2018年03月11日

◆世界で進む“中国対民主主義”のせめぎ合い

櫻井よしこ


「世界で進む“中国対民主主義”のせめぎ合い 価値観守るには国民全体
の力が必要に」


過日、高須クリニック院長の高須克弥氏に会った。チベット亡命政府がロ
ブサン・センゲ首相の来日に合わせて開催したレセプションでのことだ。

テレビのCMでお馴染みの高須氏が「昭和天皇独白録」原本をオークショ
ンで落札し、皇室にお渡しすると発表した。そんなことで氏は愛国の人な
のだと、私は感じていた。

その人物が同じ会場にいた。自己紹介したら、漫画家の西原理恵子さんを
紹介してくださった。「週刊新潮」の一番最後の頁で佐藤優氏のコラムと
合わせて「まさる&りえこの週刊鳥頭ニュース」を描いている人だ。

後日、高須氏恵贈の『炎上上等』(扶桑社新書)で、氏にとって西原さん
がとても大切な人だということがわかった。「サイバラ、サイバラ」と呼
んでいつも一緒だ。

そんなことも書いてある本からは邪気のない人物像が浮かんでくる。相手
が強くても筋は曲げない。たとえば高須クリニックの患者の半分以上が中
国人だそうだ。金持ち中国人は日本の土地や建物だけでなく、若さも美し
さも買って帰る。高須氏は彼らをVIPルームに通す。すると、皆一様に
「凍りつく」。何故って、そこには、氏がダライ・ラマ法王にお会いした
時の写真がたくさん飾られているからだ。

それでも気分を害して憤然と席を立つ人はいない。皆、喜んで手術を受け
るという。愉快な話ではないか。

私の不勉強でこの本を読む迄知らなかったのだが、高須氏はこれまでずっ
とチベットを支援してきた。理由は中国に「いちばんやられている」から
と、明快だ。だから氏は氏のやり方でチベット問題に関わってきた。チ
ベットにもっと多くの人たちが注目して、その酷い状況を知ることが、何
よりも大事だと信じて行動してきた。

世界ではいま、価値観の闘い、中国対民主主義陣営のせめぎ合いが進行中
だ。習近平国家主席は、3中総会で国家主席の10年任期制を撤廃し、毛沢
東のように終身、権力の座に居座るつもりのようだ。強い反対論もある
が、そうした意見は中国共産党に押さえ込まれ、新聞からも、ネットから
も削除されていく。

かといって、中国人が心底、終身主席制という時代錯誤の専制独裁に納得
することはないだろう。国民の不満は解消されず、むしろ高まるばかり
だ。解決の道は強硬策しかない。習氏はあらゆる分野で締めつけを強化
し、対外的にはより巧妙でより激しい攻勢に出るだろう。

国内で狙われるのはチベット人、ウイグル人、モンゴル人ら「少数民族」
であり、対外的には日本であろう。そんな中国の攻勢には、賢く強く備え
て、私たちの価値観を守り抜かなければならない。それは政府だけではで
きない。国民全体の力が必要である。

賢い国民が自らの力で国を守るのが民主主義制度の特徴で、一党独裁政治
との大きな違いである。だからこそ、真っ当に国を愛する民間の力が大
事、人材が大事なのである。高須氏はいま、チベットの人材育成に力を貸
している。インドのモディ首相が毎年チベット人学生をインドの大学の医
学部に受け入れており、その学生たちを高須氏が奨学金で支えているそうだ。

「毎年5人ずつ支援していけば、いつか僕がフリーチベットの医学の父っ
て呼ばれる時がくるかもね」と氏は書く。是非、そうなってほしいもの
だ。日本でもすでに千葉工業大学がチベット人学生を奨学金で受け入れて
いる。麗澤大学にも来年春にはチベット人留学生たちが来る予定だ。

日本の民間人の力はすばらしい。賢く勇気ある民間の人々や大学、その他
の組織の力を結集すれば、中国共産党の理不尽さに負けることはない。小
さな国々の未来を担う人材育成に手を貸すことは、私たち日本人が日本人
としての自分を磨くことなのである。

『週刊ダイヤモンド』 2018年3月10日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1222

2018年03月10日

◆想像を絶する韓国文政権の北への服従

櫻井 よしこ


史上最も政治的に利用された平昌五輪が一区切りついて、パラリンピック
へと舞台は移る。選手たちの活躍の舞台裏で、醜悪な左翼テロリスト勢力
の鋭い爪が着実に韓国を捕らえたと思われる。

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は平昌五輪閉会式にテロ活動の総元締
め、金英哲朝鮮労働党副委員長を送り込んだ。この件について、朝鮮問題
の専門家で国家基本問題研究所の西岡力氏を2月23日、「言論テレビ」に
招いて、眼前の危機を読み解いた。

英哲氏は2010年に韓国の軍艦「天安」を魚雷で沈め、軍人46人を殺害した
張本人だ。正恩氏がそんな人物を送り込んだのは、本当に自分の命が狙わ
れているという恐怖心ゆえだと、西岡氏は説明する。

「北朝鮮で『あの世からの使者』と呼ばれ恐れられていた男が金元弘(キ
ムウォンホン)前国家保衛相でした。正恩氏の叔父の張成沢(チャンソン
テク)も人民武力部長の玄永哲(ヒョンヨンチョル)も彼が処刑した。

それが去年初めに国家保衛相を解任されて軍に異動、秋には家族共々、農
場に送られ平の農場員にされました。理由は、これまた正恩の恐怖心で
しょう。北朝鮮政府のかなりの高位にいた人物が脱北して韓国のテレビで
繰り返し述べたのです・歴代の国家保衛部長は粛清が終わると自身も粛清
されてきた。金元弘が馬鹿でなければ、自分が粛清される前に行動するだ
ろう。金正恩を暗殺するとしたら金元弘だ」

正恩氏はその報道を聞いたかもしれない。また、余りに権力を集中させす
ぎた人間が自分に牙を剥くかもしれない、であれば、粛清だと考えたかも
しれない。最側近も信じられない程、正恩氏が脅えているということだ。

正恩氏が最も恐れるのがアメリカだ。昨年11月、国防総省は北朝鮮有事に
備えて「戦争ゲーム」の想定訓練をした。前提は同盟国の韓国や日本の大
都市に被害を出さない、中国軍の北朝鮮侵入を許さない、である。

小型の核爆弾しかない

北朝鮮は38度線に沿って少なくとも200基のミサイルや通常の攻撃用兵器
を韓国や日本に向けて配備し、地上にも地下にも拠点を設置済みだ。これ
らの攻撃能力を一気に封印して反撃能力を奪うには、手立てはひとつ、小
型の核爆弾しかないという結論が導き出された。

折しも国防総省は2月2日にアメリカの「核戦略見直し」を発表した。「爆
発力を抑えた小型核兵器の開発」を打ち出し、「敵に本当に核兵器を使用
すると思わせ抑止力を強化する」「潜水艦発射弾道ミサイ(SLBM)、
水上艦発射巡航ミサイルなどに搭載する小型核の開発」などを強調している。

元防衛庁情報本部長の太田文雄氏は、米軍がB-2爆撃機にB61という低出
力の新型核爆弾を搭載して飛行したと、敢えて公表したことを重く見る。
右の発表は16年10月6日だった。その直前に北朝鮮は大陸間弾道ミサイル
(ICBM)用のエンジンテストを行った。

B-2爆撃機は完全なステルス性で、見つからずに北朝鮮領空まで接近でき
る。精密誘導ミサイルから発射されるB61は、正恩氏の居場所と目される
地下基地に精確に発射され、バンカーバスターのように地中深く到達して
地下基地を破壊する。

こうすれば、広い範囲に被害が及ぶことも大気の放射能汚染も防げる。ア
メリカは今年、B-2爆撃機をグアムに配備したが、北朝鮮には3時間で到
達する距離だ。

「アメリカの戦争ゲーム、B-2爆撃機とB61核爆弾、金元弘の粛清。全て
ひとつにつながります。正恩が相当な恐怖を感じている。危機の出口とし
て文在寅大統領の利用を考えたのが平昌五輪参加であり、妹の金与正のみ
ならず金英哲の派遣でしょう」と西岡氏。

金英哲氏は「天安」攻撃のとき、朝鮮人民軍偵察総局長だった。朝鮮人民
軍には元々武力謀略戦に従事する偵察局があった。1983年のラングーン事
件は彼らの所業だ。この軍のテロ組織と、大韓航空機爆破犯の金賢姫らが
所属していた党のテロ組織が合併して、09年にできたのが偵察総局であ
る。英哲氏は初代総局長となり、10年に「天安」を撃沈させた。

「今回、文政権は天安事件の首謀者は金英哲だと特定されていないと弁明
しましたが、嘘です。10年11月の韓国国会で国防大臣が主犯は金英哲と断
じています」と、西岡氏。

英哲氏は成功裡に悪事を重ね出世した。12年には中将に、さらに大将に昇
進し、16年に統一戦線部長に上り詰めた。

「統一戦線部は合法、非合法の全活動をします。韓国で地下政党を作らせ
るなど、お手のものでしょう」

北朝鮮への支援金

「統一日報」論説主幹の洪熒氏は憤る。

「文在寅は開会式のレセプションで申栄福を尊敬していると全世界に発信
しました。申は金日成が韓国に作った地下革命組織、統一革命党の秘密党
員でした。68年8月に摘発されて70人くらいが逮捕された。党首の金鍾泰
(キムジョンテ)ら3人は死刑に処されたのですが、このとき、金日成が
鍾泰奪還を目指して工作船を送り込み銃撃戦になりました。

