2016年08月21日

◆支那ではディレーが当たり前

平井 修一



サーチナ6/22「空の便で中国を旅することは悪夢・・・日本とはまさに正
反対」 から。

<日本航空が2015年に定時到着率で世界1位となったほか、空港でも羽田
空港と伊丹空港が同じく定時運航率で1位となった。日本では航空会社、
空港の双方で時間どおりの運航がなされているということだ。

中国メディアの環球網はこのほど、ドイツメディアが中国の空港は離発着
ともに定時という概念がなく、まさに「災難」であると批判したことを伝
えた。

記事は、北京市で「霧雨」が降っていたことを理由に、中国の航空会社が
離陸を遅らせたと伝えつつ、北京首都国際空港も多くの便を取り消したと
紹介、「小雨が降っただけなのに、空の便は麻痺状態となった」と論じた。

さらに、ドイツメディアが「空の便で中国を旅することは悪夢」と報じた
ことを伝え、中国民用航空局のデータとして「2015年における中国の空の
便の遅延時間は平均21分だった」と紹介、全体の便数の3分の1に何らかの
理由で遅延が発生したと紹介した。

ビジネスのため、観光のためなど、空の便を利用する人の目的はさまざま
だ。だが、どのような目的であっても、誰にとっても時間は貴重なもので
あり、「霧雨」程度で定時運航がなされないというのは大きな問題と言え
る。その点、日本の場合は羽田空港が大規模空港部門で定時運航率1位、
伊丹空港が小規模空港部門で1位、さらに日本航空も定時到着率で1位とな
るなど、中国とは正反対のサービスを提供できている。(編集担当:村山
健二)>(以上)

民族性が影響しているのかもしれない。几帳面でサービス精神旺盛、「お
客様は神様です」の日本人。民間企業であり、競争が激しいし、利益を上
げないと経営が成り立たなくなるから社員は真面目で真剣だ。

一方で支那では多くの大企業は国有であり、社員は公務員で、“親方五星
紅旗”的な鉄板飯が保証されている。「遅れず、休まず、働かず」になり
やすい。目立つとハエ叩きに遭いかねないからやる気にならない。「適当
にやる」のが常態化しているのだろう。

航空機が当てにならないのなら鉄道はどうかというと、鉄道も国有だから
どうもパッとしないようだ。サーチナ8/17「日本と比べたら・・・中国の
鉄道サービスは『粗雑で礼儀に欠ける』」から。

<中国は総延長で世界最長の高速鉄道網を構築したとおり、中国の鉄道産
業はハード面においては飛躍的な発展を遂げたと言える。だが、利用客の
利便性などソフト面においてはまだ改善の余地が大きいと言わざるをえない。

中国メディアの張家界在線はこのほど、日本の鉄道のサービス面における
質の高さを伝えつつ、中国高速鉄道がさらなる発展を遂げるためには
「ハードのみならず、ソフト面の改善が必要」だと訴えた。

記事はまず、日本を訪れた中国人旅行客が「日本の鉄道のソフト面に感銘
を受けた」という事例を紹介。日本の鉄道のうち、海岸線を走る路線など
では乗客が車窓からの景色を楽しめるよう座席が窓のほうを向いている構
造であること、さらに日本の鉄道では大声で物を売る販売員がいないこ
と、車掌が乗車券を確認しない場合があることなどを紹介し、「日本の鉄
道は利用客の目線でサービスが提供できている」との見方を示した。

続けて、中国高速鉄道はハード面において飛躍的な発展を遂げたのは事実
だとしながらも、「ソフト面におけるサービスがハードに追いついていな
いのも事実」と指摘。心をこめたサービスやきめ細やかなサービスが欠け
ていると指摘し、中国のサービスは「親近感や礼儀が欠け、粗雑であるう
えに価格も高い」と論じた。

中国はもともと社会主義国であるため、「お客様目線」というものが欠け
ている事例は数多く存在する。新幹線の輸出においては、技術力を基礎と
したハード面のみならず、時間に正確な運行や安全性、質の高いサービス
などのソフト面も競争力につながっており、こうしたサービスは中国で
あっても容易に模倣は出来ないものと言えよう。(編集担当:村山健
二)>(以上)

小生は食材宅配のショクブンを利用しているが、今日はこんなメモが入っ
てきた。

<本日お届の玉葱ですが、ご案内しました産地の入荷が不良のため、下記
のように変更させていただきますのでお知らせします。どうぞよろしくお
願いします。
玉葱 兵庫県産 → 北海道産>

呆れるほどの几帳面さ、しかも小生がチャイナフリーを提案したら、その
通りにしてくれた。

こういうきめ細やかさは2000年間の伝統の中で磨かれたものであり、50
年、100年ではとてもキャッチアップできるものではない。支那のいい加
減さは世界中でバレており、英国は原発建設から支那を外すようだ。

信頼を勝ち取ることができない中国産品は世界市場で最早伸びることはで
きない。支那経済は減速し、長期の低迷に陥るしかない。新興国から後進
国へ一挙に転落するのだ。(2016/8/17)


◆夏休み、日本を考えるための2冊

櫻井よしこ



梅雨が明けて本格的な暑さがやってきた。世の中は、参院議員選挙に 続
いて東京都知事選挙、9月には民進党の代表選挙が続く。アメリカでは 民
主党のヒラリー・クリントン氏と共和党のドナルド・トランプ氏が激し
く競り合い、互いを非難し合う。
 
だが、最も気にかかるのは、日本の在り方である。折しも天皇陛下が今後
の皇室の在り方について、直接、国民に語りかけられるという。私心を超
えて日本の歴史と文明に基づくお言葉を発せられるものと期待している
が、譲位のご意向についてすでに多くの人々が論評し始めた。右も左も決
して、お言葉を政治利用してはならないのであり、私は陛下のお言葉を待
ちたいと思う。
 
日本はどんな国であり続けるのがよいのか。いまこそ、日本人皆が考え
るときであろう。そこで2冊の本を勧めたい。2冊とも直接、解決を示して
くれるわけではないが、いま再び読んでおくのがよいと思う。1冊目は20
年以上も前に出版された『昭和天皇独白録』(文春文庫)である。
 
これは昭和21(1946)年3月から4月にかけて、5回にわたって側近に昭和
天皇が語った内容をまとめたものだ。日本国の元首である昭和天皇が大東
亜戦争当時、そして日本が初めて味わった敗戦の下でどのように考えてお
られたか。政治に如何に関わったかが、御自身の言葉で語られている。
 
昭和天皇が優れた外交観をお持ちだったと確信する事例は少なくない。
たとえばリットン報告書についての反応である。昭和6年9月の満州事変に
関して国際連盟が調査し、まとめた報告書は、満州事変を日本の侵略と断
じた。だが、同時に満州における日本の権益が特殊であること、満州国の
事情は複雑で短絡的に因果関係や合理非合理、或いは正邪の判断はできな
いという視点を維持していた。日本にとって決して不利な情報ばかりでは
なかったのである。

平和を求めよ
 
昭和天皇は、「私は報告書をそのまま鵜呑みにして終(しま)う積り
で、牧野、西園寺に相談した」と話しておられる。牧野は牧野伸顕、吉田
茂はその娘婿だ。西園寺公望は元老として昭和天皇に助言する立場にあった。
 
天皇のお気持ちとは反対に日本はリットン報告書を拒否して国際連盟か
ら脱退し、孤立の道を歩んでいった。そんな道ではなく、報告書を受け入
れて国際社会にとどまる方がよいと天皇はお考えになった。しかし、元老
西園寺は、すでにリットン報告書は拒否すると閣議決定されたとして、昭
和天皇の反対論を押しとどめた。
 
あの時代を振りかえるとき、私もそうだが、少なからぬ人々が国際連盟脱
退など必要なかったと考える。にも拘わらず、日本は脱退した。脱退して
帰国した松岡洋右はまるで英雄のように迎えられた。世論という熱狂のこ
わさである。
 
