2016年03月14日

◆菅首相をいただいた「日本の不幸」

伊勢 雅臣



震災対応そっちのけで党内抗争を繰り返す民主党の惨状に、党幹部も「もうだめだ党内みんなメルトダウン」と自嘲するばかりだった。

■1.「かかる首相をいただきて」

「かかるとき かかる首相を いただきて かかる目に遭ふ 日本の不幸」とは、俳人の長谷川櫂さんが5年前の東日本大震災に際して詠んだ短歌である。

「かかる首相」がどのように「日本の不幸」をもたらしたのか、それをきちんと総括して、その「不幸」を再発させない事が、大震災の犠牲者の方々に対する我々の責務であろう。大震災の5周年を期に、この点を振り返って見たい。

平成22(2010)年6月8日に発足した菅直人内閣は、当初は64%と高い内閣支持率を誇っていた。しかし、9月7日、尖閣諸島海域で海上保安庁巡視船に体当たりして逮捕された中国漁船の船長を釈放させ、しかも衝突のビデオを隠すなど、姑息な対応が国民の批判を呼び、翌年1月には内閣支持率は34%に急落していた。

震災発生直前には、菅が在日韓国人から献金を受けていた事実が発覚した。その5日前には、同様に在日韓国人から献金を受けていた「ポスト菅」の有力候補、前原誠司が外相を辞任していた。

3月11日午前には、自民党、公明党、そして民主党の小沢一郎グループも菅の辞任を求めた。そのわずか数時間後に大震災が発生し「政治休戦」となる。菅は絶体絶命の境地を大震災に救われたのだった。


■2.現場の足を引っ張る首相

大震災の翌朝、菅は自ら福島第一原発を視察した。枝野官房長官が「このタイミングで官邸を外せば、袋だたきに遭います」と制止したのを、「バカ野郎。事態を食い止めるのと、批判されるリスクを考えるのとどっちが大事だ」とはねのけた。

菅の思惑は、現場への登場ぶりに現れていた。ヘリが到着して、乗員が降りようとすると、「まず総理だけが降りますから、すぐには降りないで下さい」と待たされた。写真撮影のためだった。[a]

その後、菅は吉田昌男・福島第一原発所長に約25分間、事態の説明をさせた。大震災発生後、不眠不休で原子炉に海水を注入するまでなんとか漕ぎつけていた吉田所長の貴重な時間を奪ったのである。さらに、どこにヘリをとめ、どう首相を案内するのか、足りない防護マスクをどうするのか、など受け入れ準備で現場に無駄な時間を使わせた。

菅は原発視察ののちに、宮城県の被災地をヘリで視察し、結局、4時間半、官邸を留守にした。震災対応の司令塔たるべき首相が、その責務を放り出していたこと自体が問題だ、という批判も噴きだした。

その後の海水注入にも菅は、再臨界などの恐れがあるから、よく検討せよという指示を出して、横やりを入れた。吉田所長はそれを聞き入れるふりをして、部下には海水注入を続けよ、と命じていた。1分1秒を争う事態に、菅は知ったかぶりをして、現場で戦う人々の足を引っ張っていたのである。

政府関係者は「首相が東電の技術者をことあるごとに官邸に呼びつけてどなるので、現場対応の邪魔になっている」と嘆いていた[1,p40]。


■3.「まるで政治ショーだ」

3月13日、東京電力は原発停止による電力供給不足に対応するため、1都8県を5グループに分け、各3時間程度、交代での計画停電を14日朝6時20分から行う事を計画した。東電は、少しでも計画停電に備えて貰おうと、午後6時半から清水正孝社長が発表を行うこととし、午後2時前に菅にその旨を伝えた。

ところが、官邸から「まず、首相が国民に直接呼びかける」と横やりが入り、東電の発表を遅らせた。枝野は午後5時前の記者会見で、電力不足対応策を検討するための「電力需給緊急対策本部」を設置し、ただちに会合を開くとしたが、計画停電に関しては「ギリギリの調整を電力会社と経済産業省でしている」とぼやかした。

結局、菅が午後8時に記者会見で計画停電を発表。その後も枝野、海江田経産相、蓮舫節電啓発相が次々に国民に節電を呼びかけ、東電側の発表をさらに遅らせた。東電の社員からは「首相官邸のやっていることは、まるで政治ショーだ。つきあいきれない」との恨み節が漏れた。

しかし「事前に十分な準備時間もないまま計画停電を実行すれば、人工呼吸器が止まって死者が出る」との悲痛な訴えが各方面から殺到し、枝野は14日未明、東電幹部を呼び出し、「計画停電を午前中だけでも止めろ」と迫った。

結局、14日午前の計画停電は見送られたが、政府側から詳細な説明もなく、首都圏のJRや私鉄各線は通勤電車を削減したのに、多くの乗客がいつも通り押し寄せ、駅も車内も大混乱に陥った。


■4.「国際社会が菅政権に対する不信感を強めている」

首相官邸が機能不全に陥っているなかで、自衛隊、消防、警察が協力して、原発への決死の放水作業を試みていた[b]。その作業が難航していた3月17日、陸上自衛隊の大型輸送ヘリ2機による上空からの海水投下が計4回に渡って決行された。この作業は、テレビでも中継され、多くの国民が固唾を呑んで見守った。

ヘリからの海水投下は、見た目の派手さとは裏腹に、危険な割には効果が薄いと見られていた。それでも菅があえて北澤防衛相に実施を指示したのは、この日予定されていたオバマ米大統領との電話会議の前に、日本もやるべきことをやっているという実績を示したいとの思惑があったからだと指摘された。

投下実施後の記者会見で北澤が防衛相が「きょうが限度であると判断をした」と語ったのは、菅の「政治ショー」のために、自衛隊員の生命を危険に晒すのはこれで終わりにしたい、という意思表示ではなかったか。その後、北澤防衛相は二度とこの作戦を指示しなかった。

米国は大震災発生の直後から「トモダチ作戦」を発動して、最大時1万8千人もの兵力を動員して被災地救援に協力してくれたが、日本側の対応はあまりにも遅く、拙かった。米国のジョン・ルース駐日大使が最新の情報を求めて官邸に頻繁に電話しても、菅も枝野もなかなか掴まらなかった。

米側から不満をぶつけられた長島明久・元防衛政務官は菅に「米側には、本当にフラストレーションがたまっています。このままでは、日米同盟は深化どころか、崩壊してしまいます」と進言した。

菅はこれを受けて、原発事故対応に関する日米の調整会議の設置を了承したが、スタートしたのは22日で、大震災から10日以上経っていた。こうした日米のすれ違いは、「国際社会が菅政権に対する不信感を強めている」という見方を広めていった。


■5.「首相官邸に何度申し入れても全く動かない」

枝野は「広報担当」と呼ばれるほど頻繁に記者会見を開いていたが、原発関係ばかりで、民主党幹部からも「原発対応も大事だが、被災者支援が手薄になっている。国民のライフライン(生活物資補給路)確保のために政府は何をやっているのか」と批判の声があがった。

特に被災地への物資供給が停滞し、警察車両ですら給油待ちを強いられるほどだった。3月16日に震災対応を協議する超党派の「各党・政府震災対策合同会議」が開かれたが、会議後、共産党の市田忠義書記局長は記者会見で「政府は『鋭意対策に努めている』というだけで、ガソリン、軽油といった個別の問題でこんな手を打っているという話が一切ない」と批判した。

17日には福島県いわき市などで避難中や移送中の患者21人が亡くなっていたことが明らかになった。被災者支援が手薄のため、高齢者などが避難後に死亡する「震災関連死」が相次ぎ、政府に厳しい視線がむけられた。

自民党は経団連と連携して直接救援物資を送る動きを見せた。「首相官邸に何度申し入れても全く動かない」(自民党関係者)という被災者支援のお粗末さに業をにやし、直接乗り出したのだった。

菅や枝野が原発対応に追われて、被災者支援が手薄になったと言われるが、その原発対応ですらスタンドプレーに過ぎなかったのでは、犠牲者たちも浮かばれないだろう。


■6.「自ら首相の座を去るべきだ」

菅内閣は震災対応のための会議を作り続けた。震災1ヶ月後には、閣僚級だけで5つもの対策本部ができ、官僚からも「責任の所在があいまいで、かえって非効率だ」と批判された。「いくつ会議を作れば気が済むのか。責任逃れとしか思えない」との声まであがった。

5月6日には菅は突然、「地震の危険性」を理由に、中部電力の浜岡原子力発電所の停止を要請した。反原発派からは喝采を受けたが、国民の「なぜ浜岡だけなのか、他の原発は大丈夫なのか」という当然の疑問には、国民の納得のいく説明はなかった。

こうしたスタンドプレーも虚しく、5月中旬の世論調査では、原発事故の政府対応について「評価しない」と答えた人が73%にも達していた。

5月19日、西岡武夫参院議長は読売新聞に、次のような一文を寄稿した。

{・・・首相としての責務を放棄し続けてきた。・・・必死さも、決意も、術(すべ)もなく、今、お辞めにならなければ、原発事故がもたらす重大な課題も解決できない。政権担当能力を超えた難題なら、自ら首相の座を去るべきだ}。[1,p170]

 立法府の長である参院議長が、同じ民主党出身の行政府の長である首相の退陣を公然と求めるのは極めて異例だったが、この一文には、もう座視していられない、という切迫感が溢れていた。


■7.「裏切られた。人間として最低、クズだ」

「菅では震災対応を乗り切れない、早く替えるべきだ」という声は与党・民主党の中にも広がっていった。6月2日に野党から内閣不信任案が出され、民主党内の小沢一郎や鳩山由紀夫らの一派も賛成しかねない状況だった。

切羽詰まった菅は、鳩山ら民主党幹部との会談で「大震災への取り組みに一定の目処がついた段階で、・・・若い世代に色々な責任を引き継いでいただきたい」と発言し、これを鳩山らは早期退陣を約束したものと受け止めた。そして民主党の分裂を避けるために、不信任案反対に回った。

 鳩山と菅は覚書きまで交わしていたが、「一定の目処」に関して、鳩山は「復興基本法が成立し、第2次補正予算の目処がつく」時期として6月末での退陣を考えていた。

しかし、不信任案否決の直後、菅が晴れやかな顔で10月中旬から翌年1月中旬とされている原子炉の冷温停止までは「私の責任」だと言ったことで、鳩山は「裏切られた。人間として最低、クズだ」と激怒した。

ここから民主党内の菅降ろしのための抗争がさらに3ヶ月近く続く。震災対応そっちのけで党内抗争を繰り返す民主党の惨状に、党幹部も「もうだめだ 党内みんなメルトダウン」と自嘲するばかりだった。

しかし、その間も、菅のスタンドプレーは続いた。電力制限を続ける中で、定期点検の終わった九州電力玄海原発2、3号機の再稼働を地元も海江田経産相も了解していたのに、菅は7月6日に新たなストレステストの導入を発表して再開を先送りさせた。

前年秋以降、菅自身が主導して決めたベトナムへの原発輸出も、7月13日に菅が突然「脱原発」方針を表明したため宙に浮いてしまった。

菅が正式に退陣表明をしたのは8月26日だった。内閣支持率は18%に下落し、これでは破れかぶれの解散・総選挙も打てない。同時に、自民党は菅の資金管理団体が北朝鮮の日本人拉致事件の容疑者親族が関係する政治団体に不透明な政治献金を行っていた問題を追及する姿勢を強めていて、進退窮まったからだ。


■8.「あの人はずっと楽でしたね」

国民からも見離され、野党のみならず民主党内でも辞任を突きつけられる中で、菅は7月29日には記者会見でこう胸を張った。

「この間、大震災そして原発事故への対応について、もちろん100点とは言いませんが、内閣としてやるべきことはしっかり取り組んでいる。早い遅いの見方はありますけれども、着実に復旧から復興へ物事が進んでおります」。[1,p272]

この時期の菅の様子を、伸子夫人もこう評している。

「あの人はずっと楽でしたね。きついことは1回もなかった気がします、私から見ると。3月11日以降、ずっと大変でしたが、何も変わらなかった」。[1,p273]

これが「かかるとき かかる首相を いただきて かかる目に遭ふ 日本の不幸」の実態であった。「かかる首相」がいなければ、多くの犠牲者も死なずに済み、被災者ももっと早期に助けられたはずである。

しかし、この「かかる首相」を選んだのは我々国民である。菅内閣の発足時の内閣支持率は66%にも達していた。この事実は、我々の政治家を選ぶ目がいかに節穴だったか、を示している。どうして「かかる首相」を選んでしまったのか、「日本の不幸」の再来を防ぐためには、我々一人一人が反省しなければならない。


