2015年12月19日

◆オバマ政権、人民元のSDR入りを渋々容認

小雲 規生



新たなチャイナリスクに 「IMFは大局観を失っている」との声

国際通貨基金(IMF)は11月30日の理事会で、人民元を準備資産 「特別引き出し権(SDR)」の構成通貨に加えることを正式に決めた。

採用に消極的だったオバマ政権も賛成に回り、人民元採用を強く求めてきた中国の国際金融市場での存在感拡大を容認する形となった。

IMFには 人民元採用で金融制度改革を後押し、中国経済を安定成長の軌道に乗せよ うとする思惑もちらつく。しかし人民元の採用は資本流出を招くなどして 中国経済をかえって混乱させかねないというリスクもあり、場合によって は、国際金融情勢が一気に緊迫する可能性も指摘されている。

悔しさにじむコメント

「中国経済の世界の金融システムへの統合に向けた重要な一里塚だ」。IMFのクリスティーヌ・ラガルド専務理事(59)は11月30日、 IMF内で記者会見を開き、人民元の国際化に期待を示した。

理事会での構成通貨の見直しには議決権ベースで70%以上の賛成が必要。このため約17%の議決権を握る米国が反対し、それに日本や欧州の一部が同調すれば人民元の採用が見送られる可能性もありえた。しかし実際には欧州各国が早くから人民元採用の原則支持を表明。米国も理事会での投票で賛成に回らざるを得なかった。

人民元採用の正式決定後、米財務省は「IMFスタッフが人民元の構成通貨への採用を提言した。本日、米国はその提言を支持した」とするごく短いコメントを発表。中国の思惑を阻止できなかった悔しさをにじませた。

新たなチャイナリスク

人民元が構成通貨に採用されたことは、人民元がIMFが定める「自由に取り引きできる通貨」という条件をクリアしたことを意味する。これで人民元は国際通貨のステータスを得たといえ、各国の中央銀行は外貨準備に占める人民元の割合を増やすもようだ。

IMFによると、現状では各国 中銀が保有する人民元の割合はわずかとみられるが、通貨アナリストの間 では「外貨準備に占める人民元の割合は5%に達し、円を抜いてポンドと 肩を並べる」との見方も出ている。

 IMFには人民元に国際通貨としてのお墨付きを与えることで、人民元取引の自由化など中国の金融制度のさらなる改革につなげようという思惑がある。

中国人民銀行(中央銀行)の周小(ししゅうょうせ ん)川総裁(67)ら中国の金融改革派と連携して、習近平国家主席 (62)ら中国指導部に改革の重要性を認識させ、改革の推進力を得よう という戦略だ。ラガルド氏は30日の声明で「改革努力の継続と深化がよ り頑強な国際金融システムをもたらし、中国経済と世界経済の成長と安定 を支えることになる」
とした。

しかしこうした戦略にはジレンマもある。中国が人民元取引の自由化を進めることがはっきりすれば、中国経済が減速している現状では、人民元の先安感から中国からの資本流出が進むリスクがあるからだ。これは中国経済に新たな不安要素が加わることを意味する。


「大局観失ったIMF」

実際、米財務省の試算によると、今年1〜8月の間、中国からは約 5000億ドル(約62兆円)の資本が流出している。中国が8月に輸出 促進を狙った事実上の人民元の切り下げに踏み切った際は資本流出が加速 したとみられ、中国は7〜9月にかけて、人民元買い支えのための大規模 な市場介入を行うなど、市場の安定化に躍起になった。

人民元安は中国にとって輸出の追い風となる好条件だ。しかしペースが速すぎれば中国経済への不安が拡大し、海外企業などが中国への投資を敬遠する要因になりかねない。

人民元の構成通貨採用はこうした事態を起こ りやすくするリスクをはらんでおり、ある国際金融筋は「経済の減速が鮮 明になっている中国から資本流出が進めば、中国経済の停滞につながるこ とは必至。こうした事態は米国も含めて誰も望んでおらず、IMFは大局 観を失っている」と懐疑的だ。

しかしこうした戦略にはジレンマもある。中国が人民元取引の自由化を進めることがはっきりすれば、中国経済が減速している現状では、人民元の先安感から中国からの資本流出が進むリスクがあるからだ。これは中国経済に新たな不安要素が加わることを意味する。

「大局観失ったIMF」

実際、米財務省の試算によると、今年1〜8月の間、中国からは約5000億ドル(約62兆円)の資本が流出している。中国が8月に輸出促進を狙った事実上の人民元の切り下げに踏み切った際は資本流出が加速したとみられ、中国は7〜9月にかけて、人民元買い支えのための大規模な市場介入を行うなど、市場の安定化に躍起になった。

人民元安は中国にとって輸出の追い風となる好条件だ。しかしペースが速すぎれば中国経済への不安が拡大し、海外企業などが中国への投資を敬遠する要因になりかねない。人民元の構成通貨採用はこうした事態を起こりやすくするリスクをはらんでおり、ある国際金融筋は「経済の減速が鮮明になっている中国から資本流出が進めば、中国経済の停滞につながることは必至。こうした事態は米国も含めて誰も望んでおらず、IMFは大局観を失っている」と懐疑的だ。

国際通貨基金(IMF)は11月30日の理事会で、人民元を準備資産 「特別引き出し権(SDR)」の構成通貨に加えることを正式に決めた。 採用に消極的だったオバマ政権も賛成に回り、人民元採用を強く求めてきた中国の国際金融市場での存在感拡大を容認する形となった。

IMFには 人民元採用で金融制度改革を後押し、中国経済を安定成長の軌道に乗せよ うとする思惑もちらつく。しかし人民元の採用は資本流出を招くなどして 中国経済をかえって混乱させかねないというリスクもあり、場合によって は、国際金融情勢が一気に緊迫する可能性も指摘されている。

悔しさにじむコメント

「中国経済の世界の金融システムへの統合に向けた重要な一里塚だ」。IMFのクリスティーヌ・ラガルド専務理事(59)は11月30日、 IMF内で記者会見を開き、人民元の国際化に期待を示した。

理事会での構成通貨の見直しには議決権ベースで70%以上の賛成が必要。このため約17%の議決権を握る米国が反対し、それに日本や欧州の一部が同調すれば人民元の採用が見送られる可能性もありえた。しかし実際には欧州各国が早くから人民元採用の原則支持を表明。米国も理事会での投票で賛成に回らざるを得なかった。(ワシントン支局)
産経ニュース【アメリカを読む】2015.12.18


