2016年01月24日

◆民意の強靱性を証した台湾・総統選

渡辺 利夫



台湾の総統選、立法院選における民進党の圧勝、国民党の大敗は、昨年11月の統一地方選の結果ならびに馬英九総統の国民党主席引責辞任の時点から予想されていたことではあった。しかし、これが現代台湾政治における画期であることはまちがいなかろう。

 ≪台湾住民に抱かせた危機感≫
 今回の民進党勝利により、1996年台湾初の総統民選で国民党・李登輝氏が総統となって以来、2000年には民進党・陳水扁氏、08年には国民党・馬英九氏、16年には民進党・蔡英文氏と、二大政党の政権交代が順次進められ、自由と民主主義が台湾において完全に定着したことが証されたのである。

 膨張する中国のいよいよ強まる風圧のもとで「小国寡民」の台湾が、自らの生存空間を確保し、中国を牽制(けんせい)し、さらに国際社会からの支持を取り付けるには住民の「民意」にもとづく民主主義ほど強力なものはない。実際のところ、民意である台湾の「現状維持」願望に逆らって昨年末にシンガポールで開かれた中台首脳会談は、形は国共分裂後初の歴史的会談ではあったものの、馬総統が習近平国家主席から得たものはほとんどなかった。

台湾の対中貿易・対中投資依存は馬政権下で急速な深化をみせ、これをす「両岸経済協力枠組協議」(ECFA)と称される自由貿易協定(FTA)を結んで対中経済関係の制度化にまで踏み込んだ。これが台湾企業のビジネスフロンティア拡大に資したことは確かだが、近年の中国の成長減速は台湾に手ひどい負の影響を与えている。

 何より、後退不能なまでに深い対中経済依存は台湾が中国にのみ込まれる政治的要因にもなりかねないという危機感を住民に抱かせてしまった。 「両岸サービス貿易協定」に反対する大学生が大挙して立法院(国会)に乱入、占拠したという一昨年春のできごとは記憶に新しい。協定が成立すれば多くの産業分野への中国企業の参入により台湾の雇用が奪われ、対中依存が決定的になることへの人々の拒否反応を誘い出し、これが学生の「ひまわり運動」に対する支持を大きく広げる要因となった。 

≪蔡氏は中国の手ごわい存在に≫
 馬氏は「92年コンセンサス(合意)」をもって中台首脳会談に臨んだのだが、民進党はそのような合意は存在しないという立場である。92年合意とは、双方が「一つの中国」を求めるものの、その内容については台湾側が「中華民国」を、中国側が「中華人民共和国」を意味するという内容のものだといわれる。合意文書もなく当時の総統・李登輝氏や、台湾側代表として92年会談での交渉に当たった辜振甫(こ・しんぽ)氏もその存在を認めていない。習氏は合意が存在するとして首脳会談に臨んだ。総統選で民進党大勝が予想されていた昨年11月時点での首脳会談である。交渉の陰の主役はまぎれもなく蔡氏であった。

習氏は蔡氏に向けて中国は「一つの中国」の原則に立っており、この原則を否定するのであれば蔡氏は対中政策において困難に逢着(ほうちゃく)するという警告を発したのであろう。92年合意を民進党が認めなければ台湾の「現状維持」も難しくなろうという威圧を蔡氏に加えたつもりかもしれない。蔡氏が選挙戦に際して自陣営の不利化を回避し、92年合意を争点としなかったのが賢明であった。
 
蔡氏は習氏から中台首脳会談開催の根拠たる92年合意の承認をいずれ迫られる可能性がある。しかし、蔡氏には「民進党を支持する強靱(きょうじん)な民意が存在する、民意こそが最終的な決定者だ」と主張できる民主主義の論理がある。蔡氏はタフな政治家であり、中台は「特殊な国と国との関係」だという李登輝氏の「二国論」の起草に深く関与した人物でもある。しかし「台独綱領」などを表面化させていざこざの種を蒔(ま)く稚拙な政治家ではもちろんない。住民の広範な支持を取り付けた蔡氏は中国にとって手ごわい存在となろう。

≪日台新時代を拓く好機到来≫
 中国との絶妙な間合いを取りつつ、日米との連携強化を求める動きを蔡氏は既に始めている。オバマ政権は昨年12月、ミサイルフリゲート艦2隻を含む総額18億3千万ドル相当の台湾への武器売却を議会に通知した。台湾は日本のシーレーンにおいて波高い東シナ海の南、南シナ海の北を扼(やく)する決定的に重要な戦略的位置にある。中国とは異なり台湾は台湾以外に主権を要求する存在ではない。

 台湾では世代交代が進み「台湾人アイデンティティー」は強まりこそすれ弱まる気配はない。それに台湾はいずれの国に比べても親日的である。 安保関連法案の可決も成った。台湾に対する日本の政治・外交的視線がこれまでのように冷たいものであっていいはずがない。安倍晋三首相もまたタフな外交を展開する希有(けう)な政治家である。歴史的にも地政学的にみても日台は運命共同体である。日台新時代を拓(ひら)く好機到来なのであろう。(わたなべ としお・ 拓殖大学学事顧問 )
               産経ニュース【正論】2016.1.19

2016年01月23日

◆蔡英文と台湾の行方は 

池田 元彦



民進党勝利は折込済みだったが台湾選挙結果は、予想を遥かに超える大勝利となった。総統選では、蔡英文民進党主席が690万票、朱立倫国民党主席380万票で、300万票の大差がつく結果となった。200万票以上の差が付くか否かが選挙前の焦点だったので、想定外の得票だ。

予想と得票の差100万票は、選挙日前夜に台湾のTVで流れた韓国で活躍する16歳の台湾出身アイドル周子瑜の謝罪会見動画の影響だと台湾関係者は分析する。即ち可憐な少女が、昨年11月の韓国TVで、韓国旗と台湾旗(青天白日旗)を映像で可愛く振り翳したのが発端だ。

TVディレクター指示によるポーズだが、支那大陸で活躍する同じ台湾人タレントが、彼女は台湾独立派だとツウィターで騒ぎ、大陸のネットが炎上、非難が彼女に集中し大陸にも多くのファンを持つ周子瑜の旧正月公演がキャンセルされた。その彼女の謝罪動画が選挙日前夜放映された。

「中国は一つです。海峡両岸は一体化しています。私は中国人であることを誇りに思っています。両岸のネットユーザーたちの心を傷つけたことを、心からお詫びします。(後半省略)」。心細そうな表情と頼り気の無い仕草で紙を読上げるのは、明らかに中共政府の圧力で言わされているのだ。

台湾人の若者達はそれを見て台北等から即刻各自の地元へ選挙投票のため戻り、蔡英文の+50万票に貢献した。残りの50万票は、本来朱立倫への票が土壇場で蔡英文に移ったのだ。加えて立法院選挙では民進党541万、国民党472万票と、投票が雪崩を打って民進党に移動した。

議会の定数113に対し民進党68と過半数を制し、国民党はその半分35席まで減らし、それまで弱小だった若者中心の「時代力量」と言う党が5議席を確保し、野党第2党に躍り出た。

今回の台湾選挙は民進党の大躍進と言うよりも、国民党の大敗と若者の党時代力量の躍進を印象づけた。

国民党大敗の原因は何か。勿論馬英九の対中関係改善での国内企業大陸進出、中台間の通信、通商、通航の直接開放による空海直行便の定期化、年間360万の中国人観光客を迎え入れ、商売繁盛を狙った迄は支持されていたが、「海峡両岸サービス貿易協定」審議で事態は一変した。

事実上台中の経済一体化協定に、中共に呑込まれる危険を感じた若者達が、所謂ひまわり学生運動として国会を占拠する迄に至り、台湾人商店主を殴る横柄な観光客や中共地方官僚の台湾人女性レイプにも官憲は一切手出しせず帰国させた。台湾人が遂に馬英九に愛想を尽かした。

支那は「蔡英文は中国13億人の民意を無視してはいけない」と捻じ込んだが、何時迄経っても恫喝で相手を黙らせるやり方は最早通じない。台湾が中共政府の一部等とは誰も賛同しない。そして国民党の回復は最早あり得ない。台湾は国民党を既に見捨てている。後は自滅を待つだけだ。

 蔡英文は、裕福な家庭の9人兄弟の末っ子として生まれ何不自由なく育ち、父親の希望で法学者の道を歩んだが、貿易交渉で通訳を勤めた折、議員より明確な判断をするところを李登輝に見込まれ政治家への道を歩み始めたと言う。内気だが冷静沈着で的確で、優柔不断ではないと言う。 当面は過激な発言は慎むだろうが、本人は総統就任後に明確な方針を持っていると言う。即ち(中国に)挑発はしない、継続性を維持する、そして日米とは何事も相談を重ねるとのことだ。
 
勝利宣言記者会見では、海外の友人に感謝するとの下りで、英語・日本語通訳では、本人の発言がない「米国や日本に感謝」を明言した。そう、蔡英文は是々非々で大陸と対峙す。



◆おめでたい安倍首相

宮嶋 茂樹



ほうれ、まただまされよった。ホンマめでたいのう安倍晋三首相、ていうか納税者の皆さま。慰安婦問題で政府が供出する10億円はわれらの血税やろ。

鳩山由紀夫元首相のママからのお小遣いとちゃうんやで。韓国だけとちゃう。北朝鮮も拉致被害者らの再調査約束しときながら、水爆つくろうとしとったんやで。なんで官邸筋は、この連載に目を通してくれんの? しょせん、バッタカメラマンのたわごととタカくくっとるんやろうけど、ワシが予想した通りに、わが国をだまし続けとるんやで。

