2019年02月07日

◆憲法改正には、女性の声がどうしても必要だ

加瀬 英明


私は仕事で、アメリカや、ヨーロッパをしばしば訪れてきた。いまでも毎
年、ワシントンに春と秋に通っている。

欧米ではカーナビをはじめ、さまざまな案内や指示が、男性の声によって
行われているほうが多い。ところが、なぜか、日本ではほとんどが、女性
の声だ。

交差点では、交番の拡声器から女性警察官の声で、「左右をよく見て、お
渡り下さい」という注意が流れてくる。

なぜなのだろうか。どうして案内や、指示というと、日本では女性の声が
用いられるのだろうか。

日本は女性が優っている国なのだ。女性が家庭を取りしきって、支配して
いる。父親ではなく、母親が家庭の中心だ。男たちは幼い時から、母親に
よって育てられ、躾けられる。

日本では男たちは、女性の声には安心して従うものの、男性の声だと反発
して、すなおに受け容れない。

日本では祖国を、母国と呼ぶ。出身校は母校だ。敷地のなかで、もっとも
大きな家は母屋(おもや)だ。乳母車(うばぐるま)や、トラックにかかって
いるホロを、「母衣(ほろ)」と書くが、武士が戦場で首筋を守るために、
後頭部にかけた鎖の綱のことだ。いつも、母が守ってくれるのだ。

英語、ドイツ語では、「母国」(マザーランド、ムターラント)ともいう
が、「父国」(ファーザーランド、ファータラント)とも呼ぶ。フランス
語になると、「父国」(ラ・パトリ)しかない。

母親はできる子も、できない子も、均しく愛してくれる。父親はできる子
と、できない子を区別する。日本が平等な和の国であるのに対して、西洋
は厳しい競争社会だ。

西洋は男尊女卑の社会だ。女は弱者だから大切に扱われるが、女のほうが
男に甘えて我儘(わがまま)になる。弱い者のほうが我儘になり、強い者は
耐えるものだ。日本では男が我儘で、女性が男が我儘であるのを許す。男
が弱者だ。

日本では女性が男性に対して、「男らしくしなさい」と叱るが、西洋では
男から男にしか「ビー・ア・マン!」(男らしくしろ)といわない。西洋
では夫が家計を握っているが、日本では夫が妻から小遣いを貰う。

日本神話の主神は、女神の天照大御神でいらっしゃるが、西洋ではギリ
シャ、ローマ、北欧神話など、どの神話をとっても、主神が男性神であっ
て、厳格な独裁神である。

日本は歴史を通じて人と人との和を、もっとも大切にしてきたために、平
安時代の400年、江戸時代の260年にわたって、平和が保たれた。このよう
に長く平和を享受した国は、世界のなかで日本しかない。これも、女性が
優っている国だからだろう。

いま、日本を取り巻く国際環境が激変している。日本の平和を守るため
に、現行憲法を一刻も早く修正する必要に迫られている。

ところが、12月に終わった国会会期では、憲法審査会が開かれたのに、野
党が改憲について論議するのを拒んだので、憲法が論じられなかった。

野党は憲法を軽視して、おろそかにしている。もし、真剣に護憲を主張し
ているのなら、「日本がアメリカの占領下のままでいるべきだ」と、どう
して堂々と主張しないのか。

日本の平和を保ってゆくためには、憲法を厳しい現実に合わせなければな
らない。

憲法を改めるためには、女性の声がどうしても必要だ。女性が男たちを励
まして、憲法改正運動の先頭に立ってほしい。

2019年01月24日

◆意味不明な言葉に頼る「専守防衛」

加瀬 英明


意味不明な言葉に頼る「専守防衛」 国防と防衛の違いとは

12月に、平成31年度政府予算案が発表された。

防衛費が7年続けて脹らんで、前年比で1.3%増の5兆2594億円となる
かたわら、『いずも型』ヘリコプター搭載・大型護衛艦を、空母に改装す
ることとなった。

日本が講和条約によって独立を回復してから、66年以上もたって、ようや
く旭日旗を翻した航空母艦が、最新鋭ステルスF35Bを載せて、日本の海
の守りにつく。

といっても、岩屋防衛相が「状況に応じて戦闘機を載せるから、他国への
脅威とならない」と述べ、読売新聞が「常時戦闘機を搭載せず」という大
きな見出しを組んで、報じた。

さらに、自民・公明与党が、新空母について「専守防衛の枠内で運用す
る」という、確認書を交換した。

私は頭が悪いので、艦載機を危機が迫ってから載せると、どうして専守防
衛に変わるのか、理解できない。艦載機を常時搭載しないで、訓練、運用
に支障はないのだろうか。

「専守防衛」という言葉は、英語をはじめとする外国語に訳することがで
きない、まったく意味不明な言葉だ。

英字新聞は、”defense-oriented policy”と訳しているが、「防衛を主と
した政策」であれば、どの国もそう装っている。アメリカは国防省、中
国、韓国も国防部を称している。