その松岡が結んだ日独伊三国同盟について、昭和天皇が述べておられる。

「結局私は賛成したが、決して満足して賛成した訳ではない」
 
当時、米内光政、山本五十六、井上成美ら海軍の重鎮をはじめ、アメリ
カの実力と欧州の事情を知っている人々ほど三国同盟には強く反対した。
しかし、昭和15年9月7日にナチスドイツ政府の特使が来日し、三国同盟は
わずか9日後の16日には閣議決定された。余りにも性急な展開は、わが国
にじっくり考え抜いた戦略が欠落していることの具体例である。
 
この間にも天皇は複数回、同盟に反対の意向を示しておられた。近衛文麿
首相に語ったお言葉として、「ドイツやイタリアのごとき国家と、このよ
うな緊密な同盟を結ばねばならぬことで、この国の前途はやはり心配であ
る。私の代はよろしいが、私の子孫の代が思いやられる。本当に大丈夫な
のか」というものがある。
 
御自身の思いとは異なる方向に日本国が進むのを眼前にしながら、「君
臨すれども統治せず」、立憲君主国の元首の精神で介入はなさらない。ど
れ程の自制心が必要であろうか。凡人にはできないことだ。
 
昭和16年9月6日、御前会議が開かれ日本はいずれアメリカと戦争するの
か否か、極めて重大な方針を決めることになった。外交よりも戦争に重点
を置くかのような統帥部の案について、昭和天皇は「統帥部が何ら答えな
いのは甚だ遺憾」とし、明治天皇の御製を読み上げられた。

「四方の海みなはらからと思う世になど波風の立ちさわぐらむ」
 
米国と戦ってはならない、平和を求めよという御心である。しかし首相
近衛は天皇の平和意図を実行しなかった。
 
遂に開戦した翌年の昭和17年4月、日本政府はローマ法王庁との親善強
化のため、特命全権公使として原田健を特派したが、昭和天皇は「之は私
の発意である」と語っておられる。

「私はローマ法王庁と連絡のある事が、戦の終結時期に於いて好都合なる
べき事、又世界の情報蒐集の上にも便宜あること竝にローマ法王庁の全世
界に及ぼす精神的支配力の強大なること等を考えて、東条に公使派遣方を
要望した次第である」
 
開戦と同時に如何に戦いを終了させるか、を考え準備するのが戦争の常
道であるとはいえ、そうした戦略が欠落していたからこそ、日本はあの大
東亜戦争で敗れた。当時のことについて天皇は「平和論は少なくて苦し
かった」と述懐しておられる。

日本の勁さと美しさ
 
そして75年後のいま、日本は正反対の国になったのだろうか。平和を守る
ことの大切さは当然だが、誰もが自らを守ることについて非常に後ろ向き
である。かつて戦いを前面に押し出しすぎていたとしたら、現在はその対
極にある。世相がすっかり変わった平成のいま、ご譲位に関するものであ
れ、その他のことであれ、お言葉が引き起こすであろう大きな波紋につい
て考えざるを得ない。
 
昭和天皇同様、否、それ以上に厳しく御自身を律してこられた今上陛下
のお言葉を、緊張して待つこの思いは日本人だからだろうか。
 
もう1冊勧めたいのは、これまた新刊本ではない。磯田道史氏の『無私の
日本人』(文春文庫)である。磯田氏の書には「これは夢ではないか」と
思う程、美しくもひたむきな3つの日本人の物語が記されている。いずれ
も実話である。江戸時代に生きた人々の、実際の姿である。
 
3つの物語をつなぐ共通の糸は、自らを無にして他者のために生きるとい
う価値観である。いま、この書がとりわけ心にしみる。その理由は国際社
会の枠組みが大変化を来し、各国の自力が試されているからだろうか。日
本の勁さと美しさの源泉を、この2冊が教えてくれるような気がする。
『週刊新潮』 2016年8月11・18日合併号
日本ルネッサンス 第716回


2016年08月20日

◆私の「身辺雑記」(375)

平井 修一



■8月16日(火)、朝6:00は室温27度、涼しい、快晴、日射しは強いから
今日も猛暑になりそう。朝から疲れているのは老化と熱中症のためだろ
う。横になって歎異抄を読んでいたら眠ってしまった。昼食後に午睡。

2時に起きたら驟雨、布団、洗濯物を取り込んで窓を閉め、濡れた床を拭
き、雑巾を洗ったら再び疲労困憊。すっかり老人だ。嫌なものである。

<「弥陀の誓願不思議に助けられまいらせて往生をば遂ぐるなり」と信じ
て「念仏申さん」と思いたつ心のおこるとき、すなわち摂取不捨の利益に
あずけしめたまうなり。弥陀の本願には老少善悪の人をえらばず、ただ信
心を要とすと知るべし>

念仏で救われる? 平和を唱えたら平和になる? 歴史を振り返れば「戦
争が勝者に有利な新秩序をもたらす」のだ。厳然たる事実。

【今朝の産経から】1面「71回目終戦の日 平和への誓い新たに」、そう
すると中共は手を引くのか、国際ルールを守るのか? 念仏、妄想でしか
ない。

宮内庁、皇室はキリスト教、マルクス教の臭いがする。週刊朝日2014年11
月7日号より。

<「昭和天皇実録」に興味深い記述がいくつか見受けられる。

まずクリスマスにプレゼントを贈る習慣は、1904年の日露戦争のころにす
でに皇室にあった。戦後、A級戦犯が処刑された1948年ごろには、昭和天
皇は多くのキリスト教徒と接し、定期的に聖書の講義も受けていたと記さ
れている。

また、実録ではこんなエピソードを伝えている。皇太子(いまの天皇陛
下)が結婚する際、皇太子妃(美智子さま)がミッション系の聖心女子大
出身だったことから、「ある皇族の一人がキリスト教に興味を持ったのは
皇太子妃の影響」と聞いた昭和天皇が美智子さまに「皇室においてキリス
ト教の話はしないように」と叱責したというのだ。

実はこれらは当時の雑誌が書き立てた噂話で、昭和天皇は「事実でない
し、心に思ったことさえなかった」と伝えるよう側近に命じたと実録は記
している。

京都産業大学の所功名誉教授(日本法制文化史)が解説する。

「皇室とキリスト教の関係を、狭い宗教の観点から考えると事実を読み違
えるでしょう。明治以降、欧米からさまざまなことを学びながら近代化し
てきた中で、キリスト教もひとつの西洋文化として、柔軟に受け入れてき
たのです」

その流れは現代まで脈々と続き、(秋篠宮家の)眞子さまと佳子さまが
ICU(国際基督教大学)を目指すことになったのは、何の不思議もないこ
となのだ>

害務省は革マル応援団のラスプーチン佐藤優など怪しい人物の宝庫だ。

<小和田 恆(おわだ ひさし、1932年〈昭和7年〉9月18日 - )は日本の
元外交官。国際司法裁判所判事。

外務事務次官、国連大使、財団法人日本国際問題研究所理事長、国際司法
裁判所所長(第22代)等を歴任。皇太子徳仁親王妃雅子の実父。

日本国際問題研究所は過去には共産圏の主要な演説・メディアの翻訳・解
説記事などを掲載した『共産主義と国際政治』(1985年『ソ連研究』、
1992年『ロシア研究』に改題)を刊行していた。

また、財団内に置かれた軍縮・不拡散促進センターは包括的核実験禁止条
約の国内事務局としての役割を持っている>(ウィキ)

先の大戦で「反省」すべきは大敗したことだけだ。7年間の占領軍の経費
は日本が負担し、今も米軍の駐留費の多くは「思いやり予算」による。未
だに占領中。恥ずかしくないのか。

1面「竹島上陸 韓国議員が強行」。売春婦に10億円を払うバカがいる。
無知で無恥。

1面産経抄、SMAPって何だ。娘が好きなミスチルみたいなものか。まった
く別世界の話。

2面主張「戦後71年の靖国 安倍首相は堂々と参拝を」。するわけがな
い、長期政権が手段ではなく目的になってしまったようだ。

7面正論、西岡力氏「自衛隊を憲法に明記する発議を」。憲法自体が
「恥」の塊、棄憲せよ。

■8月17日(水)、朝5:00は室温27度、快晴、日射しは強いから今日も猛
暑になりそう。2日連続で朝からクーラー。6時朝食、カミサンは奄美帰
省、7時にNの運転で成田へ。7歳女児預かり。暑くてとても散歩できない。

