2018年11月16日

◆中国は前車ソ連の轍を踏むことになるのか

加瀬 英明


米中貿易戦争――あるいは関税戦争をめぐって世論がかまびすしいが、米中
関係のごく一部しか見ていない。

トランプ大統領は中国の共産体制を崩壊させることを決意して、中国と対
決してゆく方針を固めた。

習主席は面子にこだわって、関税戦争を受けて立っているが、中国経済が
アメリカ市場に依存しているために、すでに蹌踉(よろめ)いている。

いまではワシントンで、この間まで親中派だった国務省、主要シンクタン
クも、中国と対決することを支持している。アメリカの中国観の地殻変動だ。

トランプ大統領が中国という“悪の帝国”を倒す戦略の中核にあるのが、テ
クノロジーだ。同盟諸国とともに、先端技術の中国への流出を阻む、兵糧
攻めにするのだ。関税戦争や、軍拡競争は脇役になる。

かつてレーガン大統領が、“悪の帝国(イービル・エンパイア)”と極め付け
たソ連を追いつめたのも、アメリカを中心とする、自由世界のテクノロ
ジーの力によるものだった。

中国はテクノロジー後進国だ。宇宙ロケットを打ち上げられても、
ジェット機のエンジンをつくれないので、ロシアから買っている。

中国の指導部は何千年にもわたって、中華思想による知的障害を患って
きたために、弱い相手は呑み込むものの、まともな対外戦略をたてられな
い。力を持つようになると慢心して、外国を見下すために、傲慢に振る舞う。

中華思想は、中禍思想と書くべきだ。ロシアは戦略が巧妙だが、中国は
中華主義の自家中毒によって、視野が狭窄している。

中国は今世紀に入ってから、かつてのソ連と同じように、自壊への道を
進むようになっている。ソ連は1991年に崩壊した。

効率が悪い計画経済によって病んでいたのに、無人のシベリア沿海州の
開発に国力を浪費し、東ヨーロッパの衛星諸国という重荷をかかえたうえ
に、第3世界に進出するのに力を注いだために、アメリカとの競争に耐え
られなくなって、倒壊した。

クレムリンの最高指導者は、非科学的なマルクス主義の予言に従って、
ソ連が世界を支配するという使命感にとらわれて世界制覇を急いだため
に、墓穴を掘った。

習主席も「偉大なる5000年の中華文明の復興」という、自らの掛け 声に
陶酔して、見せかけだけが壮大な「一帯一路」計画と、大海軍の建設 を
強行しているが、第2次大戦後にソ連が歩んだ道程によく似ている。

中国は分離独立闘争を恐れて、新疆ウィグル自治区や、チベットをはじ
めとする西域や、中部や、北部に過大な投資を行っている。

「一帯一路」計画は、アジアからヨーロッパまで70ヶ国近くを、“幻 (ま
ぼろし)の中華圏”に取り込もうとする杜撰(ずさん)きわまる大計画だ
が、マレーシア、ミャンマー、パキスタンなど多くの諸国で、すでに挫折
するようになっている。

ソ連は1950年代から60年代にかけて、日本についで経済成長率 が高かっ
た。私はソ連が1957年にアメリカに先駆けて、人工衛星『ス プートニ
ク』を軌道に乗せた時に20歳だったが、よく覚えている。その 4年後に
世界最初の有人衛星飛行を行って、アメリカの朝野を震駭させた もの
だった。

ソ連では1970年代に入ると、少子高齢化が進むようになって、旺盛 な高
度成長を支えた、豊富な安い労働力が失われるようになった。中国で も
同じことが、起っている。

私はかねてから、中国人は昔から「吃(ツー)(食事)」「喝(フー)(飲
酒)」「嫖(ピャオ)(淫らな遊女)」「賭(トウ)(博打(ばくち))」「大
聴戯(チーティンシ)(京劇)」の5つを、生き甲斐にしていると、説いて
きた。

清朝の歴代の皇帝も、毛沢東、周恩来、江青夫人も、江沢民元主席も、
みな京劇マニアだった。

京劇は甲高い声に、耳を聾するけたたましい音曲と、大袈裟な所作に
よって、誇大妄想を煽る舞台劇だ。

習主席が好む大規模な軍事パレードや、急拵(こしら)えの航空母艦を中
心とする大海軍や、絵に描いた餅のような「一帯一路」は、京劇の舞台装
置を思わせる。清朝を崩壊させた西太后も、京劇マニアだった。

現在、中国海軍は艦艇数が317隻で、アメリカ海軍の283隻を上回 る。
西太后が日清戦争前夜に、北京西郊の頤和園の湖岸に、巨額の国費を 投
じて建造した、大理石の巨船の“21世紀版”だ。


2018年11月10日

◆悪意に満ちた国連委員会の対日非難

加瀬 英明

 
8月に、スイス・ジュネーブで国連人種差別撤廃委員会が「対日審査会」
を行い、慰安婦、韓国人・朝鮮人に対するヘイトスピーチ、委員会が先住
民とみなすアイヌ・沖縄県民、朝鮮学校問題などを取りあげて、3日にわ
たって日本を嬲(なぶ)りものにした。

私はこの討議の一部を動画で見たが、どの委員も日本が性悪な国として、
こき下ろした。

戦前の国際連盟が本拠だった「パレ・ウィルソン」(パレは宮殿)で開か
れ、会合での対日非難は悪意にみちたものだった。

韓国の委員の鄭鎮星(チョンジュソン)女史は「性奴隷(セックス・スレイ
ブ)」といって、「慰安婦の残酷な状況は、当時の文書、映像、証言など
多くの証言によって、裏付けられている」と、日本政府代表団に迫った。

アメリカの黒人女性のマクドゥガル委員は、日本政府代表団が反論したの
に対して、慰安所を「強姦所」と呼び、「事実を議論すべきではない。こ
れは女性の尊厳の問題だ。慰安婦の大多数が韓国人だった」と、詰め寄っ
た。事実は、大多数が日本女性だった。

ベルギーのポッソート委員は、日本において韓国・朝鮮人が迫害されてお
り、「日本に住む40万人の韓国・朝鮮人の大多数が、植民地時代に強制的
に日本に連行された」と、攻撃した。事実は同じ国だったから、自由に往
来できたために、より豊かだった日本本土に、仕事を求めて移ってきたの
が、正しい。

コンゴ民主共和国をはじめ、諸国の委員がつぎつぎと日本を誹謗した。

このような国連委員会が世界の世論をつくって、日本の名誉を大きく損ね
てきた。

委員会の会合は、荒唐無稽としかいえないにもかかわらず、日本政府代表
団が一つ一つ、丁寧に答えていた。私は代表団を率いた大鷹正人外務審議
官や、法務省員の苦労を心からねぎらいたいと思った。

私も英語屋だが、大鷹審議官の英語は流暢で、素晴しかった。ところが、
日本政府の代表が「お詫びし、償い金を支払っている」といって、委曲を
つくして答えるほど、弁解しているように見えた。

私だったら弁明に終止せずに、相手を積極的に攻撃して、その歪んだ根性
を叩きなおそうとするだろう。

韓国の委員には、「韓国が独立を回復してから、貴国の国軍は日本の旧軍
の制度を受け継ぎましたが、国軍の将兵の性処理のために、『慰安婦
(ウィアンプ)』と呼ぶ女性たちが働く売春施設を、つくっていました。

『慰安婦(いあんふ)』は旧日本軍とともに姿を消したはずなのに、韓国軍
に長いあいだにわたって存在しました。慰安婦がそんなにおぞましいもの
だったら、どうしてこの日本語を韓国語として発音をして、使っていたの
ですか?」と、たずねたかった。

アメリカの委員には、「アメリカでは1960年代に入るまで、黒人は選挙権
を認められず、白人と黒人の性関係が犯罪とされ、水飲み場、便所から、
食堂まで区別されて、ひどい差別を蒙っていたし、今でも苦しんでいま
す。日本が先の大戦を戦って有色人種を解放したおかげで、黒人が白人と
同等の公民権を勝ち取ったのではないですか?」と、質問する。

委員会が国際連盟を創設することを提唱した、アメリカ大統領の名を冠し
た「パレ・ウィルソン」で開かれたのも、皮肉だった。

ウィルソン大統領はアメリカ南部のジョージア州とサウスカロライナ州で
育ち、有色人種が優生学的に劣っていると説いた、人種差別主義者だった
ために、ウィルソンが創学者のプリンストン大学では、学生たちがその銅
像の撤去を求め、アメリカ議会が創立したシンクタンク「ウィルソン・セ
ンター」を改名すべきだという運動が、行われている。

私だったら、委員たちに「パレ・ウィルソン」の名を改めることを、提案
しただろう。

このように愚かしい委員会で、日本政府の代表が暴れれば、世界のマスコ
ミが取り上げて、日本の主張が理解されることだろう。

2018年11月07日

◆麦の穂青し、空は一片の雲も留めず

加瀬 英明


来年5月に全国民が慶祝に涌きかえるなかで、126代の天皇陛下が即位さ
れる。

天皇は日本を統べて下さる要(かなめ)であり、民を安ずる使命を授かった
御存在である。

皇室の無い日本を想像することが、できるだろうか。

天皇は他国の君主と違って覇者ではなく、敵対する者が存在しない。古
代・中世の一時期さえ除けば、武力を用いたことがなかった。

天皇は日本でもっとも謙虚な人であり、日本の国柄が結晶した方であられ
る。日本の祭り主として2000年余にわたって皇祖を祀り、つねに国民の幸
せと平和を祈ってこられた。