国家の安危と国民の生命を、このような意味不明な言葉に、依存してよい
ものだろうか。 

戦後の日本の政治家や、マスコミは、脳腫瘍を患っていて、言語障害にお
ちいっている。これでは、国を守ることができない。

11月に、私はワシントンで政権の友人たちと会食した。

なかに、国家安全会議(NSC)補佐官がいた。

「ドイツの国防費は、GDP(国内総生産)の1.15%だ。自国を守る価
値がないと思っている国を守るために、アメリカの青年たちが、血を流す
だろうか?」といった。

オバマ政権下で、北大西洋条約機構(NATO)ヨーロッパ27ヶ国は、
GDPの2%を国防にあてることを、約束した。ところが、イギリスなど
7ヶ国しか、約束を守っていない。GDP比で日本の防衛費は、ドイツ以
下だ。

政府も、私も「防衛費」といっていることに、注目してほしい。「国防」
は禁句とされている。

なぜ、国防といってはならないのか。日本の国防は米軍が行うことで、自
衛隊は米軍をわきから援けて、防衛に当たるからだ。

空母に常時艦載機を載せると、周辺諸国に脅威を与えるというが、中国、
北朝鮮、韓国を除く他のアジア諸国は、日本が空母を保有することを、双
手を挙げて歓迎しよう。「刺激してはならない」というのでは、中朝韓
3ヶ国がまるで暴力団の組事務所のようで、失礼ではないか。

日の丸を翻す空母が登場するのは、60年遅かった。もし、独立を回復した
後に、空母が出現していたら、北朝鮮によって多くの日本国民が、拉致さ
れることがなかった。

拉致被害者は、「日本国憲法」の被害者なのだ。

人体の健康と同じように、平和は守らなければならない。平和を守る努力
をしないのは、平和を大切にしないからだ。


2019年01月18日

◆悪意に満ちた国連委員会の対日非難

加瀬 英明


8月に、スイス・ジュネーブで国連人種差別撤廃委員会が「対日審査会」
を行い、慰安婦、韓国人・朝鮮人に対するヘイトスピーチ、委員会が先住
民とみなすアイヌ・沖縄県民、朝鮮学校問題などを取りあげて、3日にわ
たって日本を嬲(なぶ)りものにした。

私はこの討議の一部を動画で見たが、どの委員も日本が性悪な国として、
こき下ろした。

戦前の国際連盟が本拠だった「パレ・ウィルソン」(パレは宮殿)で開か
れ、会合での対日非難は悪意にみちたものだった。

韓国の委員の鄭鎮星(チョンジュソン)女史は「性奴隷(セックス・スレイ
ブ)」といって、「慰安婦の残酷な状況は、当時の文書、映像、証言など
多くの証言によって、裏付けられている」と、日本政府代表団に迫った。

アメリカの黒人女性のマクドゥガル委員は、日本政府代表団が反論したの
に対して、慰安所を「強姦所」と呼び、「事実を議論すべきではない。こ
れは女性の尊厳の問題だ。慰安婦の大多数が韓国人だった」と、詰め寄っ
た。事実は、大多数が日本女性だった。

ベルギーのポッソート委員は、日本において韓国・朝鮮人が迫害されてお
り、「日本に住む40万人の韓国・朝鮮人の大多数が、植民地時代に強制的
に日本に連行された」と、攻撃した。事実は同じ国だったから、自由に往
来できたために、より豊かだった日本本土に、仕事を求めて移ってきたの
が、正しい。

コンゴ民主共和国をはじめ、諸国の委員がつぎつぎと日本を誹謗した。

このような国連委員会が世界の世論をつくって、日本の名誉を大きく損ね
てきた。

委員会の会合は、荒唐無稽としかいえないにもかかわらず、日本政府代表
団が一つ一つ、丁寧に答えていた。私は代表団を率いた大鷹正人外務審議
官や、法務省員の苦労を心からねぎらいたいと思った。

私も英語屋だが、大鷹審議官の英語は流暢で、素晴しかった。ところが、
日本政府の代表が「お詫びし、償い金を支払っている」といって、委曲を
つくして答えるほど、弁解しているように見えた。

私だったら弁明に終止せずに、相手を積極的に攻撃して、その歪んだ根性
を叩きなおそうとするだろう。

韓国の委員には、「韓国が独立を回復してから、貴国の国軍は日本の旧軍
の制度を受け継ぎましたが、国軍の将兵の性処理のために、『慰安婦
(ウィアンプ)』と呼ぶ女性たちが働く売春施設を、つくっていました。
『慰安婦(いあんふ)』は旧日本軍とともに姿を消したはずなのに、韓国軍
に長いあいだにわたって存在しました。慰安婦がそんなにおぞましいもの
だったら、どうしてこの日本語を韓国語として発音をして、使っていたの
ですか?」と、たずねたかった。

アメリカの委員には、「アメリカでは1960年代に入るまで、黒人は選挙権
を認められず、白人と黒人の性関係が犯罪とされ、水飲み場、便所から、
食堂まで区別されて、ひどい差別を蒙っていたし、今でも苦しんでいま
す。日本が先の大戦を戦って有色人種を解放したおかげで、黒人が白人と
同等の公民権を勝ち取ったのではないですか?」と、質問する。

委員会が国際連盟を創設することを提唱した、アメリカ大統領の名を冠し
た「パレ・ウィルソン」で開かれたのも、皮肉だった。

ウィルソン大統領はアメリカ南部のジョージア州とサウスカロライナ州で
育ち、有色人種が優生学的に劣っていると説いた、人種差別主義者だった
ために、ウィルソンが創学者のプリンストン大学では、学生たちがその銅
像の撤去を求め、アメリカ議会が創立したシンクタンク「ウィルソン・セ
ンター」を改名すべきだという運動が、行われている。

