2016年03月07日

◆猛烈なスピードで進む中国の軍拡

櫻井よしこ



日本を守るために必要な自助努力

中国の南シナ海軍事拠点化の凄まじさが彼らの真の姿を見せてくれる。オバマ米大統領には中国阻止の有効な手は打てないと踏んで、氏が大統領にとどまるこの1年間に、取れるものは全て取ろうと、遮二無二、攻めている。
 
南シナ海のパラセル諸島最大のウッディー島への地対空ミサイル配備が明らかになったのは2月19日だった。わずか4日後には、戦闘機も配備された。配備済みの戦闘機はJ−11とJH−7だと米国防総省が発表した。
 
J−11は中国人民解放軍の主力戦闘機で、日本の航空自衛隊の第4世代戦闘機F−15および米国のF−16戦闘機に匹敵する。南シナ海で起きることは必ず東シナ海でも起きる。中国が海を奪い、軍事拠点化したことは、東シナ海も奪われ、軍事拠点化されるという意味だ。尖閣諸島のみならず東シナ海全体に中国の支配が及ぶことである。
 
その目的のために中国が実行してきたことの1つが、東シナ海の日中中間線近くにガス田開発と称してプラットホームを建て続けたことだ。安倍政権誕生前は4基だったが、最近の約3年間で4倍の16基に増え、別の4基も建設中だ。
 
各プラットホームはヘリポートを備えており、これらは全て無人機を含む航空機の離発着を可能にする。レーダーもミサイル発射装置も配備可能だ。これらの「洋上基地」と中国本土の軍事施設、それに中国が配備を開始した大型巡視船「海警2901」を組み合わせれば、日本の防衛能力を粉砕して東シナ海を奪うことも不可能ではない。

「2901」は1万2000トンの大型艦船である。中国は「2901」に必要な強力なエンジン10隻分をドイツから購入済みで、このことから少なくとも「2901」を10隻は建造するとみられている。
 
日本が尖閣諸島防衛で新たに建造した海上保安庁の巡視船は1000トン級が6隻、3000トン級が2隻である。1万トンを超える大型船は海保にはない。

海上自衛隊にはあるが、砕氷艦の「しらせ」(1万2500トン)を除けば4隻である。
 
1万トンを超える船は、どの海域であれ長期滞在が可能である。

また「2901」は射程10キロメートル、コンピューターで安定した射撃ができる72ミリメートル砲を備えている。日本の海保の巡視船の砲は20ミリメートルと30ミリメートルで射程は2キロメートルである。船体が小ぶりなため揺れも大きく、射撃の命中度は「2901」に比べて疑問が残る。
 
中国の軍拡は海上だけではない。南シナ海に見られるように空でも見逃せない重大事が起きている。前述の第4世代戦闘機の量産である。航空自衛隊は293機のF−15戦闘機を有しているが、中国はなんとそれとほぼ同数の第4世代戦闘機を2010年からのわずか3年で製造してしまった。
 
現在、保有している第4世代戦闘機は日本の293機に対して中国が731機である。加えて、彼らは毎年30機から50機とみられる量産態勢で戦闘機を増やし続けており、年間5機がせいぜいの日本との差を広げている。
 
いま政治家にとって最大かつ最重要の責務は、わが国が南シナ海沿岸諸国と同じ運命をたどらないためには何をすべきか、防衛上の課題を絞り込み、直ちに解決策を講ずることだ。
 
米国の協力を求める前に、自助努力が必要だ。その第一歩は海保と自衛隊の予算の思い切った増額であろう。船も航空機も潜水艦も、海保の隊員も自衛隊員も、少なくとも日本を守るのに必要な分だけは増やす方向に明確にかじを切るべきだ。
 
しかし、国会では、自民党議員の失言が続く。民主党はもっとひどい。岡田克也代表は安全保障関連法の破棄を求め続けるそうだ。国益を損なうこんな発想から抜け出さなければ民主党の存在意義など本当にないと思う

『週刊ダイヤモンド』 2016年3月5日号 新世紀の風をおこす オピニオン 
縦横無尽 1123
                (採録:松本市 久保田 康文)


◆支那は今でも「三国志」

平井 修一



日本戦略研究フォーラム政策提言委員/拓殖大学海外事情研究所教授・澁谷司氏の論考3/4「『三国志演義』批判が始まった中国」から。

<今年3月3日付『解放軍報』(中国共産党中央軍事委員会の機関紙)に、興味深い記事が掲載された。日本人にも馴染み深い『三国志演義』の「桃園の誓い」(=「桃園の契り」)に関する論評である。

同紙は、「桃園の結義」を最も成功しなかった“政治集団”だったと決めつけた。これはどういうことだろうか。

よく知られているように、劉備(のちに三国時代の蜀漢の皇帝となる)は貧しい民のために立ち上がり、天下取りを目指した。その際、豪傑の関羽と張飛の助けを借りている。3人は張飛の屋敷裏で宴を催し、“義兄弟”の契りを交わした。

この“義兄弟”の姓は違うが、死ぬ時は同じ場所、同じ時間だと誓い合った契りにより、3人は「幇」(パン、血縁・地縁と同じ共同体)を形成したのである(ちなみに「幇」の掟は絶対であり、一般の法やルールよりも優先される)。

『解放軍報』は、この劉備・関羽・張飛の「桃園の誓い」を「セクト主義」(=「幇」)に他ならないと指弾している。

しかし、いったん「幇」が形成されたら、大半の中国人は忠実にその掟に従うであろう。

中国共産党の権力の源泉は人民解放軍にある。今年2月1日、人民解放軍の大幅な改編(「7大軍区」から「5大戦区」へ)が行われた。同時に人事も一新された。

そのため一部の論者は、習近平主席が軍を完全に掌握したと考えているふしがある。だが、それは早計ではないか。

実際、解放軍の中には「太子党」系・「上海閥」系・「共青団」系が混在し、お互いを牽制し合っている。牽制し合う程度ならまだ良いが、3大派閥が依然、生きるか死ぬかの熾烈な権力闘争を行っているのである。

だからこそ、「主流派」が握っている『解放軍報』に「セクト主義」糾弾の記事が掲載されたのではないだろうか。

我々は中国人の「指桑罵槐」(主敵を叩くために、あらぬ方向を攻撃する)という“性癖”に十分注意しなければならない。日本人と中国人の思考はまったく異なるからである。

中国共産党が日本あるいは日本人を批判した際、それが本当に日本や日本人に対する攻撃なのかどうか、しっかり見極める必要がある。中国政府から日本や日本人が非難された時、我々が批判されていると考えるのはあまりにナイーブ過ぎよう。

北京が攻撃対象としているのは、意外にも国内の敵だったり、他国や他国の人だったりする場合もある>(以上)

3人いれば文殊の知恵というが、3人いれば派閥ができるともいう。帝国陸軍では戦前は「皇道派」=反共反ソだが精神主義的(二二六事件で弱体化)、「統制派」=総力戦体制を整備してソ連に備えよという現実主義的(主流派)、という派閥があった。もっともこの派閥名称は戦後に作られた造語だというが。

200万人の中共軍は多分、7大軍区の縦割りで7軍閥、陸海空などの横割りで5軍閥あたりはありそうで、それらがざっくりと太子党、上海閥、共青団という派閥=「幇」に分かれているのかもしれない。

派閥内は強力な利権で結束する。中共はかつては軍が企業を所有していた(今は表向きは禁止されているが、裏ではウィンウィンでうまい汁を吸っているはず)。

1980年頃に初訪中した際、軍の経営する国内線航空会社があると聞いてびっくりしたことがある。予定の航空会社が運休になった時、あらよっという感じで飛んできたのだ。実に臨機応変、さすがに空軍だなあと感心したものである。(カネになれば何でもやる)

派閥の中にカネも女も名誉もある、というわけで、その利権を守るため、拡大するために三つ巴で抗争する。習近平・太子党と江沢民・上海閥はえげつないから仁義なき戦いだ(インテリの共青団=胡錦涛や李克強は斜陽のようだ)。

新唐人TVによると2月26日、中共第12期全国人民代表大会常務委員会は人民大会堂で初めて憲法宣誓式が行われたが、習近平から新たに人民代表大会財政経済委員会副主任に任命された劉源(太子党の元軍人)が先頭に立って宣誓したという。

全人代常務委員会は上海閥で序列3位の張徳江が牛耳っているが、財政経済委員会は共産党の金庫番であり、習近平は上海閥から金庫のカギをとりあげたわけだ。

2月29日未明には福建省厦門市の集美大橋の入り口にある江沢民自筆の大きな石碑が2つに裂け、中共中央宣伝部(上海閥も力を持っているらしい)は「集美大橋石碑断裂について、政治的な噂の転載禁止、宣伝禁止」と規制した。

