2017年02月20日

◆ヒスパニックの不正投票が200万票

宮崎 正弘 



<平成29年(2017)2月19日(日曜日)通算第5192号>   

 〜米大統領選挙 ヒスパニックの不正投票が二百万票あった
  だから投票数ではヒラリーが勝ったんだ〜

最大二百万のヒスパニックが不法登録によって大統領選挙で票を投じてい
ることが判明した。これは「全米ヒスパニックサーベイ」の調査に拠るも
ので、オルドドミニオン大学が調査した。

ホワイトハウスのステファン・ミラー(スポークスマン)も、この数字を
認めた(ワシントンタイムズ、2月18日)。

民主党の末端組織での不正登録は以前から指摘されてきた。5年前のオバ
マ大勝のときも、あまりの票の開きが指摘されていたし、こんかいも得票
数ではヒラリーが、トランプを二百万も引き離していた。

     
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 上に政策あれば下に対策有りの中国で
  下町の庶民も高級幹部も、本気で中国の未来を按じているのだろうか?

  ♪
近藤大介『活中論』(講談社)
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北京の情報通、近藤さんの中国裏路地報告は第6弾。この本も、日本どこ
ろか、北京にいても知り得ない裏情報が満載。

なにしろ路地裏のその奧にも知り合いのいる著者だけに、中国人が知らな
い中国情報を知っている。

中国は巨大化と同時に混迷化を深くしているが、失政がつづくので、経済
的混迷はまだまだ深まるという前提に立つのかと思えば、そうでもなさそう。

裏路地は活気に満ちているらしい。

不動産バブルがはじけているのに、裏路地の活気は、いったい何故なの
か、奇妙な風景がある。

まずタクシーが捕まらない。豪華レストランは、党幹部こそ出入りしなく
なったが、混み合っていて、予約しないと席が取れない店がある。

そこで白タク(黒車)が合法化されたばかりか、スマホの配車が可能とな
り、2、3分で近くにいる白タクがやってくるようになった。スマホによ
る混雑緩和だが、正規のタクシーより安く、しかも運転手は職の見つから
ない大学新卒のアルバイトが多いというのである。

読んでいく裡に、えっという情報にぶち当たった。

国家統計局の王保安局長が逮捕拘束されたのは昨年であり、評者(宮崎)
も、このことはいち早く書いてきた。

とにもかくにも国家統計局発表のGDP数字は出鱈目であり、その責任者
が捕まったのだから習近平は、伏魔殿の清掃に立ち上がって、腐敗分子を
統計局からも追い出したのだが、近藤さんは、この局長、じつはヨオロッ
パへ愛人とともに高飛び寸前だったというのだ。

2016年1月16日、記者会見を終えた王保安は、その夜、七時半から幹部会
議を招集していた。

「李克強首相の新たな講話を学習するためということだったが。幹部達は
なぜ夜に会議なんか開くのかと訝りながらも待機していた」

ところが、王局長は運転手に北京国際空港に向かうよう手配していた。会
議は偽装だった。

「同日夜7時発のパリ行きエールフランス便と、夜九時発のフランクフル
ト行きルフトハンザ便のファーストクラスを、それぞれ2枚」(中略)
「鞄からは『黄国安』と『丁毅』という偽名の偽造公用パスポートが見つ
かった。愛人は空港の貴賓室で捕らえられた。

王局長は古巣の財政部時代に数億元を不正蓄財し、それらをアメリカと
ヨーロッパの隠し口座に隠匿していた。このような無様な大臣が『中国の
経済成長は6・9%』と胸を張って発表していたのだ」
 呆れても物が言えない。

ほかにも呆れるような内部情報がたくさん書かれている。

2017年02月18日

◆何事もなかったかのように平静

宮崎 正弘



<平成29年(2017)2月17日(金曜日)通算第5190号>  

〜丹東は「何事もなかったかのように平静、通常の風景」
  人民日報「金正男暗殺事件が朝鮮半島の安全を不安にする要素はない」〜


中国遼寧省・丹東は、目の前に拡がる鴨緑江の対岸が北朝鮮の新義州で
ある。
 
金正男暗殺事件の翌日からも、「街の風景は平常となんら変わりなく、
旅行ツアーも貿易業務も通常通り」だと言う(サウスチャイナモーニング
ポスト、2月16日)。
 
人民日報は「朝鮮半島の安全保障になんらのインパクトもない」と書いた。

もとより中国にとっての緩衝地帯である朝鮮半島がおかしくなれば、北朝
鮮からの難民が押し寄せる先は地雷のある38度線を越えるより、鴨緑江
を容易に渡河できる中国のほうだろう。

しかし中国の静かな反応こそ不気味なのである。

中国はマカオにいた金正男一家をそれとなく保護したが、金が外国へでて
いくときは保護の対象外として、放置した。

金正男は格安航空券、ボディガードも付けないで飛び歩いていた。北朝鮮
の情報網は、かれの所在を掌握していた。

つぎに狙われるのは金正男の長男、金韓松である。

それにしても、金正恩の遣り方に煮え湯を飲まされた思いをしたはずの
中国が、被保護国の独裁者の暴走にじっと耐えている様は異様である。

2017年02月17日

◆トランプと面談したネタニヤフは…

宮崎 正弘
 


<平成29年(2017)2月16日(木曜日)通算第5189号>  

 〜トランプと面談したネタニヤフは快心の笑みをたたえ
   ヨルダン川西岸への入植ペースはスピードを落とす〜


トランプは西側4番目のVIPとして、イスラエル首相を迎えた。英国、
日本、カナダに次ぐホワイトハウスの賓客とはビビ・ネタニヤフイスラエ
ル首相だった。

トランプは選挙中、アメリカ大使館のエルサレム移転を発言してきたが、
その公約を繰り返すことはなかった。

トランプはネタニヤフを「ビビ」と愛称で呼び、またネタニヤフは苦虫を
潰したような、いつもの難しい表情を見せず、終始にこやか。
彼の快心の笑顔は珍しい。

替わりにトランプの口から飛び出したのは西側やアラブ周辺諸国の予測を
超えるアイディアで、従来のパレスチナ国家樹立をこえて、「2つの国家
と一つの国家」を言い出したことだった。

これは1993年のオスロ協定、ビル・クリントン政権で決めた2国平和共存
というアメリカの基本姿勢を逸脱する新レベルのもので、画期的蜷提案だ
が、はたしてうまくいくか、どうか

世界世論からの反撥が殆どないのは奇妙である。

第1にサウジアラビアは、イエーメンとの紛争、武力介入の泥沼が引き続
き、イスラエル・パレスチナ問題で主導的役割を果たそうという意欲がない

第2にエジプトは従来なら「政治大国」としてしゃしゃり出てくるのだ
が、国内治安対策と景気低迷のために余分な膂力がない。

第3にパレスチナ国家と言っても、現在のガザはハマスがおさめ、イスラ
エルの軍事管理で和平が保たれており、ジェリにあるパレスチナ自治政府
は、統治能力がないことは火を見るより明らかだからである。

