2017年06月23日

◆朝日新聞のスクープ記事もなぜか不自然

阿比留 瑠比



記事は、加計学園の獣医学部新設計画について、文部科学省が「内閣府か
ら『官邸の最高レベルが言っている』『総理のご意向だと聞いている』な
どと言われたとする記録を文書にしていたことがわかった」というスクー
プだった。

それはいいが、記事に添えられた「大臣ご確認事項に対する内閣府の回
答」と題された文章の写真が不可解である。写真はなぜか下側が暗く文字
がよく読めないが、文科省が15日に発表した同様の文書をみると、その
部分にはこうある。

「『国家戦略特区諮問会議決定』という形にすれば、総理が議長なの
で、総理からの指示に見えるのではないか」

つまり、安倍首相の指示だと取り繕ってはどうかという話であり、逆に
首相の指示などないことを示している。

ところが、そこが朝日の写真では不自然に隠された形となっている。こ
れでは「印象操作」と言われても仕方があるまい。

真実は不確実

「安倍政権に批判的な記者の一人」であり、安倍政権が掲げる政治目標
に「ほとんど賛同できない」という立場の元朝日記者でジャーナリストの
烏賀陽弘道氏は、新著『フェイクニュースの見分け方』でさまざまな情報
を検証している。

その上で、(1)日本会議=安倍政権の黒幕説を首肯できる事実は見い
だせない(2)(安倍政権の言論統制を非難する記事や出版物の)「報道
に介入した」「圧力を加えた」「統制した」と主張する根拠がわからない
(3)(高市早苗総務相の放送法関連答弁について)民主党時代と同じ発
言を根拠にした「安倍政権は報道の自由を恫喝している」という非難は不
思議−などと結論付けており、うなずける。

記事は、加計学園の獣医学部新設計画について、文部科学省が「内閣府か
ら『官邸の最高レベルが言っている』『総理のご意向だと聞いている』な
どと言われたとする記録を文書にしていたことがわかった」というスクー
プだった。

それはいいが、記事に添えられた「大臣ご確認事項に対する内閣府の回
答」と題された文章の写真が不可解である。写真はなぜか下側が暗く文字
がよく読めないが、文科省が15日に発表した同様の文書をみると、その
部分にはこうある。

「『国家戦略特区諮問会議決定』という形にすれば、総理が議長なの
で、総理からの指示に見えるのではないか」

つまり、安倍首相の指示だと取り繕ってはどうかという話であり、逆に
首相の指示などないことを示している。

ところが、そこが朝日の写真では不自然に隠された形となっている。こ
れでは「印象操作」と言われても仕方があるまい。

真実は不確実

「安倍政権に批判的な記者の一人」であり、安倍政権が掲げる政治目標
に「ほとんど賛同できない」という立場の元朝日記者でジャーナリストの
烏賀陽弘道氏は、新著『フェイクニュースの見分け方』でさまざまな情報
を検証している。

その上で、(1)日本会議=安倍政権の黒幕説を首肯できる事実は見い
だせない(2)(安倍政権の言論統制を非難する記事や出版物の)「報道
に介入した」「圧力を加えた」「統制した」と主張する根拠がわからない
(3)(高市早苗総務相の放送法関連答弁について)民主党時代と同じ発
言を根拠にした「安倍政権は報道の自由を恫喝している」という非難は不
思議−などと結論付けており、うなずける。

米国の著名なジャーナリスト、リップマンは1922年刊行の著書『世
論』で、ジャーナリストの仕事についてこう訴えている。

 「人びとの意見形成のもととなるいわゆる真実といわれるものが不確実
な性格のものであることを人びとに納得させること」

フェイクニュースが蔓延しているならば、なおさらだろう。
(論説委員兼政治部編集委員)
23日産経ニュース



2017年06月18日

◆韓国に謝罪すべき理由とは

阿比留 瑠比



韓国に謝罪すべき理由とは…鉄道網整備に護岸工事、ダム建設…みんな懺悔
に値する。

「韓国国民の中で受け入れられないという感情もあるのも事実だ」「日
本が韓国国民の心情をくみ取ろうとする努力が重要だ」

自民党の二階俊博幹事長と12日に会談した韓国の文在寅大統領は、慰安
婦問題の「最終的かつ不可逆的」な解決を確認した日韓合意について、
こう述べた。文氏の言葉の「感情」の部分を、「情緒」と訳していた新聞
もあった。

文氏は5月に安倍晋三首相と電話会談した際も「国民の大多数が、心情
的に合意を受け入れられないのが現実だ」と語っており、これが公式見解
なのだろう。

国民感情が実定法や国際条約に優越する韓国独特の「国民情緒法」が、
どうして外国にも通用すると考えるのか。なぜそんな自分勝手で甘えた要
求を、日本が受け入れると思うのか。

先人の行いと姿勢

韓国は、本当に面倒くさい国だなあとあきれていたが、作家の百田尚樹
氏の新刊『今こそ、韓国に謝ろう』(飛鳥新社)を読んで自分の浅慮に恥
じ入った。

百田氏はここ数年、日韓併合の歴史を調べていくうちに、次のように感
じてこの本を書いたのだという。

「日本が朝鮮および朝鮮人に対して行った悪行を知り、愕然としたから
です。その非道の数々は、私の想像を絶するものばかり」

「現代に生きる日本人のほとんどが、70年以上前に、祖先が朝鮮半島 で
いかにひどいことをしてきたか知りません」

詳しくは本を手に取ってもらいたい。百田氏は例えば、日本の悪行につ
いて次のように例示している。

▽朝鮮人の子供たちに学校に通うことを強制して、自由を奪うという人 権
蹂躙▽下層階級が使う文字とされていたハングルを勝手に広め、文字文 化
を変えてしまった▽はげ山の植林事業で5億9000万本もの木を植 え、 地
肌むき出しの朝鮮半島独特の景色を作り替えてしまった−など。

