2016年11月24日

◆次は「アールセップ」と「エフタープ

宮崎 正弘 


<平成28年(2016)11月24日(木曜日)通算第5105号  <前日発行>>

 〜TPPは去った。が、次は「アールセップ」と「エフタープ」
  中国の喜びも束の間の幻覚に終わりそう。多国間交渉は必ず長引く〜

TPPが去って、つぎは「アールセップ」(RCEP)と「エフタープ」
(FTAAP)ですか。
 トランプ次期大統領は「ホワイトハウスへ入った初日にTPPからの撤
退する」とホームページに掲載した。
エネルギー政策を最優先課題とするための規制撤廃(パリ協定からの撤
退)、外国ロビィストへの規制強化も優先課題にあげるとした。

 TPPからの撤退をトランプ次期大統領が鮮明にしたことを中国が熱烈
歓迎したのは「中国を除外したTPPは中国包囲網」であり、これを米国
が自ら破るのだから、欣快に思えたのだろう。
 つまりTPPによる中国排除は「日本の幻想」だったと分析して、溜飲
を下げているのである。

 米国の庶民感覚では「自由貿易」ではなく「公平な貿易(Fair 
Trade)を求めるスローガンが並んでいることをお忘れなく。
トランプは中国の貿易慣行が「不公平」と言っているのである。模倣、ダ
ンピング、為替操作、企業買収の一方通行が不公平だと主張しているので
あって、中国の分析とは百八十度異なる。

 中国の風刺漫画にはTPPの「T」と「P」を分断し、その間に
「RUM」を挿入している。つまり「TrumP P]というわけである。
もう一枚の諷刺漫画は荷物一杯のリックサック(TPP交渉の成果)を背
負って、ようやく中華門にきたオバマを、扉を堅く閉めて追い返す構図と
なっていた。

そのうえで、中国は、主導権が握れそうな次の貿易交渉「RCEP」に重
点を置くとしている。

RCEP(東アジア地域包括的経済連携)とはアセアン10ヶ国に六カ国
(日本、中国、韓国、豪、ニュージーランド、印度)を加えた16ヶ国の広
域経済圏を目指そうとするもので、中国が主唱してきたEAFTA(東ア
ジア自由貿易圏)を併存する。EAFTAは明らかにNAFTA(北米自
由貿易協定)をもじっている。

NAFTAは発効してすでに20年。いまさらトランプが撤廃を獅子吼して
も、これは条約の改正にあたり、議会の承認が必要。とても撤廃は無理で
ある。

RCEPの最初の構想は2011年のアセアン首脳会議での合意だった。翌年
2012年に具体的な討議が開始され、13年5月、ブルネイで初回交渉が開始
されてきた。

多国間交渉であるためいきなりの合意はのぞむべくもなく、しかしうたい
文句は参加の16ヶ国で人口が34億人、GDPは20兆ドルに達し、広域な
FTAが実現すれば、貿易、投資、サービルが向上するというもの。
 このRCEPが将来のFTAAPの実現に繋がるとしている。

しからばETAAPとは何か。

これは「アジア太平洋自由貿易圏」で、アジア太平洋地域での関税や貿易
を制限した措置、規則などを排除して、幅広い分野での連携強化を謳う構
想だ。
 2006年のAPEC首脳会議では「FTAAP構想に関しての研究開
始」が合意され、この米国を除外した構想に着目した米国が、いきなり
TPP構想を打ち上げて、言ってみればFTAAPを拡大しようとして別
角度から参入してきたということである。

日本はさきにTPPを成立させることに米国と協調し、このFTAAPを
後回しにする戦略をとった。

ところが2階にあがっているうちに梯子を外され、日本の狙ったTPPが
不発におわって、日本としてはFTAAP交渉のテーブルに再度つくの
か、どうか。
中国は明らかに米国を排除した自由貿易圏の成立を急ぎ、俄然、主導権を
握ろうと乗り出したという現状である。
 
――嗚呼、一難去って、また一難。

2016年11月23日

◆ハプニングは安倍・宋楚諭会談

宮崎 正弘
 

<平成28年(2016)11月22日(火曜日)通算5101号 > 

〜リマAPECのハプニングは安倍・宋楚諭(台湾代表)会談
         老子曰く「何事が話されたかは公表しないものだ」(宋)〜


APECには世界の首脳が大集合。オバマ、プーチン、習近平に安倍首相。

台湾からは宋楚諭(親民党主席。元国民党秘書長)が参加した。宋は蔡英文
総統の「資政」(最高顧問団の一人)である。

日本のメディアは安倍首相とオバマ、プーチンとの個別会談を報じたが、
ほかの国の代表が何をしたかには殆ど興味がない。カンボジアのフンセン
首相、シンガポール首相、ブルネイ国王が参列した貴重な会談だった。

ハプニングは台湾代表だった。

APECに地域代表という肩書きで特別参加している台湾代表は、しかし
記念写真にちゃんと写っている。

台湾代表の宋楚諭は、オバマ、プーチンら重鎮の側に位置し、習近平とは
一人置いて立っているが、お互いに顔を背け合った。
 
会場に一番乗りして待ちかまえた宋楚諭は、オバマ大統領と習より先に握
手し、ケリー国務長官とも立ち話をした。ケリーには「台湾関係法の遵
守」を確認したと台湾メディアは伝えた。
 
ハイライトは宋楚諭が安倍晋三首相と握手し、何事かを打ち合わせたこと
で、記者会見で何が話題になったかと聞かれ、宋楚諭は答えた。
 「老子曰く、何事があったかは公表しないものである」と。

      (註 宋楚諭の「諭」は王扁)
      

