2012年03月19日

◆出たり引っ込んだりで民・自の大接近

杉浦 正章



俳句の季語で政治を語る第2弾。ちょうど今頃の春の季語に「啓蟄(けいちつ)」がある。地下に潜っていた虫やヘビが這い出してくることを言う。日経俳壇の黒田杏子選の拙句に「啓蟄の天道虫に雪の舞う」がある。天道虫は表に出たはいいが寒くて引っ込みたいのだろうと気持ちを詠んだ。


今の民主党と自民党の“接触”はその啓蟄で、話し合い解散やら大連立やらが出たり引っ込んだりの状況だ。しかしこの動きは啓蟄を繰り返しながらも消費増税の実現に向けて全容が姿を現す流れになってゆきそうな気配だ。
 

2月25日に行われた首相・野田佳彦と自民党総裁・谷垣禎一の極秘会談が明らかになったのは3月1日。間を置かずに野田と呼吸を合わせるように副総理・岡田克也が自民党幹部にこれも極秘で会った。おそらくかねてから親交があり、筆者も水面下で必ず会うと予言していた副総裁・大島理森との会談であろう。


この席で岡田は消費増税での大連立で5〜6人の入閣ではどうかと持ちかけたようだ。大島は独断で受けるわけにもいかず、断ったようだ。もちろん総選挙を前にして大連立などしょせんは無理な話だ。自民党幹事長・石原伸晃も「いつ沈むか分からない船に一緒に乗って航海を助ける余裕はない」とにべもない。
 

岡田も不可能を承知で“接近策”をとっているのだ。野田、岡田コンビは意図的に一種の攻勢を自民党に仕掛けている形なのだ。それは同時に党内小沢グループへもきわどい牽制球を投げていることにもなる。消費増税での党内論議が始まる前に極秘党首会談、論議が始まっている最中に極秘の副総理・副総裁会談の流布だ。2段ロケットを食らって、さすがの元代表・小沢一郎もたじたじの体であることは間違いない。


こうした動きをフォローするかのように民主、自民の双方から明らかに会談を背景にした“秋波”が送られ始めているのだ。
 

まず、岡田が17日那覇で「自民党が民主党を批判し、民主党がそれに反論するような政治は、国民が求めている政治ではない。消費税の問題などの重要な問題について、民主党と自民党がお互い国民の立場に立って議論し、譲り合って合意に達する必要がある。


そういう政治が実現しないかぎり、既存の政党は国民からますます見放されていくだけだ」と述べた。確かに読売新聞主筆の渡辺恒雄が文藝春秋誌上で「橋下市長の発言はヒトラーを想起させる」と批判した大阪維新の会の台頭の背景には、既成政党批判がある。民主党も自民党もようやくこれに気づき始めたのだ。
 

自民党幹部らも微妙な発言をし始めている。幹事長・石原伸晃が17日のテレビで「7万円を配る最低保障年金の導入や年金一元化はしないで現行制度をよくする形で社会保障を充実させる。そのために消費増税をと野田さんが言うのなら谷垣総裁も考える」と述べた。従来の突っぱねる感じが失せて、条件次第で消費増税に賛成する可能性を示唆しだしたのだ。


18日のテレビでは元官房長官・町村信孝が「自民党は4年前から消費税を上げると言ってきた。方向感覚は同じだ。最低保障年金の撤回など大胆な合意が政府・与党に出てくれば賛成の事態もあり得る」とこちらは何と「賛成」という言葉を自民党幹部で初めて使っているのだ。共通項が「最低保障年金」となっているのも、自民党内で調整した上での話である可能性が濃厚だ。


もともと野田政権にとって最低保障年金などは、現在論議の最中の「再増税」と同じで、取引材料にしか過ぎない。野田が消費税という大の虫を生かすため小の虫を殺すのは目に見えている。高いハードルではない。
 

もちろん自民党には、民主党内の論議を見据えて野田をけしかけて消費増税法案で突っ走らせ、法案の国会提出を実現させて、今度はこれを軸に早期解散を実現しようという魂胆がある。野田はその戦略を見抜きつつも、何が何でも消費増税を実現させるという意気込みで、自民党との“危うい関係”を醸成しつつあるのだ。


この流れは加速して次第に「らんまんの今朝も啓蟄明日も啓蟄」(拙句)という状態になってゆくのだろう。別に大連立などと仰々しいものは実現しなくても問題ではない。政策ごとの「パーシャル連合」もあるし、閣外協力もある。消費増税法案のためには何で出てくる春なのだ。

<今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2012年03月16日

◆野田は小沢を論議の場に招致せよ

杉浦 正章
 


民主党の消費増税論議を煎じ詰めれば落選先送りの「自己保身組」対、待ったなしの国家財政を考える「良識派」の戦いだ。これに誰も実現出来ると思っていない再増税論まで出てきて、論議は混迷の極みだ。


「ボコボコだが頑張る」という首相・野田佳彦は、本当に「ボコボコになる」前に、すべての発火源である元代表・小沢一郎を消費税合同会議に招致して、財源がどこにあるか見解を聞いて説得してはどうか。小沢は「野田は何考えてるのか分かんねえ」といっているのだから、ちょうどよいではないか。逆に小沢がボコボコになる。
 

とにかく正々堂々と国家財政の在り方を論議すべき場であるというのに、合同会議は近ごろの村議会よりレベルが低い。反対派は小沢の代弁者丸出しの衆院議員・川内博史が手続き論で会議をストップさせれば、事実上「消費増税凍結法案」となる停止条項の数値化を要求するといった具合だ。


とりわけ噴飯物なのは法案の付則に執行部が「税制のさらなる改革を実施するため、16年度をめどに必要な法制上の措置を講ずる」と追加増税まで加えた点だ。現在の10%への増税がどうなるかを論ずる場に、追加増税とはまるで、隣が火事なのに坊主のお経を拝聴しているようなものだ。その意図が分からない反対派は懸命になって追及、譲歩を迫っている。


しかし執行部は党内論議をまとめるのに昔左翼政党がよくやった手法を踏襲しているだけなのだ。わざと別の攻撃目標を作って論議にエネルギーを使わせ、疲れた頃に譲歩するというやり方だ。見え透いた手口で見え透いた論議を重ねる、鶴田浩二の歌ではないがまるで「馬鹿と阿呆の絡み合い」だ。野田が最終政治判断で撤回すると言うが、田舎芝居もいいところだ。
 

反対派が法案付則の停止条項である「経済状況等を総合的に勘案した上で施行の停止を含め所要の措置を講ずる」に、悪乗りしてさらなる譲歩を求めている。何を考えているのか分からないが、小沢グループだけでなく中間派の元国土交通相・馬淵澄夫までが「名目3%、実質2%」の成長率を増税実現の前提として明記することを求めた。


これははっきり言って消費増税法案を「消費増税凍結法案」とすることに他ならない。名目3%の成長など91年度に達成されて以後、とんと我が国経済がご無沙汰している数字だ。復興需要があっても無理と言われている。税調会長・藤井裕久が記者団に「反対だ。出来るわけがない」と述べるのも無理はない。焦点は最終的には数値導入論と、反対論のせめぎ合いとなるだろう。
 