韓国に謝罪すべき理由とは…鉄道網整備に護岸工事、ダム建設…みんな懺悔
に値する

「韓国国民の中で受け入れられないという感情もあるのも事実だ」「日
本が韓国国民の心情をくみ取ろうとする努力が重要だ」

自民党の二階俊博幹事長と12日に会談した韓国の文在寅大統領は、慰 安
婦問題の「最終的かつ不可逆的」な解決を確認した日韓合意について、
こう述べた。文氏の言葉の「感情」の部分を、「情緒」と訳していた新聞
もあった。

文氏は5月に安倍晋三首相と電話会談した際も「国民の大多数が、心情
的に合意を受け入れられないのが現実だ」と語っており、これが公式見解
なのだろう。

国民感情が実定法や国際条約に優越する韓国独特の「国民情緒法」が、
どうして外国にも通用すると考えるのか。なぜそんな自分勝手で甘えた要
求を、日本が受け入れると思うのか。

先人の行いと姿勢

韓国は、本当に面倒くさい国だなあとあきれていたが、作家の百田尚樹
氏の新刊『今こそ、韓国に謝ろう』(飛鳥新社)を読んで自分の浅慮に恥
じ入った。

百田氏はここ数年、日韓併合の歴史を調べていくうちに、次のように感
じてこの本を書いたのだという。

「日本が朝鮮および朝鮮人に対して行った悪行を知り、愕然としたから
です。その非道の数々は、私の想像を絶するものばかり」

「現代に生きる日本人のほとんどが、70年以上前に、祖先が朝鮮半島 で
いかにひどいことをしてきたか知りません」

詳しくは本を手に取ってもらいたい。百田氏は例えば、日本の悪行につ
いて次のように例示している。

▽朝鮮人の子供たちに学校に通うことを強制して、自由を奪うという人 権
蹂躙▽下層階級が使う文字とされていたハングルを勝手に広め、文字文 化
を変えてしまった▽はげ山の植林事業で5億9000万本もの木を植 え、地肌
むき出しの朝鮮半島独特の景色を作り替えてしまった−など。

また、美しい朝鮮半島の至る所に醜い鉄道網を敷き、河川の護岸工事で川
本来の原始の美を壊し、現在も電力源となっている多くのダムを造り、傷
痕を今に残したことなども記し、懺悔している。朝鮮半島は日本統治時代
に耕地面積は倍近くに増え、人口も2倍となり、24歳だった平均寿命は
42歳にまで延びたとされる。

 百田氏は「そんなものを朝鮮人たちが望んだわけではありません」と指
摘し、こう問いかける。

 「私たちの先人が朝鮮半島で行ってきた非道で勝手なふるまいを反省す
べきではないでしょうか」

 なるほど、韓国がいまなお日本に対しては何をやっても許されると誤解
しているのは、先人たちの行いと姿勢のせいだったのか…。

日本の誤った報道

韓国に関連してはもう一冊、ジャーナリストの大高未貴氏の新刊『父の
謝罪碑を撤去します』(産経新聞出版)も紹介したい。

韓国・済州島で朝鮮人女性の強制連行を行い慰安婦にしたと虚偽証言し
た故吉田清治氏の長男のインタビューなどをまとめて検証した内容で、長
男のこんな言葉が紹介されている。

「父が発信し続けた虚偽によって日韓両国民が不必要な対立をすること
も、それが史実として世界に喧伝され続けることも、これ以上、私は耐え
られません」

慰安婦問題が日韓間の国際問題化した発端が吉田氏の偽証や、吉田氏を
しつこく取り上げ続けた朝日新聞など日本側の誤った報道にあったのも事
実だろう。

ならば朝日新聞にも、韓国に対し、心から謝罪してもらいたい。

(論説委員兼政治部編集委員)

産経ニュース【阿比留瑠比の極言御免】2017.6.17

2017年06月08日

◆鏡に映る自分に憤る民進党

阿比留 瑠比



鏡に映る自分に憤る民進党 自分たちなら特区制度を悪用するから、きっ
と安倍政権も?

時代小説の名手、池波正太郎氏の代表作の一つ『剣客商売』の中で、主
人公の老剣士、秋山小兵衛が自分を鏡に例え、こう語る場面が出てくる。

「相手の写りぐあいによって、どのようにも変わる。黒い奴には黒、白
いのには白。相手しだいのことだ。(中略)だから相手は、このわしを見
て、おのれの姿を悟るがよいのさ」

唐突にこのセリフを引用したのは5日の参院決算委員会での民進党の平
山佐知子氏の質問を聞いて連想したからである。平山氏は学校法人「加計
学園」問題をめぐり、安倍晋三首相とこんなやりとりをしていた。

「もし私ならば…」

平山氏「親友の加計さんがそういうふうに(獣医学部新設を)希望され
ていたということは、(首相も)じゃあ新設されればいいと思ったことは
あるか」

安倍首相「私がそう思っていたら、政策に関与しただろうという印象操
作に一生懸命になっている」

平山氏「もし友人が獣医学部をずっと新設したいと思っているのであれ
ば、そうなればいいと私だったら思うから聞いてみた。だから首相もきっ
とそう強く願ったんじゃないか」

安倍首相「私がそうしたいなあと(思っていると)いうことを前提に質
問されても困るんですよ」

長年にわたる民主党(現民進党)のエースであり、「民主主義は期限を区
切った独裁」が持論の菅直人元首相はこのところ、自身のブログで激しい
安倍首相批判を繰り返している。

「官僚が安倍総理の私兵化し、安倍独裁国家になる。このままでは民主主
義が死ぬ」(5月30日付)

「安倍総理自身がウソであることを自覚しているにもかかわらず、ウソで
押し切れると考えていることだ。国民を心底馬鹿にしている」(6月6日付)

「批判する者を社会的に抹殺するためにスキャンダルをマスコミに流す。
独裁政治の始まり」(7日付) 菅氏もきっと自ら思い当たることが多
く、自分の姿を安倍首相という鏡に投影して怒りと焦りを募らせているの
だろう。

長年にわたる民主党(現民進党)のエースであり、「民主主義は期限を区
切った独裁」が持論の菅直人元首相はこのところ、自身のブログで激しい
安倍首相批判を繰り返している。

「官僚が安倍総理の私兵化し、安倍独裁国家になる。このままでは民主
主義が死ぬ」(5月30日付)

