コロナ禍も下火気味なのでもう開示していいと思われる。オリンピックの
開会式直前の2021.7.20、私が東京有明での玉置浩二のライブ公演に行っ
たことである。玉置ファンのFさん(女性)と同行した。
原稿は書いていた。じつは、掲載されたら、本誌主宰者や私に「コロナ禍
なのに不謹慎だ」と巣ごもりの人たちから追及があると推測し控えてい
た。しかし、(助さん、格さん)もういいでしょう(笑)。
新橋からゆりかもめで有明駅へ向かう。モノレールはゴム製タイヤで音は
低いが速度が劣る。さあ急げ「走れ、メロス!」。公演の幕が上がるぞ。
玉置浩二×オーケストラ全国公演(8か所)は2021.6.6、東京渋谷の
BUNKAMURAオーチャードホールを皮切りに、熊本・愛知・堺・兵庫・札
幌・福岡と回り、2021.07.20に東京有明へ帰還した。開演19:00。全席指
定13,000円。「玉置浩二PREMIUM SYMPHONIC CONCERT 2021」、東京ガーデ
ンシアター、東京フィルハーモニー交響楽団・指揮大友直人共演。
観客5,000人上限指定(収容8,000人)。ブラボーなどの叫び声は禁止され
ホールは静かであるが無言の熱気がある。聴衆の拍手だけが大きく広が
る。「だんだんよくなる法華(ほっけ)の太鼓!」だ。コロナ禍は人から
多くを奪ったが、行儀がいい人は許し、そして、やさしく喜びを与える。
玉置浩二、多才なミュージシャン、62歳。黒い上下服。尖っていた黒い短
髪から、歳を重ね銀髪のライオンヘアへと変貌したがよく似合っている。
TV・CDやYou-tubeなどで視聴してきたがライブは初めてである。私は76歳
になり、一生に一度の体験と言えば大げさだろうか。
2021/6/6の公演開始で玉置は宣言している。「歌は僕を生かしてくれた。
音楽は僕を救ってくれた。だから誰かの心を救えると信じて歌い続ける。
音楽はすべての人の味方だ」と。
豪華な楽曲のプログラムを記す。
《第一部》 歓喜の歌(管弦楽)、ロマン、SACRED LOVE、いつもどこか
で、 キラキラニコニコ、メドレー(MR.LONELY・プレゼント・サーチライ
ト)、 FRIEND。
《第二部》歌劇「フィガロの結婚」序曲(管弦楽)、GOLD、行かないで、メド
レー(ワインレドの心・じれったい・悲しみにさよなら)、JUNKLAND、
夏の終りのハーモニー。《アンコール》田園、メロディー。
オープニングは第九の「歓喜の歌」だ。指揮者の大友は演奏を終えて右こ
ぶしを左胸にぐっと当てた。玉置が出てきて肘タッチ。さあ、玉置劇場の
開幕である。息をつかせぬばかりにどんどん進む。懐かしい曲のオンパ
レード。MR.LONELY、行かないで、ワインレッドの心・・と続いた
日本最高の歌手に対し失礼ではあるが、玉置の歌いぶりや特徴を私なりに
評する。声が太く大きい。バリトン。圧倒される。語るように歌う。とき
にバラード。字余りの歌詞は早口だが、絶妙のリズムとテンポが心地よ
い。豊かな百面相の表情。突出した歌唱力。聴衆に真正面から相対し自分
を曝け出し、愛と魂(たましい)の歌を熱唱する
玉置の盟友で同年齢の指揮者大友は童顔である。スリムな体形で若々しい
動き。タクトを手にせず、両手を振り上げ、軽妙大胆な指揮だった。
会場の前面の両サイドにはスクリーンがあり、舞台の交響楽団の各パート
や歌う玉置を効果的にアップで映す。オペラグラスは不要である。緑の避
難誘導灯は本番中には消えた。演奏や歌の視聴に集中することができる。
演奏と歌唱の途中ではときどきドライアイスの噴霧のような煙幕がホール
を覆った。その中を数条のサーチライトが空間を貫き浮動した。
閑話休題。じつは、玉置には違和感があるかもしれないが、私は新しい発
見をした《玉置浩二は「ばってん荒川」に似ている》ということである
(笑)。顔の輪郭、眼の動きなどの表情。真剣、傲慢、はにかみ、子供の
ような一途さ。共通性がある。本物のできる男の顔は似てくる。
ばってん荒川(本名:米嵜 一馬・男性)は2006年に69歳で死去した。
熊本から、子供を想う親心の「帰らんちゃよか(1996)」を世に問い、全
国に散っていた九州人の心に火をつけた。だれもが思った。「おいが今あ
るんは父ちゃんと母ちゃんのおかげたい。あん歌ば聴いてようわかったば
い。父ちゃん、母ちゃん、ありがと。長生きばしてくれんね」と。
♪そらぁときどきゃ俺たちも
淋しか夜ば過ごすこつもあるばってん(中略)
♪帰らんちゃよか帰らんちゃよか
心配せんでよか心配せんでよか
♪どうせおれたちゃ先に行くとやけん
お前は思うたとおりに生きたらよか
玉置浩二の公演に戻る。公演の後半も終わりに近づいた。(私)「『田
園』はまだですねどうしたのだろう?」。「あれっ、もう終わり?」退場
する玉置を目で追った。すると、座席の後ろや横から、アンコールの 拍
手が始まり大きなうねりとなった(「田園」は1996年発売)。
玉置と大友が正面に並んだ。聴衆に気を持たせ満を持しての登場である。
さあ、「田園」だ。二人で何かを話した。交響曲「田園」が東フィル・大
友の指揮で静かにスタートし、美しい音色がホールに満ちた。
そして、玉置が中央正面に立った。交響曲の演奏から玉置の歌唱への切り