上海閥は立て続けの習近平の攻撃に反撃するだろう。果てしない派閥抗争、権力闘争。「三国志演義」は史書「三国志」をベースにした創作だが、一般向けの兵法書として人気だという。孫子の国であり、権謀術策の抗争に共鳴、共振するのだろう。支那は今でも「三国志」の世界だ。  
                       (2016/3/5)

◆トランプの政治スタイルこそが

宮崎 正弘 


<平成28年(2016)3月5日(土曜日)弐 通算第4841号 >
 
 〜トランプの権威主義的でシンプルで、パワフルな政治スタイルこそ
  リンカーン以来のアメリカが求めたリーダーシップ像ではないのか〜

トランプは共和党内左派、ならびにネオコンから嫌われ、左翼ジャーナリズムのNYタイムズからぼろくそに書かれ、保守本流のウォールストリートジャーナルにもたびたび批判する。テレビはABCもCNNも、ほぼ全て、つまり主要なメディアはあげてトランプ批判を合唱しているのである。

ところが人気が落ちない。いや発言のたびに支持率が上昇している。ローマ法王の辛辣な批判も支持率急落とはならなかった。

こうした現象の裏側をみるとどうなるのか。

ワシントンポストの編集委員コルバート・キング(ピュリツアーショ賞受賞者)は、「べつにトランプを推薦するわけではないが」としつつ、彼のスタイルは「やや独裁的な(権威的な)政治家像を追っており、共和党のリンカーンがめざしたような権威的政治路線なのである」と書いた(ワシントンポスト、3月4日)。

すなわち「偉大なアメリカ」を呼びかけるところにトランプの出発点、立脚点があり、そのスタイルは「シンプルで、パワフルで、そして討伐的(Punitiv)である」。

マケインを「戦争の英雄というのは間違い、かれは戦争捕虜じゃないか」などと、誰もが口が裂けても言えないことを共和党の有力政治家に向かってはく無謀さも、しかり。

トランプの支持者がもとめるのは、そのリーダーシップであり、年齢、宗教、政治団体、ロビィスト、エスタブリシュメントの政治を越えよう、リンカーンの時代のように「シンプルで、パワフルで、権威的」な姿勢にこそ、幅広い支持があつまる。

コルバートはついでながらNYタイムズの報道姿勢を批判している。

「トランプのオフレコ発言を拾い集め、重箱の底をつつくように過激で配慮を欠く発言だと批判するのは、ジャーナリズムの原則を逸脱している」。 

そのNYタイムズの論調を根拠に記事を書いたり、コメントをしているのが、日本の擬似ジャーナリストたちである。
  

◆かつての創価学会青年部も今は昔…

清宮 真一


様変わりする公明党の若手候補と、強まる井上幹事長の存在感

宮崎謙介前衆院議員(自民党離党)の不倫騒動など永田町のセンセイたちの資質に厳しい視線が注がれている。不祥事が続いた自民党議員とは対照的に、スキャンダル知らずの公明党の優等生ぶりが際立つ。

ただ人材の輩出元は以前と様変わりし、支持母体の創価学会となじみが薄い若手も珍しくなくなった。選挙での候補擁立は手探りの状態が続いているようで、党と学会の双方に通じる井上義久幹事長の存在感がさらに高まりそうだ。

「今回の参院選は与党が過半数の議席を得て、安定政権の下、課題解決を着実に進めていけるかどうかが問われる選挙だ。断じて負けるわけにはいかない!」

山口那津男代表は2月27日に都内で開かれた「全国県代表協議会」で、党所属の衆参両院議員や都道府県本部の幹部を前に気勢を上げた。

参院選の選挙区で過去最多の7人を擁立し、比例代表も6人を公認している。特に選挙区の新人候補は、30〜40代の若手をそろえた。肩書をみると、神奈川の三浦信祐氏(40)は元防衛大准教授、愛知の里見隆治氏(48)は厚生労働省出身。兵庫の伊藤孝江氏(48)は弁護士で、福岡の高瀬弘美氏(34)は元外交官という顔ぶれだ。

経歴だけを見ると、現執行部とは様変わりした印象を受ける。「公明のプリンス」「永遠の青年部長」などの異名を持つ太田昭宏前国土交通相に代表されるように、創価学会青年部が国会議員の供給源だったはずだ。

ベテランの議員秘書は「青年部にも優秀な人材はいる。ただ、政治に関心はあっても自分がバッジを着けるんだという意欲まではない」と分析する。

そうした変化は、支持母体だけが理由ではなさそうだ。党勢拡大に向けて“学会色”の薄い候補を多く擁立し、「宗教政党」へのアレルギーがある有権者への浸透を図りたいという公明党の思惑も透けてみえる。

実際、神崎武法常任顧問が党代表を務めていたころから、参院選での比例票上積みを狙い、学会出身者以外を擁立する傾向は見られた。ただ、そうした弁護士や官僚出身の若手・中堅議員に対し、「なじみがない」とぼやく学会関係者もいる。

一般有権者を意識した候補への「シフトチェンジ」の評価は定まっていない。少子高齢化に伴う支持組織の先細りが避けられない中で、候補選定をめぐって今も試行錯誤を続けているといえそうだ。

こうした現状を受け、存在感を増しているのが、選挙実務を担う幹事長の井上氏だ。東北大を卒業して学会青年部の幹部を務め、選挙や党内人事に関する発言力は大きい。若手の立ち居振る舞いにもにらみをきかせる。

学会関係者の一人は「党と学会の双方を理解している井上氏が幹事長を務めていることは大事だ」と強調する。一方、次期衆院選での太田氏ら重鎮の引退もささやかれ、別の学会幹部は「井上氏の独壇場になるのではないか」と漏らした。(政治部)

産経ニュース【政界徒然草】2016.3.5

2016年03月06日

◆共和党内にアンチ・トランプの嵐

宮崎 正弘 



<平成28年(2016)3月5日(土曜日)通算第4840号 >

 〜ロムニーが「反トランプ連合」を主導できるか?
  もう遅くないのか、共和党内に吹くアンチ・トランプの嵐〜


 スーパーチューズディの結果を受けて、共和党内に急激に渦巻く激流は、「反トランプ連合」への動きだ。しかしテッド・クルーズとマルコ・ルビオはメンツに賭けても撤退する気配がないので、第三の選択としてロムニーが名乗りを上げた。

 アンチ・トランプで連合できるなら、ミット・ロムニー(マサチューセッツ州知事)が、この流れに便乗しよう、「夢よ、もう一度」というわけだが、地盤のマサチューセッツ州でもトランプが勝ったのである。

 3月3日、ユタ州で講演したロムニーは「トランプはいかさま、詐欺師、破産の常習犯であり、ビジネスで失敗ばかり、とても大統領になる資格なぞない。万一、当選でもしたら同盟国に多大な迷惑を掛ける」と口を極めて罵った。ヒラリーへの批判はほとんど無かった。

 ロムニーは2012年の共和党正式大統領候補で、オバマと闘って惜敗した。この敗北直後にトランプは「四年後を目ざす」「偉大なアメリカの再建」をスローガンにすることなどを決めて密かに準備にはいった経緯がある。

 ロムニーはトランプの事情の失敗を四つ指摘した。 第一は「トランプ・ウォッカ」で、これは「TTブランド」として2007年に発売され、売れ行きは伸びずに失敗した。

 第二は「トランプ・シャトル」で、ワシントンーNY、NY―ボストンを毎時予約なしで通勤電車のように並んで登場するシャトル便の豪華版を就航させたもの。しかしビジネス客の利用が多い同シャトルに豪華版など不要とばかり失敗、USエアウェイズに売却した。

 第三は「トランプ・ステーキ」で豪華なアンガス肉を派手な包装で売ろうとしたが、みごとに空振りだった。

 第四が2005年に設立された、オンラインのよる教育プログラム「トランプ大学」だが、これも入学者がすくなく、破産し、裁判沙汰となってしまった。 しかしトランプタワーやフロリダ州の豪華別荘などで、富豪の印象はすこしも傷つかず、まるでテフロン大統領といわれたレーガンのように蘇る。


 ▼トランプの極意は「衝撃と畏怖」

 トランプは三十年前に「取引の極意」(THE ART OF DEALS)という本を書いてベストセラーとなっているが、この本のなかに、彼のビジネステクニックの数々が披露されている。トランプ流の取引、交渉などのコツが書かれており、当時マスコミの話題を浚った(かくいう筆者もトランプにインタビューする前に読んだことがある)。

 中味はまるでアメリカ版「孫子の商法」だ。撤退的に相手を打ち負かし、勝負は大きく出る、水に落ちた犬は撃て、やられたらやりかえせ等が教訓として並んでいる。

 まさに「メキシコの不法移民は強姦魔、麻薬犯罪人、殺人者だ」と言ったかと思えば、「不法移民を防ぐには国境に高い壁をつくり、コマツではなく、キャタピラーのクレーンとブルドーザでそれを築け」、「イスラム教徒の入国を拒否せよ」など、かれの極意である「衝撃と畏怖」の路線にしたがって大きな勝負をかけている実態がわかる。
 
