2018年02月13日

◆中国、モルディブ旅行に「渡航自粛勧告」

宮崎 正弘

平成30年(2018) 2月7日(水曜日)弐 通巻第5610号 

<モルディブ政変続き>
  中国、モルディブ旅行に「渡航自粛勧告」
   前大統領、インドに軍事介入要請、米国には経済制裁を要求

 モルディブの混乱はさらに悪化している。

6日、ヤミーンは治安部隊を出動させ、最高裁判所を取り囲んだが、5人
のうち、2人の最高裁判事を「汚職」と言って拘束し、さらには野党議員
12人名も拘束した。

そのうえ異母兄にあたるガヨーム元大統領等も「クーデタを企んだ」とい
う容疑で拘束した。

アルジャジーラ英語版によれば、ナシード元大統領は、インドに軍事介入
を要請し、また米国に対しても「直ちに経済制裁」を行うよう要請した。
インドと米国政府は「重大な関心をもっている」とのみ答えている。

 国連、EU議会、ドイツ、仏蘭西などはモルディブの非民主的な行為、
とくに最高裁判事を拘束するなど三権分立のデモクラシーの原則を踏みに
じるヤミーン大統領に対して「民主的ルールの尊重、人権の尊重」を呼び
かけた。

拘束されている野党議員や前大統領等が釈放され、総選挙に臨むとヤミー
ン大統領政権の崩壊は確実視されており、ヤミーン政権は切羽詰まった状
況で軍事行動に踏み切ったと見られる。しかし、これは薮から蛇、むしろ
政権崩壊を早めたのではないか。

ヤミーン政権に食い入り、マレ空港整備やマラオ島開発、軍事基地租借な
どの秘密交渉を進めてきた中国は、モルディブ観光でもダントツのツアー
を送り込んできたが、6日、渡航自粛勧告を出した。

       


2018年02月11日

◆中国、モルディブ旅行に「渡航自粛勧告」

宮崎 正弘

平成30年(2018) 2月7日(水曜日)弐 通巻第5610号 

<モルディブ政変続き>
  中国、モルディブ旅行に「渡航自粛勧告」
   前大統領、インドに軍事介入要請、米国には経済制裁を要求

モルディブの混乱はさらに悪化している。
 
6日、ヤミーンは治安部隊を出動させ、最高裁判所を取り囲んだが、五名
のうち、2人の最高裁判事を「汚職」と言って拘束し、さらには野党議員
12人も拘束した。
」そのうえ異母兄にあたるガヨーム元大統領等も「クーデタを企んだ」と
いう容疑で拘束した。

アルジャジーラ英語版によれば、ナシード元大統領は、インドに軍事介入
を要請し、また米国に対しても「直ちに経済制裁」を行うよう要請した。
インドと米国政府は「重大な関心をもっている」とのみ答えている。

国連、EU議会、ドイツ、仏蘭西などはモルディブの非民主的な行為、と
くに最高裁判事を拘束するなど三権分立のデモクラシーの原則を踏みにじ
るヤミーン大統領に対して「民主的ルールの尊重、人権の尊重」を呼びか
けた。

拘束されている野党議員や前大統領等が釈放され、総選挙に臨むとヤミー
ン大統領政権の崩壊は確実視されており、ヤミーン政権は切羽詰まった状
況で軍事行動に踏み切ったと見られる。しかし、これは薮から蛇、むしろ
政権崩壊を早めたのではないか。

ヤミーン政権に食い入り、マレ空港整備やマラオ島開発、軍事基地租借な
どの秘密交渉を進めてきた中国は、モルディブ観光でもダントツのツアー
を送り込んできたが、6日、渡航自粛勧告を出した。

2018年02月09日

◆<モルディブ政変続き>

宮崎 正弘

平成30年(2018) 2月7日(水曜日)弐 通巻第5610号 

<モルディブ政変続き>
  中国、モルディブ旅行に「渡航自粛勧告」
   前大統領、インドに軍事介入要請、米国には経済制裁を要求

 モルディブの混乱はさらに悪化している。

6日、ヤミーンは治安部隊を出動させ、最高裁判所を取り囲んだが、五名
のうち、2人の最高裁判事を「汚職」と言って拘束し、さらには野党議員
12人も拘束した。

そのうえ異母兄にあたるガヨーム元大統領等も「クーデタを企んだ」とい
う容疑で拘束した。

アルジャジーラ英語版によれば、ナシード元大統領は、インドに軍事介入
を要請し、また米国に対しても「直ちに経済制裁」を行うよう要請した。
インドと米国政府は「重大な関心をもっている」とのみ答えている。

国連、EU議会、ドイツ、仏蘭西などはモルディブの非民主的な行為、と
くに最高裁判事を拘束するなど三権分立のデモクラシーの原則を踏みにじ
るヤミーン大統領に対して「民主的ルールの尊重、人権の尊重」を呼びか
けた。

拘束されている野党議員や前大統領らが釈放され、総選挙に臨むとヤミー
ン大統領政権の崩壊は確実視されており、ヤミーン政権は切羽詰まった状
況で軍事行動に踏み切ったと見られる。しかし、これは薮から蛇、むしろ
政権崩壊を早めたのではないか。

ヤミーン政権に食い入り、マレ空港整備やマラオ島開発、軍事基地租借な
どの秘密交渉を進めてきた中国は、モルディブ観光でもダントツのツアー
を送り込んできたが、6日、渡航自粛勧告を出した。

2018年02月08日

◆モルディブに戒厳令

宮崎 正弘

平成30年(2018) 2月7日(水曜日)通巻第5609号 

 モルディブに戒厳令。最高裁判事を拘束という異常事態
  ヤミーン大統領は中国に手繰られているのだろうか?

 モルディブは1192の島嶼から成立する国家で、人口は40万。GDPは36
億ドルに過ぎない。900余の島々は無人島である。

2018年2月6日早朝、島嶼国家モルディブの首都マレに異様な緊張がただ
よった。突如、戒厳令が施行され、警官隊が最高裁判所の周囲を囲んで、
最高裁判事を拘束した。

モルディブ最高裁は先週、拘束中の前大統領を含む「政治犯」の保釈を認
め、これに反対するヤミーン大統領と対立していた。

このモルディブ政治の異様な状況を警戒を強めつつ注視しているのがイン
ドである。インドの南端からアラビア海へ回り込むシーレーンの洋上に浮
かぶ岩礁、ラグーンだけのモルディブはイスラム国家だが、貧弱な政治が
多くの失業を産み、これという産業はなく、ひたすら外国援助と観光に依
存してきた。

インドはモルディブに対し老朽化した空港の改修工事を援助するとした
が、ヤミーン大統領はこのインドの申し出を蹴って、中国のインフラ建設
計画に全面的に依存し始める。

