2017年08月25日

◆中国の債務爆発は時限爆弾

宮崎 正弘



<平成29年(2017)8月20日(日曜日)通巻第5400号>

 〜中国の債務爆発はリーマンショックを超える時限爆弾
   英国の「オウトノマス・リサーチ」が早期警戒予報〜

中国のシャドー・クレジット(隠れた債務)はGDPの51%となった。巧
妙に不良債権を隠してきた悪知恵も、底が透けて見えてきた。

銀行の不良債権をいかにして隠ぺいしたか。具体的な方法が、このアウト
ノマスリサーチという英国の金融シンクタンクが暴露された(2017年8月
18日)。

第1がWMP(Wealth management Produst)
と呼ばれる『理財商品』の一種である。これが典型の不良債権隠し、およ
そ3兆7000億ドル。

償還期銀が短いわりに利息が良いので預金者や投資家に販売した。つまり
不良債権を表面化させないために、投資信託のたぐいの金融商品に化かし
たわけだ。

第2がAMP(Asset Management Plan)で、総計
1兆9000億ドル。債権を上記WMPとセットにして銀行に売却し、投資
(債権)にみせかけるのだ。

合計額は5兆6000億ドル内外となり、中国のGDPの51%、恐ろしい数字
となって表面化した。
 
この帳簿上の債権の実態は不良債権であり、ともに中国経済を根底的に揺
さぶる時限爆弾である。

おそらく中国共産党は党大会を控えているので、それまでは必死に不良債
権隠しを行うだろう。

しかしそれ以後は爆弾の破裂を待つのかもしれない。
     
IMFは中国経済の薔薇色の未来を描いて久しいが、それでも多少は客観
的であり、中国の負債をGDPの235%(ウォール街とシティはいずれお
300%を超えていると推計しているから、IMFの数字は低すぎるのだ
が)、負債がバランスシート上、かなり不均衡であると警告している。

     
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◆樋泉克夫のコラム 
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【知道中国 1617】           
  ――「獨乙・・・將來・・・無限の勢力を大陸に敷けるものと謂ふべきなり」
(山川7)
  山川早水『巴蜀』(成文堂 明治42年)

               △
本書によれば、山川が成都を離れたのは明治39(1904)年5月とのこと。
当時の成都在住外国人について「日本、英國、獨乙、佛蘭西、米國の五國
にして、日本を除き、男女合せて百人餘の有りたらんか」と推定してい
る。この時の成都在留邦人の数は不明だが、明治37(1902)年段階では14
人で、うち1人は幼児とのこと。

日本人を除く「男女合せて100人餘」の職種は領事、教員、商人、宣教師
などだが、「或る年限を以て在留するものゝ外は殆と永久移住の覺悟らし
く、妻子を携へ、廣大なる家屋を有し、彼輩が鋭意着實に企てたる或種計
畫は、着着歩を進め居るが如く見江たり」。これと全く対照的なのが日本
人で、「指を屈して歸期を數」えている。

そういえば時代を下った昭和初期、愛人と駆け落ち状態で東南アジアを
彷徨した詩人・金子光晴が記した『マレー蘭印紀行』(中公文庫)を見る
と、マレー山中の錫鉱山事務所を訪ねた彼の「現在の最大の望みは」との
質問に、同事務所の日本人職員が異口同音に「一日も早い本社復帰、貯
金、テニスの上達」の3つを挙げたとある。かりに現在、海外に派遣され
ている日本人ビジネスマンに金子と同じ質問をしたとして、おそらく同じ
ような反応がみられるに違いない。もちろんテニスがゴルフに代わってい
るだろうが。

山川が四川を踏査した20世紀初頭から現在までの1世紀余の時の流れを
考えた時、日中両国が踏み越えてきた歴史のみならず、現在の両国を取り
巻くが国際政治・経済上の環境の変化などからして、山川の主張をそのま
ま肯ずわけにはいかない。だが明治人が綴った当時の成都にみられたドイ
ツ・ビジネスの姿から、経済を軸とした現在のドイツと中国の間に見られ
る“蜜月関係”を想定することは、さほど難しいことではなさそうだ。
 
そういえば日中戦争時、日本人から考えるなら首を傾げざるを得ないよう
な形でドイツは?介石政権支援の態勢を崩そうとはしなかった。あれはナ
チスであるからか。それともドイツであるからか。

山川の指摘からするなら、やはり後者ということになろう。ならば現在の
両国の関係の根底に、20世紀初頭以来のドイツの中国市場に対する“営々
たる努力”が隠れていることを知るべきだ。「ローマは一日にして成ら
ず」の俚諺に倣うなら、やはり中国におけるドイツは一日にして成らず、
といっておきたい。

さらに山川は西洋人宣教師に注目する。

西洋人のなかで最も現地に馴染んでいるのが、「成都に住する實に二十年
の久しきに亘り、今や巍然たる病院と廣大なる?會とを有する」キルボー
ンと、「同じく醫師兼宣?師にして、成都に居ること12年に及べ」るカン
ライトの2人。前者はカナダ人で、後者はアメリカ人。これに次ぐのがフ
ランス人で、彼らも「城内幾處に教會を有し、且つ其宣教師も概ね辮髪寛
服を着け、務めて内地人に同化せんと」している。

カンライトはアメリカから送られた大量の建設資材を使って各所に時計
台を敷設した病院を新築するなど、成都の近代化に務め、住民の支持を得
ている。じつは現地人は「下流」であるほどに「洋醫を喜ばざれど、其効
驗の顯著にして且つ療費の廉なる爲め、不知不識、之に歸依」することと
なる。

こうして彼ら宣教師が本国などの支援で建てた「壮大なる建築物は、やが
て布?上の資本となり、宣教師本來の目的は、漸を以て成就するものと
す」。「それにつけても、彼等宣?師等が種種の不便を忍び、不測の危難
を負擔し、深く内地に進入し、全然移住的態度を取れるは、嘆稱に値せず
ばあらず」なのである。

加えて重慶在住列強領事は、不法を承知の「高壓手段」で開港場ではな
い成都に常駐し、諸工作に奔る。

ならば、遵法精神に縛られる日本が後塵を拝すことは当たり前だ。
        
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 歴史修正主義の逆襲が始まる! 定価1944円
 ――これまでの近現代史解釈は間違いだらけだった
 ――ペリー来航の本当の目的は何だったのか
 ――西郷さんは本気で征韓論を訴えたのか
 ――日韓併合へいたる道はアメリカが背後にいた
 ――ルーズベルトはいかにして対日戦争を仕掛けたのか?
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2017年08月24日

◆リーマンショックを超える時限爆弾

宮崎 正弘

<平成29年(2017)8月20日(日曜日)通巻第5400号>
 
〜中国の債務爆発はリーマンショックを超える時限爆弾
   英国の「オウトノマス・リサーチ」が早期警戒予報〜

中国のシャドー・クレジット(隠れた債務)はGDPの51%となった。巧
妙に不良債権を隠してきた悪知恵も、底が透けて見えてきた。

銀行の不良債権をいかにして隠蔽したか。具体的な方法が、このアウトノ
マスリサーチという英国の金融シンクタンクが暴露された(2017年8月
18日)。

第一がWMP(Wealth management Produst)
と呼ばれる『理財商品』の一種である。これが典型の不良債権隠し、およ
そ3兆7000億ドル。

償還期銀の短いわりに利息が良いので預金者や投資家に販売した。つまり
不良債権を表面化させないために、投資信託のたぐいの金融商品に化かし
たわけだ。

第二がAMP(Asset Management Plan)で、総計
1兆9000億ドル。債権を上記WMPとセットにして銀行に売却し、投資
(債権)にみせかけるのだ。
 
合計額は5兆6000億ドル内外となり、中国のGDPの51%、恐ろしい数字
となって表面化した。
 
この帳簿上の債権の実態は不良債権であり、ともに中国経済を根底的に揺
さぶる時限爆弾である。

おそらく中国共産党は党大会を控えているので、それまでは必死に不良債
権隠しを行うだろう。

しかしそれ以後は爆弾の破裂を待つのかもしれない。
     
IMFは中国経済の薔薇色の未来を描いて久しいが、それでも多少は客観
的であり、中国の負債をGDPの235%(ウォール街とシティはいずれお
300%を超えていると推計しているから、IMFの数字は低すぎるのだ
が)、負債がバランスシート上、かなり不均衡であると警告している。

    
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 ◆樋泉克夫のコラム  
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 
【知道中国 1617】           
  ――「獨乙・・・將來・・・無限の勢力を大陸に敷けるものと謂ふべきなり」
(山川7)
  山川早水『巴蜀』(成文堂 明治42年)

               △
本書によれば、山川が成都を離れたのは明治39(1904)年5月とのこと。
当時の成都在住外国人について「日本、英國、獨乙、佛蘭西、米國の五國
にして、日本を除き、男女合せて100人餘の有りたらんか」と推定してい
る。この時の成都在留邦人の数は不明だが、明治37(1902)年段階では14
人で、うち1人は幼児とのこと。

日本人を除く「男女合せて百人餘」の職種は領事、教員、商人、宣教師
などだが、「或る年限を以て在留するものゝ外は殆と永久移住の覺悟らし
く、妻子を携へ、廣大なる家屋を有し、彼輩が鋭意着實に企てたる或種計
畫は、着着歩を進め居るが如く見江たり」。これと全く対照的なのが日本
人で、「指を屈して歸期を數」えている。

