2022年02月25日

◆忘れたくない慎太郎氏の情念

櫻井よしこ

石原慎太郎氏は快男児だった。真面目に話す段になると礼儀正しく含羞の
人だった。それを口の悪さで打ち隠していた。

2007年10月12日の午後、私は田久保忠衛さんと一緒に都庁の知事室に慎太
郎氏を訪ねた。「日本立て直し」の志でシンクタンク「国家基本問題研究
所」を創設するに当たり、理事就任を要請したのだ。

石原氏と田久保氏は各々、昭和7年9月と8年2月生まれ、同期である。思想
信条も重なる部分が多く、互いに敬意を抱いていたと思う。国基研設立の
趣旨を説くと、氏は一言、「承知しました」と引き受けた。余計な質問は
一切ない。そのうえで「この種の組織には資金がいる。いつでも相談に乗
ります」と言うのだ。国基研創設では多くの方々が協力して下さったが、
資金のことまで気にかけてくれたのが慎太郎氏だった。

日本国の課題、最速でなすべきことについて、改めて確認する必要もない
程、私たちの間には共通の理解があった。氏を訪ねてから約2か月後の12
月、国基研はささやかな事務所開きをして今日に至る。

石原氏とはさまざまな機会に対談をした。「言論テレビ」に出演しても
らったのは、戦後70年の2015年8月だった。氏は作家、国会議員、都知
事、そして再び国会議員を経て、14年に政界を引退していた。言論テレビ
出演の直前には『歴史の十字路に立って戦後七十年の回顧』(以下『歴
史の十字路』)をPHP研究所から上梓していた。

氏との会話は自然に戦争の記憶につながっていった。「戦後の日本人が享
受した平和は奴隷の平和ですよ。つまり囲われ者の平和だね。お妾さんの
安穏さだな」と石原氏は言う。

それに対して石原氏と親しいハーバード大学のジョセフ・ナイ教授が「お
妾さん、ミストレスはやめてくれ」と言ったそうだ。で、石原氏は何と言
えばよいのかと尋ねた。「よき友、Good Friendと言ってほしいだって。
バカ言っちゃいけないと言いましたよ」

薄っぺらな感想

戦後日本の平和は奴隷のそれだとの指摘は本質において正しい。労せずし
て与えられた平和の代償に、日本人は多くの大事なものを失った。それが
何であるかは「朝日新聞」を読めばよく分かる。その日、私は朝日の15年
8月3日、夕刊一面の記事に拘っていた。俳優の小栗旬氏がゼロ戦のパイ
ロットで、当時98歳だった原田要氏にこう聞いていた。

「自分が人殺しだと気づいたきっかけは」

戦争の中で命がけの任務を果たした人に問うことだろうか。その小栗氏に
朝日の記者がパイロットの声に向き合うことで、何ができるのかと問い、
小栗氏はこう答えている

「他者に対して愛情を持つということ。嫌だなって思うことは相手に同じ
ことをしない」と。

ここには日本が戦争に踏み切った歴史についての知識も理解もない。ある
のは戦場で戦うということへの薄っぺらな感想のみだ。これについて石原
氏は言った。

「戦後の教育が培った安直な価値観っていうのかね。その精神は我々が拝
受した憲法にも由来していると思いますね」

さらに石原氏は言葉を継いだ。

「そういう質問をせざるを得ない男を可哀想だと思う」と。私は同感した。

敗戦に至った政府の政策判断については厳しく批判しながらもあの凄まじ
い戦争を戦った先人達、家族、故郷、その全体像としての祖国を守ろうと
命を捧げた人々に、日本人は皆、心からの深い感謝を捧げ、先人の想いを
大切なものとして引き継がなければならない。

石原氏はそうした人々の情念について語り、話題は特攻の母と呼ばれた鳥
濱トメさんの想い出になった。

石原氏がトメさんに会ったのは昭和41年だそうだ。沖縄に出撃した陸軍航
空隊の特攻隊の若き隊員達は出撃までの短い日々を鹿児島県知覧ですごし
た。そこで彼らを親身に世話をしたのが富屋食堂のトメさんだ。隊員達は
トメさんの心尽くしのあれこれに母親のイメージを重ねて慕った。生命の
際(きわ)にある若者達はトメさんに心を許して後事を託した。石原氏は
『歴史の十字路』で書いている。

「ある特攻隊員は明日、南の海で死んだら、まっ先にここに、自分の好き
な螢になって帰ってくると約束して飛び立った。その日、その時刻にもう
冬枯れていた裏庭の藤の棚の下の井戸から、たった一匹螢になって現れた」

戦後、トメさんは旅館もかねて富屋食堂を続けていた。誰もいなくなった
町で、夕方、特攻隊員が出撃前に休む三角兵舎のあった辺りを歩いてい
た。菜の花畑になっている旧陸軍跡地でトメさんは立ち止まった。

「総理大臣にお前さん」

「『夕方の暮れゆく中で、一斉にね、菜の花畑にぱっと鬼火が燃え立っ
た。ガスをつけたみたいに。灯が』とトメさんが言うんだ。それでね、そ
の時私に中年の女中さんがお茶を運んでくれた。トメさんが、『この子で
すよ、一緒に行ったの』と。それで『見たの』と聞いたら、『ええ、私、
見ました』と。『本当に恐ろしいけれども美しかった』って。それはやっ
ぱりね、凄い話だと思いますね」

そのトメさんが平成4(1992)年に亡くなったとき、石原氏は宮沢喜一首
相に会いに行った。

「宮沢さん、トメさんを国民栄誉賞にして下さい」

「はあ、どなたですか」

「あなた知らないの、って言ったら、知らないって言うから教えてあげた
の。そしたらね、分かっているんですよ。でね、切りがございませんか
らって言う。で、キリじゃない、たった一人しかいない。勇ましく死んで
いった若者達に母と慕われたこんな素晴らしい日本人がいた。これで特攻
隊も遺族も救われた。なんで国民栄誉賞だめなんですか、と言ったら、嫌
なんですって」

「嫌なら仕方がない。それで僕は言った。分かった、頼まねえ、お前さ
ん。僕は総理大臣にお前さんって言ったの。お前さん、そのうちに罰が当
たって野垂れ死にするぞって。そしたら、野垂れ死にしましたね」

当時自民党の屋台骨を揺すぶって小沢一郎氏からつきはなされたことを指す。

「菜の花畑に灯った鬼火のように、日本のために命を捧げた人たちの執念
は生きているんですよね。だから天皇陛下がサイパンとかいらっしゃるの
結構だけれども、それで救われるもんじゃないんですよ。天皇陛下はやっ
ぱり絶対参拝していただきたい。日本の元首ですから、靖国参拝したら全
ての問題が解決するんですよ」

石原氏の情念を受けとめ、天皇陛下の御親拝を実現させ、憲法改正につな
げたいと、私は切望している。
    

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「殺害・収容リスト」
大内 清

露、ウクライナ侵攻後の「殺害・収容リスト」作成か 米が国連に警告:
21日、ウクライナ東部の親ロシア派地域独立承認の文書に署名するロシ
アのプーチン大統領 =モスクワのクレムリン(AP=共同)

【ワシントン=大内清】緊迫するウクライナ情勢をめぐり、バイデン米政
権が国連に対し、ロシアがウクライナを侵攻・占領した場合に殺害もしく
は強制収容所送りにするウクライナ人らのリストを作成していると警告す
る書簡を送ったことが明らかになった。21日付の米紙ワシントン・ポスト
などが報じ、バイデン政権高官が同日確認した。

書簡は20日、在ジュネーブ国連機関の米代表を務めるクロッカー氏がバ
チェレ国連人権高等弁務官に送付した。ロシアがウクライナを侵攻・占領
すれば、プーチン政権が過去に反体制派に対して行ってきた「暗殺や拉
致、不当拘束、拷問」といった弾圧が、同国の反露派などに対しても行わ
れる恐れがあると指摘。露軍が標的とする人物のリスト化を進めていると
の「信頼できる情報がある」と強調した。

それらの標的には、ロシアの活動に反対するジャーナリストや反汚職活動
家、ウクライナに亡命中のロシアやベラルーシの反体制派、宗教・民族・
性的マイノリティー(少数派)も含まれるという。政権高官は21日、
「(標的となり得る)個人や団体には警告を発している」と語った。


同紙によると露大統領府のペスコフ報道官は「そのようなリストは存在し
ない。フェイクだ」と全面的に否定した。
     

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◆米商務省、中国の偽物業者

「宮崎正弘の国際情勢解題」 
  令和四年(2022)2月19日(土曜日)
     通巻7225号
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 米商務省、中国の偽物業者、商標違反の
             海賊版メーカーを発表
損害額は292億ドル。フェイク商品の製造業者を摘発へ
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 勝手に商標を盗用し、平気で偽物を量産する中国のビジネスマナーに業
を煮やした米国は「海賊版、フェイク」業者リストを発表した。損害は
292億ドルにのぼる。
 ALIEXPRESS、WECHAT、百度ワンパン、DHGゲート、
PINDUODUO、TAOBAOなどがフェイクメーカーとされた。ブ
ランド品の79%が偽物だったという。

 もとより精巧なローレックス時計の偽物は本物と区別ができないほど
で、香港に調査に行った日本の警察幹部が、土産に「ここなら安心」と言
われて買って帰ったローレックスが、東京の総代理店で調べて貰うと偽物
だったなどと半世紀前から言われた。

 商標に紛らわしい名前をつけたり、だれが観ても本物と判断するブラン
ド品のフェイク作りにかけて昔から中国はビジネスが盛んであり、名画の
複製なぞ朝飯前だ。
 しかも一番儲けが多いのはグッチ、ルイビュートンなどで、北京の秀水
市場は嘗て、偽物市場の宝庫だった。なんとクレイムをつけるアメリカ人
が団体で買いに来ていたという笑い話がある。近年、さすがに中国警察も
取り締まりを厳密化するようになった。すると店先には並べず、カタログ
で呼びかけ、近くの倉庫で引きわたすというやり方に変更した。

これは世界的に拡がり、たとえばNYのチャイナタウン入り口の路上で、
カタログだけを掲げた叔母さんたちが立ち並び、近くの空き地に案内して
フェイク商品を受け取るというシステムになっている。
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  ★読者の声  どくしゃのこえ  READERS‘ OPINIONS 
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(読者の声1) 貴誌前号、前々号(読者の声1のYE生、東京都)様の「日本
軍占領下のシンガポールで虐殺があったか」という件に関して、長くなり
ますが、ちょっと私の考えを以下に申してみます。
 日経新聞は見て居りませんんが、「親が日本軍に殺された」と述べた人
物はマレー人でしょうか? 華僑でしょうか? 年齢は幾つか? 本人が
目撃したのか? 伝聞でしょうか? 殺された年月日は? どこで、どん
な情況で? 等々、逆に疑問が出てきます。
 朝鮮半島の出身者で従軍慰安婦のおばあさんが、賠償を求めて訴訟を起
こしたことは御存知と思いますが、証言は、結局はウソでした。金を詐取
する為の仕掛けと言っても過言ではない。戦争中の日本にとって死活的に
重要なアジア、アジア人を守らばこそ、意味もなく殺すなどと言うことは
考えられません。戦闘中であれば巻き添えを食らうこともありましょう
が、敵ゲリラ、便衣兵はその場で殺されても致し方ないといえます。
 シンガポールは華僑の多い所です。マレーとして独立した後、マレー人
と華僑は紛争が絶えず、結局マレーから分離することとなりました。大東
亜戦争中は日本軍も邦人も、華僑が組織する謀略機関に因って被害を受け
ています。有名な一例を挙げるならば、後にマレーの虎(ハリマオ)と呼
ばれたマレー在留邦人が、日本軍に協力するように決心した切っ掛けは、
華僑の共産ゲリラに実の妹を誘拐され殺されたのが理由とされています。
 類似の例は沢山あり、シンガポールを占領された後の英軍は、やはり対
日謀略を仕掛け、支那大陸の出身地を日本軍に踏みにじられたと考える華
僑と組んで、反日行動に出ていました。これらの反日行動はゲリラ攻撃、
日本軍の動きの報告、物資の状況、食糧事情、偽情報の宣伝、サボター
ジュ等々、これに対して日本軍は何もしないで、されるがままでないのは
これも亦当然でしょう。
よって日本軍はこれ等の反日華僑ゲリラを処刑したと云われています。そ
の数は三千人だ、いや千人だとか、数字のない話です。小生は、千人なん
て多すぎるが日本軍による処刑はあったと話した軍人が居たことを憶えて
いますが、これも数字を挙げて述べた訳ではなく、実際に処刑を見た訳で
もない話しでした。日経新聞に掲載された老人の証言、どれ丈の証拠能力
があるのでしょうか。中国政府の「南京大虐殺」宣伝と類似の話ではない
でしょうか。
当時の日本はマレー独立を望むマレー人の団体と協力し、以前から彼等を
応援していたのでした。昭和16年12月8日午前1時半、真珠湾攻撃よ
り早くイギ
リス領であったマレー北部のコタバルに、敵前上陸した日本軍は非常な短
期間にシンガポールまで到達しました。英国軍はこれを予想して日本軍の
進路に多くの防衛陣地を築いていましたが、これら陣地はあまり役に立た
ず突破されてしまった、と言うのはマレー人の熱狂的な支援、特に敵情の
通報があったからです。これらマレー人情報を得た日本軍により、英国軍
は陣地の裏をかかれて、撤退しようとして日本軍の後からシンガポールを
目指すことになった例もある位でした。
またマレーシアの国会議員ラジャー・ダト・ノンチック氏は、「日本軍が
来た時、私たちは歓呼の声をあげた。破れて逃げて行く英国軍を見た時、
今までにない興奮を覚えました。然もマレーシアを占領した日本は、英国
に代わって植民地としないで将来の為めに国語を普及させ、青少年の教育
を行なってくれたのです。」と戦後に述べています。
インドネシアの元首相は「大東亜戦争は、本来自分達アジア人の戦争を日
本が先だってやってくれたのである」と述べています。
これらを合わせてお考えになってみて下さい。日本軍は侵略軍でしょう
か、またマレーを英国から、インドネシアをオランダから独立させる味方
でしょうか。
 「大東亜共栄圏などと言うものは、アジア人の為でなく、白人を痛めつ
けて自分がその利益を取って代わろうとしただけではないか」というのは
東京裁判に於ける英国代表コミンズ・カー検察官の発言であり、そのまま
白人連合国の理解でしょう。
アジアに対する態度は日本と白人連合国では天と地です。そして中でも英
米蘭仏は結託してアジア地域からも対日貿易を禁止しました。
石油を始めこれ等の日本の死命を制する物資はアジアに沢山ありました。
若しこの時、アジア諸国が独立国で自由貿易が出来たなら、日本は国家存
亡の危機に陥ることは無く、戦争に訴えることもなかったと考えます。
従って日本の存亡とアジアの独立は表裏一体です。片方だけでは、永久に
白人の支配下に生きてゆかねばなりません。
日本が大東亜共栄圏を掲げ、大東亜会議を開催したのは日本の生き延びる
為の方途でした。そしてアジアの同志たちも共に戦って、日本軍が降伏文
書に調印し
た後も、大東亜戦争は各国で引き継がれ、更に長い戦いの後、10か国以
上が独立を勝ち取ったというのが史実です。日本降伏時に、昭和天皇は
「日本が降伏
することは、未だ戦っているアジアの諸盟邦に対して誠に申し訳ない」旨
を仰せになりました。大東亜戦争がアジア人自身に引き継がれた証拠で
す。日本の大東亜戦争は終戦の日に終わったかも知れませんが、アジア人
の大東亜戦争はそこから始まって東京裁判速の開催中も、そしてその後も
続けられました。大東亜戦争は目的を達成してアジア諸国は昭和35年にア
ジア・アフリカ会議まで開催しました。此の会議に恐る恐る出席した日本
代表は賞賛の拍手を受けた位です。実質この戦争に負けたのは連合国では
ないでしょうか。
 最後に、私の推測ですが、日本占領下のシンガポールでは英国は残され
た諜報機関を使って活動をしていました。日本側の諜報機関との暗闘も
あったようです。この一つとしバラまかれた大げさな偽情報を聞いていた
人も多くいたことでしょう。
それから断言しますが、東京裁判で大虐殺の話は「南京大虐殺」以外には
「漢口虐殺」「長沙虐殺」等、支那大陸以外では出て来ていません。これ
らが全部嘘であったことは、法廷証言によっても明白ですが、シンガポー
ルでもあったとすれば、東京裁判で訴追されない理由がないと考えます。
そして日本のヒロシマ・ナガサキの原爆に眼をつむり、其の他の都市部に
すむ民間人を空襲によってジェノサイドしたことにも知らぬ顔の東京裁判
です。
何か一つの事実を芽にして証拠を大きく捏造するのは支那人が上手です
が、共産勢力がよく使う手段です。日本人も騙されていました。ネットが
出て来なければまだ朝日新聞に騙され続けていたでしょう。
 少し怪しい日経新聞に掲載された老人の証言は、華僑を使って行なう対
日情報攻撃、歴史戦の一つであるかも知れません。その芽を出させるため
の観測気球かも知れません。そうならないことを祈りますが、将来の用心
の為に、逆にあったという証拠を探して御覧になったら如何でしょう。貴
殿の健闘を祈ります。
(亀甲)



  ♪
(読者の声2)第二次世界大戦の英語で書かれた投稿勧告のビラ。左面は英
語と日本語、右面はヌード写真。ヌードは兵士にチケットの所持を保持す
る言い訳を与えるという。
【休戦協定への切符-連合軍に投下された日本のリーフレット、1942年】
https://rarehistoricalphotos.com/ticket-to-armistice-japanese-leaflet-dropped-on-allied-troops-1942/
 
TICKET TO ARMISTICE
USE THIS TICKET, SAVE YOUR LIFE
YOU WILL BE KINDLY TREATED
Follow These Instructions:
1.Come towards our lines waving a white-flag.
2.Strap your gun over your left shoulder muzzle down and pointed
behind you.
3.Show this ticket to the sentry.
4.Any number of you may surrender with this one ticket.
JAPANESE ARMY HEADQUARTERS

投降票
此ノ票ヲ持ツモノハ投降者ナリ
投降者ヲ殺害スルヲ厳禁ス
大日本軍司令官
Sing your way to Peace pray for Peace

英文はおおよそこんな意味になる。
『休戦協定のチケット このチケットを使って、あなたの命を救ってくだ
さい。このチケットを使えば、命が助かる。以下の指示に従ってください。
1.白旗を振って隊列に向かってください。
2.銃を左肩にかけ、銃口を下にして後ろに向けます。
3.このチケットを歩哨に見せる。
4.このチケット1枚で、何人でも投降することができます。
日本陸軍本部
平和のために歌おう 平和のために祈ろう』
 一方、シンガポール攻略戦で捕虜になったインド兵捕虜を標的訓練にし
たという記事。
https://rarehistoricalphotos.com/japanese-troops-using-prisoners-target-practice-1942/
 記事によると『2枚目の写真をよく見ると、それぞれの囚人の心臓に
マーカーが掛けられていて、ライフルの前には杭が打たれている。各標的
の位置には、1の位置にいる兵士が1の位置にいる囚人を撃つことを示す数
字が記されてる。
ターゲットが配置されている位置は、一般的に「バッツ」と呼ばれてい
る。これは射撃訓練であって、銃殺による単純な軍事的処刑ではない』と
ある。
 どういう背景で撮られた写真かわかりませんが、正規の捕虜か便衣兵か
それとも囚人なのか。コメント欄を読むと、銃は鹵獲されたリー・エン
フィールドであり、銃剣訓練にはインド人囚人を使ったともある。囚人の
処刑と銃撃訓練を兼ねたものだったのかもしれない。   
(PB生、千葉)



  ♪
(読者の声3)多くの日本の保守派と自称する政治・経済・金融論者も、
いまだにMMT教の信者として、無知な人民を「魔法の打ち出の小槌を信じ
なさい、いくらでも政府は通貨を印刷できる」と声を荒げて勧誘している。
その確固たる「証拠」とは、もう30年もやっているが、いまだに日本は大
丈夫、という「科学的」な説明である。
 例えれば、速度制限が50KMHの曲がり角を、時速60キロで走ってみる
と、何ともなかった。それを毎日習慣にして、いまだに事故を起こしてい
ない。そこで70キロにすると、多少タイヤが軋むが、何度通っても大丈
夫。そんなことを毎日、毎年、30年間繰り返す。ある日、産気づいた妻
を乗せて病院に向かう。唸る苦しむ妻を横目に、80キロで走り抜けるが、
不思議にも「今回は」車は宙に舞い、、、という近未来が待っている。
この例では2.9人ぐらいの被害であるが、現実には、一億人の生命、財産
が宙に舞う。円も国債も暴落、故に超インフレ。そんな災難の緊急事態
に、親切な隣国が、大量の援助部隊を派遣してくる秘密の予定がある、か
もしれない。そんな時に限って、ついでに大地震が便乗してくる。
これは「弱り目に、祟り目」という歴史的な法則による。
 米国でMMT教の教祖様は、日本にも洗脳教育に招聘された綺麗な素敵な
ケルトン教授である。経済学者のほぼ全員が白人、おじさんである事から
彼女の理論、屁理屈に反論すると、それは女性差別である、というお叱り
を受ける。このような反論理・言論弾圧は、非科学系の分野では、当たり
前になってしまった。
 末筆ながら氏は米国の共産主義者、社会主義系の著名な政治家に「理論
武装」を提供し敬われている。
大変に人気のあった大統領候補者バーニー・サンダース氏は、公然と社会
主義者を自認しているが、新婚旅行にはモスクワ詣。恐らく支那もロシア
も陰で応援している、らしい。ちなみに、両国ともに近年、金を大量に買
い込んでいる。MMTを信じていないのだろう。
https://mises.org/wire/new-antieconomics (英語、リベテリアン派の
論者の文)
(在米のKM生)


(宮崎正弘のコメント)MMT理論の元祖は日本の丹羽春喜教授です。氏
の「打ち出の小槌」論は政界にも波紋を拡げ、研究会も数十回は開催され
たのですが、六年前に急逝されました。ケルトン教授が何を言われている
か寡聞にして存じませんが、丹羽さんの論文が英訳されアメリカで注目さ
れたことがあります。

2022年02月23日

◆世界の厄介者、北朝鮮を育てた中国

櫻井よしこ

北朝鮮が前例のない頻度でミサイルを発射し続けている。狙いのひとつは
米国を交渉の席に引きずり込み、なんとしてでも国連の対北制裁措置を解
除させることだろう。

2017年9月、北朝鮮はそれまでにない大規模な核実験を行った。広島の核
爆弾の約10倍、160キロトンの水爆弾頭の実験だった。同年11月には大陸
間弾道ミサイル(ICBM)も発射した。国連が北朝鮮に厳しい経済制裁
を科したのは当然だ。朝鮮問題の専門家、西岡力氏が語る。

「安倍首相とトランプ大統領が主導した国連制裁が、いま非常に効いてい
ます。北朝鮮の窮状は衝撃的です。今年1月に列車とバスが中朝間を往来
しましたが、中朝貿易が再開したとはいえず、北朝鮮の物不足を解消する
には程遠い。その結果、北朝鮮では紙幣印刷に必要な紙も印刷資材もなく
なっています。そこで北朝鮮当局は国産のペラペラ紙で『中央銀行トン
票』と呼ばれる臨時のお札発行に追い込まれました」

トン票については以下のような注意がなされている。

「紙質が良くないことをよく理解して丁寧に清潔に利用し、汚したり破損
させたりせず、愛国心を発揮して少しでも長い期間利用せよ」

食糧危機も深刻である。21年には、1月、2月、6月と3回も立て続けに朝鮮
労働党中央委員会総会を開き、食糧危機克服の緊急対策を論じた。にも拘
わらず、昨年は軍や党幹部への食糧配給も断続的に止まった。

断崖絶壁に立つ金正恩氏の連続ミサイル発射の意味はまず、この苦境を打
開するために米国と交渉したいということだろう。同時に一連のミサイル
発射という強硬手段は、米軍に対する恐怖心の現われでもあろう。

前述の17年9月3日の水爆実験から3週間後、トランプ大統領(当時)はグ
アムから戦略爆撃機B‐1Bを北朝鮮に向かわせた。F‐15C戦闘機など十
数機に守られ、巨大な図体の爆撃機は正恩氏がそのとき滞在していた北朝
鮮の東海岸にある元山沖で模擬空襲演習を行った。米軍は正恩氏殺害も可
能だった。トランプ氏は元山沖での演習に「金がかかる」などと不満を述
べたが、マティス国防長官は「大統領に核兵器使用を勧めなければならな
い状況に備えて」「苦悩した」と語っている。状況は非常に緊迫していた
のだ。

米国の怒りが本物だと感じた正恩氏は、その後、核及びミサイルの実験を
ピタリとやめた。

そしていま米国は西太平洋に空母5隻を展開中だ。それを正恩氏が気に病
んでいないはずはない。追い詰められた正恩氏が逆に強気に出る可能性を
指摘するのは元防衛大臣、小野寺五典氏だ。

「バイデン政権の対北政策には、トランプ前大統領のときとは違って宥和
的な姿勢はありません。正恩氏は自分の力を見せつけるためにグアムに届
く中距離ミサイルを撃ってみせたのだと思います。北京五輪の後には
ICBMの発射実験もあるかもしれません。その場合、米国はウクライナ
を狙うロシア、北朝鮮、中国を相手に三正面の戦いに直面することになり
ます」

ウクライナが屈服するとき

昨年8月末、バイデン氏はアフガニスタンからの米軍撤退を実現した。中
東と中国の二正面作戦は出来ないために、中東から撤退して中国に集中す
るためだった。しかしわずか5か月で情勢は大きく変わり、二正面を超え
て三正面の戦いの危険性が高まっている。

ロシアのプーチン大統領のウクライナ戦略がどうなるかはわからない。08
年の北京五輪のときも、14年のソチ冬季五輪のときも、プーチン氏は他国
を侵略した。今度もウクライナ軍事侵略に踏み切る可能性はあるだろう。
そのとき米国は、いま論じているような対ロシア経済制裁だけで乗り切れ
るか。NATO諸国からもっと強い行動を求められるのではないか。米国
が動かなければウクライナはロシアに組み敷かれる。米国が何もせずウク
ライナが屈服するとき、中国は好機到来と考え、台湾にあらゆる面から圧
力を強めるだろう。日本存亡の危機でもある。

中国がどれ程性悪な国か、知っておきたい。09年の出版で、トーマス・
リード、ダニー・スティルマン両氏による『核の急行便』から引用する。

ちなみにリード氏は米国空軍の長官を務め、レーガン政権下で国家安全保
障会議のスタッフだった。氏は、戦わずしてソ連を崩壊に導いたレーガン
政権の対ソ政策立案に貢献した。スティルマン氏は原爆の研究で知られる
ロスアラモス研究所に28年間勤めた核の専門家だ。

同書は結論の部分で中国、とりわけケ小平の役割を特記している。ケに
よって核兵器は第三世界に拡散されたというのだ。ケはまず、パキスタン
に核技術を与え、アルジェリアの砂漠地帯に秘密の原子炉を築きプルトニ
ウム生産を試みた。サウジアラビアには核兵器のみ搭載可能なミサイルを
売った。北朝鮮の核開発を黙認し、石油欲しさにイランの核開発計画にも
目をつぶった。核だけでなく大量虐殺が可能な生物化学兵器の拡散に、ケ
は最も熱心だった。

中国の犯行

06年、北朝鮮の核実験を受けて、国連では北朝鮮の港に出入りする船を臨
検すべしという声が起きた。それに中国は断固反対した。そのうえ、国際
規約で禁じられている物資や製品を核拡散諸国が北朝鮮で調達する際、中
国はそれら諸国の航空機が中国上空を飛行する便宜を図った。

米国がイラク戦争に突入する直前、中国はイラクにミサイルの部品を送っ
た。またミサイル誘導装置に必要なソフトを「子供用のコンピュータソフ
ト」と偽ってイラクに供与した。パキスタンの死の商人、カーン博士には
核兵器に関する情報をひとまとめにして教え、カーン氏はそれをリビアや
イランなどに売った。その他多くの事例は割愛する。

リード氏らは、中国の犯行だという痕跡さえ残らなければ中国はニュー
ヨークやワシントンへの核攻撃にも反対しない可能性があると結論づけて
いる。

三正面の戦いで米国の苦戦は当然だ。日本がなすべきことは少しでも早く
日本の力を強くすることだ。日米間には菅・バイデン両首脳の共同宣言、
日米の「2+2」などでの合意がある。いずれも台湾の安全と日本の安全
は事実上重なるとして、日米で中国に抑止力を効かせるという確約だ。万
が一、抑止が無理なら「対処する」とも合意した。対処するとは、行動を
共にする、軍事的に扶(たす)け合うということだ。ミサイルが飛び交う戦
いが予想されるとき、ミサイル防衛での対処は無理で、打撃力の強化が必
要だ。核で恫喝する中露北朝鮮に対して、わが国の非核3原則を2原則へと
一日も早く見直すことだ。戦争抑止の最大の力が核戦力であることを認識
したい。
    

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◆開戦前夜/24“悪の三傑”露中+ベラルーシに制裁を

“シーチン”修一 2.0

【Anne G. of Red Gables/433 2022/2/21月】マッチョがウリのプーチ
ンもすっかりヂヂ臭い体形になってきた。この頃では権力から離れても訴
追されないという「免責法案」成立を狙っているようだが、上手く行くか
どうか。

2014年のウクライナ領クリミア半島侵略以来の国際社会による経済包囲
網にコロナ禍も加わってロシア経済は減速気味、これではプーチンは“有
終の美”を飾って引退というわけにはいかない。これぞという国史に残る
ような華々しい実績を創らなければ、という焦りがありそうで、プーチン
は今度はウクライナ東部を侵略するつもりである。軍事力で世界秩序を突
破し、ロシア・ソ連帝国再生の名君になりたいのだろう。

ロシア国民は日々の生活が多少なりとも上向けば着いて来るだろうが、
上手く行くかどうか、かなり怪しいのではないか。国際通貨としてドル、
ユーロ、ポンド、円は信用があるが、ロシアのルーブルは脆弱で、「ロシ
アがウクライナに侵攻すれば米欧は大規模な経済制裁に踏み切る構えで、
通貨安やインフレ、成長鈍化への懸念が強まっている」(日経10/21)。

そもそもロシア経済はかなり脆弱だ。「服部倫卓ブログ ロシア・ウク
ライナ・ベラルーシ探訪2021/5/17 非原料・非エネルギー輸出が増えた
と言ってもゴールド頼みでは・・・」から。

<私はロシアの通商政策を研究しているが、現時点(2021年5月)で
プーチン政権が最重要視していることになっているのが「非原料・非エネ
ルギー商品」の輸出を拡大するという目標である。石油・ガスをはじめと
する原燃料に偏重した輸出構造を脱し、商品の多角化・高度化を遂げよう
というわけだ。

2020年の非原料・非エネルギー輸出の動向をまとめたロシア輸出セン
ターの資料によると、2020年のロシアの非原料・非エネルギー輸出は1613
億ドル(18兆5495億円)に上り、コロナにもかかわらず、過去最高を達成
した。

ただ、その中身が問題であり、2020年の非原料・非エネルギー輸出の主
要品目をまとめると、次のようになる。

金(ゴールド):185.4億ドル、小麦:81.9億ドル、プラチナ族:78.4
億ドル、鉄鋼半製品:48.6億ドル、精錬銅:46.4億ドル、木材:43.1億ド
ル、アルミニウム・同合金:42.2億ドル、冷凍魚:28.3億ドル、ひまわり
油:28.1億ドル、複合肥料:27.4億ドル、鉄鋼鋼板:25.5億ドル、窒素肥
料:24.9億ドル、ターボエンジン・ガスタービン:20.7億ドル、ニッケ
ル:18.6億ドル、カリ肥料:17.8億ドル

このように「非原料」と称しながら、現実には限りなく天然資源に近い
ようなプリミティブ(初歩的)な商品が多い。2020年にはゴールドが高騰
したため、その輸出が221.6%も急増、それによって非原料・非エネル
ギー輸出全体も押し上げられた形である。

ロシアは資源の国際価格に翻弄されないためにも非原料・非エネルギー
輸出を伸ばしたいのだが、現実には一部商品の高騰に助けられて2020年に
その輸出増を達成したという逆説がある>

ゴールドとプラチナ輸出で263.8億ドル(3兆円)! 何となく“お宝”まで
売る「タケノコ生活」、そのうち「売り家と 唐様で書く 三代目」となり
そうな・・・ハイテク産業への突破口が開けないこんな状態を「中進国の
罠」と言うが、プーチン・ロシアも罠にはまるのか。

プーチンはコロナ禍による経済後退をワクチンではなく、効き目抜群の
ウォッカでいち早く乗り切ったようだが、それをチャンスと見てウクライ
ナ侵攻を決断したのかも知れない。しかし昨年から高インフレが始まり、
今はかなり怪しい気配がする。ブルームバーグ2022/2/19「ロシア経済、
2021年は4.7%拡大――08年以来の高成長」から。

<世界最大級のエネルギー輸出国であるロシアは、2021年の経済が過去
10年余りで最高の成長率を記録した。原油高と個人消費の伸びが後押し
し、新型コロナウイルスの感染拡大による前年のリセッション(景気後
退)から回復した。

ロシア連邦統計局によると、昨年の国内総生産(GDP)は前年比4.7%増
加した。ブルームバーグが調査した市場予想は4.5%増。政府の景気刺激
策や世界的な景気回復、原油高が成長を押し上げた。20年は新型コロナ対
策の行動制限などが響き、ロシア経済は2.7%縮小していた。

ロシア中央銀行のナビウリナ総裁は先週、コロナ禍からの回復期は終わ
り、今や経済は過熱しつつあると警告した。中銀は過去1年間に政策金利
を合計5.25ポイント引き上げたが、それでもインフレ率は中銀目標の2倍
を超えて推移している。同総裁は今年の成長率が2−3%に鈍化する可能性
が高いとし、来年はさらに減速するとみている。

ウクライナを巡り緊張が高まる中、西側諸国がロシアに新たな制裁を科
す恐れがあることも見通しを曇らせている>

日本外務省の「ロシア連邦基礎データ」はちょっと古いが、おおよその
状況は分かる。それによると――

<◆貿易(2017年)(1)輸出:3519億ドル(燃料等鉱物製品,鉄鋼,貴
金属等)(2)輸入:2285億ドル(機械類,医薬品,衣類)(3)主な貿易
相手国:輸出上位から中国,オランダ,ドイツ,ベラルーシ,トルコ,イ
タリア、輸入上位から中国,ドイツ,米国,ベラルーシ,イタリア

◆総兵力:現役約90万人(準軍事組織「国境軍,国内軍他」約55万人を
除く)、予備役約200万人。国防費は2010年以降増加の一途をたどり、
2016年は3兆7750億ルーブルと前年比増>

プーチンはウクライナ侵略に際して、インフレ率の上昇、ルーブルの下
落、西側先進国の猛反発は「想定外」だったのではないか。2014年のクリ
ミア半島強奪の際は狡猾なハイブリッド戦で成功したが、今のウクライナ
東部侵略はそれと似ており、自由陣営は「同じ手は食わぬ」と警戒してい
るはずだ。

zakzak 2022/2/16「日本復喝! 台湾が警戒する中国“ハイブリッド戦”
情報戦やサイバー攻撃で相手を攪乱し、無血併合を画策か 日本国内でも
不可解な事案発生の危険性」から。

<ロシア軍はウクライナ国境付近の兵力増強を続けている。この様子
を、中国の習近平国家主席や、台湾の蔡英文総統はじっと見ている。ロシ
アは2014年、ウクライナ南部クリミア半島を併合した際、情報戦やサイ
バー攻撃を組み合わせて戦略目標を達成する「ハイブリッド戦」を展開し
た。ウクライナと台湾の連動が懸念されるなか、産経新聞論説副委員長の
佐々木類氏は、中国による「台湾有事」でも警戒される軍事戦略に迫った――

北京冬季五輪開幕直前の1月24日、台湾国防部は、中国軍の最新鋭電子
戦機「殲16D」が初めて台湾の防空識別圏(ADIZ)に進入したことを確認
した。同機は、レーダーや通信システムなどを攪乱・無力化する能力を持つ。

警戒すべきは、殲16Dの進入が、これまでの戦闘機や爆撃機による軍事
的威圧や牽制で終わらず、本格的な台湾侵攻につながる兆候かもしれない
ということだ。本格的な侵攻といっても、中国軍による着上陸作戦など正
規軍による攻撃ではない。「ハイブリッド戦」である。

「ハイブリッド戦」とは、戦闘機、艦船などの軍事力だけに頼らない作
戦だ。例えば、軍艦ではない船舶による領海侵入や上陸、正規軍ではない
武装兵の動員、電力や通信網といったインフラ破壊、サイバー攻撃による
フェイクニュースの拡散などで相手を攪乱し、知らぬ間に優位な状況をつ
くり出すことを狙いとする。

ロシアが2014年2〜3月にかけ、ウクライナのクリミア半島を占拠し、自
国領土に組み込んだ際に用いた戦術だ。ロシア・ソチで開催された冬季五
輪の閉幕直後、サイバー攻撃などによるインターネット通信やテレビ、ラ
ジオなどへ電波妨害を行い、正体不明の武装組織(=高度に訓練されたロ
シア特殊部隊とされる)が議会や空港、行政施設を瞬く間に占領した、あ
れだ。

ソチ・パラリンピックの直前であり、世界中がまさかこのタイミングで
クリミア半島に手を出すまいと油断していたその隙だ。わずか2週間で、
人口250万人、九州の7割の面積を持つクリミア半島が、ロシア主導の透明
性を欠く住民投票の後、ほぼ無血でロシアに併合されてしまった。

中国が「台湾統一」で狙うのは、まさにこうした戦術とみられている。
もともと「孫子の兵法」の国である。戦わずして勝つことを考えるのは必
然だ>

戦国の武将曰く「戦争は5勝1敗とか5勝2敗がいい。勝ち過ぎると“勝ち
パターン”に捉われ、敵に作戦を読まれて大敗するからだ。時々敗けるこ
とで新たな作戦が生まれるから、敗戦は悪いことではない」。

プーチン・ロシアの「クリミア式ハイブリッド作戦」。策士、策に溺れ
るというが、いくら自由陣営が寛大、お人好し、ボンクラでも「二匹目の
ドジョウ」はムリだろう。騙された方は「その手は桑名の焼き蛤」と警戒
するのは当然だ。プーチン・ロシア、習近平・中共、ルカシェンコ・ベラ
ルーシともども“アカの三バカ”に国際社会はさらなる制裁を課すべし。買
わない、売らない、付き合わない。包囲戦は効き目がある。「独裁者 み
んなでなくす 地球の輪」、同志諸君、頑張ろうぜ!


