2017年12月13日

◆迎撃システムを緊急整備せよ

加瀬 英明

迎撃システムを緊急整備せよ

トランプ政権が北朝鮮に先制攻撃を加えることがなければ、来年も高い緊
張が続こう。

それとも、北朝鮮は経済制裁によって崩壊するだろうか? この冬、北朝
鮮は凶作によって深刻な危機を迎えるといわれる。

だが、自壊しまい。クリントン政権は金日成首席が死亡して、金正日総書
記が継ぐと、北朝鮮で飢饉によって100万人以上が餓死していたので、ほ
どなく崩壊すると判断して、北朝鮮が核開発をしないと約束したために、
経済援助を与えた。

ところが、北朝鮮は人口が2000万人台と小さいために、体制が揺らがな
かった。

歴史を振り返ると、朝鮮半島では苛酷な政治が行われていたが、人口が大
きな中国で王朝が頻繁に交替したのと違って、新羅(紀元前57年〜935
年)、高麗(918年〜1392)、李氏朝鮮(1392年〜1910年)も人口が少な
く統制しやすいために、それぞれ400年以上続いた。

このあいだ、日本はどうすべきか。北朝鮮からの脅威は、弾道弾しか考え
られない。北朝鮮が航空機を用いて日本を攻撃することはありえない。特
殊部隊が上陸してきても、対応できる。

だが、弾道弾は人にたとえれば生真面目で、きめられた道を愚直に進んで
くるから、迎撃ミサイルによって撃破できる。

航空機や巡航ミサイルは、右へ左へ高く低く自由自在に飛ぶから、撃破す
るのが難しい。北朝鮮はハイテクの巡航ミサイルを持っていないし、航空
機はすべて旧式だ。

ところが、日本は弾道弾を迎撃するために、海上自衛隊のイージス艦を除
けば、北海道から沖縄まで僅か17セットのPAC3しか保有していない。
東京をとれば、防衛省の構内に1セット配備されているが、せいぜい半径
30キロメートルしか守れない。

米国から陸上配備型イージスや、PAC3などの最新システムを緊急輸入
して、弾道弾に対する守りを固めるべきだ。

トランプ大統領が来日した時に、米国製兵器を「押し売りした」といって
非難するのは、世迷い言(ごと)だ。国民の生命を軽んじている。有難く買
わせていただこう。

日本国憲法の解釈による「専守防衛」は、国民の生命を危険に曝してい
る。北朝鮮を攻撃できる能力を、急いで持つべきだ。自滅的な「専守防
衛」にこだわって、悲惨な本土決戦を戦うことを選んではなるまい。


2017年12月06日

◆憲法改正によって日本を洗濯するとき

加瀬 英明


日本は2600年以上にわたる歴史を持っている。この日本の歴史と、僅か
70年にしかならない現行憲法と、どちらが大切だろうか。それも、現憲
法は外国であるアメリカが占領下にあった日本に、強要したものだ。

10月の総選挙の投票日は日本列島を、超大型といわれる台風が襲った。今
年は明治元年から150年目に当たる。

私は地面を洗うように大雨が降るのを見て、幕末の志士の坂本龍馬が姉の
乙女に宛てて、「この国を洗濯致し度候」と、手紙書に書いたのを思い出
して、天が安倍政権を大勝させて、憲法を改正することによって、日本を
洗濯することになるのだと思った。

国会において改憲派の議席が議憲派を、大きく上回った。戦後はじめて憲
法を改めて、長いトンネルを抜け出す出発点に立った。

選挙戦中に「北朝鮮の脅威」をはっきりと訴えたのは、自民党と「日本の
こころ」だけだった。自民党すら憲法改正を公約としたものの、争点とし
て打ち出すことを躊躇した。

枝野幸男氏たちが立ち上げた立憲民主党が躍進して、野党第一党となっ
た。東京の比例区では、自民党が180万票獲得したのに対して、立憲民主
党に140万票が投じられた。

マスコミが立憲民主党の躍進を「判官(ほうがん)贔屓」と、解説した。日
本人は源義経を主人公とした浄瑠璃や、歌舞伎などの判官物を好んでき
た。だが、枝野氏たちは義経の直向(ひたむ)きな生きかたと、まったく
違った。希望の党に雪崩れ込んだものの、「排除」されたために、慌てふ
ためいて新党をつくった。

私は枝野氏たちと信条を異にするが、民主党を離れてすぐに立憲民主党を
立ち上げていたなら、それなりの敬意を払っただろう。

立憲民主党は選挙戦中北朝鮮危機に目を閉じて、ひたすら“平和”憲法を守
り、安保関連法に断乎反対して、自衛隊が「専守防衛」に徹するべきだと
訴えた。

北朝鮮危機を乗り越えるために、アメリカに頼るほかない現実を無視して
いるが、日本が独力で北朝鮮危機に対応できないのは、「平和憲法」に
よって自衛隊が、米軍を補助する役割しか演じられないからだ。

安保関連法なしに、日米同盟関係を強化することはできない。安保関連法
に反対するのなら、米軍による保護なしに日本を護れる防衛力を整備する
ことを、主張するべきだ。

立憲民主党に投票した人々は、日本が当事者だという認識を欠いて、アメ
リカに甘えていさえすればよいと、考えている。

それほど、アメリカを信頼してよいものなのか。それでは独立の気概を捨
てて、アメリカに魂を売ったようなものだ。

日本に迫っている脅威は、北朝鮮危機だけではない。中国が尖閣諸島を
奪って、日本を属国化しようと、虎視眈眈(こしたんたん)と狙っている。

日本は独立の度合を高めなければ、危うい。

そのためには、独立国としてふさわしい憲法を、一日も早く持たなければ
ならない。

日本国憲法さえあれば、日本の安全を守れると訴えているのでは、先の大
戦末期に「日本精神さえあれば、神州不滅だ」と叫んでいた、狂信的な軍
人たちと変わらない。

「専守防衛」となると、敵軍が日本に上陸してから、本土決戦を戦わなけ
ればならない。

あるいは、枝野氏たちは先の大戦末期に、「一億総特攻」に徹して本土決
戦を戦わなかったことを、悔いているのだろうか。


2017年12月02日

◆破壊されたバーミアン大仏

加瀬 英明

破壊されたバーミアン大仏から見えてくるもの

爆破された貴重な仏教遺跡

10月に東京においてアフガニスタンで2001年に無惨に破壊された、バーミ
アンの大仏を再建する方策を検討する国際シンポジウムが開かれた。

私はシンポジウムを取り上げたテレビのニュースを見ながら、西洋のキリ
スト教の歴史と、今日のイスラム教に思いを巡らせた。

バーミアンはアフガニスタン中央部の盆地にあって、南北交易路の要衝
だったことから、9世紀まで仏教王国として栄えた。

山腹に刻まれた巨大な2体の大仏立像があったが、イスラム過激派のタリ
バン政権によって爆破された。

2体とも、世界的に貴重な仏教美術遺産だった。東西2軀のうち西
側の大仏は、高さが55メートルもあった。

私はタリバンが爆破した瞬間を撮影した映像が、テレビで放映された時
も、ヨーロッパの歴史を思った。

シリアではイスラム国(IS)によって、3世紀に遡るローマ時代の多神
教の壮麗なパルミュラ遺跡が、イスラム教を冒涜するものとして、破壊さ
れたことはよく知られる。

私たちは眉を顰めるが、これらの遺跡を破壊するのに当たって、タリバン
政権も、イスラム国も神の意志を代って行っていると、固く信じていたは
ずである。

 イスラム教の2大宗派による抗争

今日、中東と北アフリカでは、イスラム教の2大宗派であるスンニー派
と、シーア派が、アフガニスタン、イラク、シリアから、リビアまで血を
血で洗う凄惨な抗争を繰りひろげている。まったく終わりが見えない。

10月に、クルド族によるシリア民主軍が、イスラム国の“首都”だったラッ
カを制圧したが、ISが解体したとしても、今後、シリアに平和が甦るこ
とはないだろう。

宗教戦争が進んでいるのだから、アラビア半島まで混乱が波及して、サウ
ジアラビアをはじめとする、湾岸産油諸国を呑み込む可能性もあろう。

私たちはイスラム教が寛容をまったく欠いており、暴力を手段とする“変
種”の宗教であると、奇異の眼をもってとらえがちだ。しかし、イスラム
教はユダヤ・キリスト教を母胎として生まれたが、キリスト教の再来であ
ると考えれば、“変種”ではけつしてない。