2016年11月22日

◆ロムニー国務長官の観測は遠のいたか

宮崎 正弘 


<平成28年(2016)11月21日(月曜日)通算第5099号>  

〜ロムニー国務長官の観測は遠のいたか
   トランプと会談後、「つっこんだ話し合いをもった」とだけ〜


 ミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事(12年共和党大統領候補)
は11月17日、ニュージャージー州にあるトランプ所有のゴルフ場に招
かれ、一時間にわたって「つっこんだ話し合い」を持った。
ゴルフ場の入り口にはトランプ次期大統領、ペンス次期副大統領が出迎えた。

 予備選中、「トランプは詐欺師だ」と鋭角的な批判を展開していたロム
ニーだが、政治のレトリックは、リアリストの政治家にはすぐに忘れるも
のらしい。
トランプから国務長官を打診されるや、いそいそと出かけるのは、それな
りの心づもりがあるからだろう。

 ワシントンタイムズなどの観測に拠れば、トランプとロシアを巡っての
論議があったようだ。
「ロシアは本物の敵」という認識に立つロムニーは「プーチンと対話し、
現在の硬直した米ロ関係の宥和」を主張するトランプとは相容れない部分
がある。

とくにトランプはシリアに関しては「劇的」な歩み寄りをやらかす可能性
がある。つまりオバマ前政権との差違を際立たせるために「アサド打倒を
叫ぶ反政府勢力へロシアが攻撃を激化させても、口出しをしない(つまり
アサド政権の結果的延命を容認する)。

そういえばオバマは前政権ブッシュの展開したイラク戦争は「悪い戦争」
と定義し、アフガニスタンも必ず勝つと言って兵力を増員し、その軍事的
理解力不足から結果的にイラクもアフガンも無政府状態とさせた。

トランプはオバマ路線の否定を印象づける政策をまず一番に行うだろう。

トランプのイスラエル政策にも微妙な変化が出ている。

トランプは「在イスラエル米大使館をテルアビブからエルサレムに移転す
る」と言ってきたが、これはパレスチナを無視するという意味が含まれて
いる。

20日夜、ユダヤ人の集まりZOS「在米シオニスト協会」の大宴会が開催
され、ベネッタ前教育長官、シェルドン・アーデルマン(カジノ王、トラ
ンプ最大の献金者)に混じって大統領上級顧問に指名されたばかりのバノ
ンが出席した。

同会は政権中枢にも他にフリン大統領安全保障担当補佐官がイスラエル贔
屓であり、伝来のイスラエル寄りの外交が継続拡大されることを期待して
いる。

フリンは安全保障とりわけ情報戦、ハッカー対策の専門家だが、イスラエ
ル重視と同時にエジプト重視をトランプに建言している。

在米ユダヤ人反主流派は民主党系の「Jストリート」だが、トランプ政策
には反対の立場を表明しており、在米ユダヤ社会が真っ二つに割れている
ことを象徴している。

2016年11月21日

◆100人も雇って中国で汚いビジネス

宮崎 正弘 


<平成28年(2016)11月18日(金曜日)弐 通算第5097号 > 

 〜中国の太子党を百人も雇って中国で汚いビジネス
    JPモルガンに2億6400万ドルの罰金〜

いやはや。中国でビジネスを成功させるには「クアンシー」(関係、コ
ネ)が武器となる。ならば手っ取り早く共産党幹部の子弟を雇い、一気に
中国でのビジネスを拡大しようぜ、とばかり、JPモルガンは過去七年間
に100人にものぼる、能なしの馬鹿息子らを雇用した。

これを内部では「息子と娘作戦」と呼んだ。

米国政府は11月17日、JPモルガンの不正行為に対して、総額2億6400万
ドルの罰金を命じた。
 
SECに1億3000万ドル、司法省に7200万ドル、そしてFRBに6190万ド
ルを支払う。

JPモルガンのケースは、じつは氷山の一角に過ぎず、ゴールドマンサッ
クスなども、盛んに太子党を雇用した。かれらは別に出社もせず、出社し
ても何もやることはなく、コネを振り回して人を紹介するだけが仕事である。

そのうえ、香港には太子党が経営する怪しげなファンドが相当数存在し、
なかには習近平の姉や実弟。李源潮(国家副主席)の関係したファンド、も
ちろん江沢民の息子等が絡んだファンドがあり、インサイダー取引による
投機を繰り返していると言われる。因みにJPモルガンの香港における収
益は560万HKドルだった。

中国共産党は子弟らが外国企業で働くことを特に禁止していないが、アメ
リカの法律では外国ロビィ、そのほかの規制から、こうした外国政府高官
と子弟縁戚とのコネクションの雇用は厳しく制限されてきた。

さて問題は日本企業である。

やはり相当数のダラ幹の子弟を雇用しているが、アメリカのような法律が
ないために、規制を受けていない。道徳的倫理的にどうか、という問題も
表面化していないが、これを問題にするべきではないか。

2016年11月20日

◆最大の政敵ミット・ロムニーに国務長官を打診へ

宮崎 正弘



<平成28年(2016)11月18日(金曜日)参 通算第5098号>  
 
速報

〜驚き桃の木、トランプの大逆転組閣プラン
             最大の政敵ミット・ロムニーに国務長官を打診へ〜

トランプは安倍首相と異例の会談を持った。

政権発足前に外国のトップと会うことは、2000年以来の椿事。不文律はな
いが、就任前のトランプは国務省からのビリーフィングを受けておらず、
ワシントン政界は強い懸念を抱いた。