     

━━━━━━━━━━━━━


◆米国務省、ベラルーシからも

「宮崎正弘の国際情勢解題」 
  令和四年(2022)2月18日(金曜日)
     通巻7223号 <前日発行>
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 米国務省、ベラルーシからもアメリカ人の退去を勧告
  ウクライナの米大使館は誰もいなくなった。ミンスクもまた?
*****************************

(以下は拙著『日本が全体主義に陥いる日』(ビジネス社)のベラルーシ
の章の縮約)

 日本からベラルーシの首都ミンスクへ行くにはモスクワ経由が一番近
い。320人乗りのエアバスが毎日二便以上モスクワへ飛んでいるからで
ある。ベラルーシはヴィザが必要な国だが、加えてロシアのヴィザも必要
だ。ロシアと軍事同盟を結んでおり、ベラルーシはロシアの「国内」扱い
となっているからだ。

 モスクワに一旦、「入国」するとミンスク行きは「国内線」ターミナル
にあった。出入国審査はかなり厳しい。ミンスク空港から街へ入る高速道
路で目にした看板は英語、ベラルーシ語、ロシア語の順番。人々はロシア
語、ついで母国語、若い人は英語も喋るがたどたどしい。ドイツ語のほう
がよく通じる。

 ミンスクで雇ったガイドのO氏は東洋言語学者のアルバイト、日本にも
二年の留学経験を持つ。夏目漱石が好きで、なかでも『心』を好むという
正調日本語を操る紳士だった。
 歴史を振り返っても、ベラルーシはモンゴルに攻められたこともあれ
ば、リトアニア公国、ポーランド大公国と主が入れ替わり、ナポレオンが
通過し、ナチスが侵入し、ユダヤ虐殺にも手を貸した。

戦後はロシアに合体されて、「ソ連の一員」という悪夢の時代が長く続い
た。このような経過の中でベラルーシ独自の歴史観は成立しにくく、ソ連
時代の残滓として言語状況にロシア語優位がくっきりと残った。歴史学に
も確乎としたものがない。誇るべき文化遺産が希薄だったからである。

 ベラルーシの国土の半分は森林。観光ガイドブックに謳われている「妖
精の街ミンスク」などという惹句ゆえか、よく耕された広々とした畑の向
こう、緑深い森の間からひょこっと可愛い妖精でも現れそうな、心和む景
色が続いている。

そしてその緑と畑を潤しているのは大小数知れない湖だ。海の出口がな
く、屹立する山脈もなく、標高400メートル足らずの丘が一番の高地だ
とか。台地と低地、湿地帯の緩やかな起伏が全土に展開され、小麦、ライ
麦、大麦、そして酪農。いまはサトウキビの青々とした葉がどこまでも続
いていた。

 ▼KGB本部、レーニン像が残った

 街にはレストランが多い。都心では郷土料理、イタリア料理やフランス
系のしゃれたレストランが繁盛しており、赤カブ主体のボルシチスープが
美味かった。グルジアからの美味なワインにもありつけ何よりも物価が安
いので旅行者にとっては魅力的な街だ。
 ロシアのマンションがユーロ建てであるように、この国はマンションの
ローンは米ドル建てである。

 ベラルーシは二重構造社会であるようだ。
 広大な広場に屹立しているレーニン像の奧に、異様な、いかめしい建
物。ガイドブックに何のビルかの記載もない。「おそらく旧共産党本部で
しょう?」という筆者の推定にガイド氏は「そうだ」と小さく頷いた。外
見上は廃屋、まるでがらんどうである。

 そこから二百メートルのところに不気味な、幽霊屋敷のごとき無機質な
建物がある。これが悪名高き旧KGB本部だ。まさにオペラ座かと錯覚す
るほどに豪華な彫刻が玄関脇を飾り、しかし玄関は開かずの扉、職員は裏
口から出入りする。この建物、しかも街のど真ん中に位置する。これもま
たガイドブックに何の紹介もない。ガイドのO氏が教えてくれるまで分か
らなかった。

 対面の小さな公園の入口にはKGB初代議長だったジェリジンスキーの
銅像があった。
 懐かしくも気味悪い名前である。撮影していたら「血まみれの男さ」と
ベンチに所在なげに座っていた初老の男が吐き捨てた。

 ベラルーシの人々は忍耐強く、恥ずかしがり屋、そして勤勉である。こ
の点は日本人と似ている。つまりインモラルで行儀の悪い中国人は大嫌
い。ところがその中国が15億ドルの投資を運んできたから外交では中国
重視に傾き、ロシアのプーチンを慌てさせた。いかにもルカシェンコ大統
領らしい狡猾な遣り方である。

 ▼シャガールもシャラポアもグロムイコもベラルーシ人だ

 ベラルーシの誇りはテニスのシャラポワ、かつてのグロムイコ外相。そ
して画家の巨匠として知られるシャガールだろう。

 夢と幻想、おとぎ話のような世界を描く、抽象的なリアリズムで知られ
るシャガールはベラルーシ生まれのユダヤ人でフランス、米国にながく暮
らしたが、ミンスクの北東300キロのヴィテプスクという街が故郷だ。
それを聞いて車を飛ばして行ってみた。往復九時間の強行軍となった。

 ヴィテプスクの人口は37万強。繊維産業とトラクター、農薬、肥料の
他、ロシアとの国境に輸出特区があり、また製薬産業が有名である。市内
には薬科専門大学もある。
 しかし町を歩くと嘗て20万人もいたユダヤ人街はあとかたもなく、ナ
チスに協力したユダヤ人虐殺の跡地を埋めて完全に消し去った。ポーラン
ドのアウシュビッツのような収容所跡も完全に消され、シナゴーグの残骸
がひとつだけあった。

 ユダヤ人だったシャガールはベラルーシの人々にはつつましやかな誇り
であるようだ。生家跡記念館、アートセンターはひっそりとして、外国か
らの僅かな観光客の求めに応じている。地元の人々はあまり立ち寄らない
らしいのだ。ドイツ人への憎しみはないらしい。ロシアに対しては好きも
嫌いもなく、死活的に重要な国という位置づけである。 
  ●
 このベラルーシからアメリカ人の退去を米国務省は在留米人に勧告し
た。キエフの米国大使館はすでに無人、幽霊屋敷化している。
    
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
★読者の声  どくしゃのこえ  READERS‘ OPINIONS 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ♪
(読者の声1) 「言論テレビ」(櫻井よしこ氏主催)の番組「花田編集長
の右向け、右」
宮崎正弘さんがゲスト出演です。テーマは「中国経済はとうに死んでい
る」(仮題)。およそ40分ほど。
https://www.genron.tv/ch/hanada/
 放送は2月18日(金曜)午後10時の予定です。
   (言論テレビ)

 ♪
(読者の声2)未来ネットの番組「宮崎正弘の生インタビュー」(2月
16日生放送)のゲストは福山隆元陸将。テーマ「インテリジェンスとは
何か」でした。アーカイブでご覧いただけます。
https://www.youtube.com/watch?v=ETe5duPyL7g

 討論は下記のように進みました。
(1)インテリジェンスとは何か 広報(PRとは宣伝のみならず広く知ら
しめる)
秘密工作(敵陣営にスパイ、影響力ある代理人など)
謀略工作(攪乱、陽動、偽情報、怪文書)。心理・法廷・宣伝戦=超限戦
(ハイブリッド戦)
(2)日本の先駆者たち。川上繰六、田中義一、中村天風、石光真清、福
島泰正、廣瀬武雄、明石元二郎。そして戦争中の神本利男、小野寺信、藤
原岩市
(3)陸軍中野学校(1938〜45)。卒業生2500名
広い知識と柔軟性、融通性が必要。予備仕官学校将校が適任。東京帝大、
一橋大学。拓殖大学が多く早慶、明治。拓大には大川塾も。岩畔豪雄とい
う天才がいた。F機関、南機関、ハリマオetc。そして小野田少尉
(4)JCIAは可能なのか? 内閣安全保障室、総理府、公安調査庁、
警察はあるが。。。
GRU、KGBのロシア現代版はGRV、FSB、SVR。米国はOSS
からCIA、そしてFBI。中国は孫子の伝統。英米が日本にファイブア
イズ参加を勧誘してきた。
 ●次回は3月18日、ゲストは岡部伸(産経新聞前ロンドン支局長。元
モスクワ支局長)の予定です。

  ♪
(読者の声3)YOUTUBE 2/17日放送、「福山隆氏(元自衛隊陸将)『宮
崎正弘の生インタビュー #18』インテリジェンスとは何か」について。
 優秀なスパイは一人で、兵士数万人の働きも可能で、大変コスパが高
い。しかし、スパイ本人にとっては割りの合わない仕事で、外地で地味な
目立たない面白くない普通の生活を強いられ、本業が露見すれば、拷問に
遭い殺される。
あるいは、寝返って敵の家来になる。007の映画でも、楽しい優雅な生
活もあるが、よく殺されそうになる。
 故に平和な時代には、多くのCIAの人材の中でも現地に赴任を望む者は
ほぼ皆無になり、電子的な情報にのみ依存し、快適で安全な米国内で解析
することで、茶を濁す。家族と離れることもなく、普通の生活ができる。
現地にいれば、まずい食事、汚い環境、病気、などなど。現地の言葉も文
化も直ちに正確に習得せねば、素性がバレてしまう。
そんな卓越した才能と苦労があれば、国内で金融機関などで雇用され、か
なりの高給が保証され、身の危険もない。
トかつて中近東で働いていたスパイRobert Baer氏が言っていた。彼は、
大学時代に目をつけられ、勧誘され、スパイ訓練学校で審査を受け、必要
な能力があると判断され、アラビア語を学び、教育され、現地に送られた。
https://www.youtube.com/watch?v=382M7AxK6eU(英語、重要)

 もう一人の男John Perkins氏も大学在学中に発掘され、CIAで教育を受
け、米国民間金融機関の中南米の現地に派遣され、民間人として現地の政
治家、企業家と交渉する。彼の場合は、公には民間企業の高官ではある
が、米国政府の戦略の実現の手段としても機能することになる。
要は、サラ金の仕組みを拡大し、小さな国の政府要人を賄賂で操り、膨大
な負債を負わせ、資産を合法的に奪う、という支那の手口を行っていた。
純粋に民間人ではないので、必要があればCIAの工作員と共謀し、邪魔に
なる者を暴行、殺人などの手段を使って計画を実現させる。氏は、良心の
呵責により、改心し、内情を暴いた。「Confessions of an Economic Hit
Man」2005年、著者 John Perkins
 
いずれの場合にも、大学を出て仕事について家族を持って仕舞えば、勧誘
することは困難であろう。
プロの野球、サッカー、囲碁の人材を集めるように、中学くらいの若いう
ちから候補者を見つけて、継続的に勧誘・訓練をするような方法が必要だ
ろう。参加を希望するものには夏休みなどに集めて教育、訓練をし、適正
な者を選んでいく。
CIAの場合、田舎の目立たない別荘を使っている。正しい教育をすれば、
国家のために犠牲を厭わぬ者が生まれるだろう。才能のある偏差値の高い
者は、利己的でなく正義感も高いという傾向がある。国益に貢献すると
は、高貴な作業である。
 しかし仮に立派なスパイが養成され、貴重な情報が秘密裏に外務省に届
けられても、それが現地の駐在員から敵に筒抜けになっては、意味がな
い。スパイの身元も暴かれ、見せしめに公に拷問されてしまう。

故に日本の敵、敵の代弁者、外務省をぶっ壊す、ことから始める。そもそ
も、日本の主要機関、政府、文科省、NHK, などには敵のスパイが巣食っ
ているのだろう。まず、これらの寄生虫を排除。それには、まず検察、裁
判所の中のスパイを排除。多くの反日、親中、媚中の日本人は事実上、自
発的に金も女も与えられずに、スパイとして機能している。バカな本人も
気づかない、罪の意識もないらしい。
それは彼らの「無知」に由来する。無知を製造するのが文科省・日教組
(在米のKM生)

  ♪
(読者の声4)貴誌7222号、(読者の声2)、在米のKM様のご投
稿、ここ20年の共産中国の勢力拡大と、今後30年に共産中国が一層勢
力拡大するかと想像すると、孫たちの時代の日本の将来像に深い危惧を抱
かざるを得ず、KM様の御指摘に強く賛同する者ですが、文中で、「そし
て、国防、食糧、エネルギーなどの必須条件を早急に国内で確保する」と
述べておられます。
 小生にはこのKM様の論は、極めて非現実的に感じられ、それらが「確保
出来ない」からこそ、右往左往の今日の我が日本の政治状況と思うのです
が。。
KM様はその主張に対応する「具体的な諸施策(の案)」はお持ちなので
しょうか? もし良ければお聞かせ下さい。 
(KI生、尼崎市)

   ♪
(読者の声5)シンガポール陥落から80年。1943年にインド国民軍が作成
したプロパガンダポスターがある。イギリスの分割統治と強欲をよく表現
しており、チャーチルが蜘蛛の巣の中心にいて、周りの網にかかったイン
ド人から盗んだ金塊を持っている。
https://www.reddit.com/r/PropagandaPosters/comments/rno7kc/smash_the_spider_and_save_india_an_ina_poster/
 色調を鮮やかに再現したものがこちら。
https://www.topfoto.co.uk/asset/4291283/
https://onl.la/Dg3vT3s
 ベンガル語?のテキストは、「自由の絶好の機会が到来しました。起き
てください。立ち上がって、英国の柵/鎖を壊してください」。
 チャンドラ・ボースが 尻尾に星条旗のリボンをつけた獅子(英国)の首
を刎ねるもの。
http://www.psywarrior.com/BoseBeheadsLionIndia.jpg
 英国統治下で死屍累々、独立すれば平和で豊かになることを表現。
http://www.psywarrior.com/JPIndia03.jpg
 日本の宣伝もなかなかのものです。
  (PB生、千葉)

2022年02月12日

◆今、米国の足らざる点を日本が補え

櫻井よしこ


日本ルネッサンス 第985回

1月19日、就任1年を記念してバイデン米大統領が記者会見を行った。1時
間51分、79歳の老大統領は立ったまま、語り続けた。

米中対立の構図が明らかないま、世界の命運は事実上バイデン氏の肩にか
かっている。とりわけ日本は憲法の制約もあり唯一の同盟国に大きく依存
している。バイデン氏の世界戦略こそ、日本の最大の関心事だ。

演説で大統領が語ったことは2点だった。武漢ウイルス(バイデン氏は
COVID-19としか呼ばないが)と、インフレである。

前者については、就任時にワクチン接種済みの国民は200万人だったが1年
後は2億1000万人に増えたと実績を誇った。3度目のワクチン接種の加速、
PCR検査、マスク、飲み薬の普及などについて実績を大いに誇った。後
者に関してはインフレ抑制策として三つの具体策を詳述した。他方、中
国、ロシア、北朝鮮などには言及がなかった。米国は元々内向きの大国だ
が、外交、安全保障について冒頭のスピーチでは一言も触れないのだ。但
し、記者達の質問でやむなく語りはした。

バイデン氏は冗長だ。四方八方に話が広がり、主旨不明瞭だ。会見では政
権批判の質問が続いた。

〈インフレは加速、議会は停滞、大統領推進の投票権保護法案の失敗は明
らかで、コロナウイルスの死者は日々1500人、米社会の分断は埋まらな
い。大統領は米国民に能力以上を約束したのではないか〉

このように大統領及び民主党政権全体の能力を疑う質問が続いたのに対
し、バイデン氏は果敢に答えた。

「私は、皆の期待以上によくやっている。ウイルスによる死者の数は、少
し前はその3倍だった。状況はよくなっているんだ」「過去の大統領の誰
よりも自分はよくやっている」と繰り返した。世界が落胆したアフガニス
タン撤退の拙劣さについても「弁解はしない」と、強い自信を見せた。

失礼な質問が飛び出す

米国民のコロナによる犠牲者が100万人に近づきつつある中、昨年11月、
習近平中国国家主席との3時間半にわたるオンラインの首脳会談で、な
ぜ、武漢ウイルスについて追及しなかったのか、子息が中国の銀行が関わ
る投資案件に関係しているためか、との問いへの答えが振るっている。

「その問題は提起した。私は彼(習近平)と長い時間を過ごした」

―ではなぜ、その件は会談後の発表に含まれていなかったのか。

「側近達は会談全体を通してずっと私の側にいたわけじゃないんだ」

バイデン氏は、米中首脳会談の一定の時間、側近が席を外して一人で習近
平氏と語り合っていたと言っていることになる。そんなこと、あるわけが
ない。

ロシアによるウクライナ侵攻の危険性については、バイデン氏の主張は、
控え目に言っても不明瞭だ。「小規模侵略なら、我々は何をすべきか、す
べきでないか争うことになる」「国境に展開した軍隊を動かせば、米国と
同盟国はロシア経済に多大な犠牲を払わせる」「ウクライナ侵攻はロシア
側に多大な犠牲を生む。彼らは時間をかけて勝利する(prevail)だろう
が、その結果は重く、生々しいはずだ」とも語っている。

凄まじい犠牲は伴うが、ロシアは勝利するだろうなどと、米国大統領が
言ってよいのか。ロイター通信が、プーチンに小規模侵略を許すつもりか
と質したのも当然だ。バイデン氏の回答は次のように迷走気味だ。

「大国はハッタリで脅すことはできない」「プーチンの目的はNATOの
弱体化だ」「万が一のときはロシアにドルとの交換停止措置を取るが、ロ
シア、米国、EUにとってその衝撃は大きい」「ロシア軍がウクライナに
侵攻すれば状況は一変する」「しかし、彼(プーチン)が何をするかによ
る。我々が何をどこまでするかはNATO全体がまとまりきれるかにもよ
る」と答えた。

文章が文章になっておらず、言い間違いも少なくない。何度も言い直すた
めに、最終的に何を言っているのか、明確でない。こうした状態は一体何
を示すのか。

「ニュースマックス」が「ポリティコ/モーニングコンサルト」の世論調
査を引用して尋ねた。「ジョー・バイデンは精神的に健全(mentally
fit)か」との問いに、49%が「否」と答え、民主党員の過半数も否定的
に答えたが、何故このような疑問が生じると思うか、と。

右の問いに大統領は「わからない」と答えたが、会見のあとの方で「私は
世論調査は信じない」と言い切った。こんな失礼な質問が飛び出すほど、
バイデン氏の評価は落ちているということだろう。

砂上の楼閣

日本はどのように対処するかである。バイデン氏の欠点は忘れて、米国と
力を合わせることが最も重要だとまず確認しなければならない。バイデン
氏本人の能力ではなく、米国の能力と意思に注目することだ。相対的に力
を落としても米国は依然として世界の超大国で、わが国の唯一の同盟国
だ。米国の足らざるところを日本が最大限の努力で最速で補い、中露に対
する抑止力を築くことがわが国の国益だ。

中国の脅威は深刻だが、彼らの力が長く続くはずのないことも認識してお
きたい。中国の勢いはまず内側から殺がれていくはずだ。人口減である。
中国の合計特殊出生率は1.3、わが国の1.34より低い。米国は1.7、欧州の
平均は1.5だ。ついでに言えば韓国は0.84である。

統計によると、2030年までに中国の生産年齢人口(15歳から60歳)は7000
万人も減る。他方、高齢者は1億人も増える。中国は人口が大きいため
に、一度は米国のGDPを抜いて世界一の経済大国になる。その時期は当
初33年と見られた。中国経済が好調でこれが28年に繰り上げられたのだ
が、今再び33年に見直された。米国は中国に一旦抜かれても、今世紀中に
再び中国を抜き返して世界最大の経済大国に戻る。

中国共産党は社会保障制度も医療保険制度も整えていないために、超高齢
化社会で国民の不満は募り、国家運営が安定する保証はない。2億台の監
視カメラで国民を雁字搦(がんじがら)めにしても、それが平和的、安定的
な統治を可能にするわけではない。

ウイグル人、チベット人、モンゴル人に対する弾圧と虐殺の統治はおよそ
全ての心ある人々、民族、国々に忌み嫌われている。中国には真の友人な
どいない。軍事力に特化した強さを有していても、人間を幸せにしないの
であるから全て砂上の楼閣のようなものだ。

中国がいずれ力を落としていくのは避けられない。そのときまでたとえば
あと10年、私たちはこの一番大変な時期を米国や欧州、インド、豪州、ア
ジア諸国と共に頑張ればよいのだ。日本が強くなることだ。

            
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


◆雀庵の「開戦前夜/19アジア版NATOの創設を急げ」

“シーチン”修一 2.0

【Anne G. of Red Gables/429(2022/2/10/木】父が食料品店を開業、次い
で株式投資も始めた関係で、小生も小5あたりから「日経」を読みだし
た。近所の寿司屋の親父(第2の父、文藝春秋を読んでいたインテリ)の
ところでは「週刊新潮」も読んだ。もっとも当初は日経は「私の履歴
書」、新潮は「黒い報告書」くらいしか興味はなかったが・・・横浜市立
大学商学部に進学したのは日経の影響が大きかった。

<森泰吉郎(もり たいきちろう、1904/明治37年3月1日 - 1993/平成5
年1月30日)は、日本の実業家、経営史学者。森ビルおよび森トラスト・
ホールディングスの創業者。学者として横浜市立大学で商学部長・教授な
どを務めた。

1946年に横浜市立経済専門学校(横浜市立大学の前身)教授となる。
1954/昭和29年からは同大の商学部長となった。

横浜市大では大学に通うのは週に2、3日程度で、残りの時間は土地の整
理やビル建設に取り組み、1955年(昭和30年)に森不動産を、翌1956年に
は泰成(現・森トラスト・ホールディングス)を設立して第1森ビルが竣
工した。

積極的に事業展開を進め、1970年頃には高度経済成長や都市集中のトレ
ンドをうまく捉えて、小規模な会社を大企業に成長させることに成功し
た>(WIKI)

森泰吉郎、森ビル・・・ニュービジネスが大好きな日経は称賛しまくっ
て、小生も随分、その影響を受け、横浜市大商学部に進んだわけだ。初め
の一歩の「簿記」で挫折してしまったが・・・

<「黒い報告書」は 1960(昭和35)年11月に連載が開始。男と女の愛
憎や欲をめぐって起きた現実の事件を読み物化した。「週刊新潮」の名物
連載である>(amazon)


「週刊新潮」とは縁があり、部下が新潮編集部員の親戚で、一度だけだが
取材を受けた。目黒のバーのチーママは新潮の表紙を描いていた谷内六郎
の随分年下の妹で、男と女の“大人の愛”を教導してくれた。のめり込んで
いたら「黒い報告書」のネタになっていたろう。

まあ「人生を知る、社会を知る」という点では日経、新潮ともに勉強に
なったが、簿記とか経済をそこそこ学んでいれば人生は随分変わっていた
かもしれない・・・多分、カネと女、蓄財畜妾美酒美食を追いかけるとい
う“つまらない”方に傾斜ていたかもしれない。つまるか、つまらないかは
人それぞれだろうが、小生は「欲少なく足るを知る、足るを知りて分に安
んずる」、知足安分の生き方を選んで良かったと思う(アンタは世間知ら
ずのお坊ちゃま!と罵倒されたが)。

ひたすら「もっともっと」とカネ儲けに夢中になると「兜町の風雲児」
と持てはやされた人のような、あまりいい死に方をしないのではない
か・・・彼は2020年2月20日、月4万8000円のアパートで焼死(自死?)、
それから2年になろうとしている。

小生は経済音痴なのに一時期「旅行産業アナリスト」なんていう肩書を
使っていた。決算報告書を見ても「経常損益」「経常外損益」「繰越損
益」くらいしか知らなかったが、それで事足りた。リクルートから依頼さ
れて学生相手に「旅行産業の今」とかのテーマで講演したこともあった。
随分アバウトなことをしたものだが、若いから勢いがあったのだろう。

今は中共バッシングのために「七十の手習い」で経済学を勉強し始めた
が、水野和夫著「閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済」は難しくて歯が立
たなかった。経済学の素養のあるインテリ向けなのだろう。一方、野村総
合研究所(NRI)のサイトにあった「木内登英の Global Economy &
Policy Insight」はそこそこ理解できた。野村證券の顧客の多くは普通の
人だから「分かりやすく」書いているわけだ。

<木内 登英(きうち たかひで、1963年11月29日 - )は、日本のエコ
ノミスト。元日本銀行政策委員会審議委員。元野村證券金融経済研究所経
済調査部長>WIKI)。NRIには「証券会社エコノミスト、政策当局者の経
験を踏まえ、内外の経済・金融情勢分析、金融・財政政策評価、マーケッ
ト分析など、幅広いテーマで木内登英が解説します」とある。氏の論稿
「習近平体制下で顕著となった『国進民退』」2021/4/16から。( )内
は修一。

<中国当局は中国電子商取引大手のアリババ・グループに対して独占禁
止法違反で巨額の罰金を科すとともに、その傘下で金融プラットフォー
マー(GAFAなどネット上で大規模なサービス提供する企業)のアント・グ
ループに対して、当局の監視下に置く再編案を固めた。

プラットフォーマーに対する規制強化は、2020年末から急速に進み始め
たが、その底流には、習近平が長らく進めてきた、民営企業に対して国有
企業の影響力を高め経済活動に対する国家の統制を強化する「国進民退」
の動きがある。

国有企業の効率性の低さが長らく問題視されてきた中国では、1990年代
には、国有企業の民営化などの改革が政府によって進められてきた。しか
し、習近平体制となってからはその改革の勢いも落ち、逆に国有企業の強
化が図られている。「政府による経済の統制強化」の傾向が強まっている
のである。

習近平は(民間ではなく)「共産党の指導体制」こそが中国の「奇跡の
高成長」をもたらした原動力として、その維持、強化を志向している。さ
らに、米国との間で生じた激しい貿易摩擦によって、中国のハイテク製品
の製造に必要な半導体などの部品の海外からの供給が制約を受ける中、半
導体の内製化を一気に進めるなど、海外に依存するサプライチェーン(供
給連鎖、供給網)を見直して、できるだけ自国内で完結できるように、
「自力更生」を進める必要に迫られたのである。

こうした習近平自身の経済思想と外的要因の2つが重なり、政府・党の
影響力が直接的に及ぶ「国有企業を重視」する傾向が強まっていったので
ある。その反面、民営化などの国有企業改革は進みにくくなった。こうし
た傾向は「国進民退」と呼ばれている>

トウ小平の「改革開放」にブレーキをかけ、王政復古のように毛沢東式
の国有企業優先、共産党員だけが旨い汁を吸う、非効率で、孤立的な経済
へ戻そうというのが習近平の「中国の夢」なのだろう。中共版“アンシャ
ンレジーム=党員の、党員による、党員のための国家”再興だ。

確かに共産主義独裁体制は、トップの指示ですべてが素早く動くから効
率が良い。その半面、トップダウンの計画経済では「市場の今」に即応で
きないために無駄、無理、無謀が多くなり、人民のニーズについぞ応えら
れずにソ連は崩壊した。

共産主義経済は「勘定合って銭足らず」になりやすい。小麦1000トンを
モスクワに送れ、と中央が地方に命令する→ 不作や猫ババで800トンしか
集まらない→ 機関車が来る駅の倉庫は500トンしか収納できないから300ト
ンは野ざらしになる→ 機関車は待てど暮らせど来ない(修理するための部
品が届かないため)→ 雨が降って300トンは腐る→ どうにか送れたのは500
トンだが、書類上は1000トンにしてある。そうしておかなければ関係者す
べてが反逆罪で収容所送りになるからだ。

この話は殺人鬼スターリンに殺された殺人鬼トロツキーの論稿が元ネタ
だが、スターリンは2000万〜3000万人を、毛沢東は4000万人を餓死させ、
北の金3代は1000万人を餓死させているだろう。人民が餓死しても気候の
せいにするから独裁者は平気、反省なんてしないのが共産主義者の原点で
ある。カンカラ菅、鳩ポッポ、江の傭兵=河野洋平、村山・・・他国のこ
とを嗤えやしないが「国民は民度に合う為政者しか持てない」のは真理だ
ろう。

1945年からの戦後にユーゴスラビアのチトー大統領は共産圏ではいち早
くソ連式経済から脱退して(ソ連からすればユーゴを追放)「自主管理社
会主義」という「ボトムアップ」体制にし、多民族国家をまとめ、そこそ
こ上手くやって民生は安定していた。しかし、カリスマ的なチトー亡き後
はタガが外れて各民族は疑心暗鬼、昨日までの隣人を恐れ、やがて憎悪す
るようになり内乱勃発。1990年代以降はスロベニア、クロアチア、ボスニ
ア・ヘルツェゴヴィネ、セルビア、モンテネグロ、マケドニアに分裂して
しまった。

習近平・中共は「社会主義独裁&市場経済」みたいな“いいとこどり”を
狙っているようだが、上手く行くかどうかはすこぶる怪しい。「中国版
『新しい資本主義』か――共産党の巧みな投資で蔚来汽車が復活」
Bloomberg 2022/2/7から。

<新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が始まった2020
年前半、中国の電気自動車(EV)メーカー、蔚来汽車(NIO)は破綻の瀬
戸際にあり、米テスラのライバルになると期待を寄せていたベンチャー
キャピタルや外国人投資家からも見放されていた。この時、米ナスダック
上場のNIOに手を差し伸べたのは中国共産党だ。

安徽省の省都、合肥市はNIO中核事業の株式17%を50億元(約910億円)
で取得。同社は幹部を上海から合肥に移し、上海から500km近く内陸に
入った合肥で増産を始めた。中央政府と安徽省も出資に参加した。民間企
業への規制と関与を強める習近平政権の特徴的な動きにも見えるかもしれ
ない。だがそう単純な話ではない。

NIOは21年の早い時期に初めて黒字に転換し、同年末までに9万台余りを
売った。合肥市は出資を通じて経営権を握ろうとするのではなく、株式取
得から1年以内に持ち株の大半を売却。ロンドンやニューヨークの民間投
資家のように、NIOの株価急騰に合わせ保有株を手放し、最大で5.5倍のリ
ターンを確保した。

合肥市トップの虞愛華・党委員会書記は昨年6月のテレビ放送されたイ
ベントで、「NIOへの投資でわれわれは遠慮なく稼いだ」と述べた。同社
創業者の李斌氏は「政府のために稼ぐことに戸惑いはない。人民のために
稼いでいる」と語った。

中国の資本主義はここ数年で一段と変化しており、地方政府が民間企業
の少数株主となる事例が増えている。合肥市はいわばパイオニアだ。1950
年代から科学研究の中心地だった合肥市は、巧みな投資により人口約500
万人の活気ある大都市に変貌。経済成長という観点からすれば中国メディ
アが「合肥モデル」と呼ぶ手法が機能しているようで、2020年までの10年
間、合肥の域内総生産(GDP)は目覚ましい伸びを記録した。

米シカゴ大学と中国の清華大学、香港中文大学の研究者は、中国のあら
ゆる登記企業3700万社余りを分析。これらの企業が最終的に6200万人、お
よび中央政府から市や村に至る約4万の公的機関・組織によって所有され
ていることが判明した。つまり中国の「資本家」総数は6200万ということ
になる。

主要起業家と国とのつながりは深まっている。19年時点で最も裕福な個
人所有者7500人(所有企業への投資資本の規模から判断)の半数強が、公
的機関が投資している1社以上を所有していた。

シカゴ大ブース経営大学院教授でこの調査プロジェクトに携わったチャ
ンタイ・シエ氏によれば、「完全な国有企業でもなく本当の民間会社でも
ない」企業がトレンドだ。「この曖昧な灰色の領域が今、中国で支配的だ
と私が考える企業構造だ」と同氏は話している>

日本で言う半官半民企業のよう。NTT、JR、JT、日本郵便、ゆうちょ銀
行、NEXCO・・・独占的で親方日の丸、首切りなし、待遇も悪くな
い・・・公共的な企業だから国がバックになって支えているわけだが、中
共の「国進民退」は「共産党員利権拡大」そのものではないのか。

対内的には「6億の貧困層の民生の向上」や、対外的には「自由で公
平、公正な通商」という国際ルールに近づける場面なのに、習近平一派は
「公共」を装って「社会主義独裁&市場経済」という、プーチン・ロシア
のような「利権経済」で低成長からの国威回復を狙っているようだ。

李克強総理が2021年12月23日に主宰した「国務院常務会議」では、貿易
の安定的発展の推進に向けた政策などについて討議が行われた。真家陽
一・国際貿易投資研究所 特任研究員/名古屋外国語大学教授「RCEPを中心
とした2022年の中国の通商政策」2022/1/14 によると、李克強らは現状を
こう厳しく危惧している。

<2021年の中国の貿易は急速に増加し、経済成長の安定に重要な貢献を
果たした。しかし、現在、貿易は不確定、不安定、不均衡要因の増加に直
面している。市場開放をさらに拡大し、困難に対する対応措置を打ち出
し、貿易の安定的発展を促進しなければならない。

RCEP(包括的経済連携協定、アジア・太平洋の11か国が加盟)は2022年
1月1日、正式に発効する。企業がこの契機を捉え、国際市場への参入競争
力を向上させ、貿易と投資の水準を高め、国内産業の高度化を図ることを
支援しなければならない>

G7など先進国や近隣諸国と対立する場面ではない、と政治的に閑職に追
い詰められた李克強(共産主義青年団派)は同じくアンチ習近平の江沢民
派(上海閥)に「習近平降ろし」共闘をアピールしたのだろう。効き目が
あるかどうかは分からないが、習近平は警察部隊と中共軍兵士の多くを農
村戸籍=低学歴=忠実の人材にしているらしいから、ルーマニア軍が独裁
者チャウシェスクを処刑したような武力での「習近平降ろし」はまず不可
能だ。米国によるピンポイント攻撃はあり得るが、現実的ではない。

習近平は「国進民退」「共同富裕」で党と貧困層(主に農村戸籍)の支
持を固め、アジア征服・軍事制覇で版図を拡大し、「偉大なる中国の復
興」を狙っている――これは間違いない。毛沢東と並ぶ、あるいは毛沢東を
超えるのが「習近平の夢」なのだから。

5年に1度開かれる今秋の中共党大会で3期目就任を狙う習近平一派と、
それを阻止する反習近平派の派閥抗争は表には出ないが、激烈な工作合戦
が進んでいるだろう。しかし「良い予感は外れる、悪い予感は当たる」か
ら、そんな中共の内紛を当てにはできない。日台・アジア太平洋諸国に
とって最大の危険要因である習近平一派を排除する、さらに諸悪の根源で
ある中国共産党を消滅させるために何をすべきか、EUを含めた中共包囲網
「アジア版NATO」の創設は「平和を愛する諸国民」の義務である。

   
━━━━━━━━━━━━━
  

◆中国初の半導体製造装置

「宮崎正弘の国際情勢解題」 
  令和四年(2022)2月9日(水曜日)
      通巻7212号
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
米商務省、上海マイクロを「輸出監視リスト」に追加
  中国初の半導体製造装置メーカーを米国が警戒
**************************

 2月8日、米国商務省はエンティティリスト(輸出監視リスト)に
SMEE(上海マイクロエレクトロニクス)を加えた。追加リストは合計
33社となった。
 トランプ政権の中国制裁路線を引き継いだバイデン政権は、NY株式市
場からチャイナモバイルなど通信三社を含む十数の中国企業を排斥し、ま
たファーウェイなど軍に繋がりの深い中国企業との取引も禁止し、米国の
半導体製造メーカーのインテルなど中国に半導体を供給している企業に
は、輸出許可が必要とした。

 インテルは政府補助金を得て、新工場をアリゾナ州に造成するが、台湾
の「台湾積体電路製造股?有限公司(TSMC)も同州進出を決めてい
る。熊本県が誘致したTSMC工場は最先端のチップを精算するのではな
く汎用製品だ。
 
米国のエンティティリストには、ファーウェイ、ZTE、中国航天、
JHICC、SMICなどが含まれるほか、海外ではおよそ無名の中小企
業である杭州ゾンケマイクロエレクトロニクス社、湖南ゴケ、新HIC、
西安電気などが含まれる。

 問題はSMEE(上海マイクロエレクトロニクス)である。
 この企業は中国初の半導体製造装置メーカーで、半導体の自製、自給体
制を急ぐ中国にとっては極めて重要なベンチャー。米国はすぐに「監視リ
スト」に加えて警戒態勢を敷いたことになる。

 現在世界の半導体メーカーは日・米・オランダに集中しており、オラン
ドのASMLがトップ、米国アプライド、日本の東京エレクトロン、特別
仕様のソニー、キアノンなどがある。

業界筋はSMEEの技術ではまだ28ナノという、先端技術とは言えない
レベルであり、世界が競合しているのは7ナノの世界だから、気にするこ
とはないという。
      
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

【知道中国 2327回】         
 ─英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港209)

   △
 彼女と広州に住む姪との手紙の遣り取りを「仲介」したことから、文革
期の中国とまでは拡大する積もりはないが、少なくとも広州地域における
庶民生活の一端を垣間見せて貰った思いだ。
曽妹を通して知った彼女と広州に住む親戚の「関係」は印象深い。

 或る日、日本に荷物を送ろうと梱包していると、「ドレドレ何をしてい
る」とばかりに近寄ってきた。それから梱包用に入手した厚手の紙を手に
取って、「これはなんだい?」。これで荷物を包み紐で縛って日本に送ろ
うと思うと説明すると、「お前は世間を知らない」とばかりにニヤニヤし
ながら、「お前も、しょせんは日本仔だ。知恵が足りないなァ。いいか
い、荷物というモノは紙ではなく布で包んで送るものに決まっている。そ
うすれば、荷物を受け取った相手は包んでいた布を使うことも出来るだろ
うに」

 「ハイハイ。だけど、ここまで梱包しちゃったから」と。
すると、「どうしようもないヤツだ。物事が解っていない」などとブツブ
ツ言いながら、向こうへ行ってしまった。

 そう言われれば彼女は時に洋服生地、時に何枚ものタオルを縫い合わせ
て作った大きな布で小包を梱包し、セッセと広州の親戚に送っていたっ
け。荷物の中身は多くは中国製の食用油であり、梱包した布もタオルも中
国製だったように思う。
沙田駅前の墟市で中国製の缶入り食用油や布やタオルを買って、広州の身
内に送っていた。つまり中国製品が香港に渡り、香港の人々に買われ、そ
れが中国にUターンして消費されていたことになる。

 曽妹は春節を1か月半ほど前にする時期になると、独り身の生活では使
い切れないほどの日用品を買い込んだ。毎年そうだった。そんな大量の
品々を、どうやって消費するのか。
 じつは毎年春節を挟んだ1か月ほど、彼女は家を空けることが常だっ
た。親戚と春節を祝うために広州に出掛けていたのである。

 その出で立ちがモノすごい。何枚も上着を重ね着し、ズボンの上にまた
ズボンである。モッコモッコに着ぶくれた姿で、様々な生活必需品を天秤
棒の前と後に振り分けて、勇躍と広九鉄道に乗り込む。
あの姿で、よく歩けるモノだと感心するばかり。春節を前にした広九鉄道
の車両が超着ぶくれした乗客ですし詰め状態になるのは、毎年のことだった。

 誰もが広九鉄道で羅湖まで行って、そこで深セン河に架かる橋を歩いて
渡り、深セン駅で広州行き列車に乗り込む。広州へ、広州へ。さらに広州
から親戚の待つ田舎へ、である。

 春節が過ぎてしばらくすると、彼らはUターンして香港に戻ってくる。
その姿は出掛けた時とは大違で、着の身着のままに近い。身につけていっ
た大量の衣服は脱いで、天秤棒で担いだ大量の日用雑貨と共にキレイさっ
ぱりと親戚に置いてくる。
あれほど大量の荷物を運んだ天秤棒にブラ下がっているものは、せいぜい
故郷特産の干した鶏、臘鴨、それに乾燥雪菜など。当時は、この程度でも
貧しい親戚からすれば精一杯のお礼だったはずだ。

 これでは出掛けた時の「勇姿」とは金銭的に釣り合いが取れないはずだ
が、なぜか彼らの顔はニコヤカ。曽妹にしても事情は同じ。疲れた様子を
みせはしても、2、3日が過ぎると、また以前のようなオ節介な曽妹に戻っ
ていた。

 当時の中国は四人組の絶頂期であり、孔子(儒教)や『水滸伝』への批
判運動が展開されていた。内外のメデイアにしても、表面的で公式的な中
国報道はあったにせよ、四人組政治の下での庶民の姿──この段階で、「上
に政策あれば下に対策あり」のメカニズムが動き始める──に関しては知る
ことはできなかった。だが幸いなことに、曽妹との日々から「下に対策あ
り」の「対策」の一端を窺うことが出来たわけだ。

 「上」が掲げる「自力更生」という「政策」に、「下」は香港の血縁か
らの手助けという「対策」で対抗した。

 国外の血縁によるカネやモノが文革時代の貧しく混乱した「下」の生活
を支えたなら、「下」による面従腹背式の「自力更生」では・・・アッパレ!
       
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読者の声  どくしゃのこえ   READERS‘ OPINIONS
  
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(読者の声1) 第23回公開シンポジウム開催のお知らせ
靖国神社崇敬奉賛会では例年開催している公開シンポジウムを本年は、
ネット配信でも実施致します。
       記
第23回公開シンポジウム「生きるということ ━日本を守る。未来を拓く━」
【講師】  衆議院議員 高市早苗氏
      麗澤大学大学院客員教授・モラロジー道徳教育財団教授 ?
橋史朗 氏
      司会進行 ジャーナリスト 葛城奈海氏
【日時】  令和4年2月19日(土)
      14時 第一部 基調講演 高市早苗
          第二部 質疑応答
詳しくは下記をクリックしてください。【配信チャンネル】崇敬奉賛会公
式チャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCJWj--GyjMzw5xzT0l5YQWQ
(靖国神社崇敬奉賛会

  ♪
(読者の声2)ネットで第二次大戦関連の地図を検索していたら面白いも
のがあった。1943年12月のTIME誌による地図で[TURKEY at the
CROSSROADS]というもの。Google Earthのように地平線が丸くバルト海以
北は描かれない。
https://i.redd.it/x8n8ppqjzvf81.jpg
 ドイツは黒海に注ぐドナウ川沿いに勢力を伸ばし、地図でもチェコ、ハ
ンガリー、ユーゴ、ルーマニア、ブルガリア、トルコを勢力圏にしようと
したのが一目瞭然。もう一つポーランドからベッサラビア(ソ連時代はモ
ルダビア共和国、現在のモルドバ)を経て黒海に注ぐ川はドニエステル
川。河口のすぐ東はオデッサ、クリミア半島は目前である。ドニエステル
川のポーランドからベッサラビア周辺がガリツィアであり、イスラエルの
指導層のほとんどはガリツィアに行き着く。
 アメリカ国務省のブリンケンやヌーランドも元をたどれば東欧の出自で
あり、ウクライナは大統領も首相もユダヤ系だからロシアのガス代金の踏
み倒しなど当然、私欲の塊でウクライナが破綻しようがどうでもいいのか
もしれない。
アメリカのロシア非難は韓国の日本非難と同じく自分の悪だくみを相手に
投影しているようにも思える。
 TIME誌の地図に話を戻すと、地中海には英米連合軍、黒海にはソ連軍、
ブルガリアはすでに爆撃されている。欧州戦線では英米は戦略爆撃でドイ
ツを破壊したが、ベルリンまでの地上戦はソ連軍が主役。クリミア半島の
ヤルタで脇役だったチャーチルが東欧へのソビエト覇権を認めざるを得な
かったことがよくわかる。
ドイツのポーランド侵攻で始まったはずの戦争が、終わってみればロンド
ンのポーランド亡命政権など事実上なかったことにされた。ヤルタの密約
が戦後体制の基本となり、ロシアが第二次世界大戦の勝者を自認する根拠
なのだから、プーチンがクリミア半島を手放すことなどありえないだろう。
 現在とは地名や国境も異なっている。ギリシャのサロニカ(テッサロニ
キ)、トルコのスミルナ(イズミール)とも第一次世界大戦で戦略上の要
衝。ガリポリの戦いはチャーチルが失脚する原因としても有名。
 ギリシャは第二次世界大戦ではドイツの支配下となり、商業で栄えた
テッサロニキなどのユダヤ人は収容所へ送られた。収容所から生還した少
女の手記ではギリシャのユダヤ人とはフランス語が共通語。
収容所内のユダヤ人の序列はドイツ出身が上層、次いで東欧中心のドイツ
語話者、西欧などのフランス語話者がその下、ドイツ語もフランス語も話
せないのが最下層となる。戦争のたびに国境が変わるのだからユダヤ人が
語学に強いのも当然か。
 トルコの戦略上の重要性は100年前から変わらず、着々と軍事力を強化
する様はオスマン帝国の再来を目指しているようだ。
リビアやシリアに介入し、ドイツにトルコ人移民を送り、さらにアラブの
難民を送り込む。100年単位で見れば、欧州ではトルコ系やアラブ系政治
家が台頭しイスラム教徒の繁殖力で欧州を乗っ取るのかもしれない。
  (PB生、千葉)


━━━━━━━
重 要 情 報
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身 辺 雑 記
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12日の東京湾岸は快晴。

渡部亮次郎わたなべりょうじろう86歳。

元NHK政治部記者。当時「文芸春秋」に「赤坂太郎」で
政治評論を書いた。1字10円だった。

仙台、盛岡局勤務の後、東京の政治部へ。河野一郎を
担当。河野先生は酒 を一滴も飲めなかった。毎夜、赤坂の料亭に立ち
寄っていたが、お膳を前にお茶を飲んでいたとは。呑み助の私には想像も
できない。
外務大臣秘書官。その後、社団法人の理事長を18年間。
現在は年金生活者。メルマガ「頂門の一針」主宰者。
 
秋田県生まれ1936年1月13日。どこといって故障個所は無いから100位まで
は生きるだろう。このメルマガの届かなくなった日が私の死亡日です。

兄は81で、姉は91で死んだ。遺伝の話をすれば、 父親は60台に死んだが
母親は98まで生きた。

渡部 亮次郎

2022年02月03日

◆中国擁護の公明党、自民への悪影響

櫻井よしこ

日本ルネッサンス 第984回

1月15日、都内で「ウイグルジェノサイドに日本がどう向き合うべきか」
という集会が開催された。主催は非営利団体(NPO)の日本ウイグル協
会である。会場にはウイグルの人達も含めて数百人が集った。1時間余り
にわたって6人の在日ウイグル人の皆さんが自身と家族の置かれている状
況を語った。どの人も親や兄弟姉妹、家族の誰かが行方不明になってい
る。殺害を疑わざるを得ない事例もある。情報が徹底して遮断されている
ために、肉親の生死の確認さえ容易ではない。

習近平政権が2期目に入った2017年以降、ウイグル人であるという理由だ
けで弾圧、殺害する政策が強化されている。

会の冒頭、自民党衆議院議員で「人権外交を超党派で考える議員連盟」共
同会長の齋藤健氏が挨拶し、1月17日開会の通常国会冒頭で中国政府に対
する非難決議の採択を目指すと語った。私たち日本人がウイグル人問題に
どう向き合うかは、中国共産党による人権侵害の本質をどうとらえるかと
いうことでもある。

