2016年06月30日

◆性犯罪の厳罰化!

馬場 伯明
 


2014/10/29の本誌3470号に拙稿「強姦犯天国・被害者地獄の日本」を掲載 していただいた。日本の強姦、強制わいせつ罪の犯罪数に「暗数(*1)」 が多く、欧米に比べ刑罰も軽いなどと指摘し、厳罰化を含む抜本的な法改 正を訴えた。(*1)認知件数と実際の発生件数との差を暗数(あんすう) という。

2016/6/17、朝日新聞の朝刊が報じた。《 法相の諮問機関「法制審議会」 の性犯罪部会が16日、性犯罪の厳罰化に向けて刑法を改正する答申案をま とめた。法務省は今後、答申を受けて国会に提出する法改正案づくりを進 める》と。要点は次の4つである。

(1)強姦罪(刑法177条)の法定刑を「懲役3年以上」から殺人罪の下限 と同じ「懲役5年以上」とする。厳罰化である。

(2)被害者による告訴は「必要(親告罪)」から「不要(非親告罪)」 とする。「被害者には処罰の必要性を十分説明する。ただし、被害者が望 んでいなければ勝手に起訴しない」(検察官委員談)。

(3)「男性が加害者、女性が被害者」という性差をなくす。性交に類似 する行為も強姦として扱う(たとえば、肛門性交など)。

(4)18歳未満の子供への親などの「監護者」が「影響力に乗じて」わい せつ行為や性交をすることを罰する罪を新設する。被害者が抵抗をしたか どうかに関係なく処罰する。
大きな前進である。100年以上続いてきた刑法の規定が見直される。法制 審議会の性犯罪部会の委員の方々の労をねぎらいに感謝したい。

(1)について:厳罰化は今回の答申の最も重要な部分である。世界の先 例からすれば遅きに失した。日本の強姦犯罪の(公式の)認知件数は1410 人、10万人中1.11人!日本は世界に冠たる強姦極少国なのだ。10万人中で 見ると、豪81、カナダ78、米国32、英国16、仏14、韓国13、独9、露5、伊 4、日本2(1.78)。日本の少なさが際立っている(データが古いが2009 年。整数に四捨五入)した。

民間等の各種アンケートの数字とは大きな隔たりがある。それを暗数と言 う。つまり、被害者が「被害に遭っても届けない」数字である。

「被害に遭っても届けない」という日本の実態は深刻である。強姦犯(加 害者)は「お前(被害者)が告訴し俺が有罪になっても(日本の)刑罰は 軽い。初犯だから執行猶予だ(常習犯であっても犯行現場ではそう言 う)」。「俺を待っていろ、必ずまた強姦(や)る、報復する」と脅す。

報復への恐怖から泣き寝入りする被害者が多い。その最大の理由が、100 年間以上続いた強姦罪の刑罰の軽さと言われてきた。今回これが改正へ向 かう。性犯罪の厳罰化は緊急を要し、男女差別の是正や刑罰の公平性から も厳罰化は不可欠である。

(2)について:今は被害者が自分で告訴しなければ強姦罪は成立しな い。刑罰が軽く報復を恐れ、外聞も悪いので、被害者が泣き寝入りするこ とが多い。それを、窃盗、殺人など一般の刑法犯のように自動的に(要件 を満たせば)起訴することになる。世界の趨勢である。

ただし、「それでも被害者が望んでいなければ勝手に起訴しない」と検察 官委員は回答しているらしい。有識者会議で意見を述べた性犯罪被害者の 小林美佳さん(40歳)は「事件後、加害者や裁判とは一切関わりたくない と思う人もいる。自分もそうだった。本人が望まなければ、立件しない運 用を強く求めたい」と話しているらしい。効果的な運用が望まれる。

(3)について:加害者は男性、被害者は女性という定義をやめ性差なく 適用する。また、肛門性交などの性交類似行為への強姦罪適用は妥当だ。 しかし「強姦」の文字を廃止する意見があるというが残すべき。今でも 「強姦」を「暴行」や「いたずら」とマスコミ等はゆるめて報道する。

(4)18歳未満の子供への親などの「監護者」が「影響力に乗じて」わい せつ行為や性交を罰する罪の新設、および、被害者の抵抗を問わないこと には全面的に賛成である。調査(*1)では、無理やり性交されたときの強 姦犯は「面識がある人(男)が76.9%」とある。近親者や知人に強姦され る事例が多いのだ。(2011年、半数未満・内閣調査2012/4:*1)

今回の答申で残されたいくつかの課題がある。私の関心事を述べる。

まず、(3)監護者以外の者による強姦や強制わいせつ罪にも「『暴行や 脅迫』という成立条件をなくし、「抵抗の有無にかかわらず処罰できるよ うに改めるべき」という被害者側に立った有力な意見があった。

だが、有識者会議では議論の対象にならなかった。「現行でも暴行や脅迫 の程度は(検察や裁判官において)幅広く解釈されている」というのだ。

しかし、これは大いに疑問があり不適切である。強姦罪の最も大事な 「肝」を外している。刑法177条(強姦)では「暴行または脅迫を用い て・・・女子を姦淫した者は、強姦の罪・・」とし、強姦では「暴行また は脅迫」が条件となっている。これが大いに曲者である。
 
最高裁は「(加害者の)暴行は、相手(女性の被害者)の抵抗を著しく困 難にする程度のもの」とし、「強姦罪の暴行は、強盗罪の暴行に近い強度 のものが必要である」とする(「性暴力と刑事司法*3」大阪弁護士会・性 暴力被害検討プロジェクトチーム2014/2/28発行)。殴る、蹴る、首を絞 めるなどの明らかな「暴行」がないかぎり強姦とはならないのだ。

強姦罪のもう一つの条件の「脅迫」も「相手方の抵抗を著しく困難にする 程度のもの」という。典型事例は「言うことを聞かないと刺すぞ」とナイ フを首筋に当て抵抗できない状態にして姦淫(性交)した場合などだ。

すなわち、被害者は(抵抗要件は法には明記がないのに事実認定では重視 され)死に物狂いで強く抵抗しなければ強姦犯は有罪とならない。しか も、女性が抵抗した痕跡等(証拠)が要求される。殴打の傷・痣、陰部・ 膣の裂傷・出血、切り傷、擦り傷、骨折、捻挫・・・。陰部・膣内への精 液・体液の付着・残留などの証拠である。

ところが、襲われた女性は、ほとんど「ヘビに睨まれたカエル」状態で、 茫然自失、声をあげられない。「殺すぞ」と男に言われたら金縛りになる。

抵抗したら殺される。命だけは助かりたい。早く終わって!と唇を噛み抵 抗せずに耐えるのである。終わったら徹底して陰部や体を洗い流し服や下 着も捨てる人も多いという(肝心の「証拠」が消えてしまう)。「暴行・ 脅迫条項」を削除すべきである。

次に、審議会の議論の中で「厳罰化だけでは抑止力にならない」、(厳罰 より)加害者への薬物や心理療法など「医学的な対応が有効である」など と犯罪者の保安処分についての指摘もあったという。

しかし、その前に大前提がある。犯罪者の再犯の抑止を担保する確かな措 置が不可欠である。

具体的には(1)刑期を延長する(今回答申)。(2)刑期を終えた犯罪者 にGPS付き足輪をつけ監視する(未定)。(3)(確定判決後)犯罪者の個 人情報を公開する。住所・氏名・年齢・顔などをネット等で公開する(未 定)。

「性犯罪の厳罰化」ではないが、被害者支援体制を構築することが重要で ある。被害後の応急治療、事情聴取、法律相談などを、女性専門官中心の 支援機関で一括して担当・実施する。

病院、警察、法廷などでの「2次性的被害」もなくす。被害者は安心して 警察等に届け出るようになり認知件数が増え暗数は大幅な減少となるであ ろう。

現在の日本の実態は、強姦被害者(女性)を支援し救済する道は日暮れて なお遠い。彼女らの心の闇が簡単に晴れることはない。今回の答申は大き な前進の一歩となった。

刑法177条(強姦)の「暴行・脅迫条項」を削除し(今回の答申にはな い)、厳罰主義を採用し(今回答申)、刑期後の犯罪者をGPS監視する (未定)、そして、被害者支援体制を整備・構築する(未定)ことが重要 である。

「強姦犯天国・被害者地獄の日本」から「強姦犯地獄・被害者救済・支 援・の日本」へと、一刻も早く転換させなければならない。(2016/6/28 千葉市在住)


◆モルドバ、ウクライナを旅して

宮崎 正弘
 

<平成28年(2016)6月28日(火曜日)通算第4945号 >
  
 〜モルドバ、ウクライナを旅して
  経済繁栄は達成されず、いまだに周辺諸国との軋轢〜


成田で出発する際に、「キシナウ(モルドバの首都)からウクライナのオ デッサに向かうバスの予約はあるか、なければ入国禁止の可能性があるの で、もしそうなっても構わない。自己責任ということで」誓約書にサイン を求められ、「えっ」と思いながらの出発となった。

そもそもキシナウーーオデッサのバスのキップを日本で買えるわけがない ではないか。

モルドバ共和国は、殆どルーマニア文化圏、経済圏(昔のベッサラビア) と言って良いのだが、周辺から孤立していて、とくにロシアとウクライナ から苛められている。

首都のキシナウは人口27万人足らずの小さな町である。

雑然として、ほこりっぽく、国会議事堂周辺にはテント村。「生活改善」 を叫ぶ政治集団の座り込みが延々と続いていた。表現の自由、結社の自由 は、確保されてきたようだ。

ともかく貧富の差が激しく、豪華レストランでは結婚式やら子供の誕生日 の祝宴などが行われ、また随所にカジノ、かつてのアルバニアの「ねずみ 講」の狂乱を思い出した。

さてキシナウからオデッサまでのバスは小型、運賃はわずか153レイ(920 円程度)。

国境の警備は機関銃を持つ兵士で溢れ、緊張感がただよい、審査が厳し く、モルドバ出国、ウクライナ入国に2時間もかかった。合計5時間。

しかもウクライナは隣国なのに、モルドバの通貨がまったく使えない。端 からモルドバを相手にしていない様子なので、あまったモルドバ通貨を帰 国時、イスタンブール空港で両替しようと考えていたが、ここでも両替不 可、要するにラオス、カンボジアの通貨がタイでも相手にされないような ものだ。

