2016年02月09日

◆私の「身辺雑記」(311)

平井 修一


■2月6日(土)、朝は室温12度、冷える、曇/晴、ハーフ散歩。

迷走シャープは台湾の大企業に抱えられることになりそうだが、安住の地が保障されているわけではないので、これからも波乱はあるだろう。まったく商売は大変だ。(国民党凋落による台湾企業の大陸離れの象徴になるかもしれない)

昔はひとつの技術をマスターすると30年間食えた。文選工、植字工もそうだったが、日進月歩の技術革新で仕事そのものがなくなってしまった。先見の明がないとしくじるが、来年のことさえ予測できないのだから3年後、5年後なんてなかなか分かるものではない。

現代ビジネス2/4『年俸1億円以上の役員が23人!三菱電機「絶好調」の理由は「撤退する勇気」目立たないけど給料も業績もすごい』から。

<「選択と集中」「技術革新」と連呼して思考停止に陥り、日本の電機メーカーは次々に倒れていった。だがこの会社だけは、本当に大事なことを知っていた。ただ攻めるばかりが経営ではないのだ。

*完全に一人勝ち

「業界の内部では、野武士の日立、商人の松下に対して、三菱はあまり闘争心のない『殿様』と長年揶揄されてきました。売り上げも総合電機メーカー3社の中では『万年3番手』と言われ、ずっとパッとしなかった。

ですが現在の好調は、そうした社風がいい方向にうまく働いている結果なのだと思います。

三菱電機には、『1位を目指さなければならない』という気負いや、『寝食を犠牲にして働く』という必死さが薄い。だからこそ、必要なときに大きな改革に踏み切り、正しい戦略を立てることができた。『プライドよりも生き残ることが大切』と割り切れることが、彼らの強みでしょう」

こう語るのは、東京大学大学院「ものづくり経営研究センター」特任研究員の吉川良三氏だ。

吉川氏は日立製作所や日本鋼管、韓国サムスン電子で長年技術者として働き、サムスンでは常務まで務めた。氏は2代前の下村節宏社長時代、乞われて三菱電機の役員会で提言をしたことがあるという。

「私はそのとき、サムスンが家電事業に集中的に設備投資していることを踏まえて、『家電は激戦になる。撤退を進めるべきだ』と提案しました。

当時の電機業界にはまだ、『日本が韓国なんかに負けるわけがない』と考えている人もたくさんいましたが、三菱電機の幹部は私の話を真剣に聞いてくれた。このとき役員だった、前社長の山西健一郎さんと、現社長の柵山さんが、数年後にその提案を実行したのです。

その後、家電市場は海外メーカーが席巻し、三菱電機以外の日本勢は案の定、苦戦を強いられることになりました。私の発言で撤退を決めたとは思いませんが、少なくとも三菱電機の経営陣に、『勝てない』と見た分野からはためらわず退く決断力があることは間違いありません」

(それを可能にしたのは)社風の独特さだ。家電メーカー社長の多くが東大出身者で占められている中、三菱電機だけは京大系の社長が多い。東大卒の柵山現社長を除けば、過去5代、23年にわたって京大出身者が続く。吉川氏はこう分析する。

「東大出の技術者は、自分の知識や判断に自信を持つあまり、道を誤ってもそれを認められない人が少なくない。でも三菱電機の場合は、こだわりが弱くてのんびりした京大的な気風のおかげで、ダメな事業はきっぱり諦め、別の道を探す柔軟性を持てたのかもしれません。

厳しい競争に勝ち残ろうとして無謀にリスクをとる企業が多い中、『負ける勝負はしない』という慎重さが、逆に強みになっているのでしょう」

戦わなければ、負けることはない――この信念を「軟弱」と笑うのは簡単だ。しかし生き残ることができなければ、結局は何の意味もない。三菱電機の成功は、ビジネスには時に「撤退する勇気」も必要だということを教えてくれている>(以上)

東大と京大・・・東大では「卒業したら優秀なやつは官僚か学者になる。ダメなやつが民間へ行く」がキャンパスの常識のようだ。官尊民卑だな。

この記事を読んで産経書評1/30「何もしなくていい自由…『僕はなぜ小屋で暮らすようになったか 生と死と哲学を巡って』」を思い出した。著者の高村友也は東大出だ。

<掘っ立て小屋や河川敷での生活が記される。平成21年、山梨県の雑木林にわずかばかりの土地を購入し、自らの手で小屋を建てた。湧き水をくみ、薪(たきぎ)を拾い、ダルマ型ストーブで暖を取る。ソーラー発電で照明やノートパソコンの電源をまかない、収入はときどきするアルバイトで得る。

神奈川県内の河川敷にも土地を購入してテントを張り、行ったり来たり。完全な自給自足ではなく、「生活の全体を質素にしたい」だけなのだという。

33歳の著者は東京大哲学科卒業後、慶応大の大学院を修了。人間関係を築くのが苦手で、人と関わることなく生きるために人里から離れたそうだ。外部とはパソコンのメールを通じてやりとりする。

「僕は欲望を追求してなんでもできる自由よりも、極めて基本的な労働以外に何もしなくていい自由を好む」などと、意味深く哲学的なことばであふれている。

編集を担当した同文舘出版の竹並治子さんによると「反応は賛否両論さまざま」だとか。4年前に同社が出版した前著『スモールハウス 3坪で手に入れるシンプルで自由な生き方』は話題を集めて韓国でも翻訳出版された。本書についても早速翻訳のオファーが届いているという>

発達障害は“東大病”だな。良い子は戦うことを知らないから自殺する、あるいは蹴落とされたり河川敷で殺されたくないから隠遁する、引き篭るしかないのだろう。

同書はHenry David Thoreauの「森の生活」に表向きはそっくりだ。アマゾンのPRにはこうある。

<ソローは、ウォールデン湖畔の森の中に自らの手で小屋を建て、自給自足の生活を営んだ。湖水と森の四季の移り変り、動植物の生態、読書と思索等々が、「詩人博物学者」の清純な感覚で綴られる>

ただソローは交際を断って逼塞していたわけではない。友との往来もあり性格は明るい。

ウィキによると「ソローはハーバード大学卒業後、家業の鉛筆製造業、教師、測量の仕事などにも従事したが、生涯を通じて定職につかなかった」。ずっと一人暮らしだったようだが、これでは体に悪い。

小生は健康維持はバランスのとれた食事と適度な運動が肝心だと思っている。ペラペラと本をめくったが、ソローは畑で豆、ジャガイモを“自然農法”で作った(カネがかかるから堆肥ゼロ!、面倒だから除草もあまりしない、つまり三流産品だろう)。

畝の長さの合計は7マイル(11キロ、広い!)、これを村へ運んでライムギやトウモロコシの粉と交換した。近くのウォールデン湖で最初の頃は釣りもしたが、「動物の肉にはどこか不潔なところがある」と口にしなくなった。

まあ、今でいうベジタリアンだ。それも極端で、コーヒー、紅茶、酒も飲まない、香辛料もダメ、そもそも味覚、食欲を軽蔑し、少しのパンとジャガイモだけ。どうなったか。結核のため44歳で死去した。早すぎる。

それにしても、なんとソローは死後150年もたつのに「小さな政府、余計な干渉するな、もう増税にはうんざりだ」の茶会党に影響を与えているという。ソローは人頭税の6年間未納で収監されているから、茶会党と通じるところがあるのだろう。

兼好法師こと卜部兼好(うらべかねよし)は従五位下の宮仕えを終えて30歳あたりで出家したが、隠棲とは言え盛んに交際している。

当時は通い婚が盛んで、兼好法師は「妻(め)といふものこそ男の持つまじきものなれ。いかなる女なりとも、明暮添ひ見んには、いと心づきなく、憎かりなん。よそながら時々通ひ住まんこそ、年月経ても絶えぬ仲らひともならめ」(妻は不要だ、どんな女でも毎日顔を合わせていたら興醒めする、通い婚が一番いい)と書いているから妻帯したことはなさそうだ。

出家したら通い婚は止めただろうが、享年68。当時としては長寿だろう。

荘園からの収入や和歌の指導による謝礼などもあって、通いの婆さん、小女の用意でちゃんと一汁二菜、ときどき魚付きの飯(お呼ばれなら京料理か)を食っていたに違いない。

ソローや高村がウブながら自尊心の高い東大出身タイプなら、兼好は海千山千の京大出身のリアリストだろう。「物をくれるのはいい人だ」なんて臆面もなく書いている。

面子を守りたいという気持ちはわかるが、「三十六計逃げるに如かず」「逃げるが勝ち」という選択肢も忘れてはならないということだ。

ただ撤収、撤退は非常に難しい。結婚は楽勝、離婚は難儀。追撃を受けながら撤退する部隊を守る殿戦(しんがりせん)は一番難しく危険だという。シャープがへばっているのなら「この際だから奴らの家電市場を奪ってやろう」というのが商売の掟。どの業界でも大手5社間の競争はすさまじい。情け容赦ない。

三菱自動車は米国現地生産から撤収するそうだが、三菱グループにはそんなDNAがあるのかもしれない。「逃げの三菱、深追いシャープ」か。「逃げの小五郎」は畳の上で死んだが、西郷先生は戦場で自裁(戦死)され、神になった。

日本人のDNAには「白旗を上げない」があるようで、これにはいい面と悪い面がありそうだ。功利実利は確かに大事だけれど、生き方死に方の美学も絡むからなかなか難しい。「往生際が悪かった」なんて少なくとも小生は言われたくないなあ。西郷先生の最後の言葉「晋どん、 もうここらでよか」、こういうふうに生きたい死にたい。

「平井君、さっきからグチャグチャ言っておるが、それは議論だろう。議論は局中法度だ、武士道にもとる。潔く逝き給え」

敗者であり賊軍だった新撰組が今なお愛されているのは美学ゆえだろう。「美人はとかく人騒がせ」、美しいものには妖しさもある。クスリ天国から地獄へ、清原沈没。

常在戦場、早朝、台湾高雄で大地震、同志諸君、カンパを! 自衛隊とハイパーレスキュー、準備を! 恩には倍返しを! イザ!

■2月7日(日)、朝は室温12.5度、少し緩んだ、快晴、ハーフ散歩。

夕べは親猿小猿来襲、11人で春巻、カツ丼、ポテトサラダなど。今朝は肉まん、雑煮、塩鮭、タラの粕漬け、イモと豆の炊き込みご飯など。板長は忙しい。

高雄大地震は土曜日、春節休暇入りで台日ともアクションが遅いようだ。義援金の送り先が分からない。ちょっと間が抜けているような・・・

これもまあヌルイ話だが、ビーグルのぬいぐるみを発注しようとしたら「売り切れ」。問い合わせたら「入荷予定なし」。困った。あれこれ思案していたらスヌーピーのぬいぐるみがあったので、写真を見ながらアクリル絵の具で着色。それらしくなり、定位置のソファの上において、毛布をかけたら、なんとなく愛犬のよう。

3Dプリンタで亡き人、動物の実物像などを創ればビジネスになるのではないか。リアルに動いて対話もできればなおさらいいが。未練と言えば未練だが・・・

北京政府は国際圧力をかわすために高官を訪朝させたが、その当日に北はミサイル発射を公言し、北京に恥をかかせた。北は上海閥=瀋陽軍区の縄張りだから、北京・習近平は手出しができない。中共凋落の象徴の一つだ。

ダニエル・リンチ/南カリフォルニア大学国際関係大学院准教授の論考「“中国の台頭”の終わり 投資主導型モデルの崩壊と中国の未来」(フォーリンアフェアーズレポート2016年2月号)抄録から。

<いまや中国はリセッションに直面し、中国共産党の幹部たちはパニックに陥っている。今後、この厄介な経済トレンドは労働人口の減少と高齢化によってさらに悪化していく。

しかも、中国は投資主導型経済モデルから消費主導型モデルへの移行を試みている。中国の台頭が終わらないように手を打つべきタイミングで、そうした経済モデルの戦略的移行がスムーズに進むはずはない。

でたらめな投資が債務を膨らませているだけでなく、財政出動の効果さえも低下させている。

近い将来に中国共産党は政治的正統性の危機に直面し、この流れは、経済的台頭の終わりによって間違いなく加速する。

抗議行動、ストライキ、暴動などの大衆騒乱の発生件数はすでに2000年代に3倍に増え、その後も増え続けている。経済の現実を理解しているとは思えない習近平や軍高官たちも、いずれ、中国経済が大きく不安定化し、その台頭が終わりつつあるという現実に向き合わざるを得なくなる>

こういう見方が世界で主流になってきたのは結構なことだ。だが、騙される人も依然として多い。

♪ジョコさん 泣いてんのね だから云ったじゃないの 新幹線が只なんて インチキ野郎の云うことを バカね 本気に本気にするなんて まったくあんたはうぶなのね 罪なやつだよ 習近平

習近平は世界中で大盤振る舞いをしていたが、インドネシアの新幹線はちょこちょこっと手を付けた後は放置せざるを得なくなるだろう。ただのリップサービス、宣伝みたい。他にも世界中でプロジェクトをぶち上げたが、それが完成した話はほとんど聞かない。アフリカへの援助も成功した話は聞かない。

デボラ・ブローティガム/アメリカン大学国際関係学部教授の論考「中国のアフリカ援助をめぐる4つの誤解」(朝日2/6)から。

<中国は50年以上前からアフリカに援助している。1960年代後半に建設が決まったタンザニアとザンビア間を結ぶタンザン鉄道建設への援助が代表例だ。

中国は近年、援助額を伸ばしてはいる。だが、主な先進国と比べるとまだ少ない。2007年のアフリカへのODAの金額は米国76億ドル、仏49億ドル、英28億ドル、日本27億ドル、独25億ドル。これに対し中国は14億ドルだ。