このマレ国際空港の南40キロにあるのがマラオとい島を狙って、中国はす
でに2011年から、この港の開発に目を付け、潜水艦寄港基地を打診してきた。

これまではインドの庇護をうけてきたが、政治的にはカメレオン、反イン
ドに転じると、インド洋の安全保障が脅かされるだろう。
 
観光客のトップはいまでは日本ではなく中国人ツアーである。

他方、失業の若者のなかから800人がISに加わりシリアへ向かったこと
が確認されており、治安悪化が懸念されていた。
 
ところがこの国の政治は土木事業、新空港、道路建設にからむ汚職が常識
であり、その背後にあって、地政学上の拠点構築を企図する中国の政治的
思惑とプロジェクトが一致すると、歴代大統領はキッキュウジョとして北
京に挨拶に通う。そのくせ「インドとの歴史的友好関係に豪の変化もな
い」と常套句が付帯させた。

モルディブのGDPの28%が観光、5%を漁業に依存し、貿易額は微々た
るもので、対中貿易はようやく1億ドルを超えて程度だった。

ところがヤミーン政権は秘密裏に中国と交渉をすすめ、FTAを成立さ
せ、95%の物資の関税を撤廃するとした。このFTAの草案を野党に提
出したのは議会の議決一時間前というあざとさだった。

これによって中国からの輸入品に関税がかからなくなり、市場を席巻し、
インド製品を叩き出すシナリオが描かれる。だが、貿易赤字の累積に悩む
モルディブが中国からの輸入を増やすということは、例によって「借金の
罠」に陥ることを意味する。

友好国で中国の軍事同盟であるパキスタンでも、プロジェクト用の建材、
建機、セメントばかりか労働者も中国から夥しく入り込み、けっきょくは
パキスタンの赤字累積となる。だから中国と軍事同盟を組むパキススタン
にあってさえ、反中国暴動が起こる。

スリランカは、この手法にころりと騙されてハンバントタ港を99年間中
国の租借を認めざるを得なかった。ハンバントタでも反中国暴動が起きた
が、親中政権によって鎮圧された。

中国は長期的に着実にモルディブを切り崩してきた。2001年には朱容基首
相が訪問しているが、それ以前に軍人の専門家が足繁くモルディブに通い
詰め、各地を視察していた。2011年に呉邦国(全人代委員長=当時)、
2012年に李長春(政治局常務委員)、2014年に習近平がモル ディヴを訪
問した。 

中国がモルディブに目論むのは将来、軍港として利用できる港湾の建設で
あり、モルディブの現政権は巨額の投資を前にしてプロジェクトに積極的
なのである。

「中国の罠」と訴える野党を弾圧し、前大統領ら反対派の政治家をごっそ
りと拘束して独裁的行動の多かったヤミーン大統領は、とくに昨年師走に
北京を訪問し、習近平と握手を交わしている。
       
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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【知道中国 1699回】           
――「支那人に代わって支那のために考えた・・・」――内藤(6)
  内藤湖南『支那論』(文藝春秋 2013年)

                ▽

内藤は先ず革命軍の側に立って革命の成否は、?革命軍が革命軍鎮圧に向
うであろう清朝軍(内藤は「官軍」とする)の中に同志を見い出せるか否
か。?革命軍が武装蜂起した武昌が長江に面しているゆえに最重要課題で
ある長江の交通権を掌握するための海軍を持てるか否か。?外国から武器
を購入するための軍資金の有無――に懸かっている、とする。

一方、清朝政府側(内藤は「北京政府」とする)を「現在の北京政府では
大分敵視しておった人間である」袁世凱を革命軍鎮圧に向わせた点からし
て、「随分あわてておる様子」であり「無定見」だと捉える。

かくして目下の情勢から判断して武昌に発した革命が「支那の大動乱に
なるかどうかということは、革命軍が何か月その運動を支え得るかという
ようなことが問題になる」。だが目下のところは「事件の最初であって、
ほとんど形勢も全く分からない」。時間の経過と共に状況が分って来るだ
ろうから、そうなった時には「もう少し正確な判断を下すことが出来るで
あろうと思う」とした。

当時もまた希望的観測やら揣摩憶測の類が飛び交っていたはずであり、そ
れゆえに中国全体がどの方向に進むのか判断することは容易ではなかった
はず。

次の「支那時局の発展」は、明治44(1911)年11月11日から14日の間に
「大阪朝日新聞」に掲載されている。武昌での武装蜂起から1ヶ月が過ぎ
ているだけに、現地の状況もかなり詳細に伝わって来ていたことだろう。

「当初予想したことの大部分は着々事実の上に現れてしかも予想よりも迅
速に、しかも発現の仕方は結局皆革命軍の方に有利に発展して来ておる」
と、革命軍有利の読みを下しているが、「革命軍が軍事上あまり成功をし
ないにも拘らず、つまり叛旗を翻したということだけが、既に非常なる影
響を全国に及ぼしたこと」を「最も驚くべきこと」と捉える。

それというのも、「支那のような感じの鈍い国(時としては馬鹿に感じの
早すぎる旧来の例もあるけれども)としては、何人も想い及ばざるところ
である」からだ。ということは、どうやら内藤の“常識”では「支那のよう
な感じの鈍い国」において、「革命軍が軍事上あまり成功をしないにも拘
らず」、各地に駐屯している清朝政府軍が清朝に対し次々に「叛旗を翻
し」たことが判らなかったということだろう。

「支那のような感じの鈍い国」とは言い得て妙ではあるが、どうやら内
藤は「叛旗を翻し」た背景に郷紳と呼ばれる地主層の「馬鹿に感じの早す
ぎる」動きがあったことに気づいていないようだ。

1911年10月10日の辛亥革命から1949年10月1日の中華人民共和国建国まで
の40年程の動きを振り返ると、「馬鹿に感じの早すぎる」動きが「支那の
ような感じの鈍い国」を揺り動かしたことに思いたるはず。

その点については、必要に応じて考察することとして、内藤の「支那時局
の発展」の先を急ぎたい。

情勢は混沌としているが、清朝側の最高責任者である袁世凱が掲げる「講
和説が革命軍の方に入れられて、そうして一時休戦状態になってしまう
か、それともこのままで戦争が継続するか」の2つに1つと、内藤は「到
着すべき点は大抵きまっておる」とする。

実は「叛旗を翻した」、つまり清朝側から革命側に寝返った「各地の新軍
は大部分は純正の革命主義といってよいかも知れぬが、その間には必ずし
もそうではないものもある」わけで、清朝側にせよ革命側にせよ統一して
動いているわけではない。

だから和戦いずれも模様眺めということにあろう。だが、革命が起った以
上は「穏健なる議論が決して勝ちを制せずに、必ず極端なる主張が成功す
るということであ」り、「微温的なる考えは必ず失敗するに決まっておっ
て」、「温和な改革派というものは勢力を得にくい」ものだ。《QED》 
                