黒海のウクライナ側の港町オデッサはユダヤ人の街でもある。ユダヤマ フィアが巣くっていた地区がいまも残る。ポチャムキンの反乱で有名なポ チャムキン階段と、オデッサ港からの黒海クルーズが観光客をあつめてい るが、ロシアのクリミア併合とウクライナ内戦以後、外国人観光客は少な い。日本人はまずいない。

この町の出身者で作家のイサ−ク・パーペリは、こう書いた。

「世界の果てまで誉れ高い、わがオデッサ」には「ベッサラビアの国境か らリヤカーにワインを運んできた皺だらけのドイツ居留民の一団が腰を下 ろして、ぷかぷかと薬草をふかしていた。(中略)犬のバラ色の舌のよう に、太陽は空にぶら下がり、遠くペレスイピの岸辺には巨大な海が波を寄 せていた。彼方に浮かぶ大型船の帆柱はオデッサの入江のエメラルド色の 海水の上で揺らめいていた」(中村唯史訳。群像社)。

ここにでてくるベッサラビアとはいまのモルドバである。

オデッサは国際都市、かつてのソ連時代のユダヤ人の町でもあったが、い まや面影もなく、ユダヤ人は殆どが米欧かイスラエルへ渡り、シナゴーグ は寂れていた。


◆自衛隊の増強が急務

櫻井よしこ


「中国海軍の軍艦が領海侵犯 海上保安庁、自衛隊の増強が急務」

中国が挑発的かつ活発に動いている。6月15日午前3時半ごろ、中国海軍の 情報収集艦1隻が鹿児島県口永良部(くちのえらぶ)島西方のわが国領海 に侵入した。中国海軍の軍艦による領海侵犯は12年ぶり、2度目である。
 
さらに同日午後、沖縄県の尖閣諸島周辺の領海に中国海警局の公船3隻が 侵入した。
 
その前の9日未明には尖閣諸島の大正島と久場島の間の接続水域に中国の 軍艦が侵入した。大正島は通常私たちが尖閣諸島として報じる魚釣島から 約110キロメートル北東に位置する。
 
鹿児島沖から沖縄沖まで、わが国の領海は中国の灰色艦(軍艦)と白色 艦(公船)に侵犯されているのであり、わが国の防衛は新たな危機的局面 に入ったというべきだろう。
 
一連の事案をどう分析すべきか。政府筋はまず、尖閣諸島海域での公船 による領海侵犯は「通常の事象」だと語る。彼らは月3回、尖閣諸島の接 続水域および領海を侵犯し続けて今日に至る。日本政府は抗議を続けなが らも、「常態化」したこの状況がこれ以上悪化しないよう、監視を続ける だけの情けない現状である。
 
次に大正島・久場島沖での中国軍艦の接続水域侵入について、中国側は 彼らが自国領だと主張する海域にロシアおよび日本の軍艦が入った、従っ て監視活動を展開したとの立場を取る。
 
しかし、その理屈には無理がある。ロシア軍艦はアジアおよびアフリカ沖 への往復に日本のこの海域をこれまで複数回通過した。彼らにとって同海 域通過が最短距離だからだ。海上自衛隊はその都度ロシア軍艦を追尾、監 視した。だが日本政府はロシア軍の動きを、日本国領海を中国領だと主張 する中国軍の動きとは区別して捉えている。
 
そもそも尖閣の海の北方には中国の軍艦二隻が常に控えている。軍艦常駐 は旧民主党野田佳彦政権の終盤に始まった。中国軍艦は尖閣諸島の魚釣島 から約100〜120キロメートルの距離にいるが、海警局の公船が引き揚げる ときに南下し尖閣諸島に接近することもあり、今では尖閣諸島までの距離 を70キロメートル程度にまで縮めているという。
 
このように、中国はこれまでロシア軍艦が同海域を通過し海自艦が追尾す るのを幾度も見てきた。しかし、これまでは、彼らはこの海域に入ること はなかった。今回は入った。なぜか。
 
中国の意図は現時点では明確には分からない。同じく鹿児島沖の口永良 部島海域への領海侵入も、中国の意図を断じることは難しい。
 
中国は領海通過は国連海洋法条約が規定する航行の自由の原則に基づく もので問題はないと主張し、「騒ぎ立てる日本の側に意図があるのではな いか」と、開き直る。
 
しかし、国連海洋法が定める領海を含めた航行の自由は他国の領海や領土 を奪う意思のないことが大前提だ。友好的であって初めて無害航行が許さ れる。わが国だけでなくアジア諸国の領土や海を自国領だと主張し、軍事 拠点化する中国の行動を、警戒もせずに見過ごすなど国家としてあり得な い。日本の抗議は当然過ぎるほど当然である。
 
大正島・久場島のケース、口永良部島のケース、尖閣諸島のケース、接 続水域への軍艦の侵入、領海への軍艦の侵入、領海への公船による常習的 侵入と、状況は異なるが、明らかなのは中国の軍艦が前面に出てきたことだ。
 
わが国の海はすでに中国の公船が好き放題に領海侵犯を繰り返す海となっ てしまった。白色艦の侵入が常態化しているのだ。それが今、軍艦に取っ て代わられようとしている。灰色艦による侵犯を常態化させては終わりで ある。そのような状況を防ぐには、私たちは海上保安庁、自衛隊の力を人 員、装備面から充実させなければならない。その基本としての法体系の整 備、その根本である憲法改正が必要だ。

『週刊ダイヤモンド』 2016年6月25日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1138



      

2016年06月29日

◆ロシア、中欧の失地回復へ動き

宮崎 正弘
 

<平成28年(2016)6月27日(月曜日)弐 通算第4944号 >   

〜ロシア、中欧の失地回復へ動き〜
   
 伊勢・志摩サミット、オバマ大統領の広島訪問、そして米大統領選挙で 本命ヒラリーが苦戦し、実業家トランプの大躍進が連日マスコミを湧かし ている。

すっかりロシアおよび旧ソ連圏の動向が伝わらなくなった。

昨秋、ベオグラードの街を歩いていた時、あちこちの屋台でプーチンのT シャツが売られていた。「8ユーロ、一銭も負けない」と言われたので買 う意欲が失せた。

先月、スロベニアのイタリア国境の町へ取材に行った。書店でヒトラーや ムッソリーニの伝記がベストセラー棚にあった。

セルビアとスロべニアはバルカン半島の旧ユーゴスラビアのなかで「反 米」の旗幟鮮明である。

マケドニア、モンテネグロ、コソボは親米、それも大通りの名称が「クリ ントン・アベニュー」とか、アルバニアの都市にはブッシュ大統領の銅像 が建っていた。

それはそうだろう、アルバニア系住人の多いコソボをNATOの空爆でセ ルビアを敗北に追い込み、まんまと独立を勝ち取ったのだからアメリカ 様々なのだ。

コソボは欧米の後押しで国連加盟が認められたが、ロシア、中国などはい まもって独立を承認していない。だから「未承認国家」といわれ法定通貨 はユーロだ。マケドニアも反ギリシア感情が強く、その分、親米的である。

他方、セルビアはユーゴ戦争で、一方的な敗者となり、悪者としてミロセ ビッチ、カラジッチが裁かれ、おなじく虐殺をおこなったボスニア武装勢 力もクロアチアのなした民族浄化もその戦争犯罪は不問に付された。

セルビアが負けたのはNATOの空爆だった。セルビアの首都ベオグラー ド旧国防省のビル、内務省、公安部のビルは空爆されたままの残骸をいま も意図的に曝している。あたかも原爆ドームで、捲土重来を期すセルビア 人の心境を象徴的に表している。

セルビアの世論調査の結果がでた。57%の国民がロシアの軍地基地を領 内に開設することに賛意を表し、64%がクリミアを併呑したロシア外交 を支持した。
 地図を開いてみれば判然となるように、もしセルビアにロシアが軍事基 地をおくとNATOの最前線となった旧ソ連圏のブルガリア、ルーマニア の「頭越し」となる。
 中欧のど真ん中、つまりNATOの中枢へロシアが軍事的橋頭堡を建設 するという意味である。

 ロシアから見れば旧東欧圏が軒並みミサイルを配備して旧宗主国に牙を 向けたわけだから、反撃攻勢を期してまずはシリア政権を守り、原油パイ プラインの拠点を確保し、いまも軍を駐留させている。
 ついでロシアはアゼルバイジャンからパイプラインをNATOのミサイ ルを配備したブルガリアを袖にしてギリシアに話を持ちかけた。南欧の分 断にでているのだ。
 5月22日、プーチンは経済団体多数を引き連れ、アテネを訪問している。
 クリミア併合、ウクライナ問題での西側のロシア制裁の意趣返しを籠め てプーチン大統領の欧州における失地回復は静かに開始されているのである。

 (この稿は北国新聞コラム「北風抄」、6月21日からの再録です)

          

◆米で募る支那企業への不信感

平井 修一



土方細秩子氏(ジャーナリスト)の論考「米中高速鉄道が頓挫した理由」 (ウェッジ6/22)から。
 
<中国は現在積極的に世界の高速鉄道建設に乗り出しているが、米国での 計画に黄信号が灯った。

昨年9月、ネバダ州ラスベガスに本拠を置くエクスプレス・ウエスト社と 中国国営鉄道企業の米国子会社である中国鉄路国際(CRI)の間にラスベ ガス−ロサンゼルス間の高速鉄道建設に関する契約が結ばれた。

内容は総工費80億ドルのうちCRIが1億ドルを初期投資、その後鉄道建設、 車両納入、運営、さらには融資に至るまでをCRIが請け負う、というもの だった。

*突然白紙に戻される

今年9月から着工が発表されていた計画が、突然白紙に戻された。エクス プレス・ウエストCEO、トニー・マーネル氏は声明の中で「連邦政府によ る認可を取得するのが困難なこと、中国側が期日通りに計画を進めること に支障を来していること」の2点を契約破棄の理由に挙げた。

鉄道事業には通常州政府の認可と連邦政府の認可、双方が必要だ。高速鉄 道計画の場合、連邦政府が全米を網羅する鉄道網を計画、ラスベガス−ロ サンゼルス間の高速鉄道は将来カリフォルニア州の高速鉄道、さらにはア リゾナ州までを結ぶ「米南西部」の第三フェーズに組み込まれている。州 間事業となるため、連邦政府の認可が必要となる。