こうして会議は踊り、とても3日間では終わりそうもない気配が濃厚になった。背景には小沢の差配がある。自民党政権時代のような料亭政治を復活させて、毎晩のように若手をけしかけているのだから始末に負えない。チルドレンはただでさえ8割が選挙で苦戦とされている中で、消費増税が加わっては落選間違いないという危機感がある。小沢もチルドレンがいなくなれば政治基盤はゼロとなる。両者共根底は「保身」なのである。
 

野田がここに来てするべきことはまず自ら会議に出席して、反対派を説得することだ。誠心誠意説得し続けるのだ。15日は賛成派と反対派の双方が動員をかけた結果、何と160人が集まった。野田が出席すれば事実上の両院議員総会並みの数にすることも可能だ。超重要法案である。


場合によっては党大会に変わる決議機関である両院議員総会を開いてもよいではないか。党員資格停止中の小沢も招致して公開の場で論議をするのだ。小沢の主張が理にかなっているのか、野田の主張が正しいのか決着をつければよい。野田はマニフェストのどこを探せば「財源はどうにかなる」のか質せばよい。


小沢は恐らく出席を拒むだろうがそれならそれで、小沢の「政局狙い」の立場を浮き彫りに出来る。野田は、党首討論で「51対49でもやる」と大見得を切った以上、決着をつける意気込みが大切なのだ。
 

いずれにしても反対派は閣議決定までは阻止できないだろう。小沢がグループの防衛相・田中直紀に法案反対の署名をさせれば、野田は待ってましたとばかりに愚鈍な答弁を繰り返す田中を更迭できる。こんなありがたいことはないのだ。こうしてチキンゲームは小沢にとって状況悪化の流れだ。

幹事長・輿石東が最終段階で妥協に向けての調整に出ることも予想されるが、小沢の扇動しすぎで容易ではあるまい。閣議決定を強行すれば、勝負は延長戦となり法案の投票段階での造反に移行する。

<今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2012年03月15日

◆亀は鳴かないで「泣く」のだ

杉浦 正章
 

「亀鳴く」は俳句で春の季語だ。亀が鳴くようなのどかな季節を象徴している。拙句に「この昼は四天王寺の亀鳴けり」(毎日俳壇1席)がある。ところが政界の「亀」は無粋にも吠えまくっている。消費増税法案をめぐる国民新党代表・亀井静香の発言は、エスカレートの一途をたどり、いまや政権与党離脱の瀬戸際にまで到達した。


狙いは明らかに「新党」ムードの醸成だが、75歳の「後期高齢新党」では、「この指止まれ」も言いかねると見えて、こちらも79歳の都知事・石原慎太郎を看板にしようと懸命。もっとも、展望は開けていない。
 

日本暴言新党でもあれば党首になれるくらいのものだ。亀井は「消費増税路線は死出の旅」と副総理・岡田克也の面前で首相・野田佳彦を批判するかと思えば、記者会見では「連立相手に約束したことを破っていく党がどんなことになるのか。地獄に落ちるだけの話だ」とすごんだ。


「死出の旅」とか「地獄」とか、自分が“成仏”に近づいている年齢であることなどはそっちのけだ。ついに14日には議員総会で「消費増税法案に賛成できない」と言い切った。にわかに自ら先頭に立って増税反対キャンペーンを始めた狙いはどこにあるかというと、政界相呼応した「消費税の乱」を狙っているのだ。


折から民主党は14日を皮切りに消費増税法案の是非をめぐって党内論議に入った。反対する小沢一郎の勢力と呼応しようという意図がありありだ。民主党内の動きを見て「乱」を起こして、あわよくば新党への「風」を作り、これに乗ろうというのだろう。そもそも2月の消費増税大綱閣議決定の時は賛成に回り、法案になると反対では筋が通らない。
 

それにもかかわらずなりふり構わぬ反対は、国民新党の“埋没感”が根底にある。野田と自民党総裁・谷垣禎一の極秘会談を亀井が「談合」と決めつけたことが象徴している。2大政党の間で存在感がとみに薄れているのだ。


しかし、笛吹けど踊らず、亀井の人差し指に止まる政治家は見つからない。消費増税反対も政局化狙いであることが分かっているから、同感する政治家は少ない。亀井が秋波を送り続けているたちあがれ日本代表・平沼赳夫は14日、自らの新党構想について「亀井さんの動きとは関係ない」とにべもなく切り捨てた。


消費増税推進論の石原も「消費税では亀ちゃんとは見解が異なる」と述べている。亀井は石原と11日に会談しているが、なかなか新党で一致というところまで行かなかったようだ。最大の焦点である消費増税の是非をめぐって見解が割れるようでは、新党へと発展させるのは容易ではあるまい。
 

亀井の言うように閣議で消費税法案への署名を金融相・自見庄三郎が拒否すれば、野田は自見を罷免して、自ら署名を代行するか、新閣僚に署名させるしかない。国民新党は連立を離脱することになる。


しかしどうも自見自身は気が進まないらしい。党内にも連立離脱に反対論があり、亀井が強行すれば党分裂もあり得る様相だ。だから亀井は14日も公式の会議の場で問題を提起せず、所属議員と個別に会談して連立離脱問題を協議することにしたのだ。
 

野田に近い官邸筋は「正直言って構っていられない」と漏らしている。衆院5人、参院4人のミニ政党がライオンのように吠えてもらっても困るのだという。


5人や4人ではもはやいてもいなくても同じなのだ。野田にしてみれば当面党内のとりまとめに全力を傾注し、法案提出後は自民、公明両党との駆け引きが待っている。大舞台で疝気(せんき)筋が大見得を切っても、ヤジが飛ぶだけだ。

かくして亀井の春の季語は「亀鳴く」ではなくて「亀泣く」となるのである。

<今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2012年03月14日

◆小沢は消費税制局でもう詰んでいる?

杉浦 正章


棋界の天才・羽生善治は「100手や1000手は時間をかければ読もうとおもえば読めるが、時間が膨大になる」と述べている。そして「大局観を使うとショートカットできる。無駄な考えを削れる」とも語った。


消費税をめぐる民主党内の攻防が14日から始まるが、その大局観でショートカットして政局を分析すると、元代表・小沢一郎はどう見ても詰んでいる。首相・野田佳彦が消費増税の旗を降ろさない限り、増税は実現する流れだろう。
 

なぜ小沢が詰んでいるかというと、大きく見れば「天の時」「地の利」「人の和」を生かしきれていないからだ。「天の時」は3年前に小沢に吹いていた追い風がピタリと止んでしまったことだ。「地の利」は、陸山会裁判で与野党の人望が消失し「小沢待望論」が極端に減少したことだ。


「人の和」は自らのグループの守備にだけに目が行って、党全体を見ないことだ。この大前提に立てば、小沢が目先の消費税反対と倒閣を繰り返すだけで、大戦略を語らないわけが分かる。語れないのだ。
 

なぜ小沢が詰んでいるかをもう少し具体的に見れば、小沢の2つの武器である消費増税反対と、内閣不信任案賛成が極めて戦略価値が乏しいものとなったのだ。消費増税反対の行き着く最終段階は消費増税法案への反対投票であろう。50人が反対すれば衆院で否決が可能となり得ると小沢は「15手先」に読みを入れているが、野田が全政治生命を賭けると言っている法案である。


「16手先」を読めば、やすやすと否決という事態には至るまい。野田が自民党総裁・谷垣禎一との極秘会談を行ったのはまさにそこがポイントだ。野田は12日も話し合い解散の可能性に言及しているのだ。野田は中盤での極秘会談で大手飛車取りの妙手を選択したのだ。