間違った印象が流布した一因は、世界銀行などの不正確な発表にある。世銀は中国のアフリカ援助額は1956年以降で「440億ドル」(平井:現在のレートで5兆円)としたが、実際は「440億人民元」(7900億円)だった。報道にも誤りがあり、これらを米国議会調査局も引用している。

中国はアフリカの豊富な資源の獲得も目指している。だが、そこで使われる手法は公的機関による無償援助ではなく、経済的な得失を考えた投融資の性格が強い。例えば、中国はアフリカの天然資源を担保に自国製機材を輸出し、その代金を資源で受ける。(平井:タンザン鉄道により中共はザンビアから銅を得た。典型的な資源外交)

これは1970年代に日本が中国に対して採ってきた手法だ。当時の中国では日本の融資を受けるかを巡り大変な議論になったが、自国の発展のための取引と判断して受け入れた。これに似た取引を、中国がいまアフリカに示しているわけだ>

手本は日本か。それなら師弟の礼をとるべきだろう。まったく無礼千万、斬り捨てご免だ。

中共のバラマキは基本的に援助でなく「投資」なのだ。常に見返りを狙っているから、ジョコに新幹線を約束したものの、投資を回収するまでにべらぼうな時間がかかるから早くもやる気なし。大盤振る舞いの姿を世界にアピールしたら、もうそれで終わりみたいだ。

発車ベルの鳴らない「新幹線ジョコ号」、日本にお鉢が回ってきそうな・・・習の尻ぬぐいかよ、憂鬱だな。

今朝から腹の具合が悪い。小猿の大騒音によるストレスだろう。愛犬は初孫が生まれるとストレスで血尿、血便になった。小生もそうなるか。散歩中にお腹がグルグルしてスーパーLに飛び込んだが、ついでに旨そうな初鰹といつものワインを求めた。

午後に日光結構猿軍団は機嫌よく帰っていったが、月、火曜日に小猿3匹がまた来るという、嗚呼・・・

■2月8日(月)、朝は室温11.5度、あまり寒くない、快晴、2/3散歩。寺へ寄ったらケキョケキョ、鶯の声。蝋梅と紅梅が盛りだった。墓掃除。町内会の花壇では菜の花がずいぶん咲いていた。

支那では「東の敵を叩くために、西の方を向いて罵る」という喧嘩作法があるそうだ。孫子の兵法第二十六計「指桑罵槐(桑を指して槐(えんじゅ)を罵る)」とは「直接相手を批判するのではなく、別の者を批判することによって、間接的に相手を批判する。槐=地位の高い人」。

上海閥・瀋陽軍区は習近平・北京政府を叩くために北朝鮮から西側社会へミサイルを発射させたのだろう。習の顔に泥を塗り、つまりは軍政改革に猛反発しているわけだ。

支那のネットでも「北は北京に向けていつ発射するのか」という書き込みがあったそうだが、おそらく真相は「北VS米国など国際社会」でも「北VS中共」でもなく、「上海閥・瀋陽軍区VS習近平・北京政府」、つまり権力闘争に違いない。

そう見ればいろいろなことがはっきりしてくる。北朝鮮では張成沢などの高官の粛清、弾圧が行われているが、上海閥・瀋陽軍区による「北京派つぶし」と見れば分かりやすい。

話は変わってバーニー・サンダースとヒラリーは接戦とか。彼は「民主社会主義者」を自任しているが、社会主義者=共産主義者だ。日本社会党と日本共産党を見れば分かるが、ともに根っこはマルクス・レーニンだ。社会党左派=向坂派は日共よりはるかに過激だった。

社会民主主義も定義があるわけではないが、「暴力革命や独裁は否定し、選挙、自由、民主主義は保障する。しかし大企業は国営化し、金持ちから税金を取って貧乏人に回す」というのがおおよその政策だ。自由主義市場経済を制限するもので、サンダースの民主社会主義も多分似たようなもの、貧乏人の味方、金持の敵だろう。

要はサンダースはアメリカンドリームを否定しているのだと思う。アメリカンドリームを結果的に体現できるのは1%(300万人)かも知れず、多くはレースで入賞を逃し、落伍する者もいる。

しかし、アメリカンドリームを目指すことが米国のパワーの源ではないのか。スタートアップ(外部からの資金提供を受けた起業、ローリスク)に挑戦する若者はとても多い。

努力しないでも社会保障でそこそこ生活できるとなれば、米国のパワーが削がれることになりはしないか。国を支える中間層=普通の人は競争の中で育ってきたのではないか。メダルは取れなかったもののしっかり完走した。

「(米国は)約40年前の1971年では、中間層が総人口の61%を占めていたが、2015年には中間層は若干ながら50%を切るところまで減少した。Pew(リサーチ)によると、今年の中間層の総人口は1億2000万人」(沢利之氏/元三井アセット信託銀行執行役員)。

小生自分を「7勝7敗1引き分け」だと思っている。勝ち組でも負け組でもない中間層だ。努力すればそれなりに報われる社会、自力更生の中間層を育てることこそが国力を増大させることになるはずだ。

そういう意味でサンダースの(低所得層の票を当て込んだような)社民的な政策は米国を弱体化させるだろう。緑の党に鼻面を引っ張られているドイツは斜陽化を始めるのではないか。(2016/2/8)

◆「リハビリ」って?

向市 眞知

「リハビリ」という用語は訳さなくてもよいくらい、日本語になってしまいました。しかし、この用語がとても曲者なのです。皆がこの用語
の前向きなところにごまかされ、便利にしかも安易に使ってしまいます。

医師は最後の医療としてリハビリに望みをつなげる言い方をします。家族は家にもどるためにはリハビリを頑張ってほしいと期待をかけます。患者もリハビリを頑張れば元どおりになれると思います。

リハビリとは「再び生きる」という用語と聞きました。この概念で考えるととても幅広い概念です。

病院にはリハビリテーション科があり、そのスタッフには理学療法士、作業療法士、言語聴覚訓練士という、国家資格をもった専門技師がそろっています。身体機能回復訓練に携わるスタッフです。

医師が「リハビリ」という用語を使う場合にはこのようなリハビリテーション科のスタッフによる訓練を指すだけではなく、「再び生きる」心構えをもちましょう、という意味を含んでいる場合が多いのです。

しかし、患者、家族の方はリハビリは療法士がするものと思い込んでいるケースが多いように思います。よく言われるのに「リハビリが少ない」、「リハビリをしてもらえない」というクレームがあります。療法士がするものだけがリハビリなら、診療報酬上点数がとれるのは一日20分から180分です。

「リハビリを受けさせたいから入院させてほしい」とよく言われますが、一日の何分の1かの時間のリハビリだけで「再び生きる」道のりを前に進むことはむずかしいものです。あとの時間をベッドに寝ているだけでは、何の意味もありません。「リハビリのために入院している」というだけの安心感の意味しかありません。

いくら日本一の理学療法士の訓練をうけたからといって、患者本人が「リハビリをする(再び生きる)」心構えになっていなければ、空振りに終わってしまいます。

マヒした身体に対して、拘縮してしまわないように理学療法士が外から力を加え訓練をすることはできます。でも、訓練が終わって身体を動かさなければもとの木阿弥です。

しかし、言語訓練はそうはいきません。本人が声を出そう、話そうとしなければ訓練になりません。「絶対話すものか!」と口をつぐんでいる患者に訓練は意味を為しません。まずは声を出してみよう、話してみようという気持ちになるように、心理的にリラックスしてもらうことから訓練を始められると聞きました。

このことからわかるように、リハビリは本人次第なのです。そしてやはりリハビリも療法士と患者の協同作業なのです。

療法士さんの訓練の20分が終われば、患者自らがもう一度リハビリのメニューをくりかえしてやってみることや、家族が面会時間に療法士に家族ができるリハビリを教えてもらい、リハビリの協力をしてみるなど、何倍にもふくらませていくことがリハビリの道のりなのです。

療法士さん任せにしないこと、繰り返しやっていくこと、退院しても療法士さんがいなくてもリハビリ、再び生きる道のりは続いていること、それを実行するのは自分であることを忘れないでいてほしいと願っています。

2006年4月の診療報酬改定で更にこの認識が重要になってきています。療法士による機能回復訓練が継続してうけられる回数の上限が疾病により90日〜180日と定められました。これ以上の日数の訓練を続けても保険点数がつかないことになりました。医療機関は保険がきかなくなれば、リハビリを打ち切らざるをえません。

患者も10割自費で料金を支払ってまでリハビリを続けることはできないでしょう。リハビリは入院の中でしかできないものではなく、退院しても自宅でもリハビリを続けていく意気込みが大切です。

                         ソーシャルワーカー

2016年02月08日

◆ウィグル部隊はトルコが支援

宮崎 正弘 



<平成28年(2016)2月7日(日曜日)通算第4804号 >

 ISのウィグル部隊はトルコが支援してきた
   チュルクの民族的紐帯がトルコをして中国と対決的立場を取らせる

中国が急遽成立させた「反テロ法」を西側のメディアは「コンピュータの暗合開示を義務づけた」点に力点をおいて、欧米日メーカーなどはこれに応じられないとする報道だった。

しかし「反テロ法」のもう一つの側面は中国特殊部隊が海外でカウンターテロリズムの軍事作戦を合法化しているのである。

話はなしはアフガニスタン戦争時代に遡る。アフガンに隣接する新彊ウィグル自治区から、多数の若者がタリバンへ流れ、その後、アルカイーダの兵隊として加わった。往時の銭基深外相は、その数を「千名」と回想録に書いた。

事実、ウィグル兵士は米国に捕虜となってグアンタナモ基地へ送られ、二2年余の取り調べのあと、「アルカイーダとは関係なし」として、そのうちの5人が釈放されたが、中国へは帰れない。

そこで受け入れ先を捜すとアルバニアが引き受けた。かれらは現在もアルバニアで、生活保護を貰いながら生活している筈である。

その後の中国インテリジェンス情報によれば、ウィグル兵士のうち300名が、ISが奪取したシリアとトルコの国境地帯にいて戦闘を続行しているとされる。また、このウィグル部隊の兵站支援をトルコが行っていると欧米の情報筋はほぼ断定している。

歴史的な事実関係をみると1864年から1876年まで、現在の新彊ウィグル自治区においてチュルク系ムスリムの反乱が起こった。コーカンド系列のヤクブ・ベクが指導者だった。

民族的紐帯からトルコは兵器と兵員をカシュガルに送った。当時のトルコはオスマントルコ帝国である。歴史を紐解けばあきらかなように、アナトリア半島へ漂着したチュルクはその昔、中国北部にいた凶奴、突厥、鉄勒の民、それがトルキスタン、カザフ、ウズベク、キルギスからペルシアへ雪崩れ込み、もう一つの移動ルートがカスビ海の手前、トルクメニスタンへ流れ込む。

現在、ISの構成員のなかにこれら中央アジアからの志願兵は1500人と推定されている。

ユスフ・アルプテキンという指導者が登場したのは、1948年に中国が新彊ウィグルを侵略したあと、トルコへ逃れた反中国分子の集団を率いた。アルプテキンはトルコ国内に拠点を構築した。

冷戦時代のトルコは反共を是とするNATOの一員であり、反ソ、反中である。

アルブテキンは、ウィグル亡命者の指導者として、第一にトルコ国内に於ける政治的ポジションを確保し、またオザル首相などと接触して強力な支持を獲得する一方で、第二に国際的には反共産主義のムスリムを糾合する運動をはじめ、その影響力は台湾にまで及んでいた。

当時、イスタンブール市長だったエルドアン(現大統領)も、チュルク系ウィグル人への支援におおいに理解を示してきた。その証拠にエルドアンはブルーモスクのそばの公園を「アルブテキン記念公園」と命名したほどだった。

 
 ▼ソ連崩壊がもたらした地殻変動

そして冷戦が終わり、ソ連が崩壊した。

カフカスの3ヶ国、中央アジア5ヶ国が独立を果たした。カフカスでのイスラム国家はアゼルバイジャン(ただしシーア派が主力)、中央アジアはタジキスタンをのぞく、トルクメニスタン、キルギス、ウズベキスタン、カザフスタンがスンニ派であり(タジキスタンはペルシャ系で、ダリ語を喋る)。

この独立にトルコに亡命していたトルコ系ウィグル人は驚喜した。「東トルキスタン」として新彊ウィグル奪回、独立の日が近い、と希望に胸躍らせたのも宜なるかな。

エルドアンは「東トルキスタンの殉教はわれわれとトルコ系民族の殉教であり、文化、文明という近代的価値観の浸透により、連帯を続ける」云々と演説した。

明確にトルコは中国に対峙したのである。

中国の焦燥は、ほぼ恐怖心に近い。東トルキスタン独立を武力で阻止するために徹底的な弾圧を強化し、アルカイーダやISと何の関係もない人々も、ちょっとでも反共産党的な言辞をはけば逮捕、射殺、処刑という遣り方を取ったため、怨嗟が拡がり、むしろウィグルの民を追い詰めた。

暴動が頻発し、多くは隣接のカザフスタンへ逃れた。一部の絶望組は自爆行為に走り、北京で昆明で、そして広州で無差別テロ、爆弾テロを展開した(それは北京の管制された一方的な報道で、真相は分からないのだが)。こうした強硬路線はウィグルの民を完全に反共産党、反漢族路線へと追いやってしまったのだ。