ネバダ州は昨年11月すでに鉄道計画を認可、建設へのゴーサインを出し た。しかし連邦政府は「高速鉄道車両は米国内での生産に限定する」とい う規制方針を打ち出した。

現在、列車生産を行う米企業はない。つまりCRIが現地法人として米国内 に生産拠点を持ち、輸入ではない国産として列車を製造できなければ計画 は前に進めないことになる。

州内のローカル列車やアムトラックでは日本製、ドイツ製、イタリア製、 スペイン製、カナダ製の車両がすでに導入されているが、これらは現地法 人で現地生産の体制が整っている、あるいは連邦政府による特例が認めら れている。しかし比較的新規の中国企業に対し、こうした特例が認められ る可能性は低い。

より大きな問題は、エクスプレス・ウエストが中国側に対し不信感を抱き 始めた、という点にある。同社はCRIについて「タイムリーに、かつ効率 的に作業を進める能力に欠く」と批判。「将来CRIが米国内においてある 程度の成功を収めるだろう、と予想はするが、現時点でエクスプレス・ウ エストの事業スピードには合致しない」としている。

また、昨年9月の契約当初はCRIとのみ、だったものがCRI側がその後関連 中国企業との連携、合併などを強めたことで、連邦政府の認可を取るのが 困難になった、とも述べている。

これに対し中国政府が猛反発している。CRIの親会社でもある中国鉄道国 際は契約破棄のニュースに対し「重大なミステイクであり、無責任な行 動」と批判。「まだCRIとエクスプレス・ウエストとの交渉が続いている 段階で、一方的に契約終了を発表したことは契約違反であり、今後法的手 段に訴える」とヒートアップ。

一方のエクスプレス・ウエストは「CRIとの契約は終了したが、高速鉄道 を諦めるつもりはない」と早くも次の段階に着手している。中国からの融 資、というオイシイ話がなくなった現在、まず必要なのは資金の手当てだ。

*ウルトラCが登場?

そこでウルトラCが登場するかもしれない。なんとエクスプレス・ウエス トは北ラスベガスにテストレーンを設置した、ハイパーループ・ワン(旧 社名ハイパーループ・テクノロジー)と協議を行った、というのだ。

*ハイパーループ・ワン

ハイパーループとは、テスラCEOイーロン・マスク氏が考案した「鉄道よ りも大幅に安く高速移動が可能になる乗り物」のこと。チューブの中に磁 気とエアシューターによって時速800キロで移動するカプセルを浮かせ、 人や物を運ぶ、というものだ。

マスク氏によると「ロサンゼルス−サンフランシスコ間を30分で移動でき る。建設費は80億ドル(カリフォルニア州の高速鉄道計画事業費は10倍以 上の860億ドル)」という。

このマスク氏のアイデアに沿い、独自にハイパーループを建設、実験して いるのがハイパーループ・ワンだ。実験設備がラスベガスに近いこともあ り、建設コストの少なさ、「米国産」であるため連邦政府の規制にも引っ かからない、など、もし実現できるならばハイパーループは未来の高速鉄 道事業を根本から変える存在になるかもしれない。

エクスプレス・ウエスト側は「あくまでも地上の線路による高速鉄道を計 画している事実に変わりはない。しかしあらゆるオプションを検討すべき だと考える」とハイパーループとの協議について語っているが、その詳細 は明らかにされていない。

世界初のハイパーループがネバダ州で建設されることになるのか、あるい は日本など他国の鉄道システムが導入されることになるのか。それともエ クスプレス・ウエストの計画そのものが白紙撤回される結果となるのか。 そして中国側の今後の出方は、など、今後の展開に注目が集まる>(以上)

ハイパーループ・ワン↓
http://jp.autoblog.com/2016/05/15/hyperloop-one-test/

海のものとも山のものともわからないが、まずは人間を乗せて実験を重 ね、営業運転で実績を作らないと採用はされないだろう。

さて、支那企業は「タイムリーに、かつ効率的に作業を進める能力に欠 く、われわれの事業スピードには合致しない」とダメだしされたが、これ は「信用できない、あてにならない」ということでもあるだろう。

ヤフー知恵袋から。

<基本、中国との商売で信用なんてものはありません。私は20年以上信頼 して取引していたのに最後に裏切られました。所詮、外国との取引なんて そんなものです。

金が無くなれば、あっさり裏切ります。外国人であれば、余計そうなのか もしれません。中国で倒産した会社も見てきたのですが、なんかちょっと 仲間から遠いとあっさり裏切ってますよ。

そこは、あの国も民族性だと思います。国際取引の場において日本国内の ような取引の信頼性が実現する事は無いと考えます>

一党独裁の異常な国の企業と取引すること自体がそもそも間違いなのだ。 こうしたことが世界中に周知されるべきである。息をするように嘘をつく のが支那流なのだ。(2016/6/26)


      

◆アベノミクス3本の矢

佐藤 鴻全




◆アベノミクスの金融財政◆

現下の日本経済は、衆目も一致するようにとても消費税を増税出来る環境 にない。日本経済G7一人負けの最大の元凶は、2年前2014年4月の8% への誤った消費税増税だ。

ここで、2012年12月の第二次安倍政権発足時からの、(1)大胆な金融 政策、(2)機動的な財政政策、(3)民間投資を喚起する成長戦略を柱 に据えた3本の矢アベノミクスの一連の軌跡を振り返ってみたい。

先ず、(1)大胆な金融政策だが、日銀の黒田バズーカを誘導した未曾有 の金融緩和等、平たく言えばジャブジャブマネーは、円安による輸出増 進、海外子会社利益・資産の日本円換算価値増加、金利低下による株高、 それらによる求人数増加等で日本経済に大きなプラス要素をもたらした。

半面、輸入資材・物価上昇をもたらし、実質賃金水準が上がらない中で、 特に中小零細企業とその従業員にしわ寄せが行った。

今は手仕舞いを模索している米国等が先行したとは言え、何しろ未曾有な ので、歴史から学ぶことが出来ずその顛末がよく見通せないのがジャブ ジャブマネーである。

こういう場合は、現実世界に存在する別のもの、例えば人体に置き換えて みると分かり易い。いわば、貧血気味で過労で寝込んだ人に、輸血と造血 剤を打って動き回れるようにした状態だ。それ自体は良いのだが、やはり 一時的な措置であるべきで、やがて筋トレと体質改善に切り替えて行くべ きである。

今やマイナス金利にまで踏み込んだ黒田ジャブジャブマネーだが、エコノ ミストや与野党はここだけ切り出して肯定あるいは批判をしている感がある。

しかし、ジャブジャブマネーは、輸血であり造血剤であり手段であり道具 であるのだから、それ自体の是非を論じても仕様がない。他の施策の実行 状況と合わせて評価すべきであるものだ。

(2)機動的な財政政策については、東日本大震災の復興と東京オリン ピックに向けての首都圏での建設ラッシュによる人手不足で、予算を付け ても着工が出来ず箱モノについては頭打ちの感がある。

◆成長戦略の方向性◆

(3)民間投資を喚起する成長戦略については、安倍首相がインフラ輸出 にセールスマンとなって先頭に立っている事は、中国等に競り負けている ものもあるものの、インドの鉄道建設等で実際の成果が出ている。

また、ロボット、人工知能、TOI(いわゆるモノのインターネット化) 等の分野を推し進めている政府の政策は将来的に向けて有望である。

TPPにはグローバル企業による搾取の危険性等重大な欠点がある。

また、輸出入、市場参入自由化自体は、基本的にはあるべき方向だが、農 業に於ける食糧安保の確保のみならず、経済原理を超えて安全保障上その 他で守るべきものと、開くべきものの整理が出来ていない。

また、規制緩和についても、例えばタクシー一つとっても自由化と事業免 許制による台数制限との方針の迷走等、かつて竹中平蔵氏が主導した粗野 で拙い自由化の後遺症とその反動が目立つ。

タクシー等は、ニューヨークのように一台毎の事業ライセンス制にした上 で、その売買・貸し借りは自由に出来るような規制と自由化を適切に組み 上げた合理的なシステムにすればよかった。

このような工夫は、Uber等の新しい配車サービスの導入時を含め、あ らゆる分野に於いても形を変えて行うべきである。

以上纏めると、守るべきものと開くべきもの区分と原理、自由化と規制の 合理的ベストミックス、進んでは「良い既得権」と「悪い既得権」の腑分 けの理論化が不足している事が、成長戦略の筋道を強く描けず、十分な成 果が出ていない原因である。

利害関係者同士の局地戦ではない、国民を巻き込んだ議論を尽くした上で の決然とした意志決定が必要である。

2016年06月28日

◆「政治という名の喧嘩」

大江 洋三



前・舛添都知事の不始末から、参院選挙に加へ都知事選もあるから7月は 熱い夏になりそうだ。

政治は結果責任という言葉はよく使われる。安部首相自らそう述べている。

政治は勝たなくては何の意味もない。国政選挙で負けると値打ちが無いの が政治であり政治家である。

国際政治も同様で、勝てぬまでも負けないようにせねばならない。
この点が、初めから仲良を目指す民間外交と基本的に異なる。

昨年12月28日、日韓両国政府は「慰安婦問題は最終的・不可逆的に解決し た」と妥結した。

その舌の根も乾かない内に、韓国の民間団体が、5月31日に日本軍慰安 婦問題関連資料をユネスコの世界記憶遺産へ登録申請をした。

かの国は反日になると政・官・民一体にも拘わらず、韓国政府は民間のこ とだと知らん顔である。

安部首相も「断固阻止する」と明言しているが、阻止つまり防御の構えだ と難しいと思う。

なぜなら、慰安婦問題は十分過ぎる程に日本の人権屋NPOと朝日新聞社 が海外輸出しているからだ。

これに立脚した、マクラスワミ報告もナビピレイ報告も訂正されている訳 ではない。

また、韓国政府に押し切られて、1993年に日本政府の公式見解・河野談話 まで作ってしまった。

古森義久氏の一連のアメリカレポートに依ると、相手は裏筋(賄賂)が得 意な中・韓連合体だ。

嘘でも勝てるのが国際政治の場で、現に、幻の南京大虐殺が世界記憶遺産 に登録され幻ではなくなった。

各次第で、攻めの対抗手段を持たなくてはならない。ただし、名誉のため に嘘をついてはならない。最も効果的な方法は相手の急所をついて黙らす ことである。

「ベトナム戦では、韓国軍兵士はやりたい放題の婦女強姦をしたではない か。ハーフのライダハンが1.5万人も生まれた。

強姦は幼女を含め見境なく及んでいるから、妊娠しなかった女性を含める と件数は、その数倍と推定される。

さらに、暴行を済ました後、用済とばかり殺した例も珍しくない。軍公設 の慰安所があったにも拘わらずこの有様である。

これは、軍の規律がなかったに等しく、立派な国家犯罪に相当する。
韓国政府はベトナム国家・国民にお詫びをしたのか。賠償したのか。差別 下にあるハーフの支援をしたのか。