あのソウルの日本大使館前にある芸術性のカケラもない悪趣味な慰安婦像の撤去について韓国政府は先の日韓合意で、「努力する」というときながら、舌の根も乾かんうちに「政府がどうしなさい、といえる問題ではない」と韓国の女性大統領からケツまくられたんやで。

韓国政府が指一本触れられんのを見て、アメリカでも、グレンデール市に続けとばかりに、今後、全米中に慰安婦像をおったてよるぞ。日本は「やらずぶったくり」で10億円くれてやるばかりか、国際社会からなめられる一方や。くどいようやが、10億円はワシらの血税やで。

アメリカ大統領選で共和党候補の指名争いでトップを走るトランプ氏は、イスラム教徒のアメリカへの一時入国禁止を訴えとるそうやないか。これに対してオバマ大統領は、イスラム教徒の子供が学校でいじめられたりすることは断じてあってはならんと国民に説いとるという。

ワシはトランプ氏みたいなことを韓国・朝鮮人に対して言うつもりはない。だが、今やアメリカ在住の日本人の子供の中には、理不尽ないじめに遭うとる子もいるという。

いわく「日本人は厭がる朝鮮人女性を拉致し、性奴隷として死ぬまで奉仕させた」「お前のおやじも、じいさんも強姦(ごうかん)魔やった」。それを証拠に「安倍首相も日本政府も謝り、大金まで出すそうやないか」というわけや。

オバマ大統領、日本人の子供たちが、ありもしない冤罪(えんざい)でいじめられても目をつぶっとるんなら不公平やで。

                   ◇

【プロフィル】宮嶋茂樹

みやじま・しげき カメラマン。1961年、兵庫県出身。日大芸術学部卒。写真週刊誌を経てフリーに。東京拘置所収監中の麻原彰晃死刑囚や、北朝鮮の金正日総書記をとらえたスクープ写真を連発。写真集に男女の若き海上自衛官を撮った「国防男子」「国防女子」。

産経ニュース【宮嶋茂樹の直球&曲球】 2016.1.21
               (採録:松本市 久保田 康文)

◆私の「身辺雑記」(305)

平井 修一



■1月19日(火)、朝は室温8.8度、今季最低、快晴、道路の雪はほぼ消えたが、かなり寒い。滑って転んで重軽症者260人とか。遊歩道は誰も歩かないから凍ったままなので道路を用心しながら2/3散歩。

昨日は終日、冷蔵庫にいる気分で、省エネのために19〜20度設定のPC部屋6畳に籠っていた。ま、シェルターだが、中共にはそれがあるのか。中共ではガスマスクをつける人も出てきた。

中共の大気汚染は北京、上海が有名だが広州もすさまじいそうだ。ということはほとんどの都市は規模を問わず大気汚染まみれということだろう。シェルターなし。2014/2/6「日経ビジネスオンライン」の記事によると、「中国大気汚染ワースト都市ランキング」(当局公表データによる)は――

1 石家荘/河北省
2 刑台/河北省(刑はつくりがコザト)
3 唐山/河北省
4 邯鄲/河北省
5 保定/河北省

北京(直轄市)を取り巻く河北省が圧勝している。石炭産地であり、火力発電や野焼きなどで煙もうもうなのだろう。

<河北省は中国最大の穀物、綿花の生産地である。工業面では石炭業が盛んであり、それらは輸出される他、火力発電でも使用され、石家荘、保定、邯鄲、刑台、衡水、滄州を網羅する河北南電力ネットワークを構成し、また張家口、承徳、唐山、廊坊、秦皇島及び北京、天津を網羅する京津唐電力ネットワークを構成する電力供給拠点となっている>(ウィキ)

6 済南/山東省
7 衡水/河北省
8 西安/陝西省
9 鄭州/河南省
10 天津/天津市

長女の友だちのいる大爆発・天津はトップ10入りだ。オメデト。

11 太原/山西省
12 廊坊/河北省
13 成都/四川省
14 滄州/河北省
15 武漢/湖北省
16 北京/北京市

なんとあの北京より汚染されている都市が15もある。河北省の住人は「北京に行くと空気が良いと感じる」と言っているそうだ! ちなみに、

48 広州/広東省
49 上海/上海市

それでも最近、訪中した人によると、広州は展望台閉鎖(ガスで何も見えない)、上海はガスっている上に異様な臭いだという。

森清勇/星槎大学非常勤講師の論考「中国がひた隠しにするPM2.5による死者の数 台湾の事例から推算されたその数は年間100万人」(JBプレス1/18)から。ここが興味深かった。

<*異常な耐性の中国人

中国は台湾に比して少なく見積もっても3倍以上の(濃度の)大気汚染に晒されているとみてもいいのではなかろうか。

ただ、(大気汚染による死者がないという)中国人の名誉のために言及すると、今から130年ばかり前の奉天(いまの瀋陽)にスコットランド(英国)からデュガルド・クリスティーという25歳の伝道医師が赴任してきた。

医師は日清戦争、義和団事件、日露戦争の荒波を潜り抜けて1922年まで約40年間にわたり奉天で勤務し、中国人を観察し続けた。英国の女性旅行家イサベラ・バードも奉天の医師を訪ねて意見交換し、奉仕活動を手伝ったりしている。

医師は中国人の環境や病気などに対する強さに感心し、「我々が住民の生活状態を調査して先ず驚くことは、彼らの身体の発育がその生活状態に比して意外に良く、強健であることである」(『奉天30年』)と記している。スコットランド人であればとても耐え得ないような状況に対して、中国人は平然としているというのである>(以上)

恐るべし漢族! 人類死すとも漢族死せず! 英禍、阿片禍、倭寇禍、紅禍、飢饉禍、文革禍、天安門禍に耐えた最強民族は、習近平禍にも耐えて、永遠の夢「蓄財蓄妾美食美酒美女移住」を追いかけるのだ。マケソー・・・

■1月20日(水)、朝は室温8度、今季最低、ゴミ出しに出たら手がすぐに冷たくなった。屋根の雪は北側と西側はまだ残っている。快晴、ハーフ散歩。

漢族は日本で喉と目に効く薬を買う。わが身はわが身で養生する、国はまったく当てにならないからだ。支那通の近藤大介氏が1/18にこう書いている。

<年末年始に北京へ行ってきたが、北京っ子の誰と会食しても、最初の15分くらいは空気清浄機の話題である。消費がすっかり低迷している中国にあって、空気清浄機市場は例外的に盛隆を極めている。まさに「空気特需」だ>

庶民は2〜5万円あたりの中国製、中間層は9〜14万円あたりの日本製、そして、

<富裕層は、スイス製の空気清浄機を購入していて、こちらは1万元(18万円)から1万3000元(23万円)くらいだ。このクラスになると、家庭用ではなく工場用である。そんな重厚長大な工場用の空気清浄機を、スイスからわざわざ自宅に取り寄せているのが、いまの中国人富裕層なのだ>(近藤氏)

支那人の日常は“常在戦場”、生きること自体が戦争なのだ。うかうかしていると毒ミルクやPM2.5ガス室で殺されてしまう。客船は沈没し、工場は大爆発し、盛土は山津波となって襲ってくる。お上は当てにならないから自分で自分と家族の命を守る。毛沢東のスローガン「自力更生」とはそういことだったのだ。

ぬるま湯に浸かっているような日本人とは比べようもないほど鍛えられている。お上を当てにして「助けてドラえもん」の“のび太”日本人とは大違いだ。マケソー・・・

上記の近藤氏の論考「中国経済の“不都合な真実”『今年、北京発の金融危機が世界を襲う』ある金融機関幹部が語った」(現代ビジネス)から。

<日本と中国、ともに大発会となった1月4日朝、私は北京西城区にある金融街のちょうどヘソの部分に位置するウエスティンホテルで、金融街に勤める旧知の中国人と、朝食を共にしていた。「金融街から見た2016年の中国の景気判断」を聞くためだった。彼は、まずは自分の家庭のことから切り出した。

「息子がまもなく高校を卒業するんだ。成績は大変優秀なんだが、アメリカの大学に行かせることにした。アメリカがダメならカナダでもいいと思っている。私の周囲を見渡しても、多くの親がそうしている。いまの中国は、あらゆる環境から見て教育にはふさわしくないからね」

私が「あらゆる環境」とはどういうことかと畳みかけると、彼はこう説明した。

「今年は、世界全体が不況に見舞われた2008年の再来になると私は見ている。とりわけ深刻なのが中国だ。2008年のリーマンショックの時は、アメリカ発の世界同時不況で、それを中国政府が4兆元出して救った。ところが2016年の金融危機は、もしかしたら中国発となるかもしれないのだ。そして、もはやアメリカもEUも、もちろん日本も、救世主にはなれないだろう。

習近平政権は、不況が深刻化すれば、いまよりももっと締め付けを強化するに違いない。党や政府の幹部には出国制限があるが、私は国家公務員でもないので、まずは息子を海外に送り、いよいよこの国に見切りをつけたら、妻と移住しようかと考えている。この金融街の住人は、多かれ少なかれ、誰もが同じような考えを持っているよ」