結局、彼は死刑を執行されましたが、処刑のとき、『金日成万歳』と言っ
て死んだのです。金日成は彼を讃えて北朝鮮の海州(ヘジュ)師範大学の
名前を金鍾泰師範大学に変えたほどです」

金鍾泰らと共に逮捕された申栄福は無期懲役で服役、それを金大中氏が恩
赦で釈放した。申は書がうまく、「通」と大書した作品が青瓦台に飾られ
ている。南北統一で道が通るという意味だ。

「その書の前で文大統領は今回、金日成の孫の与正氏と記念撮影したので
す。そうしたことを具体的に調整したのは、文大統領を支える秘書室長
(官房長官)の任鍾ル(イムジョンソク)でしょう」と西岡氏。

西岡氏は、韓国のテレビ各局が北朝鮮の映像を利用するとき、任氏が著作
権料を払わせ、その受け皿としての財団を作り、自身が北朝鮮の代理人に
なって送金をしてきたと指摘する。洪氏も指摘した。

「昨年12月、文氏は中国を訪問しましたが、その直前の12月9日から12日
まで、任鍾ルがUAEとレバノンを訪れました。大統領でもない人物の単
独外交は異例です。北朝鮮への支援金が何らかの形で受け渡されたのでは
ないかと、私は見ています」

正恩氏は英哲氏を送り込むことで文氏の忠誠心を試したのである。文氏は
平昌で英哲氏らと1時間も話し込んだ。文氏は北朝鮮の核問題にもミサイ
ル問題にも天安問題にも触れていない。北朝鮮による工作が深く浸透して
いる証左である。これらは全て日本への脅威となって撥ね返ってくる。朝
鮮半島の動向は、極東情勢はまさに100年に一度の危機だと示している。
その危機を前提にした憲法改正を考えるときである。
『週刊新潮』 2018年3月8日号  日本ルネッサンス 第793回

2018年03月08日

◆精神的武装解除で北に呑まれる韓国

櫻井よしこ


文在寅韓国大統領は待ち望んでいたマドンナを迎えたかのように、その全
身から喜びを湧き立たせ、嬉しさを隠しきれない様子だった。

2月9日に金正恩朝鮮労働党委員長の妹、金与正氏が訪韓すると、文氏は11
日まで3日連続で彼女を国賓級にもてなした。与正氏は10日には文氏に正
恩氏の親書を渡し、ピョンヤンに招いた。そのとき与正氏が文氏に「確固
たる意志を持って決断する」よう求めたとピョンヤンのメディアは報じ、
文氏は「条件を整えましょう」と答えたとソウルのメディアは報じた。

11日、与正氏と北朝鮮の「三池淵(サムジヨン)管弦楽団」のソウル公演
を観覧した席で、文氏は「心を合わせ、難関を突破しよう」と呼びかけた。

韓国訪問の初日、与正氏はアゴを上げて相手を見下すような硬く冷たい表
情だった。ところが3日目には柔らかく親しみ深い笑みがふえ、文氏も
すっかり相手に馴染んだかのような様子に変わった。文氏が完全に北朝鮮
のペースに嵌っている。韓国を引き入れ、米韓同盟に亀裂を走らせ、日本
とも引き離そうという北朝鮮の思惑を警戒するどころか、むしろ喜んで
乗っているのだ。

国際社会の経済制裁が効き始めた結果、資金もエネルギーも食料も大いに
不足し追い詰められた北朝鮮に復活の機を与えるのが文政権の意図だ。与
正氏は10日の昼食会の席で「早い時期にピョンヤンでお会いできたらいい
ですね」と語ったが、その言葉どおり、文氏の北朝鮮訪問は驚く程早期に
実現するかも知れない。

なんといっても文氏は名立たる親北勢力だ。インターネット配信の「言論
テレビ」で、「産経新聞」編集委員、久保田るり子氏が語った。

「文氏は歴代政権中、正統性があるのは3つだと言っています。金大中、
盧武鉉、そして自分自身の政権です。金大中も盧武鉉も北朝鮮べったり
で、南北首脳会談を行い、金や物資を北朝鮮に渡しました」

北朝鮮に貢いだ政権

韓国の経済的繁栄の基盤を築いた朴正煕大統領やその後の全斗煥大統領な
ど、北朝鮮と対峙した政権は全否定し、北朝鮮に貢いだ政権を評価するわ
けだ。朝鮮問題が専門の西岡力氏も「言論テレビ」で語った。

「金大中らは南北朝鮮の連邦政府を実現しようとしました。韓国全体を北
朝鮮に捧げるという意味です。いま連邦政府を実現しようとすれば、韓国
は直ちに真っ二つに割れる。文氏はそこに踏み込む前に敵である保守勢力
を潰滅させようとするでしょう。たとえば韓国ではすでに李明博元大統領
逮捕の日程が具体的に取り沙汰されています」

金大中氏も盧武鉉氏も大統領選挙では政敵と戦った。文氏は政敵である朴
槿恵氏を逮捕し、財界の重鎮、閣僚ら35人を逮捕した。選挙戦で敵となり
得る有力者のほぼ全員を選挙前に逮捕したのだ。敵を排除して選挙戦に臨
んだのは、文氏が初めてだ。

用心深くしたたかな文氏は、金大中氏の命日である8月18日に演説した。
「なぜ、金大中氏の目指した南北朝鮮の連邦政府は実現していないのか。
私は絶対に実現させて御意志に応えます」と。

「そのために、国内の保守派、韓国の主流派勢力を全て取り替えると、文
氏は誓っています。先述の3政権だけに正統性があり、他は全て親日親米
で反民主勢力だと論難しています。韓国の主流派勢力を排除して、北朝鮮
と共に連邦政府を創るのが狙いです」と西岡氏。

このような考え方だから、北朝鮮の提案にいとも簡単に乗るのだ。その北
朝鮮の提案がどれだけ性急になされたかを見れば、彼らがいかに追い詰め
られているかも自ずと明らかになる。金正恩氏が今年元日の演説で平昌五
輪に参加してもよいと述べたこと自体が、正恩氏の焦りを象徴している。

北朝鮮は昨年11月29日に火星15の発射が成功したと発表したが、12月22
日、国連の制裁決議が採択されてしまった。正恩氏はこの時点で、翌年つ
まり今年の作戦を平昌五輪参加という対韓平和攻勢に急遽、切り替えたと
見られる。五輪参加で時間も稼げる、制裁も逃れられる。あわよくば韓国
から金品も取れる。

対韓平和攻勢は決まったが、アメリカにはいつでも本土攻撃ができると威
力を示さなければならない。それが2月8日の軍事パレードだった。

元々朝鮮人民軍の創設は1948年2月8日とされてきた。日本の敗戦後、ソ連
軍が北朝鮮に入り、金日成を人民委員会のトップに据えて、人民軍を作っ
たのだ。

その後70年代に金正日が歴史を捏造した。父親らパルチザン世代こそが英
雄で、朝鮮人民軍が日本と戦って勝ったのだと言い始めた。そのために軍
の創設は32(昭和7)年4月25日に変更された。以来ずっとこの日が軍創設
の日とされてきた。

制裁が効いている

だが、平昌五輪の前に軍事パレードを行い、アメリカに武力を誇示しなけ
ればならない。そこで以前に使われていた「2月8日」を突然持ち出し、革
命軍は4月25日に作ったが、正規軍は2月8日だったと言い始めた。

無茶苦茶な話だ。第一これでは48年9月9日の建国の前に軍ができたことに
なる。しかし、文氏は北朝鮮のハチャメチャ振りを一向に気にしない。ひ
たすら擦り寄るのだ。

強行した軍事パレードで注目すべきは火星15を載せた移動式発射台だと、
西岡氏が解説した。

「発射台のタイヤは9本、2列で18本です。以前は片側が8本で中国製でし
た。ところが片側9本のものが登場した。しかも北朝鮮が国内生産した。
多軸の移動式発射台はタイヤが多い分、曲がる時、微妙に角度を変えなけ
ればならず技術的に難しいのです。それを作った。加えて4台も出てき
た。アメリカの東海岸に到達するミサイルを、少なくとも4発、別々の場
所から撃てることを見せたのです」

本気でやるつもりなのか。但し、専門家らは本気にしては車輌の数が少な
いという。恐らく燃料不足ゆえだろうと見る。制裁が効いているのだ。

だから出来るだけ早く韓国からむしり取らなければならない。こうした思
惑で急遽、戦略を変えたのであろう。変更は12月22日に国連の制裁決議が
採択された頃であろう。そこから前述の朝鮮人民軍の創設が2月8日に変更
される事態が起きたと見て、ほぼ間違いない。ちなみに戦略変更前に印刷
が終わっていた今年の北朝鮮のカレンダーの建軍節は4月25日になってい
るそうだ。

これからの米中の動きは読みにくいが、精神的に武装解除された文氏は北
朝鮮に手繰り寄せられていくだろう。韓国は丸々向こう側に吸収されかね
ない。日本は防衛費を倍増する勢いで軍備を整え、国防を確かなものにし
なければならない。
『週刊新潮』 2018年2月22日号  日本ルネッサンス 第791回


