高山 正之
立花隆の「田中角栄研究」は昭和49年10月発売の文藝春秋11月号に載った。
角栄ファミリーが4億円で買った信濃川河川敷が角栄の日本列島改造論
を受けて数百億になった。いかにも怪しいではないかと告発するが世論の
反応は鈍かった。
角栄は今太閤と呼ばれた。逼塞した日本のために何かをやってくれそう
な期待があった。
信濃川河川敷の一件は確かに問題かもしれない。でもブラジルのクビ
チェック大統領の例がある。
彼はブラジル高原に首都ブラジリアを作った。人工の都市は夜、漆黒
の闇の中に翼を広げた鳥の形に光り輝いた。
今は世界遺産にも登録されているが、彼はこの事業に絡んで賄賂を貰っ
た罪で軍事法廷に立たされた。
判決は簡単だった。ブラジルのために偉大な事業を成した大統領を些事
で裁く必要はない、だった。
日本人も角栄をそう見た。米国務省もそう見たが、同時に脅威とも見た。
角栄は米国の頭越しに支那と国交を回復しインドネシアの石油にも手を
出した。角栄は確実に眠っていた日本人を揺り動かしていた。
米国務省はその脅威を取り除くため外人記者会を使った。GHQが占
領統治の補助に使ったところだ。
角栄はある日、そこの午餐会に招かれた。
無邪気に応じた彼は外人記者から立花の書いた金脈について根ほり葉ほ
り問い質された。
一国の宰相への敬意など微塵も感じられない野卑な質疑は、そのまま打
電され、それを見た日本のメディアが大騒ぎを始めた。
かくて角栄は首相の座を追われ、きっかけを作った立花隆は超級ジャー
ナリストに祭り上げられ、米国の悪意は隠された。
しかし首相を退いたとはいえ、角栄の人気と政治力は衰えなかった。米
国にとっては依然、脅威であり続けた。
で、米国務省は角栄の息の根を止めるためロッキード事件を作り出した。
今度は外人記者会ではなく、地検特捜が下請けした。戦後、同じGHQ
のために活動した隠退蔵物資事件捜査部がその前身だ。
まず手始めは米上院の小委員会に児玉誉士夫の怪しげな領収書が提出さ
れた。
ロッキード社が角栄に賄賂を贈り便宜を図ってもらったかのような構図
が示唆された。
出所不明の証拠は「毒の木になった果物」と呼ばれて証拠能力はない。
しかし「首相の犯罪」摘発に懸命な地検特捜は気にもしなかった。ロ社は
ダグラスDC10に決めていた全日空にトライスターを買わせようと角栄に
5億円を贈賄し、工作させたという構図を描いた。
次に証拠だ。後に大阪地検特捜が厚生官僚、村木厚子を逮捕したときに
やったように「証拠は構図にそって改竄する」気だった。
ロ社幹部の証言も贈賄罪を免責したうえ反対尋問もなし、つまり特捜の構
図に沿って嘘を語らせた。最高裁はそれにOKを出した。
日本が法治国家をやめた瞬間だった。
地検特捜の副部長、吉永祐(偏は示)介は記者からの「全日空が主力機に日
航の二番手機DC10を使うはずもない」「政府が買った対潜哨戒機
PC3C絡みでは」という問いに「今後P3Cと書いた社は出禁だ」と言
い放った。まるで蘋果(リンゴ)日報への習近平の言い草だった。
吉永はまたロ社幹部の証言を反対尋問なしで証拠採用した違法行為を突か
れると「証人は聖書に誓う。米国人は嘘つかない」と昂然と言った。そん
な連中が角栄を潰しにかかった。
しかし立花隆はそんな地検特捜にべったりだった。角栄の公判が始まると
角栄有罪論を朝日ジャーナルに載せ、角栄を擁護する渡部昇一を「無知」
と切って捨てていた。
記憶に残るのは角栄逮捕の朝、彼がテレビで検察の勝利を手放しで喜んで
いた姿だ。
新聞に潰される首相など権力者であるはずもない。その新聞を黙らせ、法
を弄(もてあそ)ぶ検察こそが最大の権力者なのに。知の巨人はそれに気づ
かなかったのだろうか。
高山正之氏の本紙連載が、単行本になりました。
『変見自在コロナが教えてくれた大悪党』(定価1450円)絶賛発売中。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
松本市 久保田 康文 採録
『週刊新潮』 令和3年7月8日号
2021年07月06日
◆【変見自在】巨人のうっかり
at 08:09
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| 高山 正之
2021年06月19日
◆【変見自在】渡来人の性根
高山 正之
『週刊新潮』 令和3年6月24日号
新幹線は「夢の超特急」と呼ばれ、前回東京五輪の開幕少し前に走り始
めた。
夢が現実となった日、国鉄技術陣の棟梁、京谷好泰は「次の夢を作れ」
と命じられた。
彼には腹案があった。
新幹線がいくら鼻を伸ばしたところで時速500キロは超えられない。
なぜなら車輪とパンタグラフが常にレールと架線にくっついているか
らだ。
その制約がなければ、つまりレールの上を浮かんで走れば時速600キ
ロだって出せる。彼は磁石で走るリニア新幹線を考えていた。
そう考えたのは彼だけではなかった。日本航空もそう考えていた。
国際線が羽田から成田に行ってしまった。「到着してから都心まで3時
間」はいかにも恥ずかしい。
羽田と同じ30分にする手段として常電導リニアHSSTを考案した。
システムは簡単で、磁気で車体をレールの上に浮かせて走行する。た
だ電源は地下鉄銀座線式に下につけたパンタから取り入れる。
半分は電車風ながら成田開業の年には時速300キロ走行に成功した。
コストも安く、騒音もない。今も愛知県下で営業走行している。
実は独メッサーシュミット社も同じ常電導リニアを作った。軌道敷に通
電して浮上走行するから設備費が高く、騒音もひどい。
ゲテ物だが支那人が買って、上海と浦東空港のアクセスに使った。
支那人はすぐ偽物を作る。このリニアも紛(まが)い物を作り、派手な事
故を起こして独製は人気を失った。
対して京谷は車体搭載用「永久電磁場」を考えた。絶対零度に近い状態
では電気抵抗はゼロ。つまり一旦電流を封じ込めば減衰せずに電磁場を作
り続ける。
京谷はそれを実現し、時速603キロの有人走行を成功させた。究極の超 電
導リニアの誕生だった。
因みにこの超電導方式はそのまま夢の宇宙高速飛行「プラズマセイル」の要
にもなる。ノーベル賞級のアイデアなのだ。
そんな夢を詰め込んだリニア新幹線はまず東京―名古屋間を約40分で走
る。2027年開業予定だ。
ところが静岡県大井川の下を抜けるトンネル工事に県知事、川勝平太が
待ったをかけてきた。
それも「大井川の水を一滴でも減らす工事は許さない」とシャイロック
の判事みたいな口ぶりで。
静岡にはまともな新幹線は停まらない。加えてリニア新幹線も素通り。
それはないだろうという僻(ひが)みの嫌がらせと思われた。
それなら「のぞみ」でも停めてやるとか譲歩も考えたが、川勝は頑な
で、取り付く島もない。
その間にリニアの世界も実は大きく様変わりを始めていた。支那が新幹
線に次いでリニア新幹線の技術も盗み取り、その模倣品を公然、作り始め
たのだ。
中心は浙江省政府で、熟練の日本人の技術者約30名を高値で買い、京谷
のリニアの秘密も盗んだらしい。2年前には青島(チンタオ)で日本のそれと
そっくりの超電導リニアモデルを公開した。
性能は盗んだのだから日本のと同じ時速600キロ。35年には上海から杭 州
経由寧波(ニンポー)まで開業の予定だ。
京谷のリニアが予定通りに開業していれば世界の次世代高速輸送機関の
市場は日本が握れる。
しかし大井川で川勝が止めたため27年開業はもはや無理。支那とは一馬
身の差もなくなっている。
そんな中、外相の王毅や駐日大使、程永華が足繁く川勝を訪問し大井川
の水資源を大切にする知事にエールを送る
川勝も支那をよく訪ねて習近平とも会い、阿漕(あこぎ)な一帯一路に万
歳を唱える。
支那は尖閣を取り、台湾有事には沖縄以南も奪うと朝日新聞でさえ予言
する。
そんな国に尻尾を振る川勝の気が知れないが、彼が4期目の知事選に勝
てば、大井川の足止めはさらに続き、リニア新幹線は支那が先に開業し、
世界市場もノーベル賞も支那が攫(さら)う。
川勝の先祖は渡来人と言われる。祖国支那に尽くして「なにが悪いある
か」と彼は思っているのだろうか。
松本市 久保田 康文 採録
『週刊新潮』 令和3年6月24日号
新幹線は「夢の超特急」と呼ばれ、前回東京五輪の開幕少し前に走り始
めた。
夢が現実となった日、国鉄技術陣の棟梁、京谷好泰は「次の夢を作れ」
と命じられた。
彼には腹案があった。
新幹線がいくら鼻を伸ばしたところで時速500キロは超えられない。
なぜなら車輪とパンタグラフが常にレールと架線にくっついているか
らだ。
その制約がなければ、つまりレールの上を浮かんで走れば時速600キ
ロだって出せる。彼は磁石で走るリニア新幹線を考えていた。
そう考えたのは彼だけではなかった。日本航空もそう考えていた。
国際線が羽田から成田に行ってしまった。「到着してから都心まで3時
間」はいかにも恥ずかしい。
羽田と同じ30分にする手段として常電導リニアHSSTを考案した。
システムは簡単で、磁気で車体をレールの上に浮かせて走行する。た
だ電源は地下鉄銀座線式に下につけたパンタから取り入れる。
半分は電車風ながら成田開業の年には時速300キロ走行に成功した。
コストも安く、騒音もない。今も愛知県下で営業走行している。
実は独メッサーシュミット社も同じ常電導リニアを作った。軌道敷に通
電して浮上走行するから設備費が高く、騒音もひどい。
ゲテ物だが支那人が買って、上海と浦東空港のアクセスに使った。
支那人はすぐ偽物を作る。このリニアも紛(まが)い物を作り、派手な事
故を起こして独製は人気を失った。
対して京谷は車体搭載用「永久電磁場」を考えた。絶対零度に近い状態
では電気抵抗はゼロ。つまり一旦電流を封じ込めば減衰せずに電磁場を作
り続ける。
京谷はそれを実現し、時速603キロの有人走行を成功させた。究極の超 電
導リニアの誕生だった。
因みにこの超電導方式はそのまま夢の宇宙高速飛行「プラズマセイル」の要
にもなる。ノーベル賞級のアイデアなのだ。
そんな夢を詰め込んだリニア新幹線はまず東京―名古屋間を約40分で走
る。2027年開業予定だ。
ところが静岡県大井川の下を抜けるトンネル工事に県知事、川勝平太が
待ったをかけてきた。
それも「大井川の水を一滴でも減らす工事は許さない」とシャイロック
の判事みたいな口ぶりで。
静岡にはまともな新幹線は停まらない。加えてリニア新幹線も素通り。
それはないだろうという僻(ひが)みの嫌がらせと思われた。
それなら「のぞみ」でも停めてやるとか譲歩も考えたが、川勝は頑な
で、取り付く島もない。
その間にリニアの世界も実は大きく様変わりを始めていた。支那が新幹
線に次いでリニア新幹線の技術も盗み取り、その模倣品を公然、作り始め
たのだ。
中心は浙江省政府で、熟練の日本人の技術者約30名を高値で買い、京谷
のリニアの秘密も盗んだらしい。2年前には青島(チンタオ)で日本のそれと
そっくりの超電導リニアモデルを公開した。
性能は盗んだのだから日本のと同じ時速600キロ。35年には上海から杭 州
経由寧波(ニンポー)まで開業の予定だ。
京谷のリニアが予定通りに開業していれば世界の次世代高速輸送機関の
市場は日本が握れる。
しかし大井川で川勝が止めたため27年開業はもはや無理。支那とは一馬
身の差もなくなっている。
そんな中、外相の王毅や駐日大使、程永華が足繁く川勝を訪問し大井川
の水資源を大切にする知事にエールを送る
川勝も支那をよく訪ねて習近平とも会い、阿漕(あこぎ)な一帯一路に万
歳を唱える。
支那は尖閣を取り、台湾有事には沖縄以南も奪うと朝日新聞でさえ予言
する。
そんな国に尻尾を振る川勝の気が知れないが、彼が4期目の知事選に勝
てば、大井川の足止めはさらに続き、リニア新幹線は支那が先に開業し、
世界市場もノーベル賞も支那が攫(さら)う。
川勝の先祖は渡来人と言われる。祖国支那に尽くして「なにが悪いある
か」と彼は思っているのだろうか。
松本市 久保田 康文 採録
at 08:22
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| 高山 正之
2021年06月12日
◆【変見自在】朝日の睾丸
高山 正之
『週刊新潮』 令和3年6月17日号
リベラルは睾丸が小さくモテないと動物行動学の竹内久美子は言う。
モテないから「俺にも女を」と懇願し「平等な社会を」と訴える。民青
や革マルはそこを衝いて「ウチはフリーセックス」と誘う。
朝日新聞を見ると彼らもモテない、アレも小さいという印象がする。
子宮頸がんワクチンに社を挙げて反対キャンペーンを張ったのも、モテ
ない僻(ひが)みと見ればすっきりする。
子宮頸がんはヒトパビローマウイルス(HPV)が原因で、日本でも
毎年1万人が子宮を失い、3千人が死んでいる。
女性だけでなく男性にも経口感染でうつり、喉頭がんなどで多くが死
んでいる。
僻む朝日には、それはモテすぎ、遊びすぎの男女への当然の天罰に見える。
なのにWHOはHPVワクチン接種を呼びかけ、日本も8年前、中高女
子生徒への接種を勧奨した。
接種は今回のコロナワクチンと同じ筋肉注射。おまけに欧米と同じ太い
注射針で3回続けて打つ。
コロナ接種だって注射後は痛いし、だるい。
朝日はそこに付け込んだ。「ヘンな注射で杉並の女子中学生は歩けなく
なった。脳障害も起きた」
執筆は斎藤智子。「全国では956人の副反応事例があって、大半は失
神。残りは重篤」と続報する。
「おかしくならない子は華奢でも繊細でもない」みたいなムードを煽っ
てついには「歩けなくなったりした132人が提訴」まで騒ぎを大きくした。
そうなれば厚労省は「面倒は御免」だ。接種はたった1年で打ち切っ
た。朝日の一方的は勝ちだった。
世界は驚いた。HPVは人類の敵なのに。WHOは日本に再度勧告し、
英科学誌「ネイチャー」は朝日の嘘に独り抵抗する医師、村中璃子を表彰
した。
しかし朝日の小さい睾丸に反省はない。HPVワクチン撲滅に勝った。では
次のワクチンも潰そう。
当時、中東呼吸器症候群(MERS)が韓国で流行っていた。それに備
えて日本側はメッセンジャー型ワクチンを開発していた。
従来の弱毒化ワクチンとは違い、リポ核酸を使って免疫を作らせる遺伝子
工学型ワクチンのこと。今回のファイザー社製コロナワクチンがこのタイ
プだ。
東大の研究室は動物実験で成果を出したが、ヒトを使った治験まではい
かなかった。「人体実験だ」と叩かれるのが見えていたからだ。
朝日が余裕の不戦勝を飾ったところで、今回の武漢コロナ禍と1億総ワ
クチン接種騒ぎが始まった。
朝日は3連勝を目指す。
まず「論座」で岡田幹治が「新型ワクチンは十分な治験なし」「人類に
未経験の副作用も」と怖がらせる。
