2017年05月30日

◆日本を守るのは誰かの意味

加瀬 英明



「日本を守るのは誰か」という特集の意味するもの

これから、いったい日本がどうなるのか、暗然とせざるをえなかった。

今日の日本の保守論壇をリードする、月刊誌『正論』6月号の特集のタイ
トルを新聞広告で見て、あらためて狼狽(うろた)えた。

「総力特集 迷走するアメリカ 日本を守るのは誰か」というものだった。

5月はじめに、アメリカ・インディアナ州の予備選挙で、ドナルド・トラ
ンプが共和党の大統領候補として指名されることが、ほぼ確定した。

そのかたわら、民主党はインディアナ州で、バーニー・サンダース上院議
員が勝った。ヒラリー・クリントン夫人の優位は動かないものの、サン
ダースが善戦したことによって、11月に誰が大統領となっても、トラン
プ、サンダースの主張が来年からアメリカの進路に大きな影響を及ぼすこ
とになる。

“トランプ現象”とは、何か。1980年にロナルド・レーガンが大統領を目指
して、予備選挙に挑んだ時に、カリフォルニア州知事をつとめたことが
あったものの、俳優あがりのシロウトでしかないと嘲けられた。

レーガンは「アメリカに朝を招こう(モーニング・イン・アメリカ)」と、
呼びかけた。レーガンが楽観主義者(オプティミスト)であるのに対して、
トランプは悲観主義者(ペシミスト)だ。

私は1ヶ月前にCNNのニュースで、トランプが集会で演説するのをみ
た。トランプは、こう訴えていた。

「アメリカは数百億ドルも投じて、イラクにつぎつぎと新しい小学校を
造ってきたが、造るごとにテロリストによって、破壊されてきた。そのか
たわら、(マンハッタンの隣りにある)ブルックリンでは、小学校の校舎
が老朽化して、われわれの子供たちの生命を危険にさらしている。もはや
アメリカは、豊かな国ではない。アメリカの力を、アメリカのなかで使おう」

サンダースはアメリカをスウェーデンや、デンマーク型の福祉国家につく
り変えようとしている。若い男女の圧倒的な支持を、獲得している。

アメリカのヨーロッパ化が、始まっているのだ。

かつてヨーロッパは、世界の覇権を握っていた。しかし、その重荷を担う
のに疲れ果てて、内に籠るようになった。

日本は昭和27(1952)年に、サンフランシスコ講和条約が発効して、独立
を回復して以来、“吉田ドクトリン”のもとで、国家の基本である国防を、
アメリカに委ねて、経済を優先させる富国強兵ならぬ、富国弱兵の道をた
どってきた。

これは、日本国憲法、あるいは平和憲法踏線と呼ぶものだった。自衛隊は
いまだに心もとない、擬い物の軍隊でしかない。国軍を欠く国家は、擬い
物の国家でしかない。

アメリカにひたすら縋(すが)ってきたというのに、そのアメリカが迷走を
はじめた。それよりも、日本が独立を回復してから、平和憲法という偽物
憲法を柱として恃(たの)んで、日本が迷走してきたのではないのか。

それにしても、アメリカは3億人以上の人口を抱えているというのに、ヒ
ラリーとトランプの2人しか、大統領候補者がいないのは、どういうこと
なのか。

マスコミが政治家を興味本位から、異性関係をはじめとして一挙一動を、
24時間中、監視するために、まともな人は政治家を志さない。日本でも同
じことが起っている。


2017年05月24日

◆米朝の間に入ることを強いられた中国

加瀬 英明



米朝の間に入ることを強いられた中国 それでも核開発を続ける北朝鮮


私は北朝鮮が、向う6ヶ月は核実験を行うことはないと、予想している。

トランプ大統領は4月に習近平主席とフロリダで会談して、中国に朝鮮半
島危機について下駄を預けた。中国という龍を北朝鮮に、けしかけたのだ。

習首席は9月に開かれる19回共産党大会で、もう1期5年再選されるこ
とを最優先しており、それまでアメリカとの間に波風をたてたくないか
ら、トランプ大統領に不本意であるが、従わなければならない。  

習氏はアメリカに位負けして、帰国した。トランプ大統領はその時、習氏
と3回4時間会談したが「きわめて良好な信頼関係を築いて、満足してい
る」と、語っている。

習首席は9月までは、朝鮮半島がアメリカの軍事攻撃を蒙って爆発するこ
とがあってはならないから、北朝鮮に自制するように強く求めることとな
ろう。

といって、アメリカの言うままになって、ホワイトハウスの庭に飼われて
いる。ポチ籠にはなりたくない。アメリカと北朝鮮との板挟みになって、
苦慮している。

アメリカは、中国に圧力をかけることも忘れていない。ティラーソン国務
長官が韓国、日本を訪問した足で、インドネシアをまわって、南シナ海問
題について協議した。原子力空母『カール・ビンソン』を中核とする機動
部隊は、オーストラリア、インドネシアを経て、4月末に長崎県沖合に現
れた。

トランプ大統領はオバマ政権が8年にわたって、北朝鮮の核・ミサイル開
発を放置して、中国が南シナ海に次々と人工島をつくって軍事化するの
に、よそ見をしてきたツケを、支払うことを強いられている。

北朝鮮は11年前に核実験をはじめて行ってから、これまで5回実施してきた。

現在、核弾頭を20発あまりもっており、6、7週間ごとに1発生産する能
力があり、2025年までに100発を保有することになろうと推定されてい
る。アメリカ西海岸まで射程に収めるICBM(大陸間弾道弾)を完成す
るのも、時間の問題とみている。

トランプ政権は時間との競争だと見て、何としてでも北朝鮮に核開発を放
棄させようとしている。北朝鮮が大量の核弾頭を持ったら、外貨稼ぎのた
めに、中東や、南米の不法な諸国に輸出することになると、恐れている。

トランプ大統領は習首席がフロリダを訪れた時に、北朝鮮と中国に対して
アメリカの決意を示すために、シリアへミサイルを撃ち込んだ。

だが、北朝鮮の金正恩委員長は、核開発を行ってきたのが正しいという、
確信を強めたにちがいない。北朝鮮が核兵器開発に着手したのは、核兵器
なしに体制を守ることができないと、決めているからだ。リビアのカダ
フィ政権がオバマ政権の軍事攻撃を蒙って倒されたのは、クリントン政権
時代にアメリカの甘言によって騙されて、核開発を放棄したためだった。 

