2016年02月24日

◆中国の武器輸出、過去5年で3倍

宮崎 正弘
 

<平成28年(2016)2月23日(火曜日)通算第4824号>  
 
〜中国の武器輸出、過去5年で3倍、ドイツをぬいて世界第3位の「武器
商人」に
    外国製武器、兵器システムをまねているうちに性能が向上〜

ストックホルムの「国際平和研究所」から恒例のレポートが出た。

「中国の武器輸出は過去5年の間に3倍に伸びた。いまではドイツをぬいて世界第3位の「武器商人」になった。とくに外国製武器、兵器システムを招くいているうちに性能が向上した」という報告者は次の問題点を指摘している。

2011年から15年の間に、中国の武器輸入は25%減少した。それまでは旧ソ連から大量の武器弾薬、戦闘機を購入してきた。ウクライナからは未完成空母を鉄の塊のままで購入した。

中国製の武器の性能が向上すると、輸出に回すようになる。

中国製武器の三大得意先はパキスタン、バングラデシュ、ミャンマーである。とくにパキスタンと中国は半世紀を超える軍事同盟だが、最近パキスタンは八隻の中国製潜水艦を合計50億ドルで輸入する契約を纏めたという(サウスチャイナ・モーニングポスト、15年4月26日)。この3ヶ国を含め、合計35ヶ国に輸出している。

軽火器をのぞく武器輸出は88%の伸びを示した。

いまでは世界武器市場の6%が中国製となった。もちろん、米国、ロシアには叶わないまでも、第3位だったドイツを抜いたことは注目するべきだろう。

「しかも他の先進国と比較すれば、まだ低コストで中国は武器生産が可能なため、今後も輸出は伸びるだろう」とストックホルム平和研究所の報告書は言う。

なぜなら中国は国内で第四世代のジェット戦闘機を自前で生産できるうえ、海軍フリゲート艦、軽機関銃の量産も可能となった。評判が良いのはJF17戦闘機、C802対艦巡航ミサイル、ほかに北朝鮮とイランへの核技術移転という目に見えないノウハウ輸出も含まれる。

通信衛星の電波妨害、サイバー戦争の性能向上ノウハウ、ネット上の情報盗聴、攪乱などの技術もノウハウ輸出のなかにはいるのではないかと同報告書は指摘している。

とりわけの注目はドローンである。

中国製ドローンは後発であるゆえに安く、米国産に比較すると技術は劣るが、30%も安ければ市場を席巻するだろうし、現に日本のドローンは大半が中国製である。

日本がヘイワの念仏を唱えているうちに、事態はここまで悪化した。
      

2016年02月23日

◆尖閣をどうするのか

石原 慎太郎


尖閣をどうするのか 15億円近い浄財が歴代政府の無為のせいで棚晒しになっている

昨年末から年始にかけて沖縄に出掛けて行った。目的は以前中国が侵犯をしかけている尖閣諸島を守るために何とか財政再建を果たした東京都で島を買い取ろうと発議したら、利口なスタッフからそれなら国民に献金を呼び掛け不足の分は東京が負担することにしたら、という意見が出て早速行ったところあっという間に15億円近い浄財が集まった。

その金が歴代 政府の無為のせいで棚晒(ざら)しになっているのだ。その浄財の使い道 について現地の海上保安庁第11管区との相談だった。

あの献金に添えられた幾つかの手紙を思い出せば今でも胸が熱くなるものがある。東北のある、貧しい家庭からの手紙には『私たちはごく貧しい家の3人家族暮らしですが、1人1万円ずつの献金をしてお国のために役にたてればと願っています』ともあった。

さらに同じ1人暮らしの貧しい 老婆からの手紙には、『この献金の宛先はみずほ銀行と指定されています が、私の村にはみずほ銀行はないのでわざわざバスに乗って1時間かけて 近くの町まで出向いて献金しました。

どうかどこにでもある郵便局に献金 のための口座を開いてください』ともあった。それを読んで早速郵便局に 口座を開くことにしたものだった。

尖閣を守るという意欲のある政治家たちには是非ともあの手紙を読んで国民の真意を汲(く)みとってもらいたいものだ。

あの献金の様子を見て当時の民主党の野田佳彦首相は売名のために持ち主の借財につけ込んで、借財を上回る金額で重要な国事にかまけてということで恐らく所得税は免除して横から手を出して買い取ってしまったものだったろう。

ということで事は国対国ということになり中国政府の姿勢も硬直化してしまったが、私は直後に野田首相と面会した上は、最低限石垣島から漁に出向く零細な漁船たちのために補給燃料の備蓄施設か島頂上に四方から見える灯台を作るよう要請したが、返事もなくその後の自民党政府も腰が引けて何の進展もありはしない。

もしも東京都があの島を保有できていた ならば現地の石垣市の市長とも計っていたように最低船溜(だ)まりの拡 張、燃料の備蓄施設や灯台を建設できていたろうに。

それでも政府は尖閣防衛のために現地の海保11管区のために発進基地の石垣島の港の整備には心掛けているようで、那覇まで出向いて面接した11管区の本部長も帰京後会った保安庁長官も発進基地の石垣島の海保関係の予算についてはこれ以上望むものは無いという。

浄財15億円の基金では新しい船の建造にはとてもこと足らず、ならば哨戒の激務に励む海保職員のための快適な宿舎の建設とも思ったが、これもすでに予算措置されているという。かくなれば暗礁の多い尖閣周辺の危険な海域の航行安全のために見晴らしのいい島の頂上に、領海の外まで届く強い光を放つ灯台を、あの国民の熱い心の籠もった浄財を組み込んで建設すべきに違いない。

中国は南シナ海のスプラトリー諸島に軍事基地を創設しそれに付随して巨(おお)きな灯台をも建設しているが、その言い分は周辺の海を航海する万国の艦船の安全のためと嘯(うそぶ)いているが日本もまた同じ言いでれっきとした自国の領土に人道に適(かな)う万国の艦船の安全なる航海のためにこそ灯台を構えるべきに違いない。

フィリピンはすでにスプラトリーへの中国の侵犯について国際裁判に提訴したと聞くがわが国も歩調を合わせて事を国際的司法に問うべきではなかろうか。しかし彼等は絶対にそれに応じて国際的な司法の舞台に身を晒(さら)すことはありはしまいが。

産経ニュース【石原慎太郎 日本よ、ふたたび】2016.2.22

   

◆中共・北鮮の攻撃に備えよ

平井 修一



クネが火病でヒステリーを起こしているが、「姫が、姫が!」と周囲は振り回されて右往左往、国会での議論もなく、THAAD配備と開城工業団地からの撤収が決まった。変な国、小4レベル。関わるとろくなことにはならないから放置していた方がいい。

北村淳氏の論考「北朝鮮のミサイルもどきより中国の本物を警戒せよ 1000基の長距離巡航ミサイルが日本全土を狙っている」(JBプレス2/18)
から。

<対日攻撃命令が出てから実際にミサイルが発射されるまでは、極めて短時間(おそらくは2〜3時間以下であろう)しか要さない。

したがって、いくら自衛隊が24時間365日絶え間なく北朝鮮の対日攻撃用ミサイルシステムの動向を監視していたとしても、イージス駆逐艦やPAC-3部隊が常時「破壊措置命令」に基づき対弾道ミサイル迎撃態勢を固めていない限りは、ノドン2やスカッドDによる対日攻撃に対処することはできない。

このように考えると、北朝鮮が人工衛星打ち上げと称しての長距離弾道ミサイル発射実験を実施するたびに、日本政府が大騒ぎをして弾道ミサイル防衛システムを展開させ「破壊措置命令」を発するのは、政治的パフォーマンスという意味合いが強いことになる。

本気で国民と国土を北朝鮮のミサイル攻撃から守る意思があるのならば、北朝鮮が対日攻撃用ミサイルを廃棄するまで「破壊措置命令」は解除できないのである。

長距離巡航ミサイルによる突然の攻撃(戦時においてのミサイル攻撃は、発射の予告などはありえず、常に突然発射される)に対処するための長距離巡航ミサイル防衛システムは、弾道ミサイル防衛システムと違い、いまだに開発が緒についた段階にとどまっている。

そのため、ある意味では、長距離巡航ミサイルは弾道ミサイル以上に恐ろしい兵器なのである。そして中国人民解放軍は、200発以上の弾道ミサイルと1000発以上の長距離巡航ミサイルによって、いつでも日本各地を廃墟にする能力を持っているのだ。

*ミサイル防衛態勢の現状は甘い

北朝鮮が大陸間弾道ミサイル発射テストを実施するたびに、日本政府は自衛隊に対して「防衛省敷地内へのPAC-3発射装置展開」「破壊措置命令」「イージス駆逐艦出動」「PAC-3部隊の先島諸島への展開」という一連の作業を繰り返させている。

しかし、極めて危険な中国人民解放軍の長距離巡航ミサイルや高性能弾道ミサイルの現実的脅威については、見て見ぬふりをしている状態だ。

より深刻な脅威には、対処することが困難であるがゆえに真剣な対抗策を講じず、北朝鮮による人工衛星打ち上げという事前予告付きの“弾道ミサイル発射テスト”という、時間的余裕があり、軍事的危険性が極めて低い事態に対しては、大騒ぎをして迎撃態勢を固めさせる──これでは、政治的パフォーマンスとの誹りを受けてもいたしかたない>(以上)

