2016年12月10日

◆カジノを干しあげろ

宮崎 正弘
 

<平成28年(2016)12月9日(金曜日)弐 通算第5127号 > 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 〜マカオとシンガポールのカジノを干しあげろ
  中国当局、銀聯のATMから現金が引き出せないという緊急措置〜

 資金の海外流失がとまらない。海外旅行の持ち出し制限、銀聯カードの
上限設定、海外への500万ドル以上の送金停止等々。様々な制約を設けて
も、中国から流れ出すカネの勢いは止まらない。

中国の外貨準備は急減し、ピークから2年間でおよそ1兆ドルが流失し
た。公式的にも、外貨準備が2兆ドルを割り込むのは時間の問題だ。
 
所詮、「上に政策あれば、下に対策あり」の国である。

抜け穴があった。マカオとシンガポールのカジノである。持ち出しの上限
をこえて、賭け事に興じる。それは表向きで、実質的にはカジノが「闇資
金」の決済に使われてきたのだ。

マカオに林立する26棟の豪華ホテル・カジノと、シンガポールの「マリ
ン・ベイ・サンズ」ホテルが抜け道。ホテルに設置されたATMである。

後者「マリン・ベイ・サンズ」は三棟の高層ホテルが最上階でつながり宏
大なプールがしつらえてあるため、日本人ツアーも多い。

このホテル、じつはカジノである。ATMから一日上限の1万パカタを引
き出し、賭け事に回すのは些少。のこりは闇ルートに流れる。

2年前まで、一日の上限は10万パカタだったから、銀聯カードの意味はな
くなる。

シンガポールでは巨額の引き出しが行われ、実質的な人民元相場はシンガ
ポールで決まるとまで言われた。マカオは故意にギャンブルに負けて共産
党幹部に合法的な「賄賂」を支払う場所でもあった。

12月8日、中国の通貨当局は緊急措置を講じた。

ATMから引き出せる額を一回につき、一万パカタ(1パカタは14円30
銭。マカオ通貨)から5000パカタに制限したうえ、一ヶ月の全体上限を
100億パカタとした。

すでに1ヶ月の合計を超えているためATMは機能停止となった。

悲鳴を挙げたギャンブラー、売り上げが激減のカジノホテル。闇資金の流
通が止まった地下銀行、そしてマフィア。

だが、闇の世界はまた次の手段を考案するだろう。

    

2016年12月09日

◆テリー・ブランスタッドは親中派

宮崎 正弘
 


<平成28年(2016)12月8日(木曜日)弐 通算第5125号>

 〜中国大使に内定のテリー・ブランスタッド(アイオア州知事)は親中派
  テリーは1985年から習近平と付き合いがある人物〜


アイオア州は農業国。農作物の輸出で州の経済がもっているところあり、
トランプが辛勝した。州知事はテリー・ブランスタッド。

農業ビジネスの交換など米中外交に一環としてアイオア州と中国の河北省
は姉妹州という友好関係がある。なぜなら1985年に、まだ河北省の幹部で
しかなかった習習近がアイオア州のムスカティルという村のサツマイモ栽
培農家にホームスティした経験があり、2012年2月に習近平が訪米した
折、わざわざこの農家を訪ねて親善ムードを盛り上げたものだった。

2011年に訪中したテリー・ブランスタッド知事は、当時「副主席」だった
習近平と会った。その席で翌年訪米の際にアイオア州の農家を訪問するス
ケジュールなど意見交換がされたという。

それだけの因縁だが、中国のメディアは「大歓迎」の論陣を張りだした。
旧知の友人が新中国大使に任命された。だから米中関係はうまくいく、ト
ランプは対中強硬派にみえて、じつは親中路線を踏襲するだろう、という
楽観論が紙面を蔽いだした。

じつは12月6日、ブランスタッド知事がトランプタワーによばれたおり、
中国はトランプ次期大統領が台湾の蔡英文総統の電話会談直後だったため
対米感情の悪化が伝えられていた。このタイミングで指名発表が報じられ
たため、台湾問題は、中国語のメディアから霞んでしまった。

ただし、アイオア州事務所は、この人事は正式なものでなく、確認が取れ
ていないとしている(サウスチャイナモーニングポスト、12月8日)。
 

2016年12月08日

◆トランプと孫正義がトランプタワーで「商談」

宮崎 正弘
 

<平成28年(2016)12月7日(水曜日)弐 通算第5123号>   

 〜日米の「借金王」が面談した
  トランプと孫正義がトランプタワーで「商談」〜


 椿事。ソフトバンクの孫正義がNYのトランプタワーに現れた。12月6
日 である。
 
「何をしに?」と番記者の日本人テレビクルーも驚く。

会談後、2人は揃ってロビィの報道陣の前に現れ、即席の記者会見。孫は
「あらたに米国へ5兆ドルを投資し、5万人の雇用を実現する」と言え
ば、トランプも大満足という案配だった。

トランプが要人と会談後にロビィに現れるのは珍しいことである。

孫正義は強硬突破のイケイケどんどん路線で事業を拡大してきたが、同時
に強気の買収に要した資金の多くは有利子負債である。ダイエーの二の舞
をやらかす危険性をつねに秘めながら、低金利時代に支えられた。

トランプの借金は、「社債」や新社の「株式」であり、本人の負債は、倫
理的な責任を除けばない。しかし借金でのし上がったことには変わりない。

孫正義が米国で新しく展開する事業は具体的プランが発表されていない
が、昨今合意したサウジアラビアの国営ファンドと連携しての新事業かと
思われる。

かくして日米の「借金王」は最初から馬があった?