次に内閣不信任案可決がどうなるかだが、そもそも野党が提出する状態になるかどうかが極秘会談であやふやになった。例え提出して、小沢の賛成で可決したとしよう。野田は間違いなく総辞職でなく起死回生の解散を選択する。


総選挙となれば、野田は賛成派を除名処分にして、選挙区に刺客を送る。チルドレンは壊滅、小沢の政治基盤は喪失することとなる。これは3手先の読みくらいに確実だ。不信任案への賛成は桂馬の高飛びで歩の餌食になって、詰んでしまうのだ。
 

そこで小沢にとっての唯一の窮地脱出は千日手に持ち込んで、最初からやり直すしかあるまい。それは14日からの消費増税をめぐる党内調整で妥協に応ずることだ。焦点は景気の動向によって増税を中止するトリガー条項を付則につけるかどうかだ。


もともと大綱には「法律成立後経済状況等を勘案した上で、引き上げ停止を含めて所要の措置を講ずる」との停止条項がある。小沢グループなどはこれをより具体的にして、成長目標の数字を明記することを主張しているが、これは難しい。執行部はリーマンショックや東日本大震災並みの事態を想定しているからだ。


むしろ村山内閣が1994年に成立させた改正消費税法の付則の方式がここにきて浮上している。同方式は引き上げの半年前までに行革の進捗状況を見て見直しをする規定である。結局予定通り97年4月に税率を3%から5%に引き上げることが出来たが、こうした案も含めた議論となるのだろう。
 

小沢グループは何も知らされていない突撃隊が波状攻撃を掛けた後、野田の譲歩を迫ることになろう。そこに幹事長・輿石東や副総理・岡田克也らが舞台裏で行った調整が“出番”となるのか、そのまま激突の路線を突っ走るかの読みは、羽生ではないが時間が足りない。


いずれにしても野田の決意は固く、閣議決定にはこぎ着けるだろう。閣議決定を強行した場合、事態は延長戦となる。十五世名人・大山康晴は「3手正確に読めればいい。極端にいえば次の相手の1手が読めれば十分である」とも述べている。その次の一手が難しい局面に入ったことは確かだ。

小沢は「10人が真剣に反対すれば消費増税をつぶせる」とあおるが、逆に消費増税は「野田1人が先頭で突撃すれば成立可能」なのだ。野田の消費増税への思い込みに変化はないことだけは読める。

<今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)
 

2012年03月13日

◆参院自民は「関東軍」の暴走か

杉浦 正章

 

さすがに「関東軍」だ。政策も何も全く論議しないで冒頭から、いきなり「首相問責決議を出す」ときた。何か首相・野田佳彦が大失政か失言でもしたかというとそうでもない。とにかく「あなたを退陣に追い込む」のだという。まさに「はじめに政局ありき」だ。


これで山本一太は参院予算委員会筆頭理事だから、今後の予算委の質問が思いやられる。話し合い解散を視野に入れる自民党執行部と極端な強硬路線をとる参院側の落差だけが浮き彫りとなった。
 

鳴り物入りで自ら宣伝していたから、相当の爆弾質問があるのかと思っていたが、爆弾は「怒声」だけだった。これを予算委審議の冒頭にぶつけるのだから、自民党も相当論客に枯渇しているのではないか。山本は冒頭まず話し合い解散で野田を追及した。


「消費税増税法案に賛成して成立のめどがついたら、その見返りとして早期に衆議院の解散・総選挙を行うという選択肢はただの1%もないのか」とか「話し合い解散の可能性は0%だということでいいのか」とたたみかけた。野田は「解散については、はっきり具体的に言うべきものではないと思うが、一体改革も含めてやらなければならないことをしっかりやり抜いた上で、適切な時期に判断するということに尽きる」と述べた。


野田発言は明らかに話し合い解散の可能性を否定していない。これに対して山本は「自民党としては談合になるから話し合い解散はしない」と宣言したのだ。これにはさすがに与野党の席から失笑が漏れた。
 

というのも解散といえば首相の大権であるうえに、自民党は総裁・谷垣禎一が野田との極秘会談で話し合い解散を選択肢に入れたばかりだ。いくら筆頭理事でも「解散しない」などと党の最重要戦略を、誰とも相談なしに言える立場にない。ましてや参院議員だ。衆院の解散に口を出すなとは言わないが、いささかのお門違いは否めない。


次いで山本は、いきなり「この国会であなたの内閣は必ず退陣に追い込む。場合によっては首相問責という手段も行使して、あなたを必ず追い詰める」と木に竹を接ぐように退陣論をぶったのだ。野田にしてみれば、当然問責決議の理由は何かを聞き返したいところであったに違いない。


質問は概してスピッツがキャンキャン吠えている感じで、見ている者をうならせるような“勉強”の形跡や、“深み”はつゆほども感じられなかった。消費税を引き上げたあとにさらなる増税という新聞報道を取り上げて「真実か」と聞いたのも見当違いだ。副総理・岡田克也が「いちいちコメントする必要はない」と答えたが、この方がまっとうだ。
 

だいたい質問者が新聞報道を材料にして追及するのは昔からタブーとされてきた。勉強不足が露呈するからだ。かつて社会党の爆弾質問男と恐れられた楢崎弥之助は「新聞を読んで、すぐ質問するようなことだけはするな。新聞の後追いをするのではなく、新聞が後追いするような質問をするべきだ」と後輩を戒めたものだ。


野党政治家の矜持の問題なのだ。やはり社会党委員長・石橋政嗣から質問をした後の大学ノートを見せてもらったことがあるが、3冊にびっしりと細かい字で追及のポイントが書かれてあった。政権を追い詰めるには質問者の方も必死の勉強が不可欠なのだ。
 

それにくらべて山本質問は「政策よりも政局」が目立った。質問する方にしてみれば政策の調査、研究に時間をかけるより、政局で「解散だ」「倒閣だ」と追及した方が簡単で、派手なのだ。おまけに答弁が下手な防衛相・田中直紀を問責狙いで責めたてる。田中ばかりか野田に対する問責決議も4月に提出する構えだという。


しかし、衆院自民党の基本戦略は首相への問責を4月に提出する方向にはない。問責を提出すれば、国会はストップして動かなくなる。予算関連法案は置き去りとなる。世論の批判は間違いなく自民党に向く。
 

冒頭述べたように山本質問は話し合い解散を視野に入れる執行部から離れた「関東軍の暴走」という色彩が濃い。恐らく戦略の中には「暴走」させて、野田から話し合い解散を引き出そうという高等戦術もあるのだろうが 、山本のようにコントロールが効かなければ本物の関東軍がそうであったように、どこへ向かうか分からない。


本人は「切り込み隊長としての役目は、何とか果たせた。政策のための政局なのだ」と自画自賛しているが、共感は得にくい。「政局のための政局」に映る。

<今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2012年03月12日

◆水面下でささやかれる野田・小沢激突回避の動き

杉浦 正章

 

民主党内に垣間見える“変化”をどうとらえるかだ。副総理・岡田克也ら野田サイドにも元代表・小沢一郎の側にも微妙なニュアンスの変化が生じているのだ。これは間違いなく裏で接触が続いていることを物語るとしか思えない。