 さて共和党主流派は、トランプでは本番で勝てないという危惧の念がつよく、また党内主流派と穏健派は、かれを強く忌避する空気があり、なんとしても、トランプを正式の候補者からは引きずり降ろしたい。

 だが、共和党主流派の判断は間違っているようだ。 党員が集会や予備選で投票する動機は「テロ」「国家安全保障」、そして三番目に「経済」を理由としてあげており、国の債務問題にも興味を抱いている。

 だから熱狂的ファンがトランプの追っかけをやってまで支持している。凄まじい支援者の嵐がある。 「これが現実。これが共和党のいまだ」とトランプ支持者は答えている
(ワシントンポスト、3月3日)。

 「トランプは党幹部や主流派の思惑を考慮にいれて発言していない。かれは庶民の感覚と感性にむかって発言している。かれの対応脳略の早さ、あれが米国のいまに必要だ」
 ニューハンプシャー予備選でトランプが言ったように「貧富の差を超えて、男女を越えて、肥満か痩身か、短?か長身かをこえて、エスタブリシュメントの政治に勝った」。 共和党主流派のアンチトランプ連合、間に合うか?

◆眼が不自由な人の「柔道」

古森 義久


2頭の盲導犬が支える… 

私の通う「ジョージタウン大学・ワシントン柔道クラブ」では最近、2頭の犬が道場の端でじっと横たわる光景がみられるようになった。目の不自由な柔道選手が2人、練習に加わり、盲導犬が待機するようになったのだ。

そのうちの女性のローリーさんはアテネのパラリンピックで銀メダルを得た全米級の選手である。男性のジャスティンさんは中級者だが筋骨はたくましい。2人とも30代のようだが、一般の選手たちと積極的に組み合い、激しく稽古する。

2時間の練習時間中、2人のそれぞれの盲導犬が本来はペット禁止の道場内への入場を許され、主たちの稽古が終わるのを静かに待つのだ。2頭ともラブラドルレトリバーという種類だそうで、いずれも明るいクリーム色のきれいな毛色のかなり大型である。

2頭とも物音ひとつ立てずに横たわり、ずっと静寂を保つ様子には感嘆させられる。とくにローリーさんの案内役のローラという名の雌犬は顎を床につけて、じっと彼女の動きを見つめているようにみえる。

練習後のローリーさんはうれしそうに寄り添ってくるローラの体をなでながら、「柔道は目の不自由な人間が一般の人たちと練習ができる数少ないスポーツですが、でもそれを可能にしてくれるのはこの子だともいえます」と話していた。

産経ニュース【ポトマック通信】2.24

◆司法への米国の畏怖と日本の無関心

櫻井よしこ



日本と米国でこれ程違った形で報道されるのかと、驚いたのが米連邦最高裁判所判事の死亡だった。
 
2月13日、死去したアントニン・スカリア最高裁判事を悼んで「ウォール・ストリート・ジャーナル」(WSJ)紙は、ワシントン記念塔で13枚の星条旗が半旗として掲げられた大きな写真を1面で報じた。

日本で最高裁判事の死亡に関して、このような報道がなされたことは未だかつて記憶にない。7月の国政選挙が衆参同時になれば、私たちは最高裁判事の是非に関しても判断を求められる。

しかし、一体誰が最高裁判事について、十分な知識を持っているだろうか。否、名前さえ知らない人が圧倒的に多いのではないか。
 
1人の判事に関して大きな写真を掲載し、詳報する米国では最高裁判事1人1人の名前も、判決の傾向も、多くの人が知っていると言ってよい。日米は国情も文化も、意見の折り合い方も異なるため、一概には言えないが、米国の司法が国民生活に深く結びついていることを感ずる。
 
連邦最高裁は9人の判事で構成され、全員、大統領が指名する。上院で60人以上の支持を得て承認され、承認を得れば一生涯、最高裁判事にとどまり得る。無論、途中で任するケースもある。
 
スカリア氏は86年にレーガン大統領に指名され、30年間、最高裁判事をつとめ、現職のまま死亡した。日本の報道では氏は「保守派の代表格」(「毎日新聞」2月15日夕刊)などと定義され、「自己防衛のために個人の自宅における銃の所持を認める判決文を書いた」ことや「同性婚を認めた判決や医療保険制度改革(オバマケア)の合法性を認めた判決では反対意見を述べた」ことなどが報じられた。
 
同性婚の件に見られるように、世論を2分する重要訴訟の多くで、9人の判事が5対4に分かれて僅差で判決が下されてきた。スカリア氏の死亡によって、連邦最高裁の勢力図はこれまでのリベラル対保守が4対5だったのが4対4に変化した。

残り1人を誰にするかによって米国の国の形が大きく影響されることから、民主、共和両党が激しく争い始めた。

「原意主義」
 
オバマ大統領は後任候補の検討に入ったことを明らかにしたが、共和党上院の実力者で院内総務のミッチ・マコネル氏は「次の大統領になるまで後任を選ぶべきではない」との声明を出している。
 
共和党の大統領候補者はマコネル氏に賛成し、他方、民主党の候補者はヒラリー・クリントン氏もバーニー・サンダース氏も、現職のオバマ大統領にこそ後任人事を決定する権利があると息巻く。
 
だが、9人目の判事を決めるのはオバマ大統領にとって容易ではない。余りにリベラルな人材を選べば、上下両院で多数を有する共和党の承認は得られないからだ。

オバマ大統領が後任人事を決定できないまま、先送りされれば、次の大統領が米国の司法を事実上左右することになる。アメリカの国の形を心配する有権者はどの党を支持するにしろ投票に向かい、両党にとって党勢拡大につながるとも分析されている。
 
WSJは2月16日の社説で最高裁の状況を、「固く団結するリベラル4判事」と「憲法の精神に則る余り同一判断を下さず、共和党の政策とは必ずしも共鳴しない保守判事の一群」として描いた。
 
4人のリベラルな判事は2人をビル・クリントン元大統領が、もう2人をオバマ大統領が指名した。彼らはどのケースでも団結して同じ判決を支持してきたと、WSJの社説は事例を挙げて指摘する。民主党指名の最高裁判事4人は民主党の政策に合致する判決を出し続けており、「政治的」だというのだ。
 
他方、スカリア氏をはじめ共和党指名の判事たちは憲法や法律の理念を優先させ、時として共和党の政策に真っ向から反対するという。
 
なぜ、そうなるのか。理由はスカリア氏の法曹人としての特徴が「原意主義」(Originalism)にあるからだと説明されている。最高裁判事は「法衣をまとった政治家」と揶揄されがちなのに対し、スカリア氏は米国憲法の精神に基づいて眼前の問題をどう判断すべきかを探り続けたとWSJは評価する。リベラルな判事たちが「憲法は生きもの」(LivingConstitution)であるとして、憲法の理念を時代の変化に合わせて「解釈」し直そうとするのに対して、スカリア氏は「矯正」を試みたというわけだ。
 
スカリア氏が一貫して合衆国憲法の精神に忠実であろうとした事例としてWSJは、氏が個人の銃の所持を認め、中絶や同性婚に反対するという強硬な判断を下した一方で、アメリカ国旗を焼き捨てることをアメリカ合衆国国民の正当なる権利であるとして認めたケースを挙げている。

司法と国民の距離
 
国旗を焼き捨てることを国民の権利と位置づけるのは、共和党の政策とは明らかに異なる。スカリア氏は「サンダル履きのだらしのない変人」が国旗を焼こうとするかもしれないが、と述べて嫌悪感を隠さなかったが、国旗を焼く「権利」は認めたのだ。

この事例は、成程、氏の本質の一断面を切り出して見せている。
 
このような人物の後任人事はただでさえ容易ではない。勢力拮抗の中、しかも大統領選挙の最中である。選挙の最大の争点になるのは当然だ。
 
いま、連邦最高裁の手元にある案件は移民制度改革、人工妊娠中絶の合法化、大学の入学選考における人種要素の考慮の可否などで、6月までに最高裁は判断を示す見込みだ。

しかし、そうしたことよりもっと重要な案件がある。それは憲法修正第1条の人権条項だという。
 
アメリカ合衆国憲法が作られたとき、そこには人権条項は入っていなかった。後の修正で人権条項が加えられたのである。
 
具体的にはフリードリッヒのケースと呼ばれる労働組合員の組合費徴収の件だとWSJは警告する。同件で最高裁判事は4対4で2分されているが、ここにリベラルな判事が投入されれば、組合費徴収は合憲とされ、自身が反対する政策について支持しない権利が組合員から奪われてしまいかねないというのだ。
 