習主席は、人類の持つ最新技術を駆使して全人民個々人への監視網を築き
上げた。街の至るところに設置されている監視カメラは中国全土で2億
台、間違いなく世界トップだ。だがウイグル人などに対する情報収集はカ
メラによる24時間の監視だけではない。調査報道ジャーナリストのジェフ
リー・ケイン氏が上梓した『AI監獄ウイグル』(新潮社)には、ウイグ
ル人の家族全員が地元警察によって「健康検査」を強要され、採血から
DNAサンプルまでありとあらゆる身体検査で、考えられる限りの個人
データをとられる様子が描かれている。個人データは全て中国政府に管理
され、行動監視、反政府活動取り締まり、臓器調達などに活用される。国
民を徹底的に監視し、コントロールし、中国共産党及び習氏による独裁体
制の安定を図るのである。この徹底した一党独裁、専制政治体制を、国内
のみならず世界規模で実現するのが習氏の意図だと見て間違いないだろう。

ウイグル人問題はそれにとどまらないということだ。チベット人、モンゴ
ル人問題であり、香港、台湾、沖縄、日本問題なのだ。

埋め難い価値観の相違

習氏は17年10月の中国共産党第19回全国人民代表大会で、建国100年まで
に中華民族は世界諸民族の中に聳え立つ、人類運命共同体を築き全民族の
幸福をはかると語った。

14年には世界インターネット大会を中国主導で開催した。インターネット
こそ人民を監視し、取り締まる最強の武器だと見抜き、監視網の構築を急
ぐ狡猾さが見てとれる。

20年9月8日には王毅外相が、「グローバルデータ安全イニシアチブ」を提
起し、中国政府が地球上のデジタルデータのガバナンスを主導すると発表
した。

その1年後、習氏は中国で開催された世界インターネット大会への祝辞
で、「中国はデジタル文明によって人類運命共同体の構築を推進する」と
表明した。人間、企業、全ての組織、民族、諸国全てに対して、より正確
により厳しく監視・管理の網を張るというのだ。全人類が中国共産党の考
え方、その秩序の実践を迫られるということであろう。

私たちは香港の民主主義があっという間に消されたのを目撃した。チベッ
ト人、モンゴル人が厳しい弾圧を受け、国を奪われ、言語、文化、宗教の
みならず、多くの人々が拷問で死に、民族自体が消されつつあることも目
撃している。ウイグル人も同じ暴圧の真っ只中だ。中国共産党の暴虐をい
ま止めなければ、日本を含む周辺国は彼らの考える「人類運命共同体」の
下で支配されかねない。

米国も欧州各国も、中国共産党とのこの埋め難い価値観の相違に危機感を
抱き、本気で批判の矢を放ち始めた。ウイグル人弾圧をジェノサイド(大
量虐殺)と認定したのも、そのひとつである。

日本の国会も中国政府に抗議する段階にきたというのが、冒頭で紹介した
齋藤氏の挨拶だった。しかし、状況をつぶさに見ると、わが国の動きは恥
ずかしい限りだ。国会は、中国にウイグル人などへの人権侵害に関して抗
議し非難するはずだったが、それが実現せずに流れたのが昨年までの動きだ。

この非難決議案が公明党によって徹底的に骨抜きにされた。各党が合意し
た元々の原案そのものが「新疆ウイグル、チベット、南モンゴル、香港、
ミャンマー等」での「人権侵害」を「非難」するとなっており、非難され
る国として明記されたのはミャンマーだけで、中国は記載されなかったの
だ。このこと自体が理解し難いが、公明党はこれでも足りずに、中国に気
兼ねした恥ずかしいばかりの文章を出してきた。

百十数種の名誉称号

自民党政務調査会長代行の古屋圭司氏は、昨年12月半ば、公明党の竹内譲
氏が修正を入れた縦書きの紙一枚を出してきたと語る。それを私は別のと
ころから入手した。噴飯物である。公明党は「人権」と「平和」の党だと
自称しているが、国民を欺いている。

まず、決議文のタイトルを公明党がどのように修正したか。元々のタイト
ルは「新疆ウイグル等における深刻な人権侵害に対する非難決議案」だっ
たが、公明党は「人権侵害」を「人権状況」に変えた。「非難決議」から
非難の二文字を削除してただの「決議」に修正した。

本文で「深刻な人権侵害が発生している」と断定した部分は「深刻な人権
状況への懸念が生まれている」と柔らかい表現に直された。

「弾圧を受けている人々からは」支援を求める声が上がっているという件
りは、「弾圧を受けていると訴える人々」と変えられた。弾圧を受けてい
ると訴えているけれども、その訴えが本当かどうかはわからないという意
味にうすめられたのだ。

原案には以下のように、衆議院としての決意も書きこまれていた。「(人
権侵害や力による現状変更を)強く非難するとともに、深刻な人権侵害行
為を国際法に基づき、国際社会が納得するような形で直ちに中止するよ
う」強く求める。「立法府の責任において、深刻な人権侵害を防止し、救
済するために必要な法整備の検討に速やかに取り掛かる決意である」。

この二つの文章が全て削除された。公明党は中国の手先かとさえ思う。な
ぜこんなにしてまで、ジェノサイドと断罪されている中国政府の犯罪行為
をボカさなければならないのか。池田大作氏は中国政府や中国の大学など
から百十数種もの名誉称号を受けている。日本国民への裏切りはそうした
称号と引き換えなのか。

自民党はこんな情けない政党に引きずられている。まるで内容のないこん
な決議を国際社会に発表することこそ日本の恥だろう。日本は道徳を重ん
じ、人道主義を大事にするもっと立派な国だったはずだ。自民党よ、そん
な日本を取り戻すために、いま死に物狂いになれ。
        


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◆高市氏による事実究明

伊勢雅臣

在日朝鮮人の総数は約61万人はみな自分の自由意思によって日本にとど
まった


24日の衆院予算委員会での自民党の高市早苗政調会長の質問を聞いてい
て、政府が何と答弁するか耳をそばだてた場面があった。高市氏が昭和
34年の外務省記事資料の内容について、現在も政府の公式見解か否かを
問うたところである。

「現在日本に居住している朝鮮人の大部分は、日本政府が強制的に労働さ
せるためにつれてきたものであるというような誤解や中傷が世間の一部に
行われているが、右は事実に反する」

「現在登録されている在日朝鮮人の総数は約61万人であるが、最近、関
係省の当局において、外国人登録票について、いちいち渡来の事情を調査
した結果、右のうち、戦時中に徴用労務者としてきたものは245人にす
ぎないことが明らかになった」

「現在日本に居住している者は、前記245人を含みみな自分の自由意思
によって日本にとどまった」

また、昭和14年から20年の終戦直前までに約100万人も増加した内
地の朝鮮人のうち、(1)約70万人は自ら職を求めてきた個別渡航と出生
による自然増加、(2)残りの30万人の大部分は鉱工業、土木事業などの
募集に応じて自由契約に基づき渡来した、(3)国民徴用令により導入され
た徴用労働者の数はごく小部分であり、所定の賃金などが支払われている
−とも明記されている。

この資料は高市氏が「そんな古い資料はもうない」と渋る外務省に探させ
たところ、「昭和35年の『外務省発表集10号』の中にあった」と提出
してきたものである。

高市氏が国会でこの問題を最初に取り上げたのは、もともと民主党政権が
永住外国人への地方参政権付与を目指していたことが背景にある。

例えば、当時の原口一博総務相は「自分の意思に反して(日本に)連れて
こられた人が、地方で投票の権利を持つのは日本の国家として大事なこと
だ」と主張していた。この認識自体が大間違いなのである。

「佐渡島の金山」(新潟県)の国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界
文化遺産への推薦に関しても、一番重要なのは登録の可否ではないのでは
ないか。

韓国が「韓国人の強制労働の被害現場だ」と虚偽に基づく宣伝戦を仕掛け
ていることに対し、受けて立つか立たないかこそがまさに問われている。
        



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◆苛立つ中国、米国議会には「台湾防衛」

「宮崎正弘の国際情勢解題」 
  令和四年(2022)1月31日(月曜日)
     通巻7203号 
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 頼清徳副総統、ホンジュラスでハリス副大統領、米国でペロシ議長等と会談
  苛立つ中国、米国議会には「台湾防衛」が共通語となっていた
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 2022年1月27日、ホンジュラスで新大統領の就任式が開催された。
左派与党連合のシオマラ・カストロが女性初の大統領となり、日本からは
宇都隆史参議院議員も就任式に駆けつけた。式典にはスペイン国王、コス
タリカ大統領、アルゼンチン副大統領、ベリーズ副首相等も参列した。

カストロ大統領は中国との関係を重視しているため、台湾は頼清徳副総統
を送り込んだ。米国はハリス米副大統領を派遣し、ホンジュラスでは頼清
徳副総統と会談した。
ホンジュラスは台湾と外交関係を維持する14ヶ国の一つ。人口僅か一千万
人、そのうちの一割は米国で働き、家族へ送金している。この米国への出
稼ぎによる本国送金だけでホンジュラスGDPの25%を占める。

 さて焦点は台湾である。米国は政治演出を凝らしたのだ。在台湾の「米
国在台湾協会」(事実上の米大使館)ジェームズ・モリアーティ会長はカ
リフォルニアで頼副総統を出迎えた。

頼は英文名でウィリアム・ライを名乗り、次期台湾総統の最有力候補でも
ある。米国は経由便であれ、乗換であれ米国ビザを必要とする。入国審査
には2時間かかることは日常茶飯だが、頼一行はすぐにホテルに入った。
最初の経由地のロサンゼルスでは米上下両院の議員らとオンラインで話し
合いをもった。

このオンライン会議には、民主党のエド・マーキー上院議員、議員団を率
いて台湾を訪問したマーク・タカノ下院議員ら計17人が同席した。
蕭美琴駐米代表(駐米大使)は、「オンライン会議に出席したすべての議
員が台湾問題を懸念している。台湾支持が、米議会の共通言語になってい
る」と強調した。

頭に血が上ったのは中国だ。
中国外外交部の趙立堅副報道局長は、「中国はいかなる形でも米台の公的
交流に断固反対だ」とし、米側へ厳正に申し入れたとした。

 まだ続きがあった。
帰国に際して頼清徳副総統は、こんどはサンフランシスコを経由した。就
任式翌日の1月28日に空港に近いハイヤットホテルに陣取り、ペロシ米
下院議長と30分のオンライン会談。ペロシ議長は台湾の武漢肺炎対策を評
価し、またWHOテドロス事務局長に「台湾が(WHOに)参加すべき
だ」と訴えたことを明らかにした。

ペロシはまた「台湾海峡の安全を強く懸念し、台湾との友好政策を推進す
る」とした。
米国が与野党を問わず、ここまで台湾支援を政治的に演出し、世界にア
ピールしたことは瞠目に値するだろう。
頼の6日間に及んだ外遊は絶好の外交宣伝となった。

     
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読者の声  どくしゃのこえ   READERS‘ OPINIONS
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(読者の声1)佐渡金山の世界遺産申請を巡って、テレビで橋下徹が「僕
が韓国の立場なら『佐渡金山を進めるなら慰安婦の記憶遺産も進めてく
れ』と主張する。片方だけ進めるのは世界が受け入れない」と発言した。
 化けの皮がはがれたというか、やはりこの人物は三流の左翼ですね。
   (SI生、奈良市)



  ♪
(読者の声2)米国での2021年度の高級車売上台数、上位10社で、1位
と2位はほぼ同数、bmw(独)と tesla(米),3位は lexus(トヨタ),
以下、 m.benz(独), audi(独), accura(ホンダ), cadillac(米),
volvo(中国), lincoln(米), land rover(印)。テスラは年間50%
の急成長をしているので、来年度には大きく差をつけて1位になると予想
される。
購買者は裕福で、車に対する知識も経験もあり、かつ米国人であるにも関
わらず、自国のGMやFORD社の人気は下がった。両社とも多額の負債、年金
の支払いなどのため、3年以内に倒産すると予想される。とても新規にEV
に切り替える予算も準備もできていない。
 かつて戦後の日本の製鉄所は、全て新規であり、他国に比べて最新、最
効率、最高品質、であったためたちまち世界最強になった。
同じ理由で、テスラの最新の工場はすでにトヨタを抜いて、生産台数で全
米一位になった。あまりにも多くの予約が入っているため値上げをしている。
全自動運転のアプリは100万円から120万円に値上げした。これを使った運
転手無しのタクシーを運営すると、その価値がわかる。
現在の自家用車の使用時間は5%ほどで、95%は無駄に待機している。こ
の余力を使い、共有すれば、1台で5台分ほどの仕事をこなし、かなりの
収入になる。車が眠っている駐車場も必要なくなり、都市の効率も上が
る。既にテスラの交通事故率は平均値の1/10であり、しかも運転の全
ての記録が把握されているので、テスラ専用の保険会社を始めた。現在毎
年米国で4万人ほどの交通事故死が繰り返されているが、その原因の殆ど
がヒトであるため、テスラが広まるにつれ被害者も減る。
そのうち運転免許も、シートベルト、保険、病院、医師の数なども減って
いく、だろう。

 最新の公表によると、待たれていた新型車の生産は来年に遅らせる。し
かし、冗談だと思われていたAI ロボット(名前;OPTIMUS ) を来年にも
始める
この世で最も価値のあるものとは価値を生む、富を産む、役に立つ人間で
ある。
故にかつては費用をかけて奴隷(ヒト)を捕まえてきた。ロボットとは進
化した効率的な奴隷、であり高い価値を産む。テスラの車は既に必要なAI
機能を備えているので、車輪の代わりに手足をつければ、出来上がる。
ヒトがやりたくない「3K労働」、単調なつまらない仕事、介護などを引
き受け、いずれは、「知的な関係」をも持つらしい。
可愛いだけが取り柄の、「SONYのアイボ犬」が、立派な大人に進化したよ
うな、友人、親子、保母さん、配偶者的な機能も果たせば、その価値は計
り知れないほど大きい。
マスク氏は「ワビ・サビ」を少しの不完全さ、劣化と認識し、それが人間
関係にも有用だろうと言っている。つまり全知全能完璧なロボットでは、
ヒトは困惑
し敬遠してしまう。だから意図的にヘマをしたり、物忘れ、自虐性、冗
談、などの「人間らしさ」が組み込まれる。一人暮らしの年寄りには全遺
産を相続させるほど価値がある。相続権を巡り子、孫はテスラを提訴する
が、本人の希望、深い感謝、愛情を無視はできまい。ところが、そんなロ
ボットを引き継いだ子供は、親の記憶をも相続し、より深い関係を結ぶこ
とになるだろう。その家専属の歴史家にもなる。病気になると医師はロ
ボットの観察、意見を聞くことになる。
 早ければ5年、遅くとも10年以内にヒトを火星に送る、と言ってい
る。10万人ほどの移民が住む街を作るために計画している。全ての資材を
地球から運搬せねばならない。最初の1万人ほどは、酸素も飯も睡眠も必
要のない奴隷ロボットなのだろう。全世界的に閉鎖的、独裁的、反自由、
反言論、反科学・医学的な悍ましい社会が形成されていく中、テスラの社
員は断乎として黙々と夢の社会の実現を図っている。
FACEBOOKとは対照的に、全て物理的に工場で「ものづくり」された商品。
日本、ドイツ、米国などの製造業にとっては脅威であるが、他の国民に
とっては大変ありがたい。かつてのトヨタもホンダもSonyも、世界中に迎
えられていた。
キャデラックもリンカーンも、ベンツやレクサスが攻めて来る前には羨望
の的だった。
(在米のKM生)



  ♪
(読者の声3)貴誌通巻7196号(読者の声1)と同7198号(読者の声3)
の続き。(第二十六代)継体天皇の宮殿「樟葉の宮」跡の有る『交野天神
社』訪問の記憶から、平安の皇族狩場「禁野」の交野ヶ原への夢想と続
き、意識は古代日本に於き地政学的に見て戦略上重要位置に在る、(京都
府八幡市)男山の『石清水八幡宮』上空を彷徨う。そして、古(いにし
え)の武士(もののふ)八幡太郎義家を想いつつ、正月二日の「臨済宗鎌
倉五山巡礼の旅」へと、半ば無理やりに話を繋げる(笑)。
 少し逸脱すると、(清和天応の御代の)859年に九州の宇佐神宮から勧
請された石清水八幡宮のサイトには、「男山は(京の)都からみて裏鬼門
(南西の
方角)に位置し、鬼門(北東の方角)に位置する比叡山『延暦寺』と共に
都の守護、国家鎮護の社として篤い崇敬を受けてきました」とある。鬼の
出入口「鬼門」の思想は、平安遷都以降に陰陽師達が広める。元々は古代
シナの信仰だが、おらは「古代シナ≠現代中国」の立場を取り、近視眼的
な短期的政治利害から歴史を歪める中国共産党のプロパガンダや(ある意
味でカウンターパートの低レベルな)一部保守に与しない。
http://iwashimizu.or.jp/about/history.htm
https://kotobank.jp/word/%E8%A3%8F%E9%AC%BC%E9%96%80-441777

(腹立たしいのは、公共放送NHKや文部省認定の中高歴史教科書から歴史
学専門の大学教授まで、古代シナの事を「古代中国」の秦や漢王朝などと
出鱈目な表現を使う。それは古代ヨーロッパを「古代EU」と呼ぶ様なもの
で、誰でも「古代EU」のマケドニアやローマ帝国と聞けば、出鱈目だと理
解出来るのに、「古代中国」という表現にはもう違和感を感じない。ま
た、「中国三千年の歴史」という嘘表現はメディアで平気で流れるが、も
し誰かが「EU三千年の歴史」と言えば袋叩きだ。ここだけの話だが、実は
「中国」も「EU」も共に二十世紀に創られた(爆笑)。
 京の都の鬼門(北東)には、「都富士」と呼ばれた(京都府と滋賀県の
府県境に位置する)比叡山(ひえい・ざん)、裏鬼門(南東)には男山が
ある。古事
記には比叡山は「淡海(おうみ)の日枝(ひえ)の山」と記され、古代か
ら山岳信仰の対象である。また、古事記に依ると、「日枝の山」の山頂に
現在の『(滋賀県大津市『日吉大社(ひよし・たいしゃ)』の原型が記さ
れるが、(第十代)崇神天皇の御代の七年目に日吉社(ひえ・しゃ)は比
叡山の山頂から東麓の現在地に移る。空の山頂には、788年に最澄が延暦
寺を建立。日吉大社は延暦寺の鎮守府となる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AF%94%E5%8F%A1%E5%B1%B1

 整理すると、日枝(ひえ)は日吉(ひえ)で比叡(ひえい)である。さ
らに、日吉(ひえ)は日吉(ひよし)と読みを変える。同例として、(大
阪大阪市)住吉大社(すみよし・たいしゃ)の読みは、元々は住吉(すみ
のえ)で、住吉(すみよし)と変化した事が有る。競艇場の有る(同市)
住之江(すみのえ)は読みの当て字である。
 日吉大社は(全国三千八百社有る)日吉・日枝・山王(さんのう)の総
本社である。山王権現と呼ばれる同社は、猿を神の使いの「神猿(まさ
る)」とする。そこから連想するは幼名が日吉丸(ひよし・まる)の豊臣
秀吉が「猿」と呼ばれた話である。通説では秀吉は猿顔とされるが、果た
してそれだけか。(因みに、延暦寺の在る比叡山焼き討ちを嫌々行った秀
吉と共に、戦闘に参加した明智光秀の居城となったのは、大津市坂本にあ
る日吉大社と目と鼻の先の(滋賀県大津市)坂本城である)。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E5%90%89%E5%A4%A7%E7%A4%BE

 平安時代の京都の鬼門・裏鬼門の思想は、後に徳川幕府の拠点である江
戸に移植される。京都の鬼門(北東)の霊的守護は比叡山の延暦寺(と、
日吉大社)で、裏鬼門(南東)の霊的守護は男山の石清水八幡宮だが、江
戸幕府は開幕に当たり京都の先例に倣う。(初代将軍)徳川家康・(第二
代将軍)秀忠・(第三代将軍)家光の三代が帰依した(天台宗の)天海大
僧正が、江戸城の鬼門を霊的守護する寺院として、1625年に上野山王山に
『寛永寺』を建立。(第四代将軍)家綱以降は徳川将軍家の菩提寺ともなる。
http://kaneiji.jp/about
 京都の鬼門を守る(天台宗の)比叡山に倣い、江戸の鬼門を守る(同じ
天台宗の)寛永寺は、「東の比叡山」の意味で山号を「東叡山」とする。
(同寺では
幕末の江戸無血開城後に、(第十五代将軍)慶喜を慕う彰義隊が立て籠も
り、「東征大総督」有栖川宮熾仁親王麾下の大村益次郎率いる官軍と、
「上野戦争」で徹底抗戦するが壊滅。その後、徳川家菩提寺の寛永寺の広
大な敷地の多くは、新政府に没収されるが、明治天皇の恩賜という形で、
飛鳥山と共に桜名所の『上野恩賜公園』は日本初の公園となる。同内の有
名な西郷隆盛像の裏側にはひっそりと彰義隊の墓標が有る)。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8A%E9%87%8E%E6%88%A6%E4%BA%89

 江戸の裏鬼門の霊的守護だが、赤坂に『(東京都千代田区)日枝神社
(ひえ・じんじゃ)』が在る。ややこしいが、830年に「入唐八家」で第
三代天台座主の慈覚大師・円仁が『(埼玉県川越市)喜多院』を創建した
折に鎮守として、860年に坂本の日吉大社を勧請したのが『(同市)川
越・日枝神社(ひえ・じんじゃ)』。1478年に太田道灌が江戸城築城の際
に、川越日枝神社から分祀したのが赤坂日枝神社である。日吉・日枝・山
王など山王神道と天台宗は、神道と仏教の壁を越えて相性が良い様である。
https://www.hiejinja.net/about/index.html
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9E%9D%E7%A5%9E%E7%A4%BE_(%E5%B7%9D%E8%B6%8A%E5%B8%82)

 他に江戸の霊的守護なのが、鬼門の『(東京都台東区)浅草神社』と、
裏鬼門の『(東京都港区)増上寺』である。増上寺は、寛永寺と並び徳川
将軍家の菩提樹でもある。方角とは関係無いが、家康は遺言で「遺体は久
能山に納め、一周忌が過ぎたら、日光山に小さな堂を建てて勧請し神とし
て祀ること。八州(日本全土の平和の守り神の)鎮守となろう」と残す。
秀忠は遺言通り、家康の亡くなる1616年に『(静岡県静岡市)久能山東照
宮』を建立。翌年の1617年に『(栃木県日光市)日光東照宮』を建立。同
年に秀忠は天海に家康の改葬を命じる。
 その際に吉田神道と山王神道のどちらで祀るか論争となるが、天海は山
王を主張し神仏習合で祀る。1623年に天海は日吉大社近くに、『(滋賀県
大津市)日吉東照宮』を建立するが、1634年の家光の「日光社参」後の
「寛永の大造替」に影響する。山王神道など神仏習合は、(西洋一神教の
影響を受けた)明治維新の廃仏毀釈まで千年続いた。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E7%8E%8B%E7%A5%9E%E9%81%93
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E5%90%89%E6%9D%B1%E7%85%A7%E5%AE%AE
 新政府は西洋列強の圧倒的な産業力と文化力の前に、日本語の代わりに
フランス語の国語化や、白人女性と日本男性の混血化による体格の向上、
などと共に、国家宗教としての神道の疑似一神教化、も模索したのだろう。
また「少し逸脱した」まま長くなったので、改めて。
   (道楽Q)

2022年01月26日

◆夏の参院選、自民大敗の可能性も

櫻井よしこ

日本ルネッサンス 第983回

岸田文雄首相にとって今年最大の関心事は7月10日予定の参議院議員選挙
であろう。公明党と合わせて過半数を取れば、その後3年間、選挙の心配
をしなくてよい安定期が手に入る。首相は自分の思い描く政治を思い切り
実行出来る。

世界大激変の中で日本の首相であることは、日本国にも世界にも大きく貢
献し、重要な歴史的使命を担うということだ。首相は具体的に自分の使命
をどうとらえているだろうか。

1月7日「言論テレビ」で今年の岸田政権を予測、分析した。首相就任から
100日近くが過ぎたが、首相の言葉からは日本と世界を動かす大きな志は
見えてこないという結論で論者一同が一致した。産経新聞論説委員の阿比
留瑠比氏は岸田氏を「有言不実行の人」と言い、雑誌「正論」発行人の有
元隆志氏は、言葉も行動も「空洞の人」と語った。政治ジャーナリストの
石橋文登氏は「朝日新聞にほめられたい人」と喝破した。

人権重視を強調しながら、首相はウイグル人虐殺問題で対中非難決議を止
めさせた。中国の脅威に対処するために自衛隊を強化し、国防費をGDP
の2%以上にするとの公約にも消極的で、フタを開けてみれば来年度の国
防費は殆ど増えていない。出入国管理法見直しは先延ばしで、敵基地攻撃
能力の保持も明言しなかった。

このような岸田政権に米国側は、1月7日の「2+2」(外相・防衛相による
戦略会議)で共同文書に「敵基地攻撃」を念頭に「日本はミサイルの脅威
に対抗するための能力を含め、国家の防衛に必要なあらゆる選択肢を検討
する」と書き込むよう求めた。

「戦略を完全に整合させ、共に目標を優先づけることによって、同盟を絶
えず現代化し、共同の能力を強化する決意」も明記した。岸田首相の優柔
不断振りとは対極を成す強い国家意志が表現された。

石橋氏の指摘だ。

「参院選までは摩擦を起こしたくないのです。国益に関わる大事な法案で
あっても、野党から攻撃されたり、朝日新聞から批判されるようなことに
は一切手をつけたくないと考えている。そう思えば岸田政治は全て手に取
るように分かります」

維新は公明に取って替る

何もしないにもかかわらず、岸田氏への支持率はゆるやかな右肩上がりで
66%を超えた。なぜか。「政治史を振り返れば、何もしなかった政権の方
が支持率も高く寿命も長い。たとえば、佐藤栄作氏がそうでした」と阿比
留氏は語る。

反対に立憲民主党代表の泉健太氏は自信喪失気味だ。昨秋の衆院選の得票
数を基本にすると、参院の32の1人区で立憲民主がとれるのはわずか数議
席になると言って警戒する。またもや立民大敗、自民大勝が7月に再現さ
れるのか。「自民大勝など考えられない」と石橋氏が真っ向から反論した。

「1月4日、伊勢神宮での年頭記者会見で岸田さんは非常に元気でした。去
年の総選挙で予想以上の261議席、得票数2760万、追加公認の分を入れた
ら2800万票近くとりました。安倍晋三元総理が3回の衆院選それぞれで得
た票数より圧倒的に多い。それで非常に自信を深めたのでしょう」

岸田氏は、このまま問題や摩擦を起こさずに参院選まで行けば勝てる、そ
の先に本格的政権への道が開けてくると読んでいるのであろう。だが衆院
選での大健闘は、いくら自民党に不満でも立憲民主や共産党に入れる気の
ない人たちが、立憲・共産の候補者に競り負けそうな自民党候補者を見て
危機感を抱き、自民党に戻ってきたからではないのか。「自民大敗、立憲
大勝」では日本は生き残れないと、思い直した人達は少なくない。自民党
の善戦はそのような有権者の立憲・共産忌避の結果でもある。もし、選挙
区に日本維新や国民民主の候補者がいれば、保守層はそちらに票を投じた
かもしれない。自民党への本当の支持はかなり弱含みだ。

国防や憲法で深刻な違いが目立つ自民・公明の連立政権よりも、自民党と
日本維新の方が親和性は高く国益にも適うと考える有権者は少なくない。
維新は公明党に取って替り得るのではないのかと思う。石橋氏が語る。

「日本維新は、橋下徹知事を支えるか否かで自民党大阪府連がまっ二つに
割れ、除名された人々が作った政党です。10年以上かけて、ここまで力を
つけた。大阪府内の市議会のおよそ全てで、最大会派は維新です。選挙の
手法も自民党と一緒、いわば第二自民党です。

彼らは連合の組織票に頼る国民民主を冷ややかな目で見ており、立憲には
敵意すら感じていると思います。だから自民党は維新と協調すべきなので
す。維新が1人区で国民と住み分けをして候補者を立ててきたら、自民に
とっては大きな脅威です」

70代後半の候補者たち

自民党は総崩れを起こしかねない。岸田政権の重要な仕事は、まず維新と
意思の疎通をはかることだが、それができていない。維新とのパイプは菅
義偉前首相と安倍晋三元首相だ。岸田氏は両氏との関係再確立に努力すべ
きだろう。次に一日も早く自民党の選挙態勢にメスを入れることだ。新聞
には32の1人区の候補予定者名が報じられている。その中で目を引くのが
70代後半の候補者たちだ。

「今回の衆院選でも70代以上の議員には辛い面があった。小沢一郎さんも
選挙区で落選した。75歳前後の候補者は黄色信号でしょう。たとえば長崎
の金子原二郎さん、農林水産大臣ですが、今、77歳、当選すれば84歳まで
議員です」と石橋氏。

福井の山崎正昭氏は79歳、元参院議長だ。鹿児島は78歳の野村哲郎氏が候
補者だ。

人生100年の時代であり、個々人によって知力も体力も異なるため一概に
言えないのは当然だ。だが、余程しっかり人選しなければ、自民党は危う
い。人口減で1人区が増え、2人以上の複数人区は減少するばかりだ。その
中で自民党が過半数をとれるところは、大阪も東京も含めて、ほとんどな
い。維新は本気で次の参院選で「ねじれ」を起こすつもりだ。

維新に選挙協力などを働きかけ、自らも魅力的な候補者を立てなければ、
自民党は大敗の恐れがある。

「安倍一強の秘策は、3割の岩盤支持者の支持を徹底的に守ったことで
す。立憲や蓮舫を支持するのはせいぜい1割だけだと考えて揺らがなかっ
た。今、保守支持層の3割が、岸田さんで大丈夫かと思い始めている。維
新に少しやらせたいと思う人が増えている。フワフワの66%を追う余り、
足下の岩の崩れに気付かないとしたら、危険です」

石橋氏の分析には説得力がある。選挙まであと半年余、岸田首相の猛省を
促したい。

         
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◆日銀「緊急利上げ」に現実味

今市太郎

財政危機と東証「市場再編」で日本株の地位はどん底へ
2022年の相場はかなりリスクが大きくなると考えざるを得ません。日本の
財政は火の車となり、東証は世界のローカル市場に成り果てる……昔から言
われてきたことが、いよいよ具現化していくと予想します。(『今市太郎
の戦略的FX投資』今市太郎)


日銀の指標から見えてきたインフレの兆し
2022年の私的相場リスク予想をさせていただきます。日本株特有の問題、
とりわけ日銀が主導する大問題について予想します。

先週の中銀政策発表ウイークの中で、まあったく事前から市場の興味を注
がれなかったのが、日銀の政策決定会合でした。しかし、新型コロナウイ
ルス対応の資金繰り支援策の縮小という結果発表が報道された途端に、日
経平均はあれよあれよと下げ始め、結果500円安で後場を終えることにな
りました。

本邦勢にとっては、コロナ感染が一段落した国内の状況下では、この手の
支援縮小の実施など、およそ相場下落の要素にはならないと誰もが思う内
容でした。


ところが、市場は完全に日銀も他の主要国の中央銀行の政策変更とともに
引き締め方向に動くのではないかといった憶測が飛び交ってしまった様子。

米国をはじめとして、いよいよインフレが到来しようという時に、日本だ
けデフレのままで緩和継続が続くわけがないと見られていることがいきな
り露見する状況となってしまいました。

ただ、その後の会見に登場した黒田総裁は、日本の物価上昇率は、一時的
な要因やエネルギーを除いてもプラス0.5%程度で、23年度でも1%程度の伸
びにとどまるとして、本邦にはインフレ一切関係なしを改めて強調して涼
しい顔をしていたのが印象的でした。

しかし、本邦にインフレが来ないというのは果たして本当なのでしょうか?

当の日銀が発表している経済指標からは、外的要因を含めてインフレの波
がすでにひたひたと押し寄せてきていることがわかります。

日銀が12月10日に発表した11月企業物価指数、いわゆるCGPIの速報値は、
前年比プラス9.0%と、過去40年来で最高の伸び率となっているほか、輸
入物価指数は円ベースで前年比プラス44.3%と、凄まじい上昇率を記録し
ています

海外からの影響で国内でもインフレが進行するのは、もはや避けられない
ところに来ている状況です。

日本はインフレが来ても利上げできない?
黒田総裁も「実質インフレ率2%は超えるかもしれない」とは発言してい
るようですが、実際、日銀内では相当この状況に慌てふためいているとい
う話も漏れ伝わってきています。

どこかで政策変更を余儀なくされることは、すでに自覚している可能性が
高そうです。

このメルマガでは、折に触れて書いてきましたが、アベノミクスは確か
に、デフレ脱却・円安推進・株価大幅上昇といったことが表面上の主目的
でした。

ところが、実は2%の実質インフレ達成を大義名分にして、日銀は金融抑
圧、つまり金利を限りなく0%に押しとどめて爆発的に発行している赤字
国債の金利、いわゆる国債費を強烈に低下させることに寄与してきたわけ
です。

そのため、「インフレが到来しました。はい、それでは利上げしましょ
う!」というわけには行かないのが現実のところ。

最初からいけるところまで行くという恐るべきインパール作戦に、いよい
よ破綻的終焉が見えてきていることが窺われます。       
          
      
    
━━━━━━━━━━━━━━━


◆自動車は大変動期に突入

「宮崎正弘の国際情勢解題」 
  令和四年(2022)1月24日(月曜日)
     通巻7195号 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
SONY「ウォークマンEV」vsアップル
               「iPhone EV」
  ダムは決壊し、自動車は大変動期に突入してしまった
**************************

 十年後の自動車産業はどうなっているか。
トヨタは全米販売でもGMを抜いて、時価総額も40兆円を超えた。だ
が、トヨタはいつまで王者の位置を守れるだろうか?
 EV市場は十年後に800兆円のマーケットになると予測されている。
 
 SONY「ウォークマンEV」vs アップル「iPhone EV」の未
来図までが語られ、EVの欠陥が指摘されているにもかかわらず、EVを
目指してダムは決壊し、自動車は大変動期に突入してしまった。

 ソニー、アップルばかりか車体開発に名乗りを上げた鴻海精密工業(ホ
ンハイ)は米国のGM閉鎖工場を買収した。中国の検索エンジン「百度」
は吉利汽車と共同出資会社を設立した。
EVへの参入を発表し、途中でやめたのはダイソン(英国、家電)と恒大
集団(中国の倒産寸前のデベロッパー)。部品でEVへの参入をきめたの
はファーウェイ(中国)や日本電産だ。

 EVは充電のスタンドが必要な上、電力消費は二倍になる。寒冷地帯で
は長時間使用に耐えず、高速道路大渋滞の原因となったが、この問題は解
決されていない。
 日本の場合、EVスタンドが従来のガソリンスタンドに代替できるの
か、GSは半分近くが営業停止に追い込まれた。それでもEVはすでに中
国で五十万円台の廉価版が人気を集めており、日本の地方都市ではクルマ
がないと生活できないから、必然的にEV市場が開ける可能性がある。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜書評 しょひょ
う BOOKREVIEW 書評  BOOKREVIEW 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 北極熊は「地球温暖化」で絶滅どころか、四倍にふえていた
  キリマンジャロの雪はヘミングウェイが描いたように残雪に輝いている

  ♪
杉山大志『15歳からの地球温暖化』(育鵬社)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

 地球温暖化の嘘がまかり通る世界。
異常気象、台風頻発、洪水多発。そして凶作、飢餓。すべては地球温暖化
の所為だという面妖な言説が世界を覆い、カーボンニュートラル(脱炭
素)、EVが合い言葉となって、不思議なことに効率悪く、コスト高の太
陽光パネル、風力発電に傾斜する。ひょっとして、これは『彼ら』の利権?
 著者の杉山氏はキヤノングローバル戦略研究所研究主幹。一貫して
EV、脱炭素の行き過ぎを警告してきた稀有の論客である。
 北極熊は減少すると言われた。えっ? 一万頭から四万頭に増えていた。
 キリマンジャロの雪は消えていなかった。ゴア元副大統領等の『不都合
な真実』は、2020年にキリマンジャロから雪はなくなると予測してい
たっけナ。
 珊瑚礁の島嶼国家は海に沈んだか? どっこい、ツバルもモルディブも
沈んでおらず、タヒチでは大珊瑚礁があらたに見つかった。
 日本の砂浜の90%がなくなると言われた。実際にはダム工事、護岸工
事で砂が大量に転用されたからで地球温暖化とは無関係である。
 日本の猛暑は東日本で起こったが、地球温暖化ではなく自然変動が原因
だった。
 山火事と地球温暖化の因果関係はなく、第一に山火事は自然発生であ
り、第二に森林管理が杜撰若しくはマネジメントが悪い。焼失面積は逆に
減っている。
 熊が出没する。猪、鹿も。
典型例が蝦夷鹿の獸害だろう。これは地球温暖化ではない。猟師不足、強
い禁猟規制、そして狼の絶滅が原因である。
 なぜ炭素が敵視され、原発も問題と酷評され、地球全体が熱病のように
「地球温暖化」なものを問題としているのか。
起源をしらべると国連の委員会報告にいきつくが、誰が深刻な問題だと火
をつけ、誰が、それによって裨益したかを考える視点が必要だろう。
 EVが究極的にトヨタ潰しの中国とドイツの仕掛けた宣伝工作から始ま
り、中国が世界産業の主導権確保を狙っていることは周知の事実となった。
 グレタとかの活動家をメディアはヒロインに育てあげ、先進国では高校
生がデモを展開するのも、背後に見えない組織が蠢動しているようだ。
 嘘だらけ、間違いだらけの地球温暖化議論に根本から図解を多用して、
平明に説いた啓蒙書である。
         
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評  BOOKREVIEW 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 日露戦争直前、蒙古、チベット、ウイグルに工作に赴いた熱血の日本男児
  現地人になりきり、言葉を覚え、食事も生活作法も同じにして工作に
従事した

  ♪
小滝透『中国から独立せよーー帝国日本と蒙、蔵、回』(集広舎)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

 異色の出版社から、また異色の本が出た。
 満州の馬賊となったり、大暴れした大陸浪人のことは大いに語られた。
伊達順之介をモデルの『夕陽と拳銃』は映画にもなった。
 反面、埋もれた裏面史がある。こんにちの日本でほとんどの人が関心の
ないモンゴル、チベット、ウイグルの独立運動に、いかに日本の青年達が
拘わっていたのか。
 日本は防共回廊を構築し、蒙蔵回をソ連の侵略から守る一方でシナへ反
転させようとする大戦略があった。そのためにモンゴルとチベットと東ト
ルキスタンに現地人になりきった青年達を要請し、派遣した。
 東トルキスタンで日本と協力したウィグルの志士らは日本の敗戦後、決
死の覚悟で独立を夢にて帰国しようとして、タクラマカン砂漠に消えた。
内モンゴルには親日カラチン王がいた。カラチン王府は地政学的にもソ連
と日本の狭間に位置し、「王府の北には鉄道の要衝である赤峰がひかえて
いる。これは、対露戦を考えた場合、重要な位置を占める。ロシア軍の南
下がその進路にあたるからだ」
 明治36年に日本政府はカラチン王を博覧会に招待した。
「これが王の心を一新させた」(87p)。
 カラチン王ら蒙古の王族は日本に期待を寄せていた。河原操子は単身、
教員として赴任し、何時、馬賊や敵に襲撃されてもよいように下着は毎日
替え、ピストルを護身用に持ち歩いた。
 二十年ほど前に評者(宮崎)この赤峰からタクシーを雇って、あいにく
の雨の中、カラチン王府を見学した。河原操子の写真パネルや展示コー
ナーがあった。
 チベットとは仏教坊主との交流があり、深く食い入る手筈が整えられつ
つあった。
 日本の最前線はパオトウである。現在、皮肉にもパオトウは内蒙古自治
区に編入され、なんとレアアール世界最大の生産地となった。
 敗戦後もベトナム、インドネシアに日本兵は残り、独立運動を寡黙に支
援した。インドとミャンマーの独立にも日本の情報機関が関与した。台湾
には白団が軍事顧問団として秘かに派遣され、まだ根本中将は釣り人を
装って蒋介石支援に駆けつけ金門島の激戦で人民解放軍を駆逐した。
 だが、モンゴル、チベット、ウイグルで日本の戦いは突然、断絶した。
現地に溶け込んで工作をした日本の若者達はどうなったのか、或る者は処
刑され、或る者は何年も現地で生きのびてから帰国した奇跡の人もいた。
 驚くべきは、戦後帰国したこの残置諜者が外務省に報告に行くと、誰も
興味を示さなかったという。
 「埋もれたもののふ、彼らの記録は殆ど残らず、完全に歴史からわすれ
られてしまうのだろうか」
 本書の巻末に、丁寧な解説を久野潤氏が書いている。
            
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

(読者の声1)貴誌に紹介のあった、宮崎正弘先生の『葬られた古代王朝
 高志国と継体天皇』(宝島社新書)ですが、昨日、駅前の書店で発見し
購入しました。「重版」となっていたので、しばらく品切れだったのですね。
 富山には高志の紅ガニがあり、また富山市の誇る文学館は「高志の文学
館」です。なぜ、高志かとかねてから不思議に思っていたことが、本書で
謎がとけました。
また万葉集は奈良の都で編まれた筈なのに、なぜ富山県高岡市の駅前に巨
大な大伴家持像が聳えていて、伏木に行けば万葉歴史文学館があるのか
も、不思議におもっていました。故郷のことを何も知らなかったのです
が、これも貴著で簡潔明瞭に沿革が書かれていて納得です。
 富山県は越中、古代には能登も越中の範囲だったのですね。貴書に触発
され故郷の古代史に俄然興味が湧きました。有り難う御座います。
   (UI生、高岡市)



  ♪
(読者の声2)前回紹介した1942年の世界地図に続いて今回は1932年(昭
和7年)のもの。
【一目でわかる漫画世界現状地図】
https://blog-imgs-116.fc2.com/o/s/y/osyoube/1932map1.jpg
 新潮社発行の大衆雑誌「日の出」9月号の付録。漫画の宍戸左行は米国
暮らしの経験もある当時の人気作家。監修の稲原勝治と米田實は「国際問
題評論家」。どちらも米国の大学を卒業し大手紙の外報部長やロンドン特
派員を歴任。
大山卯次郎は1923(大正12)年にロサンゼルス日本総領事、昭和4年には昭
和天皇に御進講、国際反共連盟評議員。野田良治は大使館書記官(通訳官)
で南米移民に詳しく「大アマゾニヤ : 調査三十年」という著書もある。
 この地図では当時の政治経済文化が一目でわかる。ひときわ大きく描か
れる人物はスターリン、フーバー、ガンジー。
ソビエトは5カ年計画で教会堂も工場に。農業集団化も描かれるが同時に
ウクライナで自営農民を餓死に追い込んでいた。
ポーランドでピアノを弾いているのはパデレフスキー、ドイツではヒト
ラーとヒンデンブルクが掴み合い。
 フランスは当時世界の金の4分の1を保有、エッフェル塔と踊り子と油
絵。イギリスはローザンヌ賠償会議をまとめたマクドナルド首相。労働党
出身だけに半分労働者、半分貴族の絵。スペインは国王が国外へ逃亡し第
二共和制。イタリアはムソリーニ、トルコはケマル・パシャの改革で婦人
も短髪・洋装となっている。
 アフリカは欧州勢力による草刈場、モロッコはフランス、スペイン、ベ
ルギー、イタリアが争っている。皇統三千年のアビシニア(エチオピア)、
土匪に悩ま
されるスーダンの英国兵。野獣横行する中央アフリカ一帯ではアメリカの
映画会社が撮影を開始、これもアメリカ資本政策の一端と肯ける。南アフ
リカは注釈
が詳しい。「抜け目のない英国はダイアモンドの生産地南ア連邦をしっか
り握って離さない。そしてこの辺りは有色人種絶対排斥、日本人は差別待
遇とあって世界三大強国の我が国民も土人と同一視されている」「白人と
有色人との混血児が多くその娘をケープガールといい、コーヒーに牛乳を
入れたのもケープガールといっている」。大英帝国臣民を自負していたガ
ンジーが反英になるきっかけが南アフリカの人種差別だった。