御代替りが、来年5月に迫っている。そのために、私はあらためて天皇の
存在について考えた。

昭和20(1945)年のアメリカは「天皇を処刑せよ」という世論で沸騰して
いた。

だが、日本は惨憺たる敗戦を蒙ったにもかかわらず、どうして天皇を戴く
国のかたちを、守ることができたのだろうか。

大西瀧次郎中将を偲ぶ

私は9月に同志とともに、靖国神社の靖国会館において、『大西瀧治郎中
将を偲ぶ会』を催した。

大西海軍中将といえば、昭和19年10月にフィリピンにおいて、最初の神風
特攻隊を編成して送り出したことから、「特攻隊の父」といわれてきた。

当日、200人あまりが「偕行の間」に集まったが、その前に昇殿参拝した。

私は代表して、次の祭文を捧読した。

「謹んで大西瀧次郎海軍中将の御魂と、先の大戦中に散華された英霊に申
し上げます。

わが国は先の大戦を自存自衛のために、国を挙げて戦ったのにもかかわら
ず、連合国に『ポツダム宣言』を受諾することによって敗れましたが、世
界史にまったく類例がない特攻作戦を空に海に敢行することによって、連
合国の心肝を寒からしめ、名誉ある条件付き降伏を行うことができました。

『ポツダム宣言』は、『われらの条件は左の如し。われらは左の条件から
逸脱することなし』と述べて、『日本国軍隊の無条件降伏』のみを要求し
ています。

特攻作戦こそは、高貴な日本精神を発露したものでありました。特攻隊員
と、アッツ島から沖縄まで戦場において玉砕した英霊の尊い犠牲によっ
て、わが国の2600年以上にわたる美しい国体が護られて、今日に至ってい
ます。

日本国民は特攻に散った英霊が悲惨な亡国から、日本を救って下さったこ
とを忘れません。御遺志を継いで日本を守ってゆきますことを、お誓い申
し上げます」

日本が国民を挙げてよく戦ったために、連合国が昭和20(1945)年7月26
日に『ポツダム宣言』を発することによって、連合国側から和平を申し出
た。トルーマン大統領はこの4日前に、アメリカ陸海軍(まだ空軍はな
かった)に、「オリンピック作戦(オペレーション・オリンピック)」と名
づけた九州上陸作戦を、11月に実施するように命じていた。

アメリカ統合参謀本部は、7月はじめに「対日計画案」を大統領に提出し
て、日本本土侵攻作戦に500万人の兵力を必要とするが、日本は1947(昭
和22)年まで戦い続け、アメリカ軍死傷者が100万人を超えようと見積っ
ていた。

そのためにトルーマン政権は、前政権が日本に「無条件降伏」を強いる方
針をとっていたのを改めて、条件付降伏を求めることを決定した。

今日では多くの国民が特攻隊や、最後まで戦った将兵が徒死(むだじ)に
だったというが、日本の悠久の国のかたちが、この尊い犠牲によって守ら
れたのだった。

先の対米戦争はアメリカの不当な圧迫を蒙って、已(や)むに已(や)まれず
に戦ったものだった。

和平派だった東郷茂徳外相と、戦後、『カレント』を創刊された賀屋興宣
蔵相は、『ハル・ノート』に接して、もはや已むなしとして、開戦の詔勅
に副署した。

 『海ゆかば』の合唱

偲ぶ会は、東映の協力によって、バリトン歌手・斎藤忠生氏の先導によっ
て、『海ゆかば』の合唱から始まった。

特攻隊員が整列をして水盃を戴くと、次々と離陸して、敵艦に命中する
か、対空砲火によって、海面に激突する実写が上映された後に、東映若手
男優3人が特攻隊の飛行服に、日の丸の鉢巻を締めて登壇して、1人1
人、特攻隊員の遺書を朗読した。

そのうえで、藤田幸生・特攻隊戦没者慰霊顕彰会理事長(元海幕長)、劇
映画で大西中将を演じた父・故鶴田浩二氏の令嬢で、女優の鶴田さやか氏
らが、短い挨拶をした。

講話が終わった後に、壇上に戻った3人の若手俳優と、参会者が『同期の
桜』を合唱したが、全員が頬を涙で濡らした。

参会者が、再び『海ゆかば』を合唱することによって、閉会した。

特攻作戦は、大西中将が発案したのではなかった。昭和19(1944)年7月
にサイパン島が失陥すると、少壮将校から海軍部内に敗勢を挽回するため
に、特攻を行いたいという声が、澎湃(ほうはい)として起った。特攻作戦
が採用され、特攻兵器の開発が始まっていた。

 私には特攻について、多くの関係者の話をきいてまとめた英文の著書が
あるが、特攻作戦は長い歴史によって培われた、日本国民の愛国心と熱誠
が表われたものだった。

会が始まる直前に、実行委員の一人のF君が、「冒頭で『君が代』を斉唱
しましよう」というので、私は反対した。特攻隊が出撃する時には、『海
ゆかば』が合唱されたが、『君が代』が歌われたという例は、きいたこと
がない。

『海ゆかば』は、防人(さきもり)を司る兵部少輔だった大伴家持(西暦
717年〜785年)の歌で、『万葉集』に収録されている。『万葉集』
は私たちの魂の故郷(ふるさと)である。『君が代』は平安朝初期の『古今
和歌集』にある祝歌(ほぎうた)で、悲壮な出撃にふさわしくなかったのだ
ろう。

閉会する前に、F君から「聖寿万歳によって、会を締め括りましよう」と
耳打ちされたので、私は「それはやめましよう」と答えた。

大西中将の自刃後に、淑恵夫人がインタビューで、中将が戦争末期に「天
皇は国民の前に立たれるべきなのに、女官に囲まれている」と憤ったと
語っており、部下に「この戦争は国民ではなく、天皇の側近たちが敗れた
のだ」と、切り捨てたという証言がある。

天皇家は京都の御一家であって、武家の棟梁ではない。私たちにとって、
天皇は文化的な存在である。

特攻について1冊だけ、本をあげるようにといわれたら、『麦の穂青し』
(勉誠出版)を勧めたい。特攻隊員の遺書が集録されている。全家庭に1
冊常備したい本だ。

題名は、昭和20年4月29日に九州から飛び立った23歳の特攻隊員が、出撃
寸前に書いた遺書からとっており、「1215搭乗員整列。進撃は1300より
1630の間ならん。空は一片の雲も留めず。麦の穂青し」という 短いもの
で、心の動揺なく出撃したことが証されている。進撃時間は沖縄 の上空
に着く時間を見積ったものだ。

 語らざる悲しみもてる人あらむ

天皇皇后両陛下が平成24年に、イギリスに行幸啓された。

その時に、前大戦中の元イギリス兵捕虜が、沿道に並んで、抗議行動を
行った。

 この時に、皇后は大戦後イギリス軍の捕虜となって、処刑された国人
(くにびと)を思いやられ、和歌をよまれた。

 「語らざる悲しみもてる人あらむ母国は青き梅実の頃」という御製を拝
して、私は「麦の穂青し」を思って、恐懼した。

 終戦の日ごとに、テレビで玉音放送の録音が流されるが、「朕は茲(こ
こ)に国体を護持しえて」と仰言せられるのを謹聴するたびに、特攻に、
玉砕に殉じた先人たちを誇りたいと思う。

2018年10月26日

◆国連は諸国の権力闘争の場

加瀬 英明


「国連」は諸国の権力闘争の場 「平和の殿堂」にあらず

自民党総裁選挙が終わったが、石破茂氏が立候補したことを、多としたい。

野田聖子氏でも、誰でもよかったが、もし、安倍首相が無競争で選出され
たら、安倍政権のイメージが損なわれたところだった。

安倍首相は憲法改正に取り組むことを鮮明にしてきたが、安倍首相が第9
条の「戦力は、これを保持しない」という二項をそのままにして、自衛隊
を書き加えようと主張しているのに対して、石破氏は2項を残して、自衛
隊を挿入するのは、論理に反すると反対した。

安倍首相は9月に自衛隊高級幹部会同で、「諸君の自衛隊員としての歩み
を振り返るとき、時には心ない批判にさらされたこともあったと思う。同
じ時代を生きた政治家として、忸怩(じくじ)たる思いだ。すべての自衛隊
員が強い誇りを持って、任務を全うできる環境を整えるのが、政治家の責
任だ」と、訓示している。

石破氏が憲法の整合性を云々するのなら、「平和を愛する諸国民の公正と
信義に信頼して、われらの安全を保持」するという、前文を削除すること
も、説くべきだった。

私は憲法第9章「改正」の第96条が「改正の手続」とうたっているが、
「改正」というと全面的に改めるような印象を与えるから、「憲法修正」
と呼ぶべきだと、親しい国会議員たちを促してきた。多くの国民が現実に
適うよう修正する必要があることを、感じているはずだ。

