業に譬(たと)えていえば、「平和主義」を国是として、外国であるアメリカに国防を過度に依存して、経済のみに専念してきたビジネスモデルが、いまや完全に破綻している。

多くの国民が日本が「平和主義国家」であることを誇ってきたが、他人に縋(すが)って贅沢な暮しをしているのを、自慢しているのとかわらない。卑しいことである。

(私の中国論については、石平氏との対談『相手が悪いと思う中国人 相手に悪いと思う日本人』<ワック文庫>を読まれたい。)
<12.26刊「頂門の一針」から転載>