第4にヨルダンはシリア難民と景気低迷からくる治安悪化に備えており、
そして第五に湾岸諸国は、イランの脅威におびえ、イスラエル・パレスチ
ナ問題は「小さな問題」として、扱いが小さくなった

トランプはこうした状況をたくみに捉え、ネタニヤフ首相には「ヨルダン
川西岸への入植ペースを落とすように発言し、ちかく「画期的な和平案を
提示する」と胸を張った。

「画期的な提案」の中味は明らかではないけれども、この問題の担当者に
クシュナー氏を指名した。

クシュナー氏はイバンカの夫君にしてユダヤ教徒。大統領上級顧問のポス
トにあり、ネタニヤフ首相との会談に同席している。
 中東でもトランプ新機軸路線の動きが始まる。

      
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 中国に敵対するISを政治的に逆利用し、ウィグル族弾圧を正当化
  ISが武器を欲しがれば、テロリストに中国は平気で売るだろう

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福島香織『孔子を捨てた国 現代中国残酷物語』(飛鳥新社)
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中国各地に孔子廟がある。日本にも湯島、長崎、神戸、横浜。。とりわけ
宏大な孔子廟は佐賀県多久市にある。

中国での孔子廟参詣者は、合格祈願の親子くらい。あまりに少ないので静
かだから受験生が勉強に来ている風景は、日本の図書館のようでもある。
 評者(宮崎)も、中国各地でこれはという孔子廟をかなり見学したこと
があるが、ハルビンのそれは宏大な境内に参詣者が3人ほどしかおらず、
また広東省の北部の街、潮州では美しい庭園、のんびりした境内に参考書
を暗記する若者の呻くような声が聞こえた。

いきなり余談だが、潮州での神様は孔子ではなく、李嘉誠である。この香
港最大財閥のボス李嘉誠は潮州出身で、土地の人は彼にあやかろうと神棚
に写真を飾るように街のいたるところに李嘉誠の写真があるのだ。

孔子がこころの拠り所だというのは嘘で、人民は孔子なんぞ信じていない。

その中国が世界各地に道徳と中華文化を普及すると言って、「孔子学院」
を建て、さらに「孔子平和賞」を設定してノーベル平和賞に対抗した。
 前者はカナダで米国で抗議運動が興り、後者は初回受賞の連戦がボイ
コットし、日本の村山富市も遠慮した。

文革の最中、人々は殺し合い、その人肉を大鍋に放り込んで食した。食人
の風習をあますところなく描いたのは作家の鄭義だった。彼は米国へ亡命
した。

いま臓器狩りが闇のビジネスに化け、臓器移植手術は年間10万件。

あるとき、南京の女子学生が誘拐され惨殺されてバラバラ死体で見つかっ
たが、臓器は発見されなかった。死亡推定時間直後に近くの病院では臓器
移植手術が行われていた。具体的には犠牲者は習愛育という、血液型が
「A。Rh陰性」だった。これは「パンダ血液と呼ばれる希少な」血液
だったゆえに、同じ血液側の臓器移植希望患者の注文があり、マフィアに
狙われたのだ(233p)

まさに生き地獄。
 
だから、こんな国で出産したくないと香港へ、米国へ、最近は妊婦の入国
に五月蠅くなったので、サイパンへ向かう。

「民主中国」という宣伝雑誌があるが、実際の中国では女性権利が蹂躙さ
れ、迫害と拷問、臓器売買、カルト、凶悪事件の頻発。大事故の隠ぺい。
 突撃精神が旺盛な福島香織さんは、現場に潜入し、突撃取材を繰り返
し、噂の裏を集めてきた。その生々しい実態報告が、本書である。

どれほど残酷で非情なひとびとが寄せ集まった生き地獄であるかを、わた
したちは追体験できる。

本書には様々なことが書かれていて、それぞれが身の毛もよだつ現実であ
り、あとは本書にあたっていただいた方が良い。

ひとつだけ、特筆紹介しておきたいのは「ISと中国の『もちつ、もたれ
つ関係』」である。

ISはイスラムであり、中国はイスラム教徒を弾圧する国であり、とくに
ISの戦闘員はウィグル系、トルコ族系が多い。つまり水と油なのである
にも拘わらず、ISはなぜ中国をテロの標的にしないのか。

ISの大口資金提供者は中国である。ISの武器も26%が中国製である。
裏で繋がっている。

それは「中国が投資しているシリア・テリゾール油田で、ISの手に落ち
た」。だが、中国のメディアは伝えていない。生産される原油は本来、中
国のものであるにも関わらず、手をださないのは何らかの密約があるから
だろう。

もうひとつのメリットは、ISが欧米と戦うという文脈で、中国はウィグ
ルの独立は運動をテロリストと宣伝し、弾圧を正当化できるからだ。

「ISの勢力拡大は、西側諸国に中国がこれまでやってきたウィグル族弾
圧がテロとの戦いであるという大義名分を認めさせ、同時にISに逃げ込
んだウィグル族を、中国側が手を汚すまでのなく、米国の爆撃で殺される
か、脱走兵としてIS側に処刑される機会」となっているからである。
(103p)。

髪の毛が逆立ちするほど恐ろしい、残酷で非情な民族は、したがって尖閣
諸島を盗むことくらいなんとも思っていないのである。

中国はISに武器を売るだろう。臓器の注文があれば、人を殺してでも臓
器を売るように。
       
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 湾岸戦争において日本は国際協調の流れから振り落とされた
   90年代からしばらく「日米同盟」は漂流してきた

  ♪
勝股秀道『検証 危機の25年』(並木書房)
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副題は「日本の安全保障を真剣に考える」となっていて、なにか教科書風
でもある。

著者の勝股氏は読売新聞で在籍32年、とくに防衛専門記者として20年、専
門家である。現在は日本大学教授。

たしかに防衛議論は、中味そのものが本格化している。しかしまだ産経、
読売など一部のメディアだけである。

防衛問題に唐変木な朝日新聞や、そのほかは、まともな国家安全保障議論
が嫌いなのである。したがって、国民の半分ちかくは、平和の念仏を唱え
ておれば、まったく安全であり、在日米軍は戦争の危機を進化させるから
邪魔。安保法制は戦争法だなどと左翼のアジビラをそのまま鸚鵡返しに口
にする浅薄なレベルに留まる。

自衛隊をまともの評価しようとはしない。ま、軍事問題となると途端に思
考停止となるのだ。

本当は、いかにして日本も「戦争ができる国家」とするか、を論じるべき
なのである。

しかし、そうこうしている裡に戦争の危機は、いよいよ本物となって目の
前に迫ってきた。邪魔者を片っ端から消してきた隣の国の暴君は、危険な
オモチャを手にしてしまったのである。

北朝鮮は核開発を強行して以来、急速な核戦力の充実をはかり、まもなく
小型化に成功し、パキスタン程度の核戦力を保有するかもしれない。パキ
スタンはすでに80から120発の核兵器搭載ミサイルを保有しているとされる。