私だったら、委員たちに「パレ・ウィルソン」の名を改めることを、提案
しただろう。

 このように愚かしい委員会で、日本政府の代表が暴れれば、世界のマス
コミが取り上げて、日本の主張が理解されることだろう。

2019年01月10日

◆日本という太陽が世界を照らす

加瀬英明


6年前に、セルビア共和国のアダモヴィッチ・ボヤナ大使によって、大使
館に昼食に招かれた。

私は挨拶を終えると、すぐに第一次世界大戦後のパリ講和会議において、
日本全権団が戦後世界を管理する国際機構となる国際連盟憲章に、「人種
平等条項」をうたうように提案したのに対して、セルビアが賛成票を投じ
てくれたことに、御礼を述べた。

すると、女性の大使が驚いて、「着任してから、このことについて御礼を
いわれたのは、はじめてです」といって、喜んでくれた。

11月に、パプア・ニューギニアでAPEC(アジア太平洋経済協力機構)
サミットが開催され、安倍首相も参加した。

3年前に、私は都内の夕食会で、パプア・ニューギニアのガブリエル・
J・K・ドゥサバ大使と同席した。すると、大使が「私の父親は先の大戦
中、日本軍の連隊を助けて、密林のなかを、オーストラリア軍と戦いまし
た。日本のおかげで、独立を達成することができました」といって、連隊
長の名と連隊番号をあげて、感謝した。

ニューギニア島は東半分がオーストラリア、西半分がオランダによって、
領有されていた。

パリ会議は、ヴェルサイユ会議としても知られるが、1919年2月に日本全
権団が「人種平等条項」を提案したところ、11票対5票で採択されそう
になったが、議長をつとめていたウィルソン・アメリカ大統領が、「この
ような重要な案件については、全会一致でなければならない」といって、
日本案を葬った。

小国が賛成票を投じたのに対して、アメリカはフィリピンを領有し、国内
で黒人を差別していたが、英仏などの植民地帝国が反対した。

今年は、日本全権団が「人種平等条項」を提案してから、100周年に当たる。

日本は先の大戦で、大きな犠牲を払って戦って敗れたが、西洋が数百年に
わたり支配していたアジア諸民族を解放し、その高波がアフリカ大陸も
洗って、次々と独立していった。

その結果、日本の力によって、長い人類の歴史における最大の革命となっ
た、人種平等の理想の世界が、はじめて招来された。

不平等条約改正と、人種平等の世界を創ることが、幕末からの日本国民の
大きな夢だった。

日本という太陽が昇って、世界を隅々まで照らした。

 私事になるが、オノヨーコが私の従兄姉に当たるので、ジョン・レノン
とも親しかった。今年がジョンとヨーコが結婚してから、50周年に当たる
ために、内外でさまざまなイベントが催される。

ジョンは『イマジン』の曲で有名だが、日本が先の戦争によって、戦争前
に誰も想像(イマジン)すらできなかった、人種平等の世界を創ったことを
高く評価して、ヨーコと2人で靖国神社に参拝している。


2019年01月09日

◆憲法下では自衛隊は国防の傍役でしかない 

加瀬 英明


私は春と秋に、年2回、ワシントンに通っている。

いま、世界の未来が、アジアのありかたにかかっている。

トランプ政権は発足してから、11月に次の2020年の大統領選挙の折り返し
点になった2年が過ぎたが、前半の2年に起ったもっとも重要な出来事
は、中国と真正面から対決することになったことだ。

中国の習近平政権は中国の力を過信して、アメリカが内に籠ろうとしてい
ると判断して、アメリカを追し退けて、世界の覇権を握ろうとしているの
に対して、アメリカが反発して、立ち塞(ふさ)がったのだ。

習近平主席は、南シナ海に埋め立てた7つの人工島を「軍事化しない」
と、オバマ大統領と固く約束したのにもかかわらず、ミサイルを配備し
て、南シナ海を支配しようとしているのをはじめ、軍事先端技術でアメリ
カを凌ごうとするかたわら、中国からアジアを通ってヨーロッパまで、
70ヶ国あまりを取り込もうとする、「一帯一路」戦略を露骨に進めてい
るのに、アメリカが堪忍袋の緒を切らしたのだ。

米中対決は、“米中新冷戦”と呼ばれているが、これはトランプ政権だけに
よる決定ではない。共和、民主両党をはじめ、アメリカの識者、著名シン
クタンク、大手新聞・テレビによる、コンセンサス(合意)だ。

トランプ政権のもとで、アメリカは世界を一手に守ってきた重荷を軽くし
て、ヨーロッパや、日本などの同盟諸国が分担することを期待している。
多くのアメリカ国民が諸国の防衛を、アメリカに押しつけられてきたと
思って、不公平だと考えるようになっている。

アメリカは国防費にGDP(国内総生産)の3.1%を、支出している。
オバマ政権下でNATO(北大西洋条約)に加盟しているヨーロッパの
27ヶ国が、GDP2%を国防費にあてると約束したのにもかかわらず、
約束を守っているのは、イギリスなど7ヶ国にしかすぎず、ヨーロッパ第
一の大国のドイツは、1.2%でしかない。

