2017年12月21日

◆セクハラを断絶すること

Andy Chang

感謝祭の休暇が終わって今日は国会議員が出勤したが国家のセクハラ騒
動は続いている。クリスマス気分でうかうかしている時ではなく、国会は
あと2週間のうちに来年の2018年度予算を通す必要があり、続いて下院で
通した税制改革法案も年内に通す必要がある。

ところが上院と下院ではともにセクハラ議員の辞職を求める声が高いの
で、法案審議にもいろいろ影響を及ぼし混乱を極めている。

セクハラは政治家だけでなく、社会全体の問題である。ハリウッド、国
会、政府機関、各種の会社や企業、軍隊(特に軍艦)、学校、医療機関や
病院、慈善事業、教会団体、スポーツ団体など、公立、私立の社会全体共
通したルールを作らねばならない。

セクハラを断絶しなければ真の民主国家と言えないし、社会の混乱は収ま
らない。セクハラは法律問題ではなく道徳問題だからセクハラ防止の法律
を作るか、道徳ルールで決めなければならない。難しい問題である。

セクハラは女性、被害者にとって大きな恥を受ける行為だが、権勢のある
上司や雇い主にセクハラされても報復で職を失うとか、恥ずかしくて告発
できないなどの困難もある。

また被害者の訴えを取り上げるオフイスを作って被害者の告発を審議し、
被害者の名誉回復と加害者を処罰する法律または道徳律を作らなければな
らない。加害者を厳重に処罰し、同じことが2度と起きない方法と社会の
風紀を作らなければセクハラはなくならない。

●国会のセクハラ

先週の記事を配信した後すぐに下院のコーニエ民主党議員(John Conyers
88歳)のオフイス秘書に対するセクハラが問題化した。コーニエ議員は示
談で済ますため2万7千ドルを支払ったと言うが、これに国会のオフイス支
出費を使った疑問が起きた。

国民の税金でセクハラ問題を示談にしたのである。この女性の告発のあと
数人の女性も名乗りでたが、最初の一人は国民の税金を使ったので、国会
の倫理委員会が審議すると言われている。

アル・フランケン上院議員のセクハラ問題は当人が謝罪したので証拠は十
分だが、他にも5人ほどがセクハラされたと名乗っている。フランケン議
員は今朝の記者会見で自己弁解と謝罪をしたが同時に辞職はしないと述べた。

マッコーネル上院議長はこれも倫理委員会で審議すると述べた。共和党側
ではアラバマ州ではロイ・モーア候補の選挙が12月12日にある。

モーア氏はセクハラを断固否定して立候補を取り下げないと言う。多くの
共和党議員はモーア氏を支持しないと発表したが、トランプ大統領はモー
ア氏がセクハラを認めていないかぎり彼を支持すると発表した。

モーア氏が落選すれば上院では共和党51、民主党49の僅差となる。しかし
民主党のフランケン議員が辞職すれば51対48となる。そのような政治的駆
け引きもあるので民主党側はフランケン議員の辞職に乗り気でない。つまり
共和党側は政治よりも道徳を重視し、民主党側は道徳より政治を優先する
のだ。

25年前にクリントン大統領が罷免されたとき民主党多数の上院はセクハを
些細な問題としてクリントン罷免を拒否した。今ではクリントンを罷免し
なかったことが問題視され、フランケンの辞職拒否と重なって民主党の重
荷となっている。これが長引けば来年の中間選挙に影響するのは間違いない。

更に大きな問題は、前の記事で述べた国会では過去10年の間に1600万ド
ルの国会費用で460件のセクハラを示談で済ませたことが問題視されてい
ることだ。

プライベートな問題を国民の税金で解決したのである。民間ではこの460
件の全てを審査して、誰がどのようなセクハラでお金を幾ら支払った
かを調査し、加害者本人の月給または退職金から払い戻すべきだと提案し
ている。多忙を極める国会でこんな法案がいつ提出されるかと考えれば、
早期の解決は期待できない。

●セクハラを断絶する方法

これまではセクハラが問題化したら金で示談にして解決してきた。だが、
この方法では常に被害者が金を受けとっても結局は辞職せざるを得ないこ
とになっていた。これでは加害者が改心することもないし、被害者に不利
で不公平である。

不公平な解決ではセクハラを断絶することは出来ない。クリントン大統領
はヘラヘラ笑いながら謝罪して職位を保留できたけれど、今の社会は決し
て承知しないし、金と謝罪だけの姑息な方法ではセクハラは無くならない。

被害者にとってセクハラとは異常な方法で個人の名誉を傷つけられた事件
である。こんなことが二度と起きないようにするには、第一に恥をかかせ
た加害者に恥をかかせること、第二に破廉恥な行いをした加害者の辞職を
要求すること、第三に加害者が多額の損害賠償を支払うことである。

国会議員だろうと、会社の社長、芸能人でもスポーツ選手でも、加害者の
名前を公開すると同時に辞職を要求すればよい。この三条件が明文化すれ
ばセクハラはなくなる。

どうすればこのような処罰三条件を明文化できるのだろうか。前に書いた
ようにセクハラは法律で縛ることが出来ない。これは道徳問題だから解決
は道徳を明文化しなければならない。法律で規制するならハッキリした条
件と処罰を明文化することが可能だが、道徳では文書にして規制するのが
難しいし、道徳を守らない悪い奴が出て来る可能性もある。

セクハラは主に女性が被害者だが女性に限らず子供も男性も被害者かもし
れず、アメリカに限った問題ではなく各国、各社会、人類全体の道徳問題
だから読者諸氏の賢明な提案に期待したい。


◆Fake Newsよりもたちが悪い 

 前田 正晶


8日の夜は女子のサッカーが韓国を相手に苦戦と言うべきか善戦健闘して
いる裏番組のPrime Newsも見ていた。そこに登場した古森義久氏は「この
度のトランプ大統領のアメリカ大使館移転の決定は1995年のクリントン政
権時代に既に法律として制定されており、それを歴代の大統領がその実施
を waiver(「規則や罰などの適用免除」と訳せば最も意味を為すだろ
う)してきたもので、今回のトランプ大統領の決定については国内では民
主党も異論を唱えていない」と紹介した。

私はその事実を知らなかった不明など恥じない。腹が立ったことは「テ
レビも新聞もかかる事実が22年前にあったことに全く触れずに、イスラム
教徒は言うに及ばずパレスチナ等での反対が起きることばかりしか報じい
ない姿勢」には、その不誠実な態度だった。この態度は彼らが日頃垂れ流
している fake newsよりも悪質だ。

私は古森氏が指摘したこと程度は彼らが心得ていないはずがないだろうと
思ったのである。特派員(correspondentをこう訳すも時代感覚に乏しい
と笑いたい)だったアメリカに行っているじゃないか。兎に角不愉快だっ
たのは「何故、そういう根本的な米国の政治の実態を報じないのか」との
一点だった。

この事実さえ先ず採り上げて報じれば、UK、フランス、ドイツ等の首脳が
トランプ大統領の決定に異を唱えたのも、些か見当違いというか米国の国
内の事情に疎いということになるとは考えなかったのかとも言いたくる。

私は元々我が国のマスコミ不信論者であるが、今回のような読者と視聴者
を愚弄するかの如き姿勢は看過できない。相撲の揉め事で、協会ベッタリ
の彼らは真相を報じないのとは訳も次元も違う。かくて、19日夜は呆れ
返っていた次第だ。

次に些末なことで彼らの揚げ足を取っておこう。それは彼らはいくら私が
批判し続けても「自己ベスト」のような間抜け漢字の熟語とカタカナ語の
合成語を使い続ける。

それに悪影響を受けたろくに勉強もせずに体育会の活動ばかりしていた輩
は、平気で「自己ベスト」と言う。あれを何故「自己最高記録」と言えな
いのか。bestという単語には確かに名詞用法もあるが、あれは普通は形容
詞か副詞の good か well が原形なのである。好い加減にしろと言ってお
きたい。

もう一つ。何処の局のアナウンサーが言い出したか知らないが「ベンチス
タート」という奇妙な専門語?がある。もしかすると「スターティングラ
インナップ」という表現があるから、先発には入れなかったか落とされた
者を哀れんで「ベンチからスタートする」とでもしたかったのだろう。

だが、カタカナ語の合成語などとは余りにも奇っ怪である。素直に「先発
メンバーから落とされた」か「本日は補欠に回りました」と本当のことを
言ったらどうだ。

私に言わせて貰えば、彼らはEnglishではない「科学としての英語」を学
校で教えられてしまった結果で、おかしなカタカナ語を乱発して如何にも
洗練された中継放送だとでも密かに自負しているのだろうと思っている。

他にも「滑りやすい」を「スリッピー」と言ったり、「キャプテンシー」
などと言うのも同罪で、一度チャンと英和辞書を見てみろと言ってやりた
い。彼らは事ほど左様にAHOばかりなのだ。

2017年12月16日

◆共和党の危機

Andy Chang

アラバマ州の上院議員補欠選挙は共和党のロイ・モーア候補が大接戦のあ
と遂に落選した。開票が81%の時点で2万5千票もリードしていたのに、開
票が85%になった時は同点、91%の時点で8千票を失い、最後に民主党のダ
グ・ジョーンスが当選した。セクハラ問題で共和党シンパは投票せず、黒
人と女性がジョーンズに投票したので最終計票で2万票も負けた。

モーア氏が落選して国会の共和党議員は安堵したと言う。セクハラ問題で
民主党側のフランケン議員もコーニエ議員も辞職したのに、セクハラで問
題のあるモーア氏が当選したら共和党側は歓迎するわけにいかないし、当
選した議員に辞職を迫るわけにもいかない。落選してくれて有難うと胸を
なでおろしたしたと言う。

共和党は1人減って51人の僅か一票多数となり、これが来年の中間選挙と
三年後の総選挙にも影響する結果となった。

モーア氏が落選したので民主党側は次の目標をトランプのセクハラ問題、
女性問題に集中している。トランプが辞職するはずはないからトランプに
対する攻撃は続く。

共和党にとってトランプは重荷である。今ではセクハラは国上げての問題
だし、トランプはセクハラ攻撃の最大目標だから民主党が追及の手を緩め
る筈はない。

●トランプの功罪

トランプが大統領になって以来、アメリカの経済は好転し、失業率は下が
り株価は上昇を続けている。内政外交の両面で次々と新政策を発表し、賛
成も反対もある。

業績は悪くはないけれどトランプは強引で独断的なので敵が多く、民主党
は反トランプ、メディアの報道は90%がトランプに批判的だからアメリカ
は今後も分裂した状態が続く。

共和党にとってトランプは良い大統領ではない。党内でも反トランプの議
員がいるし、トランプが党に有利な発言をしたこともない。国民の大半は
反トランプだから選挙の際にトランプの支持が有利か不利かもハッキリし
ない。トランプ絶対反対だから共和党に投票しない人も多い。

●共和党の税制改革法案

選挙が終わって上院では来年から共和党51票となる。しかもマッケイン議
員は脳腫瘍で間もなく入院する可能性があるからまた一票減る。だから共
和党は年内に税制改革法案を通す必要がある。税制改革法案は既に下院案
と上院案の違いを修正して来週中に投票する予定である。