◆人民元の下落が開始された

宮崎 正弘
 

<平成27年(2015)12月18日(金曜日)弐 通算第4755号 > 

〜人民元の下落が開始された
  米国の利上げはアジアの株式をちょっとかさ上げしたが、問題は「通貨」だ〜


 悪貨は良貨を駆逐する。そして通貨は高金利に向かう。 中国は為替管理を厳格に統制下においてきたが、12月16日に発表されたイエーレンFRB議長の利上げ政策への転換により、人民元の下落に 慎重に備え始めたようだ。

10年前、中国経済は世界第六位につけていたが、人民元は安く、人件費もまだ安く、貿易黒字が続いていた。

過去10年間、中国へ海外からの投資ならびに投機資金の流入が続き、逆に人民元は過剰に評価されてきた。つまり人民元高時代が続いて板の絵ある。

その結果、中国経済は世界第2位となり、人民元は過大評価がとまらない時 代が2014年まで続いた。

6月からの上海株式暴落と人民元切り下げを切っ掛けに、海外からの資金は流失に転じ、それも勢いよく流れ出して、中国はドル不足に陥る。 今回のFRB利上げで、中国は海外からの債務返済に予想外に高い返済額を抱え込むが、問題は為替相場である。人民元はどこまで下がるか。

当局は急落を防止するために様々な手段を講じるだろうが、人民元安の流れを変えることは不可能である。

◆夫婦別姓は、反日日本人の謀略だ

池田 元彦



12月16日夫婦別姓違法訴訟の最高裁判決が下された。一審東京地裁、二審東京高裁共「夫婦別姓は憲法保障権利ではない」と訴えを退けていたに拘らず、メディアが別姓は世界の潮流だとか、世論の大勢だとかと特集を組んだりして、何とかして別姓合憲判決を促し、導こうとしていた。

裁判官一般の劣化や革新思想浸透もあり裁判の行方が気になっていたが、最高裁は合憲判断を下した。裁判官15名中10名が夫婦何れかの姓を選択する現行制度に合憲判断をしたが、残り5名が違憲とした。内3名の女性裁判官が違憲判断で、多少の危機感があるが、一応安心した。

「姓の2者択一は精神的苦痛、憲法第14条男女平等規定違憲だ」、「時代の変化に従って選択的夫婦別姓を認めるべきだ」等と原告は主張し、国に計6百万円の慰謝料請求をしていたが、「姓の変更強制は人格権に当たらない」、「姓選択規程は不平等ではない」と最高裁は退けた。

別姓が世界の潮流とメディアは嘘吐くが、欧米諸国の基本は選択肢として別姓も認めるが、結婚すれば同姓が基本だ。寧ろフランス等では、結婚後の姓の如何ではなく、事実婚が主流で、財産分与を含め結婚と同じ社会的権利が賦与されることに関心がある。事実婚なら、別姓が当然だ。

別姓原則は、中韓と台湾位だ。男尊女卑の儒教の前近代的伝統の名残で、女は血族として認められず、男子を生まない限り「余所者」扱いだ。要は、族譜に繋がる男子を産む機械に過ぎない。夫婦別姓を欧米同様採用する中韓は開明的だと騒ぐ、男女平等推進の連中は阿保に過ぎない。

日本は明治早々に近代戸籍制度を施行したが、夫婦同姓は1898年(明治31年)成立と意外と遅い。中韓同様の家父長制の抵抗があったのだ。戸籍は家を体現し、家族を単位と位置付け、「妻ハ婚姻ニ因リテ夫ノ家ニ入ル」として、女性は中韓と異なり子を産めずとも家族の一員になった。

さて、夫婦別姓派の主張の背景は、簡単に言えば女性のタブーからの解放だ。人工中絶、ピル解禁、契約結婚、同棲、通い婚等で、更にLGBT(Lesbian, Gay, Bisexual & Transgender)の権利獲得だ。

要は人類が長年築いてきた結婚・出産を前提とする家族制度の崩壊が目的だ。

日本国民はお人好しだから、メディアや運動家の悪意ある策謀に気付かない。朝日・毎日の世論調査では、各52%、51%が別姓賛成とするが、一方で夫婦別姓にするのは各11%、13%だ。即ち自分達は同姓で良いが、別姓希望者には希望通りにしてあげたら、と言うのだ。

何故別姓を叫ぶのか。多くの主張は正式結婚夫婦に賦与された権利を事実婚・同棲、更にはLGBTでの同居者にも与えよ、ということだ。遺産相続・年金・被扶養者控除、遺族補償・配偶者控除、更には離別時の慰謝料・財産分割等、要は「伸晃風金目」の問題が大半だ。

結婚後の旧姓・名刺での仕事に何ら不都合もない。法令上必要な手続きは同姓・別姓でも変わりはない。要は事実婚のカップルにも結婚夫婦と同じ様な給付・補償すれば済むことで、その法制化を推進すればいいだけで、別姓を言い募るのは本末転倒の左翼の謀略なのだ。

北欧やフランスの離婚率は低いが、事実婚だから離婚も少ないが、婚外子は北欧・フランスが断トツで、英米でさえ50%以上だ。要は家族単位の家庭生活を放棄し、野生動物の社会に戻そうとするルソーの害毒、反日日本人の策動が最高裁迄進んだ同姓違憲訴訟であったことを喝破し、自分が家族主義の同姓派なら、安易な同情での別姓賛成を慎むべきだ。


2015年12月18日

◆私の「身辺雑記」(292)

平井 修一



■12月16日(水)、朝は室温14度、晴。10時からは電気屋さんが40万円のエアコンをとりつけに来た。30代だろう若い2人がテキパキと仕事をするのは、見ていても気持ちがいい。ALC板(軽量コンクリート)には鉄筋が入っているが、穴を開ける際に鉄筋を切ってしまうとまずいので、鉄筋の位置を調べる小さな測定器を使っていた。

工具はほとんどすべて電動。あらゆる分野で技術革新が進んでいるのだろう。工事後の掃除も電動掃除機。すごい世界だ。

それが12時過ぎに終わってから小生は今日もLDKの床のニス塗り。このところの疲れが残っているから、昼食はカレーヌードルでごまかした。20年ぶりのジャンクフード。

しゃがんで作業をするから1日当たり塗れるのは4畳が限界だ。疲労困憊して散歩不可。

ニスを買いに今日も建築金物店(雑貨屋)へ行ったが、9時になっても開いていない。職人相手の商売だから昔は7時には開店していた。今は職人は大手のホームセンターで早朝に買うから、町中の建築金物店は素人相手。早朝に開店する必要がないのだ。