その上で「接種は自分で決めよ」と接種拒否に誘導する。因みに執筆し
た岡田は朝日新聞退社後「週刊金曜日」で働いている。
本紙でも大島真・徳島大名誉教授に「治験を飛ばして接種は人体実験」
と語らせ、「子供や妊婦は接種すべきでない」と警告する。
エイズ薬害で名を売った人たちも動員して「リポ核酸などに遺伝子の破
片を入れて人体を遺伝子製造装置にする」と解説。「恐ろしい自己免疫疾
患の発症」を予言する。
みな尤もらしい。反響も大きく、徳島大には問い合わせが殺到した。今
は「本学は辞めた大島教授とは一切関係ありません」と張り紙をしている。
先日、分別ある70代の知人らとアクリル板会合をした折、全員が上記の
理由のどれかを挙げて「ワクチン接種はしない」と口を揃えたのには驚いた。
日ごろ、朝日の論調を嗤(わら)う者がみな朝日の仕掛けた罠に嵌っている。
罹患すればまず周りに迷惑をかける。治っても9割の人は味覚を失い、
食事が不味くなったという。
残る人生、まずい飯を食い続ける気なのか。
英国ではエリザベス女王一家は率先して接種した。バイデンも打った。
ノブレス・オブリージュというか、上に立つ者は堂々とあるべき形を示し
ている。
日本人はちっちゃい朝日に三連勝させるのか。
出典:『週刊新潮』令和3年(2021)6月17日号
【変見自在】朝日の睾丸
著者:高山 正之
高山正之氏の本紙連載が、単行本になりました。
『変見自在 コロナが教えてくれた大悪党』(定価1450円)絶賛発売中。
松本市 久保田 康文 採録
『週刊新潮』 令和3年6月17日号
リベラルは睾丸が小さくモテないと動物行動学の竹内久美子は言う。
モテないから「俺にも女を」と懇願し「平等な社会を」と訴える。民青
や革マルはそこを衝いて「ウチはフリーセックス」と誘う。
朝日新聞を見ると彼らもモテない、アレも小さいという印象がする。
子宮頸がんワクチンに社を挙げて反対キャンペーンを張ったのも、モテ
ない僻(ひが)みと見ればすっきりする。
子宮頸がんはヒトパビローマウイルス(HPV)が原因で、日本でも
毎年1万人が子宮を失い、3千人が死んでいる。
女性だけでなく男性にも経口感染でうつり、喉頭がんなどで多くが死
んでいる。
僻む朝日には、それはモテすぎ、遊びすぎの男女への当然の天罰に見える。
なのにWHOはHPVワクチン接種を呼びかけ、日本も8年前、中高女
子生徒への接種を勧奨した。
接種は今回のコロナワクチンと同じ筋肉注射。おまけに欧米と同じ太い
注射針で3回続けて打つ。
コロナ接種だって注射後は痛いし、だるい。
朝日はそこに付け込んだ。「ヘンな注射で杉並の女子中学生は歩けなく
なった。脳障害も起きた」
執筆は斎藤智子。「全国では956人の副反応事例があって、大半は失
神。残りは重篤」と続報する。
「おかしくならない子は華奢でも繊細でもない」みたいなムードを煽っ
てついには「歩けなくなったりした132人が提訴」まで騒ぎを大きくした。
そうなれば厚労省は「面倒は御免」だ。接種はたった1年で打ち切っ
た。朝日の一方的は勝ちだった。
世界は驚いた。HPVは人類の敵なのに。WHOは日本に再度勧告し、
英科学誌「ネイチャー」は朝日の嘘に独り抵抗する医師、村中璃子を表彰
した。
しかし朝日の小さい睾丸に反省はない。HPVワクチン撲滅に勝った。では
次のワクチンも潰そう。
当時、中東呼吸器症候群(MERS)が韓国で流行っていた。それに備
えて日本側はメッセンジャー型ワクチンを開発していた。
従来の弱毒化ワクチンとは違い、リポ核酸を使って免疫を作らせる遺伝子
工学型ワクチンのこと。今回のファイザー社製コロナワクチンがこのタイ
プだ。
東大の研究室は動物実験で成果を出したが、ヒトを使った治験まではい
かなかった。「人体実験だ」と叩かれるのが見えていたからだ。
朝日が余裕の不戦勝を飾ったところで、今回の武漢コロナ禍と1億総ワ
クチン接種騒ぎが始まった。
朝日は3連勝を目指す。
まず「論座」で岡田幹治が「新型ワクチンは十分な治験なし」「人類に
未経験の副作用も」と怖がらせる。
その上で「接種は自分で決めよ」と接種拒否に誘導する。因みに執筆し
た岡田は朝日新聞退社後「週刊金曜日」で働いている。
本紙でも大島真・徳島大名誉教授に「治験を飛ばして接種は人体実験」
と語らせ、「子供や妊婦は接種すべきでない」と警告する。
エイズ薬害で名を売った人たちも動員して「リポ核酸などに遺伝子の破
片を入れて人体を遺伝子製造装置にする」と解説。「恐ろしい自己免疫疾
患の発症」を予言する。
みな尤もらしい。反響も大きく、徳島大には問い合わせが殺到した。今
は「本学は辞めた大島教授とは一切関係ありません」と張り紙をしている。
先日、分別ある70代の知人らとアクリル板会合をした折、全員が上記の
理由のどれかを挙げて「ワクチン接種はしない」と口を揃えたのには驚いた。
日ごろ、朝日の論調を嗤(わら)う者がみな朝日の仕掛けた罠に嵌っている。
罹患すればまず周りに迷惑をかける。治っても9割の人は味覚を失い、
食事が不味くなったという。
残る人生、まずい飯を食い続ける気なのか。
英国ではエリザベス女王一家は率先して接種した。バイデンも打った。
ノブレス・オブリージュというか、上に立つ者は堂々とあるべき形を示し
ている。
日本人はちっちゃい朝日に三連勝させるのか。
出典:『週刊新潮』令和3年(2021)6月17日号
【変見自在】朝日の睾丸
著者:高山 正之
高山正之氏の本紙連載が、単行本になりました。
『変見自在 コロナが教えてくれた大悪党』(定価1450円)絶賛発売中。
松本市 久保田 康文 採録
at 07:36
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| 高山 正之
2021年06月06日
◆【変見自在】ビルマ人の事情
高山 正之
『週刊新潮』 令和3年6月10日号
英国人は賢(さか)しい。
例えばインドを植民地にしたら4億の民の恨みを買う。それをどうはぐ
らかすかで「分割し統治する」形を発明した。
一つはヒンズーとイスラムを対立させる。彼らは殺し合うほど憎み合った。
でもヒンズーだけで3億はいる。それで「君らのカースト制度は素晴ら
しい」とか言って身内の中に深刻な差別を持ち込ませた。
ニューデリーの4車線道路の信号で止まったことがある。運転者は互
いに顔を見合わせ、カースト順位を確認し青信号になると高位カースト順
に車を発進させていった。
結果、3億人でも結束する意欲を失い、一握りの英国人に好きに支配
された。
英国人は次にビルマを植民地にして少し困った。
なぜならビルマは単一民族国家で、民は例外なく敬虔な仏教徒だった。
分断させる要素がなかった。
で、英国人は歴史を勉強し、周辺のカレンなど山岳民族はかつてビルマ
人と戦って敗れ、恨みを呑んで平野から追い立てられたのを知った。
英国はすぐ彼らをキリスト教化して山から下ろし、植民地軍と治安警察
の要員とした。任務は英植民地支配に反発するビルマ人の摘発と抑え込み
だった。
国父アウンサンの父もカレン兵士に殺されている。
それでアウンサンは抵抗組織を結成した。
南機関の鈴木敬司大佐が協力して海南島で彼らに軍人の心構えを教え込
んだ。
昭和17年初めのビルマ攻略戦ではアウンサンらが先導を務めている。
祖国に凱旋したアウンサンはビルマ独立義勇軍を立ち上げ英軍の手先を
務めたカレン人兵士などへの報復を始めた
彼らはカレンの村落を襲って焼き討ちし、村民を人質に取った。
カレン兵士が報復にビルマ人集落を襲う毎に人質20人を処刑した。
双方の報復戦は4カ月も続き、女子供を含む数万人が殺されている。
英印軍に始末をつけた日本軍がそれを知ってアウンサンの軍隊を解体、カ
レンら山岳民族と共存する道を選ばせ、両者が協力する「ビルマ防衛軍」
を作らせた。
アウンサンは日本軍の介入をむしろ憎んだ。
昭和18年、植民地インドを解放する作戦が浮上するとアウンサンは「イ
ンド人はビルマ人の敵」と言い張り、協力を拒否した。
一方で英軍にこっそり接触し「ビルマの完全な独立を条件に日本軍の背
後を衝く密約を結んだ」(ルイス・アレン『日本軍が銃をおいた日』)。
昭和20年、日本軍はインパール、雲南で敗れその勢いを失うと、アウン
サンは3月27日、ビルマ防衛軍に日本軍攻撃を指令した。
その門出に防衛軍の日本人教官を処刑している。
戦後、ビルマはこの「裏切り」を評価され、独立が認められた。
その名残が目下の国軍クーデター騒ぎのさなかの3月27日に行われた建
軍76周年式典だ。
挨拶に立ったミン・アウンフライン最高司令官は「76年前のこの日こそ
ファシスト軍団への抵抗を始めた日」で、当初は「抵抗記念日と呼ばれ
た」と説明。
日本からのODAが始まるころに今の「国軍記念日と改称された」と続く。
ここで言うファシスト軍団とは日本軍のこと。日本は悪い侵略国家と非
難することが独立した植民地諸国の義務だった。
しかし独立を果たしたと言ってもビルマの内情は戦時中とそう変わらない。
植民地時代の分割統治の古傷がときにビルマ人と山岳民族を突き動かす。
民族同士の確執はそう簡単に収まらない。
それでもビルマ人はビルマ人の国を意味する国名をミャンマーに変え、
スーチーが山岳民族を含めて組織した国民民主連盟(NLD)に政権を譲
るなど大きな譲歩もしてきた。
フリー記者、北角裕樹が「市民側の声」を発進した廉で国外追放をされ
た。それを「不当」と彼は言う。
でも自分の報道がビルマ人の懊悩(おうのう)も伝えたと言い切れるのか
高山正之氏の本紙連載が、単行本になりました。
『変見自在 コロナが教えてくれた大悪党』(定価1450円)絶賛発売中。
松本市 久保田 康文 採録
『週刊新潮』 令和3年6月10日号
英国人は賢(さか)しい。
例えばインドを植民地にしたら4億の民の恨みを買う。それをどうはぐ
らかすかで「分割し統治する」形を発明した。
一つはヒンズーとイスラムを対立させる。彼らは殺し合うほど憎み合った。
でもヒンズーだけで3億はいる。それで「君らのカースト制度は素晴ら
しい」とか言って身内の中に深刻な差別を持ち込ませた。
ニューデリーの4車線道路の信号で止まったことがある。運転者は互
いに顔を見合わせ、カースト順位を確認し青信号になると高位カースト順
に車を発進させていった。
結果、3億人でも結束する意欲を失い、一握りの英国人に好きに支配
された。
英国人は次にビルマを植民地にして少し困った。
なぜならビルマは単一民族国家で、民は例外なく敬虔な仏教徒だった。
分断させる要素がなかった。
で、英国人は歴史を勉強し、周辺のカレンなど山岳民族はかつてビルマ
人と戦って敗れ、恨みを呑んで平野から追い立てられたのを知った。
英国はすぐ彼らをキリスト教化して山から下ろし、植民地軍と治安警察
の要員とした。任務は英植民地支配に反発するビルマ人の摘発と抑え込み
だった。
国父アウンサンの父もカレン兵士に殺されている。
それでアウンサンは抵抗組織を結成した。
南機関の鈴木敬司大佐が協力して海南島で彼らに軍人の心構えを教え込
んだ。
昭和17年初めのビルマ攻略戦ではアウンサンらが先導を務めている。
祖国に凱旋したアウンサンはビルマ独立義勇軍を立ち上げ英軍の手先を
務めたカレン人兵士などへの報復を始めた
彼らはカレンの村落を襲って焼き討ちし、村民を人質に取った。
カレン兵士が報復にビルマ人集落を襲う毎に人質20人を処刑した。
双方の報復戦は4カ月も続き、女子供を含む数万人が殺されている。
英印軍に始末をつけた日本軍がそれを知ってアウンサンの軍隊を解体、カ
レンら山岳民族と共存する道を選ばせ、両者が協力する「ビルマ防衛軍」
を作らせた。
アウンサンは日本軍の介入をむしろ憎んだ。
昭和18年、植民地インドを解放する作戦が浮上するとアウンサンは「イ
ンド人はビルマ人の敵」と言い張り、協力を拒否した。
一方で英軍にこっそり接触し「ビルマの完全な独立を条件に日本軍の背
後を衝く密約を結んだ」(ルイス・アレン『日本軍が銃をおいた日』)。
昭和20年、日本軍はインパール、雲南で敗れその勢いを失うと、アウン
サンは3月27日、ビルマ防衛軍に日本軍攻撃を指令した。
その門出に防衛軍の日本人教官を処刑している。
戦後、ビルマはこの「裏切り」を評価され、独立が認められた。
その名残が目下の国軍クーデター騒ぎのさなかの3月27日に行われた建
軍76周年式典だ。
挨拶に立ったミン・アウンフライン最高司令官は「76年前のこの日こそ
ファシスト軍団への抵抗を始めた日」で、当初は「抵抗記念日と呼ばれ
た」と説明。
日本からのODAが始まるころに今の「国軍記念日と改称された」と続く。
ここで言うファシスト軍団とは日本軍のこと。日本は悪い侵略国家と非
難することが独立した植民地諸国の義務だった。
しかし独立を果たしたと言ってもビルマの内情は戦時中とそう変わらない。
植民地時代の分割統治の古傷がときにビルマ人と山岳民族を突き動かす。
民族同士の確執はそう簡単に収まらない。
それでもビルマ人はビルマ人の国を意味する国名をミャンマーに変え、
スーチーが山岳民族を含めて組織した国民民主連盟(NLD)に政権を譲
るなど大きな譲歩もしてきた。
フリー記者、北角裕樹が「市民側の声」を発進した廉で国外追放をされ
た。それを「不当」と彼は言う。
でも自分の報道がビルマ人の懊悩(おうのう)も伝えたと言い切れるのか
高山正之氏の本紙連載が、単行本になりました。
『変見自在 コロナが教えてくれた大悪党』(定価1450円)絶賛発売中。
松本市 久保田 康文 採録
at 07:46
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| 高山 正之
2021年06月01日
【変見自在】DV難民
高山 正之
『週刊新潮』 令和3年6月3日号
スリランカのウィシュマ・サンダマリは留学ビザで4年前に来日した。
日本語を覚え、ゆくゆくは日本の中学校で英語を教えるつもりだったと
いう。
ただ夢の実現には努力がいる。彼女はそれを失念し、やがて留学先の語
学学校に姿を見せなくなった。
知り合った同郷の男と同棲を始めたからだ。
学校側は半年の猶予を与えたが、なおさぼり続けたので除籍処分とした。
留学ビザが失効すれば不法滞在となる。彼女は急ぎ難民認定を申請した。
そんなことで認定されるわけもない。半年後に申請は却下されて在留資
格を失うと、彼女は同棲男と行方をくらました。
これが米国なら国土安全保障省(DHS)が直ちに出頭命令を出し、警
察権を使って行方を追う。
DHSはアルカイダによる9・11テロを機に出入国管理を徹底するため
に新設された役所で、日本の旧内務省の権限に似る。
しかし今の入管局にその力はない。彼女の行方を追う術もなく2年が過
ぎようとした昨年夏、ウィシュマが静岡県下の警察に駆け込んで保護を求