民主党のシューマー議員は、税制改革法案の投票はアラバマ州で当選し
たジョーンズ氏の来年1月の就任まで待つべきだと提案した。そうなった
ら共和党51票のうち党内の反対者も出るかもしれないから、来週早々法案
を通して国会はクリスマスと年末休暇に入る予定である。

●トランプは共和党の足枷だ

モーア氏落選で民主党側はトランプのセクハラに焦点を定めている。今や
セクハラ糾弾は政治家にとって致命的効果をもつが、トランプはセクハラ
問題の最大且つ最終の目標だしトランプが攻撃されて辞職するはずは殆ど
ないからセクハラ糾弾は何年も続き、今後の選挙に大きく影響するのは間
違いない。つまりトランプは共和党の足枷である。

共和党側には自党の法案にも反対票を入れる議員もいるかもしれず、トラ
ンプに批判的な議員も数人いる。この状態で来年の中間選挙に臨めばトラ
ンプのセクハラ糾弾が候補者の足枷となる可能性は大きい。トランプは辞
任しないから三年後の総選挙ではトランプ再選と国会議員選挙まで民主党
のセクハラ攻撃は続く。共和党の危機である。

●民主党側も問題がある

トランプと共和党にとっての救いは民主党側も問題がたくさん溜まってい
ることだ。前にも書いたヒラリーのウラニューム・ワン疑惑(AC通
No.665)と民主党のトランプ文書(AC通信No.666)の調査は始まったばか
りだが、数日に起きた新しい事件ではトランプのロシア癒着調査にも疑問
が起きた。

マラー特別検察官の部下で、FBIのPeter Strzok 調査員とLisa Page FBI
弁護士の間の交信メールが3000通も司法部の調査によって公開されたの
で、FBIが大統領選挙の半年前からヒラリーが絶対当選するため、ロシア
文書やトランプのロシア癒着をでっち上げした「確実な証拠」が発表された。

これでマラー検察官の調査員が当初からトランプに不利な情報をでっち上
げた可能性が出てきた。つまりマラー検察官のロシア癒着調査の信憑性が
問題化したのだ。

ここに挙げた3つの事件は、オバマの大統領時代に国務省、司法省とFBI
がヒラリー当選の為に不公平どころかトランプ降ろしの陰謀を主催してい
たと言う、アメリカ250年の歴史に1度もなかった重大事件である。これ
らの調査が進めば共和党の党内不和やトランプの足枷など問題でなくな
る。コーメイ元FBI長官が調査を開始する前からヒラリー不起訴を決定し
ていたことも国会が調査中である。

●共和党の危機

共和党にとってトランプは有害でなくとも無益である。トランプとマッ
コーネル上院議員、トランプとマッケイン議員の不和は衆知のことだが、
2人の外にもトランプを批判して次期選挙に出馬しないと発表した議員も
いて来年の選挙で新しい候補者を探す問題が起きている。

マッコーネル議員の統率力も問題だ。中間選挙で共和党が過半数を失え
ば民主党多数の上院でトランプ政権の法案が通らなくなる。三年後の総選
挙にも大きく影響する。

トランプは絶対に自分の過ちを認めない自大狂で、少しでも批判されれば
必ず敵味方を問わず反撃する。メディアは今後も反トランプの方針を変え
ない。アメリカの混乱は今後も続くから共和党議員が団結しなければこの
数年のうちに議会での優勢を失うだろう。民主党、オバマ、ヒラリーの調
査が共和党にとって唯一の救いかもしれない。

2017年12月12日

◆IS、孤立し衰退傾向に!?

平井 修一

AFP3/17「IS、支配地域の約5分の1失い衰退傾向に」から。

<国際軍事情報企業IHSジェーンズは16日、「イスラム国(IS)」が、シ
リアとイラクで2015年初めに支配していた地域の22%を失ったとの分析結
果を発表した。米国やロシアの空爆に支援され、反対勢力が攻勢を強めた
ことが背景にある。

報告書「IHS紛争モニター」によると、ISは依然としてシリアとイラクの
広域を支配しているが、支配地域は昨年末までに14%、今年に入ってさら
に8%縮小した。今月14日時点での支配地域の総面積は7万3440平方キロだ
という。

IHSの上級アナリスト、ストラック氏は、「ISはますます孤立しつつあ
り、衰退の傾向にあると思われる」と分析。これにより、ISの主要なライ
バルであるシリアの国際テロ組織アルカイダ系組織「アルヌスラ戦線」を
利する形になっていると指摘した。

ストラック氏はまた、「ISの孤立化が進み、軍事的敗北が今後も続けば、
ISが外国のイスラム過激派をシリアに勧誘することも難しくなるだろう」
との見方も示している>(以上)

流れは変わってきたのか。佐々木伸氏(星槎大学客員教授)の論考「バグ
ダディはどちらが捕らえる? IS追い詰めた米露特殊部隊 パルミラ奪回
の裏でも暗躍」(ウェッジ4/4)から。

<米国もデルタフォースなどの特殊部隊の動きが活発になっている。3月
にはシリア東部で、米特殊部隊がISのナンバー2であるハジ・イマームの
車両を武装ヘリで追跡し、イマームを殺害した。当初は情報収集のために
生きたまま拘束することを狙ったが、イマームが逃走したためミサイルで
攻撃した。

米国は現在、シリア北部のクルド人地域に約50人の特殊部隊を投入。クル
ド人の武装勢力「人民防衛隊」(YPG)の軍事顧問として、助言などを与え
ている。またイラク北部のクルド人自治区の首都であるアルビルには、約
200人のデルタフォースが駐留している。

このデルタフォースはISの首都であるシリアのラッカやモスルにスパイ網
を張り巡らし、衛星監視、交信やメールのやり取り傍受などを通じて、ア
ブバクル・バグダディらISの指導者の行方を追跡、拘束や殺害の機会を
狙っている。

米軍関係者によると、米軍は3日に1人の割合でISの幹部を殺害、このため
もあってISの指揮命令系統はずたずたの状態だ。米国は組織の弱体化が著
しいと判断しており、近くラッカ制圧とイラク第2の都市モスルの奪回作
戦を開始する見通しだ。オバマ政権はこれら作戦に先だって、幹部らへの
攻撃をさらに強めたい考えだ。

イラク駐留の米特殊部隊は昨年5月にシリア東部でISの経理担当の責任者
を殺害、その妻を拘束してISの財政状況やバグダディの行動範囲などの貴
重な情報を入手した。また10月には、イラク北部のISの捕虜収容所を急
襲、処刑される寸前のクルド人約70人を救出した。

暗殺を恐れて姿を消しているバグダディは近い将来、尊敬していた国際テ
ロ組織アルカイダの指導者、オサマ・ビンラディンが潜伏先で米海軍特殊
部隊シールズに殺害されたのと同じ運命をたどるのかもしれない>(以上)

IS支配地域の総面積は7万3440平方キロとあるが、これは北海道(8万3450
平方キロ)を一回り小さくした広さだ。ただISは面ではなく「点/拠点と
線/道路」を支配しているので、距離はかなり長いだろう。あちこちの街
を新たな支配下におく上ではいいが、防御となれば縦深防御が難しいので
はないか。

ウィキによれば縦深防御は、攻撃側の前進を防ぐのではなく、前進を遅ら
そうとすることを目的とする。それにより、時間を稼ぎつつ、攻撃側の前
進による占領地域の増加と引き換えに敵の犠牲者を増加させる戦略だ。

ただ負けが込んでくると、近隣の支配地に撤退する際には丸見えとなり、
攻撃を受けやすくなるのではないか。昔から主力を撤退させるための殿
(しんがり)戦は非常に犠牲が多いという。

ISは資金源も細り、守勢に回りつつあるようだ。負けが込めば逃亡する兵
士も増えるし、リクルートにも支障が出る。今後も動向をウォッチしてい
こう。(2016/4/11)


2017年12月10日

◆台湾で再び軍艦汚職

Andy Chang

ラファイェット疑獄から25年経った台湾で再び軍艦汚職が起きた。この事
件は馬英九時代に起きた海軍の汚職事件で蔡英文政権が尻拭いをする羽目
になり、現政府と海軍の間で責任の擦り合いが起きている。

●海軍の「國船国造」計画

事件はまだ調査が始まった階段で細部は解明されていないが、簡単に説
明すると台湾の海軍が掃雷艦を自主建造する計画を立てたけれど、海軍の
調査が不十分で造船能力のない会社に発注し、この会社が資金を横流しし
たため銀行が損失を被った事件である。海軍軍人や政府要員の収賄はま
だ調査が進んでいない。

事件が発覚したあと、元海軍司令官以下18名の上級軍人、参謀長や漁業
局の主任など28名が懲戒申告や譴責処分を受けた。懲戒や譴責処分はあ
まりにも軽く、今でも起訴に至らず誰も有罪判決を受けていない。

台湾海軍は2009年にアメリカから掃雷艦を二隻購入し、2013年に就役した
が、2隻だけでは不足なので、「國船國造」を目的として「康平専案」と呼ぶ
計画で総額352億元の予算を立て、6隻の掃雷艦を建造することにし、台湾
の造船会社に入札を呼びかけた。この計画を慶冨造船が350億元(約1300
億円)で受注し、第一銀行をリーダーとする9銀行が資金提供に加わった。

報道によると銀行団は始め資金の提供を断ったが、政府要員の要請で資
金提供に同意したと言う。政府要員の詳細はまだわかっていない。

ところが受注したあと造船計画が少しも進捗せず、海軍の経費が下りない
ので融資の返還期日がきても返済できず、しかも慶冨は銀行融資を中国に
違法送金して子会社の中国におけるリゾート建設に横流ししたので銀行が
債務不履行と詐欺で訴訟を起した。

この建造計画は1隻をイタリーのIntermarineがイタリーで建造し、残り5隻は
台湾でライセンス建造する、掃雷艦の武器系統はアメリカのLockheed Martin
から購入するとし、2015年に慶冨造船と海軍が契約にサインした。ところが二
年経っても建造が進まないので、銀行側が進捗疑惑と債務不履行で会社を
訴え、慶冨造船は殆ど造船の能力もなければ資金を中国のリゾート計画に
横流ししていた疑惑が発覚した。

調べによると慶冨造船はちいさな漁船の建造会社で、資本金は5億元しか
なく、海軍の計画に参与するには資本金不足だったが、慶冨は銀行からの
借款と子会社の慶陽建設の海洋博物館の建設と経営権などを合わせて資
本金40億元の会社に化けたのだった。

しかも慶冨は100トン以上の船を作った経験もなく100トン以上の造船ドッ
クも工場もないのに、高雄の海岸地区に大型ドックと造船廠を建造する
「興達港入札」の予定があると説明し、高雄海洋局の王瑞仁主任らが慶冨
と結託していた疑惑が生じた。

つまり造船ドックも造船廠も存在しなかったのに海軍は建造を発注したの
だ。事件が発覚したあとの調査では、興達港ドックと造船廠予定地は一階
のフロアもまだ完成していないことが判明した。子会社の慶陽建設が請け
負った海洋博物館の建設もサラリーが2か月未払いで工事が停頓したまま
である。