彼は、続けて近未来の話に入った。

「現在、われわれ金融街の住人が、最も話を聞きたい人物が二人いる。いまや中国の経済政策の司令塔とも言うべき中央財経指導小グループ弁公室の劉鶴主任と楊偉民副主任のコンビだ。どんな経済政策も、習近平主席は劉主任と楊副主任に相談してから決定すると囁かれるほど影響力を持っている。

二人は、公の場にはほとんど顔を見せなくなったが楊偉民副主任が、暮れの12月26日に北京飯店で開かれた中国経済年会に顔を出し、短いスピーチをした。そこで、2016年の中国経済の大方針を述べたのだ」(平井:大方針は下らないので略す)

*今年の中国株は上がる要素が見当たらない

この(スピーチの)文書にザッと目を通した私は、「とてもいいことが書いてありますけど、問題は実行できるかどうかですね」と、思わず漏らした。すると彼はこう言った。

「その通り。早く実行に移していかないと、中国経済は取り返しのつかないことになるだろう」

私は話題を変えた。

「もうあと1時間ほどで、今年の上海・深セン証券市場が開きますが、今年の中国株はどうなるでしょう?」

「う〜ん、正直言って、上がる要素が見当たらない。普通は春節前になると上がるものだが、今年の場合はね・・・。上海総合指数が1ヵ月間、3000ポイントを下回ると、中小の銀行に破綻リスクが出てくる」

彼はすっかり弱気になってしまった。

*上海総合指数は2週間で18%の大幅下落

ところで彼の「株価が下がるのでは」という心配は、早くもその日のうちに現実となった。(熔断:サーキットブレーカーという制度で取引停止)

大発会の朝から株価は暴落を続け、年初から何ともバツの悪いことになってしまったのだ。悲劇はこれに終わらなかった。1月7日木曜日(も取引停止)。

というわけで、1月7日の晩に、証券監督管理委員会と上海証券取引所は、「熔断を明日から採用しない」と緊急通知を行ったのだった。この時ばかりは、日ごろお上に遠慮がちな中国メディアも、「研究10年、実行4日」などと皮肉ったのだった。

金融街の人物が心配していた3000ポイントのラインも、1月12日に2978ポイントまで下げ、あっさりと割ってしまった。

*中国経済はAIIBに期待せざるを得ない

1月16日午前、習近平や57ヵ国代表が出席して、AIIB(平井:インチキ銀行)の開業式が華々しく行われた。周知のように、日本とアメリカは参加していない。

繰り返すが、中国経済は頗る悪い。だから中国企業は海外へ出て稼ぐしかない。その後押しの役割を期待しているのがAIIBなのだ。

帰りがけに「北京の母」と私が勝手に呼んでいる百発百中の旧知の女性占い師のところに顔を出した。今年の中国経済について彼女に占ってもらったところ、次のようなご宣託を得た。

「指導部の判断ミスなどで、悲観的なムードがしばらくは続くわね。指導部は自分たちの発言に、より注意しないといけない。中国経済は一層の自由化と規制緩和が求められていることを、指導部は知るべきよ」

何だか半分は、彼女の個人的意見のようだった。ちなみに日本経済についても聞くと、「明るさを取り戻して伸びていく年になるわ」と、とたんに顔を綻ばせたのだった>(以上)

「北京の母」も株で大損したようだ。

西村豪太/東洋経済記者の論考「中国発の“世界同時株安”止める手はあるか 日経平均も巻き添え、昨年来安値割れの懸念」から。

<株にも為替にも共通するのは、(中共)政府が対症療法に終始し、新たなルールを見いだしていないことだ。1月4日付の人民日報は1面で今後の中国経済は「V字回復できずL字を描く可能性がある」と構造改革の必要性を説いた。市場原理を徹底させる必要性は中国政府もわかっている。

が、成長率の低下をどこで止められるかがわからない現状で、コントロールを手放すのは怖い。巨大化しすぎた経済が新たな落ち着きどころを見いだすまで、世界は中国に振り回されることだろう>(東洋経済オンライン1/18)

2008年のリーマンショック、そして今の「チャイナショック」・・・

習の起死回生策「新シルクロード」は、誰も住んでいず、ニーズもない荒野にインフラを造るのだろう。海運、空運の時代に支那と欧州を鉄道で結ぶなんて荒唐無稽だ。

そんなことをするよりも「反腐敗」を止めて「社会保障」に努め、周辺国と仲良くして、いい製品を作って買ってもらえるようにしたほうがいい。

支那の売れ残りの分譲住宅在庫(延べ床面積)は21億平米もある。1戸210平米とすれば(日本の2戸分。金持向けが多いとして)1000万戸、日本並みの2〜3LDK105平米とすれば2000万戸にもなる。1LDK50平米なら4000万戸だ。

在庫処分には数年かかるだろう。需要がないのに投資すれば借金だけが残ることになる。

中共が内需ではなくインフラ投資主導の経済活性策、為替や株への介入策を改めなければ、行き着く先はかつてのポンド危機のようにヘッジファンドのおもちゃにされ、外貨準備が底をつき、そして、へたをするとデフォルト、債務不履行、財政破綻となる。

そうなれば禿鷹ファンドが飛びついて食い荒らすに違いない。それでも漢族はどっこい生き延びるのだろう。恐るべき耐性だ。

今朝の「頂門」の櫻井よし子氏の論考は伊藤製作所を紹介していた。とても興味を覚えたので同社のサイトを覗いて動画を見た。感動もの、日本のモノ造りのすごさに脱帽した。

「製造業にしがみつくべきではない」という論もあるが、それがなくなると銭ゲバだけの国になってしまうのではないか。日本が日本でなくなってしまう。ジャパニーズドリームはアメリカンドリームとは全く違う。小生はそんな日本が大好きだ。

http://www.itoseisakusho.co.jp/

■1月21日(木)、朝は室温9度、快晴、ハーフ散歩。ちと冷える。

このところ体調が良い方向へ変化した。夜、2時間おきに目が覚めていたのが4〜5時間ぐっすり眠れるようになった。今朝はナント数年ぶりに朝立ち! うれし恥ずかし。

原因は何だろうと考えたが、先月から長女にもらったスッポン錠剤を服用していること、これ以外に思い当たらない。コラーゲン効果のようだ。

時事通信1/20「独立象徴のスッポン死ぬ=絶滅危惧種、不吉な前兆か―ベトナム」から。日本のスッポンは30〜40センチほどだろうが、越のそれはなんと1メートル以上だ。

<【ハノイAFP=時事】ベトナム国営メディアによると、中国・明朝との独立紛争の象徴として神聖視されていた絶滅危惧種のシャンハイハナスッポンが死んだ。80〜100歳とみられる。

体重約200キロのスッポンは19日夜、ハノイ中心部のホアンキエム湖で死んでいるのが見つかった。この湖のシャンハイハナスッポンは、15世紀に明朝を撃退した指導者、黎利(後の皇帝)の魔剣の守護者と言い伝えられている。めったに水面に姿を現さず、目撃すると縁起が良いとされていた。

訃報にインターネット上では悲しみが広がった。共産党大会で近く新指導部が選出されるため、不吉な前兆と訴える声も多く、訃報記事の一部は掲載後に取り消された(共産党は皆一緒)。

シャンハイハナスッポンは死んだ1匹を含め、世界で4匹しか生息が確認されていない>

「不吉な前兆」が福に転じるように多分、はく製にして廟堂に祀るだろう。ご利益がありますように。

サーチナ1/19「中国とモンゴルは“潜在的な敵”中国メディアがロシアでの見方を紹介」から。

<中国メディアの参考消息網は17日、ロシアに「中国とモンゴルは潜在的な敵」との見方があると紹介した。

記事によるとロシア紙「ウトロ・ルーシー」が2016年はロシアを取り巻く国際環境が極めて厳しくなると論ずる記事を掲載。ロシアの「潜在的な敵」として、フィンランド、中国、モンテネグロ、モンゴル、キルギスタンを挙げたという。

モンテネグロについては北大西洋条約機構(NATO)加盟が現実味を帯びてきたこと、フィンランドについては難民に絡んで国境の管理問題が浮上する可能性があるという。

中国については、習近平が進める「一路一帯」政策の一部である、中国と中央アジア、ロシア、西欧を結びつける経済圏の構築が、ルーブル安で体力の弱ったロシアの特に中小企業にとって不利になる可能性があるという。

さらに、中国がトルコに接近していることも、ロシアにとっては大きな問題という。トルコが、ロシア軍戦闘機を「越境」を理由に撃墜し、搭乗員2人が死亡したことで、ロシアとトルコの関係は一気に険悪化した。中国の「一路一帯」にとってトルコは極めて重要な国であるだけに、トルコ問題は中ロ関係を複雑化するという。

モンゴルとロシアは環境問題で、対立が厳しくなる。モンゴルは自国内を流れる重要河川のセレンゲ川に水力発電所を建設しようとしている。セレンゲ川は国境を越えてバイカル湖に流れ込む。同川はバイカル湖の重要な水源のひとつだ。

ロシアでは、モンゴル国内でのダム建設が自国の生態系に深刻な影響を与えるとして、建設の絶対阻止を主張する環境保護論者がいる。プーチン大統領も、同問題を解決すると約束した。

