2016年05月10日

◆「温暖化外交」で地域の安定を

米本 昌平


昨年12月の国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)でパリ
協定が採択され、2020年以降の枠組みが定められた。これを受けて国内で
も温暖化対策の議論が始まっているが、ここで重要なのは、パリ協定は
1997年の京都議定書とはまったく異質のものである点である。

 ≪計画経済に等しい京都議定書≫

一言で言うと、欧州連合(EU)が主導した京都議定書は、先進国に対し
て経済活動に等しい二酸化炭素(CO2)排出量を国際法で縛るという、
計画経済を強いるのと同然の、国際合意としては異端のものであった。

これに対してパリ協定は、国際大義を掲げながら、対応策は主権国家が定
め国益を確保するという、ごく一般的な形の国際合意に戻ったのである。

パリ協定での国際大義とは、将来の気温上昇を産業革命前と比べて2度以
下に抑えることを目指し、できれば1・5度上昇以内の政策も採用すると
いう、高い目標を採用したことである。だが他方で、その対応策は、各国
が申し出るCO2削減策を軸とする政策パッケージに託されており、これ
はINDC(各国が自発的に約束する温暖化対策に寄与する政策)と呼ば
れている。

COP21までに条約事務局には160のINDCが提出されたが、その削減
数値を足し合わせても、気温上昇を2度以下には抑えられない。それを見
越してパリ協定は、極力早い時期にCO2総排出量を頭打ちにし、今世紀
中には化石燃料からのCO2排出をゼロにすることを目指すとしている。

高い理想を掲げながら、国益の壁に阻まれて目的が速やかには実現できな
いこの形は、温暖化問題が、核軍縮など他の外交課題と同型の問題に変質
したことを意味する。ことの善しあしは別にして、日本から見ると、先進
国だけがCO2削減を厳しく求められる事態からは解放され、温暖化対策
で広い自由度を得たことになる。

 ≪日本に欠けていたドクトリン≫

ともかく温暖化は不可避であり、CO2削減と併せて、温暖化への適応策
を講じる必要がある。この観点からパリ協定では、国境を越えた地域レベ
ルでの対応策の統合が強調されており、そのためには地域レベルの国際共
同研究と政策対話が必須となる。

この点で、日本が提出したINDCは、ひどく内向きで審議会答申を英訳
したものでしかない。ほんらい日本はずっと以前に、共通の温暖化対策の
原理を目指す、アジア外交のドクトリンを示しておくべきだったのだ。

これに対して中国が提出したINDCは、2009年のコペンハーゲン合意に
組み込む数値目標をすべて拒否して世界から非難をあびた悪イメージを払
拭するものであり、研究者や環境NGOはこの文書を精密に読み込んでいる。

多くの日本人は、中国の環境はひどく悪いと漠然と思っているだけだが、
恐らく中国の環境は14年が最悪であった。21世紀に入って中国経済は急
成長したが、そのエネルギーの大半を国内炭でまかなったため、CO2排
出量は急上昇し、07年にはアメリカを抜いて世界最大となった。

その後も急増は続き、現在では世界のCO2総排出量の26%を中国が占
めるまでになっている。CO2排出は中国の動向に大きく左右されるのだ。

 ≪伊勢志摩サミットで枠組み協議を≫

ただし近年、中国経済は7%前後の成長率に落ち着き、エネルギー効率の
高い産業構造への変換を進めている。それを象徴するのが、昨年10月の党
5中全会(党中央委員会第5回全体会議)で習近平総書記が強調した「新
常態」という中国経済の診断である。

このなかで温暖化問題として注目すべきは、資源や環境条件の制約がきわ
めて大きいことを認め、省資源・非化石燃料エネルギーへの移行を強化し
ていることである。

その結果、世界の化石燃料由来のCO2排出量は、15年の速報値ですで
に減少に転じている。専門誌の『ネイチャー・クライメイト・チェンジ』
16年1月号は、その要因は中国の石炭使用の減少である、とはっきり指摘
している。

国際緊張がある地域に、別途、環境問題でテーブルを設け、緊張緩和を図
ることは現代外交の常道である。それは、欧州全域を対象に冷戦時代に結
ばれた長距離越境大気汚染条約という非常に良い先行モデルがある。

アジアに限っても、南シナ海で対立する米中は、温暖化問題で協力するこ
とで合意したし、14年7月に習国家主席は朴槿恵韓国大統領と会談した
後、主要都市の大気汚染データをリアルタイムで韓国に提供している。

今や東アジアで、環境問題で首脳会議を呼びかけても、機は熟している。
理想を言えば、伊勢志摩の主要国首脳会議(サミット)に付帯する会合と
して、中国・インド・韓国のCO2排出主要国の責任者を招き、温暖化対
策の協力のための枠組みを討議するテーブルを用意することである。

外交には、多大な知的エネルギーが必要である。そのためにも日本は、東
アジアの地域研究をさらに深めていく必要がある。

彼らの2つの言い分は、おそらく安倍政権を独裁とみなし、それと民主主
義は矛盾しないと言いたいものと思われる。現在の選挙制度を用いている
限り、現政権を倒せない。それと同じ現象がドイツにあったという論理に
なろう。

思い出すのは、カール・シュミットのことである。法哲学者として、ヒト
ラーの知的参謀のような役割を果たしたこの人物は、日本の思想界にも甚
大な影響を及ぼした。丸山眞男は、自らの政治思想をつくりあげる際、常
に彼のことを意識した。一世を風靡(ふうび)した論文「超国家主義の論
理と心理」でシュミットの国家観を取りあげ、日本のそれと比較した。

 ≪安倍政権批判のための論理≫

また丸山の弟子である橋川文三は、自らの戦争体験を描く際、シュミット
のロマン主義批判を参考にした。シュミットの著作を読む。すると、自分
が戦前に経験した日本の文化と古典へのうなされるような情熱の根源を
すっきりと理解できる。だから貪(むさぼ)り読んだ。では日本の知的情
熱を支えたシュミットとは一体、何者なのか。

シュミットは言っている。私たちは自由主義と民主主義を分けなくてはい
けない。自由主義とは、議会制のことだ。議会では議員同士による自由で
多様な討論が行われる。だから議会制=「自由」主義と呼ぶ。確かに、多
様性といえば聞こえはよいだろう。だが実際は何にも「決められない政
治」ではないのか。多様性とは意見が分裂し、何も決定できないとも言え
るからだ。

ところが民主主義は違う。民主主義の特徴は多様性ではない。民意をまと
め、皆が同じ意見になることだ。そのためには強力な指導者、つまり意見
を集約する独裁者の登場が必要なのだ−シュミットはこう言っているので
ある。大衆化した民衆が、拍手喝采して同じ意見になだれ込む。多様性を
ほうり出すことで、ヒトラーは劇的に登場してきたのだ。自由主義ではな
く、民主主義によって。

だとすれば、この議論を握りしめ、現在のわが国政権を批判していること
は、一目瞭然のはずだ。安倍政権を批判するために、民主主義という言葉
をやすやすとほうり出し、あるいはシュミット流に読み替え、民主主義な
どよくないと言い募るわけだ。

 ≪善悪のレッテルを貼る傲慢さ≫

ところが今度は国会の周囲に眼を転じてみると、議事堂の前では議会制を
無視した人びとが、我こそは「民主主義なり」と絶叫しているではない
か。集団的自衛権をめぐって、一つの問題で意見が「同じ」人びとが議会
の外で熱狂し、それを民主主義であると言っているのだ。

以上から言えることは何か。それは、私たち日本人が「民主主義」という
言葉を、いかに状況にあわせ適当に使っているかということである。結
局、自ら思うところの正義にかなっているときは民主主義=善、自分の思
いどおりにならなければ、民主主義=悪として言葉を乱用しているのだ。

ところが民主主義は違う。民主主義の特徴は多様性ではない。民意をまと
め、皆が同じ意見になることだ。そのためには強力な指導者、つまり意見
を集約する独裁者の登場が必要なのだ−シュミットはこう言っているので
ある。大衆化した民衆が、拍手喝采して同じ意見になだれ込む。多様性を
ほうり出すことで、ヒトラーは劇的に登場してきたのだ。自由主義ではな
く、民主主義によって。

だとすれば、この議論を握りしめ、現在のわが国政権を批判していること
は、一目瞭然のはずだ。安倍政権を批判するために、民主主義という言葉
をやすやすとほうり出し、あるいはシュミット流に読み替え、民主主義な
どよくないと言い募るわけだ。

 ≪善悪のレッテルを貼る傲慢さ≫

ところが今度は国会の周囲に眼を転じてみると、議事堂の前では議会制を
無視した人びとが、我こそは「民主主義なり」と絶叫しているではない
か。集団的自衛権をめぐって、一つの問題で意見が「同じ」人びとが議会
の外で熱狂し、それを民主主義であると言っているのだ。

以上から言えることは何か。それは、私たち日本人が「民主主義」という
言葉を、いかに状況にあわせ適当に使っているかということである。結
局、自ら思うところの正義にかなっているときは民主主義=善、自分の思
いどおりにならなければ、民主主義=悪として言葉を乱用しているのだ。

ところが民主主義は違う。民主主義の特徴は多様性ではない。民意をまと
め、皆が同じ意見になることだ。そのためには強力な指導者、つまり意見
を集約する独裁者の登場が必要なのだ−シュミットはこう言っているので
ある。

大衆化した民衆が、拍手喝采して同じ意見になだれ込む。多様性をほうり
出すことで、ヒトラーは劇的に登場してきたのだ。自由主義ではなく、民
主主義によって。

だとすれば、この議論を握りしめ、現在のわが国政権を批判していること
は、一目瞭然のはずだ。安倍政権を批判するために、民主主義という言葉
をやすやすとほうり出し、あるいはシュミット流に読み替え、民主主義な
どよくないと言い募るわけだ。

 ≪善悪のレッテルを貼る傲慢さ≫

ところが今度は国会の周囲に眼を転じてみると、議事堂の前では議会制を
無視した人びとが、我こそは「民主主義なり」と絶叫しているではない
か。集団的自衛権をめぐって、一つの問題で意見が「同じ」人びとが議会
の外で熱狂し、それを民主主義であると言っているのだ。

以上から言えることは何か。それは、私たち日本人が「民主主義」という
言葉を、いかに状況にあわせ適当に使っているかということである。結
局、自ら思うところの正義にかなっているときは民主主義=善、自分の思
いどおりにならなければ、民主主義=悪として言葉を乱用しているのだ。

詳しい議論は、14日刊行の拙著『違和感の正体』(新潮新書)をご覧いた
だこう。現政権という一時的なものを否定したいからといって、先人が血
の滲(にじ)む思いを込めてきた言葉「民主主義」に善悪のレッテルを貼
るほど傲慢なことはない。この国では、やはりどうみても民主主義は、幽
霊のように存在が希薄で、浮足立ち、かすんでいるように思えてならない
のである。本当は誰ひとり民主主義など、信じていないのだ。

むしろ今こそ、安易に民主主義を否定したり絶叫したりせずに、議会制に
ついて、大衆社会について熟慮すべきではないのか。私は地に足を、つけ
続けたいと思う。日本大学教授・先崎彰容(東京大学客員教授・せんざき
 あきなか)
                産経ニュース【正論】2016.2.23

2016年05月09日

◆金も人も支那から逃げ出す

平井 修一



辣椒(ラージャオ、王立銘)氏の論考「毒ガスをまき散らす病める巨龍」
(ニューズウィーク2015/12/10)は支那の末期的な環境汚染の実体を伝え
ていた。

<北京市は今月7日、深刻な大気汚染に対して「赤色警報」を発令した。
中国が最高レベルの赤色警報を出すのは初めてだ。

中国政府は13年に汚染が続く予測日数に基づき、大気汚染のレベルを「青
色(24時間)」「黄色(48時間)」「オレンジ色(72時間)」「赤色(72
時間以上)」の4つに分類した。しかし今月7日の前には一度も赤色警報を
出したことはなかった。

今回の深刻なPM2・5の発生は先週に始まり、先月30日に政府はオレンジ色
警報を発令。ニュース記事によれば、北京の空気中に含まれるPM2・5の微
粒子は1立方メートルあたり900マイクログラムを超えた。

この数字は、WHO(世界保健機関)の定める上限値の25マイクログラムを
大幅に上回っている。PM2・5の状況があまりにひどいため、庶民は政府の
警報発令基準に疑いを持つようになった。

PM2・5はいったん人体に入ると取り返しのつかない健康被害をもたらす物
質だ。この微粒子を肺に吸い込むと排出できず、成長期の子供の場合だと
一生健康被害が残る危険がある。

アメリカの科学者の研究によれば、中国の大気汚染による死者は1日あた
り4000人に達している。実に中国の全死亡者数の17%だ。もしPM2・5の発
生している時に北京に行けば、1時間の呼吸で寿命が20分縮まるという。

