2016年01月02日

◆戦時国際法の国民啓発が必要だ

佐瀬 昌盛



「集団的自衛権」と「集団安全保障」は言葉こそ似ていても、まるで異なる原理です。前者は国家(群)のいわば私的な武力行使、後者は国連の公的なそれにほかなりません。記者はこの初歩的な知識さえ持ち合わせなかったようです。問題は深刻です。なぜ『朝日新聞』はデスクを含め、その誤りに気づかなかったのでしょう。理解に苦しむしかありません。

わが国にとっての最大の問題は、戦時国際法についての国民啓発が皆無の状態にあるということではないでしょうか

平成27年はわが国の安全保障政策にとり、第3の重要な節目だった、 と後世から評価されることになるはずです。第1回は吉田茂首相によるサンフランシスコ平和条約と(旧)日米安全保障条約(昭和26年)、次が岸信介首相による現行の日米安保条約(昭和35年)の調印であることは、誰にも異論がないでしょう。では第3回は?

昨年9月の平和安全保障法制の成立がそれだとする説に、誰もが賛同するかどうかは現時点ではまだ断言できません。私の言う「事実の規範性には時間がかかる」からなのです。

 ≪野坂昭如氏は何を誤ったか≫

昨年の暮れになって文士の野坂昭如氏が他界しました。同氏は「ソ、ソ、ソクラテスか、プラトンか、みんな悩んで大きくなった」と、コマーシャル・ソングを歌うなど、極めて多彩な活動で知られた愛すべき人物です。

が、野坂氏には『国家非武装 されど我、愛するもののために戦わん』という妙な著作もあります。なぜ私は「妙だ」と言うのか。

その「まえがき」で同氏は「ほぼ自発的に、250枚近くを文字にし た」と書いています。最終ページには「ソ連だか、アメリカだか、韓国、 北朝鮮、ベトナム、台湾なんて国が、日本を力ずくで押しひしごうと、攻 め渡って来るのなら、一人一人が抵抗すればいい、…市民が蜂起(ほう き)して、さまざまな次元による戦いを、しぶとく継続することだ」とあ ります。これが書名の意味するところに他ならないのでしょう。

ところが同書は、初版しか発刊されていません。思うに著者自身が絶版を決意したもようです。誰かの指摘で自説の誤りに気づいたからだと思われます。であれば、それはそれで潔い態度でしょう。では野坂氏はどこで誤ったかです。問題はその独断性です。

比較材料としてスイス政府編の『民間防衛』を読むべきです。原書房から出版された同書邦訳には「新装版第34刷」とあります。他国のことなのに日本での読者の多さには驚くほかないでしょう。《アジア回帰ができていない》

米国は中露の2つの大国と、同時に対立関係に立つという厳しい状況に面している。これはオバマ政権が対立国との軍事衝突を避けながら協調の道を探ろうとして、対立国からは「弱腰外交」とみられてきたツケであった。

この結果、オバマ政権が11年に打ち出したアジア重視戦略は成果を上げていない。財政支出の強制削減で国防予算の大幅削減があったとはいえ、ロシアのクリミア併合に代表される米露対立やイラン、イラク、シリアなどの中東の政治的混乱への対応に追われて、アジアに十分な注目を払うことができないできた。

西太平洋においても「力の空白」が生じ、中国は13年11月に東シナ海に「防空識別区」という名で疑似領空を設定し、南シナ海の岩礁を人工島にし、軍事施設化するための大規模な埋め立て工事を始めた。

14年4 月にオバマ大統領は日本、韓国、フィリピンなどの同盟国や友好国マレー シアを訪問して中国に対する勢力均衡を図ったが、実際に南シナ海に艦船 を派遣して中国の拡張主義を牽制(けんせい)したのは今年10月27日 であった。それは9月末のワシントンでの米中首脳会談における習近平氏 の非協調的態度への報復であった。

アフガニスタン紛争でドイツ連邦軍は集団的自衛権を行使し、その結果、55人もの犠牲者を出したとのこと。一読して私は仰天し、その日のうちに同紙の「声」欄への投書でその誤りを指摘しました。予想通り、結果はボツです。

どこが誤りなのでしょう。

 ≪初歩的な知識の乏しさ≫

記事ではアフガニスタンへのドイツの派兵が「国際治安支援部隊(ISAF)」への参加である旨、明記されています。「2001・9・11」テロのあと、米国をはじめとする北大西洋条約機構(NATO)諸国が集団的自衛権行使名目でアフガニスタン派兵に踏み切ったのは事実です。国連安保理決議1368号がその行使を容認したからでした。

ところが同年12月20日の決議1386号では、憲章第7章第43条 に基づき、NATO主導下のISAFが組織され、その行動原理は「国連 の集団安全保障」に切り替えられたのです。因(ちな)みに国連加盟国の 個別的・集団的自衛権を謳(うた)っているのは憲章第51条なのです。

「集団的自衛権」と「集団安全保障」は言葉こそ似ていても、まるで異なる原理です。前者は国家(群)のいわば私的な武力行使、後者は国連の公的なそれにほかなりません。記者はこの初歩的な知識さえ持ち合わせなかったようです。問題は深刻です。なぜ『朝日新聞』はデスクを含め、その誤りに気づかなかったのでしょう。理解に苦しむしかありません。

わが国にとっての最大の問題は、戦時国際法についての国民啓発が皆無の状態にあるということではないでしょうか。


「集団的自衛権」と「集団安全保障」は言葉こそ似ていても、まるで異なる原理です。前者は国家(群)のいわば私的な武力行使、後者は国連の公的なそれにほかなりません。記者はこの初歩的な知識さえ持ち合わせなかったようです。問題は深刻です。なぜ『朝日新聞』はデスクを含め、その誤りに気づかなかったのでしょう。理解に苦しむしかありません。

 わが国にとっての最大の問題は、戦時国際法についての国民啓発が皆無の状態にあるということではないでしょうか。(させ まさもり・防衛大学校名誉教授)

2016年01月01日

◆「習近平劇場政 治」は終焉だ

石  平



中国人民が、習主席が無能愚昧な「暗君」と気づく時 「習近平劇場政治」は終焉だ

「習主席アジア外交の惨敗」と題した前回の本コラムが掲載された前日の16日、米国のオバマ政権は台湾への4年ぶりの武器売却を議会に通知した。

11月のイージス艦の南シナ海哨戒活動の開始と同様、この挙動は 大国・中国に対する遠慮のない「挑発行為」ともいえる。逆に言えば「新 型大国関係の構築」を持ち出してアメリカをうまく丸め込もうとする習主 席の対米外交が再び「惨敗」を喫することとなったのである。

就任以来数年間、習主席はずっと、外交上の成功を政権の浮揚策として利用してきた。増大する経済・軍事力をバックにしてアメリカと対等に渡り合い、世界を凌駕(りょうが)する「大国外交」を展開する。そうすることによって国内向けには、自分自身の政治的権威を高め、権力基盤の強化を図る。それが彼の一貫した政治手法である。

そのために彼は、たとえば対米外交に関しては、オバマ政権との対話の窓口を独り占めしてきた。首相の李克強氏は就任以来一度も訪米を果たしていない。中国の首脳外交は今、習主席の「1人劇場」となった観がある。

しかし今年になってから、「反腐敗運動」も徐々に熱が冷めてきた。定年退職となった周永康氏などの「元大物」たちの摘発を一通りやってから、党内と軍内で隠然たる力をもつ本物の長老たちや現役の反対勢力の厚い壁にふさがれた習主席は、期待値の高まった国民にそれ以上の「出し物」を提供できなくなった。

この1年間、習政権はもっぱら「北京副市長」や 「上海副市長」など「副」のつく地方幹部を摘発のターゲットにしてきた が、この程度の「反腐敗」では国民の関心と喝采をつなぎ留める「劇場効 果」はもはや期待できない。

外交上の「習近平劇場」が白けてきたのと同時に、「反腐敗」という習政権最大の「演劇」もいよいよ、幕を下ろすときが迫ってきている。

その中で、習主席の演じてみせた「天下無敵の大国外交」はただのほら吹きであること、国内の反腐敗運動が単なる「期間限定」のパフォーマンスであることが分かってきた。国民の多くはやがて、今までの興奮からさめて目の前の現実に目を転じていくのであろう。

そしてその時、彼らが目にしたのは結局、習政権の下でますます悪化してきた経済状況と、習政権になってからますます深刻化してきた大気汚染などの厳しい現実だ。賢明な中国人民はこれで、「演劇上手」な習主席が実は無能愚昧な「暗君」にすぎないことに気がつくのではないか。

浅はかな「劇場政治」の終焉(しゅうえん)とともに、習主席の権勢が落ち目になるのは間違いない。来年からの習政権は一体どうやって延命を図るのか。

                  
             ◇

【プロフィル】石平

せき・へい 1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。

産経ニュース【石平のChina Watchch】 92015.12.31  
     

        

◆私の「身辺雑記」(298)

平井 修一



■12月30日(水)、朝は室温11度、晴。美味しいお雑煮を食べて、門前に厄除けの飾りをつけ、ハーフ散歩。昨日は久し振りに散髪したのでいささか頭が冷える。

産経2015.12.29「『最も尊敬する人物』にクリントン氏 米調査で14年連続首位 上位にマララさん、ローマ法王、トランプ氏の名も」から。

<米ギャラップ社は28日、米国の市民に最も尊敬する人物は誰かを聞いた世論調査の女性部門で、民主党のクリントン前国務長官が13%の支持を得て14年連続トップに立ったと発表した。

男性では、17%を得たオバマ大統領が8年連続で首位。続いてローマ法王フランシスコと、大統領選の共和党指名争いで暴言を繰り返す実業家トランプ氏がともに5%だった。

調査は今月2〜6日、全米で18歳以上の824人に電話で質問した。死者を除く全世界の男女で最も尊敬に値する人物を挙げるよう求めた>

世論調査は信用できるのかと小生はいささか懐疑的で、特に固定電話調査では暇を持て余している老人、特に老婆が回答しているのではないか、きちんと性別、年齢、階層などでサンプル調整がなされているのか、誘導質問はないのかなどと思っている。