そういえば時代を下った昭和初期、愛人と駆け落ち状態で東南アジアを
彷徨した詩人・金子光晴が記した『マレー蘭印紀行』(中公文庫)を見る
と、マレー山中の錫鉱山事務所を訪ねた彼の「現在の最大の望みは」との
質問に、同事務所の日本人職員が異口同音に「一日も早い本社復帰、貯
金、テニスの上達」の3つを挙げたとある。かりに現在、海外に派遣され
ている日本人ビジネスマンに金子と同じ質問をしたとして、おそらく同じ
ような反応がみられるに違いない。もちろんテニスがゴルフに代わってい
るだろうが。

山川が四川を踏査した20世紀初頭から現在までの1世紀余の時の流れを
考えた時、日中両国が踏み越えてきた歴史のみならず、現在の両国を取り
巻くが国際政治・経済上の環境の変化などからして、山川の主張をそのま
ま肯ずわけにはいかない。だが明治人が綴った当時の成都にみられたドイ
ツ・ビジネスの姿から、経済を軸とした現在のドイツと中国の間に見られ
る“蜜月関係”を想定することは、さほど難しいことではなさそうだ。
 
そういえば日中戦争時、日本人から考えるなら首を傾げざるを得ないよな
形でドイツは?介石政権支援の態勢を崩そうとはしなかった。あれはナチ
スであるからか。それともドイツであるからか。山川の指摘からするな
ら、やはり後者ということになろう。

ならば現在の両国の関係の根底に、20世紀初頭以来のドイツの中国市場に
対する“営々たる努力”が隠れていることを知るべきだ。「ローマは一日に
して成らず」の俚諺に倣うなら、やはり中国におけるドイツは一日にして
成らず、といっておきたい。

さらに山川は西洋人宣教師に注目する。

西洋人のなかで最も現地に馴染んでいるのが、「成都に住する實に20年の
久しきに亘り、今や巍然たる病院と廣大なる教會とを有する」キルボーン
と、「同じく醫師兼宣教師にして、成都に居ること12年に及べ」るカンラ
イトの2人。前者はカナダ人で、後者はアメリカ人。これに次ぐのがフラ
ンス人で、彼らも「城内幾處に?會を有し、且つ其宣?師も概ね辮髪寛服
を着け、務めて内地人に同化せんと」している。

カンライトはアメリカから送られた大量の建設資材を使って各所に時計
台を敷設した病院を新築するなど、成都の近代化に務め、住民の支持を得
ている。じつは現地人は「下流」であるほどに「洋醫を喜ばざれど、其効
驗の顯著にして且つ療費の廉なる爲め、不知不識、之に歸依」することと
なる。

 こうして彼ら宣教師が本国などの支援で建てた「壮大なる建築物は、
やがて布?上の資本となり、宣?師本來の目的は、漸を以て成就するもの
とす」。「それにつけても、彼等宣?師等が種種の不便を忍び、不測の危
難を負擔し、深く内地に進入し、全然移住的態度を取れるは、嘆稱に値せ
ずばあらず」なのである。

 加えて重慶在住列強領事は、不法を承知の「高壓手段」で開港場では
ない成都に常駐し、諸工作に奔る。
ならば、遵法精神に縛られる日本が後塵を拝すことは当たり前だ。


2017年08月23日

◆「新幹線技術を侵害された」と中国は逆提訴

宮崎 正弘



<平成29年(2017)8月18日(金曜日)弐
        通巻第5398号>

 〜「新幹線技術を侵害された」と中国は逆提訴
  アメリカは北と話し合いをしなさい、と高みからの説諭〜

中国人に論理を求めても仕方がないのではないか。論理ではなく、詭弁を
弄するのが大の得意芸であるからには、他人が提訴すれば、とんでもない
ことを逆提訴する癖がある。

トランプ政権は「知的財産権の侵害」について中国企業の調査を開始する
とした。

2日後、中国は「新幹線技術、中国の知的財産権が侵害されている」と言
い出した。中国の新幹線は日本、仏蘭西から技術導入したことまでは認め
るが、「以後は中国が独自に開発した」。だから特許侵害だという。侵害
した国名を名指ししてはいないが。。。

北朝鮮の核ミサイル問題についても、国連決議に賛成した以上は、遵守す
るのかといえば、石炭の輸入を制限しているだけ、しかもアメリカの怒り
を袖にして「もっと冷静に北朝鮮と話し合いをしなさい」と高みからの説
教風なのである。

日本の外相との初会合でも河野外務大臣に向かって王毅は「あなたには失
望した」などと上から目線の発言。偉そうに振る舞うのである。

ワシントンビーコン(8月17日)によれば、中国はハーバード大学に3億
6000万ドルの寄付をすると言っている。

嘗て中国の軍事技術企業の「JT・キャピタル」がハーバード大学に1000
万ドルを寄付した。

香港の不動産王のロニー・チャンは、3億5000万ドルを寄付した。いずれ
も「目的が定かではなく、調査の対象である」と専門家はペンス副大統領
に報告している。
 
全米一を謳われる同大学への寄付を通じて、オピニオンリーダーたちへ中
国の影響力を浸透させることが狙い、外交戦略の一環であることは明らか
だろう。
       
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 ◆樋泉克夫のコラム 
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【知道中国 1616】      
――「獨乙・・・將來・・・無限の勢力を大陸に敷けるものと謂ふべきなり」(山
川6)
  山川早水『巴蜀』(成文堂 明治42年)
 
    △

ドイツ語の綴りが通じないのなら、取りあえずは英語式で済ませておこ
う、というのだろう。こうして消費者の動向に臨機応変に対応するドイ
ツ・ビジネス戦略を、山川は「其敏、稱すべきに非ずや」と称賛したうえ
で、「需要には廣狹多少の別あれども、既往に於て(現地消費者より)収
めたる愛着心と信用とは、将來に及ぼして、無限の勢力を大陸に敷けるも
のと謂ふべきなり」と見据えた。

なにはともあれドイツの成功は、「獨乙が眞面目なる研究の結果に外な
らず、歩を進めて考ふれば、善く詳に身を需要者の側に置」いているから
だ。ドイツがこういった行動・判断ができる背景には何があるのか。

どうやらドイツ人は「主として在留の官商間に於て油斷なく注意を払ひ居
るものと覺江らるなり」と推測してみた。これを現代風に言い換えるな
ら、成都在留のドイツ官民が共同し現地における消費動向を抜かりなく観
察し、ビジネスに生かしているということだろう。

ここで山川の視線は同胞商人の行動に転じた。

「本邦人の多くが物物しく視察とか研究とかに出懸け、上海、漢口、北
京、天津と紳士旅行の素通りしたとて、何の功か之有らん」。

モノモノしいばかりで通り一遍の「紳士旅行」なんぞは、やはり昔も無意
味だった。そのうえに「上海天津等に居留する本邦商人は、數字の上にて
は數百數千を以て計へんも、其中の少數を除けば、大抵共喰商人に屬」す
るばかり。一等地に大きな看板を掲げ表向きは派手な振る舞いをしている
が、ビジネスの内実は心許なく、同胞による陰湿な足の引っ張り合いが常
態化している。それは21世紀初頭の現在も大差はなかろう。

ここで山川は四川における日本ビジネス不振の原因に思い至る。

「余(山川)は商業に於て門外漢なり、然れども、旅行及び在留の間、こ
れは必ず當らん、これは必ず向かんと思ひたるもの十數目にして止ら
ず」。だから専門家が「仔細に觀察したらんには、無盡蔵の利源を發見せ
ん」。加えて地理的にも歴史的にも欧米より有利な立場にあるにもかかわ
らず、日本製品の販路が広がる気配がみられない。

やはり官民共々に日本側は努力が足りないのだ。かくて「余(山川)は資
本の缺乏を以て專ら之が辨解の辭となすを許さず、余を以て觀れば、我國
官民を通じて、之を思ふに精ならず、之を行ふに實ならざるに由るとなす
ものなり」となる。

「本邦品は從前曾て諸種の雜貨、成都に輸入せられしが、價格割合に低廉
なりし爲め一時は隨分捌けたるども、品質の脆弱は、直に彼等の排斥する
ところとなれり」。

それでも「名古屋製置時計、大阪洋傘」などは一定の販売量を保持してい
るが、単なる見てくれから売れているだけ。本格的に「品質堅牢」「耐久
力」を問われたら、将来的に「能く今日の聲價を維ぐ」ことはない。最悪
の場合、ドイツ製品に圧倒されてしまうということだろうか。

加えて日本商人は「支那向として、特に粗質品を擇べる」傾向がみられ
る。たとえば「四川の某縣なる一學堂が、東京より購入したる博物標本」
だ。日本から到着した梱包を解いてみたら、「支那行不良品と書せる附箋
を發見せり」というのだ。

この学校に務める日本人教師が発見したから「無事に濟みしが」、かりに
現地の教師や生徒の目に触れでもしたら必ずや「由由敷大事」となったはず。

じつは「此件は曾て在留人の某氏が日本新聞に掲けたるところなれども、
余は再びこゝに附記して、後來を戒めんと欲するなり」と念を押す。中華
ナショナリズムに火を点け、日貨排斥運動を招きかねない。無神経にもほ
どがある。]