余談だが、この日、トランプ陣営は「記者リリース」チームを発足させ、
今後はマスコミ向けに公式のプレスリリースをだすことになった。

というのも、トランプは左翼ジャーナリズムを敵視してきた結果、本人の
発言を殆どツィッターに頼るという新方式に移行し、ツィッターがニュー
スになると言う異様な事態が続いてきたためである。

2016年12月07日

◆トランプ・ピボットは対中政策で始まる

宮崎 正弘 



<平成28年(2016)12月6日(火曜日)通算第5121号>  
 
〜トランプ・ピボットは対中政策で始まる
  台湾総統と電話会談。南シナ海問題を初めて言及〜

 さきに台湾問題で、画期的な「事件」が起きた。
 蔡英文総統からの祝意の電話にトランプ次期大統領が応じたのだ。
1979年の国交断絶以来、37年ぶりの快挙である。

 「台湾に何十億ドルもの武器をアメリカは売却している。そのリーダー
が祝意をつたえてきたのだ」とトランプはツィッターに書き込んだが、つ
いでにこういったのだ。
 「南シナ海の(岩礁を埋立て人口島建設と軍事基地化)ことで(中国
は)アメリカの許可を得たか?」

 ペンス次期副大統領はテレビに出演し、蔡英文総統からは祝賀の電話会
談だけだったと述べたが、消息筋はこの米台談話会談は長きに亘って練り
上げられた演出だったとしている(ワシントンポスト、12月5日)。

 トランプの次期対中国政策は、トランプ・ピボットがおきる可能性を示
唆している。
 過去の発言を振り返ってみよう。
 トランプ名言集は以下の通りである。

 トランプは中国を明確に「敵」と言っている。
 15年6月16日の出馬表明で、トランプは「私が中国を敵として扱うこと
が面白くない人間もいるが、やはり中国は敵以外の何者でもない。アメリ
カは深刻な危機に直面しており、嘗て勝ち組だったのは昔話である。最後
にアメリカが誰かを打ち負かしたのは何時だった? 中国に貿易でアメリ
カが勝ったことがあるのか」。

 そして同年11月のテレビ討論会では
 「TPPなんてトンデモナイ。中国がいつものように裏庭から入りこん
でだまし取ろうというのがTPPである」と発言し、このときまでTPP
に中国が加盟していないことも知らなかった。

 北朝鮮問題にからめて、こういう発言もしている。
 「北朝鮮問題は中国が簡単に解決できるのに、これを利用してアメリカ
を操作したいため、問題解決に努力しない。北朝鮮問題を解決できない中
国なんぞ潰してしまえ」。(2016年1月6日、CNNでの発言)。こ
の文脈から日本の核武装を容認する発言へと繋がった。

 こうして過去の発言をフォローすると、トランプの中国観が自ずと浮か
び上がってくる。台湾総統からの祝賀をうけたのも自然の流れである。

 オバマはアジアピボットを提唱したが、南シナ海でほとんど何もせず、
リップサービスだけだったため、アセアン諸国はアメリカへの信頼を薄
め、ラオス、カンボジア、タイが中国の圧力に屈し、ついにはフィリピン
までもが中国へなびき、「アメリカ軍は二年以内に出て行け」とドゥテル
テ比大統領をして言わしめた。

 こうした退嬰的なアメリカの姿勢と180度異なるトランプは、つぎのア
ジアピボットを用意しているのではないか。
      

2016年12月04日

◆キッシンジャーが訪中

宮崎 正弘 



<平成28年(2016)12月3日(土曜日)通算第5119号 > 

 〜この微妙な時期にキッシンジャーが訪中し、習近平と会談
  「中国は政権引き継ぎチームの詳細な動きを観察している」と習〜

 キッシンジャーがトランプと会談してか週間後、北京に現れた。
 12月2日、キッシンジャーは人民大会堂で習近平首席と会談し、米中関
係について話し合いをもった。中国にとっては米中関係の鍵を握るとされ
るキッシンジャーを熱烈に歓待した。

 「トランプ氏は。。」とキッシンジャーは語った。

「わたしの人生経験でも、こうしたユニークな大統領の出現は珍しい。彼
はアウトサイダーであり、いかなる利益集団とも、密接な繋がりを持たな
い。しがらみがない。選挙中、トランプ氏は中国問題でも、ユニークは発
言をしているが、本気ととらない方が良い」。

習近平は、ステッキをついて歩く93歳の元国務長官に対して、「中国はト
ランプ氏の政権引き継ぎチームの詳細な動きを観察している」と述べた。

キッシンジャーは、1971年にニクソン大統領補佐官として、パキスタン経
由で密かに訪中し、ニクソンの訪中、米中関係の再開を画策した。翌年の
ニクソン訪中は世界の政治の流れを変えた。