消費税増税法案の閣議決定を目前にしてそのまま激突の流れか、一転して首相・野田佳彦と小沢の間にに妥協が成立するのか、永田町は固唾をのんで見守っている。
 

まず野田サイドの変化だが、1日に自民党総裁・谷垣禎一との極秘会談が公になって4,5日間は対小沢攻勢に出た。野田は話し合い解散を排除せず、また岡田も3日にはここを先途(ど)とばかりに「消費税が上がる前に総選挙がある。


私たちがやっていることが間違いなら選挙で示してもらえば結構だ」と話し合い解散路線を突っ走る構えを見せた。ところが6日の党常任幹事会で「民主党を分裂させようとする自民党の思惑に振り回されてはいけない。首相は(消費増税関連法案の)閣議決定前に代表経験者と会うべきだ」などとする意見が強く出され、幹事長・輿石東が「よく考える」と応じてから、変化が生じ始めた。


まず岡田が動いた。元首相・鳩山由紀夫との会談で、鳩山から「経済の好転など前提条件をいかに書き込むかだ」という景気配慮の弾力条項をより明確に取り入れれば条件闘争に応ずるとも言える発言を引き出したのだ。
 

岡田は急速に変わった。何と推進してきた小沢の怒りの急所ともいえる話し合い解散路線を否定し始めたのだ。「今、解散すると国民の怒りは既存政党に向かう」「話し合い解散は非常に難しい。


国民からは何か談合していると受け取られる」と全面否定に回ったのだ。加えて岡田は弾力条項についても11日のテレビで「ストッパ条項を入れる。経済の状況を見て消費増税をやらないこともあり得ることにする」と述べた。明らかに小沢サイドへの“秋波”というよりもっと強い“すり寄り”に他ならない。
 

一方小沢発言にも微妙な変化が見られる。極秘会談が公になった直後は怒りもあらわに吠えまくっていた。「話し合い解散など出来っこない」「消費税など絶対反対だ。君らも反対せよ」とグループの議員らにけしかけていた。野田が閣議決定をするなら、政務3役を辞任させ、倒閣に動くことで対抗する構えも見せていた。


ところが10日に変化を見せた。千葉市で党所属議員のパーティーに出席し、「超高齢化社会の中で消費税の議論を否定するわけではない」と軟化の兆しとも受け取れる発言をしたのだ。加えて小沢は「税と社会保障の一体改革と銘打っているが、増税だけで社会保障は影も形もみえない」とも述べた。これは社会保障でより具体的な対策を打ち出すように促したと受け取れる。
 

この背景には恐らくキーマン輿石が野田と小沢の間に立って“うごめいて”いることの左証ではないだろうか。同党幹部は「輿石さんが潜行している」と漏らしているという。両者の置かれた立場を分析すれば、野田は谷垣との極秘会談で「話し合い解散」カードを入手したことになる。


これを背景に小沢グループへの「小沢切り」圧力をちらつかせて、譲歩を求める戦術を展開しているのだ。小沢サイドにしてみれば消費税で目の色が変わった野田のことだから本当に「小沢切り」に動きかねないという恐怖感が出てきた。「話し合い解散回避」に向けて、消費税法案のワーディングで面目が立てば譲歩もやむを得ないという立場だろう。その力関係のバランスの上で輿石が動いているのだろう。
 

もともと大綱には「名目・実質成長率、物価動向など種々の経済指標を確認し、経済状況などを総合的に勘案したうえで、税率引き上げの停止を含めて所与の措置を講じる規定を法案に盛り込む」との弾力条項があり、小沢サイドはこれをより鮮明化することを求めているようだ。


これに対して財務相・安住淳は11日のテレビで「リーマンショックとか東日本大震災などが発生した場合にのみ先送りとする」と述べ、ハードルを高く設定しており、折り合うかどうかが焦点だろう。


小沢との間で妥協が成立する見通しについて岡田は10日のテレビで「可能性はある。世論とか野党の状況いかんだ」「小沢さんは消費税絶対反対とは言っていない。折り合う余地は残している」と述べて、小沢が賛成に転ずる可能性を否定していない。


まだ野田・小沢会談が実現するか、民主党内の消費増税法案事前審査手続きの過程まで調整が続くかも不明だ。ぎりぎりの裏舞台でのせめぎ合いがここ数日継続する。決裂か妥協かはまだ即断できない。


       <今朝のニュース解説から抜粋>   (政治評論家)


◆衆院選狙う「維新八策」

早川 昭三


橋下徹大阪市長の率いる地域政党「大阪維新の会」が、次期衆院選を睨んで策定し10日公表した「維新八策」原案を巡り、各界に大きな波紋を投げかけている。

橋下市長は、大阪で取り組む自治体改革の意義を訴えながら、その一方で「日本の方向性を決めるのが我々の仕事」と強調。「既成政党の混迷を正し、政策、政治、行政の哲学をしっかり固めていく」として、維新の国政進出への意欲を示したのだ。

「維新八策」は、中長期の目標も含めた抜本改革「日本再生のためのグレートリセット」としており、目指す国家像に個人や地域、国家の「自立」を掲げ、「決定でき、責任を負う民主主義の確立が不可欠」を基本としている。

この原案を、この24日開講の維新政治塾で議論し、成案をまとめることにしている。

「維新八策」が掲げている「グレートリセット」とは、2月に示した「たたき台」を基本に纏めたもので、項目は下記の8つの柱で構成されている。

(1)統治機構の作り直し
(2)財政・行政改革
(3)公務員制度改革
(4)教育改革
(5)社会保障制度
(6)経済政策・雇用政策・税制
(7)外交・防衛
(8)憲法改正。

8つの柱には具体的な内容が記されている。中でも年金、失業対策、生活保護の一本化、憲法9条改正の是非を問う国民投票の実施、首相公選制導入、参院の廃止検討を基本政策として追加している。実はこのことが各界に大きな波紋を広げる要因となっているのだ。

特に最も波紋を呼んでいるのは、「憲法9条改正」をめぐるスタンス。橋下市長は2月、改正の是非について2年間国民的議論を経て国民投票にかける方策だとしていたが、今回のこの維新八策に盛り込んでいる。

<「9条について決着をつけない限り、国家安全保障についての政策議論をしても何も決まらない」という思いがあるからだ。

「9条は、他人が本当に困っているときに自分は嫌なことはやりませんよという価値観だ」。橋下氏は9条に対して一定の考えを持ちつつ「国民が決める価値観に従いたい」と述べている>。産經新聞

この「憲法9条改正」には、与野党だけでなく、早くも国民の間からも是非論の反響が出始めている。

ところが、現下の課題となっている消費税等の増税や、沖縄の米軍普天間飛行場移設問題、年金制度改革などは、まだ議論が必要だとして盛り込んでいない。肝腎な国策実施策なのにこれを先のばしするのは、巧く体をかわしたのではないかと首を傾げる向きもある。

その背景には橋下氏自身が、衆院選への準備を進める維新に対し、既成政党に広がる警戒感を和らげる狙いから、慎重な対応ものぞかせている所為ではないかとの判断もある。

確かに永田町も「維新八策」に翻弄されているという見方がある。「首相公選制の導入」「参院の廃止」など極端な八策が飛び出しとことに、通常なら既成政党は「地域政党のざれ言」と断じて切り捨てて仕舞う筈だが、それが出来ない事情があることを、橋下市長が判断した上での戦略だと読みもあるのだ。