産経2015.10.10「米世論調査会社ギャラップ、大統領選予測から撤退へ 携帯電話普及 伝統的な調査手法の行き詰まりで」から。

<米世論調査会社ギャラップが来年の米大統領選で候補者の支持率調査を行わず、大統領選の当選予測から撤退する方針だと、米政治専門サイトのポリティコなどが9日までに報じた。

米大統領選は来年2月から民主、共和両党が各州で党員集会や予備選を開き、党候補指名争いが本格化する。ギャラップのニューポート編集局長はポリティコに対し、候補指名争いの期間中、支持率調査は実施しない方針だと述べた。

7月の党大会で正式に指名される両党の候補が事実上の一騎打ちで争う11月の本選に関する調査ついては、まだ最終決定していないという。

米紙ニューヨーク・タイムズによると、固定電話が携帯電話に取って代わられたことなどにより、伝統的な世論調査の手法が行き詰まっている米国の実態が背景にある。(共同)>

ギャラップはFDR(ルーズベルト)が勝った大統領選で、他紙がサンプル数200万人電話調査で対立候補勝利を予測したのに対し、ギャラップは2000人の調査でFDR勝利を予測して大当たり、これがギャラップ発展の基礎となった。調査対象(母集団)を現実を反映したものにすればサンプル数が少なくても問題ない、より正確だという理論だ。

それが今や携帯電話やネットの普及で怪しくなってきた。日本の独身者で固定電話を持っている人はほとんどいない。わが娘2人の所帯にも固定電話はない。世界はますます予測しがたい。

地政学者・奥山真司のサイト12/21がエドワード・ゴールドバーグ氏の論考「アメリカと世界を変化させつつあるグローバル化の五つの大きなトレンド」(ハフィントン・ポスト12/6)を紹介している。中国に関する部分はこうだ。

<1.中国の減速

・過去35年間のグローバル化の中で最大の話題は「中国の台頭」であり、その「カフェイン入り」の経済成長がどのような影響を世界に与えるのかという点であった。ところがその話題は逆転し、中国経済の減速が世界経済に与える影響だけでなく、中国国内の政治にどのような影響を与えるかという話になってきたのだ。

・トウ小平以来の北京政府にとっての政治の正統性(レジティマシー)は、共産主義ではなく、莫大な経済成長を土台としたものであり、市民の生活水準が年ごとの改善の保証にあったのだ。

中国には「天命」という伝統的な概念があるが、これは皇帝が善政を敷かないと天からの使命を失って帝位を追われるという考えだ。現在の「天命」のアップデート版の土台は、このような近代的・経済的な経済成長にあることはいうまでもない。

・中国のリーダー層がこの経済成長という「天命」に応えることができなくなった時にどのような反応をするのかは、まだ不明だ。北京政府が直面している問題の規模は莫大なものであり、巨大で減速しつつある国内経済を、政権の正統性を崩す可能性のある混乱や痛みの起こらない形で、いかに投資主導型の体制から、よりバランスのとれた消費主導型のものにつくりかえて行くかが最大の難問なのだ。

北京政府は、失業を防ぐためだけに莫大な負債を溜め込みつつ営業を続ける、極めて非効率な国営企業を一体いつまで生きながらえさせることができるのだろうか?

・北京政府は共産党の「天命」についての受け取られ方を、経済の成長率が7%から4%に落ちる中でどのように維持しようとしているのだろうか? アメリカのような先進国では4%の経済成長の実現というのはとんでもないレベルであるが、7%以上の成長率に慣れてしまっている中国人にとっては4%への下落は深刻な景気後退と感じられる可能性があり、これは「天命」に対する挑戦ともなり得るのだ>(以上)

まあ、現実にはどう見てもマイナス成長だろうが・・・中共のGDPはまずサンプル自体が恣意的で、数字も信用できないし、GDPにどう反映させるかの割合の基準の根拠も不明だと富士通総研の柯隆氏が「数十倍に膨らんだ捏造『生産高』報告を喜んでいた毛沢東 中国の経済統計は信用できるのか」(JBプレス10/27)と書いている。続いて――

<中国当局は、GDPを算出する段階でどのように数字を操作するのだろうか。

通常は各々の産業部門から集計された統計をもとに名目GDPが計算される。名目GDPとは物価の変動が考慮されていないGDPの規模と伸び率である。それを他の年度のGDPと比較するためには、GDPデフレータまたは消費者物価指数で割り引いて実質化する操作が必要である。

例えば、名目GDPが9%伸びたとし、消費者物価指数は2%上昇したとする。名目GDPの伸び率の2ポイントは物価上昇分であり、それを取り除かなければならない。したがって、この場合の実質GDPは9−2=7%になる。

統計局にとって、もっとも操作しやすい統計は消費者物価指数である。すなわち、消費者物価指数を実際の数字より低く抑えれば、実質GDPが高くなる。例えば消費者物価指数が3%だとしたら、それを2%にするだけでGDPは1ポイント高くなる>

中共の数字やGDPはもともとが「毛沢東を喜ばせるために創作された」のだと思っていた方がいい。今は習近平を喜ばせるために創作されている。すべてデタラメ。

サーチナ12/27『中国当局「格差問題」に真剣さ欠落 住宅供給で「住めない」「不透明」「虚偽報告」など』から。

<中国では、各地当局が低所得者のための住宅供給を行っている。この種の住宅は「保障房」「経済適用房」と呼ばれ価格面などで優遇されており、一般的な商取引として売買される「商品房」と区別されている。

しかし、中国メディアの新京報によると、中央政府が、江西省、河南省、吉林省、湖北省、貴州省の省を調べたところ、5万7500戸が長期間にわたり入居者のいない状態であることが分かった。

貴州省貴陽市南明区内での「保障房」プロジェクトでは、建物本体の建設は2013年に完了した。中央政府の助成を受けた事業で、7100戸を作ったが、現在も無人という。

入居を認められたという近隣住民の1人によると、「水も電気も通じていない。敷地内の通路も完成していない」「最近になりやっと、通路の整備と緑地の整備が始まった」という。

上記5省に含まれない海南省海口市の永桂開発区では、9000戸以上が入居者のいない状態だ。原因は「水道水の質に問題があり、浄水器を使わないと利用できない」、「近くの道路に街路がない」などの「住宅の質の問題」が原因だ。敷地内にも夜間の照明がなく「安全施設は基本的にゼロ」と批判する住人もいる。

そのため、入居希望者が集まらないどころか、2015年初頭には「退出希望者が手続きの順番待ち」をする状況になったという。

海南省では、建設プロジェクト24件で、定められた建材を「割引き」して工事していたことが分かった。いわゆる「おから工程」だ>(以上)

こうしたゴーストタウン建設もGDPの数字に大いに寄与しているわけだ。中共は根腐れしている。そのうちドウと倒れるしかない。

あれこれ正月の準備をし、午後に墓参り。父母に「愛犬トトをよろしく」とお願いした。

■12月31日(木)、朝は室温11度、快晴、ハーフ散歩。いよいよ大晦日だ。散歩の途次、忠魂碑に献花、皇居、靖国遥拝、両陛下のご長寿、皇室の弥栄、英霊への感謝、そして「日本・アジアの平和、武運長久、中共殲滅、支那解放」を祈った。

神社は初詣に備える奉賛会の人々が10人ほど。神輿倉を覗いたら立派な奉賛(寄付)者名簿があり、小生の名前も書かれていてびっくりした。全然記憶にない。自分のしたことさえ忘れるのだから、情報というのはかなり曖昧なものだ。

在中コンサルタント・田中信彦氏の論考『「ナマの情報」に初めてであった中国の人々 〜拡大する中国人の生活空間』(WISDOM12/25)から。

<*爆発的に広がる「3つの空間」

中国社会で暮らしていて、最近、中国の人々が生きているさまざまな「空間」が急激に拡大していることを感じる。その「空間」とは、たとえば次のようなものだ。

・お金を稼ぐ空間
・情報の空間
・移動空間

世の中は決して好景気とはいえず、深刻な大気汚染などさまざまな問題を抱えてはいるものの、中国の個人を取り巻くこれら空間の急激な拡大のせいで、中国の人々の考え方や社会の気分はとても前向きになっていると思う。

*新しい空間で生き始めた人々

中国社会の現状や将来についての見方は、日本国内と中国の現地とでは大きく異なる。日本では中国の将来に対する悲観的な見方が主流だが、中国国内では確かに「統治のしくみ」に対する不満は強いものの、一方で自分たちの将来については多くの国民が強い期待と楽観を持っている。

その根底にあるのが、最近になって膨らんできた、この新しい空間の広がりではないかと私は考えている。

権力者たちの横暴は相変わらずだし、思想的な締めつけはむしろ強まっている部分すらある。しかし中国の普通の人々が現実に自ら見聞きし、身をもって体験している空間は、飛躍的に拡大している。

中国の人々は政治がコントロールする既存の空間はそれなりに意識しつつも、その隣接部分で急膨張する新しい空間で生き始めている。そんな感じがするのである>(以上)

トウ小平の改革開放は上からの「擬似的資本主義」だが、下からの「草の根資本主義」も急速に拡大しているようである。

小生が支那を取材したのは1985年あたりで、それからの30年で支那は激変したようだ。実際に今どうなっているのか、旅行すれば分かるのか、分からないのか。中国語も理解できないものが1週間旅行したところで分かるものではないだろう。65年も日本で暮らしていても日本は分からないことだらけなのだから。空き菅、鳩ポッポ、フランケン岡田なんてほとんど異星人だ。

真実とか実態はいろいろな情報にあたって調べるしかないのだ。諜報情報の95%はそれで、実際に自分の体験、フィールドワークで調べられるものは5%あたりらしい。

在米ジャーナリスト・岩田太郎氏の論考『「信」の欠如がテロとポピュリズムを加速』(Japan In-depth12/29)から。

<政治・経済の機能不全による既存体制への不信の増大は2016年、大衆に迎合する勢力を世界中で伸長させる。科学や医療分野の不正も増え、人々は信じられるものを求めて、大胆な改革や解決を謳うポピュリストや国家主義に傾倒する。