自衛隊は国際的に軍として認められているが、国内では軍でないという
が、日常生活でこのような詭弁は許されないだろう。

現行憲法は冒頭から、大嘘によって始まっている。日本国民は作り事の世
界に生きてきたために、現実を直視する力を失っている。

ニューヨークに「ジ・ユナイテッド・ネーションズ」と呼ばれる国際機関
がある。

もともと「ジ・ユナイテッド・ネーションズ」は、ルーズベルト大統領が
真珠湾攻撃直後の1942年1月1日に、日本と戦っていた26ヶ国の代表をワ
シントンに集めて、同盟諸国を「ジ・ユナイテッド・ネーションズ(連合
国)」と呼ぶことにしたものだ。

私たちが誤まって呼んでいる「国際連合」は、先の大戦中に日本が沖縄戦
を戦っている時に、連合国が戦後世界を経営するために、サンフランシス
コで創設され、軍事同盟の名をそのまま受け継いだ。国際連合という国際
機関は、どこにも存在していない。

今日の「ジ・ユナイテッド・ネーションズ」の5つの公用語の1つの中国
語では、「連合国(リエンホーグオ)」だし、韓国、北朝鮮でも「連合国
(ヨナブグク)」だ。

同じ敗戦国のドイツでは、国際連盟が「ディ・フルカーブンド」だったの
に対して、ドイツが戦った連合国と変わらない「ディ・フェアインテ・ナ
ツィオネン」(連合国)と呼んでいる。イタリア語でも「レ・ナツィオ
ニ・ウニテ(連合国)」だ。

憲法を「平和憲法」と呼んで現実を目隠してきたように、日本国民を骨抜
きにするために、「連合国」を戦前の国際連盟をもじって、「国際連合」
と誤訳したものだ。このために、日本国民は「国連」が諸国の権力闘争の
場なのに、憲法の前文が描いている「平和の殿堂」なのだと思って、ひた
すら崇めてきた。

今日の日本は嘘っぱちというと、無いものをあるように信じていること
が、多すぎる。

日本社会が、このようにモラルハザード漬けになっているために、健全で
あるべき国防意識が欠けてしまっているのだ。

2018年10月17日

◆大嘗祭は国事として行うべきである

加瀬 英明


1年以内に、新天皇が即位され、御代(みよ)が替わる。

前号で、私は天皇陛下が来年4月30日に退位され、皇太子殿下が翌日、第
126代の天皇として即位されるのに当たって、もっとも重要な祭祀である
大嘗祭(だいじょうさい)を寸描した。

120代も続いてきた天皇が、日本を日本たらしめてきた。

天皇は日本にとって、何ものによっても替えられない尊い存在であり、日
本国民にとって、もっとも重要な文化財である。

大嘗祭は来年11に、皇居において催される。大嘗祭は法律的にすでに皇位
につかれておられるが、天皇を天皇たらしめてきた民族信仰である惟神
(かむながら)の道――神道によれば、まだ、皇太子であられる皇嗣(こうし)
(お世継ぎ)が、それをもって天皇となられる。聖なる秘儀である。

私は前号で大嘗祭に当たって、皇太子が横たわれ、しばし、衾(ふすま)
(古語で、夜具)に、身をくるまられると、述べた。

これは、天照大御神の皇孫に当たる瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が、「豊葦
原(とよあしはら)の瑞穂(みずほ)の国(くに)を治めよ」という神勅に従っ
て、赤兒として夜具にくるまれて、天孫降臨されたことから、皇太子が身
を衾に包む所作を再演されることによって、瓊々杵尊に化身されるもので
ある。

今上天皇が今年の新年に宮中参賀のために二重橋を渡った、13万人をこえ
る善男善女に、皇后、皇太子、皇太子妃、皇族とともに会釈され、お言葉
を述べられたが、天皇はモーニングを召された瓊瓊杵尊であられた。

天皇は皇位をただ尊い血統によって、継がれるのではない。

日本では、日本神話が今日も生きている。神話は諸外国では、遠い昔の過
去のものであって、ただの物語でしかない。日本は時空を超えて、永遠に
新しい国なのだ。

歴代の天皇は、日本を代表して神々に謙虚に祈られることによって、徳の
源泉として、国民を統(す)べて、日本に時代を超えて安定(まとまり)をも
たらしてきた。

神道は、人知を超えた自然の力に、感謝する。世界のなかで、もっとも素
朴な信仰である。

教義も、教典ない。人がまだ文字を知らなかった時代に発しているから、
信仰というより、直感か、生活態度というべきだろう。

神道は、人が文字を用いるようになってから、生まれた宗教ではない。感
性による信仰だから、どの宗教とも競合しない。

宗教法人法によれば、宗教法人は教義を広め、信者を教化する団体とし
て、規定している。神道は布教しないし、もし宗教であれば、「信者」と
呼ばれる人々も、存在しない。

アメリカ占領軍は、自国では国家行事や、地方自治体の式典が、キリスト
教によって行なわれていたのにもかかわらず、まったくの無知から神道
を、キリスト教と相容れない宗教だと信じて敵視して、日本に「政教分
離」を強制した。当時のアメリカは、日本を野蛮国とみなしていたのだった。

政府は日本が独立を回復した後にも、現行憲法下で、天皇を天皇たらしめ
ている宮中祭祀を、皇室の「私事」として扱ってきた。

私はかねてから、宮中祭祀は国民の信仰の自由を浸すことがないし、日本
国民にとって何より重要な無形文化財であると、主張してきた。

大嘗祭は、国事として行うべきだ。現行憲法は皇室と日本の姿を、歪め
ている。

2018年10月12日

◆自壊へと誘う覇権主義の幻想

加瀬 英明


トランプ政権が発足してから、もうすぐ2年になる。

トランプ政権は異端だといわれる。このあいだに、アメリカと世界のあり
かたが、何と大きく変わったことだろうか。

日本をとれば、戦後、アメリカを日本を守ってくれる親鳥だと見做してき
たが、はじめて外国として見るようになった。

いったい国家が幻想によって、動かされるものだろうか?

アメリカは第2次大戦後、世界のためにアメリカが世界の覇権を握るべき
だという、幻想にとらわれてきた。アメリカはこの幻想から、世界に軍事
基地網を張りめぐらせ、アメリカに従う諸国の国防を肩代わりしてきた。

このもとで、グローバリズムという幻想が世界に撒き散らされたが、世界
をアメリカの経済的覇権のもとに置くという、身勝手な欲望と一体になっ
ていた。

アメリカの大企業はこの幻想に乗じて、製造部門を中国を頭とする人件費
が安い海外へ移すかたわら、安い製品を輸入して、国内の労働者の犠牲の
うえに、懐(ふところ)を富ませてきた。

トランプ大統領は「アメリカ・ファースト」(アメリカの国益を第一にす
る)を唱えて、この幻想を吹き払う世直し一揆の先頭に立っているため
に、グローバリズムの利得者であってきた民主党幹部、大企業、大手マス
コミ、著名シンクタンクから袋叩きにあっている。

トランプ大統領は共和党にとっても、部外者だった。そのために、異端者
の烙印を押されている。

トランプ大統領が習近平国家主席に関税戦争という、強烈な足払いをかけ
ている。 

習主席は中国経済がアメリカ市場という脚のうえに立っているために、大
きく蹌踉(よろめ)いている。

中国は今世紀に入ってから、かつてのソ連と同じように自壊への道を、ひ
たすら驀進するようになっている。

習主席は「偉大なる5000年の中華文明の復興」という幻想に酔って、身の
程を知らずに、見せかけが壮大な「一帯一路」計画と、大海軍の建設を中
心とする軍拡を強行している。

そのかたわら、分離独立闘争を恐れて、新疆ウィグル自治区や、チベット
の西域や、中部、北部に、巨額の投資を行っている。

「一帯一路」計画はアジアからヨーロッパまで、70ヶ国近くを“幻想の中
華圏”に取り込もうとする、野心的というより杜撰(ずさん)な大計画だ
が、すでに多くのアジア諸国で、破綻するようになっている。

ソ連は1991年に瓦解した。計画経済によって病んでいたのに、シベリア沿
海州の開発に浪費するかたわら、東ヨーロッパの衛星諸国という重荷をか
かえ、第3世界に進出するために力を注いだうえに、アメリカとの大規模
な軍備競争に耐えることができなくなって、無様(ぶざま)に崩壊してし
まった。

ソ連は1950年代から60年代にかけて、日本についで経済成長率が高かった。

私はソ連が1957年に、アメリカに先駆けて、人工衛星『スプートニク』を
軌道に乗せた時に、20歳だった。その4年後に、世界最初の有人衛星飛行
を行って、アメリカの朝野を狼狽させたことを、よく覚えている。

ソ連では1970年代に入ってから、少子高齢化が進むようになり、往年の旺
盛な高度成長を支えた、豊富だった労働力が失われた。いま、中国で同じ
ことが起こっている。

クレムリンの最高指導者も、マルクス主義の予言に従って、世界を支配す
るという使命を負っているという幻想にとらわれて、世界制覇を急いだた
めに、墓穴を掘った。

日本は占領下でアメリカによって下賜された「平和憲法」があるかぎり、
アメリカが日本を子々孫々に至るまで、守ってくれるという幻想に、安全
を託している。

護憲主義者は日本国憲法とともに、滅びる道を選びたいのだろうか。


2018年10月07日

◆国家自立の気概、憲法修正で示せ

加瀬 英明


北朝鮮危機が日本の上に重くのしかかるもとで、北朝鮮によって捕われて
いる拉致被害者を一刻も早く救い出すことが、悲願となっている。

それなのに、その糸口を掴むことさえ、まだできないでいる。

横田めぐみさんが北朝鮮の工作員によって攫われて、北朝鮮に拉致された
のは、1977年11月15日のことだった。すでに41年もの時が、流 れてい
る。同じ時期に、他の多くの日本国民が同じように日本国内から拉 致さ
れて、北朝鮮に捕われたままでいる。

いったい、拉致被害者は誰の被害を蒙っているのだろうか?