■リンク■

a. JOG(807) 福島第一原発の大惨事を食い止めた男たち
 私はあの時、自分と一緒に「死んでくれる」人間の顔を思い浮かべてい
たんです。
http://blog.jog-net.jp/201307/article_5.html

b. JOG(724)福島の英雄たち
 自衛隊、消防庁、警視庁などの無数の英雄たちが、身を呈して福島第一原発事故の収拾にあたった。
http://blog.jog-net.jp/201111/article_3.html

■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け)
  →アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。

1. 読売新聞政治部『亡国の宰相―官邸機能停止の180日』★★、新潮社、H23
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4103390131/japanontheg01-22/



◆景気好循環に特効薬はない

平井 修一



日本財団系の多言語発信サイト nippon.com 3/10「2015年の経常黒字、5年ぶり増の16兆円 原油安で貿易赤字縮小、爆買いで旅行収支が初の黒字」から。

<*黒字幅は5年ぶり、大震災前の高水準

財務省が発表した2015年の国際収支速報によると、海外との総合的な取引状況を表す経常収支は16兆6413億円の黒字となり、黒字幅は前年の6.3倍で5年ぶりの高水準になった。

1)原油安による貿易赤字の縮小 2)旅行収支の53年ぶりの黒字転換–などが影響した。

この結果に対して国内のメディアは「黒字の構造は様変わりしている」(朝日)、「経常黒字大国の復活。日本の稼ぐ力が輸出から投資やサービスに移っていることが鮮明になった」(日経)ととらえ、「円安政策だけに頼るのではなく、円高に耐えられる競争力構築が求められる」などと分析した。

経常黒字は2010年(19.3兆円)以降は減少が続き、14年は2.6兆円と過去最小に落ち込んでいた。15年は5年ぶりの増加で東日本大震災前の水準に近づくまで回復した。

震災前は輸出による貿易黒字が経常黒字をけん引してきたが、震災後は海外への証券投資や海外子会社からの配当金などが支えるように構造が変化している。

15年の経常収支のうち、貿易収支は6434億円の赤字。赤字額は前年(10兆4016億円)に比べ16分の1に減少した。アベノミクス下の急激な円安にもかかわらずその効果を上回る原油安の大波を受けて輸入額が75兆8207億円と前年比10.3%減少したことが大きく影響した。

輸出額は自動車や電子部品が伸び、75兆1773億円と1.5%増えた>(以上)

世界経済が減速する中で16.6兆円の経常黒字はいい数字だと思うが、国民のふところはどうもパッとしない。なぜか。ダイヤモンドオンライン3/10はこう分析している。

<2014年以来、安倍内閣は春闘に介入して企業に賃上げを要請してきた。企業が利益を上げていることから、その成果を内部留保にするのでなく、賃上げに回すべきだとの考えだ。

しかし、春闘がカバーする部門(平井:大手製造業など)では、賃金は上昇しているが、就業者が減っている(平井:消費の伸び悩みと生産性向上のためか)。他方、春闘がカバーしない部門(非製造業など)で就業が増え、そこで賃金が下落する。このために、全体の賃金が下落するのである。

この問題を究極的に解決するには、生産性の高い新しい産業が登場するしかない。

仮に政府の要請どおりの賃上げに成功したとしても、現在の日本では、経済全体の賃金所得増には、あまり寄与しないのである。その理由はつぎのとおりだ。

第1に、春闘の主たる対象である製造業の大企業では、賃金は上昇している。しかし人員が減少しており、それが問題なのである。これは、春闘ではいかんともしがたいことだ。

第2に、人員が増加している唯一の部門である非製造業大企業では、1人当たりの人件費が低下している。これは非正規労働者の増加によると考えられるので、やはり春闘の対象外だ。

第3に、法人企業全体として人員が減っている。その半面で、法人以外の分野での就業者が増えている。とりわけ医療・介護だ。

ところが、この分野の多くは、介護に見られるように、賃金が低い分野である。このため、全体の賃金が低下する。そして、これも春闘の対象外の問題である。

したがって、経済の活性化は、春闘への介入によっては実現できない。この問題の解決策は、高生産性の部門が新しく登場し、そこが雇用を増加させることでしかないわけである。

ところが、高生産性部門の成長は、すぐに実現できるものではない>(以上)

あらあら、所得が増えて消費が拡大する、さらに所得が増えるという好循環にするには特効薬はないようだ。じゃあ一体どうすればいいのか・・・そんな「解」(李克強の言う孫悟空の如意棒)があれば世界中の政治家と経営者は飛びつく。

結局はR&D、イノベーションの積み重ねによる革新的で競争力のあるモノ・ソフト・サービスの生産、そして国際市場の拡大という地道な取り組みが高生産性部門の成長になる。

これができない企業は価格を武器にするしかないから生産性は低下し、生産性格差はどんどん拡大し、ついには脱落する。支那を見れば一目瞭然だ。財政出動と金融政策で景気は上昇しても、高生産性部門の成長という基本的な基盤がつくれないと減速してしまう。

支那の失敗から学ぶべきは、「学問にも経営にも王道はない」ということだ。リスクをとり、こつこつ努め、スピードを上げていき、一気呵成に市場を制覇する。とても難しいことだが、世界に名をなした一流企業はみなそうしてきたはずだ。これを繰り返すしかない。(2016/3/11)


◆安倍首相が明確にした改憲意欲

櫻井よしこ



米国、アジア情勢に鑑みれば急務  

「安倍首相は参院選で3分の2を確保すれば必ず憲法を改正する」として、岡田克也民主党代表は安倍自民党の勢力拡大阻止に向けて野党勢力の結集を進める。重要政策で一致できなくても「野合で何が悪い」と開き直り、3月2日には小沢一郎氏とも会談した。岡田氏の目指す、安倍晋三首相による憲法改正の阻止と、安全保障関連法の破棄は一体である。
 
他方、安倍首相は憲法改正に言及し続けている。1月4日の年頭記者会見、22日の施政方針演説、2月3、4日の衆議院予算委員会に続いて、3月2日の参議院予算委員会では民主党の大塚耕平氏の質問に、憲法改正は立党時からの自民党の党是であり、自民党総裁として先の選挙でも訴えてきたと明言した。
 
大塚氏が在任中の改正を望むのかと念押しすると、首相は、(1)衆参両院で3分の2以上の賛成が必要、(2)自民党だけでは不可能に近い、(3)他党の協力が必要という前提条件を述べて、自分の在任中に成し遂げたいが、前提条件がそろわなければ不可能だと答えた。改憲意欲を明確に示したわけだ。
 
民主党の唱える安保法制破棄および憲法改正阻止と、自民党の安保法制促進および憲法改正のどちらが日本の国益にかなうのか。国際情勢を見れば答えはおのずと明らかだ。
 
憲法改正を急がなければならない国際情勢の第1要因は中国の軍事的脅威の増大だが、その件は先週の当欄で指摘した。その他にもう2つ、大きな理由がある。米国の政治情勢とアジア情勢である。
 
米大統領選挙の流れは民主党候補がヒラリー・クリントン氏、共和党候補がドナルド・トランプ氏に固まりつつある。両氏の訴えからは、少なくともいまのところ、まともな世界戦略は見えてこない。
 
両氏はそろってTPPには明確に反対だ。自由主義陣営の盟主として中国やロシアに対処する枠組みを担い、そのために汗を流すという考えは見られない。このような状況で日本自身がしっかりしなければ日本を守り切れない。米国の世界に対する消極姿勢が憲法改正を急ぐべき明確な理由である。
 
アジア諸国に見られる重要な変化も日本に憲法改正を促す要因である。
 
昨年12月28日の慰安婦問題についての日韓合意で、韓国は大きく立ち位置を変えた。合意直後に北朝鮮の「水爆実験」があり、朴槿恵大統領は中国の強い反対を押し切って、直ちに米国の高高度防衛ミサイル(THAAD)の在韓米軍配備に向けた協議に入ることを決定した。対米協力強化とは対照的に、北朝鮮の核実験を阻止できず、強い制裁に踏み切
らない中国に対し強い表現で批判した。
 
日本との歴史問題に関しては小学校の公民教科書から慰安婦や性奴隷という表現や写真を削除すると決定し、関係改善への具体的努力を示している。
 
中国が掌中に入れたと考えていたであろう韓国が中国離れを起こして、日米両国に再び接近し始めた。
 
台湾における蔡英文氏の大勝利は台湾人のアイデンティティー意識の反映であり、中国にこれ以上のみ込まれはしないという意味での「現状維持」、「事実上の独立」維持への決意である。
 
ベトナム、フィリピンをはじめとする東南アジア諸国も米国と初めて会談した。米国で米・ASEAN会談を開催したこと自体が南シナ海で膨張する中国への異議とみてよいだろう。
 
アジア諸国は中国離れという点で重大な変化をたどり始めたのである。この局面で、日本には米国とは異なる形でアジアの秩序構築を主導することが期待されている。国際法の順守と平和的手法を国際社会に打ち立てるためにも、主張を支える力が必要である。日本の発言に説得力を持たせ、日本への信頼を高め、中国に抑止力を働かせる意味で憲法改正が必要なのだ。

『週刊ダイヤモンド』 2016年3月12日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1124

櫻井よしこ

米国、アジア情勢に鑑みれば急務  

「安倍首相は参院選で3分の2を確保すれば必ず憲法を改正する」として、岡田克也民主党代表は安倍自民党の勢力拡大阻止に向けて野党勢力の結集を進める。重要政策で一致できなくても「野合で何が悪い」と開き直り、3月2日には小沢一郎氏とも会談した。岡田氏の目指す、安倍晋三首相による憲法改正の阻止と、安全保障関連法の破棄は一体である。
 
他方、安倍首相は憲法改正に言及し続けている。1月4日の年頭記者会見、22日の施政方針演説、2月3、4日の衆議院予算委員会に続いて、3月2日の参議院予算委員会では民主党の大塚耕平氏の質問に、憲法改正は立党時からの自民党の党是であり、自民党総裁として先の選挙でも訴えてきたと明言した。
 
大塚氏が在任中の改正を望むのかと念押しすると、首相は、(1)衆参両院で3分の2以上の賛成が必要、(2)自民党だけでは不可能に近い、(3)他党の協力が必要という前提条件を述べて、自分の在任中に成し遂げたいが、前提条件がそろわなければ不可能だと答えた。改憲意欲を明確に示したわけだ。
 
民主党の唱える安保法制破棄および憲法改正阻止と、自民党の安保法制促進および憲法改正のどちらが日本の国益にかなうのか。国際情勢を見れば答えはおのずと明らかだ。
 
憲法改正を急がなければならない国際情勢の第1要因は中国の軍事的脅威の増大だが、その件は先週の当欄で指摘した。その他にもう2つ、大きな理由がある。米国の政治情勢とアジア情勢である。
 
米大統領選挙の流れは民主党候補がヒラリー・クリントン氏、共和党候補がドナルド・トランプ氏に固まりつつある。両氏の訴えからは、少なくともいまのところ、まともな世界戦略は見えてこない。
 
両氏はそろってTPPには明確に反対だ。自由主義陣営の盟主として中国やロシアに対処する枠組みを担い、そのために汗を流すという考えは見られない。このような状況で日本自身がしっかりしなければ日本を守り切れない。米国の世界に対する消極姿勢が憲法改正を急ぐべき明確な理由である。
 
アジア諸国に見られる重要な変化も日本に憲法改正を促す要因である。
 
昨年12月28日の慰安婦問題についての日韓合意で、韓国は大きく立ち位置を変えた。合意直後に北朝鮮の「水爆実験」があり、朴槿恵大統領は中国の強い反対を押し切って、直ちに米国の高高度防衛ミサイル(THAAD)の在韓米軍配備に向けた協議に入ることを決定した。対米協力強化とは対照的に、北朝鮮の核実験を阻止できず、強い制裁に踏み切
らない中国に対し強い表現で批判した。
 
日本との歴史問題に関しては小学校の公民教科書から慰安婦や性奴隷という表現や写真を削除すると決定し、関係改善への具体的努力を示している。
 
中国が掌中に入れたと考えていたであろう韓国が中国離れを起こして、日米両国に再び接近し始めた。
 
台湾における蔡英文氏の大勝利は台湾人のアイデンティティー意識の反映であり、中国にこれ以上のみ込まれはしないという意味での「現状維持」、「事実上の独立」維持への決意である。
 
ベトナム、フィリピンをはじめとする東南アジア諸国も米国と初めて会談した。米国で米・ASEAN会談を開催したこと自体が南シナ海で膨張する中国への異議とみてよいだろう。
 
アジア諸国は中国離れという点で重大な変化をたどり始めたのである。この局面で、日本には米国とは異なる形でアジアの秩序構築を主導することが期待されている。国際法の順守と平和的手法を国際社会に打ち立てるためにも、主張を支える力が必要である。日本の発言に説得力を持たせ、日本への信頼を高め、中国に抑止力を働かせる意味で憲法改正が必要なのだ。

『週刊ダイヤモンド』 2016年3月12日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1124

◆学校長、教育委員長を即刻「引責辞任」させよ!