ところで地元大阪では、橋下市長の政治改革政策を評価する雰囲気が高いのは事実。

しかし、府知事から市長に代わった以上、「まずは大阪のことに集中すべきではなか。国と地元両面を改革していくのは無理。橋下さんには何か特別な意図があるのではないか」と期待感が変わってきた有権者の声が聞こえ出すようになってきた。

「橋下市長に期待していた生活感の向上の気配が見当たらない。まずは大阪市から実績をつくるべきだ」との議会筋での意見も高まって来ている。

どうやら、橋下市長の率いる「維新の会」は、政局をにらみながら「維新八策」の実現性の模索の取り掛かる準備の必要も出てきたようだ。(了)2012.03.11





2012年03月09日

◆“3月危機”直面で佳境に突入する消費税政局

杉浦 正章



来年度予算案審議が参院に送られ、いよいよ消費増税法案をめぐる攻防に政局の焦点が移行する。首相・野田佳彦の置かれた立場を端的に表現すれば、野田を真ん中に置いて自民党と民主党元幹事長・小沢一郎が自陣に引きずり込もうと引っ張り合っている構図だ。


自民党は消費増税税実現を誘い水として解散を勝ち取ろうとし、小沢は陣営崩壊に直結する解散絶対阻止だ。自民党幹部は「ここは参院関東軍の出番だ」と漏らす。野田を突き上げて、「話し合い解散」の腹を決めさせる必要があるのだ。


硬軟両様と言うより、当分「硬」重視となり、極秘会談で生じた融和ムードはリセットされる流れだろう。


今の政局の状況は自民党元幹事長・伊吹文明の8日の分析が一番当を得ている。伊吹は「話し合い解散の余地があるような印象を与えてしまったけれども、私はなかなかそうは簡単にいかないと思う。見るところキーワードの『解散』に野田さんの腹が決まってない。決めさせるためにはやっぱり追い込んでいかないとしようがない」と述べる。


ここはアメとムチのうちムチを使うときだというのだ。確かに野田は5日に、谷垣との極秘会談を受けていったん「国民のためにやり遂げなければならない時には、様々な判断がある」と消費増税法案成立を前提に話し合い解散に前向きの姿勢を見せた。しかし、7日には方向を是正。「出来るだけやり遂げた上で信を問うのが基本」とトーンダウンした。
 

野田の変貌の背景には、小沢との話し合いを模索する動きがある。副総理・岡田克也が何とか打開できないかと打診した元首相・鳩山由紀夫が変なことを言い出したのだ。鳩山は「賛成か反対かは法案の中身を見ないと分からない。政権を支えたいと思って行動している。経済の好転など前提条件をいかに書き込むかだ」と“条件闘争”をほのめかした。


鳩山の言わんとするところは法案のキーポイント「2014年4月に8%に、15年10月に10%に引き上げ」を「将来の景気動向を判断して引き上げる」方向にニュアンス変えることにあるのだろう。これなら小沢も納得するとの読みがあるが、事実上の骨抜きだ。まず野田は応じないだろう。しかし調整が“文言”となれば、妥協が成立する可能性がないわけではない。
 

従ってまだ解決策が見いだせないまま、野田と小沢は激突のコースを走っている。小沢は「出て行くのはこっちでなく向こうだ」「解散は今年の夏は越える。来年だ」とボルテージを上げ続けており、チルドレンらの落ちこぼれ防止と数の確保に懸命だ。週末から来週初めにかけての岡田らによる調整の動きが注目されるが、野田は中下旬にかけての閣議決定を目指している。
 

一方、自民党は極秘党首会談で生じた融和の流れは大切にしながらも、当面は野田を追い込む作戦を変えないだろう。野田とは話が通じても、強硬姿勢をとらなければ民主党内が動かないと判断しているからだ。主戦場は参院の予算委審議とする構えだ。


手ぐすねを引いて待ち構えているのが予算委筆頭理事・山本一太や爆弾質問で政局を揺さぶってきた西田昌司や森雅子らだ。山本は自身のブログで「今国会で、野田政権を追いつめられるかどうかは、参院での1ヶ月にかかっている。日本政治の興廃、この一戦にありだ。


参院では相手を利するようなことを絶対にやってはならない」と「Z旗」を掲げて、当たるべからざる勢いだ。衆院の追及を甘いと見ているのだ。12〜14日の3日間に決まった総括質疑を皮切りに政権を揺さぶる構えだ。


最終的には問責決議案の提出も視野に入れている。一方で野党は国会終盤までらちが明かなければ、内閣不信任案の提出も考慮するだろう。同不信任案の成否は小沢の動き次第だが、これに小沢が賛成に回れば不信任案は成立する。


その場合野田は総辞職でなく間違いなく解散を選択する。そうなれば総選挙となり、これも間違いなく“小沢人類”は“絶滅危惧種”となる。ここに小沢の動きの限界があるのだが、チルドレンはもとより、小沢自身も気づいていない。野田も、“急所”がここにあることに気づけば、消費税への直進が正しいことが分かる。
 

こうして消費税政局はいよいよ佳境に入る。まず民主党内で小沢らが法案阻止でときの声を上げ、相前後して与野党が火花を散らすという流れだ。間に立った野田はただひたすら消費増税実現を大義として対処するしかない。


既に社説で増税を支持している全国紙の大勢は野田を支持する流れだろう。自分だけを思う「小沢邪心」対、国家を思う「野田良心」との戦いを見抜いているからだ。新聞は最終段階では解散による問題解決を唱えるだろう。


この三月政局は激突の弾みで解散となる要素がないわけではないが、その可能性は未知数。本命の政局は六月だろうと思う。

<今朝のニュース解説から抜粋> (政治評論家)

2012年03月08日

◆感動の「朝日官邸通信」による速報

杉浦 正章



普段からちょくちょく見ているのだが、7日の朝日新聞の官邸クラブのツイッターをみて感動を覚えた。http://twitter.com/#!/asahi_kanteiにあるが、同日はまるで昔の通信社の復活だ。朝日官邸通信だ。

首相・野田佳彦のインタビューを、始まって以来、次々と伝達したのだ。それも11回にわたる発言の速報で、テレビの中継はないから手に取るように内容が分かった。当然、無料で見られるのだが、料金を徴収している朝日の電子新聞にはなぜか払暁まで全く反映されなかった。ちかごろ電子新聞で落ちこぼれるニュースも多く、どうなっているのか首をかしげる。
 

朝日のツイッターは、その前書きによると「チーム官邸のつぶやきです」とある。「日々の政治取材の裏話や苦労話、心温まる話などなど・・・生き生きした現場の息づかいを、皆さんにお届けしたいです。つぶやくのは、キャップ以下総勢10数人の取材陣」だという。時々刻々と官邸の動静をきめ細かく伝えている。

例えば野田とタイ首相・インラックとの7日の夕食会に関して「タイのインラック首相は噂どおりきれいな人でした。気が強そうな目をされていましたが、記者発表での様子を見ていると、まだ首相として余裕がないような印象をうけました」と伝えている。鋭い記者の感性が伝わってくる。
 

首相インタビューは午後3時17分に始まったが、まず開始に当たってサブキャップAが「新聞各社による野田首相のインタビューがこれから始まります。できるだけつぶやいてみようと思います」と宣言。ついで野田の発言を伝達し始めた。なんと11回にわたる発言報道である。