国民がアホだから政治家もアホである。どこの国もそんなもの。中共軍は習近平にお構いなく南シナ海で緊張を高めているが、そうしないと予算を獲得できないからだ。予算が大きければリベートも大きいから、軍はせっせと緊張を高める。

安倍・自民党が本気で中共・北鮮の脅威に備えようとしているとはとても思えない。本気なら「核武装」を考えなければならないのに、まったく無視している。ASEAN諸国に日本製の地対空、地対艦ミサイルを供与すべきなのに、まったく無策だ。

思考停止、無策というのは、そもそも国民に危機感がないからだ。世界は危険に満ちている、しっかり備えよなんて大多数の国民は思っていない。中2レベルのオツムで、関心はエンタメ、スポーツ、猟奇事件、セックス、スキャンダル、ゲーム、グルメ、旅行・・・なのだ。

為政者は「国民はそれでいい、それが健全、健康なのだ、投票日は昼寝していてくれ」と思っているだろう。

戦後の衆院選の投票率を見ると、昭和33年、「60年安保」を控えていた時が76.99%で最高だ。平成26年は52.66%で戦後最低だ。つまり切羽詰まった緊張状態の時は投票率が高く、穏やかな時は低いということ。

今は有権者の半分はこれという不満はない、まあこんなものかと納得しているのだろう。

ただ、政治家がそんなレベルでは危険だということだ。オ○コに夢中になったり、「奴隷が大統領になった」と嘘をつくバカでは困るということ。そこそこの政治家、せめて保守党=与党は高2レベルほどのオツムは最低限確保すべきではないのか。

野党はすっかり小4レベルのままだが、政策決定にほとんど影響しないから、それでいいだろう。そのうち宗教集団の日共以外は雲散霧消するはずだ。

敵性国家の攻撃に備え、冷静に「どうすべきか」を政権政党はしっかり考え、しっかり手を打って行かなければならない。しかし、この当たり前のことを理解できている政治家は与党でも半数を切っているだろう。谷垣も二階も理解できないどころか、本質的には中共の狗に近い。

それだから便利な存在なのだろうが、「中北は敵、備えを固めよ」しっかり認識した政治家を増やすべきである。佐藤守閣下を招いて勉強会を始めてはどうか。(2016/2/21)

◆中国の米国企業買収が加速

宮崎 正弘 


<平成28年(2016)2月22日(月曜日)弐 通算第4823号>  

〜中国の米国企業買収が加速、国家安全保障に直結の危険性ありと当局
  2014年度だけで230億ドル、ハイテク企業が多く含まれていた〜

シャープ買収を狙う中国の鵬海。

米国でも同様に中国企業の米国ハイテク企業買収に加速度がついている。ハイテク方面の企業買収ゲームを中国マネーが蚕食している。

「米国の於ける外国投資委員会」(USIUS)は外国企業の買収案件を調査・監督しており、それによれば国家安全保障にかかわる技術をもった米国企業の、外国からの買収は2014年度だけでも51のケースが認められ、このうちの24件が中国だった。次が21件の英国、15件はカナダだった。

しかも、このうち12件はUSIUSの勧告に従い中国側の買収は不首尾に終わっているという。

とくに南シナ海における中国軍と米海軍との対峙、パラセル諸島ウッディ島(永興島)へのレーダーとミサイル配備に深刻な懸念を表明する米国にとって、これまでの中国資本歓迎というムードは斯界から消えている。

大統領予備選をみても中国排撃を訴えるトランプの暴走をみよ。

先週(16年2月中旬)、フェアチャイルド社は中国の電子企業2社から提示されていた買収提案を拒否した。

USIUSの事前調査があったからで、電子分野に集中して行われている中国企業の買収にハイテクの合法的取得が目的とされているからだ。

今週(16年2月下旬)、中国の天津天海投資企業が目論んだ米「イングラム・マイクロ社」への買収(60億ドル)攻勢も、厳密な調査対象となる予定だ。

共和党が強い影響力をもつ連邦議会の46人の議員が、USIUSに対して、重慶の企業が買収したシカゴ証券取引所のケースも溯って、調査し直せと騒ぎ出している。
 
シャープ買収は日本からハイテクを合法的取得する中国の戦術であり、日本にもUSIUSのような外周監督の機関がひつようではないのだろうか。

2016年02月22日

◆慰安婦「強制連行」説の否定

阿比留 瑠比



慰安婦「強制連行」説の否定、20年前にしておけば… 変わらぬ朝日新聞は韓国への配慮にじます

やっと政府が、国際社会に向けて慰安婦の強制連行説を否定した。歴史問題に関しては事実関係は一切争わず、「問題は解決済み」「既に謝罪している」でやり過ごそうとする「事なかれ外交」に終始してきたこれまでのあり方に比べると明確な前進ではある。とはいえ、もっと早くこうしていればと惜しまれる。

やっと当然の主張

外務省の杉山晋輔外務審議官は16日、ジュネーブの国連欧州本部で、次のように説明した。

「日本政府が発見した資料には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を確認できるものはなかった」

「慰安婦が強制連行されたという見方が広く流布された原因は吉田清治氏が虚偽の事実を捏造して発表したためだ。(吉田証言を事実であるかのように大きく報道した)朝日新聞も事実関係の誤りを認め、正式に読者に謝罪した」

「(慰安婦)20万人という数字も具体的な裏付けはない。朝日新聞は、通常の戦時動員された女子挺身隊と慰安婦を誤って混同したと自ら認めている。『性奴隷』といった表現は事実に反する」

まさにその通りであり、当たり前の主張である。第1次安倍晋三内閣の平成19年春、慰安婦問題について意見交換した外務省内では保守派とされる外務官僚が、こう突き放していたのとは対照的だと感じる。

「この問題は既に日本の負けは確定している。できるだけ静かにして通り過ぎるのを待つしかない」

だが、こうした外務省の姿勢は間違いだった。日本がろくに反論も主張もしなかった結果、誤解は世界に拡散され、韓国などがいよいよかさにかかって、あることないこと日本非難のボルテージを上げてきたのは周知の事実である。

 反論文書なぜ封印

日本は過去、国際社会の誤解と偏見に反論する機会をみすみす逃してきた。例えば8年には、慰安婦を強制連行された性奴隷と認定した「クマラスワミ報告書」に対し、明快な反論文書を作成しておきながら、なぜかすぐに引っ込めて封印してしまった。

政府が現在も非公開としているこの反論文書は、クマラスワミ氏が引用した吉田証言についてこう記している。

「歴史研究者の間でもその信憑性については疑問が呈されている。何ら慎重な吟味を行うことなく吉田氏の『証言』を引用しているのは、軽率のそしりを免れない」

また、反論文書は慰安婦の性奴隷説もこうはっきりと退けている。

「いわゆる『従軍慰安婦』の制度を『奴隷制度』と定義することは法的観点から極めて不適当」

つまり、今回、杉山氏が国連で訴えた内容は、20年も前から政府も認識していたことなのである。最初からきちんと事実関係を指摘しておけば、現在に至るまで問題を引きずるようなことはなかったかもしれない。

 反省生かさぬ朝日

ちなみに、杉山氏は国連での説明で、繰り返し朝日新聞に言及したが、杉山氏の発言を報じた同紙の17日付朝刊の記事には、朝日の「あ」の字も出てこない。

一方で、わざわざ「韓国側の認識と違う日本政府の見解を国連の場で説明すれば、韓国で(日韓)合意を批判する一部の市民団体やメディアを刺激しかねない」と書き、韓国への配慮をにじませていた。慰安婦報道での誤報を認めた後も、朝日新聞の報道姿勢は基本的に変わっておらず、反省も生かされていない。

(論説委員兼政治部編集委員)
産経ニュース【阿比留瑠比の極言御免】2016・2・18


◆EU安保とNATO安保

平井 修一



「防衛省防衛研究所の鶴岡路人氏(地域研究部米欧ロシア室主任研究官)の論考「リスボン条約第42条7項――パリ同時テロ事件を受けたEUにおける対応」は、中共の脅威を受けている日印豪ASEAN諸国にとってとても参考になる。

簡単に言えばEU安保とNATO安保のダブルの集団安保を用意しており、脅威に対して適切な方法で対処しているのである。

日本は軍事面で日米安保しか機能していないが、実際に危機が発生した場合、米国だけが頼りというのはいかにも心もとない。安倍総理は「いかなる国も脅威に対して一国のみでは対応できない」と繰り返しているが、やはり周辺国との軍事同盟を結ぶことで、安保を万全なものにすべきだと思う。以下紹介。

<2015年11月13日にパリで発生した連続テロ事件を受けてフランスは、「武力侵略」発生時の加盟国間の相互援助を規定したリスボン条約(EU条約)第42条7項の「相互援助条項(mutual assistance clause)」を発動した。同条文は以下のとおりである。

「加盟国がその領域に対する武力侵略(armed aggression)の犠牲国となる場合には、他の加盟国は、国際連合憲章第51条に従って、すべての可能な手段を用いてこれを援助し及び支援する義務を負う(以下略)」