浅野 勝人(安保政策研究会理事長)


広島県の町立中学校で、3年生の男子生徒(15)が自殺しました。
生徒同士のいじめが原因ではありません。担任の先生に追い詰められて死を選びました。

1年生の時に「万引き」をしたと誤認されたことを、高校受験に必要な推薦状に関して、先生から「万引き」を断定され、推薦状の発行を拒否されたのが原因でした。少年の生涯に係る重大事の確認に「廊下で立ち話」で一方的に独断とは許しがたい。

男子生徒は「いくら言っても、先生は聞いてくれない」と言っているではないですか。少年を死に追いやった学校の校長をこのまま放置できますか。

こんな悲惨な事態を起こしておいて、全校生徒に緊急集会で謝罪したから、それで済むのですか。事実を知っていたか、知らなかったかは問題ではありません。けじめ、責任の問題です。「ご免で済むなら警察は要らん」と昔の人は言っている。

町教育委員会は、ひたすら「学校に落ち度はなかった」と弁明をしているだけだ。こんな教育委員長は要らない。

私は、衆議院議員の折、党の政策審議委員をしていたことがあります。政審の席上、文部科学省の責任者がずらりと居並ぶ前で、虐めによる中学生の自殺事件に関連して、問題点を指摘しました。

その上で「教育委員会が役に立ったためしがない。もともと地元の学校となぁなぁの教育委員会制度は改革しないとダメだ。どこもかしこも、今のような教育委員会は屁(へ)の突っ張りにもならん」と発言しました。出席者がどっと笑ってお開きになりました。

私は、外交・安保が専門分野で、文教政策はシロウトでした。あの時、素人の情感でもっともっと深追いをしておけばよかったと慙愧に堪えません。

馳 浩文科大臣と文部科学省!
当該 学校長と教育委員長を即刻、引責辞任させよ。
担任の教師は、自分で自らの進退を決めることを許容したい。

私は、関係者が憎くて言っているのではありません。
このまま、いつも通り、愚にもつかない報告書で許して、放置してしまったら、虐めによる児童、生徒の自殺は、エンドレスに繰り返されるだけだと言っているのです。
(元内閣官房副長官)


2016年03月13日

◆私の「身辺雑記」(322)

平井 修一



■3月10日(木)、昨日からかなり冷えて、鼻水とくしゃみが止まらない、体調不良、1時間おきに目覚めて眠るのを諦めた。朝3:00は室温11.5度、二度寝して6:30起床、ブルーな曇、ハーフ散歩。

さてさてブルーなテーマ「“乱心”習近平を停められるのか」。

言論を弾圧したところでオカラビルの倒壊は防げない。すぐに逃げて、建て直すしかないのに、習近平は「騒ぐな、国家転覆罪で刑務所へぶち込むぞ」と取り締まるばかりだ。カナリアがピーピー鳴くと殺してしまう。これでは炭鉱は爆発する、積み上げた残土も崩壊する。死屍累々。

日経3/9「習近平氏と王岐山氏“衆人環視の密談”広がる臆測」から。

<中国の“絶対権力者”になりつつある習近平に背後から手をかけて呼び止め、対等に話しながら退場する反腐敗の鬼、王岐山――。

3月3日、極めて珍しい光景が出現した。北京で開幕した全国政治協商会議の全体会議が終わり、「チャイナ・セブン」といわれる習ら最高指導部メンバーがひな壇から順番に退場する際の一幕だ。

衆人環視の下での密談である。2千人以上の全国政協の委員、1千人もの記者らが見守るなか、王岐山は、ボスである習に何を言ったのか。これが注目の的だ。次々と大物を捕まえた、泣く子も黙る共産党中央規律検査委員会の書記だけに、である。

一考に値する推測がある。権力者への諫言のあり方、そして翌4日に発表される反腐敗の大物摘発が話題だったのでは、というのだ。

*トップへの諫言問題が話題か

前者には根拠がある。王岐山が仕切る中央規律検査委員会などの機関紙。そして同委と中国監察省が合同でつくる公式サイトだ。全国政協の開幕直前、司馬遷による史記の記述などを引いて、諫言の重要性を指摘する文章をほぼ同時に発表していたのだ。

「唯々諾々と従う1千人のイエスマンは、ただ一人の志ある人物による諫言に及ばない」

意訳すると、こんな内容だった。耳に痛い諫言をする人物を遠ざけてはいけない。それができれば、歴史に名を残す偉大な人物になれる。文章が説く趣旨だ。

筆者は王岐山ではない。とはいえ、いまは言論統制が非常に厳しく、全国政協の委員や全人代代表らの口も重い。その時代に“危険な文章”を公式掲載するには、王岐山の許可が必須だ。

「これだけ高度なテクニックを要する文は、王岐山自らがアイデアを考えたに違いない」。北京の知識人の見方だ。

今、中国のネット上で熱い議論が交わされているのは、「不動産王」の言論だ。彼の名は任志強。歯に衣着せぬ舌鋒の鋭さで、有名なネット言論人でもある。

任志強のブログの内容が党内で批判を浴びている。「中国メディアの姓はすべて共産党で、党に忠誠を誓うべきだ」という党が打ち出したスローガンに敢然とかみついたのだ。

「すべての(中国)メディアの姓が党で、人民の利益を代表しないなら、人民は見捨てられたということだ」

任志強はブログで繰り返し反発した。メディアは一般大衆の利益を代弁すべきだ、と主張しているのだ。正論である。

この任志強。実は王岐山と極めて親しい。弟子といってもよい。文革の嵐が吹き荒れた1960年代、北京の中学校で先輩、後輩の仲だった。年上の王岐山が任志強の指導員まで務めた。

そもそも習と王岐山は親しい。文革の際、2人は陝西省の黄土高原に位置する延安近くに「下放」され、そこで知り合った。習は15歳、王は20歳の知識青年。王はまだ幼い習を自らの洞窟式の住居に泊め、読書も指南した。ちなみに同じころ、後の不動産王、任志強も延安付近に「下放」されていた>(以上)

王岐山の育てた弟子が財界の任志強、政界の習近平・・・自慢の弟子2人の喧嘩が熱くなったので、王岐山はとりなすしかなかったのだろう。「任は言い過ぎ、でも習主席も諫言には耳を傾けるべき」とでも“説教”したか。

しかし習は諫言を聴くタマではない、諫言した劉少奇、トウ小平を排除、弾圧した“毛沢東脳”なのだから。

「習は変だよ」・・・これが「かなりおかしい」、さらには「ヤバイよ」「危険レベル」「停めないと大変なことになる!」。もう今は悲鳴になった。

Mr. President, please stop Xi kill people! 世界が叫んでいるが、停められるのはトランプ大統領しかいないのではないか。トランプとプーチンは相性がいい(狡猾、頭脳明晰、マッチョ、甘言だらけのリベラル大嫌い、政敵を情け容赦なく叩く)。

東からトランプ、西からプーチンがタッグを組んで「おい、えーかげんにせーよ、鉄砲玉の北はうずうずしてるぜ」と中共を押さえ込んだらいい。

習を排除できるか。「実録:中共党内闘争史」は最終章「殿御乱心」を迎えた・・・どうなるのか。

pipemanさんから愉快なメール。

<教祖猊下 愚生、心の道標教団への入信を希望します。

もし、入信のご許可を賜ることができましたならば、故愛犬殿が団員番号1番でしょうから、愚性は栄えある団員番号2番を頂戴いたしますか。

末筆ながら、益々のご健筆を祈念しております>

即決、団員番号2番付与! 永久欠番だ。武士道にもとるなかれ。ユーモアは社会の潤滑油だな。

「習近平はキ○ガイ、度し難いバカだ」と言ったら国家機密漏洩罪で禁固10年・・・独裁国家でのアネクドートは庶民のガス抜き弁だが、習は弁を封印しつつある。爆発は免れまい。5、4、3、みな伏せろ!

■3月11日(金)、朝6:00は室温12度、小雨、散歩不可。今日も冷えて鼻水とくしゃみに悩まされる。

「巨人軍は常に紳士たれ」・・・今やギャンブルにシャブ、三面記事ネタのサプライヤーみたいだ。1978年の江川卓騒動あたりからおかしくなったような気がする。

ナベツネが 苦虫つぶす 緩むタガ(修一)

米国大統領選はトランプのお陰でエンタメショーのようになった。冷泉彰彦氏(在米ジャーナリスト)の論考「トランプとの“お下劣舌戦”で撃沈したルビオ」(ニューズウィーク3/9)から。(平井:撃沈というより轟沈、自沈じゃないか)

<一時期は「保守本流の希望」だと思われていたマルコ・ルビオ候補の支持が急落している。今月3日のテレビ討論でトランプから、何度も「リトル・マルコ」と蔑称で呼ばれたが、これに対する処理を誤ったのが決定的だ。

トランプはルビオの童顔を揶揄したのだから、それに対する反撃は「重厚な威厳」を発言で示して圧倒する以外にはなかったはずだ。

だがその反対に、ルビオは「トランプの手が小さい」という意味不明の「仕返し」を試みた。

これに対してトランプは「いや、あっちは小さくないよ、ノープロブレムだ」という何とも卑猥な切り返しで笑いを取り、ルビオを「一緒に品格のない世界へ引きずり下ろし」た。

この一連のやり取りは、チャレンジャーであるルビオには致命的だろう>

思わずゲラゲラ笑ってしまった。テレポリティクス以降も数多くの大統領選が行われてきたが、今回ほど視聴率の高いものはなかったのではないか。上品な方々のまじめな(たぶん面白くもない)討論は、今やトランプのツッコミやボケで上方漫才になっているようだ。

インテリぶった上品な(多分アカ系の)方々は軽蔑したり怒ったり苦々しく思ったりするが、トランプは偉そうなプロの政治家を庶民の居間のレベルにまで引きづり降ろした感がある。大した役者だ。

こういうことは支那では絶対に起きない。米国には「普通の明日」があるが、支那には「非常の明日」しかない。風雨がたとえ強くても、誰もが「明日は晴れるだろう」と期待できる「普通の明日」を選ぶ。

「明日に何が起きるか分からない」、逮捕、拉致されるかもしれない、ビルが倒壊するかもしれない、土砂崩れで生き埋めになるかもしれない、大爆発が起きるかもしれない、毒ミルクで子供が殺されるかもしれない・・・中共は最悪だ。

お下劣、卑猥なトランプの方が、危険な習の中共より数千倍マシだ。中共は文化、文明の戦争でも負けたのだ。

まともな国は「連帯を求めるも孤立を恐れず」。EU離脱で揺れる英国、残留を望んで譲歩したEU。一か八かの血を流さない戦争前夜だ。

(戦前、日本は国際連盟を脱退し、血だらけになりながらアジアから白人帝国主義を駆逐し、植民地を解放した。この過程でアジア諸国との「連帯」が形成されたのだ。フィリピンのように一部で(華人系の)反発もあり、しこりは残っているが、おおむね成功した。

日本の敗戦後の急速な復興は、アジア諸国の応援によるところが大だ。多くの国が恩返しをしてくれ、welcome backと歓迎してくれたのだ)

一方で習はトウ小平の「韜光養晦」、平和的パンダ流台頭を捨て去り、「俺が一番、俺に従え、逆らえば殺す」。これでは誰もついていかない。アジア、オセアニア全体を敵にまわしてしまった。

支那人民は手遅れになる前に新しい国創りに着手すべきである。共匪、共禍の圧政と混乱の中から「普通の明日」へ、復興、再興を目指せ。

3.11から丸5年、午後2時46分黙祷、被災地の復興進展を祈る。具体的に小生はどう応援できるのか、せめて被災地の生鮮食品を求めようと思う。ところが、食材宅配会社の日々の野菜産地レポートを見て愕然とした。

産地は南は九州、四国から、茨城、栃木を含めた関東、そしていきなり北海道。東北産がすっぽり抜けているのだ(わずかに青森のゴボウだけ)。

農地復興が思うように進んでいないこともあるだろうが(岩手県陸前高田市の広田半島営農組合の農地23.9haのうち10haは今年からようやく作付ができるという)、風評被害が大きいのではないか。