替わりは絶妙であった。東フィルの演奏と合体してTAMAKI節(ぶし)の
「田園」が炸裂した。(歌詞の一部を抜粋・引用する)。
♪石コロけとばし夕陽に泣いた僕
夜空見上げて星に祈ってた僕(中略)
♪生きていくんだ それでいいんだ
僕がいるんだ 君もいるんだ
♪みんなここにいる
愛はどこへもいかない
心に滲みる歌である。私たちは、みんな自分の「それでいいんだ」という
ものを持っている。玉置の「田園」に共感し「それでいいんだ」と諦観す
る。自分の過去の人生を想起する。完全には遠い人生であった。玉置の歌
を聴き彼と無言の対話を重ね癒される。玉置浩二効果は絶大である
隣のFさんが「(玉置の)声を聞きたい」と呟いた。玉置は、お辞儀はす
るが聴衆に言葉を発しない。それが「芸術」公演の作法なのか。でも、指
揮者(大友)とは談笑する。無言の玉置は偉そうに見える。ディナー
ショーやTV番組のような気軽な公演ではないにしても、「コロナ禍の中、
ありがとう」と一言、聴衆へ言えないのか。
ホールは薄暗いが、振り向けばFさんの姿は若々しく美しい。顔が火照っ
ている。そこで私がいつも思い出すのはあの女性(ひと)の歌である。
清水へ祇園をよぎる桜月夜こよひ逢ふ人みなうつくしき 与謝野晶子
いつもならこの後ホテルのラウンジでグラスを傾けるだろう。しかし、コ
ロナ禍だから「しょんなか(しかたがない)」。「コロナよ、どこかへ飛
んで行け」という願望をぐっと噛みしめ、ひとり家路につく。
JR総武快速(G車)で缶ビールを飲みながら、公演の余韻を反芻しつつ、
「これからどうするか?」と自問し、自答した。「さあ、明日も東京だ。
元気に仕事をしよう」と。(2021/10/19 千葉市在住)
(追記)
1. 有明公演から3か月、Fさんは2021年10月19日、BUNKAMURAのオーチャー
ドホールの玉置浩二公演にも、また行くらしい。いいな。
2. コロナ禍が終息することを切に願う。(了)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆雀庵の「常在戦場/99「敵は中南海にあり、易姓革へ!」
“シーチン”修一 2.0
【Anne G. of Red Gables/378(2021/10/19/火】小人閑居して毎日、飽き
もせずに色々なことを考えている。徒然草、軒昂奉仕か? 例えばこんな風。
「投資家、マネーゲーマー、相場師・・・カネ稼いで何をしたいのだろ
う・・・これって堅気の仕事か? 欲少なく足るを知る、足るを知りて分
に安んずる、とか考えないのか。銭ゲバ多過ぎ、卑しい感じ。それともカ
ネ稼ぎは趣味か? 昔メンコ、今マネーか。ギャンブル依存症か。オタ
ク・・・俺もネトウヨオタクか? いずれも美しくはないという共通点は
あるな」
「産経10/18で粟飯原文子(あいはらあやこ)法政大学教授曰く“移民や難
民を受け入れようとしない不寛容な姿勢”・・・お、お、オレは不寛容な
のか?、知らなかった! 移民や難民をメルケルの如く受け入れよと言う
文子先生は寛容で心が広いのか、それとも我ら先住民を駆逐するつもり
か・・・それにしても移民や難民で成功した国ってあるのか・・・アメリ
カはガタガタ、ゴタゴタ・・・
なーんだ、調べてみたら彼女は岩波(日共)『思想』の常連寄稿家、日共
の「赤旗」2021/9/25には「難民、移民、少数民族に対する排除、抑圧が
各地で横行し、排外主義の勢力が政権に就く国もあります。それだけに
(20年前の国連による)ダーバン宣言の実践が急務です」とある。日共応
援団、共産主義者なのだろう。
法政大学は「共産党宣言」 (岩波) を訳して暴力革命を煽った大内兵衛が
総長だった。大内の子分、向坂逸郎は社会党で向坂派を組織し、師弟とも
に元祖アカ、ソ連、中共の手先になった。法政は1960年代は中核派の牙城
で、小生も校内集会に何回か行ったが、“アカ好きんちゃん”嗜好は今でも
変わらないようだ。全然成長していないというのは凄いというか・・・侮
蔑を通り越して滑稽だ」・・・などなど。
面白いと言っては何だが、今の世界は第3次ガラガラポン戦争前夜的緊張
感が日々高まって小生にはとても刺激的だ。市井の隠遁ヂヂイはこの歴史
の瞬間に何も関与できないが、激動前夜の今を伝え、記録しておくことは
無意味ではないだろう。オオカミだ、オオカミが来る、みんな気を付け
て! オオカミ老人は未だ死なず、ただ吠えるのみ。撃ちてし止まん、病
膏肓、つける薬なし・・・そのうち再び措置入院、急性期閉鎖病棟とか。
Oh, no! 過ちは二度と繰り返し・・・そうだから、気を付けなければ
ブログはヂヂイのガス抜きとしては結構なものである。14億の民のガス抜
きを習近平は如何にせん、独裁止めますか、それとも国家を止めますか。
世界史的な岐路だな。最初の文革は悲劇、2度目の文革は喜劇か惨劇
か・・・奥山真司・地政学/戦略学者の論稿「中国の台頭は終了 だから
こそ起こり得る“米中衝突”の危機に備えよ」(SAKISIRU 2021/10/17)から。
<「中国の台頭はすでに終わった」「力を失い追い詰められ、さらに攻撃
的に」。米の若手研究者らが刺激的な論文を発表。論文の妥当性は?