お盆のお飾りを片づけるが、結構な仕事で、ふらふらした。足元が怪しい
のは実に不安である。

【今朝の産経から】1面「・・・」、気力がなくて書けない。

■8月18日(木)、朝5:00は室温28度、快晴、日射しは強いから今日も猛
暑になりそう。朝からばてている。クーラーのPC部屋の布団の上に新聞を
吊るして読むのが常態化し、時々うつらうつらするから、読むのに数時間
かかる。

【今朝の産経から】1面「・・・」、体力、気力がなくて書けない。PCの
キーを打つのも苦痛になってきた。「病床六尺」の感。子規曰く――

<毎日見るものは新聞雑誌に限つて居れど、それさへ読めないで苦しんで
居る時も多いが、読めば腹の立つ事、癪にさはる事、たまには何となく嬉
しくてために病苦を忘るるやうな事がないでもない。年が年中、しかも六
年の間世間も知らずに寝て居た病人の感じは先づこんなものです>

小生もここ5年間は妄想世界の中に逼塞していたようなものだ。そろそろ
「舞台下手へ去る」のだろう。太宰の「グッドバイ」だな。

<文壇の、或る老大家が亡なくなって、その告別式の終り頃から、雨が降
りはじめた。早春の雨である。

2
その帰り、人の男が相合傘で歩いている。いずれも、その逝去した老大家
には、お義理一ぺん、話題は、女に就いての、極めて不きんしんな事。紋
服の初老の大男は、文士。それよりずっと若いロイド眼鏡、縞ズボンの好
男子は、編集者。

「あいつも、」と文士は言う。「女が好きだったらしいな。お前も、そろ
そろ年貢のおさめ時じゃねえのか。やつれたぜ」

「全部、やめるつもりでいるんです」>

晩年は あっという間に 迫り来る 生老病死 つるべ落としや(修)

恨みも未練もない。「グッドバイ」で逝けたらいいな。そうならないのも
事実である。七転八倒するか、呆けるか、さてさて、いかなる明日が来る
のだろうか。(2016/8/18)


◆ISがトルクメニスタンに目を付けた

宮崎 正弘 



<平成28年(2016) 8月16日(火曜日)通算第4997号 >  

 〜シリア、リビア拠点を失いつつあるISだが
次の秘密基地を「謎の国」=トルクメニスタンに目を付けた〜


トルクメニスタンにとって最大の脅威はISの浸透である。

実際にアフガニスタンから這入り込み、首都のアシガバードに拠点を設け
ているという情報があり、ロシアに軍の専門家の派遣を要請した。米国に
は武器供与を要請した。

トルクメニスタンは治安が安定していると考えられたから、ISの浸透が
あるという情報には驚きである。

トルクメニスタンはアフガニスタンと744キロもの国境を接しており、ま
して砂漠や山岳地帯だから、国境警備など万全を期せるはずがない。

東側はウズベキスタンと国境を接しているが、両国関係はあまり良好とは
言えず、したがって国境警備における協力関係をうまく築けないのだ。

なにしろトルクメニスタンは「永世中立国」であり、中国主導の
「SCO」(上海協力機構)にも加盟していない。

ロシアとはガス輸出競争のライバルになってから対立的関係があり、また
独立時に中立を標榜してロシア軍を撤退させた経緯があり、その国にロシ
ア軍がのこのこ帰ってくることも考えにくい。

ということは、逆にISはトルクメニスタンの治安散漫というアキレス腱
を見いだし、秘密基地構築をひとつのアイディアに入れたとも言える。そ
うでなくとも、トルクメニスタンからISへ参加した兵士は数百を超える。

そのISがNATOの空爆と、欧米が支援する政府軍によってシリアの拠
点を次々と失い、リビアの秘密基地もNATOの空爆で幾つかが破壊され
ている。

米国中央軍司令官は議会証言で、「たしかにトルクメニスタンから武器供
与の要請があるが兵員派遣の要求はない」とした(『ネザビスチマヤ・ガ
ゼッタ』、3月31日)。

とはいうものの、これはトルクメニスタン一国の問題ではなく地域全体の
安全保障の問題であり、北カフカスのゲリラに悩まされ、また嘗ての衛星
国であったトルクメニスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタ
ン、カザフスタンなどから大量の兵士がISに参加している事実があり、
ロシアは、トルクメニスタンからの兵力派遣要請を無視できず、「慎重に
考慮したい」と回答している。

                   

2016年08月19日

◆「敵前逃亡」の汚名:稲田朋美防衛大臣

MoMotarou



「靖国の問題は心の問題であり、安倍内閣の一員として適切に判断したい」

稲田氏は12日、視察先の航空自衛隊小松基地(石川県小松市)で記者団
に、こう語った。いつも通りの回答だったが途切れ気味に話し、目には涙
がうっすらとたまっていた。(産経)>>

        ☆彡

稲田防衛大臣が「靖国」へ行かず「ジブチ」に行く。明らかな「敵前逃
亡」だ。安倍首相が稲田さんを温存したい気持ちはわかる。しかし「靖国
参拝」は稲田氏の“看板”である。安倍さんとは違うのだ。

まぁ中国との取引を前提とした二階幹事長の“老婆心”であろう。稲田氏の
心中を察するに余りあるものがある。臥薪嘗胆。しかしこれで稲田氏の指
導者への道は開ける。この無念さに、心に期するものが生まれてくるはず
だ、稲田さんなら。。。

■「遠くブラジルよりお伝えします」

遠くブラジルより伝えられる日本のメダルラッシュ。こんな狭い国土の国
が、なぜ活躍するのか不思議に思えます。中国も韓国北朝鮮も日本の「底
力」に驚嘆しているでしょう。

反日3国も日本が隣になかったら近代を迎得ることなく、白人社会の植民
地かゴミ捨て場になっていたでしょう。隣の反日3国は、世界で評判が悪
い。我が国だけはなぜか良い。「円」を外務省や財務省が配りまくってい
るからだけではない(笑)。先人たちの涙ぐましい努力があったからなのだ。

■韓国処理を押し付けられる日本

また慰安婦問題解決のため、韓国に10億円を捨てるそうだ。更に韓国通貨
「ウォン」救済のため、通貨スワップを再開する噂もあります。慰安婦と
言い金融救済と言い、何か国民に知らせたくない理由が政府にありそうです。

思うに米国から韓国を押し付けられているのでしょう。韓国の銀行は1つ
を除いて外国の支配下にあります。その銀行の多くは外国ファンドの「不
良ゴミ債券」等保管場所に使われている。まことに哀れ。


■「国家」とは言えない国家

昔から米国は韓国を見捨てる傾向がある。幕末明治時代にも、統治能力の
無さにウンザリして、領事館を早々に引き払う。朝鮮半島から逃げだし
た。あの国は「国」ではないのだ。日本も早く気が付くべきだった。

「事大主義」が国是の王朝国家だから、その時の都合で、“取引先”がコロ
コロ変わる。今の韓国を見ればわかりますね。

最後は自滅する。大声で泣き叫びながら!ここで騙されてはいけない。あ
の国には「泣き女」という職業もある。日本国民の税金十億円などは慰安
婦像の増産に使われるだけだ。

*「明治期の日本にとって朝鮮半島はいかなる存在であったか」
http://shibayan1954.blog101.fc2.com/blog-entry-307.html

■日本を戦争に巻き込む国

その様なことも影響して朝鮮半島は不安定化を招き、我が国は日清日露戦
争をやらざる負えなくなりました。

引き続き米国の身勝手から、満州事変に大東亜戦争にと巻き込まれて行き
ます。したくない戦争を三度までせざる負えなくなっていく。敗戦。軍人
210万・民間人80万人が“戦死”。最後は原子爆弾の実験場に。

■急がば回れ!