2018年03月06日

◆精神的武装解除で北に呑まれる韓国

櫻井よしこ


文在寅韓国大統領は待ち望んでいたマドンナを迎えたかのように、そ
の全身から喜びを湧き立たせ、嬉しさを隠しきれない様子だった。

2月9日に金正恩朝鮮労働党委員長の妹、金与正氏が訪韓すると、文氏は11
日まで3日連続で彼女を国賓級にもてなした。与正氏は10日には文氏に正
恩氏の親書を渡し、ピョンヤンに招いた。そのとき与正氏が文氏に「確固
たる意志を持って決断する」よう求めたとピョンヤンのメディアは報じ、
文氏は「条件を整えましょう」と答えたとソウルのメディアは報じた。

11日、与正氏と北朝鮮の「三池淵(サムジヨン)管弦楽団」のソウル公演
を観覧した席で、文氏は「心を合わせ、難関を突破しよう」と呼びかけた。

韓国訪問の初日、与正氏はアゴを上げて相手を見下すような硬く冷たい表
情だった。ところが3日目には柔らかく親しみ深い笑みがふえ、文氏も
すっかり相手に馴染んだかのような様子に変わった。文氏が完全に北朝鮮
のペースに嵌っている。韓国を引き入れ、米韓同盟に亀裂を走らせ、日本
とも引き離そうという北朝鮮の思惑を警戒するどころか、むしろ喜んで
乗っているのだ。

国際社会の経済制裁が効き始めた結果、資金もエネルギーも食料も大いに
不足し追い詰められた北朝鮮に復活の機を与えるのが文政権の意図だ。与
正氏は10日の昼食会の席で「早い時期にピョンヤンでお会いできたらいい
ですね」と語ったが、その言葉どおり、文氏の北朝鮮訪問は驚く程早期に
実現するかも知れない。

なんといっても文氏は名立たる親北勢力だ。インターネット配信の「言論
テレビ」で、「産経新聞」編集委員、久保田るり子氏が語った。

「文氏は歴代政権中、正統性があるのは3つだと言っています。金大中、
盧武鉉、そして自分自身の政権です。金大中も盧武鉉も北朝鮮べったり
で、南北首脳会談を行い、金や物資を北朝鮮に渡しました」

北朝鮮に貢いだ政権

韓国の経済的繁栄の基盤を築いた朴正煕大統領やその後の全斗煥大統領な
ど、北朝鮮と対峙した政権は全否定し、北朝鮮に貢いだ政権を評価するわ
けだ。朝鮮問題が専門の西岡力氏も「言論テレビ」で語った。

「金大中らは南北朝鮮の連邦政府を実現しようとしました。韓国全体を北
朝鮮に捧げるという意味です。いま連邦政府を実現しようとすれば、韓国
は直ちに真っ二つに割れる。文氏はそこに踏み込む前に敵である保守勢力
を潰滅させようとするでしょう。たとえば韓国ではすでに李明博元大統領
逮捕の日程が具体的に取り沙汰されています」

金大中氏も盧武鉉氏も大統領選挙では政敵と戦った。文氏は政敵である朴
槿恵氏を逮捕し、財界の重鎮、閣僚ら35人を逮捕した。選挙戦で敵となり
得る有力者のほぼ全員を選挙前に逮捕したのだ。敵を排除して選挙戦に臨
んだのは、文氏が初めてだ。

用心深くしたたかな文氏は、金大中氏の命日である8月18日に演説した。
「なぜ、金大中氏の目指した南北朝鮮の連邦政府は実現していないのか。
私は絶対に実現させて御意志に応えます」と。

「そのために、国内の保守派、韓国の主流派勢力を全て取り替えると、文
氏は誓っています。先述の3政権だけに正統性があり、他は全て親日親米
で反民主勢力だと論難しています。韓国の主流派勢力を排除して、北朝鮮
と共に連邦政府を創るのが狙いです」と西岡氏。

このような考え方だから、北朝鮮の提案にいとも簡単に乗るのだ。その北
朝鮮の提案がどれだけ性急になされたかを見れば、彼らがいかに追い詰め
られているかも自ずと明らかになる。金正恩氏が今年元日の演説で平昌五
輪に参加してもよいと述べたこと自体が、正恩氏の焦りを象徴している。

北朝鮮は昨年11月29日に火星15の発射が成功したと発表したが、12月22
日、国連の制裁決議が採択されてしまった。正恩氏はこの時点で、翌年つ
まり今年の作戦を平昌五輪参加という対韓平和攻勢に急遽、切り替えたと
見られる。五輪参加で時間も稼げる、制裁も逃れられる。あわよくば韓国
から金品も取れる。

対韓平和攻勢は決まったが、アメリカにはいつでも本土攻撃ができると威
力を示さなければならない。それが2月8日の軍事パレードだった。

元々朝鮮人民軍の創設は1948年2月8日とされてきた。日本の敗戦後、ソ連
軍が北朝鮮に入り、金日成を人民委員会のトップに据えて、人民軍を作っ
たのだ。

その後70年代に金正日が歴史を捏造した。父親らパルチザン世代こそが英
雄で、朝鮮人民軍が日本と戦って勝ったのだと言い始めた。そのために軍
の創設は32(昭和7)年4月25日に変更された。以来ずっとこの日が軍創設
の日とされてきた。

制裁が効いている

だが、平昌五輪の前に軍事パレードを行い、アメリカに武力を誇示しなけ
ればならない。そこで以前に使われていた「2月8日」を突然持ち出し、革
命軍は4月25日に作ったが、正規軍は2月8日だったと言い始めた。

無茶苦茶な話だ。第一これでは48年9月9日の建国の前に軍ができたことに
なる。しかし、文氏は北朝鮮のハチャメチャ振りを一向に気にしない。ひ
たすら擦り寄るのだ。

強行した軍事パレードで注目すべきは火星15を載せた移動式発射台だと、
西岡氏が解説した。

「発射台のタイヤは9本、2列で18本です。以前は片側が8本で中国製でし
た。ところが片側9本のものが登場した。しかも北朝鮮が国内生産した。
多軸の移動式発射台はタイヤが多い分、曲がる時、微妙に角度を変えなけ
ればならず技術的に難しいのです。それを作った。加えて4台も出てき
た。アメリカの東海岸に到達するミサイルを、少なくとも4発、別々の場
所から撃てることを見せたのです」

本気でやるつもりなのか。但し、専門家らは本気にしては車輌の数が少な
いという。恐らく燃料不足ゆえだろうと見る。制裁が効いているのだ。

だから出来るだけ早く韓国からむしり取らなければならない。こうした思
惑で急遽、戦略を変えたのであろう。変更は12月22日に国連の制裁決議が
採択された頃であろう。そこから前述の朝鮮人民軍の創設が2月8日に変更
される事態が起きたと見て、ほぼ間違いない。ちなみに戦略変更前に印刷
が終わっていた今年の北朝鮮のカレンダーの建軍節は4月25日になってい
るそうだ。

これからの米中の動きは読みにくいが、精神的に武装解除された文氏は北
朝鮮に手繰り寄せられていくだろう。韓国は丸々向こう側に吸収されかね
ない。日本は防衛費を倍増する勢いで軍備を整え、国防を確かなものにし
なければならない。
『週刊新潮』 2018年2月22日号 日本ルネッサンス 第791回

2018年03月04日

◆弾圧に耐えるチベットの人々

櫻井よしこ


弾圧に耐えるチベットの人々 暴虐を隠蔽し続ける中国共産党」

中国共産党の弾圧を逃れたチベット仏教最高位のダライ・ラマ法王14世
が、インド北部のダラムサラに亡命政府を樹立したのが1959年である。今
年から来年の1年間をチベット亡命政府樹立から60年と位置づけ、ロブサ
ン・センゲ首相が国際社会にチベットの自由への闘いの意味を語る旅を続
けている。来日した首相が強調した。

「チベット問題はどの国にとっても遠い問題ではありません。日本の問題
とも重なります。チベット問題を放置すれば、日本もやがて同じ運命をた
どりかねないでしょう」

センゲ首相の来日も、発言もわが国の地上波テレビや大手新聞はあまり取
り上げない。そこで私はネット配信の「言論テレビ」にお招きした。首相
はこの60年間、中国の弾圧は厳しくなる一方だと強調した。

「中国内のチベット人は約600万人です。チベット人が3人以上で会話した
り行動したりすると、反政府活動と見做され逮捕されます。それは殆どの
場合、拷問と死を意味しますが、このようなことは全く報じられません。
外国人記者はチベット自治区に入ることさえできないからです」

私たちは世界で最も閉ざされた国は北朝鮮だと思いがちだ。だが北朝鮮に
は時折、外国人記者の入国が許される。制限つきだが映像を撮り、北朝鮮
からの中継もできないわけではない。しかしチベットからの中継や報道を
私たちは見たことがあるか。恐らく皆無だ。

首相は語る。

「チベット人への拷問、虐殺を含む暴虐の限りを中国共産党は国際社会の
目の届かない所で行い、中国の輝かしい経済的発展で世界の監視の目を曇
らせようとしています。しかし、彼らは必ずしも成功していません」

首相の説明はざっと以下のとおりだ。毛沢東らはチベット寺院の98%を破
壊し、僧や尼僧の99.9%を追放、虐殺に処した。ダライ・ラマ法王は取り
逃がしたが、チベット仏教を潰滅させたと毛らは考えた。しかし、約60年
後のいま、中国には3億人とも4億人ともいわれる仏教徒が存在し、中国は
世界最大の仏教国になった。

昨年10月の第19回中国共産党大会で習近平主席は、宗教は中国化する、社
会主義化するという条件で許容すると語った。右の2条件に宗教がどのよ
うに合わせていけるのか、よくわからないが、習氏がこのような変な理屈
をつけて宗教を容認すると言わざるを得なかったのは、億単位の中国人の
心に仏教が根付いてしまい、習氏といえども仏教徒の巨大な塊を無視する
ことができなかったからであろうか。