2018年02月07日

◆「IS」のテロリストは殲滅されず

宮崎 正弘

平成30年(2018)2月6日(火曜日)通巻第5608号 

「IS」のテロリストは殲滅されず、多くが地下へ潜り、それぞれの故郷
へ帰った
  ユーフラテスを渡河し、イラクへ潜入した者だけでも5千人

ニューヨークタイムズが欧州各国の諜報機関がまとめたIS戦闘員の逃亡
状況を報じた(2月5日)。最盛期4万人の外人部隊がシリアにひしめき
合った。

欧米、トルコ、露西亜の参戦と空爆によってテロリスト基地の移動と戦争
員養成のため、リビアへの逃亡ルートが構築された。

ダマスカス近郊へ市民に化けて逃れた戦闘員も多く、また欧州勢の5000人
のうち、1500人はそれぞれの国に帰った。ベルギーで、パリで、のうのう
と商店主に戻った豪の者もいると推定している。

 ISに加わったアメリカ人は296人と推定され、またシリア各地で拘束
したIS容疑者の多くは拘束中である。

しかし、つい最近もユーフラテス河と渡河し、イラクへ潜入に成功した者
がおよそ1000人と推定される。理由はISから1人2万ドルもの賄賂 を
巻き上げて逃亡に手を貸すマフィア的集団の存在があり、またイラクの
諜報機関の手助けも考えられる。

この状況に先月来、トルコがクルド武装集団への攻撃を開始したため、
この戦闘による混乱状況に紛れてトルコ・ルートから、ひとまずトルコへ
入国したIS構成員は、そこで新しい指示を待っているという。

結局米軍の発表のように「殲滅」とは程遠い戦果であったらしい。
       

2018年02月06日

◆中国海軍、AI搭載の原子力潜水艦を開発中

宮崎 正弘

平成30年(2018)2月5日(月曜日)通巻第5607号 

 中国海軍、AI搭載の原子力潜水艦を開発中
  世界の軍事専門家が俄然、AI軍事利用に刮目

 『サウスチャイナ・モーニングポスト』(2月5日)のトップ記事である。

中国海軍が、非公開ながらAI搭載の原子力潜水艦を開発中という報道だ
が、これは  世界の軍事専門家を驚かせるに値する。

海の戦闘では潜水艦が致命的な破壊力を伴い、どの国の海軍も潜水艦の威
力を重視する。ディーゼル駆動の潜水艦は敵に探査されやすく、特に日本
はP3Cを多数保有して哨戒能力は世界最高レベルにあると言われてき
た。また日本の技術はディーゼルエンジンの音を消すレベルにある。

中国の潜水艦が原子力駆動となれば、日本の哨戒能力が俄然弱体化し、そ
のうえ、AIが軍事利用されると戦力比が逆転する怖れがでてくるだろう。

指摘するまでもないが、既にAIはチェス、将棋、囲碁名人を次々と負か
し、怖いものなしとなっている。パターン認識をすべて記憶しているか
ら、こうしたゲームの場合、過去の勝敗の事例を読み取り、敵の出方を先
読みすることができる。

しかも、中国の囲碁ソフトを組み込んだAIの新型「アルファ囲碁ゼロ」
はもはや棋士らの助言をインプットする必要さえなく、AI同士で次の一
手を組み立てている。

潜水艦は、その性能、隠密性が最重要な上、経験と効率。乗組員の一致協
力体制というノウハウ、艦長の決断、その即断能力が問われる。

暗い懐中深くに潜って100名―200」名の乗組員が運命を共にしているから
鑑長の判断で全員の運命が決まるのだ。

潜水艦の作戦は通常2ヶ月から3ヶ月、暗い海の深いところを遊弋してい
るから、その精神的摩滅、疲労が、ときとして誤断を招きやすく、機械で
しかないAIは疲れを知らない。

したがって、即断を必要とする戦術的判断をAIが補助する、或いは主導
するとなると近未来の海戦も、基本ルールが変更となる可能性もある。
 
       

2018年02月05日

◆野党連合勝利の可能性が高まる

宮崎 正弘

平成30年(2018) 2月4日(日曜日)通巻第5606号 

 マレーシア総選挙、野党連合勝利の可能性が高まる
  暫定首相はマハティールだが、後継はアンワル元首相か

マレーシアの政局に大きな動きが出てきた。

政界を退いたはずのマハティール元首相が復帰するかも知れないという大
逆転のドラムが進行中だからだ。

マレーシア与党はナジブ・ラザク首相が率いるが、なにかと汚職の噂が絶
えず、どのプロジェクトにも賄賂、収賄、腐敗の匂いがすると言われる。
この体質につけ込んで巨額を投じているのが中国だから、ナジブ政権は中
国を批判しない。

不人気ゆえに、総選挙は野党の勝利かと思いきや、マレーシアは人種複
合、華僑、インド系、マレー系そしてボルネオ系の原住民があった少数野
党が乱立状態。だから与党は楽勝してきた。その与党を割ってでたマハ
ティール元首相が、「ラジブ政権打倒」を呼びかけるや、マレーシア政治
史が始まって以来の椿事がおこった。

野党が連合し(野合ともいうが)、ともかくラジブ打倒が目的の野党連合
「希望」を2017年に結成し、首相候補にマハティール元首相を選んだ。
 
とはいえマハティール元首相は92歳、過去の人(首相在任は1981−2003)
である。自身がリリーフと心得ており、すぐにもアンワル元副首相と交代
すると言明している(ただしアンワルは獄中にあるため政権を掌握後、恩
赦を与えるとしている)。

慌てたのはナジブ現首相である。与党勝利継続のため、選挙戦略を組み立
て、大票田のボルネオ島サバ、サラワクに土木工事をともなう新規プロ
ジェクト「ラブアン発展ブループリント2030」を作製し、東マレーシアの
大開発に乗り出すとした。

ボルネオにはコタキナバルなど観光地もあるが、クアラルンプールとは経
済格差がひらく一方で、多くの貧困層が与党に不満を抱き、次の野党連合
に希望を託している。ただし地区によって天然資源に恵まれて輸出が好況
のため、北部の少数民族居住区とはますます経済格差が拡大し、マレーシ
ア政治の大きな問題となってきた。

マレーシア総選挙は日程が未定だが、6月までには行われる見通し、選挙
戦が始まると中国系がどう動くかが注目されている。

2018年02月04日

◆米国がTPPに復帰の可能性だが

宮崎 正弘

平成30年(2018)1月27日(土曜日)弐 通巻第5597号  

ダボスでの椿事はアメリカがTPPに復帰の可能性だが
  トランプは対中軍事的脅威に史上空前の国防予算を提示した


 日本のメディアがほとんど軽視するか無視した。
 マティス国防長官が先週、講演で語った内容の真髄は「対テロ戦争」で
はなく、これからは中国とロシアの軍事的脅威への対応である、という軸
足の移動である。