「安倍総理自身がウソであることを自覚しているにもかかわらず、ウソ
で押し切れると考えていることだ。国民を心底馬鹿にしている」(6月6
日付)

 批判する者を社会的に抹殺するためにスキャンダルをマスコミに流
す。独裁政治の始まり」(7日付) 菅氏もきっと自ら思い当たることが
多く、自分の姿を安倍首相という鏡に投影して怒りと焦りを募らせている
のだろう。

長年にわたる民主党(現民進党)のエースであり、「民主主義は期限を区
切った独裁」が持論の菅直人元首相はこのところ、自身のブログで激しい
安倍首相批判を繰り返している。

 「官僚が安倍総理の私兵化し、安倍独裁国家になる。このままでは民主
主義が死ぬ」(5月30日付)

「安倍総理自身がウソであることを自覚しているにもかかわらず、ウソで
押し切れると考えていることだ。国民を心底馬鹿にしている」(6月6日付)

 「批判する者を社会的に抹殺するためにスキャンダルをマスコミに流
す。独裁政治の始まり」(7日付) 菅氏もきっと自ら思い当たることが
多く、自分の姿を安倍首相という鏡に投影して怒りと焦りを募らせている
のだろう。(論説委員兼政治部編集委員)産経ニュース6・8


2017年05月20日

◆韓国の方が歴史問題を直視せよ

阿比留 瑠比



韓国の方が歴史問題を直視せよ 次は徴用工問題…日本は事実を主張し続けよ

実は産経は、これらについて少なくとも過去3回報じてきたが、せっかく
なのでおさらいしたい。

朝日の記事は「大半、自由意思で居住 外務省、在日朝鮮人で発表」「戦
時徴用は245人」との見出しで、外務省の報道発表に基づき、こう記して
いる。

「韓国側などで『在日朝鮮人の大半は戦時中に日本政府が強制労働をさせ
るためにつれてきたもので、いまでは不要になったため送還するのだ』と
の趣旨の中傷を行っている」

「在日朝鮮人の総数は約61万人だが、このうち戦時中に徴用労務者として
日本に来た者は245人にすぎないとされている」

また、高市氏は外務省が当初は「そんなに古い資料はもうない」としてい
た記事の元資料を探させて、質問を行ったものである。

資料は、当時登録されていた在日朝鮮人約61万人について「いちいち渡
来の事情を調査した」結果をまとめたもので、次のように明確に指摘して
いる。

「第2次大戦中内地に渡来した朝鮮人、現在日本に居住している朝鮮人の
大部分は、日本政府が強制的に労働させるためにつれてきたものであると
いうような誤解や中傷が世間の一部に行われているが、右は事実に反する」

「(在日朝鮮人で)国民徴用令により導入されたいわゆる徴用労務者の数
はごく少部分である。かれらに対しては、当時、所定の賃金等が支払われ
ている」

現在、ソウルの日本大使館前や釜山の日本総領事館前と光州駅前に徴用工
の像を設置しようと計画する韓国の民間団体は、必ずしも在日の元徴用労
務者を想定しているわけではない。

ただ、韓国人徴用工問題は、在日韓国・朝鮮人は強制連行された人たちの
子孫だとする「強制連行神話」と無縁ではない。

韓国人は無理やり日本に連れてこられ、無給で奴隷労働を強いられた−な
どと、事実と異なる被害イメージを勝手に膨らませている韓国側に、「歴
史問題を直視」させる必要がある。そのためにも、資料にあるような事実
は主張し続けなければならない。

(論説委員兼政治部編集委員) 
産経ニュース【阿比留瑠比の極言御免】2017・5・19


2017年05月12日

◆日本国憲法70歳の何がめでたいのか?

阿比留 瑠比



日本国憲法70歳の何がめでたいのか? 投げやりで無責任な条文が日本人
のモラルをゆがめ

93歳の作家、佐藤愛子氏のベストセラーとなったエッセー集『九十歳。何
がめでたい』をもじって言えば、「70歳。何がめでたい」となろうか。3
日、施行70周年を迎えた日本国憲法のことである。

現行憲法は、占領下に連合国軍総司令部(GHQ)の占領政策を担う若手
民政局員らが、ごく短期間で草案を書き上げた。しかもそこには、日本の
非武装化・弱体化を狙う明確な意図すら込められていた。

そんなものを、われわれは後生大事に70年間も神棚に飾って信心し、全
く手を触れずにきた。何とも「おめでたい」話であり、とても祝う気には
なれない。

とはいえ、時代は徐々に変わり、産経新聞社とFNN(フジニュースネッ
トワーク)の4月の合同世論調査では、憲法改正に賛成の人が52.9%
(反対は39.5%)に上った。昨年11月の調査に続き、すでに過半数を得
ている。

国会では、衆参両院の憲法審査会で憲法をめぐる諸課題が議論されてい
る。ただ、与野党の幅広い合意を得られる改憲項目を見いだすため、その
歩みが遅々としているのは否めない。

避けられぬ「9条」

そもそも国民投票で賛否を問う憲法改正項目については、「1回で3条項
前後が常識的だ」(自民党憲法改正推進本部の保岡興治本部長)とされる

93歳の作家、佐藤愛子氏のベストセラーとなったエッセー集『九十
歳。何がめでたい』をもじって言えば、「70歳。何がめでたい」となろ
うか。3日、施行70周年を迎えた日本国憲法のことである。

現行憲法は、占領下に連合国軍総司令部(GHQ)の占領政策を担う若
手民政局員らが、ごく短期間で草案を書き上げた。しかもそこには、日本
の非武装化・弱体化を狙う明確な意図すら込められていた。

そんなものを、われわれは後生大事に70年間も神棚に飾って信心し、
全く手を触れずにきた。何とも「おめでたい」話であり、とても祝う気に
はなれない。

とはいえ、時代は徐々に変わり、産経新聞社とFNN(フジニュース
ネットワーク)の4月の合同世論調査では、憲法改正に賛成の人が
52.9%(反対は39.5%)に上った。昨年11月の調査に続き、す
でに過半数を得ている。