11月に、ワシントンを訪れた時に、トランプ政権の旧知の関係者と会食し
たが、なかに国家安全会議(NSC)の幹部がいた。

 「ドイツの国防費は、1.2%にしかならない。ドイツ国民が自分の国
の価値が、それしかないとみなしているのなら、どうしてアメリカの青年
たちが、自国を大切にしない国を守るために、血を流す必要があるのだろ
うか」
 といった。

 日本はNATOの計算基準を当てはめると、防衛費として1.15%を
支出している。

 ここで、私が「防衛費」という言葉を使っていることに、注目していた
だきたい。「国防費」ということは、許されないからだ。

 日本は現行の「日本国憲法」のもとで、「国防」はアメリカに委ねて、
自衛隊はアメリカ軍を補助して「防衛」に当たることになっている。アメ
リカが日本の国防の主役であって、日本は傍役(わきやく)なのだ。

 日本国民は非常の場合には、アメリカが守ってくれると思い込んでいる
から、国防意識が低い。これでは、日本が亡びてしまう。

 韓国の文在寅(ムンジェイン)政権は、親北朝鮮政権であって、在韓米軍
が撤退することもありうる。

 憲法を改正して、自衛隊を保有することを憲法にうたうことを、急がな
ければならない。

2018年12月29日

◆本気のアメリカと慢心する中国

加瀬 英明


本気のアメリカと慢心する中国 米中の冷戦の先に見えるもの

私は11月にワシントンで、5日間過した。

アメリカは、中国の超大国化の野望を挫いて、中国を抑えつけることを決
意した。この決意はトランプ政権だけに、よるものではない。

国家安全会議(NSC)、国防省、国務省などが協議して決定したもので
はなく、誰がどうというより、政権、与野党、アメリカの中国専門家、シ
ンクタンク、識者などのコンセンサスであって、有機的にひろく形成され
たものだ。

習近平主席が訪米して、オバマ大統領と会談した後の共同記者会見で、南
シナ海に埋めたてた7つの人工島を、絶対に軍事化しないと誓約したのに
もかかわらず、ミサイルを配備して、世界の通商の4分の1以上が通る南
シナ海を内海に変えようとしていることや、異常な軍拡を行っているこ
と、世界制覇を企んで「一帯一路」計画を、強引に進めていることなど、
傍若無人に振る舞うようになったのに、堪忍袋の緒が切れたものだ。

今後、中国がすぐに引き下がることを、期待できないから、米中対決は長
く続こう。

私が前号で書いたように、貿易・関税戦争は入り口でしかない。

アメリカが中国と対決することに決したのは、トランプ政権が2016年
に発足してから、最大の決定だといわねばならない。

中国の野望を砕く戦略の中核にされているのが、中国への先端技術の移転
を停めて、中国の超大国化の源泉となってきた、先端技術の池の水を抜こ
うとすることだ。

私は福田赳夫内閣、中曽根内閣で、首相特別顧問という肩書を貰って、
カーター政権、レーガン政権を相手に対米折衝の第一線に立ったから、ワ
シントンは旧戦場だ。

ホワイトハウスに向かって、右側にオールド・エキュゼキュティブ・ビル
ディングという、副大統領の執務室もある、古い煉瓦造りの建物がある。
2016年にトランプ政権が舟出した時には、ここにハイテクノロジーの
担当者が1人しかいなかった。現在では、ハイテクノロジーの担当者たち
が、1(ワン)フロアを占めている。

習主席の中国は、「野郎自大」だ。「夜郎自大」は中国最古の正史である
『史記』に、夜郎という小国の王が、漢が広大で強大なことを知らず、自
らの力が勝っていると思い上がって、漢の使者に対して傲慢に振る舞った
という、故事によっている。

中国は歴代の統一王朝が、自分が全世界の中心だという、“中華主義”を
患ってきた。私は“中禍主義”と呼んでいるが、慢心して他国を見縊(みく
び)る、自家中毒症状を病んできた。

アメリカとソ連が対決した冷戦の舞台は、ヨーロッパや、朝鮮半島、アフ
ガニスタンであって、陸上の争いだった。

米中“冷戦”の主舞台は、陸ではない。海だ。

この冷戦は、米日対中の冷戦だ。トランプ政権が「太平洋軍」の呼称を、
「インド太平洋軍」に改めたのは、新たな冷戦の性格を表わしている。

中国にはソ連になかった、脆弱点がある。中国は世界貿易と、先進諸国か
らの投資に依存してきた。

20世紀と違って、製造・金融の拠点を国境を越えて、短時間で移転するこ
とができるから、中国の“仮想空間”である巨大経済を維持することが、難
しくなろう。

2018年12月28日

◆世界各地で高まる緊張

加瀬 英明


日本は生まれ変わらなければならない。米国に一方的に頼る時代は、終
わった。

トランプ政権は、米国が世界を一手に守ってきた重荷を軽くして、ヨー
ロッパや、日本などの同盟諸国が分担することを求めている。

多くの米国民が、外国を防衛する重荷を担うのが、不公平だとしている。

米国は国防費にGDP(国内総生産)の3.1%を、支出している。

ところが、オバマ政権下でNATO(北大西洋条約機構)に加盟するヨー
ロッパ27ヶ国が、GDP2%を国防費にあてると約束したのにもかかわら
ず、約束を守っているのは、イギリスなど7ヶ国だけで、ヨーロッパ第一
の大国のドイツは、1.2%でしかない。