「現在の中国は1989年から90年頃の日本と似たような状態」と筆者・奥
山。「中国の台頭はいつまで続くのだろうか?――
これは東アジアの同じ地域で生きる日本にも大いに関係してくるため、
我々が常に問い続けなければならない大きなテーマだ。2021年10月1日、
この問いに対して「中国の台頭はすでに終わった」とする刺激的な論文が
発表された
◆「北京は自暴自棄に」米外交誌論文の衝撃: 掲載されたのは「フォー
リン・アフェアーズ」誌のサイトである。筆者はハル・ブランズとマイケ
ル・ベックレー。それぞれ「大戦略」や「大国関係」を研究テーマとして
いる若手の研究者であり、ともに米国防総省に役人として仕えた経験も持
つ。論文は以下の5部構成になっている。ポイントは、
1)中国の台頭は奇跡的な幸運のおかげ 2)その幸運も尽きて「台頭」は
終了した 3)最大の理由は成長の鈍化であり、経済的に厳しくなったこ
と 4)「反中包囲網」に戦略的に包囲されつつあること 5)危機を感じ
た北京は自暴自棄になりそうだ
彼らの議論が正しければ、中国の台頭はすでに終わっており、これから力
を失う過程で立場的に追い詰められ、そのために今よりもさらに攻撃的に
なる――というのだ。著者は豊富なデータや事例を示しており、実に説得力
を持っている。だが果たして、彼らの予測は本当に実現するのだろうか?
◆警戒されていた「30年前の日本」: 国際政治において未来に起こるこ
とを予測するのはほぼ不可能に近いが、それでも過去の例を参考にすれ
ば、ある程度のシナリオはイメージできる。その参考(アナロジー)とし
て「30年前の日本」を使うことができる。
もちろん当時の日本と現在の中国は全く異なる。政治体制も異なるし、国
の規模も違う。文化も成長スピードも違うのであり、日本は米国の従属国
であり、もう一方は核保有国として米国と対峙する気を持っている。その
ため「そもそも比較対象として持ち出すことさえナンセンスだ」という人
もいるだろう。
だが一方で日中は同じく東アジアの国として米国という覇権国に対峙し、
しかも経済的な結びつきが強かったこと、そして何よりも米国が「国力が
抜かれるかもしれない」と警戒していた国という共通点はある。
「現在の中国」が、今後アメリカとどのような関係になっていく可能性が
高いのか。本稿ではまず上記論文の結論である「中国の台頭は終わった」
が正しいものと一旦仮定しつつ、あえて「30年前の日本」を参考例として
考えてみたい。
◆米中関係は悪化、世界は混乱へ: 結論から言えば、米中関係はいまよ
りさらに悪化し、東アジアを中心に、世界はかなり混乱した状況に陥る可
能性が高い。その最大の理由は、米国の反中姿勢のピークは、実際の中国
の国力のピークよりも遅れて発生する見込みが高いからだ。これは「30年
前の日本」の例を考えてみればよくわかる。
日本と米国は同盟関係にあったにもかかわらず、すでに1980年代から日米
間では貿易摩擦の問題を解決するために様々な協議が進んでおり、1988年
には東芝がココムという共産圏への輸出禁止措置に違反し工作機械を東側
に販売したとして、米国の連邦議事堂前で東芝のラジカセを叩き割るパ
フォーマンスも行われている。
この頃の米国からの苛烈な要求のために「ジャパン・バッシング」(日本
叩き)という言葉も生まれたほどだ。(修一:1985〜1991年は日本のバブ
ル景気時代でイケイケドンドン。日本は世界一の経済大国になりそうな勢
いがあったが、総理はレーガンと仲良かった中曽根の後はいずれも小粒の
竹下、宇野、海部、宮沢で短命、経高政低だった)
翌1989年の12月には、すでに米ソ首脳による冷戦終結宣言を受けて、日経
平均株価が最高値をつけた直後から暴落をはじめた。この暴落を始める直
前の日本を、戦後の台頭における国力の「ピーク」として考えることは可
能であろう。
もちろんそのまま当てはまるわけではない。だが、ブランズとベックレー
の分析が正しければ、現在の中国は89年から90年頃の日本と似たような状
態にある、といえる。
◆「敵視の浸透」は遅れてやってくる: 問題はその後だ。当時の日本は
バブル崩壊によって不況に陥ったが、米国からは相変わらず日本を警戒す
るような言説が伝わってきていた。つまり米国の競争相手が「ピーク」を
迎えても、その「敵視の浸透」には若干のタイムラグが出てくるというこ
とだ。
それが顕著に出るのは政治言論だが、エンタメの分野でも米国が日本を
「敵」のように扱った書籍や映画が出てきた。以下に代表的なものを挙げ
ておく。
91年:映画『ザ・カミング・ウォー・ウィズ・ジャパン』→貿易戦争が第
二次日米戦争につながるシナリオ。92年:小説『ライジングサン』→日本
企業の陰謀を描く。映画は93年に公開。93年:映画『ロボコップ3』→日本
