2015年12月10日

◆お笑い番組から教わる日本の現状

大江 洋三


3年まえ「OECD先進34ケ国の意識調査ランキング」を女性お笑い芸人イモトが、クイズ番組風に発表したことがある。外人タレントも揃った中である。イモリが問う「自分の国に誇りをもつ」ランキング。

日本は何位か?イモトが期待を煽りながら順位を報告する。

残念ながら、最下位は日本でビリ2位はドイツであった。1位2位は韓・中。続いて「自分の国に住みたいか?」ランキング。ドイツがトップで韓国は最下位。因みに日本は6入賞であった。イモリは気を持たせながら文字通り「因みに」と言った。

日本が何位に入るかがメインテーマなので、イモトは嫌が応でも報告せざるをえない。

東京オリ・パラの決まる前のことである。

ここから透けて見えるものがある。日本もドイツも教育において戦勝国に抑え込まれたのだ。逆にいえば「誇り」は教育からもたらされると解る。日本では、教育をGHQとマルクスの階級闘争史観を信奉する日教組が抑え込んだ。

ドイツはモロに階級闘争史観のスターリンに抑え込まれた。なにせ、西ドイツ(当時)の隣は東ドイツ(当時)でソ連の統治下にあった。その東隣のポーランドも同じくソ連統治下にあり、戦車部隊までいたから従わざるをえなかっただろう。首都と目されたベルリンは東ドイツの中で孤立していた。

因みに、現在のメルケル首相は旧東ドイツ出身である。

●もう一つ、透けてみえるものがある。

ナチス・ドイツによるユダヤ人大虐殺である。あの番組をみたとき、ドイツが、ソ・英・仏に押し込められた結果だと思った。

バターン死の行進や、南京大虐殺の如である。

そう直感したのには訳があり、スターリンの行状を既に知っていたこと、それに倦むべき欧州の魔女狩りの本生も知っていたからだ。

思えば出会うというのは本当で、先日、ドイツ在住のクライン孝子女史(おたかさん)による「敗戦国・日本とドイツ」に出会った。

お孝さんによると、ドイツは日本に比べ戦中・戦後の戦争被害が圧倒的に多いという。但し、ソ連にはやり返えされた関係にある。

書から3ケ所引用する。

「第2次世界大戦中、ソ連では339万人のユダヤ人が忽然と消えた」(ユダヤ教会のラビ、ペンジャミン・シュルフ会長)

「1939年9月1日、東欧諸国からのユダヤ人難民1400人を乗せたタイガーヒル号を攻撃し命を奪ったのは、あろうことかイギリスの巡視艇」

「アメリカは、1941年のラッセル法によりユダヤ人難民の入国制限」最初の項は被害者の弁だから話半分にしても、凄い数字だ。

戦勝国が何もかもドイツの責めにしたことがよくわかる。

お孝さんに依ると「戦争の負の側面を全部ドイツに押し付けた」

書を読むと、戦争による大量の強制難民・強制収用の発生は欧州を含め大陸の伝統のようだ。

戦陣訓に「生きて虜囚の恥ずかしめを受けず」とある理由がよくわかる。●同じ敗戦国でありながら、日本とドイツでは決定的な違いがある。

終戦も講和条約締結も日本政府の意思であり、占領統治も日本政府を通じて行われたが、一方のドイツでは何もかも無くなった。

ヒトラーの後継者デーニッツ提督と組織も、連合軍は政府と認めなかった。つまり講和対象を消滅させた。

陸続きなので、おそらく連合軍はやりたい放題がしたかったのだろう。

そういえば、ドイツの講和条約締結はソ連崩壊後の1990年と非常に遅い。相手国はフランス、イギリス、アメリカ、ソ連。正確には東西ドイツ統合の承認みたいなものだ。

本物の講和条約は1993年のEU結成だと考えると、ドイツはソ連崩壊まで耐え忍んでいた事になる。お孝さんによるとドイツ人の矜持によるそうだが、この場合は臥薪嘗胆と同じ意味になる。

矜持は難しい熟語だが、端的には「名誉を守る」で充分である。●日本とドイツでは矜持の在り方が異なると思う。

ドイツはヘーゲルの弁証方誕生の地でもある。弁証方によると「陰・陽が
激突して新しいものが生まれる」

止揚と称し、内部矛盾こそ成長の種なのだ。

一種の革命精神で、マルクス階級闘争史観の根拠でもある。

一方の我々は「和」を尊ぶ。平たくいえば個よりもチームを優先するところがある。

大リーガー松井秀樹は、おかげでヤンキースのトーリー監督や同僚から慕われ今日に至る。

もう一つの違いは、日本が四方を海に囲まれていることだ。木端微塵の敗戦にも拘わらず、日本政府が存在した主たる理油である。

政府が無かったら、現行憲法の天皇条項(1条〜8条)も無かったであろう。

この条項は、言い方を変えると天皇の正統性と権利を定めたものだ。特に、憲法2条は時の政府がGHQに対してよく戦った結果だと思われる。「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する」

被占領下にも拘わらず、時の政府は矜持を失っていなかったことになる。天皇条項さえあれば、後は何とかなると考えた可能性はある。

現実は何ともなっていないが。

●この部分は、進歩派(階級闘争史観)が真っ先に憲法改正したい部分である。憲法改正を望むのは保守派だけではないのだ。

ついでに足しておくと、ソ連崩壊により拠り所を失った進歩派が人権派弁護士達である。アメリカ渡りの人権が、進歩派のいう搾取・差別と合体したのだ。

それ以降、日本の政治は急速に軟弱化した。止揚どころか後退した。慌てて止めに入ったのが阿部内閣の構図である。

人権派により、俗にいう「従軍慰安婦」問題が燃え上がった事を忘れてはならない。国連人権理事会にまで出張して「慰安婦=日本軍の性奴隷」と訴えた。

南京事変が世界記憶遺産に登録されたのも、彼らが出張ロビーイングしたに違いない。

思えば出会う。そのうち実体が明らかされると期待している。

             
     
       

◆「トランプ大統領」は悪夢か幻覚か

宮崎 正弘
 

<平成27年(2015)12月9日(水曜日)通算第4744号>  

 〜「トランプ大統領」は悪夢か幻覚か
    共和党はトランプ候補となれば分裂、ヒラリーは漁夫の利を得る〜

筆者は過去2回、トランプを論じた。

初回は「大統領選を十倍楽しませてくれた」と、茶番の主人公として、2回目は共和党内の動きを見ながら「トランプでもええじゃないか」と、やや投げやりな空気、しかしレーガンの地滑り的な大勝があったように、可能性を絶対に否定は出来ないと論じた。