慶冨側は第1隻の掃雷艦は既にイタリーで建造中で、来年春には進水で
きると弁明したが資金は底をついている。海軍は保証金24億元の返還を迫
っているので慶冨が期日までに保証金を返還しなければ契約を破棄する。
契約破棄となれば慶冨は破産宣告して銀行側は総額200億元の損失とな
るが、銀行団が政府の責任を問えば国民の損失になる。

●杜撰な国防計画

今回はラファイェット疑獄のように多数の死者が出なかったが、台湾政府
の国防計画がまったく杜撰であることがよくわかった。ラファイェット巡
洋艦を建造する計画を立てたのは80年代だが、当時の計画では3000トン級
のラファイェット艦を6隻のうち1隻をフランスで建造したあと5隻は台湾
で建造するはずだった。

この事件から25年経ったのに、台湾には今でも100トン以上の船を作る大
型ドックも国営造船廠もないのである。それなのに掃雷艦を自主建造する
計画を立てるとはどう考えても説明がつかない。軍艦を自主建造するなら
国営造船廠を作るべきではないか。

しかも政府は台湾でも潜水艦を作る計画を立てていると言う。空軍も自主
戦闘機、それもF-35 に匹敵するものを作る計画があると発表した。国営
の武器製造工場が存在しないのに秘密武器の製造を私立工場に委託したら
機密の保持は全く不可能である。

●海軍と政府の責任

台湾の政府は軍部のコントロールが出来ていない。海軍は「康平専案」を
立てるのに詳細を政府に通知しなかった、国会は事件が発覚するまで計画
の詳細を知らなかったと言う。実に呆れたことだ。

どこの国でも国家予算の審議は国会の権利と任務であるはずななのに、海
軍は機密保持を盾にとって掃雷艦計画を国会に知らせず、国会も追及しな
かったと言う。これは馬英九政権時代に起きたことだが蔡英文が責任を追
及される結果となった。

中華民国海軍は青幇(チンパン)の軍人グループである。しかも台湾では青
幇、洪幇(ホンパン)と竹聯幇、四海幇がみんなで「中国人マフィア」
作っている。台湾人はタッチできない。だからこそ慶冨が資金の欠乏を訴
えたら国防部は「国会に通知せず」空軍の国防予算から24億元を勝手に慶
冨に横流ししたのである。国防部は予算を別の用途に使っても問題はない
と言い張っている。

●ラファイェット疑獄は迷宮入り

この造船疑惑は25年前のラファイェット疑獄を思い起こさせる。尹清楓大
佐が殺害されてから発覚したラファイェット疑獄は25年後のいまでも迷宮
入りしたままである。

ラファイエット汚職の追及でフランスの司法調査はヴァンルイベーク検察
官(Judge Renaud van Ruimbeke)が苦労して取得したトムソンと政府の
機密資料の中から44名の台湾側の汚職高官の名簿を押収した。

台湾政府はスイス法廷(フランスの事件追及はスイス法廷で行った)に対
し、台湾側の資料の提供を要求し、スイス法廷は2008年に2箱の資料を台
湾に引き渡した。

ところが台湾政府が資料を受取ったら、台湾海軍軍部が「フランス語の資
料の翻訳を引き受ける」と称して2箱の資料を強引に持ち去ったあと行方
不明になってしまった。当時の行政院長・謝長廷はムザムザと重要資料を
青幇グループに渡したのである。

その時から馬英九政権8年と蔡英文政権で1年半を経て、今では国会や司
法部が海軍にラファイエット資料の行方を追及したことがない。国会では
誰もチンパンが取り上げたラファイェット疑獄の資料に言及していない。

この資料があれば事件の汚職高官44名がわかるのに蔡英文総統、司法部、
国会も追及しない。転型正義は掛け声だけで実績がないのだ。

これが台湾の現状である。台湾人が選挙で中華民国の政権を取っても国民
党と中国人マフィアを徹底的に抹消しなければ独立は達成できない。

2017年12月06日

◆「措置入院」精神病棟の日々(77) 

    “シーチン”修一 2.0

「修一はん、ほんまにイチビやなあ」

この頃は昔のことをやたらと思い出す。芦屋(蘆屋、兵庫県)の若奥様は
こう言ってくすくすと笑った。

芦屋は高級住宅街が多く、“日本のビバリーヒルズ”などと言われている。
谷崎潤一郎の名作「細雪」は芦屋の旧家の暮らしぶりを伝えているが、谷
崎自身もこの地に別荘(倚松庵、いしょうあん)を持っていた。こう書い
ている。

<蘆屋のこのあたりは、もとは大部分山林や畑地だったのが、大正の末頃
からぽつぽつ開けて行った土地なので、この家の庭なども、そんなに広く
はないのだけれども、昔の面影を伝えている大木の松などが2,3本取り
入れてあり、西北側は隣家の植え込みを隔てて六甲一帯の山や丘陵が望ま
れるところから、雪子はたまに上本町の本家へ帰って(修一:蘆屋の別荘
に)四五日もいて戻って来ると、生まれ変わったように気分がせいせいと
するのであった>

若奥様は芦屋生まれの芦屋育ち、女学校を終えてからの勤務先は大阪だっ
た。「栴檀は双葉より芳し」、人を疑うこともしないから小生のような濁
りの塊からすると純真でとても可愛らしい。

若奥様は冷えた吟醸酒を好んだ。芦屋の近くには「灘の生一本」の酒蔵が
多いから、酒といえば日本酒なのだろう。

若奥様は旦那さんの東京赴任で一緒に上京しているのだが、暇つぶしで働
いている。子供はまだいない。3年後には芦屋に戻るのだろう。とても気
楽そうだった。

若奥様はわが社の得意先の上場企業の大阪本社(上本町)でOLをしていた
ので、東京でも友人知人が多く、世話になっている販促課長から「修ちゃ
ん、芦屋夫人を採用してみいへんか、ええ子やで」と紹介され、厭も応も
なくわが社で働いてもらった。

一緒によく飲みに行ったが、小生は飲むと人格が変わり、通常は聞き役な
のだが、気に入った女性の前では面白い話とか冗談をよく言っていた。そ
の時彼女が小生を「イチビリ」と言ったのである。

「イチビってなんや?」

「イチビやなくて“イチビリ”や」

「悪口かいな」

「そやないで、イチビリっていうんは誉め言葉や。おもろいことをいっつ
も考えてな、なんかの際にポロっと言ってみんなを笑わせるんや、そうい
う吉本の芸人みたいな男の子はな、笑うて一生暮らしたい関西の女の子は
大好きやねん。イチビリはもてるんやで、サンマみたいに」

「ふーん、そうかいな・・・この剣菱けっこう旨いな」

「ほんまに・・・うち幸せや、修一はんのこと、うち好きやねん」

若奥様は成城学園前に住んでおったさかい帰りは小生と一緒の小田急線。
小生は若奥様を抱きしめるのが精一杯やった。旦那に見られたら一大事
や、それこそビール瓶ものやし・・・

ネットで「イチビリ」を調べたらこうあった。

<「お調子者」にも近い。こう言うと関東ではマイナスイメージですが関
西(特に大阪では)そうでもありません。頭の回転が速くなければ「いち
びり」にはなれないし、結構人気者でもあります。かわいげのある表現
で、わざと悪さする児童(ワルガキ?)って感じですかね>

浪速の女の子には“雌虎”もいて苦い思い出もあるが、若奥様との一件は純
愛ぽくってええ思い出やった。キチ〇イ老人はやたらとフラッシュバック
するものだが、上記のような記憶はいい意味でのフラッシュバックだろ
う。「“フラッシュバック”修一」なんて筆名もいいかもしれない。

この頃は体調も良くて面白い夢もいっぱいみる。人間が皆、風船になって
空に浮かんでおり、ぶつかっても誰もケガをしないという愉快な夢もあっ
た。夢追い人、今日も躁状態で作業療法にいそしむ発狂亭雀庵の病棟日記
から。

【2017/1/9】*12:45、K来、一緒に70日ぶりに外出、散策。入院以来、
初めてまともな話ができた。Kは「穏やかに、普通になってほしい」と言う。

とりあえず家庭内別居で、料理と洗濯は小生の楽しみでもあり、運動にも
なるので「無理しない範囲で」小生の担当にしてもらった。心が通い始め
た感じで、これはもしかしたら数か月ぶりかも知れない。心が温かくな
り、これが「親愛の情」なのか。

丹沢山麓を散策したが、竹林ではずいぶんと太い竹が折れていた。雪の重
みに耐えられず、ある瞬間にパキンと、あるいはバキンと大きな音を立て
て折れたに違いない。折れる竹、折れない竹、紙一重だろう。谷間の畑は
鹿、猿よけの電線で囲まれていた。理由や原因が何であれ、ルール破りは
制裁を受ける。

退院後、小生の部屋は2Fから3Fになる。Nがヤマダ電器と連絡、交渉して
おり、WiFiで2Fから3Fへ電波を飛ばすとか。15日に完成するようだ。ブロ
グやメルマガについてはアーシロ、コーシロ、これはダメとかいろいろ注
文が多いが、当面は小生の脳ミソが正常に機能するまでは大人しくするし
かない。つまり、小生は病気であり、いつまた発狂するか自分自身でも恐
れている。

新ブログタイトルは「必殺クロスカンター!」を提案したが、どうなるも
のやら。後見人がいっぱいいて萎縮しそうだ。

KとDr.面談、Kが了承したので明日から一人で外出できることになった。K
との散歩で山裾の素敵なコースを見つけたので、その辺を歩くことになり
そうだが、人気(ひとけ)がないのでちょっと不安だ。住民にとっては小
生こそが不安だろうが・・・

「今日ママンが死んだ。もしかしたら昨日かもしれない・・・」、カミュ
の「異邦人」を急に思い出した。小生は家に帰っても異邦人、異人、移
民、難民かもしれない。

【1/10】*一人外出し、近隣散策。山中ではパーン、パーン、パンパン、
パンパンパンなどという爆竹みたいな音がする。派手なオレンジ色のベス
トを着たオッサン2人が麓に来た鹿か猿を脅しているのだろう。周囲をよ
く見るとあちこちの畑はGallagher印の電気柵/電気牧柵で囲まれている。

https://security.gallagher.com/solutions

爆竹はゴムのパチンコで飛ばすようだ。猟友会が駆除してモミジ鍋用に
売っているのかどうか。

外出から戻る時間が決まっているので時計があるといいが、明日からは目
覚まし時計をもって行こう。時計は必携だ。今日はセブンイレブンで時間
を知った。上り下りの山麓を80分歩きっぱなしで結構な運動量になった。
(つづく)2017/12/3

2017年12月04日

◆「措置入院」精神病棟の日々(76)

“シーチン”修一 2.0

構想から6か月、11/28(いい庭)に屋上展望台「スカイデッキ」、ま“見
晴らし台”が竣工する。床面積は6畳ほどで、ビルの4階からの眺望が楽し
める。東北方向には東京タワーがよく見え、スカイツリーは最近できたマ
ンションに遮られて展望回廊(451m)あたりからてっぺんまでが見える
だけだ。