これは、テレビも新聞も、誰もいわないことだが、拉致被害者は“平和 憲
法”と呼ばれる日本国憲法の被害者である。なぜ、それをいう者がいな い
のか。

もし、日本が1952年に対日講和条約によって独立を回復してから、 数年
以内に現行憲法を改正して、それぞれ日本の人口、GDP(国内総生
産)が、ともに半分しかない、イギリスか、フランス程度の軍備を整えて
いたとすれば、みすぼらしい小国にしかすぎない北朝鮮によって、多くの
日本国民が日本の国土から、拉致されるようなことはありえなかった。

イギリスも、フランスも、国土と国民を守るために、核ミサイルを搭載
した潜水艦や、航空母艦を保有している。もちろん、イギリスもフランス
も全世界から、平和国家として認められている。

いったい、多くの自国民が隣国によって拉致されても、傍観するほかな
い国を、「平和国家」と呼ぶことができるものだろうか?

アメリカは日本が占領下で主権を奪われていた時に、アメリカの平和を
守るために、日本人の精神の非武装化と、日本の物理的な武装解除を企て
て、占領下にある国の基本法を変更することを禁じた国際法を踏み躙っ
て、現行憲法を押しつけたのだった。そのために、占領軍は日本国民が、
この憲法を自主的に制定したという嘘を強要して、体裁を繕(つくろ)った。

現行憲法は多くの日本国民によって、“平和憲法”と誤まって呼ばれてい
るが、日本の平和ではなく、“アメリカの平和”をはかったものである。

現行の「日本国憲法」は、アメリカが対日占領を始めた1年2ヶ月12
日後の翌年の1946年11月に公布され、その翌年5月に施行された。

ところが、その僅か4年1ヶ月後に、まだ日本は占領下にあったが、朝
鮮戦争が勃発したために、アメリカは日本を“丸腰”にしてしまったことを
悔いて、慌てて警察予備隊という、疑似的な“軍隊”を創設することを、命
じた。

自衛隊、疑似国家の疑似軍隊で良いのか

占領軍が強いた「日本国憲法」の耐用期限は、4年1ヶ月しかなかった
のだ。今日、私たちは耐用年数が、68年も前に切れている自転車か、自
動車に、毎日乗っているようなものであって、危険きわまりない。

この「日本国憲法」でさえ、第1條で「国民が主権者」であることを
謳って、規定している。

主権者ということは、日本国民が日本の所有主であることを意味してい
る。それなのに、「日本国憲法」が「戦力の保持」を禁じているために、
日本国民は今日に至るまで、自らの手で国を守ることを拒んでる。

自分の所有物を守ろうとしないのでは、とうてい主権者といえない。主
権者のいない国家は、国家に価しない。

今日の日本は、疑似国家でしかない。このような国家のありかたは、軍
隊ではないとされている自衛隊に、双生児のようによく似ている。 

先の大戦が終わってから、多くの日本国民が現実を直視することを、避
けるようになった。敗戦までの日本が邪しまな国家であったという、ゆわ
ゆる東京裁判史観が、多くの国民によって信じられ、自虐史観にとらわれ
ている。

産経新聞のソウル駐在客員論説委員として、韓国における生活が長い、
黒田勝弘氏が今日の韓国について、「韓国民の反日感情というのは、日本
による朝鮮半島支配が終わった後、日本においては戦後、彼らにおいて
は、いわゆる解放後に形成されたものである」(『それでも私はあきらめ
ない』黒田福美著、あとがき、WAC株式会社)と、述べている。

日本の朝日新聞社をはじめとする、偏向左翼による自虐的な「反日」
も、敗戦後に形成されたものだから、韓国を笑うことができない。

また夏が巡ってきた。今年は異常な猛暑が続いたが、8月になると先の
大戦の敗戦を回顧することが、年中行事となっている。

だが、対米戦争と敗戦は、日本が自ら招いたものではなかった。

これは、歴史的事実である。日本政府と軍部は開戦の直前まで、戦争を
避けようとして、ひたむきな努力を傾けた。アメリカも日本と同じよう
に、真剣に平和を求めているはずだと誤って信じたために、ルーズベルト
政権が仕掛けた罠に嵌ったのだった。

もし、異論がある読者がおいでになったら、拙著『大東亜戦争で日本は
いかに世界を変えたか』(KKベストセラーズ)、私が編者となった『日
米戦争を起こしたのは誰か・フーバー大統領回顧録を論ず』(勉誠出版)
を、お読みいただきたい。

今年は、アメリカの対日占領が終わってから、66年以上が過ぎている。

日本の惨状、いつまで米国のせいにするのか

それなのに、多くの保守派の人々が、アメリカの占領政策のお蔭で、日
本国民が自立心を失なったといって、アメリカを批判する。

これらの人々は、これから10年、20年、いや、30年、40年たっ ても、ア
メリカの占領政策によって、日本の国民精神が歪められてしまっ たと、
アメリカのせいにし続けるのだろうか?

これでは、韓国が35年にわたった日韓併合時代が終わってから、すで
に73年もたったというのに、日本統治を非難することに没頭して、自立
することができずにいるのと、まったく変わりがないではないか。日本が
いつの間にか、“第2の韓国”となってしまったのだ。

8月に、防衛省が28年ぶりに、自衛官の採用年齢の上限を、今年10月から
6歳引き上げて、32歳にすることを発表した。少子化によって、 応募者
が減少しているからだというが、いま、はじまったことではない。 陸上
自衛隊の定員が15万人と定められているのに、2万人が欠員となっ てい
て、13万人しかいない。

少子化のために、全国で定員に届かない大学が多いが、このような大学
の学生の質は、当然低い。自衛隊員のなかには、優秀な隊員が少なくない
が、定員を満たすことができないために、全体の質と士気が低い。

海上自衛隊も護衛艦が、定員に満たない人数で、出航している。

東日本大震災では、予備自衛官に招集をかけたが、1パーセント以下し
か招集に応じなかった。即応予備自衛官も招集に応じた者は、半分以下
だった。

そのうえ、若者が自衛隊に応募しないために、自衛隊は世界のなかで、
もっとも高齢化した軍隊となっている。旧軍では陸軍の中隊長は20代
だったのに、陸上自衛隊では40代末か、50歳が珍しくない。

予算がないので、必要な装備も足りない。

これも、憲法に自衛隊の存在が書かれていないからだ。

 国防意識回復のため憲法に自衛隊明記を

国民が国防意識を回復するために、1日も早く憲法第9条に自衛隊を保
有することを、書き加えなければならない。

これは全面的に改定するのではないから、「憲法改正」というより、
「憲法修正」と呼ぶべきだ。

「親中」「媚中」が、戦後の日本の歩みを大きく狂わせた。

1972年に田中角栄内閣のもとで、日中国交正常化性急に行われた時 に、
私は『文藝春秋』『諸君』の誌上で、中国は信頼できないといって、 強
く反対した。日本が、日中国交正常化を煽り立てる新聞世論によって、
押し流されていた。

いま、もはや「日中友好」を唱える声がきかれなくなったというのに、
「子々孫々に至る日中友好」を叫んでいた大新聞から、反省の声がきかれ
ない。

そのかたわら、いまだに議憲派が国論を2分する力を持っている。

憲政民主党は“憲法解釈”による、「専守防衛」を堅持すべきことを主張
しているが、敵軍が日本国土に上陸するか、航空機、ミサイルが国土の上
に飛来するまで、迎え撃ってはならないと説いているから、大戦末期に
「一億総特攻」「本土決戦」を呼号した、狂信的な旧軍将官の再来でしか
ない。

だが、枝野幸男氏をはじめとする議憲派が、そこまで常規を逸している
はずがない。

議憲派は、どのような状況のもとでも、アメリカ軍が「子々孫々」に至
るまで、日本をしっかりと守ってくれると信じて、疑わないのだろう。

日本国憲法は、アメリカ軍の保護なしに、成り立たない。

議憲主義は自立心を捨てて、アメリカへの甘えを表わしたものでしかな
い。「日本国憲法」は独立国としての誇りと、自立心を捨てた国民でなけ
れば、憲法として戴くことができない欠陥法だ。

議憲派は、“媚米派”である。中国であれ、アメリカであれ、外国に媚び
るのは、恥しい。媚びるほど、卑しいことはない。

このままでは、国家の存在を危うくする。 

2018年09月30日

◆安倍首相は新たな国造りをしてほしい

加瀬 英明


安倍首相は日本のために新たな国造りをしてほしい

8月にテレビ番組で、「平成がすぐに終わりますが、平成をどのようなこ
とによって、記憶されますか?」と、たずねられた。

私はとっさに「平成の30年の間に、憲法を改められなかったことだ」と、
答えた。

現行の「日本国憲法」は、アメリカによる対日占領が始まってから、僅か
1年3ヶ月後に公布された。この「憲法」は、大日本帝国憲法を改正した
体裁をとっているが、大幅な改定であって、占領軍による強要がなけれ
ば、とうてい1年で行えるものではなかった。