かくして山川は「之を要するに、成都に於ける日本商品は當初に一頓挫を
招きてより、今日に至るまで回復する能はざる状態に在りといふべし」と
結ぶ。無反省なのか。《QED》

2017年08月22日

◆イバンカ、クシュナー夫妻が9月に訪中を検討

宮崎 正弘



<平成29年(2017)8月21日(月曜日)通巻第5401号>
 
<速報>
 〜イバンカ、クシュナー夫妻が9月に訪中を検討
  11月APECトランプ訪中を前に中国と事前折衝〜

 『博訊新聞網』(8月20日)がホワイトハウス関係者の話として、ク
シュナー夫妻の9月訪中を伝えている。

11月APECに合わせてトランプ大統領は日本、韓国、中国を訪問する予
定と言われているが、その前に事前折衝のためイバンカ、クシュナーが訪
中し、北京の要人と会見、種々の問題点のすりあわせを行う予定という。

対中強硬派のバノンがホワイトハウスから去り、中国へ融和的なティラー
ソンが外交の表舞台に立つことになった。

ティラーソン国務長官はキッシンジャーの強い推挽でトランプ政権入りし
たことは有名な話である。

クシュナーは大統領選挙前にも安国保険の呉小暉と会見したり、ニュー
ジャージーに建設しているトランプタワーの分譲をめぐって、中国人富裕
層への投資を呼びかけ、それを売り出したクシュナーの親族が「EB5ビ
ザ」への便宜を図れると誇大宣伝をしたことが問題となった。

バノンは『5年以内に米中戦争が起きる』とし、「北朝鮮の核など問題で
はない。あれが前座である。本当の敵は中国である」と発言してきただけ
に、一貫して、このクシュナーとは対立してきた。

またバノン辞任によって保守系の組織、メディアの殆どがトランプ政権批
判に転じていることは留意しておくべきだろう。
     
 
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  ◆樋泉克夫のコラム  
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(山川7)
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   △

本書によれば、山川が成都を離れたのは明治39(1904)年5月とのこと。

当時の成都在住外国人について「日本、英國、獨乙、佛蘭西、米國の五國
にして、日本を除き、男女合せて百人餘の有りたらんか」と推定してい
る。この時の成都在留邦人の数は不明だが、明治37(1902)年段階では14
人で、うち1人は幼児とのこと。

日本人を除く「男女合せて100人餘」の職種は領事、教員、商人、宣教師
などだが、「或る年限を以て在留するものゝ外は殆と永久移住の覺悟らし
く、妻子を携へ、廣大なる家屋を有し、彼輩が鋭意着實に企てたる或種計
畫は、着着歩を進め居るが如く見江たり」。これと全く対照的なのが日本
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考えた時、日中両国が踏み越えてきた歴史のみならず、現在の両国を取り
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ま肯ずわけにはいかない。だが明治人が綴った当時の成都にみられたドイ
ツ・ビジネスの姿から、経済を軸とした現在のドイツと中国の間に見られ
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そういえば日中戦争時、日本人から考えるなら首を傾げざるを得ないよう
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20世紀初頭以来のドイツの中国市場に対する“営々たる努力”が隠れている
ことを知るべきだ。「ローマは一日にして成らず」の俚諺に倣うなら、や
はり中国におけるドイツは一日にして成らず、といっておきたい。

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久しきに亘り、今や巍然たる病院と廣大なる?會とを有する」キルボーン
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を着け、務めて内地人に同化せんと」している。

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2017年08月20日

◆次期中央軍事委員会副主任に李作成将軍が有力

宮崎 正弘



<平成29年(2017)8月18日(金曜日)通巻第5397号> 

(速報)
 〜次期中央軍事委員会副主任に李作成将軍が有力
  中越戦争で戦歴、陸軍大将(64歳)、氾長龍退任と交替へ〜

 サウスチャイナモーニングポスト(8月17日)が伝えた。次期中央軍事
委員会副主任に前「成都軍管区」司令、陸軍大将の李作成(64歳)が最有
力と報じた。

李は安徽省出身で、1979年の中越戦争を指揮して戦果を上げた功績を習近
平が評価し、また汚職とは無縁と判断された。

しかし事情通によれば、さきに失脚した徐才厚、郭伯雄の人脈に重ならな
いばかりか、彼らが副主任時代に軍隊で冷遇された過去を、習近平が気に
入ったという。
 
来月に引退が予定される氾長龍副主任のポストの後任となる。副主任は事
実上の軍最高位のポスト。

党大会前に軍人トップの交代が行われることは、習の主導権がやや固まっ
た観がある。
     
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
#################################
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
   ♪
 中国が米国債保有高で、ふたたび世界一に返り咲いたが
   ロシアは60億ドル売り越し、1029億ドルを保有。世界14位。
*********************************

米財務省統計により米国の赤字国債保有高は、中国がふたたび日本を抜い
て、第一位に返り咲き、1ヶ月で443億ドルを増やしていた。
 
他方、ロシアは同期間に60億ドルを売却し、保有高は1029億ドルとなった。
 
これは米国赤字国債保有ランキングで世界第14位である。

ロシアは来年の大統領選挙を控え、経済的困窮状況の克服が優先課題と
なっているため、プーチン大統領は政治的に米国に対抗するポーズを示す
必要がある。だから全額の売却を控えるのだ。
 
しかし、米国との競合に明け暮れ、2022年には米国を凌駕するなどと豪語
している中国が、しかも16年10月にはIMFのSDR通貨に参入したにも
かかわらず、なぜ米国債の保有高を増やす必要があるのか。

人民元経済圏を膨張させるのではなかったのか。あるいは政治的判断か経
済的事由より重要だったのだろうか?

モスクワ大学の経済学のアレキサンドル・ブズガリエ教授は『プラウダ』
(英文版、8月16日)に答え、「中国はドルが必要だからさ」と単純明快
に背景を説明した。

人民元の決裁権を増やすとはいえ、中国の輸出先はアメリカであり、しか
も、多くの国々との決済はドルであり、通貨スワップを行っている香港、
マカオ、マレーシアなどでも人民元建ての貿易は少ない。

豪語していることと矛盾しているが、中国はドル基軸態勢の中で、経済活
動を維持せざるを得ないという自国通貨の脆弱性を自ら認識できているの
である。
         
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◆書評 しょひょう BOOKREVIEW 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

明代の公文書「皇明実録」を読み解くと、尖閣は琉球に属し、「明の領土
ではない」
と明記されているばかりか「台湾の付属島嶼でもない」と書かれていた。

  ♪
石平 vs いしゐのぞむ『中国が反論できない真実の尖閣史』(扶桑社)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

世の中には熱血漢がいるものである。
 
尖閣諸島は日本固有の領土だが、あれは「歴史的に中国のもの」と難癖を
つけて、日本が隙を見せたら日本から奪おうとしている中国にとっては、
南シナ海の岩礁を勝手に埋立て人工島とし、軍事施設を建造して「昔から
中国領だ。文句あっか」と開き直ったパターンを繰り返そうとしているの
である。

つぎにインドに楯突き、シッキム、ブータンの領土を強奪して既成事実化
せんと軍を派遣し、いまインドとにらみ合っている。ここにバングラデ
シュに通じる回廊をつくり、インドの東西分断を図ろうという長期計画が
あるのだろう。

もしインドが隙を見せたら電光石火、中国はあそこを盗むだろう。なぜ、
このタイミングを撰んでいるのかと言えば、米国がいま北朝鮮問題で忙し
く、インド国境の問題に介入する余裕がない。インドもそれを望んでいない。

ましてスカボロー礁を中国がフィリピンから盗取したが、米艦隊は「航行
の自由作戦」と称して、付近の海域を駆逐艦が通り抜けるだけ。中国に
とってまととないチャンスだからだ。

中国共産党は天下を盗んだ革命後、南モンゴルを侵略して内蒙古自治区だ
と言い張り、東トルキスタンに侵略して新彊ウィグル自治区だと獅子吼
し、そしてチベットを全部凌奪している。

尖閣諸島ばかりか、琉球回収(つまり沖縄奪還)と叫び、台湾まで「中国
の不可分の領土だ」と言い張っているのだから、その歴史意識に客観性を
求めるのは徒労でもある。

リアルポリティックスの見地に立てば、軍事戦略を行使して、相手を踏み
にじっても自己の主張を達成するという弱肉強食の論理にしたがっている
だけである。

さて世の中に熱血漢がいるものである、と冒頭にのべたのも、共著者のい
しゐのぞむ氏のことである。

氏は中国の古文書、歴史文献の研究者だが、すでに2012年7月17日の産経
新聞が一面トップで報じたように「明代に皇帝から琉球へ派遣された使
節」が残した「上奏分」に「尖閣諸島から琉球がはじまる」と書いてある
ことが判明し、中国の主張が崩壊していることを突き止めた。