武力侵略の犠牲国への援助・支援の「義務」を課すこの条項は、少なくとも文言上は非常に強力であり、また国連憲章第51条への言及が示すように、軍事的面が念頭におかれている。EU条約のこの条項が発動されるのは史上初めてだった。

今回フランスはなぜこの条項の発動を選択し、何を求めたのか。第42条7項とはそもそもどのようなものなのか。そして今回の発動は、今日の欧州安全保障、国際関係においてどのように位置づけられ、また、今後のEUの安全保障面での役割にいかなる影響を及ぼすことになるのか。

これらに確定的な答えを出すには時期尚早だが、本稿では、限定的ながら
初期的な分析をおこないたい。

今回のテロ事件を受け、フランスが何より求めたのは欧州として連帯であり、 端的にいえば、今回の事件がフランスのみの問題ではなく欧州全体の問題だという認識の共有であった。

そのためには、 政治的なシンボリズムが必要であると同時に、迅速に行動する必要があった。

加えて、実質面でもフランスが各国からの支援を必要とする度合いは極めて高かった。今回の事態にフランス一国では対応できないことは、オランド大統領、ル・ドリアン国防相らによって繰り返し強調された。第42条7項に基づく支援は軍事と文民の両面を含み得るが、真っ先に想定されたのは軍事面である。

その第一は、今回テロ事件を引き起こしたイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に対する空爆強化 である 。米国中心の有志連合によるイラク、シリアでの空爆作戦にフランスは当初から参加しており、今回のテロを受けて戦闘機を追加配備した他、空母シャルル・ドゴールを投入した。これへの支援、すなわち欧州諸国による有志連合へ増派や新規の参加をフランスは期待したのである。

第二は、フランスが対IS作戦以外で関与する軍事作戦の負担軽減ための支援、すなわち「負担の肩代わり(backfilling)」である。ドイツによるマリでの 作戦への650名の増派は、実際のところテロ事件以前からの既定方針ではあったものの、第42条7項の発動により、最終決定が後押しされたと考えられる。シリア以外、特にアフリカでのフランス負担を他国が一部肩代わりすれば、フランスはシリアでの作戦により傾注できるという点が重視されたのである。

こうした軍事的支援に加え、警察、司法関連、特に警察協力、域外国境の管理、インテリジェンス協力の強化も優先度が高い。この点も、フランスがNATOにおける集団防衛を規定した北大西洋条約第5条ではなく、 EUの相互援助条項を選択した一つの大きな理由であろう。

しかし、これらは2015年1月のパリで『シャルリ・エブド』紙襲撃事件をはじめとする一連のテロ事件を受けて、すでにEUの課題として認識され、取り組まれてきたものであり、第42条7項の発動が不可欠だったわけではない。

加えて、フランスに関する限り、自国のリソースが逼迫しているのは、国内治安に関わる領域でなく軍事面あった。 国内 の治安は自国の能力でまかなえるが、域外の(軍事)作戦の負担はほとんど限界にきていたのであ
る 。

アフリカでの軍事的支援・肩代わりが必要とされたことも、フランスがNATOではなくEUの枠組みを選択する大きな理由になった。NATOはアフリカでの作戦を実施していないからある。

シリア、イラクへの空爆強化に関する限り、パリ同時テロを受けて有志連合への貢献を目に見える形で増大させたのは、これまでのところ英国とドイツである。このほか、イタリアとオランダが主要メンバーとして参加しているが、能力の観点からも、一定規模以上の貢献が可能な欧州諸国は限定されるのが現実である。

英国は従来からイラクでの空爆を実施していたが、新たな政府動議が議会で可決されたことにより、空爆の範囲をシリアに拡大した。2013年夏にシリアのアサド政権による化学兵器使用に対する懲罰として空爆が検討された際には、空爆参加を求める政府動議が下院で否決されており、今回、パリでのテロ事件を受けてこれが覆ったことになる。

ただし、キャメロン首相が強調したように、英国は従来からイラクでの作戦に加え、シリア領内でも情報収集・偵察活動を実施しており、有志連合全体のシリアにおける情報収集・偵察の最大3割をすでに担っていたという。そのため、今回シリアでの空爆を追加することによる有志連合への英国の貢献の増加分は、戦闘機数機の限定的なものになる。

さらに、シリアでの空爆参加から1か月程度の実績で、シリア領内での英空軍機による爆撃は数回のみにとどまっている。これは、空爆の標的の特定に時間を要する――つまり情報が足りない――ことに加え、シリアにおいては、現地で支援すべき信頼に足る地上部隊がそもそも不足していたこと、さらにはロシアによる空爆で現地の反アサド政権派の勢力が減退していることによる。

というのも、この種の空爆は、地上部隊を支援する形をとってはじめて効果的なのであり、例えばイラクにおいて有志連合による空爆は、イラク政府軍による支配地域奪還作戦を支援しているのである。その意味で今回の英国によるシリア空爆の決定は、軍事的に大きな違いをもたらすものというよりは、フランスへの結束を示す、多分に象徴的意味合いのものだったといえる。

それに対して、ドイツによる作戦参加は、より大きな断絶性を有する決断だった。2013年のアサド政権による化学兵器使用に対しては、早くから空爆作戦への参加を否定していた同国の経緯に鑑みれば、今回の決定は驚くべきことである。それだけ、フランスとの連帯を示す必要性が強く感じられたのであろう。

ただし、ドイツの貢献は、イラクおよびシリアにおける情報収集・偵察活動、有志連合軍機への空中給油、地中海に展開する仏空母の護衛などに限定されており、空爆自体に参加しているわけではない。それでも、総計1200名規模の派遣が持つ意味は大きい。

より広い視野で考えた場合、 今回のフランスによるEU条約第42条7項の発動は、EUと欧州の安全保障の現在のトレンドや今後に対して、興味深い論点を提示している。

第一に、欧州おける安全保障上の脅威は純粋に軍事的なものから多面的なものに変化しているとの背景がある。

テロ脅威に加え、ウクライナ危機以降対応が迫られているロシアの脅威に関しても、ロシアの正規軍がNATO加盟国に侵攻してくるシナリオより、クリミア半島やウクライナ東部で起きたような、国籍不明集団にる活動を筆頭に、現地住民の扇動、プロパガンダ、さらにはサイバー攻撃などを複合的に組みわせた「ハイブリッド戦争(hybrid warfare)」が懸念されている。

こうした状況においては、軍事的手段以外の対応重要性が増す。今回の第42条7項の発動文脈では、軍事面に焦点があたり、 必ずしも議論にならなかったが、EUには、ハイブリッドな脅威への対応強化という課題が大きくのしかっている。

第二は、喫緊の難題としてのEU加盟国間のバードン・シェアリグ(平井:国際政治で経済援助や防衛の責任を各国が分担すること、burdensharing)である。

折からの難民移民危機、さらには2014年以降のウクライナ危機、ロシアの脅威への対応など、欧州全体を揺るがす事態が連続して発生するなかで、欧州諸国間のバードン・シェアリングを巡る確執と各国の不満は、パリ連続テロ事件までの段階で危険水位といってよいほど高まってた。

2015年だけで100万人ともいわれる難民・移民が入国したドイツにとって、この問題でフランス、さらにはハンガリーやポーランドなどの中東欧諸国の消極姿勢は目に余る。

他方でフランスにとっては、アフリカや中東地域おけるドイツの軍事的貢献の小ささが目立っていた。

いずれも、指導者間や国民ので感情的対立になってしまいかねない問題であった。

今回のテロ事件を受けてのドイツの軍事的支援強化は、バードン・ シェアリングの観点からも歓迎すべきことであったが 、問題が解決されたわけではない。第42条7項の発動によるEUのシンボリックな結束が、いかに実際の行動によって維持されいくかが問われているのである。

第三は、今回の第42条7項の発動が今後の同条項の発動と運用に対して有するインパクトである。今回が史上初めてだったけに、これが今後の参照事例になる。どのよう事態態が「武力侵略」に該当 し発動対象となるのか。その判断基準は事態の「性質」なのか「規模(特に犠牲者数)」なのか。

今回、この点に関する明示的説明はなく、また一連のプロセスにおいて、他国からの疑問も呈されなかったようである。あるいは、ある国が発動を求めても、仮にそれ反対する加盟国が存在する場合はどうするのか。条約規定上は、ど国も拒否権を有していなように解釈できるが、同条項発動が濫用される懸念も少なくとも理論上は存在する。

また、第42条7項の措置におけるEU諸機関、なかでも特に外交安全保障上級代 表の関与や、発動および運用にに関する指針の必要性も検討課題になるだろう。

実際、 欧州議会ではこれらの整備を求める決議がすでに採択されている。この点についてどのような制度構築を行っていくのか、あるいはあえて柔軟な枠組みとして、そのままにしておく方がよいのか。今回の経験を踏まえた検討が求められている。

今回のEU条約第42条7項の発動に関しては、今後さらに検討しなければならい論点が多いうえ、実際の効果について評価を下すのも時期尚早である。それでも、欧州における集団防衛・相互援助において、 NATO以外の選択肢としてEU の可能性が示されたこと、そしてその前例ができたことはいずれにしても否定できず、これは新たな展開であった>(以上)

オランドは女好きの軟弱なリベラル≒アカと思っていたが、パリ連続テロ事件で戦争を宣言、毅然とした指導者になってきた。ワルどもを容赦なく殺さなければ自国民が無慈悲に殺されるのだから毎日が真剣勝負だ。