そこで心配なのがダライ・ラマ法王の健康である。法王は82歳になられ
た。昨年の日本訪問は医師から止められた。中国共産党は法王の寿命の尽
きるのを待っている。法王が亡くなれば、直ちに中国共産党は次のダラ
イ・ラマを自分たちが選ぼうとしている。

法王はその点を見通して語っている。ダライ・ラマの生まれ変わりは、中
国共産党の支配する地には生まれない、中国支配以外の地で生まれる、と。

チベット仏教の未来展望について、首相は楽観的だ。

「弾圧に屈せず、中国では多くの寺院が再建されました。中国政府はいま
それらの寺院と僧達の住居に重機を投入して凄まじい勢いで破壊していま
す。その映像もあります。私が強調したいのは、どんな弾圧にもチベット
民族は耐える力があるということです。ダラムサラで最も大切にしてきた
のがチベット仏教です。ダライ・ラマ法王の教えを全身全霊で吸収してき
た若い世代が大勢育っています。大丈夫です」

チベット人がチベット人らしく、ウイグル人がウイグル人らしく、モンゴ
ル人がモンゴル人らしく生きることができるような世界を目指そうと、改
めて思ったことだ。
『週刊ダイヤモンド』 2018年3月3日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1221

2018年03月03日

◆精神的武装解除で北に呑まれる韓国

櫻井よしこ


文在寅韓国大統領は待ち望んでいたマドンナを迎えたかのように、その全
身から喜びを湧き立たせ、嬉しさを隠しきれない様子だった。

2月9日に金正恩朝鮮労働党委員長の妹、金与正氏が訪韓すると、文氏は11
日まで3日連続で彼女を国賓級にもてなした。与正氏は10日には文氏に正
恩氏の親書を渡し、ピョンヤンに招いた。そのとき与正氏が文氏に「確固
たる意志を持って決断する」よう求めたとピョンヤンのメディアは報じ、
文氏は「条件を整えましょう」と答えたとソウルのメディアは報じた。

11日、与正氏と北朝鮮の「三池淵(サムジヨン)管弦楽団」のソウル公演
を観覧した席で、文氏は「心を合わせ、難関を突破しよう」と呼びかけた。

韓国訪問の初日、与正氏はアゴを上げて相手を見下すような硬く冷たい表
情だった。ところが3日目には柔らかく親しみ深い笑みがふえ、文氏も
すっかり相手に馴染んだかのような様子に変わった。文氏が完全に北朝鮮
のペースに嵌っている。韓国を引き入れ、米韓同盟に亀裂を走らせ、日本
とも引き離そうという北朝鮮の思惑を警戒するどころか、むしろ喜んで
乗っているのだ。

国際社会の経済制裁が効き始めた結果、資金もエネルギーも食料も大いに
不足し追い詰められた北朝鮮に復活の機を与えるのが文政権の意図だ。与
正氏は10日の昼食会の席で「早い時期にピョンヤンでお会いできたらいい
ですね」と語ったが、その言葉どおり、文氏の北朝鮮訪問は驚く程早期に
実現するかも知れない。

なんといっても文氏は名立たる親北勢力だ。インターネット配信の「言論
テレビ」で、「産経新聞」編集委員、久保田るり子氏が語った。

「文氏は歴代政権中、正統性があるのは3つだと言っています。金大中、
盧武鉉、そして自分自身の政権です。金大中も盧武鉉も北朝鮮べったり
で、南北首脳会談を行い、金や物資を北朝鮮に渡しました」

北朝鮮に貢いだ政権

韓国の経済的繁栄の基盤を築いた朴正煕大統領やその後の全斗煥大統領な
ど、北朝鮮と対峙した政権は全否定し、北朝鮮に貢いだ政権を評価するわ
けだ。朝鮮問題が専門の西岡力氏も「言論テレビ」で語った。

「金大中らは南北朝鮮の連邦政府を実現しようとしました。韓国全体を北
朝鮮に捧げるという意味です。いま連邦政府を実現しようとすれば、韓国
は直ちに真っ二つに割れる。文氏はそこに踏み込む前に敵である保守勢力
を潰滅させようとするでしょう。たとえば韓国ではすでに李明博元大統領
逮捕の日程が具体的に取り沙汰されています」

金大中氏も盧武鉉氏も大統領選挙では政敵と戦った。文氏は政敵である朴
槿恵氏を逮捕し、財界の重鎮、閣僚ら35人を逮捕した。選挙戦で敵となり
得る有力者のほぼ全員を選挙前に逮捕したのだ。敵を排除して選挙戦に臨
んだのは、文氏が初めてだ。

用心深くしたたかな文氏は、金大中氏の命日である8月18日に演説した。
「なぜ、金大中氏の目指した南北朝鮮の連邦政府は実現していないのか。
私は絶対に実現させて御意志に応えます」と。

「そのために、国内の保守派、韓国の主流派勢力を全て取り替えると、文
氏は誓っています。先述の3政権だけに正統性があり、他は全て親日親米
で反民主勢力だと論難しています。韓国の主流派勢力を排除して、北朝鮮
と共に連邦政府を創るのが狙いです」と西岡氏。

このような考え方だから、北朝鮮の提案にいとも簡単に乗るのだ。その北
朝鮮の提案がどれだけ性急になされたかを見れば、彼らがいかに追い詰め
られているかも自ずと明らかになる。金正恩氏が今年元日の演説で平昌五
輪に参加してもよいと述べたこと自体が、正恩氏の焦りを象徴している。

北朝鮮は昨年11月29日に火星15の発射が成功したと発表したが、12月22
日、国連の制裁決議が採択されてしまった。正恩氏はこの時点で、翌年つ
まり今年の作戦を平昌五輪参加という対韓平和攻勢に急遽、切り替えたと
見られる。五輪参加で時間も稼げる、制裁も逃れられる。あわよくば韓国
から金品も取れる。

対韓平和攻勢は決まったが、アメリカにはいつでも本土攻撃ができると威
力を示さなければならない。それが2月8日の軍事パレードだった。

元々朝鮮人民軍の創設は1948年2月8日とされてきた。日本の敗戦後、ソ連
軍が北朝鮮に入り、金日成を人民委員会のトップに据えて、人民軍を作っ
たのだ。

その後70年代に金正日が歴史を捏造した。父親らパルチザン世代こそが英
雄で、朝鮮人民軍が日本と戦って勝ったのだと言い始めた。そのために軍
の創設は32(昭和7)年4月25日に変更された。以来ずっとこの日が軍創設
の日とされてきた。

制裁が効いている

だが、平昌五輪の前に軍事パレードを行い、アメリカに武力を誇示しなけ
ればならない。そこで以前に使われていた「2月8日」を突然持ち出し、革
命軍は4月25日に作ったが、正規軍は2月8日だったと言い始めた。

無茶苦茶な話だ。第一これでは48年9月9日の建国の前に軍ができたことに
なる。しかし、文氏は北朝鮮のハチャメチャ振りを一向に気にしない。ひ
たすら擦り寄るのだ。

強行した軍事パレードで注目すべきは火星15を載せた移動式発射台だと、
西岡氏が解説した。

「発射台のタイヤは9本、2列で18本です。以前は片側が8本で中国製でし
た。ところが片側9本のものが登場した。しかも北朝鮮が国内生産した。
多軸の移動式発射台はタイヤが多い分、曲がる時、微妙に角度を変えなけ
ればならず技術的に難しいのです。それを作った。加えて4台も出てき
た。アメリカの東海岸に到達するミサイルを、少なくとも4発、別々の場
所から撃てることを見せたのです」

本気でやるつもりなのか。但し、専門家らは本気にしては車輌の数が少な
いという。恐らく燃料不足ゆえだろうと見る。制裁が効いているのだ。

だから出来るだけ早く韓国からむしり取らなければならない。こうした思
惑で急遽、戦略を変えたのであろう。変更は12月22日に国連の制裁決議が
採択された頃であろう。そこから前述の朝鮮人民軍の創設が2月8日に変更
される事態が起きたと見て、ほぼ間違いない。ちなみに戦略変更前に印刷
が終わっていた今年の北朝鮮のカレンダーの建軍節は4月25日になってい
るそうだ。

これからの米中の動きは読みにくいが、精神的に武装解除された文氏は北
朝鮮に手繰り寄せられていくだろう。韓国は丸々向こう側に吸収されかね
ない。日本は防衛費を倍増する勢いで軍備を整え、国防を確かなものにし
なければならない。
『週刊新潮』 2018年2月22日号  日本ルネッサンス 第791回

2018年03月02日

◆平壌でも謝罪を計画していた吉田清治

櫻井よしこ


2月5日、元自衛官の奥茂治氏に会った。氏は、慰安婦問題で嘘をつき、現
在の日韓関係のこじれの原因を作った吉田清治氏の、まさにその子息の依
頼で、清治氏が1983年暮れに韓国忠清南道天安市の「望郷の丘」に建てた
「謝罪の碑」を損傷した人物だ。

奥氏は自分の行為を韓国当局に自ら報告 し、召喚に応じて韓国に赴き、
身柄を拘束され、出国禁止措置、起訴、裁 判を経て、今年1月11日、懲役
6か月、執行猶予2年の判決を受けた。