北朝鮮の背後にあって、日本にも標準を宛てる核ミサイル多数を保有して
いるのが中国である。

虎視眈々とわが尖閣諸島への侵略を狙っている。こういう状況下にあって
も、日本の議論は憲法九条とか、周辺国、とか集団安全保障とかの寝言を
つらねていて、現実政治から逃げている。

著者は言う。

「本来なら、北朝鮮の核武装と中国の海洋進出という危機を前に、いまこ
そ優先して取り組むべきは『自国』の安全を高めるシステムの構築である
はずだ。安全保障関連法の制定は、その一つであった。しかし、湾岸戦争
後に迫られた自衛隊のカンボジア派遣や、その後のイラク派遣にしても、
派遣することが半ば政治決定されていて、その活動に当てはまるような法
律やシステムをつくるといった『事態対応側』の議論になれた政府や国民
には、現在、そして、招来向き合うかもしれない幅広い危機や脅威、さら
には国際社会の課題に備えるための法律やシステムを、白紙から作り上げ
ることに不慣れだった」

この状況に魚雷攻撃を受けたかのようにトランプの日本への防衛力増強要
求が飛びこんできたのである。

だから日本のメディアはトランプが嫌いなのである。

おもえば湾岸戦争から『同盟漂流』と言われた日米関係だったが、昨今、
ようやく安倍首相とトランプ大統領は堅く握手して「日米同盟強化」を誓
い合った。

なにが契機となるかは予測不能だが、いかに次の危機に対応するかの基礎
情報が、本書のデータである。だから評者が教科書風といったのだが、そ
れだけに貴重な、過去の4半世紀の防衛議論の歴史をしることができる。

2017年02月16日

◆香港から消えた大富豪こと肖建華は…

宮崎 正弘 



<平成29年(2017)2月15日(水曜日)通算第5187号>  
 
〜香港から消えた大富豪こと肖建華は
三大悪の錬金術師=東峰、郭文貴、徐明とならびインサイダー取引の黒幕
だった〜

中国で3大ファンド、それも妖しげな証券企業グループは3つあり「明天
系」、「湧金系」、「徳隆系」とわかれ、それぞれが表面に名前がでてい
るCEO以外に黒幕、その背後に、本当の黒幕がいる。

北大集団系のファンド率いた郭文貴も、黒幕はどうやら徐明だった。車峰
は元人民銀行総裁の戴双龍の女婿である。

既報の通り、香港の大富豪とされた肖建華は長期滞在先のフォーシンズン
ズホテルから消え失せ、中国に拉致された疑いが濃厚だとされたまま。
肖建華経営の「明天証券」は、1月31日に声明を出して「肖は外国にお
り、現在治療中」であるとして動揺を最小限に食い止めようとした。

投資家が震撼するのは当然だろうが、いちばんふるえが止まらないのは太
子党の金持ち等である。インサイダー取引でさんざん甘い汁とすってきた
彼らが大金を預けているのが、この明天系証券、さらには太平洋証券、そ
して明天証券系列のいくつかの上場企業であり、株価暴落、ファンドに出
資したカネは戻らないことになるからだ。

肖の失踪に前後して「証券時報」の謝鎮江社長が失脚した。国家開発銀行
の元副頭取の王益が拘束され、周りの幹部のうち1人が自殺するに至っ
て、どうやら香港大富豪失踪という事件のおもてと、裏の実態が天地の開
きがあることに気がつき始めた。

肖建華は1990年北京大学卒、太子党ではない。かれがここまで好き勝手な
ファンド操作ができたのは背後に黒幕がいるからだ。

2017年02月15日

◆北朝鮮の核弾頭への評価がシフトしている

宮崎 正弘
 

<平成29年(2017)2月14日(火曜日)弐 通算第5186号>   

 〜ペンタゴンの北朝鮮の核弾頭への評価がシフトしている
  「米国の諸都市を脅かす脅威」と、客観的スタンスから自国の安全保
障に直結〜


北朝鮮のミサイル実験をめぐって14日午前(日本時間)国連は緊急会合を
開く。

ミサイル事件はこれまでにも何回か行われてきた、トランプ大統領当選か
ら、しばし北は鳴りを潜めていた。

こんかい実験は陸と海からの2回、それも空中点火という画期的な技術向
上が見られ、金正恩は「とてつもなく正確で迅速」と自画自賛した。

これらをうけ、米国国防総省(ペンタゴン)も、「地上、海中から固体燃
料で発射できるようになったことは、米国の諸都市をいずれ核弾頭を搭載
して攻撃できる能力を備えたということであり」、米国の安全保障への直
接的な脅威という認識にシフトさせた。

従来、ペンタゴン筋は「小型化に成功しておらす、ICBMへの搭載には
まだ時間がかかる」と北の核を北東アジアの局地的な軍事的脅威としてき
たのだが、第一に北のICBM発射実験で明らかとなったように、昨今は
固体燃料にしていること、第二に命中精度が劇的に向上していることなど
から、警戒のレベルを上げた。

中国がはたしてくれそうな北を抑止するという政治力の行使は、もはや望
む薄とする一方で、韓国の政治的擾乱への強い懸念もみえる。

マティス国防長官のもと、ペンタゴンは総合戦略の再評価をこれから行っ
ていくだろうが、まだ副長官、次官、次官補が決まらず、政策決定レベル
の人事が決まらない以上、具体的に北の核にどう対応するかという国防方
針の策定には、なお相当な時間が必要となる。
      
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 日米貿易不均衡? 最高級兵器を米国から買えば一晩で解決できるじゃ
ないか

同盟を本当に『対等』な同盟とするには、何をしなければいけないのか

   ♪
藤井厳喜『日米対等』(祥伝社新書)
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国際政治学者の藤井厳喜氏、もっとも最新のアメリカ分析である。
 米国留学から帰国されて爽快にデビューされた以来、30年。おもえば藤
井さんの思考、分析は、加齢とともに、「円熟度」を増してきたと言える。

知遇を得てすでに30年余だから、多くの論客がマンネリの論考に埋没して
いく中で、藤井さんのアメリカ報告はつねに新鮮であり、そのうえ、大手
メディアが一切書かないインサイドストーリィをふんだんに伴うので、い
つも瞠目させられる。

それもこれも長い滞米歴にくわえての、多くのアメリカ人脈がいかされる
からだ。

トランプの当選を早くから予測し、テレビなどでも公言してきた藤井さん
だけに、説得力がますます強くなった。

実はカナダから米国選挙を克明に分析していた渡邊惣樹氏も、『ボイス』
で三回に亘ってトランプが勝つと予測してきた。それは単純にいって、
「ヒラリーが犯罪者だからである」(渡邊氏)。

彼女が私的メールを秘蔵し、国益をいかに害したかを、多くのアメリカ人
は気づいていた。だからヒラリーの集会は空きが目立ち(テレビは、その
シーンを放映せず)、一方のトランプはどの集会も立錐の余地がなかった
(テレビはその情景をカットし、暴言だけをクローズアップさせて意図的
なヒラリー支援キャンペーンを展開していた)。