シリアのアサド政権も、オバマ政権が反体制派に武器と資金を供給するこ
とによって、内戦を招いたが、もし核兵器を持っていたとしたら、アサド
政権にも、イラクのフセイン政権にも、手出しできなかったはずだ。

今後、北朝鮮が核実験を行うことを控えれば、核開発の速度を遅らせるこ
とができよう。だが、実験しなくても、核弾頭の小型化や、性能を向上す
ることができる。

2017年05月22日

◆「平和憲法」では守れない 北朝鮮のミサイル攻撃

加瀬 英明



今年は、明治元年から数えて150年、日清、日露戦争の開戦から、それぞ
れ123年と113年になる。

明治維新はアジアを侵略していた西洋の脅威に対して、日本が結束して立
ち上った偉業だった。また、日清、日露戦争の前夜には、全国民の眼が、
朝鮮半島において刻々と募る危機に集まった。

3月6日に、北朝鮮が4発のミサイルを同時に発射した。その直後に北朝
鮮当局が、「在日米軍基地を標的とした演習だった」と、声明した。その
うち3発が、秋田県の沖合に落下した。

おそらく4発とも、日本のすぐわきに撃ち込むことを、狙ったと思われる。

トランプ政権は「北朝鮮に限定的な軍事攻撃を加えることも、検討してい
る」と、言明している。いま、日本は戦後かつて体験したことがない重大
な危機に、直面している。

朝鮮半島において、軍事衝突が起る可能性がたかまっていると、考えねば
ならない。

それにもかかわらず、国会は与野党がもう50日以上も、連日、森友学園
問題に没頭している。どのようにして北朝鮮の脅威に備えるべきなのか、
まったく論じられない。

民進党も、共産党も、社民党も、マスコミも、日本国民の生命と安全は、
すべてアメリカに任せておけばよいという、属国根性丸出しだ。

いつ、日本国民は独立国としての気概を失ってしまったのだろうか。

アメリカが痺(しび)れを切らして、北朝鮮に対して軍事力を用いることに
なれば、北朝鮮の核施設とミサイルを摘出する、限定的な攻撃を加えよう。

金正恩政権はアメリカから攻撃を蒙った場合に、全面戦争に発展すること
は望まないが、中国や、国連が介入して停戦が成立する前に、体制の威信
を賭けてソウルを砲撃し、韓国にミサイルを撃ち込むかたわら、日本へ向
けてもミサイルを発射しよう。

その場合に、韓国の原子力発電所が破壊されれば、放射能が偏西風に乗っ
て、日本全国を覆うこととなろう。

日本は北朝鮮から同時に多数のミサイルが飛来する時には、迎撃して破壊
する能力を持っていない。

1991年の湾岸戦争の時に、イラクのサダム・フセイン政権がイスラエルへ
向けて、38発のミサイルを発射した。イスラエルは最先端のミサイル迎撃
システムによって迎撃したが、撃ち洩らしたミサイルによって、多くの死
傷者がでた。

この5月に、私たちは憲法記念日の70周年を迎えた。

護憲派が全国にわたって、憲法記念日を祝う集会を開くことになるだろ
う。だが、私たちはこの「平和無抵抗憲法」によって、アメリカに国防を
丸投げして、自ら両腕を固く縛ってきたために、北朝鮮のミサイル基地を
攻撃する手段を、何一つ持っていない。

迎撃するだけではなく、敵基地を攻撃する能力を合わせて保有すること
が、どうしても必要だ。それでも万全だといえないが、被害を少なくする
ことができる。

マスコミも、国民も、毎日のように“森友劇場”と、東京の豊洲市場移転を
めぐる“小池劇場”に、熱中している。そのわきで“金正恩劇場”――クアラル
ンプール空港における異母兄暗殺事件が、テレビを賑わしている。ところ
が、国民は北朝鮮の核やミサイルになると、関心がない。

「“平和”憲法」というのは、前後2つの言葉が一致しない、矛盾した撞着
(どうちゃく)語だ。

どの国の憲法も国民の安全と生命を守るために、戦うことを規定している。

それとも、「平和無抵抗憲法」の妖夢をみつづけるのだろうか。国民の安
全と生命を守るために、1日も早く属国幻想を捨てなければならない。



2017年05月11日

◆北朝鮮のミサイル攻撃

加瀬 英明



「平和憲法」では守れない 北朝鮮のミサイル攻撃

今年は、明治元年から数えて150年、日清、日露戦争の開戦から、それぞ
れ123年と113年になる。

明治維新はアジアを侵略していた西洋の脅威に対して、日本が結束して立
ち上った偉業だった。また、日清、日露戦争の前夜には、全国民の眼が、
朝鮮半島において刻々と募る危機に集まった。

3月6日に、北朝鮮が4発のミサイルを同時に発射した。その直後に北朝
鮮当局が、「在日米軍基地を標的とした演習だった」と、声明した。その
うち3発が、秋田県の沖合に落下した。

おそらく4発とも、日本のすぐわきに撃ち込むことを、狙ったと思われる。

トランプ政権は「北朝鮮に限定的な軍事攻撃を加えることも、検討してい
る」と、言明している。いま、日本は戦後かつて体験したことがない重大
な危機に、直面している。

朝鮮半島において、軍事衝突が起る可能性がたかまっていると、考えねば
ならない。

それにもかかわらず、国会は与野党がもう50日以上も、連日、森友学園問
題に没頭している。どのようにして北朝鮮の脅威に備えるべきなのか、
まったく論じられない。

民進党も、共産党も、社民党も、マスコミも、日本国民の生命と安全は、
すべてアメリカに任せておけばよいという、属国根性丸出しだ。

いつ、日本国民は独立国としての気概を失ってしまったのだろうか。

アメリカが痺(しび)れを切らして、北朝鮮に対して軍事力を用いることに
なれば、北朝鮮の核施設とミサイルを摘出する、限定的な攻撃を加えよう。

金正恩政権はアメリカから攻撃を蒙った場合に、全面戦争に発展すること
は望まないが、中国や、国連が介入して停戦が成立する前に、体制の威信
を賭けてソウルを砲撃し、韓国にミサイルを撃ち込むかたわら、日本へ向
けてもミサイルを発射しよう。

その場合に、韓国の原子力発電所が破壊されれば、放射能が偏西風に乗っ
て、日本全国を覆うこととなろう。

日本は北朝鮮から同時に多数のミサイルが飛来する時には、迎撃して破壊
する能力を持っていない。

1991年の湾岸戦争の時に、イラクのサダム・フセイン政権がイスラエルへ
向けて、38発のミサイルを発射した。イスラエルは最先端のミサイル迎撃
システムによって迎撃したが、撃ち洩らしたミサイルによって、多くの死
傷者がでた。