 ダボス会議でのトランプ発言の、もっとも重要な箇所は、TPPへの復
帰をほのめかしたことだろうが、同時にペンタゴンとホワイトハウスが用
意しているのは2019年度予算で、7160億ドルという、史上空前の国防予算
を提示し、しかも中国の軍事的脅威に対応するためとしたことではないの
だろうか。

これは2018年度国防予算より7%増加となる。

2018年02月02日

◆中国の「理財商品」の焦げ付きが

宮崎 正弘

平成30年(2018)2月1日(木曜日)弐 通巻第5603号 

 中国の「理財商品」の焦げ付きが次々と表面化
  残高900兆円、四割が潜在的不良債権だとすると。。。。。。{?}

理財商品を起債した金融機関が、その配当が遅延するか、もしくは債務不
履行に陥るという事例が、急膨張している。

金融危機前夜の様相と言って良いだろう。残額が900兆円という巨額、日
本のGDPよい多いのだ。しかも四割が不良債権化する怖れがある。

もともと銀行が、急激に蓄積してゆく潜在的不良債権のため融資枠が狭ま
り、それではと新金融商品を発売し、預金者や金持ちからホットなカネを
かき集める手法を思いついた。定期預金利率より高利を示し、しかも元利
保証という虚偽のイメージを作り出す必要があった。当局の「暗黙の保
障」がなければ、リスクの高い金融商品に手を出す預金者は少ないはずで
ある。

この「暗黙の保障」という印象操作は不動産投資に象徴されるように、投
資する側は「まさか、暴落となれば当局が保障するはずだ」という前提に
立っている。だが、900兆円をいったい誰が保障するのか。不良債権化す
る怖れが高いとなると、一斉に契約解除に動く。

そうなると一瞬にして理財商品市場の大暴落が発生する。

いわゆる「理財商品」は「投資信託」と「銀行理財商品」に区別され、前
者は日本で言うところの「投資信託」で、ハイリスク、ハイリターンの類
が多い。日本も欧米先進国も「投資信託」の元利は保証しない。

日本では「投資信託」の販売に際して、五つのレベルを明示し、しかも
「元利は保証されてはおりません」とちゃんと説明している。

後者の「銀行理財」は、銀行が、同時に「影の銀行」をなして、簿外とす
るため銀行管理監査委員会の規制を受けない。

これが不正融資の温床でもあり、この機能を駆使して、地方政府やデベ
ロッパーへの融資が行われた。

結果的に「GDP成長」という宣伝材料にも使われた。

           
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【知道中国 1697回】           
 ――「支那人に代わって支那のために考えた・・・」――内藤(4)
内藤湖南『支那論』(文藝春秋 2013年)

   ▽
 「中体西用」で出発した清末の富強策が失敗して「洋務運動」に変じ、
「変法自疆」を経て「滅満興漢」を掲げる種族革命(辛亥革命)となり、
やがて「漢」そのものの根本理念の象徴である孔子への批判(五・四運
動)に転じ、ついには共産党一党独裁政権に辿り着いた変遷を振り返るな
ら、現在の富強策である「共体市用」も、いずれは共産党統治それ自体の
正統性に対する根本疑念を呼び起すようにも思える。

だが喜ぶのは早い。「支那國は滅びても支那人は滅びぬ」(佐藤善治郎
『南清紀行』良明堂書店 明治44年)のだから。

話を内藤に戻すと、彼は立憲主義を進める前提に「中等階級の健全と い
うこと」を置く。明治維新が大過なく進められた後、「木に竹 を接い だ
ように外国の制度を持って来て行ったけれども、それが少しも不 都合 な
しに行われたというのは、すなわち中等階級が健全であったから だ」 と
する。

つまり日本において明治新政の成功を導いた「中等階級の健全というこ
と」が、はたして清国にみられるだろうか、ということだろう。

「ところが支那では今始めて立憲政治をやるという場合、どんな階級が
中心になるかということはよほど分らぬ」。

日本で立憲政治を支えた士族、その「士族密接して最上級の農民があっ
た」。だが士族もいなければ「支那の百姓はどこまでも百姓」に過ぎな
い。「それであるから支那で立憲政治を維持すべき階級が現在あるかどう
かということが大なる問題である」。

この点が肝要であるにかかわらず、「そういうことはあまり近頃の評論家
でやかましく云う人はありませぬ」と苦言を呈しているところをみると、
当時も評論家は日々変化する事務情勢を論ずることに関心を払っても、中
国社会を歴史的視点から根元的・構造的に論ずることはなかったというこ
とか。なんだか、昔も今も同じようだ。


さらに内藤は立憲政治の前提である国会について、「日本では国会を 造
るについては、納税を以て選挙資格にしてある」。「ところが支那では
人民の納税額の分っておるのはどこにもない」。つまり有権者を選ぼうに
も選ぶ基本が見当たらないのだ。「そういう有様で選挙資格の標準にも何
にもなるはずのものではない」のである。

こんな状況のままで強行するなら「世界じゅう類の無い支那流の立憲政治
というものが出来上がるかも知れぬ」。つまり国会が誕生したとしても社
会的基盤が皆無であり、「それだから支那では国会が開けたからというて
大した効能の無い代りに大した騒動も起らぬだろうと想像もされる」。

ここで一転し、内藤は「立憲政治の根柢となるべき思想があるか無い か
という」ことを、「存外輿論の国である」ことと「思想の潮流」の2つ の
点から論じている。

前者についてだが、「支那は国の制度の上からいうと、無限の君主独 裁
の国である」が、同時に「非常な輿論の国であ」り、「どこから出て来
るか分らぬ多人数の評判ということに重きを措く国である」。「独裁政治
の国ではあるけれども」、天子は「人の評判で官吏の進退を決する」。

一 方、日本では若者が集まって政治的言動を発したところで「青二才が
そん なことをするなと叱りつけて置くくらいのものだが、支那ではその
青二才 のやることが大変に応える」。

極論するなら「青二才」の政治的言動に、「無限の君主独裁」も時に右往
左往するということか。

 総じて昔から「(支那は)輿論に重きを措く国である」とするが、こ
こで内藤によって持ち出された「輿論」なるものは理路整然とした主張で
はなく、時流やら一時の感情に任せての一種の烏合の衆の激発、いわば有
象無象の不平不満の爆発と考えれば判らないわけではない。