世界最大のワル、中共のサラミ“コソ泥”戦術は有名だが、いざとなれば戦力を集中し、鎖の弱いところから攻めてくるはずだ。習近平は内政での手詰まりを戦争で突破するチャンスをうかがっている。シナリオはこうだ。

マラッカ海峡を含む南シナ海制覇→台湾海峡制覇/台湾占領→東シナ海・尖閣諸島制覇/第1列島線突破→南西諸島/沖縄制覇→フィリピン海/西太平洋制覇/第2列島線突破→ハワイ以西を制覇→転じてインド洋制覇→アラビア海制覇。

これで中共の安全は確保され、中共以外のアジア諸国は中共の従属国になる。「中共功成って万国枯る」だ。

日本が生き残るためにはまずは初戦の南シナ海で中共軍を阻止しなくてはならない。そのためには日米印豪ASEAN諸国が団結するしかない。個別で対応すれば各個撃破されるから結束する必要がある。

米国が主導しないのであれば、その代わりを務めるのは日本しかない。米国あるいはインドから核兵器をレンタルしないと誰も付いてこないだろう。

多数国からなるアジア安全保障条約締結を日本は推進しなくてはならない。それだけでも対中抑止力になるはずだ。攻撃は最大の防御になる。

機械あれば機事あり。安倍氏は習の最大の敵である江沢民派/上海閥/瀋陽軍区と誼を通じておいた方がいいだろう。彼らが習の命令通りに動かなければ習は戦争できないし、そもそも彼らは「戦争嫌い、お金大好き」なのだから習の寝首をかく可能性はすこぶる高い。敵の敵は味方だ。
                        (2016/2/14)

◆国会議員はテレビを見よ!世論分断

MoMotarou



27年1月29日参議院予算委員会。中山恭子代表が北朝鮮日本人拉致等に関連して質問をしました。やり取りは国会議員として大変まともなものでした。此の件に関しての報道は控えめ。多くの国民は気が付かないものでした。

■政治家が芸能人か、芸能人が政治家か?

それに引き換え「イクメン宮崎謙介衆院議員(35 京都)」の報道は連日凄まじいもので、国家の一大事とばかりでした。辞任会見は見るに耐えない。「ベッキー・ゲスの極み会見」と同じレベル。

国会議員か芸能人か見境がつかなくなってきています。確かに次の選挙には元アイドルグループから立候補があるようです。最近では「総選挙」というとアイドルグループの「陣取り」を連想してしまいます。随分政治もからかわれ見下されてきました。小泉郵政総選挙以来だ。

■反日在日左翼勢力に甘いマスメディア

自民党や安倍政権のスキャンダルには異常に騒ぐマスメディアであります。しかし民主党には別。民主党津田弥太郎参院議員が自民党の大沼瑞穂参院議員にけがを負わせた件では、執拗な追求は無し。菅元首相などは辞めると言って2ヶ月も居座り国家を停滞させました。民主党や社民党日本共産党の犯罪などには“極めて”優しい。これは反日解放同盟や反日在日韓国朝鮮の犯罪報道とよく似ております。

■アナウンサーの人相が日本的ではないNHK

連日、北朝鮮の「水爆騒ぎ」等の報道が続きます。2月13日9時のNHKニュース番組でも派手に報道。意外に思ったのは北朝鮮から帰ってきた蓮池薫さんの講演映像を長く放送したこと。違和感を覚えた小生が考えてみると、蓮池氏が放送の最後に語った「見返りも必要だ」と云うくだり(件)に行き着きました。

要するにNHKの報道は北朝鮮の意向を組んで“世論誘導”をしているということです。この観点からみると、街の声として登場した“一般市民”のおばさんの、「取引をしても取り返さなければならない」という「街の声」も怪しくなります。北朝鮮にNHKは乗っ取られている。因みに蓮池兄弟の両親は日教組、労働組合の活動家だった。

■北朝鮮の茶番ナンセンス映像は健康に悪い

連日の北朝鮮からの「映像」は日本の報道機関が作成したものではありません。あれらは北朝が作った放送で、北から提供・指示されて放送する。噂に寄ると料金を払っているそうだ。日本政府の立場は5秒ぐらいしか報道されない。

明らかに我が国の世論分断工作であります。NHKは国民から税金で運営費を集めながら反日放送・工作・洗脳を行っていることになります。なんとも間抜けな構造です。外務省も同じ。これでは世論の盛り上がりなど無理でしょう。

国会議員がテレビなど見る隙がないと忙しさを強調していましたがアホですな。自分が見れなければ機関を作って見させれば良いのです。これを「監視」と云います。既に「BPO」という、NHKと民放連によって設置された第三者機関がありますが、これも反日在日筋の委員が多いと噂されております。

大阪市とNHKを日本に取り戻しましょう。東京「都」を反日在日からの侵入を防ぎましょう!


      

◆諜報外交官・杉原千畝

伊勢 雅臣



6千人のユダヤ人を救った杉原ビザは、諜報外交官としての手腕と国益への志から生まれた。

■1.「杉原がいたから私たち一家がいるのです」

先の大戦前、バルト三国の一つ、リトアニアの領事代理となり、ソ連のポーランド侵略から逃れてきたユダヤ人難民約6千人に日本通過ビザを発給して命を救った杉原千畝(ちうね)の功績が国際的に知られつつある。

シカゴ近郊で、ユダヤ人受難の記録を展示するイリノイ・ホロコースト博物館の教育委員長リチャード・サロモン氏が史料の借り出しのために来日したさい、杉原のビザ発給リストを見つめていた様子を、[1]の著者・白石仁章氏はこう伝えている。

「この名前は私の父です。これは叔父、これは従兄弟(いとこ)」と説明し、しばし絶句しつつ、涙を浮かべながら、しみじみと「杉原がいたから私たち一家がいるのです」と語ったことは、特に印象的であった。サロモン氏は両親がアメリカ到着後に生まれたそうだが、この世に生を享けたのも、杉原のヴィザ発給ゆえに他ならない。[1,p163]

杉原千畝については弊誌でもすでに3度紹介しているが{a,b,c]、近年、研究が進んで、杉原が類い希なインテリジェンス・オフィサー(諜報外交官)であった事が判ってきた。ユダヤ人救出も、彼の人間愛のみならず、諜報外交官としての手腕と志から生み出されたものであった。


■2.「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」

約6千人のユダヤ人にビザを発給して救った杉原ではあったが、皮肉にも、彼自身のビザ発給を拒否された事がある。昭和11(1936)年暮れ、杉原はロシア語の二等通訳官として在ソ連日本大使館に勤務するよう命ぜられ、在日ソ連大使館にビザを申請したが、翌年2月に入っても発給されなかった。

外務省が督促すると、ソ連側は「関係省庁が反対するので、ビザの発給を見合わせることとした」と電話で通告してきた。外交用語での「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」の扱いだが、大使・公使ならともかく、通訳官のような一般館員へのビザ発給拒否は「国際慣例上先例なきこと」として、外務省は激しく抗議した。

その後、重光葵(まもる)駐ソ大使まで乗り出したが、ソ連側は態度を変えず、しかも「杉原だからダメだ」というのみで、理由も明かさない。ついには互いへのビザ発給拒否の報復合戦にまで発展したが、杉原のソ連入国はついに諦めざるを得なかった。

ソ連が杉原を恐れたのは、彼の諜報活動で煮え湯を飲まされた経験があったからだ。1933年にソ連から北満(北部満洲)鉄道を売却するという提案がなされ、満洲国代表として当時、同国外交部に派遣されていた杉原が交渉にあたった。ソ連側の要求6億5千万円に対し、満洲国側の提示額はわずかに5千万円だった。

杉原はソ連側の金額の根拠について疑義を示した。満州国内で鉄道網整備が進み北満鉄道の経済価値が下がっている事から、鉄道施設が老朽化していることまで明らかにした。「ソ連がどれだけの貨車を持ち出したとか、北満鉄道の内部のあらゆることを自分の諜報網を使って調べ上げてしまった」と、杉原と親交のあった友人は証言している。

ソ連側はやむなく提示価格を2億円と一挙に3分の1以下に引き下げ、満洲国側も歩み寄って、1億4千万円で妥結した。ソ連側のハッタリを諜報外交官・杉原が完全に読み切って、大幅な譲歩を余儀なくさせたのである。ソ連にとって「好ましからざる人物」と烙印を押されたのも当然であろう。


■3.プロの諜報外交官

 杉原の「諜報網」とは満洲における白系ロシア人社会に築いたものだった。白系とは共産主義の「赤」に対する「白」という意味で、共産革命に反対したり、あるいは共産党の弾圧を逃れてきたロシア人という意味である。

杉原はロシア人の家に下宿し、個人教師を雇ってロシア語を学んでいた。さらにロシア婦人と結婚していた時期もあり、そうした縁から白系ロシア人社会に諜報網を築いていったようだ。

諜報とは機密情報を入手することだが、その正攻法は情報を握る相手と信頼関係を結んだ上で、「ギブ・アンド・テーク」を行うことだ。相手を騙して情報を盗むようなことをしていては、信頼を失い、相手にされなくなってしまう。この点で、諜報は相手を騙す「謀略」とは全く違う。