それから日が流れ、完全に流れが変わった。

パリで米国でイスラムのテロリズムが猛威をふるい、フランスでルペンの率いる「国民戦線」が第一党の躍り出たうえ、EU各国で左翼政権は大きく後退し、ドイツですら「ペギータ」運動が生まれ、英国にはUKIPが、スコットランド独立運動の影に隠れたが勢力を躍進させている。

米国もオバマ政権への不満は爆発的であり、その微温的なシリア政策、ISへの空爆の成果はあがらず、ロシアの外交的闖入と勝利、そして無原則的なイランとの妥協などをみていると、オバマ政権の無能への怒りが渦巻き、ヒラリーの人気は左翼メディアと党内左派だけの支持から一向に拡がらない。

フランスは左翼政権だが、オランド大統領はいやがおうでもルペンの動きを注視しつつ、微妙に政策を変えているように、オバマは結局、アフガンに兵力を留めざるをえなくなり、ISへの空爆をこれから強化せざるを得なくなるだろう。

さてトランプだが、イスラム移民を排除し、新しい入国を断固拒否せよ、などと拝外主義的傾向を強めながら、党内の主要候補だったブッシュを霞ませてしまった。

トランプが党大会で正式候補になる可能性が全否定できなくなった。

というのも、党内では、かれなら勝てるかもしれないというムードが拡がっているからだ。

むろん来年1月からはじまるニューハンプシャー州などの予備選を経て、スーパーチューズディで党内の優劣が判明するまで、予断を許さないが、現時点では次の仮説が成り立つであろう。

もしトランプが共和党の正式大統領候補として撰ばれた場合、党内で彼に不満を持つ人々が独自候補の選定に動き、92年のロスペローのように、党内を分断する動きをしめるだろう。

そしてかなりの得票を得ることになる。その場合、トランプvsヒラリーでは良い勝負となるだろうが、共和党分裂となれば、ヒラリーの漁夫の利が転がり込む。夫君ビルがそうやって当選したように、彼女は幸運を射止める可能性が高まる。

かと言ってトランプ以外の政治家が共和党の正式候補になっても、トランプが獅子吼したイスラム排斥という感情的スローガンを政策的にどう処理するかという問題に直面する。むろん、議会は保守リベラル入り乱れ、大統領顕現さえ覆せる仕組みなのだから、いかなる強攻策も阻止するであろう。つまり現時点でトランプの言っているイスラム強制送還、入国拒否などは到底実現は不可能なのである。

2015年12月09日

◆モスレムによる欧州征服 

池田 元彦



50年後、欧州各国の過半数がイスラム教国となっている可能性がある。全て過去50年間の安易な移民受入政策の結果であり、推進した左翼与党政治家とマスコミの責任だ。多文化共 生、人種差別反対を唱え、自国内に異文化集団、移住国に反対する政党出現を許容した。

フランスは、人口の25%が既に旧植民地を含む移民で占められている。移民は、18歳以上5年間安定した就労生活を送れば帰化出来る。更に強制結婚等で出産すればその子はフランス国籍取得、親兄弟、親戚迄移住出来ることになる。異文化移民が、想定外に鼠算式に増えるのだ。

移民の多くは、アルジエリア等旧植民地からのイスラム教徒だ。既にパリの幾つかの地区は、モスレムに占拠され、無法地域化している。一夫多妻、麻薬売買、DVや現地国民への暴力沙汰が横行する。

警察、消防隊さえ迂闘に中に入れない。学校給食から豚肉は除去され、移民の子供に現地の子供は虐められ、地下鉄も移民専用乗り物と化しつつある。異文化ゲットーが出現する。

問題は同化するはずの移民が同化せず、イスラム法に固執し、イスラム政党を立上げ、フランスをイスラム国家にすると迄公言することだ。ノートルダムがモスクにされるとの小説も出回っている。パリ以外では、フランス住民はゲットー近隣地区から退避し、移民区域が徐々に拡大しているのだ。

英国も同じような状況だ。街の広場と道路は違法占拠され、バリケードが築かれ、私設暴力団が英国人の通行を止める。警察は見て見ぬ振りをする。収容出来るモスククがないと主張して、礼拝者は自動車等で郊外から大勢集まり、路上を占拠して礼拝を、イスラム教の勢力を誇示するのだ。既に英国法令を無視して、80以上のイスラム法廷が設置されている。

モスクはロンドン市内に20程、英国全体で既に1,000は下らない。本場の中近東同様、定時のモスクの祈りがスピーカーから大音響で流れる。バッキンガムをモスクに、英国をイスラム国家に、女王は改宗するか、英国を去るかの選択だと、過激派モスレム指導者は主張する。元労働党党首は、同化政策の失敗を認めた。

ドイツもメノレケルの同化政策に移民に甘い。移民の低い教育レベルと労働意欲。そもそも移民先国の社会に馴染む気がない。言語も覚えない。逆に、シャリア(イスラム法)やコーランを無償で何10万部も組織的に移民に配布し、アラビア語、イスラム法堅持を移民達に推奨、強制する。

イタリアでも警察が介入に弱腰な為、数千名の自警団が移民の違法行為、暴行、嫌がらせを監視するに至っている。ミラノでは、支那人が跋扈し、通りに面する1階部分は支那人の店へと変貌し、イタリア法令無視、独自の就労許可証発行等、現地に馴染まない移民無法地帯を形成する。  

スウェ デンは最悪だ。政府が1987年から2007年迄の問、移民犯罪を公表させなかった。ジャーナリスト、マスコミは多額の補助金欲しさに、犯罪者移民をスウェ デン人だと報道していた。マルモという町の3分のlの家庭は移民犯罪被害を受け、レイプは、欧州の最大20倍もあると言う。

この国は自国民を守らず、移民の権利を重視する。老人施設が襲われ、対策を自治政府に依頼したが、結果は警備員派遣だけだ。その警備員も数日後には逃げた。他の欧州諸国も同様だ。被害者が移民制限を唱えても、政府、マスコミは人種差別、極右とレッテル貼りをし、放置するのだ。

カダフィ一大佐は言った。「剣、銃、軍隊を使わず、5千万人のモスレムで欧州を征服、勝利する」と。アルジェリア元大統領ウアリ・ブーミディエンもこう言った。「イスラムは友達として移民するのではなく、征服者として移民する」と。

出生率1.9以下の欧州人と、3以上のイスラム移民。 人口構成逆転、イスラム政党によるイスラム政策の推進。このまま行け ば、欧州はイスラム国家群になる。

          

◆除明が獄中で謎の死、おそらく口封じ

宮崎 正弘
 

<平成27年(2015)12月7日(月曜日)通算第4742号>    

〜 除明が獄中で謎の死、おそらく口封じ
  薄煕来に連座し、巨額を献金し、美女を自家用飛行機で斡旋〜
 
なにしろ大スキャンダルの謎を握り、高官らに巨額を献金し、美女を全国から集めてせっせと薄煕来や周永康らに送り届ける際には自家用飛行機を使用し、つぎつぎと賄賂工作によってビジネス拡大し、経営した「大連実徳集団」を肥大化させてきた政商。