そのなかで、現在の行き詰まりの根源は、問題を悪化させるエリートたちが推し進めるグローバル資本主義であるとの主張が欧州のみならず、米国や日本でも勢いを得る。まさにグローバル化が最高潮に達し、進行中と見える2016年に、経済ブロック化の萌芽が加速する。

2016年には、地政学や国内治安の面でも政治・経済への不信に連動した不安定化が進む。世界安定の要であった米国の機能不全は同国の疲弊・弱体化をもたらし、世界中に時代の移り変わりの動きを加速させる。

米中・米露の対立激化と政治のブロック化が見られるなか、米欧の軍事的攻撃により本拠地のイラクとシリアで弱体化した過激派組織ISが、米国や欧州で「逆襲」を強化させる。逃げ道がない高速道路での無差別テロなどが起こり、テロを効果的に防止できない「西洋的な寛容政策」への不信が高まる。

他方、米国では黒人を人とも思わない警察や司法の無法がさらに暴走し、人を守るのではなく罰して奪う刑事司法への信頼は、地に落ちる。日本では報じられない、毎週のように起こる警察の丸腰黒人射殺に我慢できなくなった黒人が暴動を起こす。

全米で銃乱射事件もさらに増加し、コントロールできなくなるため、人々は「政府は頼りにならない」との思いを強くする。その結果、「正義は自らの手で」という思想が蔓延し、銃規制は進まないだろう。欧州でも、非効率なテロ抑制で、「寛容政策は効果がない」とするポピュリストが躍進しよう。

このように、「信」の欠如が2016年の世界を形づくるだろう。エリートや既存制度への不信で益に浴すのは、テロリストやポピュリストだ。信頼の回復に必要な、手間ひまとカネがかかる「できるだけ多くの人が勝つ仕組みづくり」「人と人の信頼と関係性の至上命題化」という、地道で儲からない作業は見向きもされず、手っ取り早い解決を謳う勢力が支持を得る。

「信」が失われる2016年の世界は、既存体制の清算と、紛争の道により深く踏み入れることになるだろう>(以上)

行く年、来る年。来年も波瀾万丈のようだ。夜は8人で天ぷら各種と麺類各種で年越しそばを楽しむ。(2015/12/31)
               

◆「日本遺産」認定・尾道のブランド化を支援

山形 良樹



年金生活に入り早1年になろうとしています。平成27年2月に65歳になり、会社を完全リタイヤしたからです。毎日が日曜日になったのは良いのですが、一番困ったのは会社支給の名刺が無くなったことです。

肩書きにこだわっている訳ではありませんが、初対面の人には、私という人物を覚えてもらうため名刺があると便利です。そこで役立っているのが「尾道観光大志」の名刺です。

私の郷里・広島県尾道市では、県外の人に対して尾道市の魅力アピールしてもらう人を「尾道観光大志」と名づけ、行く先々で名刺を手渡してもらって尾道の観光を売り込んでいます。

観光大使は、その地域にゆかりのある芸能人や有名人が選ばれる例が多いのですが、地域振興のため一般市民や地元以外の人にPRを委嘱する「ふるさと大使」が全国的に広がっていて、「尾道観光大志」も尾道市が一般から募集しています。

2年目の平成27年度は、全国から私を含む168人が任命されました。名刺の裏には尾道市立美術館や因島水軍城などの無料入場券と平山郁夫美術館の半額券が印刷されていて、1枚の名刺でいずれか1施設の優待を最大5人まで受けることが出来ます。

観光大使の名刺は、一般的には施設の割引止まりが多いのですが、尾道は入館無料もあるのが特徴で、手渡す相手も喜んでくれ、名刺そのものの価値があります。さらに2年目の名刺には「日本遺産」のロゴマークが付きました。

「日本遺産」は、文化庁が平成27年度から創設した制度で、地域に点在する有形・無形の文化財をパッケージ化し、我が国の文化・伝統を語るストーリーを「日本遺産(Japan Heritage)」に認定する仕組みで、歴史的魅力に溢れた文化財群を地域主体で総合的に整備・活用し、世界に戦略的に発信することにより、地域の活性化を図ります。

尾道市は、「尾道水道が紡いだ中世からの箱庭的都市」として、18件の日本遺産の一つに選ばれ、ロゴマークを使用できるようになったのです。

尾道市では、文化庁からの補助金約4200万円を使って、日本遺産尾道のイメージポスターや総合パンフレットを5カ国語で制作して主要ターミナルや旅行関連会社に配布したり、観光客向けに多言語の紹介アプリを制作したりするほか、市内3箇所にビジターセンターを設けて、和式トイレを洋式トイレに改修するなどして地域活性化に弾みをつけることにしています。

追い風の吹く尾道ですが、残念なこともあります。尾道市東京事務所が今年(平成28年)3月で閉鎖されることになったのです。東京事務所は、尾道の経済団体や企業が首都圏で事業展開する拠点として、平成16年1月に開設されました。

自治体の東京事務所と言えば、国会がある永田町や省庁が集まる霞ヶ関の周辺にあって、国との交渉や情報収集などが主たる業務ですが、尾道市の場合は、事務所の機能を地元企業の商談の場や、企業立地の推進、観光・物産情報の発信などとしていて他とは役割が異なっています。

ユニークな存在の尾道市東京事務所ですが、近年利用率が低迷し、現在入居している大手町のビルの再開発に伴って立ち退きを余儀なくされたこともあり、一定の役割は終わったとして12年の歴史に幕を閉じることになりました。

尾道市東京事務所は、私が幹事を務める尾道サポーターの会(人的ネットワークを活かして尾道の活性化を後押しする会、会員は尾道市出身者や尾道にゆかりのある首都圏在住者約250人)の事務局機能も持っており、尾道市では事務局を市役所内に移す予定ですが、サポーターの会では今後の活動が制約を受けかねないとして頭を痛めています。

少々暗い話になってしまいましたが、地元尾道では新しい動きも出ています。

私の高校の同級生が中心になって「尾道もりあげ隊」が結成され、去年(平成27年)の11月、商店街の一角に事務所がオープンしました。もりあげ隊は、尾道市の価値を見出し、市の発展に寄与すべく行動し、あわせて隊員相互の親睦を深めるのが目的で、地域産業・地域文化の担い手の確保と継承、関係諸団体との連携などを主な事業とし、隊員20人あまりでスタートしました。

私も発起人の一人で、もりあげ隊の事務所には、高校の同級生の他、尾道サポーターの会のメンバーやFACEBOOKの尾道倶楽部で繋がっている人たちが自由に出入りして、市民レベルで尾道の活性化に一役買うことになります。

人口減少や財政赤字など日本の地域を取り巻く現状は極めて厳しくなっており、将来的には都市集積の進む「発展地域」と人口減少・流出が進む「衰退地域」の二極化が顕在化するとの指摘もあります。

地方分権の進展とともに地方自治体同士の競争は、ふるさと納税の税収争いに見られるように激しさを増しています。尾道市が地域の魅力を増してブランド価値を高められるように、尾道サポーターの会や尾道もりあげ隊の活動を通して支援していこうと考えています。 (元NHK記者)


2015年12月31日

◆慰安婦合意、韓国支援団体に日本の

松竹 伸幸



日韓外相会談に至った要因はいくつもある。よく言われているように、アメリカは、中国に対して同盟国が一致して対応しなければならないのに、日韓関係が不安定であることへの懸念を幾度も表明してきた。

日本は、解決済みという建前を表明しつつも、実際には問題が存在していて、日本側が女性の人権侵害をした側にあると国際的に受けとめられている事態を、何とか打開したいと考えてきた。

韓国は、当事者である慰安婦が納得する解決をと希望しつつ、安倍政権の基本的立場が変わるはずのないことは承知しており、どこかで妥協を求めていた。 

慰安婦の生ある内に解決しようとすると、残された時間は少ない。問題の解決を慰安婦が誰一人目にせぬまま亡くなったとなれば、より大きなしこりが将来にわたって残りつづける。

そのような切迫した事情をふまえ、日韓条約50年の年が終わろうとするタイミングで、最初に述べた複合的な要因が重なり合って、今回の外相会談が開催されたということであろう。

ただし、最大の要因は、別のところにあると考える。韓国の市民運動の変化である。いくら日韓の政府間で合意しても、慰安婦問題を主導する運動体の理解がなくては、再び迷走してしまうことは確実である。

そこにある程度のメドがついたから会談するということなのだろう。しかし、運動体に変化が見られるとはいえ、その変化は道半ばだとも思われ、実際に最終的解決に至るのかは楽観できない。その事情を書いておきたい。

この問題を知る人にとっては常識的なことだが、慰安婦問題をめぐる日韓の対立を理解するキーワードは、「法的責任」である。韓国側は、この問題は日本政府が当時の国際法、国内法に反して引き起こしたものであるので、国家としての法的な謝罪と賠償をする責任があるとしてきた。

日本側は、日本が国家として関与したことは認めつつ、法的な謝罪と賠償の責任をとるような性格のものではなく、かつ日韓条約で法的にも決着済みであるので、人道的な見地での謝罪と金銭の供与が適当であるとしてきた。

日本側がこのような考え方を表明したのが、いわゆる河野談話であり、それを具体化したのがアジア女性基金であった。河野談話は、いまでは左派の金科玉条となり、右派には忌み嫌われる存在であるが、93年の公表当時、評価は現在と逆転していた。

たとえば産経新聞の「主張」は、「「強制連行」を、表現こそ違え、肯定するような意味を持つ」として危惧の念を表明しつつ、「改めで戦争が女性に強いた惨禍に胸が痛む」として、宮沢首相が表明した「おわびと反省の気持ち」の「言葉を繰り返す以外にない」と述べた。

「民間主導でかつての慰安婦に誠意を示すことは大賛成だ」として、後のアジア女性基金の考え方を肯定している。「主張」のすぐ横に載った上坂冬子氏の談話では、いろいろ問題点を指摘しつつも、「政府の談話としてはこれが限度であろう」と述べ、限度として容認することを表明している。