私はついでに、戦後の73年を振り返ったら、どう思うだろうか、考えた。

「日本国憲法」が公布されてから、71年になる。日本が講和条約によって
独立を回復してから、66年の歳月が流れた。それなのに、なぜなのか、こ
の憲法がいまだに私たちの上に居座っている。

「日本国憲法」は冒頭から、大嘘で始まっている。「平和を愛する諸国民
の公正と信義に信頼して、われらの生存と安全を保持」(前文)すると述
べて、すべての国が平和を愛し、公正と信義を重んじていると説いてい
る。誰が読んでも、嘘偽りではないか。

今日でも、政府、大手新聞・テレビは、日本が連合国に「無条件降伏」し
たというが、これも大嘘だ。学校教科書も「無条件降伏」したと記さなけ
れば、検定に合格しない。

日本は『ポツダム宣言』を受諾して降伏した

日本は『ポツダム宣言』を受諾して降伏したのであって、「吾等ノ条件ハ
左ノ如シ。吾等ハ左條件ヨリ離脱スルコトナカルヘシ」と述べて、「日本
国軍隊ノ無條件降伏」のみを、求めている。事実は、名誉ある条件付降伏
を行ったのだった。

1950年6月に、占領下で朝鮮戦争が勃発すると、その2ヶ月後に占領軍は
「日本国憲法」によって「陸海空軍その他の戦力」の保持を禁じたはずな
のに、日本政府に警察予備隊という軍事組織の創設を命じた。

日本はその1年8ヶ月後に独立を回復し、3ヶ月後に警察予備隊を保安隊
と改称し、1954」年にさらに自衛隊に改めた。

今日、自衛隊は国際的には軍隊として認められているが、国内では政府、
国会が軍隊ではないと言い張っている。日常生活でこのような詭弁は、と
ても許されないだろう。

自衛隊には「普通科連隊」「特科連隊」という、一般の国民に理解できな
い部隊が存在しているが、歩兵と砲兵のことだ。自衛隊が軍、兵でないと
偽ってきたからだ。このために、自衛隊には意味不明な用語が多い。

占領下で連合国による、いわゆる「東京裁判」が行われ、敗戦までの日本
の指導者が「アジアを侵略した罪」によって裁かれた。

だが、連合国は敗戦翌年の5月から3年半にわたって“裁判”が行われてい
たあいだ、オランダ、イギリス、フランス軍が、日本が大戦中に解放した
アジアの民を再び植民地支配のもとに置こうとして、アメリカに援けられ
て、侵略戦争を戦っていた。

戦勝国こそアジアを侵略していた

この事実だけでも、「東京裁判」が勝者による不法な私刑(リンチ)でしか
なかったことが明白なのに、今日でも多くの国民が「東京裁判史観」とい
う嘘を、鵜呑(まるの)みにしている。

国民があからさまな嘘を信じて、よいのだろうか?

ニューヨークのマンハッタンに、「ジ・ユナイテッド・ネーションズThe
United Nations」と呼ばれる国際機関がある。UNの略称で知られている
が、先の大戦中に日本が沖縄戦を戦っている時に、連合国が戦後世界を経
営するために、サンフランシスコで誕生し、日本は1956年に加盟すること
を許された。

日本では「国際連合」と訳されて、「国連」と略されているが、このよう
な名称の国際機関は、世界のどこにも存在していない。

もともと「ジ・ユナイテッド・ネーションズ」という呼称は、ルーズベル
ト大統領が真珠湾攻撃直後の1942年1月1日に、日本と戦っていた26ヶ国
の代表をワシントンに集めて、「ジ・ユナイテッド・ネーションズ(連合
国)」と呼ぼうと、提案したことによった。

「ジ・ユナイテッド・ネーションズ」は、第2次大戦を戦っていた一方の
軍事同盟の呼び名である。サンフランシスコで国際機関の「ジ・ユナイ
テッド・ネーションズ」が結成された時に、日本と戦っていることが加盟
資格とされた。

加盟資格について「すべての平和愛好国」と規定されたが、日本、ドイツ
をはじめとする枢軸国と戦っていることが、「平和を愛好する国」の条件
とされた。そのために、多くの国が「平和を愛好する国」として資格をえ
るために、日本とドイツに急いで宣戦布告した。

 「国際連合(国連)」は「連合国」の偽名だ

マンハッタンにあるのは、連合国(ジ・ユナイテッド・ネーションズ)の本
部だ。

日本でも「ジ・ユナイテッド・ネーションズ」は、敗戦の11月までは
「聯合國」と正しく訳されていた。今日、日本で「国連憲章」と呼ばれる
連合国憲章を起草するために、連合国の代表がサンフランシスコに参集し
たが、当時、日本の外務省は当然のことに「ジ・ユナイテッド・ネーショ
ンズ」を、「聯合國」と訳している。

ところが、11月から「聯合國」が「國際聯合」と曲訳されるようになった。

連合国憲章を「国連憲章」と訳してきたが、外務省による正訳では、「国
連憲章」は「われら連合国の人民は‥‥」(原文は「ウィー・ザ・ピープル
ズ・オブ・ジ・ユナイテッド・ネーションズ」)から始まっており、
「ジ・ユナイテッド・ネーションズ」を、「連合国」と正しく訳している。

 日本はうそ偽りを精神の拠り所としてきた

 冒頭で「連合国」と訳しているのに、「ザ・チャーター・オブ・ジ・ユ
ナイテッド・ネーションズ」は、「国際連合憲章」と誤訳している。翻訳
では同じ言葉を同じように訳さなければならないのに、おかしい。

 「ジ・ユナイテッド・ネーションズ」は誕生した時から、5つの公用語
の1つである中国語では、「連合国(リエンホーグオ)」である。韓国と北
朝鮮も「国連」を正しく、「連合国(ヨナブグク)」と呼んでいる。

 同じ敗戦国のドイツでは、ドイツ語で国際連盟が「ディ・フルカーブン
ド」であったのに対して、「国際連合」はドイツが戦った連合国と変わら
ない「ディ・フェアインテ・ナツィオネン」(連合国)と呼ばれている。
イタリア語でも「レ・ナツィオニ・ウニテ」であって、「連合国」だ。

 敗戦を「終戦」、占領軍を「進駐軍」と呼んで、現実を誤魔化したよう
に、「ジ・ユナイテッド・ネーションズ(連合国)」を、戦前あった国際
連盟をもじって、「国際連合」に擦り替えたのだった。

 この誤訳のために、日本国民は「国連」が諸国の権力闘争の場でしかな
いのに、「平和の殿堂」だと誤解して、崇めてきた。

 日本政府も、「国連」が中心をまったく欠いているのに、つい十数年前
まで「国連中心主義」を、外交の基本方針としていた。

 日本国民の精神の拠り所となってきた「日本国憲法」も、「国際連合」
も、うそ詐(いつわ)りでしかない。

 日本国憲法は日本を夢遊病にしている

 日本国民は作り事の世界に生きてきたために、現実を直視する力を失っ
てしまっている。

 占領下では自由を奪われていたために、無法に従わなければならなかっ
たから、仕方がなかったが、独立を回復した後も、嘘を崇める国となって
いるのは、なぜなのか。

 私は幼い時に祖母から嘘をつくと、閻魔様に舌を抜かれると教えられた
が、日本人はあのころより全員が、はるかに冗舌になっているから、祖母
の話は迷信だったにちがいない。

 安倍首相が自民党総裁選挙に出馬するのに当たって、「平成の先の時代
へ向けて、新たな国造りを進めていく、先頭に立つ決意だ」と述べている
のに、大いに期待したい。

2018年09月27日

◆旧ソ連と同じ道を歩むか

加瀬 英明


旧ソ連と同じ道を歩むか 中国の「一帯一路」計画の成否

トランプ大統領が、習近平国家主席に関税戦争という、強烈な足払いをか
けている。

習主席は中国経済がアメリカ市場という脚のうえに立っているために、大
きく蹌踉(よろめ)いている。

だが、それだけではない。中国は今世紀に入ってから、かつてのソ連と同
じように、自壊への道を、ひたすら驀進するようになっている。

ソ連は1991年に瓦解した。効率が悪い計画経済によって病んでいたという
のに、シベリア沿海州の開発に国力を浪費するかたわら、東ヨーロッパの
衛星諸国という重荷をかかえ、第3世界に進出するために力を注ぐうえ
に、アメリカとの大規模な軍備競争に耐えることができなくなって、無様
(ぶざま)に崩壊した。

クレムリンの最高指導者は、マルクス・レーニン主義の予言に従って、ソ
連が世界を支配するという使命感にとらわれて、身の程を知らずに世界制
覇を急いだために、墓穴を掘ってしまった。

習主席も、「偉大なる5000年の中華文明の復興」という掛け声に、自ら陶
酔して、身の程を知らない、見せかけが壮大な「一帯一路」計画と、大海
軍の建設を中心とした軍拡を強行しているのを見ると、第2次大戦後にソ
連が進んでいた道程に、何とよく似ているだろうかと、思わざるをえない。