 ▼ウィグルの絶望組は自爆テロ、流浪組はタイへ逃れ難民化

そこから砂漠の民のルートを通過して、一部がシリアのISへ合流した。一部は陸路反対方向のミャンマーからタイへ流浪の旅を重ねる。

中国は後者ルートによってタイへ逃れ難民キャンプにいるなかの108名を、バンコクに圧力を掛けて中国に強制送還させる。直後にバンコクのエラワン廟が爆破され、中国人観光客を含む20人が犠牲となるテロ事件もおきた。

中国はSCO(上海協力機構)を新設し、ここに中央アジアのイスラム国家群を加え、表向きは「経済協力」、実態は東トルキスタン独立運動つぶしのため、カザフ、ウズベクの世俗政権の諜報機関との協力が必要だったのだ。

他方で中国はトルコへの懐柔作戦にでる。

それが港湾整備プロジェクトへの協力、そしてアンカラとイスタンブールを結ぶ高速鉄道建設など、経済協力を惜しまず、トルコへにこにこと作り笑いを浮かべて接触し、他方でシリア国内にいるウィグル分子の活動に目を光らせてきた。

中東に飛び交う多彩な情報のなかでも、ウィグルの若者はカネにつられてISに加わっているとか、トルコ政府はかれらに偽パスポートを発給しているとか、中国はスパイをIS部隊にいれたとか。

いずれも国際間に流れる陽動、偽造、攪乱情報のたぐいかも知れず、検証できない情報が飛び交っているのが今日的情況である。

◆中国「100年マラソン」の野望

伊勢 雅臣



「過去100年に及ぶ屈辱に復讐すべく、中国共産党革命100周年にあた る2049年までに、世界の経済・軍事・政治のリーダーの地位をアメリカから奪取する」


■1.「自分が信じ込んでいた仮説は、危険なまでに間違っていた」

過去30年にわたって中国専門家としてアメリカの歴代政権の対中政策に関わってきたマイケル・ヒルズベリー博士が著書『China2049 秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」』[1]で、自分がいかに中国に騙されていたかを赤裸々に語って、話題を呼んでいる。


わたしは、1969年に中国との連携を後押しする最初の情報をホワイトハウスに提供したひとりなのだ。以来、数十年にわたって、技術と軍事の両面で中国を援助することを両党の政権に促してきた。

その間を通じてわたしは、アメリカのトップレベルの外交官と学者が共有する仮説をすっかり信じ込んでいた。・・・すなわち、「中国は、わたしたちと同じような考え方の指導者が導いている。

脆弱な中国を助けてやれば、中国はやがて民主的で平和的な大国となる。しかし中国は大国となっても、地域支配、ましてや世界支配を目論んだりしない」というものだ。・・・

こうした仮説は、すべて危険なまでに間違っていた。現在、その間違いが、中国が行うこと、行わないことによって日に日に明らかになっている。[1,162]

 一人の専門家が、これほど率直に、かつ1冊まるまるを使って自らの過ちを世に公表した事はかつてあっただろうか。文章は冷静で淡々としているが、紙背からは、30年も中国に騙されていた責任を痛感し、まだ間に合ううちに世界の人々に真実を知らしめたい、という静かな執念が感じられる。


■2.「100年マラソン」

博士が「危険なまでに間違っていた」と悟ったのは、次のような経緯だった。

1990年代後半のクリントン政権下で、博士は国防総省とCIAから「中国のアメリカを欺く能力と、それに該当する行動について調べよ」と命ぜられた。そこで諜報機関の秘密資料にあたったり、中国の反体制派をインタビューするうちに、従来の「中国の平和的な台頭」という仮説とは矛盾する事実が続々と出てきた。

やがて見えてきたのは、タカ派が、北京の指導者を通じてアメリカの政策決定者を操作し、情報や軍事的、技術的、経済的支援を得てきたというシナリオだった。これらのタカ派は、毛沢東以降の指導者の耳に、ある計画を吹き込んだ。

それは「過去100年に及ぶ屈辱に復讐すべく、中国共産党革命100周年にあたる2049年までに、世界の経済・軍事・政治のリーダーの地位をアメリカから奪取する」というものだ。この計画は「100年マラソン」と呼ばれるようになった。共産党の指導者は、アメリカとの関係が始まった時から、この計画を推し進めてきたのだ。[1,281]

中国はアメリカの伴走者を装って助けて貰い、十分力をつけてから、最後のラストスパートでアメリカを抜き去って勝者としてゴールインする、という戦略なのである。


■3.「100年マラソン」が引き起こした中ソ対立

博士が「100年マラソン」の戦略に気がつくと、中ソ対立もそれが原因だった事が、改めて了解できた。

1969年、中国はアメリカに、ソ連と対抗するための協力をしたいと申し出た。ニクソン政権はそれを受けるかどうか決定するために、博士に分析を求めた。

博士は国連本部事務局のソ連職員アルカディ・シェフチェンコと仲良くなり、彼の意見を引き出した。彼は、何十年も中国はソ連の援助に頼る弱者を巧みに演じてきたが、その後で「ソ連の指導者は中国が共産圏の支配、ひいては世界支配を目論んでいると考え、中国人を憎み恐れている」と語った。

ソ連から来た他の国連職員もこう警告した。「中国に脇役に甘んずるつもりはない。彼らには彼らのシナリオがあり、世界という舞台の主役を射止めるためなら何でもする覚悟だ。アメリカが中国の誘いに乗れば、予想もしない結果を招くだろう」と。

しかし、当時、中国の経済規模はアメリカの10分の1に過ぎなかった。その中国がアメリカを追い抜くことを夢見るなどというのは非現実的なことのように思えたので、ヒルズベリー博士は米政府に直接的な中国支援を推奨した。

こうして中国との新たな関係が始まり、それは、わたしたちが考えもしなかった重大な結果をもたらすこととなった。[1,593]


■4.「今になって、自分の単純さが悔やまれる」

1978年、カーター政権下で米中関係は正常化され、アメリカは中国を積極的に支援し始めた。中国は最初の5年間に1万9千人の中国人留学生をアメリカの大学に送り込み、その後、さらに増やしていった。

1981年にレーガン大統領が署名した「国家安全保証決定令」では、中国軍の戦闘能力を国際レベルにまで底上げするために、先進的な空陸海の技術を中国に売ることを許可するものだった。

またアフガニスタンに侵攻したソ連に対して、アメリカは反ソ・ゲリラを支援して泥沼化させ、これがソ連崩壊の大きな要因となったのだが、その際にも中国から20億ドルもの武器を購入して、ゲリラ勢力に提供している。

レーガン大統領はソ連打倒という点では巨大な貢献をしたのだが[a]、その手段として中国を強力に支援して、ソ連への圧力とするという戦略をとったのだ。

レーガンは中国の危険性にも気がついていて、対中支援の指示書にサインする際にも、「対中支援は、中国がソ連からの独立を維持し、独裁体制の民主化を図ることを条件とする」という但し書きをつけたのだが、この条件はなし崩しにされた。「民主化」を図っているという中国側のポーズに誰もが騙されたのであろう。

アメリカのビジネス界も、中国市場が世界最大となるという見通しのもとに、米政府の対中支援を支持し、積極的に中国進出を図った。しかし自動車などの重要産業は中国政府との共同出資を義務づけられたため、中国側に経営を握られ、技術も盗まれていった。

自由を求める学生や若者を大量虐殺した天安門事件が起こっても、ブッシュ政権下の中国支持者は、ヒルズベリー博士も含めて、これはタカ派の過剰反応で、トウ小平率いる「穏健派」を保護すれば、彼らはやがて中国を民主化への道に戻すだろう、という一つの仮説にしがみついていた。博士はこう後悔している。

「今になって、自分の単純さが悔やまれる。優れたアナリストなら、一つにすべてを賭けたりはしない」。[1,1733]

■5.孫子の兵法

「100年マラソン」の手段は、かつてのソ連のように、核ミサイルなどの軍事力のみでアメリカを凌駕しようという単純なものではない。

中国の戦国時代に発達した『孫子の兵法』[b]に基づき、諜報、謀略、外交、経済など、すべての手段を使って相手を圧倒することを目指している。直接的な軍事力は総合的な国力の10%以下でしかなく、戦わずして相手を屈服させるのが最高の勝利だと考える。

たとえば2013年の米政府内の調査によれば、中国はパトリオット・ミサイル、イージスミサイル防衛システム、オスプレイなど多くの兵器システム設計にサイバー侵入したと見られている。

サイバー技術は機密情報を盗むだけでなく、攻撃にも使われる。米軍の弱点は、あまりにも最新の情報通信技術に頼りすぎている点にあり、サイバー攻撃によって兵器の通信・制御システムがダウンしたら、米軍の動きは麻痺してしまう点が大きな懸念となっている。

経済分野においても、中国政府のバックアップをうけた国営企業が世界市場でシェアを広げつつある。世界の大企業500社のランキングであフォーチュン・グローバル500には、2014年に中国企業が95社もランクインした。

その一つ、世界最大の電気通信会社の一つ「華為技術(ファーウェイ)」のネットワークを使うと情報を盗まれる恐れがあるので、米英政府は国内での同社の機器の販売を禁止している。

テロ集団や独裁国家を支援することも、米国打倒の手段の一つである。

2001年9月11日の同時多発テロの直後には、タリバンとアルカイダが中国製地対空ミサイルを受けとった事実が確認されている。アメリカの特殊部隊がそのうちの30発を発見した。

アフリカ諸国には2兆ドルもの無条件融資を餌に、反欧米プロパガンダの浸透を図り、独裁政権を支援してきた。さらにその他の地域でもシリア、ウズベキスタン、カンボジア、ベネズエラ、イランなどの独裁国家を手なずけている。パキスタンとリビアに核技術を提供した証拠も見つかっている。

こうしてサイバー攻撃や、国営大企業の世界市場進出、テロリストと独裁国家の増殖により、アメリカの覇権は着々と浸食されつつある。


■6.「100年計画は予定より早く進んでいる」

「100年マラソン」のゴールは2049年だが、近年、GDP(国民総生産)で日本を抜いて世界第2位となり、アメリカの軍事力もあって、中国内では前倒しの可能性が論じられている。


・・・中国の指導者のなかには、100年計画は予定より早く進んでいると結論づけた者もいる。学者や諜報機関の職員は、少なくとも10年、もしかすると20年も計画より先に進んでいると言いはじめた。こうして中国の指導者たちは、マラソン戦略に戦術的変更を加えるかどうか、つまり、ラストスパートをかけるかどうかを討議するようになった。[1,4429]

「ラストスパート」では、アメリカに助けられている伴走者というポーズをかなぐり捨てて、一気にアメリカを抜き去る。近年の尖閣海域での傍若無人ぶり、南沙諸島の軍事基地建設、サイバー攻撃の頻発、AIIB(アジアインフラ投資銀行)設立など、中国が今までの弱者の擬装をかなぐり捨てた可能性はある。

アメリカ側も中国が正面の敵であると認識し始めた。アメリカ外交政策を論ずる大本山である外交問題評議会(CFR)は、従来「親中派」の牙城だったが、今回出した特別報告書ではリチャード・ハース会長が序文にこう書いている。

「中国は今後数十年にわたって、アメリカにとっての最も深刻な競争者であり続けるだろう」「中国の経済軍事両面での大きな膨張は、アメリカのアジアにおける利害、あるいは全世界におけるアメリカの利害に対して、大きな危険をもたらすだろう」。従来とは打って変わった敵対的な認識である。[2]

今回のヒルズベリー博士の著書も、米世論の急激な転換に大きな役割を果たしているのだろう。

ヒルズベリー博士は、中国の「100年マラソン」に打ち勝つための12段階の戦略を展開し、それを行う時間はまだ十分ある、としている。

その内容は、「孫子の兵法」を逆用したもので、いくつかは弊誌852号「孫子に学ぶ対中戦略」[b]で、太田文雄・防衛大学校教授の著書から紹介したものと共通している。特に中国内の環境破壊や汚職のひどさを中国国民にも知らしめ、民主化勢力を支援する事は、中国共産党独裁政権のアキレス健をつく戦術である。

アメリカの強みは、共和党と民主党で目指すべき方向は違っても、いざ国防・国益の問題となったら一致団結するという点だ。中国の擬装が明らかにされた以上、米国は今後、断固として中国に対峙するだろう。


■7.日本はどう対処するのか

ヒルズベリー教授は、日本に関しては次のように語っている。

「中国のマラソン戦略が実行可能かどうかを測る試金石となるのは、日本が西の領海でますます攻撃的になる中国にどう対処するかということだろう。

少なくともこれまでの20年間、中国政府は、ライバル国(この場合は日本)のタカ派を卑劣な手段で攻撃するという戦国時代の戦略を推し進めてきた。日本を悪者にする作戦をアジア全域で開始し、日本国内の聴衆にもそのメッセージを浴びせた」。[1,4275]

我が国は「100年マラソン」との戦いの最前線で、中国と直接、対峙している。しかし、我が国の弱みは、中国の使う「軍国主義」プロパガンダに乗って、野党や左翼マスコミがいまだに「100年マラソン」の擬装を支えている事だ。敵国の国論を分裂させる「心理戦」が、孫子の兵法の一つなのだ。

まずは中国が「100年マラソン」に勝ったら、どのような世界になるのか、日本国民はよく知るべきだ。その姿は、現在の中国内の事実を見れば明らかである。

真実を語る民主派や報道記者[c]、宗教関係者は投獄され、テレビやインターネットも最先端のIT技術による検閲を受け[d]、チベット[e,f]・ウイグル[g]などの異民族は搾取・弾圧され、民衆は環境破壊と低賃金に喘ぎ、党や政府、国営企業の幹部が汚職に励む。

