2019年11月17日

◆香港の大学は「軍事要塞」に化けた

宮崎 正弘


令和元年(2019)11月15日(金曜日)通巻第6276号 

香港の大学は「軍事要塞」に化けた。海外からの留学生は帰国の途に
 キャンパス内は籠城戦に備え食料備蓄、武器製造、運動場では投擲訓練

想像より多い。数千の学生がキャンパスを軍事要塞化して立て籠った。
セメントを調達し、道路のレンガを壊しバリケードを築き、火炎瓶を大量
に用意している。籠城戦の部署を分担し合っている。

古代の戦争に登場する投擲機をかれらは自分たちで作った。弓の練習も行
われている。投石機の大型化も進んでいる。

中文大学、香港大学、香港理工大学ほか、軍事要塞化は警官隊突入を防ぐ
ためである。付近の道路は通行不能状態。九龍と香港島を結ぶ海底トンネ
ルもバリケードで封鎖された。

キャンパスには「これは戦争だ!」という標語。

ロビィや講堂などは夥しい食料と水、学生食堂は、職員に代わって料理を
作れる学生たちが食事を作っている。

戦闘服、グーグル、手袋、ヘルメットも積み上げられ、準備を整えた。

火炎瓶が大量に用意され、投擲マシーンも自分たちで周辺の木材などを運
び込み、あまつさえ防御用兵器も科技大学の学生らが工夫している。

中国大陸からの留学生が大使館の手配で特別のフェリーが用意され、脱出
した。
続いて14日からは日本、台湾などからの留学生も一斉に帰国の途に就いた。
いよいよ人民解放軍が入りそうだという情報が乱れ飛び、夜間外出禁止令
施行は時間の問題とも言われるようになった。
 何が起きるのか?
      
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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  ♪
樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1985回】                 
――「支那を亡すものは鴉片の害毒である」――上塚(3)
上塚司『揚子江を中心として』(織田書店 大正14年)

           ▽
ここで些か飛躍するようだが、「中欧班列」の最近の状況を簡単に紹介し
ておきたい。

中国の59都市とヨーロッパの15カ国を結んでいる中欧班列はロシア経由と
カザフスタン経由の2路線が稼働し、ユーラシア大陸の東と西とを結ぶ1万
km超の路線を2週間余りで繋いでいる。

輸送コストは空路の75%前後と安い。海路の2、3倍は高い運賃ではある
が所要時間は半分前後。つまり中欧班列は、空路より安い運賃で海路より
は断然早い。加えて季節による運賃変動が少ないことも魅力の1つだ。

当初の最大の懸案であった片荷問題だが、2018年を見ると欧州発便は前年
比111%増で全体の42.3%を占めるなど、解消に向かっている。スマート
フォンやモバイルなどのIT製品、自動車・自動車部品、一般機械、金属加
工品、衣類、コーヒー豆、ワイン、木材、家具などが中国から欧州へ、自
動車、日用品、食品、機械設備などが欧州から中国へ送り込まれている。
中国・欧州間を往来するコンテナーは2019年3月には110万を超えている。

中欧班列は中国以外の企業も利用し、たとえばホンダは中国で生産したエ
ンジンを欧州物流拠点(在ベルギー)への輸送に利用。日本通運は陝西省
西安とデュイスブルク(ドイツ)を繋ぐ専用貸し切り列車の試運転を開
始。フォードはドイツで生産した部品を重慶に送り込み、完成車を欧州に
送り出す。

2011年の中欧班列の列車本数を歴年で追ってみると、2011年(中国発:17
本/欧州発0本。以下同)、2012年(42本/0本)、2013年(80本/0
本)、2014年(280本/28本)、2015年(550本/265本)、2016年(1,130
本/527本)、2017年(2,339本/1,274本)、2018年(3,673本/2,690
本)――2018年の実績は6363本で前年比73%増。累計本数は2018年末で1万
3千本を突破している。

こう見てくると、20世紀初頭に構想された海蘭鉄道の先見性や戦略性、加
えるなら1世紀と言う時代の激動を改めて思い知らされるようだ。
 
上塚に戻るが、彼は20世紀初頭における中国を巡る列強の「蟻軍の甘きに
附く」ような振る舞いを「表に正義人道の衣を纏ひて、内に恐るべき豺狼
の牙を磨くあり」と形容しているが、これはそのまま一帯一路を推し進め
る習近平政権の姿勢に当てはまるに違いない。

1世紀前には「豺狼の牙」に慄いていた中国が、今や自らが「豺狼の牙」
を研ぐ。かつて列強は「正義人道の衣を纏ひて、内に恐るべき豺狼の牙を
磨」きながら、中国に利権を求めた。そして今、習近平政権の率いられた
中国は、かつて列強が中国に向かった野望の道を反対方向に進み、「正義
人道の衣」ならぬ「双?(ウィンウィン)関係」をチラつかせながら相手
国を丸め込み、「内に恐るべき豺狼の牙を磨」いている。

かつての「東亜病夫」と蔑まれた中国だったが、今や「恐るべき豺狼」に
まで“成長”してしまった。やはり自らの力で成長したわけではなく、安い
労働力を求めて押し寄せた日本や欧米諸国がカネとモノとを注ぎ込んだか
らだろう。毛沢東が30年ほどの時間をかけて辿り着いた貧乏の共同体は、
「恐るべき豺狼」に激変したのだ。これを歴史の皮肉と見るべきか。はた
また歴史の必然と考えるべきか。

上塚は「俺は一體何の爲めに歩いて居るかと自問自答」しつつ、ひたすら
歩く。
「毎日々々野と山と河とを眺め、南京蟲に喰はれ、蚊に刺され、豚肉と
ボロボロ飯を食ひ乍ら、世の中の總てから離れ、金を使つて苦勞した、得
る所果して幾何ぞや。〔中略〕俺は餘程馬鹿だワイと一方の耳で囁く。

〔中略〕實際御前は馬鹿ダ。然し數字や常識に超越した馬鹿で無くて、何
で之が出來よう。自己と利?とを忘れて馬鹿者でなくて、どうして之れが
忍ばれよう。馬鹿になれ、馬鹿になれと亦一方の耳で囁く」。馬鹿力〈バ
カリョク〉だ。
           

2019年11月16日

◆中国人留学生が香港からいなくなった

宮崎 正弘


令和元年(2019)11月13日(水曜日)弐 通巻第6274号 

そして中国人留学生が香港からいなくなった
  150人が深センの救援センターに避難した

香港中文大学といえば「香港の東大」。駅名もずばり「大学」駅である。
西環にある香港大学といえば「香港のオックスフォード」(クリントン大
統領はここで演説している)。地下鉄改札から直接、コンコースが大学へ
つながり、地下からエレベータで大学キャンパスへ移動できるほど恵まれ
た環境にある。

この名門校2つのほか、紅勘にある香港科技大学など11の大学で授業ボ
イコット、13日には学校が閉鎖された。地下鉄、バスが止まったからで
ある。

11月11日、警官隊は香港大学に突入した。

「学問の自由は踏みにじられた」と日本の新聞なら騒ぐだろう。昭和四十
二年だったか、東大駒場に私服でやってきた自衛官が衛藤瀋吉教授と面会
したとき、その自衛官を取り囲んで、東大の民青らは「学問の自治が冒さ
れた」と騒いだっけ。

昭和44年の東大安田講堂、早稲田大隈講堂に立て籠もってコンクリードで
固め、城塞とした極左を排除するため、機動隊の導入は、最後に「学長が
要請した」のだ。

香港では政庁の命令があったのか、警察トップの命令で、大学キャンパス
が蹂躙され、この日、香港大学だけでも1000発の催涙弾が撃ち込ま
れ、大学講堂は医務室となった。287名が拘束され、70名以上が負傷
した。日本の左翼メディアなら「血の大弾圧」と書くだろう。

この日、深せんへ逃げ込んだ中国人留学生(遊学生?)は推定150人。
一時的な避難所となった救援センターに駆け込んだ。香港から消えた中国
大陸からの留学生は80人(サウスチャイナモーニングポスト、11月
13日)。

なにしろ北京語を喋ると殴られる。親中派の態度を見せるとガソリンを被
せられる。中国系の店舗は破壊され、放火される。身の危険を感じている。

11月24日に予定されている区議選は延期されるのではないかと不安視
する観測があがり始めた。

民主派の立法議員は合計7人が、意味不明の罪状で逮捕され、親中派議員
の一人はナイフで刺された。

立候補者はうっかり街頭演説もままならないほどに治安が崩れている。
 
        
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1984回】       
 ――「支那を亡すものは鴉片の害毒である」――上塚(2)
  上塚司『揚子江を中心として』(織田書店 大正14年)

        
              △

上塚は先ず「揚子江の政治的、經濟的價値は誠に偉大である。されば、列
強は疾くより眼を此の地に注ぎ、鋭意利權の穫得、自己勢力の扶殖に是れ
勉めて居る。即ち其の爭奪戰に加はるもの曰く、英、獨、露、佛、又曰
く、日、米、白、即ち世界の列強は、蟻軍の甘きに附くが如く此處に蝟集
し、或は條約に依りて不割讓を約し、或は鐵道敷設權に依りて地盤の鞏固
を期し、或は表に正義人道の衣を纏ひて、内に恐るべき豺狼の牙を磨くあ
り、或は他國シンジケートの蔭に隱れて其の實權を握らんとする等、權謀
術數交々行はれ、其の政策の變現亦端倪に暇なきを思はしめるものがあ
る」と、彼が踏査した大正7(1918)年当時の長江一帯をめぐる列強角逐
の概況を記す。

そこで上塚が注視したのは、上海と遥か西部の甘粛省蘭州を結ぼうと構想
された海蘭鉄道だった。

「今から丁度7年以前」というから辛亥革命直後の時期に当たろうか。

「未だ歐洲の風雲急ならず、支那問題が世界の視聽を牽いて居つた時、突
如として海蘭鉄道借款が、明らかに露佛の後援下にある白耳義シンジケー
ト代表者と革命政府との間に締結せられたりとの報道が傳はつた時、列強
は如何に驚愕と嫉妬の眼を以て、之が論議に花を咲かせた事であらう」。

「支那鐵道の研究に興味を持つて居」た上塚は「特に注意して其の將來を
仰望し」、上海周辺調査の一環として海蘭鉄道東の起点である「揚子江岸
の海門」に足を向けた。

上塚に拠れば「海蘭鐵道は東揚子江口海門に起こり、通州、如皐、
阜?、清江浦等を經て徐州に出で、河南に入り開封、洛陽を過ぎて陝西省
城西安府に至るものを東部線とし、西安より甘肅省蘭州に至るものを西部
線とするものである」。じつは西部線には南北の2路線があって、「北部
は咸陽より平凉府、安定を經て蘭州に至るもので車道を通ずべく南路は鳳
翔、寶鷄、泰州、鞏昌、逖道等を經て蘭州に達するもので、路稍峻嶮、馬
車を通ずる事が出來る」。南北両徒路は距離も工事の難易度もほぼ同じ。
「全延長實に一千に百餘哩で支那中原の地帶を東西に通貫する一大鐵道で
ある」。

「露佛が此の鐵道に力を注ぐや、其の意とする所は、劈頭先づ海門も以
て大上海の繁栄を奪ひ、漸次西北行して舊?河に沿ふ千里の沃野の關鍵を
握り、途中開封、洛陽等の要地を縫ひ、軍事、政治、經濟の中心たる西安
府を扼して蘭州に至り、更に天山南路によりて烏魯木齊、喀什?爾を經て
一路直に中大亞細亞に出で『コカンド』に於て露國中央鐵道と相連絡し、
遠く歐露に達せんとするにあつたのである」。

ところが肝腎のロシアが革命によって崩壊してしまった。まさに「今や
時世も變遷し、露佛の偉圖は只一塲の夢と化し終つたのであるが、本鐵道
の如きは支那自身の立塲より見ても政治上、經濟上最も重要なる鐵道たる
を失はざるが故に、近き將來に於て必ず敷設完成の問題に逢着すべきは明
かである」。

たしかに「露佛の偉圖は只一塲の夢と化し終つた」が、「本鐵道の如き
は支那自身の立塲より見ても政治上、經濟上最も重要なる鐵道」であるこ
とに変わりはない。であればこそ現在、中国とヨーロッパと結ぶ「中欧班
列」と呼ばれる輸送ルートとして動いているわけだろう。じつは中欧班列
の先陣を切って重慶とドイツのデュースブルクが結ばれた2011年は、奇し
くも海蘭鉄道借款が纏まって1世紀後ということになる。ウルムチ(烏魯
木齊)から西行して阿拉山口で国境を越え中央アジア、欧州を経てロンド
ンへ。一方、カシュガル(喀什?爾)からパキスタンを南下してイランの
国境に近い港湾都市のグワダールへ。

つまり中国と欧州を鉄道で結ぶ構想は、1世紀を経て実現したことになる
わけだ。《QED》
             
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読者の声   どくしゃのこえ  READERSOPINIONS
‘ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 ♪
(読者の声1)宮崎先生が英文科とは知りませんでした。大学入試を突破
した英文科の学生に発音記号だけの教科書とはほとんどブラックユーモア
ですね。

しかしその教授法は良いと思います。では、その教科書を中学校で使おう
と、校長や教育委員会に相談すれば、答えは間違いなく「ダメ」。

残念ながら日本の公教育は共産主義国家並みに雁字搦めなのです。しか
も、最近はブラック企業並みに雑用に追われ、教員は教材研究どころでは
ないようです。

GHQの愚民化政策は今もあちこちに残っていますが、その最たるものが当
用漢字と小学校における学習漢字の学年配当だと思います。

当用漢字とは、読んで字のごとく、当面使ってもよい漢字のことで、漢字
廃止が前提でした。もっとも日本語の表記をカナ文字化、ローマ字化しよ
うという運動は明治時代からありましたが。当用漢字は、占領終了後も常
用漢字と名を変えて、今も日本の子供の知的発育を妨げています。

日本の小学生が学ぶ漢字は、1年生80字、2年生160字、3年生200字と、6年
間で1006字ですが、中国では1年生700字、2年生1254字、3年生1001字と、
6年間で4718字。現行の常用漢字2136字すべてを学ぶには更に中学校の3年
間を要します。

しかも平成になってから、生活科、総合的な学習の時間、外国語活動など
の教科新設によって、国語・算数の時間は減り続け、来年からは英語とプ
ログラミングが正課として導入されます。正に愚民化政策。読解力や計算
力を伸ばすには十分な練習時間が必要なのです。

実は、漢字の学習能力は幼児期(3歳くらい)が最も高く、それ以降は下
降の一途だそうです。これに気付いたのが「石井式漢字教育」の提唱者石
井勲博士。高校教師から中学校、小学校へと転勤しながらの調査研究を続
け、漢字を教えるには幼稚園がもっとも効果的との結論に達したとのこと
です。

この方式は、実際に、幾つかの幼稚園で採用され、その効果が証明されて
いるにも関わらず、一向に広まりません。国の教育方針に反するからで
す。幼稚園でたくさん漢字を覚えた子供も、小学校に入学すると学年別漢
字配当表に閉じ込められてしまうのです。運動会の徒競走で「お手てつな
でゴールイン」というのが話題になったことがありますが、教室の中では
本当に結果の平等主義が絶対なようです。江戸時代の子供は論語や童子教
を素読していましたが。

お子さんやお孫さんの英才教育に興味がある方にお勧めの本:塩原経央著
「国語の底力」(産経新聞社)

文部科学省のHPに「各国の大学入試について」という表があります。

興味深いのは「回答方式」。日本だけがマークシート方式のみで、アメリ
カはマークシート+記述式(エッセイ)、ドイツ、フランスは記述式+口
述、イギリスは記述式のみ。欧米では入学後の学習能力、つまり国語力・
思考力が試されているのに対して、日本の入試は入学者を選抜するためだ
けに行われている感じです。

大学を目指す高校生は、当然、試験の形式に合わせて勉強します。そのた
めに欧米の高校生はたくさん本を読み、自分の考えをまとめる練習をしま
す。日本の高校生はひたすら知識を暗記する努力をします。

さらに大学生の一日の勉強時間という調査もあります。日本の35分に対し
て欧米の大学生は2時間から3時間。また、大学入学者の卒業率は日本の
90%に対して、欧米では50%から60%。欧米の退学理由は「授業について
いかれない」が大多数なのに、日本では経済的理由。大学で専門科目を学
ぶには5千や6千の漢字は必要だと思いますが、一日に35分の勉強で十分な
のでしょうか?