一方、朝日新聞は、「被害者の名誉回復への前進である」として前向きの評価を与えている。しかし、今後の課題として、「反省と謝罪をはっきりと内外に宣言すること」、「補償するべきは補償する」ことをあげている。

これは、河野談話でははっきりとした反省と謝罪になっておらず、「法的責任」を果たすことを意味する「補償」も明言されていないことへの批判だったのである。

韓国の運動体である挺対協(韓国挺身隊問題対策協議会)も河野談話について声明を出したが、「「戦争犯罪という本質を回避した発表で、法的責任をとろうとしていない」と強く非難」(日経新聞93年8月5日)するものだった。

筆者も1年ほど前(14年11月)、挺対協が運営するソウルの人権博物館を訪れたが、そこで流されていたテープの音声は、河野談話について「法的責任を回避するもの」としており、二十余年を経てなお批判する立場を明確にしていたのである。

ところが、昨年来、そこに変化があらわれた。「法的責任」という問題をめぐってである。

この十数年間、挺対協を含む日韓の運動団体は、毎年のように会議を開いてきた。2014年6月に開かれた会議は、「日本政府への提言」を確認したのだが、そこでは「「河野談話」を継承・発展」させるとして、かつてあれほど批判した河野談話を肯定的なものと捉える考え方が示されている。

その上で「次の事実と責任を認めよ」として4項目が示され、さらに日本政府に求める「措置」が列挙されている。

今年の会議でも同じ内容のものが確認されたのだが、大事なことは、この文書への挺対協の見解が示されたことだ。挺対協の共同代表である尹美香(ユン・ミヒャン)代表は、この提言について「まさに私たちが求める解決の内容でした」と評価したのである。

その文書の内容を書き連ねることはしないが、大事なことは、このなかで「法的責任」という言葉が使われていないことである。「強制連行」という用語も、法的責任に直結するからだろうか、使われてはいない。

そういうことを日本政府に求めていては、いつまでたっても問題が解決しないことを、日本の運動団体が挺対協に働きかけ、説得したのであろう。

日本政府側となお隔たりがあると思われるものもある。言葉でなく内容をめぐってだ。

たとえば日本政府が認めるべき事実として、「当時の様々な国内法・国際法に違反する重大な人権侵害であったこと」があげられている。国家が法に違反したということになると、「法的責任」そのものになる。

しかし、戦後70周年に際しての安倍首相談話においても「深く名誉を傷つけられた女性たち」の存在に言及されており、「重大な人権侵害」を行った主体が日本政府だと認めよというのでない限り、何らかの合意は可能だと思われる。

日本政府がとるべき措置として、謝罪(法的な謝罪とは言っていない)とともに「謝罪の証として被害者に賠償すること」があげられている問題もある。「賠償」というのは一般に、違法行為をして与えた損害を償うことであり、「法的責任」と表裏一体のものである。

だから、日本政府が「賠償」という名称で何らかの金銭給付をすることは考えられない。けれども、賠償という言葉は使わないが、全額を日本政府が拠出することにより、実態は賠償と言えるものにすることはあり得る。

例えば、日本では「私有財産制」の原則から、災害などで個人の家屋が失われても、それを再建する費用は国庫から支出されないできた。しかし、阪神大震災などを経て次第に変化が生まれ、建前は変わらないまま支出がされるようになっている。

法治国家というのは、ある意味で、建前が原則なのである。建前に説明がつけば、実態はある程度の柔軟性が許容されるということだ。それを慰安婦問題にどう適用するかという応用問題が問われている。

問題は、日本側の建前が変わらないという現実を、挺対協が受け入れられるのかということである。日韓外相会談で何らかの合意があったとすれば、そのことが挺対協に問われてくる。

いま紹介したような運動体の文書に挺対協が合意してきたとはいえ、あくまで会議に参加した代表が合意したということであって、組織全体が合意したことを意味していない。実際、挺対協のなかには、一切の妥協を許さないグループも存在すると聞く。

解決の容易でないことを予測させる事態が、運動体の今年の会議をめぐって発生した。北海道新聞が、この会議について、「慰安婦問題 『法的責任』は求めず 韓国・挺対協 従来方針を転換」と見出しをつけて報道したのだが(4月25日付朝刊)、挺対協からの抗議を受け、訂正をしたのである。

北海道新聞の当初の報道は、「挺対協が、日本政府に対して立法措置による賠償など『法的責任』に基づいた対応を求めてきた従来方針を転換したことが分かった。……要求を緩めた」とするものであった。

さらに、「尹代表は『(法的責任を直接追及しなくても)提案内容で、実質的に日本の法的責任を明確にできる』とも報じた。これが訂正報道では、それぞれ「…日本政府に対し慰安婦問題の解決に関しとるべき方向を提示した」、「尹代表は『法的責任の内容というものは提言の中に込められている』とした」とされたのである。

要するに挺対協は、「法的責任は追及しない」という部分を問題にしたわけである。法的責任という言葉は使わないにしても、要求している内容は法的責任に当たるということにしてもらわないと、これまでの行きがかりもあって、立つ瀬がなくなるということである。実際には法的責任という建前を放棄しているのだが、放棄したと書かないでほしいということでもある。

日韓政府間で何らかの合意がされたとして、運動体がこれまで建前と本音について徹底して議論してきたのなら、スムーズな解決がされたかもしれない。

し かし、そういう議論がないままなので、運動体の内部では建前と本音を上手に使い分 けしていかないと、政府間合意を一致して受け入れることにならないだろう。

いわばガラス細工のようなものなのだ。不用意な政治家が、「この合意では法的責任は認めていない」とか、「賠償を払わないことで合意した」などと発言 でもすれば、それだけでこんな細工は容易に崩壊する。

けれども、これが最後の機会である。立場は様々であっていいから、誰もが合意を促進する立場に立ってほしい。慰安婦問題の解決に積極的に運動してきた 人には、あれこれの問題点をあげつらうのではなく、20年余の努力が実を結んだの だとみなして、慰安婦に対して「これで解決しよう」と励ましてほしい。

慰安婦問題 など存在しないと考えてきた人にも、「これで本当に最後にならないと恐ろしいこと が待っているぞ」という気持ちからであってもいいから、韓国側を挑発するのはやめ てほしい。

なお、合意に向かう上で最大の障害の一つは、在韓日本大使館前に設置された慰安婦像をどうするかという問題になろう。撤去せよという日本側と、撤去し ないという韓国側の間で、一致することが困難だ。この問題では、拙著


『慰安婦問題をこれで終わらせる。』(小学館)で提唱したやり方しかないと感じている。慰安婦問題が解決し、日韓が和解したことの証として、いまの像を 包み込むような形のモニュメントをつくるものである。このやり方なら、韓国側は慰 安婦が安らかな眠りについたと思えるし、日本側は慰安婦像はなくなったと解釈でき るのではないか。

何をもって慰安婦問題の解決というかは難しい問題である。しかし、首脳会談もまともに開けないとか、市井の人々の日常の暮らしのなかに隣国批判が横溢 するとか、そんな状態は終わらせなければならないと思う。本当に最後の機会である。 
(総合オピニオンサイト iRONNA)
                産経ニュース2015.12.29
                (採録:松本市  久保田 康文)


◆寝た子を起こした日韓慰安婦協議

池田 元彦



今回の日韓外相協議は、安倍首相の政治的判断ではあるが、結果は明らかに失敗だ。米国上下両院スピーチでは幾つかの歴史認識は、今後の史実調査で是正されるとの政治的妥協判断で、将来を期した。日本は2度と謝罪しないと言明し受容れられた。同じ柳の下の泥鰌を狙ったのか。

米国の日韓仲良く要請に応じていない韓国は、今回は引下るべきなのだ。1965年の日韓基本条約で全て解決済み前提の交渉なのだから、無理難題をゴリ押しするなら椅子を蹴ってでも即帰国すべきだった。岸田外務大臣の成果を挙げた誇らしげの嬉しそうな顔は、勘違いも甚だしい。

何を確定したのか。何等確定はない。両国共同声明文がないということは、何も国家間の契約がなかったということだ。だから両国外相が幾ら「最終的」「不可逆的」に確定したと言っても、確定を証拠立てる文書がない以上、空約束の一時凌ぎの戯言に過ぎない。何度騙されたら判るのか。

日本側は「日本軍の関与」を認め「責任を痛感」し「心からのお詫びと反省」を首相名で表明したうえ、韓国の元々の主張の20億ではないものの10億円を日本政府が出資するとした。

これでは、70年談話より遥かに後退している。将に歴代首相の談話を継承し、それを追認迄しているのだ。

日韓は米国との関係で本来は間接的な同盟国同志なのだが、従軍慰安婦の嘘を言い立て、世界中に告げ口し、在韓大使館前に慰安婦像設置を許容し、米国等にその拡散に国を挙げて推進してきた。世界記録遺産登録も進めている。その他にも敵対国に対するような、嫌がらせだらけだ。

竹島や対馬の仏像も返還しない。日本の円安やドイツを見習え批判、産経記者名誉棄損起訴、徴用工賠償裁判、日本と問題ありとしながら首脳会談拒否。無策無能の朴大統領が唯一縋れるのは、今となっては日韓基本条約締結50年内、今年中の慰安婦問題解決での成果位しかない。

ならば会談の勝負は明らかに日本側に有利にかかわらず、結果は韓国の言い成りだ。以降相互に批判、非難しない、とは笑わせる。非難・批判で日本貶めキャンペーンをやっていたのは韓国なのだ。そもそも「従軍慰安婦」はいなかった。戦場にいた慰安婦は朝鮮人だけではなかった。

ふと中曽根元首相の靖国参拝を思い出した。個人的にも交遊が有ったと言う胡錦濤元主席が支那政府内で苦衷にあると言う理由で、助ける為予定していた靖国参拝を取り止めたのだ。相手首脳が国内的に苦衷に有ろうが無かろうが、それを理由に首相は国益を棄損するべきでない。