国会では、衆参両院の憲法審査会で憲法をめぐる諸課題が議論されてい
る。ただ、与野党の幅広い合意を得られる改憲項目を見いだすため、その
歩みが遅々としているのは否めない。

避けられぬ「9条」

そもそも国民投票で賛否を問う憲法改正項目については、「1回で3条
項前後が常識的だ」(自民党憲法改正推進本部の保岡興治本部長)とされ
る。

何より「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生
存を保持しようと決意した」と掲げる前文は罪深い。存在しない子供じみ
た絵空事を国の最高法規で説くことで、9条2項と連動し、日本人のモラ
ルと国際感覚、現実認識をゆがめてきた。

 厳しく叱られた子供が、卑屈に大人を見上げて「もう悪いことはしませ
ん。言うことを聞くいい子になります」と許しを請うているようなみっと
もない文章である。米国憲法や国際宣言を切り離し、敗戦国の悲哀をまぶ
したような前文は一刻も早く改めたい。

 国民主権、基本的人権の尊重、平和主義という基本的な原則は守りつつ
も、憲法には全面的な改正の必要がある。

(論説委員兼政治部編集委員)
産経ニュース【阿比留瑠比の極言御免】2017.5.4

2017年04月13日

◆蓮舫・民進党が向かう先は…

阿比留 瑠比



北の脅威に目を背け、長島昭久氏にも見放された蓮舫・民進党が向かう先は…

民進党が「反党行為」を理由に除籍処分する方針の長島昭久元防衛副大
臣が、鳩山由紀夫内閣の防衛政務官を務めていた平成21年12月のこと で
ある。ある会合で、長島氏がこうぼやいていたのが記憶に鮮明だ。

「民主党政権になって政府に入れてもらったと思っていたら、社民党政
権だった。米国との関係は完全に冷え切るだろう。盧武鉉政権時代の韓国
のように」

当時、米国は米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題の年内決着
を強く求めていた。だが、鳩山首相が連立を組む社民党の意向を優先さ
せ、結論の先延ばしを決めた。そんな頃の話である。

自覚していたのならば、もっと早く離党すればよかったのではないかと
いう気もするが、ともあれ、党内保守派の代表格だった長島氏に見放され
た民進党は、どこへ向かうのか−。

「党内ガバナンスという魔法の言葉によって、一致結束して『アベ政治
を許さない!』と叫ぶことを求められ…」

長島氏は10日の離党表明記者会見でこう振り返っていた。政治思想・ 信
条を共有できないまま無理にまとまろうとすると、特定の攻撃対象を設
定しただけのようないびつな結束になってしまうのだろう。

12日の衆院厚生労働委員会では、民進党議員が飽きもせずに「森友学 園
問題」を取り上げていた。この日の同委は、質問内容を介護保険法改正
案に限定することを条件に安倍晋三首相が出席し、野党のみの質疑に応じ
ていたにもかかわらず、である。国民生活に直結する介護保険問題より
も、森友問題が喫緊の課題であるかのようである。

ともすると左側に引きずられ、傾きがちな民進党にあって、長島氏の存在
はバランスを保つ上でも「保守派もいる」とのイメージを維持する上でも
貴重だったともいえる。長島氏なき今後、民進党はさらに先鋭化し、社民
党化が加速するのではないか。(論説委員兼政治部編集委員)

産経ニュース【阿比留瑠比の極言御免】2017.4.13



2017年02月12日

◆閉じた言論空間に戦慄を覚えた!

阿比留 瑠比



実に不可解で不得要領な1面記事だった。東京新聞が2日付で掲載した
「『ニュース女子』問題 深く反省」「沖縄報道 本紙の姿勢は変わら
ず」という記事のことである。それには深田実論説主幹の署名で、同紙の
長谷川幸洋論説副主幹が司会を務める東京MXテレビ番組について、次の
ように記されていた。

「内容が本紙のこれまでの報道姿勢および社説の主張と異なることはま
ず明言しておかなくてはなりません。加えて、事実に基づかない論評が含
まれており到底同意できるものでもありません」「とりわけ論説副主幹が
出演していたことについては重く受け止め、対処します」

これでは、東京新聞が具体的に何を問題視しているのかよく分からな
い。長谷川氏が、報道姿勢や社論と異なる他の媒体に出演していたことを
今さら重く受け止めるのであれば、今まではなぜ、副主幹の肩書で番組に
出ることを容認してきたのだろうか。

何より、「深く反省」と言いながら、当事者である長谷川氏自身の言葉
が一切出てこないのはどういうことか−。

案の定、翌3日付の朝刊各紙では、東京新聞の対応に対する疑問点が取
り上げられていた。読売新聞は服部孝章・立教大名誉教授のこんなコメン
トを載せた。

「東京新聞は『事実に基づかない論評が含まれる』と番組を批判するな
らば、どこが事実に反するのかを明らかにすべきだった。中途半端な謝罪
で、かえって読者の信頼を損ねたのではないか」

朝鮮半島で女性を強制連行して慰安婦にしたとする詐話師、吉田清治氏の
偽証を十数回も掲載しておきながら、平成26年8月に記事を取り消した
際には、どんな記事で吉田証言を使用したかをきちんと示さず、かえって
強い批判を浴びた朝日新聞の事例を連想する。

また、3日付の毎日新聞では、岡田憲治・専修大教授(政治学)がこう
指摘していた。

 「長谷川さんが申し訳なかったと自己批判しているか、そうでないかで
記事の『対処』の意味合いが変わる。本人が仮に悪くないと考えているな
ら、堂々と紙面で議論したらよい」

 もっともな意見である。毎日新聞には読売新聞にも登場した服部氏もコ
メントを寄せ、「社論と違う点を問題にすべきではない」と述べていた。
これも、率直にその通りだと感じる。

確かに、社論形成にもかかわる論説副主幹という立場にある以上、外部
での発言にも一定の制約が課されるとの考え方もあるだろう。だが、東京
新聞は毛色の変わった長谷川氏の自由な発信を認めることで、自社の言論
の多様性を内外に示してこられた部分も小さくないのではないか。

長谷川氏は、6日のニッポン放送のラジオ番組で、自身の考えについて
このように主張している。

「私が社外で発言することが東京新聞の報道姿勢と違っていても、何の
問題もないし、それを保障すること自体が言論の自由を守ることだ」「私
に対して処分をするということは、言論の自由の侵害だ」
産経ニュース【阿比留瑠比の極言御免】2.9




2017年02月04日

◆世論の潮流を 読むのは難しい

阿比留瑠比



世論調査の盲点 天皇の譲位をめぐり異なる新聞の見出し、

新聞やテレビは、国民意識をくみ取るために定期的に世論調査を行って
いるが、存外それは難しい。また、調査結果が意味するところを正確に伝
えることも、そう簡単ではないと実感している。

恒久? 一代限り?