日本の大学に対する国際的評価が下がり続けるのは、むべなるかなといっ
た感じですね。(昔の外国語教師)

  ♪
(読者の声2)数日前に国連人権委員会関連の対策会議が参議院議員会館
で開かれましたが、話題の一つが日本の先住民だと言われる沖縄とアイヌ
の問題です。

そこで私が、宮崎さんの『神武天皇以前』の中に、学術的にもアイヌは先
住民族ではないと書いてあることを紹介しておきました。

その他のMLでもアイヌあるいは沖縄県民先住民族説が話題になることがあ
ります。こういう事実から見ると、こういう日本の中の先住民族だと左翼
が主張するケースがまだまだあるようです。『神武天皇以前』にでてくる

主要テーマは、まだまだ行き渡らせる必要があると感じています。
沖縄県民が先住民族なら、青森県民、岩手県民他多くの県民だって先住民
族ではないとは言えないと思います(関野通夫)

2019年11月15日

◆中国人留学生が香港からいなくなった

宮崎 正弘


令和元年(2019)11月13日(水曜日)弐 通巻第6274号 

そして中国人留学生が香港からいなくなった
  150人が深センの救援センターに避難した

香港中文大学といえば「香港の東大」。駅名もずばり「大学」駅である。
西環にある香港大学といえば「香港のオックスフォード」(クリントン大
統領はここで演説している)。地下鉄改札から直接、コンコースが大学へ
つながり、地下からエレベータで大学キャンパスへ移動できるほど恵まれ
た環境にある。

この名門校2つのほか、紅勘にある香港科技大学など11の大学で授業ボ
イコット、13日には学校が閉鎖された。地下鉄、バスが止まったからで
ある。

11月11日、警官隊は香港大学に突入した。

「学問の自由は踏みにじられた」と日本の新聞なら騒ぐだろう。昭和四十
二年だったか、東大駒場に私服でやってきた自衛官が衛藤瀋吉教授と面会
したとき、その自衛官を取り囲んで、東大の民青らは「学問の自治が冒さ
れた」と騒いだっけ。

昭和44年の東大安田講堂、早稲田大隈講堂に立て籠もってコンクリードで
固め、城塞とした極左を排除するため、機動隊の導入は、最後に「学長が
要請した」のだ。

香港では政庁の命令があったのか、警察トップの命令で、大学キャンパス
が蹂躙され、この日、香港大学だけでも1000発の催涙弾が撃ち込ま
れ、大学講堂は医務室となった。287名が拘束され、70名以上が負傷
した。日本の左翼メディアなら「血の大弾圧」と書くだろう。

この日、深せんへ逃げ込んだ中国人留学生(遊学生?)は推定150人。
一時的な避難所となった救援センターに駆け込んだ。香港から消えた中国
大陸からの留学生は80人(サウスチャイナモーニングポスト、11月
13日)。

なにしろ北京語を喋ると殴られる。親中派の態度を見せるとガソリンを被
せられる。中国系の店舗は破壊され、放火される。身の危険を感じている。

11月24日に予定されている区議選は延期されるのではないかと不安視
する観測があがり始めた。

民主派の立法議員は合計7人が、意味不明の罪状で逮捕され、親中派議員
の一人はナイフで刺された。

立候補者はうっかり街頭演説もままならないほどに治安が崩れている。
 
        
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【知道中国 1984回】       
 ――「支那を亡すものは鴉片の害毒である」――上塚(2)
  上塚司『揚子江を中心として』(織田書店 大正14年)

        
              △

上塚は先ず「揚子江の政治的、經濟的價値は誠に偉大である。されば、列
強は疾くより眼を此の地に注ぎ、鋭意利權の穫得、自己勢力の扶殖に是れ
勉めて居る。即ち其の爭奪戰に加はるもの曰く、英、獨、露、佛、又曰
く、日、米、白、即ち世界の列強は、蟻軍の甘きに附くが如く此處に蝟集
し、或は條約に依りて不割讓を約し、或は鐵道敷設權に依りて地盤の鞏固
を期し、或は表に正義人道の衣を纏ひて、内に恐るべき豺狼の牙を磨くあ
り、或は他國シンジケートの蔭に隱れて其の實權を握らんとする等、權謀
術數交々行はれ、其の政策の變現亦端倪に暇なきを思はしめるものがあ
る」と、彼が踏査した大正7(1918)年当時の長江一帯をめぐる列強角逐
の概況を記す。

そこで上塚が注視したのは、上海と遥か西部の甘粛省蘭州を結ぼうと構想
された海蘭鉄道だった。

「今から丁度7年以前」というから辛亥革命直後の時期に当たろうか。

「未だ歐洲の風雲急ならず、支那問題が世界の視聽を牽いて居つた時、突
如として海蘭鉄道借款が、明らかに露佛の後援下にある白耳義シンジケー
ト代表者と革命政府との間に締結せられたりとの報道が傳はつた時、列強
は如何に驚愕と嫉妬の眼を以て、之が論議に花を咲かせた事であらう」。

「支那鐵道の研究に興味を持つて居」た上塚は「特に注意して其の將來を
仰望し」、上海周辺調査の一環として海蘭鉄道東の起点である「揚子江岸
の海門」に足を向けた。

上塚に拠れば「海蘭鐵道は東揚子江口海門に起こり、通州、如皐、
阜?、清江浦等を經て徐州に出で、河南に入り開封、洛陽を過ぎて陝西省
城西安府に至るものを東部線とし、西安より甘肅省蘭州に至るものを西部
線とするものである」。じつは西部線には南北の2路線があって、「北部
は咸陽より平凉府、安定を經て蘭州に至るもので車道を通ずべく南路は鳳
翔、寶鷄、泰州、鞏昌、逖道等を經て蘭州に達するもので、路稍峻嶮、馬
車を通ずる事が出來る」。南北両徒路は距離も工事の難易度もほぼ同じ。
「全延長實に一千に百餘哩で支那中原の地帶を東西に通貫する一大鐵道で
ある」。

「露佛が此の鐵道に力を注ぐや、其の意とする所は、劈頭先づ海門も以
て大上海の繁栄を奪ひ、漸次西北行して舊?河に沿ふ千里の沃野の關鍵を
握り、途中開封、洛陽等の要地を縫ひ、軍事、政治、經濟の中心たる西安
府を扼して蘭州に至り、更に天山南路によりて烏魯木齊、喀什?爾を經て
一路直に中大亞細亞に出で『コカンド』に於て露國中央鐵道と相連絡し、
遠く歐露に達せんとするにあつたのである」。

ところが肝腎のロシアが革命によって崩壊してしまった。まさに「今や
時世も變遷し、露佛の偉圖は只一塲の夢と化し終つたのであるが、本鐵道
の如きは支那自身の立塲より見ても政治上、經濟上最も重要なる鐵道たる
を失はざるが故に、近き將來に於て必ず敷設完成の問題に逢着すべきは明
かである」。

たしかに「露佛の偉圖は只一塲の夢と化し終つた」が、「本鐵道の如き
は支那自身の立塲より見ても政治上、經濟上最も重要なる鐵道」であるこ
とに変わりはない。であればこそ現在、中国とヨーロッパと結ぶ「中欧班
列」と呼ばれる輸送ルートとして動いているわけだろう。じつは中欧班列
の先陣を切って重慶とドイツのデュースブルクが結ばれた2011年は、奇し
くも海蘭鉄道借款が纏まって1世紀後ということになる。ウルムチ(烏魯
木齊)から西行して阿拉山口で国境を越え中央アジア、欧州を経てロンド
ンへ。一方、カシュガル(喀什?爾)からパキスタンを南下してイランの
国境に近い港湾都市のグワダールへ。

つまり中国と欧州を鉄道で結ぶ構想は、1世紀を経て実現したことになる
わけだ。《QED》
             
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読者の声   どくしゃのこえ  READERSOPINIONS
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(読者の声1)宮崎先生が英文科とは知りませんでした。大学入試を突破
した英文科の学生に発音記号だけの教科書とはほとんどブラックユーモア
ですね。

しかしその教授法は良いと思います。では、その教科書を中学校で使おう
と、校長や教育委員会に相談すれば、答えは間違いなく「ダメ」。

残念ながら日本の公教育は共産主義国家並みに雁字搦めなのです。しか
も、最近はブラック企業並みに雑用に追われ、教員は教材研究どころでは
ないようです。

GHQの愚民化政策は今もあちこちに残っていますが、その最たるものが当
用漢字と小学校における学習漢字の学年配当だと思います。

当用漢字とは、読んで字のごとく、当面使ってもよい漢字のことで、漢字
廃止が前提でした。もっとも日本語の表記をカナ文字化、ローマ字化しよ
うという運動は明治時代からありましたが。当用漢字は、占領終了後も常
用漢字と名を変えて、今も日本の子供の知的発育を妨げています。

日本の小学生が学ぶ漢字は、1年生80字、2年生160字、3年生200字と、6年
間で1006字ですが、中国では1年生700字、2年生1254字、3年生1001字と、
6年間で4718字。現行の常用漢字2136字すべてを学ぶには更に中学校の3年
間を要します。

しかも平成になってから、生活科、総合的な学習の時間、外国語活動など
の教科新設によって、国語・算数の時間は減り続け、来年からは英語とプ
ログラミングが正課として導入されます。正に愚民化政策。読解力や計算
力を伸ばすには十分な練習時間が必要なのです。

実は、漢字の学習能力は幼児期(3歳くらい)が最も高く、それ以降は下
降の一途だそうです。これに気付いたのが「石井式漢字教育」の提唱者石
井勲博士。高校教師から中学校、小学校へと転勤しながらの調査研究を続
け、漢字を教えるには幼稚園がもっとも効果的との結論に達したとのこと
です。

この方式は、実際に、幾つかの幼稚園で採用され、その効果が証明されて
いるにも関わらず、一向に広まりません。国の教育方針に反するからで
す。幼稚園でたくさん漢字を覚えた子供も、小学校に入学すると学年別漢
字配当表に閉じ込められてしまうのです。運動会の徒競走で「お手てつな
でゴールイン」というのが話題になったことがありますが、教室の中では
本当に結果の平等主義が絶対なようです。江戸時代の子供は論語や童子教
を素読していましたが。

お子さんやお孫さんの英才教育に興味がある方にお勧めの本:塩原経央著
「国語の底力」(産経新聞社)

文部科学省のHPに「各国の大学入試について」という表があります。

興味深いのは「回答方式」。日本だけがマークシート方式のみで、アメリ
カはマークシート+記述式(エッセイ)、ドイツ、フランスは記述式+口
述、イギリスは記述式のみ。欧米では入学後の学習能力、つまり国語力・
思考力が試されているのに対して、日本の入試は入学者を選抜するためだ
けに行われている感じです。

大学を目指す高校生は、当然、試験の形式に合わせて勉強します。そのた
めに欧米の高校生はたくさん本を読み、自分の考えをまとめる練習をしま
す。日本の高校生はひたすら知識を暗記する努力をします。

さらに大学生の一日の勉強時間という調査もあります。日本の35分に対し
て欧米の大学生は2時間から3時間。また、大学入学者の卒業率は日本の
90%に対して、欧米では50%から60%。欧米の退学理由は「授業について
いかれない」が大多数なのに、日本では経済的理由。大学で専門科目を学
ぶには5千や6千の漢字は必要だと思いますが、一日に35分の勉強で十分な
のでしょうか?

日本の大学に対する国際的評価が下がり続けるのは、むべなるかなといっ
た感じですね。(昔の外国語教師)

  ♪
(読者の声2)数日前に国連人権委員会関連の対策会議が参議院議員会館
で開かれましたが、話題の一つが日本の先住民だと言われる沖縄とアイヌ
の問題です。

そこで私が、宮崎さんの『神武天皇以前』の中に、学術的にもアイヌは先
住民族ではないと書いてあることを紹介しておきました。

その他のMLでもアイヌあるいは沖縄県民先住民族説が話題になることがあ
ります。こういう事実から見ると、こういう日本の中の先住民族だと左翼
が主張するケースがまだまだあるようです。『神武天皇以前』にでてくる

主要テーマは、まだまだ行き渡らせる必要があると感じています。
沖縄県民が先住民族なら、青森県民、岩手県民他多くの県民だって先住民
族ではないとは言えないと思います(関野通夫)


2019年11月14日

◆「香港はまだ燃えているのか?」

宮崎 正弘


令和元年(2019)11月11日(月曜日)通巻第6270号 

 「香港はまだ燃えているのか?」
   「ええ、ぼやが大火になり、これから焦土になるかも」

香港科技大学の周梓樂君の転落死を追悼する集会、追悼会、イベントが香
港の各地で開催された。駐車場の4階から転落し、病院で危篤状態が続い
ていた。
事件現場となった駐車場ビルには花束をもって数千、いや数万の市民が押
しかけ、また大学にも追悼のモニュメント、山のような花束。自殺者はす
でに十数名でているが、(公式の)犠牲者は初めてだった。

10日、日曜日。5ヶ月目をむかえた大乱は、あたかも香港の風物詩のよ
うに火焔瓶、催涙ガス、乱闘、地下鉄駅の破壊。親中派のレストランの宴
会場にも覆面黒衣隊が登場、テーブルを倒し、椅子を破壊し、宣伝のガラ
スを粉々にした。

沙田、屯門、全湾、九龍糖、太古。。。。。少数の部隊に別れ神出鬼没を
繰り返した。

穏健派は「1111」が独身の日、アリババの大セールスが行われ、事情
空前の小売りとなる予定だが、中国大陸では「米国製品を買うな」キャン
ペーンが呼びかけられている。

香港では「中国製品を買うな」「1111セールはボイコットせよ」とす
る呼びかけがSNSで行き交っている。

 北京での懸念。

「香港はまだ燃えているのか?」

客観的な見通しを言えば、
 
「ええ、ボヤだったのに、対応がまずくて大火となった。
これから焦土になるかも」
          
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読者の声   どくしゃのこえ  READERS‘ OPINIONS
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  ♪
(読者の声1)またしても外務省の失態のニュース。「オーストリアで日
本側が展覧会公認取り消し」
https://news.goo.ne.jp/article/ntv_news24/world/ntv_news24-541438.html

『オーストリアで日本との国交樹立150年を記念する事業として認定さ
れた展覧会が、その後、日本側から公認を取り消された。展覧会では昭和
天皇や安倍首相などを風刺したとみられる作品が展示されていた。

オーストリアで開かれた展覧会は日本の表現の自由をテーマにしたもの
で、昭和天皇とマッカーサーが並ぶ写真を連想させる作品のほか、安倍首
相に似せた人物が歴史問題をめぐり韓国や中国に謝罪する動画などが展示
されている。

当初は、国交樹立150周年の記念事業として現地の日本大使館から公認
されていたが、開始から約1か月後の先月30日、「友好記念事業として
の要件を満たしていない」などとして公認が取り消された。

これに対して展覧会の主催者側は「作品はあくまで日本社会の風刺で反日
が目的ではない」としている。

また「内容についても展覧会が始まる前に日本大使館に通知していた」と
した上で、「取り消しに驚き、残念に思っている」とコメントした。』
 外務省には創価学会員による大鳳会という組織があり中韓に異様に甘い
対応を取る要因ともなっていると以前から指摘されています。上記の
ニュースに関連してネットに在外公館の連中が中韓とつるんで飲み歩いて
いるという指摘がありました。
http://japannews01.blog.jp/archives/50525713.html

 『35. 元海外駐在員 2019年11月10日 06:30 ID:9hQP5PrY0
(引用開始)「この胡散臭い連中の言を信じるつもりは到底ないが、日本
の外務省が反日組織である事は事実だからな。展示内容を知ってたのに許
可出した奴は必ず居る。

日本大使館や日本領事館は海外にあるので、日本国民の監視の目が届かな
いので、日頃から日本大使館員や日本領事館員は中韓やパヨク団体と組ん
で、日本の名前を勝手に使って好き放題やってる。だから今回の件も必ず
在オーストリア日本大使館の職員が関わっている。

日本の外務省やその海外出先機関である日本大使館や日本領事館は、昔か
ら中韓による反日活動にやられっぱなしの無能ってイメージをみんな持っ
てると思うが、あれは『わざと』だぞ?

わざと、反日活動を見て見ぬフリしてる。だって日本の外務省本省の役人
や日本大使館員・日本領事館員は、世界中どこでも中韓の連中とばかり、
『私的』交流取ってる奴らばかりだからな。場合によっては、大使公邸と
かにまで中韓の連中を招いて、飲み食い(当然日本の税金で)してる連中
や、公費で中韓の連中と派手に飲み歩いてる奴らまで居る。これで「すみ
ません、中韓が海外で反日活動やってるなんて知りませんでした」は通用
しない。
 
むしろ、中韓とは反日仲間だから、彼らの海外での反日活動を見て見ぬフ
リして助けてる。野球で言えば、『わざと』ミス連発して敵チーム助けて
る裏切者のキャッチャーだ。これが日本外務省(とその海外出先機関であ
る日本大使館や日本領事館)

俺は海外駐在員やってる当時、あまりにも酷い海外での、中韓の反日活動
やそれに加担する日本のNPO団体や、海外で中韓の連中とばかり派手に飲
み歩く日本大使館員(幹部含む複数)に対して俺が、「飲み歩くのは別に構
わないが、もうちょっと自重しろ。あまりにもド派手にしょっちゅう飲み
歩いてる(しかも中韓の連中と)から、現地の人々の間で話題になってるぞ。

日本大使館員は日本の代表だと海外の人々には思われてんの忘れるな」っ
て注意したら、日本大使館幹部職員は逆ギレし俺に「日本の外交は、お前
の様な一在外邦人や、コ.ロコ.ロと大臣が変わる日本政府が決める事では
ない。日本がどの国と付き合うかは、我々日本大使館員が決める事だ!」
とまで開き直ったからな。

信じられるか? 日本国の外交を、個人である一日本大使館員の好き嫌い
で、勝手に決めてやがるんだとよ。

そりゃあ自分達が『私的』に付き合いある中韓の悪さ(=反日活動)は、見
て見ぬフリするよな。

この様な越権行為&逆ギレを俺は、日本の外務省本省と当時の外務大臣で
ある岸田の事務所に、具体的な内容(どの高級クラブでどれだけの頻度で
通ってるか=どれだけ公費で中韓の連中と飲み歩いてるか)を書いて告発
したが、握り潰された挙げ句、外務省からは「お前、海外に住んでるんだ
よな? 日本大使を敵に回してタダで済むと思ってんのか?」といった事
まで言われた。

だから、それ含めて全部を安倍事務所と首相官邸に告発してやったら、日
本大使館が慌てて「誤解があった様だからご説明差し上げたい」と下手に
出て来やがった。多分、安倍総理から外務省に雷落ちて、外務省から日本
大使館に「何やってんだ!」と雷が落ちたんだろう。この流れだけ見て
も、日本の外務省や日本大使館の連中が、どれだけ中韓と親密で、どれだ
け反日活動に加担してるかが分かるだろ?

あとそれを見て見ぬフリした岸×外務大臣も、少なくとも中韓寄りの物事
をだという事もね。しかも岸×はその後も「韓国に騙された(すっとぼ
け)」とか言って、軍艦島とかのユネスコ登録の際に「強×連×した韓国人
によって作られた」と登録しちまった。あれで強×連×は日本政府が認めた
と世界に誤解されてしまった。岸田は売×奴だよ。俺の告発によって、当
の反日日本大使館員(幹部含む複数)は飛ばされた。もしかしたら、ソイツ
らが在オーストリア日本大使館に異動したのかもね。

外務省は組織自体が反日組織。

だから、海外で活動する日本のNPO団体(隠れ反日)が日本からの支援物資
についてる日の丸マークを剥がして、中国や韓国の国旗シールを貼って、
中国や韓国からの支援物資だと偽って海外援助してる事も、日本大使館は
見て見ぬフリするんだよ、中韓は同じ反日仲間だからな。それに韓国なん
かは、日本が国際援助で海外の田舎に建てた橋や施設にある日の丸マーク
をぶっ壊して、韓国国旗入りの記念プレートを付けて、『韓国が援助した
施設』と嘘ついてやがる。現地の日本大使館や日本の外務省もその事実は
把握してるが、同じ反日仲間だから見て見ぬフリしてる』(引用止め)

外務省も法務省も中韓べったりの汚染はひどいもの。だから習近平を国賓
で招待するだの、犯罪者だらけの韓国人に対するビザなし渡航の条件がゆ
るゆるだったりするわけですね。
与党に公明党を抱え込んでいる現状では省庁の改革にも時間がかかりそう
です。(PB生、千葉)
  ♪
(読者の声2)香港のデモの煽りで科技大学の学生が死亡し、香港各地で
追悼のイベントが行われたようです。警察は「事故死」として扱い、催涙
弾を打った場所から120メートル離れた駐車場だったと主張していて、
民主抗議派の「弾圧による死」と食い違っています。
真相はどうなのでしょう?(HJ生、鹿児島)


(宮崎正弘のコメント)香港科技大学の周梓樂(22)君は事故現場でガ
スマスクをしておらず、デモの参加者だったか、どうかは確証がありませ
んが、抗議側は彼の死を「殉教」として捉え、数万が集まった追悼集会で
は、『マタイによる福音書』第五章第十節がとなえられ、弔意を表してい
ました。

すなわち

「大義のため迫害される者は幸せである。天はその人々を待っている」。
香港の人々は警察発表を信じていません。過日も15歳の少女が全裸で海
に浮かんでいましたが、『自殺』と発表されました。なぜ全裸だったの
か、説明がない。
 
10日の『リンゴ日報』は、14歳の少女が警官4人に強姦され妊娠した
事件を伝えています。

  ♪
(読者の声3)英語教育論というのは、誰でもが自分の経験をベースに論
じられることもあり、おもしろいのですが、今回の「民間試験導入論」に
ついての議論については、週刊新潮11月14日号の阿部公彦(東京大学文学
部教授)による「『民間試験導入』は日本の若者を『英語帝国主義』の最
底辺に位置付ける」が有益でした。
 