そこのところはしっかりと心得た安倍首相だから、トランプ次期大統領と
一時間半に及んだ会談のあとに記者会見を開いても、「ふたりの会談の中
味をいうことは差し控える」とし、同盟関係の確認と前向きの会談であっ
たこと、日米の信頼関係を確認できたと語るに留めている。
 
さて、驚きのニュースが入ってきた。
 
ワシントンポストによれば、選挙中トランプを鋭く批判して党大会もボイ
コットしてきた保守本流の大物、ミット・ロムニー(前マサチューセッツ
州知事。12年の共和党大統領候補)が明日(19日)トランプタワーでトラン
プと会見する。

しかもトランプ側近筋は「ミット・ロミニーに国務長官を打診する」とい
うのだ。

思い出すことが多い。
オバマは予備選でぎっしりと接戦を演じた政敵ヒラリー・クリントンを予
測外の「国務長官」に指名して、民主党の宥和を図った。レーガンは政敵
だったブッシュを副大統領とした。ブッシュは党内宥和のためタカ派のダ
ン・クエールを副大統領にした。

ミット・ロムニーは共和党保守本流の重鎮。もし彼が国務長官を引き受け
るとなる、と共和党は挙党態勢へ一気に流れ出す。

これまで国務長官へ名前の挙がったニュート・キングリッチ元下院議長
は、記者団に「閣僚になるつもりはない」と語り、ジュリアーニ元NY市
長も「司法長官にはなる意思はない」と言い、選挙本部長格だったクリ
ス・クリステーは、内輪もめによって政権引き継ぎチームから去った。

のこる有力者はジョン・ボルトン(元国連大使)とセッション上院議員くら
いとなった。これまでの下馬評は、ここへきてガラガラぽんの様相をみせ
ている。

       

◆トランプの大逆転組閣プラン

宮崎 正弘



<平成28年(2026)11月28日(金曜日)参 通算第5098 号>  

(速報)
 驚き桃の木、
  最大の政敵ミット・ロムニーに国務長官を打診へ

トランプは安倍首相と異例の会談を持った。

政権発足前に外国のトップと会うことは、2000年以来の椿事。不文律はな
いが、就任前のトランプは国務省からのビリーフィングを受けておらず、
ワシントン政界は強い懸念を抱いた。

そこのところはしっかりと心得た安倍首相だから、トランプ次期大統領と
一時間半に及んだ会談のあとに記者会見を開いても、「ふたりの会談の中
味をいうことは差し控える」とし、同盟関係の確認と前向きの会談であっ
たこと、日米の信頼関係を確認できたと語るに留めている。
 
さて、驚きのニュースが入ってきた。

ワシントンポストによれば、選挙中トランプを鋭く批判して党大会もボイ
コットしてきた保守本流の大物、ミット・ロムニー(前マサチューセッツ
州知事。12年の共和党大統領候補)が明日(19日)トランプタワーでトラン
プと会見する。

しかもトランプ側近筋は「ミット・ロミニーに国務長官を打診する」とい
うのだ。

思い出すことが多い。

オバマは予備選でぎっしりと接戦を演じた政敵ヒラリー・クリントンを予
測外の「国務長官」に指名して、民主党の宥和を図った。レーガンは政敵
だったブッシュを副大統領とした。ブッシュは党内宥和のためタカ派のダ
ン・クエールを副大統領にした。

 ミット・ロムニーは共和党保守本流の重鎮。もし彼が国務長官を引き受
けるとなる、と共和党は挙党態勢へ一気に流れ出す。

これまで国務長官へ名前の挙がったニュート・キングリッチ元下院議長
は、記者団に「閣僚になるつもりはない」と語り、ジュリアーニ元NY市
長も「司法長官にはなる意思はない」と言い、選挙本部長格だったクリ
ス・クリステーは、内輪もめによって政権引き継ぎチームから去った。
残る有力者はジョン・ボルトン(元国連大使)とセッション上院議員くらい
となった。これまでの下馬評は、ここへきてガラガラぽんの様相をみせて
いる。

       
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」:2016年
11月15日】
  ♪
〜なぜ日本と台湾にとってトランプ大統領の誕生は歓迎すべきことなのか〜
                           黄 文雄

◆トランプ陣営参謀、「台湾への武器供与」の必要性強調

ドナルド・トランプ氏が次期アメリカ大統領に決まったことで、日本では
日米関係を不安視する声が高まっています。読売新聞の世論調査では、今
後の日米関係に不安があると答えた人が58%にのぼりました。

トランプ氏は日本の米軍基地をはじめとして、在外米軍基地への同盟国の
負担増大を求めており、また、ヒラリー・クリントンが中心となって進め
たオバマ政権のアジア・リバランス政策の見直しが行われる可能性がある
ということで、アジアでのアメリカのプレゼンスの低下と中国の覇権主義
の増大が懸念されています。

台湾でも、一部ではそのような懸念が持ち上がっています。今年の7月に
は、アメリカの「ボイス・オブ・アメリカ」がトランプ大統領が誕生すれ
ば、台湾海峡で戦争の可能性があり、台湾は自主防衛のために核武装を模
索すること十分ありえるとしました。もっとも、この分析も、選挙期間中
に繰り返されてきたトランプ氏へのネガティブキャンペーンの一環である
可能性もありますが。

台湾でもトランプ氏の大統領当選は大きな話題となっていますが、一般の
台湾人はこれを「ショック」と捉えるよりもむしろ「歓迎」する向きが大
きくなっています。

というのも、中国はさかんに台湾を「絶対不可分の神聖なる国有領土」と
呼び、白書まで発行して台湾にも他国にも「ひとつの中国」を認めるよう
に圧力をかけてきています。日本ですら国会で中国の主張を「理解する」
と是認して、国家として認めていません。