しかし、モンゴルにとっては同発電所の建設は、自国の電力不足を解消し、中国への売電によりその他の道路や鉄道、橋などのインフラを建設するための重要な資金になる。モンゴル側にとって発電所建設は「死活問題」にもなるという。

キルギスタンについては、4年前に両国が合意した、国境地帯のダム建設で、対立が表面化した。キルギスタン側はロシアが約束の7億ドルの資金を拠出しないと非難している。

ロシア側は、国境地帯のダム建設は周辺の国際環境を悪化させ、最悪の場合には軍事的衝突も発生すると考えはじめたため、ダム建設に否定的になったとの見方がある。

「ウトロ・ルーシー」は、これらの「潜在的な敵」とロシアの関係がこじれれば、「まったく予測できなかった衝突が発生する可能性もある」との見方を示したという。

◆解説◆ロシア人は長年にわたり、モンゴルに対して抑圧的な姿勢を示した。モンゴルは13世紀にロシアに進出し、ジョチ・オルス(ジョチ・ウルス、キプチャク汗国)を築いた。

ロシア民族も当時、スカンジナビア半島から進出してきた比較的「新参者」と言える勢力で、モンゴル人に服属し、後に徴税の請け負いを認められたことなどで実力を得て、モンゴル勢力を打倒した。

モンゴル統治下でロシア人は政治や軍制を整えて発展の下地を作ったが、ロシア人は自らの民族の発展を「モンゴルのくびきからの解放による」という“建国神話”を作った。そのため、ロシア人のモンゴル人に対する感情の根底には「歴史的恨み」が形成されたという。

ロシアは中国人に対しても、モンゴル人と同一視する感情があるとされる。ロシア人は中国人とモンゴル人に対して心のどこかに「潜在的な恐怖感」を持つ場合があると言いなおしてもよい。(編集担当:如月隼人)>(以上)

なるほど、モンゴルとは仲良くした方がいい。中露はお互いが潜在敵視している。結構なことだ。(2016/1/21)   

             

2016年01月22日

◆強権的だったのはどっち?

阿比留 瑠比



民主・岡田代表「独裁批判」は鏡を見た方がいい 

民主党の岡田克也代表や社民党の福島瑞穂前党首がこのところ、自民党が憲法改正の具体的な項目として例示する緊急事態条項について、ナチス・ドイツの権力獲得過程になぞらえた発言をしている。この人たちは、レッテル貼りのほかにやることはないのかとげんなりし、その論理破綻には開いた口がふさがらない。

「法律がなくても首相が政令で(国民の)権利を制限できる。恐ろしいことだ。ナチスが権力をとる過程とはそういうことだ」

岡田氏は15日のBS朝日の番組収録でこう語った。収録後には記者団 に「ヒトラーが政権をいったん取った後、議会を無視して権力、独裁政権をつくった」とも指摘したが、緊急事態条項は果たしてそんなに危険なものだろうか。

西修・駒沢大名誉教授(憲法)によると、1990年以降に制定された 102カ国の憲法すべてに緊急事態条項が設けられている。これらの国々 はみんな独裁政権の圧制下にあえいでいるとでもいうのか。

第一、ナチス台頭への深刻な反省から出発したドイツ憲法でも、緊急事態条項は定められている。岡田氏は無理やりなこじつけで、安倍晋三政権への不安や恐怖をあおろうとしているとしか思えない。

 そんなことをつらつら考えていたら、民主党の輿石東参院副議長が今期限りで引退すると表明した記者会見を報じた小さなベタ記事が目についた。日経新聞の18日付朝刊は、こんな輿石氏の言葉を紹介していた。

「言いたい放題、やりたい放題やらせてもらったので心残りはない」

これを読み、民主党政権時代のあれこれが走馬燈のように脳裏に浮かんだ。本当に彼らは好き勝手に振る舞っていたなあと−。

「教育の政治的中立を担保しつつ、これからも子供たちのための運動を続けていく」

18日付の山梨日日新聞朝刊には、輿石氏の記者会見に同席した山梨県 教職員組合(山教組)の梶原貴委員長のこんなコメントが載っていた。山教組は輿石氏の出身母体だが、梶原氏の言葉はまるでウケ狙いのギャグのようだ。
 
特定政党の議員の記者会見に同席している時点ですでに政治的に中立とは言えないし、輿石氏は平成21年1月にはこう発言しているからである。

「日教組は政権交代にも手を貸す。教育の政治的中立などといわれても、そんなものはありえない」

輿石氏は民主党幹事長当時の24年2月には、気に染まぬ報道をしたテ レビ各社の記者を次のように恫喝もしている。

「そんなことをやっていると電波を止めるよ。政府は電波を止めることもできる。そうなったらみんな給料ももらえなくなって歳費削減どころじゃないぞ」

輿石氏は報道機関の幹部を国会に呼びつけて事情聴取を行うなど、言論統制の意図を隠そうともしなかったが、民主党から反省の弁を聞いたことがない。それどころか、岡田氏は輿石氏に次期参院選への出馬要請すら行ったとされる。

特定政党の議員の記者会見に同席している時点ですでに政治的に中立とは言えないし、輿石氏は平成21年1月にはこう発言しているからである。

「日教組は政権交代にも手を貸す。教育の政治的中立などといわれても、そんなものはありえない」

輿石氏は民主党幹事長当時の24」年2月には、気に染まぬ報道をしたテレビ各社の記者を次のように恫喝もしている。

「そんなことをやっていると電波を止めるよ。政府は電波を止めることもできる。そうなったらみんな給料ももらえなくなって歳費削減どころじゃないぞ」

輿石氏は報道機関の幹部を国会に呼びつけて事情聴取を行うなど、言論統制の意図を隠そうともしなかったが、民主党から反省の弁を聞いたことがない。それどころか、岡田氏は輿石氏に次期参院選への出馬要請すら行ったとされる。

このほか、民主党政権では「民主主義は期限を区切った独裁」と言い放ち、閣僚が国会で虚偽答弁をしても必ずしも政治的・道義的責任は問われないと閣議決定した菅直人元首相、自身の発言について「書いたらその社は終わりだ」と脅かした松本龍・元復興相…と強権的な言動は枚挙にいとまがない。岡田氏はまず、鏡を見た方がいい。

                (論説委員兼政治部編集委員)

産経ニュース【阿比留瑠比の極言御免】2016.1.21

◆前FRB議長が中国人民銀行に警告

宮崎 正弘
 

<平成28年(2016)1月21日(木曜日)通算第4784号> 

 〜バーナンキ前FRB議長が中国人民銀行に警告
  「SDRに加盟する通貨たるには、もっと透明性が必要だ」〜

ベン・バーナンキ前FRB議長は「ヘリコプター・ベン」という異名ととった。空から貨幣をばらまいてでも景気を回復させ、恐慌を避けるという通貨政策をとって、米国経済を持ち直させた功績がある。

そのバーナンキ議長、1月20日に香港で講演し、「人民銀行はもっと透明性をたかめる為替政策に移行するべきではないか」と発言した。

「そうしなければIMFのSDR入りが原則認可されたとは雖も、世界通貨にはなる機会はない」と極めて強い警告だった。香港で開催された「アジア金融フォーラム」の基調講演で、である。

「多少の改革は行われてきたことはみとめるものの、為替、通貨、債券市場において、人民元が適切な管理体制にあるとは言えず、八月以来の人民元安は、不透明性ゆえに周辺諸国にも株安、通貨安という結果をもたらした」としてバーナンキ議長は続けた。

「原油安は景気回復に良いニュースであり、ドルは今後もFRBが利上げしようと、利下げしようと、ドル基軸体制は変わらない」。

1月7日にスリランカで開催された「アジア経済フォーラム」で基調講演に立ったジョージ・ソロスは「中国経済の先行きは暗い」と発言している。

「08年のリーマンショックを思い出す。中国は調整という大問題に直面している」と警告を発しているのである。
    

◆先が読めない世界経済

平井 修一



金融市場は実体経済、政治動向などの分析に基づく理性や損得で動くものであったはずなのに、今の世界は「恐怖心」だけで動いている、動かされているようだ。ベテランのヘッジファンド経営者が「もうやってられない」と会社を畳んでしまった。マーク・ギルバート氏のコラム「6400%リターンの運用者も白旗掲げた今の市場」(ブルームバーグ1/12)から。

<ウェブサイトに、マーティン・テーラー氏のネブスキーキャピタル新興市場ファンドと幾つかのMSCI*の指数を比較したチャートが載っている。(平井:*米国のMSCI Inc.が算出・公表している株価指数の総称)

それによると、パフォーマンス最良の指数の1995年3月以降のリターンは300%弱だが、テーラー氏のファンドは6400%余り。ベンチマークの20倍以上のリターンを達成した40代後半の運用者のキャリアは盤石だと思うだろう。

しかしテーラー氏は先週、ファンドの閉鎖を決めた。理由として挙げたのは、現在の市場環境と、それが相当期間続くとの見通しだ。このような状況下では、満足のいくリターンの達成という目標を満たせないという。

テーラー氏はさまざまな投資の阻害要因を挙げる。一つには、中国とインドの世界での重要性が増しているにもかかわらず、両国の経済指標の信頼性が低いため世界経済の予測が立てにくくなっていると指摘。

また、コンピューターによる取引が市場の不合理を高めているほか、ロシアや南アフリカ共和国などでの国家主義の台頭によって、ますます予想不可能な形で政治が経済に優先する可能性があるとも分析した。