我々の子孫をそのような世界に住ませたくなかったら、まずは我々自身が、中国の「100年マラソン」という野望の正体をよく見極めなければならない。



■リンク■

a. JOG(889) 対中戦略を対ソ冷戦の歴史から学ぶ
 ソ連消滅はいかに実現されたのか。
http://blog.jog-net.jp/201503/article_1.html

b. JOG(852) 孫子に学ぶ対中戦略
『孫子の兵法』から、中国の弱点が見えてくる。
http://blog.jog-net.jp/201406/article_2.html

c. JOG(438 情報鎖国で戦う記者たち〜 中国のメディア・コントロール
(上)
 全世界で不当に監禁・投獄されている記者のおよそ三分の一は中国政府によるもの。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogdb_h18/jog438.html

d. JOG(439) 「天網恢々、疎にして漏らさず」 〜 中国のメディア・コントロール(下)
 中国政府は世界で最大かつ最先端の ネット統制システムを構築した。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogdb_h18/jog439.html

e. JOG(123) チベット・ホロコースト50年(上)〜アデの悲しみ〜
 平穏な生活を送っていたチベット国民に、突如、中共軍が侵略を始めた
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogbd_h12/jog123.html

f. JOG(124) チベット・ホロコースト50年(下)〜ダライ・ラマ法王の祈り〜
 アデは27年間、収容所に入れられ、故郷の文化も自然も収奪された
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogbd_h12/jog124.html

g. JOG(523) シルクロードに降り注ぐ「死の灰」
 中国に植民地支配されたウイグル人の土地に、核実験の死の灰が降り注ぐ。
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogdb_h19/jog523.html


■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け)
  →アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。

1. マイケル・ピルズベリー『China 2049 秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」』★★★、日経BP社、H27
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4822251047/japanontheg01-22/
(本文中の引用での[]内の番号は、Kindle版での位置No.です。全体で440頁、位置No.7315ですので、書籍版では例えば位置No.500は、500/7315x440=ほぼ30頁あたりと計算ください。)

2. 中西輝政「日・米・中動乱の幕開けと中国の野望『驚愕の本質』」、
正論、H27.8


◆スキャンダル封じを狙った中国当局の「犯行」

矢板 明夫



※この記事は月刊正論3月号から転載しました.


2015年12月30日の昼過ぎ、香港の中心部の繁華街にある小さな本屋、「銅鑼湾書店」の株主で作家でもある李波氏が、若い店員に「倉庫に行ってくる」と 伝えた後に出かけ、そのまま行方不明となった。

同日夜、李氏から妻に電話があり、「いまは当局の調査に協力をしている。騒ぎ立てないでほしい」とだけ伝えた。電話の発信地は中国の広東省だった。

夫婦は普段、広東語で会話しているのに、この日の李氏は電話で慣れない中国語を話し ていたことを妻は不審に思った。

また、李氏の中国に入る際のパスポートに相当する「回郷証」が自宅に残ったままで、「回郷証」がなければ、中国に入ることは出来ないはずだ。「夫は拉 致された」と思った妻は、翌日、警察に相談した。

「銅鑼湾書店関係者がまた失踪!」「中国当局が拘束か?」といった見出しは、2016年の正月早々、香港各紙の一面トップを飾った。

実は李波氏は同書店の5人目の失踪者だった。最初の事件が起きたのは2015年10月14日だった。書店の親会社である巨流出版社の社長、呂波氏が出勤せず、 連絡もとれなくなった。

その3日後、巨流出版社の株主である桂民海氏が、旅先のタ イで失踪した。防犯カメラには桂氏が複数の男に伴われ、滞在先のマンションから出て行く時の様子が映っていた。

さらにその1週間後の10月23日から24日にかけて、巨流出版社営業部長 の張志平氏と銅鑼湾書店店長、林栄基氏も旅先の広東省などで行方不明となった。香 港の警察は一連の失踪事件を捜査しているが、中国当局が情報提供を拒否しているた め、難航しているという。

銅鑼湾書店は中国政治に関する書物を扱う専門書店だ。販売だけではなく、出版部門もある。一連の失踪事件を取材した香港人記者は「銅鑼湾書店は昨年秋から中国の習近平国家主席の暴露本を出版しようとしていることが中国の治安当局の 逆鱗にふれた」と指摘した。

その上で「李氏は車のトランクに詰められ、中国側に 渡った可能性がある」と話した。

この記者によれば、銅鑼湾書店が出版しようとしている本のタイトルは「習近平とその愛人」。習氏が福建省の省長などを務めていた1990年代、地元テレビ 局の女性キャスターとのスキャンダルなどが書かれているという。

銅鑼湾書店は中国本土から観光客がよく訪れる人気スポットの一つで、中国国内で買えない共産党体制や中国指導者を批判する「発禁本」をお土産として密 かに持ち帰ることが多いだけに、本が出版されれば、国内で個人崇拝を進めている習 氏のイメージ低下は避けられない。そう判断した中国当局の治安当局は出版の阻止に 躍起となり、誘拐という強硬手段に出たとみられる。

失踪事件は香港で大きな波紋を広げた。香港の民主派団体は2016年1月 10日、「言論の自由を守ろう」と呼びかけ、香港中心部で6000人規模の抗議デモを主 催した。

その際、「香港独立」を叫んだ参加者も少なくないという。今後、事件が長 期化すれば、香港市民の反中感情がますます高まり、2014年9月から12月まで続い た香港中心部の道路占拠「雨傘運動」が再来する可能性もある。

失踪した銅鑼湾書店の5人の関係者のうち、李波氏は英国籍、桂民海氏 はスウェーデン国籍を所有している。英国とスウェーデン政府はすでに中国当局に対 し情報提供を求めるなど、事態は外交問題に発展しつつある。

中国当局も火消しに動き出している。1月5日、香港の親中派の立法会員、呉亮星氏は「未確認情報」として「5人は中国本土で買春したため治安当局に拘 束された」と議会で発言した。拘束は刑事事件で言論弾圧と関係ないことを示唆しよ うとしたが、「荒唐無稽」「密入国までして買春する人はいるか!」などと民主派 と知識人が猛反発している。

一連の失踪事件を受け、民主派系出版社「開放」は、1月に習氏を批判 する本を出版する計画を中止するなど、香港の出版関係者に大きな圧力を与えたこと は事実だ。

銅鑼湾書店の出版計画は継続されるかどうかも不明だ。しかし、失踪事件によって習氏の女性関係の暴露本に対する中国国内外の関心が高まっており、同書店 への問い合わせや本の予約が殺到しているという。

           ◇

月刊正論3月号の記事はここまでだが、続きがある。香港の民主派団体「香港市民愛国民主運動支援連合会」の主催で、市民ら約30人が2016年1月31日、5人 の即時釈放を求めて、香港島西部にある中国政府の出先機関「香港連絡弁公室」に向 けてデモ行進した。「李波を釈放しろ!」「政治的拉致に抗議」などとシュプレヒ コールを上げた。

このような動きを受け、米国務省のカービー報道官は1日、「深い懸 念」を表明、5人の釈放を中国に要求していることを明らかにした。カービー氏は「中国 当局の動きは、香港の自治や人権に関する対応に疑義を抱かせる」として、5人の所 在と失踪時の状況を明らかにするよう要求した。

その後、広東省公安当局は、2015年10月に広東省で失踪した3人につい て「中国本土で違法行為をしたため関係部門が拘束している」と香港警察に通知し た。

広東省公安当局は通知で「3人は、タイで行方不明になった桂民海氏に関わる事件 で、違法な活動に従事した」と説明。李波氏が香港警察に宛てた手紙も通知に同封さ れていたという。香港警察は面会を要求しているが、「現時点で会う必要はない」と 拒否したとされる。

産経ニュース【矢板明夫のチャイナ監視台】2016.2.6
                 (松本市:久保田 康文)


◆人民が心配する「中共の孤立」

平井 修一



時事通信1/31「第9航空団発足、F15増強=2個飛行隊40機、中国対処―那覇基地」から。

<航空自衛隊は31日、那覇基地(那覇市)所属のF15戦闘機を1個飛行隊から2個飛行隊の約40機体制に増強し、「第9航空団」を新たに編成した。

中国軍機が尖閣諸島に接近するなど東シナ海上空で活動を活発化させており、南西諸島周辺空域の防空体制を強化する狙いがある。

那覇基地では31日、第9航空団新編の記念式典が開かれた。若宮健嗣防衛副大臣が出席し、「まさに国防の最前線。緊張感をもって任務に当たってほしい」と訓示。司令旗が授与され、F15が祝賀飛行を行った>(以上)

このニュースには中国人民も大いに関心を持ったようだ。サーチナ2/1『空自が「第9航空団」を設立 中国で「周辺国はすべて反中、経済も落ち込み。どうすりゃいいんだ」の声』から。

<中国メディアは1日、日本の航空自衛隊が1月31日に沖縄・那覇基地に新たに「第9航空団」を編成したと相次いで報じた。いずれも、東シナ海における中国の活動に対抗するものと紹介した。

中国版ツイッターの微博(ウェイボー)でも同件は紹介され、多くのコメントが集まった。「いいね」が最も多いのは「周辺国はすべて反中、経済も落ち込み、どうすりゃいいんだ」との書き込みだ。

航空団の新設は51年ぶりだ。中国メディアは、F15戦闘機部隊を40機に倍増して中国に対抗などと紹介した。

中国で安倍政権に対しては「理不尽にも中国に敵対している」との見方が、ほぼ定着している。ただし、大手ポータルサイトの新浪網が新浪微博に同話題を掲載したところ、ユーザーのコメントでは、日本に対する対抗心、あるいは一方的な非難、罵倒よりも、自国の現状について悲観的な意見が多くの「いいね」を集めた。

最も支持されているコメントは、まず「策略もなく、国力も民生も顧みず、いたるところで武威を発揚した結果、周辺の国や地域は(中国に対して)非難できることは非難し、非難すべきでないことも非難するようになった」と主張。

結果として「今は、米・日・オーストラリア・香港・台湾・ベトナム・フィリピン・インド・ミャンマー・北朝鮮は全部われわれに反対している。国内では経済もいよいよ下落。どうすりゃいいんだ」と、極めて悲観的な内容だ。

「いいね」が2番目に多いのは「党の国家、党の軍。私は一介の貧乏人で、この党による支配体制の中で、わずかばかりの金銭をどうやって稼げるか考えるだけ」と、やはり冷めた見方を披露した書き込みだ。

他にも「私に何の関係がある。私の関心は、株がいつ値上がりするか、不動産価格がいつ値上がりするかだけだよ」との意見もある。

書き込みからは、不景気と自らの生活が大きな関心事で、「愛国どころではない」という雰囲気も漂う。

「小日本の軍刀(注:自衛隊の軍事力を指す)がどんなものかは知らないが、彼らの特殊車両が、いたるところで規則を無視して力ずくで思いのままに道路を走って庶民を圧迫するようなことはしないことは間違いないね」といった、自国の軍に対する不信感を示すコメントも「いいね」の獲得で上位だ。(編集担当:如月隼人)>

第9航空団発足に関する中共中央の反応は今のところ出ていないようだが、アカ新聞(東京)の半田滋記者が「中共の目で」、「安倍は沖縄への自衛隊配備を狙っている」と叫んでいる。岩波「世界」2月号抄録から。

<国防なのか島おこしか 沖縄・先島諸島への自衛隊配備

安倍政権の軍事的な戦略転換にともない、自衛隊の配備がすすめられる沖縄の宮古・八重山地方。「先島諸島」と呼ばれるこの地域に、ドミノ倒しのようにさまざまな部隊の配備が狙われている。

沖縄本島の名護では米軍基地建設をめぐって島ぐるみの抵抗がつづき、内外からも大きな注目が集まっているが、先島諸島で不安を訴える住民の声は離島ごとに分断され、本土にも届いていない>

半田記者は2007年、東京新聞・中日新聞連載の「新防人考」で第13回平和・協同ジャーナリスト基金賞を受賞している。同基金のサイトによると――

<「平和」と「協同」に関する優れた作品を発表したり、業績を残したジャーナリストらを年1回、毎年12月上旬に顕彰しています>

代表運営委員は元朝日新聞記者の岩垂弘。沖縄マスコミも選考委員にいる。立派な中共の走狗だ。

中共とその手先どもは日本の抑止力向上を非常に嫌っているわけだ。侵略を狙う敵の嫌がることをするのが正しい。周辺国と連携を強めて中共を包囲すべきだ。(2016/2/6)

2016年02月07日

◆日本の政治はカネの感覚が特殊だ

宮家 邦彦



口利きか、ロビー活動か

政治とカネの議論がまた始まった。先週、甘利明経済再生担当相が辞任、政治家としての「矜持(きょうじ)に鑑み」決断したそうだ。本欄で「あっせん利得」を取り上げる理由は、日本の政治とカネに関する感覚が特殊だと思うからだ。今回は誤解を恐れず、この「口利き」なるものを原点から考える。

某有力紙社説は「趣旨のはっきりしない多額のカネが、いとも簡単に政治家に提供され」「政治家の側はよく知らない相手からでも当然のように受け取る」と批判する。

その点に異論はない。筆者が気になるのは、どこまでが正当な政治活動で、どこから違法となるかの境界線だ。日本の「政治とカネ」の議論にはどうしても違和感を覚える。

日本の「あっせん利得」に最も近い欧米の概念は「ロビー活動用政治資金」だ。ロビー活動とは個人・団体が政府の政策に影響を及ぼすために行う私的政治活動で、欧米では禁止されていない。このロビイングのため政治家に払う現金も政治資金だ。ロビー活動用資金が全て違法なら米国に政治家はいなくなるだろう。これに対し日本では正当な政治活動に現金を払うことは認められる一方、不当な口利きのための現金支払いは違法となる。なぜなのか。