企業が悪役。94年:トム・クランシーの小説『日米開戦』→日航機のパイ
ロットがワシントンへ飛行機で自爆テロして戦争勃発。
この当時を生きていた人間としては、すでに経済力では米国に追いつけな
いことが判明していたにもかかわらず、文化面で日本がまるで「敵」かの
ような扱いを受けていたのは、なんとも意外というか、やや衝撃的だった
記憶がある。
ようするに日本の台頭のピークの時点で米国の日本敵視は十分激しかった
のだが、その敵視を日本側が実感しはじめたのは、実際は90年代に入って
からであった。
◆中国は「チャイナ・バッシング」に耐えられるか: 米国はその後も日
本側に配慮のない行動を続けており、それが民主党政権のクリントン大統
領が1998年6月に日本の頭越しで9日間も中国に滞在したことで頂点を迎え
た。これが「ジャパン・パッシング」(日本通過)と皮肉な名前で呼ばれ
たことを覚えている方もいるだろう。
このようなことは、現在の中国に対しても起こる可能性がある。実際に中
国の脅威そのものはピークを迎えていても、その認識や米国の敵視が本格
化するには、若干のタイムラグが出てくるからだ。
しかも日本の場合は互いに同じ西側陣営に属していた同盟国同士で起こっ
ていた話だ。政治体制も世界観も違い、しかも軍事的に太平洋の覇権をめ
ぐって対峙している米中両国が、仮に中国の台頭のピークは今だとして
も、このままおとなしく棲み分けができるとは思えない。
結論として、もしブランズたちの結論が正しければ、日本の事例から見え
てくるのは、これから米中がいよいよ外交的に不安定な事態を迎えるとい
う、やや悲観的な展望だ。そして日本は本格的に外交・安全保障面で悩ま
されることになる>(以上)
日本の政治家のほとんどがダメなのは「日本は本格的に外交・安全保障面
で悩まされることになる」という危機感や問題意識がないか希薄なこと
だ。そこそこ分かっている議員とか官僚、もちろん“選良”を選ぶ国民もレ
ベルは一緒で、20%いるかどうか。国政選挙の投票率も今は50%前後で、
投票率80%とかではむしろ危険水域だろうから、まあ「治まる御代」とは
そういうものかとは思う。小生は、日本はイザッ!という時は発奮すると
信じているが、本番だと萎えてしまったという話もあるから・・・
「フォーリン・アフェアーズ」誌は政治・外交系のインテリが読むのだろ
うが、近年は「対中戦争モノ」の論文がずいぶん増えてきた印象で、2021
年11月号掲載論文にはダン・アルトマン ジョージア州立大学准教授(政
治学)著「グレーゾーン事態と次の戦争――“トリップワイヤー戦力”で抑止
力強化を」があった。要旨は、
<小さな侵略・征服行動の背後には明確な戦略がある。相手がそれを取り
返すのではなく、「仕方がない」と諦めるような小さな領土に侵略地域を
とどめる。この戦略なら、あからさまに国を征服しようとした場合に比べ
て、全面戦争のリスクは大きく低下する。
だが実際には、中国による台湾侵攻、封鎖、または空爆のシナリオばかり
が想定され、「台湾が実行統治する島々を中国が占領する」という、より
可能性の高いシナリオが無視されている。
そうした小領土の占領を回避する上でもっとも効果的なのが(徹底抗戦意
思を示す威嚇的かつ比較的小規模な応戦である)トリップワイヤー戦力、
特にアメリカのトリップワイヤー戦力を事前配備しておくことだ。そうし
た戦力が存在しないために、中国との潜在的なホットスポットの多くでの
アメリカの抑止力が不安定化している。
尖閣(東シナ海)、スプラトリー(南シナ海)、台湾を守るトリップワイ
ヤー戦力は配備されておらず、ワシントンには、そうした小規模の部隊を
展開する政治的意志はほとんどない>
「tripwire」を英辞郎ではこう解説している。「《軍事》1)わな線、仕掛
け線。地面に隠したロープやワイヤで、敵や獲物をつまずかせたり、地雷
や他の機器などを作動させたりするのに用いられる。2)陽動部隊。比較
的小規模で前線に展開する部隊で、その後の大規模な作戦を引き起こす
きっかけを作るもの」
侵攻する敵に大打撃を与えるのではなく、初戦で躓かせて「予想外に厳し
い、一気呵成とは行きそうもない、これ以上前進すると我が方はかなりの
死傷損耗を被る」と敵に再考を促す効果があるわけだ。中越戦争でトウ小
平が成果もなく手を引いたのはベトナムの得意とする神出鬼没のゲリラ戦
やトリップワイヤー戦力の効果だったかもしれない。
危機に敏感なカナリアは真っ先に警鐘を鳴らす。それは自由陣営ばかりで
なく、中共弾圧下でも香港で(オブラートに包みつつ?)発行されている
日刊英字新聞「サウスチャイナ・モーニングポスト」 (South China
Morning Post、南華早報) も「中国の国境紛争 より厳しい防衛線」