宗教的信条から妊娠中絶に反対する人々も、中絶支持のオバマケアを介して強制的に中絶のための負担をしなければならないとも警告されている。
 
連邦最高裁判事の交替についてこれ程熱い論争を重ねるアメリカを見て、日本での司法と国民の距離の遠さを実感する。私たちは最高裁判事の名前さえよくは知らない。

彼らの下す判決についてもほぼ無関心だ。これは国の形というものに対する無責任の裏返しではないかと自省する次第だ。

『週刊新潮』 2016年3月3日号 日本ルネッサンス 第694回
                 (採録:松本市 久保田 康文)


2016年03月05日

◆中国、5日から全人代開催

宮崎 正弘 



<平成28年(2016)3月4日(金曜日)弐 通算第4839号> 

〜マルクスも毛沢東も聞かれない、レーガン、サッチャーの経済政策が前面に
 中国、5日から全人代開催 李克強首相は6・9%GDP成長を打ち出すか〜

全人代を前に一斉に明るいニュースを流している。

全人代の助言グループは「中国経済は明るい。外国人は心配しすぎだ。なんの懸念もない」などと根拠のないことを合唱している。

ロイターの予測によれば、中国の通貨供給量は13%増となり、中国の金融政策はサプライサイダー経済学の構造に流れざるを得ないだろう、という。

そういえば中国の経済政策にはマルクスも毛沢東も聞かれない。かわりに聞こえてくるのはレーガン、サッチャー時代のサプライサイダー経済学である。

しかし膨大な通貨供給は、中国の場合、不良債権処理にあてられても、設備投資に回らず、またも不動産価格維持、株価維持という粉飾行為にまわるのではないのか。

そうなれば中国にレーガノミクスの再来は、むしろ失敗に終わるだろう。

街に失業者が数百万単位であふれ出している現実を前にして、「不動産価格は上がる、いまが買い時だ」などと中央銀行系のエコノミストらがファンタジーを合唱を始めている。

一方で、中央政府、中郷銀行の政策に反対する任志強などのブログを封鎖し、また会期中はツィッター、フェイスブックノ批判も押さえ込む構えだ。

李克強首相は6・9%GDP成長を打ち出す方針というが、全人代に集まる3000人のピュペット(あやつり人形)でいったい何を決めるのか、そのことに興味が湧くのである。 
                         

◆軍閥が習近平・北京制圧?

平井 修一



中共の「全国政協第12期第4回会議」が3月3日午後3時に北京の人民大会堂で開幕する。これに合わせて新華社はまるで北朝鮮メディアそっくりの見出し「中国の特色ある強軍路線を闊歩して前進 習近平主席と中央軍事委員会が推進する強軍興軍」を掲載し、戦意高揚を煽った。

<新華網北京3月3日 中国共産党第18回全国代表大会(十八大)以降の3年間は人民軍隊は89年の輝かしい歴史において、特別な意義を持つ。

この3年間に、雄大な計画が描き出された。習近平主席は中華民族の偉大なる復興を実現する中国の夢の戦略的高みに立って、党の指揮に従い、戦闘に勝利でき、良好な気風の人民軍隊を建設するという党の新情勢のもとでの強軍目標を明確に提示した。

この3年間は、強国への新しい道を切り開いた。新情勢のもとで、軍事戦略方針の策定から、政治建軍、改革強軍、法による軍隊管理の深層からの推進まで、整頓、戦闘準備、改革、計画の策定への着手から、実戦へのより一層の重視と集中、イノベーション駆動、体制の建設、集約と高効果、軍民融合を確立する軍隊建設の発展の戦略的指導まで、習主席は三軍を統一して指揮し、強軍興軍の新しい道程をスタートさせる>(以上)

強軍興軍! 北の「先軍政治」そっくり。北京は軍部に乗っ取られたか?

今後の中共の軍事展開はどうなるか。小生思うに習近平・北京政府は軍を掌握していない。少なくとも最強の瀋陽軍区(北朝鮮の保護者)はコントロールできていない。いろいろな理由で軍が緊張を作りだすことを北京は抑えつけられない可能性/危険性は高いのではないか。

産経1/18「【野口裕之の軍事情勢】習近平指導部は軍の利権を再配分できるか? 親北朝鮮軍区のクーデターが先か?」から。

<鴨緑江の向こう側の動きが気になる。鴨緑江は中国との国境に流れる川で、「向こう側」は7個の中国軍最大部隊単位、というか軍閥に近い《軍区》で最精強を誇る《瀋陽軍区》の管轄域。注視すべきは北京より平壌と親しい瀋陽軍区によるクーデターである。

瀋陽軍区高官の一族らは、北朝鮮に埋蔵されるレアメタルの採掘権を相当数保有する。瀋陽軍区が密輸支援する武器+食糧+生活必需品や脱北者摘発の見返りだ。

北朝鮮軍の軍事パレードで登場するミサイルや戦車の一部も瀋陽軍区が貸している、と観る関係者もいる。

もっと恐ろしい「持ちつ持たれつ」関係は核・ミサイル製造だ。中国軍の核管理は《成都軍区》が担い瀋陽軍区ではない。瀋陽軍区は核武装して、北京に対し権限強化を謀りたいが、北京が警戒し許さぬ。

そこで製造技術を北に流し「自前」の核戦力を造ろうとしているとの観測が浮上してくる。

しかも、その核戦力は日米ばかりか北京にも照準を合わせている可能性がある。理由はこうだ。

1)北核実験を受け、北京が対北経済制裁に踏み切れば、瀋陽軍区はクーデターを考える

2)他軍区の通常戦力では鎮圧できず、北京は成都軍区の核戦力で威嚇し恭順させる他ない

3)瀋陽軍区としては核戦力さえ握れば成都軍区の核戦力を封じ、瀋陽軍区の権限強化要求+クーデターの、2つの選択肢を保てる

習近平指導部が進める軍の大改編は、現代戦への適合も視野に入れるが、瀋陽軍区を解体しなければ北朝鮮に直接影響力を行使できないだけでなく、瀋陽軍区に寝首をかかれるからでもある。

おいしい利権を食べて肥え太った将軍→高級将校→中堅将校らが創り上げた利権ピラミッドに、軍歴ゼロの習氏が手を突っ込む対決図の行方は目が離せない。ソ連の場合、国家指導者が軍に介入すると失脚し、「党の軍隊」の国軍化も失敗に終わった。

《2016年問題》というと、安全保障の世界では中国軍改編問題が重大対象の一つ。中国分裂は慶賀に堪えぬが、国際社会の安全保障・経済への甚大な被害は避けられない。周りを巻き込まず、寂しく崩壊する道を探ってほしい>(以上)

軍の大改編は軍の猛反発で骨抜きになったろう。少なくとも瀋陽軍区*は“焼け太り”で内モンゴル自治区も縄張りにした(*現在の呼称は北部戦区)。南シナ海ににらみを利かす南部戦区(海軍基地のある海南省も管轄)のトップ、王教成上将は瀋陽軍区出身だから、“瀋陽軍閥”は南部戦区も押さえたのかもしれない。

国基研企画委員・太田文雄氏の論考「南シナ海での中国軍ミサイル配備の意味」2/22から。

<南シナ海パラセル(西沙)諸島のウッディ―(永興)島に、中国人民解放軍が高性能の地対空ミサイルHQ9(紅旗9)を配備した。先月、米国に出張した際、米国の専門家は人民解放軍が昨年10月に第4世代戦闘機であるJ11(殲11)を同島に飛来させたと言っていた。

習近平中国国家主席は昨年9月にオバマ米大統領と会談した際、「(南シナ海の)軍事化を追求する意図はない」と表明していた。しかし、戦闘機の飛来や地対空ミサイルの配備が軍事化でなければ、どのような状態を軍事化と呼ぶのか? 南シナ海にも東シナ海と同様、中国が防空識別圏(ADIZ)を設定するのは時間の問題かもしれない。

2013年11月に東シナ海に設定された中国のADIZは他国のADIZと異なり、圏内に進入する外国航空機の飛行計画を中国当局に提出する義務を負わせ、当初、指示に従わない航空機には「防御的緊急措置を取る」ことになっていた。

*実効支配確立へ前進

通常、領土の上空である領空に他国の航空機が無断で侵入するのを防ぐために、領空の外側にADIZが設定されるが、侵入機を退去させるための実効措置能力が伴わなければ、設定しても有名無実化する。

しかし、戦闘機や地対空ミサイル、それに伴うレーダー施設が配備されれば、侵入機に対して退去を強要する措置を取ることができる。それは、これまで点から線に拡大しつつあった中国の南シナ海実効支配を、面にも立体的にも拡大することにつながる。