以後、中国では「大御所」のご意見番として尊重された。45年間、キッシ
ンジャーは、中国における外交顧問格のポジションを得たため、共和党保
守陣営からは「中国の代理人」として酷評されてきた。

キッシンジャーは、前日の12月1日には反腐敗キャンペーンの中枢にいる
王岐山(政治局常務委員、序列六位)とも懇談し、「中国共産党が推進し
ている反腐敗キャンペーンを注視している」などと述べた。

トランプ次期大統領はキッシンジャー訪中を通じて、なんらかのメッセー
ジを託したと推測される。
        

2016年12月03日

◆ソ連崩壊から25年を閲して

宮崎 正弘 


<平成28年(2016)12月2日(金曜日)通算第5118号 > 

  ♪♪
宮崎正弘 書き下ろし  12月7日発売

 〜『日本が全体主義に陥る日 〜旧ソ連邦・衛星国30ヵ国の真実』(ビジ
ネス社)〜
 
   (カラー写真31枚を含め百葉超の写真付。1600円 +税)

 ★ソ連解体から25年
 ★プーチン大統領が来日
   旧ロシア15ケ国、東欧、旧ユーゴスラビア、合計30ヶ国すべて を
回ってみた
 ーー旧ソ連圏の国々は「独立」後、本物の自由を勝ち得たのか
  ーー旧ソ連の中央アジア・イスラム圏五ヶ国とカフカス3ヶ国も歩いた。
  ーー旧ユーゴスラビアのバルカン7ケ国とアルバニアも見てきた
  ーー全体主義の呪いは解けたと言えるか。いや日本こそ一番危ないの
では?
 
(目次)
 はじめに 「ソ連崩壊から25年を閲して」
 プロローグ 全体主義と民主主義
<第一部 旧ソ連の国々>
 第1章 「プーチンのロシア」はいま?
 第2章 バルトの国々(エストニア、ラトビア、リトアニア)
第3章 スラブの兄弟(ウクライナ、ベラルーシ)とモルドバ
 第4章 中央アジアのイスラム圏(ウズベク、カザフ、キリギス、タジ
キスタン、トルクメニスタン)とモンゴル
 第5章 カフカスの三ヶ国(アゼルバイジャン、アルメニア、ジョージア)
 
<第二部 旧ソ連圏の国々>
 第6章 ポーランド、チェコ、スロバキア、そしてハンガリー(旧ハプ
スブルグ家)
 第7章 ドナウ河下流域(ブルガリア、ルーマニア)
 第8章 旧ユーゴスラビア七ケ国とアルバニア
 第9章 モンゴルの悲劇は終わったか
 エピローグ 日本がむしろ全体主義に転落する危険

 ******************
<梗概>ソ連崩壊から四半世紀を閲した。

「本当に全体主義の呪いは解けたのか」、「人々は自由を回復し、相互
監視密告体制の桎梏も消えたのか」、「精神的束縛はないのか」という疑
問をこの眼で確認し、謎解きをしてみたかった。

「ヤルタからマルタへ」と当時いわれたように、ソ連は1989年、ゴ ルバ
チョフとブッシュのマルタ会談において冷戦を終結させ、直後から共 産
主義体制を支えたソ連共産党が、バベルの塔の崩壊のようにがらがらと
大音立てて瓦解しはじめた。

1991年に中核部はロシアとなって新生した。ほかの十四の「自治区」
は独立国家となり、いまごろは西側同様な自由な体制を築いている筈では
なかったか。

 旧ソ連各地でレーニン像が破壊され、除去された。しかし旧ソ連圏の
国々の一部に、たとえばベラルーシなどではレーニン像が町のど真ん中の
色場に周囲を睥睨するかのように残っている。極東でもハバロフスク、ウ
ラジオストックなどでは市庁舎前などに大きなレーニン像が残っている。
 カザフスタンなどでは独立後の1992年にはやくも撤去作業が行わ
れ、また激烈な反ロシア感情があったウクライナでは西部全域でレーニン
像はロープを掛けられて台座から引きづり降ろされ、立像のない台座だけ
が残って、何も知らない子供らの遊び場になっている。

 レーニンの否定は共産主義の否定である。

ソ連が末期的症状に陥った1989年に筆者は初めて東ドイツも回っ た。ベ
ルリンの壁はまだ存在していた。直後、「ベルリンの壁」が壊さ れ、翌
年には通貨統一もなされ、ドイツは悲願の統一を果たした。東マル クを
西マルクが吸収するかたちだったが、その前夜に東ベルリンに滞在し て
いた筆者は町の至る所で両替を急ぐ庶民と闇ドル屋が立っていたことを
思い出す。
ドイツからソ連軍が撤兵すると、ドイツはさっとEUの主導権を奪い、統
一通貨「ユーロ」導入へ旗振りを演じたのだった。

宮崎正弘 書き下ろし  12月7日発売
 『日本が全体主義に陥る日 〜旧ソ連邦・衛星国30ヵ国の真実』(ビジ
ネス社)
  (カラー写真31枚を含め百葉超の写真付。1600円 +税)

     