(ローラ・ジョウ記者、2021/10/17)でこう指摘している。
<中国の軍事研究者によると、中国はほぼすべての陸と海の国境でますま
す深刻な課題に直面しており、これらの地域での防衛を緊急に強化しなけ
ればならない。
PLA(人民解放軍)国防大学の元教授、Ouyang Wei(オウヤン・ウェイ)
は、米国が南シナ海と台湾海峡での軍事的プレゼンスを強化し、インド、
アフガン、ミャンマー 、北朝鮮との中国の国境でも不確実性が高まって
いると懸念している。
北京に拠点を置くグランドビュー研究所が発表した報告書の中で Ouyang
は、「一部の国境地域で侵略、分離、テロに直面している。国家の団結と
領土の完全性を守る国境地帯での衝突やテロとの闘争は長期化の傾向があ
り、台湾海峡はさらに不安定な状況になるだろう」と述べた。
Ouyang は、この課題に対処するために、中国は防空識別システムや水中
警戒施設を含む国境沿いの防衛インフラを強化すべきだと提唱している。
報告書によると、北朝鮮の核実験、2月の軍事クーデター後のミャンマー
での大規模な抗議行動、北部(新疆)での長期的な民族紛争、アフガンで
のタリバンの支配は、中国の安全保障上の脅威を高めている。特に中国と
インドとの国境紛争問題は「より顕著だ」と述べた。
中印は紛争中の国境での17ヶ月間のスタンドオフ(衝突)で軍事力を強化
している。インドは米国に近づき(それを梃子にして)特に国境紛争では
中国に対してより厳しい姿勢を取っているように見える。「ガルワン川渓
谷での致命的な紛争を含む最近のスタンドオフは、中印国境を守るタスク
が他の地域よりも厳しいことを示した」と報告書は指摘している。
中国の国境は2万2800km以上に及び、14カ国が関与しており、中国は世界
で最も複雑な近隣諸国との紛争のいくつかを抱えている。北朝鮮、ロシ
ア、モンゴル、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ミャンマー、ネ
パール、ベトナムとの国境は協定合意に達し、「中国の国境地域の安全保
障環境を大幅に改善」した。
国境法の下で、中央政府は深刻な国家安全保障上の脅威に対抗するために
国境を閉鎖することができ、同国の軍事および準軍事部隊はテロ活動や違
法な国境通過への対処を担当する。
これらは現在、警察によって処理されているが、緊張は特に海上で高ま
る。中国政府は、必要に応じて武力で支配権を握るが、台湾近郊では軍用
機や戦闘船を定期的に配備し、軍事力の増大を図っている。
一方、南シナ海の80%についての中国の主張(九段線)は、ベトナム、ブ
ルネイ、マレーシア、フィリピンなどの国々と争われており、東シナ海の
小さな無人諸島をめぐる領土紛争は日本との間でいばらの問題となっている。
現在、中国を戦略的ライバルと見なしている米国は、この地域における中
国の影響力の増大を封じ込めるために同盟を含む戦略を推進している。ワ
シントンの主張は、中国政府の広範な海洋主張を抑えるための取り組みの
一環であり、英仏独を含む米国とその同盟国の軍艦が南シナ海で任務を遂
行している。
「中国は海上での国際貿易、エネルギー、戦略的ルートへの依存を着実に
深めており、沿岸防衛の範囲が拡大しているため、安全保障上の脅威と戦
略的圧力も高まっている。海上での不確実性の高まりは沿岸防衛の取り組
みを複雑にもしている。中国は国境や沿岸地域の脅威のレベルに応じて軍
事力を調整すべきだ」とOuyang氏は述べた>(以上)
台湾海峡の有事は即効で南・東シナ海、さらに黄海、渤海、日本海、西太
平洋での有事になるだろう。習近平・中共に台湾と台湾海峡に手を出させ
ないことが大事で、今何よりも必要なのは軍事的かつ経済的な中共包囲網
である。
世界の企業にとって14億の巨大市場は確かに手放し難いが、命あっての物
種、母国あってのビジネスであり、国際企業のモラルが「企業栄えて国滅
ぶ、それって仕方ないよね」と敵性国家を容認するのなら、中共以外の60
億の国の人々はそうした“敵性企業”をボイコットするだろう
支那の民は「日露戦争で日本がロシアを叩かなければ中国はとっくにロシ
アに編入されていた」(ジョンストン「紫禁城の黄昏」)という言葉をよ
く考えるべきだ。ノモンハンでも日本はロシアの南下本能による中国侵攻
を阻止したのではないか。敵は米加でも英仏、日豪印でもない。習近平・
中共独裁体制こそが諸悪の根源だ。「敵は中南海にあり、中南海を包囲せ
よ!」、今は易姓革命の好機である。中共殲滅、支那解放へ、内外が呼応
して決起すべき秋である。
━━━━━━━━━━━━
◆気がつけば数百社が倒産
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和三年(2021)10月18日(月曜日)弐