南シナ海にADIZが設定されれば東シナ海のADIZと相まって、中国は日本、台湾、フィリピンを結ぶ第一列島線内の実効支配に向けて、確実な段階を踏むことができる。しかも、有効な対抗策が取れていないオバマ政権の任期中に既成事実をつくることができれば、将来の支配確立への布石になる。

人民解放軍としては自分たちの権益が増大し地位が向上するので、ADIZ設定には積極的であろう。人民解放軍に共産党のコントロールが完全に効いているのか疑わしい事象は過去に何度も起きているが、今回のHQ9配備もその一つと言えそうだ。

*さらなる国際的孤立も

南シナ海スプラトリー(南沙)諸島の埋め立てにより、中国は米国のほか東南アジア諸国連合(ASEAN)の主要国を敵に回した。また、北朝鮮の核実験や弾道ミサイル発射を抑えられなかった中国への失望から、これまで中国に擦り寄っていた韓国も反旗を翻し、台湾の総統選挙では中国と距離を置く民進党が圧勝した。

こうした四面楚歌の時にあえてADIZを設定すれば、中国はさらなる国際的な孤立を招くだろう。

エネルギー輸入の約8割を南シナ海経由の海上交通路に依存している日本にとって、この地域で中国の実効支配が進行することは由々しき事態である。従って、これまで以上に国益を共有できる国々と協力し、中国の覇権拡大を阻止していかなければなるまい>(以上)

だが、危機感をもって中共包囲網を急いで構築すべき時に日本の政治家はお花畑で昼寝中だ。国基研企画委員/産経新聞特別記者・湯浅博氏の論考「中国軍の動きに無関心な日本の国会」2/29から。

<内外の新聞、雑誌、ネットの世界で、南シナ海や東シナ海での米中の軍事行動が報じられない日はほとんどない。中国は年明けから南シナ海の人工島に軍用機を着陸させ、2月に入って南シナ海のパラセル諸島に地対空ミサイルを配備し、さらにスプラトリー諸島にはレーダー施設の構築を進めつつある。

中国はいずれのケースも、米国の偵察衛星を意識して、既成事実を意図的にひけらかしていた。

米国が日本と決定的に違うのは、オバマ政権が動くのはもちろんだが、上下両院の軍事委員会が素早く当局者、軍事専門家を招いて議論していることである。中国による南シナ海の軍事拠点化は、そのまま東シナ海の尖閣諸島への圧力に直結する。しかし、日本の衆参両院とも委員会で議論した形跡が全くないのはどうしたことか。

*米議会は直ちに公聴会開催

2月23日の米上院軍事委員会の公聴会では、ハリス太平洋軍司令官が、中国は東アジアの覇権を求めていると指摘し、南シナ海を「前方展開基地に変容させようとしている」と警告した。司令官は米艦船を派遣する「航行の自由作戦」の継続を強調し、米議会からの了承を得た。

オバマ政権はアジア重視のリバランス(再均衡)政策を提唱しながら、軍事作戦には腰が引けているから、議会のお墨付きは軍に弾みをもたらすことになる。

さらに議会は、国防権限法に基づいて戦略国際問題研究所(CSIS)に報告書「アジア太平洋リバランス2025」を出させ、執筆者代表のマイケル・グリーン上席副所長ら専門家と議論した。

報告書が求めた2空母打撃群のアジア配備の推進が俎上に載り、国防総省との協議に持ち込まれている。

米国の法律は100%議員がつくる。議員がlawmaker(法の制定者)と呼ばれるのはそのためである。それだけ責任は重く、刻々と変わる国際情勢への対応にも敏感で、直ちに両院の委員会が公聴会を開く。

*永田町の話題は専ら政局

南シナ海情勢は東シナ海に直結する。中国による南シナ海の「独り占め戦術」に気を取られているうちに、尖閣周辺海域でも中国の公船がプレゼンスを一気に高めている。尖閣の日本領海には、機関銃を搭載した公船を侵入させている。中国海軍のフリゲート艦が偽装されている疑いが消えず、公船はますます大型化する。

しかし、日本の衆院安全保障委員会は23日午前、中谷元・防衛相から予算説明を受け、北朝鮮のミサイル発射問題を聞いて、わずか30分で散会している。外務委員会も24日に岸田文雄外相から国際情勢の所信を聞いただけで、わずか15分で散会。参院の外交防衛委員会は1月28日に開催したきりで、こちらは音なしである。

永田町界隈は、野党の離合集散に関わる政局の話題ばかりで、国民の安全と繁栄に関わる問題は先送りであった>(以上)

これが日本の現実である。イギリスには「国民は自分のレベル以上の政治家を選ぶことができない」という格言がある。国民が愚かであれば政治家も愚かだということ。日本は中2レベルだが、支那も中2レベル。ただ、日本人は平和ボケ、支那人は戦意高揚、この違いは大きいだろう。(2016/3/3)

◆足許見られたオバマ外交の悲劇

宮家 邦彦



イラン核関連合意、対キューバ国交正常化合意、シリア停戦合意、対北朝鮮制裁米中合意。いずれも過去半年間に米国が結んだ合意だ。オバマ政権は外交的成果だと胸を張る。短期的にそれなりの意義もあろう。

だが、中長期的には真の問題解決に資するか疑問なしとしない。同盟国批判は本意ではないが、今回は2016年3月時点でのオバマ外交を評価してみよう。

まずは対イラン。昨年7月発表された最終合意では、イランのウラン濃縮を今後15年・濃縮度3・67%以下とし、遠心分離機を削減し、核施設査察と制裁措置を軽減・撤廃するとされた。

しかし、これでは最長15年後に核兵器開発を再開する可能性は残る。イランの喫緊の課題は制裁解除であり、核開発は今後適当な時期に再開すればよい。

一度制裁が解除されれば、制裁の再発動は難しく、IAEA(国際原子力機関)査察の効果も限定的だ。稼働遠心分離機数は現在の4分の1となるが、低濃度の濃縮ウランと5千基の遠心分離機があれば将来核兵器開発も不可能ではない。要するに、この合意ではイランの核開発を阻止できない可能性が高いのだ。

キューバは割愛し、次は北朝鮮。2月末、米中は対北朝鮮追加制裁の安保理決議案に合意した。今回は航空燃料輸入や金、チタン、レアアース、石炭、鉄鉱石輸出を対象に含め、北朝鮮に貨物検査を義務付けるなど従来より「格段に強化」されたという。

だが仮に航空燃料があっても北朝鮮空軍は既に航空博物館の状態。中朝国境貿易、外貨稼ぎの北朝鮮労働者、北の衣類輸出は除かれている。これでは北朝鮮の政策変更は望めない。

最後はシリア。同国内戦については2月末、米露がようやく停戦実現で合意した。しかし、「イスラム国」など過激派は参加せず、アサド政権の将来など停戦後の青写真も見えない。これでは内戦完全終結の可能性は低いだろう。

もうこのくらいにしておこう。懸念すべきは合意内容だけではない。筆者が抱くのは、合意に至る過程で米国が「必要以上に足元を見られた」のではないかという疑問だ。

イラン核合意では同国の核開発計画を完全に断念させることができなかった。核兵器開発を放棄させた南アフリカやリビアなどとは大違い。対北朝鮮追加制裁では中国と決議案で合意したものの、採択そのものは遅れた。

ロシアへの根回しが不十分だったからだ。内容的にも北朝鮮に核開発を断念させるレベルの厳しい措置ではない。米軍が駐留する韓国との緩衝地帯放棄を望まない中国が、北朝鮮の「生命維持装置」を外すことに強く抵抗したからだろう。

シリア内戦の停戦合意も同様だ。停戦合意を主導したのは米国ではなく、昨年9月末から軍事介入を開始したロシアだった。劣勢だったアサド政権はロシアの支援で窮地を脱し始めた。この時点での停戦では同政権の退陣など望めない。ここでも米国はロシアやイランに振り回されているのではないのか。

これらは巷(ちまた)で言われる「米国の衰退」の結果ではない。世界一厳しい競争が続くこの巨大移民社会の底力を過小評価すべきではない。これらが暗示するのは、むしろオバマ政権の外交が米国の「実力以下」である悲劇だろう。さらに気になるのは、今後米国外交の「実力」そのものも低下していく可能性があることだ。

その典型例が米大統領選での「トランプ旋風」なのかもしれない。米国の「影」である、非エリートの白人、男性、低学歴、ブルーカラー層を代弁する「ポピュリズム」政治家では世界をリードできない。

トランプ候補に決定的に欠けているのは米国の「光」を代表しようとする矜持(きょうじ)だ。このままでは米国の凋落(ちょうらく)が現実ともなりかねない。今はトランプ候補躍進が米社会の劣化を示すものでないことを祈るしかない。