この5月に、私たちは憲法記念日の70周年を迎える。

護憲派が全国にわたって、憲法記念日を祝う集会を開くことになるだろ
う。だが、私たちはこの「平和無抵抗憲法」によって、アメリカに国防を
丸投げして、自ら両腕を固く縛ってきたために、北朝鮮のミサイル基地を
攻撃する手段を、何一つ持っていない。

迎撃するだけではなく、敵基地を攻撃する能力を合わせて保有すること
が、どうしても必要だ。それでも万全だといえないが、被害を少なくする
ことができる。

マスコミも、国民も、毎日のように“森友劇場”と、東京の豊洲市場移転を
めぐる“小池劇場”に、熱中している。そのわきで“金正恩劇場”――クアラル
ンプール空港における異母兄暗殺事件が、テレビを賑わしている。

ところが、国民は北朝鮮の核やミサイルになると、関心がない。

「“平和”憲法」というのは、前後2つの言葉が一致しない、矛盾した撞
(どうちゃく)語だ。

どの国の憲法も国民の安全と生命を守るために、戦うことを規定している。

それとも、「平和無抵抗憲法」の妖夢をみつづけるのだろうか。国民の安
全と生命を守るために、1日も早く属国幻想を捨てなければならない。


2017年04月26日

◆岸田外相「万全の態勢」は本当か

加瀬 英明



日本を守るC〜岸田外相「万全の態勢」は本当か〜

4月15日は、金王朝の創始者の金日成主席の生誕105周年を祝う、「太陽
節」(テャンチョル)だった。朝鮮民主主義人民共和国の最大の祝日だ。

ピョンヤンの大広場で、新型のミサイルが次々と登場し、“虎の子”の部隊
が行進する盛大な式典が挙行された。

雛壇から朝鮮労働党副委員長が、「核戦争には、核攻撃で応える!」と、
叫んだ。

大型のミサイルが登場すると、世界でもっとも若い33歳の最高指導者であ
る金正恩朝鮮労働党委員長が、お気に入りのオモチャ箱の兵隊を見るよう
に、笑顔となった。

この夕方、岸田文雄外相が記者団に、「いかなる事態にも対応できるよう
に、万全の態勢を整えている」と、語った。

 トランプ大統領は北朝鮮が核実験の準備に取り組むか、アメリカまで届
くICBM(大陸間弾道弾)の試射をはかる場合に、先制攻撃を加える
と、繰り返し警告している。

米国が北朝鮮の核施設とミサイル基地を摘出する、限定的なサージカル・
ストライク(外科的攻撃)を加えたら、北朝鮮は体制の威信を賭けて、南
北軍事境界線(DMZ)から45キロしか離れていないソウルを砲撃を開
始し、日本へ向けてミサイルを発射することになる。

韓国にある多数の原発が被弾したら、偏西風に乗って、日本全国が放射能
によって覆われる。

1950年から3年にわたった朝鮮戦争の再演には、ならない。北朝鮮は全面
戦争を戦ったら国家的自殺になるから、開戦5、6日以内に国際世論を背
景にして、国連、中国、ロシアが間に入って、停戦が成立することを見込
もう。

北朝鮮が日本へ多数のミサイルを、同時に撃ってきたら、日本は迎撃して
全て破壊する能力がないから、ひたすら耐えるほかない。

ブッシュ(父)大統領の時、1991年にフセイン大統領のイラクがクエート
を侵略すると、中東戦争が起った。イラク軍をクエートから駆逐したとこ
ろで終わったが、このあいだにイスラエルが、イラクから38発のミサイ
ル攻撃を蒙った。

イスラエルはハイテク先端国家で、いまでも「アイアン・ドーム」(鋼
〈はがね〉の天井)と呼ばれるミサイル迎撃システムを持っているが、空
中で全てを破壊することができなかったから、多くの市民が犠牲となった。

岸田外相が「万全の態勢を備えている」と述べたが、前大戦で米国が日本
全土を空襲する前に、軍部が「来るなら来い! 我に鉄壁の備えあり」
と、豪語したのと変わらない。



2017年04月24日

◆北は何を求めているのか

加瀬 英明



日本を守るA〜半島危機 北は何を求めているのか〜

朝鮮半島で戦争が始まる可能性が、高まった。日本は戦後で最大の窮地
に、立たされるようになっている。

トランプ大統領は、オバマ政権が中国という暴れ龍を仕付けることを怠
り、北朝鮮の核・ミサイル開発を放置していたツケを、支払うことを強い
られている。

私はトランプが大統領選に勝ったのを、手放しで喜んだ。もし、ヒラリー
が勝ったら、オバマ政権の8年間の対外政策の無策が続くことになって、
世界がいっそう安定を失うことになったろう。

私はトランプと「オポチュニティ」(機会)を合成して「トランポチュニ
ティ」(Trumpportunity)と呼んだが、トランプが予測不能だから期待し
た。それに選挙中、事務所にレーガン大統領とジョン・ウェインの等身大
の写真を飾って、「メイク・アメリカ・グレイト・アゲイン」と叫んでい
たが、「メイク・アメリカ・タフ・アゲイン」と聞えた。

トランプ大統領は、北朝鮮がアメリカまで届く核ミサイルを完成すること
を、「絶対に許さない」と、いっている。北朝鮮が6回目の核実験を強行
する場合には、核施設や、ミサイル基地を攻撃するか、中国に北朝鮮への
石油の供給を、完全に停めることを求めよう。

いったい、北朝鮮は何を求めているのだろうか?

北朝鮮は何よりもアメリカと交渉して、アメリカが北朝鮮を核保有国とし
て認めたうえで、米朝間に国交関係を結ぶことによって、金王朝の存続を
保証することを強く望んでいる。

ところが、ティラーソン国務長官は米中首脳会談が終わってから、「北朝
鮮が核開発を放棄しないかぎり、話し合いに応じない」と、言明した。

3月6日に、北朝鮮が4発のミサイルを発射して、3発が秋田県沖合に弾
着した。その直後に、北朝鮮は「在日米軍基地を狙った演習だった」と声
明した。日本の沖合に4発とも落すつもりだったが、1発が外れたにちが
いない。

4発のミサイル発射は、北朝鮮のアメリカへの熱烈な“ラブコール”だった。

7日後にマレーシア空港で、異母兄の金正男氏を、VXガスを用いて暗殺
した。なぜ、他の毒物を使わなかったのか。VXガスを大量に貯蔵してい
ることを、示したかったのだ。