 大英博物館を訪れて

ローマ帝国によって迫害されていたキリスト教が、ローマ帝国の国教とし
て採用されたのは、後に大帝と呼ばれたコンスタンティヌス1世が、
312年にキリスト教徒の助けによって、テレベ河の戦いに勝ったのが
切っ掛けとなった。キリスト教化すると、異教となった多神教の神殿や、
彫像、列柱が、帝国の全域にわたって破壊された。

キリスト教は偶像崇拝を禁じたから、ギリシアのアテネ、シリアのパル
ミュラから、エジプトにあった神殿まで、容赦なく破壊された。

私はロンドンの大英博物館で案内してくれた学芸員から、展示された多く
のギリシア・ローマ時代の神像や、彫像が大きく破損しているのは、キリ
スト教徒の手によるものだと、説明をきかされた。

大理石の彫像や、列柱が粉々に砕かれて、キリスト教会を建てるために、
モルタルとして使用されたということだった。キリスト教徒は、タリバン
や、ISの先駆けだったのだ。

イスラム教は、まだ若い宗教なのだ。キリスト教より600年後に、開祖マ
ホメッドによって生まれた。

今日、イスラム世界に起っていることは、キリスト教が300年前まで行っ
ていたことだと、考えればよい。ヨーロッパでは、カトリック(旧教)教
徒とプロテスタント(新教)教徒が、2世紀にわたって宗教戦争を戦うこ
とによって、大量の人命が奪われ、ヨーロッパ全土を荒廃させた。

今日でも、先進国イギリスの北アイルランドにおいて、1990年代にカ ト
リックとプロテスタント住民のあいだで停戦合意が行われたものの、い
まだに銃撃戦が発生している。

 「宗教」という言葉は明治になって造られた

 中東に戻れば、イスラム国が倒されたとしても、イスラム過激主義とい
うイデオロギーが、消滅することはない。いくら激しい空爆や、砲撃を加
えたとしても、理想主義(イデオロギー)を破壊することはできない。

 このところ、ヨーロッパがイスラムによるテロ事件によって悩まされて
いるが、イスラムがヨーロッパを呑み込もうとしており、まだ始まったば
かりのところだと、考えるべきだろう。

 イスラム過激主義は、東南アジアにも拡がりつつある。日本に入国する
外国人観光客や、人手不足を補うための研修労働者が増えるなかで、不断
の警戒を怠ってはならない。

 日本は幸いなことに、明治に入るまで宗教と無縁だったために、国内の
安寧が保たれた。

 「宗教」という言葉は、明治に入ってから新しく造語された、おびただ
しい数にのぼる明治翻訳語の一つである。それまで日本語のなかには、
「宗門」「宗旨」「宗派」という言葉しか、存在しなかった。宗門や宗派
は争うことなく、共存――共尊していた。

 キリスト教という寛容を欠き、他宗を認めることを拒む信仰が入ってく
ると、それまでの日本語では表現できなかったので、「宗教」という新語
を造らねばならなかった。

 福沢諭吉が『西洋事情』のなかで明治訳語について、「西洋の新事物輸
入するに」あたり、「恰(あたか)も雪を知らざる印度人に雪の詩を作らし
む用の沙汰なれば(略)新日本の新文字を製造したる其(その)数亦尠(ま
たすく)なからず」と、書いている。「宗教」も、その一つだった。

 心を用いる神道は宗教ではない

 日本の在来信仰である神道は信仰であるが、宗教ではない。人がまだ文
字を持つ前に生まれ、開祖も、経典も、聖書も、言葉を多用した煩雑な教
えも存在しない。

 宗教では、人が中心になっているのに対して、神道は万物のなかに霊力
が宿っていて、自然全般が神々しい存在とされている。

 「レリジョン」(宗教)の語源は、ラテン語の「レリギオ」だが、類語
の「レリガーレ」は「固く縛る、束縛する」を意味している。神道を宗教
とみなすのは、インド人に雪について詩を書かせるようなことだ。

 神道という言葉も、新しい。それまで名がなかったが、仏教が儒教とと
もに伝来した時に、仏教と区別するために生まれた。

 宗教は言葉から成り立っている。日本は中国大陸や朝鮮半島と違って、
冗舌であったり、言葉によって成り立っている論理を、本能的に嫌った。

 日本では太古の昔から言葉が対立を招いて、和を損ねることを知ってい
たから、「言挙(ことあ)げしない」といって、言葉を多用することを戒め
てきた。また「言霊(ことだま)」といって、言葉を用いる時には、よい言
葉を発しなければならないと、信じた。

 宗教が言葉を使って組み立てられているのに対して、神道は心の信仰で
ある。人は心を分かち合えるが、論理はかならず対立をもたらす。

 「指導者」や「独裁者」という言葉も、明治に入るまで日本語に存在し
なかった明治翻訳語である。天照大御神は最高神として権威を備えていた
が、西洋、中東や、中国、朝鮮の最高神が独裁神であるのと違って、つね
に八百万(やおよろず)の神々と合議している。日本には、全能の神という
発想がなかった。

 神道こそが世界を救う

 「根回し」「稟議」という言葉は、ヨーロッパ諸語にも、中国語、韓国
語にもなく、日本語にしかない独特なものだ。今日でも、日本には論理に
よって人々の上に立つ「指導者」や、「独裁者」が存在していない。

 自然を尊んで、自然が神々だとする信仰はエコロジーであり、今日の人
類にとってもっとも進んだ教えである。

 私は神道が、世界を救うと信じている。この和の信仰を国際化して、全
世界にひろめたいと願っている。

2017年11月26日

◆アジアの覇権を狙う中国の思惑

加瀬 英明

北朝鮮危機に見えるアジアの覇権を狙う中国の思惑

トランプ大統領が来日した。

これから北朝鮮危機が、いったい、どのような進路をたどるのか、分から
ない。

私はトランプ大統領は、北朝鮮が極端な挑発行動にでないかぎり、北朝鮮
に先制攻撃を加えることは、十中八、九ないと思う。

北朝鮮から戦争を始めることは、ありえない。そうなると、これから1年
以上現状が高い緊張のもとで、続いてゆくことになる。

このあいだに、北朝鮮は核開発を進め、向う1年か1年半以内に、核弾頭
を小型化するのに成功して、日本が核ミサイルの射程内に入ることになる。

そうなると、日本にとって悪夢となる。

北朝鮮は日朝がまだ戦争状態にもないのに、「日本を海底に葬ってやる」
と、威嚇している。もし、金正恩委員長が核ミサイルを持ったら、「日本
が朝鮮半島を奴隷化した罪を償うために、X兆円の賠償金を払わなけれ
ば、核攻撃を加える」といって、恐喝してこよう。

日本は憲法解釈による「専守防衛」政策に縛られて、北朝鮮の目標を攻撃
する手段を、何一つもっていない。

いまのところ中国は北朝鮮に核開発を放棄させるために、石油の全面禁油
を実施することを含めて、真剣な努力を行っていない。

だが、中国が何よりも恐れているのは、日本が北朝鮮に攻撃を加える能力
を獲得して、日本が北朝鮮を無力化するのに当たって、中心的な役割を果
たすことだ。日本が中国と並ぶアジアの主要なプレイヤーとして登場する
ことが、あってはならない。

中国は日本が北朝鮮を攻撃する能力を含めて、真剣な防衛力整備を始めた
と信じることがあったら、北朝鮮の核開発を真剣になって阻もうとするだ
ろう。中国は北朝鮮の核開発が日本の核武装をもたらすと確信したら、米
韓地上軍が南北境界線を越えないかぎり、アメリカが北朝鮮の核施設を爆
撃することを、歓迎することになろう。

中国はアジアの羅権を握ろうとしており、アメリカがいずれグアム以北の
太平洋から撤退するとみているから、アメリカが主敵ではなく、日本が主
敵となっている。

日本が中国と対等な国家となることには、耐えられない。

中国は先の日本の総選挙で、“平和憲法”の遵守と「専守防衛」に徹すべき
ことを、朝日新聞とともに主張する立憲民主党が、大量集票したことに安
堵の溜息をもらしたはずだ。

中国は日本が北朝鮮の核ミサイルの脅威に震えあがって、畏縮することを
快感をもって眺めよう。

日本は北朝鮮が核ミサイルを手にするまでは、アメリカの保護のもとに温
(ぬ)く温(ぬ)くと生きられる。護憲派は「平和」という呪文を唱えていれ
ば、安寧に暮らせると説く祈祷師の集まりだ。