目に見える大気汚染は注目が集まり話題になりやすいが、中国の環境汚染
は実際あらゆる方面に広がっている。土壌汚染はおそらく大気以上に面倒
な問題だ。全国の耕地面積の5分の1近くは何らかの形で汚染され、10%以
上は重金属汚染によって耕作できない「毒土」と化している。毎年、土壌
汚染によって食糧は1000万トンも減産している。

水質汚染はさらに恐ろしい。昨年の中国環境白書によれば、中国では3分
の2近くの地下水と3分の1の地上水は「人間が直接接触するべきでない」
レベルの危険な状態にある。いくつかの都市では、水道水は水洗トイレで
流す水にしか使えなくなっている。

筆者は上海で十数年間生活したことがある。上海はすでに超一流の大国際
都市だが、水質悪化は住民の激しい怒りを招いている。上海の家で蛇口を
ひねって出てくる水には明らかに異常なにおいがあり、バスタブで一定の
深さまでためると、肉眼でその汚れ具合を確認できる。水道会社に何度電
話を掛けて訴えても、検査員は顔色ひとつ変えず私に「正常で問題ない」
と答えるばかりだったが。

中国の環境汚染の影響は中国人民にとどまらず、周辺の隣国にも危害を及
ぼしている。PM2・5はたやすく日本に「侵入」する。

もしも中国で一党独裁の統治が続き、政治や言論が不自由なままなら、
PM2・5を消すことも、そのほかの様々な環境汚染を根本的に改善すること
もできない。

1949年以来、中華の大地の上には「赤色警報」が鳴り響いている。現在の
中国は、まるで重病に苦しみ、かつ周辺の隣人に毒をまき散らす巨大な竜
のようだ。中国の環境問題を根本的に解決するにはどうすべきか、私は日
本の読者の意見に耳を傾けたいと思う>(以上)

絶望的な環境汚染。皆、海外へ逃げ出す。「中国富裕層に海外移住ブーム
 米国が一番人気」(大紀元2015/11/14)から。

<2012年以降、中国でエリート層、高級官僚、企業家といった富裕層の間
で海外移民ブームが起きており、それに伴い大量のマネーが海外に移され
ている。米財務省が10月に発表した最新の報告によると、2015年1月から8
月にかけて中国から海外へ流出した資金は5000億ドル(外国への直接投資
を除く)を超えたとみられる。

北京に本拠を置くシンクタンク「中国グローバル化研究センター」
(CCG)が作成した海外移住者に関する2012年度の報告書によると、当
時、個人資産が1億元(約19億円)以上の企業家のうち、27%がすでに海
外移住しており、47%が移住を検討している。また個人資産1000万元(1
億9000万円)以上の富裕層では、60%近くが「すでに海外に移住した」、
または「移住を検討中」となっており、その80%以上が民間企業の経営者
である。

15年度の同報告書によると、富裕層の移住先として最も人気ある国は米国
であり、在米移民全体の中でも、中国系移民はメキシコ人に次ぐ第2位を
占めている。

こうしたなか、中国人の海外不動産投資は年々増加の一途をたどってい
る。全米不動産協会(NAR)によると、ここ数年でアメリカの不動産市場
は中国マネーの重要な投資先となり、12年の投資額は81億ドルだったが、
15年は10月までに3倍強の286億ドルに急増している

米国の調査会社、リアル・キャピタル・アナリスティックス(RCA)など
の統計によると、2015年1月から7月までに、中国人が購入したマンハッタ
ンの不動産の総額は38億ドルにのぼり、すでに14年度の購入総額の4倍強
に達している。また2015年5月までの17カ月間で、米不動産を購入した中
国人の46%が現金で支払い、その金額は前期比229%増となった。

元北京大学経済学部教授で、米シンクタンク・ケイトー研究所研究員であ
る夏業良氏は、富裕層移民ブームが生じる主な原因は、中国経済と政治情
勢に対する先行き不安が強まっているからだとみている>(以上)

中共独裁の支那に未来はない。逃げる場所も金もない人民は日々毒殺され
ている。まるでナチスのガス室。

政府の対策はまるでなし。<穏やかな天気は大気中の汚染物質の拡散に不
利。では、どのような気象条件で煙霧は拡散するのだろうか?「煙霧の拡
散に必要な気象条件は強い北風」であることは北京の天気に詳しい市民な
ら誰でも知っている>(人民網2015/12/10)

「北風頼み」なのだという。日本に汚染物質を飛ばせと言うわけだ。もは
や中共はすべてにおいてコントロールできない国になった。早く死んでく
れ。(2016/5/8)


◆反原発運動の正体

伊勢 雅臣



「歌って踊って」思考力の劣化した左翼は、シロアリのように自由民主主
義の基礎を食いつぶしていく。


■1.「福島のためと始めた行動が共産党に利用されたのか」

『さよならパヨク』という本が売れている。発売3週間ほどで、もう3刷
決定という。「パヨク」とは「劣化した左翼」の意で、元アイドル千葉麗
子さんが、故郷・福島の原発事故を契機に反原発運動に参加したが、その
活動に疑問を持ち、「パヨクやめた、全部ぶちまけます!」と、この本を
まとめた。

「パヨクやめた」という場面は、次のように描かれている。

・・・こっちが必死で「原発反対」ってシュプレヒコールを叫んでいる横
で歌や踊りに興じられるのは、はっきり言つて迷惑であり、不愉快でし
た。いきなり沖繩民謡が始まったり、サンバが始まったりした時は、踊り
に興じる連中を見て本気で怒りを感じたものです。沖繩民謡もサンバも福
島に何の関係もありません![1,p49]

そのうちに、デモへの一般参加者も減り、ついには共産党の機関紙『赤
旗』に首都圏反原発連合のチラシを挟んで配布し始めた。これでは共産党
の運動そのものになってしまうと、千葉さんは「やめてほしい」と申し入
れたが、聞き入れられなかった。

一体、自分は今まで誰のためにここまで体を張って頑張ってきたのか、福
島のためと始めた行動が共産党に利用されたのかと、最後の方は本当に悔
しくなってきました。

その時100〜200人くらいが集まった国会前で、マイクを握っていました
が、「こいつらのためにやってんじゃない!」「もうやってらんねぇ
よ!」とマイクをポーンって投げました。[1,p56]

しかしパヨった私のやらかしたことについてはこの約2年間そうしてきた
ように、そして現在の私が100倍以上の貢献をもってけじめをつけたいと
思っています。そしてそれはパヨクに対する1000倍以上のダメージになる
と確信しています。[1,p116]

今回は千葉さんの足跡を追いながら、反原発運動の正体を見てみたい。


■2.「とにかく福島のために何かしたい」

千葉さんの父親は福島市役所の公務員だったので、16歳の頃まで福島市で
育った。当時の友だちや先生の中には原発から20キロ圏内に入る南相馬市
に住んでいる人たちもいた。原発建て屋の水素爆発の映像をテレビで見
て、ショックを受けた。

そんな中、経産省前に集まる人々の姿をネットで見たのです。当時はまだ
運動全体が組織化されていなくて、首都圏反原発連合もありませんでし
た。それぞれがそれぞれの立場で集まっているという感じでした。

であれば一度どんなものか行ってみよう、行動というほどのことではない
のですがとにかく街に出てみて、どんなことをしているのか見てみようと
思って現場に足を運んだのです。・・・

その時に集まっていた人は、共産党とか左翼という感じはしませんでし
た。本当に福島の原発事故に驚いて来ている人も多かったと思います。・・・

次第に共産党や中核派などの極左系らしき組合や団体の幟を見かけるよう
になり、議員もやってくるようになりました。・・・でも誰が来ようと関
係ない、私はただ、とにかく福島のために何かしたい、何かしなければと
いう思いだけでとった行動だったのです。[1,p18]

初めて街頭に立つたのは震災のあった平成23年の夏だったと記憶してい
ます。その頃から運動も大きくなっていき、平成23年9月には首都圏反
原発連合が立ち上げられました。抗議活動に行くと、首都圏反原発連合の
中心メンバー達からも「シュプレヒコールをあげてほしい」とお願いされ
たのです。・・・

そんな形でマイクを握っ私ですが、あくまで福島を守りたいという一心で
の参加であり、活動そのものに参加しようということではなかったので、
首都圏反原発連合のコア(中心)メンバーによる会議などには出ませんで
した。もちろん報酬や交通費なども一切もらっていません。[1,p20]

こうして、千葉さんは反原発運動の最前線に立ったのだった。


■3.「まるでサークルの思い出作りのような」

しかし、原発事故が峠を越えると、参加者は急速に減っていった。一般参
加者が減るにつれて、共産党関係者、それも高齢者の占める割合が増えて
いった。彼らは表に出ない安全な場所にいて、身元のばれない若手を前面
に立てた。

デモ参加者が機動隊に突っ込もうとすると、マイクで「この運動が終わり
になってしまいます。皆さん時間にもうなったのでお帰りください」なと
どいう。燃えたぎっていた参加者は、拍子抜けになった。

また、リーダーたちは首相官邸に入っていっても、当時の野田総理に厳し
い要求をつきつけるでもない。一緒に写真を撮って、「首相官邸で総理と
面談!」みたいに嬉しそうに発信する。千葉さんは毎回真剣にマイクを
持って、シュプレヒコールを担当していただけに、リーダーたちの、まる
でサークルの思い出作りのような行動に不信を感じた。

共産党が幅を効かせるようになって、デモに音楽や踊りを取り入れるよう
になった。学生運動の華やかりし頃、日本共産党傘下の日本民主青年同盟
(民青)は、「歌って踊って日共民青」などと揶揄されたように、大学の
サークルのように勧誘をしていたので、その一つ覚えだろう。


■4.「もうわけがわからない」

デモでは物販もしていた。日本共産党の参議院議員・吉良よし子のフォト
ブックも売っていて、「なぜ吉良よし子氏だけ? もうわけがわからないと
いうか我慢の限界でした」と千葉さんは思った。

カンパもたくさん集まっていました。・・・特に高齢者の参加者が千円札
や五千円札をカンパ袋にどんどん入れてくれるんです。

もちろんカンパした人は善意からなんですが、受け取る方には、そのお金
で生活している人がいるっていうことを聞きました。最初は耳を疑ったの
ですが、デモに入り浸つている人には、確かにきちんとした仕事をしてい
ない人もいて、どうやって食べていくかとなると、カンパをあてにするし
かないということらしいです。[1,p51]

コアメンバーには交通費も出ていて、千葉さんは清算用紙も見たことがあ
る、という。共産党の丸抱えの運動だったわけである。

千葉さんが、さらに反原発運動に疑問を持つようなったのは、日章旗を
持って反原発運動に駆けつけたグループを、当初から排除したことだっ
た。愛する美しい日本の山河を守りたい、あるいは国防の視点から危険な
原発をなくしていきたいという理由などから、日章旗を持って駆けつけた
人々だった。

今にして思えば、すでに共産党系の人間が多数入り込んでいた現場で、日
章旗は認められるはずもなかったということですが、ただ原発をなくし、
福島を取り戻し、日本の故郷を守りたいと考えていた私には、主義主張の
違いで人を排除するということが理解できませんでした。[1,p38]

■5.「復興の足かせとなるようなことは、もうやめてほしい」

原発事故が落ち着いてきても、反原発派はこの問題にしがみついていた。
たとえば福島原発の地元の井戸川克隆・前双葉町長は、福島にいると鼻血
が出ると語って有名になった人物だ。こういう人物をイベントに呼ぶ。

井戸川前町長が登場した、ある漫画では、登場人物が原発構内の見学後に
鼻血を出した、というシーンがある。

産経新聞は、原発見学中に受けた放射線量は0.01ミリシーベルトで、東
京−ニューヨーク間を飛ぶ際に受ける量の10分の1だった、という記事を
載せている[2]。原発を見学しただけで鼻血が出るなら、東京−ニュー
ヨーク便の乗客全員が鼻血を出していなければならない。

こうした反原発派の姿勢を、千葉さんは次のように批判する。

福島県内には農家をやっている友達も大勢います。皆震災の後、農産物が
売れなくて収入が激減し、生活がきつかったと言っていました。今は放射
線量も落ち着いて、政府も安全だと言っています。

それに納得せず、現在でも危険だと言って福島の人をこれ以上傷つけてほ
しくありません。いたずらに風評被害を広げ、復興の足かせとなるような
ことは、もうやめてほしい、本当にやめてほしいと思います。[1,p26]


■6.「原発やめろ」が行き詰まってくると「差別をやめろ」

いよいよ反原発運動では一般人を集められなくなると、彼らは衣替えをし
た。平成25(2013)年の春、「レイシストをしばき隊」が登場。この団体
は「在日特権を許さない市民の会」などの活動に対抗すべく結成された市
民団体である。