2016年12月02日

◆驚天動地はフランス大統領選挙だ

宮崎 正弘 



<平成28年(2016)12月1日(木曜日)通算第5117号 > 

 〜次なる驚天動地はフランス大統領選挙だ
  トランプのあとだからこそ、マリーヌ・ルペンの可能性〜

 フランス人は血が好き。血の滴るステーキが好み、ワインも血を連想さ
せる。
あのギロチンによる大量粛清。仏蘭西革命が過激な左翼思想を生んだこと
は歴史学の定説である。

国王を処刑したかとおもえばナポレオンは皇帝となり、やがて国民が飽き
ると共和制と、その左右の振幅は激しい。
戦後、右派からレイモン・アロンという戦略家、ドゴールがでてきて、
「フランスの栄光」を唱えたかとおもえば、カミュやサルトルが出る。ダ
ニエル・コーンバンディは五月革命を率いた。

 サロン・マルキストの盛んな国だが、エマニエル・トッドはソ連の崩壊
を預言して的中させた。他方ではジャック・アタリのような唐変木左翼も
いる。

こういうフランスに何故か日本人女性がいまも憧れ、そのブランド購買に
熱中した時期もあった。

フランスの政局の移り変わりは猫の目。民主制度は確立されているが、国
民の精神はドイツ同様に病んでいる。

現在の仏蘭西大統領オランドは左翼。なのにパリのテロ事件以後は保守路
線より右。しかし人気は低迷し、左派全体も政界に沈没した。

かわって保守は、サルコジが本命視されていたが、エスタブリシュメント
を嫌う党内のマーケッティングリサーチによってフィヨン元首相が次期大
統領候補者に選ばれた。保守穏健派だが、パフォーマンスが弱い。

しかしフィヨン氏は党内の打算で、かれならルペンに勝てるという想定に
立脚するのだが、この打算は間違っていないか。

選挙とは、衆愚政治である以上、ポピュリズムである。訴える破壊的なパ
ンチ力が必要とされるが、フィヨン氏は物腰が上品で、アジ演説が下手
な、まっとうすぎる人。これでは迫力がでないのではないか。

ロシアのメディアをみていて驚いたのは「フィヨンでもルペンでも歓迎」
としていること、旧左翼のくにが、キリスト教東方正教会の国に変身し、
なによりも保守政治家をこのみはじめるというのも、奇妙なことではある。

ルペンは「フランスのトランプ」となるか、世界政治の焦点は年明け三月
頃からワシントンからパリに移行する。
       

2016年11月30日

◆中国のオンライン・カジノは400億ドル

宮崎 正弘 



<平成28年(2016)11月29日(火曜日)弐 通算第5114号> 

〜中国のオンライン・カジノは400億ドル(4兆5000億円)の市場 だった
  主宰した「周」グループが稼いだテラ銭は9300億円〜

中国では表向き賭け事は御法度。例外は公営の宝くじだけ。
 
武漢に競馬場があるが、見るだけ。上海郊外にはF1のレース場もある
が、多くはマカオまで出かけて巨額を賭ける。

ツアーを組んで、ラスベガスやキプロスに出かける富裕層もいる。ベラ
ルーシも、モルドバもハンガリーもカジノは合法である。

中国全土、どこでも例外なく町を歩くと、公園で、店先で、レストラン
で、それも早朝から夜中まで、庶民はトランプ、将棋。ほぼ全員が金を掛
けている。

麻雀はホテルの部屋を借り切ったりして見張りを立て、或いは湖にボート
を浮かべて徹底的にやる。
なんと賭け事の好きな民族だろうかとあきれかえるほどに。

ネットに[ONLINE CASINO]があらわれたのは2012年 だっ
た。「周」をなのる集団が、ネット上に参加者を募り、ビットコイン な
ど架空の通貨を利用して、オンライン・カジノという商売を始めた。

またたく間に200万人の参加者があった。ネットで舞ったカネは 400億ド
ル(4兆5000億円。日本の防衛費に匹敵)。彼らが稼い だコミッション
だけでも9300億円だ。

当局は「周」集団を追った。彼らはさっとベトナムに逃亡し、ネットで
のカジノを続けたが、ついに御用となった。周は47歳。浙江省で、裁判
が始まったが、庶民の関心は、かれらが手にした膨大なテラ銭の行方である。
     

2016年11月29日

◆2020 次の大統領選挙

宮崎 正弘
 

<平成28年(2016)11月28日(月曜日)弐 通算第5112号 > 

〜2020 次の大統領選挙。民主党候補ラインアップ
  クリントン人脈から女性が4人、リベラル色強い候補者ばかり〜

バイデン副大統領は、すでに野心潰え、事務所を畳む。
 ヒラリー・クリントンも、2回落選。次の望みは絶たれ、批判の強かっ
た「クリントン財団」を株式会社にでもするか、先行き社会活動でも展開
するのだろう。

民主党の若手が早くも準備に入ったとワシントンポストが伝える6人の
「候補」予定とは、誰々か。

コリー・ブッカー上院議員がファースト・ランナーとなるかも知れない。
ニューアーク市長。スタンフォード大学にロード奨学金で入学。フット
ボールの花型選手だった。黒人。47歳。カリスマ性がある。