おそらく、安倍首相がアメリカの袖に縋って、北朝鮮と話し合うように哀
願することを、期待したにちがいない。



2017年04月23日

◆属国憲法では国民の生命は守れない

加瀬 英明



日本を守るB〜属国憲法では国民の生命は守れない

4月15日に米大手テレビが、「トランプ政権が北朝鮮が核実験を行う確証
をえたら、先制攻撃を加えることを決定した」と、報じた。

北朝鮮は「最高指導部が判断した時に、いつでも核実験を実施する」「米
国の先制攻撃に手をこまねず、粉砕する」と反発した。

朝鮮半島は一触即発だ。トランプ大統領と、金正恩朝鮮労働党委員長の予
測不能の2人が、朝鮮半島と日本に戦火を招こうとしている。

3月6日に戻ろう。北朝鮮はミサイル4発を、日本を威嚇するために日本
の沖合へ向けて発射した。そのうち3発を、秋田県のすぐ沖合に撃ち込む
ことに、成功した。

そのうえ、念を押すように、7日後にマレーシア空港で、金委員長の異母
兄の金正男氏を猛毒神経ガスのVXを使って、暗殺した。他の毒物もある
のにX]を用いたのは、大量のVXを貯蔵していることを、誇示したのだ。

北朝鮮はかねてから米国と交渉して、北朝鮮を核保有国として認めさせた
うえで、米朝国交を結び、金王朝体制の存続を保障することを狙ってき
た。それに対して、米国が核開発を放棄しないかぎり話し合わないと、頑
なな態度をとってきたので、日本を脅して、米国に無条件で交渉に応じる
ように哀訴させることを、目論んだものだった。

ところが、3月6、13日以後も、日本の国会は朝鮮半島の危機が刻々と
募っていったのをわきに、与野党ともに属国根性を丸出しにして、何が起
こっても米国に任せておけばよいと、4月に入ってからも、わずらわされ
ることなく、おもしろおかしく森友学園問題に没頭していた。

金正恩委員長は最高幹部一同を前にして、「ソルマ(まさか!)」「イル
ボヌン(日本は)チョンヒョジュクゥムウル・ドゥリョウォハジアンコナ
(よほどの生命知らずか)コプチェンイイゴナ・ドゥルジュンエハナダ
(腑抜けのどちらかにちがいない)!」と、叫んだにちがいない。

5月3日には、日本国憲法が70周年を迎える。米国が70年前に日本を属国
とすることをはかって、押し付けたものだ。

私は「平和“無抵抗”憲法」と、呼んでいる。おそらく護憲派が全国にわ
たって、属国憲法の記念日を祝う集会を催すことになるだろう。

属国根性で国民の生命を守ることは、できない。私は日本国憲法や、森友
学園の籠池夫妻と心中したくない。

2017年04月09日

◆中国の野望を封じる強固な日米同盟

加瀬 英明



トランプ政権が発足してから2か月余りが過ぎたが、まずは順調である。

オバマ政権が中国という巨龍をしつけることを怠ったために、中国が我
が物顔に振る舞って、太平洋諸国を脅かし、南シナ海に7つの人工島を造
成したが、トランプ政権が強面(こわもて)をしているために、中国が尻込
みして、守りの姿勢をとるようになった。

メキシコとの壁は、クリントン政権のもとで建設がはじまって、オバマ
政権が半分までつくっていた(なぜか、日本のマスコミはこの事実を報じ
ない)が、トランプ大統領の過激な発言によって、メキシコから流入する
不法移民の数が、激減している。

アジアにおける最大の不安定要因は、中国と北朝鮮である。中国は太平
洋の覇権を握ろうとして、南シナ海を埋め立てて、人工の要塞島をつくる
かたわら、大海軍を建設に狂奔して、太平洋に“海の万里の長城”を築こう
としている。

それに対して、トランプ政権は日米同盟を中核に据えて、アジア太平洋
諸国とともに、中国の野望を閉じ込める“長城”をつくって、対抗しようと
している。

トランプ政権が発足してから、アメリカの株式市場が活気づいている。

泣きべそをかいているのは、政権を失った民主党だ。

トランプ大統領は国内製造業の保護、工場労働者の職を守る、10年間 で
10兆ドルという壮大な投資を行うことによって、大規模なインフラ整 備
を進めることを約束して、本来なら民主党が行うべき政策を奪ってし
まった。

昨年の大統領選挙では、民主党の伝統的な地盤である労働者層(ブルー カ
ラー)が、トランプ候補にこぞって投票した。民主党はこれまで巨大な 労
働組合組織によって、しっかりと支えられてきたのに、労働貴族となっ
た組合幹部だけが、ヒラリー夫人を支持した。

民主党は、新聞、テレビの大手マスコミ、有名大学の知識人、インテリ
層などのエリートによって支えられてきたが、トランプ候補に喝采する、
下積みの大衆の軍門に降った。

民主党はトランプ大統領によって夢を奪われて、意気沮喪しているだけ
ではなく、ヒラリー夫人のあとを継ぐ者が、1人もみあたらない。頭部を
切り落されてしまった鶏のように、意味もなく走りまわっている。

昨年の大統領選挙で負けたのは、ヒラリー夫人だけではなかった。“朝 日
新聞的良識”を代表するニューヨーク・タイムズ紙をはじめとする大新
聞、知的体制(エスタブリシメント)の意見しか代弁しない大手テレビも、
あげてヒラリー候補を応援したために惨敗した。

トランプ大統領が大手マスコミを懲らしめるために、マスメディアと
はっきりと敵対し、新聞にも、大手テレビにもよらず、ツイッターを使っ
て見解を表明しているために、大手メディアは深い傷を負うようになって
いる。大手メディアの社員は、庶民よりもはるかに高い収入をえて、大衆
を見下してきた。

このために、国民の大手メディア離れが進んでいる。大手マスコミは2
度と立ち上れないのではないか。

アメリカの大手メディアが捲き返しをはかって、トランプ叩きに血道を
あげている。日本の大手マスコミも、直感的に同病相憐れむことを覚っ
て、ことあるごとにトランプ叩きに耽っている。

トランプ大統領は安倍首相が2月に訪米すると、手厚くもてなした。メ
ルケル首相、オランド大統領が精彩を失い、キャンベル首相が昨年失脚し
たあとで、安倍首相が世界で抜きん出た政治家となっている。それにアメ
リカがアジアで頼れる国は、日本しかない。