師匠の「頂門」渡部亮次郎氏や洋食店「あきら」はあそこいらだろうなあ
などと思ったりする。墨田川(大川)の空間があるためにアサヒビールの
ジョッキを模したビルは良く見える。「完成祝いで飲みたいなあ」とは思
うが、飲んだらアウト、サヨナラ負けだから、男の子は我慢せにゃならん。

西南方向は多摩丘陵で、真っ白い富士山の上部が見える。スカイツリーと
富士山を結ぶ線が多摩川を越えたあたりがわが展望デッキだ。

このデッキに天体望遠鏡を据えてもいいが、天文学にはまったく疎く「星
は見るもの、愛でるもの」派だからせいぜい月のニキビのような小惑星衝
突跡を眺めるくらいで、すぐに飽きてしまうだろう。迎撃ミサイルPAC3は
1ユニットが10車両以上(多分20トンとか)からなるので、とても設置は
できない。結局はときどきNikonの200ミリ望遠レンズで周囲を眺めるくら
いだろう。

スカイデッキは鉄パイプで塔屋周囲を囲っただけだが、自宅の2か所の物
置に放置されていた材料を利用したので、費用はペンキ、針金、ビニール
テープなど1万円ほどで済んだ。副産物として綺麗になった3F物置は書庫
にする予定で、これにより2Fの8畳間から大きな本棚2つ、小さいのが1つ
がなくなることになる。広々となるからKは大喜びだ。

(読書をしない人にとっては書物はたとえ名著であってもゴミでしかな
い。母御用達の呉服屋の番頭曰く「こんなに読んでどうするの?」、けだ
し名言だ。「どうするのか」を知りたいから読んでいる、とでも言ってお
けばよかった)

工事では孫が落ちないようにできる限り頑丈に造ったが、フェイルセーフ
主義で今後はさらに補強し、安全性と快適性を高めていく。鉄製の小さな
テーブルを据えたり、熱いコーヒーなどを上げ下げする仕掛けも造る考え
で、当分は作業療法の恰好の舞台となりそうだが、まともに木枯らしにさ
らされるのでこれからはかなり寒いだろう。

ま、小生の作品というかオモチャで、当分は楽しめる。北風の方向が良け
れば凧揚げもできそうだ。屋上には1/10、1/20スケールで「空に浮かぶ熱
気球」(簡単)や、「サーカスの綱渡りでヒヤヒヤドキドキの少女」(AI
によるバランスと歩行を研究せなあかんから難易度は高い)といったオブ
ジェも創って界隈の善男善女を楽しませたいなあなどとも思っている。

作業中はいろいろなことを考えるのだが、この頃は突然、昔のことを思い
出したりする。楽しい事柄が多いが、無念なこともちょっぴりある。「老
人は過去を生きる」というが、ああ、こういうことかと納得したり。若者
と老人の違いを考えてみた。

◆若者        ◆老人
未来を見る      過去を見る
これからの人     これまでの人
覚える人       忘れる人
上を向く人      下を向く人
ピチピチ       ヨレヨレ
ピンピン       フニャフニャ
異性が好き      異性が嫌い
大食い        小食い
金欠         病欠
発展途上人      衰退途上人
忙日閑あり      暇日閑のみ
アホ         さらにアホ

ま、当たらずとも遠からずか。

山本夏彦翁曰く「老人のバカほどのバカはいない」。基本的に老化ととも
に知能も劣化するから、社会人としての良識も怪しくなり、暴言、暴力の
不逞老人や、OS(オレオレ詐欺)に引っかかる痴呆老人も増えていく。

若いと異性への関心も高いが、以下のようなことを思い出したのにはビッ
クリした。まるで昨日のような感じだった。

<「修一はんが『お、今日は一段と別嬪さんやなあ』て言うてくれる日
ね、実はうち排卵日なんや」

5歳下の女の子が居酒屋でぽろっとささやいた。お酒で目の淵がほんのり
ピンク色になって、潤んでいる。

「ハイランビって、あの、受精しやすい日のこと?」

「そうや。なんで修一はんには分かるんやろ」

「フェロモンとかオーラとかが出ているんかいなあ、不思議やな・・・排
卵日って何日くらい続くん?」

「大体前後合わせて2〜3日いう話や」

「繁殖期か・・・動物は季節が決まっているそうやが、人間は基本的には
毎月2〜3日は繁殖期かいな。多すぎるんやないか、冷静に仕事ができへ
ん。いっそ季節を決めて、その間、現役夫婦は公休にしたらええんとちゃ
うやろか、前夜は壮行会を開いて応援歌や進軍ラッパで送り出すとかさ」

「そやね!」>

あの子、誰だったっけ・・・普通、異性との酒席で排卵日なんて話題には
しないのだけれど、もしかしたら彼女は「うち、受精したい気分や」と
ボールを投げてきたのかなあ、それなら惜しいことをした、あるいはその
ボールにバットを振ったらホームラン or 空振りで、別の人生になってい
たかもしれない。

人生は偶然の要素によることがかなり多い。小生が小学生のころ、4つほ
ど上の近所の福夫ちゃん(みなは「フクチャン→クッチャン」と呼んでい
た)は、数年前にお父さんが亡くなり、病弱のお母さんと姉、妹の一家4
人暮らしだったが、小さなニワトリ小屋みたいなバラックで、文字通りの
「清貧洗うが如し」だった。

クッチャンは中学を卒業すると小生の家の前の寿司屋に就職した(オヤジ
さんは小生にとって第二の父親だったが、陰に陽に夫婦でクッチャンを支
援していたようだ。オバサンは夕食を不思議なほどどっさり作っていた
が、今から思えばクッチャンに持たせたのだろう)。

1年ほど経つと、クッチャンは一家4人が住めるアパートに引っ越した(オ
ヤジさんが保証人になったり、敷金を出したのかもしれない)。16歳にし
てクッチャンは一家の大黒柱だったのだ。

やがてクッチャンは二輪車「ホンダドリームCB250」の中古車を買った。
初代CB250は1962年発売で、当時は250CCが最高クラス(白バイは唯一
350CC)、男の子の憧れだった。

仕事が休みの日、クッチャンは中学生の小生を乗せてドライブに連れて
行ってくれた。羽田空港のデッキから2人で飛行機を眺めたものである。
バイクの乗り方や空気銃など、女性の生理のこともクッチャンに教わっ
た。クッチャンは上に3人の姉を持つ小生にとって“アニキ”だった。

クッチャンは頭が良くて絵が上手だった。寿司屋の2F宴会場へ行く階段の
壁に日光の渓流を覆う紅葉を描いたが、もし彼が極貧の子でなかったのな
ら芸大で美術を学び、名を成したはずである(基本的に自作をプロダク
ション方式で永遠に“真似”し続けた東郷清児よりはるかにいい)。

クッチャンは若くして新興の新幹線都市「新横浜」に店を出し、オヤジさ
んの通夜の時は寿司を握って振舞ってくれた。オヤジさんへの恩返しなの
だろう。休みの日はクルーザーで楽しんでいると言っていたが、貧しさを
乗り越えて豊かに暮らしているようだった。オヤジさんは海釣りが好き
だったのでクルーザーで一緒に遠征していたのかもしれない。

運命とか偶然で人の一生が大きな影響を受ける。ロヒンギャで揺れるイン
ド/バングラの国境地帯に生まれていたら、今頃小生は異民族に迫害され
て、あるいは異民族を迫害しているかもしれない。運不運、人生は時に残
酷なものである。

小生が「まさか!」の酒乱、キチ〇イになったことは幕内“良き市民”転落
の痛恨の黒星だったが、断酒できたのは大金星だった。日馬富士もこの際
だから断酒した方がいいと思うがの・・・

11月中旬から徐々に抑うつ症状が改善し、何やらここ2、3日は躁状態の発
狂亭雀庵の病棟日記から。

【2017/1/7】*早朝、2F急性期病棟の女帝、ナースの“ジャイアン”と会
話。アル中だった住職の旦那とは別居して4年だという。道理でアル中に
詳しいわけだ。結局、

「あなたの発狂事件は家族にはトラウマになっているから、あなたが宗教
にすがって自己犠牲で引いたところで上手くはいかないし、長続きはでき
ないよ。時間が必要で、朝晩、天と家族に感謝していれば、やがて少しず
つ家族の傷が癒えていき、寄り添うようになるよ」

とのこと。経験者の言葉は重い。どうもそれ以外に道はないようだ。「恩
讐の彼方に」を期すしかないな。日米戦の傷も70年でようやく癒えてきた
感じがするが、わが家の場合はどうか。1〜2年で済むのかどうか・・・

*16:30、Dr,診察、「奥さんへの思いやりが必要」という。それは感性
などの右脳領域のことで、小生は基本的にロジック、論理の左脳人だか
ら、感性ソフトがどうも発達障害なのかもしれない。

Dr,によるとKは9日(月)に小生に面会してから外出の可否をDr.と相談し
ながら決めるという。今は夫婦の信頼関係が欠如しているのだ。

改めて「Kや子・孫を愛しているのか」と自問してみると、ただの「身近
な人、同居人」のような感じがする。信頼感とか、親愛の情といった
ウェットな感情がいささか欠落しており、「他人とは言わないけれど、結
局は他者だわな」という想いがする。自・他の距離感があり過ぎて、異常
かもしれない。かなり怪しく、そのうち専門家に聞いてみよう。

他者への関心が薄いから会話やおしゃべりが苦手で、そもそも興味がな
い。他者は他者、自分は自分。言った、言わないのトラブルが嫌いだから
「言いたいことはメモに書いてくれ」。これでは誰も寄り付かないが、静
かな方が好きだからまったく苦にならない。

思いやり:他人の身の上や気持ちを推し量ること、同情。sympathy:同
情、哀れみ、同感、共鳴。

小生が目指すのは孤高の人、孤立主義、独立独歩で、「思いやり」という
感覚がよく分からない。

【1/8】*このところ体が地に着いていない感じで、フワフワしている。
薬やサプリメントの影響とか、運動のし過ぎとも考えられる。もうすぐ66
歳だから、そんな風になるのも自然なのかもしれない。終日、部屋を飾っ
たり、機能的にして楽しんだ。

*夕食後に“バアバ”とおしゃべり。「お正月は外泊したみたいね、どうで
した?」と聞けば、「あっという間の2泊3日でした。家はやっぱりいい
わ、自分で料理も作れるし」。

一時期、彼女は料理ができなくなっていたのだが、家族から「おいしい
ね」と言われてから料理を以前のように作れるようになったと言っていた。

家族からの「思いやり」とは、そういう感謝の言葉や励ましなのかもしれ
ない。「ありがとう、美味しかったよ、また作ってね」とか・・・(つづ
く)2017/11/28



      

2017年12月03日

◆<退位>日程、苦肉の策 官邸と宮内庁綱引き 

毎日新聞12/2(土) 7:00配信

退位の経緯と今後の想定される日程

1日の皇室会議で、天皇陛下が退位される日が2019年4月30日に固まっ
た。退位日は新元号が始まる改元と関わるため、国民生活への影響が大き
い。年末や年度末という区切りの良い日も検討されながら実現しなかった
背景には、年末をめざした首相官邸と、それに反発した宮内庁による綱引
きがあった。【高橋克哉、高島博之、遠藤修平】