キルステン・ジリブレッドはヒラリーの愛弟子、ヒラリーが大統領選のた
め、NY上院銀を止めたときの後釜。49歳。女性。

カマラ・ハリスはカリフォルニア州から上院議員に当選したばかり。カリ
フォルニア州司法長官からリベラル色を鮮明にして上院議員選挙では1300
万ドルの政治資金を集めた辣腕に衆目が集まる。黒人女性。

ジョン・ヒッケンルーパーはコロラド州知事。共和党主流と変わらない穏
健派ゆえに、予備選で苦戦が予想される。コロラド州は、民主党がトラン
プを破った。

アミィ・クロブッチャーはミネソタ州選出の上院議員。女性。

そしてダークホウスで、もっとも強力な候補はファーストレディのミッ
チャル・オバマ大統領夫人だ。ファーストレディが大統領候補というの
も、ヒラリー流儀に倣うことになり、一部に支持者がいる。

   

2016年11月28日

◆「李克強インデックス」

宮崎 正弘 



<平成28年(2016)11月25日(金曜日)参 通算第5109号 >  


 〜お蔵入りだった「李克強インデックス」を急遽復活させた
   「これは都合が良い」とばかり第3四半期の統計に適用〜


ウィキリークスがすっぱ抜いた「李克強インデックス」って何だったっけ?

李首相が遼寧省書記のころ、面談した米国大使との会話で語った内容とは
「私たちは政府発表の経済統計を信用していない。(あれは作文である)」

驚いた米大使が訪ねた。

「それならあなた方が信用している経済統計とは何か?」

李曰く。「電力消費量、鉄道貨物輸送量、そして銀行の融資残高です」

この李克強インデックスを用いると、2015年の経済指標は電力消費が横ば
い、ややマイナス。鉄道貨物輸送量がマイナス11%だったから、「中国経
済のGDP成長率はおかしい。天地の乖離現象がある」と世界のエコノミ
ストが中国政府国家統計局発表の数字を疑ってきた。

「李克強インデックス」は「チト、まずい」ということになり、お蔵入り
していた。

とくに習近平政権となって李克強首相との間にはビュービューと「すきま
風」が吹き荒れ、李インデックスなぞ使うわけがなかった。

11月23日、突如、思い出したのだ。「李克強インデックスを、今期の統計
発表では『適切である』から使おうぜ」と。中国はことしのGDP成長率
を6・6%から6・7%へと上方修正した。

第1に電力消費量が伸びた。上半期の伸びは2・7%でしかなかったが、
第三四半期は7%のアップを示した。

第2に鉄道貨物輸送量が2016年10月に11・2%伸びた。「よっしゃ、これ
も使おう」

現実は季節的要因と一時的に電力需要が集中したためで、電力の家庭消費
量に限って言えば横ばいである。

鉄道貨物輸送は輸出入ばかりか軍の移動に使われる。部隊の移動が10月に
集中した所為か、どうかの具体的内容の開示がない。輸出入貿易は港湾の
コンテナ取扱量でわかるが、その発表はまだない。

『李克強インデックス』のもう一つ、「銀行の融資残高k」の開示がな
い。それは発表するには『不都合なデータ』であるからだ。

権力闘争のあおりで、お蔵入りしていた李克強インデックスを、第3四半
期の統計では『成長に見せかけるに都合がよい』とばかりに持ち出して適
当なところだけを切り取って利用する。

共産党の常套手段とはいえ、機会便乗主義のそしりは免れないだろう。

11月24日の為替レートは一段の人民元安を示した

同日、江西省の発電所建設現場で組み立て中の足場が崩壊し、80人近くが
死ぬという痛ましい事故が起きた。
   

2016年11月27日

◆「李克強インデックス」を急遽復活

宮崎 正弘 


<平成28年(2016)11月25日(金曜日)参 通算第5109号>   

〜お蔵入りだった「李克強インデックス」を急遽復活させた
   「これは都合が良い」とばかり第3四半期の統計に適用〜

ウィキリークスがすっぱ抜いた「李克強インデックス」って何だったっけ?
李首相が遼寧省書記のころ、面談した米国大使との会話で語った内容とは
「私たちは政府発表の経済統計を信用していない。(あれは作文である)」
驚いた米大使が訪ねた。

「それならあなた方が信用している経済統計とは何か?」

李曰く。「電力消費量、鉄道貨物輸送量、そして銀行の融資残高です」

この李克強インデックスを用いると、2015年の経済指標は電力消費が横ば
い、ややマイナス。鉄道貨物輸送量がマイナス11%だったから、「中国経
済のGDP成長率はおかしい。天地の乖離現象がある」と世界のエコノミ
ストが中国政府国家統計局発表の数字を疑ってきた。

「李克強インデックス」は「チト、まずい」ということになり、お蔵入り
していた。

とくに習近平政権となって李克強首相との間にはビュービューと「すきま
風」が吹き荒れ、李インデックスなぞ使うわけがなかった。

11月23日、突如、思い出したのだ。「李克強インデックスを、今期の統計
発表では『適切である』から使おうぜ」と。中国はことしのGDP成長率
を6・6%から6・7%へと上方修正した。