杉原の諜報外交官としての類い希な手腕は、ソ連との交渉に現れている。杉原は、誰からどのような情報を得たのかという痕跡をいっさい悟られずに、情報提供者を護った。だからこそソ連側が入国ビザ発給を拒否した際も、具体的に理由も説明できず、単に「好ましからざる人物」としか言えなかったのである。

さらに白系ロシア人はソ連に敵意を抱いており、杉原に協力して価格交渉に勝たせれば、一泡食わせることができる。それゆえに、積極的に情報を入手し、杉原に提供しようとする協力者もいたのだろう。

 こうした形でソ連の機密情報を掴み、それを交渉に活かしたのは、まさに一流の諜報外交官の手腕であった。


■4.動乱の欧州へ

杉原のソ連派遣を諦めた外務省は、かわりに1937年8月、在フィンランド公使館への在勤を命じた。フィンランドもソ連の近隣国であり、対ソ諜報活動には重要な国であった。

同年11月、日本はドイツとの日独防共協定を結んだ。「防共」とは共産主義からの共同防衛である。当時の日本は、ソ連共産主義をもっとも警戒していたのである。

 杉原は約2年間、フィンランドに駐在したが、その間、ドイツによるオーストラリア併合、チェコスロバキアの解体、ユダヤ人迫害事件が起こり、欧州の戦乱が近づいていた。

フィンランドに2年駐在した後、杉原は1939年7月、リトアニアの首都カウナスに領事館を開設し、領事代理として赴任することを命ぜられた。実は同じ日に、杉原を含む5人の対ソ情報を専門とする外交官がソ連、バルト3国、ポーランドに派遣されている。

ソ連は日独から挟撃されることを恐れて、ドイツと独ソ不可侵条約を結んだ。ヒトラーとスターリンの二人の独裁者の野合であった。平沼内閣は「欧州の情勢複雑怪奇なり」の声明を出して総辞職した。

こういう「複雑怪奇」な欧州情勢に関する情報収集を狙いとして、ソ連およびその周辺国に外務省の精鋭が送り出された。その一人が杉原だったのである。


■5.リトアニアに亡命したポーランド系ユダヤ人

杉原がカウナスに到着して1ヶ月後、ポーランドは独ソに分割占領された。ポーランドは3〜4百万という欧州最大のユダヤ人人口を抱えていた。

ロシアでも歴史的にユダヤ人排斥が根強く、ロシア語で「ポグロム」と呼ばれる集団的な殺戮、略奪行為が繰り返されていた。ポーランド在住ユダヤ人の多くが隣の中立国リトアニアに逃げ込んだのも当然と言える。

ソ連は独ソ不可侵条約の秘密事項に基づき、さらにフィンランドとバルト三国に触手を伸ばし始める。リトアニアがソ連に併合されるのも、時間の問題だと考えられていた。杉原が着任したカウナスはこういう状態だった。

杉原はある商店で買い物をしていた際に、その店の女主人の甥ソリーと出会った。ソリーの家はユダヤ人で、ポーランドから逃げてきたローゼンプラット親子をかくまっていた。杉原はソリー少年の招待に応じて、ユダヤ民族の宗教儀式に参加し、その後、ローゼンプラッツからポーランドの状況を聞き出した。

リトアニアにはポーランド軍の情報将校などが潜んでいて、ロンドンのポーランド亡命政府のための諜報活動をしていた。彼らと親交を結ぶことが、杉原の諜報網構築の糸口であった。

そもそも、日本とポーランドは、日露戦争の時にロシアの属領だったポーランドの独立運動を支援した時から親交が始まっており[d]、ソ連成立後もシベリアに流刑となったポーランド人独立運動家の孤児たち765名を日本が救った行為[e]も深く感謝されていた。

ソリー少年の招待に応じたのも、こうした背景からであった。杉原はソリー少年の一家やローゼンプラッツから情報を得つつも、早くリトアニアから脱出するよう勧めた。ロシアのやり口を見通していたのである。

ソ連はフィンランドとの冬戦争が片付いた翌年春から、バルト三国に牙を剥き始めた。翌1940年7月17日、反ソ派の政治家を逮捕した上で、リトアニア共産党員だけが立候補を許された総選挙が行われ、成立した傀儡政府はリトアニアのソ連への編入を請願した。8月3日、ソ連はリトアニアの加盟を認めた。


■6.杉原の苦心

総選挙の直後から、日本通過ビザを求めて、大勢のユダヤ難民が領事館を囲み始めた。ソ連による併合とその後のユダヤ人虐待が目に見えていたからである。

ここから杉原がユダヤ難民たちにビザ発給を始めるのだが、その情景は[a]に記したので、繰り返さない。ただ、そのビザ発給にも杉原の諜報外交官としての手腕が十二分に発揮されていた点を見ておこう。

そもそも日本の通過ビザ発給には、行き先の入国許可と十分な旅費を持っていることが必要条件だと「外国人入国令」で定められていた。これを厳格に守っていたのでは、ユダヤ難民たちのほとんどにビザは出せない。

一方、一外交官が法律を無視して不正なビザを発給したとあっては、シベリア横断後に日本への入国を拒否されるユダヤ難民が犠牲となる。行き先も定かでなく、金も持たないユダヤ難民に大量にビザを発給しながら、いかに「外国人入国令」をぎりぎりで護っている「ふり」をするか、ここが杉原の苦心のしどころだった。

杉原がとった一手は「本査証(ビザ)は、ウラジオストックから日本行きの船に乗るまでに行き先国の入国許可をとりつけること、日本から出国する際の乗船券の手配を完了することを約束したので交付した」とわざわざスタンプまで作らせて、ビザに記載していることだ。

杉原ビザを持ったユダヤ難民が続々と日本に到着し始めると、外務省からは現地が対応に困っているので、「以後は」厳重にビザ発給の規則を守るように、という電報が8月16日に来た。「以後は」ということは、「それまでに発給したビザはやむなく有効と認める」ということである。


■7.情報外交官としての手腕

杉原はこの訓電への返事を引き延ばしてビザの発給を続け、9月1日に、難民に同情すべき点があるので、条件付きでビザを「発給している」との回答を送った。

この時点ではソ連の命令ですでに領事館を閉じ、ビザ発給を終えていたのだが、「現在進行形」を用いることで、本省サイドに「まずは、早急にビザの発給をやめさせなくては」という「焦り」を生じさせることを狙ったようだ。翌日、本省から再び「以後は」規則を守るようにという訓電が来た。これで、今まで発給したビザはすべて本省が認めた事になる。

日本の官僚の良い点でも悪い点でもあるのは、規則を四角四面に守ろうとすることである。世界で虐待されているユダヤ人に対しては日本政府として正式に「猶太(ユダヤ)人対策要綱」を決め、平等に扱うように決めていたからもちろん差別などできない。

外務省としては「外国人入国令」をぎりぎりでも守った形の杉原ビザをこうして認めた以上、受け入れざるを得ない。その辺りを読み切ったのは、杉原の諜報外交官としての手腕であった。

ユダヤ難民たちは杉原ビザにより、ウラジオストックから船で敦賀に着き、神戸に出て、アメリカ入国のビザを待ったのだが、その間、日本の受入れ担当者や敦賀、神戸の市民から温かく遇された[c]。この親切さは今も昔も変わらない日本人の特性である。


■8.「それが果たして国益に叶うことだというのか?」

杉原ビザは、こうして彼のユダヤ難民への同情を、諜報外交官の手腕で実現したものだ。しかし、その動機にも「外交官」としての志があったようだ。杉原は後年、「決断 外交官の回想」という手記にこういう主旨のことを書いている。

「全世界に隠然たる勢力を有するユダヤ民族から、永遠の恨みを買ってまで、旅行書類の不備とか公安上の支障云々(うんぬん)を口実に、ビーザを拒否してもかまわないとでもいうのか? それが果たして国益に叶うことだというのか? [1,p234]

ここに見られるのは「自分がどう動くことが国益に叶うのか」を自問自答しながら、自分個人の判断と責任で動いていく諜報外交官の姿である。

冒頭に紹介したリチャード・サロモン氏の涙からは、杉原ビザがいまだ多くのユダヤ人の心中に感謝の思いとして残っていることが窺える。

125年前に和歌山県沖で遭難したトルコ軍艦「エルトゥールル号」を県民が救ったことから、日本とトルコの友好が現代まで続いているように[g,h,i]、杉原ビザを日本人とユダヤ人の友好のきっかけとするのは、現代の我々の責務である。

杉原ビザに関しては、最近、ポーランドの協力を得て映画化され公開中だ[2]。戦前、戦中に日本はいろいろな形でユダヤ難民を助けている[j,k,l,m]。まずは我々日本人が、それらの史実をよく知ることから始めなければならない。