つまり極めてアヤフヤで根拠不確かなものでしかない。かくして「それが
支那の立憲政治の根柢となって、随分ぐらぐらした立憲政治が出来るだろ
うと思う」。

これが内藤の予測する「一種の支那の国情上から立憲政治」の姿というこ
とになるろうか。
          

2018年02月01日

◆TPPに復帰の可能性だが

宮崎 正弘

平成30年(2018)1月27日(土曜日)弐 通巻第5597号  

ダボスでの椿事はアメリカがTPPに復帰の可能性だが
  トランプは対中軍事的脅威に史上空前の国防予算を提示した

日本のメディアがほとんど軽視するか無視した。
 
マティス国防長官が先週、講演で語った内容の真髄は「対テロ戦争」では
なく、これからは中国とロシアの軍事的脅威への対応である、という軸足
の移動である。

ダボス会議でのトランプ発言の、最も重要な箇所は、TPPへの復帰をほ
のめかしたことだろうが、同時にペンタゴンとホワイトハウスが用意して
いるのは2019年度予算で、7160億ドルという、史上空前の国防予算を提示
し、しかも中国の軍事的脅威に対応するためとしたことではないのだろうか。

これは2018年度国防予算より7%増加となる。

2018年01月31日

◆王岐山、湖南省で「潜水艦」的浮上

宮崎 正弘

平成30年(2018)1月30日(火曜日)通巻第5600号  特大号

 王岐山、湖南省で「潜水艦」的浮上
  全人代湖南省代表選挙第2位、3月の全人代で「国家副主席」へ

1月29日に開催された湖南省全人代において、王岐山(前政治局常務委
員)が高得票で選出され(博訊新聞は第2位と報道)、中国のメディアが
特大で報じた。

 王岐山は「ミスター消防夫」という渾名が示すように、危機管理に卓越
したリーダーシップを発揮する。
 SARS騒ぎの時は北京市長のリリーフに送り込まれ、動揺を防いだ。

 習近平政権の発足とともに、反腐敗キャンペーンのトップとして、「虎
も蠅も」をスローガンに軍トップから大物政治家まで、大幹部だけでも数
百名を取り調べて失脚させ、その辣腕は国民から拍手喝采、軍からは恨み
骨髄、党幹部からは煙たい存在というより恐怖と尊敬が掻き混ざった雰囲
気の中で迎えられた。

 三月の全人代では国家機構の役職人事があり、国家主席は習近平、国務
院総理は李克強は動かないが、注目をあつめてきたのは「国家副主席」の
ポストだった。

 第十九回中国共産党大会では定年制に従い、王岐山(69歳)の引退は
決まった。王は政界から引退するとされた。直後から王岐山の親戚筋が深
いコネクションがあるとされた海航集団の経営が躓きはじめ、この事象が
同時並行したため、王岐山が返り咲くのは難しいのではないかと北京の情
報筋が囁き合った。

 湖南省の全人代で王岐山の潜水艦的浮上があったため、やはり定年に拘
らない国家機構人事では、王岐山が国家副主席に選ばれる道筋が示された
ことになる。
            
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 不都合な真実を伝えず、偏った事実を選別し印象操作に加担
  彼らは「考えることが嫌い」か、その能力がない左翼が「リベラル」
を名乗っている

  ♪
岩田温『「リベラル」という病』(彩図社)
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 副題が「奇怪すぎる日本型反知性主義」とある。
 保守論壇の若き旗手、岩田温氏の新作は「リベラル」を名乗る(左翼の
仮面だが)、おかしな人々を俎上にのせて、知的に大胆に、しかし冷静に
斬ってのける。その刀裁きが新鮮なのだ。

反知性主義とは指摘する必要もなく、インテリジェンスがないか、イデ
オロギーに凝り固まって視野狭窄に陥った思考能力の低い人々をさす。
日本では本来のリベラルとは異なった「リベラル」を名乗る人に、反知性
主義があてはまる。この点ではアメリカにおける反知性主義とは異なる
(詳しくは評者の『トランプ熱狂、アメリカの反知性主義』、海竜社を参
照)。

アメリカの保守系の人々の集まりに行くと「リベラル」というのは左翼
という意味でしかなく、アメリカの左翼は、そう呼ばれることを嫌って
「進歩主義者」と自称する。
 岩田氏はこう言う。
 
「全く現実を無視したような奇怪な言説を展開する人々がリベラルを自
称することに強い憤りを感じている」。彼らには「顕著な特徴がある。そ
れは現実を見つめようとはせず、愚かな観念論に固執することだ」。
かれらは冷静な議論を避ける特徴がある。そのうえ、「自分たちの虚構、
妄想の世界を否定するような冷静で論理的な批判に対して、正面から返答
することができないから、『リベラル』は大袈裟な表現で国民を脅す」の
である。

平和憲法を改正すれば戦争になるとか、第九条を替えると徴兵制になる
とか、こうなるとアジテーションいがいの何物でもない。

東京新聞、朝日新聞などの奇怪な論調を批判するに次いで、ブンカジン
批判に転じて、岩田氏は加藤典洋、内田樹、白井聡ら『ガラパゴス左翼』
を徹底的に批判している。あいにく評者(宮崎)は、この3人の著作を読
んだことがない。読むに値しないだろうし、時間がもったいないですから。

その「ガラパゴス左翼」の典型が池上彰であるという。

この名前、記憶がある。子供がまだ小さかった頃、「こどもニュースの司
会者」だったはずだ。

その池上氏が、つねに中立を装いつつ、よくよく行間も吟味してみると、
氏は明らかに左翼である。真実に言及しないのは、「不勉強であるがゆ
え」か、それとも「不誠実であるがゆえに言及がないのか」。

池上氏が一見して国際情勢を深いような分析をして「情報通」などと左翼
メディアから褒められても、本当の知識人は池上氏の「本性」を見抜いて
いる。

彼は「偏った本ばかり読んでしまった」がゆえに知性にかける言説を 吐
き続けるわけである。

「要するに、池上氏は虚偽を伝えることはしないが、きわめて巧妙に多数
事実の中から、自分にとって都合の良い事実を選別し、視聴者への印象操
作を行って」いるのだ。つまり、池上は「視聴者を知らず知らずのうちに
左へと牽引するガイド」というのが正体である、と筆法鋭く偽ブンガジン
の正体を暴く。

まことに威勢の良い、文章も若い書物である。

     
 

2018年01月30日

◆「反NATO」のゼマン氏が再選

宮崎 正弘

平成30年(2018)1月29日(月曜日)通巻第5599号  

チェコ大統領に「反移民」、「反EU」、「反NATO」のゼマン氏が再選
  中欧に政治の地殻変動が始まっている。

チェコは、もともとドイツ経済圏だが、移民問題がもつれた。

ゼマン大統領は移民流入阻止を謳い、国境にバリケードを築いて流入を阻
止した。またEU、NATOへの加盟継続をよしとするか、否かを国民投
票で問うとして大統領選挙を戦い抜き、51・8%の得票を得た。