その後の靖国参拝はどうなったか。支那の切り札になり歴代首相が参拝出来なくなった。売国奴同様の仕業だ。首相名で謝罪し、10億円を政府予算で拠出するなら、どのように言訳しようと、世界は日本軍が関与した、だから安倍首相がお詫びし、賠償金を払うと、解釈するのが常識だ。

勿論安倍首相の本心でなく、就中公明党と自民党内媚韓派の暗躍で事ここに至ったと同情するが、欧米は軍の関与で大喜びだ。インドネシアや台湾、フィリピン迄、韓国に認めるなら自国の慰安婦にもそうして欲しい、請求を検討すると言った論調が出始めている。中曽根の轍を踏んだのだ。

韓国との解決等無い。大使館前慰安婦像・その海外像の撤去、記録遺産登録放棄の度に、色々と理由をつけて新たな強請と集りが始まる。

最終的・不可逆的と言うなら、文書化拒否理由は何なのだ。10億円拠出は、韓国の撤去・登録放棄の履行確認後で遅くない。因みに、韓国政府認定慰安婦243名中現存者は55名足らず。よって1人あたり18百万円の出血大判振舞いだ。


2015年12月30日

◆私の「身辺雑記」(297)

平井 修一



■12月27日(日)、朝は室温14度、いささか冷える、快晴、久し振りにフル散歩。

体調はかなり良くなったが、昨日、一昨日と2日間かけてエアコン3台掃除したらへばってしまった。機種はすべて三菱の「霧ヶ峰」。2003年製、2008年製、2011年製。

ちょっとした発見があり、掃除の手間は2003年製が1時間、2008年製が20分(いずれも小型の6〜8畳用)、2011年製(中型の12畳用)が30分という感じ。

2008年製は自分で勝手に掃除してポケットにゴミを貯めるのだが、この12月に導入したリビング用の大型機は20畳用で、自動掃除機能はないそうだが、多分、掃除しやすくなっているのだろう。

「たかがエアコン、されどエアコン」で技術革新競争が激しい。イノベーションができないと生き残れないのだ。常にチャレンジしていく。それを止めたらお仕舞。「舞台下手に去る」だけだ。

♪「恋はいつでも初舞台」とかいう歌があったが、「人生すべて初舞台」とも言えるのではないか。チャレンジ、成功、失敗、喜怒哀楽・・・すべて毎日が初舞台。なにしろ経験したことがないからだ。

「賢者は歴史に学ぶ、愚者は経験に学ぶ」という。賢者とは誰か。「棺を蓋いて事定まる」。人間の真価は、死んでから決まる。蓋棺事定 (がいかんじてい) 。

近代以降の日本の指導的政治家で「賢者」とある程度評価が定まっているのは伊藤博文ぐらいではないか。大日本帝国憲法の起草の中心となり、初代・第5代・第7代・第10代の内閣総理大臣を務め、日清、日露戦争で勝利をもたらした。

西郷先生や大久保利通も立派だったが、クセがあったから未だに評価は定まっていない。

戦後体制を主導した吉田茂も「GHQの要請には日本としての意見を言ったが、NOと言われればそれ以上の反論はせず、受け入れるようにした」と忸怩たる思いがあったようだが、「戦争で敗けても外交で勝つ」のだと精一杯踏ん張った。50年先を読んで日米安保体制を強化した岸信介も立派だった。

吉田、岸、高度成長に舵を切った池田勇人も賢人、賢者と言っていいかもしれない。

つまり圧倒的多数の人は愚者とは言えないまでも「凡人」「良民」「堅気衆」である。慣性の法則のままに手探りで日々を生きている。熟慮断行ではなく、拙速とか短慮、軽挙妄動、優柔不断的に日々を送っているようだ。

かくすれば かくなるものと 知りながら 止むに止まれぬ 大和魂

松陰先生が米国密航計画を振り返り、獄中で詠んだ歌だという。

人生は「もうどうにも止まらない」「分かっちゃいるけど止められない」が常で、「そのうち何とかなるだろう」と昨日の続きを今日も生き、明日も生きるのだ。

わが身を振り返ればそういうことだ。小生の場合は「人生すべて“後の祭り”」というバカもやったが、運が良くて「結果オーライ」ということも多かった。来春には65歳になる。体力は衰えるばかりだが、脳みそはもう少し鍛えられるかもしれない。

今日の仕事はふすまの修繕と料理だけ。酢豚、チルドのシューマイなどを6人で楽しんだ。

■12月28日(月)、朝は室温11.5度、いささか冷える、快晴、ハーフ散歩。

PHP総研の「グローバル・リスク2016」から。

リスク1.中国経済悪化と国際商品市況低迷に挟撃されるアジア中進諸国

リスク2.止まらない中国の海洋進出が招く緊張の増大と拡大

リスク3.深まる中国依存と主体思想の狭間で揺れ動く北朝鮮

リスク4.テロと移民問題がもたらすEUの亀裂と反統合の動き

リスク5.グローバル化するISILおよびその模倣テロ

リスク6.加速するサウジアラビアの国内不安定化と原油市場の混乱

リスク7.地域覇権をめざし有志連合内で「問題児化」するトルコ

リスク8.選挙イヤーが宙づりにする米国の対外指導力

リスク9.金融主導グローバル化の終焉で幕が開く、大企業たたきと「P2P 金融」時代

リスク10.加速するM2M/IoTが引き金を引くサイバー脅威の現実化

平井思うにITの世界は日進月歩というか秒進分歩で、次から次へと新しい言葉、新しい技術が開発されるから、門外漢にはチンプンカンプンだ。P2P、M2Mとはなにか。調べてみた。

P2Pはピアトゥピア(英: peer to peer)の略。多数の端末間で通信を行う際のアーキテクチャのひとつで、対等の者(Peer、ピア)同士が通信をすることを特徴とする通信方式、通信モデル、通信技術の一分野を指す。

M2Mはマシンツーマシン(Machine-to-Machine)の略。コンピュータネットワークに繋がれた機械同士が人間を介在せずに相互に情報交換し、自動的に最適な制御が行われるシステムを指す。

ふーん、基礎知識がないからやはり分からない。目敏い人がビジネスのタネにするのだろう。生き馬の目を抜く世界・・・世の中は昔からそうなのだろう。

フォーリン・アフェアーズの2016年予想から。

<2016年、世界は中東とヨーロッパを中心に半世紀に一度の大きな地政学的変化を経験することになるかもしれない。

中東ではアラブの春に象徴される社会不満が噴出し、アメリカの覇権が形骸化したことによる政治的空白のなかで、「イスラム国」が台頭し、宗派間紛争が固定化しつつある。そこで起きているのは多層的な革命と秩序再編だ。

ヨーロッパでは、ユーロ導入に伴う金融政策上の主権喪失がギリシャ危機として先鋭化し、その対応に必要なさらなる政治・経済統合にメンバー国は同意できずにいる。

難民の流入に伴う各国の国家意識の覚醒によって多文化社会が揺らぎ、EUの根本理念である域内における「人の移動の自由」さえも脅かされている。

EUがメンバー国に求める緊縮財政も、EUへの反発と国家意識を高め、右派政党を台頭させている。

そして中国は自由化に伴う経済的混乱のなかにある。一定の余力を残しつつも、経済的対応ツールは今後ますます少なくなり、危機に対応できなくなる恐れもあり、中国発グローバルリセッションのリスクを指摘する専門家もいる。

世界各地で政府と市民の社会契約が揺るがされるなか、地域秩序が解体していけば、全てが流動化し、地域大国間だけでなく、ロシア、中国を含む大国の地政学的思惑と行動が表面化していくリスクがある>

時代基調は「混沌」「混乱」「混迷」「困惑」なのだろう。ついこの間まで「平和」「安定」「調和」「共生」だったが、もうそういうお花畑はなくなってしまった。今は厳しい荒野が広がるばかりだ。

<米政府は12月16日、台湾に対する18億3100万ドル(約2242億円)の武器売却を決め、議会に通知したと発表した。米国による台湾への武器売却は4年3カ月ぶり。最近40年間で最も長い空白となった。

BBC中国語版によると、米シンクタンク「プロジェクト2049研究所」のイアン・イーストン研究員は今回の武器売却について「台湾防衛の約束を再確認する米国のシグナルだ。売却により台湾軍の戦闘力が大幅に上昇する」と述べた>(朝雲12/24)

産経12/22「尖閣の中国船に機関砲か 接続水域を航行」から。

<海上保安庁は22日、沖縄県・尖閣諸島周辺の領海外側にある接続水域を航行中の中国海警局の船1隻に機関砲のようなものが搭載されているのを確認した。尖閣周辺は中国海警局の船がたびたび航行しており、武器のような装備が確認されたのは初めて。

第11管区海上保安本部によると、機関砲のようなものを搭載していたのは海警31239。船の前後に計4基を確認した>

宮家邦彦氏が以前こう書いていた。「船が白(巡視艇)であればまだいいが、灰色(軍艦)になると危険だ」。中共は露骨な武力威嚇に舵を切った。

日はまた昇るか。アジアは日の出を待っている。

■12月29日(火)、朝は室温11度、今季最低、快晴、ハーフ散歩。正月休みが始まって街はひっそり。

産経12/28に京都大名誉教授の佐伯啓思氏が論考「日本はグローバルな大競争の中で精神の余裕を失ってしまった…」を書いている。

<グローバルな大競争の時代になり、どの国もゆったりと成長できる世の中ではなくなった。競争は、国の単位においても、企業や組織の単位においても、あるいは個人を単位としても、勝者と敗者を作り出してゆく。構造改革で、勝てるところにカネをまわせ、勝てないところは切り捨てよといった政策を続けた結果も手伝い、この十数年のうちに、われわれは、すっかり余裕を失ってしまった。

余裕を失ったのは、十分な経済成長を生み出すことができなくなった富の世界だけではなく、われわれの精神の方も同じである。いや、停滞の20年などといっても、日本は依然、経済大国である。富は十分にある。