阿部氏が言われる通り、CEFR(英語等の各言語の運用能力を測るため
の参照枠)などというものは、入試のような競争的で厳密性が求められる
試験に使える安定的な指標ではない、という点はそのとおりでしょう。英
検、国連英検、ケンブリッジ英検、IELTS,TOEIC、TOEFL
についての受験経験がある自分には、このような多種の試験の間で、公
正、公平、厳密な比較評価などは無理だということはよく分かります。特
に、TOEICを大学入試に使うなど無茶です。

そもそも、外国人の英語能力の基本は、「読み書き」(文法の応用的活用
能力と語彙力)であるべきで、他の能力は、必要に応じ、「身の丈に応じ
て」身に着ければよいことです。 これらすべてを、入学試験のような
「競争的で厳密性が求められる試験」の要素に入れることは、無理・無意
味です。

先に、公立中学における、音楽、体育、美術科目等の筆記試験の愚かしさ
を述べましたが、だからと言って、これらの科目の実技能力を厳密に相対
評価して、一般普通高校の入学試験の評価に入れることなど、実際的には
不能・無意味なのではないか。

厳密な点数評価を行おうとすれば、結局は筆記試験に拠らざるを得ないこ
とになるのであり、要は、こうした科目の評価を一般高校の入学試験のよ
うな競争的選抜に用いること「自体」が間違っているのではないか。音
楽、体育、美術などについての知識、能力が人格の陶冶に不可欠であるこ
とは当然だとしても、これを入学選抜評価の対象にするか否かとは別次元
の問題でしょう。

英語の「話す能力」の評価を大学入試の要素に入れ込むことは、音楽や体
育の実技能力を普通高校入学試験の評価対象に入れることと同様の愚策で
はないでしょうか。

「語学の習得のためには話すことの練習は当然必要だが、ひとたびそこに
流暢さを絶対視する規格化がもちこまれたときにどんな結果に結びつくか
は慎重に見極めなければならない」(阿部氏)というのは、そのとおりで
しょうね。(椿本祐弘)
  ♪
(読者の声4)新帝の即位を祝う国民祝賀大会はじつに厳粛でしたし、パ
レードも晴天に恵まれ、沿道に十数万の人出があった。一連の即時行事が
終わり、日本はいよいよ新しい出発です。慶賀に堪えないことと存じま
す。(宮城の老人)


(宮崎正弘のコメント)即位儀式も重要ですが、これまでの行事は「週刊
誌天皇制」のイベントであり、小泉信三的世界のこと、いちばん大事なの
は今週行われる14日と15日の「大嘗祭」です。

国民の祝賀行事は歌手やピアノに焦点が当たっていましたが、祝辞のあ
と、両陛下がお出ましの前に『古事記』のさわりの部分が朗読され、大ス
クリーンにはダイナミックな絵画が何枚も紹介されていました。

あの儀式の中では、古事記を前面に出したことに感心しました。国民の多
くは古事記を教えられなかった世代ですから、これを契機に日本の神話、
悠久の歴史にこそ、思いを馳せて欲しいものです。

  ♪
(読者の声5)貴誌の過日の「書評」欄で、中島敦の『南洋通信』があ
り、そう言えば、と本棚を探して『李稜』を見つけ出し、埃を払って四半
世紀ぶりに読み直しました。

古代中国にも、このような義理、裏切り、交誼、嫉妬、讒言、意地あるい
は意固地、誉れ、武士の栄誉と挫折があったのか、と感動することしきり
ですが、あ、これは日本人作家が、日本人の武士の視点で書いたもので、
義理人情、武士の栄誉という概念は、あの時代の中国、とりわけ漢族と日
本人の感覚とは異なるのではないかとも思いました。ともかく傑作を再読
する良い機会となりました。(DD生、大阪)


(宮崎正弘のコメント)漢族と遊牧民「きょうど」の戦闘、戦意、戦士。
その人生観、死生観が濃厚に投影された傑作ですね。

ところで、この小説の舞台は甘粛省がおもで西遊記の舞台でもあります。
蘭州、武威、張液、酒泉で戦ったのですが、酒泉の先が敦煌。その手前が
万里の長城の最西端です。10年ほど前に、この河西回廊を十日ほどかけて
回ったことがあります。

鉄道とバスを乗り継ぎ、砂漠の間を抜けてオアシスという月の砂漠を連想
する浪漫溢れる旅程でした。

なにしろ日本人旅行者はほとんど来ない地域でもあり、ああ、これが李稜
の舞台なんだと灌漑深いことでした。



2019年11月13日

◆香港警察、大学キャンパスに初突入

宮崎 正弘


令和元年(2019)11月12日(火曜日)弐 通巻第6272号 

香港警察、大学キャンパスに初突入。李嘉誠の本丸ビルも初襲撃
  警官のピストル、倒れる学生。この一枚の写真は世界に衝撃を与えた

「香港最悪の日」とメディアが伝えたが、もっと最悪になる様相である。
学生の死に抗議する集会とデモ、警官隊との衝突で、11月11日は早朝
から荒れた。

西湾河では警官隊がデモ隊にピストルを発射し、ひとりが重体。早朝から
ストが呼びかけられたため、交通機関も麻痺状態になった。

 警官が学生にピストルを撃った現場の画像が世界に流れた。

この一枚の衝撃写真は、今後の香港の運命を変えるかも知れない。あのベ
トナム戦争、泣き叫び逃げる少女の写真も衝撃的だったが、警察署長がゲ
リラ容疑の青年を、カメラの目の前にピストルで撃ち殺した。この写真が
アメリカに於けるベトナム反戦運動に火をつけ、ベトコン支持が南ベトナ
ムでも増えた。

11月11日はアリババの「独身セール」が騒がれた(売り上げ史上最高
の4兆円突破)が、香港では11の大学で授業ボイコットが呼びかけられた。

香港大学、中文大学、香港理工大学の3つのキャンパスへ催涙弾とゴム弾
を打ち込みながら警官隊が突入した。大学キャン発に警官隊が進入したの
は初めてである。

抗議する市民にガソリンをかけて火をつける事件も起こり、被害者は重篤
に陥った。警察側は、この映像をあちこちにながしているが、香港市民の
警察への信頼はゼロに近い。

この日、李嘉誠の本丸、長江実業ビルが初の襲撃を受け、入り口のガラス
が壊された。李嘉誠は中立を保っていたが、もとより江沢民人脈に近いた
め、デモ隊は味方という認識でビル襲撃は避けられてきた。

香港の繁華街は、いま死んだようになっている。

インド人、アラブ人が蝟集する重慶大楼も静かである。外国人らはまった
くビジネスにならず、引き揚げも考えているとこぼす一方で、ブラダに続
いて有名ブランドの香港撤退が本格化しそうな雲行きともいう。

日系の航空会社は、香港便を半減あるいは中部航空便は停止している。香
港に進出の日本企業の多くも出張を取りやめている。観光ツアー? 募集
さえやめているところが蔽いようだ。
           
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読者の声   どくしゃのこえ  READERS‘OPINIONS
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(読者の声1)祝賀御列の儀、祝賀パレード最前列にて、なんと天皇皇后
両陛下と視線がお合いする僥倖に浴しました。

まわりの観衆はほぼ全員カメラないしスマホをかざしているのですが、私
は、日の丸の小旗を振りつつ、両陛下が乗ったオープンカーを直立直視
し、日本国を立派な真の独立国として歩む先頭に立ってと祈りを込めて拝
謁をしたこともあって、私に視線を向けていただいたのかもしれません。

天皇陛下に今回初めてオーラを感じました。
 
妃殿下の微笑みは民間出自妃の健やかな微笑みでしたが、天皇陛下の微笑
みは、オーラゆえの慈愛や憂いを含んだ頬笑みでした。

5時間半並んだ今年の新年一般参賀では、上皇陛下にオーラを感じるもの
の、当時の皇太子殿下には、オーラを感じる取ることはできませんでした。

ところが1年弱ののち、血統のなせるわざなのか新天皇におなりになった
ゆえか、風格や品格が急増したことを感じ取りました。

さらに大嘗宮の儀の悠紀殿供饌の儀や主基殿供饌の儀等のいにしえからの
神事を経てさらなる畏怖を感じさせる存在におなりになることを国民の一
人としてお祈り申し上げます。(KU生 杉並)


2019年11月12日

◆「中国のAI技術の軍事転用は深刻

宮崎 正弘


令和元年(2019)11月9日(土曜日)通巻第6267号 

「中国のAI技術の軍事転用は深刻、米国のレベルを蛙飛び」とエスパー
国防長官

ステルス・ドローンや無人潜水艦、量子コンピュータで瞠目すべき進展

「無人機=ドローンやAIを駆使した無人潜水艦の開発、量子コンピュー
タで中国の国を挙げての研究・開発には瞠目すべき進歩がある」
ワシントンで開催された「AIとインテリジェンス」をめぐるシンポジウ
ムで、エスパー国防長官が発言した。

とくにエスパーはレーダーが補足できないステルス型ドローンの登場を警
戒しているとし、「中国のAI技術の軍事転用は深刻、米国のレベルを蛙
飛びだ」とした。

ペンタゴンの見立ては、EV(電気自動車)、自動運転、武器のAI化、
そして無人潜水艦の開発に熱中している事実から判断して、「中国は2030
年には世界のトップの座を得ることを目指している」としている。すでに
中東ではドローンがタンカー攻撃に使用された。

問題は中国企業自体の努力による発明で、民生用、汎用技術から得たハイ
テクではなく、軍事開発の過程ででた先端技術を米国から盗み出したの
だ。しかも中国はそれらを軍事方面でしか使用しないことである。

戦場に無人の戦車、装甲車が疾駆し、遠隔操作で戦場を支配しようとして
いるのが中国人民解放軍の秘かな方針であり、それらの技術を2030年まで
に確立し、米軍を実質的に超えようとしているとペンタゴンは見積もるのだ。

ステルス技術、電磁波妨害、ハッキングによる相手コンピュータ乗っ取
り、量子通信など、あらゆる技術を中国は軍事利用目的で捉えており、自
由世界の発想とは異なる。だから問題は深刻である、とエスパーはシンポ
ジウムで発言を締めくくった。
          
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読者の声   どくしゃのこえ READERSPINIONS
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(読者の声1)羽田空港で水道水が汚染され、2日も3日も使えず、ミネ
ラルウォーターで補給したというニュースで騒いでいます。くわえて関空
ではドローンを目撃したとか、しないとかで、二十数便が欠航。

もし、これらがテロリストの仕業だったとすれば、日本はあらゆる場所が
安全保障的に無防備であることを曝していることになります。
 こうした国防上の基本問題、もっと真剣に議論されるべきではないで
しょうか。
   (JJセブン)


(宮崎正弘のコメント)嘗てこの欄で浜口和久、江崎道朗、坂東忠信著
『日本版 民間防衛』(青林堂)を取り上げたことがありますので、それ
を再録してみます。

 (引用開始)「ときおり地政学的・軍事的な危機が迫ると、日本でも
「民間防衛」について熱心に語られた時代があった。昭和30年代からしば
らくは、モデルがスイスと言われた。しかし国内擾乱、共産革命の危機が
去ると皆は関心を失い、日常の安逸さに埋没してしまう。自衛隊退役の予
備自衛官が、いかに少ないか、信じられないほどの体たらくを示すのが、
平成の日本だ。

しかも拉致被害に遭おうと尖閣に中国の軍艦が押し寄せようと、日本の空
が敵機で蔽われようと、目の前に危機に鈍感となり、何をどうしたら良い
のか分からない。まともな防衛策を主張すると、左翼メディアは「極右」
などと言いがかりをつける。中国の敵対行為をなかったかのように意図的
な印象操作を展開するのだから、利敵行為である。軍事的侵攻を受けたと
きだけではなく、日本は二十四時間、中国からの「間接侵略」を受けてい
る。だが、国民は不感症なのだ。よほど鈍感か、無神経か、それとも善意
の塊なのだろうか?

この本は戦国武将時代からの地政学に詳しく城の研究家でもある浜口氏
と、戦中のスパイ活動や現在の諜報工作の専門家である江崎氏と、そして
移民問題に鋭角的な問題提議をつづける警視庁刑事出身の坂東氏との合
作、まさに名物トリオの執筆陣となった。民間防衛の役割が平易に、イラ
スト入りで説かれ、テロ、戦争、移民問題、そして地震、異常気象、災害
など予期せぬ事態に遭遇したときに、いかに対応するかのマニュアルでも
ある。

第一章の「テロとスパイ工作」、第二章『戦争』、第三章が「自然災害」
と、これらは浜口氏の執筆範囲である。第四章の『移民問題』はこの人を
おいて専門家はいないと言われる坂東氏。そして第五章「インテリジェン
ス」が江口氏と、まさしく適材適所の陣容で、内容は多彩にみえて、一貫
した整合性がある。
 
さて中国がハッカー攻撃で標的とするのは何々か?

指揮系統をずたずたにし、日常生活を成立させなくするには、まず首相官
邸、放送局、ガスタンク、水道施設、発電所、化学工場、鉄道、空港、石
油コンビナート、駅、通信網、金融ネットワークなどである。すでに日本
の官公庁や大手企業の被害は続出しているうえ、年金機構が狙われ、
125万人分の個人データが盗まれてしまった。中国ばかりか北朝鮮の
ハッカー部隊も格段の進歩を遂げているとの指摘がある。北はサイバー戦
力の一元化を図り「人民武力部偵察局隷下にあったサイバー部隊121所
を偵察総局の直属とした。(中略)兵力をそれまでの500人から3000
人の規模に増強している。」

その目的は韓国軍の機密資料をハッキングし、指揮系統を痲痺させること
にある。「現役軍人や入隊対象の青年に厭戦思想を広めて、戦闘力の質的
な瓦解を実現し、国内対立を煽り、社会的混乱を増大させるなど、韓国社
会を根底から揺るがすことまで想定している」という(59p)。また北
朝鮮は「朝鮮コンピュータセンター(総勢4500人)が中心となって、日
本の重要インフラのコンピュータシステムへのサイバー攻撃のシミュレー
ションを行っている」(60p)。油断大敵である」(引用止め)。

 ♪
(読者の声2)韓国文在寅大統領が ASEANの首脳会議で安倍総理を待ち伏
せストーカー、さらには韓国大統領府が盗撮までして日韓の「首脳会談」
を捏造報道。毎度のこととはいえ、ただでさえなかった信用がマイナスです。

思えば朴槿恵政権下の世界遺産登録で尹炳世外相による土壇場の裏切りの
得意満面の笑顔から韓国の信用はゼロでした。

トランプ大統領訪韓では文在寅が米軍基地に押しかけ居座る図々しさに加
え、慰安婦をトランプ大統領に抱きつかせるという非礼もありました。

こんなことばかりして韓国人は自分の信用や格が下がると思わないところ
がすごい。日本人の理解を超えた人間と似て非なる生き物ですね。

文在寅が安倍総理の横にちょこんと座った様子は「指名が入らず必死な売
れないキャバクラ嬢」とバカにされる。余裕の安倍総理は議長国のタイプ
ラユット首相、次期議長国ベトナムフック首相、インドモディ首相とにこ
やかに歓談。
https://www.instagram.com/p/B4eto7RgdVj/?utm_source=ig_embed&utm_campaign=loading
 韓国人のしつけ方は中国と北朝鮮に見習うとよいのでしょう。
https://www.moeruasia.net/wp/wp-content/uploads/2019/11/index_4-33.jpg
  (PB生、千葉)

(読者の声3)マクロン仏大統領が英誌『エコノミスト』のインタビュー
で「NATOは脳死」と発言し、欧州政治をガンガンと揺らしています。
トルコがはっきりとNATO離れを見せており、この発言をロシアのプー
チンは手放しで喜んだとか。マクロン大統領の真意は奈辺にあるのでしょ
う。一種の警告、それともフランスのホンネ?(TY生、横浜)


(宮崎正弘のコメント)トルコのエルドアン大統領は、欧米相手に丁々発
止の勝負をやってのけて、たしかに欧米リベラルのメディアは批判的です。

しかしトルコ外交は基本に国益、そしてイララム回帰があり、イスラム圏
とのバランスを考えると計算づくのところがあります。トルコがNATO
を離れるというのは脅しであり、イズミールにはNATO海軍本部があり
ます。

米国がむくれているのは、S400イスカンダルミサイルをトルコがロシ
アから導入したことですが、トランプはF16の供与を止め、激突場面。
ところがエルドアンの訪米を受け入れています。

むしろ単細胞はマクロンでしょう。訪中して習近平の歓迎を受けて、有頂
天に舞い上がっていました。
  ♪
(読者の声4)先に、日米開戦時の駐米大使野村吉三郎氏の英語力につい
て述べましたが、では、連合艦隊司令長官の山本五十六大将の英語力はど
うだったのでしょうか? 