 産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が先月28、29両
日に実施した合同世論調査では、天皇陛下の譲位に関して「今後のすべて
の天皇が譲位できるよう恒久的制度に変えるべきだ」が60.8%だっ
た。一方、「今の天皇陛下一代に限り譲位できるようにすべきだ」は
31.4%にとどまった。

 この結果について、譲位の制度化について「恒久的な皇室典範改正によ
るべきだ」とする論点整理をまとめている民進党の野田佳彦幹事長は、先
月30日の記者会見でこう指摘した。

 「象徴天皇の皇位継承のあり方を考えたときに、おのずと国民世論のよ
うな方向で知恵を出すべきだということなんじゃないか」

 野田氏は、かねて譲位に関して一代限りの特例法が望ましいとの方向性
をにじませている政府の有識者会議を批判しており、世論調査結果は背中
を押されるようなうれしい結果だったかもしれない。

 確かに、他の報道機関の調査でも、制度化の対象について「今後のすべ
ての天皇」が「一代限り」を大きく上回る点は一致している。国民の多く
が、可能であれば恒久的制度の方がいいと考えているのはその通りだろう。

ただ、それでは以下のような世論調査結果を伝える新聞各紙の見出しはど
う理解すればいいのか。

 「特例法『賛成』63%」(1月17日付朝日新聞)

 「退位特例法案『賛成』69%」(30日付読売新聞)

 「退位、特例法に賛成64%」(同日付日経新聞)

 3紙とも、一代限りの特例法に国民の3分の2前後が賛成している部分
を見出しに取っている。国民世論は特例法に反対どころかむしろ賛成して
いる。産経とFNNの調査では、ストレートに特例法に賛成か反対かを尋
ねる質問がなかったが、もしあったら同様の結果が出ていたと思える。

本当に二者択一か

 これはどう解釈すればいいのか。本来は恒久制度化の方が筋だと考える
人の中にも、天皇陛下が83歳という高齢であることから、特例法であろ
うがなかろうが、とにかく法整備を急ぐべきだという見方が根強いという
ことではないか。

 あるいは、強いて言えば恒久制度化がいいが、別に特例法ではだめだと
までは思っていないという人も、少なくないのだろう。

 世論調査は質問の選択肢や聞き方、また聞く順番などで回答が変わって
くる上、回答のどの部分を見出しにするかでも印象が大きく異なってく
る。世論の潮流を把握する上で大いに参考になるのは間違いないが、調査
結果がどこまで世論を反映しているのかは分からない部分もある。
一時急激に盛り上がった世論が、あっという間に沈静化することもある。

 譲位をめぐっては、野党やメディアでは皇室典範改正による恒久制度化
か一代限りの特例法かの二者択一しかないような議論がなされているが、
この前提条件も疑った方がいい。

 皇室典範を改正したり、典範付則に何らかの文言を書き加えて特例を認
めたりすることだってあり得よう。

 今後、皇位の安定的な継承のあり方をめぐって世論調査が繰り返される
ことになろうが、一喜一憂しないで冷静に見守りたい。

(論説委員兼政治部編集委員)
l阿比留瑠比の極言御免


2017年01月29日

◆もはや中国の不当な干渉を許さない

阿比留 瑠比



国民はアパホテルに声援、日本は変わった もはや中国の不当な干渉を許
さない

アパグループのホテル客室に、「南京大虐殺」や「慰安婦の強制連行」を
否定する書籍が置かれていることに対する中国の反応が常軌を逸してい
る。日本の一民間企業代表の歴史認識が気に入らないからといって、国家
ぐるみで国内企業や日本観光客に、アパホテルの利用ボイコットを呼びか
けるその姿は、共産党の一党支配下にある国の異様さを改めて見せつけた。

■1万数千件の激励

ただ、中国の報復措置を受けたアパホテル側の反応は堂々としたものだっ
た。元谷外志雄代表は24日の会合でこう指摘し、書籍を撤去しない方針
を示した。

「向こうが押せば引くと、70年間にわたって日本は『押せば引く国』『文
句言えば金を出す国』ということで敗戦国の悲哀を味わっていたが、もう
『本当はどうなのか』ということを向こう(中国)にも知ってもらう必要
がある」

日本社会は変わりつつある。以前は中国や韓国に歴史問題を持ち出される
と、ことの真偽にかかわらずひたすら頭を低くして波風立てずにやり過ご
そうとばかりしてきた。

だが、今回は政府も「民間企業の個別の対応につ いて政府として立ち入
るべきではない」(萩生田光一官房副長官)とアパ ホテル側に圧力をか
けたり自制を促したりはしない。

また、元谷氏によるとアパホテルには1万数千件の激励や称賛のメールや
電話があったという。国民意識はもはや中国の不当な干渉を許容しない。

■科学的な検証必要

この問題をめぐっては、名古屋市の河村たかし市長も23日の記者会見で
こう語っている。

「いわゆる南京事件はなかったのではないか。(中国が主張するように)
市民を30万人虐殺したことが本当だったら南京に行って土下座しなければ
ならない。しないのだったら反論しなければ。議論が必要だ」

この問題に関する政府見解は、被害者の人数は諸説あるとしつつ、「非戦
闘員の殺害または略奪行為などがあったことは否定できない」というもの
だ。だが、今や本当に30万人もが虐殺されたと信じる日本人はほとんどい
ないだろう。