しばき隊のリーダーは首都圏反原発連合でも中枢にいて、かなりのコアメ
ンバーは同じだという。千葉さんは反原発連合のメンバーに連れられて、
一度だけ「しばき隊」のイベントに行ったことがあるが、首都圏反原発連
合のマークをつけた拡声器をそのまま使って「原発やめろ」と同様に、
「差別やめろ」とやっていた。

 叫ぶスローガンは違えど、スタイルは全く同じだった。

パヨクはとにかく、呪文のように単純な言葉を繰り返しますね。原発事故
の時も「原発やめろ」。それが行き詰まってくると今度は「差別をやめ
ろ」。その次は「戦争反対」「9条守れ」。どれも変な太鼓やらなんやら
をけたたましく鳴らして、とにかく大騒ぎ。[1,p180]


■7.「反原発」は人集めの手段

反原発運動の正体については、千葉さんの次の指摘が的を射ている。

私が脱原発・反原発のパヨクから離れた理由のひとつに、彼らが本心から
原発のことを考えて行動しているわけではないという疑念がありました。

原発事故や福島の状況を理解し、共感してでの行動ではなく、原発問題を
訴えると注目される、つまり政治的目的などのために脱原発を主張し、そ
の運動に乗っかり、利用しようとしていたのではないかということです。
[1,p68]

反原発とは、共産党による人集めの手段であった事は、今まで見てきた経
緯から明らかだろう。

左翼は昔から「革命という目的のためには手段を選ばす」を伝統としてい
るが、その手段として「貧困からの解放」から「安保反対」「公害反対」
「女性解放」、そして現在では「原発やめろ」「差別やめろ」「9条守
れ」と旗印を変えつつ、騒ぎを起こしてきたのである。


■8.パヨクの正体

千葉さんの言う「パヨク」とは、こうした伝統的左翼の、思考能力が退化
した末裔のようだ。

便利な現代社会に電気は不可欠で、その思恵を享受しながら代替案なく
「原発止めろ」というのはあまりにも無責任です。

原発が危険と言うなら、中国はどうなりますか? 脱原発どころかまだまだ
造ると言っていますよ。[1,p142]


「歌って踊って」いるだけのパヨクでは、これらの単純明快な質問にも答
えられない。

自由民主主義の基盤は、国民一人ひとりが国の行く末について自分自身で
自由に考え、それをもとに地方や国の議員を選ぶ、という点にある。「反
○○」を掲げつつも、「歌って踊って」ムード的に自分たちの集団に引きず
り込んでいくというのは、人々の思考能力を麻痺させる。それはシロアリ
が家の土台を食いつぶしていくように、自由民主主義の基礎を打ち崩して
いく行為である。

SEALDsは共産党の傘下にあり、共産党員の子弟が多いと聞きますが、中に
は共産党と無関係の学生が、シンボルマークやフレーズの格好良さ、音楽
やダンスの楽しさに惹かれ、事情を知らずに入ってくる、そんな学生もい
るでしょう。

SEALDsの学生もよく言えば素直、悪く言えば未熟な人が多いように思いま
す。SEALDs自体はサークルのようなノリなのかもしれません。しかし背後
にある共産党の存在を忘れてはいけないと思います。[1,p169]


わが国を中国のような自由も民主主義もない独裁国家にしたくなければ、
わが国の青年たちをパヨクから守っていかなければならない。そのために
も、『さよならパヨク』のような内側から見たパヨクの実態を暴いた本書
の登場を歓迎したい。

■■ Japan On the Globe(950) ■■ 国際派日本人養成講座 ■■

Common Sence: 反原発運動の正体
〜 千葉麗子『さよならパヨク』から



■リンク■

a. JOG(916) 戦後左翼の正体
http://blog.jog-net.jp/201509/article_1.html

b. JOG(918) 私の見た戦後左翼の正体
http://blog.jog-net.jp/201509/article_4.html


■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け)
  →アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。

1. 千葉麗子『さよならパヨク』★★★、青林堂、H28
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4792605466/japanontheg01-22/

2. 産経新聞、H26.5.20「『美味しんぼ』“鼻血は被曝”を検証 構内見学
した記者に異常なく…放射線の影響『量で判断が必要』
http://bit.ly/1rCxAhe

2016年05月08日

◆トランプ、どぎつい一発

宮崎 正弘
 


<平成28年(20165月7日(土曜日)通算第4897号 >

 〜在日米軍経費は全額、日本が支払え、さもなければ撤退だ
  トランプ、CNNインタビューでどぎつい一発〜

 「あなたは日本の核武装を認めるのか」とCNN記者のインタビューに
ドナルド・トランプは傲然と過激な一発をくりだした。

「そう、もし日本が在日米軍経費を全額支払わず、われわれが撤退した
ら、北朝鮮の核を前に、日本はほかにどのような手があるのか?」。

この衝撃ともとれる見解は、トランプが従来の発言を繰り返した過ぎない
が、5月4日という日は、トランプがインディアナ州予備選を勝利して、
ほぼ共和党正式候補のチケットを手中にした日である。
これまでの空砲とは異なってリアリティがある。

同時にトランプらは「韓国とドイツも同様」として、とくに日本を攻撃し
ているわけではない。韓国は日本同様に50%の経費を負担しているが、ト
ランプはその数字を知らなかったようだが、「全額だ」と切り返した。
 
しかし、ものは考えようではないか。

これを奇貨として、日本は日米安保条約の再改定の準備を進める必要があ
る。トランプから言われるまでもない。欠陥だらけの日米安保条約の片務
生の是正、主権国家として対等な軍事条約としなければならない。

日本はいつまでの平和のぬるま湯に浸かっているわけにはいかない。

いずれ、5年後か、50年後かは分からないけれども、米軍は去る。オバマ
は「世界の警察官」を降りると発言しているのであり、全体としてのアメ
リカは孤立主義がただよい、社会的ムードはTPPに反対している。

いやそもそも同盟とはどのような時代にも暫定協定である。

主権のある独立国家に外国の軍隊が駐留すること自体が異常であり、それ
を認めるとすれば集団安全保障、つまりNATOのような国際条約が必要
なのである。したがってトランプの過激発言は日本への警告と理解したほ
うが良い。

トランプの衝撃的提言への回答はすでに小生は2年前に、カウンター・ア
ジェンダを提議して世に問うている。

つまり、在日米軍を日本が買収し、支払いは日本が保有する米国債を担保
にすればよく、そして第七艦隊を吸収合併するのである。

◆私の「身辺雑記」(340)

平井 修一



■5月3日(火)、国辱記念日。ゲテモノ、GeTeMoNo、「GHQが、天皇に代
わって、モノポリーの下、呑ませた」憲法。棄憲すべし。

朝6:00は室温21.5度、快晴、ハーフ散歩。タンポポの綿帽子は数日で風
に乗りそう、ツツジ、アマリリス、クレマチスは満開、芝桜も咲き始め
た。ボンタン系の柑橘類がいい匂いの白い花を咲かせている。メダカもか
なり増えた。世は事もなし、のよう。

老生は 今日も元気に 中共叩き(修一)

全国の愛国同志諸君、連帯を求めるも孤立を恐れず、草莽崛起、怒涛の進
撃で中共に鉄槌を、さあ、行くぜ!

たとえば銀行に1000万円の借金がある人が、銀行に「借金を株式化するか
ら株を買ってくれ、そうすれば俺の借金はゼロになって元気になるし、銀
行も不良債権をゼロにして株を資産に加えることができる。ウィンウィン
だ」と持ちかける。

普通の銀行なら「株が1000万円以上になるのならいいが、500万円とか、
あるいはゼロになったら丸損じゃないか、こんなバカな詐欺話に乗る銀行
はないよ」と断るだろう。

ところが中共が今やろうとしているのは、この詐欺話なのである。

在北京ジャーナリスト陳言氏の論考『中国版「債務の株式化」は急場しの
ぎの危険なゲーム』(ダイヤモンドオンライン4/28)から。(敬称略)

<李克強は全人代閉幕後の3月16日の記者会見で、市場化による債務の株
式化(デット・エクイティ・スワップ、DES)を通じて、企業のレバレッ
ジ(負債比率)を低下させることができる、と初めて提起した。

4月4日、多くのメディアが次のように報じた。

最初の債務株式化の規模はおよそ1兆元(17兆円)に確定し、3年以内に達
成する。国家開発銀行、中国銀行、工商銀行、招商銀行等が債務株式化の
テスト銀行となる――

中国で債務株式化が実施されるのは、これが初めてではない。例えば1999
年に国有企業は経営が苦しくなり、信達などの資産管理会社が設立され、
国営企業に融資した国有銀行の1.4兆元の不良債務のうち、4000億元を株
式化した。

しかし(1兆元という)ここまでの規模での債務株式化はまだ執行されて
いなかった。その意味では17年ぶりに、中国は再び債務株式化時代を迎え
ようとしている。

しかし、17年前とは違って今回は、関連政策に対する社会的な論議が格段
に激しい。

短期的に見れば、債務株式化は債務を負っている企業にとっても、債権者
である銀行にとってもメリットはあるだろう。

まず巨額の債務を抹消された企業は、破産に至らず、周囲への連鎖的な債
務ショックも引き起こさずに済む。また債権者も窮地から脱却できる。債
権者の銀行は不良貸付をバランスシートから抹消し、利益に影響を与えな
いようにできるからだ。

そのため1兆元の債務の株式化は、A株市場で次のようなメッセージとして
受け止められている。「国は企業の融資返済の困難性と銀行の焦げ付きを
座視できなくなり、市場救済、信頼性回復の意図を明確にした」。これが
4月5日のA株の大幅高騰の理由である。

しかし、本当にみんなが大喜びできる局面なのだろうか? 経済学者や証
券会社の分析では、この政策は深刻な「毒酒を飲んで渇きを癒す」に等し
い急場しのぎの色彩が濃い、という見方が大勢だ。

*短期的には蜜の味、長期的には毒の味

債務株式化は、短期的には一部企業の流動性危機を緩和し、銀行の利益へ
の影響を低下させるため、特に企業の破産・倒産件数の増加や、銀行への
金融引き締め、高失業率、社会不安などの一連の問題がもたらす政治的な
圧力の回避には役立つだろう。

しかし、経済の視点から言えば、銀行借款は債権であり、普通株は株主権
であり、両者の性格は全く異なる。また異なった収益期待、収益形式、リ
スクと流動性を備えている。

銀行は借款を提供し、期日に応じて利子と元金を回収し、事前に契約した
収益率と期日内の流動性を入手する。一方、株式投資には高いリスクと不
確定性が備わっており、投資家の収益率、収益を得られるまでの時間は予
測困難だ。

銀行は株式投資会社ではない。本来、固定的な収益を希望している銀行か
らすれば、債権を株式に転換することは本来的な投資(平井:融資)目
的、期待に全く合致しないし、なにより銀行は十分な株式投資、管理能力
も持ち合わせていない。

不良債権の抹消は銀行経営層の短期的な業績向上には有利だろうが、結局
のところ、債務株式化は短期的な帳簿上のゲームに過ぎない。

そもそも銀行経営が直面している主要なリスクの一つは短期借入、長期貸
出がもたらす満期ミスマッチのリスクである。それに対し、融資を株式に
転換するというのは、返済期限の再延長(無期限延長もあり得る)を意味
し、銀行の資金回収が遅れ、銀行の流動性リスクが大幅に増大し、自己資
本率が引き下げられたことになる。

もし真の民間銀行であれば、債務株式化には何のメリットもない。

債務株式化以降も、不良資産は依然として銀行の手元に残る。それを「融
資」とは呼ばず「株式」と呼ぶだけのことに変わっただけのことだ。もし
融資先の企業の経営が好転しない──極端なケースではさらに悪化し破産す
る(債務株式化に追い込まれた企業にはその公算が大きい)と、銀行の手
元の株券は紙くずになってしまう。

銀行というのは仮に融資先企業の破産・清算を選択した場合でも、回収で
きるのがほんの小額の資金であったとしても資産を換金させるように望む
ものである。

対して、債務を株式化するというのは、破産したらまったくの御破算とな
るということで、多くの場合、銀行はそれを望まないだろう。

いずれにしても、一旦、債務株式化した企業には、なにがあっても復活し
てもらわなければならず、仮に破綻すれば、これらの「不良投資」による
損失が暴露され、銀行のシステムそのものが巨大なリスクに見舞われる。

銀行システムの安定が中国経済にとって大変重要であることは明白だ。大
量の債務株式化株は中国経済にとって、巨大な地雷が埋め込まれるのと同
じである。

*1兆元の行き先を決める人が利益配分の権力を持つ

さらに、債務株式化の最大のリスクは、巨大なレントシーキング(民間企
業が政府などに働きかけて政策などを変更させて利益を得る行為)の余地
を作り出すことである。

最近、あるメディアが政府関係者の話として、次のように報じた。

債務株式化の対象は、潜在価値のある、一時的に困難に陥っている国営企
業を中心とする企業に絞られる。こうした企業は、銀行の帳簿上、「注
目」または「正常」に分類されている融資であり、「不良」融資ではな
い。従って、今回の債務株式化で、過剰生産の「ゾンビ企業」が対象にな
ることはない──

問題は誰が、潜在価値のある、一時的に困難に陥っている企業だと判断
し、どこを「ゾンビ企業」と決めるかだ。それは銀行なのか、それとも監
督・管理機関なのか? 実際、どちらもその判断能力を持ち合わせてはい
ないだろう。

ただその両者の違いといえば、能力がないからやりたがらない銀行と、能
力がなくても「1兆元」というハードな目標を打ち出した監督・管理機関
という点であろう。

「1兆元」という数字が債務株式化のパラドックスを象徴的に表現してい
る。もし不良債権に株式化の価値があれば、銀行が自らそうするにしろ、
他の主体が銀行側から購入するにしろ、自ずと市場で株式化を希望する人
が現れるはずだ。

市場参加者は利益を追い求め、お金があれば誰しも儲けようとするのに、
なぜ「1兆元」などという融通のきかない目標を掲げたのだろうか?