平成12年の「あっせん利得処罰法」では、請託を受け政治家の権限に基づく影響力を行使して公務員の職務上の行為をさせる(させない)ようあっせんしたり、その報酬として財産上の利益を受けた場合、3年以下の懲役となる。少し分かりにくいので業者の「要求」と行政の「判断」を類型化して考えてみよう。

 ●第1類型…正しい要求を行政側が受け入れる場合=申し立て側に文句はなく、政治家の口利きは不要だ。

 ●第2類型…正しい要求に対し誤った行政判断が下る場合=政治家が介入し誤りを正すことは正当な政治活動だ。

 ●第3類型…不当な要求を行政側が受け入れた場合=申し立て側に文句はなく、やはり口利きは不要である。

 ●第4類型…不当な要求を行政が断った場合=これこそ口利きの出番かもしれないが、行政側には政治家の働き掛けを断る正当な理由がある。政治家側もそこは分かっているから、一応言ってみるだけ。ここまでは正当な政治活動だろう。ここで政治家が職務権限に基づき影響力を行使し、不当な要求が通ればこれは犯罪。

以上が現行法の規定だ。

「その権限に基づく影響力を行使して」とは、例えば地方議員が「議会で大変なことになっても知らんぞ」と質問権をちらつかせたり、庁舎建設推進委員会の委員が「立派な庁舎が早くできるよう頑張るから」などと伝えた場合らしい。だが、この基準、実はあいまいだ。

しかも業者の請託があり、有力大臣が金銭を受け取ったとなれば、庶民感覚ではアウトに見える。これでは国民が不信感を持つのも当然だろう。

では外国はどうか。例えば米国ではロビー活動が公に認められている。専門家によれば米国では、(1)選挙費用と政治活動資金を区別せず、すべて政治資金として取り扱う(2)有権者は支援する議員が影響力を行使し働き掛けをするのは当然と考える(3)政治資金は包括的に情報公開され、どの企業や団体が議員にいくら資金を出しているかはインターネットで追跡できるという。つまり、米国では政治資金の内容を公表し、献金の是非を国民が判断できるのだ。

欧州はどうか。英国では政治家と官僚の接触が原則禁止されているが、EUに贈収賄防止統一法はない。

ロビー活動をもっと透明化すべしとの議論は欧州のみならず、日本にも妥当するはずだ。マスコミは「国民の政治に対する不信を広げた罪は大きい」と批判するが、今の日本に必要なことは実態把握が困難な「口利き」を全面禁止するより、政治資金の透明性を高めることの方ではないだろうか。
                   ◇
【プロフィル】宮家邦彦
 みやけ・くにひこ 昭和28(1953)年、神奈川県出身。栄光学園高、東京大学法学部卒。53年外務省入省。中東1課長、在中国大使館公使、中東アフリカ局参事官などを歴任し、平成17年退官。第1次安倍内閣では首相公邸連絡調整官を務めた。現在、立命館大学客員教授、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。
産経ニュース【宮家邦彦のWorld Watch】2016.2.4 11


◆アメリカ亡命令の完成が持ち出した物

宮崎 正弘
 

<平成28年(2016)2月6日(土曜日)弐通算第4803号 >

 〜米中関係を根幹から揺らしている令完成のアメリカ亡命
     核兵器の発射指令システムから命令の暗合も持ち出した可能性〜

華字紙が一斉に大きく報じ始めた。

小誌が既報したように、令完成(令計画・元中央弁公室秘書長=首席秘書官に相当=の実弟)が米国亡命との取引として持ち出した中国共産党最高幹部らの機密情報は2700件とされた。

第一は公安副部長の馬健らが撮影していた幹部等の淫乱ヴィデオ。これがユーチューブなどで流れ出すと高層部は大揺れになる。

第二の機密ファイルは第18回党大会直前までに血を血で洗うかのよう な醜い権力闘争の内幕や幹部等が持ち出した海外資産の詳細リスト。

第三が数十年来の中国の対外政策の秘密文書など外交機密が含まれる。

第四は核兵器とその隠匿場所、システム、そして発射指令系統と、アクセスする暗合などが含まれるという。

中国は孟建柱(国家安全会議秘書長)と郭声昆(公安部長)を米国へ派遣し、令完成の身柄引き渡しを要求した。

「強制送還に応じなければ経済難民を二万人送り込むぞ」などと凄みを利かせたという眉唾情報も飛び交った(博訊新聞網、12月6日)

このネタ元はワシントンの「フリービーコン」というネット情報で、その信憑性への議論はあるものの、これまでの事実経過や、令計画の失脚とともに連座するかたちで公安部幹部やインサイダー取引の黒幕などが連鎖拘束されており、概括的には整合性がある。

   

◆日中5日間戦争の勝者は

平井 修一



部谷直亮・ガバナンスアーキテクト機構研究員の論考「衝撃のシミュレーション『中国は5日で日本に勝利』米ランド研が警告、米国は尖閣に関わるな」(JBプレス1/27、本記事の後半に転載した)は大変興味深く読んだが、マスコミが取り上げるだろうと思っていたら、産経でも2/4現在報じていない。

多分、物議をかもし、蚤の心臓の国民は大騒ぎして地方や海外に避難しそうだから報じないのか、それとも抑止力向上を求める層を焚きつけることになるから報じないのか、多分両方の理由からだろう。

アカのマスコミが報じないのは、「日本悪者、戦争法案、東亜の危険の元」とさんざ報じてきたから、国民が国防に目覚めてしまうとまずいことになるからだが、産経が報じないのは大好きな安倍氏と絶大な信頼を置いてきた自衛隊と米国・米軍が「中共軍にまったく歯が立たない」ということをばらせば、国民全体が戦意喪失に陥るからだろう。

アカだろうが白だろうが、臭いものには蓋をしたいのだ。つまり米ランド研のレポートには不都合な真実が含まれているに違いない。

もっとも軍事で飯を食っている人々はいずこの国でも軍事予算の増大を求めるもので、「危険だ、やばいぞ、もっと予算を!」と叫ぶのも仕事なのである。「それはちょっと危険を煽り過ぎじゃないか」と言えば、「甘い、甘い、最悪のケースを想定してこそ抑止力になる、そうだろ、あーん?」と反論するものなのである。あーいえば、こうゆーの世界。声の大
きい方が勝ちなのだ。

で、多分業を煮やした湯浅博氏(国基研企画委員・産経新聞特別記者)が「東シナ海の隙を突く中国」(2/1)を寄稿している。以下転載。

<世界の目が中国による南シナ海の「独り占め」戦術に注がれている隙に、東シナ海の尖閣諸島周辺で中国公船がプレゼンスを高めている。中国人民解放軍が採用する孫子の兵法「虚実篇」は、相手の目をくらまして戦うことを旨とするから、日本は油断なく備えを固めるべきである。

2014年以降、安倍晋三首相と習近平国家主席が首脳会談を重ね、日中関係が好転しつつあるときこそ、かえって隙を突かれやすい。

*米研究者が警告の論文

中国は、南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島で岩礁を埋め立てた人工島を軍事拠点にしつつある。習主席は米中首脳会談で「南シナ海の島々は古代から中国の領土だった」と虚構の議論を改めて展開し、米国の関与を拒否した。

対抗してオバマ米政権は、昨年10月にイージス駆逐艦を人工島の周辺海域に派遣し、1月末には南シナ海のパラセル(西沙)諸島にもイージス艦を送ったが、「航行の自由」作戦は二の矢、三の矢がまだ弱い。

中国の陽動作戦は巧みである。世界が南シナ海に目を向けているうちに、東シナ海の尖閣周辺では、機関砲を搭載した中国公船を日本領海に侵入させた。しかも、侵入公船は中国海軍のフリゲート艦を偽装(平井:艤装?)している疑いが消えない。

国家基本問題研究所と交流のある米国ハドソン研究所のアーサー・ハーマン上席研究員とルイス・リビー上席副所長は1月下旬、米紙ウォールストリート・ジャーナルへの論稿で、「中国は世界の目を一つの地域に向けさせながら、他の地域で策略を進めるのを得意とする」と的確に警告していた。

ハーマン氏らは「中国は対話と威嚇を織り交ぜる」として、2014年と2015年にも習主席がインド高官と会談している最中に、中国軍がインド国境の紛争地域に部隊を送った事実を挙げて注意を喚起する。(平井:中共軍による習への「妥協するな」という威嚇だろう)

まして、中国の経済危機が深刻化する中で、指導部は不満の矛先を外に向ける拡張主義の誘惑にかられやすい。東シナ海で起こり得るシナリオは、政治目的を達成するための短期決戦であるとハーマン氏らは警告する。

*政局にうつつを抜かす民主党

くしくも米軍に近いランド研究所も最近、尖閣諸島を舞台としたシミュレーションを外交誌フォーリンポリシーに発表し、「中国が5日間で勝利する」との分析を公表した。

前提にやや疑問はあるが、最悪のパターンを提示している以上、無視はできない。日本は新たな安保法制に穴はないかの点検を緩めず、日米同盟の紐帯の確認を怠るべきではない。

こうした米国安全保障専門家の警鐘に加え、米太平洋軍のハリス司令官はワシントンの講演で「中国の攻撃を受ければ、米国は間違いなく日本を防衛する」と改めて表明して、中国を牽制した。

問題は当の日本政府および野党の安全保障問題への感覚の鈍さである。とりわけ野党第1党の民主党は、太平楽を決め込んで国内政局にうつつを抜かしており、とても日本国の繁栄と安全を擁護する責任政党とは言えない>(以上)

岡田民主党などは第五列、小沢曰く「中共の野戦軍」だから足を引っ張ることしかしない。期待する方が無理というか、湯浅氏はからかった、おちょくっただけだろう。

以下、ランド研究所の「衝撃のシミュレーション」を紹介する。

<軍事問題におけるリアリズムの観点からの分析で知られる米ランド研究所。彼らがシミュレーションを実施したところ、日本は尖閣諸島をめぐる中国との戦いにおいて5日間で敗北し、手も足も出なくなるというのです。

そして、彼らの出した結論は、「不毛の島」を巡る日中の争いは最終的に米中戦争を引き起こす可能性が高いので、米国は無視するべきというものでした。

このシミュレーションを取り仕切ったのは、ランド研究所の上級アナリスト、デヴィッド・シラパク氏です。彼は中国の軍事問題やウォーシミュレーションの権威として知られています。

シラパク氏は30年以上も米国の将校と外交官のために精緻なシミュレーションを作成してきました。昨年発表した、中国のアジア各地の米空軍基地への攻撃能力の増大についての彼も関与した報告書は、日本の安保研究者の間でも高い評価を受けています。

*5日目に中国は尖閣諸島を確保

彼はつい先日、外交専門誌「フォーリンポリシー」の記者たちを招いて、尖閣諸島における「5日間戦争」をシミュレートし、彼らに概略を公開させました。その内容を簡単に紹介しましょう。

【1日目】日本の右翼活動家たちが、尖閣諸島の魚釣島に上陸し、日本の国旗を掲揚し、YouTubeで中国を挑発。日本政府が対応に追われる間、中国はただちに海警を送り込み、全員を逮捕・拘束する。

(平井:海保の規制で日本人は3.2キロ以内に入れないから、これはあり得ない。支那人はスルー)

【2日目】日本は周辺海域に護衛艦や戦闘機を展開。中国側も海軍艦艇を展開し、一瞬即発の状況になる。日本は、米国に防衛義務を果たすように要請し、米国は受諾。日本側の要請に応じて、米駆逐艦を日本海にも展開し、尖閣諸島周辺には攻撃型潜水艦を送り込む。ただし、空母は横須賀から西太平洋に避難させる。

(平井:虎の子の空母を逃がすことは大いにあり得る。真珠湾でもそうだった)

【3日目】中国の海警が尖閣諸島周辺の日本の漁船と衝突し、沈没させたことで事態はエスカレート。海上保安庁は、放水等で対抗する。中国のフリゲート艦は30ミリ機関砲を空自機に対して発砲、これに日本側も応戦。その結果、中国側が航空機と対艦ミサイルで反撃し、2隻の日本側の艦船が撃沈し、500人が戦死。

(平井:武力衝突した時点で海自の潜水艦に追尾されていた中共の潜水艦を含む艦船は魚雷攻撃で壊滅するだろう)

もはや、日中間の外交チャンネルは一切機能しなくなり、日本政府は米国に、より多くの支援を要請。日中それぞれに存在する米大使館は、現地の市民によって包囲され、米国の保守メディアは自国政府の弱腰を批判し、上院議員たちは激論を交わす。

しかし米政府は、『日本の要請にゼロ回答だと他の同盟諸国が離反しかねない。だが、要請に完全に応じれば、同盟諸国の不信よりも多くの国益を失う米中全面戦争になりかねない』というジレンマに陥る。

そこで、米兵のリスクが少ない、米潜水艦による中国軍艦艇への魚雷攻撃を選択。これは中国への警告のためであり、米中戦争を引き起こすためではなかった。その結果、中国軍の駆逐艦2隻を撃沈し、今度は中国軍の水兵数百人が戦死する。

【4日目】中国指導部は事態の展開に驚愕する。ここで、中国側も米中の本格的な戦争を避けつつ、米国に痛みを与えることを決断。今や中国には何億人ものネット市民が存在し、彼らの報復を求める声を無視することはできないからである。

中国側は、米国の送電システムに埋め込まれている破壊工作ソフトウエアを起動し、ロサンゼルスとサンフランシスコを停電に追い込む。そして、証券取引所の自動取引システムを操作し、何百億ドルもの損害を与える。極めつけは米国債の売却をほのめかし、急激なドル安へと追い込む。

(平井:こんな時に米国債を買う人がいるのか。第一、市場は閉鎖されると思が。サイバー攻撃に米国は無力で反撃できない? マジか)

【5日目】中国軍は尖閣諸島周辺の海自艦艇に対して、弾道・巡航ミサイル中心の攻撃を継続する。そして、24時間で海上自衛隊は戦力の20%を喪失。同時に中国は日本経済への攻撃を開始する。日本の脆弱な送電システムを作動不能に追い込み、重要なジェット燃料の精製所を爆破する。

(平井:日本は反撃しない、報復しない、ジェット燃料の備蓄はない?)