日本の大手テレビが番組で、2月の日米首脳会談に当たって、「安倍首
相が手玉に取られたのではないか」といったが、属国根性丸出しで、卑し
いとしかいえない。

もっと、日本に自信をもってほしい。


2017年04月06日

◆日本古来の家族の美風を破壊している

加瀬 英明



現憲法は、日本古来の家族の美風を破壊している

現行の日本国憲法は、読めば読むほど、おかしい。

家族が社会と国家をつくっている、もっとも基本的な単位であることに
は、誰も異論がないと思う。

「いや、そんなことありません。夫婦が社会のもっとも基本的な単位です
よ」と、誰かが反論したとすれば、読者は「夫婦のほうが家族よりも、大
切なんですか?」といって、その人物を奇異な目で見るにちがいない。

私たち日本人は2000年以上も、家族を何よりも大切にしてきた。夫婦は家
族の一部だった。

 だが、日本国憲法では第24条が家族について、次のように規定してい
る。この他に現行憲法に、家族を取りあげている条項はない。

 「第24条【家族生活における個人の尊厳と両性の平等】
 @婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有する
ことを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

 A配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族
に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平
等に立脚して、制定されなければならない。」

 この条項は、「家族生活における個人の尊厳と両性の平等」と、題され
ている。睦みあう家族のあいだで、「個人の尊厳」が求められるというの
は、寒々しい。日本の家族の姿になじまない。

 「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立」すると定めているが、親や兄
弟の意見を求める必要がないと、説いている。「両性の合意のみに基い
て」と述べているが、「両性の合意」のあとに「のみ」が入っているの
は、祖父母、親兄弟が、孫、子、兄弟姉妹の婚姻について、干渉してはな
らないとしか読めない。

 この条項は、日本古来の伝統となってきた美風である家族制度を、破壊
するものである。アメリカは日本兵が南や北の海の孤島において玉砕する
まで、勇敢に戦ったのが、愛国心と家族愛から発していたことに震えあ
がって、日本人を家族から切り離して、個人主義を植えつけようとはかった。

 ドナルド・キーン博士は日本文学の優れた研究者、訳者として、文化勲
章を受章しているが、日本に帰化した。私はアメリカに留学した時から、
親しくさせてもらってきた。

 キーン博士は先の大戦中、語学将校として日本兵捕虜の訊問や、戦死者
から日記などを回収して、情報蒐集にあたった。

 キーン博士は著書で、「ガダルカナルを餓島と呼んだ日本軍の兵士たち
の耐えた困苦は、圧倒的な感動を呼び起した。アメリカ軍の兵士の手紙に
は何の理想もなく、ただ元の生活に戻りたいとだけ書かれていた」

「大義のために滅私奉公する日本人と、帰郷以外のことにはまったく関心
を持たない大部分のアメリカ人。日本の兵に対しては賛嘆を禁じえなかっ
た。そして結局、日本人こそ勝利に値するのではないかと信じるように
なった」(『日本との出会い』学生社)と、述べている。

 Aでは、何とおぞましいことに、「離婚並びに婚姻」といって、離婚が
結婚よりも先にでてくる。

 こんな憲法は一日も早く捨てよう。

2017年04月02日

◆日本と中国はどう違うのか

加瀬 英明



今年は明治元年から、150年目に当たる。明治維新は、“御一新”と呼ばれ
た。「維新」は中国の古典から借りてきた言葉だったが、もし大政維新が
行われなかったとすれば、今日の日本がありえなかった。

江戸が東京と改称されてからも、150年目に当たる。

日本は国をあげて文明開化を進めることによって、西洋諸国に対抗するこ
とができた。

だが、私たちの隣にある中国と朝鮮は、西洋の列強が海嘯(つなみ)のよう
に押し寄せるなかで、近代化することができなかった。

私は150年前を懐古するつもりはない。今日でも、日本、中国、韓国は変
わっていないと思う。3つの国を2000年以上も前からつくってきた雛型か
ら、少しも変わっていない。

もっとも、韓国は中国の属国として“小中華(ソチュンファ)”と称して、中
国を崇めた“ミニ中国”だったから、これ以上触れないことにする。

中国が陸の文明であってきたのに対して、日本は海の国であってきた。

私は父が転勤になったので、生後6ヶ月でイギリスへ渡った。3年後にヒ
トラーがポーランドに侵攻して戦争が始まったために、母とともに日本郵
便の客船で東京へ戻った。

毎日、煌(きらめ)く海を甲板から見ていたのを覚えている。帰国後、両親
に連れられて、しばしば鎌倉の浜で遊んだ。山幸彦海幸彦伝説や、浦島太
郎の物語を聞かされて育った。

私たち日本人は、幼い頃から口遊(くちずさ)んだ「我は海の子白浪の 騒
ぐ磯部の松原に」、「千里寄せくる海の気を 吸いて童(わらべ)になりに
けり」(『われは海の子』)というように、海の子なのだ。

 中国と易姓革命

中国は秦王朝(紀元前221年〜206年)によってはじめて統一された が、
その後、王朝が易姓革命によって、せわしく交替した。

天帝が地上でもっとも徳が高い人物を、全世界を統治する天子――皇帝とし
て選んだ。皇帝が徳を失うと、また地上で徳がもっとも高い者を選んで、
王朝を交替させた。

中国は中華と自称しているが、世界の中心だと信じてきた。ライオンが頂
点にいて、最下位に鼡がいる、アリストテレスの動物界のピラミッドのよ
うに、中国が世界の頂点にあって、中国の支配を受け容れた属国――朝貢国
が続き、最下部に蛮族――夷狄がいる華夷秩序として、知られるピラミッド
があった。

中国は海に関心を持つことが、ほとんどなかった。海に背を向けた文明で
ある。

日本は古来、海の幸により形成されたと信じていた

日本人は古代から、海から幸がもたらされると信じた。『古事記』『日本
書紀』に常世の国が登場するが、海の彼方に理想郷があった。日本神話は
日本人の世界観を表すものである。

日本人にとって、海辺は神と人が接するところだった。今でも、渚(なぎ
さ)に打ち寄せる波は、常世の国とつながっている。恵比須(えびす)神は
海神として親しまれてきたが、外来の神とか、渡来の神、漂着神、客神な
どと呼ばれた。