 アラビア半島は馬とラクダとガソリンステーション、さらに水タバコ。
ペルシャは絨毯と石油、アフガンの戦士、バルチスタンの楽器弾き。イン
ドはガンジーに縄をかけようと必死な英国人、ヘビと虎と宝石、タージマ
ハルにリプトン紅茶。ビルマは米とルビー。セイロンは世界の茶の6分の1
を産する。シンガポールは軍港の拡張中。
 タイは「小革命のあったシャム 立憲君主国となる」。フィリピン「太
平洋争奪戦の場合、アメリカの東洋根拠地となるフィリピン諸島、アメリ
カ官憲は近頃日本人の増加を大いに恐ろしがっている」。

 日本周辺は満洲では宣統帝溥儀が執政就任。馬賊が横行し張学良に操ら
れる馬占山。外蒙古にはロシアの息が盛んにかかる。
 日本では東北の冷害で鋤鍬の農民一揆。日米関係は悪化の一途。日本船
舶の独擅場だった太平洋航路も米加両国の汽船に客を奪われハワイでは日
本人に対する警戒心が高まる。
 アメリカの太平洋側には空母サラトガ、大西洋側に最新鋭空母レキシン
トン。日米開戦は避けられないと識者は盛んに叫び、米国は5月に大西
洋・太平洋両艦隊合同の大演習を日本を仮想敵国として行った。海軍軍令
部長プラット大将は大西洋艦隊全部を挙げて根拠地を太平洋岸に置くこと
を命じた。
 北米地図で面白いのはカナダが小麦と木材以外はエスキモーとインディ
アン、トナカイや犬ぞり。アラスカは白熊とトーテムポール、この地方の
インディアンは亜細亜人とは親戚筋らしく顔が瓜二つ。
 合衆国はさすがに詳しく、フーバー大統領は不景気と赤字に頭を悩ま
せ、後ろにはドルの大金を持った紳士(顔は100%金融資本)が控える。
フォードの自動車
と大穀物倉庫、夜の大統領アルカポネは檻から首を出して笑っている。野
球はベーブ・ルース、ボクシングにアメリカンフットボールとスポーツが
盛ん、「何事にも世界第一を誇りたいのがヤンキーらしい」。南部ではベ
ンチに失業者、黒人がサックスを吹き、フロリダの海岸では水着姿の女
性。「女極楽、男働け」とあるのはレディファーストの揶揄か。禁酒法反
対のデモ、カリフォルニアは映画と金と石油。ロサンゼルスオリンピック
で日本選手の活躍。 
 キューバは葉巻で世界一。ベネズエラの石油は米英が利権を争い、いつ
◆夏の参院選、自民大敗の可能性も

櫻井よしこ

日本ルネッサンス 第983回

岸田文雄首相にとって今年最大の関心事は7月10日予定の参議院議員選挙
であろう。公明党と合わせて過半数を取れば、その後3年間、選挙の心配
をしなくてよい安定期が手に入る。首相は自分の思い描く政治を思い切り
実行出来る。

世界大激変の中で日本の首相であることは、日本国にも世界にも大きく貢
献し、重要な歴史的使命を担うということだ。首相は具体的に自分の使命
をどうとらえているだろうか。

1月7日「言論テレビ」で今年の岸田政権を予測、分析した。首相就任から
100日近くが過ぎたが、首相の言葉からは日本と世界を動かす大きな志は
見えてこないという結論で論者一同が一致した。産経新聞論説委員の阿比
留瑠比氏は岸田氏を「有言不実行の人」と言い、雑誌「正論」発行人の有
元隆志氏は、言葉も行動も「空洞の人」と語った。政治ジャーナリストの
石橋文登氏は「朝日新聞にほめられたい人」と喝破した。

人権重視を強調しながら、首相はウイグル人虐殺問題で対中非難決議を止
めさせた。中国の脅威に対処するために自衛隊を強化し、国防費をGDP
の2%以上にするとの公約にも消極的で、フタを開けてみれば来年度の国
防費は殆ど増えていない。出入国管理法見直しは先延ばしで、敵基地攻撃
能力の保持も明言しなかった。

このような岸田政権に米国側は、1月7日の「2+2」(外相・防衛相による
戦略会議)で共同文書に「敵基地攻撃」を念頭に「日本はミサイルの脅威
に対抗するための能力を含め、国家の防衛に必要なあらゆる選択肢を検討
する」と書き込むよう求めた。

「戦略を完全に整合させ、共に目標を優先づけることによって、同盟を絶
えず現代化し、共同の能力を強化する決意」も明記した。岸田首相の優柔
不断振りとは対極を成す強い国家意志が表現された。

石橋氏の指摘だ。

「参院選までは摩擦を起こしたくないのです。国益に関わる大事な法案で
あっても、野党から攻撃されたり、朝日新聞から批判されるようなことに
は一切手をつけたくないと考えている。そう思えば岸田政治は全て手に取
るように分かります」

維新は公明に取って替る

何もしないにもかかわらず、岸田氏への支持率はゆるやかな右肩上がりで
66%を超えた。なぜか。「政治史を振り返れば、何もしなかった政権の方
が支持率も高く寿命も長い。たとえば、佐藤栄作氏がそうでした」と阿比
留氏は語る。

反対に立憲民主党代表の泉健太氏は自信喪失気味だ。昨秋の衆院選の得票
数を基本にすると、参院の32の1人区で立憲民主がとれるのはわずか数議
席になると言って警戒する。またもや立民大敗、自民大勝が7月に再現さ
れるのか。「自民大勝など考えられない」と石橋氏が真っ向から反論した。

「1月4日、伊勢神宮での年頭記者会見で岸田さんは非常に元気でした。去
年の総選挙で予想以上の261議席、得票数2760万、追加公認の分を入れた
ら2800万票近くとりました。安倍晋三元総理が3回の衆院選それぞれで得
た票数より圧倒的に多い。それで非常に自信を深めたのでしょう」

岸田氏は、このまま問題や摩擦を起こさずに参院選まで行けば勝てる、そ
の先に本格的政権への道が開けてくると読んでいるのであろう。だが衆院
選での大健闘は、いくら自民党に不満でも立憲民主や共産党に入れる気の
ない人たちが、立憲・共産の候補者に競り負けそうな自民党候補者を見て
危機感を抱き、自民党に戻ってきたからではないのか。「自民大敗、立憲
大勝」では日本は生き残れないと、思い直した人達は少なくない。自民党
の善戦はそのような有権者の立憲・共産忌避の結果でもある。もし、選挙
区に日本維新や国民民主の候補者がいれば、保守層はそちらに票を投じた
かもしれない。自民党への本当の支持はかなり弱含みだ。

国防や憲法で深刻な違いが目立つ自民・公明の連立政権よりも、自民党と
日本維新の方が親和性は高く国益にも適うと考える有権者は少なくない。
維新は公明党に取って替り得るのではないのかと思う。石橋氏が語る。

「日本維新は、橋下徹知事を支えるか否かで自民党大阪府連がまっ二つに
割れ、除名された人々が作った政党です。10年以上かけて、ここまで力を
つけた。大阪府内の市議会のおよそ全てで、最大会派は維新です。選挙の
手法も自民党と一緒、いわば第二自民党です。

彼らは連合の組織票に頼る国民民主を冷ややかな目で見ており、立憲には
敵意すら感じていると思います。だから自民党は維新と協調すべきなので
す。維新が1人区で国民と住み分けをして候補者を立ててきたら、自民に
とっては大きな脅威です」

70代後半の候補者たち

自民党は総崩れを起こしかねない。岸田政権の重要な仕事は、まず維新と
意思の疎通をはかることだが、それができていない。維新とのパイプは菅
義偉前首相と安倍晋三元首相だ。岸田氏は両氏との関係再確立に努力すべ
きだろう。次に一日も早く自民党の選挙態勢にメスを入れることだ。新聞
には32の1人区の候補予定者名が報じられている。その中で目を引くのが
70代後半の候補者たちだ。

「今回の衆院選でも70代以上の議員には辛い面があった。小沢一郎さんも
選挙区で落選した。75歳前後の候補者は黄色信号でしょう。たとえば長崎
の金子原二郎さん、農林水産大臣ですが、今、77歳、当選すれば84歳まで
議員です」と石橋氏。

福井の山崎正昭氏は79歳、元参院議長だ。鹿児島は78歳の野村哲郎氏が候
補者だ。

人生100年の時代であり、個々人によって知力も体力も異なるため一概に
言えないのは当然だ。だが、余程しっかり人選しなければ、自民党は危う
い。人口減で1人区が増え、2人以上の複数人区は減少するばかりだ。その
中で自民党が過半数をとれるところは、大阪も東京も含めて、ほとんどな
い。維新は本気で次の参院選で「ねじれ」を起こすつもりだ。

維新に選挙協力などを働きかけ、自らも魅力的な候補者を立てなければ、
自民党は大敗の恐れがある。

「安倍一強の秘策は、3割の岩盤支持者の支持を徹底的に守ったことで
す。立憲や蓮舫を支持するのはせいぜい1割だけだと考えて揺らがなかっ
た。今、保守支持層の3割が、岸田さんで大丈夫かと思い始めている。維
新に少しやらせたいと思う人が増えている。フワフワの66%を追う余り、
足下の岩の崩れに気付かないとしたら、危険です」

石橋氏の分析には説得力がある。選挙まであと半年余、岸田首相の猛省を
促したい。

         
━━━━━━━━━━━━━━━


◆日銀「緊急利上げ」に現実味

今市太郎

財政危機と東証「市場再編」で日本株の地位はどん底へ
2022年の相場はかなりリスクが大きくなると考えざるを得ません。日本の
財政は火の車となり、東証は世界のローカル市場に成り果てる……昔から言
われてきたことが、いよいよ具現化していくと予想します。(『今市太郎
の戦略的FX投資』今市太郎)


日銀の指標から見えてきたインフレの兆し
2022年の私的相場リスク予想をさせていただきます。日本株特有の問題、
とりわけ日銀が主導する大問題について予想します。

先週の中銀政策発表ウイークの中で、まあったく事前から市場の興味を注
がれなかったのが、日銀の政策決定会合でした。しかし、新型コロナウイ
ルス対応の資金繰り支援策の縮小という結果発表が報道された途端に、日
経平均はあれよあれよと下げ始め、結果500円安で後場を終えることにな
りました。

本邦勢にとっては、コロナ感染が一段落した国内の状況下では、この手の
支援縮小の実施など、およそ相場下落の要素にはならないと誰もが思う内
容でした。


ところが、市場は完全に日銀も他の主要国の中央銀行の政策変更とともに
引き締め方向に動くのではないかといった憶測が飛び交ってしまった様子。

米国をはじめとして、いよいよインフレが到来しようという時に、日本だ
けデフレのままで緩和継続が続くわけがないと見られていることがいきな
り露見する状況となってしまいました。

ただ、その後の会見に登場した黒田総裁は、日本の物価上昇率は、一時的
な要因やエネルギーを除いてもプラス0.5%程度で、23年度でも1%程度の伸
びにとどまるとして、本邦にはインフレ一切関係なしを改めて強調して涼
しい顔をしていたのが印象的でした。

しかし、本邦にインフレが来ないというのは果たして本当なのでしょうか?

当の日銀が発表している経済指標からは、外的要因を含めてインフレの波
がすでにひたひたと押し寄せてきていることがわかります。

日銀が12月10日に発表した11月企業物価指数、いわゆるCGPIの速報値は、
前年比プラス9.0%と、過去40年来で最高の伸び率となっているほか、輸
入物価指数は円ベースで前年比プラス44.3%と、凄まじい上昇率を記録し
ています

海外からの影響で国内でもインフレが進行するのは、もはや避けられない
ところに来ている状況です。

日本はインフレが来ても利上げできない?
黒田総裁も「実質インフレ率2%は超えるかもしれない」とは発言してい
るようですが、実際、日銀内では相当この状況に慌てふためいているとい
う話も漏れ伝わってきています。

どこかで政策変更を余儀なくされることは、すでに自覚している可能性が
高そうです。

このメルマガでは、折に触れて書いてきましたが、アベノミクスは確か
に、デフレ脱却・円安推進・株価大幅上昇といったことが表面上の主目的
でした。

ところが、実は2%の実質インフレ達成を大義名分にして、日銀は金融抑
圧、つまり金利を限りなく0%に押しとどめて爆発的に発行している赤字
国債の金利、いわゆる国債費を強烈に低下させることに寄与してきたわけ
です。

そのため、「インフレが到来しました。はい、それでは利上げしましょ
う!」というわけには行かないのが現実のところ。

最初からいけるところまで行くという恐るべきインパール作戦に、いよい
よ破綻的終焉が見えてきていることが窺われます。       
          
      
    
━━━━━━━━━━━━━━━


◆自動車は大変動期に突入

「宮崎正弘の国際情勢解題」 
  令和四年(2022)1月24日(月曜日)
     通巻7195号 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
SONY「ウォークマンEV」vsアップル
               「iPhone EV」
  ダムは決壊し、自動車は大変動期に突入してしまった
**************************

 十年後の自動車産業はどうなっているか。
トヨタは全米販売でもGMを抜いて、時価総額も40兆円を超えた。だ
が、トヨタはいつまで王者の位置を守れるだろうか?
 EV市場は十年後に800兆円のマーケットになると予測されている。
 
 SONY「ウォークマンEV」vs アップル「iPhone EV」の未
来図までが語られ、EVの欠陥が指摘されているにもかかわらず、EVを
目指してダムは決壊し、自動車は大変動期に突入してしまった。

 ソニー、アップルばかりか車体開発に名乗りを上げた鴻海精密工業(ホ
ンハイ)は米国のGM閉鎖工場を買収した。中国の検索エンジン「百度」
は吉利汽車と共同出資会社を設立した。
EVへの参入を発表し、途中でやめたのはダイソン(英国、家電)と恒大
集団(中国の倒産寸前のデベロッパー)。部品でEVへの参入をきめたの
はファーウェイ(中国)や日本電産だ。

 EVは充電のスタンドが必要な上、電力消費は二倍になる。寒冷地帯で
は長時間使用に耐えず、高速道路大渋滞の原因となったが、この問題は解
決されていない。
 日本の場合、EVスタンドが従来のガソリンスタンドに代替できるの
か、GSは半分近くが営業停止に追い込まれた。それでもEVはすでに中
国で五十万円台の廉価版が人気を集めており、日本の地方都市ではクルマ
がないと生活できないから、必然的にEV市場が開ける可能性がある。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜書評 しょひょ
う BOOKREVIEW 書評  BOOKREVIEW 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 北極熊は「地球温暖化」で絶滅どころか、四倍にふえていた
  キリマンジャロの雪はヘミングウェイが描いたように残雪に輝いている

  ♪
杉山大志『15歳からの地球温暖化』(育鵬社)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

 地球温暖化の嘘がまかり通る世界。
異常気象、台風頻発、洪水多発。そして凶作、飢餓。すべては地球温暖化
の所為だという面妖な言説が世界を覆い、カーボンニュートラル(脱炭
素)、EVが合い言葉となって、不思議なことに効率悪く、コスト高の太
陽光パネル、風力発電に傾斜する。ひょっとして、これは『彼ら』の利権?
 著者の杉山氏はキヤノングローバル戦略研究所研究主幹。一貫して
EV、脱炭素の行き過ぎを警告してきた稀有の論客である。
 北極熊は減少すると言われた。えっ? 一万頭から四万頭に増えていた。
 キリマンジャロの雪は消えていなかった。ゴア元副大統領等の『不都合
な真実』は、2020年にキリマンジャロから雪はなくなると予測してい
たっけナ。
 珊瑚礁の島嶼国家は海に沈んだか? どっこい、ツバルもモルディブも
沈んでおらず、タヒチでは大珊瑚礁があらたに見つかった。
 日本の砂浜の90%がなくなると言われた。実際にはダム工事、護岸工
事で砂が大量に転用されたからで地球温暖化とは無関係である。
 日本の猛暑は東日本で起こったが、地球温暖化ではなく自然変動が原因
だった。
 山火事と地球温暖化の因果関係はなく、第一に山火事は自然発生であ
り、第二に森林管理が杜撰若しくはマネジメントが悪い。焼失面積は逆に
減っている。
 熊が出没する。猪、鹿も。
典型例が蝦夷鹿の獸害だろう。これは地球温暖化ではない。猟師不足、強
い禁猟規制、そして狼の絶滅が原因である。
 なぜ炭素が敵視され、原発も問題と酷評され、地球全体が熱病のように
「地球温暖化」なものを問題としているのか。
起源をしらべると国連の委員会報告にいきつくが、誰が深刻な問題だと火
をつけ、誰が、それによって裨益したかを考える視点が必要だろう。
 EVが究極的にトヨタ潰しの中国とドイツの仕掛けた宣伝工作から始ま
り、中国が世界産業の主導権確保を狙っていることは周知の事実となった。
 グレタとかの活動家をメディアはヒロインに育てあげ、先進国では高校
生がデモを展開するのも、背後に見えない組織が蠢動しているようだ。
 嘘だらけ、間違いだらけの地球温暖化議論に根本から図解を多用して、
平明に説いた啓蒙書である。
         
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評  BOOKREVIEW 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 日露戦争直前、蒙古、チベット、ウイグルに工作に赴いた熱血の日本男児
  現地人になりきり、言葉を覚え、食事も生活作法も同じにして工作に
従事した

  ♪
小滝透『中国から独立せよーー帝国日本と蒙、蔵、回』(集広舎)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

 異色の出版社から、また異色の本が出た。
 満州の馬賊となったり、大暴れした大陸浪人のことは大いに語られた。
伊達順之介をモデルの『夕陽と拳銃』は映画にもなった。
 反面、埋もれた裏面史がある。こんにちの日本でほとんどの人が関心の
ないモンゴル、チベット、ウイグルの独立運動に、いかに日本の青年達が
拘わっていたのか。
 日本は防共回廊を構築し、蒙蔵回をソ連の侵略から守る一方でシナへ反
転させようとする大戦略があった。そのためにモンゴルとチベットと東ト
ルキスタンに現地人になりきった青年達を要請し、派遣した。
 東トルキスタンで日本と協力したウィグルの志士らは日本の敗戦後、決
死の覚悟で独立を夢にて帰国しようとして、タクラマカン砂漠に消えた。
内モンゴルには親日カラチン王がいた。カラチン王府は地政学的にもソ連
と日本の狭間に位置し、「王府の北には鉄道の要衝である赤峰がひかえて
いる。これは、対露戦を考えた場合、重要な位置を占める。ロシア軍の南
下がその進路にあたるからだ」
 明治36年に日本政府はカラチン王を博覧会に招待した。
「これが王の心を一新させた」(87p)。
 カラチン王ら蒙古の王族は日本に期待を寄せていた。河原操子は単身、
教員として赴任し、何時、馬賊や敵に襲撃されてもよいように下着は毎日
替え、ピストルを護身用に持ち歩いた。
 二十年ほど前に評者(宮崎)この赤峰からタクシーを雇って、あいにく
の雨の中、カラチン王府を見学した。河原操子の写真パネルや展示コー
ナーがあった。
 チベットとは仏教坊主との交流があり、深く食い入る手筈が整えられつ
つあった。
 日本の最前線はパオトウである。現在、皮肉にもパオトウは内蒙古自治
区に編入され、なんとレアアール世界最大の生産地となった。
 敗戦後もベトナム、インドネシアに日本兵は残り、独立運動を寡黙に支
援した。インドとミャンマーの独立にも日本の情報機関が関与した。台湾
には白団が軍事顧問団として秘かに派遣され、まだ根本中将は釣り人を
装って蒋介石支援に駆けつけ金門島の激戦で人民解放軍を駆逐した。
 だが、モンゴル、チベット、ウイグルで日本の戦いは突然、断絶した。
現地に溶け込んで工作をした日本の若者達はどうなったのか、或る者は処
刑され、或る者は何年も現地で生きのびてから帰国した奇跡の人もいた。
 驚くべきは、戦後帰国したこの残置諜者が外務省に報告に行くと、誰も
興味を示さなかったという。
 「埋もれたもののふ、彼らの記録は殆ど残らず、完全に歴史からわすれ
られてしまうのだろうか」
 本書の巻末に、丁寧な解説を久野潤氏が書いている。
            
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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS
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(読者の声1)貴誌に紹介のあった、宮崎正弘先生の『葬られた古代王朝
 高志国と継体天皇』(宝島社新書)ですが、昨日、駅前の書店で発見し
購入しました。「重版」となっていたので、しばらく品切れだったのですね。
 富山には高志の紅ガニがあり、また富山市の誇る文学館は「高志の文学
館」です。なぜ、高志かとかねてから不思議に思っていたことが、本書で
謎がとけました。
また万葉集は奈良の都で編まれた筈なのに、なぜ富山県高岡市の駅前に巨
大な大伴家持像が聳えていて、伏木に行けば万葉歴史文学館があるのか
も、不思議におもっていました。故郷のことを何も知らなかったのです
が、これも貴著で簡潔明瞭に沿革が書かれていて納得です。
 富山県は越中、古代には能登も越中の範囲だったのですね。貴書に触発
され故郷の古代史に俄然興味が湧きました。有り難う御座います。
   (UI生、高岡市)



  ♪
(読者の声2)前回紹介した1942年の世界地図に続いて今回は1932年(昭
和7年)のもの。
【一目でわかる漫画世界現状地図】
https://blog-imgs-116.fc2.com/o/s/y/osyoube/1932map1.jpg
 新潮社発行の大衆雑誌「日の出」9月号の付録。漫画の宍戸左行は米国
暮らしの経験もある当時の人気作家。監修の稲原勝治と米田實は「国際問
題評論家」。どちらも米国の大学を卒業し大手紙の外報部長やロンドン特
派員を歴任。
大山卯次郎は1923(大正12)年にロサンゼルス日本総領事、昭和4年には昭
和天皇に御進講、国際反共連盟評議員。野田良治は大使館書記官(通訳官)
で南米移民に詳しく「大アマゾニヤ : 調査三十年」という著書もある。
 この地図では当時の政治経済文化が一目でわかる。ひときわ大きく描か
れる人物はスターリン、フーバー、ガンジー。
ソビエトは5カ年計画で教会堂も工場に。農業集団化も描かれるが同時に
ウクライナで自営農民を餓死に追い込んでいた。
ポーランドでピアノを弾いているのはパデレフスキー、ドイツではヒト
ラーとヒンデンブルクが掴み合い。
 フランスは当時世界の金の4分の1を保有、エッフェル塔と踊り子と油
絵。イギリスはローザンヌ賠償会議をまとめたマクドナルド首相。労働党
出身だけに半分労働者、半分貴族の絵。スペインは国王が国外へ逃亡し第
二共和制。イタリアはムソリーニ、トルコはケマル・パシャの改革で婦人
も短髪・洋装となっている。
 アフリカは欧州勢力による草刈場、モロッコはフランス、スペイン、ベ
ルギー、イタリアが争っている。皇統三千年のアビシニア(エチオピア)、
土匪に悩ま
されるスーダンの英国兵。野獣横行する中央アフリカ一帯ではアメリカの
映画会社が撮影を開始、これもアメリカ資本政策の一端と肯ける。南アフ
リカは注釈
が詳しい。「抜け目のない英国はダイアモンドの生産地南ア連邦をしっか
り握って離さない。そしてこの辺りは有色人種絶対排斥、日本人は差別待
遇とあって世界三大強国の我が国民も土人と同一視されている」「白人と
有色人との混血児が多くその娘をケープガールといい、コーヒーに牛乳を
入れたのもケープガールといっている」。大英帝国臣民を自負していたガ
ンジーが反英になるきっかけが南アフリカの人種差別だった。

 アラビア半島は馬とラクダとガソリンステーション、さらに水タバコ。
ペルシャは絨毯と石油、アフガンの戦士、バルチスタンの楽器弾き。イン
ドはガンジーに縄をかけようと必死な英国人、ヘビと虎と宝石、タージマ
ハルにリプトン紅茶。ビルマは米とルビー。セイロンは世界の茶の6分の1
を産する。シンガポールは軍港の拡張中。
 タイは「小革命のあったシャム 立憲君主国となる」。フィリピン「太
平洋争奪戦の場合、アメリカの東洋根拠地となるフィリピン諸島、アメリ
カ官憲は近頃日本人の増加を大いに恐ろしがっている」。

 日本周辺は満洲では宣統帝溥儀が執政就任。馬賊が横行し張学良に操ら
れる馬占山。外蒙古にはロシアの息が盛んにかかる。
 日本では東北の冷害で鋤鍬の農民一揆。日米関係は悪化の一途。日本船
舶の独擅場だった太平洋航路も米加両国の汽船に客を奪われハワイでは日
本人に対する警戒心が高まる。
 アメリカの太平洋側には空母サラトガ、大西洋側に最新鋭空母レキシン
トン。日米開戦は避けられないと識者は盛んに叫び、米国は5月に大西
洋・太平洋両艦隊合同の大演習を日本を仮想敵国として行った。海軍軍令
部長プラット大将は大西洋艦隊全部を挙げて根拠地を太平洋岸に置くこと
を命じた。
 北米地図で面白いのはカナダが小麦と木材以外はエスキモーとインディ
アン、トナカイや犬ぞり。アラスカは白熊とトーテムポール、この地方の
インディアンは亜細亜人とは親戚筋らしく顔が瓜二つ。
 合衆国はさすがに詳しく、フーバー大統領は不景気と赤字に頭を悩ま
せ、後ろにはドルの大金を持った紳士(顔は100%金融資本)が控える。
フォードの自動車
と大穀物倉庫、夜の大統領アルカポネは檻から首を出して笑っている。野
球はベーブ・ルース、ボクシングにアメリカンフットボールとスポーツが
盛ん、「何事にも世界第一を誇りたいのがヤンキーらしい」。南部ではベ
ンチに失業者、黒人がサックスを吹き、フロリダの海岸では水着姿の女
性。「女極楽、男働け」とあるのはレディファーストの揶揄か。禁酒法反
対のデモ、カリフォルニアは映画と金と石油。ロサンゼルスオリンピック
で日本選手の活躍。 
 キューバは葉巻で世界一。ベネズエラの石油は米英が利権を争い、いつ
も睨み合っている。コロンビアはバナナとコーヒー、パナマ帽。ボリビア
は世界一の黄金国、南米航路の日本郵船はチリから硝石を満載して帰航す
る。ブラジルは日本人を差別せず日本人移民が13万人。
 
 戦前の日本は本土の人口7千万人すら養えず移民を推進した。現在は少
子高齢化といっても1億2500万人以上。欧州諸国から見れば十分すぎるか
もしれない。中東の産油国などすべての国のGDPを合計してもスペイン程
度しかない。石油・天然ガスに代わる産業を育てないと人口過剰でジリ貧
となる。インドネシアは2003年ころから石油は輸入国に転落している。イ
ンドネシアが首都をボルネオに移転するというのも東マレーシアとブルネ
イの資源を狙っているのかもしれない。
 2015年ころの記事で日本海と東シナ海にある手つかずの石油・天然ガス
資源をめぐって、アメリカは台湾と尖閣で日中対立を煽り、戦争で最初は
日本を支援するが徐々に手を引き、日本が弱ったところで仲裁に入り資源
を分捕るというストーリーがあった。今後10年以内に大戦争が起こる可能
性は高いのではないか。
  (PB生、千葉)


(宮崎正弘のコメント)貴重な漫画地図、本質を掴んでいますね。なにか
の番組でも紹介したいと思います。
も睨み合っている。コロンビアはバナナとコーヒー、パナマ帽。ボリビア
は世界一の黄金国、南米航路の日本郵船はチリから硝石を満載して帰航す
る。ブラジルは日本人を差別せず日本人移民が13万人。
 
 戦前の日本は本土の人口7千万人すら養えず移民を推進した。現在は少
子高齢化といっても1億2500万人以上。欧州諸国から見れば十分すぎるか
もしれない。中東の産油国などすべての国のGDPを合計してもスペイン程
度しかない。石油・天然ガスに代わる産業を育てないと人口過剰でジリ貧
となる。インドネシアは2003年ころから石油は輸入国に転落している。イ
ンドネシアが首都をボルネオに移転するというのも東マレーシアとブルネ
イの資源を狙っているのかもしれない。
 2015年ころの記事で日本海と東シナ海にある手つかずの石油・天然ガス
資源をめぐって、アメリカは台湾と尖閣で日中対立を煽り、戦争で最初は
日本を支援するが徐々に手を引き、日本が弱ったところで仲裁に入り資源
を分捕るというストーリーがあった。今後10年以内に大戦争が起こる可能
性は高いのではないか。
  (PB生、千葉)


(宮崎正弘のコメント)貴重な漫画地図、本質を掴んでいますね。なにか
の番組でも紹介したいと思います。

2022年01月20日

◆養子制度で旧皇族の皇籍復帰を急げ

櫻井よしこ

日本ルネッサンス 第982号

令和4年の今年、国際情勢はまた一段と険しくなる。中国では習近平国家
主席が終身皇帝としての地位を固め、米国ではバイデン大統領が中間選挙
で上下両院での多数を失うだろう。ロシアは事実上中国のジュニアパート
ナーとなる一方で、プーチン大統領は内外共に強硬姿勢を取るだろう。

中国やロシアの強圧を受けるにしても、米国の後退によって影響を受ける
にしても、わが国は波乱含みの国際社会の中でしっかり生きていかねばな
らない。そこで大事なことは日本らしさを強さに変えることだ。借り物の
日本ではなく、この日本列島に住み、命をつないできた幾百世代の先人が
育んだ価値観、そうした日本らしさこそが私たちの強さであることをしっ
かりと意識したい。日本らしさの集積が国柄である。国柄を大事にするこ
とで私たちはもっと日本人らしく、日本国らしく、揺らがずに自分の道を
歩むことができる。そして、何よりももっと勁(つよ)くなれる。

日本の国柄の第一は万世一系の皇室を戴く国として歩んできたことだ。こ
れは他のどの国にもない最大の特徴で、宝物のようなものだ。たとえば中
国では異なる歴史、言語、宗教を擁した種々の民族が次々に王朝を築い
た。そして幾世紀かの繁栄の後に全て無残に滅びた。習近平国家主席は中
国5000年の歴史と言って誇るが、それは前王朝を血祭りに上げて夥(おび
ただ)しい人々を危(あや)めた残酷非情な易姓革命の積み重ねに他なら
ない。

日本は中国とは対照的に一人一人の人間を大事にして穏やかな文化を育ん
だ。その日本の国柄の根幹に皇室がある。しかし現在の皇室を取り囲む状
況は必ずしも安泰ではない。遠因は日本国民の意思とは無関係に、米国が
占領政策で11宮家を皇籍離脱させたことにある。以来75年が過ぎた。

皇族として残られた皆様方は多くのお子様を授かった。しかし現在、お若
い男子は悠仁さまお一人だ。女性皇族は結婚で皇籍を離れるために、現在
15歳の悠仁さまが成人なさって天皇に即位なさる頃、つまり数十年先には
皇族がいなくなりかねない。

岸田首相の責任

こうした状況の打開が長年の日本国の課題だった。それに関して昨年12月
22日、有識者会議が報告書を取りまとめた。非常によくできた内容だっ
た。改めて紹介する。

まず皇位継承については今上陛下、悠仁親王殿下の流れをゆるがせにして
はならない、とした。126代目の今上陛下まで皇位は例外なく男系で継承
されてきた。右の結論はその歴史を踏まえた真っ当な論だ。

皇位継承は悠仁親王殿下まではきちんと道筋がついており、そのあとの悠
仁さまより若い世代の皇位継承について今回の報告書は、「具体的に議論
するには現状は機が熟して」いないとした。前述のように悠仁さまのご即
位は何十年か先のことだ。継承となればさらに先のことになる。長い長い
先の皇位継承問題をいま論ずる必要がないのは自明の理である。

だがこの点に関して「毎日新聞」は12月23日の「深掘り」で、「皇位継承
策は先送り」と論難した。報告書は皇位継承について、「先送り」などし
ていない。皇位継承は悠仁さままではきちんと決まっていると明記したこ
とで、時折浮上する愛子内親王殿下の天皇即位のないことを明言した。非
常に明確な道筋を示したのであり、高く評価すべきだ。

もうひとつの課題、皇族の数の減少にどう対応するかについても報告書は
明快な答えを出している。➀女性皇族が結婚後も皇族の身分を保つ、➁養子
縁組を可能とし、皇統に属する男系男子を皇族とする、➂皇統に属する男
系男子を直接皇族とする、の三つの方策である。

➀の場合、女性皇族と結婚する男性もそのお子さま方も皇族とはならない
制度とすれば、この方法で皇族数を確保しても皇位を担うことができない
という欠点がある。

3案中、最善の方策は➁であろう。旧皇族の方々が対象となるが、竹田恒泰
氏が「言論テレビ」で度々指摘してきたように、秋篠宮皇嗣殿下よりも若
い、皇統に属する男系男子は現在20人以上いらっしゃる。さらに近年、旧
宮家では多くのお子さんが誕生しており、男系男子の数は増えているとの
ことだ。

つまり、養子縁組の対象たり得る皇統に属する男系男子はかなりの数の方
がいらっしゃるのだ。これら旧皇族の方々は現在の皇室の方々と親戚とし
ての交流があり、皇族の日々がどれほど大変かを知っている。同時に、自
ら皇族に復帰したいというようなことは、己れをわきまえ決して自ら言い
出すことはないという。

政府の役割は、これら旧皇族の皆さんと意思の疎通をはかり、適任者或い
は相応しいご家族を選ぶ手助けをすることだ。皇室の方々とも話し合い、
相互の理解と協力の中で旧宮家の方々の養子縁組がスムーズにいくよう力
を貸すことだ。悠仁さまを支える態勢構築に一日も早く着手するのが岸田
文雄首相の責任である。

日本弱体化計画

旧宮家の方々の皇籍復帰については、戦後70年以上も民間人だった人々の
復帰は違和感があるとして反対する声もある。しかし、上皇后陛下は民間
人でいらした。紀子皇嗣妃殿下も雅子皇后陛下も同様だ。それでも、お三
方の皇室入りを国民は熱狂的に支持したではないか。

旧皇族の皇籍離脱は日本国民が望んだのではない。先述したように、
GHQがいきなり命令したにすぎない。皇室の弱体化は占領軍の日本弱体
化計画の大きな柱でもあった。旧皇族の方々は民間人となってもずっと皇
室との交流を続けてきた。皇族数の少ない今、この方々が養子縁組の形で
皇籍復帰するのはむしろ自然なことだと思う。GHQの日本弱体化計画の
呪縛を解く時期だ。

憲法学者の百地章氏も➁の案を強く支持する。百地氏の指摘が興味深い。
皇室の歴史を遡れば皇族の養子受け入れはしばしば行われてきたというの
だ。たとえば四つの世襲親王家(伏見宮家、桂宮家、有栖川宮家、閑院宮
家)では歴代の当主が天皇の「猶子(ゆうし)」(名目上の養子)とされ
た。その上で親王宣下を受けて(天皇より、親王としての地位を認めら
れ)、宮家を継承してきたが、当主不在のときは天皇の皇子が養子にな
り、宮家の存続を図ってきた。

11代続いた桂宮家の場合、7人の当主は天皇の皇子が養子として入った
方々だった。前述したその他の宮家も皇統に属する男子を養子にしてきた
歴史がある。

民間でも養子制度は活用されている。赤ちゃんが養子になる場合も、大人
がなる場合も含めて多様な形がある。前向きに考え、悠仁さまの友ともな
り、支えていく相談役ともなり得る一群の皇族の方々を迎えるのがよい。
皇室の安泰を図り、日本の未来の安定につなげたいと思う。
        



━━━━━━━━━━━


◆カザフスタン政変で露見した

バイデン米大統領の黒いファミリービジネス。ロシアとの新たな火種に発
展か=今市太郎

カザフスタンの大規模デモをロシア軍が一掃し、旧独裁政権が更迭されま
した。カザフスタンは資源国であり、以前からバイデンファミリーとのビ
ジネスが行われていたのでは?との疑惑がありました。今回の政変によっ
て、ロシアが疑惑の源を握ったことになります。カザフスタンが今後の国
際紛争の火種となる可能性が出てきました。(『今市太郎の戦略的FX投
資』今市太郎)

【関連】早期リタイア「FIRE」族の破綻が急増するワケ。日本人向けリタ
イアプラン「FIRA60」で仕事と老後の充実を得る方法とは?=榊原正幸



※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2022年1月12日号の一
部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月分無料のお試し購
読をどうぞ。

カザフスタンの抗議デモをロシア軍が鎮圧
カザフスタンと言いますと、旧ソ連に属する国で、イランやアフガニスタ
ンより上のほうにある、かなり広い国土をもったところ……くらいにしか思
い浮かばない方も多いでしょう。

地図を見ますと、ロシアとかなり長い国境で隣接し、しかも東は中国にも
隣接するという、なかなかクリティカルな位置にある国であることがわか
ります。

そのカザフスタンで、新年1月4日の深夜、政府が燃料価格の大幅引き上げ
を実施したことをきっかけに、大規模な抗議デモが発生。トカエフ大統領
は、CSTOと呼ばれる旧ソビエト連邦所属6か国からなる、集団安全保障条
約機構に部隊派遣を要請しました。



そして、待ってましたとばかりにロシア軍が登場。一気に暴動を制圧し、
治安が回復するという状況が示現することとなりました。

ロシア軍を後ろ盾に旧独裁勢力を一掃
このカザフスタンなる国は、ソ連が崩壊した1991年以来、長くナザルバエ
フ前大統領の独裁政権が続いていました。

2019年3月に現職のトカエフ氏が大統領を引き継いだものの、実態はその
後も院政を敷くという、なかなか複雑な権力構造となっています。



しかし、今回の政変で、ナザルバエフ元大統領は、国家安全保障会議の終
身議長を更迭され、腹心のマシモフ元首相は、国家反逆罪の疑いで拘束さ
れることとなりました。

まあ、簡単に言えば、現職のトカエフ大統領がロシア軍を後ろ盾にして、
これまでの独裁勢力を一斉排除したということになります。
        


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◆中国の衝撃的なふたつの公式統計数字

「宮崎正弘の国際情勢解題」 
  令和四年(2022)1月18日(火曜日)弐
     通巻7190号 
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中国の衝撃的なふたつの公式統計数字も水増し?
  新生児が1062万人、GDP成長は4%に落下
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 中国の公式統計数字は、誰もが信用していない。「三割水増し」が常識だ。
 この数字上の「関数」は、実態を反映していないから「漢数」という。
つまり「漢数」でGDP成長が4%というのなら、実態は2・8%ではな
いのか?