評者自身、ニューヨークへ行った折に両陣営の選対本部を見に行ったが、
トランプタワーは人出で満員。ヒラリー選対は高層ビルに閉じこもってエ
リートが出入りしているのみだった。

書店をのぞけばトランプ本が平積み、ヒラリー本は書棚にひっそり。だか
ら、メディアの偏向報道のあまりのひどさを実感してきた。

さて本書の特筆はいくつもあるが、第一にトランプ政権の陣容を克明に、
その人脈を追跡しながら分析し「軍人OBがかってないほど多い」のは、
むしろ危険ではなく、安心であると断言しているポイントだ。

なぜなら軍人は戦争を望まないし、軍事力は抑止力という基本理念をもつ
からであり、軍経験のないシビリアンでは、軍事と政治がセットだという
ことさえわきまえないから机上の空論に陥りやすいのである。オバマの失
敗は、軍人、ベテランを遠ざけ、現実を見ようともせず、机上の空論に走
りすぎた結果だった。

第二のポイントは『トランプノミクス』が『レーガノミクス パート
ツー』と見ていることだ。したがって「世界からアメリカに投資を呼び込
むために、ドルが強くなることは避けられない」とする。

日本に関して言えば「日米間の貿易は、すでにルールが確立し、アメリカ
に有利な仕組みが出来ている」ので、トランプは関税だのなんだの言い出
しても、さほどの影響は受けないという

 TPPも、日本が土壇場まで努力した背景というか思惑には「アメリカ
抜きとなれば俄然に日本が主導権を発揮できる『大東亜共栄圏』の実現で
はないか」と、まことにユニークな分析を展開されていて、このポイント
も本書の持ち味のひとつである。

もちろん加盟国の再交渉が必要だが、なるほど、そこまで読んで政府自民
党は日本で可決を急いだのか、いやしかし、自民党や外務省の情報収集能
力を眺めていると、そこまでの深謀遠慮があったのか、どうかは謎である。
第三に日米貿易不均衡は、日本が最高級兵器を米国から買えば一晩で解決
できるとして、 同盟を本当に『対等』な同盟とするには、何をしなけれ
ばいけないのかを提言する。
 ともかく面白く読み終えた。
       

2017年02月13日

◆トランプvs安倍首相会談の成果は?

宮崎 正弘
 

<平成29年(2017)2月12日(日曜日)通算第5183号>  

 〜破格の待遇、異例の厚遇。トランプvs安倍首相会談の成果は?
   メラニア、昭恵の夫人同士は近くの日本庭園で鯉談義〜

握手嫌いのトランプが自ら手をさしのべて安倍首相と握手した。19秒続
いた。

トランプ大統領はなぜ、ここまで安倍首相を厚遇するのか。当選直後の
11月17日に、外国からの賓客として初めて安倍首相の訪問を受け入れた
が、政権発足後も、英国メイ首相につづく外国首脳の訪米は日本の首相
だった。

あまつさえ週末だからとフロリダの「冬のホワイトハウス」へ招待し、ゴ
ルフに興じた。

共同声明、記者会見をみても、アメリカの日本批判は完全に抑えられた
ばかりか、尖閣諸島は日米安保条約の守備反意であることが明記され、核
の傘による日本の安全保障も、ちゃんと文言に盛られている。

 「ウマがあった」とトランプは言った。VERY VERY VERY
  GOOD CHEMISTRYという英語表現(ワシントンポスト)
は、 「とても、すごく、大変に、ウマがあった」とでも翻訳すれば良い
か。ケミ ストリィが合うというのは肌合いが合うという意味で、嘗て宮
沢首相が大 雪のワシントンを訪問しベーカー財務長官と合ったおり、ケ
ミカルリアク ションがあったと宮沢が発言したことを思い出した。後者
はお世辞のつも りだったのだろう。ベーカー財務長官の日本への仕打ち
は親日政権だった レーガン政治のなかで異色だった。

 さて、パームビーチのゴルフは非公開。3時間の空白がある。本当にゴ
ルフをしていたのか、密談だったのか、不明なのである。

 またフロリダへのエアフォースワンに乗り込んだのはトランプ夫妻、イ
ヴァンカ夫妻、そしてスティーブバノンだった。バノンが、現在のトラン
プ政権で中枢にいることが、これでも判る。

カメラをほかに移動させようとしたのか、メラニア夫人と昭恵夫人は近
くの村上ガーデン(日本庭園)を散策し、鯉に餌をやるなど、演出に余年
がなかった。

2017年01月28日

◆ローマ法王庁、中国との関係改善に最終決着か

宮崎 正弘 



<平成29年(2017)1月25日(水曜日)通算第5176号>  

〜ローマ法王庁、中国との関係改善に最終決着か
  地区の「司教の任命権」と「台湾」が最後の難題だが〜

ローマ法王のフランシスコは2013年にカソリックの最高位に就いて以来、
中国への関心をたびたび表明してきた。

緩慢に見える動きだが、着々とその準備が進んでいる。残る問題は地区の
司教任命権をどうするかという複雑な問題と、台湾をどう扱うかである。

2014年8月の韓国訪問時、フランシスコ法王は「中国との関係改善に努め
る」と発言し、同年12月にはローマを訪問中だったダライ・ラマ猊下との
会見を拒否した。

この余波は世界に及び、南アはダライ・ラマ法王へのヴィザ発給を断るほ
どだった。

中国側の動きは、これまで司教の任命をローマ法王庁と一切の相談なく、
中国が勝手に指名してきたが、2015年10月に、河南省安陽の司教の任命に
関して双方が承認し合うという歩み寄りがあった。
 
フランシスコ法王は、「中国が台頭する環境では平和が課題であり、恐怖
はよき助言者ではない」としている。

そしてこう続けた。「自己防衛のために攻撃的な意思疎通になれば、戦争
になる。真の平和の均衡は、対話によって実現する」と。

2016年に訪米した折は、トランプ候補に対して「彼はキリスト教徒ではな
い」と政治的に踏み込んだ発言をなし、さらにはキューバへ飛んで、東方
正教会の大司教と、キリスト教の東西分裂以来はじめての会話をおこなった。

バチカン(ローマ法王庁)は中国と外交関係を持たず、台湾と公式な外交
関係があるが、就任以来、フランシスコ法王は、訪中に大きな関心を抱い
ており、中国でキリスト教を布教した宣教師マテオ・リッチの例を持ち出
して、「中国は偉大な国だ。リッチの経験は中国との対話が必要だと教え
ている」、「中国は尽きぬ知恵を備えた偉大な文明」とほめあげたり、忙
しい。


 ▼精神の空白にある中国は、カソリックの空白地帯でもある

ローマ法王庁の狙いは明らかである。「精神の空白」にある中国で、カソ
リックもまた、60年の空白状態だった。

中国共産党の傀儡でしかない「中国天主教愛国会」が中国に於ける正統な
カソリックだと僭称し、地区の司教を任命してきたが、ローマ法王庁は、
これまでことごとく、その任命を承認してこなかった。

13億人の「大マーケット」として中国を位置づけ、中国に乗り出そうとい
うのがローマ法王の野心である。

しかし中国では地下教会が無数にあり、表にある共産党御用達の教会には
足を運ばない。かれらはローマ法王庁の動きにどう反応するだろうか?