ここにきて、日本は再び米国に支援を嘆願する。具体的には、西太平洋に展開する空母打撃群の参戦、中国軍艦艇へのさらなる攻撃、中国本土の対艦ミサイル基地の破壊などである。

しかし米側は全てを拒否する。その代わりに、米軍の潜水艦と航空機を増派し、海自の撤退を支援。米中総力戦を回避しつつ、日本の海自と経済の壊滅を回避できるという考えに基づく行動だった。この海自部隊の撤退を以てゲームは終了。中国は尖閣諸島を確保する。

こうして中国は“短期的な”勝利者となる。ただし、日本やアジア諸国は中国に対抗するための軍拡と経済連携を加速させる公算が高く、「割に合わない勝利」と評するべきかもしれない──。

*米国は尖閣諸島をめぐる紛争を「無視するべき」

以上が日中5日間戦争のシミュレーションです。

シラパク氏は、もし米国が日本の要請に応じ、空母打撃群を尖閣諸島周辺に派遣し、中国本土の対艦ミサイル基地を叩いていたらどうなっていたかについても検討を加えました。その場合のシラパク氏によるシミュレーションは次の通りです。

中国の弾道ミサイル攻撃により嘉手納基地が壊滅し、米空母も対艦弾道ミサイルによって撃沈し、死者は数千人単位に及ぶことになる。米側はこれに対し、中国海軍の重要な基地を攻撃するか、中国軍唯一の空母を撃沈するか、中国経済を窒息させるために南シナ海の封鎖を継続するか、のいずれかができる。

しかし、米軍は日本の島嶼や海自の防衛には協力しない。その結果、中国側は無制限の損害を日本に与えることができることになる──。

そして、彼らは5つの結論を導き出します。

第1に、同盟には「巻き込まれる」という危険な面もある。

第2に、対日防衛義務の多くは履行するのは難しい。ミサイル防衛は不可能ではないが、中国の膨大なミサイル保有量を考えれば難しく、日本は脆弱である。

第3に、中国の大軍拡および彼らの新しい戦争方法は全てを変えた。今の中国には現代的な海軍、多数の強力な弾道及び巡航ミサイル、効果的な空軍、洗練された無人機がある。10年前の日本ならば単独で尖閣諸島を防衛できただろうが、今や時代は変わった。

第4に、今や米空母は中国の対艦ミサイルに対して脆弱な存在である。

第5に、日米中におけるナショナリズムは事態を悪化させ、政策決定者の選択肢を奪うという意味において非常に強力であり、致命的な存在である。

そして、シラパク氏は「米国が日中間の尖閣諸島をめぐる戦いに関与することは、特大の戦略的な失敗でしかない。尖閣諸島における危機管理の最高の手段は、無視することなのかもしれない」と結語します。

*自衛隊の体制の抜本的な改革を

以上の内容は日本にとってどのような意味を持つのでしょうか。

それは第1に、米国をどのように日本の戦争に引きずり込むか、そのための軍事的、政治的、経済的、文化的な手段を組み立てておく必要があるということです。

ランド研究所を代表するリアリストまでが、尖閣諸島問題に関わるべきではないと公言する時代になってしまったのです。少なくとも、平和安全法制のような、米国の善意に期待するもの“だけ”では不足でしょう。

第2に、このシミュレーションは自衛隊の体制の抜本的な改革の必要性を示唆しているということです。

中国のサイバー攻撃および大量の弾道・巡航ミサイル等による奇襲能力、すなわちA2/AD戦力が、有事における米軍の活動および来援を困難にするレベルに達しているというのは、米国の議論ではすでに前提となっています。

米軍ですらそうなのですから、自衛隊がより困難な状況にあることは言うまでもありません。

しかも、現在の自衛隊の戦力構成は、中国の対地・対艦弾道ミサイル攻撃等、そして、サイバー攻撃やゲリラコマンド攻撃に対して非常に脆弱と言わざるを得ません。

海自のいずも型ヘリ空母は弾道・巡航ミサイル攻撃の前には無力です。中国の対艦弾道ミサイルDF-21は1ユニット6〜12億円、いずもは1隻1200億円であり、100発撃ち込んでもお釣りがくる計算です。

海自の対潜能力は最高水準ですが、対ミサイルには関係なく、そもそもミサイル保有数も限定的です。空自の基地における戦闘機用の掩体壕(えんたいごう)は少数であり、ミサイル弾薬のほとんどが高蔵寺弾薬庫に集中しています。

陸自はそもそも輸送力が決定的に不足しており、国内の有事の輸送は日本通運、通信はNTTが頼りです。

中国は、こうした自衛隊の脆弱な面に特化して軍拡をしてきたと言っても過言ではありません。

どのようにすれば継戦能力を有事に維持することができ、中国のA2/AD能力を無効化・緩和できるのか、どうすればたった5日間で尖閣諸島を奪われるという屈辱的な事態に至らないで済むのか、自衛隊のあるべき戦力構成や作戦構想について真剣に議論すべき時が来ています>(以上)

第一列島線で中共艦船を阻止することだ。

ところで戦争は人と人の戦いだ。

「薩摩藩・長州藩によって構成された新政府軍と旧幕府軍は戦闘状態となり、ここに鳥羽・伏見の戦いが開始された。両軍の兵力は、新政府軍が約5000人、旧幕府軍が約1万5000人と言われている。

新政府軍は武器では旧幕府軍と大差なく、逆に旧幕府軍の方が最新型小銃などを装備していたが、初日は緒戦の混乱および指揮戦略の不備などにより旧幕府軍が苦戦した」(ウィキ)

日清戦争で圧倒的な海軍力を誇っていた清朝北洋艦隊は破れた。兵の質は最低で、彼らは主力艦の砲塔に洗濯物を干すほど規律がなかった。

日露戦争で世界最強と言われたバルチック艦隊は壊滅した。日本が勝つとはほとんどの人は思っていなかった。

日米戦争で日本はGDPで10〜20倍の大国と4年間も戦った。敗けたものの結果的には世界中の植民地から白人を追い払った。

ベトナム軍は軍事力で遥かに勝る仏軍、米軍、中共軍を駆逐した。

現在の中共軍は金儲けで忙しくて戦争どころではない。元中国軍総参謀部航空装備処長を務めていた羅宇氏(71)の話(新唐人1/30)から。

<私の頃(1990年まで)はまだ「官位売買」の現象はありませんでした。トウ小平の婿が武器売買で商人からリベートを得ていましたが、将軍になりたいから何千万元で階級を買うということはまだありませんでした。

中国の歴史上、官僚体制のことを吏治(りち)と言いますが、官位を売買するような状態になれば、その王朝はもう終わりに近い印となっています。

中国の軍隊は、序列階級を売買するような状況では、戦力というより、軍隊自体もう使い物になりません。

共産党に対し軍を手放すべきだと言うのは、軍隊とは本来は国のもので、党のものではないからです。しかし、軍を手放せば、国民の支持を得られない時、政権崩壊となります。そのため、決断には大きな決意と勇気が必要です。

蒋経国(台湾総統)のように、独裁をもって独裁を終わらせるのなら、私は(習近平を)支持します>

「中共軍は使い物にならない」とはしばしば聞く。支那では昔から「良い鉄は釘にならない」、まともな人は兵にはならない。ほとんどゴロツキばかりだったろう。

今は軍は「鉄板飯」、戦死することもなく給料、賄賂などカネを稼げる職場として人気が高い。階級を買えばそれ以上の大きなリターンがある。誰も戦場にはいかない。

<香港の新聞「東方日報」は先日、会長までが汚職している企業の大砲は、不良品ではないのかと指摘しました。戦闘機から戦艦、大砲まで、中国の陸海空軍の武器装備には、大きな欠陥があるかもしれません。そのような軍隊が戦争で勝てるのでしょうか?

中国の軍事費は今年、8000億元を超えましたが、そのうちどれだけが個人の私腹を肥やしたのでしょうか。以前、海軍の呉勝利司令官が日中間による戦争を避ける枠組みの研究を訴えましたが、呉司令官は、中国軍が実戦に耐えられないと考えたのかもしれません。

一方、香港の新聞「太陽報」は、日清戦争で北洋艦隊が大敗したのは、腐敗が重要な原因だと述べています。多くの艦砲には、火薬でなく泥が詰まっていたため、不発弾だったそうです。

「太陽報」はまた、日中関係が緊迫し、戦火を交える恐れがある中、中国の軍需産業の腐敗により、日清戦争の悲劇が再演されるのではと疑問を投げかけました>(新唐人2014/6/15)

習近平はこんな事情は十分知っているだろう。「呼べば来る、来れば戦う、戦えば必ず勝つ」軍隊を目指せというが、つまるところ今の軍はそうなっていないということだ。

さてさて、5日間戦争。どちらが勝つか。抗日ドラマのようにはいかないだろう。(2016/2/4)


2016年02月06日

◆令完成が米国亡命と取引したのは

宮崎 正弘
 

<平成28年(2016)2月5日(金曜日 通算第4800号> 

 〜令完成が米国亡命と取引したのは中国の核兵器の機密だった?
   習近平のスキャンダル・ファイル説が、これまでは有力だったが。。。〜

ワシントンのウェブニュース「USビーコン」が2月3日に報じた。

 米国へ亡命した令完成は「過去30年間で最大の中国の機密を米国にもたらした。かれは米国のインテリジェンス機関の保護下にあり、(中国が派遣する)暗殺団から守っている」

令完成は胡錦涛時代の政権中枢にあった令計画の末弟だ。

一族は山西閥(これを隠語で「西山会」と言った)を形成し、汚職にも余念がなかったが、令完成をのぞいて全員が拘束されている。令完成はかなり以前から米国に住宅を保有し、またグリーンカードを獲得していた。

従来、令完成が米国に提供した2700件の秘密ファイルには習近平の過去の女のことが含まれ、また不倫のヴィデオもあるなどと華字紙のいくつかは書いてきたが、米国の報道はまったくことなり、「核兵器ならびに中国のハッカー部隊の組織、具体的な暗合やノウハウ、作戦要項など、重要な機密が含まれている」とした。

核兵器の秘密情報が含まれていると報道は初めて。
        

◆私の「身辺雑記」(310)

平井 修一



■2月3日(水)、節分、小姉・節子の誕生日。朝は室温12度、寒い、曇/晴、ハーフ散歩。

小生は間もなく65歳の誕生日を迎え、晴れて「高齢者」になるが、銀行から手帳が贈られてきた。この銀行はいつもつまらないものをくれるが、相手の好みなんぞまったく考えていないのだ。マーケティングのマの字もない。不思議な感じがする。(事実は広告代理店の言いなりになっているだけ)

日本の外務省は事なかれ主義のヘタレで、「外交とは握手し、高級ワインで乾杯し、談笑すること」と思い込み、国益なんぞどうでもいい、コクエキのコの字もないという不思議な存在だと小生は怪しんでいるが、米国でも似たようなものだと知って、いささかゲンナリした。

日本国際問題研究所1/29、泉川泰博・中央大学教授の論考「アメリカの外交・安全保障官僚機構」から。

<アメリカの外交・安全保障政策に影響を及ぼす重要な国内要因の一つに、官僚組織がある。これは、各々の組織のルーティーンや組織文化が、「国益」を規定し実践する際に影響を及ぼし、組織間対立や協調のダイナミクスを生むためである。

以下では、その中でも主要な3つの組織、国務省・国防総省・国家安全保障会議の特徴や組織文化について簡潔に解説する。

・国務省(The Department of State)

外国に対してアメリカを代表し、また相手国の国内情報を収集・分析して、必要な時に国益を実現するための交渉の窓口になる、日本の外務省に相当する組織。

伝統的なアメリカの外交政策上最も重要な役割を果たしてきた。しかし、冷戦時代以降、アメリカ外交に占める軍事力の役割が高まるのに反比例して、その重要性は徐々に低下してきた。

国務省の重大なミッションは他国とのパイプ役となることであり、このためどのような相手国に対しても(むしろ敵対的国家に対してこそ)交渉のパイプを維持することを主張する傾向が強い。

また、相手国の内政を的確に把握するよう努め、かつ相手国政府内外の様々なグループや重要な個人とのコンタクトを維持しようとするため、相手国内の穏健派や強硬派についてよく把握している。

このため、アメリカが採ろうとする政策が相手国にどのように受け止められるかについて的確に予測する能力は高い。一方で、アメリカの内政に対する感度は鈍いという指摘がある。

これらの傾向は、国務省に対する批判を招きやすい。相手国とのパイプを維持する姿勢は、アメリカ国内の強硬派などには宥和的姿勢と見なされることが多く、とくに共和党から弱腰外交と批判される傾向がある。

また、相手国の事情に精通しているがために、他の政府組織および政府外の勢力から、アメリカのではなく他国の利益を代表していると揶揄されることも少なくない。(中略)