 新生児は2021年に1062万人だった。中国共産党が政権を奪って
から、初めての激減で、当局も「予想したより早い少子化が進んだ」とし
た。一人っ子政策をやめて、二人までとし、さらには三人でもOKとした
が、逆の現象が進行していた。短絡的に言えば若者が夢を描けず、将来へ
の希望が絶たれたからだ。

 他方、大学への進学はふえる一方だった。昨年の大学新卒は907万
人。2020年は874万人。
 ところが。大学を出ても公務員か、国有企業、あるいは外資企業に職を
得ることができなければ、月給は三千元(邦貨換算で五万円強)に甘んじ
なければならず、マンションの地下室を共同で借りて二段ベット生活となる

 大学進学熱は急速に冷めるだろう。習近平が、予備校、補習校、家庭教
師に大なたを振るい、さらにゲームに制限を付与した。これだけで失業者
は1000万人である。
 従来、中国経済の分析ではGDPが1%減ると、失業者は500万人増
えるという計算式があった。

 「保八」という一時のスローガンは「GDP成長率を最低でも8%死
守」という意味だった。それが2021年に4%に落ち込んだというのだ
から、自動的に2000万人が失業している計算になる。

 実態は多くの工事現場でクレーンが稼働していないから、4000万人
は失業しているだろう。また中国のシリコンバレーといわれた「中関村」
もベンチャー企業は減る一方、なにしろ「中関村の花形」だった紫光集団
(精華大学系)と北方集団(北京大学系)が事実上倒産している。
 もっと悲惨なのが中国ハイテクのメッカといわれた広東省深セン特別市
である。ファーウェイも、テンセントも、鴻海精密工業もハイセンスも、
ここに集約している。

 囁きが広がった。「社員の30%レイオフ」、「35歳以上は肩たたき」。
 深センに夢を描いてやってきた若者に恐怖心理が襲っている。結婚して
マンションを買って子供を作る? その平凡な望みさえ絶たれた。共同富
裕は共同貧困となった。

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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS
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(読者の声1)昨年のNHK大河ドラマ『青天を衝け』は、平成生まれの吉
沢亮主演で「日本資本主義の父」である渋沢栄一が主役。また、「陰の主
役」は武家棟梁最後の征夷大将軍徳川慶喜でしたが、昔友人と(知識も無
いのに、笑)慶喜に関し論争したのを想い出す。「押し」のおらは、慶喜
は史上稀に見る賢君で、日本国が英仏など列強の餌食にならぬ為に、江戸
無血開城及び謹慎を行ったと主張。一方友人は、慶喜は意志薄弱な暗君
で、(最新兵器装備のアフガン政府軍の如く)戦う気迫が無いだけと嘲笑
い、ちょい悔しかった(笑)。
 で、今回分かったのは、慶喜は国学の中心地水戸出身で、父は尊王攘夷
発案者の第九代藩主徳川斉昭。その影響が大きく、尊王思想継承者とし
て、「朝敵」とされた以上は謹慎以外選択の余地は無い。正月におらは皇
居外苑の(南朝忠義の)楠木正成像、平将門塚、和気清麻呂像と共に、谷
中霊園内の徳川慶喜や渋沢栄一の墓を訪問。また、王子の飛鳥山公園内の
渋沢栄一旧邸も見学。神社巡りとして、都内の日枝神社、(アイドル好き
の聖地、笑)乃木神社、明治神宮、締めに靖国神社に参拝した。靖国以外
は全部初参拝。
 (ドラマを真に受けるのも何だが、笑)『青天を衝け』は、2018年の
『西郷どん』と真逆に、戊辰戦争に負けた幕臣の「裏側から見た明治維
新」で興味深い。江戸幕府は幕末に「賞味期限切れ」の状態で崩壊は時間
の問題だった。同時に明治新政府は江戸幕府260年の遺産の上に成り立
つ。東夷の荒地を関東武士が数百年掛け開発した後で、(大久保利通の意
向で)歴代天皇として初めて、明治天皇に関東に「行幸」して頂いて現在
に至る。形式上は「遷都」でなく「東京行幸」で、実際明治天皇は京都に
「お帰り」になってる(明治天皇陵は伏見桃山にある)。

 今年の『鎌倉殿の十三人』は小栗旬主演で、鎌倉幕府最高実力者の第二
代執権北条義時が主役。当時「坂東」と言われた関東の武士の衣装は江戸
時代の裃と
相当違う。言葉遣いは、再現不可能としたか現代的表現にしており、歴史
愛好家には不評だろう(笑)。しかし、令和の若者から見れば、もう昭和
でも再現不可能な過去である。「昭和の歴史化」で広げると、立憲共産党
の枝野元代表が言う様に、七十年以上存続する日本国憲法を護る彼らは紛
れ無く「保守」である。朝日・毎日両新聞も現憲法体制を守る「憲法保
守」だ。現憲法下で始まった平成の御代の終わりに、靖国で割腹された方
が居たが、あれが憲法改正の時間切れである。平成時代を完結する事で占
領憲法に正統性を与えたのだ。
 今上天皇が現憲法を尊重すると仰る以上、改憲派は「体制転換者」の認
識と覚悟が必要である。言わば、「朝敵」の状態である。「(通常の)保
守派」は
保守政党の自民党が多数派なので、保守が優勢と誤認している。確かに、
自民党は1955年の「保守合同」での結成だが、1960年代まで米国諜報機関
CIAから資金援助を受けた。呆守=親露派陰謀論者風に言えば、自民党は
「ディープステート日本支部」なのである(爆笑)。立民党前身の日本社
会党は冷戦期KGBの露助共に支援を受けたし、日本共産党はコミンテルン
の支部だし、ディープステートと闘うには、令和新撰組にでも期待するか
(涙笑)。
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-07-20/2006072002_03_0.html
 勿論、ディープステートという組織も連合体も(ロシア諜報機関の偽情
報の産物で)実在しない。(尤も呆守=親露派陰謀論信者の脳内のみには
実在する、笑)。真面目な話に戻ると、自民党は「保守政党」では無く
「保守をやや多く含めた国民政党」である。「保守派」は厳しく見て、自
民党議員の一割強。甘く見ても精々三割くらいか。根本的な話だと、そも
そも「保守」という言葉自体は日本語なのか。明治時期に創作された西洋
語の翻訳でないか。文化に敏感が必須の保守が根源を考えない。
 考え違いする人が多いが、日本保守と米国保守は全く違う。主君への忠
義など封建制度価値観の上澄みである日本保守は、王室の記憶が残る西欧
保守とは
共通点も多いが、米国保守の価値観の中核は理不尽な君主から信仰の自由
を守る「(古典的)リベラリズム」である。清教徒など福音派を迫害した
英国王室と国教会を、旧約聖書のパロ(=ファラオ、エジプト王)に見立
て、信仰を守る為に大西洋を渡った自分達を、モーセに導かれて紅海を渡
りパロから解放(リバレート)されるイスラエルの民と同一視したのが米
国建国者達なのだ。故に米国人には君主とは圧制者である。
 ややこしいが、「リベラリズム」を守るのが米国保守だ。逆に現在「リ
ベラル」と呼ばれるのは、社会民主主義者や個人主義者や無政府主義者や
移民の価値
観が入り混じっている。それらは中長期的に日本にとり全て良い訳でも悪
い訳でもない。独立前からアメリカ植民地の福音派指導者は旧約聖書原語
のヘブライ語で読み書き出来た。独立前後のエール大学やハーバード大学
は神学部が重要で、学長は神学者でヘブライ語で演説が行われた。独立直
後には、米国公用語を旧宗主国英国と差別化して独自のアイデンティ
ティーを保持する為に、聖なる言語のヘブライ語にする案も出た。
https://www.newenglandhistoricalsociety.com/the-story-of-how-hebrew-almost-became-the-official-u-s-language/
 要するに、米国建国の遺伝子から見ると、米国は「福音派清教徒が創っ
た、第一イスラエル」であり、現代のイスラエル国は「政治的及び実践的
シオニストが創った、第二イスラエル」と考える事が出来る。だからこ
そ、米国保守派がイスラエル国を絶対支援するのである。トランプ前米国
大統領が「ユダヤファースト」なのは、トランプ(家)個人の私的ユダヤ
コネクションの故に留まらず、米国保守派八千万人の要望なのである。
   (道楽Q



  ♪
(読者の声2)EVを非難、誹謗中傷はもはや日本の統一され許された唯一
の意見になったようであるが、ユダヤ教では、「全員一致で決めてはいけ
ない」といういかにも古めかしい過去からの知恵に基づく規則があるらしい。
戦後にも、同様な国家的な「石炭国内産業を守れ、外国の石油は危ない」
とかの強い団結があり、政府も民間も挙って石炭文化を守った。現在の理
屈と同じで、雇用を固持するために、多大の税金が補助金として毎年無駄
に使われ、大事な石炭産業は甲斐もなく全て潰れた。
特化し過去の成功を忘れられず、進化し変身する能力も意志もなかった。
 人類世界文明での、薪、炭、石炭、石油、プロパン、電気、原子、とい
う非可逆的変化は政治的な理由もあるが、主にその効率、性能、価格など
の利点に由来する。
 しがらみの無い、自動車産業の無い国、例えばノルウエーでは昨年の車
販売台数の90%は既にEVになっている。
素敵なトヨタの高級車レキサスも徐々に増えていたが、EVに負けた。
ホンダがどんなに苦労しても、小型軽量のガソリン・エンジンを掃除機、
冷蔵庫、などに使用する事はできない。最近のEVのハンドルは自由に瞬時
に左、右、あるいは中央に動かすことができる。
左の英国から右の大陸へ行くと、正しい位置に動かせる。あるいは配達員
のために、歩道側にハンドルを動かす等々。あまりにも利点が多いので、
このEV化傾向は止まらない。
歴史によると、変化に適応できず、過去に成功した大企業は悉く消えている。
戦中の日本軍・政府も同様で、改善、改革ができず、戦艦大和、武蔵を無
駄にし、国体の完全滅亡直前まで盲目的に動いていた。という意味では、
現在の日本国も同様の「いつかきた道」を過去30年以上転げ落ちている。
  去年GMを抜いて、米国一になったトヨタ。しかし、膨大な負債を抱え
るGMは3年以内に倒産すると予想されている。
FORDも同じ。ましてやEV化のための莫大な資本などとても調達できない。
雇用維持のため再び政府によって救済されるらしい。トヨタに今、直ちに
必要なのは無慈悲な利己的な独裁者、それは一億総玉砕か、半分首切り、
の選択。豊田家の坊ちゃん3代目、イカ風に書かれる? 
米国でMBAを取得されたのでFOR SALE。
かつてトヨタは新米のテスラにかなりの投資をしていた。ところがテスラ
の未来を読めずに全て売ってしまった。水素を燃やしてエンジンを回す、
とは石炭の代わりに灯油・プロパンガスで蒸気機関を改良しました、とい
う冗談にもならない。
黒煙を怪獣のように吐く、恐竜のような激しい雄叫び、のみが魅力。

2022年01月11日

◆偉人・松陰を育てた家庭と父 

             櫻井よしこ

日本ルネッサンス 第981回

過日山口県を訪れた際、地元の志篤い人から『吉田松陰の思想と生涯』と
いう本を戴いた。松陰研究者で知られる、今は亡き玖村敏雄氏が山口銀行
で行った6回の講演を、同行が行員職員の学びの目的で上梓した。心に沁
み入る一冊だった。

周知のように、松陰が松下村塾で教えたのはわずか2年と3か月間だった。
この間に身分の差を超えて約60名が集った。松陰の下で学んだ士分出身の
主な人物には高杉晋作、久坂玄瑞、萩の乱で首を切られた前原一誠、司法
卿(大臣)になった山田顕義、中谷正亮などがいる。

足軽出身者としては池田屋事件で重傷を負い、長州藩邸の門まで帰りつい
て自刃した吉田栄太郎、禁門の変で戦死した入江杉蔵、初代総理大臣と
なった伊藤博文、日露戦争当時の参謀総長、山縣有朋、また品川弥二郎、
野村靖も維新の大業に尽した。

士分でも足軽でもない塾生に魚屋の子で画家の松浦松洞がいる。松陰が
座っている肖像があるが、これは松洞が描いたものだという。

ちなみに松下村塾の最初の塾生は医者の子の増野徳民だった。次の塾生は
杉家(松陰は養子として吉田家に入ったが、ずっと生家の杉家で暮らして
いた)の隣家の吉田栄太郎で、彼のことは前述した。三番目の入塾者がこ
れまた前述の松浦松洞だ。

玖村氏は、松下村塾の最初の塾生の3人が医者、足軽、魚屋の子で、士分
ではなく皆平民であったことの意味を説く。当時の日本、毛利藩の実情を
見れば特筆すべきことなのだ。江戸時代の日本には士農工商の身分制度が
あり、士の子弟は藩校で学び、平民の子は寺子屋で学んだ。毛利藩にも藩
校として萩に明倫館があった。

しかし、松陰は身分の上下など気にせず、全ての人を一人の人間として見
た。ここで想い出すのが明治新政府誕生と同時に発布された五箇条の御誓
文である。「広く会議を興し、万機公論に決すべし。上下心を一にして、
盛に経綸を行ふべし。」

まさに維新を貫いた思想がここにある。約190年前に生まれた松陰は明治
維新の10年前に処刑されたが、彼は時代を先取りして見事に実践していた
のだ。

なぜ学ぶのか

松下村塾で学んだ約60名の中から歴史に名を残した人々が二十数名もい
る。松陰の住んでいた村に特別に才能ある人々が集中して生まれていたと
いうことか。そうではないだろう。玖村氏は日本のどの村にも人材はい
て、よき師に巡り合うことによって人材はその持てる天分を磨き、一廉
(ひとかど)の人物になれるのだと言っている。つまり、松陰はよき師で
あったということだ。では、なぜ松陰は人を育てることができたのか。そ
れは一にも二にも松陰の育った家庭にあったと玖村氏は書いている。

松陰は幕府がアメリカと和親条約を結んだときペリーの艦でアメリカに密
航し学びたいと念じた。下田港近くで機を窺い、小舟で漕ぎ出しついにペ
リーの艦によじ上ったが願いは受け入れられなかった。松陰は密航を企て
国禁を犯したとして自ら名乗り出た。結果として国許に送られ父杉百合之
助に引き渡された。安政元(1854)年10月、松陰数え年で25歳の時のこと
である。ちなみに父百合之助は「百人中間頭兼盗賊改方」、つまり萩の警
察署長だった。

事情を端折(はしょ)って言えば松陰は野山獄に入れられる。そこには士
族11人がすでに入っていた。獄中で松陰は本を読んだ。「感激すると涙を
ふるって読む、腹が立つときにはまなじりをあげ激越な調子で読む、嬉し
いときは声をはずませ膝を打って読」んだ。警察署長の坊ちゃんが獄に
あって少しもめげず、読書に没頭し楽しんでいる。11人も感化され獄中座
談会が始まった。

皆が問うた。獄外に出ることも望めないのに、なぜ学ぶのか、と。松陰は
答えた。「朝に道を聞かば夕べに死すとも可なり」というではないか、
と。人間としての道がわかればそれでよいではないか、と。一日この世に
いるのなら、一日いた甲斐のあることをしたらよい。たとえここから一生
出られないとしても、人間の道に背いて死ぬか、人間の人間たる道を踏ん
で死ぬか、覚悟次第でどちらにもなれる、と。

その内に野山獄の司獄、つまり刑務所長も松陰の人柄に打たれて、夜は灯
をつけてはいけないとされていた規則を改め、夜も灯をともし、筆も墨も
紙も自由に使わせた。そして或る日、彼もまた松陰の弟子になりたいと申
し入れた。

獄中生活をこのように明るく積極的に変えることができたのには松陰の人
柄がある。どんな時にも自分本来の性格を貫き、周囲の詰まらない状況で
へこまされたりはしない自立性がある。立派である。しかし、松陰のその
ような在り方を支えた力を見逃してはならない。松陰を支えたのは家庭の
力、家風であると玖村氏は説いている。

うらやましいほどの家庭

松陰の父は前述したように警察署長だ。それがその息子は国禁を犯してア
メリカ密航を企てた。罰せられて帰り、野山獄に入れられた。普通なら
怒ったりするだろうが、父も母も兄も妹も叔父も、誰も怒ってなどいな
い。皆が皆、松陰のよき理解者として彼を支え続けている。

たとえば「野山獄読書記」を見ると、ひと月に松陰が読んだ量は大体40冊
前後、1年間で約500冊だ。読書記では、松陰が野山獄に入った安政元
(1854)年10月24日から年末までに106冊、安政2年に480冊、同3年505
冊、同4年9月までに346冊となっている。

これを兄梅太郎は近郷近在の蔵書家を訪ね歩いて手に入れるのである。或
いは江戸に注文して写本を作ってもらうのである。梅太郎は明治の終わり
頃まで存命だったそうで、松陰の望む本を入手し次々に供給するのがひと
苦労だったと語っている。

それだけではない。松陰が野山獄から杉家に戻されたとき、父、兄、叔父
の3人が松陰の弟子となった。松陰は獄で11人を前に時事、政治、人生、
教育などを講義していたが、その延長を自宅で始めたのだ。こうして名著
『講孟余話』が生れた。

孟子の講義のほかに、父も兄も日を決めて経済要録、新論、日本外史など
を一緒に読んだ。松陰は家から一歩も出られない身であり、退屈だろう。
何とか皆でいたわってやりたいという愛情である。母も妹も親族の女性達
も「婦人会」を創って松陰を中心に読書会をした。

松陰の家庭は本当にうらやましいほどの家庭だ。これは父の力だと、玖村
氏は書いている。人物を育てるのは家庭なのである。人間を身分や富で判
断するのではなく、その人の人間としての特性に素直に着目することので
きる松陰の人間性を育んだのが、愛情ある家庭だった。家庭、家風の大切
さを松陰の短い30年の人生から学んだ一冊だった。



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◆【変見自在】八月革命

高山 正之 

 日本支配を始めたGHQは米国が過去に占領したキューバやフィリピン
でやった統治方式に倣った。

 それはまず、その国の憲法を作ることだ。それによって誰がその国の真
の支配者かを教え込むのだ。

 マッカーサーは幣原喜重郎首相に自作の新憲法法案を手渡し、昭和21年
2月22日の閣議で受け入れを認めさせた

 マーク・ゲインの「ニッポン日記」には「その日はジョージ・ワシント
ンの誕生日に当たる」とある。

 ワシントンは子供のころ斧で桜の木を切り倒した。粗暴な子だった。
マッカーサーは桜の国、日本を切り倒す新憲法をその日に認めさせたこと
に嗜虐的な喜びを感じていたのだろう。

 ただ草案は帝国議会で審議される。それをパスしないと新憲法発布とは
ならないが、日本はキューバとかとは大違いで、昨日まで五大国の一つ
だった。教育も高い。脅しやカネで屈するようには見えない。

 彼は帝国議会議員を総取り換えすることにした。骨のありそうな者は戦
争協力者という曖昧な基準で任を解いていった。世に言う公職追放だ。

 それで東久邇宮も緒方竹虎、石橋湛山もクビにした。財界では植村甲午
郎、東急の五島慶太、西部の堤康次郎を追放し、ついでにレーダーの父、
八木秀治や菊池寛など名のある者21万人を蟄居させた。

 結果、衆院の8割が追放され、GHQはその穴を埋める作業に入った。

 加藤シヅエはその一人で、「GHQの将軍がいらっしゃって」立候補を
頼まれたと自伝にある。

 シヅエは「女性も性を楽しむ権利がある」と主張するマーガレット・サ
ンガーに傾倒して弟子入りし。帰国後は中絶と「悪い遺伝子を断つ断種」
を普及させる運動を続けていた。

 女ヒットラーは当選後、GHQに協力して日本の人口を減らす家族計画
の旗振りをやった。

 GHQは獄中にあった共産党の徳田球一らを見つけて出獄させた。延安
にいた野坂参三も呼び寄せて立候補させた

 初の女性の立候補も多く立てたが、この中には柄沢とし子ら共産党員が
ちりばめられてた。

 ただ宮本顕治は小畑達夫に濃硫酸を浴びせるなど拷問して殺した罪で服
役中だったので候補からは外された。

 そんな連中を集めるとGHQはそんな連中でも当選できるよう最大14人
区を置くなど選挙区を弄(いじ)るゲリマンダー方式を取った。

 かくて昭和21年4月、衆院選挙が行われ、GHQ推薦組は全員当選した。

 民主選挙というよりは我が国の選挙史上、例のない不正選挙だった。

 貴族院も同じ。公職追放で大方の人士を追い出したうえで、例えば後に
吉田茂に「曲学阿世の徒」と罵られた南原繁ら親米派が新たに勅撰された。

 中に憲法学者の宮沢俊義がいた。彼は天皇発議を装ったマッカーサー草
案が出ると、その欺瞞を追及することもなくすぐ草案に賛意を表明した。

 おまけに八月革命説を持ち出した。誰も気づかなかったけれど実は「ポ
ツダム宣言を受諾したときに主権は天皇から国民に移っていた」と言うのだ。

 GHQは宮沢の転向を歓迎し、その褒章として貴族院議員にしてやった。

そういう議員連中が新憲法の審議をやって通過成立させた
 マッカーサーは新憲法を明治節に公布した

 新日本の礎を築かれた明治天皇の誕生日に、日本を滅ぼす米国製憲法を
公布する。彼らしい嗜虐趣味溢れる決定だった。

 それから今年で76年。その間、米国製憲法を持たせられたキューバでは
カストロがそれを破棄し、もう3回も新憲法を作っている。

 フィリピンはルーズベルトが押し付けた憲法を1973年に捨てた。

 パナマも「運河用地を米国に与える」とした憲法を1972年に破棄した。

 日本は不正に作られ、不正に選ばれた者が成立させた憲法をまだ「いい
憲法だ」と護り続けている。

〈新潮社編集部より〉

高山正之氏の本紙連載が、文庫になりました。

『変見自在 習近平は日本語で脅す』(定価605円)絶賛発売中。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
松本市 久保田 康文 採録


    

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◆中間選挙前にバイデン自滅か

斎藤満

無理なインフレ抑制で米国「不動産バブル」再び崩壊へ

バイデン政権は「インフレが民主党の支持率を下げている」として、FRB
に圧力をかけて金融引き締めを前倒しで進めようとしています。そうなれ
ば、米国の住宅バブル崩壊や新興国経済の悪化などを引き起こしかねませ
ん。世界経済は綱渡りの1年となりそうです。(『マンさんの経済あらか
ると』斎藤満)

【関連】なぜ日本人の賃金は上がらないのか?本当に低かった生産性、
「手取り13万」がトレンド入りする現実=原彰宏

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和
銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミスト
としてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀
行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投
資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経
て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっている
かを分析している。

バイデンの最優先課題は「インフレ抑制」
2022年はいきなりダウが最高値を更新するなど、株式市場が好調にスター
トした米国。しかし5日にはFOMC議事要旨で当局がインフレ警戒を強め、
引き締め前倒しの姿勢が見られたことから、ハイテク株を中心に調整を迫
られました

米国では秋に中間選挙が行われますが、そこでは民主党の敗北が予想され
ています。

このため、バイデン政権は支持率圧迫要因となっているインフレの抑制を
最優先課題に挙げました。そして、何としても中間選挙前にその成果を挙
げたいと、FRB(連邦準備制度理事会)に強く圧力をかけています。

FRBがこれをうまくさばけるか。5日の米国市場は、当局のインフレ抑制策
如何で新年の米国経済、そして世界経済に大きなリスクとなる可能性を示
唆したことになります。

一時的ではなかった米国のインフレ
米国でのインフレの高進はFRBにとっても大きな誤算となりました。

FRBとしては大株主の国際金融資本の意向を考え、金融緩和の長期化を目
論んでいたはずです。そして政権の利害も一致すると考えていました。現
に民主党政権に近いブレイナード理事が中心になって緩和継続を主張して
いました。

このため、インフレ率の高進についても、当初は「一過性(transit)」
と評価していました。コロナ規制の緩和で需要が一時的に集中すること
が、中古車や航空運賃の高騰につながったと見ていました。

そしてこれらも21年春ごろがピークでその後は落ち着くと見ていたのが、
夏を過ぎても一巡せず、むしろ加速しました。さすがにパウエル議長も
「一過性」の文言は適切ではないと、長期化を認めました。



実際、規制緩和による需要の集中以外にも、原油など資源価格の高騰が長
引き、国際協調による「戦略備蓄放出」にも拘わらず、原油価格はまた上
昇しています。

しかも半導体などの供給不足も長期化し、いまだに解消の目途はたってい
ません。
       


━━━━━━━
身 辺 雑 記
━━━━━━━

10日の東京湾岸は快晴。

渡部亮次郎わたなべりょうじろう85歳。

元NHK政治部記者。当時「文芸春秋」に「赤坂太郎」で
政治評論を書いた。1字10円だった。

仙台、盛岡局勤務の後、東京の政治部へ。河野一郎を
担当。河野先生は酒 を一滴も飲めなかった。毎夜、赤坂の料亭に立ち
寄っていたが、お膳を前にお茶を飲んでいたとは。呑み助の私には想像も
できない。
外務大臣秘書官。その後、社団法人の理事長を18年間。
現在は年金生活者。メルマガ「頂門の一針」主宰者。
 
秋田県生まれ1936年1月13日。どこといって故障個所は無いから100位まで
は生きるだろう。このメルマガの届かなくなった日が私の死亡日です。

兄は81で、姉は91で死んだ。遺伝の話をすれば、 父親は60台に死んだが
母親は98まで生きた。

渡部 亮次郎

2022年01月08日

◆岸田首相の危うい「宏池会路線」

櫻井よしこ

日本ルネッサンス 第980回

岸田文雄政権発足から日も浅い為、評価を下すのには慎重であるべきなの
は当然だ。しかし、早くも先行き不透明感が顕れてきたのではないか。宏
池会に脈々と伝わる何ともいえない対中宥和姿勢、優柔不断、結果として
の手遅れ感が否めない。

支持率も安定しているかに見える岸田政権だが、北京五輪に関して首相が
どのように考えているのか、明確ではない。北京五輪にどう対処するの
か、選手団だけでなく政府関係者も参加するのか、選手は参加しても政府
としては不参加のいわゆる外交的ボイコットを選ぶのか。この選択は中国
との向き合い方を象徴することになる。

米国はすでに外交的ボイコットを決めた。英豪加なども同様だ。他方、主
要国の中で日本は態度表明をしていない。

12月13日の衆議院予算委員会で自民党の高市早苗政調会長に外交的ボイ
コットの可能性について訊かれ、岸田氏は「総合的に判断していきます」
と答えた。これまで繰り返してきた、事実上何も言わない空疎な回答であ
る。まともに答えないという意味では林芳正外相も同様だ。

国際社会は中国共産党のウイグル人弾圧政策を「ジェノサイド」と認定
し、人権侵害を改めない中国に北京五輪外交的ボイコットという圧力で臨
んでいる。岸田首相もウイグル人弾圧を問題視し、人権問題を重視する考
えから、これまで以下のように語ってきた。

「ウイグル、チベット、モンゴル民族、香港など、人権等を巡る諸問題に
ついて、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めます」(自民党総
裁としての公約)、「私の内閣では、人権をはじめとした普遍的価値を守
り抜く」(12月9日、衆院本会議)、「深刻な人権状況にしっかり声を上
げていきます」(民主主義サミット)。

ここまで明確に発信しておきながら、なぜ、現段階に至っても岸田氏は、
日本国首相として、外交的ボイコットを宣言できないのか。米中が対立す
る価値観の戦いにおいて、日本の立ち位置をなぜはっきりさせないのか。

中国共産党の魔の手

中国共産党はウイグル人、モンゴル人、チベット人の弾圧政策を改めるど
ころか、逆に監視態勢の強化に乗り出している。

悪魔のような中国共産党の魔の手は海外にまで及ぶ。わが国で働き、或い
は学ぶ前述の三民族の人々を中国共産党工作員は恒常的に監視し、恫喝す
る。中国にいる家族を人質に取って密告を強いる。こうした悪行を彼らは
わが国で行っている。それだけではない。わが国の国民、少なくとも7人
が正当な理由を示されずに中国で逮捕され、長年拘束されている。

人権問題以外にも日本には中国共産党に抗議し、北京五輪を外交的にボイ
コットすべき理由は少なくない。尖閣諸島のわが国海域には中国の武装公
船4隻がほぼ常駐している。中国の艦隊は10月中旬、ロシア艦隊と共にわ
が国を一周し、挑戦的な軍事訓練を展開した。歴史問題では、中国共産党
の機関メディアが「日本は慰安婦70万人を強制連行した」という途方もな
い歴史の捏造を始めている。北京五輪への対応ではこうした中国の振舞全
体を考慮するのは当然だ。

米英豪加諸国と共に、日本政府は北京五輪に祝意を送らず、外交的ボイ
コットの先頭に立つべきなのである。にも拘わらず、岸田首相、林外相共
に、中国に対して沈黙する

彼らの沈黙は次の事例でも明らかだ。バイデン米大統領は12月9、10日の2
日間、中国など強権国家の脅威に対処すべく世界110か国・地域を招いて
「民主主義サミット」を開催した。サミットに合わせて「輸出管理・人権
構想(イニシアチブ)」を立ち上げると発表した。これは、人権侵害を助
長しかねないデジタル監視技術、たとえば監視カメラや顔認証、スマホな
どから情報を抜き取るスパイウェアといった技術等を、中国企業などに輸
出しないように、今後1年かけて有志国が協力して輸出管理の行動規範を
作ろうというものだ。

同構想の参加国として署名したのは米国の他には豪州、デンマーク、ノル
ウェーである。賛同し、支持を表明した国々は英仏加などである。だが日
本はどちらにも入っていない。前述のように岸田首相は、人権など普遍的
価値を守り抜くと度々決意表明してきたにも拘わらず、である。

なぜこんなに後ろ向きなのか。もうひとつ奇妙なのは、中国を念頭に置い
た米国発のこれらの動きが、岸田政権内で必ずしも共有されていないこと
だ。国際人権問題担当首相補佐官に就任した中谷元氏は、12月7日の日本
経済新聞の記事「人権侵害を阻止 多国間輸出規制」で、初めてバイデン
氏が「輸出管理・人権構想」を発表することを知った。外務省が情報を上
げていなかったというのだ。

なぜ消極的なのか

明星大学教授の細川昌彦氏が指摘した。

「外務省は中国との関係から、中国を対象にした規制などには一貫して否
定的です。中国を追い込む国際的枠組みについての情報を日本側に伝えな
いというようなトリックは、民主主義サミットでの輸出管理・人権構想に
ついての事例で行われただけではありません。6月のG7首脳会合の共同声
明の中の関連部分についても、外務省が要約した資料からは省かれていた
のです」

そもそも外務省には、バイデン政権の民主主義サミットに対する不信感が
ある。どの国を招くのか外すのかの基準も定かではない。ASEAN10か
国から招かれたのはフィリピン、マレーシア、インドネシアの3か国のみ
で、シンガポールもベトナムも排除された。ASEANを分断するかのよ
うな手法は、中東や欧州に対しても使われている。多くの国をまとめると
いうより分断しかねない選別が目につく。確かにバイデン政権への信頼が
揺らぎそうな事例だ。

「しかし」と萩生田光一経産大臣は語る。

「日本国の戦略の基本は米国との緊密な協力を守ることです。ですから、
米国提案の枠組みにもっと前向きの姿勢で取り組むのがいいでしょう。今
すぐ署名できなくとも、たとえば来年早々に署名国になれる状況を作り出
す姿勢が大事。それが国益だと考えます」

経産省に比べて外務省はなぜ消極的なのか。とどの詰まり、中国には十分
に物を言えないということではないか。伝統的と言ってもよいほどの対中
宥和の姿勢が外務省にはある。それは宏池会の対中姿勢の根本と重なるの
ではないか。まだ断定には早いと思いながらも、岸田政権のこれからに危
惧を抱いてしまう理由である。       
            
  
          
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◆雀庵の「開戦前夜/3 文武両道、備えなければ亡国へ」
“シーチン”修一 2.0

【Anne G. of Red Gables/414(2022/1/6/木】小生が出版業界に入った
1975年頃、書籍の出版点数(年間)は2万点で、「多過ぎる、悪貨は良貨
を駆逐する、良書が悪書に追放される!」と学術書や古典など良書系の出
版人は不安視していた。「良書」の定義はないが、「一時的なブームでは
なく、数十年、時には数百年以上読み継がれる本」あたりだろう。初版
3000部売るのに3年かかったとかいう本は珍しくない。

書店は「売ってナンボ」の世界だから売れる本を棚に並べる。良書でも売
れない本はどんどん返品され、結果的に書店は娯楽系やノウハウ系の本ば
かりが目立つようになる。

出版年鑑、出版指標年表によると、書籍出版点数は2013年8万2589点が
ピークで、以降はマイナス成長の連続で2019年は7万1903点へ。かつては2
万点でも多過ぎたのに8万、7万はまるでパンデミックのよう、それでも50
年後どころか10年後にも読まれているようなロングセラー本はほとんどな
いだろう。

書籍の売上は1996年の1兆931億円からずーっと下り坂。2020年は6661億円
で半減に近い。出版点数が多くても、特に教養・学問系の本は返品率80%
なんていう惨状が常態化しているだろう。

「これって文化か? 民度が向上したのか?」なんて野暮なことは言いた
くないが、ベストセラーを追いかけてもオツムの肥やしにはならない。ス
マホをいじくっていないで、たまにはロングセラー本や超ロングセラーの
古典なんぞにも触れた方がいいと思うが・・・余計なお世話か。新聞購読
者も年々減っているから「良質な活字文化」は衰退する一方だろう。

<平成十七年法律第九十一号 文字・活字文化振興法

(目的)第一条 この法律は、文字・活字文化が、人類が長い歴史の中で
蓄積してきた知識及び知恵の継承及び向上、豊かな人間性の涵養並びに健
全な民主主義の発達に欠くことのできないものであることにかんがみ、文
字・活字文化の振興に関する基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体
の責務を明らかにするとともに、文字・活字文化の振興に関する必要な事
項を定めることにより、我が国における文字・活字文化の振興に関する施
策の総合的な推進を図り、もって知的で心豊かな国民生活及び活力ある社
会の実現に寄与することを目的とする>

ひどい文章、まるで官僚の書いた法律文書そのもの・・・これが「活字文
化」の見本なら小生は嫌だなあ。まずは隗=公文書より始めよ。

老生の天職というか趣味は「中共殲滅」だが、並行して「読書」「作文」
「散歩」「庭いじり」も好きだ。その時々で何かに興味を覚えると「どう
なんだろう」とネットで調べたり関連した本を読むことが多い。ネットの
場合は情報収集が安直、便利すぎて「身につかない」感じがする。カップ
麺と本物との違いみたいで、何となく重厚さがない、軽薄短小の趣。

毎晩、読書しながら眠りにつくが、脳みそはその本の続きみたいなことを
思考しているようで、「ああ、なるほど、そういうことか(そうすればい
いのか)」と解を見つけることも結構多い。時々メモを取ることもある。

こんな事を思うのは元旦の産経に「文藝春秋」の気になる広告があったか
らだ。同社の月刊誌「諸君!」は小生が2003年あたりからアカ思想を除染
する上で大いに有効だったが、2009年に廃刊になりがっかりした。部数が
伸び悩んだかららしいが、それでも5万部ほどの実売部数はあったのだ
し、続けようと腹をくくればできたはずなのだ。

儲からなくても「いつか青空」を信じて大事に書籍・雑誌を育てる・・・
多くの出版社はそれを矜持に耐え難きを耐えて踏ん張っているのではない
か。戦前の山本実彦が起こした「改造」のような“売らんかな主義”と文藝
春秋は似ているような気がする。小生はそういうのは嫌だなあと思う。

永井荷風の日記「断腸亭日乗」を読むと荷風は文藝春秋の創業者、菊池寛
を蛇蝎の如く嫌っている。文士あがりの菊池は「文士のタニマチは出版社
である、誰のお陰でメシが食えるのか、よーく考えろ」という人のよう
で、聖人君子ではなかった。親分肌というかガサツというか、カネをばら
まけば人は付いて来るという、成り上がり者の思考が強かったようであ
る。金持ちながら「はかない美」が大好きな荷風とは肌が合わない。

<昭和4年(1929)3月27日の日記から。

「三月二十七日細雨糠の如し、雨中の梅花更に佳なり、大窪詩仏の年譜を
編む。晡時(午後四時頃)中洲に徃く、帰途人形町にて偶然お歌に会ふ。
市川団次郎待合の勘定百円ばかりを支払はざるにより、催促のため辯護士
を伴ひ明治座楽屋に赴きし帰りなりと云ふ。銀座通藻波に飰す、春雨夜に
入りて猶歇まず、風また加はる、お歌自働車を倩うて帰る。

是日偶然文藝春秋と称する雑誌を見る、余の事に関する記事あり、余の名
声と富貴とを羨み陋劣なる文字を連ねて人身攻撃をなせるなり。文藝春秋
は菊池寛の編輯するものなれば彼の記事も思ふに菊池の執筆せしものなるべし


昭和11年(1936)7月2日。

「七月初二。雨ふりてはまた歇む。文藝春秋社活版刷の手紙にて、同社賞
金授与に関し推選すべき出版物の事を問来れり。同社は昭和四年四月その
雑誌文藝春秋の誌上に於て、甚しく余が事を誹謗したり。然るに今日突然
手紙にて同社営業の一部とも云ふべき事を問合せ来る。何の意なるや解す
べからず。文藝春秋の余に対する誹謗の文には左の如きものあり。

――今日荷風の如き生活をしてゐる事は幸福な事でも又許すべき事でもな
い。かくの如く社会に対して冷笑を抱いてゐ、社会に対して正義感を燃焼
させないとしたなら当然社会は彼を葬ってもいゝ。

――今日かくの如き社会に於て財産を唯一の楯として勝手に振舞ふといふ事
ハ許すべからざる卑怯である。

昭和12年(1937)『墨東奇譚』から。

「ここにおいてわたくしの憂慮するところは、この町の附近、もしくは東
武電車の中などで、文学者と新聞記者とに出会わぬようにする事だけであ
る。この他の人達には何処で会おうと、後をつけられようと、一向に差閊
(さしつかえ)はない・・・

ただ独(ひとり)恐るべきは操觚の士である。十余年前銀座の表通に頻に
カフエーが出来はじめた頃、ここに酔を買った事から、新聞という新聞は
挙(こぞ)ってわたくしを筆誅した。

昭和四年の四月『文藝春秋』という雑誌は、世に「生存させて置いてはな
らない」人間としてわたくしを攻撃した。その文中には「処女誘拐」とい
うが如き文字をも使用した所を見るとわたくしを陥れて犯法の罪人たらし
めようとしたものかも知れない。彼らはわたくしが夜窃(ひそか)に墨水
をわたって東に遊ぶ事を探知したなら、更に何事を企図するか測りがた
い。これ真に恐るべきである」>(引用:東京さまよい記「永井荷風と菊
池寛」2016/5/8)

文藝春秋は傲慢不遜の俺さま主義の伝統があるのか。競馬じゃあるまいし
“売らんかな”見え見えの芥川賞や直木賞。出版社は黒子、縁の下の力持ち
になり、表には作家やライターを出した方がいい・・・ここまで書いて寝
床に入って加瀬英明先生の「日本と台湾」を読んでいたら「諸君!」のこ
とが出ていた。引用する。

<私は1960年代から、中国が日本と相容れない専制国家であり、3000年に
わたるおぞましい政治文化によってつくられており、警戒しなければなら
ないと説いてきた。田中内閣によって日中国交正常化(1972年9月)が強
行された時には、雑誌「諸君!」などの紙面を借りて反対し、朝日新聞を
始めとするマスコミが安酒に酔ったように日中国交正常化を煽ったことを
批判した。その翌年に宮崎正弘氏が著書「新聞批判入門」の中で、

「田中首相が訪中した時の大新聞の『秋晴れ 北京友好の旗高く』とか
『拍手の中しっかりといま握手 とけ合う心 熱烈歓迎』といった見出し
を見ていると、日本、ナチス・ドイツ、イタリアの間に三国同盟が結ばれ
た後に、松岡ミッションがベルリンの目抜き通りをパレードした時の新聞
の熱狂的な見出しのように思えて仕方がない」

と揶揄した。あの時も新聞はヒトラーのドイツに憧れて世論を煽り立て
た。(今は)毛沢東が新しいヒトラーとして祭り上げられた。

私は田中首相が北京空港に降り立った時の朝日新聞の熱に浮かされた病人
の譫言(うわごと)のような記事に唖然とした。この朝日の特派員は朝か
ら酒でもあおっていたのだろうかと疑った。

「[北京25日=西村特派員]その時の重く、鋭い静寂を、何と表現したら
いいのだろう。広大な北京空港に、いっさいの音を失ったような静けさが
おちてきた。1972年9月25日午前11時40分、赤いじゅうたんを敷いた飛行
機のタラップを、黒い服の田中首相がわずかに体を左右に振りながら降り
てきた。まぶしそうに空を見上げ、きっと口を横に一文字に結んで、周首
相の前に進んだ。

これは夢なのか、いや夢ではない。今、間違いなく日中両国首相の手が、
かたく握られたのである・・・

実際には、その時間は一分にも満たなかったはずであった。記者団の群れ
にまじった欧米記者たちの無遠慮な声もしていたかもしれない。しかし、
その時間は、もっと長く感じられた。何の物音もしなかったと思う。40年
も続きに続いた痛恨の時間の流れは、このときついにとまった。その長い
歳月の間に流れた日中両国民の血が涙が、溢れる陽光の中を陽炎のように
のぼっていく――ふとめまいに誘われそうな瞬間のなかでそんな気がした」

この記事に対して当時、私は次のように記した。

「新聞記者は、どのような状況にあっても、めまいを起こしてはならな
い。しっかりして欲しい。それに、日本であれ外国であれ、記者たちはい
つも『無遠慮な声』を出しているものではないだろうか」>

「諸君!」にテーマを戻すと、文藝春秋社内の左右対立で廃刊にされたと
いう見方もあるようだ。同社は今年、文藝春秋100周年記念事業をするそ
うだが、月刊文藝春秋1月号のメニューを見ると70翁の小生から見ても壮
大かつ無意味、陳腐、時代遅れのテーマばっかり。80歳前後の団塊世代
だって関心を寄せないだろう。

今は日本、台湾などアジア太平洋諸国が中露など強権独裁国家に侵略され
かねない戦後最大の未曽有の危機にある。時代の「今」を切り取れない
「バックミラー雑誌」を誰が読むのか。勇気を持って自ら変身しなければ
月刊文藝春秋は年内で廃刊になるだろう。

     

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◆次世代技術の流れは面妖な方向へ

「宮崎正弘の国際情勢解題」 
  令和四年(2022)1月6日(木曜日)
     通巻7180号 

SONYのEV参入は「大決断」か、愚挙か?
  ダムは決壊した。次世代技術の流れは面妖な方向へ。

 1月3日、NY市場でアップル株の価時価総額が3兆ドルを突破した。 
じつは同日、テスラ株も14%の暴騰、時価総額が1・2兆ドルとなり元
に戻った。先月、テスラのイーロン・マスクが保有する株式の10%を売
却したため、テスラ株は1243ドルから886ドルに下落していた。

テスラは2020年に50万台生産した。2021年は93万台、このう
ち、31万台が中国国内の販売実績だったが、20万台が中国でリコール
となった。
EVの販売は2022年前半に絶頂を迎えるだろう。そして22年の後半
から売れ行きは鈍るか、激減するだろう。理由は簡単で、中国政府のEV
への補助金制度が終わるからだ。

 皮肉なことに全米自動車販売で、トヨタがGMを抜いた(1月4日)。
フォードを抜き、クライスラーを寄せ付けず、「黄金の時代」を築いた
GMが、まさか黄色い猿と罵った国に追い抜かれたのだ。
 しかし何故に自動車がガソリンからEVに変わるのか。
ガソリン車が深化したハイブリッド車が全盛期をむかえようとしていた時
に、横合いから吹き荒れた竜巻は地球温暖化だった。熱病のように世界で
気象問題が人類の危機だと煽られ、流れが変わった。これが嘘だったこと
は明らかなのに、流れ出した激流は、もはや止めようがない。ダムが決壊
したとき、防ぐ方法はないように。

インテルもSONYも、他社との提携とはいえ、EVに乗り出すという。
極めつけはアップルのEV進出である。他方、事実上倒産している恒大集
団は昨年、EVに進出し、まだ一台も車を作っていないのに上場し、カネ
を集めた。まるで詐欺師の手口である。
 
嘗ての禁酒法しかり、禁煙運動しかり、フェミスズムからヘイトスピーチ
禁止、LGBTなど、基本の流れ方、熱病のような熱狂と興奮は客観的で
科学的、合理的考察を吹き飛ばす爆発力がある。


 ▼米中経済戦争の決戦場

次世代技術の争奪戦、開発レースが熾烈に進んでいるが、米国と中国の技
術覇権戦争という本質が顕現してきた。

第一に従来、ペンタゴン主導だった新技術開発が、インターネットの民間
企業によるイノベーションによって、軍民汎用から民間主導に置き換わっ
たことである。宇宙衛星までが民間企業の躍進ぶりだ。
 1997年までインターネットという言葉はなかった。GAFAMの興
隆は、ネット社会実現以降であり、いまや選挙までSNSによって甚大な
影響を受け、活字媒体はおおきく後退した。次はメタバースだと市場関係
者は騒ぐ。

第二に従来、技術後進国だった中国が先進国から技術を盗み出すことに
よって、米国の追いつき、宇宙開発では、あろうことか中国が優位に立っ
た。超音速ミサイルとて、もし真実だとすれば、米国を追い越したこと意
味する。
暗号通貨、スパコンから量子コンピュータ。中国の猛追は凄まじい。
すなわち中国は国家中枢が立案した戦略的長期計画に基づき、集中して目
的を達成できるという専制政治の強みがあり、自由主義社会とは体質が異
なる。
民主主義社会は中央集権的な整合性を摂れないという脆弱性、意思決定の
遅行性というアキレス腱がある。

第三に「貿易」「投資」「研究」のデカップリング現象だろう。米国は貿
易が恒常的な赤字体質であるのは物作りを放棄し、工場を海外へ移動し
た。したがってハイテク兵器の部品も国内で調達できなくなった。
補給を間断なく効率的に埋める世界サプライチェーンは疫病と経済制裁の
欧州で機能しずらくなった。
投資はウォール街がシティから主導権を奪い、株、債券、FX、商品市場
で世界を牽引し、さらには研究、イノベーションは米国が圧倒的に優位に
立っている。このデカプリングのひずみが各所に現れている。