大体、わが街の金持ちは元農家。今はほとんどがマンションやら商業ビルのオーナーに“出世”している。この建築金物店も昔は手広くやっていたが、今は店舗の半分はイオンになっていた。だいたい、賃貸収入が多いから暇つぶしで商売をやっている感じ。ご主人は皆おっとりしている。

近所の金持ちは、父上が亡くなったら3階建て12戸のマンションを建てた。そして仕事を辞めて管理人をしている。まだ30代で、用水路沿いの散歩道でよく会うから挨拶を交わすようになった(自宅が禁煙なのだろう、スマホをいじくりながら煙草をいつも吸っている)。賃貸収入があるから宮仕えなんかバカ臭くてやってられないという気分なのだろう。金があれ
ば嫁さんも来るし、子供も生まれた。自宅も禁煙になったわけ。

山本夏彦翁の父君は莫大な遺産を相続したから、「父が働いているのを見たことがない」と書いていた。趣味というか暇つぶしで文芸を嗜んでいたのである。

著作権の保護期間が50年から70年に延長されるようだが、作家などが亡くなれば孫までが無為徒食で暮らせることになる。果たしていいことなのかどうか。

大先輩の上司は趣味で歌謡曲の作詩をしていたが、ヒット曲が一発あった。その他は大して売れなかったろうが、この一発で印税収入は年400万円だと言っていた。

作曲家とか作詞家の印税はだいたい5%が相場だろう。歌手はどうなのか。美空ひばりは10%ほどだったという。ひばりが歌ってこそヒットするのだからレコード会社も納得するしかない。

ひばりの遺産を相続した人は幸せなのだろうか。庶民には分からない世界である。ビル・ゲイツはせっせと、慈善・教育活動に励んでいるそうだが、日本人はそういうことにはあまり熱心ではないようだ。笹川陽平氏以外に目立った人を知らない。

米国と日本では富豪のスケールが違い過ぎるのかもしれない。資産はあり過ぎてもなさ過ぎても悩ましいことである。

でおり、朝食はしばらく作らなくていいと昨日言っていた。そんなことをしていたらくたばってしまうから、梅干しとオカカ入りのお粥とシャケを用意したら、まあまあ食べてくれた。

面倒だが、しばらくは油っ気なしの純粋和食でいくしかない。

洗濯物を干して10時から今日もニス塗り。「ライトオーク」というニスはとても気に入った。これでダイニングの20畳はすべて塗り終えた。キッチンの6畳はそのうちやろう。

年内には排水パイプの掃除、換気扇の掃除、ガスコンロの掃除、エアコンの掃除などをしなくてはならない。体はまったく無理が効かない。でも仕事を終えた後の満足感はたまらなくいい。「やったぜ、ベイビー!」とビールで自褒めする感動。70歳くらいまで楽しみたいな。

カミサンの看取りもしなくてはいけないから、ある程度健康は保たなくてはいけない。再雇用のカミサンは好きなだけ働けるのだが、再来年(2017年)の秋には65歳になるから、リタイアするという。

元気なうちに世界漫遊するといい。それまでには胃弱を直しておかないといけないが、さてさてどうなるものか。

夕食は餅入りオカメうどんを作る。出汁はカツブシと昆布で、純粋和風だ。食べてくれるといいが・・・これから買い出しに行く。

忙しくてこのところ世間への関心が薄らいだ。老化とはそういうことでもあるのだろう。

犬などのペットの写真をもとにオリジナルのぬいぐるみを作る商売は絶対当たる。ファミマが50店舗しかないときにわが街に誘致したら当たった。築地銀だこも50店舗しかないとき投資しようかと研究したが、2日間銀だこを食ったらうんざりしたので止めた。

たこ焼きはたまに食べるからいいので、結局はジャンクフードだ。大阪人は「築地銀だこはたこ焼きじゃない、邪道だ」と怒っているが、売れた方が勝ちである。いずれにせよ築地銀だこの経常利益は20億円(2014年)。規模が小さすぎる。たこ焼きやお好み焼きではビルは建ちそうもない。ニッチ産業のままだろう。

オリジナルのぬいぐるみ制作は絶対当たる。犬と猫だけで5000万匹もいるんだぜ。ヂヂババは4000万円、8000万円を詐取されている。金はある。可愛いペットのソックリさんには10万、20万円でも喜んで払うだろう。やってみなはれ!早い者勝ち。(2015/12/17)

◆「コピペ憲法」を放置していいか

西  修



12」月7日、東京五輪・パラリンピックの大会エンブレム公募が締め切られ、応募は約1万5千件に及んだと発表された。周知のように、当初のエンブレムはベルギーの劇場のロゴマークの「コピペ」(盗用)でないかとの疑いがもたれ、再公募されていた。

ところで、日本国憲法前文は、歴史的な文書の壮大なコピペであるといえる。以下をごらんいただきたい。「

 ≪なぜ前文はつぎはぎか≫

アメリカ合衆国憲法(1787年)前文「われら合衆国国民は、われらとわれらの子孫のために、自由のもたらす恵沢を確保する目的で、アメリカ合衆国のために、この憲法を制定し、確定する」

日本国憲法前文「日本国民は、われらとわれらの子孫のために、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、この憲法を確定する」
 
テヘラン宣言(1943年)「われらは、その国民がわれら3国国民とおなじく、専制と隷従、圧迫と偏狭を排除しようと努めている、大小すべての国家の協力と積極的参加を得ようと努める」

日本国憲法前文「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」 大西洋憲章(1941年)「すべての国のすべての人間が、恐怖と欠乏から免かれ、その生命を全うすることを保障するような平和が確立されることを希望する」

 日本国憲法前文「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」

 いかがだろうか。上記以外の日本国憲法前文に影響を与えたと思われる歴史的文書(リンカーンの演説や米国独立宣言など)との比較は省略するが、「自由のもたらす恵沢」「専制と隷従、圧迫と偏狭」「恐怖と欠乏から免かれ」などは英文がまったく同一である。

 ≪米国人による決意表明≫

 いったい、どうしてそうなったのか。

一つは、連合国軍総司令部(GHQ)で、日本国憲法の原案たる『総司令部案』を作成するにあたって、わずか1週間ほどの期間しか与えられていなかったことである。1週間程度で、いやしくも一国の憲法を作成することは至難の業である。いきおい、手元にある文書のなかから、作成者の好みに合う文章をつぎはぎすることになった。