そのため台湾人は「暴言王」であるトランプ氏が中国の主張を否定するよ
うな言葉を言ってくれることを、密かに期待しているのです。そしてその
台湾人の期待を後押しするような情報が、いろいろと入ってきています。

◆トランプ氏は中国・台湾をそれぞれどう見ているのか

たとえば、かつて陳水扁政権で国防部副部長だった林中斌氏は、トランプ
政権では反共産主義の立場だった人が要職につくという予測しています。

また、冒頭の記事は、トランプ陣営の参謀である米カリフォルニア大の
ピーター・ナバロ教授と、米下院軍事委員会で海軍力小委員会委員長のア
ドバイザーを務めたアレキサンダー・グレイ氏が、米誌「フォーリン・ポ
リシー」に台湾への全面的な武器供与の必要性を訴える論文を掲載したと
いうものです。

同記事によれば、2人は、オバマ政権の台湾に対する扱いは「実にひどい
ものだった」とし、台湾はおそらく米国のパートナーの中で軍事的に最も
脆弱だと指摘。2010年にアメリカ国防情報局が台湾海峡の軍事バランスを
「北京側に傾いている」と警告したにもかかわらず、オバマ政権は中国の
野心を食い止めるために必要な、台湾への包括的な武器の供与を拒み続け
たと批判している、と報じています。

たしかにオバマ政権時代は米中蜜月の時代と見なされ、台湾人のアメリカ
離れを招きました。そしてそれが馬英九政権に「対中接近」の好機を与え
たのです。しかし、馬英九はアメリカ国籍などを持っているかどうかを曖
昧にしたまま8年間も総統を務め続けたこともあり、支持率は1ケタ台にま
で低迷してしまいました。

2013年ごろから、台湾ではアメリカ共和党支持が大勢になりつつありまし
た。だからトランプの出現と躍進に対しては、意外というよりも期待のほ
うが大きいのです。中国の台湾に対する理不尽な主張に対して、ハーグの
仲裁裁判所のように「まったく根拠なし」とまで断じなくとも、「中国は
嘘つきだ」とさえ言ってくれれば、台湾は主権国家としての正当性が生ま
れます。

トランプ氏の陣営のアジア系アメリカ人委員会に所属する台湾出身の企業
家・徐紹欽氏も、「トランプ氏は台湾を信頼できる友人と考えている」と
発言しています。

トランプ氏の対中政策はまだ判然としません。しかし、鉄鋼をはじめとす
る中国の輸出品については不当なダンピングをしているということで、中
国産品に45%の関税をかけるべきだと主張しています。この姿勢について
は、大統領就任後も変わらないでしょう。というのも、トランプを選んだ
白人労働者は、自分たちの仕事を奪っているのは中国だという怒りを持っ
ているからです。

こうした労働者の反中国感情は世界中で高まっています。昨年の10月に習
近平主席がイギリスを訪問したときには、同国の鉄鋼業界が中国の鉄鋼ダ
ンピングについて強く批判を行っており、デモも起きています。

加えてトランプ氏は、選挙期間中に中国を為替操作国に認定すると述べて
きました。これについては元財務長官顧問も「トランプ氏は公約を守るだ
ろう」と述べています。そうなれば、中国経済はさらに苦境に陥ることは
避けられません。

◆日本がトランプ新大統領を歓迎すべきこれだけの理由

また、トランプ大統領は、アメリカの対ロシア政策を軟化させる可能性が
あります。プーチン大統領を「オバマ大統領より優れている」と持ち上げ
るなど、プーチンをよく称揚しているからです。その背景には、米ロ接近
による中国牽制という意図も見え隠れします。そしてこれは安倍首相によ
る日ロ接近ともシンクロします。

先日もモディ首相が来日しましたが、日本はインドとも連携して中国包囲
網を構築しようとしています。こうした動きはトランプ氏の「アメリカ・
ファースト」とも利害が合致する可能性が高いと言えるでしょう。

楽観視することはできませんが、トランプ陣営から出てくる情報では、日
本や台湾よりも、対中政策がより厳しくなると予想されます。それに、ア
メリカがアジアでの軍事的プレゼンスを低下させることは、日本にとって
は日米地位協定などの「不平等」な協定見直しや憲法9条の改正に拍車を
かけることにも繋がります。

2013年に安倍首相が靖国神社を参拝した折には、アメリカ大使館が「失望
した」などという声明を出しました。言うまでもなくこれは、オバマ政権
が命じたものです。アジア・リバランス政策を重視するオバマ政権は、韓
国の反発によって日米韓の連携が崩れることを懸念したのでしょうが、多
くの日本人は内政干渉だと感じたはずです。

こうしたことも、トランプ大統領の誕生によって、変わってくる可能性が
あります。もともと自民党は共和党とのパイプが太いですし、これまでア
メリカの圧力でできなかった防衛システムの強化、日本の独自外交も進ん
でいくと思われます。

それにしても、大方の予想に反してドナルド・トランプ氏が次期大統領に
決まったことは、日米のメディアの終焉を示す象徴的な出来事でもありま
した。このメルマガでも以前お伝えしたように、私が10月に訪米した際、
日米のメディアではヒラリー当選が確実のように伝えていましたが、ロサ
ンゼルス在住の日本人でトランプ当選を予想する人が少なからずいました。

ヒラリーが優勢といわれたカリフォルニア州でも、トランプ当選を感覚的
に予測していたということは、あれだけのネガティブキャンペーンでも、
それを信じない人が多かったということです。

日本のメディアはアメリカのメディアの伝えることをそのまま流すだけで
すから、「トランプはとんでもない人物」という評価ばかりが先行し、
「だから当選はない」という論調につながっていきました。