【プロフィル】宮家邦彦 みやけ・くにひこ 昭和28(1953)年、神奈川県出身。栄光学園高、東京大学法学部卒。53年外務省入省。中東1課長、在中国大使館公使、中東アフリカ局参事官などを歴任し、平成17年退官。第1次安倍内閣では首相公邸連絡調整官を務めた。現在、立命館大学客員教授、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。

産経ニュース【宮家邦彦のWorld Watch】2016.3.3

2016年03月04日

◆憲法改正で戦後終わらそう

阿比留 瑠比



いよいよ待ちに待ったその時が到来した。安倍晋三首相が2日の参院予 算委員会で、憲法改正について「在任中に成し遂げたい」と明言したので ある。安倍首相はこうも強調した。

「自民党は立党当初から党是とし、憲法改正を掲げている。私は自民党 の総裁でもあり、それを目指していきたい」

今夏には参院選が控えており、その際には衆院選との同日選になる可能 性が高いと目されている。安倍首相が憲法改正について今回、「想定問答 にない言葉をさらっと言った」(政府関係者)のも、当然、そうした現実 の政治日程を見据えてのことだろう。

近く合流する民主党と維新の党が共産党と選挙協力を行い、自民党・公 明党の連立与党と戦う「自公対民共」の構図となっていることも意識し、 左派連合との違いを際立たせる狙いもあったとみられる。

共産党に忌避感を覚える民維内の保守派は今後、憲法改正という「大 義」を前に踏み絵を迫られることになろう。別れた同士が元のさやに収ま る民維合流とは異なる政界再編につながることも、十分あり得る。

これに対し、民主党の加藤敏幸参院国対委員長は2日の記者会見で「現実 味の乏しい発言だ」と切り捨てていたが、それは党内で憲法観がバラバラ でまとまれない民主党の希望的観測なのではないか。

「21世紀という新しい時代にふさわしい憲法を、自分たちの手でつく る べきだ。憲法改正を政治日程にのせるべく政治的指導力を発揮すると決 心した」

安倍首相は第1次政権発足直後の平成18年10月にも、英紙「フィナ ン シャル・タイムズ」のインタビューにこう答え、戦後の歴代首相として
初めて在任中に憲法改正を目指す考えを明らかにしていた。

このときは、翌19年夏の参院選に大敗したことや、持病の悪化などで そ れはかなわなかったが、安倍首相の思いは当時から何も変わっていな い。そして現在、憲法をめぐる国民の意識や政治情勢は10年近く前より 成熟している。

「どの条文をどう変えたいかって話を抜きに『変えたい』だなんて言う のは、まさに論理矛盾だ。変えることが自己目的化しているって、あり得 ない。『自衛隊すら認めない』って憲法改正だってあり得るわけで、安倍 さんはそれがいいことだと思っているのか」

民主党の枝野幸男幹事長は2日の記者会見で、安倍首相が具体的な改憲項 目に言及しなかったことについて、こう牽制(けんせい)した。だが、安 倍首相は第1次政権時から連合国軍総司令部(GHQ)が日本社会に張り 巡らせた憲法をはじめとする「戦後レジーム(体制)」からの脱却を提唱 しており、何も矛盾していない。

自衛隊を否定する憲法改正を是とするかという問いかけも、それこそ「あ り得ない」条件設定であり、ためにする議論でしかない。

第1次政権当時に制定以来59年ぶりに初めて改正した教育基本法にして も、もともとGHQの民間情報教育局の指導下で、お墨付きをもらいなが ら原案が書かれていたものだった。

「もう占領時代の『魔法』は解け始めており、マインドコントロールを完 全に解いて、真の意味での独立国家として第一歩を切り開いていく気概が 必要だ」

安倍首相は17年1月の産経新聞のインタビューではこう語っていた。憲法 改正で戦後は終わり、日本は当たり前の国になれる。

               (論説委員兼政治部編集委員)

産経ニュース【阿比留瑠比の極言御免】2016.3.4

          

◆私の「身辺雑記」(319)

平井 修一



■3月1日(火)、朝6:00は室温12.5度、ちょっと寒いが快晴、ハーフ散歩。

昨日の産経はすこぶる面白かった。月末だから「オオトリ」狙いか。

*1面:「自衛隊作戦 統幕に一元化 防衛省 来月にも手順決定」

<作戦計画「統合防衛及び警備基本計画(基本計画)」を策定する際、防衛官僚(背広組)を中心とする内部部局が担っている計画起案などの役割を、自衛官(制服組)を中心とする統合幕僚監部に一元化する>

「餅は餅屋」で至極当然のことだが、軍事を知らぬシロウトの内局からは権限移譲に反対する声も上がっているそうだ。「背広組 中共大好き ゴルフ酒も 日本嫌い 9条命」、変な奴ら。どうせ発達障碍の東大出だろう。

*1面:「【日の蔭りの中で】米民主主義の現実 京都大学名誉教授・佐伯啓思」

<(トランプ氏の)実像はよくわからないが、昨年評判になった本の題名を借りれば、「アメリカの反知性主義」の代表であるかに見えるし、そのように振る舞っている。だが、その強引で過激な「反知性主義」こそ、アメリカ社会のひとつの伝統であり、大衆の期待するところなのだ。

今日の世界を見渡せば、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)のテロや中東の混乱、中国やロシアの覇権的な行動、欧州連合(EU)の危機、経済の不調といった具合で、どこをとっても不安定な光景が広がる。通常の話し合いによる国際的合意や寛容の精神によって事態が打開できるとも思われない。

この現実に対する責任のかなりは、ブッシュ前大統領によるイラク戦争にあるのだが、アメリカ自身がこの失政によって反撃をくらっている。とてもではないが「正統派」の政治家ではだめだという意識が強い。そこにトランプ氏の「オレこそがアメリカを強くしてみせる」という断固たるパフォーマンスが支持される理由がある。

トランプ現象のなかにわれわれはアメリカ民主主義の現実をみている。ここにあるのは理性的な討論などではなく、伝染性の情緒や勢いといった「反知性主義」そのものだが、しかし、それを民主主義の逸脱形態と呼ぶわけにはいかないのである>

イルカ大使の父親JFKケネディーは今でも愛されているようだが、小生からすれば病的な女好きで、経歴なども胡散臭い。オバマは当初は人気だったが、多くは幻滅した。FDRルーズベルトは犯罪的でさえある。変な大統領は珍しくないのだ。

米国の保守とリベラル≒アカの間には敵意と憎悪と呪詛と罵倒と非難があるだけで、討論、議論の時代はすっかり終っている。

多くの国は戦争で生まれ、一時的に融和したが、今は「血を流さない内戦」が常態化している・・・これは進化なのか、退化なのか。この世はお花畑ではない、戦場だということは事実である。

*6面:「話の肖像画 ガッツ石松」

<世界チャンピオンになるまでのプロセスが8年かかり、芸能界で一流になるまでは6年かかった。幼い時の苦労があるからこそ現在があると思っています>

石松は情がある、場外乱闘でも滅法強い、8人のヤクザを瞬く間にノックアウトした、頭がいい、男の中の男と言えるのではないか。今は理性より野生(を装う)時代だ。トランプに倣って石松も政治家になったらどうか。国会警護はヒゲの隊長だけでは心もとない。石松が来れば百人力だ。

*6面:「【鈍機翁のため息】死ぬために生まれてきた」

<『ドン・キホーテ』の前編で、騎士道物語に耽溺したために主人の頭がおかしくなったと確信する家政婦がこんな台詞を吐く。《これは、あたしが死ぬために生まれてきたってことが真実であるのと同じほど間違いのないところですけどね》。

何気ないがすごい言葉だと思う。なぜなら、《死ぬために生まれてきた》という真実を認識するところから、どう死ぬか、何のために死ぬかといった発想(死生観)が生まれ、そこで人は初めて本当の人生を生きることができるようになるのではないか、と思い至ったからだ。

生命は尊い。それは間違いない。ただそれは、自分の生命を超える価値のために使える可能性をはらんでいるからこそ尊いのではないか。

還暦を間近にした凡庸な男(私のこと)が『ドン・キホーテ』と付き合いながらようやくたどり着いた境地である。遅きに失した感はあるが、ささやかな死生観を抱きしめて残りの人生を生きたいと思っている。(桑原聡)>

命惜しむな、名こそ惜しめ、さあ、あとは突撃するだけだ。ともに足腰を鍛えよう。

*6面:「【編集日誌】見苦しい民維の合流方法」

<自民党に対抗するための便宜的な合流かもしれませんが、せっかく作るのですから、明確な理念を掲げ、しっかりした政党を作ってほしいものです。(編集局総務 五嶋清)>

五嶋さん、すごい皮肉。選挙互助会の民維に理念がないのを知っていながら・・・

*6面:「寄り添い続ける「希望」支援 」

<米カリフォルニア州サンフランシスコ近郊のフォスターシティーのオフィスで、東日本大震災発生時の駐日米大使、ジョン・ルース氏(61)は当時のことを振り返った。

「トモダチ作戦」。東日本大震災で米軍は前代未聞の規模で災害支援・救助活動を展開した。陸海空軍と海兵隊合わせて約2万4千人、160機以上の航空機、20隻以上の艦艇が参加した。