7か月以上にわたった出国禁止措置にもめげず、氏は元気だった。多くの
友人を作ったらしく、帰国前には、30人を超える韓国人が別れの宴を催し
てくれたそうだ。

「人間を知ってみると憎めない国ですよ。逃げも隠れもしないのに韓国の
裁判所は私を出国禁止にし、その間、ホテル暮らしです。近所の人たちが
大いに同情してくれて友達になり歓送会も盛大でした」

一般庶民はこのように親切ではあるが、一方で反日感情に毒されてもい
る。そのはじまりが吉田氏の嘘ばなしであり、氏を持ち上げた「朝日新
聞」であろう。奥氏が語った。

「法廷闘争の中で、いろいろな資料に目を通しました。検察側が提出した
資料の中に驚くべきものがありました。在日本大韓民国婦人会中央本部に
宛てた吉田氏の陳情書です。1983年5月19日付け、手書きで4頁です」

その中で吉田氏は「3つの願い」を書いている。➀「韓国人を強制連行し
た」人間として、サハリン残留韓国人を養子にして償いの一端としたい、
➁「強制連行謝罪碑」を建てたい、➂「板門店経由平壌往復旅行」をした
い、である。

➀は実現していない。大高未貴氏が清治氏の子息の独白を、『父の謝罪碑
を撤去します 慰安婦問題の原点「吉田清治」長男の独白』(産経新聞出
版)にまとめた。その中で長男は父親の清治氏について、「生涯仕事らし
い仕事に就いたことがない」と語っている。このでたらめな父親の生活を
支えたのが子息である。子息頼りで暮らしていた吉田氏が、養子を迎えて
面倒を見たいと申し入れていたその無責任振りに改めて呆れた。

収入につながる「謝罪旅行」

➁は、同陳情書から約7か月後に望郷の丘に碑を建てて実現した。

注目は➂である。吉田氏は、「板門店経由平壌への道は、三十数年間にわ
たって、往来が途絶えてい」る、「根本的な原因は日韓併合であって、原
状復帰の責任は日本人に」あると書いている。

日本の敗戦後、旧ソ連は北緯38度以北を占領し、以南を米国が占領した。
金日成は旧ソ連の力を借りて北朝鮮を席巻し、1948年9月9日に朝鮮民主主
義人民共和国を建国した。南北分断の責任は日本よりも米ソにある。だ
が、吉田氏にとって、歴史の事実などどうでもよかったのであろう。氏は
謝罪して収入を得る道にすでに足を踏み入れていたのだ。

吉田氏が右の陳情書を書いたのは1983(昭和58)年5月19日だった。その2
か月余り後の7月31日にはあの悪名高い著書『私の戦争犯罪・朝鮮人強制
連行』を三一書房から出している。同書で氏は、韓国済州島で連日、暴力
的な「慰安婦狩り」をして1週間で200人の若い朝鮮人女性を「狩り出し
た」と書いた。

この本を出した頃、吉田氏はそれまで長男と住んでいたアパートを引き払
い、それ以前の家賃の3倍もする所に移った。お金の心配をする長男に吉
田氏はこう言ったそうだ。

「500万、1000万はすぐに入るから心配しなくていい」

どのようにしてそんな大金を手に入れるつもりだったのか。陳情書に書い
たことと無縁ではあるまい。

「この道を通って、ソウル・平壌間を往復して『謝罪旅行』を行なう事
は、私の悲願であります」

この頃、吉田氏は日本国内で自らの「戦争犯罪」を懺悔する講演を行って
いた。当然、講演料としての収入があったであろう。

さて、氏は「謝罪旅行」には2つの目的があると、書いている。➀黄海道、
平安南道、平安北道、咸鏡南道、咸鏡北道の五道(県)の韓国人に謝罪す
る為に「強制連行謝罪碑」を平壌にも建立させてもらう、➁南北分断家族
の手紙を平壌に配達したい、そのために、金正日夫人宛の手紙を、韓国政
府高官の夫人から託してもらえればそれを届けたい。

収入につながるであろう謝罪旅行をし、金正日夫人へのメッセンジャーに
なりたいというのである。

吉田氏の子息は、父親は戦前戦中に済州島に行ったことはないとして次の
ように証言している。

「(済州島に行ったことのない)父は、済州島の地図を見ながら、原稿用
紙に原稿を書いていました」

対外発信する責任

大高氏がなぜ、あれほど克明に書けたのか、と驚いて尋ねると、

「ですからそれは、出版社や周りにいた人たちに発言をしていただきたい
んです」と子息。

こんな人物の嘘を朝日新聞は十分調べもせずに大きく報道し、そのうえ、
長年放置した。朝日新聞も、朝日で慰安婦報道に関わった記者たちも恥を
知るべきであろう。奥氏が実感を込めて語った。

「日本では朝日は吉田証言は虚偽だとしてすべて取り消しましたが、その
ことは韓国を含む海外には伝わっていない。私は裁判で朝日が吉田証言を
すべて取り消したと言ったのですが、裁判官も検察も全く知りませんでし
た。そこで私は朝日が実際に自社の記事を取り消したことを、詳しく証明
しなければなりませんでした」

改めて指摘したい。如何に自社の報道が間違っていたかを、英文、ハング
ル、中国語などで明確に対外発信する責任を朝日新聞は果たすべきである。

興味深いのは、韓国の司法が、奥氏のケースを手早く片付けようとした点だ。

「取り調べ中検事に3回、強く勧められました。罰金50万ウォン(約5万
円)で帰国させてやる。早く日本に帰れと。彼らは吉田清治が大嘘つき
で、朝日新聞の報道も大嘘だったことを韓国に広めたくなかったようで
す。そこで私は主張しました。どうか起訴してください。吉田証言はすべ
てデタラメです。父親の嘘が大新聞で報道され、日本人全員が酷い精神的
苦痛を被っているのに、吉田氏の子息には世界に広まった父親の嘘を打ち
消す力がない。

しかし謝罪の碑は父親の印税で建てられたとされており、 父亡きいま、
父の息子の自分に碑の所有権も、処分する権利もある。その 権利を、子
息は私に行使してほしいと頼んでいるのです。だから、5万円 で帰国なん
てできません」

結局、韓国司法は奥氏を起訴し、有罪とした。奥氏が笑って語る。

「吉田氏と朝日の嘘が伝わることが大事です」
『週刊新潮』 2018年3月1日号 日本ルネッサンス 第792回



2018年02月28日

◆予測できない金兄妹の韓国呑み込み作戦

櫻井よしこ

「予測できない金兄妹の韓国呑み込み作戦 日本は憲法改正の一日も早い
発議を」

北朝鮮の独裁専制君主、金正恩氏の妹の金与正氏は「氷のような女性」
だった。アゴを上向きにし、人を見下すような目線が目立った。金王朝支
配の死臭の漂うような北朝鮮では、人々は高官も含めて、一人の若い女性
のこのような目線に怯えるのであろうか。

2月9日の韓国入りから滞在3日間で、彼女は文在寅韓国大統領の心を
ぎゅっと鷲掴みにしたと見てよいだろう。なんと言っても文氏は3日間に4
回も与正氏に会った。初日からの映像を時系列で見ると、与正氏の表情に
余裕が生まれている。

文大統領も韓国世論も彼女の微笑外交に屈しつつある感触を得たからであ
ろう。韓国紙には与正氏の力を、「微笑の核爆弾」と形容した記事もあっ
た。マイク・ペンス米副大統領は「北朝鮮が平昌五輪をハイジャックしよ
うとしている」と警告、微笑攻勢で北朝鮮の残虐さが覆い隠されてはなら
ないと語った。オットー・ワームビア氏の父親を平昌に招き、現地で脱北
者らと会うなど北朝鮮の非人道的行為は許さないとの米国の姿勢を強調した。

しかし、蓋を開けてみれば、与正氏は韓国メディアに大きく報じられ、美
女軍団には無数の人が群がり、文大統領は締まりの無い顔で平壌に行きた
くて仕方ない心を見透かされた。

史上最悪の政治五輪になったが、近未来の光景も見えてくる。南北朝鮮が
北朝鮮を盟主とするような形で会談し、日米が対応を誤ればその先に北朝
鮮主導の連邦政府が生まれるだろう。

今回、なぜ、90歳の金永南氏が韓国を訪れたのか。2000年6月の金大中大
統領平壌訪問を思い出せば、疑問は解ける。大中氏は4.5億ドル(約500億
円)の秘密資金を金正日総書記に送金して南北首脳会談を開催してもらっ
た。6月13日、平壌に到着したとき正日氏が出迎えた。思いがけない主役
の出現に、韓国国民は熱狂した。

だがその後、北朝鮮側の主役は正日氏から、一応国家元首の永南氏に交替
した。当日の晩餐会は永南氏が主催し正日氏は姿を見せなかった。2日目
の晩餐会は大中氏が答礼で主催したが、このときも正日氏は現れなかった。

客観的に見れば、北朝鮮元首の永南氏と韓国元首の大中氏が外交儀礼に基
づいて接遇しているのであり、形は整っている。

では、正日氏はどうしたか。大中氏訪問3日目の昼食会を主催し大中氏と
永南氏の両方を招いたのだ。中国共産党が中華人民共和国政府の上位にあ
るように、北朝鮮労働党も北朝鮮政府の上にある。永南氏は正日氏には平
身低頭する存在だ。大中氏はその人物と、同列に位置づけられた上で、正
日氏に招待された。