めた。
同棲相手の「家庭内暴力で殺されかけた」「一刻も早く国に帰りたい」と。
彼女は不法滞在中だ。さっさとスリランカ行きの飛行機に飛び乗ればいい。
ただ彼女の所持金は20ドル。彼女の実家もカネを出さない
そうなると名古屋の入管局収容所に入り、政府のカネで送り返す強制退
去処分を待つことになる。
ニューヨーク・タイムズによると、そこへ当のDV男から手紙が届けら
れた。
なぜ男が彼女の居所を知ったのか、なぜ彼女に手紙を書く気になったの
かは分かっていない。
そのころ善意の塊みたいな難民人権団体が彼女に足繁く会いに行っている。
彼らがDV男と接触したかどうかも不明だが、手紙には「お前が日本の警
察にチクったから酷い目に遭った。国に戻ってきたら仕返ししてやる」と
あった。
人権団体は「彼女は帰国すれば命の危険がある」から立派な難民資格が
あると言い出した。
彼女も帰国の意思を翻して難民申請を出した。
しかしDV虐待が難民申請理由になるのか。それに難民受け入れには
「善良な人」が認定要件だ。
彼女の場合、勉強もしないで遊び惚けて、挙句に帰国したい、いや日本
に残りたいと駄々をこねる。身勝手だけが目につく。
ただ難民認定申請を出したら現行法下ではその間は強制送還されない。
申請が却下されても再申請し続けている限り、送還されることはない。
ずっと日本に居られる。
目下はそういう繰り返し申請組が3100人もいて、その8割が病気な
どを理由に仮放免されている。
みんな塀の外で生活をエンジョイできる。中には強姦致死で捕まった凶
悪な前科者など、580人もいたりして、日本安住を要求し続けている。
ウィシュマも人権団体の助言でか、難民申請を出すと同時に体の不具合
を訴え外の病院に入りたいと言い出した。入管法の穴を巧みに衝いた手口だ。
入管局は医師の診断を仰ぎ、入院の要なしとしたが、彼女は処方箋の服
用を拒んで病状が悪化。病院に搬送されたが、死亡した。
ずっと彼女に入れ知恵してきた人権団体はこれを待って彼女の妹二人を
スリランカから呼び寄せ、上川法相に面会させた。
ために入管法改正案は廃案に追い込まれた。
妹二人を呼び寄せるカネがあるなら、最初からウィシュマの飛行機代を
出してやればよかったのに。
DV男は地元の警察に言えば済む話だ。
何故、人権団体はそういう人道配慮をしなかったのか。彼女が死ねば政
局になると考えたのか。
もう一つ、米紙ですら詳細に報じた彼女の問題行動を日本の新聞はなぜ
1行も書かなかったのか。
慰安婦の嘘を定着させたクマラスワミと言い今度と言い、どうもスリラ
ンカ人とは相性がよくない。
高山正之氏の本紙連載が、単行本になりました。
『変見自在 コロナが教えてくれた大悪党』(定価1450円)絶賛発売中。
松本市 久保田 康文 採録
『週刊新潮』 令和3年6月3日号
スリランカのウィシュマ・サンダマリは留学ビザで4年前に来日した。
日本語を覚え、ゆくゆくは日本の中学校で英語を教えるつもりだったと
いう。
ただ夢の実現には努力がいる。彼女はそれを失念し、やがて留学先の語
学学校に姿を見せなくなった。
知り合った同郷の男と同棲を始めたからだ。
学校側は半年の猶予を与えたが、なおさぼり続けたので除籍処分とした。
留学ビザが失効すれば不法滞在となる。彼女は急ぎ難民認定を申請した。
そんなことで認定されるわけもない。半年後に申請は却下されて在留資
格を失うと、彼女は同棲男と行方をくらました。
これが米国なら国土安全保障省(DHS)が直ちに出頭命令を出し、警
察権を使って行方を追う。
DHSはアルカイダによる9・11テロを機に出入国管理を徹底するため
に新設された役所で、日本の旧内務省の権限に似る。
しかし今の入管局にその力はない。彼女の行方を追う術もなく2年が過
ぎようとした昨年夏、ウィシュマが静岡県下の警察に駆け込んで保護を求
めた。
同棲相手の「家庭内暴力で殺されかけた」「一刻も早く国に帰りたい」と。
彼女は不法滞在中だ。さっさとスリランカ行きの飛行機に飛び乗ればいい。
ただ彼女の所持金は20ドル。彼女の実家もカネを出さない
そうなると名古屋の入管局収容所に入り、政府のカネで送り返す強制退
去処分を待つことになる。
ニューヨーク・タイムズによると、そこへ当のDV男から手紙が届けら
れた。
なぜ男が彼女の居所を知ったのか、なぜ彼女に手紙を書く気になったの
かは分かっていない。
そのころ善意の塊みたいな難民人権団体が彼女に足繁く会いに行っている。
彼らがDV男と接触したかどうかも不明だが、手紙には「お前が日本の警
察にチクったから酷い目に遭った。国に戻ってきたら仕返ししてやる」と
あった。
人権団体は「彼女は帰国すれば命の危険がある」から立派な難民資格が
あると言い出した。
彼女も帰国の意思を翻して難民申請を出した。
しかしDV虐待が難民申請理由になるのか。それに難民受け入れには
「善良な人」が認定要件だ。
彼女の場合、勉強もしないで遊び惚けて、挙句に帰国したい、いや日本
に残りたいと駄々をこねる。身勝手だけが目につく。
ただ難民認定申請を出したら現行法下ではその間は強制送還されない。
申請が却下されても再申請し続けている限り、送還されることはない。
ずっと日本に居られる。
目下はそういう繰り返し申請組が3100人もいて、その8割が病気な
どを理由に仮放免されている。
みんな塀の外で生活をエンジョイできる。中には強姦致死で捕まった凶
悪な前科者など、580人もいたりして、日本安住を要求し続けている。
ウィシュマも人権団体の助言でか、難民申請を出すと同時に体の不具合
を訴え外の病院に入りたいと言い出した。入管法の穴を巧みに衝いた手口だ。
入管局は医師の診断を仰ぎ、入院の要なしとしたが、彼女は処方箋の服
用を拒んで病状が悪化。病院に搬送されたが、死亡した。
ずっと彼女に入れ知恵してきた人権団体はこれを待って彼女の妹二人を
スリランカから呼び寄せ、上川法相に面会させた。
ために入管法改正案は廃案に追い込まれた。
妹二人を呼び寄せるカネがあるなら、最初からウィシュマの飛行機代を
出してやればよかったのに。
DV男は地元の警察に言えば済む話だ。
何故、人権団体はそういう人道配慮をしなかったのか。彼女が死ねば政
局になると考えたのか。
もう一つ、米紙ですら詳細に報じた彼女の問題行動を日本の新聞はなぜ
1行も書かなかったのか。
慰安婦の嘘を定着させたクマラスワミと言い今度と言い、どうもスリラ
ンカ人とは相性がよくない。
高山正之氏の本紙連載が、単行本になりました。
『変見自在 コロナが教えてくれた大悪党』(定価1450円)絶賛発売中。
松本市 久保田 康文 採録
at 08:20
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| 高山 正之
2021年05月26日
◆【変見自在】女が偉い国
高山 正之
1990年代初めにハノイを旅した。
米国がベトナム戦争に負けた腹いせでまだ経済制裁していたから街も
人々も本当に貧しそうだった。
それでも紅河に架かる橋のたもとの朝市はいつも元気に賑わっていた。
熱いフォーをすすりながらその賑わいを眺めていたら自転車に乗った二
組の夫婦が目の前でぶつかって派手にひっくり返った。
後ろに乗っていた妻たちも転げ、買ったばかりの食材や衣料やらが辺
りに散乱した。
妻たちは起き上がって散らばった品物を拾い、これはあなたのかしら
とか言いながら仕分けする。
亭主どもも立ち上がったが、こっちはモノも言わずに殴り合いを始めた。
痩せた腕がしなり、双方の拳が相手の顔を打つ。殴り疲れると足で蹴
る。そしてまた深刻に殴り合う。
やがて二人の妻が仕分けを終え、まだ殴り合っている亭主に声をかけた。
多分「もう行くわよ。もたもたしないで」と言ったように思う。
そしたら亭主たちはぴたり殴り合いをやめ、ひっくり返った自転車を立
てる。妻たちがそれぞれ荷台に乗るのを待って痩せた足でペダルを漕いで
左右に別れていった
すれ違ったとき妻たちがにっこり会釈した。
見ていたこっちがその展開に驚いた。あの即座の殴り合いは何なのか。
日本だったら亭主たちはまず謝る。いえ、こちらこそと相手が言う。そ
れが相場だ。中には詰(なじ)る者もいるだろうが、いきなり双方ぼかすか
はない。
そして妻の一言で即座にやめる。ベトナム男のそれが形なのか。
それを元ベトコン女闘士で、精米会社サイゴンサタケ社長のグェン・
ティティに尋ねたことがある。
ベトナムの男は優秀だ。でも女はもっと優秀で、それが彼らの不幸なの
だと彼女は答えた。彼女は確かに優秀で骨もある。映画『フルメタルジャ
ケット』は米軍がたった一人の女狙撃手に翻弄される姿を描く。あれは実
話だ
サイゴンに女子体操競技のジムがある。床はコンクリート。腸(はらわ
た)の出たマットの上で少女たちが床運動や平均台の練習をしていた。
骨折はしゅっちゅうという。なぜそんなに無茶をするのかと聞いたら、
東側の援助が欲しいから東側の好きな体操競技に付き合うためだ、いつも
ビリだけどと笑う。
少女たちは骨折を厭(いと)わない愛国者なのだ。
おかげで米軍を追い払い、ポルポトを退治し、ケ小平の支那も叩きのめ
せた。
戦いが終わると、女たちは銃を置いて田んぼや工場に戻って働き始める。
グエン女史は精米会社の他75もの企業を起こした。幹部はみな女だという。
男たちが「我々は何をすればいいのか」とおずおず尋ねた。
女たちは言った。「暇なら政治でもしていれば」。
それで男たちはベトナム共産主義国家を作った。
ランソンの人民委員会を訪ねたことがある。庁舎の軒先から1階ホー
ル、執務室に繋がる通路までヤンキー座りした男たちで占められていた。
机も仕事もないが、みな立派な肩書を持ち、日がな一日、こうやって
「勤務している」のだという。
男の面子を立ててくれる女たちに男どもは感謝の念を隠さない。
ハノイに女を敬う「女の博物館」がある。勇敢な姉妹が敵軍を倒す「娘
子軍(じょうしぐん)の伝説はベトナムが起源だったとここで知った。
だから街角で妻が転ばされたら夫は躊躇いなく懲罰に出る。それがベト
ナム男の心意気なのだろう。
世界経済フォーラムが女の地位ランキングを発表した。女のおかげで戦
争に勝ち、貧困も克服した。ベトナム女が当然の1位と思ったら156カ
国中87位と半分より下だった。
女が興味を持たない「政治」を重視するいびつさが端的に出ている。
因みに120位の日本女もその辺は同じ。詐欺犯の辻本清美みたいなの
が増えるくらいなら日本は最下位で結構と思っている。
高山正之氏の本紙連載が、単行本になりました。
『変見自在 コロナが教えてくれた大悪党』(定価1450円)絶賛発売中。
松本市 久保田 康文 採録
1990年代初めにハノイを旅した。
米国がベトナム戦争に負けた腹いせでまだ経済制裁していたから街も
人々も本当に貧しそうだった。
それでも紅河に架かる橋のたもとの朝市はいつも元気に賑わっていた。
熱いフォーをすすりながらその賑わいを眺めていたら自転車に乗った二
組の夫婦が目の前でぶつかって派手にひっくり返った。
後ろに乗っていた妻たちも転げ、買ったばかりの食材や衣料やらが辺
りに散乱した。
妻たちは起き上がって散らばった品物を拾い、これはあなたのかしら
とか言いながら仕分けする。
亭主どもも立ち上がったが、こっちはモノも言わずに殴り合いを始めた。
痩せた腕がしなり、双方の拳が相手の顔を打つ。殴り疲れると足で蹴
る。そしてまた深刻に殴り合う。
やがて二人の妻が仕分けを終え、まだ殴り合っている亭主に声をかけた。
多分「もう行くわよ。もたもたしないで」と言ったように思う。
そしたら亭主たちはぴたり殴り合いをやめ、ひっくり返った自転車を立
てる。妻たちがそれぞれ荷台に乗るのを待って痩せた足でペダルを漕いで
左右に別れていった
すれ違ったとき妻たちがにっこり会釈した。
見ていたこっちがその展開に驚いた。あの即座の殴り合いは何なのか。
日本だったら亭主たちはまず謝る。いえ、こちらこそと相手が言う。そ
れが相場だ。中には詰(なじ)る者もいるだろうが、いきなり双方ぼかすか
はない。
そして妻の一言で即座にやめる。ベトナム男のそれが形なのか。
それを元ベトコン女闘士で、精米会社サイゴンサタケ社長のグェン・
ティティに尋ねたことがある。
ベトナムの男は優秀だ。でも女はもっと優秀で、それが彼らの不幸なの
だと彼女は答えた。彼女は確かに優秀で骨もある。映画『フルメタルジャ
ケット』は米軍がたった一人の女狙撃手に翻弄される姿を描く。あれは実
話だ
サイゴンに女子体操競技のジムがある。床はコンクリート。腸(はらわ
た)の出たマットの上で少女たちが床運動や平均台の練習をしていた。
骨折はしゅっちゅうという。なぜそんなに無茶をするのかと聞いたら、
東側の援助が欲しいから東側の好きな体操競技に付き合うためだ、いつも
ビリだけどと笑う。
少女たちは骨折を厭(いと)わない愛国者なのだ。
おかげで米軍を追い払い、ポルポトを退治し、ケ小平の支那も叩きのめ
せた。
戦いが終わると、女たちは銃を置いて田んぼや工場に戻って働き始める。
グエン女史は精米会社の他75もの企業を起こした。幹部はみな女だという。
男たちが「我々は何をすればいいのか」とおずおず尋ねた。
女たちは言った。「暇なら政治でもしていれば」。
それで男たちはベトナム共産主義国家を作った。
ランソンの人民委員会を訪ねたことがある。庁舎の軒先から1階ホー
ル、執務室に繋がる通路までヤンキー座りした男たちで占められていた。
机も仕事もないが、みな立派な肩書を持ち、日がな一日、こうやって
「勤務している」のだという。
男の面子を立ててくれる女たちに男どもは感謝の念を隠さない。
ハノイに女を敬う「女の博物館」がある。勇敢な姉妹が敵軍を倒す「娘
子軍(じょうしぐん)の伝説はベトナムが起源だったとここで知った。
だから街角で妻が転ばされたら夫は躊躇いなく懲罰に出る。それがベト
ナム男の心意気なのだろう。
世界経済フォーラムが女の地位ランキングを発表した。女のおかげで戦
争に勝ち、貧困も克服した。ベトナム女が当然の1位と思ったら156カ
国中87位と半分より下だった。
女が興味を持たない「政治」を重視するいびつさが端的に出ている。
因みに120位の日本女もその辺は同じ。詐欺犯の辻本清美みたいなの
が増えるくらいなら日本は最下位で結構と思っている。
高山正之氏の本紙連載が、単行本になりました。
『変見自在 コロナが教えてくれた大悪党』(定価1450円)絶賛発売中。
松本市 久保田 康文 採録
at 07:58
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| 高山 正之
2021年05月21日
◆【変見自在】個人的戦犯
高山 正之
ビルマとタイを結ぶ泰緬(たいめん)鉄道は昭和17年夏に着工され、僅か