11月にワシントンを訪れた時に、トランプ政権の関係者と会食したが、な
かに国家安全会議(NSC)の幹部がいた。

「ドイツの国防費は、1%ちょっとにしかならない。ドイツ国民が自分の
国の価値が、それしかないと思っているなら、どうして米国の青年がそん
な国を守るために、血を流す必要があるだろうか」と、いった。

 日本はNATOの計算基準を当てはめると、防衛費として1.15%を支
出している。
 
ここで、私は「防衛費」という言葉を使っていることに、注目していただ
きたい。「国防費」ということが、許されないからだ。

 日本は現行の「日本国憲法」のもとで、「国防」は米国に委ねて、自衛
隊は米軍を補助して「防衛」に当たることになっている。米国が日本の国
防の主役であって、日本は傍役(わきやく)なのだ。

 日本国民は非常の場合には、アメリカが守ってくれると思い込んでいる
から、国防意識が低い。

 緊張がたかまっているのは、日本がある東アジアだけではない。ヨー
ロッパでは、いつ、ロシア軍がバルト3国や、北欧を奇襲するか、緊迫し
た情況が続いている。中東も予断を許さない。もし、イランがペルシア湾
の出入り口を封鎖すれば、米軍が出動する。

 米国はもはや同時に二正面で戦う能力を、持っていない。もし、米軍の
主力がアジア太平洋からヨーロッパか、中東に移動したら、日本の周辺が
手薄になる。

 日本が平和を享受し続けるためには、国防に真剣に取り組まねばならない。

 憲法を改正して、自衛隊を保有することを書き込むことを、急がなけれ
ばならない。



2018年12月27日

◆中華思想で視野狭窄

加瀬 英明


「中華思想」で視野狭窄 ソ連崩壊と似た道

米中対決は、どこへ向かうのだろうか?

習近平主席の中国龍は、トランプ大統領の米国鷲に襲われ
て、鱗(うろこ)が飛び散るようになっている。

トランプ政権が、中国という“悪の帝国”を倒す戦略を進めている。

かつてレーガン大統領が、“悪の帝国(イービル・エンパイア)”と極め付け
たソ連を追いつめたが、中国もソ連と同じ自壊への道を、進むようになっ
ている。

ソ連は、効率が悪い計画経済によって病んでいたのに、無人のシベリア沿
海州開発に国力を浪費し、東ヨーロッパの衛星諸国という重荷をかかえて
いたうえに、第3世界に進出するのに力を注いだために、米国との競争に
耐えられなくなって、1991年に倒れた。

ソ連の最高指導者は、非科学的なマルクス主義の予言に従って、ソ連が世
界を支配するという使命感にとらわれて、世界制覇を急いだために、墓穴
を掘った。

習主席も、「偉大な中華文明の復興」という、自らの掛け声に陶酔して、
見せかけだけが壮大な「一帯一路」計画と、大海軍の建設を強行してお
り、ソ連が第2次大戦後に歩んだ道程に、よく似ている。

中国は分離独立闘争を恐れて、新疆ウィグル自治区や、チベットをはじめ
とする西域や、中部や、北部に過大な投資を行っている。 「一帯一路」
計画によって、70ヶ国近くを“幻(まぼろし)の中華圏”である、仮想空間に
取り込もうとしているが、多くのアジア諸国で挫折するようになっている。

ソ連は1950年代から、日本についで経済成長率が高かった。ソ連は1957年
に米国に先駆けて人工衛星『スプートニク』を軌道に乗せ、4年後に世界
最初の有人衛星飛行を行って、米国を震駭させたものだった。

ソ連は1970年代に入ると、少子高齢化が進んで、旺盛な高度成長を支え
た、豊富な安い労働力が失われるようになった。中国で同じことが、起っ
ている。

中国の指導部は、何千年にわたって自分が世界の中心だという中華思想に
よる知的障害を患ってきたので、傲慢に振る舞ってきたために、まともに
対外戦略をたてられない。

私は中華思想を“中禍思想”と呼んできた。プーチン大統領のロシアは戦略
が巧みなのに、中国は中華主義による自家中毒におちいって、視野が狭窄
している。

日本は米中対決の狭(はざ)間にある。米国が勝つことになるから勝ち組
につくべきだ。

2018年12月22日

◆ハイテクの中国流出を遮断

加瀬 英明


トランプ政権 ハイテクの中国流出を遮断

私は11月後半に、ワシントンに戻った。

“米中対決”は、1991年にソ連を崩壊に導いた「東西冷戦」に続く、「米中
冷戦」と呼ばれるようになったが、これはトランプ政権だけによる決定で
はない。

上から音頭をとったのではなく、共和、民主両党の議会の総意であり、米
国の識者、主要シンクタンク、大手メディアによって、有機的に生まれた
コンセンサスである。

中国龍に跨(またが)る習近平主席が、中国の力を過信して、米国を見縊
(みくび)って、世界の覇権を握ろうとしているのに対して、米国鷲が立
ち塞(ふさ)がった。

習主席は、南シナ海に埋め立てた7つの人工島を、「軍事化しない」と、
オバマ大統領に固く約束したのに、ミサイルを配備して、世界の主要な通
商路である南シナ海を支配しようとしているのをはじめ、中国からアジア
を通ってヨーロッパまでの諸国を取り込む「一帯一路」戦略を露骨に進め
ているのに、米国が堪忍袋の緒を切らした。