つまり、ちょっとした事象が大きな変化を引き起こすバタフライ効果が恒常化し、「市場が不合理であり続ける期間を破産せずに乗り切るのが無理なファンダメンタルズ(平井:経済の基礎的条件)重視の投資家は締め出される」という。

ある意味で、テーラー氏が運用をやめようと決めた理由の分析で一番心配なのは同氏の気持ちの部分だ。不合理な市場のトレンドが投資家が耐えられる以上の長期に及ぶ恐れがあるため、「私たちが何よりも楽しんできたこと、つまり経済指標や企業財務を分析して予測するという作業がもはや楽しめるものではなくなった」という。

運用が心の底から好きでなかったら、6400%超のリターンは出せないだろう。そのテーラー氏が市場を出し抜くための日々の戦いへの意欲を失い、そしてそのような受け入れ難い環境が何年も続くと考えているなら、株価が急落した今年最初の週に投資家は今後1年の間に味わう経験を垣間見たかもしれない>(以上)

「バタフライ効果」とは、非常に些細な小さなことが様々な要因を引き起こし、だんだんと大きな現象へと変化することだという。「一犬虚を吠ゆれば万犬実に伝う」ということわざもある。

<一匹の犬が幻に慄き吠えると、それを聞いた犬たちがつぎつぎに吠え出すこと。相場格言として用いる場合は、ひとつ材料がでると、それを聞いた人々に瞬く間伝わる状態を指す。

ワン!ワン、ワン、ワン・・・聞けば誰かに喋りたい、わからなければ訊きたくなる。「早耳は早損」でこうした話しに乗ると、ほとんどの場合は失敗する>(サイト「【極上の相場格言】― カネがなくても知恵がある!」)

幻聴、幻覚、妄想、プロパガンダ、流言飛語、虚報に踊らされると、結局は高ころびする。今の株式市場はテロに怯える支那人民、パリ市民みたいで、誰かが「あっ!」と叫ぶと皆が一斉に逃げ出すのだ。まさに「不合理な市場」だ。

支那の株式市場は元々が実体経済に基づいているものではない。東京市場はそろそろ理性を取り戻すべきだろう。(2016/1/21)

◆木津川だより 上津遺跡@

白井 繁夫



奈良時代の都(平城京)の外港(泉津)の一角に在る「上津遺跡(こうづいせき):木津川市木津宮の裏」は昭和51年(1976)3月、宅地開発に伴う事前の発掘調査時、大量の奈良時代から平安時代の遺物や遺構が発見され、以後1980年まで4次に亘る発掘調査が国や京都府の支援を得て実施されました。

木津川沿いは古代より風水害に苦しめられた地域のため、当地の古い史料等はほとんど現存せず、奈良の東大寺や興福寺等に残る文献.史料等が当地の歴史の史料として活用されてきました。ところで、近世に入り判明している大洪水の被害記録は江戸時代だけで35回以上あり、まさに7年に1回の割合で発生したことになります。

上津遺跡は木津川左岸(南側)の御霊神社を中心とした東西の隣接地(田畑含)、約2万平方メートルの地域に位置しており、『京都府遺跡地図』(昭和47年)には遺跡散布地として登録されていました。

しかしながら、昔は木津川の自然堤防の河原でもあり、木津川に直面する氾濫原とも思われていました。

だからこの地域から貴重な土師器.須惠器、奈良時代の瓦塼などが多種大量に出土したことに驚きました。その後4次に亘って昭和55年11月まで発掘調査を実施した結果、全国的にも珍しい三彩陶器や古銭貨(和同開珎など)、官人の持物や海辺で無いのに製塩用土器、建築物としては掘立柱建物跡などの遺構も発掘されました。

これらの出土品や遺構跡から国の「官衙」(官庁施設)や諸大寺院の木屋所跡などが想定できる貴重な遺跡が地下に眠っているのを発見した画期的な調査となりました。

出土品や遺構については後段で追々としますが、その前に少し余談です。

私は四国のさぬき市出身です、当地へ来て約40年経ちました。しかし、現在の木津川の姿から、最初に泉津(東西2.6kmに亘る古代木津の港)が平城京の外港でした。といきなり云われた時、私は想像することが困難でした。

そこで少々横道にそれますが木津川に絡む木津(泉津)と大和(藤原京.平城京)との繋がりに触れてみようと思います。

朝鮮半島の白村江(はくすきえ)の戦い(663年:天智2年)で倭国.百済遺民連合軍が唐.新羅連合軍に敗れた結果、倭国は大陸からの侵攻に備える防衛線の構築を急ぎ、北九州や瀬戸内に砦(山城)を築き防衛前線を固め、そのほかの諸方策の一つとして、天智天皇は都を近江に遷都しました。

このことから木津は、大和の飛鳥、難波、近江との往来が多くなり、木津川、宇治川、淀川と繋がる、水上交通や陸上幹線道:山背道(やましろみち):大和―木津―宇治―山科―近江の結接点となり、泉津(木津)が水陸の交通の要衝としての重要度を増しました。

続いて、古代最大の戦乱と云われる壬申の乱(672年)の時、近江朝の大津皇子(天智天皇の子)と大海人(おおあま)皇子(後の天武天皇)の両軍が、木津川市(山城)と奈良市(大和)の国境(乃良山:ならやま)の陣の攻防戦、その後、大海人軍が反撃して泉津を渡り山崎へ進軍し淀川北岸まで制圧しました。

戦勝した天武天皇は、大和飛鳥へ遷都し、淨御原(きよみがはら)律令を編纂して新しい律令国家を目指し、藤原京建設を企画しました。天皇の遺志を受け継いだ妻の持統天皇が唐の都を参考にした都城建設を着工(690年)し、その実現に邁進しました。

藤原京造営用の膨大な木材は近江の田上山(たなかみやま:大津市大神山)から瀬田川→宇治川→木津川と筏に組んで運び泉津で陸揚げして飛鳥に向かいました。

木津の港は飛鳥へ陸送するための仕分け人や労務者、資材や人夫を管理する役人で大変活況を呈するようになりました。

710(和銅3)年に元明天皇が藤原京(奈良盆地の南部)から平城京(奈良盆地の北端)へ遷都したことは、木津の南に連なる奈良山丘陵の南側に都が移動して来た事なのです。

平城遷都の影響は木津地域の歴史的環境を一変させる変化をもたらせました。

従来の木津は奈良盆地南部の都(飛鳥地方)と山背、近江、日本海沿岸地との交通上の要衝であり、木津川の水運を利用する重量物や大型(木材など)貨物の取扱が主力でした。

平城遷都の影響は
@都の水運の玄関港となり、律令制支配の確立と相乗効果を発揮して、全国から集まる租.庸.調に基づく租税物資や都城建設資材を取り扱う港になりました。

A陸上交通の起点が奈良盆地の南部から北部(平城京)に移り、都を中心とする幹線道路網が整備され、東山道や北陸道は泉津がその渡河点になり、和銅4年には岡田駅など諸駅が幹線道に設置されました。(泉津と平城京間は3本の官道:上津.中津.下津道)
  
B全国各地からの献上品の集配や都の建設に携わる人々の集來、国の官衙、木屋所(寺院含)、律令制度に基づく郡衙などの諸施設も建ち並び大いに繁栄がもたらされました。

C元明天皇が和銅元年岡田離宮(木津川市加茂)へ初めて行幸され、以後度々行幸されその節に孫(後の聖武天皇)も同伴されました。(風光明媚な泉津地域は万葉集にも記載あり。)聖武天皇もその影響か神亀2年(725)以後3回行幸されたことが、後の恭仁京(くにきょう:木津川市)への遷都に影響を与えたとも云われています。

上津遺跡は御霊神社境内を中心に東西2町(約2万平方メートル)を越える敷地を占め、膨大な量の土器類や瓦塼類、貴重な彩釉陶器や金具など、また、皇朝十二銭(和同開珎等)の出土品から、奈良時代の国の官衙跡と思われます。

上津遺跡の4次に亘る発掘調査での出土品や古代遺構の状況については、次回につづきます。

参考資料:
木津町史  本文篇  木津町   
木津町埋蔵文化財調査報告書 第1集(1977)〜 第4集(1981) 木津町教育委員会
                          

2016年01月21日

◆台湾選挙の首実検

Andy Chang


台湾の選挙は一般に国民党(藍軍)と民進党(緑軍)の「藍緑合戦」と言われる。選挙の結果は多くの新聞が報道したので改めてここでお浚いすることはないが、国民党側の自己評価では「完全なる惨敗」だそうだ。総統選挙はすでに蔡英文の大勝利と報道されたからここでは立法委員選挙で国民党の大将首を何個取れたか検討してみる。

立法委員選挙では台湾の中央部を東西に流れる濁水渓以南の諸県市で国民党は一席も取れず全滅した。國民黨の勢力範囲と言われた北部でも新北市では12議席のうち2席しか取れず、台北市は8議席のうち5席、桃園市は6議席のうち2席、台中市は8議席のうち3席
しか確保できなかった。当に完全な惨敗である。立法委員の選挙議席73席のうち国民党は20席しか取れなかった。

選挙の結果、朱立倫は国民党主席を辞任し、行政院長・毛治國も辞任した。大きな打撃は国民党の重鎮や大将クラスの人物が枕を並べて討ち死にしたことである。このため4年後の国民党の再起は難しくなった。