此れからは、阿保で身勝手な連中の騒ぎに巻き込まれてはなりません。そ
の為にはしっかりとした「国民教育」を行い、他国の悪行から国を守る指
導者を育成しなければなりません。

小泉元総理登場以降、政治家の資質が落ちてきたような気がします。女性
の登場も宜しいが、変な男に騙されないようにしましょう。


◆真犯人は常に被害者を装うものなのだ

野口 裕之



「事態をエスカレートさせないよう強く求めていくとともに、毅然と冷静
に対応している」 

「現在の状況に冷静に対応し、緊張を高める行動を取らないよう強烈に希
望する」

尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海/接続水域に、記録的数の中国海警
局公船や百隻単位の“中国漁船”が、特に8月に入り侵入を活発化させた
が、侵入を受けて「政府」が発したコメントだ。

ただし、前者は菅義偉官房長官、後者は中国外務省報道官の声明。被害
者=被侵入者と加害者=侵入者の声明が同じとは。被害者を装う加害者を登
場させる「推理サスペンス」のような展開には、驚くほかない。

驚くといえば、毎回、作ったようなおっかない顔で話す中国外務省報道官
の迫真の演技。「並の神経」の持ち主なら吹き出してしまうところだが、
剣山でも握っているのか、はたまた官僚登用試験で演技力も試されるのか…。

ところが、演技力が乏しい外交官もいる。

南シナ海のほぼ全域を自国管轄海域などとする中国が唱えてきた複数のム
リ筋主張に、国際的な仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)は7月、全て一蹴
する裁定を下した。中国外務次官は直後、「裁定を紙クズと認識して棚上
げし、交渉のテーブルに着くことを希望する」と述べたが、およそ外交官
とは思えぬ暴言。

もっとも、演技力には欠けるものの、中国の品性をさらに下げるのに役
立った次官の暴言は、国際法を無視する中国の正体を素直に表現してお
り、実に「中華風」でわかりやすい。

■虚言癖のある為政者を演じきった中国首相

この点、裁定をめぐる中国の李克強首相の演技力は“風格”さえ漂わせ、冒
頭紹介した外務省報道官を、はるかに上回る。先月も国際舞台で、虚言癖
ある為政者を見事に演じきっていた。舞台はモンゴルの首都ウランバート
ルで開かれたアジア欧州会議(ASEM)。名優・李克強は訴えた。

「中国は国際秩序と国際法の守護者であり、地域の平和安定の推進者だ」
「国際法の曲解と二重基準に反対する。地域で合意された規則を順守すべ
きだ」ス、スゴ過ぎる…。商業・工業の世界での「盗作」だけが中国のお
家芸ではなく、外交・安全保障分野での「倒錯」もすさまじい。

演劇の世界では、倒錯した人物の演技は最も難しいとされる。参加国の代
表は一瞬、別の国か国際機関の中国批判だと勘違いして、深くうなずいて
しまったことだろう。

■ペンにイス…中国の閣僚が駆使する小道具

卓越した演技には「小道具」が必要不可欠。ペンがもたらす演出なども効
果的だ。カナダ訪問中(6月)だった中国の王毅外相は中加外相による共
同会見の席上、地元メディアの女性記者が、中国内の苛烈な人権問題をた
だすと…

「あなたの質問は中国に対する偏見に満ちており『傲慢』だ。まったく受
け入れられない」

「中国の人権状況を最もよく理解しているのは中国人だ。あなたは中国に
来たことがあるのか」

女性記者に向かい、憤怒の姿勢を強烈に演出すべくペンを横に振りなが
ら、怒鳴りつけるかのように説教を続けること2分以上。どちらが『傲
慢』かは明らかだ。しかも、女性記者の質問はカナダ外相に向けられたも
のだった。王外相は横から口を挟んで、あろうことかカナダ外相の「代
弁」をしたのである。

イスの使い方にも観察が必要だ。ヤクザ映画を観ていると、大物の組幹部
はふん反り返って、「子分」や「敵対する組幹部」をにらみ付けている。

5月にラオスの首都ビエンチャンで開かれたASEAN(東南アジア諸国連合)
国防相会議では、中国の南シナ海侵出を念頭に、国際法を順守する行動規
範(COC)の早期策定を目指す方針を含む共同宣言を発出した。

ASEAN各国の国防相は共同宣言に署名後、ラオスを訪問した中国国防相と
非公式会議に臨んだ。前述した仲裁裁判所の裁定前だった。

■ヤクザ映画さながら…中国国防相、貫禄の威圧感

「仲裁裁判所の裁定には従わない」と、従来の主張を繰り返した中国国防
相。深々とイスに腰掛けた「貫禄」「威圧感」は際立っていた。中国国防
相の刺すような視線は、中国の巨額援助に依存するカンボジア&ラオスの
国防相や、仲裁裁判所に訴えた“元凶”のフィリピン国防相に向けられてい
たと、小欄は確信している。「子分」と「敵対する組幹部」をにらみつけ
る、映画で観る極道の視線そのものだったためだ。

大舞台で名演を披露するには、凶悪な連続殺人犯が刑法学の世界的権威に
「法体系が欠陥だらけ。命の尊さを学習し、法改正に活かしなさい」と言
い掛かりを付けるがごとき、「神経」構造を備えねばならぬ。余りの図太
さは「無神経」と表現すべきかもしれない。

例えば、米大統領選挙への批判報道。中国共産党機関紙・人民日報系の環
球時報(社説)は、内部告発サイトで発覚した、米民主党全国委員会幹部
が前国務長官のヒラリー・クリントン候補に肩入れしていたとの疑惑を採
り上げた。が、外国人読者が恥ずかしくなるほど大胆なる説教をたれた。

《米国型民主主義の実情がすでに民主の原則よりかい離していることを示
している。政治的操作に満ちた選挙が公平と言えるか》

 「???」。中国共産党による一党独裁の《政治的操作に満ち》あふれ、《民
主主義》も《公平な選挙》も存在せず、従って《民主の原則よりかい離》しよ
うもない中国が、米国に説教できる立場か。

■怪しさ全開の「中国型民主主義」

そもそも、《米国型民主主義》などと断るあたりが怪しさ全開。中国の政治
学者は時に《協商民主》なる用語を使う。使用する際、いちいち長々と説明
を加えるのは素性の悪さの証だ。人民日報のニュースサイト人民網に掲載
された中国社会科学院政治学所の所長殿いわく――

《民主政治は欧米型の『選挙民主』と中国型の『協商民主』に大別でき
る。中国は後者を選んだ》

《選挙を民主主義の中心に据える『選挙民主』は形式上、各参加者の平等
性を認めてはいるが、競争の結果には勝ち負けがあり、『勝者が全てを得
る』現象が往々にして出現する》

《選挙民主に比べ協商民主は、非対立的な政治協議を通じて利益構造と社
会秩序を築く。共通利益の最大化を実現し、溝や対立を最小にまで減らす
ことが目的で、ウィンウィンが目標。利益対立が引き起こす競争・対立・
排斥の減少効果が主たる特徴だ》

《民意を広くすくい取り》《社会末端の矛盾を緩和、調和と安定の促進に非
常に積極的・効果的な役割を果たしている》とさえ、自信タップリに言い
切っている。

要するに、「選挙をしなければならぬ選挙民主は非効率で排他的悪政の誘
因となる」。対する協商民主は、「選挙ではなく話し合いをもって、資源
配分などにつき迅速な意思決定や絶妙な割り当てを可能にする。欧米型の
選挙民主を押しつけるな!」と言いたいのだろう。しかし、小欄の中国観
は完全に逆だ。

《協商民主は、対立的な派閥政治を通じて汚職構造や公安秩序を築く。一
部権力者の利益の最大化を実現し、溝や対立を隠ぺいすることが目的で、
一部権力者のみのウィンが目標。利益対立が引き起こす競争・対立・排斥
の増加効果が主たる特徴だ》

《民意を押さえ込み》《社会末端の矛盾を隠ぺい、一党独裁安定の促進に非
常に積極的・効果的な役割を果たしている》

■歴史に刻んだ「殺りく劇」と「一大悲劇」

中国に“民主主義”があるのなら憲法もある? これがある。日本国憲法に
失望する国民にはぜひ、中国の“憲法”に触れてほしい。わが国憲法が、少
しはまともに見えるはず。