アメリカの外交・安全保障政策には、中央情報局(CIA)をはじめとする情報機関が、また対テロ政策やサイバー問題に関しては司法省や連邦捜査局(FBI)なども関与する。さらには、財務省、通商代表部などの経済関連組織なども関与する場合が増えてきた。

しかし、(国務省・国防総省・国家安全保障会議の)3機関の役割は極めて重要であり、各組織およびそれらの間の相互作用を理解することは、アメリカの外交・安全保障政策を理解する上で、極めて重要である>(以上)

英米、支那に対する幣原喜重郎の軟弱外交、ナチスドイツに対する英首相チェンバレンの宥和外交、中共、イスラム過激派、キューバ、イランに対するオバマのヘタレ外交・・・自由は死すとも抱擁外交は死せず、か。

情勢分析と政策立案には、表の情報収集(90%)、裏の諜報(10%)が不可欠だ。情報・諜報は実地調査、盗聴、スパイ衛星、レーダー監視の他にギブ&テイクの世界でもあるから、ディープスロートから的確な情報を得るためには、時にはこちらのネタも渡さざるを得ないこともあるだろう。それは二重スパイになるかならぬかのきわどい綱渡りに違いない。

日本ではどうやっているのだろう。

ジャーナリスト・三城隆氏の論考「“日本最強”の情報機関が秘める内部事情」(デイリーNK1/22)から。

<*「情報コミュニティ」の中心は内調だが…

下表は朝日新聞の「首相動静」(2015年分)から、日本の情報機関による首相への報告回数を抜き出したものだ。これを見れば、日本の情報機関の中でどこが“最強”であるかが一目瞭然となる。

《内閣情報官116回、外務省国際情報統括官8回、防衛省情報本部長16回警察庁警備局長 8回、公安調査庁次長8回》

報告回数がずば抜けて多いのは、内閣情報調査室(内調)の長である内閣情報官だ。だが、これをもって内調を“最強の情報機関”とするのは早計だろう。

内調は内閣法と内閣官房組織令により、「内閣の重要政策に関する情報の収集・分析」を任務として設置された機関だ。そして、外務省、防衛省、警察庁、公安調査庁などで構成される「情報コミュニティ」の中心として、各情報機関から寄せられた情報を首相に週1回のペースで定期報告している。

*「情報本部」という組織

つまり、首相の“情報参謀”である内閣情報官が首相に頻繁かつ定期的に情報ブリーフィングすることはルーティンの業務であり、当然のことなのだ。

「制度上、各省庁からの情報は内調に集約され、内閣情報官が首相や官房長官に報告する。しかし、各省庁が収集したものの中でも特に重要な情報は、それぞれの機関が独自に報告する慣わしになっている。

だから、各機関が首相に直接報告した回数を見れば、機関の“実力”を測ることができる。単なる“手柄争い”にならないよう、直接報告の是非については内調が調整していることもあり、重要情報をどれだけ入手しているかが客観的に分かるわけだ」(内調OB)

この言葉に従えば、“最強の情報機関”の称号は、公安警察を取りまとめる警察庁警備局でも、朝鮮総連などへの協力者工作を得意とする公安調査庁でもなく、「防衛省の情報本部」に与えられることになる。

*秘密のベールに包まれた実態

公刊資料によれば、「情報本部」は2005年に防衛庁(当時)の中央情報機関として新編された軍事情報機関で、総務部、計画部、分析部、統合情報部、画像・地理部と電波部の6部と「通信所」と呼ばれる6つの電波傍受施設からなり、約2400人の要員を擁する。

数万人を抱える米国の中央情報局(CIA)や国家安全保障局(NSA)には見劣りしても、日本においては単独の情報機関として最大の陣容を誇っている。予算規模も、公安警察と公安調査庁の活動費が約20億円であるのに比べ、「情報本部」の予算総額は約650億円と巨額だ。

だが、多くのメディアが日本の情報機関として「公安」を取り上げているのに比べれば、「情報本部」は目立たない存在と言える。むしろ、名前すら聞いたことがない、という人が大多数ではないか。

一般の人々に限らず、「ハム担」と呼ばれるメディアの公安担当記者であっても、「情報本部」とツテを持っている者はほとんどいない。「それこそが真の情報機関たる所以だ」と、ある自衛隊OBは語る。

*公安は「失格」

(自衛隊OB曰く)「我々は日本で唯一の純粋な『情報機関』であって、公安のように政治的な活動はしないし、する必要もない。そして、いつ誰がどこで話したのかも証明できないような“協力者情報”ではなく、物理的に集めた膨大なデータを情報に加工して、国家の安全保障に貢献している。

だからマスコミや政治家などと会う必要もなく、相手からバーターで情報を得るため、こちらの情報を出す必要もない。外部との接触が増えれば、それだけ秘密が抜けるリスクも増す。

公安の中には『ヒューミント』(人的情報活動)と称して、記者連中と酒を飲むぐらいしか仕事をしない面々もいるようだが、それでいいのか。週刊誌や小説で面白おかしく取り上げられている時点で、情報機関としては失格だ」

しかし、「情報本部」が日本で最大最強の情報機関であるなら、日本人拉致事件の多発を止められなかった責任もまた最大ではないのか。実際、「情報本部」の深奥には、拉致事件多発とからむ「内部事情」が秘められているのである>(以上。つづきが楽しみだ)

今朝の産経にもあったが、北朝鮮の場合は総連を使って情報収集、工作する。中共の場合、ハッキングで情報を盗むほか、カネ、女、名誉など相手の欲しがるものを与えて情報を得る。情報を得るために組織にスパイを送り込んだりする。

それにしてもスターリンはすごかった。彼の足跡を追うと、犯罪(M作戦、資金集めのための強盗だろう)、逮捕(なんと5回も!)、流刑、脱走(4回!)を気が遠くなるほど繰り返している(内村剛介「スターリン時代」)。筋金入り、鋼鉄の人! マッチョ・プーチンが憧れるのも無理はない。

彼は世界中にスパイ網を作った。スパイ・ゾルゲは近衛内閣中枢に元朝日記者の尾崎を送り込み、FDRルーズベルトの周囲にはうじゃうじゃスパイがいた。マーシャルプランのマーシャル将軍はほとんどスターリンの代理人だった。

日本が瞬く間に世界最強の英軍を制圧した背景にはF(藤原)機関などの「アジアに対する完璧なスパイ工作があった」と英国紙は報じている(まんまと日本にしてやられたのであり、英軍が弱かったわけではない、という言い訳のようでもある)。

三田村武夫『大東亜戦争とスターリンの謀略』によると、収監中の尾崎は昭和17年(1942)3月か4月頃に手記を書いており、具体的な諜報活動について明らかにしている。

<吾々のグループの目的任務は…広義にコミンテルンの目指す世界共産革命遂行のため、日本における革命情勢の進展とこれに対する反革命の勢力関係の現実を正確に把握し得る種類の情報ならびにこれに関する正確なる意見をモスコーに諜報することにあり、

狭義には世界共産主義革命遂行上最も重要にしてその支柱たるソ連を日本帝国主義より防衛するため、日本の国内情勢、ことに政治経済外交軍事等の諸情勢を正確且つ迅速に報道しかつ意見を申し送って、ソ連防衛の資料たらしめるにあるのであります。

したがってこの目的のためにはあらゆる国家の秘密をも探知しなければならないのでありまして、政治外交等に関する国家の重要な機密を探り出すことは最も重要な任務として課せられているのであります>(以上)

1945年、諜報・工作に長けたスターリン・ソ連は熱戦の戦勝国となった。
1990年、インチキ統計による経済迷走でソ連は冷戦の敗戦国となった。情報・諜報と経済は国家の両輪だ。中共「今年はGDP6.5〜7%を目指す」だと。

デタラメ丸出し。正確な羅針盤がないのだから岩礁に乗り上げて沈没する、あるいはる“偽上の楼閣”つぶれるわな。

■2月4日(木)、朝は室温11度、寒い、曇/晴、ハーフ散歩。気の早い白梅が満開、猫柳の蕾も目立ってきた。カミサンは健康診断へ。

コラムニスト・河東哲夫氏の論考「原油暴落で縮小するロシア、北方領土もやがて重荷に?」(ニューズウィーク2/2)から。氏は大使も務めたロシア・東欧専門家。ちょっと辛口だけれど外務省出身だから甘辛の感じだ。

<ロシアがみるみる収縮している。ルーブルの対ドルレートが1年で約30%落ち、ドルベースでのGDPもそれだけ落ちただけでない。この1年で約40%も下げた原油価格が、ロシアの輸出額を大幅に減らしている。国民の実感としては、インフレで実質所得が1年で約6%も減少したことも大きいだろう。

2000年にプーチン政権が発足して以来、原油価格の高騰(12年間で約4倍)に助けられ、GDPが7〜8倍にもなる世界史上の奇跡を演じた。プーチンはそれに乗っていただけで、製造業は国営企業主体で弱体のまま。今やロシアは原油価格と無理心中への道行きだ。9月には議会選挙を控え、経済が分かる指導者ならパニックになりかねない。

*「お人よし」から脱却を

日本をめぐる大国間のバランスはどうなるか。アメリカが内向きになったとはいえ、日米同盟は揺るぎそうにない。双方にメリットがあるからだ。

モスクワの識者は中国経済の変調に気付いてはいるが、中ロ協力維持で意見は一致している。それでも、中ロに対する日本の立場はより強くなるだろう。

「中国では儲からない」となれば、一転して欧米諸国は見ないふりをしてきた中国の人権問題をあげつらうようになる。欧米の対中姿勢が硬化すれば、中国にとって日本はそれだけ大事になる。欧米にとっても日本は中国に対するバランスを取る上で重要性を増す。

中国が日本を大事にし始めると、クリミア問題で対ロ制裁をして以来、日本に逆ギレしてすねているロシアも、そのままでいられなくなる。

日本から上目遣いして擦り寄る必要はない。水を向けるだけでロシアは応じてくるだろう。G8に再び加わる意欲を示してくるかもしれない。ロシアのGDPは世界15位のメキシコ程度になってしまったのだが。

北方領土問題をいま解決しなければならないと思い詰める理由もない。

日本の立場が低下していたこの10年ほどの間、北方領土問題をロシアに有利な形で解決する好機と見て、いろいろ働き掛けをしてくるロシア人もいたが、それに乗るのはお人よしだ。

(資源輸入などの)協力を続けスマイルしながら、ロシアの背に領土問題を重荷となるようによいしょと乗せてやる。権謀術数を駆使した、いわば「ワルの外交」が望まれる>(以上)

ここ数年、ロシアは北方領土の開発にカネを注いで実効支配を固めてきたが、国庫が枯渇してきた。重荷になれば日本に擦り寄ってくるかもしれないが、返還すれば国民の不興を買うから、それはプーチンにはできない。

ロシアの財政がどうにも回らなくなり、プーチンVS反プーチンの政争で混乱している時に乗じて領土返還を求めるのがいいかもしれない。

(政治マターにならぬよう、表向きは日本の水産/資源会社連合による買収/99年租借とか、島民への立ち退き補償という形になるかもしれない。いずれにしても「金目でしょ」だろうな)

焦らずにチャンスを待つしかないだろう。70年間待ったのだからあと5年10年は待てるはずだ。その間にロシアは体力をなくすだろう。待てば海路の日和あり。

夕食はレモン汁の生ガキ、海鮮チラシ丼、アサリのお吸い物。カミサンはご機嫌だ。

■2月5日(金)、朝は室温11度、寒い、久し振りの快晴、朝食後にのんびりしていたら7:41、体感震度4、ドーンと音がし上下に揺れた。震源は神奈川県東部、小生の尻の下。こんなのは初めての経験だ。地震大国、小生は諦めているけれど・・・ハーフ散歩。

石原慎太郎は皇室を非難するなど、ときどき「?」という奇妙なことを言う。思い込みが激しいのかもしれない。「角栄は米国に潰された」説はずいぶん前からあったが、石原は新著「天才」で、これをさも新しい情報のように書いているようだ。

古森義久氏の論考「石原慎太郎氏と“アメリカ陰謀説”を論じる 田中角栄元首相は米に嵌められた?」(Japan In-depth 2/2)から。

<元東京都知事で作家の石原慎太郎氏と田中角栄元首相や日米関係、日中関係について討論する機会を得た。1月31日のフジテレビの「新報道2001」というニュース討論番組がその舞台だった。

主役はもちろん石原氏で主要題材は同氏が最近、書き上げた小説「天才」だった。「天才」は石原氏の文学作品であり、厳密にはフィクションである。

しかし「新報道2001」はこの書の内容を実際に起きた事実のように扱う形で討論を進めた。だから石原氏は「田中角栄氏はアメリカによりロッキード事件という罠ではめられ、つぶされた」という主張を繰り返した。その理由は「アメリカは1972年に田中首相がアメリカに先駆けて中国との国交を樹立したことを恨みにもった」ことだという。

この石原氏の主張を支持するようにアメリカ陰謀説の大家の孫崎亨元イラン大使が「田中角栄氏はキッシンジャーにやられたのです」と語る言葉が番組でも紹介された。さらにその理由としては「アメリカは当時、中国のエネルギー資源を狙っており、日本に先を越されて恨みを抱くようになった」という解説も流された。

ここまでくると、ワシントンで毎日新聞と産経新聞の特派員として通算20年以上活動し、中国でも北京に2年駐在した私自身の体験や考察とはどうしても外れてくる。その種のアメリカの陰謀がどうにも浮かんでこないのだ。

まず「中国のエネルギー資源」についてはこの番組に出た台湾出身の金美麗氏が「中国は昔もいまも石油は不足で、外部から狙うようなエネルギー資源などなかったでしょう」と疑問を呈した。