通巻第7085号
♪「一日一社」「三日で三社」。。。。
気がつけば数百社が倒産
恒大集団の断末魔、中国の不動産業界を粉々にするか
当局は必死の防衛態勢を敷いている。人民銀行総裁やらエコノミストを
動員し、管制メディアを遣って「危機を治める」「恒大は金融危機をもた
らさない」「恒大の負債はGDPの2%でしかない。世界的ショックとは
ならない」等々。
中国不動産企業の債務は590兆円。因みに日本のGDPは530兆円
内外。日本のバブル崩壊は100兆円規模で起きた。あのバブル破産の悲
惨さの五倍以上の規模の負債の爆発を気にしないとは畏れ入る。
香港へ飛び火するのは時間の問題だった。
香港不動産ビジネスの大手「ヘンダーソンランド」(恒基兆業地産)と
「新世界発展」は過去一ヶ月に7−8%ほど株価を下げた。高騰が続いて
香港のマンション価格も天井を打って下落気配だ。欧米のファンド筋が青
い顔をしてきた。
アジアのREIT(不動産投資信託)は各国の株価インデックスの先行
きを占う大事な指標だが、明確に下落傾向にある。
不況の暗雲はマカオへ津波となった。コロナで中国本土から博打打ちが
激減し、ようやく再開しつつあったマカオのカジノ産業も散々の体であ
る。2021年はカジノ客の激減で売り上げが40%前後蒸発したが、こ
こに習近平の贅沢をやめようとするキャンペーンが重なった。マカオがそ
の対象となった。
習政権はマカオのギャンブルが海外への不正送金とマネーロンダリングの
温床と見ているからだ。
米国系大手三社のサンズ、MGM、ウィンは株価を26−34%下落、
スタンレーホー系のリスボア、横浜参入を断念した銀河、新壕國際など
も、それぞれが22,16,16%と株価急落に見舞われた。日本への
IR進出プロジェクトは、当面その可能性はなくなった。
▼すでに恒大集団のビジネスは解体、ばら売り状態
中国GDPの25%が不動産業界だが、下請け、関連産業、孫請けと城
下町のホテル、飲食店、広告代理店、印刷業ほかを勘案すれば、GDPの
40%が、この不動産への投機によって支えられてきた。栄華の季節は終
わり晩鐘が聞こえる。
すでに一ヶ月近く、死の淵を彷徨い続ける恒大集団だが、元金どころ
か、金利さえカネを調達できず、10月23日にはドル建て債券の利払い
猶予期間を迎える。
関連で不動産企業のデフォルトが続いており、10月4日に花様年控股
集団(ファンタジア・ホールディングス)がドル建て社債の償還が出来な
かった。10月15日には中国地産集団(チャイナ・プロパティーズ・グ
ループ)がドル債の元利を支払えなかった。つづいて10月18日期限を
迎えるのが新力控股。2億五千万ドルの社債はデフォルトになるだろう。
2022年1月に償還を迎える中国不動産企業のドル建て社債はおよそ
62億ドル。たぶん、40社が債務不履行に陥るだろうと囁かれている。
恒大危機以後、社債市場で警戒感が拡がり、マンション開発のキンエ
ン・リアルエステートは償還期限の社債を二年後の社債とスワップしたい
との提案を行った。
銀行団は新しい貸し付けに慎重であるばかりか、担保権行使、貸しはが
しに転じており、各地でマンションの叩き売り、価格暴落、同時に新しい
土地の公開入札に民間企業の応札はゼロという状態が続いている。
当局は地方政府の土地入札に関連して、地方政府の財源確保という宿命
もあって、国有企業に買えと命じている。
またマンション価格の暴落を防ぐために15%の値下げが下限だと通達
した。「上に政策あれば、下に対策あり」の国だから、巧妙な値下げ、ダ
ンピングが行われる。
表向きの値下げは15%だが、裏で他の特典をつけたり、闇銀行からの
手当も行われるだろう。
2015年の上海株暴落のことを思い出してみよう。
当局は投資家に「株を売るな」と厳命し、また「悪質な空売りを取り締
まる」とした。そのうえで株買い支えを証券会社に命じて、資金を裏口か
ら供給するという禁じ手を用いた。資本主義社会から言えば異常なトリッ
クで急場を乗り切った。
▼やっぱり庶民の「不動産暴動」をもっとも警戒しているのだ
なぜそうした裏技を行使してまで風船のように膨らんだマンション価格
を維持したいかと言えば、高嶺で購入した人々の不信と不満が暴動に発展
しかねないからである。
また頭金を支払ったが、入居が出来ないという不満の高まりも抑えなけれ
ばいけない。
中国の住宅ローンの仕組みは日本と同様で、頭金は手付け金である。そ
れから正式な売買契約となり、銀行でローンを組んで残額を支払い、購入
者の借金は購入者vs銀行の図式になる。
昨年から政府が、このローン審査に強い規制をかけて対応し始めたため
に、頭金を支払ってもローンが組めない。だから入居できないことになる。
あまつさえデベロッパーの工事中断。したがって入居不能。購入者は頭金
を盗まれたという認識になる。