米中はすでに関税戦争で火花を散らしているが、11月のアルゼンチンの
G20サミットにおいて、トランプ大統領が習主席と会談して、米国がさら
に対中関税を引きあげるのを、90日間猶予することを約束した。だが、
90日間で複雑な交渉が、決着するはずがない。鷲と龍の格闘劇の中休み
にしかすぎない。

トランプ政権は、中国龍を躾けようとしているだけではない。真意は、中
国共産党体制を打倒することを、はかっている。

米中関税戦争は、序の口でしかないのだ。中国のファーウェイなどの通信
企業に対する締めつけも、軍拡競争も、傍役でしかない。

米中対決の主役は、中国にハイテクノロジー――先端技術が流れ込むのを絶
ち切って、枯渇させることだ。暴れ龍の血液の循環を、停めるのだ。

 ホワイトハウスに向かって、左側に「オールド・エキュゼキュティブ・
オフィス」と呼ばれる、煉瓦造りの古色蒼然とした建物がある。ここに歴
代の副大統領の執務室も、置かれている。

先端技術の発達の速度は、いっそう加速化している。トランプ政権が2年
前に船出した時には、ハイテクノロジーの担当者は1人しかいなかった
が、今では100人以上がワン・フロアを埋めて働いている。

日本は先端技術競争に、遅れをとってはならない。


2018年12月21日

◆中国の世界制覇を断固阻止

加瀬 英明


世界のありかたが新しいリーダーを生むのか、あるいは新しいリーダーが
現われて、世界のありかたを、つくり変えるのだろうか?

 トランプ大統領が突然のように、世界の桧(ひのき)舞台に登場した
が、いったい、どちらに当たるのだろうか?

トランプ大統領は、粗野乱暴で、衝動的に行動する。それだけにトランプ
政権が発足してから2年間、世界のかたちが激変している。

トランプ大統領が北朝鮮の金正恩委員長とサシで会談した結果、北朝鮮が
ミサイル発射と核実験を行わないでいるが、大きな功績だ。この状況が、
今後、少なくとも2年は続こう。

米国経済はオバマ政権まで、多くの規制が活力を損ねていたのを撤廃し、
失業率が50年振りに低いという、好況に転じた。

しかし、何といっても、トランプ政権の2年間の最大の出来事といえば、
中国が世界を制覇しようと野望を進めているのを挫(くじ)くことを、決
定したことだ。

トランプ鷲と習近平龍による、死闘の幕が切って降ろされた。

トランプ大統領が米国の舵(かじ)を握ってから、世界の潮流が逆流し始
めた。

世界を牛耳ってきたグローバリズムの時代が終わった。それぞれの国が、
国益を中心として行動する、古い世界に戻るのだ。

グローバリズムは、米大企業が金儲けのために自国の民衆を犠牲にして、
製造業を中国を主とする低賃金の国々へ放り投げて、所得格差を拡大する
ことによって、伝統的な社会生活や、習慣を破壊してきた。人と人との絆
(きずな)が粉々に砕かれて、個が尊重されるあまり、男女を区別するこ
とをはじめ、あらゆる差別が悪だとされるようになった。

民主党、大手メディア、高所得・高学歴者、主要研究所は、大企業によっ
て養われてきたから、グローバリストとして、“トランプ非難”の必死の大
合唱を行っている。

だが、トランプ大統領が米社会を分断しているのではない。米社会が分断
されていたから、“トランプ現象”が起って、共和党にとっても部外者だっ
た、トランプ大統領が誕生したのだ。

民主党は2年後の大統領選挙へ向けて、看板になるリーダーも、政策も欠
いて、息絶え絶えだ。

トランプ大統領が、今後、よほどのヘマをしないかぎり、トランプ時代が
続こう。

トランプ現象を正視しなければ、ならない。


2018年12月12日

◆兇獣が跋扈する国際社会の闇

加瀬 英明


トルコのサウジアラビア総領事館を訪れたアメリカに亡命中だったサウジ
アラビアの反体制ジャーナリストのジャミル・カショギ氏が、本国から派
遣された情報機関のチームによって、館内で惨殺された。

日本のテレビのワイドショーによって、連日、大きく取りあげられた。

トルコの新聞によって、カショギ氏が総領事館内で殺害されたと報じられ
てから、アメリカのポンペイオ国務長官が、カショギ氏殺害の疑いをめ
ぐって、サウジアラビアに急いで飛んで、実権を握っている33歳のモハ
マド・ビン・サルマン皇太子と会見した。

この時のポンペイオ長官とサルマン皇太子の写真を見ると、2人とも微笑
んでいる。

トランプ政権は、カショギ氏惨殺が事実であっても、サウジアラビアが中
東外交の重要な駒であり、武器輸出の大切な顧客であることから、大事
(おおごと)にしたくないと望んでいた。