その除明が獄中で心筋梗塞による突然死を遂げ、しかも荼毘に付された後で遺灰が遺族の届けられたわけだから、誰もが口封じによる「処刑」だとうと疑うのは無理もない。

これで習近平の最大の政敵だった薄護来、周永康の証拠を握る人物がまたひとり、いなくなった。
http://boxun.com/news/gb/china/2015/12/201512062326.shtml#.VmTDyKPovmE
(上サイトに簡素な徐明の争議の写真など)

◆「南シナ海の軍事施設は軍事拠点ではない」と

野口 裕之



漫画家の水木しげる氏(1922〜2015年)が亡くなったが、氏の目指した理想の一つは「妖怪と人間の共存」であった。だが、妖怪とはできても「中国と人間 の共存」無理かもしれない。

中国に関しては、敵対勢力を殲滅や懐柔で少しずつ滅 ぼしていく《サラミ・スライス戦略》が指摘されていたが、《トーク&テーク戦略》も警戒が不可欠だ。直訳すれば《交渉しつつ得る》。

米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)社説は、南シナ海で次々に岩礁を埋め立て、軍事基地化を謀る中 国の専門は《係争中の領有権問題や行動規範策定について、アジアの関係国と引き 延ばし交渉を延々と続ける》一連の戦略を、こう認識しているのだと説く。

実際、中 国は関係国に問題の平和的解決を約束しながら、一方で主権の主張を強めて軍事的プ レゼンスを拡張している。邪悪で薄汚い国家ぐるみの詐欺行為を観れば、公平に互い の利益を分け合うギブ&テークとは対極で、小欄は「交渉を装いつつ盗る」と意訳し ておく。

習近平・国家主席(62)の訪米時(9月)における発言をめぐり、中国外務 次官が11月の記者会見で発した公式コメントも、中国との“交渉”が、どんなに危険で 虚しいかを裏付ける。

「習主席は南シナ海を軍事拠点にしないとは言ったが、岩礁に軍事施設を建設せぬとは言っていない」

■粉飾合意の米中首脳会談

スゴ過ぎる。そも、9月の米中首脳会談自体が大茶番劇であった。ホワ イトハウスは

(1)米中両政府はサイバーを使った知的財産窃取はしない

(2)それぞ れの国内法に従いサイバー犯罪を捜査

(3)ハイレベルの合同対話メカニズムを創 り、年2回開催

(4)問題がエスカレートした場合のホットラインを設ける-とする合意報告書を、まさに「創った」。WSJは《米中両国が何も合意しなかった実態を巧みに表現 しただけ》と看破したが、抜け穴だらけ、無理スジの“粉飾合意”であった。

首脳会談に先立ちWSJの取材を受けた習氏は「中国政府はいかなる形で も企業機密の窃取はしておらぬし、中国企業に慫慂(しょうよう)もしていない」 と、個人の責任に転嫁。中国政府があたかも被害者であるかのような姿勢を、またまた 繰り返した。

 (1)は、やってもいない中国政府によるサイバー攻撃をやらぬ方針で合意したこ
とになる。真に珍妙な風景ではないか。

 (2)では被害者を演じるが、はて、真正国内法が存在していたとは? 
共産党の決定が法律ではなかったのか。習氏が犯行を認めぬのなら誰が認めるのか。

 かくして、米連邦職員+元職員2150万人分の個人情報と数千億円分の米企業秘密を
ハッキングした史上最大の窃盗事件主犯=中国は“米中合意”の美名で大事件を潰しウヤムヤにした。

中国は確信を持ってウヤムヤにしている。米国が中国の国家犯罪だと解明できても、具体的手口を突き付ける範囲には限界が伴う。米側の捜査技術・手法 を明かしてしまうためだ。

■スローモーション覇権

米国も他国・組織へのサイバー工作は行っており、お互い様とはいえ、米国が開発主体の最新鋭ステルス戦闘機F-35に関する設計図や電子・レーダー系統な どの一部データを盗み取ったサイバー攻撃もウヤムヤにされている。狙われたの は、共同開発に参画する英大手軍需企業。中国のハッカーは米国家安全保障局などに成 りすまして英軍需企業関係者の名前やパスワードを引き出した。

中国は詐取したデー タを基に、高性能レーダー/ステルスなど遅れの目立つ技術面でのテコ入れを図り、 第5世代戦闘機とされる殲-20の開発速度を向上させた、と観られる。
1年半にわたり英軍需企業のコンピューターに侵入していたというが、 さらに長期間の作戦を隠密展開中なのは間違いあるまい。サラミ・スライスもトー ク&テークも領土・領海=主権を時間をかけ、いつの間にか奪い盗る戦略だが、サイ バー世界でも同様なのだ。

新アメリカ安全保障センターのパトリック・クローニン上級顧問兼アジア太平洋研究本部長は「スローモーション覇権」と呼ぶ。クローニン氏は米下院外交 委員会アジア小委員会で、南シナ海の人工島=軍事基地建設などにつき「長時間かけ て獲得する覇権」と説明。「東/南シナ海や台湾周辺の海・空・宇宙」に加え「サイ バー・ドメインの支配に向け基盤を構
築している」と訴えた。

■「盗人にも十分の理」

WSJが《大統領就任以来、最後までやり通さないことで有名》とこき下ろ すバラク・オバマ氏(54)が、どこまで理解できているかは不明だが、米軍は対 中懲罰の時機を探る。今年10月には《サイバー司令部》を完全始動させた。陸・海・ 空・海兵隊のサイバー部門を統合したサイバー軍は既に2010年以来、試運転してきた が、攻撃や防衛を各々専門に担任する諸機関も一体化した点に大きな意義がある。

サ イバー戦で専守防衛は自殺・自滅と同義。緒戦において、レーダー・分析・通信・指 令システムという目・耳・口をふさがれれば、軍は機能不全に陥り一方的敗北を喫 す。

軍官民の任務分担の隙間を縫った、コンピューターが制御する原発やダムを含む各 種発電所/金融/水道/交通信号といった基幹インフラの破壊だけでも、外交交渉での 圧倒的優位を許す。

ところで、米中首脳会談後の共同会見で習氏は、南シナ海の領有権問題にも触れた。

「中国は善き隣人として近隣諸国との協調を重視/南シナ海での平和・ 安定維持にコミットしている/国際法を基本とした航海・航行の自由を尊重し維持する」

サイバー問題同様、南シナ海問題でもこの態度。ただ「ウソつきは中国の始まり」などと批判を浴びせる余裕はない。既にサイバー問題では、カナダ通信機 器大手が09年、中国のハッキングも響き破産。中国は「盗人にも十分(じゅうぶ、 100%)の理」と宣言したに等しい。中国人民解放軍系企業によるサイバー攻撃で軍事シ ステム情報を盗まれた台湾系米国人は、小欄に証言した。