何と、第2章では《言論・出版の自由》を記載する。中国共産党の一党独裁
下、言論弾圧が日常の情景である現実とのかい離は笑止だが、同じ2章に
《生存権》が記されていると知れば笑えない。中国共産党にとり死守すべき
は生存権で、その守護神が中国共産党。「命を保障してやるのだから、自
由権ごときは我慢せい」という理屈なのだ。実際、天安門事件(1989年)
では、自由権を行使した無辜の民が生存権を奪われ虐殺された。

中国共産党や人民解放軍が歴史に刻んだ「殺りく劇」であり、「一大悲
劇」である。

産経ニュース【野口裕之の軍事情勢】中国は推理サスペンスを演じている
つもりなのか? そう、真犯人は常に被害者を装うものなだ…2016.8.15
                  (採録:松本市 久保田 康文)

       

2016年08月18日

◆拠点を失いつつあるISだが

宮崎 正弘 



<平成28年(2016) 8月16日(火曜日)通算第4997号>   

〜シリア、リビア拠点を失いつつあるISだが
次の秘密基地を「謎の国」=トルクメニスタンに目を付けた〜

トルクメニスタンにとって最大の脅威はISの浸透である。

実際にアフガニスタンから這入り込み、首都のアシガバードに拠点を設
けているという情報があり、ロシアに軍の専門家の派遣を要請した。米国
には武器供与を要請した。

トルクメニスタンは治安が安定していると考えられたから、ISの浸透
があるという情報には驚きである。

トルクメニスタンはアフガニスタンと744キロもの国境を接してお り、ま
して砂漠や山岳地帯だから、国境警備など万全を期せるはずがない。

東側はウズベキスタンと国境を接しているが、両国関係はあまり良好とは
言えず、したがって国境警備における協力関係をうまく築けないのだ。

なにしろトルクメニスタンは「永世中立国」であり、中国主導の
「SCO」(上海協力機構)にも加盟していない。

ロシアとはガス輸出競争のライバルになってから対立的関係があり、ま
た独立時に中立を標榜してロシア軍を撤退させた経緯があり、その国にロ
シア軍がのこのこ帰ってくることも考えにくい

ということは、逆にISはトルクメニスタンの治安散漫というアキレス
腱を見いだし、秘密基地構築をひとつのアイディアに入れたとも言える。
そうでなくとも、トルクメニスタンからISへ参加した兵士は数百を超える。

そのISがNATOの空爆と、欧米が支援する政府軍によってシリアの拠
点を次々と失い、リビアの秘密基地もNATOの空爆で幾つかが破壊され
ている。

米国中央軍司令官は議会証言で、「たしかにトルクメニスタンから武器
供与の要請があるが兵員派遣の要求はない」とした(『ネザビスチマヤ・
ガゼッタ』、3月31日)。

とはいうものの、これはトルクメニスタン一国の問題ではなく地域全体
の安全保障の問題であり、北カフカスのゲリラに悩まされ、また嘗ての衛
星国であったトルクメニスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタ
ン、カザフスタンなどから大量の兵士がISに参加している事実があり、
ロシアは、トルクメニスタンからの兵力派遣要請を無視できず、「慎重に
考慮したい」と回答している。

◆南シナ海問題で国際法無視の中国

櫻井よしこ


南シナ海問題で国際法無視の中国 対抗策は国連総会における総会決議 

いま、中国にどう向き合うべきか。その要点は、中国はいまの国際社会に
は受け入れられない「異形の大国」であることを彼らに認識させることだ。
 
7月12日のオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所の裁定が中国の主張を全面
的に否定した後、一貫して中国は強硬姿勢を強めている。7月25日の東南
アジア諸国連合(ASEAN)外相会議の共同声明では南シナ海裁定につ
いては全く触れられなかった。日本や米国が出席しないASEAN諸国の
会議に、中国が強い影響力を行使した結果である。カンボジアを抱き込ん
で、分断工作に成功したのである。
 
だが翌日の東アジアサミット(EAS)外相会議にはASEAN諸国に加
えて日米中露なども参加した。当然、会議の様子は前日とは異なってい
た。EAS前日には日米豪が中国に対してハーグ裁定順守を求める共同声
明を発表した。EASに出席した国もほとんどが南シナ海問題に言及し
た。中国の国際法無視の軍事的動きに深刻な懸念を明確に示したのである。
 
反論したのは中国だけだった。EASの後も、王毅外相は「時間の推移
に伴い、仲裁裁判所の違法性が明らかになる。背後に隠れている政治操作
も必ず天下に明らかになる」などと日本を念頭に反論した。だがその主張
には説得力がない。
 
南シナ海のほぼ全域の領有権を主張し居座り続ける中国の無法ぶりに、
具体的にできることは何か。
 
軍事的措置は、米国が動かない限り難しいが、各国のコーストガードを
中心に南シナ海の警備・監視活動を強化することが重要だ。米国の空母
や、すでに名乗りを上げているフランス海軍や日本の海上自衛隊などが、
南シナ海で「通常の航行」を行い、監視態勢を側面援助することも欠かせ
ない。
 
同じく重要なのが国連の場で中国の非を明らかにすることだ。国連安全
保障理事会に同問題を提起すれば、五大常任理事国の1つである中国が必
ず拒否権を行使してつぶしてしまう。だが、私たちには国連総会決議とい
う方法が残されている。
 
総会では全ての構成国が平等に1票を有する。どの国にも拒否権はな
い。決議は、出席しかつ投票する国の過半数で成立する。重要問題につい
ては投票国の3分の2の多数が必要である。
 
決議には法的拘束力はない。しかし、国際社会の多数国が支持する決議
であれば、それを守ることこそ大事であり、その意味で総会決議には「ソ
フトロー」(緩やかな国際法の縛り)という側面があると解釈されてい
る。総会決議は国際社会の道徳的倫理的権威を有しているということだ。
 
過去に安保理決議で拒否されたために総会で決議した事例がある。米国
とニカラグアの争いである。政権転覆で誕生したニカラグアの新政権が隣
国の反政府ゲリラに武器援助を行っているとして、レーガン政権がニカラ
グアの反政府武装集団(コントラ)を支援したことをめぐる争いだった。
 
1984年、ニカラグアがレーガン政権を国際司法裁判所に訴え、米国の違法
性が認定された。同件は安保理に持ち込まれたが、米国が2度にわたって
拒否権を発動した。そこで今度は総会に持ち込まれた。総会は4度にわ
たって決議し、米国を非とした。
 
絶大な支持を誇ったレーガン政権でさえ、安保理決議は拒否できても総
会決議は阻止できなかったのだ。結局、91年に、ニカラグアが取り下げて
同件は終了したが、事件は米国内外で注目され続けた。
 
同じように南シナ海問題を国連総会の場で論議し、総会決議で中国を非
難することは大いに可能だ。それによって中国は国際秩序を破る国、国際
法を破壊する国とされる。そのような不名誉は中国共産党の求心力を弱
め、高いコストを支払うことになる。
『週刊ダイヤモンド』 2016年8月6日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1144 

2016年08月17日

◆トルクメニスタンは不思議が一杯

宮崎 正弘 


<平成28年(2016) 8月15日(月曜日)弐 通算第4996号 >  

 〜「中央アジアの北朝鮮」=「トルクメニスタン」は不思議が一杯
   ガスを全量、中国へ輸出。ロシア、アゼル、イランが困惑気味〜

2016年8月8日にプーチンはバクーにいた。

アゼルバイジャンはカスピ海の海底油田があり、信じられないほど景気が
良かった。とてつもなく豊かな、ゴージャスな、そしてアリエフ王朝の独
裁国家である。

次期米国大統領になるかも知れないドナルド・トランプは、このアゼルバ
イジャンの首都バクーに複合摩天楼の「トランプ・タワー」を建設してい
た。90%工事が出来たところで、原油価格暴落、全てが萎縮して建設は
中断している。

さてプーチンは、何をしにバクーにいたのか?
 ロシアはアゼルバイジャン、イランとの3ヶ国でガスのカルテル機構設
立に密かに動いていた。

ガスの国際価格は、もし、これら3ヶ国が手を組むと往時のOPEC並み
のパワーが確立する。

すでにロシアのガスはEU向けにはバルト海の海底パイプラインでドイツ
と?がり、ウクライナ経由で中欧に?がり、そしてカスピ海経由、トルコ
ルートが地中海ルートで南欧に?がり、さらにロシアはトルコに、もう一
本「トルコストリーム」を建設しようとしており、ブルガリアを袖にして
ギリシアから南欧、中欧への輸出を伸ばす。
 