菅義偉官房長官は皇室会議後の記者会見で、退位日を2019年4月30日とし
た理由について、年度末は転居が多く、与野党が対立する統一地方選が19
年4月に予定されていると指摘した。年度末で区切りが良い19年3月31日
の退位日を選択しなかった理由を説明することに力点を置いた。

昨年の段階で、安倍晋三首相が最初に検討したのは国民生活への影響が
もっとも少ない「18年12月31日の退位、19年1月1日即位・改元」だっ
た。年の変わり目の改元ならシステム障害が起きにくく、国民にもわかり
やすい。だが、宮内庁は元日の宮中祭祀(さいし)や国事行為の「新年祝
賀の儀」など行事が集中することを理由に難色を示した。

それでも首相は「元日改元」にこだわった。菅氏とともに練り上げたのが
「天皇誕生日の18年12月23日の陛下の退位、24日の新天皇即位、19年1
月1日改元」の日程だった。退位、即位と改元の時期をずらし行事を分散
させ元日改元を実現する次善の策だった。

ところが宮内庁はこれにも反発し、官邸に年末年始の皇室行事の一覧表
を持ち込んだ。「12月から1月までいかに多忙かがわかる表」(同庁幹
部)で、同庁は年末年始の皇位継承は難しいとの説明を繰り返した。19年
1月7日の昭和天皇逝去から30年の「式年祭」は現在の陛下が行うべきだ
とも伝えた。「宮内庁は『とにかく年末年始だけはやめて』の一点張り
だった」。官邸幹部は振り返る。

一方で宮内庁が今年夏ごろに提案してきたのは皇室行事が一段落する
「3月31日退位、4月1日即位・改元」の日程だった。官邸も検討は進め
た。だが、4月に統一地方選が予定されるなかでは「静かな環境」とはな
りにくい。首相も10月ごろ、周囲に「なかなか難しい」と漏らすように
なった。1〜3月は来年度政府予算案の国会審議が続く。夏には参院選が
ある。19年の政治日程を踏まえれば、残された選択肢は限られていた。

年度末の退位とすれば、宮内庁の言い分が通った形になるのを官邸が
嫌ったとの見方もある。今回の退位は、陛下の意向によって始まった側面
が否定できない。それだけに官邸には主導権を確保しておきたいという意
識が強い。政府関係者は「陛下の意向をくんだ宮内庁が主導したとなる
と、(天皇は国政に関与しないという)大前提が崩れる。

年度末の異動によるシステムの影響はあるが、それは後付けの理屈だ」と
指摘した。官邸内では年末退位案が実現せず、中途半端な日程に収まった
ことに対し「宮内庁は伝統や格式ばかりを重視しすぎている」(政府筋)
との不満もくすぶっている。

 ◇皇室会議、異論出ず

1日に宮内庁で開かれた皇室会議は、想定の1時間を超える1時間14分に
わたる議論になった。出席者からは、天皇陛下の退位が国民の総意となる
必要性や、国民と皇室に混乱が起きないよう注意喚起する声が上がり、議
長の安倍晋三首相が退位を「2019年4月30日」とする意見案を示して集約
した。政府高官によると、出席者から強い異論は出なかった。

午前9時46分から同11時まで行われた皇室会議には会議の議員10人が出
席。退位を実現する特例法の担当閣僚である菅義偉官房長官も陪席した。

会議では、特例法の全文などの資料が配られた。「国民がこぞって陛下の
ご退位と皇太子殿下のご即位をことほぐにふさわしい日を選択する必要が
ある」との趣旨の発言のほか▽19年1月7日に昭和天皇逝去から30年の
「式年祭」がある▽19年4月に統一地方選が予定される▽4月前半は国民の
移動が多く、多くの行事がある−−ことに留意を求める声も出た。

首相は冒頭、会議の趣旨を説明し「退位・即位の日程についての意見を
聴きたい」と発言。続いて菅氏が特例法の趣旨を説明した。そのうえで、
首相が各議員を1人ずつ指名して意見を求め、議員は用意した文書を読み
上げるなど意見を表明した。大島理森衆院議長は特例法制定に至るまでの
経過を説明し、伊達忠一参院議長が賛同する場面もあった。

高齢の常陸宮さまや常陸宮妃華子さまの体調を考慮し、10人全員が発言し
て議論が一巡した時点で休憩を挟んだ。休憩中、首相は菅氏と別室で意見
案について打ち合わせをし、議論再開後に提示。皇室会議の意見として決
定し、出席者が署名した。

出席者による採決は行わなかった。山本信一郎宮内庁長官は記者会見で
「皇室典範に基づく議決ではない。意見交換を踏まえてこういう意見がよ
い、という形で決定された」と説明。「(日程案が)複数示されたという
ことではない」とも語った。

2017年11月30日

◆セクハラを断絶すること

Andy Chang

感謝祭の休暇が終わって今日は国会議員が出勤したが国家のセクハラ騒
動は続いている。クリスマス気分でうかうかしている時ではなく、議会は
あと2週間のうちに来年の2018年度予算を通す必要があり、続いて下院で
通した税制改革法案も年内に通す必要がある。

ところが上院と下院ではともにセクハラ議員の辞職を求める声が高いの
で、法案審議にもいろいろ影響を及ぼし混乱を極めている。

セクハラは政治家だけでなく、社会全体の問題である。ハリウッド、国
会、政府機関、各種の会社や企業、軍隊(特に軍艦)、学校、医療機関や
病院、慈善事業、教会団体、スポーツ団体など、公立、私立の社会全体に
共通したルールを作らねばならない。

セクハラを断絶しなければ真の民主国家と言えないし、社会の混乱は収ま
らない。セクハラは法律問題ではなく道徳問題だからセクハラ防止の法律
を作るか、道徳ルールで決めなければならない。難しい問題である。

セクハラは女性、被害者にとって大きな恥を受ける行為だが、権勢のある
上司や雇い主にセクハラされても報復で職を失うとか、恥ずかしくて告発
できないなどの困難もある。また被害者の訴えを取り上げるオフイスを
作って被害者の告発を審議し、被害者の名誉回復と加害者を処罰する法律
または道徳律を作らなければならない。加害者を厳重に処罰し、同じこと
が2度と起きない方法と社会の風紀を作らなければセクハラはなくならない。

●国会のセクハラ

先週の記事を配信した後すぐに下院のコーニエ民主党議員(John Conyers
88歳)のオフイス秘書に対するセクハラが問題化した。コーニエ議員は示
談で済ますため2万7千ドルを支払ったと言うが、これに国会のオフイス支
出費を使った疑問が起きた。国民の税金でセクハラ問題を示談にしたので
ある。

この女性の告発のあと数人の女性も名乗りでたが、最初の一人は国民の税
金を使ったので、国会の倫理委員会が審議すると言われている。

アル・フランケン上院議員のセクハラ問題は当人が謝罪したので証拠は十
分だが、他にも5人ほどがセクハラされたと名乗っている。フランケン議
員は29日朝の記者会見で自己弁解と謝罪をしたが同時に辞職はしないと述
べた。マッコーネル上院議長はこれも倫理委員会で審議すると述べた。

共和党側ではアラバマ州ではロイ・モーア候補の選挙が12月12日にある。
モーア氏はセクハラを断固否定して立候補を取り下げないと言う。多くの
共和党議員はモーア氏を支持しないと発表したが、トランプ大統領はモー
ア氏がセクハラを認めていないかぎり彼を支持すると発表した。

モーア氏が落選すれば上院では共和党51、民主党49の僅差となる。しかし
民主党のフランケン議員が辞職すれば51対48となる。そのような政治的駆
け引きもあるので民主党側はフランケン議員の辞職に乗り気でない。つま
り共和党側は政治よりも道徳を重視し、民主党側は道徳より政治を優先す
るのだ。

25年前にクリントン大統領が罷免されたとき民主党多数の上院はセクハラ
を些細な問題としてクリントン罷免を拒否した。今ではクリントンを罷免
しなかったことが問題視され、フランケンの辞職拒否と重なって民主党の
重荷となっている。これが長引けば来年の中間選挙に影響するのは間違い
ない。

更に大きな問題は、前の記事で述べた国会では過去10年の間に1600万ド
ルの国会費用で460件のセクハラを示談で済ませたことが問題視されてい
ることだ。プライベートな問題を国民の税金で解決したのである。

民間ではこの460件の全てを審査して、誰がどのようなセクハラでお金を
幾ら支払ったかを調査し、加害者本人の月給または退職金から払い戻すべ
きだと提案している。多忙を極める国会でこんな法案がいつ提出されるか
と考えれば、早期の解決は期待できない。

●セクハラを断絶する方法

これまではセクハラが問題化したら金で示談にして解決してきた。だが、
この方法では常に被害者が金を受けとっても結局は辞職せざるを得ないこ
とになっていた。これでは加害者が改心することもないし、被害者に不利
で不公平である。不公平な解決ではセクハラを断絶することは出来ない。

クリントン大統領はヘラヘラ笑いながら謝罪して職位を保留できたけど、
今の社会は決して承知しないし、金と謝罪だけの姑息な方法ではセクハラ
はなくならない。

被害者にとってセクハラとは異常な方法で個人の名誉を傷つけられた事件
である。こんなことが2度と起きないようにするには、第一に恥をかかせ
た加害者に恥をかかせること、第2に破廉恥な行いをした加害者の辞職を
要求すること、第3に加害者が多額の損害賠償を支払うことである。

国会議員だろうと、会社の社長、芸能人でもスポーツ選手でも、加害者の
名前を公開すると同時に辞職を要求すればよい。この3条件が明文化すれ
ばセクハラはなくなる。

どうすればこのような処罰3条件を明文化できるのだろうか。前に書いた
ようにセクハラは法律で縛ることが出来ない。これは道徳問題だから解決
は道徳を明文化しなければならない。法律で規制するならハッキリした条
件と処罰を明文化することが可能だが、道徳では文書にして規制すのが難
しいし、道徳を守らない悪い奴が出て来る可能性もある。

セクハラは主に女性が被害者だが女性に限らず子供も男性も被害者かもし
れず、アメリカに限った問題ではなく各国、各社会、人類全体の道徳問題
だから読者諸氏の賢明な提案に期待したい。

2017年11月22日

◆「措置入院」精神病棟の日々(75)

“シーチン”修一 2.0


自分の子供や愛犬に好きだった女性の名前をつける、つけたがる男は、多
分珍しくないのだろう。未練といえば未練、初心といえば初心、可愛いの
かキモイのか・・・男の気持ちはいろいろだろう。

小生は「ちかこ」という名が好きで、小学生の頃は千佳子ちゃん、中学の
時は千賀子ちゃんが大好きだった。それもあって旅行会社「てるみくら
ぶ」の山田千賀子さんが海外旅行業界のひのき舞台(お偉いさんが集まる
業界団体の場など)に登場した時は「おっ、キターッ!」と感動したもの
である。