「中国は『先端技術を持たぬ側がサイバー攻撃で奪うのは当然の権利だ』と思っている。従って、盗む技術がゼロになるまで攻撃をやめない」

「盗人」だとの自覚さえない…。
(政治部専門委員 野口裕之)/産経ニュース2015.12.7
                (採録: 松本市 久保田 康文)

◆日本企業は現地採用者にむしられている

河崎 真澄



「日本企業の中国法人で中間管理職を任されている現在が最も実入りがいい」。上海市内の居酒屋で、常連客から「カッちゃん」と呼ばれる中国人の男が、その「実入りの手口」を上機嫌で教えてくれた。

40代前半で月給は手取り1万元(約19万円)あまりだが、毎月のように10万元から20万元が親族の口座に振り込まれる。高級マンションの最上階で優雅に暮らし、2台のドイツ車を乗り回しているという。

1990年代に日本の大学への留学経験があるカッちゃん。帰国後に日系精密機械メーカーの中国法人に就職し、営業職をまかされてメキメキ“成果”を上げた。

取引先に買ってもらう立場ながら、その業界では人気の日本ブランド。中国企業の購買担当から、「少しでも多くの玉(ギョク)を他社より早く回してほしい」と言われ、接待や付け届けだらけの毎日だ。

上海市高級人民法院(高裁)の裁判官がセミナーで語ったところによると、こうした手口は「商業賄賂」として処罰の対象になるが、会食や季節のあいさつなど、商習慣上、許容範囲との境界線があいまいで立証はケース・バイ・ケースだという。

部品など中国企業に発注する場合、納入の見積額を水増しさせ、支払い後にリベートをひそかに受け取るシンプルな手口も多い。「中国の長年の商習慣で誰でもやっている」とカッちゃんはうそぶいた。リベートは支払額の15%が“相場”という。

さらに悪質な手口もある。本来は日本の本社工場から輸入すべき重要部品の偽造品を中国で作らせ、それを堂々と純正部品と偽って自社チャンネルで販売する。日本製とニセモノの価格差はかなり大きい。

「円安で中国での経費増に悩む日本の本社が、日本人駐在員を減らして中国人社員にどんどん権限委譲し、現地化を急ぐところに落とし穴がある」とカッちゃん。中国事情にうとい本社役員に、「同業他社に比べ中国法人の現地化が遅れており、ビジネス機会を失っている」などと日本語であおって巧みに説き伏せる。年に数回の監査は書類審査だけ。簡単にクリアできる。

しかも、中国法人に不正の疑いがあると本社側が気付いても、問題をすべて取り除くと中国での売り上げがゴッソリなくなってしまうリスクや、中国人社員が取引先まで抱えて一斉退社し、翌日からライバル企業で働く事態も覚悟せねばならない。

こうした問題に日本企業は振り回されるしかないのか。「もっと毅然とした対応が必要だ」と上海徳理法律事務所の全永傑弁護士は指摘する。一般的に社内不正の多くは「内部告発」で発覚する。リベートの分け前をめぐる社内のいざこざなどが背景だが、不正が大きくならないうちに、経営側が社内情報を把握することがカギだ。

全氏は、「不正が起きた場合、証拠がないうちに当局に安易に被害届を出しても受け付けてくれない恐れがある。まず、刑事責任まで追及する可能性を“カード”として問題の社員に迫るべきだ」という。不正の全容を明らかにして被害額を少しでも回収し、再発防止を徹底するための契約書の作成や業務マニュアルを厳格化する。

次に「悪質なケースでは実際に刑事責任を追及することが再発防止になる。被害届をためらう日本企業の姿勢が被害を広げる一因かもしれない」と話した。不正を働いた社員に厳罰を与えず、穏便に済ませてしまえば、次なる不正の再発は防げない。

共産党幹部や軍部、国有企業や金融業界まで腐敗摘発を広げる習近平指導部。「今後は民間企業の商業賄賂まで摘発が強化される可能性が高い」と全氏はみる。カッちゃんたちの将来も不透明だが、日本企業の側ももちろん、中国で手綱を締め直さなければならない。

(上海支局長・河崎真澄)            産経ニュース【河崎真澄の視線】2015.12.7
                 (採録:松本市 久保田 康文)

◆嗤うしかない中国製造業

平井 修一



サーチナ11/29「ロケット作れても、まともなボールペンが作れない中国製造業」から。

<中国中央ラジオ局のウェブサイト・央広網は25日、「メイド・イン・チャイナはロケットや高速鉄道は作れるのに、なぜ小さなボールペンをちゃんと作れないのか」とする評論記事を掲載した。

記事は、中国では年間380億本ものボールペンが生産されているにもかかわらず、その利益は非常に微々たるものであると紹介。その理由として、ボールペンのチップ(ペン先)の90%が輸入品であること、また製造設備も外国製であることを挙げ「日本人が材料代を持って行き、スイスやドイツが設備代を持って行く。われわれはわずかな労賃を稼ぐことしかできないのだ」と説明した。

さらに、輸入材料や輸入設備に頼らざるを得ない背景として「核となる技術の不足」と「専門人材の不足」を挙げた。技術面については、中国国内にある3000社余りのボールペンメーカーのうち、質の高いチップやインクを製造するための技術を身に着けている会社が1つもないと指摘した。

人材面では、軍需工業といった特殊分野を除いて専門技術を持った人材が著しく不足しているとし、現状で技能労働者が全労働者に占める割合がわずか19%、高い技能を持った人材に至っては5%に満たないというデータを紹介。

400万人の高級技術者が不足しているほか、とくに電子情報産業では技術エキスパート職(技師・高級技師)が技術職従事者に占める割合がわずか3.2%で、先進国の20−40%を大きく下回っていると伝えた。

ボールペンや万年筆といった筆記具を作るのは簡単そうに見えるが、実は非常に精密な技術力を必要とする。ボールペンのチップはインクの流れのスムーズさを左右するものであり、ボールと台座部分との隙間がミクロン単位で変わればインクの出過ぎ、もしくはかすれや引っ掛かりを起こす可能性が生じるのだ。

中国の製造業が自前の技術で高品質なボールペンを作れないもう一つの背景として、これまで書き味の向上に対する強いニーズが欠け、消費者にもどこか「とりあえず書ければいい」という意識があったことも考えられないだろうか。

昨今、日本をはじめとする高品質な外国製品に触れる機会が増えたことで、中国人消費者の品質に対する欲求が大いに刺激されている。彼らの強い欲求こそが、中国の製造業の発展を後押しするのだ>(以上)

人民が「中国の製造業の発展を後押しする」ことはあり得ない。人民は「もう二度と騙されない」とメイド・イン・チャイナに愛想を尽かしているのだ。日本などの先進国の製品を信頼し、粉ミルクや紙おむつまで海外で調達するのだ。中国産品は「悪」の代名詞だ。食えば死ぬ、使えばすぐに壊れる、文句を言えば刑務所行きだ。誰が中国産品を買うか!