中国では「仙」という字が、人と山を組み合わせているように、山に仙境
があると信じてきた。

私は漢詩に親しんできたが、日本の多くの詩歌が『万葉集』をはじめとし
て、海を描いているのに対して、漢詩に海をうたったものがほとんど無い。

山水画は道教思想がもとになっているが、神仙山水画と呼ばれるように、
山の風景が多い。中国人の精神を表している。

中国の庭園は、道家の理想の人物である仙人が住むことから、奇怪な石灰
石をあしらった仮山奇石の築山があるので、私たちになじめない。

中国は華夷思想に取り憑かれているから、外界と対等な関係を結ぶことが
できないできた。このような傲りが、19世紀に西洋の脅威が迫ると、災
いした。

 漢籍に夜郎自大という言葉がある。夜郎は南西夷の小国だったが、自ら
を強大だと思って、漢の使者を侮った故事を嘲ったものだ。清朝は圧倒的
な力を持った西洋に遭遇した時に、まさに夜郎自大になった。

 日本は常世の国信仰を持ち続けたから、渡来の神や客神を歓迎して、拒
むことがなかった。海は幸をもたらしてくれる。

 大陸の中原の文明と日本の島の文化

 中原の文明である中国が傲慢であるのと対照的に、日本は島の文化だか
ら謙虚だ。

 私は十数年前に、南太平洋のフィジーに講師として招かれたが、フィ
ジーにキリスト教が渡ってくると、在来の信仰と混淆するなど、日本によ
く似ているのに感心した。

 日本は大陸において唐の脅威がつのると、豪族が全国を治めていたの
を、皇極天皇のもとで、645年に唐の中央集権制度を模倣して、大化の
改新として知られる大改革を行った。明治元年に始まった御一新と、よく
似ている。

 皇極天皇は女帝だったが、大化の改新に当たって、「独り治むるべから
ず。民の扶(たす)けを待つ」という詔を発している。日本の天皇は祭り主
であって、中国の皇帝のような専制主ではなかった。元号が大陸に倣っ
て、はじめてこの時に採用され、大化元年と定められた。

 平田篤胤(1776年〜1843年)といえば、江戸後期の国学者で、
激しい排外主義者として知られる。

 平田でさえ、「外国(とつくに)々より万(よろ)ずの事物の我が大御国に
参り来ることは、皇神(すめらみこと)たちの大御心にて、その御神徳の広
大なる故に、善きも悪しきの選みなく(略)皇国に御引き寄せる趣を能
(よ)く考え弁えて、外国より来る事物はよく選み採りて用つべきこと」
(『静の岩戸』)と、説いている。

 私は今日の中国の指導部は、愚かだと思う。

 尖閣諸島をはじめ、フィリピン、ベトナム、マレーシアなどの小さな
島々を「核心的利益」だといって、領有権を主張するのをやめるべきだ。
大海軍の建設に狂奔するかたわら、南シナ海の7つの人工島を造成して軍
事化することによって、孤立化を招いている。

 もし、そのようなことをせずに、巨大な経済力を用いて、日本をはじめ
とする太平洋諸国に気前よく投資し、大量の観光客を送り込んでいたとす
れば、太平洋諸国は中国に魅せられて、いまごろ中国によって取り込まれ
ていたはずだ。

 中国は陸の文明だから、海をまったく理解することができない。

 大陸国家が大海軍を建設して、成功した験しがない。16世紀のスペイ
ン、ナポレオンのフランス、清の末期、20世紀のロシア、ドイツ帝国が
その例である。

 習近平体制が南シナ海に造った人工島は面積を合計すると、東京の千代
田区よりも大きいが、軍事的には役に立たない。航空母艦も、人工島も、
京劇の舞台装置のようなものだ。

 吃、喝、嫖、賭、去聴戯

中国人は昔から、「吃(チュ)」(食)「喝(フー)」(酒)「嫖(ピァ
オ)」(淫らな遊女)「賭(ドウ)」(博打)「去聴戯(チーティンシ)」
(京劇)の5つを、生き甲斐にしているといわれてきた。

京劇は清朝に発しているが、歴代の皇帝も、西大后も、毛沢東、周恩
来、江青も、京劇の虜となっていた。江沢民主席は微醺をおびると、大声
で京劇の歌曲を吟じることによって知られた。習近平主席にも去聴戯の血
が流れているに、ちがいない。

中国は3月に開幕した全国人民代表大会において、国防費を7%増や
し、史上はじめて1兆元(約17兆円)を超すことを発表した。

中国はこの大きな部分を、海軍力の拡張に投資しようが、清朝末期の北
洋艦隊のようなものだから、役に立つまい。

中国人は臆病な商人だから、全面戦争を戦うことはしない。

だが、「5000年の偉大な中華文明の復興」を呼号して、国民の愛国 心を
煽ることによって、揺らぐ体制を維持しているから、日本から尖閣諸 島
を奪おうと試みる可能性がある。


2017年03月29日

◆苦慮するトランプ政権

加瀬 英明



北朝鮮の脅威にどう対抗? 苦慮するトランプ政権

北朝鮮が4発の弾道ミサイル弾を、日本海側の東倉生から発射して、3発
が日本の経済水域に着弾した。

北朝鮮が弾道ミサイルの試射を行ったのは、2月10日に日米首脳がフロリ
ダで、会議を終えた直後以来だった。その時に、トランプ大統領は「北朝
鮮の脅威への対処に、きわめて(ベリー・)高い優先順位を与えねばならな
い(ベリー・ハイ・プライオリテイ)」と、述べた。

北朝鮮は今回のミサイル発射後に、「在日米軍を標的とした訓練」だった
と、発表している。北朝鮮が同時に多数のミサイルを日本へ向けて発射し
た場合に、日本に迎撃して撃破する能力がない。

トランプ政権にとって北朝鮮の脅威に対応することが、政権の信頼性がか
かる噄緊の課題となっている。

トランプ政権は北朝鮮の核施設を破壊する、外科的な軍事攻撃も辞さない
という姿勢をとって、政権発足直後に日本の岩国にF35新鋭ステルス戦闘
爆撃機を配備したが、どうするべきか苦慮している。

トランプ政権はクリントン政権からオバマ政権にいたるまで、北朝鮮の核
兵器開発を事実上放置してきたツケを、払わねばならない。

どうするか? といって、北朝鮮の核施設を除去するために、限定的な攻
撃を加えることはできまい。北朝鮮はソウルのすぐ北の軍事境界線に沿っ
て砲列を敷いており、停戦までにソウルを火の海にすることができる。数
十万人のソウル市民が死傷することがあれば、韓国はアメリカが戦争を挑
発したといって、アメリカを恨もう。

それに、トランプ政権は北朝鮮よりも、オバマ政権が深入りして、シリ
ア、リビア、イエメン、ソマリアなど中東アフリカ諸国にアメリカ軍が介
入してきたのを、引き揚げることを優先しているが、6ヶ月以上はかかろ
う。北朝鮮に限定的な攻撃を加えるとしても、朝鮮半島において全面戦争
に発展する可能性を、想定しなければならない。現状では、アジアに十分
な軍事力を割くことができない。