■リンク■

a. JOG(021) 命のビザ
 6千人のユダヤ人を救った日本人外交官
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogbd_h10_1/jog021.html

b. JOG(138)届かなかった手紙 〜あるユダヤ人から杉原千畝へ〜
 世界はアメリカを文明国という。私は、世界に日本がもっと文明国だと
いうことを知らせましょう。
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogbd_h12/jog138.html

c. JOG(870) 続・命のビザ 〜 ユダヤ難民を迎えた人々
 命からがら欧州から脱出してきたユダヤ難民たちを迎えたのは、敦賀の
人々の温かい思いやりだった。
http://blog.jog-net.jp/201410/article_3.html

d. JOG(176)明石元二郎〜帝政ロシアからの解放者
 レーニンは「日本の明石大佐には、感謝状を出したいほどだ」と言った。
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogbd_h13/jog176.html

e. JOG(142) 大和心とポーランド魂
 20世紀初頭、765名の孤児をシベリアから救出した日本の恩をポーランド人は今も忘れない。
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogbd_h12/jog142.html

f. JOG(323)日本・ポーランド友好小史
 遠く離れた両国だが、温かい善意と友好の関係が百年も続いてきた。
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogbd_h15/jog323.html

g. JOG(102) エルトゥールル号事件のこと
 難破船救助から始まった日本とトルコの友好の歴史。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h11_2/jog102.html

h. JOG(663) トルコによるイラン在留邦人救出(上)
 イラク空軍の空爆に怯えるテヘラン在留日本人たちに日本政府は救援機
を出さなかった。
http://blog.jog-net.jp/201008/article_5.html

i. JOG(664) トルコによるイラン在留邦人救出(下)
 トルコはテヘランの自国民に陸路をとらせてまで、日本人救出を優先さ
せた。
http://blog.jog-net.jp/201009/article_1.html

j. JOG(085) 2万人のユダヤ人を救った樋口少将(上)
 人種平等を国是とする日本は、ナチスのユダヤ人迫害政策に同調しなかった。
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogbd_h11_1/jog085.html

k. JOG(086) 2万人のユダヤ人を救った樋口少将(下)
 救われたユダヤ人達は、恩返しに立ち上がった。
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogbd_h11_1/jog086.html

l. JOG(257) 大日本帝国のユダヤ難民救出 
 人種平等の精神を国是とする大日本帝国が、ユダヤ難民救出に立ち上がった。
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogbd_h14/jog257.html

m. JOG(260) ユダヤ難民の守護者、犬塚大佐
 日本海軍が護る上海は1万8千人のユダヤ難民の「楽園」だった。
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogbd_h14/jog260.html


■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け)
  →アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。

1. 杉原千畝『情報に賭けた外交官』★★★、新潮文庫、H27
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4101200661/japanontheg01-22/

2. 『杉原千畝 SUGIHARA CHIUNE』
http://www.sugihara-chiune.jp/


■938号「歴史教科書読み比べ(25) 南北朝時代 〜 報国と私欲の戦い」に寄せられたおたより

■「正しいはずの南朝方がなぜ勝てなかったのか」(さわちゃん)

 仰ることはよくわかるのですが、負けてしまっては何にもなりません。

 正しいはずの南朝方がなぜ勝てなかったのか、そこをもっと(アングロサクソンのように)冷徹に追及すべきでは?

2016年02月21日

◆慰安婦「強制連行」説の否定

阿比留 瑠比
 

慰安婦「強制連行」説の否定、20年前にしておけば… 変わらぬ朝日新聞は韓国への配慮にじます

やっと政府が、国際社会に向けて慰安婦の強制連行説を否定した。歴史問題に関しては事実関係は一切争わず、「問題は解決済み」「既に謝罪している」でやり過ごそうとする「事なかれ外交」に終始してきたこれまでのあり方に比べると明確な前進ではある。とはいえ、もっと早くこうしていればと惜しまれる。

やっと当然の主張

外務省の杉山晋輔外務審議官は16日、ジュネーブの国連欧州本部で、次のように説明した。

 「日本政府が発見した資料には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を確認できるものはなかった」

「慰安婦が強制連行されたという見方が広く流布された原因は吉田清治氏が虚偽の事実を捏造して発表したためだ。(吉田証言を事実であるかのように大きく報道した)朝日新聞も事実関係の誤りを認め、正式に読者に謝罪した」

「(慰安婦)20万人という数字も具体的な裏付けはない。朝日新聞は、通常の戦時動員された女子挺身隊と慰安婦を誤って混同したと自ら認めている。『性奴隷』といった表現は事実に反する」

まさにその通りであり、当たり前の主張である。第1次安倍晋三内閣の平成19年春、慰安婦問題について意見交換した外務省内では保守派とされる外務官僚が、こう突き放していたのとは対照的だと感じる。

「この問題は既に日本の負けは確定している。できるだけ静かにして通り過ぎるのを待つしかない」

だが、こうした外務省の姿勢は間違いだった。日本がろくに反論も主張もしなかった結果、誤解は世界に拡散され、韓国などがいよいよかさにかかって、あることないこと日本非難のボルテージを上げてきたのは周知の事実である。

 反論文書なぜ封印

日本は過去、国際社会の誤解と偏見に反論する機会をみすみす逃してきた。例えば8年には、慰安婦を強制連行された性奴隷と認定した「クマラスワミ報告書」に対し、明快な反論文書を作成しておきながら、なぜかすぐに引っ込めて封印してしまった。

政府が現在も非公開としているこの反論文書は、クマラスワミ氏が引用した吉田証言についてこう記している。

「歴史研究者の間でもその信憑性については疑問が呈されている。何ら慎重な吟味を行うことなく吉田氏の『証言』を引用しているのは、軽率のそしりを免れない」

また、反論文書は慰安婦の性奴隷説もこうはっきりと退けている。

「いわゆる『従軍慰安婦』の制度を『奴隷制度』と定義することは法的観点から極めて不適当」

つまり、今回、杉山氏が国連で訴えた内容は、20年も前から政府も認識していたことなのである。最初からきちんと事実関係を指摘しておけば、現在に至るまで問題を引きずるようなことはなかったかもしれない。

 反省生かさぬ朝日

ちなみに、杉山氏は国連での説明で、繰り返し朝日新聞に言及したが、杉山氏の発言を報じた同紙の17日付朝刊の記事には、朝日の「あ」の字も出てこない。

一方で、わざわざ「韓国側の認識と違う日本政府の見解を国連の場で説明すれば、韓国で(日韓)合意を批判する一部の市民団体やメディアを刺激しかねない」と書き、韓国への配慮をにじませていた。慰安婦報道での誤報を認めた後も、朝日新聞の報道姿勢は基本的に変わっておらず、反省も生かされていない。

(論説委員兼政治部編集委員)
産経にゅース【阿比留瑠比の極言御免】2016・2・18

◆ロシアの軍事力を侮ってきたオバマ

宮崎 正弘
 

<平成28年(2016) 2月19日(金曜日)弐通算第4821号>  

〜ロシアの軍事力を侮ってきたオバマ大統領だったが
  アセアン首脳会議で「ロシアは世界第2位の強い陸軍を確保している」〜

 オバマは「世界の警察官からアメリカは降りた」と言って、すごすごと米軍をアフガン、イラクから撤退させた。

ときに思いつきで米軍を増派したり、縮小したり、派遣するといったり、あれは止めると言ったり。この外交戦略が秋風のように変わる、まったく不安定な凸凹路線。地域を安定化させると言って軍事介入したアフガニスタン、イラクを逆に不安定化させ、シリア内戦を激化させた。

1年前までオバマはロシアの軍事力を侮り「弱い軍事力でありロシアは地域的パワーにすぎない」と公言していた。

1年後の今日、オバマは「ロシアの陸軍は世界第2位の強さを誇る、ワールドパワーである」と米アセアン首脳会議の議論のなかで言及していることが分かった(英文プラウダ、2月19日)。

シリアの反体制派への空爆とトルコのロシア機撃墜に報復を自重しながらも、ロシアはシリア領空を補足するS400システムを導入したため、トルコなどNATOが臨んだ「飛行禁止区域」の設定は不可能となった。 オバマ発言はこの現実を踏まえたもので、

「しかしシリアの安定、秩序回復という目標は軍事力によっては達成されない」とオバマは言い続けた。

軍事力が弱いから南シナ海は中国の海となった現実に目を背けている。
          

◆政府主導で明確な原子力推進を

櫻井よしこ

個々の技術は優れていても、全体の戦略となると心許ないのが日本ではないか。原子力の分野も例外ではない。個別の技術、たとえば原発で最重要といわれる原子炉圧力容器の製造技術では、日本は掛け値なしの世界一である。

3・11に関して、私たちは水素爆発を起こした福島第1原発の失敗に焦点をあてがちだが、第2原発は見事に生き残った。増田尚宏所長(当時)以下400名の職員の危機管理の手法は『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌が絶賛したピカピカの世界一だ。
 
3・11からの立ち直りに呻吟する原子力産業においてさえ、このように幾つも個々の「世界一」が光っている。しかし、原子力産業全体では、やはり日本は周回遅れで喘いでいる。
 
なぜか。問題点はどこにあるのかが、シンクタンク「国家基本問題研究所」の2月月例研究会のテーマだった。論者は前文部科学大臣で自民党総裁特別補佐の下村博文氏、京都大学粒子線腫瘍学研究センター教授の鈴木実氏、北海道大学大学院工学研究院教授の奈良林直氏である。
 