10年以上前の平成18年に、民主党(現民進党)衆院議員時代の河村氏か
ら、南京事件について意見を聴いたことがある。陸軍伍長として中国戦線
にいた河村氏の父、●(=金へんに心)男氏は終戦翌日の昭和20年8月16
日に南京市に入り、翌21年1月まで郊外の寺で暮らしたが、現地で大変手
厚く遇された。

この時の感謝を込めて、戦後50年の際には戦友たちと寄付金を募り、南京
市に1千本の桜を贈ったとのことである。

そして平成18年に●(=金へんに心)男氏の戦友らとともに南京を訪問し
た河村氏は、南京市幹部らと会食した際にこう問いかけた。

 「本当に日本がそんな虐殺行為をしていたのなら、(南京事件の)その
たった8年後に南京に入った父たちが、そんなに温かいもてなしを受けた
のか」

 すると、幹部らは押し黙って何も答えなかったという。河村氏は当時、
筆者にこう話していた。

 「南京事件について科学的事実を検証しなければいけない。政府は数億
円かけてでもやるべきだ」

 この言葉は現在でも傾聴に値する。この頃の民主党には、まだ党として
の多様性や可能性を感じさせる所属議員らがいた。だが、日本社会が変わ
り、正常化しつつある中で、民進党は逆に偏狭となり、旧社会党に先祖返
りしてきたように思えるのが残念である。(論説委員兼政治部編集委員)

産経ニュース【阿比留瑠比の極言御免】2017.1.26

2017年01月12日

◆韓国には毎度のことながらあきれる

阿比留 瑠比



韓国の自己中心性には、毎度のことながらあきれる

韓国・釜山の日本総領事館前に慰安婦像が設置されたことに対し、日本
政府が駐韓大使らを一時帰国させるなどの措置を取ったことに関する韓国
側の反応が、韓国らしくて興味深い。

「状況悪化を招きかねない言動は、自制することが望ましい」

職務停止状態の朴槿恵大統領の代行を務める黄教安(ファン・ギョア
ン)首相は10日の閣議で、こう日韓双方に抑制的な対応を求め、慰安婦
問題にかかわる日韓合意の精神を尊重するよう呼びかけた。

だが、公館の安寧や威厳を守る責務を定めたウィーン条約に抵触し、日
韓合意にも反する慰安婦像の設置を黙認しているのは韓国側であり、日本
側は合意を順守している。

韓国の中央日報も7日付の社説で「(日韓)双方とも過ちを犯してい
る」と決め付け、こう書いていた。

「(釜山の慰安婦像は)韓国当局はこれを防ごうとしたが、爆発直前の
世論に押されたのだ。これを勘案せずに直ちに日本大使召還という超強硬
対応を見せたことで、日本政府は両国間の葛藤を深めた」

けんか両成敗ないし日本側が悪いという論調だが、韓国側の誤った認識
に基づく世論の沸騰が、国際条約や約束より優先されるという理屈は世界
で通用しない。外国が、自国の世論を勘案して当然という自己中心性に
は、毎度のことながらあきれる。

哲学者、ニーチェは人間のうぬぼれについて次のように指摘している
が、まるでかの国のことを述べているかのようである。

「癇癪を起こし、他の人々に侮辱を加えておきながら、その際第1に、自
分のことを悪く取らないでもらいたいと要求したり、第2に、こんなに烈
しい発作に襲われたのだから自分に同情してもらいたいなどと要求したり
する人々がいる」

つくづく厄介な隣人だと思うが、もっと深刻な問題がある。慰安婦像設
置の背景に、親北朝鮮勢力の暗躍があることはかねて指摘されているにも
かかわらず、韓国政府も韓国世論もその点を軽視しているように見えるこ
とである。

それどころか、9日付の韓国紙、朝鮮日報によると次期大統領の有力候
補全員の陣営が、既に設置された慰安婦像について「建てられた以上維持
すべきだ」との意見であるという。

また、共に民主党の文在寅(ムン・ジェイン)前代表、国民の党の安哲
秀(アン・チョルス)国会議員、朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市
長、李在明(イ・ジェミョン)城南市長らはいずれも日韓合意の無効化や
再交渉を主張している。

高高度防衛ミサイル(THAAD)の配備とりやめ、日韓軍事情報包括保
護協定(GSOMIA)の破棄など、北朝鮮が喜ぶばかりの政策も有力候
補らは堂々と掲げている。李氏は「日本は敵性国家」とも断じており、誰
が大統領になるにしろ韓国の従中、反米・反日、親北の左派路線は今後、
ますます強まりそうで、在韓米軍の撤退すら現実味を帯びてきそうだ。

北朝鮮の金日成主席は1980年、南北統一の方策として「高麗民主連邦共和
国制」を提案し、その前提条件として(1)朝鮮半島の緊張緩和(2)米
国の干渉中止(3)韓国の民主化実現−の3点を挙げた。

やはり北朝鮮の影がちらつく朴大統領の退陣を求める大規模デモが、民主
化した韓国の姿だとすれば、この3つの条件はほとんど満たされつつある
のではないか。慰安婦像一つ撤去できない韓国の現状を見ても、親北勢力
の暗躍、跋扈は当分続きそうである。

(論説委員兼政治部編集委員)
産経ニュース【阿比留瑠比の極言御免】2017.1.12



2016年12月23日

◆対立する気満々の民進党

阿比留 瑠比



譲位めぐり政府と対立する気満々の民進党 な「立憲主義」に反す るの
ではないか?