事態を憂慮した蔡英文台湾総統は2017年1月20日にローマ法王に書簡を
送っている。
    
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三笠宮は東京暗殺計画を事前に知っておられた
  戦後、英語の家庭教師は誰あろう、ノーマン(ソ連のスパイ)だった 

  ♪加藤康男『三笠宮と東条英機暗殺計画』(PHP新書)
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次々と近現代史の謎に挑んできた筆者は、戦争中に極秘ですすんでいた東
条英機暗殺計画を、新しい資料と証言でなまなましく描き挙げた。

この本は斯界に大きな波紋を呼びそうだ。
 
しかも、この本は三笠宮殿下に直接、長時間のインタビューをなし、10年
前に出版直前にまで進んでいた(ゲラもできあがっていた)。三笠宮が直
接、加藤氏に電話をなさり、手紙もお寄せになり、とうとう、その時は出
版を思いとどまらざるを得なかったという経過がある。

三笠宮殿下といえば、その御発言に問題が多く、しかも周辺には奇妙な
「進歩的文化人」たちが集まり、その上、あろうことか、英語の家庭教師
がハーバート・ノ−マンだった。吉田茂が「曲学阿世の徒」と批判した南
原繁が推薦したのだ。

一方、暗殺計画の相談に行った首謀者らが、石原莞爾(山形県で隠居して
いた)に打ち明けると「全面賛成」と署名までもらっていた。しかし石原
はかれらに言った。「秘密は公家から漏れることがある」

詳しくは本書をお読みいただいた方がよく、ここで謎を書いてしまうと、
ひょっとして営業妨害になるかも(失笑)。

ただ付け加えたいことが2つある

第1は本書にでてくる柳条湖事件の真犯人の謎解きである。

すでに「張作霖爆殺事件」はソ連の謀略機関が仕組んだ謀事だったこと
は、歴史学の常識、柳条湖事件も、日本がやったという証拠はない。いわ
ゆる「花田証言」なるものは証拠の裏打ちがない。

つまり、もし日本がやったとすれば、「自衛隊が新幹線の線路を爆破する
に等しい」のであって、「あまりに荒唐無稽ではないだろうか」とされて
いる。

もうひとつは前述ノーマンである。

これは天皇制解体を目指した当時のGHQ政策の基本路線と合致してお
り、カナダの外交官という仮面をかぶったソ連のエージョントのノーマン
にその役目が回ってきた。
 
ーマンは宣教師の子供で、軽井沢に生まれ、戦前から南原繁や桑原武夫ら
と付き合いがあった。

「終戦直後の昭和20年9月初旬には、いち早くマニラ経由で東京に入り、
マッカーサーの厚い信頼を受け、GHQの対敵諜報部・分析課長に任命さ
れた。」。
ノーマンの最初の仕事は「府中刑務所に収容されていた共産党の首脳部、
徳田球一や志賀義雄ら16人を釈放することだった」
 ノーマンは紛れもなく共産主義者であり、天皇制解体論者だった。
 戦後、この男が三笠宮の英語の家庭教師だった事実を考えると、背景に
もっと大きな謎があるのではないか。
           

2017年01月26日

◆暴れん坊マティス(国防長官)がやってくる

宮崎 正弘 



<平成29年(2017)1月25日(水曜日)通算第5177号 > 
 〜ああ、暴れん坊マティス(国防長官)がやってくる
  NATnnO、中い東は後回し、極東重視。2月上旬、日本と韓国へ〜

 トランプ新政権で閣僚人事が議会承認をうけたのは、やっと3人。
1月24日、上院委員会は、僅か1票という僅差で、ティラーソン国務長
官指名を承認した。

すれすれの11 vs 10票。土壇場でロシア認識の誤解が解けたと ジョ
ン・マケインらが賛成にまわったからだ。ティラーソン国務長官は親 ロ
シア派として知られる。

閣僚でまっさきに承認されたのはマティス国防長官で、マッドドッグ
(暴れん坊)の異名を取る彼はすでにペンタゴンに入り、指揮をとってい
る。オバマ前政権の世界戦略が根本的に見直される。

「マティス国防長官は、2月上旬に日本と韓国を訪問する」と国防総省
が発表した。

これは軍事同盟国であるNATO諸国やイスラエルを差し置いて、まず極
東の軍事情勢が焦眉の急と、アメリカが判断しているからだ。

日本は尖閣諸島を中国から執拗に狙われているが、韓国は親米政権が次
の選挙で親北派に転覆する危険性が日々高まったうえ、中国が強烈な圧力
をソウルにかけ、たとえば韓流ドラマ禁止、韓国人芸能人のコンサート中
止など、次々と対韓圧力を強めている。

米軍が提供するミサイル防衛システムのTHAAD潰しが狙いである。

米国にとっては在韓米軍をかかえ、北朝鮮の核を目前にしながらも脱米
国、脱西側そして反日活動に狂奔する朝鮮半島の南部を、いかに安定化さ
せるか。
 トランプの極東軍事戦略の第一歩がマティス国防長官来日で、はじまる。
    

2017年01月25日

◆在米華人グループの多くがトランプ支持

宮崎 正弘 



<平成29年(2017)1月24日(火曜日)通算第5175号>  

〜在米華人グループの多くがトランプ支持にまわった不思議
 元来、クーリー移民以来の華人は民主党支持だった筈なのに、異変が
起きていた〜

1月20日のトランプ大統領就任式に、多くの華人グループが参加して い
た。トランプ支持のプラカードを掲げて、とくにトランプが惨敗したカ
リフォルニア州からやって来た。

リベラルの巣窟、アジア系移民の左傾化が顕著なカリフォルニア州から?

目立ったのはアナハイムからの集団で、ヒラリー圧勝におわったカリ
フォルニア州だったが、共和党の選挙運動を展開した華人が多かった事実
は在米中国語メディアを読んでいるとわかる。

じつは昨年11月6日、投票日直前のミネアポリス空港で、緊急のトラ ン
プ支援集会が開催されたが、組織動員された団体のなかで、華人グルー
プの代表がトランプ支持の発言をしている。

これがネットで、フェイスブックで、ツィッターで拡がり、ひろく在米華
人有権者にトランプへの投票が呼びかけられた。

不法移民をのぞいて、在米華人はじつに450万人、このうち220万 人が有
権者である。

この数字には中国人留学生も不法移民も旅行で長期滞在の中国人も入ら
ない。まさしく18世紀から行われたクーリー貿易で米国へ渡り、主とし
て西海岸に住み着いた華人の家系が多く、しかも1852年にはアメリカ で
最初の中国移民の暴動が起きている。
 