正日氏は永南氏の上に立つのと同様の形で、大中氏の上にも立ったという
ことだ。こうして正日氏は南北両朝鮮の代表の上に立つ形を世界に示し
た。文氏の北朝鮮訪問も、同じ形に嵌まるだろう。このような事態を見越
して、正恩氏は永南氏を訪韓させたと見てよいのではないか。

北朝鮮に前のめりの文大統領とは対照的に、安倍晋三首相は日本の立場を
永南氏にはっきり伝えた。ペンス氏が五分しかとどまらなかった文大統領
主催の歓迎宴に、安倍首相は最後までとどまった。終わり近くにさっと永
南氏に接近して要求した。拉致被害者全員の早期帰国を日本政府は強く求
めると、強い口調で述べたのだ。

永南氏は儀礼上の元首であり、決定する権利はないのであるから、返事な
ど問題ではない。大事なことは永南氏に日本国政府の固い意思を伝えたと
いうことだ。それを氏は忠実に正恩氏に伝えるであろう。

正恩、与正兄妹が韓国呑み込み作戦に成功するのかは、予測できない。日
本は米国と共に韓国の対北宥和策を牽制し国防力の強化を急ぎ、憲法改正
を一日も早く発議することだ。
『週刊ダイヤモンド』 2018年2月24日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1220 

2018年02月26日

◆予測できない金兄妹の韓国呑み込み作戦

櫻井よしこ

「予測できない金兄妹の韓国呑み込み作戦 日本は憲法改正の一日も早い
発議を」


北朝鮮の独裁専制君主、金正恩氏の妹の金与正氏は「氷のような女性」
だった。アゴを上向きにし、人を見下すような目線が目立った。金王朝支
配の死臭の漂うような北朝鮮では、人々は高官も含めて、一人の若い女性
のこのような目線に怯えるのであろうか。

2月9日の韓国入りから滞在3日間で、彼女は文在寅韓国大統領の心を
ぎゅっと鷲掴みにしたと見てよいだろう。なんと言っても文氏は3日間に4
回も与正氏に会った。初日からの映像を時系列で見ると、与正氏の表情に
余裕が生まれている。

文大統領も韓国世論も彼女の微笑外交に屈しつつある感触を得たからであ
ろう。韓国紙には与正氏の力を、「微笑の核爆弾」と形容した記事もあっ
た。マイク・ペンス米副大統領は「北朝鮮が平昌五輪をハイジャックしよ
うとしている」と警告、微笑攻勢で北朝鮮の残虐さが覆い隠されてはなら
ないと語った。オットー・ワームビア氏の父親を平昌に招き、現地で脱北
者らと会うなど北朝鮮の非人道的行為は許さないとの米国の姿勢を強調した。

しかし、蓋を開けてみれば、与正氏は韓国メディアに大きく報じられ、美
女軍団には無数の人が群がり、文大統領は締まりの無い顔で平壌に行きた
くて仕方ない心を見透かされた。

史上最悪の政治五輪になったが、近未来の光景も見えてくる。南北朝鮮が
北朝鮮を盟主とするような形で会談し、日米が対応を誤ればその先に北朝
鮮主導の連邦政府が生まれるだろう。

今回、なぜ、90歳の金永南氏が韓国を訪れたのか。2000年6月の金大中大
統領平壌訪問を思い出せば、疑問は解ける。大中氏は4.5億ドル(約500億
円)の秘密資金を金正日総書記に送金して南北首脳会談を開催してもらっ
た。6月13日、平壌に到着したとき正日氏が出迎えた。思いがけない主役
の出現に、韓国国民は熱狂した。

だがその後、北朝鮮側の主役は正日氏から、一応国家元首の永南氏に交替
した。当日の晩餐会は永南氏が主催し正日氏は姿を見せなかった。2日目
の晩餐会は大中氏が答礼で主催したが、このときも正日氏は現れなかった。

客観的に見れば、北朝鮮元首の永南氏と韓国元首の大中氏が外交儀礼に基
づいて接遇しているのであり、形は整っている。

では、正日氏はどうしたか。大中氏訪問3日目の昼食会を主催し大中氏と
永南氏の両方を招いたのだ。中国共産党が中華人民共和国政府の上位にあ
るように、北朝鮮労働党も北朝鮮政府の上にある。永南氏は正日氏には平
身低頭する存在だ。大中氏はその人物と、同列に位置づけられた上で、正
日氏に招待された。

正日氏は永南氏の上に立つのと同様の形で、大中氏の上にも立ったという
ことだ。こうして正日氏は南北両朝鮮の代表の上に立つ形を世界に示し
た。文氏の北朝鮮訪問も、同じ形に嵌まるだろう。このような事態を見越
して、正恩氏は永南氏を訪韓させたと見てよいのではないか。

北朝鮮に前のめりの文大統領とは対照的に、安倍晋三首相は日本の立場を
永南氏にはっきり伝えた。ペンス氏が五分しかとどまらなかった文大統領
主催の歓迎宴に、安倍首相は最後までとどまった。終わり近くにさっと永
南氏に接近して要求した。拉致被害者全員の早期帰国を日本政府は強く求
めると、強い口調で述べたのだ。

永南氏は儀礼上の元首であり、決定する権利はないのであるから、返事な
ど問題ではない。大事なことは永南氏に日本国政府の固い意思を伝えたと
いうことだ。それを氏は忠実に正恩氏に伝えるであろう。

正恩、与正兄妹が韓国呑み込み作戦に成功するのかは、予測できない。日
本は米国と共に韓国の対北宥和策を牽制し国防力の強化を急ぎ、憲法改正
を一日も早く発議することだ。

『週刊ダイヤモンド』 2018年2月24日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1220

2018年02月25日

◆予測できない金兄妹の韓国呑み込み作戦

櫻井よしこ

「予測できない金兄妹の韓国呑み込み作戦 日本は憲法改正の一日も早い
発議を」


北朝鮮の独裁専制君主、金正恩氏の妹の金与正氏は「氷のような女性」
だった。アゴを上向きにし、人を見下すような目線が目立った。金王朝支
配の死臭の漂うような北朝鮮では、人々は高官も含めて、一人の若い女性
のこのような目線に怯えるのであろうか。

2月9日の韓国入りから滞在3日間で、彼女は文在寅韓国大統領の心を
ぎゅっと鷲掴みにしたと見てよいだろう。なんと言っても文氏は3日間に4
回も与正氏に会った。初日からの映像を時系列で見ると、与正氏の表情に
余裕が生まれている。

文大統領も韓国世論も彼女の微笑外交に屈しつつある感触を得たからであ
ろう。韓国紙には与正氏の力を、「微笑の核爆弾」と形容した記事もあっ
た。マイク・ペンス米副大統領は「北朝鮮が平昌五輪をハイジャックしよ
うとしている」と警告、微笑攻勢で北朝鮮の残虐さが覆い隠されてはなら
ないと語った。オットー・ワームビア氏の父親を平昌に招き、現地で脱北
者らと会うなど北朝鮮の非人道的行為は許さないとの米国の姿勢を強調した。

しかし、蓋を開けてみれば、与正氏は韓国メディアに大きく報じられ、美
女軍団には無数の人が群がり、文大統領は締まりの無い顔で平壌に行きた
くて仕方ない心を見透かされた。

史上最悪の政治五輪になったが、近未来の光景も見えてくる。南北朝鮮が
北朝鮮を盟主とするような形で会談し、日米が対応を誤ればその先に北朝
鮮主導の連邦政府が生まれるだろう。

今回、なぜ、90歳の金永南氏が韓国を訪れたのか。2000年6月の金大中大
統領平壌訪問を思い出せば、疑問は解ける。大中氏は4.5億ドル(約500億
円)の秘密資金を金正日総書記に送金して南北首脳会談を開催してもらっ
た。6月13日、平壌に到着したとき正日氏が出迎えた。思いがけない主役
の出現に、韓国国民は熱狂した。

だがその後、北朝鮮側の主役は正日氏から、一応国家元首の永南氏に交替
した。当日の晩餐会は永南氏が主催し正日氏は姿を見せなかった。2日目
の晩餐会は大中氏が答礼で主催したが、このときも正日氏は現れなかった。

客観的に見れば、北朝鮮元首の永南氏と韓国元首の大中氏が外交儀礼に基
づいて接遇しているのであり、形は整っている。

では、正日氏はどうしたか。大中氏訪問3日目の昼食会を主催し大中氏と
永南氏の両方を招いたのだ。中国共産党が中華人民共和国政府の上位にあ
るように、北朝鮮労働党も北朝鮮政府の上にある。永南氏は正日氏には平
身低頭する存在だ。大中氏はその人物と、同列に位置づけられた上で、正
日氏に招待された。

正日氏は永南氏の上に立つのと同様の形で、大中氏の上にも立ったという
ことだ。こうして正日氏は南北両朝鮮の代表の上に立つ形を世界に示し
た。文氏の北朝鮮訪問も、同じ形に嵌まるだろう。このような事態を見越
して、正恩氏は永南氏を訪韓させたと見てよいのではないか。

北朝鮮に前のめりの文大統領とは対照的に、安倍晋三首相は日本の立場を
永南氏にはっきり伝えた。ペンス氏が五分しかとどまらなかった文大統領
主催の歓迎宴に、安倍首相は最後までとどまった。終わり近くにさっと永
南氏に接近して要求した。拉致被害者全員の早期帰国を日本政府は強く求
めると、強い口調で述べたのだ。

永南氏は儀礼上の元首であり、決定する権利はないのであるから、返事な
ど問題ではない。大事なことは永南氏に日本国政府の固い意思を伝えたと
いうことだ。それを氏は忠実に正恩氏に伝えるであろう。