尖閣で領海侵犯した中国人漁師を民主党政権下で日本はさっさと釈放し
た。日本は法治国家ではなかった。国際社会に恥を晒した。

この体たらくに怒髪天をついたいしゐ氏は、中国語でかかれた古い文献を
収集し、そこに書かれた中国語を読解したのだ。しかし骨董的な古文書は
高価である。それを自費で購入し、誰の支援も、国の推奨金もなくやり遂
げた。
 とりわけ明代の公文書「皇明実録」を読み解くと、尖閣は琉球に属し、
「明の領土ではない」と明記されているばかりか「台湾の付属島嶼でもな
い」と書かれていた。
 清朝になると「琉球紀行は次第に詳しくなり、琉球人が水先案内をする
海域も明確化されてくる。それはなんと大陸のすぐ近くの馬祖列島からな
のである」(47p)。
 つまり琉球の水先案内人(向導)がいないと「琉球へ出航さえできな
い」のだから、尖閣諸島を領有している筈がない。
 
 本書ではほかにも膨大な尖閣史料と世界航海地図を読み解き、石平氏と
徹底的に解題したのが本書である。
 石平氏が言うように「中国人にとって歴史はニセモノの骨董品」であ
り、嘘放送に左右されず、我が国は断固として固有領土を守り抜かなけれ
ばならない。
 でなければ推薦の百田尚樹氏が言うように「尖閣を奪取されたら日本は
おしまい」である。
           

2017年08月19日

◆次期中央軍事委員会副主任に李作成将軍が有力

宮崎 正弘



<平成29年(2017)8月18日(金曜日)通巻第5397号> 

(速報)
 〜次期中央軍事委員会副主任に李作成将軍が有力
  中越戦争で戦歴、陸軍大将(64歳)、氾長龍退任と交替へ〜

サウスチャイナモーニングポスト(8月17日)が伝えた。次期中央軍事委
員会副主任に前「成都軍管区」司令、陸軍大将の李作成(64歳)が最有
力と報じた。

李は安徽省出身で、1979年の中越戦争を指揮して戦果を上げた功績を習近
平が評価し、また汚職とは無縁と判断された。

しかし事情通によれば、さきに失脚した徐才厚、郭伯雄の人脈に重ならな
いばかりか、彼らが副主任時代に軍隊で冷遇された過去を、習近平が気に
入ったという。
 
来月に引退が予定される氾長龍副主任のポストの後任となる。副主任は事
実上の軍最高位のポスト。

党大会前に軍人トップの交代が行われることは、習の主導権がやや固まっ
た観がある。
     
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 中国が米国債保有高で、ふたたび世界一に返り咲いたが
   ロシアは60億ドル売り越し、1029億ドルを保有。世界14位。
**********************************

米財務省統計により米国の赤字国債保有高は、中国がふたたび日本を抜い
て、第1位に返り咲き、1ヶ月で443億ドルを増やしていた。

他方、ロシアは同期間に60億ドルを売却し、保有高は1029億ドルとなった。
 
これは米国赤字国債保有ランキングで世界第14位である。

ロシアは来年の大統領選挙を控え、経済的困窮状況の克服が優先課題と
なっているため、プーチン大統領は政治的に米国に対抗するポーズを示す
必要がある。だから全額の売却を控えるのだ。
 
しかし、米国との競合に明け暮れ、2022年には米国を凌駕するなどと豪語
している中国が、しかも16年10月にはIMFのSDR通貨に参入したにも
かかわらず、なぜ米国債の保有高を増やす必要があるのか。

人民元経済圏を膨張させるのではなかったのか。あるいは政治的判断か経
済的事由より重要だったのだろうか?

モスクワ大学の経済学のアレキサンドル・ブズガリエ教授は『プラウダ』
(英文版、8月16日)に答え、「中国はドルが必要だからさ」と単純明快
に背景を説明した。

人民元の決裁権を増やすとはいえ、中国の輸出先はアメリカであり、しか
も、多くの国々との決済はドルであり、通貨スワップを行っている香港、
マカオ、マレーシアなどでも人民元建ての貿易は少ない。

豪語していることと矛盾しているが、中国はドル基軸態勢の中で、経済活
動を維持せざるを得ないという自国通貨の脆弱性を自ら認識できているの
である。
         
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◆書評 しょひょう BOOKREVIEW 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 明代の公文書「皇明実録」を読み解くと、尖閣は琉球に属し、「明の領
土ではない」
と明記されているばかりか「台湾の付属島嶼でもない」と書かれていた。

  ♪
石平 vs いしゐのぞむ『中国が反論できない真実の尖閣史』(扶桑社)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

 世の中には熱血漢がいるものである。
 尖閣諸島は日本固有の領土だが、あれは「歴史的に中国のもの」と難癖
をつけて、日本が隙を見せたら日本から奪おうとしている中国にとって
は、南シナ海の岩礁を勝手に埋立て人口島とし、軍事施設を建造して「昔
から中国領だ。文句あっか」と開き直ったパターンを繰り返そうとしてい
るのである。

次にインドに楯突き、シッキム、ブータンの領土を強奪して既成事実化せ
んと軍を派遣し、いまインドとにらみ合っている。ここにバングラデシュ
に通じる回廊をつくり、インドの東西分断を図ろうという長期計画がある
のだろう。

もしインドが隙を見せたら電光石火、中国はあそこを盗むだろう。なぜ、
このタイミングを撰んでいるのかと言えば、米国がいま北朝鮮問題で忙し
く、インド国境の問題に介入する余裕がない。インドもそれを望んでいない。

ましてスカボロー礁を中国がフィリピンから盗取したが、米艦隊は「航行
の自由作戦」と称して、付近の海域を駆逐艦が通り抜けるだけ。中国に
とってまととないチャンスだからだ。

中国共産党は天下を盗んだ革命後、南モンゴルを侵略して内蒙古自治区だ
と言い張り、東トルキスタンに侵略して新彊ウィグル自治区だと獅子吼
し、そしてチベットを全部凌奪している。

尖閣諸島ばかりか、琉球回収(つまり沖縄奪還)と叫び、台湾まで「中国
の不可分の領土だ」と言い張っているのだから、その歴史意識に客観性を
求めるのは徒労でもある。

リアルポリティックスの見地に立てば、軍事戦略を行使して、相手を踏み
にじっても自己の主張を達成するという弱肉強食の論理にしたがっている
だけである。

さて世の中に熱血漢がいるものである、と冒頭にのべたのも、共著者のい
しゐのぞむ氏のことである。

氏は中国の古文書、歴史文献の研究者だが、すでに2012年7月17日の産
経新聞が一面トップで報じたように「明代に皇帝から琉球へ派遣された使
節」が残した「上奏分」に「尖閣諸島から琉球がはじまる」と書いてある
ことが判明し、中国の主張が崩壊していることを突き止めた。

 尖閣で領海侵犯した中国人漁師を民主党政権下で日本はさっさと釈放し
た。日本は法治国家ではなかった。国際社会に恥を晒した。
 この体たらくに怒髪天をついたいしゐ氏は、中国語でかかれた古い文献
を収集し、そこに書かれた中国語を読解したのだ。しかし骨董的な古文書
は高価である。それを自費で購入し、誰の支援も、国の推奨金もなくやり
遂げた。

 とりわけ明代の公文書「皇明実録」を読み解くと、尖閣は琉球に属し、
「明の領土ではない」と明記されているばかりか「台湾の付属島嶼でもな
い」と書かれていた。

 清朝になると「琉球紀行は次第に詳しくなり、琉球人が水先案内をする
海域も明確化されてくる。それはなんと大陸のすぐ近くの馬祖列島からな
のである」(47p)。
 つまり琉球の水先案内人(向導)がいないと「琉球へ出航さえできな
い」のだから、尖閣諸島を領有している筈がない。
 
 本書ではほかにも膨大な尖閣史料と世界航海地図を読み解き、石平氏と
徹底的に解題したのが本書である。
 石平氏が言うように「中国人にとって歴史はニセモノの骨董品」であ
り、嘘放送に左右されず、我が国は断固として固有領土を守り抜かなけれ
ばならない。
 でなければ推薦の百田尚樹氏が言うように「尖閣を奪取されたら日本は
おしまい」である。

2017年08月18日

◆モルディブは地政学的要衝

宮崎 正弘



<平成29年(2017)8月17日(木曜日)弐 通巻第5396号> 

 〜インドの南西を扼するモルディブは地政学的要衝
  中国がインド洋シーレーンの覇権確立に必要な港湾建設を狙う〜

2014年に習近平国家主席がモルディブを訪問し、ヤミーン大統領と会談し
ている。そのとき、中国が提示した一帯一路の「海のシルクロード」で両
国は協力を謳った。すかさず中国は首都マレと空港がある島を結ぶ橋の建
設へ資金援助を表明した。
 
小さな島嶼国家、人口僅か32万人の小国を習近平が訪問すること自体、異
常なのである。なぜそこまで重視するかは南アジアのグレートゲームの一
環であり、インド洋を扼するシーレーンをめぐるインドとの地政学上の駆
け引きである。

中国の国家戦略はすでに「南シナ海は貰った」とでも言いたげに、こんと
は白昼堂々とブータンの国土を侵略して道路を建設したためインドと対
立、そのインドを南西から扼するモルディブを地政学的見地から活用する
ために、港湾整備を支援し、関係を強化しようとするのである。

モルディブは日本の若者にとってはハネムーンの行き先というより、ダイ
ピング、サーフィンなど海のスポーツ、水上コテージが売り物のリゾート
地で一時の「天国にいちばん近い島」といわれたニューカレドニアより人
気がある。