「決して政争の具にしてはならない国の基本、長い歴史とこれからの未
来に対しての問題だ。良識と常識を、政治家は今こそ発揮しなければなら
ない」

安倍晋三首相は20日の東京都内での講演で、天皇陛下の譲位問題をめ ぐ
り、こう言葉を重ねて強調していた。念頭に、民進党の動きがあったの
は間違いない。

筆者は11月24日付の当欄で「譲位を政争の具にするな」と題し、 「(譲
位問題が)政局に利用されかねない嫌な空気が漂う」と書いた。民 進党
の皇位検討委員会が21日に公表した「論点整理」を読む限り、懸念 が的
中しつつあるようだ。

自民党の岩屋毅元外務副大臣も、民進党の論点整理に関して19日付の
フェイスブックにこう記していた。

「今後の展開を非常に心配しております。事柄の性質上、この問題に関
しては、通常の政策議論の形式を取らず、超党派で静かに丁寧にコンセン
サスを作っていく必要がある」

「それぞれの政党が独自に確たる見解をまとめ、それを戦わせていくと
いうのではなく…」

現在、政府の「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」はこれま
での議論や専門家ヒアリングの結果を受けて、来年1月に論点整理を公表
するための作業中である。焦点の譲位については、一代限りとする特別措
置法を提言するとみられている。

「決して政争の具にしてはならない国の基本、長い歴史とこれからの未来
に対しての問題だ。良識と常識を、政治家は今こそ発揮しなければならない」

 安倍晋三首相は20日の東京都内での講演で、天皇陛下の譲位問題をめぐ
り、こう言葉を重ねて強調していた。念頭に、民進党の動きがあったのは
間違いない。

筆者は11月24日付の当欄で「譲位を政争の具にするな」と題し、「(譲位
問題が)政局に利用されかねない嫌な空気が漂う」と書いた。民進党の皇
位検討委員会が21日に公表した「論点整理」を読む限り、懸念が的中し
つつあるようだ。

自民党の岩屋毅元外務副大臣も、民進党の論点整理に関して19日付のフェ
イスブックにこう記していた。

「今後の展開を非常に心配しております。事柄の性質上、この問題に関し
ては、通常の政策議論の形式を取らず、超党派で静かに丁寧にコンセンサ
スを作っていく必要がある」

「それぞれの政党が独自に確たる見解をまとめ、それを戦わせていくとい
うのではなく…」

現在、政府の「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」はこれまで
の議論や専門家ヒアリングの結果を受けて、来年1月に論点整理を公表す
るための作業中である。焦点の譲位については、一代限りとする特別措置
法を提言するとみられている。

産経論説委員兼政治部編集委員

産経ニュース【阿比留瑠比の極言御免】12.22

2016年12月08日

◆トランプ次期米大統領に顔色を失った中国

阿比留瑠比



先月の米大統領選で、ドナルド・トランプ氏が勝利した際にはおおむね
歓迎ムードだった中国だが、どうやらあてが外れたようだ。中国は当初、
経営者であるトランプ氏は安全保障上の対立を回避して経済利益確保を重
視するとみていたフシがあるが、その見通しを裏切る事態が続いている。

次々と批判 

トランプ氏は今月2日、台湾の蔡英文総統と電話協議し、米台の緊密な
結びつきを確認した。次期大統領が台湾の総統と接触したのは、1979年の
米台断交以来初めてのことである。

当然、中国側は「『一つの中国』政策が中米関係の基盤だ」と反発して
米側に抗議したが、トランプ氏側は意に介さない。米CNNによると、ト
ランプ氏の経済顧問、スティーブン・ムーア氏は5日、ラジオ局のインタ
ビューに対し、こう言い放った。

「中国に失礼でも私の知ったことではない」

「われわれは同盟国を支援しなければならない。中国が嫌がっても、無
視すればいい」

また、トランプ氏自身も4日、ツイッターにこう書き込み、中国の痛い
ところを突いた。

「中国は南シナ海の真ん中に巨大な軍事施設を建設していいかと尋ねた
か。私はそうは思わない!」

「中国が、米企業の競争を困難にする通貨の切り下げや、中国向けの米国
製品に重い課税をしていいかと尋ねたか」

さらに、トランプ氏の政権移行チームの一員で、米シンクタンク「ヘリ
テージ財団」フェローのスティーブン・イエーツ氏は6日、台湾を訪問し
て記者会見し、次のように中国を批判したのである。

「民主的に選ばれた指導者(蔡総統)からの祝賀の電話を受けることが挑
発とは思わない。挑発と批判するのは侵略者だ」

選挙で指導者が選ばれるわけではない中国を当てこすり、侵略者扱いした
ともとれる発言である。安倍晋三首相の米ハワイ・真珠湾訪問により、日
米蜜月ムードが高まる中でのトランプ陣営の一連の対中批判は、習近平国
家主席の顔色を失わせたことだろう。

対中認識は?

こうした動きだけで、次期トランプ政権の対中政策をこうだと断じること
はできないが、ヒントぐらいは得たい。そこで、トランプ氏のアジア政策
の顧問で、政権移行チームにも入っているカリフォルニア大のピーター・
ナヴァロ教授の著書『米中もし戦わば』(文芸春秋)を手に取った。

防衛省・自衛隊でよく読まれているというこの本で示されている対中認
識を抜粋して紹介する。

「歴史を振り返って分かることは、中国共産党が政権獲得以来六○年以 上
にわたって武力侵略と暴力行為を繰り返してきたという事実である」

「頭の痛い問題がある。中国には、公然と条約を破る傾向があるのである」

「新孤立主義を採用してアメリカ軍をアジアから撤退させれば、紛争と
不安定な状態は緩和されるどころか悪化するばかり」

「アジアの平和と繁栄を持続させるためには、台頭する中国の力を相殺
してバランスを取るための強力な同盟が必要だし、そのためには、アメリ
カがアジアの諸問題にもっと積極的に関与することが不可欠」

 トランプ氏が、ナヴァロ氏と同様か近い考え方であるのならば、日本に
とって悪い話ではないだろう。中国がいかに厄介な国かが、これでもかと
示された本である。

(論説委員兼政治部編集委員)

 産経ニュース【阿比留瑠比の極言御免】12.8 01:00更新


            

2016年11月24日

◆有識者会議に異論唱える民進&朝日に漂う厭な空気

阿比留 瑠比



譲位を政争の具にするな! 