だが、北朝鮮の金正恩委員長の危険な火遊びを、放置しておくことはでき
ない。いくら北朝鮮の「暴挙」を非難して、経済制裁を強化しても、北朝
鮮は核兵器なしに体制を守ることができないと確信しているから、核を捨
てることはありえない。それに、中国が経済制裁の大きな抜け穴となって
いる。

トランプ大統領は、6ヶ国協議や、オバマ政権が北朝鮮を「核保有国家」
として認めないという愚かしい政策などに、まったく束縛される必要がない。

そのようなしがらみがないから、北朝鮮の核弾頭や、ミサイルや、化学兵
器について、北朝鮮と交渉することができる。トランプ大統領自身、選挙
戦中に「金正恩委員長と会談してもよい」と、発言していた。

私はアメリカが北朝鮮を核保有国として認め、核弾頭の数とミサイルの射
程について制限を受け入れることと引き替えに、米朝平和条約を結ぶこと
を、主張してきた。金体制の至上の目的が、金体制の存続を保障すること
だから、喜んで交渉に応じよう。

日本も北朝鮮と並行して交渉し、弾頭数と射程距離について合意すれば、
日朝国交正常化を行い、1964年の日韓条約と見合った経済協力を、提供する。

そうすれば、拉致被害者が全員帰国し、朝鮮半島に平和秩序が確立される
こととなろう。


2017年03月24日

◆トランプ政権の行方を読む

加瀬 英明
 


日本の最大の資源は「人」。なすべきことを着実に進めよ

冷静な目で見るべきで言動に右往左往する必要なし

トランプ大統領の一挙手一投足に世界中が翻弄されていますが、それほど
過敏になる必要はないと私は考えています。

そもそもオバマ前大統領の8年間は、少なくとも外交政策についてはひど
いものでした。中国には南シナ海での実効支配を許してしまい、中東も混
乱、ヨーロッパではウクライナもバルト3国(エストニア、ラトビア、リ
トアニア)も危険な状況になっています。

もし、ヒラリー大統領が誕生していたとすれば、オバマ政権の第3期のよ
うな政権になっていたでしょうから、それよりはずっと良かったと私は考
えています。

まだ読めない部分もありますが、トランプ政権の経済政策では、長期的に
は円安傾向が続くと考えられます。大幅な法人税の減税、そして向こう
10年間で1兆ドルの公共投資を行なうことを明言していますから、イン
フレ傾向が強まるでしょう。それを抑制しようとして金利が上昇し、その
結果、ドル高円安が進み、長期的に見ればアメリカの輸出産業は伸び悩む
可能性が高いと思われます。

トランプ大統領は、国内雇用を増やすために、国外に工場移転する企業に
対し重い国境税を課すと警告していますが、国内雇用、特に正社員が激減
したのは、工場移転ではなく、AI(人工知能)のせいです。例えば、コ
ンビニのATMがどれだけ多くの銀行員の職を奪ったことか。経営の合理
化を進めるなかで起きたことですから、そこへの対応を考えないと根本的
な解決にはなりません。

また、トランプ大統領は、NAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉を明
言するなど輸入に高い関税をかける姿勢でいますが、そう簡単ではないと
思います。かつて私は、福田赳夫内閣(在任期間1976年‐78年)で首相特
別顧問という立場でカーター政権を相手に対米折衝を行ないました。

アメリカ製のテレビが日本製のテレビに食われたため、日本製のテレビだ
けに高い関税を課しましたが、その分のマーケットシェアは韓国と台湾に
奪われただけで、アメリカの国内状況は改善しなかったのです。つまり、
特定の国を狙い撃ちにした関税はうまくいかないのです。

アメリカの工業製品は、その部品の多くを輸入に頼っています。関税に
よって部品価格が高くなれば、結局はアメリカ国内で製造した製品も高く
なります。つまり、今の世界で保護主義がうまく機能するとは思えないの
です。

世界恐慌が起き、ヒトラーという化け物が誕生し、第2次世界大戦が勃発
した原因は、保護主義にありました。恐るべきことですが、今述べたよう
な理由から、戦前のような保護主義にはならないと思っています。

「グローバリズムの終わりの始まり」という人もいますが、輸入部品に頼
らざるを得ない今の世界では、それは大げさです。トランプ大統領にもメ
ンツがあるので今後、方針転換は難しいと思いますが、NAFTAにもて
こずるでしょうし、TPP(環太平洋連携協定)からの離脱は結局損だと
いうこともいずれわかってくるでしょう。

ですから、過度に恐れる必要はないのです。私たちはあまりにもトランプ
政権の力を過大評価しているところがあります。冷静な目で見るべきで、
その言動に右往左往しないほうがいいでしょう。

学ぶことに謙虚で貪欲な日本人の遺伝子は今に通ず

日本は長い目で見ると、経済的には強いと思います。なぜなら、政治的に
も経済的にも社会的にも、世界で一番安定している国だからです。特に、
中小企業がこんなに強い国は、日本の他にありません。

日本の一番大きな資源は、「人」です。日本人のなかにある匠の心、和の
心です。世界でも珍しいほど人の心を思いやる民族です。ものづくりにお
いても、「人のことを思って作る」からこそ、いいものが作れるのです。

それは近現代に始まったことではありません。縄文土器のデザインなどは
どこにもないものですし、翡翠加工の技術をもっていたのは日本とインカ
帝国だけでした。ポルトガルから種子島に鉄砲が伝来して以来、全国の大
名が所持していた鉄砲の数は、ヨーロッパや中東の数倍にもなったと言わ
れていますが、それは、日本の鍛冶技術が極めて優れていたからです。

現在の日本の中小企業を見渡しても、世界のマーケットシェアの6、7割
を占めるような部品メーカーが数多くあります。これは日本人の中に営々
と受け継がれてきた和の心、そこから生まれた匠の心があるからです。

「日本化」とでも言うのでしょうか。日本という国は不思議な国で、海外
から取り入れたものに改善を加えて、良質で優れたものに変えてしまいま
す。それはものだけではなく、思想や文化でも言えることです。

例えば、儒教はもともと人民を統治するための統治思想で、普遍的な優れ
た価値を生み出すものではなかったのですが、日本に来ると優れた精神修
養哲学になりました。仏教もしかり。車に代表されるような工業製品も同
様です。ありとあらゆるものがそうです。