結論から言えば、日本の原子力の全ての分野における停滞は、原子力規制委員会(以下規制委)に典型的に見られる不合理な規制が原因であろう。
 
昨年12月、国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議で地球温暖化抑止を目指すパリ協定が採択された。CO2排出を今世紀後半に実質ゼロにするよう各国に求める厳しい内容で、日本は2030年で13年比マイナス26%を目指すと表明した。だがこの目標は、日本の現在の手法では達成不可能であろう。
 
CO2の大幅削減に向けて、世界は石炭による火力発電からの脱却を図っている。イギリスは25年までの石炭火力全廃を決定、オランダも火力発電所の段階的閉鎖を法制化した。CO2の2大排出国、米中も脱石炭へ動き始めた。

日本では危険視
 
日本だけが正反対だ。震災前に較べて、全電源に占める石炭火力由来の電力は13年度で5ポイント増の30%を占める。電力会社は30年までに計43基、2000万キロワット規模の火力発電所の新増設を計画中だ。
 
理由は厳しい規制で原子力発電所の再稼働が進まないことにある。下村氏は、再生エネルギーや省エネだけでCO2を激減させるのは難しいと、危機感を表明した。
 
原発依存を高める人類のために、原発事故を教訓に、日本が設計、建設、運転、維持管理、廃炉、放射能の封じ込め、環境保全、廃棄物処理まで全工程で安全のモデルケースを示すことの重要性を氏は強調する。
 
個人の見解だと断ったうえで、総裁特別補佐の氏は語る。

「今世紀末までに気温の2度以上の上昇が警告されています。CO2排出量の削減と気温上昇の阻止を念頭に、国際社会は原発推進を目指しています。

わが国も全体の20%程のエネルギーを原発由来で賄いますが、それには約30基の再稼働が必要です。世界は原発の活用について、核燃料サイクルと高速増殖炉の推進とを一体のものとしています」
 
日本も右の2つを推進すべきだと言うのである。
 
折しも昨年11月、規制委は、高速増殖炉「もんじゅ」を管理する「日本原子力研究開発機構」(以下機構)を全否定し、半年を目途に機構に代わる新しい組織を見つけよ、見つからない場合はもんじゅの廃炉を示唆する厳しい警告を発した。
 
日本では危険視されるもんじゅだが、世界の高速増殖炉は驚く程前進している。奈良林氏が解説した。

「中国は2万キロワットを発電中です。ロシアは88万キロワットを、インドは50万キロワットを運転中。フランスは60万キロワットを25年頃までに発電します。

世界人口73億人中、約3分の1を占める中国とインドが高速増殖炉の運転をすでに始めています」
 
日本より明らかに技術面で劣る国々が、なぜすでに高速増殖炉を完成させ運転しているのだろうか。わが国のもんじゅはなぜ、誕生の時から「劣等生」のように扱われてきたのか。再び奈良林氏が語る。

「フランスの高速増殖炉フェニックスは30年の歴史で32回、ナトリウム漏れを起こしました。その度に原因を突きとめ改善して商業発電に近づきました。もんじゅは1度ナトリウムが漏れ、火災になった。それを正直に言わずに隠したと責められ、20年止められて現在に至ります」
 
確かに情報隠しは許されない。しかし、20年も止めることに意味はあるのか。もんじゅはそもそも性能などを確認する原型炉だ。問題が発生すれば原因を突きとめて改善すればよい。問題が起きたら最後、如何なる試みも許さないのは異常である。

「原子力の素人」
 
東大大学院教授の岡本孝司氏は規制委を「原子力の素人」と呼ぶ。彼らのもんじゅに関する勧告は「高速増殖炉の安全とはほとんど関係のない保全のミスをあげつら」ったのであり、規制委のもんじゅ批判は、「自動車のバックミラーの裏側にゴミがついているのは怪しからんと言っているようなもの」だと言う。自動車はエンジンやブレーキがちゃんと機能することが重要で、バックミラーの裏の汚れは運転の安全とは無関係だと真っ当な批判を行っている。
 
下村氏が重要な指摘をした。

「高速増殖炉の機能を我々は活用すべきです。使用済み核燃料は、そのままでは無害な天然ウランと同水準になるのに10万年かかります。それを高速増殖炉で燃やせば300年に短縮され、量も7分の1に減ります。高速増殖炉は、新たな燃料なしに2500年にわたってエネルギーを生み出します。こういう利点があるからこそ、国際社会は高速増殖炉の実用化を目指しているのです」
 
もんじゅの結論は5月までに出すとして、氏は語る。

「規制委は、機構は駄目だと断じましたが、他に高速増殖炉を手懸けられる組織はありません。であれば、高速増殖炉を政府が引き受け、日仏共同で研究するのも可能です」
 
核燃料サイクルについても氏は重要なことを語った。核燃料サイクルの完成には、高速増殖炉と共に再処理施設の稼働が必要だ。再処理施設は青森県6ケ所村で93年4月に着工、紆余曲折を経て13年に試験は終了したが、未だに完成していない。

「青森の再処理施設の完成時期はこれまで23回延期されました。しかし18年には稼働させたいと思います。各原発から生まれる使用済み核燃料を順調に再処理すると共に、日本に対する国際社会の疑惑を打ち払うことが大事です」
 
見通しのききにくい原子力政策が下村氏の明解な語りで、展望が開けてきた。政治が大戦略を示して初めて物事は正しく動く。周回遅れの日本の原子力政策は世界の動きに追いつき、リードすることも可能になる。

『週刊新潮』 2016年2月18日号 日本ルネッサンス 第692回
                 (採録:松本市 久保田 康文)

◆木津川だより 壬申の乱(4)

白井 繁夫

「壬申の乱の戦」は672年7月に入ると、近江朝廷の大友皇子軍と、不破の大海人軍の両軍が正面からの全面戦争に突入、近江路において雌雄を決する死闘が始まりました。

近江朝の近江路方面軍は、不破(関ヶ原)への進軍途上、近江の豪族、羽田氏や秦氏を味方の軍に取り込みましたが、関ヶ原と彦根市の中間地域を支配している息長氏(オキナガ)の旗幟が不明のため、息長氏の支配地の手前の犬上川畔まで進み陣を構えました。

7月2日に大友皇子の近江路方面軍の山部王将軍は、心ならずも総司令官的立場に担ぎ挙げられましが、大海人皇子に帰参を願っていることが発覚して、将蘇我臣果安.将巨勢臣比等に殺害されました。

この事件は近江朝軍にとって、大きな動揺と内部混乱の起因となりました。

近江朝軍の指揮官の人材不足?による軍の乱れ、(蘇我果安将軍は大津へ帰り、自責の念に駆られてか?自殺する。近江の豪族羽田矢国と子の大人(フシ)一族が息長氏の支配地を通り大海人軍に帰参)の結果、中立的立場だった息長氏を始めとする近江の豪族は、大海人側に加担するようになるのです。

(息長氏が中立を保ち旗幟を鮮明にしなかったので、大海人皇子は彼の本拠地近くの不破に野上行宮を置いていたのです。)

7月5日大津を出発した田辺小隅(オスミ)の少数精鋭の別動隊が、倉歴道から鈴鹿道を抜けて裏面から不破の挟撃を目指し、大海人軍の田中足麻呂が守る倉歴(くらふ:柘植町)を夜襲し守備隊を破りました。

翌日の深夜、莿萩野(たらの:旧上野市)の多品治将軍が守る陣に夜襲をかけますが、今度は田辺小隅軍が敗れて敗走しました。(この勇猛な作戦は非常に良い策でしたが、少数兵では大海人軍に勝てず敗れ去ったのです。)

大海人軍には琵琶湖の東岸の羽田氏、息長氏、北岸の坂田氏などの豪族が加わり、大海人皇子は羽田矢国を、北近江.越方面別動軍の将軍に起用して、北陸方面の要衝(愛発:あらち:高島市.旧マキノ町)の守りに就かせました。(かつて、大友軍の精鋭が夜襲をかけた「玉倉部邑:たまくらべむら」を防げたのも、息長氏の地盤近くで起きたから大海人軍の出雲狛が援助を受けて?防戦できた。とも云われています。)

大海人軍の村国男依が率いる近江路進攻軍(本隊)は7日に出撃し、大友軍の主力部隊と
息長の横河(米原市醒井付近)で主力軍同士が激突し、朝廷軍が敗れ去り、将軍境部連薬は捕えられ斬殺されました。

大海人軍は追撃して、9日に鳥籠山(とこやま:彦根市大堀町)の将軍秦友足率いる大友軍も破ります。(鳥籠山は息長氏と羽田氏の本拠地の中間、両戦闘で大海人軍は琵琶湖の東岸「東山道」を完全に制圧できました。)

大海人軍は更に南下して進軍し、13日には近江最大の川「安河畔」(守山市:野洲川畔)
に達して、2度目の主力戦を大友軍の将軍社戸臣大口(コソベノオミオオグチ)と戦い、撃破して彼を捕虜にしました。

17日には栗太(くるもと:栗東市)の大友軍の陣営も破り、瀬田川の東岸にある官衙まで、あと少しの処まで迫りました。

ここからは近江朝廷本営の主力軍との真剣勝負になるため、進軍を停止して、大海人軍は斥候を出し、大友皇子の正規軍の陣容.伏兵の有無などの状況と朝廷軍の情報収集を開始し主力戦に備へました。