もし不良債権に株式化の価値がなければ、強制的に「1兆元」の目標を達
成させることで損なわれるのは、一体、誰の利益か? 忘れてはならない
のは、中国の国民が銀行株を買わなくても、銀行の大株主は国である以
上、損をするのは中国国民一人一人であるということだ。

債務株式化が、ある人には利益をもたらし、ある人は損失を被る可能性の
ある取引であるならば、この1兆元の行き先を決める人が、利益配分の権
力を持つようになる。そこに、大きなレントシーキングの余地が生まれる
に違いない。

極端な話をすれば、真剣に企業を作ろうと思っているわけではない輩が、
銀行から何らかの方法である程度のお金を借り、その後、そのお金を移し
替えるか、或いは浪費してしまってから、最後に、あっけらかんと銀行に
「さあ借金を株式化しようぜ」と伝える。名目上、企業に負債はなく、銀
行にも不良債権はない。これこそ「濡れ手で粟」の手口ではないのか?

こうした連中に大なり小なり銀行の政策決定に影響力を行使する権力があ
れば、このような不道徳な方法で不労所得を得ることもできる。損するの
は銀行の株主──つまり、中国という国なのであろう>(以上)

国家が行う“ウィンウィン詐欺”だ。これでは国有企業改革などできるはず
もない。結局は借金返済に苦しむ企業の重荷を軽くしてやろうということ
で、過剰設備、過剰人員のムリ、ムダをなくすというリストラ外科手術を
避けることになりかねない。

これでは企業は少しも改革されないから、また借金を重ねてヘタルのであ
る。素人の小生はそう思うが、玄人のIMFも懸念している。

「中国企業の債務株式化、リストラと並行なら有効=IMF」から。

<[ワシントン4/26ロイター]国際通貨基金(IMF)は26日、中国企業の
巨額債務問題をめぐり、債務の株式化や不良債権の証券化で問題軽減は可
能とした上で、リストラを実施している存続可能な企業の場合に限られる
との見方を示した。

中国当局が最近、銀行や経済全体の重しとなっている中国企業の債務問題
に取り組んでいるとの声明を出したことについて、IMFは歓迎の意を示した。

IMFは、中国企業の債務が対国内総生産(GDP)比率でおよそ160%に達
し、他の多くの国と比べて高水準であることを指摘した。

債務の株式化や不良債権の証券化など、債務問題への対応策については、
幅広いリストラ努力も合わせて行う必要があると強調。「しっかりとした
フレームワークの一部として行わない限り、『ゾンビ』企業の存続を許す
など、問題を悪化させかねない」と警告した>(以上)

ザルのフレームワークで悪性腫瘍のゾンビ企業を延命させるだけだ。

ところで笑い話。習近平が部下を引き連れて視察する際にマイクロバスに
乗って一緒に移動するケースがあるそうだ。

「政府関係者という要人が乗車するにあたっては、車の信頼性も重視され
ることになるが、中国では夏場になると公共バスが自然発火する事故が相
次いで発生するため、こうした事故が起きる可能性のある中国メーカーの
バスではなく、信頼性が高く、安心して乗れる日系のバスが採用されてい
るようだ」(サーチナ5/2)

胡錦濤もそうだったという。憤青は「日本車に乗るのは売国奴だ!」とヒ
ステリーを起こすが、トップが「火葬バスはご免だ」と。パープリンの憤
青や、まともなバスも作れない企業などは潰すしかない。

(ところがどっこい、「上=中共中央に政策あれば、下=地方政府に対策
あり」の国柄だから、お代官様と越後屋がウィンウィンなので潰れないの
だ。お土産は賄賂なのだが、金品だと証拠が残るから近年は“性接待”が増
えているそうだ。対策は万全。

洋上の ヨットでナニして 債務チャラ(修一)

「いかがでしたでしょうか」「ウフウフウフ・・・越後屋、お主も悪よの
う」「いえいえ、お代官様の足元にも及びませぬ」「ウハハハハ」「ヒヒ
ヒヒ」。習近平の求心力は落ちている)

孫・子はBBQパーティーで出掛け、夕食は小生のみ。ビフテキサンドで簡
単に済ませた。「ヒヒヒヒ」楽勝。習は苦戦で「ヒーヒーヒー」、人気落
ちた、死ね中共!

■5月4日(水)、今朝もアーリーバード、朝3:00は室温23度、今季最高、
すごい風、ゴーゴーうなっている。雨も交じって春嵐みたい。朝には快
晴、ハーフ散歩。

知的で清楚な老婦人二人。まったく人を疑わない澄んだ表情。濁りだらけ
で疑心、警戒心の塊のような小生からすれば「大丈夫かよ」と心配してし
まうほど。「エホバの証人」だ。家は大丈夫なのか。火宅だったりして。
旦那や子供もエホバなのか。

「神が私の右にいてくださるので、私はよろめかされることがありません」

殺人鬼に殺されることはたまにある。去年には「人を殺してみたかった」
というキチ○イ女子大生に老婦人が殺された。この人殺しは嬉々として
「ついにやった!」とつぶやいていた。殺されたエホバは「ついにやられ
た!」と思ったのだろうか、

「あなたの右に殺人鬼」、警戒心がないと、まあ殺されたりする。

春嵐みたいな狂気の“暴走族”中共軍の乱暴振りに周辺国は反発している
が、支那の商売にも影響しているようだ。サーチナ5/2「なぜだ!中国高
速鉄道のコストは新幹線の半分なのに受注競争で全勝できない理由」から。

<中国メディアの「今日頭条」はこのほど「国際先駆導報」の報道とし
て、「世界の高速鉄道市場で今もっとも熱いのは東南アジア諸国で、日中
の高速鉄道産業が激しい受注競争を展開する場所でもある」と指摘し、
「もはや高速鉄道産業のみならず、日中の経済、技術、政治すべての威信
をかけた争いへと発展している」と主張した。

続けて、技術面で新幹線と中国高速鉄道を比較した場合、それぞれ一長一
短があるとし、中国高速鉄道は速度で新幹線を上回るが、安全性や信頼性
では新幹線のほうが上だと紹介。

一方、コスト面では中国高速鉄道の右に出る存在はないと主張し、中国高
速鉄道の建設コストは1キロメートルあたり3000万ドルで、新幹線の5000
万ドルを大きく下回ると伝え、「マレーシアとシンガポールを結ぶ高速鉄
道計画では、中国は日本の半額で建設可能である」と胸を張った。

中国高速鉄道のコストが新幹線より圧倒的に安いにもかかわらず、それで
も中国が確実に受注できない理由は、「東南アジア諸国に中国に対する疑
念や猜疑心があるためだ」と指摘。

ベトナムが新幹線を高く評価している背後には、「日本が第2次世界対戦
中に東南アジア諸国を植民地から解放した恩があるためではないか」と主
張し、中国が新幹線との受注競争を制するためには、各国の猜疑心を解く
必要があると論じている>(以上)

「国際先駆導報」は共産党系「新華社」の国際紙。まともな記者もいるの
か。多分、記者の多くは支那の前途を心配しているのではないか・・・留
学生の多くは国に戻らないし・・・。閑話休題。

モノは安さだけでは売れない。安全性、ラニングコスト、省エネ、寿命、
利用者の評価、ブランド力、企業の評判、国家の好感度なども重視され
る。マキャベリ曰く――

「個人でも共同体でも同じことだが、勝利を得た後や、単に勝利の幻影を
見たに過ぎない折でも、人はしばしば尊大で横柄な言動に出るようにな
り、お陰で元も子もなくしてしまうことが多い」

箴言だな。「実るほど頭を垂れる稲穂かな」。賢者は学問や徳が深まるに
つれ謙虚になり、小物ほど尊大に振る舞う。中共はにわか成金になって得
意絶頂、尊大になって、今はほとんどヤクザ、マムシのような乱暴者、毒
蛇として嫌われている。

レーニンの言う「左翼小児病」、習近平のオツムのなさが禍を招いた。

楊海英氏の論考「ベトナムの港に大国が熱視線『海洋アジア』が中国を黙
らせる」(ニューズウィーク5/2)から。

<今、西太平洋で最も熱い視線を浴びている港は、先月上旬ベトナムが中
部カムラン湾に開いた国際港だろう。南シナ海に面した軍事的要衝で長く
閉ざされてきたが、外国の軍艦や民間船を受け入れることとなった。

中国、ロシア、アメリカ、日本など、世界の大国は皆ベトナムに求愛し、
虎視眈々とカムラン湾に軍艦を乗り入れようとしている。ベトナムもした
たかに八方美人を演じ、誰に対してもほほ笑みを絶やさない。

時代をさかのぼれば79年春に、中国が社会主義の弟分を「懲罰」しようと
ベトナムに侵攻。それと前後するかのように、ソ連はカムラン湾の租借に
成功した。ソ連は中越戦争でベトナムを強く支持し、太平洋艦隊の一部を
カムラン湾に駐留させた。

ソ連の戦略はその後、ロシア連邦に引き継がれる。熊(ロシア)は龍(中
国)と時に熱愛を演じても、太平洋方面の戦略的な拠点を放棄しようとは
しなかった。

カムラン湾の戦略的な地位が忘却された時期もあった。冷戦後の91年、対
岸のスービック海軍基地をフィリピンが閉鎖して米軍が撤退。02年にロシ
アも撤退してからは、カムラン湾は外国に門戸を閉ざした。

*ソ連が引いた隙に中国が

米ソ2大国の対立が閉幕し、ソ連が歴史のかなたへ消えようとする。その
隙を狙うかのように、南シナ海に躍り出たのが中国だ。ベトナム海軍を駆
逐して、南シナ海を自国の内海にしようと主張しだした。

見かねたアメリカはカムラン湾の「復帰」をベトナムに度々打診。ベトナ
ム戦争という複雑な記憶を乗り越えて、11年にはついに星条旗を掲げた軍
艦がベトナム人の歓迎を受けた。

ロシアもアメリカの行動を意識している。今年に入ってから、ロシアの
ショイグ国防相はカムチャツカ半島の軍事基地を視察。極東の軍港からベ
トナムを経てマラッカ海峡に至る、西太平洋の「弧」の強化を指示した。

日本も今月(4月)、海上自衛隊の護衛艦「ありあけ」と「せとぎり」を
カムラン湾に派遣。その前には練習潜水艦が護衛艦と共にスービック海軍
基地を訪れていた。航行の自由作戦を実施中の米海軍への側面支援を担っ
た演習の一環であろう。

西太平洋の海が世界の表舞台に出たのは今に始まったことではない。
「海」と「世界の近代化」との関係を分かりやすく描いた学説として、経
済学者で静岡県知事を務める川勝平太の『文明の海洋史観』(中公叢書)
がある。それによると、近代文明は西洋内部で自己生成したものではな
く、「海洋アジア」のインパクトを受けて開花したものだという。

*文明論に基づく世界戦略

13世紀に西洋はモンゴル帝国による大陸制覇の危機に直面し、その打開に
向けて16世紀から海に乗り出した。「海洋アジア」の黄金と香辛料といっ
た豊富な物資が西洋に富をもたらし、産業革命に成功する──近代以降の歴
史は西洋列強によってつくられてきたとの説を論破し、西太平洋の重要性
を説いた文明史観だ。

カムラン湾をはじめ、南シナ海紛争の本質を理解するためには、アジアを
中心とした世界戦略の再認識が不可欠だ。単に「アジア回帰」というス
ローガンを叫んでも、文明論に立脚した戦略がなければやがては頓挫する。

米民主党政権は中国の領土拡張やイスラム過激派テロ、ロシアによるクリ
ミア併合に手をこまねいている。すべては欧米だけで問題を解決しようと
し、アジアを軸とした文明論的戦略が欠如しているからだ。

海洋アジアの要を成す日本は、西洋と共にいち早く近代化を実現し、世界
秩序の構築に寄与してきた。今後も関与をやめる必要はない。カムラン湾
を抱えるベトナムと友好関係を築き、その背後にあるインドシナ半島の住
民とも連携を強化すべきではないか。

日米とインドシナの強固な結び付きで海洋の波風が収まれば、東アジアの
乾燥大陸に住む乱暴な「龍」も国際法を遵守しなければならなくなるだろ
う>(以上)

“銭ゲバ・ウハウハ高速資本主義”の「龍」はそのうち「暴れると儲から
ん、ここは韜光養晦、“ソコソコ・マアマア中速資本主義”に戻るに如か
ず」と大人しくなるかもしれないが、暴れ続けるかもしれない。油断せず
に包囲殲滅網を強化することが大事だ。

(豪が仏の潜水艦を選んだのは「核ミサイル搭載の原潜」を望んだためら
しい。中共は「そうりゅう落ちた、万歳!」と喜んでいたが、核原潜は中
共にとって結構な圧迫になるだろう。日・蒼龍+豪・核原潜=中共困惑、
マジヤバだな。

アボット先生、日本の右にいてください。Anthony John "Tony" Abbott,
come back! Let's fight against evil China!)