1年余で415キロの鉄路が完成した。
1日ほぼ1キロという驚異的な進捗率で、おまけに戦後も両国の民の生活
の足になるよう、やっつけ仕事ではない本格的な架橋技術も施された。
それを支えたのが1万余の鉄道連隊と6万余の連合軍捕虜だった。
他にビルマとタイから作業員が徴募されたが、ともに最悪で、前払い賃
金を貰うと彼らはすぐ飯場から姿をくらました。
連合軍捕虜はマラリアなどで実際働けたのは半数以下だったが、断崖に
鏨(たがね)で穴を穿(うが)つ意味は分かるから作業は捗(はかど)った。
以上は日本側関係者の記録で、全線開通したときは「日本軍兵士と捕
虜が手を取り合って喜んだ」場面も報告している。
捕虜は十分な休養が与えられたあと、本土を含む各地収容所に送られ
たが、そこに悲劇が待っていた。
周辺の海域は米潜水艦が跳梁し、捕虜護送中の阿里山丸など19隻が沈め
られた。それで捕虜1万1580人が死んだ。
何とか収容所に入っても今度は米軍機が空から収容所を標的にした。
ボルネオ、香港、奉天などの収容所は繰り返される掃射で318人が死
亡。奉天に収容されたパーシバル将軍も殺されかけた。
広島と長崎の原爆でも米蘭の捕虜212人が被曝死している。
戦後、日本軍の捕虜死亡率は圧倒的に高いと非難された。あの執拗な空
襲はそんな虚構を創るための作為とも言われる。
そういう非難に乗じて戦後、英蘭郷の捕虜が泰緬鉄道の現場で虐待され
たと日本軍関係者を告発した。
告発は二つ。一つは不当な労働を強いた鉄道敷設計画の責任を問うも
の。もう一つは捕虜虐待。
それで法廷は鉄道責任者の石田英熊中将ら二人を、また捕虜虐待で中村
鎮雄大佐ら12人を訴追した。
裁判結果は鉄道関係の二人は10年の禁固刑、虐待の件では最終的に中村
大佐と後任の佐々木誠少将の二人を死刑とした。
開戦早々に白旗を上げて戦時中は収容所でごろ寝していたオランダ軍捕
虜は戦後に224人の日本軍将兵を処刑した。
それに比べ泰緬鉄道では捕虜1万余が病死、衰弱死している。「死の鉄
道」と呼んで残虐日本軍の代名詞にもされた。
その割に極刑が少なかったのは英軍の軍事法廷がオランダ人よりもまと
もだった、ということなのか。
ただ、戦犯法廷はもう一つあった。
先の戦争では開戦早々にフィリピンで米兵が、シンガポールでは英兵
が、計25万人もさっさと手を上げた。進出日本軍と同数だ。
彼らの面倒を見ていたら戦争できない。急ぎ看守役に朝鮮人が募集され
3008人が配属された。
「彼らは残忍だった」と豪州軍捕虜は証言する。中でも悪質な148人
が有罪とされ、23人が処刑された。
「トカゲ」と綽名された李鶴来も死刑組だったが後に減刑された。
先日の朝日新聞に彼の死亡記事が載った。「捕虜を泰緬鉄道建設に従事
させ多数を死なせた」罪で一度は死刑を宣告されたとある。
いやいや彼はそんな要職にはない。捕虜を苛めた個人犯罪で断罪された
だけだ。全くの嘘っぱちだ。
驚いたことに朝日は社説と編集委員コラムでも同じ嘘を繰り返す。
主張は「日本人軍属として辛酸を嘗めたのに戦後は国籍消滅を理由に恩
給も出さなかった」と日本政府をひたすら糾弾する。
社説では彼のサディスティックな行状を庇うためか「ジュネーブ条約も
教えられなかった」と書く。
そこまで事実を捻じ曲げて個人的で陰湿な犯罪を「日本軍の犯罪」に仕
立てようとする。そのわりには素材が悪すぎたか。
因みに故人は生前、苛めた捕虜に謝罪したという。
でも、謝罪すべき相手は故人らの不始末の責任を取らされて処刑された
中村大佐らではなかったのか。
出典:『週刊新潮』令和3年(2021)5月20日号
【変見自在】個人的戦犯
著者:高山 正之
高山正之氏の本紙連載が、単行本になりました。
『変見自在 コロナが教えてくれた大悪党』(定価1450円)絶賛発売中。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
松本市 久保田 康文
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ビルマとタイを結ぶ泰緬(たいめん)鉄道は昭和17年夏に着工され、僅か
1年余で415キロの鉄路が完成した。
1日ほぼ1キロという驚異的な進捗率で、おまけに戦後も両国の民の生活
の足になるよう、やっつけ仕事ではない本格的な架橋技術も施された。
それを支えたのが1万余の鉄道連隊と6万余の連合軍捕虜だった。
他にビルマとタイから作業員が徴募されたが、ともに最悪で、前払い賃
金を貰うと彼らはすぐ飯場から姿をくらました。
連合軍捕虜はマラリアなどで実際働けたのは半数以下だったが、断崖に
鏨(たがね)で穴を穿(うが)つ意味は分かるから作業は捗(はかど)った。
以上は日本側関係者の記録で、全線開通したときは「日本軍兵士と捕
虜が手を取り合って喜んだ」場面も報告している。
捕虜は十分な休養が与えられたあと、本土を含む各地収容所に送られ
たが、そこに悲劇が待っていた。
周辺の海域は米潜水艦が跳梁し、捕虜護送中の阿里山丸など19隻が沈め
られた。それで捕虜1万1580人が死んだ。
何とか収容所に入っても今度は米軍機が空から収容所を標的にした。
ボルネオ、香港、奉天などの収容所は繰り返される掃射で318人が死
亡。奉天に収容されたパーシバル将軍も殺されかけた。
広島と長崎の原爆でも米蘭の捕虜212人が被曝死している。
戦後、日本軍の捕虜死亡率は圧倒的に高いと非難された。あの執拗な空
襲はそんな虚構を創るための作為とも言われる。
そういう非難に乗じて戦後、英蘭郷の捕虜が泰緬鉄道の現場で虐待され
たと日本軍関係者を告発した。
告発は二つ。一つは不当な労働を強いた鉄道敷設計画の責任を問うも
の。もう一つは捕虜虐待。
それで法廷は鉄道責任者の石田英熊中将ら二人を、また捕虜虐待で中村
鎮雄大佐ら12人を訴追した。
裁判結果は鉄道関係の二人は10年の禁固刑、虐待の件では最終的に中村
大佐と後任の佐々木誠少将の二人を死刑とした。
開戦早々に白旗を上げて戦時中は収容所でごろ寝していたオランダ軍捕
虜は戦後に224人の日本軍将兵を処刑した。
それに比べ泰緬鉄道では捕虜1万余が病死、衰弱死している。「死の鉄
道」と呼んで残虐日本軍の代名詞にもされた。
その割に極刑が少なかったのは英軍の軍事法廷がオランダ人よりもまと
もだった、ということなのか。
ただ、戦犯法廷はもう一つあった。
先の戦争では開戦早々にフィリピンで米兵が、シンガポールでは英兵
が、計25万人もさっさと手を上げた。進出日本軍と同数だ。
彼らの面倒を見ていたら戦争できない。急ぎ看守役に朝鮮人が募集され
3008人が配属された。
「彼らは残忍だった」と豪州軍捕虜は証言する。中でも悪質な148人
が有罪とされ、23人が処刑された。
「トカゲ」と綽名された李鶴来も死刑組だったが後に減刑された。
先日の朝日新聞に彼の死亡記事が載った。「捕虜を泰緬鉄道建設に従事
させ多数を死なせた」罪で一度は死刑を宣告されたとある。
いやいや彼はそんな要職にはない。捕虜を苛めた個人犯罪で断罪された
だけだ。全くの嘘っぱちだ。
驚いたことに朝日は社説と編集委員コラムでも同じ嘘を繰り返す。
主張は「日本人軍属として辛酸を嘗めたのに戦後は国籍消滅を理由に恩
給も出さなかった」と日本政府をひたすら糾弾する。
社説では彼のサディスティックな行状を庇うためか「ジュネーブ条約も
教えられなかった」と書く。
そこまで事実を捻じ曲げて個人的で陰湿な犯罪を「日本軍の犯罪」に仕
立てようとする。そのわりには素材が悪すぎたか。
因みに故人は生前、苛めた捕虜に謝罪したという。
でも、謝罪すべき相手は故人らの不始末の責任を取らされて処刑された
中村大佐らではなかったのか。
出典:『週刊新潮』令和3年(2021)5月20日号
【変見自在】個人的戦犯
著者:高山 正之
高山正之氏の本紙連載が、単行本になりました。
『変見自在 コロナが教えてくれた大悪党』(定価1450円)絶賛発売中。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
松本市 久保田 康文
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
at 07:58
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| 高山 正之
2021年05月06日
◆【変見自在】コロナより悪い朝日
高山 正之
コンコルドは英仏が国威を掛けた超音速旅客機だ。
当時の航空界はバブルだったし、売れないわけはない。仏はその意気込
みから、コンコルドを買わない国はシャルル・ドゴール新空港には入れな
い。オルリに行けと宣言したほどだ。
しかし開発半ばでどこも買わないことがはっきりしてきた。でも意地が
ある。開発を続けて予想通りの不採算で潰れた。
その愚を進化論学者が「コンコルドの誤り」と呼んだと先日の天声人語
が書き起こしていた。
何を言いたいのかと思ったら、東京五輪が今やそのコンコルドだという。
コロナ禍は猖獗を極める。日本は緊急事態下にあり、肝心のワクチンは
開会直前なのに接種率1%と冗談みたいな状況にある。
開催にはまだまだカネがかかる。強行しても大損のうえ大失敗する。
将来「東京五輪の誤り」と言われないよう「やめてしまえ」と結んで
いる。
書いた本人はいい落ちになったとにんまりしているようだが、池江選手
らの努力を嘲笑い、日本の失敗を鼻で嗤う筆運びは日本人とも思えない。
朝鮮日報なら書きそうな話だ。
だいたいコンコルドはなぜ潰れたか。それは当時の航空界を仕切る米国
の嫉妬が原因だった。米国には「not invented here(いい他国製品など
いらん)」根性がある。
オレは独自に作ると不買を宣言した。悩んでいた日本はそれを見てオプ
ション契約だけをして、確定発注は事実上ゼロになった。
かくて英仏のみの赤字運航になったが、その終焉となる墜落事故も実は
米国が絡んでいる。
米国製DC10が滑走路に金属片を落とし、後続のコンコルドがそれを踏
んで結果的に翼内燃料タンクの爆発を生んだ。米国の妬みと不始末によっ
てコンコルドは葬り去られたのだ。
学者の御託はともかく、そんな確執話と東京五輪がどう似るというのか。
だいたい五輪開催は儲け話じゃない。採算は誰も気にしないで開催実現
にまず努力するところだろう。
でも、と天声人語はコロナ禍を言う。無理だよと。
そうだろうか。現に台湾はコロナ禍を抑え込めた。それは日本にもでき
ると暗示している。
島国という立地もあるが、もう一つ台湾の成功は旧総督府時代の防疫体
制で臨んだことにある。
患者の隔離、入管での徹底した検疫などはまさに総督府方式だが、その
モデルは実は日本の内務省にある。
ただその内務省はGHQが解体し、厚生省、警察庁、運輸省などに分
割、入管は法務省に移した。日本の防疫体制は潰された。
過去、その不合理が指摘され、国会で何度も内務省復活が提案された
が、朝日はその都度「特高を甦らせる」と騒いで潰してきた。
今度のコロナ禍でも支那人患者が解熱剤で潜り込むなど防疫での縦割り
行政の欠陥が問題にされた。
今度こそ内務省モデルの防疫体制復活かと思われたが、朝日が「桜を見
る会」で騒いでそれを潰し、コロナを自由にのさばらせた。
今のワクチン接種の遅れも実は朝日のせいだ。
昔は種痘にツベルクリンにBCGと集団接種は当たり前の景色だった
が、朝日はそんな防疫システムを無駄と言い出した。
ために集団接種は消えて元締めの保健所も淘汰され、今のワクチン接種
の遅れを生んだ。
朝日の悪意は子宮頸がんワクチンにも向けられている。WHOでは必須
の接種なのに、朝日は「脳障害を起こす」と騒ぎ70%あった接種率が1%
に落ちた。
結果、毎年数千人の女性が死ぬか子宮摘出するかの悲劇に見舞われている。
村中璃子医師がそのインチキを告発したら逆にその筋から迫害された。
見かねた英誌ネイチャーが彼女にジョン・マドックス賞を与えた。
授賞理由は「不当な圧力に屈せず真実を伝えた」とある。不当な圧力と
は朝日新聞を指す。
日本のコロナ禍は朝日が産んだ。コロナよりたちが悪い奴がいたんだ。
出典:『週刊新潮』令和3年(2021)5月6・13日号
【変見自在】コロナより悪い朝日
著者:高山 正之
高山正之氏の本紙連載が、単行本になりました。
『変見自在 コロナが教えてくれた大悪党』(定価1450円)絶賛発売中。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
松本市 久保田 康文
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
コンコルドは英仏が国威を掛けた超音速旅客機だ。
当時の航空界はバブルだったし、売れないわけはない。仏はその意気込
みから、コンコルドを買わない国はシャルル・ドゴール新空港には入れな
い。オルリに行けと宣言したほどだ。
しかし開発半ばでどこも買わないことがはっきりしてきた。でも意地が
ある。開発を続けて予想通りの不採算で潰れた。
その愚を進化論学者が「コンコルドの誤り」と呼んだと先日の天声人語
が書き起こしていた。
何を言いたいのかと思ったら、東京五輪が今やそのコンコルドだという。
コロナ禍は猖獗を極める。日本は緊急事態下にあり、肝心のワクチンは
開会直前なのに接種率1%と冗談みたいな状況にある。
開催にはまだまだカネがかかる。強行しても大損のうえ大失敗する。
将来「東京五輪の誤り」と言われないよう「やめてしまえ」と結んで
いる。
書いた本人はいい落ちになったとにんまりしているようだが、池江選手
らの努力を嘲笑い、日本の失敗を鼻で嗤う筆運びは日本人とも思えない。
朝鮮日報なら書きそうな話だ。
だいたいコンコルドはなぜ潰れたか。それは当時の航空界を仕切る米国
の嫉妬が原因だった。米国には「not invented here(いい他国製品など
いらん)」根性がある。
オレは独自に作ると不買を宣言した。悩んでいた日本はそれを見てオプ
ション契約だけをして、確定発注は事実上ゼロになった。
かくて英仏のみの赤字運航になったが、その終焉となる墜落事故も実は
米国が絡んでいる。
米国製DC10が滑走路に金属片を落とし、後続のコンコルドがそれを踏
んで結果的に翼内燃料タンクの爆発を生んだ。米国の妬みと不始末によっ
てコンコルドは葬り去られたのだ。
学者の御託はともかく、そんな確執話と東京五輪がどう似るというのか。
だいたい五輪開催は儲け話じゃない。採算は誰も気にしないで開催実現
にまず努力するところだろう。
でも、と天声人語はコロナ禍を言う。無理だよと。
そうだろうか。現に台湾はコロナ禍を抑え込めた。それは日本にもでき
ると暗示している。