「東北産、とんでもない! 消費者の安全、安心をなんと思っているんだ」などと抗議されかねないのかもしれない。妄想的過敏症・・・悩ましいことだ。

角栄が現役なら復興はずいぶん違ったものになっていたかもしれない。毀誉褒貶の人だが、言葉が巧みで実行力のある、政治家らしい政治家だった。

ちなみにわが家は角栄が社長をしていたこともある日本電建/現・大東建託の設計、施工管理である(後任は小佐野賢治)。トップクラスの建設会
社だった。小生は満足している(3階建てなのに5階建てもOKな鉄骨だね、
と市役所がびっくりしていた)。

角栄は戦前から理研との関係もあるし、神田の中央工学校土木科でも学んでいる。「小卒」というのは庶民の人気を得るための一種のプロパガンダだったろう。この辺を見ても大層頭脳明晰だったことが分かる。“タフガイ”を演じているトランプと通じるところがある。

夕刻、孫・子来襲。カミサンが夕べから用意した手羽先煮物、オニオンスープ、サーモンサラダ、小生が作ったトリカラ、ポテトフライ、ブタしゃぶサラダ、締めのデザートは「ピノ」。孫はみな「キャイン!」。

「敵を撃滅! 当方損害なし」

今日の仕事を終え、小生がシコシコしているPCの回りで孫3人はキャッキャと遊びまくっている。あとは女どもが風呂にいれて「蒲団までバッターン、ネンネの行進」。

日本人は昔から旅へ出ると1日40キロ(10里)を歩いた。近衛兵の父は演習で皇居から習志野まで「重装備(多分20キロ)で1日往復60キロは辛かった」と言っていた。「辛い」などと絶対言わなかった父がそう言っていたのだから、相当のきつさだったろう。

落伍する仲間を皆が支えた。両肩を支える奴、背嚢を引き受ける奴、鉄砲を持つ奴・・・相身互い、だから「死ぬときは一緒」、戦友になった。

英国兵は合理的にいつもトラック輸送だから5キロ、10キロも歩けずにへばったのではないか。皇軍2000人に英軍2万人が投降した。皇軍は苦労した。保護して、さらに飯を食わさなければならない。悲惨である。自分たちだって飯が不十分なのだ。(根っこ=ゴボウを食わされた、虐待だと英国捕虜から後に非難された)

連合軍は日本軍の投降を拒否して皆殺しにした(機関銃で殺したり、ジャングルで餓死させた)。そうしないと大変な面倒になるからだ。(リンドバーグの証言)

今更昔のことを言っても仕方がないが、そういうことは知っておいた方がいい。今日も無事に終わりそうだが、今、ちょっとウルウルしている。

■3月12日(土)、朝5:00は室温12度、晴、2歳女児とハーフ散歩。川に落ちないようにずーっと手を握っていた。近所のオッサン曰く「犬の代わりだね」。移民は大和民族の代わりになるのか。

欧米ばかりかシンガポールでも移民は悩ましい問題になってきたという。アジアで活躍する末永恵氏の論考「自らの強みを否定するシンガポールの深い悩み 成長の原動力だった移民を排斥へ、日本は何を学ぶ?」(JBプレス3/10)から。(氏は2か国で出稼ぎメイドを雇った経験がある)

<移民によって国を発展させてきたとも言えるシンガポールの例を中心に、移民受け入れの課題を浮き彫りにしてみたいと思う。

移民によって成長してきたシンガポールが、その政策を転換し始めたきっかけは、2011年の総選挙だった。

与党・人民行動党(PAP)が史上最低の得票率に甘んじ、現職の閣僚が落選したうえ、さらに集団選挙区で史上初めて野党に敗北するという、“屈辱的な歴史的後退”を強いられたことが背景にある。

*与党の移民政策に国民が猛反発

シンガポール国民が野党に支持を打ち出した最大の理由は、政府が進める「外国人移民政策」への反発と不満からだった。2006年から2011年の間、シンガポール人の増加率が約5%だった一方、外国人は63%まで急増し、2013年には外国人の割合が約43%までに膨れ上がった。

この外国人の大幅増加と並行して、住宅や物価の急騰、さらには子供の教育機会の不公平性から、「外国人に職と所得、教育の機会が奪われている」といった長年の鬱憤と不満が与党への批判票に結びついたというわけだ。

実際、シンガポールのタクシーに乗るたびに、「こんな国があるか。国の統計は怪しい。実際は、外国人と自国民の数は今では同じ。不法滞在者を含めればいやそれ以上だ。MRT(地下鉄)に乗ると、中国人はあふれているし、バングラデシュに、フィリピン人。白人も我が物顔で、わけの分からない言葉が飛び交っている」

と年々、ドライバーの怒りは瞬間湯沸かし器を“沸騰”させているかのように上昇中だ。

国民の怒りが爆発するなか、シンガポール政府は移民受け入れ規模縮小という移民政策の見直しを強いられた。

2013年1月発表の人口白書で総人口の伸び率が縮小傾向のなか、「2030年までの人口想定値を690万人、外国人割合を45%に拡大見込み」とし物議を醸したが、同年2月の予算演説では一転して、2018年までの見通しとして、外国人労働者の急増抑制政策を発表したうえ、外国人雇用税の一層の引き上げと外国人雇用上限率の引き下げも追加抑制策として発表。

さらに、各種ビザなど在留資格の認可、発給条件の引き上げも実施し、新規国籍取得や永住権の認定件数は減少。

永住権の場合、2008年には新規永住権取得が約8万件だったのが、半分以下の3万件までに激減し、新規国籍取得も減少傾向にあり、2015年10月に発表された(同年6月現在)総人口数554万人のうち、シンガポール人が338万人、外国人が216万人で外国人が占める割合は約39%にまで減少している。

シンガポール政府は国民の不満の頂点に達している不動産価格急騰の抑制にも着手した。購入後1年以内の転売には取引価格の16%の印紙税を新たに課すことで、投資目的の不動産売買を抑制し、不動産価格の上昇を食い止める措置を講じた。

加えて、外国人の住宅取得では、現行の印紙税3%に加え、取引額の10%を新たに追加印紙税として支払うことを義務づけた結果、2011年には外国人の民間住宅保有率が約20%から6%にまで激減したとされる。

また、シンガポール人の約80%が住むといわれる公営集合住宅(HDBフラット)購入でも、永住権取得者らが殺到したことで、販売価格が上昇。国民の怒りを買っていたが、月収などの制限を設定することで価格上昇に歯止めをかけた。

「少子高齢化国家が外国人の移住を否定すれば、経済だけでなく、国家そのものが衰退する」(建国の父、リー・クアンユー元首相)と説き、法人税を大幅に下げ、グローバル企業を誘致し、優秀な外国人を高給で登用する一方、低賃金で建設現場労働者や外国人メイドを厳格な管理のもと多く受け入れ、飛躍的な経済成長を続けてきたシンガポール。

しかし、経済成長を成し遂げても、資産や所得の格差を示す指標のジニ係数で、「0.44(2014年)」(OECD調べ)と日本の「0.32」より高く、先進国の中でも突出して貧富の格差が大きく拡大している。

そうしたなか、当然、シンガポールの国民の不満は単純労働者に対してだけでなく、永住権を保有する高度技能者にも向けられている。彼らによって、大学入学や大企業への就職機会が阻害され、彼らへの政府優遇策を不公平と感じ、さらには彼らが永住権を保持しながら、兵役を回避するため国籍取得を拒んでいることへ怒りを爆発させているのだ。

しかし、シンガポール政府が移民政策修正の舵を切り始めた本当の理由は、恩恵を受けるはずの国民全体の所得や生活水準が良くならなければ、外国人一辺倒の移民政策の批判の矛先が、政府に向けられるという危機感だけではない。

出生率が日本より低く人口減少傾向にある自国民に反して、フィリピン、インドネシアなど多産の外国人と結婚し産まれた“新シンガポール人”の増加で、シンガポール人としてのアイデンティが消滅するとともに、中華系を中心とする純血シンガポール人による国家が滅びるという恐怖心に苛まれているからである。

*移民の子供急増でアイデンティティ崩壊の危機に

実際、今のシンガポール人の結婚の30%以上が国際結婚で「国家の安定発展には自国民同士の結婚を促す必要がある」(政府関係者)と警戒している。

一方、日本では人口減による労働人口縮小に伴う経済失速の打開策として、移民政策を敷いて来たシンガポールをお手本に、今後、外国人メイド解禁や介護分野への外国人介護士登用拡大などで、家事や育児、さらには介護の重圧で就労困難な女性の社会進出や復帰を促し、ひいては少子高齢化に歯止めをつけたいと考えているが、そう簡単にいくだろうか。

シンガポールや香港の場合、(外国人メイドの採用で)女性の社会進出は拡大したが、肝心な少子高齢化は深刻化を増す一方だ。

両国ともメイドの給与は国の最低賃金より低く設定され、仕事をしないよりは女性が仕事を持つことでメイドの給与を払った方が家計が潤う上、自分の自由時間が増え、さらに子供との時間も過ごす時間が拡大すると“一挙三得”だからこそ、外国人メイド雇用が飛躍的に伸びた背景がある。

料金設定が低いということでごく普通の一般家庭で雇用できる利便性が女性の社会進出を後押ししたと言えるだろう。

しかし、日本のように、住み込みで月額15万円から20万円、パートタイムで1時間2000円から4000円の高額な出費をしてまで、家を留守にして、他人に家の中の家事や育児を任せられる日本人女性がどれだけいるだろうか。

移民受け入れは、日本の文化、価値、伝統を変えることにほかならない。日本らしさや日本の良さを失っては始まらない。移民先進国・シンガポールの国策の大転換を、まさに反面教師、教訓として、大いに学ぶべきだろう>(以上)

シンガポールや香港で働く外国人メイドはフィリピンやインドネシからの出稼ぎだ。勤務先で虐待されるという事件も少なくないようだが、母国の10倍ほど稼げる(香港の場合)ので大変な人気だという。仕送りすれば一家を十分に支えられる。

単純労働の外国人を受け入れると多くの国でやがて問題化する(日本では外国人は人口の2%だが、収監者では20%)。純ちゃんの親父がコリアンを受け入れたために拉致被害にもあっている。拙速は厳禁だ。じっくり、しっかり議論すべきだ。

(選挙で争点化したくないのだろう、単純労働移民を受け入れるのかどうかの問題は、このところまったく話題にのぼらない。欧州は難民移民で大混乱、「フェンスを作れ」の声が大きいし、移民大国の米でさえ「もううんざり」という感じ。移民受け入れを、と言えるような情況ではない。移民受け入れ問題から無縁なのは中共のみ。誰も行きたがらないし、逆に金満国民は逃げ出している=不動産価格が上昇するので“中禍移民”として嫌われているようだ)

さてさて小生はついに風邪を引いた。熱は大したことはないが、それでもふらふらする。昼寝をすれば多少は改善するかもしれない。(2016/3/12)

◆今年は第2次朝鮮戦争前夜となるか

池田 元彦



戦争レベルの危機が迫っている。北朝鮮が年内或は来年中に暴発、韓国制圧の可能性がある。国内に潜む万単位の工作員と親北の韓国民が、北の侵攻に呼応して暴動・政権崩壊を狙う。

韓国民は微温湯で呆け呆けているが、北朝鮮は南北朝鮮統一を本気で計画し、しかも時々小規模テロや紛争を起こし世界の反応を勘案しつつ、常々統一チャンスを窺いつつある。

日本の韓流ブームは電通が仕掛けたが、韓 国の反日の盛り上がりの裏の仕掛け人は北の工作員なのだ。

1958年KNA、69年KAL旅客機ハイジャック、68年工作員による青瓦台襲撃(未遂)、蔚珍・三陟への120人のゲリラ上陸事件、74年文光世朴大統領夫人暗殺、83年ラングーン爆弾テロ、87年KAK爆破事件、2010年には哨戒艇天安沈没、延坪島砲撃等挙げれば限がない。

最近は米中の非難にも馬耳東風でミサイル発射・核開発に余念がない。しかし一番の問題は韓国政府内や民間組織への北工作員・スパイの浸透と親北感情の醸成工作だ。

北が韓国に戦争を仕掛けるとは思わず、寧ろ韓国に よる南北統一で核が棚ぼたで手に入ると現を抜かしている程だ。

1980年全羅南道光州市で暴動が勃発した。全斗煥のクーデターと金大中の逮捕を契機に民衆が蜂起したと巷間に伝えられているが、実際には事前に朝鮮東西両岸から極秘上陸した北朝鮮軍人及び工作員600名と韓国内北朝鮮シンパ、計900人が大衆を扇動して起こした反乱工作だ。