野党候補は48・2%と接戦だった。次の問題はドイツと同様に野党と「連
立」が組めるか、どうかにある。

ゼマン政権に協力姿勢を強めているのは日系人オカムラ・トミオで、彼が
率いる政党(「自由と直接民主党」)は22議席を占める(チェコ議会の定
員は200)。そのうえオカムラはゼマン再選に協力したうえ、フランスの
ルペン、オランドのワイルダーら保守系政治家をプラハに一堂にあつめて
決起集会的な国際会議を主催した。

ゼマンはプーチンを称賛している政治家でもあるが、72歳。大酒飲み、愛
煙家。

この結果に不愉快な顔をしたのはメルケル独首相だが、総選挙後3ヶ月し
てもまだ連立政権を組めないという国内政治状況のため発言を控えた。

チェコの北側に控えるのはポーランドが揉めている。
 
ポーランドは連帯のワレサが大統領となって以来、自由主義を選択してき
たが、少数政党乱立時代を経て、最近は保守系の「法と正義」党が第1党
となった。チェコと同様に、ポーランドはNATOのメンバーだが「ユー
ロ」には加わらず、しかしチェコと異なるのは、ポーランドは反ロシア、
親米である。トランプはすでにワルシャワを訪問し演説している。

じつは英国へ100万人のポーランド人が移民したが、逆にウクライナから
百万人がポーランドに職を求めてやってきた。ややこしい。

あまつさえポーランドでは、いまアウシェビッツ収容所問題、すなわち実
際のホロコーストは過剰なプロパガンダであり、真実の歴史を知ろうとい
う「歴史戦」が開始されており、国会は人数への疑問などを言うと五年以
下の懲役とするという法律を通したばかりだが、国民の声は別のところに
あるようだ。

真っ先にポーランド批判に立ち上がったのは、もちろんイスラエルであ
り、独メルケル首相もポーランドの動きには批判的だ。

          
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 キルケゴールに触発され、スペイン独自の宗教文化、神秘主義を背景に 
  実存主義の魁となった思想家ウナムーノが甦った

 ♪
佐々木孝著、執行草舟監修『情熱の哲学』(法政大学出版会)
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日本でももっとも有名なスペインの哲学者といえば、オルテガ・イ・ガ
ゼットだろう。なにしろ西部遭氏の著作には必ずオルテガからの引用が
あった。

ミゲル・デ・ウナムーノは同世代人、オルテガに少なからぬ影響を与え、
また与えられた。ウナムーノはサラマンカ大学総長に36歳の若さで就任
し、数年後には突然解任され、六年間外国で亡命生活を余儀なくされた。
帰国後は大統領に擬せられたこともあるほどに、その影響力は甚大だった。

彼が生涯かけて挑んだ作品の一つがドンキホーテの思想的解明だった。
 ウナムーノは思想家であり、同時に詩人であり、作家でもあった。
生きることの意味、死ぬことの意味、燃えさかる魂とは何かを追求し、西
洋の思想界に巨大な足跡を残した。

著者の佐々木孝氏はムナムーノの思想的背景をこう説かれる。

「現代のわれわれは、理性を神として崇めたりはしない。また、合理的で
あることが必ずしも人間を真の幸福に導くものでないことも承知してい
る。いくたびかの苦い経験によって、人類はコント流の楽観主義がまやか
しであり、理性神の支配する楽園がユートピアであることも知っている。

しかしそのかつての理性崇拝から無数の『小さな神』が誕生し、それらが
われわれの日常をいかに不自由に縛っていることか。『小さな神』とは、
たとえばスピード、能率、効率、利潤など人間を時間性あるいは彼岸性に
縛り付ける卑小な神々である」(13p)

いきなり現代文明批判、本来の思考を喪失した現代人の知性批判から始まる。

ウナムーノは「民族のうちに眠っている無意識的なるもの、内――歴史的な
るものは言語のうちに具体化され、そしてその民族の意識された理念は文
学のなかに具現されると考える」

だから彼はセルバンテスのドンキホーテの考察に立ち向かったのだ。


ウナムーノはデンマークの思想家キルケゴールの哲学に惹かれた。
 
2人は「キリスト教が形骸化して、ほとんど死に瀕していることを認めな
いではいられなかった。人間は神との直接的、個別的繋がりを回復しなけ
ればならない。かくしてキルケゴールは、硬化したデンマーク教会を激し
く糾弾する」(81p)。

なぜなら神は検証される対象ではなく、心に感じられるもの、である。
 「キルケゴールは、生暖かい遵奉主義よりもむしろ熱情的な異端を選ぶ
ことで、また苦しい自己探求の道を進むことで、何よりも、危険を内包す
る新約のあの根源的反抗精神とはまったく対蹠的な惰弱な精神を弾劾する
ことで、ウナムーノの精神的先達であった」のである。

つまりスペインのニヒリズムとは「激しい精神の運動であり、燃え上がる
魂のダイナミズムである」

ニーチェは一世代前の人だが、まだこの時代、欧州ではまっとうに評価さ
れていない。

正統と異端を峻別する一点は「教会への恭順と従順の拒否」であるとウナ
ムーノは『生粋主義をめぐって』に書いた。

ドンキホーテの哲学とは「存在することは存在することを欲することであ
る」。

これを佐々木氏は「生は夢もしくは現実ごときものである。そして今まさ
に過去の薄明のなかに消失してゆくその現在の瞬間を、絶えず超え出るこ
とによって生は成り立つ。すなわち存在は、現実的にあることではなく、
あり続けようと欲することなのだ」と言う。


ウナムーノは『生の悲劇的感情』のなかで書いた。

「夢見るのだ。生を夢見るのである。なぜなら人生は夢だからだ」と。
 本書にはスペイン独特の歴史と宗教の神秘主義思想、そして伝統主義と
は一線を画した生粋主義などの説明が縷々なされているが、ウナムーノ哲
学の神髄は、難しく考えるとややこしくなり、つまりは情熱への希求、本
書の題名にある『情熱の哲学』なのである。

ことしは日本とスペインの外交関係樹立150年、またウナムーノが総長を
つとめたサラマンカ大学創立800年を記念したイベントが行われるが、本
書は、その記念事業の一環でもある。

    
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「腐敗した儒者」と呼ぶべきは左翼だと西部氏は言う。そうしたニッポン
ジンの夥しきは、「グローバリズム」とか「規制撤廃」とかの怪しげな米
国製思想に洗脳されたからである。 

  ♪
西部遭『どんな左翼にもいささかも同意できない18の理由』(幻戯書房)
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「快刀乱麻を斬る」というより「『妖刀』乱麻を斬る」ですかね。いささ
か長い題名だが、中味はまさに腐敗儒者=左翼への挑戦状である。
 基本的に左翼は思考停止の愚か者が多いという指摘は正確ではないのか。
 
文中に出でてくる、その豊饒な語彙力と多彩な比喩力による辛辣批評を展
開させて、この人の右に出る批評家はいない。言葉の原義、その語彙の魔
力と同一視反応、その魅力と愚かさと明瞭に提示する。そしてそれを悪用
するのが左翼だ。