「米国が一歩踏み込んで支援できたことを誇らしく思う」

2013年8月の離日のあいさつで、日米の“友情”は東日本大震災から始まったものではないことに触れた。ルース氏は01年9月の米中枢同時テロの直後から、ニューヨークに駆けつけた日本の消防士らが危険を顧みずにグラウンド・ゼロの現場で救助活動を手伝ったエピソードを紹介したのだった。

「十五の春」で被災した少年少女は、成人に。「希望」や「夢」を抱く若者への支援はこの先も続いていく。

「今でも大変な思いで過ごしているだろう。家族、仕事、家といった大切なものが一瞬にしてなくなったのだから」。ルース氏はそう話し、続けた。「いつ東北にいけるかを考えている。まだ忘れていないということを知ってもらいたいからだ」

あれから5年。被災地に寄り添う気持ちは薄れていない。(ロサンゼルス支局長・中村将 なかむら かつし)>

感動するなあ。保安官が立ち上がれば日本もしっかりファイティングポーズをとります!「立つんだ、ジョー!」(三里塚での小生の偽名は矢吹ジョー)

*7面:「【正論】人口抑制は「愚策」か「賢策」か 東京大名誉教授・
平川祐弘」

<人口は基礎国力だとするナショナリストは日本にもいたが中国にもいた。毛沢東である。1951年に北京大学長に就任した馬寅初(マーインチュー)が人口抑制の必要を『新人口論』で主張した。

それに対し毛が「消費する口は一つだが生産する手は二つだ。人の多いことは武器である」と馬を「中国のマルサス」と批判したから、馬は悲惨だった。

毛沢東が1976年に死ぬや馬は復権され、3年後、中国は一人っ子政策に踏み切る。

公権力が個人の出産に介入するのは人権問題だ。一人っ子政策の廃止に私もほっとした。隣国にこれ以上自己中心的な「小皇帝」がふえたらはた迷惑である。

ところで日本で人口を増やす名案はあるのか。かつてブルガリアでは独身税を課した。見合い制度の廃れた日本だ。社交ダンスを復活させ男女交際の機会をせいぜいふやすがいい>

社交ダンス・・・それより各自治体で25〜28歳の独身男女計200人を電気のない簡易宿泊施設付きの島に1か月ほど送り込んではどうか(年間で2400人)。本能に従ってカップルが結構できるのではないか。ゴールインして出産すれば100万円、3人産んだら計300万+子供が22歳まで消費税ゼロ。これなら積極的になるのではないか。

今朝から給湯器の取り換えと関連工事。給湯器はずいぶん長持ちした。Made in Japan はすごいものだ。午後にお内裏様とお雛様を飾る。Madein Japan の子供よ、元気に育て。そして子作り子育てに頑張ってくれ。

■3月2日(水)、朝5:30は室温12.5度、ちょっと寒いが快晴、ハーフ散歩。今朝は給湯器の床の防水工事。きれいに掃除をしておいたからすぐに終わるだろう。

池田信夫氏の論考「文系教師とマスコミはなぜ劣化するのか」(アゴラ2/29)は“アカ≒バカがアカ≒バカを再生産する”文系教育の構造的伝統的欠陥を指摘している。

<国文科は昨今の「文系学部不要論」で不要とされている学科の筆頭だが、そういう教師ほど劣化するのは偶然ではない。国文学の能力には客観的な業績評価の尺度がないので、自分の弟子を引き上げる傾向が強いからだ。

それがもっともひどかったのは早稲田で、昔は法学部の教師はすべて早稲田出身だった。法学部の劣化が激しいのは早稲田だけではなく、昨今の安保法制をめぐる議論で、東大法学部の石川健治教授(憲法学)が「安保法案は安倍政権によるクーデターだ」と断言したのには驚いた。

このように文系の教師が劣化する原因は、徒弟修行で後継者を育てるため、親分子分の関係が強いのだ。同じ構造はマスコミにもみられ、長谷川煕氏もいうように、朝日新聞は社会主義的な傾向が強く、反権力的な記事を書かない記者は地方支局を転々とする。

両者の共通点は、業績が定量的に評価できないということだ。普通の企業なら売り上げなどの指標があるが、大学もマスコミも金を使う仕事で、ビジネスは知らない。学問の世界でも、客観的な業績評価のできる自然科学は実力主義になり、社会科学でも経済学はそれに近いが、文学部や法学部はコネ社会だ。

これが左翼教師・マスコミがいつまでも残る原因である。法学部でも、戦後の第一世代の南原繁や丸山眞男は一国平和主義者ではなかったが、その弟子は先生に迎合して左傾化してきた。マスコミでも、人事を通じて左翼的なバイアスが再生産されてきた。

早稲田の鎌田総長が「大学入試を人物本位に」というのは、日本中の大学を早稲田のような徒弟制度と情実入試にしようということだろう。このような長期雇用と年功序列が、日本の左翼が一国平和主義から脱却できない原因だ。

労働市場の流動化は、こうしたガラパゴス左翼を追放する上でも重要である>(以上)

「ガラパゴス左翼」、上手いね。“ガラパー”GALAPARか。GALA(祭り)PAR(パラノイア)。アカの集会・デモなどを見るとまさしく「アホの祭典」、歌って踊って恋をしての「赤旗祭り」だ。

無届の渋谷ハチ公前集会2/27に警察がダメ出ししたら「表現の自由危うし。憲法9条を勝手に破棄した安倍政権の下、21条で保証された表現の自由もなくなるのだろうか」と田中龍作が喚いている。典型的な“ガラパー”だな。粗悪品、Made in China だろう。(田中は商売として“ガラパー”を装っているのではないか、かなり怪しい奴。プロフィールがまったく分からない、小生のような前科者ではないか)

Made in Germany の“ガラパー”メルケルが「ご招待」した難民がフランスで暴れている。BBC3/1から。

<英仏海峡近くのフランス・カレーにある「ジャングル」と呼ばれる移民キャンプで2月29日、掘っ立て小屋などの解体を始めた当局と移民の間で衝突が起きた。

移民たちの投石を受けて警官が催涙ガスを使用。少なくとも12の掘っ立て小屋に火が放たれた(平井:火付けしたのは難民だろう)>

メルケルの「アホの祭典」は高くついた。EUガタガタ、英国離脱か。主犯=教唆扇動フランシスコ、実行犯=メルケル。処刑場はゴルゴタにすべし。

■3月3日(木)、雛祭り、春眠暁を覚えず、ちと寝過ごし、朝6:45は室温12度あたり、快晴。

午前はすっかり春の陽気、散歩をかねて確定申告の報酬を税理士に送金するため隣町の銀行へ。余計なことだが、昨年の小生の収入(額面、含む年金)は370万円、修繕費など直接コストや公租公課(市県民税、保険料)などを引いた課税所得は78万円、結局、確定申告の所得税は4万円、これは過去最低だろう。

370万円の額面収入でもポケットには70万円しかない、月当たり6万円、1日2000円ということになる。1日にワイン1本600円、ビール100円、リポD100円、食糧(ご飯とおかず)200円、計1000円だから、まあいいのか。

国連は昨年の貧困定義で「生活費1日200円」当たりと言っているから、2000円は国際的には「中流」なのか。よー分からん。

帰路にスーパーでワイン3本、マグロ刺身、イワシ2匹、スルメイカ1杯、ツボ付きサザエ2個、ひなあられを買う。花屋で桃の花を求めたが売り切れ。当日なのだから当たり前だ。「売れ残りで日持ちしないけれど良ければどうぞ」と4本貰ったが、きれいな鉢植えがあったので買った。500円かと思ったら180円だった。よー分からんが安すぎではないか。

支那人もよー分からん。彼らは自分と関係ない人、つまり他人の命にあまり関心がないので、フェリー沈没事故や天津大爆発の膨大な死傷者についてもすぐに忘れる、という記事を見たことがある。言論規制の影響もあるだろうが、ある程度、人命軽視の国民性はあるのかもしれない。

以下の論考のキモである「幇」とは何か、ウィキにはこうあった。

<幇(ぱん)とは中国で、経済的活動を中心とする互助的な団体。同業・同郷・同族によって組織される。また秘密結社を指す場合もある。宋代に始まり、厳格な規約のもとに強い団結力と排他的性格をもつ>