しかしこの豊かさのなかで、われわれは、精神的な安寧や余裕を失っている。自分を支えるために、少しでも自分に敵対する(と思われる)ものを攻撃し、自分を傷つける(と感じられる)ものを罵倒し、自己の存在を示すために大声で自己主張をする、という風潮へとなだれ込んでしまった。

こうしたことは、もともと、われわれ日本人がもっとも忌み嫌ってきたことではなかったろうか。大声で言挙げしない。強引な自己主張は控える。相手の気持ちを忖度する。ことにあたって冷静でいる。友を裏切らず、他人を誹謗しない。仁や義を重んじる。こういったことがらは日本人の精神文化の核にあったはずだ。それが、このグローバルな大競争の時代に失われつつある>(以上)

泰平の眠りについていた日本が列強の脅威を感じるようになったのは1800年前後からだ。1792年にはロシアの使節が根室に来航し通商を求めてきた。1796年には英国人が室蘭に来航し近海を測量する事件が起きた。

そして1853年には米国東インド艦隊司令長官ペリーが軍艦4隻を率いて浦賀に来航し、武力威嚇で開国を求めた。

以来第2次大戦終結の1945年まで、およそ100年間は日本も世界も戦争をしまくった。米英露仏などの連合国が勝利し、(彼らにとって有利な)戦後秩序を守るために国連(国際連合ではなく、正しくは連合国機構だろう)を作った。

それから70年、地域限定の小規模戦争は起きても大戦はなかったが、ここ数年で国連主導の戦後秩序のタガが緩んできた。グローバリズムによる無制限の国家レベルから個人レベルまでの競争が急速にあらゆる分野で進んで行った。世界から寛容的お花畑が消えていき、弱肉強食のジャングルに変わっていったのだ。

「奴はライバルだ、ライバルは叩け!」、今は「奴は敵だ、敵は殺せ!」だ。

殺伐とした非寛容の世界が拡大しつつあり、新たな100年戦争がいつ始まってもおかしくない時代になった。戦後秩序を代表する花であった欧州連合/EUは今や徒花、崩壊の危機にある。

“戦国時代”に乗じて中共のように地域覇権国を目指す危険因子もある。イラン、トルコ、サウジも虎視眈々と地域覇権のチャンスをうかがっているようだ。ロシアは露骨に領土を拡大している。ISのような狂気も世界中に拡散している。

その世界にあって我関せずと拱手傍観、中立でいることはできない。マキャベリ曰く――

「わたしは断言してもよいが、中立を保つことは、あまり有効な選択ではないと思う。

とくに、仮想にしろ現実にしろ敵が存在し、その敵よりも弱体である場合は、効果がないどころか有害だ。

中立でいると、勝者にとっては敵になるだけでなく、敗者にとっても、助けてくれなかったということで敵視されるのがオチなのだ」

ベトナム、フィリピンが中共に攻撃されているのを黙認すれば、日本の信用がゼロになる上に、今度は日本が攻撃されるのである。

我々は警戒し、軍事同盟を構築し、備えを固め、最初の一発を撃たせ、反撃し、撃退するしかない。地域の安定の中でしか日本は生きていけないのだから。

佐伯先生の言うように憎悪や敵意に満ちた不本意な“嫌な時代”だが、「なったらなったで昔には戻れない」(山本夏彦翁)。戦後的平和の「青い山脈」の時代は終わり、今は戦争前夜なのだ。叡智と武力と勇気で乗り切るしかない。(2015/12/29)

◆来年も「中韓」に悩まされる年やで

宮嶋 茂樹



人民解放軍が上陸して来る日… 

 今年も残すところ2日。国民皆が忙しいときに、そこのニイちゃん、ネエちゃん、クリスマス気分に浸っとる場合とちゃうで。日本人ならキリストの誕生日よりも天皇誕生日(23日)祝えよ。ホンマ、ハロウィーンのときもそやけど、それを言い訳にして騒げればエエとしか考えてないやろ。

そりゃあ、これもあれも日教組のセンセイ方が自由を楽しむことだけ教えて、国民三大義務や国に奉仕すること教えんかったせいや。確かにセンセイ方が大好きな憲法には信仰の自由が高らかにうたわれとるけどな。

そんなセンセイ方に教えられて、わが国の少年犯罪は増加の一途、ワシなんか恐ろしゅうて渋谷も国際通り(沖縄)もよう歩けんわ。沖縄じゃそれに加え、PM2・5の脅威、さらにレーザー照射でヘリも墜落させられかねん。

あれほど米軍基地は迷惑やというときながら、中国大陸から飛んでくるPM2・5は「なんくるないさー(どうってことない)」ってか?

大陸じゃあ、カナダから空気缶、輸入しとんのやで。そんな中国の空気よりも米軍基地の方がアブないか? 普天間飛行場が「世界一危険や」とこきながら、県民がパイロットにレーザー光線照射するという「テロ活動」に励んどったんや。

そんな自称・カメラマンをヒーロー扱いするとこなんか、伊藤博文を暗殺した安重根や寸又峡事件の犯人、金嬉老を民族の烈士扱いする韓国人から見習ろうたんやないか?

そりゃあ、沖縄県民のいう通り、米軍基地の負担もわが国の安全保障に支障がない範囲で内地も負担したらなアカン。代わりに中国人犯罪の脅威を沖縄が負担してくれんか? 

尖閣諸島に押し寄せる中国公船の監視と排除は辺野古でなんとか屁理屈つけて暴れ回る元気いっぱいの沖縄の若者に…。え?何やて? ほとんどが内地からの“外人部隊”やて? 南沙諸島の次は尖閣や、その次は沖縄本島や。住み着いた中国人の保護という名目で人民解放軍が上陸して来るぞ。そのときにどうしても普天間の、辺野古の米海兵隊が邪魔なんや。来年も中韓「沖」に悩まされる年になりそうやで。

            ◇
【プロフィル】宮嶋茂樹

みやじま・しげき カメラマン。1961年、兵庫県出身。日大芸術学部卒。写真週刊誌を経てフリーに。東京拘置所収監中の麻原彰晃死刑囚や、北朝鮮の金正日総書記をとらえたスクープ写真を連発。写真集に男女の若き海上自衛官を撮った「国防男子」「国防女子」。
産経ニュース【宮嶋茂樹の直球&曲球】】2015.21.24



◆杉原千畝は日本国に背いてはいない

泉 ユキヲ


東宝映画「杉原千畝(すぎはら・ちうね)」が上映中だ。予告篇が繰り返し言う。杉原は国家・政府に「背いた」外交官だと。だから観に行く気にならない。

靖國神社社務所が発行している月刊『靖國』の平成20年12月号に、上杉千年(うえすぎ・ちとし)さんが「ユダヤ難民を助けた日本人」と題して、杉原千畝が何を行ったのか、
納得のいく形でまとめておられた。

そもそも、ほんとうに杉原千畝のビザが日本国に背いて発行したものなら、日本国政府はユダヤ人難民に向かって冷徹に「残念ながら、そのビザは違法なもので、無効です」
と言えばいいようなものだ。

上杉千年さんの一文ではじめて腑に落ちるものがあった。

わたしは当時それをブログに紹介した。ぜひ読んでいただきたく、以下転載します。

(メールテキストより読みやすいブログは こちら:「ユダヤ難民を助けた日本人 上杉千年さんの講演録に納得」http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/diary/200812290000/


■ なぜ杉原千畝は日本人ゼロのリトアニアにいたのか ■

杉原千畝がユダヤ人難民にビザを出すとき、具体的に外務省からどういう難題を突きつけられたのか、わたし(泉)は勉強不足で よく知らなかった。

ミュージカル「SEMPO」で杉原千畝はユダヤ人難民へのビザ発給を始めるとき「違法なビザを出すつもりはない」とはっきり言う。

外務省側の裁量で受入れ人数に制限があるのを無視したが、とにかく形式だけは満たした、ということのように思われた。上杉千年さんの講演録を読むと、興味深い事実がいろいろ
分かった。

いずれも常識に照らし合わせて腑に落ちるのである。

≪杉原千畝はリトアニアにただ一人で行っているのです、
領事代理として。
奥さんがついて行ってアシスタントをやっているわけです。

一人で行って何をやっているか。領事というのは日本人の保護、貿易、そういうことをやる仕事です。

ところがリトアニアというのは日本人はただ一人もいない。結局、陸軍の要請で外務省が派遣したものだと思うのです。

あそこは第1次大戦以降独立国ですから、ソビエト、ポーランド、その辺の動向の情報をとるということで行っている。それで日本人が行っても情報がとれませんからユダヤ人を使うわけです。

何人かのユダヤ人を使って情報収集している。そこでユダヤとの関係が必然的にできてくるわけです。≫


■訓令は何と言い、本庁はどう指示したか■

う〜ん、なるほど! 