小生と千賀子さんは共に30歳前後で、小生は編集長、彼女は中堅旅行会社
の幹部だった。美人で頭が良くてスタイルがいい・・・業界で瞬く間に人
気者になった。「U社のM社長の思い者」などという噂もあったが、わが
ギョーカイはユルーイから「それは“有り”だな、男がほうってはおかない
よ」と、むしろ「さすがに才色兼備、やり手だなあ」などと千賀子さんは
さらに女をあげたのである。

千賀子さんの経歴をネットで調べていたら「風雲児ジェットツアーはなぜ
倒産したか 景気低迷、競争激化が借入金依存の自転車操業的な脆弱体質
を顕在化」という1998年の記事があった。目を通して「結構いい記事だな
あ、誰が書いたのだろう」と署名を見たら、なんと小生の筆名があった。
お懐かしゅう、という感じで、30年前の36歳、現役バリバリの小生と再会
した気分だ。

ちょろっと出だしと終りを紹介する。

<準大手ホールセーラー(株)ジェットツアー(東京都品川区、資本金12
億7200万円、菅原清美代表取締役社長)が1998年2月3日、倒産した。負債
総額は252億円。

ジャンボ時代を1年後に控えた1969年7月、(株)世界旅行として設立さ
れ、大手に対抗する中立的な純ホールセーラー、「風雲児」として一時代
を築いたジェットツアーだが、年初来の「倒産デマ」で経営危機が加速度
的に表面化、事業継続を断念するに至った。

中立性ゆえのバックの弱さ、リテール機能を持たない準ホールセーラーゆ
えの直販力のなさ、KB(報奨手数料、修一:航空会社からのリベート、通
称キックバック、口約束のために時々トラブルになる)方式による膨大な
立て替え金負担というホールセール事業の無理、さらにはバブル経済の崩
壊による景気低迷と競争激化が同社の借入金依存の自転車操業的な脆弱体
質を顕在化させ「菅原ジェット」のあまりにもあっけない落城を招いた。

価格競争が一段と激化している中で、ジェットの倒産は対岸視できない身
近な教訓を含んでいる。倒産に至る経緯と背景、原因をリポートし、特に
旅行業経営者へのテキストに供したい。

・負債総額は252億円

98年2月3日の倒産記者会見から1週間後の10日午後2時半から、ホテルポポ
ロ東京(五反田)で債権者説明会が開催された。会場には約400人の債権
者が集まり、当初予定より多かったのだろう、立ち見もいて受付の方にま
で人が溢れている。受付で規制されていたもののTV局などマスコミや業界
紙記者も取材に来ており、倒産の影響の大きさ、関心の高さを表してい
た・・・

・従業員と中小業者を保護すべき

今後、ジェットに対する債権はどのようになるのか。素人の記者には分か
らないが一般的には、金融機関が担保を差し押さえ、残りの資産を債権者
が優先度の高い順に分けあう。最も優先順位の高いのは法的な整理に伴う
費用(通信費、弁護士、破産管財人への報酬など)で、次に税金や社会保
険料が差し引かれる。

この残りの資産で最優先されるのが、従業員の給与と一部カットされるこ
とはあるものの退職金も順位の高い債権とされる(修一:労働債権という)。

現在、資産勘定で実際に現金化されそうなものは現金預金16億円、KBを除
く旅行未収金・売掛金12億円、前払金・前度金16億円、前払金費用4億
円、保証金10億円。多く見積もっても58億円ほどか。

一方でジェットに対する債権額は、保証債務を含めて292億円+従業員給
与・退職金(1人当たり300万円とすれば)約10億円、合わせて302億円。

海外ホテルはほとんどが現地法人に対して債権を請求するが、ジェットが
連帯保証しているだろうからジェットに対する債権額はこれから増えるこ
とはあっても減ることはないだろう。金融機関(担保に入っているのは6
億円の土地のみ)、ホテル、キャリア、ツアーオペレーターを含めて、配
当されるのは債権の10〜15%ほどになるかもしれない。従業員と中小業者
を最優先して可能な限り厚く配当してもらいたいものである。

菅原マジックを可能にした責任の一端は、KBを餌に量販を煽った航空会社
と、バブル期に融資競争に走った金融機関にもあるだろう。菅原ジェット
はそのバックコーラスを受けて、おとぎ話にある「踊る靴」を履いて踊り
続け、そして倒れた。電鉄系の準大手旅行会社の役員が1年前にこう言っ
たのを思い出す。

「業界が低収益構造に陥った原因のひとつに、航空会社との数、スケール
のニギリによるKB方式が上げられると思う。これで一番恩恵を受けている
のは、KBがなければ生き残れないというホールセーラーの弱みをうまく利
用し安く仕入れて急成長したHISなどエアオン販売業者だろう」

奇しくも倒産前夜、菅原氏が最後に支援を依頼したのはHISの澤田社長で
あった。元風雲児は現風雲児を前に時代の変遷を思ったことだろう。「一
将功なり万骨枯る」ではないが「澤田HIS功なり菅原ジェット枯る」と
なってしまった。1998年はひとつの時代の終焉の、その始まりかもしれな
い(旅行産業アナリスト石上幸一)>

旅行業界は「今日売れなかった座席、客室は永遠に売れない」という、在
庫のきかない商売だから、バナナの叩き売りになる。生鮮食品のその日の
最後のセリが廃棄物一歩手前の安さで処分されるのと同じで、こういう激
安チケットを仕入れて売ったのが澤田だった。

業界では澤田を「バッタ屋」と見下していたが、「競争自由化で消費者が
利益を得るのはいいことだ」という日経新聞の後押しもあって今や大手に
のし上がった。

HIS澤田以前、旅行業界は一生を託せる産業だったが、澤田以後は低価格
競争でマイホームどころか家庭も持てない産業になってしまった。公取が
航空会社に「旅行会社に“認可運賃を守れ”と指導するのはいいが、取引停
止などの制裁をすれば独禁法違反だ」と運輸省や航空会社をドーカツした
ことから、HIS澤田的ビジネスはお墨付けを得て業界を席巻したのである。

「てるみくらぶ」の千賀子さんも刀折れ矢尽きて2億円の詐取容疑だし、
被害者も多いから懲役3年あたりかもしれない。日本最大の女子刑務所、
これから寒そうな栃木刑務所送りか。出所すれば70歳、家族もいないよう
だから寂しい晩年になりそうだが・・・

なお、未確認情報だが、菅原氏は倒産前に(偽装?)離婚して全財産を奥
様に移した(慰謝料は無税)他、米国の銀行口座に5億円を貯め込んでい
たという風評があった。

頭のいい千賀子さんもどこかに蓄財しているかもしれない。うつ病などを
装うと、上手くいけば八王子医療刑務所に行けるかも。看守さんはとても
優しいそうだ(自殺を恐れているためとか。始末書では済まず、出世はま
ず無理になるのだろう)。

ペンネーム石上幸一の「幸」は、幸枝、幸子、美幸といった名前も好き
だったから。Kにもその文字がある。「辛」と似ているなあ。

リアルのうつ病かつウツケ、“うつウツ”の小生は11/14に精神科外来受
診。可愛くて優しいカウンセラー2人とおしゃべりができてとても楽し
かった。K曰く「気に入ってるんやったら再入院してもええで」、辛辣や
なあ。何やらここ2、3日、躁状態の発狂亭雀庵の病棟日記から。

【2017/1/7】*早朝、2F急性期病棟の女帝、ナースの“ジャイアン”と会
話。アル中だった住職の旦那とは別居して4年だという。道理でアル中に
詳しいわけだ。結局、

「あなたの発狂事件は家族にはトラウマになっているから、あなたが宗教
にすがって自己犠牲で引いたところで上手くはいかないし、長続きはでき
ないよ。時間が必要で、朝晩、天と家族に感謝していれば、やがて少しず
つ家族の傷が癒えていき、寄り添うようになるよ」

とのこと。経験者の言葉は重い。どうもそれ以外に道はないようだ。「恩
讐の彼方に」を期すしかないな。日米戦の傷も70年でようやく癒えてきた
感じがするが、わが家の場合はどうか。1〜2年で済むのかどうか・・・

*16:30、Dr,診察、「奥さんへの思いやりが必要」という。それは感性
などの右脳領域のことで、小生は基本的にロジック、論理の左脳人だか
ら、感性ソフトがどうも発達障害なのかもしれない。

Dr,によるとKは9日(月)に小生に面会してから外出の可否をDr.と相談し
ながら決めるという。今は夫婦の信頼関係が欠如しているのだ。

改めて「Kや子・孫を愛しているのか」と自問してみると、ただの「身近
な人、同居人」のような感じがする。信頼感とか、親愛の情といった
ウェットな感情が欠落しており、「他人とは言わないけれど、結局は他者
だわな」という想いがする。自・他の距離感があり過ぎて、異常かもしれ
ない。かなり怪しく、そのうち専門家に聞いてみよう。

他者への関心が薄いから会話やおしゃべりが苦手で、そもそも興味がな
い。他者は他者、自分は自分。言った、言わないのトラブルが嫌いだから
「言いたいことはメモに書いてくれ」。これでは誰も寄り付かないが、静
かな方が好きだからまったく苦にならない。

思いやり:他人の身の上や気持ちを推し量ること、同情。sympathy:同
情、哀れみ、同感、共鳴。

小生が目指すのは孤高の人、孤立主義、独立独歩で、「思いやり」という
感覚がよく分からない。

【1/8】*このところ体が地に着いていない感じで、フワフワしている。
薬やサプリメントの影響とか、運動のし過ぎとも考えられる。もうすぐ66
歳だから、そんな風になるのも自然なのかもしれない。終日、部屋を飾っ
たり、機能的にして楽しんだ。

*夕食後に“バアバ”とおしゃべり。「お正月は外泊したみたいね、どうで
した?」と聞けば、「あっという間の2泊3日でした。家はやっぱりいい
わ、自分で料理も作れるし」。

一時期、彼女は料理ができなくなっていたのだが、家族から「おいしい
ね」と言われてから料理を以前のように作れるようになったと言っていた。

家族からの「思いやり」とは、そういう感謝の言葉や励ましなのかもしれ
ない。「ありがとう、美味しかったよ、また作ってね」とか・・・(つづ
く)2017/11/19

2017年11月21日

◆ISイスラム国は黄昏か?