暴動時の撮影写真にある1人ひとりの、現在の写真と比較し同一人かどうかの根気と正確性を要する分析をした組織がある。現時点での結果は空恐ろしい結果だ。

同一人と判断された350人程の内60名がKICAの監視対象と なっている脱北者で且つ現在韓国内での各界著名人なのだ。

即ち蜂起した当時の脱北市民の内60人は北の工作員だったのだ。かつ彼らは政財界、官僚、マスコミ、芸能界等で幹部や主導者に成り済まし、親北・容共者の育成・拡大を図っているのだ。
        
日本も、民主党政権時代、官邸入館許可者数が1300名迄膨れ上がり、内80名が左翼で犯罪者もいたと飯島勲内閣官房参与が発言しているが、社民党・共産党は言わずもがな政財界、各省庁、教職者、マスコミの幹部に納まり、反日左翼の浸透工作が蔓延している。韓国を笑えない。

北は内部崩壊等しない。幾ら経済封鎖をしても、中共を含む国連5大国一致の制裁決議が有っても、結局は中露が当初は制裁基準通り、徐々に裏で制裁を緩めるのは過去の例の通りだ。

北は韓国制圧の機会を窺って いる。当然北からの侵攻と韓国内での呼応による短期決戦だ。

中露が本気で完全封鎖すれば大東亜戦争開戦時の日本と同じで選択肢は暴発しかない。況してや来年は韓国大統領選だ。北の暴発はこの4月でも有り得る。その気配と情報を得えて今年の米韓合同軍事演習は過去最大規模で始まった。米韓併せて30万人以上の参加だ。

空母、ステルス戦闘機等の投入と第1空輸特戦団、第75レンジャー連隊 所属の特殊戦兵士、更に核施設の破壊と制圧や、海軍特殊部隊ネイビーシールズによる金正恩ピンポイント「斬首作戦」訓練も含まれている。

即 ち北朝鮮の暴発確率はその筋でも70%以上と判断しているようだ。北は全軍に核弾頭ミサイル発射攻撃準備を命じ、朴大統領暗殺指令も出した。展開する米海軍艦艇に戦闘機で突っ込む特攻隊迄結成したという。韓国の危機は刻一刻と迫っている。

この期に及んでも日本国内では、集団安保反対、憲法守れと、間抜けな頓珍漢が国会で騒ぐ。

◆支那発「習近平は辞任しろ」

平井 修一



日本戦略研究フォーラム政策提言委員/拓殖大学海外事情研究所教授・澁谷司 氏の論考「習主席に対する辞任要求の公開状 」3/9から。

<日本のマスメディアはほとんど報道していないが、3月4日(全人代開幕前日)、ネット上に“衝撃的”な公開書簡が登場したのである。『無界新聞』に「習近平同志の党と国家的指導職務の辞任要求に関する公開状」という文章が掲載された。以下は、その論旨である。

《習近平政権が誕生して以来、習主席は政治・経済・思想・文化で権力を集中させてきた。その結果、あらゆる方面で危機が生じている。

元来、民主集中とは、政治局常務委員会で決めるのがスジである。ところが、習主席はその民主集中をないがしろにした。本来ならば、経済担当の李克強首相の権限まで自らが握っている。

習近平体制になると、北朝鮮は勝手に核実験やミサイル試射を行っている。ケ小平が「養光韜晦」(能ある鷹は爪を隠す)政策を採ってきたにもかかわらず、習政権は東シナ海や南シナ海で摩擦を起こした。だから、ベトナム・フィリピン・日本等を対中国で結束させている。

香港では「一国二制度」が建前のはずだが、習主席はそれを無視している。他方、台湾では民進党政権が誕生した。

習主席は経済まで首を突っ込み、株式市場を混乱させている。また、サプライサイド改革や脱過剰生産(能力)で、国有企業や中央(直轄)企業のレイオフを行った。また、民間企業から大量の失業者を出している。

習政権の「一帯一路」戦略では、巨額の外貨準備を使用しながらも、他国からそのカネを回収できていない。同様に、外貨準備高を使っても人民元の下落を止められない。

習政権下、日夜「反腐敗運動」が行われている。そのため、政府職員らは行動が消極的になった。

習政権は、政治、経済、外交、イデオロギー等、全てにわたり失敗した。人民の間には怨嗟の声が起きている》

したがって、習主席は辞任すべきだと勧告している。この問題の文章は掲載後、すぐ削除された。一体、誰がこの文章を書いたのだろうか。名前はなく、ただ「忠実なる共産党員」という署名のみである。

現在の習政権を快く思っていない「反党人士」あるいは「救党人士」に違いない(ハッカーがその文章を掲載させたのだろう)。ひょっとすると、習主席の所属する「太子党」の中の人間かもしれない。例の人気ブロガー任志強(「太子党」所属)を想起させる。あるいは、現在、死闘を繰り返している「上海閥」か「共青団」の1人(または複数)とも考えられる。

日本の一部中国研究者は、習主席への庶民からの人気を“過大評価”するむきがある(そもそも中国にはちゃんとした世論調査がほとんどないので、習主席に人気があるかどうかは不明である)。

恐らく実態は異なるだろう。(庶民はともかく)少なくとも官僚・知識人・財界人らは、すでに習主席に対し“失望”したと伝えられる。

それは当然だろう。「反腐敗運動」という名の権力闘争の中、今までどれだけの有能な人材が自殺し、逮捕・拘束され、裁判にかけられたかわから
ない。

習主席や盟友の王岐山(中央紀律検査委員会書記)が「アヘン戦争」時の林則徐のような“クリーン”な政治家ならばまだしも、習王ともにスネに傷を持つ。

例えば、習近平一族は、香港をはじめ、海外に巨額の資産を有している。また、習主席の女性遍歴に関する暴露本は香港で発禁処分となった。

一方、かつて北京市長だった王岐山は、カナダへ逃亡したとされる郭文貴(北京盤古氏投資有限公司)と関係があった。また、王は「中国で最も危険な女性」と言われるジャーナリスト胡舒立と深い仲とも噂される。

恐らく、これら習王に関する“スキャンダル”は事実だろう。たまたま、この2人が権力を持ったが故に、現在、中国では「第2の文革」が展開されている。けれども、それに対する風当たりが強いことを忘れるべきではない>(以上)

当然の辞任要求だ。習近平という狂気じみた独裁者を放置しておけば亡国になりかねない。

これ以外にも中共内部から「崖っぷちまでまだ余裕のあるうちに」と経済状態を危惧する声があがりはじめている。何清漣氏は3/1にこう書いている。

<最近「中国崩壊論」がまた流行りだしています。「崖っぷち」「危機」「崩壊」など、過去に外国で取りざたされていた言葉が大っぴらにつぶやかれるようになっています。以前と違っているのは今回「崩壊論」は中共の身内からでている点です。一番重要なのは今回の危機を予言する人々のうちに現職の財務部長(財務大臣)の楼継偉がいることです。

*楼財務部長の警告「崖っぷちにあと1キロメートル」

2月26日午前、中国財政部長・楼継偉はG20構造改革高級検討会分会の席上で、「OECD経済政策改革力に全力で取り組む」と題して各国に構造改革が遅れれば遅れるほど改革の余地はますます狭まるから、崖っぷちに至ってから改革するようなことの無いように、という短い演説を行いました。

中国財政のトップとして楼継偉は当然「中国における正しき政治的姿勢」をわきまえていますから「中国は比較的ラッキーでまだ改革への余地はあるが、問題も色々ある」と言いました。

さらに「改革の余地は変化しており、遅れれば遅れるほど崖っぷちにたたされる」として、「一人なら崖をうまく降りることもできるが、一国ともなれば無理だ。だから我々は痛みを受け止め、まだ崖っぷちまで1キロある今のうちに将来を見据えて改革を急ぐべきで、断崖があと1メートルに迫るまでぼやぼやしていてはならない」といいました。

彼が強調したのは人々は往往にして短期的な問題にばかり関心を持つ、それは間違いとは言わないが、しかしもっと大事なことは長期と短期の問題に目配りしなければいけない、ということだと。

玄人筋ならばこの演説のポイントが理解できます。楼財政部長は賢明にも中国の問題をあたかも世界的問題のような顔をしてこの話をしたのですが、彼が本当に言って聞かせたい相手というのは中国国内で自分よりさらに上にいる決定権を持っているトップ指導者たちです。

現在、中国国内の“言論空間”はますます縮小されており、各種の経済的なデータはみな慎重にチェックされた後でないと発表できません。なんせこれまでずっと中共に忠実にやってきた任志強(不動産ビジネス界の大物、華遠グループ総裁。

北京市政協委員、「不動産業界は暴利を貪るのが当 然」といった“暴言”で知られる)が「人民政府はいつの間に中共の政府に なった?使っているのは党費なのか?(税金だろ)」と「党のいいなりの メディア」を批判して習近平麾下のメディアの逆鱗に触れ、今現在でも袋 叩きにあっており、中共から除名されかねない状態にあり、中央テレビで “罪を認め
る”映像が流されました。

ですから一国の財務大臣たる楼継偉であっても、こうした警告の談話は国際会議の席上でやるしかなかったのです>(以上)

3/9ニューズウィークにも習を危ぶむ記事が出た。辣椒(ラージャオ、王立銘)氏の論考「毛沢東の衣鉢を受け継いだ習近平を待つ未来」から。

<彼(習近平)は自分をこの国の「所有者」と考えている。けっして「経営者」などではない。この国を自分の家と考えている点が、彼と江沢民・胡錦涛の最大の違いだ。「中国の夢」を実現するため、政敵と彼の「資産」を盗み取る腐敗分子に打撃を与えるため、習はすでに多くの人々を傷つけてきた。

私を含めた海外に住む中国人は習近平が彼の統治期間の10年が終わった後、穏やかに権力移譲することがほとんど不可能だ、と予測している。もし彼が胡錦涛のように普通に政界を引退すれば、行動力のある政敵一派に暗殺されるだろう。権力欲ではなく、自身の安全のために習近平は安心して引退できないのだ。

ネット上にある習近平関連のニュースの後のコメント欄には、習の再任を呼びかける声がいくつも書き込まれている。習近平の長期間に及ぶ統治を希望するこういった声が「官製」なのか、あるいは民衆の真実の声なのかは定かではない。しかし、このような数々の現象は、中国社会全体が毛沢東時代へ回帰しつつあることを示している。

有名な不動産ビジネスマンで共産党員でもある任志強は、習近平の「メディアは党の子供」という政策を疑問視したため、微博のアカウントを削除されただけでなく、中央メディアから文革式批判にさらされている。

多くの人が習近平による新たな文化大革命の発動を心配しているが、私はそうは思わない。習近平は確かに毛沢東から「衣鉢」を受け継いだが、彼が大衆運動を始めることはできない。

現在の中国の経済情勢がかなり危険で、軍隊と警察による治安維持すらおぼつかないからだ。そんな状態で、どうして文革の発動という自殺行為に踏み切れるだろうか。

最も可能性が高いのは、経済情勢が悪化した状態で一党独裁の統治体制を守るため、中国は以前の毛沢東時代まで徐々に後退し、まるで現在の北朝鮮のような「先軍政策」を実行することだ。

極度に困難な経済情勢の下、軍隊と警察の給料を優先的に保障することで、全体主義政府が倒れないようにする。国民の感情などには構っていられない。中国共産党はすでに、数年後にやって来る可能性がある経済危機や食糧危機、社会危機に対する準備をしている。

習近平はひたすら「中華帝国」の偉大な皇帝を夢見ているのだろう。しかし現実は彼の望むようにはならない。彼を待つ運命は、明代のラスト・エンペラーだった崇禎帝のような結末だろうか?(王朝の不正や重税に農民が苦しんだ明末の1644年、農民指導者の李自成の軍隊が北京に攻め入り、明の崇禎帝は自殺に追い込まれた)>(以上)

習は自殺するようタマではない。何度も書くが、殺されたくなかったらさっさと辞任し、米国へ亡命することだ。それが14億の民にも世界にも一番いいのではないか。(2016/3/9)