また、教育程度が高いことも日本の強みです。歴史的にみても、日本人は
学ぶことに対して謙虚であり貪欲でしたが、その遺伝子は現在にもつな
がっています。

こうした日本の素晴らしさを守っていけば、トランプ大統領がどう出よう
が、臆することはありません。冷静に長い目で見ながら、自分たちがなす
べきことを着実に進めればよいのです。


2017年03月23日

◆軍艦行進曲、瓦解、侠気

加瀬 英明

2月11日の建国記念の日に、鹿児島県霧島市が主催する祝賀市民大会に招
かれて、記念講演を行った。

毎年、建国記念の日に各地をまわってきたが、霧島市は天孫降臨の地であ
るから、身心ともに引き締まる思いがした。

前日から、粉雪が舞っていた。当日は、例年市内に駐屯する陸上自衛隊の
音楽隊が先頭に立って、市民が目抜き通りを日の丸の小旗を手に奉祝行進
するが、高齢者が転倒するおそれから中止されて、屋内で挙行された。

はじめに、音楽隊が明治以来の軍楽である『君が代行進曲』『抜刀隊』
『軍艦行進曲』を、つぎつぎと吹奏した。軍艦マーチとして親しまれてい
るが、日清戦争の前に鹿児島県出身の瀬戸口藤吉によって作曲された。

市内の国分駐屯地は、海軍航空隊基地だったが、大戦末期に沖縄の空へ向
けて特攻機が飛び立っていった。

音楽隊が演奏を終えるたびに、会場を埋める市民から、盛んな拍手が送ら
れた。

それなのに、NHKをはじめ大手テレビが自粛して、軍歌を放映すること
がない。いったいシンガポールから、ガダルカナル、ペリリュー、サイパ
ン、沖縄までの戦場において先人たちが戦ったことが、そんなに恥しいこ
となのだろうか。

私は中曽根内閣で首相の顧問として、対米折衝を手伝った。中曽根総理が
昭和58年に訪米した時に、レーガン政権が首相が大戦中に海軍将校であっ
たことを知って、ホワイトハウスで軍楽隊が晴々しく『軍艦行進曲』を演
奏して、歓迎した。外国政府が日本の軍歌を公けの場で演奏するのに、ど
うして日本ではできないのだろうか。

昨年は、夏目漱石の没後100年に当たった。漱石は明治39年に『坊っ
ちゃん』を発表しているが、幼い漱石を溺愛した女中が清という名で、登
場する。「もと由緒あるものだったそうだが、瓦解のときに零落して、つ
い奉公する様になった」と、書いている。

「瓦解」は、当時の人々によって徳川幕府が倒れて、封建制度が崩壊した
のを意味する言葉として、ひろく用いられていた。

私たちも72年前の敗戦によって、同じように瓦解を体験したが、時ととも
に国の芯が溶解してしまった。明治の先人たちが見たら、私たちは腑甲斐
無い民となった。

私は昨年末に、客観的な年齢によって80歳になったが、20代から働き盛り
が続いている。筆耕と講演に忙しい。

昨年、私は7冊の本を世に送ったが、書き下ろしが1冊、半分ずつ書いた
共著が2冊、対談本が2冊、著作選集の第2巻目と、20代で新潮社からで
た本を、祥伝社が復刻してくれた。

本誌の前号に、中島兄哥(あにい)の同人の花田紀凱さんが寄稿していた。
花田さんは、私にとっても古い仲間だ。今年に入って、花田さんの月刊
『HANADA』に、2回寄稿した。

私は20代から雑文を書いてきたが、『HANADA』4月号で当時を回想
した。あのころは活字の全盛期だった。

よく銀座で飲んだものだった。溜り場のようなクラブをどこか覗けば、新
潮社、文芸春秋、講談社の編集者や、物書き仲間が来ていた。私のような
駆け出しの筆者や、出版社の若い担当者でも、銀座の一流クラブで飲め
た。作家や、マスコミの“学割”値段があったし、勘定の取り立ても厳しく
なかった。

ジャーナリストの生活は酒と締め切りに、ちょっとだけ正義感を混ぜ合わ
せると、できあがった。それに筆記用具、電話や、人によって嵩(かさ)が
違う資料に、ちょっぴり自惚れ(うぬぼれ)を隠し味として、まぶせばよ
かった。

銀座の酒肆(しゅし)では、自民党、民社党、日本社会党、総評、創価学会
の幹部たちとよく行き合った。酒泉では誰も平等だった。こんな時には、
階級闘争も、宗教的な抗争も忘れて、和気藹々(あいあい)として憂さを晴
らした。

そのころでは、まだ陰と陽の世界の区別がはっきりとしていたから、クラ
ブの女性たちは、みなどこかで見えない苦労を背負っていた。もっとも、
全国民が「人生は苦の連続だ」という雰囲気を引きずっていたから、酒の
味も今よりほろ苦かった。

今ではクラブの娘たちは、人生が楽の連続だと決めている。陰陽の区別が
なくなって、OLや、シロウトがそのまま座っているようになっている。
『熟年ニュース』の表紙の客車の真っ直ぐに立った、木製の座席の背が懐
しい。

あの時代の男たちには、誰もが中島兄者のように侠気があった。酒肆のマ
ダムたちは、気立てがよかった。

いまでは、憂さといわずに、ストレスという。まるでロボットの部品が壊
れたようだ。

このごろのクラブの娘は、平気で本名を名乗る。気味悪い。源氏名(げん
じな)という言葉も、理解しない。シロウトの娘もフェイスブックを使っ
ているから、同じことだ。

「この丘に菜摘(なつ)ます児(こ) 家告(の)らせ名告(の)らさね」と、万
葉集の巻頭に雄略天皇の有名な御製がのっているが、女性が相手に名を明
かしたら、求愛に応じたことになった。『源氏物語』に登場する女性も一
人として本名はない。

近頃の女性は放縦で、露骨で、はじらうことがない。男女の違いがなく
なった。いつのまにか「男港」「女港」「男坂」「女坂」といった言葉
も、死語になってしまった。

一事が万事だ。私たちの日本から、減(め)り張(は)りがなくなってしまっ
た。グローバリゼーションとか、国際化といった締りがない言葉が、日本
も外国も区別がない、のっぺらぼー――目鼻のない化け物のような、掴みど
ころがない社会をつくってしまった。

制定されてから71年たつ、日本の独立を奪う「平和“無抵抗”憲法」のせい
だろうか。

私たちの手に日本を取り戻すために、中島兄哥に先棒(さきぼう)を振って
もらわねばなるまい。

(中島繁治氏は日大OB誌『熟年ニュース』主催者)