極左のノーム・チョムスキーが唱えた「一般意味論」は逆説的に言えば、
言葉によっていかに相手を騙すかのテクニックである。

そもそも「冷戦」に勝ったのは自由陣営ではなかったのか。マルクスも
レーニンも毛沢東も思想的には死滅したのではないのか。

それなのに冷戦終結以後も、日本ばかりか欧米でも、左翼の天下が続き、
政治はマヒし、マスコミは依然として左翼に乗っ取られ、経済はグローバ
リズムに逃げ 込んだ左翼の跳梁跋扈、文化は怪しげな国際主義とやらに
おかされて、日本人は脳幹をおかされ、日本の政治も経済も本当におかし
くなった。西部氏はあえて 「日本人」と述べず、本書では「ニッポンジ
ン」と意図的に表現している。

じつは西部氏の前作『金銭の咄噺』(NTT出版)をようやく読み終えて
ホッとしたのも束の間、早くも西部氏は新作を出された。前者は金銭と無
縁の人生を淡々と振り返る西部氏の心的風景の切なさが、いかにも私小説
的であったため、読むのに時間を要した。人生の総決算のように思えた。
こうした物語を しんみりと読むのが好きである。

本書は心的風景はそのまま、舞台は日米関係を視座にした哲学風景である。

ともかく冷戦以後も敗北を続けるのは保守陣営ではないのか?その貧困な
思想状況に切れ味の良い、正宗ならぬ面妖な日本刀をひっさげて、西部さ
んは果てしなきサヨク病原菌に挑む。

「反左翼を名乗るものがむしろ多数となっている、という時代認識は完全
に狂っている」とまず西部氏は挑戦的言辞を駆使しつつ独自の分析をする。

つまり「反左翼は、左翼のアンチテーゼを述べ立てているに過ぎません。
自称左翼の空疎な理想主義が無視している事実を、フェクチュアリズム
(事実主義)とでも名付けるべき無思想ぶりで、丹念に列挙しているだけ
なのが反左翼です」(41p)。

シュペングラーが『中世の秋』で言ったように「文明の秋から冬にかけて
流行るのは『新技術への異常な関心』と『新宗教への異様な熱狂』だとい
いました。今見られるのは『テクノロジズム』(技術主義)というカルト
(邪教)の大流行なのです」(220p)

 ▼IT革命は左翼の逃げ場所だったか

そして「左翼が、個人主義はと社会主義派とにかかわらずIT革命に簡単
に飛びついて、いったのは専門主義における合理への過剰なり歪曲なり
が、テクノロジ ズム(技術主義)に、テクノマニアック(発明狂)に、
そしてテクノカルト(技術邪教)にまでおちたことの現れ」であるとい
う。(248p)

だから構造改革とか規制撤廃とか、アメリカから価値観をごり押しされ
て、見るも無惨な非日本化のために執念を燃やした現代の政治家と官僚と
マスコミは、 「数百年、数千年の歴史を持つ日本国家を、大して知識も
経験も能力もない」人たちがムードに便乗して破壊した結果であり、「日
本および日本国家がアメリカ から受け取った構造改革のイメージは、さ
すがアメリカの属国、もっと(悪い意味で)理想主義的なものでした。
 
『日本的なるもの』のすべてを、つまり経済における(談合を含めた)日
本的経営法、政治における(派閥をはじめとする)政党間協調体制や(天
下りを含む) 政官癒着(というより政官協調)、社会・文化における地
域共同体保存のための規制体系や地域間格差是正のための所得再分配など
を一掃せよと叫ばれたのです。それが規制撤廃の運動でした」(63p)
 さらに西部氏は強調する。

「その造反を自由や平等の価値によって正当化しようとするのは『弱者の
ルサンチマン』(ニーチェ)に他なら」ず(中略)「自由、平等、友愛、
合理といった 価値で偽装すると、やがて、責任なき自由が拡がって放縦
放埒な社会となり、平等が行きすぎて能力や努力と関係なしに分配が平準
化され、友愛のキレイゴトが まき散らかされて偽善的な世論が幅を利か
し、合理のみが追求されて技術主義が蔓延します。こういう価値の堕落に
深入りするにつれ、日本に限らず世界中の左 翼陣営はイデオロギーとし
ての力を失っ」た(80p)。

戦後欺瞞の最大のものは第一に生命尊重主義という欺瞞だとする西部氏は
続ける。

「自由平等友愛合理の理想が次第に色褪せ、その理想喪失の空虚感を埋め
ようとして、生命尊重が理想の玉座に押し上げられた」。

かくして「腐儒としての左翼思想が身に染みついたニッポンジンがわんさ
かいて、日本の国語を穢し壊しすてている」(258p)のである。

    
        (この書評は小誌2012年12月からの再録です)
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1695回】         
――「支那人に代わって支那のために考えた・・・」――内藤(2)
  内藤湖南『支那論』(文藝春秋 2013年)

                 ▽

「支那でやる立憲政治はどういうものであるか、支那人はそういう細かい
考えはない」。「ただ立憲政治をやりさえすれば国が盛んになると思って
おる」。だが「立憲政治が順当に行われる基礎」である「中等階級の健全
ということ」に彼らは考えを及ぼさないというのが、内藤の主張である。

 振り返れば?小平が「4つの現代化」――工業、農業、国防、科学技術
――を掲げて対外開放に踏み切った際、先ず目指したのは重厚長大産業だっ
た。その象徴ともいえる上海の宝山製鉄所を建設するに当たって、当時の
世界最先端技術を駆使した新日鉄の君津製鉄所級の施設を日本側に求めた
と聞く。いわば世界最先端技術を取り入れさえすれば、君津製鉄所を同じ
ような質と量の鋼鉄が生み出されると考えたわけだろう。

ここで内藤の考えを援用するなら、当時の中国のレベルで動かす製鉄所は
どういうものであるか、中国人はそういう細かい考えはなかった。ただ世
界最高レベルの製鉄所さえ建設すれば君津並みの最高品質の鉄鋼を大量に
生産できると思っておった。だが最先端技術を駆使した製鉄所を十全に稼
働させるためには、「中等階級の健全」、つまりは一定レベルの科学技術
と民度が不可欠だった。にもかかわらず?小平以下の当時の共産党首脳
は、なにがなんでも君津級の最新製鉄所を求めた――となろうか。

当時を思い出せば、たしか京都大学で国際政治学者を講じていた高坂正堯
が近代化とは、技術もさることながら、その近代化を支えるヒト(ノーハ
ウ)が必要不可欠と説き、?小平が性急に進めた近代化を戒めていたと記
憶する。