最大の損失は基隆市で国民党のカク龍斌、親民党の劉文雄が民進党の蔡適応に敗北したことである。2人とも大幹部だった。

カク龍斌は台湾の軍部に隠然たる勢力を持つカク伯村の息子で、元台北市長、国民党副主席などの経歴があり、2020年の総統選挙の有力候補と言われていた。

カク伯村は元参謀総長で中華民国の軍隊の重鎮、ラファイェット巡洋艦、ミラージュ戦闘機、マジックミサイルなどの武器購買でいろいろ問題があった人物である。

息子のカク龍斌は台北市長時代に花卉博覧会、ゴンドラ遊園地、夢幻音楽会などで実費の数倍と言われた膨大な無駄遣いがあったので、退任して汚職の調査を逃れるため立法委員に立候補したと言われた。今の台北市長が就任してすぐに過去4代の市長、馬英九とカク龍斌の土地開発が大問題となり、犯罪調査が2人に及ぶと言われている。カク龍斌は落選し、馬英九も任期が終わると司直の追及を逃れることが出来なくなる。

カク龍斌が出馬した基隆市は親民党の劉文雄の地盤である。カク龍斌がここで選挙にでたため劉文雄と票の取り合いとなって2人とも落選した。

劉文雄は親民党の党首宋楚瑜の右腕と言われる人物だが、今回の選挙では何故か宋楚瑜が劉文雄を比例代表に選らばなかったため地元で立候補して落選した。つまり民進党の蔡適応が当選したのでカク龍斌、劉文雄の2人の大物が討ち死にしたのだ。

台北市はこれまで国民党の根拠地として知られていたが、今回は第1区で国民党の重鎮、当選7回の丁守中が民進党に敗れて落選した。第5区では当選7回の林郁方が時代力量党の新人候補林チョウ佐(永の右に日)に5千票差で敗れた。

桃園市第6区では当選5回の孫大千が無党派の趙正宇に敗れて落選した。この三人は国民党の重要幹部で当選確実と言われていたが、落選したあと政界復帰は難しいかもしれない。

もう一人の大物は新北市第12区で当選7回の李慶華が時代力量党の黄國昌に12000票の大差で落選したことだ。李慶華は国民党の元老で元行政院長・李煥の息子である。

また、高雄市第3区では国民党の大物で、元大陸委員会副主任・張顕耀が民進党の劉世芳に3万票の大差で落選した。高雄市第3区は国民党の退役軍人の住居が林立している区域で民進党の当選は難しいと言われていた地区である。彼の落選は外省人、退役軍人の居住
地区でも国民党の影響力が薄れたことを示している。

これは重要なことで、馬英九の不評だけでなく、外省人も中国統一を忌避するようになったことである。

最後に今回の選挙では幾つかの民間組織が合同で「落選運動」を発起し、国民党の呉育昇、廖正井と張慶忠の3人の落選に成功した。

「落選運動」は人民主人基金会、島国前進、国会調査兵団など、幾つもの団体が集まって発起した運動である。選挙運動で民間団体が政敵落選を組織したのは恐らく世界で初めてであろう。この運動では呉育昇、廖正井、張慶忠の3人の落選を目標とし、3人とも落選
させたのである。

呉育昇は元台北市の新聞処主任で馬英九の子分と言われた人物である。本人は選挙運動で「私は馬英九の子分ではない」と弁解していたが無駄だった。

張慶忠は2年前に国会で馬英九の「服務貿易協議」を取り上げ、審議もなく30秒で「賛成通過」と宣言したのでヒマワリ学生運動の導火線となった。「半分忠(39秒忠)」と綽名された人物である。

桃園市第2選挙区の廖正井は元台北市財政局長、秘書長などを歴任した立法委員で前回の立法委員選挙で買票行為があったと言われた人物である。

民間団体が以上の3人を落選させる「落選運動」を推進した結果は100%成功だった。政治家にふさわしくない人物を落選させるための団体運動が成功したのである。ダメな政治家を落選させる運動が成功したのは人民の政治意識が成熟した結果かもしれない。

戦い済んで日が暮れて、5月に新政権が発足する。国会は数日後に補足するが総統の就任は5月20日である。5月までの4か月は政治の空白期間ともいえる。この期間に現職の馬英九が勝手な行動を起こすとは思えないが注意して見守る必要がある。

国民党の完全惨敗は台湾アイデンティティの発露であり、馬英九の中台統一路線は大幅に後退し、国民党と中国が強引に推し進めた嘘の「92年コンセンサス」は問題でなくなる。中国の台湾併呑計画は失敗したのである。

但し民進党政権が誕生してもすぐに独立運動が起きるとは思えない。蔡英文の主張する現状維持は台湾海峡の安定発展となる。台湾人は動乱を望まない。独立は気長に穏便に推進すべきである。


◆私の「身辺雑記」(304)

平井 修一



■1月16日(土)、朝は室温11度、快晴、ハーフ散歩。寒い。昨日から靴下は2枚。子・孫で朝から賑やか。120デシベル。N母子の弁当も作る。

カミサンは機嫌よくさえずりっぱなし。朝の1時間で小生の1年分はしゃべる。

2歳女児「ライオンはガオーって言うんだよ」
カミサン「じゃあ亀さんは?」
2歳女児「もしもし」

モーモー牛さん、モシモシ亀さん。座布団5枚だ。2歳にして大喜利。将来は落語界のプリンセスか。

間もなく65歳になるからペンネームを厨房修一、厨坊修一あたりにしたらいいかもしれない。ただ「平井修一」で検索すると9000件ヒットする(有難いことにあちこちで引用されている)から改名する必要性は全然ないのだが。ま、ゆっくり考えよう、どーでもいいが。

台湾の投開票日だが、こちらは大いに気になるな。『台湾の声』から。

<在日台湾同郷会声明:台湾の民主のために投票を

95年前、日本の東京で台湾議会設置請願運動が起きた。第2次大戦後、中国国民政府が台湾を接収して、台湾は2・28事件を経験し、引き続き白色テロ期が始まった。1992年まで、台湾人は、人権・民主・自由がないという恐怖をその身をもって経験し、夜、安心して眠ることが出来なかった。

台湾は、また、長い間、政党結党の自由を持たなかった。野百合学生運動を経て、1992年にやっと立法院の全面改選が実現し、1996年になって総統直接選挙を、2000年に政権交代を実現した。台湾が今、手にしている民主は、いわば、台湾の百年来の夢であり、あれほど多くの尊い命と引き換えに得たものである。

今、まだ、正義への移行が実現していないなかで、旧勢力が不当に擁する資源を用い、あるいは司法を濫用し、台湾の民主を阻害している。それどころか、民主を許さない国家ないし勢力と組んで台湾の民主・人権を阻もうとしている。

今日は台湾の民主を祝う日と言える。もしかすると大学の期末試験が多少なりとも大学生の投票の機会に影響を及ぼすかもしれないが、我々は必ず投票に行かなければならない。そうしなければ台湾の民主を守ることが出来ないのだ。

我々は、台湾の民主・人権を尊重する候補者が当選し、国会の大多数を占め、正義の移行を実現することを願う。そうやってこそ、恐怖の中から脱出し、安心して生活することができるのである。

我々、在日台湾同郷会は既に多くのメンバーが帰国し投票に備えている。また日本の国会議員が、台湾総統選挙国際監視団に参加していることに感謝するものである。

我々は、中国に対して、手出しをしないように忠告する。歴史も自由な選挙も共有しない中国共産党には、台湾人の民意を理解することは不可能であり、ただ、台湾人の反感を招くだけである。

また、国際社会に対し、これから台湾が示す民意を尊重し、台湾の民主的な選択を支持すると声明するよう呼びかける。そうすることで、負けを認めようとしない勢力ないし特定の国家が台湾で混乱を起こそうとするのを阻止することができるのである。

最後に、台湾の国軍および治安情報当局に対し、台湾が新総統を選出した後、その民意を尊重し、全力で、台湾の新総統および台湾社会を守り、負けた一方が国家の安全を損なうことを決して許さないよう呼びかける。

台湾の民主万歳! 2016年1月16日 在日台湾同郷会会長 邱文章>

泣けるなあ。我々は歴史の瞬間を目撃しつつある。日台は兄弟姉妹だ。Viva Formosa、麗しの島! 李登輝先生の蒔いた種が今ヒマワリの大輪となって開花する。

昼は長男一家も参戦しラーメン9人前!(新記録)、夜は大鍋2つでタコ入りオデン。結構な運動量だった。

■1月17日(日)、朝は室温11度、快晴、ハーフ散歩、寒い。フォーカス台湾1/17から。

<台湾の立法委員選:民進党、初の単独過半数 国民党は議席大幅減、台湾の総統選:日米、初当選の蔡英文氏に祝辞>

昨晩、日本李登輝友の会・台北事務所は蔡英文全国競選総部からこう報告した。

<見てください、この大群衆。民進党本部前は蔡英文総統の誕生を祝う支持者で立錐の余地もありません。新しい台湾の到来です!>

興奮が伝わってくる。

「両岸は現状維持、中共とは距離を置く」という民進党が勝って中共は改めてがっかりだろう。中共は締め付けるか・・・今の経済状態ではそんな余裕はないと思うが。台湾と日米との絆は強まり、中共包囲網は強まるはずだ。中共はますます暴れ、孤立を深めるに違いない。