上記の文章中、たとえば「専制と隷従(英文はslavery=奴隷状態)」、「圧迫と偏狭」などの文言は、第二次世界大戦中の1943年時であれば、新鮮で強力なインパクトをもっていたといえるが、戦後70年を経た今日、これらの用語を残しておくことに必然性をもちうるだろうか。

二つは、前文について、日本側との折衝過程で、ほとんど議論されなかったことである。昭和21年2月13日、『総司令部案』を受け取った 憲法担当国務大臣、松本烝治は、翌3月4日、同案に付されていた前文を削除した憲法案(『3月2日案』)をGHQへ持参した。

この日から翌日にかけて、徹夜の折衝がおこなわれ、天皇の地位や権能、人権、国会の構成などについては激論がたたかわされたが、前文に関しては、松本大臣の試みが完全にしりぞけられ、『総司令部案』の前文がそのままの文面で復活した。その後の政府案の作成、帝国議会での審議などで、表現が微修正されただけで、詰めた議論がなされたとは言い難い。

≪国民自身で力強く明快に≫

その結果、「日本国が再び米国と世界の平和および安全に脅威を与えないことを確実にする」という対日占領政策の基本方針にもとづき、米国人を通してつくられた日本国民の決意表明になっている。「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」の文言などに表れている。

前文は、国の最高法規たる憲法の「顔」と位置づけることができる。世界の多くの国の憲法前文には、その国の国民が発した独自性(オリジナリティー)と国民としての同一性の確認(アイデンティティー)が刻まれている。これらが前文に欠如しているのは、日本国憲法の最大かつ本質的な欠陥である。

コピペが判明すれば、学術的には履修単位を与えられず、博士の学位を没収される。ビジネスの世界では商標が取り消される。国家的規模のコピペがいつまでも放置されたままでいいはずがない。

日本国はどのような歴史、文化を積み重ねてきたのか、どんな理念をもち、いかなる国を築いていこうとするのか、国際基準を踏まえつつ、日本国のオリジナリティーとアイデンティティーを表出すべく、われわれ国民自身の手で、力強く、かつ明快な文脈で、前文を再構成しなければならない。日本国憲法の前文こそ、広く国民の声を求め公募に値するのではなかろうか。一考を望みたい。

(にし おさむ・ 駒沢大学名誉教授)
産経ニュース【正論】2015.12.17

◆親中派の頭目、ブレジンスキーが講演

宮崎 正弘 


<平成27年(2015)12月17日(木曜日)通算第4753号 > 

 
〜親中派の頭目、ブレジンスキーが講演し
  「中国はなお重要な国であり、米国は対立する必要はない」と。〜

12月14日にズビグニュー・ブレジンシキー(元大統領補佐官)は、ワシントンの有力シンクタンク「CSIS」で講演し、「中国はいまや大きなパワーをもつようになり、周辺諸国に影響力を行使している」として講演を始めた。

氏は「ロシアは中東における軍事行動をみても、われわれと協調するには距離があり、むしろ中国の方が協力的である。米国の対ソ(ロシア)孤立化のため中国を梃子とする政策は変更する必要がない」。

(「テロ」に便乗して新彊ウィグルで過激な弾圧にも米国は目をつむれ、と発言しているに等しい)。

ブレジンスキーは北京へ飛んで中国と米国は[G2]の関係と持ち上げた張本人であり、ポーランド系ユダヤ人という出自からもロシア嫌いは徹底しているらしい。中国では「布熱津斯基」と宛て字されるほどに、親中派の論客として人気を博する。

氏はさらにつづけて「中国の政策はトウ小平時代の「養光韜晦」と同一ではなく南シナ海での存在は周辺国に不安と与えているのは事実だろうが、平和的台頭であり、中国との協力関係を絶対に換えてはいけない」とまで言ってのけた。

ブレジンスキーら親中派に批判的な『ナショナル・インタレスト』誌などは、その8月27日号で、「中国経済の崩壊は南シナ海を救うか」と書いているほどに、彼の見解は米国の保守陣営の考え方とは異なるようである。
    

◆習主席アジア外交は惨敗 

石 平



11月19日掲載の本欄で、南シナ海での中国の軍事拡張を封じ込める ために日米同盟を基軸とした「合従連衡」が形成される一方、中国はアジ ア諸国を個別に取り込む「連衡策」をもって対抗する、というアジア外交の構図を論じた。その前後の一連の動きを見れば、この「合従連衡」のゲームに敗れたのが中国の方であると分かる。

11月5日から6日にかけての習近平主席のベトナム訪問はその一例で ある。5日にハノイに着いてから、習主席はベトナムの首脳たちと次から次へと会談をこなし、相手のことを「同志」とまで呼んで「関係の改善」を訴えた。

しかし訪問中の6日、同じハノイにおいて、ベトナムのフン・クアン・タイン国防相は来訪中の日本の中谷元(げん)防衛相と会談し、南シナ海の要衝であるカムラン湾の海軍基地に海上自衛隊の艦船を寄港させることで合意した。

習主席を貴賓として迎えている最中に、ベトナムは中国に対抗するための日越軍事連携を堂々と進めた。中国に対する「配慮」の気持ちはみじんもないやり方である。このベトナムに翻弄され、恥をかいて帰国の途に就いたのは習主席の方だった。

 その上11月21日からマレーシア首都のクアラルンプールで、東南ア ジア諸国連合(ASEAN)と日本、アメリカ、中国などの18カ国の首脳が一堂に会した「東アジアサミット」が開催されたが、それもまた、中国にとってのアジア外交惨敗の場となった。

まずは21日、米国とASEAN諸国との首脳会議が開かれた。会議後 の共同声明には「南シナ海における航行の自由を保障することの重要性」が明記された。

22日の東アジア首脳会議では、「親中派」といわれるカ ンボジアとミャンマーを除く、すべての国々が、南シナ海における中国の 埋め立て・人工島造成の問題を提起して、中国批判の声を次から次へと上 げた。

そして24日、東アジアサミットは首脳会議の結果を受けて議長声明を発表した。中国による人工島造成で緊張が続く南シナ海情勢について、声明は「航行の自由」の重要性を再確認するとともに、「一部首脳が表明した深刻な懸念に留意した」と中国の動きを強く牽制した。