野村元大使も、山本元大将も、駐在武官の経験があります。

山本元大将は、ハーバード大学にも留学している(約2年)ほか、駐在武
官として米国に駐在し(1年3か月)、ロンドン軍縮会議にも出席していま
す。戦前の日本人としては、かなりの国際、在米経験と言えるでしょう。

しかるにイアン・トールは『太平洋の試練』(翻訳;2013年、文芸春秋
社)の中で、山本について、「彼は海外を広く旅行した国際派で、軍縮交
渉でしばしば海軍の代表を務めた。初歩的な会話ができ、すらすらと読め
る程度には英語を学んでいた」と述べています。

この書きっぷり(原書は、保有しているものの、身辺未整理で発見でき
ず、原文を引用できないのは残念です)からすれば、山本元大将の英語力
も、第一級のものとは言いかねる程度だったと思われます。

たしかに在米中は、油田地帯や、自動車工場などを見学したという話が伝
えられていますが、現地の各層の国民との間で込み入った対話をできるよ
うなレベルの英語力ではなかったもの、と私は推測します。

たしかに英語力と対象国の政治文化の理解力とは、必ずしも直ちに比例す
るものではないでしょうが、山本元大将の米国民についての理解、米国と
いう国家社会把握の程度は、それほど深いものではなかったのではない
か、と私は推測します。

少なくとも結果論という点を多少は割り引いたとしても、開戦劈頭に米国
艦隊を殲滅し、米国民の士気、抗戦意欲を阻喪せしめる、というような山
本の「作戦構想」は、米国という国家、社会、国民の実態について深奥ま
で理解できていた人間ならば考えられない妄想でしかなく、そうした愚か
な思いこみを招いた基底には、山本元大将の十分とは言えない英語力が
あったのではないか、というのが私の推測です。

真珠湾攻撃は、戦略的にはともかくとして、「戦術的には」完全な失敗と
は言い難い面があっとしても、ミッドウェー海戦については、戦略的にも
戦術的にも失敗だったというほかなく、その責任の大部分は山本元大将に
あるのではないか。

作戦そのものも愚かであった上に、戦艦大和を率いて、前線の後方に乗り
出し、何の役にも立たないまま、無線封鎖により作戦指揮能力を自ら制約
しただけでなく、貴重な油を浪費したことなども、「愚将」と言われても
やむを得ない点だと私は考えています。

これなども、多くの部下に戦時手当を支給する人気取りのためだったとも
言われますね。

ミッドウェー作戦を強引に進めようとしたのは、長期戦になるのを恐れ、
短期で決着をつける目的だったということが言われますが、これも、米国
民の思考、思想を十分に理解できていなった点ではないでしょうか。

山本元大将は、自身では、戦争を終えるには休戦しかありえず、交渉と譲
歩がそれに続くなどと考えていたようですが、ハルゼー提督は、真珠湾攻
撃後を視察して、「われわれはやつらを片づけ、日本語は地獄でしか使わ
れなくなるだろう」とつぶやいたといいます。 真珠湾攻撃の結果、「ど
んなに不安でも、戦争がどんな邪悪をもたらそうとも、報復への渇望が彼
らに栄養を与え、ささえることになった」(イアン・トール)のでした。

山本元大将は、こうした、ルーズベルト以下、将兵に至るまで、簡単に休
戦などするわけがないという米国民の思考、思想を全く理解できていな
かったのでしょう。(ヴィエトナム戦争の場合は、少なくとも、真珠湾の
ように、自国国土が襲撃されたわけではないから、少し違うと思う。)

山本元大将は、敗戦を待たずに戦死したことから、東京裁判の被告にも、
A級戦犯にも、絞首刑にもならずにすんだものの、もし敗戦後まで生き延
びていたなら、GHQからも、国内的にも、その失敗、短慮など負の側面
をかなり厳しく糾弾されたのではなかったか。

いずれにせよ、日米戦争は、第一級の語学力を持たず、したがって相手国
に対する十分な理解も持てなかった駐米大使と連合艦隊司令長官が配され
た中で始められた、ということになるのではないか。

もちろん、それが主要要因とまでは言わないまでも、リーダーの英語力の
不足が、国家の命運にまで影響を及ぼした例ではないでしょうか。
(椿本祐弘)


(宮崎正弘のコメント)40年ほど前に長岡へ行った折、山本元帥の跡地は
公園でした。4半世紀ほど前に行くと、そこの「山本五十六記念館」と
なっており、留学時代のノートも展示してありました。きれいな字面の英
語、あ、この人は真面目な人だったのだと思いました。
 
   ♪
(読者の声5)貴誌前号の書評、荒木肇『日本軍はこんな兵器で戦った』
についてです。

或る作家が「長大な銃剣格闘重視の歩兵銃、時代遅れの陸軍装備を批判
し、明治の小銃で第2次世界大戦を戦ったという戦前日本の後進性を非難
した」のが戦後の「誤った定説」というのはその通り。

日本の後進性の引き合いにドイツ軍の機甲師団が出されることもあります
が、ドイツのポーランド侵攻では相手が騎兵という時代遅れだったことも
あり、圧勝でしたが補給には軍馬もかなりの数が動員されているはず。し
かし冬のロシアではエンジンも凍り動けなくなるありさま。結局、空冷の
フォルクスワーゲンと馬が頼りの撤退戦。

日本軍のマレー攻略戦の映像を見ると火焔放射器まで使用しています。

米軍の上陸作戦で使われた上陸用舟艇は日本陸軍の大発(大発動艇)が元に
なっています。支那事変で米軍の知るところとなり米軍に真似されるとは
日本軍もたいしたもの。

初期の日本軍の兵士について「団体行動をしたことのない者には、まずヒ
ザを伸ばして歩く訓練から始めなければならなかった。

まさに銃器や火砲は、兵器の形をした科学教材であった」とある通り、学
校の体育における整列や行進、列車に乗る際の整列乗車も軍事的必要から
生まれたものです。

新興国の多くが軍事政権となるのも規律と科学的な精神を持つのが軍人し
かいないという必要性によるものでした。中国で体育といえばまず行進か
ら。軍事にアレルギーを持つ朝日新聞なら軍国風味満点の高校野球の主催
をやめてから文句をいってほしいもの。ついでに旭日旗モドキの社旗も変
えたなら朝日の記事に少1%くらいは信用が持てるかもしれませんね。
   (PB生、千葉)

  ♪
(読者の声6)貴誌10月26日通巻第6251号の記事「英国の取り締
まりが不備、英国が責任を取れ」と中国は逆転の駁論を展開――その典型の
嘘放送に見られる逃げ口上の特質が晒されている」のなかで、「遺体はす
べて中国人とされた」とありましたが、その後の英国警察の取り調べに
よって、全員がベトナム人とわかりました。この誤認の原因は何だったの
ですか?(HF生、茨城)


(宮崎正弘のコメント)その後の調べで、全員が犯罪組織に騙されたベト
ナム人でした。なぜなら全員が「中国の偽パスポート」を持っていたから
です。

英国警察は中国人とベトナム人の見分けが付かないから? あのボート
ピーポルのときだって、日本の官憲は「ベトナム難民」を偽装した中国人
だったことを見抜けませんでした。ベトナム語と広東語の区別が出来ず、
ベトナム語通訳が<?>だった。それでばれたのでした。

今回は死ぬ直前に携帯電話がベトナムの家族にかかっており、最初の段階
からベトナムの遺族が名乗り出ていた。そのことは同時に英国も発表して
いました。

検死がすすみ、ベトナムから遺族らのデータが届き、そのうえベトナムの
担当大臣らがロンドンへ飛んで、ようやく確認出来たのです。

密航ルートは、中国へはいって犯罪組織から偽パスポートが供与され、ウ
クライナ経由でEUにもぐりこんだ。

これを支援する密航斡旋のシンジケートが存在していること。ウクライ
ナ・ルーとは以前から悪名高かったのですが、まだ活用されていることも
衝撃でした。
ひょっとしてBREXIT推進のジョンション政権にとって、12月12
日の総選挙に有利に作用するかもしれません。

  ♪
(読者の声7)貴誌「読者の声」欄で(PB生、千葉)氏が佐藤優の人物
論を披瀝されましたが、小生もこの人物の人間性を疑わせるような体験談
を披露したい。

嘗て故井尻千男先生が主催された拓殖大学「日本塾」なるオープンカレッ
ジに佐藤優が講師として招かれ、演題は忘れたが支離滅裂な講演を行った
ことがある。通常の講師はレジュメを用意し、確りした講演を行うもので
あり、「日本塾」はそのレベルの高さに定評があったものである。

しかるに佐藤優はレジュメも用意せず、書斎からそのまま飛び出してきた
ようなラフな格好で現れ訳の分からない話を続け、自分でもこれでは拙い
と気付いたか、突然ケーデルを持ち出し一知半解な不完全性定理を話題に
し、受講生を煙に巻いていた。

ゲーデルの不完全性定理を理解するためには、数理論理学を勉強し、ケー
デルの証明が理解できるレベルにまで達しなければ無理であろう。文系頭
の及ぶところではない。佐藤優はクリスチャンであり、処女マリアがキリ
ストを生んだことを信じると自ら述べる文系頭の持ち主である。

PB生氏の以下の言明に全面的に賛同します。「右から左までどんな意見
でも求めに応じて書き分ける売文家という存在なのかもしれませんが、あ
まりにも節操がなさすぎる」
膨大な知識をこねくり回しているにも関わらず結論がどうもおかしい。な
んとも不思議な人物です。(ちゅん)

  ♪
(読者の声8)日本文化チャンネル桜の「沖縄の声」では、首里城には元
から有った神社を別にほったらかして、神社不在のまま、そこを「正殿」
と僭称し、シナに対して屈辱的な行為をして見せる売国的なことをやって
ゐた。そのため、天の怒りを買った、この火災は「天災」であったとす
る、江崎 孝氏の論評が光ってゐますので、ご案内いたします。↓
https://www.youtube.com/watch?v=Q94sOAYr4pk
   (YK生)


  ♪
(読者の声9)大学の番付によると、世界の1400校、92国のうち、東大が
42位、京大が65位、早稲田、慶応などの大学は600位から1000位となって
いる。全国に800程あると言う「大学」は3流、5流と言った程度では無
い。将来ノーベル賞を取る人も居なくなるだろう。まずはとりあえず「文
科省をぶっ壊す」少子化よりも全児童虐待の仕組みを壊さないと、日本は
消えてしまう。(KM生)


2019年11月11日

◆中国の「水中ドローン」

宮崎正弘


令和元年(2019)11月10日(日曜日)通巻第6268号 

中国の「水中ドローン」、37日間連続航行、2011キロ。実験に成功
   深海二千メートルに潜ったかと思えば海面すれすれを航行する 
中国科学アカデミーは「水中ドローン」の航行実験に成功したと発表した。

このAUV(AUTONOMOUS UNDERWATER 
VEHICLE)は「海鯨2000」と命名された水中遊弋のドローン
で、発表に拠れば深海も二千メートルまで潜水が可能。じっさいに37日
間、2011キロの連続航行だった(『サウスチャイナ・モーニングポス
ト』、2019年11月9日)。

航路は秘密とされるが、2011キロの航行だったとすれば、西砂諸島か
ら南砂諸島をカバーできる軍事能力を意味し、海南島三亜の基地に帰還し
た。海南島は中国海軍の潜水艦基地である。

この水中ドローン「海鯨2000」の全長は3メートル、重さが200キ
ロ。AIを積み込んで海温、塩度、海流、水中の成分、海藻などエコロ
ジーの観測を行って記録する。秒速が1・2メートル。時速4キロ。
 
もっとも水中無人探査機は英国海軍が保有する「マクボートフェイス」
で、六ヶ月連続航行6000キロの航行に成功している。
 
中国は既にドローン量産で世界一、しかも廉価なので、日本の愛好家ばか
りか、国土地理院も中国製を使っている。

昨秋開催された珠海航空ショーで初公開され、軍事関係者が驚いたのは、
むしろ中国のドローン「天鷹」(4トン)だった。これは事実上のステル
ス無人機と変わりがないシロモノ、無人攻撃機に転用が可能だからだ。
          
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1982回】               
 ――「臺灣の事、思ひ來れば、感慨無量・・・」――田川(19)
田川大吉郎『臺灣訪問の記』(白揚社 大正14年)

         △
ここで、昭和13(1938)年11月上旬に満蒙開拓青年義勇隊孫呉訓練所を訪
れた小林秀雄の感懐を思い出した。孫呉は黒龍江に沿ったソ満国境最前線
の街である。

1年前の昭和12年11月の閣議決定で成立した満蒙開拓青年義勇隊の訓練
は、翌13年1月から茨城県内原訓練所で始まる。2、3ヶ月程度の訓練後、
満蒙に送り込まれた青少年開拓団員には防衛の任務も課せられていた。

「孫呉の雪野原には、未来の夢を満載した十六から十八の千四百名余りの
一団が、昭和十三年五月、内原から到着して、満州ではじめての冬を経験
している」。

孫呉駅前の食堂で昼食の後、小林は訓練所に戻るトラックに乗せてもら
う。「冷たい風で鼻の先は痛いが、防寒具をつけているので、寒さは少し
も感じない」。

だが、同乗していた十数人の少年たちへの配給は「防寒外套、防寒靴は無
論の事、シャツ、靴下類に至るまで」「まことに不十分」だった。だか
ら、彼らは酷寒零下22度の寒風に吹かれ震えている。

やがて訓練所へ。少年らの宿舎である「一と塊の見苦しい家屋」を見た
時、小林は「千四百人の少年が、ここで冬を過すとはどういう事であるか
を理解した」。「それは本の統計にも説明にも書いてないことであった。
いや、恐らく幹部の人達も、此処へ来てはじめてそれを理解しただろ
う」。満蒙開拓青年義勇隊は、最初から欠陥を抱えたままだった。壮大な
理念のみが先行し、現実が半ば無視され、具体的方策が蔑ろにされていた
ということだ。

小林は「会った幹部の指導者達に、満州生活の経験者と呼んで差支えない
と感じた人を見付け出す事はできなかった」。満蒙開拓青少年義勇隊とい
う「この新しい仕事には、皆言わば素人であった」わけだから、やはり計
画は最初から頓挫する運命にあったに違いない。

かくて「準備の整わないうちに冬は来て了った」。「出来上がった泥壁に
藁葺きの屋根の宿舎の形こそ大きいが、建築の粗漏な点では、一般満人の
農家にも劣る」。

「本部の建物に這入ると、事務机の並んだ傍らに、白いお骨の箱が、粗末
な台の上に乗っているのが眼に付いた」。「萎びた蜜柑と南京豆とひねり
飴」が少しばかり供えられていた。もちろん小林も合掌したが、燃えない
ペエチカに苛立った少年がガソリンを掛けようとし、抱えたガソリン缶に
引火して焼死したとのこと。寒さに耐えかねた少年が憐れだ。しかも幹部
は「仏に粗末になっても適わないから」早く始末したい意向である。それ
を知って小林は「僕は気持ちが滅入って来た」と呟く。

「事件は簡単だが、無論その原因は、少年の無智などという簡単なものに
ありはしないのだ。ペエチカの構造、薪の性質、家の建て方、生活の秩序
と、果てしない原因の数を、僕は追おうとしたのではない」。

「凍った土間に立ち、露わな藁葺きの屋根裏を仰ぎ」ながら、小林は静か
に憤る。

確かに「部屋の中央には、細長いペエチカが2つあって、いい音をして燃
えている」。だが、「未だ二重窓も出来ぬ、風通しのいい部屋の氷を溶か
すわけにはいかない。やがて暗いランプが点り、食事となった。少量のご
まめの煮付けの様なものに、菜っ葉の漬物がついていた。僕は不平など書
いているのではない」。「内原の訓練所には少年の栄養研究班なるものが
あった」ではないか。

少年たちに向かって鸚鵡返しに「諸君の理想、諸君の任務、という言葉」
を口にしたであろう大人たちではあるが、哀しいかな「具体的な組織的な
方法」を思いつかない。

「五族協和」を掲げ「諸君の理想、諸君の任務」を熱く語るも、理想を実
現させるための大局的視点に立つ「具体的な組織的な方法」、つまり大戦
略を持たないという根本的な欠陥――なにやら田川が掲げた台湾統治の理想
と現実の落差にも通じるように思えるのだが。
             
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Andyの国際ニュース解説  アンディチャンのアメリカ通信
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密告者の名前と「見返り要求」
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密告者の名前は法律で秘密としているが、糞壺(Cesspool)とか泥沼
(Swamp)とか言われるワシントンで秘密は簡単に暴露される。

シフ委員長はトランプ弾劾調査は来週から公開調査になると発表した。弾
劾調査はアメリカの歴史になかったDeep State のトランプ降ろしの陰謀
だが、一週間ごとに新事実の発表があり、しかも月曜から水曜までは反ト
ランプ資料の発表でメディアがトランプ罷免が必ず起きるように報道す
る。続いて水曜から金曜にかけてトランプ側から続々と反論が出てきて
Deep State側に不利となる。南北戦争の攻防戦とソックリだ。

先週はペロシが議会で票決を取らずに始めた「後出しジャンケン」のトラ
ンプ弾劾調査を合法化するため改めて国会に提案して民主党多数で可決し
た。共和党側は違法で始めた調査を合法化することは出来ないとして全員
が反対票を投じた。

「覆水盆に戻らず」をアメリカでは「押し出した歯磨きはチューブに戻せ
ない」と言う。今週はシフ委員長の秘密聴聞記録の一部を公開し、トラン
プがウクライナ総統にバイデンの調査を「見返り要求」したと発表した。

弾劾案調査は密告者がトランプとウクライナ総統と電話会談でバイデンの
調査を依頼したと告発したことが原因だが、密告者はトランプを告発する
前にシフ委員長の幕僚に相談したことがわかったので、これは告発ではな
く謀叛の陰謀だと批判された。

だからシフは密告者の告発を取り下げて代わりに「見返り要求の罪」の追
求に変えた。来週から共和党議員も証人喚問が出来る公開聴聞となるので
共和党側は密告者を喚問すると発表した。シフは委員長の権限で密告者の
喚問を拒絶すると言う。共和党側はバイデン父子も公開喚問する予定である。

密告者の名前は法律で秘密としているが、糞壺(Cesspool)とか泥沼
(Swamp)とか言われるワシントンで秘密は簡単に暴露される。

ペロシ議長が弾劾調査を議会に提出する前日の10月30日に、Real Clear
Investigation新聞社のSperry記者が密告者の名前を発表した。だから翌
日の投票では既に多くの議員が密告者の名前を知っていたはずだ。

続いてWashington Examiner, Breitbart, The Federalistなどの新聞社も
相次いで密告者お名前を発表した。もちろん名前が暴露されても本人が認
めたわけではない。

Sperry 記者によると密告者の名前はEric Ciaramella(チャラメラ)と
言って、反トランプ首謀者の一人ブレナン元CIAb長官の部下で、民主党員
であり、バイデン元副大統領の下でウクライナ関係の仕事をしていた。

彼はその後フェイクニュースを流した廉でホワイトハウスから追放された
33歳男性で、シフ議員の部下と仲が良いと言う。

これだけ条件が揃えば誰だって彼がシフ議員が共謀してトランプ罷免を計
画したと断定するだろう。共和党側は彼が密告者であるかどうかはともか
く証人喚問を要求するに違いない。

更に11月8日、シフ委員長が公開したテイラー駐ウクライナ大使の秘密
喚問記録に、シフ委員長がテイラー大使にCiaramellaを知っているかと質
問した記録があったのだ。つまり(迂闊にも)シフ委員長がテイラー大使
に密告者を知っているかと質問した「シフがチャルメラを吹いた」記録が
公開されたのだ。これではCiaramella が密告者でないと否定するのは難
しいだろう。

見返り要求については、多くの法学者が「見返り要求」は違法ない、罷免
の理由にならないとしている。見返りQuid Pro Quoとは「何かのお返しに
何か」を求めることだから殆ど当然である。アメリカが世界諸国に軍資金
を出してお返し条件に何かをして貰うのは当然である。但しトランプが
「軍資金提供の見返りに政敵バイデンの調査を外国に依頼した」なら問題だ。

同じくバイデンが「軍資金10億ドルでウクライナの検察官の罷免を要求し
た」のは問題である。シフ委員長がトランプを調査してバイデンの調査を
拒否するのは不公平で大問題だ。

これとは別に、バイデン副大統領が米国副大統領の威力で息子のハンター
をBurismaガス会社の顧問に任命させたことはアメリカでは数年前から問
題視されていた権力悪用、汚職である。トランプがバイデンの外国におけ
る汚職を調査するのは大統領として当然、違法ではない。

テイラー大使は秘密喚問の際にトランプがゼレンスキー総統に見返りを要
求したのは問題だと証言した。しかし共和党の委員がテイラー大使にトラ
ンプが見返りを要求した証拠の来源を聞かれて、NYタイムスの記事で知っ
たと答えたのである。

つまり証拠がないのである。
 
トランプとウクライナ総統の電話会談は7月25日だがトランプが軍資金の
提供をストップしたのは8月25日、つまりトランプがウクライナ総統に見
返りを要求をしたという証拠はない。

最後になるが、Foxnewsの記事によると、密告者の弁護士の一人である
Mark Zaid氏は2017年1月、トランプの大統領就任直後に「クーデタは始
まった」とツィートした記録が発見された。