彼らが不満をぶち挙げた理由は、正統な移民であるにも拘わらず、ア メ
リカ人がいまも「チンク」と侮蔑語で中国人を差別していること。メキ
シコからの不法移民の急増で、かれら正統派移民が就労の機会を失ってい
ること。

華人だからと言って不法移民と一緒にして欲しくない、という訳である。

にもかかわらずオバマ政権の8年間で、不法移民への優遇政策が実行さ
れたことへの不満が爆発した。

シリアからの難民を受け入れるとオバマ前大統領が発表したときは、在
米華人の56%が反対に回り、カリフォルニア州のリベラル社会の多数意
見に明確に反対していた。


 ▼不法移民に我慢がならない

むろんトランプ支持の華人らは、近年夥しくやってくる新移民、投資移
民の華人とは絶縁状態であり、コミュニテイィを異にしている。
 
2世、3世となると日系アメリカ人同様に母国語を喋ることが出来な
い。だから「不法移民に対して取り締まりの強化」を要求しているのだ。

華人グループのプラカードには「H-1B」というスローガンが並んでい
た。このプラカードが象徴するのは、就労ヴィザの問題である。

正式な労働移民に与えられるヴィザの特権を遵守して欲しいと訴えている。

H−1Bヴィザは専門技術者として米国で一時的に就労する外国人を対
象とした就労査証で、建築、エンジニアリング、会計、財務関連の就労。
米国の学士またはそれと同等の経歴を持っていることが条件の一つだ。

新華人の多くは、このヴィザで米国に移住し、永住権を取得するケース
が多い。

またEB―5ヴィザというのは移民プログラムのひとつで、移民法によ り
定められた政府公認の永住権を取得する投資永住権。 米国に50万ドル以
上の投資と十名以上の雇用を条件として永住権を取得できる。

 上記二つが近年の中国人移民の特徴で、それ以外の不法移民就労は、か
れらから見れば不服、だから不法移民排斥を唱えたトランプを熱狂的に支
援したわけで、外交的軍事的な中国と米国の対立に関しては、意見を控え
ている。 

2017年01月23日

◆トランプ政権発足、第1号はTPP離脱

宮崎 正弘 


<平成29年(2017)1月22日(日曜日)通算第5173号>  

〜トランプ政権発足、第1号はTPP離脱、オバマケア見直し命令だった
が北朝鮮の核施設破壊作戦をトランプは何時命令するだろうか?〜


第45代米国大統領就任式は無事に終了した。いつものように左翼グループ
が暴徒化したが、予測の範囲内であり、ホワイトハウスに入ったトランプ
新大統領は早速、公約であったTPPの離脱、オバマケアの見直しという
大統領命令に署名した。

これからメキシコとの国境への壁の建設、NAFTAの見直し、同盟国へ
の軍事分担増加要請など、つぎつぎと政策変更の嵐がまっているが、実は
最も驚異的な難題は、北朝鮮の核兵器をいかに扱うのか、ということでは
ないのか。

北朝鮮が米国に届くICBMの実験を行ったことは、これまでの米朝関係
を変えた。

トランプは北のICBMに関して「そうはさせない」とツィッターでメッ
セージを発信している。

ならば「そうはさせない」という具体的中身は何か?

選択肢は3つあり、第1はICBMを単なる北のブラフと認識する態度を
続ける。

第2は北が米国と直接対話をしたいための信号であるという外交の駆け引
きに対応する。

第3は、しかし、従来の前者2つの選択肢を無視して、実際に米国が予防
的先制攻撃という選択をするかである。

つまり北朝鮮の核施設を空爆で破壊して、脅威をとりのぞくという選択で
ある。おそらく潜水艦からのSLBM発射が主力となるだろう。

実際に北朝鮮の核施設攻撃オプションは、ペンタゴンで何回か立案された
が、ときのクリントン政権が土壇場で回避し、オバマ政権ではタブー視さ
れた。

ところが北が六者会談を無視し、中国の政治的圧力を避け、ついに
ICBMのレベルまで達すると、予防的先制攻撃の選択肢が、米国内で公
然と論じされるようになった。「フォーリンアフェアーズ」でも、論究さ
れるとなると、ペンタゴンでもシナリオが存在しているに違いない。

トランプならやりかねない、というのが国際政治の現場感覚だろう。

しかし先制攻撃というシナリオを前にして、米国が直面する3つの難題が
ある。


 ▼残された3つの選択肢とは

第1は中国がどう動くか。これまでには「中国が北朝鮮を抑制し、影響力
を行使すれば、やめさせることが出来た。なのに、しなかった」(トラン
プ)。もちろん中国も、この北朝鮮の核こそが、対米交渉のカードであ
り、下手な使い方をしないだろう。

第2に韓国がいかなる反応をするか、つまり作戦遂行後、米韓関係は緊密
化するか、対決となってしまうのか、である。現実に朴権恵政権は弾劾の
淵に立たされ、命運が尽きようとしているが、次期韓国政権は親北派の勝
利が予測されている。
火に油を注ぐ結果が明らかな現状で、米国は軽率な行動はとれそうにない。

第3は「全面戦争」への発展を米国は考えていないという前提から発生す
る諸問題だ。つまり、攻撃後の北朝鮮の報復はかならず行われ韓国へ侵攻
するだろう。

そのときに在韓米軍はどこまで耐えるか、北朝鮮からソウルは近く、また
地下トンネルが無数に掘られている。メトロポリタン・ソウルという人口
密集地(1400万人)が人質となるが、その犠牲を恐れずに米国が先制攻撃
を行えるか、どうか。

1981年、イラクのオシラク原子炉をイスラエル空軍機が破壊した。米軍の
協力があった。

200年、シリアの核施設をイスラエル空軍機が破壊した。むろん、背後で
は米軍の協力があった。
 
しかし、イランの核施設はイスラエル側に破壊能力があるのに、できな
かった。

北朝鮮の核施設の正確な場所を把握していない限り、作戦の成功もまた難
しくなる。

こう考えてくると、残された選択は北朝鮮を交渉の場に引き出して、中国
にも圧力行使を期待しての「核の凍結」ではないのか。
    
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 中国の見せかけの軍事脅威にこうすれば防げる
  機雷敷設専門の小型潜水艇をベトナムなどに供与せよ

  ♪
兵藤二十八『日本の兵器で滅びる中華人民共和国』(講談社α新書)
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意表を突く題名であり、誰だって本書を手にしたくなるだろう。そういえ
ば、このアルファ新書は、題名の奇抜さ、ユニークさが「売り」でもある。

米国の核の傘はフィクションでしかないことを多くの人は気がついてい
る。いざ土壇場で核の報復が予測されるとすれば、そういう犠牲を負担し
てまで、米国は日本を守らないだろうし、核兵器を日本に貸与しても呉れ
ないだろう。

西欧に提供している米国の核の傘は確実な「核シェア」という発想であ
り、日本には佐藤政権のときに約束した非核3原則があり、そもそも核
シェアを提供できないのである、と兵藤さんは言う。

だが、日本は核戦争に勝てるという未来のシナリオを提示する、兵藤兵法
独特の世界が説くことはいったい何か?