その結果、少なくとも南シナ海問題に関しては、アジアにおける中国の孤立は決定的なものとなった。今月に入ってからも、習政権にとっての衝撃的な出来事がアジアで次から次へと起きた。

まずは7日、カーター米国防長官とシンガポールのウン・エンヘン国防相が会談し、防衛協力の拡大で合意した。同時に、米軍のP8対潜哨戒機を3カ月に1回程度の割合でシンガポールに配備することを決めた。

米軍哨戒機の配備は当然、南シナ海における中国の動きを監視する目的である。中国からすれば、それは要するに、伝統的な友好国であったシンガポールが「寝返り」、アメリカの中国包囲網に加わることであった。習主席自身が11月にシンガポールを訪問したばかりなのに、中国政府の挫折感はさぞかし大きかったのではないか。

そして8日、南シナ海問題とは関係がないが、韓国海軍が中国船に警告射撃を行う事件も起きた。今、中国ともっとも親密な関係にあるはずの韓国までが、習政権のメンツを丸潰れにする、このような行動を取ったのだ。

ここまで来たら、アジアにおける中国の立場はもはや四面楚歌に近い状況であろう。それは、習政権が進めてきた覇権主義的拡張戦略の必然的な結果だ。

中国の古典には、「得道多助、失道寡助=道義にかなった者には助けが多く、道義を失った者には支持が少ない」という有名な言葉がある。習主席はそれを暗唱でもしながら自らの行いを反省してみるべきではないか。

プロフィル】石平

せき・へい 1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年 来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経 て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、 日本国籍を取得。
産経ニュース「【石平のChina Watch】2015.12.17


2015年12月17日

◆菅元首相ブログへの返答

阿比留 瑠比



どこまで過去の言動を美化し、正当化するので すか…

前回の当欄で、東京電力福島第1原発の事故対応をめぐり、菅直人元首相が安倍晋三首相に損害賠償などを求める訴訟を起こしたものの全面敗訴した件を取り上げた。

すると、菅氏が10日付の自身のブログで「産経新聞の『極言御免』の事実誤認」という反論を書いてきたので、返答するこ とにした。菅氏はブログでこう主張している。

「(水素爆発した1号機に)『海水を入れると再臨界するという話があるじゃないか』と私が言ったと産経の記事は述べているが、あり得ない話だ。海水注入は冷却のためで再臨界とは別問題であり、淡水か海水か基本的に再臨界には関係のないことを私は知っていたからだ」

国会答弁と矛盾

菅氏は、筆者が証言を聞いた関係者の発言を「あり得ない」とばっさり否定している。だが、菅氏自身が平成23年5月の衆院震災復興特別委員会でこう答弁しているではないか。

「海水注入に当たってどのようなことを考えなければならないか、そういった議論がありまして、私の方からいわゆる再臨界という課題も、私にもありました」(23日)

「海水を注入したときのいろいろな可能性の問題を検討するのは当然じゃないですか。水素爆発の可能性、水蒸気爆発の可能性、再臨界の可能性、そして塩が入ることによるいろいろな影響」(31日)

「私としては、海水注入はやるべきだけれども、それに伴っていろいろなことがあるとしたら、そのことはちゃんと専門家の中で検討してください、そういう趣旨で一貫して申し上げたわけで」(同)

何のことはない。菅氏は海水注入による再臨界を懸念し、再検討を指示したことを国会で明確に認めているのである。

当時、首相補佐官だった民主党の細野豪志政調会長も同年5月22日の フジテレビ番組で「菅首相が再臨界について心配していたのは事実だ」と語っている。

また、菅氏がブログで、当時の班目春樹・原子力安全委員長について「斑目さんは私の質問の意味を理解したうえで『(再臨界の)可能性はゼロではない』と答えた」とも書いている点も疑問だ。班目氏自身は後に、インタビュー録『証言・班目春樹 原子力安全委員会は何を間違えたのか』でこう回想している。

「菅さんも菅さんで、自ら(海水注入による)再臨界の懸念を口にしたかどうかについて、国会答弁で認めたり認めなかったり二転三転した挙句に、最後は否定しています。

当初は、私のせいにしていましたが、国会事故調の公開の聴取では、東電の武黒さん(一郎・東電フェロー)が勝手に現場に指示したことだ、とも言っています。(中略)菅さんと経産官僚は、自己弁護が過ぎるようです」

意思疎通に難点

ちなみに、班目氏は同書で、菅氏との意思疎通の難しさについて次のように繰り返し強調している。

「あたり構わず怒鳴り散らす菅さんのエキセントリックな性格には、私も含め周囲が対応に相当、苦慮していました」

「怒鳴るだけでなく、人の話もちゃんと聞かない。話を遮り、思い込みで決め付ける」

「この人は、物事を混乱させ、ややこしくする」

菅氏がいかに自身の過去の言動を美化し、正当化しようとも、反証はいくらでも出てくる。

この際、もう一度好きなお遍路にでも行って、自分を見つめ直してきたらいかがだろうか。

(論説委員兼政治部編集委員)
産経ニュース【阿比留瑠比の極言御免】2015.12.17


◆日本諜報工作部員:有本香さん

MoMotarou



有本香(1962生)さんは面白い。ヒンドゥー語が話せるらしい。語 学の達人か。戦前なら上海や大陸満州で大活躍していただろう、と思うと 楽しくなります。


      ★
 
以下、番組等の中より発言を要約掲載。文責は当方。有本香さんの喋る速度が速いから年輩には厳しいかもしれませんね。マスコミでは永遠にお目にかかれない話題が一杯です。

■韓国

韓国の反日教育は「韓国人の愚民化政策になっている」。日本人と仕事中、揉め事が起き不利になると突如“反日”になる。その時は「関係ないでしょう!」とピシリと言えなければならない。1980年代に訪韓して日本人だとわかると、日本併合時代に教育を受けた世代は“懐かしがって”大歓迎を受けた。

併合時代に弾圧政治をやっていたとしたら有り得ないお話になりますね。

■台湾

金美鈴(日本に帰化)さんが未だ台湾国策顧問だった頃。一緒に台湾に遊びに行っていた。お茶を飲んでいたら、新幹線事業で来ていた日本人が、フランスとの共同事業で技術的な問題以外に軋轢あると話をした。

それを聞いた金さんが「私が掛けあってくる」と言われ、実際にそれは台湾のためには良くないと翌日政府に行ったそうだ。台湾の新幹線プロジェクトはフランスが受注していました。それは可怪しいと李登輝さんがひっくり返す。その後、私(桃)の記憶によれば韓国が線路造成を安値で参入してきた。更にその後、韓国が造成した線路が沈んでいるのが判明した(蛇足)