■5月5日(水)、端午の節句、国旗掲揚。朝5:00は室温22度、快晴、快
適、ハーフ散歩。

カミサンと孫・子軍団は浦安市の米帝ネズミーランド制覇へ。小生は弁当
の材料を用意し、カミサンはオニギリを作る。美しいコラボ。孫・子は6
時でもぐっすり寝ている・・・本当にカワイイ。俺のガキども。愛い奴。

小生とカミサンが本能のままにクンズホグレツ、オモテウラ、トウザイナ
ンボク、テンチギャクテン、3000回、全部やって3匹の子供に恵まれた
が・・・

(小生の決め技はマツバクズシで、これはあちこちで試したが、結構な決
め球になった、みんなキャイン! みんな激しく痙攣していた、「あー
ん、修一さんたら、もー」・・・今は昔。もういいや、今は昇天させられ
ないからオシマイ、テジマイ)

孫もできて大いに結構だ。みんな伝家の宝刀、マツバクズシで頑張ってく
れるといいがの。

近衛兵の父は肺がん手術後に小さな手帳にあれこれ書いていたが、横須賀
で「“兵隊さん、兵隊さん”と大いにもてた」と記していた。大いにやった
のだろうが・・・

(父は無節操的、素人も玄人も全部食べちゃう。母の従妹を食ったのは大
いなる間違いだった。母に梅毒を移したのも大失敗。モテ過ぎた。大蔵病
院での死の直後に父のチンチンをきれいに拭いたが、もう小生のとそっく
りでショックだった。父はバレた、小生はトボケた、伴侶からの待遇でこ
の“差”は実に大きい)

キッチンで弁当を作るカミサンを後ろからグリグリしがみつくと、まんざ
らでもないようだ。老いても多少はじゃれ合ったほうがいいのかもしれない。

GW・・・出社すると小生と女の子だけだった。

「平井さん、目を閉じて」
「なんだい、こうかい?」

「あーんして」
「こうか?」

女の子はキャラメルを口移ししてきたのだ。あんなに甘いキャラメルは空
前絶後だった。これはもう命懸けで抱くしかない。女の子も命懸け。小生
も命懸け。

幸いにもカミサンはニヤニヤ、「アンタ、部下の女の子を“オマエ”って言
うの?」、電話のやり取りをチェックしていたわけだが、「男はそんなも
の」「♪お酒もいいの、浮気もいいの、私のこと忘れていないなら」、ま
あ、そういうことだった。

カミサンは女の子を全部知っている、「アンタ、趣味悪いわね、ブスばっ
かり」なんて言う。「修一をよろしくお願いします(コイツ、バカだから
しっかり監視してよね)」なんて女の子に言ったりする。まあ、カミサン
の掌の中で好き放題にできたのは大いに幸いだった。

女の子は、

♪尽くして 泣き濡れて そして愛されて 明日が二人を壊さぬように
離れて 恋しくて そして会いたくて このまま あなたの 胸で暮らしたい

そんな思いだったろう。可愛い子ちゃんから「あなたの胸で暮らしたい」
なんて言われて手を出さない男はいない・・・ん? なんと、現実は奇な
り。「知恵袋」から。

<Q:テレサテンの歌(「愛人」や「つぐない」「時の流れに・・」)な
ど沢山作詞している荒木とよひさ氏ですが、氏は大連生まれで、彼の母親
は、彼が言うには、すれ違う人で振り向かない男性はいなかったというほ
どの美人だったのそうです。彼自身もまた「本当に綺麗な母だった」と
言っていました。

こういう風に、自分の母親が本当に綺麗な女性だったと言える男性という
のは、恋愛において支障を来たさないものなのですか。皆さんの中にも、
そう言い切れる人がいますか。恋愛するのは大変ではなかったですか。

A:私の伯父がそういう人でした。母方の祖母が大変な美人、小町といわれ
る人だったそうです。伯父の姉妹、伯母たちも末っ子である私の母も皆美
人です。ただ、揃いも揃って性格がよくなかった(笑)。

祖母はおっとりして良い人ではあったが、怠け者で家事嫌い。伯母は神経
質で細かいことを延々と言い募るタイプ。母はおしゃべりで軽率なタイプ。

物静かで学究肌の伯父には、嫌いなタイプばっかり。

美人たちのアラを見て育った伯父は女嫌いになって30過ぎても独身でし
た。女は、特に美人は裏表があるもの、と思ってしまったのかもしれませ
んね。

40歳近くなって勤め先で紹介された年下の女性と結婚しました。

これがまた瓦のような真四角の顔をしたエラはり女性。お世辞にも美人と
は言えないご尊顔だけど、無口で大人しくて働き者。子供心にも、昔話に
出てくる「器量は悪いけど良い村娘」みたいな人だと思ってました。

私自身、穏やかで優しいこの伯母が親戚中で一番好きでしたが、伯父はそ
れはもうこの不器量な奥さんを愛して、死ぬまで奥さん一筋でしたよ。と
にかく二人っきりでいたいらしくて、うちに遊びに来ても、すぐに「さ、
帰るか」と言うくらい(笑)。

美人の母や姉が与えてくれなかった静穏を愛していたのでしょう。変わっ
た例かもしれませんが、美人の親や家族を持つと「美」以外の要素に惹か
れる人もいるということで>(以上)

可愛い子ちゃんをやがて小生は「ガミガミさん」と呼ぶようになった。カ
ミサンも小生をガミガミ叱る。それが趣味みたいだった。カミサンは「お
人形さんみたい」と言われていたのだが、初代ガミガミさんになってし
まった。「おまえ、前は優しかったのに・・・」と苦情を言うと、「こん
な性格にしたのはアンタじゃない!」とモーレツに怒るのだ。嗚呼。

二人のガミガミさん。ホームでもアウェーでも叱られっぱなし。

♪バカね バカね よせばいいのに
ダメな ダメな 本当にダメな 
いつまでたっても ダメな私ね

自嘲するしかない。やがて二代目ガミガミさんは年収2500万円のテレビ局
ディレクターに嫁いだ。結構なことである。その後、共通の女友達(アナ
ウンサーの愛人。退職金6000万円で正妻との離婚成立、晴れて愛人入籍)
の結婚式で一緒になり、その後で(好き心から)飲んだが、相変わらずの
ガミガミ。「もうちょっと優しくしてくれよ」と言えば、「こんな性格に
したのはアナタじゃない!」と怒り出す。わが正妻とそっくり。

はあー、脱力する・・・

転寝していた午後2時過ぎに皆が帰ってきたが、ネズミーランドではなく
「子どもの国」へ行ったのだそうだ。大いに結構なことである。夜は大
パーティー。お土産を持たして返した。いい「子供の日」だった。老人の
日か・・・(2016/5/5)

◆トランプが共和党を潰す

Andy Chang



旅行から戻ってきた翌日インディアナ州でプライマリー選挙があり、
トランプが圧勝してクルースが選挙から脱退し、続いて翌日にケー
シックも脱退宣言をしたのでトランプ一人勝ちとなり、共和党の大
統領候補はトランプと決まった。

翌日から輿論は大騒ぎとなり、共和党の団結を呼びかける者、共和
党から脱退する者、トランプ反対など議論百出となった。

私は前々からトランプにもヒラリーにも投票しないと決めていたの
でなんだかふっ切れた感じで、何をいまさら慌てているのかと慨嘆
している。

共和党党首を始め党首脳部がトランプの暴言放言で競争相手を潰す
行為を止められなかったからこんな結果となったのである。

●なぜトランプが勝ったのか

トランプが選挙に勝った原因は民衆の政治に対する不満とトランプ
の無制限な人身攻撃である。オバマは7年間の間にアメリカをダメ
にした。国民はアメリカの現状に不満が蓄積しているところへトラ
ンプが悪乗りして民衆の憤懣を煽る発言で支持者を増やした。その
上に競争相手を嘘吐きとか、女性候補の顔がマズイとか弱虫など、
民衆が面白がる悪口の連発で選挙に勝ったのである。

メディアもトランプに加担した。メディアは民衆が面白がるニュー
スを流して視聴率を上げたため、トランプの暴言が増幅されて民衆
の人気をさらに煽る結果となったのである。

だがトランプが大統領候補となり、更に大統領になったら自分の放
言に責任を負わなければならない。

トランプはメキシコ国境に塀を作り、メキシコ政府に金を出させる、
イスラム教徒の入国を禁止する、日本や韓国は米軍の駐屯費用を出
せと言った。経済問題ではNAFTA、TPPはアメリカの国益に反すると
も言い、中国日本、メキシコはアメリカの雇用を奪ったとも言った。

これらの発言は外交上不可能であり、仮にも言い出したら国際関係
を悪化させるだけである。アメリカが彼を大統領に選んだらオバマ
の8年に続く4年のトランプ暴政となる。

●共和党員の反応

共和党上層部ではトランプが大統領候補に決まったことで困惑して
いる。トランプ発言が国際問題だけでなく、女性の顔がマズイとか、
ブッシュは弱虫とかエネルギーが低いなどと罵り、クルースを嘘吐
き呼ばわりした。罵られた者がトランプに反対するのは当然である。
ジョージ・ブッシュ元大統領とパパ・ブッシュはトランプを支持す
るかと聞かれて言下にノーと答え、ジェブ・ブッシュはトランプに
投票しないと答えた。

また、トランプの幕僚はこの数日の間に70人ほどの共和党議員に電
話したが、電話を受けたのは20人ほどで残りの50人は忙しいと言
って断ったそうである。もちろんこれら議員の中には11月の選挙で
再選をする人も居て、彼らにとっては選挙区の民衆がトランプを支
持するかしないかが得票に大きく影響するので簡単に言えない苦衷
もある。

ポール・ライアン国会議長は昨日、トランプを支持するかと聞かれ、
まだ支持を決めていないと答えた。共和党の大物でさえトランプ支
持を決められないのである。ギングリッチ元国会議長はライアンの
返事は間違っている、共和党員なら党の決定を支持するのが当然だ
と答えた。しかしトランプは党内にたくさんの敵を作ったので上層
部ならともかく、下層党員に反対者が居てもおかしくないし、党員
ではない保守民衆がトランプに反対してもおかしくない。この数日
内に脱党したものがかなり居ると言う。

今のところ、選民にはトランプに投票する、ヒラリーに投票する、
トランプもヒラリーも投票しない、三つの選択肢がある。ヒラリー
が出るかどうかわからないが、出ないならサンダースに投票するも
のが増えるかもしれない。トランプはプライマリーで得票したが本
選挙では反対者の方が多いかと思われる。

●民主党の状況

トランプは自分の味方でも敵を作ったし、女性侮辱、黒人やヒスパ
ニック蔑視発言、イスラム教徒敵視発言など、国内の男女、宗教、
人種など、ありとあらゆる階層で敵を作ったので勝つ見込みは薄い
と言われている。対するヒラリー(起訴されなければ)も国民の人
気が低いので選挙がどのように発展するか予測は難しい。

この数日間のメディアの分析ではトランプがヒラリーに負けると言
う意見が大多数である。トランプ陣営は白人層の人気が高いからプ
ライマリーで数百万票を得たと強気だが、アメリカの白人層は有権
者の約19%で、81%の有色人層はトランプ反対と言われる。

但しヒラリーは個人スマホとサーバーの使用、ベンガジ事件などで
FBIが調査中だし、ヒラリーの上級秘書アベディンは4月にFBIの喚
問を受けたのでヒラリー喚問は近いと噂されている。ヒラリーにと
っては時限爆弾を抱えているようなもので、FBIが最終報告を出せ
ば起訴されるだろうし、起訴されなくてもトランプがFBIの調査を
取り上げて攻撃するのは当然だ。