そういえばアヘン戦争敗北後、清国指導層と知識人は敗北の原因を清国の
貧しさと弱さに求め、かくて富強を目指すことになったが、最初に思いつ
いたのが「中体西用」策だった。中華の理念は正しい(中体)。ただ西洋
の近代的な機器(西用)――具体的には西洋の兵器に敗れただけ。

だから、「中体」に「西用」を組み合わせれば、蛮族に近い西洋列強に敗
れるわけがない。「中体」は絶対的に正しいのだから、と考えた。そこで
西洋の最新兵器(西用)をセッセと取り入れ第2次アヘン戦争(アロー号
事件)となるわけだが、敢え無くもイギリス・フランス軍に惨敗を喫して
しまう。

かくて次に考え付いた富強策が「洋務運動」ではなかったか。つまり機器
というハード面のみを取り入れてもダメ。やはりハードを支える社会の仕
組みと人材を養成することが肝要だというわけで、近代的な兵器工場を作
り、翻訳体制を整え西洋から最新技術を導入し、軍隊の近代化を図り、多
くの留学生を送り出した。

この時、彼らを多くアメリカが受け入れたことから、中国社会に親米感情
が根付く。同時並行的にアメリカが意図的に大量の宣教師を送り込んだこ
とも、親米感情の涵養に大いに与ったといえる。

たとえばルーズベルト大統領の母方の実家は対中貿易(アヘン?)で財を
成し、第2次大戦後のアメリカにおける一貫して主導したJ・K・フェアバ
ンクは父親が宣教師だったことから幼少時を中国で過ごしているはずだ。

孫文夫人の宋慶齢や蒋介石夫人の宋美齢の父親である宋嘉樹(チャーリー
宋)はアメリカ人宣教師の知遇を得て留学し、メソジスト派宣教師として
帰国した後、聖書印刷を手始めに財を成していった。

このように、中国の親米感情はアメリカにおける親中感情と共鳴し、現在
につながり、米中関係の底流に一貫していることを忘れるべきではないだ
ろう。

本題に戻る。

かく「洋務運動」に励んだわけだが、また戦争して敗北を喫した。然も相
手が日本であるから、さぞや愕然としたはず。

そこで彼らは敗北の要因を、日本にありながら清国に備わっていないもの
――憲法と議会、つまり立憲主義に求めたのである。《QED》
        
  


2018年01月29日

◆フィリピン国軍6個旅団が残留

宮崎 正弘

平成30年(2018)1月28日(日曜日)通巻第5598号  

 マラウィ制圧から弐ヶ月。フィリピン国軍6個旅団が残留
  ISのテロリストは何処へ去ったか? 住民の半分が復帰

 2017年10月23日、ドゥテルテ大統領はマラウィを訪れ、テロリストを退
治したと宣言した。「さぁ、復興を始めよう」。

マラウィはイスラム教徒の多い、ミンダナオの中央に位置する都市で、人
口は40 万だった。

IS系のマウテ集団がマラウィの主要な建物を占拠し、武装闘争を開始し
たため、政府軍、警察が動員され、半年にわたる戦闘がつづいた。ISは
「第二のシリア」を狙っていた。

武装グループ、政府軍兵士、警察、市民等およそ1800人が犠牲となり、街
の大半が廃墟と化した。

近郊へ逃れた避難民40万人、国際赤十字、ボランティア団体が救援活動に
従事したが、難民の多くはテント村、寝具もないので地べたに寝て暮らした。

制圧から2ヶ月を経て、現地入りした『ストレート・タイムズ』の記者
は、病院が再開され、大学キャンパスも平常に戻り、モスクでは人々が集
まり、タクシーが街を走っている様子を伝えた。

およそ20万人の市民は自宅に戻った。家財道具はあらかたが消えていて、
生活必需品が不足していた。金目の物はすべて盗まれていた。それでも自
宅が残っていた市民は幸いだった。

爆撃で廃墟と化した地区の住民は依然として難民キャンプで不自由な生活
を余儀なくされ、政府が呼びかける復興事業を待っている。

マラウィ復興には10億ドルが必要だが、貿易赤字、財政赤字に悩むフィリ
ピン政府には余裕もなく、長期間の事業展開になることが予想されている。

          
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 なぜ中国の民主化運動は分断されてしまったのか
  スパイの工作に免疫がなかったのか、それとも中国人のDNAか

  ♪
陳破空著、高口康太訳『カネとスパイとジャッキー・チェン』(ビジネス社)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

天安門事件の時に学生指導者の一人だった著者は、2回の牢獄体験を経
て、米国へ渡った。ノーベル平和賞の劉暁波氏が獄中で死去したときは
ニューヨークで各派団体に呼びかけ追悼集会を開催した。陳氏の書籍は日
本でも相当数の翻訳が出たため、知っている読者もきっと多いだろう。
 この新作の題名はリズム感がある。

まるでジョン・ルカレの『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』
(邦訳は早川書房)のリズムを連想してしまった。

さて中国の民主化運動はどこへ消えたのか?

魏京生は、王丹と仲が悪く、口も聞かない間柄になっているという。些玲
はフォンドの経営者となって「天安門のマドンナ」の面影はなく、ひとり
気を吐くのは台湾で活躍するウアルカイシ(吾爾開希)だろうか。

1982年に「中国の春」を立ち上げ、世界三十数ヶ国の留学生を鼓舞して
ネットワークを短時日裡に組織し、海外にでた知識人、学生を糾合した
「中国民主党」の主席として活躍した王丙章博士は、囮捜査に引っかかっ
て、江西省チワン自治区で拘束され、無期懲役のまま監獄にある。オバマ
政権は、彼の釈放要求をしなかった。

1989年6月4日、天安門広場で沸騰した、あの中国人ヤング、知識人
らの民主化運動は、雲散霧消する運命に陥った。

なぜ、こうなったのか。

組織に潜り込んできた中国共産党のスパイ、党の命令による情報操作、裏
工作、謀略と罠によって組織は内紛状態に陥落し、裏切りが出る。まさに
孫文の辛亥革命前後と同じ、ま、これは中国人のDNAだろうけれど、み
ごとに民主化運動は分断されてしまったのだ。

 支持者のふりをして民主団体に入り込み、「そうしたスパイ達は、ただ
情報を収集するにとどまらない。海外民運内部の亀裂を作り出す。『離間
の計』をも仕掛けて。派閥を作り、別の派閥と争うように仕向けた」
(150p)

本書はこの裏工作の視点のほか、陳氏が独自に集めた極秘情報を駆使して
の習近平政権内部の動きを詳細に分析している。

特に「太子党の消滅」などという独自な分析は、日本のチャイナウォッ
チャーとはひと味もふた味も異なる。

もうひとつ、なぜジャッキー・チェンか?

彼はマーケットとして巨大な中国大陸を狙い、中国共産党とずるずると妥
協した信念のない俳優であり、香港では彼の名を口にすると軽蔑されると
いう。