サウジアラビア政府は殺害を隠蔽できず認めたが、政府や、皇太子の指示
によるものでなく、情報機関が勝手に行ったと言い逃れている。

読者の多くが、サウジアラビアに対してだけでなく、ポンペイオ長官が満
面の笑顔をつくって、サルマン皇太子と握手を交したのを見て、不快感を
いだかれただろう。

それなら、トランプ大統領が笑顔を浮べて、北朝鮮の金正恩書記長を抱擁
したのは、どうなのか。金書記長は異母兄の金正男(キムジョンナム)氏を
マレーシアで、白昼、暗殺したではないか。

トランプ大統領は、中国の習近平主席とも抱きあった。中国は新疆ウイグ
ル自治区で100万人以上を「集団訓練所」に拘置して、多くのウイグル人
を虐殺している。チベット、内モンゴルでも、戦慄(せんりつ)すべきこと
が起っている。

ところが、トランプ大統領が金書記長や、習主席と親密に振る舞っている
映像を見ても、強い嫌悪感に覚えることがないだろう。

ロシアのプーチン大統領も、国外に亡命した多くの反体制派を、暗殺して
いる。

私たちの日常生活の感覚で、諸外国を判断してはならない。サウジアラビ
アは、中国、北朝鮮や、ロシアと体質が変わらない国家だ。

世界は日本国憲法の前文で、たからかに謳(うた)っている、「公正と信
義」を重んじる「平和を愛好する諸国民」によって、構成されているわけ
ではない。国際社会は兇獣が横行するジャングルと、変わらないのだ。

私はこれまで、今年に入ってから2回にわたって、サウジアラビアが安定
を保てない可能性が高いと、警告してきた。

サルマン皇太子は、サウジアラビアの“脱石油化”をはかって、きらめく近
代国家に造り変えようとする、壮大な計画を進めてきたが、私は皇太子の
改革が成功するはずがないと、予想してきた。

カショギ氏はメディアが伝えているような、自由主義のジャーナリストで
はない。アル・カイーダや、ムスリム同胞団が信奉するイスラム原理主義
に加担して、サウジ王家が民意を踏み躙(にじ)っていることを、亡命先の
アメリカから激しく非難してきた。

サルマン皇太子がカショギ氏を目障わりだとして、計画的に殺害したの
は、人口2400万人あまりのサウジアラビアの安定がきわめて脆いことを、
示している。

皇太子が82歳で、病んでいるサルマン父王によって、罷免される可能性も
あろう。これまでサルマン国王は2人の皇太子を、解任してきた。

サウジアラビアをめぐる報道を、対岸の火災として見てはならない。日本
はサウジアラビアを中心とするアラビア半島の産油諸国から、日本経済を
支える石油天然ガスの80%を輸入している。アラビア半島が混乱に陥った
ら、日本が大きく蹌踉(よろめ)くことになろう。

日本のテレビの「ワイドショー」は「ショー」(英語で見世物)の言葉通
り、視聴者の好奇心だけみたす娯楽番組でしかない。


2018年12月07日

◆国を想う心を学ぼう

加瀬 英明


明治を創った英傑に、国を想う心を学ぼう

今年は、明治維新150周年に当たるが、『日本の偉人物語 伊能忠敬 西
郷隆盛 小村寿太郎』(光明思想社)という、幕末から日本を創った3人
を取りあげた、良書が出版された。各家庭に1冊、常備したい本だ。

伊能忠敬(いのうただたか)(1745年〜1818年)は農家の子で、和算(数
学)、天文学、測量を学び、55歳から17年かけて全国の沿岸を測量して、
精密な日本全図をのこした。

今年は、忠敬の没200年に当たる。私は忠敬の次女しのが、千葉の銚子の
隣の旭村(現旭日市)の農民・加瀬佐兵衛に嫁いだことから、忠敬の孫の
孫の子である玄孫(やしゃご)に当たる。

この春に、忠敬の没200年を記念して、都内のホールにおいて、忠敬の測
量に協力した人々の子孫が七十数人上京して、私たち忠敬の子孫から、感
謝状を贈る式典が催された。

忠敬は日本の近海を脅かすようになっていた、西洋諸国から日本を守るた
めに、精密な沿岸図をつくるのに、余世を捧げた。私の父方の祖父は、私
の生前に他界した。祖母のか津は、忠敬が養子となって酒造りをしていた
佐原の庄屋の近くの、醤油造り家の娘だったが、私に忠敬の国を想う心を
伝えた。

忠敬の直弟子であった間宮林蔵(まみやりんぞう)も、烈々たる愛国者だっ
た。忠敬の没後に、北方の千島列島と樺太の測量を行ない、幕末の安政
2(1855)年に結ばれた露和新条約によって、国後(くなしり)、択捉
(えとろふ)、歯舞(はぼまい)、色丹(しこたん)の北方四島を、日本領とし
て認めさせた。

今日でも、樺太とシベリアの間の海峡が、間宮海峡と呼ばれるが、林蔵の
業蹟である。日ロ間で明治5(1875)年に、千島樺太交換条約が結ばれ、
千島列島がすべて日本領となったが、林蔵の力によるものである。

西郷隆盛は、私の母方の郷里の鹿児島が生んだ明治維新の英雄だ。西郷の
大活躍はよく知られているが、西郷の右腕として尽力したのが、山岡鉄舟
だった。鉄舟なしには、西郷と勝海舟による江戸無血開城はなかった。