島国という立地もあるが、もう一つ台湾の成功は旧総督府時代の防疫体
制で臨んだことにある。
患者の隔離、入管での徹底した検疫などはまさに総督府方式だが、その
モデルは実は日本の内務省にある。
ただその内務省はGHQが解体し、厚生省、警察庁、運輸省などに分
割、入管は法務省に移した。日本の防疫体制は潰された。
過去、その不合理が指摘され、国会で何度も内務省復活が提案された
が、朝日はその都度「特高を甦らせる」と騒いで潰してきた。
今度のコロナ禍でも支那人患者が解熱剤で潜り込むなど防疫での縦割り
行政の欠陥が問題にされた。
今度こそ内務省モデルの防疫体制復活かと思われたが、朝日が「桜を見
る会」で騒いでそれを潰し、コロナを自由にのさばらせた。
今のワクチン接種の遅れも実は朝日のせいだ。
昔は種痘にツベルクリンにBCGと集団接種は当たり前の景色だった
が、朝日はそんな防疫システムを無駄と言い出した。
ために集団接種は消えて元締めの保健所も淘汰され、今のワクチン接種
の遅れを生んだ。
朝日の悪意は子宮頸がんワクチンにも向けられている。WHOでは必須
の接種なのに、朝日は「脳障害を起こす」と騒ぎ70%あった接種率が1%
に落ちた。
結果、毎年数千人の女性が死ぬか子宮摘出するかの悲劇に見舞われている。
村中璃子医師がそのインチキを告発したら逆にその筋から迫害された。
見かねた英誌ネイチャーが彼女にジョン・マドックス賞を与えた。
授賞理由は「不当な圧力に屈せず真実を伝えた」とある。不当な圧力と
は朝日新聞を指す。
日本のコロナ禍は朝日が産んだ。コロナよりたちが悪い奴がいたんだ。
出典:『週刊新潮』令和3年(2021)5月6・13日号
【変見自在】コロナより悪い朝日
著者:高山 正之
高山正之氏の本紙連載が、単行本になりました。
『変見自在 コロナが教えてくれた大悪党』(定価1450円)絶賛発売中。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
松本市 久保田 康文
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
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| 高山 正之
2021年04月20日
◆【変見自在】便所の落書き
高山 正之
『週刊新潮』令和3年4月22日号
少し前の月刊誌に「高山某をメディア界から放逐せよ」という一文が
載った。
書いたのは「サンデーモーニング」などで知られる青木理
面識はない。向こうはこちらを「週刊誌を愚にもつかぬことを書いてい
るくらいの印象」はあるとか。
で、なんで敵意ある追放令なのかというと、偶々(たまたま)こちらのコ
ラムを「一読、唖然として反吐が出そうになった」という。
彼が読んだのは高野山を旅した話で、同行は文春元編集長の堤堯と変人
の愛知教育大名誉教授、北村良和。
先達には畏れ多くも加地伸行が立たれた。高野山大で教鞭をとったこと
もあり、ここは詳しい。
奥の院の奥まで案内してもらって、その夜は總持院に草鞋(わらじ)を脱
いだ。高野山では由緒ある宿坊だ。
応接間の蟻壁には骨太の筆になる般若心経がかかっていて、揮毫はなん
と加藤登紀子だった。
宴の話が奥の院にも溢れる外人客の話になったとき、女将が「ウチの
宿、外人さんお断りしています」って涙ぐんだ。
堤堯が涙の訳を問うた。
あるとき支那人の団体客が泊まった。囲碁名人戦が行われた座敷に床を
延べて遠来の客をもてなした。
翌朝、片づけに部屋にいって女将は卒倒した。夫々(それぞれ)の布団は
人糞に塗れ、壁も襖も畳にもそれが擦り付けられていた。
女将の語る仔細に一同は声を失った。
遠藤誉の『卡子(チャーズ)』に彼女の新京の家に泊まった八路(パーロ)の小
隊の話がある。
彼らが去ったあと「緞子(どんす)の布団が人糞に塗れ、壁も汚され、姉
の琴もわざわざ壊されていた」。
それから70年が経つ。支那は日本からODAを貰い、技術を貰い、
CO2排出権まで高値で買って貰ってひたすら豊かになった。
ピルズベリーは「豊かになれば支那人もまともになる」と信じていた。
日本人も同じ思いだった。
しかし高野山の現実はあの時の八路そのまま。
そう言えば碩学たちがあれこれ語る。
常に外来王朝に支配されてきた支那人は折あらば凄まじい民族淘汰に走る。
文革期のモンゴルでも邦人大量殺戮の通州事件でも民族淘汰の形、女性
器の破壊をやっている。
今、ウイグル人女性を捕えては不妊手術を強制するのも同じ理由だ。
身分に関係なく嘘をつく癖も変わらない。周恩来が尖閣に因縁をつけ、
ケ小平がとぼけ、習近平に至って尖閣は核心的に支那領だと言い出す。
日本のメディアは支那との友好だけを語る。それは却って民を惑わすと
いうのが一同の結論だった。
コラムはその結論に沿って新聞が報じない彼らの素顔を伝えてみた。
しかし青木理の反応は違った。彼は共同通信の出なのに裏も取らずに宿
坊での支那人の行状はでっち上げではと疑う。
あったとしても「極めて特異」という。極めて特異で何十組もの夜具が
みな汚穢(おわい)に塗(まみ)れるか。
それよりも驚きがコラムではっきり「支那人が」と指摘しているのにそ
れは無意味な偏見として「外人客」と言い換えている。
その上でこちらの指摘を「レイシズム」と見做し「特定民族を口汚く罵
る便所の落書きと大同小異のクソ文」だという。
こんなコラムが有力誌に載るのは「日本をむしろ貶める」から「高山某
を放逐」することが「日本のためになる」と結ぶ。
こちらもまだ日本のためにできることがあったのは喜ばしいが、ただ気
になることが一つある。
世に支那好きは多い。自費で日支友好団体を立てた人が万といる。
それが昂じるとどうなるか。支那人の気に障る文言があると支那人以上
に腹を立てる。彼らに代わって成敗する気になるらしい。彼がいい見本だ。
彼らは友好を語る。敵地攻撃能力などとんでもないと言い切る。
みな耳に心地いい。
でもたまには「便所の落書き」にも目を通そう。結構、真実が見えてくる。
出典:『週刊新潮』令和3年(2021)4月22日号
【変見自在】便所の落書き
著者:高山 正之
高山正之氏の本紙連載が、単行本になりました。
『変見自在 コロナが教えてくれた大悪党』(定価1450円)絶賛発
売中。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
松本市 久保田 康文
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
『週刊新潮』令和3年4月22日号
少し前の月刊誌に「高山某をメディア界から放逐せよ」という一文が
載った。
書いたのは「サンデーモーニング」などで知られる青木理
面識はない。向こうはこちらを「週刊誌を愚にもつかぬことを書いてい
るくらいの印象」はあるとか。
で、なんで敵意ある追放令なのかというと、偶々(たまたま)こちらのコ
ラムを「一読、唖然として反吐が出そうになった」という。
彼が読んだのは高野山を旅した話で、同行は文春元編集長の堤堯と変人
の愛知教育大名誉教授、北村良和。
先達には畏れ多くも加地伸行が立たれた。高野山大で教鞭をとったこと
もあり、ここは詳しい。
奥の院の奥まで案内してもらって、その夜は總持院に草鞋(わらじ)を脱
いだ。高野山では由緒ある宿坊だ。
応接間の蟻壁には骨太の筆になる般若心経がかかっていて、揮毫はなん
と加藤登紀子だった。
宴の話が奥の院にも溢れる外人客の話になったとき、女将が「ウチの
宿、外人さんお断りしています」って涙ぐんだ。
堤堯が涙の訳を問うた。
あるとき支那人の団体客が泊まった。囲碁名人戦が行われた座敷に床を
延べて遠来の客をもてなした。
翌朝、片づけに部屋にいって女将は卒倒した。夫々(それぞれ)の布団は
人糞に塗れ、壁も襖も畳にもそれが擦り付けられていた。
女将の語る仔細に一同は声を失った。
遠藤誉の『卡子(チャーズ)』に彼女の新京の家に泊まった八路(パーロ)の小
隊の話がある。
彼らが去ったあと「緞子(どんす)の布団が人糞に塗れ、壁も汚され、姉
の琴もわざわざ壊されていた」。
それから70年が経つ。支那は日本からODAを貰い、技術を貰い、
CO2排出権まで高値で買って貰ってひたすら豊かになった。
ピルズベリーは「豊かになれば支那人もまともになる」と信じていた。
日本人も同じ思いだった。
しかし高野山の現実はあの時の八路そのまま。
そう言えば碩学たちがあれこれ語る。
常に外来王朝に支配されてきた支那人は折あらば凄まじい民族淘汰に走る。
文革期のモンゴルでも邦人大量殺戮の通州事件でも民族淘汰の形、女性
器の破壊をやっている。
今、ウイグル人女性を捕えては不妊手術を強制するのも同じ理由だ。
身分に関係なく嘘をつく癖も変わらない。周恩来が尖閣に因縁をつけ、
ケ小平がとぼけ、習近平に至って尖閣は核心的に支那領だと言い出す。
日本のメディアは支那との友好だけを語る。それは却って民を惑わすと
いうのが一同の結論だった。
コラムはその結論に沿って新聞が報じない彼らの素顔を伝えてみた。
しかし青木理の反応は違った。彼は共同通信の出なのに裏も取らずに宿
坊での支那人の行状はでっち上げではと疑う。
あったとしても「極めて特異」という。極めて特異で何十組もの夜具が
みな汚穢(おわい)に塗(まみ)れるか。
それよりも驚きがコラムではっきり「支那人が」と指摘しているのにそ
れは無意味な偏見として「外人客」と言い換えている。
その上でこちらの指摘を「レイシズム」と見做し「特定民族を口汚く罵
る便所の落書きと大同小異のクソ文」だという。
こんなコラムが有力誌に載るのは「日本をむしろ貶める」から「高山某
を放逐」することが「日本のためになる」と結ぶ。
こちらもまだ日本のためにできることがあったのは喜ばしいが、ただ気
になることが一つある。
世に支那好きは多い。自費で日支友好団体を立てた人が万といる。
それが昂じるとどうなるか。支那人の気に障る文言があると支那人以上
に腹を立てる。彼らに代わって成敗する気になるらしい。彼がいい見本だ。
彼らは友好を語る。敵地攻撃能力などとんでもないと言い切る。
みな耳に心地いい。
でもたまには「便所の落書き」にも目を通そう。結構、真実が見えてくる。
出典:『週刊新潮』令和3年(2021)4月22日号
【変見自在】便所の落書き
著者:高山 正之
高山正之氏の本紙連載が、単行本になりました。
『変見自在 コロナが教えてくれた大悪党』(定価1450円)絶賛発
売中。
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松本市 久保田 康文
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| 高山 正之
2021年04月13日
◆【変見自在】民族は憎悪する
高山 正之
『週刊新潮』令和3年4月15日号
ベトナム戦争が終わったころ、隣のカンボジアでポルポト派が決起した。
彼らは堕落した資本主義に染まる都市人間の再教育を始めると言った。
外電は全土に広がるキリング・フィールドの恐怖を伝え、朝日新聞は
「赤いポト派はアジア的な優しさを持つ」(和田俊記者)から「素敵な社
会主義国家が生まれそうだ」と報じた。
あのころから朝日は嘘に躊躇いがなかった。
実際はメコンの流れを死体が埋め、ツールスレンの審問所からは生皮剥
ぎの拷問を受ける人たちの絶叫が絶えなかった。
ずっとあと、その審問所を訪ねたことがある。
両親と子供たちがカメラに納まる写真が壁一面に貼られていた。
一家は写真撮影の後、そこらの暗がりに連れていかれ、一人ずつ鍬の刃
で頭を割られ、殺される。その恐怖を怯えた子供の目が正直に伝えていた。
同じ国の民が、ただ思想が違うというだけでかくも残酷に殺せるものな
のか。それが理解できなかった。
理解できなくて当たり前で、実はあの殺戮は思想の違いではなかったこ
とを当時ポト派軍人だったフンセンが「脱走」という形で世界に教えた。
クメール人の国カンボジアは19世紀、仏領に組み込まれ、ベトナム人が仏
人代理として支配した。
彼らはそれを奇貨として金融も商売も握り、係累を呼んで医師や教師な
ど知識層を占めていった。この国の主クメール人は最下層の農民に落とさ
れた。
日本軍によってフランス支配が終わったおともベトナム人はカンボジア
の実験を握ったまま居残った。
よそ者の支配にクメール人の不満が高まる。それを見た支那がポト派に
武器を与えてクメール人の決起を促した
あれは「都市人間の再教育」ではなかった。豊かなよそ者ベトナム系市
民を貧しいクメール人の子弟が襲って財産を奪い、農村に下放して農奴に
したというのが正しい
メコンを埋めた死体も国境の向こうから入り込んだベトナム系農民の変
わり果てた姿だった。
民族の血の争いは過激化していく。標的はベトナム人だったのが純粋ク
メール以外、つまりベトナム人の血が一滴でも入ったカンボジア人も殺さ
れていた。
華僑系ベトナム人の父を持つフンセンも該当した。
彼は殺される前に脱走し、ベトナム軍の大部隊をつれて戻ってきてポト
派を制圧した。キリング・フィールドは終わった。
カンボジア国民の三分の一はベトナム人か、その係累と言われる。
生き残りは多いし、その後もベトナム人の流入は止まっていない。
この前、プノンペンに行ったら主婦たちが政府に「ベトナム人売春婦を
締め出せ」とデモしていた。
夫が折角の稼ぎをベトナム女に使うのが許せないという主張だった。
民族が違うとすべてが憎しみの対象になる。
このカンボジアの構造はそのまま今のミャンマーにも当てはまる。
このビルマ人の国は英植民地下でインド人や華僑、カレン、モンなど周
辺山岳民族が代理支配し、ビルマ人は農奴に転落した。
日本人が植民地支配を終わらせたあともクメールの国と同じによそ者、
とくに山岳民族は山に帰らず居座り続けた
彼らは英語を共通語に連携して、ビルマ人の国を目指す軍事政権と厳し
く対立した。抗争はスーチーがやってくるまで続いていた。
スーチー政権とは、過半を占めるビルマ人が山岳民族との共棲を受け入
れ、国会議席の25%、つまり国権の4分の1確保で妥協した産物と言って
いい。
ビルマ人には大きな譲歩だったが、先の総選挙ではその25%にも及ばな
い得票数だった。あり得ない結果が国軍クーデターという事態を招いた。
しかしよそ者はそれを突っぱね、妥協は崩れた。民族抗争となれば銃の
水平撃ちも当たり前になる。
単一民族日本人には分からない世界もある。
出典:『週刊新潮』 令和3年(2021)4月15日号
【変見自在】民族は憎悪する
著者:高山 正之
高山正之氏の本紙連載が、単行本になりました。
『変見自在 コロナが教えてくれた大悪党』(定価1450円)絶賛発