二度としてはならぬ教訓として、断固として記憶遺産にすべきである。
賠償もお詫びもしていないから、NPOを通じ国連人権理事会に訴える所 存である」

ライダハンの数は、ウイキペディアは3千人〜1.5万人と記述している が、国際政治では数を特定しなくても構わない。

ベトナム政府も応援してくれるであろうし、効き目は必ずある。

中共軍による、合衆国官・民へのサイバー攻撃が起きたとき、習近平の報 道官は「お前もやっているではないか。お互いさま」

以来、合衆国政府はおとなしくなり、昨年9月両者ともに「しません」と 合意してしまった。中共政府のことだから守るはずはないが。

叩けば叩くほど埃の出る国が圧倒的に多いのが現実である。普通の日本人 は、叩くことをハシタナイと思うが、政治の世界では異なる。

先に叩くこともないだろうが、叩き返すことは必要である。この場合は相 手の主張線上で争ってはならない。

南京事件が世界記憶遺産に登録されたのも、我々が事件当時の支那人死者 の大・小に拘り過ぎて本線を蔑ろにしたからと思う。

結果、彼らの線(あまたの虐殺)が通ってしまった。蒋介石軍の無規律、 協定違反および、それがもたらす非道さをもって叩き返すべきだったのだ。

北朝鮮拉致が明らかになったとき、外務省は北朝鮮と国連で競ったことが ある。

北朝鮮国連大使「80万人も強制連行しておいて、言えた義理か」

日本国連大使「それは過去のことで、北朝鮮拉致は現在進行形である」
これでは強制連行を認めたことになるから、聞いた途端に「負けた」と 思った。

相手を叩けないお人よし、あるいは勝つ気概のない人は、決して政治家に なってはならない。
参院選を直前にして、自民党の阿部晋三と民進党の岡田克也が叩き合いを やっている。
それが現代民主主義政治というもので、必ずしも悪いことではない。

我々国民はドッチが強いか眺めているだけ。
政策?勝ったほうが作り、施行するのに決まっているではないか。

                ( H28.6.25)


◆習近平は再度吠えた

宮崎 正弘 


<平成28年(2016)6月27日(月曜日)通算第4943号 >

砂漠の蜃気楼がまた
 @@@@@@@@@@

習近平は再度吠えた。「シルクロード」(一帯一路)の建設を急げ、と。
現地入りしたワシントンポスト記者が書いた。「当該地方政府は2030年ま でに人口は百万となる。空港も拡張した。

いまでも15万人が居住し、4万の建設労働者が働いています」と豪語し たが、「町はみごとに空虚、クレーンもとまったまま、道路は砂で埋もれ つつある」(同紙、5月30日)。

現場は蘭州である。

甘粛省の省都でもある蘭州は、かの『西遊記』で、三蔵法師が西安からこ の地を拠点に西へ西へと旅をつづけた拠点である。

蘭州の川沿いの公園には玄奨こと、三蔵法師がラクダに乗って周りを孫悟 空、猪八戒らがしたがう金ぴかの像が建っている。

蘭州から武威、酒泉、そして万里の長城の最西端へと砂漠、台地、荒れ地 を辿ってトルファンを経由しインドへ向かった。ところどころ激流があっ て蘭州も武威も酒泉もオアシスとして栄えた。

蘭州はまたガンの特効薬として中国人が信じる冬虫夏草の産地でもあり、 目抜き通りには二十数軒の冬虫夏草屋の老舗、有名店が並ぶ。これをめが けて中国全土から買い付けに来るので、業者は最近、ブータンにも不法入 国し盗採取していると聞く。

武威にはマルコポーロが1年以上滞在した記録があり、町のど真ん中に彼 の白亜の像が聳えている。

6年ほど前、この河西回廊を鉄道とバスで旅をしたことがある。
 蘭州の郊外からボートをぶっ飛ばして2時間の箇所に石門峡があり、岩 肌に仏像が彫られていて観光客がかなり来ていた。

この石門峡がダムとなって、付近の流れがかわった。胡錦涛は無名時代、 この発電所に勤務していた。その有能ぶりを見いだしたのが周恩来の秘書 だった宋平である。

文革時代、不遇をかこつた習近平は隣の陝西省にいた。

習近平の「シルクロード構想」は、この蘭州が西安につぐ拠点となる。だ から新都心を建設したわけだ。

砂漠に摩天楼を建てて、案の定、廃墟と化けた。ゴーストタウンがまた一 つ、砂漠に蜃気楼の如く現れ、やがて。。。。

地元政府は「蘭州は西方のダイアモンドとなる」といって騒いだ。貧困な 農村部から都市へ移動させ、そこに雇用があり、企業が誘致され、大学も できて繁栄するという夢をなぜ描いたのか。

そうだ。深センと上海浦東がモデルだった。「中国の夢」は、このふたつ の新興都市の繁栄ぶりだった。

深センは香港に隣接する漁村だった。人口僅か八千人の寒村が、またたく まに一千万都市に急膨張したのも、トウ小平の南巡講話の発祥の場所でも あり、香港を中心として華僑がどっと進出したからだった。

上海はもとより旧市内が膨張したうえ、飛行場が整備され、リニアカーが 敷かれ、大学も多く、労働力が幾らでも全土から押し寄せたから新都心と して容易に発展できた。摩天楼、上海の金融街の魅力は世界の投資家、起 業家を惹きつけた。

この深センと上海の浦東は中国に於ける例外でしかない。しkし多くの地 方政府幹部は、自分たちの夢のモデルになるという、中国人特有の「拝金 教」に取り憑かれた。

蘭州も「第2の浦東」になって成功できる、いや九江も、オルダスも、フ フホトも延安も、みなが「中国の夢」とは「第2の浦東」を目標に、商業 的採算を度外視しての突貫工事。ビルは建ち、道路は整備され、工業団地 は造られ、そして誰もこなかった。

住宅街はからっぽ、道路は早くも砂漠化しており、そして建設費用の借り 入れには償還と利息があることを誰も留意しなかった。上の号令一下、た だひたすらハコモノをつくっただけだった。

 「利益をまったく生まない投資」、そして償還時期に直面し、通貨を増 発し、利息を支払うためだけの回転資金の確保のために地方政府は債券を 発行し、シャドーバンキングを利用し、闇金にも手を出し、ついにデベ ロッパーの多くが倒産した。経営者は自殺するか夜逃げするか、海外逃亡 となった。
 整合性のある戦略はなにもなかった。全体主義国家の計画経済のなれの 果てはいつの世にもこのような凄惨な結末となるのである。 
          (この稿は『月刊日本』7月号からの再録です)

◆トランプよりも自国第一主義の日本

櫻井よし子



昨年5月及び12月の事件に続いて、イスラム国(IS)への忠誠を誓う犯 人が6月12日、アメリカで3度目の殺戮を行った。
 
49人もの死者を出したフロリダ州オーランドの銃乱射事件の犯人はアメリ カで生まれ育った中東移民2世だった。

オバマ大統領は、犯人がISの発信に操られて米欧諸国を襲っているとの 主張は「醜い嘘」だとして、今回の事件の背景勢力を「イスラム教過激 派」ではなく「暴力的過激主義」と呼んだ。
 
オバマ大統領は昨年11月13日、ISは封じ込めたと語った人物である。そ の直後にパリでの大規模テロが発生し、「ウォール・ストリート・ジャー ナル」は11月15日、「目をさましなさい、大統領閣下」という社説で大統 領の認識の甘さを批判した。
 
この一件に見られるようにオバマ大統領は今回の事件でもテロ攻撃の側面 に目をつぶり、同性愛者への憎しみが生んだ事件と位置づけたいのではな いか。同性愛者が集うことで知られるナイトクラブで発生した今回の事件 は、人々の生き方、愛し方、共有の仕方、信仰心を含めて人生を形づくる あらゆる価値観の多様性を受け入れるか否かに行き着くとのとらえ方だ。
 
その視点も必要ではあるが、ISとの関連に触れないのでは事件の本質に 迫ることはできないだろう。
 
アメリカで生まれ育ったイスラム教徒によるテロの脅威から目を背けるオ バマ氏の姿勢を、共和党のドナルド・トランプ氏は早くもイスラム教徒へ の弱腰対応だと非難した。
 
だが、イスラム教徒や移民・難民問題は彼らを排斥したからといって片づ くものではない。殆どが穏やかな人々であるイスラム教徒を乱暴にひと括 りにして排除する政策は、一夜にしてアメリカを全世界16億人のイスラム 教徒の敵にしてしまうだけである。

それでも支持率が下落し始めたトランプ氏は、今回の事件を利用してその 回復を狙うだろう。ここは、アメリカの有権者が試される局面である。彼 らはオーランド事件の悲惨さを超えて冷静に考えることができるか。

右翼勢力の台頭
 
同様の問いが欧州諸国にも突きつけられている。トランプ氏的「自国第一 主義」が、欧州に広がっているのは周知のとおりだ。
 
6月23日に実施される、イギリスのEU残留か離脱かを問う国民投票にも 事件は少なからぬ影響を及ぼすだろう。イギリスには、この1年でEU内 外から33万3000人の移民・難民が流入した。人、モノ、カネの移動の自由 を謳うEUにとどまる限り、他民族は流入し続ける。それには耐えられな いという思いが離脱派英国人の背中を押している。
 
押し寄せる他民族に職を奪われ、医療、福祉、住宅、教育などあらゆる面 の手当を負担しなければならない。テロリストがまぎれ込むことも、オー ランドの犯人のように地元生まれのテロリスト出現の危険もある。移民・ 難民の制限が問題を解決すると信じて、EU離脱で独自路線を歩みたいと 多くの人々が考え始めている。
 
イギリス同様、フランス、オランダ、スウェーデン、ポーランド、オース トリアなどの欧州諸国がEUの機能に疑問をつきつけ、独自の道を歩む動 きを見せ始めた。世論
を独立方向に強力に誘導する右翼勢力の台頭は、即ち、ヨーロッパ版のト ランプ式思考、自国第一主義そのものだ。
 