中共は小康社会に辿り着けない。空気、水、土壌、さらにモラルまで・・・中共はすべてを破壊した。中共はやがては世界を、地球を破壊する。一日も早く殲滅すべきである。これは地球人のモラル、使命である。イザ!(2015/12/8)

2015年12月08日

◆何とかしなければ日本崩壊だ

池田 法彦
 

最近の新聞やTVには、馬鹿げた或は正常の常識ある感覚では到底考えられない事件が毎日のように報道される。昔、ニューヨーク裏道等では、10ドルの為に殺しもする犯罪者が横行していた。10ドルでも出せば助かる、抵抗すれば殺されるとの助言も、実際の事件も何度も聞いた。

多寡が少額でも簡単に人を殺すことは、道徳感や多少の思慮分別がある人間は絶対にしない。自分の人生を自ら駄目にする行為だからだ。しかし最近の日本でも、深夜のコンビニやファーストフード店で、レジにある数万、或は数千円を狙って強盗をする、短慮見境の無い輩が増えている。

些細なことが高じて知人や親兄弟を滅多刺しにしたり、泣声が煩くてゲームが出来ないという自分勝手な理由で赤ちゃんを捨て殺す事件もあった。更に酷いのは、親の年金目当てで親が死んでも葬式も出さず、家の床や押入れに遺体を隠した間々生活を続けるとんでもない実子も続出だ。

昔は尊属殺人と言われた所謂親族間殺人も多い。親が子を、子が親を殺し、兄弟間で殺し合う、凄惨な事件も新聞を賑わす。斯様な犯罪者の特徴の一つは、年齢の老若に関わらず、殆どの犯罪者が「無職」なのだ。無職でも犯罪が出来るのは、仕事がないか、しないかのどちらかだ。

統計では1970年代前半迄は完全失業率1%代で、2009年の民主党政権成立前後の5.5%をピークとして徐々に失業率は下がり、過去65カ月間は減り続け今年の10月は3.1%迄低下している。だから働きたくても働けないとか、無収入だからを、無職者の犯罪としては説明できない。

明確に言えることは、思慮深さが失われ、一瞬の激高が一生を台無しにする犯行を促し、親子兄弟間の家族の絆が綻び、相互の家族愛、尊敬や敬愛を失いつつあることだ。道徳心がこの数世代で崩壊し続け、些細な理由で犯罪に手を染め、刑罰のある法律が最後の砦となりつつあるのだ。

背景には、戦後の義務教育、家庭教育、そして社会風潮が有ると考えられる。子供は動物と同じだから躾てこそ成長するが、戦後余りに対等だとか、子供にも権利がるとして大人自らの権威を崩壊させた。権威を恐れず、義務・責任を果たさず自分勝手な餓鬼は、迷惑な大人に成長する

学校では、先生の個人的な激高に基づく暴力は否定すべきだが、躾の為の手出しも出来ず、高い教育の理想も持たない教師は、子供にオチョクられ、学級崩壊を来したのはついこの前のことだ。そこに権利ばかり主張する給食代も払わないモンスターペアレントが登場し、教師を罵倒した。

加えてGHQ史観やピンクに染まった日教組のお陰で、我儘な自己主張はするが、自己表現力の無い歪で歪んだ子供が複製され、阿保な文科省のゆとり教育の所為で世界比の学力が低下させられた。ジェンダーフリーと言って、幼い子供に過剰にセックスを教え込んだりまでした。

中高では、本来日本歴史、伝統、文化をきちんと教えるべきところを、世界平和だとか、人命第一とか、地球人だとか無国籍人を育て、日本人の本源である神話や皇室を無視し、大東亜戦争の大義を語らず、有りもしない日本軍の残虐性等日本を貶める教育に、中韓と協力して勤しんだ。

過去の自民党政府は、煩い中韓には必要もないのに謝罪し、国民の税金を与え問題解決を図り、旨味を占めた中韓は日本を貶め、金をせ占めることを今も続けている。国際交渉では、北方領土のように、千島列島・樺太南半分は正当な日本領土なのに、交渉以前に4島だけの返還を求めると言った間抜けさだ。戦後70年のこれらの悪弊を一挙には解決できないが、今からでも始めよう。


◆緊縮財政路線の見直しを

田村 秀男



アベノミクスが始まって以来、ほぼ3年になる。当初のめざましい成果は平成26年4月からの消費税増税により大きく損なわれた。にもかかわらず、政府は 「緊縮財政」路線にのめりこんでいる。

アベノミクスについては安倍晋三首相が9月下旬に名目国内総生産(GDP)600兆円を目指す「第2ステージ」を宣言したのだが、当初掲げた「第1の矢」=異 次元の金融緩和政策、「第2の矢」=機動的財政出動、「第3の矢」=成長戦略、の重要 性はなお大きい。中でも金融緩和政策が圧倒的な比重を占めているのだが、財政のほ うはどうなっているのか。

税収は急速に増えてきた。財政支出のほ うは消費税増税前に大きく上積みされたが、増税後は急激に減った。なかでも公共事業、社会保障と防衛費の合計でみるとこの傾向は顕著だ。

税収が増えること自体は財政の健全化を最優先する考える向きにとっては万々歳だ。しかし、民間の所得を政府が取り上げたまま、支出を通じて民間に資 金を還元しない状態を続けると民間の需要を圧縮する。好景気で民間需要が旺盛で、 インフレ率が上がる状態だと、財政支出を引き締めるのは理にかなっている。ところ が、「20年デフレ」の日本にとって
緊縮財政は不合理である。

25年度は金融の異次元緩和効果で景気が上昇軌道に乗り、円安と株高効果で企業収益は大きく増え、消費者心理も改善したのだが、26年度は消費税率8%への 引き上げによって家計消費が押さえ込まれ、デフレ圧力が再燃した。にもかかわら ず、財務省は民間向け支出をほとんど増やさず、税収を増やしてはほくそ笑むが、民間 需要が落ち込んでも気にとめない。

26年度の実質経済成長率がマイナスに落ち込み、さらに27年度も4〜6月期、7〜9月期と2期連続のマイナス成長という、景気後退局面に入った元凶はまさに 緊縮財政なのである。