第四に通貨の変容、つまり支払いが手形、クレジットカードから、ディ
ヴィッド・カード、電子決済、スマホ決済が主流となって後発組のほうが
有利となる。
膨大なデータが集約されると、これを国民監視、統治の絶対的武器として
活用する全体主義国家、対してプライバシー保護でデータを保護しようと
する民主国家という二極化である。

第五は世界覇権の性格が艦船、戦闘機、火力、核兵器、軍事援助、無償支
援など従来型から、シルクロードに象徴されるように当該国家指導部を巻
き込んだ政略主導の形態に移行し、SNSネットワークへ戦場が移動しつ
つあることだ。
日本は嘗ての世界一も数えるほどになった。衰退一途なのか、巻き返せる
のか。
        
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

(読者の声1)39歳独身寮に住む非正規ライン工員の日々を綴る動画に
160万回の再生。結婚、子供の可能性ゼロ。手取り月に16万円。唯一の楽
しみは「玉子や」が工場に配達される450円の豪華な昼飯という動画を見
て、初めて「日本人の幸福度」は世界で最低、少子化が止まらない、結婚
しない、出来ない、孤独死、などの原因を垣間見た。
 この様な恒常的な「絶望」は他国では暴動、焼き討ち、一揆、革命に繋
がるが、大人しい無口な「ライン工」は静かに「一人で」与えられた暮ら
しを受け入れ、自分の非を弱さを責め、ただ死を恐れる。
国から、文科省から、社会から見捨てられた大部分の日本人の深い嘆き。
彼らが投票しないのは当たり前だ。日本の未来など視野にない。労働者の
味方、共産党でさえ票にならない人間は無視する。
https://www.youtube.com/watch?v=5IpKNerRfGU
https://www.youtube.com/watch?v=0Uxe1qMctmw
  (在米のKM生)

  ♪
(読者の声2)宮崎正弘先生の『歩いてみて解けた「古事記」の謎』(育
鵬社)を地図帳と睨めっこしながら、三週間ほどかかりましたが、読み終
えました。
老生、定年後は俳句を趣味に、あちこち吟行してはいましたが、春になっ
て暖かくなると、この本を片手に、まずは神武東征コース、つぎにヤマト
タケルの御幸路をあるく計画を練っております。現地踏査の有益な旅の指
南書でもあります。 (DJ生、横浜)

  ♪
(読者の声3)「日本安全保障フォーラム」第7回講演会ご案内
 新年おめでとうございます。今年が疫病退散、四海平穏の歳になるこ
とを祈念申し上げます。昨年は弊会にご参加ご支援を賜りありがとうござ
いました。本年もよろしくお願い申し上げます。
 新年初の弊会第7回講演会のご案内です。コロナ禍の中ご多用中と存じ
ますが、是非とも御来駕のほどよろしくお願い申し上げます。
 本第7回講演会ではYouTubeを通じ前段のみZOOMで同時配信致します。全
国配信可能ですので、遠路の方も奮ってのご視聴のほどお願い申し上げます。
      

 日本安全保障フォーラム会長 矢野義昭

とき      1月16日(日)15:30〜18:30
ところ     りそな九段ビル5階「ナレッジソサエティ」会議室(5階正
面入口左奥)
テーマと講師  前段: 東北大学名誉教授田中英道先生『歴史から見た
中国文化の特色』
        後段: 元みずほ銀行法人企画部参事役山口洋一氏『司
馬遼太郎の知らない日露戦争の秘密外交を歴史探検する─天皇家の密使山
口菅三の事績を検証する』
 ●なお出入り口は、九段下駅6番出口前「ひらい商会」角左折20mの「り
そな九段ビル」通用門からお願い致します。通用門が開かなければ栗山
090-6006-3479までお電話下さい。
 〇共催: Channel AJER 栗山勉
 〇参加費: お一人様3,000円
 〇お申込み:  yyano0248@gmail.com

 〇YouTube 配信を希望される方は、2,000円をゆうちょ銀行総合口座
「記号10140-2、番号73815141、名義国家生存戦略研究会(コッカセイゾン
センリャクケンキュウカイ)」に2月19日中までにお振込み下さい。お振込
み頂いた方はその旨メールにて、yyano0248@gmail.comにご連絡下さい。
ZOOM会議参加用アドレスをお送りします。
 〇コロナ対策のため、マスク着用、5階入り口での消毒・検温を御願い
申し上げます。

2022年01月06日

◆危機の時こそ「説く力」

【櫻井よし子 美しき勁き国へ】 

 岸田文雄首相は「聞く力」を強調するが、その発する言葉の意味がよく
分からない。首相がもっと本音を語らなければ、意思の疎通もはかれな
い。後述するように日本は危機的状況にある。国民に危機を素直に語り、
国の安全は国民民主党一人一人が共に負う責任だと説くときだ。憲法改正
や自衛隊法改正の具体的課題を理解してもらい国民の意思と力を結集して
初めて、わが国はこの危機を乗り越えられる。

 中国の挑戦は厳しい。戦後の世界秩序の基本である国連などの国際機関
を中国化して中華世界に変質させるための総力戦を彼らは仕掛けている。
その一例が世界貿易機関(WTO)だ。WT0加盟の恩恵を貪(むさぼ)
り、経済大国への道を駆け上がった中国だが、基本的にWTOのルールを
守らずに今日に至る。日米欧がだまされていたと気づいたとき、彼らは世
界第2の経済力と軍事力を手にしていた。

 米国防総省が第2次岸田政権発足前に発表した「中国の軍事力」に関す
る年次報告書が中国の軍事力構築の凄(すさ)まじさを暴(あば)いている。
白眉はミサイルおよび核戦力急成長の実態だ。日本のミサイル防衛論では
北朝鮮が問題視されるが、2020年の北朝鮮のミサイル発射は8発。中
国は250発以上で、その前の2年間は南シナ海で対艦弾道ミサイルの発
射実験を継続した。北朝鮮の比ではない。
 日本を射程に収めた中国の準中距離弾道ミサイル(MRBM)の発射装
置は150から20年末までに250に、ミサイル本体は150から600
へ4倍に増した。増加分の大半が極超音速兵器を搭載できる新型弾道ミサ
イル「東風(DF)17」とみられ、わが国はその脅威の前で裸同然である。

 中国は台湾、尖閣諸島(沖縄県石垣市)を含む沖縄の戦域で日米台の軍
事力を上回るが、地球規模の戦略域では米国の核戦力が中国を圧倒してお
り、中国が台湾に武力侵攻できない理由の一つとなっている。しかしここ
でも中国が米国に追いつきつつあり、米国はいずれ中露、2つの核大国に
向き合うことになる。

 そうした中で、安倍晋三元首相が指摘したように台湾有事は日本有事、
日米同盟有事という厳しい現実にわが国は直面する。台湾海峡の平和と安
定を重視し、台湾を守る立場を、菅義偉前首相がバイデン米大統領との会
談で公約し、岸田首相も明言した。

 状況は非常に厳しいと予想されるが、それでもわが国は活路を切り開
く、前に進む、これが日本だと呼びかけるのが国のリーダーの責務であ
る。台湾の蔡英文総統は有事に備え予備役強化を図る「全民防衛動員署」
を新設し、国民全員で国を守る姿勢を世界に示そうと訴えた。安全保障を
米国に頼ってきた日本も、今、目覚めて全員で日本を守る決意を世界に示
すときだ。

 岸田首相はもう一つの重大な役割がある。断じて中国に誤解させないこ
とだ。日本は中国の侵攻を許さず、必ず反撃すると、明確に伝え続けなけ
ればならない。その決意を予算と国防政策の両方で特筆する形で見せてい
き、日米同盟を筆頭にあらゆる国々との連携強化を「スピード感」を持っ
て進めるがよい。

 岸田首相は「本格的な首脳外交」と「徹底した現実主義」で「新時代リ
アリズム外交」を推し進める、と表明した。新時代リアリズム外交とは@
自由、民主主義、人権などの普遍的価値観の重視A気候変動、新型コロナ
ウイルスなど地球規模課題の解決B我が国を守り抜くための備えの強化だ
という。

 これら全て、焦点は中国への向き合い方だが、対中国では首相は揺らい
でいないか。首相が誇る自民党宏池会(岸田派)は「自由を渇望」して誕
生した、と「核兵器のない世界へ」(日経BP)で首相は書いた。自由の
希求が宏池会の原点ならば、ウイグル人、香港人、チベット人やモンゴル
人から根こそぎ自由を奪っている中国になぜ抗議しないのか。中国の人権
侵害に対する国会の非難決議の要求を、公明党が主張したにしても、なぜ
潰したのか。

 北京冬季五輪・パラリンピックに政府使節団などを派遣しない{
外交的ボイコット}は米国、英国、豪州、カナダなどに遅れること半月以
上、中国へのいじましいばかりの遠慮は人権侵害も他民族の虐殺も、更に
は他国領土の切り取りさえも許されると中国共産党に誤解させかねない。

 岸田首相はまた、わが国の平和と安全を守り抜くために敵基地攻撃能力
も排除せず、現実的に対処すると繰り返すと同時に「核なき世界を目指
す」とも語り続けている。「現実的に」分析すればわが国周辺こそ地球上
でミサイル、核の密度が最も高い地域だ。その中で核なき世界をどう達成
するのか。岸田首相が尊敬するオバマ元米大統領は核なき世界を目指すと
演説し、ノーベル平和賞を受けた。しかし彼は「戦後、最も核弾頭を削減
しなかった大統領」だった。米紙ニューヨーク・タイムズが「概念と実績
の大きな乖離(かいり)」と批判した点だ(2016年5月28日)。

 他方オバマ氏は核なき世界を掲げる一方で、米国保有の核兵器の品質保
全と機能改善のために30年間で1兆ドルの予算を計上した。強大な核の力
を持って初めて核なき世界への交渉を主導できる。全てが力の世界である
ことを、あのオバマ氏でさえ知っていた。1発の核さえないわが国の首相
が核なき世界を目指すなら、発言力を持つために核の保有が必要だという
ことだ。交渉のための材料も力もない理想論は空論に近い。岸田首相も現
実を見ることが大事ではないか。

 わが国は対中外交で多くの失敗をした。国の根本的な政策を間違えた。
その多くが宏池会が政治を主導していたときに起きている。

 宏池会の源流となる吉田茂元首相は当時の日本の経済的貧しさと国民の
軍に対する忌避感の強さの前で再軍備の助言を退け続けた。池田勇人元首
相は前任の岸信介元首相による日米安全保障条約改定に対するすさまじい
反対におじけづいて経済成長推進に特化した。宮沢喜一元首相は慰安婦問
題で韓国や中国の反日世論に圧倒されて、証拠もないのに慰安婦強制連行
説を韓国政府に8回も謝罪した。

 加藤紘一元幹事長も河野洋平元衆院議長も、中韓両国の反日世論および
国内の左翼勢力の圧力の前で証拠もなしに慰安婦の強制連行を認めた。宏
池会は圧力の前に耐えきれずに国家の根幹に関して妥協し、くずおれた。

岸田首相には発想を変えてほしい。宏池会の原点である自由や民主主義を
大事にして、主張してほしい。「中国は巨大かもしれない。それでも私た
ちは価値観において正しい。だから勇気を持って声を上げ続けよう。広く
世界に訴えよう」と。

産経新聞 令和4年1月3日

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
松本市 久保田 康文 
          
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


◆雀庵の「開戦前夜/2 狡猾な中露の侵略に騙されるな」
“シーチン”修一 2.0

【Anne G. of Red Gables/413(2022/1/4/火】元旦の午後から鼻水とク
シャミ、寒気、脱力感・・・ついに風邪をひいて寝込んだ。大正製薬のサ
イト「かぜ症状チェック」で22項目の自己診断をすると「風邪症状30%、
かぜ症候群にかかり始めているかも。家庭内で静かに過ごし、無理をしな
いで安静に休むこと」との診断。

看護婦のカミサンにもらった「ぺレックス配合顆粒」や、机の引き出しに
あった「フェキソヘナジン」「ツムラ芍薬甘草湯」「ツムラ消風散」「ビ
オフェルミン配合散」を服用し、たっぷり眠ったらずいぶん良くなった
が、しばらくはチャリ散歩は控えよう。それにしても現役時代も年に1回
は風邪をひくが、どういう訳だろう。「たまには体を休めなさい」という
警告なのだろうが、多動老人の小生にはなかなか難しい。

夕べの夢(初夢?)はすこぶる面白かった。「どうにか講演会場に着いた
が、講演までまだ時間があるので街を散策していたら迷子になってウロウ
ロ、小生を探していた2人の女が“修一さーん、こっちよ、こっち!”と手
を振っている。よく見ると懇意にしていたNとIだった」

体調が悪いとカフカの「城」的な悪夢を見てぐったりすることがよくある
が、今回のは「救われた」からいい夢だった。それにしても、なぜ女が登
場したのか? 夕べは仁井田陞(のぼる)著「東洋とはなにか」の「婚姻
の自由と土地改革とのつながり」の章を読んで、中共革命前の4000年の中
国史の中で女は虐げられてきた、という記述に「?」と思ったまま寝付い
たからだろうか。

小生の幼い頃の記憶では、男は朝から晩まで農地で働き、女は炊事洗濯が
済んだら(赤ん坊をおんぶして)昼食を持って男の畑に行って夕方まで農
作業、早めに上がって夕食の準備をしていた。男も女も身を粉にして一所
懸命に働き、もしそれが「虐げられていた」のなら夫婦ともどもであった。

人は好き好き、ケナスは野暮だから中共に寄り添うのも結構だが、「共産
主義は党員にとっては天国、党員未満、特に庶民には地獄」くらいの基本
的認識は持っていた方がいい。仁井田先生のような中共系や日共系の学者
は今でも多いようだが、共産主義は「不都合な真実」は全て覆い隠す(隠
蔽、ヤラセ、演出をする)から見た目では真実が分からない。匍匐前進し
て裏側から「不都合な真実」を掘り起こさないと真実に近づけない、とい
うことを肝に銘じておくべし。未だに中共ヨイショの記者や学者、政財界
人がいるが、5年後10年後には間違いなく「暗愚」として侮蔑されるだろ
う。岸田首相は大丈夫か?

日本では戦後に農地改革があった。「1947/昭和22年、GHQの指揮の下、日
本政府によって行われた農地の所有制度の改革。地主が所有し小作人から
地代を取得していた小作制度は廃止された。最終的に193万町歩の農地
が、237万人の地主から買収され、475万人の小作人に売り渡された」
(WIKI)。GHQが行った占領政策で一番良かったのは農地改革ではなかっ
たか。


しかし、1964年の東京五輪頃まで日本の農業も結構シンドイ仕事だった。
小生は1963年、小6の時に下肥(しもごえ、人糞・人尿の肥料)散布を見
たのが最後(郊外では1984年まであった)、それ以降に人工堆肥(下肥と
ワラを混ぜたものなど)や化学肥料、農耕機械、自動車の普及、さらに政
府の(過剰な?)保護政策でずいぶん農家は楽になったようだ。

ところが毛沢東・中共は農業改革どころか土地のすべてを国有=党の所有
にし、農民を人民公社の構成員、現実は中共の小作人、農奴にしてしまった。

関志雄 (C. H. Kwan)経済産業研究所フェロー「中国の経済改革:農地は
誰のものか 農民の権利を尊重せよ」2006/9/22から。

<中国における社会主義革命の主役は、マルクスが想定した産業労働者で
はなく、「耕者有其田」(耕作者がその土地を所有する)を求める農民で
あった。しかし、皮肉にも、革命が成功した後、農民は自分の土地を持つ
どころか戸籍によって移動の自由が厳しく制限されるなど、二等公民の地
位を強いられている。

このような状況は、計画経済の時代はもとより、改革開放が始まって30年
間近く経った今日でもほとんど変わっていない。戸籍による差別をなくす
とともに、土地に対する権利を認めることを通じて、農民にも都市住民と
同じ権利を与えることは、三農(農業、農村、農民)問題を解決するため
のカギとなる。

これらの問題を解決するためには、最終的には、土地の私有化――所有権を
含めて、土地に対する諸権利を農民に帰属させること――を認めるしかな
い。しかし、政府は、農地の私有化には依然として消極的である。

一部の学者は、土地が農民の私有財産になれば、いずれ売却され、土地を
失った農民が「流民」になり、社会が不安定になるという理由で農地の私
有化に反対している。しかし、土地が農民の私有財産になれば、これを売
るかどうかが自ら決められるようになるだけでなく、市場価格での販売も
可能になることから、自分の意思に反して、わずかの補償で土地を失わな
ければならないリスクに常に直面している現状と比べて、農民の権利が明
らかに強化されることになる。

農民にとって土地が最後の頼りだからこそ、よほどの良い条件でなければ
手放されることはないだろう。農地の私有化に反対することは、農民の権
利を守るどころか、むしろそれを剥奪することを容認し続けることになる>

状況は今でも変わっていないようだ。minorasu 2020/12/15「中国農業の
特徴と課題 三農問題解決に向けた取り組みとは?」から。

<現在、中国政府は三農問題を解消するため、毎年15兆円にも及ぶ予算を
投入しています。具体的にはインフラ整備や補助金制度の導入、さらに農
地集積による生産性の拡大などが国策として行われています。

農家に対しては、土地使用権の強化や農業税の廃止と、食料最低買入価格
の設定などを通して、所得を含めた生活の質向上が図られています。とは
いえ、依然として所得が少なく、農産物の価格変動の影響で打撃を受けや
すい小規模農家が多く、三農問題の1つ、農民問題を根本的に解決するに
は至っていません。

日本と中国に共通する取り組みとしては、高付加価値の農産物生産への転
換や、さらなる機械化とロボット技術やICTを活用して超省力・高品質生
産を実現する「スマート農業」の導入などが挙げられます。いずれにせ
よ、農業の構造的な改革が求められていることは間違いないでしょう

世界最大の農業生産国として、中国には世界中に農産物を供給しているイ
メージがあったのではないでしょうか。しかし、現実には国内での消費が
多く輸出産業としては未成熟です。また、広大な農地を持っていますが、
小規模農家が多く農地の集約化が進んでいません>

中共の農村では農地使用権を売って出稼ぎで都会へ出て行ったものの、コ
ロナ禍もあって故郷へ戻る人が多いとか。帰郷しても住む所もなく、厄介
者になる人もいるようだ。一方で、これが製造業などにとっては、都市部
と比べて土地代や人権費の安さ、さらに市場の拡大が相まって、地方への
移転や進出が進みそうだという。人生、あざなえる縄の如しか。

コンサルタント/アドバイザー田中信彦氏「コロナ禍で加速する『帰雁経
済』 大都市離れ、ローカル指向強まる中国の社会」NEC「wisdom」2020/7
/22から。

<いま注目されているのが「農産物の産地近くに工場を移す」という動き
だ。簡単に言えば、これまでは「人」のほうが工場のある場所に動いて
いったのだが、昨今は工場のほうが「原材料」と「人」のいる農村のほう
に動いていく。「技術下郷(技術が農村に下りていく)」といった言い方
も使われ始めている。

例えば、中国の中央部、「農業大省」と呼ばれる河南省南部にある駐馬店
市は、近年「自宅前就業(家門口就業)」と呼ぶ政策を進めている。同市
は域内に広大な農村部を擁し、中国有数の小麦の産地として知られる。ま
た人口が多く、大都市に大量の農民工を送り出す「出稼ぎの故郷」でもあ
る。同市はこの条件を逆手にとり、広大な小麦畑の近くにまず製粉工場を
誘致、最大のものは年間60万トンの生産高、6億元の販売額を有するという。

そして、さらにその周辺に「徐福記」「今麦郎方便面」「克明麵業」と
いった中国の有力食品ブランドの工場を呼び寄せ、地元の小麦を核にした
食品加工と物流の工場群をつくりだした。農民たちは自宅から工場に通
う。農作業の繁忙期には工場も協力して農民たちが営農を継続できるよう
後押しする。このような「原材料の近くで生産する」やり方は効率が高い
し、企業側としては安定的、長期的に従業員を確保できるメリットが大きい。

今後、いつまた爆発するかわからない感染症に対する警戒感と超大都市で
の生活の不安感が追い風になることは間違いない。

もうひとつの無視できない要素として、米国との対立の深刻化がある。事
態は米国一国に留まらず、いわゆる西側諸国との政治的、イデオロギー的
対立の色彩すら帯び始めている。これまでのようなオープンな世界経済と
のリンクは次第に難しくなり、中国は内需を軸とした内向きの経済になら
ざるを得ないとの見方が中国国内でも強まっている。

先日、中国のある経営者とチャットで話したら、「これから中国は鎖国だ
から」と自嘲ぎみに語っていた。もちろん冗談ではあるのだが、大胆な
「改革開放」で、グローバル経済の恩恵を一身に受けて成長してきたはず
の中国が、今後は中国国内で完結する方向で動く流れに向かいつつあるこ
とを経営者たちは察知している。

その文脈からすれば、「都市圏」の構想に基づいた農村部の新たな都市化
と成長は最大のフロンティアになる。内陸部や農村部の市場は大きく成長
する余地があり、中国のあらゆる業種、業態の企業がより内向きに「ロー
カルな中国」のビジネスに力を入れるようになるはずだ。その動きに沿っ
て人も動く。これはまさに「帰雁経済」(故郷に帰る)そのものである>

「これから中国は鎖国」・・・それを田中氏は「冗談」と一笑に付すが、
小生は毛沢東原理主義の習近平は国内を固める=外国依存を減らすために
鎖国し、一方で周辺諸国を制圧しながら14億人+α≒20億人ほどの「大中華
帝国」にしようと野心を抱いていると思っている。それが「習近平の夢」
だろう。

想定外のコロナ禍もあって習近平とプーチンは「今はまずい」と開戦時期
を先送りしたのか、あるいは国際社会を油断させる心算か、「核戦争回避
に努力『勝者なし』と米英仏中ロ保有5大国、異例の共同声明」2022/1/4
から。

<【ワシントン時事】米国、英国、フランス、中国、ロシアの核保有5大
国は3日、核保有国間の戦争回避に取り組むことを確認する共同声明を発
表した。5カ国は声明で「核戦争に勝者はなく、決して戦ってはならな
い」と強調。核拡散防止条約(NPT)を順守し、軍事衝突や軍拡競争を防
ぐ多国間の外交的アプローチを追求すると表明した。

核保有5大国が、戦争回避などを目的に共同声明を発表するのは異例。中
国による軍事的圧力強化で台湾有事の懸念が高まり、ロシア軍の国境付近
への集結でウクライナ情勢が緊迫する中、緊張緩和の糸口となるかが注目
される。

声明では、核の使用が広範囲にわたる影響をもたらすと指摘。核兵器が存
在する間は、その用途は「自衛目的、侵略防止、戦争回避」に限られるべ
きだと確認した>

ヒトラーを信じたスターリンやチェンバレン、毛沢東を信じたニクソンな
ど西側世界・・・古人曰く「良い予感は概ね外れる、悪い予感はよく当た
る」。中露は西側世界を油断させているだけである。五輪に世界の耳目を
集め、裏でしっかり準備して開戦する・・・プーチン流を習近平は学んで
いるわけだ。

危機感のない国、備えのない国、戦う勇気のない国は翻弄され、侮られ、
侵され、やがては属国になるか消滅する。日本、台湾、アジア、太平洋諸
国は今、その危機にある。



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◆北は牡丹江から南西はチベットの奥地まで

「宮崎正弘の国際情勢解題」 
  令和四年(2022)1月4日(火曜日)
     通巻7178号 

中国新幹線、年末に営業キロが4万キロを突破
 北は牡丹江から南西はチベットの奥地まで「八縦八横」構想が実現

 12月30日に中国新幹線は安慶から九江までが繋がり、営業キロが4
万キロを突破した。
従来線を合算すると、中国の鉄道は15万キロとなって世界有数の鉄道王
国になる。

 北は哈爾浜とジェムス、牡丹江、長春の迂回路も繋がり、南は雲南省の
シーサンパンナ。ここからラオスのビエンチャンにも繋がった。

 チベットは青海省西寧からラサに繋げた高山軌道(青蔵鉄道)が奥のシ
ガツェから林芝まで伸びた。
 南北に四つの幹線、東西は連雲港からウイグルのウルムチへ。ここから
欧州へ繋がっている。2008年に立案された四縦四横は完成し、
2016年の改定案では「八縦八横」となり、さらに中国新幹線は拡大路
線をひた走るのである。

 「輝かしい」発展だが、影の部分がある。累積債務は公式に84兆円。
隠れた債務を含めると160兆円と推定されているが、親方五星紅旗、イ
ケイケどんどん、後は野となれ山となれだ。
 恒大集団などデベロッパーは民間企業だから赤字経営となると倒産す
る。しかし中国新幹線は国有であり、事業体は中国鉄建などいずれも国有
企業。

 世界一の技術と称賛された日本の新幹線、ちなみに営業キロは3000
キロちょっと。中国の13分の1となった。ま、人口は十倍、国土面積は
26倍だから、そういう比較は意味がないかも知れない。重要なポイン
ト:日本の新幹線は黒字である。
        
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)日本ウイグル協会主催、櫻井よしこ女史講演会のお知ら
せ。北京五輪ボイコットのタイミングに合わせて多数の御参加をお待ちし
ます。
 記
とき    1月15日(土曜日)午後3時(二時開場)
ところ 笹川記念会館 國際ホール(港区三3−12−12)
      http://www.sasakawahall.jp/location.html
講師    桜井よしこ
演題   「ウイグルジェノサイドに日本がどう向き合うべきか」
第二部   在日ウイグル人による証言
定員    500名
参加費   3000円
申込方法: 以下の申込フォームからお申込みください。
https://forms.gle/92FZfAC9hUNvTLL69
(申込締め切り:令和4年1月10日 19:00)
主催    日本ウイグル協会 https://uyghur-j.org/japan/
お問い合わせ  info@uyghur-j.org

  ♪
(読者の声2)新著を拝読。『日本の保守』は真の名著です。(竹本忠雄)

  ♪
(読者の声3)『日本の保守』(ビジネス社)。感動しました。やはり宮
崎思想は一貫していますね。不動の精神を感じています。(執行草舟)

  ♪
(読者の声4)かつて宮崎さんの三島作品の現場を殆ど(外国も含めて)
歩いて書かれた『三島由紀夫の現場』以来、その現場主義の徹底にいつ
も驚かされてきましたが、こんどの『歩いてみて解けた「古事記」の謎』
(育鵬社)など、神話の世界が生き生きと伝わりました。同行したかった
ですね。(講談社編集子)

  ♪
(読者の声5)100年前の世界の人口は20億、現在は80億人。その多く
は後進国。かつては人手が必要だったが機械化によって、そして近年AIに
寄って、あらゆる人手が不必要になりつつある。
しかも貧しい人民も豊かな生活をスマホで見て、それを強く望む。で、い
くら食料、資源やエネルギーがあっても足りない。つまり解決策のない
「世界の北と南の格差」の不満、不公平で、北は自己防衛、南は富の分配
を求める。もし今、倫理観の無いAIが世界を運営しているとすれば、躊躇
なく、不必要で高価で利己的な人間、およそ50億人ほどを解雇・破棄する
だろう。
それは合理的で人類存亡のために必要な防衛策。

そんな問題が各国の先進国でも起こっており、表向きには言わない、が
困っている。具体的には誰もが大学へ行くが卒業してもロクな仕事がな
く、スタバ
でラテを作る。かつては会社に中間層がありホワイト・カラーの仕事が
あったが随分減った。黒人などはもっと悪く、3代、4代と世襲で生活保
護を受け、周りには仕事をしている大人がいない。グローバル化で、かな
り優秀な人でも、もっと安い海外の労働者に職を奪われる。かつてのミド
ル・クラスが消えて、上と下だけの社会になる。支那に奪われた「失われ
た二十年」の被害者が虎さんに最後に希望をかけた。
 米国、カナダで「冬の渡り鳥」とは寒い地域からメキシコなどに
2−3ヶ月移住する人間をさす。
ウチの上下水配管工事をした職人も家族揃って毎年いなくなってしまう。
秋の狩猟の季節になると、山奥へ入って鹿狩り、川に鮭が上がってくる
と、釣り、自宅に馬や羊、鶏、と言う具合に仕事よりも、自分の生活を優
先している。彼らの仕事は支那に外注するわけにもいかず、大学卒と競合
する危険もない。需要と供給が不釣り合いなので、高給を取れる。
ところが、物価の上昇が最も大きいのが大学費用で、その為に卒業までに
1000万円ほどの借金をするのが当たり前で、しかも期待していた仕事はな
い。そこで、初めて気が付いて手に職をつけるべく職業訓練校へ行き溶接
などを学ぶことになる。
 米国には文科省に当たる強い機関がないが、教育は極一部の大学を除い
て、劣化している。日本の教育は明治時代に作られ、大量の国産奴隸を生
産する方針のまま。いわば今リニア・モーターの時代に蒸気機関車の文化
を維持している。最近は客が減ったので、支那人学生を輸入する。天下り
集団、つまり児童、学生、国民の敵。

文科省に日本の人材育成の能力も意思もない。どこの国でも大学に向く
のは人口の5%ぐらいで、あとは専門技能研修などでとにかく役にたつ、
つまり生活費を稼げるような大人になる。社会に必要な人材の数は減る一
方で、おそらく半分ぐらいは必要でなくなる。つまり人口が減ったほうが
合理的。政府から保護され遊んで意味のない人生を送る国民に金を配るよ
りは倫理的にも「少子化は解決策」になる。

かつて「英国病」で国が廃れていた時、故サッチャー首相は左傾化した
民間教科書を改めるために「国有化」し検閲して祖国愛を復活させた。日
本では、その逆で、文科省をブッこわすか、民間本屋が正しい非公認の教
科書を無断で売ればいい。
言論の自由だ。GHQに命令されていた家来の癖がいまだに続いている。GHQ
とシナの目的は同じ、弱日本化。NHKも同じく。文科省・NHKをぶっ壊さな
ければ日本の衰退は絶対に止まらない。(在米のKM生)

  ♪
(読者の声6)「唐突に深セン書記から新卿ウイグル自治区党委員会書記
に「栄転」した馬興瑞」という記事を拝見しました。

支那では「馬」はイスラム教徒の姓といいます。そうだとすると、ウィ
グルのイスラム教徒をイスラム教徒(?)に弾圧させるという意味なので
しょうか。実に残酷です。

習近平も内外の抵抗で泥沼状態になってきたようです。どうなるか。日
本はとにかく原潜核ミサイル艦隊の早期建設しかありません。米国は日本
が米本土の防衛線になると考えているので、日本政府がしっかりすれば核
自衛はOKする可能性があります。問題は日本人の覚醒です。正月のTVを見
ていると下らないお笑いばかりです。危機感がまるでない。知人の英国人
が大丈夫か、と心配しています。(落合道夫)

(宮崎正弘のコメント)秦王朝は北方系(始皇帝はユダヤ人だったと田中
英道氏)。隋・唐は鮮卑系、安禄山はソグトと突厥の混血でした。

元はモ ンゴル、清は満州族の王朝ですから、漢族以外が皇帝となっても
不思議で はない。「胡」は、狭義にはペルシアですが、広義では「外
人」です。胡 耀邦も胡錦涛も、「胡」ですが漢族です。

漢族の名流は林、孔、李、陳など。「馬」はイスラム教徒でもあった鄭
和の本名、やがて毛沢東。イスラムとは限らなくなりました。
  ♪
(読者の声7)令和四年(2022)1月3日通巻7177号の書評で、
宮崎氏は「なにしろ敗戦後、重要な人物は皆パージされるか、巣鴨に収監
されていた」と述べられていますが、正確には、「優秀、重要な人物のほ
とんどは、戦病死するか、パージされるか、巣鴨に収監されていた」と言
うべきでしょう。第一次大戦における英国ほどではなかったかもしれませ
んが、多くの優秀な人材が戦闘などにより亡くなっていたと思います。
ところで「戦後最大の政治家は岸信介」という認識、評価は十分には定着
していない反面、吉田茂についての「異様に高い評価」はまだまだ残存し
ているのではないでしょうか。
 このような一般的評価の誤りの事例としては、山本五十六への過大評価
と東條英機への過小評価が挙げられると思います。
 たまたま年末に手に取った『戦中派闇市日記』で、山田風太郎氏は、次
のように述べています。
「東京裁判愈々東條部門に入る。態度、口述書内容天晴といわんか堂々と
いわんか、最大の日本人の賛辞にそむかない。これで東條は永遠に日本人
の胸中深く神となった」(昭和22年12月27日)
「東條はこの(絞首刑)宣告を聞くや、ウェッブ裁判長を凝っと見つめて
ふかく三度うなずき、微笑んで静かに法廷を去ったという。──東條はかく
て日本人永劫の英雄となった。・・・・・・東條は、少なくとも現存する
日本人中、最大の人物には違いなかった」(昭和23年11月12日)
 しかし東條が「永遠に日本人の胸中深く神となった」「日本人永劫の英
雄となった」というような現象は、当時もその後もほとんど見られなかっ
たと思います。
ところで書評中、神谷不二氏の名前が挙げられていますが、郵政選挙後の
雑誌『諸君』で述べられた(小泉改革賛成の)所論は、私には妄論としか
考えられず、落胆しました。
調べると、神谷氏は2005年当時で78歳、その後82歳で亡くなられていますね。
   (椿本祐弘)

2021年12月29日

◆中国が慄いた「台湾有事」の安倍発言

櫻井よしこ


日本ルネッサンス 第979回

「昨日(12月2日)、たまたま一緒に食事をしました。菅さん、萩生田さ
ん、加藤勝信さんと。大変元気な姿を見て嬉しくなりました」

3日の「言論テレビ」で安倍晋三元首相は菅義偉前首相についてこう語っ
た。安倍・菅両氏の間に隙間風が吹いているとの言説については、

「私と菅さんとの人間同士、政治家としての絆は他の人にはわからないで
しょう。相当強い絆で結ばれていると私は思っていますから、隙間風の吹
く隙間もないと思います」

安倍氏は、自身が病気で急に退任したとき菅氏が後を引き受けてくれたこ
とへの感謝を、言葉を尽くして語った。

「菅さんは本当に立派な仕事をされた。不可能と思われたワクチン接種一
日100万回も、多いときは170万回くらいまで行き、アメリカを追い越し
た。私に対しては寝食を忘れて官房長官職に打ち込んでくれた」

菅氏に届けたい言葉である。安倍氏は約10年振りに派閥に戻った。党内最
大派閥の長としての氏の発言には確実に世界の政治を動かす力がある。

たとえば台湾問題だ。習近平国家主席の下での台湾侵攻の可能性につい
て、世界中であらゆる分析がなされている。そうした中、安倍氏は12月1
日、台湾の国策研究院主催のシンポジウムで「台湾有事は日本有事であ
り、日米同盟の有事である。この点の認識を習近平国家主席は、断じて見
誤るべきではない」と語った。

同発言への中国側の反応の激しさは驚く程だった。外務次官補、華春瑩氏
は1日の夜中に垂秀夫駐中国大使を呼び出し、「極めて誤った言論で中国
の内政に乱暴に介入した」と、「厳正な申し入れ」をした。

「批判への免疫力」

中国外務省の汪文斌報道官は「中国人民の譲れない一線に挑む者は誰であ
れ、必ず頭をぶつけ血を流す」と非常識なコメントを発表し、国務院の馬
暁光報道官は「安倍晋三は黒を白と言いくるめる」と非難した。台湾問題
への国際社会の支援を、中国がどれ程恐れているかが見えてくる。安倍氏
が笑った。

「私は総理を退任し、一国会議員です。その私の発言にこのように注目し
ていただいたことは大変光栄です。私はこれまでに様々な批判を受けてき
ましたから、批判への免疫力は強い。これからも言うべきことは言わなけ
ればと思っています」

注目すべきは中国共産党の機関メディア、環球時報の報道だ。彼らは「安
倍発言について、岸田首相は事前に知らされ、黙認していたはずだ。岸田
は安倍の影響を振り払うことができない上、台湾カードで米国の機嫌をと
り続けなければならない」と報じた。

たしかに岸田首相は発言内容を事前に知っており承諾したと見てよいだろ
う。安倍氏はセミナーの前月、官邸で岸田氏と会っており、今回の発言は
首相と元首相の高度な政治的連携プレーだったと思う。

安倍氏が台湾問題で踏み込んだ背景について説明した。

「台湾海峡の平和と安定の重要性は国際社会が共有する認識です。しか
し、10月には4日間で中国の戦闘機が149機、台湾の防空識別圏に侵入しま
した。中国はこの30年間で軍事費を42倍に増やし、台湾に圧力をかけてい
る。万が一、武力で現状変更を試みて台湾有事になれば、日本有事です。
(与那国島などの)先島諸島は距離にして100キロメートル余り、平和安
全法制上の重要影響事態になり、日米同盟に関わってきます。即ち台湾有
事は日米同盟有事に発展する。こうしたことをはっきり相手に示すこと
で、偶発的な衝突を防ぐことにつながります」

安倍氏の発言は国際社会の思いを代弁するものだ。本来なら林芳正外相が
発信してもよいメッセージであろう。だが安倍氏が発言したことで岸田政
権に直接の負担を与えることなく、日本国の立場を示す役割を担った。そ
の言葉に台湾の人々だけでなく日本国民も安堵したはずだ。中国の軍事的
脅威は、それほど身近に迫っている。

中国の軍事力の急拡大、とりわけ核弾頭の急増によって生じる新たな危機
について安倍氏が説得力ある説明をした。

現在米軍の力は中国軍を圧倒しているが、アメリカは全世界に展開してい
るため日本や台湾が位置するこの「戦域」では中国の軍事力の方が「相当
優勢」だ。日中の軍事力の比較では、水上艦艇、潜水艦、戦闘機などで中
国はわが方の倍近くだと安倍氏は指摘する。

だが、日台周辺の戦域で中国が優勢であるとしても、地球規模の「戦略
域」で米国が圧倒的優勢を保っていれば中国は手を出せない。その戦略域
での力の優劣を決めるのが核兵器だ。

日本を狙うミサイル

中国が猛烈に核弾頭を増やしていることは米国議会や国防総省がすでに明
らかにしている。2030年には中国の核弾頭は現在の350発から1000発にな
る。そのことがもたらす危機を安倍氏が説明した。

「米国は5500発の核弾頭を有していますが、新START条約で配備でき
るのは1550発に制限されています。中国が1000発の核を持って配備すれ
ば、米中の力が均衡に近づきます。戦略域で均衡に近づき、戦域で力が上
回っていたら、冒険的なことに挑む懸念があるというのが専門家の指摘です」

中国が冒険主義に走る危険性が生まれつつあるのだ。しかも脅威は核だけ
ではなく、サイバーや電磁波、宇宙の領域にも広がる。

こうした状況下で日本は何をすべきか。何よりもまず日本国の守りを固め
ることだろう。そのためには中国が展開する第一列島線戦略を阻止しなけ
ればならない。中国に第一列島線を押さえられれば、米軍は日本周辺にも
台湾周辺にも近づけない。だからこそ、日米が協力して第一列島線を押さ
えることだ。

「第一列島線を守るには、基本として中距離ミサイルの配備が必要です。
そのミサイルを米国に頼るのでなく、わが国のミサイルを配備すべきで
す。三菱重工にはその技術があります」と安倍氏。

中国は日本を狙うミサイル2000基を配備済みだ。北朝鮮もわが国を狙うの
に十分な1000キロ超の弾道ミサイルを保有する。韓国は米国との協議でこ
れまでミサイルの射程を800キロ以下に制限していたが、今年5月、その制
限を撤廃した。韓国のミサイルも日本を射程にとらえることになったので
ある。

日本周辺はいま、地球上のどの地域よりもミサイルの密度が高い地域なの
だ。自力で国を守るために、日本製のミサイルを配備するのは理に適って
いる。十分な力を持って初めて国民の命も国土も守れる。安倍氏の主張
を、朝日新聞などは恐らく激しく批判するだろう。しかし、現実を見据え
た安倍氏の主張は正しく、岸田首相も支持するだろう。

       

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◆雀庵の「常在戦場/130紫禁城の黄昏21世紀版」
“シーチン”修一 2.0

【Anne G. of Red Gables/409(2021/12/27/月】ピンピンコロリは老爺の
永遠の夢である。日々、気力体力知力の劣化を覚える小生は、ピンコロが
いつ来るか分からない、倒れて寝たきりになるかもしれない、今のうちに
やるべきことはやっておかないと・・・という焦燥感を催す。そう、「老
人に明日はない」のだ。

達観、諦観した老人は穏やかな好々爺、優しいオヂイちゃんになるかもし
れないが、一方で焦りまくるヂヂイや怒りっぽいクソヂヂイもそこそこい
る。小生は「不思議の国のアリス」のいつも忙しそうにしているウサギみ
たいだ。ウサギ歳だし・・・

ラビット rabbit は長距離競技で「先導役をつとめるペースメーカー」
「チームメイトのために意図的に速いペースで飛び出す走者」の意味もあ
るとか。戦争でいうところの先鋒、先駆け、突破モン・・・小生は単純で
頭に血が昇りやすかったから先頭が好きだったが、雀百まで踊り忘れず、
独断専行の怪老願望、まるで祟り。そう言えば菅直人は「4列目の男」
だった。

初代内閣安全保障室長の佐々淳行氏の著書にはこんな菅直人評あった。
「菅さんは東工大の学生時代、ノンセクト・ラジカルのグループに所属
し、学園紛争を煽っていた。私は当時、警視庁警備課長として機動隊を連
れ、3回ほど東工大に行ったので、菅さんを知っていました。彼は我々の
間で“4列目の男”と呼ばれていた。アジ演説が巧く、聴衆を集めるが、検
挙を覚悟の上でゲバ棒で逆らってくるようなデモ隊の3列目には決して加
わらなかった。巧妙なリーダーでした」

小生は菅直人を“カンカラ菅”と侮蔑しているが、彼のシマは東京の武蔵野
市(売国奴市長で有名になった)、府中市、小金井市だった。小生の長女
は小金井市の公務員(半強制的に自治労に加盟させられる)だったが選挙
運動で職場に来た菅直人を「あの人、誰?」と同僚に聞いて周囲を驚かせ
たという。「呆ける疲れる悪くなる、TVは二十歳を過ぎてから」と幼い頃
から訓導して本当に良かったと小生は思ったものだ。

TVは概ねアカの洗脳ツールで、スマホもプラスされたから病膏肓、東北大
学などの調査などによると「スマホが学力を破壊する」(川島隆太著)。
理系向けの内容で小生には難しく、まだ途中までしか読んでいないが「ス
マホを持つようになった生徒は成績が下がり、使わなくなると成績が急回
復する」そうだ。

今は孫に「TVは番組(ソフト)や機械(ハード)を創って儲けるもの、有
能なら20代でも月給100万円なんて珍しくないよ、TVを見ると脳みそが劣
化してロクなことにならないし、物欲が昂じてあれも買いたい、これも欲
しいと無駄遣いするだけ」と洗脳(刷り込み)しているが、孫は演劇部に
入って将来は役者として「儲ける側」になるつもりのようだ。結構なこと
だが、食事中まで台本見ながら練習するのはちょっと・・・