■インド
 安倍総理が12月11日にインドを訪問。11月22日にも会っているから、本年三度目の会談らしい。これにいち早く反応したのが中国だそうだ。「会い過ぎる!」。

インドは核武装している。日本ではインド・パキスタン紛争に眼が行きがち。しかし、インドの核ミサイルの「照準」は中国になっている。結果として、安倍首相は「新幹線」に「インド製核ミサイル」を搭載した事になる。

■男女共同参画
 
私は、仕事で男性に負けると思わないから気になりません。女性を無 理やり割合登用するaffirmative actionは女性の尊厳を傷つける」。凄い
ですね。

■有本香さんの来歴(wikiより)

<奈良県奈良市生まれ。その後、静岡県伊豆で育つ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長を10年、上場企業の広報担当を3年経験したのち独立し、編集プロダクション株式会社ウィンウィンを設立。 1997年、中国の某都市で一人のチベット人と出会った事をきっかけにチベット問題に関心を持つ様になり、2000年以降、東チベットでの取材を積極的に行っていく。

長年、旅行雑誌の編集者をしていたため、お茶にも詳しく、中国茶の書籍の出版も行い、金美齢のイベントでもお茶のレクチャー等も行っている。編集・企画プロダクションを経営する傍ら、チベット問題、中国、インドの社会問題、国際関係、日本国内の政治等のテーマを中心に取材し執筆活動を行っている。

2011年12月19日から2012年3月21日まで、国土交通省海洋政策懇談会及び航空政策懇談会の委員を担当。2012年10月17日、内閣府死因究明等推進会議の委員に就任。>

安政元年(1854年)に伊豆下田沖でロシア軍艦ディアナ号が難破した。 有本さんが育った伊豆山奥の村には、難破したロシア人が多数寄宿していたそうだ。近隣の船大工達が作ったことのない西洋の船を、話だけを聞いて造船し“無料”で帰国させたのは有名。

■韓国人靖国神社“便所”爆破事件のその後

変な経過が進行中。<横浜の韓国総領事館に「在日特権を許さない市民の会」の名前で不審物が送られたと聯合ニュース>。この不審物が「糞尿」だそうだ。前号をお読み頂いた方はおわかりでしょう。犯人は“本物”の「日本人」ではありません。我国は「清浄」を文化とする。犯人は韓国系。直ちに韓国を爆撃せよ!

◆軽減税率 生活守る制度の定着図れ

先崎 昭裕



 財源確保に与党は責任もて

消費税の制度が始まって以来の抜本的な改革案がまとまった。

自民、公明両党は、生活必需品の税率を低く抑える軽減税率の導入を決め、酒・外食を除くすべての食品を対象とした。消費税率が10%に引き上げられる予定の平成29年4月からスタートする。

軽減税率は、社会保障財源を確保するための消費税増税に伴う国民の痛税感を緩和し、消費の落ち込みを和らげるものだ。

国民生活に直結する食品全般の税率を抑える透明性の高い仕組みとして評価したい。

ただし、1兆円規模の必要な財源は固まっていない。

制度を円滑に運用し、定着させるためにも歳出・歳入全体を見直して、恒久財源を確実に捻出する必要がある。

 ≪基準明確に混乱回避を≫

軽減税率の導入をめぐっては、生鮮食品に対象を限定したい自民党と、酒・外食を除くすべての食料品に適用すべきだとする公明党との間で、対立が続いてきた。

これに対し、パリ協定では途上国も米国も削減に参加する。各国は自主的な削減目標の作成義務を負う。京都議定書と異なり、目標達成の義務や未達成に対する罰則をなくしたために、全員参加を可能にしたのだ。

この自主目標方式は、日本の経済界が1990年代後半から実施してき た「自主行動計画」の国際版である。日本の取り組みの先進性に胸を張り
たい。

さらに言えば、今回のパリ協定への大きな流れの形成にも日本が関与している。日本は矛盾の目立ち始めた京都議定書の「第2約束期間」に参加しなかった。この不参加こそが新たな枠組み作りへの扉を押し開く力になったのだ。

多くの点で前進したパリ協定だが、強制力が緩やかであるための問題も見えている。

全ての国と地域から提出された削減目標を合わせても、今世紀末までの気温上昇を、2度未満や、さらに望ましい1・5度以内に抑えることは難しい見通しだ。

 この点は、これまで削減に背を向けてきた2大排出国の中国と米国に一
層の努力を求めたい。

中国の目標は2030年ごろまで排出増加を続けると公言しているのに 等しい内容なので、なおさらだ。日本は「13年度比で26%削減」を目 標 に掲げているが、原発の再稼働や40年を超えての運転延長などが進ま なけ れば、達成は難しい。原子力規制と地球環境との調和が必要だ。

これに対し、パリ協定では途上国も米国も削減に参加する。各国は自主的な削減目標の作成義務を負う。京都議定書と異なり、目標達成の義務や未達成に対する罰則をなくしたために、全員参加を可能にしたのだ。

この自主目標方式は、日本の経済界が1990年代後半から実施してき た「自主行動計画」の国際版である。日本の取り組みの先進性に胸を張りたい。

さらに言えば、今回のパリ協定への大きな流れの形成にも日本が関与している。日本は矛盾の目立ち始めた京都議定書の「第2約束期間」に参加しなかった。この不参加こそが新たな枠組み作りへの扉を押し開く力になったのだ。

多くの点で前進したパリ協定だが、強制力が緩やかであるための問題も見えている。

全ての国と地域から提出された削減目標を合わせても、今世紀末までの気温上昇を、2度未満や、さらに望ましい1・5度以内に抑えることは難しい見通しだ。

この点は、これまで削減に背を向けてきた2大排出国の中国と米国に一層の努力を求めたい。

中国の目標は2030年ごろまで排出増加を続けると公言しているのに 等しい内容なので、なおさらだ。日本は「13年度比で26%削減」を目 標に掲げているが、原発の再稼働や40年を超えての運転延長などが進ま なければ、達成は難しい。原子力規制と地球環境との調和が必要だ。

実際、身の回りには夥(おびただ)しい数の「改革案」が咲き乱れていた。世界恐慌後のわが国には書店であれ新聞であれ、社会改革案に溢(あふ)れかえっており、マルクス主義も処方箋の一つだった。官僚は官僚なりに、皇道派は彼らなりの正義感から、マルクス主義はまた別の角度によって、近代日本社会を改革しようとしていたわけである。