停止中の原発の再稼働、消費増税法案、小沢グループ消費増税に反対問題、話し合い解散などについて発言内容が伝えられた。もちろん「我々の任期は1年半ある。一体改革、復興、原発事故、経済再生、普天間など、やらないといけないことはいっぱいある。それをやり遂げたあとで信を問う。解散を道具にする考えはない」というキーポイントも含まれている。

インタビューが終わるとサブキャップAが「約30分で終了です。被災地のがれきの広域処理について国が前面に立って支援する考えを表明したこと、話し合い解散について『まだやることがたくさんある』と答えたことなどが印象に残りましたが、各紙は明日どんなやりとりを最初にもってくるでしょうか」と締めくくった。
 

こうした報道の仕方は昔の通信社の独壇場だった。記者会見場では一番前に座っているキャップが重要発言で後ろを振り向くと、記者が会見場を頻繁に飛び出して連続速報したものだ。それがいつしかまばらになって、速報なしで記事が出てくるケースもある。昔、通信社の政治部長の頃、朝日の幹部から速報のやり方を尋ねられて、詳細に教えたことがあったが、それがツイッターで実現したことは感無量である。


この「官邸のつぶやき」に加えて、朝日は外務省記者クラブによる「朝日新聞霞クラブ」のツイッターもある。https://twitter.com/#!/asahi_gaikouだ。外交・防衛取材班が、主に外務省や防衛省などを中心に普段の取材のこぼれ話などをつぶやいているが、重要な外交・安保問題が浮上したときは雰囲気をつかむのに役立つ。

こうした朝日の姿勢は、時に記者クラブ制度が閉鎖的で癒着がちであるという批判を受けることへの反論となるものでもあろう。取材過程を公開することによって、取材の現状を浮き彫りにさせ、「別に癒着などしていません」と自ら範を示しているのだ。
 

しかし首相インタビューの場合、なぜ電子新聞で朝になるまで速報されなかったのか疑問が生じた。朝刊では一面3段扱いで、4面にインタビューの要旨も掲載しているにもかかわらずである。もちろん、読売、毎日、産経、日経はWebでインタビューを報じている。電子新聞に速報欄を設けて「朝日官邸通信」の記事を速報しない手はない。


だいいち官邸クラブの努力がもったいないではないか。しかし他のインタビューも紙面では掲載されているのに全く報じられないケースもあった。それどころか特集記事は朝刊が出るまで報道しない。

これに対して日経は特集記事が出来次第電子新聞化しており、電子新聞を取るメリットを感じさせる。朝日は昨年5月に電子版をスタートした際にはもっと速報重視であったが、近ごろ弛緩しているのではないか。

読売が電子新聞を出すなら、速報体制と特集記事や社説などの速報が勝負のポイントとなる。検索も朝日が1年前までしか出来ないが、もっと長期に可能とすれば優位に立てる。

<今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2012年03月07日

◆野田・小沢会談でも“融和”は無理

杉浦 正章
 


水と油どころか水と重油を合わせても混ざり合うわけがない。かき回してもすぐに分離する。民主党内で首相・野田佳彦と元代表・小沢一郎の融和を求める声が7日相次いだが、会談しても合意は極めて困難だろう。「それが出来れば世話はない」と官邸筋は漏らしているという。


なぜなら、消費増税と解散という政局の核において野田と小沢は決定的に対立しているからだ。野田は早ければ13日にも消費増税法案を閣議決定する方針であり、ここまで来ると決定に先立って会談が実現して急転直下決着ということは極めて困難だろう。
 

7日の常任幹事会では小沢系の副代表・田中慶秋や参議院議員・川上義博から、「野田首相と谷垣総裁が会談するのもよいが、まずは党内が一致結束して、事に当たっていくことが非常に重要だ」などと、野田・小沢会談で党内対立回避を求める声が起きた。「誰とでも会う」という小沢の発言を背景にした要求だ。


幹事長・輿石東は「挙党一致が非常に重要だ。ただ、会談を行えばよいというよりも中身が重要であり、もうしばらく時間をもらいたい」と即答を避けた。輿石にしてみれば会談のアレンジをしたはいいが、両者激突のうえ物別れでは無意味と感じているのだろう。
 

実際、小沢の最近の発言は妥協が成立する域を超えている。端的に言えば野田が「不退転の決意で消費増税」なのに対して、小沢は「絶対反対。今その時期ではない」。野田が話し合い解散に前向きなのに対して、小沢は「やるなら再編」と倒閣を宣言する始末だ。だから野田は自民党総裁・谷垣禎一との極秘会談で、小沢より自民党を選択する流れを作ってしまったのだ。それを会談で調整できるだろうか。


小沢は極めて自己主張にこだわる政治家である。2010年12月、小沢の政治倫理審査会招致をめぐって野党から追い詰められたに首相・菅直人が、小沢と会談して招致を実現しようとしたが、一蹴された。小沢は田中角栄の政治を“習得”しているのだ。


1983年、田中がロッキード裁判の一審判決で有罪となったのを背景に、首相・中曽根康弘が議員辞職を迫ろうと会談したが、田中の逆襲に遭って、ぼこぼこにされている。小沢はそれを見ている。小沢はグループ内に13日の閣議決定を前に上京して備えるよう臨戦態勢の指示を出している。
 

一方、野田は6日の国会答弁で「小泉元首相のように党内に抵抗勢力を作り、物事を進めるやり方は今回はふさわしいとは思わない」と述べた。この発言は、党内融和を達成したい願望の表れだが、本心はどうか。小沢を「抵抗勢力」と位置づけていること自体が相当な言い回しであるうえに、その抵抗勢力排除の発言を新年早々にしているのだ。


1月16日に野田は、「法案を参議院に送って、『この法案をつぶしたらどうなるのか』と考えてもらう手法も、ときには採用したい」と、開き直った。一見野党へのけん制のように受け取られたが、参院で郵政法案を潰された小泉が、衆院を解散、抵抗勢力に刺客を立ててこれを打ちのめした先例を意識しているに違いない。党内もけん制しているのだ。
 

野田の小沢に対するポジションは、谷垣との極秘会談を背景にしており、もし会談があれば小沢に対して「民・自連携」の切り札を持っており優位に立つことが出来る。従って消費増税断念はあり得ないし、政局での譲歩も困難だろう。


要するに極秘会談で自民党との距離が縮まったのと反比例して、小沢との距離は広がっているのだ。野田・小沢融和のキーマンは、小沢に近い輿石だ。輿石は早期解散反対を公言して、この点では野田と割れている。


しかし消費増税については今のところ推進の姿勢を変えてはいない。ちょうど野田と小沢の中間に位置する立場だ。だから会談を実現させるには輿石が裏で動くしかないが、両者の立場の強硬さにさすがに動くに動けない状況であろう。輿石は両者の間で“また裂き”に遭いかねないのだ。

<今朝のニュース解説から抜粋>   (政治評論家)

2012年03月06日

◆本当に「話し合い会談」は実現するのか

杉浦 正章


一口に「話し合い解散」といっても、54年前に一度あっただけ。以後、解散ムードが盛りあがる度にその可能性が言われてきたが、実現したことはない。今回本当に実現するのかということだ。