台湾の内閣は近く総辞職するが、馬英九が5月初めまで居座るのは嫌な感じ。悪さをしそうだ。

さて、中共。川島博之/東京大学大学院農学生命科学研究科准教授の論考「中国の未来を悲観的に見なければならない理由 農民を豊かにできなければ真の大国にはなれない」(JBプレス1/14)から。

<*今後の中国は「農村」にかかっている

筆者は農業・農村から中国を見てきたが、今後、中国が成長を続けて米国をもしのぐ大国になるかどうかは、その農村政策にかかっていると考えている(「農業」政策ではない)。

中国を人口13億人の国と見ることは適切ではない。中国は都市戸籍を持つ4億人と、農民戸籍である9億人によって構成されている。そして、農民戸籍を持つ人の中の3億人が都市に出稼ぎに出ている。その多くは「農民工」と呼ばれ、工場で働いている。

彼らを低賃金で働かせることによって、中国は安い工業製品を作り出すことに成功した。それが奇跡の成長をもたらしたが、その果実は都市戸籍を持つ人々が独占してしまった。日本に爆買いにやって来る人々は、ほぼ全員が都市戸籍である。

このまま農民を農民工として働かせていても、一向に農工間格差を是正することはできない。この先、農民を豊かにするために残された道は、農村にサービス産業を起こすことだ。現在、どの先進国においても産業の中心はサービス産業である。

*一向に埋まらぬ戸籍格差

そのような目で見ると、中国の未来は限りなく暗い。農民を馬鹿にしてきたことのつけが回って来たとも言ってもよい。

そもそも、「都市戸籍」「農民戸籍」などと言って、戸籍によって人を差別することがおかしい。戸籍制度は共産党が作ったものだが、このような制度ができた背景には、農民を一段下の人間として見る中国の伝統があった。だが、農民をないがしろにしてきたことは、中国が経済発展を続ける上で大きな足かせになっている。

国務院人口調査(2010年)によると、中国の大都市(城と呼ばれる)の人口は4億人であるが、そこに住む人の22%は大学を出ている。23歳に限って見れば大卒の割合は42%にもなる。一方、約6億人が住む農村(郷と呼ばれる)の大卒割合は2%に過ぎない。23歳に限っても8%。都市と農村の教育格差は大きい。

工業が発展する際には勤勉な人材が求められる。学歴は中卒や高卒程度でも十分だろう。しかし、サービス業が発展する際には創造性が豊かな人材が不可欠だ。それには高度な教育が必要になる。

中国の未来を悲観的に見なければならない理由が分かるだろう。都市と地方の教育格差が中国ほどではない日本でも、地方にサービス産業を根付かせることに苦労している。それを考えれば、大卒人口が2%でしかいない中国の農村にサービス産業を育成することは不可能に思える。

*岐路に立つ中国

マクロな観点から見ると、戸籍制度によって都市住民と農民を峻別した中国は工業化に適した社会であった。しかし、農村部でサービス産業が発展し難い社会になっている。その結果として、米国を上回るような国になることができない。

米国は田舎にもそれなりに教育が行きわたり、規制緩和が進み、言論や報道の自由もある。サービス産業が発展するインフラが整っている。それに対して、中国の農村部は教育の普及が著しく遅れ、かつ規制が多く、言論や報道の自由がない。そんな状況でサービス産業が発展することはない。

農村部の教育に多額の投資をするなどして格差の縮小に勤めれば、少々回り道になっても中進国の罠にはまり込むことなく、少しずつ成長を続けることができるだろう。しかし、農民を馬鹿にして彼らを低賃金労働者としてしか見ないような態度を貫けば、中国がこれ以上に発展することは難しい。

工業化が一段落した現在、中国はまさに岐路に立っている。2016年は中国が今後どのような道をたどるかを見極める上で重要な年になるだろう>
(以上)

サービス産業(3次産業)とは一般的に宿泊、レジャー、金融、教育、情報、医療、レンタル、専門技術、アウトソーシング、郵便、運輸(物流)、交通、通信、外食、エネルギー、エンターテイメント、コンサルティングなどを指す。

確かに「真面目に黙々と手を動かす」製造業(肉体労働、労働集約産業)と違って、サービス業は専門知識や専門技能、マーケティング能力などが求められるし、第一、サービスを必要とする市場も必要だ。日本の地方だって難しいのだから、中共の農村部にそれらを期待するのは無理だろう。

2013年の就業人口(ILOなど)は日本では1次産業(農林水産業など)3.7%、2次産業25.8%(製造業)、3次産業70.5%。中国はそれぞれ31.4%、30.1%、38.5%だ。中国での3次産業は都市部で発展しても地方の農村部では発展しそうもない。

ちなみに米国はそれぞれ1.5%、17.5%、81.0%だ。3次産業はシンガポール81.4%、英国80.2%、ドイツ70.8%など。付加価値と生産性が高い3次産業が伸びないと国家は成長しないということだ。

格差を示すジニ係数は0.4以上が社会騒乱の多発する警戒ラインとされるが、「中国では、2010年にはジニ係数が0.61(西南財政大学)、2012年には0.73(北京大学)と格差が拡大した。すでに“危険水域”に突入していると考えられよう」(澁谷司/拓殖大学海外事情研究所教授)。

中共は痛みを伴うリストラをしないと未来はないが、それをすれば易姓革命になりかねない。いずれにせよ経済低迷で数年間(最低でも3年)は苦しむだろう。内政危機を戦争に転化する可能性は高まっているのではないか。

■1月18日(月)、朝は室温12度、寒い、大雪、散歩不可。雪国の人からすれば何ということもないが、慣れていないから転倒する人が少なくない。山と都心を結ぶ電車は一部運休とか。

中共が禁書とする書籍・雑誌などを売る香港の書店関係者5人が中共に拉致された模様だ。一国二制度は嘘だったということ。韓国も似たようなもので自由・民主・人権・法治はない。ウィキで「禁書」について調べてみた。

<中国では秦の始皇帝による焚書が余りに著名であるが、その後2000年、現代に至るまで禁書政策は、歴代の王朝によって繰り返し施行され続けている。

記録にある最古の例は、戦国初期の秦国で行なわれた禁書である。秦の天下統一後の焚書坑儒の反動から、前漢代は一転して開放的な政策がとられた。禁書が復活するのは後漢代になってからであるが、この時に禁止されたのは、予言的な内容で盛行した讖緯の書であった。

続く魏晋南北朝時代も、讖緯の書をしばしば禁じた外、廃仏時の仏書や道教経典の禁止などを除けば、長期間にわたる禁書は見られなかった。隋唐代に至っても、同様の傾向が続き、会昌の廃仏などの一時期を除き、大掛かりな禁書は見られない。

宋代以降、時代の変化に応じて、禁書の範囲は拡大する。黄庭堅や蘇軾など旧法党の文人の文集が、新法党と旧法党の政争により禁書の措置を受けたが、これは前代までには見られないことであった。元朝は、讖緯の書や偽撰と認定した道教経典を禁止したなどの事件が見られる程度である。

明代、思想的な書物のみならず、『剪灯新話』などの多くの小説の類も禁書処分を受けた。明末の思想家李卓吾に至っては、その名も『焚書』などの著作によって人心を扇惑させたとして、最後は遂に獄死し、著書は全て焼却処分を受ける程の弾圧を受けた。

清朝の禁書は更に厳しさを増す。これは、同じく北方の民族が興した王朝である元とは対照的である。清代の禁書を「文字の獄」という。歴代の皇帝は絶えず禁書政策を発し続けていたし、その輝かしい文化政策も反面、文化弾圧政策としての一面を持つものであった。一大叢書である『四庫全書』の編纂が、それである。

その編纂過程で、世に流通が許された書物を確定した。陽明学の書など、あるものは本文を改変して四庫全書に収録し、価値の低い書物は目録にのみ記載し、目録に記載されなかったもののうちからブラックリストを作成して禁圧するという措置がとられた。

現代中国でも中国共産党に対する批判や歴史的事件などの書籍・伝記などは、社会秩序に反するとして中国本土では違法書籍となる場合がある。香港を除く中国国内では、文化統制政策のもとに国務院直属の新聞出版総署が各省・自治区・直轄市の各新聞出版局に方針を通達し、発禁書籍リストを作成、公安関係機関と連携して取り締まりを行なっている。

2012年5月、上海で起きた違法書籍の販売・所持事件では、違反者に5年5カ月〜6年の懲役と罰金が課せられ、違法書籍は没収の上、焼却処分されている。

*有名な禁書

歴史上有名な禁書行為としては古代中国の始皇帝による焚書、近代のカトリック教会による禁書目録の作成、ナチス・ドイツによる政治的禁書および焚書、中国の文化大革命における禁書・焚書などがあげられる。

また大規模なものではないが、李氏朝鮮がその成立において儒教とは相容れない問題があったため、明で出版された「明紀輯略」等を禁書とし、国内への搬入を拒むだけでなく、明にその処分、訂正を外交的に要求していたという例もある>(以上)

GHQは日本占領期の7年間、厳しい言論統制と焚書で歴史と真実を歪め、時には隠蔽した。風刺週刊誌を襲ったイスラム過激派は狂気ゆえだが、香港の書店まで弾圧するのは中共の焦りゆえだろう。書店には「中共の不都合な真実」が詰まっていたのだ。