だが、昔から、「座して食らえば山も空(むな)し」(働かないで暮してい
れば、山のように豊富な財産もなくなってしまう)というではないか。

トランプ政権は中国を北朝鮮に耐えられない圧力を加えるように嗾(けし
か)けてきたが、中国はアメリカに従うふりをしながら、アメリカをあや
してきた。もはや、アメリカは中国を動かせない。

そうなると、日本がカードを握っている。

日本は普通の国並みの軍事力を持つ方向へ、舵を切るべきだ。

2017年11月10日

◆「希望の党」が憲法改正の希望となる日

                  加瀬 英明

10月22日の開票の結果によって、65にわたった日本の長い暗夜が終わっ
て、日本に朝が訪れることになるかもしれない。

9月28日に、民進党の両院議員総会が開かれて、前原誠司代表の呼び掛け
に従って、民進党の衆院議員全員がそろって離脱して、小池百合子代表の
希望の党に合流することに合意した。

私はその直後に、小池代表が「改憲・安保法に反対した者は、受け入れな
い」といって拒んだ時に、神々は日本を見離していないと、胸が躍った。
 
一部で、「同じ女性でも、若い弁護士を弄んだ山尾先生よりも、小池先生
の方が日本を弄んでいるから、スケールがはるかに大きい」と揶揄(やゆ)
していたが、私は小池代表が日本の朝を引き寄せたと、思った。

自公がどれだけとるか、希望の党がどこまで伸びるのか分らないが、日本
維新の党を加えれば、改憲勢力が日本の強い流れとなることを期待している。

私は選挙についてまったくのシロウトだから、淡い希望で終わるかもしれ
ない。

もっとも、希望の党は誰でも名乗れる党名だし、「花粉症をゼロにする」
といった、手軽な公約に不安がのこる。

それにしても、前原代表を選出した民進党大会から僅か28日後に、希望
の党に雪崩をうって合流したいと望んだ民進党の“リベラル派”議員は、情
けない。慌てて「立憲民主党」をつくったが、“ホームレスの”党とか、
“おちうどの”党とかルビをふりたい。

“リベラル派”議員は「ドングリころころどんぶりこ、小池にはまってさぁ
大変」という、児童劇を演じているのだろうが、私は選良がたが醜態を演
じるのを見て、小泉八雲ことラフカディオ・ハーンが、かつて「日本人に
とって信念は、心理的衣装(サイコロジカル・コスチューム)にしかすぎな
い」と指摘したことを、思い出した。

ハーンは多くの日本人がすぐに新しい状況に身を委ねるので、信念とか、
理念といっても、借着のようなものだと皮肉ったのだった。

“リベラル派”の議員は、希望の党がまだ政策も発表していなかったのに、
全員が駆け込むことにしたのだから、信念も理念もあったものでなかっ
た。なぜ、民進党に留まらなかったのか。信念は借着だったのだ。

かつて村山富市氏が、自民党との連立政権の首相となった時に、それまで
自衛隊が違憲であり、日米安保条約を解消する信念を主張していたのに、
自衛隊も、日米安保体制も受け入れた。

護憲派の多くの人々が、この程度の信念しか持っていないとすると、この
人たちに国民の生命を託してよいのか、疑わざるをえない。

護憲派が信仰する平和主義は、精神が何よりも尊いとする精神主義であっ
て、精神が日本の平和を護ってくれるというものだ。北朝鮮も、中国も、
この崇高な精神を理解してくれるはずだから、日本を害することがない
と、確信しているのだろう。

護憲派の人々に「『平和憲法』と呼ばれる、日本国憲法は精神主義でしか
ない。呪(まじな)いの護符以外の何ものでもない」といったら、きっと怒
ることだろう。

私は護憲派の善男善女を見ていると、72年前の夏の敗戦の最後の日ま
で、「神州不滅」「一億総特攻」を叫んでいた狂信的な軍人たちが、“護
憲主義”の衣をまとって舞い戻ってきたのに、ちがいないと思う。多くの
至純な軍人たちは、「“万邦無比(世界に他にない)の日本精神”があるか
ら、日本は絶対に滅びない」と、確信していた。

護憲主義も、惨憺たる敗戦を招いた精神主義であって、何一つ変わらない。

先の大戦が終わってから、72年もたつのに、いまだに日本は危険きわまる
国粋主義の手から逃れることが、できないでいる。

日本国憲法が、その邪しまな聖典となっている。一日も早く憲法を改めた。

2017年10月31日

◆トランプ大統領見誤ってはならない 

   加瀬 英明

トランプ大統領のアメリカを見誤ってはならない

私はこのままゆけば、トランプ大統領が2020年に再選される可能性が、高
いと思う。 

日本ではトランプ大統領のもとで、アメリカが解体しかねないとか、弾劾
されてじきに罷免されようという議論が、さかんだ。今日のアメリカにつ
いてまったく無知な見方が、大手を振って罷り通っている。

アメリカで国を2つに割って、壮絶なカルチャー・ウォア――文化戦争と訳
すべき戦いが繰り広げられている。毛沢東のもとで行われた「文化大革
命」に匹敵するものだといえよう。

大混乱だ。伝統的なアメリカを融解させようとする、ニューヨーク、カリ
フォルニア州を中心とする急進(リベラル)勢力と、「ミドル・アメリカ」
と呼ばれるアメリカ中西部諸州を中心とする旧守勢力が戦っている。

ヒラリー・クリントン支持は何か

急進(リベラル)勢力は昨年の大統領選挙でヒラリー・クリントン候補をあ
げて支持した、知的エリートに従う市民層、大手新聞・テレビ、グローバ
リゼーションを追求する大企業などだが、“台風の目”は、LBGTQや、
男女差、人種、不法移民などに対する、いっさいの差別を排除し、自己主
張を何よりも尊ぶ「アイデンティティー・ポリティクス」である。

LBGTはレズビアン、バイセクシュアル、ゲイ、トランスセクシュアル
の頭文字で、日本でも知られているが、“Q”はqueer(クイアー)で、
LBGTの総称でもあったが、このあいだまでは変態、変人を意味する罵
り言葉だった。ところが、いまでは真当な言葉とされている。

「私はクイアーだ(アイム・クイアー)」と胸を張って、いえるようになっ
ている。もし、そういわれたら、敬意をこめた表情をして、頷かねばなら
ない。

ニューヨークや、カリフォルニア州などの幼稚園や小学校では、入園、入
校する児童に「男の子として扱われたいの、女の子として扱われたいの」
と、たずねなければならない。

昨秋、『ニューヨーク・タイムズ』紙の一面に「ミスター、ミセス、ミス
は性差別に当たるから、Mxと呼ばなければならない」という、大きな記
事が載った。
 

私はその直後に、アメリカ大使館の女性の公使と夕食会で同席した時に、
「Mxはどう発音するんですか」と質したところ、そんなことも知らない
のかという、冷い眼差しをして、「ミックス」と教えてくれた。

1960年代から「チェアマン」(議長)「マンカインド」(人類)は女性差
別だから、「チェアパーソン」「ヒューマンカインド」と言い替える“言
葉狩り”が始まったが、民主党のオバマ政権のもとで、いっそう酷くなった。


トイレの男女別を無くした

オバマ大統領は政権最後の年に、「自分が信じる性別に従って」、男女の
トイレのいずれを使ってもよいという、大統領令を発した。大統領令は法
律だが、さすがにいくつかの州が憲法違反として、連邦最高裁に提訴した。

私が昨年ワシントンを訪れた時に、レストランの中に、トイレの男女別の
表示を撤去した店があった。もっとも、今年6月に戻ったところ、トラン
プ政権のもとで男女の別が再び取りつけられていた。

進歩(リベラル)勢力は、自分たちが「正常(セイン)」で、「ミドル・アメ
リカ」の州民をはじめとする旧守勢力が「未開(バックワード)」だとか、
「知的発達障害(リターテッド)」を患っているとみて、蔑(さげす)んでいる。

LBGTQの権利を主張する運動は、かなり前から始まっていた。アメリ
カのネットで「セックス・アンド・ジェンダー」を取り出すと、性別が
LBGTだけではなく、さらに63に細分化されることが分かる。