中国は分離独立闘争を恐れて、新疆ウィグル自治区や、チベットをはじめ
とする西域や、中部、北部に、巨額の投資を行っている。

「一帯一路」計画は、アジアからヨーロッパまで、70ヶ国近くを“幻想
の中華圏”に取り込もうとする、野心的というよりも、ぞんざいきわまり
ない大計画だが、すでにマレーシア、ミャンマー、パキスタンなどの多く
の諸国で、破綻するようになっている。

ソ連は1950年代から、60年代にかけて、日本についで経済成長率が高かった。

私はソ連が1957年に、アメリカに先駆けて、人工衛星『スプートニ
ク』を軌道に乗せた時に20歳だった。その4年後に、世界最初の有人衛
星飛行を行って、アメリカの朝野を狼狽させたことを、よく覚えている。

中国では、少子高齢化が進むようになって、往年の旺盛な高度成長を支え
た、豊富だった安い労働力が、失われるようになっている。ソ連では1970
年代に入ってから、同じことが起こっている。

私はかねてから、中国人は昔から「ツー(吃――食事)」、「フー(喝――飲
酒)」、「ピャオ(嫖――淫らな遊女)」、「トゥ(賭――博打(ばく
ち))」、「チーティンシ(大聴戯――京劇)」の5つを、生き甲斐にして
いると、説いてきた。清朝の歴代の皇帝も、毛沢東、周恩来、江青夫人
も、江沢民元主席もみな京劇マニアだった。

京劇は甲高い声に、耳を聾するけたたましい音曲と、大袈裟な所作による
演劇で、誇大妄想を煽るものだ。習主席が好む軍事パレードや、急拵(こ
しら)えの航空母艦を中心とする大海軍や、絵に描いた餅のような「一帯
一路」は、京劇の舞台装置を思わせる。

現在、中国海軍は艦艇数だけなら317隻で、アメリカ海軍の283隻を上回る。

今春、中国最初の国産空母が進水して、艤装中だが、西太后が日清戦争の
前夜に、北京西郊の頤和園の湖水の岸に、巨額の国費を投じて建造した、
大理石の巨船の“21世紀版”だ。西太后もやはり、京劇マニアだった。

2018年09月12日

◆世界を席巻する“トランプ現象”の猛威

加瀬 英明


トランプ政権があと数ヶ月で、2年になる。

トランプ大統領の下で世界のありかたが、劇的に変わろうとしている。と
いうよりも、世界の仕組みが大きく変わりつつあったから、トランプ大統
領が2年前の11月に登場したというのが、正しいと思う。

トランプ候補が、大手のマスコミによって本命だとされた、ヒラリー・ク
リントン候補を破って、ホワイトハウス入りを遂げてからも、トランプ大
統領が「暴言」を乱発し、衝動的、気紛れであって、大統領として不適格
だという非難を、浴びせ続けている。

だが、このような“トランプ現象”は、アメリカに限られているのだろうか?

トランプ候補は「アメリカ・ファースト」を約束して当選したが、アメリ
カが未来永劫にわたって、世界の覇権を握り続けるという、神話を覆すも
のだった。「メイク・アメリカ・グレイト・アゲイン」という呼び掛け
は、アメリカの国益を世界よりも、優先させようというものだった。

トランプ政権が誕生する前に、イギリスが国民投票を行って、EU(ヨー
ロッパ共同体)から脱退することを、決定していた。

このところ、EUは箍(たが)が緩んで、蹌踉(よろ)めいている。EUは
ヨーロッパを一つに統合しようと、目論んだものだったが、ヨーロッパで
は、ハンガリー、ポーランド、スイス、オーストリア、イタリア、ラトビ
ア、ノルウェー、ブルガリア、ギリシアで、自国の利益を優先する“右翼
政党”が、次々と政権を担うか、連立政権に加わるようになっている。

アメリカや、ヨーロッパの大手メディアは、このような動きを「ポピュリ
ズム」と呼んで蔑み、これらの政党を「右翼政党」ときめつけて、貶(お
とし)めている。

「ポピュリズム」は、エリートと既成政党が支配していた“良識的”で、
“真っ当”な体制に対して、大衆を煽動して、誤った方向へ向かわせること
を、指している。

トランプ政権の登場も、イギリスのEU脱退も、ポピュリズムによるもの
とされている。

ヨーロッパでナショナリズムが復活しているのは、イスラム難民が大量に
流入したためだというが、それだけではない。

アメリカが、よい例だ。アメリカの勘定高い大企業の経営者は、“グロー
バリズム”と自由貿易体制を礼讃してきたが、製造部門などを中国などの
低賃金の諸国へ移して、自国の労働者の職場を奪ってきた。

トランプ候補はアウトサイダーとして、“良識ある”体制に果敢に挑戦した。

アメリカでは“弱者”を尊重するあまり、オバマ政権下ではLGBT(レズ
ビアン、ゲイ、両性愛者、性転換者)に、「自分が信じる性に従って、男
女どちらのトイレを使ってもよい」という大統領令――法律を発した。

日本でも同様なことがみられるが、“良識ある”体制が押しつけてきた、
いっさいの“差別語”を追放しようとする、行き過ぎた“言葉狩り”が暴走し
て、先祖伝来の生活環境を破壊するようになっている。

大手マスコミや学者が、「ポピュリズム」と呼んで貶めているが、“グ
ローバリズム”を信奉する富裕層やエリートに対して、大衆が伝統的な、
落ち着いた生活を守ろうとして立ち上がったと、考えるべきである。これ
は、大都市対地方の戦いだ、といってよかろう。

大手マスコミや、著名研究所(シンクタンク)、有名大学は、巨大企業に
よって養われてきたために、ナショナリズムを嫌って、“グローバリズム”
を支持している。

だが、“グローバリズム”を支えてきた国際秩序は、アメリカが自由貿易体
制を通じて、巨額な貿易赤字を負担して世界を潤(うるお)し、ヨーロッパ
や、アジアの同盟諸国の防衛の重荷を担ってきたことによって、成り立っ
てきた。

トランプ現象や、ヨーロッパ諸国のナショナリズムを「ポピュリズム」と
呼んで、敵視すれば、すむことではあるまい。



2018年09月05日

◆抑圧と分断に翻弄された民族の愛国心と反日感情

加瀬 英明

 
ロシアで行われたワールド・サッカー世界大会で、韓国代表チームが敗れ
て、5月にインチョン(仁川)空港に帰国したところを、出迎えたファン
が罵声を浴びせて、卵を投げつけた。

韓国チームは2敗したあとで、前回の世界大会の覇者だったドイツに勝っ
たから、誉められるべきだったと思うが、韓国社会は結果だけを重んじる
から、日本のように努力したことを評価しない。

日本では食物は大切で、神聖なものであるから、人に食物を投げつけるこ
とは、絶対にしない。韓国と日本は隣国だというのに、人々の価値観が
まったく異なっていることに、驚かされる。

だが、韓国も、日本も長いあいだにわたって貧しい国で、しばしば飢饉に
も見舞われたから、食べ物は尊いものだったはずだ。

それなのに、韓国では人を罵って、卵をぶつけることが珍しくない。

卵は貧しかった時代には、韓国でも、日本でも貴重な滋養源だった。日本
では幼い時から、親から食物を粗末にしたら罰(ばち)が当たるといって、
厳しく躾けられた。

私の親しい韓国のO教授が日韓の違いを説明して、「韓国人はみんな見栄
を張るからです。卵も貴重なものであったから、自分は卵を投げることが
できるほど、豊かだということを、見せるためですよ」と、教えてくれた。

韓国語では、「ホーセプリダ」(虚勢(ホーセ)を張る)とか、「ホーヨン
プリダ」(虚栄(ホーヨン)を飾る)という。誰もが空ら威張りする天性
が、あるのだ。

ちなみに、韓国の1人当りのGDP(国内総生産)は、日本の3分の2に
みたないのに、韓国では卵1ケがほぼ200ウオン(日本円で30円)である
のに対して、日本では20円あまりだ。韓国のほうが金利も物価も高いが、
昔から社会が安定しなかったために、貯蓄する習慣がなく、全員が借金癖
に取りつかれているためだ。

日本では誰もが、謙虚であることを求められる。自己を抑えて、互に譲り
合わなければならないが、韓国では自己主張が強く、人を押しのけながら
力のある者に、諂(へつ)らわなければ、生き残ることができない。韓国人
誰もがそろって認めるように、住みづらい社会なのだ。弱い者は惨めな落
伍者になってしまう。

嘘をつくのも、自己防衛のために必要だから、そうするうちに嘘が真実に
なってしまう。

 
嘘はしばしば、家族や、一族、自分が属している党派を守るために、必要
な手段となる。先の大戦中の慰安婦(ウイアンプ)が、職業的な売春婦だっ
たのが事実であるのに、日本によって拉致された性奴隷(ソンノーイエ)
だったという嘘を、事実としてつくりかえて、国内外に慰安婦像を次々と
建てているのは、その典型的な例である。

 過酷な歴史ゆえの自分本位

韓国では嘘と真実のあいだに、境がない。

 慰安婦(いあんふ)は日本語だが、戦後独立した韓国の国軍は、旧日本軍
の将校経験者が中心となったので、日本軍の多くの制度に倣った、慰安婦
を「ウイアンプ」と、朝鮮語読みにして引き継いたために、韓国軍に慰安
婦が存在した。