日銀は異次元金融政策を堅持しているし、場合によっては追加緩和にも踏み切るとの期待は株式など市場関係者に多い。この緩和策は日銀が民間金融機関保 有の国債を買い上げて、日銀資金を年間80兆円程度新規供給するのだが、国際通貨基 金(IMF)は民間の売却可能な国債保有額は約220兆円で、今後2、3年以内に日銀政 策は限界にくるというリポートをまとめている。日銀緩和偏重のアベノミクスは持続 不可能なのだ。

「第2ステージ」で巻き返すという安倍首相の決意は固い。その目玉が 法人税実効税率の引き下げだが、税収減を恐れる財務省は赤字の企業にも事業規模に 応じて課税する外形標準課税の拡大や設備投資減税の縮小など、事実上の増税を組み 合わせる考えだ。何のことはない、全体として減税にはしないのだ。

法人税率を引き下げても、企業は利益剰余金を膨らませるだけだとの、麻生太郎財務相の懸念はもっともだ。だから、安倍首相らは経団連首脳に対し、税率 引き下げの見返りに賃上げや設備投資の上積みを強く求めている。

しかし、政府が緊縮財政路線に固執している限り、GDPの6割を占める家計の需要は増えない。そんなビジネス環境で、経営者がそろって雇用や投資に手元資 金を振り向けるだろうか。

何事もグローバル化の時代である。上場企業株式全体の35%以上を保有する海外株主が「余ったカネは株主配当に回せ」と要求するのをはねつけられる大企 業経営者が存在するだろうか。

政府・与党は再来年4月の消費税率再引き上げに向け、食料品を対象に 軽減税率の適用を検討している。低所得層の負担の重さを考慮すれば、軽減税率は当 然だ。

加工食品をどこまで含めるかなどが焦点になっているが、幻惑されてはならな い。それでも増税=緊縮には違いないのだ。

海外からくるリスクも無視できない。中国景気の大減速は世界に波及している。米連邦準備制度理事会(FRB)が今月中旬に利上げに踏み切るとの観測で、 新興国、欧州などから資金の逃避が加速している。そんな情勢のもとで、緊縮財政路 線に乗ったまま、GDPをあと5年で110兆円増やせるとは、とても思えない。
                (採録:松本市 久保田 康文)

◆「平静の人」北の湖を偲ぶ

山内 昌之



亡くなった日本相撲協会の北の湖理事長は、角界だけでなくどの道に進んでも周囲の人びとに頼られ、物事を着実に解決しながら、事業を成功に導ける人物であった。

それは、北の湖が平静の人だったからだ。かち上げで相手をのけぞらせる雄姿や巻き替えの躍動感が今でも瞼(まぶた)に浮かぶ。一代年寄になってからも日常生活の心ばえは変わらず、組織の運営に冴(さ)えと安定感を示し、2度の理事長職を経験して円熟した人間味を増していった。

私は横綱審議委員として、相撲をめぐる不祥事が多発したときに、関係者を戒飭(かいちょく)し自省しながらも、確実に難事を処理して角界をまとめあげた北の湖の現実的手腕を評価する。

一方、理想的にすぎる現代の価値観を相撲に期待する人びとには満足できない面もあったはずだ。現役の時にも、負けた力士に手を差し伸べない北の湖は囂囂(ごうごう)たる批判にさらされた。

しかし早熟の天才北の湖からすれば、土俵の敗者を憐(あわ)れむよりも、そのプライドを守り名誉を重んじる道こそ相撲の本質だと考えたのだろう。現実に北の湖理事長ほど、引退後の力士の生活や親方らの処遇に心を砕いた人は少ない。

北の湖は平静の人であったが、その資質は公的にも個人的にも、仕事の量や範囲を削って得られた人為的結果ではない。平静さを得るには何もしないのがよいと考える人もいる。しかし、深刻な不祥事で鼎(かなえ)の軽重を問われた国技を蘇生(そせい)させるために、北の湖は逆の道を進んだ。

それは、1世紀のギリシャ人哲学者プルタルコスが紹介したように、何もせず心の平静を得るために、さながら病弱な人に床の中にじっとしていよと忠告する類の教えを、北の湖が受け入れなかったことだ。

反対に彼は、多くの仕事をしても平静な心を維持できる非凡な能力を証明した。義務感や責任感の赴くところ、床の中にじっとして自分の身を守る道をとらなかったのは悲劇の第一歩でもあった。


相撲協会の公益法人化という一大事業をなしとげた人物は、そこに満足せず、土俵の充実、力士の待遇やモラル改善など次の課題にすぐ取り組んだ。

プルタルコスは、心が平穏か失意にくれているのかを決めるのは、手がけている仕事の量の多寡よりも、内容が立派か劣悪かにかかっていると看破した(『モラリア』6)。

北の湖は仕事の量もさることながら、博多の地で倒れるまで現職理事長として病苦を押して働き続けた。そのような仕事への姿勢と内容の誠実さは、日本相撲史と人びとの記憶に長く残るに違いない。

ひつぎに納められた北の湖の顔は、義務と責任を果たして誇らしげな男の穏やかさにあふれていた。彼こそは谷風や雷電から、双葉山や大鵬につながる相撲系譜の偉大な数人に入ると述べたのは黒鉄ヒロシ氏である。わが意を得たりと思う人も多いだろう。

それにしても、北の湖の死という現実を受け入れられず悲嘆から抜け出せないのは、早すぎる物故が予想もしない瞬間に訪れたからである。平静の人のご冥福を心か
ら祈りたい。合掌。
(やまうち まさゆき)フジテレビ特任顧問
                  (採録:松本市 久保田 康文)

2015年12月07日

◆東芝不正会計問題

〜企業統治改革の誤りを露呈〜 

加護野 忠男



東芝の不正会計問題は、東芝という個別企業における企業統治の欠陥として調査・議論されているが、より広く企業統治制度改革の問題として議論されなければならない。東芝に責任がないわけではないが、このまま東芝の責任追及だけをしていたら、制度づくりの重大な瑕疵が見逃されてしまう。

 ≪問題の遠因は2つの新制度≫

東芝は、新しく改革された企業統治制度を率先して採用してきた。この新しい制度がより多くの企業にも採用されるようになれば、同じような不祥事が随所で起こる可能性がある。

東芝問題の遠因は、会社制度改革のなかでも2つの新制度にある。1つは、社外取締役を中心とした経営監視制度である。もう1つは、四半期決算制度である。ともにアメリカをまねて導入された新制度である。

社外取締役の増員は、不正会計の重要な原因である。社外取締役は、社内の人脈を持たないために、鮮度の高い社内情報を得るのが難しい。今回の事件だけに限らず社内の不祥事を防ぐためには、根拠のない噂段階の情報を得て手を打つことが必要である。

社外取締役はこのような情報を得ることは難しいし、経営執行部が嫌がるような調査をしようとする意欲を持たせることも難しい。社外取締役の多くは、経営執行部のだれかの知己である。監視側に情報も意欲も不足しておれば、効果的な監視は期待できない。