「ジェンダー」は日本語にないが、「文化・社会的な役割としての性」を
意味している。長いリストを読んでゆくと、肉体的特徴から性の嗜好まで
分かれ、それぞれ尊重しなければならない。

SNSも自己主張に充ちているために、人々の細分化をいっそう促している。


8月に首都ワシントンの隣のバージニア州シャーロットビルで、州当局の
決定に従って、南北戦争の南部の英雄ロバート・リー将軍の銅像を撤去し
ようとしたところ、撤去に反対する旧守派市民と、急進派(リベラル)市民
が衝突する騒ぎになった。反対派に白人至上主義のKKK(クークラクス
クラン)や、ナチスの鉤十字旗(スワスチカ)を掲げた者がいた。

「アンティファ」と称する過激派

トランプ大統領が双方の暴力行為を非難したところ、アメリカの大手新
聞・テレビが「白人至上主義者」を擁護したといって、こき下ろしたが、
公正を欠いていた。


急進派(リベラル)のなかに「アンティファ」(アンチ・ファシストの略)
と称する、黒い覆面に黒装束の過激派がいて、投石や暴行を働いた。アン
ティファは大統領選挙中も、トランプ大統領就任式に当たっても、映像に
登場していた。

南部諸州では、南部連合旗の掲揚を禁じ、銅像の撤去、公共の場所、施設
名を変えることが進んでいるが、南部だけに限られない。

ニューヨーク・マンハッタンのセントラル公園(パーク)に建つ、クリスト
ファ・コロンブス像の撤去を求める運動や、全米で10月第2週の月曜日が
「コロンブス・デイ」として祝日とされてきたが、「コロンブスがアメリ
カを発見した」というのは、白人至上主義だとして廃止するところが、相
次いでいる。

名門プリンストン大学では、第1次大戦時のウィルソン大統領が白人至上
主義者だったといって、ウィルソン研究所(センター)を改名しようという
運動が進んでいる。このような例は、枚挙に遑(いとま)がない。

ワシントン大統領も、『独立宣言』を起草した、3代目大統領のジェ
ファーソンも、アメリカの「建国の父(ファウンディング・ファーザー
ズ)」のほぼ全員が奴隷所有主だったことから、首都の名からすべて改め
なければならなくなってしまう。このまま「歴史浄化(ピューリフィケー
ション・オブ・ヒストリー)」が進めば、アメリカが解体してしまおう。

もっとも、アメリカのどの世論調査をとっても、歴史上の人物の銅像を撤
去したり、街路、公園、施設、市町村などの名を変えるのに対する反対
が、半数を超えている。アメリカの建国そのものを、否定するものだ。


私は1950年代にアメリカで学んだが、アメリカ人はジョークを好む“笑い
の民”だったのに、このところ「アイデンティティー・ポリティクス」が
暴威を振っているために、何であれ、笑いの対象にできなくなったため
に、笑いが失われるようになっている。

 
自由競争が建国の精神だ

この脇で、民主党は新しいリーダーも、理念も打ち出せず、2020年の 大
統領選挙をどのように戦えるのか、見当がつかない。

民主党ではクリントン候補を脅した、サンダース上院議員によって代表さ
れる、貧富の格差をなくそうと訴える社会主義が、力を持つようになって
いる。経済的平等を求めることは羨望から発しており、建国の精神である
自由競争に基く市場経済を、否定するものだ。

トランプ大統領は連邦議会と衝突しているが、旧守派の国民は議会を共和
党の幹部議員を含めて、リベラルだとみて喝采している。

たしかに、トランプ大統領は口が軽く、衝動的であるために、自分自身が
最大の敵となっている。それでも、アメリカの伝統社会の守護神となって
いる。

 本年6月、62%が中流階級以上だと回答

アメリカでは、トランプ政権発足後、自分を中流階級としてみる者が急増
している。


レーマン・ショック前の2006年のギァロップ調査では、国民の60%が中流
かそれ以上と答え、38%が労働者階級とみていたのに対して、2015年には
51%が中流以上、48%が労働者階級と答えていた。

今年6月には、62%が中流以上だと答えている。トランプ政権のもとで経
済の行方を楽観する者が増えている。

 リベラル派市民のなかに経済が上向いていると感じている者が多いもの
の、「未開明な」トランプを評価することが、絶対的なタブーとなってい
るために、トランプに対する支持に結びつかない。

 民主党と急進派(リベラル)は、自ら墓穴を掘っている。

2017年10月26日

◆非核三原則を取り上げた石破発言を歓迎したい

                   加瀬 英明

日本も舐められたものだ。

日本は頭上を飛び越える北朝鮮のミサイルの試射場となって、次にいつミ
サイルを試射されるのか脅えて、そのつど北朝鮮の「暴挙に厳重に抗議す
る」と悲鳴をあげ、アメリカの保護にいっそう縋るほかに、術(すべ)がない。

いったい、私たちは戦後72年になるのに、何をしてきたのだろうか?

なぜ、北朝鮮のような弱小国に、ここまで侮られなければならないのだろ
うか?

北朝鮮はいくら日本が悲憤慷慨しようとも、アメリカさえ怒らせなけれ
ば、構わないことを知っているから、今後も日本の頭上を無遠慮に越え
て、ミサイルを撃つ暴挙を続けるだろう。

北朝鮮は日本が「平和憲法」によって、自ら腕を縛っているから、万一、
ミサイルが日本に落下しても、日本が悲鳴をあげる他に、何一つできない
ことを、よく知っている。

2020年の東京オリンピック大会で、野球が種目となった。

もちろん、日本チームも出場するが、胸に日の丸を縫い取った日本チーム
は、憲法解釈による「専守防衛」という束縛によって、攻撃することを許
されず、守備だけに専念しなければならない。

日本チームの打者はバットを持たずに、ピッチャーと向かい合う。

バッターボックスに立っても、バットを振ることは攻撃になるから、禁じ
られている。これでは、はじめからゲームを放棄するようなものだ。

自衛隊の「専守防衛」も、同じことだ。野球界だけではなく、世界に通用
しない。

65年前に独立を回復してから、よくもこのような憲法と憲法解釈を有難く
護ってきたものだと、慨嘆しなければならない。

日本は独立を回復してから、国際政治は一寸先が闇だというのに、この憲
法のもとで世界の現実から目を覆って、「見ざる・聞かざる・言わざる」
の三猿主義をとってきた。

北朝鮮は水爆実験を強行すると、「核攻撃によって、日本列島を沈めるこ
とができる」と、声明した。

もし、日本がイギリスかフランスのように、しっかりとした独自の防衛
力を持っていたとしたら、北朝鮮が日本の頭上を越えて、ミサイルを試射
することは、なかっただろう。中国や、ロシアの頭上を越して、ミサイル
を撃つわけにはゆかないから、ミサイルを試射することができないはずだ。

だが、朝日新聞をはじめとする日本の新聞、テレビも、平和勢力も、三猿
をきめこんで、アメリカ基地の兵士か、軍属が日本の女性を殺害した時の
ように、怒りを爆発させることがない。

日本国憲法は「平和憲法」というよりも、「三猿憲法」と呼ぶべきだ。

自民党の石破茂元防衛相が、佐藤内閣が定めた「非核三原則を見直すべき
だ」と、発言した。

「非核三原則」は国外からの核攻撃を念頭において、定めたものではな
かった。佐藤内閣が国会対策として、決定したものだ。

日本では北朝鮮の核兵器は論じても、中国の核ミサイルについては、固く
目を瞑っている。日本にとって中国のほうが北朝鮮よりも、深刻な脅威で
はなかろうか。

石破発言によって、「非核三原則」が綻びはじめるのだろうか。ぜひ、そ
うであってほしい。


2017年09月08日

◆日本の誇りとすべき帝国軍人たちの「偉業」

加瀬 英明



このところ、国連の人権機関が、日本を誹謗する「特別報告書」を、つぎ
つぎと発表している。

今年に入ってから拷問禁止委員会が、一昨年の慰安婦に関する日韓合意を
見直して、元慰安婦にさらに補償するように勧告した。

その後、人権理事会が任命した「特別報告者」のJ・ケナタチ・マルタ大
学教授による、国会で審議中だった「テロ等準備罪法案」が「プライバ
シーと表現の自由を制約する」という報告書と、D・ケイ・カリフォルニ
ア大学教授による「日本で報道の自由が危機に瀕している」という報告書
が、発表された。