●トランプが共和党を潰す

11月の投票日まであと7か月もあるのでこの間にいろいろは変化が
あるのは間違いない。しかしトランプが共和党を代表して選挙の出
ることはほぼ間違いない。共和党本部が今になってトランプの出馬
を憂慮しても遅い。

オバマはアメリカを目茶苦茶にしたので国民の不満が高い。国民は
オバマに不満だが国会の無作為にも大不満で、殊に共和党が国会多
数となってもオバマに反対できなかったことに大不満だった。

トランプは国民の不満を煽り、暴言や人身攻撃で多くの敵を作った。
共和党本部はトランプの人身攻撃や国際問題で勝手な発言をコント
ロール出来なかったのでトランプが勝ち進んだ、そして遂にトラン
プが共和党の代表となり、共和党上層部は遅まきながら自党の人気
が衰えることを憂慮するようになった。トランプを制御できなかっ
たのは共和党本部、特にプリーバス党首の責任である。

選挙にはまだ7か月あるのに、トランプが党を代表すると決まった
ことで脱党する者が出て、今週だけでも共和党の人気は衰えは明ら
かになったが、トランプが選挙で負けたら共和党は大分裂するかも
しれない。トランプが勝ってもこんな人間が大統領になったら国際
問題となって党は右往左往し、国民の不満は更に高まる。勝っても
負けても共和党の衰微は避けられない。党本部の無為無策のためト
ランプが共和党を潰したのである。

2016年05月07日

◆習近平主席の熊本地震お見舞い電報の裏に

川越 一



習近平主席の熊本地震お見舞い電報の裏に「政治利用」が透けて見える 
熊本、大分両県に甚大な被害を与えた地震で、中国の習近平国家主席が天
皇陛下にお見舞いの電報を送ったと、4月19日付の中国共産党機関紙、人
民日報が1面で報じている。

李克強首相は安倍晋三首相に、王毅外相は岸田文雄外相に宛てて、見舞い
のメッセージを送ったという。それぞれ「カウンターパート(対等の立場
にある相手)」に送ったということだろうが、習氏は自分を天皇陛下と
「対等」と位置づけていることを意味する。

人民日報によると、習氏は電報の中でこう述べている。「中国の政府と国
民を謹んで代表し、犠牲者に深い哀悼の意を表するとともに、遺族と負傷
者に心からの見舞いの意を表する。日本の人々が一日も早く困難を克服
し、故郷を再建することを心より祈る」−。

一見、被災者を思いやっているように映るが、実は日本に対する冷たさが
隠されている。

習氏が天皇陛下に電報を送ったことを伝える人民日報のニュースのすぐ下
には、熊本地震と同じ時期にマグニチュード(M)7・8の大地震に見舞
われた、南米エクアドルのコレア大統領に対し、習氏が電報を送ったとの
記事が掲載されている。

コレア氏に送った電報は、ほぼ天皇陛下に送った電報を“コピペ”したよう
な文言が並んでいる。ただ、2つの電報には大きな違いがあった。習氏は
コレア氏に「中国の政府と国民の代表」との立場に加え、「個人名義」で
も哀悼と見舞いの意を表明しているのだ。

熊本地震の発生後間もなく、日本で暮らす中国人や中国人留学生は自発的
に、中国版ツイッター「微博」や無料通信アプリ「微信」を通じて、中国
人支援ボランティア組織「熊本賑災」を結成した。

人民日報のニュースサイト「人民網」によると、同組織は、ネット決済シ
ステムを使った募金活動を展開しているほか、実際に飲料水や食料、おむ
つなどの支援物資を被災地に届ける活動を行っている。

東京を出発したメンバーは道中、公園の水飲み場などで洗顔したり、車の
座席で仮眠したりしながら、夜通し車を走らせて物資を届けたという。

中国国内でも、訪日経験のある中国人が募金活動を計画している。日中外
交筋によると、唐家●元国務委員からも「温かい言葉があった」という。

こうした善意の動きについて、日中外交筋は「自然災害のときは政治的な
難しさを飛び越えて補い合う。どういう意図でとか、どういうことでとい
うよりむしろ、近所同士、天変地異のときは見舞いを言い合い、助け合
う。近所同士のよしみと感じている」と謝意を示したが、習氏の電報につ
いては、何らかの意図があるとの先入観を拭えない。

天皇陛下と習氏といえば、今も記憶に残る騒動があるからだ。民主党(当
時)政権下の2009年12月、当時国家副主席だった習氏が訪日した際、天皇
陛下との会見をごり押しした一件だ。

日本国憲法第1条は「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴で
あって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」と規定してい
る。象徴としての天皇陛下が政治利用されることを防ぐため、外国要人と
の会見は国事行為でなく、公的行為とされている。

しかし中国側は、共産党政権の権力基盤強化のため、天皇陛下との会見を
政治利用した。前例があるだけに、権力を集中させて政権の「安定」を演
出する習氏が、天皇陛下を「国家元首」とみなし、自らの権威を高めるた
めに政治利用したとしても意外ではない。(中国総局・川越一 かわごえ
 はじめ)
●=王へんに旋
産経ニュース【川越一の視線】2016.5.3 09:30更新


◆共有文化「演歌的叙情」の復活を

平井 修一



歌謡曲は子供の頃から結構好きだった。「明治一代女」は昭和10年(1935)
発表で、多分、母がしょっちゅう歌っていたからだろう、小生も物心つく
前から歌っていた。作詞:藤田まさと、作曲:大村能章、歌唱:新橋喜代
三とある。

(一)
浮いた浮いたと 浜町河岸に
浮かれ柳の 恥かしや
人目しのんで 小舟を出せば
すねた夜風が 邪魔をする

(二)
怨みますまい この世の事は
仕掛け花火に 似た命
もえて散る間に 舞台が変わる
まして女は なおさらに

実にいい歌詞、曲もいい。

昔は一流の作詞家、一流の作曲家、一流の歌手の合作でヒット曲が生まれ
た、と思う。ヒット曲は半年とか一年に一本だったから、長い期間、ラヂ
オから流れるので、子供から老人まで口ずさんだ。日本人の共有する文化
だった。まさしく「歌は世につれ世は歌につれ」だった。

これが何事も二流のようなシンガーソングライターが跋扈するようになっ
て、粗製乱造になり、老若男女が共有する文化ではなくなった、と思う。
みんな赤の他人みたいだ。

産経4/30「【書評倶楽部】ポップスは低級なのか『「歌」の精神史』山折
哲雄著 京セラ元会長・伊藤謙介」は実に良かった。

<本書は、演歌的叙情の喪失と復活をかかげる。まえがきで著者は次のよ
うに述べる。

〈いま、叙情が危ない。我々のこころの世界が乾き、叙情を受け容れる器
が水漏れをおこしているのではないか。叙情とは万葉以来の生命のリズム
のことだ・・・いまこそ「歌」の精神を取り戻す時ではないか〉

著者の次のような言葉が印象的だ。「クラシックは高級でポップスは低級
なのか。ベートーベンを聴かずにひばりばかり聴いている人間はほんとう
に低俗な人間であるのだろうか」

悲愁と哀感に彩られた叙情こそ、人間存在の根源に迫る。情感を失って砂
漠化しつつある現代にとって、叙情こそ重要なことではないかと私には思
えた>(以上)

ドライ≒砂漠≒一神教に対するに、日本はウェット≒瑞穂≒多神教だ。瑞々し
い情感を湛え、古来より多くの歌を生んできた。明治からの西洋由来の自
由詩は日本の風土に合わなかったのだろう、韻もないからほとんど流行ら
なかった。

昔から芸能は共有文化だった。通称「三勝半七」(さんかつはんしち)、
正式には「艶容女舞衣」(はですがたおんなまいぎぬ)。

<歌舞伎と人形浄瑠璃の演目。元禄時代に実際にあった茜屋半七と島の内
の遊女美濃屋三勝の心中事件を題材にしたもの。「今頃は半七さん。どこ
でどうしてござろうぞ・・・去年の夏の患いにいっそ死んでしもうたらこ
うした難儀はせぬものを」という有名なクドキを演じて苦しい胸の内を語
る>(ウィキ)

戦前まで大人の共有文化だったから、誰かが「今頃は半七さん」と言え
ば、他の人が「どこでどうしてござろうぞ」と引き受けただろう。

今はどうだろう、「忠臣蔵」は12月になるとテレビで放映するのだろう
か、「遅かりし由良之助」なんて今では死語だろう。

戦後、日本人は「古い上着よさようなら」と共有文化を捨てていき、それ
に代わるものを創れなかった。今はテンデンバラバラ、個人主義ばかりの
ような気がする。これでは淋しくはないか。まずは共有文化としての「演
歌的叙情」の復活に期待したい。(2016/5/5)



◆岸井成格氏らが豪語する違和感

阿比留 瑠比


反権力がマスコミの本分なのか 岸井成格氏らが「真実を伝え、権力を監
視する姿勢を貫く」と豪語する違和感

少し前の話で恐縮だが、元外交官で立命館大客員教授の宮家邦彦氏が14
日付本紙朝刊に寄せた「ジャーナリズムの本質とは」と題したコラムを取
り上げたい。報道の目的とあり方についての考察に、深くうなずけたから
である。

宮家氏は、朝日新聞の記事中で、あるニュースキャスターがジャーナリズ
ムの最大の役割を「権力を監視する番犬『ウオッチドッグ』であること」
と述べていたことに「強い違和感」を表明する。

 そして在京の外国特派員らに意見を求めたところ、「権力の監視」説は
少数派で、多数派の見解は「事実を可能な限り客観的に伝えること」だっ
たと指摘し、こう結論付けている。

「ジャーナリズムの任務は、相手が権力であれ、非権力であれ、自らが事
実だと信じることを人々に伝えることが第一であり、『権力の監視』はそ
の結果でしかないということだろう」

「首相クビにした」

筆者も長年、著名ジャーナリストやキャスターらがためらいなく報道を
「反権力」と位置づけ、自分たちの使命を「権力の監視」と主張すること
が不思議だった。権力側であれ非権力側であれ、いいものはいい、ダメな
ものはダメの是々非々でいいだろうにと。

産経ニュース【阿比留瑠比の極言御免】2016.4.28



◆古寺旧跡巡礼 瑞龍寺(富山県高岡市)

石田 岳彦(弁護士)



加賀百万石といわれますが、金沢藩・前田家は加賀国(現在、石川県南部)のみを治めていたわけではなく、能登(石川県北部。最初に織田信長からもらったのは実はこちらの方です。)と、越中(現在の富山県)も前田家の領地です。

加賀藩の初代藩主である前田利長(としなが)は、異母弟で養子の利常に藩主の座を譲り、越中の富山城に隠居しましたが、火事で焼け出されたため、新たに越中国の関野の地に築城し、新たにこの地を「高岡」と名付け、こちらに移りました。

利長が亡くなった後、弟の利常はその菩提を弔うべく寺を建てたのですが(正確には利長が建てた寺を建て替えて改名したそうですが、前後で規模が全く違うので、「利常が建てた」と言ってよいでしょう)、それが今回ご紹介する瑞龍寺です(ちなみに山号は「高岡山」)。

高岡駅の改札口を出た私を出迎えたのは「としながくん」という鎧武者の格好をしたゆるキャラ(地方自治体作成の広報用キャラクター)の看板でした。

ひこにゃん(滋賀県彦根市のゆるキャラ)が大ヒットを飛ばして以来、地元ゆかりの武将をモチーフにしたゆるキャラを作る自治体が急増した気がしますが、利長は高岡市の生みの親といってもよい人物であり、それに由来したゆるキャラを作ったのでしょう。

駅の南口を出て5分ほど歩くと、「右へ行くと瑞龍寺、左へ行くと前田利長公墓」という立て札があります。右に曲ってさらに5分ほど歩くと瑞龍寺です。

拝観料を払い、総門(これもどっしりとした風格のあるものです)をくぐると、石畳の参道の両側には白洲が広がっており、正面に巨大で重厚な山門がそびえています。
 
瑞龍寺では、この山門と後述の仏殿、法堂の3棟が国宝に指定されており、ジャンルを問わずに富山県で唯一、建物としては北陸でやはり唯一の国宝です(平成22年6月現在)。

これだけ立派な寺をこしらえたのは、何人もの兄弟の中から自分を養子にし、藩主を継がせてくれた(利常の体格の良さが決め手だったとのことです)利長に対する利常の感謝の念がそれだけ大きかったということでしょう。

白洲の間の参道を歩いて山門を抜け、次に目に飛び込んでくるのは一面の鮮やかな緑。山門の左右から回廊が伸び、一番奥にある法堂を両側から挟み込み、中央の仏殿を囲む格好で四角形の中庭を形成していますが、その中庭には芝生が敷かれています。

お寺に芝生という意外な組み合わせにまず驚きますが、長い風雪を経てくすんだ古建造物と鮮やかな芝生の緑が違和感なく調和していることにもやはり驚かされます。誰が考え付いたのでしょうか。