駐留米軍にも、慰安婦(ウイアンプ)を提供していた。(もっとも「性奴
隷」は、日本の偏向左翼の造語で、「セックス・スレイブ」として、世界
を風靡している。)

今年から韓国では、政府が8月14日を『ウィアンプ・ギリムウィ・ナル』
(慰安婦を称える日)として制定したが、世界史で売春婦(メチュンプ)を
賛美する唯一つの国となった。じつに、個性的な民族だとしかいえない。

8月が巡ってくると、日本ではテレビが定番のように、先の大戦と、広
島、長崎への原爆投下を回想する番組で埋まるが、韓国では日本軍によっ
て虐待された慰安婦を取りあげた番組が、放映される。今年も、文在寅
(ムンジェイン)大統領と金正淑(キムジョンスク)大統領夫人が、高齢の慰
安婦を見舞った。

韓国人には、愛国心が無い。日本は1億2000万人が同質だと思い込んでい
る、世界できわめて珍しい国民だ。ところが、韓国人は家族の結束と家族
愛が、日本よりはるかに強いものの、国民として一体感が欠けている。

韓国人は富裕層から極貧層まで自分本位だから、韓国を捨てて、自由で豊
かな海外に移住することが、全員の夢(クム)となっている。もっとも、李
朝のもとで500年にわたった朝鮮王朝(1392年〜1910年)が、あまりにも
苛酷な時代だったから、自分本位にならざるをえなかった。

 分断国家と反日感情

日本神話が一つしかないのと較べて、韓国には朝鮮北部の檀君(タンクン)
神話をはじめ、高句麗(コクリヨ)、百済(ペクチュ)、新羅(シルラ)、伽那
(カヤ)それぞれにその国がどのようにして産まれたのか、異った始祖神話
が存在する。

檀君神話は、天帝桓因(ファニン)の子の桓雄(ファヌン)が地上に天降っ
て、雌熊(クンニヨ)と結婚して生まれた檀君が、檀君朝鮮として知られる
古朝鮮を建国して、王となったというものだ。ところが、高句麗、百済、
新羅と伽那の神話は、それぞれ物語が大きく違っているものの、すべて卵
から生まれたという、卵生神話である。

天帝の子の恒因が天上から天降ったというのは、日本神話に似ているが、
なぜか、卵から生まれたという4つの国の神話は、日本神話と共通すると
ころが、まったくない。

韓国は古い歴史があるといって誇るが、しばしば王朝が交替したから、そ
のつど歴史が断絶されてしまった。

中国の歴史も、習近平国家主席が「偉大な5000年の中華文明」を自慢して
も、王朝が頻繁に代わるたびに、歴史が大きく書き改められたから、ズタ
ズタの歴史であって、韓国の歴史に一貫性がないのと、同じことだ。

韓国では、新しい王朝が支配者となるたびに、かならずその前の王朝の業
績を、頭から否定した。高麗朝(コリヨジョ)の将軍だった李成桂(イソン
ゲ)が、1388年に反乱して高麗朝を倒し、朝鮮王朝(チョソンワンジョ)と
して知られる李朝を樹てると、高麗朝の国教だった仏教(プルギヨ)を禁じ
て、儒教(ユギョ)を国教とした。

李朝のもとで、仏寺はみな山の奥深く逃げ込み、僧侶は強制労働に服する
奴婢(ヌビ)の身分に落された。今日、韓国の骨董屋にゆくと、五体満足な
仏像が、一つもない。日韓併合後、日本が仏教を復活させることによっ
て、仏寺が平地に戻ることができた。

アメリカの占領下で、1948年に韓国が独立を回復すると、その前の日韓併
合時代が完全に否定されるようになったが、国家をあげての「反日(パン
イル)」は、何のことない、韓国の歴史で繰り返されてきただけのことだ。

それに韓国は、李朝が終わるまで国民を苛め抜いて、支配階級が富を収奪
する、苛斂誅求(ガリヨムジュグ)の酷(むご)い歴史しかないので、誇れる
ことがないために、「反日」が愛国心の源(みなもと)となった。

産経新聞のソウル駐在客員論説委員として、韓国における生活が長く、私
と同じ親韓派の黒田勝弘氏が、韓国の「反日」について、「韓国民の反日
感情というのは、日本による朝鮮半島支配が終わった後、日本においては
戦後、彼らにおいては、いわゆる解放後に形成されたものである」(『そ
れでも私はあきらめない』あとがき、黒田福美著、WAC株式会社)と、断
じている。

日本の朝日新聞社をはじめとする、偏向左翼による自虐的な「反日」も、
敗戦後に形成されたものだから、韓国を笑うことができない。

私が長年にわたって、親しくしている韓国のS元新聞論説委員は、「いま
の韓国の“反日”は、日本が戦争に負けたのがいけないのですよ」といっ
て、嘆いてくれる。

私は日韓基本条約によって、日韓国交平常化が行われた前年の1964年
に、時事通信社特派員の肩書を貰って、韓国に短期滞在したが、ポージャ
ンマチャ(屋台)を訪れても、深夜、ソウルへ戻るバスに乗っても、日本
人だとわかると、人々から握手攻めになった。

屋台では人々が懐しがって、つぎつぎとマッコリ(どぶろく)を奢(お
ご)ってくれ、満員のバスでは、全員が日本の歌を合唱してくれた。

私は27歳だったが、当時の韓国の代表的な企業の経営者が、若い私を上座
にすわらせて、妓生(キーセン)を侍らせた宴席を設けてくれた。

日韓併合時代が遠ざかって、日本時代を体験した人々が減るにしたがっ
て、「反日」が暴走して、喜劇的なものとなっている。

 事大主義を生んだ儒教の受容

韓国では前政権の大統領が、かならずといってよいほど逮捕され、投獄さ
れるが、前政権を否定することが、慣(なら)わしとなっている。前政権の
幹部が記念植樹した木があれば、引き抜いてしまうことが、珍しくない。

韓国民の思考様式を解明する、もう一つの鍵は、「サデチュイ」である。
漢字で「事大主義」と書く。日本では「事大(じだい)」という言葉が使わ
れることがないから、馴染(なじ)みがないが、漢和辞典で「事」をひく
と、「仕える」という意味がでてくる。「事大(サデ)」は、力の強い者に
仕えることだ。

 韓国は歴史を通じて、中国からしばしば侵略を蒙ったために、中国に臣
従して、中国の属国となった。

 韓国の歴代の国王は、中国によって册封(任命)される地方長官のよう
なものだったから、皇帝のみに許される「陛下(ペーハ)」とい敬稱を用い
ることができず、「国王(ククウォン)殿下(チョンハ)」と呼ばれた。

 歴代の韓国の王朝は、ひたすら中国に仕えることによって、生き伸びて
きた。中国に追従(ついしよう)して、諂(へつら)うあまり、自立心も何も
捨てて、儒教から科挙制度まで、すべて中国を真似して、中国の「大中華
(デチュンファ)」に対して「小中華(ソチュンファ)」と稱して、悦に浸る
ようになった。

 ヨーロッパに、「ロシアの隣国となるほど、不幸なことはない」という
諺(ことわざ)があるが、中国の隣国となるほど、不運なことはない。

 今でも韓国では「大国(デグク)」といったら、中国一国だけを指す言葉
となっている。アメリカも、ロシアも、「大国」とはいわない。

 それでいながら、韓国人は中国に対して屈折した感情をいだいており、
中国人が不潔だといって、昔から「テンノム」(垢野郎)といって、軽蔑
してきた。今日でも「テンノム」といったら、中国人の蔑稱となっている。

 もう一つの韓国人の思考様式を解く鍵は、韓国人全員が英語でいうが、
「ウインナー・テイクス・オール」(勝った者が、すべてを一人占めにす
る)のだ。日本のような“和の社会”ではなく、常時、熾烈な競争を強いら
れている社会なのだ。

 そこで、子どもを学校に送り出す時には、日本であれば「みんなと仲良
くしなさい」というが、韓国では「チヂマ!」(負けるな)、「イルテン
イ・テウォラ!」(一番になれ)「イルテンヘラ!」(同)といって励ま
すというより、脅(おど)かす。

 このために、韓国では少数の財閥(チェボル)と呼ばれる大企業が、経済
の3分の2以上を独占して、中小企業が育つことがない。

 韓国の悲劇は、韓国社会が小型の中国となってしまったことだ。

 中国人も苛酷な歴史のなかで生きてきたから、不正を不正と思わない。
自己本位で、自分を守るために、いくらでも嘘をつく。畏友の宮崎正弘氏
が、「中国人は息を吐くたびに、嘘をつく」と述べているが、嘘が呼吸と
同じ生きる術となっている。

 中国の儒教は支配階級が、美辞を並べて人民を支配するためのハウツウ
の統治思想であるが、日本に伝わると、精神修養哲学につくりかえられ
て、今日に至っている。ところが、韓国では中国の儒教をそのまま取り入
れたために、中国産の猛毒によって冒された。

 『論語』には、孔子の言葉として、「身内の不祥事を、外に洩してはな
らない」という、日本人なら目を剥(む)く教えがある。

 日本は“和の社会”であるから、心は相手が誰であれ、配るものとされて
いるが、中国、韓国では、家族と一族のあいだに限られる。そのかわりに
言葉が、主役の座についている。

 韓国では朝鮮王朝を通じて、儒教の朱子学の取るに足りない、些細な解
釈をめぐって、国王を取り巻く両班(ヤンバン)たちが党派を組んで、凄惨
な生命の遣(や)り取りを、繰り返した。

 言葉はもっぱら自己主張と、弁解に使われるために、日本では古代から
言葉を多用して、「言挙(ことあ)げ」することを戒しめてきた。日本の歴
史を通じて信仰されている神道では、言葉に「言霊(ことだま)」という霊
力が籠っていると信じられたので、よい言葉だけを発することを求めてきた。

 言葉と現実は、2つの異っているものである。日本人は、言葉のうえに
成り立っている論理が万能な、中国、韓国と違って、言葉を乱用すること
を嫌って、感性による美と心を尺度としてきた。

 そこで、中国と韓国では、贋物の論理をつくっては、振りまわす。心は
分かち合えるが、論理は対立を招く。日本社会の“和”は、理屈を嫌ってい
るうえに、成り立っている。

 これからの日韓関係と日本人の行方

 日韓関係は、どうあるべきなのだろうか?