どれも内容は杜撰(ずさん)きわまるものだが、日本のテロ等準備罪法は、
国際組織犯罪防止条約に加盟している、1817の国々の国内法に較べたら、
ごく緩やかなものだ。

日本ほど、報道が野放しにされている国は、少ない。なぜ矛先を同じ国連
加盟国である、中国、北朝鮮、ロシアなど、表現の自由が存在しない国々
へ向けないのか。

1996(平成8)年に国連人権委員会によって「特別報告者」として任命さ
れた、スリランカのクマラスワミ女性弁護士が、『女性に対する暴力』と
題する特別報告書を発表して、旧軍の慰安婦が「明確な奴隷制度」で、
「組織的強姦」が行われたと、断定した。事実は、慰安婦は将兵を顧客に
した民間売春施設で働く売春婦だった。

日本は先の大戦の戦勝国が、日本が残忍で、非人道的な国だというイメー
ジをひろめたのに加えて、韓国、中国が日本を貶(おとし)める宣伝を精力
的に進めてきたために、世界の多くの人々が「南京大虐殺」や、慰安婦が
「性奴隷」だったと、信じるようになっている。

2月に、日本にも多くの読者を持つユダヤ教僧侶のラビ・マービン・トケ
イヤー師が、ニューヨークで日本政府から多年にわたって、日本の正しい
姿を世界に紹介した功績によって、旭日双光章を受勲した。

トケイヤー師が月刊『WiLL』8月号に、先の大戦前に、アメリカ、イ
ギリスをはじめとする諸国がナチス・ドイツの迫害から必死に逃れようと
するユダヤ人の受け入れを、反ユダヤ主義から拒んだために、多くのユダ
ヤ人がガス室へ送られたが、日本だけがユダヤ人を救った人道的国家だっ
たと寄稿している。

トケイヤー師は、今年80歳になった。とくに1938(昭和13)年に、関東
軍参謀長だった東條英機中将とハルビン特務機関長だった樋口季一郎少将
が、シベリア鉄道で満ソ国境まで到着した2万人のユダヤ人難民を、ソ連
がドイツへ送り帰すところを救ったことを、「偉業」「快挙」として賞讃
している。

これは、杉原千畝(ちうね)リトアニア領事代理が、数千人のユダヤ人難民
を「生命(いのち)のビザ」を発給して救った、2年前のことだ。

トケイヤー師は戦後の日本人は、日本がすべて悪かったと思い込まされ
て、東條、樋口両将軍が軍人だったために、大量のユダヤ人を救った業績
が無視されて、杉原ばかりに脚光が当たっているといって、嘆いている。

日本では杉原領事代理が本国政府の訓令に違反して、ビザを乱発した罪に
よって、外務省を追われたということが定説になっているが、それは嘘
で、リトアニア勤務後に昇進したうえ、昭和天皇から勲章も授けられてい
ると、指摘している。

トケイヤー師はアンネ・フランクの父親が、アメリカ大使館、領事館に日
参して、一家のビザの発給を哀願したのにもかかわらず、断られたが、も
し、ビザがおりていたら、今日、アンネは88歳で、アメリカで暮らして
いたはずだと、書いている。

トケイヤー師は「いま大きな夢を描いている」といって、両将軍がユダヤ
人難民を救った実話を中心にした、ユダヤ民族と日本の絆についてドキュ
メンタリーを製作して、アメリカのテレビに提供することを思い立って、
日米で募金を始めたいと、述べている。


2017年09月07日

◆日本は世界の現実から遊離している

加瀬 英明



憲法はいうまでもなく、世界の現実にそぐったものでなければならない。

稲田朋美防衛大臣が安倍内閣の支持率が急落するなかで、内戦によって混
乱する南スーダンへ国連平和維持活動(PKO)に派遣されていた陸上自
衛隊部隊の日報をめぐる問題の責任をとって、内閣改造を待たずに辞任に
追い込まれた。

部隊は比較的に安全な地域で、道路建設など民生支援の活動を行っていた。

ところが、部隊の付近で武力衝突が発生したのを、東京へ送った日報のな
かで「撃(う)ち合(あ)い」といえばよかったのに、「戦闘」と書いた。防
衛省が日報に使われていた「戦闘」という言葉が、使ってはならない言葉
だったので、非公開としたために、野党やマスコミが「隠蔽」したといっ
て大騒ぎした。

私は頭が悪いので、「撃ち合い」と「戦闘」のどこが違うのか、分からない。

稲田氏が防衛大臣になった直後に、うっかり「防衛費」を「軍事費」と
いったところ、国会で叩かれたことがあった。

一般の国民が「防衛費」のことを、「軍事費」といったら、誰一人咎(と
が)めないはずだ。

安倍改造内閣が発足したが、もし新閣僚の一人が自衛隊をうっかり「軍」
と呼んだら、きっと野党によって厳しく追求されるだろう。

私は自衛隊は軍隊だと思う。日本の外のすべての人々が、自衛隊を軍隊だ
と思っている。ところが、日本では自衛隊は軍隊ではないというのが、常
識だ。

私は世界の人々のほうが、正しいと思う。こんなことをいうと、私は気が
触れているのだろうか?

「あれは撃ち合いであって、戦闘ではありません」「防衛費と軍事費は、
違うものです」日本の国権の最高機関である国会や、良識の府といわれる
マスコミで、このような会話が当然のように行われているが、日本は世界
の現実から大きく遊離しているのだ。

医学では、このような症状を夢遊病(ソムナムブリズム)と呼ぶが、夢遊病
者は記憶や判断力を失って、夢遊状態で歩きまわるから、危険きわまりない。

日本国憲法が、この原因をつくっている。

日本国憲法の前文は、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、わ
れらの安全を保持しようと決意した」と、述べている。

世界のあらゆる国が平和を愛しているから、日本は自分を守るために、
いっさい武力を持つことなく、泰平の夢を楽しんで生きると、誓っている
のだ。

この誓いのもとで、憲法第9条が「陸海空軍その他の戦力は、これを保持
しない」と、定めている。

日本国憲法は、日本を夢遊病者にしている。

東京からだと1000キロ、九州からだと500キロしか離れていない北朝鮮
が、核兵器の開発に狂奔し、日常のようにミサイルを試射して、秋田県の
沖合に撃ち込んでいる。

やはり隣国である中国は、隙さえあれば尖閣諸島を奪おうと、毎日、武装
公船によって尖閣諸島を取り囲んでいる。

ロシアは北方領土を軍事基地化して、ミサイル部隊を送り込んでいる。

いまのところアメリカが日本を守ってくれているから、よいかもしれない
が、いつまでアメリカが日本を守ってくれるのだろうか?

言葉は現実と一致していなければならないのに、国家にとってもっとも重
要な言葉である日本国憲法は、現実に大きく背いている。




2017年09月02日

◆小池都知事は流行神か

加瀬 英明



都議選で、小池百合子都知事の「都民ファーストの会」が圧勝し、自民党
が惨敗した。

私は「日本は千数百年以上も、変わっていないのだ」と思って、溜息をつ
いた。

日本だけに独特な流行神(はやりがみ)現象が、間断なく起った。江戸時代
には「時花神」と呼ばれて、「はやりがみ」という訓(ルビ)がふられた。
「時花仏(はやりぶつ)」もあったが、花が咲いて、ぱっと散るのに、喩え
たものだった。

ある時、ある神社か、ある仏閣、祠に詣でると、大きな御利益がえられる
という噂がひろまり、参詣者が殺到するが、半年か1、2年しか続かず、
忘れられてしまうことから、「祀(まつ)り上げ祀(まつ)り棄て」といわれた。

流行神について『日本書紀』の皇極紀に、不思議な力をもつ蚕(かいこ)ほ
どの虫が現われ、拝むと富や長寿がえられるといって、民衆がどっと押し
寄せたと、記されている。「都鄙(とひ)(都と田舎)の人、常世(とこよ)
の虫を」と語られているが、もっとも古い記述だろう。

流行(はやり)神仏は常世神とか、志多羅神(しだらがみ)、鍬神とか、時代
によってさまざまな名で、知られた。

 小池百合子一座の役者たちは大部分が、選挙直前に公募によって集まっ
た、新人によって占められていた。

 「日本人とは何か」

私は高校生のころから、「日本人とは何か」ということに関心をもって、
日本の民俗学の草分けである柳田國男(1875年〜1968年)の著作を、読み
漁るようになった。今日なら、文化人類学に当たる。そんなことから、ア
メリカの文化人類学者(アンソロポロジスト)で、コロンビア大学社会学部
長をつとめたハバード・パッシン教授(1916年〜2003年)と親友になった。