第一に電力消費量が伸びた。上半期の伸びは2・7%でしかなかったが、
第三四半期は7%のアップを示した。

第二に鉄道貨物輸送量が2016年10月に11・2%伸びた。「よっしゃ、これ
も使おう」

現実は季節的要因と一時的に電力需要が集中したためで、電力の家庭消費
量に限って言えば横ばいである。

鉄道貨物輸送は輸出入ばかりか軍の移動に使われる。部隊の移動が十月に
集中した所為か、どうかの具体的内容の開示がない。輸出入貿易は港湾の
コンテナ取扱量でわかるが、その発表はまだない。

『李克強インデックス』のもう一つ、「銀行の融資残高k」の開示がな
い。それは発表するには『不都合なデータ』であるからだ。
◆「李克強インデックス」を急遽復活
宮崎 正弘 

<平成28年(2016)11月25日(金曜日)参 通算第5109号>   

〜お蔵入りだった「李克強インデックス」を急遽復活させた
   「これは都合が良い」とばかり第3四半期の統計に適用〜

ウィキリークスがすっぱ抜いた「李克強インデックス」って何だったっけ?
李首相が遼寧省書記のころ、面談した米国大使との会話で語った内容とは
「私たちは政府発表の経済統計を信用していない。(あれは作文である)」
驚いた米大使が訪ねた。

「それならあなた方が信用している経済統計とは何か?」

李曰く。「電力消費量、鉄道貨物輸送量、そして銀行の融資残高です」

この李克強インデックスを用いると、2015年の経済指標は電力消費が横ば
い、ややマイナス。鉄道貨物輸送量がマイナス11%だったから、「中国経
済のGDP成長率はおかしい。天地の乖離現象がある」と世界のエコノミ
ストが中国政府国家統計局発表の数字を疑ってきた。

「李克強インデックス」は「チト、まずい」ということになり、お蔵入り
していた。

とくに習近平政権となって李克強首相との間にはビュービューと「すきま
風」が吹き荒れ、李インデックスなぞ使うわけがなかった。

11月23日、突如、思い出したのだ。「李克強インデックスを、今期の統計
発表では『適切である』から使おうぜ」と。中国はことしのGDP成長率
を6・6%から6・7%へと上方修正した。

第一に電力消費量が伸びた。上半期の伸びは2・7%でしかなかったが、
第三四半期は7%のアップを示した。

第二に鉄道貨物輸送量が2016年10月に11・2%伸びた。「よっしゃ、これ
も使おう」

現実は季節的要因と一時的に電力需要が集中したためで、電力の家庭消費
量に限って言えば横ばいである。

鉄道貨物輸送は輸出入ばかりか軍の移動に使われる。部隊の移動が十月に
集中した所為か、どうかの具体的内容の開示がない。輸出入貿易は港湾の
コンテナ取扱量でわかるが、その発表はまだない。

『李克強インデックス』のもう一つ、「銀行の融資残高k」の開示がな
い。それは発表するには『不都合なデータ』であるからだ。

権力闘争のあおりで、お蔵入りしていた李克強インデックスを、第三四半
期の統計では『成長に見せかけるに都合がよい』とばかりに持ち出して適
当なところだけを切り取って利用する。

共産党の常套手段とはいえ、機会便乗主義のそしりは免れないだろう。

11月24日の為替レートは一段の人民元安を示した
 
同日、江西省の発電所建設現場で組み立て中の足場が崩壊し、80名近く
が死ぬという痛ましい事故が起きた。
   

権力闘争のあおりで、お蔵入りしていた李克強インデックスを、第三四半
期の統計では『成長に見せかけるに都合がよい』とばかりに持ち出して適
当なところだけを切り取って利用する。

共産党の常套手段とはいえ、機会便乗主義のそしりは免れないだろう。

11月24日の為替レートは一段の人民元安を示した
 
同日、江西省の発電所建設現場で組み立て中の足場が崩壊し、80名近く
が死ぬという痛ましい事故が起きた。
   

2016年11月26日

◆また米国をそれとなく恫喝

宮崎 正弘 



<平成28年(2016)11月25日(金曜日)肆 通算第5110号>   

 〜中国、またレアアースで米国にそれとなく恫喝
  レアアースの供給を止めるのが対米交渉の武器になる〜


「もし、米国が中国からの輸入品に45%の関税を課けるならば、中国にも
武器がある。レアアース輸出をストップすることだ」

こういう分析予測をして見せたのはコペンハーゲンにあるダンスケ銀行主
任エコノミストのアラン・ボン・メーレンである。

この認識は情報不足なのか、黴びたチーズのような、古い話を持ち出し、
世界経済の予測をしているのだが、早速、これに飛びついたのは中国のメ
ディアだ。

「米国を恫喝できる唯一の武器はこれだ」と勝ち誇るような文章が踊った。

事実錯誤がある。まずはWTOにおける関税の報復は先進国経済間だけ
で、中国は年内、15年間の「非先進国経済」という資格のため、報復関
税をかけることが出来ない。

中国はレアアースカードを日本に切った。

2011年、中国は尖閣諸島沖合での衝突事件直後、報復措置として対日レア
アース輸出を突如取りやめ、日本企業の幾つかが悲鳴を挙げた。
在庫が少なかったからである。「戦略備蓄」という発想がなかった。