そのカギは未だに明らかになっていない首相・野田佳彦と自民党総裁・谷垣禎一の極秘会談の中身にある。中身が確固とした確認事項か、そうでないかだが、これまでのところあうんの呼吸であった可能性が高い。「話し合い解散」ありうべしという「呼吸」だ。
 

与野党が“仲良くけんか”しようというのだから、あらゆる政局のテーマの内でも話し合い解散ほど難しいものはない。1958年の話し合い解散も、珍しく呼吸が合ったものに他ならない。


55年の保守合同後の自民党は、石橋湛山から政権を引き継いだ首相・岸信介が党内的に揺さぶりをかけられて、解散による政権基盤確立の必要に迫られていた。一方社会党は左右社会党の再統一の後だけに総選挙で党勢が伸びるという期待感があり、委員長・鈴木茂三郎も解散実現で党勢躍進を達成しようという思惑があった。


もともと55年1月の解散以来3年3か月が過ぎており、どっちみち解散は避けられないという流れでもあった。こうした中で岸と鈴木が会談して話し合い解散を実現した。総選挙の結果は自民党が微減、社会党が微増だったが、社会党の倍の勢力である自民党に勝利感がただよい、社会党が意気消沈するという状況を招いた。自社二大政党体制は確立した形となった。
 

今度の場合はその党首会談が“極秘”で行われたところが、“急所”である。なぜ極秘である必要があったかといえば、民主・自民両党とも国会で激突している最中であり、会談に失敗すれば双方の党内から突き上げを食らうことは必定であった。


公式な会談で失敗するわけにはいかないのだ。極秘会談なら、話がまとまる方向に向かわなければそれこそ極秘のままで葬り去ればよいのだ。ところが焦点の2点において冒頭述べた“あうんの呼吸”があったに違いない。それは野田が消費増税に反対する小沢一郎を切ってでも、これを実現する強い姿勢を示し、一方で谷垣もその場合なら協力する構えを見せたのだろう。


解散は「小沢切り」をして政権党が分裂すれば、憲政の常道として不可避という認識であったのだろう。この両者の「呼吸」が会談をリークさせて話し合い解散ムードを高めることになったのだと思う。自民党副総裁・大島理森と会談のお膳立てをしたといわれる官房長官・藤村修が最初に「外向けには会っていない」とリークしたのは、消費増税法案成立への流れをつくれる確信が野田の側にあったからだろう。
 

問題は双方の党内事情がこれを許すかだが、自民党は政調会長・茂木敏充が先頭を切って極秘会談をフォローしている。「首相が『最低でも(民主党内の)7〜8割はまとまった。あとの2〜3割は出て行ってもらう』ぐらいの意気込みで取り組まなければ、本格的な話し合いはできない」と発言したのは、ネガティブと受け取るより、野田へのエールと受け取るべきだろう。


前参院政審会長・山本一太が、「話し合いでなく追い込むべきだ」と流れにさおさして反対しているが、スピッツ調で説得力はない。しかしこの民主、自民の協調ムードを6月までの3か月間維持するのは、正直言って両党首ともに至難の業であることは確かだ。
 

問題は「小沢」をかかえる民主党側にある。小沢はこけにされて激怒しており、今後ゲリラ攻勢をしかけるだろう。「小沢ベトコン」は消費増税法案を閣議決定する3月中下旬に第1次攻勢、5,6月に第2次攻勢を野田に仕掛ける構えだ。野田は1次攻勢で小沢を切るか2次攻勢を受けて小沢を切るかの決断を迫られる。


1次攻勢で「小沢切り」となれば、解散のテンポは早まる。3月解散4月選挙も除外できないが、これはハプニング的な展開で予測がつかない。「0増5減」の定数是正は与野党が合意すれば一日で法案の成立が可能だが、問題は区割り作業と周知期間が必要で次の選挙には間に合うまい。
 

焦点は第2次攻勢だ。6月21日の会期切れを目指して、小沢は消費増税法案反対投票を軸に行動に出るだろう。小沢の現在の発言からすれば公然と法案採決に反対せざるをえない状況に至ることになる。


そうなれば「民主党分裂、首相解散決断」といった事態となり、「話し合い」の出番だ。法案を自民党の協力で成立を図り、解散・総選挙へとなだれ込む。その場合公式な党首会談で話し合い解散を確認することになるか、2月25日の極秘会談の「あうんの呼吸」の延長だけで突入するかはまだ分かりようがないが、事実上の話し合い解散となることには変わりはない。


要するに消費増税法案が成立し、解散となれば話し合い解散なのであろう。いずれにせよ、曲折と浮き沈みをたどりながらも、極秘会談の作った流れが主流となっていきそうな気がする。

<今朝のニュース解説から抜粋>     (政治評論家)


2012年03月05日

◆民・自“融和”の潮流で小沢“孤立”

杉浦 正章



与野党党首極秘会談で追い込まれた形の民主党元代表・小沢一郎が、逆襲に出ている。極秘会談に不快感を示して、“新たな政権樹立”を視野に入れていると述べたのだ。すわ政界再編かということになるが、この小沢発言にはいささかエリマキトカゲ型の虚勢が見られる。


その力が残っているのかどうかを分析してみると、とてもそのリーダーシップはない。自民党と民主党の“融和”の潮流が、もう小沢ペースでの政界再編の時代ではなくなりつつあることを物語っている。
 

まず、極秘会談を受けた小沢の発言から分析する。小沢は首相・野田佳彦と自民党総裁・谷垣禎一の会談について「こそこそ会っても大した結果は出ない」と述べたが、そんなことはない。「大した結果」となっているのだ。


政局は会談を織り込んだ状況分析が潮流となりつつある。その分析とは「話し合い解散あり得べし」の流れだ。


副総理・岡田克也が、ダムの水が解き放たれたように野党との接触を開始した。岡田は自民党の元官房長官・町村信孝や税制調査会長・野田毅とも会談、調整に入った。


一方で、自民党政調会長・茂木敏充は4日、「自民党も一定の役割を果たす必要がある。国会を混乱させることが目的ではなく、与野党のさまざまなレベルで政治家が胸襟を開いて話す必要が出てくる」と述べた。明らかに話し合い解散を念頭に置いた発言だ。


注目すべきなのはこの民主・自民両党の間に生じ始めた融和の潮流なのだ。4日のTBS番組でも民主党税調会長・藤井裕久と自民党前政調会長・石破茂が意気投合した。石破が消費税賛成に言及すれば、藤井が話し合い解散賛成を明言するといった具合だ。これだけの動きはだれが見ても「大した結果」ではないだろうか。
 

小沢は「党内はほとんど増税反対」と述べたが、これも間違っている。昨年末の素案の決定に当たっては大激論の末、最後は拍手でまとまったではないか。1月の大綱の閣議決定も何ら反対意見も出ずにまとまっている。むしろ「ほとんどが賛成」であり、小沢発言には“蒸し返し”の意図だけが残る。
 

小沢の最重要発言は「民主党が政権交代の初心にかえることがベストだが、仮にかなえられなければ、安定した政権がどうしても必要だ。そのための方策を考えなければならない」だ。これは明らかに自らの主導で政界再編に動くという意思表示であろう。しかしそれが可能だろうか。