ミュージカル「SEMPO」では、リトアニアはカウナスの街角で出会ったユダヤ少年のソリー・ガノールとの会話がユダヤ人との接点の始まりとなっているが、まぁ 現実は
もっとドロドロしていたろう。

ヒトラーが昭和9年8月19日に総統となりユダヤ人の国外追放を始める。(これまた上杉さんの注記で知ったが、ユダヤ人虐殺が始まったのは昭和16年以降であり、それまでは「国外追放政策」だった。)


≪難民として出てきますから、それに対してどう対処するか。昭和10年にユダヤ人問題に関する帝国の方針が決まる。

帝国政府は、白系ロシア人(【泉注】ロシア革命後、ソヴィエト政権を受け入れずロシア国外に脱出・亡命した旧ロシア帝国国民)に対するのと同じように扱うことに決めたわけです。

どういうことが決まったかというと、日本の勢力圏を通る通過ビザについては250円、日本滞在を目的とする者は1,500円見当の見せ金を示せと。

それと通過ビザについては受け入れるところのビザが要る。

そういうことが、昭和10年3月12日 『独逸(ドイツ)避難民ニ関スル件』という訓令として決まったわけです。≫


ああ、そういうことだったのか。

たしかに、東京の街がホームレスと化したユダヤ人難民であふれたら大変だから、ちゃんと生活資力を持った者だけを受け入れるようにという訓令が出されたのは理解できる。

 そして、杉原千畝の眼前に集結したユダヤ人難民がこの条件を満足できぬことも。


■ たとえて言えば、こういうこと ■


≪杉原千畝が「ビザを発行していいか」と伺ったのに対して、本省からの訓令は「ビザを発行してはいけない」とは一言も言っていない。

「ビザ発行条件にしたがって発行しろ」と。

当たり前ですね。切符を売るのに、切符を売る条件にしたがって駅長は切符を
売るわけでしょ。ただで切符をくれる馬鹿はいないわけです。

そこで杉原千畝は今でいう公務員、官吏ですから、訓令通りやらなきゃいけないわけです。

ところが、ビザの発行条件に合わない人がいっぱいいる。そこで彼はどう考えたかというと「ここでとにかくビザを発行し、条件は日本へ着くまでに満たされればよい」
と。

だから、特例としてビザを発行している。

ウラジオストックに行くまでに、なんだかんだで、ひと月くらいはかかる。
その間に、アメリカのユダヤ人協会から金を送ってくれる。

少なくとも神戸にユダヤ人がおって、ウラジオストックから敦賀に着き神戸に行くので、神戸に滞在している間にはお金がはいる。そこで帳尻があう。

すなわち、東京駅へ行って
「切符を売ってくれ」
「はい、250円」
「カネ、ありません。売ってください。名古屋まで行くと
オバサンがおって金払うで」
「そうか、名古屋で払ってくれるのならええわ」
と言って駅長が切符を渡すようなものです。≫


 これは分かりやすい例えだ!
 規則を作ったひとも、人情駅長も、どちらも悪人ではないのである。


■「命のビザ」後に勲5等をもらった ■

上杉千年さんは、いきどおる。

≪それを、教科書や世の中のマスコミは「ビザを発行してはいけない、と外務省が言った」
と。話が全然ちがうでしょ。

外務省は「おカネを払っている者に切符を売れ」と言っているのですから、当然の言い方でしょ。で、通過ビザですから行き先がいるわけです。

さいわい、オランダの大使が南米の孤島みたいなキュラソー島(【泉注】現在もオランダの殖民地)に行くビザを発行してくれた。もう一つの行き先は上海。上海は自由都市で、ビザなしで行けるのです。

問題はお金ですよね。見せ金。貧乏人もおれば……難民ですから……先付けということで処理した。杉原千畝は非常に偉い人なんです。≫

歴史に残る、話の分かる官僚だったわけですね、杉原千畝さんは。

≪こうして、ユダヤ人がどんどん来るから、ウラジオストックの領事館は困っちゃった。
杉原千畝の発行したビザを持っていますから対応しないわけにはいかないのです。

それでみんな船に乗せて敦賀に来て、日本の内地では軍も警察も県庁も何も干渉しなくて、兵庫県のごときは積極的に保護してやった。それで神戸に落ち着いて。

アメリカへ行ける正規のビザを持っている者はアメリカに行った。無い者は上海へ。どんどん上海へ行くわけです。≫


 日本人の常識からすれば、当時すべての人々が同情心120%でユダヤ人難民に接したと思うのであります。


≪杉原千畝は昭和15年9月に、バルト3国がソビエト領になるから出ていけといわれました。それでベルリンへ9月1日に行くわけです。

杉原千畝は事実上、訓令違反をやったのですが、ベルリン駐在大使から一言も文句がない。
文句がないということは本省から文句言ってきていないということですね。

その後、チェコ・プラハの市毛孝三総領事の後任として栄転していくわけです。そしてどんどん栄転していって、昭和18年に三等書記官になるのですね。

昭和19年になったら勲五等をもらうんです。訓令違反をして処罰された者が昇進したり勲章をもらえる道理がないのです。

すなわち、ユダヤ人を助けるということについては、帝国政府および陸海軍が積極的に認めておったからなんです。≫


■ 昭和22年の失職の理由 ■


≪杉原千畝は昭和22年4月に本国に帰り、岡崎外務次官から呼び出しをうけ、「あなたはやめてくれ」ということで6月7日に馘(くび)になる。

それをマスコミなどは「ユダヤ人を助けた、訓令違反をやったから馘にした」
というのです。

昭和15年のことを昭和22年、しかも戦争終わってから馘にしますか、そんな理由で! 
常識で考えればわかるでしょう。

敗戦によって、外交官の身分の者は半分ぐらい馘になる。外務省、要らないんですから。

ロシア課というのがあるでしょうけど、本国におったのが椅子を占めているから、杉原さんは失業ですよ。

だから 「ご苦労さまでした」 といって割増の退職金が出たというんですね。要するに単なるリストラであったと思うわけ。≫


 上杉千年さんの文章を読んでいて、すがすがしく感じられるのは、いちいち常識に照らし合わせて納得できるからだ。 歴史とは、幾千万の「フツウ」から成り立つ偉大な営みなのだ。


■ 樋口季一郎中将のこと ■

上杉さんの語りで、あとひとつ心を引き寄せられたのが、わたしの尊敬する樋口季一郎中将にまつわるエピソードだ。

 樋口季一郎中将は、昭和13年に少将としてハルピン特務機関長であったときユダヤ人難民の満洲国入りを助け、昭和20年には札幌にいてソ連軍の千島侵略への抗戦を指示した救国の大英雄だ。

≪ユダヤ人を助けた人々は、敗戦後にユダヤ人によって戦犯処刑から助命されました。

樋口季一郎さんは、終戦のとき陸軍中将として札幌にいた。ソビエトは「樋口季一郎というのは、ハルピン特務機関長、さらに札幌では第5軍司令官として占守(シュムシュ)島の最後の戦争をやったから戦犯としてよこせ」とマッカーサー司令部に要求した。

マッカーサー司令部におるユダヤ人たちがすぐさま本国のユダヤ人協会に連絡したとみえて、アメリカのユダヤ人たちが国防省と国務省に圧力をかけた。

そこでマッカーサーに「樋口季一郎を引き渡してはいかん」という指示が来たので、樋口さんは助かった。

しかしご本人(樋口季一郎)は知らないわけです。

ところがアインシュタインの昭和25年頃の来日の歓迎パーティーで、ユダヤ人のミハイル・コーガン氏が内幕を話した。それで樋口さんは「あぁ、そうだったか」とわかる。≫


 樋口季一郎というひとに、泉ユキヲはホレています。どんな 人となり だったのでしょう。 映画「樋口季一郎という男」。ぜひ作っていただきたいものです。

2015年12月29日

◆安倍首相、3兆円のビジネスを展望

宮崎 正弘 


<平成27年(2015)110月30日(金曜日)弐 通算第4708号 >  
 
〜安倍首相の中央アジア歴訪、3兆円のビジネスを展望
   「日本+中央アジア」にアベノミクスのひとつの重点を置いた〜

安倍首相は10月22日から28日まで1週間の駆け足旅行で、モンゴルと中央アジア五ヶ国 (カザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、キルギス、タジキスタン) を歴訪した。

これらの国々は中国とロシアに地政学的に挟まれ、激動の歴史を刻んだ。

しかし、何れも海の出口のない、内陸国家である。

一部に資源に恵まれる国もあるが、農業だけのキルギス、山岳曠野の多いタジキスタンなど、経済的苦境にあって、先進国の支援を待っている。 首相の歴訪には50社の企業幹部、団体役員が同行した。

安倍首相はウランバートルに半日を費やしたあと、すぐに最も西側のトルクメニスタンへ飛んだ。日本の首相の訪問は初めてだけに、歓迎行事も多彩だったが、実質的にトルクメニスタンは鎖国しており、なかなか入国は難しいところである(ちなみに筆者も、この国だけは行ったことがない)。

トルクメニスタンは膨大なガスの埋蔵をほこり、冷戦下ではソ連が一方的に購入していた。中国が割り込み、ここから総延長j8000キロのパイプラインを敷設して、ウズベキスタン、カザフスタンを経由、新彊ウイグル自治区から上海へ輸送している。これを『西気東送』プロジェクトという。

日本勢は日揮、住友商事などがガス田開発、発電所建設などのプラントを受注しており、首相に随行して正式の調印をめざした。

天然ガスの脱硫プラントは1兆円、ほかに三菱商事などの化学プラントが5000億円、住商の火力発電が400億円、東洋エンジニアリングの肥料プラントが4000億円などである。

首都のアシガバードでのベルドイムハメドフ大統領(ニヤゾフ前大統領の庶子)との会談でも安倍首相は「質の高いインフラ整備に協力する」と日本の立場を協調した。

 ▼タジキスタンも首相訪問は初、ウズベクは顔見知り

2番目の訪問国はタジキスタンである。

ラシモン大統領と会談し、地域の安定、とくに国境警備や麻薬対策に関しての協議をおこなったほか、98年に慟哭で過激派の犠牲となった秋野豊氏の慰霊碑に献花した。

同国に日本の首相が行くのは初めてである。

3番目の訪問国はウズベキスタンである。

首都タシケントでカリモフ大統領との首脳会談に臨み、人材育成、高度技術センターの開設、物流インフラへの整備協力などが話し合われた。

またナボイ医療センター工事に68億円の無償援助がきめられた後、首相夫妻は日本人墓地を訪れて献花した。

そののち、ナボフ劇場へ赴いたのも、ソ連抑留時代の日本兵が、この劇場を造った曰くがあり、しかも66年のタシケント大地震のときに、ほかの建物は倒壊したのに、この日本人が造った劇場だけは倒壊しなかった。

ウズベキスタンはすでにカリモフ大統領が数回訪日を重ねており、日本にはなじみの深い。ガスプラント、原子力発電開発、農業指導などで協力を積み上げてきた。

▼ギルギス

4番目の訪問国はキルギス。

ここでは三菱商事、双日など五社連合による、ガスの前処理施設の建設に協力し、16年ぶりの円借款が成立した。ほかにビシュケク → オシ間の新幹線道路整備建設に120億円の円借款を金利1%、40年償還(10年据え置き)という有利な条件で供与する。