平井 修一


マラ・レブキン/イエール大学ロースクール博士課程、アハマド・ムヒ
ディ/ジャーナリストの論考「「イスラム国の黄昏 離脱したシリア人元
戦闘員たちへのインタビュー」(フォーリンアフェアーズリポート6月
号)から。

<イスラム国(IS)を後にするシリア人戦闘員が増えている。2016年3月だ
けでも、数百人のイスラム国戦闘員がラッカやアレッポを離れて、戦線離
脱したと考えられており、その多くがシリア人だ。

離脱後、穏健派の自由シリア軍(FSA)に参加する者もいれば、紛争から
離れようと、国境を越えてトルコやヨルダンに向かう者もいる。

シリアのISは、現地社会や地勢などをめぐるインサイダー情報をめぐって
シリア人メンバーに多くを依存してきた。逆に言えば、シリア人戦士の戦
線離脱の増大は、シリアにおけるISの統治と軍事活動を大きく脅かすこと
になるだろう。

現在トルコにいる8人の元IS戦闘員たちへのインタビューから浮かび上が
るのは、もはや勢いを失い、自暴自棄となったイスラム国の姿だ。

*シリアからトルコへの脱出

ISに参加して2年後、アンマールはこの武装集団のイデオロギーに背を向
けた。シリア北東部デリゾール県出身の法科大学院の学生だったアンマー
ルは、バッシャール・アサド政権を打倒しようと、2011年に反政府運動に
身を投じた。

反政府・革命運動が壊滅的な内戦へと姿を変えるなか、2014年11月、彼は
イスラム国のメンバーになることを決意する。

「アサド体制を倒し、欧米が強いた数十年に及ぶ屈辱と抑圧を脱し、イス
ラムの尊厳を取り戻すには、カリフ制国家が必要だ」と確信したからだ。
「イスラム国ならシリアに正義と安全をもたらせる」と彼は純粋に信じて
いた。

だが、数年に及ぶ終わりのない社会暴力が続くなか、アンマールは「次第
にシリア人戦士を二流市民として、シリアの民間人をそれ以下の存在とし
て扱うようになったIS」に対して幻滅を感じるようになった。

「子供時代からの友人たちを処刑し、ヨーロッパや湾岸諸国からの外国人
戦士に自分たちの数倍の賃金を支払い、指導的立場に引き上げている」

こうしたイスラム国のやり方に、彼は大きな反発を抱くようになり、特に
「能力主義を貫き、ルールを尊重する」と表明しておきながら、外国人戦
士を優遇するイスラム国はひどく偽善的だと感じるようになった・・・>
(以上)

一方でイラクでは政府軍がISへの攻勢を強めているが、政権は利害対立が
激しくほとんど機能していないようだ。酒井啓子・千葉大学法政経学部教
授の論考「イラク・ファッルージャ奪回の背景にあるもの」(ニューズ
ウィーク5/27)から。

<何故この時期に?という問題がある。ファッルージャからISを追い出す
ためにイラク軍が動き始めたのは2月だ。昨年末にISから奪回したラマー
ディは、ファッルージャから西方40km足らず。ラマーディを攻略した勢い
でファッルージャにもすぐにでも、という様子だったが、2月初めに
ファッルージャへの補給を断つ包囲戦を始めたあともなかなか手をこまね
いていた。

それがなぜ5月に一気に攻勢に出たのか? 国民や国際社会の目をIS叩きに
向けなければならないような状況が、イラク内政にあったからだ。

そう、アバーディ政権の足元は、グラグラというより、蟻地獄さながらに
崩れ落ちていっている。そのことを如実に示すのが、5月に入って繰り返
し行われているサドル潮流による旧グリーンゾーン(現在はインターナ
ショナル・ゾーンと呼ばれる、旧米軍管理地域)への乱入事件だ。

その嚆矢となったのは4月30日の、サドル潮流が組織する大衆デモの暴徒
化と、そのグリーンゾーンとそこにある議会庁舎への乱入である。ちょう
どバイデン米副大統領がイラク訪問中だったこともあって、アバーディ首
相の統治能力のなさを露呈する事件となった。

だが、アバーディ内閣の混迷は、その前、4月から深刻化していた。もと
もとマーリキー政権の権力集中、党派政治を脱却して改革を進める、とし
て1年10か月前に発足したアバーディ政権だったが、改革の成果はいつま
でたっても目に見えない。シーア派宗教界からも、「改革をしっかり実施
せよ」と厳しいお叱りを受けて、3月末に内閣改造を発表したのである。

その内容は、彼なりの「派閥脱却人事」だった。当然、主要派閥はいっせ
いに総スカンの態度をとる。たとえば、あるクルド人を閣僚登用したとこ
ろ、クルディスタン地方政府を仕切るクルディスタン民主党が、反発。い
わく、「クルド人を起用するのはいいけど、うちらを通してもらわないと
ね」。

アバーディの問題は、ここで「派閥をぶっこわす」と言い切れるほど、
リーダーシップを発揮できないことだった。大御所たちににらまれて、
つっぱれるほど周りに知恵者もいない。結局4月半ばには大派閥の意向を
組んだ、派閥割振りの人事に妥協せざるを得なくなった。

と、その途端にアバーディの足元を見た各派が、独自の行動に出る。ア
バーディに引きずりおろされたと怨み骨髄のマーリキー前首相派や、ア
バーディの「派閥脱却」路線を利用して発言力の拡大を図るサドル潮流。
紛糾する議会の議論は、ペットボトルの投げ合いから取っ組み合いに発
展、さらにはアバーディと彼の右腕のジュブーリ国会議長に反発する議員
が、議会内で座り込みを始めた。

サドル潮流が4月末に、支持者を率いて議会内になだれ込んだのは、「改
革を阻み派閥政治に拘泥する座り込み議員に鉄槌を下す!」との名目だっ
たのである。

この混乱に手をつけられないアバーディが取ったのが、「国民と国際社会
の目をISに向ける」という逃げ道だった。みんなの敵ISをやっつけて
ファッルージャを解放した、という手柄を喧伝して、弱い首相のイメージ
を払拭しようとした。

しかし、払拭できたといえる状況では、到底ない。ファッルージャ攻撃自
体が、新たな対立の火種を抱えている。それが、さらなる宗派対立ムード
の蔓延だ。

政権をどう立て直すかも手の施しようがないが、自制もなく宗派意識をむ
き出しに他宗派を罵る、宗派意識の深化はさらに深刻だ。ISがいなくなっ
たとしても、その残した遺恨は、図りなく大きい>(以上)

米軍のイラク攻撃以前はサダム・フセイン率いるバース党が強権独裁であ
れ、とにもかくにも統治していた。米国は占領に当たってはこの統治機構
を利用すべきだったのに、逆に完璧に破壊してしまった。ネオコンに引き
ずられて大失敗。パンドラの箱が開いてカオスになった。

ISイスラム国が黄昏かどうかは分からないが、イラクがシリアともども数
十年は混乱のままだろうことは確かだ。(2016/6/9)

◆無所属なのに党役員ってどういうこと?

                        酒井 充


【酒井充の野党ウオッチ】無所属なのに党役員ってどういうこと? こん
な脱法行為を是とする民進党に立憲主義を掲げる資格があるのか 2016.4.12


http://www.sankei.com/images/news/160412/prm1604120004-n1.jpg

民主党が維新の党を吸収合併した民進党が3月27日に発足し、150人規模の
野党第一党が誕生した。ただ、新代表は旧民主党の岡田克也代表が「続
投」したとあって、「新党」のイメージを欠き、政党支持率も伸び悩んで
いる。あまり注目されない中で、党に所属しない無所属の国会議員が党の
要職に就くという不可解な“脱法行為”が、淡々と実行されていた。

経緯が複雑なので、順を追って説明する。民進党は旧民主党の130人、旧
維新の党の21人、解散した改革結集の会の4人、無所属だった水野賢一参
院議員の計156人で発足した。解散した旧維新の党は議員26人の政党だっ
たが、参院議員の小野次郎、川田龍平、柴田巧、寺田典城、真山勇一の各
氏は民進党に参加しなかった。正確に言えば、この5人は参加したくても
できなかった。比例代表選出議員の政党の移動を原則禁じた国会法の規定
があるためだ。

小野、柴田、寺田3氏は平成22年の参院選で当選した。真山氏はこの選挙
で落選したが、24年に繰り上げ当選している。川田氏は25年の参院選で当
選。いずれもみんなの党の比例代表で当選した。だが、党内抗争が激化し
たみんなの党は26年12月の衆院選を前に解散した。

国会法は、比例選出議員の政党の移動禁止の「例外」として、選挙時には
存在しなかった新党への参加や、他党との合併に伴う移籍などを認めてい
る。ただし、合併の場合は比例名簿を届け出た政党が存続していることが
条件となる。

本来ならば、松野頼久衆院議員(比例九州)ら旧維新の党の比例当選議員
も民進党に参加できない。しかし、民進党は民主党を存続させた上で維新
の党が合流する「存続合併」方式で誕生した。松野氏らは旧維新の党とし
て合併を意思決定したので、合流が可能となった。

一方、みんなの党はすでに解散していたため、当選時にみんなの党に所属
していた小野氏ら5人の民進党への合流を意思決定すべき主体が消滅した
とみなされている。そのため5人は民進党に参加できないのだ。

しかし、小野氏は民進党の副代表に、川田氏は「次の内閣」厚生労働相に
それぞれ就任した。副代表は、党規約で「党運営に関する重要事項を議決
する機関」と定めた常任幹事会のメンバーだ。川田氏も、党の政策を審
議、決定する「次の内閣」の一角占める。

いずれも要職といえる。民進党には今後、税金による政党助成金が97億
4300万円(28年分)交付される。巨額の税金が投入される公党の意思決定
に、「部外者」の国会議員が深く関与するというわけだ。

なぜ、このような事態が生じたのか。

川田氏を除4人は夏の参院選で改選を迎える。真山氏は参院選神奈川選挙
区に「国替え」出馬する見通しで、小野氏ら3人は比例代表で出馬する予
定だ。だが、比例代表は政党が候補者の名簿を提出して争うので、「無所
属での比例候補」は存在し得ない。

改選を迎える小野氏ら参院議員の任満了は7月25日。参院選の投開票日は7
月10日が有力視され、告示は6月中となる見込みだ。無所属のままでは民
進党公認として戦えないので、小野氏らが民進党から比例代表で出馬する
ためには告示前に辞職する必要がある。

つまり、国会法の規定で民進党に参加でないとはいえ、いずれ「民進党公
認」で参院選を戦うのだから、今から「民進党の議員として扱う」という
意図があったと推測される。晴れて当選した暁には、堂々と党所属参院議
員として迎えるのだろう。

そこで「苦肉の策」として編み出したのが、党規約の付則の「経過措置」
という項目だった。そこには次のように明記してある。

「本規約にかかわらず、2019年9月末日までの間、共同会派に所属する国
会議員で、本党所属議員でない者に、役員又は役職を委嘱し、両院議員総
会の決議に基づき両院議員総会における議決権を付与することができる」

さらりと書いてあるが、「超法規的措置」といえるこの項目により、小野
氏らは事実上「民進党所属の国会議員」として扱われているのだ。期限は
2019年9月末。川田氏が改選を迎える平成31年夏の参院選の後までなの
で、川田氏は少なくとも今後3年余り、「無所属なのに民進党議員」とし
て扱われるという異常な事態が続く。

要職を務める小野、川田両氏以外の3人も、党大会に次ぐ議決機関である
両院議員総会での議決権を持つことになった。

付則を含め党規約は3月27日の結党大会や4月5日の両院議員総会で、異論
なく了承された。「無所属議員を党所属議員として扱う」という政党政治
の根本が問われるような異常な事態に対し、誰も異を唱えなかったのだ。