しかし予備選のときも予想を外し、本選でも予想が大外れしたわけですか
ら、メディアとしての信用力はガタ落ちです。もともとアメリカは新聞や
テレビメディアを信用する人の割合が日本に比べて低く、世界価値観調査
(2010〜2014年)によれば、日本では新聞・雑誌を信頼できると考える人
が73.8%、テレビを信頼できると考える人が69.7%に対して、アメリカは
それぞれ22.8%、23.2%しかいません。むしろ信頼できないと答える人の
ほうが多いのです。

もともとアメリカではメディアはあまり信用されていないので、今回の影
響は「軽微」ともいえます。むしろ影響が大きいのは日本のほうではない
でしょうか。ネット世代が増えて、新聞やテレビを必要としない人はこれ
からますます増えてくるわけですからなおさらです。

これまでも日本のメディアの偏向ぶりは問題となってきました。安保法制
のときもそうでしたが、その影響力の低下は静かに、しかし確実に広がっ
ています。トランプ現象は、日本のメディアの終焉、そして彼らが支持し
てきた左派の終焉にもつながると思われます。

◆そして訪れる、中国経済の大崩壊

メディアが結果を見誤ったのは、世界的にグローバリズムからナショナリ
ズムへの回帰が起きていることを認めようとしていなかったからではない
でしょうか。

とくに左派メディアは「ナショナリズム」が嫌いですから、世界的潮流を
見ないようにしてきたと思われます。

しかし、今回のトランプ当選は、間違いなく世界的なグローバリズムから
ナショナリズムへの回帰です。そしてそれはイギリスのEU離脱にも通じ
るものです。イギリスのEU離脱も、多くのメディアや世論調査は予想を
大外ししました。

東西冷戦後、パックス・アメリカーナが確実となり、アメリカは「アメリ
カイズム」としてグローバリズムを世界規模で推し進めてきました。しか
しそれがやがてリーマンショックを招き、アメリカの経済や産業に衰退を
もたらしました。そして、ヒラリーが代表していたのが、このグローバリ
ズムという既存の世界秩序であり、トランプが代表していたのが既存の世
界秩序への反逆でした。

アメリカは過去のモンロー主義へと先祖返りし、世界もグローバリズムや
ボーダレスからナショナリズムへと回帰しつつあり、国家優先が大きな潮
流となりつつあります。世界経済をマクロ的な視点で見ると、中国をはじ
めとするBRICS諸国の奇跡的な経済成長は、グローバリズムによって成し
遂げられたことは間違いありません。中国はすでに人類史上最大の通商国
家となっています。

しかしグローバリズムからナショナリズムへと逆回転が始まれば、通商国
家は生き残れません。しかも中国はかつての「自力更生」の時代に戻るこ
とも不可能です。アメリカは中国最大の輸出国(輸出全体の約17%を占め
る)でもあります。そのため、アメリカの関税が引き揚げられただけで中
国は干上がってしまいます。

来年にはドイツの総選挙があり、反グローバリズムと反移民の国民感情の
たかまりから不人気のメルケル首相は出馬しない可能性があります。
そうなれば、安倍首相は国際政治の最長老として存在感がますます大きく
なっていきます。

 安倍首相は戦後日本外交の巧者であり、これほど世界を回った首相はい
ません。安倍首相の努力によっては、アジアで日米露の三国同盟という新
しい展開も夢ではありません。日本も台湾も、トランプ大統領の誕生は大
きなチャンスなのです。

2016年11月14日

◆まともな紙おむつも粉ミルクもつくれない国が

宮崎 正弘 


<平成28年(2016)11月13日(日曜日)通算第5086号 >

〜まともな紙おむつも粉ミルクもつくれない国が宇宙ステーションとは
   偏在する技術力、アンバランスな産業構造。どこかで破綻するだろう〜

宇宙における軍事要塞が「宇宙ステーション」だ。

中国は2016年10月に「神舟11号」を打ち上げ、宇宙船に滞在することに成
功、これで米ロに追いついたと豪語した。

中国の宇宙空間への取り組みはすべて軍事利用である。宇宙というフロン
ティアをさきに制覇すれば、世界を制覇できるという中国のパラノイア的
野心が、この宇宙技術開発に集約されている。

すでに遠隔探査衛星「遙感」と高精度画像撮影衛星「高分」によって、中
国に接近する外国の海上部隊を探査し、防衛作戦行動を遂行するために衛
星の精度向上をはかり、戦争に利用する。

測位衛星「北斗」は弾道ミサイルや次世代兵器の超音速度飛翔体を誘導す
る目的がある。

現実に「北斗」の端末をつかって海上民兵に偽造した軍人漁民は、尖閣諸
島に400隻が侵入して漁場を荒らした。すでに「北斗」の端末は中国漁船
四万隻に搭載されている。潜在的戦力として漁船も活用するのである。

 そればかりかパキスタンなど世界30ヶ国に中国は「北斗」の端末を輸
出して外貨を荒稼ぎしているが、この衛星を2020年まで35基打ち上
げる計画がある。

 通信衛星の「烽火」は軍事通信に欠かせず、また量子通信衛星「墨子」
は、解読困難な暗号通信を解読し、あるいは自軍の通信に利用する。これ
らの総合戦力をたかめるために、中国軍は近年、工学部出身者を高給で大
量に雇用してきた。

 米国が最初に衝撃を受けたのは中国がキラー衛星を実験し、宇宙空間で
の衛星破壊が可能な技術を獲得したことだった。
敵戦力、とくに偵察衛星、探査衛星、通信衛星を破壊すれば、米国、
NATO、日本などの探査、観測、通信の機能を壊滅でき、敵戦力の初動
ができなくなると、戦争を圧倒的優位に遂行できる。