このためには競合相手となるイラン、そしてアゼルバイジャンと手を組ん
でおく必要がある。ロシアにとって、カスピ海の石油とガスは死活的な経
済問題なのである。

カスピ海油田は深刻な難題をいくつか抱えている。

第1に油田鉱区の設定で、まだまとまりがなく、全てのプラットフォーム
は合弁事業である。鉱区の区分けができているのはカザフスタン、アゼル
バイジャン、ロシアだが、他方、アゼルバイジャンとトルクメニスタンの
鉱区の区分けがまだ確定していない。
 
第2にカスピ海に面したガス油田の豊かな、極めつけの謎に包まれた国が
ある。つねに独自の行動を取りつつ、永世中立国を名乗り、ロシアに非協
力的なトルクメニスタンだ。したがってロシアはカスピ海の海底にトルク
メニスタンがパイプラインを敷くことに賛成しかねている。
 
第3はイランである。
米国と復交したとはいえ、政治的不安定要素をかかえる宗教独裁の国もま
た扱いづらく、そのうえ、イランはペルシャ湾からの輸出ルートを持って
いてカスピ海ルートには興味をそれほど示していない。イランはガス液化
での輸出に励み、むしろドバイ、アブダビ、カタールなどが輸出ビジネス
での競合相手となる。


 ▼だからトルクメニスタンが最大の問題となる

トルクメニスタンは砂漠、火山があり、地震が頻発し、ソ連圏でも最貧国
と考えられてきた。

ところがガスが噴出し埋蔵では世界第3位か、4位である。しかも中国の
テコ入れで、いまやトルクメニスタン、ウズベキスタン、カザフスタンを
経由して新彊ウィグル自治区から上海へ武漢へと分岐される8000キロにも
およぶパイプラインが敷設され、ほぼ全量が中国へ輸出されている。

当然、経済は潤う。予想を遙かに超えた経済繁栄がやってきたのだ。
 トルクメニスタンでは公共バスは無料、教育費も無料、バス停は冷房完
備。マンションも安く、ガソリンは1リットルが20円。これほどのばらま
きが出来るのは、ベネズエラの場合は放漫会計とポピュリズムだが、トル
クメニスタンは独裁国家。ポピュリズムの必要性がない。

この国が「中央アジアの北朝鮮」と言われるのは、前のニヤゾフ大統領が
個人崇拝を強要し、金ぴかの日時計は巨大なニヤゾフ像の周りを回る。全
土にニヤゾフの銅像を(というより金メッキだから金像か)を立ててにや
にやしていた。

奇癖はまだ山のようにあり、個人的にメロンが好きだったので「メロンの
日」が祝日として制定され、行政機構には「馬の省」「絨毯の省」があっ
たり、イスラム国家なのに若者にひげを禁止し、ついでに金歯も禁止した。

思いつきが政治になるという独裁色はアジア遊牧民ゆえか?

ニヤゾフはドイツから医療専門チームを呼んで健康を管理してきたが、
2006年に急死した。

すると、直ちに大統領代行となり、07年大統領選挙で第2代トルクメニス
タン大統領に選ばれたのがベルデムハマドフである。

2012年には90%以上の得票率で再選、17年に3選を迎えるが、反対政党が
存在しないので、選挙はかたちだけになるだろう。ソ連時代の共産党が与
党、野党に「農民党」があるが、与党の附録でしかない。


▼謎の国に、謎の大統領が誕生

しかし、ベルデムハマドフって誰?

国際的にまったく無名。だから何故、唐突に大統領として君臨するのか?
謎だった。

彼はもともと歯科医。国立医療大学を卒業し、医院つとめが長く、いつし
か国立医療大学の学長となっていた。98年にニヤゾフ国立医療センター
長に就任した。

2001年から5年間は副首相に抜擢され、ニヤゾフ大統領を補佐してきた。
よほど信任が厚かったのだろう。

毛沢東が無名の軍人、華国鋒を枕許に呼んで、「君なら安心だ」と言って
後継者に撰んだ。華国鋒は、毛沢東の庶子だった。

 ベルデムハマドフもまた、ニヤゾフの庶子だった。だから反対もなく、
すんなりと無名の人物がこの不思議な国を率いることになったのだ。

 そしてこのトルクメニスタンをいかに扱うかがプーチンの頭痛の種。カ
スピ海のガス価格談合のカルテルは構造倒れというのが現状である。

 蛇足だが、筆者は昨秋にジョージア(旧グルジア)の首都トビリシで、
訪問中だったベルデムハマドフ大統領一行を見た。
たまたま宿泊していた「トビリシ・マリオットホテル」に偶然、トルクメ
ニスタン大統領一行も泊まっていた。

黒塗りの高級車をつらね、坊主頭でいかつい男達は、黒いスーツに黒いネ
クタイ、白いワイシャツ。日本なら「あの業界」の人たちが好む服装をボ
ディガードがしているので、すぐに分かる。

屈強な男たちに囲まれて、トルクメニスタン大統領は、アリエフ(アゼル
バイジャン大統領)と何を語らったのか?

◆八方ふさがりの中国経済

伊勢 雅臣



(伊勢雅臣)中国経済がいよいよ八方ふさがりになってきました。鉄鋼は
余剰生産能力が日本の年産能力の1億1000万トンの4倍以上、自動車の生
産能力は年間販売台数の2倍以上、4000万台を超えます。

本来なら大幅なリストラと人民元安が必要ですが、どちらもできません。

リストラ:大型国有企業は共産党と癒着しているために、リストラでき
ず。無理にリストラすると、各地で労働者の争議が起きる。

人民元安:海外投資が逃げて、ますます不況に。生活物資のインフレによ
り、消費者の不満が爆発して、共産党の政権を脅かす。

いずれにせよ、清朝末期のような一揆や内乱が勃発する恐れがあります。
そういう時に狙われるのが外国人、特に反日教育の対象となってきた日本
人です。

中国に現地法人を持つ企業は、駐在員はいつでも脱出できるようにしてお
き、その家族は帰国させるべきです。中国生産は可能な限り、国内か、東
南アジアに移すべきです。

中国人の日本観光と爆買いは、円を使うことで、元をだぶつかせて元安へ
の圧力を高め、親日感情を高めるので、積極的に呼び込みましょう。

現在の中国経済の崩壊によって、共産党独裁体制を打倒することが、我が
国と周辺諸国の平和、そして中国人民自身の解放に貢献します。

■中国崩壊を恐れるのは誰だ(田村秀男、「正論」H27.11)

人民元は1997年末以来1ドル8.27元以下の小数点でしか「変動」しな
い。米国はその後もことあるごとに人民元改革を求めてきたが、その肝は
あくまでも漸進主義による制度改革であり、時間をかけながら「変動を柔
軟にする」というわけで、円やユーロなど先進国通貨のような自由変動相
場を要求しない。

(人民元の変動を認めると)つまり株式市場を含む金融市場全体の自由化
が変動相場とセットになる。すると党が中央銀行の中国人民銀行や国有商
業銀行に指令し、金融市場を支配することは無意味になる。カネの創出と
流れを決めることができなくなり、党指令型経済は消滅する。

ドルに対して安定し、しかも小幅に上昇する元は中国市場に進出する外資
にとつて魅力的で、先端技術を携えた外資による直接投資が活発に続く。
中国企業は香港に別会社を設立し、さらに帳簿上だけの法人をカリブ海な
どのタックスヘイブン(租税回避地)に設立し、今度は外資を装って本土
に投資して優遇措置を受ける。

人民銀行は元を買い支えるために外貨を売って元資金を吸収する。資金の
対外流出額はことし6月時点経常収支黒字と外貨準備の増減からみて、年
間で6000億ドル近い。外準は8月には昨年6月から4300億ドル以上減少した。

外貨準備はそれでもまだ3兆5000億ドル以上あり、日本の3倍以上になる
との見方もあるが、対外債務は5兆ドルを超えている。いわば、外から借
金して外準を維持しているわけで、外国の投資家や金融機関が一斉に資金
を引き揚げると、外準は底を突く恐れがある。