◆マルクスも毛沢東も聞かれない

宮崎 正弘
 

<平成28年(2016 )3月4日(金曜日)弐 通算第4839号 >

 〜マルクスも毛沢東も聞かれない、レーガン、サッチャーの経済政策が前面に
  中国、全人代開催 李克強首相は6・9%GDP成長を打ち出すか〜

全人代を前に一斉に明るいニュースを流している。

全人代の助言グループは「中国経済は明るい。外国人は心配しすぎだ。なんの懸念もない」などと根拠のないことを合唱している。

ロイターの予測によれば、中国の通貨供給量は13%増となり、中国の金融政策はサプライサイダー経済学の構造に流れざるを得ないだろう、という。

そういえば中国の経済政策にはマルクスも毛沢東も聞かれない。

かわりに聞こえてくるのはレーガン、サッチャー時代のサプライサイダー経済学である。

しかし膨大な通貨供給は、中国の場合、不良債権処理にあてられても、設備投資に回らず、またも不動産価格維持、株価維持という粉飾行為にまわるのではないのか。

そうなれば中国にレーガノミクスの再来は、むしろ失敗に終わるだろう。

街に失業者が数百万単位であふれ出している現実を前にして、「不動産価格は上がる、いまが買い時だ」などと中央銀行系のエコノミストらがファンタジーを合唱を始めている。

一方で、中央政府、中郷銀行の政策に反対する任志強などのブログを封鎖し、また会期中はツィッター、フェイスブックノ批判も押さえ込む構えだ。

李克強首相は6・9%GDP成長を打ち出す方針というが、全人代に集まる3000人のピュペット(あやつり人形)でいったい何を決めるのか、そのことに興味が湧くのである。 
                         

2016年03月12日

◆支那政権が孤立するわけ

平井 修一



川島博之・東京大学大学院農学生命科学研究科准教授の論考「引くことをまったく知らない中国の残念な行く末 食料生産の歴史から見た中国政府の“気質”とは」(JBプレス3/8)は農業専門家の実にユニークな視点で面白かった。

知的刺激を受けることは目からウロコ、大いに興奮する。以下引用。

<*中国の特異性

人類が食料を生産する方法は大きく3つに分類できる。遊牧、畑作、コメ作である。日本はコメ作の国である。一方、モンゴルなど中央アジアの国々は遊牧によって食料を生産してきた。南ヨーロッパでは畑作が盛んだった。

一方、寒冷で畑作だけでは十分な食料を確保できなかった北ヨーロッパでは、畑作と遊牧がまじりあった有畜農業が発達した。

中国には2つの食料生産方式が併存する。黄河流域を中心とした華北は畑作。長江流域を中心とした華南はコメ作。長い歴史を持つ国で、同じ国の中に2つのタイプの農業が存在したのは中国だけである。

中国の政権は常に北にあった。主な王朝の都は、秦が咸陽、前漢と唐は長安、北宋は開封、明(当初は南京)、清、中華人民共和国は北京である。全て黄河流域。長江流域に都を置いたのは南宋(臨安)、中華民国(南京)だが、そのいずれも弱い政府であり、短期間で滅びた。

中国を統治する王朝は黄河流域に都を置く。第1には中国の北には遊牧民が暮らしており、度々その襲撃を受けたからであろう。襲撃を防ぐために万里の長城を作った。都を北に置いて国を守る気概を示さなければ国を保てない。そんな理由もあったと思う。

だが、もっと重要な理由があった。それは「南船北馬」という言葉に言い表されている。北は乾燥しており馬が交通手段になる。一方、南は河川や水路が多いから船での移動。ここ(北)で、鉄砲が発明されるまで騎馬軍団が最強の軍隊であったことを忘れてはならない。

中国は西域やモンゴルからやって来る騎馬軍団に苦しんだ。華北に住む人々は度々騎馬軍団と対峙してきた。そのために、自分でも騎馬軍団を操れるようになった。

中国を最初に統一した王朝は秦であるが、秦は当時の中国のテリトリーの西端に位置しており、騎馬戦にもっとも慣れ親しんでいた国であった。畑作地帯に住む人々が騎馬民族の軍事技術を取り入れて強くなった。その結果、中国を統一することができた。

*2300年間、力で支配し続けてきた

畑作地帯に住む人々と水田地帯に住む人々は気質が異なる。水田地帯では水管理が重要になるが、河川から水田に水を引く作業は1人ではできない。村人との協力が必須になる。そして、河川や水路が堀の役割を果たすから外敵に襲われる危険性が少ない。

また水田は生産性が高いから食料に困ることもない。そんなわけで、水田地帯の人々の意識は村の中に集中する。他の地域を征服しようとは思わない。

一方、畑作地帯では水は雨によってもたらされるから、水管理において隣人と協力する必要はない。だから自分勝手が許される。そしてどこまでも地続きだから、突然、馬に乗った軍団が押し寄せてくる可能性がある。また水田に比べて生産性が低いから、食料が不足することも多い。

中国の政権はそんな畑作地帯に作られた。政権を作った人々は南の水田地帯から食料を収奪した。中国ではこのようなことが秦の始皇帝以来2300年間にわたり行われてきた。

同じような食料生産方式を持っている人々なら、少々の違いはあっても、その気質は似ている。だから、率直に内情を語り合って妥協も可能になる。

一方、中国では長い期間にわたって、畑作地帯に拠点を構えた政府が南の水田地帯をあたかも植民地のように扱い、食料を収奪するシステムが続いてきた。

そんな中国では、北に作られた政府が一度出した命令を撤回することはない。話し合いによって妥協点を探ることもない。強引に支配するだけである。

これが中国政府の習い性となった。いくら厚顔無恥と言われても、たとえ間違っていても訂正などしない。全ては力によって解決する。「由らしむべし知らしむべからず」に代表される儒教は畑作文化の影響を強く受けている。

*妥協することを知らない

そんな中国である。政府が高圧的、厚顔無恥であることには長い歴史がある。昨日今日始まったことでない。共産党が悪いからあのような態度に出るわけではない。共産党政府が瓦解して新たな政権が出現しても、その政権が力を持てば相変わらず高圧的かつ厚顔無恥な態度を貫くであろう。

中国の行動様式は2300年の歴史が規定している。だから、あれこれ言っても始まらない。中国政府が自分の行動様式を恥じて、そのやり方を改めることはない。隣人である日本はそのつもりで付き合って行くしかない。

常に高圧的姿勢で国内を統治してきた中国は、外国との交渉でも強硬姿勢を崩さない。周辺の小国に朝貢を迫るときはよいが、18世紀の終わりから19世紀かけてイギリスと対峙した時には、高圧的な姿勢を貫いたために失敗してしまった。それは中国の近代化が遅れた理由の1つである。

今また南シナ海の問題などで米国と対立し始めたが、妥協を知らない中国政府のやり方は、相手が強い時には裏目に出る可能性が高い。

巨大な中国を見る時には、一つひとつのことに目くじらを立てて怒るより、より長期的な視野を持つことが大切である。イギリス人は妥協の天才と言われる。だから小さな島国に住みながら世界を制覇することができた。

それを考えれば、中国が世界を支配できないことは明らかであろう。妥協を知らない強硬な態度を貫けば必ず失敗する。織田信長ではないが“高ころび“するに決まっている>(以上)

上から目線の問答無用、逆らえば叩き潰すぞ、という強権支配は2300年の伝統・・・こりゃあ直らないなあ。日本は「和をもって貴しとなす」、支那は「戦をもってねじ伏せる」。

ただ、支那は相手が強いと惨めに敗北する。騎馬戦が得意の蒙古族、満洲族にやられ、格下と思っていた東夷に日清戦争で大負けし、支那事変では表向きは勝ったものの東夷は米国に負けただけだから「雪辱した」気分には全然ならない。便秘みたいにずーっと不快感が残り、「スッキリ」とはしない。

悔しいからアレコレ騒いで日本を叩いてみたが、日本はうんざりして投資しなくなり、一方で支那経済は傾き始めた。慌てて日本叩きを抑え始めたが、「冷めたギョーザ」に日本は白けている。日中友好なんて完璧に死語だ。

「将来は大中華圏の時代が到来します。日本は中国の属国として生きていけばいいのです」と言った伊藤忠出身の売国奴・丹羽宇一郎元中国大使の信念は今も変わらないだろうが。

支那との友好を寿ぐ国なんてまずない。世界の嫌われもの。どうやって消えるのか、ドラマの最終回は始まっている。(2016/3/10)


◆米国トランプ現象の異常を読む

櫻井よしこ



小欄をお読みいただく頃には、米大統領選指名争いの山場、3月1日のスーパーチューズデーの結果が出ているはずだ。
 
大統領選の大きな流れをほぼ確定する3月1日に向けて、米主要紙の報道が過熱している。焦点は「トランプ阻止」である。「ワシントン・ポスト」(WP)紙は根っからの民主党支持であるが、2月24日と25日の社説でトランプ氏に関して共和党にメッセージを送った。

「共和党指導者よ、持てる全ての力でトランプを阻止せよ」とまず書き、翌日、「トランプは共和党の怪物、フランケンシュタインだ。彼は今や党を破壊する力を手にした」と警告した。
 
結局、トランプ氏の勢いを止めるのは有権者だとして、WP紙はトランプ氏に投票しないように呼びかける異例の社説を掲げたのだ。
 
一方、共和党支持の「ウォール・ストリート・ジャーナル」(WSJ)紙は、2月25日のヒューストンにおけるテレビ討論会で、マルコ・ルビオ氏とテッド・クルーズ氏が初めて本格的なトランプ攻撃に踏み切ったことを、以下のように喜びに満ちた筆致で大きく報じた。

「私の母はホテルのメイドだった」と、(キューバからの移民の子供である)ルビオ氏は語り始めた。

「私の母のようなアメリカ人を雇わずに、君(トランプ氏)は世界中から集めた1000人を超える労働者を雇ったではないか」
 
ルビオ氏の指摘には、トランプ氏が多くの事業で低賃金外国人労働者を雇い利益を得たことへの批判が滲んでいる。
 
さらにルビオ氏が、トランプ氏はメキシコや中国の工場で衣料品を生産させていると批判し、トランプ氏が抗議すると、ルビオ氏は間髪を容れず、「作るならアメリカで作れ!」と要求したと、WSJ紙は報じた。そのトーンはまるで胸のつかえがおりたかのようだ。

異常な政治感情
 
トランプ氏が「ルビオはビジネスのことが何も解ってない」と非難すると、ルビオ氏は「確かに4回も倒産するビジネスのことなんて解らないよ」と、かつて倒産を繰り返したトランプ氏に反論した。
 
2月初めのアイオワ州での党員集会で、ルビオ氏はクリス・クリスティ氏に攻められて同じ答えを4回も繰り返した。他に答えようがないのか、同じ台詞を言うだけかと散々批判され、ルビオ氏の支持率は一時顕著に低下した。

ヒューストンでトランプ氏が右の一件を取り上げ、「4週間前、君は5回(実は4回)も同じ回答を繰り返したじゃないか」と批判すると、ルビオ氏が「5秒前、同じことを5回繰り返したのは君じゃないか」と当意即妙に切り返した。
 
これらはいずれもWSJ紙が報じた事例だが、ルビオ氏こそ本命候補であってほしいとの同紙の願いが込められた書き振りである。
 
2月21日、ハーバード大学の政治理論家、ダニエル・アレン氏のWP紙への寄稿は悲哀に満ちていた。民主党支持者の同氏はクリントン氏に投票すると述べたうえで、共和党も十分承知しているように彼女には弱点があり、トランプ氏との一騎打ちになれば勝てる保証はないと、現時点での状況を分析してみせる。だからトランプ阻止の責任は、民主党ではなく共和党にあると氏は結論づける。その視点から氏はいち早く指名戦から撤退したジェブ・ブッシュ氏を評価し、さらに共和党候補者1人1人に撤退を要請し、ルビオ氏の下で力を結集するよう勧める。ルビオ氏には、トランプ氏が指名を勝ちとった場合、党の決定といえども拒否せよと要求している。
 
どう考えても、米国世論は、一般有権者のそれも、一流紙に寄稿し社説を物す有識者のそれも、尋常ならざる混乱に陥っている。常識ある政治家には許されない暴言や非難を口にし、敵のみを作り、憎しみと対立を煽る一方で、具体的な政策を語らないトランプ氏を巡って、異常な政治感情がアメリカ社会に生まれているのではないか。その一方で、トランプ現象の分析も目につく。
 
なぜトランプ氏が台頭したのか。第一義的な責任が共和党にあるとの指摘はそのとおりだろう。共和党は比較的低所得の労働者層の不満を吸収できなかった。トランプ氏を軽く見る余り対処せずに放置した。
 