正恩、与正兄妹が韓国呑み込み作戦に成功するのかは、予測できない。日
本は米国と共に韓国の対北宥和策を牽制し国防力の強化を急ぎ、憲法改正
を一日も早く発議することだ。
> 『週刊ダイヤモンド』 2018年2月24日号
> 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1220 

2018年02月24日

◆精神的武装解除で北に呑まれる韓国

櫻井よしこ

文在寅韓国大統領は待ち望んでいたマドンナを迎えたかのように、その全
身から喜びを湧き立たせ、嬉しさを隠しきれない様子だった。

2月9日に金正恩朝鮮労働党委員長の妹、金与正氏が訪韓すると、文氏は11
日まで3日連続で彼女を国賓級にもてなした。与正氏は10日には文氏に正
恩氏の親書を渡し、ピョンヤンに招いた。そのとき与正氏が文氏に「確固
たる意志を持って決断する」よう求めたとピョンヤンのメディアは報じ、
文氏は「条件を整えましょう」と答えたとソウルのメディアは報じた。

11日、与正氏と北朝鮮の「三池淵(サムジヨン)管弦楽団」のソウル公演
を観覧した席で、文氏は「心を合わせ、難関を突破しよう」と呼びかけた。

韓国訪問の初日、与正氏はアゴを上げて相手を見下すような硬く冷たい表
情だった。ところが3日目には柔らかく親しみ深い笑みがふえ、文氏も
すっかり相手に馴染んだかのような様子に変わった。文氏が完全に北朝鮮
のペースに嵌っている。韓国を引き入れ、米韓同盟に亀裂を走らせ、日本
とも引き離そうという北朝鮮の思惑を警戒するどころか、むしろ喜んで
乗っているのだ。

国際社会の経済制裁が効き始めた結果、資金もエネルギーも食料も大いに
不足し追い詰められた北朝鮮に復活の機を与えるのが文政権の意図だ。与
正氏は10日の昼食会の席で「早い時期にピョンヤンでお会いできたらいい
ですね」と語ったが、その言葉どおり、文氏の北朝鮮訪問は驚く程早期に
実現するかも知れない。

なんといっても文氏は名立たる親北勢力だ。インターネット配信の「言論
テレビ」で、「産経新聞」編集委員、久保田るり子氏が語った。

「文氏は歴代政権中、正統性があるのは3つだと言っています。金大中、
盧武鉉、そして自分自身の政権です。金大中も盧武鉉も北朝鮮べったり
で、南北首脳会談を行い、金や物資を北朝鮮に渡しました」

北朝鮮に貢いだ政権

韓国の経済的繁栄の基盤を築いた朴正煕大統領やその後の全斗煥大統領な
ど、北朝鮮と対峙した政権は全否定し、北朝鮮に貢いだ政権を評価するわ
けだ。朝鮮問題が専門の西岡力氏も「言論テレビ」で語った。

「金大中らは南北朝鮮の連邦政府を実現しようとしました。韓国全体を北
朝鮮に捧げるという意味です。いま連邦政府を実現しようとすれば、韓国
は直ちに真っ二つに割れる。文氏はそこに踏み込む前に敵である保守勢力
を潰滅させようとするでしょう。たとえば韓国ではすでに李明博元大統領
逮捕の日程が具体的に取り沙汰されています」

金大中氏も盧武鉉氏も大統領選挙では政敵と戦った。文氏は政敵である朴
槿恵氏を逮捕し、財界の重鎮、閣僚ら35人を逮捕した。選挙戦で敵となり
得る有力者のほぼ全員を選挙前に逮捕したのだ。敵を排除して選挙戦に臨
んだのは、文氏が初めてだ。

用心深くしたたかな文氏は、金大中氏の命日である8月18日に演説した。
「なぜ、金大中氏の目指した南北朝鮮の連邦政府は実現していないのか。
私は絶対に実現させて御意志に応えます」と。

「そのために、国内の保守派、韓国の主流派勢力を全て取り替えると、文
氏は誓っています。先述の3政権だけに正統性があり、他は全て親日親米
で反民主勢力だと論難しています。韓国の主流派勢力を排除して、北朝鮮
と共に連邦政府を創るのが狙いです」と西岡氏。

このような考え方だから、北朝鮮の提案にいとも簡単に乗るのだ。その北
朝鮮の提案がどれだけ性急になされたかを見れば、彼らがいかに追い詰め
られているかも自ずと明らかになる。金正恩氏が今年元日の演説で平昌五
輪に参加してもよいと述べたこと自体が、正恩氏の焦りを象徴している。

北朝鮮は昨年11月29日に火星15の発射が成功したと発表したが、12月22
日、国連の制裁決議が採択されてしまった。正恩氏はこの時点で、翌年つ
まり今年の作戦を平昌五輪参加という対韓平和攻勢に急遽、切り替えたと
見られる。五輪参加で時間も稼げる、制裁も逃れられる。あわよくば韓国
から金品も取れる。

対韓平和攻勢は決まったが、アメリカにはいつでも本土攻撃ができると威
力を示さなければならない。それが2月8日の軍事パレードだった。

元々朝鮮人民軍の創設は1948年2月8日とされてきた。日本の敗戦後、ソ連
軍が北朝鮮に入り、金日成を人民委員会のトップに据えて、人民軍を作っ
たのだ。

その後70年代に金正日が歴史を捏造した。父親らパルチザン世代こそが英
雄で、朝鮮人民軍が日本と戦って勝ったのだと言い始めた。そのために軍
の創設は32(昭和7)年4月25日に変更された。以来ずっとこの日が軍創設
の日とされてきた。

制裁が効いている

だが、平昌五輪の前に軍事パレードを行い、アメリカに武力を誇示しなけ
ればならない。そこで以前に使われていた「2月8日」を突然持ち出し、革
命軍は4月25日に作ったが、正規軍は2月8日だったと言い始めた。

無茶苦茶な話だ。第一これでは48年9月9日の建国の前に軍ができたことに
なる。しかし、文氏は北朝鮮のハチャメチャ振りを一向に気にしない。ひ
たすら擦り寄るのだ。

強行した軍事パレードで注目すべきは火星15を載せた移動式発射台だと、
西岡氏が解説した。

「発射台のタイヤは9本、2列で18本です。以前は片側が8本で中国製でし
た。ところが片側9本のものが登場した。しかも北朝鮮が国内生産した。
多軸の移動式発射台はタイヤが多い分、曲がる時、微妙に角度を変えなけ
ればならず技術的に難しいのです。それを作った。加えて4台も出てき
た。アメリカの東海岸に到達するミサイルを、少なくとも4発、別々の場
所から撃てることを見せたのです」

本気でやるつもりなのか。但し、専門家らは本気にしては車輌の数が少な
いという。恐らく燃料不足ゆえだろうと見る。制裁が効いているのだ。

だから出来るだけ早く韓国からむしり取らなければならない。こうした思
惑で急遽、戦略を変えたのであろう。変更は12月22日に国連の制裁決議が
採択された頃であろう。そこから前述の朝鮮人民軍の創設が2月8日に変更
される事態が起きたと見て、ほぼ間違いない。ちなみに戦略変更前に印刷
が終わっていた今年の北朝鮮のカレンダーの建軍節は4月25日になってい
るそうだ。

これからの米中の動きは読みにくいが、精神的に武装解除された文氏は北
朝鮮に手繰り寄せられていくだろう。韓国は丸々向こう側に吸収されかね
ない。日本は防衛費を倍増する勢いで軍備を整え、国防を確かなものにし
なければならない。
『週刊新潮』 2018年2月22日号  日本ルネッサンス 第791回

2018年02月23日

◆精神的武装解除で北に呑まれる韓国

櫻井よしこ

文在寅韓国大統領は待ち望んでいたマドンナを迎えたかのように、その全
身から喜びを湧き立たせ、嬉しさを隠しきれない様子だった。

2月9日に金正恩朝鮮労働党委員長の妹、金与正氏が訪韓すると、文氏は11
日まで3日連続で彼女を国賓級にもてなした。与正氏は10日には文氏に正
恩氏の親書を渡し、ピョンヤンに招いた。そのとき与正氏が文氏に「確固
たる意志を持って決断する」よう求めたとピョンヤンのメディアは報じ、
文氏は「条件を整えましょう」と答えたとソウルのメディアは報じた。

11日、与正氏と北朝鮮の「三池淵(サムジヨン)管弦楽団」のソウル公演
を観覧した席で、文氏は「心を合わせ、難関を突破しよう」と呼びかけた。

韓国訪問の初日、与正氏はアゴを上げて相手を見下すような硬く冷たい表
情だった。ところが3日目には柔らかく親しみ深い笑みがふえ、文氏も
すっかり相手に馴染んだかのような様子に変わった。文氏が完全に北朝鮮
のペースに嵌っている。韓国を引き入れ、米韓同盟に亀裂を走らせ、日本
とも引き離そうという北朝鮮の思惑を警戒するどころか、むしろ喜んで
乗っているのだ。

国際社会の経済制裁が効き始めた結果、資金もエネルギーも食料も大いに
不足し追い詰められた北朝鮮に復活の機を与えるのが文政権の意図だ。与
正氏は10日の昼食会の席で「早い時期にピョンヤンでお会いできたらいい
ですね」と語ったが、その言葉どおり、文氏の北朝鮮訪問は驚く程早期に
実現するかも知れない。