第1は中国共産党の崩壊である。シナが崩壊し群雄割拠がおこれば、アメ
リカの特殊部隊が核兵器を撤去回収する。だから内部からの崩壊を首長く
して待つのではなく、日本も静かに内密に仕掛ければ良いのだ。

ところが、日本の外務省や政治家は世界でも珍しい軍事音痴がそろってい
るため、「戦争のセンス」が欠落していると筆者は言う。

大事な予防策とはトリップワイアーである。日本語でいうと鳴子。早期警
戒システムである。

これが尖閣諸島に配備されていない。戦争のセンスが欠落しているからで
ある。

ポーランドやバルト3国にNATO軍が駐留するのはトリップワイアーの
役割を果たし、敵が先に仕掛けてきたため、やむを得ず自衛のための報復
をするという段階を明瞭化することになる。

ただちにやるべき事は尖閣諸島に、日本が誇る74式戦車を埋め込み、コ
ンクリートで固めて「沿岸砲台」とすること、侵略者には発砲、射殺が出
来る。

それを歴代日本の政府がしてこなかったし、いまも出来ないがゆえに尖閣
問題はまずますややこしいのだ

「トリップワイアーが島の上に無い、いまのうちならば、うまく占領をし
てしまえるかも知れないとの妄想を、中共指導部に、ずっと抱かせ続けま
す。敵性隣国に侵略衝動を誘いかけている」という状態がいまの日本で、
だからあれほどの夥しい「海警」と称する舟が尖閣諸島付近をうろうろと
はいまわって、上陸奇襲を狙っている。

もし上陸されたら、島根県竹島と同じように敵性国家が居座りを続けるこ
とになる。

ところで中国海軍にはアキレス腱がある。

対潜水艦哨戒能力が低く、そのうえ機雷をまくのは得意だが掃海能力がな
い。つまり機雷をシナ海軍の航路に撒けば、中国の軍事力はたちまち無力
化する。そのために日本はアジア諸国に「小型の潜水型機雷敷設専用潜水
艇」を供与すれば良いとする。

極めつきに効果的でユニークは戦術論として読んだ。

   

2017年01月22日

◆地下銀行が日本でも猖獗

宮崎 正弘



<平成29年(2017)1月20日(金曜日)通算第5170号 > 

  〜外貨持ち出しを厳格に制限しているが、地下銀行が日本でも猖獗
  中国の外貨準備、急減中。米国債まもなく1兆ドルを割り込むか?〜

中国の外貨準備が急減していることは明らかだが、虎の子の米国債保有高
が1兆ドルを割り込む気配となってきた。
 
2016年11月末の米国債権保有高は1兆493億ドルで、日本が首位を回復した。

中国人の海外旅行熱はまだ続いているが『爆買い』がおわったことは誰も
が認めるところだろう。
 
年間5万ドルに制限され、銀行へ外貨両替に行くと、手続きが面倒で、事
実上両替が出来なくなっている。

銀聯カードは世界中のATMで使えなくなっている。

ならば「上に政策あれば、下に対策あり」の中国人はどうするか。
 すでに小誌でもみてきたように、外為取引(FX),ビットコイン、そ
してレクサスなど高級車、金の延べ棒、つまり「換物投機」がおこる。
ソ連崩壊時のそれはマルボロだったように、人民元減価の前にモノを買っ
ておこうとするのが庶民の投機行為に現れる。

日本に来て高給腕時計、高給カメラなど「運搬しやすい」モノへの投機が
顕著となっている。持ち出し制限を超えて、人民元を持ち込むか、あるい
は地下銀行で決済し、現金で買い物をしている。

外貨の稼ぎ頭だった貿易も急減していることが明らかとなった。

中国の2016年通年の貿易統計で輸出は7・7%減少、輸入も5・5%減少
となった。

明らかに貿易減退の傾向が出ている。

中国税関総署の発表(17年1月13日)によれば、ドルベースの輸出額は7・
7%減で2兆974億ドル。輸入は5・5%減で1兆5874億ドルとなった。貿易総
額も6・8%減少したことがわかった。

輸出から輸入額を差引いた貿易黒字は5099億ドルと発表された。

      
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 冴え渡る日下節、今日も明日も元気で楽しい
  日本が世界史のプレーヤーに躍り出る時代が来た

  ♪
日下公人『ついに日本繁栄の時代がやって来た』(ワック)
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『WILL』に連載されているコラムから選別し、並べ替えて加筆した集
大成。目から鱗の一冊でもある。

なにしろ日下氏が言うのは世間一般、とりわけ官僚の世界からは異次元の
話、ものの見方が異星人的である。日下ファンは、これを「日下節」と読
んで重宝している。

アベノミクス第1弾は3本の矢だが、金融出動、財政出動までは快適なエ
ンジンだった。途中で息切れしたのは何故か。

新しいアベノミクスとは『日本出動』にあり、日本が発信するメッセージ
が次の世界を牽引するとその基本は楽天主義である。
 
かく言われる。
 
「新しい模範国として、日本はまもなくトップになるような気がする。そ
れはこれまでリーダーだった国から新しい提案がでてこないばかりではな
く、日本は言わず語らずの裡に新しいことを次々と提示しているからであ
る。(中略)
 
相変わらず欧米追従が進歩発展の道だと思っているらしいが、そんな考え
はまもなく日本の半分だけになり、絶滅危惧種として残ることになる。残
り半分は欧米追随以外の道を歩む人で、いまは墜ちこぼれとか、ニートと
か、変人とか、遊び屋のなかにいる。
 
山中伸弥教授は京大や神戸大では『ジャマナカ』扱いだったらしいが、
ノーベル賞委員会が心を入れ替えて東洋重視、応用重視になると、日本で
の評価が変わった」

日米構造協議の延長になったTPPは、日本が裨益するところとは何もな
く、アメリカが一方的に押しつけようとしていた貿易ルールだが、雲散霧
消した。

日下氏は早くから、そう主張されてきたが、トランプの出現でTPPは本
当に雲散霧消となる。

アメリカからルールを提示されて、たちまちその対応をとってきたのが日
本。しかし、そろそろ日本がルールを決めてアメリカと侃々諤々のルール
協議をはじめるときが来ている、と日下氏はあらためて自尊自立の精神
を、やさしく面白い比喩を多用して、諄々と説かれるのである。

息抜きの清涼剤として有益な一冊である。

2017年01月20日

◆米軍は台湾に駐留すべきか

宮崎 正弘 

<平成29年(2017)1月19日(木曜日)通算第5169号>  

 〜「米軍は台湾に駐留するべきだ」とジョン・ボルトン元国務次官、元国
連大使
   台湾は地政学的に(日本やグアムよりも)南シナ海に近い〜

ジョン・ボルトン元国務次官が爆弾発言をウォールストリート・ジャーナ
ル(1月17日)に寄稿して「台湾に米軍を駐留させるべきだ」と持論を展開
した。

トランプが「ひとつの中国に拘らない」としてきているだけに、このボル
トン論文は、次期政権の対中政策のスタンスがにじみ出ているのではないか。

ボルトンはワシントン政界で「タカ派中のタカ派」として知られる論客。
トランプは次期国務副長官に指名する可能性が高い。
 
もともとボルトンは共和党支持者で、学生時代にはゴールドウォーター選
挙から政治活動に目覚め、ジェシー・ヘルムズ上院議員の補佐官を経て、
レーガン政権、ブッシュ政権で要職を歴任した。