■中国・自壊に向かう「異形の経済」(田村秀男、「明日への選択」H27.10)

^私が一番信用しているのは鉄道貨物の輸送量と輸入です。鉄道貨物の輸
送量を年率計算すると大体マイナス10%ほどで、輸入の減少が八%ぐらい
です。輸入というのは、中国の内需の動向を反映する。これで、なぜ
GDPがプラスになるのかと(笑い)

^本来は、元を5割ぐらい下げて、出直さなければいけない所です。しか
し、元を五割も下げてしまうと、確実に悪性インフレになって、恐らく各
地で暴動やデモが頻発し、それこそ共産党政権崩壊という局面も起こり得
る。ですから、怖くて元を大幅に下げるわけにもいかないのです。

^元の切り下げ発表後、大量の元売り、ドル買いが起こり、一斉に中国か
らカネが逃げ出しました。それで中国人民銀行は、逆にあわてて元を買い
支えるハメになった。

^(能力過剰で本来ならリストラが必要だが)ところが中国の場合、国営
企業には全部党の実力者がバックにいる。しかも、人民銀行は党の指令一
つでカネをいくらでも付ける。ですから、誰もリストラなんてしないのです。

^(元の国際通貨化の狙い)現状ではドルで取引しないといけないわけで
すが、元が国際通貨になると、国際的な取引が元でできるようになる。そ
うなると、習近平はロシアから元で石油を買うことができる‐アフリカの
独裁国に対しても、元で支払いや投資が自由にできるようになります。

^(IMFが元の国際通貨化を認めるには)国際的に自由に利用可能な通
貨と言えるかというと、これはそうではない。なぜかと言うと、人民元は
当局の意思でレートが決まるので、誰も信用しないのです。

^市場経済をコントロールしながら党が指令してやっていくというこのモ
デルそのものが、もはや破綻したと私は見ています。



◆ASEANの中国傾斜に日本が歯止めを

櫻井よしこ



南シナ海は誰のものか。国際社会の公共財である海の秩序を国際法で守る
のか、強国が力に任せて支配するのか。
 
この問いの前で、南シナ海の殆ど全てを自国領だとする中国の主張が悉く
否定され中国が完膚無きまでの敗北を喫したのが7月12日だった。
 
ところが、7月24〜26日、ラオスの首都ビエンチャンでハーグの仲裁裁の
裁定後初めての東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議が開かれ、中
国が猛烈に巻き返した。彼らお得意の分断政策を駆使し、最も注目されて
いた裁定について、一言も共同声明に入れさせなかったのだ。
 
中国外相の王毅氏が「著しく合法性を欠いた判決のページはめくられ
た。(判決がひき起こした)熱は下がった」と勝利を宣言し、中国を訴え
たフィリピンのメディアは「ASEAN沈黙、中国の勝利」(7月25日
「マニラ・タイムズ」)、「薄められた非難、蚊が刺した程の痛みもな
し」(7月26日「マニラ・ブレティン」)などと報じた。
 
王外相は24日に現地に入り、カンボジア、ラオス、ブルネイ、タイ、
ミャンマー、シンガポールの6か国外相と次々と深夜まで会談を重ねた。
中国が絶対に認めないハーグ裁定に触れないよう説得し、ASEAN諸国
中、最も中国に近いカンボジアが今回も中国の思いどおりに動いた。全会
一致を旨とするASEAN切り崩しには、1国が反対すれば十分で、カン
ボジアは中国の最も重要な切り札である。
 
中国は今回、向う3年間で6億ドル(約625億円)の援助を与えると発表
した。だが、カンボジアの最大の援助国は日本である。政府援助にとどま
らず、多くの学校を建て、教師を派遣し、教材を送り続けてきたことに見
られるように日本人は民間レベルでも活発にカンボジアに貢献してきた。
中国人による同様の援助など、私は寡聞にして知らない。
 
それでもカンボジアは、法の支配か、力の支配かという極めて重要な問題
に直面して、必ずしも日本を選ばない。というよりカンボジアは、
ASEANの一員としての立場より、中国との関係を優先するとの批判が
ある。

弾圧政策に目を瞑る
 
カンボジアの中国接近にはフン・セン首相の個人的利害が深く関わってい
るとの見方が、専門家の中に少なくない。フン・セン氏は30年以上の長き
にわたって実権を握ってきた。

発展途上の貧しい国で30年以上にわたる権 力掌握が汚職や不法権益と結
びつきがちなことは容易に想像できる。そう したことから生じる国民の
不満を抑えるために、強権政治に傾いて今日に 至っているのが現状だ。
そうした中、フン・セン氏は18年に総選挙に直面 する。不安定な国内政
治において、政敵を弾圧するとしたら、日本をはじ めとする先進民主主
義国より中国の方が余程頼りになる。
 
なぜなら、中国に忠実であり続ける限り、中国は「内政不干渉」の立場で
弾圧政策に目を瞑り、フン・セン氏への援助を続けるであろうから。ダル
フールの虐殺で悪名高いスーダンのアル・バシル大統領を中国が支持し続
けた前例もある。
 
ハーグの裁定を「紙クズ」と切り捨てた中国と、法による公正さとは異次
元の世界で実利によって結びつく価値観が、そこにあるのではないか。
 
ビエンチャンでのASEAN外相会議が行われていたのと同じ25日、フィ
リピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領がマニラで施政方針演説を行った。
氏は南シナ海問題では「中国とは交渉しない」と言明済みだが、施政方針
演説でも仲裁裁の裁定を「強く支持し尊重する」と述べた。
 
ドゥテルテ大統領はカンボジアとは異なる道を選択するかのように思え
る。しかし、約90分の演説中、南シナ海への言及はわずか1分だった。そ
の扱いの軽さに一抹の不安を抱かざるを得ない。
 
小国は生き残りのために大国の動きを測る。ASEANが中国とアメリ
カ、もしくは中国と日本の間で計算し、揺れ動くのは当然である。だから
こそ、日本はあらゆる努力で南シナ海での中国の無法な行いを許してはな
らない。なぜなら、南シナ海問題は東シナ海問題でもあるからだ。日本の
国益のために、いま、中国の無法な行いを抑制しなければならない。具体
的に何をすべきか。
 
まず、ASEANに生じている深刻な問題意識に目を向けたいと思う。シ
ンガポールの東南アジア研究所、上級研究員のタン・シュー・ムン氏は外
相会議開催前に、「ASEANは、南シナ海問題で水で薄められたような
共同宣言を出すよりも、共同宣言を出せない不名誉を選ぶべきだ。
ASEANはたった1か国の些細な利益追求の人質には決してならないと
発信せよ」と発表した。

「カンブレグジット」
 
99年にカンボジアが加盟しASEANは10か国になった。以来、創始国5
か国の解決能力が低下したと氏は指摘する。さらに、この間に発生した
「課題の全てで中国が共通の問題」だが、責任を他国に転嫁してはならな
い、責任は自分たちの中にあると説く。
 
カンボジアがASEANの一員でありながら「南シナ海問題の本質を理解
できず、より大きな構図の中で戦略的に考えることができていないことこ
そ最も懸念すべきだ」とも書いている。
 
カンボジアの議事妨害的な行動は許さない、カンボジアはASEAN諸国
の不満に目を瞑るなと氏は憤っているが、ASEANでこんな強い意見を
聞くのは珍しい。彼らは10か国の結束を重視し表立って激しく非難し合う
ことは余りない。
 
しかし、タン氏はこうも書いた。

「カンブレグジット」を考えるべきだ、と。イギリスの欧州連合離脱、ブ
レグジットをもじって、カンボジアの離脱を提案しているのである。

「たった1か国に(全体の決定を)拒否する力を認めてはならない」「ト
ロイの木馬を抱え続けてはならない」「これはASEANが戦い、そして
勝利しなければならないバトルだ」と強調し、最後に問うている。
 