仏殿の屋根瓦は白みがかった色をしていますが、これは瓦が鉛製のためで、鉛瓦葺の建物は現存するものではここと金沢城の石川門だけとのこと。

パンフレットによれば、鉛を使ったのは、美観に加え、戦のときに溶かして鉄砲玉にするためということですが、戦に備えた姿勢を公然と示すわけですから、江戸幕府に睨まれそうな気がします。

もっとも、利常という人物には、時として、幕府に対し反抗的と見られかねない行動を好んでとりたがる傾向があったようで、この件もその一環かも知れません。

ちなみに兄の利長は豊臣家と徳川家との間で板挟みになり、病死ではなく、服毒自殺だったのではと噂されるような人物で、兄弟といえどもかなり性格が異なったようです。

仏殿に入ると(鳩が入らないように、扉を開け放しにしないように張り紙があります。鳩の糞害も馬鹿になりません。)、中央の高い須弥壇上には釈迦三尊像。禅寺の場合、ご本尊は基本的に釈迦如来です。お釈迦様が菩提樹の下で瞑想のすえ、悟りを開かれたことをもって、座禅の始まりとされていますので。 

お参りを終えて法堂に向かいます。なだらかな銅板葺きの入母屋屋根の建物です。


入り口から見て、手前が土間の廊下になっていて、左右の回廊へと繋がっています。正面入り口で靴を脱いで板間に上ることができますが、土間との高低差はかなりのものです。

板間の奥は畳敷きの部屋が横3室×2列の方丈(禅寺で住職が居住する建物)様式の間取りで並んでいます。中央には利長の巨大な位牌が存在感たっぷりに立っていました。

回廊で繋がれている大庫裏、禅堂等もひとまわりし、総門から出て、法堂の裏側に回ると、織田信長、その長男で跡継ぎだった信忠(のぶただ)、前田利家、利長らの供養塔があります。

瑞龍寺の前身になった寺は、利長が織田信長・信忠父子の菩提を祀るために建立したということなので、利常がこれらに父(利家)と兄(利長)らを加えて、供養塔を建てたということでしょう。

なお、前田家がおそらく織田信長と同じか、それ以上に世話になったであろう豊臣秀吉の供養塔が無いのは、徳川政権下で生きるための大人の事情というやつでしょう。おそらく。

柴田勝家の供養塔が無いことまでとやかくいうのは、さすがに意地悪でしょうか。

来た道を戻り、先ほどの分岐点から、今度は前田利長の墓に向かいます。瑞龍寺からゆっくり歩いて15分ほどでしょうか。


「戦国大名としては日本一の規模」と看板やパンフレットに書かれており、確かに立派なものです。 もっとも、彼の父の利家は、本来、織田信長配下の一武将で、織田家の巨大化とともに大名になった人物ですし、その死後に跡を継いだ彼はあくまでも豊臣政権下(正確には秀吉亡き後の徳川幕府への移行期)の一大名だったので、利長が「戦国大名」といえるかについてはかなり疑問を感じますけど。

ともあれ、父と弟に挟まれていまいち存在感が薄く(利常又は、大河ドラマの主人公になる前の利家の一般的知名度が、利行のそれとどのくらい違うかと問われると実のところ困りますが、歴史ファン的にはそのようなイメージです)、かつ、幸福とも、穏やかとも言い難い晩年を送った利長ですが、立派な菩提寺と墓を建ててもらい、地元民から町の父と慕われ、ゆるキャラにも抜擢される(これに関しては喜んでないかもしれません)等、死後においてはそこそこ恵まれているようです。

駅に戻り、北側へ向かえば、利行の築いた高岡城があり、途中には鋳物の町・高岡のシンボル「越前大仏」が鎮座されています(本当にどうでもよいことですが、大仏前で大仏焼きという、たい焼きの親戚が売っていました。)。

また、残念ながら、今回は行く時間がありませんでしたが(大阪〜高岡日帰りなんて無茶なことはするものではありませんね。)、郊外には、前田家により建てられた重要文化財建造物が多数残る、伏木地区も控えています。
 
泊りがけでゆっくりと見て回りたい町です。     終

2016年05月06日

◆トランプ候補の指名獲得が確実に

宮崎 正弘
 


<平成28年(2016)5月5日(木曜日)通算第4895号 >

 〜米共和党、トランプ候補の指名獲得が確実に
   トランプで結束できるか否かで勝負は決まる?〜

5月3日、トランプは苦戦を伝えられたインディアナ州で、クルーズ候
補に大差を付けて勝った。これを受けてクルーズが撤退を表明し、事実
上、共和党の大統領正式候補にトランプが確実となった。

共和党中枢にはトランプ排撃の動きがのこるものの、反トランプで独立
候補を立てようとした動きは沈静化し、党幹部らは「トランプで一本化
し、協力体制を敷かなければクリントンに負ける」として、協調体制を呼
びかけ始めた。

しかし共和党支持者の中で、トランプを嫌い、「クリントンに投票す
る」という人々が相当数いる。またワシントンはほぼ完全にトランプとい
うアウトサイダーに対してそっぽを向いている。ウォール街は「勝てる候
補に乗り換える」特技があるので、やがて、トランプ陣営へ馳せ参じるだ
ろうと見られる。

同時に民主党にも、「クリントンになったらトランプへ入れる」という、
嘗ての「レーガンデモクラット」のような一群の人々がいる。
 どちらが多いか。

「好感度調査」で、クリントンが意外に嫌われている数字が、過去一年
間まったく変わらないばかりか最近は増えている現象がみられる。

これを「ガラスの天井」というが、はたしてヒラリークリントンは、こ
のガラスの天井を突き破ることが出来るか。

次の米大統領選挙はもはや 共和党 vs 民主党 という図式ではは
かれない、異常な事態となっている。
      

◆不可思議な「最後の狂乱」

石 平



中国政府公表の今年第1四半期(1〜3月期)の経済成長率は6・7%であ る。2015年の成長率より0・2ポイント落ちて、7年ぶりの低水準となっ た。2月11日掲載 の本欄も指摘しているように、昨年の中国政府公表の成 長率自体が「水増し」の結果 であった。

今年第1四半期は、さらに低くなっているから、中国経済はかなり低迷し ていることがよく分かる。

だが、同じ今年第1四半期、経済低迷の最中に、「一線都市」と呼ばれる 北京、上海などの大都会で不動産価格が未曽有の急騰を記録したという不 可思議な 現象が起きていた。

たとえば1月、北京、上海、深センの3大都市の不動産平均価格は 前年同 期比でそれぞれ11・3%、21・4%、52・7%も上昇した。

2月にも上昇が続いたが、3月になると、北京と上海の不動産価格の上昇 率は前年同期比で、それぞれ17・6%、30・5%と拡大し、深センのそれは何 と、62・5% という驚異的な数字となった。

3大都市の不動産価格暴騰は当然、全国的な波及効果を持つこととなっ た。国家統計局が発表した3月の新築住宅価格指数は、主要70都市のうち 62都市で前 月と比べて上昇した。

問題は、経済全体の成長率が低落し実体経済が沈没している中で、どう して不動産価格が急騰したのかである。その理由の1つは、昨年末以来、 中央政府と 各地方政府が実施した住宅ローンの頭金比率の引き下げや不 動産取得税、営業税の減 免措置など一連の「不動産振興策」にある。一 部の地方政府に至っては、無一文でも 不動産が買えるようなむちゃな 「頭金0政策」まで打ち出した。

それでも不十分だと思ったのか、今年に入ってから中国政府はもう1 つ、 それこそ究極の「不動産市場振興策」を断行した。

それは、紙幣をむやみに増刷し、それを湯水のように市場に放出すると いう伝統の「経済救急策」である。今年の第1四半期、中国の各銀行が放 出した新規 融資の総額は何と4・61兆元(約78兆円)で、中国経済史上最 高記録となった。

その 22%に当たる約1兆元分の融資が個人の不動産購入への融資となって 不動産市場に流れ 込んだ。

その結果、各大都会の不動産価格が急騰し、往時の不動産市場の「繁 栄」が再びよみがえったのである。もちろんそれは、実体経済の沈没を食 い止めるため に、あるいは単に実体経済の沈没を覆い隠すために、中国 政府が行った「カンフル剤 注射」の結果にすぎない。いわば不動産市場 の「官製バブル」そのものであった。

もちろんバブルがバブルである以上、それはいずれはじける以外にな い。3月下旬になると、「一線都市」での不動産価格のあまりの暴騰ぶり に恐怖感を覚 えた中国政府が一転して、住宅ローンの頭金比率の引き上 げなどを中心とした「抑制 策」を実施し始めた。

その結果、4月24日までの1カ月間において、深センの新規分譲住宅の成 約件数は前月比で半減した。北京、上海でも数割減となったから、価格再 び下落に 転じていくのはもはや時間の問題である。中国政府の手によっ て作り出された「不動 産官製バブル」は同じ中国政府の手によって引導 を渡される見通しだ。

在野の著名な経済学者、馬光遠氏が「不動産市場の最後の狂乱」と称し た今春の中国不動産バブルはこのように春の終焉(しゅうえん)と同時に 破滅してい く運命にあろう。

問題は、「最後の狂乱」が収まった後、中国政府は一体どうするのか だ。昨年の「官製株バブル」の破綻に続いて、今年の「官製不動産バブ ル」もはじけ れば、習近平政権にもはや、中国経済を垂死から救い出す 手は何も残されていないの ではないか。

             ◇

【プロフィル】石平

せき・へい 1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、 神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活 動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。
産経ニュース【石平のChina Watch】

                  (収録:松本市 久保田 康文)


2016年05月05日

◆米「噴火マグマ」は危険域

平井 修一

  

日本は「ぬるま湯社会主義桃源郷」だと最近、小生は書いているが、どうもこれは当たっているようだ。片や米国は「弱肉強食銭ゲバ金融資本主義国」あるいは「マネーゲーム金融至上国家」のようである。

2年ほど前に「米国の製造業はどうなっているのか」と図書館などでも調べたのだが、ろくなデータがなくてほとんど分からなかった。(経済は生ものだから近未来予想には直近のデータがないと役に立たない)

成長産業は製造業から投資リターン率の良い金融サービス業へシフトしているのだろうなとは感じていたが、今や「シフトし過ぎ」で、どうやらかなりヤバイほどに噴火マグマ、矛盾が巨大化してきたようだ。

キヤノングローバル戦略研究所は2015年12月に、シンポジウム「地球規模の公共プロジェクトの必要性とBRICS Bank」を開催した。以下は同シンポジウムでの講演者のひとりJeffrey Steinberg氏(Editor in chief of the Executive Intelligence Review=米国の週刊ニュースマガジン)の講演「米国経済の実情」からの抜粋である。

戦後の米国経済の流れ、そして現在の問題点が実に良く分かる。トランプがなぜ人気があるのか、サンダースを若者が支持する理由なども分かってくる。短くしたが、それでも長い。ご寛恕を。

<私はこのプレゼンテーションの中で、まず最初に悪いことばかり申し上げます。しかし、その悪いニュースの中にもいろいろとこれからわれわれが期待できるような、本当はもっと昔に実施してもらいたかったような政策変更が、アメリカで起こるのではないかということもお話ししていくつもりです。

*失業率の実態

アメリカの失業率はここ2年間に10%から7、8%へと下がり、最新のレポートでは、10月の失業率は大体5%まで下がっているといわれています。5%というのは「完全雇用」ということになります。

しかし、その労働統計局のデータをよりしっかりと見ていきますと、まずは最初に、彼らがいう労働力と、実際の18歳から67歳の生産年齢人口の間に、大きな違いが見えてきます。

勉学をしているわけでもないし、軍に入っているわけでもない、あるいは刑務所にいるわけでもない人たち、さらに障害で苦しんでいるという人たちなどを除いて、実際に生産年齢人口で働ける人たち=労働人口は1億5600万人ぐらいになります。

しかし、それに加えてさらに9400万人ぐらいの人たちがいるのです。彼らは18歳から67歳までの間で仕事をしていない人たちです。この9400万人の人たちは、すでにもう仕事を見つけることも諦めてしまった、あるいは決して仕事を見つけることができないということで、労働力人口の中にはカウントされていないのです。こうした人たちは統計の中には出てこないのです。

このような人たちを含めて生産年齢人口全体を見て、その中でもフルタイムの雇用を探している人たちを見ますと、そういう人たちが職に就けないということで、本当の失業率は10%を超えることになるのです。

その他の要素として、実際にアメリカの中で働いている人、あるいは労働力人口の中に入っている人、そういうふうに計算されている人たちの40%が年間所得1万5000ドル(165万円)以下であるということが挙げられます。

そういう人たちはフルタイムで週に35時間から40時間働いているが、最低賃金で働いている。あるいは、フルタイムの仕事が見つからず、パートタイムなどの不完全就業の状態にあります。