 くわえて中国には独自の宇宙ステーション(天宮計画)と月面基地建設
計画があり、米ロに先駆けて宇宙を支配し、世界第一の覇者になろうとす
る野放図ともいえる野心がある。
 現に直系500メートルもの世界最大の天体望遠鏡を貴州省に建設し
た。このために一万人の住民を立ち退きさせた。これは電子望遠鏡「天
眼」というが、100億光年向を観測できるというシロモノだ。
 

 ▼専守防衛では国を護ることは出来ない

では日本はと言えば、観測衛星、通信衛星、気象衛星では卓越していて
も、軍事偵察機能を取り外していたり、通信衛星でも敵の通信を傍聴でき
ないようにしており、軍事目的が備わっていない現実は、戦力とはとても
言えない。
中国は軍事偵察衛星、キラー衛星を保有しているのだから、いかに仮想敵
の技術に三周遅れであっても、「攻撃こそ最大の防御」(孫子)であり、
総合的戦力になる。

 日本はGHQの占領以来、まっとうな軍事力を保持することは禁止さ
れ、くわえて日本の自虐的な憲法解釈によって、攻撃兵器を保有できな
い。専守防衛という奇観は、防御兵器システムは良いが、攻撃はいけない
という解釈であり、
現実にはF15に搭載されたミサイルも防御目的、飛んでいるミサイルを
防衛するパトリオットがあっても、いずれ中国が開発する超音速飛翔体を
キャッチアップすることは出来なくなるだろう。

 米国は「攻撃こそ最大の防御」とは言わないけれども、「プリエンプテ
イブアタック」(PREーEMPTIVE ATTACK)という用語を
使い出した。防御的先制攻撃という意味である。

しかしよくよく考えてみれば、まともな紙おむつも粉ミルクもつくれない
国が宇宙ステーションとは片腹痛くないか。
 偏在する技術力、アンバランスな産業構造。どこかで破綻するだろう。

  

2016年11月13日

◆胡春華が上海市書記へ昇格か

宮崎 正弘 



<平成28年(2016)11月12日(土曜日)弐 通算第5085号 >

〜胡春華(広東省書記、団派のライジングスター)が上海市書記へ昇格か
   上海のトップとは次期総書記への最短距離〜

上海市書記というポストは江沢民が、あるいは習近平がそうであったよう
に、次の総書記に最も至近距離のポスト。

この上海市書記に団派の次期リーダーとして注目を集める胡春華(現在広
東省書記)が就くと、在米華字紙「博聞」が報じた(11日)。

玉突きで広東省書記には貴州省書記の陳敏爾が移動になるほか、胡春華の
昇格に伴っての玉突き人事では習近平子飼いの幹部等が抜擢されるという。

この報道、ほかの華字紙ではなされていないので、正式の人事となるかど
うかは不明だが、もし上海書記を団派に明け渡すとすれば、党内挙党態勢
を習近平がめざし始めたとも考えられる。

2016年11月12日

◆トランプ、ワシントンへ乗り込む

宮崎 正弘 



<平成28年(2016)11月11日(金曜日)参 通算第5083号 >

 〜トランプ、ワシントンへ乗り込みオバマ大統領と面談
  引き継ぎチームはまだ形がみえてこず、本部長さえ未定〜

 11月10日、トランプ次期大統領はワシントンDC入りし、ホワイト
ハウスでオバマ大統領と面談した。会談は一時間半に及んだ。午後にはマ
イク・ペンス次期副大統領がバイデン副大統領と面談した。

 オバマは席上、「次期政権引き継ぎチームとの強力を惜しまない」と述
べて、トランプと握手したが、その表情は硬く、余裕がないような印象
だった。
新大統領就任式は2017年1月20日であり、それまでの暫定期間中、
政権委譲を円滑化するために「政権引き継ぎチーム」が組織される。

現在、トランプ陣営には自薦他薦組が溢れ、その多くがブッシュ政権、あ
るいは前回の大統領候補だったミットロムニーの選挙本部スタッフが目立つ。

 トランプ選挙本部で活躍した人々のなかでも、次期政権入りが取りざた
されているのはルビオ・ジュリアーニ元NY市長、ニュート・キングリッ
チ元下院議長、クリス・クリステー現ニュージャージー州知事。ジェフ・
セセッション現アラバマ選出上院議員らである。
 しかしジュリアーニ元NY市長は72歳。「もっと有能で適切な人材が
ある「」として、司法長官就任には難色を示している(NYタイムズ、
11日)。

 またクリス・クリステーはニュージャージー州の財政問題を抱えてお
り、指名公聴会で承認を得るのは難しいとされる。
 
 首席補佐官にはミカエル・リービトの名前が浮上しているが、かれはロ
ムニー選対の本部長だった。
あたかもレーガンが80年選挙でライバルだったブッシュの選対本部長を
務めたジム・ベーカーをスカウトしたような人事になる。


 ▼国防長官に有力はフリン退役少将か

 国防長官に名前が挙がっているのはミカエル・フリン退役少将で、選挙
中は、トランプの安全保障アドバイザーとして活躍した。

さてトランプ新政権ではおよそ2000人もの政権幹部の顔ぶれが入れ替わる。

各省の長官、副長官、次官、副次官、次官補など共和党系のスタッフと入
れ替わるばかりか、局長クラスも移動し、そのうえ各国大使も新たに指名
されるため、ぜんぶ新任され、指名公聴会が終わるのは2017年一杯か
かると言われる。
 