イスラム教を奉じる宗教国家でもあるモルディブを外交的に放置しておく
と、同じイスラム国家で、インドの宿敵パキスタンの影響下に入ってしま
う怖れがある。

過去を振り返っても中国はモルディブ外務省の庁舎を建設して寄付し、つ
いで2010年には730万ドルの無償援助を与えるとした。しかし援助とは名
ばかりで、1500戸の住宅を建設し、しかもその契約者は中国機械設備進出
口総公司だった。

2016年には中国がモルディブで港湾を整備するという情報が流れ、さぁ
チャイナタウンだ、侵略の橋頭堡にする心算だとインドのメディアが騒いだ。

ラーム環礁での港湾整備を許可するとされたが、結局、アジア開発銀行
(ADB)が、モルディブのクルドゥフシ港湾整備・拡張を支援することと
なった。9600万ドルの規模で、2019年12月の完工を目指す。

というのも、モルディブ現地では中国人の評判が滅法悪いからだ。

ホテルの宿泊客はダイビングのマナーが悪いばかりか、水上コテージでも
レストランを利用せず、カップ麺しか食べないので、室内のポットを撤去
した。カップ麺のプラスチック容器を綺麗な海になげすてる等、観光業界
からも抗議の声があがった。
       
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

2017年08月17日

◆気がつけば40万人のチャイナタウン

宮崎 正弘



<平成29年(2017)8月16日(水曜日)
        通巻第5394号>  

〜気がつけば40万人のチャイナタウンが出来ていた
  ベネズエラ暴動で、数万人が既に逃亡、中国は鉄道建設を放棄へ〜

 ベネズエラの政情不安、超猛烈インフレ率が1600%、ブラジルなど へ
海外移民、暴動の凶悪化。マオイスト国家=ベネズエラは末期的症状だ。

日本のメディアはあまり採り上げないが、米国のメディアをみている
と、ベネズエラ問題はキューバ問題同様に、強い関心があって、率直に言
えば米国の地政学からすれば、北朝鮮より身近な危機です。

それもこれも原油代金暴落がもたらした悲劇だが、チャベス前大統領以来
のポピュリズム政策の惨めな破綻、同時に強気強気とベネズエラ石油鉱区
に果敢に投資し、鉄道建設もしていた中国の思惑が、ばっさりと外れた。

気がつけば、ベネズエラの首都カラカスには40万人もの中国人コミュ ニ
ティが出来上がっていた。

20世紀初頭からの移民で、現地人と混血し地付きの人間となった中国人
ファミリーも多い。そのうえに新移民が重なった。

なにしろ中国開発銀行(CDB)一行だけでベネズエラに370億ドル を貸
与した(ほかの中国の銀行を含めると、推計で450億ドル)。ベネ ズエラ
の債務は650億ドル。最大の債権者は中国、デフォルトをやらか すと最大
の金融災禍が中国の金融界を襲うだろう。しかもデフォルトは時間の問題だ。

経済沸騰の頃、ベネズエラ全土で不動産開発、ビルラッシュが続き、建
機、健材、セメント、トラックなどを中国が輸出し、しかもカラカスの輸
入業者は中国人ときている。

これらの華僑は集中的に広東省の珠海デルタに位置する開平、江門などか
らやって来た同郷人で、カラカスだけで5万人もいた。開平、江門は苦力
時代から労働者輸出の本場として知られる。2016年にあらかたの華僑 は
広東へ逃げ帰った。

中国が自慢の「新幹線」プロジェクトもベネズエラでも進んでいた。総
額75億ドル、総延長462キロの鉄道建設だったが、2016年に放棄された。
 
ベネズエラの通貨は2007年に100ドル=4600ボリバスだった。いまは1100
ドルが80000、闇市では120000だ。珈琲が一杯2000000ボリバス。誰も
が喫茶の愉しみを失った。

原油高騰時代、高価なワインショップを開店した華僑もいた。ウハウハ笑
いの止まらなかった時代は終わった。治安は悪化し、暴徒は商店を襲い、
品物をあらいざらい奪い、火をつけ、中国人とみたら殴りかかる暴徒もい
る。カラカスから80キロ離れたマラケイ市ではことし6月に68の華僑の店
が襲われた。


 ▲負の連鎖

ベネズエラ政府は暴徒鎮圧のために、放水、催涙ガス装備の装甲車を中国
から緊急に輸入したが、すでに暴動で40人以上が死んだあとだった。マ
ドゥロ大統領は、強権発動に踏み切り、住民投票で強引に改憲に突き進
み、思案維持のために独裁政治を敷いた。この非民主的な遣り方に米国は
経済制裁強化で応じた。

連鎖は広がっている。すでにニカラグア運河は中国企業が着工し、突然、
資金繰りが悪くなって工事は中断されている。

リビアでカダフィ政権が潰えたとき、中国人労働者3万6000人が逃げ帰っ
た。100近い中国主導のプロジェクトは砂漠で置き去りにされ、後始末の
交渉さえ始められていない。リビアは依然として無政府状態だ。

同様にベネズエラの二の舞をやらかすのはアルジェリアとアンゴラである
と予測される。いずれも中国企業が食い入っている。とくにアンゴラには
五万人の中国人移民のチャイナタウンがある。
       
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◆書評 しょひょう BOOKREVIEW 
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 この話は本当か。大ヒット曲が誕生した舞台裏の涙の物語り
  「ドレミの歌」誕生の切っ掛けが、かの三島由紀夫だったとは

  ♪
門田隆将『奇跡の歌 戦争と望郷とペギー葉山』(小学館)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

 およそ歌と言えば、演歌と軍歌と小学校唱歌しか知らない評者にとっ
て、少年時代にラジオで聞いた「南国土佐をあとにして」は衝撃的だっ
た。それまでジャズ歌手としてバター臭い、「ペギー」などという芸名か
ら、縁の遠い歌手でしかなかった。

ラジオ全盛の時代、流れてくる歌の多くが情緒的で浪花節敵でもあり、豊
かな情操を伴った。歌姫は美空ひばり、島倉千代子、そして男の歌手は三
橋三智也、春日八郎。。。。。。

ペギー葉山の歌った「南国土佐を後にして」は日本人の感性と情緒を揺さ
ぶり、涙腺を刺激してあまりあった。

昭和34年、空前の大ヒットとなり、日活で映画になって小林旭が主演だっ
た。ペギー葉山はクラブで歌う場面で出演していた。中学生の頃、この映
画を見た記憶が蘇った。

あらゆる成功譚には、因縁、えにし、人脈、そして運命があり、それが輻
輳してある時、合体を産むと、奇跡が起こる。

まさに「南国土佐をあとにして」は奇跡の運命から誕生した。前編はその
舞台裏の物語である。門田氏は、この物語を感動的に書き上げた。

戦争中、歩兵第236連隊という勇猛果敢、別名「鯨部隊」と呼ばれた兵団
があった。土佐出身者の部隊である。鯨は古き昔から高知の漁民が捕っ
た。いまでこそ鰹の一本釣りだが、土佐料理につきもの。

はりまや橋は、地名こそ有名だが、小さな橋である。行ってみて驚くほど
小振りで、拍子抜けがする。そこで坊主がかんざしを買うというのは替え歌。

もともとはこの鯨部隊の兵士が戦地で作詞作曲し、大いに歌われ、流布し
ていた。戦後も兵隊の引き上げによって歌い継がれたが作者不明という状
態がつづいた。ちょうど吉田正の「異国の丘」と同様である。吉田はシベ
リア抑留から引き上げて、自分の歌が大流行していることに驚いた。

ジャズ歌手の道を歩んでいたペギーに白羽の矢を立てたのは音楽の才能が
あるNHKのプロデューサだった。「男の歌を女の歌に変えていた」の
だ。女性のアルトが良い、として誰がよいかを捜すとペギーしかいなかった。

「アトラクションで良いから」としぶとく口説き、ようやく了解したペ
ギーも、いざ高知の生番組の会場へ行くと、本番の台本を渡され、驚くし
かなかった。
 
練習を積んでいたので、おちついて歌い出すと場内はしーんとしている。
「あ、やはり失敗だ」と歌いながら思ったそうである。

ところが、最後まで歌うとどよめきに似た大喝采の嵐となった。

「異様に熱い何かが、まるで波が打ち寄せてくるように何度も何度も私に
迫って来ました」とペキーは語った。

「この歌の歴史は、ある名もない一兵士が、あの過酷な戦場でつくったと
ころから始まります。そして、郷土出身、鯨部隊の兵士たちが曠野で歌い
継ぎ、戦後、武政英策先生が補作編曲し、昭和34年、われらがペギー葉山
さんが大ヒットを飛ばし、全国的に有名になった」と「南国土佐の歌碑を
建てる会」の臼井会長に語らせる。

次の大ヒットは国民的歌謡となった「ドレミの歌」だった。

翌年、ペギーは米国の公演を引き受けロスアンジェルスへ単身で飛んだ。
 直前に、「運命を変えるともいうべき邂逅があった。35歳の作家、三島
由紀夫との対談である。

ペギーはこのとき、まだ26歳。深川の料亭で催されたその対談は、思いも
寄らぬ方向へ向かった」(306p)