そもそも選挙後に政党を移動した比例選出議員の行動は、国会法の趣旨か
ら外れた脱法行為としか言いようがない。

議員の政党間移動を禁じた改正国会法は、森喜朗内閣時代の平成12年4月
27日に成立した。改正案は自民党などの与党を中心に議員立法として国会
に提出された。

衆参両院の委員会で提案理由説明を行った自民党の鈴木宗男衆院議員(当
時)は「現行法は衆参議員とも当選後、選挙のときに所属していた政党か
ら他の政党に移動することには何らの制限も加えられていない」と指摘。
その上で「しかしながら…」として、次のように続けた。

「比例代表選出議員が当選後、他の政党に移動することについては、選挙
に示された有権者の意思と全国民を代表する議員の地位をめぐって、国会
をはじめ学界、マスコミ等各方面で種々論議のあったところであります。

これらの論議を踏まえ慎重に検討した結果、本案は、衆参比例代表選出議
員が当選後、当該選挙で争った他の政党等に移動することは、有権者の意
思に明らかに背くものであることから、これを禁止することといたしてお
ります」

さらに、鈴木氏は「比例選出議員が、選出された選挙における他の名簿届
け出政党等に所属する者となったときは、一定の場合を除き、退職者とな
ることとしている」と指摘していた。鈴木氏は「一定の場合」として、こ
の記事の冒頭で触れた「例外」の事例も説明したが、政党を移動した議員
はあくまで「退職者」となることが、この
ときの改正の趣旨なのだ。

 国会法改正案の衆参両院の委員会での実質審議はそれぞれ1日だけで、
採決では当時の民主党を含め与野党が全会一致で賛成した。つまり全党
が、法の趣旨 に賛同したといえる。

ところが現状はどうか…。「有権者の意思に明らかに背く」として「原 則
禁止」に賛同したはずの国会議員が、「例外」という抜け道を最大限活用
して頻繁 に政党を移動している。

国会法で移動禁止の対象となる現職の比例選出議員は衆院180人、参院 96
人の計276人いる。このうち、18・1%にあたる50人(衆院31人、参院19
人)が前回の 選挙後に政党を移動した。比例選出議員の約5人に1人が、
法の趣旨に照らせば本来は 「退職すべき議員」なのだ。

衆院の場合は、26年12月の衆院選後に維新の党が分裂したことが大きく
影響している。松野氏ら旧維新の党の比例選出議員17人は民進党に合流し
た。これも 本来は自らが「原則禁止」とした行為だ。参院はみんなの党
が消滅したことが大きく 影響し、移動した19人中、11人が旧みんなの党
で当選した比例議員だ。

移動した議員を現在所属している政党別にみると、民進党が19人と最も
多い。民進党は無所属議員5人も党所属国会議員として扱っているので、
その数は実 態として24人となる。民進党の比例選出議員の総数は5人を含
めると69人なので、 34・7%に上る。実に3人に1人以上が、「有権者の意
思に明らかに背く」のだ。

そんな脱法行為に平然としている政党が今、「安倍晋三政権は立憲主義
を踏みにじっている」と声高に叫んでいる。法の趣旨を理解していないの
か、それ とも忘却しているのか。あるいは、理解した上で無視している
のか、単なる厚顔無恥 なのか…。立憲主義の重要性を訴える前に、まずは
自らの行為を真摯に見つめ直さな い限り、民進党が国民の信頼を得るこ
とはないだろう。提稿:久保田商会)

2017年11月16日

◆「措置入院」精神病棟の日々(74)

“シーチン”修一 2.0


11/14、精神科外来で受診、“いい死の日”11/4に引きこもってから11日目
だ。心身ともにかなり快復してきたが、「治る病気じゃない」というのは
ちょっと辛いものがある。こういうのは笑って吹き飛ばすしかないやろ
な・・・

<アンタのおかあはん、うちにこう言わはったで。

「歳をとってから刑務所に面会に行くなんて思ってもみんかった、修はほ
んまに手がかかる子で、ちっさい頃はよー病気して、大きゅうなったら刑
務所や、うちはこのクソガキをいつまで難儀せなあかんのやと嘆き続けて
ましたんや。

そんなアホをよー引き受けてくださって、ほんまにうちはホッとしてま
す、ようやく解放された、もう要らん心配せんでもええ・・・ほんまに感
激して・・・もううちは・・・天国の父ちゃんも喜んでいはるやろ思う
と・・・」

おかあはん、涙流してうちに感謝していたで。おかあはんの気持、うちは
今ようやく分かったわ。うちが思ってたアンタと今のアンタは全然違う。
もうアンタには何も期待せん、がっかりや。朝っぱらから台所でガチャガ
チャするんも安眠妨害や。あんた、何時に起きてるんや?

「大体4時ごろや、脳ミソが動き出すまで1時間はかかるさかいに・・・飯
は6時半やから、それまでに洗濯も干し終えんといかんし・・・」

せめて5時からにしてえな、ええ気持で寝てるとこ起こされると気分悪う
なるさかいな。ほんまにもうやっかいなやっちゃ。

おかあはん、うちにこんなことも言うてはったで、「あんさん、仕事のか
たわら大学で勉強しておるそやけど、アホの修とはぜんぜん釣り合わん
し、あないなアホのどこが気に入りましたんや」て。

うちはこう言ったんや。藤山寛美のアホは必死のパッチで磨いた芸やで、
修さんのアホは混じりっ気なしの天然もんです。

うちは浪大の聴講生で、「人間行動学」を専攻しておるんやけど、日本人
種の知能の発達の研究標本として、修さんは貴種ちゅうかけったいなほど
の稀種、奇妙なほどの奇種で、proto-Mongoloid、古モンゴロイド、ま、
縄文人というか、日本原人そのものでっさかいに、ほとんどレッドブック
もん、絶滅危惧種ですわ。

うちの研究対象としてぴったりやし、野生動物の保護という面でもうちが
難儀せなあかん、科学者としての義務やと、そう思いましてんねん、てな。

おかあはんは「何や分からへんけど、修が世の中に役立つとは思ってもみ
んかった。トンビがバカを産むっちゅうのは、そういうことやな」。ほん
まになあ、「アホも使いようや」ってふたりして大笑いしたもんや。

今のアンタはアホやない。要らん知恵つけよったさかいにうつになってし
もうた。ちーとも可愛くないわ。標本にもならんドアホや、粗大ゴミや、
金北豚、役立たず、濡れ落ち葉のクズや・・・

何をしようが、どこへ行こうが、うちはもう難儀やさかい、三猿でいく
わ。アンタが出ていかんならうちが出ていく。ほんまに見損のうたわ>

「溺れる犬をさらに打つ」、病人にそこまで言わんかてええやんか、と思
うんやけど、世間は結構キツーイもんや。魯迅先生曰く――

<犬は、いかに狂い吠えようとも、実際は「道義」などを絶対に解さな
い。犬は泳ぎができる。かならず岸へはい上がって、油断していると、ま
ずからだをブルブルッと振って、しっぽを巻いて逃げ去るにちがいないの
である。

しかも、その後になっても、性情は依然として変わらない。愚直な人は、
犬が水へ落ちたのを見て、「きっと懺悔するだろう、もう人に咬みつくこ
とはあるまい」などと思うだろうが、それはとんでもないまちがいであ
る>(「“フェアプレイ”はまだ早い」)

一度うつ病、一生うつ病、同病の人はどうしているのだろう。BuzzFeed
Japan 11/9「鬱を抱える芥川賞作家を救った“吐き出す”ということから。

<20歳という若さで芥川賞に輝いた、ひとりの小説家がいる。金原ひと
み、34歳。

受賞した年に担当編集者と結婚し、東日本大震災を機にフランスに移住。
34歳となった彼女はいま、娘2人と夫との4人で暮らしている。

「年に数回は消えてしまいたいと思う時があります。消滅欲求が、わっと
盛り上がる時が定期的にあって。もちろんきっかけはあるんですが」

真っ白な光が差し込む部屋の中で。彼女は自らが抱えている鬱のことを、
淡々と語り始めた。

「書いているときは、パソコンと私っていう世界の中で、ある種の信頼関
係の中で自分の書きたいことを表現できる。そこに描かれるのはユートピ
アみたいな世界ではないですけど、信頼のある場で苦しみを吐露していく
中で、自分が救われていっている、という感覚があるんです」>

苦しみを吐露する中に救いがある・・・その感じは分かるが、吐露される
方は迷惑だったりして。齢を重ねても分からないことだらけだ。自分を標
本に考え続けることが小生の道なのだろう。

過ぎたるは及ばざるが如し、“考えすぎる老人”発狂亭雀庵の病棟日記から。

【2017/1/6】(承前、クリスチャンの渡辺和子氏の論稿から)

<聖フランシスコの「平和の祈り」は、「主よ、私を、あなたの平和のた
めにお使いください」という祈りの後に(こう)記しています。

「慰められるより慰めることを、理解されるよりも理解することを、愛さ
れるよりも愛することを、望ませてください。

私たちは与えることによって与えられ、すすんで許すことによって許さ
れ、人のために死ぬことによって永遠に生きることができるからです」

このように(自己中心的な自分との絶え間ない戦いである)“小さな死”は
命と平和を生み出します。それはマザー・テレサが求めていた“痛みを伴
う愛”の実践でもあるんです>

小生のモヤモヤは、医療という科学ではなく、宗教という超人間的な神
仏、教義への崇拝、信仰、帰依、それに支えられた自己犠牲という“小さ
な死”、「痛みを伴う愛の実践」でしか晴れないのではないか。

仏教でいうところの「安心=あんじん」、「信心を得て落ち着き安住して
動じない」という境地。妄想、逃避、依存症に似ているようでもある。

磯田光一(文芸評論家、イギリス文学者)曰く――

<愛とは隷属であり、幸福とは“隷属の幸福”以外あり得ない。人間は進歩
や解放、自由さえも求めてはいない。人間が心の底で求めているのは、異
性であれ、(宗教や)イデオロギーであれ、一つの対象のために奴隷にな
るということである。

そのために身を亡ぼすことも辞さない。そういう感覚を理解できないなら
“進歩と改革”を信じ続けるがいい>

我が身を見れば、法悦のような「隷属の幸福/降伏」か、相互不信的な
「休戦・停戦・家庭内別居」かの二択・・・

「覆水盆に返らず」で、隷属は難しそうで、現実的にはいささか冷戦的な
家庭内別居になるかもしれない。

難しい知恵の輪が解けるわけではないが、とりあえず押入れの隅に入れて
おく、という「時とともに去りぬ」の忘却路線。どうなるものやら全然分
からない。

*10:00〜11:15、作業療法は体操と、オモチャの紙幣を賭けてのじゃん
けんゲーム。オモチャであってもカネが絡むから結構みな真剣に楽しんで
いた。この部屋の窓から洋風の新築一戸建てがよく見えるのだが、ど田舎
の風景とまったくマッチしていない。

まるでカナダのプリンスエドワード島の「赤毛のアン」の家がそっくり移
築されたような感じで、多分、奥さんの好みなのだろう。旦那さんは「と
にかく白い家は勘弁してくれ」と言うのが精一杯だったに違いない。外壁
はクリーム色だった。

男と女・・・上手くやるのは本当に難しい。生涯未婚率は上昇するばかり
だ。「お一人様」でも快適に暮らせるから、よほどのインセンティブがな
いとゴールインはしないのかもしれない。(つづく)2017/11/15