レアアースは中国の内蒙古省と江西省などで生産し、世界のシェアの
95%を占めた。日本はうかつにもほぼ全量を中国に依存していた。
 
レアアースは希土類17種類の総称で、ハイブリッドモーター、液晶、光
デスク、スマホなどの部品に欠かせない戦略物資である。
 日本は迅速に行動した。

 
▼逆効果で中国が悲鳴を挙げた

第1にリサイクルの拡大、そしてレアアースの代替ミネラル(鉱物資源)
の研究開発である。

現に日立はハイブリッドモーターにレアアースを使わない技術開発に成功
した。

第2が供給先の多元化だった。

中国以外にもレアアース埋蔵が確認されていたのは、はカザフスタン、南
ア、カナダ、豪、グリーンランド、インド、米国であり、日本企業の出資
や提携で生産が開始された。

第3に中国国内で、たとえば昭和電工など日本企業がレアアースを使った
製品を生産することにより、供給を確保したこと。

第4は日本国内でも埋蔵の探索が開始され、南鳥島の深海5600メートルに
埋蔵が確認された。

第5に米国と共同歩調で日本はWTOに提訴し、2015年5月、「中国の輸
出中断と「輸出税」というやり方はWTO規則違反」と裁定されたため、中
国は輸出関税を撤廃せざるを得なくなった。

しかもこの間、中国からの対日レアアース輸出は半分以下に落ち込み、価
格は36%もの急降下。むしろ中国のレアアース生産の6社が悲鳴を挙
げ、日本企業に買ってくれと泣きつく始末だったのだ。

筆者は、この時期にレアアース輸出の本丸、内蒙古省のパオトウへ取材に
行った。レアアース取引所も入居したレアアースホテルは34階建ての偉
容。宿泊客がほとんどおらず閑散としていた。

レアアース工業団地も寂れていた。パオトウは不況にむせんでいたのだ。

レアアースは2020年までに414億ドルの市場になると予想されており、需
要が減ることはないが、最大のバイヤーは日本であり、迅速なる多元化に
よって中国が、もし再度レアアース輸出停止という強硬手段を行使して
も、十分に対応できる態勢が整った。

したがって中国のいう対米武器がレアアースなどというのは時代錯誤の情
報に基づいていることになる。
   

2016年11月25日

◆ゾンビ企業をまだ救済している中国経済

宮崎 正弘 



<平成28年(2016)11月25日(金曜日)弐 通算第5108号>   

〜ゾンビ企業をまだ救済している中国経済の前途は闇
   企業債務の「債権化」という禁じ手を、ついに動員し始めた〜


わずか半年前のことだった。

2016年5月、人民日報に「権威人士」という匿名の寄稿があって、中国経
済の異様な事態を憂慮しつつ「企業債務の株式化は安直に行うべきではな
い」と警告した。

 2016年11月11日、遼寧省の「東北特殊鋼集団」が倒産した。ま
さに「権威人士」が指摘した債務の株式化に失敗し、経営破綻を招いたのだ。
負債総額は7700億円だった。過剰生産で在庫が積み上げられ運転資金
に行き詰まったためとされた。

同集団はすでに2016年に入ってから社債の債務不履行を九回も繰り返
しており、3月には経営トップが首つり自殺をしていた。
中国政府は「すみやかな業界再編」を謳ったが、東北特殊鋼集団のような
「悪意ある債務不履行を救済することはモラルハザードに繋がるのであ
り、経営再建の見込みのない企業は倒産も致し方ないだろう」という冷淡
な姿勢だった。
つまりはゾンビ企業の延命は許さないという政策が、この遼寧省企業には
適用されたのである。

もうひとつ遠因としてあげられるのは、習近平が東北三省(遼寧省、吉林
省、黒竜江省)の企業に好感を持っておらず、また人脈も掌握しておら
ず、旧「瀋陽軍区」との利権が輻輳しているため、救援に前向きではない
ことである。
そのうえ、政敵が腐植したのが遼寧省である。かつて薄煕来が大連市長、
省長を治め、つぎに政敵の李克強首相が書記を務めた。

東北三省を主な管轄としていた「瀋陽軍区」は江沢民派の軍人(軍事委員
会副主任)だった徐才厚の強い影響力が残存している。
このため習近平が東北三層を視察する際には軍事基地をスルーしてしまう。


 ▼「鉄は国家なり」という蜃気楼的な強迫観念

鉄鋼産業はいまや中国経済のゾンビ企業の代名詞ともなって、失業の群れ
が企業城下町を埋め尽くしている。かつてのピッツバーグを彷彿させる。
 鉄鋼にセメント、石炭産業のゾンビ化は深刻であり、鉄鋼業界では企業
の半分がすでにゾンビ化している。

ほぼ総てが国有企業だから、生産は後先を顧みずにノルマを果たせばよい
とする社会主義特有の計画経済の後遺症が残ってきた。

「鉄は国家なり」という蜃気楼的な強迫観念が強く残っていたわけだ。

業界の効率的再編、省力化を目指して企業の再編を奨励してきた中国政府
だが、大手で合併に進んだのは上海宝鉄と武漢製鉄の合併くらいである。
ただし武漢製鉄は合併に条件に債務の株式化が認められた。つまり社債の
株式化が認められるのは基準が曖昧で、恣意的な決定によるということで
ある。