すでにJICAを通じて多くの無償援助をなしてきたが、首相訪問であらたに16億円を無償援助し、マナス空港の施設改良工事などをアタムバエフ大統領との面談で決めた。

キルギスは風光明媚で観光には恵まれているが、工業のインフラがよわく、大学をでたキルギスの学生はロシアなどに出稼ぎへ行っている実情がある。


▼カザフスタンの首都で「日本+中央アジア」の記念スピーチ

最後の訪問先カザフスタンで安倍首相は歴訪を締めくくる記念スピーチをこなし、「アジアの中央に位置する国々は何千年にもわたって東西の文明の交差点となってきた。多用な文化を受け入れる包容力、多様性のなかかから生み出され未来を切り開く活力、それこそが中央アジアの魅力だ」として、これからの『関係を抜本的に強化する』とした。

また「日本の民間企業の意欲は高まっており、日本政府も公的協力、民間投資の後押し、インフラ整備、人作りを支援する。今後、三兆円をこえるビジネスチャンスを生み出す」と演説し、アスタナを後にした。

 こうして安倍首相の「地球儀を俯瞰する外交」は中国の後背地を丹念に訪問して、地政学的にも楔を打ち込む格好となった。

◆落選運動というタチの悪い霧から国を守れ

屋山 太郎



最近、「落選運動」という言葉をよく耳にします。安保法制の成立に賛成した議員を落選させようという動きです。安保反対デモで注目を浴びた学生団体「SEALDs(シールズ)」の呼び掛けで広がっているようですが、「なんだかなぁ…」って感じです。せっかくですし、私たちも一度、真剣にこの問題を考えてみませんか?

シールズはインターネット世界で誕生した霧のような団体だ。当初、特定秘密保護法に反対する団体だったが、法案の成立とともに影が薄れた。そこで、活動のテーマを広げ、安保法、安倍政権に反対するという政治的もくろみを前面に打ち出してきた。政権交代によって安保法を廃止すべく、「安保法に賛成した議員を落選させる」運動を始めるという。

彼らがここまで拡大したのはテレビ朝日の「報道ステーション」とTBSの「NEWS23」のおかげだ。この団体には全学連や全共闘時代のような戦闘的な人物は見当たらない。かつての全学連、全共闘と対比して、ディレクター連中には新しい政治スタイルとでも見えたのだろう。

電波とネットが幻想の団体を作り出したともいえる。全学連や全共闘世代は、政治をやらない青年層が出現して失望していたのだろう。寄ってたかってシールズを盛り上げた。この団体を中心に政治運動を広めようと、世の中のすべての左寄りが目を向けた。共産党もしかり、中核派もしかりである。

「オリーブの木」方式

この勢力を政治的に利用するために民主党もすり寄ってきた。岡田克也代表は、共産党が掲げる連立政権「国民連合政府」構想に乗りそうになった。これについて、志位和夫委員長は「大義で一致するすべての野党が国政選挙で協力する」という。

岡田氏にしてみれば、「国民連合政府」は党内事情からムリ。それでも共産党が一方的に候補者を下ろして民主党を応援してくれれば「ありがたい」といった思惑ではないか。

だが、今年10月の宮城県議選では議席は共産が4から8に倍増、民主が2議席減少して5になった。勢いがあるのは共産党の方で、民主党の縮み志向がはっきりした。これでは「ありがたい」話が転がってくるわけがない。

岡田氏は保守派と左派を結んで党を大きくしようという腹だ。この左右を結ぶ方式は民主党誕生のときから同じだ。しかし、政権をとった途端にその矛盾が露呈した。旧社会党勢力が中国の方を向いてしまったため、日米関係は最悪となった。国民が同じ体質の党を再び選ぶわけがないだろう。

共産党と民主党を結ぶ方式として、壊し屋の小沢一郎氏は「オリーブの木」方式を提唱している。オリーブの木に登録した野党各党は当選したら連立内閣を目指す。政策は過半数をとった時点で協議するというものである。



◆ロイター「読者が選ぶ10大ニュース」

平井 修一



経済ニュースで定評あるロイターが「読者が選ぶ2015年10大ニュース」でネットアンケートをしていた。「以下のニュースの中で、もっとも印象的だった出来事を選んでください。(5個まで)」とあり、小生は以下を選んで投票した。

・南シナ海領有権めぐる対立深まる

・安全保障関連法案が可決成立

・EUに難民が殺到、今年100万人か

・TPP大筋合意、巨大自由貿易圏誕生へ

・パリ攻撃と高まるISの脅威

12/27現在の総投票数は24,573で、結果はこうだった。

1位:独VWの排ガス規制逃れが発覚 8.77% (2,155票)

2位:パリ攻撃と高まるISの脅威 8.75% (2,150票)

3位:EUに難民が殺到、今年100万人か 8.58% (2,107票)

4位:安全保障関連法案が可決成立 8.2% (2,013票)

5位:中国株の急落を受け各国市場が動揺 7.91% (1,943票)

6位:TPP大筋合意、巨大自由貿易圏誕生へ 7.85%

7位:米国が約10年ぶりの利上げ 7.28%

8位:南シナ海領有権めぐる対立深まる 7.09%

9位:ラグビー日本代表がW杯で躍進 4.79%

10位:イスラム国が邦人人質2人殺害 4.75%

ロイターの読者は若い現役世代が多いのだろう、VWの不祥事がトップに来た。現在進行形のニュースということも影響したようだ。

まったく今年もいろいろあったが、14億人の中国経済が年初からきしみ始め、あれよあれよという間に上海株が暴落、そして中共中央の経済政策の迷走、失策が続き、世界経済の最大の不安要因になったのは予想外だった(小生にはうれしいことだが)。

乱暴者の中共に鷹揚に構えていた米国が「堪忍袋の緒が切れた」ように中共を危険視するようになったことも予想外の朗報だった。

中共の経済はこれからもふらつきっぱなしだろう。とにかく利権に群がる寄生虫に食いつかれた国有企業改革ができない。改革を強引に進めれば権力闘争で血が流れことは避けれらなくなる。習近平の指導力は減退するばかりだろう。その代わりに環境汚染は増大するばかりだろう。

特に豊かさを実感できない9億の人民の不満は高まるばかりだろう。いかにせん。解は見つからない。

世界も明るさは見えない。先進国も新興国も皆苦しんでいる。米国の利上げがどう影響するかも不透明だ。米国自身が恒例の大統領選という“内戦”に突入するから、経済政策が停滞するかもしれない。

リベラル≒アカの勢力が世界中で衰え始めている。国益重視・民族主義の右派・保守派が支持を集めるようになった。国境管理、移民規制も強化されつつある。これは大いに結構なことだろう。

中共、ロシア、ISを封じ込めて、普通の国、普通の世界への展望を開けるのか。来年も厳しい1年になりそうだ。(2015/12/27)


      

◆「安倍首相の軍国主義化防ぐ…」

古森 義久



偏向と独善の「憲法9条にノーベル平和賞を」運動 歪んだ構図に見える中韓の思惑とは 新しい年には日本国憲法が改めて熱い論議の的になることは確実である。

その論議はまず日本国内で日本国民が当事者として進めることが自明だろう。ところがこの基本原理を国外からの圧力で崩そうとする政治活動が目立つようになった。

現行の憲法、とくに第9条にノーベル平和賞の認知を取りつけようという動きである。

日本側ではこの2年、「憲法9条にノーベル平和賞を」実行委員会という組織が主体となり、年来の「第9条の会」や一部の政治家と学者が推薦をした。憲法自体への授賞を求めたが、ノーベル賞は制度的に人間か組織が対象だとわかり、「戦争の放棄を定める憲法9条を保持している日本国民」を対象とした。

だが2年連続落選し、次回は対象を「第9条の会」と「日本原水爆被害者団体協議会」にするらしい。

国内で意見の割れる主権国家の憲法の扱いを一方だけの主張が国民全体の声のように装い国外の同意を得ようとする動きは偏向と独善の工作だといえよう。さらに異様なのは、日本と安全保障上の利害がぶつかる韓国や中国からの全面支援を求めている点である。

日本側の組織が賛同へのアピールを朝鮮語と中国語にして大量に発信し、署名を集めているのだ。

韓国は日本とともに米国の同盟国ではあるが、日本固有の領土の竹島(島根県隠岐の島町)を不当に占拠する国である。日本の自衛までをも縛る憲法9条の保持を歓迎するに決まっている。

現に韓国では日本に平和賞を受賞させようという組織が多数できて、有力政治家らも名を連ね始めた。

中国も日本の改憲には一貫して反対である。尖閣諸島(沖縄県石垣市)を軍事力でも奪取しようという国が日本の自衛の制約を喜ぶのは自明だろう。

米国内で長年、日本たたきを続けてきた中国系の「世界抗日戦争史実維護連合会」もかつて左翼の歴史学者の家永三郎氏のノーベル平和賞推薦に一役買った経緯があり、今回もそんな動きをとる気配がある。

さらに注意すべきは米国のコネティカット大学のアレクシス・ダデン教授らがこの国際キャンペーンの米側代表のようになっている事実である。ダデン氏は過去20年近く慰安婦問題で「日本軍の強制連行による20万の性的奴隷」という虚構に基づき、米議会での日本非難決議や昭和天皇有罪論を推進した反日活動で知られる。韓国政府には政策助言をするほど密着している。

そのダデン氏が米側の多様なメディアで憲法9条のノーベル平和賞推薦を頻繁に中韓両国に向かって呼びかけている。その内容は「日本政府の改憲による中国との戦争への前進」や「安倍晋三首相の軍国主義化」を防ぐために署名を、という訴えなのだ。

米国の政府とも国民多数派ともまったく異なるこんな極端な政治主張が日本のためと称するノーベル平和賞国際運動の核心なのである。

日本国内で重みを持つノーベル賞にからむゆがんだ構図を当事国の日本として放置するわけにはいくまい。日本国民の間にもこの動きに反対する声が多数あることをノーベル委員会も含めて外部の多方面に明確に発信すべきだろう。
(ワシントン駐在客員特派員)
産経ニュース【あめりかノート】2015.12・27   
                 (採録:松本市 久保田 康文)