諸国がこうして孤立主義に向かい国際社会の枠組みが揺らぐいま、日本の 喫緊の課題は中国の脅威からどのように自国を守り通すかという点であ る。アメリカの軍事的コミットなしで、日本だけの力で国を守り通すこと はできない。いま一国だけで自国防衛を完遂できるのはアメリカ、中国、 ロシアだけであろう。
 
日本を見放しかねないトランプ氏を、しかし、批判する資格は日本にはな い。なぜなら、国家基本問題研究所副理事長の田久保忠衛氏が喝破するよ うに、日本こそ「自国第一」の孤立主義国だからだ。

「いま、皆がトランプ氏は孤立主義だと言います。アメリカで孤立主義と いうのは軽蔑の言葉です。しかし、日本は経済以外のことでは、全く孤立 主義ではないですか。
どんな問題もまともに議論せず、アメリカ第一の言葉でごまかしてきたト ランプ氏も驚くほどの孤立主義国が日本でしょう」
 
状況は少しずつ変化してはいるが、日本は自衛隊の海外展開に消極的であ り続けてきた。憲法上、自衛隊は軍隊ではないとの解釈も守っている。そ の憲法は一言一句も変えず、殻に閉じこもっている。

アメリカよりも欧州諸国よりも、日本は孤立主義である。国際情勢の変化 の中で、この殻を打ち破らなければ日本は自国を守り通すことができな い。この局面に立たされているいま、如何にして孤立主義を脱することが できるのか。

第3の衝撃波
 
田久保氏が語る。

「日本の歴史を振りかえってみると、日本を根本的に変化させてきたのは アメリカだということがよくわかります。国際情勢が日本を変えると言う けれども、一番変えたのは、間違いなくアメリカです。

1853年にペリーが来て日本は開国しなければならなくなった。その結果が 明治維新です。これで国体が変わりました。次にペリーの国と戦争して、 1945年に敗れ、現行憲法を与えられた。再び大きな変化を強要されまし
た。

いま、第3の衝撃波が同じくアメリカからやってきつつあります。仮にト
ランプ氏が大統領となって、安保条約廃棄だと言われた時、日本はどうす るのか。

そのような仮説は極論だというのは容易ですが、最悪の事態を想定して備 えるのは国家の責務です。憲法なんか脱ぎ捨てないと、どうにもならなく なるのは明らかです」
 
このような状況が眼前で展開している中、沖縄ではいま、女性殺害事件を きっかけに新たな反米軍基地の波が起きている。普天間飛行場の辺野古へ の移設反対を超えて、全ての米軍基地に反対する運動である。
 
軍属のシンザト容疑者による犯罪は許し難く、日本の法律に基づいて厳し く処罰するのは当然だ。だが、そのこと故に全ての米軍基地の撤去を要求 するのは間違いである。

「憲法改正も9条改正も反対という人々は、アメリカ抜きでどのように日 本を守るのか。非武装中立で行くのか。アメリカ軍が本当に引き揚げる場 合、反米軍基地の運動家たちは振り上げた拳を一体、どこにおろすのか」 と田久保氏は問う。
 
日本こそが「自国第一主義」の国であり、トランプ氏を批判する資格など 実はないのだ、という指摘をこそ心に深く刻みたい。そうしてトランプ氏 の問題提起を、日本覚醒につなげていかなければならない。

『週刊新潮』 2016年6月23日号 日本ルネッサンス 第709回

                (採録: 松本市 久保田 康文)

2016年06月27日

◆私の「身辺雑記」(357)

平井 修一

■6月23日(木)、朝6:00は室温25度、雨、傘をさしてプラ系のゴミ出し、 梅雨なんだなあと改めて思う。雨上がりに散歩。

夕べは集団的子育て。今朝は皆、元気に帰って行った。このところバタバ タしていたので、疲れがたまっているようだ。体力の劣化を脳ミソはまだ 受容できていないためか、困惑してウーウー唸り声を発する。

そのうち慣れてきて体力に応じた動きになるのだろう、つまり“ヨボヨボ ヂイサン”になる。

嫌なものだが、そういうものだ。順繰り。踏ん張れるまで、それなりに仕 事をし続けるしかない。仕事=家事、そして敵性国家包囲網作りだ。ウク ライナはプーチン・ロシアと厳しく対峙しているから日本の友である。

千野境子氏の論考「キエフ紀行『遠い国』ウクライナで高まる日本への関 心」(nippon.com 5/25)から。

CHINO Keiko:横浜市生まれ。1967年に早稲田大学卒業、産経新聞に入 社。夕刊フジ、マニラ特派員、ニューヨーク支局長。外信部長、論説委 員、シンガポール支局長などを経て2005年から08年まで論説委員長・特別 記者。現在は客員論説委員として産経新聞のコラム「視線」に寄稿している。

東南アジア報道で1997年度ボーン上田記念国際記者賞を受賞。15年9月に 『日本はASEANとどう付き合うか―米中攻防時代の新戦略』(草思社)を出 版のほか、『インドネシア9.30クーデターの謎を解く』(草思社)、『女 性記者』(産経出版)、『なぜ独裁はなくならないのか』(国土社)など 著書多数。

<*詩人シェフチェンコの心意気が脈打つ街

首都キエフで一番頻繁にお目にかかるウクライナ人、それはウクライナの 国民的詩人にして画家タラス・シェフチェンコ(1814〜61)だ。何しろ通 貨グリブナ札の肖像画になっているし、名前を冠した博物館や記念館、通 り、大学、そして銅像などが至る所にある。

私もキエフを去る頃には少しいかめしい表情のシェフチェンコがすっかり 身近な存在になってしまった。

シェフチェンコのことをもっとも上手く簡潔に表現したと思われる文章を 『物語 ウクライナの歴史』(元駐ウクライナ日本大使・黒川祐次著)か ら引用しよう。

《ウクライナの詩人や人々、歴史に対する愛情とウクライナの隷従からの 解放を真摯かつ直截に歌った。ロシアに対する怒りも大きかった》

ロシアからの自立を目指す現代ウクライナにも、2世紀前のシェフチェン コの心意気は脈々と流れている。2013年から14年にかけての「ユーロマイ ダン革命」がそれを物語る。

マイダンは広場の意味で、欧州連合協定調印を渋る親露派ヤヌコーヴィチ 政権を野党や市民らが倒した運動だ。ヤヌコーヴィチ大統領はロシアに脱 出、もぬけの殻となった同大統領の豪邸はキエフの “新名所” となり、 舞台となった独立広場周辺には犠牲者100人余りの老若男女の写真が今も 花束とともに飾られている。

*書道を通じた若者たちとの交流

3月末のキエフ訪問の目的の一つ、書道家小澤蘭雪さんによる書道デモン ストレーションが行われたキエフ国立大学も、正式にはタラス・シェフ チェンコ記念の名が頭に付く。会場となった講堂の檀上にはシェフチェン コの大きな肖像画が飾られていた。

集まった同大学言語学院の日本語や東洋言語学科の150人を超す学生たち は、三蹟(さんせき)の一人、藤原行成の書「白楽天詩巻」を教材に、漢 字からひらがな誕生の解説、ビデオによる日本の雪景色の紹介、学生の実 習など盛り沢山の内容にすっかり魅了された様子。

「書道で文化交流を」との思いで私たち2人の立てた企画が、献身的な現 地の人々や日本大使館の協力も得て晴れて実を結んだと実感できた瞬間だ。

合間には宮沢賢治の「雨ニモマケズ」が朗読された。3・11以来、海外で 「雨ニモマケズ」が紹介される機会が増えている。自らは決して奢らず、 他者を思う賢治の詩は、災禍の絶えぬ時代に国境を越えて人々の心を捉え てやまない。

先のユーロマイダン革命をはじめ、ソ連解体(1991)→独立(同)→オレン ジ革命(2004)→ロシアによるクリミア併合(13)と、歴史に翻弄されて きたウクライナも例外ではないのだろう。

「学生たちが書道の実際に触れる機会はめったにないので本当に有意義で した」と日本語学科教授のお墨付きも得て、講演は成功裏に終了。これに は通訳を務めてくれた言語学院専任講師、ユーリヤ・フェドートワさんの 力も大きい。正確丁寧、とても品の良い日本語を話すユーリヤさんは、日 本語教師会の会長さんでもある。

*日本への関心の高まり

もともと戦前、日本に滞在した盲目の詩人ワシーリー・エロシェンコ (1889〜1952)はじめ古くから日本との関わりを持つウクライナだが、近 年の欧米への接近とともに日本への関心もあらためて高まっている。ウク ライナ語版の『枕草子』が刊行され、『源氏物語』も翻訳中だ。

キエフ工科大学にあるウクライナ日本センターでは小学生対象の日本語教 室が昨年から再開された。

元駐日ウクライナ大使館の外交官のユーリー・クシナリョフ同所長は「地 方都市にも関心を広めてゆきたい。日本からの協力もお願いしたいです ね」と抱負を語っていた。センターには日本関係の図書を集めた図書館の ほか、青々とした畳のお茶室もあった。

*ウクライナ文化の再発見

それでもウクライナは日本にとって、まだ「遠くて遠い国」かもしれな い。本家はウクライナなのにロシアと思われてきた事例が少なくないのも そのせいだろう。例えばロシア料理の代表とされるボルシチ・スープ。実 はウクライナの伝統料理で、キエフ滞在中、一番親しんだメニューだった。

またどこか郷愁を誘う音楽とダンスで知られるコサックも、15世紀頃から ウクライナ南部に出現した武装自治集団だ。勇敢で戦いを恐れないコサッ ク魂はサムライ精神に通ずるという指摘もある。

代表作『検察官』や『外套』などで知られる作家ニコライ・ゴーゴリはコ サック小地主の末裔。今も愛読されているとユーリヤさんから聞いて、 ゴーゴリをロシア文学者と決め込んでいた私は、もう一度あらためて読み たくなった。

こうした “錯覚” は、ウクライナやベラルーシなど民族や出自の前に、ま ずはロシアやソ連ありきの歴史ゆえだろう。ロシアはキエフ・ルーシ公国 に始まるというのも学生時代に得た知識だが、これまたウクライナこそキ エフ・ルーシであり、13世紀にモンゴルに滅ぼされたことで、東方のロシ アがキエフ・ルーシを継承したのである。