 いま、日本では「嫌韓」という言葉が、流行っている。韓国の理不尽な
行いに対して、日本国民が憤っているのは、よく理解することができる。

 韓国は事大主義(サデチュイ)の国だから、強い者に媚び、自分よりも弱
い者に対して、居丈高に振舞う。 
 
 ところが、日本が韓国に対して毅然たる態度をとるべきところを、河野
洋平官房長官(当時)が、日本人らしい善意からだろうが、慰安婦につい
て謝罪したり、韓国に対して卑屈な姿勢をしばしばとってきたために、侮
(あなど)りを招くことになった。これは、日本の責任だ。

 私は「嫌韓」というよりは、読者に韓国を哀れむ、「憐韓(れんかん)
論」を勧めたい。“悪の文明”である中国に臣従することを強いられたうえ
に、中国を模倣した苛斂誅求(かれんちゅうきゅう)の政治が行われたため
に、韓国の国民性が大きく歪められてしまった。気の毒な国民なのだ。

 韓国人にはよいところが、多くある。私たちは韓国を善導することに、
努めるべきである。韓国政府があれだけ反日教育を行っているのに、日本
を訪れる韓国観光客にレピーターが多いのは、本音では日本を好きなのだ。

 韓国のテレビでは、いまでも日本のドラマを、日本語で放映することが
禁じられ、日本の演歌を日本語で流すことができない。韓国民が日本を好
きになってしまうからである。

 だが、いったい私たちに「憐韓」だ、「嫌韓」だといって、韓国を見下
ろして、嘲笑する資格があるだろうか。

 あと8ヶ月あまりで元号が改まって、戦後3回目の御代になるというの
に、私たちはいまだに自立する精神を、まったく欠いている。

 北朝鮮からのミサイル攻撃だけではなく、中国が尖閣諸島、沖縄を奪い
にきても、アメリカに縋るほかないでいる。事大主義ではないか。   

2018年08月25日

◆9条に自衛隊保有を明記せよ

加瀬 英明


日本を守るD 憲法改正で9条に自衛隊保有を明記せよ

8月に防衛省が28年ぶりに、自衛官の採用年齢の上限を、今年10月から6
歳引き上げて、32歳にすることを発表した。

少子化によって、応募者が減少しているからだというが、いま、はじまっ
たことではない。陸上自衛隊の定員が15万人と定められているのに、2万
人が欠員となっていて、13万人しかいない。

少子化のために、全国で定員に届かない大学が多いが、このような大学の
学生の質は当然低い。自衛隊員のなかには、国際的な水準からみて、優秀
な隊員が少なくないといっても、定員を満たすことができないために、全
体の質と士気が低い。

海上自衛隊も定員に満たないために、護衛艦が定員に満たない人数で、出
航している。

東日本大震災では、予備自衛官に招集をかけたが、1パーセント以下し
か、招集に応じなかった。即応予備自衛官も招集に応じた者は、半分以下
だった。

そのうえ、若者が自衛隊に応募しないために、自衛隊は世界のなかで、
もっとも高齢化した軍隊となっている。旧軍では陸軍の中隊長は20代だっ
たのに、陸上自衛隊では40代末か、50歳が珍しくない。自衛隊は世界一の
“おじん隊”となっている。

 予算がないので、必要な装備も不足している。北朝鮮のミサイルに対し
て、全国にPAC3ミサイル迎撃ミサイルが17ユニット(部隊)配備され
ているが、半径25キロあまりを守ることができる。

 東京には防衛省構内に1ユニットが展開していたが、米朝首脳会談の結
果、北朝鮮の脅威が遠ざかったと判断して、撤収された。PAC3は飛来す
るミサイルに対して、2発の迎撃ミサイルを発射して、空中で破壊する。

 PAC3は1ユニット当たり、16発のミサイルを持つことが定められてい
るものの、防衛省にあったユニットは、予算が不足しているために、8発
しかなかった。1発が4億円するが、全国のユニットのなかには、2発し
か持ってない部隊もある。

 これも、憲法に自衛隊の存在が書かれていないからだ。

 国民が国防意識を回復するために、大至急、憲法第9条に自衛隊を保有
することを、書き加えなければならない。これは全面的な改定ではないか
ら、「憲法改正」というより、「憲法修正」と呼ぶべきだ。

 平成があと8ヶ月あまりで終わるが、私は平成を憲法修正が果たせな
かったことによって、記憶したい。

2018年08月10日

◆サウジの「女性の運転解禁」

加瀬 英明


日本にとって危険信号となるサウジの「女性の運転解禁」

いったい、女性が自動車を運転するのが、そんなに大(おお)事なのだろうか?

6月24日から、イスラム世界において女性に対する差別と、もっとも宗教
戒律が厳しいサウジアラビアで、女性がはじめて自動車を運転することが
認められたことが、日本でも大きく報道された。

日本はサウジアラビアに石油・天然ガスの40%と、その小さな隣国のアラ
ブ首長国連合の20%を加えると、60%も依存している。日本が必要として
いる石油・天然ガスの80%が、サウジアラビアをはじめとするペルシア湾
岸から、運ばれてくる。

日本を人体にたとえたら、血液の80%がペルシア湾岸から、供給されている。

サウジアラビアで、女性が自動車の運転を許されるようになったのは、日
本に対する危険信号が灯ったようなことだ。

もし、サウジアラビアが安定を失って、周辺も巻き込んで大混乱に陥った
場合には、日本の国民生活が根元から揺らぐことになる。

昨年、82歳のサルマン国王が、モハメド・ビン・サルマン王子を世継ぎと
して擁立すると、今年、32歳の皇太子が2030年までにサウジアラビアの脱
石油経済化をはかって、近代国家につくり変える大規模な計画を、強引に
進めるようになった。

いまや、皇太子は世界の注目を浴びて、MBSの頭文字によって知られる
が、これまでサウジアラビアの政治が、1万人もいるという王子(プリン
ス)の合意によって行われてきたのにもかかわらず、ライバルの王子たち
を逮捕、厖大な財産を没収などして、独裁権を手にしている。

私はイスラム教の研究者であって、1980年代に三井物産と、日商岩井
(現・双日)の中東の顧問をつとめたが、“ビジョン2030”として知られる
大計画は、成功しないと思う。サウジアラビアは19年にイギリスが砂漠
につくった、多くの氏族からなる人工国家であって、もっとも力があった
サウド一族によって、国名を「サウジ(サウド家の)アラビア」と、定め
てきた。

 サウジアラビアは、砂漠と、棗椰子(なつめやし)と、駱駝(らくだ)の国
だが、国民は先の大戦後に外国人の手によって生産される石油が、巨富を
もたらすまでは、隊商が主な収入源で、農業に携わってきたイラク、シリ
ア、エジプトの人々の勤勉な習性を欠いており、もっとも背が高い建物と
いえば、遊牧民のテントだった。

 それが、これまで国民が湯水のような巨額の石油の収入によって、税
金、家賃、教育費、医療費、光熱費が免除され、肉体労働は外国の出稼ぎ
労働者に頼るという、まるで不労所得者のような国となっていた。政府は
サウド家に対する忠誠心が薄い、多くの氏族から成り立つ国民を、潤沢な
石油収入によって宥(なだ)めて、安定を保ってきた。

 MBSの近代国家化プロジェクトは、2014年から原油価格が暴落し た
のと、急速な人口増に加えて、世界が脱石油時代へ向かっている危機感
に駆られたものである。

 MBSは海外からの投資に、期待している。そのために、サウジアラビ
アが女性を差別しているのに対して、批判が強い両側諸国の好意を確保す
るために、女性に自動車運転を許すようになった。

 だが、サウジアラビアでは、2001年にサウジアラビア国籍のイスラ ム
過激派テロリストが、ニューヨークの世界貿易センタービルを破壊した
時にも、八年前にチュニジアで“アラブの春”が始まって、民主化の高波が
中東を襲った時にも、危機に迫られるたびに、女性の権利を小出しに拡大
してきた。

 MBSはまだ権力基盤を固めつつあるし、“2030年プロジェクト”が 失
敗すれば、この国が大混乱に見舞われることになる。