なんといっても文氏は名立たる親北勢力だ。インターネット配信の「言論
テレビ」で、「産経新聞」編集委員、久保田るり子氏が語った。

「文氏は歴代政権中、正統性があるのは3つだと言っています。金大中、
盧武鉉、そして自分自身の政権です。金大中も盧武鉉も北朝鮮べったり
で、南北首脳会談を行い、金や物資を北朝鮮に渡しました」

北朝鮮に貢いだ政権

韓国の経済的繁栄の基盤を築いた朴正煕大統領やその後の全斗煥大統領な
ど、北朝鮮と対峙した政権は全否定し、北朝鮮に貢いだ政権を評価するわ
けだ。朝鮮問題が専門の西岡力氏も「言論テレビ」で語った。

「金大中らは南北朝鮮の連邦政府を実現しようとしました。韓国全体を北
朝鮮に捧げるという意味です。いま連邦政府を実現しようとすれば、韓国
は直ちに真っ二つに割れる。文氏はそこに踏み込む前に敵である保守勢力
を潰滅させようとするでしょう。たとえば韓国ではすでに李明博元大統領
逮捕の日程が具体的に取り沙汰されています」

金大中氏も盧武鉉氏も大統領選挙では政敵と戦った。文氏は政敵である朴
槿恵氏を逮捕し、財界の重鎮、閣僚ら35人を逮捕した。選挙戦で敵となり
得る有力者のほぼ全員を選挙前に逮捕したのだ。敵を排除して選挙戦に臨
んだのは、文氏が初めてだ。

用心深くしたたかな文氏は、金大中氏の命日である8月18日に演説した。
「なぜ、金大中氏の目指した南北朝鮮の連邦政府は実現していないのか。
私は絶対に実現させて御意志に応えます」と。

「そのために、国内の保守派、韓国の主流派勢力を全て取り替えると、文
氏は誓っています。先述の3政権だけに正統性があり、他は全て親日親米
で反民主勢力だと論難しています。韓国の主流派勢力を排除して、北朝鮮
と共に連邦政府を創るのが狙いです」と西岡氏。

このような考え方だから、北朝鮮の提案にいとも簡単に乗るのだ。その北
朝鮮の提案がどれだけ性急になされたかを見れば、彼らがいかに追い詰め
られているかも自ずと明らかになる。金正恩氏が今年元日の演説で平昌五
輪に参加してもよいと述べたこと自体が、正恩氏の焦りを象徴している。

北朝鮮は昨年11月29日に火星15の発射が成功したと発表したが、12月22
日、国連の制裁決議が採択されてしまった。正恩氏はこの時点で、翌年つ
まり今年の作戦を平昌五輪参加という対韓平和攻勢に急遽、切り替えたと
見られる。五輪参加で時間も稼げる、制裁も逃れられる。あわよくば韓国
から金品も取れる。

対韓平和攻勢は決まったが、アメリカにはいつでも本土攻撃ができると威
力を示さなければならない。それが2月8日の軍事パレードだった。

元々朝鮮人民軍の創設は1948年2月8日とされてきた。日本の敗戦後、ソ連
軍が北朝鮮に入り、金日成を人民委員会のトップに据えて、人民軍を作っ
たのだ。

その後70年代に金正日が歴史を捏造した。父親らパルチザン世代こそが英
雄で、朝鮮人民軍が日本と戦って勝ったのだと言い始めた。そのために軍
の創設は32(昭和7)年4月25日に変更された。以来ずっとこの日が軍創設
の日とされてきた。

制裁が効いている

だが、平昌五輪の前に軍事パレードを行い、アメリカに武力を誇示しなけ
ればならない。そこで以前に使われていた「2月8日」を突然持ち出し、革
命軍は4月25日に作ったが、正規軍は2月8日だったと言い始めた。

無茶苦茶な話だ。第一これでは48年9月9日の建国の前に軍ができたことに
なる。しかし、文氏は北朝鮮のハチャメチャ振りを一向に気にしない。ひ
たすら擦り寄るのだ。

強行した軍事パレードで注目すべきは火星15を載せた移動式発射台だと、
西岡氏が解説した。

「発射台のタイヤは9本、2列で18本です。以前は片側が8本で中国製でし
た。ところが片側9本のものが登場した。しかも北朝鮮が国内生産した。
多軸の移動式発射台はタイヤが多い分、曲がる時、微妙に角度を変えなけ
ればならず技術的に難しいのです。それを作った。加えて4台も出てき
た。アメリカの東海岸に到達するミサイルを、少なくとも4発、別々の場
所から撃てることを見せたのです」

本気でやるつもりなのか。但し、専門家らは本気にしては車輌の数が少な
いという。恐らく燃料不足ゆえだろうと見る。制裁が効いているのだ。

だから出来るだけ早く韓国からむしり取らなければならない。こうした思
惑で急遽、戦略を変えたのであろう。変更は12月22日に国連の制裁決議が
採択された頃であろう。そこから前述の朝鮮人民軍の創設が2月8日に変更
される事態が起きたと見て、ほぼ間違いない。ちなみに戦略変更前に印刷
が終わっていた今年の北朝鮮のカレンダーの建軍節は4月25日になってい
るそうだ。

これからの米中の動きは読みにくいが、精神的に武装解除された文氏は北
朝鮮に手繰り寄せられていくだろう。韓国は丸々向こう側に吸収されかね
ない。日本は防衛費を倍増する勢いで軍備を整え、国防を確かなものにし
なければならない。

『週刊新潮』 2018年2月22日号 日本ルネッサンス 第791回



前田 正晶

2018年02月22日

◆韓国大統領が指示続ける「革命的政変」

櫻井よしこ


「韓国大統領が指示続ける「革命的政変」 わが国の憲法改正は隣国の
危機踏まえよ」

韓国の文在寅大統領が、「革命的政変」の指示を出し続けている。

日本では韓国系の「統一日報」が2月7日付で報じただけだが、同月5日、
文大統領が政策企画委員会の丁海亀委員長に憲法改正の準備に入るよう指
示した。韓国では憲法改正を大統領もしくは国会が発議できる。大統領発
議の場合、国会で3分の2の賛成を得れば正式に発議され、国民投票で過半
数の支持を得て成立する。

文氏は6月の地方自治体選挙に合わせて社会主義国家としての憲法を作る
ことを目論んでいると言われる。

文氏は大統領就任後真っ先に教科書の改訂を命じた。朴槿恵前大統領が作
成させた国定教科書を全否定する決定だった。朴前大統領は、教育現場で
長年使用されていた左傾化教科書を180度変えて、韓国の歴史を肯定的に
評価する内容の教科書を国定教科書とした。

だが、文氏は、政権の最優先政策として、その教科書をやめさせたのだ。
その上で長年韓国で使われていた親北朝鮮の左翼史観に基づく教科書に戻
そうとしているのである。

現在、中・高校生用歴史教科書から、「自由民主主義」の「自由」が消さ
れ、単なる「民主主義」への書きかえが行われている。なぜこのように書
きかえるのか。「統一日報」論説主幹の洪熒(ホン・ヒョン)氏が解説した。

「文大統領は選挙戦で公約した北朝鮮との連邦政府を作ろうとしているの
です。しかしどう考えても、いかなる自由も許さない北朝鮮の専制独裁政
治体制と、韓国の自由民主主義は整合しません。だから自由という言葉を
外していると考えられます」

もうひとつ気になる動きが進行中だ。少なくとも2万人、最大で6万人に上
る一般市民が文政権の査察を受けている可能性がある。査察の対象となっ
た市民は、朴前大統領の逮捕やその後の不当裁判に抗議するための太極旗
デモ──参加者が韓国国旗の太極旗を掲げているためにそのように呼ばれて
いる──にカンパをした人々だ。

各金融機関が寄付者に「あなたの金融取引情報が、令状によってソウル警
察庁に提供されたことを通知します」と報告した結果、査察の事実が明ら
かになった。

文政権に不満を持つ太極旗グループの人々は1月16日、「公権力による民
間人の寄付金不法査察及びブラックリスト対策委員会」を結成、詳しい調
査を行った。その結果、5000ウォン(約500円)の少額寄付者まで査察を
受けていたことが発覚した。

国家による個人への査察は大きな政治圧力になる。たとえば公務員は、朴
前大統領支持のデモへの寄付行為を政権側に把握されれば、その後の人事
にも影響が及ぶと恐れるだろう。あらゆる意味で威嚇効果は覿面である。

文大統領が憲法改正の準備を命じた丁氏は、韓国ではよく知られた主体思
想主義者で、北朝鮮の故金日成国家主席の思想を引き継いでいる人物だ。
氏は文大統領の下で、韓国における北朝鮮の工作活動を監視し、取り締ま
る組織、国家情報院解体の指揮を執った。

陰に陽に韓国の保守勢力を弾圧する文氏の憲法改正の思惑は実現するの
か。現在、韓国では保守政党の「自由韓国党」が3分の1以上の議席を有し
ており、現状では文大統領の目標達成は難しい。しかし、楽観は禁物だ。

「朴前大統領を弾劾するか否かの局面で、本来、保守派であったはずの与
党議員の多くが弾劾賛成に転じました。自由韓国党の分裂もあり得るで
しょう。そのとき、韓国は取り返しのつかない危機に陥ります」と洪氏。

隣国の危機が日本の危機につながることは歴史上も明らかだ。中国の脅威
も深刻だが、わが国はまず、朝鮮半島の危機に備えなければならない。憲
法改正の議論はこのような現実の危機を踏まえて行ってほしい。

『週刊ダイヤモンド』 2018年2月17日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1219