このツィートでZaidは「クーデタは始まった。我われはトランプを最終的
に罷免する。CNNがこれの主要任務を帯びる、この国はトランプや彼の支
持者を除去しても生存する」とも書いた。つまりトランプ罷免クーデタは
Deep Stateの陰謀で、トランプが就任した2017年1月に始まった証拠である。

Zaid氏は単なる個人的意見にすぎないと弁解したが、このメールがDeep
Stateのトランプ罷免クーデタに大きく影響するのは間違いない。


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読者の声   どくしゃのこえ  READERS‘ OPINIONS
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  ♪
(読者の声1)日本文化チャンネル桜から番組のお知らせです。11月13日
(水曜日)夜の「フロントJAPAN」に宮崎正弘さんが登場します。
 ホスト浅野久美さん、ゲスト宮崎正弘さん。テーマは「中国のAI軍事
技術の瞠目するべき進展」そのほかの予定です(日本文化チャンネル桜)

  ♪
(読者の声2)中国は日本人の元市議に無期懲役の判決を出しました。現
在、日本人が冤罪で14名も中国に拘束されているのですが、日本政府は
なぜ即時釈放を強硬に要求しないのか、歯がゆくて溜まりません。

また香港問題に関しても、ペンス副大統領は「香港の民主化運動をアメリ
カは連帯している」と述べています。

安倍首相も「日本は香港の自由化を希求し、民主化運動と連帯している」
と何故言えないのか。

誰に遠慮しているのか。もし、それで習近平の来日がキャンセルになれ
ば、それこそ日本国民の大多数が望んでいることではありませんか。
                       (HF生、名古屋)
  ♪
(読者の声3)ラジオ日本から番組のお知らせです。来る11月15日(金曜
日)、午後1230からの「マット安川のズバリ勝負」に宮崎正弘先生が
生出演の予定です。

国際情勢を遡上に快刀乱麻、ご期待下さい。宮?さんの出演時間は1250頃
から1357の予定です。(ラジオ日本)

2019年11月10日

◆「中国のAI技術の軍事転用は深刻

宮崎 正弘


令和元年(2019)11月9日(土曜日)通巻第6267号 

「中国のAI技術の軍事転用は深刻、米国のレベルを蛙飛び」とエスパー
国防長官

ステルス・ドローンや無人潜水艦、量子コンピュータで瞠目すべき進展

「無人機=ドローンやAIを駆使した無人潜水艦の開発、量子コンピュー
タで中国の国を挙げての研究・開発には瞠目すべき進歩がある」
ワシントンで開催された「AIとインテリジェンス」をめぐるシンポジウ
ムで、エスパー国防長官が発言した。

とくにエスパーはレーダーが補足できないステルス型ドローンの登場を警
戒しているとし、「中国のAI技術の軍事転用は深刻、米国のレベルを蛙
飛びだ」とした。

ペンタゴンの見立ては、EV(電気自動車)、自動運転、武器のAI化、
そして無人潜水艦の開発に熱中している事実から判断して、「中国は2030
年には世界のトップの座を得ることを目指している」としている。すでに
中東ではドローンがタンカー攻撃に使用された。

問題は中国企業自体の努力による発明で、民生用、汎用技術から得たハイ
テクではなく、軍事開発の過程ででた先端技術を米国から盗み出したの
だ。しかも中国はそれらを軍事方面でしか使用しないことである。

戦場に無人の戦車、装甲車が疾駆し、遠隔操作で戦場を支配しようとして
いるのが中国人民解放軍の秘かな方針であり、それらの技術を2030年まで
に確立し、米軍を実質的に超えようとしているとペンタゴンは見積もるのだ。

ステルス技術、電磁波妨害、ハッキングによる相手コンピュータ乗っ取
り、量子通信など、あらゆる技術を中国は軍事利用目的で捉えており、自
由世界の発想とは異なる。だから問題は深刻である、とエスパーはシンポ
ジウムで発言を締めくくった。
          
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読者の声   どくしゃのこえ READERSPINIONS
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  ♪
(読者の声1)羽田空港で水道水が汚染され、2日も3日も使えず、ミネ
ラルウォーターで補給したというニュースで騒いでいます。くわえて関空
ではドローンを目撃したとか、しないとかで、二十数便が欠航。

もし、これらがテロリストの仕業だったとすれば、日本はあらゆる場所が
安全保障的に無防備であることを曝していることになります。
 こうした国防上の基本問題、もっと真剣に議論されるべきではないで
しょうか。
   (JJセブン)


(宮崎正弘のコメント)嘗てこの欄で浜口和久、江崎道朗、坂東忠信著
『日本版 民間防衛』(青林堂)を取り上げたことがありますので、それ
を再録してみます。

 (引用開始)「ときおり地政学的・軍事的な危機が迫ると、日本でも
「民間防衛」について熱心に語られた時代があった。昭和30年代からしば
らくは、モデルがスイスと言われた。しかし国内擾乱、共産革命の危機が
去ると皆は関心を失い、日常の安逸さに埋没してしまう。自衛隊退役の予
備自衛官が、いかに少ないか、信じられないほどの体たらくを示すのが、
平成の日本だ。

しかも拉致被害に遭おうと尖閣に中国の軍艦が押し寄せようと、日本の空
が敵機で蔽われようと、目の前に危機に鈍感となり、何をどうしたら良い
のか分からない。まともな防衛策を主張すると、左翼メディアは「極右」
などと言いがかりをつける。中国の敵対行為をなかったかのように意図的
な印象操作を展開するのだから、利敵行為である。軍事的侵攻を受けたと
きだけではなく、日本は二十四時間、中国からの「間接侵略」を受けてい
る。だが、国民は不感症なのだ。よほど鈍感か、無神経か、それとも善意
の塊なのだろうか?

この本は戦国武将時代からの地政学に詳しく城の研究家でもある浜口氏
と、戦中のスパイ活動や現在の諜報工作の専門家である江崎氏と、そして
移民問題に鋭角的な問題提議をつづける警視庁刑事出身の坂東氏との合
作、まさに名物トリオの執筆陣となった。民間防衛の役割が平易に、イラ
スト入りで説かれ、テロ、戦争、移民問題、そして地震、異常気象、災害
など予期せぬ事態に遭遇したときに、いかに対応するかのマニュアルでも
ある。

第一章の「テロとスパイ工作」、第二章『戦争』、第三章が「自然災害」
と、これらは浜口氏の執筆範囲である。第四章の『移民問題』はこの人を
おいて専門家はいないと言われる坂東氏。そして第五章「インテリジェン
ス」が江口氏と、まさしく適材適所の陣容で、内容は多彩にみえて、一貫
した整合性がある。
 
さて中国がハッカー攻撃で標的とするのは何々か?

指揮系統をずたずたにし、日常生活を成立させなくするには、まず首相官
邸、放送局、ガスタンク、水道施設、発電所、化学工場、鉄道、空港、石
油コンビナート、駅、通信網、金融ネットワークなどである。すでに日本
の官公庁や大手企業の被害は続出しているうえ、年金機構が狙われ、
125万人分の個人データが盗まれてしまった。中国ばかりか北朝鮮の
ハッカー部隊も格段の進歩を遂げているとの指摘がある。北はサイバー戦
力の一元化を図り「人民武力部偵察局隷下にあったサイバー部隊121所
を偵察総局の直属とした。(中略)兵力をそれまでの500人から3000
人の規模に増強している。」

その目的は韓国軍の機密資料をハッキングし、指揮系統を痲痺させること
にある。「現役軍人や入隊対象の青年に厭戦思想を広めて、戦闘力の質的
な瓦解を実現し、国内対立を煽り、社会的混乱を増大させるなど、韓国社
会を根底から揺るがすことまで想定している」という(59p)。また北
朝鮮は「朝鮮コンピュータセンター(総勢4500人)が中心となって、日
本の重要インフラのコンピュータシステムへのサイバー攻撃のシミュレー
ションを行っている」(60p)。油断大敵である」(引用止め)。

 ♪
(読者の声2)韓国文在寅大統領が ASEANの首脳会議で安倍総理を待ち伏
せストーカー、さらには韓国大統領府が盗撮までして日韓の「首脳会談」
を捏造報道。毎度のこととはいえ、ただでさえなかった信用がマイナスです。

思えば朴槿恵政権下の世界遺産登録で尹炳世外相による土壇場の裏切りの
得意満面の笑顔から韓国の信用はゼロでした。

トランプ大統領訪韓では文在寅が米軍基地に押しかけ居座る図々しさに加
え、慰安婦をトランプ大統領に抱きつかせるという非礼もありました。

こんなことばかりして韓国人は自分の信用や格が下がると思わないところ
がすごい。日本人の理解を超えた人間と似て非なる生き物ですね。

文在寅が安倍総理の横にちょこんと座った様子は「指名が入らず必死な売
れないキャバクラ嬢」とバカにされる。余裕の安倍総理は議長国のタイプ
ラユット首相、次期議長国ベトナムフック首相、インドモディ首相とにこ
やかに歓談。
https://www.instagram.com/p/B4eto7RgdVj/?utm_source=ig_embed&utm_campaign=loading
 韓国人のしつけ方は中国と北朝鮮に見習うとよいのでしょう。
https://www.moeruasia.net/wp/wp-content/uploads/2019/11/index_4-33.jpg
  (PB生、千葉)

(読者の声3)マクロン仏大統領が英誌『エコノミスト』のインタビュー
で「NATOは脳死」と発言し、欧州政治をガンガンと揺らしています。
トルコがはっきりとNATO離れを見せており、この発言をロシアのプー
チンは手放しで喜んだとか。マクロン大統領の真意は奈辺にあるのでしょ
う。一種の警告、それともフランスのホンネ?(TY生、横浜)


(宮崎正弘のコメント)トルコのエルドアン大統領は、欧米相手に丁々発
止の勝負をやってのけて、たしかに欧米リベラルのメディアは批判的です。

しかしトルコ外交は基本に国益、そしてイララム回帰があり、イスラム圏
とのバランスを考えると計算づくのところがあります。トルコがNATO
を離れるというのは脅しであり、イズミールにはNATO海軍本部があり
ます。

米国がむくれているのは、S400イスカンダルミサイルをトルコがロシ
アから導入したことですが、トランプはF16の供与を止め、激突場面。
ところがエルドアンの訪米を受け入れています。

むしろ単細胞はマクロンでしょう。訪中して習近平の歓迎を受けて、有頂
天に舞い上がっていました。
  ♪
(読者の声4)先に、日米開戦時の駐米大使野村吉三郎氏の英語力につい
て述べましたが、では、連合艦隊司令長官の山本五十六大将の英語力はど
うだったのでしょうか? 

野村元大使も、山本元大将も、駐在武官の経験があります。

山本元大将は、ハーバード大学にも留学している(約2年)ほか、駐在武
官として米国に駐在し(1年3か月)、ロンドン軍縮会議にも出席していま
す。戦前の日本人としては、かなりの国際、在米経験と言えるでしょう。

しかるにイアン・トールは『太平洋の試練』(翻訳;2013年、文芸春秋
社)の中で、山本について、「彼は海外を広く旅行した国際派で、軍縮交
渉でしばしば海軍の代表を務めた。初歩的な会話ができ、すらすらと読め
る程度には英語を学んでいた」と述べています。

この書きっぷり(原書は、保有しているものの、身辺未整理で発見でき
ず、原文を引用できないのは残念です)からすれば、山本元大将の英語力
も、第一級のものとは言いかねる程度だったと思われます。

たしかに在米中は、油田地帯や、自動車工場などを見学したという話が伝
えられていますが、現地の各層の国民との間で込み入った対話をできるよ
うなレベルの英語力ではなかったもの、と私は推測します。

たしかに英語力と対象国の政治文化の理解力とは、必ずしも直ちに比例す
るものではないでしょうが、山本元大将の米国民についての理解、米国と
いう国家社会把握の程度は、それほど深いものではなかったのではない
か、と私は推測します。

少なくとも結果論という点を多少は割り引いたとしても、開戦劈頭に米国
艦隊を殲滅し、米国民の士気、抗戦意欲を阻喪せしめる、というような山
本の「作戦構想」は、米国という国家、社会、国民の実態について深奥ま
で理解できていた人間ならば考えられない妄想でしかなく、そうした愚か
な思いこみを招いた基底には、山本元大将の十分とは言えない英語力が
あったのではないか、というのが私の推測です。

真珠湾攻撃は、戦略的にはともかくとして、「戦術的には」完全な失敗と
は言い難い面があっとしても、ミッドウェー海戦については、戦略的にも
戦術的にも失敗だったというほかなく、その責任の大部分は山本元大将に
あるのではないか。

作戦そのものも愚かであった上に、戦艦大和を率いて、前線の後方に乗り
出し、何の役にも立たないまま、無線封鎖により作戦指揮能力を自ら制約
しただけでなく、貴重な油を浪費したことなども、「愚将」と言われても
やむを得ない点だと私は考えています。

これなども、多くの部下に戦時手当を支給する人気取りのためだったとも
言われますね。

ミッドウェー作戦を強引に進めようとしたのは、長期戦になるのを恐れ、
短期で決着をつける目的だったということが言われますが、これも、米国
民の思考、思想を十分に理解できていなった点ではないでしょうか。

山本元大将は、自身では、戦争を終えるには休戦しかありえず、交渉と譲
歩がそれに続くなどと考えていたようですが、ハルゼー提督は、真珠湾攻
撃後を視察して、「われわれはやつらを片づけ、日本語は地獄でしか使わ
れなくなるだろう」とつぶやいたといいます。 真珠湾攻撃の結果、「ど
んなに不安でも、戦争がどんな邪悪をもたらそうとも、報復への渇望が彼
らに栄養を与え、ささえることになった」(イアン・トール)のでした。

山本元大将は、こうした、ルーズベルト以下、将兵に至るまで、簡単に休
戦などするわけがないという米国民の思考、思想を全く理解できていな
かったのでしょう。(ヴィエトナム戦争の場合は、少なくとも、真珠湾の
ように、自国国土が襲撃されたわけではないから、少し違うと思う。)

山本元大将は、敗戦を待たずに戦死したことから、東京裁判の被告にも、
A級戦犯にも、絞首刑にもならずにすんだものの、もし敗戦後まで生き延
びていたなら、GHQからも、国内的にも、その失敗、短慮など負の側面
をかなり厳しく糾弾されたのではなかったか。

いずれにせよ、日米戦争は、第一級の語学力を持たず、したがって相手国
に対する十分な理解も持てなかった駐米大使と連合艦隊司令長官が配され
た中で始められた、ということになるのではないか。

もちろん、それが主要要因とまでは言わないまでも、リーダーの英語力の
不足が、国家の命運にまで影響を及ぼした例ではないでしょうか。
(椿本祐弘)


(宮崎正弘のコメント)40年ほど前に長岡へ行った折、山本元帥の跡地は
公園でした。4半世紀ほど前に行くと、そこの「山本五十六記念館」と
なっており、留学時代のノートも展示してありました。きれいな字面の英
語、あ、この人は真面目な人だったのだと思いました。
 
   ♪
(読者の声5)貴誌前号の書評、荒木肇『日本軍はこんな兵器で戦った』
についてです。

或る作家が「長大な銃剣格闘重視の歩兵銃、時代遅れの陸軍装備を批判
し、明治の小銃で第2次世界大戦を戦ったという戦前日本の後進性を非難
した」のが戦後の「誤った定説」というのはその通り。

日本の後進性の引き合いにドイツ軍の機甲師団が出されることもあります
が、ドイツのポーランド侵攻では相手が騎兵という時代遅れだったことも
あり、圧勝でしたが補給には軍馬もかなりの数が動員されているはず。し
かし冬のロシアではエンジンも凍り動けなくなるありさま。結局、空冷の
フォルクスワーゲンと馬が頼りの撤退戦。

日本軍のマレー攻略戦の映像を見ると火焔放射器まで使用しています。

米軍の上陸作戦で使われた上陸用舟艇は日本陸軍の大発(大発動艇)が元に
なっています。支那事変で米軍の知るところとなり米軍に真似されるとは
日本軍もたいしたもの。

初期の日本軍の兵士について「団体行動をしたことのない者には、まずヒ
ザを伸ばして歩く訓練から始めなければならなかった。

まさに銃器や火砲は、兵器の形をした科学教材であった」とある通り、学
校の体育における整列や行進、列車に乗る際の整列乗車も軍事的必要から
生まれたものです。

新興国の多くが軍事政権となるのも規律と科学的な精神を持つのが軍人し
かいないという必要性によるものでした。中国で体育といえばまず行進か
ら。軍事にアレルギーを持つ朝日新聞なら軍国風味満点の高校野球の主催
をやめてから文句をいってほしいもの。ついでに旭日旗モドキの社旗も変
えたなら朝日の記事に少1%くらいは信用が持てるかもしれませんね。
   (PB生、千葉)

  ♪
(読者の声6)貴誌10月26日通巻第6251号の記事「英国の取り締
まりが不備、英国が責任を取れ」と中国は逆転の駁論を展開――その典型の
嘘放送に見られる逃げ口上の特質が晒されている」のなかで、「遺体はす
べて中国人とされた」とありましたが、その後の英国警察の取り調べに
よって、全員がベトナム人とわかりました。この誤認の原因は何だったの
ですか?(HF生、茨城)


(宮崎正弘のコメント)その後の調べで、全員が犯罪組織に騙されたベト
ナム人でした。なぜなら全員が「中国の偽パスポート」を持っていたから
です。

英国警察は中国人とベトナム人の見分けが付かないから? あのボート
ピーポルのときだって、日本の官憲は「ベトナム難民」を偽装した中国人
だったことを見抜けませんでした。ベトナム語と広東語の区別が出来ず、
ベトナム語通訳が<?>だった。それでばれたのでした。

今回は死ぬ直前に携帯電話がベトナムの家族にかかっており、最初の段階
からベトナムの遺族が名乗り出ていた。そのことは同時に英国も発表して
いました。

検死がすすみ、ベトナムから遺族らのデータが届き、そのうえベトナムの
担当大臣らがロンドンへ飛んで、ようやく確認出来たのです。

密航ルートは、中国へはいって犯罪組織から偽パスポートが供与され、ウ
クライナ経由でEUにもぐりこんだ。

これを支援する密航斡旋のシンジケートが存在していること。ウクライ
ナ・ルーとは以前から悪名高かったのですが、まだ活用されていることも
衝撃でした。
ひょっとしてBREXIT推進のジョンション政権にとって、12月12
日の総選挙に有利に作用するかもしれません。

  ♪
(読者の声7)貴誌「読者の声」欄で(PB生、千葉)氏が佐藤優の人物
論を披瀝されましたが、小生もこの人物の人間性を疑わせるような体験談
を披露したい。

嘗て故井尻千男先生が主催された拓殖大学「日本塾」なるオープンカレッ
ジに佐藤優が講師として招かれ、演題は忘れたが支離滅裂な講演を行った
ことがある。通常の講師はレジュメを用意し、確りした講演を行うもので
あり、「日本塾」はそのレベルの高さに定評があったものである。