私はパッシン教授を、「どうして先進国の人々の社会行動を研究するのを
社会学といい、後進国になると文化人類学というのか」といって、から
かったものだった。

柳田は流行神について、「男女老幼狂奔して之(これ)を迎へ候者都鄙(と
ひ)(都会と田舎)に満ちたるやうに候か、過ぎての後は夢のやうに候は
んも、其(その)折に際して渇仰の情極めて強烈にして、他意左右を顧みる
の暇なかりしなるべく、(略)、此時(このとき)涌きかへりたる熱中血潮
は即今我々の身の内を環(めぐ)るものにして(略)愚痴と云ひ迷信と云は
ばそれ迄(まで)」と、述べている。

そして「近世の流行神鍬神の如きは、其蔓延の極盛時に当たりては、鉦鼓
雑揉(しようこざつじゅう)(乱れ混じり)正(まさ)に一千年前の修多羅
(しだら)神福徳仏の流行、さては大昔の常世の神の狂態に伯仲せしやうに
候」と、評している。

 ぎぼしが流行神仏

何であれ、神体となった。しばしば仏像の宝玉に似ていることから、全国
の橋の欄干の柱頭につける葱(ねぎ)の花に似た擬宝珠(ぎぼし)が、流行
(はやり)神仏となって群衆を集めた。

私は東京の文京区小日向で生まれたが、数日前のテレビのバラエティ
ショーをみていたら、全国にある“びっくり地蔵”の一つとして、林泉寺の
「縛られ地蔵」が取り上げられた。享保年間だったが、この石仏を縛ると
願が叶うといって、大賑わいとなったという。

江戸時代の享和3年の記録を読むと、浅草の寺の裏に、狐が4、5匹棲む
穴があって、御利益がえられるという噂がひろまり、「いかなる故有しに
や諸人参詣群集し、近辺酒食の肆(し)(店)夥(いちぢる)しく出来、賑や
かにありしか、半年も過けれは、参詣人まれにてもとの田舎のことし、俄
(にわか)に盛(さか)る者久しからすという理なり」と、嘆じている。

流行神仏ははやりすたりが、激しいのだ。民衆は熱しやすく、さめやすい
のだ。

季節の花である時花(じか)のように、すぐに萎れてしまう。これらの一過
性の流行(はやり)神仏に対して、既成の仏教教団が「淫祠」とか、「淫
神」と呼んで蔑んだ。

 男女老若も町中さわぎ

小池都知事はもっとも新しい、流行神である。私は淫神とは呼ぶまい。流
行神仏はしばしば熱狂的な踊りをともなったが、都知事選と都議選中に、
小池氏の街頭演説を見ようと群集した人々を見ていると、流行神の参詣者
を思わせた。

江戸時代にはほぼ60年周期で、大規模な「お蔭参り」現象が発生した。伊
勢神宮のお札が空から降ってきたという噂が、全国にひろまって、大群衆
が日常の生活から飛び出して、道中歌い踊りながら奔流のようになって、
伊勢神宮へ向かった。「抜け参り」とも呼ばれた。

最後の「お蔭参り」は、明治元年の前年の慶応3年に起った。庶民ばかり
300万人が参加したといわれるが、明治に入ってすぐに  行われた国勢
調査によれば、日本の人口が30万人だったから、10人に1人が加わっ
たことになる。

 当時の記録によれば、「昼夜鳴物秤(ばかり)を打たゝき、男女老若も町
中さわぎ、其時のはやり歌にも、おめこへ紙はれ、はげたら又(また)は
れ、なんでもえじゃないか、おかげで目出度、という斗(ばか)りにて大さ
わき、又は面におしろい杯を附け、男が女になり女が男になり、又顔に墨
をぬり老女が娘になり、いろくと化物にて大踊、只(ただ)欲も徳もわす
れ、えじゃないかとおとる」と踊り練り歩く、狂態を演じた。  

 流行神の現象がなぜ頻発するか

 なぜ、日本にだけ流行神という現象が頻発したのだろうか。

 日本には仏教が入ってくるまで、神々が群生しており、どこにでも神が
いるという信仰だけあって、教典、戒律がある教派宗教が存在しなかっ
た。絶対的な神格が存在しないために、人々が神仏を自由奔放につくりだ
すことが、できたからだったと思う。

 今日でも、日本には絶対的に正しいという聖が、欠けている。私は在来
信仰である神道は、おおらかなものであって、宗教ではないと思う。

 日本人は森羅万象を崇める信仰心が強いものの、教典や戒律によって縛
られないから、宗教性が薄い。「宗教」という言葉は、明治になってから
寛容を欠くキリスト教が入ってきたために、新しく造られた明治翻訳語で
あって、それまで日本には宗門、宗旨、宗派という言葉しか、存在してい
なかった。

 世界文化遺産に指定されると、そこに人々が大急ぎで殺到するのは、世
界のなかで日本だけにみられることだ。

 上野動物園でパンダに子が生まれると群集して、『上野精養軒』の株価
が急騰する。利に聡い新聞社や、テレビ局が流行神をつくるために、噂を
ひろめる。
 
 都議選に惨敗して以後、それまで「安倍一強」と囃されたのに、安倍内
閣の支持率が急落した。大手新聞やテレビが、“安倍叩き”に熱中してい
る。これも、江戸時代に庶民の大きな娯楽だった歌舞伎の演目に、権力者
が没落するというテーマが、もっとも多かったことを思わせる。武士とそ
の家族は歌舞伎を観劇することを、禁じられていた。

 日本では江戸時代を通じて、政治が世界のどこの国よりも安定して、治
安がよく、庶民が豊かで、自由な生活を享受していた。支配階級であった
武士だけが、政治に責任を負って、庶民は政治に参加することがなく、政
治の傍観者だった。

 大正14年はじめての普通選挙

 大正14年の普通選挙によって、庶民がはじめて政治に参加したが、こ
こ90年あまりのことでしかない。そのために庶民にとって政治という
と、流行神に現世利益とか、世直しの願望を託すような次元で、とらえら
れている。

 小池都知事はいつも洋装に気を砕いて、「ファースト」とか、「ワイ
ズ・スペンディング」とか、舌足らずの英語を乱発している。国枠主義者
のなかに眉を顰める向きがあるが、私には日本原人のように泥臭いから、
好感がもてる。

 日本では古代から常世の国といって、遠い海原の果てから幸がもたらさ
れるという、信仰があった。日本は海の文化だから、陸の文化である中国
にない「宝船」という発想がある。そのために、日本語のなかに夥しい数
にのぼる英語から借りてきた、生ま半可な言葉が氾濫している。     


2017年08月31日

◆これで日本を守れるのか

加瀬 英明



安倍内閣が大手新聞、テレビ、週刊誌がおもしろおかしく煽った加計・森
友学園騒動のなかで都議会選挙が行われ、「都民ファーストの会」に惨敗
して支持率が急落したために、4年8ヶ月で3回目の内閣改造による起死
回生をはかった。

マスコミが、こぞって「人心一新」という言葉を使った。

日本国民は気付いていないだろうが、世界の主要国の中で、こんなに頻繁
に内閣改造が行われる国はない。

満洲事変の昭和6(1931)年から、真珠湾を攻撃して、大戦争に飛び込ん
だ昭和16(1941)年までの10年間は、日本にとってもっとも重要な10年
だった。

このあいだ、若槻礼次郎内閣から、東條英機内閣まで13人の首相と、近衛
内閣が3次にわたったから、15もの内閣が登場した。

これでは一貫した政策も、国家意志もあったものでない。目隠しをして、
無謀な戦争に突入したようなものだった。

戦前から新内閣が登場するたびに、新聞(当時はテレビが無かった)が、
「人心一新」と書き立てた。なぜ今日も、マスコミが「人心一新」という
言葉を、鸚鵡(おうむ)の一つ覚えのように、繰り返すのだろうか。

先の太平洋戦争は3年8ヶ月にわたったが、日本では3人の首相が登場し
た。スターリンのソ連、ヒトラーのドイツ、ムソリーニのイタリアは独裁
国家だったから、当然だとしても、日本と同じ自由主義国だったイギリス
ではチャーチル、アメリカではルーズベルトが戦争終結の3ヶ月前に急死
したが、政権を一貫して預かった。