皇帝と紅い貴族が支配する、前近代の封建独裁国家。中共王朝は末期的である。(2016/1/18)


2016年01月20日

◆アジア諸国との上手な付き合い方

櫻井よしこ



成功果たした中小企業の“親父”が教える創業から70年、正社員59人、週4日で1日5時間勤務のパート社員45人の伊藤製作所が、日本的中小企業経営で世界に羽ばたいている。環太平洋経済連携協定(TPP)の時代に入ったいま、最も大きな成長が見込まれるのが独自技術を持つ中小企業だ。伊藤製作所の成功は、他の中小企業を成長に導く貴重なヒントになるだろう。
 
同社は金型製造会社である。代表取締役社長の伊藤澄夫氏は1995年にフィリピンのマニラに、2013年にインドネシアに進出した。大成功の鍵は日本の中小企業の経営方式を大事にすること、その心は「会社は家族」だという。
 
フィリピンもインドネシアもかつて日本軍が進出した国々だ。中国は2年後にユネスコの世界記憶遺産に「性奴隷としての慰安婦」を登録すべく準備中だが、中国単独の申請ではなく「日本軍の犠牲になった」国々との共同提案にすることをすでに明らかにしている。韓国に加えてフィリピンやインドネシアが対象に含まれている。
 
伊藤氏もこの歴史的背景、日本の敗戦直後、とりわけフィリピンには強い反日感情があったことを忘れてはならないと強調する。それがいま、最も親日的な国になっていることに、日本人として感謝することの大切さも説いている。
 
95年のフィリピン進出は、かつての戦争で傷つけた人々の子孫の幾人かを幸せにしてやりたいとの思いもあったと、氏は著書『ニッポンのスゴい親父力経営』(日経BP社)に書いている。
 
だが、最初からうまくいったわけではない。マニラ進出当初は中国系企業との合弁事業だった。社長は中国系フィリピン人で、社員を「上から目線で厳しく」指導した。02年、会社が50キロメートルも離れた輸出加工区に移転することになったとき、社員の7割が辞めると言いだした。その他の事情もあり、相手が合弁の解消を申し入れてきたとき、大きな変化が起こったのだ。

「日本企業独資となったことが分かるや、ほぼ全社員が新会社で働きたいと申し出てきたのです」「400年以上にわたる植民地支配で虐げられた彼らには、優しいボスが必要なのだなと感じました」と、伊藤氏は振り返る。
 
こうして、伊藤氏は「日本の親父」としての経営方式を確立していった。氏は日本の中小企業の強さを五点に集約する。(1)社員全員が会社と仕事を愛し離職率が少ない、(2)チームワークが良く、後輩の指導が好き、(3)良い製品を作ることを生きがいにしている社員が圧倒的に多い、(4)日本刀、奈良の大仏様、ゼロ戦や戦艦大和、新幹線などモノづ
くりへの誇りをしっかり持っている、(5)もったいないの精神を忘れない、である。
 
この5点の実践を、フィリピンでもインドネシアでも伊藤氏は目標とした。具体的にどうするのかを知りたいと読者の皆さんは思うに違いない。1つだけその心意気の例を示そう。
 
インドネシア進出を、当初、伊藤氏は考えていなかった。現地のアルマダ社から合弁を申し込まれたとき、丁重に断った。ところがアルマダ社のCEOは直談判のため、子息を連れて突然来日した。伊藤氏は名古屋駅前の一流ホテルのスイートルームを確保し、一行の滞在費を全額負担した。

「合弁を進めるなら相手の負担でよいが、お断りするのなら、相手に恥をかかせず、丁重に扱う。これが日本の中小企業の親父のやり方」と伊藤氏。
 
感銘を受けたCEOの合弁への思いは強まり、働き掛けは、伊藤氏がインドネシア進出を決意するまでさらに7カ月も続いた。財閥の当主であるこのCEOは、破格の好条件で伊藤製作所を迎えた。日本人の誠実さと技術力、教え惜しみせず、共栄を喜びとする真の優しさ、これこそ中国が最も恐れる日本の強さであろう。

『週刊ダイヤモンド』 2015年12月26日・2016年1月2日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1114


◆蔡英文が米国特使団と接見

宮崎 正弘 

<平成28年(2016)1月19日(火曜日)通算第4782号 >

〜蔡英文(次期台湾総統)が米国特使団と接見
 民進党は呉幹事長が24日に渡米し、米国有力者と会見〜

早くも台湾政局、大きな流れが動き始めた。

次期総統に当選した蔡英文(民進党党首)は18日、台湾を訪問中の米国特使団に接見した。

民進党は対米関係を外交上もっとも重視する立場から、幹事長のジョセフ呉を来週、1月24日に渡米させ、ワシントン政界の有力者を訪問するほか、有力なシンクタンクで講演をおこなう。

他方、台湾独立は民意によるとする新政権は、あくまで「現状維持」を訴え続けるだろうが、民進党支持者の多くは『台湾独立』を望んでいる。

5月20日に行われる総統就任式で、そうした方向性が打ち出されるが、民進党内に、「政権引き継ぎチーム」も発足する。

こうした台湾の動きを読み取った上で、人民日報系の「環球時報」は社説(1月18日)で、「たとえ台湾の民意がそうだからといって、直ちにポピュリズムに走るのは危険である」としつつ「民意というのならば、13億中国国民の民意を勘案するべきだ」と頓珍漢なことを述べている。

(なお、筆者の台湾報告は2月1日発売の『正論』です。ご期待ください。)
        

◆MRJは米国に気兼ねせずもっと大型にすべきだった

石原 慎太郎



航空機産業は国家の命運を握る…

昨年の暮れ近く久し振りの国家的快挙として日本製のジェット旅客機MRJが誕生した。慶賀に堪えないが私自身にはいささかの不満がある。世界全体の需要からすれば本来ならばかつて活躍したYS11よりもう一回り大きな中小型の旅客機を作るべきだった筈だ。

私は知事在任中アジアの大都市のネットワークを造り毎年一度の国際会議を催していた。アジアの大都市間で協議統合すべき問題は多々あるが、実は本当の密かな狙いは航空機を製作出来る能力を保有している国同士の連帯で一番需要の高い中小型の純アジア製の旅客機をなんとしてでも作り世界に飛ばしたいという念願だった。

飛行機を作る可能性を保有する国は日本の他にすでにジェット戦闘機を製作している会社ハルを所有するインドや私と同じ試みで施策を試みていたバンドンに本社を持つインドネシアの会社に加えて航空機に不可欠な部品を製作可能な台湾まであった。

そのサイズの飛行機なら日本からアメリカやヨーロッパまで飛ぶ必要はなく、せいぜい東南アジア圏内を飛び回れればいいのだ。

インドのような亜大陸でも未だ国内の行き来にジャンボのような大型機での往来のニーズには至っていないから中小型機の方が需要が高いし、発展の可能性を秘めているアセアン諸国間の行き来にも適しているはずだ。

ということで大都市ネットワークの本会議とは別にそれぞれの国の航空関係者の別個の会議を頻繁に持つことにしたが集まった専門家たちの全てが私の提案に大賛成だった。

インドネシアの会社のごときは同じ発想で新型旅客機の製作に手をつけていたがアメリカの強い横槍で計画は潰され訪れたバンドンの本社の前庭には完成されるはずだった新型機の外形だけのドンガラが飾られていたものだ。

という経緯もあって日本の官僚たちはアメリカに気兼ねして新しいアジア製旅客機のサイズを縮小させてしまった。今回の経緯を目にして、私が思い出したのはかつて日本製のYS11が思惑が外れて生産継続が挫折したいわれは、YSの性能の良さとその売れ行きを懸念したアメリカが東南アジアで手を尽くして日本製飛行機の販路を潰したというまぎれもない事実だった。

そのつぶさな実態を私は当時、商社丸紅のインドネシア支店長をしていて、後には社長になった同窓の親友鳥海からつぶさに聞かされていた。その作業に暗躍していたのは他ならぬロッキードスキャンダルで表にたったコーチャンとクラッターなどという手合いだったそうな。

自動車での競争で日本に敗北したアメリカは太平洋戦争の緒戦での日本製のゼロ戦が、ドイツが自慢のメッサーシュミットが撃ち落とせなかったB17を簡単に撃墜させたトラウマを抱えていたせいで日本の航空機産業の台頭を絶対に許せずに、中曽根内閣時代に三菱重工が従来のいかなる戦闘機の性能をも上回る次期支援戦闘機FSXの計画を発表した時、強引にこれを潰してしまった。

この戦闘機の性能は旋回と宙返りの直径が従来の半分でいかなる相手との空中戦で優位にたてるという絶対的なものだった。

ちなみにアメリカの高性能の軍用機のコックピットはほとんど日本製の部品でなりたっている。他の大型旅客機の半ばも日本で作られてもいるが、アメリカ側の製造部分が粗雑で繋がらなかったという事実もあるほどだ。

故にも航空機産業はこの国の命運を左右しかねぬ可能性を秘めている。先般の火星にまで飛んでいき惑星の一部を採取して見事帰還した宇宙船ハヤブサの快挙も含めてわが国の先端技術の開発こそが国家を支える致命的な意味を持つということを我々は熟知すべきなのだ。

産経ニュース【石原慎太郎の日本よ ふたたび】2016.1.18