こうした政治運動から離脱し、日本の古典へと希望を見いだしたのが亀井勝一郎だった。時代は急激に殺伐とした雰囲気に覆われ、寒風吹きすさぶ世界情勢になっている。そのときなぜ、亀井は古寺を巡礼したのだろうか。また日本の歴史的建造物のなかに、自らを浸そうとしたのか−。

雑音を取り去った無音の世界

薬師寺をめぐりながら、筆者が問うていたのは、実は同じ問題だった。平成27年の国内外を見渡せば、そこには「イスラム国」のテロがあり、安保関連法案に反対する国会前のデモがあり、米軍の沖縄基地返還の是非をめぐる政治闘争があった。北関東の鬼怒川は決壊し、信頼できるはずの大企業が、数字を改竄(かいざん)し不正を働いていたのである。アジア情勢は緊張の度を増しつつあり、ウクライナとロシアは相いれることはない。

すべての国の参加を確保しようとすれば、京都議定書のように国連が管理しようとするような理想論の産物は有害無益であり、各国に努力を促すためには、参加各国のピア・プレッシャー(相互監視)を制度化する方が有効だと認識されたのだ。

実は、この考え方は日本の経済界が以前から主張してきたものである。経団連自主行動計画が有効なパフォーマンスを挙げていることと共通する点が多いからだ。政府がトップダウン的に排出を管理する(例えば排出権取引での排出枠分配)よりも、ボトムアップ的に民間企業の自主性を引き出して、個性的温暖化対策を促す方が効果も大きい。その実績のある日本の経験は今後、世界が参考にする事例となることは間違いない。

 ≪科学技術政策の活性化を≫

第3に、技術開発の重要性が、初めて温暖化の国際合意に位置付けられたことだ。そもそも、パリ協定の長期目標を産業革命前から2度や1・5度の上昇幅に抑えよという主張をしてきた人たちは、どうやってそれを達成するつもりだったのか。あるいは、今世紀後半に、排出と吸収とのバランスを取るために急速な削減を行うといったパリ協定の全体目標は、経済活動や生活水準の抑制だけで実現するつもりなのか。

日本の敗戦の原因とは何か。それは微笑の喪失に他ならない。

「真の勇猛心は必ず柔軟心を伴う…精神は極度に動脈硬化の症状を呈したのである。言論も文章も微笑を失った。正しい言説、正しい情愛といえども、微笑を失えば不正となる」(『大和古寺風物誌』)

 戦後70年がしきりに叫ばれた今年、最も必要な警句は、亀井がいうこの微笑の喪失ではないのか。国内外から精神の寛容さが奪われつつある。

 本年、「正論」執筆陣に参加する光栄に浴した筆者は、心新たに、政治・文化・外交問題について論じていくつもりである。インクの先が時代に触れ、筆先と現実が緊張に震えるような言葉を紡ぐ。時代に翻弄されず、時代を見定める。ゆく年を想(おも)い、この国を診る良医たらんとの初志を申し述べた次第である。(せんざき あきなか)
産経ニュース」【主張】2015.12.16
         

2015年12月16日

◆オバマ大統領の「弱腰」

加瀬 英明



プチン大統領に翻弄される

お人好しと手練手管にたけた悪者が、中東のシリアを舞台にして、智恵比べをしている。オバマ大統領のアメリカと、プチン大統領のロシアだ。

シリアの内戦は、4年が過ぎた。2千万人の人口のうち、30万人以上が死に、人口の半分が難民となって、国内に溢れるか、周辺諸国に逃れて、ヨーロッパに流入している。

シリアの内戦の切っ掛けは、5年前に民衆がチュニジアでベン・アリ独裁政権を、倒したことから始まった。欧米のマスコミが、「アラブの春」と呼んだ。オバマ大統領が「民主革命だ」といって、直ちに称讃した。

「アラブの民主革命」がアラブ諸国に拡がり、エジプトのムバラク政権、リビアのカダフィ政権が倒れた。オバマ大統領が「中東の民主化が始まった」と述べて、小躍りした。

私は日本のマスコミも含めて、「アラブの春」とか、「アラブの民主化」といって、囃し立てるのを、苦々しく思った。

6世紀に、イスラム教が誕生してから、中東のイスラム国で民主主義が行われたことは、一度もない。独裁政権が安定を保っていた。

アメリカはシリアでアサド独裁政権に対して、反体制派の民衆が立ち上ると、資金武器を供給して、支援するようになった。

シリア内戦が激化すると、混乱に乗じて「イスラム国」(IS)が出現した。ISのほうが、アメリカや、サウジアラビアなどが支援する「自由シリア軍」よりも、はるかに大きな地域を、支配下に置くようになった。

アメリカはヨーロッパ、トルコ、サウジアラビアをはじめとする湾岸諸国などと、ISに空爆を加えているが、効果があがらない。「自由シリア軍」も振わない。いま、アサド政権は国土の3分の1しか、支配していない。

ロシアとイランと、レバノンのイランが支える民兵「ヒズボラ」が、アサド政権を支援してきた。ロシアはソ連時代からシリアの地中海沿岸のラタキアに海軍基地を持ち、シリアを中東における唯一つの足掛りとしてきた。

2015年10月に、プチン大統領は好機をとらえて、シリアに素早く軍事介入した。

ロシアからラタキア付近の飛行場に、最新鋭の戦闘爆撃機、2千人規模の地方部隊、戦車などを送り込んで、ISだけでなく、「自由シリア軍」に対する攻撃を始め、黒海に浮ぶ駆逐艦からミサイルを撃ち込んだ。

アサド政権の意気が揚がり、シリア政府軍がロシア軍の支援を受けて、失
地回復しようとして、攻勢にでている。

プチン大統領はその上で、アメリカなどの諸国に対して、アサド政権も参加する和平会談を呼びかけた。シリア内戦を終結させて、平和を回復しようと、手を差し伸べた。

だが、アメリカははじめから「アサド政権打倒」を目標としてきたから、すぐに呑めるものではない。シリア政策が完全に失敗したことを、認めるものとなってしまう。

プチン大統領は、狡賢い。ウクライナから武力によってクリミアを奪って、ヨーロッパとアメリカから侵略者と見られていたが、オリーブの枝を銜(くわ)えた鳩に、変身した。

ヨーロッパはシリアからやってくる、前大戦以来最悪の難民危機に、対応できなくなっている。シリアで和平が行われれば、難民の流入が停まることになる。

プチン大統領の恐しいイメージが、ヨーロッパの救世主に変わりつつある。

イランはロシアの介入によって、アサド政権に対する支援に、いっそう力を入れている。オバマ大統領はイランへの経済制裁を解除したばかりだが、議会からイランが核兵器開発をやめないと主張する、強い反対があるために、イランを非難したくてもできない。