その上で、672年7月22日は、村国男依将軍が率いる大海人軍の各諸将が、大友軍の総力を挙げた起死回生の決戦に挑むのです。

◆大海人軍の斥候の報告:
『大友軍は瀬田橋の西側に整然と布陣しているが伏兵は見受けられない。しかし、驚くことがある。それは大友皇子御本人が御出座されており、左大臣蘇我臣赤兄(ソガオミアカエ)、右大臣中臣連金(ナカトミノムラジカネ)の左右大臣も布陣する、朝廷の最高位の人々が前線に出るなど』と、想定外の出来事でした。

(後世でも家康との最後の決戦となる大坂夏の陣で、外堀も内堀も埋められ、まる裸となった大阪城での戦いを鼓舞するため、真田幸村ら諸将が豊臣秀頼の御出陣を依頼したが叶わなかったことは、ご承知ですね。)

朝廷軍は大津宮防衛のため、瀬田橋を大海人軍には絶対に渡らせない強い決意でした。

むしろ大海人軍の各諸将は前回記述した如く、近江朝の高官とも面識がなく、まして大友皇子の御出座も意に介せず、特大の獲物を狙う獣狼の様な地方の豪族達でした。

大海人軍の各部隊の兵は競って橋を突破しようとしますが、橋を目がけて雨霰の如く矢が降り注ぐ集中攻撃を受け、前進を阻まれました。それをも突破して半ばまで進むと、次は仕掛けが有り、兵は川に落ち流され溺れ死させられました。

(大友軍の将「智尊:チソン:渡来人の知恵者」が橋の中程に長板を置き、綱を引くと板が外れる仕掛けをしていたのです。)

この時大海人軍の兵士に動揺が起きました。前進する士気が薄れそうになったとき、大津皇子の舎人:大分君稚臣(オオキダノキミワカミ)は矢が射込まれても耐えられるように挂甲を重ね着して、踊り出、雄叫びをあげながら抜刀して橋上を疾駆すると、無数の矢が突き刺さりました。が、彼は怯まず橋を駆け抜けました。

西側に整列して矢を射ていた大友軍の兵は、眼前に獣の様な形相の稚臣を見て恐怖に駆られ逃げる余裕もなく斬られて逝きました。男依はこの機を捉へ、全軍に総攻撃を命じ、橋の西側へ攻め込みました。

智尊は必死で奮戦しますが、捕らえられ、男依に知略と武勇は称えながらも、定めにより斬殺されました。(大友皇子の本陣が静かに退くのが、遠望された、と云われています。)

同日、琵琶湖北岸の大海人軍の別動隊(羽田矢国.大人父子と出雲狛)は、西岸道を守る三尾城(みおき:滋賀県高島町)を攻撃して、落城させました。また、大和飛鳥から上ツ道、中ツ道、下ツ道の三道を北上した紀臣の大海人軍は、淀川の山前(京都府大山崎町)に到着して布陣を完了しました。

翌日(23日)瀬田の戦で大勝利した村国男依の大海人軍は、橋を渡り粟津岡(大津市膳所)に全軍集結しました。

一方、敗走した大友軍は左右大臣等の姿はなく、大友皇子はわずかの供を従えるだけとなり、全ての退路は大海人軍に断たれてしまったのです。

大友皇子は最後まで付き添った舎人(物部連麻呂)を大海人軍に遣わしました。村国男依将軍は大友皇子の名誉ある死のため、全軍に攻撃を一時中止させました。

物部麻呂が大海人軍の前に再び現れ、皇子の最後の様子を涙ながら報告し、皇子の首を差し出しましたが、流石に誰も正視する者がいなかったと云われています。

壬申の乱後、大海人皇子の裁きです。重罪は8名で、特に大友皇子の帷幕(いばく)として作戦を立案し、実権を握っていた中臣金は極刑、大友皇子擁立の盟約を結んだ者も処罰して政権から排除しました。その他の人々は寛刑で済ませました。

大海人皇子は、天武2年(673)正月、飛鳥淨御原宮で即位し、天武天皇となり、大臣を置かず皇族や皇親を中心とする皇親政治を採り、律令体制の国家を目指しました。

天武天皇は現体制の有能な官僚を温存して活用し、新国家建設を計り、新しい藤原京の建設を立案するのです。

大規模な造営計画の藤原京の京域は約25平方キロ(平城京:約24平方キロ)あり唐風の都城:礎石建築で瓦を葺いた建物、史上初の条坊制を布いた本格的な都城:を目指すのです。(造営プランは天武13年3月に決定されました。)

この皇位継承をめぐる大戦は、天武天皇妃の鸕野皇女(後の持統天皇)にとっては、我が子草壁皇子へつなぐ天武系統体制を確立する戦いであり、大友皇子擁立の盟約者を完全に排除出来ればそれでよかったのです。

大和.飛鳥の玄関港:泉津(木津の港)へは藤原京造営用の大量の檜材が、近江の田上山(たなかみやま:大津市大神山の峰々)から瀬田川→宇治川→「木津川」へと筏に組んで運ばれ、石材や瓦などの重量物も瀬戸内→淀川→「木津川」と水運を利用して運ばれました。

「木津から大和.飛鳥へ上ツ道、中ツ道、下ツ道の3道を利用するルート」があり、泉津は藤原京から平城京へと繁栄が続いて行くのです。(完)         (郷土愛好家)

参考資料:壬申の乱    中央公論社      遠山美都男著
     戦争の日本史2  壬申の乱  吉川弘文館  倉本一宏著
     木津町史    本文篇      木津町 

2016年02月20日

◆自民党は正論も吐けない腰抜けか 

池田 元彦

 

弁護士出身の丸山和也参議院議員は、2月17日参院憲法審査会で「アメリカは黒人が大統領になっている。これ、奴隷ですよ。建国当初、黒人、奴隷が大統領になるなんて考えもしない。

ダイナミックな変革をしていく国だ」と述べ、「意図する所と違う発言をした」と審査会後、陳謝した。

丸川珠代環境相は2月10日衆院予算委員会で、東京電力福島第1原発事故後、除染長期努力目標である「年間1mSv」について「当時の環境相が何の相談もなく突然決めた」と7日講演で発言したが「記録を取っていない。曖昧な記憶で申し訳ない」と、謝罪を拒否した。   

昨年8月参院平和安全法制特別委員会で礒崎陽輔首相補佐官は、集団的自衛権の限定的行使容認の安全保障関連法案に関し「法的安定性は関係ない」と発言し、集団的自衛権反対派の同僚議員吉田博美は理事会謝罪を提案し、紆余曲折を経て結局30日に国会で謝罪させられた。

「謝罪」の意味とは、一般には「罪や過ちを認めること」とされ、「陳謝」は「謝罪に加えて、詫びを添えること」だと言う。更に日本人同志では詫びることで和解に繋がり水に流すことになるが、海外、国際的には「謝罪には、賠償が伴う」のが常識だ。そして謝罪は相手にとり、永遠の切り札となる。

国際交渉に正義など無い。有るのは力関係だけだ。「謝罪」は相手の交渉力を強めるだけで、決して「不可逆性の最終決着」の和解には至らない。一度謝罪すれば、幾ら賠償や和解金を払っても次の賠償狙いの謝罪要求が来る。こんなことは戦後何度も経験しても、何故改善できないのか。

10年以上前靖国神社に車で参拝した。助手席の妻がドアを開けた時、隣に入庫して来たワンボックスカーのドア側面に僅かながら当り、疵はないが通常では判らない程の凹みが出来た。早速その車の主が「謝れ」と言い「謝った」。参拝が終わって戻ってきたら未だそこにいて再度謝れと来た。

改めて凹みを見たが殆ど何ともない。何度も謝れと言われ名刺交換し保険会社任せで合意したが、その後会社に毎日謝れの電話。「煩い、何度も謝り保険会社任せだ」とこちらも啖呵を切った。保険会社から後日、修理は良いから現金で精算しろ、としつこく言うので応じた、との報告があった。

余談はさて置き、丸山議員発言趣旨は「米国は黒人奴隷の国だったが、今や黒人が大統領になれる迄の国柄だ。集団的自衛権、安保条約、拉致問題等もダイナミックに対応できる国だ。日本が51番目の州となれば、即座に懸案事項が解決する」との、至極尤もな発言で謝罪不要だ。

丸川議員発言も謝罪すべきところは一切ない。3.11原発放射能漏洩で、細野元環境相が国際基準を大幅に離脱し根拠なく1mSvと定め、この結果1兆円以上の土壌・屋根等の無駄な除染、不要な強制退避生活への痛烈な批判と責任追及発言であり、寧ろ自民党は拍手すべきところだ。

ICRPは「万一事故や核テロにより大量の放射性物質が環境に漏れるような非常事態が起こった場合には、一般人の場合で年間20〜100mSvの間に目安線量(参考レベル)を定める」と明記している。放射線では死者は1人も出なかったが、強制避難生活では1700人前後死者がいる。

加えて最近の民主党の質疑は小学生以下か、いちゃもんをつけるその筋の揚げ足取りばかりだ。

本来自民党自身が論争を避けず主張を明確にし、自民党国益指向の中核議員の発言に野党からの謝罪要求があれば、党を挙げて擁護、反論をすべきで、逆に謝罪させる等以ての外である。

安全運転を心掛けるのを非難はしないが、正々堂々と正論で勝負すべきではないか。