日本では古来から、「畳と女房は新しいほどよい」といわれてきたよう
に、新しいものを好むのだ。その証拠に、今回、内閣改造が行われると、
世論調査によって差があるが、安倍内閣の支持率が2%から9%あがった。

東京から1000キロ、九州から500キロしか離れていない北朝鮮が、核開発
に狂奔し、日常のようにミサイルを試射して、秋田県沖に撃ち込んでい
る。中国は武装公船によって尖閣諸島を囲んで、隙あれば奪おうとしてい
る。ロシアが北方領土を、軍事基地化している。

こんな時に、加計学園とか森友学園とか、枝葉末節に構っている場合なの
か。戦前から開戦に至るまでの死活がかかった10年間に、15回も内閣が交
替するたびに、「人心一新」といったのを思い出すべきだ。

今度の内閣改造について、政治通が岸田文雄外相を党の中枢に据えた「安
倍岸田連立体制」とか、石破茂氏の孤立をはかって、野田聖子氏を閣内に
取り込んだとか論評しているから、屋上屋を重ねまい。

日本では、なぜしばしば内閣改造が行われるのか。他国にはみられないこ
とだ。

これは、日本の文化に根ざしている。諸外国の政治も2000年変わっていな
いし、日本も同じことだ。

日本で132年前に近代内閣制度がはじまったが、伊藤博文が初代首相と
なった。

96代目の安倍首相も、指導者ではない。以前の首相も、全員が指導者では
なかった。ところが、西洋や中国をはじめとする諸国では、指導者が政府
を率いている。

「指導者」という言葉は、江戸時代が終わるまで、日本語の中に存在しな
かった。明治の開国とともに、英語の「リーダー」などの外国語が入って
きたので、先人たちが訳するために「指導者」という新語を造った。

日本では歴史を通じて、リーダーがいなかった。日本神話の最高神の天照
大御神は、中国、ギリシア、ローマ、北欧、ユダヤ・キリスト・イスラム
神の最高神がみな男性で、絶対権力を握っているのと違って、権力がない。

日本では八百万(やおろず)の神々はみな平等で、いつも協議している。

リーダーは誰よりも優れていると認められて、その地位につくが、聖徳太
子の『十七条憲法』は人が「共に是(こ)れ凡夫のみ」――「人間はみな同じ
だ」と定めている。

アメリカを例にとれば、大統領がリーダーであり、閣僚の長官、副長官、
次官、次官補などの政治任命職は、全員が「大統領の人格の延長」であっ
て、大統領の代理人である。

日本では、麻生副総理や河野外相、江崎鉄磨沖縄・北方担当相たちは、安
倍首相の「延長」ではない。上に立つ者は御輿(みこし)のように、わいわ
い担がれている。

御輿を担ぐ衆は、アメリカのように政策だけを尺度にして選ばれるわけで
はない。日本では、政治は「人事」なのだ。

だから、江崎氏のような“凡夫中の凡夫”も入閣する。

日本は森喜朗元首相がいったように、「神々の国」なのだ。日本列島は元
寇を除けば、外敵に侵されることがなく、平和だったから、合議制でもよ
かったが、今日のように周辺の脅威が募り、アメリカへの信頼が揺らぐ時
には、リーダーシップが必要だ。

私は安倍首相に何よりも、今日の日本語の乱れを正すことを、期待したい。

稲田朋美防衛大臣が内閣改造を待たずに、直前に辞任に追い込まれたが、
南スーダンに国連平和維持活動(PKO)のために派遣されていた陸上自
衛隊部隊が、東京へ送った日報の中で、駐屯地の近くで「戦闘」が発生し
たと、報告したためだった。

南スーダンでは内戦が戦われているが、自衛隊部隊は比較的、安全な地域
で、道路建設などの民生支援活動を行っていた。

日報のなかで「撃ち合い」といえばよかったのに、防衛省が日報に使われ
ていた「戦闘」という言葉が、使ってならない言葉だったために非公開と
したのを、野党やマスコミが「隠蔽」したといって、大騒ぎした。

私は頭が悪いので「撃ち合い」と、「戦闘」のどこが違うのか分からない。

稲田氏が防衛相になった直後に、うっかり「防衛費」を「軍事費」といっ
たところ、国会で叩かれた。一般の国民が「防衛費」のことを「軍事費」
といったら、誰も咎(とが)めないはずだ。もし、安倍内閣の新閣僚が、
うっかり自衛隊を「軍」と呼んだら、野党に吊し上げられよう。

日本の外のすべての人々が自衛隊を軍隊だと思っているが、日本では自衛
隊が軍隊でないのが常識だ。私は世界の人々のほうが正しいと思うが、気
が触れているのだろうか。

「あれは撃ち合いであって、戦闘ではありません」「防衛費と軍事費は、
違うものです」

日本の国権の最高機関である国会や、良識の府といわれるマスコミで、こ
のような会話が当然のように行われているが、日本は世界の現実から大き
く遊離しているのだ。

医学ではこのような症状を、夢遊病(ソムナムブリズム)と呼ぶが、夢遊
病者は夢遊状態で歩きまわるから、危険きわまりない。

憲法が、この原因をつくっている。日本国憲法は前文で、「平和を愛する
諸国民の公正と信義に信頼して」「安全を保持」すると述べ、憲法第9条
が「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と、定めている。

北朝鮮や、中国や、ロシアが「平和を愛する諸国」だろうか。

日本国憲法は、日本を夢遊病者にしている。

いつまで、アメリカが日本を守ってくれるだろうか?

国家にとってもっとも重要な言葉である日本国憲法は、世界の現実に大き
く背いている。

安倍自民一座の脇役や端役の質が、悪い。

3人とも離党を強いられたが、中川俊直議員や今井絵理子議員など、武田
信玄の『風林火山』ならぬ、『不倫火山』の幟(のぼり)を背負った一団
や、実生活で狂女を演じる豊田真由子議員をはじめとして、舞台に立てな
い役者が多すぎる。

安倍座長が人がよくて、厳しさを欠いているからだろう。

これは自民一座に限らないが、ほとんどの女性議員がパーティに出掛ける
か、クラブの年増ホステス気取りか、国会で仕事をするとは思えない化粧
や、派手なドレスを着ている。

稲田朋美前防衛相だけを責めたくないが、場違いなファッションで知られ
たために、同僚の男性議員から「チーママ」と呼ばれた。

日本の女性の美しさは、粋(いき)にある。派手な装(な)りや、厚化粧は不
粋で醜い。

化粧は暗示にとどめるべきだ。異性が好きでも、厚化粧して露骨に出して
はならない。ブスは漢字で「不粋(ぶす)」と書いた。派手の語源は「葉
出」であって、余計にはみだした葉を刈り取ることからきている。派手造
りをした女性議員たちは、異常な自己顕示欲の持ち主なのだろう。

女性議員が日本国民の美意識を破壊しているのは、由々しいことだ。

私は安倍首相を応援しているが、いくら票になるといっても、「女性の活
躍社会」とか、女をおだてるのはやめてほしい。

高校以上の高等教育を無償化することによって、高等教育を重視して、受
験戦争を激化させるのもやめてほしい。心身ともに不健康な受験戦争よ
り、スポーツを奨励して、大いに振興するべきだ。

青年男女の体力を向上させれば、精力があり余って、異性がひかれあい、
少子化がもたらす危機を解決できる。

政府や公共放送が、英語から借りてきた舌足らずな言葉を乱用するのも、
やめてほしい。

NHKは「開店した」といわずに、「オープンした」「イベント」
「ショッピング・モール」とか、不消化な英語を乱発している。

小池百合子都知事も、ひどい。「ワイズ・スペンディング」とか、
「ファースト」とか、生半可な英語を振り回す。

日本語が危い! 国語のなかに溢れている、おびただしい怪しげな英語を
使うごとに課税して、アメリカに支払えば、トランプ政権が不満を鳴らし
ている日米貿易不均衡を、たちどころに是正できよう。

経済産業省の特定サービス産業統計調査によれば、平成28(2016)年度の
パチンコ業界の売り上げは、3兆7269億円だった。

同年度の女性化粧品の売り上げは、2兆円を超えている。同じ年度のサプ
リ(健康食品)79社の売り上げが、5457億円(日本流通産業新聞調査)
だったが、全国に1000社以上あるサプリ業界全体なら、この3倍以上にな
ろう。