この欠陥は、日本だけでなく、アメリカでも指摘されている。実際に社外取締役が過半を占める米国企業では会計操作はしばしば起こってきた。もっとも有名なのはエンロン事件やワールドコム事件である。

この限界を考えれば、市場規制当局が推奨する社外取締役中心の監査委員会制度よりも、伝統的な監査役会制度の方がよほど有効である。監査役会は社内と社外双方のメンバーで構成されており、社内監査役は社内人脈を持っているために高鮮度情報を得ることができる。

社外の監査役も、監査役会で社内監査役から鮮度の高い情報を得ることができる。調査権も調査予算もある。

 ≪効果的な日本の監査役会≫

東芝の不正会計問題を受けて、社外取締役に監査役会の傍聴を求める企業も出てきた。考えてみれば、日本の監査役会は効果的な制度だった。アメリカの機関投資家が理解できないからという理由だけで、よい制度が葬り去られそうなのは残念だ。

日本の監査役は、経営監視に専念できる。4年とはいえ、身分保障があるため、経営執行部が嫌がる調査もできる。取締役会での議決権は持たないが、株主総会での監査報告の内容しだいで、株主総会を不成立にさせることもできる。議決権を持つが、情報を持たない社外取締役に監査させるよりはよほど効果的である。

こう考えれば、社外取締役を増員し、社外取締役中心に経営の監視をするという市場監督当局の制度設計の方向は正しかったのだろうかという疑問がわいてくる。新しく発表されたコーポレートガバナンス・コードでは社外取締役の増員が求められている。

東芝問題を考えると増員は再考されるべきである。このコードでは、社外取締役の増員をしない企業にはその理由を説明する責任があるとされているが、増員を求める側にはもっと重い説明責任があることを忘れてはならない。

 ≪アメリカ企業が停滞した原因≫

東芝の不正会計をもたらしたもう1つの遠因は四半期決算制度である。チャレンジという形で事業責任者にプレッシャーをかけたのが問題だといわれているが、このようなプレッシャーは、現場の知恵を引き出すのに効果的だ。

日本の監査役は、経営監視に専念できる。4年とはいえ、身分保障があるため、経営執行部が嫌がる調査もできる。取締役会での議決権は持たないが、株主総会での監査報告の内容しだいで、株主総会を不成立にさせることもできる。議決権を持つが、情報を持たない社外取締役に監査させるよりはよほど効果的である。

こう考えれば、社外取締役を増員し、社外取締役中心に経営の監視をするという市場監督当局の制度設計の方向は正しかったのだろうかという疑問がわいてくる。新しく発表されたコーポレートガバナンス・コードでは社外取締役の増員が求められている。

東芝問題を考えると増員は再考されるべきである。このコードでは、社外取締役の増員をしない企業にはその理由を説明する責任があるとされているが、増員を求める側にはもっと重い説明責任があることを忘れてはならない。

 ≪アメリカ企業が停滞した原因≫

東芝の不正会計をもたらしたもう1つの遠因は四半期決算制度である。チャレンジという形で事業責任者にプレッシャーをかけたのが問題だといわれているが、このようなプレッシャーは、現場の知恵を引き出すのに効果的だ。

東芝の失敗は四半期決算の枠組みでこれをやってしまったことである。製造業では、3カ月で利益を改善するような改革案を立案し実施に移すことは絶望的に難しい。数字を操作するしか方法がなかったというべきかもしれない。

アメリカの経営学者の間では、1980年代にアメリカ企業が停滞した最大の原因は、四半期決算制度であるというのが常識になっている。このような欠陥のある制度がなぜ導入されたのか、私には理解できない。

関西経済連合会は、10年近く前に四半期決算制度を廃止すべきだとの提言を発表しているが、規制当局はまったく聞き入れなかった。早く聞き入れられていたら東芝問題は起こらなかったとまではいえないが、もっと軽減されていた可能性がある。

日本の企業統治制度改革は、優れた制度をつくるという目的ではなく、アメリカの制度をまねるという方向で行われたように見える。

アメリカの制度が深刻な問題を持つことはアメリカだけでなく、欧州でも認識され始めている。それを知らずに制度改革が行われたわけではないだろう。知った上で改革を行ったのであれば、更なる工夫が必要だった。東芝問題は、このことを学ぶための教訓だったといえるかもしれない。

(かごの ただお・甲南大教授)

産経ニュース【正論】2015.12.2



                   

◆「イスラム教」早分かり(3)

平井 修一



甲斐静馬著「中近東」の紹介を続ける。

*イスラムの影響

イスラムは仏教、キリスト教に比し、遥かに大きな影響をその信徒に与えた。それはイスラムが信徒の信仰生活はもちろん、その実際生活のほとんどあらゆる部分、極端に言えば箸の上げ下げにいたるまで、厳しく支配する仕組みになっていたからである。

イスラムがどんな影響を与えたかを知るためにはイスラムの体系をのみ込まなければならない。

イスラムの聖典はコーランである。コーランは仏教の経典やキリスト教のバイブルとは違い、単なるお経の本ではない。信徒の義務、道徳的規範、イスラム法、禁断戒律などを含み、宗教的文献にとどまらず、社会的規律をも律しているのが特徴である。

コーランはイスラム文献の全部ではなく、これを補充するものとしてスンナ(慣行)とハディス(伝承)がある。

・スンナ:マホメットの言行やイスラム社会の習慣を集めたもの。

・ハディス:マホメットが行ったものとされる行為、見解などについての説話を集めたもの。

コーランは原始共産制が崩壊し、奴隷制度が生まれた時期に発生したが、その後の封建制度の発達や、アジア、アフリカへの拡散という変化に合わせるためにスンナとハディスが生まれたわけである。

ハディスは創作が多く、一時期は60万の説話があったが、選り分けにより2762に絞られた。今でも時々選り分けられている。

コーラン、ハディス、スンナを基礎としてシャリア(聖法)が制定さらたが、これは多数の細々した規定によって、信徒の全生活のあらゆる面を規制している。

シャリアは宗教、倫理、法律の体系であるばかりでなく、同時に刑法であり、また結婚、離婚、宗族などに関する身分法でもある。

シャリアの運営を司るのがウレマで、シャリアを通じて信徒の全生活に対して絶対的な影響を行使した。シャリアはその後の時世の進歩とともに管轄が漸次縮小されたものの、身分法としては今日多くの国で残っている。特にサウジアラビアのごときは、法律と言えばシャリアだけである。

(平井:米国は、世界の原油取引の通貨をドルに限定すれば、サウジの政体を保障すると提案し、両者は合意したという。シャリアに基づき定期的に公開処刑する異様な国が欧米からまったく非難されずに旧態依然として存続しているのは、この合意が奏功しているためだろう)