じつは民間のロビィストの勢力地図もかわる。シンクタンクの陣容も変
わる。

政権から天下りして法律事務所やシンクタンク入りするのは民主党系
で、かわって共和党系のシンクタンク、法律事務所からは多数がトランプ
政権入りすることになる。

トランプ政権にどっと加わるのはヘリティジ財団、AEI、CSISか
らで、政権からさってシンクタンク入りするのはブルッキングス研究所、
カーネギー財団などとなる。

なかでも新ロビィストとしてワシントン「Kストリート」(ワシントン
DCのなかでもシンクタンクと法律事務所が集中し、ホワイトハウスに近
い)で大活躍を演じるだろうといわれるのがトレント・ロット元ミシシッ
ピー選出上院議員だ。

ロットは激戦区フロリダ州のトランプ選対本部長を務めて、ヒラリーの
猛追を排撃し、トランプ勝利の道筋を作った功労者でもあり、ワシントン
の法律事務所入りを発表している。
 
Kストリートの新しい顔になるかも知れない。

2016年11月11日

◆ウォール街は落ち着き

宮崎 正弘
 

<平成28年(2016)11月10日(木曜日)参 通算第5080号> 

 〜激戦から一夜明けて、ウォール街は落ち着き、日経平均も900円高
  トランプ、はやくも政権引き継ぎチーム。最高裁判事人事がスタート〜

「大番狂わせ」と日米の主用マスコミが書いた。
直後には内外に意外感が満ちていたが、一晩明けてみると、もっと意
外、大暴落が予測されたウォール街の株価は微高。日経平均は前日の
900円安をさっと回復し、はやくも落ち着きを取りもどした。

さてオバマ大統領は本日(日本時間11日)、ホワイトハウスにトラン
プを招待し、話し合いを行う。ヒラリーも、潔く敗北を認め、アメリカの
団結のために協力し合おうと言って、政界を去る。

まだ主要メディアに次期政権の閣僚予測が出ていないが、恒例として、
政権がスタートする間の「政治空白」を回避するため、政権引き継ぎチー
ムが発足する。

ワシントンで早くも名前が挙がっているのは、ジュリアーニ元NY市
長、クリスティーヌ・ニュージャージー州知事。ニュート・キングリッチ
元下院議長らで、これから共和党との協議を重ねながら次期政権の主要閣
僚人事の選考が始まる。

キングリッチは国務長官、ジュリアーノは司法長官かという噂がはやく
も飛び交っているが、とくにジュリアーノは「ヒラリーを裁判に掛け、刑
務所に送る」と息巻いている。

アウトサイダーのトランプは、これらの作業にマイクペンス副大統領に
任せる異になるだろう。

それよりトランプ次期大統領が、まっさきに手を付けるのは最高裁判事
の人事である。空席1を巡り、オバマはリベラル色の強い人物を指名した
が、当然ながらトランプはこれを忌避し、保守系の判事を指名することに
なる。

まして80歳前後の最高裁判事があと2人いるので、この退任をまって連
続指名となると最高裁の構成が現在の4(保守)vs4(リベラル。欠員
1)から一気に6(保守)vs3(リベラル)となる可能性もある。

トランプ革命は、そうしたあたりからスタートすることになる。

     

2016年11月09日

◆「逆転満塁さよならホームラン」の可能性

宮崎 正弘 



<平成28年(2016)11月6日(日曜日) 通算第5074号> 
 
〜トランプ。9回裏3死満塁。「逆転満塁さよならホームラン」の可能性
   民衆の反エスタブリシュメント、反グローバリズムへの怒りは強烈〜

不思議な現象が起きている。

あれほど全米マスコミに罵倒されながら、ドナルド・トランプの支持率は
尻上がり。ヒラリー・クリントンとの差は僅か1%にまで猛追している。
通常の誤差の範囲は5%だから、事実上、逆転しているのではないか。
 
全米の新聞のなかで、1紙をのぞき、ほぼ200紙がトランプを批判し、その
うち、30紙がヒラリー支持を社説に掲げた。残り1紙は「リバタリアン
党」を支持した。まさに異常事態である(ワシントンタイムズとて、明確
にトランプ支援をしていない)。

テレビはかろうじて「フォックス・テレビ」が中立的だが、残りの局は、
なべてヒラリー支援。CNNは90%の番組が民主党支援キャンペーンのご
とくであり、いったい、これほどの四面楚歌にマスメディアの報道合戦の
上で晒されながら、トランプはテフロンのように強い支持に支えられてい
る。これが謎だった。

地下マグマのようなダイナミズム、あの熱狂の根っこにあるのは、アメリ
カ人大衆のワシントンへの怒りだ。火山の爆発のような突発事が起きるの
ではないか。スタインベックの『怒りの葡萄』を思い出した。

エスタブリシュメント、ウォール街、そして1%の富裕層に対して、多く
のアメリカ国民は既成政治家のゲームに厭いた。だからヒラリーはウォー
ル街の操り人形と訴えるトランプのレトリックに酔う。

そのヒラリーがウォーレン・バフェット(全米投資家トップ)を応援弁士
に担ぎ出したことは、ひょっとして致命的ミスに繋がるのではないか。

既に「期日前投票」(不在者投票)を済ませた有権者は過去最高にのぼっ
ており、また従来は「投票に行かなかった」人々が、こんどはトランプに
票を入れに投票所へ行くという。

対照的にヒラリー支持者は、絶対に行くと答える人が少なく、熱狂が薄
い。集会における空席が目立ち、盛り上がりが欠けるのはヒラリー集会で
あり、トランプの集会は立錐の余地がない。全米のテレビは意図的にこの
場面を映し出さない。映像操作をおこなっているようである。

トランプ。絶体絶命と言われた9回裏2死満塁。長嶋茂雄の天覧試合を思
い出しませんか?