*対立の構図では見えてこない対ロ関係

もっともウクライナとロシアをただ対立関係だけで見るのは単純すぎる。 クリミア併合以降、確かに両国関係は厳しいが、ウクライナでロシア語は ご法度との忠告は杞憂だった。嫌な顔をされるどころか、ロシア語の方が 英語より広く使われているし、スムーズのようだ。

「(併合後)ロシア人と話す前までは緊張したけれど、実際に話してみた ら何でもなかったわ」とホッとするように語るウクライナ人もいた。

国の対立イコール国民のそれとは限らない。兄弟や親戚がロシアにいるウ クライナ人もいれば、その逆もある。かつては同じ国だった隣国同士であ り、深い関係はそう簡単に断絶出来るものではないし、断絶することは賢 明ではあるまい。

最後に、30年前のチェルノブイリ原発事故も忘れてはならない。ロシアか らの独立で核保有は放棄したが、負の遺産の方は引き継ぎ、日欧米の協力 の下、黒鉛型原子炉の封じ込め作業が行われている。

また他にも日本は選挙監視や司法制度改革、国内避難民の支援などさまざ まな支援に乗り出している。ウクライナの人々がいま切望していること―― 汚職や腐敗の追放と民主主義の定着――が実現されるように、日本は協力を 一層深めてゆきたいものである>(以上)

遠方の友も大事にすべし。日本とウクライナは、ロシアと原発事故に対峙 しているという共通項がある。ロシアに領土を奪われたことも同じだ。つ まり同志だ。友好を深める下地があり、手入れを重ねれば強力な同盟国/ 友好国になるだろう。

【今朝の産経から】8面「論壇:若肉老食の民主主義とは」、26面「初の 18歳選挙権 責任ある一票を 進む主権者教育」。大人でも主権者教育を 受けた人なんてゼロではないか。

そのためかどうかは不明だが、我が身を振り返れば、保釈→建築金物店→鳶 職→専門学校を経て(素性洗浄)まともな会社に就職してから52歳でがん 手術を受けるまで、政治に大して関心がなかった。

なぜか。頑張れば報われる、生活も余裕はないものの安定している、中流 だから不平不満はほとんどない。つまり「良い御代」だったから、政治に 関心がなくても良かったのだ。ノープロブレム。「自民党にやらせておけ ばいいんじゃない」。投票はしたけれど(ほとんど自民党、たまにお灸を すえるために野党系)。

若者は仕事を覚えて一人前、一流になることを目指して刻苦奮励、その合 間にバカし放題で遊んだり、泣いたり喜んだりの恋をしたり。めでたく結 婚すれば50歳ほどまでは(仕事、つまみ食い、さらには本命の)育児に必 死だから、普通の人ならよほどのことがない限りは政治に大して関心を寄 せない。

国政選挙の投票率でも40%ほどというのは、政治に何も期待していないと いう人もいるだろうが、多くは「良い御代」とか、まあこんなものかと 思っているからではないか。

若い時から年金の心配をするというのもどうかな・・・18歳が「70歳定 年、私の年金、老後はどうなる!?」なんて心配するのは異常、非現実 的、キモイ。

9面正論:佐瀬昌盛・防衛大学校名誉教授「NATOは対ロ警戒を緩める な」、まことに正論。追撃するように10面「露ドーピング問題 ゆがんだ 後進性克服のツケ」も読ませた。ロシア国民の「誇るもの」、1位自然、2 位歴史、3位軍隊。

日本なら3位は「女」大和ナデシコだろう。男は朝に母艦ナデシコから飛 び出し、たっぷり戦闘し(趣味、遊びでもある、ときどきつまみ食い)、 夕に帰艦する。ご褒美はメシとナニ。実に慰安婦、家庭は慰安所。

表向きは男尊女卑だが、本質は女が1か月3、4万円の小遣いで男をこき 使っている。恋の奴隷? 実に珍しい国。好きですニッポン、チャチャ チャ! 嗚呼・・・

11面「文革半世紀 数多の冤罪 後世に伝える」、今回も読みごたえが あった。産経、GJ! やがて中共人民も近現代史を知ることができるだろう。

今は「近現代史の解釈権は中共中央にある」が原則だから、14億の民は中 共史観しか知らない。産経が史実を記録することは支那人民にとっても意 義がある。匿名の証言はやがては実名にすべきだ。

イケイケドンドン、わが屍を乗り越えて中共殲滅、支那解放へ奮励努力せよ。

若き周恩来は靖国を散策しながら何を学んだのだろう。衆道? 処世術?  結局はカリスマ帝国ではナンバー2は育たないのか。孫ソフトバンクは 大塚家具、ロッテみたい、老醜老残は見たくないな。

トップダウンでガンガンやるのは成功したり失敗したり、落差が激しい。 まあ日本式「和」は安定しているけれど(創業ウン百年企業がごろごろし ている)スピードでは劣っている面はあるかもしれない。

中共は「拙速」で高転びした。ホップ、ステップ、ジャーンプ!・・・着 地失敗、足首複雑骨折。これからは「一帯一路・新シルクロード」ならぬ 「一進一退の新常態・死にいくロード」あるいは跛行経済でいくのだろ う、文革妄想野郎の習近平を排除しなければそうなる。

■6月24日(金)、朝6:00は室温24度、曇、ハーフ散歩。カミサン公休。

バルコニーでは紫のクレマチス、ピンクと黄色のハイビスカスが満開だ。 カミサンの趣味の園芸。大事にすれば美しい花が咲く。日本は台湾をもっ と大事にした方がいい。笹川陽平氏のブログ6/22から。

<「ちょっといい話」その69―李登輝元総統―

5月20日、蔡英文台湾総統就任式に招待された様子は5月25日のブログで報 告済である。その際、李登輝元総統をお訪ねした。体調いまだ優れずと 伺っていたが、講演があるとの事で、自宅ではなく講演会場のホテルでの 会談となった。

久しぶりの邂逅であったが、顔色はことのほか良く、お会いする前の私の 心配は払拭された。待ちかねていたように会談は李先生の独壇場で、私は 聞き役となった。声の艶も良く、眼を大きく開いて大きな声で先生が生徒 に諭すがごとく語るお姿は、とても病み上がりとは思えぬ迫力で、これか らの台湾はイノベーションによって発展すると、青年のごとく熱っぽく語 られた。

1999年9月21日に発生した台湾大地震に日本財団はいち早いく反応し、3億 円の見舞金を贈呈。時の曽野綾子会長は「目に見える形でご活用願いた い」と李先生に念を押された。李先生は熟慮の結果、台湾はもとより、ア ジアでもいづれまた災害が発生すると考え、この支援金を元手として災害 救援隊12,000名を創設されたという。

不幸なことに、2011年3月11日には日本で東日本大震災が発生。李先生は 30名の精鋭災害救援隊の第一陣を派遣して下さったそうだが、政治的事情 から入国できず、無念を心に秘めて空港から帰国したとの事であった。 (平井:菅直人政権!)

恩返しが出来ず残念だったとは申されたが、日本の政治的環境を考慮さ れ、達観した表情で説明された。このニュースは報道されたのかもしれな いが、私はこの事実を知らなかった。

その後、東日本大震災に台湾の人々からいただいた救援金額が世界最高金 額の100億円を超えたことは読者の知るところである。

「義理人情」は日本の固有の文化だと思いがちだが、そうではない。かつ て、笹川良一がジミー・カーター元アメリア大統領の両親の墓参にジョー ジア州を訪れたことがある。その後、カーター元大統領は大阪の笹川家の 墓参に来日し、父・良一の葬儀にも出席して下さった>(以上)

台湾は人口2350万人、84%が本省人(台湾人)、14%が外省人(支那出身 者系)だ。台湾の大学が20歳以上を対象に「自分は何人だと思うか」を尋 ねた意識調査によると、「台湾人」と答えた人は、92年には17%だった が、2014年には60%まで激増。一方で「中国人」と答えた人は、92年の 25%から、2014年には3%にまで激減している。

1949年に蒋介石とともに台湾に押し寄せた中国人、例えば20歳の人は、今 では87歳だ。あと10年、15年で絶滅する。台湾生まれの台湾育ちが圧倒的 に多いのだから、台湾人意識は年々強まるだろう。

外省人でも結婚相手は本省人というのはずいぶん昔からあった。「外省人 は独身男性が多かったから台湾女性を嫁さんにするしかない。『私を大事 にしてくれるのなら結婚してあげる』となり、つまり旦那さんを尻に敷い ている」とガイドが言っていた。

もはや本省人、外省人という分け方は意味がないのかもしれない。台湾は 台湾人が住む国だ。

中共はあの手この手で台湾侵攻を狙っているが、馬政権時代の親中政策で 防衛力はずいぶん緩んだようだ。軍事力は――

<(1)予算 3040億台湾ドル(101.0億米ドル)(2)兵役 兵役12ヵ月 (3)総員 約29万人(予備役 165.7万人)陸軍 20.0万人(主力戦車 565両、軽戦車625両)
海軍 4.5万人(海兵隊1.5万人を含む)駆逐艦・フリゲート艦26隻、潜水 艦4隻
空軍 4.5万人、作戦機約485機(主力戦闘機 F-16A/B、F-5E/F>(外務省)

「ミリタリーバランス2015」による世界の軍事力総合評価で台湾は13位だ が、2位の中共とはあまりにも差が大きい。装備も旧式だ。先進国は中共 の報復を恐れて(遠慮して)最新装備は台湾に売らない。

日中友好の時代は終わった。今は戦争前夜だ。日本は中共に媚びたり遠慮 する必要はない。台湾軍の強化に積極的に関わるべきだ。それがアジアの 安定にもつながる。そうりゅう型潜水艦やミサイルなどで協力できること を進めたらいい。

【今朝の産経から】6面「番頭がいなかった舛添氏」、人から慕われる、 尊敬されるキャラではないから・・・不徳の致すところと自戒、辞任する しかない。二度と見たくないと思う。

7面正論、先崎彰容・日本大学教授の「国民の政治意識は成熟できる か」。まあ、小4、中2レベルだから無理だろう。大昔からパンとサーカ ス。氏は二大政党制が望ましいと考えているようだが、民主党政権で国民 は懲りたのではないか。アカモドキが権力を握るととんでもないことにな る。一強他弱で十分だ。

8面「文革半世紀 床下に隠した写真2万枚 陰惨さ映す命懸けの記録」、 本当に恐ろしいことだ。産経GJ!