しかるに佐藤優はレジュメも用意せず、書斎からそのまま飛び出してきた
ようなラフな格好で現れ訳の分からない話を続け、自分でもこれでは拙い
と気付いたか、突然ケーデルを持ち出し一知半解な不完全性定理を話題に
し、受講生を煙に巻いていた。

ゲーデルの不完全性定理を理解するためには、数理論理学を勉強し、ケー
デルの証明が理解できるレベルにまで達しなければ無理であろう。文系頭
の及ぶところではない。佐藤優はクリスチャンであり、処女マリアがキリ
ストを生んだことを信じると自ら述べる文系頭の持ち主である。

PB生氏の以下の言明に全面的に賛同します。「右から左までどんな意見
でも求めに応じて書き分ける売文家という存在なのかもしれませんが、あ
まりにも節操がなさすぎる」
膨大な知識をこねくり回しているにも関わらず結論がどうもおかしい。な
んとも不思議な人物です。(ちゅん)

  ♪
(読者の声8)日本文化チャンネル桜の「沖縄の声」では、首里城には元
から有った神社を別にほったらかして、神社不在のまま、そこを「正殿」
と僭称し、シナに対して屈辱的な行為をして見せる売国的なことをやって
ゐた。そのため、天の怒りを買った、この火災は「天災」であったとす
る、江崎 孝氏の論評が光ってゐますので、ご案内いたします。↓
https://www.youtube.com/watch?v=Q94sOAYr4pk
   (YK生)


  ♪
(読者の声9)大学の番付によると、世界の1400校、92国のうち、東大が
42位、京大が65位、早稲田、慶応などの大学は600位から1000位となって
いる。全国に800程あると言う「大学」は3流、5流と言った程度では無
い。将来ノーベル賞を取る人も居なくなるだろう。まずはとりあえず「文
科省をぶっ壊す」少子化よりも全児童虐待の仕組みを壊さないと、日本は
消えてしまう。(KM生)


2019年11月09日

◆グローバリズム全盛時代が

宮崎 正弘


令和元年(2019)11月5日(火曜日)通巻第6262号 <前日発行>

スコットランドで、カタロニアで、
そして香港で台湾で「独立運動」が再燃
グローバリズム全盛時代が「終わりの始まり」を告げている

「国境をなくせ」というのはグローバリストたちの合い言葉、かれらの
究極の狙いは国家の破壊である。ビットコインやリブラという暗号通貨を
叫ぶのも主として彼らグローバリストで、中央政府の発行する通貨に併行
して無国籍通貨の流通を主張するわけは国家の破壊が究極の目標にあるか
らだ。

もともと中央銀行のほか、民間も通貨を発行すれば競合がおきて良貨が
悪貨を駆逐すると、昔の諺のあべこべを言い出したのはハイエクである。
 ハイエクを源流とするリバタリアン的な思潮はミルトンフリードマンに
引き継がれ、一時期はマネタリズムが欧米を蔽ったこともあった。

だが、グローバリズムの頓挫は、難民問題から起きた。

シリア難民がトルコへ押し寄せ、ついでトルコからバルカン半島やハンガ
リールートを経由して数十万人がドイツへ押しかけた。

ドイツでは移民排斥の運動が勃興し、議会で大きな勢力となって、フラン
スやイタリア、オーストリアへと飛び火した。

ハンガリーのオルバン首相はナショナリスト、国境のバリケードを高くし
た。セルビアやポーランドも続いた。イタリアは地中海からやってくるア
フリカ難民に手を焼き、EUいずれの国も移民問題が直接の動機となて、
ナショナリズムの再活性化を見る。グローバリストたちの新聞は、これを
「極右の台頭」と書いた。あるいはネオナチとも。

EUの団結は弛緩し、ユーロは通貨安の危機に瀕し、そしてスペインのバ
ルセロナを中心としたカタロニア独立運動が再燃した。

激烈なデモ行進と抗議集会がバルセロナでは日常茶飯となった。
警官隊と衝突を繰り返し、火焔瓶が投げられ、政府や公共物の破壊が行わ
れた。まさに香港で起きていることが伝播した。SNSの呼びかけで忽ち
参加者が膨らみ、激突も過激化する。

バルセロナといえば、年間数千万の観光客が押し寄せる名勝でもあり、
ヨットハーバーには世界の金持ちの豪華ヨットが華を競っている。

もともとカタルーニャ(カタロニア)州は、フランコ独裁時代に独立運動
が封じ込められていたが、強圧的統治が弛緩すれば地下のマグマが爆発す
る。カタロニア語は、スペイン語ではない。言葉が違うという意味は、カ
タロニアの人々はスペインの首都マドリッドの支配など受けたくないとい
うことである。ちなみにスペイン「名物」の闘牛はバルセロナでは競技場
さえない。


 ▲独立運動は地下のマグマが吹き上げたのだ

独裁が緩むと一斉に不満が爆発して独立嗜好となるのはチトー亡き後の
ユーゴスラビアが証明した。スロベニア、ボスニア&ヘルツェゴビナ、ク
ロアチア、セルビア、モンテネグロ、マケドニア。。。。まぐれ当
たりで「コソボ」までが独立を宣言し、欧米が支援した。

それぞれ歴史、宗教、伝統、言語の違いから独立したのだが、きわめて速
やかに国連は認めた。その欧米が、チベット独立や台湾独立に沈黙してい
るのは明らかに矛盾している。

コソボは独立の準備も国家としての準備もないままに、欧米が独立を唆し
たのもセルビアを困らせるためだった。コソボはいつのまにかアルバニア
人が多数を占めていた。

そして英国でも独立運動が顕在化するのはBREXITの余波、スコット
ランド最大の都市=グラスゴーでは11月2日に「独立」派が大規模デモ
を組織化し、集会には「スコットランド民族党」(SNP)党首のニコラ・
スタージョン(スコットランド行政府首相)も登場して気勢を挙げた。ち
かく住民投票で独立の賛否を問うという。

この独立運動の意味することは、世界を覆ったグローバリズムの思想的
破産であり、つぎなる独立運動の再燃は台湾、香港となるだろう。
習近平は、憮然としているに違いない。
       
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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW
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 本能寺の変を義挙とは評価しないが、御所を守る決意を見出した
  人間のドラム、劇的な武将の一生を人間くさく描いた

 ♪
小泉三甲『明智光秀』(岩波文庫)
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近代になって江戸自体の固陋とした史観から抜け出し、硬直した考え方
から離れ、多少は科学的に明智光秀を論じた最初の評伝、というより史論
である。昭和59」年(1984年)の『小泉三甲全集』を底本として、
本書は復刊された。

初版は明治30年というから、まだ『大日本史』的な水戸学解釈が世の
中に残っていた時代だ。「主君殺し」の逆臣という朱子学的雰囲気の中で
秩序破壊的な評価が横溢していたときに本書の登場は一種衝撃だった。
「悲運の英傑」という評価に朱子学的価値に染まっていた読書人は驚き
だった。

江戸時代に統治の原理として借用した朱子学は、赤穂浪士の義挙を認めな
かった。世間では赤穂浪士礼賛の声高く、官界では「法治に悖る」と判断
された。明智の評価は世間では意外に高くあって、芭蕉は「月さびや 明
智が妻の 噺せむ」と詠んだ。」

作者不明の『明智軍記』が世の中には出回っていた。

明治新政府は家康を貶めることに必死で、そうした薩長史観による江戸幕
府の低評価にともなって秀吉を過剰評価的に持ち上げた。このために先駆
者である信長に高い評価が加わった時代背景のなかで明智は徹底的に貶め
られた。

これらの要素を加味すれば、当時の明治論壇において、本書の視点は斬新
だったのではないか。

薩長史観を超えて、明智光秀の人間を見つめ直した作品であり、小泉は決
して明智の本能寺の変を義挙とは捉えていない。歴史学の未発達、講談の
延長のような情報空間のなかでは、それが限界と言えば、ある意味で納得
もできる。

小泉三甲は本名が策太郎、なにやら策略好きの人物と見られがちだが、明
治、大正、昭和の怪物として政治方面の活躍のほうが有名だ。

林房雄の恩人でもあり、林がマルクス主義を捨てて日本回帰したあたり
を、人間の真実味を本能的に理解して厚遇したのだ。それが小泉の生き方
だった。だから主殺しの悪名がかぶさった明智に挑むという、チャレンジ
の精神に溢れている。

漢詩調の文体は、かくなる記述から講談的にはじまる。

「けだし逆といふ、必ずしも至逆にあらず。順といふ、必ずしも至順にあ
らず。逆中に自から順あり、順中に自から逆あり。『逆順無二門大道徹心
源』これ当年光秀が、小栗栖の里に乱槍を被り、神気まさに疲れ、三寸息
まさに絶えなんとするの時、心鏡郭然、紙筆を鉄衣の袖に求めて喝破した
る言にあらずや」。(中略)「『主殺しの大罪人』として、唾棄すべき人
ならんや」

初版が明治30年と書いたが、本能寺の変から400年。「紛糾極まりなき
当時裏面の真相・実蹟は冷眼なる歴史家の禿筆に誤伝せられ、埋没せら
れ、抹殺せられ、雲煙漠々として終古終(つい)に補足し難からんとす」
というのが小泉の執筆動機となった。

だが期待して読み進むと、連句会の発句解釈で、あまりの通俗的な咀嚼
にすこしく失望した。

「ときはいま天が下知る五月かな」

 小泉は「とき」と「土岐源氏」にかけ、「天が下知る」を「天下を狙う
野心」と捉える。「うん? この時代に『古事記』は詠まれていなかった
のだろうか?
 
愛宕山の連句会は紹巴ら当時の文化人が呼ばれて合計99の連句が並ぶ
のだが、当時の知識人はこれら全部を掌握していたのだろうか。もしそう
なら、前述のような通俗的解釈は成り立たないはずなのだが。。。

拙著『明智光秀 五百年の孤独』(徳間書店)のなかで書いたが、この連
句会は光秀壮行会的雰囲気を放ち、参加者は予知していたのである。明智
が蹶起することを。連句すべてを並べてじっくりと読みこめば、それはす
ぐに分かる。

発句の解釈とは、「天皇が統治するまつりごとへ行動を起こす」と
いう意味であり、「ときはいま」は、明快に TIME IS NOWで
あり、「天の下知る」は天皇が統治する意味と『古事記』に明記されてい
る。最後の「五月かな」は、端午の節句の季語、尚武のこころを意味して
いる。

さはさりながら小泉は次のように明智の義挙を評価した。
 
明智の部下たちは統率よく、「臣ら死を決して、甘んじて逆を冒す。あ
に主君と生死栄辱を倶にするを願はざらんや。彼の暴虐の主をしいして、
以て天下を救う(中略)。旗を京畿に掲げて、禁ケツを護衛し、以て武名
千載に伝ふ、また愉快ならずや」
 
歴史論壇の過渡期にでた試論的史論としては傑作の域にあり、近年のあ
またある明智本のなかでは、さすがに面白い。

来年の大河ドラマをひかえて書店に夥しく並んだ群書類書の明智本の殆
どは、小説や史論、評伝を含めて読むに耐えないのだから。
            
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読者の声 どくしゃのこえ  READERS‘ OPINIONS
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  ♪
(読者の声1)中国がITやAIを駆使して世界最先端の監視社会を実現
していることは有名です。防犯カメラからネットの閲覧履歴や消費履歴ま
でビッグデータが蓄積され個人が点数化される。

レコードチャイナの記事によるとついには教育現場にまで導入されている
という。

『児童が授業に集中してるか測定するヘッドセットに、中国ネット猛反発
「学校は養殖場ではない」「全人代の出席者に…」』
https://www.recordchina.co.jp/b756196-s0-c30-d0135.html

『浙江省のある小学校で児童たちが「緊箍児」をおでこに装着して授業
に臨んでいると紹介。価格は3500元(約5万3000円)というこのヘッド
セットは、児童の脳波を測定し、授業への集中度を点数化して保護者に送
信する仕組み。「こんなに監視されて、子どもたちに自由はないのか」と
いう批判的な声も出ているようだ。
 
微博上でも大きな反響を呼んだ。

ユーザーからは「商業資本が学校を侵し始めた」「こういったものは学校
から遠ざけてほしい」「学校は養殖場ではない」「人間はずっと集中力を
保ち続けることなど不可能だ」「そんなことより教育の質を充実させてほ
しい」「ハイテクをうたっているが、何の役割も果たさない」「子どもた
ちを解放してあげて!」など批判的なコメントが多数寄せられている。

「児童ではなく学校の幹部に装着させて、頭を使っているか、汚職してい
ないかを監視すべきだ」「これ、全人代の時に出席者に使ってみるといい
かもしれない」と提案するユーザーも見られた』

21世紀の全体主義は思わぬ方向に進化しているようです。(PB生、千葉)



(読者の声2)貴誌6261号「読者の声」における、「昔の英語教師」
氏の英語教育・入試論、拝読しました。とりわけ同感したのは、「むしろ
喫緊の課題は、外国語の達人を目指す1割の若者に対する英才教育だ」と
いうことです。

小生は、「英才」にもなれなかったのですが、今でも恨みに思っているの
は、公立中学において自分が受けた英語教育の水準の低さです。私は宮崎
先生と同世代ですが、私の頃の公立中学校では英語の授業は週3時間だっ
たと思います。“Standard Jack & Betty”という薄い教科書をやっとやり
終えるという程度でした。

しかるに、当時でも、6年制の私立中学などでは、週6時間はみっちりと教
育していたのではないでしょうか。

これでは、圧倒的な学力差が生じるのは必然でしょう。今回の英語入試
「改革」で問題となっている、経済力等による機会不均等は当時から顕在
したし、それが最も顕著だったのは、教科では「英語」科だったのではな
いでしょうか。今のような情報時代ではなかったから、その機会不均等は
現在よりも著しかったのではないだろうか。

この科目は、数学などと異なり、基本的に費やした学習時間がそのまま学
力に比例的に顕現してくることから、高校では、英語の学力不足を強く感
じました。今でも、中学時代に、もっとしっかりと英語を学習できていた
ら、もう少しは確かな英語力を身につけられたものを・・・という悔悟が
残っています。

それでも、何とか、大学入試をクリアしたものの、「昔の英語教師」氏が
「日本人の9割は、英語なしに一生を送っているのが現実だ」と言われる
とおりで、職業生活も内部管理的業務ばかりであったことから、「英語」
など全く無縁の生活を40歳近くまで送ることになりました。

それが、40歳直前になって、研修として半年間、欧州に派遣されることに
なり、大学入試以来20年ぶりに、英語学習を突然に再開することになった
のでした。

(以下は、自慢話ではありません。あくまでも、日本人の英語力の水準を
示すための例証です) その際、まだ学習再開後半年も経過しない時点
で、派遣選考のために、IELTSという英国の語学試験を受けたとこ
ろ、英国人試験管から、「お前はよくできるが、留学経験があるのか」と
問われたことには、一驚し、一般日本人の英語力がいかに低水準なのかを
思い知らされるとともに、受験英語によって培われた学力の「効用」を感
じました。その頃、受けた英検1級試験では、一発で筆記試験に合格し、
あらためて、一般日本人の英語力の低水準を思い知ったところでした。た
だし、さすがに、それまで外国人と話した経験もないままでは、2次の口
述試験では一発合格とはいかず、2次合格は半年間の欧州滞在から帰国後
となりました。

欧州滞在中には、英国で語学学校にも通ったのですが(もう30年以上前の
ことになりますが)、彼の地では、ケンブリッジ英検が主流となってお
り、この内容を見ると、日本の英検が、これに倣ったものであることは明
らかです。

英国の語学学校では、日本の英検対応学習とそれほど変わらないような文
法中心的教育が行われていました。この経験からも、私は、英語教育の中
心は、文法と読解力に置くべきだと考えています。

その後、転職し、海外調査業務に従事することになったのですが、ここで
も感じたのは、正確な文法応用力と、多くの読書量に基づく語彙力の絶対
的必要性です。

現在は、フリーで毎日を送る清貧老人です。一応は通訳案内士の資格も
持っているものの、活用もできず、ボケ防止のために、できるかぎり英書
の読書に励んでいます。ここでも痛切に感じるのは、文法力と語彙力の必
要性です。

とは言え、私のように「上級国民」とは言い難い人生を送った人間にとっ
て、いったい、多くの時間と費用をかけても、中途半端な英語学習など、
どれほどの「効用」があったのか、また現にあるのか、と思うと自嘲的に
もなります。しかし、それを言うならば、数学だって、物理だって、化学
だって同じことであって、独り「英語」だけが“役に立たない”などと誹ら
れるいわれもないでしょう。


2019年11月08日

◆世界では大きなイベントがあった

宮崎 正弘


令和元年(2019)10月28日(月曜日)通巻第6253号  

日本では報道されなかったが、世界では大きなイベントがあった
ロシアはアフリカ会議、北京は軍人スポーツ國際大会、インドネシアでは

シリア北部でISの指導者バグダディが自爆した。カリフォルニアでは未
曽有の山火事が続き、カタロニアでは独立運動の抗議活動が暴力化している。
 
10月23日からソチにおいて、プーチン大統領は「ロシア・アフリカ会
議」を開催し、シシ(エジプト大統領)ら元首クラス43名(加えて副大
統領クラスが11名)が参加、熾烈な巻き返しぶりを示した。

アフリカに猛烈に食い込んだ中国を脅威視している欧米は、梃子入れに懸
命だが、投資額が追いついていない。その上、とくに欧州各国(英国、ド
イツ、仏蘭西、ベルギー、スペイン、伊太利亜)は、かつてこの地を植民
地支配したため、反西欧の思想に直面する。コンゴ、ルアンダなどでは新
人の中国が内政干渉せず、人権も言わないので、すごく相性が合うからだ。

米国はアフリカの梃子入れを図るが、それほどの熱意もなく遅れており、
そこで日本が米国に押されたかのように、アフリカへの大々的な梃子入れ
を行ってきた。日本主導のアフリカ開発会議(TICAD)は七回目の
大会を2019年8月に横浜で開催し、53ヶ国参加のうち、42ヶ国の
元首クラスが来日した。

こうした動きを横目に中東での影響力を回復し、シリア、トルコを梃子に
米国へ挑戦したプーチンは、ここでアフリカへの再接近を試みる。外交の
転換である。

同じ頃、習近平が久々の笑顔で式典にあらわれた。世界軍人スポーツ大会
が北京で開催されたのだが、軍人チームを派遣したのがロシア、北朝鮮。
そして韓国。西側からはアメリカ、インドが主力だった。スポーツを通じ
ての軍事大国との交流を始めた中国の狙いは奈辺にあるのか

ついでジャカルタである。

ジョコ大統領の再選、大統領就任式は10月20日だった。後ろ盾のメガ
ワティがでんとひかえる中、式典にはシンガポール首相、ブルネイ国王、
カンボジアの独裁者にくわえて、ここに来日直前の王岐山の姿があったの
だ。王岐山は天皇陛下との会見時と晩餐会に人民服であらわれた。ジャカ
ルターバンドン間の新幹線を日本から横取りしておきながら、完成とされ
た2019年にまだ殆ど進んでいない。インドネシアは中国に大きく失望
しているが、それにもめげずに、中国はインドネシアへ熱烈接近を続行し
ていることは注目を置いておく必要がある。