肝心のアメリカについても政府機関が一体になって同盟相手の民主主義国家の民主的選挙で選ばれた首相を失脚させ、抹殺するという秘密工作が存在し、しかもその実態がいつまでも秘密のまま、という状態は考えられない。そんな田中角栄抹殺計画の具体的な証拠がどこにも見当たらないのだ。

アメリカ政府の「田中角栄抹殺計画」はその時代から40年もが過ぎてもツユほどの気配も証拠もみせていないのだ。

だから私はこのテレビ番組でも「私自身が知らないだけなのかもしれないが」という但し書きをつけたうえで、そんな陰謀工作があったとは思えないという主張を繰り返したのだった。日本での国際情勢論義に特有な陰謀説の最近のエピソードだった>(以上)

証言と、それを裏付ける客観的な証拠がない場合は鵜呑みにしない方がいい。鵜呑みにするとただの売春婦が聖女に見えてしまい、オツムを疑われる。シンシアリーがこう書いている。

<韓国のコンビニを利用する時にもっとも衝撃を受けたのは、「レジ袋に弁当を縦に入れる」店員がいることです。10回に2〜3回は「弁当の縦入れ」を経験します。もちろん中身がグチャグチャになります。

こういう不思議な現象は、店によるのではなく店員によります。私はこの問題を、こう考えています。「この人、店で弁当を買ったことが無いのだろうな」

大して若い人でもなく、店主っぽい人でもこれですから・・・困ったものです。

韓国経済、そしてその経済に参加している人たちの最大の問題は「経験無し」です。勤続期間が短いのも、そういうことでしょう>

実に奇妙な民族だ。上手い話に飛びついて安易に商売を始める韓国人は多いそうで、7割が失敗しているとか。経験のなさによる未熟とか、信じやすいとか、自信があるとかも「過ぎる」と軽佻浮薄になる。

慎太郎はいたずら小僧のような憎めないキャラだ。両親の影響を受けているのだろう。ウィキから。

<(慎太郎の父)潔は身長175センチ、体重は80キロもあった大男で、あだ名は“クマさん”だったという。

(ジャーナリストの)佐野眞一によれば、「(潔の勤務先の)山下汽船OBたちの間からは潔を絶賛する声が次々とあがった。その評価のなかに仕事に関するものはほとんどなく、酒や人とのつきあいに関するものばかりだったといってよい。潔が“人間的”魅力にあふれていたことは間違いないようである」。

慎太郎によれば、「親父は僕ら兄弟と一緒にいると、いつも相好を崩していた。怒るときは怒ったけど、ああいう偏愛っていうか溺愛っていうか、動物的な愛情の示し方は、おふくろはしなかった。

ですから、どこが似てるかっていわれれば、そういうところが似てると思うし、なんか言わなくていいことを言って、平気で相手をコキオロシたりするところは、おふくろに似てるし… (笑) 」>

慎太郎は概ね知的で愛嬌があるが、時に軽佻浮薄的になる。その息子は知的ではないし愛嬌もないけれど、父以上に軽佻浮薄的な感じを抱かせる・・・困ったものだ、大丈夫かよ、せめてきりっと口元を締めろ、と1億人がヒヤヒヤしている。W選の後は(休養明け、充電した)甘利氏復活で決まりだな。(2016/2/5)

◆MRJはもっと大型にすべきだった

石原 慎太郎



航空機産業は国家の命運を握る…

昨年の暮れ近く久し振りの国家的快挙として日本製のジェット旅客機MRJが誕生した。慶賀に堪えないが私自身にはいささかの不満がある。世界全体の需要からすれば本来ならばかつて活躍したYS11よりもう一回り大きな中小型の旅客機を作るべきだった筈だ。

私は知事在任中アジアの大都市のネットワークを造り毎年一度の国際会議を催していた。アジアの大都市間で協議統合すべき問題は多々あるが、実は本当の密かな狙いは航空機を製作出来る能力を保有している国同士の連帯で一番需要の高い中小型の純アジア製の旅客機をなんとしてでも作り世界に飛ばしたいという念願だった。

飛行機を作る可能性を保有する国は日本の他にすでにジェット戦闘機を製作している会社ハルを所有するインドや私と同じ試みで施策を試みていたバンドンに本社を持つインドネシアの会社に加えて航空機に不可欠な部品を製作可能な台湾まであった。

そのサイズの飛行機なら日本からアメリカやヨーロッパまで飛ぶ必要はなく、せいぜい東南アジア圏内を飛び回れればいいのだ。インドのような亜大陸でも未だ国内の行き来にジャンボのような大型機での往来のニーズには至っていないから中小型機の方が需要が高いし、発展の可能性を秘めているアセアン諸国間の行き来にも適しているはずだ。

ということで大都市ネットワークの本会議とは別にそれぞれの国の航空関係者の別個の会議を頻繁に持つことにしたが集まった専門家たちの全てが私の提案に大賛成だった。インドネシアの会社のごときは同じ発想で新型旅客機の製作に手をつけていたがアメリカの強い横槍で計画は潰され訪れたバンドンの本社の前庭には完成されるはずだった新型機の外形だけのドンガラが飾られていたものだ。

という経緯もあって日本の官僚たちはアメリカに気兼ねして新しいアジア製旅客機のサイズを縮小させてしまった。今回の経緯を目にして、私が思い出したのはかつて日本製のYS11が思惑が外れて生産継続が挫折したいわれは、YSの性能の良さとその売れ行きを懸念したアメリカが東南アジアで手を尽くして日本製飛行機の販路を潰したというまぎれもない事実だった。

そのつぶさな実態を私は当時、商社丸紅のインドネシア支店長をしていて、後には社長になった同窓の親友鳥海からつぶさに聞かされていた。その作業に暗躍していたのは他ならぬロッキードスキャンダルで表にたったコーチャンとクラッターなどという手合いだったそうな。

自動車での競争で日本に敗北したアメリカは太平洋戦争の緒戦での日本製のゼロ戦が、ドイツが自慢のメッサーシュミットが撃ち落とせなかったB17を簡単に撃墜させたトラウマを抱えていたせいで日本の航空機産業の台頭を絶対に許せずに、中曽根内閣時代に三菱重工が従来のいかなる戦闘機の性能をも上回る次期支援戦闘機FSXの計画を発表した時、強引にこれを潰してしまった。

この戦闘機の性能は旋回と宙返りの直径が従来の半分でいかなる相手との空中戦で優位にたてるという絶対的なものだった。

ちなみにアメリカの高性能の軍用機のコックピットはほとんど日本製の部品でなりたっている。他の大型旅客機の半ばも日本で作られてもいるが、アメリカ側の製造部分が粗雑で繋がらなかったという事実もあるほどだ。

故にも航空機産業はこの国の命運を左右しかねぬ可能性を秘めている。先般の火星にまで飛んでいき惑星の一部を採取して見事帰還した宇宙船ハヤブサの快挙も含めてわが国の先端技術の開発こそが国家を支える致命的な意味を持つということを我々は熟知すべきなのだ。

産経ニュース【石原慎太郎の日本よ ふたたび】2016.1.18


2016年02月05日

◆翁長知事完全敗北で沖縄の新未来

櫻井よしこ



全国的に注目された沖縄県宜野湾市の市長選挙で1月24日、同市の抱える普天間飛行場の返還実現を訴えた現職の佐喜眞淳氏(51)が、新人で翁長雄志知事の支援する志村恵一郎氏(63)を破って、大勝した。
 
約2万7700対2万1800、5900票差の勝利を現地紙『沖縄タイムス』は「圧勝」と書いた。普天間返還と辺野古への移設がセットで語られる状況で、現地紙は佐喜眞氏に厳しい論評を掲載し続けた。それでも、「圧勝」と書かざるを得ない勝利だったということだ。
 
過去の選挙同様、宜野湾市長選挙も国と県の代理戦争だった。飽くまでも普天間の辺野古への移設を阻止しようとする翁長知事は、選挙戦が始まると毎日応援に駆けつけ、選挙カーに10時間乗る日もあったと、『朝日新聞』は報じた(1月25日、朝刊)。

「そこまでしても、翁長さんの主張が通らなかったのは、本土との対決だけが目標のような頑なな政策ゆえだと思います。普天間飛行場を1日も早く移設して、周辺の安全を確保するのが知事の責任ですが、普天間問題を人質にしたかのような、安倍政権との対決姿勢は、合理的な問題解決を望む人々には通用しないと思います」
 
こう語るのは、石垣市長の中山義隆氏だ。
 
各紙には、安倍政権が支援する佐喜眞氏の勝利は自公両党が全力で票を掘り起こしたからだとの分析が目立つ。逆にこの選挙では共産党ファクターが働いたということか。

「出陣式の日、佐喜眞陣営に集った人数は相手方よりずっと少なかったのです。志村陣営には共産党系の運動員がドドッと入っていました。運動員の数の多さは目で見ればわかりますが、資金の方はよくわかりません。それでも相当の資金が共産党から出ていると思われました。このような現実に、公明党が発奮したのではないでしょうか。もうひとつ、佐喜眞氏の勝因は下地幹郎氏が最終段階で佐喜眞氏側についたことです。この人は自公共闘体制に反発して自民党を離れたわけですから、自公が支える佐喜眞氏側につくのは必ずしも本意ではなかったかもしれません。それを説得したのが二階俊博氏だといわれています。下地氏が宜野湾市で握っているといわれる票は約3000ですから、大きかったと思います」
 
こう語るのは、沖縄経済同友会副代表幹事の渕辺美紀氏である。
 
佐喜眞氏自身に聞いてみた。

「私の再選は文字どおり、皆さんのおかげです。自公両党にはしっかり支えていただきました。同時に圧勝とされた結果は、基地問題しか課題がないかのような現在の沖縄政治に疑問を抱いている人々が少なくないということだと思います。基地に関しては、私は一貫して沖縄の負担を目に見える形で減らしていくことに力を注ぎましたが、その他に、子育て、経済をどうしていくのかをずっと訴えてきました」
 
日米両政府は米軍専用基地の75%が沖縄に集中している事実を改善すべく、沖縄県に返還できる基地の洗い出しを行ってきた。普天間の辺野古への移設に伴って、嘉手納基地以南の基地の全面返還、北部の訓練場の返還などで75%が50%を割ることになる。

全面一括返還
 
しかし、日米両政府が返還しようとすると、現地メディアを筆頭にさまざまな理由で反対論が湧き起こる。その声は「全面一括返還でなければならない」という主張なのである。
 
全面一括返還は日米安保条約を根底から覆すもので、日本の現状から見れば応じられないのは明らかだ。そのような要求をするメディアや政治家は、中国の脅威には全く目を向けていないのであろう。
 
もうひとつ、土地返還に対して生ずる反対論は経済的な要因だ。沖縄の地代は、戦後の地価上昇よりはるかに高い上昇率で上がってきた。地代で暮らす人々への対応は、現実の政治が直面するもうひとつの壁である。
 
沖縄の人々の多くは、本音のところではこうした事情を理解している。政治は理屈だけではないからこそ基地問題は難しい。佐喜眞氏はその点で、相手陣営に票を入れた2万1800人のことを想ってこう語る。

「これはメディアが盛んに書き立てていることですが、沖縄は虐げられているという感情があるのです。政府と県の対立の中でそのような感情がさらに掻き立てられ、とりわけ高齢者層にその被害者意識は強くなったと思います。市長としての私の仕事は、これからの具体策を通して、こうした虐げられる沖縄という感情を如何に癒やし、変えていくことが出来るかという点につきます」
 
今回の市長選挙を見て、私は沖縄の政治的空気はこれから大きく変わっていくのではないかと思う。
 
9対2の対立

沖縄にある11の市の内、革新系市長は名護市と那覇市のみである。残り9市の市長は保守系だ。彼ら9人は前回の知事選で仲井眞弘多前知事を支えた。翁長氏を支えるのは名護と那覇の市長だけである。
 
9対2の対立の軸は、イデオロギーに縛られずに合理的解決を目指すことが出来るか否かということだ。基地は一括でなくとも着実に返還し、中国の脅威に対処するための国防力を米軍との協調体制の下で作っていく。その一方で、沖縄の経済的自立性を高めていく。そうした理に適った施策が、これからは受け容れられていくのではないかと思う。
 
日本の現状だけでなく、アジア全体を考えれば、安倍政権の描く外交が機能する土台が出来つつある。
 
台湾の選挙では野党・民進党の蔡英文氏が国民党のエースと評された朱立倫主席に300万票の差をつけて、大勝した。国民党は中国共産党と、いわゆる92年合意の存在について合意し、中国はひとつだとする立場をとる。巨大な中国と、中国の人口の2%しか擁しない台湾がひとつの国だと認めることは、台湾が中国に併合されることを是とするということだ。だが、民進党はその点を明確にはしていない。
 
92年合意を肯定しない民進党の目を見張る程の大勝は、中国にとってどれ程苦々しいことか。彼らが主張する第1列島線の中心点が台湾であり、第1列島線を押さえることが中国の世界制覇の基軸であることを考えれば、台湾の政権交代の意味は計りしれない程大きい。
 
その蔡氏が勝利を受けて行った記者会見で、氏は外国要人の固有名を1人だけ挙げた。安倍晋三首相である。南シナ海問題で守るべきは国際法であり、航行の自由、平和的話し合いであると語り、「日本の安倍首相とはコミュニケーションをとっている」と語ったのだ。
 
中国の蛮行を抑止するのに欠かせない台湾の協力、米軍との合理的協調に欠かせない普天間の解決、風は日本に吹き、中国には逆風である。

『週刊新潮』 2016年2月4日号 日本ルネッサンス 第690回