一体誰がこの戦いを主導するのか、と。
 
氏は答えを次のように書く。

「中国に対処するのに決定的役割を担うのは日本である」
 
かつて日本に非常に厳しかったこともあるシンガポールからの提言であ
る。驚くべきではないか。彼らは十分に識っているのだ。日本は中国とは
全く異なる国であること、日本人は国際法を守り、平和的話し合いを基軸
とする民族であることを。
 
ASEAN外相会議で中国は巻き返したが、彼らとの対峙やドンデン返
しは、これからもずっと続く。日本が守ってきた価値に自信をもって、大
きく変わる国際社会、とりわけアジア情勢を主導する責任を担うのだ。そ
の覚悟と準備を整えることが、日本に迫られている。
『週刊新潮』 2016年8月4日号 日本ルネッサンス 第715回


   

2016年08月16日

◆8月15日の終戦日を迎へて

大江 洋三



1945年8月15日、昭和天皇の「終戦の詔勅」をもって日本及び日本人は、
潔く「敗戦」を受け入れた。

敗戦という重苦しい空気の中で、希望をもたらした人物が2人いる。

スポーツにおいては水泳の古橋広之進であった。1948年のロンドンオリン
ピックでは敗戦国のため日本参加は拒否されている。

渡航外貨など無かったから恥をかかずに済んだ側面もある。

しかし、古橋の名は轟いていて筆者が小学生の頃ラジオに噛り付いて、古
橋や橋爪の快泳振りを聴いて勇躍していたことがある。

世界新記録と聞くと、子供心に「アメリカに勝った」と喜んだ記憶がある
から、正に英雄であった。

その英雄も、みんな貧乏の中で衰え1952年のヘルシンキオリンピックでは
8位に倒れた。

ラジオの前で、家族みんながお通夜のようになった記憶もある。
しかし、それは間違いだと声をからした人がいた。実況中継したNHK飯
田次郎アナウンサーであった。

以下はウイキペディアの丸写しである。

『日本の皆さま、どうぞ、決して古橋を責めないで下さい。偉大な古橋の
存在あってこそ、今日のオリンピックの盛儀があったのであります。
古橋の偉大な足跡を、どうぞ皆さま、もう一度振り返ってやって下さい。
そして日本のスポーツ界と言わず、日本の皆さまは暖かい気持ちを以て、
古橋を迎えてやって下さい』

いま読むと、敗戦復興の意気込みがよく表れた国民への叱咤・激励である。

科学の世界においては、湯川秀樹による1949年の日本人初のノーベル物理
学賞が相当する。古橋の世界新記録同様に日本中が沸き立った。

物理学は科学技術の中心に位置するから、敗戦にも拘わらず自信というか
震い立った人も多かったであろう。

筆者の通っていた田舎の小学校では、朝礼で万歳までやった。
少し蘊蓄を垂れると、原子核がプラス電荷の陽子と同量の無電荷中性子か
らなることは既に知られていた。

しかし、有電荷と無電荷が強く結合している理由は長らく不思議であった。

湯川秀樹は中間子という結合媒介素粒子の存在を、世界で初めて理論的に
予言した物理学者であった。

同時にその数学力は、現代物理学でいう「強い力理論」の先駆者となった。

昨年、ノーベル物理学賞を授賞した梶田隆章博士によると、今も日本物理
学は世界の先頭のランナーの位置にある。

古橋広之進と湯川秀樹という文武の誉れが存在したからこそ、敗戦復興が
促進したと考えるのは穿ち過ぎであろうか。特に過ぎているとは思わない。



  

◆「ミニ・プーチン」

宮崎 正弘
 

<平成28年(2016) 8月14日(日曜日)通算第4993号>   


 〜「ミニ・プーチン」のアレクサンドル・ルカシェンコ大統領
   ベラルーシ、ポーランドと関係改善へ劇的なステップ〜


ベラルーシは旧ソ連のなかの独立国では唯一、ロシアと国家連邦条約を結
んでいる。このため、たとえばモスクワ経由でミンスクへ行くとすれば、
モスクワで「入国」の手続きをする。ミンスク便は「国内線」扱いである。

ベラル―シ「ミニ・プーチン」「ミニ・プーチン」の国語はロシア語であ
る。田舎へいけばベラルーシ語も通じるが、殆どがロシア語、都市では英
語が少し通じる。

ベラルーシ「ミニ・プーチン」を治めるのはルカチェンコ大統領。かれの
独裁体制とも言えるが、そのポピュリズムは国民の多くから支持を得てい
る。不思議である。

彼の政治とはロシア依存の経済のなかで、最大の裨益を得ること、国内に
ナショナリズムの台頭を激しく監視することにある。

汚職追放を掲げて、有力な政敵を消し、かれを批判したジャーナリストは
五人が暗殺された。旧KGBは復活している。
 宗教の自由は確保されているが、言論の自由はありそうで、ない。しか
し諸外国から正確な情報が入っているし、テレビはBBCもABCも見ら
れる。

なぜなら歴史的因縁からベラルーシ人はロシア、ポーランド、米国そのほ
か世界中に約300万人が散ったからだ。アルメニア人とその世界的な分布
状況は似ている。

問題は有力な政治指導者がほかにいないからルカチェンコ大統領の半独裁
が継続されているのだ。

さてそのベラルーシだが、ときおりロシアとは不仲になる。プーチンと馬
が合いそうで、まったく性格は合わない。類似性を持つものは接近を嫌う
ものである。

7月20日、ポーランド外相はワルシャワを訪問したベラルーシ外相と会談
し、将来の関係改善を積極的に話し合った。ベラルーシ外相のポーランド
訪問は6年ぶりである。

ポーランドでは昨秋の総選挙で保守党が復活し、2国間関係にポーランド
政権が前向きとなったことで転機が訪れたと言える。


 ▼ネックとなるのは「カチンの森事件」の真相究明にある

ポーランドとの関係改善を急ぐ理由は、NATOには加わらないまでも、
EUの準加盟国になりたいからである。

しかし最大のネックは何か。それは「カチンの森事件」だ。

およそ2万2千名のポーランド軍人、警察官、聖職者、公務員がソ連に
よって銃殺あるいは虐殺された事件は、歴史の埋もれたりはしない。ポー
ランドは遺族の尊厳と、国家の資源とをかけてロシアに謝罪を要求している。

プーチンは「誤り」を認めたが「謝罪はしていない。

2010年に行われたカチンの森の記念式典には、ロシアのカチンの森跡地へ
跳んだポーランドのカチンスキー大統領兄弟ほか政府高官多数が、ツボレ
フ墜落事故により死んだ。ポーランドは二重の苦しみに打ちひしがれた。

スターリンはベリアの提言を入れてポーランド将校らの銃殺を命じ、しか
も、これはナチスドイツがやったことに逆宣伝を展開してきた。実際に手
を下したのはソ連内務人民委員会(NKVD)だった。

夥しい遺体はドイツ軍が1943」年に発見した。

ゲッペルスはこれを逆宣伝に使おうと動いた。米国も動き、FDRは調査
委員会を設置し現地に専門家を派遣した。調査結果はソ連の仕業とされた
が、FDRは、その流ポートを握りつぶした。これによりソ連崩壊まで、
カチンの森事件の真相は藪の中であった。
 
ソ連が崩壊した。
 
1990年にNKVDの機密文書が次々と発見された。犠牲は21857名と
され、92年にロシアは、その機密文書の伊津部を公開に踏み切った。
しかし、まだ半分近くが非公開で、じつはそのなかにベラルーシ国内で起
きたポーランド軍銃殺の資料がある。

3870名分があるといわれ、ポーランドはこれをベラルーシ政府に公開要求
をしている。

ベラルーシには戦前60万ものユダヤ人が住んでいた。ベラルーシは、ナチ
スに強要され、ユダヤ虐殺に手を貸した。

リトアニアもそうだが、現在までにミンスクから、あるいは隣のウクライ
ナのオデッサから生き延びたユダヤ人は去った。欧米かイスラエルへ移民
して、ユダヤ人外は廃墟となったが、同時にユダヤ人収容所跡も、きれい
に消されて痕跡も残っていない。

そのベラルーシがポーランドの要求に応えるとは考えにくい。
 
ポーランドとベラルーシ、ふたつの不思議な国が関係正常化を達成する目
に、解決すべき問題が山積みとなっている。