女「アンタ、私の血圧の薬、また盗ったわね、ちゃんとお医者さんに行き
なさいって言ってるでしょ」

男「でも・・・医者にかかると月1回は行かなくちゃならないし・・・」

女「月1回なんだから何てことないでしょ、どーせ暇なんだから・・・
まったくもー」

これは「虐げられし老人」の台本ではない、リアルである。それにしても
ケチなババアだなあ、降圧剤いっぱい持ってるんだからくれてもいいだろ
うに、物欲の塊、クソッ・・・とにかく脳みそが壊れないように血圧を下
げないといかんなあ・・・なんて思いながら普段と違うルートをチャリ散
歩していたら紳士服の大型店舗が「マツキヨ」に変身していた。


マツモトキヨシ・・・昔クライアント開拓で本社を訪ねたことがあるが、
随分ドライで、義理と人情、酒は涙か溜息かのウェットが好きな昭和
20〜30年代生まれ演歌世代とは肌が合わない感じだった。今や平成元年
/1989年生まれが32歳、昭和は遠くなるばかり。老兵はただでは死なず、
中共を道連れにするためには今倒れるわけにはいかない・・・

で、血圧を下げる薬とかサプリがあるかとマツキヨを覗いたら、マスクで
目しか分からないが恐ろしいほどの別嬪さんが親切に案内してくれたので
サプリと、この際だからと6000円の血圧計も購入した。別嬪さんは言い寄
る男にウンザリしているのか警戒心見え見えの感じだったが、また会いに
行こうっと。

(マスク時代の今は目しか見えないから女は目元を集中的に最新化粧法で
装っているのか? 帰路に改めて女を観察すると、みんな似たような目を
している。個性がなくて量販製品みたい・・・なんか怖い感じ)

サプリと血圧計を手に入れて、何となく「これで1年は長生きしそう」と
いい気分になったが、己の病識のない習近平は自分の思うように世の中が
動かないことを「敵のせいだ、日米を叩け」と他罰的になっているのでは
ないか。自己中心的で暴言や暴力行為など他罰的症状を伴う「強迫性神経
症」のよう。実に危険で胡散臭い奴だ。

中共系サイエンスポータルチャイナ「柯隆が読み解く 中国の不動産バブ
ルと固定資産税の導入の可能性」2021/12/23から。長いから真ん中あたり
は飛ばした。


<中国の不動産バブルがいつ崩壊しておかしくない危険な状態にあるとい
われて久しいが、実際はそのバブルはなかなか崩壊していない。むろん、
崩壊しないバブルは世の中に存在しない。では、なぜ中国の不動産バブル
は崩壊しないのか。

一番の原因は、中国政府が不動産バブルの崩壊を最も心配していることに
ある。なぜならば、不動産開発を中心とする都市再開発の経済成長への寄
与度は約30%に達しており、不動産バブルが崩壊した場合、中国経済は大
きく落ち込む恐れがあるからである。中国政府は不動産バブルが崩壊しな
いように何とかそれをコントロールしている。

二番目の原因は中国社会が急速に高齢化しており、年金などの社会保障制
度が十分に整備されていないため、多くの地方では社会保障ファンドが資
金不足に陥り、それを土地使用権(定期借地権)の払い下げの売上によっ
て補っている


不動産バブルが崩壊した場合、地代が落ち込み、深刻な社会不安につなが
る恐れがある。たとえば、市場経済の国では考えられないことだが、不動
産価格が大暴落しそうなときに、中国の地方政府は「不動産価格引下制限
令」という通達を出すことがしばしばあった。たとえ取引が成立しなくて
も、見た目では価格が下がらないため、不動産バブルは崩壊していないよ
うにみえる。

中国政府はかつての日本のバブル崩壊とその後の失われた20年の教訓を学
び、不動産バブルの崩壊を警戒している。しかし、それは中国政府にとっ
てまさに前途多難の綱渡りである。なぜならば、不動産バブルを崩壊させ
てはならないが、このまま大きく膨らんでいった場合、早晩崩壊してしま
うため、唯一の道は不動産バブルをこのままキープしていくことである。
それは政策立案者にとってまさに神業といえる。


最近注目を集めている「恒大集団」をはじめとする大手不動産デベロッ
パーのほとんどは過剰に債務を借り入れ、不動産開発を展開してきた。彼
らにとって、不動産価格が上昇を続ける局面では深刻な問題が起きない
が、不動産価格が横ばいで推移しても、その経営は持続不可能になる。

中国政府は不動産バブルがこれ以上膨らまないように「不動産税」(固定
資産税)の導入を検討しているといわれている。

そもそも固定資産税を導入する意味として、1)政府にとっての税収(財
源)の確保、2)資産と所得の平準化、3)不動産価格の高騰の抑止などの
狙いがあると思われる


1)については、課税のベースと税率を算定する方法の説得力が問われ
る。2)については、高級幹部は広い家に無償で住むことを考えれば、果
たして、固定資産税の課税の資産と所得の平準化を達成できるのだろう
か。3)については、厳格な固定資産税の課税を実施すれば、不動産価格
の高騰を抑止できるかもしれないが、その価格が暴落した場合、それこそ
日本のバブル崩壊の轍を踏むことになると思われる。


したがって、一つの経済政策を実施するにしても、全般的な制度改革も行
う必要がある。さもなければ、当初の目的に反して、深刻な「副作用」が
現れる恐れがある>

トウ小平の改革開放から40年間、中共経済は外需と内需の急成長により国
民の生活も向上してきた。経済が元気なうちに人口の半分ほどを占める農
民など貧困層の生活向上を本気で図ることなく、「稼げる奴から稼げ」と
党員を含むエリートばかりが儲かる“利権主導強欲経済”を是正することな
く進めてきた。これは「まずかった」では済まない痛恨のミスだ。


結局、少数の上流階級と圧倒的多数の下層階級の貧富の格差は天文学的に
なってしまった。宴会で1本100万円の高級酒をバンバン開けて飲む層がい
る一方で、1日250円で暮らす層がなんと6億人・・・まるで絵に描いたよ
うな悪政だ。天津の友を訪ねた長女曰く「富者は驕り昂り、貧者は乞食か
汚物のように見下されている」。


全般的な制度改革をしなければ中共独裁政権に対する「窮民革命」が起き
るぞ、と柯隆氏は警鐘を鳴らしているわけだ。

たとえそれを中共の識者が理解しても、毛沢東流「清貧国家」に憧れると
共に「世界制覇革命」を目指すという、どう見ても二律背反の2つの目標
を実現できると信じている習近平には馬耳東風、すでに彼は「狂気の世界
の住人」のよう。不治の病・・・夜郎自大、つける薬なし。清朝末期=中
華民国初期のように中央政府に代わって“軍閥”が地域を支配する時代が来
てもおかしくない。それとも対外戦争で人民の不満をそらして延命を図るか。


<中国サウスチャイナモーニングポスト2021/12/25: 中国海軍は南シナ
海での訓練により、島嶼獲得能力を強化している。海軍増強のための資金
は造船界の熱狂を駆り立て、中国の海軍艦隊は拡大してきた。

国防総省の「2020年中国軍事発電報告書」によると、中国は約350隻の水
上艦と潜水艦を持つ世界最大の海軍国になった。アメリカ海軍の戦闘艦隊
293隻を上回っている。中国は今年少なくとも8隻の駆逐艦と6隻のコル
ベット艦を発注した。しかし艦隊の大規模化は必ずしも「強さ」を意味す
るものではない。例えば、アメリカ海軍には11隻の原子力空母があるが、
人民解放軍海軍は2隻の原子力空母を建造中でしかない。

香港に拠点を置く軍事コメンテーターのソン・ジョンピン氏は、中国は国
内外で拡大する同国の利益を守るために、より多くの専門知識と高度に熟
練した人材が必要だと語った。

「これらの責任を果たす中国海軍にとって大きな問題は、海軍将兵の能力
の欠如である。中国海軍は長距離深海任務が可能な人員を増やしている
が、軍艦や高度な兵器を最大限に活用するには、高度に熟練した要員が必
要だ」>

戦意、忠誠心、高度に熟練した要員・・・日清戦争で清は世界最先端の戦
艦を持っていたが、日本に大敗した。漢人には4000年の歴史の中で勇武、
将兵を称賛、尊重する風土がないばかりか、逆に「良い鉄は釘にならな
い」と軽侮してきた。中共革命で軍事指揮を担ったのは主に朱徳将軍だ
が、革命後は毛沢東に「要なし」と軽視され、随分荒れていた時期もあっ
たようだ。『文革こぼれ話』の中の「朱徳総司令の見学」にはその一端が
紹介されている。

<朱徳総司令は、ある革命博物館を見学した。彼は『井岡山での合流』
(原文:井岡山会師)という油絵の前で立ち止まった。彼は何回見ても何
かおかしいなと思って、説明係に尋ねた。「どうして、わしに全然似てな
いんだ? あの頃わしはそんなに痩せてないよ」。

説明係は、どう答えたらいいかわからず返事に窮した。実は「四人組」が
歴史を改竄したため、油絵中の朱徳はすでに林彪に描き換えられていたの
である>

習近平は2011年の総書記就任以来、盛んに「勇武」を讃えているが、毛沢
東流を真似ているから本質的には「軍人軽視」、彼の野望が達成できれば
多くの将兵はお払い箱になるだろう。


トウ小平は中越戦争後に将兵をお払い箱にして退役軍人から大抗議を受け
たが、今でも退役軍人はしばしば抗議デモを行っているようだからあまり
改善されてはいないのだろう。このために現在の軍人も退役後の不安から
蓄財に励んでいる。「命あっての物種:何事も命があればこそで、死んで
しまっては元も子もなくなる。生命にかかわる危険はなんとしても回避
し、ともかく生き延びれば希望も生まれる」(コトバンク)。そういう軍
隊が勝てるか?


日清戦争では清朝の将兵は軍資金や軍需物資をネコババしていた。戦闘で
日本軍に負けると清軍の兵士はさっさと日本軍に鞍替えして炊事洗濯係に
応募してきた(日本初の従軍記者の一人、岡本綺堂著「江戸っ子の身の
上」)。毛沢東は蒋介石が台湾逃亡の際に遺棄した国民党軍兵士を朝鮮戦
争最前線に武器なしで送り込んで特攻させ、逃げる兵士は督戦隊が殺して
“始末”した(林建良著「日本よ、こんな中国とつきあえるか?」。


軍人を4000年間、軽視、侮蔑してきたのが支那民族である。為政者・習近
平のために“一人っ子軍隊”は戦うか・・・以前は大卒の多くの将兵は「軍
人になれば安定しているし危険もないから」というのが就職動機だった
が、今は待遇面で民間企業より劣り“敬遠”されているようだ


<北京の軍事シンクタンクの周晨鳴研究員によると、2000年ごろまでは
「待遇が安定し、各種資格も取れる軍は若者に人気だった」。しかし、大
学進学率は同年の12.5%から2020年の54.4%と上がり、「有利な就職先が
多い大都市の大卒者は軍に来ない」と指摘する。新兵の不足は今後、周辺
との摩擦が絶えない中国の安全保障の足かせとなる可能性もあり、軍の危
機感は強いという>(東京新聞2021/7/13)


何やら「紫禁城の黄昏21世紀版」。そう言えば戦後初めての「日本国家存
亡の危機」なのに、危機意識のない政治家が実に多い。次回は政府・与党
に巣食う「我らの内なる北京原人」を罵倒しよう。


         
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◆米軍、8機の偵察機をウクライナ上空へ

「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)12月23日(木曜日)弐
  通巻7166号  

 ロシアのウクライナ侵攻は近付いたのか、遠のいたのか
  米軍、8機の偵察機をウクライナ上空へ。24時間警戒態勢へ

 ロシアの英字紙『プラウダ』が報じた。
米軍はR135偵察機を8機、ウクライナ上空偵察のために派遣する。
24時間の偵察により、国境付近の随処に待機しているロシア軍の動きを
監視する。小さな電子信号でも、R135は上空で関知し、ロシア旅団の
規模、動き、武器の配置などを確認できる。

 またロシアはベラルーシ(ウクライナと国境を接する)に核ミサイル移
動型を配置したともプラウドは報道した。大型トラックに搭載されたミサ
イルは、適宜移動して、固定的な場所にはいないようである。

 同時にロシア軍はクリミア半島において大型ドローンの飛行に成功し
ヴィデオを公開した。
この戦闘無人機は複数のミサイルを搭載し、遠隔操作で空中戦を展開でき
るシロモノ。オリオン戦闘AI機とも呼ばれ、中国同様にロシアは無人機
の軍事転用に余念がない。西側ではドローンは配達、医療機器の緊急輸
送、地図の撮影などに使われているが、ロシアと中国のドローン開発はす
べてが軍事優先となる。

 げんにシリアで展開してきたチェチェン過激派部隊のボスが、ロシア軍
のドロン攻撃により殺害されている。
       
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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  ♪
(読者の声1)精力的に一次資料に当たって陰謀論の中の真実を暴き出す
林千勝先生の「反日の源流」という動画を見て衝撃を受けました。
私はグローバリストの策謀により日本が大東亜戦争に引きずり込まれたも
のの、それによって彼らの植民地体制が崩壊したので、ザマヲミロと思っ
ておりました。ところがこの動画によって、グローバリストはその上を
行っていたことを思い知らされたからです。
 具体的に云いますと、彼らはすでに植民地経営の限界・欠点を理解して
いて、それが壊されたことは、彼らにとっては、より効率的な新たな支配
システムを構築するためには、むしろ好都合だったと云えるからです。
そして実際その通りに、今の日本は見事にしてやられてしまった現実があ
るからです。
 黒船来航以前から、グローバリストは見事な国家を作り上げた日本がグ
ローバリズムの脅威になると予測し、日本の研究を積み重ねていたそうです。
その中心となったのがロックフェラー財団で、なぜこういう国ができたの
か?をその根本から徹底的に調べていたそうです。それが如何に精緻を極
めていたかを示す事実が、日本の力の源泉がヘーゲル哲学によく似たカタ
カムナにあり、そのカタカムナから生まれたカタカナを警戒して、カタカ
ナを禁止したことです。
それまで公文書に使用されていたカタカナが消え、教科書の童謡サクラサ
クラのカタカナ表記までも黒く塗りつぶされてしまいました。そして今で
は、カタカナは外来語ぐらいにしか使用されなくなりました。
 この恐ろしく悪知恵の働くグローバリストは、マルクスを使って人類の
学問を破壊する一方で、自らはその学問の一部である科学を邪な計画のた
めに悪用し、一般の大衆に対しては、真実を明らかにする学問精神の涵養
を阻み、その統制力で思考の自由を奪い、嘘のまかり通る前近代的な認識
へと、人類の歴史を逆行させようとしています。

 たとえ彼らが優秀であったとしても、彼らのやることが誤謬となり人類
のためにならない必然性は、真理論的に云いますと、相対的真理(部分的
真理)の絶対化(全体化)という必然的誤謬であるからであり、この誤謬
は、人類の哲学の歴史が明らかにした絶対的真理(全体的真理)と、科学
が明らかにしつつある相対的真理(部分的真理)との弁証法的統一によっ
て、体系化された学問が明らかにする本物の真理とは決してならないもの
だからです。
 具体的に云いますと、金融資本的グローバリズムは、国家社会全体の一
部に過ぎない経済から全体を規定しようとする誤りであり、グローバリズ
ムという地球規模の全体から捉えているように見えて、その内実は、国家
の発展という過程を欠落させた、人類の歴史全体から今だけを切り離し
て、自分たちの利益という部分的真理を全体に強要するものに過ぎないか
らです。
 また共産主義的グローバリズムの方は、労働者階級という部分的立場を
絶対的に正当化して、それを否定的媒介を通じて国家全体として統合しよ
うとするヘーゲルの主張を拒否して、対立を激化させて相手を殲滅するこ
とが根本的解決だ!と本家マルクスは主張しています。
それを忠実に実行したのが、ロシア革命であり、中国での文化大革命であ
り、カンボジアの文化人の虐殺です。この責任はマルクスのこの誤りにあ
るのです。
 さらに言えば、この相対的真理の絶対化は必然的に現実を無視・軽視し
た観念論への転落を引き起こします。
科学的を標榜し、唯物論を強調するマルクス主義者の多くが観念論に転落
して、現実を正しく見られなくなってしまうのは、このためです。
また事実的にマルクス主義の誤りが実証されても、彼らがマルクスを信奉
し続けられるのは、この観念論への転落のせいで現実が見えなくなってい
るためです。これは、本当に皮肉なことであり、人類にとって不幸なこと
です。
 インターネットによって、人類の脳・認識が容易に一体化される時代に
あっては、この本物の学問を巡る攻防が一層の重要性を増してくると思い
ます。
その意味で、今の日本の若い人たちの、学問的精神によって次々に真実が
明らかにされてきていることは、本当に頼もしい限りです。
そういう動きがあるだけに、さらに欲を言えばそれらを統合して学問とし
て体系化しようとの志をもって挑んでくれる若者が現れてくれることを切
に望むところです。
(稲村正治)


(宮崎正弘のコメント)いささか牽強付会の陰謀論ではないかと思います
が、なにしろ保守論壇の一部でも新バージョンの「陰謀論」が大流行です。
小生は『ユダヤに拘ると世界がみえなくなる』という本を35年ほど前に
書いて、陰謀論を否定しましたが、ユダヤ陰謀論は欧州の文書偽造業者ら
作成し、ロシア帝政時代の秘密警察が使い、ナチスが援用した、戦争中は
日本軍のなかにも信奉者がいました。『シオンの議定書』は偽書です
その後の陰謀論は、このパターンに酷似しています。

   ♪
(読者の声2)御新刊『日本の保守』(ビジネス社)を半分まで読みまし
た。日本の保守思想は、北畠親房、慈円、山鹿素行、本居宣長、水戸光圀
の流れと解釈してきたので、それはその通りなのですが、その以前の古代
史に言及されて、アマテラス、スサノオ、神武天皇あたりから脈々と続い
ている日本の思想であると説かれるあたり、ぎょっとなりますね。
これは二日や三日で読める本ではなく、悠然と時間をかけて熟読する所存
です(DH生、水戸)

  ♪
(読者の声3)ツイッターにあったロシア軍用車両の鉄道輸送の様子。
ベラルーシに近いクリンツィ/ブリャンスク(Klintsy /Bryansk)はウクラ
イナの国境からわずか120km(東京〜水戸程度)、キエフから350km。
https://twitter.com/L_Team10/status/1472685538801070088

こちらはモスクワ南東のリャザンを通過する軍用トラック KamAZ-63501AT
"Bear" と152ミリ榴弾砲 2A65 "Msta-B"を積んだ列車。
https://twitter.com/Kaala_Nag/status/1473526667066941443

KamAZの軍用トラックは炎暑の砂漠から極寒の極地まで走破する信頼性で
サウジアラビア国軍でも人気が高いという。グルジアの紛争でも使われて
いました。
https://jp.rbth.com/science/82936-naze-kamazu-no-torakku-ha-sekaiichi-na-no-ka
  (PB生、千葉)

2021年12月24日

◆希望的平和志向 脱皮を

        【櫻井よし子 美しき勁き国へ】 

 米中の価値観をめぐる対立の顕在化で両国間の妥協の余地が狭まりつつ
ある。米外交専門誌「フョーリン・アフェアーズ」11・12月号でシカゴ大
学のジョン・ミアシャイマー教授は米国が長年、中国の現実から目をそら
してきた結果、両国間紛争は回避不可能な状況に達し、人類は核戦争への
エスカレーションの危機にあると、警告した。

 米中対立はそれほど深刻である。決して起こしてはならない核戦争を防
ぐため、私たちはかってないほどの決意で現実を見詰め、責任ある思考を
巡らせなければならない。

 核戦争の危険を避けるには、米国が恐ろしいほどの軍事力を東アジアに
配備し中国を抑止することだとミアシャイマー氏は書いた。岸田文雄首相
の持論「核なき世界を目指す」という漠とした考えでは日本および周辺諸
国を守り切ることはできない。ではこの危機をどう乗り越えるか。

 米国は明確な戦略変更を打ち出した。そのひとつの現象が12月9日、10
日に開催する民主主義サミットであろう。約110の国・地域を招き、2
日間のオンライン会議で@各国が自国の民主主義の実態を確認し、A1年
後、足らざるところを埋めて共同で対処するというものだ。

 一国だけでは中国の脅威には向き合えない、同盟諸国や価値観を同じく
する国々と繰り返す。頼りないとはいえ実践例のひとつがこれであろう。

 バイデン米政権は米軍配備の指針「世界規模での軍事態勢見直し
(GPR)」で、中国を念頭にインド・太平洋地域に重心を移す方針を示
した。部隊の大規模配置は見送った。米国の小幅な戦略見直しはここでも
諸国の落胆を招いた。中国の脅威をかわすのに米国を頼りつつも世界全体
が積極的に協力すべきところに来ているのである。

 中国は米国の民主主義サミットに対抗して12月4日、「中国の民主」を
発表した。同報告を貫くのは「全過程人民民主」という中国流民主主義の
正当性を強調する強引な主張だ。24ページにわたる主張は、習近平氏が中
国共産党のトップとなった「2012年以降、中国は素晴らしい成果」を
おさめてきたという自画自賛から始まる。これはおよそ全ての文書の枕詞
(まくらことば)として使われる習氏への個人崇拝促進表現だ。

 習氏に絶対専制独裁体制は民主とは程遠いが、中国は言う。「中国の民
主」は人民が国家の主だと。人民には投票権も立候補権もあり、政府批判
の権利、言論、報道、集会、結社、デモ、信教の自由もあると。

 それにしては、香港の自由な言論空間は、あっという間に消えた。香港
の選挙は形だけとなった。自由も民主的選挙も既得権益の塊である一党独
裁の中国共産党には絶対に受け入れられないものだ。

 中国は民主の旗を立てながら、その実、非民主的な力の行使に何の抵抗
も感じていない。その統治の方式は中国が他国に勢力を伸ばすとき、非統
治国にも必ず適用されるはずだ。そのことを岸田文雄政権は肝に銘じて対
中外交を展開しなければならない。甘い考えで国と国民を守れると思って
はならない。

 恐ろしいほどの野心を抱く習氏だが、一方で国際社会の批判におののい
ているのか。「中国の民主」に続いて翌5日には「米国の民主状況」を発
表させ、米国の民主主義を切って捨ててみせた。米国社会の人種差別、富
の偏在、大資本によるメディア支配、名目だけの言論の自由などと弊害を
あげつらっている。

 中国の指摘は一面の真実を突くものではあるが、中国にも米国と同じか
それ以上に深刻な同様の問題があることを彼らは認めない。

 米中両国の価値観の戦いの中でわが国が人類社会に対して担う責任は重
い。第1に、日本は世界第3の経済大国として、基本的に自力で自国防衛
をなし遂げ、米国をも支え、協力する姿を全世界に示すことだ。たとえば
中国が台湾、尖閣、沖縄を奪取するための基本戦略と見なす第1列島線に
米国の中距離ミサイルではなく、わが国の技術で製造する中距離ミサイル
を配備することだろう。

 第2に、米国とも異なり、無論中国とは正反対の日本の文化と価値観に
基づく国家観を打ち出すことだ。中国に位負けせずに言うべきことを言う
ことだ。たとえば北京五輪についてバイデン米大統領は11月18日、「外交
的ボイコットを検討中」と語った。英国を含む欧州諸国も同様だ。わが国
こそ真っ先にそれを言わなければならない。

 せっかく、国際人権問題担当首相補佐官を設け、中谷元・元防衛相を起
用した。首相は中谷氏に明確な発信を指示すべきだろう。中谷氏は補佐官
就任と同時に中国の人権問題に物言わぬ人となったが、物言わぬのであれ
ば更迭すべきだ。

 台湾問題に関する林芳正外相の沈黙も国民のみならず、国際社会の疑惑
を深めている。対照的に中国が林氏擁護に熱心だ。

 そもそも中国は日本の政治家をどのように分析しているか。中国共産党
機関紙、人民日報系の「環球時報」の編集長は9月5日、「日本の政治家
はせいぜい中国に対する口先攻撃で満足する人々だ。安全保障における攻
撃的な行動を取る勇気は絶対にないだろう」とツイートした。

 日本の政治家をこのようにおとしめる一方で、彼らは林氏を称賛する。
林氏が外相就任時に日中友好議員連盟の会長を辞した件について環球時報
は11月19日、東北アジア戦略研究所の笪志剛首席専門家の論文を載せた。
笪氏は、林氏の日中議連会長辞任は「一人を殺して大勢の見せしめにしよ
うとするものだ」と批判し、「(林氏ら)知中派は日本の保守的思考を食
い止める清流勢力だ」と持ち上げた。中国に物言わぬ「知中派」は何より
も中国の国益につながると見ているのであろう。

 今はあらゆる意味で戦うときだ。「台湾有事は日本有事であり日米同盟
の有事である」(安倍晋三元首相)。「中国が台湾に侵攻すれば多くの
人々にとって恐ろしい結果になる。米国は断固として台湾に関与する」
(ブリンケン米国務長官)。両氏のように明確なメッセージを発信して中
国に誤解させないことが肝要だ。自民党公約を見れば首相は宏池会の希望
的観測に基づく平和志向からの脱皮を意図しているのだろう。ならば迅速
に行動で示すべきだ。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
松本市 久保田 康文 

産経新聞 採録



━━━━━━━━━━━━━
◆岸田首相に沈められる日本株
今市太郎

時価総額の伸び世界96市場中81位で海外勢から総スカン


今年は31年ぶりに日経平均がバブル後高値を更新しましたが、ドルベース
の時価総額の伸びを見ると、もはや日本は三流国と成り果てています。
2022年4月の東証「市場再編」も期待できず、世界市場における日本の存
在感はますます薄れてしまいそうです。(『今市的視点 IMAICHI POV』
今市太郎)

岸田首相の「自社株買い規制」匂わせで株価下落
岸田首相が国会答弁の中で「分配」に絡めた視点から、民間企業の自社株
買いに何らかの規制を加えかねない発言をしたことで、株価が下がる場面
がありました。

米国でもストック・オプションで報酬を得ている雇われ経営者であるCEO
が、自らの取り分を増やすために、やたらと自社株買いをしていること
を、民主党左派のエリザベス・ウォーレンなどが厳しく批判して規制をか
けようとしています。

これとは理由が異なっても、主要国では自社株買いに規制が出る世の中に
なるのは、時間の問題なのかもしれません

しかし、この自社株買いは、米国の株式市場では、ここ数年相場を持ち上
げる最大の材料になっているのもまた真実で、本邦でも同様のことになっ
ているのは紛れもない事実です。

しかも、この国では自社株買いがあっても株価は停滞を余儀なくされてお
り、日経平均が9月に3万円台を回復したことで、なんとなく株式相場は戻
しているといった感が醸成されていますが、この1年の地盤沈下は目を見
張るものがあるのが実態となっています。

世界は日本株のことなど気にしない
GAFAの時価総額の合計のほうが、東証のそれより大きいというのは有名な話。

さらに引きから日本の株式市場を眺めて見ますと、東証の時価総額合計の
対世界比は、今年すでに5.3%台にまで落ち込んでしまい、ほとんど世界
の株価に影響を与えない存在になったことがわかります。

バブル絶頂の1987年あたりは、本邦の株式時価総額は120兆ドルを軽く超
え、世界的なそのシェアは40%超となっていました。上位100社には金
融・生保・メーカーなどがゴロゴロと名を連ねていたのがまったく嘘のよ
うな状態です

安倍元首相などは、この頃の日本のポジションがまだ続いていると錯覚し
て、他国にばらばらとカネをバラまいていましたが、実はもはやバラまく
側ではなく、施しを受ける側にまわってしまっているのが現実の状況なの
です。


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◆待ち時間の市場原理
轟晃成(とどろき・あきなり)の人間社会考察

モノやサービスの価格は需要と供給のバランスで決まります。経済学の市
場原理と呼ばれます。この市場原理は、お金(値段)だけでなく時間にも
適用されるように思います

たとえばテーマパークのアトラクションの待ち時間は、人気の乗り物には
人が集中して待ち時間が長くなります。そうすると、待つくらいなら第一
希望の乗り物でなくても別の乗り物で妥協しようという人も中には出てき
ます。このようにしながら、いずれ需給がバランスして、人気の乗り物は
まるでサービスの値段が上がるように待ち時間が増えていきます。

もちろん、面白くて人気があって、かつキャパシティが大きかったり回転
率が良かったりして、人気の割にそれほど混まないものもあるでしょう。
それは、品質が良くて安いものがあるようにお金でも同じだと思います。

テーマパークは、有料の優先案内券を除けば、入場料を払ってからは、一
つ一つの乗り物は無料であることが多いです。お金は固定の状態で「時間
でサービスを買う市場」があるように考えられます。

首都圏は道路網が発達していますが、朝の通勤ラッシュ時は非常に渋滞し
ます。カーナビでも最短経路が道路状況により刻々と変わっていくことも
経験したことがあります。Google mapのナビを使っている人も多いかと思
いますが、想像するにGoogleに従って多くの人が裏道に誘導されて、それ
で次はその裏道が混雑するということもありそうです。

そのようにしながら、完全ではないにしろ市場原理が働き、いずれ道路を
使う人々がそれぞれほぼ最短経路に近い道を通るように自然と調整されて
いくのではないでしょうか。

さらに面白いことに、道路の場合は高速道路が存在します。お金を払うこ
とで所要時間を短縮することができます。今度はお金と時間の相互関係が
ありますのでより複雑になります。

他にも、お金ではなく時間でサービスを買うという発想では例えばお花見
の場所取りもそうかもしれません。いわゆる「早い者勝ち」なパターンで
す。時間による市場は身の回りに色々ありそうです。

経済学では完全競争市場では一物一価になるとされます。すなわち、同一
製品は同一価格になるということです。しかし現実にはそうはなりませ
ん。また、値段が高いからといって価値も高いと錯覚してしまうことにも
注意が必要です。しかし目安にはなります。行列のできるラーメン屋さん
は、みんなが時間とお金をかけるくらいきっと美味しいのです。




━━━━━━━━━━━


◆「台湾有事は日本有事」

「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)12月15日(水曜日)
通巻第7161号    

現職の時に発言して欲しかったけれど、安倍元首相
「台湾有事は日本有事」
  中国高官は呟いた。「火遊びで焼け死ぬぞ」

 安倍晋三元首相の12月1日の発言(「台湾有事は日本有事」)はアジ
ア政界に大きな注目を集めた。14日に台湾で開催された「国際フォーラ
ム」にも、元首相はオンライン出席し、英語で基調講演を行った。蔡英文
総統も出席した。

 安倍元首相は「民主主義を守るために私たちは闘わなくてはならず、そ
れを強く、新しくしないといけない。この意味で台湾に勝るネーション
(nation)はない」と述べた
「地域」ではなく台湾を「国」と呼んだ点に留意が必要だ

 また安倍元首相は、中国を名指しした。
「軍事的な冒険を追い求めるのは、自殺的な行為だ。我々は、領土の拡張
や挑発を行わぬよう強く促すべきだ」と訴えた。サウスチャイナ・モーニ
ングポストは、この「自殺的行為」を見出しに立てた(12月15日付け)。

 また元首相は(中国の圧力は)「我々への激甚なる挑戦である。とりわ
け日本に深く関係する」とし、「日米台は海洋や空中、サイバー空間や宇
宙において能力を高め続ける必要がある」と唱えた。

 さらに台湾の環太平洋経済連携協定(TPP)加入申請にも言及し、「台
湾は疑いなく加盟資格がある。日米政府は、台湾を世界保健機関などの国
際機関に迎える努力をなすべきだ」とした。同席した蔡英文総統は日本側
の支持に謝意を表した。

 この一連の安倍元首相発言に中国高官へ言った。
「火遊びで焼け死ぬ」(北朝鮮の独裁者も同じことを言ったっけ)。

 12月14日、ブリンケン米国務長官はジャカルタにいた。
 当該地域の安全保障に関して、「北東から東南アジア、メコン川流域、
太平洋島嶼国に至るまで「中国の攻撃的な行動」に対しての懸念が拡大し
ている。中国への対抗を念頭に「同盟国や友好国と連携し、外交、軍事、
情報を組み合わせた戦略」の重要性を述べた。まさに安倍演説とおなじ基
調である。
       
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)(承前)「ロシア革命の出来事に関する米国上院の公聴会
(1919年)の記録」(5)
http://rus-sky.com/history/library/overman.htm
  
「聖なるもの」の否定こそ共産主義の理想。スモーリヌイの少女たちは穢
された。
【ニューヨークのメソジスト教会牧師、ジョージ・A・シモンズ博士の証
言】−3
1907年秋から1918年10月6日まで、シモンズはペトログラードのメソジス
ト教会の院長としてロシアに滞在

キング上院議員:なぜ彼らはそんなに反キリスト教的なのか? ボリシェ
ビキ−彼らは無神論者、合理主義者、反キリスト教者なのか?
Mr. Simons:ボリシェヴィキ政権下で生活した私の経験から言うと、ボリ
シェヴィキの宗教は絶対的に反宗教的、無神論的であるだけでなく、目的
を達成したらすべての宗教活動を不可能にすることを目的としていま
す。...ここでは、そのテーゼの一つを紹介します。「世の中の悪いこと
はすべて、貧困も苦しみも、主に[神がいる]という偏見のせいだ」。

キング上院議員:先生、あなたはIWW(左翼労組)について読んだり聞いた
りしたことがあるでしょうし、国内でIWWの人たちに会ったこともあるで
しょう。あなたの観察によれば、IWWとボリシェヴィキの間には何か違い
があるのでしょうか?
Mr. Simons:私の印象では、IWWとボリシェヴィキの運動は同じです。
ゾーリンが教えてくれたのは、郵政省の長官...。
オーバーマン上院議員:彼はアメリカ人でしたか?
Mr. Simons:彼はニューヨークに8年間滞在していて、ニューヨークのメ
ソジスト教会のリーダーたちと知り合いでした。
ハムズ少佐:彼はこの国(アメリカ)に帰化したのですか?
Mr. Simons:いいえ、彼はニューヨークに8年間住んでいて、何人かの
リーダーと宗教論争に参加したという。ゾーリンが私に言ったのは、「マ
キシム・ゴーリキーという大きな獲物を得た。今や我々の側についた。彼
は今、私たちと一緒にいて、私たちの文学的な仕事を引き受けてくれてい
る。我々がロシアを制覇したことは知っているだろう。次はドイツとアメ
リカを征服する」。

Mr. Simons:...ボリシェヴィキ運動が顕在化したとき、本物のユダヤ人
の名前を持っているのに使わない人がたくさんいることに気がつきまし
た。これには2つまたは3つの理由があると思います。
1つ、これらの人々が2つまたは3つのパスポートを持っていた。
2つ目、ロシア人にはユダヤ人に対する反感があり、ユダヤ人の名前を持
つ人は差別されていたという説。
3つ目の説明は、「ユダヤ人である我々の実名が公表されたら、我々の目
的の成功、社会主義の実験の成功に反することになる」。人々(本物のロ
シア人)は、「このケースはロシア的ではない」と言うでしょう。
 ボルシェビキが政権を取ったとき、すぐにペトログラード中にイディッ
シュ語の宣言文がたくさん出たことを付け加えておきます。ほとんどの宣
言文はイディッシュ語で、大きなポスターもすべてイディッシュ語で書か
れていました。これがロシアの主要言語の一つになることは明らかで、本
物のロシア人はもちろんこれを承認せずに扱いました。

ウォルコット上院議員:ボルシェビキ運動の指導者の側で、今朝あなたが
述べたような反道徳的な理想を組織的に広めようとする試みはありましたか?
Mr. Simons:このような反道徳的な勢力が、堂々と明らかな形で奨励され
ているのを私はよく見てきました。女性の方もいらっしゃることを念頭
に、慎重に説明を行いたいと思います。

オーバーマン議員:後でこの問題に戻って、女性たちに退場してもらうべ
きではないでしょうか?
ウォルコット議員:ドクター(シモンズ博士)は自分の言いたいことを知っ
ていて、それを表現することができます。

Mr. Simons:具体的な例を挙げましょう。私が帰国する数日前、私たちの
女性支援協会の会長から声をかけられました。彼女は、ある有名な帝国の
教育機関
※で25年以上も講師を務めている学識豊かな女性です。...嗚咽で息を切ら
しながら彼女は言いました。「私たちの大きくて美しい建物を知っていま
すか?
アメリカの女性たちにこのことを伝えてほしい」と、両手で顔を覆い語っ
た。「宮殿のような大きな学院の1階には大きな部屋があります。ボル
シェビキのコミッサールは、何百人もの赤軍や海軍の兵士、水兵、船員を
そこに収容し、12歳から16歳までの私たちの学院の少女たちは、そのフロ
アの残り半分に滞在するように命令しました。こんなものを見るくらいな
ら、死んだほうがましです。でも、そのことをアメリカに伝えてほしいの
です」。
※スモーリヌイ女子修道院学校
https://jp.rbth.com/multimedia/pictures/2014/06/26/48857

ウォルコット議員:ちょっと待ってください。これは単なる無責任な兵士
の暴徒の行為ではないのですか?? それはボルシェビキの幹部による命令
だったと理解してよろしいのですか?
Mr. Simons:彼らの指示によるものです。
キング議員:それはもちろん、不幸な少女たちが紅衛兵の獣のような欲望
に任されていたということですね?
Mr. Simons:ご自分で結論を出してください。
キング議員:その目的について、疑う余地はないのでしょうか?
Mr. Simons:私はその多くを見てきたので、あなたが尋ねていることがそ
うであるならば、イエスと答えざるを得ません。
キング議員:疑いの余地はありませんか?
Mr. Simons:私にはありません。ここには女性がいるので、少し心配です。
キング議員:適切な表現ですね。獣姦や残虐行為を見たと言っても何の問
題もありません。

Mr. Simons:これは私が45年間見てきた中で、最も醜い犬たちです。...
そして、先生は続けてこう言いました。ある日、公教育委員会のルナチャ
ルスキー副官が、ネフスキー大通りの映画館で、私たちの少女たちのグ
ループと一緒にいたとき、彼は12歳、15歳、16歳の少女たちに向かって、
こう言った。「お嬢さん方、花婿はどこですか?」、少女たちは赤面し
「花婿はいません」と答えた。彼は言った、「娼婦のようにネフスキー大
通りに行って、求婚者を見つけたらどうだ? 」 この言葉を繰り返すこと
をお許しください。

キング議員:私は、個人の犯罪をボリシェヴィキのせいにしたくありませ
ん。これらの行動が組織全体の行動であるか、または組織によって支持さ
れている場合にのみ、私たちの検討対象となります。この違いがわかりま
すか?
Mr. Simons:はい、具体的な例を挙げます。政権全体の性質が不道徳だっ
た。それを否定することはできません。

キング上院議員:まず、公平を期すために、ボリシェヴィキの衛兵やすべ
てのボリシェヴィキの男たちは、女性をレイプしたり、強盗をしたりしま
したか?
Mr. Simons:もちろん、そうですね。トロツキーが何ヶ月も熱心に手入れ
をしていたラトビア連隊が前線に行くことを拒否して、ツァールスコエ・
セロー(ペテルブルクの離宮、エカテリーナ宮殿などがある)の近くに留
まっていたことを知っています。...そこへトロツキーがやってきて言っ
た「ペトログラードの全てはあなたのものだ」。 自分で言うのもなんで
すが、彼らは「好きな女を好きなだけ連れていける」と豪語し、平気で
堂々と家に侵入していました。

キング上院議員:兵士に多額の報酬を支払って、軍に留まらせていたので
すか?
Mr. Simons:私の理解では、赤軍には多額の報酬が支払われ、その他の特
権もありました。
キング上院議員:つまり、現代のボリシェヴィキ政権は、レーニンとトロ
ツキーが運営する単なる独裁政権ということですか?
Mr. Simons:はい。

ネルソン上院議員:ほとんどの農民は、ソビエト政府に代表されていない
のですか?
Mr. Simons:一般的には、少なくとも90%の農民は反ボルシェビキである
と考えられており、私が一緒に乗って帰ったアメリカ人もそう考えていま
す。このことから、彼らはボリシェヴィキ政権に参加していないと結論づ
けられます。そして、少なくとも労働者の3分の2は反ボルシェビキ派でも
あることは、すでに述べたと思います。

キング議員:司祭は、農民に対してどの程度の影響力を持っているのか、
それとも失ってしまったのでしょうか。
Mr. Simons:残念ながら、平均的なロシアの司祭は、大衆から尊敬された
ことも、愛されたこともないのです。私の発言が、ロシア正教会の敵に利
用されないことを願っています。ボリシェヴィキは正教会をずっと攻撃し
ていた。彼らにとって、正教会は反動的な機関でした。

キング上院議員:教会の財産や建物の没収はあったのですか?
Mr. Simons:修道院には宝物があります。そして、ボリシェヴィキ幹部に
よる様々な猥褻行為が行われた。教会がダンスホールになっているところも
ありました。私が知っている事例では、ボリシェヴィキの代表者が、人々
が聖体拝領を待っている教会に入り、司祭を追い出し、教会のローブを身
にまとい、祭壇に上がって儀式をあざ笑いました。彼は背教者のユダヤ人
だった。無実の神父が裁判なしで殺害されたという証拠がある。クロン
シュタット(フィンランド湾コトリン島に位置する軍港都市)で殺害された
者もいる。これらの事実はすべて、ノルウェーの外交官を通じて入手可能
です。

キング議員:あなたの家の前を通って護送された人たちはどうなりました
か? 牢屋に入れられたのですか?
Mr. Simons:はい。 司祭たちが大通りを護送され、船に乗せられてクロ
ンシュタットに送られる様子を何度も見ました。ノルウェーの使節団の代
表は、司祭の何人かが殺されている証拠があると言い、役員の多くも殺さ
れていると言いました。クロンシュタットの海岸に投げ捨てられた2、3人
のロシア人将校の遺体を自分の目で見たこともあります。それは、何人も
の(数百人とも言われる)将校を海に投げ込んでいた時期です (PB
生、千葉)

  ♪
(読者の声)いま、米国債の「イールドカーブのフラット化」が進んでい
る。ユーロドルではすでに「逆」になっている。これは、近い将来の不景
気、恐慌などを予想する最も信頼できる指標とされている。
短期の金利が長期より高くなる、と言う不自然な状態を指す。
 将来のインフレを予想しているのなら、例えば「10年1%、30年1.3%」
ではなく、「10年6%、30年6.3%」となっているだろう。現在すでにイン
フレが7%に近いので、確実に毎年ー6%の損になる。なぜそんなバカな
投資をするのだろうか。
 それはインフレを予想していない人、情報収取に疎い個人投資家、収益
にあまり関心のない国家とかが、金利が少しでも高い方がいいと思って超
長期債を買っているに過ぎないのだろうと投資家の藤巻健史氏が言ってい
るが、もう一つの恐ろしい可能性がある。
 それは、−6%より酷い被害を予想し、最も安全な国債を買い、その保
管料として「−6%の損失」を払うつもり、と言う非常に悲観的、保守的
な投資家の判断である。いまの状態はかつての日本の1989年、米国2000
年、2007年の頃のバブルには比較にならないほど膨らんでいる。
つまり株、資産の暴落。過去の危機に助け舟を出した支那も瀕死の状態。
世界の中央銀行もすでに「玉を撃ち尽くした」状態であり、今回の世界大
恐慌は数年続くらしい。
 おまけに、政治的な破綻。武漢菌問題、それにまつわる専門家、医学機
関の嘘、による社会的な信頼度の低下、そしてインフレ、などが複合的に
介入し、どんな結果がいつ現れるか、誰も予想できないが、来年には始ま
るらしい。「皆様、まもなく着陸でございます。シートベルトをしっかり
と」、和風にいうと「フンドシを締めなおせ」くださいませ。
(在米のKM生)