オバマ大統領は国内で、「弱腰」という批判にさらされるなかで、毅然たるところを示すために、中国が南シナ海で古来からの領土だと主張して埋め立てている、スビ礁の“領海内”に、イージス艦を航行させた。

◆谷開来の死刑判決を撤回、終身刑に減刑

宮崎 正弘 


<平成27年(2015)12月15日(火曜日)弐 通算第4751号>  

(速報)
     〜谷開来の死刑判決を撤回、終身刑に減刑
      「え、こんなことありか?」。中国の法廷はいい加減にもほどがある〜

 
司法の独立?

 さきに死刑判決(執行猶予付き)がでていた谷開来(薄煕来の後妻)に対して、中国法廷は12月14日、「判決を見直した。これはルーテンワークだ」として、終身刑に減刑した。 谷被告は英国人殺害を認め、すでに服役していたが、「監獄の態度はよろしい」として減刑が発表された。

 同様に巨額の汚職で劉志軍(前鉄道部長)にも同様な処置が執られた。劉は新幹線プロジェクトの責任者として業者から天文学的な賄賂を受け取っており、北京高裁は死刑(執行猶予二年)の判決をだしていた。
        □□○◎▽▽◇▽◇◇ 
 ♪
   〜所在不明だった郭広昌、年次総会に出現
           株主どころか中国マスコミも驚いた〜

 
インサイダー取引の廉で行方不明となっていた復星集団のCEO郭広昌が、13日上海で開催された同グループの年次総会に突如出現し、演壇に立った。郭は「中国のウォーレンバフェット」の異名を取る投資家、大富
豪として知られる。

 郭は「当社は中国の経済発展に貢献し、さらに産業の競争力を高める分野に投資してきた」と強気の方針を演説したが、インサイダー取引の捜査対象となった経過には一切言及しなかった。

◆原油低迷が続くとロシア経済はどうなるか?

宮崎 正弘 


<平成27年(2015)12月15日(火曜日)通算第4750号>  

 〜原油低迷が続くとロシア経済はどうなるか? 利上げ後の米国は?
  ロシアは1パーレル40ドルと仮定してGDPの3%赤字予算が成立〜

ロシア議会はさきに297vs149で2016年予算を可決した。 内訳をみると歳入予測は邦貨換算で25兆円、歳出は29兆7500億円で、債務超過はGDPの3%以内に納まると算定された。

ところがその後の原油価格は一バーレル、36ドル台を低迷しており、このままの趨勢が続けばロシアの予算に計算の齟齬が生まれ、財政赤字幅はGDPの3%を超える可能性がある。

そのうえシリアへの軍事介入で軍事費が増加しており、くわえてトルコとのにらみ合い、軍事対決へのエスカレートでトルコ経由あるいはトルコ仕向けの原油ガス輸出が止まることになれば、歳入が脅かされることとなる。

プーチンの強気な姿勢も、この赤字財政の圧力には勝てないだろうとする観測が西側エコノミストの間に拡がっている。

ロシアの赤字国債は外国人ファンドが引き受ける可能性は少ないため、国内での消化になるから金利上昇、インフレという負のスパイラルが拡がりかねない。
 
こうした文脈では、ロシアは対トルコ制裁の手綱を緩めざるを得なくなるだろう。

トルコから見れば、ガス輸入の60%がロシアからである上、さらにトルコ経由の新パイプライン建設が決まっている。

トルコ全土あちこちにロシア国営「ガスプロム」の拠点があり、経済的絆は切っても切れない関係である。

むろん、ロシアと事を構えるからにはトルコに代案があるのかと言えば、トルクメニスタンのガスをカスピ海からグルジア経由で敷設する構想が以前から云々されている。しかしトルコはグルジアの南に位置するアルメニアと国境紛争、歴史問題を抱えており、またグルジアはロシア依存度が高く、このルート開発は話だけで軌道に乗っていない。

(トルクメニスタンのガスはロシア、中国へパイプラインが繋がっているほか、イランにも繋がり、ここの日本企業が絡んでアフガニスタン、パキスタン経由でインドへ運ぶ大プロジェクトもスタートする)。

現在トルコとロシアは船舶点検、野菜貿易中断など制裁を繰り返しているが、プーチンのメンツにかけて、エルドアンが謝罪をするまで、膠着状態が続くと予測される。またエルドアンも、いまのところ、一歩も引く構えにない。


 ▼原油価格低迷は日米の景気を向上させる効果がある

さて問題は原油代金の低迷が続けば裨益するのは日本、米国、そして中国である。

とくに日本はGDPの3・4%に相当する輸入代金が半分の1・7%にまで下落し、景気押し上げ効果が期待できる。米国も1・78%から更に対GDP比がさがる。

ただしこの効果は遅効するため、18ヶ月後に数字となって現れる。例えば海外旅行の航空券に付帯した「オイルサーチャージ」はやっと最近になって半額程度になったように。日本では設備投資が10%前後増加し、中国からの工場国内回帰が見られるが、新しい問題は雇用の確保である。

米国ではすでに住宅投資急増が見られ、景気は上向きを示している。例外は中国で、その失速ぶりは目を覆うばかりの惨状となり、中・長期的に予測しても、この傾向は続くだろう。

しかし皮肉な現象も起る。

米国のシェールガス開発は大きく蹉跌して、各社投資削減に向けて走り出した。とくにOPECの石油減産合意は遠のき、サウジは赤字国債を発行するばかりか保有してきた日本株を3分の2、市場で売却し急場を凌ぐほどになっている。

それでも原油減産に踏み切らない理由は米国のシェールガス開発つぶしにあると考えられる。OPEC加盟11ヶ国に原油生産量は日量3170万バールである。

げんにコノコ・フィリップスは25%投資を削減し、シェブロンも24%投資を減額した。供給過剰の解消のためとされるが、シェールガスの減産はすすんでいないばかりか、皮肉なことに優良鉱区への投資は拡大している。したがって供給過剰状態にかわりなく、原油価格を下押ししている結果を生んだ。