鉄舟は旗本の五男で、剣道の達人だったが、生涯、無私無欲で、日本の行
く末だけをひたすら想った。西郷に鉄舟を評して、「命もいらぬ、名もい
らぬ、金もいらぬといったような、始末に困まる人です」といわせてい
る。西郷だからこそ、鉄舟を見込むことができたのだった。

小村寿太郎(こむらじゅたろう)(1855年〜1911年)は、今日の宮崎県に
あった、飫肥藩(おびはん)の藩士の子として生まれた、明治を代表する外
交官である。

寿太郎は小柄だったが、日本男子の気魄(きはく)に満ちていた。寿太郎が
育った日南市にある『小村寿太郎記念館』に、寿太郎が日露戦争の講和条
約であるポーツマス条約を調印した時に着た、フロックコートが展示され
ているが、七五三の少年の衣装のように小さい。

私の自宅の近くに『振徳館』という、飫肥藩の藩校の名をとった、武道の
道場があるが、毎年、新年の道場開きに招かれて、乾杯の発声を行うこと
になっている。居合、警視庁師範による逮捕術、陸上自衛隊員による銃剣
術、空手道の演武などが、繰り広げられる。

日本が明治維新という、世界の奇蹟を行うことができたのは、国民が国を
想う燃えるような心と、武を磨いたからだった。

日本国憲法は前文から、自虐精神によって始まっており、日本が自立する
ことを否定している。

幕末から明治にかけた先人たちが、この憲法を読んだら、いったい、どう
思うだろうか。

2018年12月06日

◆国を想う心を学ぼう

加瀬 英明


明治を創った英傑に、国を想う心を学ぼう

今年は、明治維新150周年に当たるが、『日本の偉人物語 伊能忠敬 西
郷隆盛 小村寿太郎』(光明思想社)という、幕末から日本を創った3人
を取りあげた、良書が出版された。各家庭に1冊、常備したい本だ。

伊能忠敬(いのうただたか)(1745年〜1818年)は農家の子で、和算(数
学)、天文学、測量を学び、55歳から17年かけて全国の沿岸を測量して、
精密な日本全図をのこした。

今年は、忠敬の没200年に当たる。私は忠敬の次女しのが、千葉の銚子の
隣の旭村(現旭日市)の農民・加瀬佐兵衛に嫁いだことから、忠敬の孫の
孫の子である玄孫(やしゃご)に当たる。

この春に、忠敬の没200年を記念して、都内のホールにおいて、忠敬の測
量に協力した人々の子孫が七十数人上京して、私たち忠敬の子孫から、感
謝状を贈る式典が催された。

忠敬は日本の近海を脅かすようになっていた、西洋諸国から日本を守るた
めに、精密な沿岸図をつくるのに、余世を捧げた。私の父方の祖父は、私
の生前に他界した。祖母のか津は、忠敬が養子となって酒造りをしていた
佐原の庄屋の近くの、醤油造り家の娘だったが、私に忠敬の国を想う心を
伝えた。

忠敬の直弟子であった間宮林蔵(まみやりんぞう)も、烈々たる愛国者だっ
た。忠敬の没後に、北方の千島列島と樺太の測量を行ない、幕末の安政
2(1855)年に結ばれた露和新条約によって、国後(くなしり)、択捉(え
とろふ)、歯舞(はぼまい)、色丹(しこたん)の北方四島を、日本領として
認めさせた。

今日でも、樺太とシベリアの間の海峡が、間宮海峡と呼ばれるが、林蔵の
業蹟である。日ロ間で明治5(1875)年に、千島樺太交換条約が結ば
れ、千島列島がすべて日本領となったが、林蔵の力によるものである。

西郷隆盛は、私の母方の郷里の鹿児島が生んだ、明治維新の英雄だ。西郷
の大活躍はよく知られているが、西郷の右腕として尽力したのが、山岡鉄
舟だった。鉄舟なしには、西郷と勝海舟による江戸無血開城はなかった。

鉄舟は旗本の五男で、剣道の達人だったが、生涯、無私無欲で、日本の行
く末だけをひたすら想った。西郷に鉄舟を評して、「命もいらぬ、名もい
らぬ、金もいらぬといったような、始末に困まる人です」といわせてい
る。西郷だからこそ、鉄舟を見込むことができたのだった。

小村寿太郎(こむらじゅたろう)(1855年〜1911年)は、今日の宮崎県に
あった、飫肥藩(おびはん)の藩士の子として生まれた、明治を代表する外
交官である。

 寿太郎は小柄だったが、日本男子の気魄(きはく)にみちていた。寿太郎
が育った、日南市にある『小村寿太郎記念館』に、寿太郎が日露戦争の講
和条約であるポーツマス条約を調印した時に着た、フロックコートが展示
されているが、七五三の少年の衣装のように小さい。

私の自宅の近くに『振徳館』という、飫肥藩の藩校の名をとった、武道
の道場があるが、毎年、新年の道場開きに招かれて、乾杯の発声を行うこ
とになっている。居合、警視庁師範による逮捕術、陸上自衛隊員による銃
剣術、空手道の演武などが、繰り広げられる。

日本が明治維新という、世界の奇蹟を行うことができたのは、国民が国
を想う燃えるような心と、武を磨いたからだった。

日本国憲法は前文から、自虐精神によって始まっており、日本が自立す
ることを否定している。

幕末から明治にかけた先人たちが、この憲法を読んだら、いったい、ど
う思うだろうか。