9面「極意はごちそう?」、ASEAN“仲良しクラブ”の肝は主催国の歓迎晩餐 会のようだ。ASEAN愛すべし、応援すべし。

29面「卓上ゲーム オセロ考案 長谷川五郎氏死去」、欧米あたりが発祥 地だと思っていた、知らなかった、日本人は大したものだ。正確には「日 本は世界を好転させる超弩級のすごい大物を輩出する」ということだな。 西郷、高杉、松陰、大村、石原、吉田、岸、佐藤・・・安部はGHQ占領憲 法を換骨奪胎した。それだけでも大したものである。

英はEU離脱で決着。世界は新しいステージを迎える。中共はコケる。

■6月25日(土)、朝6:00は室温24度、曇。

「英EU離脱」は数十年に一度の地球的大ニュースなのにNHKラヂオ7時の ニューストップは「発達性の低気圧が・・・」。ほとんどバカか、多分、 地球市民的NHKにとってはまずいニュースなのだろう、報道したくないの だ、狂気の世界。「英EU離脱 NHKは翌朝何を報じたか」、これは永遠に 記憶されるべきである。

NHKは(他のテレビ、ラヂオ同様)、視聴者は小4中2レベルの女子供、老 人、総じてバカだから天気、事故、事件ばかり報道している。どうでもい い話ばかり。中共の脅威なんてまず報じない、NHKは中共宣伝部の手先、 タニマチなのだ(巨額の取材費を払っている)。クソの役にも立たない。 潰すべし。

一億総白痴化・・・実は世界中同じ。為政者は国民を小4中2レベルにして おきたいのだろう、統治しやすいから。パンとサーカス。テレビを見る 人=バカ、番組を作る人=ワルと思っていたほうがいい。

さて本題だ、英のEU離脱で世界は大きく変わりつつある。脳内お花畑のメ ルケルとフランシスコが招来した危機だ。

ポンド安、ユーロ安、人民元安、おまけは韓国ウォン安。ドル、円以外は 全部売られる。ロシアのルーブルも売られて強烈なインフレになり、プー チンは苦境に落ち込む。まず3か月は世界経済は低迷する。リオ五輪どこ ろではない、延期したらいい。

ドル高、円高、悩ましいがどうしようもない。

人民元はどんどん売られて、海外へ逃げていく、金持ちも逃げていく。も う中共の復活はない。潰れるかどうかはともかく、永遠に後進国のまま。 明るい材料が全くない。14億の消費市場はあるが、百均雑貨以外に世界市 場への売り物がないから、貧しいだけの巨大市場があるだけだ。

英国は活躍の舞台、市場をアジアに求めるしかない。軸足を欧州からアジ アに移すはずだ。日米はそれを歓迎し、日米英+ASEAN+豪印で中共を包 囲できる。中共軍は手も足も出ない。我々は中共抑え込みに成功する。中 共軍はガソリンが乏しくなって、やがては弱体化せざるを得ない。

お花畑のリベラル≒アカの壮大な実験、EUは解体していくだろう。共通通 貨ユーロ、国境撤廃が致命傷になった。無理が通れば道理が引っ込む。ギ リシャは破綻し、難民が秩序を破壊し、新たな憎悪を生んだ。自業自得、 禍は自ら招いたのだ。欧州は5年ほどはヨロヨロするのではないか。

英の決断、Britain First!はトランプへの追い風になるだろう。

【今朝の産経から】英EU離脱一色の感。

1面「英EU離脱 キャメロン首相辞意 国民投票僅差51.9% 2年かけ脱退 交渉」。田村秀雄編集委員「金融体制崩壊の号砲」、曰く「日本はどうす べきか。世界有数の安全資産、日本国債は金利マイナスでも買い手が殺到 している。おかげで超円高に突き進みかねない。ならばチャンスだ。

財政資金をマイナス金利国債で調達して、インフラ整備や人材投資など経 済再生に使う。対外金融資産は900兆円以上もある。それをリスクだらけ の国際金融市場にまかせるのはばかげている」。

「世界同時株安 通貨不安」、売りまくって買い戻す、投資家にとっては チャンスなのだ。

2面主張「欧州統合の理念失うな」「アベノミクスに暗雲」「円高株安  日本経済の足かせ」「移民への危機感、結果を左右」。

3面「国民の不満読み違え」「ドミノ懸念 EU重大局面」。

5面「参院選各紙の序盤情勢は 5紙が『改憲勢力2/3うかがう』」。

6面「世界に渦巻く敵対と孤立主義」、連帯を求めるも孤立を恐れず。庇 を貸して母屋を取られる、嫌な奴と一緒にいるよりも孤立を選ぶな。

8面「日本企業分岐点」。

9面「想定外 市場大荒れ」。

29面「英在住の作家・黒木亮氏『EUにいる幸せ実感できなかった』」、曰く――

<離脱派が勝利したのは、英国民がEUにいる幸せを実感できなかったとい うことではないか。現地の人からは、よく「EUに入ってろくなことがな い」という声を耳にした。日本人で英国籍を取得した人も「EUにいて、い いことは何もない」と離脱派に投票したと話していた。

10年ほどで、東欧からの移民が増えたことを実感している。ロンドン金融 街のレストランのウェイター、ウェイトレスはすっかり東欧の人に替わっ たし、地下鉄の駅前には必ず、東欧系の食料品店を見るようになった。

東欧からの移民はスキルがなく、非正規雇用で働いている人が多い。その ため、税金もほとんど納めず、英の手厚い社会保障に頼って、社会保障費 を食い尽くすという不満が広がっていた。

経済問題でもEUは欠陥を抱えたまま国家統合に進んでいる。英国民はその ことに我慢ができず「NO」を突き付けたといえる>(以上)

タイタニックEU沈没へ・・・夢見るいい子ぶりっこの時代は終わろうとし ている。保守派は現実無視のリベラル≒アカモドキから政権を取り上げな くてはならない。

午後からハーフ散歩。椎木ハイツは壊され、10本ほどの椎木の巨木は重機 でベキベキと破壊された。駅から2分、大きなマンションが建つのだろ う。わが街は急速に変わりつつある。

朝方、2日連続でめまい。わが体は急速に変わりつつある。で、一句。

さようなら 十分生きた ありがとう この世のことは 夢のまた夢(修一)

やり残す 未練はあるが 仕方なし 支那の最後は あの世で見るか(修一)

Hiraiexit、Xデーは近そうだが・・・(2016/6/25)


◆呆れる役立たずの「ザル法」

加瀬 英明



■ 舛添都知事問題で露見した国民も呆れる役立たずの「ザル法」
Date : 2016/06/21 (Tue)

6月に、北朝鮮が日本を射程に収めるミサイルを試射すると予想されたた めに、“虎の子”のPAC3が防衛省構内に据えられた。

防衛省を見降して、マンションなど多くの高層ビルが建っている。猟銃で も使って、“虎の子”の迎撃ミサイルが狙撃されたら、どうするのだろうか。

北朝鮮がミサイルの試射に失敗したということから、PAC3は撤去された。

今年に入ってから、日本のマスコミは金正恩書記長の北朝鮮が“水爆実験” を行ったり、長距離ミサイルを打ち上げたために、連日、北朝鮮一色に染 まった。

6月にシンガポールのアジア安全保障サミットに出席する途中、東京に 寄った国防省(ペンタゴン)幹部から、「中国が数多くの核ミサイルを、日 本に照準を合わせている。中国の核ミサイルの脅威のほうが切実なのに、 なぜ日本は北朝鮮の核実験や、ミサイルにばかり目を奪われて、目を瞑 (つむ)っているか」と、たずねられた。

日本はどうかしている。民進党の岡田克也代表が、「中国との関係がうま くいってないのは、安倍首相の言動が原因」とか、中国の習近平主席が 「戦争に備えよ」と叫んでいるのをよそに、安保関連法を「戦争法」と極 めつけているように、箍(たが)が緩んでいるのだ。

新聞はもう新聞離れが進んでいるから、目端(めくじら)を立てることはな い。日本国民の大多数が、テレビニュースを頼るようになっている。

日本の大手テレビは、ニュースを食い物にしている。北朝鮮の“水爆実験” や、“ミサイル試射”を取り上げてはしゃぎ立てるのは、このところの舛添 報道とよく似ている。

舛添都知事による一連の不祥事は、あまりにも卑しく、とうてい風上に置 けない。私もテレビがいくら懲めても、足りないと思う。

だが、舛添都知事という妖怪をテレビの寵児(ちょうじ)にして、スター政 治家として育てたのは、テレビではなかったのか。テレビは舛添都知事を 賑々しく叩いて、喜々としているが、自分たちが化け物をつくった張本人 であることに対して、ひと言の反省もない。

舛添氏は「申し訳ありません」とか、「汗顔に堪えない」とか、「今後は 自らを厳しく戒めて」と連発しているから、まだ可愛いが、テレビは図太い。

まさに手塩をかけて猛牛を育てたうえで、数万人が見守るリングに引き出 して、観客が大喝采するなかで、嬲(なぶ)り殺しにするスペインの闘牛と 同じものだ。

舛添氏が傭った、“第三者”である2人の弁護士によれば、サラリーマンで あったら横領となるのに、政治資金規制法のもとでは違法に当たらないと 説明したのに、都民全員が政治資金規制法が役立たずの「ザル法」だと、 呆れかえったはずである。

有事に当たって、総理大臣が防衛出動命令を下さなければ、自衛隊が武器 を使用することができない自衛隊法も、役に立たない「ザル法」である。

海上自衛隊の護衛艦の目の前で、海上保安庁の巡視船か、日本の船舶が、 外国の公船か、軍艦の攻撃を蒙っても、内閣総理大臣が自衛法第76条に 從って閣議にはかったうえで、衆参両院が承認しなければ、防衛出動命令 を発することができない。

もっとも、緊急の場合は、国会の事後承認でもよいとされているが、首相 が防衛出動命令を発するまで、武器を使用するのを、のんびりと待ってい るわけにはゆくまい。



             