平成29(2017)年度の陸上自衛隊の予算が1兆7706億円、海上自衛隊が1
兆1548億、航空自衛隊が1兆1578億円だが、陸自は人件費が大部を占める。

朝鮮半島が一触即発だ。いま、私たちは日本有事と隣り合わせて生きてい
る。日本を守る盾は、自衛隊しかない。

3自衛隊のいずれの予算をとっても、パチンコ業界、化粧品、サプリ業界
の売り上げよりも少ない。

いつ、日本列島が北朝鮮のミサイルを浴びるか、わからない。

北朝鮮のミサイルを、日本海に浮かぶイージス艦と、陸上のPAC3ミサ
イルで迎撃することになるが、数が足りない。イージス艦とPAC3の射
程範囲内に飛んできたミサイルを迎撃しても、半分以上は撃ち洩らそう。

自衛隊はPAC3を17セットしか、持っていない。1セットが防衛省の構
内に据えられているが、局地防衛用のもので、東京都全域を守ることはで
きない。千歳から那覇まで配備されているが、たった17セットでは、とう
てい日本全国の盾とはなれない。

防衛予算を大胆に増やして、アメリカからすでにグアム島などに配備され
ている、PAC3より高性能のイージス・システムを、急いで導入するべ
きだ。

いくら女性が厚化粧をしても、ミサイルから身を守ることはできない。地
上配備型イージス・システムのほうが、頻尿症に効くというノコギリヤシ
より、夜、安らかに眠れる。パチンコ屋へ行く回数を減らせば、行きつけ
の店が被弾しないで済む。

憲法を改正して、憲法に自衛隊を書き込む時間的余裕はない。だったら、
首相から天皇陛下に奏上して、自衛隊をお励まし賜りたい。

自衛隊創設以来、天皇陛下が自衛隊を賜閲されたことも、自衛隊の駐屯
地、基地に御幸されたことも、1度もない。

有事に当たって、生命を犠牲とする青年たちに、国民を代表して、名誉を
お与えいただきたい。自衛隊全員が感激して奮い立とう。
(2017年8月)



2017年08月30日

◆核なしでは体制が守れぬ北朝鮮

加瀬 英明



核なしでは体制が守れぬ北朝鮮 アメリカはどう交渉に入るべきか

私は昨秋からこの欄で、北朝鮮の核開発問題について、アメリカの安全保
障問題を専門とする友人たちに、北朝鮮はどのようなことがあっても、核
保有国となる決意を捨てることがないから、「北朝鮮を核保有国家として
認めたうえで、北朝鮮と交渉するべきだ」と説いてきたことを、取り上げた。

もし、トランプ政権が北朝鮮に外科的(サージカル)な(目標を限定し
た)攻撃であっても、攻撃した場合、北朝鮮は体制の威信を賭けて、韓
国、日本に対して反撃を加えよう。韓国の総人口の3分の1以上が、南北
軍事境界線から100キロ以内に住んでおり、北朝鮮の火砲・ロケットの 射
程内にある。日本も北のミサイルを迎撃しても、かなりの被害を蒙るこ
ととなる。

もっとも、北朝鮮は国家的自殺をはかるつもりはないから、全面戦争は
戦いたくない。国際世論が「即時停戦」を求めて、5、6日後に停戦に持
ち込むことを期待しよう。

私は昨年10月と今年6月に、ワシントンを訪れた時に、北朝鮮と交渉 す
べきだと促した。

北朝鮮は核なしで体制を守れないと、確信している。

リビアはアメリカの甘言に騙されて、核開発を放棄した後に、オバマ政
権によって軍事攻撃を加えられて、崩壊した。

ソ連解体後にウクライナが独立し、国内にあった核兵器をロシアへ渡すか
わりに、ウクライナが侵略を蒙ったら、ロシア、アメリカ、イギリスが共
同して守ることを約束した。

ロシアがクリミア地方を奪った時に、アメリカとイギリスは傍観した。北
朝鮮はこのような例を、肝に銘じていよう。

トランプ政権は北朝鮮を核保有国として認めることを、拒んでいる。中
国に北朝鮮に圧力を加えることを求めているが、中国はよそ見をしている。

といって、トランプ政権は宝刀を抜いて、北朝鮮を斬りつけることはで
きまい。戦闘が始まって数十万人が死ぬことになったら、耐えられまい。

アメリカはインド、パキスタンの核保有に強く反対してきたが、いまで
は両国の核を認めている。北朝鮮も、同じことではないか。

6月に入って、クリントン政権のパネッタ国防長官、レーガン政権の
シュルツ国務長官などが大統領に書簡を送って、北朝鮮を核保有国として
認めて交渉すべきだと、進言した。

この1ヶ月あまり、アメリカのマスコミでも、同じような意見が多数を
占めるようになっている。

ワシントンの安保問題専門家から、私に「あなたの言った通りの方向に
動いている」という、メールがあった。

私はアメリカが北を核保有国として認めて交渉するのに合わせて、日本
も北と交渉して、北が核弾頭数とミサイルの射程に制限を受け入れるのと
引き替えに、日朝間で国交を結ぶことを提言してきた。

1964年の日韓国交正常化の時に、韓国に6億ドルを供与したが、今 日の
貨幣価値にして1兆円以上を、10年あまりに分けて北に提供する。

交渉がまとまれば、拉致被害者が全員帰国して、朝鮮半島に平和秩序が
確立される。

韓国は日本からの6億ドルによって、“漢江(ハンガン)の奇蹟”を行った
が、北も“大同江(デドンガン)の奇蹟”を行うことになる。このあいだ北朝
鮮は、親日国家にならざるをえない。そうなれば、韓国も反日を叫び続け
るわけにゆくまい。

2017年08月15日

◆ご主人にやさしくしてください

加瀬 英明



5月にkしか鹿島県の喜界島に講師として、招かれた。

人口が7000、車で1周して38キロ、砂糖黍が主な産業の南の島だ。

ここで、奄美群島市町村議会議員大会が開かれて、300人あまりの議員が
集まった。

舞台の脇の垂れ幕に、「激動する国際情勢と日本の進路」という演題が書
かれていた。

私は開口一番、「もう40年以上も、今日いただいた演題でお話してきまし
たが、これから世界だけでなく、日本が激動することになります」と、警
告した。

アメリカが世界秩序を守ることに疲れて、日本を守る意志を萎えさせてい
ると説明したうえで、日本を守るために日本国憲法を改めたいと、訴えた。

質疑応答に移ったところ、50代の女性が手を挙げた。マイクを握ると、
「現行憲法はアメリカが強要したものではありません。日本国憲法は世界
に平和憲法として、知られています。この憲法を守ることによって、私た
ちの平和が守られます」と、述べた。

私は「たいへん、よい質問をいただきました」と感謝してから、「まこと
に残念ですが、古(いにしえ)の昔から国際社会は悪の社会でした。自国を
守る意志がない国は、例外なく滅ぼされてきました。ところで、テレビの
ニュースを見ると、このところ、DV――家庭内暴力によって、家族を危
(あや)める事件が頻発しています。まず日本国憲法の精神を、家庭のなか
で実現しましよう」と答えて、「今晩、お帰りになったら、ご主人にやさ
しくしてあげて下さい」と、お願いした。

すると、質問した女性が「わたくしは、独身です!」と叫んだので、会場
が拍手と爆笑によって包まれた。

休憩ののちに、会場に机が並べられて、懇親会になった。

議員の先生がたが列をつくって、コップに黒糖焼酎を注いでくれた。先の
質問した女性が、徳之島の日本共産党の議員だと、教えてくれた。

私は瓶を持つと、女性議員のところまでいって、お酌した。容姿が美しい
人だった。よい質問をもらった礼を述べて、「この国を守るために、ご一
緒に頑張りましよう」といって、握手を交わした。

全国で憲法改正について講演することが多いが、しばしば、聴衆から「安
倍内閣が中国を刺激しているのが悪い」とか、「日本の安全を外交努力で
守れるはずだ」と、反論される。

幕末に、日本はアメリカをはじめとする西洋列強から、不平等条約を強
いられた。日本の独立を守るために、何としてでも不平等条約を改正しな
ければならなかった。先人たちは歯を食いしばって、血が滲む努力を重ねた。

 現行憲法はアメリカが占領下で、日本が再び自立することができないよ
うに押し付けた、憲法を装った不平等条約である。

 現行憲法を一日も早く改正しなければ、私たちは幕末から明治までの
歴 史を語る資格がない。