日本戦略研究フォーラム政策提言委員/拓殖大学海外事情研究所教授・澁谷司氏の論考「“マフィア国家”中国」2/29から。

<中国には、未だ刑務所へ入る人間を雇う文化「囚人交代制度」(*)がある。最近、同国(湖北省宜昌市?)で受刑者の身代わりとして、善良で前科のない25〜30歳男性1名の“急募”があった。

その条件とは、1:受刑期間は5年7ヶ月 2:報酬は320万元(約5500万円)3:入所前、報酬は一括払い 4:入所中、刑務官による扱いは穏当を保証。

この話題には続報がないため、その“急募”に対し応募者がいたかどうかは不明である。

実は、我が国でも、暴力団という特殊な組織内(疑似共同体)では“身代わり受刑”が存在している。実行犯の代わりに同じ組の人間が刑務所へ入ることがある。

ある組の中枢の人間が、敵対する組の組長・若頭等を殺した場合、しばしば前者の子分が「おつとめ」と称し、代理で刑務所暮らしをする。その間、子分の家族は組が面倒見る。出所後は組での昇進が約束されているケースが多い。そうでなければ、喜んで代理入所する者は少ないだろう。

(平井:傷害致死罪の量刑は3〜20年だそうだが、仮に8年とすると、模範囚として真面目に勤めれば4年あたりで仮釈放になるのではないか《囚人1人当たりのコストは年300万円、早く追い出したい当局、早く出たい囚人、利害一致だ》。ヤクザは「塀の中の懲りない面々」(多分人生の半分はムショ暮らし)だから、「4年くらいは、ま、いいか」となりそうだ)

日本の暴力団組織と中国社会とは構造がよく似ている。暴力団も中国も、普遍的な国家の法律より、内輪(共同体)の規則・ルールが優先される。

中国では、必ずしも一般的法律は自分を守ってくれない。中国が「法治」国家ではないからである。だが、共同体(血縁・地縁・幇)はそのルールを遵守する限り、確実に自分を守ってくれる。

したがって、中国人は国内法を軽視・無視しても共同体の規則・ルールを遵守する傾向がある。反対に、もし中国人が共同体のルールに違反した場合には、命の保証はない。同じ共同体の人間が地の果てまで追いかけて行き、裏切り者を追い詰めるだろう。

中国国民党は、秘密結社の青幇(初めは大運河の水運業ギルド。のちに秘密結社へと発展)、哥老会(農民の互助自衛組織が秘密結社となる)の流れをくむ。

他方、中国共産党は紅槍会(華北農村地域で組織された民間自衛武装団体)と関係が深い。国共両党はイデオロギーこそ異なるが、組織構造は酷似している。

現在、中国共産党内は「太子党」「上海閥」「共青団=団派」という3つの大きな「幇」に分かれる。それら以外にも、共産党は様々な「幇」で構成されている。

中国人は「幇」内では、血肉を分けた兄弟のようにお互い助け合う。当然、人権も重視される。けれども、原則「幇」外の人間を人間扱いしない。

したがって、公安・武装警察・人民解放軍は、自分の「幇」に属さない人々に対して、しばしば残忍な行為に及ぶのである。

1989年6月の「天安門事件」を想起して欲しい。人民解放軍が丸腰の学生や市民を掃射し、戦車で轢き殺した(一説には死者は1万人以上と言われる)。何故、トウ小平の命を受けた人民解放軍は、平気でむごい事ができたのだろうか。

それは、ひとえに自分の所属する「幇」以外の人々は人間と見なしていないからである>(以上)

日本人は(多分)他者とあまりかかわらずにひっそりと生きたい。ところが支那人はコネがないと仕事にありつけない、出世もできない、かくして上から下までコネ人脈「幇」にすがる、組織強化する。その際の接着剤が賄賂でありお土産だろう。

若者がいいアイディアを持っているが会社(スタートアップ)を立ち上げるカネがない。そういう時に「幇」の金持ちが投資してくれるそうだ(在中の日本人弁護士の話)。「幇」が学資を出してくれるケースは多いようだ。成功すれば「幇」の人々に酬いる、恩返しする。互助会、集団的安全保障に似ている。

「幇」から外れている人が災難で死んでも「どうってことない、興味がない」となるのだろう。生きることが何千年も苛烈な社会で、国家は人民を守りはしない。だから「幇」を頼りにするしかない。

(クネは勝手に、自分は習近平・太子党の「幇」に入ったと思っていたが、全然見返りがない。ヒステリーを起こしているが、裏で上海閥=瀋陽軍閥(北の保護者)とも手を握っていた方が良かったかもしれない。しかし、それがばれたら習一派から総スカンを食う。いずれにしても習には上海閥=北を抑える力はない。それを見抜けなかったのはクネのミスだ)

強い「幇」に所属するのは難しいだろう。トリプルA+なんていう格付けがあるのだろうか。

中島恵氏の論考「日本だけじゃない!中国本土の猛烈な“爆買い・爆食・爆待ち”事情」(ダイヤモンドオンライン3/2)から。

<上海に住むOLの女性は春節で河南省にある実家に帰省する際、航空券の発売日の発売時間に、友人を3人も動員してネットの前に陣取り、開始直後にクリックしないと希望のチケットが確保できないと嘆いていた。

それほどにチケット争奪戦は激しいのである。

友人は動員した3人に、あとで食事をごちそうするなど、気を遣っていた。今後も毎回友人に頼まなければならないからだが、それだけでなく、彼女も友人のチケット争奪戦にはその都度付き合うのだから、ご苦労なことである。中国人が日本人よりも人間関係を重視せざるを得ない理由はこんなところにもある>

14億人が激烈な生存競争をしている支那では、チケットを得るにも「幇」が必要不可欠なのだ。堺屋太一氏が3/2の産経に、「欲ない、夢ない、やる気ない」の「3Yない社会」こそ現代日本の最大の危機だと書いていたが、ぬるま湯に浸かっているような日本と違って、苛烈な支那は「欲あり、夢あり、やる気あり」の「3Yあり社会」、生きるために「幇」が何よりも大事なのだ。
・・・

*注)囚人交代制度:ロケットニュース2012/8/26にはこうあった。

<中国において交代囚人制度の歴史は古く、中国刑法の学者アーネスト・アラバスターは1899年に、その報告を行っている。その当時からしばしば利用されている制度だったようである。

この制度がなくならない背景には、中国の激しい格差がある。服役しているだけでお金がもらえるのであれば、請け負う側としては有難いからだ。

とはいえ、罪に対する社会的な処罰感情は消えることなく、また富裕層にのみ認められた特権であることに違いはない。これからも「暗黙の了解」として、この制度は生き続けるのだろう>

想像を絶するすごい世界だ。事件事故を闇に葬るなんて日常茶飯事なのだろう。(2016/3/3)

◆中国の大衆は「トランプ大統領」に期待

宮崎 正弘 


<平成28年(2016)3月3日(木曜日)通算第4837号 >

 〜中国の大衆は「トランプ大統領」に期待
  日米離間、TPP反対に共鳴しはじめる珍現象〜

中国の世論は、上から押さえつけられているが、ネット世論では本音が飛び出してくることが多い。
 
トランプは中国を批判し、移民排斥を主張しているわけだから、中国の公式的な見解は「トランプ NO」だろう。

ところが、少なからずネットの意見ではトランプ支持が顕著となっているのである。

理由は3つある。

第1に中国の民衆が指摘するのは「トランプが大富豪である」という重要なポイント。中国人の人生観はカネカネカネという拝金主義ゆえに、金持ちは単純に尊敬される。そのうえ、ビジネスで大成功を収めているわけだから、そうした手法を政治に用いれば「米中関係は改善される」と楽観的なのである。

彼らの主張の根拠は基礎的な検証がなされていない。

第2に「富の分配」に関しての不公平を中国人は当然と認識しており、格差是正とかの社会主義的な制度改革には興味を示さない。そうした精神風土から、トランプと中国人の感性とは相似形でさえある。

第3にトランプが日米同盟に言及し、とりわけ「アメリカは日本を守るが、日本はアメリカを守らないという日米安保条約の片務性は不公平だ」と主張していることで、これで日米離間、日米同盟の劣化がおこれば、中国には利益となるから、トランプへの期待がうまれる。

同時にトランプはTPP反対の立場であり、中国が排斥されているTPPは、解体もしくは不成立を望むのが中国だから、トランプは彼らの立場からすれば、「たいへんに良い候補」という結論が導かれるわけだ。

しかし何れも中国人の希望的観測のなかでもプラス要素だけを拾って組み立てられた待望論でしかなく、トランプは自由、法治、民主、人権で中国を批判している事実はすっぽりとネグレクトされている。

スーパーチューズディでトランプは予想通りの勝利を収め、以後は党内ライバルより、真の敵=ヒラリー・クリントン批判に的を絞ってのキャンペーン展開となる。