売中。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
松本市 久保田 康文
『週刊新潮』令和3年4月15日号
ベトナム戦争が終わったころ、隣のカンボジアでポルポト派が決起した。
彼らは堕落した資本主義に染まる都市人間の再教育を始めると言った。
外電は全土に広がるキリング・フィールドの恐怖を伝え、朝日新聞は
「赤いポト派はアジア的な優しさを持つ」(和田俊記者)から「素敵な社
会主義国家が生まれそうだ」と報じた。
あのころから朝日は嘘に躊躇いがなかった。
実際はメコンの流れを死体が埋め、ツールスレンの審問所からは生皮剥
ぎの拷問を受ける人たちの絶叫が絶えなかった。
ずっとあと、その審問所を訪ねたことがある。
両親と子供たちがカメラに納まる写真が壁一面に貼られていた。
一家は写真撮影の後、そこらの暗がりに連れていかれ、一人ずつ鍬の刃
で頭を割られ、殺される。その恐怖を怯えた子供の目が正直に伝えていた。
同じ国の民が、ただ思想が違うというだけでかくも残酷に殺せるものな
のか。それが理解できなかった。
理解できなくて当たり前で、実はあの殺戮は思想の違いではなかったこ
とを当時ポト派軍人だったフンセンが「脱走」という形で世界に教えた。
クメール人の国カンボジアは19世紀、仏領に組み込まれ、ベトナム人が仏
人代理として支配した。
彼らはそれを奇貨として金融も商売も握り、係累を呼んで医師や教師な
ど知識層を占めていった。この国の主クメール人は最下層の農民に落とさ
れた。
日本軍によってフランス支配が終わったおともベトナム人はカンボジア
の実験を握ったまま居残った。
よそ者の支配にクメール人の不満が高まる。それを見た支那がポト派に
武器を与えてクメール人の決起を促した
あれは「都市人間の再教育」ではなかった。豊かなよそ者ベトナム系市
民を貧しいクメール人の子弟が襲って財産を奪い、農村に下放して農奴に
したというのが正しい
メコンを埋めた死体も国境の向こうから入り込んだベトナム系農民の変
わり果てた姿だった。
民族の血の争いは過激化していく。標的はベトナム人だったのが純粋ク
メール以外、つまりベトナム人の血が一滴でも入ったカンボジア人も殺さ
れていた。
華僑系ベトナム人の父を持つフンセンも該当した。
彼は殺される前に脱走し、ベトナム軍の大部隊をつれて戻ってきてポト
派を制圧した。キリング・フィールドは終わった。
カンボジア国民の三分の一はベトナム人か、その係累と言われる。
生き残りは多いし、その後もベトナム人の流入は止まっていない。
この前、プノンペンに行ったら主婦たちが政府に「ベトナム人売春婦を
締め出せ」とデモしていた。
夫が折角の稼ぎをベトナム女に使うのが許せないという主張だった。
民族が違うとすべてが憎しみの対象になる。
このカンボジアの構造はそのまま今のミャンマーにも当てはまる。
このビルマ人の国は英植民地下でインド人や華僑、カレン、モンなど周
辺山岳民族が代理支配し、ビルマ人は農奴に転落した。
日本人が植民地支配を終わらせたあともクメールの国と同じによそ者、
とくに山岳民族は山に帰らず居座り続けた
彼らは英語を共通語に連携して、ビルマ人の国を目指す軍事政権と厳し
く対立した。抗争はスーチーがやってくるまで続いていた。
スーチー政権とは、過半を占めるビルマ人が山岳民族との共棲を受け入
れ、国会議席の25%、つまり国権の4分の1確保で妥協した産物と言って
いい。
ビルマ人には大きな譲歩だったが、先の総選挙ではその25%にも及ばな
い得票数だった。あり得ない結果が国軍クーデターという事態を招いた。
しかしよそ者はそれを突っぱね、妥協は崩れた。民族抗争となれば銃の
水平撃ちも当たり前になる。
単一民族日本人には分からない世界もある。
出典:『週刊新潮』 令和3年(2021)4月15日号
【変見自在】民族は憎悪する
著者:高山 正之
高山正之氏の本紙連載が、単行本になりました。
『変見自在 コロナが教えてくれた大悪党』(定価1450円)絶賛発
売中。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
松本市 久保田 康文
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| 高山 正之
2021年04月08日
◆【変見自在】言い換えの妙
高山 正之
『週刊新潮』 令和3年4月8日号
切支丹禁制の江戸期にそれでもこっそりマリア様を拝む人たちがいた。
それを隠れ切支丹と呼ぶと学校で習った。
ところがローマ法王フランシスコが訪日する段になって新聞は隠れ切支
丹を「潜伏キリシタン」と言い換え始めた。
「潜伏」とは逃亡殺人犯か地下に潜った共産党員かに遣う言葉だ。
キリスト教徒に馴染まなそうだが、考えてみれば異教徒はすぐ火炙りに
したり、些細な教義の違いで殺し合ったり、共産党とそう変わるところは
ない。
で、潜伏に改名したのかと思ったら、違った。
隠れ切支丹の信者は明治に入って禁制が解けると教会に戻って信仰する
派と昔ながらに家でひっそりと信仰する派に分かれた。
法王にとって後者は許せない。なぜなら信者は教会に行って献金し、洗
礼代を払って初めてバチカンが潤う仕組みだからだ。
アーミッシュみたいな無教会派はぶち殺すのがカトリックの流儀だった。
そんなわけで隠れ切支丹でも教会に戻ってきた信者は敢えて「潜伏キリ
シタン」と言い換えて大いに褒め称えることにした。
法王は訪日最後の夜に東京ドームでミサを執り行い、多額の献金をした
信者5万人に祝福を与えて「差別はやめよ」と説教した。
「よく言う」と思う人もいたが、それは措く。
うっかり聞き流してしまいそうな「言い換え」にはときに深い思惑が込
められているものなのだ。
少し前の朝日新聞に「原発と関電マネー」という連載があった。
主人公は高浜町助役の森山栄治。関西電力は彼の口利きで4基の原発を
大した問題もなしに稼働できた。
関電はその労に大いに報いるのが形だが、なぜか森山の方が関電幹部に
金の延べ棒とか約3億円もの金品を贈っていた。
連載はその不思議を扱っていて、導き出した答えは森山が「えげつない
おっさんだったから」という。
例えば彼がリュックサックを手に福井知事の宴席に乗り込むシーンがある。
畏(かしこ)まる知事に彼は「リュックにキャッシュで一杯にして」と言
い放った。
森山は助役を辞めたあと在日系の土建会社の役員に納まり、関電に工事
を発注させる。年商3億円の土建屋はたった数年で同21億円の扱い高に
なった。
警備会社の顧問もやって、同じく山ほど受注する。
やり過ぎに見える。だから発注を拒む関電幹部もいたが「筵旗(むしろ
ばた)立てて原発潰す」と脅され、左遷された者もいたと連載は伝える。
そんな森山が盆暮れには関電幹部に金の延べ棒とかを贈っている。
受け取れないという幹部に「お前の家族がどうなってもいいんか」「家
にトラック突っ込ませてやる」とか森山は言う。
それで贈答品は金庫に保管されたが、どれもが「えげつない」で済む話
には見えない。なぜ幹部は警察に訴えなかったのか。
この連載執筆者も数年前にこの恫喝を知ったと書く。大特ダネだ。でも
なぜか記事にしなかった。
その疑問の答えになりそうなのが森山の持つもう一つの肩書「解同高浜
支部書記長」ではないか。
そう聞けば大方の人は納得する。昔はそんな話が多かった。そうか関電
も幹部も被害者だったのかと。
では朝日の連載はなぜ肝心の言葉をわざわざ「えげつないおっさん」と
「言い換え」したのか。
糾弾が嫌だったという口実もあるが、この構図をそっくり反原発ネタに
仕立てたかったのではないか。
実際、朝日はその後、関電事件を「原発マネーの不正還流」と書いている。
つまり関電幹部は森山と謀って不正発注し、その謝礼を受け取っていた。
原発は危ない上に裏もこんなに薄汚いのだと。
それははっきり嘘だ。
朝日の名物記者に高木正幸がいた。
それこそ解同と堂々渡り合い、何度も糾弾されたが筆は曲げなかった。
下手な言い換えで嘘を書く後輩を彼は草葉の陰でどう見ているか。
出典:『週刊新潮』 令和3年(2021)4月8日号
【変見自在】言い換えの妙
著者:高山 正之
高山正之氏の本紙連載が、単行本になりました。
『変見自在 コロナが教えてくれた大悪党』(定価1450円)絶賛発
売中。
松本市 久保田 康文
━━━━━━━━━━━━━
『週刊新潮』 令和3年4月8日号
切支丹禁制の江戸期にそれでもこっそりマリア様を拝む人たちがいた。
それを隠れ切支丹と呼ぶと学校で習った。
ところがローマ法王フランシスコが訪日する段になって新聞は隠れ切支
丹を「潜伏キリシタン」と言い換え始めた。
「潜伏」とは逃亡殺人犯か地下に潜った共産党員かに遣う言葉だ。
キリスト教徒に馴染まなそうだが、考えてみれば異教徒はすぐ火炙りに
したり、些細な教義の違いで殺し合ったり、共産党とそう変わるところは
ない。
で、潜伏に改名したのかと思ったら、違った。
隠れ切支丹の信者は明治に入って禁制が解けると教会に戻って信仰する
派と昔ながらに家でひっそりと信仰する派に分かれた。
法王にとって後者は許せない。なぜなら信者は教会に行って献金し、洗
礼代を払って初めてバチカンが潤う仕組みだからだ。
アーミッシュみたいな無教会派はぶち殺すのがカトリックの流儀だった。
そんなわけで隠れ切支丹でも教会に戻ってきた信者は敢えて「潜伏キリ
シタン」と言い換えて大いに褒め称えることにした。
法王は訪日最後の夜に東京ドームでミサを執り行い、多額の献金をした
信者5万人に祝福を与えて「差別はやめよ」と説教した。
「よく言う」と思う人もいたが、それは措く。
うっかり聞き流してしまいそうな「言い換え」にはときに深い思惑が込
められているものなのだ。
少し前の朝日新聞に「原発と関電マネー」という連載があった。
主人公は高浜町助役の森山栄治。関西電力は彼の口利きで4基の原発を
大した問題もなしに稼働できた。
関電はその労に大いに報いるのが形だが、なぜか森山の方が関電幹部に
金の延べ棒とか約3億円もの金品を贈っていた。
連載はその不思議を扱っていて、導き出した答えは森山が「えげつない
おっさんだったから」という。
例えば彼がリュックサックを手に福井知事の宴席に乗り込むシーンがある。
畏(かしこ)まる知事に彼は「リュックにキャッシュで一杯にして」と言
い放った。
森山は助役を辞めたあと在日系の土建会社の役員に納まり、関電に工事
を発注させる。年商3億円の土建屋はたった数年で同21億円の扱い高に
なった。
警備会社の顧問もやって、同じく山ほど受注する。
やり過ぎに見える。だから発注を拒む関電幹部もいたが「筵旗(むしろ
ばた)立てて原発潰す」と脅され、左遷された者もいたと連載は伝える。
そんな森山が盆暮れには関電幹部に金の延べ棒とかを贈っている。
受け取れないという幹部に「お前の家族がどうなってもいいんか」「家
にトラック突っ込ませてやる」とか森山は言う。
それで贈答品は金庫に保管されたが、どれもが「えげつない」で済む話
には見えない。なぜ幹部は警察に訴えなかったのか。
この連載執筆者も数年前にこの恫喝を知ったと書く。大特ダネだ。でも
なぜか記事にしなかった。
その疑問の答えになりそうなのが森山の持つもう一つの肩書「解同高浜
支部書記長」ではないか。
そう聞けば大方の人は納得する。昔はそんな話が多かった。そうか関電
も幹部も被害者だったのかと。
では朝日の連載はなぜ肝心の言葉をわざわざ「えげつないおっさん」と
「言い換え」したのか。
糾弾が嫌だったという口実もあるが、この構図をそっくり反原発ネタに
仕立てたかったのではないか。
実際、朝日はその後、関電事件を「原発マネーの不正還流」と書いている。
つまり関電幹部は森山と謀って不正発注し、その謝礼を受け取っていた。
原発は危ない上に裏もこんなに薄汚いのだと。
それははっきり嘘だ。
朝日の名物記者に高木正幸がいた。
それこそ解同と堂々渡り合い、何度も糾弾されたが筆は曲げなかった。
下手な言い換えで嘘を書く後輩を彼は草葉の陰でどう見ているか。
出典:『週刊新潮』 令和3年(2021)4月8日号
【変見自在】言い換えの妙
著者:高山 正之
高山正之氏の本紙連載が、単行本になりました。
『変見自在 コロナが教えてくれた大悪党』(定価1450円)絶賛発
売中。
松本市 久保田 康文
━━━━━━━━━━━━━
at 07:54
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| 高山 正之
2021年03月31日
◆【変見自在】支那の思い上がり
高山 正之
U-24のサッカー代表がアルゼンチンに圧勝した:
まず、サッカー代表選手の方々失礼しましたと言わねばなるまい。昨29日
に北九州で開催された対アルゼンチンの2戦目を観戦して、我と我が身の
不明を恥じて、あそこまで強敵アルゼンチンを圧倒して勝ってくれた選手
たちと、サッカー協会にお詫びせねばならないと深く反省していた。
この滅多に褒めない私が褒めるほどの立派な試合振りであり、勝ちっぷり
だったのだ。感動さえしていた。何処にも批判したい所などなかった。つ
い先日まで「サッカーは見限っていた」などと妄言を吐いていたのを恥じ
た。彼らは進歩していた。
実は、第1戦ではアルゼンチンのサッカーの実態を掴みかねていた。言い
訳になって心苦しいが、解説者もアナウンサーもアルゼンチンの強さばか
りを強調するので、そうとは見えない彼らの寧ろ韓国風に当たり散らすだ
けのサッカーを見ていても、何時かは本当の力を出して我が方を圧倒する
のかと思い込まされていた。
我が方も点を取れそうな形にして貰えなかったが、彼らとてもあの強引に
切り込んでのセンターリングがなければ、1点も取れなかった程度に攻め
る形を作れていなかった。あれもこれも準備期間が短かった為だと、好意
的に解釈していたのだった。
ところが、前回から9人も入れ替えてきたという我が代表のサッカーは素
晴らしかった。前線の寄せも早く相手を思うように動かせなかったし、パ
スのコースも消していたのでアルゼンチンは無用な後陣での繋ぎのパス交
換か、縦一発に頼るしかなかった。私が褒めたいのがこの寄せの速さと、
体格の差を怖れない当たりの強さで、殆ど負けていなかったので、倒され
たアルゼンチンが感情的になって小突いたりしたのを何度も見て、我が代
表を見損なっていたと反省させられたのだった。あれならば、乱暴な当た
りの本家である韓国にも負けないと思ったほどだった。
兎に角寄せの速さ、相手のパスを巧みに横取り(インターセプションの意
味で、アナウンサーが「カット」と言うのは誤りであると思う)、豊富な
運動量、当たり負けしない強さ等々で、完全と言って良いほどアルゼンチ