天皇陛下の譲位のご意向への対応をめぐっては「事柄の性質上、政争に
陥ってはいけない」(民進党の江田憲司代表代行)のは大前提だ。このた
め政府は「まず有識者会議で議論を進め、一定の段階で与野党も交えて議
論する」(安倍晋三首相)との手順を踏む考えだが、ここにきてまぜ返す
ような議論が目立ち始めた。国の根幹に関わる重大事が、政局に利用され
かねない嫌な空気が漂う。

政府の「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」は、これまで4
回の会合を開いている。専門家らからのヒアリングを重ねるなどし、「そ
ろそろ水平線が見えてきたかなという所までは来た」(御厨貴座長代理)
という段階だ。

ところが、民進党の野田佳彦幹事長は21日の記者会見で、「陛下のお
言葉の政治利用と思われる発言は控えなければならない」「静かな環境で
結論を導き出さなければいけない」と言いつつ、有識者会議に真っ向から
異を唱えた。

「(陛下が)おっしゃった言葉と全く違う公務負担軽減とか摂政という
項目が入って、それを検討している。退位を認めないような発言をする人
たち(専門家ら)がいっぱいいる。不思議な現象だ」

「その(陛下の)意に反する発言をする人を呼び集めるやり方に強い違
和感を覚える。国民世論からどんどんかけ離れていく」

そして「やっぱり政治家が、どこの段階でどう関わっていくかが大事な
テーマになってくる」と強調した。まるで、有識者会議での議論は不適切
で認めないと言わんばかりだ。

だがそもそも、政府が最初から陛下のお言葉とぴったり一致した議論を
誘導するのであれば、有識者会議はもとより必要ない。「天皇は国政に関
する権能を有しない」と定める憲法4条とも矛盾してしまう。

また民進党では、17日に1年5カ月ぶりに開かれた衆院憲法審査会で、枝
野幸男党憲法調査会長がやはり有識者会議を批判し、天皇陛下のご譲位に
ついて憲法審査会で議論するよう要求したのが目についた。

「少数の恣意(しい)的に選ばれた有識者だけが議論し、国会が議論し
ないのは考えられない。国民を代表するわれわれが、憲法に密接に関連す
る基本法制を調査検討する審査会で、皇位継承問題を早急に議論する場を
持ってほしい」

なるほど皇位継承のあり方などを定めた皇室典範は憲法に密接に関連す
る。だが、現状では譲位には皇室典範改正が伴うべきだとの結論が出たわ
けではない。

あるいは枝野氏が、譲位には憲法改正が必要だと主張しているのであれ
ば、確かに憲法審査会での議論を求めるのも理解できるが、そうではある
まい。審査会は本来、憲法をどうよりよいものにしていくかを論じるべき
場である。

第一、安倍首相は国会で議論しないなどとは一切言っておらず、一定段
階での「与野党も交えての議論」に言及しているではないか。大島理森衆
院議長も有識者会議が論点整理を公表後の国会議論のあり方に関し、与野
党の幹事長らから意見を聴いていることは、枝野氏も承知していよう。

有識者会議での議論をまず優先した政府の手法は、国会外しが目的では
なく、「静かな環境での議論」を重視したからであるのは明らかだといえる。

にもかかわらず枝野氏らの主張に、早速、朝日新聞が賛同を表明したか
ら気味が悪い。民進党と朝日はこれまでも「反知性主義」や「立憲主義」
などの共通の特定キーワードを用い、政府・与党攻撃で連携してきた印象
が強いからだ。

20日付朝刊1面の根本清樹論説主幹のコラムで、名指しはしていない
もののこう書いている。

「天皇の退位も、憲法と深く関わる。皇位の世襲は2条が定めている。
その継承のルールについて有識者任せにせず、憲法審査会でこそ議論すべ
きだとの主張は、うなずける。(中略)議員らが知恵を出し合うのは当然
だろう」

とはいえ16日の参院憲法審査会でも17日の衆院憲法審査会でも、民
進党委員には、憲法そのものの中身を論じるという姿勢は薄い。むしろ、
1年以上前に成立した安全保障関連法や自民党の憲法改正草案の批判な
ど、政権批判・追及に大きく傾いていた。

第一、安倍首相は国会で議論しないなどとは一切言っておらず、一定段
階での「与野党も交えての議論」に言及しているではないか。大島理森衆
院議長も有識者会議が論点整理を公表後の国会議論のあり方に関し、与野
党の幹事長らから意見を聴いていることは、枝野氏も承知していよう。

有識者会議での議論をまず優先した政府の手法は、国会外しが目的では
なく、「静かな環境での議論」を重視したからであるのは明らかだといえる。

にもかかわらず枝野氏らの主張に、早速、朝日新聞が賛同を表明したか
ら気味が悪い。民進党と朝日はこれまでも「反知性主義」や「立憲主義」
などの共通の特定キーワードを用い、政府・与党攻撃で連携してきた印象
が強いからだ。

20日付朝刊1面の根本清樹論説主幹のコラムで、名指しはしていない
もののこう書いている。

「天皇の退位も、憲法と深く関わる。皇位の世襲は2条が定めている。
その継承のルールについて有識者任せにせず、憲法審査会でこそ議論すべ
きだとの主張は、うなずける。(中略)議員らが知恵を出し合うのは当然
だろう」

とはいえ16日の参院憲法審査会でも17日の衆院憲法審査会でも、民
進党委員には、憲法そのものの中身を論じるという姿勢は薄い。むしろ、
1年以上前に成立した安全保障関連法や自民党の憲法改正草案の批判な
ど、政権批判・追及に大きく傾いていた。

結局、民進党も朝日も、皇位継承という国民の最大の関心事を生煮えのま
ま憲法審査会に投じ入れることで国政に混乱を生じさせ、安倍政権にダ
メージを与えるのが狙いではないか−。政治記者をしているとひねくれて
くるのか、こんな疑念すら浮かんでくる。

根本氏自身、かつて現代用語辞典「知恵蔵」で、憲法審査会についてこう
解説していたではないか。

「初めて『憲法改正原案、憲法改正の発議』を審議できると規定された、
憲法改正を具体的に進めていく場と位置づけられる」

そう、憲法審査会は「憲法改正を具体的に進めていく場」なのである。天
皇陛下のご譲位問題は、決して政争の具にしてはならないし、そうなるリ
スクも慎重に回避すべきであることは論をまたない。(論説委員兼政治部
編集委員) 

産経ニュース【阿比留瑠比の極言御免・特別版】11.24