しかし、もっと大きな理由は2期8年にわたるオバマ政治にある。2月27日の「ニューヨーク・タイムズ」(NYT)紙でロス・ドゥザット氏が、トランプ現象の背景にオバマ氏の「上昇志向カルト」があると指摘したのは思いがけなかった。また、大統領権限を最大限活用して悉く議会を無視する手法は、トランプ氏の手法に対する社会の支持の拡大につながっているとの解釈もある。
 
日本及び世界から見て不思議でたまらないのは、民主、共和両党候補者のだれ1人、中国やロシアの脅威をアメリカの取り組むべき重要課題としては取り上げないことだ。

積み残される「戦争」
 
ロシアのシリア空爆ですでに500万人近くの難民が発生している。解決策の見えない難民問題が、米国にも欧州にも排外主義を広げている。世論は極右に引っ張られ、非常に内向きになりつつある。
 
クリントン氏やトランプ氏をはじめ、民主、共和両党の有力候補者は、ルビオ氏を除いて全員TPPにも反対である。TPPが米国一国の利害を超えて、21世紀の国際社会の基本的枠組みになる制度だと、彼らは認識しないのか。異形の価値観を掲げる中国に対して、日米を中心軸とする長期戦略の土台のひとつがTPPであることに考えが及ばないのか。
 
そのような中、2月25日のWSJ紙が「米国の新しいリビア戦争」という社説でオバマ外交の決定的失敗を列挙した。「オバマ大統領よ、戦争で、早まった勝利宣言で兵を引くことの苦い結末から学べ」という主旨だ。
 
オバマ大統領は11年末までにイラクから米軍を撤退させたが、いま再び数千の軍人を送り込まざるを得なくなっている。アフガニスタンからの16年中の撤退予定も、強大化するISの勢力の前に、変更せざるを得なかった。そしていま、「リビア及びその先に展開した米特殊部隊を防護するため」として、リビア攻撃用の米軍の無人機基地をイタリアに確保したというのだ。
 
オバマ大統領はこの情報が大きく報じられるのを嫌っているが、中途半端な対策の負の遺産として、これらの中東及びアフリカにおける「戦争」は次の大統領に積み残されることになる。
 
そうした課題をトランプ氏に任せるのは、想像するだに不安である。国際情勢が混乱に向かうことを前提に、私たちは日本に出来る限りの備えを急がなければならない。

『週刊新潮』 2016年3月10日号 日本ルネッサンス 第695回

  

◆経済繁栄の継続は党改革でしか

宮崎 正弘 


<平成28 年(2016)3月7日(月曜日)通算第4842号> 
 
〜あのディビッド・シャンボー教授の新作『中国の未来』(本邦末訳)
    崩壊の扉が開いた。経済繁栄の継続は党改革でしか達成できないだろう〜

 ディビッド・シャンボー教授はパンダ・ハガー(親中派)の代表選手として、キッシンジャーやエズラ・ヴォーゲルの仲間だった。ところが、ある日、一転して中国批判派に転じた。

そのシャンボー教授が新作を出した。題して『中国の未来』。

要旨は時代遅れの諸規制を緩和し、改革を促進しない限り、国家を統御するパワーが失われ、権力の座は安泰ではなくなるだろう、とするもの。換言すれば中国共産党は崩壊の道を歩むしかない、ということである。

この新作で展開されている未来予測に、とりわけ目新しさはないが、チャイナウォッチャーのなかの親中派の転向を象徴する論客だけに、むしろ中国国内、中国語圏で話題となっている。

習近平の側近政治は、「『太子党』から人材を集めたかにみえて、じつは習近平が福建省、江蘇省時代にともに取り組んだ仲間、部下から有能な人材を周囲に固めた。

このスタイルは上海派を寄せ集め『江沢民幇』を形成した江沢民、団派から逸材を引き抜いた胡錦濤時代の『団派』という派閥とまったく異なっている」とシャンボー教授は書き出した。

「中国はいまや萎縮と衰退過程にはいった」

「おもいきった政治改革が実現しない限り、この趨勢はつづく」。 「中国共産党は幕引き段階にあり、政治システムは破綻しはじめており、習の専制は中国の制度と社会を破壊へと導くだろう」

「こうして終末に起こりうる暴動、騒擾が顕著にあらわれるようになった」つまりクリントンが「経済だ。愚か者め」といったように、中国が繁栄を持続させようと本気で考えているのなら、それは「政治体制だ、愚か者め」ということになる。


 ▼中産階級の罠

おおくの新興国が陥ったように「中産階級の罠」にはまった中国は、構造不況が長引き、いずれ古びた発展理論や不動産政策の下で、国有企業は市場原理に傾き続けるだろうが、いまや共産党独裁の疲弊が表面化し、改革へのピッチは上がらず、したがって権力の維持は不可能となる
 
シャンボー教授は1998年から2008年までの主として胡錦濤時代に行われた諸改革の成果をいくぶん評価しており、それが党の締め付け強化、人権無視、言論弾圧、人民の抗議活動弾圧という強硬路線に転換して、社会的混乱が以前よりひどくなった08年以後に中国に失望したのである。

軍事パレードを目撃した教授は「なぜ人民のための軍が、これほど厳重な警戒のもとにパレードを挙行するのかと疑問を呈した。この軍隊は人民のためではないからである。

しかし結論的にシャンボー教授は一縷の望みをもっている。

それは第19回党大会で、おそらく習近平はリベラルな、改革派の政治家を登用するだろう。むろん再任が明らかな李克強・首相をはじめ、王洋・副首相と李源潮・国家副主席らを重宝する人事を予測する。

「でなければ習近平は独裁政治に舞い戻り、中国に暗い未来に突入するしかない」。

日本では多くのチャイナウォッチャーによって出尽くした議論をシャンボー教授が何をいまさらという感無きにしも非ずだが、中国で一時厚遇されたパンダハガーのかような転向振りが問題なのである。
     

2016年03月11日

◆支那人は骨の髄から性悪説

平井 修一



在香港の国際弁護士・村尾龍雄氏の論考「徹底した性悪説が貫徹される中国人の投資行動」3/9から。

<中国人と言えば性悪説で知られます。

確かに戦国時代(紀元前403年に晋が韓・魏・趙の3つの国に分かれてから紀元前221年に秦による中国統一がなされるまで)末の思想家であった荀子の「人の性は悪なり、その善なるものは偽なり」(「荀子」性悪篇)の言葉で知られるとおり、性悪説の発明者は中国人です。

しかし、それを言うならば、荀子が批判対象とした性善説を生み出したのも、同じく戦国時代で荀子より数十年ほど早く活躍した孟子ですから、性善説の発明者も中国人です。

この両論が歴史的に拮抗する中で現在の中国人が性悪説一辺倒になったのは、やはり文化大革命(1966〜1976年)の影響に起因するところが大である、と分析する中国人の友人たちが多いようです。

純然たる社会主義思想に反する修正主義者をあぶりだそうとする国家的悲劇は中国だけでなく、崩壊したソビエト連邦でも経験されたものであり、おそらく現在の北朝鮮では今もなお隣人相互の監視と密告のシステムが有効に存在しているに違いないと確信します。

が、親が子を売り、子が親を売る世も末の感のある例すら横行した当該システムの10年に亘る全国的流布は、おそらくそれ以前には日本人ほど性善説に傾斜していなくとも、性善説と性悪説がある程度バランスしていたであろう中国人を性悪説一辺倒に変貌させるのに十分な歴史的インパクトでした。

そして、その徹底振りは日本人の想像を遥かに凌駕するものなので、日本人が爽やかで、誠実な人だと勝手なイメージを押し付けた中国人が、ある機会に手のひらを返して裏切ると、「これだから中国人は信用できない。もう中国人は二度と信用しない」と激高するのですが、これは「あれだけ可愛がったライオンの子供が少し成長した途端に、俺を襲った」とわめいているのとほぼ同様の状況です。

何かと付き合おうとすれば、その特性を事前に知ることが身を守るために重要なのです。

さて、このように現代中国人の本質を貫く性悪説ですが、その徹底振りは当然ながら自らの資金を危険にさらす投資の場面で遺憾なく発揮されます、云々>(以上)

日本でも被害が出ているが、「A社の未公開株を買いませんか、新技術を開発したので近く上場しますから3倍になりますよ」という儲け話だ。すべてが詐欺とは言えないが、かなり怪しい話ではある。

しかし、虎穴に入らずんば虎児を得ず、ということもあるから、儲けたい人は悩む。投資を勧める人が羽振りのいい知人友人親戚ならば「どうしようかなあ」と考え、自分であれこれ調べたりするだろう。

ところが骨の髄から性悪説が浸み込んでいる支那人は、「素人の自分が調べても分からないだろうから」と、A社の同業者であるB社、C社を使って調べさせ、さらにB社、C社も信用せずに「A社が見込みがあるというのならあなたたちも投資しろ」と仲間に引き込み、かつ裏切られないようにするのだという。

なにしろ文革では親子でも密告、裏切りが多発し、それによる傷は30年、40年たっても未だに癒されていないという家族は珍しくないそうだ。昨年にはそれをテーマにした映画が大きな話題を呼んだ。

大躍進、文革、六四天安門での大虐殺・・・共産党は支那人の肉体のみならず、心を破壊したのだ。自分を守るためには徹底的な人間不信、性悪説にならざるを得ない。

支那にはタレコミ屋、密告者も未だに存在する。刑事犯罪よりも政局不穏な動きを摘発するのだという。

<北京には、ボランティアの市民が公安局に属して秩序維持に協力する「情報員」が存在する。街を巡回し、人々の会話に聞き耳を立て、特定の場所に立ち市民を監視している。

同市西城区では、こうした監視役を大媽(老婆)が担っているという。北京青年報12日付は、同区政法委員副書記・王静氏の話として、同区市民監視役7万人のうち5万人が58歳〜65歳の中高年女性であると伝えた。のこりは駐車場管理者、警備員、清掃労働者など。王氏によると、彼女たちは日常生活や仕事中に監視役として動き、疑わしい状況を発見した場合、警察に情報提供する。

北京青年報が伝える警察発表によると、15年上半期の密告情報数は約1万件。捜査に役立つ情報を提供したとして、1〜4月の4カ月間で753人の情報員に合わせて報奨金56万元(約1100万円)を支払ったという。昨年の報奨金合計は209万元(約4200万円)だった>(大紀元2015/7/30)

壁に耳あり障子に目あり。実に嫌な社会だ。共産党を絶滅しなければならない。(2016/3/9)


◆日本共産党小史

伊勢 雅臣



〜 国民政党なのか、外国工作機関なのか

日本共産党は世界共産化を狙うコミンテルンによって設立され、その資金と指示で武闘路線を歩んできた。

■1.日本共産党は改憲政党だった

近年、SEALDs(シールズ=自由と民主主義を守るための学生緊急行動)という学生団体の安保法案反対デモの様子が新聞で報じられている。そのSEALDsの行動予定が日本共産党の機関紙『しんぶん赤旗』に掲載されており[1]、同党の関連団体か、少なくとも志を同じくする団体のようだ。

「護憲」を叫ぶSEALDsの若者たちは、日本共産党が日本国憲法制定時に反対した唯一の政党であることを知っているだろうか? 昭和21(1946)年8月24日、衆院本会議で野坂参三は共産党を代表して、反対演説を行った。

野坂の主張は「世襲の天皇制が残っている限り、とうてい民主主義憲法とは言えない」という点と、「我が国の自衛権を放棄して民族の独立を危うくする危険がある」という2点だった。日本共産党の改憲の主張は、その後も長く続いた。

昭和48年(1973年)2月に行われた第12回(共産党)党大会では、「民主連合政府綱領案」が採択される。ここでの方針は、自衛隊は憲法違反の軍隊なので解散させ、その上で憲法改正を提案し、「最小限の自衛措置をとる」としていた。合憲の軍隊を持つということである。[2,p225]

「世襲の天皇制」云々は別にして、防衛論議としては筋の通った主張である。共産党が今もこの政策を表明していたら、SEALDsから反対のデモをしかけられただろう。

それが今では、集団的自衛権に対しても「憲法を破壊し、『海外で戦争する国』をめざす歴史的暴挙」(日本共産党ホームページ)などと、徹底した護憲政党ぶりを見せている。

この見事な豹変振りは何なのか。日本共産党とは一体どんな政党なのか。それは同党の100年近い歴史を辿ってみれば、明らかになる。約40年も党員として過ごし、党ナンバー4の政策委員長に上り詰めながら、離党した筆坂秀世(ふでさか・ひでよ)氏の著書[2]を参考に、考えてみたい。