ンのお株を奪っていた。
結果的にアルゼンチンはかなり苛立っていたというか焦りを見せて、パス
回しの起点となってきていた久保建英に対する当たりが必要以上に乱暴に
なってきていた。解説の松木安太郎は「だから、安全の為に久保を後半の
半ばで交代させたのだろう」と読んでいた。彼を起点として全体の息が良
く合っていたのも素晴らしかった。
久保建英君のスペインでのサッカーは常にテレビのニュースで見せて貰っ
ている。だが、テレビ局は「サッカーでは点を取る者が偉いのだ」的に報
道するので、久保君の真価は分からないままに昨夜の試合となった。私の
見る所では、上記のパスの起点となっている事、即ちゲームを組み立てて
行く型の選手であって、ゴールゲッターではないと解った。
また2度のCKから2点を追加する形になったFKの上手さと正確さも貴重だと
見た。テレビ局には何度も言ってやった事で、サッカーでは点を取った者
も良いが、組み立てた者を評価して上げないと浮かばれないのだ。
それにしても、体格と身長に優れたアルゼンチンを相手にしてあそこまで
やってくれたと言う事は、「本当に」か「現実に」と敢えて言うが、オリ
ンピックが開催されれば、サッカーは3位以内(私はオリンピックは世界
のメダル獲得競技会ではないと思っているので、メダルという表現は使わ
ない)には入れる確率は高くなってきたと思って見ていた。
森保監督はあれだけやって見せた者たちの中から、15乃至は18名を選ぶ為
には嬉しい悲鳴を上げるだろうと思わせてくれた勝利だった。一夜の出来
事でない事を心から願っている。
お仕舞いに敢えて再度言うが、「見損なっていて失礼しました。お許し
を」の立派な勝ち方だった。お陰様で楽しい一夜になって良く眠れた。
前田正晶
マニフェスト・デスティニーは神が与えた神聖な使命と訳される。
新大陸に入った米国人がインディアンおぶち殺して西海岸まで領土にし
たことを正当化する言葉だ。
カナンに入ったイスラエルびとが先住民の民を殺して建国したのと似
る。だから「我々は現代のイスラエルびとだ」とハーマン・メルヴィルは
言う。
ただ地中海に出たイスラエルびとが満足したのに対し、西海岸に出た米
国人は「太平洋の先まで神聖な使徒の範囲」(ハリソン第23代大統領)と
感じた。
で、ハワイ王朝を取ったが、次の大統領クリーブランドは「そこまで使
命は及ばない」と併合を拒否した。
その次のマッキンリーは「いや使命はある」とハワイを併合し、グアム
もフィリピンも領土にした。
あとは支那を取って上がりのはずだったが、そこに日本が立ち塞がった。
以後の米国は日本を滅ぼすことに専念した。
ウッドロー・ウイルソンは支那と組んで日貨排斥をやり、フランクリ
ン・ルーズベルト(FDR)は日本を黴菌と罵って国際社会から村八分に
した。
「武漢コロナ」より遥かに失礼な言い方だった。
その上で太平洋艦隊を孤立無援にしの真珠湾に囮として置き、日本に経
済封鎖の嫌がらせを仕掛けた。
窮鼠猫を?む。?まれ役は御免だとリチャードソン艦隊提督が抗議したら
FDRは即クビにした。
日本はFDRの罠に嵌り真珠湾を奇襲した。彼は「3カ月で日本を消し
去る」と世界に約束した。
ただそうはならなかった。日本は3年も頑張り、欧米の植民地を解放した。
「日本人は白人のアジア侵略を止め、帝国主義も植民地主義も人種差別
までも終止符を打った」(A・トインビー)
それがFDRの後任でKKKの一員だったトルーマンを怒らせた。「け
だものはけだものらしく扱う」と原爆を投下した。
神聖な使命の終着点に着いた彼は支那の市場化を民主党の高額献金者エ
ドウィン・ポーレーに命じた。
ポーレーは日本の重工業施設をそっくり上海辺りに移して支那の市場経
済を活性化させ、米国産品を買わせる方針を立てた。
一方、日本には綿糸工業だけを許し、収益は戦時賠償に充てさせる。日
本はもはや脅威でもなくなる。
とてもいい計画に見えたが、肝心の支那が共産化し、朝鮮戦争まで起き
て日本の工業力がどうしても必要になった。工業国日本は潰されずにやが
て経済大国として蘇(よみが)えっていった。
こうなるとFDRの責任が問われる。日本を怒らせておいていざ戦火が
広まると後始末もできず。欧州諸国は軒並み植民地を失って昔の貧乏国に
戻された。
だからオランダ人もフランス人も日本嫌いだ。同時にFDRも嫌った。
欧州復興のマーシャルプランは有り体に言えばFDRの不始末のお詫び
を形にしたものだ。
米政府はそれで戦後も日本潰しを画策し、支那の市場にも執着し続けた。
ニクソンは自立外交を始めた角栄をロ事件や金脈問題で叩き潰した。
クリントンは日本を徹底無視したジャパン・ナッシングを演出し、一
方、江沢民を国賓として招いた。
真珠湾に立ち寄った江沢民は「日本は米中共同の敵」と演説し、先の戦
争前の米支関係を復活させた。
一般にオバマの時代に米国の「神聖な使命」は達成されたとされる。支
那はもはや米国なしではやっていけなくなったからだ。
米国も支那なしではやっていけなかった。だからオバマは支那の南沙領
有もウイグル人淘汰もみな黙認せざるを得なかった。
もしかしたら主客転倒というか、支那が米国を「神聖な使命として取り
込んでいた」という疑念すら持ち上がった。
楊潔チが米国に「強国ヅラするな」「無作法者が」と上から目線で罵っ
たこともその証の一つだ。
支那のしばき役だったトランプを葬ったバイデンの責任は重い。
出典:『週刊新潮』 令和3年(2021)4月1日号
【変見自在】支那の思い上がり
著者:高山 正之
高山正之氏の本紙連載が、単行本になりました。
『変見自在 コロナが教えてくれた大悪党』(定価1450円)絶賛発
売中。
U-24のサッカー代表がアルゼンチンに圧勝した:
まず、サッカー代表選手の方々失礼しましたと言わねばなるまい。昨29日
に北九州で開催された対アルゼンチンの2戦目を観戦して、我と我が身の
不明を恥じて、あそこまで強敵アルゼンチンを圧倒して勝ってくれた選手
たちと、サッカー協会にお詫びせねばならないと深く反省していた。
この滅多に褒めない私が褒めるほどの立派な試合振りであり、勝ちっぷり
だったのだ。感動さえしていた。何処にも批判したい所などなかった。つ
い先日まで「サッカーは見限っていた」などと妄言を吐いていたのを恥じ
た。彼らは進歩していた。
実は、第1戦ではアルゼンチンのサッカーの実態を掴みかねていた。言い
訳になって心苦しいが、解説者もアナウンサーもアルゼンチンの強さばか
りを強調するので、そうとは見えない彼らの寧ろ韓国風に当たり散らすだ
けのサッカーを見ていても、何時かは本当の力を出して我が方を圧倒する
のかと思い込まされていた。
我が方も点を取れそうな形にして貰えなかったが、彼らとてもあの強引に
切り込んでのセンターリングがなければ、1点も取れなかった程度に攻め
る形を作れていなかった。あれもこれも準備期間が短かった為だと、好意
的に解釈していたのだった。
ところが、前回から9人も入れ替えてきたという我が代表のサッカーは素
晴らしかった。前線の寄せも早く相手を思うように動かせなかったし、パ
スのコースも消していたのでアルゼンチンは無用な後陣での繋ぎのパス交
換か、縦一発に頼るしかなかった。私が褒めたいのがこの寄せの速さと、
体格の差を怖れない当たりの強さで、殆ど負けていなかったので、倒され
たアルゼンチンが感情的になって小突いたりしたのを何度も見て、我が代
表を見損なっていたと反省させられたのだった。あれならば、乱暴な当た
りの本家である韓国にも負けないと思ったほどだった。
兎に角寄せの速さ、相手のパスを巧みに横取り(インターセプションの意
味で、アナウンサーが「カット」と言うのは誤りであると思う)、豊富な
運動量、当たり負けしない強さ等々で、完全と言って良いほどアルゼンチ
ンのお株を奪っていた。
結果的にアルゼンチンはかなり苛立っていたというか焦りを見せて、パス
回しの起点となってきていた久保建英に対する当たりが必要以上に乱暴に
なってきていた。解説の松木安太郎は「だから、安全の為に久保を後半の
半ばで交代させたのだろう」と読んでいた。彼を起点として全体の息が良
く合っていたのも素晴らしかった。
久保建英君のスペインでのサッカーは常にテレビのニュースで見せて貰っ
ている。だが、テレビ局は「サッカーでは点を取る者が偉いのだ」的に報
道するので、久保君の真価は分からないままに昨夜の試合となった。私の
見る所では、上記のパスの起点となっている事、即ちゲームを組み立てて
行く型の選手であって、ゴールゲッターではないと解った。
また2度のCKから2点を追加する形になったFKの上手さと正確さも貴重だと
見た。テレビ局には何度も言ってやった事で、サッカーでは点を取った者
も良いが、組み立てた者を評価して上げないと浮かばれないのだ。
それにしても、体格と身長に優れたアルゼンチンを相手にしてあそこまで
やってくれたと言う事は、「本当に」か「現実に」と敢えて言うが、オリ
ンピックが開催されれば、サッカーは3位以内(私はオリンピックは世界
のメダル獲得競技会ではないと思っているので、メダルという表現は使わ
ない)には入れる確率は高くなってきたと思って見ていた。
森保監督はあれだけやって見せた者たちの中から、15乃至は18名を選ぶ為
には嬉しい悲鳴を上げるだろうと思わせてくれた勝利だった。一夜の出来
事でない事を心から願っている。
お仕舞いに敢えて再度言うが、「見損なっていて失礼しました。お許し
を」の立派な勝ち方だった。お陰様で楽しい一夜になって良く眠れた。前
田正晶
松本市 久保田 康文さん採録
U-24のサッカー代表がアルゼンチンに圧勝した:
まず、サッカー代表選手の方々失礼しましたと言わねばなるまい。昨29日
に北九州で開催された対アルゼンチンの2戦目を観戦して、我と我が身の
不明を恥じて、あそこまで強敵アルゼンチンを圧倒して勝ってくれた選手
たちと、サッカー協会にお詫びせねばならないと深く反省していた。
この滅多に褒めない私が褒めるほどの立派な試合振りであり、勝ちっぷり
だったのだ。感動さえしていた。何処にも批判したい所などなかった。つ
い先日まで「サッカーは見限っていた」などと妄言を吐いていたのを恥じ
た。彼らは進歩していた。
実は、第1戦ではアルゼンチンのサッカーの実態を掴みかねていた。言い
訳になって心苦しいが、解説者もアナウンサーもアルゼンチンの強さばか
りを強調するので、そうとは見えない彼らの寧ろ韓国風に当たり散らすだ
けのサッカーを見ていても、何時かは本当の力を出して我が方を圧倒する
のかと思い込まされていた。
我が方も点を取れそうな形にして貰えなかったが、彼らとてもあの強引に
切り込んでのセンターリングがなければ、1点も取れなかった程度に攻め
る形を作れていなかった。あれもこれも準備期間が短かった為だと、好意
的に解釈していたのだった。
ところが、前回から9人も入れ替えてきたという我が代表のサッカーは素
晴らしかった。前線の寄せも早く相手を思うように動かせなかったし、パ
スのコースも消していたのでアルゼンチンは無用な後陣での繋ぎのパス交
換か、縦一発に頼るしかなかった。私が褒めたいのがこの寄せの速さと、
体格の差を怖れない当たりの強さで、殆ど負けていなかったので、倒され
たアルゼンチンが感情的になって小突いたりしたのを何度も見て、我が代
表を見損なっていたと反省させられたのだった。あれならば、乱暴な当た
りの本家である韓国にも負けないと思ったほどだった。
兎に角寄せの速さ、相手のパスを巧みに横取り(インターセプションの意
味で、アナウンサーが「カット」と言うのは誤りであると思う)、豊富な
運動量、当たり負けしない強さ等々で、完全と言って良いほどアルゼンチ
ンのお株を奪っていた。
結果的にアルゼンチンはかなり苛立っていたというか焦りを見せて、パス
回しの起点となってきていた久保建英に対する当たりが必要以上に乱暴に
なってきていた。解説の松木安太郎は「だから、安全の為に久保を後半の
半ばで交代させたのだろう」と読んでいた。彼を起点として全体の息が良
く合っていたのも素晴らしかった。
久保建英君のスペインでのサッカーは常にテレビのニュースで見せて貰っ
ている。だが、テレビ局は「サッカーでは点を取る者が偉いのだ」的に報
道するので、久保君の真価は分からないままに昨夜の試合となった。私の
見る所では、上記のパスの起点となっている事、即ちゲームを組み立てて
行く型の選手であって、ゴールゲッターではないと解った。
また2度のCKから2点を追加する形になったFKの上手さと正確さも貴重だと
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それにしても、体格と身長に優れたアルゼンチンを相手にしてあそこまで
やってくれたと言う事は、「本当に」か「現実に」と敢えて言うが、オリ
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新大陸に入った米国人がインディアンおぶち殺して西海岸まで領土にし
たことを正当化する言葉だ。
カナンに入ったイスラエルびとが先住民の民を殺して建国したのと似
る。だから「我々は現代のイスラエルびとだ」とハーマン・メルヴィルは
言う。
ただ地中海に出たイスラエルびとが満足したのに対し、西海岸に出た米
国人は「太平洋の先まで神聖な使徒の範囲」(ハリソン第23代大統領)と
感じた。
で、ハワイ王朝を取ったが、次の大統領クリーブランドは「そこまで使
命は及ばない」と併合を拒否した。
その次のマッキンリーは「いや使命はある」とハワイを併合し、グアム
もフィリピンも領土にした。
あとは支那を取って上がりのはずだったが、そこに日本が立ち塞がった。
以後の米国は日本を滅ぼすことに専念した。
ウッドロー・ウイルソンは支那と組んで日貨排斥をやり、フランクリ
ン・ルーズベルト(FDR)は日本を黴菌と罵って国際社会から村八分に
した。
「武漢コロナ」より遥かに失礼な言い方だった。
その上で太平洋艦隊を孤立無援にしの真珠湾に囮として置き、日本に経
済封鎖の嫌がらせを仕掛けた。
窮鼠猫を?む。?まれ役は御免だとリチャードソン艦隊提督が抗議したら
FDRは即クビにした。
日本はFDRの罠に嵌り真珠湾を奇襲した。彼は「3カ月で日本を消し
去る」と世界に約束した。
ただそうはならなかった。日本は3年も頑張り、欧米の植民地を解放した。
「日本人は白人のアジア侵略を止め、帝国主義も植民地主義も人種差別
までも終止符を打った」(A・トインビー)
それがFDRの後任でKKKの一員だったトルーマンを怒らせた。「け
だものはけだものらしく扱う」と原爆を投下した。
神聖な使命の終着点に着いた彼は支那の市場化を民主党の高額献金者エ