  
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW
 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
10 年に亘った研究と取材の結晶。中国の大プロパガンダ作戦の実態と挫折
パンダ・ハガーの退場の切っ掛けは「ブーバー報告」。その原典が本書だ。

  ♪
何清漣、福島香織訳『中国の大プロパガンダ ――おそるべき大外宣の実
態』(扶桑社)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

オバマ時代まで米国の対中政策を操った「パンダ・ハガー」(愛中派)ら
が敗れ去った。替わって「ドラゴン・スレーター」(龍処刑人)が、米国
の対中国交の主導役となった。

このトランプの対中外交転換に強い影響力を持ったのは「フーバー・レ
ポート」(詳細は本書参照)だった。

その原典とも言えるのが、本書の前身レポートである。

何清漣女史は在米のジャーナリストとして数多い作品を書かれている。し
かも主要な作品の殆どは日本語訳されている。
チャイナ・ウォッチャーのみならず、一般読者の興味をぐいと掴んで放さ
ない魅力とは、彼女の情報分析の冷徹で慧眼な視点が、所謂「ジャーナリ
スト」的でありながらも、独自の研究に裏打ちされているからだろう。

予言的性質を帯び、読み出したら最後まで一気に読んでしまわなければ納
まらないほどのダイナミックな筆力がある。

福島さんの翻訳もそれに輪をかけてダイナミックだ。

中国は2009年から、450億人民元(8000億円強)もの天文学的
巨費を投じて、対外宣伝作戦をはじめた。

なにしろ「中国にとって報道とはプロパガンダのことだ」。

世界各地で展開した政治宣伝作戦の詳細は、米国を例にしてみると、
NY42丁目のタイムズスクエアの電子広告板(液晶ビジョン)を借り上
げ、米国の新聞に『チャイナ・ディー』(英語版の人民日報のような宣伝
紙)の折り込みを入れ、あるいは紙面に挿入させるという大胆な手法で、
米国にチャイナロビィを形成し、多彩で幅広い領域へと、プロパガンダ作
戦を拡大した。この侵略的な宣伝戦争をペンス副大統領は演説で指摘した
(18年10月4日)。 

新聞記者、学者、政治家の籠絡も派手に展開された。有力な大学には北京
語を教えるとした孔子学院をつくった。

議会人にはあご足つき、ときに美女付きの招待旅行を次々と繰り返し、他
方、シリコンバレーなどでは高給で釣って優秀な人材をスカウトし、中国
のハイテク向上に役立てた。

何も対応策を採らず、指をくわえて見ていたのは歴代政権だったが、クリ
ントンとオバマ政権幹部もまた中国マネーで薄汚く籠絡されていた。

ロスアンジェルスタイムズは怪しげな華僑の資力によって買収された。こ
の手法は香港と台湾でも、あらかたの新聞、ラジオ、テレビ、出版社が中
国の資力によって陥落した。

香港の出版界の実情と言えば4分の3の出版社が中国資本となり、中国共産
党批判の書籍は書店には並んでいない。辻々の屋台で売っているという有
様なのである。評者(宮崎)、今月初頭にも、銅鑼湾書店はどうなった
か?見に行ったのだが、シャッターが降りて鍵がかかったままだった。

かつては良心的と言われた『星島日報』や『明報』もじわりと真綿で首を
絞められるように代理人を通じて中国資本が入り、論調が変わってしまった。

しかし「これら新聞(『大公報』を含めて)の香港に於ける信用度はきわ
めて低く」(160p)、香港の人々からまったく信用されていない。
「親共メディアは読む人などいない」(188p)。

▲シンクタンクも学者もカネに弱かった

ワシントンの「Kストリート」というのは、ロンドンにあった「軍艦街」
とは異なって、政治ロビィストとシンクタンクの集中地区である。(ロン
ドンの「軍艦街」は政府批判を吠えるような論調の新聞社が並んでいた時
代に、そう愛称された)。

このKストリートの保守系シンクタンクにも中国資金がぶち込まれた。
中国は、「委託研究」とかの名目で、あらかたのシンクタンクに法外な研
究費を資金提供し、事実上、研究員を間接買収し、中国贔屓の提言を作成
させたのだ。

Kストリートがワシントンの政策決定を動かし、ウォールストリートが米
国経済を動かし、メインストリートが、米国の支配層を領導する図式があ
るからだ。Kストリートの保守的なシンクタンクですら一時期の中国批判
色は希釈される始末だった。

2015年までの米国は、取り憑かれたようにチャイナ礼賛が続いてい
た。いったい何事が起きているのか、訝った人も多かっただろう。
何清漣女史はこう指摘期する。

「ワシントンのシンクタンクが外国政府から大量の資金提供を受け、ロビ
イ機構に成り下がっており、米国官僚にその国に有利な政策を推進させて
いた」(264p)。

 中国の米国メディアへの浸透、ロビイストたちの籠絡、そのうえアカデ
ミズムの世界への乱入があった。

こうした「紅色浸透」によって、オバマ政権下では「G2」が叫ばれた。
ズビグニュー・ブレジンスキー(学者、カーター政権で大統領安全保障担
当補佐官)やロバート・ゼーリック(元世銀総裁)が声高に提唱し、「世
界を米中で分かち合う」などと中国高官らは高らかに言い放っていた。
中国の「紅色浸透」は映画界にもおよび、嘗てさかんだった反中映画は鳴
りを潜めた。かわりに南京大虐殺があったとする反日映画。出版界でも
「レイプオブナンキン」というフェイク文書が老舗ペンギンブックスから
出されたばかりか、いまも売れているのは、組織買いである。

日本ではどうかと言えば、中国は別にカネを使わなくても、日本人の政治
家も新聞記者も、尻尾をふってやってきた。このチャイナの傲慢はいつま
で続くのか、懸念が拡がった。

直近にも評者(宮崎)が香港へ行ってたいそう驚いたことがある。

黎智英の『リンゴ日報』以外、自由主義に立脚する新聞は香港にないが、
中国礼賛の『文わい報』など、新聞スタンドで、まったく売れていないの
だ! 

『リンゴ日報』は飛ぶような売れ行きと比較して、これはどういうことか
と思っていると、早朝七時。辻々におばさん達がたって『文ワイ報』を無
料で配りだしたではないか!

つまり大量の買い上げによって成り立っているのだ。

これは台湾でもほぼ同じである。

嘗て国民党の宣伝ビラとまで言われた『連合法』も『中国時報』もダミー
を経由して中国から資本が入っている。台湾のテレビ、ラジオもそうである。

かくなると、香港と台湾ではどうやって真実を知っているのかと言えば近
年猛烈な勢いで発達したSNSであり、とくに若者たちは新聞をまったく
読まず、SNSで正確な、客観的情報を入手している。

米国の状況に戻ると、トランプの登場によって、こうした紅色浸透の作戦
は、転覆した。百八十度、その効果がひっくり返し、メディアは反中国、
アカデミズムでもキッシンジャーもエズラ・ボーゲルも孤立し、パンダ・
ハガーから転向したピルスベリーが代表するドラゴン・スレーターが世論
をリードするようになった。

本書は、この10年の中国の作戦の軌跡を振りかえりながらも、克明に大胆
に中国の赤い野望を暴露している。本書、日本の外務省のみならず官庁、
商社マン、マスコミ関係者には必読である。
                 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
読者の声 どくしゃのこえ   読者之声
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ♪
(読者の声1)通巻第6252号の巻頭記事にある有名ハンドバッグメー
カー名の原語に近い表記は「ルイビュトン」ではなく「ルイヴュイトン」
です。

巷間では「ルイビトン」「ルイヴィトン」などと呼称されていますが…。
些末なこととは思いますが、気になりましたので投稿します。
(元仏語教師)

  ♪
(読者の声2)英国で39人の中国人の凍死遺体。貴誌で続報を知りまし
たが、これって、中国の経済大国というイメージを根底から破壊した悲惨
な出来事ではありませんか。日本のメディアはなぜ詳しく報じないのです
か?(JJセブン)


(宮崎正弘のコメント)中国の官製メディアの反応たるや、「西側は偽善
である。ヒューマニズムを理解していない。管理のずさんな英国は責任を
取れ」などと、凄いですね。この責任転嫁、いつものように中国共産党は
得意な論理のすり替え!

英国のメディアの主眼は人身売買の犯罪シンジケートの解明に置かれてい
ます。米国のメディアは関心がない点で日本と同じでしょうか。

熱心に伝えているのは台湾、香港、シンガポールの華僑系メディアという
図式です。

経済大国の実態とは凄まじい所得格差であり、貧困層が数億人!

2019年10月30日

◆世界では大きなイベントがあった

宮崎 正弘


令和元年(2019)10月28日(月曜日)通巻第6253号  

日本では報道されなかったが、世界では大きなイベントがあった
ロシアはアフリカ会議、北京は軍人スポーツ國際大会、インドネシアでは

シリア北部でISの指導者バグダディが自爆した。カリフォルニアでは未
曽有の山火事が続き、カタロニアでは独立運動の抗議活動が暴力化している。
 
10月23日からソチにおいて、プーチン大統領は「ロシア・アフリカ会
議」を開催し、シシ(エジプト大統領)ら元首クラス43名(加えて副大
統領クラスが11名)が参加、熾烈な巻き返しぶりを示した。

アフリカに猛烈に食い込んだ中国を脅威視している欧米は、梃子入れに懸
命だが、投資額が追いついていない。その上、とくに欧州各国(英国、ド
イツ、仏蘭西、ベルギー、スペイン、伊太利亜)は、かつてこの地を植民
地支配したため、反西欧の思想に直面する。コンゴ、ルアンダなどでは新
人の中国が内政干渉せず、人権も言わないので、すごく相性が合うからだ。

米国はアフリカの梃子入れを図るが、それほどの熱意もなく遅れており、
そこで日本が米国に押されたかのように、アフリカへの大々的な梃子入れ
を行ってきた。日本主導のアフリカ開発会議(TICAD)は第七回目の
大会を2019年8月に横浜で開催し、53ヶ国参加のうち、42ヶ国の
元首クラスが来日した。

こうした動きを横目に中東での影響力を回復し、シリア、トルコを梃子に
米国へ挑戦したプーチンは、ここでアフリカへの再接近を試みる。外交の
転換である。

同じ頃、習近平が久々の笑顔で式典にあらわれた。世界軍人スポーツ大会
が北京で開催されたのだが、軍人チームを派遣したのがロシア、北朝鮮。
そして韓国。西側からはアメリカ、インドが主力だった。スポーツを通じ
ての軍事大国との交流を始めた中国の狙いは奈辺にあるのか

ついでジャカルタである。

ジョコ大統領の再選、大統領就任式は10月20日だった。後ろ盾のメガ
ワティがでんとひかえる中、式典にはシンガポール首相、ブルネイ国王、
カンボジアの独裁者にくわえて、ここに来日直前の王岐山の姿があったの
だ。王岐山は天皇陛下との会見時と晩餐会に人民服であらわれた。ジャカ
ルターバンドン間の新幹線を日本から横取りしておきながら、完成とされ
た2019年にまだ殆ど進んでいない。インドネシアは中国に大きく失望
しているが、それにもめげずに、中国はインドネシアへ熱烈接近を続行し
ていることは注目を置いておく必要がある。

  
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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW
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10 年に亘った研究と取材の結晶。中国の大プロパガンダ作戦の実態と挫折
パンダ・ハガーの退場の切っ掛けは「ブーバー報告」。その原典が本書だ。

  ♪
何清漣、福島香織訳『中国の大プロパガンダ ――おそるべき大外宣の実
態』(扶桑社)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

オバマ時代まで米国の対中政策を操った「パンダ・ハガー」(愛中派)ら
が敗れ去った。替わって「ドラゴン・スレーター」(龍処刑人)が、米国
の対中国交の主導役となった。

このトランプの対中外交転換に強い影響力を持ったのは「フーバー・レ
ポート」(詳細は本書参照)だった。

その原典とも言えるのが、本書の前身レポートである。

何清漣女史は在米のジャーナリストとして数多い作品を書かれている。し
かも主要な作品の殆どは日本語訳されている。
チャイナ・ウォッチャーのみならず、一般読者の興味をぐいと掴んで放さ
ない魅力とは、彼女の情報分析の冷徹で慧眼な視点が、所謂「ジャーナリ
スト」的でありながらも、独自の研究に裏打ちされているからだろう。

予言的性質を帯び、読み出したら最後まで一気に読んでしまわなければ納
まらないほどのダイナミックな筆力がある。

福島さんの翻訳もそれに輪をかけてダイナミックだ。

中国は2009年から、450億人民元(8000億円強)もの天文学的
巨費を投じて、対外宣伝作戦をはじめた。

なにしろ「中国にとって報道とはプロパガンダのことだ」。

世界各地で展開した政治宣伝作戦の詳細は、米国を例にしてみると、
NY42丁目のタイムズスクエアの電子広告板(液晶ビジョン)を借り上
げ、米国の新聞に『チャイナ・ディー』(英語版の人民日報のような宣伝
紙)の折り込みを入れ、あるいは紙面に挿入させるという大胆な手法で、
米国にチャイナロビィを形成し、多彩で幅広い領域へと、プロパガンダ作
戦を拡大した。この侵略的な宣伝戦争をペンス副大統領は演説で指摘した
(18年10月4日)。 

新聞記者、学者、政治家の籠絡も派手に展開された。有力な大学には北京
語を教えるとした孔子学院をつくった。

議会人にはあご足つき、ときに美女付きの招待旅行を次々と繰り返し、他
方、シリコンバレーなどでは高給で釣って優秀な人材をスカウトし、中国
のハイテク向上に役立てた。

何も対応策を採らず、指をくわえて見ていたのは歴代政権だったが、クリ
ントンとオバマ政権幹部もまた中国マネーで薄汚く籠絡されていた。

ロスアンジェルスタイムズは怪しげな華僑の資力によって買収された。こ
の手法は香港と台湾でも、あらかたの新聞、ラジオ、テレビ、出版社が中
国の資力によって陥落した。

香港の出版界の実情と言えば4分の3の出版社が中国資本となり、中国共産
党批判の書籍は書店には並んでいない。辻々の屋台で売っているという有
様なのである。評者(宮崎)、今月初頭にも、銅鑼湾書店はどうなった
か?見に行ったのだが、シャッターが降りて鍵がかかったままだった。

かつては良心的と言われた『星島日報』や『明報』もじわりと真綿で首を
絞められるように代理人を通じて中国資本が入り、論調が変わってしまった。

しかし「これら新聞(『大公報』を含めて)の香港に於ける信用度はきわ
めて低く」(160p)、香港の人々からまったく信用されていない。
「親共メディアは読む人などいない」(188p)。

▲シンクタンクも学者もカネに弱かった

ワシントンの「Kストリート」というのは、ロンドンにあった「軍艦街」
とは異なって、政治ロビィストとシンクタンクの集中地区である。(ロン
ドンの「軍艦街」は政府批判を吠えるような論調の新聞社が並んでいた時
代に、そう愛称された)。

このKストリートの保守系シンクタンクにも中国資金がぶち込まれた。
中国は、「委託研究」とかの名目で、あらかたのシンクタンクに法外な研
究費を資金提供し、事実上、研究員を間接買収し、中国贔屓の提言を作成
させたのだ。

Kストリートがワシントンの政策決定を動かし、ウォールストリートが米
国経済を動かし、メインストリートが、米国の支配層を領導する図式があ
るからだ。Kストリートの保守的なシンクタンクですら一時期の中国批判
色は希釈される始末だった。

2015年までの米国は、取り憑かれたようにチャイナ礼賛が続いてい
た。いったい何事が起きているのか、訝った人も多かっただろう。
何清漣女史はこう指摘期する。

「ワシントンのシンクタンクが外国政府から大量の資金提供を受け、ロビ
イ機構に成り下がっており、米国官僚にその国に有利な政策を推進させて
いた」(264p)。

 中国の米国メディアへの浸透、ロビイストたちの籠絡、そのうえアカデ
ミズムの世界への乱入があった。

こうした「紅色浸透」によって、オバマ政権下では「G2」が叫ばれた。
ズビグニュー・ブレジンスキー(学者、カーター政権で大統領安全保障担
当補佐官)やロバート・ゼーリック(元世銀総裁)が声高に提唱し、「世
界を米中で分かち合う」などと中国高官らは高らかに言い放っていた。
中国の「紅色浸透」は映画界にもおよび、嘗てさかんだった反中映画は鳴
りを潜めた。かわりに南京大虐殺があったとする反日映画。出版界でも
「レイプオブナンキン」というフェイク文書が老舗ペンギンブックスから
出されたばかりか、いまも売れているのは、組織買いである。

日本ではどうかと言えば、中国は別にカネを使わなくても、日本人の政治
家も新聞記者も、尻尾をふってやってきた。このチャイナの傲慢はいつま
で続くのか、懸念が拡がった。

直近にも評者(宮崎)が香港へ行ってたいそう驚いたことがある。

黎智英の『リンゴ日報』以外、自由主義に立脚する新聞は香港にないが、
中国礼賛の『文わい報』など、新聞スタンドで、まったく売れていないの
だ! 

『リンゴ日報』は飛ぶような売れ行きと比較して、これはどういうことか
と思っていると、早朝七時。辻々におばさん達がたって『文ワイ報』を無
料で配りだしたではないか!

つまり大量の買い上げによって成り立っているのだ。

これは台湾でもほぼ同じである。

嘗て国民党の宣伝ビラとまで言われた『連合法』も『中国時報』もダミー
を経由して中国から資本が入っている。台湾のテレビ、ラジオもそうである。

かくなると、香港と台湾ではどうやって真実を知っているのかと言えば近
年猛烈な勢いで発達したSNSであり、とくに若者たちは新聞をまったく
読まず、SNSで正確な、客観的情報を入手している。

米国の状況に戻ると、トランプの登場によって、こうした紅色浸透の作戦
は、転覆した。百八十度、その効果がひっくり返し、メディアは反中国、
アカデミズムでもキッシンジャーもエズラ・ボーゲルも孤立し、パンダ・
ハガーから転向したピルスベリーが代表するドラゴン・スレーターが世論
をリードするようになった。

本書は、この10年の中国の作戦の軌跡を振りかえりながらも、克明に大胆
に中国の赤い野望を暴露している。本書、日本の外務省のみならず官庁、
商社マン、マスコミ関係者には必読である。
                 
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読者の声 どくしゃのこえ   読者之声
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ♪
(読者の声1)通巻第6252号の巻頭記事にある有名ハンドバッグメー
カー名の原語に近い表記は「ルイビュトン」ではなく「ルイヴュイトン」
です。

巷間では「ルイビトン」「ルイヴィトン」などと呼称されていますが…。
些末なこととは思いますが、気になりましたので投稿します。
(元仏語教師)

  ♪
(読者の声2)英国で39人の中国人の凍死遺体。貴誌で続報を知りまし
たが、これって、中国の経済大国というイメージを根底から破壊した悲惨
な出来事ではありませんか。日本のメディアはなぜ詳しく報じないのです
か?(JJセブン)


(宮崎正弘のコメント)中国の官製メディアの反応たるや、「西側は偽善
である。ヒューマニズムを理解していない。管理のずさんな英国は責任を
取れ」などと、凄いですね。この責任転嫁、いつものように中国共産党は
得意な論理のすり替え!