三島はニューヨークへも足を延ばせと強く進めるので理由を問うと、「そ
りゃ、ミュージカルが花盛りだからさ」。

ウエストサイド、マイフェアレディ、サウンドオブミュージ。。。。。。
 
「絶対見てこいよ、って。私は『ええーっ』て言ったんですよ。とにかく
ぎょろぎょろしたあの眼で、三島さんがいろんなことを次々と」

ペギーは決断しロスからニューヨークへは重い荷物に着物姿の一人旅。ロ
スからのチケットも自分で手配した。まるっきりひとり。

見た。サウンドオブミュージックを。そして感動したペギーはロビーでス
コア(譜面)とLPレコードを買い求めた。
 
「これを日本語で歌ったら素晴らしいって思った」
 
生前にインタビューした門田氏にペギー本人が回想するのだった。

ペギーはドレミの歌の日本語訳を自分で、自分の感性でなした。翻訳をお
えるとニューヨークは朝になっていた。

「『南国土佐をあとにして』を歌いに来て欲しい」と。そんなロサンゼル
スの日系人の要請から始まったペギー葉山のアメリカン・ジャーニーは、
これまた日本の歌謡史に特筆される大ヒットを残すことになる」(318p)。

ペギー葉山と三島由紀夫、これもまた奇跡の出会いだったわけだ。

2017年08月16日

◆縄文の文明と文化を考えてみた

宮崎 正弘



<平成29年(2017)8月15日(火曜日)弐 通巻第5393号>  

<<エッセイ>>
   ♪
  三内丸山遺跡で縄文の文明と文化を考えてみた

夏休みの真ん中。国際ニュースを離れて随筆を書きます。今朝、午前6時
開門前に靖国神社へ行って参拝を済ませました。

一番乗りもこれで5年連続、それまでは昼前に参拝していたのですが、あ
の夥しい参拝者の行列に感動する一方で、やはり靜かで、参拝者がすくな
い早朝が良いと思うようになりました。

開門前、すでに500人ほどの列ができていました。人々が何を祈ったの
か、小生は参拝のあと、桜チャンネルのインタビューを受けたので「トラ
ンプ大統領が訪日のおり、是非、安倍晋三首相と連れだって靖国参拝を
やってもらいたい。戦後72年の日米関係を画期できることになるでしょう
から」とコメントしておきました。

 さてーー。

「三内丸山遺跡で縄文の文明と文化を考えた」
 
吉野ヶ里遺跡には数年以上前に行ったが、率直にいって感動が薄かった。
 弥生式のおおきな集落で共同墓地もあり、高床式の建物、堀、物見櫓、
しかし稲作文化、太陽信仰の弥生式遺跡の典型であるものの、あまり精神
性を感じない。

外敵の侵入を防ぐために2重の壕をしつらえ、防止柵、物見櫓に武器庫。
発見された人骨には刀傷、首のない遺骨もでてきて、戦闘が行われていた
ことを証明している。

吉野ヶ里は佐賀県が工業団地を建設しようとした1980年代に発見され、発
掘がすすみ、特別史跡と認定された。

そうだ。弥生式は稲作であり、外国との交流もあり、したがって部外者と
の戦闘が随伴したのだ。

懸案だったのは三内丸山遺跡である。

いつか機会があれば訪ねたいと思っていた。江戸時代から遺跡が埋もれて
いることは分かっていたらしいが、工業団地建設予定地を掘っていたら、
巨大な遺跡群がでてきた。縄文文明の象徴でもあり、しかも縄文遺跡は北
海道と東北に集中している。

私たちの世代が小・中学校で習った歴史教科書では、日本最古のものは弥
生式の登呂遺跡とされていた。吉野ヶ里も三内丸山も発見されておらず、
登呂遺跡が西暦1世紀頃。農村、高床式倉庫、水田跡、そして竪穴式住
居。したがって私が登呂遺跡を見学したのは高校生の時、ひとりで日本を
ほっつき歩いていた折だった。なぜか、興奮して見学した記憶がある。

縄文時代の象徴的な遺跡として三内丸山が特別史跡に認定されたのは近年
である。

青森県と秋田、岩手には十数の縄文遺跡がある。青森ではほかに亀岡遺跡
を見た。岩手県では御所野遺跡と是川遺跡。ほかにもたくさんあるが、い
ずれも遠方、奥地、辺疆にあるので、1度には回れない。 


▲縄文の人々は何を神に祈ったのだろう?

縄文の遺跡からでてきた人骨には刀傷もなければ、身体障害者が成人した
ものがあり、当時の縄文文明は介護が行われ弱者切り捨てではなかったこ
とが偲ばれる。縄文の時代は紀元前1万年から紀元後1世紀と言われる
が、三内丸山は紀元前6世紀から4世紀に栄えた集落で、およそ1千年に
亘って平和だったと推定されている。

稲作文化ではないが、栗、クルミ、トチの実を食べており、ひょうたんの
栽培もしていた。野ウサギやムササビ、鯨、ぶり、ふぐ、サバを食べていた。

それらを狩猟するための道具が黒曜石の槍など。

発掘された副葬品や器具。鹿の角でつくった工具、鯨の毛を応用した釣り
針、翡翠の大珠。縄文人は火を使うことを知っており、ドングリは煮て食
べたらしい。土瓶、土器、壺、そして容器、袋が出土した。紀元前4500年
頃には縄文のポシェットが編まれており、後期には漆の技術もあったこと
が分かっている。

32メートルの竪穴式集合住宅が復元されており、なかにはいるとかなり広
いのには驚かされた。

なかでも圧倒的なのは土偶である。「大型板状土偶」が三内丸山から出土
したが、なぜか、ギリシアやキプロスの博物館でみた土偶と共通性がある
とおもった。

亀岡石器時代遺跡(これは海に近く、三内丸山より古い)の展示室でみた
のは「遮光器土偶」で、大きな目玉が飛び出している奇妙なかたちだが、
おそらく太陽光を遮る眼鏡だろうと推定されている。太陽信仰の宗教儀式
に使われたのか、学説には様々な解釈があり、考古学に興味の薄い小生に
は、それ以上のことは分からない。

しかし、目玉がもっと飛び出した青銅器の人形を私は中国四川省の三星堆
遺跡でみている。

中国各地を旅行していた頃、33省の全てを十数回に分けて旅したが、遺跡
でいえば、河母渡、三星堆などにも足を延ばしている。

黄河文明よりも、揚子江文明が古いことは考古学的にもわかっているが、
中国の政治主導の歴史観では「黄河文明4千年」ということになってお
り、それより古い文明は明らかに漢族のものではないから、あまり宣伝を
しない。だから訪れる人がすくない。

河母渡遺跡へ行くには大変だった。長距離バスを乗り継ぎ、タクシーを
チャーターし、さらに河岸から艀に乗って、ようやくついた遺跡群の跡
は、なにやら人工的で、建物はレプリカだが、考証のあとが杜撰である。

四川省広漢市にある三星堆積に到っては、記念館だけがジオラマ在り映写
室在り、蝋人形の展示在りで近代的施設だが、嗚呼、これじゃ改竄した南
京大虐殺記念館のように、真実の臭いから遠いと思った。だが、中国遺跡
との比較論は別の機会に譲る。


▲環状巨石の群れは、いったいどんな文明があったのか

じつは縄文遺跡のなかでも、いちばん興味があったのは「大湯環状列
石」、いわゆるストーンサークルだった。

英国のストーンヘンジ、マルタの巨石神殿ほか世界各地の巨石神殿と、共
通性がある。太陽信仰で石の並べ方に科学があり、日時計にもなり、そし
て巨石の配列は、その下が墓場でもあった。これはイースター島のモアイ
像とも、発想とその精神文化に共通性がある。アモイ像は墓標である。

秋田県鹿角市にある大湯環状列石に行くのも、ちょっと大変である。

車の運転が出来ない小生には、近くの駅からタクシーとか、徒歩、あるい
はレンタサイクルとなるが、なにしろ、この遺跡も森で囲まれており、付
近には熊が出没するので県道を車で走行し、車窓から撮影するしかないと
いう。

遺跡は宏大であり、中央の広場に記念館がある。この付近だけは熊がでな
いらしい。

これが大湯ストーンサークル館(秋田県鹿角市十和田大湯字万座)だ。30
キロ前後もある重い石が7200個。これを2里近く離れた安久谷河から、そ
れも緑色の石だけを撰び、クレーンもない、重機もないブルドーザもない
時代に人力で運搬し、環状に並べたのだ。それが凡そ4000年前と推測され
るので、縄文文明に属する。

イースター島でみたモアイも、採石場から、人の力でえっちらほっちら海
岸へ運んだ。

縄文人は何を思い、どのような形式で信仰を深め、いかなる祭りを行った
のだろうか。人々は何を祈ったのか。

火の祭り、巫女がいて、宗教儀式の神秘があり、文化の深奥が展開されて
いたに違いない。遺跡から発掘された夥しい土偶、土器、飾り物、壺、木
製や石の農耕具、矢、石斧、これらのひとつひとつが手製であり、縄文人
が丹誠込めて、そして祈りを籠めてつくったのだ。

AI文明が人類を凌駕しようという「シンギュラリティの恐怖」がいま喧
しく語られているときにこの静謐で思索のできる空間は貴重である。

2017年08月14日

◆パナマ文書がじわり効いて

宮崎 正弘


<平成29年(2017)8月5日(土曜日)通算第5384号> 

 〜「パナマ文書」がじわり効いて中国富裕層の不穏
  天文学的金額が不正に海外へ流れ出た実態が判明〜

「中国の富裕層トップ100家族の蓄財は少なく見積もって4500億ドル(邦
貨換算50兆円弱)に達する。一家族平均が45億ドルになる。他方、およそ
3億の中国人が一日2ドルで暮らす中国で現実に起きている富の寡占状況
である」