ドウィン・ポーレーに命じた。
ポーレーは日本の重工業施設をそっくり上海辺りに移して支那の市場経
済を活性化させ、米国産品を買わせる方針を立てた。
一方、日本には綿糸工業だけを許し、収益は戦時賠償に充てさせる。日
本はもはや脅威でもなくなる。
とてもいい計画に見えたが、肝心の支那が共産化し、朝鮮戦争まで起き
て日本の工業力がどうしても必要になった。工業国日本は潰されずにやが
て経済大国として蘇(よみが)えっていった。
こうなるとFDRの責任が問われる。日本を怒らせておいていざ戦火が
広まると後始末もできず。欧州諸国は軒並み植民地を失って昔の貧乏国に
戻された。
だからオランダ人もフランス人も日本嫌いだ。同時にFDRも嫌った。
欧州復興のマーシャルプランは有り体に言えばFDRの不始末のお詫び
を形にしたものだ。
米政府はそれで戦後も日本潰しを画策し、支那の市場にも執着し続けた。
ニクソンは自立外交を始めた角栄をロ事件や金脈問題で叩き潰した。
クリントンは日本を徹底無視したジャパン・ナッシングを演出し、一
方、江沢民を国賓として招いた。
真珠湾に立ち寄った江沢民は「日本は米中共同の敵」と演説し、先の戦
争前の米支関係を復活させた。
一般にオバマの時代に米国の「神聖な使命」は達成されたとされる。支
那はもはや米国なしではやっていけなくなったからだ。
米国も支那なしではやっていけなかった。だからオバマは支那の南沙領
有もウイグル人淘汰もみな黙認せざるを得なかった。
もしかしたら主客転倒というか、支那が米国を「神聖な使命として取り
込んでいた」という疑念すら持ち上がった。
楊潔チが米国に「強国ヅラするな」「無作法者が」と上から目線で罵っ
たこともその証の一つだ。
支那のしばき役だったトランプを葬ったバイデンの責任は重い。
出典:『週刊新潮』 令和3年(2021)4月1日号
【変見自在】支那の思い上がり
著者:高山 正之
高山正之氏の本紙連載が、単行本になりました。
『変見自在 コロナが教えてくれた大悪党』(定価1450円)絶賛発
売中。
U-24のサッカー代表がアルゼンチンに圧勝した:
まず、サッカー代表選手の方々失礼しましたと言わねばなるまい。昨29日
に北九州で開催された対アルゼンチンの2戦目を観戦して、我と我が身の
不明を恥じて、あそこまで強敵アルゼンチンを圧倒して勝ってくれた選手
たちと、サッカー協会にお詫びせねばならないと深く反省していた。
この滅多に褒めない私が褒めるほどの立派な試合振りであり、勝ちっぷり
だったのだ。感動さえしていた。何処にも批判したい所などなかった。つ
い先日まで「サッカーは見限っていた」などと妄言を吐いていたのを恥じ
た。彼らは進歩していた。
実は、第1戦ではアルゼンチンのサッカーの実態を掴みかねていた。言い
訳になって心苦しいが、解説者もアナウンサーもアルゼンチンの強さばか
りを強調するので、そうとは見えない彼らの寧ろ韓国風に当たり散らすだ
けのサッカーを見ていても、何時かは本当の力を出して我が方を圧倒する
のかと思い込まされていた。
我が方も点を取れそうな形にして貰えなかったが、彼らとてもあの強引に
切り込んでのセンターリングがなければ、1点も取れなかった程度に攻め
る形を作れていなかった。あれもこれも準備期間が短かった為だと、好意
的に解釈していたのだった。
ところが、前回から9人も入れ替えてきたという我が代表のサッカーは素
晴らしかった。前線の寄せも早く相手を思うように動かせなかったし、パ
スのコースも消していたのでアルゼンチンは無用な後陣での繋ぎのパス交
換か、縦一発に頼るしかなかった。私が褒めたいのがこの寄せの速さと、
体格の差を怖れない当たりの強さで、殆ど負けていなかったので、倒され
たアルゼンチンが感情的になって小突いたりしたのを何度も見て、我が代
表を見損なっていたと反省させられたのだった。あれならば、乱暴な当た
りの本家である韓国にも負けないと思ったほどだった。
兎に角寄せの速さ、相手のパスを巧みに横取り(インターセプションの意
味で、アナウンサーが「カット」と言うのは誤りであると思う)、豊富な
運動量、当たり負けしない強さ等々で、完全と言って良いほどアルゼンチ
ンのお株を奪っていた。
結果的にアルゼンチンはかなり苛立っていたというか焦りを見せて、パス
回しの起点となってきていた久保建英に対する当たりが必要以上に乱暴に
なってきていた。解説の松木安太郎は「だから、安全の為に久保を後半の
半ばで交代させたのだろう」と読んでいた。彼を起点として全体の息が良
く合っていたのも素晴らしかった。
久保建英君のスペインでのサッカーは常にテレビのニュースで見せて貰っ
ている。だが、テレビ局は「サッカーでは点を取る者が偉いのだ」的に報
道するので、久保君の真価は分からないままに昨夜の試合となった。私の
見る所では、上記のパスの起点となっている事、即ちゲームを組み立てて
行く型の選手であって、ゴールゲッターではないと解った。
また2度のCKから2点を追加する形になったFKの上手さと正確さも貴重だと
見た。テレビ局には何度も言ってやった事で、サッカーでは点を取った者
も良いが、組み立てた者を評価して上げないと浮かばれないのだ。
それにしても、体格と身長に優れたアルゼンチンを相手にしてあそこまで
やってくれたと言う事は、「本当に」か「現実に」と敢えて言うが、オリ
ンピックが開催されれば、サッカーは3位以内(私はオリンピックは世界
のメダル獲得競技会ではないと思っているので、メダルという表現は使わ
ない)には入れる確率は高くなってきたと思って見ていた。
森保監督はあれだけやって見せた者たちの中から、15乃至は18名を選ぶ為
には嬉しい悲鳴を上げるだろうと思わせてくれた勝利だった。一夜の出来
事でない事を心から願っている。
お仕舞いに敢えて再度言うが、「見損なっていて失礼しました。お許し
を」の立派な勝ち方だった。お陰様で楽しい一夜になって良く眠れた。前
田正晶
松本市 久保田 康文さん採録
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| 高山 正之
2021年03月23日
◆【変見自在】朝日の隠しごと
高山 正之
『週刊新潮』 令和3年3月25日号
エジソンは直流電流で電気事業を立ち上げた。
部下のニコラ・テラスは交流がいいと主張し続けてクビにされた。
テスラはライバル企業のウエスティングハウス(WH)に移って交流の
事業化を進めた。
彼はセルビアが生んだ天才で、今、150キロしか走らない電気自動車
も、彼の名に因んだものだ。
エジソンは直流のシンプルさがいいと信じ、交流は「危ない殺人電気
だ」とネガティブ・キャンペーンでテラスを虐めた。
実際、犬や馬を交流電気で感電死させるイベントをあちこちで開いた。
死刑に交流電気椅子を使えばとも勧めた。米国人はグロだから、面白
い、それでいこうとなった。
最初に電気椅子に座ったのは斧で妻をぶち殺した30歳のドイツ人だった。
しかし処刑は馬ほどうまくいかず、二度目の長い通電で死刑囚は黒焦げ
になって焼け死んだ。
それでも交流の良さは打ち消せず、エジソンは一敗地に塗れた。
エジソンのGE社は以後、テスラのWH社を相手に何件も訴訟を起こす
が、テスラの知恵は別格だった。
両社の戦いは戦後も続き、最後の勝負は発電用軽水炉で争われた。
GEは電気のときと同じにシンプルな沸騰水型を持ち出し、対してWH
は複雑だが安全性の高い加圧水型を世に出した。
勝負はすぐついた。
米海軍は潜水艦搭載にWHの加圧水型を選んだ。
炉の周りで働く将兵の命を託すに値するのはWH製と判断したからだ。
土光敏夫もエネルギー資源を持たない日本には原発しかないと思った。
視察した結論はWH社製だった。
土光はまた石川島播磨、東芝、日立に自前の原子炉技術を開発させた。
土光の見立て通り、九電力は軽水炉を導入していったが、ただWH製だ
けではなくGE製も東電が入れた。
米国の圧力があったと思われる。土光は直ちにGEの介助に子飼いの石
播と東芝を充てた。何かあった時に備えたものだ。
実際、GEはエジソンと同じだった。ふんぞり返って日本側にノウハウ
は教えず、格納容器も見せなかった。すべて完成し、スイッチを入れるだ
けのターンキー方式だった。日本を未開発国並みに扱った。
いいものならそれでいいが、いざキーを回したらあちこち故障だらけ
だった。
放射線漏れや腐蝕割れもあって、運転効率はたった16%という有様だ。
石播、東芝がそこで動いた。心臓部の材質も変えて、GE社も見違える
ほど安全な炉に生まれ変わった。
GE製は安全性も疎かだった。万が一のとき、格納容器から高圧ガスを
抜くベントすらなかった。
事故が起きれば即チェルノブイリだった。
日本側はベントを新たに付けた。公表しなかったのはGE社への配慮も
あるが、もう一つ。馬鹿な朝日新聞が「昨日まで暴走原子炉だったんだ」
とか騒ぐからだ。
3・11もGEの「低地に作れ」設計があだになった。
ただ福島をチェルノブイリにしなかったのは日本側の自立保守のおかげ
だった。
そして10年。朝日がまた原発糾弾を展開した。
ベントに欠陥と無知な批判を浴びせ、電源は「地震で落ちたから地震大
国に原発は危険」とも主張した。
溜まった使用済み燃料からは「6千発の核爆弾ができる」と繰り返して
人々にあらぬ期待を持たせた。
「再び事故があれば日本は終わり」だから「脱原発の決意を」と提言する。
日本を憂え、再生エネで綺麗に暮らそう風に聞こえるが、朝日が並べた
脱原発の理由は吉田清治の話と同じ、悉(ことごと)く嘘だ。
電源喪失は津波であって地震は関係なかった。
軽水炉の使用済み燃料では核爆弾は作れない。
だいたい炉も欠陥もみなGE製なのに、朝日はそれを隠し続けた。
10年、そんな嘘を並べては支那製の風力発電と韓国製の太陽パネルを勧
めた。
朝日は大幅経常赤だ。それで宣伝費でももらったか。
出典:『週刊新潮』 令和3年(2021)3月25日号
【変見自在】朝日の隠しごと
著者:高山 正之
高山正之氏の本紙連載が、単行本になりました。
『変見自在 コロナが教えてくれた大悪党』(定価1450円)絶賛発
売中。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
松本市 久保田 康文
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
『週刊新潮』 令和3年3月25日号
エジソンは直流電流で電気事業を立ち上げた。
部下のニコラ・テラスは交流がいいと主張し続けてクビにされた。
テスラはライバル企業のウエスティングハウス(WH)に移って交流の
事業化を進めた。
彼はセルビアが生んだ天才で、今、150キロしか走らない電気自動車
も、彼の名に因んだものだ。
エジソンは直流のシンプルさがいいと信じ、交流は「危ない殺人電気
だ」とネガティブ・キャンペーンでテラスを虐めた。
実際、犬や馬を交流電気で感電死させるイベントをあちこちで開いた。
死刑に交流電気椅子を使えばとも勧めた。米国人はグロだから、面白
い、それでいこうとなった。
最初に電気椅子に座ったのは斧で妻をぶち殺した30歳のドイツ人だった。
しかし処刑は馬ほどうまくいかず、二度目の長い通電で死刑囚は黒焦げ
になって焼け死んだ。
それでも交流の良さは打ち消せず、エジソンは一敗地に塗れた。
エジソンのGE社は以後、テスラのWH社を相手に何件も訴訟を起こす
が、テスラの知恵は別格だった。
両社の戦いは戦後も続き、最後の勝負は発電用軽水炉で争われた。
GEは電気のときと同じにシンプルな沸騰水型を持ち出し、対してWH
は複雑だが安全性の高い加圧水型を世に出した。
勝負はすぐついた。
米海軍は潜水艦搭載にWHの加圧水型を選んだ。
炉の周りで働く将兵の命を託すに値するのはWH製と判断したからだ。
土光敏夫もエネルギー資源を持たない日本には原発しかないと思った。
視察した結論はWH社製だった。
土光はまた石川島播磨、東芝、日立に自前の原子炉技術を開発させた。
土光の見立て通り、九電力は軽水炉を導入していったが、ただWH製だ
けではなくGE製も東電が入れた。
米国の圧力があったと思われる。土光は直ちにGEの介助に子飼いの石
播と東芝を充てた。何かあった時に備えたものだ。
実際、GEはエジソンと同じだった。ふんぞり返って日本側にノウハウ
は教えず、格納容器も見せなかった。すべて完成し、スイッチを入れるだ
けのターンキー方式だった。日本を未開発国並みに扱った。
いいものならそれでいいが、いざキーを回したらあちこち故障だらけ
だった。
放射線漏れや腐蝕割れもあって、運転効率はたった16%という有様だ。
石播、東芝がそこで動いた。心臓部の材質も変えて、GE社も見違える
ほど安全な炉に生まれ変わった。
GE製は安全性も疎かだった。万が一のとき、格納容器から高圧ガスを
抜くベントすらなかった。
事故が起きれば即チェルノブイリだった。
日本側はベントを新たに付けた。公表しなかったのはGE社への配慮も
あるが、もう一つ。馬鹿な朝日新聞が「昨日まで暴走原子炉だったんだ」
とか騒ぐからだ。
3・11もGEの「低地に作れ」設計があだになった。
ただ福島をチェルノブイリにしなかったのは日本側の自立保守のおかげ
だった。
そして10年。朝日がまた原発糾弾を展開した。
ベントに欠陥と無知な批判を浴びせ、電源は「地震で落ちたから地震大
国に原発は危険」とも主張した。
溜まった使用済み燃料からは「6千発の核爆弾ができる」と繰り返して
人々にあらぬ期待を持たせた。
「再び事故があれば日本は終わり」だから「脱原発の決意を」と提言する。
日本を憂え、再生エネで綺麗に暮らそう風に聞こえるが、朝日が並べた
脱原発の理由は吉田清治の話と同じ、悉(ことごと)く嘘だ。
電源喪失は津波であって地震は関係なかった。
軽水炉の使用済み燃料では核爆弾は作れない。
だいたい炉も欠陥もみなGE製なのに、朝日はそれを隠し続けた。
10年、そんな嘘を並べては支那製の風力発電と韓国製の太陽パネルを勧
めた。
朝日は大幅経常赤だ。それで宣伝費でももらったか。
出典:『週刊新潮』 令和3年(2021)3月25日号
【変見自在】朝日の隠しごと
著者:高山 正之
高山正之氏の本紙連載が、単行本になりました。
『変見自在 コロナが教えてくれた大悪党』(定価1450円)絶賛発
売中。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
松本市 久保田 康文
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at 07:56
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