首鋼(首鋼集団の子会社)は、中央政府の後押しで、河鋼との合併を検討
してきたが、主管する北京市政府と河北省政府と間に利害が対立、くわえ
て国有企業に派遣されている共産党幹部にとっては利権を削られるかもし
れない深刻な問題があり、見えない権力闘争、地方名士でもある経営者の
見栄などが輻輳し、いちど決まった合併プロジェクトも、白紙にもどる。

煽りを食うのは中国人労働者だけではなく、余剰鉄鋼を中国がWTO違反
もなんのその、めちゃくちゃに安いダンピングで世界どこへでも輸出する
ために、世界的規模で鉄鋼業界が大不況に突入したのだった。

鉄鋼生産世界一のアルセール・ミタル(本社ルクセンブルグ)は経営鈍
化、インドのタタ製鉄は一部工場を閉鎖し、ベトナムでは有力鉄工所が倒
産した。

韓国ポスコは破綻寸前。日本にも悪影響の波が及び、新日鐵住金、JFE
では一部工場で高炉を止めている。

 
▼巨大化学企業の再編はどうなっているか。
 
巨大企業の効率的再編は笛吹けど踊らず。石油業界の再編は遅れに遅れて
いる。江沢民派が残存し、習近平に利権を渡さないからとも言われる。

中国には化学肥料、農薬、石油も手がける巨大大手が二社あって、過去数
年は海外企業の買収の余念がなかった。世紀の巨額買収といわれたスイス
のシンジェンタを買収したのは「中国化工集団(ケムチャイナ)だった。
スイスはこの買収を再審査するとしているが、ほぼ確定である。

「中国中化集団」(シノケム)はもともと石油産業だが、農薬、肥料生産
にも進出している。両者の売り上げは10兆円を超える。

中国政府は、このマンモス二社の合併を裏で推奨し、究極的な国際競争力
を高める戦略に切り替えた。

というもの、世界的にみると、独バイエルが米国モンサント社を買収し、
米デュポンがダウケミカルと経営統合をするような稀有の合併による効
果。この措置で欧米に対抗するという中国の長期的な思惑が透けてみえる。

先号にも書いた不動産業界の再編では第3位の恒大集団がトップの万科集
団に敵対的買収をいどむ展開を見せているが、この背景にも業界の再編を
いそぐ中央政府の思惑が手に取れる。

まして不動産の場合、ゾンビ企業のなかでも中小零細は淘汰され、のこる
大手の資金繰りは銀行融資に頼るより、不動産物件の先行販売による前受
金やローン契約の信用売却、ネット上のP2P(ネット上の金銭貸し借
り)が投機資金を集めている関係もあって、いまのところゾンビ化を免れ
ている。
 
ネット金融の利息は年利11%もある。

街金なみの高利だが、資金繰りをいそぐ経営者は後先を構わず、急場しの
ぎに高利にも手を出すのである。

現在中国の銀行預金一年定期の利率は1・5%だからカネ儲けがすきな預
金者は、このP2Pに投機するのも自然の流れ、驚くなかれ16年に第三
四半期までに2兆1500億円を集めたのだ。


 ▼ネット銀行p2pが暗躍しているが、肝要の五大国有銀行は?

中国の天文学的なカネの流れをみて、「これからの国際金融は西から東へ
移行する(先進国から中国を基軸とする東アジアに国際金融が移動す
る)」などと憶測を逞しくするのは『ALL THE 
PRESIDENT‘S BANNKERS』(邦訳は『大統領をたぐる
バンカーたち』)を書いたノミ・プリンズ女史だ。

しかし中国経済の場合、債務がGDPの330%と見積もられており、最終
的にいきつく先は、いうまでのない。不良債権の上澄みを重ねる国有銀行
である。

中国5大銀行(中国銀行、中国農業銀行、中国工商銀行、中国建設銀行、
中国交通銀行)は不良債権を「資産管理会社(AMC)」へ再び移し替
え、帳簿上から不良債権を減らす算段(つまり手品)をまたまた画策して
いる。

アジアタイムズ(11月23日)に拠れば、まず手始めに中国農業銀行が
ABCという子会社を設立し、不良債権を「債権化」して、この資産管理
専門の子会社へ譲渡する。のこり四社も追随し、それぞれが14億5000万ド
ルの不良債権を債権化してAMCへ売却というかたちをとる。

すでに企業債務は公表されている数字だけでも18兆ドル(2016兆円)も
ある。天文学的数字である。これだけでも中国GDPの169%だ。

中国はこうした企業債務を減らすためにも不良債権の社債化、AMCへの
移行を奨励してきた。

企業債務の株式化も17年ぶりに認められた。

嚆矢となったのは雲南錫業集団で、15億ドルの債務を証券化した。さらに
山東石炭集団は31億ドルを証券化した。禁じ手だった地方政府のAMC設
立も一転して奨励された結果である。
 
債務の社債化、つまり企業債務の株式化して市場で売却する。あるいは銀
行が不良債権を子会社である資産管理会社へ移行するというのは、まるで
手品。外見上、子会社に債務が財務上移し替えられただけである。
だから手品の一種としか見なされない。