こう書くのはバスチアン&フレデリック・オベルメーヤー共著『パナマ文
書』である(原書『PANAMA PAPER』、ONEWORLD、ロ
ンドン刊。227p―228pから拙訳)

同書に拠ると習近平の義兄であるトウ家貴(姉=橋齋齋の夫)や温家宝夫
人と息子の不正蓄財はよく知られているが、両家だけで、少なくとも10億
ドルから40億ドルが英領ヴァージン諸島などを通じて海外に持ち出され不
動産投資などに消えた。

ヴァージン諸島の登記は代理人の法律事務所や或いは法人組織で行われい
るため、実態の調査には時間がかかる。

こうした情報はブルームバーグやニューヨークタイムズが報じ、このた
め、両メディアの北京特派員は延長ヴィザが更新されなかった。そしてパ
ナマ文書で、これらの情報が確認されている。

グローバル・フィナンシャル・インタグリティ(GFI)が出した報告書
(2017年4月版)の「発展途上国から不正に流れ出した資金」に拠ると、
2014年に『中国から不正に流れ出した資金』は4兆3063億2600万ドル(邦
貨換算473兆円強)と見積もられている。

失脚した薄煕来、谷開来夫妻の息子=薄瓜瓜は、ハーバード大学留学の寄
宿先は24時間ガードマン付き豪華マンション(屋内ブールあり)で、フェ
ラーリを乗り回していた。このどら息子が毎月使ったカネは、父親の年収
に該当した。

パナマ文著のことは報道されて以来、中国のネット、検索エンジンでは接
続できなくなっている。

2017年08月10日

◆中国の住宅ローン残高

宮崎 正弘



<平成29年(2017)8月7日(月曜日)弐 通算第5388号> 

 〜中国の住宅ローン残高、ついにGDPの44・4%
香港のエコノミスト、朗喊平の予言「住宅ローンを組んだら99%は破産する」〜

数年前だった。香港の著名エコノミスト、朗喊平がテレビ番組で予言した
のだ。

「住宅ローンを組んだ人は、99%が破産するだろう」

この忠告を聞いて不動産投資を止める人は少なかった。どう見ても目の前
の現実は「不動産を所有しなければ人に非ず」という雰囲気であり、あれ
よあれよとマンションの価格は跳ね上がり続けていた。

北京、上海、広州など沿岸大都市の不動産価格は、はっきりと東京の2
倍。豪華マンションは2億円もザラ。

庶民が手を出せるレベルではない。当局は頭金を35%から、地域によって
は50%に上げるなど抑制策を講じた。価格の沈静化は見られないが、取引
が激減した。株式暴落を避けるために「株を売るな」と厳命した、あの遣
り方である。

基本的なスキームを想定してみよう。

元手の無い人がマンションを頭金だけで購入し、それを担保に2軒、3軒
と買う。借金が膨らむが、だれも気にしない。中国政府はGDP6・7%
成長と言いふらしているわけだから、不動産はあがるものと信じているか
らだ。もし、下がりだしたら、「不動産価格をさげるな」という国民運動
が起きるだろう。

恐ろしい数字がで\  出た。

中国の住宅ローン残高、ついにGDPの44・4%となった。公式統計で中
国のGDPは1100兆円だといっているから488兆円が住宅ローンの債務と
いうことになる。これは日本のGDP(535兆円)の、じつに91%になる。

北京でたとえば8000万円でマンションを買った若夫婦の実例が紹介されて
いる(サウスチャイナ・モーニングポスト、8月7日)。

頭金35%を自分たちの預金をおろし、両親、親戚、友人からカネを借りま
くって調達して、どうやら取得した。頭金は日本円で2800万円だった。

なぜ、これほど無理をしてまで購入するかといえば、周囲の熱狂、みなが
不動産投機に熱中しており、皆が集まれば、どこそこの不動産があがる、
あそこの物件は良い、という話題しかない。
集団的夢遊病である。

さて残りのローンは30年割賦、毎月の返済が32万円、年間354万円とな
り、これが30年間えんえんと続く(合計返済は元利を含めるから1億
11520万円前後となる)。

年収が400万円程度の共働き夫婦と仮定して、いったいローンを支払った
残りのカネで、食費、交通費、娯楽費、ほかをまかなえるのだろうか?


▲不動産はあがりつつけるという信仰を集団で夢想中

つまり、こうした歪つな経済構造にさらに醜悪にゆがませでしまったのが
不動産投機の結果であり、もし不動産暴落が始まったら(というよりそれ
は時間の問題だが)、朗喊平の予言通りに99%の債務者は破産する。米国
のサブプライム危機をはるかに超えた超弩級のバブル破裂がやってくる。

筆者は中国の不動産バブルの崩壊という未来の想像図を、あの「バベルの
塔」の崩壊に重ね合わせている。

重いローンに追われ、生活費にまわせる余裕がなくなれば、コンビニにも
寄らず、外食は出来ず、旅行にも出かけられない。ましてや外国旅行なんて。

いずれスマホの電話代も滞り、クレジットカードの信用枠をこえれば、
カード破産(米国、韓国に夥しい)、結局、逃げるか。あるいは詐欺に走
るだろうし、副業をもとめて暗黒の世界に入るか。

不動産バブルがはじけると、中国ではマンション購入者が暴動を起こし、
反政府行動に走ることが確実に予想される。

なぜそうなるかの考察は、詳しくは拙著、石平氏との対談『いよいよトラ
ンプが習近平を退治する』(ワック)の129p−138pを参照。

したがって習近平は不動産暴落を回避するための政策を続行せざるを得
ず、それが党大会終了までの小康状態の演出となっているのである。
      

 ▲中国のGDPは、いきなり世界6位に転落するリスクがある

かくして果てしなく広がる中国の債務の闇。

いったい、幾らが債務なのか。だれも本当のことを知らない。2010年に中
国政府のシンクタンク「中国社会科学院」の李揚副院長が「中国の公的債
務は2010年時点111兆6千億元に上り、GDP比215%に達している」と発
言したことがある。

当時の為替レートでも1450兆円である。しかし同研究院は三年後の2013年
末で中国の公的債務は1130兆円だと下方修正の数字を「公式見解」とした。

政府発表は超低めにおさえているが、当時の欧米の経済誌の見積もりでも
20兆ドル(当時の為替レートで)2000兆円が常識だった。

マッキンゼーの2015年2月の報告ではGDPの282%、つまり2900兆円前
後と上方修正(?)がなされ、いったい何が正しいのか怪しい数字空間が
広がる。

ウォール街のなかには「中国の債務は33兆ドルだ」と断言して憚らないエ
コノミストが輩出し、ロンドンのシティ関係者のなかにも中国の経済的破
綻を予測する向きが増えていた。

いまさら指摘するまでもないがGDPの算定は(1)住宅投資を含む個人
消費(2)民間企業の設備投資(3)税府の財政出動(4)経常収支の黒
字(或いは赤字)である。

中国の個人消費はGDPの35%程度(米国65%、日本60%)。だから民間
の不動産購入がGDPのかなりの部分を支えている。民間企業は、中国の
場合、上場企業の98%が国有企業であり、しかも大方は赤字体質のゾンビ
である。

となれば、民間企業の設備投資というのは中国と合弁のフォルクスワーゲ
ン、トヨタ、日産などの設備投資を加えているのだろう。民間でアリババ
など通信産業は、設備投資がかからず、鵬海精密工業とて、ロボットへの
投資くらいである。

となると、政府の財政出動がGDPを根底的に支えており、裏付けのない
紙幣を印刷して市場にバラマキ、ひたすらGDP向上に貢献してきただけ。

それが中国経済の実態ではないのか。

貿易統計は対米、対EU輸出が堅調に維持されているかにみえるが、人件
費が四倍になった中国製品は世界市場ですでに淘汰されつつあり、日用雑
貨、繊維製品などは鉄鋼のダンピングと同様に赤字輸出を断行していると
推定される。
    
こうみてくると筆者の想定で、中国GDPが世界第2位というのは、前か
ら言っているように真っ赤な嘘だ。

大規模な倒産とバブル消滅が重なれば、GDP神話が消え、首位にたつ米
国のポジションは不変だが、中国GDPは、たちどころに日本、ドイツ、
英国、仏蘭西に次ぐ、第六位に転落することもあり得るだろう。

2017年08月09日

◆象牙がダメならマンモスの牙

宮崎 正弘



<平成29年(2017)8月8日(火曜日)通算第5389号 <特大号>>


  〜象牙がダメならマンモスの牙があるさ
    中国人の懲りない面々。今日も牙に彫刻〜

象牙の密輸は習近平の特別機にもアフリカ某国訪問の帰りに積み込まれた
ことがばれて国際問題となった。

2001年から15年にかけて、9万3000から11万頭余のアフリカ象が殺され、
象牙が密輸された。

中国では象牙がスティタスシンボル、これに仏像などを彫刻し、飾り物と
して巨大な市場がある。

国際的な批判に晒されて、中国は密輸取り締まりを強化、国内の象牙工場
67箇所を手入れ、78店舗を閉鎖、3185点の象牙彫刻品を押収した。これは
氷山の一角に過ぎないが、ともかく中国はジェスチャーを示したのだ。