アメリカの国民中で2300万人のたち、つまり生産年齢人口の10%ぐらいになりますが、そういう人たちの年間所得は5000ドル(55万円)以下という失業者あるいは不完全就業者を見ていきますと、そういう率は大体フランクリン・ルーズベト(FDR)が大統領に就任した大恐慌の初めのころ(1930年)に似ています。

(現在の)状況はさらに悪化してきています。というのは、たくさんの人が長期的に失業しており、成長経済に参加するためのスキルが減ってしまって、事実上の恒久的失業者となっているのです。

*生活水準の低下

それからもう一つ、生活水準の低下という問題もあります。人々の生活がアメリカ国民の中でもますますひどくなっています。このことは、アメリカ経済の性質変化を反映したものです。

第2次大戦が終わり、そして50年代、60年代を見ますと、アメリカの労働力人口の40%が何らかの形で生産的な経済に参加していました。

例えば製造業だとか、建設業だとか、鉱山つまり鉱山業だとか、物を生み出す産業に就いていた。それがどんと減っています。

アメリカの工業力、産業力がアウトソースされてしまっているので、本当に物を生み出す活動、つまり鉱山、建設、製造業ですけれども、実際に労働力人口のうち、このような物を作り出す仕事に従事している人たちはわずか12.8 %にすぎません。そして製造業は8.2%にしかすぎないと。

アメリカ経済の92%が間接的なもの、あるいは非生産的なものです。間接部門すべてが非生産的とは言いません。しかし、アメリカの全労働人口の中で製造業に関わっているのがわずか8%にすぎないことを考えた場合、重大な変化があったと思われるでしょう。

かつて、アメリカの中産階級世帯のかなり大きな部分はブルーカラーの世帯でした。1970年代までは、デトロイトやミシガンの世帯の平均所得はアメリカで最も高いものでした。しかし今のデトロイトやミシガンには、第二次世界大戦で荒廃してしまった中央ヨーロッパの都市やゴーストタウンになっているような所が見られます。

このようにアメリカ経済の性質そのものが変わってしまった。 そのため、賃金をかせぐ力だとか、そういうものがどんどん破綻し、そがれていきます。ブルーカラーとして仕事をしていきながら、中産階級でいるとうことはもはや不可能になってきています。

製造業において、いろいろ技術進歩や革新的なイノベーションも起こっていますが、そういう活動の多くは国防省や宇宙航空産業などのセクターで起こっています。実際に製造業に就いている人たちの10%が国防関係の仕事についています。

そういう人たちが関わっているのは、例えばF35だとか、次世代のオハイオ級潜水艦だとか、その他軍のための重機、例えば国防総省や海外に売るための物です。

それを除きますとアメリカの人口の中で生産的な活動に従事している人、近代経済を効率的に運営していくために必要な仕事に就いてる人たちは本当に少ないことが分かってきます。

高度に発展している経済はスナップショット型(平井:速射型?)で、例えばマシンツール(工作機械)のセクターを見ると、その様相がよく理解できるのです。このマシンツールというのは製造業が使うツールをいろいろ生産するものですが、アメリカ経済の中でも持続的に凋落傾向にあり、長期間にわたり下がってきている部門です。

昔はアメリカとドイツがマシンツールの生産者として長い間、世界で1位と2位でした。日本がその後出てきて、この3国が世界のマシンツール製造最大手となっていました。

しかし1998年から2009年にかけて、アメリカのマシンツール生産は23%低下しました。同じ期間に、中国のマシンツールの生産量は714%も増加しました。

やはりアメリカのこうい部門での体たらくは明らかです。昔は、アメリカは世界のマシンツール生産量の25%から30%を占めていましたが、今では5%しかありません。

*金融セクターの問題 〜 グラス・スティーガル法の廃止

金融セクターを見ますと、21世紀初頭のブッシュ政権の初期からオバマ政権の7年の間に、なぜ著しい投資の引揚げが起こってきたのかということが分かると思います。グラス・スティーガル法が1999年に廃止されました。

フランクリン・ルーズベルトが1933年に導入した同法は、大恐慌時代に大き過ぎて潰せない巨大銀行を解体し、商業銀行、投資銀行、保険会社へ分離するための法律でした。

同法の成立から廃止までの66年間に もちろん何度か銀行が倒産したり、株式市場が破綻したり、1950年代や1990年代の初めはリセッションなどがありましたが、実際に2008年(リーマンショック)に起こったあれほどのひどいことは起りませんでした。

しかし、同法の廃止からリーマン・ブラザースによる2008年のあの危機の間、6社のアメリカ大手銀行が非常に支配的なりました。それらの銀行の商業銀行部門は同法で規制していた業態の分離から解放されたので、さまざなギャンブル的なレバッレッジの高いデリバティブ(金融商品)のほうに投資をしていってしまったのです 。

そのため商業銀行の元々の目的である実体経済への投資からはどんどんと資金を引揚げて、その資金をデリバティブなどに投資していったのです。

2008年、TARP Program(不良資産救済プログラム)が導入され7000億ドルの政府による救済が始まりした。ウォールストリートの救済のために23.7兆ドルが準備され、15.5兆ドルが実際に使われましたが、これは基本的にただ乗りでした。

というのは、商業銀行業務を完全に分離させ、商業銀行の預金者のお金をギャンブル的な活動や投資銀行業務や保険業務には利用させないという、本格的で根本的な規制がなされなかったのです。

そして2008年の危機から7年経った今、大きすぎて潰せないという(too -big -too -fail)6社から8社の巨大銀行は、40%も大きくなっているのです。

この7年の間、アメリカではゼロ金利政策がとられてきたので、その結果、引退した人、引退後の準備のために長期間にわたり貯蓄してきた人たちなど、大体2〜4%ぐらいの利子を見込んでいた人ちが、実際には利子に頼ることができなくって一番被害を被っているのです。

あるエコノミストによと、この7年間にゼロ金利の制度があった故に、引退者あるいは引退のために準備をしている人たちの収入損失はおよそ10兆ドルにも上っていると言っています。この10兆ドルはまさに購買力です。それは家計から実体経済へ流込むはずのお金でした。

*社会の基本構造の崩壊

FDIC(連邦預金保険会社)の副会長のトーマス・ホニング氏は、グラス・ スティーガル法を復活させ、それに加え他のいくつか対策をとらなけば大暴落が再び起こると言っています。そして現在の制度を根本的に変えなければ、再発は避けられないと。

ドッド・フランク法案やボルカー・ルールは 、ウォールストリートのロビーイングによりいろいろと浸食され、骨抜きにされてしまって、実際には本格的 な規制は全然行われていません。

そのために社会的な影響が広まっています。その中には、とてもショッキングなレポートがあります。アメリカの疾病予防管理センター(CDC)は2015年8月にヘロインの依存症の急増をレポートしています。

全年齢あるいは全世帯においてヘロインの流行と依存症が増えているのですが、中でも一番増えているのは年収5万ドル以上の世帯です。つまり、アメリカでこれま見たことがないような、社会の基本構造の崩壊現象が起こっているです。

すべてのアメリカ世代をずっと見いきますと、日本でもそうだと思いまが、長い間、子どもたちや孫はもっと自分たちよりもよい人生を送っていくだろうと信じて生きてきた。だから一生懸命働いて、貯蓄をした。そして子どもたちは教育水準も高くなり、物質的な状況ももっとよくなり、レジャーももっと増えるというこを期待していたのです。

が、アメリカで行われたここ4、5年間の調査を全部見ますと、人々は初めて子どもたちの生活状況は自分たちよりも悪くなっていると言っています。

1920年代の終わりから30年代の初め頃の最後の大恐慌以来、アメリカでは人々はそういうことを言ってきていないのですが、今ではそう言われ始めています 。

ニューヨクタイムズの健康に関する記事や、プリンストン大学のノーベル賞受賞者の報告書の中で、中年層のアメリカ人死亡率が増えていることが報告されています。 特に、45歳から54歳までの高等学校の教育しか受けてないという人たちが50代の初めに死亡しているのが、ここ5、6年の間に倍増していると言っています。

ある医師は、現在起こっているほどの死亡率急増は、アメリカの歴史の中で、HIVエイズの流行の初期以外にはなかったと言っています。伝統的な白人の中産階級の死亡率が急増しているということであり、これはヘロインの流行が一番顕著に見られた世帯でもあります。

*若者の失業率の増大

これは本当に危険な状況ですが、今の実際の経済状況により、最も甚大な被害を受けているのは若い人たちなのです。2013年時点で、アメリカの50州のうち30州において、若者のうち、 失業およびフルタイムの仕事が見つからないという不完全就業の若者たちが30%以上もいました。

それは若者の年齢層全体に押し並べて該当することです。高等学校卒、あるいは高等学校からドロップアウトした若者だけでなく、大学卒の若者も含んでいるのです。

私は感謝祭の休暇中、私の甥と連絡をとる機会がありました。彼は2年前にアイビーリーグの大学を卒業したのですが、彼の親は4年間の大学教育のために25万ドルの貯蓄を全部使い果たしていました。

卒業後その彼が仕事を見つけるのに2年もかかったと言っているのです。しかもこれは自分だけに起きた稀なことではないのだと。アイビーリーグの卒業生で北東部の大きな都市に住んいる人間でありながらも仕事が見つからない。若者失業率が40%以上という州は五つあります。

*グラス・スティーガル法の復活に向けて

最後に、一つ楽観的なことも付け加えておきたいと思ます。というのは、これに対して手を打つのは可能なのです。最低のところま落ち込んでからワシントンの政策担当者などに揺さぶりをかけて、彼らが本当に行動を取るようにさせる。

その一つ、グラス・スティーガル法を復活させようという法案が上下両院で出てます。2016年の大統領選で最も重要な争点になるだろうと、真剣に言っている大統領候補者もいます。

民主党でヒラリーに対抗しているサンダースも、グラス・スティーガル法を復活しなくてはならないと主張しています。彼は上院へ提出した法案の共同発議者です。

グラス・スティーガル法を復活させることは欠くことのできない最初のステップなのです。やってはならいこと、問題解決のためにやるべきこと、その両方が歴史からいろいろ学べます。

例えばフランクリ・D・ルーズベルトが 1933年3月に大統領に就任したときの危機と、今日我々が直面している危機はよく似ています。今日の危機の方が大 きいぐらです。今日の方が、かつての大恐慌の時よりも長期失業者が増えいるのです。

大恐慌当時、ルーズベルトはその時にあったいろいろなシステムを駆使し直接的に連邦政府の資金を出して雇用を生み出し、そして連邦政府の構造なども立て直しました。

彼が大統領になって最初の9カ月で900万人の雇用を生み出すことができました。その中には、田舎でのベーシックな仕事、例えば木を植える植樹作業をする、あるいはダムや運河を造るという仕事も入ってました。それらは、 若い人たちにある種の技能を学ぶ機会を与えるものでした。

今日の経済では、IT産業などの高所得が得られるような分野があります。しかし、製造業が非常に栄えたころは、デトロイトなどでは一世帯あたりの所得がアメリカでも最高だったのです。

実際の物を製造する経済やインフラや食料生産や水の管理などがなければ、私たちはやっていけないのです。これまでユーラシアで採られてきたような政策の多くは、アメリカでも採られてもいいと思います。そのためには政策の真摯な転換が必要です。

今それをするためには、まずアメリカの実体経済の実情がどれだけ悪いのかを直視しなければいけない。そうしなければ、解決策は見つかってこないと思います>(以上)

金融界=ウォール街がモンスター化して国民を脅かしている。政財官界のエスタブリッシュメントはそれを規制するどころか、一緒にうまい汁を吸っている、トランプ、サンダースしかいない、と多くの人が思っているのだ。米国経済がまともになることを期待したい。

参考:BBC4/8「【米大統領選2016】クリントン、サンダース両氏の対立激化 大統領になる資格めぐり」

<ニューヨーク州予備選を19日に控え、4日付のニューヨークデイリーポスト紙に掲載されたサンダース議員のインタビュー記事が、最新の舌戦の発端となった。大銀行の振る舞いを強く非難して支持を拡大してきたサンダース氏が、具体的な金融改革や銀行規制強化などについて回答に苦慮している様子がうかがわれた。

これを受けて6日、MSNBCの朝の情報番組に出演したクリントン氏は「勉強不足だと思う。そして明らかにきちんと勉強もしていなければ理解もしていないことについてもう1年以上、いろいろと言ってきたわけで、となるといくつか疑問が湧いてくる」と批判した。

これに対して6日夜にはサンダース議員がペンシルベニア州フィラデルフィアのテンプル大学で、「クリントン長官に回答させてもらいたい。スーパーPAC(政治資金管理団体)が特定利益がらみの寄付を何千億と受け取っている人が、大統領になる資格があるとは思わない。スーパーPACを通じてウォール街から1500万ドルももらってる人に、資格があるとは思わない」と非難を返した>(2016/4/10)