小沢は4月の判決がシロであることを前提にしなければ行動が不可能だから、それを前提とする発言なのだが、裁判の結果の如何に関わらず小沢主導型の政界再編は極めて困難と見る。野党から総スカンを食らっているのは昨年9月の小沢裁判が始まる以前からであり、例え無罪であっても、その状態に戻るだけだ。「疑惑」は残ったままとなるのだ。野党からは「無罪なら正々堂々と証人喚問に応じてもらう」(自民党幹部)という声が出ているのだ。
 

このように小沢の発言は論理破たんが激しいものとなっている。要するに窮鼠が猫をかんでいるだけなのだ。さらに重要なのは小沢が大きく政局の読みを間違っていることだ。消費税に関して「改革なくして増税なし」「福祉なくして増税なし」「景気回復なくして増税なし」と独自の「増税3なし」論を主張しているが、肝心の財政再建に目がいっていない。


かって小沢は竹下政権で消費税導入論、細川政権で国民福祉税導入論、自らの著書で10%消費税論を主張してきた。完全な増税による財政再建論者のはずだが、それが急きょ反対に回ったのはどうしたことか。消費税を政局に“活用”しているとしか思えないのだ。
 

「数による政治」論者の小沢はチルドレンの数100人余りだけが頼りであり、連日飲ませたり、説得したりで“つなぎ止め”に懸命だ。これに対抗するかのように執行部側も、合法的なチルドレン「買収」の動きを開始し始めた。


日経によると当選1回の新人議員と個人面談して、1人あたり300万円の「活動費」も支給するというのだ。もちろん面談の内容は消費税に賛同するかどうかが中心。最初は300万円渡すが、面談の結果によっては以後100万円から300万円まで幅を持たせるというのだ。誰が考えたか知らないがこの造反封じの「札束ほっぺた」作戦は、選挙資金枯渇を嘆くチルドレンには大きな影響を与えそうだ。

というのも最近の小沢もどうも資金枯渇のようなのだ。1月16日に党大会の向こうをはってチルドレンを集めたときは、野中広務によると一人20万円しか渡せなかったというのだ。新党といっても資金がないのではないか。


党執行部も露骨なことをやるものだと思うが、効果的であることには間違いない。これに親小沢の幹事長・輿石東がかんでいるとすれば、輿石までが小沢離れということになる。政党資金の配分は幹事長の了承抜きではあり得ないからだ。

<今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)

2012年03月02日

◆極秘会談で追い込まれ小沢の焦燥感

杉浦 正章

 

民主・自民の極秘党首会談は案の定賛否の声がごうごうと巻き起こったが、世の中目明き千人盲千人だ。政局が見える者は理解し、見えない者は怒る。はたしてその実態はと言えば、久しぶりに胸のすくような政治の舞台回しが行われたということだろう。


首相・野田佳彦も自民党総裁・谷垣禎一も否定しているが、全紙に報道された以上会談はあったということになる。今後の政局の方程式は極秘会談を前提として組み立てられていくのだ。追い込まれた小沢一郎がどう巻き返せるのかが焦点だ。
 

情報を総合すると2月の初め頃から極秘会談への“うごめき”があった。谷垣から誘いを掛けたという説が濃厚だが、野田が働きかけたという説もある。鐘が鳴ったか撞木が鳴ったか、鐘と撞木の合いが鳴る。つまり出会いという秘め事が鳴らしているのだ。双方の足元が揺らいでよろめいて、“ごっつんこ”して鳴ったのかも知れない。


谷垣は25日の会談に先立って19日に、会談の「ヒント」となるような発言をしている。17日の公判後の声高な小沢の反消費税・倒閣発言に関連して「野田首相は野党に協議を求めるなら、まず小沢元代表とさしで話し合い、『賛成するなら一緒にやりましょう』『反対するなら党を出て行ってください』と言うべきだ」と、「小沢切り」をけしかけたのだ。


恐らく会談打診の後の「ダメ押し」というか「誘い水」の類いに位置づけられる発言だったのだろう。これに野田が反応して、25日の会談になったようだ。
 

極秘会談が漏れた結果の政治の舞台は様変わりした。まず、小沢一郎が真っ青になった。当選一回生を招いた1日の会合のあと、車に乗るときの顔を読んだが、これまでに見たことのないような厳しい表情であった。かつて「小沢幹事長辞任」をボディランゲージで言い当てたが、小沢の表情から見ると会合はお通夜のようであったに違いない。


いくら一年生でも小沢が窮地に追い込まれたことくらいは分かる。小沢が「話し合い解散はない」と説得しても、「そうかなぁ」となるのだ。何故小沢が身の危機を感じたかといえば、戦略が崩れるからだ。


小沢は政局のターゲットを消費増税法案の国会提出後の今月末に定めていたといわれる。小沢の戦略とは、せっせと会議や会合を繰り返して、何も知らないチルドレンをとりまとめることに他ならない。チルドレンを50人まとめられれば、消費増税法案を衆院で否決できるのだ。その戦略が極秘会談で根底から崩れかねない様相となったのだ。
 

一方、野田は「話し合い解散」、つまり「法案成立・解散」を武器にすれば、自民党を誘い込むことが出来る。小沢一派が反対しても衆参両院で可決して成立へと持ち込めるのだ。極秘会談はその流れを確認し合うものであった可能性が高い。


この民主、自民連携の動きは小沢にとっては「想定外」であったのだろう。チルドレンをまとめても無駄になる可能性があるのだ。それに政界再編と言っても、今回は小沢主導型になる可能性はほとんどない。野党は一致して小沢の証人喚問を要求しており、「刑事被告人」のリーダーシップで再編をしようというようなピント外れは、「何でも政局」の亀井静香くらいしかいない。
 

さらに極秘会談は、言いたい放題の大阪市長・橋下徹もけん制する形となった。橋下も「石原新党」をうかがう石原慎太郎も、与野党激突の間隙を縫って漁夫の利を占めるというのが基本戦略であろう。その激突が回避され、正常な姿で国家財政の危機をとりあえず救うことのできる超重要法案が成立となれば、出る幕は薄れるのだ。
 

このように極秘会談は“八方にらみ”の様相を濃くしたものであった。谷垣を代議士会で河井克行が「野田内閣は、もうまもなく沈没する。その船長に救命ボートなど我が党の総裁が差し伸べることなど決してなさらないと、私は心から信じております」と突き上げたが、「昼行灯か」と言いたい。なにもしなければ沈没するのは自民党であることが分かっていない。


4期生にもなって政治が読めないようではやめた方がいい。野田に対しては、何でも反対の前農相・山田正彦が「消費増税法案を成立させ話し合い解散になれば、我々も落選して国会に帰って来られない。増税反対で命がけで行動する」と発言したが、「滑稽」と言いたい。一議員の落選など枝葉末節だ。


ここは政治家が党利党略、私利私欲でなくて、野田のように身を捨てて消費税を導入しようとする場面であることが分かっていない。いまや軽蔑の的ルーピー鳩山由紀夫の批判など、冬の蚊のようなもので刺す力もない。
 

極秘会談の効用はまだ誰も指摘していないが、今後の国会運営や政局に当たって、電話会談が可能となったところにある。「会談が早すぎた」とか「公になったからもう会談できない」との見方があるが、逆だ。やろうとおもえば“しこしこ”と携帯の短縮ダイヤルですぐつながり、「どこでも会談」が可能なのだ。極秘会談を携帯で重ねて、仕上げを図れるのだ。 

<今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)