象牙が禁止されているのは、「絶滅のおそれがある希少動物」という理由
により、国際的取り決めがある。

であるならば「絶滅した動物」ならどうなのか。

中国の象牙密輸業者、バイヤー、彫刻師、販売店等が目を付けたのは、
3600年前に絶滅したマンモスの牙だった。シベリアの凍土にまだかなりの
マンモスが凍死したまま。これを機械で引き上げ、牙だけを輸出するの
だ。ロシア軍が副業にしているという。

中国黒竜江省の税関を通過したマンモス牙は27トン、ところが香港では34
トンが陸揚げされていた。
     
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◆樋泉克夫のコラム 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 
【知道中国 1611】          
  ――「獨乙・・・將來・・・無限の勢力を大陸に敷けるものと謂ふべきなり」
(山川1)
山川早水『巴蜀』(成文堂 明治42年)

                  △

清国末期に四川高等学堂で日本語教師を務めていたこと以外、生没年も経
歴もはっきりしない山川早水だが、明治42(1909)年11月に東京京橋区鈴
木町一番地に在った成文館という出版社から400頁を超える分厚い『巴
蜀』を出版している。

山川は、日露戦争が勃発した明治38(1905)年3月から7月にかけ湖北省
宜昌から長江を遡り、成都、嘉定、重慶など四川省各地を踏査し、その結
果を『巴蜀』に纏めたというわけだ。それにしても、あの時代、西南深奥
部の四川で日本語教師を務めていたとは・・・蛮勇なのか無謀なのか。彼
の個人的意志なのか。それとも国策が絡んでいるのか。いずれも不明だ
が、やはり驚く外はない。

最初に四川を訪れた日本人は誰だったのかは不明だが、おそらく明治
12(1879)年に出版された竹添井井(進一郎)の『棧雲峽雨日記』辺り
が、日本人が残した最初の本格的四川紀行だと思われる。

明治維新当時には熊本藩参謀として働き、明治政府では天津領事、朝鮮弁
理公使、北京公使館書記官、韓国弁理公使などを歴任。清仏戦争
(1884〜85年)の間に朝鮮で起きた甲申事変(1884年12月)において日本
軍を指揮するなど、“国士的外交官”として働く一方、後に東大で『春秋左
氏伝』を中心に中国古典を講義した学者・名文家として知られている。

竹添が漢文で綴った『棧雲峽雨日記』は夙に有名であり、その一部は、高
校時代の漢文の授業で頼山陽の漢詩などと共に学んだ記憶がある。教科書
に採用されるくらいだから“正調”の日本漢文ということだろうが、なんと
も型に嵌った美文調の風景描写が延々と続くだけで、面白くも可笑しくも
ない。じつは四川の地に生きる人々の息づかいが、まったくといっていい
ほどに感じられないのだから、読み手の琴線に触れることもない。

これに対し山川が自らの目と足とで書きあげたと思われる『巴蜀』は格段
に面白く、いま読んでも興味深い指摘が少なくない。それほどまでに山川
の観察は微に入り細を穿っていて鋭いということだろう。竹添と山川の違
いを敢えていうなら、前者の目線は上から下向きで、後者は横向きで“被
写体”と同じ高さといえるだろうか。

帝国海軍がロシア・バルチック艦隊を打ち破った日本海海戦(5月27~28
日)に先立つこと2ヶ月余りの「明治38年3月18日、神戸を發し」た山川
は、「同行草野金松氏及び蜀省雙流縣人陳?氏(字は心堯)に上海に會
し」、長江を遡り四川(蜀)に入ったものの、途中の宜昌で最初の怒りが
爆発する。それというのも、当時、同地にはまだ西洋式ホテルも日本式旅
館もなく、劣悪な「支那宿」しかなかったからだ。

これまでの日本人の中国旅行記には「長城居庸を説くはあり、姑蘇金陵を
記すはあり、古今を俯仰し、興亡を憑弔するはあり、據るに足らざる輸出
入の數字を?し、自ら以て貿易の情勢を得たりとするはあ」るものの、
「旅館の不備に言及」したものがない。かくて山川は「旅館の旅行に於け
る、其の關係甚だ密」であり、将来の日本人旅行者のためにも、また「支
那社會の研究」のうえからも必要だからと、「興隆一店」の概要を記す。

だが山川は間違っている。これまで数多く見てきた文久以来の先人の残し
た記録に旅館の劣悪な状況が詳細に記されていたことを思い起こすなら、
やはり山川は先人の記録に目を通していなかった、ということか。それに
しても「據るに足らざる輸出入の數字を?し、自ら以て貿易の情勢を得た
りとする」との指摘は、現在にも通じるものがある。

さて旅館に対し山川は、「要するに、支那旅館は、我等に取りては、僅に
山野に露臥するを免るゝに止り、之に由りて其日の草臥を醫せんは、到底
期せらるべきに非ず」と結論づけた。「牛馬に秣かふにも似た」食事であ
る。疲れが取れるわけがない。旅はシンドイ。
《QED》

2017年08月08日

◆李嘉誠が靜かに中国から退去

宮崎 正弘



<平成29年(2017)8月7日(月曜日)通算第5387号> 

 〜「さらば、中国」と香港財閥第1位の李嘉誠が靜かに中国から退去
  英豪独加のエネルギー産業へ大規模投資を加速。気がつけば中国と離
別していた〜

 香港経済は3本の柱で成立している。第1は不動産、第2は国際金融。そ
して第3が観光立国、免税品の買い物天国、賭場マカオへの中継地。

この香港経済を明らかに牽引してきたのが李嘉誠率いる長江実業とハッチ
ソン集団、この2つの企業集団の株価だけで香港市場の時価総額の3分の
1を占めたこともあった。

李嘉誠は広東省潮州出身。放浪のあげくに香港へ流れ着き、最初は香港フ
ラワーで当てた。不動産ビジネスに参入し、マンションの開発、分譲ビジ
ネスでさらに当て、貿易、発電、輸送に進出し、いまや電力、ガスでも世
界有数の企業となった。

李嘉誠は天安門事件で世界に孤立した中国に、むしろ果敢に進出し、北
京、広州にランドマーク的なビルを建築した。トウ小平、江沢民から深く
感謝された。

この成功を見て多くの華僑が後追いし、中国のマンション、ショッピング
モールの開発はあたりに当たった。

そのピークの時(2012年)、李嘉誠は突如、中国大陸に保有してきたほぼ
全ての不動産物件を売り払った。人民日報は「逃げるのか、李嘉誠」と批
判したが、気にも留めず、「私は1インチの空地も残していない。私が建
てたのはすべて価値ある不動産物件であり、高値で売却するのは商業の基
本である」とした。逃げの姿勢を否定したのだ。

中国で7つの旗艦ビルの売却は総額434億元(邦貨換算で7000億円弱。)

これを見ていた中国大陸の新興財閥は、アリババも大連万達集団も複星集
団も、HNA(中国海航)も安邦生命も舵取りを変え、海外企業を買収、
海外の有名不動産買収で、中国から逃げの態勢に入ったのである。

ところがその後の李嘉誠が展開していたのは、西側諸国へのシフトだっ
た。ほかの中国の新興成金のだぼはぜ的な衝動買いとはことなり、李嘉誠
には長期的な戦略があった。

第1に投機的な不動産開発は行わない。
 
第2に確実で安定的な水道、電力、ガス供給という分野に本格的に進出する
第3に自由民主主義の国に投資する。


 ▲投資する対象国は民主主義体制が原則なのだ

英国では不動産開発、ニュータウン建設も手がけたが、主力はガス、水
道、下水処理、電力会社を買収した。

豪でも、カナダでも、同じ大英連邦ゆえに法律、規制が香港と似ていてビ
ジネスがやりやすかったこともあった。この勢いは止まらずポルトガル、
ルクセンブルグなどへのエネルギー産業投資を続けた。

海外展開の嚆矢となったのは英国「ノース・アーバイイン・ウォーター」
買収(2011年、282億香港ドル(4230億円)で、ついで「ウエールズ&
ウェスト・ユテリティ」(12年、82億HKドル=1230億円)。
 
豪では電力供給会社と水道配給会社を買収し、2013年にはルクセンブルグ
のAVR(発電、水処理企業)を買収した。

その後もガス、水力発電など重要なエネルギー関連にのみ的を絞り、2016
年には空前の金額(453億HKドル=6800億円)で、豪のデュエット集団
(電力、ガス供給企業)を買収した。

同年にはドイツの総合エネルギー企業「イスタ・ルクセンブルグ」414億
HKドル(6200億円)で買収し、過去6年だけの買収トータル金額は1900
億HKドル(2兆8500億円)にも上るのである。

なぜ李嘉誠実は中国を見限り、本丸香港でも事業も拡大はせず、西側に焦
点を絞り込んで投資拡大にいそしんでいるのだろうか。
 それは言うまでのない。中国に未来に夢がないからである。
        参加費    1000円(予約不要です)
主催     英霊の名誉をまもり検証する会(佐藤和夫代表)
問い合わせ (090)6709−9380