恒大集団ばかりか、多くはなんとか生きのびようともがき、習近平は潰し
たい。しかし国際的に信用失墜となるという板挟みで、有効な手を打てな
いうちに時間切れとなる危険性が日々高まっている。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜読者の声
READERS‘OPINIONS どくしゃのこえ 読者之声
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
♪
(読者の声1)貴著『日本人が知らない本当の路地裏中国』(啓文社書
房)をじっくりと拝読しておりました。肩の凝らない、とても読みやすい
現代中国入門書ですね。しかしながら、宮崎さんは、よくぞあの宏大な中
国の全33省をくまなく足を運んだもの、そんな日本人はあまりいないで
しょう。
日本と中国が「一衣帯水」ではなく、まったく異なった文明であること
を改めて理解できましたが、中国の迅速な新幹線網も多くが赤字という御
指摘は、なんとなく想像しておりました。
老生、世界中を旅行したものですが、中国だけは避けて来ました。とい
うのも老生は北京のワンフーチン生まれ、敗戦後の引き上げで極貧の少年
時代を過ごし、命からがら日本に戻りましたので、中国への思い入れはな
かったのです。
宮崎先生の、この本を読み終えて、死ぬ前に一度は中国へ行きたいとい
う気持が湧いて来ました。
さて雲南省の奥地に日本の軍人OBや遺族が基金を集めて、地元の児童
のために建設し寄付した白塔小学校が、建物ごと民間企業に売却されてお
り、「日中友好」と書かれた石碑はペンキで塗りつぶされていた由。
日中友好をさけぶマスコミや文化人は、この場所に来るべきです。「中国
愛」に燃える日本人は、中国人に莫迦にされていることを知るべきでしょう。
ノーベル平和賞のダライラマ法王に米欧の元首は面会しておりますが、
日本の歴代首相は中国に遠慮して面会していない。日本はいつの間にかサ
ムライ精神を忘却のかなたに葬り去った。じつに情けない国になったと思
います
(AK生、市原市)
(宮崎正弘のコメント)哈爾浜生まれの芥川賞作家、楊逸女史からも、拙
著を推奨する書評を頂きました(週刊誌掲載)。
♪
(読者の声2)15日の「読売新聞」朝刊に、「英国に亡命した、香港人
の反政府活動家」の談話があり、うろ覚えですが、「反対運動を始めるの
が遅すぎた、もっと中国政府の動きを読むべきだった。もはや、民権復活
の希みはない」という落胆の談話でした。
宮崎先生にお聞きしたいのですが、現在の香港の民衆は、「もう、仕方が
ない」と反抗を諦めてしまった人々が大多数なのではないのでしょうか?
つまり、「一国二制度」に戻る可能性は「ゼロ」と判定するのが、冷静な
見方ではないのでしょうか?
(KI生、尼崎市)
(宮崎正弘のコメント)北京に政変がおきて習近平体制が転覆しない限
り、御指摘のように香港民主化は遠のいたというのが客観情勢です。
海外へ運動拠点を移したのは亡命に成功した人々ですが、天安門事件の
指導者らは、たまに声をあげる程度。あれからまもなく33年です。
民主化運動最大の指導者(『中国の春』を創刊し、中国民主党主席)王丙
章博士は囮捜査で江西省チワン自治区に潜入したところを逮捕され、無期
懲役で広東省の刑務所にあります。欧米では王博士の救済運動が起きてい
ますが、日本のメディアは一切伝えません。
海外の活動家たちは、漢族のみならずチベット、ウイグル、南モンゴ
ル、そして香港組との共闘を始めています。
ペマ・ギャルポ先生が主催する「アジア自由民主連帯協議会」などが基軸
となっています。
https://freeasia2011.org/japan/
♪
(読者の声3)総選挙をまえにして、「林元参院議員が衆議院にくら替え
する」VS「元官房長官の河村議員が引退し、息子が自民党の比例代表に決
まった」という報道は、「小さな現象が大きな本質を示す」ことを如実に
示し、これが今まで自民党が概ね政権政党に収まってこられた組織の原
因・要因であると感じました。
旧来の「識者」はこの現象を単に「論理=理屈」で「解説」してきました
し、今もそうですが、最新の分子生物学者や、それを哲学と結びつけ、人
間社会に思いを巡らせる人たちは、人間の行いはすべからく「ロゴス=言
語=意識=論理」と「ピュシス=感覚=自然・天然=感情」の「バラン
ス=せめぎあい」=であるという本質論を以って解釈するようで、それは
最新先端分子生物学から得ることができた知見のようです。
そしてこのような思考回路は、コロナ禍もあって世界中に拡散しているよ
うに感じられます。
私は自民党が実は親子の「ピュシス的」ポジションを合体した「レシプ
ロシティ」を測っていたと予想される河村議員の心中を「バランス=せめ