2021年12月16日

◆民主主義サミットで迷走する米国

櫻井よしこ

日本ルネッサンス 第978回

バイデン大統領、大迷走か。
12月9、10日にバイデン氏が主催する「民主主義サミット」への招待国リ
ストを見ての第一印象である。

民主主義サミット開催は2020年の大統領選挙で氏が公約した。目的は、➀
民主主義国を権威主義から守る、➁汚職撲滅、➂人権尊重の促進である。

米国務省は国連に加盟する193か国から110の国と地域を招き、約80か国を
排除したが、選別の基準は不明確で、このような選抜によって先の三つの
目標達成への道筋が開けるとは思えない。世界を恣意的に二分する戦略、
戦術の拙劣さだけが目につく。

たとえば東南アジア諸国連合(ASEAN)である。10か国の内、招かれ
たのはフィリピン、インドネシア、マレーシアのみでタイもシンガポール
もベトナムも外された。

タイは歴とした米国の同盟国だが軍主導の政治が嫌われたのか。シンガ
ポールは米国の同盟国ではないが米軍艦も寄港する力のある友好国だ。後
述するように米国はシンガポールの重要性に注目してきた。今回外された
のは、同国の事実上一党支配の政治体制が民主主義に合致しないと見做さ
れたからだろうか。

ベトナムの排除は理解し難い。熾烈なベトナム戦争の傷をこえて、宿敵同
士だった両国は関係を修復した。そしてベトナムは未来展望の軸を米国と
の関係強化に置いた。南シナ海における中国の脅威に抗して、米国と事実
上共闘中である。ベトナムはまた環太平洋経済連携協定(TPP)の重要
な加盟国であり、本来ならば経済と価値観においても米国と軌を一にする
はずだった。そこから一方的に脱落したのは米国だ。米国との戦略的協調
関係を強化してきたベトナムの除外こそ、繰り返すが、理解し難い。

ベトナムやシンガポールを含むASEANを、米国を筆頭とする西側諸国
と中国が、力と知恵を尽くして取り込み合戦を展開中なのは今更言うまで
もない。

11月22日には習近平国家主席がASEAN中国特別首脳会議をオンライン
で開催し、「包括的戦略パートナーシップの構築」を謳い上げた。

同日、先進7か国首脳会議(G7)の議長国である英国が、12月10日からリ
バプールで開くG7外相会議にASEAN外相を招くと発表した。

米国は10月26日にバイデン大統領自身がASEAN諸国との首脳会議にオ
ンラインで出席し、1億ドル(約110億円)の支援を表明した。それに先立
つ7月23日、オースティン国防長官はシンガポール、ベトナム等への歴訪
に出発した。氏は歴訪で「米国は引き続き信頼できる友好国であり、必要
とされるときに姿をあらわす友人だ」とASEAN諸国に伝えたいと語った。

翌月22日からは副大統領のカマラ・ハリス氏がシンガポールとベトナムを
訪れ、インド・太平洋における米国の「パートナー」としての関係強化を
訴えた。

中国が甘い声で接近

にも拘わらず、これらの国々は民主主義サミットに招かれなかった。米国
外交は一体何なのかと、ASEAN諸国が疑うのは当然だ。アメリカから
事実上「貴国は十分な民主主義国ではないから輪の中に入れない」と言わ
れた側の不満に、中国が甘い声で接近するのが目に見える。

中国の甘言に嵌まった国にカンボジアがある。ASEANによるさまざま
な対中決議は悉(#ことごと)くカンボジアの反対で潰されてきた。いまそ
の国で米中大逆転劇がひとつの結末を迎えようとしている。今年6月ティ
ア・バン国防相は中国の支援で軍事基地建設が進んでいることを正式に認
めた。かねてよりカンボジアの対中傾斜は警告されてきた。同国の外交、
安全保障政策は中国の思いどおりに変わり、穏やかなASEAN諸国から
さえ、カンボジアを含めての全会一致で決定する仕組みを変えるべしとい
う強い意見まで出ていた。

米国は6月にシャーマン国務副長官を派遣したが、米国が同国南西部のリ
アム海軍基地に建てた司令部は遂に解体された。中国に奪われ続けるこの
状況にどう対処できるのか。答えは簡単ではない。明確なのは民主主義サ
ミットからの除外には何の効果もないということだ。

南アジアではインド、パキスタン、ネパール、モルジブが招かれ、バング
ラデシュとスリランカが外された。

「タイムズ・オブ・インディア」はネパールとパキスタンは中国に隣接す
るから選ばれ、バングラデシュは米国が肩入れしてきた野党が過去2回の
選挙で振るわなかったから外されたとの推測記事を載せた。行間から読み
とれるのは、米国の選別基準は結局、米国の好悪でしかないという否定的
受けとめ方だ。

「米国抜き」の秩序形成

中東からは米国の盟友、イスラエルに加えてイラクだけが招かれた。大国
サウジアラビア、動向が注目されるNATO加盟国のトルコ、アラブ首長
国連邦(UAE)も、アフガニスタンからの米軍撤退で随分と米国に協力
したカタールも外された。

それでなくとも中東では「米国抜き」の秩序形成の動きが生まれている。
トルコはカタールと共に中東各国のイスラム組織「ムスリム同胞団」など
を助けてきた結果、過激派への支援だとしてサウジアラビアやUAEなど
の反発を招いてきた。

だが、いまトルコはイスラム過激派への支援を控えるとの見通しを示し始
めた。理由はUAEが経済的苦境にあるトルコ支援に入り、100億ドル
(約1兆1000億円)規模の、対トルコ投資拡大を目的としたファンド設立
に動いたことが直接のきっかけだと見られている。複雑な中東情勢の展開
は見通せないが、米国抜きの秩序確立をより強く促すような動きは、必ず
ロシアや中国のより深い介入を招く。中東における米国の国益は損なわれ
るに違いない。

一方で、台湾が招かれ、米国の台湾擁護政策がまたひとつ印象づけられた
ことは、多くの国に安心感を与えたはずだ。台湾からの参加者はデジタル
担当政務委員のオードリー・タン氏と駐米代表の蕭美琴(しょうびきん)氏
だ。武漢由来のウイルス問題を話し合うには最適だが、政治的には比較的
慎ましやかな人選だ。
中国の不必要な反発を招きたくないということであろうか

民主主義サミットに110か国はオンラインで参加する。1年後に本格的な会
合を開催するとバイデン氏は言う。だが1年後のその頃は米国全体が中間
選挙で手一杯であろう。

とりわけ民主党はこのままいけば上下両院で敗北しかねない。言葉上は強
い印象を与える民主主義サミットだが、具体的果実は期待できないだろ
う。結局、今回の米国の決定は、バイデン大統領の思考はその目的が曖昧
で世界のパワーバランスを米国優位に安定させる戦略性に欠けている、と
いう厳しい現実を暴露しただけではないのか。

    
        
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◆無駄の塊「生命保険」なぜ欧米より3倍も高い?

保険会社のボッタクリと偽りの“相互扶助”
             に気づけ=神岡真司


いざというときのために生命保険の加入は必須のように思われています
が、日本だけの「共同幻想」です。海外と比較してみると、保険会社に
ぼったくられていることがわかります。(『神岡真司の人生逆転の心理術』)


プロフィール:神岡真司(かみおか しんじ)
ビジネス心理研究家。日本心理パワー研究所主宰。法人対象のモチベー
ショントレーニング、組織活性コンサルティング、心のパワーアップセミ
ナーなどで活躍。著書に『思い通りに人をあやつる 101の心理テクニッ
ク』(フォレスト出版)、『苦手な相手に勝つ実践切り返し術』、『必ず
黙らせる「クレーム」切り返し術』(日本文芸社)、『効きすぎて中毒に
なる 最強の心理学』(すばる舎)など多数。
生命保険の欺瞞的商法
今回のテーマは 「日本における生命保険の欺瞞的商法」 について取り上
げます。

なぜ、欺瞞的なのか?――それは日本の生命保険商品が、「保険」が本来あ
るべき理想の姿として一般国民から信じられている「相互扶助の仕組み」
という体を為していないからです。

それにもかかわらず、現実には多くの人々が、保険は「助け合い精神」が
はたらく、必要不可欠な「絆」のようなもの……などと大きな勘違いをして
いるからです。



保険は、資本主義社会における、ふつうの「商品」にほかなりません。

たとえば、飲食店の「商品」である料理の原価率(売上に占める食材費の
割合)が、おおむね30%〜35%が標準的といわれるように、保険という商
品の原価率(支払保険料に占める「保障部分」に回される割合)も、おお
むね30%〜35%にすぎないからです。

残りの65%〜70%が、保険会社の運営費(家賃・人件費・広告宣伝費・利
益など)に消えていきます。このへんは、飲食店の場合とほぼ同様なのです。

今回は、生命保険会社が薦める「ボッタクリ商品」について、心理学およ
びマネーリテラシーの観点から解説したいと思います。

欧米の2〜3倍?高すぎる日本の生命保険料
生命保険文化センターが3年ごとに行っている調査(平成30年度=2018年
度)によれば、生命保険の世帯加入率は88.7%、世帯の年間払込保険料は
38.2万円(月間平均3万1,833円)になっています。住宅ローンに次ぐ大き
な出費なのです。

日本人の「生命保険好き」が見て取れますが、ピーク時の1997年には世帯
平均で67万円も払い込んでいたのですから驚かされます(月間平均5万
5,800円)。

日本の生命保険料は、欧米諸国と比べても2〜3倍も割高です。しかしマス
メディアは、スポンサータブーなので、そんな記事は一切掲載しません。
大口スポンサーである保険会社のCMや広告がなくなったら困るからです。

これまででは、唯一、毎日新聞だけが2001年8月5日付記事で、欧米の同内
容の生命保険と比べて2〜3倍も保険料が高いことを報じた例があるくらい
なのです。

テレビやネットには、保険のCMや広告が垂れ流されていますが、こうした
高額の広告費や人件費(生保社員の給与、販売外務員・販売代理店などへ
の手数料)などの経費のほうに、加入者がせっせと払い込んだ保険料の多
くが流されているわけです。

そして、肝心の加入者が万一の時の保障に回る分はわずかです。どれだけ
の方がこのことを認識されているでしょうか。

つまり、保険は、加入者の万一の時の安心を守るための「相互扶助」のは
ずが、日本では企業の金儲けのために利用される「騙しの金集め商品」に
なっているわけです。

  


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◆ウォール街は逆方向

「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)12月9日(木曜日)
通巻第7152号  <前日発行>

 米国の対中制裁はかくのごときザル法となった
   ウォール街は逆方向、侵入禁止ゾーンへ自ら突入している

 米中経済・安全保障調査委員会(USCC)の年次報告書は、米中関係にお
ける経済安全保障を多岐に分析し、32分野において対中強硬策が提案された。
就中、金融分野の規制強化が謳われ、「中国は、資本市場を中国共産党の
技術開発目標やその他の政策目標に資金を供給する手段として機能させよ
うと、外国の資本やファンドマネジャーに働きかけている」。

 これは逆の意味で「借金の罠」ではないか。
ゴールドマン・サックスなどは中国投資を増やしているからである。
ウォール街は中国制裁とは逆の方向へ、侵入禁止ゾーンへ自ら突入している

ホワイトハウスは北京五輪の外交ボイコットを決め、豪政府が追っかけて
外交団ボイコットを表明した。日本も閣僚級の派遣を見送る方針という
が、北京五輪そのものは開催される。しかし世界の人権団体は北京五輪そ
のもののボイコットを訴えている。

 トランプ前政権の対中強行策の効果は、バイデン政権になって急速に希
釈された。
現在までの政策は中国からの輸入品に高関税、ファーウェイなどの排斥、
情報網からの中国企業排除(チャイナモバイル、テレコムなど)、中国の
妖しげな企業の米企業買収禁止、ならびに中国企業のNY市場への上場を
制限し、面妖な中国企業の上場廃止(滴々など)だった。
一見して強硬策に見えるが、内実は米国ファンドの中国株への投資は沙汰
止みになるどころか増勢の気配である。

 くわえてスパイを排除するための中国人へのビザ発給制限を緩和した。
 じつは米国のハイテク企業、研究所から中国人の研究者・留学生ビザ規
制緩和の要求が出されていた。バイデン政権になってから5万件のビザが
発給された。

 ウォール街は、中国排除どころか、チャイナマネーに浸ろうとしてい
る。とくにJPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックス、ブラック
ロックなどは中国子会社100%現地法人となり、2021年9月末には海外
投資家保有の人民元建て株式と債券の総額が1兆2000憶ドルを突破した。
日本の国家予算とほぼ同額になる巨額である。 


 ▼半導体サプライチェーンの構築は挫折した

 あれほど喧しく言われた対中半導体規制、中国抜きの半導体サプライ
チェーン構想は、看板倒れの気配濃厚である。
中国排除を目標とした国際サプライチェーン(EPN)は(1)輸出管理、
(2)対米投資審査強化、(3)政府調達から中国品の排除などが基軸
だった。ところが、商務省が「ブラックリスト」(ELリスト)にあげた
米国企業の対中輸出は殆どが許可されていた。

ウォールストリートジャーナル(2021年10月22日)は、2020年11
月から2021年4月の間に米商務省はファーウェイ向け輸出許可610億ドル
(認可率69%)、SMIC向け420億ドル(認可率90%)合計1000億ドル以上を許可
したと報じた。

 中国が半導体自製を目指し、西側はその根幹である半導体製造装置を輸
出規制する筈だった。実態はと言えば、57%も増加していた。2021年第
1〜3四半期の世界半導体製造装置売り上げは752.3億ドル、前年比45.5%増
だった。

 米国半導体製造装置業界トップ、アプライドマテリアルの2021年度第3
四半期(5〜7月期)売上額は前年同期比41%増の62億ドルであったが、う
ち22.5億ドル(全体の36%)が中国向けだった。

 日本の同業界トップ「東京エレクトロン」(東証一部=8035)は、
トランプの登場時、株価は10000円台だった。2017年から制限強
化となって株価は下がるかと思われたが、現実は上昇に転じて20000
円台を悠々と超え、2021年は37500円ではじまって、ピークには
64100円と、じつに70%強の暴騰をしめしている。事態はあべこべ
に進んでいたことが分かる。

 一方、外交面では米国がアセアン諸国を軽視し、クアッドを重視したた
め、米国のアセアン諸国における立場は著しく低下しているとするレポー
トが出現した。
 習近平国家主席がアセアン・中国特別サミットの議長を務めたほど前向
きな姿勢とは対称的に米国のアジアへの熱意のなさ、これは「アメリカの
怠慢」ではないかとする報告は豪シドニー大学の米国研究センターが作成
した。


 ▼クアッド・ファーストの弊害はアセアンの離反誘導だ

 同報告は、米国に対して「ASEAN、東アジア首脳会議などの地域機関と
もっと積極的に関わるべきではないかと強い警告調になっている。
「建設的関与を維持し、米国は間接的にこれら東南アジアグループが中国
によって支配されるのを防御できる。米国が不在も同然となれば、中国は
当然、影響力を行使する」と報告書は述べている。

 中国政府はすでにラオスに強力な梃子入れをなして新幹線を開通させ、
その先のタイと結ぶ工事を開始した。
カンボジアはフンセン独裁あげて親中路線、シアヌークビル港は華僑の賭
場となっており、シンバポールの西側寄り外交はポーズに過ぎない。
世界に孤立したミャンマー支援に走る中国は、北京に批判的なベトナムと
さえ経済協力を促進しており、懸案のメコン協力フォーラムを後援している。
 
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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)「ものづくり太郎」という人が日本の産業を救う計画を熱
心に披露なさっている。半導体の分野でもかつて日本は圧倒的に世界一で
あった、という嘘のような事実がある。
 現在の最先端は台湾のTSMCがすでに握っており、これに挑む事は不可
能。ところが、半導体にはピンからキリまであり、裾野が広く長く、その
経済的な価値は大きい。製造工程にも改良の余地が多く、製品の納入期間
が6ヶ月、1年先、しかも大量に発注せねばならない、という不便があ
る。これを小規模に小さく、多種類、瞬時に作る半導体製造方法に変換
し、独占して勝つ。この案は、いかにも日本の現状の技術で可能であるよ
うで、久しぶりにまだ日本にも未来がある、と思えました。
しかし日本の官僚主導の「観光立国」おもてなし文化、のような過去の遺
産に頼る未来の計画とは矛盾するので、潰される、かも。民間企業も新し
い事は誰もしたくない。安い移民の人間の方がAI より簡単に利益が出る。
50分の日本語の動画。https://www.youtube.com/watch?v=8_Ttb9HuLQs
 (在米のKM生) 

  ♪
(読者の声2)バイデンさんとプーチンさんのテレビ会談で印象的だった
のはボケ老人的表情バイデンさん。対してプーチンが薄笑いの軽蔑を浮か
べ、まさにヤクザの親分の風格で嘲笑う態度。
 この会議をみて完全にロシアの勝利! そしてウクライナ全土を侵略ロ
シア・ウクライナ併合の悪夢を想像した。
  (奥山篤信)


(宮崎正弘のコメント)いま、ロシア軍がウクライナ侵攻をなしても、
NATOは無力。西側はおそらくなす術がないのではないかと思います。

2021年12月10日

◆核先制不使用は逆に危険を招く

               櫻井よしこ

日本ルネッサンス 第977回

11月15日、バイデン米大統領と習近平国家主席がオンライン首脳会談を
行った。その翌日、ホワイトハウスは、両首脳が核の軍備管理に関する交
渉開始の可能性を探ることに同意したと発表した。

安全保障問題担当大統領補佐官のジェイク・サリバン氏も「両首脳は戦略
的安定性に向けて前向きの議論を開始することで合意した」「ここから如
何に生産的な方法で進めていくかを考えるのが我々の責務だ」と、ブルッ
キングス研究所で語っている。

万が一実現すれば、15日の首脳会談の唯一の成果となる可能性もあると、
米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」(WSJ)が報じたが、米中
間で核軍縮が進むとは到底、思えない。

オバマ元大統領もトランプ前大統領も核の管理について中国と話し合おう
と提案した。しかし中国は耳も貸さずに拒絶し続けた。バイデン氏が中国
を核軍縮や核管理の場に引き込めるとは思えない。

先述の情報が公にされた経緯を知れば、この話はバイデン氏の希望的観測
が空回りしているだけという厳しい現実が見えてくる。オンラインの首脳
会談でバイデン氏がこの件を持ち出し、習氏がそれならば高官を手当しよ
うと応じたというのだが、そこから先の進展はない。会談後の会見でも中
国側は触れていない。

参議院議員で、現在自民党外交部会長を務める佐藤正久氏が語った。

「中国は核軍縮に応じる気など全くないでしょう。米ソ(米露)が核軍縮
交渉をしたのは、両国がほぼ同じ数の核兵器を持ち、パリティ(均衡)が
生まれたからです。中国はそこまで行っていません。核削減とは反対に、
2030年までに現在の350発から1000発まで増やしたいと、国運を賭けてい
るのですから」

元防衛大臣の小野寺五典氏も次のように語った。

「現在、核の軍備管理で話し合いの場を持っているのは米露両国だけで
す。中国は決して加わりません。それだけに本当に中国が参加するのな
ら、非常によいことだと思います。しかし、彼らが核の管理や制限を話し
合う場に入ってくるのか、疑問です。たとえ交渉に応じるとしても中国は
交渉や協議の形で時間稼ぎをしますから、要注意です」

ワシントンを攻撃可能

防衛研究所防衛政策研究室長の高橋杉雄氏は両首脳の思惑はかけ離れてい
て、意思疎通がうまくいっていないと見る。

「中国側の態度を見ると米国の目的を理解する気はないと思わざるを得ま
せん。習氏は単に聞き置いたのでしょう。バイデン氏はオバマ元大統領と
同じく核のない世界を目指すとしていますが、現在、米国が直面している
事態は、そんな余裕など持ちようもないほど、本当に切迫したものなのです」

今年7月、中国が内陸部に核ミサイルを格納するサイロを300も建設してい
ることが米国の偵察衛星で明らかになった。約800平方キロメートルの広
大なサイロフィールドが2か所あることも判明した。中国が建設中のサイ
ロの数はすでにロシアのサイロ数を上回っているという。米国でさえサイ
ロは500しかない。中国の300という数は大きな驚きだった。高橋氏が語る。

「中国はいまそこに新型ミサイルのDF41を入れようとしています。
DF41は10発の核弾頭を搭載できます。しかもワシントンに届く射程を
持っています」

ワシントンを攻撃可能な、10発の核弾頭搭載ミサイルは米国にとって大き
な危機である。中国の核兵器大増強は軍事的にどんな動きを引き起こす危
険があるのだろうか。まず、前述のような機能を備えたDF41ミサイルを
中国が配置するのは、奥地とは言え、場所が固定されたサイロである。北
朝鮮のように、列車や車輌から発射する場合、位置の特定が難しいため、
先制攻撃は困難だ。しかし固定式なら、先制攻撃は可能だ。従ってもし、
中国がDF41の発射準備にとりかかったら、その動きを察知した米国側は
先制攻撃するだろう。DF41に搭載されている10発の核弾頭もろとも撃破
可能だ。となれば中国側も同様に先制攻撃を考えるかもしれない。

高橋氏が指摘した。

「このようにかえって非常に危険な状況が発生しかねないために、米露は
固定式のサイロには複数の核弾頭は入れないという合意をしています。し
かし、中国はその合意に入ろうともしません。また、中国は一応、核の先
制不使用を建前としていますが、そこにはさまざまな条件をつけており、
条件次第で先制攻撃は可能なのです。無論、その条件は中国だけが判断す
るわけです」

凄まじい速度と規模

もうひとつ注目すべきことがある。「警報即発射」という考えだ。
launch-on-warningでLOWと呼ばれる。敵国が核攻撃を決断したと察知
した時点で、敵の核ミサイル発射を制するために核攻撃をするという考え
だ。中国は宇宙空間のセンサーなどで核発射の兆候をとらえる能力を確立
している。加えて、人民解放軍はLOWの訓練をこの数年繰り返している
ことも判明している。

つまり、中国は核の先制不使用の考え方を放棄したと見るべきなのだ。実
質的に核の先制攻撃態勢を築き上げたということだ。

中国の核戦力構築の凄まじい速度と規模にどう対処するのか。これまで一
度も交渉に応じてこなかった中国と交渉で解決しようと考えるのは意味を
なさないだろう。力を信じてその構築を壮大な計画で進める中国に対して
は、米国も力を強化しなければならないというのが合理的結論であろう。

米国の核によって守られている日本は、この厳しい状況下で、どのように
して国民を守り、国土を守るのか。まず、出来得る限りの努力をして、日
本の国防力を強化することが全ての基本である。日本自身が国防の努力を
しなければ、同盟相手の米国は決して助けてはくれない。

次に、バイデン大統領が「核の先制攻撃はしない」などと、決して言わな
いよう説得することだ。来年早々に米政府は「核態勢の見直し」
(NPR)を公表する。米国の民主党政権は核の先制不使用宣言を検討し
ているとみられるが、それで喜ぶのは中国、ロシア、北朝鮮だけだ。米国
防総省は、中国が国際条約に違反して化学・生物兵器の開発を進めている
可能性も指摘している。中国への警戒は、如何なることがあっても緩めて
はならない。

そして私たちは、米国をはじめ自由や民主主義を大切にする側が、非常に
厳しい局面に立たされていることを知っておかなければならない。米国は
これから中露両国との二正面作戦に耐えなければならないのだ。だからこ
そ、日本は、米国に助けられるばかりでなく、米国と共に互いを守り合っ
ていかなければならない。岸田文雄首相の責任は重いのだ。
        
 

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◆雀庵の常在戦場/123世界を変えた大東亜解放戦争80周年
“シーチン”修一 2.0

【Anne G. of Red Gables/403(2021/12/8/水】一寸先は闇、チャリ散歩し
ていたらパンク、シコシコ歩いて自転車屋の店頭にチャリを置き、修理依
頼のメモを書いて帰宅した。お陰で歩行訓練になったが、時々でも1時間
ほど歩いたほうが足腰には良さそうだ。多摩川土手のチャリコースでは自
転車を右手で支えて歩いているオッサンをよく見かけ「なぜだろう」と訝
しんでいたが、歩行劣化予防だったのだ。



小生はこのところ焦りまくっているが、晩年になると「あれもしたい、こ
れもしておきたい」と気が急くのは普通のようだ。



9年前に92歳で成仏した母は還暦を迎えると「今日から家事はしない」と
宣言、習字と俳句の趣味に没頭するようになった。習字が上達して「書
道」になると「習字教室」を始めて近所の子供に教えていたが、同時に俳
句を詠んで角川の「俳句」に投稿したり句会の仲間と集ったり吟行したり
で、「ああ、忙しい!」としょっちゅう言っていた。



「趣味なんだからノンビリやればいいのに」と小生は思っていたが、老人
は「元気なうちにやっておきたい」と焦りがちになり、時にはイライラし
たり、頑固になったりするのだろう。老化とは概ねそういうもので、穏や
かでニコニコしているような「好々爺」というのはむしろ珍しいのではな
いか。



我が身を振り返れば好々爺どころではない。「趣味は?」と問われて「中
共殲滅、支那解放!」と答えたら「この人、戦争オタク? 呆けているみ
たい」と思われるだろうなあ。それでいいのだ! 聞く耳もたず、難聴ヂ
イヂは猪突猛進、今日も妄想的暴走なのだ! 目指せ北京、中南海!



今日は何の日? そうだ、「大東亜戦争開戦記念日」だ! 1941年12月8
日「大東亜戦争開始」、1951年9月8日「対日平和条約(サンフランシス
コ講和条約)調印」、1961年「所得倍増計画(池田内閣)開始」、1971年
「新左翼共産主義革命運動終焉」、1981年「中共が資本主義市場経済へ移
行開始」、1991年「ソ連共産主義経済崩壊」、2001年9月11日「米国同時
多発テロ、イスラム過激派台頭」、2011年3月11日「東日本大震災&原発
事故」、2021年「習近平・中共が世界の脅威に」・・・望むらくは2031年
には「中国内戦終了、20の独立国家に分裂」とかになるか。



マイン・カンプ、我が闘争、思い起こせば岩間弘著「大東亜解放戦争」を
読んだのは2006年春だった。入江隆則・明治大学教授の「正論:戦後日本
のくびき解く警世の3冊」(産経2006/3/5)を読んで同書を取り寄せたの
だ。岩間氏(1928年 - )は宮城県角田市の著作家。「日本は侵略戦争を
したのではない、欧米の植民地を解放したのだ。戦争目的を達成したので
あり、真相は日本が勝ったのである」という主張で、大いに啓発された。



振り返れば加瀬英明氏のご尊父、加瀬俊一氏の証言にも盲を開かれた。ア
ジア・アフリカ会議(A・A会議、バンドン会議とも)は、第2次世界大戦
後に独立したインドのネルー首相、インドネシアのスカルノ大統領、中共
の周恩来首相、エジプトのナセル大統領が中心となって1955年にバンドン
(インドネシア)で開催された。



<日本は高碕達之助経済審議庁長官を代表として加瀬俊一外務相参与(後
に国連大使)など外務大臣代理で出席した十数名が参加したが、他国はい
ずれも元首、首相級が出席し、政府レベルの国際会議となった。招待状を
もらった日本では政府内では見送り論も出るほど不安を抱えながらの参加
であった。その参加の模様を、加瀬俊一が1994年7月、京都外国語大学で
の講演で以下のように述べた。



「(各国代表からは)『日本が、大東亜宣言というものを出して、アジア
民族の解放を戦争目的とした、その宣言がなかったら、あるいは日本がア
ジアのために犠牲を払って戦っていなかったら、我々は依然として、イギ
リスの植民地、オランダの植民地、フランスの植民地のままだった。日本
が大きな犠牲を払ってアジア民族のために勇戦してくれたから、今日のア
ジアがある』ということだった。



我々が今日こうやって独立しました、といって『アジア・アフリカ民族独
立を祝う会』というのがA・A会議の本来の目的だった。こんな会議が開け
るのも日本のお陰ですと、『やぁー、こっちへ来て下さい』、『いやぁ、
今度は私のところへ来て下さい』といってね、大変なもて方だった。
『やっぱり来てよかったなぁ』とそう思いました。



その翌年、日本は晴れて国連に加盟して、私は初代国連大使になりまし
た。A・Aグループが終始熱心に日本の加盟を支持した事実を強調したい。
A・A諸国から大きな信頼と期待を寄せられて、戦後我が国は今日の繁栄を
築いて来たのです」>(WIKI)



そう言えば産経新聞論説委員の岡部伸(のぶる)氏が「『大東亜戦争』と呼
ぼう」と訴えていた(産経2021/12/7)。



<2年前、インパール作戦で戦場となった現インド北東部のコヒマを訪ね
た際、現地の古老から聞いた「日本が来て英軍と戦ってくれて独立でき
た」という感謝の言葉が心に残っている。英国統治からの独立運動を主導
したチャンドラ・ボースが最前線に来て、日本軍とともに戦っていた。



「日本は欧米の植民地を占領し、アジア諸民族を独立へ導いた。アジア諸
国は日本によって白人支配から独立した。『侵略』ではなく『解放』した
のです」。平成27年に「話の肖像画」でインタビューした在日外国人記者
最古参の英国人、ヘンリー・S・ストークス氏の発言を思い出した。



軍国主義や戦争を美化するつもりはない。GHQによって植え付けられた自
虐史観から脱却してイデオロギー抜きに祖父や曽祖父が戦った「大東亜戦
争」に胸を張りたい>



寡聞にして知らなかったが、1963年には林房雄著「大東亜戦争肯定論」が
上梓されている。「林は、大東亜戦争の開始を1845年 (弘化二年) とし、
西欧勢力の東漸に対する反撃として"大東亜百年戦争"を本質は解放戦争
(英語版)であると主張した。林は(戦後)公職追放を受け、中間小説な
どを発表していたが、1963(昭和38)年、『中央公論』9月号に「大東亜
戦争肯定論」を発表して論壇再登場となった」(WIKI)。同書は翻訳され
今でも台湾で読まれているとか。



現在、世界で最も危険なコロナ的存在である習近平は少なくとも「台湾武
力併呑」の“箔”をつけて「終身国家主席」になりたいと妄想し、さらに世
界帝国へと覇権を拡大したいと狙っている。それができれべ毛沢東と並ぶ
英雄になれる。しかし、そのためには経済成長を続け、世界を圧倒する経
済大国になり、かつ軍事力を高めていかなければならない。ソ連はそれに
耐えきれずに自壊した。習近平・中共にそれは可能か。人口の半分近い6
億の民は生活するのがやっとだというのに、ほとんど狂気の沙汰だ。



新・大東亜解放戦争(あるいは第3次世界大戦)で習近平・中共を完全に
排除、除染し、民主国家への転換を促すことは、21世紀の自由陣営の歴史
的責務である。我々にはやるか、やらぬかの選択はない。やらなければ確
実に凶刃に刺される、放火される、暴走車で跳ね飛ばされる。そうなって
からでは遅い、病識のないキ〇ガイにはまずは予防拘禁、包囲網で急性期
閉鎖病棟に閉じ込めるのが良策だと、再発、暴発を日々恐れるキ〇ガイと
しては思うのだ。もう我慢の限界が・・・




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◆マカオをカジノ都市からハイテク都市へ

「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)12月4日(土曜日)
通巻第7146号 

 マカオをカジノ都市からハイテク都市へ 
   博打のテラ銭は540億ドル、マカオ歳入の80%

 習近平は香港の自治を取り上げ、中国の法律を強要し、表現の自由はな
くなって、中国の植民地となった。「香港は死んだ」(20年7月1日、
産経新聞)。
 ついでマカオである。
中国共産党はマカオの自治権を取り上げて、博打センターから、マカオを
深センようにハイテク都市に衣替えしようと、種々の政策を実行に移しつ
つある。
 その魁がマカオ最大の豪華カジノ「ベネチアン」で開催される「テクノ
展示会」である。
 中国のハイテク企業から数百社が出店し、企業幹部らがマカオで「次世
代ハイテク都市の在り方」などをテーマにパネルディスカッションなども
開催予定。トレードフェアで、マカオのイメージを一新しようというわけ
である。

 もとよりマカオの繁栄の火が消えたのはコロナ禍による。
 年間2800万人が主として中国大陸から押し寄せてギャンブルを展開
し、国境から主要なカジノホテルへの無料バスに長い列ができた。バスは
ピストン輸送で、博徒らをカジノホテルに送り届けた。数万人が長い列を
つくる風景は圧巻というより、異常な光景である。
 この博徒が中国大陸から来なくなり、マカオの火が消えた。ホテル従業
員の多くが解雇された。
 
 かくいう筆者も何回かマカオへ行っているが、この半世紀の変化たるや
目を見張るほどの激変ぶりだった。香港からはフェリー乗り場に数十台の
バス、次々と豪華ホテルまで海上橋梁を疾駆し、ベネチアン、MGM、
ウィンズ、サンズなどへ送る。帰りのバスは大半が博打で有り金擦って、
とぼとぼ組が目立つ。

ハリウッド映画の宇宙都市のように高架のモノレース役からゴンドラで人
工湖を亘り、ローマの凱旋門のようなホテルの入り口、ロビィにはスロッ
トマシンの列。ラスベガスよりも、豪華だと言える。

半世紀前は寂れた漁村で、カジノといえばスタンレーホーのリスボアしか
なかった。客は殆どが香港からの金持ちだった。周辺は草ぼうぼうの荒れ
地で、ときどきギャング同士の出入り(ピストルを撃ち合う)があった。

 様変わりには感動するのだが、マカオの繁栄を苦々しく思っていたのが
習近平だった。
 カジノのテラ銭が540億ドル(ラスベガスの三倍ほど)、じつにマカ
オ自治政府の歳入の80%! 
ついでに書いておくと、マカオのホテル代金は香港より高く、どんな場末
に三流ホテルでも24時間のカジノ・バアなどがあり、朝飯会場でもトラ
ンプをやっていた。カジノの廻りは「押」(広東語で質屋)ばっかり。

 このマカオを享楽、博打、犯罪のイメージから、一新してテクノ都市に
変貌させるというのが習近平の野心である。
 大蛇の前の兔に運命に似て、マカオをまた香港の二の舞を演じることに
なるのだろうか。
 
     
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 書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 
BOOKREVIEW 
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 靴底をすり減らして現場を歩き回ると、日本は中国植民地になっていた  
  中国の静かなる日本侵略がここまで進んでいるという暗鬱な現況報告

  ♪
佐々木類『チャイニーズジャパン 秒読みに入った中国の日本侵略』
(ハート出版)
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 題名は五輪参加の台湾が「チャイニーズタイペイ」と名乗らされた事由
から連想しての命名だろう。
そのうち日本は中国の植民地に成り下がり、チャイニーズジャパンと名乗る?
先日、中国共産党に弾圧されている少数民族の在日団体が東京で集まり、
集会を開催していたら、中国共産党の指令を受けたのか、共産党礼賛集団
が集会に殴り込んだ。
海外での活動にも妨害が加えられるようになった。作家の楊逸女史も習近
平批判の本を出したら、日本国内で発表の場が少なくなり、また家族への
通話が繋がらなくなったという。
ことほど左様に日本国内にあってさえ、中国共産党の静かなる侵略行為が
表面化しているのである。
 池袋北口も札幌ススキノも、川口の団地も気がつけば中国人だらけ。日
本国内に中国の自治区が出来ているゾ。
事態はここまで深刻なのに、日本人はなぜ鈍感なのか?
 「人種差別はいけません。外国人に親切にしよう、国際親善は国是、日
本人の美徳。なんと言ったって、戦争中、日本は中国に多大な迷惑をかけ
た、その贖罪からも中国は大事にしなければいけません」等々。
これらは第五列の情報心理作戦でもある。
 そんな綺麗事を言っている裡に、日本の政策まで中国様が決めることに
なる。日本の親中派政治家は習近平の下僕だもんね。

 さて本書の著者、佐々木類氏は産経ワシントン支局長などを歴任し、論
説副委員長。デスクワークより現場が好き。
 靴底をすり減らして日本中の現場を歩き回ってみると、修善寺も京都の
名所も、日本のあちこちが中国植民地然としていることに驚愕する。中国
の静かなる日本侵略は、ここまで進んでいる暗鬱な現況報告である。
 習近平は「中華民族の復興」こそが「中国の夢」とのたまわり「愛国主
義」を前面に出し、人民を煽動している。振り上げた拳は降ろさなければ
ならない。
 肝心の中国経済がダメになると、三流の指導者は対外戦争に打って出て
すり替えをおこなう。古今東西の歴史をみれば、そうなってきたではないか。
恒大集団の倒産、金融危機は目の前にあり、中間層の不満は爆発寸前であ
る。このガス抜きに最も効果的なのは台湾侵略であり、北京五輪がおわ
り、来秋の党大会が終わると何をやらかすか分からない。
 この危機に鈍感。というより目先の利益に貪欲な日本企業は、中国から
撤退する意志が希薄であり、依然として12万4000名の日本人が中国
にいる。
上海に進出した日本企業は6300社、江蘇省に1900社。いっとき日
本企業が襲撃されて放火され、日本大使館に投石と生卵、にもかかわら
ず、戦時には必ず人質となるというリスク・シミュレーションがあるの
に、なぜ中国に居続けるのか?
 本書の巻末には或る有力シンクタンクが行った台湾有事のシミュレー
ションが掲げられている。
 中国軍は台湾の北と南で軍事演習を行い、ミサイル威嚇を繰り返しつ
つ、台湾国内では逆に台湾独立運動の支持層を拡げて、不安定化を演出
し、介入の糸口を探る。
 安倍元首相は「台湾有事は日本有事だ」と直言したが、北京はうろたえ
て、弱々しく反論した。
 しかし、台湾危機が訪れようとも、日本国内の極左新聞は『中国の反発
は必至』「この道はいつかきた(戦争への)道」とかのキャンペーンを展
開して中国の第五列をやらせ、日本に介入させないように仕向ける一方
で、財界は『航行の自由作戦への日本の協力』に反対し始める。親中派議
員たちもここぞと中国の指令を受けたかのように動き出す。
 米国は苛立ち「何も決められない日本」と非難する。これも日米離間の
中国の戦術である。
 ついで防衛庁や警察、消防、発電所、変電所、浄水場などにサイバー攻
撃を始め、社会的インフラを痲痺させる。 
 米国は日本への核持ち込みを求める大統領からの電話、これをメディア
が漏洩し、日本の政治中枢も痲痺する。
 米軍は台湾在留米国人およそ六万人の避難作戦を始めるが、日本はどう
するのか。まして中国には12万人余の在留邦人があり、中国の人質であ
る。外務省の退避勧告では遅い。企業独自の対策案がいまから必要ではな
いのか、と本書は警鐘を乱打している。
 本書に書かれた恐るべき日本のリアルな惨状に驚かない人はよほど鈍感
かパンダ愛好家だろう。 

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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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  ♪
(読者の声1)南アから変形ウィルスですがWHOは「オミクロン」と命
名しました。なぜ13番目のニュー(ν)と14番目のクサイ(ξ)が飛ばされ
たかは、世界に知れ渡りました。つまり 14番目のクサイをアルファベッ
ト表記すると「Xi」となり、これは習近平(Xi Jinping)の「習」の発
音を示す「Xi」と同じだからでした。
テッド・クルーズ上院議員は、「WHOが中国共産党をそんなに恐れてい
るなら、次に
中国がパンデミックを隠蔽しようとした際に、WHOを信用できない」と
し、コットン上院議員も「WHOは公衆衛生より中国共産党のご機嫌取り
に終止している」と述べた。
 で、オミクロンですが「尾見・黒・ん」ですよね。
 日本はWHOに抗議しないんですかね。
   (JJセブン)
  ♪
(読者の声2)中共からの輸入品に関税をかけることは良いことです。
(1)グローバル主義の結果が国内産業の衰退と中共への製造業の集中そ
して中共の軍事大国化でした。自殺行為でした。
(2)(在米のKM生)様のファクスをいまだに使っている国は日本のみ。
というご意見ですが、電子メールは改竄悪用される可能性があるので、重
要な情報の送付にはファックスを使っています。
(3)文語と口語ですが、口語は変化するので歴史的な文化財にはなりえ
ない。やはり文語です。イスラム圏の教科書は六世紀のコラーンで、書き
言葉と口語とは別です。以前カイロの事務所のボーイが、スペイン観光で
買ってきたイスラムの古銭の文字をすらすら読むので驚きました。
これは文語だからこそでしょう。
(4)日本も言文分離運動を起こすべきです。占領軍に漢字、文法を破壊
され、日本人は既に戦前の文章を読むことが出来ません。
革命の常套手段です。
  (落合道夫)


(宮崎正弘のコメント)そうそう、日本の出版業界は、FAXは依然、必
需品です。図面、割り付けのほか、いまも万年筆で原稿用紙に書いている
北方謙三、五木寛之、中村彰彦氏ら作家がかなり大勢いますし。



  ♪
(読者の声3)以下はNEWSポストセブンからの引用です。(引用開
始)「中国で「小室圭」という名称の商標登録申請がなされていたのであ
る。特許庁に相当する「中国国家知識産権局商標局」のウェブサイトによ
ると、「小室圭」は商標の国際分類の3類(化粧品や室内用芳香剤、防臭
剤など)と5類(おむつや栄養補助食品など)でそれぞれ、11月15日に登
録申請されている。
 申請者は福建省晋江市(しんこうし)にある栄金婦幼用品有限公司なる
企業。同社ウェブサイトによると、2002年に設立されたベビー用品メー
カーのようだ。
 商標登録については、事実上の早い者勝ちとなる先願主義を取る中国で
は、商標権の横取りが横行している。海外企業の有名ブランドなどの商標
が、中国国内で無関係な第三者に登録され、『本家』のブランドが商標権
侵害で逆に訴訟を起こされた挙句、賠償金を支払うハメになった例もある。
 日本の皇族の名称も例外ではない。これまでに、「秋篠宮名品」や「佳
子公主(公主は『姫』の意)」、「真子龍顔(龍顔は『位の高い人物の
顔』を指す)」などが申請され、現時点でもそれぞれ中国企業が商標権を
保持している。ただ、小室圭さんに関連する商標の登録は、今回が初とみ
られる」(引用止め)。
 オムツと匂い消しに遣われる予定とか。あまりのことに言葉を失ってい
ます。
  (FH生、水戸)

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