共和党の野党時代はAEIに在籍し、「台湾との復興、台湾の国連加盟」
などを発言してきた。

ジェシー・ヘルムズ上院議員といえば、「レーガンを右旋回させた男」と
して、嘗てTIME誌が特集を組んだほどの有力議員だった。1980年には
日米安保条約をより対等な内容への改定を提議している。

このヘルムズ議員の周りを囲んだ人々がブッシュ政権前後に{Bチーム}
を結成し、台湾擁護、中国外交へのスタンスの切り替えなどを訴えてきた。

ボルトンはイスラエル擁護派としても知られるが北朝鮮問題でも強硬姿勢
を示してきたうえ、日本の拉致家族が訪米したときも、まっさきに会見した。

      
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 トランプ革命でやってくる東アジアの地殻変動
   その足音が聞こえる。聞こえないのは日本の左翼メディアだけだ

  ♪
西村幸祐 vs ケント・ギルバート『トランプ革命で蘇る日本』(イー
ストプレス)
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異色の顔合わせかも知れない。副題は「日米新時代が見えてきた」。

題名と副題からわかるようにトランプ勝利をプラスに評価し、新しい時代
の到来に期待していることで2人の基調は一致している。

左翼メディアの偏向報道についてはいまや周知の事実だから、当選後のト
ランプへの罵詈雑言も、期待と夢をぶちこわす世論工作とみれば、さして
気にする必要はない。

問題はトランプ政治へ、いったい日本はいかなる心構えと態勢作りをして
おく必要があるか、ということである。

両者はまずEUの暗い未来に触れ、高級官僚の支配するEUは、いずれ失
敗すると読む。

次の会話が展開している。

ケント「今後、フランスとイタリアが離脱したらEUは終わりですね」

西村 「EUはドイツの第四帝国ですからね」
 
ケント「戦前日本の大東亜共栄圏のヨーロッパ版です」

西村 「マルクがユーロに代わっただけですから」

なるほど、分かりやすいが、分析は大胆すぎるかもしれない。ドイツの立
つ瀬がない。

大事なことは日本の自立自尊、自主防衛である。
 
口火を切るのはケント氏で、こう問題を提議する。

ケント「日本が尖閣の防衛を米国に全面的に期待するのはおかしなことで
す。アメリカが日本にいるのは、日本を守るためではまったくありませ
ん。ついでにやっていることであって、日本はまず、その現実を見つめる
必要があります。アメリカと日本が運命共同体としてスクラムを組めるか
どうかは日本次第なんですよ。トランプが言っているのは、『日本はちゃ
んとやるつもりがあるのかどうか』ということです」

それはそうだろう。日本が尖閣を防衛し、しかるのち、本当の危機に瀕し
たらアメリカが援助に駆けつけるということは日米安保条約に謳われてい
ることである。

西村氏はこの現実をさらに台湾問題へと演繹し、アメリカで地政学者のミ
アシャイマーが書いた「さようなら台湾」という論文を俎上に載せる。

西村「台湾が独立するためには軍備をはじめ、相当なことをしないと無理
であり、将来的には香港のようになる以外にないと結論づけていました
(中略)。これが地政学的な見方であって、議論というものはここから始
まるわけです」

自立自尊の精神が期間になければならないという意味で、ここでも二人の
基調は一致している。

ならば韓国の身勝手な振る舞いはどうなのか。このままでは次に親北政権
が生まれそうな気配であり、もしそうなるとTHAAD配備は白紙に戻る
危険性あがる。

じつは、そのポイントに、米国の韓国観が存在しているようである。評者
(宮崎)の見たてでは、韓国軍がクーデターをやらかしても米国はきっと黙
認するのではないか。

ケント氏が続ける。

ケント「トランプが地政学上の緩衝地帯という概念を理解しているかどう
かわかりませんが、日本とPRC(中国)との緩衝地帯として、韓国はど
うしても(日米両国に)必要な国なんですよ。ややこしい国ではあります。
(中略)PRCにとっては北朝鮮が韓国イコール、アメリカとの緩衝地帯な
わけです。もし韓国がPRCの属国となってしまった場合には、統一させ
てPRCに統合する選択肢も出てきます。しかし、これは大統領が誰で
あっても、アメリカは許さないと思います」

2017年01月19日

◆で、あのヒラリーはいま

宮崎 正弘 



<平成29年(2017)1月18日(水曜日)通算第5168号>  

 〜で、あのヒラリーはいま、何をしているの?
   政治団体を解散、22名のスタッフ解雇へ〜

敗れたヒラリー・クリントン元国務長官は、いかなる日々を送っているのか?

惜敗という印象は得票数では、彼女がトランプより200万票以上多かった
からだが、米国のルールは州別の選挙人を獲得するゲームであり、全体の
得票とは必ずしも一致しない。現に2000年の大統領選挙でも、ブッシュ・
ジュニアより、ゴアのほうが得票は多かった。

トランプ政権は、彼女の訴追はしない方針だが、議会と世論は黙っていな
いだろう。

ヒラリーのメール偽証事件はまだ尾を曳いている。注意を逸らすために、
民主党陣営とリベラルのマスコミはトランプとロシアとの闇の繋がりを指
摘し、誇大な報道報復をしているというのが現状だ。

ヒラリーは夫ビルと共に、20日はワシントンに現れ、トランプ大統領の就
任式に臨むという。議会ではボイコットの動きも拡がっており、民主党の
18人の議員は就任式ボイコットを正式に表明している。

さて仕事のなくなったヒラリーは、これからどうやって政治活動を維持す
るのか。

彼女は主宰してきた「グローバル・クリントン・イニシャテイブ」という
政治団体を解散すると発表した。

2017年4月15日をもって解散し、22人のスタッフを解雇する旨の申請をす
でにニューヨーク労働局に行っている。さらに追加の解雇者が出るだろう
とワシントンタイムズが報じている。

とはいえ、正式に政治活動から身を引くとはいっておらず夫妻の政治資金
集金マシーンでもある「クリントン財団」は維持されるだろう。

豪政府は、この政治的影響力を失った「クリントン財団」との付き合いを
辞めるとした。

ノルウェイ政府は、クリントン財団に、2105年に1520万ドルを、16年に
420万ドルを寄付していた。追加の献金は報じられていない。
 
この両財団こそはeメール漏洩事件の本丸であり 米国通の政治学者、藤
井厳喜氏によれば、「ヒラリー・クリントンは(その国務長官時代に)国
務省を『クリントン商会』に換えた」と喩えたほどの伏魔殿である。