ぎあい=相互主義(レシプロシティ)」でとらえ、それを(動的平衡論
的)解決策として持ち出したことで解決を図ったと感じ、「自民党もヒト
は結局は生物学的存在であることを(無意識ながら)体得しているな」と
感じました。
なぜなら学問的には、ロゴスで解決できぬ問題が最後に解決する手段は、
結局それを「ピュシス」にゆだねてきたという「生物学的原理」であるか
らです(SSA生
♪
(読者の声4)未来ネット(旧「林原チャンネル」の「宮崎正弘の『生』
インタビュー」。10月15日放映分は興味しんしんでした。かつ米国政権の
内部事情など、知らないことが多く、有益でした。アメリカ通の福井県立
大学教授の島田洋一先生はエネルギッシュでした。
https://youtu.be/us4qB6acAD0
視聴者からの質問にも、逐一丁寧に答えておられ、これもまた参考にな
りました。(HH生、幕張)
♪
(読者の声5)三島由紀夫研究会の「公開講座」のお知らせです。次回は
三島文学館前館長、文藝評論家の松本徹先生です。
記
とき 10月25日(月曜)午後六時
ところ アルカディア市ヶ谷(私学会館)
講師 松本徹
演題 「三島由紀夫の切腹」
会費 お一人2000円(会員と学生は千円)
特記 マスク着用、どなたでも予約無しで御参加いただけます
(三島由紀夫研究会事務局)
♪
(読者の声6)仮想・暗号通貨の未来。
支那が嫌がることは、日本、世界にとって良い、という厳然たる経験定
理がある。逆に、支那から褒められたりする政治家、企業家、学者は日本
の敵だ、とも言われる。最近、支那ではビットコイン(以下$Bと略)が禁
止された。MITやハーヴァード大学などに留学し、数学と金融の最先端を
知っている指導者が判断したわけである。
つまり、ほっておいては
1。人民元が危なくなる、
2。この普及は止まらない、
3。基軸通貨ドルをも脅かすだろう
との正しい解析による、と思われる。支那としては、「良貨が悪貨を駆逐
する」のを「対岸の火事」として楽しみたい。これもチョウゲンセンの作
戦、だろう。
余談。第3次世界大戦は、「全体主義vs自由主義の国家間」の戦争では
なく、「自由を守る国民vs自由を奪う政府・国家」の内乱となり、既に
2020年から戦闘が公然と世界中で始まっている、という見方もある。日本
人は相変わらずお上を信じ従属する伝統が長い江戸時代にDNAに組み込ま
れ、さらにGHQによって補強され、(不能な追従迎合NHKなどの)情報鎖国
によって、この新型全世界戦争(自国政府こそ敵)の最中にいる、という
認識がない。この内戦には原爆もミサイルも使えず、人民の得意なゲリラ
戦型の内戦となる。
$Bの最近の状況が急に変わってきた。結論を先に言えば、もう止まら
ない。
最近、エルサルバドルという国が、自国の通貨をやめて、ドルに付随する
のもやめて、乗り換えた。ロシアのプーチン氏は$Bで取引しても良いと
言う。かなりの民間企業、例えばテスラが支払いを$Bでもいい。外国と
の取引、決済が瞬時に行われ、その費用がほぼゼロ。金融業界でも既
に$Bをあたかも普通の派生商品として扱うようになった。そして 昨日ア
メリカ証券取引委員会(SEC)は$B建のETFを今月中に公認する、らしい。
すると誰でも安心して$Bを普通に売買できる。エド・スノーデン氏は、
「初めて、買う気になった」とつぶやいている。
今、政府の最も恐れている事は、インフレではなく、むしろ2000年2008
年のような国民の資産の崩壊である。株、土地、$B、下がらずに兎に角
上がって行けば良い。金融業界はいつも倫理とは無縁で、なんでも儲かれ
ば参加する。$Bとは、史上最大の成長株と認識している。電気代の安い
所では$Bをいくらでも採掘し発行できる。インフレに強いのは不動産、
成長株であるが、その遥かに上を行くのが$B、故にインフレ対策にもなる。
多数決の論理、洗脳の仕組み、真実とは、「嘘を100回聞くと、本当に
なる。1兆回では真実、事実になる。悪者も少数では異端だが、大多数で
は正義・正常になる。」という普遍的な法則が適応されるので、いわば
「みんなで渡り出したら、赤信号が青になった。」その一方で、ドル、人
民元、円、国債、政府・報道の信頼、そして超インフレに対して黄色が点
滅し始めた。
これも武漢菌が全世界に「根回し」を施し、$Bが起爆剤となる「嘘と真
理が入れ替わる」超ガラガラポンの始まり。溺れる信者の最後の頼みの藁
とは、MMT教徒の唱える幼稚な呪文「イジゲン緩和、ザイセイ出動」であ
なたは救われる。
また指導者たちの不能不知・優柔不断が敗戦の原因になるらしい。
聞き慣れた普遍的な女の忠言、「皆様、シートベルトをお締めください」
そして「他人を助ける前に、まず自分の酸素マスクをおつけくださいま
せ。」
(在米のKM生)