2016年06月26日

◆大音響拡声器の使用は基本的人権か

泉 幸男


いまの世の中でイヤなもののひとつに、我がもの顔の大音響
拡声器の使用がある。

首相官邸前や官庁、電力会社の前などで、となりの街区に
まで響き渡るような大音響で安保法案や原発再稼働への反対を
がなりたてる。

音響設備の進歩に、法規制が追いつかない。

運動家たちは、いかなる大音響を使うのも自分らの権利だ
と信じている。

あげく、周囲の飲食店も通行人も大きな迷惑をこうむる。

憲法第21条第1項にいわく
≪集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、
これを保障する。≫

面倒くさがりの政治家も官僚も、この条項を言い訳にして
騒音規制に踏み切らない。


■ 憲法学者が無能だから… ■

言論の自由や「一切の表現の自由」は、絶対的権利ではない。

名誉棄損や公然猥褻に該当すれば、これらの「自由」は規制される。

アーティストが「表現の自由に基づくパフォーマンスです」
といってサイレンを鳴らして車を走らせたら、これもただでは
すまない。

言論の自由や表現の自由は、人類が苦労して勝ち取った
基本的人権だ。

だが、基本的といえばもっと基本的なのは「平穏安寧を
享受する」権利だろう。

 大音響言論で他人の平穏安寧を乱してもよいと誰が決めた
か。

かねて無能で名高い、わが国の憲法学者らに聞いてみたい
ものだ。

なぜなら、政治や行政が大音響に対する規制に極めて及び
腰なのは、憲法第21条第1項との兼ね合いを気にするから
なのである。

拡声器が世の中に出たのは、真空管が発明されて以降。
 たかだか20世紀の産物である。

その拡声器の使用を基本的人権のうちに数えるのは、
はなはだしい思い違いだとわたしは考える。


■ ひとりの人間の分際とは ■

「天賦の権利」という概念でいくならば、神さまは人間の
言論表現の分際を「声の大きさ」でお示しになっていると
言える。

肉声で主張を語り抗議行動を起こす分には、これに規制を
かけることは、たしかに慎重であるべきだろう。

ひとりの声で足りなければ、10人集めて拡声する。そういう
表現の自由は、基本的人権として認めていいだろう
(但し、なにごとも程度というものがあるけれど)。

だから、ささやき声を人間ひとりの大声のレベルまで上げる
分には、百歩ゆずって拡声器の使用を認めてもよいと思う。

 しかしその一線を超えてはならない。その辺が線引きでは
ないか。


■ インターネット空間出現後の社会のあり方を定めよう ■

自称「良識の府」の選挙運動の真っ盛り。おっつけ都知事
選もある。

まさに大音響が闊歩する夏だが、大音響公害についてどう
考えるかを各候補に聞いてみたい。

その答えしだいで、各人の見識のほどが端的に示される
だろう。

いまや言論の自由、表現の自由はインターネット空間で
十二分に確保されている。

インターネットがなかったころ大目に見られた大音響は、
もはや社会が許容すべきものでなくなったのである。

 拡声器の使用は、緊急車輛のサイレンのごとき扱いに限定
すべきだ。諸賢はどう思われるか。



◆中共は一線を越えるか

平井 修一



朝雲6/16「米中衝突の危機はらむ 波高い南シナ海」から。

<近い将来に予想される南シナ海での中国側の活動については――

1)漁業資源が豊富な海域での周辺国漁船に対する監視・統制強化
2)自国領域と主張する「九段線」内での石油・ガス探査の規制
3)埋め立てた島礁の兵站基地化
4)航空機・艦船によるパトロール強化
5)中国が設定する排他的経済水域(EEZ)内での外国軍艦・航空機によ る偵察・軍事演習の禁止

といったシナリオを描くことができる。

これらの活動は、南シナ海での「主権」を強化し、「航行の自由」を形骸 化させることにより、自国のA2/AD(接近阻止/領域拒否)能力拡大を狙お うとするものだ。

さて、日本の対応だが、中国をいたずらに挑発せず、力負けしないことが 肝要だ。それと同時に、南シナ海と、尖閣諸島がある東シナ海をめぐる情 勢を連動した問題と考える必要があり、中国を法的に拘束する行動規範の 策定と外交努力、「三戦」(心理戦・世論戦・法律戦)と対峙する取り組 みの強化も欠かせない。

中国海軍の軍艦が最近、尖閣諸島周辺の接続水域内を初めて航行したこと は、想定内の中国側の揺さぶり戦術の一つだろうが、今回の一件はいかな る事態にも対応できる防衛体制の構築と同盟国・米国との連携を怠りなく しておくことの重要性を思い起こさせた。伊藤努(外交評論家)>(以上)

「中国をいたずらに挑発せず」とは・・・挑発しているのは中共だろう。

日本戦略研究フォーラム政策提言委員/拓殖大学海外事情研究所教授・澁 谷司氏の論考6/20「日本周辺での中国軍の動きとASEAN」から。

<近頃、中国軍が我が国周辺で不穏な動きを見せている。

第1に、6月8日、ロシア艦隊(ウダロイ級駆逐艦等3隻)が尖閣諸島南沖か ら接続水域(領海12カイリ外縁の12カイリ)に入り、久場島と大正島の間 を抜け、同水域から出た。

その直後、翌9日午前0時50分頃、中国軍のジャンカイI級フリゲート艦1 隻が久場島北東の接続水域に入った。同艦は3時10分頃、ようやく大正島 北北西から接続水域を離れた。中国軍はロシア艦隊の真似をして、その接 続水域に入っている。決して中ロが連携して行動を取ったわけではなかった。

9日、自衛隊トップ、河野克俊統合幕僚長は、中国艦が日本の領海に侵入 した場合「相応の対応はとっていく。一般論としては、海上保安庁で対応 できない場合は海上警備行動をかけた上で、自衛隊が対応する仕組みに なっている」と述べた。

第2に、6月15日午後3時5分頃、今度は中国軍のドンディアオ級情報収集艦 1隻が口永良部島の我が国領海(領土外縁12カイリ)内に、浸入した。そ して、約1時間後の4時頃、北北西から離れた。

中国艦艇は、沖縄周辺海域で行われた日米印「マラバール」(海上共同訓 練)の3ヶ国艦隊を追跡していたのである。その際、海上自衛隊による中 国艦艇への海上警備行動は発令されなかった。

国際法上、各国は沿岸国の領海を“事前通告なし” で「無害通航」する権 利を有する。ただし、「無害通航」は沿岸国の平和・秩序・安全を害さな いことを条件としている。したがって、中国艦艇による日本領海への侵入 は、「無害通航」には当たらないのではないか。

第3に、16日午後、その中国軍情報収集艦が、さらに沖縄県の北大東島の 沖合で接続水域に入り、約1時間航行した。

以上、一連の中国軍の行動は、まさに既成事実を積み上げる“サラミ戦術” と考えられる。

これらの中国軍の行動に対し、海上自衛隊は、何の対応も取らなかった。 日本政府の意向を反映して、中国軍の“挑発”に乗らない選択をしたのである。

しかし、中国に対して、時には「有言実行」が必要な場合もある。日本側 が、何のアクションを取らなければ、中国軍の行動がさらにエスカレート する恐れがあるだろう。

一方、今年6月14日、中国・ASEAN外相会合が中国雲南省で開催された。け れども、当日午後に予定されていた共同記者会見は取り消された。そし て、王毅外相が一人で記者会見に臨む異例の事態となっている。

その特別会合後、一部のASEAN(マレーシア・インドネシア)は“手違い” と称して自国メディアに対して中国を批判する旨の声明文を公開した。

南シナ海問題に関しては、すべての国が国際法に従い、武力による拡大を 即時に停止し、話し合いによる解決を図る。その上で、オランダ・ハーグ の常設仲裁裁判所の判決に従うべきだとの内容だった。

普通、公開されなかった声明文がこの様な形で出てくる事はほとんどな い。そのため、地元メディアでは、一部のASEAN諸国が中国に反発して、 意図的にリークしたのではないかと見ている。

よく知られているように、中国は一部のASEAN諸国(ラオス・カンボジア 等)を取り込んで、ASEANの切り崩しにかかっていた。だが、このように ASEANが一枚岩でまとまったのは、米国や日本にとって朗報だろう。

中国軍の東シナ海・南シナ海での“膨張”は、経済問題(内需と外需が共に 伸びない)で苦悶する、習近平政権の焦燥感の表れかもしれない>(以上)

習近平は中共軍を掌握していない。中共軍は国軍ではなく、党の軍事部門 であり、軍事部門が習政権に造反しているのだ。

中共軍は緊張を高めることで政権に対して軍の存在感を自己主張している のだろう。軍事費をもっとよこせということだ。「習近平政権の焦燥感の 表れ」ではなく、むしろ「中共軍の焦燥感の表れ」ではないか。キチ○イ に刃物、習政権では誰も軍には手を出せないから、周辺国が共同で押さえ つけるしかない。

「南シナ海演習に異例の米空母2隻参加」から。

<【新唐人6/23】南シナ海の主権問題に関する仲裁裁判所の判決が間もな く発表となる。これに先立ち、米国は第七艦隊に所属する空母2隻を含む 空母打撃群をフィリピン沖へ派遣し、軍事演習を実施している。アメリカ 海軍のリチャードソン作戦部長は20日、ワシントンで講演し、一連の活動 は同区域におけるすべての国に対するメッセージだと(こう)述べた。

「軍事演習は区域内におけるすべての国に対するメッセージだ。同盟国に 対しては米国が守るという約束を示し、不穏な動きを試みようとする国に 対しては警告を示すものである」

米第七艦隊は、空母「ロナルド・レーガン」と「ジョン・C・ステニス」 の2隻を含む空母打撃群をフィリピン沖に展開させ合同軍事演習を行って いると発表している。南シナ海の主権をめぐる仲裁裁判所の判決が間もな く発表されるのに先立ち、6月末にはアジア太平洋地域で多国間軍事演習 が実施される予定で、注目を集めている。

リチャードソン作戦部長は、長期的に見て同区域で各国が規則に則り健全 な関係を築いていくよう希望していると強調した>(以上)

中共軍は暴れまくって、結果的に米軍による「航行の自由作戦」を呼び込 んでしまい、同時に周辺国から孤立してしまった。中共軍は大人しくする のか、それをしたら「大言壮語はどうした、臆病者め」と世界中の笑いも のになるから、それはできない。見栄と面子を重視する民族性もある。

それとも自暴自棄となって一線を越えるか。勝てるのか、引き分けか。敗 けたら中共独裁は崩壊する。制服組トップの范長龍上将/党中央軍事委員 会副主席は来年には70歳の定年を迎える。范長龍は現場の将校をコント ロールできているのかどうか。

不透明だが、一触即発的な状況になることは間違いない。天下分け目の南 シナ海。(2016/6/23)