■2.「共産党はコミンテルンの歯車の一つだったに過ぎない」

日本共産党は大正11(1922)年に結成されたが、その誕生からして、日本人が日本国のために設立した国民政党ではなかった。ソ連共産党が設立し世界に共産主義を広めるための組織・コミンテルンの日本支部であった。この異様な「国際性」は、日本共産党のその後の足取りにも顕著に見られる。

戦前の党の綱領的文書は、このコミンテルンで作成されたものであり、当然のことながら、そこにはソ連の意向が色濃く反映されていた。・・・

このコミンテルンの方針には、「日本のプロレタリアートおよびその共産党に、・・・帝国主義戦争を内乱に転化し、ブルジョア=地主的天皇制の革命的転覆を招来するという任務を課している」・・・などとなっていた。

つまり、戦争を内乱に転化し、共産革命を成功させることが最終目標だったということである。

「帝国主義戦争を内乱に転化」と謳っているわけだから、当然、武力闘争路線である。[1,p24]

さらに筆坂氏は「活動資金までコミンテルンに依存していたこともあり、共産党はコミンテルンの歯車の一つだったに過ぎない」[2,p35]としている。

世界共産化を狙うソ連と、共産主義から国柄を護ろうとしていた日本は冷戦状態にあり、その最中で日本共産党はソ連の指示で動く尖兵だった。

日本の政党とは、日本人が日本のために、ある理想を議会政治を通じて平和的に実現しようとする組織ばかりだと思っていたが、日本共産党は外国人が外国のために作った、しかも武力闘争を基本路線とする工作機関だったのである。

日本共産党が、戦前、戦中に非合法政党として取り締まりを受けてきたことは事実であるが、実際に外国の指示に従って「内乱から革命へ」を目指していたら、どこの国でも非合法の謀略工作として治安維持のために取り締まるのは当然だろう。


■3.尾崎秀實「ソ連を日本帝国主義から守る」

コミンテルンは「帝国主義戦争から内乱、革命」という謀略をどう展開しようとしたのか。これについては、日本国内で暗躍していたゾルゲ諜報網の動きを見れば理解できる。日本共産党は日本の官憲に抑えられていて有効な動きができなかったが、ゾルゲ諜報網はソ連のために大きな働きをした。

リヒャルト・ゾルゲはドイツ紙の記者、およびナチス党員として在日ドイツ大使館に出入りしていたが、実はコミンテルンのスパイであった。ゾルゲは日本での活動で、「日本軍がソ連と戦う意思はない」という情報を掴み、ソ連に流した。ソ連はこの情報をもとに、極東に配備していた精鋭部隊を対ドイツ戦に投入し、これがソ連勝利の一因となった。

ゾルゲの情報源となったのは、朝日新聞記者出身で近衛文麿内閣のブレーンをつとめていた尾崎秀實(ほつみ)であった。尾崎はゾルゲに機密情報を流すと共に、朝野に中国の蒋介石政権との支那事変を煽り、和平工作を妨害した。[a]

尾崎もコミンテルンの活動家であり、逮捕後の取調べで、「我々のグループの目的・任務は、狭義には世界共産主義革命遂行上の最も重要な支柱であるソ連を日本帝国主義から守ること」であったと供述している。ゾルゲと尾崎は昭和16(1941)年に日本の官憲に逮捕され、裁判で死刑になっている。


■4.終戦後の革命運動

日本共産党結成に参加していた野坂参三は、ソ連に逃れて秘密訓練を受けたり、アメリカ共産党とも関係し、大戦末期には延安で中国共産党と合流して日本兵に向かって脱走を呼びかけたり、と「国際的」な活動をしていた。

戦後、帰国して、日本共産党を再建し、衆議院議員ともなったが、ある手紙にソ連のシベリア抑留の肯定と延長を求める文面があって国会で大々的に追及された。こういう人物が、その後、24年間も日本共産党の議長になるのである。

しかしソ連崩壊後の情報公開で、野坂はスターリンの弾圧から逃れるため同志・山本懸蔵らをスパイだと虚偽告発して銃殺刑に追いやったことや、終戦後に延安からモスクワに行き、ソ連情報機関の内通者となって資金も受け取っていたことが発覚し、平成4年(1992)年に党を除名された。[2,p61]

敗戦後、占領軍に解放され、合法化された共産党は、昭和20(1945)年12月8日、真珠湾攻撃の記念日に「戦争犯罪人追及人民大会」を開き、天皇を含む戦争犯罪人名簿を発表している。これを筆坂氏は「終戦直後に『日本人が日本人を裁け』などと喜び勇んですることなのか」と批判している。

昭和22(1947)年には、国民の生活が困窮する中で、革命に火をつけようと、日本共産党は大規模なゼネラル・ストライキを計画したが、占領軍司令部の命令で中止させられた。

昭和25(1950)年6月には、前年の中国共産党による中華人民共和国成立と北朝鮮の侵攻から始まった朝鮮戦争を受けて、革命の波及を恐れたマッカーサーが日本共産党を「民主主義的傾向を破壊」するものとして共産党幹部の公職追放を指令したため、日本共産党は事実上、非合法状態に追い込まれた。

野坂参三、徳田球一は公職追放を受けて、中国に亡命。ソ連共産党や中国共産党の援助によって「北京機関」を結成し、「日本の解放と民主的変革を、平和の手段によって達成しうると考えるのはまちがいである」として、中国革命流の農村部でのゲリラ戦を訴えた。


■5.日本共産党と在日朝鮮人「祖国防衛隊」による内乱

北京の徳田球一を通じて、中国共産党からの「指導」が日本共産党の地下指導部に伝えらた。同時に朝鮮戦争を後方支援すべく、金日成の指示を受けて在日朝鮮人による「祖国防衛隊」が結成され、全国各地で火焔ビン闘争が展開された。

こうして朝鮮戦争下の三大騒擾事件が起こったが、その最初が昭和27(1952)年5月1日の「血のメーデー事件」である。

デモ隊が日比谷交差点での警察官隊列を棍棒と竹槍で突破し、占領軍司令部ビルへ殺到し、「アメ公帰れ」などと怒号した。警察官の負傷者832名、うち重体8名、重傷71名、破壊された警察車両30台というから本格的な内乱である。

さらに6月25日には朝鮮戦争開戦2周年を記念して、大阪の吹田駅で「朝鮮戦線向けの軍用列車を阻止」しようと、警官隊と衝突。7月には、共産中国を初訪問した帆足計(ほあし・けい)らの歓迎報告会から発生したデモ隊が警察隊と衝突し、火炎ビンが乱れとんだ。

これらの闘争で検挙された件数は、同年だけで204件、検挙・起訴された者は1605人に上る。このうちのかなりの割合が、在日朝鮮人であった。[4]


■6.中国、北朝鮮、日本共産党の麻薬取引

1952(昭和27)年、国連の麻薬委員会で米国代表が「中共と北朝鮮は、日本共産党の活動資金を賄うために麻薬取引をしている」と非難した。

朝鮮戦争を戦う米兵の間でヘロインが蔓延し、米国は詳細な調査の結果、コミンテルンの後継組織としてソ連が結成した国際共産主義運動組織「コミンフォルム」が、中国共産党、朝鮮労働党を指揮し、大陸から日本へ麻薬・覚醒剤を密輸していた事を掴んだ。その日本側の受け入れ窓口が日本共産党だった。

日本共産党は「祖国防衛隊」とともに、在日朝鮮人女性を「愛国的売春」などという宣伝文句で米兵相手の売春婦に仕立てあげ、米軍基地近くのキャバレーなどで、米兵にヘロインを売らせていた。昭和28(1953)年、日本国内でヘロイン密売で摘発された人数は、在日朝鮮人261人、中国人363人だった。

米兵をヘロイン漬けにして戦闘能力を奪いつつ、その利益を軍資金として日本共産党と「祖国防衛隊」は火焔ビン闘争で後方支援を行うという天才的な謀略である。[5]


■7.今度は中国共産党に服従?

中国とソ連が激しく対立するようになると、日本共産党はソ連側に立ったが、毛沢東から激しい攻撃を受けた。毛沢東は、毛沢東思想と自身の神格化、中国共産党流の武力闘争路線を受け入れることを要求した。

日本共産党内には毛沢東の要求を受け入れる輩もいて、党は分裂した。毛沢東思想に共鳴する新左翼として連合赤軍などが生まれ、彼らは「毛沢東思想で武装した軍隊」だと自称していた。連合赤軍は、内部粛清として集団リンチにより12人を殺害し、またあさま山荘に籠もって、警察と対峙し、社会に大きな衝撃を与えた。

ソ連が崩壊して、日本共産党は平成10(1998)年に中国共産党と和解した。しかし、近年の中国は、南シナ海に傍若無人な拡張主義をとって、ベトナムとも対立している。筆坂氏は、この点に関する日本共産党の態度を激しく批判している。

問題は、日本共産党である。中国共産党と断絶していた時代なら、この中国の無法を厳しく断罪したはずだ。だが中国共産党との関係が正常化した今、口をつぐんでいる。・・・

ベトナム戦争以来、ベトナム共産党と日本共産党は良好な関係を築いてきた。ベトム戦争でも最大限の支援をしてきた。中国の横暴と戦うベトナムを今こそ支援すべきではないのか。

それができないようなら、覇権主義、領土拡張主義を批判することも、ご都合主義だということになる。これは、チベットやウイグルについても同様である。

チベットやウイグルの現状は、民族自決権の侵害そのものである。日本共産党は、民族自決権の尊重を強く主張してきた。それは正しいことである。だが、日本共産党はこの重要問題について、なぜ語ろうとしないのか。[2,p110]

共産党が心底から世界の平和と諸国民の幸福を願っているなら、相手がどの国であっても「民族自決権を尊重せよ」との声を上げるべきだ。それを自党と中国の関係によって、口をつぐむ、というのでは、ご主人様がかつてのソ連共産党から中国共産党に変わっただけなのではないか。


■8.日本国民のための「国民政党」になったのか?

日本国民の幸福を第一に考える日本人なら、こういう日本共産党から離れていくのも当然だろう。筆坂氏は、東日本大震災の体験で、日本共産党の過ちを悟った元幹部・山下文男氏を紹介している。山下氏は陸前高田市の病院に入院している時に、津波に襲われた。その時のことをこう語る。

「僕はこれまでずっと自衛隊は憲法違反だと言い続けてきたが、今度ほど自衛隊を有り難いと思ったことはなかった。国として、国土防衛隊のような組織が必要だということがしみじみわかった。

とにかく、僕の孫のような若い隊員が、僕の冷え切った身体をこの毛布で包んでくれたんだ。その上、身体までさすってくれた。やさしさが身にしみた。僕は泣いちゃったな」。[2,p245]

自衛隊はまさしく国民のための、国民による組織である。それに対して、日本共産党はソ連共産党が設立し、ソ連と中国の共産党のために戦う武闘組織であった。中国の横暴に口をつぐむ姿勢からは、日本国民のための「国民政党」、というポーズは擬装ではないのか、との疑いを禁じ得ない。


■リンク■

a. JOG(263) 尾崎秀實 〜 日中和平を妨げたソ連の魔手
 日本と蒋介石政権が日中戦争で共倒れになれば、ソ・中・日の「赤い東亜共同体」が実現する!
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogbd_h14/jog263.html

b. JOG(916) 戦後左翼の正体
「安倍に言いたい。お前は人間じゃない! たたき斬ってやる!」と言う人々の正体を探ってみれば、、、
http://blog.jog-net.jp/201509/article_1.html

c. JOG(918) 私の見た戦後左翼の正体
 読者の体験談から浮かび上がる「戦後左翼の正体」
http://blog.jog-net.jp/201509/article_4.html

■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け)
  →アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。

1. 行橋市市議会議員・小坪しんや『【拡散】共産党≒SEALDs≒朝日の証明、大変なことに。』
https://samurai20.jp/2015/07/sealds/

2. 筆坂秀世『日本共産党と中韓 - 左から右へ大転換してわかったこと』
★★★、(ワニブックスPLUS新書、H27
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/484706562X/japanontheg01-22/

3. Wikipedia contributors. "野坂参三." Wikipedia. Wikipedia, 1
Jul. 2015. Web. 1 Mar. 2016.
http://bit.ly/1OLaVDh

4. 安部南牛「日本も戦場だった朝鮮戦争〜在日朝鮮人と中国共産党(上)」、『正論』H27.6

5. 安部南牛「日本も戦場だった朝鮮戦争〜在日朝鮮人と中国共産党(下) 日中北の共産陣営「最大の恥部」ヘロイン」、『正論』H27.7