「逆転満塁さよならホームラン」の可能性が高まった。再掲 


2016年11月08日

◆「逆転満塁さよならホームラン」の可能性

宮崎 正弘 



<平成28年(2016)11月6日(日曜日) 通算第5074号> 
 
〜トランプ。9回裏3死満塁。「逆転満塁さよならホームラン」の可能性
   民衆の反エスタブリシュメント、反グローバリズムへの怒りは強烈〜

不思議な現象が起きている。

あれほど全米マスコミに罵倒されながら、ドナルド・トランプの支持率は
尻上がり。ヒラリー・クリントンとの差は僅か1%にまで猛追している。
通常の誤差の範囲は5%だから、事実上、逆転しているのではないか。
 
全米の新聞のなかで、1紙をのぞき、ほぼ200紙がトランプを批判し、その
うち、30紙がヒラリー支持を社説に掲げた。残り1紙は「リバタリアン
党」を支持した。まさに異常事態である(ワシントンタイムズとて、明確
にトランプ支援をしていない)。

テレビはかろうじて「フォックス・テレビ」が中立的だが、残りの局は、
なべてヒラリー支援。CNNは90%の番組が民主党支援キャンペーンのご
とくであり、いったい、これほどの四面楚歌にマスメディアの報道合戦の
上で晒されながら、トランプはテフロンのように強い支持に支えられてい
る。これが謎だった。

地下マグマのようなダイナミズム、あの熱狂の根っこにあるのは、アメリ
カ人大衆のワシントンへの怒りだ。火山の爆発のような突発事が起きるの
ではないか。スタインベックの『怒りの葡萄』を思い出した。

エスタブリシュメント、ウォール街、そして1%の富裕層に対して、多く
のアメリカ国民は既成政治家のゲームに厭いた。だからヒラリーはウォー
ル街の操り人形と訴えるトランプのレトリックに酔う。

そのヒラリーがウォーレン・バフェット(全米投資家トップ)を応援弁士
に担ぎ出したことは、ひょっとして致命的ミスに繋がるのではないか。

既に「期日前投票」(不在者投票)を済ませた有権者は過去最高にのぼっ
ており、また従来は「投票に行かなかった」人々が、こんどはトランプに
票を入れに投票所へ行くという。

対照的にヒラリー支持者は、絶対に行くと答える人が少なく、熱狂が薄
い。集会における空席が目立ち、盛り上がりが欠けるのはヒラリー集会で
あり、トランプの集会は立錐の余地がない。全米のテレビは意図的にこの
場面を映し出さない。映像操作をおこなっているようである。

トランプ。絶体絶命と言われた9回裏2死満塁。長嶋茂雄の天覧試合を思
い出しませんか?

「逆転満塁さよならホームラン」の可能性が高まった。再掲 
  

2016年11月07日

◆「逆転満塁さよならホームラン」の可能性

宮崎 正弘 

<平成28年(2016)11月6日(日曜日) 通算第5074号> 
 
〜トランプ。9回裏3死満塁。「逆転満塁さよならホームラン」の可能性
   民衆の反エスタブリシュメント、反グローバリズムへの怒りは強烈〜

不思議な現象が起きている。

あれほど全米マスコミに罵倒されながら、ドナルド・トランプの支持率は
尻上がり。ヒラリー・クリントンとの差は僅か1%にまで猛追している。
通常の誤差の範囲は5%だから、事実上、逆転しているのではないか。
 
全米の新聞のなかで、1紙をのぞき、ほぼ200紙がトランプを批判し、その
うち、30紙がヒラリー支持を社説に掲げた。残り1紙は「リバタリアン
党」を支持した。まさに異常事態である(ワシントンタイムズとて、明確
にトランプ支援をしていない)。

テレビはかろうじて「フォックス・テレビ」が中立的だが、残りの局は、
なべてヒラリー支援。CNNは90%の番組が民主党支援キャンペーンのご
とくであり、いったい、これほどの四面楚歌にマスメディアの報道合戦の
上で晒されながら、トランプはテフロンのように強い支持に支えられてい
る。これが謎だった。

地下マグマのようなダイナミズム、あの熱狂の根っこにあるのは、アメリ
カ人大衆のワシントンへの怒りだ。火山の爆発のような突発事が起きるの
ではないか。スタインベックの『怒りの葡萄』を思い出した。

エスタブリシュメント、ウォール街、そして1%の富裕層に対して、多く
のアメリカ国民は既成政治家のゲームに厭いた。だからヒラリーはウォー
ル街の操り人形と訴えるトランプのレトリックに酔う。

そのヒラリーがウォーレン・バフェット(全米投資家トップ)を応援弁士
に担ぎ出したことは、ひょっとして致命的ミスに繋がるのではないか。

既に「期日前投票」(不在者投票)を済ませた有権者は過去最高にのぼっ
ており、また従来は「投票に行かなかった」人々が、こんどはトランプに
票を入れに投票所へ行くという。

対照的にヒラリー支持者は、絶対に行くと答える人が少なく、熱狂が薄
い。集会における空席が目立ち、盛り上がりが欠けるのはヒラリー集会で
あり、トランプの集会は立錐の余地がない。全米のテレビは意図的にこの
場面を映し出さない。映像操作をおこなっているようである。

トランプ。絶体絶命と言われた9回裏2死満塁。長嶋茂雄の天覧試合を思
い出しませんか?

「逆転満塁さよならホームラン」の可能性が高まった。