こうしてイスラムは、他の宗教と比べものにならない強い拘束力を持っていた。

したがって「神の前におけるすべての人の平等」という革命的な思想によって積極的な影響を及ぼした反面、すべてをアッラーに帰する徹底的な宿命論が既存の社会秩序を擁護し、社会の進化を頑強に阻む反動的役割を発揮したことは否定できない。

そのもっとも著しい例として、奴隷制度の承認と、婦人の隷属的地位をあげることができよう。これはユダヤ教、キリスト教に比較して、イスラムの最も著しい特徴をなしている。

マホメットの時代には、アラビア全土にわたって、都市でも、ベドウィン族(遊牧民族)の間でも奴隷制度が栄えていた。それは奴隷売買が極めて有利な商売であったばかりでなく、社会機構、特に家事の管理が奴隷労働に基礎を置いていたからである。

こうして奴隷制度が極めて大きな重要性をもっていたので、コーランは奴隷を人道的に取り扱うよう命じたにとどめ、その廃止は敢えて要求していない。

1300年たった今日、実際はまだ奴隷制度は完全に廃止されていない。この制度はアラブ、アフリカ諸国では事実上、最近まで存在していた。アフリカから紅海を越えてアラビア半島に送り込まれる奴隷は毎年約5000人と推定された。

さらにヨルダンのベドウィン族の酋長の家庭には召使、あるいは護衛としてかなりの数の奴隷がおり、他のイスラム国でも状態はヨルダン以上であろうと言われた。(続く)

平井思うに、宗教は己の信仰するものを至上のものとするからこそ宗教であって、他の宗教は劣っているものと思うのも当たり前だが、「己の宗教は全的的な善であり、他の宗教は絶対的な悪である、殺して当然、奴隷にして当然」と思うようになると、これはほとんど狂気である。

小生はなんでも疑ってかかるが、自分自身さえ怪しいものだと思っている。それくらい警戒していないと鳩や菅になってしまう。一方で宗教は自由な考察、自由な言論がないから変化も進化もしない。中共も同じだろう。遂には内部から腐っていき、自滅するのではないか。

日本の仏教はサンスクリット語の原書と離れて奇怪な解釈になった支那仏教の亜流で、遂には宗教というよりおまじない、呪術のようになってしまった。商売、産業に近い。お寺の住職は最早家業で、信仰を広めるよりも寺院経営に必死である。雑誌「月刊住職」はとても人気だとか。

殺し合いをするイスラム教より遥かにいいし、仏教の宗派を超えて先日はみんなで靖国に参拝した。こんな宗教は世界にないだろう。政治に夢中になるタレントもどきの尼さんもいるが、ま、これはこれで商売なのだろう。

神道伝説に基づく天皇・皇室制度、そして武士道、五箇条の御誓文。日本の背骨だ。これがある限り日本は世界の良き人々ととも世界秩序に貢献できるだろう。(続く)
(2015/11/30)

◆日章旗を土足で踏みつさけせる中国 

櫻井よしこ



本当にうかつだったが、西岡力氏に指摘されるまで、私は気付かなかった。
 
北京市郊外にある「中国人民抗日戦争記念館」は「抗日戦争勝利70年」の今年、全面改装され7月に公開されたが、広い館内を一巡する道順の一画に異様な空間がある。ガラス張りの床の下に日章旗を埋め込み、参観者はわが国の国旗を土足で踏みつけなければ一巡できない構造だというのだ。
 
これだけでも日本国への許し難い侮辱だが、氏が憤る原因はまだある。

「ガラスの床下の日章旗には、『祈武運長久』などの言葉と多くの人の名前が書き込まれています。出征軍人に家族、友人、故郷の人々が心を込めて寄せ書きをしているのです。皆、その旗を大切に身に着けて戦った。

しかし彼らが捕虜になったり、戦死したとき、寄せ書きの日章旗は奪われた。抗日戦争記念館の日章旗はそのようにして手に入れた旗でしょう。しかし、軍人の私物は戦時国際法では本人に返還しなければなりません。遺品であっても死者を冒涜する扱いは許されません。

それなのに中国政府と中国人は国際ルールを平然と破り、日本国をおとしめる材料として利用する。わが国は断固抗議し、日章旗返還運動を起こすべきです」
 
朝鮮問題専門家の氏は同じ記念館の中国人慰安婦の展示が真っ赤なうそであることも突き止めた。
 
国を挙げて対日歴史戦争を展開する中国の姿がいかに異質で突出しているか、米国との比較で見てみたい。今年8月、オレゴン州の歴史家、レックス・ジーク夫妻が安倍晋三首相を官邸に訪ねた。夫人は敬子さん、日本人だ。夫妻は全米から寄せられた71枚の「寄せ書き日章旗」を手渡すために来日したのである。
 
夫妻にお会いする機会はなかったが、私は事前にお2人の進める「OBON2015」計画について聞き、本当に感動した。
 
敬子さんは戦死したおじいさまのことはほとんど知らずに育った。ビルマ(現ミャンマー)での戦死だったが、遺骨も戻されていない。ところが、2007年、おじいさまが出征時に持っていった寄せ書きの日章旗がカナダで見つかり、無事、ご遺族に戻された。
 
このときからご夫妻の「寄せ書き日章旗返還」を進める地道な活動が始まった。日本語を読めない米国人にとって、寄せ書きされた日章旗は一種の芸術作品に見える。戦場で米軍兵たちが日章旗を見つけては持ち帰った背景には、国旗についての彼らの考えが日本人とは異なるというもう1つの要素もあっただろう。

米欧では旗は第一義的には軍隊、国、敵味方を区別するためのものだ。戦場で敵の旗を奪うことは大きな軍功を意味する。日本人にとっての旗、とりわけ寄せ書きの日章旗への感覚はそうした国の印という意味に加えて、家族の祈りと愛、兵にとって心の支えという意味がある。
 
官邸で首相に日章旗を手渡したジーク氏は、「日の丸が(日本政府ではなく)家族(や友人たち)から贈られたものだと知って、米国人たちは、日本に返還したいと願っている」と述べている。寄せ書きの旗が1人1人の兵の形見であること、父、息子、夫を見送った人々の愛情と尊敬のこもったものであることを理解したとき、多くの米国人は、旗の返還に協力を惜しまなくなったというのだ。
 
ガダルカナル島、ペリリュー島、硫黄島、沖縄、多くの激戦地で戦った日米両国だが、70年を経たいま、互いを見る視線には相互理解と未来への希望がある。ジーク夫妻の静かな努力はその後も続いており、日本に戻された日章旗は3桁の数になった。
 
日章旗を日本の軍人の魂と、家族の愛情と祈りの表現として、大事に取り扱ってくれる米国、その旗を土足で踏みつけさせる中国。この相違を日本人は忘れてはならない。

『週刊ダイヤモンド』 2015年12月5日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1111