英国のメディアの主眼は人身売買の犯罪シンジケートの解明に置かれてい
ます。米国のメディアは関心がない点で日本と同じでしょうか。

熱心に伝えているのは台湾、香港、シンガポールの華僑系メディアという
図式です。

経済大国の実態とは凄まじい所得格差であり、貧困層が数億人!
     

2019年10月29日

◆世界では大きなイベントがあった

宮崎 正弘


令和元年(2019)10月28日(月曜日)通巻第6253号  

日本では報道されなかったが、世界では大きなイベントがあった
ロシアはアフリカ会議、北京は軍人スポーツ國際大会、インドネシアでは

シリア北部でISの指導者バグダディが自爆した。カリフォルニアでは未
曽有の山火事が続き、カタロニアでは独立運動の抗議活動が暴力化している。
 
10月23日からソチにおいて、プーチン大統領は「ロシア・アフリカ会
議」を開催し、シシ(エジプト大統領)ら元首クラス43名(加えて副大
統領クラスが11名)が参加、熾烈な巻き返しぶりを示した。

アフリカに猛烈に食い込んだ中国を脅威視している欧米は、梃子入れに懸
命だが、投資額が追いついていない。その上、とくに欧州各国(英国、ド
イツ、仏蘭西、ベルギー、スペイン、伊太利亜)は、かつてこの地を植民
地支配したため、反西欧の思想に直面する。コンゴ、ルアンダなどでは新
人の中国が内政干渉せず、人権も言わないので、すごく相性が合うからだ。

米国はアフリカの梃子入れを図るが、それほどの熱意もなく遅れており、
そこで日本が米国に押されたかのように、アフリカへの大々的な梃子入れ
を行ってきた。日本主導のアフリカ開発会議(TICAD)は七回目の
大会を2019年8月に横浜で開催し、53ヶ国参加のうち、42ヶ国の
元首クラスが来日した。

こうした動きを横目に中東での影響力を回復し、シリア、トルコを梃子に
米国へ挑戦したプーチンは、ここでアフリカへの再接近を試みる。外交の
転換である。

同じ頃、習近平が久々の笑顔で式典にあらわれた。世界軍人スポーツ大会
が北京で開催されたのだが、軍人チームを派遣したのがロシア、北朝鮮。
そして韓国。西側からはアメリカ、インドが主力だった。スポーツを通じ
ての軍事大国との交流を始めた中国の狙いは奈辺にあるのか

ついでジャカルタである。

ジョコ大統領の再選、大統領就任式は10月20日だった。後ろ盾のメガ
ワティがでんとひかえる中、式典にはシンガポール首相、ブルネイ国王、
カンボジアの独裁者にくわえて、ここに来日直前の王岐山の姿があったの
だ。王岐山は天皇陛下との会見時と晩餐会に人民服であらわれた。ジャカ
ルターバンドン間の新幹線を日本から横取りしておきながら、完成とされ
た2019年にまだ殆ど進んでいない。インドネシアは中国に大きく失望
しているが、それにもめげずに、中国はインドネシアへ熱烈接近を続行し
ていることは注目を置いておく必要がある。

  
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10 年に亘った研究と取材の結晶。中国の大プロパガンダ作戦の実態と挫折
パンダ・ハガーの退場の切っ掛けは「ブーバー報告」。その原典が本書だ。

  ♪
何清漣、福島香織訳『中国の大プロパガンダ ――おそるべき大外宣の実
態』(扶桑社)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

オバマ時代まで米国の対中政策を操った「パンダ・ハガー」(愛中派)ら
が敗れ去った。替わって「ドラゴン・スレーター」(龍処刑人)が、米国
の対中国交の主導役となった。

このトランプの対中外交転換に強い影響力を持ったのは「フーバー・レ
ポート」(詳細は本書参照)だった。

その原典とも言えるのが、本書の前身レポートである。

何清漣女史は在米のジャーナリストとして数多い作品を書かれている。し
かも主要な作品の殆どは日本語訳されている。
チャイナ・ウォッチャーのみならず、一般読者の興味をぐいと掴んで放さ
ない魅力とは、彼女の情報分析の冷徹で慧眼な視点が、所謂「ジャーナリ
スト」的でありながらも、独自の研究に裏打ちされているからだろう。

予言的性質を帯び、読み出したら最後まで一気に読んでしまわなければ納
まらないほどのダイナミックな筆力がある。

福島さんの翻訳もそれに輪をかけてダイナミックだ。

中国は2009年から、450億人民元(8000億円強)もの天文学的
巨費を投じて、対外宣伝作戦をはじめた。

なにしろ「中国にとって報道とはプロパガンダのことだ」。

世界各地で展開した政治宣伝作戦の詳細は、米国を例にしてみると、
NY42丁目のタイムズスクエアの電子広告板(液晶ビジョン)を借り上
げ、米国の新聞に『チャイナ・ディー』(英語版の人民日報のような宣伝
紙)の折り込みを入れ、あるいは紙面に挿入させるという大胆な手法で、
米国にチャイナロビィを形成し、多彩で幅広い領域へと、プロパガンダ作
戦を拡大した。この侵略的な宣伝戦争をペンス副大統領は演説で指摘した
(18年10月4日)。 

新聞記者、学者、政治家の籠絡も派手に展開された。有力な大学には北京
語を教えるとした孔子学院をつくった。

議会人にはあご足つき、ときに美女付きの招待旅行を次々と繰り返し、他
方、シリコンバレーなどでは高給で釣って優秀な人材をスカウトし、中国
のハイテク向上に役立てた。

何も対応策を採らず、指をくわえて見ていたのは歴代政権だったが、クリ
ントンとオバマ政権幹部もまた中国マネーで薄汚く籠絡されていた。

ロスアンジェルスタイムズは怪しげな華僑の資力によって買収された。こ
の手法は香港と台湾でも、あらかたの新聞、ラジオ、テレビ、出版社が中
国の資力によって陥落した。

香港の出版界の実情と言えば4分の3の出版社が中国資本となり、中国共産
党批判の書籍は書店には並んでいない。辻々の屋台で売っているという有
様なのである。評者(宮崎)、今月初頭にも、銅鑼湾書店はどうなった
か?見に行ったのだが、シャッターが降りて鍵がかかったままだった。

かつては良心的と言われた『星島日報』や『明報』もじわりと真綿で首を
絞められるように代理人を通じて中国資本が入り、論調が変わってしまった。

しかし「これら新聞(『大公報』を含めて)の香港に於ける信用度はきわ
めて低く」(160p)、香港の人々からまったく信用されていない。
「親共メディアは読む人などいない」(188p)。

▲シンクタンクも学者もカネに弱かった

ワシントンの「Kストリート」というのは、ロンドンにあった「軍艦街」
とは異なって、政治ロビィストとシンクタンクの集中地区である。(ロン
ドンの「軍艦街」は政府批判を吠えるような論調の新聞社が並んでいた時
代に、そう愛称された)。

このKストリートの保守系シンクタンクにも中国資金がぶち込まれた。
中国は、「委託研究」とかの名目で、あらかたのシンクタンクに法外な研
究費を資金提供し、事実上、研究員を間接買収し、中国贔屓の提言を作成
させたのだ。

Kストリートがワシントンの政策決定を動かし、ウォールストリートが米
国経済を動かし、メインストリートが、米国の支配層を領導する図式があ
るからだ。Kストリートの保守的なシンクタンクですら一時期の中国批判
色は希釈される始末だった。

2015年までの米国は、取り憑かれたようにチャイナ礼賛が続いてい
た。いったい何事が起きているのか、訝った人も多かっただろう。
何清漣女史はこう指摘期する。

「ワシントンのシンクタンクが外国政府から大量の資金提供を受け、ロビ
イ機構に成り下がっており、米国官僚にその国に有利な政策を推進させて
いた」(264p)。

 中国の米国メディアへの浸透、ロビイストたちの籠絡、そのうえアカデ
ミズムの世界への乱入があった。

こうした「紅色浸透」によって、オバマ政権下では「G2」が叫ばれた。
ズビグニュー・ブレジンスキー(学者、カーター政権で大統領安全保障担
当補佐官)やロバート・ゼーリック(元世銀総裁)が声高に提唱し、「世
界を米中で分かち合う」などと中国高官らは高らかに言い放っていた。
中国の「紅色浸透」は映画界にもおよび、嘗てさかんだった反中映画は鳴
りを潜めた。かわりに南京大虐殺があったとする反日映画。出版界でも
「レイプオブナンキン」というフェイク文書が老舗ペンギンブックスから
出されたばかりか、いまも売れているのは、組織買いである。

日本ではどうかと言えば、中国は別にカネを使わなくても、日本人の政治
家も新聞記者も、尻尾をふってやってきた。このチャイナの傲慢はいつま
で続くのか、懸念が拡がった。

直近にも評者(宮崎)が香港へ行ってたいそう驚いたことがある。

黎智英の『リンゴ日報』以外、自由主義に立脚する新聞は香港にないが、
中国礼賛の『文わい報』など、新聞スタンドで、まったく売れていないの
だ! 

『リンゴ日報』は飛ぶような売れ行きと比較して、これはどういうことか
と思っていると、早朝七時。辻々におばさん達がたって『文ワイ報』を無
料で配りだしたではないか!

つまり大量の買い上げによって成り立っているのだ。

これは台湾でもほぼ同じである。

嘗て国民党の宣伝ビラとまで言われた『連合法』も『中国時報』もダミー
を経由して中国から資本が入っている。台湾のテレビ、ラジオもそうである。

かくなると、香港と台湾ではどうやって真実を知っているのかと言えば近
年猛烈な勢いで発達したSNSであり、とくに若者たちは新聞をまったく
読まず、SNSで正確な、客観的情報を入手している。

米国の状況に戻ると、トランプの登場によって、こうした紅色浸透の作戦
は、転覆した。百八十度、その効果がひっくり返し、メディアは反中国、
アカデミズムでもキッシンジャーもエズラ・ボーゲルも孤立し、パンダ・
ハガーから転向したピルスベリーが代表するドラゴン・スレーターが世論
をリードするようになった。

本書は、この10年の中国の作戦の軌跡を振りかえりながらも、克明に大胆
に中国の赤い野望を暴露している。本書、日本の外務省のみならず官庁、
商社マン、マスコミ関係者には必読である。
                 
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読者の声 どくしゃのこえ   読者之声
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  ♪
(読者の声1)通巻第6252号の巻頭記事にある有名ハンドバッグメー
カー名の原語に近い表記は「ルイビュトン」ではなく「ルイヴュイトン」
です。

巷間では「ルイビトン」「ルイヴィトン」などと呼称されていますが…。
些末なこととは思いますが、気になりましたので投稿します。
(元仏語教師)

  ♪
(読者の声2)英国で39人の中国人の凍死遺体。貴誌で続報を知りまし
たが、これって、中国の経済大国というイメージを根底から破壊した悲惨
な出来事ではありませんか。日本のメディアはなぜ詳しく報じないのです
か?(JJセブン)


(宮崎正弘のコメント)中国の官製メディアの反応たるや、「西側は偽善
である。ヒューマニズムを理解していない。管理のずさんな英国は責任を
取れ」などと、凄いですね。この責任転嫁、いつものように中国共産党は
得意な論理のすり替え!

英国のメディアの主眼は人身売買の犯罪シンジケートの解明に置かれてい
ます。米国のメディアは関心がない点で日本と同じでしょうか。

熱心に伝えているのは台湾、香港、シンガポールの華僑系メディアという
図式です。

経済大国の実態とは凄まじい所得格差であり、貧困層が数億人!
     

2019年10月28日

◆空室率が7・4%という惨状

宮崎 正弘


令和元年(2019)10月23日(水曜日)通算第6247号  

 香港セントラル地区のオフィスビル、空室率が7・4%という惨状
  中国大陸企業オフィス賃貸が激減、「一ドルでも貸します」

ついに賃貸料1HKドル。

 注意深く広告を読むと、最初の3ヶ月は1平方フィートが、100HK
ドル(15000円)。それで定着しそうなテナントには別の賃貸料金が
提示される。1ドルを謳うビルもある。値下げ競争である。

しかし不動産の実態は、香港政庁や金鐘駅に近い地域が、「暴動の名所」
となり、たとえばバンカメビルは、1平方フィート58ドルにまで値下げ
したが、テナントがつかないという(サウスチャイナ・モーニングポス
ト、10月22日)。

有名なビルはセントラルに集中している。日本で言えば大手町、丸の内が
そうであるように企業の権威と信用を維持するために人気があり、空室が
殆どない。ところが中規模のビルや、裏通りの商業ビルにテナント募集の
看板が目立ちだした。

完全に風向きがかわったのである。

銅鑼湾の商業ビルはテナントが次々と撤退したため、賃料を60%値引き
した。にもかかわらず、契約に来る企業も商店も皆無に近い。理由は、こ
のあたりがデモ隊の集合場所であり、警官との衝突の名所、催涙弾と火焔
瓶が飛び交う「名所」となって、一般市民の買い物客も寄りつかなくなった。

これまでの香港の標準的な契約は7年契約が多く、更新ごとに大幅な賃貸
料金の値上げ、それもいきなり2倍とか。日本のデパートが撤退した理由
は、この理不尽はビルオーナーのビジネスマナーにあった。
そのオーナーたちの心理は絶望の淵にある。

香港セントラル地区のビジネスビルにテナント入居していた中国大陸企業
のシェアは2017年が57%、2018年が58%だった。それが
2019年九月末現在、わずか14%に激減していた。

不動産業者が絶望的になるのも無理はない。

まるで客がいない。満員の店は海外不動産を販売している代理店であり、
マレーシア、シンガポール、インドネシア、フィリピンばかりか、フィ
ジーやバヌアツのマンションも、ここで販売されている。もちろん東京の
マンションも人気が高い。

混んでいる法律事務所は海外移住斡旋の代理店ばかりだ。移住先のこれま
でのカナダ、豪、NZから、ここ四ヶ月はマレーシアと台湾への移住希望
が急増した。

不動産状況を見ても、香港経済の惨状がわかる。

   
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書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW
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 出尽くしたと思っていたが、まだまだ未収録作品があった
逝去から二年半、いまも衰えない「昇一節」の重厚な音色

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渡部昇一『 歴史への遺言   未来を拓く日本人へ』(ビジネス社)
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「歴史は虹のようだ」といきなり美的な文学的比喩が大書される。
 
なぜ、このような大胆な定義をされるのかと訝しんだ。オッと、頼山陽の
『日本外史』の名調子、酔うように陶然自失、「鞭声粛々 夜河をわた
る」的な、あのリズムが何時までの記憶に残るからである。

ちなみに福知山の御霊神社のご神体は明智光秀である。その境内に建つ大
きな石碑は頼山陽の漢詩から引いている。頼山陽の著作には『日本政史』
もあって、こちらのほうを愛読したのは伊藤博文と近藤勇だった。前者は
渡部氏も指摘しているが、後者は触れられず。近藤勇は剣豪として知られ
るが、じつは教養豊かで尊皇攘夷の水戸学を語る愛国者だった。その新撰
組のトップの真実を薩長史観に立った明治政府は隠した。

本書では徳富蘇峰に関しても、意表を突くアングルから語られる。蘇峰の
『近世日本国民史』は、全百巻。資料的価値が満載で重宝このうえなく、
評者(宮?、)もときにここから重引用させて貰うことがあるが、徳富蘇
峰が助手を使って歴史文献をひろく集めた努力の結実である。

学生時代に10冊にまとまった選集を買った記憶があるが、いまでは部分的
に講談社学術文庫に入っている。

ともかく渡部昇一氏の著作群。出尽くしたと思っていたが、まだ夥しい未
収録作品があったわけだ。

本書は逝去から2年半、いまも衰えない昇一節の収録本である。
 
評者は、『大同無明』という氏の主宰された対話番組に何回か呼ばれた
り、ラジオでご一緒したりしたが、休憩時や待機時間に片時も書物を手放
さない学者。それも常に手にされていたのは原書だった。
 氏の功績は山のようにある。

例えばリットン報告の本当の読み方、ジョンストンの『紫禁城の黄昏』岩
波文庫版の改竄的翻訳。満州国は傀儡国家ではなかったという目からの鱗
の諸説が連続した。

就中、『紫禁城の黄昏』を意図的誤訳と改竄ぶりの指摘は凄まじい迫力が
あった。岩波文庫訳本は大事なチャプターを翻訳しないで、つまり原典が
なぜ東京裁判で証拠採用にならなかったかは、連合国にとっても不都合な
歴史の真実が書かれていたからだ。

たとえば、皇帝溥儀が英国人家庭教師とともに日本大使館に保護を求めて
逃げ込んだとき、日本側は迷惑顔をしたとジョンストンは証言している箇
所など。

つまり岩波文庫本は中国共産党を刺戟しないように、組み替えられていた。

さはさりながら、渡部昇一氏の最大の功績は、「南京大虐殺がなかった」
という歴史の真実を繰り返し繰り返し述べられて左翼教条主義や中国の出
鱈目な歴史解釈に挑戦されたことだった。
 
評伝を書いた松崎之貞氏によれば、セレンディピティ(偶然の幸運、ひら
めき)に富んで意想外の発見を重視し論を組み立てるのが渡部昇一の得意
技ともいえ、『古事記』に関してもひらめきに拠る、相当量の著作を残し
ている。

氏が指摘した『古事記』の魅力の4点とは、

一、神話の時代と歴史の時代が地続き
一、漢字の音を用い、大和詞で古代の心や事蹟を書き残した
一、その発明がカナ文字の起源になった
一、皇統の継承は男系男子の原則を古事記は明確に使えている。

ほかに本書でも力説されているポイントは、日本人の自然観と西洋人の自
然への敵対感覚の乖離である。

日本人は「神さまが生んだ自然のなかに生きているのだと、どこかでかす
かに感じることは基本的に西欧人などと異なるところです。山ひとつとっ
てみても、ヨーロッパの人たちが『それを征服する』と考えるのに対し、
日本人は山を目にすると、それを尊敬します。(中略)自然に八百万の
神々を感じることのない西洋人は、木に対しても『神が宿っている』など
とは考えませんから、邪魔な木はどんどん伐採してしまいます。そうして
過酷な事前を克服しようとします。また、石や草や鳥獣虫魚を切り刻んで
も祟りなど怖れることがない」。

だが、日本人は花を愛で月を眺め、風の音に耳を傾け、その心情に風流、
雅びを育んできた。

和歌が詠まれた。俳句も川端の『山の音』も、西欧人が理解できない理由
は自然観の相違にあるとされる。
 
昔、渡部氏は竹村健一氏らと豪のエアーズロックを見に行って。不思議に
思ったのはてっぺんに何もないことだったという。そういえば、日本は山
の頂上に神社がある。
愛宕山の頂上には明智光秀が連歌会を開いた神社がある。月山に30年ほど
前に登攀したことがあるが、山の頂きには鳥居が建てられ、神社があり、
そこで御神酒をいただいたことを思い出した。
のびやかに書かれた氏の日本史論である。